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1947/08/09 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第23号
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1947/08/09 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第23号

#1
第001回国会 本会議 第23号
昭和二十二年八月九日(土曜日)
    午後一時三十二分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十二号
  昭和二十二年八月九日(土曜日)
    午後一時開議
 第一 國会議員の特別手当に関する法律案(淺沼稻次郎君外七名提出)(委員会審査省略要求事件)
 第二 昭和二十二年法律第八十一号(議院に出頭する証人の旅費及び日当に関する法律)の一部を改正する法律案(淺沼稻次郎君外七名提出)
         (委員会審査省略要求事件)
 第三 自由討議
    ―――――――――――――
一、自由討議の問題
 最初の発言者(社会党)において当日討議する問題を供すること(十五分以内)
二、討議者の数及び討議時間
 1 各党派の割当時間
  社会党、民主党、自由党各四十分、國民協同党二十分、第一議員倶樂部、農民党及び共産党を通じて二十分
 2 各党派は、右割当時間の範囲内において、討議者の数を決定すること。
    ―――――――――――――
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(松岡駒吉君) お諮りいたします。内閣総理大臣から、会計檢査院法第四條第一項の規定に基いて、檢査官に佐藤基君、下岡忠一君、諸橋襄君を任命するため、本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意を與えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本院はこれに同意を與えることに決しました。
     ――――◇―――――
 八月分輸入食糧の追加放出に関する片山國務大臣の報告
#5
○議長(松岡駒吉君) 内閣総理大臣より、八月分輸入食糧の追加放出について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣片山哲君。
    〔國務大臣片山哲君登壇〕
#6
○國務大臣(片山哲君) 私は、ただいま議長からお示しになりました八月分輸入食糧追加放出について、諸君に御報告いたしたいと思います。
 本日、東京その他特に食糧事情のはなはだしく惡い九地域に対しまして、凍結米三千九百トンの解除を含む二万一千二百トン――十四万一千石であります、この八月分輸入食糧追加放出が連合軍総司令部から許可せられたのであります。(拍手)これによりまして、八月分の輸入食糧放出量は、既定の二十三万四千七百トンと合わせて、二十五万五千九百トンに達しまして、全國の八月分政府配給主食は、実にその五割を輸入食糧に仰ぐこととなつたのであります。
 私は、ここに國会を通じまして、まず國民諸君とともに、わが國民に寄せられておりまする連合軍総司令部の限りなき好意に深甚なる謝意を表したいと思うのであります。(拍手)そうして特にこの機会に、この特別放出のもつ意義につきまして、國会を通じまして、國民諸君に若干の所見を申し述べてみたいと存ずるのであります。
 その第一は、経済緊念対策、その他これに続いての一連の施策によりまして、新物價体系を確立し、経済と生活とを正常に取りもどすために、まづやみ経済をなくしようとしているわれの懸命の努力が、これによつてようやく報いられるようになつてまいりまして、その糸口が開けてきたのであります。この放出によりまして、非常に困られておりました大消費地域が、八月中まつたく欠配なしで、また主食のやみ買いを要しなくなつたということは、その市民諸君にどんなにか大きな安堵感を與えることと思うのであります。(拍手)そうしてその食糧安堵感こそが、われわれの経済再建のすべての基盤であると考えているのであります。当面九月、十月と引続く端境期にあたりまして、政府の努力はますますこの食糧安堵感確保のために集中的に向けられねばならないと思つているのであります。
 その第二は、この追加放出のもつ特別な意義についてであります。連合軍総司令部が常に発表せられておりますように、敗戰國日本においては、まず國民みずからを救うために、みずからの努力が徹底的になされまして、その上にのみ輸入食糧の救援放出がなされるべきものであるということは言うまでもないのでありまするが、すでに一たび八月分輸入食糧放出量が約束せられましたので、この数字を取入れまして、政府は第一次及び第二次食糧緊急対策を立てたのであります。これに対し國民はあげて努力されまして、そうしてこれに協力されたのが見届けられ、その上にこの特別追加放出であるというところを、われわれは特に銘記したいと思うのであります。(拍手)
 現内閣が打立てました経済緊急対策その他一連の経済施策によりまして、わが國当面のインフレ窮乏経済を切り抜けまして、そうしてこれを突破しようという努力の道は、まことに苦難に満ちたものであるいうことを考えるのでありますが、懸命の努力を拂つて、國民一致の協力を得られる限り、いわゆる徳孤ならずという格言もあります通り、必ず國際的にもこの努力及び國民の一致が十分に認められ、そこに救援の手が差伸べられるものであるということを深く感ずるのであります。(拍手)今回は、この例を私特に皆さんに御報告することができると感ずるのであります。
 現内閣はここにあらためて國民諸君と眞に融合一体となり、協力一致、経済窮通の努力を続けていきたいものであるということを、この機会に重ねて諸君に御報告し、かつ協力をお願いする次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 第一 國会議員の特別手当に関する法律案(淺沼稻次郎君外七名提出)(委員会審議省略要求事件)
 第二 昭和二十二年法律第八十一号(議院に出頭する証人の旅費及び日当に関する法律)の一部を改正する法律案(淺沼稻次郎君外七名提出)(委員会審査省略要求事件)
#7
○議長(松岡駒吉君) 日程第一及び第二は、いずれも提出者より委員会の審査省略の申出があります。両案とも右申出の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。
 日程第一、國会議員の特別手当に関する法律案、日程第二、昭和二十二年法律第八十一号の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。淺沼稻次郎君。
    〔淺沼稻次郎君登壇〕
#9
○淺沼稻次郎君 ただいま議題となりました両法律案の提案の理由を説明いたします。
 まず國会議員の特別手当に関する法律案について説明いたします。御承知の通りに、國会法第三十五條には、われわれ國会議員の歳費は一般官吏の最高の給料額より少くないことを定め、この規定に基いて、國会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律において、議長は月額七千円、副議長は五千円、議員は三千五百円の歳費を受けることになつております。しかるにこの法律制定後、官吏の給與額は数回にわたる給與の改善により、われわれの歳費より高額なるものを生ずるに至り、議員の歳費は実質的に國会法の極意に副わない結果と相なりました。よつてこの法律を定めて、官吏の給與額と均衡を保ち得るように、特別手当の支給を受けようとするものでありまして、その額は、実情に副うように両院の議院運営委員会の合同審査会においてこれを定めることといたしました。
 次に昭和二十二年法律第八十一号、議院に出頭する証人の旅費及び日当に関する法律の一部を改正する法律案について説明をいたします。
 この法律案では、証人が議院に出頭した場合に、その旅費及び日当を支給することを定めておりますが、公聽会の公述人が出頭した場合については、旅費及び日当を支給する規定がございません。よつて法律を改正して、公述人にも証人の例によつて旅費及び日当を支給しようとするものであります。
 以上二案とも、議院運営委員会においてこれを起草いたしまして、ここに諸君の御審議を煩わす次第であります。何とぞ満場一致御賛成くださることをお願いいたしまして、二案の趣旨弁明を終ります。(拍手)
#10
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。両案とも可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案とも可決いたしました。
     ――――◇―――――
 傳染病予防法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 保健所法を改正する法律案(内閣提出)
#12
○土井直作君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、傳染病予防法等の一部を改正する法律案及び保健所法を改正する法律案の両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#13
○議長(松岡駒吉君) 土井君の動議に御異義ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 傳染病予防法等の一部を改正する法律案、保健所法を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員長小野孝君。
    〔小野孝君登壇〕
#15
○小野孝君 ただいま議題となりました、傳染病予防法等の一部を改正する法律案並びに保健所法を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 この両法律案は、先月二十三日委員会に付託に相なりましたので、厚生委員会は七月二十八日より審査を開始いたしました。委員会を開くこと四回にわたり、愼重審議を遂げた次第でございます。
 まず両法案の内容及びこれが提案せられました理由を、政府の説明するところに基いて申し上げますと、傳染病予防法等の一部を改正する法律案につきましては、從來傳染病その他の予防につきましては、これを行う自治團体に対しまして、その負担する経費の一部を國庫より補助いたしておつたのでありますけれども、その補助額は、その率がきわめて区々であり、しかも低率であつたのでございます。すなわち、傳染病予防法につきましては六分の一ないし三分の一、結核予防法については四分の一、トラホーム予防法につきましては六分の一、寄生虫予防法につきましては六分の一となつておつたのでありますが、今回の改正は、これを一率に二分の一に引上げようというのであります。
 すなわち、これにより地方自治團体に対する財政の重圧をいくらかでも緩和し、併せてこれら疾病の予防措置を一段と強化推進いたしまして、もつて公衆衛生の向上増進をはからんとするものでございます。
 次に、保健所法を改正する法律案について申し上げますと、從來保健所は公衆衛生行政の指導の面のみを担当しておつたのでありますが、今回の改正は、大幅にこれを拡充強化せんとするものでありまして、まず第一に、保健所の目的が公衆衛生の向上及び増進にあることを明示し、第二に、保健所の從來の担当事項のほかに、人口の動態統計、公共医療事業の向上及び増進、衛生上の試驗及び檢査、歯科衛生等を加え、これらに関しまして指導を行うとともに、必要な事業をも行い、さらに都道府縣知事の権限の一部をこれに委任して行わせようとするものであり、第三に、結核、性病、歯科疾患その他厚生大臣の指定いたしまする疾病の早期または予防的治療を行い、これら國民病の撲滅を期し、第四に、公衆衛生の向上及び増進のために必要な試驗檢査を行いますとともに、その試驗檢査等を廣く医師その他の者が利用し得られることにし、医療内容の向上と医療費の軽減とをはかろうとするものでございます。すなわちこれによつて、新憲法第二十五條の精神に則り、公衆衛生の飛躍的向上及び増進をはかり、もつて平和的文化的國家の再建に寄與せんといたすものであります。
 厚生委員会は、この両法案の審査にあたり、直接間接にこの法案に関係あるいろいろな問題を、いろいろな角度から檢討いたしたのでございますが、ここに質疑及び意見のおもなるものを一、二御報告申し上げますと、まず傳染病予防法等の一部を改正する法律案につきましては、この程度の補助ではまだ足りない、國庫補助額をもつと増額しなければならぬ、特に結核の予防には重点的にこれをはからなければならぬという意見が強かつたのでございますが、これに対しては、厚生当局もその趣旨に則つて將來努力する旨の答弁がございました。
 なお、これら疾病の予防については、政府の具体的施策に関しまして、特にいろいろ希望意見が出たのであります。また傳染病予防に関する事務は、國家の事務であるか、あるいは地方自治團体の事務にあるかという点に関しまして、政府の見解が必ずしも明確を欠く点がありましたので、これに関する質問が出たのでございますが、これに對しまして政府は、傳染病予防に関する事務は國家の事務である。ただこれを地方公共團体に委任している形になつているのであるという明快な答弁を得たのでございます。
 次に、保健所法を改正する法律案について申し上げますと、まず保健所の積極的活動を促すために、さらに予算を増額し、陣容も設備も大いに強化せねばならないということが強く要求せられました。これに対しましては、政府も同感であり、その線に沿つて努力する旨の答弁がございました。
 次に、保健所が結核、性病、傳染病その他厚生大臣の指定する疾病の治療を行うという点に関連をいたしまして質問が出たのでございますが、もしこの法案を強く推し進めて行くことがありますならば、それは医療國営になるのではないか、医療國営の問題の是非をここで論ずるのではないけれども、医療國営の問題は根本的な医療制度の問題として取扱うべきものであつて、保健所法の改正というような面でこの問題を片づけるべきではない、ついては保健所が行う医療の範囲及び厚生大臣が指定しようとする疾病の範囲はどの程度であるかという質問が出たのでございます。これに対しまして政府の答弁を申し上げますと、傳染病、結核、性病等の治療に関しましては、公衆衛生の向上をはかるため必要なる予防的措置というものを限界として治療を行う方針である。また厚生大臣の指定する疾病というのは、例をあげれば青森縣におけるトラホームのごとき、特殊な地方の風土病というようなものを予定するだけであつて、厚生大臣の指定する範囲の治療を無制限に拡める意思は毛頭もつておらないという答弁があつたのでございます。
 なお本案に関連して、國立病院、國立療養所の有料無料の問題が強く取上げられました。すなわち國立療養所の無料を有料としたために、その入院料の負担に耐えかねて退院する者が続出している傾向にある、一方においては保健所法を改正して、大いに公衆衛生の向上をはかろうとしているのに、一方においては國立療養所を有料にしたことによつて、負担に耐えきれない患者が退院して菌をまき散らすようなことであつては、首尾一貫しないではないかという点において議論が出たのでございますが、これに対しまして政府当局より、國立療養所の有料無料の問題は、必ずしも全部有料にするという意味ではないのであつて、その負担に耐えない患者に対しては、今後とも無料の待遇を続けるつもりである、こういう意味の答弁があつたのであります。
 なお両法案につきましては、それぞれ愼重な、また傾聽に値すべき御議論、御意見が多々出たのでございますが、これらにつきましては、会議録について詳細御承知願いたいと思うのであります。
 以上、はなはだ簡單でありましたが、委員長の報告といたします。(拍手)
#16
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#18
○議長(松岡駒吉君) 先刻の片山内閣総理大臣よりの報告中、数字に関する部分につき訂正する必要がありますれば、速記録調査の上議長において適当に処置いたします。
     ――――◇―――――
 第三 自由討議
#19
○議長(松岡駒吉君) これより自由討論の会議に入ります。
 赤松勇君、発言者を指名願います。
#20
○赤松勇君 日本社会等は、菊池重作君を指名いたします。
#21
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔菊池重作君登壇〕
#22
○菊池重作君 今日直面せる食糧問題の解決は、わが國の重大事なりと思考せられるのであります。この食糧問題の解決のかぎは、供出対策の成否いかんにあると言うも過言ではないのであります。そこで今日の自由討議の議題といたしまして、食糧供出対策を提案する次第であります。以下いささか所見を述べまして、各位の御批判に訴えたいと思うのであります。
 今日遅配・欠配が連続いたしまして、食糧危機が叫ばれるゆえんはいずれにありやと申しますれば、供出が円滑にいかないからであります。農林当局の言明によりますれば、米の供出を一一〇%に見込んで計画を立てたところ、一〇四%しか供出されなかつた。その結果六%の誤算を生じ、供出の未完了は輸入食糧の放出に大なる影響があるということを聞いております。かような状態で今日の事態に立至つたのでありまするが、今日にして完全なる供出対策が樹立されなかつたなら、わが國の食糧事情はますます惡化いたしまして、國家再建の方途もついに水泡に帰するのではないかと憂えざるを得ないのであります。
 政府は、先日非常時突破対策を発表いたしましたが、それによりますと、七月以來十月までの不足分二百三十四万石は、この穴埋めを早場米・麦・馬鈴薯・早堀甘藷・水産物等をもつて充て、なお輸入食糧の確保によりまして切抜けると説明しております。もちろん、これらは周到な檢討の上に対策が講ぜられたものと思われますが、しかし從來の例に鑑みますれば、手放しの樂観は許されないのであります。特に全國的な作柄の低下と、東北における水害、関東地方における旱害、これらは、すなわち今申し上げたところの計画に破綻の徴候を現わしまして、今後の天候の推移は予断を許さないものがあるのであります。輸入食糧に関しましても、輸送、陸揚げ、加工等に万全を期し、いやしくも社会に公約したるところの政策に関しましては、責任をもつてこれを遂行し、すべての処置を講ぜられたいのであります。なお、過去におけるところの供出がなぜ円滑にいかなかつたかこれからも周密なるところの檢討を加えまして、新たなる方途を講ずべきであると思うのであります。
 現行供出割当は、実收見込主義でありまして、食糧委員会は封建的官僚独裁人選であります。いずれも天降り的な非民主主義的な方法によつてなされております。ここに幾多の不合理が生じ、一方には、供出を完了しましても、なお二十俵、三十俵もやみ賣りをするところの富農があり、一方には、供出はまだ五割しかできなくとも、すでに飯米に困るところの零細農があるのであります。農村ボスによるところの食糧割当は、やみ反別や幽靈反別を生じまして、これらの負担が全部農民に負わされておるのであります。
 供出の基準をなすところの実態調査にいたしましても、非科学的なものでありまして、信をおくには足りないのであります。そうして、いくらよくつくりましても、とつたものがみな取上げられてしまうというような制度でありまして、正直に申告した者はよけいとられる、すなわち正直者がばかをみる制度であります。今までのようなやり方は惡代官式であり、なたねと百姓は搾れば搾るほど出るという昔からの観念がこの方法のうちに取入れられておるということを、われわれは考えなければならない。(拍手)
 かようなやり方では、増産はできません、供出も円満にはいきません。農林当局はいつも買上代金は即時拂いにすると言明しておりまするけれども、今まで即時拂にしたためしがないのであります。正直な農民は全部供出してしまいまして、その金がはいつてこなければ何も買うことはできないのであります。これでは、政府が供出を妨害しておると言われても仕方がないと私は考えるのであります。
 昨年の甘藷の代金の支拂いが遅れまして、芋会社から茨城縣の農民に支拂われたところの延滯利子だけでも、七十八万円に及んでおる状態であります。米にしましても、麦にしましても、政府から支拂われたことにはなつております。農業会の通帳にも書いてあります。でありながら、農業会に農民が米の代金をとりに行きますと、支拂つてくれません。農業会は銀行へ金をとりに行きますと、銀行では大藏大臣の命令であると言つて、まとまつた金を渡してくれないのであります。かような状態においたのでは、農民はやみをやらなければ何も買えない状態になつておるのであります。政府がやみを奬励しているようなものであります。算えあげれば不合理はいくらでもありまするけれども、時間がありませんから、このくらいにしておきまして、今後の問題について申し上げたいと思います。
 いやしくも供出対策と申すものであるならば、農民の増産意欲を高揚するものであり、供出の意欲を刺激するものでなければならないと思うのであります。農民が一致協力して増産に励んで、一割の増産ができたとしたならば、食糧問題の一端は解決ついたと言つても過言ではないのであります。かりにわが國の米の生産高を六千万石、大小麦一千万石、芋類五百万石と見まして、合計七千五百万石、その一割は七百五十万石でありまして、合計は八千二百五十万石、わが國の人口を八千万と見まして、一人当り一石強になるのであります。一割の増産はそう困難な事業ではないと考えられます。もし三割の増産ができますならば、九千五百五十万石となり、自給自足が完全にできるのであります。そこで、いかにすれば農民が増産に励み、喜んで供出することができるようになるかと申しますれば、まず供出制度の徹底的民主化をはからなければならないのであります。自由販賣などをやつては、とうてい今日の食糧問題の解決は不可能と私は信じます。(拍手)
 なお、生産責任供出制度の採用を要望するものであります。現行の実態調査、すなわち実收高によるところの供出割当は、実は見込割当でありまして、正直者がばかをみる制度であり、生産意欲を阻害するところの制度であります。そこで新しく地力・地形・水利・交通等を基準とし肥料・氣候・畜力等を勘案いたしまして、その上に点数制ともいうべき実態調査に基く科学的根拠によるところの部落責任制を採用いたしまして、綜合的の割当をすべきであると考えるのであります。(拍手)民主化されたところの町村の食糧委員会は、一筆調査を行いまして、耕作者と協議の上責任基準量を決定し、その年の收穫高が基準量に達しないときは、耕作者の申出により実態調査を行い、その結果責任額の引下げを行うものとするのであります。
 農家の保有量は、再生産の必要な量とし、責任基準量の総計より保有量を差引いたものが供出となるのであります。買上代金は即時拂いにすることは先ほど申した通りであります。なお超過供出分に対しましては、特別の買上制度を断行いたしまして、やみ流れを防止しなければならないのであります。決して自由販賣等にしてはならないと考えるのであります。(拍手)
 肥料はリンク制とせず、反別割に公平に配給しなければならないのであります。肥料をリンク制にするときは、富農の人でたくさん供出する人は、肥料がたくさんはいりまして増産できるか知れませんけれども、貧農・零細農・飯米農にありましては、肥料の配給がないから生産がますます減退いたしまして、全國的には非常なる減産となると考えられるのであります。(拍手)報奬物資は、地方の必要な物資を檢討いたしまして、適所適品を配給するようにされたいのであります。たとえば新潟のような雪の所には長ぐつ、また関東地方のような所には地下たびというように按配しなければならないと思うのであります。また報奬物資が政府の約束通りに配給されたことがないのであります。これも約束しただけのものは責任をもつて配給していただきたいのであります。
 買上價格は生産量を基準とし、他物價との比較をなして、鋏状價格差を生じないように決定することであると思うのであります。早場米、早堀甘藷等につきましては、地場の事情に即應いたしまして、價格の適正化をはかり、早く供出したために損をしたということのないように、暫定價格制を採用すべきものであると考えるのであります。單作地帶の價格は、年間にわたる他物價の変動の影響をこうむることが多いのでありまして、これに対しましては適当に調整することが可なりと思うのであります。
 なお、くり・くるみ・水産粉食原料・油脂・澱粉等・未利用資源の活用を拡大し、これを推進することにしなければならないと考えるのであります。
 先ほども申しました通り、幽霊反別であるとか、やみ反別であるとかいうようなものは、地方の農村ボスによつて行われるものであります。やみ反別とはいかなるものであるかと申しますならば、地主は、一反歩の面積がないのにもかかわらず、八畝歩しかないのを一反歩あるといつて貸しつけておきます。すなわち、この二畝歩というのは幽霊であります。やみ反別とはいかなるものであるかと申しますれば、これは地主は自分の土地を開墾いたしましても、開墾した届けをしない。そしてつくりどりをしておるのであります。こういうものがやみ反別と申すのでありますが、これらのものを摘発いたしまして、この土地を開放しなければならないと考えるのであります。
 なお、画一的増産作付計画を廃止いたしまして、適地適作主義により増産作付反別を決定しなければならないのであります。今日われわれが農村におきまして、常に見るところは、同じ並んでおるところの田畑でありましても、一方のたんぼにおきましては八俵收穫が見られ、一方には同じ地質でありながら四俵しかとれないというような結果は非常に多いのであります。これらの点を是正いたしまして、平均水準を六俵くらいに引上げることは、さほどにむずかしいことではないと考えられるのであります。これらにつきましては、各農村におきまして、部落にブロツク制責任増産計画というものを立てまして、その責任において、この水準額にまで引上げるような努力が拂われなければならないと考えるのであります。
 その他肥料を増産いたしまして適量配給、土地改良を行いまして水害を除き、旱害を除き、あるいは二毛作といたしまして收穫を増大する。なお水利事業を完遂いたしまして、干拓事業をやり、あるいは灌漑水の施設を行いまして、増産に資さなければならないのであります。その他開墾・干拓等によるところの増産計画をも並行してこれを行うのであります。
 以上、時間がないので簡單ではありますが、私どもの計画を申し上げた次第であります。(拍手)
#23
○議長(松岡駒吉君) 坪川信三君、発言者を指名願います。
#24
○坪川信三君 民主党は、まず松本一郎君を指名いたします。
#25
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
#26
○松本一郎君 私は、米麦、甘藷等を生産し供出いたしております一耕作農民であります。供出の問題につきましては、全國六百万戸、三千万農民は重大な注視と監視とをいたしておると思うのであります。しかしながら反面、五千万の配給を受くる國民大衆も、この問題の成行きには必ず重大な考慮が拂われておることと存ずるのであります。敗戰日本の現状におきましては、八千万民族、社会連帶主義の立場から、私どもは一農民としてよりも、一日本人として、この供出問題を合理的に適正に解決せなければならぬということを痛感するものであります。
 つきましては、目前に迫る食糧危機を控えまして、これに対していかにして農村から食糧を救援米あるいは供出米として出せるか、絶対にないならばいたし方ありませんが、御承知のごとくあちらこちらに摘発されておりますやみの食糧はたくさんある。しかるに、これが正規のルートに乗らないのはいかなるわけであるか。これに対しまして、私どもは過去を論じたくありません。また今日二重價格を設定し、にわかに高い値段で買上げるということは、二十一年産米の供出を完納した農家との均衡がとれなかろうとも考えられますので、この点よほど考慮はいたさなければなりませんが、ともかく危機を目前に控えております今日といたしましては、隠匿物資あるいはその他繊維製品を全國からかき集めて、これを報奬身代りとして出してでも、農村から食糧を正規のルートによつて供出面に配給面に出すべきものではないか。これに対する具体的な対策が、今なお危機を目前に控えておる今日講ぜられずして、反面やみが日々横行しておるということははなはだ残念に思うがために、政府の一日も早き方策を講ぜられんことを切に望むものであります。所見を伺いたいと思ひます。
 第二は、恆久的な食糧増産の対策についてであります。これまで政府がいたしておりました供出制度は、できたるもの出さして、どうしてこれを配給するかという、いわゆる供出面にのみ重点がおかれておりましたがために、農林省は國民から、農林省にあらずして供出廳であると非難を受けるのも、これがためなのであります。つきましては、政府は近く供出制度を改正されんといたされておりますが、このねらいどころは、本年の、すなわち二十二年産米あるいは甘藷、これを供出させることを目的として供出制度の改正をいたされんとするのであるか、あるいは二十三年、二十四年、奬來の恆久対策をねらつての制度の改正であるのか、この点を伺いたいと思うのであります。
 私ども長らく主張いたしておりますものは、すべて食糧を増産するがためには、農家をして食糧生産責任制をとらすことであります。これが一番良策であります。責任生産量を割当てる。しかもこの割当にあたりましては、平年作を基準として無理のない割当方をする。しかも地力、風土すべてを考究いたしまして、全國つとめて適正を期さなければならぬ。かように主張いたしておるのでありますが、今度の供出制度の改正は、この方向に向われておるものなりや否や。かようにお伺いをしたいと思うのであります。
 次に伺いたいと思いますことは、おそらく今度改正せんとする供出制度の方法は、ただいまといたしましては、二十二年産米あるいは甘藷には役立つまいと思うのであります。奬來恆久対策としてはよいと思いまするけれども、現在といたしましては少し役立つまい、かように考えますときに今度供出制度を改正せんとしても、おそらくそれはこの二十二年産の甘藷・米に限られるもの――もしさように相なりますならば、おそらくその結果は、從來の供出制度とあまり変りはないものとなつてくるのではないか。
 從來の供出制度の欠点がどこにあり、農民がどこに不平をもつておるかということは、各位もよく御承知のことと拜察いたしますが、第一の原因は、増加供出をいたしました場合には、必ずそれは明年の割当、増加割当がくるというがために、増加供出がしにくい。裏面で流すものがあつても表向き出せないということが、その一つになつておるのであります。いま一つは、官僚のこれまでのやり方に対する大きな反感をもつている。これも一つである。もう一つは、やみ商人と農家とが深きなじみになりまして、義理でやみ屋に賣るものはありましても、これを正規のルートに流すことができぬ。しかもやみ商人は、農家が地下たびが欲しければ地下たび、あるいは嫁入り道具が欲しければその道具、農家の希望するものを持つてまいりますから、このやみ商人に素手で帰しては申訳ない、かわいそうだという農家の義理から、足りない食糧を流す者もあるのであります。
 こういう点をよく考えてまいりまして、この農民の氣持をよく考え、責任生産量を果したあとを供出さすがためには、すなわちここに自由販賣なりや、あるいは二重價格なりや、報奬物資なりや、いずれが適当なるかという問題が生じてくるのでありまして、もしこれを自由販賣にしますならば、あるいは食糧増産の必然可能性は生れてきますが、しかしながら日本の現段階におきまして、連合軍に懇請して食糧の輸入を仰ぐとか、または先般來ララの救援のありがたい食糧物資をいただいて、この遠く離れた人類友愛の精神から出発されたる御芳情に対しても、日本が自由販賣しているというようなことがあつて、どうしてわれわれ奬來懇請することができますか。今日の日本のこの実情をよく考えるとともに、いま一面は、もし自由販賣をいたしまするならば、御承知の新円層はあちらこちらにできている、食糧の絶対量は足りない、海外からの輸入は自由でないという今日において、必ず買い占められまして、消費者は十分なる配給をもらえればよろしいが、もらえないことは事実。しからばやみで買うか、またはこれらのいわゆる買い占めた人から、不当な利得を占められて、これを買わなければならぬということになりますがために、今日の日本の社会情勢の段階におきましては、自由販賣まだ時期尚早と言わざるを得ないのであります。
 なお、もし自由販賣時期尚早であればどうすればよいかと申しますれば、すなわちここに二重價格を設定し、一面は供出、一面は相当程度の價格で買い上げる、しかもこの價格は、先にも話にありました、いわゆる農村が再生産に必要なる程度の農村購入物價に匹敵する價格で買い上げること、いま一面は、農村が最も希望している繊維製品を優先的確に特配をする、これでなければならぬと思うのであります。
 さらにもう一つ附け加えて申したいと思いますのは、今日なり將來の供出制度が、從來のごとき、すなわち反当收量に基本をおいて供出させる制度でありましたならば、おそらく篤農家は惰農となり、食糧の増産はとても期待できぬと思うのであります。すなわち骨折り損ということになつてまいります。これまで收量は、坪刈りによつて檢査いたしております。骨を折つてよき田をつくり、たくさん米をつくつて、坪刈りされて米の收量がたくさん出たら、それに基いて供出量が増すのであります。ところがこの坪刈りという制度が、はたして公正に適正に行われておるかどうかということは、私ども毎年しばしば坪刈りに立会つておりますが、まじめに坪刈りをやらした町村は負担が重くなり、不まじめに要領よくごまかした町村は負担が軽くなる。でありますから、近ごろは皆が利口になり、惡賢くなつてしまつたのであります。
 五十二株刈らなければ一坪にならないのを、刈取り人夫は申し合せておいて、五十株刈つてくる、四十八株刈つてくる、あるいは前日やるところをきめておいて、もう二、三株先に刈つてしまうというような結果から、坪刈り制度はここに大きな欠陷を暴露しております。これに基いてでき上つたのが、一〇〇%あるいは一一〇%というあの数字であります。ですから、一一〇%供出した町村は優良町村なりと必ずしも断ずることができない。また九〇%より供出しない町村がありましても、これが不良な農村なりと言うことはできないのであります。すなわち、坪刈り制度の根拠に大きな間違いがある。これがために、だれがやつても、これはこうなりやすい弊害があります。であるから、この際はどうしても生産割当責任制を先にきめてしまつて、これだけは何としてもつくれ、これ以上つくつたものは、努力を買つて二重價格なり報奬物資によつて政府が買い上げ繰作するという制度をとらなければ、食糧は決して増産できないと思うのであります。
 さらに供出制度と関連して、先ほども肥料のリンク制の話が出ました。これも昨日農林委員会において論議されたのでありますが、そのとき農林政務次官は、肥料はリンク制によつて、供出されたるものにリンクして配給すると言われたのでありますが、これも私ども、先ほどの所論と同じく絶対反対であります。轉落農家、保有米農家はたくさんあります。しかるに、なおかつ最近では農地法で改正になりましてから、にわかにできたあのたくさんの保有米轉落農家をごらんなさい私どもが想像いたしまして、全國の三割、まず百万町歩は、保有米以下の農家であると思うのであります。しかるに昨日も農林政務次官は、轉落農家や保有米農家の收穫が、肥料をやらないから減つたくらいは、たくさんつくる農家が増産すればよいではないかという簡單なお話でありましたが、およそ肥料はつとめて公平に分配すること――これはずつと昔、田中義一大將がこの議会で(笑声)農村振興は肥料の公平な分配にあると言われたことがあります。ともかくも、これはいざおいて、肥料は公平に分配し、たとい一反一畝の田からでも増産に努めなければならぬと考えます。
 同時にいま一つは、この間も伺いますのに、九〇%以上を供出した農家に対しては肥料をやるが、九〇%以下の農家に対しては、成績不良であるから肥料をやらないという話を伺つたのであります。これはある筋から確かに伺つているが、もしそうであつたならば、このパーセンテージの出し方というものは、だれが嚴格に責任をもつて全國的に決め得るや。このことにつきましては、いかなる篤農家といえども自信がもてないのであります。すなわち、日本人の精神をことごとく洗いかえて、立派な道徳感に立つところの國民性にする教育のし直しからかからぬことには間に合わぬ問題であると、かように私は思うのでありまして、結局これは供出制度がいわゆるパーセンテージというものに基礎をおくということが間違いである。しかるがゆえに、九〇%以上供出した者には肥料をやるが、それ以下の者にはやらないという、この政府の肥料公團の方針には、私どもは賛成いたしかねるものであります。
 その次には、各府縣の米あるいは甘藷、その他食糧の供出の事情を、昨年から本年にかけて私見ておりますのに、殊に米におきましては、縣によりましては、供出米に対しまして非常に高價なありがたい報奬物資を出している縣もあるのであります。しかるに縣にありましては、何も出さない。出す約束はしたけれども、結局現品はいつになつても手に渡らない。やつと來たが、米十俵出して地下たび一足であつた。こういうような縣もありまして、縣と縣との間わずか村を一つ隔てて、隣りの縣は莫大な繊維製品があり、隣の縣は何もない。何もない縣は必ず不平が起りまして、実情を調べたら、その縣はさいわいにも終戰以來繊維製品の手持があつたが、これを食糧のために放出した。片方には何もなかつた。こういうことでありますので、この報奬品は、政府におきまして全國的に統一して、米一俵についてどれだけ、あるいは増加供出についてどれだけということで、公平に分配されて、供出の適正を期せられたい。さよういたしますことによりまして、農民も必ず満足されるでありましよう。政府は新日本再建國民運動を積極的に津々浦々にまでも起して、日本国民の自覚と正義に訴えられ、そうしてこの食糧危機を切抜けるとともに、絶対量の足りないわが日本の食糧対策を講ぜられんことを私は熱望するものであります。(拍手)
#27
○議長(松岡駒吉君) 小澤佐重喜君、発言者を指名願います。
#28
○小澤佐重喜君 日本自由党は、まず第一に三浦寅之助君を指名することにいたします。
#29
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
#30
○三浦寅之助君 供出制度に対しまして、社会党のご意見を拜聽いたしました。およそ政治は、絵に描いた餅、理想案では、とうてい國民生活の安定を期することはできません。要は、必ず実行し得る建前をとらなければならぬのであります。社会党の供出制度に対する御意見は、いわゆる徹底的民主化をはかることが根本のようであります。
 一体徹底的民主化をはかるというけれども、日本全國の農家の個々の実情を、南は九州から北は北海道、あるいは地方的に、地理的に耕地の便を考え、また都会に近いところの、あるいは遠いところの農家もあり、あるいはその土地の地力、その農家の耕作面積、農家の農業能力、また各特殊の事情による肥料の配給、あらゆる面を考えました場合において、それが公平にしかも民主的に、どなたも納得のいくような割当ができると考えるのでありましようか(「できる」と呼ぶ者あり)できると考えることは、神様でなければできない。(発言する者あり)默つて聽きなさい。私の言うことに反対ならば、あとからいくらでも意見を聽きます。そういうような、公平にしかも納得のいく割当ができると考えるところに、実情を知らないところの錯覚があるのである。
 もちろん、各部落ごとに責任割当制度をとるということはよろしい。全國公平に、各部落ごとにこの割当責任制をとるということは、理想としてはよろしいが、しかし、これも完全な実行の面にあたつては相当困難が伴う。將來の理想として、長年月かかつてこれらの問題を調査するというのならばいざ知らず、現実の問題として供出問題を考える場合においては、徹底的民主化というような、まことに國民に対しては耳ざわりのいい言葉ではあるけれども、その実際を考えた場合において、私は非常に困難が伴うものと考える。ゆえに、供出の問題については、これはどうしても從來の耕作面積を標準とし、あるいはもちろん部落ごとの大体の意向も参酌するがよろしい。あるいは地方の実情を調査するのもよろしい。あるいは耕作面積や、地方、氣候、すべての状態を参酌して、大体の標準を定めることは、もちろんわれわれといえども絶対賛成である。ただ社会党の諸君の言うような、徹底した全國公平なる割当制度はできないということであります。
 であるから、大体從來の標準を基礎とし、從來の地方の実情を標準として、責任のある大体の割当制度をこしらえる以外にはないのである。こういうような割当制度を布くことによつて、これは当然耕作前に供出の割当をしなければならない。現在のように收穫高を基礎としてこれを割当てるに至つては、断じて農家の生産意欲を高揚するものでもなければ、また現在のごとき供出制度によつては、断じて農家に喜んで供出させることはできない。要は、耕作前に供出を割当て、しかしてその後は、その農家が一生懸命農業に從事して、少しでも多く取つたところの收穫量に対しては、どうしてもこれは自由販賣をさせなければならない。
 ところが、先ほどの民主党の方のお話を承ると、この收穫量に対して相当の大幅の價格で買上げるという制度を申されておる。一應それは納得はいくのであるけれども、実際の問題として、それは農家は出さない。いろいろ政府が考えておるけれども、あの現在の公定價格の幾倍かの報奬物資によつてこれを供出させようとしても、それはだめだ。成功はしない。その理由は、農家の実際を知らぬから。農家は、自分の生産額を知らせるということは好まない。また、もちろん供出に対しても……(発言する者あり)農家はそれはしない。
 こういうような問題を考えると、もちろん自由販賣によるところの弊害がないとは私は申しません。いろいろな弊害があるけれども、この弊害の程度をいかにして是正するか……
    〔発言する者あり〕
#31
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に。
#32
○三浦寅之助君(続) すなわち、弊害をなるべく救うところの方法をとつて、そうして一方においては農家の生産意欲を高揚する。農家が喜んで供出する、一〇〇%、一一〇%、一三〇%も供出する、その意欲を出させなければならない。(「それはどうするんだ」と呼ぶ者あり)その方法は、それだから自由販賣……(笑声、発言する者多し)結論を聽きなさい。結論を聽かなければ、わからないじやないか。しからば自由販賣をやるについて、この弊害を是正するにはどうしたらよろしいかということを、お互いに考えなければならぬ。
 それで食糧というものは、おのずから限度がある。その限度によつて、たとえば十月なり十一月なりのわれわれの実際の消費量を考えて、それ以上も買占をしたような者に対しては徹底的にこれを取締る。またこの以外の買受をする場合においては、あるいは任意の消費團体、あるいは中小商工業者の團体、その他の各種の團体によつて、これを買はしめればよろしいのである。こういうように、この買占を防止し、あるいは自由に買受けるところのこの團体等によつて、できるだけ自由販賣の計画実現の方法を考えなければならない。しかしてもし團体によつて買受等をする場合において、あるいは失業者であるとか、あるいは引揚者、あるいは遺家族等の生活のでき得ない者に対しましては、その買受代金に対して國家が相当の額を補助するという建前をとるのである。そういうようなことによつて、自由販賣の弊害を是正しなければならぬ。
 これを徹底的に嚴罰にするところの政府の方法によつて、しからばこのインフレは止まるか。嚴罰することによつて供出ができるか。現実の事情を見たまえ。断じてできない。この徹底的嚴罰方針こそ、インフレをますます助長し、今日のやみ物價をますます助長する以外に何ものもないではないか。この現実の姿はなんだ。この現実の事実を考えよ。(「四党政策協定を誰がつくつた」と呼ぶ者あり)かくのごとく嚴罰を実行していくことによつて、実際の消費者の立場からいうと、消費者は必ず買わなければならないのであるから、そこに弊害が起るのである。
 今日の國民は、一方においては遅配・欠配にあえぎ、一方においては、その日その日の買出しに不安を感じている。社会党の諸君は大きなことを言つているけれども、しからば諸君はいかにして生活しているのか。今日の諸君の生活状態が、はたして経済的に良心的であるか。(「君と一緒だよ」と呼ぶ者あり)この事実を考えていただきたいのである。今日國民は、取締りの不安と食糧の不足によつてどれほど苦しんでいるか。われわれは少くとも一方においては食糧不足を考えるならば、他面においては、法規の取締りのある程度の明朗化を考えなければならないのである。少くとも日々の生活に安心感をもたずして、われわれはその日その日の職域に奉公ができると考えるか。(「そんなことはわかつている」と呼ぶ者あり)できないがゆえに、わかつているならば、何がゆえに嚴罰の方針をとらなければならないのか。惡いということのみに沒頭している。しかし私は、取締方針をかえて、これを放任しろというのではない。少くとも自由にできる最高販賣價格をきめて、その範囲において消費者が自由に買い得るくらいのゆるみを國民にもたしていくことで、明朗な生活ができると思うのであります。
 その外の社会党の意見については、もちろん賛成の点が多いのであります。たとえば供出代金を先に支拂うこと、その通りである。あるいは肥料代その他の必要物資の配給も増産をして、農家に一日も早く多量に配給しなければならないことも、御意見の通りである。だから、そういう点に対してはいいが、少くともこの供出問題に対して、ただ嚴罰のみによつて國民を威かして、これによつて供出が出るという錯覚――それによつて農家が生産を増強し、供出を完了すると思うのは、とんでもない誤りである。
 見たまえ。今日主食がある一方にかたまつておるところもあるであろう。あるいは一方に必要のない部分にこの重要食糧が滯つているというこの事実、これもある一定の範囲にかたよるところの欠陷であるということを考えるならば、私は少くとも主食に対しては、ただいま申し上げましたような方法をとり、野菜等においては、統制を撤廃することによつて供出制度は完全にいくのみならず、今日の食生活を改善する重要なる部分をなすものであると確信いたします。以上をもつて終ります。
#33
○議長(松岡駒吉君) 赤松勇君、発言者を指名願います。
    〔「お前やれ」と呼ぶ者あり〕
#34
○赤松勇君 私は次の機会にゆつくり自由党と討論することにして、社会党は野上健次君を指名いたします。
#35
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
#36
○野上健次君 私は、ただいま自由党の三浦君並に民主党の松本君から、わが党の提案いたしました責任供出制に対する賛否の両論を伺つたのでありますが、一應この点に関しまして、さらに徹底的に私どもの主張するところに御理解をいただきたいと思うのであります。なお今一つ、私は現下の食糧事情について一應私の持論を申し述べ、諸君の批判を仰ぎたいと思う次第であります。
 今日食糧問題がきわめて重要であることは申し上げるまでもありませんし、同時に全國各都市における遅配・欠配は、きわめて深刻なる影響を國民生活に及ぼしております。さいわいに、本日総理大臣の報告によりますれば、連合軍の好意ある特別の追加放出がなされまして、八月分の遅配をなくすることができるということでありまして、まことに國民とともに喜びにたえないところであります。この対策は急速に樹立いたしまして、乏しき中にも公平を保ち、生産者、消費者ともに納得のいく方法を講じ、もつて同甘共苦、眞に憂いをともにし、將來の希望をともにし合うところの増産意欲の振興に役立たしめなければならぬと思うのであります。(拍手)政府は、これがためにはあらゆる努力を拂われておるようでありますが、議会といたしましてもまた各党の立場を超えて、お互いの主張を十分に檢討し、長短相補足して、一日も速やかに國民のため最善の供出対策を決定すべきであると思うのであります。(「異議なし」と呼ぶ者あり、拍手)
 私は、先般の自由討議におきまして、あるいはまた農林委員会において現われましたところの供出対策に対する各党の意見を拜聽いたしましたるところ、根本的に大きな相違を認めないのであります。ただいまとり上げられました一点、自由党の余剰米に関する自由販賣制度という点に関しては、私どもと根本的にその精神を異にするのであります。(拍手)その他の点におきましては、ほとんど同様の主張の上に立つておるように思うのでありまして、議会におきまして、これこそ今申し上げました各党派を超えた、ほんとうに強力な恒久的な対策ができ上ることを確信するものであります。
 ただいま三浦君の主張されましたところは、社会党案は徹底的民主化をはかるところにあるから無理があるというようなお説のように承つたのでありまするが、よほど自由党の皆さんは徹底的な民主化ということがお嫌いのように伺うのであります。すなわち、地理、交通あるいは労働、経済、そういつた諸條件を異にするから民主化ができないということは、まことに理屈に合わぬことであります。私どもは、もちろんそうした條件を十分に勘案いたしまして、ここに耕作農民消費者、政府ともにまつたく了解納得のいくような供出制度を樹立しようと企図しておるのであります。
 さらにまた三浦君のお説の、超過保有米、責任超過量に対しては、これを自由販賣にせよというお説、これは私今日の日本の食糧事情を考えていただきますならば、かかる所論が実施し得るか否かということは、きわめて明白でありまして、まつたく現実を無視したところの所論と断ぜざるを得ないのであります。自由党の諸君は、自由販賣で買い得るところの経済的余裕をおもちでありましようが、勤労大衆諸君は、今日の配給物資すらも十分に受けることのできないほど、その生活は逼迫しておるのであります。かかる国民所得の現状において、諸君の主張するがごとき自由なる價格におけるところの米をどうして買い得るか。結局買い得るのは、諸君らのようなもてる者のみである。あるいはやみ屋であるとか、新円階級だけである。このようなことは、國民生活に不公平を招來するものであります。私はかかる点に鑑みまして、自由党諸君の唱えられるところの自由販賣制に対しては、断固として反対するものでありまして、責任超過供出に関しましては、先ほどわが党の菊池君が提唱したごとく、これは特別價格制度を設けまして、その労力に報いるべきであると思うのであります。
 さらに私は、結論にはいります前に、いま一度対策の根本について、私の所感を述べてみたいと思うのであります。この供出対策の根本は、失われた政府の信望を回復し、農民並びに消費者の政府に対する信頼感を高め、さらに進んでは積極的協力を得るがごとき対策でなければならないと思うのであります。すなわち民主化の徹底をはかり、みずから自主的供出を促進するようにならねば、この目的を達成することはできないのであります。
 昭和十七年以來政府のとり來りましたところの対策は、まことにどろなわ式であり、朝令暮改、年々これを改めましたがゆえに、遂に片山内閣におきまして、今日の政府不信を招くにいたりましたもので………(「三合配布はどうした」と呼ぶ者あり)それは農林大臣に聽いてくれたまえ。
    〔発言する者多し〕
#37
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#38
○野上健次君 今日までの実施要領を見まするに、政府の意図するところは、ほとんど末端に徹底していない。また政府は、農家が実際にどういう状態におかれておるかということを、今日まで明確に把握しておらない。まつたく暗中模索の状態である。農民は政府がだますということを言つておる。政府は農民がうそをつくと言う。まことに悲しむべき状態になつておるのであります。善惡にかかわらず、かかる不安定な方針のもとに政治される國民こそ、不幸そのものであります。かかる前自由党内閣によつてとられたる場当りの政治こそ、惡政なりと言わなければならないのであります。
 この弊害を一新するためには、常に動かざる基本的な供出意欲を確保せねばならぬのであります。このためには、まず收穫高を正確に科学的に把握することの必要であることは、もとより言うまでもありません。この点につきまして、同僚菊池君から責任供出制度について先ほど御提案申し上げ、皆さんの嚴正なる、しかもまじめなる御批判をお願いいたしたわけであります。
 私は、いまひとたび提案者の説明を補足いたしまして、私どもが考えておりますところの生産責任供出制度について、二、三申し述べてみたいと思うのであります。
 まずその実行方法として具体的に申し述べてみますれば、市町村食糧委員会において、各一筆ごとに地番と面積を正しまして、地力の調査を断行するのであります。そうして米麦地、芋畑等にわたりまして等差級を設けるようにいたします。そうしてその根拠は、査定標準となつてくるところの標準地をあらかじめ設定いたしまして、各筆ごとに等差級を設けていくのであります。
 次には、標準量を決定するために、当該部落の平均反当收量を過去にさかのぼつて相当年間にこれを求めまして、その平均反当收量に当該部落の総面積を乗ずるのであります。そうして部落の標準收量を算出いたしましたならば、各等級ごとの收量の合計が、その当該部落の標準收量となるような各等級反当收量を算出することができるのであります。
 以上のような基礎調査に從いまして、各農家ごとに集計いたしました地区生産責任量と、家族人員から計算したところの保有量の差額が、すなわち農家の可能供出量となるわけであります。これにつきましては、作柄が責任量を下まわるというような場合には、等級の差を低下いたしまして、当該食糧委員会に申し出まして、十分合議の上これを定めるということにいたしましたならば、きわめて民主的に、スムースに行くと考えるのであります。その基準といたしますところは、先ほども提案者から説明いたしましたように、地力・地形・水利・交通等を基準といたしまして、さらにその年の肥料、天候その他の事情を勘案いたしまして、これを決定するのであります。
 以上、きわめてアウトラインを申し上げましたが、いわゆる生産責任供出制度を私どもここに御檢討をお願いした次第でございます。その他いろいろ私は持ち合せているのでありますが、われわれといたしましては、合理的な、先ほど申し上げました生産者、消費者並びに政府の間にありますところのわだかまりをとつて、ほんとうに増産意欲に奮い起つて、わが國の食糧問題を解決する根本的な方針をこの機会において立てたいと考えるのでございます。
 いま一つ、私どもといたしまして皆様にお考えを願いたいことは、現在の日本の農業経営は、御承知のようにきわめて原始的な経営形態をとり、非常に零細な農業家が多いのであります。この農業は、もちろん國家のきわめて小さな企業として営まれていますが、これを全國として統括いたしました場合には、きわめて大きな一つの事業として見ることができるのであります。私は、運輸省、逓信省等が現業官廳として行政、現業両面を受け持つたように、農林省におきましても、單なる行政官廳としてでなく、現業官廳として農業特別会計というがごときものを考慮に入れまして、眞に総合的な調査研究機関をつくりまして、全國農業の將來のあり方というものについて眞劍に研究していただきましたならば、それこそ農民は非常な喜びをもつて増産に邁進するでありましようし、今日のごとき政府不信の声も、また農民に対する非難の声も消え、欣然として増産に邁進することができると考えるのでございます。
 以上、簡單でございましたが、私は自由党の、特に徹底的民主化をおやりになることに関して、自由販賣制に対する私の所見を申し述べまして、意見の開陳といたします。(拍手)
#39
○議長(松岡駒吉君) 坪川信三君、発言者を指名願います。
#40
○坪川信三君 民主党は、次に橋本金一君を指名いたします。
#41
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
#42
○橋本金一君 司令部の食糧放出により一應緩和した感はありますが、少くとも食糧に関する限り、再三の施策は遺憾ながらほとんど不成功に終つておるのであります。しかして明日に備えるために、本日の討論会を機に、各方面からの生産供出に対する御意見を承つたのでございます。殊に菊池君の発言中にありました生産並びに供出の問題に対しましては、私ども理想とし、理論的には全面的賛意を表するのでありますが、ただ理想、理論によつてすべての政網が行われ得るならば、今日まで政府当路の計画はこれほど蹉跌を來すべきものではなかつたのであります。要は、人心の機徴をつかみ、そこに理論づけがなければ、ほんとうの実ある計画は立つものではございません。
 私どもは、生産面に対するいろいろの施策、計画を承りまして、ごもつともだとは存じまするが、一面に供出とともに、これの処分すなわち配給の面も一括して考えなければならない。同時に國家財力をも加味いたしまして、この問題の解決をなさなければならぬと思うのであります。その点から考えますると、供出の不備なる点、不成功に終つておりまする理由は、先ほどより各員の申されたこともごもつともであるのでありまするが、そのまた反面において、價格における他の物資との均衡のとれなかつたこと、あまりにも距たるところにこの供出を阻んでおる事実があることも見受けなければなりません。
 そこで、先ほどからの御議論のごときいろいろな施策を勘案をいたしまして、少くとも今後改正せられまする價格あるいは供出の方策は別といたしましても、それら改正せられた價格、いろいろと政府の打たれる手によつて責任割当、責任供出をして、その責任供出の完了をいたしましたる限りにおいては、その生産者の手持米の処分こそ、お互いが檢討しなければならないことであります。
 要は、供出完了後におきまするこれら手持米に対しては、少くとも政府当局の指定をいたしまする機関に対し、自由の供出をすると同時に、その正当の機関において、他の物資との均衡をはかり、最も高度なる價格を決定することであります。しかして、これをいかに処分するか、要は今日の配給の基本は別といたしまして、高度なる價格決定に對し需要者ありとするならば、その物の自由の販賣をすることであります。ここであります。
 しかし自由の販賣はするといえども、高度の價格によつて買受けたる需要者に対しては、政府の配給数量を差引くのであります。すなわち縁故米の方法と同じごとく、買ひ得る者に対しては、これら責任供出以外の数量を高度なる價格によつて販賣し、しかも配給基準数量を差引いて、差引数量といたしまして、労務の加配、学童の給食、その他一般行き詰まれる食糧の、米麦の乏しきを代替品によつて今日賄われておりますのに対して、余剰米を努めてそれにまわすことこそは、決して政府の財政の負担にならず、ある者はあるべき物を金を拂つて買い、一般國民大衆に対し、重労働に対し、がんぜなき兒童に対し、この余剰米こそは公正にまわすことができると思うのでありますから、どうかこの根本施策を体し御了解を賜わり、各位におかれましてもご協力を賜わりましてその実行に対しては、政府当路者の勇断を促す次第であります。以上でございます。(拍手)
#43
○議長(松岡駒吉君) 小澤佐重喜君、発言者を指名願います。
#44
○小澤佐重喜君 自由党は、その次に山村新治郎君を指名いたしたいと思います。
#45
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
#46
○山村新治郎君 先ほど社会党の方から、供出対策要網につきまして詳しい御説明がございました。私はこの御説明を聽いておりますと、なんだかどこかで見たような、聞いたような感がいたしたのでございます。それあるかな、昨日の農林委員会におきまして、政府案の名目のもとにわれわれ農林委員に配られた供出対策要網がございます。精細にわたつて私は記憶はいたしておりませんが昨日の農林政務次官のお話によりますと、これは、きようは全部返してもらいたいというわけであつたのでございます。私はふしぎに思いましたが、その要綱をお返しいたしたのでありますが、おそらくその昨日の要網とほとんど選ぶところのないのが、ただいまの議論であります。すなわち私は、少くとも官僚統制の域を脱出せざるところの要網案であると言わざるを得ないのであります。(拍手)
 私の方には、今日約百町歩に及ぶところの不耕作田があるのでございます。何がゆえの不耕作田であるかということを調べてみますのにこの土地の近所には、この旱天にもかかわらず、植付けを完了した田が豊作の波を打つておるのでございます。しかるに、百町歩に近いところの不耕作田があるのでありますが、これは何がゆえであるかと申しますならば、すなわち、今までのような天降り供出、今までのような強権によつて威かされたところの供出である限りにおいては、農家はたくさん百姓をしようとすれば惡農となつてしまうことを恐るるのあまり、かような農家の耕作放棄があるのでございます。これは單に私の方の一事例として、これを見逃すわけにはまいらないのでございます。
 おそらく社会党の方々が御存知のごとくに、かのソヴイエトにおきまして、一九一八年に、強権によりまして農民より穀物を徴取したる後において、遂に農民は自分の食物以外のものをつくらなくなつたという事実を見ましても、あくまでもここに農民の氣持に反するところの供出方法をもつていたしましたならば、恐ろしい食糧問題を惹起することが、たれがないと保証し得るのでありましようか。(拍手)すなわち、この点よりいたしますならば、先ほどの御説明は、大略から見ますならばごもつともでございますが、特にその御説明の中にも、農家の生産意欲を増させるということを單に抽象的に言つておりますが、実際に農家の生産意欲を増させるためには、はたしてどうしたらよろしいでございましようか。
 最近政府が唱えられております單なる報奬物資や、あるいはまた買上制度をもつていたしましては、とうてい農家の満足は得られないことを忘れてはならないのであります。現に麦並びに馬鈴薯の超過供出については、高く買上げをすると言ひながら、未だにその値段が決定しないということは、今までもたびたび農民がだまされたところの手であつたのでございまして、從いまして今後といえども、政府が高く買うだろうというような希望のもとに供出する農家のないことを考えなれけばならないのでございます。
 すなわち、これを解決するためには、あくまでも農民の生産意欲を高揚させるためには、農民の生産コストを合わさなければならないのでございます。それはすなわち供出を完遂した余剰の米につきましても、自由販賣以外に絶対方途がないということを私は絶叫してはばからないのであります。(拍手)あるいは皆様方の中には、自由販賣を目にして、あたかも目のかたきのごとくに論ぜられておる方々がございますけれども、靜かに経済の実体というものを見きわめるときに、ほんとうに経済の姿を調べたならば、自由販賣をいたすことについての杞憂というものは吹つとんでしますことを知らなければなりません。
 一例を申し上げますならば、今年の六月から野菜の種が自由になつております。販賣も自由、値段もマル公が撤廃されたのでございます。昨年のごぼうの種は、公定価格におきまして一石七千円、それがやみ値におきましては大体二万円くらい商いがついておりました。だいこんの種が一石四千五百円くらいの公定値段でありまして、やみ値におきまして一万五千円以上の商いがついておつたのでございます。從いまして、昨年の今ごろの物價と今の物價とを比べましたならば、おそらくこのだいこんの種におきましても、やみ値の一万五千円の三倍の値段にしても差支えないのが、普通の机の上の單なる学問上の経済の議論なのでございますが、事実は意外にもだいこんの種におきまして、昨年の公定値段以下に下まわりつつあるという現状を、皆様方ははたしてお氣づきでございましようか。これはすなわち経済というものは、ほんとうに理窟以外の理があるということをお知りにならなければならぬ現状なのでございます。
 またただいま食料品の配給などについての法案が農林委員会にも出ておりますが、すなわち醤油の販賣にいたしましても、代用醤油が去年自由に賣られておつた当時には、公定價格以下に下まわらんとするような趨勢さえあつたのでございます。現在におきまして、ソースが自由に賣られております。マル公も立てられておりますが、その販賣ルートは自由なのでございます。ところが、この自由にされておりますところのソースにつきましては、到るところにおいて生産が過剰になつて、遂にはマル公以下となつて、品物を吟味しなければ買い人がつかないという現状であることを忘れてはならないのであります。(拍手)
 特に主要食糧のやみ値にいたしましても、現在の場合におきましては、ありとあらゆる危險が含まれておることを氣づかなければなりません。すなわちやみ屋が、あるいはまたほんとうにみずから食うために産地に買出しに行きまして、命がけで汽車に乗る危險も含んでおりますれば、また巡査に縛られて品物を取上げられる危險も含んでおりますし、また場合によつては懲役を受けなければならない危險も含まれておる。これらのあらゆる危險を含んでおるから、今のやみ値段は産地の倍くらいの値段をしておるのでございます。ところが、これを一定の市場を通じての自由販賣にいたしましたならば、必ずせいぜい高くて一割か一割五分であるということを忘れてはならないのであります。現在におきましてはあるいは倍以上で取引されておるところの、このやみ値段よりもはるかに安い値段でもつて買えるということは、いささかでも経済の実体に御体驗のある方は、必ず知つていただかなければならぬところであるのであります。
 またややともいたしますれば、もろもろの不合理な…(発言する者多く、聽取不能)先ほどの社会党の諸君の中におきましても、自由党だけ食つておつて、社会党だけ食わないようなことを言われておりますが……(発言する者多く、聽取不能)むしろ社会党がよけい食つて、こつちは食わないような感じがするのであります。すなわち、安本長官の奥さんが新聞に発表されたところを見ましても、その三割はやみでもつて買い、三割は物交ということを報告しております。すなわち六割はやみで安本長官の家庭ですらやつておるということは事実であります。すなわち單なる、ほんとうに正直なる社会主義政策というものは、なかなか行われ得るものでないということを、安本長官の家庭自身が私は國民に白状しておると思うのであります。
 政治というものは、あくまでも生きものでなければならぬのであります。しかも、農民のほんとうの生産意欲を増す上には、どうしても余剰米を自由な値段によつて賣る……(発言する者多く、聽取不能)靜かに聽いて下さい。あるいはやみの肥料を買つたり、高い手間を拂つてまた手傳いをしてもらうこともございましようし、これによつてのみ初めて生産意欲が上るものであることを忘れてはならないのであります。すなわち、供出以外によけいにとつた余剰の米を供出させるというようなことをしましては、永遠に農民の生産意欲は上らないと思うのであります。
 ややもいたしますれば、この時期におきまして、連合國にいろいろな食糧を懇請いたしておるときにおいて、自由販賣などは唐人の寝言だというようなことを言われた方が先ほどもあつたようでございますが、われわれは、ほんとうに日本におきまして食糧の生産が旺盛になり、また供出が順調になり、配給が円滑になるためのあらゆる智慧をしぼらなければならないと思うのであります。それこそわれわれ議員に課せられたる責任であると言わなければならないと思うのであります。この点に関しましては、一部におきましても、この自由販賣についての反対の御意見があるかもしれませんが、單にそれなるがゆえをもつてこの意見に追随するということは、かつての東條内閣のときに、東條大將に阿諛迎合したるところの翼賛議員と何ら変るところがないということを指摘したいのであります。……(発言する者多く、聽取不能)違うといたしまして、この食糧危機突破のために、どうかイデオロギーにとらわれないで、ほんとうに農民の生産意欲を増させ、またこれによつて農家に供出を完了させるところのこの自由販賣に、各派とも賛成あらんことを熱望いたしまして、私の演説を終ります。(拍手)
#47
○議長(松岡駒吉君) 赤松勇君、発言者を指名願います。
#48
○赤松勇君 社会党は、次に佐竹新市君を指名いたします。
#49
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
#50
○佐竹新市君 ただいまは、自由党の山村君のまことに名論を拜聽いたしました。
 まず第一番に、わが党の名誉にかけて申上げたい点が一つあります。それは、菊池君がさつき説明いたしました、供出対策は、農林委員会において政府の方から出された祕密書類と違わないというようなお話を伺いました。私は、いささか山村君の頭がどうかなつておりはせぬかと思います。あの中には、供出の具体的な問題に対してのことは少しも書いてないのであります。あれは、政府の方でどういうふうに供出の問題を扱うかきめておるのでありまして、まつたく根本的に違つておる問題であります。國民が食えるか食えぬか、生きるか死ぬかというこの重大な食糧の供出問題に対しまして、あたかも他党を誹謗し、まじめな意見でさえも、ことさらに感情をまじえて反対することに対しては、断じて反対せざるを得ない。(発言する者あり)
 自由討議の立場におきまして、自由党の諸君に申し上げてみたいと思います。今までの問題に関しまして……
    〔発言する者多し〕
#51
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#52
○佐竹新市君(続) それに対しまして、社会党の言うことは理論的であるとか、あるいは社会党はいたずらに権力を用いて供出をさせようとするとか、こういつたような言葉がありましたけれども、われわれは自由党の諸君に申し上げたいのであります。社会党の一番基盤とするところの日本農民組合、全國農民組合、この二つの全國の農民組織、村から、縣から、全日本の農民の声によつてこの供出対策をいたしておるということを……(発言する者多く、聽取不能)諸君の政党に一体満足であるか。あわてふためいて、農村の農地問題改革の反対のことに――ここに自由党は、終始封建勢力であるところの農民勢力と……(発言する者多く、議場騒然)文句があつたらいつでも來い。(「その通りだ」と呼び、その他発言する者多し)われわれはかかる立場に立つて、まず農地改革の問題について、供出問題を考えて意見を申し上げたいと思うのであります。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#53
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#54
○佐竹新市君 農村の負担におきまして……(発言する者多く、聽取不能)かような反動勢力が、いつでも……(発言する者多し)われわれは、この問題に対しましては……
    〔離席する者、発言する者多く、議場騒然〕
#55
○議長(松岡駒吉君) 御著席を願います。――御著席を願います。
#56
○佐竹新市君(続) 問題として申し上げたいと思います。
    〔「取消せ取消せ」と呼び、離席する者、発言する者多く、議場騒然〕
#57
○議長(松岡駒吉君) 進行を願います。御著席を願います。――著席してください。
#58
○佐竹新市君(続) わが社会党から、先ほど食糧対策について申し上げましたので、私は配給の問題を申し上げたいと思うのであります。
(発言する者多し)安定を期すること……(発言する者多く、聽取不能)こういつたような具体的な案をもつておるのであります。(發言する者多し)いろいろ自由販賣について議論がありましたけれども、私は、自由販賣は絶対現在の食糧事情のもとにおいては、不可能なものであるということを申し上げたいのであります。(拍手)
 この点に対しましては、野上君並びに菊池議員によつて申されましたけれども、さらに供出を完納しました縣と供出を完納せざる縣と二つありました場合に、ある縣においては供出を完納して自由販賣をやる。ある縣においてはまだ未完了でありますがために、供出の未完了の縣より完了の縣に流れるおそれがある。これは米のやみを助長する結果になつて、何の役にも立たぬ。これに対しては、私は絶対反対であります。以上述べた点が大体私たちの所見でありまして、この大切な供出問題に関しまして、まことにやじをもつて應酬せられたところの方々は……
    〔「やじとは何だ」「取消せ取消せ」と呼び、その他発言する者多く、聽取不能〕
#59
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
 坪川信三君、発言者を指名願います。
#60
○坪川信三君 民主党は、次に佐々木秀世君を指名いたします。
#61
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔議長退席、副議長着席〕
#62
○佐々木秀世君 先刻本議場におきまして、片山内閣総理大臣から、連合軍の御好意によりまして多量の食糧放出許可があつたという御報告をいただき、それに対しまして、われわれ議員も感謝の拍手を送つたのでございます。われわれはただ單なる感謝の拍手のみにあらずして、この食糧問題に対しましては、どうぞ各位におかれましても、各政党を超越いたしまして、眞劍にこれが論議を盡されなければならないと私は信ずるのでございます。
 過般の農林常任委員会におきまして、政府より、昭和二十二年度の産米……
    〔発言する者あり〕
#63
○副議長(田中萬逸君) 靜粛に願います。
#64
○佐々木秀世君(続) 及び雜穀の供出対策要網が発表せられたのでございます。その内容を承つたのでございまするが、政府におきましても、食糧問題に対しましては、日夜御努力をされておりますことにつきましては、國民の一人といたしまして、深く敬意を表するものではございまするが、しかし、この供出対策要網の各條項にわたつて、檢討いたしまするときにおきましては、幾分私たちといたしましても御質問申し上げ、いろいろまた御檢討もいただきたい点があるのでございます。
 殊に私は、現下の國内的食糧危機に対しまして、全國の供出が十分でないということにつきましては、その政策にも幾多の欠陷があるのではないかと感じさせられるのでございます。殊に米價の問題でございまするが、新聞紙上によりますると、本年度の米價が約二千円に決定されるのではないかというような報道もございまするが、これが二千円になろうとか、あるいは二千五百円になるとかいうことはさておきまして、この米價をきめるにあたりましては、諸物價とにらみ合せまして、ほんとうに農民の納得のいくところの米價を決定しなければならないと私は叫びたいのでございます。
 殊に今日の農作物の幾多の價格を見ますると、私の考えておりまする点におきましては、青果物の價格が、米の價格あるいは芋類、雑穀と比較いたしまして、非常に高價な値段できめられております。また市場におきましては、すいかの價格が百匁三十円とか、あるいはまた本会議におきましても、皆様御承知の通り食堂におきましても、一切れ二十円のすいかが販賣せられております。こうした青果物の價格と米雑穀等の價格を比較いたしますると、そこに格段の開きがありまして、この点にも農民の納得せざる点があるのではないでしようか。
 また報奬物資にいたしましても、あるいはタバコ・酒・地下たび・作業衣、こうした報奬物資は、生産意欲を向上せしめるためには当然でございまするが、私の考えといたしましては、肥料を報奬物資に與えるということに対しましては、全面的に反対を叫ぶものなのでございます。(「ヒヤヒヤ」)御承知のごとく肥料は、でき上つた米に対するところの肥料にあらずして、肥料というものは、生産を増加せしめるための肥料であり、肥料はすなわち土地に與える肥料であると考えなければなりません。この点から考えましても、肥料は生産のための肥料でありまするがゆえに、今後政府におきましては、肥料を報奬物資に出すということにつきましては、十分なる御研究が願いたいのでございます。
 殊にまた先ほど社会党の野上さんからお話がございましたが、供出を完全にせしむるということにおきましては、政府が農民から信頼を受けなければならない、ごもつともでございます。しかしながら現下の食糧対策におきましては、私はただ單に農民に対する一方的な施策であつてはならないと叫ぶものでございます。皆さん、食糧はもちろん農民がつくるのでございまするが、この食糧問題に対しましては、もつと消費者でありまするところの國民全般に対する施策が施されて然るべきだと私は叫びます。
 皆さん御承知の通り、わが國におきましては、平年作といたしましても六千二百万石、その増産対策にあたりまして、一割の増收をせしめるためには、自然の氣候と戰い、あらゆる苦難をいたしましても、なかなか容易ではないのであります。しかし、半面國民の食生活から一割を節約するということは、私は可能であると考えております。今日までの食糧政策が、ただ單に農民政策であり、あるいは農村政策であつて、國民全体の食糧対策でなかつたという感がしてならないのであります。(「その通り」)今や、かくのごとき食糧の困窮している場合において、一方には増産の対策をとると同時に、一方においては國民の食生活改善の一大國民運動を展開すべきであると私は叫びたいのであります。(「その通り」、拍手)
 この食生活の改善におきましても、あるいは村の青壮年團体から婦人團体、あるいは労働組合等の諸團体を糾合いたしまして、現下の日本の食糧事情をつぶさに訴え、しこうしてまた粉食・粒食によるところの將來の日本の食糧事情は当然行詰まるであろういうところの現実を教えて、みずからが一日三杯食べるご飯を一杯にし、あるいは晝と晩食べる米食を、晝はせめてふきとかわらび、あるいはぜんまいとか、自然が與えてくれる野草のはてまで工夫いたしまして、これを食生活に供するという具体的な運動が展開されるならば、たとえば一割節約できても六百二十万石は節約されるのであります。皆さん、こうした具体的な部面をお互いが研究いたしまするならば、まだまだ日本の食糧は、決して餓死者を出すような状態には立ち至らないと私は考えている者でございます。
 その他作付の指導にいたしましても、北海道あたりにおきましても、道廳の指導員たちは、ただ單に米をつくれ、麦をつくれというような一方的な奬励であつて、土地、いわゆる土壌の状態とか、天候の状態とか、水の状態とかをよく研究いたしまして、今日まで指導してきたような、山の果のだんだら水田にまで米をつくらせるような指導は、今後絶対に改めなければならぬと私は考えます。
 殊に北海道における米作の指導というものが大きな誤りであつた。御承知のごとく、北海道の農産物で最も適しておると言われておるのは、芋類であります。素人がつくりましても、反当り三百貫の芋はとれておるのであります。こうした状態で、過般農林大臣から、日本の食糧事情の解決は芋類の増産にあるというお話を承つたのでありまするが、私もそれに対しましては同感でございまするからして、さような御決意があられまする以上は、ぜひこれをただちに実行に移していただきたいと私はお願いするものでございます。
 殊に今重箱の隅をほじくるようなことばかり議論することなしに、開墾にいたしましても、もつともつと積極的にやらなければなりません。北海道では、ほんとうに開墾のしやすい土地がまだ七十万町歩あるのでございます。こうした点にも具体的にその方策を立て、今日までのように、ただ一反を開墾すれば三百円やるとか、四百円やるとかいうような、金で解決するようなことでなしに、あるいはトラクターを提供するとか、部落協同体に共同耕作地をつくるとか、共同開墾を行うとかいうような、具体的な政策を次から次へと施かれていただきたいと私はお願いするものでございます。
 いろいろ申し上げたい点もございまするが、時間がありませんので結論にはいりたいと思います。願わくは農村、消費者、都会、農民を問わず、國民一致團結して、現下食糧危機対策のために万全を盡すべきであると考えるとともに、こうした食糧討論会におきましても、農林大臣等はお忙しいではありましようが、希わくはこの席に御出席くださいまして、われわれの眞劍な叫びをお聽きしていただきたいと願うものであります。これをもつて、私の供出に対する意見を終ります。
#65
○副議長(田中萬逸君) 小澤佐重喜君、発言者を指名願います。
#66
○小澤佐重喜君 日本自由党は、次には周東英雄君を指名することにいたします。
#67
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。
#68
○周東英雄君 供出制度に関しての自由討議が議題でありますが、このねらいは、各政党も今日の食糧危機に対して、第一は、いかにして農家の供出を円滑にさせるかという点、第二は、いかにして國民経済上農家の生産意欲を高揚せしめて、できるだけ少しの土地でも最も有効に活用して食糧の増産をさせるか、この二つの点が中心になつておると私は考えます。從つて、立案の根拠はこの二点に集中されてくるものと考えます。
 第一点の供出米についての考え方については、提案者であるところの社会党の菊池君、また野上君のお説に対して、大体結論的に言えば、われわれも賛意を表すものであります。今日のごとく、收穫量に應じて供出数量を後に至つて決定するということだけで進みますならば、いかに民主的な割当をいたすといたしましても、農家は自分が努力しても、努力することによつて生産増加をした分についても常に割当をとられるということになりまして、むしろ反対的な考え方からして、それならば自分たちは己の食う範囲だけを生産いたしまして、耕作農地の増大を希望しないところに、全國的に見ても総收量の減ということが大きな問題になつてまいります。
 その点においては、どこまでも一筆毎に今日日本全國の各農地の生産力といいますか、地力を再檢討して、その地力に相應した程度においてどれだけかを供出させる、こういうことを、あたかも封建時代における上納米をとるようなかつこうに、土地ごとにきめてしまう、それを政府が買上げる、こういう形にもつてまいりまして、その土地における平均的な生産地力に應じた一定の割合の供出数量を出させる。この決定のしかたについては、社会党の方のお話になつたような方法をもつて、できるだけ地力の決定については民主的にきめることが必要でありますが、きめられた範囲において一定割合を出させるということになれば、それ以上は、農家はひとよりも一時間も二時間も早く起きて働き、夜は星をいただいて帰るというふうにして、その生産を増すということになれば、その増したものは一應供出の対象にならぬのでありますから、ここに生産意欲の高揚となり、國民経済の上から見て、食糧の生産増強に大いに効果があると思うのであります。この点については異論がないのでありまして、自由党もその線に沿うて進んでおるのであります。
 ただ問題は、かくのごとく地力に應じた生産量及び供出量をきめた後に考えなければならないことは、豊作及び凶作等における余剰米の処置、不足分に対する処置をいかにするかということであります。これは細目にわたりますけれども、それぞれの処置がとられると考えます。ただ問題は、農家がかくして割当てられて出したその数量をもつては、今日日本の非農家に対する食糧の全般としては不足することは、言うまでもないのであります。戰爭前において、都会の食糧に対して農村から供給された数量は三千万石、朝鮮・台湾から一千五百万石はいつておりました。大体この数量が六千四、五百万石あつたとして、当然三千万石ないし三千五百万石足らないのであります。そこで、もし農家が責任生産量すなわち供出量よりも余剰米ができたときには、何らかの処置をとらなければならぬということが問題になります。
 この点については社会党の諸君は、ただ感情的に、これを自由販賣にするのはいかぬというような考え方をなさらずに、全体の不足するものを、どういうふうにして賄うかということについて、お考え願いたいのであります。政府はその点については、やはり一應割当供出以上のものは政府買上げの方法をとるとか、何らかの方法をとらなければならぬと思います。あとは諸外國からの輸入をはかることはもとよりでありますが、國内的のものについても、それ以上のものをいかにして供出させるかという問題であります。その点、すべての余剰米については相変らず政府買上げの処置をとつていくか、あるいは民間に任せるかという問題であります。政府が買上げるについても、公定價格によるか、自由價格によるかということが問題になると思います。
 政府はここにお考えになりまして、麦・馬鈴薯の買上げについては、買上價格をお改めになりまして、三倍、四倍の報奬金を出されることになつた。これについて、その財政負担をどうするかということで、農林大臣と安本長官の間で折衝されておることは御承知の通りであります。これを何とごらんになるか。一旦公定價格をきめておいて、供出完了後に三倍、四倍の報奬金で政府は買上げをする。一体公定價格の三倍とか四倍とかいうのは相当大きな高値になる。私はその点は、社会党諸君あるいは政府におかれても、やはりある程度の経済の自然の流れに即しつつも、これは社会党の諸君がおつしやるように、今日なかなか関係方面がむつかしいのでありますから、その自然的移行の方法として、三倍ないし四倍の報奬金制度によつて集めようとされたのではないかと思いますが、米についてはどうなさるか。
 大体政府は、麦を今日のような價格にきめたときに、今日の物價指数及びその他の物資の價格を考えて、米を千八百円か二千円くらいにきめようかというお話であります。これらはきまつていないが、そういつたような場合において、一定供出をした後、供出計画を立てて、麦の例をとつて、また米に三倍ないし四倍のものをとるとすれば、三百億ないし四百億の金が要るという話であります。こういうことをして、なおかつどこまでも自由販賣を阻止しようとするところの意味がわからない。
 私は官僚攻撃はいたしません。ただ、あとの米をいかにして集めるかということについて、各政党が一緒になつて研究しようじやないか。その点について、ある場合において自由販賣をすると、買いあさり、買占めをする者ができる。こういう問題について御心配があるようであります。非常にその点を心配いたすのでありますけれども、問題は、そういうふうな金をもつている者に、買いあさりや買占めをさせないような方法を技術的に考えればいいのであります。
 社会党の諸君は、現在のロシヤの市場の制度、賃金制度、それに價格制度、この三つの総合対策というものを御存知であると思います。今日ソヴイエト・ロシヤにおいては、全体の企業形態というものが日本とはよほど違つておりますから、一律にはまいりませんが、少くともコルホーズ制度、集團勤労制度をとつたことは、レーニンが晩年に非常に失敗であつたということを言つておる。今日各農家に対して一町未満の土地の所有を認め、その土地で生産される物は、自由市場において自由販売が許されているのであります。また自分の所有地でつくる生産物というものは、非常によくつくる。これが人間性である。これを利用しつつ、ソヴイエトの社会主義的な経済においても、そこに人間性を非常に取入れた國民経済上必要な増産上の計画を立てられて、そうして國民に対してこれをわけることについて、公定價格主義で、六〇%で生産費の獲得ができるようなことになる。三〇%は市場における自由販賣によつて買い得る。さらに一〇%によつてそれ以上を買い得る。そういうことを全面的に取入れる。
 しかしながら、今日のごとく壁に馬をぶちあてておるときに、ますます統制面をねらつているところに、もう一度振返つて考えてみることが必要ではないか。今日あなた方が支持されておる現内閣の食糧政策は、絶対助けていかなければならぬと思いますが……(発言する者多く、聽取不能)現在もしも自由販賣が絶対にいかぬということでありましたならば、財政の面、あるいは金融の面、あるいは國民生活を圧迫するような、今言つたような供出後における三倍ないし四倍の報奬金で買い上げるとか、あるいはそのことが影響いたしまして、十一月にとれるところの米の買上げの処置について、どういう考えをもつておられるのか。この点について、われわれは非常に心配をしておるのであります。
 私どもは、農家に対しては、すべて今日自分の危險において、自己の資金を投じ、自己の労力によつて得た生産物に対して、かなり窮屈なるしばり方をしておるところに根本的に考え直してもらわなければならぬ大きな点があると思うのであります。社会党の諸君は、根本的に反対はないと思う。ただ今までの行きがかりで、そういうことをお考えになつておるかも知れませんが、これは非常にいかぬと思います。私どもは、農家に対して報奬金とか報奬物資とかいうようなもので、いろいろ供出をさせるということよりは、問題を自由経済の面にだんだんもつていつて、それから起る自然的の報奬というものを考えさせることこそ、食糧問題を解決する根本の途だと思うのであります。
 從つて問題は、今の供出の根本制度について、地力による責任生産制、並びにそれに應じたところの供出制度を考えることについては、自由党の者も社会党の者と同樣の考えをもつておるのであります……(聽取不能)非農家、生産しないところの國民の食糧の充足について、いかなる方法をもつておるか。報奬金で買われると言うが、その報奬金が五倍になつたり六倍になつたりすることを……(聽取不能)自由販賣をやみ屋などと言わないで、堂々たる市場において、そうしてそれから起るところのすべての弊害について、細目的にやることはたくさんあります。それをやりつつ、またそれをやることについて考えることが一つの処置ではないか。それこそ、今日の食糧問題について各政党が超党派的に協力する大きな点であると考えます。そう考えることがいけなければ、改めるがよからうと思います。
 問題は、その大きな点を考えずに、いたずらに自由販賣はやみの犯罪というような口吻を漏らすことに対して、経済の自然の流れを無視した議論が起るのであります。……(聽取不能)供出を円滑にし、生産を増強せしめるには、農民の心理をつかまえつつ考慮していかなければ、私は徹底しないと思います。
 かつて戰争前の自由販賣時代においては、農家の米の販賣量を見ましても、とにかくある程度の自由販賣があり、その得た收入によつて物を獲得し得る形においては、農家はいろいろと消費の節約をいたして米を賣つたものである。今日のごとく、自己の危險負担でつくつたものをしばられる結果は、米は出しても損だ、米は隠して芋を出す、こういうかつこうが必ずしもいいのではない。これは根本に反するものであります。以上、私の所見を申し上げた次第であります。(拍手)
#69
○副議長(田中萬逸君) 赤松勇君、発言者を指名願います。
#70
○赤松勇君 次に社会党は、加藤靜雄君を指名いたします。
#71
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。
#72
○加藤靜雄君 食糧供出問題のうち、農産物等につきましては、皆さんが活発に討議されましたので、私は水産物について申し上げたいと思います。
 食糧問題が、現下の政治経済生活の各方面にわたる最大喫緊の対策として取扱われ、政府におきましては、組閣以來極力食糧危機の実相を全國民に率直に発表するとともに、第一次、第二次、食糧緊急対策を策定し、さらに第三次のいわゆる超非常食糧対策を発表して、直面せる食糧危機の打開に死力を盡しつつありますけれども、水産業並びに水産物に対する施策が、実際問題としてきわめて非合理的に処理されておることは、業者としても、消費者としても、ひとしく遺憾とするところであります。
 わが國の水産業が、その資源において、技術において、日本産業再建の上に最も有望なものとして重要視せられるものでありますがゆえに、はたまた生鮮魚介類を初めといたしまして、加工水産物が今や主食の一環として重要なる役割を果たさなければならないときに、これが対策は一面の業者や、一部の官廳のみに任せておくべきものでなく、廣く関係業界にわたり、あるいは一般國民に求めて、その重要度に應ずる根本策が講ぜられなければならないと確信する次第であります。
 終戰以來、漁船の建造、出漁区域の拡大等、漁業に対する必要措置が漸次施行されておるのでありますが、一方漁獲物の処理や資材等の問題における統制違反、買出し、横流し等は依然旺盛で、それが生産・消費両面に及ぼす影響はまことに憂慮すべく、斯業の現状は、その期待のごとくには進行を見ておるものではないのであります。
 政府はさきに農林省令第二十八号をもつて生鮮魚介配給規制を制定し、四月十六日からこれが実施を見ており、また近くは農林省令第六十二号をもつて加工水産物配給規則を制定し、八月一日からこれが施行されておるのでありますが、これらの規則によつて水産統制を強化していくのには、種々なる困難が伴うのであります。一般消費者、殊に勤労大衆の食生活の実情からして、最も新鮮な水産物を豊富に配給していく上には、生産者が一應安定した基盤に立つて水産業に從事できまして、水産物が円滑に消費面に流れてくるためには、適正な價格と、所要資材の確保と、水産金融の確立、この三つの要素があるものと信ずる次第であります。
 去る四月十九日に制定された鮮魚介類の販賣價格の統制價格の決定には、次のような消息があります。魚價は昨年三月の公定水準のままでありましたが、その後の生産資材や漁撈資材の値上りを考慮されまして、なお、現統制方式の実施を円滑にするため魚價が改訂されることとなり、最高七割弱、平均五割値上げとなつたのでありますが、生産地價格で一貫匁十六円九十銭のさばが、二十三円六十銭となつて現在に至つておりまするが、百匁のさば一本が、ピース、コロナのタバコ一本より安いことによつて、おのずから魚のマル公が高いか安いかの標準がわかることと思います。この改訂当時、生産者側のみならず、水産事務担当者さえ、他の物價に比べまして、三倍の値上げを主張されたのでありまするが、五割の値上げとなつたのであります。
 生産者が一應経営の成り立つ價格でなければ、新鮮な水産物が豊富に得られることは困難であり、他の物價に適應した公正な魚價は、最も大切な要件であります。生産の基礎事情が大いに変化してきている今日、たとえば、いわしについて見ましても、今度基準になつた昭和九、十、十一年の当時は、六億五千万貫の水揚であつたのが、最近では一億貫であります。当時は、いわしが大部分肥料にされておりましたので、肥料にされるに近い價格で食用の値段がきまつたのであります。その数字を基礎にした倍率は、まことに不合理でありまして、倍率については、大衆魚につき特別の考慮が拂われなければならないのであります。
 次に、漁業用資材を初め生産諸資材でありますが、燃油類はリンク制によつて大体需要量の七割程度に達しておりますが、これとても一回出漁が不漁であると、リンク制のために次の出航に支障を來すありさまで、漁船建造の資材、燃油、魚網綱、ロープ、わら工品のごとき雑資材に至るまで、ことごとくが需要を満たすには足らず、やむなくやみ資材を求めなければ生産できぬ状態において、その反面魚價が資材價格と著しく均衡を失するとき、このままの状態が続く限り、生産意欲は減退し、從つて水産物の出まわりにも大きな影響を來し、今日の食糧危機突破の上にゆゆしい問題ともなりますがゆえに、所要諸資材の重点的確保と、適正價格配給の完璧を期して、政府の一段の努力を切に要望する次第であります。
 なお、この際水産金融について一言述べてみたいと思います。由來水産金融は、その特殊性とその範囲が狹いため、一般金融界から閑却されがちでありました。この点、金融政策としても、漁民生活の立場から特に強調したいのであります。水産金融の特殊性は、生産事情が農業に似ているが、それ以上に不安定であり、一般沿岸漁業は小規模経営が支配的であり、小経営においては、貯蓄の精神が稀薄であり、産業部門全体としての大きさが、他のそれより著しく小さいのであります。
 このような特質から、大規模な形態をとる水産事業は、もつぱら普通銀行が引受けていますが、小経営はいわゆる独立生産者の生活であつて、企業と生活とわかれていないところから、農業経営と同じような特質をもつているため、一般金融機関が世話をいたしません。從つて、組合組織を通じて金融上の世話をするよりほかに方法がない。一般に貯蓄の精神が薄いから、資金の自己循環が困難でありまして、從つて國家的な援助なしには、漁民金融を完備することができません。この点から、漁民金融における根本的施策が定められなければならないのでありまして、資金面からする國家的援助は、庶民階級としての漁民に向けられなければなりません。この部面においても、民主主義の原則が徹底されなければなりません。
 というのは、水産部門の大多数は、いわゆる庶民階級としての漁民であるから、当然金融政策も、これら勤労大衆としての漁民の生活保障を本來の立脚点としなければなりません。これらの漁民層は、純粋な労働階級というよりは、農民と同樣の立場にあり、多くの場合事業主であり、同時に労働者である。從つてそれが経営生活の確保は、相互扶助の組織による協同組合の確立化によつて初めて可能であり、このことから、組合の金融事業も漁業の事業なり生活一般と切り離して考えられないのであります。すなわち、水産物の取引、漁業必需諸資材の供給などと、金融事業が裏表の関係に置かれなければなりません。
 そこで系統金融機関として、水産業独立の信用機関、すなわち金庫をつくることは最も望ましいのでありまするが、現在のごとく水産業における資金の蓄積、預貯金が困難な状態では、農業金融の中央的機関――農林中金と取引することが、現実的解決策として妥当であると考えるのであります。
 最後に私は、各方面において激しく論爭されておる水産統制の是非について述べてみたいと思います。水産統制撤廃の是か非かは、それぞれの立場から、物價問題、資材問題、輸送問題、配給問題と複雑多岐にわたつておりますが、水産統制の撤廃は、敗戰日本の産業経済がその機構と施設とを徹底的に破壊され、物の絶対量が不足のとき、われわれ國民大衆の生活実情は、富の著しい不均衡、つまり戰災者、引揚者、復員者、勤労大衆、俸給生活者等の新円階級との不平等、あるいは新円階級の換物行為による物の正常なる流通の阻害は、國民大衆の生活を根底から崩壊せしめんとしております。かかる場合に、水産統制を撤廃して自由経済に移行することは、社会不安を醸し、いたずらに案寧と秩序を破壊して、弱肉強食の修羅場を現出し、まつたく收拾し得ない局面が展開されることは必定であります。
 現在の國民大衆の生活は、正規のルートを通じて配給されるものをもつてしては、とうていその生活を維持し得ないのであつて、生活物資の約八割までは、やみ買いによりこれをなさねばならぬ実情からして、しかも少き絶対量が正規のルートに上らず、新円階級の換物行為によつて物の偏在を來し、一般勤労大衆、俸給生活者は、やむを得ず買出しによる補給を余儀なくされ、その生活は日一日と枯渇しておるのであります。かかる場合、統制を強化し、不正な行爲を排除して、いわゆる正直者がばかをみない生活を保障することがなければ、國民の道義はいよいよ地に堕ち、民主的文化國家建設は永遠の夢と化してしまうのであります。
 しかしながら、統制の強化がわれわれの生活を絶対的に保障し得るかどうか。今日までの実績に徴しましても、強制措置には永続性がなく、社会惡と社会不安はますます先行し増大するのみで、所期の目的達成には至大なる困難が伴います。かかる見地からいたしまして、統制強化は過渡的措置として意義をもつ最善の方法とは言い得ないのであります。すなわち水産物の特異性に鑑み、漁業生産者の救國的熱意にこたえて、漁区の拡張と資材の確保とによりまして、その自主性を尊重し、民主的な自主統制を実施することが、水産物の増産を來し、ひいては水産物の出まわりを促進するばかりでなく……
#73
○副議長(田中萬逸君) 加藤君、時間が迫つております。
#74
○加藤靜雄君(続) その需給と價格の調節を円滑ならしめるものであります。このためには、漁業者の生産協同組合を一日も早く結成し、共同出荷、購販賣等により経済的基礎の確立をはかり、消費者の組織する生活協同組合との直結をなし、需給の調節、價格の適正を期し、もつて官僚統制の弊害を除去して、國民食糧の確保と保健のために一意増産に邁進せしめなければなりません。水産の自主統制は、かかる生産協同組合を基礎として、生産漁民の救國的情熱と生産意欲とを発揮せしめ、良心と責任とにおいて自主的に運営せしめ、生産計画の樹立とともに、資材の適正配分……
#75
○副議長(田中萬逸君) 加藤君、時間がまいりました。
#76
○加藤靜雄君(続) 原價計算に基く合理的魚價の策定、集出荷、輸送の計画並びに能率化……(「やめい」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然、聽取不能)配給の確保と……(議場騒然、聽取不能)基本問題の……(議場騒然、聽取不能)民主的な……(議場騒然、聽取不能)これに一切の権限を附與するとともに、生産者並びに……(議場騒然、聽取不能)協力することが……(議場騒然、聽取不能)このように、私は國民の責任と良心的……(議場騒然、聽取不能)理解とに期待して、一日も早く自主的統制に……
#77
○副議長(田中萬逸君) 加藤君、発言を禁止いたします。
 石田一松君、発言者を指名願います。
#78
○石田一松君 國民協同党は、自由討議の提案者のいない自由討議に参加することを快しとしないのでありますが、各派の交渉の結果、遺憾ながら酒井俊雄君を指名いたします。
#79
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。
#80
○酒井俊雄君 國民協同党は、三十二名のうちに三人討論に立とうとしております。從つて私は、演説の論旨だけで討論を終りたいと思います。議場を見ますのに、このようなまことに重要な討論の際、寂寥々たるこのありさまは、さびしいことに思います。
 農村に対する政策は、農村の大衆の側から見ますと、政府はわれわれをだますか、しからずんば、われわれを嚴罰でもつて威す。將來はだまされまい、あるいは嚴罰におじまいというような声が相当盛んであります。私どもは、この供出の問題に対しましては、政治をする者が眞に農村を理解し、農村を同情ある眼をもつてながめて、施策を行わなければならないと思うのであります。しかも、供出は生産が前提になることはもちろんでございます。その生産の前提は、肥料の問題、農具の問題、供出價格の問題、供出量の問題、重要な問題はこの点に收まると思います。
 肥料、農具につきましては、農村がこれを要求するや切なるものがございます。万難を排しまして、全力をこれに集中するところの施策を行わなければならないと思います。供出の價格は、從來頭から権勢をもつて價格を定められてまいりました。官僚價格でもつて臨まれてきたのでありますが、この價格は、將來自主的價格と申しますか、よほど農村の希望、農村側の公正なる観点から見ましたところの意見を採用した價格をもつて臨まなければならないと思うのであります。しかも、その價格につきましても、早期決定が必要だと思うのであります。供出を終りましても、なお價格が決定しなかつたり、あるいはその價格が非常にあいまいであつたりすることは、非常に供出意欲並びに増産意欲を殺ぐものであると思うのであります。
 供出量の適正ということは、最も供出に重大な影響を及ぼすものでありまして、生産に対する供出量の割合も、適正はもちろん必要でありますが、各縣、各郡、各町村におきまして、均衡のとれた正しい供出量を定めるということは、これまた非常に必要なことであります。供出の基準は、地積、地力、実收、この三本の原則の線からいかなければならないと思います。いずれの線にいたしましても、ただ偏つた観点から供出の量を定めるということは、種々な点において弊害があるのであります。現在、全國的に供出量を見ますると、非常に各府縣あるいは各郡不公平でありまして、先ほどからの討論の中に、どなたかの趣旨にもありましたが、隣りの縣と自分の縣との地境におきまして、格段な供出量の差異があるというようなことが、非常に供出意欲を鈍らせるものだと思います。こういう意味におきまして、よほど供出の量は科学的に計画的に定めなければならぬと思うのであります。
 次に、本日の討論の最も中心問題だと私ども考えております供出完納後の余剰米、その他余剰の農産物をどう処分するかということであります。この処分のしかたこそは、農産物の再生産、農産物の收穫に非常な影響を來すものであります。そこで私は、供出完納後の米麦主食といえども、自由販賣を許せという線に沿いたいと思いますが、但し手放しで個人勝手な自由販賣を許せという意味じやないのであります。
 時間が短かいのでありますから、深い理論は申し上げることはできませんが、一口に申しますと、消費者登録制の自由販賣を許せ、しかも販賣者は、農村の各個人々々が販賣するのでなくて、これを農業会――農業会が解消いたしましたならば協同組合、ここらが取扱うことにいたしまして、購入者の登録制によつて、しかも、自由に買い得る購買者の側の一人あたりの数量も、ある程度に限界を設ける。一人で千俵でも二千俵も買い占めて、榮耀榮華、ぜいたくをするということはもつてもほかでありますが、手放しで自由販賣を許せば、かかる現象を來さないとも限らないのであります。從つて、一人三合なり四合なり、ともかくも登録制にいたしまして、しかも自由に購入をしたものは、配給においてこれを減ずる、あるいは配給を停止するという、ここにまた一つのバランスを設ける必要があると思うのであります。かかる制限のもとに、私どもは余剰米、余剰品、こうしたものの自由販賣を認めたいと思います。もちろん、供出の問題は絶対量の問題にかかるのでありまして、農村は働けば働いただけの利益があるという政策をとられなければ、絶対量は殖えないのであります。そういう意味におきまして、登録制自由販賣、制限制自由販賣と申しますか、この案を提唱するものであります。
 自由党の方々のおつしやる自由販賣なるものを聽いておりますと、これは短かい時間で皆さんの御意思が述べられなかつたかもしれませんけれども、どうも手放しの自由販賣のように聽えるのであります。かかる政策は、言うだけのものでありまして、実現不可能だと思うのであります。かりに実現が可能であるならば、自由党の諸君は選挙前は内閣の首班として行政の任に当つておられた、そのときにやるべきじやないかと思います。しかも、この間の総選挙のその最初の日から自由党の方々は、米麦自由販賣、供出完納後の自由販賣を叫んでおられますが、内閣をつくつておつた方々が実行せずに、演説だけで行われるということは、これは私は人々が曲解するものだと思いますけれども、自由党にだまされるなという声が農村には高い。自由販賣のえさをもつて農村をつろうとする、このような誤解を自由党の方々は受けておられることを自覚しておられるかどうか、私は疑問に思つておりますが、いずれにしてもそういうふうな声が高い。残念ながら、なぜ自分達がやり得る地位にあつたときになされなかつたかと言いたいのであります。
 最後に一点――私どもはあくまで、この國民飢餓に迫りました今日、この問題につきましては愼重審議全力を盡して檢討しなければならないし、最善の方法を実行しなければならぬと思います。しかしながら前々回の総選挙あたりで、都会へ参りましては三合配給を叫び、田舎へ参りますと、供出はなるだけ少くしてやるという演説をして、得々としておられるような政治家も多く見受けたのでありますが、今こそ緊褌一番、眞に協議をいたしまして、りつぱな案を生みたいものだと思います。これで終ります。(拍手)
#81
○副議長(田中萬逸君) 田中久雄君、発言者を指名願います。
#82
○田中久雄君 第一議員倶樂部は、堀江實藏君を指名いたします。
#83
○堀江實藏君 食糧供出の問題は重大なる問題であるにかかわらず、見渡すところ出席者が少い。このことは、ただ單に口のみで國を憂え、現下の食糧問題を憂慮すると言いながら、実に不熱心であるということを表明する。われわれとしては、この食糧問題が現下の日本の興亡を左右する、そういう意味において、食糧問題の特に供出問題を重要視しておるにかかわらず、こうした審議では、はなはだけしからぬ、そういうふうに考えておることを表明いたします。
 食糧供出の問題につきましては、前の食糧の自由討議の際から、詳しく論議された感があります。本日も提案者は、かなり詳細にわたつていろいろな方法を提出されました。しかしすべてが、政府もまた皆さんも、供出の根本理念について間違つた考えをしておられはしないか。戰時中から、供出の名の示すごとく、戰爭の美名のもとにおいて、農家の犠牲によるところの食糧の供出をした。その精神が現在までもなお続いておる。天降りと強権発動によつて、食糧を農家からかき集めようとする政策、そうして戰爭中からの官僚統制のいろいろな失敗が、今日の供出を、食糧問題を非常に複雑にし、また困難にしておるということを銘記しなければならないと思います。
 社会党から提出されました食糧対策、供出対策につきましては、大体において賛成でありますが、なお前申し上げましたように、戰時中からの、惡い、農民の犠牲によつて食糧問題の解決をはからんとするところの片鱗がなお残つておる。特に責任供出制の問題におきましては、これの運用によりましては、ファツシヨ的になる。また、さらに強いところの強権発動のような状態が現出してくるということを、われわれは警戒しなければならないのでありまして、責任供出制の問題については、なお檢討し、ほんとうに言うごとく民主的な供出と、それがいかに完全に行われるかということを檢討する必要があると考えるものであります。
 なお、あまり考えられておりませんが、價格問題、戰時中から引き続いて安い、生産費に合わぬところの價格をもつて供出――現在では買上げと言い直されておりますが、農民から引上げるような政策が、價格の面において改められなければならない。
 自由党の皆さんから自由販賣の問題が出ておりましたが、なるほど自由販賣の問題も、人間の経済的な心理を、機微をうがつた名案ではあります。しかしながら、自由販賣の一番根本的な欠点――供出完了者というものは――現在の農村におきまして、余剰のあるものは富農である。農村のボスである。そうした者のみが特に報奬物をもらい、あるいは自由販賣をすることによつて、貧農よりも高い價格で賣ることによつて、経済的收入を得るということを忘れてはならないのであります。
 われわれとしましては、全般的な價格を――農民が再生産をし、少くとも農村の民主化が実現し得るような價格をもつて買い上げることが根本である。農民から奪いとるのでなくして、買い上げる。ほんとうに納得ずくで買上げる價格というものがまず決定されることが、供出の根本対策である。そうすることによつてのみ強権の発動も何も要らぬようになる。そのことが從來なされておらない。農民をあたかも罪人視するごとき感情によつて農民に対する対策がとられてきたということが、今日の供出の問題を困難にしておるところの最大の原因であると言うことができると思うのであります。
 統制のいろいろな欠陷については、われわれはあまりに多くの経驗を得てきました。しかしながら、現在において自由販賣にするということは、絶対量が足らないときにおいて、それは不可能である。(「余剰米」と呼ぶ者あり)余剰米の処理が、さきにも述べましたように、一部富農や農村ボスに利用されるということを、自由党の諸君は大いに反省していただきたい。(拍手)農民がつくつたものから全部の收入をあげ得るように、全部の價格を上げる、引合う程度の正当な價格をもつて買上げるということに、主眼点がおかれなければならないということを強調するものであります。(「報奬金にすればよいじやないか」と呼ぶ者あり)報奬金の問題も反対であります。全体的な報奬金制をやめにして、生産に合うところの價格にする。このことが私の主張であります。
 なお、さきにも申しましたように、現在政府が出されんと傳えられますところの農業生産調整法の問題でありますが、われわれはあらゆる観点から見まして、社会党の内閣になりましてからも、なお官僚統制が強化されつつある現状を見まして、農業生産調整法に対しましては、嚴に警戒をし、また檢討し、ほんとうに民主的に納得できるような供出方法を討議すべきであるということを痛感するものであります。時間が参りましたので、これで私の発言を終ります。
#84
○副議長(田中萬逸君) 石田一松君、発言者を指名願います。
#85
○石田一松君 國民協同党は、的場金右衞門君を指名いたします。
#86
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。
#87
○的場金右衞門君 食糧供出制度に関する討議でありまするが、今日わが國のこの食糧危機は、どこに原因してこの食糧危機を來したのであるかということを、われわれは大いに反省しなければならぬと考えるものであります。わが國は、從來農本國と称しながら、農業および農民を軽蔑、侮蔑、軽視し、虐待してきた。この多年にわたる惡政の結果が、今日の食糧危機を來したのであります。
 生産増強をはかろうとしますならば、生産者であります農業者を優遇し、尊重するところに、生産の増強はできるのでありますが、從來は農民を尊重するかのごとく、ためにせんとするときには非常におだてて、ごまかした。ほんとうのところはごまかしであつて、何も與えないで、明治、大正、否、それ以前より今日に至るまで、未だこのわが國の政治の恩惠に俗したことのない農民たちは、今になつては、すでにもうだまされないのであります。けれども、さらにこのだまされないことがわかつておる今日でも、何とか体裁をつくつてごまかそうとする政策が、あちらこちらに現われておることを、われわれは遺憾に思うものであります。
 今第一議員倶樂部よりお話になりました價格の面については、われわれは共鳴するものであります。農産物に限つて惡性インフレを是正しなければならぬという、そのインフレ防止の犠牲になつて、農産物だけを低價格において、ほかのものは上りほうだいに上げて、この不均衡な價格においてこれを搾りとらんとする。そこに無理があつて、供出制度をどんなにりつぱに整えても、供出の完遂ができない、増産のできない原因がここにあると思うのであります。(拍手)これをごまかさんとするために、肥料、衣料品、農機具、その他酒、タバコに至るまで、報奬物資、報奬物資と称して、これをもつて農民をおだてて、えびをもつてたいをつらんとするようなかつこうで農民をごまかさんとするところに無理があるのでありまして、さような無理をしても、増産もできなければ、供出も完遂できないのであります。
 農業というものは、奇術もなければ、魔術もないのであつて生産者である農民たちが、困苦欠乏に耐えつつ、日々努力をしまするその汗のしずくが増産となつて現われてくるのでありまして、どんなに名演説をやつても、米一粒もできないのであります。それなのに、一向くれもしない報奬物資を、くれるくれるとだまして、しかも、ときたままわつてきます報奬物資は、一部の大農といいますか、農村ボスといいますか、そうした一部階級のものだけがこれを独占する結果となり、細農、小農たちは、粒々辛苦をいたしましても、報奬物資はもらえない。
 供出の割当があまりに厖大であるから、全部供出しても一〇〇%に届かない百姓たちが、何で自由販賣をする米がありますか。何で報奬物資がもらえますか。この報奬物資のもらえる人たちは、割当の軽微な一部の人たちだけである。從つて私たちは、肥料も、衣料も、農機具も、必要な所に配給すべきものであつて、報奬物資と稱して百姓をごまかすような政策は、行うべきものではないということを強く感ずる次第であります。この点については、政府においても十分農村の実情を檢討せられ、再檢討されんことを希望いたします。
 私たちは常に農村の中にあつて、農民の声を聞いております。農村の実際を体驗しております。供出制度というものは、戰争中できました制度でありまして、この制度はきわめて官僚的な、きわめて非民主的な制度でありますから、この制度を改革しなければならない、改善しなければならないということは、だれしも考えておることであります。この官僚的な、圧迫的な、一方的に農民を搾取せんとする非民主的な供出制度では、供出は完全にできませんのみならず、生産意欲はだんだん低下していく一方であります。この低下していく生産意欲の姿をみて、今はあわて出して、農業生産調整法というようなものまでも用意するかのごときことは、ますます農民をいじめんとする方策である。
 私たちは、農民をいじめるのでなしに、農民というものをほんとうに理解し、ほんとうに尊重して、そこに初めて増産ができ、供出ができると思うのであります。ほかのものはごまかされますけれども、農業だけは絶対にごまかすことができないものであります。まじめにやりさえすればたくさんできるけれども、ふまじめにやりますと、ただちに草が圧倒して増産はできません。
 まじめにやらしめるためには、どうするか。これはもう少し政治を行う者たちもまじめになり、眞劍になり、農民になり代つて政治を行うの誠意がなければならぬと思うのであります。ためにせんとするところの者が、農民を尊重するかのような名演説をやるけれども、腹の底では、百姓はばかだから、だましておけばよいというような、えらい顔をしている連中が今日まで政治を行つたから、今日の食糧危機はきて、青くなつて右往左往せなければならない現状に立ち至つたのであります。それは在來の政治家の罪惡であり、その積り積つた罪惡の結果が、今日の日本の食糧危機を來したものであるということを、われわれは大いに自覚し、反省し、今後の農業政策に眞劍にまじめに当つていかなければならぬと考えるものであります。この眞劍さとまじめさがあれば、増産もできるし、供出も、まじめな純な農民たちはできたものを隠すことなしに完遂するのであります。横著な、ごまかそうとするような氣持の農家は、ときに一、二あつたにしても、それは國全体から考えますと、決して障害のあるような大きなものではない。
 純なまじめな者の中にも、ときには間違つた者もあるけれども、大体政治がその当を得れば、國全体の農民たちは、まじめに眞劍に断えざる努力を続けまして、増産もし、供出もするであろうと思います。この供出制度をいかにするかということは、そのまじめさがあれば自然に生れてくるのでありますが、ごまかそうごまかそうといつたような、百姓はばかだから、ごまかして、安くして搾りとればよいというような態度がある間は、どんなりつぱな案をつくつても、増産も供出も完遂できないということを私は提唱するものであります。以上、簡單でありますが、私の意見を申し上げます。(拍手)
#88
○副議長(田中萬逸君) 高倉定助君、発言者を指名願います。
#89
○高倉定助君 日本農民党は、中村寅太君を指名いたします。
#90
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。
#91
○中村寅太君 今日食糧の供出問題ほど重大な問題はないのであります。私は、日本農民党所属議員といたしまして、さらに耕作農民の一人といたしまして、今日消費國民の食生活の窮状を見ますときに、まことに申訳のないような氣持になるのであります。食糧確保の良策はないものかと日夜くふうをいたしておるものであります。
 供出の完璧を期しまするには、三つの根本的な條件が裏づけされなければできないと思うのであります。第一は、先般の自由討議におきまして、わが党の加藤君が述べましたように、増産対策の実施であります。第二には、民主的な合理的な割当方法の確立であります。第三には、買入價格の適正であります。私は、第一と第二の問題はほとんど論じ盡されておると思いますので、第三の買入價格の適正化につきまして、具体的な私案を提出いたしまして、皆様の御協力を仰ぎ、政府をして実施せしめたいと存ずるものであります。
 政府におきましても、縁故米であるとか、あるいは救援米であるとか、いろいろの妙案奇策を求めて努力いたしておるようでありますが、私は、官僚の机上計画から生れるところの妙案奇策によつて、事は断じて解決し得るものではなく、平凡な方策を民官一体となつてまじめに実踐するときにおいてのみ、解決の実はあがるものであると信ずるのであります。一〇〇%以上の供出に期待しなければならないような、前内閣や平野農政の供出計画に、私は誤りがあると思うのであります。農家が一〇〇%供出いたしますれば、輸入食糧の数量と相まつて、國民に最低必要量の食糧は確保せられ、一日二合五勺の配給の計画は、間違いなく実施せられなければならないと思うのであります。
 価格を定めるにあたりまして、第一に考えなければなりませんことは、現在の農産物價格によつて農家が完全供出に應じておりましたのでは、農民の経済生活が成立たないということであります。今日の農民がどうにかやつていつておりますのは、野菜その他米・麦・甘藷・馬鈴薯の供出をなるべく少くしまして、これをやみ賣りすることによつて、辛うじて生活を維持しているのが今日の農村の実相であると私は思います。ここに供出の成果があがらない根本的な原因があるのであります。ゆえに、農家がまじめに一〇〇%の供出に應じていく場合、その買入價格によつて得るところの收入によつて、農民の経済生活が安定することにならなければならないのであります。
 第二には、供出率の高い農家ほど有利になるような價格のきめ方が必要であります。第三には、種々の報奬物資等によりまして、部分的な農民の供出意欲をそそられるようなことではなく、眞に全農民の供出意欲を旺盛ならしめるような積極的な價格でなければなりません。
 私の案は、この三点を具えておるのであります。すなわち、農家の供出は一〇〇%完遂をもつて最高責任量といたします。そのうち八〇%までの供出量は公定價格をもつて買い上げる、八〇%以上の数量は公定價格の十倍の特別價格で買い上げるという案であります。ここにおいて私は、自由党諸君の主張せられますところの一〇〇%完遂後自由販賣を認める方法との差違を、一言いたしたいと思うのであります。
 自由党の案によりませすと、政府が今日行つておりますところの愚策に比べますれば、その量を獲得いたしまする点において、はるかにまさつておるものであると私は信じております。しかしながら、いま一般深くこれを檢討いたしまするときに、一つの大きな欠点があることを見出すのであります。それは、世にいわゆるやみブローカーであるとか、その他新円階級の食膳をにぎわせることになりましようが、今日國家再建のために最も重要な役割を果たしているところの一般勤労大衆の食膳にこれを供し得ないというところに、自由党案の致命的な欠陷があると私は思うのであります。(拍手)米麦をどこまでも正式ルートに乗せて、勤労大衆の食膳に送るというところにねらいがなければなりません。(「その通り」)
 私のこの案によりますと、ここに私は重点をおいて考えているのであります。この私の案によりまして農家の生活が安定されるかということにつきまして、一例として申し上げたいと思うのでありますが、水田一町歩と畑二反歩を耕作する農家の收入の概算を申し述べますれば、次のようになるのであります。一町歩の田から米を約五十俵生産いたします。うち約二十俵を保有米とし、三十俵を供出するのでありますが、この米により一万八千五百円の收入を得ます。さらに裏作に麦をつくり、一町歩の麦田より約二十三俵の麦を収穫いたします。そのうち八俵を自家用として残し、あとの十五俵を供出するのでありますが、この麦によつて一万九千百円の收入が得られます。さらに二反歩の畑作の野菜によりまして、最低五千円の收入と見まして、総計四万二千六百円となるのであります。
 現在政府の決定しておりますところの價格基準によつてこれを見ますならば、わずかに一万八千四百余円の收入しかあげ得ないのであります。かくのごとき些細な收入では、農業の再生産はおろか、農民の生活は断じてできないのであります。私の案によりますと、この農家の收入は四万二千余円となり、その経済生活は一應安定するのであります。ここにおいて農家の供出意欲はいよいよ高揚せられ、二合五勺の完全配給の実があげられるものと確信いたします。
 かくすることによつて、國家が買入れます食糧を約三千万石と仮定いたしますとき、その二割の六百万石を特別價格をもつて買上げなければなりませんが、この財源は國家補償に求めなくて、消費者の負担とせんとするものであります。消費者の負担として、はたして可能なりやという疑問が起ると思いますが、その点は、今日のやみ生活より脱却いたしまして、完全二合五勺配給に依存することができますので、そこに負担力が生れてまいると思うのであります。(「賛成」と呼ぶ者あり)すなわち、二合五勺の配給の二合は公定價格によつて配給し、あとの五勺は公定價格の十倍程度の特別價格によつて消費者が購入するという案でございます。しからば、一般消費者はどうしてこの負担にたえるかという問題となると思うのでありますが、今日一般消費者は、一升百五十円乃至二百円のやみ米を、月二升か三升補給しておらない家庭はない実情にあるのであります。この無理な補給が、完全二合五勺の配給実施によつて不必要となりますので、経済的にはむしろ樂になると考えられます。これにより農家も納得ずくで供出し、その経済生活も確立され、消費者の面においても食生活の安定ができるという、一挙両得の妙案なりという確信をもつて提出するものであります。(拍手)
#92
○副議長(田中萬逸君) これにて自由討議は終了いたしました。
 次の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後四時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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