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1953/07/28 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 通商産業委員会 第21号
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1953/07/28 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 通商産業委員会 第21号

#1
第016回国会 通商産業委員会 第21号
昭和二十八年七月二十八日(火曜日)
   午前十一時十四分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
七月二十七日委員藤田進君辞任につ
き、その補欠として阿具根登君を議長
において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     中川 以良君
   理事
           松本  昇君
           加藤 正人君
           小松 正雄君
   委員
           石原幹市郎君
           黒川 武雄君
           西川彌平治君
           酒井 利雄君
           松平 勇雄君
           岸  良一君
           豊田 雅孝君
           西田 隆男君
           海野 三朗君
           山口 重彦君
           武藤 常介君
           白川 一雄君
  衆議院議員
           首藤 新八君
           小笠 公韶君
  国務大臣
   通商産業大臣  岡野 清豪君
  政府委員
   通商産業政務次
   官       古池 信三君
   通商産業省重工
   業局長     葦沢 大義君
   通商産業省軽工
   業局長     中村辰五郎君
   中小企業庁振興
   部長      石井由太郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       山本友太郎君
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  説明員
   通商産業省軽工
   業局建材課長  前島 敏夫君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○武器等製造法案(内閣提出、衆議院
 送付)
○特定中小企業の安定に関する臨時措
 置法の一部を改正する法律案(衆議
 院提出)
○木材防腐特別措置法案(衆議院提
 出)
○硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨
 時措置法案(内閣送付)
○連合委員会開会の件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。
 最初に委員長から政府側に申上げまするが、本日は定刻に委員多数が揃つて、殊に会期末であり、重要法案を抱えておりますので、審議を円滑にして行くように努力しているにかかわらず政府側の出席が悪いために、かように一時間以上も待つたわけです。もう会期も余すところ少ししかございませんから、どうぞこういうことがないように、十分に一つ政府側の御注意を喚起いたします。
 それでは武器等製造法案を議題といたします。質疑の通告が一つ残つておりますので、これをして頂きます。
#3
○西田隆男君 この前の第一回の武器等製造法案の審議に当つて、政務次官に御答弁を要求しておつた答弁を先ず第一に承わりたい。
#4
○政府委員(古池信三君) いまもう一度……。
#5
○西田隆男君 これは第二十二条と第三条ですか、この関連に基いて質問したのですが、第三条では、こういう案文が書いてあるのです。「武器の製造(改造及び修理を含む。以下同じ。)」それから第二十二条には、後段のところに、「国の職員が法令に基き職務のために所持し、又は使用する武器の修理の事業を行う場合については、この限りでない。」この二つの条文の関連において、政府側の答弁は、国の職員が持つておるもの、拳銃等のごときの修理は許可を受けなくともよろしい、申請すればよろしいのだと、こういう御答弁だつたのです。私の質問はですね、国の職員が所持する武器、兵器……、武器といいますか……、と言うとあながち拳銃だけではない。保安隊の持つておる武器はですね、機関銃も持つておれば、高射砲も持つておる、戦車も持つておる。こういう国の職員の所持する武器の修理に対して、認可制でよろしいということは、将来、過去において日本が持つておつた兵器廠というようなものでも作る考えなのかという問題に対して、適当な答弁がなかつたので、保安庁長官等とも打合せた上で御答弁を願いたい、これが最後の質問の要点です。
#6
○政府委員(古池信三君) お答え申上げます。丁度この法案が最初にこの委員会に御審議を願うことになりました際に、西田委員から只今お話のような御質問がございまして一応その時分に我々として考えておりますることはお答え申上げたのでありまするが、更に保安庁とも打合せをいたしたのでございます。保安庁といたしましては、かように修理……、職員の持つ武器の修理をなすために設備を設ける必要があるような場合には、あらかじめ通商産業省と十分の連絡をとつてやる予定でございまして、只今御指摘のような、国が大きな修理工場を持つて、これがために民間の修理事業を圧迫をしたりするような考えは持つておらん、こういうことをはつきり保安庁として言明されておるのであります。即ち繰返して申しますれば、保安庁といたしましては、飽くまで民間の修理事業の能力を十分に発揮させるように、極力これを活用して参りたいという所存のように承知いたしておるのであります。従つて、この規定は、保安隊が演習をやつたり、或いは訓練をやりましたような場合、発生しました武器の比較的軽微な修理を、国において円滑に行うために便宜な規定を設けたものと、かように御了承をして頂きたいと思います。
#7
○西田隆男君 現在の保安隊の使つておりまする武器等の修理は、どこでやつておりますか。
#8
○政府委員(古池信三君) 保安庁の中に極く小規模の修理場がありまして、そこで現在修理をされておるように伺つております。
#9
○西田隆男君 現在ささやかな修理場が保安庁内にあるということは、将来ささやかな修理場だけを保安庁が持つておるという意味ではないと思うのですが、だんだんささやかな修理場が拡大されて、まあ兵器廠みたいに大きくなるかどうかわかりませんが、だんだん拡大されて行くだろうということは想像されますので、従つて政務次官が保安庁と打合せの上答えられたことは、根拠がだんだん薄くなつて行く。現在の程度以上は絶対に修理工場は……、修理工場といいますか、修理場といいますか、それは大きくしないと、こういう保安庁の考え方なんですか。
#10
○政府委員(古池信三君) 保安庁の意向としては、大体只今お話のようなふうに私どもは承知いたしております。なお申すまでもないことでありますが、かような規定を入れましたのは、今回のこの法律によりまして、通産大臣がいろいろ民間の事業に対して許可を与えるという条文がございます。そこで国がやります場合には、許可ということは、従来の慣例上用いませんので、そういうような場合には承認をとるとかいうようなことにしております。そういうわけで、あの一条も念のために入れたのでありまして、実態としては、保安庁はこれは将来大きな修理工場に、といつた、例えば戦争中の兵器廠というようなものを作つて行く考えはないものと、私は今も固く了解しております。
#11
○西田隆男君 まああなたの答弁は答弁として承わつておきますが、MSAの受諾に伴つて、武器といいますか、兵器といいますか、これは言葉の綾はどうでもいいんですが、武器とか兵器とかいうものの機密保持の関係から、国の保安隊、或いは海上警備隊といいますか、そういうものの使う武器等の修理が、そう公開されて、何らの規制も受けないで、どんどん民間会社にやられるということは、私は想像もつかない。どうせ機密保持に関する何らかの法律的措置が講ぜられることはもう間もなくでしよう。そうすれば、あなたが如何ように御弁解なさつても、この二十二条の条文は、兵器廠の中に相当大きな武器の修理工場といいますか、改造工場といいますか、そういうものが当然……、それはこういう法案を作るときには予測されなくとも、現在の段階においてはそれが考えられなければならないと、私はそういうふうに考えるのですがね。それを政務次官が、いや、これは民間工場に全部出して修理をするのだということを強弁なさいますかどうか、もう一遍御答弁を頂きます。
#12
○政府委員(古池信三君) 一応現在只今の状況から言いまして、私は考えておる点を申上げたのでございまするが、私が将来そうでないような事態の起ることを予想していながら、殊更に只今強弁をしておるというようなつもりは毛頭ないのでございます。現在我我としてはそうありたい、又そうあるべきであるということを固く信じておりますが故に、そのままのことを率直に申上げておるようなわけであります。
#13
○西田隆男君 では重ねて聞きますが、提案理由の説明の中にも、兵器と武器と、二様に掲げております。兵器と武器の違うところを一つ御説明を願いたいと思います。
#14
○政府委員(古池信三君) これは武器という言葉と、兵器という言葉が両様あるわけでありますが、この法案に関係いたしまする限りは、すべて武器ということに統一しております。
#15
○西田隆男君 統一してあるなしでなく、兵器と武器の二つの言葉が使つてあるから、その差、差異を御説明願いたいと言つているのです。
#16
○政府委員(葦沢大義君) 武器と兵器の言葉の差異といつてお尋ねでありまするが、これは、この法案におきましては、無論両方の言葉を使つておりますが、武器で一本になつております。武器か、兵器かという言葉をきめますときに、この法案に武器という名前を一応付けましたときにも、いろいろ研究、議論をいたしたのでありまするが、保安庁法に、こうした種類について武器という、新憲法下の法律の中でそういう言葉がありまするので、それをこの法案においても採用するということにいたしておるのでありまして、本法案において、武器と兵器というふうに言葉の使い分けてはいなのであります。
#17
○西田隆男君 法案の中に書いてあると申していないのです。提案理由の説明の中に、武器、兵器の二つの言葉を使つておるが、兵器、武器の言葉の差異はどうかと、こういうお尋ねをしておるわけです。
#18
○政府委員(葦沢大義君) これはポツ勅の時代に、兵器等生産制限に関する件と、この法案の前身になつておりますものに、そういう言葉使いがあつたのでありますが、従いまして提案理由の中にこの前身になつておる法案を引用いたしました場合に、そういう言葉を使つておるのでありまするが、その後は、この法案関係のみならず、考え方においても、兵器という、一応言葉は使わないという建前にいたしておるわけであります。
#19
○西田隆男君 何遍言つても逃げられるので、この条文についてお尋ねいたしますが、第二条に、「この法律において『武器』とは、左に掲げる物をいう。」とあつて、「一、銃砲。二、銃砲弾。三、爆発物。四、爆発物を投下し、又は発射する機械器具であつて、政令で定めるもの」等々の言葉が六まで書いております。これ以外のものは、仮にまあ社会通念上武器と言われたり、兵器の一部分と言われたりするものであつても、武器とはお考えにならないのですか。
#20
○政府委員(葦沢大義君) ちよつとこちらから話しかけられて、お聞き漏らしいたしましたが……。
#21
○西田隆男君 重ねて質問いたしますが、この法案の第二条に、「この法律において『武器』とは、左に掲げる物をいう。」と、六つの例証を挙げております。これ以外のものは社会通念上武器と言われるものであつても、或いは兵器と呼ばれているものであつても、これは日本の国では武器とは考えないのですか、認定しないのですか。
#22
○政府委員(葦沢大義君) 本法案の適用といたしましては、武器の取扱いをしないというふうになつております。
#23
○西田隆男君 そうなつて来ると、具体的な例を引いて申しますが、非常に問題が残ると思うのです。この法案に明記してあります銃砲とか、銃砲弾とか、爆発物とかいう物の範囲外には、まあ大きな何十センチの大砲というようなものは、この中に恐らく考えられておりますまい。それから飛行機等もこの中に考えられてないと思うのですがね。飛行機にしても、それから戦車等も考えられていない。今特車と言つているのですがね、保安隊ではね。そういうものは造らないのですか。
#24
○政府委員(葦沢大義君) 戦車は政令を以て定めるものという中で、入るように考えております。それから飛行機と申しますか、航空機につきましては、これはすでに別に法律が、航空機製造事業法という法律がございまして、その法律の規制を受けるわけでありまして、ただ航空機に搭載いたします武器につきましては、無論この本法案の適用があるということでありまして、法律体系が異なつておるわけでございます。
#25
○西田隆男君 どういう理由で銃砲弾やら、銃砲、爆発物等を、この武器という第二条の中に指定して、特車をなぜこの中にきめないで、政令できめるようにしたのですか。
#26
○政府委員(葦沢大義君) 戦車につきましては、この法案を我々研究いたしておりますときもそうでありますし、又現在においてもそうでありまするが、まだ具体的に生産がないわけであります。将来無論この起ることがあるかも知れないのですが、従いまして、現在生産の対象になつておるというものを主として重点を置いて、列記をいたしておるわけでございます。
#27
○西田隆男君 勿論この法律案は第十五国会に出されるように考えられたものですから、そういうことをお考えになならかつたかも知れませんがね。法律の中に銃砲とか、銃砲弾とかいうものを武器として明記しておいて、それで、もつとはつきりした武器であり、恐らく兵器であるでしよう、その兵器である戦車等を、今は修繕していないからだというような理由で、この法律案の中に武器としての一つの条項を設けて、書入れないで、政令でこれを定めて行くのだということは、私ども納得いたしかねる。それが若しここに列記してあるものよりも、もつともつと武器としての役目を果す程度が軽微であれば、政令でもいい。もつと大きな銃砲だとかよりはつきりしたものを、今修繕してないから、製造していないからというような理由で、武器の中に入れないで、政令で官僚の諸君が勝手にきめて行くというようなことは、憲法の建前から見てもこれは許されるべきことではないと思うのですね。で、恐らくMSAを受入れることになつたら、戦車も日本で造らなければならなくなるでしよう。まあ戦車と言えば言葉が悪いが、特車と言われておりますが、そういうことが予測される場合においては、当然この中に列挙すべきものだと私はこう思うのですが、これはどうお考えになりますか。
#28
○政府委員(葦沢大義君) 現在この生産の対象にいたしておるものに重点を置きまして、列記してありまして、将来の問題を無視しているのではないかというお尋ね、御尤もの点もありまするけれども、やはり現在の実態に即応いたしまして、法案ができておるという点に、一つ御了承をお願いしたいと存ずるのであります。
#29
○西田隆男君 なかなかあなたの言うだけでは了承できませんよ。そういう大きなことをね。私大体これは政令で何でもかんでもきめて行くというのは、非常に融通性のあるようなものなんですが、これは大体立法を、法律を主にして政治をやつて行く国ではやつてはいかんことなんで、これは異例の措置なんで、何でもかんでも政令できめて行くということは、私はやつてはいかんと思うのです。従つて、予見されるものであつても、この法律案を作るときには予見されなくとも、現在はすでに予見される……、予見でなくしてこれはもう確実なものだ、そういうことであれば、仮に一台製造するのであつても、二台製造するのであつても、当然この今の日本の憲法の下で、武器の製造業を許可しようという段階から考えたならば、当然明記するのが当り前だと思うのです。これに対して、もう議論はいたしませんから、修正するか、しないかの問題なんですから、答弁は要らない。
 それから更に通産大臣が見えておりますから、通産大臣にちよつとお尋ねしておきます。提案理由の説明の中に、それは古池政務次官に私聞いたのですが、「海外に対する政治的配慮の理由から、余りに製造能力が過大となることは厳に抑えなければなりませんので、」こういう武器製造業の許可を必要とするという理由に書いてありますが、この海外に対する政治的配慮というのは、どういうことを大体指しておるのか、これを一つお尋ねいたします。
#30
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これは御承知でもございましようが、まだフィリピンとか、インドネシアとか、まあ元いわゆる敵国でありましたところの濠州とかいう方面におきましては、日本が再軍備をして、又軍国主義的になりやせんかということを非常に心配されたことは、これは事実でございます。そういうような方面に刺戟を与えるということはよくないということを、我々として非常に配慮したその結果でございます。
#31
○西田隆男君 そうすると、この武器等製造法案によつて取締をする以上、日本には再軍備をするだけの武器、兵器等の製造は絶対にできないということを、裏から考えると裏書されるわけなんですか。
#32
○国務大臣(岡野清豪君) いや、そうじやございません。只今現に特需によりまして、いろいろな、いわゆるここに称せられる、武器と称するものが造られておりますが、その造られておりますにつきまして、若しそれ以上のものをいろいろ造つてもいいとか何とか、その対象といたしますと、対外的に見ますというと、今の現段階ではなくて、日本が武器生産を非常に大きなスケールでできるような法律を作つて、そうして再軍備でもするとかいうようなものに考えられやせんかと……、我々はそういうふうに考えておらんのでありますから、只今現に注文を受けておるものに対して、濫立があつては困るし、又爆発や何かにいたしましても、一般社会の公共の危険のないようにということを配慮しまして作りましたものですから、その点におきまして対外的な配慮と申しますことは、我々は軍国主義に後戻りするのじやないと、こういうことをはつきりといたしまして、それで、こういうふうにやつておるわけでございます。
#33
○西田隆男君 あなたのおつしやることはわかるのですよ、表面的には。一応そういう考え方で武器の製造の許可、不許可をなさるわけでありますから、従つて、あなたのおつしやることを裏から返して見ると、この法律に基いて造られる程度の武器、兵器であつた場合においては、日本の再軍備には役立たないようなものばかりを造るのだと、こう考えても差支えありませんかと、こう申しておるのですが………。
#34
○国務大臣(岡野清豪君) 大体の現実の情勢といたしまして考えまして、御説の通りでございます。
#35
○西田隆男君 それからもう一つそれじやお尋ねしますが、同じこの提案理由の説明の中に、武器製造事業について、国民経済との均衡を失わしめるこの事業の濫立による弊害を排すという表現を使つておる。この国民経済との均衡を失わない限度というものを、通産大臣はどの程度の限度にお考えになつておりますか、これを一つお尋ねいたします。
#36
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。この点は我々といたしまして、いわゆる只今受けておりますところの特需というものは、いわゆる特需でございまして、そして、この特需は御承知の通りにテンポラリー、即ち臨時的なものと考えておりますので、このために遊休施設であるとか、又は業者が非常に熱心に、注文があるからと言つてたくさんの生産設備を作るとか、そのほうにいろいろな資材、労働力を投下するということにしまして、そして何年か後には、これはどうも拡張し過ぎたとか何だとかいうことで、他の産業というものに……一今は他の産業を食つて……、食つたというわけでもありませんが、他の産業を差しおいて、そのほうに熱中し、又先ではこれがどうなつて行くか、その業者そのものが非常な危険に陥るというようなことにもなりかねないということでございますから、全体の産業構造の上から行きまして、できるだけバランスのとれた、必要限度だけの製造をして行けるような構造にして行きたい、こういうことが私の趣旨でございます。
#37
○西田隆男君 抽象的な御説明でなくて、具体的に、日本の産業構造と日本の財政規模の観点に立つて、どの程度のものが国民経済を欄乱しない、均衡を失わない程度のものとお考えになつておるかという点が第一点、それからもう一点附加えますと、この法律が通つてから初めて日本で武器の製造を始めるのでなくて、過去においてすでに武器の製造をやつておる。やつておる規模というものは一応わかつておる。その上に、この法律の提案理由の説明の中に、国民経済の均衡を失わしめないということでありますから、従つて過去において持つておる武器の製造の規模のままでやつて行くというのがいいのか、或いはこれからどの程度まではその製造を拡大して行くというお考えなのか。それは、その限度が、国民経済に何ら均衡を失わしめない限度であるのかどうか、これは非常に大きな問題だと思う。従つて、日本においてこの武器の製造業というものが、海外から注文が多いからというので、ぐんぐん発展して行くということになれば、資材関係とか、その他の関係で、日本の産業構造に変革を来たさなければならんという危険性も考えられますので、特に私は通産大臣にその意味でお伺いしているのです。具体的な点で……。
#38
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。私の、これは詳しい数字は分類もできておりませんから、私ちよつと御説明申上げかねますけれども、朝鮮事変以来、兵器生産と、特需生産でございますか……。と申しますものが、注文が約六千、いや先月、先々月の末ぐらいに六千四百万ドルくらいの注文がございまして、それが二カ月の間に、それが注文がたくさん出まして約八千何百ドル、九千万ドル近く出ております。その他にいろいろ修理とか、若しくはいろいろのことで受けておりますところのすべてのものが、三億ドルくらいになつておりますはずでございます。その三億ドルと申しますものは、日本の鉱工業生産の全体から申しますると、五%くらいに当つておるわけでございます。そこで我々といたしましては将来の見通しといたしまして、まだ見通しはつきませんけれども、現状くらいの程度で抑えて行きますならば、抑えるというのは少し語弊があるかも知れませんけれども、維持されて行きますならば、日本の経済構造には大した影響はないと思います。併しながら、今後これが何か域外調達というものが出まして、何か相当の注文になつて来るということになりますと、日本の鉱工業生産に対するパーセンテージといたしましては五%以上になつて行くだろうと思いますけれども、それが果して将来の長い目で見たところの日本経済というものに対して、果してバランスのとれているものであろうかなかろうかということは、よほど慎重に考えなければならないので、そういうこともかたがた考慮いたしまして、或る程度の武器生産というものは将来の見通しをつけ、同時に採算が合うというようなことを考慮に入れて認可をして行きたい、こういうことになつております。
#39
○西田隆男君 この法律案を立案される当時は、MSAの問題はまだお考えになつていなかつたということが、政府委員の答弁でわかつておりますが、現在におけるMSAの問題は、自由党内閣では当然受入れるべきものだという前提に立つて、現在交渉が進められておるように私聞いておりますが、MSAの受諾に伴つて、武器等の製造が現在よりも拡大するとお考えになつておりますか。それとも拡大しないとお考えになつておりますか。
#40
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これは私からはつきりとそのMSAの内容が、いろいろ交渉しておるようでございますけれども、まだ如何なる形において……、如何なる形と申しますというと、完成兵器で来るか、或いは注文で来るかというようなことははつきりいたしません。恐らく一部は完成兵器でも来ようし、注文も出ることと思いますけれども、それがどの程度になり、どのくらいの割合で来るかということは、まだつかめません。併しながらMSAが、若し完成兵器で来ずに、日本で注文をして、そしてこれを使うと、こういうことになりますれば、当然武器生産のスケールというものは只今よりは拡張されると思います。これは理論的に結論が出るような感じがいたします。
#41
○西田隆男君 私もMSAの受諾に伴つて、武器の製造の量は非常に増加するだろうということは私も考えております。通産大臣と全く同感でありますが、その問題はそれといたしまして、現在の、その特需による兵器、武器生産に関して、国内の大手筋と言われるというか、一流の武器製造業者というものと、二流、三流の下請工場といいますか、この間の、出血受注と言われるような方法で注文が出され、注文を受取る関係上、そのしわ寄せは殆んど全部と言つていいくらいに二流、三流の下請工場にしわ寄せされる。このために下請工場は非常に迷惑をしておるという段階にあることは、通産大臣も御承知だろうと思うのですが、そこで、この法律が通りました場合に、通産大臣の許可、不許可の権限がそういう点にまでこれは及んでおるように私解釈しております。従つて、今回のこの法案の中には、下請工場に関する規定は何ら設けてありません。従つて通産大臣の考え方としては、武器製造業者というものは、やはり現在の第一流の武器製造業者だけを対象にお考えになつておるだろうと思うのですが、そうですが。若しくは下請業者までも入れて、武器製造業者というものをお考えになつているか、この点をはつきりしておきたいと思います。
#42
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。至極御尤もな御質問でございまして、我々といたしましては、それに対しては非常な考慮を払つているわけでございます。今回これが御通過を頂きましたならば、認可いたします場合、ただ直接受注を受けるところの大きな業者ばかりでなしに、それに繋がるところの下請業者というものの性格、並びに実力とか何とかいうものも、十分親子の関係を調べまして、そうして下請工場も立派にやつて行ける、従つて、中小企業が迷惑をこうむらないという関係を、通産省といたしましては、十分検討いたしました上で、認可をいたす心がまえで我々はしておる次第でございます。
#43
○西田隆男君 今の御答弁私満足いたしますが、今通産大臣が答弁されたよなうことを実際に行うといたしますと、具体的に言いますと、仮に或る程度の銃砲なり、銃砲弾の製造を請負つた、受注をした場合に、一定の価格が出ております。それを今度は下請工場に請負わせる場合、部分品の製造とか、何とかいうこともあり得るでしよう、或いは完成品を求める場合もありましよう。そういう場合、価格の点まで触れなければ、今通産大臣のおつしやつたような弊害を除去して、そうして下請工場までも、親工場と同じような利益の均霑に浴するということは非常に困難ではないかと考えるのですが、そういう点までも通産大臣としては考慮のうちに入れて、今のお答えをなさつたのかどうか、この点をもう一遍……。
#44
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。私、どの辺に法律に書いてあつたか覚えておりませんが、あとで事務当局に調べさせますが、契約をする場合には届出をしてもらうということになつております。これはどういうことかと申しますと、認可いたします場合、先ほど申上げましたようなことをよく検討いたしまして、認可をいたしております。併し個々に契約をいたします場合に、どういうようなやり方をして行くかということは、一応届出てもらいまして、そうして最初の計画が、即ち下請業者に対する関係とか何とかいうものはどうなつておるかということをよく検討して、若し間違つておればこちらから注意をすると、こういう建前から契約を届出させるということにいたしておる次第でございます。
#45
○西田隆男君 今の御答弁は、この法律の中にも、通産大臣の権限として、権限のうちに書いてありますが、今言われたように、ただその下請工場の持つておる製造能力といいますか、製造能力と、それから受注した数量、こういうものだけを造つてよかろう悪からうという許可、不許可をやつたんでは、今の出血でやつてしわ寄せが中小企業に来ておることと同じような結果を払拭できない。従つて請負う価格の点までも、親工場から下請工場が請負つた請負価格、親工場が請負つた価格はこれは勿論通産大臣が監督なさるでしよう。併し下請工場の場合、その価格までも通産大臣が検討をして、許可、不許可をされるのかどうか。
#46
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これは先ほどの御趣旨の通りに、下請工場、これは武器製造ばかりではございませんで、あらゆる産業において、大きな工場が下請をいたしまして、その下請に対して、まあ悪い言葉で申しますと搾取とか何とかいう言葉……、搾取ということじやないでございましようが、そういうことを言われて非難されている点もございますし、そういうことの事情はよく存じておるので、この場合、この武器製造につきましては、少くとも通産大臣で認可権を持つてそうやつて行こうと申しますものですから、相当程度のところまで、これを十分下請工場の不利にならないようにやつて行きたい。こう考えまして、十分なる配慮をいたしておる次第でございまして、他の方面では、そういうような契約をしたから届出をさせるというようなこともございませんから、下請工場に対して通産省がいろいろ差し出がましいことも言えないし、又指示もできませんし、届出制をとりました上は、やはり下請工場の受ける価格あたりも参考にいたしまして、十分注意をいたしたいと、こう存じております。
#47
○西田隆男君 大体大臣の答弁でわかりましたが、届出をされる場合の一定の形式と申しますか、そういうものは政令か、省令で何かにおきめになるのですか。おきめにならないで、業者が勝手に出したものを届出書として通産省が検討をするのですか。
#48
○政府委員(葦沢大義君) 届出の形式につきましては、一応省令できめたいというふうに考えております。
#49
○西田隆男君 どういうふうにおきめになる御予定ですか。
#50
○政府委員(葦沢大義君) これは只今大臣からお話のありましたように、この親元引受者の生産状況なり、或いは販売状況なりというもの、のみならず、それに繋がります下請業との間の販売契約なり、或いは下請契約なりというようなものにつきましても、一応一定のフオームで提出して頂くようなふうな考え方をいたしておるわけであります。
#51
○西田隆男君 大体は今のことでいいと思うのですが、省令を作られる場合に御注文をしておきたいことは、このものに附加して、請負の価格の単価、それから支払状況、これを一つ追加してもらいたい。そうして、親工場が受注をした条件と、下請工場が、親工場から又下請をする条件、この条件に余りに差がついて、下請工場だけをいじめ抜くようなことになつておつた場合には、通産大臣としては、これに対しては全部に注意をして、そうして下請工場が成立つて行くというふうにしての受注ができるような、一つ省令でおきめになる場合、形式を一応そういうふうにまとめて頂いて、受注に対しては、そういう面から一つ、両々相待つて、片一方だけが迷惑をこうむらないようにして頂きたい。これを特に私御注文をいたしておきたいと思います。
#52
○豊田雅孝君 大臣に伺いたいと思いますが、吉田内閣はこれまで極力統制を外すということで今日まで来られたと思うのでありますが、ところが今回この武器等製造法案を見ましても、事業許可制をとることになつておるのでありますが、通産省としては、少くとも今回初めての事業許可制、少くとも終戦後新憲法下においては初めての事業許可制を布いたということになると思うのであります。又一面御承知のように、独禁法も緩和せられるという案が、出ておるのでありまして、これによつて合理化カルテル、或いは不況カルテル、甚だしきは価格カルテルまで認めて行こうということになつておるのであります。更に又輸出取引法を今回は非常に強化するということになりまして、輸出入両面に及ぶ。而も強度の民間統制をやらせる。更に又アウトサイダーにまで及んで行くというような行き方でありまして、或る意味においては戦時立法に近いような状態になつておると思うのであります。更に又中小企業安定法が……、これは議員立法で出ておりまするけれども、提案者に質問いたしたところによりますると、政府の同意も得ておるということであるのでありますが、中小企業安定法が今回恒久立法になつて、その内容は民間統制を強力に実施して行くということに相成つておるのでありまして、私は吉田内閣成立以来、今回の立法というものはまさに画期的なものだと思うのです。今度の国会は或る意味においては私は統制立法国会だと言うべきだというふうに考えるのでありますが、今後吉田内閣は、従来自由主義経済内閣というようなふうに見て来たのでありますが、我々は今後吉田内閣というものを如何に見て行くべきかという点について御意見を伺つておきたいと思うのであります。
#53
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。武器の製造許可制につきましては、これは今まで禁止をしておつたわけで、そしてそれに対して若し必要があれば許可をするというふうになつておつたのでございまして、それが昨年の十月二十四日にそういう法令が解消されまして以後は、いわゆる自由競争そのままの形で仕事がされておるのでございますが、併しこの武器などの製造につきまして、ただ自由競争であるからといつて、濫立をさせ、又自由自在にやらせるということになりますと、二つの観点から、社会的に見ましてよくないと考えますこと、即ち一つは経済上の観念でございますが、余りたくさんの、引続いた恒久的の注文があるかないかにかかわらず、その場当りの仕事をして行きますために、非常に工場とか、生産業者が濫立しまして、そうして結局競争の、悪競争の結果非常な出血受注もしなきやならんということになりますし、又出血受注でなくなりましても、そのために誠に不健全な経営をして競争をやつて行かなきやならんというようなことになりまして、非常な濫立の弊というものが財界に起りますので、これを防がなきやならんというのが経済上の一つの点。それからもう一つは少くともこれが爆発するとか何とかいうこと、若しくは武器が外へ盗まれるということになりますというと、公安上、又は社会の平和な生活上、危険が勃発せんとも限りませんので、そういう意味におきまして、社会公安上、やはり或る程度の規制をしなきやならん。こういう二つの意味におきまして規制をしたわけであります。そのほか輸出に対しましていろいろの制度をするとか、若しくは財界の混乱が起きることが自然に予見されるとかいうような場合に、若し日本の経済の基盤というものが非常に確固として、少々の波では財界は何らの危険もない。こういうようなしつかりした財界の基礎が立つておりますれば、もうこれは自由自在に自由競争に任していいのでございますけれども、併し只今のところでは、日本の現状は、悲しいかな、僅かな波にでも業界の破綻を来たし、延いては財界全体に非常な混乱を及ぼすというような危険が想見されんとも限りませんので、そういう意味におきまして、不況カルテルとか、合理化カルテルとかいうようなものも作りましたし、又輸出取引法なんかにつきましても、今の世界の貿易というものは、これはイギリスが盛んであつて、そして自由貿易を世界に押し付けて、そうして自由自在に輸出入貿易が行われておつた時代とは全くかけ離れまして、どこの国も非常な制限貿易をやつております。こういう建前におりますので、日本だけが自由自在の、即ち業者の無軌道な競争に任しておいて、そして国の利益を失うというようなことにさせて行くことは、日本の国全体の利益でもございませんので、相手方が若しそういうふうにしておるならば、やはりそれに対抗して輸出貿易を振興して行くためには、或る程度の規制をして行くということが出て来たわけでございまして、無論自由主義自由主義と申しましても、国際情勢から申しまして、手放しの自由主義では今日は貿易ができない。こういう情勢になつておりますので、世界の情勢に対応するだけの日本の業界の態勢を整える、こういう意味でいろいろな方策を講じたわけでございまして、いわゆる統制を撤廃して、何もかも無軌道に自由競争をして行くという、今まで殊に若し我々の考え方が誤解されておりますならば、それは私は只今訂正いたしておきたいと思います。とにかく内外の情勢上、必要な限度の国民の活動を保護するという意味におきまして、対外貿易に当つて行きたい、こういう判断でございます。
#54
○豊田雅孝君 終戦直後におきましても、貿易関係については非常な競争もありましたし、又中小企業の濫立状態などはむしろ今よりも一層深刻であつたかと思うのでありますけれども、併しそういう際においても、吉田内閣というものは極力統制を外すというので、殆んど統制法規というのが外して来られたのであります。今日事情が非常に変つたように言われまするけれども、必ずしも変わつていないと私は思う面が相当あると思うのでありますが、併し従来の方針はこの際変えて、必要なる事情が内外にある場合においては、随時統制の措置をとつて行く、又そうせざるを得ないというふうになつて来られたというふうに了解してよろしいのでありましようか。
#55
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。私は統制という言葉そのものにいろいろな疑義があると思いますけれども、少くとも世界貿易に対して、そして日本の態勢を整えて行くところの準備態勢というものをやはり国が示して、そうしてそれに従つてやらして行くという方向にはなつて来ておると思つております。
#56
○豊田雅孝君 この問題はこの程度にいたしておきまして、次に、先ほどこれは西田委員も触れられた問題でありますが、武器等製造法案立案当時、或いはMSA受諾の問題が今ほど現実化しておらなかつたせいかとも思うのでありますが、この法案の構想を見ましたときに、余りにも日本がまさにMSAの受諾をしなきやならんという段階にある現状から見まするというと、実情に合つておらん点があるというふうに思うのでありまして、具体的に言つて見まするならば、今回のこの武器等製造法案自体から見ましても、私は機密保持の規定がなかつたならば、実際運用の際に困るのじやないか、又そういうようなこと自身で一体そのMSAの受諾を云々し得るかというようなことが、海外からも意見が出て来るかとすら思うのであります。更に又もう一つ考え得られますのは、機密保持に関する別途の法律すら今日云々せられて来ておるようでございますが、こういう大掛りな行き方というものを考える必要があるじやないかという問題と、もう一つはその点について何か将来お考えがあるならば、率直に伺つておいたほうがいいのじやないかと思うのですが、なおもう一つの点は、軍工廠の払下げが今日相当まあ停頓状態にある問題です。仮にMSAを受諾するというようなことになり、兵器の相当な製造というものが必要になるというようなことになりますると、更に又この機密保持の考え方から行きまして、そういう施設というものが国家的に必要だというようなことになりまするならば、今軍工廠の払下げをし、将来又非常な国費を傾けてさようなことをやらねばならんということは、私は非常な大きな国帑の濫費になる。私はこれは将来必要なものは必要で、軍工廠の払下げ等は中止をして、そうして将来の計画というものを立てる必要があるというふうに考えるのでありますが、現在軍工厰の払下問題がもやもやとしておる段階にあるのでありますが、それだけに将来これをどういうふうにいたして行くかというお考えについて伺いたい。
#57
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。このMSAの関係で機密保持とかいうようなことが必要になるのに……、必要になるだろうということは想像ができるのに、そういうことは一向触れていないじやないかという御質問のように伺いますが、併しこれはMSAとは全く関係なしにできた法案でございまして、御承知の通りに今まで武器なんかを、これはポツ勅によりますというと、兵器、航空機ということになつておりますから、少くともそういうものをむやみやたらに工場を拡張したり、作つちやいかん、こういうことになつておりましたのですが、昨年の丁度夏頃から、朝鮮特需の兵器とか、武器とかいう……、まあ武器ですか、そういうものが割合に注文がたくさん出て来まして、そうしてそのポツ勅を、十月二十四日に廃止になりますから、一年延期しようと思つておつたのでございますが、議会等の関係で、これができませんで、そして自然の消滅としてこれは昨年、なくなつてしまつたのです。これは昨年の八月頃からやはりこれを継承して行つて、武器製造の会社の濫立を防ぐということを考えておつたのでございますが、今日まで出すことができなかつた。その意味におきましてMSAとは何らの関係なしにこれができ上つておる。又私も只今MSAというものが一体どういうような形で日本に入つて来るのか、まだ見当がつきませんので、お説至極御尤もでございまして、若しMSAではつきりと物事がわかつて来ましたならば、或いは機密保持とかいうようなことが又出て来まして、そういうような立法措置を又しなきやならんとも限りませんが、只今のところはまだそういう予想がつきませんものですから、今まで通りにやつた次第でございます。
 それから第二段の、軍工廠の払下げなんかでも、いろいろ問題もございましようが、これは御承知の通りに、軍工廠というものは、今からあれを設備しようと思つても、非常な多額の金がかかつておるわけでございまして、これは皆戦時中、戦前の国民の膏血をしぼつて出されて、それが投下されてできたところのものでございます。今すぐ利用できるとか、又利用できないとかいうようなこともありましようけれども、少くともまあ過去の納税者、国民の納税からできたところの大事な施設がそのまま残つておりますならば、今後将来を見通しまして、最も国民のためになるという方法にこれを利用しなければ、私は過去の納税者に対して相済まんと存じておりまして、その点はいろいろ我々も考えて、今相当検討中でございますから、この点は御了承願いたいと存じます。
#58
○豊田雅孝君 大体大臣の只今の御答弁で私は一応満足いたすのでありますが、従来の経緯等に拘泥することなく、大きな見地から将来の計画を立てて、お話のごとくこれは国民の税から来ておるものでありますので、再び無計画に行くために、国帑の濫費になるというようなことないように、慎重に御計画を立て、お進め願いたいと思うのであります。重ねて要求いたしまして……。
#59
○委員長(中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#60
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。
#61
○海野三朗君 私は、このポツダム政令は、日本の憲法に優先したのでありましたが、これは講和によつて憲法が優先したのであるという、昨日政府委員からの答弁でありました。これが果してそうであるかどうか。この安保条約、行政協定が憲法に優先しておるのではないかということを私は考えるのでありますが、その点について明確なる御答弁を願いたいと思うのであります。
#62
○政府委員(古池信三君) 御承知のように、日本は占領中におきましては占領軍の命によつて事が運んでおつたのでございまして、この時分はいわゆるポツダム政令というものが非常に強い力を持つておつたことは御指摘の通りであります。併し昨年日本が独立をいたしまして以後は、我が日本国憲法が最高の法典でございまして、条約、法律はすべてこの憲法の条章に基いて、これに従つて施行されておるもの、さように考えております。即ち憲法が我が国の諸法規のうちにおいて最高のものである、そういうことを考えております。
#63
○海野三朗君 そういたしますならば、この平和憲法はいずれの国をも軽視することなく、平和を愛好する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意した、この平和憲法でありまするのに、武器の製造をその自由勝手にやらせておつたということは、政府としては怠慢ではないか。そういうものは製造させないのが本当ではないのでありますか。その点もお伺いしたい。
#64
○政府委員(古池信三君) 先ほど大臣からもちよつとその間の事情を説明されたのでありまするが、昨年十月二十四日を以てポツダム政令は失効いたしたのであります。従つて本来ならば、そこに武器製造業に対する国の監督的な規律が必要であつたのでありますが、その立法措置をしようとしておりました場合に、突然国会が解散になりまして、そのためにこの立法措置を講ずることが不可能になつたのであります。従つて今日まで武器製造につきましては、法的に見て自由な段階に置かれておるというのでございまするが、この点は確かに御指摘のように不備であつたと我々としては遺憾に考えております。
#65
○海野三朗君 憲法は国民が尊守すべき方針を与えるものでありまするから、これに違反するような方向へ行くときには、やはり政府がこれを是正をして行くだけの責任があるのではないか。幾ら立派な憲法ができましても、知らず知らずの間にその憲法違反の行為が現下において行われて行くというときには、それは政府が率先してこれを直さなければならない。そういうものをやつちやならないのだということをやられるのが、政府の責任であるように私は思うのでありますが、それをポツダムの政令が廃止されてから以後、いつの間にかそういうふうなこの武器製造を、民間において競うてやり始めて来た。産業の将来、輸出入の将来を考えますというと、とんでもない方向に進みつつあると考えないわけには行かないのでありまするが、その点に対して御当局の御所信を承わりたいと思います。
#66
○政府委員(古池信三君) 只今お話のごとく、憲法に違反するような傾向は、これはお互いに戒めなければならんと存ずるのであります。併しながら只今いわゆる武器と称せられるものを生産するということ自体は、これは一つの産業の一種類としまして、必ずしも現在の日本憲法に違反したものとは我々は解していないのであります。
#67
○海野三朗君 それでありまするならば、日本で造られた砲弾が、山形県の戸沢村、或いは大高嶺、或いは内灘においてぶつ放されておるのであります。これをどういうふうにお考えになつておりましようか。
#68
○政府委員(古池信三君) 御承知のように、外国の注文によりまして我が国の生産業者が生産をいたして、その生産品を納める場合に試験をいたす。これはやはり生産品の検収の上から言つて必要であろうかと存ずるのでありまして、ただ品物が品物であるだけに、どこででも勝手にやるというわけには参りませんので、特定の場所を指定して、そこにおいて検査をいたすということになつておるのであります。
#69
○海野三朗君 私はそこでもう一つ大事なことであると思うのでありまするが、戦争を放棄した、平和を愛好する国民が、今現実砲弾の炸裂の下に生きていなければならない現状であります。これは過日私が戸沢村を、実際行つて見て来ました。そういうことが、戦争を放棄したその国民が、なぜこの実戦の……、現在砲弾が炸裂して、四人も人が死んでおる。そういうふうなことに置かれてありますることは、即ちこの平和憲法に優先した行政協定、軍事基地提供というものは、この平和憲法に優先しておる事実ではございませんか。これも御説明願いたい。
#70
○政府委員(古池信三君) 先ほど申しましたように、我が国において武器を生産するという事柄それ自体は、憲法違反にはなつていないと、かように考えるのでありまするから、只今お話のような、試験的に砲弾を発射するというような事態がございましても、これは何ら憲法違反の問題ではなかろうと考えます。但しもとより我々としましては、将来かような砲弾をぶつ放すというようなことが、世界のこの地球上からなくなつてしまうという事態の起ることを念願はいたしますけれども、併しながらそれは一つの理想ではございまして、現実の問題といたしてそれが直ちに憲法違反になるというふうには考えておらんのであります。
#71
○海野三朗君 そういたしますと、憲法は一つの理想論でありまして、夢でありましようか。憲法は現実に国民が遵守して行くべき、国民の進んで行くべき大道を示されたのが憲法であると私は思うのでありますが、この平和憲法の下で私はその実弾が、而もその実弾たるや日本の内地で造られた実弾である。これがつまり行政協定なり、安保条約によつて軍事基地を提供したのでありましようが、これは明らかにこの平和憲法に優先しておつたのではありませんか。
#72
○政府委員(古池信三君) 日本の憲法を守らねばならない、又憲法が最高の法規であるということは、申上げた通りでございますが、ただこれが理想に過ぎないかというお話でありますけれども、私が先ほど申上げましたのは、地球上から戦争という行為が消滅するということは我々の理想である。これを申上げたのでありまして、憲法の規定はこれは現実問題としてはつきりいたしておると存じます。又商売上いろいろの行為が出てくることは、これは必ずしも私は憲法違反ではない、かように考えます。
#73
○海野三朗君 この私のお伺いいたすところのものは、この憲法が優先しておるものであるならば、事実が軍事基地を提供しておるこの行政協定、安保条約が結ばれておるということが、それから生じて来るところのものは、この平和憲法を侵害する事柄ばかり出て来ておるのであります。それを今私が意見を申上げ、御当局の所信を承わりたいと思つたのでありますが、この平和憲法があるのにもかかわらず、この狭い日本の国土で軍事基地を提供するばかりでなく、実戦さながらの状態を演じておるということは、私はアメリカのあの広大な土地に行つて演習してくれたらいいのじやないか。日本のようなこの人家のあるところで実弾射撃をやつて、そうしてそれで死んでおる人さえもあるのである。これは私は平和憲法を制定しました我が日本としては、すでにもう道は間違つておるのであると思うのでありますが、これをお伺いしたいのであります。
#74
○政府委員(古池信三君) 我々といたしましては、飽くまで平和憲法は守つて行かなければならんと考えております。
 なお日米安全保障条約等の問題は、この憲法に準拠いたしまして、我が国としては締結いたしたのであります。従つてその日米安全保障条約に基いた諸般の事柄は、憲法に基いた事柄でございますから、決して憲法違反にはなつておらんと信じます。
#75
○海野三朗君 併し事実がこの憲法違反になつておりませんでしようかと言うのです。平和を愛好する憲法を制定されておるこの日本国民が実弾の下に暮さなければならない。そういうことは憲法に違反しておりはしませんでしようかしら。
#76
○政府委員(古池信三君) 先ほども申上げましたように、このこと自体は、現在の段階におきまして憲法違反とは認めておりません。
#77
○海野三朗君 然らばその間の調整を政府がなさなければならないのではありませんか。事実戦争が済んでしまつたのに、戦争をしていない日本において実弾の下に生活をしなければならない。そういうふうな日本国民があるのを見て、これは憲法違反ではないのだというふうに私は知らない顔をしておられんじやないか。こういうふうに考えるのでありまするが、これでもそうでないとおつしやるお考えでございましようか。
#78
○政府委員(古池信三君) 先ほども申しましたように、日本が戦力を持つて戦うというわけではなく、ただ商品としてさような品物を造つて納めるのでありまするから、納めるために試験をする、その試験をする場所として、特定の地域が使用されておる、こういうわけでございます。無論危険防止のためには、これは政府としても万全の措置を講じねばならんと考えております。
#79
○海野三朗君 何度お伺いしても、それをはつきりお逃げになりますから、これはもう重ねて何度お伺いしても同じことでありますけれども、丁度私はこの髪の毛が赤くて、青い目玉の子供を、こいつは日本人だと、こういうふうに認定しておられるのと同じようなことで、私はこれは日本人ではない、こう言つておるのに、一方ではこれは日本人だと、こう言つてなさるように私には考えられる。この平和憲法の下にある我々日本国民が、実弾の下に生活しなければならない、戦争をしなくてもですよ。その現状は憲法違反になつておる。これを筋道を正して行きましたならば、確かに憲法違反になつておる。そうして行政協定、安保条約は憲法に優先した事実であると思うのでありますが、憲法が先に行つておるならば、こういうことは出て来ないわけでございましよう。憲法が優先しておるという御答弁は当を得ないように私は思うのであります。行政協定、安保条約が憲法に優先しておるという結果を生じておると思うのでありまするが、如何なものでございましようか。
#80
○政府委員(古池信三君) 安保条約、平和条約は、御承知の通り我が国の憲法の条章に従つて国会が承認をいたしております。国民の代表が承認をしておるのでありまして、これは憲法違反でも何でもなく、はつきり憲法の下において締結されたものと考えるのに誤りはないと存じます。
 なお只今の実弾の試射問題等につきましては、これは私は遺憾ながら見解の相違と申さなければならんかと存じます。
#81
○海野三朗君 これは憲法違反ではないとおつしやる。これはその通りに承わつておきましようが、これは私どもの郷里の戸沢村あたりでありまするが、その砲弾の炸裂たるや、それは全部皆日本で造つた弾だ。日本で造つた弾で日本人を殺しておるのだ。日本人が造つた弾で以てアジアの民族を殺しておるのである。私はこれを日本が戦争放棄したと言うておりながらも、砲弾を造るということ自体が、戦争に間接に協力しておる結果ではありませんか。如何でしようか。
#82
○政府委員(古池信三君) これは何度も申上げることですけれども、現在砲弾を造つておるのは一つの商品として注文を受けておるわけでありまして、これが日本の戦力を持たないという憲法に違反するものとは考えておらんのであります。
#83
○海野三朗君 ああ、そうですが。
#84
○委員長(中川以良君) それでは別に御発言もないようでございまするが、質疑は尽きたものと認めまして御異議ございませんでしようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#85
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のありまするかたは賛否を明らかにしてお述べを頂きます。
#86
○海野三朗君 先ず第一に、如何なる他国をも敵視することなく、平和を愛好する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意したこの平和憲法の趣旨に違反するところの安全保障条約、行政協定に、その合憲性を持つがように装うて、而も現在武器製造が行われておりまするが、これは明らかに憲法の精神に違反するところの行為でありまするのを、あたかも頭の毛が赤くて、青い目玉の子供、これを黒い目玉の日本人だと、こういうふうに主張しておると、見ておると私は思うのであります。で、次に政府が保安隊は保安隊でないと言つて自慢しておつた。着々とこの戦力化しているところの方向、その方向へ保安隊を強化して行く一方、武器製造を一連の憲法違反の行為と共に、その合憲性をもたらしたものであつて、米軍に納めたところの上で、これが借りた形をとつて、そうしておるこの潜在戦力であると見なければなりません。これが第一条。
 第二に平和産業の振興確立の途を、政府は特需依存、米国一辺倒の経済のために、閉されたところの企業が、大なる負債を持つて、武器製造設備に転換して、受注を競い、結果は買い叩かれて、そうして出血受注をおのずから求めているような現象を生じているのであり、それは直接調達という契約方式によつて以上の条件を押し付けられているからでありまして最近に至つては受注業者は間接調達を望んでいると言われますが、それさえも政府は解決し得ないでおるような現状では、本法案は根本的な出血受注解決の途を切り開くものではないと考えるのであります。
 第三に、現内閣の方針といたしまして、政府は輸出第一主義を表明しておりまするが、政府の輸出の増大というものは、武器生産によつてますますその国内の物価水準を吊り上げて、縮小するところの逆の方向へ進まねばならない現状であると考えられるのであります。過去三年間の特需は民間八億ドル余りの特需外貨の獲得として、政府も、財界も歓迎しているのでありますが、特需は動乱の結果生れ、外貨払いの内需であつて、赤字貿易の帳尻を合せておるに過ぎないので、世界経済の動きとは別個の動きを示して来ておるのであります。従つて外貨払いの内需は、日本の国内物価水準が国際水準に比べて割高となつておる原因をしておる。自立経済確立のための輸出増大とはならないで、逆に自立縮小の方向へ進まざるを得ない現象を呈しておるのであります。この本法案はMSAの受諾というレールに乗つて、日本をして、丁度モルヒネ患者がモルヒネなくしては片時も生きられないと同様に、武器生産という特需がなければ、特需戦争というものがなければ、経済均衡が保てないという悪循環の中に落ちて、再び戦争の渦中に追込まれることになるであろうと考えます。
 この以上三点からいたしまして、私は甚だ遺憾ながらこの武器等製造法案に反対の意を表明するものでございます。
#87
○小松正雄君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、本法案に反対をするものであります。
 理由の第一といたしまして、種々ありまするが、私は少くとも我が日本は終戦と同時に武器を捨て、将来戦争はしないこととして新憲法ができ、又新憲法を尊重する上からも、国内でかような戦争に近い、必要な器具を製造することは、如何に我が国の産業発展のためとは言え、正常な行政でないと思いまするので、なお又これが製造に関しましては、相手方が注文を発注し、それによつて製造せられるというのでありまして、而も国内で使用しないこの製造品を以ていたしましても、当然私どもが同意しかねるのであります。大臣は特にこのことにつきましては、国内で生産をいたしたとは言え、我が国に使うものではない、こういうふうに、言明せられおりまするので、これらの業が将来必ずしも永遠に行くものでないということを考えまするときに、全く望みは薄いものであるといたしまして、これは許されないという観点に立ちまして、私は反対をするものであります。
#88
○白川一雄君 私は経済界の実情から見まして、本案に賛成するものであります。但しこの運用に当りましては、いろいろ希望する点が多々ありますが、そのうち四点だけ希望を述べて賛成を表しておきたいと思います。
 特需発注先等、十分なる了解を得ておるという御説明がありましたけれども、私は必ずしもそうでないという、懸念するところが非常に大きいので、これを民間業者への後楯になるようなお気持を当局で持つて頂いて、私ども従来特需の実情はアメリカが或る程度民族的に侮蔑の観念を持つた出発点がかなりにあると見ておりますので、又通産省がこれを監督されるのに当りまして、二つのアメリカができたというような事柄にならぬように、特に御注意を願いたい。これが第一点でございます。
 第二点は、本法案審議中にもたびたび申上げたのでございますが、通産大臣に権力が集中いたしまして、統制経済への逆行であるかのごとき観を呈しておるのでございますが、この事業者を許可する場合に当りましては、政治力を持つたり、掌握力を持つて、巧みにこれを運用する人に重点を置かないように気を付けてもらわなければならないと思います。大企業に偏在するというようなことが起りますと、恐らく通産省は怨嗟の的となり、攻撃の的となるという事柄は疑う余地がない。特に通署内にいろいろ問題がたくさん最近起つておる実例から考えまして、この点少なからず反省しながら、注意を一応密にして頂かなければならないものと、こういうように考えております。
 第三点は、民間相互の競争がすでに激しいというのも、要するに戦後の食わんがために苦しみから出ているものであるという実情を御承知願いまして、国家の財政の窮迫せる実情とも睨み合せまして、国費を以て大きな国営工場等を作るというような事柄をして民間産業を圧迫しないように、この点は注意して頂かなければならないと考えるのでございます。
 第四点は、日本の技術並びに設備が空白時代に禍いされまして、少なからず程度が落ちておるのでありますから、当局は技術育成と設備改善のために、信念のこもつた総合的計画の下に、無駄をしないように、着々と進めて頂くということが好ましいと思うのでございます。その目的のために、理論並びに実地の両面に亘りまして、国家が指導するところの技術研究所のようなものを計画立てて、基本的にものを進めて頂かなければ、無駄をすることが多くて困る事柄になるのではないか。まあ、これに附加えまして、参考のために申上げたいのは、外国の機械工場視察に派遣した者が帰りましたその報告によりますと、西ドイツは必要のないところは、空爆されたところもそのままであつて、ただ工場の機械だけは全部新らしいアツプ・トウー・デイトのものを整備して、おる。又何か機械の性能の悪いものは国が封印して、その使用を禁じておるというところまで参つておるのでありまして、これがために非常な貿易産業が伸びておるという報告を聞いております。私どもは日本がビルデイングと料理屋ばかりが立派になる日本の経済の現状と睨み合せまして、甚だ心淋しく思つておる点でございまして、通産省のほうにおきまして、日本の精密機械の精度を高めようと思われるならば、先ず技術の向上のために特別の考慮を払うことが先にならなければ、劣つたものをあつちへ引張り、こつちへ引張り、持ち寄つておりましても、なかなか技術の向上というものは期せられるものではない。又技術は今日すでに進歩の域を通り越して、革命の時代に来ておるということも御承知願わなければならないのじやないか。
 以上四点の希望をつけまして、私は本案に賛成するものでございます。
#89
○西川彌平治君 私は自由党を代表いたしまして、本案に賛成をするものであります。先に衆議院におきまして、この法律案に対しまして三点の附帯決議を附けて、賛成をされたようでありまするが、私はこの三点に対しましては、是非とも十分なる一つ御注意をお願いいたしたいと同時に、特に通産当局に対しましてお願いをいたしたいことは、このいわゆる許可制によりまして、武器の製造をいたしておりまする業者との間に立ちまして、十分なるこの法の運用に対しまするところの留意をお願いいたしたいと共に、技術的な面に特に向上を期するような方法を講じて頂きたいということをお願いいたしまして、賛成するものであります。
#90
○委員長(中川以良君) 他に御発言もないようでございまするが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより採決をいたします。
 武器等製造法案について採決をいたします。本案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#92
○委員長(中川以良君) 多数であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定をいたしました。
 なお本会議における委員長の口頭報告、事後の処置等につきましては、前例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#93
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それでは本案を可とされたかたは順次御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
    加藤 正人  石原幹市郎
    黒川 武雄  西川彌平治
    酒井 利雄  松平 勇雄
    岸  良一  豊田 雅孝
    西田 隆男  白川 一雄
#94
○委員長(中川以良君) それでは一時半まで暫時休憩をいたします。
   牛後零時四十分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時二十分開会
#95
○委員長(中川以良君) それでは休憩前に引続いて通商産業委員会を開きます。
 午前中に引続きまして特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。引続き御質疑をお願いいたします。
#96
○岸良一君 私は当初から少しかたくななような議論をしておりましたが、実際は農林物資の調整は農産物の生産との関係があるので、なかなかこれは面倒なんです。従いまして、これをいきなり中小企業でおやりになると言つても、なかなかむずかしいのでありますが、むしろ農林省の本来の使分に即して、農林大臣にやつて行つてもらうことが本当じやないかと、こう思つております。ものをスムースにやることが大切であると、これが又日本の復興のため、又産業の安定のために必要であるという考えで主張しておつたのであります。併しなかなか御賛成を得なくて、ここで修正案の提出になり、私の考えたことと非常に離れたことになつたのでありますが、もう時間的に見て会期も幾らもないのでありますので、私でき得る限り即応したいと考えておりますが、この際通産当局からお伺いしたいのは、今のような実情を考えて見ますると、恐らく現状のままで押し通して行けば故障が起きて来るだろうと思いますが、そのときになりまして、この法案というものを、通産大臣というのを主務大臣に面し、そうして主務大臣に今の本法律関係の事務を直接にとらせ、そうして企業庁との関係は更に別に円滑なような方法を講ずるということを考えて頂けるでしようかどうか、それを一つお伺いしたいと思います。
#97
○政府委員(古池信三君) それでは只今の岸さんのお尋ねに関しまして、私からお答えを申上げたいと存じます。お説のように、この通産省の所管以外の事業がだんだんと殖え参りますると、只今のような御心配は、これは御尤もだと思うのであります。ただ今日この改正案において考えられておりまするのは、農林省の所管事業としては清涼飲料水が考えられておるだけであります。従いまして、将来他省関係の業種がだんだんと増加して参り、又この建前でやつて見た上で、実績上いろいろ支障ができるとか、困るとかいうようなことが起りました場合には、十分その実情に即して最も効果的に目的を達成し得るように、本法の改正等については我々も十分に善処をいたしたいと、かように考えております。
#98
○岸良一君 なおそれに関連して簡単に申上げておきますが、例えば清涼飲料水の工業について最近に擡頭して来た果汁飲料、これは国内における果汁の増産の契励となつて、将来は非常に殖えて来ると思います。こういうようなことになつて来ると、これが将来において又安く供給されるということになりますので、そういうものは一番いい例だろうと思いますが、そういう関係を一方的に規制をするということになりますと、非常な影響するところが大きいのでありまして、そういうような生産方面との関係について特に御考慮を願つて、それもなかなかうまく行かんということになりますと、只今のようなことに相成るだろうと思いますが、御参考までに申上げておきます。
#99
○政府委員(古池信三君) 只今のお話のような点も、今後十分に考慮いたしまして、できる限り皆さんの御要望に副うように考えて参りたいと思います。
#100
○石原幹市郎君 通産大臣においてまあこの本法の施行を主管されるということになると、いろいろの農林物資、或いは厚生物資、中小企業関係ではまあすべての関係物資がいろいろ出てくると思いまするが、中小企業庁にそういう各般に亘つていろいろの方面のわかつておる人を用意しなければならんということになると思うのでありますが、先ほど来この行政簡素化とかいろいろのことで、原案がいいんだというような御意見があつたのでありまするけれども、そういう点ではどうでしようか。むしろ中小企業庁にいろいろの、農林物資のわかる者、厚生物資のわかる者を、いろいろな者を用意しなければならんので、却つて簡素化ではなしに、複雑化といいますか、人員もたくさんの人を置かなければならん、二重行政になるような感が持てるのでありますが、如何ですか。
#101
○政府委員(古池信三君) 只今の石原さんの御説も、成るほどこれは物事を徹底して考えれば、そういうような御意が出るのも御尤もだと思いますが、併しこれは或る程度は程度問題でありまして、比較的その範囲が少いというような場合には、大体運用上うまく行くんじやないだろうかと、これはこの場合の例になるかどうかわかりませんけれども、例えば通商貿易関係にしましても、やはり農産物資に関係するものも相当あるわけでありまするが、これは通商局のほうで一応扱つておる。従いまして、実際上はそれぞれ問題の起きたときには、主管省の御意見を十分にお聞きしたり、御相談をしてやつて行きますから、必ずしもその辺のところは大きな弊害はなかろうかと思つておりますけれども、併し成るほど割切つて考えれば、一々そういう専門の技術者なり何なりを置くということは、これはちよつと行政簡素化の趣旨には副わないだろうと思います。
#102
○石原幹市郎君 それから、只今のところでは清涼飲料水一つが指定業種に入つておるわけでありまするが、今後いろいろの物資が考えられるわけでありまして、先ほど岸委員からもちよつとお話が出たようでありまするが、将来或いは油脂関係、菜種であるとか、そういうようなものがいろいろ入つて来るとか、養蚕関係が入つて来るとか、一方農産物価格安定法などで、価格政策について農林大臣なら農林大臣がいろいろのことをやらなければならん。ところがこの特定中小企業のほうでは、それがまあ通産大臣が中心になつていろいろのことを考えるというようなことで、却つて簡素化というか、筋を通すのでなしに、非常に筋が複雑化して来るような面が多々予想されると思うのであります。これは恐らくそういう問題が今後たくさん出て来ると思うので、私の個人としての考えから言えば、主管大臣に割切つてしまつたほうが私はこの際いいと思うのでありまするが、そういう、非常に問題が起つたような場合には、或いは起ると予想されるような場合には、通産省当局においても、事前に十分に研究されて、問題を錯雑化さないように非常な努力をされるお考えを持たれるかどうか、それを一つ……。
#103
○政府委員(古池信三君) 只今御説の通り、通産省としましては十分に関係各省と協議をいたしまして遺漏のないようにして参りたいと思つております。何しろこの法律は、大体が中小企業ということで発足したものでありますから、当初はもう大体が通産省関係に殆んど限られておつたような状態だつたのです。併し今後時勢の推移と共に、だんだんと他省関係のものも、中小企業も入つて来ることは、これは当然考えられることなんで、その変化に応じて適応した措置を講じて行つたらよかろうと、こう考えております。
#104
○石原幹市郎君 重ねてもう一回それじや念を押しておきますが、私は主管大臣に割切ることを主張したいのでありますが、これからどういう意見が出るかわからないが、通産大臣がこれを所管して行くというこの案で仮に若し行くということになつて、弊害のきざしが見えるということであれば、敢然とその修正を、むしろ進んで政府当局のほうにおいて考えてよろしいということを、こう一度政務次官のほうから言明しておいて頂きたい。
#105
○政府委員(古池信三君) 只今石原委員のお話の通り、弊害が現われるというようなことであれば、これは私どもとしても当然改正につきまして善処いたすことは申すまでもないと存じます。
#106
○委員長(中川以良君) ほかに御発言ございませんか……。
 ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#107
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。
#108
○海野三朗君 この繭、それからいろんな油、そういうものを、つまり農民から買上げます場合に、その値段が適当なる値段であるかどうかどいうことは、どういうところでその相場をきめておられるのでありましようか。繭の場合などにおきましては、農民が幾ら安くても泣き泣きこれを売らなければならん。なぜかならば、乾燥機がないために長く保持しておくことができない。それでもう値段が安くても売り放してしまうという声を、私は今まで再三聞いておるのでありまするが、そういうふうな問題はどういうふうにお考えになつておるのでありましようか。つまり、中小企業の安定法についてお考えになつておるのでありますが、その中小企業が立つておるところのその基、つまり実際の例をとつて申上げたいのですが、繭とか、或いは油、菜種油のごとき、そういうものを農民から買上げる場合に、その値段というものは、つまり協定がしてあるので、幾ら幾らでなければもう買わんというようなことをされると、農民が泣き泣き長く持つおるわけには行かんから売つてしまうと、そういうふうなことがあるのでございますから、そういう際に相当な値段であるかどうかということについては、やはり何か通産当局としてのお考えがあるのでありましようか。
#109
○衆議院議員(小笠公韶君) この問題は、あえて生糸、或いは菜種油、油脂原料というものに限りませんのでありますが、調整組合が価格の協定をする場合に、適正な価格をどこで判断するか、こういうお話だろうと思うのであります。これは非常にむずかしい問題でありまするが、この改正法案で認めておりまするのは、先ず価格協定というふうなものに最初からやると、最初からほかの仕事をやらずに価格の協定にすぐ移ることを禁止しておるのです、実は……。これは先ず技術的な条件からして、生産制限だとか、或いは設備の制限ができないような場合に限るということが一つと、例えば染賃の協定のような場合に、これは生産数量というよりも、加工賃でございます。それから第二の場合は、生産設備の制限、或いは生産数量の制限、又は出荷数量の制限をやつてもなお且つ価格の維持ができないというふうな場合に、それらの措置と併せてやる場合にのみ価格の協定を認める。こういうことにして、価格協定に最初から入つて行くという点を実は認めておらんのであります。この点は経済安定委員会で御審議中の独占禁止法の価格協定と同じ形をとつておるのであります。全然同じ条件の下にこれを認めると、こういうことにいたしております。それで成るべく安易な道に陥らんようにと、こういうまあ気持でございます、実を申しますと……。その際にそういうような条件を充足して価格協定をするという場合に、どこらの線を価格協定にするかと、適当な価格を認めるかと、こういう問題になりますが、本改正案におきましてははつきりした基準を出しておりませんが、独占禁止法におきまする価格協定を認める、不況カルテルを認める前提として、平均生産費を割つたときと、こういう条件が実は出ておるのであります。従いまして、生産費というものを、或る程度頭において、従来の価格、価格というものは御承知の通り伝統性があるということを考えなければいかんのであります。その伝統的な価格と生産費との間を彼此調整して役所がきめて行くと、役所で認可をして行くと、こういうことにして公正を保たして行きたい、こういうふうに考えております。
#110
○海野三朗君 わかりました。
#111
○委員長(中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#112
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。
 他に御質疑もないようでありますので、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#113
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それでは討論に入りまする前、暫らくこの法律案につきましては審議をとどめておきまして、他の法律案を審議いたしたいと存じますので、御了承を頂きたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#114
○委員長(中川以良君) それではさように取計らいます。
  ―――――――――――――
#115
○委員長(中川以良君) それでは次に木材防腐特別措置法案を議題といたします。それでは同法律案につきまして御質疑をお願いいたします。
#116
○豊田雅孝君 第一条に適正な防腐の措置という文句がありますが、これはどういう内容のものでしようか。
#117
○衆議院議員(首藤新八君) お答えいたします。この適正な防腐措置ということを表示してありまするのは、その樹木の耐久力をできるだけ長くすると、その材質に応じて最高限に長くするということであります。
#118
○豊田雅孝君 適正という文句が使つてあるのですが、適正ということがわかつたようなわからんような甚だ不明確なんですけれども、これの具体的内容をはつきりさせてもらいたいと思います。
#119
○衆議院議員(首藤新八君) 適正という言葉は、用途によつて多少違うのでありまして、例えば電柱に使いまする場合には、電柱であるとか、或いは橋脚とか、更にもう一つは材質の相違がありますので、それらの材質に適当するような防腐措置を施すと、こういう意味を表現してあるわけであります。
#120
○豊田雅孝君 適正というが、材質によつて又違い、それから又その使用用途によつて適正という内容が変つて来るというふうに解釈すべきものなんでしようか。
#121
○衆議院議員(首藤新八君) その通りであります。
#122
○豊田雅孝君 この防腐措置については、今の御答弁で明らかになつたのですが、材質で違い、又その用途で違うけれども、それに共通する一つの防腐措置というか、或いは防腐剤というか、そういうものが特定せられておるのでしようか。
#123
○衆議院議員(首藤新八君) 大体防腐剤は、御承知の通り、クレオソート、或いは硫酸銅、その他に限られておりますが、この場合の適正という言葉は、量の問題でありまして、別に意味はないのであります。
#124
○豊田雅孝君 そうすると、特定の薬品を使わなければならんとか、或いは特定の特許権との関係が出て来るとかいう関係はなく、如何なる薬品を使つても普通常識を以て考えられる適正なる防腐措置であるならばよいというふうに解釈してよいのですか。
#125
○衆議院議員(首藤新八君) 一応通産省令で別にきめておりまする規格に合うか合わんかと、規格に合いさえすればそれでよいと考えております。
#126
○豊田雅孝君 こういう立法例はちよつと珍らしいように思うのですけれども、何かほかにありましようか。
#127
○衆議院議員(首藤新八君) 全く御説の通りでありまして、政府の部内でも、行政措置でやれるではないかというような意見も相当あつたようであります。にもかかわらず立法措置を講じましたのは、この内容にもありまする通り、運輸省であるとか、或いは農林省であるとか、そういう各省に関係があり、而もこれをやりますことによつて予算を相当殖やさなければならんというようなことから、行政措置では効果が薄いのではないかというようなことから実は立法化した次第であります。
#128
○豊田雅孝君 如何なる薬品を使うかということも余り制限はないようで、その使用方法、薬品の量等が規格できまるという行き方になりますと、特定の業者を指定するとか、或いは特定の業者に一種の特権としてやらせるとかいうようなことがなく、如何なる者でもこれを業とし得るということになるのでございましようか。
#129
○衆議院議員(首藤新八君) その通りであります。どなたでも御希望のかたはやれますが、ただ現在すでに設備をされたものが大体フルに運転しますれば四百万石乃至五百万石の設備を持つておるのでありまして、而も実際に今日これを使つておりますのは百五十万石前後よりか使つておりませんので、設備は相当余裕があると、そういう関係上、まあできるならば二重投資を避けて、現在折角設備をしてあるものを活用いたしたいという基本的考え方は持つておるのであります。但し、飽くまでも自由経済でありまするから、強いて始めようというかたに対しては、何らの制限はありません。
#130
○豊田雅孝君 提案理由書を拝見しますと、議員立法といたすほうが妥当であるというような文句があるのでありますが、議員立法にしたほうがどういう点において妥当なのか、同時に政府立法にするとどういう工合が悪い点があるか、それを伺いたい。
#131
○衆議院議員(首藤新八君) 実は先ほども申上げました通り、関係が運輸省、農林省、建設省、各省に跨がつておりまするが、これを実施いたしますれば、各省とも予算を相当従来よりも殖やして取らなければならんというようなことから、行政措置ではなかなか各省がこの趣旨を実行しないのじやないかというような不安がありますので、むしろ議員立法として、そうして単独法を作つたほうが効果的だと、かような考え方から議員立法にいたしたのであります。
#132
○豊田雅孝君 伺つておると、わかつたようなどうもはつきりせんところがあるのでありますが、何故にかような法律を作らんならんかという点について、一つ政府側として忌憚のないところを率直に伺いたいと思います。
#133
○政府委員(中村辰五郎君) 木材防腐特別措置に関しましては、前々国会におきまして、議員立法として案が練られたのでございます。前国会におきまして、通産省がこれを政府提案の形で
 一つ採用して行きたいということで、政府提案で検討を進めました。たまたま本国会になりまして、先ほど提案者から御説明のございましたような理由で、政府提案で行政庁がみずから縛るというような形よりも、むしろ国会の意思によつて、行政庁、或いはその行政外部団体、或いは公的な性格を持つております木材需要家というものを縛るということが却つて妥当じやないか、運用上も楽じやないかというように通産省の我々としまして考えましたので、議員提案になされたのでございます。通産省としましては、木材防腐特別措置ということをどういう観点から国策として立法化したい、又することが必要であると考えるかと申しますと、木材資源の確保と愛護と申しますか、最近本材需要が逐次著増いたしまして、国内におきまする資源として重要な木材が、どちらかと申せば濫伐というような非難も受けるような、例えば風水害というようなものの被害状況が逐次大きくなつておるような実情からいたしまして、何とか森林資源の擁護というものを確立したいということを考えまして、数年前から木材資源の合理的使用というような方面で、一つは消費の合理化という点を取上げ、或いは使用する場合にできるだけ有効に耐用年限を延ばすという方法を奨励指導するということ、或いは海外資源の調査とか、いろいろ態度、政策というものは多々あると思いますが、そのうちで最も早急に効果を挙げ得ますものは、現在使つております木材の寿命を延ばすということが一番効果的であるということを考えまして、例えば枕木でありますとか、橋梁材、そういつた比較的大量に使用せられ、同時に耐用年数を技術的に検討いたしますと、防腐しない場合と防腐する場合とを比較しますと、ものによつては五倍、或いは十倍と、相当程度大幅に寿命が延びるのであります。これは実験的に確実にデータもございまするので、この線で需要家を縛るということが木材資源の立場からでき得ることであるし、同時に効果的なことだという結論が出ましたので、先ず森林資源保護政策の一環として是非取上げたいという意味合いで本材防腐特別措置法というものを考えたのでございます。勿論これ以外にもそれぞれ行政指導等におきまして、消費の合理化、その他いろいろの手が打てるのでございまするが、特にこの防腐措置と、防腐加工ということが非常に効果的でございますので、政府といたしましては是非法的にこれらの使用を促進するということを必要だと考えております。
#134
○豊田雅孝君 お話を聞いていますと、例の日本標準規格、ああいう標準規格の中に、こういう規格のものを使わなければならんということをはつきりさすと、それで事が足りるのじやないか。殊に鉄道その他建設関係等、官公庁、公共団体関係等のことが多いのでありましようから、標準規格の制定にこれを取入れるということで十分目的が達成せられるんじやないかという感じがするのでありますが、若しもそれができないということになると、現在の標準規格を使用普及し、需用者をこれにマッチさせて行こうということになると、一々法律が要るようになるという感がするのでございますが、この点についての御意見はどうでありましようか。
#135
○政府委員(中村辰五郎君) 私提案者に代りまして説明さして頂きたいと思います。只今の標準規格の問題でございますが、これは強制力を持ちません。使用する場合も勿論でございますが、同時に防腐加工の場合に使用を強制するということが一つ必要でありますと同時に、その適当な防腐加工をすること自体を又監督しなければなりませんので、標準規格の中にこれを織込むということだけでは、本法が考えておりますような木材防腐の促進という点からいたしますと、十分でないと考えまして、需要並びに防腐加工と、これに関します強制並びに取締規定を設けるというところに本法の特色があると感じます。
#136
○豊田雅孝君 御説明は御尤もな点がありますが、併しそういうことが必要であるというと、やはり他の標準規格のものももう一歩これが普及と励行を図るというために、法律があつたほうがいいということに私はなつて来ると思うのでありまして、この点については他の方面に及ぼす影響が非常に多いだろうということを考えるものでありますが、一応私の質問はこの程度にいたしまして、あと又他のかたがたの御意見を伺つておるうちに関連質問等をいたすことがあるかも知れませんが、これを以て一応質問を終ります。
#137
○海野三朗君 この防腐剤を施しまするというと、非常に火に弱くなる。つまり火を引きやすくなるのでありまするが、そういう点については何かお考えになつておりますか。
#138
○衆議院議員(首藤新八君) 今のところ特にそれが対策は考えておりませんが、幸いにこの防腐剤を使いまする用途、これは鉄道の枕木であるとか、或いは電柱とか、或いは橋脚であるとか、その他港湾の橋であるとか、等々に限られておりまして、おおむね火災の危険の少い方面に限られておりまするから、特に考えていないわけであります。
#139
○海野三朗君 政府御当局にお伺いいたしますが、防腐を施した木材と施さない木材とで、火災にかかる割合などはお調べになつた記録はおありになりますか。
#140
○政府委員(中村辰五郎君) 只今の御質問でございますが、本法におきまして防腐加工を強制いたします用途で、例えば枕木、電柱、坑木、その他土建用材と、こういうものにつきまして、木材の材質に応じた防腐、例えば枕木で申しますとクレオソート、或いは坑木で申しますとPCP、弗化ソーダ、こういうような薬品を指定いたします。これらの指定されます薬品は、只今の御質問の引火性はございません。可燃性の物質ではございますが、引火性ではございません。御質問の、この用いた場合の引火の問題に対します災害の件数等については、調べたものはございませんが、引火性の薬品は使いません。
#141
○海野三朗君 ああそうですが、よくわかりました。
#142
○石原幹市郎君 今ちよつと、防腐剤の名前が少し出たのでございますが、大体防腐剤に使いますものはどんなものがあるのですか。
#143
○衆議院議員(首藤新八君) 主としてクレオソート、それから硫酸銅、弗化ソーダ、これらが主であります。
#144
○石原幹市郎君 これは何か法律の中で、防腐剤を指定するとか、指示するとか、そういう規定はあるのでございますか、ないのでございますか。
#145
○衆議院議員(首藤新八君) 政令で詳細に用途向によつて決定しようと、こういうように考えております。
#146
○石原幹市郎君 この木材用の防腐剤については、いろいろ研究しおる人が大分あるようであります。例えば木炭、製炭の煙の中からいろいろの薬をとつて、それが木材の防腐用剤になるというようなことを研究して発明したりする人がいろいろあつたようでありまするが、この法律は防腐業者その他は、届出をしたり、或いは資金調達の援助をしたりの措置があるようでありますが、防腐剤の発明であるとか、防腐剤を作るとか、そういう方面については、何らかの措置といいまするか、現在通産省で指導奨励されておるような面があるのかどうか、参考に承わりたいと思います。
#147
○衆議院議員(首藤新八君) 現在のところ、特別の指導強化しませんでも、先ほど申上げた主たる薬品であるクレオソート、或いは硫酸銅、或いは弗化ソーダと、こういうものが、大体四百万石程度の防腐の措置を講ずるのには、国内産で支障なく供給はできるという一応の見通しを持つておるわけであります。
#148
○石原幹市郎君 私が今ちよつと参考に承わつたのは、その後どういうふうにそれがなつたか、その後の経過を私はよく知らないのでありますが、山で炭を焼く炭の煙から薬を取りまして、そしてそれが木材の防腐剤に非常にいいと、数年前でありましたけれども、ウツドソートというような名前をつけてやつておつた者があるのでありますが、それはその後いろいろ研究して更に発展しておるようにも聞いておるのでありますが、そういう廃液であるとか、山村の木炭業者の煙からそういうものが取れて、而もそれが非常に木材防腐措置の有効なことに使えるというようなものがあるように聞いて、私は非常に共鳴しておつたのでありますが、そういうものについて何か通産御当局でお存じであればお知らせ願いたいと思います。
#149
○政府委員(中村辰五郎君) 只今の石原委員の御質問でございますが、恐らく木酢酸というものではないかと存じますが、それは御指摘のように、非常に防腐剤として適性のものだと言われておりますが、今これを学理的に非常に検討いたしております。そうして学理的に只今のような効果的に考えられます場合には、政令に追加いたしたいという工合に考えております。非常に各方面の権威者に御研究を実は願つておる段階でございます。
#150
○石原幹市郎君 私はまあそういうものがあれば、どんどん政令に追加して奨励してもらいたいと同時に、そういうまあ発明家であるとか、或いはそういうものに対する何らかの指導援助措置のようなものが、今日本材防腐措置等に関連してあつていいのじやないかということを考えられまするので、更に将来そういう面にも考慮を払つてもらいたいということを希望いたしておきます。
#151
○政府委員(中村辰五郎君) 只今の木酢酸の応用或いは工業化というような段階になる問題かと考えられますが、通産省としましては、工業化試験補助金、或いは応用試験研究補助金、こういう一つの制度がございまして大規模に工業化の一歩手前と考えるようなものについては工業化試験補助金と、或いはもう少し段が落ちますけれども、応用試験という、二つの助成金制度がございまして、この木酢酸の問題につきましても、もう一段研究が進みましたら、これを応用試験か何かのほうで取上げて見るのが適当かというふうに考えております。御趣旨の点に副いたいと存じます。
#152
○岸良一君 木材の資金調達という面については、銀行でも推薦するのですか
#153
○衆議院議員(首藤新八君) 成るべく融資の斡旋をいたしたいと思います。例えば今度できました中小企業金融公庫であるとか、或いは又商工中金であるとか、或いは更に又大きくなれば開発銀行であるとか、それらの金融機関に対して斡旋いたしたいと、こういう気持を持つております。
#154
○岸良一君 先ほど何かこれ四百万石程度の目標というお話でしたが、大体五つの種類に使つてこれの適用を受けようという材木は四百万石程度ですか。
#155
○衆議院議員(首藤新八君) これを適用して一番効果のありますのが「ぶな」、松、「にれ」、大体まあこういう三種の樹木は一番耐久力が長いので、大体この三種を限定してやつて見たいと、それからこの三種の需要量というものを測定しまして、大体四、五百万石程度ではないかという考え方を持つておるわけであります。
#156
○岸良一君 今も栗とか、そういうものは使うことはないのですか。
#157
○衆議院議員(首藤新八君) 栗は御承知の通り枕木が一番適当でありまするが、大体これを防腐措置をやりましても、五年より寿命が延びないわけであります。そうしますると、防腐の価格が大体六割、七割高くなります。そうすると、五年延びましても経済的に大して有利でないと、こういう結果に陥るわけであります。そこでまあ一応栗は除外したと、こういうわけであります。
#158
○岸良一君 それでは、今おつしやつた「にれ」とか「ぶな」なんかは、これはどのぐらい延びますか。
#159
○衆議院議員(首藤新八君) 「ぶな」は大体十五倍ですね。普通素材の場合には、枕木が一年より償えないと、防腐措置をやることによつて十五年、それから松が四年程度が十三年乃至十五年、それから「にれ」も大体そういうふうなことでございます。ところが栗のごときは五割より延びんと、それから檜も大体五割前後より耐久力は延びないわけであります。
#160
○海野三朗君 ちよつとお伺いしますが、この防腐剤も、木材に注入しますのにいろいろ程度があり、千差万別でありまするが、そういうところは何を以て規格としておられますか、規格をほかに定められておるのでありますか。
#161
○衆議院議員(首藤新八君) これは枕木、或いは電柱筆の用途ごとに、加圧注入法であるとか、或いは落差注入法であるとか、或いは常圧浸漬法とか、こういう大体まあ大きく分けて三つの方法によつて防腐措置をやるということに考えておるのであります。
#162
○海野三朗君 大体そういうふうにきまつておりましようが、その注入仕方で、時間の問題でありましようから、ちよつとやつても防腐を施したんだと、或いは予定の半分ぐらい注入しても、注入は注入なんだと、そういうような欠陥を何を以て補う考えでありますか。一定の規格を設けてでもおられますか。
#163
○衆議院議員(首藤新八君) その点に対しましては、別個に省令で詳細に規格をきめまして、そしてその規格に合つておるか合わないかの表示をすると、材木ごとに表示をするということになつております。
#164
○海野三朗君 その規格はすでに省令できまつておりますか。
#165
○衆議院議員(首藤新八君) 只今からそれらの規格を制定したいと、かように考えておるわけでございます。
#166
○海野三朗君 それではまあこの法案では、まだ足のほうがよくできていないというわけですね、頭のほうだけできて、そういうことになりやしませんか。
#167
○衆議院議員(首藤新八君) この本質的な実体はもう制度ができておるのでありますが、ただ附属的な小さな問題は多少残されておりまするから、至急にそれらは決定いたしたいと、かように考えております。
#168
○海野三朗君 ああ、そうですが。
#169
○白川一雄君 ちよつとお尋ねしたいのですが、この防腐をやつておる事業者の数と作業場の数をお知らせ願いたいと思います。
#170
○説明員(前島敏夫君) 事業の数は全国で約九十余りでありまして、工場は百余りになります。能力から申上げますと、能力は全体で四百九十万石程度の能力でありまして、これは五交替制でやつた場合の能力であります。
#171
○白川一雄君 能力はそのぐらいですが、現在やつておるのは大体どのぐらいやつておるのですか。
#172
○説明員(前島敏夫君) 現在の実績は、昭和三十七年度で百六十万石程度になつております。
#173
○白川一雄君 そうすると、まだ能力はよほど余裕があるといえるわけで、新らしくそういう事業者が殖える余地がないということになるわけですが、若しこれが実施されますと、需要がうんと殖えて来るということになつた場合に、新らしい事業者も当然起つて来るのでないかと思いますので、できれば百ぐらいとかという概算でなく、県別にどういう作業場があるかということを、資料として出して頂きたいように思うのですが、如何ですか。
#174
○衆議院議員(首藤新八君) ここに県別のはありませんが、通産局別の工場数がはつきりしておりまするから、御参考のために申上げますと、札幌通産局区内で四工場、仙台で九工場、東京で十六、名古屋で十二、大阪で十、広島で十一、四国で六、福岡で十三、合計八十一工場であります。なお能力を申上げますれば、札幌の四工場で三十二万石、それから仙台の九工場で四十万石、東京の十六工場で六十九万六千石、名古屋の十二工場で五十五万石、大阪の十工場で七十五万石、広島の十一工場で九十九万石、四国の六工場で十四万五千石、福岡の十三工場で百十一万石、こういう年間の能力を持つておるわけであります。今の能力の合計は四百九十六万一千石であります。
#175
○白川一雄君 これはやはり枕木と電柱その他合計した数量でございますか。
#176
○衆議院議員(首藤新八君) お説の通りであります。
#177
○松平勇雄君 さつき質問もあつたようでありますが、第一条の適正なというのをもう少しはつきり御説明願えないでしようか。
#178
○衆議院議員(首藤新八君) この適正なということは、先ほどもちよつと申上げましたが、用途別、或いは樹木の質等を勘案しまして、枕木、電柱にはこういう方法の注入法がいいと、或いは又橋脚にはどういう方法の注入法がいいと、かようなことを適正と、こういう表現をいたしたのであります。
#179
○松平勇雄君 そうしますまと、その検査方法というのは、何かきまつた検査方法がはつきりしたものがあるのでありますか。
#180
○衆議院議員(首藤新八君) 通産省の省令におきまして、そういう点を明細にきめつつあるわけであります。
#181
○松平勇雄君 私が心配いたしますのは、先ほども海野委員からありましたように、検査方法をよほどはつきりしないと、こういう木材の検査というものは、その人の検査した手心によつて非常に加減ができるように考えるのでありますが、その点は如何でありますか。
#182
○衆議院議員(首藤新八君) お説の通り、そういう心配もありまするので、万全を期してそういう間違いのない措置を講じたいと、かような考え方を持つておるわけであります。
#183
○松平勇雄君 然らばそういう検査に要する現在機械とか何とか、そういつたようなものがあるわけなんでありますか、はつきりと目盛なり何かに出るような機械があるのでありますか。
#184
○説明員(前島敏夫君) 現在防腐工場にすでに一部備えてございますが、自動的に計器によつて出る機械がありまして、石当りの薬品量が、例えばクレオソートで言いますと、四十キロというのが規格になつておりますので、それが全部自動的に表示されまして、外からそれがいじれないように硝子の箱の中に入つておるわけであります。そういう機械を強制的に備えさせまして、それから自動的に目盛りになつて出ましたものを、記録になつて出ましたものを検査して行きたいと、こういうふうに考えております。
#185
○松平勇雄君 その機械は一体どのぐらいするのですか。
#186
○説明員(前島敏夫君) 一セット十万円ぐらいであります。
#187
○松平勇雄君 只今頂きました資料を拝見いたしますと、各枕木、電柱、坑木その他について、素材と防腐剤との二つに分けて比較が載つておりますが、現在枕木にしても、電柱にしても、実際使う場合には外側に防腐剤を塗つて使つておるように思われるのでありますが、それとの比較と、それから一本当りの塗る費用ですね、それからこの防腐剤との費用はどういうふうな関係になつておるか、それを一つお示し頂きたい。
#188
○説明員(前島敏夫君) 枕木を外側だけ塗りますのは、余り試験的には効果がありませんで、内部まで均等に注入することが必要であろうと思われますので、適正な注入方法と言いますのはそこを指すわけでありまして、従来は概して建築用材にいたしましても、橋桁にいたしましても、一部分だけ木材の外側から塗布いたしまして使用いたしておるわけでありますが、今後は内部まで滲透さして使いたいというのが今回の法律の目的にあるわけであります。
#189
○松平勇雄君 それはわかつておるのですけれども、現在やつておる防腐剤を塗つておる程度ならどのぐらい持つかということを伺つておるわけです。
#190
○説明員(前島敏夫君) これは今までの実験では始んど効果がないわけであります。
#191
○松平勇雄君 そうすると、素材と同じ耐用年限だというのですか。
#192
○説明員(前島敏夫君) さようでございます。
#193
○松平勇雄君 今伺いますと、全国の能力が四百九十万石できる能力がある、然るに二十七年度においては実績は百六十万石だとその差が非常に開きがあるわけなんです。実際使つておるほうが、この防腐剤の注入方法がいいということであれば、余力がないほど使うのが本当じやないかと思うのですが、それを使わないというのは、やはり価格の点が高くなる、それに反し耐用年数が長くないというようなことによるのでありますか。
#194
○衆議院議員(首藤新八君) この点がこの立法を必要といたしますると一番大きな根拠でありまして、耐久命数の延びた年数と防腐措置による値上りの経済関係を比較しますると、防腐措置をしたほうが遥かに有利という結論にはつきり到達するのであります。然るにもかかわらず、これが徹底しない、需要が比較的少いということは、一にかかつて一時に多額の出費を必要とするという点に根拠があると考えるよりほかに理由がないわけであります。かたがたこういう強制的措置をとることが心要ではないかと、かような考え方を持つておるわけであります。
#195
○松平勇雄君 この「ぶな」と言いますのは、私も素人でわかりませんけれども、一番やはり腐りやすい材木のように聞いております。従つて、素材が一年で防腐剤を塗ると十五年というのは、これはわかりまするが、この法案にありますところの電柱とかその他のものにやはり「ぶな」を使うところがあるのですか。
#196
○衆議院議員(首藤新八君) 「ぶな」は主として枕木に使いたいという考え方であります。
#197
○松平勇雄君 現在使つておるのは、主に枕木とか電柱、その他は一体どういうものを使つておるのでありますか。
#198
○衆議院議員(首藤新八君) 大体枕木に使つておりまするのは、御承知の通り、「ぶな」、松、栗、檜「ひば」、それから電柱は松、杉、檜、「ひば」、それから抗木が始んど松、それから土木用材はいろいろ使つておりますが、これもおおむね松、杉、栗、檜、「ひば」とこういうものが使われておるようでありますが、先ほども申上げましたように、防腐剤を適用することによつて耐久力が非常に延長され、経済的に有利こいうはつきりした結論が出ておりまするのが、「ぶな」、松、「にれ」でありまして、その他は栗のごときは、素材が七年、防腐剤をやつて十三年、檜が素材が十年で防腐剤をやつて十五年、「ひば」も然りでありまして、経済関係を考えますると必ずしも有利でないというような結果になりますので、この際は最も有利であるという結論の出た「ぶな」、松、「にれ」に限定したいと、こういうことであります。
#199
○松平勇雄君 もう一つ最後にお聞きしたいと思いますが、このお話を伺いますと、現在のところでは増設する必要もないように思いますが、併し需要か多くなつて来れば、どうしても増設の必要が起つて来ると思いますが、これを設備する費用というものは一体どのぐらいかかるのですか。
#200
○説明員(前島敏夫君) クレオソートで注入いたしまする場合に、窯を一基だけでやりますと約三千万円程度でできるわけであります。一基になりますと、土地が共通でありますので、一応五千万円程度というふうに考えますが、開槽帳式その他の簡易な方法がありますので、そういう方法を用いますと、二百五十万円乃至三百五十万円程度でやれるような防腐の施設もあるわけであります。
#201
○松平勇雄君 私の心配しますのは、この法案の成立によつて、既設し設備を持つておるものとか、或いは木材会社というものは、非常に有利な地位について、その半面にこれから設備しなければならないというようなものは、例えばこれが三千万円の費用を要するというようなことになつたら、なかなかむずかしい問題になつて、非常に不利な状況に置かれやしないかということを心配するのでありますが、その場合においては、第六条において融資の斡旋、資金の調達について必要な援助をするという項目が載つておるわけで、今首藤さんからお聞きしましたが、あの程度じやなく、もつと強力に設備をするために政府として資金の援助なり、或いは政府資金を出すとかいうような方法をお考えになつておられるのでありますか。
#202
○衆議院議員(首藤新八君) 大体先ほどから申上げておりまする通り、工場の数が百、而も能力が四百なんぼの設備を持つておるにもかかわらず、実際は百五十万石程度しか使つてないわけであります。而も、この業者が殆んど中小工業者であります。かたがたこういう立法をやつた一つの理由も、これは非常に困難な立場に置かれておる中小工業者を育成強化したいということも含まれておるのであります。従いまして、地域的に違つておるのでありまして、或るところは現在の百設備を動せば供給過剰になるほどの工場があり、又半面なお新設しなければならんというところもあるわけでありまするので、できるならば既設の設備を十分活用いたし、そして地域的に現在の設備では足りないところがありまするならば、お説のようにできるだけ強力な金融措置を講じまして、そうしてこれらの業者の希望に応じて行きたいと、こういうふうな一応の考え方を持つておるわけであります。
#203
○松平勇雄君 大体これで一応終了いたしますが、又他の委員の質問を伺つてから又質問させて頂きます。
#204
○海野三朗君 先ほどちよつと伺つたのでありますが、やはりこの法令をお出しになると同時に、十月一日から実施するという、そうしますと、省令なり、或いは細目に亘つて、その加工程度、それを早く明示しておきなさらんと困るのではないかと、こういうふうに私は思いますので、これと同時にもう細目をおきめになつて、加工程度をきめておかなければ、この木材ほどこまかしがきくのはないのであります。そういう点について私が不安を抱いておるのであります。
#205
○衆議院議員(首藤新八君) 御説御尤もでありまして、今日まで各省との打合せは全部終了しております。同時に、先ほど来申上げておりまする通り、現在業者が百工場内外あるのでありまして、こういう業者はすでにそれらの内容は十二分に了知いたしておりまするが、なお遺憾のないように省令を作りまして、そしてお説の通りのような措置を講じたいと、かように考えております。
#206
○白川一雄君 先ほど伺つたのは、能力が余つておるそうですが、この表を見ますと、三カ所設立準備中というのかあるのでございますが、それほど能力が余つておるのに、只今設立の準備をしておるのは、どういうわけですか。
#207
○衆議院議員(首藤新八君) 先ほども申上げました通り、現在の設備で余つておるところもありますが、同時に需要の面から見まして、なお余地のあるところも、業者の考え方によつては相当の希望を持つておるのがあるらしいので、そういうところでは新らしく設備をしつつあるところもあるようであります。
#208
○白川一雄君 先ほどのお話では、中小企業者が多いというが、実際は大きいのと小さいのは両方あるはずなんで、若し大きなところが更に設立を準備するということになりますと、今後の注文が大きいところへ片寄つてしまうという虞れはないのでございますか。
#209
○政府委員(中村辰五郎君) 只今の御質問にお答えします。先ほどは能力及び地方的な工場数の御説明がございましたが、今計画中と申しますものは、主として従来防腐工場が少かつた北海道、東北方面に新規計画のものが多いのであります。このうち、旧事業者が拡充するというものよりも、むしろ新規業者のものが主でございます。
#210
○委員長(中川以良君) 白川君よろしうございますか。
#211
○白川一雄君 木材はなかなか運搬に金がかかるので、地域的にそういうでこぼこがあるということはわかりますが、私の知つておる範囲においては、なかなか中小工業どころでない、大工場もあるはずなんです。大企業者もあるはずなので、その地域によりましては、極く数量は多うございますけれども、引受能力というものは非常に片寄つておるはずなので、そういう意味からこの中小工業のほうの注文というものが余り片一方へ寄らないようにしてもらわないと困るがというような心配からお尋ねしておるわけであります。以上で終ります。
#212
○委員長(中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#213
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。
 別に御発言もないようでありますので、質疑は尽きたものと認めまして御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#214
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを頂きます。……別に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#215
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより採決を行います。
 木材防腐特別措置法案について採決をいたします一本案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#216
○委員長(中川以良君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定をいたしました。
 なお本会議における委員長の口頭報告等事後の手続につきましては、例によつて委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」)と呼ぶ者あり
#217
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それでは本案を可とされたかたは順次御署名をお願いいたします。
   〔多数意見者署名〕
    松本  昇  加藤 正人
    石原幹市郎  黒川 武雄
    酒井 利雄  松平 勇雄
    岸  良一  豊田 雅孝
    海野 三朗  白川 一雄
  ―――――――――――――
#218
○委員長(中川以良君) それでは只今より特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを頂きます。
#219
○豊田雅孝君 本案については、次の二点を条件にいたしまして賛成いたします。一、中小企業の本質に鑑み、本法を恒久立法とする以上は、第二条の業種指定制は将来廃止すること。二、第三十二条の二の年五分を限度とする利子補給は少きに失するを以て、将来年五分を限度とするの文句を削除するよう改正すること。
 以上二点を希望条件といたしまして賛成いたします。
#220
○岸良一君 私は、私の主張いたしました主務大臣の職務遂行に必要なる変更がいたし得なかつたのでありますが、一面現在の会期切迫しておる事情もありますので、その線に沿うて、又この安定法の成立を急いでおる向も多いのでありますので、私が主張いたしました点は、先ほど政務次官においても十分考慮するということでございまするので、今後における事務の円満なる運営をし得るように一部の改正をいたしたいという動議を提出いたします。それは、先ほど御相談のありました各種の問題から出発いたしまして、大体現在やつておりまするところの、各条文にありまするところの、認可、不認可、それから勧告処分といつたような各項目がございまするので、これらのものは重要な関係を持ちまするので、主務大臣の同意を得てもらうようにしてもらう。それから届出その他の事項につきましては、これを受理しましたときにおいては、その事業について主務大臣に連絡をしてもらう。それからなおこの法律におきまして、三十条の一部の規定に脱落がありますので、それを補充いたしたいという修正の動議を提出いたしたいと、かように考えます。条文につきましては、専門員のほうから読み上げて御了承を得ることにいたしたいと思います。
#221
○専門員(小田橋貞寿君) 特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
 第三十条の改正規定の中で同条に一項を加える規定中「第十六条第二項」、「第十八条第一項」及び「同条第二項」の下にそれぞれ「(第二十七条において準用する場合を含む。)」を加える。
 第三十二条の改正規定の前に次の改正規定を加える。
 第三十条の次に次の一条を加える。
 (主務大臣との関係)
第三十条の二 通商産業大臣は、第十条第一項、第十三条、第十三条若しくは第十六条第一項の規定(第二十七条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)による認可に係る処分をし、第十四条、第一項若しくは第十八条の規定(第二十七条においてこれらの規定を含む。)による処分をし、第二十九条第一項の規定による勧告若しくは命令をし、又は第二十九条のこの規定による通商産業省令を制定しようとするときは、あらかじめ、これらの処分、勧告又は通商産業省令に係る指定業種に属する事業についての主務大臣の同意を得なければならない。
2 通商産業大臣は、第十六条第三項若しくは第十九条(第二十七条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)又は第二十八条において準用する中小企業等協同組合法第三十一条若しくは第六十二条第二項の規定による届出を受理したときは、これらの届出に係る指定業種に属する事業についての主務大臣にその旨を通知しなければならない。
#222
○岸良一君 只今読み上げましたような修正をいたしたいというのであります。御賛成を願います。
#223
○委員長(中川以良君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#224
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。
#225
○海野三朗君 この法案に対しましては、考えようによりましては、或る一部分の中小企業者を救うところの便法であるかのごとき感なしとしないのであります。私はこの法案を見ると同時に、消費者階級のことも考えてもらわなければならん。中小企業ばかりではなしに、遠く又消費者のことも考えてもらわなければならないし、又一部分の人の利益を考えるようなふうに流れてもいけない。要するに、法の運営そのよろしきを得ることにあると思うのであります。この点につきましては、政府におきまして、今日まで再三質疑を続行いたしまして、御意見を承わつたのでありますが、この法の運営よろしきを得る点について十分御留意下さることを切に望みまして、この法案には賛成の意を表するものであります。
#226
○石原幹市郎君 私も本法案に賛成の意を表するものであります。殊に先ほど岸委員のほうから提案されました修正案に対しましても、全面的に賛意を表するものであります。それからなお、質疑の際にいろいろ意見が出て、私からも申上げたのでありまするが、中小企業としての総合指導ということと、それから業種別によるそれぞれの所管省の指導という、まあこの二つの面から来る錯雑した面が将来いろいろ予想されると思うのであります。これは指導をする役所の立場も立場でありますが、指導なり監督を受ける一般業界としても非常に関心の多い問題であろうと思うのでありまして、先般質疑の中でも明らかにしておいたのでありまするが、今後この運営を十分見られまして、一般業界が非常に不都合を感ずるとか危険を感ずるというような面がありましたならば、積極的に法の運営についてなり、或いは将来この法律の修正、改正等について十分善処せられまするように要望いたしまして、私は本案に賛成の意を表します。
#227
○委員長(中川以良君) ほかに御発言ございませんか。……他に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#228
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより採決を行います。
 特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 先ず討論中にございました岸君御提出の修正案を採決いたします。岸君の修正案に賛成の諸君の御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#229
○委員長(中川以良君) 全会一致でございます。よつて岸君の修正案は可決されました。
 次に只今可決されました修正部分を除く衆議院送付案全部を問題に供します。修正分を除いた衆議院送付案に賛成の諸君の御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#230
○委員長(中川以良君) 全会一致であります。よつて特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案は修正議決されました。
 なお本会議における委員長の口頭報告等事後の手続については、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#231
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
 本案を可とされたかたは順次御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
    松本  昇  加藤 正人
    石原幹市郎  酒井 利雄
    松平 勇雄  岸  良一
    豊田 雅孝  海野 三朗
    白川 一雄
  ―――――――――――――
#232
○委員長(中川以良君) それでは次に硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案を議題に供します。先ず政府側より提案理由を聴取いたします。
#233
○政府委員(古池信三君) 只今上程せられました硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案の提案の理由を御説明いたします。
 硫安が化学肥料の大宗として食糧生産の最も重要な生産資材であると共に、好個の輸出商品としてその輸出を伸張することが望ましいことは申すまでもないところであります。然るに、御承知のように、最近西欧諸国より割安の硫安がアジア諸国の市場に進出して参りまして、ために国際競争が一段と激しくなつて来ているのであります。事態をこのままに放置するときには、我国硫安の生産業者は輸出を断念して生産を縮小するの余儀なきに至るものと思われるのでありますが、かくては硫安の生産原価を一層高からしめ、農村に対して高価な硫安を販売せざるを得なくなるのみならず、輸出市場をも憂、失する結果となり、我が国経済自立達成上誠に由々しい事態となるのであります。従いまして、政府としては、硫安工業の合理化計画を策定し、これを強力に推進して、一刻も早く国際的に割高な我が国硫安の製造コストを国際的水準に引下げると共に、この合理化計画が達成されるまでの間、特別の輸出機構を設け、これによつて輸出の条件をでき得る限り有利ならしめると共に、輸出によつて損失を生じた場合は、これを国内価格に転嫁せざるよう措置することとしたいと考え、別に本国会に提案されまする臨時硫安需給安定法案と共に、この法案を提出した次第であります。
 次に本法案の内容の概略を御説明いたします。
 先ず政府は、硫安工業の合理化を促進するため、生産業者に対し合理化の勧告を行うと共に、これに必要な資金については、融通の斡旋その他適切な措置を講じて援助しようとするものであります。
 次に、硫安生産業者の出資によつて日本硫安輸出株式会社を設立せしめ、本会社は臨時硫安需給安定法に定める需給計画に基いて硫安を買入れ、これを輸出することといたすのであります。従つて、輸出に関する経理は本会社において自主的に処理せられ、国内価格との関係は遮断されることとなり、且つ会社は適時に有利な条件を捉えて輸出することが可能となるのであります。申すまでもなく、本会社の運営については厳重な監督を加え、その本来の目的を逸脱することのないよういたすこととなつております。
 以上がこの法案提出の理由並びに内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上速かに可決されることをお願いする次第であります。
#234
○委員長(中川以良君) お諮りいたします。本日はこの程度にいたしまして次回に審議は廻したいと存じますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#235
○委員長(中川以良君) なおこの機会にお諮りいたしまするが、農林委員会におきまして本法律案の連合審査を決定をいたしております、なお本法律案に不可分の関係がございまする臨時硫安需給安定法案が農林委員会に付託されております。従つて、本委員会といたしましても、農林委員会に同法律案の連合審査を申入れたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#236
○委員長(中川以良君) それではさように決定をいたします。
 それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後四時零分散会
ソース: 国立国会図書館
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