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1953/07/24 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 厚生委員会 第20号
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1953/07/24 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 厚生委員会 第20号

#1
第016回国会 厚生委員会 第20号
昭和二十八年七月二十四日(金曜日)
   午後二時九分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     堂森 芳夫君
   理事
           大谷 瑩潤君
           藤原 道子君
   委員
           榊原  亨君
           高野 一夫君
           中山 壽彦君
           西岡 ハル君
           横山 フク君
           林   了君
           廣瀬 久忠君
           湯山  勇君
           山下 義信君
           有馬 英二君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 山縣 勝見君
  政府委員
   厚生省公衆衛生
   局長      山口 正義君
   厚生省保険局長 久下 勝次君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       草間 弘司君
   常任委員会専門
   員       多田 仁己君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○らい予防法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○健康保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○厚生年金保険法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○連合委員会開会の件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(堂森芳夫君) 只今から厚生委員会を開会いたします。健康保険法の一部を改正する法律案及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案を議題といたしまして前回に引続き質疑をいたします。御質疑を願います。前回藤原委員から保険局長に資料の説明を求められておりましたので、只今説明を保険局長からいたします。
#3
○政府委員(久下勝次君) 実はお手許に印刷にしてお配りをいたしますのが至当であると思いましたが、実は御説明申上げますのに、若干推定を加えなければならないような部分がありました、的確な字に数なりませんものですから御説明を以てかえさして頂きたいと思います。御要求の内容は、受診料の一部負担につきまして、これが保険経済にどういう影響があるかということのお尋ねでございました。これにつきましては実は御案内のように、一部負担は健康保険の当初にございまして、それから廃止になり、昭和二十四年に現在の制度が取入れられております。そこで二十四年を中心といたしまして、その前後の受診率の変化をたどつてみたのでございますが、何分にもこれは、一般的に終戦後受診率が飛躍的に毎年々々向上をして参つておりまするので、二十四年に受診料の一部負担が実現した。そのことによる受診率への影響というものが的確に掴めないのでありますが一応御参考に数字で申上げてみますると、昭和二十一年には被保険者一人あたりの年間受診率は〇・六三四でありましたが、二十二年には〇・七三〇になります。二十三年には一躍、約倍の一・三七になる、二十四年には二・〇八、二十五年が二・四七、二十六年が二・六四、二十七年が二・九六、こういうふうに逐年増加をいたしております。これを比率でみまするときには、二十二、二十三などのそれぞれの前年に対する増加の比率に比較いたしますると、二十四年以降はやや増加の傾向が衰えておると申せるのでございます。併しこれは具体的にどの程度の影響であるかということは掴めないのでございますので、その点が実は推定になつてしまつて、甚だ恐縮でありますが、一応昭和二十八年度の予算に使いました数字で、このための影響が一割ぐらいであろうということを想像いたしました場合には、それのみで保険財政には十億円の、十億ちよつと端数がありますが、影響が来るわけでございます。この辺のところはなお私どもの資料で補足的に申上げてみたいと思いますが、一昨年の実績で国民健康保険をやつております四十五都市につきまして、この四十五都市を拾いますと、健康保険の被保険者の家族を、国民健康保険の被保険者にしておるところにつきまして調査をいたしたのであります。これはなぜそういうことを申上げたかと申しますと、健康保険の被保険者の家族は、半額は健康保険から給付を受けまして、国民健康保険の被保険者になりますと、更にあとの半額を国民健康保険のほうから給付を受けまして、つまり受診を受けました場合には療養の給付費は双方から合わせて、たたで受診ができるということになります。健康保険の被保険者にあらざる国民保険の被保険者は、当然一部負担として半額を負担しなければならない。そういう意味で四十五都市を調査をしたものがありますが、四十五都市を調査をしてみますると、今のような二つの部類に分けまして、比較をしてみますると、四十五都市のうち、三十八都市は健康保険の被保険者の家族のかたが受診率が高くなつております。即ち大部分は今申上げたような影響から受診率が高いのであります。更にこれを数個の都市について具体的に申上げてみますと、福島県の平市の例は、一般の国民保険だけの被保険者は受診率が一〇一%でございますが、健康保険の家族は二一〇%になつております。約倍でございます。それから埼玉県の浦和、川口、秩父の三都市について数字で申上げますと、浦和では一般の国民健康保険だけの被保険者は一三九%という受診率であります。健康保険の被保険者は二四五%、これも倍近い数字になつております。川口の例は非常に極端な例でございます。一般の国民保険の被保険者は九一%、健康保険の家族は三〇一%、こういうような三倍以上の開きがございます。一々上げるのは省略いたしまするけれども、かように少しやや多い程
 度の受診率を示しているところもございまするけれども、違つておりまするところは三倍以上も受診率が違うというような実例があるのでございまして、尤もこれは療養費の半額を負担する場合の例でございまするので、直ちに以て健康保険への影響と同一視するわけには参りませんけれども、一部負担のありますることが受診率に対して大きな影響のありますことに対する御説明になり得かと思いまして、御参考に申上げた次第であります。以上申上げたようなわけでございまして、初診料を廃止した場合に保険財政に対する影響がどうであろうかということが、どうも大変申訳ないのでありますが、的確に掴めない事情がございます。私どもとしては少くとも一割以上の影響があるのであろう、そう考えました場合には、一割として約十億円の財政負担になる、こういうふうに考えております。
#4
○藤原道子君 それは保険の性質から考えまして、保険財政に影響があるからといつて安易な方法で保険者にこれを負担せしめるということに反対なんです。だからこそ保険財政が困るから、国庫負担を二割これを国保並みにやるべきであるという主張を持つておるのでございますが、政府はどう考えておられますか。
#5
○政府委員(久下勝次君) 御趣旨は私どもも全然実は同様に考えているものでございます。ただこの種の問題は受給要件に関します例えば資格期間の問題でございますとか、この間問題になりました待機期間の問題でありますとかいろいろと同様に論じなければならない問題もございます。かような点からどれをとり、どれを捨てるかという問題に結局はなつて来るのでございまして、私どもといたしましては一部分は初診料負担というものを廃止することによる財政への影響が先ほ申上げたようなことで的確に掴めないこともありまするが、併し基本的な考えといたしましては、こういう一部の負担を廃止するということ、そらから範囲を拡張したり或いは給付期間の延長というようなものを天秤をかけて考えました場合には、いずれも保険財政の面から申しますと財政負担の増加になるわけであります。差当り範囲の拡張或いは給付期間の延長というようなことをとり上げて行くというようなふうに考えたわけであります。従つて実体的な議論としては同感でございますけれども、さて具体的な問題となりまして、どれをとるかということは、私どもの考えとしてはさような気持で、今回としては見送つたという事情でございます。
#6
○藤原道子君 すでに同僚湯山委員からあつたと思いますから、私の質問はこれで終ります。
#7
○委員長(堂森芳夫君) 他に御質疑ございませんか。
#8
○湯山勇君 ちよつと一言だけ。これは只今直ぐにお答え頂けないかも知れないと思うのですが、三日間の待機期間をなにしたことによつてどれくらい費用が必要であるかということは、恐らく他の保険から類推して御計算願わなければならないと思うのですが、これは成るべく早くお示し頂けないでしようか。
#9
○政府委員(久下勝次君) できるだけのことはしてみたいと思いますが、ただ実際問題といたしまして非常に面倒なことは前以て御了解頂きたいと思いますが、と申しますのは、一日か二日だけ休みました者につきまして、若しも個々の事業主から給与が出ておりますると、傷病手当金は出ないということになります。従いましてそういう場合にはむしろ待機期間の問題でなくて、他に給与があるからということで給付が行われないことになりますが、これを純粋に事業主からも給与が出ないので、従つてこの保険でみてやらなければならないというものは、恐らくこれは掴み得ないのじやないか、類推をいたしましても結局的確な数字は掴みがたいと思いますが、まあ併し御要望でもございますので、できるだけやつてみたいと思います。
#10
○委員長(堂森芳夫君) ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#11
○委員長(堂森芳夫君) 速記を始めて。
#12
○山下義信君 健康保険法の一部を改正する法律案、これは厚生年金保険法の一部を改正する法律案とも関連があるのでありますが、先達つて湯山委員から質疑をされまして、当局の御答弁では、新たに被保険者を増加する事業種目の中に、教育ということに関連いたしまして、その内容の対象種類についての質疑があつたのですが、これには私立学校の教職員関係者は包含をしないと、こういうことでありました。それは一方において私立学校教職員共済組合法案によつてそれがカバーされてあるからだということでありますが、若しそういうことであるといたしますならば、そのことの可否は別といたしまして、そういうことであると仮にいたしますならば、仮に私立学校教職員共済組合法案が不成立になりましたときには、この健康保険法並びに厚生年金保険法の一部改正法律案の教育という新たなる事業種目におきましては、私立学校関係者を逸脱するという事態が発生するのであります。そういうときには両法案の改正要目でありまする教育ということの包含いたしまする内容はどういう影響を来たすものであると了解してよろしいか、その点を明白に御答弁を願いたいと思います。
#13
○政府委員(久下勝次君) 今回国会に提案になつております私立学校教職員共済組合法案の正式な印刷物をまだ私手許にしおりませんが、大体間違いないと思いますので、それを基にして手許にありますので御説明を申上げますが、両者の関係を申上げますると、先ず健康保際法につきましては、健康保険法第十二条という規定がございまして「国ニ使用セラルル被保険者又ハ地方公共団体の事務所ニ使用セラルル被保険者ニシテ他ノ法律ニ基ク共済組合ノ組合員ナル場合ニ於テ其ノ被保際者ニ対シテハ本法二依ル保険給付ヲ為サズ」という規定がございます。これは今度別途私立学校職員共済組合法案が出ますると、それとの関係が現行法では明白でございませんので、私立学校教職員共済組合法案のほうで健康保険法第十二条第一項の一部を修正をいたしまして、「地方公共団体ノ事務所に使用セラルル被保険者」の次へ「又は法人に使用せるる被保険者」というような言葉を入れることになつておるのでございます。これによりまして原則的な健康保険法第十三条の規定に上つておりまする教育の関係のうち、私立学校教職員共済組合法の適用を受けますものは被保険者とならない、保険給付をしないということで除外をされることになるわけでございます。一方厚生年金保険法の場合には、現行の同法第十六条の二の第一号は同じような規定がございまして、「国、地方公共団体又ハ法人ニ使用セラルル者ニシテ左ノ各号ノ一二該当スルモノ」は「厚生年金保険ノ被保険者トセズ」とありましてその第一号中のロに「法律ニ依リ組織セラレタル共済組合ノ組合員」という表現がございます、この規定によりまして、私立学校教職員共済組合法案が成立をいたしましたときには、健康保険法及び厚生年金保険法の適用はその関係で除外せられることになるわけでございます。併しながら、この私立学校教職員共済組合法案が成立をいたしませんと、今の健康保険法十二条なり、或いは厚生年金保険法の第十六条の規定が動いて参りませんものでありますから、従いまして、原則のそれぞれ教育事業が挙げてあります関係上、或いは健康保険法及び厚生年金保険法の適用を受けるということになるわけでございます。ただ先般私が申上げましたのは、さような法律関係が私立学校教職員共済組合法ができるという前提の下にできます場合には、その当該法案において只今申上げたような調整規定を設けて適用関係がはつきりするようにするという実は話合いで参つておつたのでございます。従つて、くどいようでございまするが、私立学校教職員共済組合法が成立をいたしませんと、健康保険法及び厚生年金保険法が私立学校教職員に適用されることになるわけでございます。先般私が湯山委員の御質問にお答えしたと思いまするのは、一応そういうような法律関係の調整をいたすこ」とになつておりましたので、予算の上におきましては三万七千名ほどを予定して健康保険法及び厚生年金保険法の積算の基礎からは除いてあるという意味で申上げてあるのであります。併しながらこれは全体の数字から見ますれば僅かでございますので、万一共済組合法案が成立を見ませんでも、健康保険法及び厚生年金保険法の運用には私は差支えないのではないかという気もいたしております。以上御説明申上げます。
#14
○山下義信君 そうしますと、今の現行の健康保険法第十二条、厚生年金保険法第十六条との関係はよくわかつたのですが、今回改正の新たなる適用範囲の拡大について特に具体的に第十三条中の各号が追加せられてありまする、その教育というこの範囲の拡大と私立学校教職員共済組合法案中の規定との関係はどうなりますか、不成立になりましたときに。
#15
○政府委員(久下勝次君) 厚生年金保険法、健康保険法のそれぞれ一部改正が成立をいたしまして、私立学校教職員共済組合法が成立いたさなかつた場合におきましては、そのままですと健康保険法及び厚生年金保険法が私立学校の教職員に適用になります。この私立学校教職員共済組合法も成立いたしますし、一部改正と両方が成立いたしますと、私立学校教職員共済組合法が成立することそれ自身によつて、又一部に健康保険法それ自身の改正が入つておるものでございますから、その双方の関係におきまして適用が除外されるということになるわけでざざいます。
#16
○山下義信君 極めて明白になつたのでございますが、そうしますと、今この健康保険法一部改正並びに厚生年金保険法の一部改正を審議しまする際に、政府はこの教育という中には私立学校教職員は包含されていないと、ここではつきりと定義を下しおかれることは、私は少し早計と言うと語弊があるか知りませんけれども、あとで取返しがつかなくなるのではないかと思う。やはり私立学校教職員法案との今申上げた睨み合せ関係において、今はそう解釈するけれども、今仰せになりましたようなこの一方の法案が不成立の場合には当然含有するということが今の御答弁で明白になりましたが、先般の質疑応答ではつきりとこれを包含せんと言い切つておられますると、あとで少し困るのではないかと思う。但し私の質問も、私立学校教職員共済組合法案の不成立という仮定の前提に立つておるのでありまするが、併し念のために法案の成立、不成立はあることでありまするから、一応入念に質しておくということが必要であると思いまして、この質問をいたしておきましたのでありますから、一応健康保険並びに厚生年金保険一部改正の法案につきまして「教育」の解釈を入念にもう一度しておいて頂きたい。
#17
○政府委員(久下勝次君) 健康保険法及び厚生年金保険法において「教育」と申しておりまするのは、大体において教育基本法などで言つております「教育」という観念と私ども同じように考えております。ただ私立学校教職員共済組合法案が今一応予定をしております対象よりも健康保険法及び厚生年金保険法で考えておる「教育」は広いのでございまして、それは具体的に申上げますると、個人経営のいわゆる各種学校でございます。これは私立学校教職員共済組合法案が成立をいたしましても、その法律の適用を受けないことになつております。従いまして原則的には健康保険法及び厚生年金保険法が適用になるわけでございまして、そういう意味合いにおきまして私どもとしては健康保険法或いは厚生年金保険法の中から教育という文字は除き得ないのでございます。
 なお、くどいようで恐縮でございますが、ちよつと念のために申上げておきたいと思いますが、先ほども健康保険法関係の条文で申し上げましように、根本的の考え方というものは強制適用の規定は条文によりまして私立学校の教職員共済組合法の適用を受けますものでも、形式的には健康保険法の被保険者である。併しながら他の法律、先ほど申上げましたような共済組合法、法律による共済組合法の組合員であるものについては保険給付をなさずという考え方になつておりまして、従いまして各組合員だと申しましても、健康保険法の適用を受ける被保険者ではありますけれども、それとは保険料も別の規定で納めなくてもよろしいし、又給付もなさないというような関係に考えておるわけでありまして、この点はすでにございまする国家公務員共済組合の組合員につきましても同様に考えておるのでございます。少しくどうございますが、ちよつと申上げます。
#18
○山下義信君 大体判明したのでありますが、この一方私立学校教職員共済組合法案の対象範囲内というものが非常に漠然としておる、これは一方の法案を審議して行くのに非常は密接な関係があると思いますが、一応当局の見解は判明いたしたようでありますから、この問題に関する質疑はこの程度にいたしておきたいと思います。
#19
○委員長(堂森芳夫君) 本案の質疑は一時中止いたします。
  ―――――――――――――
#20
○委員長(堂森芳夫君) 本案の質疑は一時中止いたします。
#21
○委員長(堂森芳夫君) それではらい予防法案を議題といたしまして、昨日に引続いて厚生大臣に対する質疑を行います。
 藤原委員から御質疑を願います。
#22
○藤原道子君 私はらい予防法につきまして先ず大臣に御質疑を申上げたいと思います。昨日同僚委員諸君からいろいろ御質疑があつたのでございますが、なお私には理解しがたい点がございますので、重ねて御質疑を申上げたいのでございます。
 私はこの際大臣の御所見といたしましてらいについての根本的な考え方についてお伺いをいたしたいと思います。
#23
○国務大臣(山縣勝見君) らいの根本的な考え方につきましては、昨日も申上げた通りであります。らいそのものが患者にとりましても又その家族の人人にとりましても、なかなか社会的にも又医学的にもいろいろな点から困難な事情を伴いまするものでありまするから、らいの予防又らい患者の治療、これに対しましては、今後とも国が中心となつて予防、治療に対してはできるだけのことをいたす、又それらの家族に対しましても同様の考え方で進みたいと、かように考えております。
#24
○藤原道子君 このらいの問題に対しましては、私は飽くまでも国の責任においてなすべきであると、かように考えるのでございますが、世界各国の状態を見ましても、やはり国が責任を持つて対処しているように承知いたしておりますが、大臣はこのらいの予防或いは治療その他に関しましては飽くまでも国が中心でやるべきであるというふうにお考えでございましようか。
#25
○国務大臣(山縣勝見君) この点につきましても、昨日廣瀬委員或いはその他からの御質問に対してお答えをいたした通り、又只今も申しました通り、国が中心となつてやるべきであると、但しそのらいの予防或いは治療或いは又その家族に対するいろいろな措置等につきましては、単に国だけではできないこともありまするから、只今申しました通り、国が中心となつてやりまするが、各地方団体その他の機関等もそれと協調して相共にその分野においてそれに当りたい。昨日来申しておる通りであります。
#26
○藤原道子君 それではくどいようでありますが、飽くまでも国が中心であつて地方でやりますることは補助的な問題である、かように理解いたしました。それでよろしうございましようか。
#27
○国務大臣(山縣勝見君) 従来らいの問題につきましては、必ずしも現実の面で只今私が申しました通りに参つておらん点もございまするから、今後は運用その他の面において只今申したようなふうに参りたいと、かように考えている次第であります。
#28
○藤原道子君 このらいの問題につきましては、誠に国家的に見ましても、又らいに罹りました患者その人につきましても、非常に不幸な問題でございます。殊に長い間らいは遺伝である、天刑病である、こういうふうな考え方が国民の心の中に強く強く根ざしておりますために、らいということによつて、ただそれだけによつて非常に大きな悲劇が起つているわけであります。私はこの際らいは伝染病である、そうして治療よろしきを得るならばこれは退院することができるのだ。こういう時代になつてこれがもう我々の間では常識になつているのでありますが、これが世間一般にはなかなか払拭することができない。らいであるということによつて患者のみならず罪のない家族子供等にまで非常な悲劇を起しておりまして、一家心中等が起りますることは大臣におきましてもすでに御承知のことだろうと思うのでございます。従いまして私は第二条にもございますように、らいに対する正当なる正しい知識の普及、これを図らなければならない、こういうことが規定付けられております。これは入所等に対しましては飽くまで納得勧奨で行くべきである、又厚生省等におきましても、それが前提として考えられておる、そこで勧奨納得、この方法につきまして従来どのようなことをとつておいでになつたか、将来又どういう方法を以てこれに臨もうとしておいでになるかという点についてお伺いしたいと思います。
#29
○国務大臣(山縣勝見君) 只今お話のらい患者の入所につきましては、従来もその心構えでございましたが、今後更に法律の改正にもありまする通り、勧奨を主にいたしまして、できるだけよく納得をして頂くようなふうに努力をいたして、そして又一般にもこのらいの予防上の問題、或いはその他の問題を周知徹底せしめて、又らい患者或いはその家族にもよく納得して頂いて勧奨を中心にして入所をして頂きたいという趣旨で、法律の改正をいたしておりますので、従来どういうふうにやつていたかということは政府委員から答弁させますが、これは従来のとつて参りました、又今後特にとらんとする態度、方法、それに関連いたしまする法律の修正、その基本的のことだけを申上げまして、巨細の点は政府委員から御答弁を申上げます。
#30
○政府委員(山口正義君) 従来らい患者の入所につきましては、どういう手段を講じておつたかというお尋ねでございますが、これは法律的にはただ「入所セシムベシ」ということが現行法の第三条に謳つてあるのでございますが、その実施に際しましては、只今大臣から申上げましたように、できるだけ勧奨して、納得して入つてもらうという方針をとつて参つて来ているのでございまして、私どももその方針に従いまして各府県でやつているのでございますが、府県のその衝に当ります者がいろいろございますので、十分その納得させるということに手を尽さなかつたという謗を受けた場合もあるのでございますが、併しながらできるだけ納得してもらつて入る。そうしませんと無理矢理入れましても、なかなか無理矢理に入れたものは在所しないで、又逃げて帰るというようなこともございますので、従来もできるだけ納得して入つてもらうという方針をとつて来ているのでございまして、それには各府県におきましてらい担当の職員を作りまして、その職員が再三再四癩療養所の状況、或いは最近の治療、或いは家族に対する影響等を話して勧奨に努めたという実情でございまして、その実施のやり方につきましては、県によりまして差違があつたということは、或る程度認めなければならんことだと考えているわけであります。
#31
○藤原道子君 いろいろらいに対しての、らいに関する思想の普及、或いは納得等々によつて収容するように努める、将来も飽くまでもそれでやるというお答えでございますが、私ちよつとここで見ますると、非常にらい予防、らいに対する思想普及費なんというものは今度の予算におきましては僅か二十二万円より計上されていない。而もこれに対して要求されましたのが五百五十五万円を要求されている。ところが決定いたしましたのは僅かに二十二万円のように、この参考資料には出ているのでございますが、これで果して所期の目的を達せられるというお考えでございましようか。私はその熱意のほどが疑われるのでございますが、大臣の御所見をお伺いしたい。
#32
○国務大臣(山縣勝見君) 二十二万円をどういうふうに使いまするか、私も詳細に承知いたしませんから、勿論当局としてはらいの治療予防に対してその普及徹底に完全を期したいと思つて要求いたしたことでありまするけれども、遺憾ながら御指摘のようなふうの額であります。これでどういうふうに行けるか、又これでおの程度まで行けるかということにつきましては、政府委員からお答えいたします。
#33
○藤原道子君 細かいことはいずれお伺いいたします。併しながら今回この法律の改正はこの不幸ならいというものに対して、お互いに真剣にこの不幸を取除きたい、それには飽くまでらいに対する思想を変えて行かなければならない。認識を変えて行かなければならない。これには教育、普及、宣伝ということが必要であるということは、しばしば政府当局が答弁されている。ところが図らずも今日私よく調べて見ましたところが、僅か二十二万円なんです。今の社会で二十二万円という金でどれだけのことができるかということは、私が申上げるまでもなくすでにおわかりのことと思う。こういうことだから私どもがらいに対して、政府が果して熱意があるのかないのか、それを疑わざるを得ないのです。だから政府のお考え方は、飽くまで療養所として行くんだと言われまするけれども、問題は収容所的な考え方から発足しておると言わざるを得ないのです。従いまして患者等が不安に思いますのはそこにある。僅かな費用でどうして勧奨、納得に努める、こういうことを言いましても、その実が上ることは私は誠に心細い状態だと思う。従いましてそれができないから結局強制収容というところへ持つて行かれるのではないかと思いまするとき、この強制収容の規定のありますることが私には非常に不安でございます。過日当委員会におきまして、参考人を呼んでいろいろ質疑いたしましたが、その際にも飽くまで勧奨、納得で行かなければ、この収容についての目的を達成することはできない。無理に入れたものは必ず脱走、その他、所内におきましても秩序違反等を起す結果になつて好ましくない。だから飽くまで納得でやりたい。私は長くその事業に従事されている人の証言によりましても、私は今までに一回も強制収容したことはない、こういうことをはつきり証言しておいでになる。それでもやはりこの強制収容の規定は存置しなければならないと、こういうふうにお考えでございましようか。なすべきことをしないで、そうしてこういう安易な途をとられるということに対して、私は不満なのでございますが、大臣の御所見を伺いたい。
#34
○国務大臣(山縣勝見君) 今後ともできるだけ例えば普及徹低の費用にいたしましても、本年度の予算は御指摘の通りでありまするが、今後とも財政上できる限りの予算の編成等も努力いたしたいと考えております。なお又この強制収容の規定を全部取つてはどうかという御質問でございまするが、これは只今公聴会でございましたか、参考人の御意見はそういう事態を我々は期待をいたし、又希望をいたしておるのであります。又仮に今後この強制収容の規定がありましても、我々は強制収容が目的にあらずして、やはり勧奨によつてできるだけやりたい、又やることを期待するようにいたしたい、併しやはり法の編成といたしましては、中にはこれは又いろんな事情によつて、公衆衛生上懸念のありまする人で、勧奨に応じないということも、これは常識上想定されることでございまするから、我々はらい診者の自由を拘束しないように、最高限度考えますことは当然であつて、これはこの法の改正に当つてもさように考えて来ておることでありまするが、併し又一方一般のいわゆるこの大衆に対する公衆衛生上の見地ということも考えなくてはいけないことでありまするから、これはいわゆる抜かざる宝刀によりまして空文に帰しましたら結構なことでありまするが、法のいわゆる定めといたしましては、若しも勧奨によつてどうしても行かない家のかたがありました際において、これをどうするかという問題のありました際に、法の規定がありませんと、これはいかんことと考えますので、さような気持で、この強制収容の規定を置いておりますので、できるだけそういうものを発動いたさないように善処いたしたいと考えております。
#35
○藤原道子君 私はこの強制収容の規定があるため結局いろいろな無理が行われておる、最近においてすら強結収容を発動いたしまして、病院ヘリヤカーで連れて来たところが、入所後僅か三十分にして命を落したという例もある。或いは心臓瓣膜症を併発いたしまして疑床に臥しておる者が、無理に強制収容が発動されまして、入院後僅か一週間足らずして命を落しておる者がある。らい者といえども人間である、やはり家族の気持等を考えますとき、僅かあと幾ばくもない命である者をリヤカーに乗せて収容して落命させた、或いは心臓瓣膜症で安静を要する者であるにもかかわらず、らい者であるがゆえに所内へ無理に連れて行かれて、そこで命を落した、こういうことは何と考えましても私は人道に反するものと思う。そういう場合にはアメリカ等におきましては自宅療養等も許されているやに聞くのです。もう余命幾ばくもないというような者でございましたら、外へ出て感染の虞れのないような措置をして、自宅で療養させてやるのだという温かい私は考え方があつて然るべきだと思う。でございますから、この抜かざる天下の宝刀ということに対しましては、私は大臣のおつしやることが本当にそうであつて欲しいと思うけれども、あなたがやるのじやない、だからこういう人間的悲劇が行われるのだ、こういうことに対して大臣は本当にどういうふうにお考えでございますか。
#36
○国務大臣(山縣勝見君) 只今御指摘になりました事実は、私その事実を承知いたしておりませんので、これは又事実に基いて適当の機会にそういう事実がありましたかどうかは御答弁を政府委員から申上げます。たださようなことは今後この法律の改正によりまして、さようなことも、或いは従来あつたかどうかということは知りませんが、今後もあるかも知らんが、さようのことのないように今回の法律の改正におきましては、勧奨ということをいたす、そうしてそれでもいかんときに、仮に強制収容をいすにいたしましても、その前に一応のいわゆる段階を置いて、例えば予告期間を設けましたりいたしまして、そうしてそういうふうな仰せのような急患で、その際強制入所を命じ得ないような、又適当でないような場合には、その間適当な期間を置いていたすことに相成つておりますので、今後はこれらの法律の運用において、只今仰せのようなことのないように、これは努め得られると思つております。
#37
○藤原道子君 漏れ聞くところによりますると、アメリカ合衆国等におきましては、国立らい諦問委員会というようなものをお持ちになつて、そうして学者或いはらいでもうすでに回復した人、又労働組合の代表等々によつて、十一人から成る諮問委員会というようなものができて、入所とか治療或いは退所等々に対して、すべての問題をこの委員会が審議しているというようなことも聞いておりますが、私はこの際この最後の規定は伝染病なるがゆえに抜くことができない、どうしても政府当局が固持されまするならば、こういう諮問機関等をお設けになつて善処されるというような御意思がおありでございましようか。
#38
○国務大臣(山縣勝見君) 今仰せのようなことも強制入所に伴う、どう言いまするか、弊害と言いますか、そういうものを避けるためには、一つの考え方ではあり、一つの制度ではあると思いまするが、只今仰せのものはアメリカの例でございますが、アメリカでございましたらばまだ法律になつていないのです、まだこれは法律になつていません。併しそんなことはどちらでもいいので、今仰せのようなことも考え方でありまするが、まあ日本といたしましてはそれも将来一つの研究問題でございましようし、今後とも十分注意をいたして、そうして無理のことのないように。これは運用の面でありますから、法律をどんなに作つたつて、又どんな諮問委員会を作つたつて、そのやり方如何によつては弊害もありまするから、我々といたしましては当面その運用の面で、仰せのようなことのないように注意いたしたいと、かように考えております。
#39
○藤原道子君 只今の御答弁でございますが、若しもアメリカがまだ審議中で決定していなくても、こういうことも諸外国では問題になつている。又日本では過去におきままして非常な悲惨な行為があつたらばこそ、患者さんたちがああいうハンスト等の挙に出てまでも、この法案に対して是非といつて鎚りつく思いの反対をいたしておるわけなのでございますから、これらに対しましても昨日下山委員が申されましたように、患者は大臣よりほかに縋るところはないのでございます。でございますから、大臣もこうした気持も十分お酌みとりになりまして、これらのことに対しましても外国にないからやつちやいかんということはない、やはりそれこそ独立国でございますから、日本でいいと思うことはどんどんやつて、それによつてらい予防に対する所期の目的が達しまするならば、私は勇敢にとり上げてもらいたいということを強く要望いたしておきます。
 それから次にお伺いをいたしたいことは、所内の秩序の問題でございますが、これに対しましても、ああいう法律は、ああいう規定はあつてもなくても同じだ。あることのほうが園長対患者の間の相互信頼感に邪魔をする規定になる。昔にはいろんな問題があつた。癩療養所当局においては、患者を犯罪人扱いをしている。又患者のほうにもやはり浮浪らい等が多かつたために、所内の秩序を幾多乱したことは事実でございますけれども、今日におきましては殆んどそういう問題はないというように聞いておる。そうして今日そういうことは殆んど適用されていないというように聞いているのでございます。飽くまで相互信頼の上に立つて所内の秩序を守り、患者は園長を親と信頼し、頼り、園長は患者を信用する。お前たちを強く信用するから責任を以て所内の秩序を守つてくれよというようなことでおやりになつたほうが、むしろ効果的であるというふうに考えまするが、大臣はどのようにお考えでございますか。
#40
○国務大臣(山縣勝見君) 私もお話のような相互信頼の気持で療養所をらい療養の場所として秩序を保つて行きまするように是非いたしたいと考えております。ただ現状と言いますると語弊がありまするが、やはり所長はらい療養所の秩序を保つて、らい患者の治療に遺憾なきを期するということ並びに又それが間接的、或いは直接的に大衆に対して公衆衛生上遺憾のないということも期する必要がありまするので、これも先ほど申しましたようなふうな強制収容と同じような気持で、それを拔くのが目的にあらずして、所内の秩序を維持するということによつてらいの治療、いわゆる公衆衛生の遺憾なきを期するという見地から、最後の線として所長がその程度の権限を持ちますることがむしろどう言いまするか、事前に事なきを得て秩序を保ち得るということにも相成るであろうという考え方からいたしておるのでありまして、仰せのようなふうに、いわゆる収容所として懲戒ということを目的とし設けた法律でなくして、今後むしろそういうふうな規定によらずして、円滑に所内の秩序を保ち得るということを目的にいたしましておる以上、所長としてはその程度の権限は、抜かざる宝刀とし持つておつたぼうがよろしいという考え方でございます。勿論考え方は、基本的には先生とまつたく同意見でございますが、一応法文としてはさような程度の最小限度の規定は設けたほうが適当ではなかろうか、かように考えた次第でございます。
#41
○藤原道子君 私は「入所患者は、療養に専念し、所内の紀律に従わなければならない。」、この法案は当然あつて然るべきだと思う。けれどもそれに続きまして「戒告」であるとか「三十日をこえない期間を定めて、謹慎させること。」は、今日法治国でございますから法律があるのです。三十日も本人の自由を束縛して、一つ部屋の中に静座させて置くというようなことは、どうしても納得できない。若し私たちだつても、いつらいにかかるかも知れません。いつ親戚にそういうものが起らないとも限らないのです。従いまして三十日を超えない期間の謹慎をさせること、その処分の期間中は「所長が指定した室で静居しなければならない。」、私はこれはどうかと思うのです。こういう三十日にも及ぶような謹慎規定でございましたならば、当然日本は法治国でございますから、法律によつてやはり処罰されるべきものであつて、これが団長にこういう権限が与えられるということに対して、私は納得が行かない、こういうことがあるほうが所内の秩序が守れるか、ないほうが守れるか、私は今日こういうことを発動するような事犯は殆んど起つていないと思う。過日厚生当局から私は参考資料を頂きました。成るほど一つの所に二件とか三件とかいうものは確かにございましたけれども、千二百人からというと一つの村なんです。一つの村落なんです。一つ村落において一年間に二件や三件より事件が起らないとしたならば、私はむしろ事件がないと言つても過言でない。このくらいに患者が今療養に専念し所長を信頼しておりまするときに、なお三十日間の謹慎等の規定を設ける必要があるか。而も十五年も二十年もらいの事業に従事されておる人、或いは療養所の医務局長として働かれた人、これらの人たちがこの規定は要らない、ないほうがむしろやりいい、こういうことを言つておられるのでございますが、それでもなお且必要であるとお考えでございましようか。
#42
○国務大臣(山縣勝見君) 私もらい患者にらいの治療に専念して頂くということを念願いたしております。又先生の仰せのように我々が今日らい患者になつて入所するかも知れません。併しながらこの規定はらい患者なるが故に適用されるにあらずして、或いは何回も逃亡いたしまするとか、或いは所内の秩序を維持し得ないで、いわゆるらいの治療或いは公衆衛生上遺憾のある際において伝家の宝刀として所長が発動いたすものであります。先生の仰せのように今日らい患者になるかも知れんということは別だと思うのであります。らい患者なるが故にこの規定を発動するにあらず、なお又今仰せのようなふうに一年のうちで一件か二件、これはやはりできるだけそういう規定を適用しないで、できれば話合いで済ます、或いは適用するにしてもこれをさようなふうにしないうよに所長が考えられるでございましよう。或いは考えますから、その件数が少いから云々ということは言えないのであつて、極端に申しますれば一件でも二件でもそういうことがありまして、その一件が又公衆衛生上非常に重大な影響を及ぼします際に、所長が何らの権限がなくては、これはやはり一般大衆に対する関係においても国はそれを放置するわけにも参らんのであります。要は運用の問題でありまして、なお只今三十日と仰せられますけれども、これは三十日以内であります。従来の規定から申しますれば三十日の、いわゆる相当と申しまするか強い監禁をいたしております。而も事情によつては二ヵ月まで延長することができるとなつておりましたのを三十日以内のいわゆる謹慎ということにいたしたのであります。これは或いは五日のこともございましよう。或いは三日のこともございましよう。併しこの程度のものを園長が持つておりまして、その規定の適用をできるだけ少くするようなふうに、いわゆる相互信頼の精神で所内の秩序に当るということは、これはやはり一応常識的にも又いろいろな点から申しまして納得のできる問題ではないかと思うのであります。なお又そうでなくして直ちに刑法を適用したらどうかという御意見でありますが、私は意見を異にいたすものであつて、所内の秩序維持、そうして患者の特殊性を考え、場合によつては所長が温情を以てらい患者の立場を考えて、いわゆる刑法によりますれば、これは本当のいわゆる厳格な刑の適用をいたしますけれども、場合によつてはそれはとらないで、或いは本当に十日か或いは三十日の謹慎に値することでも改俊の状があるということになれば五日とか二十五日とかにするという権限も園長が持つておる。これは本当に園長がすべき任務だと思つておりますから、これは一定の権限を所長に与えて、そしてできるだけその規定を適用しないというふうにいろいろ指導もいたし又信頼の精神で行くのがいいのじやないか。これはいわゆるらいの特殊性から見ましてもいいのじやないか。私は直ちに刑法を適用せよということには賛成いたしかねるのであります。
#43
○藤原道子君 くどいようでありますが、三十日を超えないことと規定してあるから心配ない。ところが曾つては二ヵ月を超えることはできないということであつたけれども、それは非常にその期間が延長されまして人道的な人権蹂躙の事態が起きましたことは大臣も御承知だろうと思うのです。こういうこともあるから、患者側としましては非常に心配いたすのでございまして、と同時に私はそういう所内の秩序を、どうしても訓告に応じて改めるところがないというような場合にはむしろ正当な法の裁きを以てすることこそが、私はその所内の秩序を守る上においても私はいいと思うのです。ただ所内の園長がその権限を持つておつて、いつでもそういうことができるのだというようなことになると、どこかの療養所でもございましたが、所長の気にいらないようなものはいつ入れられるかわからないのです。ここに不安がある。ですからお互いに人間なんです、私だつて感情があり誰にも感情がある。従いまして不平等な扱いなきやということを私は恐れるものであります。同時に無断外出した者等ということも仰せられましたが、私はそういうことが所内の秩序維持と、そうして二十八条におきまして無断外出等々の規定があるということはどうもダブルような気がいたすのでございますが、これに対してはこれ又やはり無断外出等等ということになれば所内の秩序で私は事足りるように考えるのでございますが、これを分けましたことがおかしいのです。私はこういう何でもかんでも罰則で縛ろうとしたのではらい患者が特殊事情であるだけに、私はこうした法律一点張りで取締るということに無理があるのだというふうに私は考えておりますが、大臣は如何でございましようか。
#44
○国務大臣(山縣勝見君) 先ほど申述べましたのと私は考えは変つておらないのであります。結論はそういう園長が職権を持たないで、若しそういうふうな事犯があつた場合においては、いわゆる警察官或いは刑事関係の者が行つて、そうしてそれを措置するとこういうでありますが、私はその前にはやはり園長というものが少くともらいの療養所というものは特殊な一つの集団でありますから、先ほど来先生の仰せられるような相互信頼の精神から申しましても、やはり所長が一応その段階に立つて、そして最後の努力をする一つの段階があつて然るべきじやないか。
 なおこれは法律論でありますから、私はさようなことを申したくはありませんけれども、いわゆる刑法の対象になります事犯と、いわゆる公衆衛生上の見地から一応所長が秩序維持をやります指示の対象となります者とは一応違つておりますから、場合によつては所内の秩序の維持という見地のみでは刑法の対象にならないこともございます。併しこれは法律上のことであつて、らい患者の、いわゆる今のらい問題から申しますと些々たることを法律問題といたす意思は毛頭ございません。そういうことはいろいろ御意見もございまするが、これは結局見解の相違に相成ると思います。これはやはり最低と申しますか、まあこの程度の所長の職権行使を最後の段階に一応置いておいたほうが適当でないかと、私は決してらい患者を無理にどう言いますか、束縛いたしますとか、或いはらい患者の自由を拘束せんがための規定ということではないので、むしろ全体の多くのらい患者が安んじてらい療養に専心し得るような雰囲気を、いわゆる秩序を保ち得るという見地からこの規定が存在しているのじやないかと、こう考えるのであります。でありますから、根本的な考え方で申しますと、根本的な考え方は先生と同一でありますけれども、その方法につきましては只今縷々申上げております通り私は考えている次第であります。
#45
○藤原道子君 私は所内の秩序維持も或いは強制収容という問題も、要は患者が安んじて療養に専念し、安んじてみずから率先して療養所に入所するという事態を作ることが先決問題であろうと思うのです。ところがここに思いをいたさずして徒らに強制収容であるとか、或いは所内の秩序の維持であるとか等々と言つて、こういう懲戒的な問題で解決しようとするところに、大臣の言葉を借りて言うならば見解の相違ということになるかもわからないけれども、それでは私は問題は済まないと思うのです。見解の相違では問題は済まんと思うのです、そんなら伺いたいのです。今療療養所が本当に安んじて療養するに価いする療養所になつているかどうかという点について私は御質問申上げたい。一般の療養所に行つてみますと、相も変らず何と申しましようか、本当に療養者が安んじて療養のできるところであるというような感じががしないのです。やはり暗いところがある。あなたはらい療養所へおいでになつたことがあるのかどうかということを先ず私は最初にお伺いしてみたい、大臣にその点をお伺い申上げたい。
#46
○国務大臣(山縣勝見君) らい療養所が必ずしも設備或いはその他において完全でないことは私もさように考えます。併し私も時間的な関係で詳細には承知いたしませんですが、例えば熊本等においてもその設備その他においていろいろ考えております点もあるようであります。その他まだ完全でない療養所もありましよう。私はその後まだ参つておりませんから、こういうものが今後ともできるだけ先生のお話のようなふうに、らい療養に適しますような施設にできるだけ改めて行きたい、かように考えている次第であります。
#47
○藤原道子君 同じ療養所でありながら、昔のように先天的なものだ、回復しなのだ、だから浮浪らい等をどんどん収容して、その死ぬのを待つているという当時ならいざ知らず、今日はらいの新らしい治療の方法等も漸次進められているこのときに当りまして、らい療養所の職員が今の状態で妥当だとお考えでございましようか、私はお伺いしたい。癩療養所は結核療養所に対しまして職員の数が非常に少い、例えて申しますと多摩全生園あたりにいたしましても患者は確か千二百人ぐらいだと記憶しております。ところがここに働いている看護婦は僅かに二十八人です。二十八人で千二百人からの患者の治療ができる、患者に適当であるとお考えでございましようか。或いは又お医者さんにいたしましても僅かに十一人、こういう状態で、或いは菊池恵楓園にいたしましても医者は十五人という状態であります。これで適当であるとお考えでございましようか。これが安んじて療養する療養所の姿であるとお考えでございましようか。看護婦が患者一人を持つのにどれだけの労力を払つておるか、結局結核療養所では七・五人に対して看護婦は一人。ところからい療養所では三五・一人に対して看護婦は一人なんです。これで治療に十分だとお考えでございましようか。
#48
○国務大臣(山縣勝見君) この癩療養所の職員の諸君が非常に困難ならい患者の看護或いは治療に当つておりますることは私も感謝に堪えないことは昨日の委員会においても申した通りでございます。なお又その待遇等におきましても、二号乃至四号俸でありますか、その程度のものでいいかどうかということにつきましても、私もまだ完全とは思つておりません。今後とも努力はいたしまするが、詳細のことにつきましては私も承知いたしませんから政府委員からお答えいたさせます。
#49
○藤原道子君 いずれ詳しいことは政府委員からお伺いいたしますが、この際大臣に是非ともお心にとめて頂きたいのはらい療養所の定員の充足なんです。今度国立病院が地方に移管されましておのずから定員が三百数十名減らされることになつております。従いましてこれを即らい療養所のほうにお廻しになつて頂きたいということをこの際大臣に要望いたしておきます。それと同時にらい療養所が職員が足りないために重症患者に特別食を供給することすらできない、これらも併せ考えるときに療養所は安んじて療養する場所になつていないと同時に、昨日も廣瀬委員から続々御質問がございましたとところの生活の保障の問題でありますが、昨日大臣は私に対しまして、もうすでにお答えした通りだから速記録を見てもらいたいというようなことを仰せになりましたが、これに対して私は非常に遺憾に思つております。で、私は重ねて申上げますけれども、患者が入所いたしますにはその第一条件は家族の生活の保障なんです。自分なきあと家族が生活が安んじてできるという体制を整えてやることが第一であります。第二には療養所が療養に値する温かい療養所であること。そうしてそこに行けば必らず治るのだ、治してもらえるのだという希望を与えるということが先ず私は大事だと存じますが、重ねてお伺いいたしたいことは、生活に対する保護の問題についての大臣の御所の御所見でございます。
#50
○国務大臣(山縣勝見君) 昨日もこの問題が中心になりましたので私も縷々御答弁を申上げた通りでありますが、重ねての御質問でありまするから重複をいたしまするが申上げたいと考えておりますことは、先ほど来らい患者及びらい患者の家族に対する私の気持は申上げた通りであります。なお又今後国が中心となつてこれらの治療或いは家族の困窮者に対していろいろ考えて行くことにつきましても申上げた通りでありますが、普日来お話の生活保護の問題につきましては、只今いわゆる原因の如何にかかわらず一応生活困窮者に対しましてはいわゆる国家扶助の体系においてやつていまするので、但し従来運用上その他において遺憾の点もございましたから、今後これらの点に対しましては十分なる考慮をいたして、そして只今お話のような点につきましては遺憾なきを期したいと、かように考えておる次第であります。昨日も申上げたのでありまするが、昨日申上げました点を要点を掻いつまんでお答えをいたします。
#51
○藤原道子君 お互いに暑い中を貴重な時間を割いて審議いたしますことはよりよき法律を作りたい、これが患者のためにも社会の福祉のためにも役立つために努力しておるのだと思うのでございます。今政府は昨日来のお答えを聞いておりますると、ただ政府の面子にとらわれておるような気がしてならないのであります。生活保護法以前、旧法によるところの「生活スルコト能ハザル者ニ対シ其ノ生活費ヲ補給スベシ」、この法律が適用されておりまする当時には、その係官が受取つてこれを家族に届けてやるということによつて何らそこに問題が起らなかつた、スムースに行つたんです。秘密の保持ができたのです。特別なこの「生活費ヲ補給スベシ」という規定があつた当時には患者の家族の生活のその補助ができていたんです。ところが生活保護法ができましたために生活保護法に切替えられておるのです。で、昨日来聞いておると、政府当局も大臣も生活保護法は一律平等の精神に立脚している、そのくらいのことは私も生活保護法を審議いたしましたから承知いたしております。最初の生活保護法のときから参画いたしておりまするから、生活保護法の精神を知つているからこそ生活保護法の全額国庫負担で特例を以てやつて行こうという委員諸君のお考えに対しても私はこの実現は困難ではないかと思つております。従いましてこの際生活保護法では枠がある。同時にずつと調べて行きます。だからお前の家にはラジオがある、土地が五畝あるじやないか、こういう状態では赤貧洗うがごとくならなければ生活保護法の適用が受けられない。遂に昨日社会局長は特別にやりましようとは一口も言われなかつた。ここに問題がある。だから私はこの際患者の生活は国庫が保障する、こういうことによつて特別措置を講じなければ私はこの目的は達することはできない。若し本当に大臣が社会から、らいをなくして行きたい、不幸ならいに侵されたものは安んじて療養ができるようにしてやるたいという親心がありましたならば、私はこの家族の生活の問題は非常に重大な問題でございますから、十分にお考えになつて頂きたい。大臣の御所見をお伺いいたします。
#52
○国務大臣(山縣勝見君) この点は昨日も申上げましたが、前にこの生活保護法のできまする前に、生活保護法によらずして、予防法の中で、援護をいたしておりましたが、この間からいろいろ御議論を承わつておりますと、生活保護法の適用の際において、都道府県の二割をむしろ国庫負担をいたして、十割国庫負担のほうがいいのだというお話でありました。それから又その際に、従来予防法でありますか、法律の名前は違つたかも知れんが、生活保護法にあらずして、ほかの法律でやつておりました際には、御承知の通りに、二分の一、二分の一であります。国庫負担は二分の一であります。でありますから、昨日来国家が中心になつてやつたほうがいいのだ、従つて生活保護法におけるいわゆるらい患者に対しては、その特殊性を考えて、八割を十割にいたしたほうがいいということになれば、従来二分の一、二分の一の国庫負担の金額でありましたのが、生活保護法では八割になつたのでありますから、これと前の法律との関係を比較することは、これは当らんと私は思うのであります。併しこれはいずれにいたしましても、只今仰せの問題は、これは先ほど申しました通り、いろいろ他に関連いたした問題もございますから、一応只今のところは、昨日来申しております通り、運用によつて、各位の仰せられております目的を達成するに最善の努力をいたしたい、かように申上げておる次第であります。
#53
○藤原道子君 大臣に申上げたいのでございますが、私も補給すべきその金額は半額とする、そのくらいのことは承知しておるのですよ。併しその法律は明治四十年にできた法律なんです。明治四十年、その当時においてすら、その家族の生活は国が半額を持つておつたんです。そしてその運営においては、秘密が洩れないようになかなかうまく運用ができていたのです。ところが生活保護法は、その当時はなかつたけれども、新憲法の精神に従いまして、国民はすべて健康にして、文化的な最低限度の生活を営む権利を有する、こういう点から新たに生活保護法ができたのですから、そのときから国が八割を負担するということになつた。その法律は昔はなかつたのですから、大臣よくその点は間違えないで下さい。そうして今日らいは特殊な問題だから、何とかこれは社会公衆衛生の立場から、不幸な本人の治療の面からいつても、何とか国の力でこれを扱いたいこういうところでお互いに苦労しているのじやありませんか。らいの特殊性というのを一体どういうふうに考えておるのか。引つくくつてらい療養所におつぽり込むだけがらいの特殊性ですか。そうじやないでしよう。本当に収容したい、そうしてその治療の万全を期して行きたい、伝染を予防したいということならば、全額国庫負担にしたつて、高が三億か、四億でできるのですよ。それだけの金がないのでしようか。私はどうぞらい者になりまして、社会の迫害を受けて、夫が、或いはその叔父さんが、らいとして入所して療養所に行つたというだけで、村の人たちは物を売つてくれないのですよ。子供は学校へ行けないのですよ。学校へ行つても子供が遊んでくれないのです。こういう実情が他の病気のときにあるでしようか。而もこれは本人が好んでかかつたのじやないのです。不幸にしてこの病気に冒された場合に、社会の迫害はそこまで来ているのです。子供が石を投げられる。学校の校長からは登校の自由を、登校するなとさえ申し渡さたるという不幸が起きておるのです。だかららい患者の家庭が一家心中するとか、或いは二束三文に家を売払つて、そうして流浪の生活を始める。そうなると予防的な診療すらできないことになるじやありませんか。だから私はこうして心配して、全額国庫負担においてその生活を保障することが僅かやつたところで一万五千人でしよう。一万五千人の中の、家族を持つておるものは。僅かに四五%なんですよ大臣。一万五千人の僅かに四五%なんです。四五%のうち、生活保護法を必要とするものは、過大に見積つても八%よりはないであろうと、厚生当局は言つておるのですよ。僅かな人間のために、大臣が決断をもつて生活の保障をしてやるというお心持になれないものでしようが、旧法は半額でございます。それを八割にしたのだから一大飛躍だなんという言葉は、大臣から私は聞きたくない。御答弁をお願いいたします。
#54
○国務大臣(山縣勝見君) 私は八割に上りましたことを別に飛躍と申しておりませんのであります。(藤原道子君「そう言つたじやないか」と述ぶ)らい患者に対しまする、又らい家族に対しまする考え方につきましては、当初来申しておりまする通り、先生と全く同意見であります。ただその方法につきましては、私は只今政府の立場といたしまして、先ほど来申しておる通り、そのことで取りあえず現状としては行かざるを得ない。ただらいの治療、或いはらい家族等に対しまして、勿論先生と、このらい患者、或いはらい家族に対する考え方は同一でありますが、大臣はそれに対してどうしてやつて行くかという方法につきましては、これは又いろいろ立場もございまするから、先ほど来屡々誠意を以て申上げておる通りであります。
   〔高野一夫君発言の許可を求む〕
#55
○藤原道子君 継続中です。
#56
○委員長(堂森芳夫君) 関連の質問ですか。
#57
○高野一夫君 ええ、関連してちよつと大臣にお尋ねしたいことがあるのです。私は先ほど来藤原さんの御意見を伺い、質問の材料としてお述べになることを伺つておつて、そうして大臣にお尋ねになつたことで、多少事実と相違している点があると思うのです。それを私は事実を申上げて、私は改めて大臣にお尋ねしたいことがあるのです。やはりあなたの御質問に関連したことで、先般参考人を呼んで、その呼んだ参考人の或る人が、納得ずくで収容しなければ収容の実績が上らないということを言つた。それは只今藤原委員のお話の一つになつておるけれども、大事なところが藤原委員のお話では落ちているのであります。その参考人の言うのには、納得ずくで収容しなければ収容の実は挙らんけれども、強制収容という命令権の裏付がなければ、その納得ずくはできないのた、こういうことを言つている。これはまあ大事な点でありまして、私この意味においては、参考人が言う通りに同感なんです。そういう意味において、参考人の言つたことは、速記録で御覧になればわかるのですが、私はさように了解している。そういうような意味に、この今度のらい予防法の改正案の趣旨は、そういうような意味で収容の問題は規定されていると私は理解していますし、了解しているのですが、どんなものでしようか。これは大臣でもよろしいし、局長でも結構です。
#58
○国務大臣(山縣勝見君) この点は、先ほど来藤原委員のお尋ねに対しまし申上げておりまする通り、やはり納得でできるだけ入つて頂く。なお又藤原先生がいろいろお話になつおりまする通り、我々も今後らい患者が、好んでは入りませんでしようけれども、先ず先ずらい治療のために入るというふうな気持になつて頂くようなふうに癩療養所もできるだけ改善して行きたい、そういう意味で、今後はいわゆる勧奨を十分にして、そうして話合いずくで入つて頂く。但しこれはそう理想通りには人間の行動というものは行かんものでございまするから、やはり法としては、いわゆる抜かざる宝刀として、今仰せのようなふうの、最低限度の、所長にいわゆる職務執行の権限を与える。併しこれは目的にあらずして手段である。手段というよりも、むしろそういうことによつて、今仰せのようなふうに、納得ずくで入るようなことにいたしたい。併し又今後我々がいろいろ手を尽し、又いろいろ知識の普及もいたし、又療養所も、これは一朝一夕ではなかなか行かんことでございまするけれども、我々も誠意を以て努力いたしたいと申していることでございますから、まあ両々相待ちまして、お互い助け合つて、そういうふうな空気にいたして、この法律は要らんものだ、こういうふうならい予防法の審議も要らんものだ、都道府県知事が、或いはその他が職権の発動をしなくてもいいというふうなことになりまするというようなことを期待しつつ、ただ当面一応従来の規定を最高限度に緩和してやつて行く、こういう趣旨でございまするから、この点は先ほど来申上げておりまする通りであります。
#59
○高野一夫君 よく私も同様にさように理解しておつたわけでありますが、それで安心いたしましたが、そこで、そういうような納得ずくでやらなければならんけれども、最後には強制的に収容しなければならないということも、やはり一応規定しておいて、そこで初めて勧奨の実が挙がるんだと私も思う。ところで、そういう場合、若しこの予防法案を厚生省で作成された、その条文がこのまま通過いたした場合には、厚生省のほうでは、藤原さんが御心配になる通りでありまして、この末端の係りに対して、この法の運用を誤まりないように十分趣旨を徹底をさして頂きたいと思います。そういう御用意、お考えをお持ちでございましようか、それだけ一つ伺いたいと思います。
#60
○国務大臣(山縣勝見君) この点は今後十分注意をいたしたいと考えております。具体的にどういう方法によつてということは、政府委員から申上げますることがありましたら申上げまするが、少くも所管大臣といたしましては、その周知徹底に是非力をいたしたいと考えております。
#61
○山下義信君 ちよつと関連質問。高野君の質問にですね、関連して私も伺つておきたいと思います。藤原委員の質問にも関連してですが……、高野委員から藤原委員の質問に横槍が出て、納得ずくでやつたのが成績がいいのだという証人の証言に、その自分の都合のいいところだけとつて、あとはその強制という裏付があるから、この納得ずくということができて、その成績が上つたのだという、強制の裏付があるということを、そこを忘れて、藤原委員が質したことが指摘せられた。これは与党の委員として助け舟を出されたのか、まあ横槍なんですが、先ほどから、それに対して大臣の御答弁を承わつておつたのです。藤原委員の御答弁のときも承わつておつた。私にはよくわからん。これは第六条の、この強制収容の規定を小委員会で審議いたしましたときに、小委員会で私も議論いたしたのであります。小委員会の議論をここで再び繰返そうとは思わない。私は本日の厚生委員会の議事の進行振りについても意見がある。この法案は小委員会に今付託中なんです。微に入り細を穿つて質疑するならば、小委員会の意見によつて、厚生委員会でそういう審議をやるんだということを一つ申合せてからでなからねば、本来ならばこういう審議のやり方をやるべきではないと思う。厚生大臣に出てもらつたのは、根本的問題で我々尋ねたいというので出てもらつた。それで、今藤原委員の熱意のあるところを、随分内容に亘つて、多岐な御質問、御議論があつたが、それは議員の審議権でありますから私どもは謹聴しておる。小委員会の審議と、厚生委員会の審議と、これは非常にその辺の分け前ということにつきましては、我々としても考えなければならないのであります。先ほど質疑応答を聞いておつたのですが、その主眼は別として、今の問題なんです。政府の答弁では私ははつきりしない。殊にいわんや、高野さんが今言つたような、非常にいい横槍をお入れになつてからますますわからん。この第六条の患者を入所させるということは、一体納得ずくでやるという趣旨の規定か、強制収容をする規定かということをはつきりしてもらおう。でないとわからん。であるから、高野委員の今の関連質問から見ると、第六条は、納得ずくじや、勧奨で行くのじやと言いながら、ずつとその納得、勧奨というももののうしろには、強制収容というところの威力が加わつておるということを言う。果してそうですが。これは重大である。つまり厚生大臣が言うことろによると、伝家の宝刀だ。伝家の宝刀ということは極めてあいまいだ。抜くのか。抜かないのか。それをひらめかすのか。つまり第六条の一項も二項も、要するところ、強制収容するぞというところが背後に裏付になつているのか、入つていないのかということを明白にいたさなければならない。先ほどから聞いておりますと、納得ずくである。勧奨主義で行く場合、これならこれではつきりしなければならない。法の性格をはつきりしなければならない。伝家の宝刀というものが、納得にも、勧奨にも、裏についておる。ついておるのだつたら納得でも、勧奨でもないじやありませんか。いつでも伝家の宝刀をひらめかし、聞かなければ強制収容するぞ、強制収容するぞと、これは納得、勧奨ということの表面を糊塗するだけのことであるなら、その実態は強制じやないですか。これは明白にいたさなければならない。こういうあいまいな、当然そういうようなことでは、私ども納得、承知いたしがたい。私どもはこの点につきまして、小委員会で議論した。一体この第六条の性格というものは納得主義で行くのであるが、勧奨主義で行くのであるか、或いはこの納得、勧奨ということのいつでも背後にある、聞かなければ入れるぞ、聞かなければ強制するぞ、ということがついておるのかどうか。ついておるならついておるように書かなければ……。法の上についていない、それは第六条の第一項、第二項、第三項は順序次第のようにあるけれども、第一項と第三項にあるけれども、第一項と第三項の強制とは何ら関係がない、私はこう読むのだ。この法律を読む。これは私は当り前だと思う。この第二項と第三項にも関係がない。納得で聞かなければ勧奨、勧奨で聞かなければ入所を命ずることができる、入所を命ずることができて、従わなかつたら入所させるぞという事態が順序でしよう。私はこの法律というものは一項、二項、三項、それぞれ独立しておる条文と読むのです。然るに高野委員の質問では、その裏に入る強制収容という威力があるから納得ができる、勧奨の効果があがるということに、政府が同意するような答弁をせられたことを私は承服しがたい、それならば、そういう法律に書き直さなければならない。私はこの第六条の収容は、納得ということも独立である。勧奨ということも独立である。そうして強制収容ということも独立である。納得、勧奨と、強制収容には何ら関係のないということを私は思う。この点を明確にして頂きたいと思います。
#62
○政府委員(山口正義君) 私から答弁を申上げます。第六条は第一項、第二項、第三項と分れておりますることは、只今山下先生御指摘の通りでございまして、私どもは患者を療養所に入所させますときには、勿論納得の上に入つてもらうということを建前といたしております。従いまして、第六条の第一項によりまして、必要があります場合には、当該患者を癩療養所に入るように十分勧奨するという建前をとるわけでございます。併しその第二項にございますように、その勧奨を受けた者が勧奨に応じませんときには命令を出すという、入所するように命令を出すということができるようになつているのでございます。そうしまして、第三項におきましては、第二項の命令を受けたものが、命令に従いませんとき、あるいは至急に入所させなければなりません、例えば浮浪らいのようなものを発見いたしましたときに、強制的と申しますか、権限を持つて入所させるということをするのでございまして、決して勧奨いたします場合、そのあとに強制があるぞということをひらめかすということは、実際の場合いたさないつもりでおります。先般参考人からもそういうふうな御意見があつたのでございますが、これは参考人の意見としてお聞きとり願いたいと、そういうふうに考えております。
#63
○山下義信君 私は藤原さんの質問をお邪魔しちやいけませんから、私は私の只今申上げたことを山口公衆衛生局長も是認されたものだろうと思う。厚生大臣も代つて答弁をさせられたのでありますから、同様だろうと思います。私はそういうのは当り前だと思います。第六条は、本文が勧奨なんです。二項、三項は、これは独立した条文とも読むこともできるし、但し書として読むこともできる。第六条の一項から見ると、二項、三項というものは、第一項と軽重して見るというと、軽き扱いもできる。これがむしろ三項が重きだという解釈は、これは法理論からしてもできるわけのものではない。それで勧奨ということが、これが大体である。今度は勧奨主義で行くぞということを言う、これが私は本法の改正に非常に重要な点だと考えておる。そこで、藤原委員の質問の邪魔いたしませんから、折角のところでありますから、私はつきりしておきたいのでありますが、勧奨とはどういうことですか、勧奨の限界如何、勧奨の範囲如何、程度如何、又勧奨に応じないということの限界はどこを以て勧奨に応じないと認定するか、これは明らかに法律の上に、又細かいことを省令に規定するということもない。一体漠然たることを書いている。この法の書き方も不備なんです。この不備なところは質疑応答で明確にしておかなければならん。勧奨の程度如何、勧奨の限界如何、勧奨の範囲如何、どの程度を勧奨というのか、又何日までの間に入れということは、一体時間的にどういうことを言うのか、応じないということはこの勧奨を受けて、この勧奨に応じないとは如何なる条件のときに勧奨に応じないと認めるか、その一体基準という確たるものがあるのか、これは直ちに明確にしておいてもらわなければならん。今答弁が願えれば答弁してもよろしいし、本来言えば小委員会、そういうことをはつきりとそういう点の基準を明確にして、どの程度の、勧奨の範囲等はどこまで言うのか、これは入りなさいとお奨めいたします。若し応じなければ強制でも入れなければならんのですから、そのしばしば強制というものを、その間に見せるかどうか。勧奨というのはどういうことを以て言うのかどうか、これ最も人権尊重の中心であります。ここで答弁求めようとは思いませんけれども、時間を邪魔しますから、政府は統一ある見解を以てこれを文章にでもして、この委員会に資料として、答弁の資料として御提出あらんことを要求いたします。委員長然るべく御処置を願います。
#64
○藤原道子君 私はすべて納得の行かない点をお質しいたしたわけであります。最後にお伺いいたしたいことは、今くどいようでございますが、政府は生活の保障を殆んど全額国庫負担にする意思があるかないか、どうしても生活保護法でやる、そして二割まで地方が見るのは当然であるということを固執されるのかどうかという点について、最後にお伺いいたします。
#65
○国務大臣(山縣勝見君) 重ねて申上げますが、らい患者の治療或いはらい家庭に対する生活困窮者等に対する措置、これに対しまして何とかしたいという気持は先生と全く同一でありますことを重ねて申上げます。但し今この委員会において、政府の態度として今どうするかということにつきましては、予算案にも計上いたしておることであります。只今予算案の審議を願つておるところであります。一応政府の態度もきためことでありまするから、私が今この席上で申上げますについては、先ほど来申上げている以外には只今申上げかねるのであります。
#66
○湯山勇君 私小委員会で御審議になられると思いますので、質問の形でなく、大臣にお願い申上げたいと思うのですが、大臣は今藤原委員その他のかたの御質問に対しまして、よくおわかりになつていらつしやるし、又はお答えになることも決して誠意がないというようにもとれないのですけれども、ただ極めて残念なことには、お互いに理解し合う、実感が違うと思うのです。そういうところからやはり若干のずれが来ているように思う。大臣はいつもおつしやいますように、そして又大臣は常々実際の場所をよく御覧になつていらつしやるそういうところが大臣に対して一般の人たちが信頼している要素だと思うのですけれども、これだけ重要な法案をお出しになつておりながら、患者にお会いになつていらつしやらない。委員のかたがたはみんな会つておるわけです。併し大臣がお会いになつていらつしやらない、或いは療養所へも行つていらつしやらないということを昨日もおつしやいましたが、私はこの法案の審議がもつと円滑に行くために、又委員の各位と焦点をもつと合わすために、是非近い機会に早く実際について視察頂きたいと思うのです。例えば秘密保持の条項にいたしましても、我々は他人から秘密を守ればいいというふうに考えていらつしやいますけれども、私らい病のかたの書いた文章について見ますと、書いておる何と申しますか、物語の多くは家族と生き別れるという辛さを書いたものが多いのであります。その次に多いのは実は驚くべきことには、不思議な巡り合いのことを書いているのが多いのです。つまり姉が遠方に嫁入りしておつたと言つていたのが、たまたま自分が収容されて行くとそこにいた。又父親は外国へ行つたと母親に聞いておつたのが、たまたま自分が入るとそこにおつた。そういう家族の間でさえ秘密を保持している。こういうことは決して机の上で、ただ単に聞いただけでわからないと思います。大臣はこの審議の感覚を、お互い患者に会つたものと合わすために、是非早い機会に患者にお会い下さいますことと、実際に療
 養所を御視察下さることを是非お願い申上げたいと思います。
#67
○委員長(堂森芳夫君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#68
○委員長(堂森芳夫君) 速記を始めて下さい。
 らい予防法案に関する質疑は本日はこれくらいで終了いたします。
  ―――――――――――――
#69
○委員長(堂森芳夫君) 次に未帰還者留守家族等援護法案の審査は、中共地区からの引揚者援護に関する特別委員会と連合委員会を開くことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。
  ―――――――――――――
#71
○委員長(堂森芳夫君) 次に私立学校教職員共済組合法案に関し、文部委員会との連絡委員会を開くことの申出の場合は、これを受諾することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#72
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。本日はこれくらいで散会いたします。
   午後四時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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