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1953/07/31 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 法務委員会 第27号
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1953/07/31 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 法務委員会 第27号

#1
第016回国会 法務委員会 第27号
昭和二十八年七月三十一日(金曜日)
   午前十時五十七分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
七月三十日委員吉野信次君辞任につ
き、その補欠として青木一男君を議長
において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     郡  祐一君
   理事
           小野 義夫君
           宮城タマヨ君
   委員
           中川 幸平君
           楠見 義男君
           中山 福藏君
           赤松 常子君
           一松 定吉君
  衆議院議員
           鍛冶 良作君
  国務大臣
   法 務 大 臣 犬養  健君
  政府委員
   法務政務次官  三浦寅之助君
   法務省保護局長 齋藤 三郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
   常任委員会専門
   員       堀  真道君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○刑法等の一部を改正する法律案(内
 閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(郡祐一君) 只今から委員会を開会いたします。
 昨日に引続き、刑法等の一部を改正する法律案につき質疑を続行いたします。質疑のおありの方から順次御発言を願います。
#3
○宮城タマヨ君 法務大臣に御苦労をお願いいたしまして少しお尋ねいたしたいと思つております。今度の刑法等の一部を改正する法律案に盛られておりますことによつて、つまり成年の成人保護観察制度の確立をされようといたしておりますことは、私どももう長い間待ち望んでおります制度が確立いたされようとしておりますことで、実にこれは犯罪対策に対しましての格段な進歩と申しましようか、すばらしいことでございますので、非常に私ども喜んでおるのでございます。勿論申すまでもなく今まで犯罪少年或いは保護少年に対しましても、保護処分により、子供に対しましては観察制度が確立いたしておりましたし、又大人に対しましては、仮出獄者に対しまする観察制度もできておりまして、この観察制度の如何に大事であるかということ、そうして或る程度までその成功しておりますことを見ておりますときに、どうかして今までこの大人の執行猶予になりました者に対して、野放しになつておりました者がこの制度が確立すればその野放しになりました者に対しても保護善導することができますという非常に仕合せな立法措置であると思つておりますが、殊にそれ以上に私ども大切だと存じておりますことは、執行猶予に観察がつきますことによつて、本当は刑務所に入れなければならないけれども、まあ社会人として置きましてよく見守ろうというこのことは、その当人にとりましてどのくらい将来に対しての明るい社会生活ができますかということを考えましたときに、これは実に刑事政策のうちにおきましても私は格段のものであり、而もこれが宣告猶予への一歩手前の制度でありますことを思いますときに、どうしても一日も早くこの制度を確立されたいと願つておつたようなわけでございますが、どうかこの法案が通りまして実施されることをと願つておりました。ただ併しここにいろいろな問題があるように考えておりましたので、その点につきまして法務大臣の御意見が伺いたいと存じております。ところが昨日衆議院のほうからこれに対しまして修正案が参りまして、それによりますと「刑法等の一部を改正する法律案の一部を次ぎのように修正する。第一条中第二十五条ノニ第一項前段の改正規定を削る。」この二の第一項の前段の改正規定を削るということになりますというと私は甚だ不本意でございます。と申しますのは、申上げるまでもございませんけれども、初度目の者に対する執行猶予に観察を付けますということが、二度目の者よりももつと大事だからの意味でございます。それでまあ子供だけでなく犯罪者に対しましてはできるだけ早いうちに手を打つということが、改善いたします第一の方法ではないかという意味におきまして、是非初度目の者に保護観察を付けて頂きたいと願つたのでございますが、その意味におきましてこれは甚だ不本意ではございますけれども、併し又昨日も私委員会でいろいろ政府当局に申したのでございますが、実はこの法律が若し修正なく通りましたとしましても、実に大事なことは、ここに十分な予算措置をして頂きまして、問題はかかつて保護司の質の問題それから量の問題でございます。それで十分な人の用意をして頂きまして、而も今までの保護司で、或いはその保護司も大方同じような質を持つたところの保護司の数を僅かに増しまして、又観察官につきましても僅か九十三人かの観察官を増しましただけでこれを賄つて行こうということでは、ここに重大問題が起りはしないかという点なのでございます。その点について大臣の御意見が伺いたいと思うのでございますが、私の考えといたしましては、初度目の保護観察を受けました者は二度目の執行猶予はできないということはこれは非常な問題で、そのことをまじめに考えましたら私は保護司の職になんか就く人はないだろうという、ここを私、案じておりますのでございます。そういたしますならば、曽つて度々当委員会でも問題になりましたように、保護司の優遇というような問題も出て参りますが、私はそれ以上に篤志家を選んで優遇をいたしますだけで事が足りるということでなく、むしろ殆んど専門家のような人にこれは委嘱する以外に途がないのではないか。そうすると非常に莫大な経費に関係することでございますので、そこいらの大臣の御意見は如何でございましようか。同時にこの衆議院の修正案を呑むことといたしましたら、その点についての大臣の御意見を伺いたいと思つております。
#4
○国務大臣(犬養健君) 宮城さんのだんだんの御質疑並びに御意見は一々御尤もであります。心から同感の意を表す次第でございます。御承知のように、今お話のようにこのたびの保護観察制度というものは犯罪と刑の執行或いは犯罪と刑務所、悪いことをすれば牢屋に入るという今までの日本の観念を根本から覆した非常に私は今度の国会の中でも大きな意味を持つた仕事だと思つております。お話のように保護観察制度の真の精神から言えば、初度目から行うということが一番大事なのでありまして、私どもは二度目の人にも温い気持を注ぐことを決して惜しみませんけれども、大事なのは初度目でありまして、この意味におきまして衆議院の御意向はありましたけれども、来たる通常国会までに別に法律を整備いたしまして、そのときには初度目から保護観察を行うように制度を確立いたしたいと思つております。
 もう一つはこの経費のことでございますが、保護司一人当りの経費が昭和二十四年度から二十七年度までは人数が殖えるにつれても五百円、ところが二十八年度は御承知のように各省の予算を削減しました結果、一人当り四百五十円ということになつておりまして、これでは到底この画期的な仕事をいたしますというようなことを法務大臣として申上げるのは、実に行き届かない話になるのであります。いろいろ考えましたが、このたびひとまず只今御審議願つております法律を御可決願いますと、それをスプリング・ボードにしまして、大蔵省と予算の折衝をし、かたがた通常国会までに別の法律案を整備いたしまして、その折にはとにかく一歩前進して、こういう法律を国会で認めて頂いたのであるから、ここに現実ができたのだから一つこの費用というものを十分みてもらいたいというふうに……。何と言つても保護観察に対する理解がまだ十分日本全国に浸み渡つておりません。又大蔵省もさほど重大だと、率直に申して思つていないかどがございますので、若し御審議の上、この只今の法律案が御可決願えましたら、それを一階段として更に前進する、前進すると言つても時期がうやむやでは無責任になりますので、来たる通常国会までに必ず整備をいたす、こういうお約束をして、このたびの一階段の一歩前進として本法律案をお認め願いたい。但し条件付きで他日通常国会にはもつと整備したものを出す、こういうふうに国会において制約をして頂きまして、その制約の枠の下で十分我々勉強していい法律案を作りたい、こう考えておるのであります。なかなか大蔵省もこれはこういう費用が果して本当に要るのかどうか、甚だ私の就任後の体験では、なかなか理解が行届いてくれません。国会の御熱意を背景としてやりたい。虫のいいようなことを申しますが、それにはとにかく過渡期の法律案を是非御可決願い、こういうふうに国会でも認めて頂いて、その責任が我々に生じて来る。こういうふうにやつて頂くのが極く打明けて申上げ、お願いでもあるのであります。
#5
○宮城タマヨ君 そこで今年の予算を拝見いたしますと、今度の保護観察制度に対しまして、約二千五百万円の本年度の予算が計上されておりますようでございます。それでこれはとても問題にならない予算なんでございまして、自然に今仰せになりましたような、今までは僅かに五百円と思つて私ども憤慨しておりましたのが、今度は四百五十円に又切られておりまして、とんでもないことでございますが、むしろこんなことなら政府の予算をもらわないほうがいいような感じさえいたすのでございます。そこで私は昨日も政府委員に伺つたのでございますが、今度この法案が通過するしないにかかわりませず、一体この執行猶予になります者が、予想といたしまして一カ年大体二万人ぐらいだろう、それでこの中でどれだけに保護観察を付けることになるかわかりませんけれども、私がまあ仮にその中の半分に保護観察をして頂くようなことになつたと仮定いたしまして、つまり保護観察が付くから刑務所に入ることを御免にしてやるという裁判官の裁量がございますはずでございますので、そこで一万人のものが刑務所に入るということは、一カ年政府の必要といたしますものが一人の収容に対する費用としてざつと六万円ぐらいという昨日の御答弁であつたのでございますが、六万六千円というようなことでございましたが、仮に六万円といたしましてもそれの一万人といたしますれば、政府の予算は六億必要のわけだと思つておりますので、願えれば私は大蔵省のほうからこれは当然それが節約されますのでございますから、それを一つ保護観察のほうへ充てて頂くということに承知願えれば、六億でございますれば、よほどこの保護観察のほうに、観察官にいたしましても、保護司の質の向上に要する費用にいたしましても、その他の経費につきましても十分ではないかというような計算をして見ましておるわけなんでございます。そういうふうに考えるのでございますが、一つそういつたような意味でもう一遍法務大臣のほうから大蔵省当局にこの御説明で以て、この筆法で一つやつて頂くわけに参りませんでしようか。実は保護観察の成績の非常にいいところにおきまして、実質上にも非常にいいのでございますが、又経費の面から言いましても殆んど十分の一にも足りない経費を以て今日まで賄つておりますということは、これは私すばらしいことだというように考えているのでございますが、どうぞお答え願いたいと思います。
#6
○国務大臣(犬養健君) お答え申上げます。只今のお話のように、仮に一万人として六億六千万円この制度がなければ刑務所でそれだけ費用をかけているのだという筆法で勿論談判いたすのでありますが、大蔵省はなかなか御承知のように手ごわい役所でございまして、六億六千万円すなおに全部切替の費用として認めるかどうか、これは今後の折衝に待ちますけれども、とにかく私どもはそういう意味を十分に熱烈に説いて、こういう法律案を通して頂くのに費用が伴わないということは、或る意味で良心的でないとも言えるわけです、やかましく言えば……。そういうことで極力予算の折衝をいたしたい、その折には一つ御援助を願いたいと思つております。
#7
○宮城タマヨ君 私六年間、もう七年目の国会生活をいたすのでございますが、いつも思いますことは、国会の台所におきましてつまり親心、父心、母心というものが、この国会の政治に現れているかということを反省いたしますとときに、どうも……。我が家庭では何よりも子供のことが大事でございまして、若しそこに犯罪少年といいますか、不良な子供でも、又泥棒する子供でもできましたならば、全力を挙げて家庭の者がかかるでありましようし、金も本当にありつたけのものを注いで、私は子供のためにする。それは我が家の点でございますが、国会に出てみますと、実に子供の問題はどの方面に対しましても忘れられている。殊に泥棒する子供なんかは、もう全く問題にされておらないというようにこの六年間私は考え続けて参りましたのでございます。併しながら、これは母の役目もしなければならない。私などが非常に微力でございましたために今日なおそういう感を深くするようなわけでございますが、併し少年の問題のみならず、この犯罪者の問題につきましても、これはうつかり考えておりますというと、社会問題としても国家問題としても大事なことなのでございますが、まあうつちやつておけばうつちやつてもおけるというようなことで、実は私も曽つて申したことがあると思いますが、保護司のかたがた、五万人に近いかたがたがもう本当に捨身になつて、縁の下の力持ちであの仕事を黙々としてしていらつしやるからこそ、今日この社会秩序の一角が確かにこれによつて保たれておると思つております。ですけれども一旦このかたたちがもう止むを得んといつてストライキをおやりになりましたら、どうしても国家の治安が保てないというように考えておりますので、お願い申上げますが、例えばこの六億六千万にいたしましても、このくらいのことを国家が出すべきだということをどうぞ強力にお進め願いたいのでありまして、私の法務大臣に対する質問は終りまして、あとは事務当局のかたへ質問したいと思います。
#8
○楠見義男君 私は別に法務大臣に質問するつもりじやなかつたのですが、丁度大臣お見えになりましたから、昨日政府委員に御質問申上げたことと同じようなことを申上げます。今宮城さんから御質問になりましたことについて毎度のことながら極めて率直に御答弁になりましたから、私も実は率直に申上げたいと思います。それは衆議院のこの修正案が実は私ども気に食わないのです。という意味は、これは衆議院で修正されたその御意向が奈辺にあるかを聞いてみなければわからんので、一つ聞いてみたいと思つておりますが、要するに狙いは初度目の執行猶予者についても保護観察を付することは必要だと思うが、併し原案から削る、これについてはいろいろな点に不十分な点があるから出直して来い。それを整えてもう一ぺん適当な法案を出せ、こういうことを言つている。これに対して法務大臣もこの修正案をお呑みになつて、それで今率直にお述べになつたように、次の国会にはよりいいものにして出したい、こういうことなのであります。その御答弁の趣旨はよくわかるのですが、これは皮肉の意味でも何でもないのですが、政府はこの画期的な制度を非常に意気込んでやろうというので取つ組んで、そうして原案をお出しになつたのか。それでこれをお呑みになるとすれば、現在御提案になつた原案は実は甚だ自信のない、又準備のない心がまえでもつてお出しになつたのかというと、私はそれはそうじやなしに、できれば少々苦しいところがあつても、ともかくこれをやつてみようという心がまえで原案をお出しになつたと思う。ところが今日衆議院で修正されて、それを了承せられるに当つて、一体それじや最初に原案を出したときと今日の心境と比べて、それは問題は、五百円が今度の予算の修正で四百五十円になつた、五十円下つたというようなことじやないと思うのであります。そんならその問題だけならば、今度五十円分だけ増額されればいいかというと、そうではないと思います。それで最初御提案になつたときと今日の御心境とを比較して、一体政府としてはどういう点が顧みて不十分であつたとお考えになるのか。昨日も政府委員のかたからお伺いしましたところ、細かくなつて来ますと、余り大した利益される理由も、私としては発見できない。それはどういうふうにお考えになりますか。
#9
○国務大臣(犬養健君) 固くならずにさせて頂きます。何といいますか、私どもはこういう制度を立てる以上、温かい気持ですべてのことをやらなければならない。仮出所者に対しては、仮出所の特殊事情に対して保護観察をして行く、執行猶予者に対しは、これから悪に染まろういう瀬戸際の人ですから、特別の注意をする、衆議院のほうの委員のかたから言えば、この二つを一緒の法律でミツクスするというのはかわいそうじやないか、これもそう言われてみると一理があるのです。飽くまでも同じ法律でありますから、これは余計なことだと言い切れないやはり心遣いが、修正を言われる委員にもあるわけであります。政府いじめをするとか何とかでなく、仮出所者と一緒の法律でうちの子はやられる、うちの甥御はやられると困るという気持も、言われてみるとわかるのです。それからもう一つ、最初のときの初度目の執行猶予に保護観察を付けないということは、そういう心がまえで法律を一つの法律にやつた上、保護観察を付けられては、昔の要視察人といいますか、ああいうようなことになりやすいから、これはちやんと法律を二者を分けて、そうして全く違う範疇で保護観察を付けるのだ、今申上げた理屈は私は感服しない理屈でありますけれども、それじや今度は潰れてもよござんすということと、天秤にして見ると、この数カ月、初度目の人の保護観察を我慢するくらいのことは、大局から言つて国会政治の妥協という精神から言つていいのじやないか、イギリス人でもそのくらいのことはやるのじやないか、極く理屈抜きの私の裁断であつたわけであります。委員のおつしやる気持も、二つ分けて、違う法律で賄つておるという感じのほうが、ずつと最初の執行猶予者の気持にも影響するのじやないか。これは仮出張所者と一緒の法律でやられておるのと気持が違いはしないかと言われてみると、成るほど提案のときにもつと気が付けばよかつたというふうに私は恥入つておるわけであります。それから暫らく停止して新しい法律で初度目のものを認めるというのは、理論として余り私敬服しないのですが、まあそうやれば気持がはつきりするということを強く御主張になれば、それだけで喧嘩別れで、折角実を結びそうな法律案を潰すこともない、こう思つたのです。極く飾らない話です。
#10
○楠見義男君 大臣の御趣旨の点はよくわかりました。なお今申上げましたように、予算その他これに繋がる諸般の措置とありますから、これをどういうふうに衆議院のほうではお考えになつておるのか、これは別の機会に衆議院から伺つておきたいと思います。
#11
○委員長(郡祐一君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#12
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。
#13
○赤松常子君 私、今度の予算の節約で、今まで一年に五百円であつた保護司に対する謝金だけでもびつくりいたしましたのですが、又それが五十円削られて四百五十円ということになつたという点で、いよいよ私どもはびつくりいたしまして、やり切れない気持です。もつとこれを多くしてあげたいとこそ思つておりますのに……。でございますが、こういう予算の技術的な措置が何とか削らないで済むようなことが、法務省の中でやりくりができないものでございますか。
#14
○国務大臣(犬養健君) 法務省の中では今度の行政整理と、この間の自由党と改進党の話合いなどで実にぎりぎりなんです。被疑者や被告人を護送する旅費まで削られまして、それはやり過ぎだというので、あとで復活してもらうというような、そういう非常に窮屈な状態です。中のやりくりはできません。今宮城さんにここでお話を申上げたように、刑務所に入つておれば一人当り年に六万六千円要る。それを外へ出して観察するのだから、その費用がほかの手段で行き得ると思つてくれ、併し大蔵省もなかなか苦しいのですから、それの一万人として六億六千万円、全部認めてくれるかどうか私も多少疑いますけれども、そういう趣旨で話合つてみたい。それにはどうしてもこの制度が確立したという一階段を国会の御承認で進めないと、そういう話もできない、こういうふうに私は思つております。刑務所に入れた費用そつくりとはなかなか出してくれないでしよう。それをほかの手段で活かす、ほかのもつといい方法で真人間を作る意味で使う、早く言えば刑務所に入つているものと思つてくれ、こういう話合いでやつております。法務省の中のほかの予算というものは、とても使い途はない、非常に窮屈な小さいものですから……。
#15
○赤松常子君 本当に私法務大臣を信用申上げないというわけではないのでございますけれども、このくらいのことが何かどこからか捻り出せないかと、再度お願いしてみたい気持なんです。それからその次にお尋ねしておきたいのは、昨日も政府委員に今後の見通し、或いはどういうふうにお思いになつていらつしやるかということについて、お尋ねもし希望もしたのでありますが、従来の保護観察制度というものが、非常に私どもの触れております限りでは、いい面もあるが、マイナスの面が多くて、却つてそういう観察員が来られることにおいて周囲の信用を落し、折角就職いたしましても、白眼視されるということで、とうとう身をくらまして、北海道の炭鉱に隠れ込むというようなことも私一、二経験いたしておりますので、この観察制度の根本的改革ということに対してもつと計画して頂きたいと思うのでありまして、よい保護観察員を作ることは勿論ですが、保護司のあの制度に対しましても、ただ篤志家の同情或いは理解にすがるということでなくて、もつと社会的な意義を持つた近代的な制度にして行くというように、根本的に学校を作るとかということでやつて行く方法が確立されて欲しい、社会事業家を作るために厚生省が社会事業学校を遅蒔きながらでも作つて、そして基礎的な訓練、それから教養を身につかせて、一つの近代的職業として養成いたしておりますが、この保護観察制度におきましても、根本的にもつともつと考え直すべき制度ではないかと思うのであります。それらに対しまして是非とも一つの立案を、今からでも遅くはないのですからお願いいたしたい、これに対しましてちよつとお尋ねいたします。
#16
○国務大臣(犬養健君) 今の保護観察制度が、場合によつては本人の肩身が狭くなつて逃げ出すということもあり得ると思うのです。併しその辺が人によるのだと思うのでありますが、そういう点で多少社会の一部から、大変趣旨はいいけれども実際上うまく行つていない。今楠見さんに申上げたように要視察人というような感じが残るといけないということが、衆議院で新らしい法律を作るまでは、初度目の保護観察は暫らくストツプしろという御修正に一理ありとすれば、そういう御心配から出ておると思うのです。要するにそういう修正を受けるということは、保護観察の一部にやはりうまく行つていない点があるから、そういうふうな修正になると思うのです。これは謙虚な気持で再検討してみたいと思います。
 それから費用のほうは御承知のように款項目でやつていることですから、右から左へ横に移すというわけに行きませんので、大蔵省に厳格に要求こるわけなんです、はつきり区分けして……。ですから法務省としてはここのところはかなり良心的で、実は前の大蔵大臣の向井氏など閣議で、法務省の予算の請求の仕方が一番良心的だということを言われたくらいなのでございます。もうぎりぎりのやまをかけない予算を頂いておる。こういう筋の立つたことは、横から移さなくても十分私は言えるのじやないかと思う、又そのつもりで考えて参りたいと思つております。
#17
○中山福藏君 私どもいろいろとこれは経験しておりますというと、私は学生時代に巣鴨の監獄に実は行きまして、その長に会つたのです。で再犯の連中はどれくらいの率になつておるかと聞きましたところが、その監獄を出た翌日入るのが大体三、四割あるということを学生時代聞かされたのです。それから又二、三日すると五割ぐらいにそれが殖えて来るというわけで、殊にこういうふうに経済事情が逼迫して参りますと、僅かばかりの日給をもらうよりも、監獄に入つておるほうが気楽らしいのですね。だからできるだけ何とかひつかかりをつけて犯罪らしい行為をして、そうして彼らの考える別荘に行きたいというので、監獄に入る者が相当あるということを現在私どもは見ておるわけなんです。そこで私いろいろ考えまして、中には止むに止まれない犯罪行為をなす人もありますが、大体それを見てみますと、要するに実態は刑務所というものと工場というものの繋がりがないのです。出た日から相当量の日給を与えて食える措置を講じてないわけなんです。仮に保護観察とかいろいろな問題、免囚保護事業とかいうものがあつて、一応その形式上は繋がりがあるかのごとく私どもには見えるのです。ところがそれが免囚保護事業なんかで検察当局などに相談しましても、一、二カ月、長いのは六カ月くらいかかる。もうその間にたまりかねて犯罪を犯すのですね。そこで刑事政策の目標というものは到達せられないということが一番大きな問題です。これは事実上の話でございまして、今日ここに出されました改正法律案、これは表向きから申しますと誠に結構なんです。併しこれ以上にそれは大事なことだと私ども常に考えておるのです。工場と刑務所との連絡がないのです。そうしてその裁判をし或いは公訴官という立場にある人が、学校と役所とを廊下伝いで行つて、社会というものを見ておられないのですから、こういう微細な点まで気が及ばないのです。学校から官庁へ廊下伝いに入つた役人さんばかりですから、社会の裏面というものについての体験というものが鈍いわけなんですね。そこで理論上或いは法律上或いは刑事政策の面から言つて、如何にもこういう体裁が整いますというと、社会人の更生事業が達成せられるかのごとき感を受けるのでございます。併し只今申上げましたその最終の、如何にして食わせるかという問題を解決しなければ、これはこういう四つの法律の改正案が出ておりますが、これはなかなかむずかしい問題ではないかと思うのですが、そういう大局に立つて、一刀両断的な処置を一つ講じて刑務所と工場というものの繋りを将来お考えになるつもりはございませんか。
#18
○国務大臣(犬養健君) 今のお話はさぞかしそうだろうと思います。お話の点で早速研究してみたいと思いますのは、免囚保護事業で何カ月も経つて……、本人は明日から食えない、実際社会の用をなさん。これは若しそうだとすれば一番急所だと思いますから、どうせ四、五日で暇になりますから、早速その点研究してみたいと思います。局長は専門家ですがどうですか。
#19
○委員長(郡祐一君) 速記とめて。
   〔速記中止〕
#20
○委員長(郡祐一君) 速記始めて。
#21
○中山福藏君 この前科者というと非常に就職がむずかしいのです。とても、又前科というものは何でございます、一回そういう……、先天的なものと後元的なものがございますが、なかなかなおりにくいのでございます。先天的なものは殊に治りにくい。私の事務員で戦後三年使つたところが、その間に箪笥の引出しが全部空になつた、私の事務員でございますけれども……。精神的の粘りで何年自分の犯罪性を露呈しないかという問題だと私は考えております。先天性を持つておつた者は到底なおらんのです。そこで私はいろいろ考えておるのですが、刑事政策の面から行けば、囚人が服役中に事業をやります。そうして日給なら日給、手当なら手当を幾らやるという建前を、そのうちから一部を天引して、それで囚人全体の株式会社をこしらえて、囚人が大きな顔をして一遍刑期が完了したときは直ちに自分の工場で働けるというような大局的な観点に立つて、心理学の上からもよく研究しまして、日本人というものは犯罪に対してどういう態度をとつておるか。検察局に行きましても私はこういう罪を犯しましたが、今度昨日出獄したので何とか仕事をしたいと思いますと、免囚保護とか司法保護所のところへ行けといつて紹介状はもらつても、それ以上の手は打つてくれない。そうして一般から排斥される、どうせ排斥されるくらいだつたら俺はもう一遍やつてやろうという気持を起さないように、前科者だけが前科者であると思われないように、入獄中における給与の一部を割いて、それを株式組織とか或いは一定の政府の補助金で株式会社なら株式会社、絨氈なら絨氈をこしらえる会社を建てる。そこへ送り込むということにならなければ日本の犯罪者は、減らないと思います。これは単にこうして我我は机上で演習をやつておるようなものだと思う。生きた仕事をしなければ駄目だと思います。だから私は国家がこういうところに目を付けて、やはり囚人だけで維持して行く株式会社なら株式会社を作つて、そうしてそういう連中が飯の食えるようにして、生きた仕事をして行かなければ駄目だと思います。これはこういう四つの法律の改正が出ておりますから結構ですけれども、一歩前進だと考えます。考えますがこれでもやはり慣れて来ます。こういうことをしても同じことになると思います。だから大局の終局はどこにあるか、如何にして飯を食わせるかという制度を刊事政策の面から打立てなければならんと思います。どうぞ一つお願いいたします。
#22
○国務大臣(犬養健君) 御尤もです。飯を食わすというほうに触れてありません。早速いろいろな人にも会つてみて研究してみたいと思います。
#23
○委員長(郡祐一君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#24
○委員長(郡祐一君) 速記を付けて。
#25
○中山福藏君 これは七年を五年に短縮されたということは、誠にこれはいいことだと思うのです。それから禁錮以上の刑に処せられた者で執行猶予中の者でも、特殊な者に限つては更に執行猶予をする、一年以下の者についてはというようなことになつておりますが、これは誠にいい制度だと思いますが、私はもう一歩進んで特異的な場合には、三回くらいまで執行猶予をしてもいいのじやないかと実は考えておりますが、一応これで区切りをつけておいて……。こういう点も大臣はお考えなつておられるでしようか。
#26
○国務大臣(犬養健君) これは非公式の話には出たこともありますから、なお研究したいと思つております。
#27
○委員長(郡祐一君) ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#28
○委員長(郡祐一君) 速記をつけて。
 それでは大臣に対する質疑は一応この段階において終つたことにいたしまして、更に政府当局について引続いて御質疑をお願いいたします。
#29
○宮城タマヨ君 ちよつと保護局長に伺いたいのでございますが、この衆議院の修正案通りになりますというと、「第一条中第二十五条ノ三第一項前段ノ改正規定」を削られますというと、この十八歳に滅たない少年の保護観察が全面的になくなるということになりはしないかと思います。それはこの犯罪者予防更生法の第三十三条第四項に、「十八歳に満たないとき懲役又は禁こにつき刑の執行猶予の言渡を受け、猶予中の者」ということが規定されておりますが、そしてこの刑法の第二十五条ノ二、第一項の規定によりますというと、この保護観察に付されるものということになつておりますが、この第一項の前段が削除になりますと、十八歳未満の子供を全部執行猶予の者が保護観察から外されることになりはしませんでしようか。これは大きい問題だと思いますが、如何でしようか。
#30
○政府委員(齋藤三郎君) 御指摘の点、現在の犯罪者予防更生法第三十三条第四号として、十八歳未満で、懲役又は禁こにつき刑の執行猶予の者は、その条文によりまして保護観察を受けることに相成つております。ただ今回の保護観察とは若干趣きを異にいたしておりまして、保護観察中に再犯さえ起さなければ、保護観察を行う者の指示、指導に従わなくても取消ということは全然起らない、従いまして同じ三十三条の各号、一号から四号ございます。その他の例えば仮出獄中の者、或いは仮退院の者、或いは家庭裁判所から保護処分として参りました少年、こういう者はいずれも仮出獄の取消なり、或いは戻し収容なり、或いは家庭裁判所に再度通告するというふうな裏付がございまするが、執行猶予の少年につきましては、保護観察によつていたしまするが、その裏付はない、こういうような保護観察になつているわけでございます。それで今度の原案を考えました際には、そういう関係で裏付がないといいまするか、取消し的なものがないという意味で、徹底を欠いておる点もございまするから、今度の二十五条の一項前段で、二十五条の二の一項前段におきまして、十八歳未満でも、裁判所が必要によつては保護観察を付けることができるという執行猶予にして、こういうことにいたしたのでございまするが、衆議院の法務委員会の修正におきましては、その全部を一応次の法案の整備まで見送るということになりまして、結局私どもといたしましては、只今法務大臣が申上げましたように、通常国会まではこの法案を、第一回目の執行猶予に伴う保護観察を行う法案を準備して、そうして通常国会に出すことにいたしておりますので、結局それができますれば問題がないということに相成るわけでございます。なおこの案におきましては、本年の十二月三十一日までの間において政令を定める日から施行されることに相成つております。そうしてその際におきましても、この十二月三十一日の施行日までの前の、施行日前の犯罪については保護観察を付けられないことに相成りまして、そういう筋合に相成ると存じております。さような関係で、通常国会に出してこの制度が整備されるということになりますると、極く短期間のギヤツプはできるかも知れませんが、その後におきましては、この原案と同様に必要ある場合には、先の場合でも保護観察を付けて而もそれが強力といいますか、徹底した保護と指導を加えると、こういうことになりますから、大体それで賄えるのではないかと、かように存じておるわけでございます。その点はいろいろ検討いたしまして、それでいいのではないか、こういうように考えておる次第でございます。
#31
○宮城タマヨ君 今のところちよつと私了解しかねたのでございますが、そうすると若しも十二月三十一日までに次の法案が通れば、そうすると空白時代はないということに考えていいのでございますか。
#32
○政府委員(齋藤三郎君) 十二月三十一日までにできまして、そのときに新法を施行されることになれば、全然空白がないということになると存じます。
#33
○宮城タマヨ君 併しそれは将来のことで、そこまでできれば非常に幸いですけれども、どうなりますかわからない場合に、まあ将来のことはわからないが、現在何か立法的に措置されんでも大丈夫ですか。
   〔委員長退席、理事宮城タマヨ君着席〕
#34
○政府委員(齋藤三郎君) 将来のことは私どもといたしましては大臣の声明、衆議院ではそういうことをおつしやつておりまするし、ここでもお話しになつておりまして、次の国会には、通常国会には現在のそこまでできていない点を是正する法案及びその他の準備を整えて実施いたしたい、かようにいたす考えでございまするから、その間ギヤツプの生ずることはないだろうかということにつきましては、将来のことを申すということもどうかと思いますが、私どもとしてはさようなつもりであります。十三月三十一日までにさような制度ができればギヤツプなしに済むことができまするし、又この保護観察と申しましても、従来のこの法案で廃止になりまする保護観察と新法の保護観察とは効果と言いますか、効力の点において異なるわけでございます。先ず申上げるまでもないのでございますが、今度の保護観察に付せられるということになりますと、保護観察中守らなければならない事項を守らなかつたということによつて執行猶予が取消しになるという効果を持つておりまするが、この法案で廃止になる旧法による保護観察は、さような保護観察に伴う効力を持たないで、ただ一般の執行猶予の取消しの理由だけによつて取消しになる。結局保護観察を守らなくても、守らないということによる結果の生じないような保護観察でございまして、従つてさような関係からも法律上当然如何なる罪についても保護観察に付する、こういうことになつておりますのでございまして、この法案を準備いたしました考えでは、徹底した裏付けのある保護観察を行うことが必要である。それにはやはり少年の場合であつても必要のない場合は除いておると、必要ない場合は行わない、必要のある場合に徹底した保護観察を加えるという考え方で立案をいたしまして、それがいろいろな事情から若干の期間形の上において取残されるということになりましてさような問題が生じた次第でございまするが、その点につきましては近い次の通常国会までに是正をするということで行つておりますので、これで賄い得るものと、かように存じておる次第でございます。
#35
○楠見義男君 今の問題に関連してお伺いしますが、問題は二つあると思うのですね。それは十二月三十一日までの間において政令で定めろとあつて、十二月三十一日に施行するというふうにはなつておらないのですね。従つて準備が整えば八月からでも施行するし、或いは九月からでも施行するという、その文面に現われない、八月から施行するか、或いは九月から施行するか、或いは臨時国会を召集してやるかということがこの法文の上では実は不明確な問題なんです。その不明確な問題に対してどう処理されるかという問題が一つなんですね。その意味から行くと、少くとも法文上は政府提出原案であれば問題なかつたのだが、衆議院が修正されたために、その修正に伴う補正といいますか、補完といいますか、それが衆議院の修正案には洩れておる、少年についての関心がこの委員会の宮城さんのようなかたが衆議院の法務委員会には恐らくおられずに落されておつたのじやないかと、これはまあ聞いてみなければわかりませんが、その問題が一つありますね。
 それからもう一つの問題は修正された新らしい制度においては、保護観察の内容或いは効果が旧法とは違つて、少年についてその保護観察を付する必要のあるものだけを付すと、こういうことで効果も従来と違つておる。ところが従来の十八歳に満たない者については、現在もこれは宮城さんからもお話があつたと思いますが、どうしてもこれは必要だ、而も現在の内容のようなことで以て十分であり、而も必要であると、こういうことで設けられておる。十八歳未満の者の保護観察が今度は保護観察に付する必要がある者と、そうでない者というふうにはつきりと区分されて、保護観察に付する必要がないという者も実は生じて来る結果になるわけです、この改正法においては……。ところがその根本の考え方が保護観察に付する必要があるかないかというのじやなしに、保護観察に付したほうがいい、又必要があるというので現行法が、犯罪者予防更生法第三十三条ができておると、こういたしますれば、この際に改めてこの保護観察に付する必要があるかどうかという現行法の制度自体の、何といいますか、当否といいますか、価値判断というものをここに改めて又やり直す必要があると思うのです。その価値判断は改めてやらずにおいて、ただそういうふうな制度を改正されるから、入るものは入るし、そうでないのはもう十八歳未満の者も入れないと……。これは私は根本的な大きな改革の問題で、この問題は私はまだ十分に検討されておらないのじやないかと思う。従つていずれにしても、第一の法文の標識の問題にしても、それから又第二には実質の問題にしても新らしい制度ができるまでは、少くとも従前の例によるとか何とかいうような制度を設けておかないと、余りにもそれは粗漏な、改正に伴つて肝心な問題が等閑に付せられるという宮城さんの御意見は私は尤もだと思うのですがね、どうなんでしようか。これは一遍衆議院の何に聞いてから又いろいろ相談しましようかね。
#36
○理事(宮城タマヨ君) そうしましよう。
#37
○赤松常子君 ちよつと細かいことをお聞きしたいのでございます。犯罪者予防、更生法でございますけれども、この「呼出引致」というところでございますね、「いつでも、保護観察に付されている者を呼び出し、質問することができる。」という「いつでも、」というのがですね。大変、付されている者から見れば不利益だと思うのでありますが……、四十一条でございますね。
#38
○政府委員(齋藤三郎君) これは現行法の点でございますが、これはまあ強制力を用いないで呼出す場合でございまして、必要のある場合に呼出すということでございまして、勿論当然常識上本人の非常に不利益になるというような場合はできるだけ避けるべきであるし、又そういうことをやつてはいけないと、こういうように存じて、運用については注意いたしております。
#39
○赤松常子君 大変一方的にいつでも呼出されるということは、非常に周囲に人がいるときにやられるとか、或いは昼でも夜中でも引張り出されるというふうに広く解釈されて、とても私不利益だと思うのでありますが、現行法もそうなつておりますし、大変私ちよつと読んでみてとてもかあいそうな場合があると思います。
#40
○政府委員(齋藤三郎君) 何か相対立するような立場になつて、こういうことを法文を楯にとつてやるということになると何でございますが、保護観察自体が本人のために親として姉となつて面倒を見て行く、こういうあれでございますから、「いつでも、」と言つても、子供の都合の悪いときはできるだけ避けるというふうには運用すると思います。この刑事訴訟法と違いまして、そういうつもりで運用はしてはならないことは根本でございます。そういうつもりで保護観察なり……。
#41
○赤松常子君 「いつでも、」は削つて零いてもいいのじやないかと思いますが、あつてもなくてもいい、運用でよくやられているならば……。でもここにあるならば、いつでも引張り出されて仕様がないという気持になりやすいのではないかと思いますね。
 それからその次のやはりこの同じ法律の中の第二項の二でございますが、保護観察に付されている者が遵守すべき事項を遵守しなかつたことを疑うに足りる十分な理由があるというのも、とても広巾く解釈されると思うのですね、どんなことでも疑うに足りるということになれば、小さいことでも何でも引張り出されるという解釈になつて、その認定は観察官がする、保護司がするのでございましようが、ここ、非常に私微妙だと思いますが……。
#42
○政府委員(齋藤三郎君) 個々の保護司或いは個々の観察官がいたすのではありませんで、地方委員会或いは保護観察所の長が、而も裁判官の発する令状をあらかじめ得ておりまして、それによつて引致するのでございまして……。
#43
○赤松常子君 その認定者はその長が……。
#44
○政府委員(齋藤三郎君) 請求するのは委員会か観察所の長が裁判官に請求をして、そしてその裁判官が同意をして出されたその令状によつて、引致状によつて引致をする、こういうことになつておりまして、個々の者が自分だけの考えでやるということにはなつておらないのでございます。
#45
○赤松常子君 けれどもそれを申出るのはやはり保護司が長に申出なければわからないわけでございますね。
#46
○政府委員(齋藤三郎君) 保護司がその部を担当している観察官に連絡をいたしまして、そうして担当保護観察官が毎月の本人の成績等についても、又いろいろな書類、本人についての報告も聞いております。又どんな場合にでも一回は直接本人に会つていろいろ話を聞いております。その人がいろいろ判断をし、その上に観察課長がございまして、更にそれが観察所長と相談をいたしまして所長が決裁をしてそうして手続をやるわけでございます。
#47
○赤松常子君 そういう段階が踏まれているわけですね、実際は……。それからその次の第四十五条の二でございますけれども、そのお終いのほうに「監獄若しくは少年鑑別所又はその他の適当な施設に留置することができる。」実際「適当な施設」と言いますと、どういうところが予定されておりますのでありましようか。
#48
○政府委員(齋藤三郎君) これは少年院の場合が一番多いのではないかと思つております。
#49
○赤松常子君 大体済みましたけれども、私根本的に保護観察制度というものを実施施行するほうがいいのか、それに積極性を持たせようとなさつているのか、或いはこの制度はあるけれどもまあできるだけ積極的にこれをしないほうがいいとお思いになつているのか、根本的にどういうふうにお考えでいらつしやいますか。
#50
○政府委員(齋藤三郎君) 保護観察は保護観察の必要のない人に用いるべきものではないかと思つております。併し刑務所に現在入つておる人のような人の中で、適当な保護者がない、而も早く保護者を付けないために非常に悪い条件になつて入つて来る人が相当多いのじやないか。根本的な考え方として刑務所は最近の考え方において教育を中心としたやり方をいたし、多大の国費を使つておるのだから、出るときは入つたときよりいい人にして出すということを考え方といたしておりますが、何しろ高い塀の下に限られており、而も厳格な監督の下に、一日中監督の下におるわけでございまするから、教育といたしましても変則的な教育であります。往々にして模範囚が社会に出
   〔理事宮城タマヨ君退席、委員長着席〕
たところが、案外模範囚でなかつたというようなこともございます。又本当に模範囚であつても、長年社会から隔離されたために適応性を失つているという場合もございます。従いまして留置刑の執行が非常に教育中心に考えておりますが、そういつた制度上制約があり、而も又多大の国費を要しますので、できるだけ保護観察で賄える人は賄つて、そうして社会において改過遷善のできる人は改過遷善を図つて行くということが考え方としていいのじやないか、かように存じます。又保護観察が本人にとつて或る意味において消極積極両面ございまして、消極面におきましては本人に負担でございますから、不必要な人は保護をなすべきではないと存じております。
#51
○赤松常子君 その場合に本人の納得の上でなされたほうがいいと思うのでございますが、それはなかなかむずかしいこともあると思います。本人はそういう人がつきまとわれるのをいやがる場合が多いと思いますが、そういうところまではどうなつておりましようか。本人と観察される人が納得して誠に融和を保つて行われて行く状態が一番いいと思うのでございますが、そこが非常にむずかしいと思うのですが……。
#52
○政府委員(齋藤三郎君) この保護観察の何といいいますか、性格というものですか、人をそういつた強制力を用いないので自分の人格の力なり、信頼によつて一緒に改過遷善を図つて行くという制度でございますから、本人の同意とか納得するとか言うことは必要であろうと存じておりますが、併し最初から同意がなければいかんということにいたすのでは、誠にこれは運用上非常に窮屈なものになるのではないか。これは裁判所が事犯の性質なり、又本人の性格なり又保護司というか観察官のやり方なりによつて、そうして裁判所に適切な運用を図つてもらう、こういうように行くべきではないか、かように存じております。
#53
○委員長(郡祐一君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#54
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。
 それでは一時半まで委員会を休憩いたします。
   午後零時二十七分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時四十一分開会
#55
○委員長(郡祐一君) 午前に引続いて只今より委員会を開会いたします。
#56
○楠見義男君 衆議院の修正案につきまして一応その趣旨を御説明お願いしたいと思いまして、たびたびの御足労を煩して誠に申訳ありません。
 実はお伺いいたしたい趣旨は、私どもは初度目の執行猶予者についての保護観察制度は、画期的の制度として非常に結構な制度であると実は考えておつたのでありますが、ところが、いろいろ御審議になりました結果、衆議院のほうではその規定を削除せられまして、その代り附帯決議をおつけになつたのであります。その御趣旨は初度目の執行猶予者についてもその必要は認める、ところが「初度目の執行猶予者についても、保護観察に付することがで送る等適切な法案を準備し、速かに、国会に提案すべきである。」こういうような附帯決議がついております。で、御趣旨の点をこれからお伺いしたいのでありますが、この附帯決議を見まして感じましたことは、衆議院も初度目の執行猶予者についての保護観察制度の必要を認めておる。その法案が実は政府から今回提案されておるのをわざわざ削つて、そしてもう一遍又出して来い、こういう御趣旨であります。ざつくばらんに言えば、もう少し練つて出直して来いと、こういう御趣旨だろうと思う。もう少し練つて来いという意味が、それじやどういう条件かというと、附帯決議の初めに、「予算その他これに必要な諸般の措置を講ずるとともに、」あとのほうに「適切な法案」……、そこで御審議になりました際にいろいろ問題になつただろうと思いますが、これは私どもとしましても、審議を進めて参ります上において、衆議院が御決定になつた御趣旨のその中で、「予算その他これに必要な諸般の措置」ということは一体どういうことをお考えになつてこうしておられるのだろうか。例えばこの予算なら予算でこれこれの金額が必要だというような具体的に御検討になつだことだと思うのですが、その御検討の結果を承知しまして、できれば私どもも衆議院のかたがたと同じくその実現に努力したいと思うのであります。従つてそういう意味でこの予算その他これに必要な諸般の措置を講ずるということについては、どういうふうにお考えになつておられるのだろうか、それが第一点。それからその次に「適切な法案を準備し、」こうありますが、現在政府の原案として提案されておりまするその法律では不十分で、もつと適切な法案を準備しろ、こういう御要望のようでありますが、どういう点を問題にせられておるのか、これも私どもの審議の今後の参考の資として非常に有益だと思いますので、第二点としてその点は甚だ御足労を煩して恐縮でございますが、御説明を煩したい、こういうことであります。
#57
○衆議院議員(鍛冶良作君) 我々は今お言葉のありました通りに、この法案の審議に当つて保護観察制度を設けてできるだけ執行猶予者を多くし、実刑を科さないで保護の面において更生せしめるということには全幅の賛意を表したものであります。ところがこの法律を見ますると、第一条中第二十五条の二のあとに「保護観察ニ付テハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム」、こうなつております。ところがこの別に定める法律とは何ぞや、こういうと、第三条に出ておりまする犯罪者予防更生法をこれに準用してやるということになつております。これは法律の体裁から言うても、別の法律で定めるというようなことがこの中に出ておることはおかしい、それは理窟のの面ではよろしいのですが……。そこで問題になつたのは、この犯罪者予防更生法というものは、いわゆる不良少年を感化収容保護の面、それから仮出獄中の者に対する観察の面、これを目的としておる。折角執行猶予をして社会的に何もなかつたのだ、こういうことで、何というか普通の人間と同様に取扱つてやるということが一番いいという考えで執行猶予を付けるのに、仮出獄の者と同一の保護の機関にあてるということは、これは理論上許すべからざるものだ、これが一番問題になつたわけである。そこで随分政府に対してもこれは一体この執行猶予者に対してこれで観察するということは、根本的に誤りだと思うから、幸いにして「別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム」とあるのだから、この法律は我我は不賛成でないのだから、このまま通しておこう。通してその代りに、施行期日を不確定にして、この保護観察について別の法律を新たに出してもらつて、この執行猶予の者を保護する意味において適切なものを出してもらう。その上で一つそれが施行の際に一緒に施行するというようにしたら両方の顔が立つて一番いいだろうということで長らく政府に意見を言つておつたのですが、どうも政府もこれを出すについては、いろいろ準備もあるし、取りあえずこれを通しておいてもらえば、その代り次の機会に必ず出すから……、こういうことで随分やつたのですが、大臣が必ず出すとおつしやつたところで、仮に大臣が変つてみたら、その責任を負う人がいないのだから……、それは変つても出すという説明で長らくもんでおつたのです。ところが政府のほうで次の機会にやるからと言われるから、それでは仕万がないから、今のこの保護観察制度にこれをあてるということはきらいなんだから、そこで第一回の場合には保護観察にあてないということにする、第二回の場合に保護観察にあてることにするということにしよう。但しいい保護観察制度ができてくれば、一回といえどもこれをあてはめろことは望ましいのですから、そこでこの希望決議をやろう。そのことが初度目の執行猶予者についても保護観察することができるというようなことを入れた趣旨でございます。その次に予算面につきまして、どうも現在の犯罪者予防史生法に基く司法保護司の実情を聞いてみますと、これはまあお話にならんものなんで、これは随分皆さんが犠牲的精神でやつておられるからいいようなものの、私は法務省においてこういうことでいつまでも満足しておられるということは、我々として何というか心の許さんことだと思いますから、もう少しこういう画期的な制度をきめるならば、画期的な制度に合うような立派な一つ保護観察制度を作る。同時にその観察に当る人に対しても立派な人を入れて、もう少し手当についても相当のことをして頂かなければならん。まあ幸か不幸か、こういうような問題になりますと、地方からいろいろ実情を訴えて参ります。私のところへ来たのなんかを見ますと、一年に五百円の手当である。併しそれは会費に取られてしまう。だから一回出ると四十円、五十円出るのですが、それは雑誌代に取られてしまう。そのあとは旅費も皆自弁だ、何もないのだ。厚生省のほうなんか見ますと、母子相談なんかは相当の手当があるにもかかわらず、こつちのほうは相談に来たのなんか勿論だし、旅費なんかは自弁なんです。こんなことはそう長く続くものではないというような訴えもありましたから、これらの点はもう少し画期的な制度を作らなければならない。予算の面においても相当の裕りを持つて、誰の前でも決して恥上くないものを作つてもらいたい。この二つの精神から希望条件になつた、こういう実情であります。
#58
○楠見義男君 よくわかりました。ただこの点はそうするとこういうふうに理解していいでしようか。初度目の執行猶予者については、いい保護観察制度ができればその保護観察制度に乗つかつてもいい、必ずしも初度目の執行猶予者については保護観察制度というものが必要だという、こういう意味でなしに、むしろいい保護観察制度ができればそれに乗つかつてもいいというお考えですか。
#59
○衆議院議員(鍛冶良作君) 私はもつと積極的なんです。初めからその保護観察制度に付したい。併しこんなあいまいなものにされてはいけないから、これを削つておく。その代り新らしいものに進んだらそれにするんだと、初度目の執行猶予者についても保護観察に付することができると、こう書いてあります。
#60
○楠見義男君 いや、それならば結構です。今の御説明ではちよつとあれだつたのですが、それでわかりました。
 それからもう一つこういう問題が御審議の過程で起きたかどうか、これを参考までにお聞きしておきたいのですが、それはちよつとこれを見て頂きたいのですが、犯罪者予防更生法の三十三条、それの四号ですね、上が旧法で、下が改正法なんです。その上のほうで、これはあとから宮城さんからもお尋ねがあるかも知れませんが、現在の十八歳未満の者についてはこの保護観察に付したほうがいいということで、保護観察に付しているのですね、これは初度目で……。ところがこれは原案で行くと包含されるわけです。従つてそういうような改正をしても現在十八歳未満の者は当然その改正規定に拘束されますから、現在通り執行ができるわけです。ところが衆議院のほうで、二十五条のほうのこの前段をお削りになりましたから、十八歳未満の者は現在はいいものとして保護観察に付しておるものが付せられなくなる。それは二項の後段で、前に刑を受けて執行猶予中の者が、もう一遍又一年以下の懲戒禁固に付せられた者、これは必ず付すというのが二十五条の二の後段の規定ですから、前段の規定を削除しますと、そのものが包含されなくなる。そういうことは問題にならなかつたのですか。
#61
○政府委員(齋藤三郎君) 先ほどもお尋ねがございまして、私考慮してから申上げたいと思つて御答弁を申上げることを控えておりましたが、便宜私から御説明申上げます。今回の政府の案におきましても、又今後現在臨時的と申しまするか、今後整備して初度目の者に付けたいという、こういう保護観察も、いずれも従来のこの犯罪者予防更生法三十三条四号の趣旨とやや異なる保護観察、というのは取消しがありますし、それからもう一つ必要に応じて付けるという趣旨でございますが、結局従来の三十三条四号の扱い等につきまして、誰が見ても必要のない者についてもやはり法律上保護観察がついたという点も反省しまして、今回の案におきましても、成人といわず、少年といわず、執行猶予について初度目の者については裁判所が必要に応じてつける、こういう案でございます。又今後整備しようという案についても同様の扱いにしようという考えでございます。そのようにいたしたいと、こういうことでございます。そういたしますとこれを若干の期間、大臣から言明いたしましたように、私ども次の通常国会に整備された執行猶予を伴う保護観察に関する法律案を提案いたしまして、御可決になりますと、それによつて切替わることになりますが、その際のことを考えますと、これを経過規定として入れておきますると、たまたま裁判が早く済んで、この切替法律の前に裁判があれば、必要があろうとなかろうと全部保護観察が付いてしまう。そうすると同じような事案であつても、この切替法律の施行後にそれが裁判されるということになると、裁判所が必要に応じてこれは付ける、付けない場合もあるという矛盾も生じて参ります。確かに反面においてはその間ギヤツプがある場合に付けられないというあれもございますが、新法の精神からいうと会計付け過ぎるという面も出ますので、その長所短所、利害得失もがざいますので、それをいろいろ考慮いたしまして、やはり本人に不利益をかけないという点を主として考えるべきじやないか、そして又期間もできるだけ短かくしたいという、こういう趣旨がございまして、考え方からいろいろ検討いたしました末に経過規定に入れない、こういうふうにいたした次第でございます。
#62
○楠見義男君 私は実はこういうふうに理解しておつたのです。十八歳未満の者の、犯罪者予防更生法の三十三条の四号の場合は、これは必ず付けたほうが本人のためにいいと、こういう価値判断に基いて現行法ができておつたと思うんです。ところが今の御説明を伺いますと、そういうような価値判断をしたことについては再検討をする必要がある。即ちする必要のある者とない者とを区別して、それによつてする必要のある者だけはして行こう、こういうことだから、経過規定を設けると却つておかしくなる、そういう前提であれば斎藤さんのおつしやることは私はうなずけるのですが、そのもう一つ前の現行法の規定の趣旨ですね、趣旨なり価値判断というものについては私は異論があると思いますが、これは意見の相違になるかもわかりませんが、この点については私は実は先ほど申上げたようなふうに理解しておつたから、そんならばこれはおかしくなると、こういうふうに思つたのですが、この点は一つ宮城さんのほうからでも……。
#63
○宮城タマヨ君 今の問題に触れます前に私も初めからちよつと伺つてみたい。衆議院のほうからの修正案でございますけれども、今の鍛冶委員のお言葉によりますと、自分たちのほうでは保護観察の新らしい制度を確立して行くとおつしやつて、そうして今度の法案のようなあいまいというお言葉でお現わしになつた。さようにそのあいまいな点というようなことについてもう少し、納得できませんから、一体衆議院のほうで願つていらつしやる新らしい保護観察の制度といいますか、方法というものはどういうことになつていらつしやるのでございましようか。
#64
○衆議院議員(鍛冶良作君) あいまいという言葉はいいか悪いか知りませんが、今問題になつておりましたように犯罪者予防更生法の第三十三条を見ますると「一、少年法第二十四条第一項第一号の保護処分を受けた者」「二、少年院からの仮退院を許されている者」「三、仮出獄を許されている者」現在はこれらの者に対する保護観察のためにできておるものなんですが、ところが執行猶予によつて出た者はこういう者とは全然観念が違うと我々は考えるのです。それを折角執行猶予にして普通社会人と同様の取扱いをして、速かに更生させようという観念であるのに、ここに書いてある少年並びに仮出獄者と同一の取扱いをされるということになると、目的が全然違つて来る。我々は諺で言つたのですが、折角新らしい酒を盛ろうとするのに、古い革の中に入れられようとされるのだから、入れるべからざるものだ、だからこういうものはいかん、絶対我々はこういうものを、観念が許さん、これが根本だつたのです。それともう一つ、犯罪によつて……。
#65
○宮城タマヨ君 ちよつと一つ、今のところで目的が違うとおつしやるのですが、今までの、今おつしやつた犯罪者予防更生法の第三十三条によります項目です。つまり少年法第二十四条の第一項の保護処分を受けた子供たち、それとあの少年に対しましては第四号の十八歳未満の者のこれは執行猶予に付ける保護観察、これはもう今まで執行猶予に付ける、ただ今度の制度と違いますところは、年齢によつて違うだけで、今まで十八歳未満の者については、刑の執行猶予を受けた者に対してことごとく子供であるから保護観察が付いておつたのでございます。それといま一つは、大人の出獄についての保護観察が付いておつた。そうすると、その人たちに対する保護観察というものと、保護観察をして本当に社会に社会人としてのいい生活をさせる、つまり更生生活をさせるということと、今度のこの新らしい刑法の改正による保護観察というものの観念が違う、目的が違うとおつしやつたのですけれども、私はそれは観念が違うのでも目的が違うのでもなくて、取扱いは確かに違わなければならないと思うのです。それで結局はその取扱いの問題でいわゆる今まではパロール、保護観察のパロールが主でございましたね。子供に対してはプロベーシヨンもあつたのですけれども、今度は同じ保護観察でもプロベーシヨンを確立しようという、そのプロベーシヨンの問題で、目的においては私は何ら変るところはないというように思つておりますが、その点如何でございましようか。
#66
○衆議院議員(鍛冶良作君) 私はそれは大変違うと思うのです。一番嫌なのは仮出獄の者の、この仮出獄に対する遵守事項です。これを何ですよ、執行猶予の者に一々当てはめられては大変だと思うのです。遵守事項に……。
#67
○宮城タマヨ君 つまりそれは目的を達するために作られております遵守事項で、そういうものを変えるなんということは目的は違つているからという意味じやないのじやないですか、取扱いが違うということじやございませんか。つまりパロールとプロベーシヨンとの違いのために遵守事項なんというようなものもやはり考えなければならんという、意味じやございませんですか。
#68
○衆議院議員(鍛冶良作君) それはそういう説明もありましたが、大体執行猶予がものによりましては、例えば選挙違反の者には勿論執行猶予が付くと思いますから、これらについて一体保護観察の必要があるかないかということ、仮に必要であるといたしましても、ここにある遵守規定のようなものを適用されてはそれは一体いいか悪いか、これが一番私ら問題にしたわけなんであります。当てはまらない、そこでやはり政府の答弁を聞きますと、そういうものには必要はないですと、従つてそういうものに保護観察にしてもそういうことはやりませんと、こうおつしやるのだが、それは政府がおつしやつたつて、法律の規定では保護司はそういうことができることになつているから、それはもう……。
#69
○宮城タマヨ君 その点は参議院のほうでも問題にいたしまして、不必要か者に保護観察を付けることはないじやないか、そこでやはり裁判官の裁量によつて人間を見て、結局これはケース・ワークですから、人々によつて取扱いを異にしなければならないのじやないかという問題はもう議論されたのでございます。それで私個人の考えもやはりこの点は改正しなれけばいけない、こう思つているのです、本当は……。
#70
○衆議院議員(鍛冶良作君) この犯罪者予防更生法の三十四条の保護観察の遵守事項を見ますれば、これは全く仮出獄の者に対してはこれは必要なんです。ところがこれをこのまま準用されるものですから、必要のない者にもこの規定が適用せないようにするとおつしやつたところが、これははまるのだと言われたら条文に書いてあるのですから、そこでこれを見ますると、一号、二号はまだいいでしようが、三号は大変なことなんです。「犯罪性のある者又は素行不良の者と交際しないこと。」選挙違反の場合なんかで執行猶予になつたときに、犯罪性のある者と交際したと言われると、どの程度まで入るものか、大変なことまでも想像できることになる。それから第四号にすると「住居を転じ、又は長期の旅行をするときは、あらかじめ、保護観察を行う者の許可を求めること。」これを守らなんだら執行猶予を取消すと、こうなるのですから、こんなことを適用されたのじや、これは執行猶予者に対しては果してこんなことを守らなければならんかということになるというと、大問題だろうと思う。仮出獄の者ならこれは止むを得んと思いますけれども、そういうことからこういうものを適用してそのままやるということは性質が違うのである、こういう我々は考えになつたわけであります。
#71
○楠見義男君 関連して、今の解釈、今の鍛冶さんの選挙違反の問題はこの改正案においても解決はしていないのじやないですか。というのは二十五条二の後段で必ず付すとありますね。選挙違反執行猶予の者が一年以下のやつで、これは選挙違反には特別法が含まれて、そうして、又執行猶予になつた、ところが今あれは特別法も含まれておりますから、従つて選挙違反の場合私のほうも実はこれを問題にしたのです。それから鍛冶さんの言われる選挙違反の者も当然あの遵守事項を守らなければならん、こういうので解決はその点はついてないと思うのですが、どうでしようか。
#72
○衆議院議員(鍛冶良作君) その通りです。如何にも我々はこれはあいまいなものだから、一日も早く新らしい保護観察制度を作つてもらわなければならんと思つております。今のままで行われては……。だから若し法律が作られないのなら、本当は変えなければならん。そこで、この間まで出ておつた案は、初回目は全然付さない。二回目に付すことを得としよう、こういうことを考えておつた。ところが、だんだんと歩み寄つて、折衷案として、このところ過渡期だから、第二回目から付する、その代り新らしいのをこしらえるのだぞ、新らしいのが出て来れば、ら一回目も付すと、こういう含みでやつたので、これは新しい保護観察ができる前提の過渡規定です。
#73
○宮城タマヨ君 鍛冶さんね、結論としては、私ども衆議院に同調して、これは円満に成立させたいと思つていますけれども、それだけにやつぱり練り合いたいという意味で、思う存分のことを言わして頂きますよ。そうすると、鍛冶さんのお話を聞くと、今までの護保観察制度というものは、余り効果がなかつたように聞えますが、その点どうでしよう。
#74
○衆議院議員(鍛冶良作君) そうじやありません。今までの保護観察制度は、そういうことでいいのです。不良少年に対することや、仮出獄者に対しては、それをそのまま執行猶予の者に持つて来るということは違う。入れ物が違うのだと、こういう考え方です我我……。
#75
○宮城タマヨ君 今度付きます執行猶予ですね。執行猶予に保護観察が付くということは、本当なら刑務所に入れなければならないのだけれども、保護観察が付くということだから、一つこれは考えよう、どうかして助けてあげたいという裁判官の裁量によつて、まあ執行猶予はむずかしいけれども、執行猶予付きでそれじや保護観察にどうぞというところの人が、この網にかかるものだと今まで理解しておつたのです。そこで、これは真人間で、お前ら出獄者、仮出獄者と違うよというような、全然罪のない者ではなくて、罪があつて刑務所に行く人なんだけれども、ここで一つやり直せ、こういう意味なんですから、私はそう入れ物が違うというように解釈する必要はないと思うのでございますが、どうでしよう。
#76
○衆議院議員(鍛冶良作君) これはあなたのおつしやる狙いと、私の狙いは同じことだろうと思うが、ちよつと言葉の上において違う。私らは、入れる必要はないんだ、入れる必要はないと言つては、少し行きすぎかも知れませんが、誰かしつかりした保護者さえおるならば、入れる必要はないのだと、こういう者に付するんだと、私はこう思つております。その意味において、この保護観察制度が立派なものができて、そしてできるだけ執行猶予者を殖やすということは、画期的のことで、誠にいいことだと私は考えたわけです。そこで、入れなければならんとあなたはおつしやるけれども、私は、そうでない、入れんでもいいのだ、併し、保護者がおらんとすれば、これは何とか考えなければならん、こういうのです。ところが、仮出獄ということは、これは入つておつたのだから、そこで、出すのは危ないけれども、とにかく一つ直りそうだから出してやれ、その代り、これから先どういうことをやるか見ておらなければならない、こういうことです。
#77
○宮城タマヨ君 私、意味は、気持はお互いに同じだと思いますが、併し、刑の言渡を受けておる人なんですから、起訴猶予は……。宣告猶予制度でもできて、宣告をされない前だつたら、まあそれは入れ物が違うと言つてがんばれるかも知れないけれども、刑の言渡を受けておる人なんだから、今おつしやるように、十分つつかい棒すれば、これは刑務所に入れないでも済まされるのじやないか。そのつつかい棒が保護観察制度だと思つているのです。ですから、別に入れ物が違うからということでなくて、さつきから申上げておるように、取扱いは確かに一遍刑務所に行つて来た者と行かない者とは、同じ刑を付けなければならない人でも、犯罪者でも、私は非常に違うと思うのです。そこで、私はこの修正案を見て、これはやつぱり同調しなければならないなあというふうに思つたことは、私今の説明じやなくして、ほかの意味だつたのです。それはつまりパロールよりもプロベーシヨンが非常にむずかしいのです。そうして非常に意義が深い。つまり刑務所に入れないで済ますようにするということは、本人のためにも、社会のためにも、家庭のためにも、とても大事なことなんですから、だから大事な仕事を受持ちます保護司の任務というものは、これは並大抵のことじやない。そこでそれともう一つこの保護司の任務が殖える、任務といいますか、責任が殖えたということは、初度目、初めに執行猶予を受けて、保護観察が付きますと、二度目はもう執行猶予ができんということでございましよう。そうすると、観察が付いたために不利になる場合がある。で、すから、その鍵を持つている保護護司は、実を言つて見ると、今までの保護司が五万人いたとしても、ことごとくがその本人達のために万全を与えているかどうかということは、私どもも疑うのです。それは疑つておりますけれども、今度はそれじやならんぞというところへ来たのです。若しやりそうなつたら非常に不利益ですから、そういう意味で、今度保護司の質はどうしようか、量はどうしようかというので、今の予算ではどうにもならないから、新らしく政府は出直せというように解釈しましたから衆議院について行こうと思つた。
#78
○衆議院議員(鍛冶良作君) 大事なところにおいてはそういうことです。だけれども、大事な面でちよつとあなたの仰しやるのと違うのですが、執行猶予というものは、まだ刑を受けないのだ、刑を受けさせんでもいいのだというところを、仮出獄というのは刑を受けさした、受けたものをどうしてこれから元にしようかという、大変な違いがあると思う。まあ悪い言葉かも知れんが、前科者にしたくないということと、前科者にしたものをどうして更生させるかという違いだと、言葉が悪ければ取消します。
#79
○宮城タマヨ君 宣告猶予とは違うんですから。刑は言渡されている。刑は言渡されているが、これを実刑を科するか科せないかということだけの違いじやありませんか。ですから入れ物は私は同じだと思う。
#80
○衆議院議員(鍛冶良作君) それは大分あなたと私らは違います。執行猶予というものの観念が違います。
#81
○宮城タマヨ君 そうですが。執行猶予は、猶予期間中無事に済んだら刑を受けない者と同じ結果になるんだと考えておりますが違いますか。宣告猶予と執行猶予の違うところは私はそこじやないかと思う。
#82
○衆議院議員(鍛冶良作君) ですから執行猶予の者は……、
#83
○宮城タマヨ君 刑を著なかつたということはないでしよう。刑は著ておる。ただ猶予されておる。刑務所に入れられることなしに猶予されておるというのであつて、やはりこれはやりそこなつたら刑務所に服さなければならないし、だけれども情状を考えると、本当に保護者がなかつたり、環境が悪かつたりするから、ちよつと支えてやろうというのがこの保護観察制度だと思つておりますが、どうでしよう。
#84
○委員長(郡祐一君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#85
○委員長(郡祐一君) 速記をはじめて。
#86
○宮城タマヨ君 仮出獄に対しまする今までの保護観察の制度の上に、効果の上に何か不足だと思いになることがあるでしようか。
#87
○衆議院議員(鍛冶良作君) それはありません。それは私は余りよく存じませんが、仮出獄者に対しては十分やつて頂いておると思います。けれども、それとこれとは観念が違いますから、そういうものと同じ取扱いをする頭で執行猶予者を観察されるのでは困る、こういう考え方でございます。
#88
○宮城タマヨ君 それは私は第一回のときに質問しましたけれども、例の四つの遵守事項を守らなければならないなんていう、四つに限られるなんていうりようなことも実際はこの保護観察、特にケース・ワーカーのする仕事としたらおかしいということを一番先に私政府に聞いたんですけれども、そういうおかしいことがいつぱいあるのですけれども、根本においては、今までの保護観察制度と私そう観念を違えたり、目的を違えるとしてやり直さなければならんと思わないのですがね。今までの保護観察制度は、事実においては随分経費の点からいつても、刑務所に入れられれば、一カ年に一人が六万六千円も要るところを、保護観察では、その十分の一もかかつていない。ですから、非常な効果を挙げている。それから再犯も非常に違つて来ておりますから、だからこの保護観察についての今までの成績というものは、十分ここで認めなくちやならんと思うのですね。
#89
○衆議院議員(鍛冶良作君) だから保護観察を我々は嫌つておるわけではございません。保護観察はいいと思つております。
 それからもう一つ、犯罪の種類によつて、先ほど言いましたように、それは裁判に付せんことにすればいいと言えば言えますが、先ほど来おつしやつたように、第二回目には必ず付するということになつておりますが、犯罪によつて付さんでもいい犯罪もあると思います。それから、仮に今出てみなければわかりませんけれども、遵守事項の四つ仮にきめておいても、こういう犯罪については二つだけでいいのだ、こういう犯罪については四つともやらなければいかんのだ、こういうことがあると思います。私は何といつても保護観察で最も必要なものは盗癖のある者、若しくは狂暴性のある者、これは付さなければならんものだと思つております。そうでない、選挙違反のごときを付してみたつて私はしようがないだろうと考えます。そういうものを区別して考えてもらうという考え方が私は根本的な考え方なんです。
#90
○宮城タマヨ君 取扱いの上に観念を違えて取扱わなければならないことがいろいろありますでしようが、言つておりますと、鍛冶さんのおつしやることと私の言いたいことと、大かた同じところに落ちて行くようですが、私に若し我を張らせて頂くならば、それは、取扱いじやないでしようか。こういうふうに理解して下すつて私どもに同調して下さるわけにいかんでしようか。ここで目的を違えたり観念が違うなんて言われると、私はどうしても同調できない。新たなものを打ち立てて、どういうものが新たなものかということになりますからね。
#91
○赤松常子君 関連して……。私も先ほどから御説明を聞いておりまして、仮出獄の人とそれから新しく執行猶予になつたかたとの考え方をそう鍛冶委員のようにはつきりと区別すべきものかどうかということが腑に落ちないのでございます。それで、実際今までやられておりました保護観察で、仮出獄の人と、そうでない人とは手心を加えられているのではないでしようか。そういう点斎藤局長に伺います。
#92
○政府委員(齋藤三郎君) それはケース・ワークの本来から申しまして、刑務所に入つている場合には、例えば、成るべく早くから環境を調整するというようなことをいたしますし、裁判所から直接来れば環境調整の済んでいない人が来ますから、環境調整に主として初めに重点を置くとか。或いは少年院は異性の接触の仕方においても考えなければならんということがいろいろある。ケース・スターデイというようなことも勉強しておる観察官にも適当な指導に努めておる、こういうことを申上げたのです。
#93
○赤松常子君 事実、私、仮出獄の人と初めて刑を受けた人で執行猶予を受けた人との扱いは、従来とも区別して手心をやつておいでになつたように思いますが、特にそういう区別があるからという考え方に対しては、どうも納得行かないのでございますよ。
#94
○衆議院議員(鍛冶良作君) 先ほどそういうことを宮城さんからもおつしやつたように、どうも煎じつめてみると、執行猶予になつた者も犯罪者だという、それは犯罪者でないかといえば、私も犯罪者の一種でございますと言いますが、そこのやはり違いでしような。我々は、犯罪は犯したのだけれども、犯罪者としての取扱いを見てみなんでも、元の通りになる者、そういう者が執行猶予になる者だ、こう心得ております。仮出獄というのは、これは犯罪者だとして取扱われちやつたのですから、そこにやはり根本的な違いがあると思う。これは私だけじやない。衆議院の委員でもやかましく言いました。一般社会人と同様に取扱つて、そして更生させて行く。こういうのと、どうしてもこれは一般社会人と一緒にしてはいかんのだ、分離してやはり相当の保護をしなければならん、これは画然たる違いがあると、こう我々は考えます。そこに考え方の違いがあると心得ます。
#95
○赤松常子君 私、新らしい保護観察制度とおつしやるそのお考え方に同調したいのでございまして、その制度そのものは必要であること勿論でございますが、その狙いとか目的とかというものは変るわけのものではないと思います。とにかく立派な人間にして行くということなんでありまして、それのまあ人数であるとか、或いはその一人の保護司の力量であるとか、というものをよくして行くということにあると思うのでございます。そうして、保護すぺ遂人の人数と、それからそれを見て行く人の割合というものを勘案いたしまして、バランスをとつて行くというような、そういうことが非常にもつともつと科学的に考えられて行くことが、この保護観察制度をよりよく新らしいものにして行くという狙いでありたいと、こう思うのでございます。それで、新らしい保護観察制度ができるまでということになつておりますが、衆議院のほうでは、当局とその辺のお話合があつたものでございましようか。いつ頃保護観察制度が完備されるものなのでございましようか。その辺のお話があつたのでしようか。
#96
○衆議院議員(鍛冶良作君) 内容については別に細かくは言つておりませんが、我々は先ほどからここで答弁いたしましたような考え方で、執行猶予者に対して旧来の制度を使うということはいかんと思う。それには先ほど言つたように、犯種によつてつけんでもいいものが、又このようなものをつけられては甚だ迷惑至極なものもあり得るわけだから、そういうようなものを区別して、新らしい制度に合うように作つてもらいたい、こういう希望だけは述べておりますが、内容については余り細かくは打合せておりません。そこでその点に対して、先ほど宮城さんの言われた、もつと予算を取つて、保護司なら保護司らしい待遇をして、いい人を得るようにしてもらわなければ、こんなものを作つて、これから新らしい制度をやつて行くということはいかんじやないか。この点は、政府もいずれも同感だと言つておりますが、それならこれをこのまま通して置くから、そこで新らしい法律で定むと書いてあるから、その法律が出て、その法律の施行のときに一緒に施行されればいいとこう言つたのですが、まあこつちは準備もあるから、政府は予算は幾らか取つてあつたのだから、それもそれでいいから、それはこの次の臨時国会に出すとは請合われんけれども、この次の通常国会の予算の面とも見合せなければならんから、通常国会に責任を以て出そうと思う。これは大臣の答弁でございました。ところが、あなたもそう仰しやつた。ところが、出んからしようがないと、こう言つて二十五条の二の第一項の変更になつたわけで、この点はいずれから言うても遺憾な点ですが、止むを得ないので、今のところ我々は来年度の通常国会には出して頂けるものと期待いたしております。
#97
○赤松常子君 本当に私はその点も心配しておりますし、政府もよく聞いておいて頂きたいと思います。
#98
○宮城タマヨ君 ちよつともう一つくどいようですけれども、鍛冶さんにお伺いいたしますが、今度のこの初度目の者に対します執行猶予ですね。これは執行猶予を与え、そうして執行猶予になつてあのいわゆる本当に社会人として、もうすぐ帰して、何ら安心しておかれるというようなものには、保護観察を付けないで、それは判事の裁量による。保護観察を付けられるものは、これは私放つておいたらもう危いぞといつたような程度の者に保護観察が付けられると、こう了解しておるのですが、そういうことになりますけれども、今度は取扱の面から言いますと、それだからといつてお前は執行猶予者で罪人だよというようなことは保護司というものは、それは今までもしておりませんし、又それをするくらいでしたら苦労はないのです。ですからその取扱いの面において、私は十分注意するし、又されるような人を採用してもらわなければならんと思います。そのことと今度仮出獄した者に対する取扱いですけれども、仮出獄しても同じ……、前科者だよ、前科者だよということを言わないようにして、社会人と何ら違わないようにということでどうかして包んでやりたいという苦労というものは、非常に保護司にある。そうしてそこで取扱いが非常にむずかしいのです。ですからどうかして犯罪人、社会人の中に入つて社会生活をしながらやつて行こうというその苦労をする点についても、私は今度の執行猶予者に付く保護観察の保護司の苦労と、それから仮出獄をしました、言つてみれば同じ前科者だよ、又そのことをやるかというと、本当にたやすく取扱われるように思いますが、事実保護司の苦労というものは、この人を一社会人である、もう社会に帰属したのだからお前何でもないよという取扱いをしようという、これにかかつて保護司の苦労はそこにあるのです。ですから取扱いのむずかしい点は違いますけれども、苦労の点において私は非常なものだと思つて、そういう保護司から若し言わせますならば、何ら違いはない、どつちも社会人として、又刑を被たものであろうがなかろうが、人権を尊重してやらなければならんよということについて、非常に苦労をしておる、こういうふうに思つておりますのですから、ただここで問題は、大体衆議院のほうの修正案の説明も私納得いたしましたから、私は同調して参りたいと思つております。そこで今朝からも法務総裁に大分申しましたけれども、これは問題は何と言つても予算を取つて、いい保護司を作らなければならないし、今までのような保護司では間に合わないだろうと思うのでございます。でございますから、その予算を取るという点につきまして、私ども今まで余り役に立ちませんでしたが、丁度いい時期なんですから、うんと私どもも加勢したいと思いますので、一つ衆議院のほうとやはり一緒になつて協力して参りたいということをお願いしまして、私はこれでよくわかりました。
#99
○衆議院議員(鍛冶良作君) 何といいますか、こういうことの狙いに対しては全く我々同感でございます。それから第一、第二と言いましたが、今あなたのおつしやつた第二の点は、政治上においてはその点が最も我々の思うところでございますので、今後も一緒に一つ立流なものに仕上げて行きたいと思いますからよくお願いします。
#100
○委員長(郡祐一君) 衆議院側に対して御質疑のかたはもうございませんか。ちよつと速記をとめて下さい。
   午後三時三十六分速記中止
   ―――――・―――――
   午後四時三分速記開始
#101
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。それではこれで散会いたします。
   午後四時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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