くにさくロゴ
1953/07/15 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 通商産業委員会 第14号
姉妹サイト
 
1953/07/15 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 通商産業委員会 第14号

#1
第016回国会 通商産業委員会 第14号
昭和二十八年七月十五日(水曜日)
   午前十時二十一分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     中川 以良君
   理事
           松本  昇君
   委員
           石原幹市郎君
           黒川 武雄君
           小林 英三君
           西川彌平治君
           酒井 利雄君
           松平 勇雄君
           岸  良一君
           豊田 雅孝君
           西田 隆男君
           海野 三朗君
           藤田  進君
           山口 重彦君
           武藤 常介君
           白川 一雄君
  政府委員
   通商産業政務次
   官       古池 信三君
   通商産業省通商
   局次長     松尾泰一郎君
   中小企業庁長官 岡田 秀男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       林  誠一君
   常任委員会専門
   員       山本友太郎君
   常任委員会専門
   員       小田橋貞壽君
  説明員
   通商産業省通商
  局輸出保険課長  武藤 和雄君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○中小企業信用保険法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○輸出信用保険法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○連合委員会開会の件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。
 先ず中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について審議いたしたいと存じます。御質疑のございますかたはどうぞ御質疑をお願いいたします。なお念のために申上げますが、本法案は衆議院において施行期日が八月一日と政府原案にございまするのを、公布の日からというふうに施行の日を修正されて送付されております。これは九州水害の用に一刻でも早く役立てたいと、こういう趣旨からその修正がせられまして衆議院で可決せられております。従つて、衆議院送付原案を基としてここでは審議をいたします。どうぞ御質疑をお願いいたします……(「異議なしだ」と呼ぶ者あり)別に御発言もございませんようですが、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
#4
○豊田雅孝君 今回中小企業信用保険制度の内容が拡充強化を或る程度せられましたので、その点においては賛成をするのでありますが、併しながら、先般来質疑の際に明らかになりましたるごとく、短期資金につきましては信用保証協会制度で適用に相成つておりまする二府県以上に跨がる場合、いわんや全国に跨がる場合においてはこれを賄い得ないという面があるので、かような面から信用保険制度のほうを長期資金に限定せずして短期資金に拡大すべきではないか、将来その方向に持つて行つてもらいたいということが一点であります。更に第二点といたしましては非常時の信用保険制度としては、今般の填補率の引上げ八〇%ということでありまするが、これも業界からは九〇%に引上げられたいという要望が強かつたのであります。この点においては八〇%になつたもののまだ不満足である、殊に非常な大きな風水害等の起りましたる際にはこの程度の填補率では到底この制度が円滑に動かないだろうというふうに考えられまするので、風水害その他大きな災害のありましたる際におきましては、填補率を少くとも九五%程度に引上げて行くということについて将来御研究を願い、実行に移すようにしてもらいたいという点が第二点であります。第三点といたしまして、今回保険料の問題につきましては、風水害等の際においては三分の一にまで引下げられるということに相成つたのでありますが、常時の場合における保険料率は従前通り動かされておらないのでありまして、改善されておらんのであります。従つてこの点についても業界としては長い間保険料率の引下げを要望して来ておるのでありまして、今後保険料率の引下げについて一段の努力をしてもらいたいという、この三点を希望条件といたしまして、条件付で私は賛成いたす次第であります。
#5
○小林英三君 本案につきましては、なお只今豊田委員からお話がありましたように、更に修正をする点も多々あると思います。併し衆議院におきまして、一時も早くこの案を通過させて両日本における災害に対応せんとして即刻に通過して参議院に回付され、我々もその意図に同調して、そうして只今即刻にこの案を審議せんとしておるのであります。どうか政府におかれましては、この案に盛られましたすべての目的を西日本の災害復旧のために有効適切に運用されんことを希望いたしまして本案に賛成いたします。
#6
○委員長(中川以良君) 他に御発言ございませんか。……他に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。
 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を衆議院送付の原案通り可決することに賛成のかたは御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#8
○委員長(中川以良君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定をいたしました。
 なお本会議における委員長の口頭報告の内容等事後の手続は慣例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それでは本案を可とされましたかたは慣例により順次御署名をお願いいたします。
   多数意見者署名
    松本  昇  岸  良一
    石原幹市郎  豊田 雅孝
    黒川 武雄  海野 三朗
    小林 英三  藤田  進
    西川彌平治  山口 重彦
    酒井 利雄  武藤 常介
    松平 勇雄  白川 一雄
  ―――――――――――――
#10
○委員長(中川以良君) ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#11
○委員長(中川以良君) 速記を始めて。
#12
○西川彌平治君 実は固定資産税の関連でございますが、聞くところによりますると、農業協同組合の脱穀調製、そういう方面のいわゆる共同施設に対しましては固定資産税を免除しておるのでございまするが、中小企業の協同組合の施設に対しましては、この固定資産税が取られておるのでありまするが、この点につきましてはどういうふうになつておるのですか、伺いたいと思います。
#13
○政府委員(岡田秀男君) 私案は今ちよつと資料の詳しいのを持つておりませんが、先般まではさようであつたのでありますが、今年になりましてからいろいろ大蔵省の主税局と交渉いたしました結果、我々の主管しております中小企業の協同組合の共同施設につきましても地方税の固定資産税を減免することができるように大蔵省で修正することになりまして、今度の国会へ上程されておるはずであります。詳しいことは条文その他を詳しく調べまして、後刻お届けいたすことにいたします。
#14
○西川彌平治君 さようあつて欲しいのでありますが、実は現在におきまして、この問題が地方におきましてはつきりと出ておるのでありますから、どうかそういうふうに折角中小企業の共同施設に対し、県並びに国が補助をいたしておりますそのものが、一方におきましては、農業関係におきまするものに対しましては税の対象にならない、それを中小企業のほうに対してなるというようなことは偏頗な処置でありますから、是許さように一つお願いを申上げておきます。
 いま一つ私申上げたいと思います。実は各地に頻発をいたしておりまする大工場の破産とでも申しますか、不渡手形の濫発によりまして、破産のような状態になつて大工場が整備をされておるのでありまするが、会社更生法というものによつて財産の保全命令が出て、そうして整備をやつておるように聞いておるのでありまするが、私残念ながらその保全を、この会社更生法という法律の内容をよく存じておりませんので、私の申上げることがはつきりとこうだとは申上げられないのでありまするけれども、その保全命令が出ておりまして、従業員、いわゆる工員の賃金に対しましては、これは全然保全をされておりましても、許可がなくとも賃金だけの支払は完全にできておるようでありますけれども、下請とでも申しますか、全く工賃請負をやつております、殆んど賃金に等しいものに対しましても保全命令が出ておるということになりまして、賃金の支払が認可を得なければならんというようなことになつておるようでありますが、これは実際問題といたしましては、全く工賃の請負をやつておるものでありまするから、工場直接の工賃と同じようにもう少し認可許可を得なくとも払えるような方法をとつて頂きたい。こういうふうに思うのでございますが、この点はどうですか。
#15
○政府委員(古池信三君) 只今の会社更生法に基く諸般の措置に関しましては、只今ここに資料を持つておりませんので、十分に取調べをいたしまして、只今の御要望のような趣旨に副うように私どもとしても努力をいたします。
#16
○西川彌平治君 どうぞお願いいたします。
#17
○政府委員(古池信三君) なお先ほどお話のありました中小企業の協同組合の共同施設につきましては、全くお説の通りに私も考えております。農業協同組合関係の施設の固定資産税につきましては、大分前から各国会ごとに相議題になつて、だんだんとその免税になる設備が殖えて来ておるように承知しておりますが、中小企業の協同組合の場合は余り今まで問題になることも少なかつたように思うのでありますけれども、これは是非とも農業協同組合と歩調を合せて、共同施設については免税の措置をとるべきものと考えますので、その点も御趣旨に副うように我々今後努力をいたしたいと存じておりますので、さよう御了承願います。
#18
○西川彌平治君 大変有難いお言葉でありますが、最近の中小企業に対する共同施設ももう数千万円に上るような施設をしておるところもございますのでありますから、是非とも一つ御努力願いたいと思います。
   〔委員長退席、小林英三君着席〕
#19
○委員長代理(小林英三君) それでは皆様にお諮りいたしますが、先ほど申上げました輸出信用保険法の一部を改正する法律案につきましては、当局がまだ来ておりませんから、その間中小企業金融公庫法案につきまして質疑を続行いたしたいと思います。
#20
○藤田進君 議事進行についてですが、先ほど中川委員長には連絡をいたしまして了解を得ていたのですが、連合審査に関する動議を出したいと思つておるのです。今の中小企業信用保険法の後にしてもらいたいということでありましたので留保しております。よろしくお願いします。
#21
○委員長代理(小林英三君) 今私が申上げましたのは、政府当局が参ります間、便宜上中小企業金融公庫法案につきましての質疑を頂戴したい、こういうことを申上げたのですが、ちよつと速記をとめて下さい。
   午前十時三十七分速記中止
   ―――――・―――――
   午前十時五十八分速記開始
   〔委員長代理小林英三君退席、委員長着席〕
#22
○委員長(中川以良君) それでは速記を始めて、只今より輸出信用保険法の一部を改正する法律案につきまして審議をいたします。本日は御質疑を一つお願いいたします。なお念のために申上げておきまするが、この法律案は昨日衆議院におきまして本会議に上程ざれ通過をいたしております。御質疑はございませんか。……私からちよつとお尋ねいたしますが、今日の新聞を見ると、今度の予算を修正するのに伴つて保険料を下げるようなことが書いてありましたが、それはどういうふうになつておるのですか。
#23
○政府委員(松尾泰一郎君) 保険料の引下げでございますが、大体今認められている予算の範囲内においてやることは大蔵省と絶えずやつておるわけであります。予算のほうの修正までをして行くという程度までまだ考えておりません。大体基金もかなりございますし、いろいろの支出収入の関係からいたしまして、若干引下げの余地があるのではないかという我々の考え方から大蔵省と折衝してお参るという段階でございます。
#24
○委員長(中川以良君) 私の見誤りであつたかも知れませんが、何か大幅に引下げるとか出ておつたのですが、何かそういうことは論議しておりますか。私は大変結構だと思つて見たのですが……。
#25
○政府委員(松尾泰一郎君) 先般も御説明申しました甲種保険、甲種保険につきまして先般御説明申上げましたように、一応現在の標準料金として百円につき四十銭でございます。それを実は綿糸布の輸出組合員に限りまして、綿糸布につきまして一応八銭に引下げたことは先般御説明申上げたわけであります。それと同様に一般的にまあ八銭になるか十銭になるかわからんのでありますが、十五銭くらいには引下げてはどうかという案を我々事務的に検討いたしまして、大蔵省と折衝いたしておりますが、これは別段予算の関係ではなしに、範囲内であります。
 なお乙種保険、いわゆるプラント輸出に伴う保険でありますが、これにつきましても、先般御説明申しましたように、百円につき二円のやつを先般信用状の来たものについては半額即ち一円に引下げて四月から実施したことを御説明申上げたのでありますが、なお若干引下げの余地がないかと大蔵省と事務的に折衝いたしております。が、これは予算そのものを変更するというのではなしにやるという考え方であります。
#26
○委員長(中川以良君) 基金の関係は利子の四十銭を八銭、十銭等に引下げましても大丈夫なのですか。
#27
○政府委員(松尾泰一郎君) 大体大丈夫だと考えております。
#28
○海野三朗君 保険法の一部を改正する法律案の八頁の所の二行目に「前日までの利息を控除した残額」とこうありますが、この利息は、どのくらいに勘定しておられるのでありますか。輸出信用保険法の一部を改正する法律案の八頁……。
#29
○政府委員(松尾泰一郎君) これはいわゆる乙種保険と申しますか、いわゆるプラント輸出に伴う保険金の回収金の納付に関連する規定でありますが、この場合の利息というのは、別段特別の利息ではございませんで、それぞれ銀行とそれからそういうプラント輸出をした商社との間のコンマーシャル・ベーシスに基く金利でありまして、普通こういう延べ払の場合におきましては、商社と銀行の間でその金利をきめております。これが例えば輸出入銀行の中に入ります場合におきましては、若干金利は低くなつておりますが、現在一般的に輸出入銀行の金利は五分になつておりますが、市中銀行のほうはそれよりも若干高いかと思いますが、ここで申しております利息というのは、銀行とそれから業者との間でいわゆるコンマーシャル・べーシスできめている利息を言うておるわけであります。特別の利息を考えておるわけではないのであります。
#30
○海野三朗君 この利息は日歩どれくらいになつている利息なんですか。
#31
○政府委員(松尾泰一郎君) これはプラント輸出の場合でございますので、大体今のところ日歩二銭前後ではなかろうかと思つております。
#32
○海野三朗君 この法律案に直接関係は薄いかも知れませんが、この金利の高いということは各方面で今非常に問題になつておるのでありまするが、その金利なぞ如何ようにこれはお考えになつて……、その金利は考えずに、ただ法律案を御提出になつたのでありましようか。金利について何か御所見がありませんですか。
#33
○政府委員(松尾泰一郎君) 輸出の振興に当りまして金利の引下げが非常に必要であるということは御指摘の通りであります。現在は輸出金融といたしまして特別な貿手制度というものを実施されております。先方から信用状が参りました場合に、これを、貿手を日銀の再割適格手形にいたしまして、現在では業者負担が六分九厘になる金利が設定されております。これも一般の国内の市中金利と比べますと非常に優遇された金利になつておるわけであります。なおプラント類につきましては、主として輸出入銀行のほうから金融を願うことになつております。この場合は今五分になつております。そういうふうに基金につきましては、現在貿手金利として六分九厘或いは又輸出入銀行の金利として五分というふうに一般の国内の市中金利よりはかなり低くなつておるのでありますが、できれば我々事務当局の者といたしましては、もう少し引下げができないものだろうかということを常々大蔵省とも相談を申しておるわけであります。何分金利体系全般の関係がありまして、早急に結論を得ることは非常に困難でございますが、輸出入銀行の金利は主として国家資金によるものでありますので、或る程度引下げの余地があるのではなかろうかということで、我々は今強く大蔵省とも話合いをしております。できれば四分程度にまで引下げをしてもらいたいというような話合いをしておるのであります。一般の貿手金融につきましては、これは一般の国内の市中金利との均衡もありまして、いろいろむずかしい問題があるようであります。我々事務的な案としましては、金利補給をするというふうなものを考えたりはいたしたわけでございますが、現段階におきましては早急に実現がむずかしい状況にあるのであります。
#34
○海野三朗君 只今の五分というのは年五分でありますか。
#35
○政府委員(松尾泰一郎君) さようでございます。
#36
○海野三朗君 この日本のあらゆる方面、造船にいたしましても或いは中小工業のほうにおきましても、この金利が非常に高いので、実に巧妙なこの金利の吸収と申しますか、金利によつて儲けたものを皆吸収されつつあるのが今の日本の現状であろうと思いますので、この法案をこれから先実行されるに当つても、十分この金利の引下げということは、日本のあらゆる面において重大であると私は考えるのでありまして、この点についても政府当局におかれましても十分御注意をして頂きたい。十二分な注意をして頂かないと、今の日本の工業が銀行の利息払いで潰れてしまうというふうに私は思いますので、あらゆる方面に金利が日本では払われておりますので、どうぞその辺に十分御留意願いまして、私の質問を終りたいと思います。
#37
○委員長(中川以良君) 五条の十と十一につきまして、なかなか法文の解釈がむずかしいので、特に資料を出してもらつておりますので、この提出の資料に基いて一つ御説明を願います。
#38
○政府委員(松尾泰一郎君) 第五条の十、それから第五条の十一につきまして簡単に申上げまして、あとでお配り申しております資料について詳細な説明を申上げたいと思います。この第五条の十はちよつと法文を御覧願いたいのでありますが、保険金の支払を受けた為替銀行がどういうふうな措置をとるべきかということを書いておりますが、「保険金の支払を受けた外国為替銀行は、第五条の七第二項の保険関係が成立した荷為替手形」ということは、要するに保険がつけてある荷為替手形という意味であります。保険のついておる荷為替手形について、手形上の権利の行使、括弧を一応取除いて申上げますと、手形上の権利の行使をしなさい、又「附属貨物の処分その他附属貨物に関する権利の行使に努めなければならない。」、こういう考えでありまして、これは普通保険金の支払を為替銀行が政府から受けますと、先の第五条の八にありますように、百分の八十の保険金が政府からもらえるわけであります。この保険金、要するに八〇%もらつた場合については、普通の場合におきましては、その八割分について手形上の権利が政府に帰属するというのが普通の考え方ではあるわけでありますが、それをこの場合は、保険金を為替銀行が受けてもそれを代位せずに、代位の代りになお為替銀行が代金の取立て義務を行使してもらいたいというのが第一項の規定であります。手形上の権利の行使と申しますと、実際貨物が向うに行つたところが、向うの荷受人がそれを引受けないという場合には、結局こつちの荷物を積出した者即ち手形上では振出人になるわけであります。又現地におきまして手形を現地のバイヤーが引受けたという場合になると、その手形の引受人が相手方になるわけであります。つまり振出人とか或いは手形の引受人に対して権利行使をしまして取立てを先ずやるわけであります。なお貨物が存在する場合におきましては、こちらに貨物がある場合もありましようし、或いは向うに貨物を渡してしまつておるという場合もあろうかと思いますが、その場合におきましてはその貨物を適当に処分をして代金の回収に努める。或いはその他附属貨物に関する権利と申しますのは、或いは誤つて他の人間が貨物を取得しておるというような場合には、その人に対して賠償の請求をいたしたり或いは又それに保険金が、いわゆる火災保険等の保険がついておるという場合には、その保険金を請求したりするような権利の行使に努めなければならないことを第一項に規定しておるわけであります。
 第二項におきましては、保険金の支払を受けた外国為替銀行は結局不渡りに、その手形が不渡りになることについて、「荷為替手形の振出人の責に帰すべき事由がない場合」、これは契約を誠実に履行しておる場合には、振出人の責に帰すべき理由がないのであります。契約を、実際非常に変な荷物を入れたとか数量が足らないというような場合には、これは責に帰すべき場合でありますが、普通客観的に見まして、誠実に契約を履行しておるというふうな場合におきましては、振出人には責任がないわけであります。さような場合におきましては、支払を受けた保険金の額に相当する額と申しますと、結局八割だけ政府から保険金を為替銀行がもらつておるわけでありますので、その八割に相当する金額については、第一項で申しましたような遡求権を行使してはならないということを規定しておるわけであります。即ち保険金の支払を受けた為替銀行は、原則としては手形上の権利の行使をいたすわけでありますが、その不渡りになつたことについて、手形の振出人の責に帰すべき理由がない場合には、その八割分については遡求権を行使してはならないという考え方であります。従つて残余の二割につきましては遡求権を行使しなければならないという反対解釈になるわけであります。
 それから第五条の十一は回収金の納付、その遡求権を行使しまして金が返つて来た場合の、政府と銀行との間の金の配分のやり方を規定しておるのであります。保険金の支払を受けました為替銀行は、その支払の請求をした後、即ち保険金の支払の請求を政府にいたしました後に回収した金額、回収したと申しますと、第五条の十で申上げましたように、附属の貨物を処分して金が返つて来る場合もありましようし、或いは手形の引受人に請求することによつて金が返つて来る場合もありましようし、或いは振出人に対して遡求することによつて返つて来る場合もありましようが、その回収した金額、その次の括弧は一応後に御説明申上げることにいたしまして、さようにして「回収した金額から荷為替手形の満期以後保険金の支払を受けた日の前日までの利息を控除した残額に支払を受けた保険金の額の第五条の九に規定する残額に対する割合を乗じて得た金額を政府に納付しなければならない。」、この「満期以後保険金の支払を受けた日の前日までの利息」と申しますのは、要するに手形が満期になりまして、そこで不渡になつた、それから一カ月以内に為替銀行としては、政府に保険金の支払の請求をいたすわけであります。請求が政府にされますと、それから又一カ月以内に政府が保険金の支払をいたすわけであります。従つてこういう資金を回収した場合に、一応最高限としまして二カ月ブランクが出ますので、その二カ月分の利息を銀行がこの回収した金額から一応差引きまして、そしてその残つた額をいわゆる八割と二割の割合で政府と銀行とにまあとるわけであります。その「残額に対する割合を乗じて得た金額」というのは、実は八割ということであります。その八割を政府に納付しなければならないということであります。従いましてこの残余の二割は銀行が取得することになるわけでございます。今括弧を除いて御説明申しましたのは、いわゆるこの「手形の振出人の責に帰すべき事由」があつた場合におきましては、全額遡求いたします場合には今申しましたふうになるわけであります。ところが第五条の十の第二項におきましてその「手形の振出人の責に帰すべき事由がない場合」におきましては、結局八割は政府から保険金をもらいますので、その分を遡求してはいかんということを前条で規定しております。従つて二割だけを遡求するということになるわけでございます。従いまして括弧内におきましては「前条第二項に規定する場合にそ求権を行使して回収した金額」と申しますのは、言い換えて見れば、八割は遡求権を行使をいたさないという関係上、結局二割が遡求権を行使して回収した金額ということになるわけであります。従いまして「手形の振出人の責に帰すべき事由がない場合」におきましては、先ず回収した金額から三割を当然銀行としては回収すべき金でありますので、その二割を天引をしておいて、その残りから又、保険金の支払を受けた日の前日までの利息は当然銀行としてはとるべき金額でありますから、それを除いたあとの純粋の残りの分の八割を政府に納付しなければならない、こういうことであります。従つてこの第五条の十一と申しますのは、そういう「責に帰すべき事由のある場合」と、それから「青に帰すべき事由のない場合」と、そのない場合が括弧内に該当するわけであります。その両方を併せて規定をいたしましたのであります。少しわかりにくかろうかと思いますが、大体今申上げましたようなことなんであります。なおそれを図解によりまして御説明を申上げたいと思いますが、輸出保険課長からこの説明を申上げます。
#39
○説明員(武藤和雄君) お手許に表をお配りしてありますが、これにつきまして概略を申上げますが、先ずここで最初に例を一つ設けまして、この例では不渡を百万円と仮にいたしまして、その百万円について満期日後五日目に二十万円だけ相手方から払う、そのままあと払つて来ない場合を一応考えまして、一月目の三十日たちました日に、銀行が保険金の請求をする。更に三十日たちましてから政府が保険金を払う。然るに保険金を払いまして七十日目に、銀行は残余の損失について振出人に遡求をした。然るに百日目になつてから引受人から残額の一部について弁済があつた、こういう例を仮に掲げて御説明を申上げます。なおこの法律では手形の種類が二通りございまして、DA手形とDP手形の二通りあります。DA手形と申しますのは、手形を向うに送りまして、相手国のバイヤーが引受をいたしまして、引受だけで荷物を引取るというのがDAでございます。DP手形と申しますのは、現金の支払と引換に荷物を渡す、これがDPであります。ごごではDA手形の、荷物を渡してしまつて金が入らないという場合について御説明を申上げます。更にこれには延滞利息の計算が入りますが、これは非常に複雑でありますので省略さして頂きます。それからその次に表がございますが、以上の文章を図解いたしたものでございます。
 先ず手形の満期日を仮に八月一日といたします。その日に不渡りが百万円あつた。ところが五日目に二十万円だけ相手が送つて来た。満期後の支払として八月五日に二十万円の回収があつた。八月の三十日になりまして銀行は保険金の請求をいたしますが、その場合に保険金請求の基礎になりますのは、不渡手形の百万円から満期後に回収いたしました二十万円を差引いた八十万円が銀行の損失であります。その八十万円を法律では第五条の九に規定する残額という表現で呼んでいます。この八十万円に対しましてその八割を政府に対して請求いたします。で三十日たちましてから、ここでは一応三十日の期間を置きまして、政府から保険金の支払があるということにいたしまして、八月の三十日に請求通り六十四万円の保険金の支払があつた。更に十日たちましてから残額の十六万円について振出人に遡求するということにいたしまして、そういうことで銀行の損失が、一応保険金支払の六十四万と遡求による回収の十六万円とで八十万円は消えますが、これを回収に努めた結果、引受人から更に三十日してから五十万円だけ送つて来たという場合であります。そこでその下の説明に入りますが、先ず保険金の計算の方法でありますが、第五条の九の規定によりまして、満期において支払を受けることができなかつた金額が、これが百万円でございますが、それから同条の各号に掲げてある回収金額を、ここでは満期後の支払として二十万円だけを挙げております。これを控除いたしました残額の百分の八十をかけて保険金を算出いたします。従いましてそこの算式にありますように、八十万円に八割をかけて六十四万円になる。そこで次に振出人に対して遡求をするわけであります。つまり銀行は八割の六十四万円しか保険金をもらつておりませんので、残額について遡求をするわけでありますが、法律の先ほどの規定によりまして振出人が無責の場合に、無責の場合と申しますのは、例えば粗悪品を売つた場合に手形が不渡りになつたという場合でなしに、誠実に義務を履行したにもかかわらず相手が払わないという場合には、この五条の十の規定がありまして、「支払を受けた保険金の額に相当する金額についてそ求権を行使してはならない。」ということになつておりますので、銀行は振出人に対しまして八十万円から六十四万円を差引いた十六万円だけの遡求ができる、こういうことになります。それから更に回収金の納付でありますが、保険金の支払を受けました銀行は、五条の十の第一項の規定によりまして回収に努めなければなりませんし、回収に努めた結果、回収した金額があります際は、五条の十一の規定によりまして政府に納付いたすのでありますが、本例で見ますと、振出人に遡求して回収した金額は、先ほどのように十六万円であります。それから引受人からの支払は五十万円あつたわけであります。ところが先ほどの五条の十一の括弧書きで、振出人に対する遡求分は除くとありますので計算の仕方といたしましては、先ず回収金が遡求の十六万円と、相手方の支払の五十万円と、その合計額が回収金でありまして、それから十六万円を引き申して、この五条の九に規定する残額と、支払を受けた保険金の額との割合、ここで申しますと八〇対六四の割合をかけまして四十万円になります。従いましてこの例で申しますと、政府には四十万円だけ返せばいいということになります。こういう計算をいたしました結果、結果においてはどうなるかと申しますと、以上の結果として説明をしてございますが、政府は当初六十四万円の保険金を支払い、先ほどの計算で四十万円を返した、差引保険金の支払額は二十四万円になります。
 次に銀行は満期後保険金請求までの回収金が二十万円ありました。政府からの保険金の支払が六十四万円であります。遡求による回収が十六万円あります。これで合計百万円になりますので銀行の損失は零であります。それから振出人は当初遡求を受けて十六万円支払いましたが、後に銀行から十万円返還を受けますから差引の損失は六万円になります。
 そこで結局これを全部清算いたしますと、当初不渡金額は百万円でありましたが、その後支払がありましたので最終的な不渡金額はこの場合三十万円になります。つまり不渡金額百万円から二十万円、五十万円の二つの支払を控除いたしますと、純損失は三十万円、その三十万円も結局政府が二十四万円、振出人が六万円負担するような結果になります。つまり手形の不渡額の四分の三を政府、四分の一を振出人がという結果になるのであります。これで計算が全部合うわけであります。それから次に振出人に責のある場合はどうかということでありますが、この場合には前の例と同じでありますが、ただ異なりますのは遡求による回収額が振出人無責の場合には支払を受けた差額だけにしか行使できませんが、この場合には全額行使できますので、これは五条の十の規定であります。従つて本例では未収額八十万円の全額を遡求して回収いたします。この八十万円にその八十分の六十四をかけまして六十四万円政府に返す。そうして十六万円を銀行が取得する、こういう結果になります。その結果最後に清算をいたしますと、手形の名宛人の不払額は八十万円でありますが、政府は、一旦六十四万円の保険金を払つて後に全額の返還を受けますから差引保険金の支払は零となります。次に銀行は保険金六十四万円をもらい、それから遡求をして回収した金額のうち政府に納入しました差額の十六万円を取得いたしますので、この銀行の損失も零になる。振出人は有責でありますので、遡求を受けて八十万円の損失になる、大体こういう方式をこの条文で規定いたしております。
#40
○委員長(中川以良君) ほかに御質問ございませんか。格別御質疑もないようでございますが、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれから討論に入ります。御意見のございますかたは賛否を明らかにしてお述べを頂きます。
   〔「原案賛成」と呼ぶ者あり〕
#42
○委員長(中川以良君) 格別御発言もございませんので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 輸出信用保険法の一部を改正する法律案を衆議院送付案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#44
○委員長(中川以良君) 全会一致でございます。よつて本案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定をいたしました。
 なお本会議における委員長の口頭報告の内容等事後の手続は、慣例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なしと呼ぶ者あり〕
#45
○委員長(中川以良君) なお本案を可とされたかたの御署名を慣例によつて順次お願いをいたします。
   多数意見者署名
    松本  昇  西田 隆男
    小林 英三  海野 三朗
    西川彌平治  藤田  進
    酒井 利雄  山口 重彦
    岸  良一  白川 一雄
    豊田 雅孝  黒川 武雄
    石原幹市郎  武藤 常介
  ―――――――――――――
#46
○委員長(中川以良君) それからちよつとお諮りをいたしますが、先ほど金曜日に今の労働問題の審議をいたしたいと申しておきましたが、実は金曜日の定例日には独禁法に関しまする公聴会が決定をいたしております。これは経済安定委員会の主宰でございまするが、先日来連合委員会を開いておりまするので、当委員会といたしましてもこれに是非とも出席をしなければならんと考えております。よつて今の労働問題は十八日の土曜日の午前十時よりいたしたらどうかと存じますが、如何でございましようか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)そうして招致をいたしまするのは労働大臣、労政局長、通産大臣、公益事業局長、鉱山保安局長、石炭局長に出席を求めることにいたしますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○委員長(中川以良君) それではさようなことに決定をいたします。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午前十一時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト