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1953/08/07 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 地方行政委員会 第24号
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1953/08/07 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 地方行政委員会 第24号

#1
第016回国会 地方行政委員会 第24号
昭和二十八年八月七日(金曜日)
   午前十一時十八分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     内村 清次君
   理事
           石村 幸作君
           堀  末治君
           館  哲二君
   委員
           愛知 揆一君
           西郷吉之助君
           高橋進太郎君
           長谷山行毅君
           小林 武治君
           島村 軍次君
           秋山 長造君
           若木 勝藏君
           松澤 兼人君
           苫米地義三君
           加瀬  完君
  委員外議員
           植竹 春彦君
  衆議院議員
           床次 徳二君
  国務大臣
   文 部 大 臣 大達 茂雄君
   郵 政 大 臣 塚田十一郎君
  政府委員
   自治政務次官  青木  正君
   自治庁次長   鈴木 俊一君
   自治庁財政部長 武岡 憲一君
   自治庁税務部長 後藤  博君
   文部省初等中等
   教育局長    田中 義男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永與一郎君
   常任委員会専門
   員       伊藤  清君
  説明員
   自治庁府県税課
   長       柴田  護君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○報告書に関する件
○委員長の報告
○議員派遣に関する件
○地方自治法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○地方自治法の一部を改正する法律の
 施行に伴う関係法令の整理に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方財政平衡交付金法の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○地方税法の一部を一改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○派遣議員の報告
  ―――――――――――――
#2
○委員長(内村清次君) 地方行政委員会を開会いたします。
 本委員会におきましては、地方行政の改革に関する調査を行なつて参りましたが、その範囲広汎に亘り、未だ調査を終了いたしておりませんので、例によつて調査未了報告書を議長に提出すると共に、その内容については委員長に御一任を願います。又同件に関し継続調査要求書を本院規則第五十三条により提出い、たしたいと存じまするが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(内村清次君) 御異議ないと認めます。なお報告書には多数意見者の署名を付することになつておりますので、御署名を願います。
  多数意見者署名
    石村幸作  堀  末治
    館  哲二  西郷吉之助
    高橋進太郎  長谷山行毅
    小林 武治  島村 軍次
    秋山 長造  若木 勝藏
    加瀬  完
  ―――――――――――――
#4
○委員長(内村清次君) それから次に昨日の委員会で、実は町村合併法案に対する衆議院の修正案につきまして、私たち委員、石村委員、それに堀委員が加わられまして、その修正点の交渉に対しまして御一任を受けましたが、昨夜衆議院の地方行政委員の方々と相談をいたしました結果、次のように話がまとまりましたからその点御報告申上げます。町村合併促進法案に対して衆議院との間にまとまりました案は次の通りであります。
 第一点は、第四条第二項の改正でありまして、町村合併促進審議会の委員に、当該都道府県の教育委員会で推薦する教育委員、市議会議長会の推薦する市議会の議長、市長会の推薦する市長を新たに加えんとするものであります。
 第二点は、第九条第一項第一号の改正でありまして、合併の際の町村会議員の任期を延長できる期間を二年とあるのを一年に短縮することであります。
 第三点は、第二十四条に合併町村の職員が合併後一カ年以内に退職を申出た場合には、退職手当の支給について優遇すべき旨の規定を新たに設けんとするものであります。
 第四点は、第三十三条に一項を追加し、本法の適用又は準用を受けない市町村の廃置分合で、町村数の減少を伴うものについても、本条の規定による内閣総理大臣に対する行政救済の規定を適用せんとするものであります。
 第五点は、第三十五条中の改正でありまして、町村合併により新市ができる場合、この町村が市に吸収合併となつた場合にも自治体警察維持の特例を認めんとするものであります。
 第六点は、第三十七条の規定による町村数の減少を伴う廃置分合について、本第十二条の自治体警察維持の特例を認めんとするものであります。
 以上の各条項につきまして話合いをまとめまして、本法案は衆議院の修正案として本日の本会議に通過させる、昨日の委員会を通過したと、こういうような状況でございます。この修正、参衆の妥結点に対しまして御承認をお願いいたしたいと思いますが、皆様がたの……。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(内村清次君) 満場御異議ないと認めます。本法案の成立に当りましては、特に参議院におきましては多年の県案でございまして、而も委員会がこれを共同案としてまとめて行きます上につきましては、小委員会を設けまして、小委員会の各位の方々の御努力、又は本審査の場合に、おけるところの各委員の御努力によりまして、画期的な町村合併の法案がここに成立の気運が濃厚になりまして、本院におきましてこの修正点が通過いたしました暁におきましては、各町村関係又は関係市府県関係におきましても、この画期的な法案が、盛上つた住民の意思によつてこの法案の趣意が徹底いたしますことにつきましては、誠に住民のためにも、又国のためにも非常な貢献するところが多いと存じます。この点、各委員に対しまして、委員長といたしまして深甚の謝意を申上げる次第でございますが、なお本法案がこの参議院の本会議で是非同意をされまするように、各会派におきましても皆様がたの御努力によつて御同意ができまするように、重ねてお願いを申上げる次第でございます。
#6
○石村幸作君 この機会に一言釈明をさせて頂きます。昨晩衆議院と本法案に対して交渉の過程中、私粗暴の言動が相当あつたようにみずから考えまして、汗顔に堪えません。これもただこの法案の根本理念を覆えしたくないという考えの余りであります。そういう皆さんに非常な御心配をかけました点について、誠に申訳がなかつた。併しここに委員長御報告の通り、無事に協定、交渉も成立いたしましたことに対して感激に堪えず、又皆さんの御努力に感謝いたします。
  ―――――――――――――
#7
○委員長(内村清次君) 次に議員派遣についてお諮りをいたしたいと思います。今期国会も終りますので、閉会中地方行政の改革に関する調査として、現地調査を行いたいと存じますが、如何でございましようか。よろしゆうございましようか……。御異議がなければ議員派遣を行うことに決定いたします。議員派遣についての人選、その他の手続に関しましては委員長に御一任をお願いしたいと存じます。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(内村清次君) そのように決定いたします。
  ―――――――――――――
#9
○委員長(内村清次君) それでは議題に移りたいと思います。今日は第一に地方自治法の一部を改正する法律案を議題に供します。御質疑のおありのかたは御質疑を願います。
#10
○秋山長造君 衆議院のほうからの修正案が来ているのですが、これについて御説明をお願いしたい。
#11
○委員長(内村清次君) この点は衆議院のほうの委員会説明者は誰を御要求ですか。政府のほうからの説明ですか。
#12
○秋山長造君 衆議院のほうが修正したの、だから……。
#13
○委員長(内村清次君) 昨日実は床次――衆議院の地方行政委員のかたにとの点相談いたしましたら、この修正案に対しては従来説明をやつておるけれども、この附帯決議でありますね。自治法には附帯決議をやつております。
#14
○秋山長造君 附帯決議は平衡交付金法で、自治法のほうは衆議院が修正決議だ。
#15
○委員長(内村清次君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#16
○委員長(内村清次君) 速記を始めて下さい。
 衆議院のほうに修正点についての説明を要求いたします。
#17
○秋山長造君 修正責任者がお出でになるまでの間、当局にちよつとお伺いしたいと思いますが、第六条の教育長の問題ですが、これについて少し数字をお尋ねしたいと思うのです。昨年の十一月一日に市町村教育委員会が発足いたしまして以来、今日までの間に専任の教育長を設置しておる市町村が幾つあるか、その点を先ずお尋ねしたい。それからその次には、助役が教育長を兼任しておる市町村が幾つあるか。それから更に助役以外の者が教育長を兼任しておる町村が幾つあるか。この三点について先ずお伺いしたい。
#18
○政府委員(鈴木俊一君) 只今のお尋ねの点の第一点でございますが、専任の教育長を置いておりますものの数でありますが、これは文部省のほうで御調査になりましたものでございまして、それによつて申上げますが、二千二百十四であります。
#19
○秋山長造君 ちよつと市と町村を別にして頂きたい。
#20
○政府委員(鈴木俊一君) これが市と町村の区分がありませんので甚だ遺憾でありますが、合せた数でございます。
 それから助役が兼任をしておりまするものの数でありますが、これは兼任と事務取扱か実際の形はいろいろ形があるようでありまして、文部省の調査によりまして、いわゆる教育長としての免許状を持つておる有資格者が兼任しておるのが十七であります。その他の有資格者の兼任が千七百二十になります。両方合せて千七百三十七、有資格者の兼任が千七百三十七になるわけであります。
#21
○秋山長造君 それ以外のものは……。
#22
○政府委員(鈴木俊一君) それ以外に兼任、兼業ということで調査をしておられるのですが、それが千二百十五であります。これは有資格者のやはり兼業であります。そういうものを併せまして、五千百六十六、有資格者の教育長の専任、兼任併せまして五千百六十六であります。それからそのほかに助役等の事務取扱という形のものが四千場二百七あります。この事務取扱の中で、大体四分の一程度が助役がやつておるような概数であります。
#23
○秋山長造君 まあ大体市は殆んどこの場合専任の教育長を置いておるのだろうと思いますが、町村等にいたしまして、教育委員会を全然置いておらないというようなことはないですか。
#24
○政府委員(鈴木俊一君) 昨年ですか、若干或る町教育委員会を置かないというような、そういうことをやつたところがあるようでありますが、併し今日はそういうところはないように聞いております。
#25
○秋山長造君 全部の町村が置いているわけですね。
#26
○政府委員(鈴木俊一君) 教育委員会は全部の町村が置いていると考えております。
#27
○秋山長造君 で、教育長の問題なんですが、まあ今の数字から弾き出しますと、恐らく殆んどの町村が専任の教育長は置いておらないで、助役、まあ殆んどの場合助役でしようが、助役、或いはそのほかの人の兼任或いは事務取扱ということになつているのが実情だろうと思います。まあこれは文部省のほうで主管省としての重要な責任があるわけなんですけれども、ただ教育長の問題につきましては、やはり平衡交付金なんかの点で自治庁のほうにも非常に関係があるのですが、この教育長についての平衡交付金の割当というのは、大体どのくらいを予定しておりますか。
#28
○政府委員(鈴木俊一君) これは市につきましては教育長を皆置く建前で算定をしておりますが、町村につきましては半数が専任の教育長を持つということで算定をいたしております。
#29
○秋山長造君 そういたしますと、本年度大体半数の町村において専任の教育長が置かれるということを予想しておられるわけです。
#30
○政府委員(鈴木俊一君) 財源的にはさように考えているわけです。
#31
○秋山長造君 そういたしますと、これも文部省のほうとの関連なんですが、自治庁といたしましても、やはり平衡交付金なんかを組まれる場合の何らかの建前がなければいけないわけですが、この法律の趣旨からいいますと、大体昨年の十一月一日に発足、同時にすでにはつきり助役の兼任とか何とかいうことでなしに、教育委員会を設けた建前から申しましても、いわゆる町村役場とは独立しだやはり教育長を持つて出発すべきが当然だつたにもかかわらず、まあ暫定的にそれも実際問題としてはむずかしかろうということで、三月三十一日まで年度一ぱい助役等で兼任させても差支えないということになつておつたわけでありますけれども、併し政府としては、ああいうようにいたしまして、地方の実情をいわば無視をして法律を以て強行したわけでありますからして、それだけの責任も又大いにあるわけなんで、それだけにできるだけ速かに専任の教育長を持ち得るような手を打たなければならないと思うのであります。にもかかわらず、本年度僅かに半数程度を予想して平衡交付金を組まれておるに過ぎない。而もその半数も、実際問題として専任ができるかどうかも、今の数字から想像いたしますと、極めて疑問じやないかというように思うのですが、なぜ政府といたしまして、あらゆる手を打つて速かに全部専任を置かせるべく努めると同時に、半面において全部の平衡交付金を組まれるべきじやなかつたかというように思うのですが、その点御見解をお伺いしたい。
#32
○政府委員(鈴木俊一君) お話のごとく、市町村の教育委員会は昨年の十一月から法律上当然に全国の市町村に行われることになつたわけでございますが、その後の実際の推移等から考えまして、なかなか町村の教育委員会の教育長として適任の人を得ることが困難である。資格者が必ずしもその町村に行つて教育長になることを好まないというようなこともあつたかと思いますが、とにかくすべての町村で教育長を得ることが事実上困難であるということが一方においてあるわけでございまして、それからかたがた教育長になります資格を有する者を更に養成をするということも一方において考えなければならんということで、これは文部省のほうで御計画をなすつておられるわけでありますが、そういう養成計画もまだ十分に確立しておらないと、実施が必ずしもまだ完全に参つておらないというようなことから、各市町村におきましても、市の場合は殆んど問題はございませんが、町村の場合におきましては、教育長を得られないというのが実際の実情であり、そういうようなとこるを勘案をいたしまして、先ほど申上げましたように専任教育長は全体として約二千余りございまするので、大体この半数程度の専任教育長が置かれるという建前の下に財源措置をいたしますならば、先ず実際の実情に即するのではないかということで考えておるわけであります。併しながら市町村教育委員会の関係の経費としては、それぞれその他の職員の増置でありますとかというようなことで、二十五億余りのものは計上いたしておるわけであります。
#33
○委員長(内村清次君) 秋山君に申上げますが、衆議院のほうから修正案に対しましての説明に床次議員が見えておりますが……。
#34
○衆議院議員(床次徳二君) 衆議院が修正いたしました第六条の助役の資格を、政府原案にありまする免許法に定める教育長の免許状を有するという資格を除きまして、その代りにその助役として助役が教育長を兼ねまする期間を二十九年三月三十一日までに限つたのであります。その理由といたしまして、この修正案を出しましたのは自由党並びに改進党の共同提案でありますが、理由としては、二つの政党の立場が大分違つておる。これは明らかにしておいたほうがいいと思うのです。自由党のほうといたしましては、当分の間この教育委員会というものは存続するという建前の下に考えておるようでありまするが、改進党といたしましては、地方の教育委員会は早晩これは任意設置にする、或いはこれが廃止になるということを予想いたしておるのでありまして、併し本年度一ぱいにおきましては、直ちにこれをなくするということには実際上の不便がありますので、その間は事実に即したように助役を教育長として置いておこうという、実際に即したところの取扱いをしたわけです。現実におきましては、或いは教育長代理者という立場において助役が職務を執るということを認めるという点もありますが、かかる闇の形で働かしておくというのは如何かと思います。たとえ僅かな期間でありましようとも、正式な立場で助役が働くということが事務の執行上よろしいであろうと、かようなことで修正を加えたのであります。重ねて申上げますると、修正をいたしました理由は、自由党と改進党とは全く別な将来の見通しを持つておりますが、現実の三月三十一日までは同じような方法をとることが適当であろうということに意見が一致いたしておりますので、形式的には一致して共同して修正したことになつております。
#35
○秋山長造君 そういたしますると、三月三十一日という目附だけは一致しておるわけなんですけれども、その目附のうしろに隠されておると言いますか、含められておる考え方というものは、全然逆な考え方の下に、まあ目附だけはたまたま一致をされたという程度なのですか。
#36
○衆議院議員(床次徳二君) そうでございます。
#37
○秋山長造君 そういたしますと、床次さんが提案者の立場ということでお、いでになつたのでありますけれども、やはり、我々としては実は二十九年の三月三十一日という目附だけが問題ではないのでありまして、やはりそれを考える場合には、当然それでは今後をどうするのかということ、或いは又今日の現状がどうかというような問題に遡らざるを得ないということになるのです。そうなりますと、床次さんへ御質問するのは、改進党のお立場としての床次さんにお尋ねする以外にないということになるのですけれども、その点如何ですか。やはり自由党の考え方についても床次さんに御質問してもいいのですか、それともその点はちよつと工合が悪いのですか。
#38
○衆議院議員(床次徳二君) 只今のお話、私はこの修正については、自由党とたまたま形式が一致しましたので共同提案になりましたが、理由につきましては、先ほども申上げましたように、全く自由党とは違つた立場に立つております。従つて、将来の見通しにつきましては、私は自由党がどういうふうに考えておられるかということについては、正式にここで申上げることはできないと思います。改進党の立場としまして、早晩、改進党といたしましては、地方の教育委員会は任意設置にして、おのずから廃止されるものが当然出るだろうということを近い将来に予想しておりまするので、この三月三十一日という目附で切つておるわけであります。
#39
○秋山長造君 そういたしますと、改進党といたしましては、町村教育委員会という点につきましては、基本的に反対のお考えを持つておるわけですか。
#40
○衆議院議員(床次徳二君) 現状におきましては、財政上の措置、又教育の現状から見まして、実際においてはこれは実効を上げることはできないと、かように見ておる。又各地方の要望等から見ましても、この際これを廃止いたしまして、むしろ教育委員会は諮問機関というふうになつて行くのではないかと、そういうふうに考えておるのであります。これは我々といたしましても、近いうちに成案を得まして、政府が提案しなければ正式に提案したい、かような心構えでおります。
#41
○秋山長造君 これも念のために更にお尋ねいたしますが、じや改進党とされましては、一応今が今打切るというわけにも実際問題として行かないので、まあ取りあえず今年度中は現状のままでおいて、そしてそれまでにできるだけ、次の町村教育委員会をどうするかという次の具体策を考えて、その年度内に間に合うように、何らかの形で具体化しようという御方針ですか。
#42
○衆議院議員(床次徳二君) 仰せの通りであります。
#43
○若木勝藏君 今の御答弁を聞きまして、全くこの政策の相反したものが、同一の期間の点で一致しておるというので、同時に修正提案になつたということで、私は非常に前例のないようなふうに考えられるのですが、そういうふうであれば、いわゆるこの教育対策として非常に大きな問題でございますが、いつそのこと六条を削つてしまつておこうじやないかというふうな、いわゆる修正の場合のお話合はなかつたのですか。
#44
○衆議院議員(床次徳二君) 六条を削除したいという考え方は、社会党の考え方であつたと思います。併し社会党としましては、その裏には、やはり教育委員会に対する将来のいろいろの考え方があつたのだろうと思います。併し私どもといたしましては、現在の教育委員会が少くとも、法制上存在する以上、なお現に活動しております委員会があります以上、これを全部削つてしまうということについては、やはり技術の上においては支障がある。やはりやむを得ない。この現状に即しては、今のような改正が、今のような修正が、一番適当であろうという立場で修正いたしたわけでございます。
#45
○若木勝藏君 その点についてたまたま期間が一致しているから、こういうふうな共同修正ができたという結果から見れば、そういうふうにも受取れるのですけれども、片方は教育委員会を存続させて行くという立場に立ち、片方は任意設置にしよう、或いは又廃止の線に持つて行くという立場に立つておりながら、これを三月三十一日まで存続させる、こういうふうな形で存続させるということは、私はどうもそこに大きな矛盾があるように思うのですが、改進党としては、そういうふうな点は別段お考えにならないのですか。
#46
○衆議院議員(床次徳二君) 改進党といたしましては、先ほど申上げましたように、近いうちにこの委員会に対する制度を、これは提案いたしたいと思つておりまするので、その前提の下に出しておりますから、矛盾してないわけであります。新らしい制度ができまするまでの間は、現状を最も運営し易い形式において運営して参ろうという、現状に即した適切な案だと考えております。
#47
○秋山長造君 この点は同じ二十九年三月三十一日ということでも、この響くところは非常に大きな、これは問題だと思う。まあ現在のところ全国の町村の実情を考えます場合に、どうせこれはそのうちに、任意設置か、廃止かになるものだろうという考え方なり、見方なりが非常に多い。併し又その半面には、やはりこの今の政府の表向き掲げておられる方針通り、そうではなくて、相当長く否応なしにやらされるもんだという覚悟の下に、専任の教育長等について、いろいろ人選なり、或いは設置の準備なりをやつておるところも少なくないというように思うのですが、その場合に、来年の三月三十一日までという法律が万一出た場合に、どういう響きを今迷つておる町村に与えるかということを考えますと、この三月三十一日という期限をつける以上は、付けられる側でも、相当これは大きな責任がかかつて来るのじやないかというふうに思うのでありますからして、同じ三十一日と言いましても、もうどうせ先の見通しとしては、それ以後は廃止になるのだからという、三月三十一日であれば、現在方途に迷つておる各町村というものは、もうこの教育委員会の点については、余り力を入れる必要はないということで、こちらで使う精力をできるだけ節約して、ほかのほうへ使う。それから自由党のお考えのように、それは一応三月三十一日までと限つたわけで、更に将来専任の教育長を置いて行くのだということであるならば、今直ちにいろんな教育委員会の充実強化の方向に向つて、努力を一層続けて行かなければ、宙ぶらりんでこの半年過してしまつて、又来年の年度替りに慌てるというのでは困るということになるわけです。この点は影響が非常に大きいと思うのでありますからして、改進党のほうで、只今床次さんのお話のように、確固たる御方針にお立ちになつておられるといたしますならば、できるだけこれは速やかに、何とか将来の見通しを示すだけの具体的な処置を取つて頂かないと、非常に地方が混乱するのじやないかというように思うのですが、それらの点について、今一度御意見をお伺いします。
#48
○衆議院議員(床次徳二君) 只今のお話に関しましては、実は政府のほうが、教育に対しましては提案されるだろうということを私どもは予想しておつたわけです。御承知の通り、この前には義務教育の職員法も出ておりますし、あの場合におきまして、教育的な施設制度を相当展開される、私どもはその機会に、修正を加える下に進んでおつたのでありますが、今度の臨時国会におきましては、不幸にして政府案が出て参りませんが、私どものほうから提案するというところまでは、実は至つていない。やむを得ず将来の方針の下に、この法案を改正したというわけで、最後的に政府の法案が出なければ、これは非常に地方では迷惑をいたします。従つて私どものほうで以て提案をせざるを得ない。併し私は大体政府から出さなければ、近い将来に改進党の案を持ちまして、教育制度の法案を提案いたしたい、今日その準備を進めておる次第であります。
#49
○秋山長造君 その点はなお具体的にお尋ねいたしますが、改進党におきましては、その方針を堅持されて、飽くまで只今おつしやつたような線で、責任を以て行動されるということですか。
#50
○衆議院議員(床次徳二君) この方針は、改進党といたしましては、従来から党の方針として明らかになつておりますから大体これは今後におきましても、これを引続いて堅持して参りたいと思います。
#51
○秋山長造君 私もその点につきましては、来年度の年度替りにどんなに遅れても、年度替りには間に合うように具体的な手を打ちたいという方針ですか。
#52
○衆議院議員(床次徳二君) この問題は御承知の通り、地方制度におきましては、警察制度、教育制度を根本的に、政府においても同時に考えておると思います。勿論私どもも考えておるのであります。いずれ政府にいたしましても、来年度に間に合わせると思いますが、非常に政府案は遅れるのであります。或いはこれが頼りにならない場合は、これは当然我々単独の立場におきましても、提案いたしたい、かように考えております。
#53
○秋山長造君 それじや政府のほうへお尋ねいたしたいのですが、政務次官に政府の御方針をお尋ねいたしたいと思います。で、政府といたしましては、この改正案を出される場合に、当分の間助役の兼任制を認めるという原案であつたようでありますが、この場合、当分の間ということにされた理由を、ちよつと御答弁を願いたいと思います。
#54
○政府委員(青木正君) 後ほど文部当局のかたがお見えになつて御説明があるかとも存じますが、私ども修正の狙いどころが、現実に無資格の助役さんを兼務しておるこの現状で当分行かなければいかんじやないか、かようなことから、こうした修正が出たことと思うのであります。そこで文部当局といたしましても、できるだけ早い機会に充足するような方針を以て努力するということでありますので、それまでの間、現状に即して無資格の助役が兼務できるような措置を講ずる必要がある、かようなことで、修正の御趣旨に対しましても、自治庁といたしましてもこの修正に同意する、こういう気持であるわけであります。なお詳しい点につきましては、どの程度教育長が充足されて行くか、こういうことにつきましては、事務当局のほうから御答弁を申上げたほうが適当じやないか、かように存じます。
#55
○秋山長造君 では、当分の間というのは、結局まあ我々の常識からいうと、そう長い期間ではないわけであつて、当分の間といえば、まあ一月か二月か、やま三月も延びるといえば相当長くなるわけで、まあここ当分というぐらいな感じを受けるのですけれども、政府のほうでお考えになつておる当分の間というのは、結局文部当局のほうが然るべく手を打つて、体裁を整えてくれるまでのことを指して、当分の間とおつしやつているのですか。
#56
○政府委員(青木正君) その通りであります。
#57
○秋山長造君 そういたしますと、これが半年になるやら、三年になるやら、十年になるやらわからんのですか。
#58
○政府委員(青木正君) この修正案が提出されましたにつきまして、文部当局と我々この問題をいろいろ打合せをいたしたのでありますが、文部当局の考えといたしましても、当初政府案にありましたのが、当分の間とあつたのでありますが、修正案において三月三十一日まで、こういうことにすることについて、文部当局ともこの修正案について、事前に私ども打合せをいたしまして、文部当局の意向も確めておるのであります。
#59
○秋山長造君 併し、この点は、勿論主管省は文部省でありましようけれども、財政面、或いは地方制度の面というようなものから、自治庁のほうについても大いに関係のある問題だと思いますが、特に平衡交付金なんかの点につきましては、全面的に自治庁に責任がかぶさつて来ておるだけに、この問題に対する将来の見通しといいます。か、この町村教育委員会というものを、果して従来政府が言つて来た通りに、将来ますますこれを充実し、強化して行くのか、それともまあここ当分うやむやで行つて、まあそのとき又考えるということなのか、それとも来年の年度替りあたりに何とかはつきりしなければならんということなのか、そういう点について、自治庁はどういうふうにお考えですか。
#60
○政府委員(青木正君) 私どもといたしましては、文部当局の御方針を御信頼いたしまして、文部当局といたしましても、目下教育長の充足についてそれぞれの計画を立てて、少くとも三月三十一日までには有資格の教育長が置けるように努力もし、計画も立つておる、かようなことでありますので、それに対応いたしまして、私どものほうといたしましても、充足するに従つて、それに必要なる平衡交付金の問題等も考えて行きたい、かように存ずる次第であります、
#61
○秋山長造君 そういたしますと、文部省としては、年度一ぱいに全部の町村に専任の教育長を置くという方針で進んでおるわけですから、自治庁としても、その文部省の方針をそのまま受けて、財政面その他の裏付をして行こうということだと思いますが、そう解釈してよろしゆうございますか。
#62
○政府委員(青木正君) 専任の教育長になりますか、或いはそうでなしに、有資格の、或いは助役さんということも考えられると思うのでありますが、併しながら、法律できめてあります通りに、無資格のものを教育長にするということは、これはまあ本来の筋ではありませんので、この修正では三月三十一日までは無資格の人でも兼務ができる、こうなつておるのでありますから、少くとも三月三十一日までには有資格の専任が望ましいことでありますが、不可能の場合は或いは有資格の兼務ということもあり得ると思うのであります。いずれにいたしましても、三月三十一日までには無資格の助役はなくなるように文部当局のほうでも御努力下さるものと考え、その文部当局の方針に則つて私どもも対処して行きたい、かように考えておるわけであります。
#63
○秋山長造君 そういうことでありますならば、一応この衆議院から廻つて来た修正案は問題といたしまして、政府の少くとも方針としては、来年の三月末までに専任か、或いは兼任か、いずれにいたしましても、正規の資格を持つた教育長を全部洩れなく設置するという方針だと思いますが、然らば、その方針を、文部省の方針を、そのまま自治庁のほうで強力に支持しておやりになるということならば、当然本年度の平衡交付金なんかにつきましても、さつきの御説明では半額しか組んでないということなんですが、これは金額組まれて然るべきじやなかつたかというように思うのですが、如何ですか。
#64
○政府委員(青木正君) 専任の教育長が全部の町村に置かれることになりますれば、当然それに必要なる費用も計上しなければならないと思うのであります。併し現実問題といたしまして、有資格の教育長が当るといたしましても、どの程度専任になり、どの程度兼任になる、このことについても考える必要があろうと思うのでありますが、それで今までの状況から見まして、今年度内は半数程度の専任の教育長ということで、財政措置は間に合うじやないかと、かように考えているわけであります
#65
○秋山長造君 併しその点については、先ほど鈴木次長から数字をお示し願つたのですが、有資格の助役が兼任しておるという場合は、現在においてすら全国で僅か十七人です。だから恐らくこの点は町村の助役あたりというと、その町村の一般事務だけで忙殺されて、とてもよくよく特別な場合でない限り、この教育長を兼任するということはむずかしいのじやないかと思うのです。まして資格まで持つて来て、而も兼任するというようなことは、なお更むずかしいのじやないかと思いますので、今後又そういうことが望ましいことでもなし、実際問題としては、この十七という数字が今後そう半年そこそこのうちに殖えるものとは考えられない。それで、どうしても政府が本当にこの町村の教育委員会というものに対して、確固たる信念を持つておやりになるとすれば、やはりそれはこの兼任の場合も全然ないとは言えませんから、全額平衡交付金を組むということも、これは考えられないかも知れませんけれども、少くとも半額でよろしいということは言えないのじやないかと思うのですが、如何ですか。
#66
○政府委員(青木正君) 今後の推移によりまして、専任の教育長が当初予定した以上に置かれるということになりますれば、当然予算措置も講じなければならないと思うのでありますが、併しながら、現在までのところ本年度内には大体半数程度、本年度といたしましては、その程度あれば十分だと考えて、まあ文部当局と打合せいたしまして計上いたしたわけであります。なお、兼任につきましては、こういうあり方がいいか悪いか、これは私が申上げるのじやなくて、文部当局が申上げることかも知れませんが、学校長の兼任というようなことも相当あるのじやないかと、かように思つております。
#67
○委員長(内村清次君) それからちよつと、衆議院の今床次さんが来ていらつしやいますが、もうほかに質疑がございませんなら、お帰り願いたいと思いますが、どうでしようか、ありますか。それじやどうぞ。それでは秋山君。
#68
○秋山長造君 時間ですし、ちよつと文部大臣が来るまで私別に質問がないのですが、暫らく休憩願つたらどうです。
#69
○委員長(内村清次君) ほかに質疑があるならば続行して行きたいと思います。
#70
○加瀬完君 文部大臣に質問をするほうが当を得ておるかも知れませんが、自治庁の御見解をも承わりたいのですが、私はこの助役の教育長兼任というものに対しまして法律的疑義がある、と申しますのは、教育委員会法というものをつぶさに検討いたしますと、教育を政治から独立させという一つの基本的な性格があるわけであります。それか教育委員会の仕事をする教育長というものを、町村長の下部機関である助役に兼任させるというのは、教育委員会法の根本と背馳するものじやないか、そういう本法の性格を変えるような手続というものが一体法律的に許されるものかどうか、この点について……。
#71
○政府委員(鈴木俊一君) 教育委員会の設置の趣旨が、只今御指摘のように教育と政治と申しますか、そういうものとの間の関係をできるだけ公正に行わしめて、不当な支配に属しないようなことにいたして行きたいということか根本の趣旨であることは、御指摘の通りであろうと思うのでありますが、何分昨年の十一月から全国一律に市町村に教育委員会を設置するということになつたわけでございまして、その設置に応じまするところの教育長その他の養成が、必ずしも十分に行われておりませんために、従つて暫定的に或る期間教育長の兼任を考えるということは、これはまあ止むを得ない結果ではないかと思うのであります。市町村長と市町村の教育委員会との間においては、予算、条例等の議会提案の関係におきまして、いろいろ問題があるわけじございますが、両者が独立しておりまするところに委員会設置の狙いがあるとは言いますものの、半面又若干助役が教育長なり、或いは教育長と助役両方の地位を兼ねることによりまして、或る程度両者の間の意思の疎通というようなこともまあ考えられる、そういうような全然兼任することによつてマイナスばかりということでもないように思うのでありまして、そういう意味から暫定的に兼任を認めるということも止むを得ない一つの措置であつて、そういうことは暫定的な措置として考えるならば差支えないのではないかという考え方に立つたわけであります。
#72
○加瀬完君 あなたはそれを本気でそうお思いになるのですか。実に便宜主義的な考えだと思う。そういうふうに法律の性格というものが、而も基本的な本法の性格というものがあとから出て来る手続法のようなものによつてぐるぐる変つて来るとしうことになつては、法治国家としての秩序というものは何らかの根拠を失うことになると思う。昨日の平衡交付金の一部改正の問題にいたしましても、どうも自治庁の考え方というものは、次から出て来る現実の事実に押されて、法の性格というものを適当に解釈するというふうな傾向があるように思われておつた。この場合にも教育委員会法というものを正確に解釈するならば、助役の兼任ということはどうしても本法で許さるべきものじやない。若しもあなたのおつしやるように助役を兼任させたほうが非常に便宜があるというならば、教育委員会法そのものの性格を変えなきやならん、教育委員会法の法文を直すことによつてのみ、そういうことが妥当視されることになると思う。で、例えば今秋山委員も指摘したのでありますが、教育長に適任者が得られないので、どうしてもこういう便宜的な方法をとらなきやならないというならば、そういう条件にありながらも、あえて地方教育委員会の義務的設置をしたという法の施行そのものに無理がある、むしろ法の施行そのものに改正を加えなければならんという責任を政府そのものが持たなければならないことになると思う。私にはそういう本法の性格というものを都合によつて変えて行くというやり方は、どうしても許されないと思う。
#73
○政府委員(鈴木俊一君) 先ほど私がお答え申上げましたことは飽くまでも暫定的な措置として、先ほど申上げましたような当分の間兼任を認めることは、実際の問題として止むを得ないのではないか、法律はとにかく昨年の十一月から施行することになつておるわけでございまして、それに応ずる実際の措置が十分整つていなかつたことは現実でございまするので、従つてかような各町村に教育委員会が完全な姿において置く、できますまでの間、暫定的な措置としてかようなことを講ずるよりほかない、こういうふうに考えるのであります。併しながら政府としましては無資格の教育長まで、教育長の資格のない助役まで教育長を兼任せしめるというような考え方に立つたものではないのでありまして、教育長の資格を持つておる助役の兼任を当分の間認めるというのが、これが政府の原案であります。従つて今非常に誇張して仰せになりました、全然教育委員会の本質を没却してしまうような、さような兼任の方法を考えるのではないわけでございます。その点を一つ御了承願いたいと思います。
#74
○加瀬完君 これは次長さんの責任をかれこれ申上げるものじやないのですけれども、本法の性格を変えるようなものをきめて、暫定であるからとか、止むを得ないであろうということの立論はおかしいと思う。本法の性格を変えなきやならないような条件にあるのであるならば、これは地方教育委員会というものを出発させることがおかしいのであつて、又地方教育委員会というものを出発させるからには、教育委員会法の目的というものがぴつたりと達せられるような条件というものを作つて行かなきやならない、地方教育委員会というものは出発させたが、その性格が違うようなものができても、これは暫定であるから仕方がない、それでは法律を作つた意味というものが出て来ないと思う。又資格のある者を兼任させるというけれども、公務員法の性格から言いまして、違う立場に立つような責任を持たせられている役柄の者を兼任させるということが、一体妥当なことであるかという新らしい問題も起りて来るのじやないか、その点を……。
#75
○政府委員(鈴木俊一君) 政府といたしましては、現行の法律を忠実に執行するという建前に立たなきやならんわけでございまして、市町村教育委員会法の定めるところによつて、各町村に教育委員会を置くということに相成りました以上は、それと実際の準備の状況とを考え合せまして、かような暫定的な措置を講ずることが、一番現在の実情に即する上から行つて適当であると考えて、かような案を提案をいたしたわけでございます。従いましてこの市町村教育委員会の設置そのものが問題であるというような御議論になりますというと、これは又別個な立場に属するのでありまして、政府といたしましては、やはりかような法律を忠実に執行する、この精神に従つて執行して行くというような考え方が、かような暫定的な便法を提案したような次第でございます。
#76
○加瀬完君 その問題に限つても結構です。そこで暫定的な措置として、助役の兼任というものを認めざるを得ないということに問題を限つても、助役の兼任を認めるということは、教育委員会法の精神と相反することになるのではないかと思う。教育委員会法の性格と背馳するような助役の兼任を認めて行かなければならないという、一体根拠はどこにあるのか。
#77
○政府委員(鈴木俊一君) 教育委員会が市町村の一般行政から独立いたしまして、独立の行政委員会として存在しておるという本質から申しますると、市町村の一般行政の執行機関である市町村の補助機関であるところの助役と、教育委員会の事務部局の長であります教育長を兼ねさせるということは、原則として不適当であるということは、又法律の趣旨から申して適切でないということは、御指摘の通りだろうと思います。その点は私ども全くその通りと思うのでございますが、而もそれとて全然この教育長を置かないで空席のままでやつて行くということは、実際の実情に合うかどうかということであります。本年の三月三十一日までは当分の間の暫定措置といたしまして、助役がすべて教育長の事務を取扱うことができると、この資格のあると否とにかかわらず、取扱うことができるということになつておつたのでございます。今回の政府の提案いたしましたのは、それを更にしぼりまして、有資格の助役が兼任することができるといたしまして、むしろ御指摘の趣旨から申しまするならば、政府が今回提案をいたしました改正案というものは、一歩本来の趣旨に更に近ずけて行つた暫定の案であると御了解を願いたいと思うのであります。
#78
○加瀬完君 そういう解釈も成り立つかも知れませんが、私どもの解釈ではそういう解釈は成り立たない。というのは、原則的として不適当とお認めになつておるものを、又或る期間、一定期間兼任させなければならないというようなやりかたが、一体無理がないかということなんです。そういう原則として不適当なものまでも、兼任させて、地方教育委員会の、実績のいろいろ問題のある制度を残さなければならない必要がどこにあるかという問題も、新しく生れるわけです。それから有資格者の助役と言いますが、有資格者であろうが無資格者であろうが、助役という立場にあるものが、教育長を兼任するということが、原則として不適当であるというのです。助役であつたものが有資格者であるから、助役をやめて新しい教育長になるというのなら話がわかりますが、現在助役でありながら兼職として教育長に従事するということを原則として不適当であると我々は考える。そういうふうにして地方教育委員会というものが相当無理なものを強行して、それが又運営がつかないものだからして、無理をして助役の兼任を進めて行く。そうすると、地方教育委員会法の精神というものが全然なくなつてしまう。我々は政府の施策としては、これはうなずけない。
#79
○政府委員(鈴木俊一君) 先ほども申上げましたように、本年の三月三十一日までは、国の確定されたる法律として、助役と教育長の兼任が認められておつたのでございます。これは御指摘のような立場から御論じになりまするならば、或いは不適当かと存じますけれども、併しながらとにかく暫定的な措置としては、さような便法もやむを得ないという立場に立つて、恰好として定められておつたわけでございまして、今回政府の提案をいたしましたものは、やはり教育長としての免許状を有する助役、即ち教育のことについても十分理解を持つている助役でありまするならば、これは当分の間、要するに教育委員会の完全なる設置に移るまでの間の、当分の間の措置として兼任を認めるということは差支えないではないか。要するに助役としては、一般行政の面についても、勿論経験を持つているわけでございまするし、その人が更に教育長として教育行政、教育についても十分理解を持つているというような人なのでございますから、そういう人が教育長の地位に当分の間就くということは、理論的な面からのみの弊害を指摘いたしまして、実際の実情に応ずる方面の便宜ということを考慮しないで、一方的に御論じ頂くのは如何であろうか。当分の間の措置としては、さような実情に立つた暫定便法を考えるということも適当ではないかというふうに考えたのでございます。
#80
○加瀬完君 理論的なことばかりに走つて、実際の便宜というものを考えない議論は如何であろうかという仰せでありますが、我々は法治国家の国民でありまするので、法律を正しく解釈して、法律の作用する範囲内で、物事を考えることが正しい考え方ということでなければならないと思う。で、その法律の考え方がそのときどきの便宜主義によつて、実際の便宜によつて変えられるということであるならば、何が故に我々は苦労をして法律を作つたり、或いは法律の解釈に正確を期するために議論をしているか意味がなくなつてしまう。そこで、質問を又前に返すのでありますが、暫定的措置としてやむを得ないとか、便宜の措置としてはこういう方法も効果的だろうとかいうことを、私はあるとかないとかいうことを議論しているのではなくて、一体助役の教育長兼任というものは、教育委員会法と背反すると、私は解釈するけれども、法的には、そうは自治庁としては解釈にならないのかということを伺つているんです。
#81
○政府委員(鈴木俊一君) 別個の法律によりまして、その兼任を認めるということに相成りまするならば、これは違法ではないと考えます。
#82
○加瀬完君 別個の法律と言つても、あとからできる手続法のごときものが、本法の性格をまるつきり変えるような法文であつても、それが、その法文が有効であるという判定を下すのが法知識の上から正しいでしようか。
#83
○政府委員(鈴木俊一君) 政府案につきましては、先ほど来縷々申上げますように、教育長の免許状を有するものについての兼任でございまして、これが現行教育委員会法の根本の建前をまるで違えてしまうというようなものではないと考えております。
#84
○加瀬完君 行政というものから教育を一応独立させてあるわけですから、その行政の組織下にある助役というものに教育長を兼任させるということは、教育委員会の性格をまるで曲げていると私は解釈している。
#85
○政府委員(鈴木俊一君) 手続法によつて根本の法律を曲げるという仰せでございますが、やはりこれは地方自治法の、要するに地方自治の行政組織をどうするかということでありまして、こういう関係の法律の中に、かような規定が入りますことにつきましては、私は別に差支えないと考えております。
#86
○加瀬完君 これは議論になりますからやめますけれども、私は第三者の見解を承わりたいと思います。教育委員会法の性格にまるつきり違うような手続法をきめて、それが本法と背反するような効果をもたらしても、本法に影響がないという解釈はどうしても成り立たない。これは議論になりますから一応やめます。文部大臣が来ましたから……。
#87
○委員長(内村清次君) それじや文部大臣が来られましたから、秋山君。
#88
○秋山長造君 文部大臣へ、教育委員会の問題について若干お伺いしたい。今回の地方自治法の改正案によりますると、依然として、町村の助役に教育長を兼ねさせるということになつているのでありますが、先ほど来、この点につきまして、自治庁を通じての政府当局に対して、その点が不当じやないかということを申上げておつたのでありますが、この問題の責任者として文部大臣は如何なる御見解をもつておられるか、先ずお伺いしたい。
#89
○国務大臣(大達茂雄君) これは御承知の通り、地方教育委員会というものが昨年ようやく発足をいたしたのでありまして、教育長になかなかすぐ人を得るということか困難であります。これは教育長だけではありませんが、この市町村教育委員会の機構を整備するということはいろいろな点で実は困難があることはご承知の通りであります。そこで昨年発足当時におきましては、とりあえず市町村の助役がこれを兼ねることができる。こういう暫定的な措置が構ぜられたのであります。それが今年の三月以降におきましては、その現定が効力を失いまして、現状は専任の教育長の場合もありますし、又欠員になつているところもたくさんあるのであります。でありますから、これをやはり助役に兼任で一つやつてもらいたい。ただ教育長の免許状を有する人だけに限つて、助役兼務をもう暫く続けて行きたい。こういうように実は考えているのであります、然るにこれは衆議院のほうで修正になりまして、これは実情から教育長の免許状を写る助役と限定しても、なかなかそういう人を得られないであろうということから、日を切つて昨年発足当時と同じように助役を兼任させることにする、こういう修正が衆議院においては通過したわけであります。
#90
○秋山長造君 事実上からして教育長の適任者がなかなか町村ではみつからないというお話なんですが、要するにこういうやり方は極めて便宜的な御都合主義のやり方だという一点は、これは否定できないことであります。最初に遡つて議論を進めなければならないと思うのですが、大体町村に教育委員会をお作りになつた政府のお考えについてはつきりお伺いしたい。
#91
○国務大臣(大達茂雄君) これは御承知の通り、我が国の学校教育というものは大体教育委員会でこれを運営する、こういうことは戦争後新学校制度が発足いたしました当時に決定せられた方針であります。そうして教育委員会法というものがその当時からできておつたのであります。ただ実情に鑑みて、都道府県の教育委員会というのは早く発足したのでありますが、市町村の教育委員会というものは、実情に鑑みてその実施が昨年まで延期されて参つたのであります。昨年延期する暫定的な法律がその効力を失いましたので、もともとの根本の本則に帰つて地方教育委員会というものが発足した、かように承知しております。
#92
○秋山長造君 そうしますと、大体町村の実情、地方の実情に照らして教育委員会の設置が延期されておつたわけなんです。ということは、とりもなおさず今問題になつている教育長の問題一つ取上げてみましても、これがなかなかちよつとやそつとで地方で適任者が得られないということ、だから延期されておつたと思うのです。でありますからして、それをいきなり全国各町村の末端にまで設置せしめるということになるといたしますならば、当然実質上の仕事をやつて行くところの教育長の人選等についての見通しというものが、はつきり立つた上でなければ、こういう制度を実行に移すということはできないと思うのです。にもかかわらず、政府のほうではうやむやのうちにやつて来られて、そうして未だに将来の見通しさえもつかないといつたようなことで、果して教育委員会を、そういう実質のないままで、骨抜きになつたままの形式の教育委員会というものを進めて行かれるということは、甚だ地方の実情にもそぐわないと思うのですが、その点について文部大臣としては、この教育委員会というものを今後どうされるのか、その点について確固たる御方針をお尋ねしたい。
#93
○国務大臣(大達茂雄君) これは今申上げましたように、日本の教育の上における地方分権と申しますか、殊に民主的な地方の事情に即応して民主的に運営されて行く、こういう一つの理想の下に教育委員会法というものが成立しているのでありまして、これは極めて明瞭になつているのであります。ただ御指摘の通り地方の実情に鑑みて、市町村教育委員会に関する限り、これが実施が延期せられて昨年まで参つたのであります。これは併しながら我が国の教育制度の基本的な事柄でありますから、やはりできるだけ早く実施しなければならん、こういうことが恐らくは昨年実施になつたゆえんであろうと思います。その間の事情は私はよく存じないのでありますが、根本が教育委員会制度によつて運営せられるのだという通念は、初めからきまつているのであります。これは昨年から急にそういうことにしたわけではないので、その点はよく御了承頂きたいと思うのであります。ただ今お話のように、これはひとり教育委員会制度だけじやありません。新学制による六・三制度が発足いたしましても、これは十分な用意があつて、十分に完全に運営せられるような状態において発足したのではありません。それが全国津々浦々まで遺憾なく整備せられて、初めて、初めに予期せられている制度を実施するということになれば、これはいつのことか実はわからんことになるのでありまして、ただ助役を一時兼務させるというようなことによつて、できるだけ教育委員会が運営せられる方法を講じて実施せられた、かように承知しているのであります。然らばこの教育委員会というものを将来どうするのだ、こういうことでありますが、ただ経費が足りないとか、教育長になかなか人を得ることが困難であるとか、助役の兼務ということは、これは自治行政の上でとめられていることであるが、この実情に鑑みて、一時助役に手伝つてもらいたい、こういうことでありまして、とにかく一応運営が成立つている以上は、一日も早くそうやつて行かなければならん、又それが我が国教育制度の基本でありますから、そういう事情があるからといつて、根本の制度を止めてしまう、こういうわけにはなかなか行かないのであります。できるだけこれを経費の面におきましても、又その他の面におきましても、これを拡充整備して、そうして本来の任務である学校の運営ということに支障なからしめる、こういうふうに考えるほかはないのであります。
#94
○秋山長造君 文部大臣のお考えは、教育委員会を地方に作るのは教育の地方分権で、地方の実情に即した教育をやるのであるというお考えですが、同時にこの教育委員会の確立というものは、それと同時にそのためには如何なる権力からも干渉を受けてはいけない、完全な自主独立でなければいかんという、こういう一つの筋金が入らなければいかん。ところが一番肝心要の教育長というものが町村の助役によつて兼ねられるということになりますならば、如何に実情はやむを得ない便宜措置とはいうものの、教育委員会を作る意味が大半失われるのではないか、とのいうふうに思うのですが、その点はどうお考えですか。
#95
○国務大臣(大達茂雄君) できることならば、助役の兼務でなしに、独立した教育長を持つて行くという、これが本筋であることは言うまでもありません。教育委員会によつて学校教育を運営するということは、これは私の考えというよりも、終戦後我が国の教育制度の基本として打立てられた制度でありまして、これははつきりこの法律に規定してあるのであります。私はその前提の下に、この法律の教育委員会法という規定を実施する立場において、これも衆議院の修正によりますというと、昭和二十九年、来年の三月までの間助役に兼務をしてもらうというのでありまして、それが工合が悪いから、成るほどそれは一時の便法にすぎませんし、それであるからといつて、この基本的な制度をやめるとかなんとかいうことにはならん、こう思つているのであります。
#96
○秋山長造君 そうしますと、文部大臣のお考えはいいか悪いか知らんけれども、とにかく法律というものは厳としてあるんだから、文部大臣はその法律に従つてやるよりしかたがないという御答弁のようでありますが、では立場を少し変えて考えて頂きたいと思うのですが、まあ法律があるから、それをやらなければいかんということも、文部大臣の職責上一応の筋なんですけれども、併しそれじや法律そのものがいいか悪いかということについては、文部大臣は文部大臣としてどのようなお考えを持つておられるのでありますか。
#97
○国務大臣(大達茂雄君) 私はとにかく前に申上げるように、地方分権と民主的な教育が運営されて行くという建前でできているのでありますから、これが十分にその効果を発生する、その成果をおさめるということを期待すべきである、まだ発足して半年そこそこでありますから、今すぐよいとか悪いとか、功罪を云々する時期ではないごう思つております。
#98
○若木勝藏君 関連いたしまして御質問いたしたいと思います。今文部大臣のいわゆる教育委員会に対するところのお考え方は、一応私はわかりました。いわゆる教育の本質から考えて又教育委員会のこの法の精神から考えて、市町村に存置すべきである、こういうふうなお考えのようでございましたが、一応私はそういう考え方があると思うのでございます。ところでこれは私もこの教育委員会法が初めて審議される場合に、文部委員として審議に当つたのでございます。そこでその際に非常にこれは問題になりまして、その結果まあ日本の実情から考えて、都道府県、五大市に置く程度にして、殊に今後の実情をみてということで延期するところのあれをくつ付けた、そういうことの修正で一応これは収まつた。ところが今日に至りまして、我々の修正する場合に考えた、いわゆる予想した通り、今の教育長の問題、或いは経費の問題、そういうふうなことが今日に至つても、まだ解消されずに、あの当時予想した通りのことが行われておるのです。そこで今文部大臣といたしましては、今この精神は存置すべきであるから存続しなければならない、これはいいと思う。併しこれに伴い存置されてその効果が上つて行くかとうかということに対する、これに対する文部大臣の認識が不足しておると私は思う。先ず第一に、これを存置すべきであるというふうな立場に立つたならば、少くともまあ文部大臣としては立派な専任の資格のあるところの教官長を選ばなければならない、こうお考えでしよう。ところがそれを得られない現状であるからして、一歩引下つて、いわゆる免許状をもつた助役を以てこれを兼ねさせる、こういうようなお考えをもつておる。ところが今度のごとく自由党両派及び改進党の三派の共同提案による修正というものは、更に無資格なものをも、これにおいて行く、こういうふうな一つの修正をしておる。先ずこの点につきまして文部大臣はこの修正に対してどうお考えになりますか、この点伺いたい。
#99
○国務大臣(大達茂雄君) これは先ほど申上げましたように、助役の中にも教育長たる資格を持つている人と持たない人があります。そこで政府の原案のようにいたしますと、教育長の資格を持つている助役のあるところではそれに兼任させる。併し助役が教育長の資格を持つておらん、そうして他に教育長の資格のある適任者を入れることが何らかの事情で困難であるという場合には、勢いこれは欠員になるのであります。この修正案によりますと、昨年発足して今年の三月に至りました間と同じように、そういう場合におきましても、助役に兼任させることができますから、教育長というものが欠員になつて大切な職に穴があくというようなことはなくなると思うのであります。これはどちらがいいかということは考え方でありますが、私は暫定的な措置としては、それもやむを得ない、そのように考えております。
#100
○若木勝藏君 そういうふうなことは、先ほど来、あなたがいわゆる地方教育委員会というふうなものをどこまでも信頼をして、これを育成して日本の教育の本質を進めなければならない、そういうふうな考え方から、今のようなお言葉を聞くということは甚だこれは残念であります。どこまでもこれに対しては、文部省としてはこういう修正案に対抗して、十分な予算を取つて、早急にこれは有資格のばんとしたところの専任の教育長を設置して行く、任命して行くという立場を取らなければならない。あなたの精神から言つたら、それをそういうふうな後退したような考え方に応じて行くということは、本当に存置して行くという精神を、あなたは文政のために実現して行こうという熱意を欠いている、私はそう考えているが、この点如何ですか。
#101
○国務大臣(大達茂雄君) 勿論政府の提案にいたしましても、それから修正案にいたしましても、これは地方の事情による暫定的な処置でありまして、これが一番いいのだとは私も考えていないのでありますが、文部省としては教育長の資格を作るような、その養成については従来極力やつて参つたのであります。できれば全部専任の資格のある教育長で充足されることが、これは一番望ましいことでありますが、繰返し申しますように、実情から見て、暫定的なやむを得ない措置でありまして、これが一番いいのだということは、私は一つも考えておらんのであります。やむを得ない処置である、こう思つておるのであります。できるだけ今後予算の上におきましても、又そういう資格のある人を養成する上におきましても努力して参りたい。こう思つております。
#102
○若木勝藏君 更に私は観点を変えて伺いたいと思うのでございますが、今日非常に私らから言いますれば、参議院においても、この地方教育委員会というふうなものはまだ早いから、もう一年延期したほうがいいだろう。こういうことで全会一致で以てこれは延期の案を通した。それを強硬に自由党の方面からこれを設置するところの案を出して、今日この状態になつた。ところが地方におけるところの、いわゆる市町村の理事者側からいつても、或いは住民からいつても、財政的に非常にこれは困難である、住民は負担が多くかかるし、町村は財政の上から賄えない、こういうふうな声が出ているのであります。こういう状態で、僅かの平衡交付金をもらつてこの教育委員会というふうなものを存続して、教育委員会としてあなたの考えられているところの本質を発揮できるかどうか、その点についてどうお考えになつておりますか。
#103
○国務大臣(大達茂雄君) 教育委員会についていろいろ批判があり、又いろいろな面で摩擦と申しますか、そういうことのあることは私もよく承知しているのであります。教育委員会の運営というものが、必ずしも制度の予期するほどうまく行つていないという点は、これは県の教育委員会についても私は同様であると思いますが、まあ全く我が国としては新らしい制度であります。従つてその制度に十分慣れておらん、やり方もよくわからん、こういう点もあろうかと思います。それと又中央地方ともに財政に逼迫して、十分な経費が出せない、こういう点からも、そういう問題があろうと思います。併しながら繰返して申上げますように、これは戦後の一つの大きな基本的な制度として設けられているものでありまして、殊に市町村教育委員会についてはまだ発足して間もないことであります。これはいいか悪いかということを、今までのことだけで判断をして、そうしてこの基本制度をやめるとかやめんとかという結論を出すことは、私は早過ぎると、こう思うのであります。今後の実際から見まして、到底これではいかんということになればおのずから話が違つて来ると思うのでありますが、今日の現状におきましては、どうしてもこの制度の予期する効果を挙げるように、これを育成強化して行く以外にやるべき途はないと思つております。
#104
○若木勝藏君 そういう財政上の問題と同時に、今日この地方教育委員会が発足されて又別な事態が起る。いわゆる教育委員としての立場は、どこまでもその地方の教育を立派にして行かなければならんという立場でなければならない。ところがそういうことよりも、この人事をいじくつて、非常にいわゆるボス化した委員にありましては、教員の首切り或いは転任を盛んにやつているというような実情がある、これは文部大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。
#105
○国務大臣(大達茂雄君) 教育委員会はむろん御質問の通り人事権を持つております。従つて教育委員会が、勤務上或いはその職務に違背しておるとか、或いは教壇を放棄して顧みないとか、そういう怠慢な教員とか、そういうものの勤務の状態をよく見ておるということは、これは当然な職務でありまして、そうしてそれによつて、ときに不都合な教職員があるとすれば、それをやめさせるとか、或いはよそへ転任させるとか、これは当然な教育委員会の処置であります。ただ問題はそういうことが濫用されるかどうか、こういうことであります。私は濫用されるということは、これは一番悪いことであると思いますが、併し、教育委員会がその当然の職務として教職員の人事をするということは、これは当り前のことであります。これはいいとか悪いとかという問題ではないと思います。
#106
○若木勝藏君 私は今財政の方面から、或いは教育委員の人事の取扱い、或いは市町村側の要望、こういう方面からいろいろな点について大臣脅したのでございますが、その現状について、はつきりと大臣はどういうふうに把握しておられるか。困つたものだというふうに把握しておるか、或いはこの程度ならば立派なものだというふうに把握されているか、その点を伺いたい。
#107
○国務大臣(大達茂雄君) 申上げますように、地方教育委員会というものは、最近、実際上は発足したものであつて、そうして御指摘の通り誠にその機構においても十分整備されておりません。経費の面においても不足の面が多々ある。殊に教育委員会そのものがこういう仕事について慣れておらん、慣熟しておらん、こういうことがありますから、現在教育委員会の仕事が極めてうまく行つておるとも思われないのであります。併しながらこんなものは一日も置いてはならん。そういう困つた事態が起つておるとも思つておりません。
#108
○秋山長造君 そうおつしやいますけれども、地方の実情を申上げますと、さつきも若木委員から縷々お話がありました通り、尤も端的に教育委員会の地方における存在を申上げますと、いささか町村長側からも議会側からも、その他の面からも、厄介視されておるというのが、これは率直な現状だと思うのです。現に全国の市長会、或いは市会議長会、或いは町村長会或いは町村会議長会等でも、再三に亘つて教育委員会の廃止を決議しておる。このことは文部大臣もよく御承知だと思う。地方の行政の責任者がそこまでやるということは、とりあえずこの教育委員会というものが、地方自治行政の上において必ずしも好ましい存在でないということになつておると思うのです。而もそういう考え方を地方の理事者がしておる、或いは地方のその他のいろいろな面の責任者がしておるということから、更に悪いことは教育委員会というものに対して協力をしない。まあ予算なんかの面でも、できるだけ教育委員会では予算は出さないようにして行く。又教育委員そのものの存在についても、これをできるだけかげを薄く、厄介者に日蔭者に扱つているという立場に立たされているのであります。而も中央政府のやり方を、昨年発足以来、見ておりますと、平衡交付金にしても何にしても、これに対する財政的の裏付けというものは極めて不十分である。本年度でも只今の文部大臣の御説明では何とか早い機会に専任教官長を全部設置したいというようなお詰にもかかわらず、平衡交付金は僅か半額しか組まれておらない。而も助役か教育長を兼任することができる。そうして又今度の修正案によりますと、今度は更に一歩退却いたしまして、免許状も何も持たない助役が、丁度去年の暫定措置と同じような状態を今度も続けて行くというようなことで、政府の方針も、口先の熱意は相当あるようなことをおつしやるけれども、実際の裏付けというものは何にも誠意が示されておらない。熱意が全然具体的に示されておらない。そういう状態で地方の教育委員会を、このまま活かさず殺さず、なま殺しというような状態に放つておいて、そうして暫らしくやつておいて、そうしてどうしてもいかんということならば、そのとき考えるというような、なま半かのお考えで、この重大な局面に臨んでおるところの教育行政がどうなつて行くか、我々は甚だ寒心に堪えないのでありますが、文部大臣といたしまして、先ほど免許状を持つた助役なら、当分金を出してもかまわんじやないかというようなお話もありましたが、現在統計数字から見ますと、免許状を持つた助役というのは僅か十七人です。あとは全部そうでないわけですが、そういうような状態をこのまま続けて行くことは、我々は承服しがたい。文部大臣としては何らかこの際この教育委員会の問題について、はつきりどうするんだという御信念があつて然るべきだと思うんですが、その点について再度お伺いしたい。
#109
○国務大臣(大達茂雄君) これは同じことを繰返すようなことになります。が、申上げるまでもなく、第六条の規定というものは暫定的なものでありまして、これがいいんだという意味ではないんであります。やむを得ず暫定立法としてかような応急的な措置を講ずる、こういう意味でありますから、その点は御了承を頂きたいと思うんです。それがいけないといえばいけないんでありますが、これは御意見であろうと思います。私としてはこの原案でありましても、それから衆議院の修正案でありましても、これが最良の制度としてここへ出されたんじやない、これは暫定立法でやむを得ざる措置である、これは法文自体にはつきりその趣旨は現われておると思うんであります。それは甚だ生ぬるいことであるから、それじやいけないじやないかと言われれば、それは成るほどいけないかも知れないのであります。たださような意味で御了承を頂きたい、こういうことを申上げておるのであります。そこで教育委員会そのものにつきましても、これはとにかく不当の支配に服しない、教育が不当の支配に服することのないように、一般の民衆の手で公選せられた教育委員というものによつて運営されて行く、こういうとにかく理想の下にできておる制度でありまして、又同じことを言うようでありますが、今日半年そこそこの実際を以て、これをすぐやめるとか、やめんとかいうような結論に達することは、私は軽率であろうと思うんであります。実情に応じて、予算的にも或いはその他の面におきましても、これがうまく行くように育成をする、是正すべき点は是正をする、こういうことで進めて行くほかないんでありまして、市町村の方面におきましても、私の希望としてはその趣旨をよく了承して頂いて、この制度を育てて行くように協力をして頂きたい、こういうふうに思つておるのであります。
#110
○加瀬完君 大達部大臣にお伺いしたいんですが、先ほど大臣は六・三制り出発に当つても、十分な運営条件かり発足したんじやない、従つて地方教育委員会の制度にいたしたところで、今結論を出していいとか悪いとかいうのは早計である、こういうふうなお言葉があつたのでありますが、これは為政者としてはちよつと私は余りにも無責任な言葉ではないかと思うんです。十分な運営条件が今から見ればなかつたにしたところで、その当初においては、六・三制にいたしたところで、或いは地方教育委員会の出発にしたところで、十分な運営条件というものを検討したのちに出発させなければならないものであるし、又運営形態がいろいろ悪影響があつたときの責任は、立案者なり施行者なりというものが当然負うべきであつて、現在いろいろ教育委員会においても問題がありましても、だから今ある問題は、文部省の責任でもなく、もつとかすに時間を以てしろという議論は、成り立たないと思う。で、第二点として今も大臣おつしやいました通り、教育委員会法を実施する立場でこれをやつたんだ、教育委員会法は「教育が不当な支配に服することなく」ということを目的にしているんだから、そういうふうにやるんだというお言葉でありますが、そうするならば、地方教育委員会法において教育長を助役によつて兼任させるということは「教育が不当な支配に服することなく」と背馳することにならないか。具体的に申上げますと、助役というものは市町村長の機関である。従いまして不当なる支配というものは、一応教育というものを政治なり行政から分離するという考え方でありますから、それで助役という行政機関の者にこの教育長をやらせるということは、助役には町村長という上部機関があるわけでありますから、これは必ずしも不当なる支配に服しないということにならないで、その危険のほうがむしろ多い、こういう便宜的な方法をたとい暫定的でやむを得ないと言つても、本当にごの教育委員会法の実施というものを考えるならば、教育長と助役の兼任なんていうことは考えられない。根本的にそういう立場をとらなければならないと思うのでありますが、その点は如何ですか。
#111
○国務大臣(大達茂雄君) 繰返して申すようでありますが、この助役に兼任させるということは、好ましい制度とは思つておらんのであります。やむを得ずそういう暫定的な措置をするのであります。申上げるまでもないのでありますが、教育委員会は教育委員の手で運営されるのであります。教育長は勿論重要な地位でありますけれども、いわば事務局長と申しますか、教育委員会の意思を決定する機関ではないのであります。実際から言いますと、助役が兼任をすることによつて町村との関係も円滑に行く面もあるし、これはただ理窟で助役が兼任したからと言つて、直ちに町村長の政治的な考え方が教育委員会を支配すると、こういうふうにはなかなかいかないのであると思います。私は。これはいい面と悪い面と、考えれば両方考えられる。ただ助役に兼任さしたからと言つて、教育委員会の制度の本旨とするところが直ちに脅かされる、そういうことは実際上は私はそう心配するほどのことはない、こう思つております。現に昨年の十一月以降、助役が兼任しているのであります。助役が兼任したために、教育委員会に不当の支配、不当の勢力が及んでいる、こういうふうには私は思つておりません。
#112
○加瀬完君 助役が兼任したために教育委員会にいろいろ問題が起つたか起らないかということが問題じやないんです。不当なる支配に服させてはならないという、教育委員会法の目的を発揮させるためならば、行政権の衝にある者に教育行政権を担当させるという考え方そのものに、根本的に誤りがあるのじやないかということが一点。それから暫定的で、それは好ましい制度ではないけれども、暫定的にやむを得ないということが繰返し申されるのでありますが、初めの出発のときから、暫定的な好ましくない方法をとらなければならないような運営条件の中で出発させるというところに無理がないか。そういう運営条件の満たない中で出発させて、一体地方教育委員会というものが、地方教育委員会の実績というものを発揮することができるかという点が、実は責任が回避されていると思うのであります。それから先に教育委員会は民主的に運営をされなければならないということでありますが、教育委員会は民主的に運営をしようと努めましても、これは予想でありまするから当を得ないかも知れませんが、行政機関の下部にある助役というものが教育長を兼任して、実際的に事務的な運営をして行きまする場合には、教育委員会の民主的運営というものがフルに運営できるかどうかというと、そうではなくて、行政支配の影響を受けるということも予想される、こういうことか予想されることが一番教育委員会の制度を壊す理由になる。そういう一番厄ないような、而も教育委員会の本法こいうものにも背反するような助役の兼任ということを初めから認めて行くという、それも今かれこれ一年経とうとしているのに、まだ続けてこれを認めて行こうということは、教育委員会法を実施するという大臣のお言葉とは非常に違つた、まあやつてしまつたから仕方がないので、こういう便宜的なことで、悪く言うならばごまかすというくらいにしか我々には映らない。その点、助役を兼任させなければならないという理由をもつとはつきりおつしやつて頂きたい。
#113
○国務大臣(大達茂雄君) 地方によつて教育長としての適任者を得がたいところがある、こういう実情でありますから、助役を兼任をさせる。これは恐らくはこれが便利であろうというところから出たことだろうと思います。それで来年の三月まではそれでやつて行こう、私は当時の事情はよく知りませんけれども、こういうことだろうと思う。それで今度はいつまでもこれを続けるのも筋の通らん話であるし、併しさればといつて欠員がたくさんできるのをそのまま放置しておくわけにも行かないというので、せめて教育長の資格のある助役だけは暫らく兼任をして手伝つてもらおう、こういうのが原案であります。修正案のほうはそれでも欠員のできる所が少しできて来るから、やはり暫く助役に兼任をさせる。その代り何とか来年の三月三十一日以後は、そういうことのないよう、その全部資格のある教育長で占めるように文部省としても努力せよ、こういう趣旨の修正であると思うのであります。これは繰返して申上げますが、全く暫定的な措置でありますので、文部省としても、これを一番いい制度とは毛頭考えておりません。従つてこれについての筋の通らん、或いは理窟に合わん点、これは御指摘になれば恐らく幾らもあろうと思います。これはどうもやむを得ないということで御了承願いたい。
#114
○加瀬完君 この改正案についての改進党の意見は、たとえ地方教育委員会制度の義務的設置というのは、これは現実の情勢から当を得たものでないから、大体本年度一ばいというものを目安にして、任意設置なり廃止なりの方向に持つて行くべきだ、その暫定の期間、助役の兼任というものを明年の三月三十一日まで認めようということでありますから、これは首尾一貫しておりまして、はつきりしておる。ところが政府のお考えは、今大臣のおつしやられたように、地方教育委員会制度というものはまだ発足をしたばかりだ、これからやつてみなければいいも悪いも結論を出すのが早いということでありまするので、これは相当地方教育委員会制度を続けようとするお考えだ。地方教育委員会制度を続けようとするお考えにある政府にとつて、一体次のような問題をどう考えておられますか。例えば教育長の適任者を得ようとしても困難である。教育長の適任者が得られないような教育委員会の発達というものを、我々は予想することができない。これが又困難なる教育長が半年や一年のうちに文部省の力によつても早急に養成されるとも思われない。そこで仕方がないから、これは暫定的に助役にやらせるのだということは、教育委員会法そのものの性格を、即ち育教が不当なる支配に、強制支配に服するという危険をもあえて犯すということになる、こういうふうなことを奉げて参りするときに、地方教育委員会制度そのものを布いたということに、何らの責任を感じておらないのかどうかという質問をせざるを得ない、教育長も得られない。先ほど秋山委員から指摘されましたけれども、予算措置も講じられない。そういう条件の中において、地方教育委員会制度をやつて行つて、一体教育委員会制度を発達させるために何の資するところがあるか、こういう点いついて……。
#115
○国務大臣(大達茂雄君) これは同じことを申上げるようですが、私はこれがいいんだと言つているんじやありません。この衆議院の修正案が改進党から出たのかどうか、その点も実は知りません。これは合同提案のように聞いております。ただこの昭和二十九年三月三十一日までという字句がここにあるからといつて、これが当然来年度以降においては、地方教育委員会制度を廃止するのだという理窟は私はな
#116
○加瀬完君 これは改進党の意見です。
#117
○国務大臣(大達茂雄君) 意見があつても出た修正案を見て、これがある以上はもう廃止せざるを得ないのだという論議は成り立たないと思います。でありますから、これは私は修正案を文字通りとつています。従つて地方教育委員会というものは、学校教育の基本制度としてできた以上は、これを育てて行く。これが当然の態度でありまして、これがあつたから来年からやめるのだというふうには、私は考えていないのであります。
#118
○加瀬完君 そうではないのですよ。修正案を改進党の説明によれば、我々はこの地方教育委員会の実施というものは当を得たものではないと思うので、本年一ぱいでやめたいという前提の下に、この修正案を出したのだということでありますから、改進党の意見ははつきりしている。ところが大臣は地方教育委員会制度を飽くまで維持して行こうというお考えでありまするので、そうであるならば、教育長の適任者が得られない。得られないことは三年、四年たつても変化はないことで、有資格者の助役といつても、有資格者の助役というのは十数人に過ぎない。そうすると、結局現実において、教育長の欠員そのままで教育委員会が運行されるということは将来も変らない。こういう悪条件の中の地方教育委員会というものは、如何にやられてみたところで、大臣のおつしやるような教育委員会法の目的を達するような成績を挙げるということには非常に条件が悪いのじやないか、この点をどうお考えになるか。
#119
○国務大臣(大達茂雄君) 私は同じことを言うて済みませんが、この助役を兼任させるということは、そう好ましい制度でないということは申上げてある通りであります。併しながら助役の、そういうことであるから、地方教育委員会そのものをやめてしまおう、そういう重大な結論には達し得ないのであります。予算的にも措置をするし、これは教育長として資格のある人をとれない事情は、地方々々によつて、そういう人がいないという関係もありましよう。それから、いても経費が足らないために十分な教育家を入れるということが事実上財政的にできないという点もありましよう。併し教育長とい)ものは、この助役は他の職務を兼任して困るが、教育長は兼務をすることは、教育委員会法では何もとめられていないのであります。学校の校長等でその資格があれば、これは兼務させることは、教育委員会法においては何らの支障がないことになつております。そこで養成も従来いたして参つております。それから予算の上にも措置を講して早く充実をしたい。これが当分の間といい、乃至来年の三月三十一日までの間という、そういう趣旨であると私は了解しておるのであまりす。
#120
○加瀬完君 地方教育委員会の制度というものをフルに動かすことを考えるときに、助役の兼任であるとか、或いは学校長の兼任が許されているから、教育長は何を兼任さしてもいいだろう理論は成り立たないと思う。それで地方公務員法の三十五条に、職務に専念する義務という項目があるわけです。職務に専念する義務は法律によつて義務を緩められる場合もありますけれども、原則としては、職務に専念する立場というものを公務員法はとつておる、これが公務員の性格なのです。そうして校長は校長としての職務に専念させることが本意であるし、助役は助役しての本務に専念させることを本意として行かなければ、行政の能率はして来ないという立場を公務員法はとつているわけです。これを政府みずからがそのときどきの政策を遂行する便宜によつて、助役を兼任さしてみたり、校長を兼任さしてみたりして糊塗したところで、それで地方教育委員会、或いは教育委員会法なりの目的が、非常に進展するかしないかという問題を検討しないで、ただやつたらいいだろうという議論は成り立たない。そこで私はそういうふうなことをしてやつたつて、地方教育委員会の進歩が非常にめざましいものがあるということにならないのじやないか。そもそも地方教育委員会の出発そのものにまた熟さないところの無理があつたのじやないか。無理なことをあえてやつておいて、辻棲を合せるようなこともしないで、地方教育委員会というものの再検討をしたいという態度は、全然文部省としてはお考えになつておらないのかということを本当は聞きたいのです
#121
○国務大臣(大達茂雄君) 教育委員会の運営といいますか、それについては十分注意をして検討して参りたいと思つております。ただ先ほどから申上げておりますのは、今日の段階において地方教育委員会をやめるとか、そういう結論に達していない。達していない限り、これは基本的な制度でありますから、成るべくこれを育成強化して行つて、そうして先ほど申上げましたように、それでもどうしても工合が悪いということならば、その結論に従つて対策を講じなければならんと思いますけれども、今申上げますように、全然これでいいんだ、これで一切検討も何もしないのだという意味はちつともございませんから、その点は御了承願いたいと思います。
#122
○加瀬完君 そこで全然悪いのだという結論はないと言いますが、現実におきまして教育長の責任者を見つけるのは甚だ困難である、助役の兼任などという、無理なことをしなければ教育長の補充ができない、而もこういう方法を以てしてもなお且つ教育長の欠員がたくさんある、又助役の兼任その他の方法によつて結局市町村の行政支配というものに服させられているような悪条件も幾つかの例がある、或いは教育委員会の運営そのものにも甚だ円滑を欠くいろいろの事象もある、こういう幾つかの事例が出ておりまするときに、それでも地方教育委員会をもつと見守らなければならない、或いは現在の進行状態は普通、或いは優秀な進行状態を呈しているという御認識を文部省はお持ちでございましようか。
#123
○国務大臣(大達茂雄君) 私は今まで申上げたことによつて現在の実情と、そしてこれにどう対処して行くかというところの考え方は大体御了承を頂いたと思います。御了承を頂いたという意味は、御承知を頂いたという意味であります。それ以上は要するに御意見でありまして、地方教育委員会というものをどうしてもやめさせるのがいいのだということを今言えと言われましても、それは意見の相違でありまして、私の今まで申上げた通りのことで御了承を願いたいと思います。
#124
○加瀬完君 もう一つ、昨年度この地方教育委員会法が施行されるときには、文部省はこの案に対しては全部反対をしたはずである。只今の大臣になりましてからは、文部省のいろいろ検討されました資料というものでは、地方教育委員会制度は実施しても有意義なものだというふうに御認識を改めたものでしようか。これは質問でございますからお答え願いたいと思います。
#125
○国務大臣(大達茂雄君) 当時の文部省においてまだ時期が早い、もう少し延期して準備を整えてからのほうがよろしい、こういう考え方があつたことは私も承知しております。これは新聞等によつて承知しております。併しながら当時のいわゆる国の最高の意思決定機関である国会において議決を以てこれが実施されることになつたのであります。実施されたものを、而もこれは今申上げますように、我が国の教育制度としては基本的な制度でありまして、実施されてしまつたものを、助役を兼任させなければ工合が悪いとか、そういう事情があるということのために、もうやめてしまう、こういうふうには私は思つておらんのであります。或いは昨年実施されたのが、もう少し準備を整えた上で実施したほうがよかつたかも知れないということは議論がありましよう。
#126
○加瀬完君 昨年議会で議決したと言いますけれども、議決したのではないと思います。議決じやなくて、議決は反対にこれを延ばそうという議決で運ばれておりましたときに、不測の解散がありまして曾つてきまつたものがそのまま改正もされないで生きて来たので、地方教育委員会は不測に発足したということではございませんか。そうであるならば、当然文部省はその意見に基いて改正を企図しなければならない責任があると思うのですが、如何でございましようか。
#127
○国務大臣(大達茂雄君) これは私は実際を詳しく知りませんから申上げ方が悪かつたかも知れません。併しながら本来教育委員会法というものの制度、並びにその実施時期をいつまでに限ると、それまでは実施しない、それから先は実施すると、こういうことが国会において議決せられたか、或いは法律の形で以て意思が発表されたか知りませんが、国会の意思によつてそうきまつておつたのであります。でありますからして、それが昨年文部省がそれをもう少し延期したほうがよろしいという考え方を持つておつたにいたしましても、それがそういう延期の立法が成立しないで、そのまま実施された、要するにこれは本来の法律制度が国会の意思によつて実施せられた、文部省が責任を持つとか持たんとかいうことは、おのずから話が違うはずです。
#128
○加瀬完君 話が違わん。文部省は或いは国会全体の意思は、能動的にこの地方教育委員会の義務的設置は延期すべきというふうに動いて来ておつた。ところが不測の解散でその延期の決議というものがなされないで施行せざるを得なくなつた。それで昨年文部省はそういう態度をとつておつたのだから、当然本年だつてそういう態度をとるのが至当なんだ。
#129
○国務大臣(大達茂雄君) 提案になつておりましても、もう昨年の十一月から、これは解散の結果、そうなつたかも知れません。或いはその提案が国会が解散がなくて、通過したか通過しなかつたかもこれは予測すべき限りではありません。併しながらとにかく実際の問題としては解散になつた。解散の結果、法律が実施せられてしまつた。実施せられる前に、もう少し準備してから実施したほうがいいというのが恐らく当時の文部省の考え方であつたろうと思います。実施せられてしまつてから、又引込めるということは、これは別問題だと思います。
#130
○加瀬完君 別の問題でありますと言いますけれども、時期尚早で、これは地方教育委員会の義務的設置はすべきじやないという文部省は見解を持つておつて、手続に不測なくい違いが生じたために、その意思というものが生ずることができなかつた。そうすれば時期尚早という意見が文部省によつて固められておつたならば、又理由というものも幾つか挙げられておつた。文部省の挙げられた通りのことがありますならば、それならば地方教育委員会制度そのものに対して文部省は検討しなければならないし、公的の立場からもこの問題の改正というものには積極的に乗り出す義務が当然ある、義務がないということはあり得ない。
#131
○国務大臣(大達茂雄君) 今申上げますように、実施するのには時期がまだ早いか又時期が過ぎたか、こういうことは実施する前に決定せられることでありまして、当然まだ実施せられていない時期において、当時の文部省はまだ実施の時期が早いと、こういう考え方であつたのだろうと思います。併しながらもうすでに実施になつてしまつたのです。実施になつてしまつた以後は、実施前のときとは話がおのずから違うのであります。前にどうも時期が早いと言つたところで、実施されてしまつた以上は、前に早いと言つたのだから引込めてしまうということにはならないと私は思います。
#132
○加瀬完君 時期尚早であると、又地方教育委員会制度をこの際義務的設置をするのは相当無理があるという検討がなされておつて、その条件が現実においても同じであるならば、文部省はこういう助役の兼任などというような姑息な手段でなくて、たまたまあなたがたも暫定的にやむを得ない方法だといつておるのだから、そう暫定的な便宜的方法を用いなければ地方教育委員会制度の実施ができないような状態が今なお確認されておるのだから、地方教育委員会制度そのものの検討というものに対して責任を持つて頂かなければ困る。
#133
○国務大臣(大達茂雄君) 私は申上げるように、地方教育委員会の発足以来の実際についても、又今後におきまして、その実際を見ながら検討して参りたいと思つております。
#134
○秋山長造君 実際問題といたしまして、先ほど自治庁当局から承わつたところによりますと、全国一万を超える市町村のうち、今日までに専任の教育長を置いているのは僅かに二千であります。而もその二千のうち殆んどこれは市であります。町村は、八、九分がた、恐らく九割くらいは専任なしのまで、うやむやのうちにやつて来ているというのが実情であります。而も政府のほうでは当分の間、当分の間というようなことで、一日延しにつぎはぎ細工のようなことでやつておられるわけでありますが、併し只今までの文部大臣のお考えによりますと、やはりこれは飽くまで町村教育委員会は続けて行く。従つて専任教育長も速かに全部の市町村に設置させる御方針のようです。然らばその点について文部当局として、この専任教育長を補充して行くについて、年次計画のようなものでもお持ちになつておるのでしようか。
#135
○政府委員(田中義男君) 実は昨年の十一月に発足をいたしました当時におきましても、教育長の有資格者としては実は数万おるわけでございますけれども、併しこれをやはりいろいろ地方の実情等によりまして、それだけで悉く充足もできないだろう。こういうことから昨年の一月から三月までの間におきまして、約四千五百名の新たに教育方針講習をやつて資格者養成をいたじました。その結果、四千五百名のうちの約七七%が、実はそれぞれ就職いたしておるのでございまして有資格者としては大体おるのでございますが、併しなお完璧を期しますために、やはり数百名くらいの補充というような意味での養成はいたしたい。かように考えておるのであります。
#136
○秋山長造君 そういたしますと、非常に教育長の有資格者は潤沢だという感じを受けるのでありますが、にもかかわらず、統計数字に現われているように、専任教育長が非常に少いということは、どういう点に隘路があるのですか。
#137
○政府委員(田中義男君) これは先ほど来いろいろお話しがございますように、一つには教育長になりますことによつて、御承知のように身分関係が続かないというような点も多少ございます。それから又待遇の点もございましよう。或いはそれぞれ個人的な事情によて、本人は望まれても家庭その他の事情によつていけないというような事情もございましよう。それから更にこの市町村教育委員会そのものに対していろいろな批判もございますので、なかなか本人としても決心しかねるといつたようないろいろな事情がございまして、只今みておるような就職状態だと思います。
#138
○秋山長造君 といたしますと、大体二つに分けて、一つは教育委員会というものの将来というものについて見通しがない、或いははつきりしていないということからの不安と、もう一つは財政的な裏付けがないということから出発しての問題、大体二つのように見受けるのです。で、前の教育委員会の将来の見通しという点については、只今文部大臣のお考えではやはり将来続けて行きたいというお考えのようでありますけれども、地方の実情はさつきも言いましたように、町村長にいたしましても或いは町村議会にいたしましても、みな挙つてこれは速やかに廃止すべきだという意見、それから又一般の受取り方もそういう受取り方をしておる。而も文部大臣は政治的なお立場がありますからして、飽くまでやるとおつしやるけれども、実際に事務をあずかつておる文部当局の人たちは、先ほど加瀬委員からも御質問がありましたように、私は今日も偽らざるところは、やはり教育委員会は廃止すべきだという御意見だろうと思うのです。現に私も文部省の責任ある何人かの方々からそういう意見を聞いております。而も国のほうの財政的な裏付というのは依然として非常に不十分なものであります上に、今回の衆議院からもらつて来た改正案にいたしましても、来年の三月三十一日までということなんです。三月三十一日ということも受取り方でありまして、文部大臣のほうは三月三十一日まではやるけれども、それ以降は専任を置いて飽くまで教育委員会は続けて行くのだというふうに受取つておられるようでありますけれども、併しながら我々先ほど衆議院の代表としておみえになつた床次委員から聞いたところによりますと、この三月三十一日という期限を切つたについては、自由党と改進党との考え方が真反対なんです。自由党のほうはまあとにかく当分存続して行こうということのようでありますけれども、改進党のほうは党の方針として来年以降は任意設置か、然らずんば廃止というようなはつきりした党の方針をきめておられるわけでありまして、今後遠からざるうちにその点についての党の方針を具体化する。即ち言葉を換えて言えば、法案の形なり何なりで国会に出て来るだろうということは、はつきりしておるのです。その点については責任を持つて申上げますというお話でありましたから、はつきりしておるのであります。又自由党のほうにいたしましても、これは甚だ失礼な言い分でありますけれども、自由党に所属しておられる議員の方々も我々知つたかたが多いのですが、そういう方々の個人の意見を聞いてみますと、必らずしも大達文部大臣がおつしやるように、今後一そう強力に続けて行くのだというような強気のかたばかりはおいでにならないのです。むしろまあ当分やつて、今すぐ廃めるわけにいかない、やつた手前、面子もあるというくらいな御意見のかたも非常に多いのです。そういう客観的情勢の中で、文部大臣が今後この問題について如何なる方針と信念を持つて行かれるかどうかということは、これは単なる委員会の議論に終るのではなくて、全国一万幾らの市町村当局は勿論ですが、全部の教員にとりましても、又府県にとりましても、非常に大きな影響を持つ。従いまして三月三十一日という日にちの点は問題ないとしましても、それの含まれている意味というものは非常に違うと思うので、例えば三月三十一日以後は廃止になるかも知らんという、三月三十一日であるならば、文部大臣としての見通しということも、おのずからこれは今の自由党の現有勢力では動かざるを得ないわけであります。そうなりますと、今後半年余りの間に依然として文部省としてはいついつまでこれをやるのだから、早く専任の教育長を充実しろといつて指導して行かれることが、ちよつと意味がなくなつてくるように思う。又そうでなくて、三月三十一日、四月一日以降は専任でなければいかんという前提の下に三月三十一日まで助役の兼任を認めようということなら、又おのずから方針が変つてくるのであります。いずれにいたしましても、その日にちのうしろに含まれているところの考え方といいますか、政府の方針如何によつて非常に大きな影響を持つ問題でありますだけに、三月三十一日とあるのですから、三月三十一日までは少くとも既定方針で進まなければいかんということは、政治の責任者としていささか形式的に過ぎるのではないかと思うので、その点につきまして、具体的にお伺いいたしますが、若し改進党がそういう案を出して来て、政府の現有勢力では、とても三月、来年度以降は持ち切れないというような情勢になつて、そうなつた場合に、文部大臣としては、どういう態度をとられ、どういう方針で望まれるのかという点についてお伺いしたい。
#139
○国務大臣(大達茂雄君) どうもこれは先の仮定に立つての御質問でありますから、そう明快なことを申上げることは、これは事実上できないと思うのでありますが、改進党のほうで、この修正案を、こういう修正を出された、その気持に、そういうことがあるかどうか、これは私としては知らないのでありますが、床次君が来て、そういう説明をしておられれば、それはそうかも知れません。これは私は関係のないことで、自由党のほうにつきまして、然らばどうか、これも私は、自由党で党のはつきりした方針として、三月三十一日以降はやめてしまえという意見がまとまつておることは承知いたしておりません。従つて私か今まで申上げましたことは、文部大臣の立場において、文部大臣としての考え方を申上げておるのであります。それは即ち自由党の考え方というふうなことではありませんから、その点を御了承を頂いておきたいのであります。ただ私はなるほど地方教育委員会というのは発足したばかりであり、従つて非常に、当然に多少の混乱を伴うということも、これもやむを得ない、又市町村側との間にいろいろな問題が発生して来おる、その実情も或る程度承知しておるのであります属し同じことを言うようでありますか、折角発足したものであるから、一応はこれを育てて行くということが建前であると思います。それを育てて行くということが絶対にむずかしいということになれば、これは財政的な措置を講ずるとか、或いは教育長の問題についてみれば、そういう人を養成するとか、これは絶対に打開のできないものではないと思つておるのであります。地教委の本来の制度の趣旨は別といたしましても、これは決して簡単にこれを否定することはできない、さような制度であると思うのでありますが、それは別としましても、地教委というものがなくなれば、自然元に還つて県教委というものの形で運用されて行くということになると思うのでありますが、今日の地方における教育職員というものの、その勤務の状態は、決して満足すべき状態ではないと思う、素質におきまして、六・三制というものが出発して、教員というものが、事実上十分な態勢をとることができなかつた。今日においてもなお十分な、立派な資格を持つた、学歴のある教員を揃えるということは、なかなか困難であることは、御承知の通りであります。殊に戦争中、一時我が国の教育は事実上中絶しておつた。又多数の優秀な青年が戦場において亡くなつておるのであります。従つてこの社会的な混乱と窮乏の間に発足した、一番中心となる肝心の教職員の素質というものが、今日満足すべき状態ではないということは、これは当然のことであろうと思います。何をおいても素質の向上を図るということが、今日の重大なる要務の一つであります。それと同時に、地方における教職員の実際の教壇に立つた勤務の状態、こういうことは日本の義務教育を真にその所期の目的を達成する上に、次代の国民を作るという上から言つて、これは非常に重大なるポイントであると思うのであります。然るに今日教育職員の勤務の状態、その教育の仕方、制度が、所期の目的を達成するように果して行われておるかどうか、これを実際、脇でみる組織がないのです。県教委というものはありまして、これが県下全町村の隅々に亘つて教員の勤務の状態を見届ける役目を果すことはむずかしいのであります。できない相談であります。この役目を果すのは地教委以外にはないのであります。少くとも現在の教育の上において、その役目を果すものは地教委以外にない。私は地教委が健全な良識と、選挙によつて出て来たのだから、一般大衆の信頼に応えて、真面目にその仕事が運営されてくれば、これは私は極めて重要な機関である、こういうふうに思つているのであります。従つて今日、発足当初においては、窮乏と混乱の中から出発しておるのでありますから、いろいろ批判を受ける点はあるであろうけれども、できるならば、これを悪いところは是正して、そうして健全な運営が行われるということは、我が国の義務教育制度を、振興充実する一つの要件をなしているものである、こう思つているのであります。私は自由党のかたにもそういう人がいる、改進党もそう考えている、ただ併しその建前から、立場から言つて、放つているというのではないのでありまして、私はでき得るならば皆さんの御協力を頂いて、地教委というものを健全なものに作り上げて行きたい、こういう強い希望を持つているのであります。
#140
○秋山長造君 そういたしますと、先ほど来の御答弁を聞いておりますと、文部大臣としては極めて受身のお考えで、法律がそうなつているのだから、やらにやいかんというようなふうに聞えまして、文部大臣としてはいささかどうも積極性が欠けているように私は受取つたのですが、この教育委員会の問題につきましては、文部大臣としては積極的に、まあ国会がどうとか法律の手前がどうとかというようなことは
 一応抜きにいたしまして、強い信念を以て積極的に、周囲の情勢を引ずつても、とにかく町村の教育委員会を今後推して行くという御信念なんですか。
#141
○国務大臣(大達茂雄君) これは私は国会を引ずつて行くとか何とかというようなことは、これは私としてお答えする限りじやありません。ただ申上げますように、先ず基本的な制度として育てて行く、そうしてこれが実施する時期が早かつたか遅かつたか知らんが、とにかく実施された以上は、これを守り育てて行くということが、当然の筋道と思うのであります。そうしてただ地教委のほうで、現在困つた点ばかりが目についているのでありますが、私は地教委が健全に運営されて行くならば、それは極めて重大なる教育上使命を持つているのだ、こういうことを考えまするが故に、私としてはでき得るならば、これを育てて行きたい、こう思つているのでありまして、これは国会のほうで御賛成がなければ仕方がない、引ずるとか引ずらんとかという問題じやありません。
#142
○秋山長造君 悪い点ばかりが目に立つているということをおつしやるのですが、いい点は私はないと思うのであります。ないと思うのじやない、ないのだ。実際文部大臣のお考えになる良い点というのは、教員を取締るという点だけであろうと思うのであります。併しこの教員を取締るというような考え方で、この教育委員会を飽くまで盛り立てて行つて、そうして文部大臣はそういうふうにますます指導して行かれるということになりますと、これは又日本の教育というものが、民主々義だとか何とかということとは違う方面へだんだんそれてしまう思うのですが、教育委員会の現在の町村の実情から言いますと、その取締という点においては、成るほど文部大臣の御期待に或いは多少副うておるような面があるかも知れません或いはあるかも知正ませんけれども、一方教員の資質の向上をするとか何とかいうことについては、まあ教育委員会法によりますと、委員会の仕事として教員の研修とか何とかいうような責任と権限が与えられておりますけれども、全国の町村において、町村の教育委員会か議決を以てその管轄下の教員の研修をやり得るという状態では全然ない。まあその点は私は具体的に言わんでも、賢明なる文部大臣はよく御承知になつておると思うのですが、その取締ということだけで、飽くまでこれを続けて行くとおつしやることは、私は文部大臣として、或いはそういうお考えも一つの理由が立つことは立つと思うのですが、文部大臣としては私はもう少し別な面で大いにこの信念を以てやつて頂くべきじやないかと思います。
#143
○国務大臣(大達茂雄君) 私は取締というような、警察のような気持で申上げておるんじやありませんから、その取締という言葉は私の先ほど申上げた意味において当つておらないのであります。成るほど今日は地教委が発足したばかりで、今日の状態においては或いはおつしやる通りいいところは一つもないということも、見ようによつては言えるかも知れません。私が申上げるのは、できるだけこの地教委といものの制度を育てて行つて、そうしこれが我が国の義務教育の運営の上非常に大きな役割を果すようになるとを期待しておる、こういうのであまして、今日の地方の教職員の実情申上げますと、これは言うまでもなことでありますが、このまま放置しおいていいという状態では私は絶対ないと思つております。
#144
○堀末治君 この機会に動議を出しいと思いますが、大体質疑も終了しようでございますから、質疑を打切て本法案の討論採決に入つてもらいいという動議を提出いたします。
#145
○委員長(内村清次君) 只今、堀君ら動議が提出されましたが御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#146
○委員長(内村清次君) それでは御異議ないものと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら討論中にお述べを願います。
#147
○秋山長造君 私は社会党を代表いたしまして衆議院の修正案第六条に反対をいたします。市町村の末端まで教育委員会を設けるということにつきましては、その財政面におきましても、又人的構成におきましても、又人事その他教育行政の関係からいたしましても、極めて実情に背馳するものであるということは天下周知の事実りますまして、にもかかわらず、昨年のたまたま、ああいうだしぬけ解散というような突発事故からいたしまして、極めて形式主義的にこの制度が強行されたわけであります。而もその内容なるや肝心要の教育長のごときは、そのほうの原則を破つてまで町村の助役の兼任を、而も三月一ばいということで暫定的に認めざるを得なかつた。而もその三月一ぱい終りまして、新年度に入つた今日においてすら、全国一万幾つの町村のうち、専任の教育長を置いておるのは僅かに二千少々であります。今後の見通しといたしましても、財政面から、或いはその他いろいろな面からいたしまして、速急にこれを補充するというようなことは、殆んど木によつて魚を求めるごとき困難がございます。而も教育委員会の建前からいたしましても教育の他の一切の機力からの自主独立という建前からいたしましても、教育長というものを町村の議会で選任されるところの助役がこれを兼ねるというようなことは、この教育委員会の自主独立という建前を実質的に骨抜きにしてしまう、極めて悪い制度であると考えざるを得ない。而も今日全国の各自治団体それぞれの立場から、この地方教育委員会の廃止ということを強力に呼んでやつている、この世論の実情に鑑みましても、政府としては、たまたまあの出し抜け解散から生まれた、思わざる副産物に過ぎないところのこの教育委員会制度というものは、速やかに廃止さることが当然であると思うのであります。仮に百歩を譲りまして、当分続けるといたしましても、こういうような自治法で明らかに禁止されたことを、敢えて法律の名によつて特例を認めてまでも教育長を助役に兼任させるというようなこと、而も今日までは仕方がなかつたとしましても、今後更にこの状態を続けて行くというようなことは、我々は到底同調することができない。まして今回衆議院から廻つて来たあの修正案にも見られるように、来年の三月三十一日という期限を切つて、而も政府原案にあつたところの免許状を持つところの助役に限るという制限を更に取去りまして、無制限に一切の助役に教育長を兼ねしめるというようなことになりますならば、又何かを言わんやという感じを持たざるを得ない。而もその来年三月三十一日の裏に秘められているところの考え方たるや、自由党、改進党、この修正案を協議したところの二大政党の考え方が根本的に逆になつている。自由党のほうは何かしらんけれども、まあ当分続けて行くというようなお考えのようでありますが、改進党のほうははつきりこれを廃止するという強い方針を堅持されているのであります。従いましてこの制度は現在の政府の政治的な立場からいたしまして、どうしてもこの年度一ぱいで相当ぐらつかざるを得いような結果になることは、今から火を見るよりも明らかであります。それにもかかわらず、政府のほうでは今日までの既定方針を、或いは面子にとらわれているのか或いはどういう事情か知りませんけれども、とにかく続けて行こうという方針でおられる。而もその方針の裏付けをされるべき平衡交付金その他の財政的な裏付けというものは極めて不十分、でありまして、改進党の考え方を財政面では裏付けられるような程度の財政措置しかとつておられない。こういうような状態で今後も続けて行かれますことは、今日そうでなくても赤字に悩んでいるところの地方財政に、非常な無益な混乱と重荷を負わせるということにもなりますし、又独立第二年、重大な使命を担なわされているところの日本全国の教育関係者に対しまして、絶大なる悪影響を与えるものであると考えますので、私はこの際、政府としても何よりもかによりもこの教育委員会制度そのものを根本的に再検討されるという態度が最も責任のある政府としてのあり方ではないかと考えますが故に、本第六条につきましては絶対に反対をいたすものであります。
#148
○委員長(内村清次君) 他に御発言はございませんか。他に御意見もないようでございまするが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#149
○委員長(内村清次君) 異議ないものと認めます。それではこれより採決に入りします。地方自治法の一部を改正する法律案を採決いたします。地方自治法の一部を改正する法律案を衆議院送付案通り可決することに賛成のおかたの御挙手を願います。
   [賛成者挙手]
#150
○委員長(内村清次君) 多数でございまる。よつて地方自治法の一部を改正する法立案は、衆議院送付安通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において、本法案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#151
○委員長(内村清次君) 御異議ないものと認めます。それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書について、多数意見者の署名を附することになつておりまするから、本法案を可とせられるかたには順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    愛知 揆一  石村 幸作
    西郷吉之助  高橋進太郎
    長谷山行毅  堀  末治
    島村 軍次  小林 武治
    館  哲二
#152
○委員長(内村清次君) 御署名洩れはございませんか。……署名洩れはないと認めます。
  ―――――――――――――
#153
○委員長(内村清次君) それから次に地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案、これを議題に供します。御質疑のあるかたは順次御質疑をお願いいたします。
#154
○堀末治君 本法案に対しては質疑はないようでありますから、直ちに討論採決に入る動議を提出いたします。
#155
○委員長(内村清次君) 只今堀委員から質疑の打切りの動議が出ておりますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#156
○委員長(内村清次君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより討論に入りたいと思いますが、御意見のあるかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
 別に御発言はございませんか。
 それでは討論は終局したものと認めて、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#157
○委員長(内村清次君) 御異議ないものと認めます。
 これより採決に入ります。地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案を採決いたします。地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#158
○委員長(内村清次君) 多数でございます。よつて地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四条によつて、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本法案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとし、御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#159
○委員長(内村清次君) 御異議ないものと認めます。
 それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を附することになつておりますから、本法案を可とせられるかたには順次御署名願います。
  多数意見者署名
     愛知 揆一  石村 幸作
     西郷吉之助  長谷山行毅
     高橋進太郎  堀  末治
     館  哲二  小林 武治
#160
○委員長(内村清次君) 御署名洩れはございませんか。署名洩れはないものと認めます。
 暫時休憩いたします。
   午後二時五分休憩
   ―――――・―――――
    午後四時十六分開会
#161
○委員長(内村清次君) 只今から休憩前に引続いて委員会を開会いたします。
 地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案、これを議題に供します。
#162
○若木勝藏君 私は最後にもう一点、長官にお伺いしたいと思います。先般来単位費用の点でいろいろ質問上げたのでありまするが、その点に対しては、私は遂に満足な御答弁を得ることができませんでした。併しそれ以上問答を続けるということは、先般申上げました通り意見に亘つて来るのでありまして、その点については私はもう一応質問を打切ります。それで最後の一点と申しますのは、この第十四条の修正でございますが、いわゆる税率を府県において百分の八十まで引上げるという点について御質問申上げたいと思うのであります。これは昭和二十六年の第十回地方行政委員会におきまして、これは熟しないものとして修正削除されたのであります。今回再びこれがまあ提出されて来ている。このことは地方の自主的な財源ということに関係いたしまして、相当これは大事な問題になつて来るんじやないか、こういうことになるのであります。政府の考え方としては、地方財政の均衡を図るために、こういうふうに税率を上げて、そうしてまあどちらかと申しますというと、富裕府県のほうから然らざるところの府県のほうに流し込むと、こういうところに考え方があると思うのであります。このことが果していいか悪いか、ここに問題があると私は思うのであります。そのためにいわゆる富裕府県或いは富裕でないところの府県との間に対立抗争を起すと、こういうふうな場合も考えられるし、現に又そういうふうな兆しが見えているようにも思う。このことは平衡交付金制度はどうあるべきかということに相当関係を持つて来ると思う。そういうことに関しまして、私は本委員会が開かれた初めにおいて、長官に御意見を伺つたのでございます。私は昭和二十六年以来、そういう点について政府としてはどういうふうに御検討なさつて来て、再びここに出されたか、そのことについて伺います。
#163
○国務大臣(塚田十一郎君) 二十六年に一度企図いたしまして、機運が熟しないという意味で、これが国会の御賛成が得られなかつたことは、私もよく承知しているのでございますが、あのときは御記憶でもございましようが、府県と市町村と一緒に皆出しました。併しまあいろいろ検討して見ますと、府県と市町村の場合は、幾らか別に扱う必要があるのじやないかと、こういう考え方が出て参りまして、今度は取りあえず府県だけとこういうことにお願いをしているわけでありますが、そこで自主的財源という考え方にこれが逆らうんじやないかということでありますが、そうおつしやれば大体平衡交付金なる制度自体というものが、自主的財源という考え方からすれば逆らうのでありまして、できるなら各自が独自の財源で賄えるということが、自治ということの本来のあり方からすれば一番いいのでありますが、それではなかなか貧弱町村と富裕の町村、貧弱府県と富裕の府県との或る程度の均衡が取れないということで、平衡交付金という制度があるわけでありまして、平衡交付金制度のある以上は、限られた財源で以てなるべく平衡交付金本来の調整機能というものが一〇〇%に近く行われるということが、一番平衡交付金の配分の仕方としてはいい方法だと考えられるわけであります、そこでそのときに今度は府県というもののあり方を見てみますと、だんだんとこの制度をやつて見て参りまして、それからしでいろいろなその後の動きがありましたけれども、大体府県の場合に市町村の場合と違いまして、大きなこの規模の違いもありませんし、それからして同じく支出の中をずつと見ておりましても、府県の場合には市町村と違つて非常に事務的な支出というものが多いわけでありますから、府県によつてそう大きな開きというものがないようにだんだん、となつて来、そういうような府県の状態というものを睨み合せて考えますと、考え方としてはやはりこの府県財政収入の面におきましても成るべく大幅にこれを計画の中に取入れまして、そうして計画外に出る分は多少少くなりますけれども、その代り需要のほうは成るべく一〇〇%に見てやつて、そうして実際に費目が、必要が、十分満たされるようにしながら、併せてこの平衡交付金の持つ本来の機能を成るべく余計果させるというふうに持つて行くほうがいいのじやないかと、こういう考え方で、つまり二十六年よりは少くとも府県の場合におきましては機運が熟して来たのではないか、こういう考え方で今度のお話としては願つたわけであります。勿論今度の改正によりまして、幾らか富裕な府県のほうが割が悪くなり、貧弱な府県のほうが割がよくなつて来るということは申すまでもないのでありまして、そういう意味におきまして、富裕な府県側から総額を殖やさないで、ただ全体の中からして、こつちから削つて向うへ持つて行く行き方はけしからんという意味で、反対があるということは聞いておりますけれども、併し今申上げたような考え方で、平衡交付金の制度自体の持つ効果を成るべく余計現わしたいという考え方が、今度の考え方になつているわけであります。
#164
○若木勝藏君 そういうふうな問題の起つて来る元は、結局私は政府で以て平衡交付金の算定を余りに窮窟に考えまして、地方の事業の実際に伴わない交付金が交付されるところから起つて来る、そういうふうに考えるのでございますが、常に赤字で以て苦しんでいるというふうなことを考えましても、問題はかかつて平衡交付金が少い、こういうところにあるのじやないかと思います。そういう点は、他にどういうふうな原因でもあるかということを、お考えでもあつたら伺いたい。
#165
○国務大臣(塚田十一郎君) これは平衡交付金は我々はできるだけ少くて済めば、それに越したことはないと思いますので、私は今度の政府の改正の考え方が、総額が少いからというような面から来るのではなくて、それは先ほども申上げましたように、現在きめられている額で、最も最高度に調整機能を発揮させようという考え方から参るわけであります。併しこれに対する府県側の反対は、まさに総額が少いというところから来るのでありましてそれで全体として地方財政が、貧弱府県、富裕府県を通じて、決して十分でないということはまあ私どももよく了承し、なんとか解決をしたいという、こういうような考えでいるわけであります。
#166
○若木勝藏君 それで、この前伺つたときも、この平衡交付金制度については再検討しなければならない、こう考えておる、なおこれらは地方制度調査会の結論もあるからして、それらを併せて検討して見たいというふうな御答弁があつたわけであります。長官の今のお考えは、相当あれから日時も経つておりますので、将来この平衡交付金制度というものは、どういうふうに持つて行くか、こういうことについてお考えを伺いたい。
#167
○国務大臣(塚田十一郎君) この点は私が就任直後に、いろいろな機会に申上げましたのと、その後幾らか私も考え方が変つておりまして、結局独自の財源、独自の財源と言いましても、なかなか独自の財源でそう偏在の起らないものというものは大きく期待できないから、平衡交付金というものは、或る程度の規模において残しておいて、調整機能というものを果させなければならないということは、依然として言えると思うのであります。ただその場合に、若しどうしても平衡交付金というものを残しておかなければならないとするならば、この平衡交付金が持つているいろいろな欠点、この運用の面から出て来るいろいろの欠点というものを最少限に食いとめなければならない。そういう欠点の最も大きいものと考えられますのは、これによつて中央に依存するという考え方が非常に出て来て困つているのでありますからして、そういうものが成るべく少くなるように、従つて平衡交付金はいろいろな面で現在すでに法定されておる面もありますが、法定されてない面も、逐次考え方もきまつて参りましたものは法定をして、そうして裁量の余地というものを少くする。又平衡交付金を地方に配分する額の決定の時期も成るべく早くして、中央に対して陳情しなければならないというような考え方を、期間的にも整理して、又内容的にも成るべく少くすることの方が、一番この平衡交付金制度のありかたとしていいのじやないか、こういうふうに考えております。
#168
○若木勝藏君 結局今も中央に陳情するというふうなことは、私も随分これは陳情政治というふうなものの、もう或る限度まで行つておるくらい大きな陳情が行われておると思うのです。これはあながち中央に依存するというふうな考え方ばかりでは解決ができない問題であろうと思うのであります。この平衡交付金制度になつてから、どこに一体原因があるか、私はこう考えてみるのでありますが、いわゆるこの基準財政需要額をきめる単位費用、こういうところに無理があるんじやないか、地方の実際にやらなければならない事業に即応しておらないところがある、余りにも搾り過ぎておる点があるんじやないか、そういうところから問題が生じて来るように思うのでありますが、これは実際どういうふうな工合になつているか御意見を承わりたい。
#169
○国務大臣(塚田十一郎君) これは現実の状態をそのままに是認して見て行けば、恐らくそういうことになると思いますし、そうしてそれが又地方財政が窮乏しているという一般的な声になつていると思うのです。従つてこの場合に出て来る声は、富裕府県である貧弱府県であると同じように出ているわけであります。ただ我々の考えますのは、そういう考え方の上に、国と地方を通じて非常に困難なときではあるが、やはり財政というものはできるだけ緊縮をしてもらいたいというような考え方を、もう一本考え方の中に入れて考えますからして、政府がそういう工合にものを考えます場合に、余り豊かに、裕りのある考え方というのは考え方としては適当ではないのじやないかというような考え方も加わりまして、やはりできるだけ搾つて考えているということは確かに言えると思うのであります。従つて今後平衡交付金制度というものを検討いたします場合にも、そういう意味において非常に緩みのあるという考え方は、私としてはしたくない、成るべくやはり国の財政力の規模というものを、国民の負担能力というものを、国と地方全体において国民の負担力の範囲で、財政というものを、枠をきめるというような考え方で、やはり検討して行きたい、こういうように思つているわけであります。
#170
○若木勝藏君 この前に御意見を伺つた場合に、二十五年、六年、七年、それ以来の赤字の解消につきましては、何か臨時立法のようなものによつても、これはやりたいというふうなお考えでありますが、最近新聞で見ますというと、衆議院の地方行政あたりでは、何らかそういう方面の法案を用意されているとかというふうなことが出ているのでございますが、これには相当やはりまあ政府としての財源上の問題が考えられなければならんと思うのでありますが、ああいうふうな法案が、長官のお考えになつておつたようなものであるか。又そういうふうになりますれば、政府としては相当これは財源の点で考えなければならないと思うのでありますが、その点について長官はどういうふうに考えておられますか。
#171
○国務大臣(塚田十一郎君) この点は、衆議院におきましてそういうような法案の提案の議というものが一時出ておりまして、その後どういう工合になつたか、今は余りはつきりした形にはなつておらんようであります。そうしてそういう考え方、私も成る程度是認をしておつたということはまさに間違いないことなんでありますが、ただこの国会筋でお考えになつておつた考え方と、私の考えておりました考え方と、考え方の基本には少し食い違いがあるのでありまして、国会の考え方は赤字で困つているのだと、それは中央においての財源措置が十分でなかつたからしてこうなつたのだからして、何とか面倒を見てやらなければならないのだと、こういう考えでいられるように、極く大ざつぱに私は承われるのでめりますが、私の考え方は、まあ必ずしもそうとは思つておりませんので、一応政府としてはそれぞれのときにおいて、できるだけの努力をし、又少いながらもその金を、できるだけ配分を公正にして、個々の団体において赤字が正じないようには配分して来たつもりなんだけれども、若干それは人間のやつたことであるから、その間に手落ちがあるかも知れない。従つて現実に赤字が出てしまつているものは、これは何らかの機会に何とか整理をしなければ、どうにも自治団体というものが今後長く続いて生存して行くものである以上、やむを得ないのではないか。従つて出て来た赤字は、出るはずはなかつたけれども、出て来ておるのだから仕方がないから、そこで出て来た赤字というものを一応検討して見て、中に本当に政府のやり方が悪くて出たものがあるかどうか。若しあるとするならば、それは相当程度国が責任を以てやらなければならない。仮にこの責任を負う、負わないの問題は出て来なかつた問題であつても、とにかく現実に赤字が生じている以上は、これから健全にやつて行くという建前に切替える以上、そのときに何らか恒久的にそれを整理して行く方法、恒久的にというよりは、長い期間にそれを整理して行く方法というものを併せ考えてやらないというと、今度の本格的改革というものも、うまく行かないのじやないか。そこで今、短期債か何かで恐らく無理をして繋いでおるであろうから、そういうものはやむを得ないから、一時長期債か何かに切替えられる工夫か何かをして頂きたい、こういうのが私の抱いておつた考え方であります。その考え方は今も私は持つておりますし、そうする以外には手がないのです。ただこの機会に私として更に附加えて申上げたいのは、本来から言えば、赤字を生じた団体よりも、赤字を生じないでやつて頂いた団体というものは、我々の眼から見るならば、より賞讃と言いましては、非常に失礼な言葉かも知れませんが、そう是非ありたかつた団体なのでありますが、併しそう言つても、現実に赤字を生じておるものは、これは何とも仕方がないから、やむを得ず面倒を見て整理をして行く、従つて今後そういうようなことがあつてはなりませんから、その点に御注意も願わなければなりませんし、又非常に無理な形において財政を運営されたことによつて、そういう赤字が生ずるならば面倒を見る、その代りに過去にそういう原因を生じたことが当事者の責任にあるならば、当事者にも十分何らかの責任をとつてもらうような考え方もしなければならないのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
#172
○若木勝藏君 一応わかりましたのでございますが、結局まあ余り赤字を出さないで、一つの地方行政をやつてもらいたいということを強調すれば、先般の奈良県の知事のように、起債がちやんとそういうふうに振向けられておるのに、後生大事に赤字を出さないところの行政を守つて、そうして教員であるとか、地方公務員が期待しておるところのものは一文も渡らん、こういう結果に陥りますので、その点は長官も十分一つ考えて頂きたい、こう思うのであります。私の質問はこれで打切ります。
#173
○堀末治君 本法案に対する質疑も大体尽きたようでございますから、このへんで質疑を打切つて、討論採決に入つて頂くことの動議を提出いたします。
#174
○委員長(内村清次君) 只今堀君から質問打切りの動議が出ておりますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#175
○委員長(内村清次君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見がございましたら、討論中にお述べを願います。
#176
○若木勝藏君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして本法案に反対するものでございます。以下反対の理由を簡単に申上げます。
 反対の第一点は、結局この法案では、平衡交付金制度の本旨に則つて、そうして十分なる地方に財源を与えるという立場ではなしに、単位費用であるとか或いは測定単位というものが地方の事業に即応しないで、いわゆる適正を欠いておる。これは政府が常に国家予算の枠から地方財政を搾り上げて行く、圧縮して行くというところの考え方から、常に単位費用というふうな、そういうものを逆算して行くという傾向がある。そこにこの問題があるわけでありまして、これは私どもはむしろ的確な地方の事業に合せて、単位費用を確実に決定して行つて、需要額を出して行くような形にやらなければならないと思うのであります。この点がまあ十分考えられておらないので反対するのでございます。
 反対の第二点は、先般来、私は相当しつこく政府に質問しておつた点でございまするが、これは予算修正によつて当然この法律にのるべきところの単位費用が変つて来るべきはずなのに、予算通過後、相当期間があるにかかわらず、政府はその措置をしなかつた。作業が十分できないのでということに藉口いたして、そうしてこの不完全なままにこの法律を、この単位費用をそのままにして、法律として通過させようという、こういうふうな意図を持つておられるように思われるのでありますが、私は法律として極めて不備なものであつて、確実性のない、権威のないものである、こういう点から反対するのであります。
 反対の第三点は、今も質問で申上げました通り、十四条のこの修正で、交付金を算定するところの基礎になる税率を府県において七〇%から八〇%に引上げる、この点でございます。これは今も質問申上げましたから、ここで言いませんが、かくのごとき方法は、結局は地方の自主的な財源を圧迫して、地方自治の育成という方面から見ますれば、正に逆の方向であるために、一方においては富裕府県と、然らざるところの府県の間において徒らなる対立、抗争に堕しておるというのが実情でありますので、我々のとらざるところである。
 この以上の三点から反対するものであります。
#177
○委員長(内村清次君) 他に御発言はございませんか。他に御意見もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#178
○委員長(内村清次君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案について採決いたします。地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案を衆議院送付案の通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕、
#179
○委員長(内村清次君) 多数であります。よつて地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本法案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとし、御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#180
○委員長(内村清次君) 御異議ないと認めます。
 それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の署名を付することになつておりますから、本法案を可とせられるかたは順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    苫米地義三  西郷吉之助
    石村 幸作  高橋進太郎
    長谷山行毅  堀  末治
    小林 武治  館  哲二
    島村軍次
#181
○委員長(内村清次君) 御署名漏れはございませんか……。御署名漏れはないと認めます。
 ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#182
○委員長(内村清次君) 速記を治めて。
 地方税法の一部を改正する法律案を議題に供します。
   〔委員長退席、理事館哲二君着席〕
#183
○理事(館哲二君) 只今から地方税法を一部を改正する法律案について質疑を行います。
#184
○若木勝藏君 先日衆議院から来て頂いて修正案についての御説明を承わつたのです。聞き放しにして次回にこれを持越す、こういうふうなことになつていたと思いますが、先ずそのほうから先にやつてはどうでしようか。
#185
○堀末治君 衆議院のほうの説明を求めるということは結構だと思いますから、そのことを衆議院に申込みまして、その間政府に質問申上げることがあつたら、政府に質問することにして頂いたら如何でしようか。
#186
○理事(館哲二君) じや衆議院のほうから来て頂くよう連絡いたします。そのほか政府委員に質問がございましたらお願いいたします。
#187
○若木勝藏君 政府委員のかたでいいのですがお伺いいたします。それは第三百十三条第一項、これは先般説明を伺つたのでございまするが、その間にまだ私はどうも了承できない点がありまするので、その点をお伺いいたします。これについては税務部長さんから資料についているく具体例ついてのお話があつたのでございますが、あの際の説明を伺いましていわゆる第一方式と第二方式との関係で、どうも私は税務部長さんの御説明は私にとつては逆のように考えられるのです。第二方式から第一方式に移行させたい期待をもつて、それで第二方式におけるところの百分の十を越えないように頭打ちをさせている、高額所得者のために……。そういうふうにして、ともかく第一方式のほうを有利にして、こちらを奨励したいというような意味にとられておつたのでありますが、そうなりますと、結局私の疑問をもつておつた点が、第一方式の頭を百分の十で抑えることが、何も第一方式に移行することを奨励することにならない。却つて第一方式から第二方式に移行するような形になるのじやないか。というのは、第一方式において百分の十八というようなものをきめておらない。これを撤廃して自由にするのでありまするからして、今まで第一方式をとつておつた市なら市でも、百分の十八でやつておつたものを、これを、標準がなくなつたの、だから、自由になつたのだからして、これをやめてしまつて、百分の二十にしてしまおう、こういうふうな形をとるのじやないか、これが自然じやないか。そうなりますというと、今までどちらかというと所得の少ないところの人が、この課税の対象にならなかつたものも相当の課税の対象になつて、課税されて来る、こういうふうな形を自然にとるんではないか、こういうふうに思われるんでございますが、その点如何ようであるか伺いたい。
#188
○政府委員(後藤博君) 若木先生のお尋ねにお答えいたします。先般申上げましたように、傾向といたしましては、第一方式から第二方式に移つておる傾向になつております。で、それは第一方式と第二方式、第三方式をとることは選択は自由であります。それから第一方式は二〇%という制限税率がございます。従つてそれ以上取ろうとする場合には、どうしても第二方式に移るわけでございます。第二方式に移る場合に、課税総所得金額をそのままとる場合と、それからもう一つ課税総所得金額の元であります課税総所得から基礎控除を引いたものをとる、つまり但書の規定をとる場合と二つございます。大体の傾向としては第一方式から第二方式の本文のほうに一応移つて、それから第二方式の但書の規定に移る、これがまあ中都市あたりの傾向のようであります。で、第一方式が二〇%の制限税率をとつておる所が大体二十ばかりございます。これは第一方式はちよつと増収を狙う場合はとれないわけです、頭が詰つておるわけです。従つてそういう場合に、第二方式の本文の規定を適用して二三ぐらい取つておる、その例をこの間申上げたわけであります。第二方式の本文の規定を適用しております所でも、私どもの改正によりましては第一方式の方式がとれるではないか、従つて第二方式に移つておるものを第一方式に引戻すこともできる、こういうことをこの間申上げたわけです。で、中都市の例で見ますると、但書の規定はまあ適用する場合はなかなかむずかしいようであります。従つて第二方式の本文の規定を適用しまして、課税総所得金額をとつておる場合が多いようでございます。その場合には、この前申上げましたように、立川の例で申上げましたように、五十万円で頭打ちになりまして、それ以上の人は大体一〇%で頭打ちしますから、比例的に上つて行かないのであります。従つて比較的に軽い税というふうになるわけで、それが第一方式を第二方式に一〇%に合わし参りますと、第二方式は比例税率しかございませんから、百八十万円ぐらいのところから頭打ちをする、こういうことになるわけです。従つて第二方式の本文をとつておる所でも、第二方式をかような改正をいたしますと、却つて負担の均衡がとれるんではないか、こういうふうになると私は思つております。従つて第二方式の百分の十という規定をやはり第一方式のほうに持つて来たほうが、より合理的でないか、かように考えておるわけです。
#189
○若木勝藏君 それであなたの言う第二方式の百分の十を以て、これを越えないようにするとしうことについては一応納得できる、ところが一方において、百分の十八、百分の二十という制限率が撤廃されてしまうんです、そこなんです、私が問題にしているのは。そこで或る市で増収を図ろうとすれば、今まで百分の二十で制限されておつたものを二十五にするなり、二十六にするなりということが行われるから、そこが問題になつて来る、こういう点です。
#190
○政府委員(後藤博君) 先ほど申しましたように、現在では第一方式と第二方式とが選択になつております。従つて極く卑近な言葉で言いますと、何とか簡単な方式を――第二方式をとつたほうが簡単であります、議会の承認も受けやすいのであります。第一方式でやりますと、比例税率ではつきり出ます。従つてこれはなかなかむずかしいのであります。従つて第二方式のほうに移つて行く傾向があります。それを引戻すためには、どうしても第一方式の頭を外さなくちやならない、こういうふうに考えておるのであります。
#191
○若木勝藏君 あなたはね、そういう手続の問題ばかり言つておるけれども、私は税の増収の点を考えておる。それで今まで第一方式で制限税率が百分の二十なら二十ときまつておつたものが、自由に、撤廃されて来たら、或る市なら或る市で以て増収を図ろうとすれば、今までよりもぐんぐんそつちの方面に百分の二十五なり二十六に高めることができる、そこを言つておる、今度の改正法では、その点はどうかと……。
#192
○政府委員(後藤博君) 増収を図るためでありますれば、第二方式をとればどんどん増収は図れるわけであります。併し第二方式をとるより、第一方式で以て増収を図つたほうがより負担の均衡がとれる、より合理的ではないか、かように考えているのでございます。
#193
○若木勝藏君 そうしますというと、あなたの考によれば、在来の第一方式をこういうふうに、改正法のようにしますれば、自然これは増収は無制限にでき得る、無制限ということは少し言い過ぎかも知れませんが、やり得るということがはつきりなつて来るのじやないか、その点。
#194
○政府委員(後藤博君) 無制限にでき得るとは思つておりませんが、第二方式より第一方式のほうが合理的な課税ができる、従つて非常に増収を狙う場合には、むしろ第二方式の但書を使つて行くだろうと思います。併しその場合にもいろいろその町、その村のいろいろな条件によつて制約を受けると思います。併し第一方式をとつて増収をやる場合のほうが、制約がはつきり出て来る、つまり一般住民乃至は議会の議員の方々はよくわかる、従つてなかなかそう簡単には税率は上げられないのじやないか、かように考えているわけであります。
#195
○若木勝藏君 そうすると、だんだん私ははつきりして来ます。あなたはですね、合理的であるとか、或いは手続が簡明であるとかということばかりの答弁であつて、実際はそんなことを超越してしまえば、この改正前の法律に比べて、改正した法律においては増収が自由にできる、面倒臭い点はあるかも知れませんけれども、自由にできるというふうな結論に達すると思います。その点どうですか。制限率は撤廃されてしまうのでしよう。で、オープンになつて来るからして、これは幾らでも高めようとすればでき得る。
#196
○政府委員(後藤博君) 先ほど申上げましたように、第一方式をとるか、第二方式をとるかということは、任意であります。従つて第一方式で二〇%まで制限税率をとつておりますところは、自然に第二方式を、増収を狙うと、とらざるを得ないのでありまして、従つて第二方式をとつたものと、それから今度の改正法案と比較して、どつちが負担の均衡上よろしいか、どつちが合理的であるかというように比較して頂きたいと思うのであります。そうでなしに、第一方式というものは、もう一八%とか二〇%でとまつているのだから、これでいいじやないか、こういうことであれば、自然に各市町村は第二方式のほうへ移つて行くのであります。従つて第一式は用いられなくなる、どんどん用いられなくなつておりますものを、第二方式ばかり用いられないで、第一方式も開くような途を考えることが、私は市町村のためにいいのじやないか。又一般の納税者のためにもいいのじやないか、かように考えたわけであります。
#197
○理事(館哲二君) 若木委員にちよつと申上げますが、お隣に床次衆議院議員が出席されておりますから、御質問がありましたらどうぞ。
#198
○堀末治君 私は事業税というものに対して根本的な考えがあるのですが、これは政府のほうにあとでお尋ねいたしますが、ただここで衆議院の修正の中でこの事業税の中に、特に教科書に関する発行云々というので、教科書の供給を行う事業を非課税とするということをなさつたその理由を、詳しく一つお聞きしたいと思いますが。
#199
○衆議院議員(床次徳二君) 只今お尋ねのありました教科書供給事業に関する非課税は、他との均衡を見るという立場において、非課税を実施したのでありますが、これは御承知の通り、教科書の出版の問題であります。社会教育等の出版に関しましては、前回減税をいたしているのであります。特に教科書のごとき事業に対しては、でき得る限りこれを安く配給できるがごとくいたしたいというのが主眼でありますから、これと同じような関連を持ちますところの供給事業に対してこれを減額いたしたい、低減いたそうという趣旨であります。而してかかる配給関係に関しましては、類似のものとしては新聞業に対しましてもすでに実施せられておるのでありまして、それとの均衡からみまして、これを実施することはやむを得ないものであろうという結論になつたのでありまして、なお、この機会にいろいろ異論がありましたが、かかる供給事業に対しまして減税しましても、直接教科書の値というものは下るまいという議論はあつたのでありますが、今後はでき得る限り教科書というものを安く、且つ合理的に配給するということも、これは要望したいという強い意見が内部に含まれておつたのであります。かかる制度は直接これは税制の問題ではありませんが、かかることも含みまして、この事業が減税されることは望ましいという趣旨において、減税されたのであります。
#200
○松澤兼人君 実際教科書の値段が下るということは期待できるんでしようか、それはどうなんですか。
#201
○衆議院議員(床次徳二君) 現在におきましては、教科書の減税は、教科書が安くなるということは期待できないと思いますが、業者の負担が軽くなるだけであります。
#202
○松澤兼人君 そうしますと、税制を変えて行くということの主なる狙いはどこにあるのですか。教科書の値段が下らないというのでは……。
#203
○衆議院議員(床次徳二君) 現在教科書の業者は各府県の末端まで配給するということをやつておりますが、非常にその事業に苦難をかけておるので、従つてこの仕事の拡充を図るということに対しては非常に援助を与えて然るべきものである。学校その他使用者側の使用に間に合せるためには、かなり多数の教科書をそれぞれ一定の時期まで配給するという、かなり重要な役割を果しておりますその供給事業の状態に鑑みまして、これは軽減いたそう、こういうことであります。
#204
○松澤兼人君 併し形態からいえば、結局本屋さんなんです。それから本屋さんといつても、地方における相当大きな本屋で、むしろ独占的な配給権を持つておるというふうに実態は言えるんじやないですか。それを特に保護しなければならないというところがどうもわからないのです。
#205
○衆議院議員(床次徳二君) この教科書は値段もきまつておりますし、而もその取扱の種類が非常に多くて、部数も限られておるというので、ちよつとほかの図書とは大分取扱が違うのであります。従つて取扱業者の負担というものは現状でも苦しくなつておるという実情を勘案して、これを軽減いたした次第であります。
#206
○松澤兼人君 外観的に考えてみれば純然たる営業であつて、他方一定の時期に品物を揃えて生徒に渡さなければならないというその責任は極めて重大ではありますけれども、併上これを一個の業態として考えてみれば、純然たる営業であつて、若し教科書の取次ということに非課税ということをやつて行けば、やはりこれに類似するものが出て来るんじやないかというふうに考えられますがその心配はございませんか。
#207
○衆議院議員(床次徳二君) 今日までこれに類しておるものは、新聞の供給事業が類似しておりまして、新聞供給事業が軽減されておりますので、むしろ教科書の配給事業のごときものも、これに準じて軽減して行くということになつたのであります。これを認めました場合に、更に類似のものが殖えるかどうかということに対しましては、類似のものはないんじやないか。大体かかる特例をいたしまするものは、一応教科書供給の程度じやないかという衆議院では皆そういう意見でありました。
#208
○松澤兼人君 新聞の取次に対して非課税にすることがいいか悪いかという問題に遡つて行かなければならないのですが、相当新聞社のほうからあのときに圧力がかかつて来て、新聞の取次に関しては非課税にするというので、そういう免税ができたのです。そうなつて来ると、教科書の問題もその次に問題になつて来る。そうすると、その次には切手だとか、或いはたばこだとかいうものも、一定の枠内で取次をやつておるということになつて来ると、そういうものに対しても非課税というようなことが考えられるんじやないか、運動でも起つて来れば、この問題もやはり取扱わなければならない問題になつて来るんじやないかと思うのですけれども、そういうことは心配ございませんか、如何ですか。
#209
○衆議院議員(床次徳二君) この教科書の問題につきましては、他のものと違いまして、比較的業態も最近の、どちらかといえば、沿革も新らしい事業であります。特に最近は教科書の種類その他におきましてもなかなか複雑を極めておるので、業者が苦しんでおるという状態がありますので、軽減いたしたのであります。ほかのものに及ぶかどうかということにつきましては、今のところ及ばない。大体取りあえずこれだけ減税いたしまするならばよろしいという考えであります。
#210
○小林武治君 衆議院の修正で国有鉄道の本来の業務に用いている施設以外のものには、固定資産税をかける、こういうふうに修正されておりますが、国有鉄道の所有する発電所に課税するかどうかということについて、多少疑問があるようでありますが、この点はどういう御解釈でおきめになりましたか。
#211
○衆議院議員(床次徳二君) これは一つ政府委員のほうから、具体的に御説明いたしますから……。
#212
○政府委員(後藤博君) 国有鉄道、その他公共事業体に対する課税の問題でありますが、これは直接事業の用に供するものをはずしまして、その場合に問題になりまするのは、御承知の通り発電所、炭鉱とか、それから工機部というようなところが問題になると思います。そういう場合直接事業の用に供するという解釈の問題になつて来るわけでございます。で、法制局その他にいろいろ研究し頂いておりますが、従来から発電所の償却資産は入らんのではないか。それから工磯部、それから鉱山あたりの償却資産そのものは入らんのではないか、かような解釈を現在持つているのであります。この前この問題がございまして、衆議院から参議院に参りまして、参議院の修正で落ちたことがあるのであります。そのとき以来いろいろ研究を私どもしておりますが、大まかに申しますと、大体そういう電気、その他の大規模なものの償却資産は入れないほうが適当では血いか、かように考えております。
#213
○小林武治君 これは実は鉄道の信濃川発電所の問題がいつでも問題になるのですが、電力会社の発電所と続いて鉄道の発電所がある。その場合に電力会社の発電所は建物の固定資産税はとれるが、鉄道のほうはとれない、こういうことは非常におかしいじやないか。又話によれば、その償却資産を入れておく側に対して、建物に対しては課税できるが、中のものは課税できない。どうも私たちに区別がわからない。従つてこれは当然政令で定めるようになつておりまするので、この点を私は今はつきりさして頂かないと、これに同意するかどうか、こういう問題に関係して来ると思うのですが、如何ですか。
#214
○政府委員(後藤博君) 現在までのところ、衆議院の御趣旨も体して折衝しておるわけでありますが、償却資産は含まない、こういう解釈をしております。
#215
○小林武治君 土地は如何ですか。
#216
○政府委員(後藤博君) 土地は勿論かけます。
#217
○小林武治君 土地は課税の対象になる……。
#218
○政府委員(後藤博君) はあ。
#219
○小林武治君 変電所は同様な関係になりますか。
#220
○政府委員(後藤博君) それは一つ問題でありまして、発電所の償却資産をはずせば、変電所そのものもやはりはずさざるを得ないのではないか、かように考えております。
#221
○小林武治君 これは多少意見に亘ると思いまするが、鉄道の発電する電気そのものは、他にこれを融通するものではない。即ち電車、その他鉄道の運行に直接必要な電気を起しておるんだ、こういう建前からしますれば、やはり全体が課税の対象外になるのが本当ではないか、こういうふうに考えられるのでありますが、如何でしようか。
#222
○政府委員(後藤博君) これは全体として直接その事業の用に供するか供しないかというのが、私は問題だと思います。従つて償却資産を外して、土地家屋だけとすると、一種の妥協案かも知れませんが、そういうふうにしたらどうか、かように事務的には考えておるわけであります。
#223
○小林武治君 その点、衆議院は別に意見はおありにならんでしようか。
#224
○衆議院議員(床次徳二君) 只今の問題は、先ほども政府委員からお話がありましたが、課税をいたしたいということは前々からの問題でありまして、政府自体も曾てこの課税を研究された時代があり、或る程度まで国鉄その他と折衝せられております。衆議院でもこの前これを課したいということがありましたが、その当時も関係方面とも折衝いたしましたが、大体そのときにまあ直接その用に供しないものに対しては課税することもやむを得ないだろうというぐらいのところまでは話が大体熟して来ておる。今回のごとき時期におきまして、税金の補填の意味におきましても、これをとることは適当だといういきさつであります。従つてその範囲に対しまして、御質問の点は非常にむずかしい点でありまするが、今までそれぞれ関係方面が折衝しましたときの経過をそのまま延長しまして、大体直接その用に供しないというので以て、一定の概念がきまつておりますものを、そのまま採用しまして、これを扱つて参る、なお、細かい点は事務当局に一層研究して頂こう、かような立場であります。
#225
○小林武治君 これはこの発電所の中の償却資産があるからして入れ物が必要なんで、入れ物と中の機械施設というものを別個に扱うということは、非常に不合理じやないかと思う。何も入れ物は中の機械がなければ要らないんで、課税するしないにかかわらず、建物と中の償却資産は、私は平等に、同一に取扱うべきものだと、こういうふうに思うんでごさしますが、今のような自治庁の解釈と申しますか、そういうものは如何にも理窟に外れておるように思うが如何でしようか。
   〔理事館哲二君退席、理事堀末治君着席〕
#226
○政府委員(後藤博君) 先ほども申しましたように全体として、直接事業の用に供するということは言える、まあそういう理窟も立つわけであります。それから非常に狭く解釈すれば或いは全部入らない、こういう解釈もできるわけです。従つてそこに議論がありまするので、私どもとしては償却資産を外して土地家屋をとる、これがまあいいのではないかという考えに落ちついておるわけです。
#227
○秋山長造君 今の御質問と関連してですが、そういたしますと、この直接本来の用に供するものと、それからそれ以外のものとの限界というものが非常にぼやけて来ると思う。その点を余ほどはつきりしてもらわないと、実際税をかける面において疑義を生じて来るんじやないか。例えば国鉄の場合に、どこまでが事業の用に供するものであつて、どこまでがそれ以外のものであるかという限界を、具体的にはつきり教えて頂きたい。
#228
○衆議院議員(床次徳二君) 只今の問題は先ほども事務当局から申上げましたのでありますが、大体の趣旨に副いまして、厳格に分けるというものもありまするが、なかなか実際問題としては疑問なものがある、中間的なものがあるわけです。その分け方をどうするかということに対して、事務当局間で過去に折衝いたしましたときの経過から見まして、償却資産と、それから土地家屋というものとを分けてやるというところが、大体話合ができておつたものですから、そのできておつた話合を基礎にしてやりましたならば、一応課税の目途がつくだろう、そういう取扱いで、これは理論的に申しますると、非常に疑問であると言えば疑問でありまするが、今の取扱方針がきまつておりまするならば、課税において実施できる。なお、細目の問題について異議がありますれば、この点は更に事務当局においても御研究を願つて行きます。大体の方針は先ほど申上げました。今までの方針といたしましては、償却資産とそれから入れ物と土地というように区別して課税して行くというので、大体の話合いがついておりますから、その方針を蹈襲いたしたい。
#229
○秋山長造君 いずれにいたしましても、この問題は、従来非課税であつたものを今度は課税するというわけでありますから、百八十度の大きな切換えだと思うのです。年度の途中で早々の間にこういう重大な決定をおやりになるわけなんですけれども、併しここにこういう面につきましては、従来非課税であつたということにはやはりそれ相当の大きな理由がある。それを百八十度切換えて課税対象になるということになるならば、我々としてはよほど慎重を期さなければいけないと思うのですが、何よりも先ず第一に、関係各方面の声を十分に聞いてみる必要がまだある。そういう点につきまして衆議院のほうで十分にお聞きになつたかどうか。
#230
○衆議院議員(床次徳二君) この問題に関しましては、関係方面の直接の声といたしましては、こういう国鉄その他の固定資産を持つておりまする各関係の団体等がかねがねこの要望をいたしております。なお、税法等の調査会その他におきましても、こういうものに対する固定資産税を課すべきかどうかということについては、それぞれ意見を述べております。そういう意見を開陳いたしたのでありますが、なお、地方鉄道その他におきましては、地方鉄道に課税されて、国鉄において全然非課税になつておりますということは甚だ不均衡であるということを常に言つているのであります。ただ根本的に申しますと、かかる固定資産税のかけ方全体について、地方鉄道その他に対しましても、これは本質的に改善する余地があるかと思いますが、現在におきまして、国鉄その他に対してこの限度において課税するごとについては、大体差支えなかろうじやないかというふうに認めまして、今回これを採用いたした次第であります。
#231
○秋山長造君 さつきのような点についても、私は相当疑問を持つのでありますが、更に一歩進めまして、こういうことをやつた場合に、その負担が大体国鉄あたりにしても、社宅なんかにいる人たちというのは、どちらかと言えば、中から下の所得者が多いわけであります。そういう人たちにその負担が転嫁せられる虞れはないだろうかということ。それからその次にはこういうことが国鉄その他の、まあ国鉄で言えば、運賃値上等の原因になる、その口実に利用されるというような心配はないかどうか。如何ですか。
#232
○衆議院議員(床次徳二君) 固定資産税を全面的に地方鉄道と同様にかけるという場合にありましては、これは相当大きな影響があるということはかねがね伺つている次第であります。今回ここに採用いたしました限度におきましては、これは国鉄その他の会計から見まして、極めて僅かな数であると考えられますので、これが直ぐに運賃その他にはね返りがあるということは私ども期待いたしておりません。このくらいのものは節約その他の形においても容易に出し得る金じやないか、かように考えております。
#233
○秋山長造君 下級職員については。
#234
○衆議院議員(床次徳二君) 下級職員その他に対する転嫁につきましては、国鉄その他において如何なる措置をとられますか、それによつてきまることだと思います。今日私どもといたしましては、それが直ぐどういう形になるかということはここでは考えておりません。
   〔理事堀末治君退席、理事館哲二君着席〕
#235
○秋山長造君 提案者のほうは、まあ額は僅かだから、それを職員の負担に転嫁しなくても、現在の国鉄の経営状態なら十分やつて行けるだろうというお見通しなんですか。
#236
○衆議院議員(床次徳二君) 社宅その他の数字がどれくらいになつておりますか、全体としての数字は出ておりますが、会計がその社宅を数字におとりになりましたか、それがどのくらい影響するかということは、まだよく数字を存じておりません。全体としての数字は把握しております。全体としての数字におきましては、国鉄の経営に対してさしたる支障を与えるものでないと、かように考えております。
#237
○秋山長造君 この配布された資料によりますと、これによりまして大体一億八千六百万円の税収ということになつておるんですが、この一億八千六百万円を弾き出された根拠ですね。根拠を、余り詳しいことも御存じないかとも思いますが、大体の計算の根拠というようなものを、ちよつと簡単にお示し願えませんか
#238
○衆議院議員(床次徳二君) お手許に参考として配布いたしましたものは、これは今度の修正案に基きまして、自治庁にお願いいたしまして、事務当局がどの程度の数字の増減があろうかということに対しまして、一応これは全く非公式な意味においての参考資料として計算して頂いたものでありまして、全体の税の軽減の結果、総額二億一千五百万円、これだけのものが果して減少になるかならんかという見方におきましては、衆議院の委員会におきましては比較的軽く見ておりまして、余り地方の財源に赤字はそうあるまいという見当において見ておるので、あります。まあむしろこの赤字より少い範囲内で済むのではないかということで考えております。個々につきましては如何なる基礎から算出いたしましたかということにつきましては、これは一応お手伝い願いました事務当局のほうで以て一応の資料はお持ちだと思います。事務当局のほうにおいていわゆる参考においてお手伝い願つたのでありますから、その立場において資料を説明頂きましようか。
#239
○説明員(柴田護君) 国鉄、専売公社、電々公社、放送協会、この経理につきまして計算の基礎でありますが、国鉄でございますか。
#240
○秋山長造君 全部。
#241
○説明員(柴田護君) 全部につきまして、大体住宅とそれから土地及び病院といつたようなものを中心におきまして、国鉄、専売公社等について調査いたしました。その大体の価格を一般の価格に比較いたしまして推計をいたしまして、それから課税標準を出しておいたのでありますが、併しこの国鉄専売等の帳簿自体が必ずしも正確に記帳されておりません。その辺は若干の誤差があることは御了承願います。
#242
○小林武治君 今お話がありましたが、病院は課税の対象にはつきりさしておるわけですか。
#243
○説明員(柴田護君) この計算上は病院は載つております。
#244
○小林武治君 計算上は政令でおきめになるんでしよ。
#245
○説明員(柴田護君) 政令では、この書き方では入ることになります。
#246
○西郷吉之助君 床次代議士に伺つておきますが、狩猟者税を新たに二本にされて、アマチユアのほうは千二百円上げられましたが、これは御承知の通り昨年参議院の地方行政委員会で各党共同修正案で、而も衆議院の同意をせられたものを、又賛成せられたものを、今度更に二本建にされて行かなければならない、千二百円を上げられるということ、こういうようなことを見ますと、非常に対外的に工合が悪いと思うのですが、殊更に賛成せられたのを再び上げられたのはどこにあるのですか。
#247
○衆議院議員(床次徳二君) 狩猟者税の問題でありまするが、これは参議院のお考えもよくわかつておつたのでありますが、従来いわゆる業とする者とアマチユアと同じ率でかけておる、この点に関しましては非常に実情に副わないものがある。農村等におきまして病虫害駆除に従事いたします者、いわゆる山村におきまして業をする者等に対しましては、従来税が重過ぎるという声が強く起つておるのであります。併し当時司令部におきましては、かかる者に対して差別的な二段のものにすることは強い相当な反対の意見もありましたものでありますから、二本建ができなかつたという実情にあつたことは御承知だろうと思います。今回の機会におきまして、これを二つにしまして、特に業者は上げず、アマチユアだけに重課するという意味ではなく、大体両方の負担能力を見まして、従来の全体の額から見まして、特に増税するということを考えてはおりませんが、若干の両者の差を付けるという立場において二段にいたしたのでありますが、数字によりますと、若干の増収になつておりますが、これは増収が大した目的ではない、専門の業とする者とアマチユアとの間に税率の比率を作ろうというのが、目的であつたわけです。結果におきまして、この計算によりますと、多少増税になつておりますが、これは増税が目的でなかつたと、かように申上げたいのであります。
#248
○西郷吉之助君 外航船舶の利子補給をするについての固定資産税の率を下げられておりますが、これは二十五年ですかに遡つて利子補給をすることになつておりますが、この地方税のほうは普通は遡るんですかどうですか。
#249
○衆議院議員(床次徳二君) 今回固定資産税を低減いたそうとするのには、やはり国のほうの利子補給をいたそうとするものと同じ対象に、これを実施いたそうとするのであります。国のほうにおきまして利子補給を行います機関について、これを減税する、両方方針を統一しておる次第であります。
#250
○西郷吉之助君 今の私の聞くのは、それはわかつておるんですが、利子補給のほうは二十五年に遡つてやることになつておるので、この分はそれと一緒にやるということになると、過ぎた年に遡つて税率を下げるということになると、非常に妙なことになるので、その点を伺うのです。
#251
○政府委員(後藤博君) 私からお答えいたします。将来に向つて減税措置を、いたす、今年を含めて将来の固定資産税を下げるというので、遡る趣旨はございません。そういうふうに法律は書いてあります。
#252
○小林武治君 只今、国鉄、或いは電電公社の病院に課税すると、こういうお話でありますが、衆議院の修正によりますれば、消費者協同組合、農業協同組合の経営する病院に対しては、固定資産税を免税する、こういう規定がある修正に対して、私は矛盾するように思います。従いまして国鉄や電々公社の病院には課税すべきでない、この趣旨かう言えば当然そうなるべきではないか、こういうふうに思いますが、政令でこれを規定する場合に、私どもとしては病院を入れるというようなことは、只今申した衆議院のあとの修正に比べて筋が通らない、こういうふうに思いまするので、この点に関しまして一つ自治庁の意見を伺いたい。
#253
○政府委員(後藤博君) 事業の用に供するものを非課税にして、あとをかけるという意味から参りますと、病院はボーダーライン・ケースでありますが、入るものと考えるべきものであると、こういう解釈をとつております。お話のように別な観点から非課税にするという論も私は成り立つと思うのであります。私どもまた直接運輸省と折衝しておるわけでありますが、現在私どもは条文をそのまま読んで病院にかけるという趣旨にいたしております。
#254
○小林武治君 これは我々がこの案に賛成するかどうかに関する大きな問題でありまして、私はあとの衆議院のほうの修正は、病院に対する固定資産税を免除する、この筋を通すとすれば、国鉄或いは電々公社の病院に対する固定資産税を免除するというのは当然であると思います。ここで若し意見を言うことが許されるならば、政令で以てこれを指定しないと、こういうふうにしなければならないと、私にそういうふうに思います
#255
○政府委員(後藤博君) 先ほど申しましたように、これは私はボーダーライン・ケースであると思います。従つて国会の意思がさようなものでありますならば、私は非課税にすることもできる、かように考えております。今迄のところはそういう御意見もありませんし、大体事業の用に供するということから判断をいたしておるのでございます。
#256
○秋山長造君 今のに関連するのですが、やはりそうなるなら、さつさ申上げたのですけれども、直接本来の事業の用に供するという言葉がはつきとしないので、私は実際面になると、いろいろなわぎの問題がいろいろ起つて来て、非常に疑義が出て来ると思うので、この点は、今の小林さんの御意見も含めて、提案者のほうのお考えも聞きたいし、当局のほうでも余ほどこれははつきりしてかかつてもらわないと、現地に委せるといつても、ここでもわからんほどですから、現地はいよいよわからんで、めちやくちやになつてしまう。その辺の思想を統一して説明をしてもらわないとちよつと困ると思います。
#257
○政府委員(後藤博君) 政令の書き方は、非課税のほうを書かないで、課税するほうを書いて行きたい。かように考えております。従つてはつきりこういうものには課税するのだということを表に出して行きたい、そうして紛争を避けたい、こういうふうに考えております。運輸省のほうには問題のボーダーライン・ケースのものについては、どういうものがあるかということを、私ども調べてもらつております。問題になつておりますのは、病院とか、教習所でありますとか、そういうところが問題ではないかと思つております。
#258
○秋山長造君 病院も病院ですが、教習所あたりは、やはりそうなんですが、そういう線に浮かんで来るのですか。教習所なんといつたら、これはもうはつきりしているように私は思うが。
#259
○政府委員(後藤博君) 教習所と申しましても、教習所の講義とするところと宿舎とございます。従つてそれを全部かけるか、宿舎だけにするか、そういう問題があるのでありまして、教習所については、お話のような事業の用に供するという理窟はつくと思うのでありますが、ただ宿舎等につきましては、やはり一般の宿舎と変らんではないか、こういう議論が成り立つわけであります。その辺をどこで線を引くかという問題があると思います。
#260
○秋山長造君 そういたしますと、自治庁のお考えでは課税対象をずつと例示すると言われるが、その点は今具体的にお話できませんですか。そう何百種類もあるわけじやないですから。
#261
○小林武治君 今の問題ですが、成る程度政令の内容を示しておいて頂かないと……。私は教習所とか病院とかいうようなものは、その学校の関連は、あとの農業協同組合の病院との関連において、別の趣旨で私は免税して然るべきだと、こういうふうに思いますので、或る程度はつきりしておいて頂きたいと思います。
#262
○国務大臣(塚田十一郎君) これはどうも国会修正でありますから、提案者の御意思がはつきりいたしますれば、勿論そのようにいたすべきが筋でありますのでありますが、提案者も又一応自治庁にも考えてくれというような御意向のようでありますので、多少只今税務部長のお答え申げましたのと、私が考えておりますのと少し違うのでありまして、この前に参議院を通過しませんでしたときの衆議院修正を考えましたのは私なんでありまして、私はこれは取るべきものであるという考え方から、あの修正を衆議院においていたしまして、これは通らなかつたのであります。で、私は、通さないという考え方にも理由があるし、通すという考え方にも、どちらにも理由があるように、この取ること身体は、まあ全体として非常にボーダーライン・ケースであると思う。それを私がなぜ取るべきであると考えたかと申しますと、こののほうの場合には、負担をするのは国という大きな世帯であり、それからして、それによつて今後税を取るということになると、利益を受けるものは自治団体という小さな世帯である。こういうように同じく一方から取つて一方に出すのでありますけたども、負担関係が違うものでありますから、そういう観点から見て、私は取るべきものと取らざるべきものとをきめるのがいいと、こういう考え方をしておつたわけであります。これにも直接本来の事業の用に供するという表現になつておるのでありますが、この表現自体が問題になるのでありましてそういう意味かれすれば、この宇をまともから解釈して、この字にどれが当るかどれが当らないかというように解釈をして行けば、今私が解釈した考え方と違つた結果が出て来る。私の考えておりました場合には、従つて許されますならば、そういうように私は政令を持つて行きたいと自分では考えておるのでありますが、これはその当該固定資産の施設が、或る市町村に対しまして、それによつて当該の自治団体が相当大きないろいろな意味のマイナス負担をしておる。そうしてそれに対して何にも報いられるところがないというものがある。その一番顕著な例は私はむしろ発電所施設であると、こういうふうに考えます。あれは作りますときには、当該市町村において、かなり利益を受けておるのでありますが、できしまいますと、番人を置いていつて、何にも地元にない。そのため耕地を潰してあとに非常にマイナスを残す。こういうものをたまたまそれを国が持つているという理由で税が取れないということは、非常に地元においてお困りになる。これは見拾てて置くべきものでない。そういう観点と、同じような発電所施設が会社のものである場合には、すぐ隣の村にあつても、これは厖大な税収になつている。そうすると、国のものである場合にはマイナスは背負つてプラスは何にもない。会社のものである場合はプラスが非常に大きくあるという意味において不均衡も出て来て、むしろ私はこの考え方をいたしましたときには、そういうものを頭に置いて、どうしたらばそういうものがカバーできるようになるかという意味において表現を考えたら、こういうような形の字句になつたのだと、私はそのときは了解をしております。勿論今度は私が関係しておつて修正になつたわけでありませんから、提案者に別に御意回があれば、そのように勿論政府としてはせざるを得ないわけでありますが、むしろ私は、ですからしてこの問題をよく御議論下さるならば、そういうような観点から御議論下さるならば、少くとも税本来の理論からいつてはどうか知りませんが、現実の事態にマツチする結論というものが出て来るのではないかと、私は実は考えておるわけであります。
#263
○秋山長造君 併しそれにしましても、やはりこの政令の内容というものを国会においてはつきりしておかないと、それは全然さつきの小林さんのお話のように、白紙で委任するということは、ちよつと問題があとに残るのじやないかと思うのです。例えば変電所あたりでも、一概には言えないと思うので、国鉄の操車場なり何かありまして、何百軒という社宅があつて、そこに電気を引くために、変電所がある場合の変電所、それから今の東海道線から山陽線にかけて、どんどん電化をやつている。その汽車を電気で動かすために必要な変電所がある、そういう場合はどうなるか。やはりそこは使いわけをおやりになるのですか。
#264
○政府委員(後藤博君) 現在までのところ、私細かくは考えていませんが、発、変電施設というのはやはり一体的に考えて行くべきじやないか、償却資産の場合は。建物は別です。そういうふうに私は考えております。で、個々の細かい問題につきましては時間がございませんので、細かい折衝はまだいたしておりません。従つて政令案というものはまだ実はでき上つていなくて、政令案に盛るべき実体をどういうふうにしたらいいか、早く国鉄と相談をして、そうしてその限界点をきめようと、こういう段階であるのであります。
#265
○秋山長造君 そうすると、税務部長の御見解は、発、変電施設と言つても、その直接の施設とそれから建物、土地というようなものは、みんな分けて考えておられるわけですね、分けておられるのですね。これが納得が行かない。
#266
○堀末治君 私いろいろ先ほどから御議論を聞いておるのでありますが、私これは長官に一つお尋ねするが、大体こういう問題の出るのは、私この地方税の改正の当初に当つて、シヤウプ勧告によつて盛られたいわゆる応能原則と、応益原則、この二つを立てて、この税法が組立てられたのであります。私どもはその当時、その説明を詳しく聞いて、成るべく地方税というものは、今まで日本はすべて応能原則であつたのを、地方税というものの建前から言えば、どうしても応益原則が立てられなければならない、こういうところから附加価値税が考えられ、同時に固定資産税も或る程度応益原則を含めて勧告を受けた。それで私どもは附加価値税というものは成るほど非常に世界各国に用いられないし、初めて日本に行こうということですから、日本のような納税思想の非常に低いところでは、これは非常に困難だということを考えたのでありますけれども、併し思い切つてこういう税制を改革するのならば事ああいう機会にいわゆる応能応益という二本建で要するにやつて行くということはまあ非常にいいことだ、私はこう思つてあの当時は私もその税法の賛成演説に立ちました。長官も衆議院でお立ちになつたことを知つている。あなたの御意見と私の意見け同じだと思うけれども、その後遺憾ながら、どうも附加価値税は一般の了解を得られないで、一年延ばした。而もただ単に一年延ばしたのみでなく、単なる応益原則と殆んど一致するところのこの事業税に変えて行つたというところに、私は今日この地方税が混乱し始めた初まりがあると、私かように思うのであります。従つていろんな議論が出て参りますが、その議論の細かいことは別といたしまして、如何でございますか、長官、あの当時あなたもあの賛成討論をなされた中には、恐らく要するに応益原則ということを支持し、なお又それには附加価値税というものは最も適当であるということの御信念には、今も変りはないかどうかを、先ずお尋ね申上げたいと思います。
#267
○国務大臣(塚田十一郎君) これは只今堀委員から御指摘のように、私もあのときには賛成討論に立つたのでありますし、そうして私は賛成討論の最後に、税というものは、何でも新税というものは悪税であつてそれは国民になじまないからだ、従つて新らしい税は国民になじんで、本当にいい改革であつたということになるであろう、こういうことで結論を結んだことを覚えている。併しながら附加価値税の場合には、その後、民間の反対の意見も聞いておりまして、若干考え方が変つているのであります。それは理論的に考え方が変つたというよりも、日本の現実というものに果してあれがマツチして行くかどうとしうことについて、かなりまあ考え方が変つて来ました。それはこの税負担の現在の事業税で行く場合と、附加価値税に切り変わる場合と、全体としての、国全体としての収入、支出の問題は別にいたしまして個々の人たちの負担関係を見て行きますと、或る特殊の人たちが利益をされて、他の特殊の人たちは不利益をされるという形になつて、極く大ざつばに申しますと、事業税より附加価値税にすることによつて、事業者が利益をされて、工業者、殊に細密の工業者というものは、非常にまあ負担が重くかかる、こういうように考えられる。そういたしますと、産業政策というものの考え方からもう一つ考えて来ると、果してそういうことのほうが適当であるか、どうだろうかということも一つまあ考えられて、かなりこれはあの附加価値税の根本の原則は是認しなければならないにしても、そういう面の調整が要るのじやないか。殊に今後全体として考えるときには、或る一つの税から他の税に切り変わるときに、この切り変わる際の変動というものがあるわけであります。今までの税で行けば、甲の業種は年々これくらいの負担で済んでおつたのが、別の税種に変るためにうんと殖えて、勿論他のものは減る、その切り変わる時期における特定の業種の負担の増加というものが、事業を継続してやつて行けない程度の負担増加になるということになると、理論的には幾らいいということが考えられても、実際の日本の税制として直ぐにはとり入れられない一いろいろの観点からして、やはり延ばして行つたほうがいいだろう、その間に事業税と附加価値税の一体的の案というものが、自治庁で考えられたということも聞いておりますので、そういうこもと一つの考え方だというようには考えつつあるのでありますが、従つて今の私の気持では、あの応益原則に基いた立て方というものは正しいと考えつつも、そういう面において、これを実施する場合には相当の顧慮というものを加えて行かなければならないと、少くとも現実社会の税制の改革というものに、余りに混乱を大きく起すといけないことになるのでないか、このように考えているわけであります。
#268
○堀末治君 それで今も長官のお話がございましたが、あなたもやはり今お話の通り、応益原則を認めている。どうしても私は地方税というものからいえば、これは応能原則ばかりでない、応益原則をどうしてもとり入れることが本当だし、是非そうせねばならない。それでこそ初めて地方自治というものは、要するにいわゆる税の面から確立されるものだと、私はかように今でも思つているのでございます。丁度今もお話がございましたが、本年の春だと思いますが、丁度本多さんが長官をなさつておつたときに、自治庁の諸君も非常な苦心をして、今の附加価値税を、いわゆる応益原則を盛つたいわゆる事業税の改正が閣議で決定になつた。ところが丁度私もその席におつたのでございますが、それは丁度地方行政制度調査会で或る方面からの反対があつた。たつた一つの反対で、翌日になりましたら、それを本多長官が撤回された。私はこれは非常に遺憾に思う。どうしても折角いわゆるシヤウプ勧告によつていわゆる応能、応益という二本の柱がきめられたんですから、どうしてもそれによつて税制が改正されているんだから、どうしてもこれを税制の中に盛らんことには、あらゆる方面に矛盾が出て来る。殊に今の固定資産税のごときも、どうしても業種に応益原則が多分に盛られている。然るにもかかわらず、原則は逃げないが、逃げない証拠に今以て税法には附加価値税は施行されませんけれども、そのままただ延期になつているが、これはいわば応益原則ということを政府が捨てておらない、而も捨てておらないで、折角自治庁の当局がいわゆる応益原則を何とかして税法に盛りたいというので、本年の春事業税の改正が行われた。折角やつておりながら、ただ一片の或る方面の反対に腰が砕けて、翌日は直ぐ撤回したということに対して、私は非常に遺憾に思つているのです。如何ですか長官、あなたの時代に、せめてこの春出た事業税だけでも附加価値税を盛るというようなお考えはございませんですか。
#269
○国務大臣(塚田十一郎君) これはまあ最終結論を出しますまでには、相当検討を必要とすると思うのでありますが、私といたしましては、検討の際には、勿論その考え方としては、地方税には応益の考え方をとり入れると、併し現実にこれを実際社会の税制の改革としてとり入れる場合には、過渡的の段階においての混乱を成るべく少くするという面も併せて考えて、何とか善処して行きたいと、こういうように考えております。
#270
○堀末治君 まあ私申上げるまでもなくおわかりでございましようが、ただ事業税というものになると、所得税と重なるのですね。それで応益という趣旨には全然外れる、でございますから、今のこの教科書事業のごときもこういう問題が出て来る。私はいわゆる地方自治を確立して行くということのためには、こういう事業は地方税として何ら助長する必要はないと思う。従つて、要するにこういう問題は、ひとりこういう教科書ばかりでなくたくさんある。一番初めにやつた当時、私ども猛烈に反対したのですが、到頭押切られたのは新聞事業であります。新聞でも事業には間違いない。文化事業だとは言いますけれども、然らば或る仕事で文化に寄与しないものはないかと言つても、恐らく文化に寄与しない仕事というものは繁昌するためしはございません。確かに文化に寄与するものであつでこそその仕事に永遠の生命もあり又繁昌するものだと、こう思つて自分の事業を営んでいる。それを考えると、新聞だけが文化に寄与するからというので、我々は酒の商売ですが、酒の商売というものはなくてもかまわないということにはどうしてもならないと思う。恐らく飲む人から見ると、とに角新聞はなくても酒がなくては暮せない人がたくさんあると思う。(笑声)そういうことで考えて行きますと、どうしても事業税、教科書の事業税だけやれということはないと思う。それから今の固定資産税でも、先ほど長官のお話もございました通り、一体なぜ鉄道からとらない。今の発電所のごとき、これらも私ども猛烈に反対したのですが、当時押切られてしまつた。これらは先ほど小林委員からもお話がありました通り、民間事業なるが故に固定資産税をとつてぬけぬけとやつている。一方は鉄道のものだから税金を取られない。今あなたもお話になつた、さようなことでそういう矛盾がたくさん出て来ることですから、私は地方税の中には応益原則というものは地方自治の確立のためには必要だという大骨を入れた以上は、どこまでもこの大骨を通して行けば、こういう議論がせられて、恐らく先ほど皆さんから出たような混乱したことが出ないと思う。その大骨がはつきりしないで、それをぐらつかせて附加価値税なんかの枠かなんか延ばして、そうして枝葉末節の末端ばかりいじくるものだから、甚だ失礼でございますけれども、衆議院のほうは成るべく不均衡を是正するとおつしやつていますけれども、これは不均衡の是正にはならない。一つやると必ず一つ、次から次へと……。毎年不均衡を是正しているといつていますけれども、必ず今言つた通り毎年出ている。そういうようなことは何から出るかと申せば、いわゆる大骨の本当の大筋を投げておいて、末端のものをいじくるから、こういうことになる。今地方行政制度の根本的の改正をするのだと言つておりますけれども、恐らく私たちはどういう改正が成るか知りませんが、私はこの大骨をしつかり入れて、その大骨を入れた上で、その上に税法を築いて行かなければ、それこそ砂上の楼閣というか、問題にならないと思う。いつまで行つても問題にならない。さようなことで、私はどうしても要するに政府としては大骨を入れて、そうしてこの修正に応ずるなら応ずるということにいたしませんというと、何でも国会のすることだから仕方ございませんというような答弁が出ますけれども、私はそれでは本当に政府としてはあまり筋がなさ過ぎる。徹頭徹尾、折角そういうのを取入れたのですから、その趣旨に反することであつたら、如何に衆議院の修正でも賛成されないという態度を取つて頂くと、参議院としては非常にやり易い。けれども今言つた通り、衆議院が頭で多くやつたのだから、もう仕方がないということになつて来ると、これはその結果になると、今度は参議院に又やらせなければならない。やらせるのを政府が黙つて横におつて見ていられるということでは、参議院も甚だ迷惑なんでありますが、この点についても、一つ長官、あなたは税法は特に明るいのですから、はつきりとあなたの肚をきめて御答弁願えませんか。
#271
○国務大臣(塚田十一郎君) これは勿論衆議院におきましても、審議の過程におきましては政府はどう考えているかということは申上げ、そういう考え方もお聞き下さつた上で、なお且つ衆議院においては全会一致で御修正になつたものでありますから、これ以上は政府がどう考えておつても打つ手がないのでありまして、そこが又政府と国会の立場の違いで、いいところでもあるし、一応意見は――この委員会においても、お前の意見を言えという命令があるなら、それは卒直に考え方を申上げるというようなこともありますけれども……。
#272
○堀末治君 あなたの御意見で結構です。
#273
○国務大臣(塚田十一郎君) それはまあ衆議院を通りまして、今日の段階では、自由党もすでに賛成しております。これは自治庁長官としての立場というわけには行かないのであります。個人としての意見としてお聞き願うなら、お聞き願わなければなりません。この機会には意見を申上げることは成るべく御勘弁を願つて、皆さんがたで御審議願いたいと思います。
#274
○堀末治君 もう一つお尋ねいたしますが、今の自動車税の問題です。いわゆる鉄道の経営している自動車は何も地方税を取られない。そうして今言われた通り、私企業だけは税金を取られる。事業税は取られるが、自動車税は取られない、こういう矛盾を望んでいる。それですから、いわゆる地方のバスなどを営む業者になつてみると、そうして鉄道と、要するにバスと競争させられる、こういうことは本当に矛盾の上の矛盾だと思うのです。私は今言われた通り、むしろ鉄道のごときは直接事業の用に供さないものなどというが、事業の用に供するものから先に取るのが本当だと思う。この前も或る人と議論したのですが、そうすれば鉄道運賃は高くなる、高くなるけれども、それは今言われた通り、何らかの方法で是正する方法も私は考えられると思う。当然事業として営む以上は、私企業は税金を出せ、公企業は税金を出すな、それですから甚だ失礼ですが公企業の経営がルーズになる。必らずルーズになつて、鉄道のほうでしたら〇・五カ月の夏季手当出せということになつてくる、民間の私企業なんて出していません、出せない状況なんです。そういうようなことですから、私はむしろ固定資産税なども当然言われた通り全部取るべきだ、かように思つているのですが、大臣は如何ですか、全部お取りになつては如何ですか。
#275
○国務大臣(塚田十一郎君) これは考え方としては私も堀委員の考え方と全く同じであります。ただ、今まで取らなかつたのでありますし、そうして取らないという考え方にも一応の理由がありますので、今度の修正案に出ている線は、その妥協の線であると私は了解をしている。従つてその妥協の線をどこで引くかというのを、抽象的な表現でその本来の事業の用に供する、こういう工合に表現が出て来たのでありますが、この表現が、先ほど私がちよつと申上げましたように、この表現では法制局あたりの御意見でも発電所の場合には償却資産は入らない、土地建物は入るという考え方であるということを実は前部長から初めて聞きまして、それでは僕が感じておつたものと大分違うということをちよつと申上げたようなわけであります。
#276
○若木勝藏君 私、衆議院の修正について二点ばかり伺いたいと思うのですが、その一つは、府県税の方面の自動車税の法律等の改正ですな、これは説明書のほうにありましたか、特に観光バスでない普通のバスですが、普通のバスは六割か上げて、それから小型のハイヤーのようなものは四割とか、こういうふうなことで、まあ業者から見れば、これは不均衡でないかというような考えもあるらしいのですが、一般に大いに大衆のためにということで、大勢バスでどんどんやつてる方面が六割にして、それから小型のハイヤーのようなものは四割というのは不均衡ではないか、こういうふうな考え方もあるようですが、これは衆議院ではどういうふうにお考えになつていますか。
#277
○衆議院議員(床次徳二君) 自動車税の引上げに対しまして差等をつけましたことに対しましては、いろいろ車の実態から見まして、担税力とそれから又値上げの影響等を考慮いたしまして、まあ大体こういう数字がいいのではないか、大体の目標といたしましては、政府が予期しておりますところの五割の値上の財源を確保する、その範囲内で以て均衡をつけようというふうに扱つたわけであります。大分この前政府がきめましたときと比べまして、車の形式も変つております。収容能力等も相当差があるのであります。又今日の営業の実態等から見ましても、この程度の差をつけることは容易ではないかというふうに考えられたのであります。なお多少この中に政府が予想した以上に加えられておりまするのは、積雪地における考慮をいたしたのであります。積雪地におきまして、自動車の運行のできないものに対しましては、従来地方税の徴収の面からいつて、随分無理があるということをかねかねその地方からも強い要望があつたのでありまして、自動車の運行のできないものにつきましては、その運行の停止しておりまする期間、一応二、三刮程度以内の軽減をすることを認めまして、一般の負担の是正を図つたのであります。実情を申上げますと、積雪地におきましては、減税をいたしたいのであるけれども、減税をいたしますと、平衡交付金に影響するので、やむを得ず、無理とは知りながら標準課税だけをとつておつたという実情でありましたので、これはこの際一つ是正したらどうかという考えを入れたのであります。併し他のほうに影響を与えないように大体五割の政府の予期しました範囲内で落ちつけたいという考えから、先ほど申しました差等の範囲内において所要の改正をするということになつたのであります。
#278
○若木勝藏君 私の伺いたい点は、バスに六割をかけておつて、その他の小型ハイヤーのようなものに対して四割をかけたという理由なんです。その点を伺いたい。
#279
○衆議院議員(床次徳二君) その点は、自家用車と、営業というものの間に、大分用途が違いますので、物価に対する影響の差があるのであります。そういう立場から、比較的自家用車には重く、営業用にはできるだけ軽くということにいたしました。
 それからバスとトラツクの関係でありまするが、バスは最近非常に発達しておりまして、当初のものよりも、可なり能力がよろしくなつている。従つてこの程度で、トラツクと少し差がありまするけれども、実際の負担いたしまする場合におきましては、それほど大きな増額にはなつていない。比率は、大体バスと似たような、トラツクは四割になつております。バスは六割と表面は現われておりまするが、実質的にはそれほど大きな差がないのじやないかという見通しの下に行なつたのであります。ただ観光貸切のバスだけは、これは特別に見ておりますが、これは担税力と、負担のはね返りの立場からいきまして、これは余裕があるだろう、勿論経済的余裕というわけではありませんが、比較的他のものに比べますれば余裕があるのだろうということで、観光バスには多くしたわけでございます。
#280
○若木勝藏君 そうしますと営業用の小型ですか、あれはやはり六割かかる一というように……
#281
○衆議院(床次徳二君) 小型のバスは勿論低率でありまするけれども、バスの標準が非常に最近大きくなりまして、一般にバスの車体は、前よりは余ほど大きな規格になつております。従つて一般の個人の乗用車等に比べますと、その点は何と申しますか、能力が違うようでありますから、可なり差ができましてもこれはやむを得ない、そう不均衡にはなるまいというふうに考えたわけであります。
#282
○若木勝藏君 もう一点伺いたいのですが、市町村税の外航船に対する税率軽減、この意向があるのですか、これは先般利子補給が、十三億から、百六十何億かにはね上つた、修正予算で。あの外航船ですか。
#283
○衆議院議員(床次徳二君) そうです。
#284
○若木勝藏君 それが非常に大きな利十補給が行われて、更に又市町村税で、いわゆる固定資産税で税率が下つて来る。先ずあのくらいの補給率をもりつたら、市町村あたりには、むしろ奉仕したらいいのじやないかと、こういうように考えられるのですが、その府は利子補給でたくらんもらつて、税半を下げられるということは、非常にこれは余り恵まれ過ぎてはおらんかと、こういうふうにも考えられるがこの点……。
#285
○衆議院議員(床次徳二君) 只今の点も尤もでありまして、そういう感じを有するではないかという衆議院の審議の際の意見もあつたわけでありますが、この際外航船の振興を図るという意味におきましては、中途半端で止めておくより、両者兼ね備えて助成をすることによつて、本当に外航船の振興ということを期し得るのだという、皆さんそういう意見をお持ちになりましたので、やはり市町村税におきましても、他の利子補給の国家的な立場と歩調を合せまして、これを加えることにいたしたのでございます。
#286
○秋山長造君 今の若木委員のお尋ねの点は私も同感でありますが、今の床次さんのようなお考えでいきますと、外航船のような大掛かりなものでなくとも、随分いろいろな産業について、政府なり或いは地方団体なりから補助、助成政策の対象になつている企業があると思う。そういうものに同じように皆減税をしていかなければならんというようなことになつてしまうのですね。それで船船の場合はどうですか。現在の実態というものは、あの百六十七億というような利子補給をやる上に、更に僅かな地方税を附していかばければならんというようなことになるわけですね。そこまでやる必要があるかどうかですね。
#287
○衆議院議員(床次徳二君) 地方税で以て軽減するのが、少しこれは余計過きるのではないかというお話のようでありますが、国の政策としてこの振興を期するという立場におきましては、やはり徹底してやつたほうが、その目的を達するという立場において、衆議院の委員会の意見になつたのだと私のほうで見ております。
#288
○秋山長造君 それから先ぱ見解の相違になりますから、ちよつと問題を変えますが、例えば同じような考え方でいきますと、今現在地方においては、県においても、市町村においても、観光事業というものに非常に力を入れている。外客の誘致は勿論ですが、国内のお客さんも誘致するのに躍起になつているわけなんです。ですから地方団体の実態から言いますと、自動車税なんかを少々上げて、そうしてそのために観光バスの費用が高くついて、そうしてこのために来るべき観光客が減つていくというようなことよりも、とにかくそういう自動車税なんかの収入は少くしても、観光客が来てくれるほうが、地方としてはむしろいろいろな他の面でプラスになる点が多いのじやないかこう思う。で、ホテルなんかについても、国際観光ホテルあたりに泊まる外人客については課税をしないということになつておる。同時にいろいろな手を考えて、観光客の誘致に躍起になつているわけなんですが、同じことは国内についても言えるのではないかと思うので、むしろ観光貸切バスの十五割値上というようなことは、現在の地方の実情から考えますと暴挙じやないかと思うのですがね。そういう点をお考えにならなかつたかどうか。
#289
○衆議院議員(床次徳二君) 只今の自動車税の問題は、これは自動車に対する課税が他の課税と比べまして著しく均衡を失するという意味において、政府においても五割の引上げを認められたのであります。従つてその五割を自動車の種類によりまして、でき得る限り均衡をとれるようにやつた。そのために運輸事業に対して非常にこの際増加をなしたというふうに私どもは考えておる。他の課税と均衡をとる意味においての課税である。ただお話になりました外航船、航空機に対するものは、全くその意味においては今までのものとは類が違つておる、これはお話の通りでありまして、これは全く今回の政府の予算に加えられました修正と同じような趣旨におきまして、やはり地方税においてもこれが現われておる。他の修正の点は殆んどいわゆる均衡是正或いは両者間の調整をするという立場において殆んど行われておりまして、この二つだけがお話のように特別なものだということを考えておるのであります。
#290
○理事(館哲二君) ちよつとお諮りいたしますが、運輸委員会を代表されまして植竹議員がこの自動車の税金について委員外発言を申出ておられるのであります。許可いたして如何でございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#291
○理事(館哲二君) 御異議がないようでありますから、委員外発言を許可することにいたします。それに関連いたしまして、運輸省の中村自動車局長が来ておいでになりまするから、それに関連して発言を許すことも認めてようございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#292
○理事(館哲二君) 御異議がないものとしまして、委員外発言を許すことにいたします。
#293
○委員外議員(植竹春彦君) お許しを頂きまして、運輸委員会を代表いたしましてお申入れ申上げたい件がございまして、自動車の件について申上げたいと存じます。先ず運輸委員会で決定いたしました自動車税法につきましての申入書を朗読いたしましてから、簡潔な補足説明をさして頂きたいと存じ
 ます。
   地方税法の一部を改正する法律案に関する申入れ
  昭和二十八年七月二十九日参議院運輸委員長より同地方行政委員長宛表記の件について七月二十九日開催の運輸委員会において左記の通り要望意見を決定いたしましたからよろしく御高配下さいますようにお願いいたします。
   記
  地方税法第百四十七条の自動車税の改正は自動車運送の発達に支障を来す虞れがあると認めるので、税率を現行のまま据置かれるよう措置せられたい。
  右要望する。
 右の通りでございますが、若干の補足説明をお耳に入れたいと存じます。私たち運輸委員会のものといたしまして、考えてみますと、第一に自動車税につきましては、自動車の大半は、殆んど全部は奢侈品ではないというふうな考えを持つております。いわゆる高級車、賛沢な車と申しますと、零コンマ何パーセントしか数がないのでございます。只今貨物自動車、バス、乗用車、特殊車、すべてを合計いたしますと七十五万台余ございます。そのうちの僅か一%にも足りないのが高級車でありますので、是非これは奢侈品としてでなく、お認め願いたいと存じます。
 第二に、申上げたいのは、この自動車税を地方財源を確保しようとする目的で取るということになりますると、果してその目的通り取れるかどうかという点について、私たちの考えでは自動車の数は財政の豊かな六大府県に集中しておりますので、比較的財政の乏しい地方県では徴収額が少いわけになりますので、これは右の目的には副わない。富裕県の多額の収入増にこそなりますけれども、窮乏の財政に寄与することはむずかしいのではないか、かように考えております。
 第三に、申上げたいのは、自動車に関します租税公課はいろいろにたくさん重複いたしております。先ずガソリン税で取られます。それから自動車税で取られます。そのほかに道路工事受益者負担金を取られております。又更に道路損傷負担金を出し、その上に道路工事寄付金まで取られております。その金額なども全部計算してございますが、お忙しいところでございますから、省略さして頂きます。
 第四番に、申上げた、のは、是非自動車なるものを固定的な資産としてでなく、償却資産として是非お考え願いたい。これは高度の消耗機械で、非常に早く痛むのは御存じの通りでございますので、是非ともこれは償却資産とみなして、受益面は道路利用税として前述いたしましたたくさんのいろいろな種類の公課負担を再検討いたして頂けますならば、甚だ仕合せに存ずる次第でございます。
 最後に、これは他の税金に関連いたしまして申上げますことは甚だ不本意でございますが、附け足して申上げますと、自動車税の増額の御趣意でございますが、どうも自動車というものは我々の産業の基盤であり且つ又国民生活の基盤であります。こういつたようなものに対しまして、自動車税が定額税として確実な税源であるから自動車に税金をかけてやろうといつたような御方針に対しまして、何とかもう一遍この際再検討願いたいと思います。又この自動車の数は年々どんどんと殖えております関係上、むしろ減税こそして頂きたい、かように考えるわけでございますが、他の税金のことを申上げますと恐縮なんでありますが、例えば遊興飲食税とか入場税と申しますと、どつちかと言えば、非生産的な税金で、反面この自動車のほうは生産的な品物である、そのものに対しましてはむしろ減税して頂くのが大変妥当のように思われます。この遊興飲食税とか入場税は、まあ徴税を確保する御趣旨から半額に減税されたように承わつておりますが、これは何とか自動車につきましては、右申上げましたような数々のことを御考慮願いたいと存じます。
 なお、私から申上げます説明はこれで終りといたしますが、時間にお許しを得ますれば、只今自動車局長が参つておりますので、運輸省の立場からの簡単な意見をお聞取り願いますれば、仕合せに存じます。どうも有難うございました。
#294
○理事(館哲二君) この際お諮りいたしますが、もう大体意味はわかつたと思いますからいいと思いますが、この際にお諮りいたしますが、一時速記をとめて御懇談をしたいと思いますが……
#295
○若木勝藏君 質問はどうなるのですか。もう打切りなんですか。
#296
○理事(館哲二君) まだ打切つておりません。
#297
○若木勝藏君 税務部長さんに伺いますが、さつきちよつと中断されたので、それきりになつたのでありますが、私は確認したい。今度の改正の法律で、いわゆる第一方式にとられておつた在来の百分の十八、それから制限税率の百分の二十というものは、これは撤廃されるのかどうか、この点はつきりして頂きたい。
#298
○政府委員(後藤博君) 標準税率の一八%は税法の上からはずしまして、平衡交付金法のほうに明確にいたしております。それから制限税率の二〇%は撤廃いたします。
   〔理事館哲二君退席、理事石村幸作君着席〕
#299
○若木勝藏君 そうしますと、私のここにあるところの資料で以て考えてみますると、第一方式でやる場合にどこまで行けるかということを、個人の収入について大変はつきりしたものが出ておりますので、その点を申上げます。
 これは給与収入が四十二万六百四十八円である人、その他のいろいろな収入とか差引をやつて結局所得税額が八万七千円、こうなる。それからそれによつて更に計算してみるというと、課税所得金額は三十三万二千八十二円となつておる。これで以てこれを基礎にして地方税の課税がどういうふうになるかということを、第二方式と第一方式とを比べて行くというと、第二方式においては二万六千六百五十三円まで取り得る、百分の十という限度まで行けば……。ところが第一方式で行くというど一万五千六百六十八円で行けます。こうしますというと一万一千円の差が出て来るのです。明らかにこれはあれを撤廃するというと、こういうふうな課税ができるということの基礎になる。従つて私はあなたが先ほど来、取扱が合理的であるとか、或いは簡単であるとかいうふうな取扱方面の御答弁が多かつたけれども、増収をしようとすれば、改正案はこういうふうな方法を以て増収を図ることができる。こういう結論になるのではないかと思うですが、この点についての御答弁を願います。
#300
○政府委員(後藤博君) 私もその書類を頂いたのでありますが、この計算方式がどうもよくわからんのであります。私がたびたび申上げますように、現行法の第一方式と、それから第二方式とを比較して頂くよりも、第二方式と改正の場合を比較して頂く、こういう比較でなければ意味がないかと私はたびたび申上げたわけであります。従つてどうもこの計算方式を私よく呑み込めていないのであります。ここに書いてありますように、計算に誤りがある場合も予想し得ると書いてありますけれども……。
#301
○若木勝藏君 細かな点については或いは誤差のようなものがあるかも知れません。
#302
○政府委員(後藤博君) 私が申しますように、一八%をとる場合でしたら第二方式をとる必要がないのであります、一八%ですね……。それから現行法で、二〇%をとる場合でも現行法でやれるのであります。ですからそれはちよつと基準にならんのでありまして、現在オプシヨン・ツウ、つまり第二方式で二三%とか二五%ととつておる場合を考えて、それを第一方式に直した場合、第二方式というのはいろいろでございます。超過累進制度、単純累進制度いろいろございます。一般に多いのは超過累進制度であります。そういう第二方式をとつておるもので、それが第一方式に今度改正をいたしました場合には、一体負担関係はどういうふうになるか、こういう比較をしなければ私は比較にならん、かようなことを申上げておつたのであります。従つてこういう比較の方式が私にはちよつとわかりかねるのであります
#303
○若木勝藏君 そこで私の非常に考える点は、この改正によつて、給与者で以てそう所得のないものが相当な負担がかかつて来るんじやないか、この点を心配するわけなんです。そこで現にあなたのこの間の資料によつての説明でも、立川においては二三%に相当するようなものがとられておる、こういうふうになりますれば、いよいよこのいわゆる百分の十八、或いは百分の二十という制限率が撤廃されれば、それが二三%乃至二五%というふうな工合に相当のところまで負担がかかつて来るのじやないか、その点を私は心配して聞いておるのであります。
#304
○政府委員(後藤博君) 私は今の、先ほど申上げましたように第一方式、第二方式をとることは自由でありますから、第二方式へ移つて行つております。第二方式に移つた場合に所得税の何%になるかということは、個々のものが計算をしなければわからんのであります。そういうことになりますので、一体これは第一方式でやれば何%かということは、一般の部面にも、それから議会の方々にも抽象的で不明確なのであります。逆に計算をして参りますと、立川の場合には二三%くらいになる。そういう場合二三%の比例税率の、今度の税率をとつた場合には一体どういうことになるか、その比較をこの間申上げたわけであります。その比較した場合に、立川の現在の例から見ましても、立川は別に二三%で第二方式をとる必要ないのじやないか。むしろ第一方式で堂々として二三%とつたらいいじやないか。そのほうが議会のかたもよくわかるし、一般にもよくわかる。従つてそれが非常に高いということであれば、それを下げて節約するなり、何か特別な財政支出のほうで何とか考えなければならんということが出て来るのであります。ところが第二方式のまま今の傾向を抑えておきませんと、第二方式のほうにどんどん移つて行つて高くなつて行く。第二方式の本文がとれなくなつたら、但書のほうに移つて行く。そのほうに移つて行くと、所得税のかからん人までとる、こういうことになつて来るわけであります。従つてそういう不明確なことをやめて、ちやんとはつきりした比率で以て、比例でわかるようなものにしたほうが私は順序ではないか、かように申上げておるわけであります。
#305
○若木勝藏君 それで私は今のあなたの立川のような場合はそれでわかつた。併し現在において例えば我々は札幌市に住んでおる。そういうところが、百分の十八でやつておる。ところが制限率も皆撤廃されて、その点がオープンになつた場合には、百分の十八が百分の二十二に上げられることがあり得る。その点を私は伺つている。
#306
○政府委員(後藤博君) 札幌の例は十八%だつたかどうか私は知りませんが、仮に十八%といたしますと、十九考に上げることは現在の法律でも可能であります。十九%に上げて、オプシヨン・ツー、第二方式のほうに持つて参ることも現在可能であります。どちらをとるかは市町村の随意でありますが、そういう場合は私はどつちをとるかわかりませんが、仮に二〇%をとるといたします。そうするともう二〇%でありますと、頭でとまる制限税率一ぱいでは、二十二に上げることはできません。そうすると、第二方式のほうに移つて行くか、第二方式の本文でやるか、但書でやるかは自由であります。第二方式の但書をとるといたしますと、負担の関係は所得税のかからない人までかかる、こういうことになります。それを改正いたしまするので、二一%にして、そうしてやるかも知れません。そうしたほうが私は合理的ではないか、こういうことを考えたわけであります。
#307
○若木勝藏君 だから二一%にすることはできる、相違ないですか。
#308
○政府委員(後藤博君) はあ。
#309
○松澤兼人君 この入場税の関係の問題ですけれども、今度は何か入場税をとるというふうな場合に、引換券を都道府県の指定した紙を使つて出す。それから入場券或いは引換券というものを、交付を受けたときに入場税を払わなければならないというふうに、非常に大きな改革をやつているようでありまするけれども、これは税の増徴ということを目的にするのか、或いは何か簡便とか、或いは合理性とか、そういうことを目的にしておるのか。
#310
○政府委員(後藤博君) お答えいたします。入場券等の引換券、つまり簡単に申上げますと、私製の入場券を作りまして、入場させる場合に、従来そういう場合があつたのでありますが、非常に脱税が多いのであります。従つてその脱税をさせないように、或る特定の場合、都道府県の条例で定める場合以外は、つまり票券を、入場券を公給するという原則にかえつてまあいたしたい、かような考えであります。主として脱税の防止であります。
#311
○松澤兼人君 現在の制度でも何か公給の票券というものを出して予納金制度か何かでやつておるようですが、その上に更に売れても売れなくても、あらかじめ税金を引換券に課税するという方式に改められたのはどういうわけですか。
#312
○政府委員(後藤博君) 原則として入場券を公給するという原則を立てておりますので、できるだけそれに合わして参りたい。特別の場合以外は公給制度を維持して行きたい、こういうふうな考えによるわけであります。ところがその私製の前売券をどんどん出させますると、非常に何と言いますか、脱税の機会が多くなつて来る。従つて公給制度を維持して行く建前から申しましても、やはり私製の入場券を或る程度縛る必要がある、かように考えてこれを入れたわけであります。
#313
○松澤兼人君 この入場券引換券を発行しているのですね。こういう場合、例えば或る商店街で売出しをやります。そのときに特定の映画館と特約して二割引とか或いは五割引とかいうようなことで引換券を渡すとします。その場合でもやはり引換券というものはそれを発行したときに課税になるのですか。
#314
○理事(石村幸作君) ちよつとお待ちを願います。お伺いいたしますが、衆議院側に対する質問もないようでありますが……。
#315
○高橋進太郎君 自動車税の改正で、自家用車の課税が非常に高くなつて参つているのですが、自家用車と言つてもとにかく五百万円から六百万円なんかの高級車もあれば、三十万円、四十万円のがた自動車もある。そういうところに非常に不均衡を来たすと思うのですが、その辺のお考えはどうかということ、それからもう一つは物を運ぶところのトラツクと人を運ぶところの大型のバスですね、これはむしろ公共性から言うならば、バスのほうがトラツクまり少し低くなければならんと思うのですが、どうしてトラツクよりバスのほうが高いか、そこらを伺いたい。
#316
○衆議院議員(床次徳二君) 自家用車の分でありまするが、自家用車にも大小あることは確かにあるのでありますが、これは標準を示してあるのでありまして、これに更に段階をつけることその他は地方で可能なことでありまして、一応この標準という形になつております。従来でもものによりましては、トラツク等におきましても大きさによつて段階がある。バスにつきましても大きさによつてそれぞれ段階が地方の実情によつてつけられておる。今度は大分その後の状況によりまして、車体も変つて参りましたものですから、政府もこの点五割を増徴されたのだ、私どももそれを見合つて大体均衡が得られるというふうに、その業態の間を見まして修正案を作つたわけであります。
 それからなお、特にバスのほうに重くしておるのはどうかというお話でありまするが、トラツクはやはり荷物の輸送で以て相当物価にも影響が多い。それからバスのほうもこれは勿論これを往復に利用するものも少くございませんので、国民生活にはね返りもあるわけでありますが、ほかのほうよりもバス会社自体の状態から言いまして多少弾力性はある、特にバスのほうの関係は、バスの収容力は、トラジクの収容力も大分多くなつておりまするが、バスのほうが非常に発展が大きかつた。その点から見まして、平均してバスは車体が大きくなつておりますので、或る程度まで、その辺負担の均衡ということを考えますと、多少率が大きくなりましても負担能力があるのじやないかということを勘酷いたしまして少し差がついております。これはどうかという疑問がありましたが、差をつけてもやむを得なかろうという結果になつたのであります。
#317
○高橋進太郎君 そうすると、立案の御趣旨から言うと、一応の標準を示したのであるから自家用車について最高限三万円で、それに対して地方の実情に応じて何段階か設けても差支えない、こういうふうに了解していいわけと、それからもう一つは同じバスについて非常に不便なところでマイナスを生ずるようなバスもあるだろうと思うのですが、そういうようなものは助成をするために条例等において適当にこれを超えない範囲において、これを考えることは差支えない、こういう趣旨に承知していいものか。
#318
○衆議院議員(床次徳二君) 一例を申上げますが、バスにつきまして、二十人乗り、四十人乗り、六十人乗り、大ぎさによつて段階があります。その一般の標準になつたものをここで例にとつてもらつて、それから上下に、小さなものに対してはこれを下げることは地方でも従来からやつておつたと思います。これも認めておるつもりであります。
#319
○高橋進太郎君 そうしますと、ちよつと自治庁にお聞きしたいのですが、立案の趣旨がそうだということになれば、そういうふうに条例を以て実態に副うように定めた場合においては、平衡交付金の算定の場合においては一律に自家用車なら自家用車に三万円というものをかけずに、その府県の実態に応じて考えるということでいいわけなんですか。
#320
○政府委員(後藤博君) 平衡交付金の算定の場合には標準税率、ここに出ておりますのは標準税率であります。標準税率に台数を掛けたもの、こういうふうになるわけであります。ですからそれを考えまして上と下に幅をつけるわけであります。府県では……。
 先ほどの御質問にお答えいたします。商店等の割引券の問題だろうと思いますが、これは無料の場合には勿論、つまり金銭の授受が割引券の出す場合にない場合は、つまり無料の場合には条例で以て特例を設けていいのではないか。そういう条例指導をいたしたいと考えております。問題は有料の場合であります。有料で前売券をここに売りつけておいて脱税を図るということがあるのであります。従つて商店等の場合には私は条例指導をいたしまして目的に副うようにいたしたい、かように考えております。
#321
○松澤兼人君 無料、有料ということがよくわからない。先ほど私が言つたのは、映画館と特約して、それでこの切符を持つて来た人には二割引なり三割引なり、或いは半額なりにしてまけてやつて売りつけた、こういう約束をしている場合、この引換券を持つて行つたときに、有料であることは有料である、そういう場合、引換券に課税するのかどうか。
#322
○説明員(柴田護君) 只今の御質問でございますが、この入場券引換券に対する公給制度を設けましたのは、入場券引換券を売つてしまつて、引換券という名称で売つて、それを入場券と引換に入場するという場合が多々あるわけでございます。そのために入場税が天質上脱税に移行されますので、それを抑えるために設けましたのでございます。それを全部設けますと、おつしやるように新聞等で広告を差挾みまして、その半片を持りて来たものには入場無料或いは安く売つてやるという事例があります。そういうような場合の会場券の引換が確実に行われるということがはつきりいたしますものにつきましては、「前項の規定にがかわらず、道府県の条例で定める場合を除く外、」この除外例に該当する、こういうふうに考えております。
#323
○松澤兼人君 そうすると、例の大売山しのときのものは、結局どうなるというのですか。
#324
○説明員(柴田護君) 大売出しの場合もいろいろありますが、大体物品を売つてついでに引換券をやるという場合には、大体該当しないのであります。
#325
○松澤兼人君 併しそれをどういうふうにして都条例できめるわけなんですか。都条例できめる場合に、あとで何かこういう場合は課税をしてはいけない、こういう場合は引換券を出す場合に課税すべきでないという指導をなさるのですか。
#326
○説明員(柴田護君) これは入場券引換券を発行した場合、その入場券引換券を発行したときに入場税をとれということを書いてあるわけであります。それは入場券引換券というものを入場券と同じ価格で売る、売つた場合を予想しておるのであつて、そういうことが入場税込みの料金をとつておらないということが明白である場合は外せ、こういう指導をするつもりでおります。それが道府県の条例で定める場合という場合に該当するように考えております。
#327
○松澤兼人君 そうすると、例えば二割引、五割引というときには、入場税は結局誰が負担するか。百円のものなら二割引では八十円、半額なら五十円、こういう約束をしているとすれば、誰が百円に対する入場税というものを払うのですか。
#328
○説明員(柴田護君) いろいろな場合があると思いますが、特定のものに対して特に割引を行うという場合におきましては、税率は標準料金に対する五〇%でありまして、税率について特に変動はございません。一般的の標準を変えて、例えばこの映画については五割引だといつたような場合には、その五割引きしたところの価格を税込み料金と考えておるわけであります。従いましてまけるまけないの問題では二割引とか三割引という問題は、入場料についての問題であつて、税については影響ない、こういうふうに考えます。
#329
○松澤兼人君 そういたしますと、そういう場合、今僕が言つたような場合、売出しをして、それから引換券を出す。その引換券を持つて行つたら二割引、五割引といつたような料金を払いさえすれば映画が見られる。こういつた場合に、その引換券に対して、この改正法律にありますそれを交付する場合に、入場税を徴収するというその規定に該当するわけですか。
#330
○説明員(柴田護君) さような場合は大体該当しないと思います。
#331
○松澤兼人君 どういうわけで該当しないのですか。
#332
○説明員(柴田護君) それは入場券引換券を売るわけじやないわけなんです。ここで考えておりますのは、入場券引換券という名目で入場券を売つたのと同じような行為が行われておるから、それをその場合においては入場券引換券を又入場券と引換えるわけです。引換える行為があるべきなんです。ところが事実はない。そこで折角の票券公給制度を設けて、そして入場税の確保を図つておりますけれども、さような手段によつてはやすやすとそれが抜けられる。そういつた場合が起りますので、それを防ぐと申しますか、そういつたものを、そういう方途が講じられないように、そういう場合は入場券引換券についても公給したものを使う。こういうような規定にしたわけであります。
#333
○松澤兼人君 それではもう一つお伺いしますが、そうすると引換券というものを発行する場合には税金かからないのですか。ここにあります「入場税を徴収するものとする」というそういうやつを一番前に出しましても、そのこと自体には入場税はかかりませんか。
#334
○説明員(柴田護君) 入場券引換券が入場券と同じ効果を持つ場合、その場合には入場券引換券を売る場合に入場税もとれる。こういう規定であります。
#335
○松澤兼人君 ですから前売券みたいなものは、これは入場券とはつきりわかつておる。それから引換券を持つて行けばわれわれ百円の映画というものが見られる。或いはその切符に引換えるという場合には、その引換券に対して税金をかけると、こういうわけですか。
#336
○説明員(柴田護君) 説明がまずうございまして御了解頂けないのですが、大体入場券引換券というものを無料でやる場合、無料でやつてその無料でもらつた入場券引換券を持つて来た場合には、正規の入場券と換える。正規の入場券を売るわけです。売る場合に二割引とか三割引ということがあるわけですが、そういう場合には大体公給票券を使うことを要しない場合と考えて頂きたいと思います。入場券引換券を前売券と同じような恰好で売る場合は、この場合は公給票券を使つてもらう、こういうことになるかと思います。
#337
○松澤兼人君 そうしますと、新聞社が例えば五十万枚或いは百万枚というような引換券を出して、それを持つて来たときに、どこかで入場券に引換えるという場合は課税にならないのですか。
#338
○説明員(柴田護君) 二つの場合がありまして、入場券引換券を売る場合におきましては、この八十四条の規定によりまして公給された票券を使わなければならない。入場券引換券を発行する場合に公給票券を使わなければならない。従つてその引換券を売つた場合には税金をとつて頂く。併しながらお説のような場合におきましては、大体においてはそれは売るのじやなしに、無料で引換券等はやる場合が多いのじやないかと思います。そういう場合にはこの規定に該当しない。従つて公給票券も使わなくてよいし、入場税もとりようがないということになろうかと思います。
#339
○松澤兼人君 そうしますと引換券は二十万枚を新聞の折込みで出した、そういう場合には適用がないわけですね。それを持つて映画館なら映画館に行く、そうすると百円なら百円というものの切符に換えてくれるわけですね。そのときから入場税という問題が、今まで現行法と同じような恰好で、どつかでスタンプを押したものか或いは公給票券か何かの形のようなものにそこで引換えるのですか。
#340
○説明員(柴田護君) さようなことになると思います。
#341
○松澤兼人君 そうしますと、例えば広告のためにバヤリーズといつたような会社の広告で、王冠を五つ持つて来たら入場券に引換えてやるというような場合は該当しませんか。
#342
○説明員(柴田護君) その場合は入場券引換券の規定ははたらきません。該当しません。
#343
○松澤兼人君 王冠であるからはたらかないのか、何であればはたらくのか。王冠であつても、紙であつても、キヤラメルの中に入つている引換券でも、そういうものに対しては全然適用しないのですか。
#344
○説明員(柴田護君) ここに書いてありますように「きつぶその他の物」と書いてあります。従いまして大体は紙を予想しております。ということは、前売券と同じような形において使用されるものということを予想しているのでありまして、只今お説のようなことはその辺によくある例でありまして、何か売つた景品を持つて来れば安く売るれ、その場合は入場する場合に窓口で成規の入場券に引換るわけであります。その際に十分徴収が確保できるので、それまでもきちんときめておく必要はないと思います。従つてこういう法律の規定には該当しないと思います。
#345
○松澤兼人君 そうしますと、この引換券それ自身百円とか何円とか標準があるので、こういう場合は勿論その引換券自身は都からもらうわけですね。もらつてそうしてそれを交付した場合に税金を納めるわけですね。
#346
○説明員(柴田護君) 金が提示されているかいないかということは問わないのであります。でありますけれども、入場券と入場券の前売券といつたようなものと同じような形で売買される場合、そういう場合を考えておるわけであります。
#347
○松澤兼人君 もう少し具体的なことなんですが、例えば新聞社が映画鑑賞会かなんかをやる、招待状を出す、こういう場合、勿論映画館の前で引換えてやるという場合ですね、課税になるんですか。
#348
○説明員(柴田護君) 御見解の通りであります。
#349
○松澤兼人君 普通、そうすると、新聞配達店なんかで、その紙を拡張するために出しておるようなものは、これは課税になりませんか。
#350
○説明員(柴田護君) 通常それば無料でありますので該当しません。
#351
○松澤兼人君 その紙自身が無料で配付される場合には、それを持つて行つて入場券に引換えるものであつてもその紙自身がただであれば、それには課税されない……。
#352
○説明員(柴田護君) そうであります。
#353
○松澤兼人君 そうすると、現行と、この改正法とで特に違つておるところはどういういうところですか。
#354
○説明員(柴田護君) 通常入場券そのものは前売するというのが、現在の通常のやり方であります。その場合は入場券そのものでありますから、公給された票券を使つておるわけです。ところで最近、その前売りする入場券と更に引換える券を発行いたしまして、そうしてそれを発行する際に、その券を入場券と同じ値段で売るわけであります。従いまして、その前売引換券と入場券とが引換えられます場合においては、代価の授受がないという場合が出て来たわけであります。そういたしますと、それがフルに活用されますと、折角の票券公船制度というものは根占から崩れてしまうわけであります。それを崩れないようにしようというのがこの本改正案の趣旨であります。従、まして無料の全然ただで新聞紙などに込んで配る引換券までも捉えようしておるわけではありません。
#355
○松澤兼人君 こういうふうな規定へ拵えて、これが若し現場においていろいろ問題を起した場合、課長がおつしやるようにはつきりと金銭売買の対象になるというようなものは勿論、この改正法の趣意に従つてその引換券を地方団体から交付を受けるその場合に入場税を払わなければならない。併しながら実際に金銭の授受がない。結局映画館なら映画館の前、或いは公会堂の前へ行つて引換えるというものは、今までと全然変らないということでございますか。
#356
○説明員(柴田護君) 大体その通りであります。
#357
○松澤兼人君 大体というのは全部そうですか。そう違つて来るところがあるのですか。
#358
○説明員(柴田護君) 大体と申しましたのは……。
#359
○松澤兼人君 こつちの言い力が悪いか……。
#360
○説明員(柴田護君) 私の言い方が悪いのでありまして、お説の通りであると思います。
#361
○松澤兼人君 もう余り長くはございませんが、これは非常に新聞社あたりはこのことを心配しまして、若しそういうことになつたら、いわゆる引換券というものをどこで交付することになるか、今でさえもあれを検印ですか、変なものをもらつたり、検印を受けろこと自体が非常に厄介で、それに又引換券を向うでくれるということになつて、どちらも非常に費用がかかる。それで幾らも増徴にならないということでは、事務のほうからいつて非常に因るだろうということを非常に心配しているのですが、そういう空から撒くような引換券だとか或いは折込みにして出す引換券であるというものは、全然今までと同じことですか。幾ら出しても構わない……。
#362
○説明員(柴田護君) お説の通りであります。ただ規定の書き方が若干法制の技術面から読みにくい形になつておりますので、お説のような誤解と申しますか、疑問が起るのじやないかと思います。運用にあたりましてはいろいろおつしやいました趣旨の通り大体、笑声、「大体が好きだな」と呼ぶ者あり)その通り行くわけであります。
#363
○松澤兼人君 大体了承いたしました。
#364
○説明員(柴田護君) 行過ぎにならないように指導して行きたいと考えております。
#365
○松澤兼人君 これは本当に気をつけて頂かないと……。
#366
○理事(石村幸作君) 速記を止めて。
   午後六時五十七分速記中止
   ―――――・―――――
   午後七時十二分速記開始
   〔理事石村幸作君退席、委員長着席〕
#367
○委員長(内村清次君) 速記を始めて下さい。
#368
○若木勝藏君 政府のほうにお伺いいたしますが、あん摩、はり、きゆう、それを営業とするものに対して、申請により税を免除することができるどいうふうなことを地方の条例でもつて……、たとえ一般的に今度税が軽減されても、こういう条例が認められるかどうか、この点について見解を表明してもらいたい。
#369
○政府委員(後藤博君) あん摩、はり、きゆう等につきまして、府県によつて免税の特別の条例を作つておるところがあるということでありますが、そういう場合には今度軽減いたしましても、やはり依然として私は免除の条例を続けるべきだとかように考えております。
#370
○堀末治君 質疑も大体つきたようでありますから、この辺で質疑を打切つて討論採決に入る動議を出します。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
#371
○委員長(内村清次君) 只今堀君から質疑打切りの動議が出ていますが御異議ございませんか。
   〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
#372
○委員長(内村清次君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#373
○委員長(内村清次君) それでは速記を始めて下さい。
 それでは他に御発言もないようでございますから、これで質疑は終つたものと認めてよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#374
○委員長(内村清次君) そのように決定をいたします。
#375
○秋山長造君 ちよつと休憩して頂きたい。これほど込み入つた面倒なごちやごちやしたものを昨日ぶつけられて、ろくろく何やらわけもわからんうちに討論をやることはできない。だから若干の時間休憩してもらいたい。
#376
○委員長(内村清次君) それでは7時半まで休憩いたします。
   午後七時十七分休憩
   ―――――・―――――
   午後七時三十四分開会
#377
○委員長(内村清次君) それでは休憩前に引続いて委員会を再開いたしす。
 これより討論に入ります。御意見のおありの方はそれそぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら討論中にお述べを願います。
#378
○館哲二君 地方税法の改正案が昨日本式にまあ始めるというような段取りでありまして、全体の検討はなお非常に不満足なのであります。従いまして十分な検討ができないのでありますが、先ほど来いろいろ質疑があり、いろいろ聞いて見ますと、まあ大分こう満足のできない点も多々あるのでありますけれども、これができるだけ早く成立しないと、いろいろな点に支障があるという意味において私は賛成の意を表するのでありますが、ただ二点だけについて修正をしたいと思うのであります。修正の点を挙げまして説明を加えたいと思うのであります。
 地方税法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
 第百四十七条第一項第一号の改正規定中「一万六千円」を「一万四千円」に改める。
 第六百二十条の改正規定の次に次のように加える。
 第七百四十一条第三項第一号中「含む。)」を「含み、もつぱらめん類食を提供する業で政令で定めるものを除く。)」に改める。
  第七百四十三条第二号の改正規定中『「及び私立学校法第六十四条第四項の法人」を「、私立学校法第六十四条第四項の法人及び社会福祉法人」に改め、』を『「宗教法人、」の下に「社会福祉法人、」を加え、』に改める。
 第七百四十四条の改正規定中「未帰還者給与法」の下に「、未帰還者留守家族等援護法」を加える。
 第七百七十六条第三項の改正規定を次のように改める。
 同条第三項に次の二号を加える。
 十三 クリーニング業
 十四 もつぱらめん類食を提供する業で政令で定めるもの
 第七百七十七条の改正規定中「特別未帰還者給与法」の下に「、未帰還者留守家族等援護法」を加える。
 こういう改正を加えたいと思うのであります。第一の点は自動車税につきまして今度原案では平均五割の増税になつているのであります。それが衆議院で各自動車の種類によつていろいろ課税の点に高低を設けられたのであります。自家用車についてはまあ相当高く課税し、或いはバスにつきましても観光バスを担税力があるとして高くせられたというような意味において、まあいろいろ修正がされたのでありますが、大体の点について差支えないとは考えますけれども、トラックが四割の増税であるのに、一方観光バスを除く他のバスが六割の増税になつているということは、その問いささか権衡を失するのじやないかというように考えられるのであります。先ほど修正案を説明せられて、まあバスのほうが担税能力があるというように御説明になつたのでありますが、まあバスをやつておりますのは、大体公共的な仕事をやつているのでありまして、或る場合には儲からないような路線でも引続いてやつて行かなくちやならないのであります。これを上げますことによつて、それだけ乗客のほうにそれが転嫁させられというば又サービスが悪くなるというようなことも考えられるのでありますので、この際やはりこれは少くともトラツクと同じ程度に下げて、四割の増税にして一万四千円にしたらいいのじやないかと考えます。
 それから次のはめん類食を提供する業を事業税のほうから外しまして、特別所得税の第二種業務として加えたいというのでありますが、めん類食を提供する業態というものは比較的小さい業態でありますし、これは衛生的な施設とか、いろいろな点において相当な面倒な制約を受ける業態でもあります。従いまして一方クリーニング業がこれに加えられ、又その他理髪とかその他まあ美容などに比較しますと、やはり同じ意味においてこれを第二種業務のほうに加えるというのが妥当ではないかというように考えられるので、この修正案を提案した次第であります。
#379
○若木勝藏君 私は今度の地方税の審議は、衆議院からの送付がもう閉会間際でありますので、十分の審議ができなかつたことを非常に不満に思うものであります。それで全体といたしまして、先ず私は緑風会の修正の点については、これは現在の地方税の課税から見まして不均衡である点が是正される点におきまして賛成の意を表するわけであります。更に衆議院の修正された部分につきましては、大分了承されるところの点も含んでおりまするけれども、併し我々が考えたときに、いわゆる大衆の主食を提供するところのめん類業者の遊興飲食税の軽減という点、並びに国鉄等に対するところの固定資産税の課税対象が不明確であるというような点、又当初政府の予算において十三億の利子補給を受けておつた外航船のものに対してそれが修正予算で百六十七億まではね上つた、こういう恵まれた状態のこの外航船に対して、更に地方税について、この税率を軽減するというようなことに対しましては、衆議院の考え方に対して賛成するわけに行きません。そういう多くの不満を持つているので、この衆議院の修正に対してはこれを承服するわけには行かないのであります。更に又政府原案につきまして特に第三百十三条はこれは現行法よりも少額所得者に対するところの課税が非常に幅が広くなる、こういう虞れが十分あるということが明らかでありますのでこの点に対しては賛成することができない。以上の観点から私は緑風会の修正案に対して賛成し、それから衆議院の送付案に対して反対するものであります。
#380
○松澤兼人君 私は社会党第二控室を代表いたしまして、只今議題となつております地方税法の改正につきまして、先ほど緑風会から出されました修正案に賛成、たします。それから衆議院の修正案につきましても賛成いたします。
 政府原案の点につきましては先ほど質疑をいたしましたが入場券等引換券につきましてはまだ明らかにならない点があり、非常に問題が残つておりますし、若しこれを末端におきまして先ほど政府委員が答弁されました点を逸脱して、厳格に引換券等を発行のときに入場税を納めなければならないということになりますと、相当大きな問題があると考えます。従つて私はこの点は反対でありますし、なお遊興飲食税の徴収義務者に対して担保を要求するということは、少くとも零細なものに対してまあ脱税というような、明白な意図を持つていないでも、滞納が度重なるというような場合でも担保を要求されるということになりますと、これは大変なことになると思うのでありまして、而も高級飲食店などにおきましては非常に会計経理の点におきまして、まあ専門家が雇われてやつておることで、むしろそういうところにおいて脱税の危険がある。併し極く零細な飲食業者などにおきましては、そういう経理の面におきましても不十分であるし、且又滞納等の点において若しもこれが問題になつて担保を要求せられるというようなことになれば、これは重大な問題であると考えるのであります。よしんば脱税したという事実があつたといたしましても、成いは滞納したという事実がありましても、結局差押え等の処分があるわけでありますから、初めに担保を出し、そうして終いに又差押え等が行われるというようなことになれば、これはまあいわゆる憲伝で申します営業の自由とか或いは又はこの財産権の問題とかいうことで、私は憲法違反の疑義があるのではないか、こういうように考えるのでありまして、これら重大な問題を含んでおります政府原案については、ただにそればかりではございません、他にも問題となる点があるのでございまして、こういう点が明らかにされず又一般国民、零細な国民に対する課税が重課されるというようなことを心配いたしまして、政府原案には反対いたします。
#381
○委員長(内村清次君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#382
○委員長(内村清次君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより採決に入ります。地方税法の一部を改正する法律案について採決いたします。先ず討論中にありました館君の修正案を議題に供します。館君提出の修正案に賛成のお方の御挙手をお願いいたします。
   〔賛成者挙手〕
#383
○委員長(内村清次君) 全会一致でございます。よつて館君提出の修正案は可決されました。次に只今採決せられました館君の修正にかかる部分を除いて、衆議院送付にかかる地方税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。修正部分を除いた衆議院送付案に賛成のおかたり御挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#384
○委員長(内村清次君) 御挙手が多数と認めます。よつて地方税法の一部を改正する法律案は多数を以て修正可決せられました。
 なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これば委員長において本法案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとし、御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#385
○委員長(内村清次君) 御異議ないと認めます。
 それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を附けることになつておりますから、本法案を可とせられるかたは順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    愛知 揆一  石村 幸作
    西郷吉之助  高橋進太郎
    長谷山行毅  堀  末治
    館  哲二  小林 武治
    島村 軍治
#386
○委員長(内村清次君) 御署名漏れはございませんか。……御署名漏れはないと認めます。
  ―――――――――――――
#387
○委員長(内村清次君) 去る六月、議員派遣において、第一班は私と石村幸作君が青森県、秋田県に、第二班は小林議員と松澤兼人君が富山県、石川県に現地調査を行いましたが、その報告は本日の会議録の末尾に掲載することにいたしますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#388
○委員長(内村清次君) 御異議ないと認めます。
 それではこれを以つて散会いたします。
   午後七時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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