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1953/07/27 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 厚生委員会 第21号
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1953/07/27 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 厚生委員会 第21号

#1
第016回国会 厚生委員会 第21号
昭和二十八年七月二十七日(月曜日)
   午後三時三十分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     堂森 芳夫君
   理事
           大谷 瑩潤君
           藤原 道子君
           常岡 一郎君
   委員
           榊原  亨君
           高野 一夫君
           中山 壽彦君
           西岡 ハル君
           林   了君
           廣瀬 久忠君
           湯山  勇君
           山下 義信君
           有馬 英二君
  政府委員
   厚生省医務局長 曾田 長宗君
   厚生省医務局次
   長       高田 浩運君
   厚生省社会局長 安田  巖君
   厚生省保険局長 久下 勝次君
   引揚援護庁次長 田辺 繁雄君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       草間 弘司君
   常任委員会専門
   員       多田 仁己君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○戦傷病者戦没者遺族筆援護法の一部
 を改正する法律案(内閣提出・衆議
 院送付)
○医師等の免許及び試験の特例に関す
 る法律案(内閣提出衆議院送付)
○財団法人日本遺族会に対する国有財
 産の無償貸付に関する法律案(内閣
 提出・衆議院送付)
○健康保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出・衆議院送付)
○厚生年金保険法の一部を改正する法
 律案(内閣提出・衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(堂森芳夫君) それでは只今から厚生委員会を開きます。戦傷病者戦没者、それから遺族等の援護法の一部を改正する法律案を議題といたします。先ず政府から衆議院の修正の分を含めて説明願います。
#3
○政府委員(田辺繁雄君) 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案の内容について御説明申上げます。政府改正案の第一点は、本法の対象を拡大いたしまして、旧国家総動員法に基いて設立されました船舶運営会の運航する船舶の乗組船員、即ちC船員を軍属の範囲に加えたことが改正の一点であります。甲船員、乙船員はすでに本法の軍属の対象でありまして、援護を受けておるわけでありますが、C船員は船舶運営会の運航する船の乗組員でありまして、この船舶運営会と申しまするのは、国家総動員法に基いて設立されましたものでございまして、国家が使用権を設定しておりました船の運航に当ることを任務といたしておつたのであります。その性質は、国家機関たる性格を持つておるものと言つて差支えないと思うのであります。そこに徴用されまして働いておりました船員は、いわば甲船員、乙船員と同じように、直接国との身分関係があつたものと同じに取扱われるのが妥当ではないかと考えられるのであります。又その任務も、軍需物資、兵員の輸送或いは第一線の作戦に参加する等、全く他の船員と同じような任に服しておつたのでございまして、その任の程度も一般の軍人に比肩して決して劣らなかつた状況でございます。いろいろの点を考慮いたしまして、この際C船員を本法の対象に加えることといたした次第でございます。
 改正の二点は、障害年金の額を軍人恩給の増加恩給の増額に伴いまして、従来九万円乃至二万四千円、こういうものを十八万一千円乃至二万四千円に増額いたしたのでございます。
 第三には、従来傷病者が国立保養所に収容されました際は、障害年金の一部を減額されることになつておりましたが、今般その減額の対象を、増加恩給まで入つて参りましたので、根本的に検討を加えまして、障害年金なり増加恩給を減額するというのをやめて、実費の一部を徴収するというふうに制度を改めたのでございます。
 次は遺族年金の金額をべース・アツプした点でございます。従来遺族年金は妻が一万円、子供、父母その他の遺族が年額五千円でありましたのを、このたび軍人恩給の復活に伴いまして、先順位者につきましては年額二万五千二百円、後順位者につきましては年額五千円といたしたのでございます。恩給では御承知の通り、先順位者に対して公務扶助料が支給されることになつておりますが、一等兵におきまして月額約二千百円となつておりまするが、二万五千二百円と申しますのは、月額二千五百円でございまして、大体一等兵に見合う金額になつております。この点につきましては衆議院におきまして改正せられまして、重人恩給の公務扶助料が兵に対しましては兵長並みの年金を支給するということに相成りましたので、これと均衡をとりますために従来二万五千一百円の遺族年金の金額として政府提案でありましたのを、年額二万七千六百円、月額二千三百円に増額することに修正御決定になつたわけでございます。但しその増額は、昭和二十九年一月一日から実施することといたしまして、昭和三十八年十三月末までは、政府原案の通りに月額二千百円、年額二万五千二百円とするということに決定せられたわけでございます。
 なお政府案におきましては、遺族国庫債券の譲渡或いはそれを担保とした場合の金融の貸借についての処理については印紙税を免除する、或いは遺族国庫債券を交付した後におきまして、戦死者と認定せられておつたかたが生存しておるということが判明した場合においては、すでに支払つた元利金は返還せしめないという規定を設けております。又、遺族の先順位者が行方不明であるという場合におきましては、後順位者を以て先順位者とみなして年金を支給する、こういう規定を設けたのでございます。なお衆議院におきましては、恩給法の改正と睨み合せまして、援護法につきましても次のような改正が行われたのであります。即ち戦没者の父、母、祖父、祖母が戦没者の戦没後婚姻した場合におきましては、従来は失権をいたしておつたのでありますが、この際それを改めまして、婚姻よつて氏を改めない限りにおきましては、遺族年金を受ける権利を失われないというふうに改正せられたのでございます。次は一往以上の戦没者があつた場合におきましては、遺族年金は併給せられないことに現在の法律で規定されておりましたが、今般それが改められまして、先順位者として遺族年金につきましてはこれを併給することに修正せられたのであります。
 それから第二には、いわゆる戦犯として獄死又は刑死せられたかたの遺族のかたは、従来この援護法の対象となつていなかつたのでありますが、今般新たに規定を設けまして、平和条約第十一条に関する裁判によつて拘禁せられた者がその拘禁中において死亡した場合におきましては、その遺族に対しまして援護法の例にならいまして、遺族年金においてう慰金を支給するという規定が設けられたのであります。
 なお援護法と恩給法との関係についてでありまするが、今般軍人恩給の復活に伴いまして軍人に関する限り、遺族年金及び障害年金はすべて原則として恩給法になにする建前をとつております。但し援護法で対象であるが、恩給法では対象となつていないという遺族のかたがた、たとえて申しますれば、内縁の妻でございますとか、或いは恩給法におきましてはすでに離籍をせられまして、その戸籍から他へ移されました妻は、恩給法では昭和二十三年以前におきましては遺族の範囲から除外されております。こういうかたも援護法によつて現在一万円の年金をもらつておられるのでありますが、こういうかたがたは従来通り援護法におきまして年金を一万円差上げるということにいたしております。その場合、更に当該戦没者に対して公務扶助料の支給を受ける遺族が誰もいないという場合におきましては、その内縁の妻等に対しましてはベース・アップをした高い年金を差上げるようにいたしております。それから後順位者である遺族につきましては恩給法におきましては将来公務扶助料を受ける資格があるに過ぎないのであります。実際現実には公務扶助料の扶養加算の対象になるのでございます。併し援護法では現在その人に五千円の権利を与えておりますので、その両者の調整につきましては本人の選択に任せまして、援護法を選んだ場合におきましては将来とも五千円の印金をもらえることになる代りに、恩給法では遺族の範囲から除外せられまして、将来公務扶助料を受ける資格を失うわけごございます。恩給法を選んだ場合においては援護法による五千円の権利を失いますが、恩給法上公務扶助料の家族加算の対象になりますし、又将来先順位者がなくなりました場合におきましては自分のところに公務扶助料を受ける順位が廻つて来るということがあり得るわけでございます。なお恩給法による公務扶助料の裁定が将来相当時間がかかることが予想されますので、それまでの間は援護法によりまする年金を従来通りの金額で払つておきまして、公務扶助料の裁定があつた場合におきましては、すでに援護法で支払つた金を恩給法の公務扶助料の内払いとみなして取扱う、こういうような規定も設けておるのでございます。その他恩給法と援護法の調整につきまして必要な規定を設けておる次第でございます。大体以上で御説明を終ります。
#4
○委員長(堂森芳夫君) 御質疑をお願い申上げます。
#5
○湯山勇君 私はこのことはよくわからないのですが、現在遺族援護法を申請しておりながら、これは許可になつたのがあるし、ならないのがあるし、相当たくさん保留というのがあると聞いておるのです。その保留というのがこれを適用すれば相当数解消する予定でございますか。
#6
○政府委員(田辺繁雄君) 援護法の事務の進捗状況ございまするが、現在までに、七月十八日現在の数字でございまするが、本庁として受付けました件数が百八十七万二千件でございます。これは戦没者の柱数にしてこれだけございます。そのうちで裁定になりましたものが百七十万件でございます。従つて未裁定のものが約十万あるわけでございます。このうちには船員、いわゆる乙船員が七万人くらい含まれております。これは現在法律の対象になつておるわけでございますが、船員保険との調整の関係上、今度の改正法律案が通りましたらすぐに裁定しようとしておるわけであります。そのことにつきましては現在十万のうち約半数が現在業務を進めておる、審査中でございます。非常に大雑把でございまするが、あとの半数につきましては、資料が十分でないために、都道府県その他においていろいろの資料を調整するように再調査をお願いしております。あとの半分でございますが、これは今いろいろむずかしいケースでございまして、審査いたしておるわけでございます。すでに百七十七万件も裁定いたしましたので、裁定をできるものは殆んど裁定しておる。あとは自分の家へお帰りになつたあとで死亡されたかたがたで、その死亡の原因である病気が公務に原因した疾病であることが証明できる場合におきましては、この法律の対象として年金を差上げるわけでございますが、そのためにはいろいろのことを調べなければならん、こういういろいろのむずかしいケースが含まれております。それから公務であるか公務でないかという問題は、これはむずかしいケースになりまするというと、その病気にかかつた当時の環境、その後における治療の状況等を十分資料につきまして公務であるかどうかということを判定するわけでございます。御承知の通り軍人に関する限りは恩給が復活いたしますれば恩給法に移るわけでございます。私どものほうで公務として認定したものが恩給法で公務として認定せられないというのは誠に遺憾でございまするので、その間齟齬のないようにいたしたいと考えまして、我我も慎重にやつているわけでございます。法律は同じく両方の法律とも公務による傷痍疾病と書いてございますので、認定する機関が違つても両方に齟齬があつては国民に対して誠に申訳けない次第でありまするので、我々としましては、できれば恩給局と事前の連絡を遂げた上で裁定をいたしたいと思いますが、何分にも数が多いことでございまするし、恩給当局にいたしましても、現在恩給法の改正等によつて非常に事務に忙殺されておる状況でございますので、我々といたしましては恩給における過去のいろいろな裁定の資料その他を参酌いたしまして、個々のケースに当つて裁定を進めておるわけでございます。但し戦前におきましては恩給の裁定につきましては内規というものがあつたようでございまして、その内規に照らして厳重に審査をいたしておるわけでございますが、今度の戦争におきましては戦局の状況が余ほど変つておりますので、昔のような基準だけではいけないのでございまして、これにつきましては実情に即するような解釈をし、又取扱をして進めておるわけでございます。現在未審査のものが若干ございますが、いずれかの裁定をいたしまして、できるだけ早く御遣族のかたに御通知するようにいたしたいと考えて、目下懸命に努力を続けておるような次第であります。
#7
○湯山勇君 非常に小さな問題ですけれども、氏を改めない場合ですね。これは新しい婚姻法によれば、改める改めないは双方の自由だということを聞いておるのですが、そのことが改めない場合だけというのはどういうわけでしようか。
#8
○委員長(堂森芳夫君) これは衆議院の国会修正なんで、法制局長をこの次に呼んでいろいろ説明してもらつたらどうかと思います。
#9
○湯山勇君 それでは今の点は……。もう一つは養子で入籍していない場合ですね。その養子が戦死したという場合はこれはどうなるのでしようか。
#10
○政府委員(田辺繁雄君) 養子縁組をした場合におきましては届出をして初めて法律上養子たる資格を生ずるわけでありまして、届けでない場合におきましては単なる行政上の措置として養子として認めることはできないので、その場合には遺憾ながら援護法の対象とはいたしておりません。
#11
○藤原道子君 只今の湯山さんの御質問に関連してでございますが、公務に基因する病気ということでございますが、基準をどういうふうに置いているのですか。
#12
○政府委員(田辺繁雄君) 援護法におきましては病気の名前によつて当然公務とみなすというふうに書いてある病気がございます。これは法律にはつきり規定もございまして、一々その病気にがかつた場合の状況であるとかその他を見ずに当然公務とみなすということにしておる条文がございます。それ以外の疾病におきましては従来恩給におきまして内規というものがございます。その内規というものに照らしまして裁定をいたしておるわけでありますが、これは相当昔は厳重でございました。併し今度の場合におきましては、まあ戦局の状況が従来なかつた非常に苦しい戦争でございましたので、必ずしもそれに捉われず、病気にかかつた当時の状況というものをできるだけ斟酌いたしまして実情に副うように計らつておるわけでございます。但し、病気の種類によりましては公務と認定するためには特殊の条件が必要であるという病気があるわけであります。そういうものにつきましては、できるだけ資料をとりまして、かような戦局非常に苦しい状況の下における病気につきましては、一般の場合であるならば公務と認められないような場合におきましても、特殊の苦しい状況下における疾病については考える、こういつた考え方を以ちまして個々のケースに当つて審査をいたしておるわけであります。病気の名前によつて公務であるとか公務でないというような取扱いをいたしておらないのであります。要はその病気にかかつた当時の環境或いは病気にかかつたあとの治療の態勢、そういうものを樹配しながら、公務であるかどうかを裁定しておるような次第でございます。
#13
○藤原道子君 今度は非常に認定が困難だと思うのですね、只今あなたのおつしやつたように、非常に困難な実情にございましたので、私は少くとも動員されておるうちに発病したものというような場合には余りやかましい規定をつける必要はないのじやないかと思う。援護法の場合におきましてはそれが相当たくさんのケースでもないと思うのですが、どのくらいのケースだと考えておられますか、その判定のつかない、公務に起因する病気というほうに入らないと今お考えになつておる件数はどのくらいあるでしようか。
#14
○政府委員(田辺繁雄君) 現在病気の、戦病死乃至ぱ内地における病気でございますが、病気のために亡くなつたかたで、それが公務であるか公務でないかということにつきましていろいろ審査をしておる件数は約三万くらいあつたと考えております。これはやはり戦地の場合と、内地の場合、或いは外地の場合におきましてもその病気にかかつた当時の時期、或いはその場所というものは大きくやはり左右するわけでございます。お話の通り軍隊に入つておる問に病気にかかつて死んだものは、全部この法律の対象にしたらいいではないかという御意見でありますが、併し公務というのはなかなか昔からやかましいものでございまして、お話のような場合に全部やるということであれば、公務と名前をつけるのは本当は適当でないわけでありまして、先ほども申上げましたように、この法律は軍人恩給がきまるまでの間、暫定的な措置として、取りあえず援護として年金、弔慰金を差上げる、こういう建前をとつておりまして、又この法律の第一条なり、又各条にも、公務のためにということがはつきり書いてあるわけであります。従つて我々といたしましては将来恩給に移る場合におきまして差支がないようにということは当然考えなければならない点だと思つております。勿論恩給におきましても、従来のようにやかましいことを言うということは万々あるまいと思います。今度の戦争の特殊性に鑑みて、実情に即した取扱をする、これは恩給局長も国会において申されておるだろうと思いますが、そういう気持でやつております。ただお話の通り実はこういう場合がございます。昔すでに非公務として裁定されているかたがあるわけです。そういうかたは如何としてもこの際公務として取り上げたことができない、ちやんと非公務として済んでいるかたがあります。それとの均衡上全部公務として取扱うことはできない。これは最小限度必要の限界だと思います。公務と書いてある以上どうしても非公務のものが出て来ることは止むを得ないと思います。但しお話の通り非公務の場合であつても、何か国としての取扱が必要ではないかという御意見もだんだんあるようでございますが、この点につきましては御尤もな点もございまするので、我々としても今後研究善処したい、こう考えておる次第であります。
#15
○藤原道子君 いま一点、やはり養子の場合でございますが、本当に子供のときに養子いたしまして、育てて、結局この人が召集によつて入隊した。併し戸籍上の措置がとられていなかつたというようなケースはたくさんあると思います。こういう場合にもやはり認めるわけには行かないのですか。
#16
○政府委員(田辺繁雄君) 援護法におきましては、遺族の範囲に内縁の妻を入れておるわけです。普通の妻と申しますると、法律上正式に戸籍の入つた妻のかたを法律上は妻と言うわけです。内縁の妻もこの法律の対象にすべきであるというので、わざわざその場合に事実上の婚姻と同様の状態にあつたものを含むといたしまして、法律上は妻ではないが、内縁の妻を入れておるわけです。只今お話があつたような事実上の子、そういう言葉が適当であるかないかは別として、そういう条文を作つておらないわけです。子という以上、やはり法律上字として正式に認められたものに限る、これは法律解釈上の当然の趣意だと思います。なお且つ一方的に行政官庁は事実上の子であるかどうかということを認定するということは、非常に困難でございます。戦死者が戦死したのちにおきましてなお認知をするという制度は現在の法律にもあるのでございます。戦死の場合を除きましても死没者が、死んだのちにおいてその子供を認知するという制度は現在もございます。勿論年限の制度はございますけれども、裁判上の措置によつて認知させるという方法はあるのでございます。そういう制度がありまする以上、又一方行政官庁が勝手に子であるか子でないか、父であるか父でないかということを認定するということは非常に危険でもございまするので、又例もございませんので、我我は従来の立法例に従いまして、内縁の妻以外はすべて法律上の身分関係によつて親であるか、子であるかということをはつきり認定して行く、こういう方針をもつております。
#17
○藤原道子君 この点ちよつと私まだ納得いかないのですけれども、小さいときから子として育てておるということは、その市町村において調べればすぐわかると思うのです。ですから調べることが困難であるとか、非常に危険であるとかということはちよつと肯けないのですけれども、事実子として育てている。併し田舎におきましては非常に戸籍上のことがルースになつている場合もあり得るので、そういうケースはたくさんあろうと思います。
#18
○政府委員(田辺繁雄君) 只今非常にはつきりわかる例を申されたのでありますが、併しはつきりわからない例も相当あろうかと思うのであります。やはりこういうことは公平にやることが大事でございまして、恩給法その他の例におきましても、さような事実上の子というものは認めておらないわけでございます。現在のこういつた権利を与えて行くという、年金式のものを与えて行くという制度におきましては、事実上の父親、事実上の子供というものを認めた制度はございませんので、それに我々も従つておるわけでございます。
#19
○藤原道子君 従来そういう例はなくても、今度新らしくそういう例を認めた例はたくさんございますから、なお一層私は研究して欲しいと思う、そういう例は今たくさんあるのですから、そういう訴えも随分たくさん来ておりますので、重ねてくどいようですが……。
#20
○政府委員(田辺繁雄君) 私申上げましたのは法律上の制度といたしましてそういうものを、父なり子と認めるという制度はないということを申上げたのであります。
#21
○湯山勇君 今おつしやつたように戦死したあとでも新らしく認知或いは入籍することができる。そうすれば要するにずつと育てて来たのが死んだ、併し籍も入れてない場合は今から入れてもいいわけですか、籍へ。
#22
○政府委員(田辺繁雄君) 死亡直後二年ぐらいの期におきまして、当人が死んだあとでも入籍する制度は認められておつたのでございます。その期限が過ぎたあとにおきましては、裁判上の制度としても、現在は時限が切れておりますので、現在となつては如何ともいたしかたがないのではないかと、こう考えております。
#23
○湯山勇君 今のようなことが市町村の末端まで行届いていないと思うのです恐らく。それで放置されたままになつておりましたので、各地に今言つたような事例ができておるわけです。そういう趣旨をよく徹底させれば、間違いなく、本当に養子になつておつたという実質的な、そういうものがはつきりするのがあるわけなんだと思うのですが、これはもうどうにも今のところ救済の途はないものでしようか、何か救済の途があるかどうか。
#24
○政府委員(田辺繁雄君) 現在のところ救済の途はないものと思います。
#25
○委員長(堂森芳夫君) 本日の質疑はこの程度にいたしまして、次に移りたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないと認めます。
  ―――――――――――――
#27
○委員長(堂森芳夫君) 次に医師等の免許及び試験の特例に関する法律案を議題といたします。御質疑を願います。
#28
○榊原亨君 この法律におきまして試験をいたしまして、医師の力と申しますか、何と申しますか、技倆と申しますか、そういうものの低下はないのでございましようか。
#29
○政府委員(曾田長宗君) 今回の法律案の考え方といたし、ほしては、従来の朝鮮、台湾、満洲からの引揚者に対しましてとりました特別の措置というものを標準として考えておりますので、今日本法によりましての、正規の教育を受けて正規の国家試験を受けて医師の資格を得るという者に比べますと、この引揚者に対しましては特別な事情がございますので、多少その力においては、この正規の資格取得者に比べて幾分技倆が落ちるというようなことがあるかも知れませんけれども、これは従来からとられました特例に比べますれば、今回の法律案がより以上力の低下を来すというような虞れはないと考えております。
#30
○榊原亨君 ちよつと速記を止めて頂きたいと思います。
#31
○委員長(堂森芳夫君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#32
○委員長(堂森芳夫君) 速記を始めて下さい。
#33
○政府委員(曾田長宗君) なお只今申上げましたところから、この一般の正規の資格を得ました医師に比べて、かような特別な措置をいたした人たちが、少くとも現状において幾分力が落ちるかも知れんというようなことを申上げましたが、さればと申しまして、この力の低いということによつて、国民の生命というようなものに危険を生ずるというようなことは、これはどうしても許しがたいことでもございますので、で、その程度に最小限今日の医師として恥しくない程度の試験は今日までもいたしておりまするし、今後もいたすつもりでございます。又かような人たちに対しましては、今後とも実地に従事しつつ修練を積んで頂くような方策を講じたいものだというふうに考えておる次第でございます。
#34
○榊原亨君 そういたしまするとお話はわかつたのでありますが、そういうかたがたについては特に厚生省で、これを或る医師の団体に依頼されて補修教育をするということを是非して頂きたいと思うのでありますが、その点は如何でございましようか。
#35
○政府委員(曾田長宗君) 只今のところ政府におきまして、その責任においてかような人たちに特別な教育をするということを具体的には考えておらないのでございますが、これはいろいろ御本人に申し、又この医師会等の団体、こういうものを通じまして、かような人たちの再教育ということに努めて頂きたいというふうに考えておる次第でございます。
#36
○榊原亨君 それは無責任だと思うのですね。今私がお話しましたように、現在普通の医者よりも程度が低いということをお認めでございますならば、公衆衛生の立場から申しましても、是非ともそういうことをおきめにならなきやいかん。そして医師の団体なら団体がそれに御協力申上げてやるようにするという御発言でなければ、厚生省はそういうことを考えて野放しにしておくのだ、医者の団体に任せつきりという御発言のように承わるのですが、その点如何でございましようか。
#37
○政府委員(曾田長宗君) 今日の医師の現状というようなものを見ました場合に、戦後の資格取得権もございます。戦前から認められておつた人たちもございます。殊に戦争中非常にこの医師教育の制度、やり方というようなものがかなり乱れておつた時代に卒業したかたもあるわけであります。こういうようなことで今日の医師の間にもいろいろ力の高低というようなものが或る程度は認められておると考えるのでございます。こういうような状況をできるだけ避けますように、この教育の不十分であつたかたがたに更に修練を積んで頂くということは、できるだけ何らかの方法を講じて、努めなければならんと考えておるわけであります。そのために特にこの教育の義務を、再教育の義務を課すとか、或いは特別の団体に是非こういうことをやらせるという命令を出すとかいうようなことはどうもできかねるのではないかというふうに考えておりますので、非常に不十分とは考えられますかも知りませんが、いろいろ間接的な方法によつて、実際に力をつけて頂くというような方法を講じて頂かなければならんものではないかというふうに考えておる次第であります。
#38
○榊原亨君 この義務付けとか、何とかいうことでございませず、厚生省はそういう再教育について努力するということをなぜ言えないのですか。そこですよ。僕が言うのは、努力をするということをおつしやつたら、それで私はいいのです。ところがどうも努力はできないのだから、どうもその、というようなお話では、我々はどうももつと突込まなければならんということになるのですから、努力する御意思があるのですか、ないのですか、はつきりして頂いたらいいのです。義務付けるとか何とかいうのは別な話で。
#39
○政府委員(曾田長宗君) 今申上げましたように、言葉が足りなかつたかも知れないのでありますが、私どもとしましては、できるだけ努力はいたしたいというふうに考えておる次第であります。
#40
○委員長(堂森芳夫君) 他に御質疑ございませんか。
#41
○有馬英二君 特例の法律が適用されるような医師、歯科医師、エックス線技師その他の人数はおおよそどれくらいありましようか、その点が一つ。
#42
○政府委員(曾田長宗君) 只今のところ的確な数字はまだ掴み得ておらないのでありますが、今までの四回の引揚げのかたがたから聞いておりますところから察知いたしますると、この法律案が対象としております、これに大体該当する人たちはおおむね千四、五百名であろうというふうに考えられております。
#43
○高野一夫君 この法案に直接関連のないことですが、関連してちよつとお伺いしたいと思うのですが、厚生省に、医務局側でもいいですが、これらにおきましては看護婦、医師、歯科医師の特例がこれで出るわけですが、薬剤師のほうはそういう希望者はないかどうか御存じございませんか。
#44
○委員長(堂森芳夫君) ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#45
○委員長(堂森芳夫君) 速記を始めて。
#46
○湯山勇君 今非常に困難な問題として、向うでしておつたか、していないかの判定ですね、これは相当問題があつたものですが、これについてはどのような措置が講じられるのですか。
#47
○政府委員(曾田長宗君) これにつきましては、私どもこの引揚げの世話役に当つておられますかたがた等を通じまして、又今日まで引揚げて参りましたかたがたを通じても話しておるわけでございますが、向うでどういう仕事をしておつたかという証明書のようなものを頂いて来、成るべくならば、向うから、中国の赤十字等を通じまして、向うでお世話下すつている筋ではつきりした証明を頂きたいというふうに考えておるのでありますが、今日のところはまだ貰つて来ていないわけであります。更に二回、三回の引揚げがあると思いますので、その際にお願いして是非そういうものを頂きたいというふうに考えておるのであります。これが万一そういうものが頂けないというようなことになりますれば、その実情を認定いたします何らか他の方法を講じて見なければなるまい。この看護婦のような人たちでありまするならば、多くの場合にはその上級者がおるであろうというふうに考えられますので、さようなかたがたに責任を以てどういう仕事をしておつたということを証明して頂くのも一つの手ではないかというふうに考えております。医師の仕事になりますと、看護婦の場合のように上級者がなかなか何だろうというふうに考えまして、さような場合には如何ような方法を講ずるか、今回の引揚げのかたがたのうちで比較的広く向うの事情に通じておるかたがたの意見等を伺つて、この実施には公平を期したいというふうに考えます。
#48
○湯山勇君 お願いいたしたいのですが、恐らく今のように向うの赤十字へ御連絡になつて、向うの証明をもらうということは、かなり日数もかかりますし、困難な事情もあると思います。併し引揚げて来た人たちにとつては、立ちどころに生活の問題があるわけですから、速かに今別な方法を講じて頂いて、なお今おつしやつたように向うの証明がとれるという段階になりますれば、それはそれで又裏付けをする、或いは今後の人も適用というようにいたしまして、当面の問題を早急に解決するような方法を速かに講じて頂きたいと思います。
#49
○林了君 昨年の十月一ぱいであつたかに制度が打ち切られた、あの歯科医師試験の有資格者が若しソ連地区なり、中共地区に残つておつて帰還した場合には、その受験資格というのはもう昨年で打ち切られておりましたね、あれについての特例は何か考えておりますか。
#50
○政府委員(曾田長宗君) この御質問の点につきましてはお考え違いがあるのじやないかと思うのでありますが、昨年の暮ではございませんで、本年の十月まで特例試験を受けられるようになつております。昨年の暮ではなかつたと私ども思つております。
#51
○林了君 私の記憶違いかも知れませんが、二十七年の十月三十日じやなかつたかと思います。それは一年延びたにしましても、その後に若しソ連地区或いはその他の地区から引揚げて来る場合に、どういうふうにそれは取扱われるか、その問題については考えておられますか。
#52
○政府委員(高田浩運君) 便宜私からお答え申上げますが、その後の引揚げというのは、結局結論的に申しますれば、今日の一連の引揚げになるわけでございます。従つてこれについては御提案申上げている法律によつて措置される、なお御参考のためにそれまでの引揚げの歯科のお医者さんで受験をされて、その結果がどうなつているかということを申上げますと、歯科医師につきましては、この間七月の試験は、これはまだ結果は判明しておりませんので抜きまして、その前までの受験者の総数が二百二十八名ということになつております。そのうち合格いたしましたのは百九十一名ということになつております。或いは又御承知のように二回受けてなお合格しなければ失格するということになつておりますが、その人たちが四名という極めて少数になつているわけであります。大体そういうふうな状態になつておりますが、歯科医師或いは医師の本質等から見て、今申上げました受験者と、それから合格者の数字を引較べて御覧願えれば、これはかなり実情に適つた試験であるということも言えるのじやないかということは御了解願えると思うのです。なおこの試験を二回受けましてなお落ちた者につきましては、予備試験から又行くという道も開かれているわけでありますから、そつちのほうから行くということも考えられます。
#53
○藤原道子君 この看護婦さん、保健婦さん、助産婦さんですね。この人たちが引揚者であつて、帰つて来た人に対して厚生大臣が、都道府県知事が適当と認めた者は準看護婦の試験を受けられるということなんですね。ところが向うで准看護婦でなく普通の看護婦といつてはおかしいのですが、この資格があつた者はどうなるか。
#54
○政府委員(曾田長宗君) 昭和二十五年八月三十一日以前にこの看護婦の免許を得ておつたというものは本法の附則によりまして適当と認められた場合には都道府県知事の免許又は登録を受けることができるというふうに規定されておりますので、その本法の規定によつて資格が得られるということになるわけでございます。
#55
○藤原道子君 続いてもう一つお伺いしたのですが、その後に資格を取つた人でも二十五年以降であつたならば準看護婦より受けられないのですか。看護婦の試験は受けられないのですか。
#56
○政府委員(曾田長宗君) これは本法二十一条に看護婦国家試験の受験資格が載つておりまして、その四号に外国の看護婦学校を卒業し、又は外国において看護婦免許を得たもので云々とございますが、厚生大臣が或る一定以上の知識及び技能を有すると認めた者は試験が受けられるということになつておりますので、引揚げて参りました人たちのこの学歴及び職歴を見まして、これに該当し得る者は国家試験が受けられる、で、なおこれに該当しない者は二十二条に準看護婦試験を受ける資格が載つておりますので、そこに該当する人たちはこの準看護婦の試験が受けられる、で、今回二条に載つておりますところに該当しない人についてこの特例が適用されるということになるわけでございます。
#57
○中山壽彦君 この特例は私は従来も出た特例法と内容が一つでありますから賛成をいたします。但し最近の中共地区から今回改めて内地に帰つたうちで、例えばハルピンとかチヤムス等の医科大学、医科専門学校において二学期を終了して、三学期のまあ一月まで学校で教育をされて、それから事変が終了して直ちに軍医としてソ連その他に引張られた者がある、これは日本に帰るときには免状を皆剥奪されている、そういう者に対して予備試験を受ける資格を与えるかどうか、ということを一応当局の意見を聞いておきたい。
#58
○政府委員(曾田長宗君) 只今御質問の場合は、幾つかの場合が又分けて考えられると思うのでありますが、学校を中途で退学というだけのことでございますると、この本法が適用しにくいのではないかと考えられます。併しながらその学校を卒業しまして、そのまま中共地区に残つて医業に従事をし、実質的に或る程度の資格を認められておつた人たちだ、医業に従事しておつた人たちだということになりますれば、これはその学歴、職歴を併せ考えまして、この法の対象にいたして行きたいというふうに考えております。
#59
○委員長(堂森芳夫君) 別に御発言もございませんようでございますから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。
   〔「異、議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
#61
○廣瀬久忠君 討論を省略して直ちに採決を願います。
#62
○委員長(堂森芳夫君) 只今の廣瀬君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。それでは質疑を打切り、討論を省略し採決いたします。医師等の免許及び試験の特例に関する法律案を衆議院送付案の通り可決することに賛成のかたは御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#64
○委員長(堂森芳夫君) 全会一致でございます。よつて本案は衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。それから委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    大谷 瑩潤   藤原道子
    常岡 一郎   榊原  亨
    高野 一夫   中山 壽彦
    西岡 ハル   林   了
    廣瀬 久忠   湯山  勇
    山下 義信   有馬 英二
#65
○委員長(堂森芳夫君) 署名洩れはございませんか。署名洩れはないと認めます。なお本会議における委員長の口頭報告については委員長に一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。
  ―――――――――――――
#67
○委員長(堂森芳夫君) 次に財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸付に関する法律案を議題といたします。政府の説明を求めます。
#68
○政府委員(安田巖君) 財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸付に関する法律案につきまして簡単に要点だけを御説明申上げます。
 御承知のように旧軍人会館は解散団体の指定を受けまして、現在では国有財産に帰属をいたしておるわけでありまして、占領後アメリカの駐留軍によつて使用されておつたわけであります。その後遺族に対しまして国が長い間援護の手を差延べていなかつたのでありますが、昨年から遺族援護法ができまして援護をいたしておりますけれども、まだ不十分であるというようなことから、これを遺族の団体に無償で貸与いたしまして、そうしてそれを使用することによりまして、更に遺族のかたがたの福祉を増進いたしたいと、こういうような話がありまして、今回本法案を出しました次第であります。
 法律の内容は極めて簡単でございまして、第一は、財団法人日本遺族会に対しまして、旧軍人軍属で公務により死亡した者の遺族の福祉を図るために、旧財団法人軍人会館が所有していた国有財産たる建物が、米駐留軍より返還された後において、その建物をその使用に必要な敷地と共に無償で貸し付けるということ、第二は、貸付財産の用途を遺族の福祉を図るため、必要な事業の用に供することに制限するということ、第三は、そのような無償の貸付でありますので、貸付契約の解除であるとか、役員の解職等、そういつたふうに一般の場合よりは厳重な監督規定を設けたことであります。この三点が盛り込んであるわけであります。
 以上簡単でありますが、御説明を終ります。
#69
○委員長(堂森芳夫君) それではこの質疑は明日に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないと認めます。
  ―――――――――――――
#71
○委員長(堂森芳夫君) 次に健康保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑或いは御発言がありましたら……。
#72
○高野一夫君 質疑打切の動議を提出いたします。
#73
○委員長(堂森芳夫君) ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#74
○委員長(堂森芳夫君) 速記を始めて。
 別に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#75
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
#76
○高野一夫君 私は政府原案に、このまま原案に賛成でございます。そのように皆様の御承認を私も願いたいと思うのでございますが、ついては原案をそのまま承認する代りに、附帯決議を付して頂きたいと思いますが、案文を申上げてよろしうございますか。私の考えております案文は
 健康保険法第五十七条の三の療養給付期間の延長に伴い給付内容を益益充実適正ならしむる為め、政府はこの際、健康保険の医療給付費に対する国庫負担の速かな実現を期せられんことを望む。以上のごとき附帯決議を付せられて原案を可決して頂きたいと思います。
#77
○湯山勇君 今の附帯決議に関しての質問はよろしうございますか、提案に対しての質問は。
#78
○委員長(堂森芳夫君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#79
○委員長(堂森芳夫君) 速記を始めて下さい。
#80
○山下義信君 私は只今の高野君の動議に賛成いたします。
#81
○委員長(堂森芳夫君) 只今の高野君の附帯決議の動議は成立いたしました。他に御発言はございませんか。
#82
○山下義信君 本案全部について討論をお許しになつておりますのですね。
#83
○委員長(堂森芳夫君) そうなんです。
#84
○山下義信君 私は只今の高野君の附帯決議に賛成いたしましたのでありますが、その附帯決議を込めまして本案に対しましての私の社会党第二控室を代表いたしまして賛成の意を表したいと思うのであります。この改正法律案の中にはすでに質疑の際に明確にいたしましたように、私どもといたしましては非常に不満に存ずる点が多々あるのであります。例えば適用範囲の拡大、これも又賛成でございますが、折角の適用範囲の拡大でありまするならば、長らく私どもが念願をいたしておりましたこの五人以上の事務所とあります、この五人以上の制限を撤廃いたしまして、適用範囲の思い切つた拡大を願いたいということはかねての願念とするところ、殊に社会保障制度審議会は早くこういう線も出ておるわけであります。これはもう定論となつておる。今回業種についての御拡大がありましたが、やはり五人以上という従業員の数の制限が加えられてあります点は遺憾といたすのであります。又療養給付の期間の延長をされるということは、私ども賛意を表するに吝かでございませんが、これと必然的な関係のありまする傷病手当金の給付期間がその儘に据置きになつておりますることは誠に不合理でありまして、これは当然療養給付の期間延長と共に歩調を合せるべきであることは、保険の体系上言うまでもないことであります。これがその儘になつておりますということにつきましては、質疑応答の際に明確にいたしておきましたが、誠に遺憾とするところであります。殊に只今附帯決議の中に御指摘にもなつたのでありますが、この健康保険に対しましても国庫の負担の速かなる実現を要望いたすということは、これ又私どもが双手を挙げて賛成いたしますところでありますが、併しながら当局にこの際要望いたしておきませんなりませんことは、この健康保険の保険財政というものが、最近は若干順調に相成りまして、その金額は明確ではありませんが、或いは多少の黒字になるのではないかというに趨勢にあるのであります。保険財政がそういう黒字のような状態にあつて、果して国庫負担の要望か筋か通るか通らんかということになりますと、これは見方によりますと考えなければならない。そこで健康保険の保険財政状態が黒字になるということそれ自体は、実は裏から言えば給付内容その他を抑えておるから、今申上げました傷病手当の給付期間或いは医療内容或いは診療報酬の一点単価等いろいろ抑えておつて、そうして一方保険料を標準報酬を引上げ、或いは労働者の賃銀ベースの引上げに伴いまして、保険収入のほうは取上げるけれどもその給付内容を依然として旧態に止めておくから、無理をいたしておるから保険財政の黒字が出て来るのだ、こういうことになり、それではこういう形にしておいて、私は国庫の負担を要求するといいましても、数字の上におきましても筋が通らないのであります。これは当然給付内容を向上させまして、そしてこの健康保険の内容の向上に努め、而して国庫負担の実現もそれと同時に我我は要望するということが、これが筋であろうと思うのであります。そういう点につきまして今回の改正というものは非常に私どもとしては不満であり、不十分であると考えるのでありますが、併しながら改悪でないことだけは事実なんです。その改善せられた諸点につきまして私どもといたしましては賛成せざるを得ないと思いますので、只今の附帯決議の給付内容の充実適正ということをして、傷病手当金の給付期間の延長、或いは診療内容の適正向上、又一点単価の適正なる立て直し等々、健康保険の内容の充実向上のために国庫負担の増額の実現を要望する、かように決議案の趣旨を了承いたしまして、殊にその点は先ほど懇談会のときにお互いに了承し合つたことでございます。あらかじめその点を確認いたしまして、この法案に賛成の意を表するものでございます。
#85
○委員長(堂森芳夫君) 他に御発言はございませんか。
#86
○湯山勇君 私は只今の附帯決議を含めまして、社会党第四控室を代表いたしまして本案に賛成いたします。今山下委員から御指摘のありましたように、この法案自体多数の欠点を持つておると思うのです。すでにお述べになりました点は誠に同感でございますから、その点を省いて申上げましても、第一は適用範囲の問題でございます、適用範囲が興行、つまり映画館とか劇場とか、そういう興行或いはサービス業に適用されていないということは、この範囲の拡大が易きに就いている、そして最も必要なものを除いておるという要素を持つておりまして、これらにつきましては更に今後の御検討を要望いたしたいと思います。更に他の府県と比較いたしまして、給付内容が極めて凹凸が多うございます。このことは現在の国の財政事情からいろいろ止むを得ないものがあるということも一応分りますけれども、併しながらそういう差があるということ自体が、保険に対する信頼感を失わせる要素もあるわけですから、こういう点についてはまだまだ不十分であると思うわけでございます。更に又この法案直接には触れておりませんけれども、理事長に事業主の選んだ理事から選ばれるというような制度は、民主的な健康保険の運営から申しましても、いろいろ問題がありますし、又事業主側でなくてたらないということもすでに今日は解消しておる。こういう点の改正もなお必要であると思うわけであります、併しながらこれらの問題は更に只今の附帯決議の実現と併せて実現されるであろうということを期待いたしまして本案に賛成いたします。
#87
○委員長(堂森芳夫君) 他に御発言ございませんか。
#88
○有馬英二君 私は改進党を代表いたしまして本案に賛成をいたします。但し只今同僚委員各位からも御指摘ありましたように、本案の内容それ自身においても不備な点が多々あり、又運用上においても甚だ腑に落ちないようなところがあることは隻もしばしば各方面から訴えられておるところであると私は思つております。殊に先般私が北海道地方において行われた監査の事項につきましても、この健康保険法に何ら欠点があるというのではないかも知れませんが、運用において欠くるところがあるのではないかと考えられます。又只今山下委員からも御指摘になつたように、保険経済が最近は多少黒字になつておるというように私ども聞き及んでおるのでありますが、これは審査が甚だ保険医のほうに酷である。そして給付、給与といいますか、医師に対する給付が甚だ削減せられるというようなことを絶えず聞くのであります。一方取り立てるほうは取り立てて、そして医者の報酬というようなことが非常に酷であつて、それがために黒字になつておるというようなことであつては私はならんと思いますからして、こういうことがないように当局において特に意を用いられんことを要望いたしまして、本案に賛成の意を表するものであります。
#89
○委員長(堂森芳夫君) 他に御発言ございませんか。他に御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて差支えございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#90
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。健康保険法の一部を改正する法律案を衆議院送付案の通り可決することに賛成のかたは御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#91
○委員長(堂森芳夫君) 全会一致でございます。よつて本案は衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 次に高野君提出の附帯決議を採決いたします。高野君提出の通り附帯決議をすることに御賛成のかたは挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#92
○委員長(堂森芳夫君) 全会一致と認めます。よつて高野君提出の通り附帯決議をすることに決定いたしました。それから委員長が議院提出報告書には、多数意見者の署名を附することになつておりまするから、本案を可とするかたは順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    大谷 瑩潤  常岡 一郎
    榊原  亨  高野 一夫
    中山 壽彦  西岡 ハル
    林   了  廣瀬 久忠
    湯山  勇  山下 義信
    有馬 英二
#93
○委員長(堂森芳夫君) 御署名洩れはありませんか。署名洩れはないと認めます。
 なお本会議における委員長の口頭報告については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#94
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。ちよつと速記止めて下さい。
   〔速記中止〕
#95
○委員長(堂森芳夫君) 速記を始めて下さい。次に厚生年金保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑ございませんか。別に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#96
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
#97
○湯山勇君 私は本案に賛成いたします。なお本案に別紙案の附帯決議を付することの動議を提出いたします。次に附帯決議案を読上げます。
   附帯決議案
 厚生年金保険法については速かに根本的な改正を行い、新しい養老年金受給の該当者から適用するよう措置すること。以上でございます。(「賛成」と呼ぶ者あり)
#98
○委員長(堂森芳夫君) 只今の湯山君の附帯決議の動議は成立いたしました。他に御発言はございませんか。
#99
○山下義信君 私は社会党第二控室を代表いたしまして、本案に賛成の意を表したいと思います。只今湯山委員から御提出になりました附帯決議案は全面的に賛成でございます。今回の改正案につきましては標準報酬の改正、適用範囲の拡大等の改正を見たのでございますが、言うまでもなく根本的の改正がなされていないのでございまして、その点すでに質疑応答において明確に相成つておりまする通り誠に遺憾に堪えないのでございます。殊に法律の建前から申しますれば、すでに本年の十一月から給付が開始せられんといたします坑内夫に適用する養老年金のその給付につきましては、一方におきまして標準報酬の改正、或いは賃金べスの改訂等に伴いまして徴収いたしまする保険料と、法律の現在の建前からいたしますれば、給付せんとする養老年金のその支給額と、非常に不合理でありますことは極めて明白なんでありまして、この厚生年金の根本的改正はすでに朝野が斉しく政府に迫つていることでありまして、今回私どもといたしましては、今国会に当然政府は根本的改正案を提出するものと期待しておつたのでありますが、そのことなくいたしまして、ただ一部の不合理的な改正に止まりますことは極めて遺憾に堪えないのでございます。只今附帯条件が提出されましたので、是非ともこの附帯決議に沿いまして政府は速かに根本的改正案の提出を、而も本年十一月新たなる養老年金の受給者が出まするまでに、この改正の実現を見ることを要望いたしたいと思うのであります。
 なおこの際私は附言いたしておきたいと思いますることは、今国会に私立学校職員共済組合法案が提出いたされているのであります。で、これは本委員会に諮つておりませんが、この厚生年金法と密接不可分の関係があるのでございまして、私どもは社会保障制度の推進強化の上には、保険の統合ということをすでに久しく叫び来つているのでありまして、この社会保障制度の体系に対しまして、かくのごとき別の法案が出て来るということにつきましては非常に憂慮をいたすものでございます。私どもは厚生年金法が、本年一月から養老年金の支給が開始せられ、又近く一般の支給も開始せられようとするこの厚生年金法こそ、社会保障制度の実は中核をなすべきであるが、今日は先ずこの医療保険の整備というものを近年取急いで来ておりまするが、本来社会保障制度の本当の中心は私どもこの厚生年金関係、即ち養老年金制度であると確信いたすのであります。従いまして厚生年金の根本的改正というものは、取りも直さず社会保障制度のこの中心課題を解決するということでありまするので、私どもは厚生年金法の整備改正ということにつきましては、非常に関心を持つと同時に、当局におきましては一段と努力せられまして、或いは障碍を排除し、或いは資本家階級その他からの種々抵抗のありますことは承知いたしておりまするが、労働者の養老年金制のために、又進んで一般国民の養老年金制の前駆をなすであろうこの厚生年金制度に、根本的、合理的改革をするために、勇敢に私は措置されることをこの際当局に強く要望いたしておくのであります。なお関連いたしまして、積立金の運用の問題は久しい懸案の問題であります。これこそ私どもといたしましては、急速に解決せなくてはならんことでありまして、この点私は当局の決意が、果してどうであろうかということを心配いたしているのであります。併せて根本的の措置を当局において善処せられるよう要望いたしまして、本案に対する賛意を表するものでございます。
#100
○委員長(堂森芳夫君) 他に御発言ございませんか。他に御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて差支ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#101
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。厚生年金保険法の一部を改正する法律案を衆議院送付の通り議決することに賛成の方は挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#102
○委員長(堂森芳夫君) 全会一致でございます。よつて本案を衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 次に湯山君の提出の附帯決議を採決いたします。湯山君提出の通り附帯決議を附することに御賛成の方は挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#103
○委員長(堂森芳夫君) 全会一致と認めます。よつて湯山君提出の通り附帯決議を附することに決定いたしました。
 それから委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりまするので、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
  多数意見者署名
   中山 壽彦 大谷 瑩潤
   榊原  亨 常岡 一郎
   藤原 道子 高野 一夫
   西岡 バル 林   了
   廣瀬 久忠 湯山一 勇
   山下 義信 有馬 英二
#104
○委員長(堂森芳夫君) 御署名洩れはございませんか。御署名洩れないと認めます。なお本会議における委員長の口頭報告については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#105
○委員長(堂森芳夫君) 御異議ないものと認めます。ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#106
○委員長(堂森芳夫君) 速記をつけて下さい。それではこれにて厚生委員会を閉会いたします。
   午後五時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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