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1953/07/28 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 外務委員会 第18号
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1953/07/28 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 外務委員会 第18号

#1
第016回国会 外務委員会 第18号
昭和二十八年七月二十八日(火曜日)
   午後一時三十八分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     佐藤 尚武君
   理事
           徳川 頼貞君
           加藤シヅエ君
   委員
           草葉 隆圓君
           小滝  彬君
           高良 とみ君
           中田 吉雄君
           羽生 三七君
           鶴見 祐輔君
           杉原 荒太君
  政府委員
   外務政務次官  小滝  彬君
   外務省参事官
   (外務大臣官房
   審議室付)   大野 勝巳君
   外務省条約局長 下田 武三君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       神田襄太郎君
  説明員
   外務省経済局次
   長       小田部謙一君
   外務事務官
   (条約局第一課
   課勤務)    太田 正巳君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○日本国とフィリピン共和国との間の
 沈没船引揚に関する中間賠償協定の
 締結について承認を求めるの件(内
 閣提出、衆議院送付)
○日華平和条約附属議定書第二項の有
 効期間の延長に関する議定書の締結
 について承認を求めるの件(内閣送
 付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の友
 好通商航海条約の批准について承認
 を求めるの件(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(佐藤尚武君) これより外務委員会を開会いたします。日本国とフイリピン共和国との間の沈没船舶引揚に関する中間賠償協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。質疑のあるかたは御発言をお願いします。
#3
○杉原荒太君 これは質問というよりもむしろ議事の進行に関連するのでございますが、両方に関連するのですが今度の協法によりますと、更に協定の実施のためにその細目は両国政府間の協議できめるということになつておる。これは勿論そういう必要があろうかと思います。それにしましてもこの日本とフイリピンとの現在の関係というものを、殊にこういう賠償問題を中心にして考えますと非常にデリケートな状態にあるものだと思います。それで自然そこからして日本側とフイリピン側との間にいろいろとデリケートな話合もする必要が生ずるのじやないかと想像するのであります。そういうことがあり得るだろうということはよくわかります。併し我々はこの協定を承認する場合には、その辺の事情をよく承知した上で協定に承認を与えるほうが我々の職責を全うするゆえんだと思います。それで私は、そういう点について公開の席上で言えないものがあるならば、必ずしも公開でなくてもよいと思いますから、政府側で腹蔵なくそういう点を一つお述べ下さつたほうがよいと思います。
#4
○委員長(佐藤尚武君) これまでに質疑に伴つて政府側からの説明もあつたのでありまするけれども、又今のお話の点について十分でなかつたかも知れんと思いますので、政府側から御説明を……。
#5
○政府委員(大野勝巳君) 只今の杉原さんの御意見乃至御質問でございますが、お尋ねしたいのですが、それは協定の第三条に規定されておるように、細目のことは両国政府間で更に協議の上きめるという点に関してだけでございますか。
#6
○杉原荒太君 いやそれだけではありません。
#7
○政府委員(小滝彬君) 今までの経過、即ち津島ミツシヨンが交渉してからのずつとそれ以来の経過は、大野参事官から大分詳しく述べましたし、それから現在フイリピン側からどういう質問が来てそれに対してはどういう態度をとつておるという点も、議事の中には全部出ておるはずであります。相当詳しく大野参事官から説明をいたしました。ただ細目協定については、この際フイリツピン側から話合の次第もあるので、一々その条項に従つては述べられんけれども、必要に応じて少くとも問題点とか、或いはフイリピン側の協力の方法というようなものはお述べしましようというので、これも述べてで遂るだけ説明して来たつもりでありますが、そのほかには特に秘密会を開いて申上げるような点はないかと思いますが、どういう具体的な点をお話したらよろしいか、杉原委員から具体的な御質問があれば、その点を或いは秘密会にするなり、或いは速記を取つたままで説明いたしても差支えないと思います。
#8
○杉原荒太君 それではお尋ねしますが、今までにすでに秘密の了解事項というような、それは了解事項という形式はどうであろうとも形式を言うのではないのですが、それはないわけですか。
#9
○委員長(佐藤尚武君) それでは只今から外務委員会は秘密懇談会にいたします。速記をとめて下さい。
   午後一時四十五分速記中止
   ―――――・―――――
   午後一時五十七分速記開始
#10
○委員長(佐藤尚武君) それでは速記をつけて下さい。これで秘密懇談会を終ります。そのほかにまだ御質疑がございましようか。……質疑はないものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。これより討論に入ります。意見のあるかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言はございませんか。……別に御意見もないようでありまするから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○委員長(佐藤尚武君) では討論は終局したものと認めます。これより採決に入ります。
 日本国とフイリピン共和国との間の沈没船舶引揚に関する中間賠償協定の締結について承認を求めるの件につきまして、これより採決に入ります。本件を承認することに賛成のかたの挙手をお願いいたします。
   〔賛成者挙手〕
#13
○委員長(佐藤尚武君) 多数であります。よつて本件は承認すべきものと決定いたしました。つきましては本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつて多数意見者の承認を得なければならないことになつておりますが、これは前例通り委員長に御一任願います。
 それから本院規則第七十二条により、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を付することになつておりますから、本件を可とされたかたは、順次御署名を願います。
 多数意見者署名
   小瀧  彬  鶴見 祐輔
   杉原 荒太  徳川 頼貞
   高良 とみ  加藤シヅエ
  ―――――――――――――
#14
○委員長(佐藤尚武君) 次に日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。質疑のあるかたの御発言をお願いいたします。
 御参考までに申上げまするが、この日華間の議定書は衆議院では本日の本会議で採決されることになつておるそうでございます。
 それではこの日華平和条約に関しまする質疑はこの次の機会にまで延期いたします。
  ―――――――――――――
#15
○委員長(佐藤尚武君) 次に日本国とアメリカ合衆国との間の友好通商航海条約の批准について承認を求めるの件を議題といたします。
 質疑のあるかたは御発言をお願いいたします。
#16
○加藤シヅエ君 昨日承わりました第八条第二項の留保のいきさつにつきまして一通りの御説明を伺いたいと思います。
#17
○政府委員(下田武三君) アメリカの上院はすでに日米通商航海条約を可決いたして、残るのは大統領の批准だけという段階に到達いたしたのでありまするが、上院の審議の過程におきまして、米国の或る州におきましては公共上或いは保健上の見地から一定の職業は米国人だけしかやることができないということをきめておる州があるのでございます。そこで第八条の二項がそのまま適用されますと、そういう米国人だけに就業を認めておるような州でもこれを日本人に許さなければならないということに相成りまするので、上院の議員側からやはりそういう職業は依然として米国人だけが行えるようにしたほうがいいという議論が出まして、結局その意見が多数を占めまして上院の附帯決議がとられたのであります。これは何も日米通商航海条約だけを目標といたしたのではございませんで、同時に審議されておりますほかの六通商航海条約につきましても全く同じの附帯決議が付されたのであります。
 そこでこれらは米国の批准権者は大統領でございまするが、大統領がいかなる措置に出るかという点はまだわからないのであります。なぜかと申しますと、先般NATO条約の審議の際にも上院は附帯決議を付しておるのであります。それは裁判権を今後接受国側が一定の範囲内で行使することになるのであるけれども、米国の軍人が外国の裁判所で裁判されるに当つてアメリカの憲法が保障しておるような人権擁護の規定に欠くることがあつてはいかん。そこで裁判にはアメリカの立会人を付して、そうして若し人権の保護に欠くるようなことがあつたら、直ちにアメリカ本国政府に報告して必要に応じ当該国政府と外交交渉を行なつて人権の保護の全きを期するようにして頂きたい、という附帯決議がなされたのであります。ところが大統領はNATOの条約の批准をいたしまして、即日国務省に寄託をいたしたのでありますが、大統領は批准をいたしますに当つて何ら留保していないのであります。でございますから米国側がこの日米通商航海条約に対して付しました附帯決議をそのまま履行するか、批准書を寄託の際に留保するかという点はまだ未確定の問題なのであります。併し在米大使館の内報によりますと、やはり留保することが可能であるような交渉を今いたしておりますので、更にもう少し交渉をいたしまして、一体大統領は批准することに留保をはつきりつけるのかどうか、若しつけることになりましたら、これは日本側としても対抗上、同様に日本臣民に対してそういう職業選択の制限をしておるアメリカの州の出身者に対しては、日本でも当該職業に従事することを禁止し又は制限する権利を留保する、という措置をとりませんことには均衡がとれないことになりますので、実はそういうことも考えておるのでありまするが、何分まだアメリカ側の意向がはつきりいたしませんので、今の段階におきまして向うの留保も、又それに対応してこちらのなすべき留保も確定的なことは申上げられないのであります。ただ現在までの事実をありのままに御報告をいたしまして、若し将来正式に大統領が留保を付するということになりましたら、これも日本の批准権者は政府でございますから、それに対応する措置をとる考えでございまするが、それは今会期中には間に合わないかと存じますので、私どもといたしましては、米国の上院がなしましたように批准案自体に御承認願つておきまして、あとの留保すべきか否か、或いはいかなる留保をすべきかという点は政府側にお任せ願いまして、留保の結果条約の内容に実質的に影響を及ぼすようなことがございます場合には、改めて次期の国会に報告なり或いは正式の御承認を求めることになるかと存じます。只今遺憾ながら会期末に当りまして事態が正確にわからないことが残念でございまするが、その点が実は問題でございまするが、ありのままに申上げまして御了承を得たいと思うのであります。
#18
○加藤シヅエ君 その制限を付している州はどこの州かわかつておりますか。
#19
○説明員(小田部謙一君) 主な先ずどういうものを制限しているかという点につきましては、弁護士についてはすべての州において禁止、アメリカ人でなければならないということになつております。その他公認会計士についてはすべての州において、医者、教員、歯科の医者については大部分の州において、登録看護婦、視力測定師、マツサージ、獣医師、汽缶検査員と申しましてボイラーを検査する者、私立探偵、航空パイロツトについてはそれぞれ若干の州において留保をいたしております。
 今申上げましたところをあれしますと、例えばアラバマ州におきましては弁護士と公認会計士と視力測定師がなつております。アリゾナ州においては弁護士と公認会計士と歯科医、カンサス州においては弁護士と医者と登録看護婦、カリフオルニヤ州につきましては弁護士と先生、公認会計士、登録看護婦というふうになつておつて、これはずつと各州についてそれぞれございますが、大体そういうようなところで御了解願います。
#20
○加藤シヅエ君 そうしますと、日本の政府でもこれに大体順応したような制限をこちらでもしようというお考えでございますか。
#21
○政府委員(下田武三君) 若しアメリカ大統領が明確に留保を付するということが判明いたしました場合には、日本も対抗的に留保をなすことにいたしたいと考えております。
#22
○加藤シヅエ君 その場合には、この州から来た人だとかいうことで特に州出身ということに条件がつくのでございますね。
#23
○政府委員(下田武三君) これはアメリカ人全部を禁止し、或いは制限することになりますと、アメリカのやつていることに対しまして均衡を失することになりますので、やはり或る州で或る職業をなすことを禁じ、或いは制限している場合には、その州に住所を有する者に対してのみ当該職業に従事することを制限し或いは禁止する、そういうことにいたしたほうが適当だろうと思うのであります。
#24
○高良とみ君 関連質問ですが、そういう場合に、その州に居住すると言いましても随分移動もあることでありますし、結婚等のためにほかの州の籍に移ることもあると思うのですが、今まで例えば日本に来て医師をやつていた、或いは教師をしていた人が、宣教師等で、そしてほかの州に移つた、ところがその州では、たまたまそれがアリゾナであつたとかアラバマであつたために、そこでは、まあ恐らくこのことは一例でありますが、そのために又その教師たる職業を日本において禁ずるというようなことを考えておられるのでしようか。
#25
○政府委員(下田武三君) この点はアメリカの上院の附帯決議でも、各州の免許制になつておる職業というわけであります。公共的或いは公衆保健の見地から免許を必要とするのでありまするから、みんなライセンスをそれぞれの州で持つておるわけであります。だから実際はアリゾナ州でやつておりながら、それを禁じていない州の出身だと偽わつて日本側でやろうとしましても、ライセンスを見せなさいと言えば直ちに偽わりがばれるのでありますので、その点は向うも免許職業に限つておりますから、その点のずさん、穴は塞ぐことができると思つております。
#26
○高良とみ君 条約は成るべく平等であつたほうがいいのですが、そういう場合に報復的な意味で、向うのような州の立法が相当大きな区域であり、又それにいろいろな保健或いは教育、人種上の伝統や都合で以てそういうものを作つていて、まだ未発達の所もありましようけれども、それを日本のような一つの州にも足らないような国でそれをその国の免許状を持つていないからというようなことにするよりも、むしろ日本は日本で、教職員の免許の基準に従つて、向うの大学の課程はどういうものを持つているとか、医師の資格がどうだとかいうようにやつて行くほうが非常に自主的であるのじやないか。こう思うのですが、各州で違う免許法を持つている事情も知り、又それが随分いい加減な立法があることも知つておりまして、そのほうが却つて条約の場合に……、この条約に関してもそういう点でどうなんでしようか。
#27
○政府委員(下田武三君) 御尤もと存じまするが、日本は対抗措置を考える場合に二つの方法があると思うのであります。アメリカで或る州で一定の自由職業を禁ずるその立法事由は、公共の利益ということ、或いは公衆の保健というような理由から禁じておるわけです。でありますから日本側でもそれに対抗して留保して、日本でも公共上の見地、或いは公衆保健上の見地から一定の外国人に職業を禁ずることができると、そうして政令で以て具体的に国を指定するという日本の国内立法の考え方もあると存じます。併し新憲法下におきまして職業の自由ということは、最も世界でも稀なくらいに門戸開放主義の、内外人平等に就業できるようになつております。憲法二十二条には公共の安全を害しない限り職業選択の自由を有すると書いてあります。でございますからアメリカの或る州の人間だけに対して或る職業に従事することを禁止することは、憲法二十二条の職業選択の自由に反するのではないかという考え方もありまするが、併しながら憲法のこの職業選択の自由は、国際慣例として、或る国が他の国から不利益を与えられた場合にそれに対抗して同じような不利益を対抗措置としてとるという、国際慣例に認められた措置までも憲法は禁じておるとは私どもは考えられませんので、従いまして先ほど申上げました具体的に或る州の或る人間というように指定する行き方と、只今申上げましたそうは言わないで日本でも公共上の見地から外国に職業を許すという二つの考え方がございますが、現在問題になつておりますのはアメリカの日本に対する措置に対抗してそれとバランスの合つた措置をとるということでございまするから、私どもは二つの考え方のうち先ほども申上げました前者の考え方が妥当ではないかと今のところ考えております。
#28
○加藤シヅエ君 あの第八条の第二項でございますが、自由職業の問題でございますけれども、学生のアルバイトというようなことはどういう自由職業という中に入りますでしようか、どういうところに入りますか。
#29
○政府委員(小滝彬君) 日本の学生が向うへ入国いたしますときには、この条約で言えば条約商人、条約投資家のほか、その他学生として入つて来るわけでありますから、ですからあすこの入国の法律から言えば、アルバイトはその目的に合致しないものであつて許されない建前になつておるわけであります。併し事実上は大目に見ているようでありまして現実にやつておりますが、厳格な解釈から言うと学生は飽くまで勉強をするために許可を受けているのでありますから、アルバイトをするためには学生は行けないということになつております。
#30
○加藤シヅエ君 そういたしますと、日本でもやはり学生がアルバイトをしてはいけないという建前になる、認めないという建前になるのでございますか、アメリカ人の学生が日本に来た場合に。
#31
○政府委員(小滝彬君) 日本では現実のところ入国管理令が厳重に適用されていないと申しまするか、現実の問題として禁止はしていない。従つて実は南方から来た留学生も仕事を一部しておるものもあるようでございます。
#32
○高良とみ君 先ほどの条約局長のお考えでありますが、二つの考え方があるときに、やはり国際慣例として、片一方の国がしたことを、如何なる国の憲法或いはサイズ(大きさ)或いはその国の実情等を考慮せずに報復的にやるというようなことを、若し国際慣例としてやつて行くというようなことは、相当端的に言えば野蛮なことだというふうに考えられる。そういうようなところが若し二つを選ぶ自由があるならば、如何に外国の一つの州で以て医者の資格がありましても、その資格が州によつて違う場合にも、日本人は日本人として医者なり看護婦なり教師なりには一定の訓練と教養を要求しておるのですから、そういう自主的な立場において十分な教育を受けているか、或いはインターンその他を十分にやつているかどうかということを要求してやるべき態度に出られるほうが、将来の国際間において数等上であると考えるのですが、そういうふうにお考え直される余地はないのでしようか、もう一遍伺いたい。
#33
○政府委員(下田武三君) 日本でも外国人が、例えば医者とか弁護士のような職業をやろうとする場合に一定の資格がないと許さないのであります。ところがアメリカが現にやつて今後留保しようとすることは、日本人が弁護士試験を受けて合格して資格を得たといたしましても、アメリカ人でないということだけの理由でこれをやらせないということなんであります。そこに私非常に不公正な点があると思うのであります。でございまするから、たとえば優秀な弁護士なり医者なりの資格を持つておりながら、日本人であり或いはドイツ人であるが故にこれをやらせないというのがアメリカの措置でございまするから、これに対しましてはやはり日本側も対抗の措置をとるほうが国家の体面といたしましてはいいのではないかと思います。ただもとよりこれは日本が将来留保宣言をいたすにいたしましても、対抗措置をとる権利を留保するということだけ言えばいいのでありまして、何も全部禁止するという建前にする必要はないと思います。ただ対抗する権利を留保するということがかんじんだろうと思うのであります。現に聖路加病院のお医者さんだとか、学校の英語の先生とかいうので、これを禁止してしまつたら日本でも困る職業のあることも事実でありまして、そういうのはこれは引続きやらしておけばいい。結局日本人であるがためにそういう不利益をなさんとする国に対して、対抗上これに対抗し得る権利だけを留保するということは最小限度必要ではないかと存ずるのであります。
#34
○杉原荒太君 上院の附帯決議の内容を正確に知りたいのですが、どういうことですか。
#35
○政府委員(小滝彬君) 翻訳ですか。
#36
○杉原荒太君 翻訳というよりも私の知りたいのは、正確な内容というか、実体を知らんで論じても困るからその出発点を確実にしておきたい。
#37
○政府委員(小滝彬君) 今それではお配りいたします。これはまだアメリカ政府として確定しているものではございません。
#38
○高良とみ君 これを一つ英文で頂きたいのですが。
#39
○政府委員(小滝彬君) 一部しか持つて来ておりませんから、じやゆつくり読みます。
 Article 8, Paragraph 2, shall notextend to professions which, because they involve the performance of functions in the public capacity or in the interest of public health and safety, are stat-licenced and reserved by statute or constitution exclusively to citizens of the country, and no most-favored-nation clause in the said treaty shall apply to such professions.
#40
○杉原荒太君 今配付してもらつたのを見ますと、ここで留保の関係が生じて来るというのは、つまり自由職業の中でこうこうこういうものはという中の前段のほうではなくして後段のほうだけですか。前段のほうまで含まれるわけですか。且つというので、要件がつまり前のほうの要件とあとのほうの要件とありますね。それだからこれは後段のほうのつまり「法令又は憲法によつてもつぱら当該国の市民にのみ留保されるもの」、これだつたら、つまりここのみだつたら第八条の第二項の前段と抵触して来るのではないか。それだからこれをやろうとすればここに留保しなければならんということになつて来るのだが、前段のほうも向うでは留保しようという意味ですか。これはどうなんですか。
#41
○政府委員(下田武三君) その点私も杉原さんと同じような感じを持つのでございますが、或いはアメリカ政府が若し正式にやる場合には、これは許可ということは問題ないので、日本人でも許可を受けてやれるならやれるというので、結局第八条第二項とは直接関係のないものである。いわゆる上院の議員の発議でございますから、多少その点要らない点まで伏せておいてあるのじやないかという感じが実はしておるのであります。
#42
○杉原荒太君 それだからつまり条約の問題としては後段のところだけが問題になるのでしようね。前段でいろいろ資格要件をきめるというようなことは、これはこの条約でちやんと認めておる。各国内法で今のような問題は生じない。それから向うで留保する本当の厳密な意味での留保ということになれば、これは当然我が方でも留保しなければならないと思いますが、それで留保という内容は、条約局長が言われたような留保の仕方というものは適当であろうと思うが、その場合にはこれに対抗する権利を留保するという場合でも、言うまでもなくこれはこの八条の第二項の内容を変更することになるのだから、権利義務の関係の実質が変つて来るから、これは当然に一つの新しい条約になつてくるわけですね。従つてこれは当然あとで国会の承認を、先ほども言われたように得るということになるものだと思う。ただちよつと、さつきの報告するか又は承認か、私はこれは当然承認でなくちやならん性質のものだろうと思う。
#43
○政府委員(下田武三君) アメリカ側が、大統領がこれに即応する留保を付し、日本もそれに対応する留保を付するようになりますと、条約の規定を実質的に変更することになりまするから、やはり国会に正式に付議いたしまして御承認をお願いするということになると思います。
#44
○委員長(佐藤尚武君) 外国の実例はどうなつておりますか。というのは諸外国とアメリカとの同種の条約の中で、アメリカがこういうような留保を付した場合にその相手方の諸外国は必ず日本が主張しているような反対の留保を付しておるのが通例でありますか。若しくはアメリカの留保を聞きつ放しで自分のほうは何にもしないでうつちやつておくというようなこともありますか。
#45
○政府委員(下田武三君) 日本以外にドイツその他の六カ国も全く同じ留保の対象になりますので、それぞれの国の在外公館を通じて調べる措置をとつておりまするが、恐らく日本と同じ考えを持つのではないかと思います。
#46
○高良とみ君 但し只今の委員長からお話のあつた場合にも、例えばデンマーク人とかコロンビア共和国人、イスラエル人などは向うに帰化する場合に非常な日本人と違う優先権を持つていると思うのです。ですから、数年の居住によつてそこに市民権を獲得して、その州の人として又そこの州の規定する私権を受けることもできるのですが、それは日本人の場合は百八十名くらいしか移住の、国籍を変えて行く権利がないのですから、よほど違うのではないかと思うのですが、どうなんですか。こういう友好条約にちやんとデンマークもコロンビアもイスラエルもつけるというふうにお考えになりますか。
#47
○政府委員(下田武三君) 百八十五名はイミグレーンヨン・ポーターでありまして、毎年入り得る人間の数でございまするが、日本も現在アメリカにおいて市民権の獲得有資格者になつておりまして、その点はドイツ人やデンマーク人と全く同じ地歩になつております。従いまして例えば土地を取得するにしましても、市民権の獲得有資格者として前よりも非常に有利な地位に立つております。その点はドイツ人、デンマーク人等とアメリカの国内法上差別的な待遇を受けることはないと思います。
#48
○高良とみ君 併しデンマークとかほかの国は、非常に移民の率が多いものですから、そのためにその中へ入り込んで市民権を獲得するのが日本人の場合よりも非常に早いと考えるのですが、それは違いますか。
#49
○政府委員(下田武三君) まあ結局数の違いだけであつて、ステータスの違いではない、かと思います。
#50
○高良とみ君 そうして見ると、この第八条の二項というものは、今後根本的な改訂を予想されておる、これはまだ不確定な草案と考えて扱つておくより仕方がないと思うのですが、如何ですか。これをこのままで承認して、そうして又あとでアメリカのほうでそういう留保があつた場合には、又更にこれを改訂の件というふうにして持つて来ようというほど急いでおるのですか。
#51
○政府委員(下田武三君) これは前にも御説明いたしましたように、日本としてはまあ一日も早くこの条約が実施されませんと、現に非常な大きな不便があるのでありまして、一番困りますのは日本の商社の支店がアメリカにたくさんできておりますが、現在三カ月の一時旅行者として入つて、三カ月じやとても短いので更に延長を求める。この三カ月の延長を一回くらいは認めておりますが、二回目となるとこれは非常にむずかしくなる。それからそのために更に大きな不便がありますが、現在中南米諸国との貿易を伸張しようといたしますと、ニユーヨークにおる日本の商社の人間が近いですから、行つて視察なり商談なりに行くのが一番いいと思いますが、ところが中南米諸国に出ますと、出たが最後又ニユーヨークの支店に帰つて来るともうすでにチエツクされてしまうということで、単にアメリカのみならず全体がこの不便の対象の地域になりまして、そういう関係も一つございまするが、日本といたしましてはできるだけ早くこの条約を実施することにいたしだいと思つております。
 そこでアメリカの上院も附帯決議を付しまして結局あとは政府側に任せておりますので、日本側におきましてもこの条約は条約として一旦早く御承認を願つておきまして、あとアメリカ側の措置が明確にわかりました場合にこちらも措置をきめまして、それで第二段の段階として、それについて国会の御承認を得るということに是非お願いしたいと思います。
#52
○杉原荒太君 この留保に関すること以外の所にもずつと入つて行つてよろしいでございましようか。
#53
○委員長(佐藤尚武君) どうぞ。
#54
○杉原荒太君 この条約上アメリカが移民に対して制限し得るというその根拠規定になるものは、この条約上からすればどの規定と考えておるわけですか。
#55
○政府委員(小滝彬君) 入国については第一条に記載されておりますがその第一条の第一項のうちの(a)のほうが条約商人、それからその次の条約投資家、その次に出ておる「外国人の入国及び在留に関する法令の認めるその他の目的をもつて、他方の締約国の領域に入り、及びその領域に在留することを許される。」これが移民に該当することであると了解しております。
#56
○杉原荒太君 私もこれを読んでおつて、それで行くか或いはこの第一条の第三項で行くのかどつちか、第三条、これは少し無理じやないかと思つておつた、まあそれだと。ところがこの文言の解釈からすれば、前のほうの第一条の第一項の(a)、(b)、(c)とあつて、この(a)のいわゆる条約商人というのは商業活動を目的とする、それから第二号は投資活動を目的とすると、その目的を持つておれば入国を許されるのだからして、そうしてこれには何も期間の制限はありませんね。限定してありませんね。だから実質的に言うとこれでずつとやつて行けるようにとれるのだが、ここの解釈はどういうふうに…。これは勿論(a)及び(b)からして農業を営む目的を持つての移民はいかんということははつきりしておると思うけれども、併し目的が商業活動或いは投資活動であるならばそれは許される。少くとも文言を解釈すればそこをどう解釈するか。
#57
○説明員(小田部謙一君) いわゆる条約承認と申しますのは、(a)にあります両締約国の間の領域内における貿易を営み、若しくはこの貿易に関連する商業活動を目的とするということでございますから、主として貿易に関する、それから貿易に関連して例えば銀行とか、船会社とか、その他いろいろなものがございますが、少くとも貿易に関連しなければいけないというふうな解釈の仕方をとつております。ですから移民というカテゴリーを以て、日本との間の貿易を行う目的でありますれば当然この(a)には入らない。(b)の「相当な額の資本を投下した企業若しくは」云々とありますのは、これは今度の移民法が、新らしくマツカラン法ができまして、新らしくできた条項でございまして、これも主として貿易その他の関連事業に対するもので、それだけでは読めないものを、ここで拡張解釈しようということを主として思つておりますから、ひどく広い意味ではない、こういうふうに解釈しております。そういたしますと、移民に対するものはどうしても新法令によるというふうに思わなければならん、そういうふうな考えです。
#58
○杉原荒太君 今の貿易の目的を以て、而も貿易だつて、一時的の貿易だけでなく永住的にやるというので、営業の目的からすればですよ、ずつと自分たちは貿易に従事するんだということもあり得るでしようが、その説明では説明はつかんと思う。そうではないと思う。これは何じやないですか、アメリカの今までの通商条約に対する建前及びこの通商条約の解釈として、個々の入国滞在というようなものは、通商条約の適用範囲の解釈として、通商条約は普通入国滞在を許す場合は永住目的のものは含まないんだ、一時的の滞在のものだけだと、永住目的の場合と及び一時的の滞在とを区別して、そうして永住目的に対するやつは、通商条約の入国居住の条項の適用はないんだという向うに一貫したはらがある。そこから来ているんじやないですか。
#59
○説明員(小田部謙一君) 今杉原委員の言われました通り、条約承認のカテゴリーは実はこれはセミ・パーマネントと称しております。永住的の目的のやつはセミ・パーマネントということになるのであります。併しそのセミ・パーマネントになつておりましても、実際問題としましてはそれが何年というふうな規定はございませんので、まあ非常に意思の問題にかかつて来ますけれども、何年以上はセミ・パーマネントで永住の移民のうちに入るかというようなことは、今のところないように思われます。
#60
○加藤シヅエ君 ほかの条項で伺つてよろしいですか。
#61
○委員長(佐藤尚武君) どうぞ。
#62
○加藤シヅエ君 第十一条の第四項、これはどういうことなんですか、詳しく説明をして頂きたい。
#63
○説明員(小田部謙一君) 第十一条の四項を御説明いたします。
 第十一条の四項は一つの例をとつてみますと、日本の場合を申しますと第一物産がございまして、この第一物産の支店がアメリカにある、かような場合に税金をどうかけるか。或いはパン・アメリカン・エア・ラインズのほうの本店がアメリカにありましてそうして支店は日本にある。かような場合に税金のかけ方によりますと、支店で以て本店の利益までもどの程度とつてしまうのかというようなことが問題になると思います。その場合に第一物産に例をとつてみますと、日本に本店がありますから日本においても税金はかかる、それからアメリカに支店がありますればアメリカにおいても税金がかかる。その場合にこれを適正に割当てられ又は按分された税金だけをかけてそのほかはかけないという原則が書いてあるのであります。これは今日米間に交渉いたしております日米租税協定のほうにこれの詳しいことが書いてありまして、その場合に支店を設けても特にその支店のほうで利益が少いように計算した場合とか、そうじやなくその反対の場合とかいろいろそういうふうな規定がございまして、おのおのそういうふうな両方に利潤の発生の地がまたがつているような場合にどうするかというそのプリンシプルがきめられているのであります。
#64
○加藤シヅエ君 こういうようなことはどうなんでしようか。例えば貿易をしている商人のかたがアメリカに行つて利益を得た、これはどういう形の利益か知りませんが、その利益を得ることによつてアメリカで源泉徴収のような形で、アメリカの国内における税制によつて一定の税金をそこで払つて、それでその残りのお金を日本に持つて帰つた場合には、日本ではこれはもうこの条約とも何にも関係ないのですか。
#65
○説明員(小田部謙一君) この条文では直接そこから出て参りませんけれども、今の日米間における租税協定によりまして、或る人が、例えば日本人がアメリカに行きまして、そのうちでも月給から税金を出すとか、それから株券を持つているとか、人に金を貸して利子をもらうというときにおのおの取り方が違いまして、給与は例えばアメリカが原則として取る、残つたものは日本に例えば送られても引かない、それから株式配当の場合にはアメリカで或る程度かける、それから日本へ持つて来たときにも或る程度かけますが、その合計額が或る程度以上は超えない。そういうふうにおのおのどこど主に税金をとるかという規定が租税協定の中に入つております。それによりまして二重にとられることのないように、それから又反対に両方が免除してしまつて両方から税金がとられないということがないように規定いたしておりました。併しこれは第四項から直接出ては来ませんので、現在交渉中の日米租税協定に商行為とかいろいろ分けて詳しく書いてあります。
#66
○高良とみ君 私もちよつと質問があるのです。二十一条の「この条約は、次の措置を執ることを妨げるものではない。」といつて、そしてこれはあれですか、核分裂性物質とかというようなものはこの前こちらにお渡しを頂きましたバトル法の条項のことを言つておるんでしようか。それとも日本は、日本国内としてこういう措置をとることを妨げないというわけですか。
#67
○説明員(小田部謙一君) 二十一条にあります(a)から(b)までは、この頃できます国際協定には全部入つておりまして、例えばガツトの中にもその規定が入つておるわけでございます。この場合にはこのようなものに対する措置を、アメリカ側が例えば輸出したり何かするのを禁止するとか制限をする。それからまあ日本の場合には必ずしも今のところございませんが、その原料が発見されてもそれを輸出するとか輸入するとかということを、このいわゆる最恵国待遇とか自由にするとかという原則にかかわらず、二十一条で全部はずしておくという意味に解釈しております。
#68
○杉原荒太君 今のに関連しますから。
 この間、今の二十一条の中で第三項のガツトとの関係で、前段のところですね、ガツト協定で要求され又は特に許された措置をとることを妨げるものではないと、つまりこの通商条約の適用の範囲外だと、これだけは非常に大事な点なので僕は具体的にこれはどの条項の措置を指すのか、これは非常に大事な点ですよ、これは。ところがこういう書き方では実際わからないですよ。私もこれは随分研究してみた。併しね、これは結果によつて非常に権益の関係が違つて来るので非常に大事なんだ。それでそういう点で一々この書き上げたものを欲しいということで前から要求しておいたのですが末だにそれがない。これは何を意味するだろうというのを、私はこれを探すのにこれだけで1日かかつた。なかなかわからないのですよ、これでは。これは書き方が悪いんだ、実際を言うと。こういうふうに例外規定の規定の仕方では、率直に言うと私は悪いと思う。それだからこれはつきりさせなければいけないと思う。
#69
○説明員(小田部謙一君) お手許に差上げるべく今準備中でございますが、このうち「特に許された」というのは例えば……。
#70
○杉原荒太君 例えばじやわからないのだ。ほかのことならいいのだが例えばはわかつているんだ。一々挙げてこれ以外にはおりませんというようなことでないと、これは意味をなさないですよ。
#71
○説明員(小田部謙一君) 現在のところ、私たちがあれしたところでは、三条六項のゴムの規制に関するもので特に許されておるもの、それから十九条のエスケープ・クロースがございまして、事情の予見されなかつた発展により、且つ関税上の譲許を含み、この協定に基いて締約国が負う義務の効果により、産品がその締約国の領域内へ、その領域における同種の又は直接競争的な産品の国内生産業者に重大な損害を与え、又は虞れがあるような増加した数量で、及びそのような条件で輸入されているときは、その締約国はこの産品について又前記の損害を防止し又は救済するのに必要な限度及び期間において、その義務も全部若しくは一部停止すること、又は譲許を撤回し、若しくは修正することができる。この二つありますことが特に許されたものだと、今までのところは考えております。
#72
○杉原荒太君 だからいろいろのことを含めてこれだけだということを一つはつきり出して下さい。
#73
○高良とみ君 その二十一条の(b)項です。国際の平和及び安全の維持を守り保護するための「必要な措置」というのは、どういう措置をするのですか。
#74
○説明員(小田部謙一君) これは日米だけではございませんので、ガツトの協定にもこのものはありますが、これは例えば日米とアメリカとの間のこれは通商航海条約でございますから、日米間だけのことしか直接規制いたしませんので、今よく起つております問題は、例えばフランスがソ連圏へ対して戦略物資を禁止している。制限している。そのようは場合にフランスとソ連との間に通商航海条約がありまして、そしてこのような規定がございませんと、それは通商航海条約上のいわゆる最惠国待遇に対する違反じやないか。そういう問題が現在ヨーロツパで幾らか議論されていることがあるわけです。それで日米の間には将来そういうことは予想されないだろうと思いますが、これはまあガツトなんかにあるきまり文句なためにやられた。こういうことでございます。
#75
○高良とみ君 それは、一応安全の保持というのは別に両者が合意するとも何とも書いてないのですから、アメリカ側が日本に対してそういうものはどこへ輸出してはいけないとかいうような制限規定も含まれ得ると思うのでありますが、その次に来る、「自国の義務を履行し、」その義務の内容はどういうものなのですか。
#76
○説明員(小田部謙一君) 例えば、我が国は、サンフランシスコの平和条例によつて、国連憲章の原則を遵守することを述べ、国際連合憲章第二条に掲げる義務については、これを受諾している。従つて例えば「国際連合が憲章に従つてとる如何なる行動についても国際連合にあらゆる援助を与え、」そういうようなことを指していると思います。具体的に申しますれば、例えば国連で、これは日米の問題でございますが、国連で或る義務をとるというようなこと、或ることを禁止する、若くは制限するような勧告をする。そういうような場合にこれが生じ得るであろうと思つております。併し日米間においては必ずしも発生しないのじやないか。そういうふうに考えております。
#77
○高良とみ君 そうしますと、この二十一条の一項の(a)から(e)までの各条項は、これはガツトに加盟している国のすべての通商協定に入つていると言われましたが、そうすると、日本のように通商協定に入つていない国でも、これらは形式上ここに入れているんですか。それとも加盟するということを予測してこういうふうにちやんとひもでくくつてあるのですか。この点、これは、主に制限条項だと思うのですが、どうですか。
#78
○説明員(小田部謙一君) この二十一条一項(e)はガツトにはございませんが、従来こういうふうな先例がありますし、殊にガツトに関しましては今、日本は加盟国ではございませんし、この点もあると思います。それから又日本は、現在もガツトに加盟しようとして努力しておりますから、その点においてこれを置いといても別に差支えない。そういうふうに考えた次第でございます。
#79
○高良とみ君 そういたしますと、まあ、先ほど杉原委員から御質問のあつた三項の、極めて簡潔に言い廻してあるところの、僅かなるガツトの恩惠を浴するかも知れないというくらいなところでありますが、然るにこの一項は(a)、(b)、(c)、(d)に至るまでの制限を受けているわけなんです。で、その点は而もその言葉ずかいが「義務等は」でありまして、その義務の内容たるや、今ちやんと条項第何項は何と説明すると書いてあるからこそおわかりになるようでありますが、その点非常にガツトに加盟したと同じ義務を負つていると了承して差支えありませんね。
#80
○政府委員(小滝彬君) ガツトにも出ていると申しましたから誤解を招いたかも知れませんが、通商条約の例外規定というものは、ずつと私どもが二十何年通商条約を扱つている間中、始終付けたものでございまして、書き方がだんだん変つて来ているわけであります。この義務は、この例外規定というものは何も日本にだけ適用されるものでなしに相互に適用される。これだけは内国民待遇とか、最惠国待遇というものの例外になるのだということを規定しているわけであります。でありますから、今小田部次長ば日米間にはそういうことは起らんだろうというふうに申しましたけれども、私もそうは考えますけれども、通商条約は取りあえず三十年でありますが、この前の日米通商条約を考えましても、何十年も長い間実施せられるものでありますから、仮に日米間に面白くない事態が起つて、例えばアメリカに対してニツケルの輸出を制限する、アメリカにニツケルでは工合が悪いのですが、アメリカにない品物を輸出することを禁止しようということを大多数の国がきめて、アメリカに制裁処分をするような場合においてはこの(b)項が適用されて、日本とアメリカの間には日米通商条約はあるけれどもそうした集団的な措置をとつても差支えないということを規定したものであります。条約は非常に長い間有効でありまするために、こうした例外規定が国際的に広く設けられておるので、その例をとつたわけであります。
#81
○高良とみ君 そうするとこの中の(b)項ですが、この安全の維持に必要な措置というのは、具体的に言う場合にこれがMSAなどにもひつかかつて来るような、そういう安全の維持に必要な軍備等の措置、まあ自国の義務でありますから、それをさつきの国連憲章を守るという意味では、やはり相当広い範囲に(d)項はひつかかつて来る可能性があると思われますが、如何ですか。
#82
○政府委員(下田武三君) そういうような事態が起りまして日米が全然異なつたキヤンプに属するというような場合は、そうした集団措置に加わるためにこの通商条約を無視して、と言えば悪いのですが、この他の条項に規定されたいろいろな約束事にもかかわらず特殊の措置がとれるということを規定したものでありまして、日米間の関係がそういう全然別個の対立的な関係に立たない限り、こういうような日本側から言えばアメリカに対して差別待遇をする、アメリカ側から言えば日本だけ特にいじめるような措置をとるという事態は起らないわけであります。
#83
○高良とみ君 そういうふうな違うキヤンプに立つた場合ばかりでなく、そのために例えば国際平和の維持のために中国に対するところの輸出を禁止するような措置を片一方がとつたときに、それの影響を受けてそれに同調して行くというような義務がこの中に入りませんか。
#84
○政府委員(小滝彬君) これは日米間の通商航海関係を律する条約でありますから、他国に対して或る共同措置をとつてこつちが損をするか得をするかというようなのは、この条約の問題外でありまして、別個の取りきめをした場合、或いは日本が実際的に損することがあるかも知れません。そういうことはこの条約に規定してない、飽くまで日米間の通商航海条約でありますから。
#85
○高良とみ君 併しこの国際の安全とか国際のというふうなことが書いてありますから、それに対する自国の義務という点に、やはり先ほど御引用になりましたこの国連憲章を守るという点から言うと、この日米通商協定からも特定な国に対する輸出入の制限、まあ武器とか何と言いますか武器の類似品の輸出等はこの法からもやはり影響を受けることがあり得ると思いますが、MSAを別にしても、あるのじやないですか、どうですか。
#86
○政府委員(小滝彬君) これは条約の二十カ条にずつと書いてありまして、いろいろ相互間にこういうことはしない、最惠国待遇を与えるとか、或いは内国民待遇を与えるとか、そういうようなことが書いてある。その例外としてこういう場合があるということでありますから、この規定でアメリカに対してのみ協力して同一の歩調の措置をとらなければならんということは規定してないわけであります。でありまするから、これによつては影響を受けない次第であります。
#87
○高良とみ君 そうすると、これは主にガツト関係、そういう繋がりはあると了承しでよろしいわけですね。そのほかにはない、次の措置をとることには妨げるものでないと、こう了承いたしました。
 これは実際の問題を伺うのですが、やはりいろいろな国と通商航海条約を結んでいる国の国民といたしましても、なかなかこの頃出入国管理令がやかましく適用されておりまして、日本におりまする例えばフランスの市民等で音楽の教師とかピアノの教師とかをしておるような場合に、滞在期限が来ますと六カ月の延期がなかなか困難な場合があるのですね、実際に。それと同じ待遇を学校など済んだ日本人はアメリカにおいても受けているものと考えて差支えありませんか。それは自由職業でありますが、如何ですか。先ほど謳われた、自由職業につくことを妨げると書いてある。
#88
○政府委員(小滝彬君) 自由職業については特別にこの条約ができましても交渉はないわけであります。
#89
○高良とみ君 それに反して日本人などで随分海外に、ヨーロツパの国などに自由職業に従事して長年滞在をしておる人たちがありますが、甚だしいのは十年二十年というのがあるのですが、そういう人たちと、それから戦後日本に来ておる人たちが六カ月ごとに検査を受けるというようなこととの間にはどういう関係があるのですか。
#90
○政府委員(小滝彬君) 戦前から長い間おつた人は、戦争中にも居住を許された場合が少くないのであります。これは各国それぞれの立場できめることでありまして、通商条約でそういうことが保障されているからというのではなしに、先方の一方的な措置によつてやつているわけなのであります。戦後は日本も日本の法で、戦前からいた人は別として戦後来た人は一応外国でも三カ月とか六カ月という制限がございますので、そういう期限を設けて入国を許しているわけであります。併し日本はほかの国に比べれば比較的寛大な措置をとつているということが言えるのじやないかと思います。
#91
○高良とみ君 そうしますと、その人が自由職業に従事して、例えばピアノの先生であるとか或いは何かの楽団に従事しておつて生活の保障がある限りにおいては、日本の出入国管理令においても延長が許されておるのですか。これは法務庁の仕事かも知れませんが。
#92
○政府委員(小滝彬君) 詳細の取扱いを存じませんが、私の知つておる限りでも許されておる例を存じております。併し正確なところは法務庁に照会いたしましてお知らせいたします。
#93
○高良とみ君 はい、ちよつとお知らせ下さい。
#94
○杉原荒太君 この第四条の仲裁判断の執行判決を求める場合のところですが、丁度第二項の真中の辺ですが、「その契約に従つて正当にされた判断」云云から四行目くらいのところの「その判断についてその裁判所から執行判決の言渡を受けることができる。」と書いてありますね。これは仲裁判断の執行判決を求めるについてのその執行判決を受ける要件が、これだけのものを備えておれば、日米間の関係においてはそれで充足されるのだ、そういう意味ですか。
#95
○説明員(小田部謙一君) 詳細の御説明は条約局長が只今申上げるべきだと存じますが、さように存じております。これだけの条件を備えておればこの条約の限りで十分なものだと考えております。
#96
○杉原荒太君 そうであれば、これはむしろすぐ日本の民事訴訟法との関係になつて来るのだが、民事訴訟法において要求している要件がある。その中に相互の保障というのが一つの重大な要件になつていて、今まで相互保障の要件というものを欠くために、今まで非常に執行判決を求める場合に不便が多かつた。こういう規定を設ければ相互保障の要件を充足すること極めて明瞭になると思う。併しここにいろいろ要件を上げてあるが、ここに上げてある要件は、その内容において、日本の民事訴訟の要求している要件に合致しているものが非常に多い。併しこれだけさえ充足すればすぐ執行判決を与えねばならんということになるのか。つまり執行判決を受ける要件を充足していると解釈するのか。今の答弁によるとこれで充足しているのだと言われるけれども、それであれば私今ちよつと民事訴訟法の執行に関するところのなにを持つていないけれども、私のうろおぼえではもう少しは要件があつたと記憶している。それは私は当然必要なことじやないかと思う。これは又アメリカ側でも別に必要な要件があるのじやないかと思う。だからこれだけさえ充足すれば必ず執行判決の要件を備えているというのかどつちか。これでは明瞭でないからお尋ねしておきたい。これはすぐ実際問題が起る。どつちの意見なのか。
 それともう一つ。仲裁判決に関する国際条約、日本もこの間加入しましたね、あれとの関係なんかどうなるのですか。これは日本の民訴でも外国判決の執行の点が非常に不備なんです。仲裁判断もそうなんですよ。実際そこのところから非常にいろいろの具体的の問題が起つている、これはどつちの意味なのか。
#97
○政府委員(小滝彬君) 只今条約局長を迎えにやりましたから、あとで答弁させます。
#98
○高良とみ君 第三条の災害補償に関するものでありますが、この間もちよつと一般論でお伺いいたしましたが、例えば失業、疾病等の場合には経済上の需要を個別的に審査しないで給付を行う、強制的な社会保障制度を定める法令の適用について、内国民待遇を与えられるということは、この場合これが最恵国待遇を持つている国はみんなこれをやつているのですか、先ず第一に伺いたい。
#99
○説明員(小田部謙一君) 第三条の第二項は内国民待遇だけを規定しておりまして、特に最恵国待遇を規定しているのではないのであります。日本とアメリカとの間に、日本人がアメリカに行つた場合、又アメリカ人が日本に来た場合に内国民と同様にするということが規定してあります。戦後アメリカと結んだ条約では、おのおのその国との間に相手国と同じ待遇を受けるのだということを規定してあります。最恵国待遇の問題は何ら問題になつておりません。
#100
○高良とみ君 そうしますと、内国民待遇を与えられるというような場合は、この前お尋ねしたときはアメリカの失業保険制度、老令保険制度に従つて個別的には審査しないで給付を行う法律により内国民待遅を与えられると了承してようございますね。そうしますと、これを具体的に言いますと、例えば日本に来ておりまするアメリカ人が老令に達し或いは疾病若しくは失業した場合には、これはどうなるのでしよう。
#101
○説明員(小田部謙一君) 日本におきましては国民健康保険とかその他の法律がございまして、この概念は、つまり日本において例えばアメリカ人が働きますればそういうふうな税金をとられる。それから会社に勤めておりますれば組合とかなんとかの費用をとられる。そこで日本人が例えば健康保険を受けられる、それからその他のあれを受けられれば、アメリカ人も同じような待遅を受けてもいいじやないか、こういうふうな規定でこの規定ができたわけであります。ですから何もアメリカ人が、ただ老令のアメリカ人が偶然なチヤンスで来て日本に税金も払わない、別に組合か会社に入つてそういうふうな金を払わない。そういうような人に対してまで日本が内国民待遇、日本でありますとそういうふうな貧乏な人にはそういう法律がございましようが、そういうふうになものを適用しよう、こういうのではございません。
#102
○高良とみ君 そうしますと、別に組合に入らないでも先ほどお話のあつた学校の教師というものが、やはり給付の中から幾らか直接、間接の税金も払つておるのでありますが、そういう人たちに対してやはりこの保険は均てんして行くと了承してよろしうございますか。
#103
○説明員(小田部謙一君) ここでは日本の法律で参りますと養老年金、障害年金、失業保険法に基くもの、健康保険に基くもの、船員保険に基くもの、労働基準法に基くもの、厚生年金保険法に基くもの、そういうふうなものが全部入つております。ですからこれは別に外国人というものを適用除外しておりませんから、これに含まれるカテゴリーに属する限りは、これの給付を内国民と同じように受ける、こういうふうに考えております。
#104
○高良とみ君 ちよつと日米の関係とは違う実際の場合を持つているのでありますが、そうしますと、もう一つ次に中国人、中華国民に対しても、その人たちが今まで会社に働く、或いは税金を納めていた範囲においては、その失業保険或いは疾病等の保険がやはり与えられると考えて間違いありませんか。
#105
○説明員(太田正巳君) 中華の間の条約上の保障としては、そういうことは入つておりませんけれども、日本の現在の法律では外国人をこういうような保険においては別に差別待遇しておりませんから、条約の保障として均てんするわけではなくて事実上日本の法律によりまして受けているわけであります。
#106
○高良とみ君 実際のことを基礎にしてお話したいのですが、例えば生活保護法は如何ですか。
#107
○説明員(小田部謙一君) 詳細は存じておりませんが、少くともこの条約の関係においては困窮者に対する適用はないわけであります。よく調べてお答えいたしますが、或いは中国人の困窮者に対しても適用あるのかどうかわかりません。十分これは調べてお答えいたします。
#108
○高良とみ君 お調べになるときには台湾の中華国民に対してあるか、ないか、今後の条約等はどうであるか。それから、つまり条約がまだ結ばれてないそのほかの国の人、英人或いはドイツ人などの、そういう国の人に対して今までどういうふうになつておるかということをどうぞお調べになつてお聞かせ下さい。
#109
○杉原荒太君 この第七条の例の制限業種のことですが、ここに掲げたこのいわゆる制限業種、これは恐らく私の想像では、このここに掲げた業種については全然認めないということの権利もここで留保されておるものだと思うのだが、この文字解釈からは必ずしもそこが明瞭でないですね。これこれの企業を営むことができる限度を定める権利を留保する、とこうあつて、営むこと自体、そうして或る点認められる場合に、それの限度というようにもとれるし、それから全然の禁止はできないようにもとれるのだが、これの立法趣旨はどうなんですか。
#110
○説明員(小田部謙一君) これは条約の交渉のときもこの問題がありまして、制限は禁止を含むやということがありましたけれども、その限度を定めることでございますが、それが二〇%なり一〇%なり或いは〇%、そういうような禁止をも含むということで相互に了解しております。
#111
○杉原荒太君 それから更にそれの但書にいわゆるこの既得権の尊重というのは、実際問題としては私は或る程度既得権というものを無視するわけに行かんであろう、これを相互尊重して行くということは考えなければならんと思う。併し日米の場合には、実際問題としては占領中のああいう異常な事態において得られた権利というものがあるわけなので、これもそうだからといつてすぐいかんのだということは私は実際に合わんと思うけれども、そういうものはそういうものとしてやはり特別に取扱つて行くのがいいので、それだから条約の取扱いとしても個々の一般的な条約の中に織込まんで別にして、議定書なりの中に織込んで、そうしてそれの年限等を加減して私はそこで扱うのが妥当と思うが、交渉の過程においてはそういうことはやつてみたけれどもこれはできなかつたというわけですか。
#112
○説明員(小田部謙一君) 一番当初この案を討議いたします場合には、何となくこれは占領中の既得権をリーガライズするというような感じを受けるのでいやだ、法の原則として大体既得権は尊重をするけれども、そういうような感じを受けるのがいやであるということを相当我が方は主張したのであります。
 それならばその次の問題となつたのは、一体既得権がどれだけあるのかということが実は問題になつたのであります。そういたしまして討議して行きましたうちに、既得権に関しましては当時銀行については三軒しかない、支店を合計しますとでありますが、とにかくナシヨナル・シテイ・バンクとチエース・ナシヨナル・バンクとバンク・オブ・アメリカと三つしかない。そうしてそのうちのナシヨナル・シテイ・バンクは戦前にも一応許されていた、あらゆる預金まで全部許されていた。バンク・オブ・アメリカとチエース・ナシヨナルバンクは戦前にはこちらに来ておりませんでしたが、ナシヨナル・シテイ・バンクは戦前にも許されていた。つまり預金業務を外国人に許すということは、何も占領中に範囲を拡げたのではないというようなことのいろいろな議論があつたわけです。
 そのほかに、それならば制限業種にはまるもので占領中の既得権があるかということが問題になりまして、実はこれは各省で何かあるのじやないかということがありまして相談してみたのですが、事実上制限業種の株をごく僅かばかりアメリカ人が持つておる、而もそれは占領中に取得した制限業種の株券というのは、ごくそのうちの少いものである。そういうことがわかりまして、銀行に関しましては戦前もその業種に関しては許しておるのだという考え方、その他の制限業種は実際上制限業種における既得権は殆んどネグレジブルだ。そういうような関係がありまして、ここに置いておいていいのではないか、そういうことになつた次第であります。
#113
○杉原荒太君 今のお話も大体わかるけれども、例えばそのほかに例のナシヨナル・バルク・キヤリアなどもあるでしよう。ああいうのだつてすぐにこれがいかんのだとする必要はないけれども、そうしてこれはたしか大蔵省との契約はやつておるのだ。それなどはむしろそういう日本の国内法の法制の下においての保護を与えれば十分であつて、何も条約上更に裏打する必要は私はないと思う。既得権というけれどもそれはノーマルな状態において獲得した権利において言わるべきことであつて、ここに何も既得権と書いてないけれども、私これを条約上我々がなにするというのは少しどうかと思う。
 例の旧株取得のやつですが、あれは三年間だけ引続き制限をつけることができるというわけでありますが、これの裏として三年後には制限をつけることはできないことになるのでしよう。そういうことでしよう。
#114
○政府委員(小滝彬君) 実は本件についてこの前も私が答弁しましたので私からお答えいたします。原則として三年たてばもとへ帰る、今度旧株も取得できるというのが本来の考え方であります。ただこの前私は説明いたしましたときに、どなたかの質問について申しましたのは、併し我々の考えでは今後再評価もあるだろうし、増資もあるだろうし、又現に向うが持つているのは外国人全体ので、旧株に許可制度をとつている関係もありまするが、新株で自由に取得できるものでも百億程度のものであつてこの場合たくさんある五千億以上の全体の株から見れば僅かであるから三年たつて早急にふえるということもなかろう。殊に今まで外国人の株券の取得率を見ますると、大部分は送金の保証のついたもの、外資法によつて許可を得たものだけが大部分を占めておりまするので、そういう心配はないだろうから、三年たてば旧株も取得できるようになるであろうが、併し万が一にもそれを取得させるということが非常に日本の経済界に悪影響を与えるというおそれがあれば、この二十四条の規定によつで話合をすることも可能であろうというようにこの間申上げましたので、それを繰返しておきます。
#115
○杉原荒太君 議定書の十五項からすると、これは制限を課する条約上の権利というものは三年後にはなくなるのですね。そうしますと当然に日本の国内法は三年後には変えなくちやならんのですね。そうするとその意味において、これでつまり現行の国内法を変えるという立法の義務を負担しますね。
#116
○政府委員(小滝彬君) そういうように了解しております。外資法の旧株の取得に関する条項は変えなければならない。これを御承認願つたらそういう義務を負担することになるだろうと思います。
#117
○杉原荒太君 これなどは実際非常に、条約を結ぶとき国内法を変える場合との関係というのは、普通の行き方からすれば条約で国内法を変えなければならん結果になるものも十分あるだろう、そういう場合には必ずあらかじめ国内においては立法措置をとつて変える措置をとつて、然るのち条約の批准を求めるというのが普通の行き方ですね。又実際そうでないと不都合を生ずる。ところがこれなどはあらかじめ將来変更するというつまり随分先物をこちらから規定してしまう。そうして立法においては今度はそういう法律が出たとき国会は自由に議決権を持つているのだからそれを否決することもできるのだ。そういうときは、そうすると今度はその当時の政府は、日本としては一つの条約違反のような結果を招来して来る、非常にむずかしい問題が生じて来る。それだから実際これをやるときは、最も正直に言えば三年後にはこれを変えるという国内措置も何らかの方法でとつておかんとちよつと工合が悪い。それだからこういうのはもう少し違つた形式でやつておかんと非常に困ると思う。
#118
○高良とみ君 これに関連して、例えば連合国の駐留軍のいる呉などにおきましては、やはりその軍票等を使うのは外国の銀行でなければ工合が悪いのでしようか。そうすると駐留軍がいる限りはこういう外国の銀行がやつぱりついていなければならないというのが大体の建前になるのではないでしようか。そしてそれと共にナシヨナル・シテイ・バンクでも何でも外貨を扱うのが本来の仕事であつて、そのほかに日本の預金業務をも扱つておる、こういうふうに了承して間違いありませんか。
#119
○政府委員(小滝彬君) 為替業務を主といたしております。それに関連して投資などに関連する預金を取扱つている、本来は為替をやる……。
#120
○高良とみ君 なお伺いますが、ほかの国でもインド・バンクとかその他のバンクを持つておりますが、そういうものはやはり為替業務のみをやつている、それらを各国とも持つておりますか。例えばイスラエルだとかドイツだとかというふうな国は銀行を持つておりますかどうか。
#121
○政府委員(小滝彬君) 今ありますのは、アメリカのほうから行きますと、アメリカが三行、バンク・オブ・アメリカ、チエース・ナシヨナル・バンク、ナシヨナル・シテイ・バンク、それからイギリスのほうがホンコン・シヤンハイ・バンク、チヤータード・バンク・オブ・インデイア、マーカンタイル・バンク・オブ・インデイア・それからフランスが先ほど申しましたインドシナ銀行、それからオランダが二つございまして、ナシヨナル・ハンデルス・バンクというのとネーデルランドシユ・ハンデル・マーチヤツぺイ、中国がバンク・オブ・チヤイナ、インドがバンク・オブ・インデイア、それから韓国のほうがバンク・オブ・コリア、これだけあるわけであります。大体平等の待遇を与えまして、預金も許しておるわけであります。併し預金の額は非常に僅かでありまして、全体の外国の銀行が取扱つていると推定されるものは、これは銀行がはつきり発表しないのでわかりませんけれども、大体推定いたしますところ百二十五億ばかり預金を持つておるわけであります。日本の預金全体が二兆億円程度でありますから、ほんの寥寥たるものであります。併し外国の銀行の中にはこの百二十五億円のうち八十五億円の程度が米国の銀行でありますから、米国の銀行というものが相当重要性を持つているということは事実であります。
#122
○委員長(佐藤尚武君) それでは本件に関しまする質疑は本日はこの程度といたしまして、外務委員会はこれで散会いたします。
   午後三時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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