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1953/07/20 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 通商産業委員会 第16号
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1953/07/20 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 通商産業委員会 第16号

#1
第016回国会 通商産業委員会 第16号
昭和二十八年七月二十日(月曜日)
   午前十時四十八分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     中川 以良君
   理事
           松本  昇君
           藤田  進君
           小松 正雄君
   委員
           石原幹市郎君
           黒川 武雄君
           小林 英三君
           西川彌平治君
           酒井 利雄君
           松平 勇雄君
           岸  良一君
           豊田 雅孝君
           西田 隆男君
           江田 三郎君
           武藤 常介君
           白川 一雄君
  国務大臣
   通商産業大臣  岡野 清豪君
   労 働 大 臣 小坂善太郎君
  政府委員
   通商産業政務次
   官       古池 信三君
   通商産業省石炭
   局長      佐久  洋君
   通商産業省鉱山
   保安局長    吉岡千代三君
   通商産業省公益
   事業局長    中島 征帆君
   労働政務次官  安井  謙君
   労働省労政局長 中西  實君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       林  誠一君
   常任委員会専門
   員       山本友太郎君
   常任委員会専門
   員       小田橋貞壽君
  説明員
   労働省労政局労
   働組合課長   山崎 五郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○理事の補欠選任の件
○通商及び産業一般に関する調査の件
 (電気事業及び石炭鉱業における争
 議行為の方法の規制に関する法律案
 に関する件)
○連合委員会開会の件
○参考人の出頭に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。最初にお諮りをいたしたいと存じますが、委員の三輪貞治君が通産委員を辞任されましたので、理事一名が欠員となつております。つきましては、その補欠の互選をしなければなりませんが、選挙を省略いたしまして、委員長において藤田進君を理事に指名することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(中川以良君) それではさように決定をいたします。
  ―――――――――――――
#4
○委員長(中川以良君) 一昨日に引続きまして電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案について審議をいたします。質疑を続行いたします。
#5
○藤田進君 それでは前回に引続きまして質疑をいたしたいと思います。前回の質問に対するお答えが最後までなされないままに私も末席を立ち去りましたので、重ねてお答えを願いたいと思います。
#6
○政府委員(中西實君) この間の御質問、ちよつと時間がたちましたのですが、御要旨は、極く小さい部分に供給しておるような電気の発電関係、そういう所でも公共の福祉に影響があるかどうか、更に結果の生じない場合、これはもう公共の福祉というか、第二条に該当しないのじやないか、こういう趣旨だつたと思いますが、そういうことでございましたか、ちよつと……。
#7
○藤田進君 私の要旨は、今度の提案理由の唯一の根拠は公共の福祉に対して憲法二十八条の労働権との調和を求めるんだということであつたと思うのです。而もこれらに関連して公共の福祉と言えば、結局末端においてモーター、電燈、こういつた電気の供給が妨げられることによつて多数国民の生活等に影響があるんだ、こういうことでなければならないと思うので、結局争議行為のよつて来たるその結果が広汎且つ深刻なものである場合においてのみ公共の福祉云々が問題となるのであろう。併し御答弁によると、たとえその結果がどうあろうとも、結論的にはそういう電気がとまらない場合においても、やはり本法案としては適用を受け、違法であるという解釈に立つているんだ、規模が小さかろうが大きかろうが、そういうことは全然無関係であるかのごとき御答弁があつたので、然らばそういう影響がない場合に公共の福祉というものはどういう点から論じられるのか、この点についてお伺いしたわけです。
#8
○政府委員(中西實君) 公共の福祉の解釈でございますが、これはこの間もちよつと申しかけましたが、正確に一言で表現することが極めて困難でございますが、これを簡単に平俗的に申上げますと、部分に対する社会一般の利益と言いますか、部分の利益、権利が社会一般の秩序利益を不当に侵さない、部分の利益権利の主張が社会一般の利益なり秩序との調和を破らないようになされるということが大体その趣ではなかろうかと存じます。このことは結局憲法の十二条なり十三条の規定の趣旨でもあろうかと存じます。そこでお尋ねの極く小部分の所に供給しておる電気について、やはり公共の福祉との調和ということが問題になるかという問題でございますが、電気事業の性質上、結局極く小部分であるものでも、相当広範囲或いは全体的に影響を持つということも言えましようし、又如何にそれが小部分といえども、結局被害を受ける第三者、これは相当不特定の多数でございまして、やはり極く一部の者の利益のために第三者が非常な迷惑をするということは、結局は憲法に保障される諸権利と争議権との調整の意味から言いましても、やはりこれは許さるべきものじやないというふうに考えるわけでございます。なお、後段の現実に二条に該当するような事態が起らなかつた場合でも、客観的にそういつた行為が行われれば、やはり二条の適用に該当するということを申上げますのは、この点につきましてはすでに前々から裁判所の判例等もございまして、たまたまの理由によつてその結果が生じなくとも、通常の場合は必ずその結果が生ずる、客観的にはつきりいたしておりますような場合には、やはりその行為は第二条に該当して来るというふうに考えられるのでありまして、その点は結局全く偶然の理由で結果が起らなかつたということだけのことでございまして、普通なれば必ずやはり同じそういつた結果が生ずるという場合には、やはりその行為自体は許されないものと、こういうふうになる。この点につきましては先ほど申しましたように、別の事案でありますけれども、裁判所の判例等もそういうふうに解釈されております。
#9
○藤田進君 今の点はお答えになつていないのですが、そういう抽象論でなくて、問題は公共の福祉だと言われているのですから、公共の福祉とはやはり現実にその阻害があつた場合というふうに総括的に今言われたように思うのですが、やはり公共の福祉云々を唱えて憲法二十八条に保障する労働基本権を、これを制限しようということであるならば、当然この憲法二十八条に言う基本権と見合うだけの公共の福祉、憲法十二条、この憲法十二条についての解釈は私ども政府と違いますけれども、政府の解釈通り考えたとしても、十二条、二十八条のこのかね合いというこういう問題である以上、その争議行為のもたらす結果が非常に広汎且つ深刻なものであるということであるならば、又そこに理論上の問題として傾聴すべきものがあろうかと思いますけれども、今ほどのように、たとえ規模が小さくても、それがもはや本スト規制法の適用になるんだということになりますと、もつと具体的に説明がないと納得が行かないのであります。更に具体的な御回答を求めたいと思います。
#10
○政府委員(中西實君) 先ほども申しましたのでございますが、電気の特性と申しまするか、小発電所といえども、その停廃が結局影響するところは全送電系統に及ぶものでございます。その点からもやはり公共の福祉との関係が出て参るかと存じます。更にやはり公共の福祉ということは、勿論観念的には広汎ということが含んでおりますけれども、併しそればかりではございませんで、やはり憲法に規定しております諸権利の調和ということが公共の福祉に関係して参りまして、結局或る権利を行使するために不特定多数の人たちに非常な迷惑が及ぶ、従つてそれらの人たちが憲法に保障されているところの享受するいろいろな諸権利を不当に侵害されるという場合には、やはりこれは公共の福祉に反するということが言えるのじやないかと思います。
#11
○藤田進君 そういう広汎な福祉ということになりますと、それはまだ或る程度わかるのだが、今の質問は過去の経過を思い起して頂かなければよく質問に対する理解ができないと思いますが、電源職場の職場放棄、労務提供拒否ですね、この電源スト、これはたとえ小さい発電所であろうとも、又電気が現実に停廃しようがすまいが、それはおかまいなしにそれは駄目なんだという御答弁が先般あつて、そうしてそれならば電気がとまらないということであるならば、公共の福祉には何ら影響がないのではないかというところから来て質問を継続しているわけですから、でありますからこの点を十分お考えの上でありませんと、発電所は御承知のように非常に大きな発電所、火力、水力とも、殊に水力などにおきましては、今日町村営まで統合して非常に小さいものもあります。それから正常なる状態、日常争議行為のないときにおいても、故障その他絶えず発電機はとまつたり、小部分においては回転が必ずしも四六時中継続しているのではないのであつて、小発電所がとまつたことによつて直ちにいずれかの部分に停電が起きるという、そんなふうに電気は機械的であるけれども、そのようなものではないわけです。一部が仮に発電所に事故があつても、それがために直ちに電気がとまるということについては、その量が問題になるのであつて、いわゆる電圧なり或いはサイクルなり、こういつたことによつて若干の動揺はあるといたしましても、直ちにこれが公共の福祉云々というものでも無論ないわけであります。これらの事情から基本的な問題といたしましては、公共の福祉だということであるならば、一応これを認めてかかつたといたしましても、そうであるならばおのずから電源職場の争議行為というものが、これは規模の問題になるし、更に細かく言うならば、同じ発電所で必ずしも労働組合一つとは言えない。これは現実にそういう状態もあると思うのです。Aの労働組合、Bの労働組合というふうに、発電所の組合員自身が分れている場合がある。その場合にAの組合では争議行為をやつて、電源ストだと称してストライキ、仕事をしない。併しBの組合ではストライキをやつていないから、これは仕事をしているという場合も極端な例ではあると思うのです。その場合にAの労働組合の場合でもストライキはできないのだ、併し現実に発電機は廻つている、こういう場合でもやはり社会通念上公共の福祉と言われるのかどうかと、こういう点をこの間具体的に申上げて質問しているわけです。その場合はどうか、現実にこれが存在しているわけですね。過般の争議行為の場合でもあつたと思います。一時間の、何ですか、停電ストと言いますか、それも具体的な例を掲げてこれは解釈法規だと言われているが故に、総説的なものではないと言われているから、そういう場合でもやはり違法だと解釈されているのか、こういう点を裏返せば質問しているわけですね。これについてお答え願いたいと思います。
#12
○政府委員(中西實君) 電気の停廃、正常なる供給を停止する、それから又電気の正常なる供給に直接障害を与える行為、これをすることは、結局先ほども申しましたように、公共の福祉に反する。そこで只今お話のような行為、それは結局客観的に見ますれば、やはりこの第二条に言う結果を生ずる行為である、こう言えることによつてやはり公共の福祉に反する行為になる、こういうふうに我々考えておるのでありまして、争議行為として勿論渇水期その他の場合いろいろ毒気の調整がございますけれども、併し争議行為としてこれを行うことは、憲法各条に保障している諸権利との調和から言つて不当な行為であるというふうに社会通念として成熟している。従つて第二条にありますように、結果そういう結果になる行為ということでありますれば、やはり電源或いは変電所等の職場放棄は、やはり客観的に見て第二条の結果をもたらすものであると、こういう解釈なり認識に立つているわけであります。
#13
○藤田進君 そういたしますと、一つのことを予想して今の時点において考える場合に、将来、これは現在は発電機なり発電所はBの組合なり或いはその他の非組合員によつて運営されている。そうして何らの支障もなしに発電されておる、こういうのが過去のストライキですね。そうして一部について途中からとまるとかいう場合も稀にはあつたけれども、併し現時点においては正常に運営されている。発電機は廻つている。けれども直接ストライキじやなくても、何かの事情で発電機がとまるという場合もこれはあります。正常な争議行為のないときでさえも故障ということはあります。ですから現実にその争議行為が行われ、その行われたことによつて直ちに発電機がとまるとか、或いはとめるとか、こういう場合であるというふうに十五国会の場合は答弁されているが、今度の場合は一層これがきつくなつて、そうしてたとえ発電機がとまらなくても、将来とまるかも知れないことを予想して駄目なんだというふうに現時点において断定されるように御答弁が変つて来たわけですが、そのように変つて来たと解してよろしうございますか。
#14
○政府委員(中西實君) 問題は「正常な」という解釈だと思いますが、この「正常な」という字句は、従来からも労働法上にも相当使われております。例えば労調法の三十六条あたり、施設の安全保持の問題でございますが、「正常な」という字句をそこでも使つておるわけでございます。「正常な」というのは、結局通常の指揮命令系統において行われる、こういう意味でございまして、この点は従来から変つておりませんで、今国会になりまして急に解釈が厳しくなつたというふうには考えておりません。そこで従来の実例から見まして、或いは非組合員なんかで運転して事なきを得ておつた、部分的には勿論そういうこともあるでございましようけれども、併しながら結局はそういつたのは正常な供給ということは言えませんで、勢い争議行為としてそのことをやることによつて供給が停止になつたり、或いはサイクル、電圧等に影響があつたり、結局は二条のことが結果するというふうに考えられるわけであります。従つてそういう行為は客観的にこの二条該当の事態の生ずることが認識される行為であるというふうに我々は考えるわけであります。
#15
○藤田進君 電気事業の技術的現状は今までの答弁から見ると殆んどおわかりにならないで法律を作つておられるように思うんです。電気の場合に、今言われたように正常な命令系統によつて行われていないならば、これはもうすでに第二条違反だ、こうなつて参りますと、この法律そのものがこれこそ会社の就業規則に相当するものになつてしまうんです。就業規則、これは当然基準法によつて当該労働者の団体、これらの同意を求めるべく努力されるが、併し現行法では同意を求められない場合においては、会社がこれを監督署の承認を得て実施する、こういうことになるが、その就業規則と同じようなもので、それは就業規則になつて会社の規則となつてしまうので、どうも力がないから、法律という裏付けを作つてやろう、こういうふうになつてしまうものですね、正常な業務の運営は命令系統、これでなければならん。それが公共の福祉に何らの影響はないと思うのです。それは非組合員によつて運転されようが、或いは又特定の技術者を一時頼んで来て、実際には見習、試用、こういつたことでいろいろ技術者養成の観点からもやられるでしようが、要するに会社自身、管理責任者が誰にこの発電所を運転しろ、今日は誰が交代しろと、そのことが変つていたならば、それが正常な運営であるんだから、それを違つた運営をなされていたならば、これはもう二条だと、こうなつて参りますと、これは公共の福祉とは全然かけ離れたものになつてしまう、この点を私は指摘いたしているのであります。
#16
○政府委員(中西實君) この今回の法案全体の趣旨が公共の福祉からいたしまして、争議行為の違法性阻却の限度を規定しておるものでありまして、従つて労使間のことには触れていないのでありまして、結局電気の供給がとまつたり或いは正常な供給に直接障害を生ぜしめる行為、これが無事の第三者に非常な迷惑を及ぼす。従つて世間一般も是非そういつた争議行為は規制されなければならないという意図を受けての立法でございます。従つて結局その観点から正常な供給を停止するとき、正常な供給に直接障害を生ぜしめるとき、これがいけない。そこで、然らばどういうのがそういう行為にならないかと申せば、普通の系統によつて、日常やつておる態勢を以ちまして業務を運営されておるという場合にはこの二条に該当しなくなる。従つて観点が我々としましては労使のことではございませんで、結局社会公共のためにこの規定が必要であると考えております。
#17
○藤田進君 簡単に言えばどうも二つのことがやはりつきまとつているので、業務運営が正常になされていなければならんということと、それから末端の現象である電燈、電力、これがとまつたことと、この二つを兼備しなければ二条違反だと、こういうふうに言われていると思いますが、そうなんですか。
#18
○政府委員(中西實君) 大体そういうふうに……。
#19
○藤田進君 そういたしますと公共の福祉の面だけでなしに、会社保護法ということになつてしまうと思うのですね。末端の電燈、電力に何らの影響がない、その何らの影響がない場合には、これは公共の福祉に何らの関係もないことなんで、そうであるならば話はわかる。公共の福祉云々によつて憲法二十八条のかね合いと末端の現象に何らの影響がなく、正常な電燈、電力が供給されている、併し会社業務としての運営は或る場合には一部の人が病気で休む場合もあるだろう、争議期間中だつて。或いは休暇をとる場合もあろう、いろいろな場合があるのです。要するに問題は末端の電燈、電力が正常な供給がなされているかいないか、これが判定の基準にならなければならないと思うのです。それで重ねて、なぜいけないか、末端の電燈、電力に影響はないのですが、それでもいけないとおつしやるその理由をはつきりしてもらいたい。
#20
○政府委員(中西實君) たまたま結果においてこの二条に該当するような結果が生じなかつたと、併し客観的に見れば当然生じるであろう行為を争議行為としてやることは、これはそういう結果が普通の場合なら必ず生ずるのが普通であります。これはやはり公共の福祉の観点から禁止さるべきものだと思います。ですから客観点にこの労働者の行為として、この結果が絶対生じないということが明らかに裁判所においても証明されますればこれは別でございます。併しながら通常の場合、正常な態勢を崩すことは、やはり客観的に見まして我々としましてはこの二条相当の行為が生ずるものだというふうに一応認定せざるを得ないじやないかというふうに考えております。
#21
○江田三郎君 関連して……。さつきからの質問と答弁と大分的が外れておると思うのですがね。大体政府の提案説明を見ても、こういう労働者の基本的権利として憲法で認められておるそういうような権利というものはこれは軽々しく抑制すべきものではない、或いは制限すべきものではないと思うわけです。ただ公共の福祉ということで、それを唯一の理由としてそういう基本的権利というものを抑制され、或いは制限されるわけです。ところが藤田君の言う質問はこの公共の福祉を害しないことがあるじやないか、労働者のほうでたまたま争議行為として意思はあつた、行為もあつた、併し結果においては一向に公共の福祉を害しないと、会社のほうで、事業経営者のほうでちやんとそれぞれの手配をして、措置をつけてしまつたということはあり得ないことではないので、今までのこの争議において殆んどそういうことがあるのです。そうするというと政府が労働者の基本的権利を抑制し制限するという唯一の理由になつておるところの公共の福祉を害していないのだから、あなたがたの言う主張は崩れて来るんじやないか。そういうことを端的に聞いておるのを何か条文の解釈ばかりやつて、質問に対しては一つも答えていないということになりはしませんか。
#22
○政府委員(中西實君) まさに御質問の趣旨に対してお答え申上げておるつもりでございますが、結局過去の実績において、例えば会社側が手当をした、そのために争議行為として考えたものよりもずつと少ない第三者に対する被害で済んだということは勿論ございました。併しながらそういうとにかく第三者に迷惑を及ぼす行為の生ずることをこの際違法なものとしてはつきりしたい、こういうことでございますので、それは勿論会社が好んで恐らく手当をするのじやない、止むを得ないのでやるのでございましようが、そういう行為は結局やはり第三者に迷惑を及ぼす行為になる。従つて昨年の経験にも鑑みまして、これは不当なものとして今回はつきりと法律でその限界を示すべきだ、こういう趣旨で、この法案の提案になつたわけでございます。
#23
○藤田進君 どうもこれは中西労政局長は争議行為の現象面については詳しいはずなんですが、それだけにもつと明快な御答弁ができると思うのですが、つまり問題は電気の停廃ということがいけないのだ、これは公共の福祉に電気をとめたりすることはいけないのだ、こういうこと、それからもう一つは、たとえ争議期間中であろうとも、管理責任者、これは会社が、所有権者が持つておるのだというのです。こう言われておるのです。経営者の手にあるのだ、管理責任、これを侵害するならば、それは生産管理になるというふうにこの間労働大臣も答えられていたと思うのです。然らば今の点法体系としても矛盾があるのです。争議行為の期間中は管理責任が、供給責任が労働者、労働団体にあるかのごとく錯覚を起しておられると思うのです。そこで従来も会社においては、あたかも渇水のときにあつて、火力発電所はストライキか、それならとめたほうがいいな、水力発電所か、その水力発電所においては貯水式であるから、然らば電気の発電機をとめることによつて水がどんどん……電気は貯蔵できないということは、無条件には貯蔵できないのではない。一定の条件の下では貯蔵できる。これはストライキの場合でもそうでない場合でもある。殊にストライキの場合を考えて見ても、争議行為の手段として発電機を仮にとめるという場合もあり得る、会社の政策として。争議行為の期間中にとめる。そうして貯水池は水が溜まつて行く。争議行為でないならば、これは渇水制限と称して制限をしなければならないが、たまたま争議行為に際して貯水地に水を溜めておいて、予想されておる渇水制限のときに供給ずる。つまり渇水制限がストライキによつて振替になつておるというのが昨年の場合である。去年の十月、十二月に亘つてあつたわけです。こういうような経過はおわかりと思うのです。そこで問題は元に返りますが、会社に管理責任がある。これは争議行為の期間中続いてあるわけです。昨年の場合は五月の少くとも十四日に問題が提起されて、中央労働委員会に六月になつて調停の申請がなされ、そうして調停の期間中も非常に長く、九月の六日に調停案が出たやに聞いております。そうして解決なされたのは十二月の十八日、従つて現行の労調法によると、三十日間のクーリング・タイム、曾つてあつた旧法のクーリング・タイムというものはなくて、六十日の猶予期間の予告さえあれば、事実これが深刻になれば、緊急調整というコントロールされる条文ができて、六十日間争議行為はでき場ない。こういうものがある。これは公益事業である電気事業と一貫して労調法の中に出て来ておるわけであります。そこでこういう長期間の、優に七カ月或いは将来もつと長い争議というものはあり得ると思いますけれども、この争議期間中、いつ争議行為が伴うかも知れない、労調法の定義する争議行為ですね。こういうことになりますと、あとで労調法の条文との関連を申上げたいと思いますが、この長い争議期間中、管理責任というものは無論会社にあるということを肯定されておる政府が、この間の何らの供給について異常のない管理責任者である経営者が、これが意思に基いて処理される、従来もされて来たわけです。この処置されることが会社にとつては苦痛であるから、昨年の場合も日経連の申合せによつて数百各の技術者の用意をして変電所、発電所に配置されて、而して正常な運転がなされるような手配がなされていたと思います。それが一部について仮にピケを張り、発電機をとめた、それはいろいろな事情がありました。内部的には来た人が技術者でなかつたり、いろいろありましたけれども、その内容は一応別といたしましても、一部に積極的に発電機をとめたりした行為があつた。これではいけないからこの法律で以てそういう積極的な、十五国会の答弁をずつと読んで見ますと、電源職場において労務提供拒否の域を越えて、発電機をとめたり、スイッチを切つたりする、こういう行為について規制するという十五国会でありました。こういうことでありますということです。これは明らかに答弁について矛盾があるのであつて、電気もとめない、曾つて管理責任者が措置をして来た、その措置を排除して、更に積極的にスイッチを切つたり、発電機をとめたりすることがいけないのだというのであつたやに思われるが、今の御答弁の状態を見るというと、これは末端の現象それのみではない、会社が運転して供給しても、それはいけないのだ、会社がそれでは苦痛なんだ、こういうふうに法の精神が変つて参つておるように思うのです。意味がわかりましたか、お尋ねしておる。その点についてお答え願いたい。
#24
○政府委員(中西實君) 正常な供給と言いますのは、先ほど来何度も言つておるところでございまするが、私どもとしましては、事業主が例えばロック・アウトいたしまして、そうして事業主の雇つた者でどんどん運転するということもこれは違法である。つまり正常な供給ではないという解釈をとつておるのであります。事業主がちやんと手配をしてやればいいのじやないかというお話でございますが、それは結局非常に労使間の却つて混乱が生じて来るのではなかろうか、私は事業主のそういつた一方的なロック・アウトも禁止すると同時に、やはり電気の正常な供給と言いますのは、やはり普通の態勢で業務が運営されて、それによつて電気が供給されることもやはり正常な供給と言わざるを得ないのじやないか。而もその態勢が崩れますことは、やはり必ず客観的には電気の正常な供給に障害を及ぼす結果が生ずるというふうに考えられるのではなかろうかというふうに考えております。
#25
○藤田進君 そういたしますと、争議が七カ月に亘ろうとも発電所、変電所といいますか、こういう電源職場においては、たとえそれが……過去の経験では七カ月、八カ月の争議になるはずですが、そういう長い間発電所に当然そういう人々が釘付けにならなければならない。たとえ休暇であろうとも、争議中は争議行為とまぎらわしくなるし、又会社の管理責任者であるべき経営者が、他の技術者を以て充てなければならないという事態が当然生じますので、そういう長期に亘る争議期間中当該発電所に釘付けになつてしまう、こういうことになつて、やめたくともやめられもしない、こういうことになりはしませんか。
#26
○政府委員(中西實君) 労働争議というものが結局雇傭関係の継続を前提にいたしております。併し労働条件をよくしてくれ、或いは逆に会社側から切下げに来た場合に、それを阻止するということのためにやるのが争議行為だと思うのであります。従つて釘付けされるというお話でございますけれども、それは労働者として雇用を継続することを前提といたしておりますれば、それでいいのではなかろうか。ただ事業主との間で十分話合いまして、争議行為ではなしに、労使の間で例えば三交替を二交替で十分ここはやれるという話合いがつけば、これは当然正常な供給ということで支障はないという意味であります。
#27
○藤田進君 今の話合いがつけばというのは、先ほどからその点を言つておるのです。話合い、或いはおれのほうで運転するからそのまま出てくれ、そのまま出てくれというのが今までの争いなんです。いやそのままではいけない、発電機をとめるのだ、いや、そのままにしてくれ、おれのほうの者だから、会社の者だからとめなくともいい、いや、それはとめなくては電気的な装置があるから、若し発電機が故障するといけないから、いや、そのままにして置いていいという点が昨年来の争いなんです。そのことが今数件起訴になつて公判廷で争つておることなんです。これは法務大臣に後刻お伺いしたいと思いますが、そうすると大変食い違いが生ずるのですが、話合いと言つておるのはこの点を言つておるわけです。話合いならばいいと言われれば又問題が違つて来ます。
#28
○政府委員(中西實君) 只今話合いと言いましたが、これは争議行為とは関係なしに、結局経営者としまして、これで正常な運営ができるというふうに考えて、今までの電産の例を見ますと、そういう場合に必ずやはり労組側と話合いをいたしております。従つてそういう意味の話合いを申しておるのでありまして、争議行為で組合の一方的な判断で押付けるというのは、ここにいう正常な供給とは見られない。で、それによつて万一止むを得ずその事態に押されて会社が非常措置をとるとしましても、それは今言いました話合いではない。話合いと言いますのは、結局電気業者が電気供給の責任を持つておるその立場から、これでも正常な運営ができるということで、労働組合の了解を得て態勢が切代る、こういう場合はいいと考えております。
#29
○委員長(中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#30
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。
#31
○藤田進君 それでは少し形を変えて同じことを質問いたします。争議期間中、この第二条に二カ所に出ている「正常な供給」、これは末端におけるやはり電燈、電力の停廃というものがないことと、業務運営の中において、日常行われていると同じことで、業務系統ですね、こういうものでなければならない、この二つが備わるのだと、こう言われて、結局それに対するいろいろなことを言われていたと思います。そういたしますと、こういうことは従来も無論現実にありましたし、今後もあり得ることですが、争議期間中、これは従来六カ月乃至八カ月、最近昭和二十五年、二十六年、三十七年大体、そういう長期に亘つております。電産の場合は特にそうだと思いますが、その争議期間中におきまして、発電所の労働者、これが、極端な例はいろいろあるけれども、極端な例としては争議期間中会社が解雇することができるのかできないのか。解雇は当然人事権、経営権を持つている経営者が争期間中であろうともそれは解雇ができる、又解雇できてもそれに対抗することが組合としてはできると、こう従来解されて来たわけですね。さて解雇されたといたしますか、これは従来も争議期間中に解雇された例があります。今まで質問していたのは、組合のほうで労務を提供しないということだつたが、会社の傭うで労務を提供させない、お前は首を切ると、これにはいろいろ理由がありましよう。解雇されても、争議期間中ほかの人がやはりその間代つて来ると思います。配置転換になるか、新らしく採用になるか、それは正常なものだと、仮に言われるとしますと、その点をはつきりして頂きたい。その場合には当該発電所のほかの同僚労働者、その発電所の班なり或いは支部は何にもできない。首切られつばなしですね。ただそれは交渉のみを幾らいたしましても、その段階では、それじや元に返そうということは、できないわけですから、首切られた人は何らの対抗する手段もないわけです。憲法二十八条に言う団結権ということ自体がすでにもう崩れてしまう。団結の意味が全然なくなるわけです。そういう場合は、これは止むを得ない。首切られた人がお気の毒なのであつて、止むを得ないということになると思うのです。この法律のままで行きますと……。その点はどうでしよう。
#32
○政府委員(中西實君) 争議の最中によく馘首がある、戦後は余りありませんが、戦前等の争議におきましてはよく争議中に争議団の解雇ということがありました。併しこれは本当の解雇か、或いは争議対抗手段としての偽装解雇か、これは非常に問題になつておつたところであります。事業主にしても本当に冗員があつて、人があり余つて要らないから解雇するというならばこれは別でございますが、争議中の解雇は往々にして争議行為の対抗手段としてとられる。これは意思表示としましても、果して本当の解雇の意思表示かどうかはわからん。それから本当に客観的に見まして或る一定の人数が要る。然るに例えば二十人でやつておると、そこを十人首を切つてしまつてほかの者を入れると、これはまさにやはり一つのロツク・アウトの一部じやないか。従つてそういうのは結局やはり正常な供給じやないということも言えるのでありまして、故にこの第二条は電気事業の事業主、電気事業に従事する者両方がはつきりしたそういつた正常な供給ということについての義務を負う、かように解しております。
#33
○藤田進君 では確かめておきたいと思いますが、争議期間中人が多いのでもない、当該発電所におきましては二十名、これは定員として過去長い間累積してきた事実であるし、おのおのの部署の配置を見ても最小限二十名は必要だ、こういう状態で而も首切りになる、こういうことはやはり経営者のほうのロツク・アウトと解して、二十名中仮に五名が首切りになつても、この第二条によつてこれは経営者としてとることのできない規制になる、この法律に抵触する、このように我々は解しますが、その通りでありますか。
#34
○政府委員(中西實君) 具体的なその場合の事例を十分に調べなければなりませんが、若しもそういつた争議行為として行われたなら、対抗手段として行われたということなら、かように解していいと思います。
#35
○藤田進君 それは実体的にやはり話をして頂きませんと、何か抜け道を作つてしまつて、争議行為としてというか、争議行為としてやるのだなんというようなことを言えば、そういう看板にすれば、この第二条に抵触するということがわかりますと、誰だつて争議行為としてやるなんということを言う人はないと思うのです。これは常識問題です。又労働争議をやる側においても、争議行為だと言つてやる、それが問題であるならば、争議行為ではないのだ、ないのだがこれは働かないのだ、そういうことが言い得るのですね。その場合に電気ガスの臨時措置法、公共事業令の問題になつて来る。公共事業令を見ますと、これは電気の停廃ということが問題なのであつて、ただ単に仕事をするとかしないとかいうことは、そんなことは電気ガス臨時措置法なり公共事業令で全然問題にしていないのです。それ以上のものをこのスト規制法で問題にするのだと言いますから、これは次の機会でもつと明らかにしたいと思います。ですから使用者側においては、争議行為とは、無論今の首切る場合言わないでしよう。若しそれが通るならば、両者に同じ解釈、同じ筆法で以て言われるならば、労働組合側においても、争議行為とは言わないでしよう。その場合労務提供について、これは実際電燈電力について影響がないとすれば、ガス電気臨時措置法などというものはこれは問題にしないのですから、争議行為だと言つて今度はやる、こういうことになりますよ。
#36
○政府委員(中西實君) 不当労働行為の場合大抵そういうことでございまして、頭から正当なる労働組合運動をやつたから首切つたのだというような経営者はおりません。従つてそういつた場合に結局不当労働行為の問題になるわけです。事業主が口の上でどう申しましようと、十分にそれぞれの機関で客観的に調べまして、若しも不当労働行為ということになれば、その処置がありましようし、それぞれ救済の手段はあるように存じます。
#37
○藤田進君 他の委員も御質問があろうかと思いますので、只今まで私は本法の第二条に言う「正常な供給」、この「正常な」という点を明らかにいたしたいと思つて質問を続けて参りました。この問題についても無論まだまだ明らかになつていないので、具体的な事例を用意いたしておりますが、他の部面についても、実体的に、又法体系的に幾多の質問がございますが、他の委員が質問されたその間に、或いはその後におきまして質問したいと考えます。
#38
○小林英三君 今の藤田君が一昨日から今日にかけて御質問になつておりますいわゆる「正常な」という問題についてですが、いろいろ一昨日から答弁があつたのですが、私どもは素人ですからよくわかりませんでしたが、この機会に藤岡君の質問しました中心点につきまして、はつきりと政府の御答弁をお願いいたしたいと思います。つまりこういうふうに解釈していいのですか。第二条のつまり正常な供給に直接に障害を与える行為をしてはならなという問題につきましては、一昨日からたびたび質疑応答があつたのでありますが、結果が生じた場合は勿論、結果は生じなくても、争議行為として客観的にも、具体的にも結果の発住するような虞れのある場合においても、正常な供給に直接障害を生ぜしめる行為として認めてよろしいか、これはどうですか。
#39
○政府委員(中西實君) 大体その通りでございますが、結果が生ずれば勿論ですが、生じなくても客観的にたまたまの理由で結果が生じなかつた、併し客観的には普通なら生ずるという行為はやはりあります。
#40
○小林英三君 それでは一つその次に、今のその結果が生じなくても云々という問題につきまして、一つの例を挙げて見て下さい。そうすればはつきりわかると思いますから……。
#41
○政府委員(中西實君) これは判例の中にもちよいちよい出て参ります。この判例は炭鉱の判例でございますが、これは結局ポンプをとめて溢水せしめた、その場合にはたまたま誰がやつて来てそれを代つてやつてくれるということがはつきりしていてやつたという場合は何でございますが、そうでない、そう考えても客観的に見ましてそれを切れば当然隘水してしまうというような客観的な状況があれば、やはり隘水罪として罪になる。この判例の場合はたまたま棄してしまつたのですけれども、たとえ隘水しなくても、そういつた客観的な条件であれば、やはり結果において隘水がなくとも罪になるということを判例の理由の中に書いてあります。まあそういつた例でございます。
#42
○小林英三君 まあ私ども素人ですから、藤田さんみたいに専門家でないからよくわかりませんが、そういう場合の判定は誰がしますか。
#43
○政府委員(中西實君) 結局裁判所が最後的にはやる、こういうことでございます。
#44
○江田三郎君 大臣が見えておりますから大臣にお尋ねしますが、一体公共の福祉というような理由を挙げられておりますが、いずれにしても労働者の憲法に保障された基本的な権利を制限したり、抑制したりするというような、かような法律が好ましいものとお考えになつておるのですか。或いは好ましくはないが、現在の段階で止むを得ないというようにお考えになつておりますか。そこからお尋ねしたいと思います。
#45
○国務大臣(小坂善太郎君) こうした法律が提案されましたにつきましては、提案理由の説明においても申上げましたように、昨年の苦い経験に鑑みてということでございまして、昨年の経験がこういう法案を必要とし、又そうしたような虞れが現実にあるということで出したのでございますから、そうした虞れのないということは非常に結構なことと考えます。
#46
○江田三郎君 昨年の経験からしてかようなものをお出しになつたということですが、併し昨年の争議においても、最後に炭労関係緊急調整が発動されて一応収まりがついたわけですが、一体緊急調整という制度で処置ができないのですか。これは土曜日に白川委員からもお尋ねがありましたが、緊急調整だけではそういうことを処置することができないのですか。
#47
○国務大臣(小坂善太郎君) 御承知のように緊急調整というものは、その争議の結果によりまして、争議行為によつて当該業務が停止されて国民経済の運営を著しく阻害し、国民の日常生活を著しく危くする虞れが現実にありと認められる場合に、又その虞れが現実に存するときに限つて、緊急調整というものは発動されるわけであります。昨年の場合は御承知の通り家庭のガスもとまり、なお列車の運行も終戦直後の状態に帰るというような事態が起きましたので、緊急調整をいたしたのでございますが、ときたまたま炭鉱の保安要員引揚の準備指令が出ておつたわけでございます。その相互の問題は実は無関係なんでございまして、炭鉱の場合、保安要員を引揚げるということは、御承知の通り争議というものは雇傭関係の継続を前提としての争議なんでございますから、人命に危害があつたり、或いは争議終了後に帰るべき職場を失わしむるというような争議行為は、争議行為として正当でないものでございますから、それを明らかにするというのがこの法律の趣旨なんでございまして、そうした自明の理を殊更に掲げなくてもよいというような良識、一般のそうしたものがありますことが望ましい、こういう趣旨で先ほどもお答え申上げたのでございます。この法律は緊急調整とは違いまして、できるからするというのではなくて、本来望ましくないのだ、御遠慮願いたいものである、こういう規定でございます。
#48
○江田三郎君 緊急調整とは非常に趣旨が違うということはよくわかるのですけれども、併し公共の福祉を著しく阻害するというような事態は、現在の制度の下で緊急調整で調整し得るのじやないのですか。これでできないのですか。
#49
○国務大臣(小坂善太郎君) 私どもこの緊急調整についての考え方は、これはもう飽くまで伝家の宝刀であつて、そういう状態が国民の福祉を署しく脅かすという状態が現実は出なければ、緊急調整というものは出さないのでございまして、そうしたような非常に国民の生活に不安を感ぜしめるような状態がないことを望んでおる。かてて加えて只今御審議願つておりまするような両事業についてのストライキのここに規定する争議方法というものは、本来こういうことは公共の福祉全体から申しまして、それから只今申しましたような争議、雇傭関係の継続を打切るような行為であつて、これは困るということを一つ明確にしておく必要があろう、こういうことでございまして、只今の御質問のお気持はわかるのでありますが、この両法案、江田さんの両法律案は直接同一目的を持つものではないのでございますが、併し結果におきましては両者相待つて公共の福祉を擁護するということになると思います。
#50
○江田三郎君 私は今の答弁を聞いておりまして、少し変な気持になるのですが、緊急調整は伝家の宝刀として最後の場合に抜くものだ、併し憲法に保障されてある勤労者の権利というものをこれを制限したり、抑圧したりするということは、これはやつぱり軽々しくやるべきことではないし、やはり最後の段階において止むを得ずして行なうということでなければならんと思います。緊急調整は伝家の宝刀である。これは伝家の宝刀じやないんだ、日常こういうことをやつているのだ、日常茶飯事のごとく、この労働者の権利というものを一方的に抑えるということを労働大臣として今後労働行政の基調としておやりになつて行くことに何か正しいとお考えでしようか。
#51
○国務大臣(小坂善太郎君) 緊急調整は、御承知の通り、正当なるものの争議行為についてのこれらの調整をなす。ここに掲げております問題は、本来やつちやいかん、不当であるものについてこれを明確にする、社会通念上非とせられておるものに対して、その不当なる範囲を明確化する、こういうことでございまして、本来あるストライキ権というものは、公共の福祉によつて支えられておるものであつて、結局、公共の福祉があつて、労働者諸君の生活権なり、基本的な諸権利というものは、結局社会の繁栄があつて支えられておる、その社会の繁栄についてこれはこういうものをやつては社会の繁栄というものがなくなる虞れがあるのだということで、十二条、十三条によつて二十八条が制限せられておる、こういう関係で、この法律が出て来るわけでございます。
#52
○江田三郎君 こういう争議行為であつて、これが公共の福祉に影響のないというような争議行為というものはめつたにないと思は思う。特に、最近のように、王子製紙のストでは日本の全国の新聞がああやつて減らさなければならん。これは一体どうなんだ。或いは私鉄が争議をやつた。多くの通勤者なり、その他の人々が足を奪われた。これは一体どうお考えになるか。そういうことはいいのかどうか。若し公共の福祉に影響を及ぼすことが悪いことなら、さような争議というものも皆同じようなことになつて来るわけです。一片のこの電気のスイツチ・オフしたよりも、電車がとまつたというほうがもつと大きいかもわからない。そうすると、今の大臣のようなお考えで行かれますと、さようなものも昨年の経験に鑑みてやつたというのですから、これは、昨年の私鉄の争議はどうお考えになつておりますか。こういうものを必要だと、おいおい制限することが必要だとお考えになつているのでなければ辻棲が合わないと思うのです。
#53
○国務大臣(小坂善太郎君) 争議行為というものが、使用者側に対しまして、経営者側といいますか、そういうものに対して打撃を与える、それが、その人たち並びにそれに繋がる者の便益を害するということは当然なことだと思うのであります。ただ、これが一般の公共の福祉に対して正しい関係を持つかどうかということは、やはりそこに社会通念によつて、一般的に客観的にこれは不当なりと認識せられるものの限界がある、こう考えられる。私は政府といたしましては、ここに挙げておる両事業、石炭並びに電気、その両事業のうち、炭鉱につきましては、保安要員の引揚げ、電気につきましては停電スト、電源スト、或いは職場放棄、そうしたような、電気の正常なる供給に直接なる障害を生ぜしむる行為をここに特に抽出いたしまして、取上げまして、そうしてこれを御遠慮願いたい。このストライキを御遠慮願いたい。こう言つておる次第であります。
#54
○藤田進君 その答弁になりますとですね。先ほど来同僚委員も確かめられたように、結果は、そうして顕著な具体的な虞れがあるときと、こういうことが又みずから覆えされて、労働大臣のほうでは、局長のほうでは、大体そうだと言つたのですが、直接正常なる供給、これを直接という言葉が特に入つていて、今もそのことは忘れないで大臣も言われておる。間接とか、或いはあろうとかそういう予想の問題ではない、法文は。更に正常なる問題に関連して、是非とも私は法体系の中で今後質問を進めたいと思つておりましたが、直接今関連しますのは、一つだけ明確にいたしたいと思いますけれども、労調法におきましては、明らかに電気事業は公益事業に指定されております。このことは御承知だと思います。さて、その労調法の中に、第七条、第七条だつたと思います。ここには争議行為としての定義が明らかになつておると思います。その定義とは、争議行為とは何であるか、これは関係当事者がその主張を貫徹するために業務の正常なる運営を阻害するもの、これを争議行為というと、これは定義してあるはずです。但し、電気事業においてはさにあらず、なぜならば、このスト規制法が出たんだから。今までの御答弁によると、正常なる業務の運営を阻害する行為は、これはなしてはならないのだと、こう明確に言つておられると思います。今までの御答弁で。併し、労調法第七条においては、何らの変更も加えられておらないし、これはすでに昭和二十一年十月でありましたか、実施されておる。昭和二十一年十月に実施されておる法律であつて、その後数度に亘つて改正がなされたけれども、本条に関しては改正もされないし、今回も改正をなされていない。何らの但書もないのであります。従つて、労調法に言う争議行為の規定である正常なる業務の運営をこれを阻害する行為だ、それは目的としては恐らくそこに書いてあるように、関係当事者がその主張を貫徹するためです。そうであるにかかわらず、スト規制法の解釈といたしましては、正常なる業務運営を阻害しちやいかんのだとはつきり言われたと思う。この法体系としての矛盾をどう考えられておるか。この点を明らかにして頂きたいと思う。労働大臣からお願いいたします。
#55
○政府委員(中西實君) 第七条の争議行為のこれは定義でございます。争議行為とはこういうのを言うのだ。ただ争議行為を然らばやつていいか悪いか、やるにしてもどの程度が許されるかという問題は、これはおのずから別の問題でございまして、結局は公共の福祉ということのかね合いでやはり制限を受ける、これは止むを得ないのであります。その間に矛盾はないのじやなかろうか。例えば、緊急調整にしましても、五十日ストができない。これも結局公益の点から、或いは又争議の調整の点から、そういつた必要があつて制限を受けるのでございます。やはり七条は、これは定義であつて、それを如何なる程度に許されるかということは、別個な観点から規定さるべきだと、かように考えます。
#56
○藤田進君 それは勝手な解釈でして、我々がここで言う争議行為というこの熟語なるものは、飽くまでも労調法の第七条に基いて我々は言つておる。あなたも言つておると思うのです。俗語ではない。その定義の意味するものをここで質問し、我々もその固有名詞を使つておるわけです。争議行為、緊急調整の五十日乃至プラス十日の六十日というものはですよ。この当不当性は別として、解釈上はやはりこれは筋が通ります。併し今までの御答弁というものは、正常な業務の運営をこれを阻害する行為はいけないのだ、こうおつしやつておるわけです。その目的は緊急調整、それからこのスト規制法がおのずから二つの目的を持つておると先ほど労働大臣は言つた。二つの目的、そうではなしに、一つの目的、公共の福祉という一つの目的に向つて緊急調整も出ておるし、このスト規制法も一つの目的であつたと思うのが、二つの目的だというふうにこの場では言われておる。公共の福祉、すべては公共の福祉、そのスチールは社会の通念上、こういうことが言われておる。目的が三つあるということは、これはおかしいですが、いずれにしても、このスト規制法の言う公共の福祉というこの目的、そのための手段、法律が。そうであるならば、正常な業務運営の阻害、正常な業務運営の阻害というこの労調法の第七条、これがそのまま生きていたり、それからまだこれはあとで御答弁願つて、結構ですが、答弁の筋を通して一つ用意して頂きたいと思う。それは、公益事業として、今の第七条の場合も無論あるが、そのほかに三十七条については緊急調整、これは公益事業ということが謳われているはずです。或いは又同じく三十七条についても十日間の予告とか、およそ電気事業についてこれは本会議においても答弁を求めたわけですが、労働大臣はこの点については何らの答弁がなかつた。それは電気事業においてすでに、電燈や電力ですね。電燈やモーター、ヒーター、すべて電気というものが何ら影響を受けない、とまりもしない、こういう状態ですね。つまり、聞くところによると、集金ストがあるではないか、検針ストがあるではないか、株主業務のこれに協力しないストがあるではないか、こういうものが残されているというふうにまあ言われているわけですが、このことについては、仮に集金ストを取上げて見ても大体一つの営業所で一カ月一億の収入ですね、こういう営業所は相当あります。相当数あるのですね。仮にこれが一つの大口需用家に例えて見ても厖大な一カ月の電力料金ですね。これを集金しないというストライキがあるのではないかとおつしやる。これはどういうことを意味するかと言えば確かに当該工場においては迷惑ではないでしよう。個人の、零細な一般需用家にとつては、一つの生活設計を立てて、今月は電気代が五百円要る、けれども生活はぎりぎりでありまして、電気代というものはなかなか……集金をやつて見ればわかるわけですが、一回や二回僅か五百……僅かというか、その生活にとつては大きなウエイトだが、その五百円についても一回や二回行つてもなかなか集金できない状態ですね、金がないから……。併し、それが二カ月、三カ月溜まれば大変なことで、払えない。払えないというと特に大きな利息をつけて行くようになつております。今の規程で……。で、ますますこの負担が嵩んで来る、需用家にとつては……。そうして、しまいには払わなければ電気をとめるという手段が許されているわけですね。電気をとめてしまう。こういうことなのでありまして、まあ零細の場合にはこういう事情があるが、大口にとつてはこれはまあ大変な電気料金ですから成るべく払わないことが資金計画から見ても何から見てもいいので、或いは株主総会にしたつてそうですね。こういう事情の下においてはすでにもう公益事業という性格はないはずです。生命保険会社については公益事業の扱いをしていないし、こういつたことと同じことであつて、株主総会が開かれようが開かれまいが一般の公共の福祉には何ら影響がない。集金しなければしないほどこれは大した影響がないわけで、然らばそういうことになつておる実態がこのスト規制法なるものが通つたならばこういう状態においてなぜ十日間の予告が必要なのか。これは非常に急にこの法案ができて、その経過は省略いたしますけれども、取りあえず法の体系も何もなしにここに出て来ましたものですから幾多の矛盾がある、法規解釈に……。三年間の期限を附けるということは、これはナンセンスですね。学者もこの間の公聴会において……そういうことにおいて労調法とスト規制法との関係が何ら考慮が払われていないということ、これについての御答弁をお願いしたいと思うのです。
#57
○国務大臣(小坂善太郎君) 私が二つの目的があると言つたことは実はそういう気持を持つていないのであります。私は緊急調整は本来正当なる争議行為についてこれに適用をする。で、ここに御審議を願つておりますのは、本来いかんものはいかんという範囲を明確にする、こういうことであります。ただこの二つとも両者相待つて公益の福祉の擁護ということに関連はあるということを申上げたつもりであります。なお労調法第七条にありますように、今藤田さんがお読み上げになりましたところの「業務の正常な運営を阻害する」ということなのであります。ここに御審議願つておりますのはその一部分でありまして、電気の正常な供給を停止し、その他電気の正常な供給に直接障害を生ぜしめる行為、これがいけないというのでありまして、その間の矛盾はないと考えております。
#58
○小林英三君 議事進行について……いろいろ先ほどからしてこの規制法の問題について質疑をしておるわけでありますが、午前中はもう十二時になつておりますから、私はこの際この藤田君から御意見がありました通産委員会、から規制法の問題について労働委員会に対して合同審議を申込むという問題につきまして、一応この際委員長から皆様にお諮り願つて、そうしてそれをするかしないかということについてお諮り願いたい。
 それから今この労働制限法の問題について、今後まだ質疑があるようでありますれば、これは又労働大臣が体があいておられれば午後でもやるとか何とか、そういう問題についてもこの際委員長から皆さんに一応お諮り願つて、それから又質疑をやるならやるということに一つお取極を願いたいと思います。
#59
○委員長(中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#60
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。
 それではこの質疑は本日午後続行いたすことにいたしまして、大体本日午後五時までに質疑を終えまして、その上において連合委員会をするかしないかを決定をするという方途の下に皆様に御努力を願うということで進めて行きたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#61
○委員長(中川以良君) 御異議ないと認めます。
 それでは暫時休憩いたします。
   午後零時二十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十六分開会
#62
○委員長(中川以良君) それでは休憩前に引続き開会をいたします。
#63
○江田三郎君 午前中私質問しているときに休憩になつてしまいましたので、その続きをさしてもらいたいと思いますが、午前中の申合せで成るべく五時までに質問を終ると、こういうことですが、これは一つこういうことにはつきり答えが出て来れば五時までも何もなりやしない。そこで問題点はその問題をどう扱うかということだけが問題なんです。ところが政府のほうで正常なる答えが出ないとなかなか時間がかかるわけです。一つ私は藤田君とは違つて専門家でないので、一常識人としてお尋ねするのですから一つはつきり答えは出してもらいたいと思う。そこで午前中お尋ねしておつたのは、ここに挙げられているような争議行為は、これは本来なしてはならん行為である。緊急調整のほうは、これは本来なしていい行為をした場合にそれが而もなお公共の福祉に重大なる影響を与える際に伝家の宝刀としてこれを適用するのだ、こういうことでありましたが、本来なしてはならん行為というようなことは一体何を基準にきめられたわけですか。
#64
○国務大臣(小坂善太郎君) 社会通念であります。
#65
○江田三郎君 そうしますと、社会通念としてこういうような行為というものが非常に公共の福祉に影響するということになれば、ほかにも同じように公共の福祉に影響を及ぼす行為というものはあるわけです。例えば、今日たまたま、どういうことになつたか知りませんが、午前中事情を聴取すると言つておつた銀行員のストライキ、これなんかも大変公共の福祉に関係があるからして本委員会でも取りあえず事情を聴取するようなことになつた。或いは又私鉄のストライキというようなもの、これなんかは考えようによると、電気なり或いは石炭以上の重大な影響を及ぼすということになるわけです。そういうような行為がたくさんあるわけですか、大体ストライキというものが多かれ少かれ公共の福祉に影響を及ぼさん行為は恐らくないと思うのです。そういうときになぜ電気と石炭だけを取上げられたのか。若し社会通念としてやられるならば、社会通念と言えばどんなことでも社会通念だと言つて片付けることができるかも知れませんが、併し我々はそういうことだけでは納得できない。少くともそういう法律を新たに作ろうという以上はもう少し納得できるよう、いろいろな公共の福祉に影響を及ぼす行為の中で、なぜ電気と石炭だけを、ここに書いてある行為だけ取上げなければならないのか。そのことをもう少しはつきりおつしやつて頂きたい。社会通念だけでやつて行くなら、こんな法律とか何とかむずかしいものは要らんのですから、法三条で足るわけなんです。
#66
○国務大臣(小坂善太郎君) 昨年の争議の経験を国民が持ちまして、その苦い経験を通してこれは困るという社会通念が成熟したと言うべきである。社会通念というものは単に机上で以てあれこれ想定いたしまして、そしてこうした法案の提出の基礎にするということは私どもとしてはいたさないつもりであります。従つて今御指摘のようないろいろな他種事業というものについては我々はそう考えておりますが、昨年の経験を通して不適当であるという社会通念が成熟したと見るべきであろうと思つているのであります。社会通念というものはやや漠然としたように思われますけれども、やはりすべての判断の基礎というものはそういう健全な社会通念によるべきであろうと私は思つているのであります。労組法第一条二項の違法性の阻却される範囲はどこまでかというような場合にも、やはり法令に違反するとか、或いは労働協約に違反するとか、そうしたもののほかに、やはり健全な社会通念によつて判定されるべき基礎があろうと思つております。健全なる社会通念というのは具体的に言えば公益均衡の原則、或いは労務不提供の域を越えるものとかそういうようなものがありまするけれども、それだけに尽きるものではないのでありまして、私どもとしては今申上げたような現実の体験を経て、そうしたものは禁止すべきであるという社会通念の成熟を以てこの法律を制定する根拠ができた。こういうふうに思います。
#67
○江田三郎君 健全なる社会通念が電気及び石炭の、ここに書いてあるような争議行為を悪いとして、そういうような健全なる社会通念が成熟したとこういうようにおつしやいますけれども、併しそれは一体あなたは何を根拠におつしやられるのか。例えばこの法案が問題になつてから公聴会をほうぼうで聞いたけれども、ところが公聴会に出て来る学者というようなものは殆んど反対をしている。電産の争議なり、或いは炭労の争議で迷惑したということはこれは一致しているかも知れん。併しこういうような法律を作つて規制しなければならんということに対しては出て来た学者が殆んど反対をしている。私は何もわからん大臣ならそれで済むと思う。併し小坂さんのような高い教養を持つておられて非常に進歩性を身につけておられる人が、これらの学者の言葉を何と聞いておられるのか。こういうことに一切頓着なしに若し健全な社会通念が成熟していると言うとすれば、小坂さんは身の置き所を間違えているのじやないか。何が健全な社会通念かもう一遍はつきりおつしやつて頂きたい。
#68
○国務大臣(小坂善太郎君) 石炭争議の場合には、例えば労調法第三十六条においても、安全施設の正常な維持又は運行を停廃し、或いはこれを妨げる行為、この保安要員というものが人命のすべてをあずかつている、これがいけないということは労調法第三十六条を待つまでもなく明らかであります。なお争議というものはやはり雇傭関係の継続ということを前提として考えられるものであります。保守をおろそかにして、争議がやんだ場合に帰るべき職場を失わしめるということもこれ又不適当である、不当であるということは明らかであると思うのであります。そういうものは私は健全なる社会通念上明らかであると思う。電気の場合も今申上げたような社会通念の見地からいたしまして一部の人の争議のために、全体に非常な経済上或いは物質上或いは精神上の損害を与えるとか、その与えた実績がなまなましいのでありますし、それによつて苦い経験をしている。そこでそういうものはやめてもらいたいという社会通念が成熟したと、こう見ております。
 その根拠といたしまして、只今学者の意見を述べられましたが、私どもこの法律を提案するに際しまして二月に公聴会を全国各地に開きました。その際消費者代表は口を極めて、この法案の速かなる成立を、一日も早く成立することを希望いたしたのでありまして、一般の消費者として見ればこれは非常に賛成すると思つております。使用者側もそうであります。労働組合は反対でありました。併し全般的にそこに社会通念の成熟を見る根拠があると私は考えております。労働法学者の意見でございますが、労働法学者のかたがたも労働法学の立場から言つての意見があつたかと思います。併し全般的に政治というものは、殊に政府というものは国民全般に向つて政治を行うものだろうと考えまするので、私どもはこの法案を出すべき根拠は、社会通念の成熟ということはすでにあると、こういうふうな考え方を持つております。
#69
○江田三郎君 極めて社会通念の成熟を御都合のいいように解釈されるわけであります。社会通念というやつはどうでも解釈できますよ。ともかく労働組合が今あなたがおつしやつたように全体として反対している。資本家は、経営者のほうはこれに賛成している。併し労働組合というものを一体どうお考えになつているかということを、労働組合というものが、今のこれからの現代社会においてどういうようなウエイトを持つて行かなければならないか。労働組合でも本当にこれが社会の面らか方各糾弾を受けるような行為であるならば、そういうことを継続することは私はできるものじやないと思うのです。若し、そういうことを一部の労働組合の幹部が継続しようと思えば、その労働組合を破壊に導くだけであつて、労働組合自身も社会からも或いは直接的にはもつと組合の大衆からも捨てられるべきであろう。そういうことがいつまでもできるものじやないのです。ともかく全国の何百万の労働者がこれに反対している。そうして良識を持つた学者がこれに反対しているということははつきりとした事実なんであります。そういうことだけは捨ててしまつて、そうして経営者が賛成しているから、或いは一部の消費者が賛成しているからということだけでは、そう簡単にその健全なる社会通念が成熟したと片付けることはできないと思うのであります。而もこういう行動というものはこれはともかくも憲法で保障された行為の中の一つである。憲法に保障された行為を抑圧し、これを制限するということは、よほどのことがなければできるものではないと思うので、あなたがおつしやつたような緊急調整にしても、これは伝家の宝刀として最後の段階に使うものだということをおつしやつているわけでありますが、いやしくも憲法に保障された国民の権利というものを、これを抑えるということは本当に伝家の宝刀的最後の行動でなければならんはずでありまして、それをあらかじめこんなものを作つて行かなければならないというのは、今あなたがおつしやつただけでは、この健全なる社会通念の成熟ということは私どもには納得が行かない。若しあなたが一方的な意図で、誰かだけの一方の陣営だけの意見を聞いて発言せられるならば別問題でありますが、少くともそういうことは小坂さんのような教養を持つておられる人には私はあり得ないことだと思うのであります。あなたの言葉であるだけに非常に意外に思うのであります。もう少し納得のできるように説明して頂きたいと思う。
#70
○国務大臣(小坂善太郎君) お答えを申上げます。労働組合の諸君が非常に常識を豊かにされて、そうして日本の将来の発展のために御活躍を頂きたいということは、私も江田さんと実は劣らざる熱意を持つているつもりであります。ただ労組側は労働問題関係の法律案が出まする場合には、もう例外なく反対をせられるのであります。すでに労働組合関係の法律というものは改悪であるというふうに言われるのでございますが、これは個人としてそういう場合にどうであつたかというと、必ずしもそうでないようなかたの御意見も聞くであります。この法律も労組側はことごとく反対であつた。これはもうおつしやる通りでありますが、これは公式の場に出て意見を言われるときはそういうふうにしているのであつて、私は或る時期がたちますればこの法律は必ずしも反対でないのだ、止むを得ざるものである。こういう意見がきつと日と共に実は強まることを期待いたしているのであります。この法律は他産業に及ぼさない。これはもう私しばしば申上げたところでありますが、他産業において反対されるというのは、どういう点で反対されるかということは、将来我々の基本的権利をこの法案を漸次拡大して奪うであろうということを言つて反対をいたしているのであります。これははつきり申上げますが、拡大いたさんつもりであります。
 そこで今審議の過程でございまするが、この法案は本院において御可決頂きましたならば、これは漸次御納得を頂けるという私は確信を持つております次第であります。それは権利の抑圧というふうにおつしやいますけれども、これは不当なるものを不当と規定するのでありまして、例えば緊急調整のごとく本来やつているし、争議が非常に影響が大きいからと言つてこれを抑える場合と違いまして、これはこの程度が枠で、これを越えてはならないということをきめる規定であります。
#71
○江田三郎君 大臣は顧みて他を言うておられる。労働組合の諸君は個人的にはこの法案に賛成だけれども、公の席へ来ると反対を言う。これは私は全く逆だろうと思うのであります。大臣は腹の中ではこの法案について良心の苛責を感ずるが、公の席へ来たら賛成だと言うておられるのだろうと思う。これは顧みて他を言うておられる。こんなものを誰が考えても健全なる世論の成熟とか何とかそういう答弁で済まし得るものじやない。若しそういうことをおつしやるなら私鉄の争議については一体どういう世論がありましたか。これについてもやはり同じ結果が出るのじやないか。銀行の争議がどうですか。それとこれとの間にどれだけの一体差異があるか。而もこれは経験がないわけではないのであります。私鉄の争議についても経験があるわけであります。銀行の争議でも現にそういう事実が起きてそうして通産委員会でも、本来通産の問題でなくてもこれを緊急に事情を聴取しようという問題が出て来るわけであります。なぜこの三つの問題だけそうやつて行かなければならないのか。そこらあたり何らあなたの答弁は一貫しない。繰返して申しますけれどもあなたは腹の中ではその案に賛成しかねるが、公の席だから賛成しておられる。あなたが労働組合に対して言つていることを逆の言葉で言い返さなければならない。一体どこにこの二つの行為とほかの産業の争議行為との間に線を引かなければならないのか。その説明をできるでしようか。
#72
○国務大臣(小坂善太郎君) これは石炭並びに電気について争議行為を全面的に禁止するということではないのでありして、そのうちの一部を規制するということなのであります。これは昨年にもそういう例があつたし、なお現実にその虞れがある。こういうのであります。
 只今お示しの私鉄等の場合におきましても、これは争議の経験は勿論おつしやるまでもなくございます。ございますが、その際に例えば生鮮魚介を運ぶことを禁止したかというと、そういうものは運んでおられるし、又代替性もあるのであります。この場合は他の方法を用いてこれを搬送するということの方便もあるわけであります。そういうふうにこの争議におきましてはそうした特殊性があるのですね。この争議の特殊の場合においてはとかく電気を消し、或いは保安要員を引揚げるという場合には他産業に見ざる特殊性がある。特に電気の場合は、これは争議の当事者は殆んど損害をこうむらない。こうむる連中は中小企業であり、或いは大産業もそうでありましようし、国民一般が非常な損害をこうむり不便を忍ばなければならん。こういう争議の当事者よりも第三者が大きな損害をこうむるという特殊な点がありまして、そこに明らかに争議の差異を明示せよ、こうおつしやられればそういうふうな点を申上げたいと存じます。
#73
○江田三郎君 どうもその特殊性があるからということはこれは私は答弁にならんと思うのです。私鉄の問題でも生鮮魚介の問題だけ出されて、生鮮魚介だけの問題じやない。みんなが足を奪われるのですね。若し電気がとまつて困るという場合には私鉄がとまつて困ると同じように、ただひとり経営者だけでなしに多くの勤労大衆が、而も非常に緊急な用事を持つた人が、そのために緊急の用事ができないのであるから大きな影響があるわけだ。ただ特殊性特殊性と言つて、特殊性のあることは当り前のことでありまして、如何なる産業にも特殊性があるわけであります。若し石炭のこういうことがいかんということになるならば熔鉱炉の火を落したらどうなりますか。同じことじやないか。なぜ石炭と電気だけをこういうふうにして行かなければならないのか。若し強いて特殊性ということになるならば炭労なり電産の諸君が昨年あれだけの争議をやつた、それに懲罰的な意味にやるというのであるならば又話はわかりますが、腹の底はそうなんであります。
#74
○国務大臣(小坂善太郎君) 懲罰的な意味はございません。これはたびたび申上げているように非常に特殊な性格を持つものだし、即ち争議の当事者よりも第三者に非常に損害を与える特殊なものであります。炭鉱の場合にもこれはもう復帰すべき職場を失わしめる、人命に被害をこうむらしめる。そういうふうなものがあるためですし、又そうした争議が行わないということはないので、現害にその虞れがあると認められまするのでこれは御遠慮願いたい。こういうのであります。
#75
○江田三郎君 そんな特殊性の説明というのは答えになりませんよ。炭鉱の保安業務が非常に影響を及ぼすというならば、熔鉱炉の釜の火を落すということでもこれは同じように影響を及ぼす。而も熔鉱炉の火を落したために基幹産業の鉄鉱の生産がとまるということは、他産業に及ぼ影響すというものは全面的になるわけでありまして、何ら特殊性特殊性というものは答えにならないで、ただ合理的な説明ができないところを、ただ特殊性という言葉でカムフラージュしようということだけに終るとしか私には思えない。その問題は幾らやつても……。
#76
○藤田進君 関連質問。今の点で非常に抽象的に言われておりますけれども、特殊性とが、その争議行為の結果が一般の人たち、中小企業に……こういうことを言われておりますが、そこで関連して質問いたしますが、一定の電気の量を争議行為によつて減少したという場合、争議行為によつて電気の量が、生産が低下したという場合におけるその爾余の生産をどのようにするかということは、労働組合がやるのか、経営者がやるのか。その点を先ず第一に明らかにして頂いてその次の質問をいたします。
#77
○国務大臣(小坂善太郎君) 質問の趣旨が余りはつきりいたしませんのでありますが、一般的に電気の供給量が減少した場合でございますが、ストによる電気の供給量の減少したとどちらですか。
#78
○藤田進君 特に分けなければならないのなら分けてもよろしうございます。平常時における電力の需給の調整ですね。わかりやすく言えば配給、それから争議行為時における電力の配分、これらは一体誰が責任を以てやらなければならないのか、又やられているか。
#79
○国務大臣(小坂善太郎君) 現状におきましては経営者がその責任を持ち、そうして公共事業令によりまして通産省公益事業局の監督下に置かれている。こういうふうに了解いたしております。
#80
○藤田進君 そういたしますと、一般の電燈、中小企業が迷惑をこうむるからというのは、そもそもそれ経営者が迷惑をこうむらしめているのであつて、全体の日本の大口と中小企業並びに一般電燈との電力需要の割合を御承知だと思うのでありますが、これほどの法律を作るのでありますから。そうなりますと、あとで通産大臣にお伺いいたしたいと思いますが、そういたしますと、昨年の場合には特に東京電力の管内における状況、これを一般の電燈や中小企業が迷惑をこうむるが、それは反対に言えば全然大口は迷惑をこうむつていないということになつていると思います。一定量の電源を切らしたわけでありますから、この点全然お構いなしにすべてのしわ寄せを争議行為をやつた労働者側に転嫁するということが答弁の内容になつてしまつているわけであります。この事実をどうお考えになるか。
#81
○国務大臣(小坂善太郎君) そうした具体的な細かい……と言いますと語弊があるかも知れませんが、そうした問題よりも私どもの問題にいたしておりますのは、とにかく国民大衆が受けたあの現実の経験なんです。そうして国民大衆の中には勿論中小企業者もございますし、中小企業者といたしましても電気が来ないために非常な苦労をされたわけです。そうした現実にこうむつた大きな損害というものからこれは困るじやないかという社会通念の成熟を見たと申上げているのでありまして、具体的に大口、小口の電力の現状を見ますと、大体七と三という程度だと思います。
#82
○藤田進君 七と三で、七は大口であつて、大企業であつて、一般の家庭に送つている、中小企業に送つているものを合せても三しかないのですね。十に対して七と三と、大臣自身もそういうふうに了解している。昨年の場合東京電力の管内を除いた以外に一般の電燈や中小企業が困つているかどうか。当時の電力制限はこれは別ですよ。争議行為として、問題は東京電力の管内だけが一般の電燈や中少企業が非常にとめられている。これは会社がそういうスト規制法を作らんがために当時、まだまだ私は細かい事案を申し上げたいこともあります。これは突然としてスト規制法が出たのじやない。そういう昨年の東京電力の場合と他地域の場合と、大臣の答弁を求めるのでありますから一つ聞いておいて下さい。東京電力の場合はそういう特殊な事情の下に会社が故意に一般家庭や中小企業をとめて、そうして一方においては中小企業や或いは他の実存しないような団体の名前まで作つて何々電力協議会とかこういう形でそこに資金を注ぎ込んで、いいですか、私どもの見たところでははつきりした事実がある。そういう中にデツチ上げられて中小企業、一般電燈、東京電力の中だけは消されている。これは地元です。政治都市の地元でありますから一番きき目があると見たと思うのであります。それの思う通り取上げられているわけであります。この点が先ほど、言われた社会通念、一般の電燈や中小企業が非常に困つて本法が必要になつたのだ、こういうことを理由にして、特に故意に作り上げられた局地の現象であつて、日本全体の地域的面積から見ても、需要の割合から見ても、今のようなことは全然数字的に崩えされると思うのでありますが、この点御承知ですか。
#83
○国務大臣(小坂善太郎君) 私はそのような作為が特に行われたというふうには承知しておりませんが、通産省から現状をお答えいたしたいと思います。
#84
○政府委員(中島征帆君) 昨年のストの場合の全国的な制限の状況でありますが、ストによる停電は大口工場、それから中小家庭と分けまして、大体両方とも同じような程度の制限はしているようであります。
#85
○藤田進君 それは地域的に、電力会社別にそのことを指摘してもらいたい。そんな抽象的なものじやなしに、キロワツトの数もわかるはずでありますから……。
#86
○政府委員(中島征帆君) 地域的な制限の詳しい数字は手許にありませんが、これは恐らく正確な数字というものはなかなか今でもまとまりにくいのじやないかと思つておりますが、若しわかるようでしたら後ほど申上げますけれども、全般的に言いまして、先ほど申上げましたように大口と小口が大体同程度の制限を受けておるというふうに考えております。
#87
○藤田進君 通産省に移つたようになつてあれですが、労働大臣に関連があるのですから、私関連があつたら又……。
 同程度のと言われるが、絶対需要量というのは七、三の割合、これは認めますね。東京の場合には七、三よりもつと大きいはずです。七・四の二・六くらいじやないですか。同程度だと言われるのは何を基準に絶対キロ・ワツト・アワーの問題なのか、それともほかをとつて同程度だと言われるのか。問題は被害状況の問題、社会通念の公益の福祉の問題……。
#88
○政府委員(中島征帆君) 私が同程度だと申上げましたのは、停電の時間数を主として申上げました。
#89
○藤田進君 時間だけでは問題にならないですね。例えば一工場だけ二時間とめた、一方東京全域に亘つて仮に或いはリレー停電、これを一時間やつた、同じ一時間、同程度だと言われてもこれは社会公共の福祉から見て全然そういう比較というものは問題にならないのであつて……。
#90
○政府委員(中島征帆君) その点はお説の通りでありまして、同じ一時間停電を受けましても、それによつて受ける影響というものは、例えば工場の作業の性質等によつて非常に違います。併しそこまでは申しませんで、単に時間だけ見ました場合には、双方とも同じ程度の時間の制限を受けておるということでありまして、その結果受けた損害というものについては、これは又業種別その他部門別にそれぞれ検討しなければならんかと思つております。
#91
○藤田進君 そういたしますと、このように伺つていいのですね。時間が同じものであるという、このタイムのことだけを言われていて、その制限した量が仮に同じ量を制限いたしたといたしましても、キロ・ワツト・アワー、時間、これは無論キロ・ワツト・アワーですから時間も関係ありますわね。キロ・ワツト・アワーとはそんなものです。ですから仮に両方ともわかりやすく言つて一千キロ・ワツト・アワー、大口も一般も一千キロ・ワツト・アワーだけとめましたと、こういうことになると、七・三乃至七・四の二・六ぐらいな割合で、一般というのは非常に微々たるものですから、同じキロ・ワツト・アワーをとめたということになると、片一方では広汎な影響がある。一方七割以上占める大口については実に僅かな、どこか工場が一時間か二時間とまつたそうなというくらいで済むし、こういうことにあるようですね。今問題になつているのは、労働大臣が御答弁になつて私が関連質問いたしましたのは、一般の電燈、中小企業が非常なる被害をこうむる、昨年の実績からね。で、もはや社会通念上許されない行為である、こういうところに結び付けられているわけですね。いいですか。或る特需会社、その他こういつたところが非常に儲ける予定のものが儲からなかつた、それではやはり資本家がかわいそうだというものがここに出て来ているんじやないのですね、一般の公共の福祉ということなんですから。この点から見て同じことだと抽象的に言われれば、私はそんな抽象的なことでは、御承知のように或る程度事情を知つておりますのでね。他の委員はそれでは同じようにとまつたかいなと思われるかも知れませんが、そんなことでは私は了解できないのでね。もつとはつきり、今数字が言えなければ後刻数字をもらつても結構です。
#92
○政府委員(中島征帆君) やはりこれはストによる停電を考えます場合には、それぞれの需用部門にどれだけの時間がとまつたかということをつかまえるのが一番大事でありまして、それに基いてどういう影響があつたかということは次の問題だと思うのであります。例えば大口工場に仮に一時間停電したという場合と、それから中小の小品の工場に一時間停電があつたという場合と比べますと、大口の場合でありましたら、仮にあらかじめ予告でもあれば作業の振替等をやつて、その影響なしに済ませるということも、これは場合によつてできるわけであります。それから中小企業、家庭等におきましてはできない。こういう関係がありますので、影響につきましてはそれぞれの部門によつて具体的にいろいろ違つて来ると思います。ただ一応とまつた時間というものは大体双方とも同程度にとまつておるというふうに考えます。
#93
○江田三郎君 今の藤用君の質問から見ても、大臣の言う健全なる社会通念が成熟したというときには非常に作り上げられた社会通念が、意識的に誰かの手によつて作られた社会通念があり得るということは言えると思うのです。問題を輿論を激化するためにどこかそうしなくても済むものを、強いて影響を大きくするようなスヰツチの切り方をするということもあり得るわけなんです。そういうようなときに、而も冷静な学者あたりが殆んど揃うて、こういうような法律案の必要がないことを言つておるときに、大臣のほうではこれは健全なる輿論が成熟したのだ、こう言つておやりになるということになれば、将来他の産業へ累を及ぼす意思はないと、こう言われたところで私はそういうことは一つも保証にならないと思うのです。又社会通念が成熟したらやるんだということで、社会通念ということを若し一方的に解釈すれば何の保証にもならんわけでして、もつと私はそういうような一方的な判断から来る社会通念、一方的とあえて言いますよ。一方的なんですよ。経営者が賛成している、消費者の一部が賛成しているというだけでは、これは一方的なんです。明らかに一方的なんです。そういうような考え方で行かれたら、将来他の産業についてはやらないと言われたところで何の保証もないじやありませんか。だからこそ電産、或いは炭労の組合員諸君以外の他の労働組合の諸君が挙つてこれに反対しなければならん。若し他の産業はやらないと言うなら、そこにもう少し基礎になるべき理論的な根拠がなければならんと思うのです。一方的な判断の社会通念というようなものは何ら根拠になるものじやないです。それ以上にあなたとしてこういうものを必要とする社会通念とかいうような、とぼけない、それ以外のはつきりとした理論的根拠をお持ちにならないですか。
#94
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は今の御質疑の中から特に社会通念が成熟してないという反論は出て来ないというふうに考える。消費者代表が全員賛成している、本法律案を早く通してくれというそういう希望があつたということは、私はそれが一つの根拠になり得ると考えております。なおこうした法案を出すことが基本権を奪うのだ、労働基本権に抵触するものだという考えがあれば、その裏面解釈といたしましては、又ああいう争議をやつてもいいのだという考え方があるから、そういう問題が出て来るので、そういう考えがあればなおのこと、ここに三カ年の時限立法としてのこの法案の意義はいよいよ出て来るのである、こう思つておる次第であります。
#95
○石原幹市郎君 私は先ほどからのいろいろ論議を聞いておりますと、労働大臣がもつと強く特殊性を強調されてもいいくらいに私は思うのでありまして、昨年のあの際、先ほどからいろいろお話の出ておる中小企業が非常に困つておるのは勿論のこと、農村は脱穀調製のときなんかに当つておる場合にいろいろ非常な影響をこうむるのでありまして、それから又一般家庭がどれだけ苦しんだかということは、当時の新聞であるとか、いろいろのなにを見れば十分わかるのであつて、私は先ほどからいろいろ熔鉱炉の火がどうだとかいろいろな話がありましたが、今度の法案の対象になつておる二つの事業の特殊性というものをもつともつと強調されて私は然るものべきものだと思うのです。それで公共事業令なんかを見ましても、電気事業の特質、或いはこれがサービス事業であるというような点からいろいろの規定が盛つてあるわけであります。殊に「公益事業者は、通商産業大臣の許可を受けなければ、事業の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。」という規定まであるし、これはほかの法律にもこういう規定があるものもありまするけれども、これまでの規定がしてあるのでありまして、むしろ争議の手段として電気を切るとかこういうことはもうすでにこういう法の精神から考えても間違つておるのじやないかくらいに我々は感ずるのであつて、この事業の特殊性或いは一般の輿論というものはもつと強いものだと私は思うのでありますが、この点について労働大臣の御所見を伺いたい。
#96
○国務大臣(小坂善太郎君) 御指摘の通りであると考えます。この法律が解釈法規である、確認的なものを持つものであるということに関連して、先般も申上げたことでございますが、鉱山保安法なり或いは公共事業令なりによりまして、正当ならざる電気の停廃、或いは業務の停庭というものを禁止してある趣旨は、三つの産業が特殊性を持つたものである、非常に公益的な性格の強いものであるということによるものでございまして、お説の通りに考えております。
#97
○石原幹市郎君 これは我々のところへもいろいろの団体から早くこの法律を通してくれというような陳情もたくさん来ておりますし、又個人的にいろいろな意見、早くこれを一つ通してもらいたいという意見も多数聞いております。なお私は通産省のほうへも一つ聞いておきたいのですが、去年このストライキによつて各種産業が非常な被害を受けたと思うのでありますけれども、一般産業、殊に中小企業なんかが大体どのくらいの被害を受けたかというようなことについて何らかの調査を持つておられますか。
#98
○政府委員(中島征帆君) この被害の状況につきましては非常に調査が区々でありまして、全般的にまとめた結果が出ておらないのでありますが、総体といたしまして、このスト期間中に受けた生産上の影響が一割五分程度に言われております。それから中小企業につきましては、これは又部門によつていろいろ違うのでありますが、期限の納期の関係その他から若干遅れたために金額的には相当な損害を受けたというものもございます。場所によつて二割の損害であるというところもありますし、或いは五割も損害を受けたというところもございますし、非常に区々でありますが、これもやはり概して言つて二割前後の損害だというふうに考えていいのじやないかと思つてあります。
#99
○石原幹市郎君 それは金額にして概算すれば大体どのくらいのものになるのですか。私のなには、聞いておるところは違うかも知らんけれども、石炭関係では二百数十億の被害というか損害になつておる。電気関係は測り知れないというような表現で数字的には余り聞いてないのですけれども、これははつきりしたことは言えないでしようけれども、大よそ数百億であるとか、何かそういうようなことは言えませんか。
#100
○政府委員(中島征帆君) これは正確な数字は勿論言えませんが、或る一つの調査によりますと、約九百余の工場を調べましてその損害額合計四十六億という数字が出ております。これがこのまま信用できるかどうかということにつきましては私どもも確信はございませんです。
#101
○江田三郎君 そういう数字を発表されるなら或る一つの団体でやつた数字であつて、このまま信用できるかどうかわからないというようなことはやめてもらいたいと思う。もう少しきつぱりとやつて行かなければならない。それから労働大臣は今の石原委員の質問にお答えになつておつて石原委員のおつしやる通りだと、こうおつしやつておられましたが、一体去年の争議で石原委員の指摘されたような農村が脱穀作業中に電気をとめられたというような例がどこにあつたのでございますか。或いはこの電気事業、何ですかあれは、電力協議会か、この電力協議会というようなものが、恐らく労働大臣のほうではこれを消費者の団体くらいにお考えになるかも知れませんけれども、私の体験から言いますと、去年の争議のときに中国のほうの地域差の料金の問題で集まつてくれというので電力協議会のほうから招集が来たから行つたわけです。ところがそこへ会社の中国電力の重役の人が来て、こういう争議では非常に困るからして、これを早く収まるような措置をとつてくれという陳情があつて、そこで満場一致、満場一致じやないです、集まつた人々がそれはそうだということを言い出した。私はそれにはこういう会合で会社の人が電力協議会あたりを利用してやられるということは非常に一方的な行動であつて、電力協議会というものは会社側の一方的な働きをなすべきでなしに、もつと一方的でない問題をやるべきだということを言つて、私はそこで帰りましたけれども、そういう例もあるわけです。それはともかくとして一体脱穀作業等が停電で困つたというのはどこがあつたのですか。
#102
○説明員(山崎五郎君) 被害状況に関しては正確な被害状況報告は通産省に出ると思いますが、私のほうに当時入つた報告だけを二、三摘出して御報告いたしますと、茨城県におきましては農村関係について供出が遅延したという電報の報告を受けております。埼玉県におきましては……
#103
○江田三郎君 ちやんと何日に発信人は誰であつて、そういう争議行為がいつあつたかということをはつきりやつて下さい。
#104
○説明員(山崎五郎君) 私の今申上げるのはストライキの当初の報告の中から摘出して申上げます。栃木県の労働部長からの労働組合課長宛の報告によりますと、ストライキの第十一波までの影響として、農村関係は供出が遅延しておるという電報が入つております。それから埼玉県も同様発信人到着人同じでありますが、農村関係におきましては脱穀が二、三日遅れている、但し供出完納には影響がないという報告があります。それから千葉県からの報告によりますと、農村関係の被害は、早場米供出に支障を来たしており、供出奨励金が被害と見られ、その額が相当大きいという報告が来ております。そのほか各府県から相当来ております。
#105
○江田三郎君 これはあとでこちらも調べますから……。今言われたのは茨城、栃木、埼玉、千葉……。
#106
○説明員(山崎五郎君) これは極く当初の分です。
#107
○江田三郎君 そうすると関東だけに限るのですか、ほかにありますか。
#108
○説明員(山崎五郎君) いや、そのほかにも長野県からも報告が来ております。もつと詳しく読みましようか。
#109
○江田三郎君 ほかにありますか。
#110
○説明員(山崎五郎君) ずつと拾うとまだ出て来ると思いますが……。
#111
○藤田進君 ちよつと今の御答弁に関連してですが、お聞きのように茨城、栃木、埼玉、千葉、長野、それから静岡県というのはこれは中部電力とのかね合い、それから長野については東北電力のかね合いといろいろあるのです。これでも立証されるように、当時今石原委員の言われたように、農村の脱穀になり、こういつたことについては農村から感謝されているのですね。陣中見舞ももらつているし。それはなぜかというと、今言われた東京電力はこれはもう農村だけじやないのです。中小企業と一般ですね。これだけ狙い打ちに東京電力がやつているのです。これは通産省で調べて頂けばわかる。それから、通産省でどんな資料を持つておいでになるかよくわかりません、お見せになりませんから。併しさてスト規制法を出したのだが、先ず政府関係では十二月十三日に労政局資料というので十二月十三日、これは十八日の解決直前、これによると被害なしと、更に中央労働委員会におきまして電産の緊急調整をどうするかという問題が石炭の緊急調整を同意を求めるということに関連して出た際にも、電気については云々ということで、さして被害があるような話はなかつた、資料でも発表されておる労政局……。さてスト規制法は出したわ、それで十五国会で衝かれるということで、実はなんらそれをお見せしてもいいのですが、日経連、経団連、それから商工会議所、それからいわゆる経営者団体の名をたくさん連ねて大きな表を印刷にいたしまして急遽被害状況調査を実は始めたわけです、電気連合会というような名前で。ところが散髪屋へ行つてどれだけ被害があつたろうか、随分あつたろうな、ときにすでに主婦連合その他で被害に対する損害賠償とかいろんなことを言われていたので、いやおれの散髪屋では十万円あるとか、おれの中小企業では幾らだとかいうようなことで、これを合せて見たならば実に大変なことで、これは如何に言つても信用できないというようなことで、その資料は結局役に立たないものになつてしまつたはずだと思います。そこで次に最近打たれているのは、当初もそうでしたが、何々電力協議会というものも私どもの手許に来ますが、石原さんのところにもそれは来たと思うのですが、これはたくさんあるでしよう、経営者陣も数が多いですから。ところが電力協議会というのは曾つて終戦後二カ年ばかり労働組合が当時中心になつてそうして電気についての協議をして、当時の、今以上に電力制限、非常に電力の危機の状態にあつた、これを打開するために作られていましたものが、爾後昭和二十五年あたりからだんだん会社から経費が出るようになつて組合から金が出なくなつて来て、今では何々会長さんというような人がただ残つておるだけで、それで印刷をしたりやつているのであつて、その実体は殆んどない。これはいつかの朝日新聞にも出ていたと思いますが、調べて見ると実体はない。併し大変な印刷物を作つているものですから、厖大な組織機構のように見えるが、これは単なる金の力がさせるのであつて、決して実体はないということですが、通産省においてその実体があつてどういう団体の内容を持つているかという資料があるならば是非お出し願いたいし、なお先ほどの被害につきましても権威ある被害状況調査ができているのならばこれを出して頂きたい。中小企業におきましても大口にいたしましても、大体振替作業したりいろいろな関係で以て、さして被害がなかつたというような曾つて資料も出ておりますから、この点を私関連して通産省当局に対しても申上げておきたいと思います。資料の要求をかねて。
#112
○説明員(山崎五郎君) 被害がなかつたということに対して私反駁を試みるのでも何でもありませんが、先ほど藤田委員から労政局が被害のないという報告が出ておるということの御発言がありましたので、誤解があつてはならないのでその点につきまして申上げます。御承知のように電産の被害状況は組合に聞いても経営者に聞いてもなかなか直ちに被害状況がわかりません。我々の下部機構におきましても直ちにその被害状況が明瞭に現われて来るのは困難であります。十二月十三日の資料としておつしやいましたのは、先般藤田委員が電産委員長当時この法律の公聴会の席上私お話を承わつたのでありますが、その資料は或る労政時報の雑誌をお読みになつたように私の日で見たのでありますが、これは確かに私も見ました。十三日附の資料は私のほうでは公表した事実はありません。ただその中で若しその中にあるのをおとりになられても被害は決して少くないと思いますが、その資料の中から被害がないという部分だけがとられて一般に流されておるのもあるようであります。又その雑誌へ載つておつたのも極く僅か載つておりまして、全文は勿論載つておりません。而もその資料は十三日現在でありませんで、十三日にまとめたことはまとめましたが、それはストライキの第十一波までまとめたのでありまして、被害の状況はそれほど或いはないかもわかりませんが、私の見たところではその資料だけから拾いましても厖大な被害状況になつて来るのでありますが、先ほど申上げましたように、なかなか的確につかみ得ることが困難なものでありますから、私のほうは公表しないで、その責任ある通産省の発表を待つておつたのであります。なお被害状況につきましてはいろいろ先ほど各種団体からの陳情等が問題になつたようでありますが、地方自治団体、或いは経済団体等を除きまして純然たる地方自治団体からでもこの電産争議に関する被害等を主として書いた陳情が四十三件……。
#113
○藤田進君 それは自由党の知事さんたろう。
#114
○説明員(山崎五郎君) それは自由党社会党を問わず私のほうでは四十三件というふうに記載してあります。なお具体的な例を述べよと申されるのでありますれば若干説明してもよいと思いますが、非常に細かくなると思いますので、正確な資料は通産省から御報告願いたいと思つております。経営者団体のほうでは御承知のように日経連は二百億の被害と曾つて発表しておりますが、私のほうは別に経営者団体の資料を主として集めたり、或いは急にそういう団体にお願いして被害状況を調べた事実もありません。
#115
○江田三郎君 被害が全然ないということは勿論ないわけで、被害はあるでしよう。ただあなたがたの言われるような、例えば石原委員のおつしやるような、もはや莫大にして計算すべからざる数字というような、そういうような表現というもので私はこの問題をやるべきじやないと思うのです。折角労働省のほうで権威ある調査が通産省のほうでできているというのですから、これは通産省のほうで本委員会へ権威ある被害の報告を出してもらいたいと思うのです。そこで私は時間がございませんから、もう少し問題を新らしい方向へ発展さして行きたいと思うのですが、ともかく今の被害が、どんな争議だつて被害のない争議はないのですから、それはあるわけです。特に小坂大臣としては電気事業の特殊性ということを非常に強調される、そうして午前中の質問を通じても正常なる供給が結果として起きなくても起きるような条件があつた場合には意思と行為とが一緒になつておるというとこれはここに言われるところの、禁止されるところの行為になる。こういうように非常に電力の正常なる供給ということを重要視しておられるわけです。そうして公共の福祉の名において、一方憲法に書いてあるところの労働者の基本的権利というものをここで制限乃至抑圧されるわけなんです。若しそこまでおやりになるなら、それほど電気の供給ということを重要視するなら、一体この経営者のほうの責任というものはどうなるのかということです。これは土曜日に海野委員から電圧が足らないという極めて現実的な問題を非常に素朴な形で問題を提起されておりましたけれども、私はこういうことだつて軽々しく片付けるべき問題じやないと思うのです。一体大臣も言われるように、非常に広汎なる大衆ということをおつしやるということになれば、又それが政治としては私は末端の国民の一人々々へ政治の力が及ぶということがこれが正しいことだと思いますが、そういうようなことから考えると農村において電圧が足らない、ラジオも聞けないという現実はたくさんあるわけなんです。そういうような、明らかに公共の福祉を阻害したことをやつているわけです。争議行為としてはやつておりません。併しながら現実にはそういうことをやつているわけです。これに対して公共事業令か何かでこれは監督を受けるといつたところで、受けているはずなのに、そういう問題が起きているわけです。而も一方において今度の選挙の場合におきましても電力関係からは相当の政治資金が公然、或いは隠然と出ておる。先般の電力の九分割に当りましてもいろいろの票ある。電力会社を厳密に調べれば当然なすべき手配を怠つているという問題がたくさんある。経営者の責任においてなすべきことを……。そういうようなことであつて現実に公共の福祉を阻害するようなことをやつているのに、これに対しては一体どうするかということを海野委員は言つておつたのですが、それに対しては余りまじめな態度ではお答えになつていなかつたようですが、そういうことはどうお考えになりますか。
#116
○国務大臣(小坂善太郎君) 電気だけを今問題にされましたから電気について申上げますが、電気の特殊性というのはこれはもう申すまでもなくエネルギー源であるということ、或いは高度の独占性を有しておつて代替性がない、替るべきものがないということ、或いは生産即消費である、或いは非常に少数者の行為が広汎にその影響を及ぼすということ、或いは争議行為の場合には争議の当事者よりも第三者に対する影響が多いということで、特に問題にしておるわけでございますが、只今御指摘の、消費者はそういう争議行為でなくても、経営者の懈怠によつて、怠慢によつて電圧が低下するとか或いはサイクルが乱れるとか、そういうことで損害を受けているではないか、こういうことにつきましてこれはやはり私は公益事業局というものがあつて、これが監督官庁の立場から経営者を非常に厳重に監督しておる、こういうふうに考えております。ただ争議行為といたしまして、例えば事務ストで以て石炭の入手を非常に怠る、又悪い石炭しか送らんというような事務ストがあつた場合、火力がそれによつて十分焚けない、即ちそれによつて電圧が降下する、或いはサイクルが乱れる、こういう場合にもこれは争議行為としてならそれは許される、こういう考えを持つております。許されます。ですからそういう面においての争議行為であれば、これは今の場合経営と対等の立場で経営者の懈怠というものは抑えられる。監督官庁が監督されるわけですから抑えられる。併し客観的に見てどうにもならん。日本経済の実態、経済ばかりでない。天候にもよりますが、例えば雨が降らない、水力がない、そのために電力が減つた。例えば石炭の生産状況が思わしくなくて火力が焚けない。こういうようなことは監督官庁によつて必要止むを得ざるものとして認めれば、これもいたし方ないと思つております。併しその場合に、いろいろなやりくりは通産省のほうで考える。併し私ども争議行為の場合を考えると、ここに停止するのは、電源放棄、或いは給電指令所の職場放棄を言うのであつて、事務ストによつてそうした電圧ストというものがあつた場合はこれは問題の外である。ですからこれは片手落ちではないと、こういうふうに考えておる次第であります。
#117
○江田三郎君 ここで出て来る公共の福祉ということはストライキをやるかやらんかということは抽象的にストライキというものを考える場合、争議行為そのものは如何なる産業でも行うわけでしよう。だから抽象化した争議行為というものはこれは公共の福祉と別に関係はない。ここで言われる電気事業関係の争議行為、或いは石炭鉱業のほうの争議行為が問題になるのは、現実に電気が来ない、石炭が来ない、山が荒れる、そのことが問題なんでしよう。そこでそれには労働者側にとつては非常に苛酷にそういう結果が起きなくても意思と行為があれば、ここで言われるところの、規制されるところの行為になつて来るというところまで厳重にやつているわけです。その出発点は全部公共の福祉なんです。公共の福祉にとつては電産の組合がストライキをやつたということじやないのです。電気がとまつたということが一番問題なんです。そういうとまつたということは争議行為でなくても、今あなたもお認めになるようにあり得るわけですよ。当然なすべき行為を十分にやらないために電圧が下つたり或いは火力の石炭の貯蔵が十分でないために渇水停電をやつたという問題が起きているわけですよ。而もそれに対してはまるで一方的に通産省のほうの監督だというようなことを言われて、而も通産省はそれに十分監督していないじやないですか。たくさん問題はあるじやないですか。通産大臣がおられたら私はそれを質問したい。そういう問題については野放しに放つて置いて、そうして片方に電気事業の従業員に対してだけ非常に、その結果が起きなくても、公共の福祉に直接影響する結果が起きないことまでもここで問題にされるということは、これは私は労働大臣としては非常に片手落ちだと思うのです。一体なぜそういうような行為をしなければならんのか、何も行為を目的に行為をしているわけじやなしに、やはり争議を円満に、或いは早急に有利に片付けたいというためにやるということは、これは言うまでもないことなんです。土曜日の大臣の説明の中にもILOにおける中山氏の発言を聞かれて、調停機関の決定を聞かないような情勢が出て来ている、聞かないのは一体どちらなんですか。労働者だけが聞かないのですか。若し労働者だけが聞かないというのなら労働者のこの争議行為というものを或る程度制限するということは私はあり得るかもわからんと思うのです。併し現実にはそうじやないじやないですか。調停機関の決定を聞かないのはどちらも聞いていないじやないですか。そうして片方においては、労働者の場合にはそういうような非常に憲法に保障された基本的な権利というものを制限乃至抑圧される。而も経営者については何らそういうような争議を早急に片付けるような何らの措置をとられない、これで一体労働行政ができますか。若しそれで労働行政ができるとすればこれは産報の行為ですよ。産報的な労働運動ですよ。産報的な労働運動の取締ですよ。恐らく大臣が腹の中に持つておられる、長年身につけた進歩的な大臣が腹の中に持つておる労働行政というものはそんなものじやなかろうと思うのです。それは一体どうでしよう。
#118
○国務大臣(小坂善太郎君) 江田さんは私が何か争議行為を電気と石炭の場合について全面的に禁止するような誤解をお持ちではないかというような御口吻を承わるのでございますが、これはもう繰返して申上げますように、両産業における特殊の例えば保安要員の引揚げであるとか、或いは電気を送らんという行為に対してこれは御遠慮願いたいということなんでございます。なお全般に影響を及ぼさなくても、客観的に見てこれがそれと同様の効果を持つものでありながらたまたまそれが公共の福祉に影響が少いと言われるものについても同断だと申上げますのはそういう意味でありまして、客観的に見て同一の効果を持つということでありながら偶発的にそうでない、こういう場合はやはり一般論として規制せざるを得ないのではないか、こう思つておるのであります。で、この昨年の争議はいろいろの原因がございまして、先にも述べたのでございますが、やはり占領が長きに亘りまして、占領中は何か司令部によつて解決せられておる、解決が強制的になされることが双方にはやはり不満である、そこで占領解除と共に一種のレジスタンスで非常に労使双方共に非常に自分の力によつて解決しようという傾向が爆発したその結果であろうかというふうな観察もできるかと思うのであります。そこでそうした場合に労働組合側についてだけ抑えるというお話がございましたが、私どもはそういうふうには考えておらないのでございまして、こうした電気を消してまで、或いは炭鉱の保安要員を引揚げてまで争わなくても争議というものは解決し得る、調停機関というものをもう少し資料等も豊富にしたり力をつけてやるということも一方において必要でございましようが、大体公共事業の争議でございますから、やはり第三者の調停を尊重し、又両方の良識と理解と納得によつて解決するという方法を持つべきであろう、何も炭鉱を爆発すると言つておどかさなくても争議の解決の方法はあろうと、こういうふうに思つておるのでございます。事業者に対する監督がどうこうというお話がございましたが、これは通産省の御当局がおられますが、通産省において厳重にやつておられるであろうと、こう思つておる次第でございます。
#119
○江田三郎君 全面的に争議行為を禁止するのではないと、こう言われますけれども、少くとも電気事業関係は一体あとに何が残るのですか。或いは株式事務とか株主事務とか何とかいうようなことをどこかで説明しておられましたけれども、そんなものが争議行為のうちに入りますか、これはもう明らかに全面的な禁止と同じですよ。それだけのことをやるならもつと経営者に対しても当然一方的でないようにやらなければ、一体今大臣の説明の中にでも昨年の争議が非常に長引いたのは従来の占領が終つたというところから一つ自主性といいますか、何といいますか、そういうものが爆発してあれだけ長引いたのじやなかろうかと思う。若しそういうことなら占領中の一つの占領行政の反動だというのならそれならそういう問題なら、これはだんだんと片附くわけでしよう。併し私はそれだけじやないと思うのです。大臣は盛んにこの土曜日にも労働争議に対して政府は介入は極力しない、こう言つておるのですけれども、介入はしないしないということは、別な立場で言えば政府の無能力ということになるのじやないですか。政治力の貧困ということになるのじやないですか。而もこういうような法律を出すことが一番大きな介入ですよ。憲法に保障された権利までこうやつて抑えるというくらい、このくらい大きな介入はございませんよ。一方にこういうことをやつておいて現実に争議が起きれば、緊急調整でも何でもまだまだ使い途があるものを、それはしない。調停は、中労委の調停案が出たところで両方とも聞かないというのもそれも何もしない、介入しないというのは要するに別な言葉で言えば政府が怠慢であつて、その政府の怠慢をかような形でより以上、これ以上の介入の仕方のないような形で最大限の介入をしているのが今度のやり方じやないですか。私は今の大臣の今まで言われていることはその点で非常な大きな矛盾があると思うのですが、それは矛盾とはお考えにならんでしようか。
#120
○国務大臣(小坂善太郎君) 昨年の争議は誠に遺憾であつたと関係者も思つておると思いますけれども、一般国民としては、あの争議の経験に鑑みて、あれは困るという気持になつておると思うのです。これが私の言う社会通念の成熟ということでございますが、なお一方この経営者というものが何ら規制なくして放つて置かれるというお話もございましたが、これは監督官庁の監督ももとよりでございますが、やはりこうした高度の重要性を持ち、独占性を持つておる企業の経営者というものは非常ないわゆる社会的規制と申しますか、別の言葉で言えば政治的に監督されるといいますか、国民すべてから常に厳しい批判を受けておると私は考えるのでありますが、そうしたことは全然無関心で経営ができるかどうかというと、私はそれはできない、こういうふうに思つております。それでなお法律を作ることが政府の争議権に対する介入ではないかというお話でございましたが、これは私どもがそう考えるばかりでなくして、これはいわゆる社会通念は世界的に社会通念として存在すると思つておるのでございます。これは決して介入ではなくして、本来いかんということはいかん、それは終戦後に非常に活濃化し又発達し発展して参りました労働組合運動がまだ十分に発達しきらざる段階においての一つの過説でありました。こういうものは明確にするというほうが本来の正しい組合運動の発展に資するところがある、こういうふうに思つております。政府がそれに介入するのじやなくして、いけないことをいけないという考え方を明らかにする、こういう趣旨であると考えております。
#121
○江田三郎君 電力事業の特殊性ということを盛んにおつしやつて経営者としても社会的な一つの輿論の何といいますか、制約なり規制を受けるんだということをおつしやつていますけれども、併し実際にはそうなつていないでしよう。例えば九分割、さつきもここで話しておりましたけれども、九分割に際しての地域差の問題でも、これが本当に社会性ということを考えるならばあの地域差というようなものを当然なくするような措置が継続されなければならん。ところがあの九分割をするときには将来地域差の起らんような措置をとるという約束がありながら現実にはとられない、而もそういうことに対して監督官庁は何もやつていないじやないですか。事業者のほうの監督が私はこれは何とあなたが言われたところで通産省のほうは余りやつておられんと思う。やらんのは当り前でして、大体政府が、小坂大臣の言葉を以てすれば調停機関の決定を聞かない傾向があるのは遺憾だということを中山委員の言葉を引用しておつしやつておられたけれども、今の政府自身がそういうものを聞いていないのじやないですか。人事院の勧告にしても或いは国鉄や専売の裁定にしても聞かないじやないですか。そういつておいて片方においてそういうような政府が陣頭に立つてかような形で争議行為というものを規制されて行けば、私はいよいよ調停機関の決定なんというものは聞かれない傾向が出て来ると思うのです。公務員の場合でも公労法や何か作つて抑えることだけで、肝心の仲裁なり裁定なりを聞かそうということは一向できていないじやないですか。それが民間産業の場合に現われたのがこの形であつて、この形が丁度公務員のいろいろな勤労者の権利を奪つてそうして片方でそれにもう一つ輪をかけて、仲裁なり裁定なりということを政府が聞いていないのと同じ結果がここに出て来ると思うのです。ここでやつぱり労働者の基本的権利は奪つてしまう、そうして労働者としては当然資本家に対抗すべきところの行為が十分にとれない。今までも今大臣が憂慮されたような調停機関の決定を聞かないという傾向が出て来ておると言うのですけれども、私は一層その傾向というものは大きくなつて来ると思うのです。一体今後大臣として労働行政の立場から調停機関の決定というものをどういう形で労使双方へ聞かそうとするのか、どういうおつもりがありますか。ただ資料を作つてとか何とかさつきおつしやつておりましたけれども、そういうもので片付くなら私はもうこんなものをやめたらいいと思うのです。ちやんといつでも資料をお作りになつてこんなものなくたつて争議がしやんしやんと調停機関の決定の通り片付くはずなんです。どういう一体腹案がありますか、どういう成算がありますか。
#122
○政府委員(古池信三君) 先ほどからいろいろ通産省に対するお話がございましたから、私から考えていることをお答え申上げたいと思うのですが、先ず第一に電気事業の経営者に対しまして、通産省としては十分監督をしておらんじやないか、こういうお話がありましたが、これは私どもその衝に当る者といたしましては法令の命ずるところに従いまして十分なる監督をいたすべきであり、又いたしておる、かように確信しております。先ほど来いろいろ再編成の当時に遡つてお話もございましたが、これは御承知のようにあの当時にも賛否両論があつて非常な議論を闘わした結果今日の事態になつたのでありまして、今なおお話のような意見のあることも私は十分に承知し、又これに対する反対的な意見のあることも十分承知しております。で、これは電気事業の組織機構というものを将来どうするか、このままでいつまでも維持して行くのか、或いは相当先になつた場合に何らかの変更を加えるかというような大きな事業形態の問題でありまして、今日これについては申上げる段階ではなかろうかと思います。それから先ほど来停電に伴う一般需用者に対する被害状況はどうかというお話でありますが、これは率直に私は申上げますが、要するに正確なる結果の数字を出せということは、これは非常にむずかしい問題で、殆んど不可能に近いのではないかと思います。と申しますのは、成るほど炭鉱等でありますればその山の数は限られており、その出炭の日々の生産減というものは或る程度まとまつた数字が出ておりまするからこれを基礎にして算定すればおよそのメドはついて行くのじやないかと考えられるのですが、電気はあらゆる面に滲透しておる事業でありまするが故に、大事業においても相当な被害をこうむると共に、又中小企業乃至は一般国民生活の上に相当な被害のあることは当然でありまするけれども、それを一々数字に現わすということは需用者の面が広大無辺であるだけにまとめにくいのではないか、かように私考えます。従つて良心的に正確な数字を出せと言われても、これは実際出ないと申すよりほかはなかろうかと考えるのであります。それから次に争議行為による停電に伴う被害ばかりではなく、例えば渇水であるとか、そういう設備上その他の関係から停電が起るじやないか、それに対してはどう考えるかというようなお話がありましたが、成るほどそういう事実があつたということも重々承知しておりまするけれども、これは私はかように考えるのです。何しろまだ、戦後すでに七、八年はたちましたけれども、電気事業の設備の回復というものは必ずしもまだ万全ではありません。而もこれには特に水力設備関係から言えば降雨量という季節的にも、又絶対量からしまして非常な天然の影響が多い、こういう事業でありますから、なかなか人力を以て測り得ない部面もあることは確かにあります。要するにこれについては経営者が相当ないわゆる善良なる管理者の注意を以て事に当つて、而も及ぶべからざる点は、これは言葉は語弊を招くかも知れませんが、いわゆる不可抗力に属するものの一つとして考えねばならんのではあるまいか、こういう面も私は確かにあると思うのであります。
#123
○江田三郎君 災害と同じか。
#124
○政府委員(古池信三君) それからなおこれは一昨日も出ましたが、サイクルなり電圧が所定の標準を維持しておらんではないか、こういうことでありますが、これも確かにそういう点はあると思います。併しこれは非常に大きな面から考えて見ねばならんのであつて、現在の電力設備と、即ち供給側の設備とこれに対する需用側の要求、この二つのバランスがうまくとれておれば電圧にしてもサイクルにしても正常状態を維持できるわけでありますけれども、大きく見た場合にその間にアンバランスがあるということは、これは御承知の通りでありまするが、そういう状態におきましてはどうしたつて、これは幾ら逆立ちをしても、そこに正常なるサイクル或いは電圧の維持を常に続けて行くということが非常に困難な場合が出て来るということも御承認願わなくちやならんと思います。無論そういうようなことは最小限度にとどむべきは当然でありまするけれども、或いはかような場合には例えば新規の需用を切るとかそういうことをやればそれによつて電圧なりサイクルの降下というものは防げるかも知れませんけれども、これはやはり又大きな問題を生ずるのでありまして、例えて言えば比較的卑近な例でありまするが、薄めて広く供給するか、或いは濃度の高いものを狭く供給するかというようなことになりわせんかと思うのでありまして、これは何としても一日も早く設備の増強をやりまして、これによつて需用にバランスしたような供給面を確保するということが先決問題であると考えまして、政府はこれに対しましては相当な資金の調達も斡旋いたしまして極力努力をしておるようなわけであります。これができ上りますまでは若干サイクルなり電圧にそういう基準に外れたような場合ができることもこれは止むを得ざる事実として御了承を願いたいと考えるのであります。なお私のほうの関係で御質問がございましたならば、私でできますことならば十分御答弁申上げたいと思います。
#125
○国務大臣(小坂善太郎君) 仲裁制度というものをできるだけ活用して参りたいという私の考えは先ほど申上げた通りでございますが、争議というものは申上げるまでもなくこれは力関係でありまして、それをとことんまでやつて行かなければ力と力でなければ解決しないということになると、どちらかが強い場合でなければ解決しないということになる。労使対等の立場で交渉するところにその納得と理解が生じて来ると思いますが、その間にとことんまでやらずに、やはり全体との関係を睨み合せて、公正なる第三者の仲裁ということが必要であるということは、これは争議の場合に限らず御納得の行くことであると思います。そこでこの我が国で申しますれば、中労委というようなものがこれは公正にして権威ある調停案を作つて、そうしてその調停案について国民の世論の支持を得るということが必要でありまするけれども、私としてはそういうふうな方向をできるだけ遵守したい、こう考えていることが一つ。なお調停案というものが出ましたならばできるだけこれを尊重して労使双方の側において早期に解決を図るという健全な慣行を習日熟させたい、こういうふうに思うのでございます。公益性の強い産業におきましては特に公益なる第三者の調停というものを尊重することが最も望ましいことであろうと考えておりまして、そのような方向にできる限り合理的解決を図る、力によらざる解決を図る、こういうふうに考えておる次第でございます。なお国家公務員の場合でございますと、これは申上げるまでもないことでありますが、争議権を禁止しておるので、一方において強制仲裁の規定を持つておるわけでございますが、この仲裁案がどういうふうになつておりますかということ、先般もちよつと触れましたのでございまするが、これは今まで仲裁の出ましたのは九件あるのでございます。そのうち完全に実施したのが五件、少し遅れて実施したものが二件、それから部分的に実施したのが三件、こういうことになつております。やはりこれは強制仲裁制度のできました当初において部分的に実施したようなことがございましたが、目下のところはその点が、順調に行くようになりました次第でございます。なお郵政の調停等につきましてもこれは御承知のごとく政府においてはこれを実施することにいたしておるようなことで、だんだんそうしたものを国家全体の財政と睨み合せて、而もその範囲内においてできるだけ早くこれを尊重し実施する、こういう慣行は確立して来たものである、こう考えておる次第でございます。
#126
○藤田進君 ちよつと関連して……。労働大臣の言われるのを聞くと、一昨日来の質問と又がたがたして来ますので非常に困るわけですが、私は先般来の質問というそのカテゴリーは本法にある正当なる、正常なるというこの正常なる供給云々ということに重点を置きましたので、他のカテゴリーについては改めてお伺いしたいと思つていたわけですが、例えば今お触れになりましたところの仲裁の問題にしてもスト権を奪つて争議行為ができなくなつているが故に、一方仲裁という機関を設けてある、こう言われておるわけですね。併し電気事業等についてはこれは争議権を奪つているのではない、まだたくさんほかに方法があるではないか、だから一つ今規制しようとするこのものをやらなくたつてほかにあるのだから、決して罷業権をなくするものではないと、こうおつしやつていると思うのです。よろしうございますね。それは労働大臣自身としては余りにも視野が狭いように思うのです。なぜならば発電所、変電所、給電指令所の労働者について考えて見ましたならばこれは罷業権というものは一応憲法で認められているけれども、労調法、労組法でもこれを肯定しているけれども今度のスト規制法、これによつて完全に争議行為の手段を失うわけですね。発電所の勤務員は相当多量います。いいですか。而も現実にはどうか。成るほど十五国会当時これが法案が出た当時は電産というものがかなり全国的に見て組織的にも一つの労働組合として成立つていたと思うのです。ところがすでに今日におきましては発電所においても組合が必ずしも電産だけでもない。又発電所労働者だけの組合ということも考えられる。ですから当該発電所の労働者というものは電産の傘下でもなければ又全然組織外の本店や支店や営業所の事務系の職員の事務ストを期待して待つていたところでそんなものはしてくれるわけはないですね。発電所の人がやはりそれのみで守つて行かなければならない、或いは使用者と交渉しなければならん、こういう現状にある。そういうときに何にも争議手段を持つていない、今のこの規制によつてこういう事案のあることを全然お忘れになつているところに誤謬がある、現実の認識について全く事実の上に立脚しない理論でありまして、空論であるとさえ思つているのですね。仲裁を設けないのは一部のスト権を抑制、不当だと思つていたものを明らかにするのであつて、他に幾らでもあるなんということはこれは言えない。全然言えないことです。それからこの点についてなおそうではないとおつしやる事実があるならばお答え願えればいいと思うのです。これは大変な問題です。学者の衝いている点も御承知だと思います。特定な人に対しては全然罷業権を奪つてしまうものだ。これは現実に徴して明らかです。それから通産省は非常にこの監督その他やつておいでになるかのごとき御答弁が次官からありましたけれども、そこまで現行公共事業令、電気ガス臨時措置法ですか、これについてないのですね。又事実運営ができないので、具体的な例を申上げて見たいと思うのです。
 昭和二十六年の渇水におきまして非常な問題が出て参りました。これは昨年もややこの現象が出たわけですが、一つの例は、こういうことを物語つておる。火力によつて渇水時のやはり需用を満たして行かなければならないので、火力には何と言つても石炭というものがなければ、これは火力の用をなさないのが日本の現状です。或いは重油によつてこれを代えるか、いずれにしても燃料源が絶えていたのでは設備だけでは電気が起きません。ところが当時どういう状況であつたかと言えば、御承知のように、石炭は日に日にトン当り吊り上げて来る、どんそれ炭価を上げて来て、而も上げただけならばまだしものこと、九つの電力会社が石炭の購入について忌わしい競争を当時やつていた。関西電力については、公益事業局長もおられることですから、思い起して頂きたいのですが、関西電力については、現地に石炭を買付けて、そうしていよいよ石炭が来るからということで一安心して、石炭が到着して見たならば、もはや火力用炭としては適当でない、火力用に使えない石炭が送り込まれて来た。これではいけないということで、今度は北海道に飛んで見たところ、すでに東京電力が買占めている。そこでこれは関西電力においては、我が社においては、もう少しいい値段で話がつかないだろうかということで、又炭価の、又これが電気事業者間においても、吊り上げになつておる、こういう実情ですね。九州においてはたしかあすこの炭鉱と九州電力の買手は両者兼ねておられるから、そういう競合によつて石炭が、あれはどちらに転んでも儲けですから問題ないでしようけれども、こういうときに、それでは行政買上げをするかどうかの問題が出たときに、行政買上げなんかしない、実質的に実質的にということで、当時何ら手を打つていない、こういう事実があります。
 又これは電気だけでなしに、ガスに取上げて見ても、これば御承知かどうか、併せて御答弁願いたいのですが、市川にあります葛飾瓦斯株式会社、これはどういう実態に今なつているか。公益事業です。これは三千万円の資本金で三千五百万円という金を横領してしまつた、社長が、而も自分が……。公共事業令によりますというと、その公共事業者が他の事業を行う場合には認可が必要だと思います。これがたとえ個人の名前、個人、臼井某という社長だが、これによつてなされても、ガス事業の資金なり或いは貸付なり、融資なり、こういつたものを、個人の臼井産業とか商事とかいうようなものに費消してしまつて、それが遂に破産の状態になつた。これらについて通産省特に公益事業局などは、どんな手を打つておるか。現実に今ガスの供給については重大な支障を来たさんとしている状態です。三千万円の資本で三千五百万円という大きな穴があいて、而もこれが社長であり、若干の重役と競合してなされた実際のあれです。これが今訴訟の問題にまでなつておると思うのです。そこまで行かないうちに、もつと監督権を民主的に発動されたならば、うまく行つたのではないだろうかと思われる節があります。
 更にこれは公正取引委員会の関係にもなりますけれども、今日問題になつておる通産関係に直接関係のある問題としては、あの白木屋の株の買占めの問題だつてそうですね。すでにあの白木屋の問題にいたしましても、容易ならん事態になつておる。これは今申上げた葛飾瓦斯の場合、臼井某が総株の八四%を占めて、そうして大きな穴を開けておる。こういうようなことについて、問題がここにどのように然らば適正な監督がなされておるかということについて説明を頂きたいと思います。
 更に電気についてもう一件申上げますると、公共事業令の五十五条、融通命令、これは今日すでに今では無論水害さえ言われている豊水期に入つておりますので問題ないのですが、この間ので、或いは昨年の争議の場合、一昨年の場合は特に深刻な九月、十一月の渇水ですね。一貫して、公共事業令が、そういつた事態に処して、融通命令を出してでも、やはり制限の均分化をしなければならん、均等に制限すべきものはする、こういうことであつたにかかわらず、未だ曾つて公共事業令五十五条が発動されたためしがない。何となれば、電気事業なるものが、特に関東、関西、或いは中部電力というふうに、偏在して、政治力にこれが大きく利用されてしまつておるという、この弊害が公共事業令五十五条を発動せしめない原因になつておると思います。
 こういう具体的な事例をここに申上げますので、葛飾瓦斯、或いは今申上げた公共事業令五十五条、その他爾余の点について監督行政の立場から明快なる御答弁を願いたいと思います。
#127
○政府委員(古池信三君) 最初私が存じておりますところを申上げまして、足りないところは局長のほうから御答弁申上げたいと思います。
 丁度一昨年の渇水に際して、電力会社が石炭の手当において甚だまずい点があつたということは、当時私も参議院の通産委員として、或いは電力特別委員会の委員として調査もいたしておりましたので、おおむねは承知しております。これは成るほど結果的に見て非常にまずいことがあつたのでありまするが、併し丁度二十六年の五月の問題の再編成ということが発足いたしまして、その当時からすでに本当は石炭を手当しておかなくちやならなかつたのが、夏になつて来たというところに問題があるのでありまして、これは御承知のように昭和十四年に日本発送電会社ができました当時にも、よく似たようなことが起つたのであります。これは誠に好ましいことではありませんけれども、やはり機構が変るという場合には、この従業員、そういう仕事に携わつておる人が、経営者にしても、従業員にしても、やはり心理的に落ちつかないというようなことが根本的な原因ではなかつただろうか。あとどういう会社になるかわからないのに、そのときの手当まで、本来はすべきでありますけれども、そこに抜かりがあつたということがやはり大きな原因ではなかつたかと考えるのであります。併し、いずれにしても今お話のあつたような事情は誠に遺憾なことだと考えております。
 それから融通命令の話がございましたが、これは曾つて電力の国家管理をしておりました時代、電力管理法の第四条だと思いますが、やはり融通命令に類似した規定があつたのでありますけれども、これは殆んどあの法律を適用したという事例はなかつたと記憶しております。それは要するに日発、配電会社でやつておりまして、その当時はあの法規を適用しなくても、大体行政上の指導によつてうまくできたので、あれは適用しなかつた、こういうことは御承知の通りだと思います。併しそれが電力管理ということが解かれて、一応今の会社が一般の商法による会社ということになつたために、その辺のところがやや以前に比べますると徹底を欠くようになつた、これも御指摘の通りだと思います。併し恐らく私はその事業者の政治的な力如何によつて動かされる、そういうようなことはあるまいということを固く信じております。今後といえども、そういう場合が起きました際には、これこそ国家的な大きな立場から十分に融通命令も出し、お互いに有無相融通せしめるということは、電気事業の本質から言つて当然のことだろうと思います。御希望に副いますように将来は尽力いたしたいと考えます。それからなお葛飾瓦斯の問題につきましては、私只今までその報告を受けておりませんので、それらについては局長から十分に御説明させたいと思いますが、今お話のありましたようなことがそのまま事実であるとすれば、それは甚だ不都合なことであると思います。
#128
○政府委員(中島征帆君) 葛飾瓦斯の問題は私も聞いております。これは最近、組合側が経営者に対しまして、詐欺行為であるというような訴訟を起しまして現在手続中でありますので、一応我々としましては、その経過を見るつもりでおりますが、非公式に瓦斯課において調査をさしておりまして、まだ結論的にははつきりしたものをつかんでおりませんけれども、ただ少くとも現状におきましてはガスの供給には支障ないようなふうに作業を進められておりますので、今早急に軽卒にこれに介入することは適当でないと考えまして、正常な供給に支障がない限りは、裁判所の成行きを見ながら間接の監督をとりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
#129
○藤田進君 公共事業令、今の電気ガス臨時措置法、以下公共事業令と言いますが、これから照らしても今の場合監督行政の立場にある公益事業局長なり通産大臣としては、臼井産業なるもりを作つて、資本金をオーバーする穴を開けていて、それが裁判を待つてという、これは結果ですが、その過程におきましても、これは無論公益事業局なり、いろいろな機関が末端にもあるはずですから、それが全然次官の耳にも入つていないということですから、公共事業令の面から見ても、公益事業者が、何らの通産大臣なりそういつた部署にお断りなしに、そんなことがやつて行けるか。そうして結果は、これは資本金をオーバーするそういつた明確な穴で破産の状態になつているから、これが裁判の結果を見てという前の手当というものは、そのように監督行政としては法律上できないものなのか。公共事業令では、事業者は勝手にやつていけないことになつていると思うのですね。その点……。
#130
○政府委員(中島征帆君) 葛飾瓦斯自体が別の事業をやる場合には兼業の免許が要るわけでありますけれども、この場合はお話のように社長個人がやつておりますので、法律上兼業の許可というふうな手続が要らないわけであります。実際問題としてそこまで措置しないという点に、監督上十分でなかつたと言えば或いは言えるかも知れませんけれども、形式的には官庁の許可を要しないことになつております。
#131
○政府委員(古池信三君) この葛飾瓦斯のお話は、先ほど申上げましたように、私もまずその報告を聞いておりませんので、確たる御返事はできませんけれども、併し今のお尋ねの内容によつて察知いたしますると、どうもその経営者というものは不都合な点が多いような感じを受けるのです。従いまして、早速取調べをいたしまして、本当に公益事業の担当者として不適当な人であるということが確認されました場合には、行政上にもそれ相当な措置を講ぜねばならんと思います。
#132
○藤田進君 是非速かに御調査願つて、今御答弁のような善処をお願いしたいと思います。
#133
○江田三郎君 さつき藤田君のほうから関連質問が出て、労働大臣の答弁だと、電気事業の従業員の場合には争議行為を全面的禁止したのじやない、まだまだ行為はたくさんある、こう言うのだけれども、発送電に関係した諸君に、今ここに書いてあるところの行為が規制されてしまうというと、あと何もないじやないか。丁度公務員が争議権を全部奪われてしまつたあとと同じことになるのじやないか、そういう質問が出ておつたのですが、これは一つどうでしよう。
#134
○国務大臣(小坂善太郎君) 一つの枠をきめまして、この争議は困ると言うと、全般的に争議行為ができないというふうな誤解を生ずるのでありますが、例えば労調法の三十六条を見ましても、これは場合が電気の場合と違いますけれども、そこで安全保持に必要な施設について、これを手配したり、或いは正常な維持運営を妨げる行為は争議行為としてでもこれをなすことができないと書いてある。争議行為の一部を規制してこれを禁止するということは従来もあるのであります。石炭の場合に、これは自明のことだと存じますけれども、電気の場合の、今ここに議題になつておりますることは、従来とも別にいいということはなかつたのです。ただこれを明確にしておりませんでしたが、昨年の争議の経験に鑑みて、これは困るという社会通念の成熟を見ましたので、私どもとしては、これを明確に明文化する、こういう趣旨なんであります。それじや争議行為は全然できんじやないかという御質問もございますが、従来の電気事業におきまする争議の場合、事務ストから始まるのが大体通例であるかと思いますが、事務ストの段階において片付いた例もあるのであります。これは何にも常に弾圧されたというのじやなしに、やはり話が納得して片付いている例もございまして、むしろ私としましては、そうした点にまで決して争わんということにしておくほうが、穏健に話をし合い、お互いに意地になつてやり合うというふうなことなくして正当なところに行く面が却つて多いのではないかとすら思うのであります。なお、その例について御必要があれば事務当局から申します。
#135
○江田三郎君 これはちよつとひどいです。だから藤田君が言つた発電所の労働者の場合には、ここに規制される行為以外に如何なる一体争議行為があるのか。若しそういうような争議行為がないとすれば、公務員について争議行為が全面的に禁止された代りに仲裁制度ができるように、何らかのことができなければならん。ところが調停機関の決定を成るべく生かすようにして行くのだと言われるけれども、これは極めて大臣の気持のいい作文であるだけで、そんなことが簡単に行われるならば問題は簡単ですよ。だから、昨年の争議、昨年の争議ということを非常に貴重な経験としておつしやるのだつたら、昨年の争議一つ考えて見ても、一体誰が聞かないのか。調停機関の決定に対して経営者のほうは無条件で聞いておるのかどうかということです。今まで両方が突つぱり合つて、そうしてなかなかこれを開かない。その際片方については、特に発電所関係については、殆んど争議行為ができないようにして、それでその前に問題をするなら、あなたがおつしやるように、一方の力が強いか、一方が強くて一方が弱くて片が付くでしよう。併しこれはもう労働争議の正常な形での解決ではない。そういう点一体どう考えておられるか。私は先ほど通産政務次官の古池さんの御答弁は、非常に、悪いことは悪いと率直にお認めになつていると思うのです。やはり労働大臣も、もつと率直な形で御答弁願いたいと思うのです。あなたがたのほうは、何か問題をごまかすと言うては甚だ失礼ですけれども、とにかく質問することには答えないで、気持のいい放言だけをやられるように我々の耳には響くわけです。
#136
○国務大臣(小坂善太郎君) 決してそういうつもりはございませんで、私なども、答えさして頂くならば、例えば今何とか申す、葛飾瓦斯でございますか、その場合には誠にけしからんとお答えいたします、私が仮にその場合になりましたら。併しこの御質問の場合は違うのでございまして、私は私の考えを率直に申上げておるのでございます。やはり発電所において争議行為が事務以外、庶務事項以外にストライキができないということになります場合に、それじやあというお話もございますが、仮にここにございます保安要員引揚げの場合も同様であると思います。保安要員はストライキができないのでございます。併しこれは従来からもそういうふうに観念している部分のかたが多いのではないか、こう思つております、石炭保安要員の場合は。これは衆議院の公聴会でございましたか、藤林啓三氏が、保安要員の引揚げ場なんということは大体争議行為としてむちやだ。だから、こんな引揚げ指令を出したので組合は分裂するかと思つておつたところが、政府がうろたえて緊急調査を出したので、緊急調整で岸労は救われたのだ、こういう御証言があつたようなくらいでございまして、これはいかんということことに本来からなつているのでございますね。併しそういう行為を規定しても、保安要目のストライキがないということがあつても、これは正当なりと一般的な健全な社会通念で認識していることなんですから、それがないというのはおかしいじやないかとおつしやいますが、私も見解の相違で何ともこれ以上申上げる方法はないと思います。正直にお答え申上げて。
#137
○藤田進君 労働大臣は場所々々で答えられるものですから、非常に質問しなければならん問題が永くなつて数が殖えてしまうのですね。それは、今の場合はいやもう今までそれは違法なんだ。或るときには労調法三十六条を出して見たりされるわけですね。労調法三十六条について……。
#138
○国務大臣(小坂善太郎君) 三十二条を待つまでもなくですね。
#139
○藤田進君 これはもう引いて御覧なさい、そんなところへ出て来る問題じやないですよ、今の答弁の中に、三十六条なんというのは。それは労政局長に聞いて頂けばいいのですが、今の場合は、曾つてつとにそういう争議行為は、発電所の電源ストは、それは違法なんだ。それを今度明確にするのだということを今言われておる。だから従来もなかつたのだ。新らしくなくするのじやないから、だから仕方がない、こういうことなんです。発電所の当該労働者というものは何にもなくなるのじやないか。それは事務ストがある。併しそれはよその入が持つていることなんで、自分たちは何にもなくなるわけですね、而も組合は団体としては別になつているところもあるし。これを聞いているときに、いや、もうそれは今までもなかつたのだ、こうおつしやる。ところがこういうことなんですね、そうおつしやいますと。昭和二十六年、これは本会議でも質問したのですが、これはさすがに法務大臣は、確かに聞いていたけれども、間違つてはいけないから委員会で答弁さしてくれとおつしやつたので、私もそれならばよろしいというので、委員会でお聞きするつもりですが、昭和二十六年の暮に当時の法務総裁、それから当時は保利さんでしたか、労働大臣、それに最高検、労働組合代表、こういう形で、どうもスイツチを切つたりなどするようなことでは、これはどうも治安当局としては、治安閣僚会議においでも問題になつている。諸君は決して非合法なストライキをやるということを目的にしてならないことはよくわかるので、従つて検討してもらいたい。例えば諸君のやるストライキとしては発電所或いはその他で自分たちが持つている労働力を、これを売らないのだ、提供しないのだ、こういうことが残されているのであつて、それ以上にスイッチを切るというようなことは、これはどうも政府当局としてはよくない思う、こう言われたのですね。そうしてこれについては、然らば発電機が廻つている最中にストライキの時間が来たので労務提供を拒否いたします、こういうことでもよろしうございますかと言つたときに、最高検の何とかいう当時次長です、これは正確なあれは出してもよろしうございますが、それはやはり国鉄がストライキをやる場合に、或いは私鉄がストライキをやる場合において、隧道の中に入つたときに丁度昼の十二時であつてストライキに入る、お客さんを乗せたままでトンネルの中で機関士がストライキだと言つて飛降りてしまうということがいけないので、お客さんは降して、車庫に納めて、そうして争議に参加する、労務提供を拒否する。これと同じように、やはり発電機にしても、廻しつ放しで出てしまうということは、これはけしからんので、お客さんを降して車庫に入れると同じような安全な措置をして、そうして労務提供を拒否すべきだ。お客さんを降すとは発電機にかかつている負荷容量ですね、負荷、この電気をちやんととめて、そうして発電気を廻しつ放しでなしに、車庫に入れるような安全な措置をしておいて、そうして労務提供を拒否すべきだ、こうおつしやつたわけです。ところが当時の電産としては、それでも検察庁などが言つても、法律的にどうかわからないということで、書いた文書も電産には残つているようですが、末弘博士自身も、それでよろしいのだという裏付があつて初めて、当時或る一部のグループから、あれは馴れ合いストであるとか言つて随分叩かれながらも、当時の電産の指導者は、実に石橋も叩いてやつて来ておる。従つて今日結果から見れば、地裁、高裁において無罪になつた問題もありますし、すでに東京高裁において判決確定しておる。更に今日継続されておる。これは法務大臣の管轄ですが、公判廷における最高検の指示、その下における各公判廷の検事というものは、これは労務提供を拒否したということは、これは決して違法ではない。それを違法だと言つているのじやないのだ。会社が引継いでくれ、廻したまま引継いでくれと言つて会社が業務命令を出したにもかかわらず、その会社の命令を聞かないということが業務妨害、威力妨害、こういう形で今公判廷で、四国におきましても、或いは広島、長野、こういうふうに問題になつて来ておるわけです。それぞれ免訴になつてしまつたのですが、又検事当局で控訴いたたしております。こういうことからして法務大臣のほうでは慎重に、本会議では答弁できないから委員会でということで、今日委員会にはその御答弁はまだなつてやないのです。ところが同じ政府の中において労働大臣は、曾つてすでにつとにこの方法は違法である、こう言い切られておるわけですね。そうであるとするならば、いつから一体違法になつたのかということが当然問題になるし、決して過去従前から違法であるとは言われていなかつた。これは政府部内について引継ぎになつているのでしようから、現大臣としてはわからないかも知れないが、当相手方、当事者間においては内閣はずつと吉田内閣でした。その後の新らしい事情も、或いは政府当局の行政解釈も明らかにされていない。突如としてこの法安が出て初めて従来違法である、こういうふうになりますと、辻棲が合わなくなるわけですね。この点をはつきりして頂きたいと思うのです。
#140
○国務大臣(小坂善太郎君) 私の申上げておることが誤解を生んでおるようですが、私も発電所並びに変電所におけるウオーク・アウトというものについては、従来とも解釈は明確になつていなかつたということは先ほども申上げたと思います。併しこれがいいという解釈はなかつた。併し昨年の争議の経験に鑑みて、これはよくないという社会通念が成熟したのである、こういうことを申上げておるのでございます。なお詳しく事務当局からお答えいたします。
#141
○政府委員(中西實君) 先ほど大臣から労調法の三十六条のお話がございましたが、その趣旨を少しお取違えになつておるような節がございますので、大臣の申されましたことを明確に申しますと、三十六条のいわゆる保安要員、これは従来ともやはりストはできなかつた。従つてストがない。ストに対して規制されているものに対しては何かやはりしなければならないというようなお話がさつき江田委員のほうからございましたが、すでに三十六条の例がある、こういうことだけを申上げたので、そこで電源関係のウオーク・アウト、これについて従来から明確にこれが違法なものであつたということについては大臣も申されておらないのであります。従来から大審院の判例におきましても、大体争議というものは……。
#142
○藤田進君 大審院……、
#143
○政府委員(中西實君) 失礼しました。最高裁の判例におきましても、労働争議は大体において不作為が一応の建前で、積極的な行為はやはり違法の場合が多い。殊に末端におけるスイツチ・オフは、これは違法であるということで我々も考え、検察当局も考えて来たわけであります。
#144
○藤田進君 最高裁がそんな判決を出していますか。
#145
○政府委員(中西實君) いや、その点は今申しましたように、積極的行為は大体において労働争議としても則を超えるのが普通だということだけであります。その点から言いますと、スイツチ・オフというのは、積極的な行為が加わるものでございますので、結局スイツチ・オフは、従来とも検察当局は違法のものであるとして処理しておるのであります。
 そこで電源のウオーク・アウト、これにつきまして先ほど藤田委員からお話がございました。この点については詳細は法務省のほうからお尋ね頂きたいのでございますけれども、刑事局長等と話合いましたところによりますると、従来からも電源のウオーク・アウト等が、これがいいのだということではないのだ、ただ、刑罰法規適用の際に、単にウオーク・アウトするよりはスイツチを切つて行つたほうが危険性も少いし、本人から見れば或いは違法性を阻却される場合が多いのじやなかろうかという想像ができるので、その点を認容しておつたのだというようなふうに言われておるのであります。そこで昨年の争議の永い過程におきまして、先ほど来大臣からしばしば言われておりますように、やはりそういつた行為によつて第三者一般への電気の供給に支障が起き非常な迷惑をかけるということは、これはどうしたもやめてもらわなければならんという社会通念が成熟したので、ここにこの法案によつてそのことをはつきりと明文によつて限界を定める、こういう順序になつて来た、こういうふうに解釈して頂きたいと思います。
#146
○委員長(中川以良君) ちよつと御注意申上げますが、岡野通産大臣は災害対策に関連をいたしまして四時半には御退席を頂くことになつておりますので、それを御了承の上一つ御質疑を続けて頂きたいと思います。
#147
○藤田進君 議事進行について……。両大臣ともお忙しいと思いますし、その点はよくわかります。併しかと言つてこちらはもううやむやで済ましてしまうということでは審議上今までやつて来て、今までのものさえ非常な無駄になる可能性もあるので、従いまして明日なり日を繰合せて頂くということも考えられるので、その点を一つ御相談願いたいと思います。それから通産大臣については、今日若干質問は是非とも今日中にさして頂きたい点がありますので、さよう取計らい願いたいと思います。
#148
○委員長(中川以良君) どうぞ御質疑を続行して頂きまして、一応先ほどきめましたことに対して皆様の御努力を願うということになつておりますので、ともかくも御努力頂きまして、その上で以て又お諮りをいたすことにいたします。
#149
○藤田進君 今労働大臣のほうはまだ続いてやりたいと思いますけれども、今の質疑の中で受取れることは、従来合法でなかつたものだと言われているけれども、後ほどの労政局長のお話によると、不作為が原則であるから、従つてこれを法律上の作為としてスイツチを切つたりするということはやはりいけないのだと考えていた。併し検察当局その他政府当局において電源職場のウオーキングーアウトというものがいいのだということは言わなかつたが、悪いのだということも言わなかつた、こういうようなことであると思います。そうしますと、併し昨年の争議というもので社会通念上成熟して来たので……。ですから、これを考えて見ると、従来は違法或いは合法なりという意思表示も何もしなかつたけれども、昨年のあの争議で違法性というものを認識して、ここに新らしく規定するのだ、こういうふうになつてしまうわけです。この点は従来の答弁と大きく食い違うし、法案提出の理由である解釈の法規である、こういう点から食い違つております点を指摘いたしたいと思います。それから通産大臣に……。
#150
○国務大臣(小坂善太郎君) 私はこの法案につきましても、従来とも不当と思われていたもの、即ち石炭の場合、それから社会通念上否なりと考えるもの、それをこの際明確に確定する、こういう解釈の意味を持つ法規である、こういうことを申上げておるのであります。社会通念上は必ずしも妥当であるとは……、否であると考えられておつたと思いますが、これが法律に不当であるという明確な規定はなかつということを申上げておる次第でございます。
#151
○江田三郎君 私のほうが、質問したことが藤田委員の関連質問で横へ行つてしまつたのですが……。
#152
○藤田進君 済みません、どうも。
#153
○江田三郎君 いや、結構でございますが、やはりまだやらなければならないのですけれども、通産大臣のほうを先にやつたほうがよろしいですか。
#154
○委員長(中川以良君) どうぞ、四時半にはどうしても緊急の要件で御退席になりますので、それを一つ御承知の上で……。
#155
○江田三郎君 それじや、そうするとほかのかたも通産大臣に質問があるかも知れませんから、ちつよと労働大臣のほうを、重要な問題がさつきの質問から出て来るのですけれども、あと廻しにいたしまして、通産大臣にお尋ねしますが。この法案を出すことについて通産大臣として、かようなものを労働省のほうへ要請されたことがあるのでございますか。そうでなしに労働省のほうでおやりになつたのでございますか。その点は経過はどうでございますか。
#156
○国務大臣(岡野清豪君) 私通産省からこういうことを要求したということは承わつておりません。事務当局につきましても、そういうことはございませんから。こういう法案が出て来ますというと、鉱山保安法の関係上、これはまあいいじやないかというので賛成しておるわけでございます。
#157
○江田三郎君 若し間違つておるかも知れませんから、事務当局に一つ……。
#158
○政府委員(中島征帆君) 只今申上げました通りであります。
#159
○江田三郎君 少くとも、この法案が若し通過して行くということになると、電気及び石炭に対しては、これはまあ大変な影響が出て来るわけでして、通産大臣としてもこの内容については十分検討され、通産行政の立場から御意見も持つておられると思うのですが、ここにありますような法律が制定されることが通産行政の立場からしても好ましい、こういうふうに結論としてはなると思うのですが、併し私はこういうような形で争議行為というものを抑えて、果してうまく行くのかどうかということに非常な疑問を持つわけです。例えば公共企業体の諸君が争議権を持たないといつたところで、現に昨年の暮でありますか、国鉄の場合あたり一斉賜暇というようなものが出たり日教組でもそういうようなものが出たわけであります。いろいろな形で却つて混乱するような事態が起きるのじやないかと思います。勿論鉱山保安法の問題は、これはもうそういう法律があるわけです。炭労の諸君だつてこの保安要員の引揚げというようなことを簡単にはしようとはしておらず、この点昨年の争議を見ても、又若しそういうような事態になれば緊急調整というような形で鎮まりをつけることができるわけですが、この電気事業の場合には相当問題が違つていると思うのです。これはやはり電気事業についても、石炭事業についても、同じように、やはりこういうものがなければ公共の福祉に副うような電気の供給なり石炭の資源を守り、或いは石炭の供給をすることができない、これよりほかに方法がないと、こうお考えになつておりますか。
#160
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。私の考えといたしましては、まあ鉱山のほうから申上げますが、鉱山の資源と申しますものは、これは国家として非常に大切なものでございます。それから又人命というものも国家として非常に大切なものでございます。そういたしますと、その両面から人命に危険を及ぼすようなことが出て来るようなことがあつてはならんというので、人命保護の立場からやはりこういうことがあつて然るべきだ。それから又鉱山を保持して行く、保安して行くという意味から見れば、日本の資源を大切にするというような意味で、人命というものに危険を及ぼすとか、或いは鉱山が壊滅しわせんかというようなことを、これは事前に防いで行こうというようなことは私は通産行政として大事なことであると考えております。
 それから電源ストの問題でございますが、これは御承知でもございましようが、昨年の電源ストで中小企業とか、大工場もそうでございますが、非常に経済、産業の上から大打撃をこうむつておることは事実でございます。それで、それじやほかに労働者がこれをとめられたために争議行為をすることができないのかと申しますれば、これはまあ正当ないろいろの方法で強硬に争議を行うことができる権利が残されているのでございますから、或る程度のことはやはり、産業通商の大事な面から見まして、やつて頂いたほうがいいのじやないか、こういうような私どもは考えを持つております。
#161
○江田三郎君 今、石炭のことはあと廻しにしまして、電気について、通産大臣は、この程度のことはと言つて極めて軽く考えておられるように思うのですけれども、そうこの程度はで済まし得る問題じやないのでして、先ほど労働大臣に質問している点も、特に発電所関係においては、ここに書いてあるような行為が争議行為として規制されるということになると、あと何もないわけなんです。全然争議権を持たないと言つてもいいわけです。事務系統の諸君は、それはまあ若干ありましよう。集金をしないとか何とかいろいろなことがありますけれども、発電所関係では殆んど何も残されていない。そういうような全然争議権を持たないようになるのでして、その程度というようなこととは非常に違つて来るわけです。そこでそういうようなことを程度はどうでもよろしいが、通産大臣としてお考えになるのは一に電気の供給がとまると、その点にあると思うのですが、今度の場合で行きますというと、とまらなくてもとまり得るような条件があれば、客観的にそういう条件があればこれはやはりいかんということになつて、結果が出なくてもそこまで大きな制約を受けるわけです。それでそれなら電気事業というものはこれは集金事務もあるし、或いは配電の仕事もあるし、発電の仕事もあるし、たくさんあつていろいろな面があるじやないかと、こうおつしやつておる。例えば国鉄の場合でも機関士の諸君は別な労働組合を作つておる。仕事の性格が違うからして同じ国鉄の従業員が、機関士の諸君だけが別な労働組合を作つているというふうに、発電所の諸君とは従来も気風も違うし、利害も異なる点があつて、そういうような別な組織をというような動きもあるわけです。そうすると、そういうような諸君は、発電関係においては一切争議行為というものはできないことになつてしまつて、而も労働大臣のお言葉のように、最近調停機関の決定というものを労使双方ともなかなか聞かない、こういうことになつて行くと、これでなお争議行為が奪われてしまうということになると、いよいよ調停機関の決定というようなことは聞かない条件が多くなつて、争議というものは、労働者のほうが一方的に屈服すればともかく、そうでないとなかなかうまく行かん。そうなると、生活を守るためにやはりやまねこ的な行動が多くなつて、なかなか正しい労働運動でなしに、好ましくないような形のものがだんだんと大きくなつて、却つて電気事業の健全な発展というものを阻害することになるのじやないかと思うのです。そういうことは、これは労働省の関係ということになりましようけれども、併しこれは電気事業の健全な発展という面から見ると、これは通産行政としても十分にお考えになつて頂きたいと思うのでして、ただ問題は、そういうような形になつたときに、一体通産大臣としては、争議の調停というようなことについてもう少し、まあ労働大臣は積極的に調停機関の活動を図るのだということでありましたが、従来の労働省のやられたことから見るというと、我我まあ一つの大臣の気持のいい言葉としては拝聴しますけれども、その実績の裏付けのある行動とは受取りかねるのですが、通産省のほうでは、そういう際に何か争議を正常な形で妥結さすようなことについて積極的な方策をお考えになつている点があるのですか。
#162
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。私、労働行政の立場から如何ようになるかという点につきましては、労働大臣のほうで適当な御判断を下さると思いますけれども、私、産業行政の面から見ますというと、どうも昨年のように電気がとまつてしまつては、これは日本の産業界に与える影響が非常に大きいものでございますから、この点は産業行政を保護助長して行くという立場からは、やはり電源ストはやつてもらいたくない、こういうことでございます。併しそれを如何に処置し、又如何に労働争議ということの調和をされるかということにつきましては、これは一に労働行政に関することでございまするから、労働大臣の御意見に従う、こういうことでございます。
#163
○江田三郎君 だから、あなたのほうは問題を労働行政の立場だと言つて逃げてしまわれますけれども、これはそう逃げられるなら逃げられてもよろしいが、ここへ出て来る問題というのは、要するに電気がとまつて、公共の福祉が阻害される、この一点になつて来るわけですが、電気がとまるという問題は、ひとり争議行為としてだけではないのですね。先ほどあなたのお留守のときに、藤田委員のほうから、例えば石炭手当の問題、地域間の融通命令の問題、こういうようなものが問題として出されましたが、そういうことについてまあ政務次官のほうでも従来十分でない点があるというようにお認めになつているわけです。将来もやはり私はそういう問題は必ず起きると思うのでして、若し労働者に対して、これだけ憲法に保障されているところの勤労者の基本的な権利を制限したり抑圧するようなことをやるならば、やはり経営者に対してももつと厳しい措置がなければならんと思うのですが、そういう点について何かお考えになつておりますか。
#164
○国務大臣(岡野清豪君) これは労働者を非常に何と言いますか虐げるというような御観念でおありになれば、又資本家のほうも、経営者のほうも、やはり何とか抑えなければならんというようなことも考えられるのでございますが、私自身といたしましては、まあ相当に停電によりまして財界がこうむつた非常に大きな損害というのは、これはどうも方向が違うような感じがするのです。経営者に対してなすつていることが、罪もゆかりもない個人の家庭の電気が消える、同時に又営々として自立経済をやつて行こうとしておるところの業界が仕事ができなくなる、それから又中小企業あたりは非常な、私も統計をよく調べておりませんし、又調べもつかんと思いますけれども、この停電のために中小企業が非常に弱つたということを聞いておりますので、そういう点におきまして、どうしてもスト制限ということは、この法律に出ております程度にやつて頂いたほうが、どうしても産業行政としてはいいと思います。それから、これにつきまして資本家、即ち経営者のほうをどうするかということにつきましては、私は労働大臣あたりの説を加えましても、そういうように相天秤にかけてやるべきようなものじやないのじやないかという感じを今持つております。と申しますのは、これは社会通念上そういうことはしてはいかんのじやないかというようなことを、まあそういうことをなさらんほうがいいですよという意味においてこの法律が適当だろうと考えております。
#165
○江田三郎君 通産大臣の言われることを聞いていると、あきれて次の質問ができんようになるのですが、問題を労働行政の分野へ移してしまわれようとするのですから、あとで労働大臣に聞きますけれども、併し今この法律案が出て来るのは、あなたのおつしやいますように公共の福祉を阻害する、こういうことなんです。公共の福祉が阻害されるというのは、争議があるかどうかということは、これは直接は関係ないわけです。あるのは電気が来ないということです。来るべき電気が来ないということが一番問題になるわけです。来るべき電気が来ないということの原因には、一つには争議行為という場合がある、一つは経営者の責任という場合があるわけです。現に政務次官も先ほど二十六年の石炭の手当の問題なり、或いはその後の融通命令なんかの問題についても、十分になされていないことを認めておられるわけです。そういうようなことが、いやしくも憲法に保障されておるところの勤労者の権利というものを公共の福祉ということで保障された権利を制限したり抑圧するというなら、やはり公共の事業者の責任に帰すべきことで公共の福祉が阻害されている面がたくさんあるわけですから、そういうことについてあなたは一体何をなされようとするのかという……。
#166
○政府委員(古池信三君) 先ほど私がお答え申上げました事項に関連して今お尋ねがありましたので重ねて申しますが、例えば二十六年度に電気事業の再編成が行われた直後石炭が不足している、その事実は確かにお話の通りであります。我々としましては、電気事業者に対しまして、勿論公益事業の担当者として十分その責任を全うすべきように指導も監督もしておるのでありますけれども、真に止むを得ないような場合、事業者としては極力その当時の事情に即して努力したにもかかわらず及ばなかつたというような場合は、これは止むを得ないのではないかということを先ほど申上げたのでありまして、先ほども申しましたように事業者としては、いわゆる法律上の言葉を以て言えば、善良なる管理者の注意を以てしても到底及び得なかつたというような場合は、これは止むを得ないものとお考え願いたいということを申上げたのであります。
 それから融通契約の問題につきましても、融通命令の規定は確かに五十五条にございますけれども、政府が命令を出すまでもなく、その目的が行政指導によつてとられるならば、必ずしも命令を待たないでもいいではないか。例えば先般の九州の災害の際にも取りあえず中国電力から九州電力に対しまして相当の電力を契約外に融通をいたしたということを知つております。これも必ずしも本省が、この法律による命令を出さないでも、指導によつて会社が融通をしたのでありまして、それによつて目的を達成すれば必ずしも命令は出さんでもいい。こういうことを申したのでありますから、その辺は誤解のないようにお願いいたします。
#167
○江田三郎君 それは藤田委員が質問されたのは今政務次官のお答えになるようなことではなかつた。この石炭手当の問題なんかは善良なる管理者の注意を以て十分にやつたにかかわらず、争議自体が起きたということでなしに、こういうこと、こういうこと、こういうことが欠陥があるじやないかということをはつきり出されておるわけです。そういうことは今のお答えとは大分違つて来るわけです。そういうような経営者の責任に帰すべき問題がたくさんある。然るに通産大臣はそういうようなことについては極めて平然となさつて労働者の基本的権利をこれを制限し、抑圧するほうは、その程度のことは辛抱してもいいじやないかと言つて、あつさり片付けられるという態度は我々としても納得に苦しむわけです。
#168
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。先ほどの労働者が電源スイツチを切るということで起きた結果が財界に非常に大きな影響を及ぼす、あなたの御説によると、それもあるだろう、あるかないかわかりませんが、経営者の甚だ不埒な行動によつて、やはり同じような結果が起きるのじやないか、そのときに通産大臣はどう考えるかという御質問のように伺いますが、そうでございましようか。
#169
○江田三郎君 そういうことが現実に起きておる。そういうことは私が言うだけでなしに、やはり具体的な事実として政務次官もお認めになつておる。そういうことが、この法律ができて来るというのは、いつに公共の福祉を阻害する、公共の福祉というのは、石炭の場合は別ですが、電気がとまるということです。電気がとまるということについて経営者の責任に帰すべき、善良なる管理者の注意を以て云々ということでなしに、明らかに経営者並びに政府の責任に帰すべき事態があるわけです。ところが、そういうようなことは放つて置かれて、そうして片方において、この公共の福祉の名の下に労働者の基本的権利だけを制限されるということは如何にも一方的ではないか。それが電気事業なり石炭鉱業の健全なる発展をせしめる途とお考えになつておるか。若しそうであれば、この事業というものについて、労働者の積極的な働く価値というものを非常に過小評価しておられる。
#170
○国務大臣(岡野清豪君) これは私常識のお答えですから、あとから局長から補足して意見を申上げます。只今お説のように、経営者の責任において、而も電源ストをやられたような財界に非常な迷惑を及ぼすとか、又一般家庭が真暗くなつて迷惑するというようなことが若しありとしますれば、私は当然経営者を責めるべきものであると思います。何かその方法はあるはずであると思います。
#171
○政府委員(古池信三君) 先ほど私の申しましたことについてやや誤解を招いたようでありますが、先ほど藤田さんからのお尋ねの件につきましては縷縷お話を申上げたのでありまするが、例えばあの当時電気事業者が九州に炭を注文した、その炭が入つて見たらボタが非常に多かつた、そういうような事実は確かに私はあつたろうということを申上げた。それかといつて、あの当時の渇水状態というものはあらかじめ予測し得なかつた渇水であつたということも御理解を願わなければならないし、又石炭が当時の需給状態からいつて非常に不足しておつたということも認めて頂かなければならん。そういう客観情勢の下において、而も再編成後の新らしい会社を引受けた経営者としては相当の努力を払つたにかかわらず、ああいう結果が起きた、特に関西方面はこれは甚だしかつたのでありますが、その点の情状は十分に酌量せねばならんということを申上げたのでありまして、私は政府として事業者を監督しないとかいうようなことは申上げたことはありませんし、又事業者のやつたことは全部大きなミスであつたとも私は言い切れないと考えておりまするので、さように申したのであります。御了承願います。
#172
○藤田進君 大臣も四時半と言われる、五分したら四時半ですが、中途半端になりますけれども、できるだけ一つ本日、できなければ明日というふうにお願いしたいと思います。
 そこで電力行政を一手に引受けておられる所管大臣として、本スト規制法案に関連する事項について質したいと思います。従いまして、通産大臣の御答弁を煩わしたいのでありますが、スト規制法の趣旨は、御承知のように公共の福祉、そのことはやはり電気事業そのものが極めて高度な公共性を持つている産業である産業実体を言われておると思うのです。そこでこの電気事業なるものは、ガス事業、或いは国鉄に例えれば旅客貨物の輸送、こういうようなやはり公益事業として国民生活に不可欠の産業、生産物である、こういうふうに一応考えられるわけであります。この点について電気事業とさような事業の公益事業との公益性について、電気もいずれ劣らぬやはり公益性を持つているとお考えだろうと思いますが、この点については如何でありましようか。
#173
○国務大臣(岡野清豪君) 電気事業は非常な公益性を持つているものと私は考えております。
#174
○藤田進君 そこで、あたかも食糧に、人によれば例えて言うように、食糧は確かに貯蔵がきくが電気は貯蔵がきかない、併し国民生活にとつては、これはなくてはならないものである。今日電気をものとして扱われておりますが、こうなりますというと、今度の吉田内閣の米価、或いは又国鉄の運賃、或いは日通の輸送運賃、すべて省は違いましても、運輸省或いは通産省と違つていても、電気事業も同じようにその料金は勝手にきめることはできないようになつておりまするし、公共事業令から言つても一種の特権も持つておりますし、電気事業者はですね、同時に政府が高度な監督権を持つておると思つております。この中から考えますと、国鉄の運賃、或いは食糧、いわゆる米価ですね、こういつた面から見ても現内閣の方針、今度の予算等から関連いたしましても、やはり国民等しくその負担をし、そうして天然資源なり、そういつた運輸交通機関、食糧についても等しく配分をする、需給の調整を図る、こういう点に立つておると思うわけですが、電気事業に関する限り、必ずしもその建前が貫かれていないと思います。例えば電気事業は曾つて昭和二十六年の五月一日までは日発、配電、発送電ですね、それと配電、この二元運営がなされていたと思います。この下においては、幾多の障害もあつたけれども、現実に今電気事業が置かれている公益性の問題との関連におきましても、今よりは更によかつたことか振返つて見て誰しも立証できると思います。このことはすでに各地方においても、そういう直接的な関連ではないけれども、具体的な事例として問題が提起されつつあると思うのですね。その中で、二、三の例を挙げますというと、今の監督されている電気事業は、一方において公益性、高度な公益事業であると言いながら、一方において利潤追求のやはり私的資本、そうしてその下における電気料金の認可につきましても極めて問題が残つているように思われるのです。国鉄の運賃につきましても田舎と都市一経営の面から見れば確かに赤字路線、或いは黒字路線、これは日通につきましても赤字の所、黒字所いろいろある。同じようにあるけれども、公益事業という建前からすれば、やはりここにおのずから料金の問題にいたしましても、或る地域では三倍も高いもの、或る地域では三分の一、而もそういう安い所は却つて電力は豊富であり、日常サービスの面において充実している。これが電気事業の実態です。他の公共事業については、これが均等になされておる。こういう現実が今日あるわけでありまして、この点についてそれでいいのだというふうなお考えかどうか、又資本の面につきましては、然らば需用者がこうむつている電気料金の負担、これに相応して、仮に東京電力、或いは四国電力、九州、中国、関西というふうに比べて見ますときに、増資をいたしましても四倍の増資、同じように歩調を合しておる。配当を見ましても、いずれの会社も一割五分の配当というものは、これはもうちやんと優先的に留保しておる、そうして料金の面では非常なアンバランスがあつたり、需給調整の面でも大きなアンバランスがあつたり、こういうことが経営の実態については現実となつて、誰しも否定できないことなんです。一方ストライキを規制するという面においては画一的に、公益事業であるからといつて、公共の福祉であるからといつて、この看板一枚で以て規制をしようというのが今度のこの法案なんです。従いまして、所管大臣としては今の公益性の面と、具体的に今挙げました料金のアンバランスの問題、この点について先ずお答え願いたいと思います点が第一点です。
 次には、今日幾多の電気産業についての法律、省令がございます。このスト規制法が通過いたしまして、このスト規制法によつてそのまま当該労働者は遵法するといたしまして、果して後に、爾余にいろいろな法律がありまして、法律通り守つて行つたならば、却つて電気がとまつてしまうという現象がたくさん出ておると思います。これは経営の内部につきましても、昨年のストライキにおいて、これは特に東京電力が問題になりました。労働者のほうでは電源ストとかそういうことはしないが、火力発電所に例をとりますと、時間外勤務はしません、オーバー・タイム、これはしないということだけで非常な停電が起きて、結局まあ火力手当なり、いずれ定員も充足しようということで、実際には定足数が充実されない……とういう事情、或いは電気事業の工作物規定であるとか、いろいろなものをまともにやつて行きますと、国鉄があたかも遵法闘争というか、法を守ることによつて汽車が遅れたりとまつたりする、これ以上に問題が今日ある。スイッチ一つ飛んでも工作物規定だと称するならば、うつかり電気事業労働者は作業することができません。こういう事情にあるが、この点を、いやいやそれは規定は規定であつて、運営はもう適当にやるさ、こういうようなお考えでおいでになるのかどうか、この点について第二の点としてお伺いいたしたいと思います。
 第三の点は、いろいろ理由を申上げたいと思いますが、時間がありませんから、石炭につきまして保安要員の引揚げについては人命の安全保持、労調法三十六条、こういうことが言われておりますが、この点は根本的に私とは解釈を異にいたします。私のみならず今日広く日本の定説となつている労調法三十六条の解釈と政府の解釈は真向うから対立しておることを発見いたしますが、それはそれとしましても、保安要員の引揚げというのは、要するに国家資源、これをやはり亡失してしまうことになる。いわば鉱業権をもう根底から覆すことになつて、国家資源という、この資源愛護の面からというふうにも考えられます。なぜならば保安要員の引揚げということで、若し仮に、保安要員の引揚げにもいろいろ定義があるようでありまして、一律にその鉱山がぶつ潰れるとか、そういうことは言えないようでありますけれども、仮にぶつ潰れるというようなことを予想いたしたといたしましても、これはそのようなことはないと思います。原状に回復するというのが争議の本質だと政府みずからも言うておられるのですから、ぶつ潰れるというようなことがあり得ないことはもう当然だと思いますけれども、併し人命の安全保持といつても、人が中に入つているのにガスの排気をしなかつたり、人が中に入つているのに、水をどんどん溜めて水攻めにしてしまつたり、こういうことではないのですね。保安要員が引揚げるということは、保安要員自身がもうすでに坑内にはいないということを意味しているのですから、人命の問題ではないので、結局は資源の愛護の問題というようなことになつてしまう、こう思われるわけです。ところで現在日本の石炭鉱業におきましては、もうもはや石炭鉱業にはたくさんの鉱業権、経営者なり、山があるようでありますけれども、その鉱山につきまして、北海道、或いは九州についても、或いは常磐についても、今日数字は若干、五月末くらいまでは私もつかんでおりますけれども、五月末まで考えて見ましてもですが、更にその後非常な鉱山については休廃止されておるのですね。保安要員の引揚げでその鉱山が潰れるとか何とかいう問題はもうすでに乗り越えてしまつて、廃坑にしつつあるのが現状だと思うのです。手掘り程度は一応おくといたしましても、手掘り程度でない中小炭鉱ですね、いわゆる中炭鉱におきましても、多くの廃坑、休坑がなされて、すでに保安要員はその下においては何にもいない。これは経営のやはり何といいますか、資本主義の経営の下において、経営者の意欲に基いてもはや国家資源の愛護などを乗り越えて廃坑されているのですね。こういうことからかね合つて見て、一団の保安要員の引揚げなどと称して、労働者の基本権を制限するということがなされて、通産当局としては、その鉱山の廃休止、これこそ大きな日本の問題であると思うのですが、これに対するお考えが通産当局としてどのようにお考えであるか、この三つの問題を先ず最初にお尋ねしたいと思います。
#175
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。一番初めの、公益性があるにかかわらず各九配電に分割されて、そうして地域差が非常にあると、そういうようなことで、而も配当は一割五分を配当しておるというお話でございますが、これは私は一つの産業形態の考え方の差だと思います。と申しますことは、昔のように一つの大きな会社で全国を統制してやつて行くと、こういうようなのは創意工夫を発達さして行くゆえんではない。やはりこれは一種の私企業に移して、そうしてだんだん発達さして行くと、こういうことにして行くのが根本の理念でございます。その意味におきまして、分割した以上は地域差が出て来るということは事実でございます。併し、その過渡期を救いますために、やはり調整の火力の発電等いろいろ融通性を持たして、納付金とか何とか申しましたが、調整資金を出させつつやつて行つておりますが、おいおいそういうことが樹立して行きまして、むしろ全国統一しまして、料金を或る程度固定しておつたものが、その私企業の勉強振り如何によりましては、その地方において相当安く電力が供給できるようないわゆる創意工夫が出て来るのじやないか、まあそういう意味でやつておるわけでございます。それから料金の問題を非常に厳格にやられておると、こういうお話でございますが、併しこれは供給規程というものがありますので、それにつきましては諸般の事情をよく勘案しまして、通産省といたしましては適当にやつて行く。又その料金の非常に不当な点がありますれば、これは直すにやぶさかでない、こういうことでございます。
 それからもう一つ、二番目に仰せになりましたところの、この法律が通れば、却つて電気がとまるのじやないか、若しくは電気の供給が少くなるのじやないか、これは即ち定時退庁とかなんとかいうようなことによりまして……。併しそこが即ち正当の争議行為として行われる次第でありまして、その点におきまして、これはいわゆる労働条件として認めて行つて、その結果として現われることでございますから、これは労働争議の本質に属しておるものと思います。
 それから国家資源が亡失するのは非常に困ることであるからということで、先ほど私申上げましたが、これもやはり国家統制をしまして、石炭を自分自身国家が国営にして行くというような場合に、廃抗しちやいかんとかなんとかいうことも出て来かると思いますが、これもやはり私企業発達の意味におきまして、非常に採算のよくとれる所を掘つて行く、採算がとれなければこれは廃坑して行くというようなことになつて行くのが、やはり一般の日本の産業の発達して行くゆえんでございます。
 これを要しまするに結局問題は私企業、即ち民主主義を非常に発達させまして、そして各個人業者が思う存分にできるだけ活動して行かせるというのが、我々の狙いでございまして、その意味におきまして、競争力がなくなれば自分自身が転換して行くというのも、これは当然止むを得ないことじやないか、こう考えております。それじや質問が残るかと思うのでありますけれども、更に対策のほうへ行かなければなりませんので……。
#176
○藤田進君 それじや機会を変えて……。
#177
○委員長(中川以良君) どうぞお続け願います。
#178
○江田三郎君 それじや労働大臣のほうへもう一遍帰りまして、先ほどお尋ねした問題の御答弁をして頂きたいと思います。もう一遍繰返して言いますと、発電関係においては、ここでこの法律によつて特定の行為が規制されるというと、何らそこに争議行為としてなし得るものは残らない。その点は石炭関係と非常に違つて来るわけです。
#179
○国務大臣(小坂善太郎君) この電気の正常な供給を停廃する、及び直接関係するかたがたが、争議ができないということは、非常に争議の全面的禁止のように言われますが、私はこの事務ストはそう馬鹿にされることはないと思う。これは全体として見まして、発電所関係の電気の供給に直接、或いは変電所関係に直接携わるかたというのは、僅かな問題でございますし、私聞いておりますのは、昨年のスト中に賃金を不払いしたものが三億円ある。そのうち電源関係の分は二千八百万円というような話を聞いておりますのですが、ですからそうした多くの部分のストライキというようなもの、事務スト、或いは検針スト、或いはその他の争議というものは、相当に大きく会社側に打撃を与えるのだと、こういうことは否めない事実であると考えます。この電源関係の人に、それじや何が残るかというお話でございますが、これはやはり電源における職務状況がわからんということは相当会社にとつて不安な念を与えることでありまして、決して無力であるとは思つておりません。
#180
○江田三郎君 だから具体的に発電関係の上でどういう争議行為があるか。
#181
○政府委員(中西實君) 御承知のようにこの法律の二条にございますように、直接電気の正常な供給に障害を生ずるものに応用してはいけない。従つて間接のものはすべて許されるわけであります。で先ほど労調法の三十六条でもやはり申しましたけれども、労調法三十六条は、前々から保安関係の要員は、やはり争議行為としても、そのやつておる業務を停廃してはいけない、こういうことになつております。それと同じ関係が、やはりこの電気供給の直接の業務に携わつておる者について生ずるというだけの関係になるのじやなかろうかということであります。
#182
○江田三郎君 だからそういう持つて廻つたような答弁でなしに、私はもう率直に聞いているのですよ。発電関係の諸君にはどういうような争議行為が残つているのか。具体的にあなたがたはこの法律の出る以上、発電所のことはよくわかつておられるはずだ。何と何と何が残つておるか。一つ具体的に言つてもらいたい。
#183
○政府委員(中西實君) 発電、その他の電源関係の職員にもいろいろとございまして、庶務関係のものはもとより直接にその業務に従事している者じやございませんで、これはできると存じます。それから更にいろいろの資材、その他の保管業務をしております者、つまり一口に言いますれば、結局は事務関係、これは争議行為ができる、こういうことであります。
#184
○江田三郎君 事務ストができるということはもう繰返しておつしやつているのです。そうでなしに、事務関係の人でなしに、発電関係の技術者にどういう具体的な行為が残されるかということであります。
#185
○政府委員(中西實君) 直接その業務に携わつている者は……。
#186
○江田三郎君 一切やつちやいかん……。
#187
○政府委員(中西實君) 争議行為ができないということになります。
#188
○江田三郎君 だから一切やつちやいかんというのでしよう。
#189
○政府委員(中西實君) 丁度労調法三十六条の保安関係に従事する者と同様でございまして、その者はできない、こういうことでございます。
#190
○江田三郎君 労調法三十六条は、私は専門家でないから、そういうことはようわかりませんけれども、一切何も残つておらんということだけははつきりしたわけですよ。ともかく一つの産業では、これは電気会社関係では、発電の人も、配電の人も、事務の人も、同じ世帯だと言つたところで、先ほど通産大臣にもちよつとお尋ねしましたように、やはり今までの歴史から見ても、この配電と発送電とは別な世帯であつたし、いろいろ気風も違うし、現に国鉄の場合にも、機関車労組というものができておるし、電産の中にも、そういう同じ電産の中で、発電関係だけは別な動きをするというような傾向も見えますし、そういう際にこの発電関係の諸君は、今あなたがお認めになりましたように、一つも争議行為ができないことになるわけなんです。それならこの公務員の、争議行為のできない公務員について今の措置がありますように、やはり何かの救済措置がなければ、公共の福祉という各の下に、一切の争議行為をとめて、そうして調停ができることが望ましいというだけであつて、何らの方策もないという、かような片手落ちで果して済むものか、それが健全なる労働運動を育成することになるのか、或いは産業を健全ならしめることになるのか、或いはそういうことで一体本当に公共の福祉を守ることができるのか。逆にそうではなしに、やまねこ的な行動になつて、却つて憂慮すべき事態を生ずることになるじやないか。こういう点について労働大臣に所見をはつきりさせてもらいたい。
#191
○国務大臣(小坂善太郎君) 電気会社におきまする技術者の地位が非常に重要であることは只今お尋ねの通りであります。併し今申上げましたように、発電所における技術者はこれは電気の供給に、正常なる供給に省接関係がありますからできませんが、他にも技術関係のかたは種々な方面に職を奉じている。そういうかたがたが一連にストに対して立上るということは、これは会社に対して非常に大きな脅威を与えると思うのです。成るほど発電所の技術者は争議はできませんけれども、それができるからといつてにわかに私は労使関係に大きく響くということがないと思うのでございます。先ほども申上げたように、争議中に労使それぞれ損害を受けることは非常に少くて、実際は第三者が被害をこうむることになる。無事の国民大衆は非常に物質的、精神的に被害をこうむる。ですからこれはそうした公共の福祉と争議権の調和という観点から発電所における、或いは給電指令所における、或いは変電所における争議行為は御遠慮を願いたい、こういうことであります。
#192
○藤田進君 労調法三十六条の点から明らかにしたいと思うのですが、これは労政局長言われているが、労調法第三十六条を読んで頂ければわかるように、これは安全保持のための施設それに従事する者の業務何というか停廃ということが問題なんで、その安全保持とは何ぞやと言えば、そのストライキをやつたら旋盤は錆びるではないか、それでは設備が精密作業として困る、そのストライキはできないというそんな設備の錆びたり、或いは将来業務に支障を来たしたり、そんなものじやない。これは、その安全保持というのは、やはり生命の安全保持ということは東京地裁の判例の中にも出ておりますよ。生命の安全保持ということはですね。
#193
○国務大臣(小坂善太郎君) その通りです。
#194
○藤田進君 そこで発電所におきましては、安全保持の保安要員とか、こういつたものはない。これは公益事業局長にお答え願つてもいいのですが、発電には安全保持の人員というものはない。これはむしろ会社の主張を以て行くならば、それは故障が起れば自動的にとまるのだから発電機をとめてくれなくてもいいのであつて、およそ今の答弁とはかけ離れている。発電所においては三十六条を引用して従来ストライキができなかつたのだ。そんなような設備はもう全然ない。そこで今労働大臣は錯覚に陥つておられると思います。錯覚でないと答弁されるならば錯覚でない答弁をして頂きたいのですが。今昨年の七月現在を見ましても、水力火力の発電所の数だけでも千三百五十を数えております。その後年々歳々殖えております。更に本規制法が適用されるというのは給電指令所並びに変電所ということになりますからこれは厖大な数です。殖えておりますので、これは公益事業局のほうで数字を明らかにして頂いて結構ですが、その千三百五十を倍加する以上になると思いますけれども、発電所は必ず変電所とくつついているのですから殆んど……。そこでこういう厖大な事業所が、而もその中に従事している者は、スト規制法を適用する者が九分九厘だと思います。火力発電所において事務系が若干ありますけれども、水力発電所、変電所におきましては、これはもう殆んどこのスト規制法に該当する人ですね。これは全国では厖大な人になります。いいですか。そこで江田委員の質問に対しての御答弁は、いや事務系のストライキができるのだからその事務系のストライキによる、その背景によるところの会社に対する痛手、これは相当なものだ、だから発電所等における技術者において何にもできなくなるけれども、ストライキもできなくなるけれども、そういう事業所の人たちが罷業権を持つているから、これを背景に問題を解決されるであろうという意味の御答弁があつたのですね。けれども今問題にしておりますのは、事務系或いは技術者であつても、本店、支店、営業所という事実上は直接電気の停廃に関係のない業務に携わつておる需給関係であるとか、資材関係があつたつて……、実際ありますが、これらのストライキを期待しておつても、それは自分らの問題ではないから、発電所の人員を殖やしてもらいたい、発電所についてどうも設備が不完全であるから、衛生安全についてどうもまずい、こういう固有の問題がたくさんあるのですね。そういう問題について本店、支店、営業所という事務系の技術着や事務屋がストライキに立上るかというと、必ずしもそうは考えられない。自分たち発電所に働くならば、火力なら火力樹上話合つて現在でもやつておるのですね。そういう発電所に省説おります技術者には何もなくなるわけです。それはなくなつても止むなし。公共の福祉から見てそれは止むを得ない、我慢してもらいたい、こういうことを言つておるのです。そうすると、我慢をしろということでは、曾つて公務員、公共企業体について仲裁裁定なり仲裁委員会なるものがこれは労使の均衡、力関係において、当然そこに新憲法の下に違憲なりとする説もあるけれども、併し現在仲裁というものが生れて来ておるわけですね。ところが我慢しろ、その代り労使の関係については公正なる第三者が仲裁するであろうから、これによつて問題は解決したい。或いは又TVAの問題、これは倉石君は非常に誤解されておると思います。私は日曜日の放送討論会を聞いて、TVAの労働者はみずから罷業権を放棄しておると言われるが、TVAはテネシー州に本部があるが、併しジヨージヤ州の一部を加えて、その地域におけるいずれの産業労働者、これらの産業労働者の賃金を見て、そうしてTVAの労働者がその地域における産業労働者の平均賃金よりも労働条件が下回つてはいけないのだ、こういうことがやはりきめられておるのです。これは組合がきめておるのではないのです。TVAのあの公共企業の中に当然そういうことがきめられておるのです。そうして最終的には労働大臣がこれを裁定するということで、労働大臣が裁定して本当に事務当局ではなくて労働大臣が直接裁定しておるわけです。これによつて解決しておる事例がすでにあるわけです。各国の例についてもそうですが、国内においても公共企業体、国家公務員についてそうです。こういう点を何ら経営者についてコントロールする点がないにもかかわらず、このまま放つて置いて、当該各発電所の労働者については罷業ができないという点について片手落ちではないかということについて江田さんは質問しておるわけですので、この点を労働大臣はずばり答えなければなりませんね。
#195
○国務大臣(小坂善太郎君) 藤田さんは私の答弁を曲解していらつしやる。私は労調法三十六条は人命の規定であるということを前から申上げております。労働省としては勿論安全ということは生命の安全であるという解釈をとつておることは御承知の通りです。そこで三十六条がなぜ出て来たかと申しますと、石炭の場合に保安要員引揚げということは、労調法三十六条の規定を待つまでもなく、争議というものは雇傭関係の継続を前提としておるから、労働者に帰るべき職場を失わしめるような争議行為というものは、労組法第一条第二項の刑法上の違法性を阻却されない行為である。こう言つておるから、これについてはということでこの問題が出ておるわけです。この問題は石炭と電気両方でありますが、石炭についてはこれを申したことはないのです。そこでなお今後段のお話でございますが、発電所における給与をどうしようかという場合に、ストライキ権がないじやないか。そういうお話でございましたけれども、やはり電気会社は発電所技術者を対象にして給与をきめてない。これはもう全体を見てきめておるのだと承知しております。発電所の技術者が争議権がなくなつたから全然その意思を訴える所がないかというと、これはやはり御承知の通りに、水路の補修とか、或いは機械の補修、碍子の掃除、電線の見廻りとか、いろいろのものがあると思ううのですね。そういうものが全体の意気が上らんといいますか、全体の勤労の意欲を衷失するということになりますると、やはり自然に出力というものは減少して来ることは御承知の通りであります。そういうことはやはり非常に会社に打撃を与える、ウオーク・アウトとか或いはスイツチ・オフとかそういう行為のほかにいろいろ争議の方法というものはある、単にウオーク・アウトができないからといつて言うことはないと思うのです。そこで私といたしましては、そうした一部分の争議のために全体の利益が著しく失われるんだ、これについては御遠慮を願いたい、こういうことなんです。なお労政局長の話も出ましたから。
#196
○政府委員(中西實君) 労調法三十六条の問題でございますけれども、我々これを例に挙げましたのは、安全保持の施設の正当な維持、運行に従事している労働者は、これは労調法ができましたとき以来ストはできないのであります。それだからといつて何ら代るべき措置を講じられておりません。つまり公益の関係から、或いは公共の福祉等の関係から時にストができないものはありましても必ずしもそれに対応する措置がとられていない例としまして、三十六条を申上げておるのであります。そこで先ほど公務員とか或いはそのほか申されましたが、これはもうスト権全部を禁止しておるのであります。ところが電気産業につきましては何もスト権全部禁止しておるわけじやないので……。
#197
○江田三郎君 技術者はストができないと言つたじやないか。
#198
○政府委員(中西實君) その点は三十六条と同じ関係で従来からも立場によつて争議権のないものもおる、併しそれはその理由があつてそうなんであつて、それだからといつて必ず代りの何らか救済の措置というものがとられておるとは限らない。その例として三十六条を申しておるのであります。そこで電気産業におきましてはスト権を全部剥奪しておるのではないので、ただ公益性の非常に強いという先ほど来大臣からも始終申されました特殊性から直接電気の供給に影響のある部門においてストの方法について規制をする、こういうことをいたしておりますので、その代りに電気事業におきまして事業主に旧公共事業令によりましていろいろの義務を課しております。勿論一般の私企業におきましては事業主もロック・アウトその他の争議行為ができます。併し電気事業においてはそのことは全面的に禁止されておる、こういうふうに公益性の関係からそれぞれ労使共に制約を受けるということは当然でございまして、それなら今まで暗黙のうちに検察当局あたりも電源のストあたりを余り問題にしなかつた、こういうのはなぜかというようなお話も出るかと思いますが、それは社会的にはやはり必要であつたと思つている。併しながら結局やはり昨年の例あたりを見ましてやはりこれは不当としてはつきりしなければならないということでここにそのことを明定しよう、このことによつて旧公共事業令等の関係から見ても労使のバランスは却つてこれでとれるんじやないか、今までのストが与え過ぎということはこれは言過ぎかも知れません、又語弊があるかも存じませんが、この規定によつてやはり労使の対等の関係というものは保てる、こういう確信の上に立つておる。これ以上は結局は見解の相違になる、かように思います。
#199
○松本昇君 議事進行 実は今朝ほども各委員のかたがお申合せによつて、本日或る時間によつて一応今後の運営をどういうふうにするかということについてお打合せをしたと思うのであります。私が非常に憂慮することは、本問題は産業の上にも労働の上にも非常に重大な問題である。これはこの国会において審議未了になるようなことが若し万一あるならば、私は通商産業の上においても非常に大きな支障を来たすのじやないか、こういうことを非常に憂慮するものであります。従いましてもう会期も非常に短いことでありますから、論議は結構でありますが、貴重ないろいろの御意見も伺つておりますので、非常に結構でありますけれども、できるだけタイムのズレの余り来ないような、できるだけ短時日において本当の根本的の問題を解決するということが最も大事じやないか。殊にこういうふうに本年は天候も非常に恵まれていない、そうして農作物まで非常に影響する際に、或いは電源であるとか、或いは石炭であるとかそういうことに非常な支障を万一起すようなことがあれば、日本の一般の国民の受ける損害その他のことは非常な厖大なものである、できるだけ本国会の間に本案がちやんとけりがつくように今のうちから委員長はその点十分御配慮の上で進行して頂きたいのですが、できるだけそれが達成されるように是非一つ進行をして頂くように希望いたします。
#200
○委員長(中川以良君) 松本君のお話でございますが、これは先ほど今日五時までに大体質疑は終るように取運ぶということに努力しようという申合せをしております。只今のはそういう御希望でございますか……。
#201
○藤田進君 只今の議事進行については異議があります。
#202
○小林英三君 議事進行について。私はここで一つこういう動議を出したいと思います。この間、二、三日前の本委員会におきまして藤田君からこのスト規制法ですか、この問題について通産委員会から労働委員会に対して連合委員会を申込んでもらいたい、こういう話がありまして、それではとにかく一応労働大臣或いは通産大臣を呼んでこの問題について質疑をして、その上で適当に委員に諮つてその問題について研究しようじやないか、こういうことがあつて一昨日から本日一日かけてやつておるわけであります。私どもは一昨日から今日にかけてのいろいろな質疑応答を聞いておりまして、中にいろいろ有力な質問もあり、又答弁もあつたのでありますが、私どもは少くともこの段階におきましてはもうこの委員会としては労働委員会に対して連合審査を申込む必要はないという考えを持つております。従いまして他の諸君もそういう考えを持つておられるかたはたくさんあると思います。この連合委員会を申込まないということに対して決をとつて頂きたいという動議を提出いたします。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#203
○委員長(中川以良君) 賛成の声がございます。小林君の動議は成立いたしました。只今の小林君の動議に賛成の諸君の御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
   〔「反対」「横暴だ」「多数の暴力だ」と呼ぶ者あり〕
#204
○委員長(中川以良君) 多数であります。よつて只今の小林君の動議は可決いたされました。
#205
○小林英三君 只今藤田君は暴力とかいうことを言つておられますが、私は絶対そういうことはないと思う。民主主義だ、私どもはそういう考えを持つておるから、一応連合委員会を申込むか申込まないかということについて今決定したのですけれども、質疑の問題は別問題であります。質疑の問題につきましては更にお諮りを願いたいと思います。これは別問題であります。
#206
○委員長(中川以良君) 今の御発言は……。
#207
○小林英三君 質疑の問題につきましては今五時までということになつておりましたが、これは済ますということになつておりますが、今後更にやるとかやらんとかいうことは、継続するかどうかという問題に対しましては別問題であるから、別にお諮りを願いたい。こういうことであります。
#208
○委員長(中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。
   午後五時十分速記中止
   ―――――・―――――
   午後五時二十七分速記開始
#209
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。
 それでは本日の質疑はこの程度にいたしておきまして、本問題に対しまする次回の質疑は、明後日午前十時よりこれを開始いたしまして、正午までにこれを完了することにいたすことに只今皆様がたにお諮りをいたしまして決定をいたしました。
 それから明日の連合委員会、殊に輸出取引法の一部を改正する法律案につきまして、参考人を呼びまする件は、先般委員長にお任せを頂いたのでありますが、日本鉄鋼輸出組合理事長稻山君、東京雑貨輸出組合の理事齋藤君並びに倉敷紡績株式会社常務取締役桑田君、以上の五名に来て頂くことにいたしまして、なお一名追加をいたすかも知れませんが、これは一つ委員長にお任せを頂きたいと存じまするが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#210
○委員長(中川以良君) それではさように決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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