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1953/07/28 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 水産委員会 第16号
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1953/07/28 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 水産委員会 第16号

#1
第016回国会 水産委員会 第16号
昭和二十八年七月二十八日(火曜日)
   午後二時二十二分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     森崎  隆君
   理事
           秋山俊一郎君
           千田  正君
   委員
           青山 正一君
           松浦 清一君
           菊田 七平君
  衆議院議員
           鈴木 善幸君
  国務大臣
   農 林 大 臣 保利  茂君
   郵 政 大 臣 塚田十一郎君
  政府委員
   水産庁長官   清井  正君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       岡  尊信君
   常任委員会専門
   員       林  達磨君
  衆議院事務局側
   常任委員会専門
   員       徳久 三種君
  説明員
   水産庁生産部漁
   港課長     林  眞治君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○議員派遣要求の件
○漁業法の一部を改正する法律案(衆
 議院提出)
○水産政策に関する調査の件
 (水産行政に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(森崎隆君) それでは只今から委員会を開会いたします。
 第一には議員派遣の件を議題に供します。国会閉会中の漁村金融の調査、漁港整備状況の調査、漁船損害補償の状況調査、米軍演習地問題の調査、その他浅海増殖等の視察を目的といたしまして、委員各位の御出張をお願いいたしたいと思います。この点御異議ございませんでしようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(森崎隆君) 異議ないと認めます。なお班の編成に関しまして、又調査すべき件等につきましての具体的な計画は委員長に御一任を願いたいと思います。ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#4
○委員長(森崎隆君) 速記を始めて下さい。
 それでは議題の第二、漁業法の一部を改正する法律案、只今衆議院本会議で議決されまして、本院に送付されました本法律案を議題に供します。今日は水産庁長官並びに林漁港課長が御出席であります。只今から御質疑がありますれば順次御発言を願いたいと思います。
#5
○秋山俊一郎君 本案につきまして自治庁当局に質問をしたいのでありますが、お見えになつていないようで、ちよつと相手がないのですけれども、お見えになるお見込みですか、今日はちよつとむずかしいのですか。
#6
○委員長(森崎隆君) 自治庁の御出席を求めておりまして、一応承諾を得たのでございますが、急用ができまして外出をして、今暫らくちよつと出席が不可能だと思いますが、自治庁関係の御質疑につきましては、衆議院におきましても質問があるようでありますが、若し御要望でございまするならば、衆議院の模様をここで御報告して頂いても結構だと思います。
#7
○秋山俊一郎君 それでは衆議院における当時の質問に対する状況を伺いたいと思うのですが、この漁業一般の事業許可料或いは免許料等につきましては、この漁業制度改革以前におきましては、地方税として漁業権税或いは漁業税というものが賦課されて、実は水産の有力な県によりましては、この税の重圧に長い間苦しんだ実情があるわけであります。そこで今回この免許料或いは許可料といつたようなものが廃止されますというと、それに代つて又さような重税を課せられるようなことになりましては、折角全国漁民の熱望であつたこの許可料、免許料というものが廃止されても何にもならないのみならず、場合によつては却つて悪い結果を招来しはせんかということを虞れるものでありますが、それに対して衆議院におきましても、その点を自治庁長官に対して質問をせられたようであります。その質問に対して自治庁から如何ようの答弁がありましたか、その点を御出席になつておられました徳久専門員からでも一応お話を願いたいと思います。
#8
○委員長(森崎隆君) 只今秋山委員から御質問になりましたこの点につきましては、丁度衆議院の水産委員会におきまして、松田委員から塚田自治庁長官に質問がありまして答弁を頂いております。その要旨を衆議院の専門員徳久君に読んで頂きたいと思います。
#9
○衆議院専門員(徳久三種君) 七月二十二日の衆議院水産委員会で、松田委員から、只今秋山委員からの御質問のように免許料、許可料の廃止によつて、これに代るような地方税などが課せられるようなことはないだろうかという質問をいたしましたについて、塚田自治庁長官から答弁がありました。その答弁は大変長いのでありますので、私はこの席でその要点を要約いたしまして、そのうちで必要なところだけここに朗読いたします。「これは今度の地方税改革をやつたぐあいにやるか、ただいま申し上げましたように、地方制度調査会の意見を聞くなど、また自治庁といたしましても慎重にいろいろと案を練りながら、最終的にはその練つた案を地方制度調査会にお諮りして、一応皆さんの意見を聞いて政府としての意見をきめるという段階になると思うのですが、今のところではまだ具体的にどういう税をどういうぐあいにというようなまとまつたものは何一つ持つておりません。しかしこの問題を私がいろいろ伺つたときに考えましたことは、前に漁業権税をやめましたのは、やめたときに理由があつてやめたのであり、そして免許料ができたのは、免許料を独自につくる理由があつてつくつたものであり、その間に相互関係があるとは私は思つておりません。従つて、今度この免許料が廃止になりましたにいたしましても、免許料は国の収入であり、免許料が廃止になつたから、地方の税収入にそれだけ欠陥が出るわけでもありませんし、従つて免許料が廃止になるということと、地方に新しく漁業権税その他漁民にかかる税ができなければならない理由は毛頭ない、こういうふうに考えております。ただ制度改革全般のときに、どういうぐあいな税をどういうぐあいに組み立てて新しい地方の自治体の財源にするかということは、総合してその観点から考えて、あるいは適当であるということであればそういうものも出て来るかもしれません。少くとも免許料廃止という問題と相関関係は全然ないし、そういうようにつながらしてこの問題を考える意思は毛頭持つておりません。」以上であります。
#10
○秋山俊一郎君 只今の衆議院における塚田長官の答弁はよく了承いたしました。本日塚田長官がお見えになつておりまして、私のこの質問に対しても恐らく同様の御答弁があるものと承知いたしまして、私はさように了承して質問を打切ります。
#11
○千田正君 この免許料、許可料の撤廃に基いて、それに曾つて従事しておつたところの職員の整理等が当然行われるでしようが、そういう人たちの転職その他についてはどういうふうに考えておられるのか、水産庁長官にお尋ねします。
#12
○政府委員(清井正君) 只今御質問がございました免許可料の徴収に従事しております職員は、本庁におきまして約十四人、地方におきまして約二百人でございます。国の事務でございますために金額補助ということになつておるわけでありまして、本改正案が御可決になるといたしますれば、本二十八年度分よりこれを徴収する事務がなくなりますので、今年度以降においてこの二百人余に上る人員を存置する理由が全く消滅することになるわけであります。併しながら私どもといたしましては、本事業に従事いたします職員につきましては、これは減額することもやむを得ないと思いますが、一方又水産諸般の行政につきまして、私どもが更に人員を強化充実いたしまして、更に規定されておりませんところの事業が相当多数あるのでありますが、二十九年度予算におきましても、私どもといたしましては、これら水産行政の総合的な部門に亘りまして、各部門につきして必要最小限度の人員を大蔵事務当局に要求するようにいたしたいと思つております。勿論こういうときでございますから、そう多数の人員を獲得できるということはなかなか申上げられませんけれども、私どもといたしましては、最小限度の人員は是非とも中央及び地方に亘つてこれを拡充いたさなければならん、こういうふうに考えております。仮にその私どもの希望が通りますれば、実際的な問題といたしまして、地方において従事しておりますところの職員は同じ水産の仕事に従事いたしております職員でございますし、適当に新らしい方面に転換をいたすことができるというふうにも考えるわけであります。又本庁に従事しております職員も適当に拡充する部面に転換できるというように私ども考えておるわけであります。仮に全然剰員が出なかつた場合におきましても、或る程度の自然の減員等もこれは中央、地方を通じてありますので、適当に中におきまする人員の配置転換によりまして、できるだけ人員の整理と申しますか、実質的に職を失うことのないように私どもといたしましてはできるだけの努力を払つて参りたいと、こういうように考えておる次第であります。
#13
○千田正君 只今長官から非常に当を得た御答弁がありましたが、法律が実施されるたびに、その蔭に犠牲に泣くような人が出ないように、この法案の通過に際しまして、我々としましてそういう犠牲者の出ないようなことを特に要望いたします。
#14
○松浦清一君 只今の千田委員の質問に関連して……。この法律が通るということのために徴収事務に関係しておつた二百人ばかりの水産庁の職員の諸君が、直接には許可料、免許料の徴収事務がなくなりますから、その仕事から離れる、こういうことになる。それに対して長官は、配置の転換とか、その他新らしい増産計画を立てることによつて整理をされるというようなことのないように努力をするつもりである、こういうお話があつたのでありますが、私はこの際に、極く最近に水産庁の藤永調査研究部長が瀬戸内の調査においでになつたやに伺つておるのですが、その調査された結果、日本の沿岸漁業の非常に重要な部門を占め、且つ宝庫であると言われておる瀬戸内の漁業資源の培養と言いますか、そういうことをする必要が絶対的にあるというような調査結果を持つてお帰りになつた機会を得て、本委員会にも出席して頂いて、その調査の結果を伺いたいと思つておりますが、そういう方面に来年度の予算編成の際に相当額の費用を要求することによつて、瀬戸内の漁業資源の培養と言いますか、増産と言いますか、そういう調査機関を設置して、そういう方面にこれらの人たちを振り充てて行く、無論庁内においてはそれぞれ専門々々がありましようから、配置転換が行われると思いますが、そういうことも考えられるわけですが、長官は恐らく藤永部長お帰りになつて瀬戸内の実情というものをお聞きになつたと思いますが、そういう具体的な方法に対して積極的におやりになるお考えをお持ちかどうか。
#15
○政府委員(清井正君) 只今瀬戸内海に関します漁業の施策を拡充強化する方策についての御質問でございますが、私ども只今丁度政府の予算編成期に当つておりますので、水産施策の全般に亘りましていろいろ再検討を加え、必要なものは今後拡充いたさなければならんと思つておるのでありまして、その一つの重要項目といたしまして、瀬戸内海に関する調査並びに事業計画につきまして、明年度におきましては更に拡充強化する方策を立てたいというふうに考えております。藤永部長からまだ詳細には聞いておりませんけれども、概略のことについては報告を受けたのであります。先般部内におきまして相談をいたしまして、この問題を如何に取扱うべきかということについて目下慎重研究を進めております。この問題は調査研究並びに浅海増殖補助事業と申しますか、いわゆる調査研究事業と補助事業との合体になるのでございますが、それに伴つて調査機構につきまして如何に取扱うかということにつきましては、未だ実は結論には達しておりません。従来の調査機構を使う、或いはそれに必要なる何らかの機構を設置するかということにつきましては、未だ結論には到達しておりませんが、私どもといたしましては、瀬戸内海に関する調査研究なり、補助事業につきまして、更に明年度におきましては従来の施策を強化いたしまして、予算措置をすぐに講じて行かなければならん、こういうふうに考えている次第であります。
#16
○委員長(森崎隆君) ほかに御質疑はありませんか……。他に御発言もなければ、質疑はこれを以て終了したものと認めたいと思います。御里議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○委員長(森崎隆君) 御異議ないと認めます。
 よつてこれより本法律案の討論に入りたいと思います。御意見のあるかたは順次賛否を明らかにいたしまして御発言を願いたいと思います。
#18
○松浦清一君 討論の前に、自治庁長官の御出席がないことはもう了承したわけですか。
#19
○委員長(森崎隆君) この点は招請をしておりましたが、今日外出のために来られないということを私から申上げました。秋山委員のほうでは、その点を了承いたしまして、衆議院における同趣旨の質問に対する同長官の答弁をここで聞かれまして、了承されたものと心得ておりますが、如何なものでございましようか。ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#20
○委員長(森崎隆君) 速記を始めて下さい。只今自治庁長官が見えられましたので、なお質疑のおありのかたは順次御発言を願います。
#21
○秋山俊一郎君 只今議題となつております漁業法の一部を改正する法律案、即ち現行の漁業免許料及び許可料を廃止せんとするこの法律案は、長い間この制度が創設されて以来、全国漁業者のひとしくこの撤廃を叫んで来た問題でありまして、而も本件は漁業制度改革の法案制定の当時におきましても非常なる批判があり、反対の声があつたのでありますが、如何せん当時占領下にありましたために、日本の国民の声がこれに反映し得なかつたというために、従来極めて不条理な、筋の通らないこの制度が布かれまして、漁業制度の改革は行われたのでありますが、かてて加えまして昨今漁業の経営は非常に困難であります。そこにこの制度によりますというと、漁業の経営が成り立とうが、成り立つまいが、漁業の免許を受けているものは免許料、許可を受けているものは許可料を長期に亘つて払わなければならないということから、非常なる反対があつたのであります。ここに昨年日本が独立を回復しまして、初めて国民が自由な立場においてこの制度の批判をし、この法律の改正を強く要望しました結果、ここにこの制度を撤廃するという法律案が提出されるに至りましたことは、誠に民主的であり、日本の漁民全体の非常な喜びとするところであります。併しながら、この漁業につきましては、曾つて地方税において漁業税或いは免許税といつたようなものが、漁業権税といつたようものが徴収されておりまりした。多数の県においてはこの税制に長い間苦しんだものであります。今回この制度が撤廃されまして、ようやつと業者は安堵の胸をなで下しているのでありまするが、若しこれに代るべき又税金の徴収ということが行われますならば、これは折角の制度が何ら効果のない、むしろ害を及ぼすような結果にもなるのではないかということを非常に虞れるものであります。そこで自治庁長官といたしまして、この制度の改革に対して税金の問題を如何に考えられておるか、これが撤廃されますというと、得たりかしこしで地方にそれぞれ重い税を課するということになりますと、又飛んでもない問題を惹き起すことに相成りますので、この点特にお伺いを申上げたいのであります。先ほど実は長官がお見えにならないということでありましたので、私は長官が衆議院において松田議員の質問に対してなされた御答弁を専門員のかたから朗読をして頂きまして、恐らく長官が今日ここにお見えになつておつたならば、私の質問に対して同様の御答弁があつたものであろうということを了承いたしまして、質問を打切つたのでありますが、丁度お見えになりましたので、改めてお伺いをする次第であります。
#22
○国務大臣(塚田十一郎君) この問題につきましては、先般衆議院の予算委員会でお尋ねがあり、お答え申上げた通りでありまして、私としましては全く今も変つた考え方を持つておらないわけでありまして、併しお尋ねがありましたので重ねて申上げますならば、要するに漁業権免許料をこのたび廃止いたしますのには、それを廃止することの理由があつての廃止になるのであり、仮に将来この漁業権税というようなものが創設されることがあるにいたしましても、それは漁業権免許料が廃止されたからということとは全然関連してはものを考えられないし、又考える筋合のものではない。今御承知のように地方制度の全面的な改革に伴いまして、地方税制の改革というものも考えております。そうして地方財源が非常に枯渇をしておるので、何とかして地方に独自の財源を成るべく余計与えたいという考え方で地方税制の改革というものを考えてはおりますけれども、従つてこの漁業権税というようなものが考えられるといたしますれば、今度の地方制度の改革及び地方財政の改革のときに漁村の税収入、その他財政計画をどうするかということを考えた場合に、この問題が問題として取上げられる可能性はある。併し如何に問題として取上げましても、その税が地方税として創設されることによつて、非常にこの漁業というものの進歩発達を阻害するとか、そういうような障害のある場合には、それは地方税としても一応考えに上つても、実行はできない性質のものでありますからして、仮に考えることがあるにいたしましても、そのときに漁業家が今日非常に御困難になつておるという事情は当然十分考慮しなければなりませんからして、考えられることがあつても、そういう事情が考慮された上で、従つて漁村としては、そういう税を負担されてもなお且つ何とかやつて行ける。それと同時に、それぞれの漁村なり、町なりが自分の町の発展にも寄与できるという形に、そういうように了解されるときでなければ、漁業権税というものは考えられないものである。従つて繰返して申上げますならば、今度の免許料廃止ということとは考え方の上では何にも繋がりは持たないものである、こういうことを御了解願いたいと思います。
#23
○委員長(森崎隆君) 他に御質疑ございませんですか……。それでは御質疑はこれで終了したものと認めます。
 それでは本法律案につきまして討論に入りたいと思います。御意見のあられるかたは順次賛否を明らかにいたしまして御発言を願いたいと思います。
#24
○千田正君 この漁業法の一部を改正する法律案は、長い間漁民にとつての漁業経営の困難な折から、適宜な改正であると考えまするが、先に同僚秋山委員から自治庁長官に質問した通り、これに代る或いはほかの税がかけられるのではないかという杞憂を我々は常に持つておるのであります。幸い只今の自治庁長官の答弁によりまして、一応その杞憂も払拭された感があるのであります。なお併せてこの法案の通過によつて、今までこの免許料、許可料等の徴収に従事しておつたところの職員が職を失う虞れもありましたが、この点も水産庁長官から適切な答弁がありましたので、一応の我々の杞憂が私だけでは解消されておりますので、この法案に対して賛成の意を表する次第であります。
#25
○松浦清一君 私はこの漁業法の一部改正案に対して賛成いたします。大した質疑をいたさないで賛成をいたします理由というのは、衆議院のほうからこちらのほうに回付されまして、衆議院の提案者側からも御説明を承わりました。その御説明の中にも、この制度はほかの産業にその類例を見ないものであつて、徴収それ自体に法的にも疑義があるばかりでなく、その上旧漁業権に対する補償金に見合わせることについては何らの合理性もない。漁業制度の実効を挙ぐべき現段階において、これが大いなる支障となり、その進展には災いし、制度改革による効果も所詮その実効を漁民生活の上にもたらす余裕なく、漁家経済は苦難の途を迫ることは明白な次第である、こういう御説明を承わりまして、一つには許可料、免許料を徴収するということは法的にも根拠がない。加うるに現在の漁民生活の困難な状態から推して、このように根拠の薄い形において多額の金を取上げるということは矛盾しておる、こういう二つの理由に基いて提案されたこの漁業法一部改正案に対して賛成をしたわけであります。従つて只今までの質疑応答の過程におきまして、許可料、免許料がとられないということになつても、それに代る何らかの形において徴税をされるということは、現在の漁民の経済状態から許さない、こういう実情にあることが、そういうことにならないということが自治庁長官等の答えによつて明快にされたわけであります。従つて私はこの法案がいよいよ法律となつて制定された場合、なお自治庁長官の言葉に従うと、これに関連して地方税を徴収するということにはならん、併し地方税の改革に伴つて、地方財政の窮乏を救う一つの途として、別の方法として考えられることはあるがも知れんというお答えがあつたわけでありますが、私は最後の賛成の意見を述べるに当つて、関連がたとえないとしても、別の形においてでも今日の漁民から漁業を行うことによつて税金をとるべきでない、こういう見解を持つておりますことを表明いたしまして賛成をいたします。
#26
○菊田七平君 私は只今の法案に対しましては、やはり賛成する一員でございます。只今申されましたように、この免許料、許可料に代るべき税をとらないということを信じまして賛成するものであります。
#27
○秋山俊一郎君 私もこの法律案は漁民の非常に熱烈なる希望を満たす法律案であるということで満腔の賛成をするものでありますが、他の同僚議員からも述べられましたと同様に、この許可料、免許料の撤廃を叫んだ理由は、先ほども私が質問の際に申しました通り、実は非常に不条理な制度であつたということが一つ。もう一つは、現在の漁業界において極めて経済が逼迫しておる、経営が非常に苦しい。この二つの理由が存するのでありまして、そういう意味からいたしまして、この制度が撤廃されましても、同様に漁業者の負担が減じられないということでは、この法律を制定せられる目的に副わないのであります。さようなことのないことを希望いたしまして本案に賛成をするものであります。
#28
○委員長(森崎隆君) 別に御意見はないようでございまするが、討論はこれを以て終結したものと認めて御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○委員長(森崎隆君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。漁業法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手をお願い申上げます。
   〔賛成者挙手〕
#30
○委員長(森崎隆君) 全会一致でございます。よつて本案は衆議院送付原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお本会議における委員長の口頭報告の内容等、事後の手続は慣例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○委員長(森崎隆君) 御異議ないと認めます。
 次に本案を可とされたかたは例によりまして順次御署名を願います。
  多数意見者署名
   秋山俊一郎  千田  正
    青山 正一  松浦 清一
    菊田 七平
  ―――――――――――――
#32
○委員長(森崎隆君) 本日の議題に附加えまして、丁度保利農林大臣が見えられましたので、農林大臣の水産政策に関しまして御発言を願いたいと思います。
#33
○国務大臣(保利茂君) 当面の主要な水産施策につきまして方針の概要を申述べたいと存じます。
 我が国水産業は今次大戦によりまして甚だしい打撃を受けたのでございますが、漁場の制約等、悪条件にもかかわりませず、戦後日覚しい復興振りを示し、今や漁獲高におきましては年十億貫を超えて、ほぼ戦前の水準に達しており、漁船の勢力におきましても戦前を凌ぐ状況にあるのであります。併しながら漁業従事者一人当りの漁獲高は戦前に比べまして若干の減少となつておりまして、これは漁業者の経営の苦しさと、国内漁場での過剰な操業努力を示す一つの証左であると考えるのであります。従つて我が国の水産業の振興のためには、生産の増強と経営の改善、合理化を促進いたしまするための施策を重点的に進めなければならないと信ずるのでございます。
 次に中小漁業の経営の改善について申上げたいと存じます。戦後の我が水産業の再建は、新漁業法による漁業制度の改革及び水産業協同組合法による新漁業団体の育成を支柱として推進せられて参つたのでございますが、新旧漁業権の切替えも一段落をいたし、漁場秩序の再建も進行しておりまして、本年の重点は沖合漁業の調整並びにこの制度改革の効果を保持いたしまするための経営の改善指導にあると信ずるのであります。ところで漁業経営の大部分が中小企業又はそれ以下の規模しか持たない薄弱な経営で占められている関係上、その経営の合理化を進めて参りまするにつけましても、先ずその資金の調達難に当面して苦しんでいる実情であります。これと共に狭い限られた漁場をめぐつて、沿岸漁業者や沖合漁業者がその利害の調整に悩んでいるのでありますが、一方我が国の近海における漁場の調査、開発はまだまだ不十分でありまして、そこに資源の開発の余地が十分存すると考えている次第であります。従つてこれに対します施策の第一といたしましては水産金融対策でございます。製氷、冷凍、組合自営漁船等の共同施設につきましては、農林漁業資金の特融措置を講じますと共に、捕鯨、「かつお」、「まぐろ」漁業等につきましては、漁船建造その他について開発銀行資金の融資措置をとつております。その他の一般的な資金需要に対しましては、農林中金或いはその他の市中金融機関からの融資の円滑化を図りまするため、前国会において成立いたしました中小漁業融資保証法に基きまして、各県に設立せられる漁業信用基金協会の保証を行わせることとしまして、目下着々その機能の発揚に努力中であります。
 次に、水産増殖並びに資源の維持と漁業調整の問題に対する対策でありまして、増殖対策としましては、内湾、浅海面における海藻、貝類の増殖、内水面における稚魚の放流施設等を奨励して参つておるのであります。又資源維持及び漁業調整の重要な施策としては、底曳漁業の整理転換対策でありまして、御承知のように小型底曳につきましては、昭和二十六年度から五ヵ年の計画を以ちまして減船整理を実施中でございますが、本年度からは中型底曳についても操業力過剰な海区においては自発的な転換を奨励する方途を講じて参りたいと考えております。
 次に、近海の資源の開発調査並びに沿岸漁業者に対する科学技術の導入でありまして、対馬暖流流域の資源の総合開発調査を関係都道府県及び大学等の協力を得まして、本年度より本格的に実施する予定でありますが、更に本年度より水産技術改良普及の制度を設け、伝承的な勘に頼る沿岸小漁業者に対する科学技術の導入を図つて参りたいと考えております。
 なお漁港の整備事業の推進でありますが、漁港の整備につきましては、第一次計画として四百五十港の整備計画を決定し、その事業の推進を図るため、公共事業費による財政資金の投入及び農林漁業資金の特融措置に努力中でありますが、国家財政の許しまする範囲内で極力所要経費の計上に努めたい所存であります。
 第三に、海洋漁業の振興と国際問題に関連する事項について申上げたいと存じます。昨年四月平和条約の発効に伴いまして、それまで我が水産業に課せられていた制限は撤廃せられ、これによつて我が国が再び国際漁場に復帰する途が開かれたのでありますが、これを契機といたしまして、水産資源の保存と開発に留意いたしつつ、国際信義を旨として規律ある行動をとり、積極的に海洋漁業の振興を図り、これに伴つて沿岸から沖合へ、而うして沖合から遠洋へというように、時を逐うて発展する方針をとりまして、これまでの狭い漁場における資源に対する圧迫をできるだけ緩和いたし、合理的な漁場秩序の確立を図るべく努力しつつあるのであります。右の基本方向に沿つて、昨年北洋の「さけ」、「ます」漁業を試験操業の形で再開いたしましたが、その結果に基き、本年も引続きその規模を拡大してこれを実施すると共に、「さけ」、「ます」資源の開発のため政府においてできるだけの調査を行うことといたしましたが、このほか新たに母船式「かに」漁業の操業を許可いたしました。又アラフラ海における真珠貝漁業についても日濠間の漁業交渉との関連を十分留意し、統制ある体制の下で行うこととし、本年五月中旬船団の出航を見るに至つたのであります。又マツカーサー・ラインの撤廃及び南支那海トロール漁業の再開に伴いまして、占領中やむを得ず整理されましたいわゆる中間漁区船に対しまして、東支那海、黄海への復帰を許可する方針をとり、一方遠洋「かつお」、「まぐろ」漁業につきましても、逐次段階的に船型の大型化を認めて行く方針をとることといたしまして、これに伴う漁業法の特別措置の法律が本国会の御審議を経て改正をせられましたので、これが運営と目的達成に万全を期して参る所存でおります。
 ところで、御承知のごとく海洋漁業の発展には関係国との間に国際的な問題或いは交渉を伴うものが多いのでありまして、北洋漁業について、すでに日米加三国漁業条約の成立を見ましたのを初め、日濠の間、日韓の間等については目下交渉中であります。政府といたしましては、人類共通の資源である水産資源の保存と開発のため、平等の立場に立つて関係国と協力することについては、率先これを実行する用意を持つている次第であります。なお我が国との間に国交の未だ回復していない諸国につきましては、遺憾ながらお互いの交渉を持つすべがなく、現実の漁業操業に関連して我が漁船の不法拿捕、抑留事件が跡を絶たない実情であります。これらにつきましては、外交的に適当な措置がとられつつあるのでございますけれども、平和なる漁船の保護指導をするため、政府としましては海上保安庁の巡視船と協力いたしまして、農林省の漁業監視船を極力配置いたし、で事故の防止に努めている次第でございます。
 以上概略を申上げまして御理解を得たいと存じます。
#34
○委員長(森崎隆君) 只今農林大臣から水産政策の御発表がありました。これに対しまする御質疑は多々あるかと存じまするが、都合によりまして質疑の点は次回に延期いたしたいと思います。速記を止めて下さい。
   午後三時十九分速記中止
   ―――――・―――――
   午後三時四十九分速記開始
#35
○委員長(森崎隆君) 速記を始めて下さい。本日の委員会はこれで散会いたします。
   午後三時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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