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1953/07/23 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 地方行政委員会 第15号
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1953/07/23 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 地方行政委員会 第15号

#1
第016回国会 地方行政委員会 第15号
昭和二十八年七月二十三日(木曜日)
   午後二時八分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   理事
           石村 幸作君
           堀  末治君
           館  哲二君
   委員
           西郷吉之助君
           長谷山行毅君
           小林 武治君
           若木 勝藏君
           加瀬  完君
  政府委員
   自治庁財政部長 武岡 憲一君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○地方財政法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○理事(石村幸作君) これから地方行政委員会の会議を開きます。今日は衆議院から送付されました地方財政法の一部を改正する法律案につきまして自治庁のほうから内容の補足説明をして頂きたいと思います。
#3
○政府委員(武岡憲一君) それでは今回御提案申上げております地方財政法の一部を改正する法律案につきまして概略の御説明を申上げます。この改正法律案の提案理由並びに内容の概略につきましては、さきに大臣から御説明を申上げたところでございますが、私から若干補足的に申上げて見たいと存じます。
 改正の第一点でございますが、これは地方財政法の第五条第一項五号中の改正でございまして、今回の改正案は公共施設とございますものの文字の下に公用施設というものを加えようとするものでございます。これは従来現行法によりますと、起債の対象となります事業は、この法律に規定がございまするように学校、河川、道路、港湾といつたような公共施設というものの建設事業費ということになつておつたのでございますが、今回これに公用施設を加えまして、例えば役場の庁舎或いはその他公共団体がその直接の公用に供しまするところの施設の建造につきましても起債をなし得ると、かように改めたいのでございます。この点につきまして、実は先般衆議院におきまして御修正を受けたのでございます。この御修正の趣旨を併せて申上げてみたいと存じますが、これはこの公共施設のほか公用施設を加えるという政府の御提案申上げましたものにつきましては御同意を頂いたのでございますが、現行法の書き方が要するに公共施設の説明といたしまして、説明と申しますか、学校、河川、道路、港湾というような例示になつておるのでございますが、なお起債の対象として具体的に取上げて参りますものは、ここに勿論例示されておりますもの以外の各種の公共施設、又今回の改正によりますれば公用施設というものを含むわけでございますが、その例示を、その対象となる公用施設なり、公共施設の内容をもう少し具体的に例示をしたい、かような御趣旨でございまして、従いまして法文といたしましては学校その他の文教施設、保育所その他の厚生施設、消防施設、道路、河川、港湾、その他の土木施設等の公共施設、又は公用施設、こういうように書いたほうがより適切ではないか、かような趣旨の御修正があつたわけでございます。
 それから改正法案の改正の第二点は第五条の第三項に新たに一項を加えようとするものでございます。これは「第一項第五号の場合における普通税の標準税率は、個人に対する市町村民税の所得割にあつては、当該市町村の課税額の総額が、所得税額を課税標準とし、税率を百分の十八とした場合における課税額の総額と同額による税率とする」かような趣旨で、要するにこの第五条の第一項第五号によりまして起債をいたします場合には、御承知のように標準税率以上の実際の税の賦課をしておるということが一つの条件になつておるわけでございますが、その標準税率の定め方につきまして、今回別に御提案申上げております地方税法の改正案におきまして個人に対する市町村民税の所得割の算定に関しまして、若干の修正をいたすべく御提案申上げておるわけでございます。これは現行法におきましては、所得割の標準税率といたしまして所得税額の百分の十八という一応の規定があるわけでございますが、今回この標準税率を廃止いたしまして、いわゆる所得割の第二方式と普通に呼んでおりますが、課税総所得金額の百分の十というものを基準といたしまして所得割の課税標準税率を定めて行こうというような改正案に相成つておりまして、いわゆるこの所得割についての標準税率という観念が一応なくなるわけでございます。従いまして財政法の第五条第一項の適用に関しまして、その場合に一体何を以て標準税率とするのかという点が問題となつて参りますので、その点を補います意味で、この条項を設けるのでございまして、その内容は只今読上げましたように、所得税額を課税標準とし、税率を百分の十八とした場合の課税額の総額と同額になるような税率、これが即ち標準税率であるということを明記いたしてあるのであります。その場合に括弧内に(納税義務者の所得税額に百分の十八を乗じて得た額が当該納税義務者に係る地方税法第二百九十二条第四号本文に規定する課税総所得金額に百分の十を乗じて得た額をこえる場合においては、当該納税義務者に係る課税額は、その課税総所得金額の百分の十の額として算定するものとする。)という括弧書きをしてございますが、これは市町村によりまして非常な高額所得者がございますような場合には、所得税が累進課税になつております関係から、所得税額の百分の十八の額が課税総所得金額の百分の十の額を超えるような場合が生じて参るのであります。この場合には全体として課税の均衡、或いは起債をいたします条件の公平を図つて参りまする意味におきまして、実質上所得税額の百分の十八に該当するだけの課税をいたしておる場合には、これは標準税率を以て課税をしているものとみなして行きたい、かような規定を設けた次第でございます。
 その次に地方債の償還年限についての規定を一項設けようとするものでございます。即ち第五条の二といたしまして、第五条の第一項第五号の規定によりまして起債をいたします場合の償還年限は、その地方債を財源として建設した公共施設なり、或いは公用施設の耐用年数以内にとどめるべきである、こういう規定をおきたいと存ずるのであります。これは勿論地方債の借換をする場合におきましても同様でございまして、この規定の趣旨は、建設をいたしましたその施設の耐用年数以上に長い償還期限をおいて置きますというと、その施設がすでに老廃と申しますか、駄目になつて更に新らしく施設をしなければならんという場合に、なお古い起債が残つておる、償還をしなければならんというような事態を生じまして、だんだんそういう事態が重なつて参りますと、財政の健全な運営を阻害する虞れがございますので、少くともその耐用年数以内にはその起債の償還ができるようにやつて行きたい、かような規定を設けたものでございます。
 それからその次には証券発行の方法による地方債に関しまして一項設けておりますが、先に挙げました償還年限に関しての規定、又この証券発行の場合における特殊な規定、更に又後ほど申上げますような第五条の四なり、或いは第五条の五なり、これらの一連の規定は、いずれも大体昨年度あたりから公募債がだんだん殖え参りました関係から、公募債の総体的な消化を促進して行きたいというような意味合から設けられた規定でございます。この第五条の三でございますが、この規定は証券によつて地方債を起します場合の方法につきまして規定をいたしまして、「募集、売出又は交付の方法によることができる。」又割引発行もできる、又償還の場合につきましては、抽籤発行、抽籤による償還をすることができる、かような規定を設けまして証券の形による地方債発行についての規定を整備して参りたいと考えたのでございます。
 その次の第五条の四は商法の規定を一部ここに準用いたしておりますが、これは社債につきまして現在商法が規定をいたしておりますものでございまして、その規定の趣旨は、大体この社債関係についての応募者、即ち債権者を保護して参るような規定でございます。で、その一つは社債募集の商法の規定でございますが、即ちここに準用しようとする商法の規定でございますが、「社債募集ノ委託ヲ受ケタル会社八社債権者ノ為二社債ノ償還ヲ受クルニ必要ナル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス」というような規定、又その「前項ノ会社が社債ノ償還ヲ受ケタルトキハ遅滞ナクソノ旨ヲ公告シ且ツ知レタル社債権者ニハ各別ニコレヲ通知スルコトヲ要ス」というような規定、又「前項ノ場合ニオイテ社債権者ハ債券ト引換ニ償還額ノ支払ヲ請求スルコトヲ得」という規定がございます。それからいま一つは「社債募集ノ委託ヲ受ケタル会社二以上アルトキハソノ権限ニ属スル行為ハ共同シテコレヲナスコトヲ要ス」という規定がございます。それからいま一つは社債募集の委託を受けた会社が二つ以上ある場合、その償還の義務についてでございますが、この「社債権者ニ対シ連帯シテ償還額ノ支払ヲナス義務ヲ負フ」かような規定がございます。いずれも債権者の保護規定でございますが、これらをいずれも地方債の債券発行につきまして、準用して参りたいという考えでございます。
 それからその次の第五条の五の規定は、これは一部事務組合による地方債についての規定でございまして、一部事務組合を地方自治法の規定によつて設置いたしまして、その組合の中で規約に当該組合を組織する地方公共団体に貸し付けるための地方債を共同して起す旨を、規定するものが起す地方債につきましては、その組合と組合を組織する地方公共団体との連帯で以て償還並びに利息支払いの責任を負うようにしたい、これも先に申上げましたような債権者保護の一つの規定でございます。
 大体主な規定は以上のようなものでございまして、あと若干部分的に条文の整理或いは字句の整理に関する規定がございまして、例えば十二条の二項の三号の中で警察予備隊とありますのは、これは法律の改正によりまして、保安隊というふうにこれは字句の修正だけでございます。
 それから又先に御説明申上げました地方債の償還年限に関しまする今回加えようとする新らしい規定は、附則の第三十三条によりまして、警察、消防それから六・三制の起債の特例がございますが、この場合にもこの規定を準用して行きたい、かようなことも規定いたしておるのでございます。
 今回の改正法律案の内容は、大体さようなものでございますが、いま一つ追加いたしまして、今回衆議院におきまして御修正を受けました、いま一つの点をこの際併せて御説明を申上げます。
 その点は附則第三十三条の規定に関してでございます。この規定の第三十三条の第二号に、三十三条の規定は地方債の特例に関する規定でございますが、即ち「地方公共団体は、当分の間、左に掲げる経費については、第五条の規定にかかわらず、地方債をもつてその財源とすることができる」とございまして、その第二号に「自治体警察の創設に伴う施設の建設費」というのがあるわけでございます。この点につきまして、自治体警察の創設ということだけでは今日の警察財政、市町村の警察財政の関係から甚だ不十分ではないか、もつとこの特例によつて起債し得る警察関係の施設というものを拡げたいという御趣旨でございまして、この条項につきまして、この「創設」の下に「及び整備」とお加えになつたのでございます。即ち「自治体警察の創設及び整備に伴う施設の建設費」かように御修正を頂いたのでございます。
 概略でございますが、大体御審議を頂きます法案の内容は、以上のようなものでございます。
#4
○理事(石村幸作君) 只今の部長の説明並びに前回の自治庁長官の提案理由の説明等につきまして御質疑をお願いいたします。
#5
○堀末治君 これは何ですか、そうするとこの予算で認めた枠内だけの問題なんですね。枠内の要するに起債のあれをきめようというわけですね。
#6
○政府委員(武岡憲一君) この今回御提案申上げました法律の改正は、只今御指摘のその起債、つまり二十八年度に予定をいたしております起債計画の枠とは関係ございません。即ち二十八年度に予定しておる起債の枠内で、どういうようなものについて起債をするかという点についての修正と、どのような方法によつて起債をするかという方法における改正でございまして、総額というようなものについては別に額或いは枠というような問題については関係ございません。
#7
○堀末治君 そうすると例えば各市町村はやろうと思つても、その枠以外だというと許可されないとこういう意味ですか。
#8
○政府委員(武岡憲一君) その通りになります。例えば具体的に申しますと、今回公用施設というものを加えたわけでございます。それから又衆議院の御修正によりますと、警察の場合におきましても対象が拡がるわけでございます。併しながら実際承認をいたしますときには、別途御審議を頂いております地方財政計画によつてきまつた枠内で許可することになりますが、それが、拡がつたから、公用施設のものについては当然みんな許可をするということには参らんかと思うのであります。
#9
○堀末治君 そうすると、やはりやろうと思うときは、自治庁のほうへ皆願出て、そうして自治庁の査定によつて分けられるわけでありますか。
#10
○政府委員(武岡憲一君) さようでございます。
#11
○小林武治君 衆議院の第五条一項五号中の修正というのは何も趣旨は変りませんですね。
#12
○政府委員(武岡憲一君) この法律で規定しております趣旨には別に関係ございません。ただ規定の書き方と申しましようか、現行法が例示的に非常に抽象的に書いてあるわけでございますので、それをもつと具体的にこういう施設もこういう施設もこれに入るのだということを例示して置きたい、こういうような御趣旨に承わつておるのであります。
#13
○小林武治君 公用施設の中の例示はどういうものでありますか。
#14
○政府委員(武岡憲一君) 公用施設ということで別に具体的例示はないのでございます。「公共施設又は公用施設」とあるのでございまして、この今度の衆議院の改正の条文によりますと、例えば「学校、河川、道路、港湾」を「学校その他の文教施設、保育所その他の厚生施設、消防施設、道路、河川、港湾その他の土木施設等の公共施設又は公用施設」と、こうなつております。従いまして例えば消防施設の中にも公共施設と見るべきものもありますし、公用施設とむしろ見るべきものもあるわけであります。それからその他の例えば厚生施設等につきましても、その施設の性格によりまして、公共施設と見るべきものもございましようし、又公用施設と見る筋のものもあろうと存じますが、その点はそれらのものを含めまして、要するにまあこういつた文教なり或いは厚生なり土木なり消防なりというものに関係する一切の公共施設及び公用施設と、こういうふうな意味になつておるわけであります。
#15
○小林武治君 公用施設として主として目当てにされておるものは何ですか。
#16
○政府委員(武岡憲一君) 大体問題になつて参ると存じますのは庁舎でございます。県並びに市町村の役場といつたような庁舎の場合が今日まででも一番問題が多いのでございまして、これにつきましては、従来から災害復旧というような形でございますと、庁舎の建設について起債を認めておつたのでございますが、単に建換えをしたり或いは増改築をしたりというようなものにつきましては、法律上起債の対象になり得なかつたわけでございます。併し今回若しこれを御承認頂きますならば、さようなものにつきましても起債を認め得る、かようなことに相成るのでございます。なお、そのほかに、例えば保健所でございますとか、或いはこの例示にございますような保育所とかいうようなものも入つて参ろうかと思います。
#17
○加瀬完君 至つて初歩的な質問をいたしますけれども、衆議院の修正案で見ますと、公共施設、公用施設という限界が何かはつきりしておらないように思われるのですが、そこで今まで一体この法文上公共施設と呼んでおつたのは一体何か、見方によつて公共施設と見られ或いは公用施設と見られるものじやないかと思うのですよ。公共施設というものの内容と公用施設というものの内容は違うのじやないか、それが両方はつきりいたしませんで、衆議院のような解釈をいたしましては、何か非常にあいまいになつて来るように思われるのですが、その公共施設の内容、公用施設の内容を御説明頂きたい。
#18
○政府委員(武岡憲一君) 公共施設と申しておりますのは、この行政の主体が一般住民と申しますか、公衆の使用又は利用に供するために設ける施設、こういうように定義されるわけでございます。例えばそういう意味におきまして道路とか河川とかいうようなものがその適例になるわけでございます。或いは橋梁というようなもの、それから公用施設と申しておりますのは、その行政主体が行政目的のために直接使用又は利用するために設ける施設ということでございまして、結局はまあ同じく公衆がやはりそのものを使用することにはなるわけでございますが、その公衆の使用なり或いは利用というものは、直接的であるか或いは間接的であるかというのが、その区別になると思うのであります。そこで従来の規定は公共施設になつておつたわけでございますが、それで呼んでおりまするのは、例示にございますような学校、それから道路、河川、港湾というふうなものが大体そういうふうなものであります。そのほか勿論各種のいわゆる公共事業の対象になりますようなものがあるわけであります。今回特に公用施設というものを加えました趣旨において考えておりますのは、例示として先ほど申上げましたような、役場とか庁舎とか、それから或いは研究所、試験場というようなものも考えられるわけであります。これは例えばその試験場等につきましても、その官庁、例えば県なら県が直接この県の行政目的のために使つておるという意味においては、これは公用施設だと思うのでございますが、例えばその中で一部を公衆のいろいろな試験研究のための相談所というようなものを仮に作つておるといたしますと、これはどうも公共施設といつたほうが適当ではないか、かようなことになつて参ると思います。観念的には私先ほど申上げましたように、これは固苦しい定義をいたしますれば、行政目的のために直接に使つておるか、或いはむしろ公衆の直接の使用、利用に供しておるか、こういうことで区別することに相成ると思います七
#19
○加瀬完君 さつき堀さんからも少し触れられた問題でありますが、現在公共施設の起債或いはその他財政的な援助を政府のほうに要求いたしましても、要求したものの何分の一しか得られないという現状でございます。公共施設とは別枠に公用施設の分というものを考えるのでございましようか。
#20
○政府委員(武岡憲一君) これは別にその枠として公共施設の分が幾ら、公用施設の分が幾らというようには考えておりません。問題は今日承認をいたしております起債について、その起債し得る額の総額、起債総額というものが多いか少いか、多過ぎるか少過ぎるかというような問題になろうかと思いますが、この問題は結局前にも御説明申上げました地方財政計画を御検討頂きます際に、地方の一体財政需要というものをどの程度に考えているか、それに対する財源として地方税の見積りなり或いは国庫支出金の国の予算に計上されます額なり、或いは又平衡交付金として計上される額なり、そういう各種の財源と睨み合せまして、勿論それだけではなくて、やはりこの起債は起債としての特殊な事情というものも考えなければなりませんが、そういうようなものとの関係で地方債の額というものを本年度どのくらいにしたらよろしいかということで、こういうことで実は総額をきめて参つておるのであります。そこでその総額の範囲内で以て、大体これは従来の実績或いはその年の財政計画の特殊性等も勿論関係いたすわけでございますが、それらによりましてその総額の中で、公共事業費に充てられるべきものがどれくらい、それから又災害関係に充当するものがどれくらい、又単独事業に充当するものがどれくらい、こういうふうに内容を分けまして起債計画を立てておるのでありましてその問題と、ここに法律改正で以てその起債の対象となるものを公共事業のほかに公用施設を加えたということとは、直接の関係はないものと考えております。
#21
○加瀬完君 直接の関係はございませんが、そういう総額できまるということになりますと、公共施設のほうに行く分のうち幾分かが公用施設のほうに廻わるということも考えられるわけですね。そのために総額が殖えて参らないということになれば、公共施設が今でも困つておるのに、新らしい公用施設というものが一つはまり込んだような形になりまして公共施設の枠というものがもつと狭められるというようなことにはならないのですか。
#22
○政府委員(武岡憲一君) その起債の配分の関係におきまして公共施設と公用施設と別にそういう起債の枠を作つてあるわけじやございませんが、従来そういつた仮に公共事業に充てておつたようなものが、この対象が拡まつたために、そういうものがなければ当然そつちへ行くはずのものが減りはしないか、こういう御心配だろうと思いますが、これはその事業だけについて、仮に今例におとりになりましたように、公共施設というものに一体二十七年度どれだけ起債をするか、そのままの形で二十八年度総額で行けばどのくらいかかるかという、仮にそういう推計が立つかといえば、公用施設のこの規定を実際に活用して二十八年度或いは二十九年度において、その枠によつてその方面に対する起債をどんどん出して行くということになれば、或いはおつしやるような結果になるかも知れません。或いは公共施設として幾ら、或いは公用施設として幾らつけることが適当であるか、こういうやはり先ほど私が申上げましたような起債の総額全体というものの定め方の問題に、問題は帰つて来ると思うのでありますが、この起債の総額というものが今日の地方財政の状態からして少な過ぎるのだということでございますれば、これはもう公用施設を加えましようが、加えますまいが、やはりこれは我々として低過ぎるのだという問題が残ると思うのです。ただ公用施設というものを加えたために、従来公共施設というように当然見ておつたものが少くなることが非常に不都合ではないかという御意見であるといたしますれば、私はそういう意味よりも、やはり起債の総枠というものを財政計画との関係においてきめる場合に、もつと考慮する場合があろうということなんで、団体といたしましては、例えば一つの公共施設を建てる事業と公用施設をやるための事業というものを仮に一つの団体が持つておる場合に、どつちの仕事をするかという選択の問題になつて来るわけでございます。総枠がきまつておる限りにおいては、そういうことになつて来るわけですが、今年は公共施設のほうはやめて、それよりも切迫した庁舎の建直しのほうをやるということになりますれば、おのずからそつちのほうに起債つけて行くという結果になるわけでございますから、特におつしやるように公共施設がこのために殖えるとか減るとかいうことはお考えになる必要はないと私は考えております。
#23
○加瀬完君 私は一応町村あたりを考えれば、そういう原則論は成り立ちますが、市でありますとか、県でありますとかいうことになりますと、公用施設だけのほうへ起債を求めて、公共事業のほうは起債を求めないでやつて行こうという工合には参らない場合がありますね。そうなつて参りますと、やはり枠の面で一方を立てれば一方がへこむということになりませんか。総枠が拡がれば問題のないことでありますし、勿論総枠を拡げるということのほうが基本的な問題ではございますが、私が伺いたいのは、いい法律なんでありますけれども、この実際面としての効果が、結局総枠が拡がらない限り、そう現れないということになつて参りますと、法律を作ることと共に、これによるところの裏付というものがやはり財政的に考えられなければ、この法律というものは活きて来ないじやないかということを心配するのです。
#24
○政府委員(武岡憲一君) 御尤もな御意見だと存じます。まあ具体的に申しますと、こういうことが適当な例であるかどうか疑問でございますが、仮に或る一つの町で、橋梁が相当危険な状況にあつてこれを掛け直さなければならん、そういう事業を一つ持つておる。併しながら同時にその役場の庁舎というものが非常に老朽して危険なので、これは直ぐにやらなければならん、こういう二つの事業を持つておると仮定いたしますと、従来の規定のままでございますれば、その橋梁の架け換えというものについては、これは起債の対象になるわけでございます。従つてこれは起債ができるのですが、庁舎のほうはこれは起債の対象になりませんので、これはやるとすれば一般財源でやらなければならんという、こういう状態であつたわけであります。ところが今度この規定ができますれば、この庁舎の建直しについても起債ができるわけでございますから、その町としてはまあその町に一千万なら一千万の起債が仮に予定されるといたしますれば、その一千万で橋を架けるか或いは庁舎を建てるかということは、その団体の任意になるわけでございましてそういうまあ選択の余地というものがこの規定によつてできて来るという効果があるわけなんです。問題はその場合に役場をやるために一千万円の起債をしたいということなんだが、その役場を建てるために橋のほうに充てようと思つておつた一千万円が削られる、削られると申しますか、充てられなくなると、こういうことは困るんじやないかという御意見であろうと思いますが、従来の通り橋は橋で一千万もかけながら、而も今度は役場も建直しができるようになつたので、役場は五百万なり一千万の起債をつけるべきじやないかという御意見だろうと思いますが……。
#25
○加瀬完君 そうなりますか。
#26
○政府委員(武岡憲一君) それは私の申しております通り総枠の問題でございますが、必ずしもそういうふうにはならないと思います。仮に一千万というものを予定するといたしますれば、その団体としては法律改正の効果と申しますか、効果は橋にするか役場にするかという選択権ができると、こういうことになるわけでございまして従来は一般財源でなければ庁舎の復旧ということができなかつたから、従つてもう一般財源で庁舎を建直すということは実際問題として困難だから殆んどできなかつた。併し今度は橋のほうをとにかく少し辛抱すれば、庁舎の建直しができるようになつた、こういう程度の効果は期待されるんじやないかと思います。
#27
○堀末治君 今の加瀬さんの心配されるのは私実例を見ておる。或る所で今から三年ばかり前、学校で講演した。その学校は非常にひどいぼろ学校なんですね。それはひどい。だからこの起債をもらつて建て換えたらどうか、いや、今お願いしておるというのですね。ところが去年の暮に又そこへ行つたのです。ところが大分時間が遅かつたので学校に行かなくて、今日は役場で話してくれというので役場へ行つた。ところが役場のほうは立派なんです。新しくて立派にしたんだが、あの学校はどうしたと言うと、学校はまだなんだというわけですね。それは駄目だ、学校は後廻しにして役場を建てるなんて、これはけしからんぞと、こう言つて来たんです。その後になつて是非あの学校だけは建てたい、学校はひどいから私は建ててやつたほうがいいと思つておる。ところがその後助役の話を聞きますと、どうも自治庁のほうでは認めてくれているが、併し札幌の財務部のほうでは認めない。そしてそれで困るから是非財務部のほうへ頼んでくれということで、私は札幌の財務部のほうへ行つて話しました。ところがそこで言うんですね、あれはまさにけしからんと言うんです。あのぼろ学校の起債をやつてくれ、やつてくれというので、やろうと思つたときに、今度はどうしたことか役場を建てておる。役場を建てる銭があつたら学校のほうに何ぼでも入れればいいのに、そつちは起債でやつてくれ起債でやつてくれと言つてせきたてておる。それで大分起債が多いもので、果して負担能力があるかどうか思つて躊躇しておるときに役場を建ててしまつたと、実際ああいうけしからんことではやられませんよというわけですね。今度はこれが拡げられるから、そういう文句はなくなると思いますが、やはりそういう文句なくやれますか。
#28
○政府委員(武岡憲一君) 結局その場合に、一体学校をやるのが適当なのか或いは学校はおいても役場をやらなければならないかということは、やはりその自治団体の選択によると思います。その事情はその場合によつて変つて来ると思います。先ほどの加瀬委員の御質問に又関連するのでございますが、さつき私が申しました例の場合に、一千万円の起債を以て橋の修理をするのと、その一千万円をそのまま庁舎のほうに廻すのと、こういう例を申上げたわけですが、おつしやる意味は、一千万円はつまり依然としてといいますか、初めの方針通り橋梁の架け換えのほうに使つておいて、更に今度は公用施設が必要になつたから、公用施設について、来年度五百万なら五百万というものをつけるのが至当であろう、或いはそういうふうにしなければ、この改正の趣旨が通らんのじやなかろうかと、こういう御趣旨だろうと思います。これはそういう点においては御尤もだろうと思います。やはり先ほどのことを私繰返すようでございますが、総体としてやはり起債の枠が殖えて参りますれば、その団体に一千万円ときめる必要はなく、或いは一千五百万円、二千万円という、そういう配分が可能でございますから、そうなりますれば、おつしやるように趣旨において名実共に公用施設の起債対象の効果を現わすということになろうかと思いますが、そういう点はただ配列をこういうふうにのばしたから起債の枠をのばしたということでなしに、起債の枠が広いか狭いかという問題は、やはり先ほど申上げましたような地方財政計画という建前から御検討頂くほうが私は至当ではなかろうかというふうに考えております。
#29
○若木勝藏君 ちよつと伺いたいと思うのですが、この法案の第一頁の第五条の第三項ですか、非常に読みにくい法文になつておるのですが、これはこういうことになるのですか。第一項第五号の場合には、普通税の標準税率は云々といつて、そして税率を百分の十八とした場合における課税額の総額と同額になる税率とすると、こういうことですか。
#30
○政府委員(武岡憲一君) その通りでございます。
#31
○若木勝藏君 そうすると、三項をもう少し具体的に説明してみて下さい。
#32
○政府委員(武岡憲一君) 大変ごたごたした条文になつておりますが、もう一度御説明を申上げます。要するにこの規定を設けました理由は、先ほども実は申上げたのでございますが、別途御審議を願つております地方税法の改正法律案におきまして市町村民税の中の個人の所得割、これの算定に関しまする規定を改正しようということで御審議を頂いておるわけです。即ちそれは現行法では個人に対する市町村民税の所得割につきまして、その納税義務者の所得税額の百分の十八というのが一応標準税率になつておるのでございますが、今回その規定を改正いたしまして、標準税率という観念を廃止することになるわけでございます。そこで只今申上げましたような、つまり所得税額を課税標準として課税をいたしますいわゆる第一方式、その方式における百分の十八という税率を廃止いたしまして、第二方式、即ち課税総所得金額を課税標準として課税をいたしまする場合の税率が百分の十の額と同じようになる程度にまでは所得税額を基にして税率を定めてもよろしいと、こういう規定の書き方になつているのです。そこでこの課税方式につきましては、いわゆる標準税率という観念がなくなつて来るわけです。ところが財政法の規定におきましては、第五条第一項の第五号におきまして、起債をする場合には標準税率以上の課税をしておらなければならんという条件があるわけです。その場合に一体そういう地方税法の改正を若しするとするならば、何を以て市町村民税の所得割における標準税率にするかということが疑問になつて来るのです。そこでこの標準税率というものをここにはつきり書いたわけです。即ちその書き方は、個人に対する市町村民税の所得割にあつては、その市町村の課税額の総額が、所得税額を課税標準として、税率を百分の十八とした場合における課税額の総額と同額になるような税率であればよろしい、これがいわゆる第一方式によつて課税をしておる団体についての標準税率の考え方ということになるのです。ところがその場合に、その町村の中で高額所得者があります場合には、所得税の税率というものが、累進税率になつております関係上、所得税額の百分の十八という額と、その課税総所得金額の百分の十という額との関係が変つて来るわけです。と申しますことは、通例の場合におきましては、所得税額の百分の十八の額が課税総所得金額の百分の十よりは低いのが普通でございます。普通と申しますか、低額所得者の場合はそういうふうになる。ところが高額所得者になりますと、その納税義務者の所得税額が非常に高くなつて参ります関係上、その所得税額の百分の十八というものが課税総所得金額の百分の十よりは高いという場合が起つて来るわけです。その場合にはその高いものについてまでそれをほかの団体と同じように、やはり百分の十八でしなければならんというふうにすることは、公平を失しますので、その場合には百分の十の額として算定をした所取税額を課税標準とする場合の税率とする、その程度でもよろしいと、こういうふうに規定をすることによりまして、その条件の公平を期しよう、こういう考え方でございます。その括弧内に書いてございますのがその意味でございまして、(納税義務者の所得税額に百分の十八を乗じて得た額が当該納税義務者に係る地方税法第二百九十二条第四号本文に規定する課税総所得金額に百分の十を乗じて得た額をこえる場合)即ち百分の十八の場合が高い場合、その場合には課税総所得金額の百分の十の額として計算すると、こういう書方をしておるわけです。
#33
○若木勝藏君 そうしますというと、個々の人について考えてみると、そういう高額所得者のほうは、課税総所得金額の百分の十としたほうに行くというと、減つて来るということになりますね、だけれどもその市町村全体を見ました場合に、これは所得税額の百分の十八という場合と、課税総所得金額の百分の十とした場合においては、どちらが一体その税金の徴収が多くなるのですか。つまり私の聞いているのは、第一方式をとつた場合と、課税総所得金額というのは第二方式とすれば、どちらのほうが税収入は多くなるのですか、この点を伺いたい。
#34
○政府委員(武岡憲一君) 通常の場合におきましては、第二方式、つまり課税総所得金額の百分の十の額のほうが多くなるのが通例でございます。
#35
○若木勝藏君 そうしますというと、地方税法の改正はその百分の十の方面に、第二方式の方面に大体なおるような形になりますね。
#36
○政府委員(武岡憲一君) 大体そういうふうな考え方でございます。
#37
○若木勝藏君 その点はわかりましたが、次に今も起債のことについていろいろお話がありましたが、随分私起債のことについて或いは手続が複雑になつておるのではないかと思うのです。それで私の知つておる範囲では、町村の起債というようなものは府県知事の権限内で済むのでないか、然るに中央に多額の金をかけて、財政部長も御存じでしようけれども、非常にああいうふうに陳情が多く来ておる、そこで一体私は明瞭にしたいと思うのは、今の起債の許可を受けるまでの手続を明快に言つて見たらどういうふうになつておるか、その点を一つ伺いたいと思います。余りに複雑のように思うのです。府県で済むようなものが中央まで来なければ終らんような、自治庁に来る、大蔵に行くというような恰好になつておりますが、どうなつておりますか。
#38
○政府委員(武岡憲一君) 御指摘の点誠にその通りでございまして、私どもも起債の手続の簡素化ということについては、もつと努力しなければならんと常に考えておるのでございます。現状におきまして実際市町村が起債をいたします場合にどれだけの手数を経ておるかということを話して見ろということでございますので、概略申上げてみますと、市町村で先ず起債をしようとします場合には、一応所属しております都道府県のほうに起債の申請と申しますか、要望をいたすわけであります。それから同時に市町村では、一方地方の大蔵省の出先機関でございますところの財務部のほうにも同様な書類を提出いたします。これはそういうふうに二重になつておるわけでございますが、これは御承知のように起債の許可自身はこれは市町村のものにつきましては府県知事が許可をいたすわけでございますが、その総体の枠の関係がございますのと、それから実際に起債の許可をやりましても、それに対して実際に融資されるかどうか、殊にこれは大蔵省が所管をいたしております資金運用部資金を借入れる場合において特にそういう問題があるわけでございます。許可とそれから実際の金の貸付というものが全然無関係に行われますと、実際問題として許可は受けたけれども金が借りられなかつた、こういう事態を生ずる虞れがあるわけでございます。そこでその間におきましてはどうしても密接な連絡をとることが必要であろうということで、そういう意味の協議連絡というものを今日行なつておるわけでございます。純粋に法律上から申しますならば、府県及び五大市についての起債につきましては、今日法律及び政令の定むるところに従いまして一県五百万円以上のものについて自治庁長官がこの許可をいたします場合には、大蔵省と協議しなければならんという規定がございますので、いわゆる法律上の協議をやつておるわけでございます。ところがそのほかに市町村のものについては別に法律上の協議は必要といたしません。法律上は必要がないわけでございます。ただそれにかかわらず、自治庁と大蔵省との間でその起債の許可についていろいろ協議をいたしておりますのは、先ほど申上げましたように、この許可を自治庁長官が許可をいたしましても、その実際の裏付けになる資金というものを大蔵省が貸してくれるかくれないかという問題が残るものでございますから、こういうふうな許可をするということについて、事前に連絡をしておきますれば、その協議の整つたものについては、これは大蔵省が無条件で金を貸すことになりますと、あとになつての問題がなくなるこういうようなことで連絡をしておるのであります。そこで大蔵省のほうの立場で申しますならば、この起債については二重の、二つの立場を持つておるのでございまして、一つは先ほど申上げましたような法律上の協議というものについては、つまり国の全体的な財政、金融を統制して行かなければならんという立場からその協議を受けるわけでございますし、一方におきましては、国の資金運用部資金を貸付けるというもの、法的融資機関という立場における機能を持つておりますがその二重の立場からこの問題に関係しておるわけでございます。そういうような関係にございますので、趣旨から申しますれば、こういう起債の総枠だけきめて行けば、その範囲内で以て府県並びに五大市のものについては自治庁長官が許可をし、市町村のものについては府県、市が許可して、そのものについてはその範囲内で以て大蔵省がどんどん金を貸して行けばいいじやないかということで、いわば簡単なんでございますけれども、現実の問題といたしましては、今申上げましたように許可と実際の融資との間の食違いが将来起らないようにということで、そういうような非常に複雑な協議をいたしておつたわけでございます。大蔵省といたしましても、今申上げましたような二つの立場がございますので、そういう意味で必要だということで、機関を使いまして、各市町村における起債の要望額でございますとか、又その起債を充当する事業でありますとか、又その団体の償還能力に関しまする関係のあります財政状態でございますとか、そういうものについていろいろ調査をしておる状況になつておりまして、これが非常に複雑な関係がございますために、市町村には非常に御迷惑をかけておるのが実情でございます。
#39
○若木勝藏君 大体それでわかりましたのですが、どうですか、結局市町村で以て起債を申請する場合には、税収入とか何とかいうふうな一つの標準があつて、それを越えてはならないようになつておるのだろうと思うのであります。ところが実際において、それて以て許可を得る、自治庁はその範囲を越えなければ許可をする、ところがそれに対して大蔵方面で起債の財源というか、そういうような方面からこれをたがをかける、実際私らもついて行つてみますと、自治庁で調べたと同じようなことを又資金運用部でやつているようですが、これは非常に二重のあれになるようなんですが、それだけの一つの条件によつて申請して来るものであつたら、それを大蔵のほうで枠で以て縛るというようなことは、これは私はおかしいのじやないかと思うのです。特に資金運用部の資金ですから、結局これは国民の方面の預金というふうなものから集めたもんだろうと思うのです。それを一体住民が借りる場合に、そこで以て枠で縛るというのはどうしてもおかしなところがあるのじやないかと思うのですが、自治庁としては、やはりそういうことまで現在としては大蔵がやらなければ、この起債というものが順調に行かんとお考えですか。
#40
○政府委員(武岡憲一君) これはむしろ大蔵省の立場と申しまするか、大蔵省のこの事務についてのお考え方の問題になろうかと思いますので、私の申上げるのは如何かと存じますが、この起債の許可につきましては、私のほうの立場といたしましては、地方財政を円滑に運営して行く、それから又各団体がその財産状態に鑑みまして、過大な起債をすることによつて、将来財政運営の困難を来たすことがないようにという、どこまでも財政の堅実化を図つて行くようにというような見地から、主として調査をし許可を与えておるわけでございます。その限りにおきましては、私どもは府県、市町村の各当事者の意見、又その団体の財政状態等につきましても仔細にでき得る限りの検討をいたしまして許可をいたしておるのでございます。ただそれに対する融資として、仮りに私のほうでこの程度この事業についてこの団体が起債をすることは適当であると認めたものにつきまして、大蔵省で今度金を出す場合に、更にそれが必要か、必要でないかという、御調査なされることが二重か二重でないかという問題になろうかと思いますが、これはむしろ大蔵省としてはやはり公金を貸付けるについて、どこでそれがどういうふうに使われるのであるか。又その団体に果して実際その償還の能力があるかどうかというようなことは、公的な融資機関としては責任上して行かなければならん、こういうことでお調べになつておるのだと思うのであります。これは仮に私のほうで許可をいたしまして、問題は公募債の問題になるかと思いますが、公募債の額としてこの程度のものはよかろうということで許可をいたしました場合に、その団体がそれを仮に或る銀行なら銀行に借りに行くと、その場合にその或る銀行としてはその団体に貸付けをする限り、やはりこれは融資をするという関係から一体それはどういう事業に使われるか、その団体の財政の状態、信用の程度はどういうものかということは一応調べざるを得ないと思うのであります。そういうような意味合いにおきましては、やはり公金を扱つておる大蔵省といたしましては、全然調査をしないということには参らんかと思うのであります。ただその具体的な方法等につきましては、やはりその貸付の対象となるものが公共団体でございまして、単なる私の会社なんかと違うわけでございますので、そういう特殊事情というものを十分考慮して頂けば、方法等については更にこれは検討する余地がまだあるのではないかというふうに私は考えております。
#41
○若木勝藏君 町村長あたりの話を聞いてみると、戦前は相当起債のほうは楽であつたけれども、この頃は償還年数からいつても、或いは起債の許可の金額からいつても、非常に戦前に比べて窮屈になつたと、こういうふうなことを言つているのですが、実情はどういうふうになつていますか。又その原因はどこにあるのでありますか。
#42
○政府委員(武岡憲一君) 起債が困難になつたということの意味は、手続や何かの意味じやありませんか。そういう意味ではありませんか。手続が非常にむずかしいとか。
#43
○若木勝藏君 金額とか、償還手数とかが窮屈になつたと……、
#44
○政府委員(武岡憲一君) 起債のこれは結局枠の問題になつて参りますが、従来に比べまして、一体起債の総額というものが地方財政の全体の額の中で占める割合というようなものを統計的に調べてみますと、今日は確かに昔に比べたら相当に下つております。起債の総額というものが昔に比べますとかなり少くなつておるように思うのであります。具体的な数字を持合せておりませんが、殊にこれは団体にもよりまして、例えば市なんかにおいて特にそういう傾向が強いということはいえるのではないかと思うのであります。これは終戦後におきまして、暫らくの間公募債というものが事実上発行されておりませんで、全部起債は政府資金の貸付のみを受けておつたわけであります。大蔵省のいわゆる昔の預金部資金、今日の資金運用部資金というものだけを借りて起債することだけが認められておつた。ところで厳密に申しますれば、二十六年度の末頃から公募債の途が開かれまして、だんだん殖えて参る傾向なんでございますので、そういう意味におきましてはだんだん総体の額としては昔に近ずくというまでには数字は殖えておりませんけれども、幾らか緩和はいたしております。年々起債の総額というものも殖えて参つてはおるのであります。ただその資金源でございますが、一般の公募債の問題は暫らくおきまして、政府資金の貸付の状況を見ましても、従前におきまして資金運用部資金、いわゆる従前の預金部資金の中から地方債として出されておりました資金の割合というものと、今日貝金運用部資金の総額の中で地方債に出されておりますものの割合というものを見てみますと、これも従前より若干減つておるようでございます。これはまあ別途詳しく資料がございますけれども、その割合等から行きましても、大体資金運用部資金というものに、ほかの例えば金融債でございますとか、そういつたほかの国債の消化というものが相当幅広く運用されるようになつておりまして、そのため地方債というものに充当されております資金の比率というものが多少昔に比べて減つて来ておると、こういうところにも一つの原因があるのではなかろうかと思うのであります。まあ政府資金はそういう状況でございます。
 それからそのほかの公募債について、これはそれでは今後殖やして行けばどんどん公募ができるかと申しますと、やはり今日の金融情勢から申しますと、それも団体によりましては非常に困難でございまして、東京とか大阪とか、或いはその他の五大市というところでございますれば、かなり公募債の消化能力がございますが、小さな団体に参りますと、なかなかそういうわけに行かない。これもただ枠だけをむやみに殖やして参りましても実際の消化は困難である。こういうようなことで、事実上起債全体の額というものが地方財政の規模に比べましてかなり少くなつておるというのが実情でございますので、さような意味合におきまして、或いはまあ昔に比べて起債が窮屈だというような御意見が出て参つておるのかというふうに考えます。
#45
○堀末治君 ちよつともう一遍お尋ねしますが、つまりさつき尋ねた継続ですが、枠はきまつておりますね。例えば公募を許すということになつておりますね。そうすればその枠に計画のあつたどこかの市町村が自由にやれるということになつたら、その市なり町村なりがその枠に関係なしに出すことを許しますか。
#46
○政府委員(武岡憲一君) その公募の場合でございますね、公募の場合につきましても、これはいろいろ御意見といたしましては公募というものを枠をはめて、そうして一々枠内で許可をしたりするのがおかしいのじやないか、公募というものは各団体が自分の財政力、信用力というものによつて資金を集め得るところまでどんどんやつて行けばいいんではないかという御意見がかねてからあるわけであります。ただ今日の地方財政計画におきましては、御承知のようにこの財政計画自身の中に実は公募の枠というものを予定しておるわけなのであります。今年度の計画で申しますと、一般会計の中で百十億というものは公募しなければ、この財政計画に予定をしております各種の財政歳出というものを賄うことができないというようなことになつておるわけであります。そこで、公募債もやはり計画の枠内だということに相成りますと、やはりそれだけの、百十億なら百十億というものの公募が消化されるように政府としても責任をもつてこれは努力しなければならんわけでございます。これをただまあ放置いたしますと、公募のできるような能力を持つた大きな団体ではどんどん公募をやつて参りましようけれども、そのほかのところでは、まあ或いは今日の金融事情から見まして、非常に公募が困難となつて来る。全体としての財源配分上或る団体は公募をしなければ財政が賄えないにもかかわらず、その団体に公募債ができない、こういうように全体においなつて来るものでございますから、やはりそこに一種の統制を加えまして、むやみに東京では何十億でも公募ができるからやれるだけやつてよろしいというわけに私ども参らないと思つております。東京で公募し得る限度は大体この程度ということに一応抑えまして、他の都市においてもやはり或る程度の公募ができるような考慮を加えて参る必要があるということで、今日なお許可制をとつたわけであります。
#47
○堀末治君 許可制はいいのですけれども、その政府からもらう、その枠内からもらうやつはさまつておるからいいのです。けれどもその枠によつてやれるというところは自由に許すということですか。その枠以外のものを……。
#48
○政府委員(武岡憲一君) 考え方といたしましては、仮にその財政計画で予定しておる公募債百十億という枠のものが仮に完全に消化されると、更にそのほかに余力がある場合というお話で、これは私は別にそういう公募債を許可することは一向差支えないと考えております。ただ実際問題といたしましてはなかなか今年百十億……、去年はまあこれが一般会計で五十億程度のものだつたわけでございますが、その後追加して多少殖えましたが、殖えて七十億くらいになりましたが、これも五大市がそのうち大体半分程度の四十億足らずのものを一般債券市場に売出したわけでございます。市場募集をやつたわけでございます。これは勿論完全に消化したのでございますが、その他のものは縁故募集等で地元の銀行等から借入れをしておるわけであります。これが果して完全に皆消化されておるかどうかというと、必ずしもはつきりわかつておりません。団体によりましては公募の枠は持つておるのだが、必ずしもそれだけのものを高い金利で借りなくても何とか融資で融通してやつて行けるところはそれだけでやつておるところもあると思います。そういう余力のあるところは別でございますけれども、今おつしやいますように、そういう市場で百十億なら百十億というものが完全に財政計画として支障のない程度に消化された上のことということでございますれば、私はもう別にもう公募債をそれ以上制限する必要はないと考えております。この点は全く御同感でございます。
#49
○堀末治君 それはあなたとしてのお考えですか。政府がそういうふうに考えておるのですか。
#50
○政府委員(武岡憲一君) 公募債について枠という考え方をどうこうするということを政府としてきめたことはございませんが、一応はやはり今のところ今の取扱いといたしましては枠内の……ただ二十八年度で予定いたしております百十億につきましてもその分の許可がまだ全部済んでおらないのでございまして残つておるものでございますから、事態はその後の配分が終りましたあとの問題になろうかと思うのであります。そのときの事態によりまして更に考えてみたいと思うのであります。
#51
○小林武治君 ちよつとお伺いいたしたいのですが、今年から簡易保険特別会計の積立金が地方債の引受けをなし得るということになつておるのでありますが、これは窓口が二つになると、郵政省は自由にその地方債の選択ができるかどうか。町村と交渉してですね。
#52
○政府委員(武岡憲一君) この融資につきましては、過般大蔵省と郵政省と自治庁との間で事務的な打合せを行いまして、今年から初めて行われますいわば分離運用に支障がないようにいろいろ打合せをいたしたわけであります。で、その貸付けにつきまして原則的にはその借入れをいたします団体が選択をする、大蔵省から借りるか、或いは郵政省から借りるかということは、大体その起債する団体の選択といいますか、その意思を尊重してきめて行こう、こういうような考え方でやることになつております。
#53
○小林武治君 そうするとその団体と郵政省との折衝につきましては、大蔵省とか地方庁からは干渉といいますか、そういうものはないと、こういうことなのでしようか。
#54
○政府委員(武岡憲一君) 起債の許可は従前通りこれは自治庁長官が行います。その許可を受けました団体が政府資金を借入れをいたします場合に、どつちの窓口に行くかという問題が残るわけでございますが、これは原則的には只今申上げましたように団体の選択に委せるわけでございますので、あとはやはり大蔵省と郵政省との間の連絡を緊密に図つて、その間に重複或いは間隙を生じないようにやつて行く、こういうまあ事務的な具体的な打合せを更に今やつておるのだと思うのでございますが、これはまあ今申上げましたように、実際の融資をどつちの窓口からするかということの事務的な協議の問題でありまして、建前としては別にその貸付けについて自治庁とか郵政省とか大蔵省が干渉するということは起らないと考えます。
#55
○小林武治君 そうすると、ちよつと地方団体の起債の目的について許可、承認するのじやないのですか。地方団体に対して例えば学校とかこういう施設に要する財源を起債に求めるとか、こういうふうな内容もおきめになつてしまうのじやないですか。
#56
○政府委員(武岡憲一君) 許可をいたします場合には勿論その通りであります。
#57
○小林武治君 従つてそのきまつたものをただ郵政省に借りに行く、ただ郵政省は窓口にしか過ぎない、こういうことになるのですか。
#58
○政府委員(武岡憲一君) その団体がどういう事業についてどれだけの起債をし得るかということは、従来もその通りでございますが、現在自治庁がきめるわけであります。起債を許可するわけであります。その許可を受けました範囲内においてこれが政府資金を借入れるということになりますれば、それを大蔵省から借りるか或いは郵政省から借りるかという問題が残るわけでございましてそういう意味でその窓口の選択はその団体の自由である、かような意味で申上げたのであります。
#59
○小林武治君 私どもが考えるのに、郵政省がその起債を引受けるということにつきましては、郵政省がその財源を必要とする事業の対象を選んで、その話のできたものを自治庁に承認を求めるというふうにすべきじやないか、即ち今のやり方では、ただ郵政省は自治庁で起債の対象の事業まできまつたものを金を借りに行く金を出す窓口に過ぎない、こういうような恰好に今聞くのですが、それでは郵政省が要するに積立金の運用をするという趣旨からしましては、何も選択権はない。もうこれだけきまつた、これだけの事業に対してこれだけきまつたから、それだけ出してくれ、単なる窓口に過ぎない、こういうふうに思われるのですが、それではその運用権というものについては、非常に不完全なものじやないかというふうに思うので、私どもとしては郵政省がこの起債を必要とする事業の対象そのものについても、選択或いは審議ができる、こういうふうにすべきじやないかと思うが、今はそういうふうになつておらん、こういうことなんですね。
#60
○政府委員(武岡憲一君) 起債の許可は、これは法律上自治庁長官が行うものでございますから、私のほうで各団体の起債の要望を聞きまして決定をいたしております。郵政省がどの団体のどういう事業について幾らの起債を、金を貸付けたい、こういうことでその起債の許可はいたしておらないのでありまして、若しお尋ねの意味が郵政省が先ずその持つております金をどこにどういう目的で幾ら貸すかということをきめて、それから今度はそれについての何と申しますか、逆に形式的な許可を私のほうでやる、こういうことには実はなつておりません。その点はむしろ起債許可自身の直接の責任機関が自治庁長官となつておりますので、これは私のほうの従来通りの方針によりまして許可をいたしまして、郵政省はただそれについての金の貸し付けをやるわけでございます。ただその場合に先ほど申上げましたように、どういうところにしか貸せないとか或いはどういう事業にしか貸せない、そういう拘束はしないように……、初めそういうふうに大蔵省と郵政省との間でもつて、例えば事業別に単独事業のものは大蔵省の関係とか或いは補助事業については郵政省が貸すとか、こういうようなことをきめたらどうかというふうな意見もあつたわけでありまして、いろいろ事務的にも検討いたしたのでございますが、それはむしろ両方の官庁といたしまして補助事業或いは単独事業というふうに拘束を受けることが却て運用上まずいのじやないか、むしろそこは借りる団体の側の利便ということも考えて、その意思を尊重して貸付を行うようにしたほうがいいのじやないかということに大体話がきまつたように私は聞いております。
#61
○小林武治君 それはやはり自治庁が関与してきまつたのですか。
#62
○政府委員(武岡憲一君) その相談のときには、私どもも関係いたしております。
#63
○理事(石村幸作君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#64
○理事(石村幸作君) 速記を始めて下さい。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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