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1953/06/22 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 運輸委員会 第3号
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1953/06/22 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 運輸委員会 第3号

#1
第016回国会 運輸委員会 第3号
昭和二十八年六月二十二日(月曜日)
   午後一時五十分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     前田  穰君
   理事
           入交 太藏君
   委員
           植竹 春彦君
           岡田 信次君
           一松 政二君
           加賀山之雄君
           大倉 精一君
           大和 与一君
           木島 虎藏君
  政府委員
   運輸省海運局長 岡田 修一君
   運輸省船舶局長 甘利 昂一君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       古谷 善亮君
   常任委員会専門
   員       田倉 八郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○運輸一般事情に関する調査の件
 (海運及び造船の現況に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。
 運輸一般事情に関する調査のうち、海運及び造船の現況に関する件を議題といたします。政府から本件に関する現況等について御説明を願います。
#3
○政府委員(岡田修一君) 海運の一般事情、特に当面いたしておりまする船腹拡充の問題、それに関係いたしまする海運助成の問題と申しまするよりも、海運経営の基盤確立の問題、これにつきまして御説明申上げたいと思います。これまで当委員会で御説明申上げました事項と或いは重複するかと存じまするが、説明の便宜上改めて御説明申上げることをお許し願いたいと存じます。
 先ず第一に、外航船腹拡充の問題でございます。この件につきましては、お手許に外航船腹拡充についてという資料をお配りしてございますが、これを一度お開き願いたいと思います。外航船腹拡充につきましは、御承知の通り昭和二十五年度から本格的にこれが建造に着手いたしまして、毎年三十万総トンずつ今日まで建造して参つておるのでございます。併し、更にこれから述べます理由によりまして運輸省といたしましては、二十八年度以降四カ年間毎年三十万総トン程度の建造を進めて行きたい、かように考えております。ところが最近海運市況が非常に悪くなりまして、船会社の企業採算が思わしくないというところから、この外航船腹拡充についての再検討論が相当強く起つております。併し私どもといたしましては、日本の国民経済的観点から申しまして、外航船を今後予定通り拡充する必要がある、かような考えを強く抱いておる次第でございます。
 その理由の第一といたしましては、海運の拡充ということは、外貨獲得が、特に正常な貿易或いは正常な貿易外収入の確立ということが強く叫ばれて来ました今日、先ず第一に取上げなければならない問題であろうと考えるのでございます。その理由といたしましては、今申上げました一番あとの資料の別表(1)をお開き願いたいと存じます。これは昭和二十七年度の主要輸出品の外貨獲得状況を現わしたものでございまして、一番多いのが鉄鋼素材でございます。これが二億三千六百万ドル、その次が綿織物の一億五千六百万ドル、ところが鉄鋼素材にいたしましても、綿織物にいたしましても、その原料は海外から仰ぐ。従つてそういう海外から仰ぐ点を除きました純粋の外貨手取りがとういうものであるかというのが四つ目の外貨手取額に挙げてありますが、鉄鋼素材は二億三千六百万ドルの輸出に対して実際の外貨手取りは一億四千八百万ドル、綿織物は約半分の八千三百万ドル、こういう状況でございます。海運はどうかと申しますると、昭和二十七年度には一億八千六百万ドルの外貨手取りと外貨で払うべき運賃が節約されたもの、この両方合せたものでございます。これに対して海運の純粋の外貨手取りは七二%、実はこれは非常にシビアーに組んだ手取りでございまして、例えば船舶のうち鋼材が相当使われている、その鋼材に対して鉄鉱石なり、石炭が輸入されている、そういうものを運賃分から引き去るという点まで見ての外貨手取りであります。従つて実際は外貨で払うべきものとバンカー代その他でございまして、そういうものだけを考えますと、これは八〇%くらいになるかと思うのですが、非常にシビアーに考えても七二%の手取りになる。そうした場合の純粋外貨手取りは一億三千四百万ドルになる。従つて外貨手取りの点から申しますると、第一番の鉄鋼素材と殆んど同じであります。これを普通の観念で行くと、大体一億五千万ドル、鉄鋼素材と殆んど同じになる。第二位の綿織物と比べますると、遥かに海運のほうが多い。将来を見ます場合に、鉄鋼素材は成るほど二十七年度はアメリカの鉄鋼スト、その他で相当出ましたが、今後においてはそう期待できない。綿織物につきましては、後進国の軽工業化等によりまして、これ又今後の伸びもそう十分でないであろう。殊に一般の貿易につきましては、成るほど価格が高いという障害がありましようが、それよりも相手国の為替の制限、為替の管理その他政治的要因によつて伸びないという面が多分にあるわけです。ところが海運においては、これは世界的な一つの慣習ですが、絶対的に政治的な制限というものがそこに課せられてない。従つて競争における実力によつて食い込む。ところが国際海運上の競争力と申しまするものは、運航経費と、いわゆる直接船費、船員費、修繕費、そういうもので競争する。そういうことになりますると、日本の海運というものは船員費が割安だけに絶対的に競争力が強いということが言えるわけでございまして、将来の伸びという点においては一番有望であるということが言えると思うのでございます。且つ又、日本中心の輸送状況から見ましても、只今申しましたこの資料の第一頁の終りに書いてありまするように、戦前におきましては輸入物資の六〇%、輸出物資の七〇%を日本船で運んでおる。而も第三国間輸送に二六%、三〇%近いものが動いておつた。ところが二十七年度におきましては、一般物資については四二%、石油類は五八%、平均して四五%しか運んでいない。輸出物資については、僅かに三一%、三国間輸送には一三%、こういう状況でございまして、日本船がまだまだ伸びる余地があるということを示しておるのでございます。それから外貨獲得の点、その註にちよつと書いてありますが、西独におきましては海運というものを非常に重要視しております。これは最近におけるドイツの大蔵大臣の財政演説にもその点が強く強調されておるのですが、海運というものを外貨獲得という面だけで非常な助長策を講じつつあるわけでございます。ここにちよつと書いてありまするように、例えば財政資金は建造船価の四〇%まで融資する。その金利は、一般の金利が九分程度でございまするが、その財政資金の金利は四分、而もこれの償還は利子については、若し船会社が損失がある場合にはその損失の価格だけ猶予してやる。元金の償還も利益が出た場合のみ元金を償還するというふうな非常に寛大な条件の財政資金を融資している。更に又、一般の業者が造船に対してその利益を無利子で融資するというふうな場合に、その利益に対して課税しないということで、造船に無利子の金を吸収するという措置をとつております。ドイツは一昨年頃から外航船の建造が認められて来たわけですが、今日すでに百五十万総トンの外航船腹を持つております。来年にはこれが二百万総トン、更にその次には二百五十万総トンに達するであろうということを向うの責任者が言つておるのでございます。現在ドイツの造船受注量を見ましても、この一月には二百万総トン余りの造船受注量を持つております。そのうち、百万総トンがドイツの国内船の注文であるというところから、今の数字がうなずけるわけでございまして、丁度日本と同じ状況に置かれるドイツが如何にこの外貨獲得の面から造船に力を入れておるかということが言えるわけでございます。
 なお、この外航船腹拡充の必要といたしまして、日本の貿易振興のためには日本を中心とする定期航路の整備ということがそれに先立たなければならないであろう、戦前におきましては大体五〇%以上を日本船が占めておつたわけでございます。ところが今日僅かに二八%程度しか占めておらない。日本を中心とする定期航路に日本船が主導力を持つということによつて、その定期航路における同盟の賃率決定等におきまして、日本の輸出の振興ということを考えの中心に置いて決定するということが可能になるわけでございます。現在におきましては、日本の定期航路における勢力というものは非常に微弱なものになつておるということが言えるわけでございます。
 更にもう一つの理由といたしましては、今日まあ世界の情勢はやや安定に赴きつつあるとは申しまするものの、他面非常に不安な情勢も考え得るのでございます。若し世界の情勢に異変が起りました場合、日本に配船されております外国船の引揚げという事実が起ることはこれは明白でございます。例えば朝鮮事変後トルーマン大統領が非常事態の宣言をいたしました結果、日本の経済が船腹不足で如何に困窮の状態に陥つたかということは、記憶に新らしい状態でございます。従つて非常事態の場合に日本の経済が何とか運営できるだけの船腹を確保する必要があるであろうというのも一つの理由でございます。なおここにはこの海運面からする正面の理由のほかに、国内で船を造るということが即ち造船事業の維持ということに相成るわけでございます。御承知の通り、造船事業はいわゆる総合工業といたしまして、約二百種の関連工業を持つております。これに仕事を与えまするということは、日本の国内経済における景気振興、或いは中小企業対策又は失業対策、こういう面の効果は絶対見逃し得ないところでございまして、他にいろいろの国内事業がございましようが、造船のように多方面に関係を持つた、殆んどすべての日本の産業に関連を持つた総合工業というものは非常而少いんじやないか。従つてこの造船業を維持するという観点からいたしましても、相当の船舶を建造する必要があるだろう、かように考えるのでございます。
 そこでこの外航船腹拡充の目標でございまするが、先ほど申しましたように、昭和三十二年度を目標とする。従つて三十一年度までこの建造計画を続けるわけでありまするが、その三十二年度を目標といたしまして三十二年度における輸入貿易推定量、これは約二千九百万トンぐらいになつたかと思いまするが、それに対しまして戦前の率まで回復することを目標といたしまするが、これはなかなか困難でございまするので、少くとも五〇%程度日本船で積む、それから一般貨物、石油類につきましては八〇%以上を日本船で積む。と同時に第三国間配船につきましても、外航船腹の二〇%は配船するというふうなことを目標とする。同時に昭和三十二年度におきまして、一般貿易の入超が約六億から八億ドルに達するのではないだろうかという推定が、経済審議庁における作業で推定されておるのでございますが、海運において約二億八千万ドル程度を殖やしたい。それから日本を中心とする定期航路につきましては、戦前日本船が五〇%を占めておりましたが、少くとも四〇%まで占めるようにいたしたいというのが目標でございます。こういうふうにいたしました場合、或いは昭和三十二年度の所要船腹は二百七十七万総トン、これは貨物船腹です。これに対しまして、昭和二十七年度末の供給船腹、建造中のものも含んでおりますが、含めまして百七十三万総トン、不足が百四万総トン、油槽船につきましては八十二万総トン必要になるわけです。二十七年度末で五十五万総トンございまして、二十七万総トンが不足になるわけです。これに対しまして毎年三十万総トンずつ造つて行くのでございまするが、貨物船については二十三万総トン、不足船腹に多少の差がございまするが、これが外国船の購入その他が多少行われるであろう、かように考えるわけであります。それから油糟船につきましては七万総トン、合せて二十万総トン、こういうものを今後四ヵ年間に造つて行きたいというのでございます。
 ところで二十八年度の造船計画でございまするが、只今申しました計画通り、貨物船で二十三万、油糟船で七万総トン、計三十万総トンを造る計画を立てております。ところが、この中には、実は二十七年度におきまして貨物船を二十五万総トン、それから油槽船を七万総トン余り造る計画でございましたが、そのうち、貨物船につきまして二十万総トンの建造計画を実施いたしまして、あと五万総トンの建造量が残つておつたのでございまするが、二十七年度の資金計画といたしまして、その五万トン分に対する財政資金が支出困難であるというので、一応二十七年度の五万トンを打切りまして、それを二十八年度計画の中に含めて考えるというふうにいたしたのでございます。従いまして二十八年度造船計画三十万トンと申しておりまするが、実質は五万トン縮小になつて、二十七年度の五万トン分を含めて三十万トン、こういうことに相成つております。で、そのうちすでに貨物船の約九万総トンを実施いたしております。これは二十七年度の予算の開発銀行資金の余裕と、それから二十八年度になりましてから暫定予算の中にその所要資金を繰入れまして、九万総トンの貨物船の建造に着手いたしております。従つて今後貨物船において十四万総トン、油槽船七万総トンの建造を本年度中に実施する考えでございます。これは二十八年度の予算として、開発銀行の運用資金中約二百二十億が含まれておりますが、これが成立いたしました場合に、これの建造を決定するという考えでございます。ところで一応問題が残つておりましてこの二百二十億の予定の中には貨物船に対して財政資金を七割、油槽船に対しまして財政資金を二割、こういう予定で組んだのでございまするが、今日の油槽船の市況からいたしまして、油槽船に対する財政資金二割の融資では実行が困難である、これを四割まで引上げなければ実行できないという問題が残つておるのでございます。これは現在政府で提出しておりまする予算がそのまま成立いたしました場合、この油槽船の建造トン数を減らして四割に引上げるか、或いは工事を繰延べて四割の線を確保すると同時に、七万総トンの建造量を確保するという方法をとるか、いずれかの方法をとらざるを得ないわけでございます。そういう問題が残つておる次第でございます。
 今申述べましたのは、この船腹拡充計画についてでございまするが、冒頭に申述べましたように、現在日本の海運界は非常に不況に沈淪いたしております。日本の海運界が現在負つておりまする債務というものは、市中銀行並びに財政資金、合せまして約十四億でございます。お手許に配りました資料のこの海運関係資料というのをお開き願います。この海運関係資料の十表並びに十一表を御覧願いたいと思います。この十表では市中金融機関から海運に貸出しておりまする貸出の残高状況を出しております。二十八年三月末で全国銀行の設備資金貸出が二千三百四十八億であります。そのうち海運が五百八十六億を占めておりまして、約二五%、これは相当の率でございます。これは特殊銀行――勧銀、興銀或いは長期信用銀行、これが設備資金に千三百二十九億ですが、そのうち海運に対して二百六十一億、これが二〇%、十一大銀行、これが七百二十三億ですが、海運に対しまして二百七十二億、約三八%を占めております。
 その十一表では、財政資金の状況でございますが、十一表の下の表を御覧願いますと、財政資金と市中全部のものが掲げてございますが、旧公団持分、これは政府と船会社の共有船で政府の持つておる分でございますが、この分が百十七億、これは政府の持つておると申しますものの、丁度債権と同じようなものでございます。それから見返資金当時に外航船の建造或いは改造に貸しましたものが六百八億、それから開銀になつて貸しましたものと、それから復金時分に貸して開銀に引継がれたものが百十三億、財政資金が八百三十八億、それから市中銀行が先ほど申しました五百八十六億、それからそのほかに損害保険から四十七億貸しました、合せて六百三十三億、総計千四百七十一億、約千五百億近い金があります。
 これに対しまして現在の船会社の経理状況は非常に悪くて、タンカー会社は最近までといいますか、昨年の秋くらいまでマーケットが割合よかつたものですから、一応この三月期には利益配当をしているところがございますが、貨物船会社は殆んどすべて償却前の赤字を出しております。これは第九表を御覧願いますると、これは三月期における二十七年下期における船会社の配当状況でございますが、飯野海運だとか、或いは太洋海運、協立、三菱と、こういうタンカー会社は今申しましたような配当をいたしております。それから郵船とか、商船、三井、こういうふうな貨物船の大手筋は償却前に一億から四億以上の赤字を出しているという状況でございまして、今日三月期までは何とか利子の支払をやりくりして来たようですが、三月以降におきましては利子の支払すら困難なような状況になつて参つておるわけでございます。
 そこで運賃の状況でございますが、今申しました資料の第一表、それから第二表を御覧願えればわかるのでございますが、運賃は、貨物船につきましては昨年の三月頃から急に下つて来た。タンカーもどんどん下つたのですが、タンカーの本格的値下りは昨年の十一月頃からであります。それにこういう世界的な運賃の市況下におきまして、諸外国の海運会社はどうかということでございますが、欧米の海運業者は案外平気な顔でおるのであります。今日こういうふうに運賃が悪くなつて来たけれども、英国或いは米国あたりの海運会社は非常に平静な状況でこの運賃の悪い状態を眺めておる。むしろ英国の船会社あたりはこういう市況が或る程度続くほうが自国海運にとつては有利だというふうな考え方すら持つておる。むしろこういうふうな市況下に非常な苦しい状況を続けておるのは日本海運だけの状態でないかということが言い得ると思うのであります。
 なぜ日本海運がそういうふうな苦しい状況に坤吟しておるかという理由といたしましてこの第三表をお開き願いたいと思います。この第三表の御説明に入ります前に、英国或いはノルウエー、スエーデンという外国の海運会社というものは、この第一表、第二表にも出ております。第三表にも出しておりますが、この運賃の指標で御覧になりまするように、一九四六年乃至四七年にかけて非常に運賃のいいときが出た。海運のブーム、それがずつと下りまして、朝鮮事変前には相当運賃が下つた。それが朝鮮事変で又よくなつて来た。欧米の海運会社はこの運賃のいいときを二度も満喫したという、而もそのときに英国は余り助成策をとらない国ですが、併し運賃が非常によいときに儲けた金を新造船に投資させるために、新造船価に対しましては一挙に五割近い償却を見ておるというふうなことで、非常に業態が安定しておる。更に英国は後ほど述べますが、日本では戦時補償の金がすべて打切られたのに対して、約一億六千万ポンド余りの、日本の金にすると二千六百億余りの戦時補償の金をもらつたというふうなことからいたしましてその経営の基礎というものが非常に安定しているということが言えるわけです。ところが日本の海運は戦争で殆んどすべての船を失つた。開戦当時六百三十万総トン余りあつた。戦争中に三百四十万トン造りました。ところが戦争で八百数十万トンを失いまして、終戦当時百三十万総トン余り残つておつた。ところが残つておつたと申しますものの、そのうちの大部分といいますか、非常に多くのものが或いは欄坐したものだとか、大破したものだとか、こういうものを含んでおりまして、実際に動ける船は六、七十万総トンしかなかつた。而もその大部分が戦時標準型なのです。或いはE型船だとか、こういうふうなものでございました。従つてこの表にありまするように一九五〇年、二十五年三月において持つておりました外航船腹というものは僅かに十二万九千トンでございます。而も戦争中に失いました船の代償として得ました二十五億余りの金が戦時補償で打切られた。で、その後における外航船というものはすべて借入金で賄わなければならなかつたというところに日本海運の非常な弱みがあるわけです。而もその船の建造が朝鮮ブームの始まる直前から始まつて、そうして実際殖えたのが景気が悪くなつて来てから船腹が殖えたというところに非常に苦しい原因があるわけであります。この表で御覧願いまするように、運賃が非常に高かつた昭和二十六年には僅が七十万総トンしかない。これがどんどんと下り坂になつてから百六十五万総トンに殖え、今日では二百四万総トンになつたので、運賃ブームの恩恵を殆んど受けていない。而もこの船の建造或いは改造は、全部借入金によつて賄わなければなりません。而もその借入金が、財政資金については金利七分五厘、市中金利につきましてはこれは一割一分、平均約一割、こういう高金利の金で賄わさるを得なくなつたというところに非密な日本の海運の苦しみの原因があるわけです。如何に金利が日本海運の大きな負担になつておるかということは、第五表を御覧願いますると、これは日英の新造船を仮に北米太平洋岸と日本間の小麦輸送に使うとした場合の経費を比較したものでございます。この1というのは、日本の船の金利を全部五分にした場合、2は金利を七分五厘にした場合、この日本の金利が七分五厘になるということは、これからの新造船は、市中金利に対しまして三分八厘余りの利子補給がございますので、その三分八厘余の利子補給をするということになりますと、財政資金が七分五厘、市中も七分五厘で、全部七分五厘になるわけです。金利は市中に対する利子補給がございますので、平均約一割になるわけでございまして、2の案よりも高くなる。2の案は現在の海運の政策で今後造るべき船の金利でございます。これで見ますると、日本の船は航海経費、これは同じと見てよろしいかと思います。修繕費、船用品費、これは日本のほうがややかかる。それから船員費は、先ほどいいましたように船の乗組員は英国あたりよりも日本船は約二割多い。併し個々の給料か約二分の一でございますので、ここで多少の有利な点が出て来る。保険料経費におきましては、船価が多少日本のほうが高いだけに、保険料のほうも高い。新造船と戦漂船を込みにして日本の保険というものがつけられておりますので、そういう点からやや日本のほうが保険料が高いわけでございます。それから船舶税、これは外国にない税金でございます。日本だけにある。これは固定資産税です。それから償却、これは船価が日本のほうがやや高いだけにこれも少し高い。一番大きは差は金利でございます。英国は大体三分五厘、こういうふうに言つております。日本は平均七分五厘にしまして、これであります。ここで日本側、日本船は三ドル三十一セント、英国船は一ドル二十一セント、約二ドルの差異があるという状況でございます。これは個々の船の例えば傭船量としてみましても、仮に金利一割にしますると、その金利の負担分が一重量トン当り二ドル七、八十セントになつたかと思います。船員費だとか、修繕費、それから保険料、そういうもののいわゆる直接船費、間接船費が、金利償却を除きまして’二ドル余りだつたかと思います。とにかく金利が直接船費、間接船費よりも遥かに高いというふうな状況でございます。従つて今日の日本海運が如何に苦しいかという点は、戦後の建造をすべてこの高い金利の借入金で賄わなければならない。而も外国船のように戦後二回もやつて来た海運ブームを殆んど享受してないというところに今日の苦しさがある。この点は先ほど申上げましたように、ドイツが日本と同じような状態で、ドイツも日本も外航船建造が認められましたのは一昨年でございまするので、もう運賃が下り坂になつてから船を造り始めた。而もドイツはそういう時期から始めたにもかかわらず、目頭に申しましたように、外貨獲得の必要性という面からいたしまして非常に強い海運の助成案を講じた。今日なお年間五十万総トンずつの増加を見るような趨勢にあるわけでございます。従つてこの点日本としても大いに考えてみなければならない点かと考えるのでございます。
 それからこの表について更に御説明申上げますると、この第六表を御覧願いたいのですが、これは新造船を造つて、これがどの程度金利を支払い得る状況かというのでございます。この貨物船のうち高速船、これはニューヨーク定期航路に配船するような高速船でございます。平均まあチャーター・ベースとありますのは、運賃から運航経費を差引いた残りが、トン当り幾ら出るかというのを見たのでございます。この高速船については三ドル十七、ハイヤー・ベースというのはその船の経費のうち船員費、或いは修繕費、保険料、それから税金、店費、こういうふうな直接船費並びに間接船費のうち、金利償却を除いたもの、こういりものが幾らつくかというものを見たのがハイヤー・ベース、この差が八十三セント出るわけです。これが多く出ればこの残りで金利を払い、元金を償還するというものでございます。この差が八十三セント、これでいたしますと、新造船についておる金利の二分三厘が払えるという状況です。これは最近このニューヨーク航路が非常な運賃競争で収益が減つておるという状況の下の計算でございます。これが一応安定いたしますると三分五厘の程度なら払えるだろう、こういう推定をしております。それから中速船その他の定期航路の配船について見ますと、三分五厘金利ならば払える。不定期船について見ましても、これも三分五厘程度、それから油槽船、これは七分程度の金利なら払える。その後タンカーのマーケットが又下つて来ておりまして、更にこれがマーケットを基準にしますると、これはもつと支払能力が増すことになる、かように考えます。
 その次の第七表を御覧願いますると、これは今までずつと造つて参りました船がそれぞれどの程度の金利支払力があるかというのを見たのでございます。新造船の第五次船、これは一番最初に造つた外航船でございまして、昭和二十四年度に造りました。この第五次船、それから六次船、この両方は割合に建造船価が安かつたということであります。それからこの船は一部運賃のよい時を享受しておる。従つて借入金の一部分を返還しておるというふうなことからいたしまして、その金利支払の可能額というものも相当高いわけであります。五次船で市中から借入れたものの約半分を平均して返しておる。六次船で四割程度は返しておるということでございます。で、これで見ますると五次船が大体金利支払能力、支払うべきものの殆んどの金利は支払えるというのが九八・五%、六次船が五七%くらいまでは支払える。それから七次船、これは一昨年造つたのであります。これになりますると、この頃からもう船価が非常に上つて来た。それからまだできて間がないために、而も運賃が悪くなつたので元金は殆んど返してないという状況でございまして、これの金利を支払う力というものは三〇%から二八%。従つて一割の平均金利と見ますと、三分或いは二分八厘という状況でございます。八次船、昨年度に造りましたのは一割の金利ですと二分三厘程度しか払えない。九次船、これは先ほど申しましたように九万総トン決定したのですが、その九万総トン決定した船について見まするとこれは船価がやや下りましたのと、市中金利に対して三分八厘余の政府が利子補給をするという制度がありまするために、まあ四分程度の支払いをし得る。これを日本海運の保有している船全体について見ますると、このほかに改造船がございます。A型戦標船、一万重量トンの戦漂船を改造したもの、この改造船のうち相当二億なり三億なり金をかけて改造したものは大体まあ金利程度は支払える。併し五、六千万円しか金をかけないで、いわゆるBVクラス、フランスのビューロー・ブロタースの船級を取つた船は運航費というか、運航経費と直接船費が償えるか償えない程度である。それから一昨年ですか、相当船腹が不足で外国から古船を輸入しましたが、これも元金は勿論のこと、金利支払というところまで行かない。従つて日本海運全体からしてみると、まあ二分、せいぜいよくて三分程度、全体の金利に対して二分か三分、三分は非常にむずかしいのじやないかというふうな推断をしておりまして、この点今詳細に検討中でございます。まあそういう状況でございます。
 第八表は日本海運のこの資本構成の状況を示しておるわけでございますが、この海運業資本構成比率を御覧願いますると、昭和十一年当時におきましては、この自己資本というものは七七%、借入資本というのは二二%でございます。ところが、今日これは自己資金が一七%、借入資金が八三%という状況でございます。ここに先ほど申しましたように、戦後の建造、改造が殆んどすべて他人の金により、而もこれが非常な高金利である。これを英国について見ますると、大体自己資本が八〇%、他人の金が二〇%、こういう状況であります。丁度日本の戦前の堅実なる資本構成と同様でございます。従つて、若し日本の海運が戦時補償が打切られる等のことがなく、自分の金でやつておるということでありますれば、今日の海運市況でも決してそう悲観した状況ではないということが言えるわけでございます。まあこれが今日の状況でございまして、従つて、先ほど申しましたような船腹拡充計画も、この海運業の経営を如何に安固ならしめるかということを解決するのでなければ、市中銀行も金利も払えないようなものについてはもう金を出せませんというのが強い態度でございまして、それが一つの前提になつております。従つて、今後の海運の問題としては、この海運業の経営を如何にして確固たらしめるかという問題でございます。そのポイントは金利の引下げというところに問題があるわけであります。
 なお、もう一つの問題は、先ほどの表にありましたように、税の問題であります。税の問題につきましては、お手許に配りました資料に海運に関する税制の改正というのがございます。まあこれもたびたび当委員会で御説明申上げましたように、固定資産税と事業税の問題でございます。固定資産税は、前の船舶税に比べまして、六次船のような安い船で約十倍、八次船のように高い船では十九倍というような、非常な増加になつておるのでございます。これを昭和二十八年度における爆有船腹に対して、現在の固定資産税をかける場合と、それから昔の船舶税率、これを物価指数で引直しまして妥当なものにしたものをかける場合と、これを比べますと、昔の船舶税でやりまた場合、お手許に配りましたこの表の一枚目の裏、二頁目にございますが、約一億八千万円で済むものが、現在の穫率ですと十四億かかる。而もごの固定資産税は、これは私どもが地方自治庁と再三再四非常に強く交渉いたしました結果、一般の課税額の四割に減額をされております。四割に減税されてもなお十四億という大きな金額でございます。これをほかの船の経費と比べますと、殆んど船員費に近い大きな金額であります。例えば最近造りますニューヨーク航路に配船する優秀船につきましては十五億かかる。十五億に対して固定資産税が千分の十六でございまするから、そのままかけると二億五千万円ぐらいになるわけであります。これが四割に減額されておりますから、千万円ぐらい。ところがそういう船の乗組員の一ヵ月の給料というのは約百万円、年間で千二百万円。まあそういう船につきましては、船員費と固定資産税というものは殆んど同じである。而も、そういう外航船は殆んど内地の港にいない。外国と日本の間、或いは外国諸港間を走つておつて、内地の港におる日数というものは非常に少い。而もそういう高率の税金がかけられるという今不合理があるわけであります。これはまあ一ヵ月の傭船料ぺースで計算しましても相当の高顯になるわけでありまして、これの改正ということが一つの大きな問題になつております。それからもう一つは事業税が、海運が交通業である、従つて交通業は或る種の独占的性格を持つておる、こういうふうな独断から、電気、ガス、或いは私鉄、まあこういうものと同様に、総収入に対する課税になつております。水揚高に対する課税になつております。これはまあ地方自治庁でもその不合理を認めておるわけでありますが、現行の法律を改正せざる以上これを改めることができない。法律の改正はほかの問題にも関連するから、実際の運用として収益課税に近いものにしようというので、その運用面では相当緩和されておりまするが、併しそれでも全然無税にするということはできない。海運業は非常に自由企業の性格が強いものでありまするにもかかわらず、交通業という名前の下にありまするがために、そういう不合理が存在しておるというのでございまして、この事業税を収益課税にするということが同様の問題でございます。まあその他いろいろございますが、この二つの面が一番大きく考えられなければならない問題であります。
 そこで、海運に対してそんなに助成策をとつてほかの産業との関連はどうかというのでございまするが、海運に対しましては、これは海運が御承知の通り国際的な企業である。従つて外国がこの海運に対してどういう政策をとつておるかということを十分頭において頂かなければならないのでございます。そこで日本の海運が、先ほど繰返し申述べまするように、戦後の日本海運というものは宿命的にその構成上弱いところを持つておる。従つて外国の海運政策如何応かかわらず、日本海運を育て上げるためには相当の手を打たなければならないのであるということが言えるわけでありますが、その上に、お手許に主要海運国の海運補助政策概要というものを配つておきましたが、各国共に相当まあ思い切つた手を打つておるわけでございます。イギリスは、先ほど言いましたように、戦時補償として日本の金にして二千六百億に相当する金を出しておる。それから、先ほど言いましたように運賃のブームを二度とも満喫しておる。その場合に、うんと船価を償却し得る方策を英国政府としては認めておる。それからアメリカは、非常に手厚い補助政策をとつておる国でございまして、アメリカの船員費成しは労働賃金というものは御承知の通り非常に高い。従つてその高い分たけ政府が補助するという政策をとつておる。その方法として、運航費を外国と比べて高い分だけ補助する。それから船の建造費を外国と比べて高い分を補助するというような方法。それからアメリカが各国に援助する物資については米国船に五〇%以上運ばせる。而もその運賃は一般よりも非常によい運賃である。それからそのほかに米国海運の非常に大きな隠れた保護政策となつておりまするのは、軍需物資の輸送ですね、米国海運はその本来からの何からいいますと、海運としての資格がないわけです。というのはおかしいですが、その船員費、これが非常に高い、ですから普通の競争では立つて行かない。従つて競争力をつけるために、今申しましたような政府の直接補助政策をやつておるのですが、そのほかに只今申しましたような援助物資の輸送を他よりも高い運賃でやらしておる。それから軍需物資の輸送をアメリカの海運業者が相当引受けておる。これが非常に高い運賃、従つて今日海運界が非常に不況でありますにかかわらず、アメリカの海運会社が相当の利益を上げておるという状況でございます。それからフランス、イタリア、これはもう相当財政的にも著しい国でございましようが、これも又英国船と国内船の差額補助に一九五二年に九十億フラン、約日本の金にして九十億、五三年には六十六億というものを出しておりますし、それから一九四九年にはすでにもう二百五十万総トンの船を回復しておるのです。それをすべて政府の金でやつておりまして、それがために千六百億に近い金を出しておる。それからイタリアはなお徹底した助成策を講じておる。これはお読み下さればわかるのでありますが、まあ新造船の船価の三分の一を直接補助する、或いは船価の四十%を政府がギャランティする、或いはリバテー船、これは終戦直後アメリカから購入さしたんですが、その場合に四分の一は政府が持つてやつておる、残りは政府がギャランティする。タンカー船についても三千万円からの補助金を出す。それから所得税を新造船については三カ年間免除するという方策をとつております。ドイツも先ほど申しましたようないろいろな方策を講じて毎年、毎年と言つてもここ一、二年でしようが、五十万総トンからの船腹の拡充の計画を立てておるという状況でございます。こういうふうな各国の状況を一応御考慮に置いて頂く必要がある、かように考えるのでございます。
 で、私どものほうからこの国会に提案いたしまするものといたしましては、二十八年度予算は、前に提出いたしました予算そのままを踏襲いたしましたがために、今申しましたような事柄を頭に入れての政策というものは出ておりません。今後どういう機会がありますか、その早急の機会に日本の海運の経営の基礎の強化という面に関する方策をできるだけ織込むようにいたしたい、国会の御協力を得るようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。まあ今度一応政府側として提案いたしまするのは、この前に提案しようとして国会解散で御破算になりました市中融資に対する損失補償制度の確立、それから国内船のことは述べませんでしたが、国内におきましては、いわゆるE型と称する戦争中に造りました全く経済的に見て価値のない船が非常に過剰である。これを新造船に結合いたしまして七十隻余り整理するといういわゆる臨時船質改善助成利子補給法、この法律を提案する考えでございます。
 なおこの海運と不可分の造船業の維持の問題、これにつきましては国内船の建造量の先ほど申しましたような計画量を達成することによつて造船の維持を図りますと同時に、輸出船の面における、まあ国際収支上の船舶輸出の重要性という点からいたしまして、船舶輸出を如何して促進するか、これは国内船の建造もさようでありますが、輸出船におきましては、特にこの船価の低減ということをやらなければならない。私どもこの輸出船の造船政策の問題につきましては、船舶局長から話をいたしまするが、この船価低減の問題につきましては、私どもといたしましても是非ともこれを実現いたしたい、これは輸出振興という面のみならず、国内の、国内と言いますか、日本海運の経営の強化というふうな面からいたしましても、船価を下げるということが非常に重要でありますので、この面についてはあらゆる努力をいたしたい、かように考えているのでございます。
 そのほか船会社の経費の節約の面につきましても、いろいろの問題が考え得るわけでございます。例えば船舶乗組員の合理的な配置であるとか、或いは運航経費の節約の面であるとか、こういう面につきましても海運業者を督励し、指導いたしまして、その面に遺憾のないように、それから政府と協力してやり得るものは一つ是非とも実現して参ろうというので、その面についての努力をいたしているわけです。
 それから更にそういう消極的な経費の節減のみならず、積極的に運賃を確保するという面につきまして、例えば最近各航路において運賃競争が非常に激しい。この運賃競争は日本船が伸びる過程においてはどうしても避けられない面がある。外国船との競争をしてこれにうち勝つということは、どうしても日本船が伸びる場合に必然的に起る現象でございます。併しその場合に日本船相互の協調という面においてもう一つ欠くるところがないか。日本船相互の協調においてできるだけ摩擦を少くして、その困難な競争を切抜けて行くという面において若し欠くるところがあつちや申訳ないというので、その面についての業者の強力なる自戒と努力を求め、業者もこの点においてできるだけ期待に副うべく今折角努力中でございます。これは併し一面において外国船の競争という面がございまするので、日本船主側だけの意向で事態を安定するというわけには参りませんけれども、少くとも日本船側でお互に対立するところを残すようじや困るということで、その面についての強力なる指導を行なつている次第であります。
 まあ現況、極めて大ざつぱでございまするが、海運面として以上のことを申上げました。
#4
○一松政二君 ちよつと今の資料について質問したいのですがね、あとにしますか。
#5
○委員長(前田穰君) 局長が若し御都合がよければ結構です。
#6
○一松政二君 今の頂いた資料の第六表の金利が払えるか払えないかということで、金利が払えるような計算が出ておりますが、過去の新造船と今後の新造船について、小なりといえども、少なくとも二分か三分は必ず払える計算が出ておあますが、今日の実態は払えないということで出て来ておる。又現に払えないのが出て来ておる。そうするとこのCBというのは何ですか。
#7
○政府委員(岡田修一君) チヤーター・ベースです。
#8
○一松政二君 チヤーター・ベースと、ハイヤー・ベースですか、このチャーター・ベースとハイヤー・ベースの差引の計算ですが、このチャーター・ベースでこれなら必ず今後も或る程度船を借りてくれる人があるという見込の数字ですか、これは……。
#9
○政府委員(岡田修一君) さようでございます。今のマーケットの平均的なものをとつて考えております。これは新造船を造りました場合に、大体三分五厘程度の金利、併し金利と言いましても大体一割でございますからあと六分五厘ほどは払えないわけでございますから、ですから金利が払えないというのは一文も払えないということはないと思います。この程度の金利なら払えると思います。
#10
○一松政二君 海運の不況時代に金利どころじやないと思うのですが、金利が幾らでも払えるような状態はまだまだその先に底がどのくらい深くなるかわからんと私は考えるのです。
#11
○政府委員(岡田修一君) これは先ほど言いましたように、古い老齢船とか或いは戦標船の余り金をかけないで改造した船は、非能率のためこれは金利も払えない。従つて外国ではそういう船齢の古い不経済船は船を繋ぐということにしております。併し性能のいい船は御承知の通り運航経費が少くて済み、従つて金利は一部払えるということになつております。
#12
○一松政二君 そうすると、二分か三分の金利ということで考えれば造船台に船を当てがわなくても、造船で若し借り手があれば貸しても仕事が成り立つということになるのですね。
#13
○政府委員(岡田修一君) そうです。三分五厘程度の金利ならば十分新造をやつた場合に払えるでしよう。
#14
○一松政二君 そうすると、日本の場合に今の固定資産税とか事業税とかいうものを現行のままにおいても計算が出るというわけですか。
#15
○政府委員(岡田修一君) さようです。
#16
○一松政二君 これは最近の何かチヤーター・ベースの資料はこの中にありますか。
#17
○政府委員(岡田修一君) 今持つておりませんが、計算した根拠を一つ持つて参りましよう。
#18
○一松政二君 裸傭船をした場合、その他のものを国家が相当の保護政策をとつて考える場合には、最悪の事態を、相当過去の第一次欧州大戦以後の、あの深刻な十年乃至十数年に亘つたあの時代の数字も一応私は調べてみる必要があると思う。船は何か突発事変、戦争か、或いは戦乱か、或いはどこかに非常な飢饉が来たとか、或いは長期のストライキが起つて何か一面の、人類のどこかに、全体から言えば不幸なようなごとが起つた場合に、そうしてそのために予想外の荷動きが起つた場合に船は景気がよくなる。平水航路であれば船は決して景気がよくない。そのよくないやつに堪え切れるように英国では昔からの海運国だからそれを頭に置いて今日の海運ができたのだそうです。だからそれと競争して打ち勝てたいまでも、まあどうやらこうやら維持しつつ船腹を増強して行くということをお考えになつておるのだろうと思う。そのためには、もつとそうして国費を、国の補助を、或いは税金によつて特別の措置をとろうという場合には、よほど子の辺を何人が見ても尤もであるというふうに、数字上の地固めをしておく必要があると思う。私はこの大正の末期から昭和十年頃までの、あの当時の運賃市況及びチヤーター料について一つ参考資料を出して頂いて、あの国際汽船や川崎汽船の最後に船を、九千トンぐらいの船を三十万円、或いは二十万円ぐらいで処分しておる。ああいう時代の再現があるかないか。戦争が起ればないことになるし、戦争がないとなればあると結論しなければならない。その場合に更に今日の船価で船を建造して行くことがでさるかという問題も起つて来るし、いろいろの問題が起ろうと思うから、皆さんに私は参考資料として、過去の非常な不況時代の金利を成るべく早く、できれば早目に頂戴をして、そうして考えてみたいと思いますから、それだけちよつと海運局長に伺つておきます。なおそのほかにもありますけれども、今日は一応説明でございますからそれだけのことを一つ伺つておきます。あとは他日に保留しておきます。
#19
○委員長(前田穰君) では船舶局長。
#20
○政府委員(甘利昂一君) それでは私から造船関係資料と書きましたこういう細長い資料を差上げておりますが、これについて説明いたします。
 第一表は昭和二十六年度以降の船台の各月別の使用状況の推移を書いたものでございますが、その一番上の船台の数、八十の所に五千総トン以上の船の建造可能船台数というのを書きまして、八十一というのがありまして、その下に五十七の所に同上稼働可能の船台数とありますが、現在は八十一ございますが、そのうち熔接……船を熔接して造ります関係上、その船の一部分とブロックで建造したものを船台に持つて来て継ぎ合わせて造るという方法を採用しておりますので、実際使つております船台数は五十七台でございます。それが昭和二十六年一月以降この船台の使用状況がどうなつて変つておるかということを黒い線で示しておりますが、これに御覧になりますように、今年の大月現在によりますと、船台の使用台数が二十一でございます。実際が五十七あるが、約半数以下が現在の使用状況でございます。それがこのまま放置すれば、今年の十一月には仏用船台数が一、十二月には船台には船がないという状況になります。その中にちよつと点線で書いてありますのは、先ほど海運局長がお話しましたように、昭和二十八年の後期に二十八万トンを建造した場合に、船台がどのように塞がるかということを予想して書いた線でございます。この現在の船台使用台数二十一、稼働台数五十七というのは大体はトン数に直しますとこれでフルにしますと大体年間六十万総トンぐらいの建造量を持つことになります。工員の雇用量から見ましても大体そのくらいが適当でありまして、現在直接の造船所の雇用量は約八万へ、職員を入れますと約十万人でございますが、いろいろな鉄鋼、木材、或いは塗料、或いは電気製品、或いはいろいろなポンプとか、その他の補助機械類、いわゆる我々が造船関連産業と申しております約二百一十種類以上に上る造船関係の業種の中の雇用量を入れますと、約五十万へ近くが直接造船の関係した仕事に従事しておるわけであります。
 それからその次の第二表は、先ほど申しました二十六年度以降の各年月の造船状況をトン数で示したものでありまして、その白い線が全体の建造トン数でありまして、その下の黒く筋を入れてありますのはそのうちの輸出船の占める割合であります。これでも御覧になりますように、昭和二十七年の四月以降から昭和二十八年の四月頃までは相当、約四〇%近くのトン数、建造船舶のうちの四〇%近くが輸出船で占められておる。これは単に日本だけの状況でなくて、この数年間の外国の主要造船国の建造量を見ましても、世界中平均しまして大体まあ三七・八%は輸出船で占めておるのであります。特にスエーデン、或いはイギリスのごときは五七・八%、非常にまあ輸出船の占める割合が多いのであります。それでこれらの輸出船は、ほかの輸出産業が主としてまあ東南アジアのほうの後進国に出ておりますが、船舶に限つて英、米、独、仏、ノールウエー、スエーデンというふうに、欧米の主要先進国に出ておるわけであります。まあこれを以て見ても、日本の造船技術が世界に伍して決して劣らない、むしろ工期の早い点、或いは艤装工事の良好なる点において優つておるということがわかると思います。現在ごの表でも御覧になりますように、六月の潤を見ますと、内地船の建造量が約二十八万トンで、そのうち七万トン近くが輸出船でありますが、輸出船も、今年に入りましてから、新らしく契約されるものが非常に少くなりました。併し現在においてもまだ契約にはなりませんが、話のあるものは重量トンにおいて約二百四、五十万トンあります。いずれも船価の点において折合わないものが多く、或いは東南アジアの後進国とのものについては支払条件その他について折合わんものがありますが、主としてまあ船価が一割程度高い点において折合わないのが多いのであります。昭和二十六、七年度においては相当、年間にして四、五千万ドルずつ船舶輸出一ができたのでありますが、最近できないのはどういうわけかということをよく聞かれますが、やはり海上運賃が非常によかつたときには注文主としても、船の竣工期が早いということが一番の大きな問題でありまして、少しぐらいの船価高よりはむしろ引渡期間が早いということに魅力がありましたので、非常に多くの契約がまとまつたわけでありますが、現在のように運賃事情が悪くなりますと、やはり造りたいという船主は先ほど申しましたように、非常にたくさんあるのでありますが、やはり船価の少しでも低い船を造りたいというような条件が重くなりますので、なかなかまとまらないというふうな現状でございます。
 それからその次は先ほど申しましたように、過去二十三年以降の船舶輸出の契約の実績で為りますが、昭和二十六年度が七千二百万ドル、昭和二十七年度が千五百万ドルに落ちております。併し過去五年間のうちに約一億三千万ドル程度の船舶の輸出をやつておりますが、船舶輸出がほかの輸出に比べて、どのような地位にあるかと申上げますと、その次の第四表にプラント輸出契約実績中における輸出船舶の地位というのが書いてありまして。昭和二十六年、二十七年の欄を御覧下さいますと、プラント輸出の総額が二十六年度の場合には六千四百万ドル、そのうち約六八%が場……その点を以て示した場所がそうですが、約六八%が船舶、二十七年度は約七八%が船舶を以て示しておる。その上の黒いハッチが鉄道車両でありまして、あとの白いところがその他の輸出であります。これを見ましても、パラント輸出造船が如何に大きな地位を占めておるかということがおわかりと思います。
 それからその次の表はプラント輸出以外の一般の鉄鋼、綿製品等の輸出品目の中に占める船舶輸出の地位でありますが、これで見ますと、五番目になつておりますが、ただその黒いハッチの示してありますのは、そのうちドル地域に輸出したものを示すのでありましてこれを見ますと、鉄鋼素材の次が船舶であります。又一方鉄鋼については昨年度は非常に多かつたのでありますが、現況を見ますと、やはり鉄鋼の割高のために殆んど厚板のごときも出ておりませんし、薄板についても一時非常に盛況を呈しまして、いろいろな設備をやつたんでありますが、最近においては、やはりこれも余り売れておりません。従つて今後船舶のごとき、或いはその他車両の、ごときプラント輸出が、今後の輸出の大宗を占めるのじやないかと考えておりますが、繊維製品その他についてもやはり後進国においていろいろな設備をする関係上、こういうような傾向のものがだんだん出辛くなるということが安本その他においても考えておるようであります。
 その次の表は先ほど申しました主要輸出品目の輸出実績を金額で書いたものでありますが、全体の品物のうちでは船舶が第五番目で約三千八百万ドル、それから外貨の手取率においてはやはり五番目でありまして、三千五百万ドル殆んど国内産のもので建造いたしますので、手取率は九二%、非常に多いのであります。ただ使用します鉄鋼その他についてその素材を輸入しますので、その輸入した率だけを引いたわけであります。
 その次のドル払いの地域に対する輸出についてはそこにもありますように、鉄鋼に次いで第二番目でございます。併しその次の表を御覧下さいますと、今申上げましたように船の輸出が昨年、一昨年非常にあつたと、併しこういう輸出が今後相当伸びて行くかどうかということがよく疑問になりますし、又運賃事情が悪い際においては、殊に船舶の輸出は悲観的ではないかということを言われますが、その次の第七表に示しますように、これは世界の油槽船の船齢別のパーセンテージを書いたものでありますが、約二千万トンの油槽船がございますが、そのうちその下のほうにハッチをいたしました五年乃至十年と書いてありますのは、これは主として戦時中アメリカが造りましたT2タンカーと称します油槽船でありまして、これは非常に載量及び航速が劣つておりますために、船齢は十年未満でありますが、すでにもう取替えなければならん時期に来ておるものであります。それが約全体のうちの四〇%を占めております。反対側に老朽船、二十年以上と書いて一二%近くの船舶がございますが、これはやはり一般に船としてすでに解体を要する老齢に入つておる船でございます。この両万を合せますと約半数はすでに取替えなければならん運命にある、従つてタンカーについては今後相当の輸出が期待つれる。又この船齢別のみならず、タンカーについてはだんだん大型になつて参ります。この数年前までは二万トンくらいのタンカーが世界のタンカーのうちで雄飛しておつたのでありよすが、最近は三万トン、四万トン、六万トンと漸次大型になりましたし、而も大型のタンカーのほうが、遠距離がら油を運ぶ場合に非常に有利でありますので船齢は若くても、漸次大型のアンカーに取替えるような機運が非常へ濃厚でありますし、現にそういう惰力が見えております。従つて、この船齢以外にも、タンカーの大型化に伴う代替ということが大きく期待されております。又一般に世界の油の需給状況を見ましても、年々四、五%ずつ油の需要が殖えて来ておる。それに伴なつて、而もこれらの油の原産地が中東、或いはヴエネズエラ等の、比較的消費地からの遠隔地に産地があります関係上、船に依存する率が非常に多い。これらのことを考えますと、今後やはり数年間は、少くともタンカーについては相当量の船舶の建造が行われる。同時に又、輸出も行われる、こういうふうに我々は考えておるのであります。
 その次の第八表を御覧になりますと、これには世界の主要造船国の現在の手持工事量が書いてございますが、大体イギリスが一群多くて約六百万トン、スエーデンが百七十万トン、ドイツが百八十万トン、ドイツは特にこの一年内に非常に多くなりまして、現在においてもすでにこの三年間において約、重量トンで三百万トンの造船計画を持つておりましたので、すでに各造船所別の、これらの船の建造予定もはつきりきまつておりますので、一番この中でも造船の将来について確約されておりますのはドイツであります。イギリスも、かくのごとく、非常に多くて、日本が今ここにありますように、全体として大十六万七千トンでありますが、これは去年の十月末でありますが、六月現在においては約二十七万トンくらいであります。これを昨年進水した各国の造船量でその手持工事量を割つてみますと、大体、イギリスが四年以上、それからスエーデンが約四年、ドイツが三年半、いずれも数年間の建造量を持つておるわけでありますが、日本のごときは、その日その日暮しと申しますか、第九次船の建造がどうなるかということについて非常な危惧の念を持つておるような始末でございます。それでは、先ほど申しましたように、輸出の引合も非常にたくさんありますし、世界各国も相当輸出船その他の建造量を持つておるにかかわらず、どうして日本は最近輸出の契約がまとまらないかと申しますと、先ほど言いましたように、非常に船価が高い。高いと申しましても、約一割くらいでありますが、高いということが問題でありますが、なぜそれでは日本の船価が高いかということを申上げます前に、日本の造船船価の構成内容がどんなふうになつておるかという二とを示したものでありますが、これを御覧になりますと一番下に書いてあります船価は昭和二十四年度の船価を一〇〇としますと、現在約二倍になつております。併しその大部分を占めます鋼材の価格をみますと、昭和二十四年を一〇〇としますと現在は約二七〇、二・七倍になつております。併し造船所のいろいろな合理化その他によつてその鋼材の使用量は当時を一〇〇としますと現在は約一割減つて九〇%、特にその工数のごときは熔接その他の新らしい技術によつてその軽減に努めて、その効果が非常に大きくてこの表で見ても約二〇%以上減つております。これは全工場の平均でありますので大きな工場においては三〇%近くも減つておるものがございます。このように鋼材、の使用量なり、或いは工数の面において造船所は非常に合理化されておるのでありますが、遺憾ながらその使用材料中の百位を占める鋼材の価格が非常に上つておるために、船価として倍くらい上つておる。併し一般物価の値上りに比べますればまだ船価は相当低いのであります。
 それからその次にはその新造船の原価の内訳が書いてございますが、左のほうは約七千トンで五千馬力程度のいわゆる中速貨物船と称せられるものの原価内訳でありますし、右のほうは総トン数一万二千トン、七千馬力の大型油槽船と称せられるものの内容でありますが、これでも御覧になりますように、船歳用の鋼材が貨物船の場合約二〇%、それから油槽船の場合に約二五%、鋼材の占める割合が非常に大きいわけでありますが、そのほかいろいろな甲板補機、或いは塗料その他素材、主機械、いわゆる造船所以外から買う買物は大体船価の七〇%を占めておる。あとの工費間接費、管理費というものは大体全体の三〇%近くになつておるということでございますので、鋼材の価格が高い、その他の買物が高いということは船価高の主な原因であるということを示しておるのであります。
 その次に日本の船価を主要造船国であるイギリスと西独について比較したものでありますが、大体日本の船価西独及びイギリスに比べて約一割くらい高いのであります。併し鋼材はトン当りにして日本が百二十七ドル、イギリスは八十三ドル、ドイツは百十ドール、大体イギリスは日本の約六五%、ドイツは約八七%、非常に安いわけであります。補機類については、日本の一〇〇に対して外国は約二、三〇%安い。賃金は日本が幾分安く、イギリスは日本より八〇%高く、西独は約三五%高いのでありますが、併し船価の中に占める賃金の割合は約一一%くらいでありますので、鋼材のごとく二五%乃至三〇%、非常に大部分を占めるものが高いことが船価局の原因となつておることは争われないわけであります。それでどうして日本の造船が高いかということはその次の第十二表でおわかりだと思いますが、要するに、日本では鋼材の価格の基準が一般に無規格材が標準になつております。イギリスのごときはセキルド鋼と申します、日本で普通造船に使つておりますような特殊の規格を持つた材科が価格の基準になつておる場合は造船材についても規格一料は取つておりません。日本としては、一般鋼材の高い上に更に造船材として非常に寸法が大きいといこことで、一トン当り約三千円、特に材料が国際的の規格がありますためにいろいろ材料試験をやつたり、或いはマンガンとかカーボンとかそういう品質的にその比率が非常に高いというようなことで特に良質の鋼材を要求されますので、そういう品質の割増料が約四十円、それから最近熔接でそれをやる関係上一インチ以上の厚板についてはキルド鋼と称せられるもので品質のよい鋼材を要求されております。これがトン当り約一万円高いのでありますが、ただ使用が一インチ以上の厚板に限られておりますので全体の使用量の五%に過ぎませんのでトン当りの規格判が二万円であつてもそのウエイトをかけますと約五百円、セキルド鋼は二分の一インチから一インチ以下の厚板に適用されますのでこれは全体の鋼材のうちの五〇%を使いますので、これの割増料がトン当り五千円として二千五百円、以上、総計しますと約一万円、それだけ特別の造船材であるために規格料が取られておるわけであります。我々はこういう造船だけに特殊の限られた規格料だけを外してもらえば船価として約五、六%違いますので、そのことは何とか業者の努力によつて外国との差額の約一割近くのものが十分ごなし得る。従つてこの規格料の廃止によることによつて今後ますます輸出船が取れるのではないかというように期待を持つております。なお同時に内船についても船価が安くなります関係上非常に運航経営上内地の船主としては非常に有利になるのではないかと考えております。
 その次はこれは今の日本の寸法及び品質の規格料がどうしてそんなふうに高いかということを示しておる一つでありますが、要するに日本の製鉄設備なり或いは技術が諸外国に比して非常に劣つておる。従つて圧延した場合に歩留りが非常に悪いということが一つありますし、又大体日本の板の標準寸法が四、八、五、十というように非常に寸法の小さいものが基準になつておる。従つて造船所のような大きなものを要求するものについては特殊の割増料を取られるということであります。又あとにはいろいろな先ほど申上げましたように油槽船その他についての今後輸出が伸びるかどうかということについていろいろな受注の関係から判断の見通しが書いてありますが、例えば最後に現在まで引合のある輸出船の状況の具体的の有様を書いてございますが、これを合計しますと、デッド・ウエイトで約二百五十万トンくらいでございます。従つて今まで申上げましたことによつて大体現在の我が国造船状況がおわかりだと思いますが、この国会におきましても、先ほどの評がありましたように、船価の引下げ、いう点においていろいろな内部的な努力もいたしますが、特に船価の中の十部分を占める特殊規格鋼材についての規格料の低減について、この国会を通じて皆様がたのいろいろ御協力を仰ぐ点が多いと思いますが、どうかよろしくお願いいたします。
#21
○委員長(前田穰君) 只今の説明に対しまして御質疑のおありのかたはどうか御質疑を願います。
#22
○一松政二君 ちよつと十一表の、賃金を日本を一〇〇として、英国が一八〇、西ドイツが一三五と出ておりますが、これは一人の賃金を標準にしてこういう数字が出ておるのですか、そうですか。
#23
○政府委員(甘利昂一君) そうです。これは例えば一人一時間当りと思います。
#24
○一松政二君 そうすると能率の点については比較していないわけですね。
#25
○政府委員(甘利昂一君) これは日本のほうは今のところ拘束八時間、実働七時間になつておりますが、イギリスのほうは日本よりずつと少いのであります。例えば恐らく一週間に四十二、三時間だろうと思います。
#26
○一松政二君 それはそうですが、今度は一人がなす仕事の量が一つ問題になると思います。
#27
○政府委員(甘利昂一君) それはここには書いてありませんが、我々の調べた範囲においては、例えば一総トンの船を造るについては何工数かかるかというような表を調べておりますが、現在の状況においては殆んど差がございませんが、後ほどそのいろいろな比較した表をそれでは差上げますが、西独とイギリスの場合はわかりますが、アメリカのごときは殆んど問題になりません。
#28
○一松政二君 英国はだんだんに人間出が働かないようになつているから、そうだろうと思います。
#29
○政府委員(甘利昂一君) ただ時間的には西独のほうは日本より恐らく一時間くらい余計働いておると思います。
#30
○一松政二君 それと、ドイツ人の能率と日本人の能率の比較がないと正確な判断ができない。
#31
○政府委員(甘利昂一君) これはあとから資料を差上げますが、工数面から言いますと、そう違つておりません。
#32
○一松政二君 それから今の十二表の割増料、この割増料は製鉄所のいわゆる圧延のサイズの切り方、五、十とか四、八が主になつているから、そういうことになつていることは考えられるけれども、これは或る程度の数量が確保されれば、製鉄所として特別にそんな割増料を要求しなければならんことはないと思います。
#33
○政府委員(甘利昂一君) これは大体無規格材が大部分を占めておりますから、ロール・チャンスが非常に多い。造船所についても相当まとまつておりますが、今のような造船方式を採用していますと、一体次の造船の注文がいつになるかということが或る程度わかりかねまして、製鉄所としてはロール・チャンスをただ空けて待つていることも困るものですから、無規格材の製作をしておるのであります。新らしい造船計画があつて、それをあとから押込むという場合にわざわざロールを組替えてやるという、そういうふうな手間も相当かかると思いますが……。
#34
○一松政二君 まあ主として理由から言えばそういう理由だろうと思います。
#35
○政府委員(甘利昂一君) ただロールの幅や長さが大きくなりますと、ロールも大きな幅のものに代えるとか、或いはロールをしますインゴット、鋼塊、これも特殊の大きな十トンとか、二十トンとかの鋼塊を使用しなければなりませんから、いろいろなそれに附随したものを全部取替えなければならん。そういう点で自然いろいろな割増料がついて来ることはうなずけます。
#36
○一松政二君 これは単に政府の補給金なんということを考えるよりも、製鉄所自身が相当国家の保護を受けてやつておるのだから、製鉄所が、何も全部製鉄所でこしらえたものが売れて行くわけではないから、或る一定の数量はそれを持たす。必ず注文することがわかれば、ただ多少の時期のスレはあつても、これは一体今まででも造船所と製鉄所及びその中に運輸省が入つて、これをただ規定通りに割増料を若し払つておるとすれば、私はもう少しこれらに対して折衝の余地があるのではないかと考える。
#37
○政府委員(甘利昂一君) 併しこれは今までたびたび造船計画をやるたびに、いろいろ業者同士の間でも折衝いたしましたし、我々も間に入つて少しずつ下げさしております。特に寸法のごとき非常に多種類であつたやつを或る程度整理するということ、或いは発注量をできるだけ同じ品種については同じ製鉄所にあつらえるというように、製造業者なりのできることについては、随分努力しておりますが、ただ今のように品質とか……さつきおつしやつた寸法については今のような話ですが、品質についてはマンガンとか、そういう特殊の材料が余計要りますが、スクラップにしても特別高級のスクラツプを使うということで割高になることは確かですが、果してそれが四千円なり、三千円なりの価格に相当するかということについてはいろいろ議論の余地があると思う。そういう点については業者とも話合つて、我々も間に立つていろいろ努力しております。
#38
○一松政二君 それから今のこの表にドイツとの比較がないのですが、ドイツは一体この割増料についてはどういうことになつておりますか。
#39
○政府委員(甘利昂一君) ドイツの例はまだ聞いておりませんが、併し価格からいつてそう違いありませんし、現に西欧諸国皆今のような、少くとも寸法のエキストラがございません。品質のエキストラについては或いは少しあるかも知れません。
#40
○一松政二君 今度はシューマン・プランが発動になつているのだからそういうことはなくなつてしまうだろうと思いますね。
#41
○政府委員(甘利昂一君) それと恐らく日本では平炉で成功しておりますが、向うではベッセマー法を使つておりますので、品質が劣つております。
#42
○一松政二君 それから造船の引合ですね。これは現在商社とが、或いは造船所に対して、ただ一応こんなものはどうかという……。
#43
○政府委員(甘利昂一君) いや、そうではなくて、或る程度図画を引いたり、設計をしたり、見積りをしたやつを各社から集めたようです。従つて中にはダブつておるものもあります。
#44
○一松政二君 私も一、二の会社で知つたのがありますけれども、こんなにたくさんありますか。
#45
○政府委員(甘利昂一君) 最近新らしく話があるやつは、これも相当例えばユーゴースラヴイアとか、インドネシアとか、そういうところからやはり相当活溌に話がございます。併しいろいろな引渡条件その他について不調の場合が多いのです。
#46
○一松政二君 それはバーターで船はもらうということを考えておるのですか。
#47
○政府委員(甘利昂一君) 東南アジアの場合はそうです。併しほかは……。
#48
○一松政二君 南米ではそうじやないですか。
#49
○政府委員(甘利昂一君) 南米もバーターが多いのです。併し一部例えばチリー等について最近契約がつきそうになつておるのはやはりドル払いです。ただ支払条件が竣工引渡後に二、三年延びるということが書いてありますが、一部はドル払いがございます。ブラジルでは主としてバーターのために今まで話がうまく行つておりません。
#50
○一松政二君 今まで日本に輸出船が多かつたのは、結局造船期間が短時間でできる。現在でも英国、ドイツ、アメリカで造船台がなかなか空いてないし、三、四年も工事量を持つているというのだから、運賃が反擬すれば必ずこれはまた引合が起きるけれども、反験するためには世界に何か事変でも起らなければ反擁しないというのが先ほど言つたような……。
#51
○政府委員(甘利昂一君) ですから本当に活況を呈して来るには運賃の反発があるでしようし、併し資力のある船主は、この際に船価を値切つて船を造つておきたいという業者なり船主が相当あります。これは日本においてもやはり従来の状況においてはやはり船主はいつでも不況のときに造船主を値切つて安い船を造るということでありましたから、不況必ずしも造船事情に影響するとは考えられません。
#52
○一松政二君 それはその通りでしよう。ただ不況が、今の船が一番安いか、或いは半年先、一年先造つたほうが更に安いかということが問題になるのであつて、もう採算的に考えたり、国家がものをするような場合、或いは造船をする場合に、底で、底とまで言わないでも、底に近いところで造つておれば間違いないことは、これは個人でも国家でも同じなんで、これは結局今の船価がどの程度に、つまり将来の一番底と睨み合つてどの程度のものであるかという見通しがつけば私は造船界は必らず栄えて来ると思うんですよ。ただその見通しが今日のところ困難である。ただ運賃界の不況或いはそれによつてチヤーター・ベースなど常に変るのですが、それが私は先ほど海運局長に求めたように過去の非常な不況の長かつた時代、オペレーティング・コストの償わないという時代があつて、繋船すれば更に費用がかかる、動かしておれば繋船するよりも費用が少ないというところへこの前の不況は世界的にも国内的にも来ているわけです。そういうことが来んという保証がどこにも私はないと思うんです。従つて如何なる運賃の場合でも先ほど海運局長が言つたように、新造船を、そのときに造れば引合うようにそろばんは出るのだが、果してそれが十年、二十年の船の期間に減価償却をしてしまうまでそういうことが続くかどうか。もう一つにはそういう金の捻出ができるかどうかという問題でなかなか意のごとく進んでいないのが過去における実際です。今後もそういうことだろうと思うんです。そこで今の造船問題ですね。どこが底か、安いときという見極めがなかなか神様でなければつかんので自然そうだろうと私は考えておりますが、まあ一応私の質問はこの程度にとどめておきまして、又他日にいたします。
#53
○委員長(前田穰君) 他に御質問ございませんか。他に御質問がなければ本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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