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1953/06/25 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 厚生委員会 第4号
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1953/06/25 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 厚生委員会 第4号

#1
第016回国会 厚生委員会 第4号
昭和二十八年六月二十五日(木曜日)
   午後一時二十五分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     堂森 芳夫君
   理事
           常岡 一郎君
           藤原 道子君
   委員
           榊原  亨君
           中山 壽彦君
           高野 一夫君
           西岡 ハル君
           横山 フク君
           林   了君
           廣瀬 久忠君
           湯山  勇君
           山下 義信君
           有馬 英二君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 山縣 勝見君
  政府委員
   厚生省公衆衛生
   局長      山口 正義君
   厚生省環境衛生
   部長      楠本 正康君
   厚生省薬務局長 高田 正巳君
   厚生省社会局長 安田  巖君
   厚生省児童局長 太宰 博邦君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       草間 弘司君
   常任委員会専門
   員       多田 仁己君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○理容師美容師法の一部を改正する法
 律案(内閣送付)
○社会保障制度に関する調査の件(厚
 生省関係昭和二十八年度予算の件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(堂森芳夫君) それでは只今から委員会を開会いたします。
 本日の日程に追加いたしまして、理容師美容師法の一部を改正する法律案を先に議題といたしますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。
 理容師美容師法の一部を改正する法律案を議題といたします。厚生大臣から提案理由の御説明を願います。
#4
○国務大臣(山縣勝見君) 只今議題となりました理容師美容師法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申上げます。
 本法は、昭和二十二年成立いたしまして以来、理容師美容師の資質の向上と公衆衛生の確保とを理想に再度の改正が行われました。現行法に至り、理容師、美容師の養成は、専ら学校教育の体系において行われるという本来の理想が確立されたのであります。
 然るところ、現行法におきましては、これら養成施設に対する都道府県知事の監督権が明記されていないため、今後いよいよ養成施設の内容の充実を図る必要があるにもかかわらず、ややもすると指導の徹底を期し得ない憾みがあるのであります。よつて、これら養成施設に対する監督権を都道府県知事に附与して、一層これら施設の充実とその円滑なる運営を図る必要があると存じます。
 次に、本年六月三十日限り試験のみによる資格取得の経過的制度がなくなるに当り、今日までに不幸にして試験に不合格となつた者に対して、従来の他の類似の資格試験の例にもならいまして、本年中はなお引き続き受験の資格を認め、これらの人たちを救済する必要があると存ずる次第であります。
 又、法の精神を体しまして施設内容の充実と在学教育の整備とを重視いたす方針でありますことは申すまでもありませんが、ただ養成施設普及の現状から、又家庭の事情等により、如何にしても養成施設の所在地まで笈を負つて勉学することのできない人たちも考えられますので、これらの人々が通学せずにこの養成施設の教育を受け得る新たなる方法を講じまして、卒業者と同等の資格を与え得るような余地を考える必要があると存じます。
 最後に、最近外地引揚者の増加等に伴いまして、旧国民学校高等科卒業者であつても暫定的に養成施設の入学資格を与えることが、引揚未亡人等を救済する上に必要であろうと存じます。
 以上がこの改正案を提出する主なる理由でありますが、何卒慎重御審議め上速かに御可決あらんことをお願いたします。
#5
○委員長(堂森芳夫君) 本法案の審議は次回に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。
  ―――――――――――――
#7
○委員長(堂森芳夫君) 次に社会保障制度に関する調査の一環として、厚生省関係の昭和二十八年度予算の件を議題といたします。厚生行政について厚生大臣に対する質疑をお願いいたします。質問の順序といたしまして、通告の順序によりまして先ず廣瀬委員からお願い申上げたいと思います。
#8
○廣瀬久忠君 私は先ず厚生行政のあり方とも申すべき問題について、当局の御意見を伺いたいと思います。厚生省の予算を拝見しますと、今年の予算は七百億を少し超えた程度であります。総予算が九千七百億、丁度まあ七分程度の予算、一割にも満たないというのが実情であります。私も厚生省には非常に深い関係を持つておつて、従来の関係はよく存じておるのでありまするが、今日の実情において総予算の一割にも満たない予算、これは厚生当局は大蔵当局に対して非常な御努力をなさつた結果ではあつたろうと思いますが、如何にも予算の少いのに実は失望をせざるを得ないのであります。総予算に対して一割にも満たない。そうして厚生行政は申すまでもなく生まれるときから人間の死ぬ所まで約九千万の我が同胞に対する仕事であり、如何にもその貧弱さに驚くのであります。殊に社会保障制度審議会等において一昨昨年からの勧告においても初めより社会保障制度には千二百億の金を投じたらどうかというようなことを勧告しておられる。当時の貨幣価値と今日と比べましたら恐らく千五百億か二千億ぐらい社会保障制度だけに対しても出してもらいたいのでありますが、如何にもどうも七百億では実に情ない。が併しこれは厚生御当局の努力の結果であつてもこれまでしか取れなかつたということは止むを得ませんが、どうか一つもつと大臣においては厚生の仕事の重要性について閣僚に訴えられて、もつと殖やして頂きたいと思うのであります。併し私は厚生省におつた時分から今日までその心持を持つているのでありますが、日本の予算はなかなか戦前においてもそうです、今日でもそうですが、非常に取りにくい。厚生省の予算、文部省の予算というものは実に取りにくい予算であります。従いまして従来厚生省の予算はいつも満足に行つておらん。併し私がお願いするのは、予算は少くても厚生行政のあり方について一つ大臣初めその局に当る人は特別に考えてもらいたい。予算が少いからと諦めるような態度は持つてもらいたくない。本当に厚生行政を地につけて頂きたい。私は厚生行政が金が少いために地につかなくなつたら大変だと、上調子になつたら大変だと思う、是非地につけて頂きたい。即ち厚生行政のあり方を国民と共にということに持つて行つて頂きたい。それには非常な私は当局並びに全国に持つておるその組織活動が非常な熱と愛情を持たなければならん。私は常に言うのでありますが、厚生行政に当つておる人は金のバツクはない、併しいつでも荊棘の道を切開くパイオニアーのような心持で愛情と熱情で国民に接して国民と共に厚生行政を活かしてもらいたいということを言つておるのでありますが、私はそういう考えを以て進んで頂きたいと、こう思うのでありますが、この点について大臣は予算も無論お取り願うんだが、この厚生行政のやり方について非常な親切、非常な努力、こういうものを私は持つてほしいと思う。で、そういうものを持つて進むということについては恐らく厚生当局においても反対はなかろうと思うのでありますが、然らば厚生行政を地につけるにはどこへ力を入れて行くか、こういう問題、厚生省の予算を拝見しますと、もういろいろなものが非常にたくさんある、総花的である。併しこれはみんな結構です、全さえあれば実に結構なんですが、私はこれはなかなか困難だと思う。そこでどこへ力を入れるかということについて、一つどういうところへ主力を置いてやつてみるんだという厚生省の御方針を承わりたい、ここを先ずお伺いいたします。
#9
○国務大臣(山縣勝見君) 只今厚生行政の先輩であられる廣瀬委員から御抱負をかねて御質問を受けましたのでありますが、私も厚生大臣となりまして以来、微力でありまするけれども厚生行政の推進には只今仰せになりました熱意を以て当つて参りましたような次第でありまして、ただ或いは御覧になりますると、予算が只今仰せのようなふうな域にまで達していないかも知れませんけれども、終戦後の日本の社会保障の推進、厚生行政の推進に当つての経過を見ますると、少なくとも昭和二十七年度の補正から昭和二十八年度の予算案の編成に至りますあの期間を契機といたしまして、少なくとも私は結果から御覧になれば、なかなかあの社会保障制度の審議会の答申の通りにも勿論参りませんし、或いはそれを去ること遠いというお考えもあるかも知れませんけれども、少なくとも一歩前進をいたして熱意を持ち続けてと申しますよりも、熱意を更に燃やして厚生行政の推進に当りつつあるということを申上げてよろしいと私は思うのであります。もうすでに御承知のことでありまするから重ねて申上げませんが、社会保障制度審議会の答申には、先般も私が厚生行政を今後担当いたして行く上についての基本的な考え方を申上げました際にも申述べたことでありまするが、社会保障の推進にはおのずから順序と方法とその内容がございまするが、社会保障制度審議会の答申にも、国家の財政との調整均衡ということはやはり常に頭に置いて、その順序と内容と方法を考えにおいて答申をいたしております。その中にもございましたが、先ず以て日本の社会保障の発展、充実という推進に当つては、先ずこの医療、社会保険の面から、勿論その他も社会保障審議会の答申には主として社会保険と国家扶助、公衆衛生、医療機関の整備と社会保障の四つの面がございます、その他ありますが、大体四つの面について答申勧告いたしておりますが、そのうちでも先ず以てこの国家財政の困難なときにおいてはどこに重点を置くかと言えば、先ず以て医療、社会保険の面に重点を置いてやるべきである。而もそのうちにおいては少なくとも予算の面から見れば、国家財政の面から見れば、国民健康保険の給付費に対する国庫負担を先ずやる、これに対しては勿論二割という勧告が出ておりますが、これはできれば二割ということも考えて予算編成においても我々努力いたして参りましたが、何分にも従来給付費に対する国庫負担というものはいたしておりませんし、国家財政の困難な際において先ず以てあの程度で発足をして、そうしてその他国民健康保険にいたしましても単に給付費に対する国庫負担をいたすだけで事終れりではありませんで、保険行政の運営、殊に保険経営の運営についても改善いたすべき点もありますので、両々相待つてその辺の改善を図つて行こう、そういうふうに考えて、二十八年度の予算案にもこの点も相当考慮して二十九億何がしでありますが、予算の内容、質と申します点から言うと、相当劃期的な私は一つのものだと思つております。
 なおこれも先般の委員会において、冒頭に社会保障の推進に対する基本的の考えを申上げましたから、重ねて申上げませんが、やはりこれを中心にして、そして同時に例えば国家補助の面、公衆衛生の面、医療機関の充実整備の面、或いは社会福祉の面、これらの点についてもできる限りの充実を図つて行きたい。その具体的の面といたしましては、例えば国家補助の点においては今回も予算案において生活保護の基準の引上げをいたしておるのであります。なお又、公衆衛生、医療機関の整備等についても、これは予算委員会においても詳細な御説明を担当の者から申上げたと思いますが、いたしておりまするし、なお又社会福祉の面、或いは児童福祉の面におきましても、母子福祉に対する問題等も、これも一応従来すべくしてできなかつた問題でありまするから、こういうふうな点、いろいろ勘案いたしまして、先ほど申したような社会保障制度審議会の答申の勧告を常に尊重しつつ、その線、その順序、その方法等を国家財政の許す範囲において推進いたしたいと、かように根本的においては考えておるのであります。
#10
○廣瀬久忠君 大体社会保障制度殊に国民健康保険を中心に医療方面を主としての御方針、誠に結構だと思います。ただ私も十五年前に国民健康保険を作つた当時、その当時に想いをいたしてみますと、当時は約十カ年のうちに全国各町村に社会保障施設としての国民健康保険を拡げるような計画を持つておつたように記憶いたしておりますが、今日の実情を見ますと、まだ約半数ぐらいにしか及んでおらないというような点があります。これはやはり当時の三十数億を一割五分の補助金を増したということは非常な刺戟であろうと思います。併しながら、まだまだこれでは私は足りないであろうと思いますが、これはもつと一つ全国にこれを普及さして頂きたいということを申上げておきたい。それからもう一つ、私は厚生行政を本当に地につけるについて御考慮願いたいのは、保健所の問題、保健所を、七百幾らありますが、これを私も始終それとはなしに見学をいたしておるのでありますが、これは保健所員に人を得まするとその効果というものは非常に私は大きいと思う。で、国民健康保険と共に私は厚生行政のあり方とし、厚生行政を国民と共にあらしめるということについて、本当に親切に保健所の指導誘掖というものがあるかないかということが非常に重大な問題であると思わせるのです。保健所に対しては、御当局においてはどういうような御方針をとつておられるか、この点をお聞きしたい。
#11
○国務大臣(山縣勝見君) 只今厚生行政の推進をいたして行くについての一つの方法として、保健所のお話がございました。私も全く同感でございます。私も最近地方に視察に参りまして、その保健所というものが順次整備されて行くのを、又保健所というものが国民と共に、大衆と共に保健行政を進めるというお話がございましたが、その面から見て保健所というものがまだまだ遺憾な点はありまするけれども、併し最近急速にこの保健所というものが大衆の中に本当に入り込んで行つて、大衆から非常に親しみを受けてその機能を発揮いたしておることを私も現地で見て非常に愉快に考えておるのでありますが、保健所についてはこれ又社会保障制度審議会の答申にも十万人単位を云々というお話がありましたが、これも政府も本年努力をいたして参つて、大体昨年で十一万ぐらいのところまで来ておりましよう。本年度与算においては御承知の通り、CからB、A級のほうが十カ所、新設二十カ所ということを申しておりますが、これも整備と共に仰せの通り保健所というものが実際の大衆の保健所であるというように活用されなくちやいかん。そのためには都市が、例えば先般も私は名古屋に参り、それからその他の重要都市に参りましたが、そこらの保健所は非常に整備されまして、一般の市民もよく活用いたしておりまするが、地方に参りますると、医師或いは看護婦等の入手、入手と言うと甚だ語弊がありますが、そういう人の採用になかなか困難を来たしておる面もあります。従つてそういうふうな質的の面にも今後力を向けて、只今仰せのように、保健所に対しては大体審議会の答申のボリュームの点からも、将来努力をいたしますと共に、質的にこれらの保健所がもつと活用いたされますように努力いたしたい、かように考えております。
#12
○廣瀬久忠君 大体厚生行政の大体のあり方については、一つ是非予算もどんどんとらなければ駄目でございますが、大臣初め局に当られるかたの国家の現状、殊に非常に国民に困つている人々の多い現状において、非常な熱意と愛情と努力を一つお願いしたいと思います。
 次の問題に私は移りますが、次には人口の調査の審議会をお開きになる、誠に結構に思います。まあ日本の一番大きな問題であると思いますが、戦後の人口の動きというものは非常な、まあ一時激動があつたようであります。最近はやや落着いた態勢になりつつある今日の情勢がだんだんにこれから進んで行くのではないかと思うのでありますが、私はその人口問題の審議会をお開きになるについて、厚生当局は我が国の人口の動きをどんな工合に見通しを持つておられるのかということについて、これは細かい点は大臣でなくても結構でありますが、大体どんな動きをこれからすると見て人口対策を立てられるかということについて、見通しとでも申すものを承わりたい。
#13
○国務大臣(山縣勝見君) 人口問題はお説の通り極めて重要でございまして、この問題を解決するということが日本の将来にも至大の関係を持つておりますので、今回人口問題の総合調査ということで、一応厚生省予算として只今仰せのような予算を要求いたしておりまするが、最近の日本の人口の趨向については、これは又申上げるまでもないことでございますが、大体昨年あたりで百二十五万乃至百三十万、最高百七十五万というのが最高でございますが、最近においては出生も二百万ちよつとであろうと思います。戦後最高二百七十万くらいまで行きましたが、併し一方において受胎調節等の関係もあつて、出生も減りましたが、死亡も減つておる。そういうふうな関係で、最高百七十五万人くらいのものが、昨年は約百二十五万ぐらいでありましよう。或いは百三十万になるかも知れませんが、そういうふうな趨向であります。但しそのうちでいつも問題になりますのは、十五歳乃至五十九歳の生産年齢人口というものが九十万人ぐらい殖える。そういう意味から、日本の産業構造、産業資源、領土、そういうふうな点から甚だ大きな問題であり、一面におきましては、食糧等の関係においても、非常な問題である。でありますから、日本の人口問題の解決は、これは一厚生省の所管としてやるべきことではありませんで、むしろこれは内閣等において総合的に強力な施策を常に実行しますことが適当と考えますが、ただそう理想ばかりも言つておられませんので、一応こちらの従来の所管でありますから、官制上所管になつておりますから、予算を要求して人口問題審議会を設けて、この要点はこれもたびたび申上げたことでありますから重複いたしますが、大体五つに分けて、五つの面から人口問題を解決して行く、一つは生活水準、いかに人口問題を強調しましても生活水準との関係においてよろしきを得なければこれは何もならない。なお一方において、産業構造というものについて人口問題を検討して行きたい。一方においては資源の活用、発見、そういう面から人口問題を解決して行こう、さらにまたこの点については厚生省の関係でありまするが、いわゆる優生保護、受胎調節、そういうような消極的な面から人口問題を解決して行こう。それらのいろいろな面から総合的にこの人口問題を解決して、そうしてその審議会の答申をできるだけ早く政府の施策或いは国民的な動きとして解決して行く、こういう意味で今回の予算を計上しているのであります。なお又この問題につきましては主として今後の食生活との関係もありますが、それらの詳細につきましては又他の御質問の際に申上げますが、食糧問題との関連においてもこの人口問題は大事でありますから、至急に何らかの具体策を確立して、そうしてその実施を強力にいたしたいという考えをもつているのであります。
#14
○廣瀬久忠君 大臣の大体のお考えはわかりましたが、なお伺いたいのは、この審議会に対して今の生活水準の維持とか産業構造の問題或いは資源関係の問題というような点から審議を希望するということであるように伺うのでありますが、この人口問題の審議会の予算をここへお出しになるにつきましては、こういう点とこういう点とこういう点に触れて、というようなことで、もつと具体的なものを事務当局はお持ちになつているか、お持ちになつているならばここですぐ説明を伺うか、或いはあとで資料を頂いてもいいのですが、その点を伺わさせて頂きたい。
#15
○国務大臣(山縣勝見君) 人口問題につきましては今更審議会に諮つて初めて日本の人口問題がどういうものであるかということを承知いたすほど調査が不十分ではありませんので、これは人口問題調査会というのが従来もありますし、そこにおいても相当研究調査いたしてその結論も出ておりますから、それらの答申案的な調査のものもありますから、後ほどお手許まで差上げます。大体そういうふうな調査はありますけれども、現実に一つの施策として、それを国の強力な行政として押出すためには、もう少し掘下げて、もう少し強力な、もう少し適宜なものを出したいということでございまして、日本の人口の趨勢、或いは又産業構造との関係、或いは食糧問題との関係につきましては、一応各省におきましても、なお又厚生省におきましても、適当の機関において調査いたしております。詳細につきましてはお手許まで資料を差上げます。
#16
○廣瀬久忠君 大体今まで調査したところを権威づけるということに重きをおかれているので結構だろうと思います。私はこの人口問題につきまして実はもう小し厚生省の力が政府に及んでいなくちやならない、政治の上に及んでいなくちやならないということを思うのでありますが、例えて申しますと、今度の総理の演説にしても或いは大蔵大臣の演説にしても、或いは経審長官の演説にしても、すべて人口問題というものについて一言も触れてない、こういうことは私は非常に残念に思う。人口問題がすべての問題の根本であることはこれは明瞭で誰でもわかつている、わかつているのでありますが、併しながら政治の上に人口問題の重要性を表わしておくということは内政の上において必要なるのみならず、外政に対しても私は非常に重要な問題だと思うのであります。例えて見ますと、移民の問題のごときはその一つでありましようが、私は移民に多くの期待は持ちませんが、併しながら移民の問題よりも外交の問題として人口問題が国外の貿易の自由、資源の獲得、市場の獲得ということについて諸外国の態度如何、即ちそれが我が国の産業構造を左右する貿易問題の非常に重要点である、こういう問題についても私は厚生当局からもつとこの政治の上に、総理の演説とか、或いは大蔵その他産栗関係の諸大臣の演説等にこういう問題がはつきりと打出されることを切望して止まんものであります。どうもこの問題が余り大きいものですからとかくちよつと外れてしまう。併しこれは外れるということが私は内政の上から言つても、外政の上から言つても非常に残念だと思います。日本で世界に訴えるべき問題の最も大きな問題の一つは我が国の人口問題であろう、どうかこの問題については審議会を開いて生活水準の問題、資源、産業構造等の問題について十分に国策を立てられる材料になさろうという御方針であろうと思います。是非一つこの審議会は単に現状を調べる、或いは将来の推移を調べるというだけでなしにこの資料によつて内政の国策の本を作る、外交の国策の本を作る、本当に世界に訴える根本をこれで作つて頂きたい。従つて調査会は単純の調査会であつては甚だ残念であると私は思います。どうかこれについての政治力を附与することについて大臣の格別の御考慮を願いたいと思います。これはこの程度にいたしまして、余り時間を一人で取るのも申訳ありませんから次に移りますが、次に我が国の食糧問題、この問題と栄養問題、これについて私は常に言つておるのでありますが、厚生省は栄養問題の研究をする、栄養の改善をする、国民の体育に資することは非常に結構でありますが、同時に是非一つ我が国の食糧問題の解決は農林省だけではできない、米のみに頼るというような非常に強い傾向がある、まあ政府は二千万石毎年足らん、そのほかに毎年二百万石以上も足らなくなる、人口の増加等のために足らなくなる、で五ケ年計画千七百万石の増産計画を立てて今年も四百数十億の予算を出しているようであります。千七百万石増産をするということを言つている、併しこれは今日のところ農村の実情を見て見るとなかなか大変なことである、私は是非一つ栄養問題から日本の食糧問題解決について厚生省としては農林省と協力してこの面に一つ御活動を願いたい。で、この面についてはどういうふうに厚生省はお考えであられるのか、この点も一つ伺つてみたい。
#17
○国務大臣(山縣勝見君) 人口問題に関連して先ほども申上げましたが、国民栄養の問題、従つてこれは将来の食生活の改善の問題にも関係がございまするが、先ほど申述べました通り日本の人口問題の解決にはいろいろございますけれども、その一つの大きな問題にいわゆる食生活の改善であり、同時に栄養ということを勘案した食生活の改善でなければならない、そういう点と日本のいわゆる食糧の増産という点から見まして、問題は二つの面があると思うのであります。日本の食糧の解決という点から言えば一応量の問題がありまするが、やはり厚生省の所管というわけではありませんが、将来日本の国民栄養という点から見ますると、単に量がありましても栄養という点から改善されなくちやいかん、そうなつて参りますと、只今仰せの将来の国民栄養の問題につきまして先ず考えられますることは、只今お話の通り今米麦偏重、殊に米偏重の日本の食糧、これではむしろ脂肪分が足らないのでありますから、一時よく言われました米麦を三割減らす、そうして云々という話も出ておりますが、これらについてもかねて厚生省といたしましてはたしか昭和二十一年でございましたか二十二年でございましたか、栄養審議会において作成いたしましたあの日本の栄養の目標、その内容とする食糧の構成、こういうような問題に対して、常に頭に置きつつ日本の栄養の改善等に対しても農林省とも連絡をして善処いたして参つておるのであります。勿論あの栄養審議会の答申はたしか二千百五十カロリーだと思つておりますが、これではもう少し足りません。もう少し足りませんけれども、大体今後これらの点に対しても施策を構じてできるだけこの目標に達成をするように、殊に又日本の食糧問題の解決から、例えば米を三割減らすということになりますると、大体これは数字はすでに御承知のことで申上げることもありませんけれども、米麦三割減らしますると、米でたしか三百五十グラム、麦が百四十五グラム、それの三割ですから、これを脂肪に換算いたしますと五十グラムちよつとでありますが、これを脂肪に換算するというか、脂肪に換えて、そうして良質な、而も低廉な動物性の脂肪その他を摂取するというようなほうに持つて行く、それについても実は従来数字的にも厚生省で出しまして、例えば人造バターの問題であるとか、或いはその他牛乳を摂取するとかいろいろな案を立てて、農林省とも折衝をして具体的に研究をいたしておりまするが、問題はそういうような問題が如何に研究されましても、これを強力に国策として推進するということでありますので、これはたびたびこの問題は農林省とも話をして協力して、今後の日本の食生活の改善という問題は、ただ単に厚生省の所管とか農林省の所管にあらずして、日本の今後の大きな問題でありますから、日本の生活改善という大きな見地からこの問題を解決して行きたい、同時に日本の食糧問題の解決なり、延いては人口問題の解決にもなりますので、仰せの通りこの問題につきましては技術的にも又政治的にも強力に今後推進いたしたいという決意を持つておるのであります。
#18
○廣瀬久忠君 是非一つ、人口問題にいたしましても栄養問題にいたしましても、非常に厚生省の重大な問題、遺憾ながら今までなかなか厚生省の政治力がよく及ばなかつた、是非一つこの問題を特別に考えて頂きたいと思います。
 それから次に私は国立公園の問題についてお伺いしたいのであります。国立公園のことは非常にもう古くから言われておるが、いつもこれは、又予算が非常に困難な問題で、金がかかる。併しこれを金が足らない足らないで長く放つておきますと、よほど気を付けないと国立公園が却つて悪くなる、スポイルされる虞れがある。私は是非一つこの日本の自然美の保存ということについて、政府予算は十分とれなくても、民間運動として本当に自然を愛する、自然を敬するというような態度を国民の間に盛り上げるようなことを考えなければいかん。その点について厚生当局はいろいろな協会その他を作つていろいろやつおられるようでありますが、本年度の予算も多少は殖えていますけれども非常に少い。それで予算の面からでは到底満足な仕事はできない、どうか一つこの問題について今までもこういう方法をやつておる、つまり自然美の尊重、愛護、これらについてどういうような態度で進んで来たか、又これから進む方針であるかというようなことについてお伺いをいたしたい。
#19
○国務大臣(山縣勝見君) 国立公園の問題につきましては全く御同感でありまして、資源の少い日本であり、殊に対外収支におきましても今まで幸いにして千億ぐらいの特需がございましたけれども、これも一時的なものであつて、漸次減つておりますし、やはり日本の経済というものの何と言いますか、確固とした基盤を築くためにも、どうしても対外収支というものを考えなければならん。そういう点からも外国の観光客に対して国立公園というものを整備する必要があるのであります。その上に厚生省としては一般国民の体位の向上或いはリクリエーシヨンというような点からも国立公園の整備は重点的に考えなければいかんのであります。ただ悲しいかな従来の予算的な措置が御承知の通り極めて微々たるものでありまして、従来の千万円、二千万円を以ていたしましては現在十七ほど国立公園があり、その他に十九でありましたか指定公園があり、又自然公園等もあるが、一般の国民の要望にも応えられませんし、なお又一般の外国観光客に対しても満足を与えられない。殊に外国においては大体私の承知いたしておるところでは多くの外国においてはおよそ国際収支の一割五分から二割ぐらい或いはそれ以上の大体構成を占めております。日本はわずか数億で、精々三分か四分ぐらいのところであります。日本としてはどうしても資源の少ないところでありますから、こういうような面においても外貨の獲得という面をも兼ねて国民の体位の向上という点からもこれをしなければならんし、従来予算がなかなかもらえなかつたというので、実はこの問題に対しては非常に苦慮して参つたのでありますが、昭和二十八年度の予算案においてはこれは大蔵省としては恐らく相当と言いまするか、余程奮発したつもりで五千万円を一応予算折衝では出してくまして、五千万円の予算を計上いたしてあります。併しこれでは足りません。大体我々が考えておるのは五カ年計画を立てて、およそ百三、四十億の予算で例えば国立公園を指定いたしましてもそこの施設も足りないし道路もなかなか完全でありません。なお又日本人が、内地の人がリクリエーシヨンに参りましてもちよつとした腰掛もない、或いは休む所がないというようなことでは到底これでは目的を達成することはできないから、そういうようなものをし、或いは外人を誘致するには先ず以てホテルでありますが、このホテルの建設、なお又一番問題は道路でありますが、これは建設省とも話合いをして、道路網の整備、殊に昨年から問題になつておりまする有料道路等の方法によつて道路を整備する、こういうふうに両々相待つて国立公園の整備を図つて行く。一方においてはこれらの自然美の保持とか何とかということもやつて行きたい。かたがたいろいろ考えることばかりでありますが、仰せの通り非常に重要な問題でありますから、今後ともこの問題に対しましてはこれは超党派的に要望されておる問題でもありまするし、厚生省といたしましても、運輸省その他と連繋を取つて、強力に推進いたしたいと考えておる次第であります。
#20
○廣瀬久忠君 国立公園についてのお話、誠に結構でありますが、なお一つ御努力を願います。
 それからこの問題について、富士の八合目以上を一神社に払下げる云々という問題があたことがありますが、私は国立公園を本当に国民全体が愛するというような建前、並びに富士というものが日本の一つのシンボルである、而も自然美の実に偉大なる代表的なものであるというような面から見て、これを一神社に富士の八合目以上を払下げるというようなことは、国民感情にも合わん、それから富士国立公園の中心である冨士の最も大切な頂上を神社に払下げるということは私は誠に遺憾に思うのでありますが、その後こういうことは一度立ち消えになつたような形になつておりますが、これに対して、厚生省の国立公園の委員会においては、これは是非国有として、国立公園として厚生省が所管する、国有にしておきたいということを、国立公園の審議会は意見を発表しておるのであります。この問題については無論そういう考えで厚生大臣はお進みになると思うのでありますが、その点についてお伺いしたい。
#21
○国務大臣(山縣勝見君) この富士山頂の浅間神社に払下の問題でありまするが、これは先年来非常な問題になりまして、殊に地元のほうで、例えば静岡県のほうは払下を希望されるし、廣瀬先生の御郷里のほうは反対というようなことで、なおこれは単にそういう地域的の問題を離れて、国民一般の問題として論議をされて参つた問題であります。厚生省といたしましても、国立公園、而もこれが公共福祉用財産としての意味、立場、そういう点からも問題を重視いたしまして、善処いたして参つたのであります。御承知の通り昭和二十六年に、厚生大臣からは、これは公共福祉用財産として、これはそういう払下をすべきでないということを申入れてあります。但し御承知の、この境内地の処分の中央審査会において、これは大蔵大臣の所管でありまするが、これは一応そういうふうな必要なものを除いては払下げるべきであるというふうなことで答申をいたしておりまして、大蔵大臣といたしては官制上と言いまするか、そういうふうな点から申せば、この中央審査会の意向を汲んで、或いはそれを参考にして大蔵大臣が決定いたすことになつておりまするが、厚生省としては、国立公園の維持整備、福祉用財産としての国立公園というものの維持保存の見地から、これに対しましては厳重にかねて申入れをいたしておりまして、なお又今年のたしか三月でございましたか、只今仰せの国立公園の審議会においても、厚生省の主張をして参つた点と同じような答申をいたしておるのであります。この点は或いはたびたび閣議でも私は主張をいたしまして、これはどうしてもやはり富士山というものに対する日本国民としての感情という点、或いは又単にこの国立公園の整備というふうな小さな問題だけじやなくして、富士山というものに対する日本国民としての感情、考え、こういうものはやはり尊重すべきである。従つてこれに対してできる限り、国民全体の富士山であつて、一地元の富士山でないという考え方で私どもは行きたいということで参つて、大体閣議においても、前大蔵大臣も大体了承いたしておりまして、まだ未決定になつておりますが、大体まあそういうふうな空気で来ております。で、御承知でありましようが、八合目以上を払下げてくれというのは、いわゆるこの浅間神社からの申入れであることは御承知の通り、そういたしますと百二十万坪くらいになるのを五万坪くらいはすでに払下げております。これは金明水等を中心にして、浅間神社に固有のものでありますから、これは払下げてある。で、あと、いわゆる中央審査会が公益上必要のあるものを除いてという、その公益上必要のあるものは十二、三万坪になりまするから、厚生省といたしましては、私ども富士山というものに対する只今申上げましたような趣旨によつて、慎重に考えなくちやいかんのであるから、従来の方針を今後とも進めたい、かように考えております。
#22
○廣瀬久忠君 誠に有難うございます。是非とも国立公園というだけの見地でなく、日本国民の国民感情という事柄が一番中心でありますが、大臣の今の仰せのような態度でお進み願いたいと思います。
 誠に皆さんに長くなりまして、失礼でございますが、もう一日だけ許して頂きたい。それは大体私は厚生省の仕事が政治的に十分活用されてないということを先ほどしばしば申すのでありますが、大臣初め皆さん方、是非厚生省の仕事を本当に生かして頂きたい。それについて私はこれはやはり重大な問題でありますが、今MSAの問題、非常にやかましい問題、あれは結局どうなることか知りませんが、我が国の自衛力というものを増すということで、あれを我が国において受入れるということであるならば、私は我が国の自衛力の根本は、武器や船ばかりじやないのだ、そんなことよりも、本当に国民の生活安定でなければいかん、本当に厚生行政の徹底でなければいかん、これは私はできることかできないことか知りませんが、大臣としてはぜひ一つMSAの問題などについては、アメリカはその人道主義に基いて日本の厚生行政のために力を入れるのがアメリカ本来の私は面目でもある、この点はぜひ一つ、MSA問題のやかましいとき、本当に国防力を増し、自衛力を増すならば、国民生活安定の見地より、俺のほうに寄こせというくらいの、政治力の発揮を切望いたしまして、お答えは要りません。私の質問を終ります。
#23
○委員長(堂森芳夫君) では申込順によりまして、山下委員の発言を許します。
#24
○山下義信君 私は昭和二十八年度の予算そのものは、これはもう前国会でも御説明を受けましたし、いたしましましたので、この予算そのものについては今日は伺いません。今から二十八年度の予算について論議する時期でもないと思いますので、それよりか、先般この予算についての大臣の御説明を聞いておりますというと、これは御説明でありまして、又いろいろと述べになりましたが、一言いたしますれば、結局厚生省の日常の業務を御披露なすつた程度としか私は聞き取れない。それで今前委員の質問にお答えになりました、社会保障制度を推進して行く上におきまして、もとよりこの社会保障制度ということの概念につきましては、お互いにこれはニユアンスも違いますから、一定の定義の下に話を進めて行くというわけには参りません。これは討論して行かなけばなりませんから、これは省略いたしますが、一応あなたのほうの党の建前から、大臣がしはしば御答弁になります我が国の国力に相応した程度でやつて行くんだという、程度の違いはあるけれども、我が国の社会保障制度の強化というか、我我のほうで言えば確立というその方向へ、一歩前進して行こうということにおいては、自体異存がないのです。殊に現下の政局におきましては、これは人の党のことを要らんお世話でございますが、あなたのほうは多数党内閣ではない。今度は少数党内閣である。従つてあなたの抱負経輪を行おうとすれば政局の安定、内閣の安定を求めなければならん。まあ改進党あたりとなかなか御苦心のところでしよう。改進党は社会保障制度を非常に大きな題目に掲げておる。やがてこの国会を通じてでもこの社会保障制度について、あなたのほうのいわゆる今の内閣と改進党とがどういう政策の話合いがついているかということは、予算を通じて天下の注目するところです。一つの政局の山です。予算案中の名所でもあるが山なんです。それで自由党では社会保障制度については一向無関心でございますということでは通らないと思うのですが、要するところこの制度の前進、強化確立へ一歩進めて行く上におきましては、我々と五十歩百歩だと思う。従つて私が承わりたいと思うことは、私は大臣の持つておられる今後の御方針を、厚生省の持つておる今後のプログラムを、それを私は承わりたい。今の委員の質疑に対しましては、おのずから順序と内容と方法とがあるとおつしやつた。その順序と内容と方法について承わりたいのです実は。こういう質問は前から聞きたいと思つておつたんでありますが、その時期が誠に機会が乏しかつたんでありますが、実は今日はじつくり一つ聞きたい。あなたの肚の底を叩き出して聞きたいのでありますが、遺憾ながら時間がない。それでそういうプログラムが、今後についての御計画があるかないかということだけ私は承つておきたいと思う。
 それで非常に時間がないので、先ほどから聞いていると答弁が過剰である。あんまり厚生大臣の博識振りが多過ぎて、私は興味深く実は聞いておつた。同僚委員の質疑振りを批評するのではないが、もとの厚生大臣と現職の厚生大臣の質疑応答を非常に興味深く聞いておつたのです。十数年間の時の流れが隔つておるこの質疑応答を興味深く聞いておつたのですが、実はこの質問と応答には失望した。私はこの質疑応答で得るものはなかつた。大臣の博識振り、現職大臣の博識振りを発揮したが、遺憾ながら答弁過剰です。私は実は前国会におきましては、この二十八年度予算についてのあなたの御功績について讃辞を呈した一人です。今日は讃辞は呈しません。でありまするから、以後私のお尋ねする今後の、まあ裏を返せば厚生行政を進めて行くところのプログラムというものを持つているか、持つていないか、厚生省にあるのかないのかということです。それだけ私は一つ承わりたい。ちよつとでよろしうございますから。イエス、ノーでよろしいですが、あるならある、ないならない、あるとおつしやるならば出してみろとは言いませんから。(笑声)
#25
○国務大臣(山縣勝見君) 山下委員なかなか難問をお出しになつて、あるとも言えませんし、ないとも申上げられないのです。社会保障制度審議会の勧告というものは、日本の社会保障の推進には一応権威のあるものとして我々も尊重いたして参つております。あの社会保障もここであるとかないとかということは、これは比較的の問題でありまして、絶対的にあるともないとも私は言いかねると思うのであります。でありますから、少し過剰になるかも知れませんが、そのあるとも言えないし、ないとも言えないということの説明だけはさせて頂きたいと思うのであります。社会保障制度審議会は、先ほど申しましたように、主として四つの面にあると思います。それで、今後どういうふうにやつて行くかということは、例えば社会保険の面につきましては、一つ給付金に対する国庫負担の問題が主たるものだと思います。勿論いろんな社会保険の新たなる創設もありましようけれども、主として給付金の国庫負担ということを中心としたものであります。そうしますとそのうちで、今後昭和二十八年度に対して一割五分の国庫負担を予算で提出しておる。これを二割にするかどうかということは、これは今何とも言いかねる問題でありましようから。なお又その他の社会保険に対する国庫負担の問題等も、これは審議会の答申にもありました通りに、やはり全体の国家予算との関連ということもありましようし、でありますから、これを今、勿論我々といたしましては、仰せの通り日本の社会保障制度というものは推進して行きたいというこれは考えを持つている。それではこの考えをどのように、来年度の予算で一割五分になるか、或いはその他の腹案ではどうなるかということは、そうしたい気持は持つておりますけれども、それを幾らにするかということは言いかねると思います。例えば、国家保障の問題なり、社会保障の生活保護の問題については、これは将来の物価との問題とも関連がありますから、これに対しては、それに準じて、或いは現在そのスライドにも達しないものもありましようから、こういうものもできるだけ基準を上げて行きたいという考えは持つております。それから医療機関も保健所もああいうふうな方針で行きたい。福祉事務所も同じような基準で示されておりますからそういうふうに行きたい。社会福祉の問題については例えば母子対策、いろいろな面でやつて行きたいという考えを持つております。そういう考えを持つているという点においてはやはり我々は或る程度の見通しと或る程度の考えを持つて進んでおりますが、それをコンクリートにするについては、やはり全体の予算の構成ということも考えなければならない。そういう意味で、折角の御質問に対して甚だどちらともつかんような御答弁になりますが、何とかして今後も推進はいたして行きたい。それに対しては、一定の社会保障制度というもののいわゆる構造は示されておりますから、その構造に従つて、先ほど申したような順序に従つて進めて行きたい、かように考えておりますが、その意味においてはある。併しそれをどの規模においてということは、今後の国家予算との規模とも睨み合せて、どれを優先的にやつて行くか、どの程度やつて行くかということは、その他ともかみ合せてやつて行きたいということで、かように考えておりますが、甚だ冗長になりまして恐縮ですが、そういう意味で考えております。イエスかノーという簡単な御答弁をしませんで甚だ恐縮でありますが、そのように考えております。
#26
○山下義信君 私は審議会の勧告を何も憲法のごとくに考える必要はないと思う。権威は持つて頂かなければなりませんが、私どもも勧告の起草者の一人で、ここにいる中山君もそれから高野君も当時の起草委員でありまして、あの勧告についてはそれは権威を持つて頂くことを認めなければなりませんが、これは飽くまでも一字一句金科玉条のように、憲法のように考える必要はない。それで十分御尊重下さつて、厚生省はまあ日本の社会保障制度の前進についてこれはプログラムがあると思う。勧告があつてすでに二年春半、もうそれがあると思う。その当時まあ間に合せにお座なりに書いたり、考えたりしたものがあるかないか知らんが、私はあなたが御就任以来、去年の十月に惠任の厚生大臣におなりになつてから直ぐ二十八年度の予算ですから、これは直ぐ求めるのは無理なんです。国保の補助と未亡人の福祉の貸付資金を差込んでくれて我々は多とした。本当にまあ一つおだて上げて言えば、山縣厚生のあり方はこれからなんです。二十九年度の予算で実は力量、手腕は拝見しなければならない。それで若し二十九年度の予算に際しても何にも出て来んということになれば、我我不信任案を上程しなければならん。てれでこれからでありますから、十分一つ厚生省のプログラムを持つて頂かばければならん。厚生省のプランはしつかりした、我々が感嘆措くあたわざるような、一つの厚生行政の目標をしつかり持つての計画というものが、私は今まで曾つて見当らないのです。各局々はそれぞれの予算を御要求なさり、当座々々のいろんなお考えがありましても、総合的に社会保障制度の確立を目指しての厚生省自体の打つて一丸となつてぶつかつて行く一つのプログラムがないことを私は遺憾とする。この際一つ、あるかないか知らんが、あるような、ないようなお話でありましたが、是非大臣がこれから、これはこの前にも私はかように希望申上げておいたのですが、申上げておいたと思うのですが、それで先のことが聞きたい。それで今の二十八年度の予算なんというのは今頃お話しているのはこれはおかしい。これは仕方がない、解散なんかがあつたからこうしているのです。今から二十八年度の予算はしようがないから、これからのことを少し承わりたい。もう一、二カ月すれば来年度の二十九年度の予算に取掛らなければならない。そういうような前提で厚生大臣の御抱負を承わりたいというのが私の質問であります。例えば国民健康保険のですね、今先の一委員が質問したのは、これを強制設置に進めて行く考えがあるかないか、これはイエスかノーでよろしうございます。
#27
○国務大臣(山縣勝見君) 只今のところは国民健康保険を強制設置する考えは持つておりません。
#28
○山下義信君 ない。それから国民健康保険の内容ですね、これを聞きますが、健康保険並みに一つこれを上げて行くという考えがあるかどうか。
#29
○国務大臣(山縣勝見君) 今後更にそれを目標にして努力いたしたいと考えております。
#30
○山下義信君 もう一つ承わりたいのは、今国保の補助についても一割五分や二割はいいのだというようなことでありましたが、それは多いほうがいいのでありまするが、これは他の医療保険にも国家の補助をこれを一つやつて行かなきやならんというお考えがあるかどうか承わりたい。
#31
○国務大臣(山縣勝見君) その点につきましては先ほど申上げました通り、日本の国民医療という見地からできればさようにいたしたいと考えておりまするが、問題は国家財政との調整の問題がございますから、目標としてはさように考えております。
#32
○山下義信君 日雇労務の保険に国家の補助ということをお考えになられなかつた理由はどういう理由ですか。
#33
○国務大臣(山縣勝見君) 国家財政との関係であります。
#34
○山下義信君 それでは一定の御方針がある、お考えがあるとは言えないのであつて、財政の方針によつては或るものにはこういう方針をとり、或るものにはこういう方針をとる。同じ保険制度であつても考えが、方針がきまつておらんということになる。批評はいたしません。それでそういう感じを受取るのであります。御努力になる考えがあるかないかということを私は聞きたいのでありますが、それでは厚生年金保険の全面的改正案をなぜこの国会にお出しになりませんか。或いはお出しになるお考えがありますかどうか。
#35
○国務大臣(山縣勝見君) この問題につきましてはかねて経過等御承知の通りでありまして、一応今回は一部改正を提案いたしております。全面的な改正につきましてはなお労使双方の意向も聞いておりませんし、なお又その他審議会等の答申等も勘案いたさなければならん点もありますから、本国会には間に合いませんので、本国会には提出いたしておりません。
#36
○山下義信君 それでは厚生年金の積立金ですね、これは長い間の懸案なんですが、一つこれを還元融資と言いますか、又同時に僅か二十億、十億でなしに根本的に一つ、それから同時にこの厚生年金の積立金の運用を一つ厚生大臣が相当口を入れて、理想から言えば厚生省の所管にしてもらいたいと思うのであります。厚生大臣で以て相当にこの運用について考慮するという方向へ解決をして頂くというお考えがありますかどうか。
#37
○国務大臣(山縣勝見君) その点は全く御同感に考えるのであります。ただいろいろな点もございまして、今直ちに厚生年金積立金を厚生省の所管においてこれを運用するということには参りません。従つて今のお話のような方針にできるだけ副い得るようなふうに還元融資を増額いたすとかというふうに努力をいたす。なお又その運用等につきましても厚生省の考え方ができるだけ通じまするように今後努力いたしたいと考えております。
#38
○山下義信君 二、三伺つて見ると大体わかる。もう一つそれから社会福祉関係でですね、この福祉資金の貸付け、この間やりました、この予算を御努力願つたのですが、今後母子福祉の施策の上にもつともつと積極的にやろうというお考えがありますかどうかという、その辺の一つ御抱負を承わりたい。
#39
○国務大臣(山縣勝見君) 母子福祉の点につきましては、只今主として更生資金、教育資金或いは専売店の許可等についてでありまするが、これは勿論単にあの母子福祉の貸付け等の法律だけでなくして、保育所、母子寮等の関係もありますから、社会福祉の面におきましてはこの点に相当重点を置いて従来もやつて来ておりますが、今後とも例えば更生資金の枠或いは限度或いは貸付けの方法等につきましては今後ともなお更に努力いたしたいと考えております。
#40
○山下義信君 公的補助の関係を中心にいたしまして、児童福祉その他身体障害者等の福祉関係の諸施策を総合しての考え方としまして、私どもの考えではこれからの行き方ですね、福祉行政の行き方というものにつきましては一方においては救貧的施策を徹底的にやらなきやならんような事態が或いは発生するかも知らんが、そういうことも考えられますが、私は今後主力を注いでやらなきやならんことは防貧的な方面じやないかということを私は痛感するのです。それで昭和二十八年度予算にそういう点はその片鱗が窺えるように思いますが、この社会福祉の施策の上におきまして、この防貧的諸施策についてはどういうお考えを持つておられるかということを承わりたい。
#41
○国務大臣(山縣勝見君) 全く御同感でありまして、例えば国家補助の点に社会保障の重点をおきますると、これは丁度病人が注射をすれば治るのが瀕死の重病人になるのと同じでありまして、防貧的の面だけに重点をおいた国補として救うよりもその効果が大である、かように思います。その意味においていわゆる社会福祉の面に重点をおくことが必要である。未亡人にいたしましても、あの貸付け法案によつてあたら転落の一歩手前で防いでおるというような面もありますから、医療厚、生、これは児童もそうでありますが、児童の面におきましても、或いは母子対策につきましても、或いはその他の扶養者にいたしましても、その他の各般の面において医療厚生、福祉厚生の面、例えば授産とか或いは厚生施設、そういうふうなものについて相当重点的にいたしたいと、かように考えております。
#42
○山下義信君 私はこの衛生関係のことは素人でございますので、間違つた質問をいたすかも知れませんが、昨年末やりましたこの国立病院の移譲です。これは私は全く政府の失敗であると思うのです。それでまあ、大臣があなたのときでしたかな、あなたのときじやない、それで前の人のときでありましたが、あの国立病院の移譲ということを断行したことは、私は失敗だと思う。でありますが、この後始末ということについて、どうやりますか。残つた国立病院というものをどういうふうにやろうというお考えを持つておりますか。これを一つ大体の御方針を承わりたい。
#43
○国務大臣(山縣勝見君) 国立病院の地方移譲の問題は、私も実は頭を痛めておる問題の一つでありまして、最近地方に参りますれば必ず国立病院を私は視察をいたすことにいたしておりますが、何分にも地方の国立病院というものは、大体明治年間にできた陸軍病院を転換をいたしたものであつて、施設にいたしましてもいろいろな点においても、職員の諸君は一生懸命やつておりますが、なかなか施設の面等について遺憾の点が多く、従つてそれらを地方の府県においても移譲を余り喜ばないということもあります。といつて、国の医療機関の体系から申し、或いは少くとも国立病院として整備した医療機関を以てやつて行くという方針から言いますと、このままに放つて置くわけには行かんのみならず、当初我我が考えましたときには、或いは財政の問題等もございましたと思いますが、そういうような問題があつて、ああいうような方針が確立されたもので、大体現在は多分七月にもたしか三カ所でしたか、大体八十カ所ほど残つておりますが、少し数字が違つているかも知れませんが、これをどうするかというふうな問題がございまして、そのうち転換しないものもありますし、相当のものはまだ転換すべくして転換ができないものもありますが、これは今後の推移を見て善処いたしたいと実は私も考えているのであります。少くとも無理に府県に移譲して、そうして折角の病院というものが、地方としては大事な病院でありますから、厄介物扱いにするようなことはいたしたくない、まあ今後の推移を見て善処いたしたいと考えております。
#44
○山下義信君 私はこの厚生省の持つている国立関係の病院の施設ですね。病院、療養所その他施設の医療関係の職員、従業員の待遇の改善、或いは又定員の充足というような問題は、けだしこれは非常に大きな問題だと思う。そういうことに絡んで長い間ごたごた懸案になつているものがあると思う。これを一つ根本的に御検討下さつて、非常に明るい解決をやつて頂きたい。それで待遇の改善、定員の充足、国立の療養所らしく、国立の病院らしく一つ国立の療養施設のあり方として、私は今のような程度のことでうやむやでやつて行くというようなことをこの従業員に強いておくということは私は憂慮に堪えないと思う。国立だけに率先してそういう点について抜本塞源的な一つ御解決が願いたいと思いますが、大臣の御所見は如何でしようか。
#45
○国務大臣(山縣勝見君) この国立病院として少くともある以上その整備等に対して、或いは従業員の諸君の点について考慮を要するという点は私も全く同感であります。先ほど申しました通り、実際に現地の国立病院を視察いたしますると非常に遺憾の点も多い。まあ主としてこれ又たびたび申上げるようですが、国家財政のことばかり申上げるようでありますけれども、それさえ整いますれば何とかして医療機関の整備ということは相当力を入れてやるべきだということを私はいつも現地に行きますと痛感いたすのであります。なかなか困難なむずかしい問題でありまするが、私も折角研究いたし努力いたしたいと考えております。
#46
○山下義信君 私は結核対策ですね、これは素人なんで、お隣に大家がいるので、そういう質問をするのは自己判断になる面があるが、これは百二十数億を投じてこの両三年この方やつている。それでこの結核対策を素人が聞くと、私はこの前にBCGの問題で橋本元厚相が問題を巻き起したあの行き方が、国会又は社会からの批判があり、非常に行き方がまずかつた。併しながら心情は一部多とするものがなきにしもあらずです。それでよくわからん。私ども法律は、結核予防法、予算はわかる。よくわからんというのはこの結核対策を百数十億を投じてやつた、これを国策としてやつたという、厚生省の御自慢としてやつたという、それですぐに、ものの一年も経たんうちに、一年か或いは短時日のうちに非常に死亡率が減つたと宣伝した。そうしてこの対策の結果として結核で死ぬ者がなくなつたと、こう非常に減つたといつてこの対策の効果一〇〇%を先ず政府は内外に向つて宣伝した。私ども素人の考えでは死ぬる者が減るよりは病人が減つて来なければならない。又その病人のできること、素人でわかりませんが、新らしい感染者というか、発病者というか、そういう者が非常に減少して来る、病人が減つて来るということでなければ、死ぬる者が減るということでなしに病人が減つて来るということにこの結核対策の効果が出て来なければならん。その病人が減つたということを聞かないのですね。この対策をやつた結果、日本の結核の患者が減つたということを聞かないのです。何でも今度実態調査をやるという、それで実態調査をいつやつても、三年目にやつても、五年目にやつても結構ですから、もう一部のところは実施をし終つたのだが、その一部のところをやつて見ると病人が非常に多いのです。それでこの調子ならば全国で四百万の患者がいるだろうと共同通信か何か、政府の材料が出ているのか言つているのですね。それでかれこれのことを申上げますが、突込んで五日で申上げますが、一体この結核対策はどこまでやろうとするのか。どういうところまでずつと五年も十年も続けて行くか。この分だけはどこまでやろうとするのかということを確信のある、この大きな百数十億を投じて、今日は予算委員会ではないから、わしは金のことは言わないが、厚生省の大方策として結核対策の大方針をここで大臣がお示しを願いたい。同時に附けたりのことでありますが、この結核対策を一皮むいて見るというと、私はこの対策に素人ですよ。素人だが感ずるのに厚生省自体に自主性が薄いような気がする。これは言い過ぎか知らんが、そうして何するのでも他力本願、私はこの言葉は私自身がいつも抗議を申込んでいるのですけれども、何をすることにも人にすがつてやるようなところがあるような気がしてしようがない。何とか調査をするにしても、まあ露骨に言うと、歯に衣着せないで言うが、結核予防協会あたりにおんぶしているような感じがするのです。それでそれは審議会でも非難があつたが、高野さんがここにいるから知つているが、この結核対策は元これは勝俣君なんか首唱してどんどんやつたと、それでそれは我が国の当面の大対策だからわしは異議がない。勧告にもわしらは率先して賛成したが、結局これは結核予防協会その他の団体の御繁昌をさせるお手伝いをするのじやないかという悪口が行われた。これは悪口なんだ。だからBCGの問題でもそういう悪口が因になつて問題を起したのじやいけないというので我々は厳正な批判をした。それで結核予防協会に何もかもおぶさつているような、実態調査をやるといえばあの協会、それで何をするといえばあの協会の助けを借りねばならん。それでもろもろの会合にはあの協会の関係者が傲然と上席に座を占めて、そうしてその会合の席上で出席者を睥睨しているというような形では、厚生省の影のほうが薄くて、厚生省のほうが小さい存在になつているという嫌いがあつちや私はいかんと感ずる。この結核予防の大対策というのはどこまでを目標にしてどういうことをやろうという、大きな一つどういう御方針があるかということを承りたいことと、この今後の対策を推進して行く上に厚生省が自主的な立場を一つとつて、そうしてもろもろの外廓団体に引き廻されることのないように一つ私はやつて下さるかどうかということを私は聞きたい。
#47
○国務大臣(山縣勝見君) この結核対策に対していろいろ御叱責を承わりましたが、結核対策をどの程度まで推進するかということについては私も専門家でありませんから、一応出ました数字なり、一応の事実に基いて判断をいたさざるを得ないのでありますが、死亡は半減いたしたといつて式典までいたした。併し一方において只今仰せのように結核患者はむしろ殖えても減つていない、そういたしますと死亡が減つたことは怪しからんということにも行きませんから、やはり結核患者がいるという現実を見てその対策を講ずるといたしますると、一応かねてこれは年々の予算がそこまで参つておりませんで、大体本年は一万床、昨年は一万数千床でありましたが、そういうふうにしてあの十九万床というものを現在は一応目標にいたして、昨年度末で大体十三万床内外でありましよう。そんなふうにして、一応やはり現実の結核患者がある、それがむしろ死亡率が減つても患者はあるのでありますから、結核対策に対しては従来の方針を踏襲してその拡充を期して行きたい。なお只今仰せの厚生省が結核対策に対して自主性がなくして云々というお話がございましたが、私も事実の運営に対してはまだよく承知いたしておりませんので、或いはさような点があるかも知れませんが、今後ともそういうようなことのないように、これは運営に十分注意をいたして参りたいと思つております。
#48
○山下義信君 それに関連してはあとでお尋ねすることが一つあるのですが、それから先ほどの委員の御質問に私は追加して大臣の御所信を承わるのですが、先ほどの御質疑が主として国民の食生活の上の栄養改善の御質疑であつた。その御答弁の中に、国民生活のあり方について厚生省としても一つ考えてみようかというお言葉があつたと思うのです。これは私どももかねて当委員会におきまして機会あるとき同僚諸君にも語つて、日本の国民生活の形態といいますか、衣食住に亘つてのあり方というものをもつと能率的に、経済的に、そうして実のあるような生活改善ということをこれから考えなければならん。それが今まで生活改善ということを言えば、いつでも冠婚葬祭の嫁入衣裳だとか、嫁入の祝言の献立の品数を減らすとか、そういうことでない。そういうことでなくして、国民生活の衣食住に亘つての全般のあり方の上に国としての総合的な施策をやらなければならん。それが政府の行政の上におきましても、農林省に生活改善課がある。あなたのほうにも生活課も持つておられまするし、栄養課も持つておられる。国民の生活のあり方に密接な行政機構というものが各省に亘つておる。そういうものの企画はどこでするかというと、企画する所がなくして、ただいろいろ経済施策の統計をとる上だけに経審のほうでやつておるというようなことでありまして、政府の部内におきましても国民生活改善関係の行政の一元化、統合というものはない。これはどうしても厚生省が中心になつて行かなければならんことであると私は思う。これは是非今後山縣厚生大臣に私は期待するのでありまするが、一つ強力に、できるだけ衆知もお集めになりまして、国民生活の無駄の排除、我が国の生活の千差万態、そうしていろいろあるこの生活のあり方の上におきまして、これを根本的に一つ政府施策の上に改善の数歩を進めて行くというそのことにつきまして、更に大臣の御所信を重ねて私も承わりたいと思います。
#49
○国務大臣(山縣勝見君) 只今日本の今後の国民生活の改善という点について相当、どう言いまするか、大所高所からの御所見を拝承いたしまして、従来ややもすれば、例えば厚生省にいたしますると主として公衆衛生の面から生活の改善等を言い、或いは農林省から言いますると食糧対策から生活改善を言つている。只今仰せのようなふうに冠婚葬祭の程度に終り、日常の単なる末梢の生活の改善に終つておりますることは、誠に遺憾であります。どうしてもこれは先ほど人口問題の話が出ましたが、人口問題といい、日本の資源といい、いろいろな点からやはり日本の今後の生活の改善という点をもつと大所高所から、単に厚生省とか農林省とかいうことじやなくして、衣食住全般に亘つて、或いは衣食住を超えて日本の国民生活というものを本当の、どう言いまするか、確固としたものにして行くことに対しては、これは各省を通じての施策であります。私は全く同感であります。これは一厚生大臣のなし得るところでないかも知れませんが、少くともこの問題に対しては関係の最も深い所管でありまするので、今後この点に対しては、まだここでどういうふな抱負ということは申上げかねまするけれども、只今の御構想に対して私も全く年来同感に考えておりまするので、今後折角そういうふうな線に考えもいたし、又それを何とかして一つ今後一つの政府の施策だけじやなくして、できれば国民運動的なものにして日本の今後の生活改善というものの確立を図りたい、これは只今山下委員からのお話で突然のことでありまするから、私も具体的にお答えができませんで恐縮でありますが、全く同感でありまして、又さようなことを相共に一ついたしてみたいと、かように考えております。
#50
○山下義信君 次にお尋ねすることは少しあなたのお家のことに立入つて恐縮なんですけれども、厚生省の庁舎ですね、あれはすぐ前に新らしいのができてあそこに移るのかと思つたらよその人が入つておつて、元のところにおりますが、あの建物は何とかならんものですか。(笑声)新らしい事務所をお持ちになるという計画はないのですか。まあそういうことは大臣の所管でありませんから、建物は大蔵省でありますが、私は厚生省の内部機構を一つ根本的に御検討になる段階じやないかと思う。まあ今のように局があつて課があつて、私はもつと厚生行政を合理的にそして有機的にいろいろ新らしい時代に照応し、そうして厚生省がこれから進んで行こうとする施策のこの重点的線に沿うようにやつて行くためには、内部組織を再検討なさる段階じやないかという気持がするのです。同時に、これはわしが厚生大臣でないのですから、どうも自分の考えを人に強いるようで恐縮なんですが、おそらく私は賢明なる山縣厚生大臣はつとにお考えであるのじやないかと、こう思うから伺うのでありますが、同時に私は厚生省の人事の、これはここにいろいろおられるから差障りがあつて言いにくいが、皆優秀な方でありまするが、(笑声)人材をどんどん登庸して若返えらして清新溌剌の気を漲らささんと、私は過去六年この委員を勤めて、ほかの委員はたまに一日やつたことはあるが、年中この席に坐る。ここです。いつもここでありますが、六年間いつもおなじみで、局長は局長、課長は課長、五年も課長をする人がある。昔は課長を二年かすれば優秀な人は局長になる。三年もすれば十分だつた。五年も七年も課長の人もある。局長もいつも同じ顔なんです。新陳代謝がない。これは何も立派な方ばかりですから、よそへ行けと言うのじやありませんけれども、(笑声)厚生省の人事ということがこれは私は大切だと思う。いかに厚生大臣が抱負経綸を持たれ、我々も符合しても、一つは組織、そうして一つは人事の刷新、これがなくちやならんという気がするのでありますが、厚生行政の刷新ということについて大臣はどういう御所信を持つておいでになるか。
#51
○国務大臣(山縣勝見君) 厚生行政に対していろいろ御指示を賜わつて私も非常に参考になつたのでありますが、その点に対しては私も平素行政の担当者として勿論善処を期して参つております。十分御説の点は今後とも私の厚生行政の運営に当つて留意いたして参りたいと、かように考えております。
#52
○山下義信君 私は実はこの委員会で相当発言さして頂こうかと思つたのですが、時間も来ましたからよしますがけだしまあ何でしよう、行政上の最も至難な点は人事でしよう。人事を一たび誤りますというと、遂に大事を出来する。小使一人でも、何だ小使一人だと思つておるが、だんだん糸をたぐつてみると、小使のうしろに意外に大物がおつたりするのでありまして、人事はむずかしい。世間の噂では、厚生省の人事には厚生大臣が自由にならない。厚生省の首脳部だつて自由にならない。外部にボスがいる。いわゆる厚生省ボスがいる。そして外部からちやんと紐が付いて、外部から口をきいて、相当そういうものが陰の権力を揮つておるという噂が高いのです。私は公開の席で言うのです。証拠があれば出せというのならば証拠も出す。紐付の人事、私はこれを排除してもらいたいと思う。そういう不明朗なものは速かに厚生省から追放して、山県人事を断行してほしい。我々は野党だけれども、大臣のバツクになつて、勇敢にやつてもらいたいと思う。だからして私は元の厚生大臣であろうと、元の何局長であろうと、元は元なんです。今は省外のものは省外のものです。だからして厚生省の人事は、これに一つ公明にやつて頂きたいということを私は要求するのです。それでありまするから、厚生大臣が考えて善処するということでありますから、私は厚生行政の刷新が如何に行われるかということを、刮目してお待ちいたしたいと思うのです。若し私どもの希望が裏切られるというようなことがありますならば、私は事実を挙げて他日の機会で更に要望いたしますが、私は賢明なる大臣の善処を要望したいと思うのです。
 最後ですが、最後に私が伺いたいと思うのは、最近の新聞ですね、最近の新聞にこういうことがあるんです。ありました新聞の記事はここで省略をいたします。厚生省は全国の衛生の何とか課長というものを集めて、そうしてその席において全国の食品乳肉衛生主務課長会議を開いて、五月の二十八日に開いて、そうしてその露店ですね、夜店です。露店を開業さしてもいいというような基準のことについて研究したとこう言う。そして各新聞は露店復活というようなことで、相当大きな記事を書上げておる。
 これは厚生省としてどういう考えを持つておるのか。又厚生大臣としてどういう考えを持つておられるかということを私は承わりたい。これは相当に重大な問題です。言うまでもなくGHQの強力な一つの圧力を加え、露店というものを一掃したんだ。露店のよしあしは別として、公衆衛生の見地からというのは別として、あの露店というものがボスによつて占有せられて、そうしてああいうような状態であつたことは周知の事実です。それがまあ一掃せられたんです。これを公衆衛生の見地から夜泣きそばは差支えない、何とかの食物ならやらせてもいいんだというようなことを、どういうような意図があつてそういう会議を開き、その会議でどういうことをきめ、世間に発表したか。恐らくこれは条件が揃えば露店というものを再び許そうという考えが、厚生省の全体にその仕事を握るんではないにしても、その公衛衛生の面から一つの峰火を上げたものと言わなければならない。これは非常に大きな問題です。
 それで私はこの露店の復活について、厚生大臣はどういう考えを持つておられるのか、これはいろいろな揣摩臆測も飛んでおるんです。又しても何かあるなということで、これはいろいろなことも言われておる。この際私は厚生省としては、併し我々といたしましては露店の復活必ずしも反対はしない。これは或る意味におきましては生存権のですね、拡張でもありまするし、又極めて公明なる立場でやられたということになりますれば、我々といたしましても考えなければならん。厚生省は一つどういう考えでこの全国の関係課長会議でこういうような問題を議せられたか。将来の御方針というものをこの際一つ明確に承りたいと思います。
#53
○国務大臣(山縣勝見君) 只今露店営業の問題について、課長会議で云々という話がありましたが、実は私はそれをまだ聞いておりません。恐らくさようなことはなかつたんじやないかと思うのですが、あれば訂正いたしますが、なおこの露店営業に対しての問題は、まだ実は事務的に私は詳細に検討をいたしておりませんので、的確には申上げかねまするが、併しこの問題は只今御質問のお話の中にありました通り、二つの面があると思うのです。一つは何分にもあの露店営業というのは全国的に大きな問題であり、なお又これは只今仰せの通りに、まあ場合によつては先ほどの御質問にありましたふうに、防食というか、救貧というよりも防貧というような線の人もありましようし、そういう人に職を与えるという点から見れば大きな問題です。併し又一方においては公衆衛生の点も考慮しなければならない。又一方においては従来一番の問題でありましたボスがそういうような営業の点において相当な勢力を持つておつた。こういうこともありますので、そういうようないろいろな点を勘案して、仮に許すとすればそういうような点を勘案して、或いは法規上その他にも規制をいたし、そういうことをですね、いたして、許すべきものは許す。この点についてはまだ十分に結論を得ておりませんので、只今のお説の点を尊重いたして至急に検討いたしたいと考えております。
#54
○山下義信君 私はこのことは、時間がないので、問題だけを質問して、次回に回答を求めたいと思います。それは先般新聞によりますと勝俣稔君という人が台湾バナナを約五、六億無為替輸入をやりまして、そうして警視庁当局から取調を受けたということで、私ども警視庁からの報告書をここに取つておるのでありますが、確かに取調を受けたことは事実であります。それでそれが有罪か無罪か、違法であるかどうかということは最終的な確定があるわけではないのでありますから本員は承知いたしませんが、新聞記事に現われたところ、且又警視庁の調査によりますと、これは病院を建設するという計画の下に、その病院の建設は財団法人結核予防会理事長勝俣稔君が病院の建設計画者なんであります。そうして神奈川県下に五百坪未満の土地も準備してある。その病院建築の費用として台湾人から無為替輸入として数億のバナナの寄贈を受ける、その輸入許可書、ライセンスを取つて、そうしてその許可書を新聞の報ずるところによりますと百万円で売つて、それを勝俣君が私したのではないかという嫌疑を受けたという事件なんであります。これは一般の社会事業関係者が厚生省の門をくぐつてこの無為替輸入の申請の手続をしようとすると蓋し至難なんである。非常にむずかしいのであります。本員はその許可の手続のむずかしいこと、厚生省を通過することもなかなかむずかしいが、通産省に行つてその許可証を取ることのむずかしいことも承知しておる。然るにこの勝俣君の申請は極めて易々簡単の下に厚生省が通過させておる。同時に医務局長等がこれに皆捺印をいたしておる。当時の医務局長を冥土から呼出すわけにも行かないが、とにかく易々として通過しておる。而もその計画者は政府が補助金を出しておる外郭団体の理事長である。私はこの問題はただ単に無為替輸入の一事件とのみ看過するわけには行かない。先ほど申上げたような結核予防対策の政府のその重要施策に極めて緊密な関係を持つておる。その一端を背負つておる結核予防会、その最高首脳部が厚生省にその書類を出しまするや、これが疾風迅雷を以てその書類の手続が終了いたし、その結果がかくのごとくであります。これは監督官庁として結核予防会に病院の建設を実行させなければならない、その計画通りにやるならば、詐欺でもなければ、世間からかれこれ批評を受けることはない。これは厚生省の補助金を出しておる団体である。同時に財団法人として非常に有益なる立派な財団でありまして、而も厚生省の監督下に属しておる財団である。私どもはかような有力な団体が、この有力者が陰に陽にあらゆる場面に出没をいたし、或いは施策の面に、或いは人事の面に、或いは表に立ち或いは裏にあつて、相当有力なる立場にあるものでありまするが故に、こういう問題を軽々に私は看過しがたいことをここで申上げて、次回の厚生委員会にこれは公衆衛生局の所管であつたか、医務局の所管であつたか、厚生省の公文書を調べて、この許可の経緯、許可を出しましたところのその厚生省のとつた当時の経緯、並びに現在これらの計画についてどういうような考え方を持つておるかというような点につきましての責任のある答弁を、次回に関係の局長から私は承わりたいということを、この質問を、私は山縣厚生大臣の面前において質疑だけ提出いたしておきまして、次回の答弁を期待して私の質問を終つておきます。
#55
○常岡一郎君 私はあえて大臣の御答弁をお願いするほど大きい問題ではないと思いますけれども、これが現下の日本の情勢、置かれております微妙な立場から、非常に大事なものだと思いますので、あえてお尋ねするわけであります。それは御承知の通り中共の邦人の引揚げますにつきましても大分ごたごたしておりますことは、新聞でも報ぜられておりますように、国がMSAの受入れとか、或いは再軍備の方向に進むような状態が感ぜられても、表面になかなか出て来ないで、虚を突いて来るといつたような一つの動きが出て来るのではないかと考えられますが、それが中共引揚げの今度の場合にも何らか感ぜられるような、常識上了解に苦しむような点が随分ありますので、そういうような点を考えて参りますというと、日本に対する一つの破壊的な活動と言いますか、恐れられておるような問題が陰性をだんだん帯びて来るのじやないか、こうなつて参りました場合には、特に厚生行政というものが非常な大きな国防になるという重大な役割だと思います。人が城であり、人が垣であり、人が濠であるということは名将の体験を通して語つた言葉でありますが、この非常に危険な日本の状態から言いますと、国防が、自衛力が非常に重大であればあるほど、もつと重大なのは民生の安定だということは、先ほどからいろいろ同僚の委員からもお話がありましたが、そういう点で考えてみますというと、非常に重大だと思いますからお尋ね申上げるのであります。それはすでに引揚げて来られましたかたがたが、どちらかと言いますと、ソ連などから引揚げて参りましたかたがたが不遇な立場におりますので、そこに従来からの関係があつて、虚を突かれるような虞れが多いのじやないかと、こういうことを心配いたします。その点で新らしく引揚げて参ります中共からの引揚者に対しては、大阪にこの間参りましても、立派なもう家ができまして住宅ができてもう待つておるというような姿を見て参りました。ところが前に引揚げて参りましたかたがたは、誠に気の毒なままで置き去りを食つておるような傾向があるのではないか、非常な不毛な地に開拓を始められた人々も、今日ではまるで山窩のような姿だと心配されておるという点も多々聞いております。住宅の問題にいたしましても、前に引揚げて参りました人たちは、誠に住みにくい旧兵舎をそのまま使つて間に合せの住宅にいたしておりました。或いは実に危ないような急造バラック式の住宅に詰め込まれておる人もありましたが、それが非常に多かつたのでありますけれども、当時の国情から言いますと、別にそれも忍ばれたのでありますけれども、最近非常に新らしく引揚げて来る人が立派な姿であればあるほど、行届けば届くほど、置き去りを食つたそうした人々の点に温かき調査と言いますか、そうした点が進められておらなかつたならば、これは容易ならない大きな国の守りの破れの一つではないかということを、心配いたします上から、そうした点で調査をしておられるでありましようか。又将来それに対して手を打つお考えがあるでありましようか。この予算案を見ましても、別に、そのたくさんの気の毒なその当時の急造バラツク式の住宅がもう住むに堪えなくなつておる年限だと思いますが、それに対する少しの思いも汲まれておらないように思いますが、そういう点を一つお尋ね申上げたいと思います。
#56
○国務大臣(山縣勝見君) 只今のお尋ねの、今回の中共地域からの引揚者以前の、主としてソ連地区からの引揚者に対する援護の問題であります。この問題は全くお説の通り、そういうふうに困難な立場におかれておられるかたも非常に多いことと思うのでありまして、できればそういうかたがたに対して何らかの配慮が講じられればいいのでありまするが、ただ今回の中共地域からの引揚者に対する援護の途が多少異なつておりまするのは、前回の、勿論これは私が只今から申上げますることは、そういうことは必要はないというような前提に立つて申上げるのじやなくして、一応今回の中共引揚者のかたがたに対する援護は、応急の例えば更生資金とか、或いは帰還雑費であるとか、そして応急の住宅であるとか、そういうふうなものを主にいたしております。で、従来のソ連地区から帰つた引揚者は、恐らく相当の数、百万以上の何でありましようが、これらのかたはここで七、八年も経つております。勿論このくらいのかたがたが、若しも生活に困窮をしておられるならば、生活保護法等の適用もありましようし、又未亡人のかたがたに対しましては、未亡人の母子保護等もありましようし、勿論これは完全とは申しません。不完全ではありましよう、ありましようけれども、一応今回の中共地区の引揚者等との関連において、今回はああいうふうにして、帰つて来られたかたがたの応急の帰還雑費、或いは応急の住宅等を支給するという意味の援護をいたしておりますので、若しもこれらの人々が七年、八年経つたのちにおいて非常に困つておられるなれば、これは一般の国民のかたがたと同じように、その場合の事情に応じて援護をいたさざるを得ない。かようなことで一応仰せの七、八年前に帰られた数百万のかたがたに対して、今直ちに特別の援護の途を講ずるということは、財政が許しますなればいいのでありまするが、これは一般の国家補助、或いは社会保障の面でもつて援護をいたして行くという考えでございまして、一応さような方針で進んでおります。
#57
○常岡一郎君 一般の国民と同じようにという意味はよくわかりますが、併し少なくともこの引揚者のかたがたは、直接厚生省本省が引揚援護庁として世話いたした関係もありますので、特に又この事情が、そうした国の思想的な問題とも関係が深いのでありますから、これに対しまして、特に調査をしたり、その困窮状態を調査するとか、そういつたような方面に配慮されておりましようか。その点をお尋ねしておきます。
#58
○国務大臣(山縣勝見君) 只今のところは、この数百万の人に対して、特別に援護庁等において調査をいたしておりませんが、併し個々的には社会福祉事務所であるとか、或いは民生委員等がいわゆる一般の国民のかたがたと同じようにいたしておるが、その際にこれらのかたがたは引揚げをされた人であつて、仰せのようなふうに住宅もないというようなことについては、扶助をいたすときに相当それを考慮いたしてやつておりますから、特別の措置を、今恐らく六百数十万或いはそれ以上であろうと思うのでありますが、それよりもむしろ各都道府県、市町村において直接にそういうふうな事情に明かるい福祉事務所或いは民生委員等の手で措置をいたして、そしてそれぞれによつて適切な措置をいたしたほうがよろしかろう、かように思つております。
#59
○有馬英二君 約一年ぶりで私は厚生委員に戻つて参りまして、山縣厚生大臣の非常な御勉強ぶりと、博学なる或いは博識なる態度を拝見いたしまして、又拝聴いたしまして、非常に意を強くいたしておるものであります。一昨日大体の予算の御説明がありました際に、一般厚生行政についての御抱負もお述べになりました。帰りましてから私も予算の面をもう一遍検討してみたのでありますが、同僚委員から先ほどいろいろ私が質問しようと思うようなことについてもうすでに質問がありまして、これを私が今から又繰返すということは余り重複いたしますから大体において私は省略いたします。併し山縣厚生大臣が今回再び第五吉田内閣の厚生大臣に御就任になりますにつきましては、余ほどの厚生行政に対する抱負の、絶大なる抱負とそれから経綸とをお持ちになつて就任されたに違いがないということを私は深く信じまして、そうして大きな希望を持つておるわけであります。従いまして先ほどから同僚委員から同じような質問を述べられたのでありますが、私は再び厚生委員としてこの委員会に列しまして、厚生大臣の新らしい抱負を伺うということを非常に楽しみにしておつたような次第でありましたが、一昨日の御説明ではただ本当に数字を御説明になつたとしか思えないような態度でありましたので、これは先ほど同僚委員からも言いましたが、二十八年度予算を云云するということはもう遅いと思う。つまり新らしい抱負は二十九年度に始まるのではないかと私は考えております。従いまして、この厚生委員会でどうぞ山縣厚生大臣が来たるべき新らしい国会に、我々が本当に刮目して期待するような新厚生行政を実行されんことを取りあえず私は希望しておくのであります。
 一昨日の御説明の際に、私はその重点がどこにあるかということを知るのに非常に苦しんだのであります。先ほどの御答弁の中には、医療保険が中心であるというような御答弁があつたように私は伺いましたので、成るほど予算面においてもそういう点が現われておることを私は信じております。特に社会保障制度、特に社会保険の一五%も国庫資金、国庫支出という点につきましては、これは自由党の政策でありましようが、改進党といたしましては御承知のように、二割ということを出してあるのでありますが、厚生大臣も勿論御承知のことと私は思うのであります。勿論この全体の財政から睨み合せて、今のところ一割五分であるということは大蔵大臣も話しておられるし、厚生大臣の御意見も一致しておることと私は思いますから、二十八年度の予算においても、私どもはどうしても国庫支出二割ということを主張しておるのでありますが、なおこの国会におきまして十分検討されまして、改進党の線に沿うように何らかの協定ができないかというようなことを私どもは考えております。
 なおこのほか私はいろいろのことを、例えば食糧の改善或いは栄養の改善の面におきましても先ほど同僚委員からももうすでに質問がありましたし、御答弁も聞きました。これらもこれからおいおい実行されるように伺いましたので安心をしておるのでありますが、大体先ほどから厚生大臣の御答弁は、今のところ新らしい方針について研究中である、或いはもつと調べてからというようなお話のように私は伺つたのでありますが、どうぞそういう点を十分御検討になりまして新らしい施策を一つ明らかにして頂きたいと私は考えております。
 一つ先ほどから質問がありませんでありましたことをお伺いしたいのでありますが、御承知のようにこれは厚生省所管であるところのこの医師の国家試験問題であります。この点は昨年からも問題になつておりまして、大学の卒業生並びに学生などが、いわゆる戦後新たに行われておるところのインターン制度の問題ということについて頻りに運動を行なつておる。これについて厚生省の方面ではどういうことを考えておられますか。厚生大臣は勿論この点はよく御研究になつておられると思いますが、医師の教育という面から言いますと、これは文部省の管下になりましようが、国家試験ということになりますと、これは厚生省の管轄になる、そこのほうの問題からインターン問題をどういうふうに解決しようとしておられるのか、この点について御意見を伺いたい。
#60
○国務大臣(山縣勝見君) 医師の国家試験についてのお尋ねでありましたが、殊にインターンに対するお尋ねでありましたが、この問題は極めて簡単な問題のようでなかなか簡単でない問題を包蔵いたしておりまして、厚生省としても学生諸君のいろいろな希望もあり、いろいろな点を考慮して、実はこの点についてもどうしたらいいか、私も絶えず何等かいい打開策がないかということで策を求めておるのでありますが、何分にも、これは必ずしも学生諸君の言う通りに簡単にいたして、インターンを廃止するということにも参らない。殊にたしか今年の国家試験において、例えば口頭試問等に現われた実績から見ましても、如何にもインターンということが必要であるという線がむしろ出ておる。ただ問題はインターンを如何に実施し、どのような内容で、又これに対してどういうふうに措置するかということにむしろ問題があるのではないか。この際インターンを廃止するかどうかということは、厚生省の意見といたしましては、やはりインターンというものは必要であるという見地に立つております。ただ何分にも医師の免許を得るまでには相当の長い期間に要しまするし、これは教育面においていろいろ問題がありましようから、この面における問題もありましようが、学校を卒業して殊にと言いますか、あまり富裕でない家庭の子弟が学校を卒業して、さてやれやれと思つてインターンに行く。インターンに行つてもなかなか俸給ももらえない、或いは給与の点においても遺憾な点がある。なお又配置等においても、病院においてはいわゆる混雑して機械も顕微鏡もろくろく使えないといういろいろな問題があるようですから、こういうような面について実は具体的に何らか学生諸君の希望にも応え、又インターンというものが本当に効果を表わすようにいたしたい。国家試験の改正においても、インターンというものの効果が現われておるということを、実際にと言いまするか、テストし得るような内容に国家試験も改定しつつあるようであります。只今申しましたインターンを実施するについてのいろいろな学生諸君に対する給与、或いは宿舎、或いはその他の面については、具体的にまだ今申上げる時期に達しておりませんが、現実において私どもとしても何らか早く結論を出して、そして適当な線に持つて行きたいと思つておるところでありまして、若しも何かいいお考えでもございましたらお教え願つて、早くこの問題を適正なところに改めたいと、かように考えておるのであります。
#61
○有馬英二君 御承知と思うのでありますが、インターン廃止の声はただ学生からばかりではないのでありまして、学生の希望によつて勿論とれを発した問題でありましようけれども、医育に携つておる実際の方面からもインターン問題或いは今もつまり学校教育のやり方、従いまして卒業後にもう一年実習をやるという方法については、これは十分考えるべきことがたくさんある。従いまして医育に実際携つておる人たちの中にも、今のやり方を当然もつと検討すべきであるということは言われており、又そういう声がかなり大きくなりつつあるように私は思うのであります。でありますから、ただインターンということは国家試験だけに結びついておるようでありますけれども、実際においては医育の根本問題からこれは考えるべきである。従いまして、ただインターン生のインターン病院の不完全な設備であるとか、或いは経済上の窮乏であるとかいうことを表面の問題として訴えているように見えるのでありますが、実際においては非常な大きな医育の方面に根ざしておる問題であるので、これは厚生大臣におかれましても、もつと根本的に一つ御考究になりまして、この方面ともよく連絡をおとりになつて、間違いのないように私は解決をして頂きたいと思つておるのであります。私ども多年医育に携つた人間から申しますというと、この戦後の新らしい今のインターン問題ということが、明治の時代にすでに我々が眼に見、又実際において受験生の問題が唱えられて、それから明治三十八、九年頃にこれが廃止をされて、実際においてインターンつまり受験生というものはなくなつたのでありますから、それから三十数年の間日本独特の教育方針をとつておる。これが戦争後になつてアメリカの方針に切替えられたのですから、これは日本としては逆戻りしてはいけないかも知れませんけれども、数十年の日本の長い経験を活かさなければならんと私は考えておるのでありますから、これらはただインターンが経済問題である、或いはインターン病院が不備であるとかいうような、単純な問題として簡単に片付けられないで、根本方針から一つ御考究を願いたい。特に賢明な厚生大臣は、この点をよく御勘考あつて、そうして当分こういう問題はこう処理すべきだということなら、それでもよろしいのであります。根本問題から一つ掘下げて研究をして頂いて、そうして適切なる措置をして頂きたいと思うのであります。今日も又明日も、全国のインターン生が多数集りまして、そうしてあつちこつちで陳情を行なうようでありますが、私どもは単に窮乏に陥つておると思われるところのインターン生だけに、単純な考えで彼等の要求を通すというようなことは考えておりません。これは厚生委員会としても、慎重な態度で考究をしまして、そうして厚生当局と共どもに適切なる解決に導かなければならんと私は考えております。本委員会におきましても、そう早急に解決しないで、もつと例えば参考人を呼んだり、いろいろ皆さんのいわゆる衆知を集めまして解決するように導かなければならん。これは昨日も私は委員長に申上げておいたのでありますが、是非ともそういうふうに取計らつて頂きたいと思うのであります。厚生大臣におかれては十分その点を御考慮下さいまして、間違いのないように御解決を願いたいと思うのであります。私はそれだけに止めておきます。
 人口問題につきましては、先にお話がありましたから私は申上げません。但しこういうことだけ私は申上げたいのでありますが、予算の面に現われた関係におきましては、人口問題の研究所と、それから審議会の費用もいささかなものである。特に研究所は、御承知のように今は厚生省の建物の中に入つておらないで、外務省の一角を借りてやつておるに過ぎない。メンバーも極く僅かであり、研究費も極く僅かのようであります。日本の人口問題は非常に重大なる問題であつて、先ほど厚生大臣もお話になつたように、各方面からこれが解決の土台になつておるのでありますから、人口問題の研究はもう少し厚生省が、これは力を入れて研究の充実をお図りになつて、そうして立派な成績を上げるようにして頂きたい。研究所の研究費が漸く二百数十万円にしか達しておらない、これは一つの問題の解決にしか当らないようであります。勿論人口問題の研究所といいましても、一般の病院或いはほかの研究所のようなものなどとは違うのでありますから、でありますが、一つの問題を研究するにも相当の人間と時日を要するので、大体百万乃至二百万の金を一つの問題に要求しておるようであります。今のような予算では、一年に一つの問題しか研究ができないのであります。そういうことでは、やつと研究所ができておりましても成績が上らんということでありますから、私は、厚生省は二十八年度は止むを得ないとしても、二十九年度から、ただ人口問題研究所ばかりではありませんけれども、こういう方面にもう少し力を入れて予算を取つて頂きたいということを申上げます。これを一つ御勘考を願います。
#62
○林了君 この頃、前内閣時代から大変医療行政のことにつきまして特に熱意を以て当つていらつしやる山縣大臣には非常に敬意と尊敬をしておるのでありますが、先ほどから廣瀬委員からお話がありました中に、社会保障の問題の中で、大臣は、いろいろ厚生福祉或いは社会福祉、公衆衛生、或いは国家補助の点がありますが、特に、社会保険の面、医療保険の面が主であるということを言われましたが、全く私たちも同感でありまして、この点につきまして、一昨年の末に、前大臣でありました橋本厚相時代に、全国で医療費の問題から発端いたしまして、適正なるところの診療費というものはどこにあるかというふうな問題で、かなり問題を起しました。そして、その後に審議会ができまして、そこで、いろいろ研究立案をいたして大臣に答申をするということになつておりましたが、前の国会で、ここにおられる堂森委員長が、当時委員といたしまして、単価の問題については如何かということについての質問がありましたときに、大臣は、臨時医療保険審議会でそれをやつているからという話で、極めて簡単に答えられたようであります。併し今日この臨時医療保険審議会が、まだ選挙或いはその他の事情によりまして、一応ここで延ばそうという話でありましたが、もう済みましてからニカ月近くにもなつておるのにかかわらず、これが開かれておらないという問題につきまして、先ず大臣はどういうふうにこれを持つて行こうとされておるお気持がおありになるか、これを先ず第一点伺いたい。
 そしてその中におきまして、いろいろ細かい問題ではありまするが、一応単価の問題が一昨年末に決定いたしました際に、その翌年の丁度七月頃でありましたか、厚生省の幹部の中で、あの単価の引上げは、医療関係者は満足しておるようであるということを或る席上で言われたのでありまするが、誠に、こういう考えが、今でもそういうことを思つておられるのかどうか。これを私は先ず伺いたい。それから、単価問題についてはどういうふうに大臣はお考えになつていらつしやるか。
 それから次の問題は、単価の問題が解決しない、要するに、財政の点で苦しいから、この点では、天秤にかけて税で補うのがいいだろうというふうな、当時池田大蔵大臣の言葉もあり、そうして厚生大臣と相談の結果、あの税の点で軽減を見たのでありますが、これも二月の十一日の閣議でありましたか、大蔵当局との話合の結果、税率をきめるという問題については、どうもこれは妥当じやないということから、本年限りというような問題がそこできまつたそうであります。これについて、税の問題は大蔵省の所管ではありまするが、一応厚生行政を推進させるという意味から、若しこれの保険経済が許さんというようなことがあるならば、何かこれで消極的な方法で、税の面でも考えて行かなければならない事態になるのではなかろうか、こう思いますが、過日も緑風会の豊田議員から、中小企業者に対する減税の問題をとり上げておりますが、とにかく現在の社会保険は中小企業者と同じようなものである、公共性があるというようなことがそういうふうにさせておるということについての、先ず大臣はこれをどういうふうに持つて行つて頂けるか、そのお考えを伺いたいという問題と、それからもう一つの問題は、現在の社会保険そのものの考え方が、これが医療の、治療の最低基準を守るという考え方が、医学の進歩をそこねておる、そして果してこの医学の進歩を、特に我々のほうで言いますと、これは医師もそうでありますが、特に歯科の医療は、これは形が違いますので、この点で、若しそういう考えをお持ちになつていらつしやるかどうかという考え、それを一つ伺いたい。最低の基準を守ることであるということの私は定義が、果してそれに賛成をされておるかどうか、この点を伺いたい。
 それから次には、医療の内容が違いますので、我々の医療は義手義足のようなものに似ておるのであります。それに従つて、そういう点につきまして、いろいろな稼働の問題、或いは又細かいことになりまするが、この単価の問題につきましても、必ずしも医師或いは歯科医師が同じであるということが私は言えなくともよろしいのじやないか。この点についてのお考えがどうであるか、医学の進歩をその中に認めなければならんかという考えにおいて一つ伺いたい。
 それからもう一つは、そういうふうな医学、医術の、殊に治療の最低の基準を守ることであるということからきめられたものでありまするから、当然診療報酬も最低であるということのために、我々の資本の蓄積、即ち施設の改善ができないということで、昨年末、大変に大臣には御厄仁になりまして、融資の問題をお願いいたしましたところが、これには全くお力をお貸し頂きまして、五億の金が今年予算に入つております。この問題につきまして、取りあえず、まあ五億ということでありまするが、我々五億を要求いたしましたのは、赤十字社、或いは済生会、或いは全国厚生農業協同組合、これが、赤十字社、済生会は特に建前が無税でもありまするし、あのような大きな力を擁してさえも今日施設改善ができない。我々これは民間開業医、私的医療機関は、このため誠に苦しんでおります。そのために、五億の金で果して医師、歯科医師、或いに赤十字社、済生会、全国厚生農業協同組合、或いは病院協会等の、この大きな団体、或いは大きな人数の人に、どれだけのことができるかということになりますれば、誠にこれも心細い次第であります。これに対しましては、伺うところによりますと、厚生省も大変に御心配頂いておりまするし、又、六団体こぞつてやつておりまするが、将来におけるところの、我々の要求いたしました医療金融公庫というようなものを創設して頂きたいという問題に対して、大臣のお考えを是非ともここでお伺いいたしたい。
 それから、最後に、私はここで専門家といたしまして申上げたいのでありまするが、欧米諸国に旅行いたしましたかたがたはよくおわかりと思いますが、日本の歯科の医療は、中国と日本とが先ず世界で一番低いのじやなかろうか、こう考えるのであります。この点を、我々が文化国家を建設するのであるというのであれば、どうしても引上げなければならんところの事態に今遭遇しておるのでありまするが、こういう点に関しまして予算の点では一応母子衛生、歯科衛生あたりは大変に増額をしてここに見積つてありますけれども、そのほかの全般的な問題に対しましても、もう少し大臣の力を頂きまして、この充実発展をさせて頂きたい。
 それから先ほど山下委員から行政簡素化或いは行政機構の改革をもつとしたらどうかと、留意をして大いにこの点を考えてくれという要望がございましたが、私はこの点につきまして、地方財政の関係も勿論ございましようが、全国的に歯科の機関なり、歯科の専門のものを各都道府県に設置するようなことにお願いいたしまして、この遅れておるところの歯科衛生を、是非ともこの際私はこの明快なる、或いは非常に手腕力量の高い山縣大臣の御在任中に是非ともお願いしたい。私の以上の見解を御質問申上げて大臣の御答弁を頂きたい、こう思います。
#63
○国務大臣(山縣勝見君) 九点ほどについて御質問がございましたので、順次申上げたいと思います。
 第一点の審議会の開催が遅れておることに対する疑問でございますが、これは御承知の通りあの審議会委員のうちで三名立候補されまして二名御当選、林先生もそのお一人でございます。その後医師会からの御推薦が確かに遅れておつたと存ずるのでありますが、それが漸く御推薦がありましたので、極く最近に会議を開かれると考えておりますので、御了承を願いたいと思います。
 第二のこの何かの機会に、単価問題は医師会等においてあの当時の決定で満足されておるやの何らかの発言がありましたそうですが、実は私はそのことを只今初めて承知いたした次第でございますので、何らか言い間違いをしたのではないかと思うのでありますが、不用意な言動に対しましては以後注意をいたしたいと思います。
 なお単価問題についてどう考えるかという話でありまするが、これはいろいろいきさつもあつてなかなかいろいろな点を考慮に入れて決定を要する問題であつて、前回の単価問題の決定につきましてもいろいろな経緯を経てあの決定をみたのであります。で、その後の物価の問題、或いは人件費の問題、いろいろな点をスライドして直ぐに数字を出すという簡単なことであれば直ぐ出ますけれども、さような簡単なことでも参りません。現在におきましても私もこの問題は重要でありまするので折角検討を急がしております。いずれこの問題につきましては審議会等も開かれまして各方面の権威のあるかたがたの御審議の結果を拝聴いたして、できるだけ検討を早めたいと思います。なおこの問題につきましては税との関係のお話がございましたが、結局これは保険診療担当者の負担の問題、所得の問題でございまするから消極的に税でもつて、使えば単価が或いは適正でないという場合において、消極的に税制でこれをアジヤストするということになればこれでもよろしいので、なかなか財政の困難なときであり単価問題は影響するところ尽大でありまするから、その解決に或いは税とも絡み合せて解決する要があるかも知れません、前回はさようにいたしたのであります。で、昭和二十七年度の所得に対しては、只今仰せのようなふうな措置をとりましたが、今後単価問題の検討につきましては、この問題は関連いたしまするので、両々相待つて検討いたして行きたいと思つております。
 それから最低治療の問題でありまするが、これ又なかなか困難な問題でございまして、建前はさように行つて完全治療をいたして行きたいし、仰せのようなふうに歯科とか或いはその他の普通の治療におきましても、歯科以外の治療におきましても本人が多少金を出して、そうして本当のいい薬を使うという仕事をいたすということになればいいのじやないかということも言われまするし、現在の保険財政をもつてしてはいわゆる本当の最低治療しかできないということになり、なかなかこれはむずかしい問題であります、といつて簡単にこれは全部今仰せのようなことにいたしますると、いわゆる社会保険としての重要な医療社会保険としての面が崩れて参る面もありまするし、この点は今後ともできるだけ理想に近いように早くいたしたいというふうに努力はいたしまするが、いろいろ、な困難な問題を包蔵いたしておりまするから、この点はなお十分検討いたして行きたいと思つております。なおそれに関連いたして、たしか歯科については相当医療の内容が異なつておるので、なお又医術も随分進歩いたしておをから、そういう面を考慮して今後のこの社会保険或いは所得の問題等を考えたらどうかというお話でありましたが、この点は今後いろいろ審議会においても検討されましようし、我々といたしても検討いたして行きたいと思つております。
 なお医療給付の問題につきましては、これは林先生非常な御努力で前国会以来ようやく昭和二十八年度に初めて医療給付ができましたので、勿論我々は五億円では満足と考えておりません。当初は十億円を以て医療金融金庫を作るということで我々も最後まで努力いたしておりましたが、最後に五億円で収まりましたが、その際の法制上の関係、いろいろな関係で赤十字、済生会が洩れましたことは非常に遺憾でありまして、この点我々は最後まで努力いたして参りましたが、一応現状といたしましては赤十字、済生会がいわゆる中小企業の範疇に入らないというような点もあり、一応外されておりまするが、今後はこの点はなお医療給付の拡充強化に対しましては努力いたしたいと考えております。なお歯科の振興並びに又それに関連いたして都道府県に歯科衛生に関する担当官を置くとか何とかいうお話に対しましては、歯科の振興に対しましては勿論これは同感であります。ただ歯科の衛生官等を都道府県に置く等の問題につきましては今後折角検討いたして行きたいと考えております。
#64
○林了君 単価問題に関連いたしまして、大臣も御承知でありましようが、地域差、地域給と同じように地域差というものが出ておりまするが、この一定方針がどこにあるか、これにつきまして甲地と乙地というように分れておりますが、例えば物価指数で調べるとか或いは賃金べースで調べるとか或いはその他のいろいろな方法がありましようが、現在は調査をいたしたところによりますると、これだけでも解決しないところが相当ございます。そのために地方からいろいろ苦情がございまして、地域差撤廃という問題を可なり出しておる向もございますが、この点につきまして、どの点でこれをおきめになつていらつしやるか、これは大臣ではちよつと御答弁がこまか過ぎるかも知れませんが、一応地域差という問題に関して大臣がどういうお考えでいらつしやいますかそれをちよつと伺いたいと思います。
#65
○国務大臣(山縣勝見君) 地域差の問題は、たしか昭和十九年でございましたか地域差を作つて、これは勿論地方によつて地方の事情もありまするし、物価の事情も違つております。従つて地域差を作るということは理論的にも又実際的にも一応必要でありまするが、ただ甲地、乙地等をどういうふうに分けるかということに対しては実際上なかなか困難な問題がございます。現にこの間一応大阪市周辺の七つか八つの都市を甲地に編入いたしましたについても、それと関連した隣接の市町村からなかなか問題があります。これは非常にむずかしい問題でありますが、併し地域差というものがあるということは、理論的にも実際的にもこれは一応考えられる問題でございます。例えば北海道あたりの煖房の問題についても東北等の関連もありましていろいろありますが、一応考え方によつては必要であつて、ただこの地域差の認定等について問題がありますので、これは審議会においても検討いたしておると思いますが、我々といたしましても十分検討いたして行きたい、かように考えております。
#66
○林了君 大臣の御答弁は大体大臣らしい御答弁を頂きましたが、なお全般的の問題に亘りまして今後一つ格段の御尽力を頂きたいということをお願いいたしまして私の質問を終ります。
#67
○榊原亨君 只今までの質問並びに大臣の御答弁で大体私は了承したのでございまするが、二、三予算の面におきますところの厚生行政に関しまする点についてお尋ねを申上げたいと存ずるのであります。
 その第一点といたしましてはいろいろ大臣の御心配によりまして相当予算がとれておるのではございますけれども、なかなか我が国の現状といたしましてはまだ厚生行政の上の予算は不満足な状態でございますので、その予算の上に立ちましてはこれをできるだけ効率的に運営する必要があると私は思います。ところが只今の厚生行政の現状を見ますというと、例えば医療機関の整備というような一つの問題を捉えてみましても、整備と申しますのはその機関を創設するだけのことではないと私は思うのでありまして、適正なる配置を、廃止すべきものは廃止をするということが必要なのではないかと思うのでありますが、それらの医療機関の整備審議会というものがございまするが、その整備審議会が果して中央地方を通じまして効率的に運営しておるかどうかということについて多大の疑問を私は持つておるのであります。現に部署が違うといいますと健康保険の保険課のほうのかたがたはそこに労災病院が近くにできるということについて絶対反対だというような、現実の面において表明しておるところがあるのでありまして、これは予算を効率的に使うという上から申しますというと、すべての医療機関を適正に整備するということでなければならんと私は思うのであります。又この予算の中を見ますというと、いろいろ重大な調査があるのでありますが、その調査も重複しておる点がたくさんあると私は思います。一例を申上げますと、医薬分業の調査、係官の御説明によりますというと、診療所とこの調剤所、薬局との間の距離を調べるんだというようなことを御説明になつたのでありますが、これらは医療機関の調査の中に含めてやれば簡単に一本でできてしまうのであります。現に医療機関の調査ということをやつておられる、従いましてセクショナリズムということを止めまして、合同に調査をするということにすれば、これらも効率的に調査ができるのではないかと私は思うのであります。殊に厚生省の地方の出張所のごとき、交通機関その他が戦後において不備でございましたが、只今においては殆んど完備している現在といたしまして一は、これらの出張所に対する措置も相当に考えなければならんと思うのでありますが、これらの予算の効率的運営について、大臣の総括的な御意見を承われれば結構だと思います。個々の問題については時間がございませんから、大臣のお考えを先ず承わりたいと思います
#68
○国務大臣(山縣勝見君) 実は只今仰せの点、私もかねて痛感いたしておりまして、例えば地方に参りますると、もう軒を接して或いは国保の診療所だの或いは労災の病院がある。或いは或る会社の健保の病院がある。そういうふうに位置的に、これほど無医村の多い我が国といたしまして、いわゆる医療機関の位置的な配置という点が非常に遺憾な点がある。これは勿論健保の病院のごときはいろんな事情でできるのでありまするけれども、少くとも国家の関係をいたしておる医療機関のいわゆる整備にいたしましても、建設にいたしても、もう少し、どう言いますか、有機的に、統一的に、全体の医療機関の整備配置ということを考えてやるべきじやないかということを、私自身かねてから痛感をいたしておりました問題でありまして、これは今後私も検討いたして、できる範囲でこういうふうな問題については、この財政の困難な場合において国費を浪費しないように、なお又場合によりましては、例えば今府県のベッド数をずつと検討いたしましても、非常なアンバランスでありまして、或る県には非常にベツド数が多いけれども、或る県ではベツド数が非常に少い、或る場合には非常に人口の多い島に殆んどベッド数がないというような所がありますから、そういう点に対しては、これは総合的に考えなければならんということを、御質問を頂く前から考えておりまして、今後こういう範囲においては、できるだけの範囲で考えて行きたいと考えておるのであります。なお只今仰せの地方出張所或いは医薬分業の経費、これらの問題につきましても御尤もの点もあろうと考えるのでありまして、今後予算の有効的な支出に対して十分検討いたして行きたいと思つております。
#69
○榊原亨君 第三点は、予算を実行されます場合に、受益者のその受けます利益が公平均等であるべきと私は思うのであります。ところが現実の面におきますというと、健康保険等におきましても、先ほど林委員が言われましたように、診療費においても非常に不満足であるという状態でございますのに、一方においてはりクリエーシヨンの名目の下に、弁当までも支給して運動会をするという健康保険組合がある、又一方においては、特別な組合におきましては特別な給付が行われておる、これは厚生大臣の御尽力によりまして国民健康保険に対する給付費の補助ということが実現されたということは、誠に感謝に堪えないところでございまするが、その受益者が受けます利益については均等であるべきと私は思うのであります。このたびの予算を見ますというと、極めて均等ではございまするが、厚生省の共済組合の不足補助ということが出ておるのでございまするが、これらの点につきましては、いずれ係官に詳しい御答弁をお願いいたそうと思うのでありますが、これらの機会均等の原則について、厚生大臣はどんなふうにお考えになつていらつしやるかということを承わりたいと思います。
#70
○国務大臣(山縣勝見君) これ又やはり国民健康保険にいたしましても、同じく国民大衆を被保険者といたしておりながら、或る町、或る市においてその保険財政が非常に異なつておりまするし、健康保険においても然りであります。従つてその結果、医療給付の内容等が異なつておるということもあり得ましよう、これはやはりできるだけ国といたしましても努力いたしまするが、保険の運営に当る者が、殊に私は国民健康保険に関して考えておるのでありますが、給付費の国庫負担を始めまして、そうして国家として財政支出ということは、国民の膏血を搾つた税金でありますから、それで以て医療負担をいたすが、併し一方においては収納率というものが非常に低率であると、これではいかんのでありますから、これは両々相待つて、そうして結果としてこの予算を受ける、即ち機会均等といいますか、受益の公平均等というものをして行きたい、我々も努力いたしまするし、今後保険財政或いはさような保険財政の運営においても改善を図るべきところは図つてそうして行きたい、かように考えておるのであります。
#71
○榊原亨君 第四点といたしまして厚生行政の改善ということについては、大臣は特に留意せられて御努力を賜わることは、いろいろな質問に対する御答弁においてよくわかるわけでございまするが、予算に縛られて改善できないものはとにかくといたしまして、予算に関係なく大臣の御努力によつて現行法規の改正或いは法規の規制の中においてもなお且つ努力によつて改善せらるべきものが多数あると私は思うのであります。たとえて申しますというと、この行政機構の改革、先ほどもお話になりました或いはこの健康保険、社会保険の手続きの窓口の一本化、或いは給付内容の整備というようなことがいろいろあるのでございましようが、これらの点について、或いはこの社会保険については臨時医療保険審議会に任せるのだから、それはその答申がはつきりしてからやるのだということではなしに、厚生省は厚生省としての御努力を私は賜わりたいと思うのであります。殊に臨時医療保険審議会の状況を私は見て見ますというと、甚ず遺憾に思いますのは、中立の委員の御出席が殆んど皆無に近いことであります。こういう種類のものにつきましては、特に中立の委員のかたがたの御出席を煩わして、中立の御意見によつて早急にこういう問題は解決すべきにかかわらず、中立の委員のかたがたは殆んど御出席がない、そういう状態においてこれが運営を続けられているということにつきましても、相当考えるべきものがあるのではないかと私は考えているのであります。又例えば一例をとつて見ましても、結核予防法というものにつきましての医療を一本化するということは、若しも厚生省におけるところの各局のセクシヨナリズムというものを端的に排斥されまするならば即座にできる問題でございますのに、各局が自分の部門に閉じ籠つておられますために、結核の治療というものがまだ一本化されておらん。そのために末端においてこうむりまするところの事務の煩雑化或いは予算の面の非効率的な運営というものは測り知られぬものがあるのでありまして、これらの点は何も予算措置を講ぜずして解決し得べきものでございますので、大臣のこの方面におけるところの特別なる御配慮によりまして改善せられることを私は希望しているのであります。
 更に社会福祉事業に対するところのいろいろな私的の社会事業団体があると思うのでありますが、これらについても効率的にこれを整備統合される必要があるのではないかと私は思うのであります。その他日本赤十字社の運営につきましても或いは済生会の運営につきましても、その他この重要なる厚生省の外郭団体についての整備統合というようなことにつきましては、特に御留意を願いたいと思うのでありますが、これらの改善の意欲ということについては、もう大臣の御趣旨はわかるのでありますが、これらについて特に私はお願いいたしたいのでありますが、大臣の御所見を承わりたいと存ずる次第であります。
#72
○国務大臣(山縣勝見君) 只今厚生行政の改善に関していろんな点について御示教を賜わりまして非常に参考になりましたが、それらの点につきましては御趣旨の点を体しまして検討、改善いたし得るものはできるだけ改善いたしたいと考えております。ただそこで私的福祉事業の統合等につきましても、私もさように考え、その後現地に視察をいたしまして考えたのでありますが、ただ一つそこでいつも私がその問題を考えます際に疑問になりますることは、例えば保育所を視察いたします、或いは母子寮を視察いたしましても、どんなにその施設が立派でありましても、その運営の衝に当つておりまする者のいわゆる心構えの面において考えさせられる点が非常に多い。殊に私的福祉事業というのはそういうふうな精神的な面を中心にいたして、さような事業が結成されている面が非常に多いと思うので、ただ御指摘のように運営上無駄のある点もございましようから、それらの点も勘案いたしまして善処いたしたい。結核の問題或いは外郭団体等の問題、いろいろお教えがありましたので、よく検討いたしたいと思います。
#73
○榊原亨君 最後にもう一つお尋ねいたしたいのでありますが、予算が運営せられまして、いろいろな施設ができるのでありますが、その施設が予算が使われました後どんなふうな状態に運営されているかという、いわゆる行政査察的な面についても特に御留意をお願いいたしたいと思うのであります。いずれ係官に私は伺いたいのでありますが、国民健康保険に対する補助金を出してそうして直営診療所を建てる、その建てた保険診療所が一体何%能率的に動いているのでしようか、そういうふうな、或いは今回におきましてもこの予算の中に三千床というものが国立病院から結核病床が移管されるということでございまするが、これらについて予算はとつて成るほどそれは運営される、併しながらその後に果してそれらの病床が本当に能率的に動いているのでございましようか、こういう点について特に厚生大臣の今後におけるところの御注意をお願いいたしまして私の質問を終ります。
#74
○国務大臣(山縣勝見君) 只今のは御質問でございませんでしたが、一言申添えたいと考えますることは、現在内閣といたしましては行政機構の改革或いは行政費の節約、それらと共に行政監察ということを非常に厳格に総理も言つておりまするし、内閣の方針としてもとつております。殊にこの国民健康保険に関しましては、私はかねて申しておることでございまするが、これは省内にも申しておりまするし、関係の向きにも申しておるのでありまするが、現在の国民健康保険を例にとりましても、収納率の問題或いはその他運営の問題、いろんな点において私は改善強化すべき点があろう。殊に改善すべき点があろう。それで如何に国庫負担を今後いたしましても、やはり整備された機構、整備された運営の上に国家の補助を与えて、初めてそれが円滑な而も完全な運営をいたされるのでありますから、私はむしろただ保険財政が困難であるからといつて、国庫負担をいたすということを重ねまするならば、折角改善される面が疎かになるという点もあるので、私は前回国庫負担を閣議におきましても最後まで頑張りました際に、ただ一点私が申添えたことは、今後この社会保険の運営に当つては、改善すべき点は大いに改善してやるから、それに責任を持つから、国庫負担をやつてくれということで、最後閣議決定をいたしたわけであります。全く同感でありますから、この点は強化いたします。
#75
○湯山勇君 最初に本日の質問或いは御答弁の中で出た社会保障制度審議会の性格について、大臣の御見解を先ず承わりたいと思うのです。本日のお話合の中にも、審議会の答申とか或いはこれを諮問機関と考えてその答申については尊重する、或いは権威ある機関として見ているというようなお話がありましたが、この日雇労働者健康保険法案に関する参考資料、これの中にも「諮問機関の答申及び申入れ」というので、社会保障制度審議会、社会保険審議会、失業対策審議会、この三つが一括されておるわけです。私はこの社会保障制度審議会の性格については、勿論厚生大臣がこれを管轄されておるわけではないですけれども、非常に関係が深いという立場において、これができましたときには、それまでにあつた厚生大臣の諮問機関とはつきりなつていた社会保険制度調査会を解消いたしまして、内閣総理大臣の直轄によつてこの審議会ができたはずでございます。従つて社会保障制度審議会のこの意見というのは、いわゆる諮問機関として扱つていいかどうか、或いはこれは尊重するという尊重の仕方というものは、どうあらなくちやならないか、これは更に申せば、この審議会と国会、或いは政府、そういうものとの関係を大臣はどのようにお考えになつていらつしやるか、この点を先ず承わりたいと思います。
#76
○国務大臣(山縣勝見君) 只今のお尋ねでありまするが、これは極めて簡単明瞭であろうと私は思うのであります。審議会の答申は勧告として出ております。そうして国会は、要するに国会において立法をいたすのでありますから、政府はその立法に基いて行政いたすのであります。審議会と国会との関係、国会と政府との関係、政府と審議会との関係、おのずから明瞭だと考えるのであります。
#77
○湯山勇君 今の点に関連してでございますが、本法律ができますときの審議におきまして、当時の政府委員であつた宮崎委員が次のように説明しておるわけです。これは国会をこの審議会が拘束するものではない、勿論政府も必ずしもこの勧告によらなくてもいい、こう言うのは一つの形式的な言い方であつて、実質的には政府の側からも最高の役人が出ておるのだし、国会からも議員諸君が出ておるのだし、又これには当然大蔵省関係の役人も入つておることなんだからこの意見は尊重するという建前で、相違した場合にはこれには拘束されないけれども、このような構成でやつた場合には実際には意見の食違いということは起らない、従つてこの審議会の勧告については当然財政、予算、そういうものも考慮されてなされるものであるから、実際においてこれの答申なり勧告なりというものは実施されると考えられるというような説明があつておるのですが、これについてはどのように現在のところなさつておられるか、それを承わりたいと思います。
#78
○国務大臣(山縣勝見君) その点につきましては単に社会保障制度審議会に限らず他に同様の審議会がありまするので、審議会の勧告或いは答申通り国会或いは政府が予算を組んで執行しなくちやいかんという責任は持つていない。ただ審議会でありまするから、只今仰せのようなふうに政府からも国会からも学識経験者からも出ておるのでありまするから、その出た勧告の線は財政上の点或いはその他の点を勘案いたしてできるだけそういうようなふうに努力することはいたします。その意味において審議会の答申必ずしもこれは無駄なものではない。但しその通り国会が立法をいたし、その通りに政府が予算の執行編成をいたさなくちやならんということになりますると、これはいろいろな問題があるので、これは単に社会保障制度審議会のみに限らない問題でありますから、さように只今申上げたように考えております。
#79
○湯山勇君 つまり形式的に大臣がおつしやつたことはよくわかるのです。ただ実質的には今申しましたように、政府の側からも単に厚生省関係の担当の係官というだけじやなくて、予算、財政両方の人も出て来るわけですから、当然その審議の過程におきましては、基本的な方針の決定というようなものは別ですけれども、個々の具体的な審議に当りましてはそういうことも当然論議されると思うのです。従つて若しこの審議会の結論が、或いは勧告が実施されない、実施されないというのは程度の差が僅かだというのじやなくて根本的に容れられない、或いはもつと反した方向に行くというような場合には、これは審議会が悪いのか、或いは政府が取入れる取入れ方が悪いのか、そのいずれかになると思うのですが、具体的な例を挙げて申上げますならば、今回お出しになつておる日雇労務者の健康保険法案に対するものにつきましては、社会保障制度審議会におきましては、平たく申せばこういう法案を作る趣旨はいいことであるけれども、このような内容の法案は作らないほうがいいということをはつきり述べておるわけです。これは文章の上で申上げますならば、極言すれば今日かかる内容の制度を実施することは将来社会保障制度を確立するに当つて却つてその妨げとなるやの懸念さえもないではない、こういうような極めて強力な意思表示がなされておるのですが、こういう点について基本的にどのようにお考えになるか、その点を承わりたいと思います。
#80
○国務大臣(山縣勝見君) この点は御意見の交換になりまするからと考えますが、若しも審議会に次官が出ておりまするから、政府はそれによつて拘束されるということになりますると、国会議員が出ておられまするから、国会の委員会なり或いは本会議の決議を待たずしてその審議会の決定を国会の意思表示と見なくちやならんということに相成るので、これは審議会のいわゆる決定というものはやはり一つの方針であつて、例えば憲法二十五条のあの条章から見ましても、憲法二十五条でああいうふうなことが書いてありまするが、これは必ずしもその通りに個々に国民に対していわゆる生活保障の権利を認めたわけではありません。従つて審議会の勧告は勧告として、いわゆる次官が出ておりますることも又国会議員のかたがたが出ておられまするのも、なお学識経験者その他が出ておられまするのも衆知を集めて公平に一つ社会保障の方法等も考えて、そうして政府に勧告をして、そうして政府の施策の重要な参考にいたそうというのが趣旨でありまするから、実質的にも形式的にもそれによつていわゆる法律的に拘束されるものではなくして、政府は政府の責任において予算の編成をいたし、政府の責任において予算を執行いたすのでありまするから、先ほどから申上げおりますることに、考えておることに相違はないのであります。
#81
○湯山勇君 大臣の御見解はよくわかつたわけです。ただ私が申上げたのは、この法律ができますときに、当時の政府委員であつた宮崎委員が委員会においてそのような説明をいたしまして、そう了承されておるわけです。そういうことが現在も踏襲されておるかどうか。そういう気持でやつておられるかどうか。若しそのようなお気持でやつておられるとすれば、今回の日雇労務者の健康保険の問題は今のような点で非常に問題があるということを申上げたまでです。
 なおこれに関連してお尋ねしたいのですが、この勧告においてもそうでありますように、或いはそのほかの意見においてもそうでありますように、給付の国庫負担ということは先ほどの御質問にもありましたけれども、これの最も重要な事項になると思うわけです。私は基本的にこういうことを考えるわけです。社会保障制度のような性格のものは現在なお日本においては進化しつつある状態にある。従つて先にできたものは不備な点が多ついにしても、あとからできるものはそれは予算的なものとか、財政的なものとか、そういうものでの拘束は或いはそのときの情勢によつて違いはしてもその中を流れておる精神というものはやはり進歩がなくちやならない、こういうことを考えるのですが、お出しになつている今回の日雇労務者の健康保険法案についてはそのような点がどのように御検討になられたのか。私非常に了解に苦しむわけですが、これはなおこの法案の審議に当つていろいろ申上げたいと思います。
 これと関連して私お願い申上げたいのは、本日の御答弁の中にもやはり財政的な、予算的な措置によつてやりたいことができないということを大臣はしばしば御答弁になりましたが、私今御質問申上げたこととも関連を持つて、この社会保障制度審議会のようなものを今大臣はあのように形式的に申されましたけれども、実質的に御活用になれば国会審議の過程が私が申上げましたような過程を通つておりますので、うまく御利用になれば予算を獲得するそういういい手掛りにもなるのではないか、そういうことも考えますので、もつとこの審議会の精神、或いはこれの運営、そういうものについて御研究頂いて、実質的に社会保障制度がより前進するように御尽力を頂きたいと思います。以上で終ります。
#82
○国務大臣(山縣勝見君) 御質問ではございませんが、一言附加えておきたいと思うのであります。社会保障制度審議会そのものに対しましては、従来その権威を尊重いたし、その勧告を尊重いたして政府の施策の重要な参考と言いまするか、にいたして参つておるのであります。只今仰せのようなふうにいわゆる予算獲得の具に供しまするようなことは一切いたしたこともなければ今後いたすつもりもございません。申添えておきます。
#83
○藤原道子君 すでに時間も遅くなりましたし、同僚委員から各方面からの御質問がございましたので、昨日質問の通告をいたしましたことを極く簡潔に、なお皆様の御質問洩れの点だけをお伺いいたしたいと思います。
 先ず第一に私お伺いいたしたいことは、法律が作られていてもそれが実行されていない、予算に縛られていると言えばそれまででございますが、それでは余りに情ないと思うのでございます。そこで私は以下三点についてお伺いをしたいと思いますが、先ず第一にお伺いいたしたい点は基地附近における衛生状態についてでございます。先ず第一に過日の前国会の予算委員会でも御質問いたしましたので、その後改正されておるかと思つて先日私行つて見ましたけれども、まだそのままに放置されておる。それはどういうことかと申しますと、基地附近におきましては下水道が完備していない、ところが駐留軍は下水が完備されていないにもかかわらず汚水をそのまま川へ放出しておる。ところがこの汚水が井戸水に浸透いたしまして住民はその井戸水を飲むことができない、こういう問題について日本の国民の衛生状態を大臣はどのようにお考えになつておるか、過日私が御質問申上げました以来でもすでに二ヵ月以上も、三ヵ月経過しておる。
 それといま一つはやはりこれは立川地区でございますが、ガソリンが井戸水に浸透いたしまして井戸水にときによると火をつければ燃えるくらいにガソリンが入つておる。殆んどこれは飲料にはならない、ところがこれに対して聞かないはずはないと思うのでございますけれども、今日まで何ら対策が講ぜられないで放置されておる。水道を引いてもらいたいということをお願いいたしましても自己負担である。ですから歓楽街その他で不当の利得を得ている人たちは皆水道を引いております。けれどもまじめに、堕落したくない、ただ良心一点張で頑張つておる勤労階級の家庭におきましてはこのガソリンの水を飲むことがいやならば配給されます水をもらう、遠く二町、三町、雨の日にもバケツを持つてもらいに行かなければ飲料水に事欠くというような状態にある。これを今日まで放置されておるということは私の了解に苦しむ点でございますが、これに対してどのような対策を今日まで立てておいでになつたかという点について先ずお伺いをいたしたいと思います。
 又時間がございませんので続けて御質問申上げますが、基地附近における児童の問題、児童福祉法はできておる、児童憲章もできておる。けれども子供が如何に護られておるか、学校における子供たちは騒音のために勉強ができない。或いはあの騒音の中で幼い子供たちは交通禍に襲われて幼い生命を失つている子もたくさんある。或いは人身売買によつてまだ未成年者が特飲街等に売られて、そうして売春を強要されておるという事実は各所に起つておる。不就学児童も起きておる、こういう点に対して子供を護る立場にある厚生大臣といたしましては今日までどのような対策を立てておいでになつたか。次いで保育所等についてもただ全国へ振割るのではなくて、こういう不幸な状態にある基地附近においてこそ保育所等を設立して特に子供を護るべきではなかろうか、こういうことをかねて申しましたけれどもいまだこれが放置されておる、これは立川は近いから見て来たのでございますが、全国七百ヵ所を越えておる基地、演習地附近における状態は同じような状態にあるのではないかと思うとき慄然といたすのでございますが、これについて大臣の御見解と、今日までこのことに対して立てられた対策についてお伺いいたしたいと思います。
#84
○国務大臣(山縣勝見君) この問題につきましてはかねて当委員会において藤原先生からたびたび御注意を承わつておりますので、現に局長も現地に参り、私も実は立川に参りました。十分考慮をいたして、例えば立川でありますると私が参つたのは大分前でございますが、先生が参られたのは……。
#85
○藤原道子君 おとといの夜です。
#86
○国務大臣(山縣勝見君) 立川は大体において国庫負担は六千万円、起債六千万円で私が行きましたときには、工事をいたしまして、八月には完成いたすことになつております。ですからこれは我々は向うの責任者に聞き、又私が見たことでございますが、或いは先生にはどういうふうに御報告を申上げたかは存じませんが、大体さようになつております。
 それから下水の問題につきましては同様全く同感でありまして、これに対して今折角大蔵省と折衝いたしております。
 それから基地の児童の問題、これは非常に大事な問題でありまして私も心を傷めておりますが、保育所の問題等に対しても何とかしてこれが仰せのようなふうにいたしたいと思つて大蔵省にも話をいたしておりまするのでありますが、何としてもただこれは子供だけの問題では在ので、いろいろな面からこの問題を解決しなくちやいかん。いろんな団体、或いは基地附近の婦人会、或いはいろいろな団体、こういうような精神的なものだけでは解決しませんけれども、あらゆる手を尽してこの点は改善を図つて行きたい、さような点で実は仰せのようなことがございまするので、ただその起つたことをその都度処理いたして行くということも必要でありましようけれども、根本的にこの問題を取上げて何らか解決しなくちやいかんというので、この前にも御答弁を申上げたことでありますが、その後の経過を御報告を申上げたいと思いますが、この基地の問題につきましては従来公衆衛生の見地を主として考えておりましたが、最近は御承知の風紀の問題等が相当重大な問題でありますので、公衆衛生、風紀の問題、その他仰せられるようなことを中心にいたして、この前御報告いたしたときには合同委員会においてこの問題を取上げて参りたいということを申上げましたが、単に中央の合同委員会だけではいけませんので、その後合同委員会の中に風紀関係の委員会を設けまして、そうして日本側においては昨年の十月の二日からたびたび会合いたしまして準備をいたしまして、今年の三月の十六日に第一回の風紀対策分科委員会と言いますか、そういうものを合同委員会の中の分科委員会に設けまして、そうしていろいろ対策を講じました結果、この六月の十六日に一応の結論が出まして、これを、この分科委員会等には関係各省が入つております。勿論合同委員会でありまするから、駐留軍のほうのオーソリテイーとも話合つた結果の結論が、一応関係の地方に地方連絡協議会を設けまして、その協議会が中心になつてこの公衆衛生の問題並びに風紀の問題等を解決して行こう、そうしてこれでいろいろやりまるが、こてに対して、なかなかそう言いましてもできませんので、例えば今仰せられました売春の問題であるとが、或いはそれに伴う犯罪の取締り等に対しては従来以上に警察力を強化してやつて行こう。なお又そういうような問題について解決しない問題については、中央の合同委員会に問題を持つて来て更に強力に解決をしようというような基本方針をきめまして、丁度十六日でございますから極く最近でありますが、きめまして地方に通達いたした。そうしてその効果が現に、確かこれは九州地方でありますか、どこかでも現にその通牒の効果が現われているところもございます。
 そうしてこのような措置の中には、或いは場合によつては立入禁止の区域を作りますとか何とかするというふうに、風紀問題の解決に資するようなふうに強力な施策をしようというようなことをきめまして、地方都道府県知事に連絡をいたし、なお又駐留軍のほうに、駐留軍のオーソリテイーからその申入れをしております。今後これらを中心にしてこの問題の解決に当りたいと考えておりますが、何分にもこの問題はそう簡単に一片の法律では解決いたしませんので、いろいろな点に対して各省とも連絡を取りましてなお一層これらの問題に対する解決に努力をいたしたいと考えております。
#87
○藤原道子君 大臣のお言葉までもなく、派生的な問題で解決のできるものではない。それは根本的には基地の問題でございますから、解決のできる問題とは思つていないけれども、それは又その方面の委員会において審議をするつもりでできておる、この現実をも私は放置することができない、こういう趣旨でお伺いしたのです。大臣は大体対策を立てていたはずだと言うけれども、一昨日行つて見ましたところ、まだ明らかにそれがそのままになつておるのですから、これは十分に下部に徹底し、どういうふうなことをおとりになつたかということを改めて当委員会に私は報告書を頂きたいと思います。
 それから今のに関連いたしまして、風紀の点についてのお話でございましたが、その分科委員会なるものが問題なんです。これの人選はどういう方面でおやりになつたのですか。これらの人の中には業者自体が入つているところもある。この人選が問題なんです。でございますから、地元の真面目なお母さんたちが子供を守る会等々において問題を取上げますと、これを抑えつける面がある、こういうことを言う者は赤だ、共産党だと言つてこれらの正しい母の要求を抑えつける傾向があるということを、大臣は御承知でございましようか。私はこの人選、構成等についてお伺いをいたしたい。
 それといま一つ、その結果の現われでございましようか、米軍江田島、呉地区において売春婦の追放云々ということが昨晩の朝日新聞の夕刊に出ておる。ところがこれに対しまして、向うの責任者から、犯罪や性病を完全になくするために、江田島及び呉から夜の女を追放したいというふうな強い要望が出て、若しこれをしないならば上陸を禁止するというような意思もあるというようなことが発表されている。ところがこれに対して、地元業者がそんなことをされちや困ると言つて泣きついている実情が出ている。これに対して大臣はどういうふうにこれを処置するお考えであるか。若し夜の女をこのままぴしやつとやつた場合に、この夜の女に対する対策、更生の面、これらについてどのようなお考えを持つておるか。予算書を見ますと、この特殊婦人に対しての予算は非常に僅少でございますが、これでこの大きな問題を解決できるとお考えでございましようか、それについての御見解を伺いたい。
#88
○国務大臣(山縣勝見君) 只今仰せになりました分科委員会は中央にあるものでございまして、地方にありまするのは地方の協議会でございます。地方の協議会につきましては、人選は中央からは指示いたしておりませんが、只今仰せのようなことのないように改めてよく申達をいたしたいと存じます。
 なお、只今お話の呉地区でありますが、売春婦の追放に対して地方の業者が何か運動をして陳情しているということについてどう考るかということでございますが、これは勿論我々といたしましては、厚生省も関与してこの分科委員会を作つて今言つたような方針をきめたことによつての一つの現われでございますから、できるだけそういうふうな売春行為であるとか、風紀問題の起らんように我々が処置をすることは当然でございます。業者に動かされてどうとかいうことは勿論いたさないつもりであります。
 それから更生の問題については、先生は御専門でありますから御承知の通り、勿論予算も少いことと思います。地方によつては、たしか十七ヵ所でございますか、更生施設がありますが、勿論こういうふうな転落した婦人が、一片の法律なり、一片の予算で以てどうこうということでもございませんでしよう。まあできるだけのことをしつつ、これは社会全体がそういうような人が更生するようなふうに持つて行き、又御婦人たちもみずから更生できるような環境に社会状態を持つて行くという大きな問題でありまするから、これはなかなかむずかしい問題でありまして、一厚生大臣がどんなふうにここでうまく答弁申上げてもできないことでありましようが、まあできる立場の者ができる範囲で最善の努力をする、我々としても、最善をいたす、又最善をいたして来ているつもりであります。一つ御協力を願つてこの問題の解決に当りたいと存じます。
#89
○藤原道子君 誠に心細いような御答弁なんでございますが、いずれ時間がないので、改めてあれしますけれども、ここで問題になつて参りますのが、中央が分科委員会、地方は協議会、ところがこれらの中には、売春婦を一定地区に集めて赤線区域を作ろうと、そうして皆の目にかからないようにしようという方向へ持つて行こうというような意見が大分抬頭しておりますが、大臣はこれに対してどういう御見解をお持ちでございましようか。実は昨年アメリカの議会におきまして、一月にオハラという上院議員が、いつか本会議で申上げましたように、日本の基地附近において集団売春が行われておる、これに対してアメリカ当局はどう思うかということに対して、七月の三日の答弁において、日本は数百年来の売春の歴史のある国である、こういう先ず大前提を下しての答弁書が出ておる。このことは日本が淫売の国であるということを世界各国に宣伝してくれたことになる。私たちは売春を公然と認めておる国ではないと思つている。ところが、ここで赤線区域を作りますることが、日本では売春を認めておるということになる。これに対して大臣はどういうふうにお考えでございますか。同時に世界各国の売春対策を見ましても、赤線区域で成功している国はないのです。日本の国内においても、赤線区域を作つたことによつて成功しているところはない。赤線区域の中に一人の女がいるということは、その周辺に五人くらいの夜の女がいるという統計になつている。又強姦等が……、若しなくすれば良家の子女が犯されるというようなことがしばしば詭弁として弄されておりまするが、良家の子女というのは如何なるものをいうのか私は存じませんけれども、赤線区域附近においてこそ強姦等の事件が多いのでございます。赤線区域附近へ行けば女を金で購つてもいいんだというようなことで、性道徳が乱れておるからそこに強姦が行われている。きれいな座敷に鼻つ紙をうつちやる人はない。汚れているところへ行けばついその人も汚すのです。従いまして、赤線区域を作つてこの急場を乗り越えようとする一部業者に使嗾され、大臣がそれをしたというのではありませんよ。私たちのところへも、我々の仲間には命知らずがおるから承知の上で赤線施策をやれ、次の選挙には必ず落して見せるが承知かというような、幾多の脅迫状が来ておるのです。ところが私たちは、日本の本当の次代の青年たちの上を思うとき、又日本の国辱的な問題を解決したいと思うから努力しておる。ところが、今の分科委員会等の方向がそのようであるやに聞いておりますが、大臣はこの赤線区域についての御見解はどうお考えであるかという点についてお伺いいたしたい。
#90
○国務大臣(山縣勝見君) 赤線区域に関する私の見解は、たしか一両回先生に申上げたことがあると思うのです。(藤原道子君「なお明確に一つ」と呼ぶ)
 従来公衆衛生、性病予防の見地から、たまたまそういう地域が事実としてできておりまするけれども、これを厚生省が認めたとか、厚生大臣が認めたということは、これは勿論ございません。又、さような意思もありません。従つて、この分科委員会等において、さような一つの醜所を作るような、赤線区域を作るような方向にその政策を持つて行くということはありません。私はかように申上げましても、赤線区域と称せられる類のものがあることは事実でありますから、これをどう解決するかということは、ここで形式論を申上げておる問題にあらずして、いろいろな総合的な問題として解決しなければならん。私がここで一片の答弁を申上げましても、いわゆる赤線区域の問題、日本の風紀問題を解決するわけには参りませんので、これは先生と一緒に努力して、そうして我々関係の省としてもかねて申上げておりまするように、売春の問題、風紀の問題は大きな総合的な問題でありますから、ここで割切つて御答弁はできませんけれども、できるだけその方向に参りたいと、いわんや赤線区域を認めるような意思は毛頭ありません。
#91
○藤原道子君 今納得したわけではございませんが、次の委員会に質疑を譲ることにいたしまして、大臣は赤線区域なるものを認める気か認めない気か、反対か賛成かということを一つはつきりしてもらいたい。
#92
○国務大臣(山縣勝見君) 赤線区域を認める意思もございませんし、かようなもののないことを希望いたしております。
#93
○藤原道子君 次にお伺いいたしたいと思いますのは、先ほど山下委員から御質問のございました結核の問題でございますけれども、これと切離すことのできない問題に住宅問題があります。今日住宅が足りないことがしばしば当委員会で問題になつております。現在なお全国に十一、二万の者が防空壕の生活をしておるというような実情にあるというのでございますが、これに対して住宅政策が余りにも貧弱だと思うのです。それで第二種住宅等の問題のその後の、本年度ですか、この計画を先ず水わりたいこと。それから建設委員会に押されちやつて、厚生委員会はどうもその力がないというふうなことを言われております。それで母子寮等におきましても、折角社会に復帰できる段階に来ていても、住宅なきが故に復帰することができない、そうすると母子寮がいつまでも塞がれておる、そうして新らしく母子寮へ入りたい母子が救われない、こういう状態になつておりますが、これに対して大臣の抜本的な住宅対策を私は立てるべきだと思いますが、これに対してどういうお考えを持つておいでになるか。
 それから間借生活が非常に多いために、聞いておいて下さいよ。間借生活が非常に多いために、結核に冒されるのです。開放性結核に冒されても、病院へ入ることができない。それから結核予防法ができておるけれども、半額負担です。そうして金がない。なかなか医療保護も受けさしてもらえない。そういうために、一つの部屋に開放性結核と同居しておることによつて小児結核が非常に殖えて来ておる。小児結核は、死亡率が五三%ぐらいですが、非常に高いのです。結核は死なんというけれども、子供はどんどん死んでいるのです。ところが、この小児結核に対しての対策が私は生ぬるいと思うのです。そうして、母子衛生の今年度の予算を見ましても、肢体不自由児を含めましても僅かに一億五千三百万円、こんなことで果してこの重大なる問題の解決ができるかどうか。本当に子供を愛するならば、本当に社会の衛生を真に考えるならば、こんな予算では私情ないと思うのです。私はむしろこの際住宅は、第二種住宅をどんなことをしまても、もつともつと増額してもらわなければならん。無駄な金を使つておる、根本的に無駄金を使つておる。でございますから、これを是非増築をしてほしいということ。それから小児結核に対して特別の方針を立てるべきであるということ。それから結核予防法ができても、半額が地方負担になつているから、地方財政の窮迫しておりまする今日、地方では結核予防法にかけることを好まないのです。でございますから、この際むしろ結核は予防から治療、アフター・ケアに至るまで全額国庫負担でなすべきである。そうしなければむしろ無駄金が使われるので、非常に問題が大きいと思いますので、私はそうすべきだと考えますが、大臣の見解をお伺いしたい。
#94
○国務大臣(山縣勝見君) 住宅問題についてお話がございましたが、全く住宅問題は、只今日本といたしましても、就職の問題が一番大きな問題でございますが、仰せのこの第二種公営住宅に対しましては、毎年建設省にもお話をいたしてできるだけ、只今厚生省の力が弱いというお話でございましたが、或いはさようなことが従来あつたかも知れませんが、今後できるだけこの点に対しては、いわゆる第二種公営住宅に対してこちらの意向の反映いたすようにいたしたいと思つております。
 それから小児結核の問題につきましては、これもお説の通りだと思いますが、やはり従来やつて参りましたような方針を、例えば検診とか、BCGの注射なんかというようなことを強化いたす、又仰せの予算等に対しても重点的にそれに充てるというふうにいたしたいと考えております。巨細な点はいずれ又局長からお答え申上げます。
#95
○藤原道子君 これは大臣よ強くなれと申上げたいのでございますが、甚だ失礼でございますけれども、今のようなことではこの問題は解決しないと思いますので、一つ御奮発をお願いしたいと思います。
 それから最後にお伺いしたいことは、只今私のところへ、全国へ作業拒否の指令を打電したというふうな電報が来たのです。御承知の癩患者の問題でございますが、昨日局長が全生園においでになつたとか伺いましたが、そのおいでになつた結果をちよつとお伺いしたいと思います。
 局長はあとにして、大臣にお伺いしたいことは、今全園の癩病院において非常に問題が起きておりますことは、もう御承知の通りです。親心をさぞ痛めておいでになるだろうと思うのです。これに対しまして、いろいろ法律の改正をめぐつての問題でございますが、ただこの解決はなかなか困難ではございましようけれども、止むに止まれない立場からこうした死を賭けての念願でございますが、これについて患者の意図を少し汲み入れて、法律の改正にこの意思を入れてやるお考えがあるかどうかということをお伺いしたいということと、それから強制検束をどうしても必要とするという理由、これは今までに強制検束がなければ園内の秩序が保てなかつたということの件数がどのくらいあるのかということを私はお伺いいたしたいと思います。それから療養所に働いておる従業員の感染率、この点。それから患者の身の廻りの費用でございますが、これは昭和二十四年、確か昭和二十四年に決定した四百五十円ですか、以来増額してないように承知いたしておりますが、昭和二十四年の経済的なあり方から見ますと、今新聞一つ取上げましても莫大な相違があるのです。従いまして、四百五十円をそのまま据え置くということは私酷だと思うのです。四百五十円で一体何が買えるかということを考えますときに、これは是非とも増額してやるべきだと考えまするが、これらについての大臣の御答弁をお伺いしたい。
#96
○国務大臣(山縣勝見君) この癩患者の、例えば菊地恵楓園でありますとか、或いは草津の栗生楽泉園でありますとか、多摩の全生園でありますとかで、只今作業拒否、草津におきましては若干、極く少数の者がストを起しております。これに対しましては、仰せの通り非常に心を痛めております。何分にも特殊の病気の患者でありますから、我々といたしましても、ただ普通の有体のことを考えないで、心を痛めております。何とかしてその作業拒否を止め、殊にバンガーストを何とか止めてもらいますように、従来も手を尽して参り、殊に又作業拒否と言いますると、自然に癩患者の日常の、例えば食生活にいたしましても影響いたすことでございまするから、職員が超勤等をいたして現在凌いでおるのであります。若し何かありますれば、臨時雇もいたしたい。殊に又重症の患者につきましては、重症舎に入れてよく話をして、さような間違いのないようにいたしております。実は先般来衆議院においても、予算委員会でも御質問がございましたし、又いろいろな向からの陳情等のございました際にも申したことでございまするが、今回の癩患者がさような作業拒否をしておるについて、我々といたしましても、勿論慎重にそれらの患者の立場も考えて、ただ徒らにお役所が法律を単に形式的に取扱うというようなことではなくして、十分にいろいろな点を勘案いたして今実は検討中でありまして、例えば前国会に出しました法案につきましても、これは御承知の通り、大体あのときは国会の方面の意向も確めて出しましたのでありまるから、各党共いろいろ御意見はありましても大体まあ御了承下さつて出したことでございます。併し、その後の癩患者の意向もあり、又いろいろ検討いたしまして修正いたすべき点もあるやにも考えましたので、二、三これは修正いたして癩患者の希望にも副つたほうがよかろうという点もあり、そういうことも検討いたして、今折角何とかよい案を作りたいと思つて努力いたしておる次第でございまして、只今仰せの強制検束ということはないわけでありまするが、いわゆる懲戒検束でございますか、さような検束は今後は緩和をいたしたいと考えております。
 なお又これは衆議院でも申しましたことでございまするが、ここでも申上げまするが、都道府県知事に対して患者の入所退所に関して報告をいたすことになつておりまするが、この癩患者の特殊な事情から見て、秘密の保持ということが非常に大事でありまするから、これらの点を何とかして考慮してみよう。
 なお又この只今申上げたような検束のこともありますし、監禁ということが従来ございましたが、これもどうがと思いますので、これも考えてみようと、いろいろ今折角考慮いたしておるのであります。早くこれらの事情を患者諸君が了承いたされて、そうして円満に解決することを希望いたしております。
#97
○藤原道子君 もうやめますが、懲戒検束をしなければ治安が保てないということが従来どの程度あつたかということを私伺いたかつたのです。それが一つなのです。大臣に私身の廻り品についてはどういうふうにお考えになつているかということは、あとでお答え願いたい。
 そこで私大臣に最後に申上げたいと思いますことは、私はこういうふうに考えておる。昨日でしたか、厚生省の或る人が、一部の人が扇動しておるのだから心配はない、というようなことを言われたのです。一部の者が扇動しておるのであつて、全体の患者でないから心配はないということを言われたかたがあるのです。けれども私は、こ、れは内灘等の問題にしても、外部の者が扇動しているのだからというようなことで逃れる一つの方便だと思うのです。私はそういうことが問題でいろいろな問題が起つて来るので、結局今我々が恐れておる、殊に政府が声を大にして叫んでおりますのは、治安の維持の問題、その対策として駐留軍が必要であつたり、保安隊が必要であつたりということを言われるのです。けれども私たちは、この国内の暴動が随所に起るこうした問題はどこに原因があるかということは、生活の不安が根本だと思う。結局私たちは国内の治安、或いは院内の治安等々治安ということを考えまするのは、ここにいろいろな不平不満を解消してやる。乏しければ乏しいだけのこれを患者たちに、或いは国民に納得さして、乏しきを憂えるに非ず、等しからざるを憂える、こういう気持でやつて参りましたならば、私はむしろそのほうが治安を守るには大切なことであろうと思うのです。
 今の政治を見ておりますと、防衛費とかその他のほうへは強力に予算がとられて、ややこの厚生行政が圧迫されている傾向がある。患者の要求にいたしましても、天刑病といわれておる今までの癩、ところがあれは伝染病で、今日はお蔭を以て高貴薬も使われるために養生すれば退院ができる段階に来ている。ところが社会ではそれをまだ知らない。だから天刑病当時の癩という名前を変えてほしいという願いはむしろ涙が出るくらい私たちは尤もだと思うのです。
 ところが、これもいかん、あれもいかん、これも患者の我儘だ、一部の者の扇動だ、こういう態度で臨まれますと、本当の解決はむずかしいのではないか。その人の身になつて私は解決をしてやつてほしい。殊に全国が作業放棄等のことになりますと、私の恐れますものは、現在でも一部の従業員が倒れているところも出て来ているのでございますから、これは大変な問題になるだろう。従いましてそのような病気になつた可哀そうな人たちを悩ませないように、温かい方法で私は解決するに格段の御努力をお願いしたいということを申上げます。
 それから基地周辺等のことにつきましても、どうぞ根本的な解決は我々の責任でお互いにやつて行かなければならないのでありますけれども、個々の問題といえどもなおざりにせずにやつて頂かなければならないと思います。
 今次一部の者が反米気分を煽るというのでありますけれども、反米気分を煽るのではなくして、素朴な国民感情が日常起る幾多の目に余る問題によつて、素朴な国民感情が反米的に動きつつあるということは、誠に恐しいことだと私は考えております。どうぞアメリカに偏するでない。或いはソ連に偏するでない中道を行くのが私たちの念願でございますが、それも極端に反米的に国民になられますことをむしろ我我ば恐れておりますので、どうか素朴な地方の国民の考え方等を十分お考え頂きまして、生活政治を担当される厚生大臣は、一段の御努力を切に要望いたしまして、私の質問は終ります。
#98
○委員長(堂森芳夫君) これで本日の委員会を閉じたいと思いますが、明日は午後一時から理容師美容法の一部を改正する法律案と、厚生省関係予算についての質疑を続行いたしたいと存じます。衛生関係の残りを質疑いたしたあとに、社会、児童、保険等に進みたいと存じます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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