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1953/07/14 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 厚生委員会 第15号
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1953/07/14 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 厚生委員会 第15号

#1
第016回国会 厚生委員会 第15号
昭和二十八年七月十四日(火曜日)
   午前十時三十九分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
七月十三日委員泉山三六君辞任につき
、その補欠として谷口弥三郎君を議長
において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     堂森 芳夫君
   理事
           大谷 瑩潤君
           常岡 一郎君
           藤原 道子君
   委員
           榊原  亨君
           中山 壽彦君
           谷口弥三郎君
           横山 フク君
           林   了君
           廣瀬 久忠君
           湯山  勇君
           有馬 英二君
  政府委員
   厚生省医務局次
   長       高田 浩運君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       草間 弘司君
   常任委員会専門
   員       多田 仁己君
  参考人
   慶應義塾大学医
   学部長     阿部 勝馬君
   東京大学医学部
   学生      井形 昭弘君
   千葉大学学長  小池 敬事君
   日本医師会代議
   員会副議長   藤江 武敏君
   京都大学附属病
   院インターン生 藤原 憲和君
   東京大学教授
   (内科)    美甘 義夫君
   国立相模原病院
   長       柳  荘一君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○社会保障制度に関する調査の件
 (インターン制度に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(堂森芳夫君) 只今から厚生委員会を開会いたします。
 社会保障制度に関する調査の一環としてインターン制度の調査のため、本日は参考人といたしまして慶応大学医学部長阿部勝馬君、東京大学医学部学生井形昭弘君、千葉大学学長小池敬事君。日本医師会代議員会副議長藤江武俊君。京大附属病院インターン生藤原憲和君。東大内科教授美甘義夫君。国立相模原病院長柳壮一君の七名のかたがたに御出席を願つておりますが、小池参考人は都合により午後に出席せられるということでございます。これから参考人のかたがたからインターン制度についての参考意見を順次御発表願うのでありまするが、すでにお手許に御意見を発表して頂く点を申上げてございますので、およそ二十分程度で御発表下さるようお願い申上げます。
 なお御意見に対する各委員のかたがたの質問は一応各参考人のかたがたの御意見が済んでからお願いいたしたいと存じます。参考人のかたがたには大変お忙がしいところを御出席願いまして厚くお礼を申上げるものでございます。
 では、先ず阿部参考人からお願い申上げたいと存じます。
#3
○参考人(阿部勝馬君) 御通知によりましてこの最後に付いておりまするインターン制度の参考意見、その順序を逐つて私自身の意見を述べてみたいと思います。
 先ず第一にインターン制度は必要か必要でないかという御質問でありますが、私には現在行われております医学教育制度の下では、インターン制度は是非とも必要であると思われるのであります。その理由は二、三ありますが、それを述べさせて頂きますと、先ず第一に近年の医学は基礎医学の面におきましても、又臨床医学の面におきましても大変に進歩しておることは御承知の通りであります。それで現在行われておる四年間の医科大学の教育の中にはそれらのものをすべて十分に織込んで、完全な医師を育成するということは甚だむずかしい状態になつておるのでございます。殊に医者として日而も必要な診療の面、殊に治療の面における実地教育には甚だしく欠けるところがあるのを認めざるを得ないのであります。それでインターンとしまして、診療の実際の面、殊に患者の取扱いとか、或いは治療の実際を教育して四年間の学校教育の仕上げをするということは必要なことであると思われます。それが第一の理由であります。第二の理由としましては、現在のインターン制度におきましては臨床の各科を順次に廻つて修錬するようにできている、いわゆるロテーティング・システムをとつておると思うのでありますが、医者となる者が臨床の各科の診療を、実際を修錬しまして、その知識経験の上に臨床の或る専門を選んでそれを更に勉強して行くということは極めて望ましいことであると思うのでありますから、インターン制度として、各科の医科教育を終つた後に各科の臨床の知識を更に十分に揃えて、その上に或る専門を選ぶということも必要であると思われますので、インターン制度はやはりあるほうがいいという考えを持つております。
 第三の理由は、理由と申すほどのことでもありませんが、臨床の実際の修錬を積めば積むほどよい医者になることができるということは勿論であります。そうして医者が人命を取扱うという使命を持つております関係上、修錬の上にも修錬を積んだ医者のでき上ることが望ましいのは勿論です。こういう観点からいたしましても、修錬を積む臨床のいろいろなけ意見を持つという点においてもインターン制度ボ必要であると思うのであります。
 で、それでけ現在のインターン制度そのものかいいか一という問題に左ると思いますが、実は現在行われておりますインターン制度は我が国に何らの準備がなくして咄嗟の間にこの制度を布くようになつたのでありますからして、実際において申しますとインターン制度、インターン生と申しますか、その実地修錬に当るものと、インターンを預つている、又インターンを指導する病院の犠牲において行われている状態でありますから、当然改善され、インターン制度の内容において改善されなければならない点が多々あるように思われます。このインターン病院の施設のことについて改善すべき点を申上げますると、今までインターン病院の指定というものは病院の持つている病床数で、ベツト数できめられた傾きがあります。或いは百以上のベツトを持つもの、又先年は暫くの間ぼ五十以上のベツトを持つ病院というようなものがインターン病院として指定されたことは御存じの通りであります。このベツトの数のみによつてインターン病院を指定するということ自体に甚だしい欠陥があることを認めなければならないのであります。端的に申上げますならば、施設ベツト数以上のいろいろな案件について深い考慮が払われて、インターン病院の指定は厳格にしなければなら左いと思われるのであります。そうしてインターン病院として適当しているかどうかは単に病床数の大小ばかりでなく、外来患者に対する診療施設がどうなつているか。或いはいろいろな臨床的な検査の施設がどうなつておるか、或いはインターン生の勉学する施設がどうなつておるか、例えば文献、図書等において果してインターン生の勉強するに十分なものがあるかどうかというようなことに注意を払われなければならないのは勿論でありますが、そのほかに、更に大事なことは、その病院の各科のインターン指導者が果して当を得ているかどうかという問題であります。現在学生の諸君或いはインターンにつかれているかたがたがインターン制度に不服を持つている、不満を持つている最も大きな原因は指導者が当を得ていない、或いは施設が不完全であるというようなことが最も大きな不服の原因ではないかと私には想像できるのであります。従つて今後インターン病院を指定するに当りましては、これらのいろいろな点に十分な注意を払われて、十分指導能力のある、受入態勢の十分ある、インターンらしいインターン生活のできるような施設をインターン病院として指定されなければならないものだと考えるのであります。
 次にこのインターンの時期とか期間というようなものにつきましては大体今やつている一年、それを幾つかに区分いたしまして、外科方面或いは内科方面、それから公衆衛生方面というようなことに使われるがいいと思うのでありますが、又これにつきましては一部には保健所の勤務をもつと短縮してもらいたいというような意見もあるようであります。これは恐らく保健所そのものの指導が不十分であるということがそんなに時間をかける必要がないというような不満の出て来るもとだと思うのてあります。
 それから又その施設責任者の権限の問題でありますが、これはインターンを指導するに当つて指導権を十分に与、えて頂くがいいと思うのでありますが、又インターンとして不適当なものは自分の病院から追出すというようなくらいの権限を与えて頂きたいと思うのでありますが、と同時にインターンを育成する十分な責任も持つて頂かなければならない、こう思われるのであります。
 それから次にこのインターン生についてのいろいろな御質問でありますが、先ず第一番にインターン生自体の身分の問題でありますが、これは実際インターンでありまして、学生でもなければ医者でもない、宙ぶらりんの状態になつております。併しこれが若し何らかの形でここに挙げられております医師補とか或いは修練生或いは準医師というような名前が付いて、それに或る身分を認めて頂くことはできないであろうか、是非これは何らか法律的の考慮を払つて頂きたいと、こう我々不断から考えております。これにつきましては又インターン生のかたや、又学生のかたからも意見があるかと思いますが、この身分については是非何らかの形で現行の制度が続くならば、この身分について何らか考えて頂かなければならないというふうに考えております。
 それから次に経済問題でありますが、実はこのインターン制度というものは国家がよりよい医療を国民に提供しようという政治的な理想の下に企画されたものと思われますので、そして現在医科大学の卒業生にはインターン制度というものを強制している関係上、国家はこのインターン、実地修練に当るインターン生に何らかの経済的な援助を与えて頂きたい。実際、以前は四年間の医学教育を終れば、直ちに医者となり得たのでありますが、併し国民によりよき医療を与えよう、又そつのない医療を与えようという理想の下に具現されたインターン制度のことでありますから、国家の何らかの援助を与えて然るべきものじやないか、殊にインターン制度はアメリカのインターン制度を模倣したものでありますので、やはり四六時中インターンがインターンとして働くという施設等についても十分な考慮を払つて頂きたいと思うのです。できるならば病院の中にインターンの宿舎を持ち、或いはインターンに食事を与えるとか、そのほか小遣を与えるとか、アメリカではインターン中は月に三十ドル乃至六十ドルの給料を与えておるようであります。このことにつきましては是非ともこの議員諸公の十分な御配慮によりまして、この問題の解決に当られたいと思われるのであります。なお現在は、先ほども申しましたようにインターン生とインターンを預つている病院との犠牲でインターンの育成が行われているのでありますから、そのインターンを預つておる病院に対しましても何らかの補償がされて欲しいと思うのであります。現在でもその補償がないわけではありません。併しそれは年額にいたしまして僅かに一万か二万円の世話料と申しますか、頂いておりますが、それにいたしましても臨床の学科が十課目か十一課目あるといたしますと、いくらにもならないので、殊にインターンに対する病院負担というものは、一人一万円程度のものが要るということは、或る病院においてはすでに調査されておる現状であります。従つてそういうことにも又考慮が払われたいと希望いたす次第であります。次に国家試験を行う時期、内容という御質問でありますが、国家試験の内容といたしましては、インターンとして十分修得したかどうか、又個々のインターン終了者を単独に医師として独立させていいかどうかという内容的な試験をせられるのが当然であろうと思われるのであります。すでに医科大学において学問的な審査は、学校自体の責任において十分いたしておるのであります。果して個人開業を許していいかどうかということの試験が内容的に必要であると思われます。試験の時期につきましては、これは大学を卒業するとすぐでも、或いはインターン終了後でも結構なんでありますが、実はインターンにつく前に国家試験をパスさして、インターンに相当するものをその後一年間やるということは非常に気楽に行えるような考えがいたすのでありますが、人間の本性といたしまして、そういうような形をとつた場合に果してインターンを十分に勤め上ザるかどうか、修練するかどうかということが疑問になりますので、やはりインターンの済んだのちに、先ほど申しましたような内容をもつて試験しないと、インターン制度そのものが事実において壊れるのではないかというふうに私には考えられます。
 最後にその他の意見として御質問になつておりますが、私自身の考えを申しますと、私は現在の医学教育制度が必ずしもいいとは思つておりません。戦後に布かれた医学教育制度につきましては、多々改良する点があろうと思います。それは医科大学に入る前のいわゆるプレメディカルの勉強、それから入学資格、それから今申しましたインターンの問題であります。この問題につきましては、一貫して医科大学の前或いはその卒業したのちの一年間というものを一貫した医学教育の体系というものを今一応考え直さなければならん時期に来ているのではないかというふうに考えられるのであります。そういたしますと、このインターン制度につきましても違つた考えが湧いて来るのでありますが、幸い来月の下旬には、第一回の国際医学研究会議がロンドンで催されることになつております。そういう方面でもインターンの必要か不必要かというような問題まで討議されることと思つております。そういう会議が済みましたならば、日本の医学教育そのものをもう一度考え直して、それにはインターン制度も含み、又プレメディカルの教育のことも含んで考えて見たらばどうであろうかというふうな意見を持つておりますが、これにつきましては今日は深く触れないことにいたします。以上が私の意見であります。
#4
○委員長(堂森芳夫君) 次に井形昭弘君に願います。
#5
○参考人(井形昭弘君) 私は東京大学の現在五年に在学している井形と申します。昨年以来私たち学生が全国の医学生を一緒にしまして、こういつたインターンの問題についていろいろ集つて嘉したり、いろいろお願いしたりして参つたわけなのでありますけれども、今日この席上で私が述べさして頂く意見と申しますのは、大体全国の学生のいろいろ討論し合つた結果でありまして、医学生が大体このようなことを考えておるというようなこととお受取り下さつて差支えないと思うものであります。又今日このような席上で学生の代表といたしまして出席さして頂きましたことを、学生一同非常に喜んでいる次第であります。私たちがインターンに対して廃止を主張しておるということは、諸先生がたにおかれましてもよく御承知のことと思います。従いまして第一の、インターンが必要であるか不必要であるかといつたことに関しましては、私たちインターン制度は不必要であるというお答えができると思うのであります。勿論インターン制度で謳われております実地修練を修得するといつた意味の、いわゆる抽象的な意味のインターンの制度の価値というものは私たちも十分考えておるのでありますけれども、私たちが現在問題にしておりますのは現在のインターンであります。現在のインターン制度を廃止して頂きたいと言つておるのであります。先ほど阿部先生からも申されましたように、インターン制度が非常に内容が不備であるというようなことは非常に明らかなことなのでありますけれども、恐らく実際上のインターン生の生活を見て見ますならば想像以上のものがあると考えられるのであります。というのは、インターン制度に対して現在厚生省の予算として渡されておるものは、インターン施設一施設当り僅かに年間千円というような予算で仕組まれているわけなのであります。それはやはり病院側にとりましてはインターン生が来るまでは医育機関としての病院ではなかつた。それが教育の責任を持たせられて、而も予算が全然ない、そういうようなところに一番問題があるのではないかと思うのであります。インターンが内容が不備であるということは要約しますと三つに分類できると思うのであります。
 一つは教育内容が非常に低下しておる。これは私たちが全国に亙つて調査した結果から見ましても非常に明らかにされておるところなのでありますけれども、責任ある指導医が全然不足しているというようなことや、或いは大学病院なんかにおきましては邪魔者扱いにされる。インターン生は出て来て下さつても結構ですけれども、お休みになるんだつたらお休み下さい、そういつた調子で扱われておるところと、又丁度いい、インターン生が来てくれた、じやこの仕事をやつてくれといつて、責任ある先生が帰つてしまう、そういつたことが非常によく散見されるわけであります。それからもう一つは、学生の経済的問題、これは医学部と申しますのは、新制大学におきましては卒業するまでに六カ年かかるのであります。これはほかの学部に比べまして二年長い。而もそれに対して一カ年の義務制のインターン制が附加えられておる。その間勿論給与は全然ないのであります。そういつたことを考えますときに、私たちとして医学教育を終つたから、それで一人前になつたということを、そういうことを申すのではありませんけれども、やはり大学を卒業して、ほかの学部では就職という形で生活給に足るだけのものを頂いておるのに、私たちは全然保障がない。私たちの父兄にいたしましても非常にそのことは負担であり、私たちにとりましてもアルバィトや育英資金、そういうもので賄わなければならない。この点は特に学生生活、現在の学生生活が非常に苦しい。それがますます延長されている。そういつた形で私たちにとつては非常に大きな問題になつているのです。それからインターン生の身分の問題でありますけれども、これは例を挙げて申しますならば、本年の一月に徳島の医科大学附属病院におきまして、ヒロポンの中毒患者にインターン生が殺されたという事件がありました。そのときに病院側としては勿論、もとよりインターン生というものは病院の職員ではないから補償のしようがない。何とも補償のしようがないというわけで、明らかに業務上の傷害でありながら、補償が全然得られなかつた。そこで学生あたりが問題にして、教授、諸先生にも強力にお願いして、やつと僅かばかりの補償金を得ることができた。又三年ほど前に豊島病院においてインターン生がチブスに感染したような事件があつた。そのときも病院の職員でないからという理由で、その補償は全然考えられなかつた、そういうような事態があるのであります。身分というのは学生でもなく医師でもなく非常に不明確なものである。
 大体インターン制の不備というのはその三つの点に要約されると思います。それに関しまして毎年々々受ける側のインターン生の立場から、これでは困る、何とかして欲しい。そういうことを厚生省なんかに申上げて来たわけです。その問題としております点は、大体三項目、先ほど申しました三項目に亙つておるのでありまして、一つはインターン制の内容を改善して教育的に価値のあるものにして頂きたい。教育する責任者をはつきりきめて、そのために厚生省としても予算を組んで頂きたい。それから身分の問題としましては、とても身分が不明確で、勉強するには不安定で、又国家試験制度というものがあとに控えておるために、殆んど勉強しなければならなくて、医師としての診療を行う場合にも医師の資格がなければできないというような観念があるものですから、十分なことができない。そういうような点から医師の免状を先に与えて頂きたい。
 それからもう一つは経済的な問題でありまして、これはやはりインターン生が困窮しておるというようなことと、それから十分に勉強ができるようにというような意味で、できればほかの学部よりも二年長くして、而もその上の、義務ずけられた国家の要請するものであるから、是非とも四級一号俸くらいの公務員並みの給与は支給して頂きたい、この三項目を挙げて厚生省に対してお願いして参つたわけです。ところが我々が願つております本質的な改善というのは、全然なされなかつた。それで私たちが考えて見ました。こういつた本質的な改善を要求するのは非常に無理である。それは厚生省もたびたび言つておられますように一そういつたインターンに対する予算というのは、現在到底出る見込がない。それならばせめてインターン制度を廃止することによつて、私たちの医学教育をもつと充実させて、それで我々としてはそれだけ引延ばされたものを確かり引締めてやつて頂きたい。そういうことに結論が到達したのであります。それは昨年の九月、全国の医科大学四十六が集つていろいろ協議した末、結局医学教育並びに医療制度の改善充実に基く現行インターン制度の廃止というようなことを全会一致で確認したのであります。それでこれから、なぜ我々が廃止を主張するかというようなことを箇条的に申上げまして、私たちの考えておることを申上げたいと思うのであります。
 一つは先ほども申しましたように、私たちが願ておる本質的なインターンの改善というのは、殆んど不可能に近い。厚生省のほうもはつきり認めておられますように、インターン生の経済的な問題を解決し、身分を解決し、内容を充実するということは、殆んど予算の裏付けない限りできないものでありまして、この予算というのは、現在出る見込は全然ない。それならばせめて廃止して頂きたい。これが一つであります。
 それからもう一つは、インターン制度、インターンでやることを全然なくしてしまうということを私たちは主張しておるのではございません。それをインターンでやることはむしろ現在の四カ年の医学コースの中に叩き込んでやつて頂きたい。これは昔四年で一応の、一人前の医者にするまでの教育ができたものが、現在一年のインターン制度があるために、私たちなどでも、例えば内科なんか、随分簡単な臨床検査ですら、これはインターンでやるからというので引延ばされているというような実情なのであります。そういつたことをやめて、いわゆる昔四カ年間でやつたことを、いつの間にか五年間に水増しされたということをやめて頂いて、それだけの充実した形で四年間で教育を終つて、私たちは、それで浮いた一年というものを、もつと有効に使いたい、そういうことを申しておるのであります。この四カ年の過程に繰り入れをするということは、大学の諸先生がたは大体一致した意見をお持ち下さつておりまして、現在のインターンでやるようなことは四カ年のコースででき得るということを、私たちは教授諸先生からはつきりと聞いておるのであります。
 それからそれに関連してでありますけれども、私たちはインターンの廃止を運動しておるさ中に、と同時に、授業内容の改善ということを非常に重要な要素と考えておるのであります。これは先ほども申しましたように、インターンでやることを学生時代に織り込むためには、どうしても今の授業内容をもう少し改善して、充実して行かなければならない。インターンでやるようなことを学校時代に終わるようにしなければならない。こういうことを各学校におきまして教授諸先生にお願いしたり、或いは実際に時間割に組んで頂くようにお願いしたりして、現在までは、例えば東邦大学とか、東京女子医大とか、そういうようなところでは、インターンでやる程度というものは学生時代の授業の中に繰入れられておる。又東京大学におきましても、来学期からそういつたことが実現されるであろう、そういうようなことが決定されておるのであります。
 それからなぜ我々が廃止を主張するかということの一つとして、インターン制度を撤廃することによりまして、先ほど申上げた学生の経済的な問題、或いは身分の問題というものは、全部解決してしまう。現在五カ年でやつておることを、四カ年間にすることによつて、一カ年の、学生が経済的に困るという問題は解決してしまうということなのであります。勿論これは一カ年のインターン制度が終りましてから、現在の制度では無給医局員という制度が布かれておる。そういつたものに対して、それほど大きな解決になるとは申されませんけれども、インターンでも、一年でも短かくなれば、私たちといたしましては、それだけ経済的な問題というのは助かるのでありまして、この点はインターン生が非常に困つておるという面と睨み合わせて、十分お考えになつて頂きたいと思うのであります。
 それからインターンが撤廃された場合に、医師の資格が卒業と同時に与えられることになる、このことに対しましては、私たちとしまして、四カ年のコースが終つたから、これで一人前にやろうというようなことは申さないつもりであります。併しながら一つの医学教育が終つたという名目もあるために、医師の資格を与えて頂きたい。まあ医師の資格を与えて頂いてからも、勉強をしつつ、学びつつ、医師としての任務を果しながら勉強をして行くというように、後の教育というものを充実した形でやつて頂きたい。そういうようなことによつて医師の資格を与、えられるということは、私たちが申しております身分の問題を解決することにも、或いはインターンを廃止するという点に関しましても、非常に解決の点になるのではないかと考えておるのであります。それからなぜ撤廃を主張するかという、非常に重要なる面といたしまして、元来インターン制度と申しますのは、一人前の医者になるための実地修練と、はつきりと教育の面を強調しておられる制度なんであります。ところが現在のインターン制度では、特に地方の病院なんかにおきましては、病院の下働きとして、インターン生が役立つておる、教育というよりも、むしろインターン生が病院に対して貢献しておる面が非常に多い、そういうような点が指摘されると思うのであります。これは現在の地方の病院というのは、非常に元来公共性を持つべき公立病院というのが、現在の制度では非常に赤字を出しておる。そのために何とかしてその赤字を克服するために、病院の営利性というものを非常に重要視して来ている。そういうようなところが、私達がインターン病院を調査しまして非常に目につくのであります。それでそういつた病院におきましては、一人当りの医師の担当ベツド数というのが殖えておつたり一だんだん殖えて来たり、或いはお医者さんというものが給与が低くなつたり、そういつた事態があるものでありますから、お医者さんというのが余り行かなくなつた、そうするとそのお医者さんの行かない代りに、インターン生というものをその病院に迎え入れようとする、そういつた傾向が現われておるのであります。そういつた病院におきましては、始めからインターン生三人というのは医者の一人に当るのだ、そういう計算でちやんと病院の経営のほうに必要な制度となつて表わされておる。そういうような面が特に地方の病院、北海道の病院なんかにおいては、はつきりと見られるのであります。元来私たちがインターン制度と申しておりますのは、教育して頂く制度であると考えておりますのに、そういつた病院におきましては、インターン生が来たことによつて病院のために働いてもらう、そういう面が強調される。厚生省におきましても、これは最初インターン制度は教育制度であるということをお認めになつて下すつたと思うのでありますけれども、現在のインターン生というものは病院に対して貢献をしておる。それでインターン生というのは病院から技術を授けてもらう、その相対関係によつてインターン制度は成立つておるのだ、そのように申されておるのであります。これは非常にあいまいな言葉でありまして、例えば学生の経済的な問題に対する解決案として厚生省が出されました、少くとも国立病院に関しては宿舎、食事、子、ういつたものを給与したい、そういつた場合に、私たちの勉強ができるためにそういつたものを下さるということではなくて、実は国立病院に対してインターン生が貢献しておる、その貢献した面を少しでも買つてやろうじやないか、そのようなお考えなんじやないかと私たちは考えるのであります。これは先ほども阿部先生が申されましたように、病院側がインターン生を欲するということは、例えば昨年から今年にかけて公衆衛生方面の期間というものが、最初インターン制度が置かれましたときには一カ月あつたものであります。これは公衆衛生方面を非常に重要視するために、インターン制度が布かれたという一つの理由にもなりますけれども、それが昨年から今年にかけて二週間に削られた。これは保健所側の、例えば東京近辺の保健所長の会議なんかにおきまして、公衆衛生というのは、一カ月より絶対に減らしては困るという結論を出しておるのであります。併しそういつたものが病院全体の共通な主張によつて二週間に削られて、公衆衛生でやるというようなことは、病院でやつているからというような理由で削られてしまつたというような事実もありますし、又ここの専門員会でお調べ下すつたデータによりましても、特に公私立病院においてインターン制度を存続して欲しいという声が強く、大学病院とか、或いはインターン生が実際的にその病院に対して役立つていないところでは廃止の意見が比較的多い。そういつた現象が現われておるのであります。昨年から厚生省がお考え下すつた改善案の中には、大学病院のは無給医局員が非常に多く、インターン制度が役に立つていないから、大学の附属病院をインターンの指定から省くというような案もお考え下すつたのでありますけれども、私たちの調べた結果によりますと、大学病院というのは確かに邪魔者にされてはいるけれども、地方の小病院よりもまだ充実したインターン制度がやられておる。そういう事態があるのであります。このようなことは、私たちが考えまして、非常に不自然な姿である。やはりインターン制度というものが教育制度であれば、それだけ教育というものを非常に重要視して確かりやつて頂きたいと私たちは考えておるのでありますけれども、インターンを存続しろと言われる理由の中に、そういつた病院側で、教育というよりも、むしろ病院で働いてもらおうというような気分が動いておるということは、私たちとしてはどう考えてみても納得が行かないと思うのであります。而もそれが一カ年もインターン生が無給で過さねばならないということの理由にもなつておれば、なお更だと思うのであります。私たちとしましては、やはりインターン制度、インターン制度と申しますのは、インターン制度それだけの問題ではなくて、やはり医学教育を充実させ、医療制度をよりよいものにして行くということが一番問題なのでありまして、そのためにこそ私たちは早く能力のある医者になりたい、そうして早く国民の人たちに貢献したい、又そうすることによつて私たちの経済の保障を得たいということなのでありまして、そういつた線から、私たちのインターン廃止の運動というものも、全国的に学生が強力に集つていろいろと運動をして参つたのでございます。これに対しまして厚生省が現在までに示して下さつた改善案と申しますのは、私たちの念願しておる根本的な改善案ではなくて、むしろ非常に末梢的なことで、例えば大学をインターン指定病院から省くというようなことや、金のかからん改善というものができるはずだというようなことを言われたり、或いは改善のために予算を組んだけれども削られたというようなことも言われるのでありますけれども、やはり先ほど申上げましたように、例えば国立病院だけは何とかしたいというような厚生省の御意向のようでありますが、国立病院は現在地方移譲ということが行われておりまして、厚生省が考えておられるのは、大体三年後に非常に国立病院の数が減る。それに入つているインターン生だけは非常に優遇される。ところがまあ優遇されるか優遇されないか、これは非常に実現性は困難たと思うのですけれども、そうすることによつて、ほかの病院もこれに倣うように勧告するというように言われておりますけれども、現在の、特に地方の小病院におきましては、インターン生に対して、経済的に困つておるならば、国家でこれを補償して欲しいという声が圧倒的に強いのであります。従つて現在の病院の経営の中から、インターン生に対して給与を出してくれるというようなことは、殆んど不可能に近いのじやないかと思うのであります。このようなことで私たちが廃止ということをお願いしておるわけなんでありますけれども、私たちは、それならば、廃止したら私たちはどのようにして行けばよいか、そのようなことに関しましては、私たちの間でいろいろ考えて討論をしておるのでありますけれども、やはり先ほど申しましたように、インターンで問題になつておる経済的な問題とか、内容の問題、身分の問題、これが全部解決されるということが私たちの一番の願いでありまして、インターンがなくなつて、そこで医師の免許状をもらつても、やはりその後私たちが経済的に十分勉強ができるようにして頂き、それから勉強が十分できるように、卒業後の医学教育のコースというものを強化して頂きたい、そのように申上げる以外に問題はないと思うのであります。私たちが廃止ということをお願いしておりますのは、全国の学生が希望しておることでありまして、又学生の父兄にとりましても、このインターンの経済問題とか、或いはその内容の問題というのは非常に深い関心事でありまして、これに対しては非常に苦心をして頂いておる。例えば東京大学におきまして、学生の父兄の経済負担の調査をやりましたときも、九〇%の人がインターンを廃止して頂きたいということを希望しておられるのでありまして、又私たちが、私たちのことをいろいろ各方面のお医者さん、医師の諸先生や、或いは教授の諸先生、或いはここにおられる議員の諸先生にお願いして参つたのでありますけれども、それにつきましても、私たちに絶大なる御理解を頂きまして、現在までに開業しておられるお医者さんの署名は、全国で一万名を超しておるような次第なんでありまして、やはり私たちにとりまして、インターンの問題というのは非常に切実な問題でありまして、そのためにこそ医学部の学生が忙しい中を割いて、各方面に署名を集め、或いは各方面に私たちの主張をお願いに上つたり、非常に活発な運動をいたしておるのでありまして、これもやはり私たちだけのことというよりも、やはり日本の医学教育がもう少し立派な姿になり、而もよりよい医療制度ができてくれるようにということを私たちが望んでおるのでありまして、もとより学生でありますから、私たちだけの主張が間違いないということも申上げられないかも知れませんけれども、学生がいろいろ集つて討論し、自主的なことによりまして、自主的にいろいろ考えることによりまして、将来の医療制度はこうあるべきだということをだんだん考えて、そういつたところからやはりインターン制度も考えて行きたいと思つておるのであります。
 それから最後に国家試験についてでありますけれども、国家試験と申しますのは、やはり現在の場合にはインターン制度を基礎としておる。インターン制度の効果を見るために、むしろ国家試験が行われておるというような形で行われておりまして、これはやはりインターン制度というものが教育にあれば、そういつた国家試験とは、そういつた形式的なものに煩わされずに、十分勉強できるようにして欲しいというようなことから、国家試験はインターンと関係がある限り、私たちがインターンの廃止を主張する限り、国家試験は不必要なんじやないか、但し、どうしても国家が国家試験というものを、国の力によつて、国が責任を以て医師を養成するという意味において必要があるならば、インターン制度と全然切離された国家試験というものならば問題は別だと思うのであります。大体これが私たちの学生が要望しておるインターン制度に対する考え方であります。
#6
○委員長(堂森芳夫君) 次に藤江武俊君にお願い申上げます。
#7
○参考人(藤江武敏君) 藤江であります。議員各位におかれましては、もうすでに我々が述べんとします程度のことは十分御研究済みのことであることを私は承知いたします。従いまして侵くいろいろなことを申上げる必要を私は考えていないのでありまして、極く端的に私自身の感じを申述べたい、かように考えるのであります。
 私をして言わしむるならば、現在のごときインターンは絶対に不必要であると私は申上げたいのであります。その第一の理由といたしましては、只今各、先のかたがたが述べられましたように、インターンを受けるにおいて、いわゆる官公立大学等においてはむしろインターン制度が邪魔物扱いをされている。反対に或る所においてはこれを代診として非常に重宝に扱つている、もつと甚だしいところに至りましては食事を与え、而も相当の報酬を与えている。これでは果して現在のインターン制度というものに一貫性があるか、教育としての一貫性があるかということには非常な疑問があると私は考えておるのであります。むしろそれならば今の大学制度において時間の配当を適当に按配することによりまして、現在のインターン生が受けている程度のインターンは十分大学教育に織込むほうが遥かに立派な教育ができ得ると私はかく信ずるのであります。
 更に学生の立場を借りて私はこれを見ておりまするに、今のインターンを受ける学生の態度なるものを決して私はいいと申上げられない、かよう考えるのであります。殆んどそのインターンの半分はただ国家試験の受験準備的のインターンである、真にインターンをして教育の本当の意味に徹するインターンを受けている態度であると私は言われないという、心うに思うのであります。従いまして現在の姿におけるインターンは百害あつて一利なしと私は結論付けたい、かよう考えるものであります。
 従いまして私は次の、インターン制度が必要でありや否やという問題に対しましては私は必要でないという結論に立つて論をいたしまする以上、第ニの御質問に対してはお答えする必要を私は認めない、かよう考えるのでありまするが、併しながらそのインターン生に対する身分の保障というような問題は、これは当然今のインターンというものを存続させて行くという建前をとるならば、相当にお考えを頂かなければならない問題ではないか、かよう考えるのであります。
 実際に受入れまする大学等におきましても、本当にインターンをして本当のインターンたらしむるにはどうしてもその専門に立派な一つのインターン教育の機関をお持ちにならなければならないことは申すまでもないのであります。然るに現在の予算関係において到底そういうような受入態勢がなされておらんということもはつきりいたしておる事実であります。こういつたような受入側に対する保障を如何にするか、更に又インターンというものが義務付けられております以上、当然学生と同待遇を与えるというようなことはこれは論ずるまでもないのでありまして、然るに現在までその線が放任されておるということは、むしろ奇怪至極と私は言いたいと思うのであります。
 最後に私は国家試験の問題に触れてみたいと思うのでありますが、国家試験というものが一体今の姿の国家試験がいいかどうかということに私は非常な疑問を持つのであります。即ち現在ここ数年間の国家試験の成績を見まするに九〇数%が例年卒業している。戦前における非常なる整備のされたる大学と、戦後或いは終戦前後にできた未だに完全ならざる設備の大学の卒業生が九〇何%に亙つて全部国家試験をとるということに相成りまするならば、一体病気で休んだ者も、含めた僅かの国家試験をパスしない者があるということに相成りますれば、果して国家試験なるものの現在のあり方というものが果していいのかどうかということにいま一応考えて見る必要があるのではないかというふうに私は考えるのであります。従いまして国家試験というものの学校差というもの、相当、非常に私は今までの設備の整つている学校というものと、終戦前後にできた未だに整わざる大学というものとの間における学校差という問題を考えまするときに、実際今の国家試験というもののあり方に対しては更に本委員会においてもお掘下げを頂きたいと考えるのであります。従いまして現在のごとき国家試験制度であるならば、むしろ昔の、我々が習つた当時の医学教育に戻つて、先ほど来いろいろ申されまするように、その医学制度の本当の姿をいま一度十分なる検討をされまして、時間の配当等の技術的手段によつて、昔の、我々が受けて学校を卒業すると同時に、それまでに適当なる教育をすることによつて直ちに医師たる資格を与え、或いはその間開業するまでに対しては、多少の、何らかの形における勉強は必要といたしましても、今の姿のままでは、今の国家試験そのものも私は不必要である、かように考えるのであります。
 極く簡単でありまするが、意見を申上げます。
#8
○委員長(堂森芳夫君) 次に藤原憲和君に願います。
#9
○参考人(藤原憲和君) 私、京大附属病院インターンの藤原であります。
 私も学生のときにインターン制廃止を望んでおつたのでありますが、残念ながら希望を達することができず、現在京大病院において実地修錬をやつております。現在の私の体験と、大阪、東京、京都インター連合のいろいろな報告と、そういつたものを以て学生側から只今述べられました廃止の意見に、多少具体化した意向を附加えたいと思います。
 インターン制度について必要、不必要について結論的に申しますならば、私はインターン制はこの際撤廃して頂きたいと望むものであり、且つそれを望むにとどまらず、積極的に撤廃したほうがいいのだと、そういうふうに考えております。理由について申上げます前に、一体現在のインターンはどういつた実情であるか、こういう点を申上げ、その実状から解決して、撤廃する結論に達した理由を述べて行きたいと存じます。
 現状について申しますと、先ず本制度の裏付である予算については、数年来インターン教育の低劣さの最大の原因として予算の不足が挙げられ、再三再四増額を交渉して来たのでありますが、依然として病院の補助金一施設平均一カ年千円と、指導医給与月額二百二十五円、そういつたものを含めて全体として年間五百万円足らずといつた驚くべき予算は一向に増加する気配もなく、厚生、大蔵両省もその増額の見込みはないと結論されている状態であります。ところが本年に入りまして、国立大学の附属病院では指導医、指導助手、そういつたかたの給与は公務員の兼職としてこれを支給されなくなつている、こういうような形で事態はますます悪い方向に向つておるように考えられるのであります。
 次にこういつた予算の状態からして、病院側の受入態勢はどうであるかというふうな点を少し申上げますと、簡単に言つて昨年よりよくなつたという報告は全然ないのであります。東京国立第一といつたモデル病院というふうに称せられるところでも、本年よりは白衣の貸与をしない、そういつた形で具体的に悪くなつて来ておるのであります。そういつた予算と病院の受入態勢、そういう中で実習の内容はどうであるかと申しますと、先ほど学生側の参考人が申しましたように、現在インターン病院は実修のやり方において二つに分類できるのでありまして、東大とか京大とかいつた大学附属病院が一つであり、東一、東二、済生会、鉄道といつた中小病院、地方病院が一つであります。その二つは実習の趣きを異にしておるのであります、と申しますのは、大学病院においては、無給医局員も多くて、インターンのなすべき仕事は割合に少いので、インターンは医局員の仕事を手伝わしてもらう、手術を見さしてもらう、糞尿の検査をさしてもらう、医局員の受持つている患者について説明をお願いする。或いは先生方に頼んで講義を聞かしてもらう、そういつた形でインターン制が医局になくてならない、そういつたものではなくて、ただ好意に頼つて教えて頂く、こういうものでありまして、場合によつては邪魔扱いをされる、そういうことも往々あるわけであります。つまりインターンが病院経営上必要ではない、制度があるからまあ止むなく予算もないのに面倒を見なければならない、そういつたような形になるのであります。一方地方病院では医師の数を定員制で縛つてありますので、勢いインターンが大歓迎されまして、そこに資格もないのを逆にとつて検査だとか注射だとか、そういつた下働きに追い便う、そういう傾向が本年に入つてますますはつきりして来ておる、大阪鉄道病院とか京都済生会病院等を例にとりましても、こんなわけで指導医の教育的な指導、そういうようなものは十分ではなくて、インターン生が系統的な勉強をしようと思つても、それは検査に追われて十分にできない、そういつた不満が持込まれております。そういつた不完全な形での内容を持ち又予算的な裏付けを持つていないインターン生は、それでは生活の点はどうかと申しますと、病院側から給与を出しておるところは非常に少いのでありまして、二〇%内外、その給与も五百円から二千円、そういつた程度のものであります。生活保障がこの通りでありますから、当然アルバイトを求めるわけでありますが、その率は昨年においても関西三十一病院の調査の結果から申しますと、大体五〇%といつた数字を出しております。ところが本年のインターンに特徴的なことは昨年に比して一段とアルバイト希望が多い、生活困窮の度が深まつている、そういうことなのであります。例を京大にとりますと、昨年度はインターンになつて食えないのでアルバイトを探し廻る、そういつた声は殆んど聞かなかつたのでありますが、私たちのインターンでは四月、インターンが始まると同時にアルバイトをしなければ何ともならない、そういう声が非常に痛切な要求となつて現われて来まして、私たちは自治会においてアルバイト委員会を作つて、主として医者の手伝いに六十各のインターンのうち約三十名以上を何とか斡旋しなければならない、それでまだ足りなくて二十名余りの希望者がアルバイトを未だに望んでおる状態であります。そういう状態で医者の手伝いとか学校の宿直とか家庭教師とか、そういつたものに殆んど九〇%以上が何らかの形でアルバイトをしておる、且つそれで足らないでまだ求める、そういつたような状態であります。大学病院ではこういつたアルバイトについては比較的理解もあるわけなんでありますが、地方病院になりますと、例えば京都済生会病院では十名のインターンのうち九名までがアルバイトをしなければやつて行けない、そういうふうに申しておりますが、医師の不足をカバーするために出欠は勿論厳重であり、且つ昼間はインターンは非常に忙がしくて又夜は宿直が少くとも週一回、そういつた形でインターン生活とアルバイトとは非常に両立しにくく、済生会病院ではインターンは生活の悩みを訴え苦しんでおる状態であります。勿論大学においてもアルバイトと本当に実質的なインターンの勉強とは両立しないのは当然なんであります。このような状態で昼をインターンにどうしても使わねばならない場合には当然夜はアルバイトに相当時間を割かねばならず、肉体的にも相当負担になつて来ている状態であります。この困難な条件の中で帰省のための学割を要求いたしましても、本年はどうしたわけか発行されず、一面こういつたことが経済面の困窮に拍車をかけておるのであります。又アルバイトと身分の関係について申しますと、医師でないことが、医学士でありながらアルバイトにおいても公然医療面にタツチすることができない。そこでアルバイトの状態は、医学生のアルバイトと大した変りなくなつている、そういうのが現状であります。次に身分の問題について申上げますなら、医師でないということが実習に当つて責任を持たされない、又自信も持てない、看護婦さんにも遠慮勝ちである、そういつた卑屈な状態も生んでおる場合があるのであります。それでは十分な実習ができないのでありまして、私たちといたしましては医師として上級の医師の指導の下に勉強できたら、こういうふうに望んでおるものであります。厚生省側が身分の問題についてインターンの身分はインターンである、こういつた詭弁を弄しておるのでありますが、身分と申しますのは身分によつて保障されておる内容のことであつて、病院においてインターンの身分で保障されておるのは準職員としての医療半額補助程度のものであります。
 以上の点において大ざつぱに現在インターンが置かれておる状態を少々申上げたのでありますが、これを要約いたしますと、昨年同様インターン制度は生活保障がない点と、身分保障がない点と、教育内容が貧困である、そういう点で多くの矛盾点を残しておる。そればかりではなく、本年のインターンは昨年のそれに比して少しもよくなつていないばかりか、更に経済生活面とか、予算面とか、受入れ病院側の態勢とかいつたものにおいてますます悪くなつているように考えられるのであります。更に私は注目すべきこととして、厚生省が改善したと、そういうふうに言つておりますインターンの出席を厳重にし、修錬成績を内申として国家試験に反映させるというようなやり方が、大学病院では出欠をやかましく言い、大して仕事もないのに大学に詰めていなければならない、又成績をつけるために画一的なレポートを書かなければならない、そういつたような状態を現出しておる。一方地方病院では人員不足をカバーするためのインターン酷使がこれによつて一層強められて来ておる、そういう事実を指摘しなければならないのであります。このことはアルバイトをますます困難し、インターンの生活を窮地に追い込むものであると考えております。いやしくも国の制度としてインターン制を置くものであれば、予算の裏付けのある、十分教育的な意味のあるものにするのであればともかく、それをしないで置いて、金のかからない改善としてこういつた形で半強制的にインターンを病院に縛りつける、そうういつたことは、全くインターンを苦しめる以外のものではないわけであります。指導医のほうでも、病院側でも予算なしの制度の押しつけに対しては全く困惑しておるのが現状であります。私たちはそうまでしてインターンを存続させなければならない、そういつた厚生省の意向を理解するのに甚だ苦しんでおるものであります。このような状態にある現行インターン制が如何に私たちの卒業後の一年を、非常に新鮮であり又好学心に燃えているにもかかわらず、その点につきましては、例えばインターンにおいて抄読会をやるとか小講義をやるとかいつたような希望が全員出ておるのであります。そういつた好学心、そういつたものをアルバイトだとか、身分だとか、内容の貧困だとか、出席の強制だとか、検査で追い廻すだとか、こういつた形で如何にスポイルしてしまつておるかという点、この点を十分御理解願いたいと思うものであります。
 以上インターンの実情を少しく説明いたしましたので、これをどう解決すればよいかという点に移りたいと思いますが、私たちがこの制度の解決帯として撤廃と申しておりますのは、相当生活の負担があるので、一年でも早く専門的な勉強ができて受験できるようになり、又勉強できる生活の基盤を作りたいと望んでおるのが第一であります。これについては地方医師会側、教授会側からも支持を得ております。実際我々の生活の苦しさがそのことを如実に物語つていると考えます。併し生活面が相当窮迫しておるからといつて、真に意義のもるものであれば、決して私たちは撤廃してほしいと、そういつたようなことは申さない。なぜなら、本当に勉強できるものであれば一番に熱心なのは被教育者側である私たちだからであります。ところがインターンの内容は、先に少しく述べました通りであります。この点について教授諸先生がたは、インターンをやるよりは医局に入つて専門を勉強するほうがもつと勉強できると、そういうような意見を出しておられます。又その意見では、私たちの学問と生活と、その両面の要求に完全に一致するものであります。更に各科臨床を今のインターン制度に突込むのであれば、先ほど学生側、それから医師会側の参考人から申されましたごとく、医大教育の中にそれを繰込むと、そういうことは十分可能だというふうに考えるものでありまして、これは私たちも実際にインターンをやつてみて感じることであり、又実際に指導しておられる先生がたもそういうふうに言つておられるのであります。それでありますから、医大教育にインターン制度の持つておるよい面を取入れ、又我々を一日も早く医者として入局させることにより我々の生活面を少しでも軽くするということは、現在のままで生殺しの状態に我々が置かれるよりはずつとましなことだと、そういうふうに考えるものであります。勿論撤廃されたからといつて私たちの生活がその日から楽になる、そういつたふうなことを考えておるのではありません。撤廃というようなのは私たちの最低の要求でありまして、今のようなインターンをやるよりは、少しは勉強ももつと打ち込める、それから一人前になる時期が一年早くなつて助かる、それから医局の生活中に医者としてアルバイトができる、そういつた形で少しは楽になる、そういうふうに思つておるものであります。では、どういうことを一番我々が望んでおるかと申しますと、厚生省側の言つているような非常にごまかされた形の改善ではなくて、抜本的な改善、それはまあ学生側から出されておりますように、七級一号の俸給、それからインターンの裏付けとなる予算、身分の保障、そういつたことが完全に実施される状態で、私たちが生活画に何の心配もなしに十分に勉強のできるような状態に一日も早くできること、それが私たちの理想であります。以上撤廃ということの意味と撤廃の理由を少しく申述べたわけでありますが、このことはインターンのみでなく学生、教授の希望でもあることは先にも述べられており、我々インターンとしては、学生側の希望と完全に一致する、我々を含めて一日も早くインターン制度をなくして頂く、そういうことをお願いしたいわけであります。以上第一項についてお答えいたします。
 第二項は省きます。
 第三項国家試験につきましては、もともと戦後の不十分な医科卒業生に対して統制の意味で設けられたものであり、当時はそういつた点で止むを得なかつたとしても、現在では藤江先生も言われた通り合格率から見ても大学教育は戦前の程度に復しておる、そういうふうに見るべきであり更に医学教育も医専もなくなり延長されておるわけでありますから、各大学の権威を重んじて卒業試験を以て国家試験に代えるべきである、そういうふうに考えております。而も先ほど学生側から申されたように、国家試験というものがインターンの存続を図ろう、そういう意味で置れておるような点がないでもないのでありまして、そういう意味で国家試験が置かれるのであれば、なおのこと私たちは国家試験の施行に反対したい、そういうふうに考えるものであります。以上。
#10
○委員長(堂森芳夫君) 次に美甘義夫君にお願いいたします。
#11
○参考人(美甘義夫君) 先ほどからいろいろ御意見の開陳があつたのでございますが、インターン制度というものが実際の実施の面でも又制度の上でも、本来の目的の通り、或いは理想的にと申しますか、行われまするならば、これはどうも不必要だということの理由を発見するのに苦しむのでございます、と申しますのは、医学教育を終えまして、実際診療に当りますといいますことは、病人対医師という責任のあります対人関係、或いは個人関係と申していいのかも知れませんが、という面が非常に多いのでありまして、かような面はどうも学校教育では十分訓練を与えることが困難である憾みがございます。従いまして学校教育を終りまして実際の診療を担当する医師となるという移行期間に、このような訓練をする若干の時期があるということは望ましいと言わなければならないのであります。かようなインターン制度というものが行われます以前は、多くは無給副手と言いまして、卒業いたしまして、大学の医局、多くは自分の学校の医局に入りまして副手として、医師としてではないが、訓練が積まれておつたのでございます。ところがこの無給副手と言います制度は何ら法的に根拠がないのであります。ただ学校が自分の母校の卒業生のポスト・グラジエートといつたような意味で、何と申しますか、法的な制度なしに行われて来ておつたものでございます。今日はかなりそれが数が殖えまして、学校といたしましてもあれこれ考えなければならないような事態に立至つておるのであります。又一方患者につきましてのいろいろな検査事項であり手とか、機能検査でありますとかいうものは、戦後を境といたしまして非常に進歩したと申しますか、複雑多岐になつて参つております。かような事柄は講義のとき、或いは臨床講義のときに、そのやり方、或いは何がゆえにこういうことはやらなければならないかということは講義いたします。それから又それで得られました、成績は、学生諸君の前に話して聞かせます。併しながら、かような複雑な検査、或いは検査等を一々学生諸君の前に実施するところを供覧するということには非常に困難が伴います。かような困難は、インターンというようなことにして常時病院におりますと、その検査のあります都度それを学生諸君に供覧することができる。そうして学生諸君は、或いはインターン諸君はみずから手を下してかような複雑なことをやらなくとも、やつておるところを見るだけで将来進めるときにおいても大変な心構えができるのではないかと思うのであります。まあかような理由によりまして理想的に行われまするならば、という疑問条件がつくのでありますが、そのインターン制度を不必要だとする、大変抽象的と申しますか、観念的になりますけれども、理由を見出すには困難である。現行のインターン制でいいか悪いかということは論外であります。それは先ほどから学生側、或いはインターン側その他のかたがたから十分御意見の開陳がありましたので、それで十分論議は尽されておると思います。まあ改善するとすればどの、どういうような方法かという第二の事柄に移りたいと思いますが、先ほどから学生或いはインターンのかたがたからの意見の開陳で、この指導力の貧困というようなことが挙げられております。これに関しましては、或いはこう言うことができるのではないかと考えるのであります。特定のインターン指導生というものを公務員なり何かの形で厚生省が任命されて、それを必要のところに派遣される、こういつたような指導生というような人たちはそれぞれの機関に御連絡になれば、これはどうも人を得ることは困難ではないのではないかと考えられます。そういたしますれば受入れるほうの病院の側でも、そういつたような資格のある、ちやんとしたお医者さんが来て、一方診療を手伝つてくれるということで病院側としても或る程度助かる面があるのではないかと思われますので、必ずしも拒否されるものではないと思うのであります。
 それからインターンの期間とかその他のことに関してでございますが、只今行われますインターン制度は、これはいわゆる先ほどお話になりましたようにロテーテイング・システムでありまして、各科を万遍なく廻つております。多少その間に軽重はございますけれども、けれどもまあ、これは医学一般の内容を得るということについては或いはいいと思いますが、各科を廻るということは先ほど学生の人から言われましたような講義の内容が水増しされるというようなことがあるのではないかと考えられます。従いましてこのロテーテイソグ・システムよりは、いわゆるストレート・システムと申しまして、将来自分が専門としようと思う科に重点を置いてインターンを勉強する、例えば科別を内科方面、外科方面とに大雑把に分けまして、将来内科専門でやろうというものは内科のインターンの医師の指導を受けまして四カ月なり五カ月なりそこでやるその間に外科の方面の各科、例えば泌尿科を廻られたり、或いは婦人科を一カ月なら一カ月ロテートして、廻つて行く、内科の方面でストレートをやろうとするものが、内科の方面のほかのところをロテートするのがいいのか、全然変つた外科のほうをロテートするのがいいかということは、なお考究の余地があると思いますが、とにかく専門としますところに入つて、そうしてここに主力を置いてインターンをする、そういたしますると大体半年ぐらいやつたらいいのではないかというような気がするのであります。大体これは丁度昔の無給副手といつたような考えかたに似て来るのでありますけれども、この場合にインターンという法的に定められた制度であり、又インターンというものの身分がいろいろと何がしかの形で考えられますならば、無給副手というよりは形がすつきりした形になりはしないかというような気がいたすのであります。それからこのインターンの身分のことに関してでございますが、これは是非何とか考慮を払つて頂きたいと私どもも考えます。又先ほどから縷々言われますように本当にインターンで宙ぶらりんな恰好になつていることは病院としても大変困りますし、インターンを受けられる側からしても大変困ることと思います。それから又学生諸君殊にインターン生諸君が経済的に非常に負担の加重に苦しんでおられるという実情も誠に我々日常見ておりまして気の毒であり、同情に堪えないものがありますからして、これは先ほどから申しますように、給与の面で適当な考慮をして、或いはここにありますように、育英資金といつたような奨学金の意味で何とか安んじて専心インターンの期間を将来のよき医師となるための訓練に推進し得るような考慮が払われたい。又そういうものでなければならないと考える次第でございます。
 それからインターン教育施設における経費の問題でございますが、これは無論現在の経費で足るわけではないのでありまして、それは必要に応じて考慮されなければならないと考えます。
 それから国家試験の施行時期ということでございますが、そのような制度にいたしますると、或いは国家試験というものは卒業と同時に行なつて医師の資格の下にインターンをやるということが或いはいいのではないかと考えます。ただ国家試験を廃止したらどうか。廃止という議論は、これは医師のみならず看護婦にいたしましても、薬剤師にいたしましても国家試験というものが課せられておるのでありまするからして、どうも医師だけが国家試験をやらんということは、或いは困難でもあり又理屈の上からもそうは行かないのではないかという気がいたします。かようなことでありまして、改善されインターンの趣旨に十分副うような制度ができますならば、インターンは継続されることが望ましいということを申上げたいのであります。
#12
○委員長(堂森芳夫君) 次に柳壮一君に願います。
#13
○参考人(柳荘一君) 先ほど皆さんその他のもうすでに御意見がございましたので、私が又同じことを繰返すということもどうかと思いますけれども、一通り頂きました時間だけを意見を述べてみたいと思います。
 第一のインターン制度は必要か必要でないかということは、インターン制度は原則として必要であるというふうに考えたいと思います。原則としてということは今あとで申上げたいと思います。戦争中に医術の程度が下つたから、今元へ戻つたからインターン及び国家試験等は要らないという議論があるようでありますが、それは本質的に違うものでありますからこれは議論になりかねるものであろうと思います。とにかく美甘教授が言われましたように、近頃は医師として或いは医育というものの範囲が非常に拡大して参りまして、四年の課程でそれを十分にすることさえ困難でありますから、それにインターンということをやつて、そうして実地の医師としての或る程度の知識と技能を、それを修得させるということは、やはり私は必要であると思います。ですから、そうすればインターン制度というものが必要だとすれば、それをどうしたらいいかということになります。併し現在のインターンの制度というものは、あれは制度じやない、インターンの実際やつているということは、理想を遠ざかることが非常に多いのでありまして、先ほどから皆さんがおつしやいましたように、実際考えられていたインターン制度というものと現在行われているインターンの実際というものとは相当懸隔があると思います。手許に診療及び公衆衛生に関する実地修練基準というものが、厚生省からこれはもう前から頂いているのでありますが、これがつまりインターンはこうやるべきだということを書いた本でありますが、そういうものを見て見ますというと、この基準通りに行われているところというものば恐らくないと言つていいと思います。少し極言かも知れませんが恐らくないと思う。少くとも大部分はその通りやられていないことになると思います。これは少しくどいようでありますが、少くとも病院には内科、外科、産婦人科、耳鼻咽喉科及び眼科、でき得れば小児科、精神科、神経科、整形外科、皮膚、泌尿器科、理学療法科がこれに加わることが望ましい。それからそこには相当数の病床と実地修練に必要な各種の外来及び入院患者、例えばおおむね百床以上の病床と一日平均二百人以上の外来を持つて、而もそのインターンの数は病床十五に対して一つくらいはなければならんということが書いてある。更に又その上に病理、細菌及び化学検査室、病理解剖室及び図書室その他実地修練に必要な施設というものが必要であるということがこれに謳つてありますが、今のすべてのことではそういうことは絶対ないと言つていいかも知れない、その上にもう一つ一番大事なことは、インターンというものは名前の示しているようにインターンでありまして、決して外から通つているエキスターンではないのであります。ところが宿舎の設備というものが殆んどないと言つていいのでありまして、例えば東大に、例を一つ一つ挙げる必要もないかと思いますが、東大なら東大を例にとつて見ましても、昨年は百五十七名のインターンが入つております。本年は百三十名だそうでありますが、それが病床数は東大はたしか千ちよつとだと思いますが、そうしますとやつぱりまあこれは相当ありますけれども十五名というものには足りません。そればかりではない、その中に泊つている人は一人もいない。インターンは一人もいない。本当のインターンというものはない。慶応義塾の大学も同様でありまして、その中にインターン、中に泊つている人は、偶に泊る人があるかも知れませんが、不断泊つている人は一人もない。こういうことになりまして、最も大切な宿泊と言いますか、中に住込みということが一つも行われていないと言つていいようなのであります。ただその中で或る例外はございます。例えば私が今おります国立相模原病院のごときものは、これは昨年は二十七名のうち二十名が病院の中に宿泊しておりました、本当のインターンです。今年は二十六名おりますが、その中で十七名入つております。あとの九名は近所に自分の家がある、兄貴の家がある、親類があるというようなことで、そこから通つておるのでありまして、そういうふうな中に泊めてある、そういう者が多いところでも全部は泊つておりません。ですから施設について一或いはそのいろいろな基準というものに合致して、そうしてそこに必要なだけの適当な人のインターン、適当な人数のインターンを置いて、そうして原則として宿泊をさせるというならばこれはいいのでありますが、遺憾ながらそういうことは殆んど行われていないということになります。でありますから、こういうことについてどうしたらいいかということが問題になる、原則としてはインターンというものをやるべきであり、又インターンというものは非常に有用なものであり、有効なものであるということは認めますけれども、それを実施する上において、こういう大きな欠陥があるとすれば、それを何か改めない限りは、このままではやつたつて意味が薄いということになるのだろうと思います。私は一昨年、丁度二年前まで北海道の大学に奉職をいたしておりまして、その後相模原の病院に参つたのでありますが、環境が違いまして、二年前まではインターンをむしろ先ほどからのお話のように、又学生諸君が言われるように邪魔だ、言葉が大変悪うございますが、むしろ邪魔だ、それがこの頃は、今、美甘教授が言われましたように、大学の中の副手、助手というようなものが、いろいろな理由によりまして非常に膨脹して参りまして、恐らく東大などでは千人に近い助手、副手がいると思います。そういう中に又更に百人以上もインターンが入つて来るのでありますから、邪魔になるのは当然であります。而もそれが皆さんの言うように手を取つて教えて頂くということができないのは当り前のことでありまして、それを幾ら言つたところでしようがない。札幌ではそういう経験をいたしておりました。ところが相模原に参りまして、今お話しましたような条件で二十数人くらいを相手にして、そうして七百或いはときによると八百くらいのベツドを持つて、そうしてお医者さんの、医師の定員が五十名、なおほかに研究生もおりますが、そういう中に泊らせてやるとすれば、それはいわゆる指導ということも十分できます。それから中に泊り込んでおりますから、臨時の手術でもあれば呼出すということによつて、インターンとしても余り文句のないインターンが行われていると私は信じております。又そのほかに今のようなこき使われるところも出て参ります。インターンというものは日本のうちでは、今のように邪魔になるのと、それから適当なのと、それからこき使われるという三つの種類に分けられると思います。これはそういうふうな、急に作りましたし、インターンをやる適当な病院というものが数多く存在しないということから起ることで、これも、もはやどうにかしなければならん、それではどうしたら改善をするかという問題でありますが、改善々々と言いましても、それに具体案がなければ、何か具体案がなければ、こうしたらどうだ、ああしたらどうだと言うだけでは誠に心細いのでありまして、私は大変言い過ぎかと思いますが、二、三具体案を御参考までに、こうしてくれとは決して……、申したいのでありますが、こうして上げたらどうだという具体案を二、三開陳して見たいと思います。
 一つは大学のような、今言いました第一類に属するものでありますが、そういうところに大勢、百人とか百五十人も、ここは東大でありますが、ほかにも相当な数、非常に大きい数が母校に残るというようなことは、これはどうもインターンをやつて行くためにはむしろ不適当であると思いますから、そういうところでは大学というような自分の母校或いは医育機関と申しますか、そういうところではそういうインターンの数を極度に制限して行く、何でもいらつしやい、いらつしやいでやるということでないようにされたら、余り邪魔にもならない、ときによつてはちびちび入つていることは却ていいかも知れない、そうすると残りますものは、先ほどからお話になつております国立病院とか、県立とか、市立とか、赤十字とか、鉄道とか、通信とかいうように、この頃は相当大きな病院が日本中に相当数存在しております。そういうところに一定の定数をきめて、これはあとで又申上げたいと思いますが、厚生省から、まだインターンは身分がきまりませんから、はつきりしませんが、厚生省なら厚生省から依頼をする数をきめて、そういうふうにしてやつたらどうかと思います。表を見ますと、もつもつとインターンが行つてよさそうな病院で何かやつでおる所もありますし、それからこんなところどうかと思うと大勢押しかけている病院もあります。ですから一定の定数をきめて頭を割振れば、これはあとで申上げますが、そういうふうにすれば減るようになる、私の考えでは。で、そういうふうにすればそうたくさんの病院がなくてもやれると思います。併しそういう場合に必らず一定の、先ほどのお話のありまする病院に灯する一定の経済的の裏付けというものはそれは勿論必要でありますが、これものちほど申します。厚生省が今下すつておられる金というものは、それはとても人の前では言われないものであります。ですから申上げない。で、その指導能力もそういう場合に、それじや大学は指導能力は非常にあるが、ほかの所は指導能力が貧困であるかという問題でありますが、私はそう思いません。大学で、例えば美甘教授が、美甘教授を例にとつては悪いけれども、美甘教授がインターンを直接指導するかというと恐らくしてない、私自身がすでにそうであつたんであります。助手の人にやらせた。そうしてよろしくやつてくれと、こういうわけなんでありまして、指導ということはそこに非常な碩学がおられましても、その人たちは自分の助手、副手等に対する指導のほうが非常に忙しいものでありますから、とてもそこまで手を取つて教えるというわけには参らん。而もこれが言つておりますように専門医を作るのでなしに一般の医師としての或るレベルということが問題でありますから、それには非常な学問に優れた人というふうなもでなければできないと一いうようなことは決してない、それよりもむしろ十分な経験を積んだ親切な人さえいれば一般の医師としての指導ということは私はできる。だからそういう偉い先生がおいでにならない所でも、そういう指導、今の国家試験をするインターンの望んでいるくらいのレベル、そこまでのところは親切に丁寧にやつてやれば必らずできるんであつて、そこには非常な大きな、或いは深い字間というようなものよりも、むしろ人間と経験ということが大きな役目をするんじやないか。そういう大家と申しますか或いは中家といいますか、それくらいの人のほうがむしろよく指導して頂けるんではないかと、こういうように考えます。で、そういうふうになりますから、一体これはインターンの時期だとかいろいろなことになりますが、そういうふうにすれば大学のほうなんかには成るべく極度に少くしておいて、そして適当な病院を選んで厚生省なら厚生省があなたのほうは何人取つて下さいということをきめれば私はできると思う。そういうこと表するためには三千乃至三千四百の人がこれから出て来るのでありますから、それだけの人を全部そうするということは非常にむずかしくなりますから、一つの考えがあるわけなんですが、これもどういうふうにお考えになるかわかりませんが、御参考に申上げたい。私はこう考えてみたらどうか、学校を卒業した人を二つのグループに分ける、一つは自分の母校に残つて、そうしていわゆる無給副手として残つている人、こういう人はこれから専門になろうと思つて或る医局なら医局に残して頂きたいということを頼んで入る人であります。で、そういう入は一定の責任のある教授の下で勉強するんでありますから、そこで少くとも一年或いは場合によつてはもつと長くてもいい、その医局にいる間に自分の専門のことを勉強するかたわらインターンの今言つたロテーシヨンということでありますが、ロテートする、そのときに一定の区域だけ、科だけを廻る、併し今、美甘教授が言われましたように、その廻るときに内科方面は内科を廻り、外科方面をやりたい人は外科の方面を廻るということでなしに、逆に内科方面をやりたい人は外科のほうヘィンターンをやる、それからインターンを三つなり四つなり科目をやる。それから外科方面をやりたい人は内科の方面を学んで来る、数週間。これはお互いに医局にいる間に行つたり来たりすることは決して不可能ではないと思いますから、医局に一年や一年半必ずいるんでありますから、それをインターンの時期としてインターンと認めて、そうして医局に残る人はそういう形にして、そうして同時にその医局員としてやつて行くというふうにされたい。そうして残りの、恐らく残りの者というのはすぐに成るべく早く帰つて家業を継ぐ、或いは差迫つた経済事情によつて、どうしても早く専門でなしに、一般の医師として立ちたいというかたも勿論おいでになると思いますから、そういうかたを今もお話しましたように、大学以外のどこかの病院にお願いして、そうしてそこで指導して頂くというふうにすれば、全体の数の恐らく三分の一以下になる、そういうふうになりまして、三分の二ぐらいが大学に残るという形をとられるのじやないかと思います。もう一遍言いますと、大学に残りたい人は大学に残つたときを、それをインターンとする、そうしてそれを教授の指導或いは監督の下にその大学の無給副手時代に、各課を今のようにロテートする、その廻り方は今のような内科方面は内科に行つてもいいし、外科方面をやる人はむしろ内科側を見て来る、そういうふうにして広く廻る、そういうふうになされば恐らく三千人出ましても、そういうふうにすぐにどつかにお願いをしなければならんという人は恐らく千人以下で済む、或いは牧百人で済むのじやないか、そういうふうに考えられます。まあそういうふうにしたらいいのじやないかということが一つ。それから教室員がインターンになる、こういうことであります。それからもう一つ次の問題は、国家試験の時期でありますが、国家試験の時期はついでですから申上げますと、これはいろいろ異説があるようでありますが、結局のところ国家試験というものはインターンを一年やつて又やるものでありますから、それから成績の発表まで又数カ月かかる、二月乃至二月半かかるということになりますと、実際免状を手に入れるのは一年では済まないのであります。一年三カ月は早くてもかかる、それでは本当にお気の毒でありますから、若しできれば国家試験を早くやるということにして、国家試験は、今、美甘教授が言われましたように、私は別の意味で国家試験は必要だから成るべく早くやる。そうして発表しておいて、そうしてインターンが終つたとき免状を下付するということになれば、少なくとも数カ月は助かるというふうに考えております。責任者の権限などにつきましては、これはあとの身分の問題に関連いたしますから、これれは省きます。この身分の問題でありますが、これは前からもう何だかだと言つてるのでありますが、結局今でもきまらない。今のように病気になつても困りますし、何事かしでかしたときに、その施設長或いはお預りしている者はどうしていいか非常に困難を感じますので、これはいろいろむずかしい法律の論議もあるでしようから、私どもとやかくはなかなか言えない患いますが、しばらくお話しますように、経済的な裏付けというようなことが若しあるとすれば、そうすればその金を出しているところが責任を負うというふうになれば、もう話は大分簡単になるのじやないかと思います。
 次に育英資金その他の経済の問題でありますが、先ほどから伺つておりますと、私どもは学生諸君というものが経済的に非常に困惑或いは困難しておられるということは私も認めている。認めておりますし、誠にお気の毒であると思います。併しこういうことは言える、元来今インターンをやつてるかた、或いは学生の諸君は、すでに学校に入つて、そうして医学を修めようということを決心されたときは、一年間のインターンがあるということを承知の上で入つておられるわけであります。でありますから、その間は何とかして切り抜けようという大きな決心を以て入られたに相違ない。併しその間に勿論突発事故があつて、親がなくなつたとか、家がひつくり返つたとか、いろいろなことがあり得るのでありますから、併しそういうふうなことを除いては一応の決心を以て入つておられると思います。でありますから、そういうふうに何とか切り抜けようという覚悟を持つているとすれば、まあ何とかして一つ切り抜けて頂きたいという気持でございます。併し一方こういう問題がある。先ほどちよつと出ましたように、司法官になります人は司法修練生とか何とか生というのですか、学校を出てから二年間なら二年間相当な金を頂いて、そうしてそれが終われば弁護士になつてもいいし、検事になつてもいいし、判事になつてもいいことになつているそうですが、若しその本質的にはインターンとちつとも違わない。若しそれにインターンをそういうふうな枠の中に嵌めることができればこれは問題はすべて氷解すると思うわけです。司法のほうは数が少いから話がうまく行つておると思いますが、恐らく何人だか知りません、併し百人内じやないかと思いますが、私は存じませんが、とにかく余り多勢じやございません。ところがインターンのほうは三千、少くとも三千、二十九年度三千四百でありますが、まあとにかく三千より少し多い、そういうふうになりますと、その人たちに若し国がそのためにとにかくこれはあとの使い途は別としまして、金を出すとすればどのくらい要るかということを勘定してみると、三千人に月五千円やると仮定する、多いか少いか知りませんが五千円与えると仮定すれば一人一カ年六万円でありますから、三千人として一億八千万円というものが経営費となつて出て来るのであります。勿論その金のことはあとでもう少し負けてもいいのでありますが、とにかく五千円として一億八千万円という金は非常に多いのでありますが、日本の全体の経済から見れば〇・何%であります。そういうようなことも是非何か一つこれは厚生委員のかたがたの御努力によりまして、どうにかそこの或る程度までのものを出し得るというふうにして頂く、併しそれを当人に渡さないで、その得た金を各施設のほうに預けると申しますか、そうしてあとで申上げますような宿舎の費用、或いは食糧というふうなものに充当するというふうにすれば、一番困るのは泊るところと飯でありますから、それだけのことが或る程度まででも補助することができれば、よほど安心して勉強ができるのではないか。次は宿舎の問題でありますが、宿舎のないインターンというものはない。宿舎のないインターンがないのに平気でやつておるというのはどうしても考えられないのでありますから、何とかしてその病院の中に泊る設備をしてやるということがこのインターンの効果を一番指揮する、或いはその効果を十分にさせるところの一番大きな条件だと思います。でありますから、その宿舎を、これは臨時費でいいのでありまして、臨時に金を一遍出してもらえばい。目の子算用であ一りますけれども、今のように学校の中に住んでおるというところの医局におる人、医局におる人は始終医局一に行つておる時もありますし、教えに行つておる時間もありますから、それを除外して、ほかの大学でない病院に若し千人と仮定いたしまして、看護婦は三坪半でありますから四坪にしましても、それを一坪三万円にしましても四千坪あれば千人は収容できるということになれば、それに要する費用は一億二千万円であります。一億二千万円あればそれで以て当分の間千人分の宿舎を用意することができる、勿論それはある所は要りませんし、或いは改造するということによつてそれほどまでしないでも済むかも知れません。今の大学に残る人は副手のようなものでありますから一年と限らない、もとより場合によつては一年でぶつんと出て行く人は少いのでありますから、もう少し長くするということも考えられると思います。そうすれば食費等はその中から払う。食費は私どものほうは実費だけで千八百円とつておりますが、それ以上一文ももらつておりませんが、少し無理のようです。併し五千円は要らないかも知れません。もう少し負けてもやれると思います。
 その次は一つ今度は受入のほうから見た消耗、或いは損害でありますが、このインターン諸施設における経費というものは馬鹿になりません。薬品を使いますし、機械は般しますし、なかなかそうただでは参らないのであります。併し先ほど申上げたように非常に少しの金しか頂いておりませんから、これはやはり頼むからにはそれに一定の少くとも損耗、指導というものはこれはサービスであります。自分の愛する後輩が立派なものになるということでありますから、それは我々がそれに対して或る程度のサービスをするということは、それはかまいません。又それが公務員なら公務員の時間中にやるのでありますから、特別に余計なものを頂かなくてもいいけれども、少くとも器物の消耗、薬品の消耗というものに対しては相当なものがなければならん。だからそういうものを何もかも合せて、そうして一人幾らというふうにして、指定通りの金を預るという形をおとりになれば、私はできるのじやないかと思います。時間が長くなりましたが、まあそんなわけでありまして、少くもそのうちの幾つか今申上げましたような金でありますが、それだけの金があれば、あと一億八千万と申上げましたが、そういうふうな臨時費が一応必要だけれども、そのあとはもう要らないわけですから、若しもそれで三千円であれば年に九千万円あれば仕事ができるのですから、九千万目くらいのものはどこからか出ないかと私は考えておるのであります。
 そのほかの意見でありますが、とにかく六年もたつて、そうして我々は新らしい画期的な仕事をしたのでありますから、その間に又日本の非常にいろいろな混乱、貧困というようなことで以て、これの実施の上にいろいろな困難や矛盾があつたり、いろいろ問題も出ることは、これはもう止むを得ないことと思います。国家試験をやめろ、インターン制度をやめろというようなことの声の聞えるのも決して無理とは申しません。併しこういうような制度を一旦作つて、而もそれを廃止する理由が薄弱である。若しそれを改善し得ればよりいいのだということがきまれば、何もすぐ改良するということで、廃止するということは必要がない。でありますけれども、それを廃止しないためには十分なる改善を要する。その改善をするためには少くともここに書いてある基準というようなものが、これを完全に満たすことができなくても、どうしてもそれを完全に満たすような少くとも一歩乃至二歩前進するということが実現されなければ意味がない。ですから、ただ考えているというだけでは駄目なのでありまして、こういうふうな私共の申上げましたことは、これは一つの私見でありますけれども、とにかくそういうようなことについてよく検討をして頂きまして、そうしてその誠意と熱心、それから学生諸君に対して、或いはインターンに対する同情というようなものを以てどうか改善に努力して頂きたいと思います。
 併し若しもこういうような会が開かれ、又いろいろその当局者が御苦心なさつていても、どうしてもこれが一年たつてもまだある、来年になつても全く変つていない、元のままである、再来年になつても駄目だ、何も改善されないということであるならば、むしろやめてしまつたほうが私はいいと思います。併し理想通りに行かなくても、徐々に、或いはそう一足飛びにできないけれども、誠心誠意一つ改善ということに是非御努力を願つて、そうしてそういうことをやることは絶対不可能だとは思いませんから、我が国の医学のために、いい医師を作るためにどうか一つ改善と申しますか、改良と申しますか、そういうふうなことについて是非当局のかたがたの十分な御努力をお払い下さることを切望する次第であります。
#14
○委員長(堂森芳夫君) 次に小池敬事君にお願い申上げます。
#15
○参考人(小池敬事君) 私は遅れて参りましたので、今までどういう議論があつたかということを全然承知してお呈せん。従つていろいろ重複したり何かあると思いますが、簡単に私の考えを述べたいと思います。
 私は医学教育が、即ち医科大学における学校教育というものが現状でありまする限り、インターンは必要ではないか、必要であると、こう考えるものであります。その理由を申述べます。
 現在の医学教育におきまして、学生が臨床医学の診断治療、こういうもののうち診断の実修というものは三年や四年の外来人臨床講座というところで不十分ながらやつておりますが、治療の実習はしていないのであります。又学生という身分から注射をしたり、或いは人体に多少外科的、手術的なメスを当てるというような医療行為の実習準備は特にできないのではないかと思います。従つてこの医学教育のうちで治療の実習というような分野は多くの国におきまして学校教育の外にはみ出しておると思います。併しこのはみ出した治療の実習を中心としました診断治療の実地というものは医師の免許証を得るためには非常に重要な部分でありまして、又一方国家といたしましても、その責任上国民に対しまして医師のそういう診療能力について最小限度の保証をするということはその義務ではないかと思います。まあ公平に見まして今の学校教育でそういう免許証をすぐ与えるということは非常に無理ではないかというふうに考えます。そのためにいわゆる実地修練を行なうためにできたのがインターン制度であると思いますので、従つてインターン制度というのは広い意味の医学教育の一部分でありまして、即ち最後の仕上げをするものであると、こう考えていいと思います。ですからイギリスやアメリカ、西ドイツにおきましてもこれを行なつているそうであります。それからフランスはインターンをしないそうでございますが、これは学校教育の中に、大学教育の中に実地修練を織込んでいる、こういうふうに承わつております。この実地医家として働きまするためには最小限度の診療能力が必要である。それは学校教育の中でやるか、或いははみ出したインターン制度の中でやるか、いずれかでなければならないと思います。インターンを若し仮に廃止するとするならば、その代りに医学教育、即ち学校教育を改革しまして、その中にこれを織込むというのでなければ、やはり国家の責任は私は果せないと思います。承りますると、昭和十五年当時の医療制度調査会というものが実地修練制度というものをきめましたが、戦争が始つたので、これが実施できなかつた、これが昭和六年頃から始まりました我が国における医術刷新運動の結果としてそういう結論になつたと思うのでございますが、今日のインターンは、アメリカが来て実施されて、実際にインターンができる前に日本自身のうちにおいてすでにこういう動きがあつたということは、これは私は十分に注意をしていいのではないかと思います。重ねて申しますが、医学教育が、つまり学校教育が現状でありまする限りインターンは必要である。卒業生にすぐ医師免許証を与えるということは保健衛生が重大であればあるほど大きな問題ではないかと、こう考えます。国家が国民に対して大きな責任を持たなければならない、こう考えますというと、インターン制度というものは医学教育の勿論一部分である。実地医師となるためには欠くべからざるものである。ですから、これは国の制度として国家の責任によつて行うべきものでありまするし、先ほど柳さんのおつしやつた通りいろいろの改善というものも国家が誠意を以てこれをやるということでなければならないと思います。
 まあ理屈は以上申述べた通りでございますが、然らばインターンの現状はどうであるか、これは恐らく今朝ほどからたくさんに言つたことだと思いますが、インターンをやつてもその実が挙らない、いろいろな不満足な点があるということは私たちよく承わつて承知しておるところであります。それだからと言つて、然らばインターンをやめるか、廃止するか、これは廃止することができませんから、それであるならばこれは改善の途をとるよりほかに途がないのではないか。参議院或いは衆議院においてこれをおとり上げになるならば、どうかしつかりした改善の途を作つて我が国の医学教育にプラスになるところのインターンというものを是非活かして頂きたい、こう考えております。インターンの身分や生活の保障の問題はあとにいたしますが、そのインターンの内容の問題であります。これは必ずしも予算がなければできないというものばかりでもないと思います。現在の施設を以てしてもインターンの意義というものをしつかり考えてやるならば、その内容の実現はできるのではないかという面もありはしないか。同じ大学の中でもインターンの成績が教室によつて違うなんという話も聞きまするが、これは同じ大学で大体同様な設備があつてそういうまちまちな成績が出るということは、それはインターンに対する認識と態度が違つているということを考えなければならない。そういう点は我々大学方面としても相当考えなければならんと、こう考えます。それからインターンは非常に不完全ではありましようが、インターンをやつたものとやらないものとはどこが違うか、これはインターンをやつたものが医学全般について一般常識をより多く持つているということは私はこれは否定できないのではないかと思います。それは御本人のプラスであるばかりでなく、我が国の医療制度全体にとつてもプラスである。こういうことを考えますることも現状から来る非常な不満から来る不平と同時にやはり公平な判断ではないかと考えます。要するに私はインターン制度は国家の制度として存置すべきである。その代り先ほど柳さんのおつしやつた通りこの問題はいわゆる国民の保健衛生に非常に重大な関係があるのでございますから、国家としても十分なる誠意を持つてインターン制度のために現在の国情に照らして与うる限りのことはして頂きたいと、こう考える次第でございます。
 それから第二は、改善の項目のインターンの施設について、ということでございますが、このインターン病院をやりますのに、古い大学の大学病院というものは助手、研究生が非常にたくさんおりまして、従つてこのインターンの働く分野が狭い。新らしい大学におきましては助手の数が少いからいいのでありますが、古い大学におきましてはとかく邪魔にされるということもありますので、そういう大学、而も国立病院というようなインターンが病院の一つの組織として十分に働けるような病院が指定をされることは望ましいことであります。インターンの時期はやはり現状通り一年くらいが適当ではないでしようか。今のやり方が各科縦断になつておりますが、あれは内科系、外科系と大きく分けて、それから内科に籍を置きながら小さい科を廻るというような技術的な問題も多々ありましようが、そういうものも十分考慮すべきだと思います。
 それからインターン生の身分と生活の問題、これは恐らく今朝からたくさん出たことであろうと思いますが、医師でもなし、学生でもなし、第三の身分のインターン生である。そのインターンには何らの特権もない、こういうことでは学生諸君が非常に心配するのも無理もない話でありまして、病気になつた場合一いろいろ勇合一インターンというものは何ら擁護されていないということから鑑みまして、これは是非とも一つ身分をこの刷り物にあります医師補にでも修練生でも名前はどうでもよろしうございますけれどもしつかりした法的に身分を確立するということが日本のインターン制度をやつて行く大きな要点ではないかと考えます。生活の問題育英資金の問題、育英資金は何%もらつているか知りませんが、その支給範囲を拡げること、それから支給額も拡げること、こういうようなことがいつか育英会の理事のかたにお話しをしたのでありますが、予算の増額にも疑問があるので、なかなかむずかしい、これも是非厚生委員会のかたがたの御努力によりまして、育英資金を増額する、インターンに対しては特別の措置をとるということができますならば、後の宿舎の問題とか、食事の問題と噛み合せて、インターンそのものが非常に楽にやれるのではないか先ほど柳さんから詳しい数字がありますので、私はそういう詳しい資料もありませんので、簡単に申上げますが、宿舎を先ず提供される、食事を提供される、それだけで非常に大きなプラスになるのではないかと思いますが、その上、育英資金でも更により多くのパーセンテージで与えられるならば非常に結構じやないかと思います。こういうことは、ただ言われただけでは何らの意味がないのでございまして、是非これを実行するということが必要であると思います。インターンを廃止するという意見4多々ありますけれども、インターンを廃止しつ放しで何もしないわけには私はいかないのじやないか、そうすると大学教育を根本的に改革したそのなかに、本当の実地修練を織込む、そういうことなしに漫然とインターンを廃止するということは、これは問題である、改善もできなくていつまでやるかというような切羽詰つた問題もあります。従つてインターンの方向は、これは医学教育の一環として是非やらなければならん、こう考えますので、そういう是非御努力を願いたいと思います。
#16
○委員長(堂森芳夫君) これを以ちまして各参考人の御意見の発表も終りましたので、各委員から参考人の御意見に対しまして、御質疑がございましたら御発言を願います。
#17
○有馬英二君 質問に先立つて、時間が六部過ぎておりますが、如何でしようか、午後にこれをお廻しになつたら。
#18
○委員長(堂森芳夫君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#19
○委員長(堂森芳夫君) 速記を始めて下さい。御質疑のございますかたは御発言を願います。
#20
○有馬英二君 先ほどから参考人各位のお話を聞きまして、皆の意見が一致しておるのでああます。なかでも教育に従事をしておられる、或いはおられたかたがたの御意見では、大体皆一致してインターン制度の本来の目的に副うようなことであれば、これは実行すべきであるというようなお話でありすすから、これは誰も異論がないことと思うのでありますが、只今考えられておることは、それが非常にむずかしいということで、実際に問題が持ち上つたのです。殊にそれを教育の任に当つておられる、或いは医師会から持ち上つたのでないので、インターンの生徒から、或いは学生から、そういう話が持ち上つたのでありますから、それを何とかして、この際できるだけ急速にそういう不平のないように、貝現して参わたいというのが私どもの考えであります。それが何年もかかつて具現できない、或いは言葉が当らんかも知れませんが、救済できないと申しましようか、希望が達せられないというようなことに、先ほど柳さんからも又はかのかたからもお話がありましたように、そういう制度はやめていいというような、或いはやめなければならんかというような御意見でもあつたようですが、このやめるということは、皆さんはちつとも希望しておられんようです。どうかして改善したい、そうして一歩これを先へ進めて、そうして日本の医学教育の万全を期したいというようなお考えでありますから、その実行の方法を私どもは承わり、先ほどのお話では、柳さんが比較的詳しく数字をお挙げになつてお述べになつたようでありまするので、ほかの先生方は必ずしもそうじやないように私は思う。特に私は一人々々御意見を伺いたいと思うのでありますが、例えば前の医学教育と今日の医学教育とどう変つている号かということを御説明を願いたい。それが根本問題であろうと私思うのです。アメリカが来てからこういうインターン制度というものが行われたのではない、我が国ではもう私どもが大学へ入つた当時、この制度が行われておつたのでありますけれども、それは併しインターン生とは言わなかつたし、卒業されて国家試験を行つたという点が今の制度と違つた、その当時国家試験があつたのでありますから、国家試験という点においては今と変りはないのですが、その練習期間というものがその当時卒業後一年ではなかつた、そういう試みは各大学でいろいろ今までやられているのでありますから、それは不可能ではないということは私どもも考えておりまするし、参考人のかたがたも、やはりそういうことを御同感であろうと私思うのです。そういう点から考えると、今の制度が不完全でもあるが、前の制度と比べてどつちがいいか、或いはどう違うかということを、一つお話を願いたい。取りあえず美甘参考人に一つお話を願いたい。
#21
○参考人(美甘義夫君) 今の御質問で、前と今と医学教育はどう変つているかということでございますが、変つていると言いますよりは、教える内容が非常に殖えたということは言えると思います。実例を挙げますと、例えばアイソトープというものが入つて来る、これを使いましていろいろ人間のトレイスをやるというようなことにいたしましても、ここ四、五年前まではなかつたことである。これも一応学生に教えなければならないし、又やらなければならないということもございます。それから又大変自分の専門領域に便乗するようで恐縮でありますが、例えば先天性の心疾患と言いましても、昔はただ先天性の心疾患だけで話は終つておつたのでありますが、ところが今日では非常に詳しく診断いたしまして、先天性の心疾患を手術適応のものとそうでないものとに分けることができる。そういうことの訓練も学生に教えければならない。いろいろな手数がかかるわけでございます。まあそのほか治療のことにおきましても、そういうふうに非常に事柄が殖えておる。又伝染病におきましても、昔ヴイールス病なんというものはただ原因が不明だということで済まされておりましたのが、例えば現在ヴイールスにいたしましても原因ははつきりわかつて来た。それの診断には血清の方法もあり、或いはヴイールスを証明する方法もあるというので、随分と教える内容が殖えて来ておるわけであります。殖えて来ておりますということが変わり方の最も多いものだと思うのであります。
#22
○有馬英二君 それでは阿部先生に一つやはり昔の教育と今の教育とどんな工合に違うかということを一つ。
#23
○参考人(阿部勝馬君) 私先ほども申上げましたように、基礎医学の教育でも臨床医学の教育でもやはりその教える内容が非常に殖えたばかりでなく、複雑になつて来ております。学生も勉強すれば殆んど数限りないというような状態であると同時に、アメリカによつて占領されて後はアメリカの大学制度、そのものが移されたために教える時間が割合に制限されているのです。それは単位制度を取入れて、一年では三十週の授業をやればいいというようなこともあるのです。私どもの大学では、例えばそれを医学教育は四年を通じて四千時間というのを四千五、六百時間我々のところではやつておるような現状であります。それでも先ほど小池さんのお話のように臨床方面では診断につきましても或る程度教えることはできましても、治療の方面では教えて行くことが十分でないのみならず、治療の実際になりましては殆んどまあ教え切れないという現状であります。そういうことからやはりそういう方面の補習をあのインターン中に十分にその点を修練をして、レベル以上の医者を作り出して行こうというのが現在の医学教育の理想になつておるのであります。要するに四年の授業或いは四年間の四千時間の授業というのは、非常に医学教育の内容から見ましても不足しておる現状であります。
#24
○林了君 ちよつと東大の学生参考人に出られたかたに伺いますが、卒業後の医学教育コースを強化することとして、或いは父兄にこの調査を依頼したところが九〇%現状では反対だということを言われたのですが、先ず一番に卒業後の医学コースを強化するということに対してどういうお考えを持つておられるか、それを先ず伺いたいのです。どう考えて、それをどういうふうに持つて行こうという学生側の意見であるか。
#25
○参考人(井形昭弘君) お答えいたします。現在私たちボインターン制度を終りまして、大体のコースといたしましては、それで開業するというような人は非常に少いのであります。大体が大きな病院或いは大学の附属病院において無給局員として専門の科目で修錬するというような大体のコースに左つております。それで私たちといたしましては一応現在ではインターン制度の一年が終りましたら一人前の医者に左つて、それで何をしてもいいということになつておりますが、実際問題としてはそれで開業した場合に、それからあと学問の進歩について行くとか、そういうことがななかできにくいような状態にあると思うのであります。現在はそういう無給の局員の問題につきましても、実際早く能力ある医者ができて、そうして地方では医者を求めているにもかかわらず中央のほうでは無給局員がたくさん溜つている。そういうところからどう考えても不合理だと思います。やはり私たちもは早く医者になつて、それだけ早く国民のために貢献したいということが基本的な考え方であります。現在そういつた不合理な無給局員としてのあり方というものに対して、或る面におきましては専門医制度のコースとか或いは新制大学院とか種々お考えになつておられると思いますけれども、私たちはどういつた制度をやりました場合にも、私たちとして十分に勉強ができて、而もそのために経済的な保障もあつて、それで早く能力ある医者になることによつて活躍の場所を得て、経済的の問題もそれから解決して行つて頂きたい。そういうよう基本的なことからいろいろなことを考えているのです。
 それから特に具体的に現在のコースのままでいいとか、或いはその他専門医コースの制度がいいとかというようなことは現在のところでは、はつきり申上げられません。ただ考えの基としてそういうことを考えております。
#26
○林了君 大学側の学校教育者の立場としてどの参考人もインターンの必要であるということは認めておりますが、殊に柳証人は細かい予算の問題まで取上げられていろいろ御説明を頂いたのでありますが、現在のやり方ではとにかく反対である。先ほど学生側の意見を聞きますると、学生側参考人は反対であるということを強調されておりましたが、それは現在のこのやり方で反対であるのか、改善されたものであるならばやつて行きたいという意見であるのか、これを学生側参考人の一番最初の東大のかたにちよつと伺いたいのであります。
#27
○参考人(井形昭弘君) 私たちといたしまして、そういつた抽象的な面におけるインターン制度の役割というものは十分に認めるのでありまして、やはり先ほども申しましたようにインターン制度が置かれるならばこういつた点を改善して頂きたいと、大体さつき三項に亙ることを申上げたのでありますが、その三項目というものが私たちが考えている根本的な改善策であります。それが若し実現されたような場合には、私どもはそれを十分にやつて行きたいと考えております。
#28
○谷口弥三郎君 私から一言お伺いしたいと思いますが、インターン制度の必要なことは誰も……、私ども自身も是非インターン制度を必要と考えておりますのでありまするが、とにかく今の現状ではなかなか思うようにインターン制度がうまく行きませず、又先刻柳さんからのお話のように僅かな予算というので、これもなかなかいかんために、現在相変らずインターン制度についてのいろいろな問題を起しているのでありますから、これは学校のかたにお伺いしたいと思いますが、今の四年の教育におきまして、これで一応国家試験というのを昔みたようなふうに四年の卒業の場合に国家試験を一緒にやつておいて、そして最も必要な実地開業でもしようというようなかたには、なお試験をして、医者にはしておるが開業はできん。若し単独で開業しようと思うならば、なお一年間はどこかの、指定した病院かどこかで研究せねば開業はできない。一応医者にだけはしてあげる。併しその医者という本のに、言い換えれば、或いは保健所とか、或いは自分で単独にやらんところの、病院に奉職しておるとかいうようなふうの医者にして、実際に単独で開業するという場合のかたのみは、なお一年間ぐらい実地修練をしたあとでなければできんというようなことにしてはどうかというような話もよく聞くのでございますが、それに対して一つどういうふうの御意見でございましようか。どなたからでも結構ですから……小池さんから一つ。
#29
○参考人(小池敬事君) 私は臨床科でありませんので、そういう判断つかないのでありますが、卒業をしてすぐ眼科なら眼科という所へ入つて何年もやるという、そういうやり方と、インターンといつて全部を廻つて、一年で、も費してやつて、それから専門に入る。同じ二年を費すにしても、後に及ぼす影響が非常に大きいと思う。違うと思うのですね。今おつしやうるように、開業するときに試験を受けるのでございますか。
#30
○谷口弥三郎君 いや、開業はその試験を受けた場合に、一年間以上実地をどこかてやつておらねば開業はできん、免状は持つておるけれども、開業免状じやないわけです。
#31
○参考人(小池敬事君) 突然おつしやられても、医学教育全体をやはわ眺め渡して結論を出さないといかんの、何とも御返事できません。
#32
○谷口弥三郎君 美甘先生から一つ今の……。
#33
○参考人(美甘義夫君) どうも只今のようなお話は、医学教育に直接関係ございますか、或いは医師法となりますか、のほうの関係が多いのでございますが、ちよつと判断に苦しむのでございますが、むしろその御意見は、医師会のかたにお求めになつては如何でしようか。要するに医師という資格のものと、個人で開業するという資格をお分けになろうという考えでございますから、でありまするからして、そういうことであれば一年間なら一年間ということで、実地の修練はできると思いますけれども、それが初めから一つの科に限定されますので、多少、多少ではありません。資格の少し狭いものが出来上るということの場合は、教育の面からは言われるものではないかと思います。インターンはまあ先ほど私が申しましたように、何と言いますか、ストレート・システムと申しますか、自今の将来専門になろうと希望する科に重点を置いてやるようにいたしましても、やはりほかを見るという便宜がありますから、医人として視野の広いものができるという考えであります。只今のようなお考えでありますと、比較的視野の狭いものが出来上るという懸念がありはしないかと思います。その点が医学教育上の関心でございますが、制度としてはむしろ医師会と申しますか、ということに関係が多くはないかと思います。
#34
○谷口弥三郎君 藤江先生、お願い申上げます。
#35
○参考人(藤江武敏君) 私をして言わしめれば、只今の実際の、私が本当に必要がないと申上げたということは、理想の形におけるものを私は必要がないと言つたのではないので、これは理想と現実の違いだろうと私は思うのであります。従いまして、只今谷口委員の言われるように、実際に単独開業するような場合においては、一年間の特殊の専門教育を受けた者でなければいかんというお話のことに対しては、私は満腔の賛意を表するものであります。
#36
○谷口弥三郎君 まあ一つ、ついでにお伺いしておきたいのですが、いろいろと、四年の教育において、四年の教育の中にインターンまでも入れることは到底困難である。従つて、いわゆる教養大学あたりにおける二年と、加えて六年の医学教育をやつて、そしてそのうちに半年ぐらいをいろいろと短縮して来て、最後の半年にいわゆるインターン式のものをやつたらよくはないかというようなふうの意見もかなりあるようでございますが、これは医学教育制度に関係がありますので、かなり重大な問題でございますから、一度小池学長に一つお伺いしてみたいと思います。
#37
○参考人(小池敬事君) 今の六年制医科大学にして、その中にインターンを織込むという問題は、医学教育制度に関連すると共に、一般の新制大学のシステムにも関係する。従つて我々の医学教育という狭い分野からのみ新らしい教育制度を見るべきでないと私は思う。それも併しおつしやる通り、研究すれば不可能ではないかも知れませんが、そういうことを余り考えたことがございませんので、これは非常に関連するところが多いのじやないか、こういう判断でございます。
#38
○谷口弥三郎君 今の、阿部先生に一つ御意見を。
#39
○参考人(阿部勝馬君) 私先ほど今の医学教育制度そのものに改善の余地がありはしないかということをさつきもちよつと述べておきましたが、実は六年制の医科大学或いは二年・四年の医学教育、前の二年を医学に進学する予備知識を与えるコースというふうに考えて参りまして、そこに多少考えを容れられるところがあるのではないかと思われるのは、今二年間の教養におきまして、医学に進む者以外は実際問題として、一年半或いは一年で一般教養を済ます、ただ医学教育、医科に進む者だけには二年間の教養課程が与えられておるのであります。従つて、巨かの専門学科で、一年半の一般教養でよければ、医学教育においても一年半の一般教養でいいのではないかという理窟が成り立つので、なぜ医者になる者にだけ一般教養を半年或いは一年長くやらなければならないのかという問題があるのです。そういうふうに考えて参りますと、医学教育、この医科の学部教育の四年間というものを今まで通りにいたしましても、インターンを半年早く始められますと、実は四年半日にはインターンまで済ませるというふうにはなり得ると思いますが、まあそういう点は、もう少し今の、まあプレメジカルの二年間の教育内容について検討して、それでこの自然科学方面の教育が十分にできるかどうかという問題が一つ残ると思います。
 いま一つは、今医学教育の世界会議を開くということは、医者のレベルを世界的の水準にまで持つて行くというのが一つの狙いであると思うのです。そういたしますと、実は逆なことが成り立つので、日本の今の医学教育の前に、前のプレメジカルのコースで二年間にとらなければならない一般教養の短縮というものは、実はアメリカあたりの基準に比べますと、二分の一或いは三分の一に当つておる部分があると思います。そういうことから考えますと、むしろその医学教育の医科大学に入る前の二年という教育けまだ少いという理窟も生じて参りますので、この点は先ほどもちよつと申上げましたように、医学教育に関する世界会議が一体どういう結論を出して来るかということを私ども注目してみております。まあそういうことをいろいろ考えますと、いずれにしましても、日本の医学教育というものは一貫して考え直さなければならん点があるのじやないか。のみなちず、医学教育、医科大学の基準の中に、実は医科大学のコースは四年以上ということになつていますが、但書に、インターンを含めた教育も医科大学において行われることができると、そうなるといたしますと、勿論五年を意味しておる、五年制の医科大学というものもあり得ることに基準では現在なつておるのです。そういたしますと、実は、私、学校教育制度の中で五年制、或いは先ほど申しました制度に上りますと、初めに一年半にして、あとを五年にして、そしてその五年制の中に学校の責任においてインターンまでやらしてしまう。そうすれば学校の教育ですから、一年間だけ学校教育を延長する、事実はインターンの免状をもらうよりも、学校でインターンを正しくやつて三月に済ませれば、三月にすぐ卒業免状と同時に医師の免許状も与え得るコースがとれる。それで、アメリカでも、六つ七つの大学、而も有名な医科大学でインターンを含めた五年制をとつておる大学があるのであります。そういうところを考えますと、医学教育制度そのものにもう一遍検討を加うべきだというふうに私は考えております。
#40
○有馬英二君 非常に長くなつてお気の毒ですが、只今谷口委員に対するお答えで大分はつきりしたのですが、そうすると、日本の医学教育を再検討して、そしてインターンの問題の解決を図るというようなお考えは各位の中にかなりおありになるように私は伺つたのですが、この点は私もやはりそういうことを深く感じておる一人でありますが、これを一人々々のお方にお聞きすると大変長くなりますし、医学教育生体の非常な大きな問題ですから、今日のこの皆さんのおいで下すつた趣旨とは少しかけ離れておるかも知れませんから、又改めてそういう御意見を伺う機会があるかも知れませんが、ただ差当つてこの今の、現行のインターン制度をどうしたら最も有効にそしてインターンをやつておられるかたに満足を与え、又日本の医学のレベルを低めないでやつて行けるかということを私どもは現実に痛切に感じておる一人ですから、倉はもつとこのちくの問題について皆さんから詳しく御意見を承わりたかつたのですが、時間もございませんから又別の機会で伺うようなことがあるかも知れませんが、特にこの身分の問題と、それから給与の問題については現実にこうしたらいいというようなお考えの開陳が余り多くなかつたように私は思うのですが、勿論それは金の問題ですから、厚生省或いは大蔵省というようなものが直ちにそこへ浮び上つて来る問題ですから、けれども、それに対するお考えなり、御計画なりを伺いたかつたと私は思つておつたのですが。
#41
○林了君 学生代表のかたに、ちよつとお二人どちらでもよろしうございますから、四十六校の代表のかたがお集りになつて反対の決議をしたということでありまするがあの条件においての反対ですね。
#42
○参考人(藤原憲和君) そうです。
#43
○委員長(堂森芳夫君) 大体これで質疑も終つたようでございますので、このくらいで本日の委員会を閉じたいと思いますが、終りに臨みまして、参考人の各位におかれましては、非常に多忙の中にもかかわらず、長時間に亙りまして御出席御発言願いましたことに対しまして委員会は厚くお礼を申上げるものでございます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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