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1953/08/10 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 本会議 第38号
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1953/08/10 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 本会議 第38号

#1
第016回国会 本会議 第38号
昭和二十八年八月十日(月曜日)
   午後零時三十六分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第三十七号
  昭和二十八年八月十日
   午前十時開議
 第一 委員会の審査及び調査を閉会中も継続するの件
    ―――――――――――――
#2
○議長(河井彌八君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
#4
○羽生三七君 私はこの際、当面の外交政策に関する緊急質問の動議を提出いたします。
#5
○松浦清一君 只今の羽生君の動議に賛成をいたします。
#6
○議長(河井彌八君) 初生君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。羽生三七君。
   〔「外務大臣が来ていない」「岡崎大臣はどうした」「誰が答弁するのだ」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(河井彌八君) 外務大臣の出席を要求しておりますから、暫らくお待ち下さい。
 羽生三七君の登壇を望みます。
   〔羽生三七君登壇、拍手〕
#9
○羽生三七君 私はこの際、日本社会党を代表いたしまして、当面の外交政策に関して若干のお尋ねをいたします。極く簡単に要点だけをお尋ねいたします。
 去る八日のソ連最高会議の席上において、マレンコフ・ソ連首相は極めて重大な発言を行なつたようでありますが、その際、日本との講和問題にも言及しまして、日本は、あらゆる国との関係を樹立することによつてその独立を回復することができる、日本が外交関係を再開しようと申出るならば、ソ連にはその用意がある旨を述べております。吉田政府は、ソ連との講和条約締結に関し、日本みずからそのイニシアテイフをとる用意があるかどうかをお尋ねしたいのであります。今日までソ連との講和問題については、委員会、本会議等を通じて、しばしば論議が行われましたが、その際、政府の答えは、「相手のあることであるから」ということで、今日まで問題を回避されて来たように思われます。併し、今度はソ連首相が、日本みずからがそのイニシアテイブをとるならばと、はつきり言つておるのでありますから、政府はこの際みずからそのイニシアテイブをとつて相手国に講和を求める用意があるかどうかをお尋ねしたいのであります。(拍手)これが質問の第一点であります。
 お尋ねの第二点は、先日ダレス国務長官の来日を機会に、吉田首相は、当面の諸問題についてダレス氏と会談をされたようでありますが、奄美群島の返還はもとより我々の歓迎するところでございますが、併しダレス氏の今回の来日はそれだけの意味であつたかどうか。MSAの問題に関連して、日本の防衛計画等について何らか触れなかつたでありましようか。この機会にこの問題の所在を明らかにして頂きたいのであります。これが質問の第二点であります。
 第三点は、朝鮮休戦協定も成立しまして、いよいよ政治会議に立ち至つたわけでありますが、中共の国連加盟問題等とも関連いたしまして、世界の、特になかんずくアジアの情勢は、政治的に今後極めて重要なことになるかと考えられますが、これに対処する日本外交の当面の方針について、この機会に明らかにせられたいのであります。以上三点について簡単に要点だけをお尋ねすることにいたします。(拍手)
   〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(岡崎勝男君) お答えいたします。
 ソ連側の対日平和に対する態度につきましては、私の了解するところでは、従来ソ連政府は桑港の平和条約或いは日米安全保障条約には反対であるという基本的態度を維持して来られたように考えております。従いまして、今回のマレンコフ首相の演説が如何なる意味を持つものであるかは、まだ研究してみなければ、はつきりしたことは申上げられません。今までの前提を果して変えたものであるかどうか、この点は十分研究してみたいと思いまするが、政府といたしましては、サンフランシスコの平和条約又は実質的にこれとひとしい平和条約をソ連において結ぶ意向があるならば、それは結構なことと考えております。併しながら、桑港条約を根本的に否定したり或いは日米安全保障条約に反対するというようなことでありますならば、これはちよつと困難であろうと考えております。これが只今のところの考え方でありまするが、まだ我々も新聞に発表せられたもの以外には正確な情報を持つておりませんので、今後十分考慮してみたいと考えております。
 次に、一昨日ダレス国務長官が来朝せられました。吉田総理及び私は同長官と会談する機会を得たのでありますが、その会談は一般的な意見の交換を出でませんので、特に具体的な問題といたしましては、今お話になりました奄美大島の群島に関する処置以外にはなかつたのであります。(「隠すな」「防衛計画も出したんだろう」と呼ぶ者あり)なお、この会談に当りましてダレス国務長官は、奄美大島に対するアメリカの平和条約第三条に基く権益を放棄する意向がある旨を述べられました。これにつきましては、政府としてもかねてから、これは同島関係者のみならず一般国民の要望でありますので、欣然としてこの申出を受諾いたした次第であります。そうして、その際、他の平和条約第三条にありまする南西諸島若しくは小笠原高等に関しましては、現下の国際情勢の緊張下にありましては、日本の安全を保障するための米国政府の義務から申しても、この際、新たなる措置をとることは差当り困難であるという話でありました。但し、その住民の福祉を今後ともできるだけ増進する努力はアメリカ政府として怠るものでない、こういう意向がありました。我々としましては、只今の国際情勢にも鑑みまして、この際やむを得ざることと考えてこれに対しても同意をいたしたのであります。そこで、奄美大島の問題につきましては、これがどれだけの範囲を含むとか、或いは実際上の引継ぎにおいては如何なる措置が必要であるかというような点につきましては、細かい協議を必要といたしますので、昨日早急アメリカ大使館側と連絡いたしましてその打合せを開始いたしております。島民の要望も特に強いものがありますので、一日も早くこれが返還の実を挙げたいと考えております。本日、国会を通じまして国民に対しこの点を御報告し得ることは、私の非常に欣快とするところでありまするが、米国政府におきましては、従来ともこの点は考えておられたのでありますが、いろいろ日本の防衛関係についての必要上、今日まで実際的措置がとられなかつたのであります。併しながら、ダレス国務長官は、平和条約草案交渉以来、日本の実情については深い理解を持つておられましたので、今回の措置をとることに特に米国政府として努力をされたものと了解いたしまして、この点につきましては米国政府の好意的なる措置について深く感謝する次第であります。(「沖縄はどうした」「当り前のことだ」と呼ぶ 者あり)
 なお第三の点でありまするが、朝鮮休戦に伴う種々の問題があることは、これは申すまでもないのでありまするが、その政治会議の成行きとか、或いは米韓条約の成果というようなものは、これは今後十分その成行きを見極めなければ、日本政府としてもはつきりした意見を表示することはできないのでありまするが、我々といたしましては、韓国に対しては、隣邦であるという意味から、従来ともでき得る限りの友好的措置をとつて来たのであります。今後とも自由諸国に協力する一環といたしまして、韓国に対しあらゆる協力を惜しまないつもりでおりまするが、その具体的措置につきましては、今後の成行きによりましてその進展に伴つて漸次決定して行くつもりでおります。(拍手)
   〔羽生三七君発言の許可を求む〕
#11
○議長(河井彌八君) 羽生三七君。
#12
○羽生三七君 簡単ですから、再質問をお許し願います。
#13
○議長(河井彌八君) 御登壇願います。
   〔羽生三七君登壇、拍手〕
#14
○羽生三七君 極く簡単に第一問の点たけ再質問をいたします。只今、外相のお答えでは、サンフランシスコ講和会議等に現われたソ連の態度等を見て、いろいろ問題があると思うから、研究をしなければ、我が方としては何とも言えないと、こういうお答えであつたわけであります。そこで問題は、ソ連のマレソコフ首相の提案は、我が方が若しイニシアテイブをとるならばと言つておるのでありまするから、日本がその用意があつて、相子国に、その講和に関する具体的な内容はとにかくとしてとにかく申入れをした場合、そこで初めて内容が明らかになつて来て、それがサンフランシスコ講和会議のときにとつた態度と同一であるかどうかということは、あとに明らかになる問題であります。従つて、取りあえずソ連に対して講和を要求する、政府がそのイニシアテイブをとる、そういう方針があるかどうかをお尋ねしたいのでありますから、この点を明白にもう一回お答えを願いたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
#15
○国務大臣(岡崎勝男君) お答えをいたします。従来、共産国家側の日本に対する態度は、とかく政府を除外いたして、いわゆる人民管理方式のようなものを国民に押しつけんとするやの嫌いもなきにしもあらずでありまして、従いまして、何ら成算のないのに平和条約を申入れて国民に非常な期待を持たして、その後に又新たなる失望を与えるような結果になることは避けたいと考えております。従いまして、十分この問題は研究をいたしまして、成果がありと見込まれました場合には適当な措置をとるつもりであります。(拍手、「やらなければわからない」「それでは少しも進展せんよ」と呼ぶ者あり)
     ―――――・―――――
#16
○議長(河井彌八君) 参事に報告させます。
     ―――――・―――――
#17
○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して、社会保険審査官及び社会保険審査会法案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議、ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長堂森芳夫君。
    ―――――――――――――
   〔堂森芳夫乳登壇、拍手〕
#19
○堂森芳夫君 只今議題となりました社会保険審査官及び社会保険審査会法案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びにその結果について御報告いたします。
 この制度は健康保険法の施行と共に創設されたのでありますが、最近、社会保険の拡張によりまして、審査請求件数はますます増加するものと予想せられますので、本制度本来の目的である簡易迅速に被保険者及び事業主の権利を保護救済するという実を挙げることが困難であるとの理由から、本改正案の提出を見た次第でありまして、これによつて審査の能率を上げると共にその公正を期したいというのであります。
 次に法案の要点を申上げますると、第一に社会保険審査会の構成でありますが、現行の審査会は、公益、被保険者の利益及び事業主の利益を代表する非常勤の委員によつて構成されておりまするが、これを内閣総理大臣が国会の承認を得て任命いたしますところの特別職たる常勤の委員長及び委員二名を以て組織することといたしてあるのでありまするが、他面、現行制度におきまして、被保険者の利益及び事業主の利益を代表する委員が果して来た弁護的機能は、利益代表者に引継ぐことといたしたのであります。第二に、審査事項でありますが、これは、従来、保険給付及び保険料の賦課徴収、滞納の処分に限られていたのでありますが、健康保険法、船員保険法及び厚生年金保険法の一部改正に伴いまして標準報酬に関する処分につきましても審査の請求を認めることといたしておるのであります。第三に、審査手続でありますが、被保険者及び事業主の権利救済に万全を期するため、この機会に若干の整備を行なつてあるのであります。
 厚生委員会におきましては、審査会における労使及び中立によるいわゆる三者構成の原則、並びに審査能率、手続等、民主的運営に関する基本問題について熱心なる質疑が重ねられました。その詳細については速記録に譲ります。
 かくて質疑を打切り、討論に入りましたところ、加藤委員より社会党第二控室を代表し、本案に反対の意を表せられ、又、湯山委員より社会党第四控室を代表して、本案に反対の意を表せられました。討論を終結し、採決に入りましたところ、多数を以て衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、林委員より、次の附帯決議案を附すべき動議が提出され、採決の結果、林委員提案の通り多数を以て可決されました。附帯決議案を朗読いたします。
   附帯決議
 社会保険審査会においては、事業主及び被保険者の権利救済の万全を期するため、所謂三者構成の実を挙げることができるよう民主的運営を行い、審査能率の向上を図ることを要望する。
 以上御報告申上げます。
#20
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#21
○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
#22
○議長(河井彌八君) 日程第一、委員会の審査及び調査を閉会中も継続するの件を議題といたします。
 内閣委員長から、行政機構の整備に関する調査、
 人事委員長から、国家公務員の給与問題に関する調査及び公務員制度に関する調査、
 地方行政委員長から、地方行政の改革に関する調査、
 法務委員長から、検察及び裁判の運営等に関する調査、
 外務委員長から、国際情勢等に関する調査、
 大蔵委員長から、租税特別措置法の一部を改正する法律案、及び協同組合による金融事業に関する法律等の一部を改正する法律案の審査、並びに租税、金融制度及び専売事業等に関する調査、
 文部委員長から、勤労青年教育振興法案の審査、並びに教育、文化及び学術に関する一般調査、
 厚生委員長から、社会保障制度に関する調査、
 農林委員長から、臨時硫安需給安定法案の審査、並びに農林政策に関する調査、
 水産委員長から、水産政策に関する調査、
 通商産業委員長から、硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案の審査、並びに通商及び産業一般に関する調査、
 運輸委員長から、運輸一般事情に関する調査、
 郵政委員長から、郵政事業の運営実情に関する調査、
 電気通信委員長から、電波行政に関する調査及び電気通信事業運営状況に関する調査、

 労働委員長から、けい肺法案、及び労働基準法の一部を改正する法律案の審査、並びに労働情勢一般に関する調査、
 建設委員長から、建設行政に関する調査、
 経済安定委員長から、日本経済の安定と復興に関する調査、
 予算委員長から、昭和二十八年度予算の執行状況に関する調査、
 決算委員長から、昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算、昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十六年度政府関係機関決算報告書の審査、並びに国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査、
 議院運営委員長から、議院の運営に関する件の審査、
 図書館運営委員長から、国会図書館の運営に関する件の審査、
 中共地域からの帰還者援護に関する特別委員長から、中共地域からの帰還者援護に関する調査、
 水害地緊急対策特別委員長から、水害地緊急対策に関する調査、
 について、それぞれ継続審査及び継続調査の要求書が提出されております。各委員長要求の通り委員会の審査及び調査を閉会中も継続することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて各委員長要求の通り委員会の審査及び調査を閉会中も継続することに決しました。
     ―――――・―――――
   〔小笠原二三男君発言の許可を求む〕
#24
○議長(河井彌八君) 小笠原二三男君。
#25
○小笠原二三男君 私はこの際、只今議決せられました委員会の審査及び調査を閉会中も継続するの件のうち、水害地緊急対策特別委員会につきましては、閉会中、災害につき議長が必要を認めた場合、これに対する緊急対策樹立に資するための調査を、併せ付託することの動議を提出いたします。
#26
○加藤武徳君 私は只今の小笠原君の動議に賛成いたします。
#27
○議長(河井彌八君) 小笠原君の動議に御異議、ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて小笠原君の動議は可決せられました。
 これにて散会いたします。
   午後一時十八分散会
     ─────・─────
○本日の会議に付した事件
 一、当面の外交政策に関する緊急質問
 一、社会保険審査官及び社会保険審査会法案
 一、日程第一 委員会の審査及び調査を開会中も継続するの件
 一、只今議決された委員会の審査及び調査を閉会中も継続するの件のうち水害地緊急対策特別委員会については、閉会中、災害につき議長が必要と認めた場合、これに対する緊急対策樹立に資するための調査を併せ付託することの動議
ソース: 国立国会図書館
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