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1953/07/01 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 運輸委員会 第5号
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1953/07/01 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 運輸委員会 第5号

#1
第016回国会 運輸委員会 第5号
昭和二十八年七月一日(水曜日)
   午前十時四十四分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     前田  穰君
   理事
           入交 太藏君
           井村 徳二君
   委員
           植竹 春彦君
           岡田 信次君
           仁田 竹一君
           一松 政二君
           加賀山之雄君
           大和 与一君
           東   隆君
           木島 虎藏君
  国務大臣
   運 輸 大 臣 石井光次郎君
  政府委員
   保安庁長官官房
   長       上村健太郎君
   運輸省海運局海
   運調整部長   國安 誠一君
   運輸省船舶局長 甘利 昂一君
   運輸省鉄道監督
   局長      植田 純一君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       古谷 善亮君
   常任委員会専門
   員       田倉 八郎君
  法制局側
   法 制 局 長 奧野 健一君
  説明員
   運輸省船舶局監
   理課長     今井 榮文君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○九州地方水害状況に関する報告
○臨時船舶建造調整法案(内閣送付)
○海上衝突予防法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。
 先ず、昨日政府から報告がありました九州の水害の状況につきまして、政府委員から発言を求められましたので許可いたします。
#3
○政府委員(植田純一君) 九州地方水害による状況につきまして、今朝現在の状況を資料として提出いたしました。昨日お話申上げましたうちで、長崎本線は昨日開通いたしました。これで長崎線は全部開通いたしました。
 次に、鹿児島本線につきましては、遠賀川の橋梁と、それから船小屋、瀬高町、この二カ所を除きまして開通したように昨日報告申上げましたが、実は情報の誤りでございまして、鳥栖、久留米間が依然として不通になつております。鳥栖、久留米間は、大体只今では七月三日に下り線が開通する見込でございまして、この点昨日の報告に誤りがございましたので、訂正さして頂きたいと存じます。以上でございます。
  ―――――――――――――
#4
○委員長(前田穰君) 次に、臨時船舶建造調整法案を議題といたします。質疑のありますかたは順次御質疑を願います。
#5
○一松政二君 私は、昨日大臣の御都合を伺いまして、質問を中途で留保いたしておりましたので、幸い大臣がお見えになつておりまするから、質疑を継続させて頂きたいと考えます。昨日いろいろ伺いまして、更に法案の提出の理由書などを繰返し読んで見ますると、ますます私はこの法律がなけりやならんという理由を発見するに苦しんでおるのであります。そこでどうも少し根本に遡つて一つ伺つてみたいことがある。ということは、大臣の御説明明の冒頭に、臨時船舶建造調整法は、結局前の臨時船舶管理法、その大部分を、いわゆる五百トン以上についてはその実施をまあ四年間と切つてありますけれども、そのまま残して行きたいと、法律がなくなつた、効力がなくなつた、それをそのまま死なしてしまつたのでは何かこう淋しいような気がする。又、或いはもつと綱をつけて引つ張つておつたものが、綱が切れて何だかそれがために不便が起つて来るのではないかというようなお考えが底を流れて、こういう法律が出たのじやないかとさえ私はまあ考えるわけなのであります。そこで、臨時船舶管理法を、その第一番の骨子であるところの第八條を見てみますと、「政府ハ造船業者ニ対シ船舶ノ製造順位ノ変更、材料又ハ艤装品ノ取得ノ調整其ノ他船舶ノ製造二関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得」という規定が設けられておつて、これは船舶の製造許可制とは私は考えられない。これは丁度支那事変が勃発して、そうしていつどういうことがあるかもわからんし、殊に海運は、事変又は戦争の場合には特別な役割を持つのでありまするから、それだけに一般的に許可制にするということでなしに、必要なめぼしい船がある場合には、それを何とか国の用、事変の用に立てたいという考え方で、こういう考え方で、こういう法律を作つたのじやないかと私は想像するわけなんですが、この目的それ自身をどうお考えになつておるか。省令はこの法律を建前として臨時船舶管理法施行規則というものを設けて、その二條ではこれを許可制に持つて行つておるわけであります。法律と規則との関係で、規則が法律以上に逸脱していやしないかという疑念が湧いて仕方がないのです。先ずその点を一つ伺いたいのです。
#6
○政府委員(甘利昂一君) 私からお答えいたします。前の八條の製造順位を変更すると、それから今の製造許可に関する件は「其ノ他船舶ノ製造二関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得」ということで、許可に関することは省令に委ねられておりますが、併しこの場合に製造の順位を変更することと、船舶の建造許可をするごととどつちが重要かと申上げれば、実際建造中の、着手した船の順位を変更してやる、或いはそれを或る場合には中止するというようなことは、むしろ建造着手前に許可するよりもつと激しい、きつい規定になりますので、その当時の法律としては、製造順位の変更ということを法律に挙げて、むしろそれより対象として弱い訂可制を省令に委ねたものであろうと思います。
#7
○一松政二君 どうも今の局長のお話は私には納得が行かない。「製造順位ノ変更、材料又八議装品ノ取得ノ調整」とあつてですね、これは支那事変が起つた、これがどういうふうに拡大して行くかわからんというので、特殊の場合のことを想定しておるのであつて、これを一般的にただ何でもかんでも造船台に乗つかつておるものを中止したり、或いは頭からこれを変更を命ずるような場合には非常にひどい法律になります。全部を変更する、こういうことを予想しておるのじや私はこの法律はないと思います。その当時の速記録をまだ調べるいとまがございませんが、私はその立法の趣旨はさような意味じやなかろうかと思います。そこで「其ノ他船舶ノ製造二関シ必要ナル命令」、これは「変更、材料又八艤装品ノ取得ノ調整」以下の、それよりいわゆる又遥かに程度の低い事柄を命令に委ねておるのであつて、その本文の規定以上のことを命令で出すということは、明らかに私は違法であると思わざるを得ないのであります。そこで若し今の局長の見解が正しいとお考えになるならば、私は法制局長を呼んでこの点篤とはつきりさして、そうしてこの法文と命令との関係、そうして更にいわゆる新憲法が発布された問題に遡らなければならんと思いますから、局長は今のお説を飽くまで御主張になりますか。
#8
○政府委員(甘利昂一君) 私は当時、只今この立法には関係いたしませんが、ずつと長い間この方面の仕事をいたしておりますので、そのときの状況から見ますと、やはり製造順位の変更と申しますのが一番多い命令でありまして、これは例えば軍艦と商船とか、そういうもののいろいろな調整の問題、或いは戦時中計画的にいろいろの型の船を造つでおりましたが、いろいろな状況に応じて、今まで造りかけておつた型の船を全然やめて、全く別個の型の船を造るという場合がたくさんございます。そういう点から見ますと、立法の趣旨も恐らくそういうことを予想して、製造順位の変更に最も重点を置いて、むしろ製造許可というものに対しては余り重きを置かなかつたので、自然ここの順位に書いてありますように、製造順位変更とか、艤装品の取得に対しているような調整をやるというようなことが非常に重く見られて、許可が非常に軽く見られておる、こういうふうな解釈いたしております。詳しいことにつきましては、当時の立法者を呼んで頂いて一つ御審議願つたら結構じやないか、こういうふうに考えております。
#9
○一松政二君 それは大東亜戦争になつてから後のことは、当時は予想していない、昭和十二年に作つた法律でございますから、六年以後に大東亜戦争が起ろうということは当時は私は考えていなかつたと思う。或いはそういう戦争、事変のあるときにはその任に当らなければならん陸海軍の者は、或いはぼんやりそういうことを考えておつたかも知らんけれども、この法律を作るときに、ただ軍艦を急いで欲しいとか、或いは船を軍艦に変えられたということは私は想像し得ると思う。従つて一般的にですよ、造船を許可制にするということを私は考えていない。若し考えているなら、明らかに法律に語うべきであつて、許可されたものについても政府は造船の必要においてその順位を変更することができるとあるべきである。でありますけれども、その許可のことを問題にしていないで、特別な必要が起つた場合にそういう措置を講じ得る法律を私は作るためであろうと想像するわけです。従つてごの命令は、私はこの本文以上であろうとどうしても考えるわけですから、これは船舶局長が強いてそういう御意見であるならば、これは法制局長を呼んで、そうして或いはその当時の速記録を調べるか何かして、そういう問題があるかないか、これは私は非常に三何故こういうことを言うかというと、法律と命令ということは非常に大事なことなんモす。これはひとり運輸省のみではなくして、すべて施行規則というものが、実際の取締の衝に当つたり、行政をやるときの基準になつている。法律で任せた以上のことが、どうもときどきそういうことがありはしないか、つまり濫用などというものは、おおむね規則に………これは話は違いますけれども、労働基準法がいつでも昨今問題になつでおりますが、労働基準法それ自身は大綱を定めてある。一般の考え方であるけれども、基準規則に事細かに書いてあるために、中小企業、大企業においてもそうですが、中小企業においても、法律の予想せざるところまで、或いは予想しておつたのかも知らんが、余りに事細かく規定しているために、につちもさつちも行かんで、殆んど違反者の続出である。で、私はごと法律と施行規則の関係は最も重大であるし、又ここに今こういう新らしく法案を出されておりますし、又これに基いて規則を作られるに違いない。従つて元の法律とその規則の関係をはつきりここで鮮明にしておく必要があると考えるわけです。それで私はこれは法制局長を呼んで頂きたいと思います。
#10
○委員長(前田穰君) 只今呼びにやります。
#11
○一松政二君 なお、私は審議を妨げるのが目的じやありませんから、法制局長のお見えになる前に、なお二、三の点についてお伺いをして、そうして法制局長がお見えになりましたら又今の問題に返りたいと存じます。私はこの法律を読んで見まして、ここに、この法律の中に許可の基準が害いてある。法律については、実に基準が常識で考えてみたつて、第三條の第一号及び第二号は、これはいやしくも船を建造しようと思う、或いはその船の注文を受けて、これはもう船舶業者にしても造船業者にしても、いやしくも今日船を建造し、そうして運営しようと思う者が、この一と二に掲げられたような基準を逸脱してものを考えるほどの人があるであろうかどうであろうかということを私は疑うわけです。当然のことであつて、わかり過ぎるほどわかり切つていることである。こういうものを具備しておれば許可しなければならないわけである。そこで余りに常識でわかつている世話をやかんでもいいものをなぜ世話をやくかという私は疑いが起つて来るわけです。当然許可しなければならないものを備えておるから、若し不許可になれば必ず不服が起つて来て、そうしてここに書いてありますけれども、そういう始末を受けることは大変な当業者にとつても迷惑な話である。それから許可をとつても、許可をとつたらいついつまでに造らなければならんということは別に何もありはしない。そうすると造らなくても許可の申請が仮に出た場合には、当然これは許可せなければならんと思うの講辛精誕翼耀驚耀ち伺いた。
#12
○政府委員(甘利昂一君) 今の許可基準が非常に漠然としておつて、この許可基準に当てはまらないものはないというふうの御質問でございますが、例えばその第一号の所に「わが国の国際海運の健全な発展に支障を及ぼすおそれのないこと。」と書いてありますが、今御承知のように金融が非常に困難でありますので、財政資金なりを使つて新造をやつております。この場合に、例えば或る船主が、タンカーのほうが非常に有利だというような見解から、非常にタンカーの申込が多かつたという場合に、政府としては、むしろ日本の現在の船腹構成から見ますと、貨物船であるとか、特にそのうちの定期船というものが非常に足りないというふうな考えを以て、むしろこのほうを整備増強したいと考えているにもかかわらず、むしろそれほど必要性を感じないタンカーが非常にたくさん出て来たという場合に、単なる業者の希望のみに任せずに、むしろ国としては或る限られた財政資金なり、限られた隻数を造るのでありますから、むしろ貨物船のほうに重点を置いて、タンカーのほうは或る程度まで制限したいという場合も起り得るだろうと思います。それから第二号の、その船を造る造船所の設備なり技術が適当であるごとということが害いてありますが、これも注文をする人或しは注文を受けるほうが、当然自分の所の設備なり技術なりがその船を造るに適しておらないのに受けるはずがないというふうな常識的の見方でございますが、奥際問題として、現在のように船舶を造るために非常に金融上困難をしておる場合には、どうしても財政資金を借りて船を造らなければとても造れないというふうな情勢でありますので、而も大型の船しか財致資金は貸していなでというふうな観点から見ますと、船台の小さな造船所が大型の船をとるために船台を伸ばすというふうなことがたびたびございます。併し現状の造船所の設備能力を見ますと、我々としては今後殖やす必要はない、むしろどちらかと言えば遇剰のような気味にありますので、この際全国的に見て余つておる大きな船台を更に或る造船所が殖やすというようなことはできるだけ避けたい、こういうふうに考えております。又ごの目的のために造船法でそういう設備の許可をやつておりますが、こういう観点から見ますと、やはりこういう第二号に該当する場合が起り得る、こういうふうに考えております。
#13
○一松政二君 今の局長の話を聞くと、私はますますこの法律は要らなくなつて来ると思います。国の財政資金を開発銀行から貸すときには、これは厳しい選考が起つて来て、そうしてそれに対しては運輸大臣は或る指令をやつておる、それから又海運審議会なんかでも厳しい條件付でやつておつて、そうして、その資金が得られないのでお苦しみになつておるわけです。従つてその面から非常に制約を受けておるのであります。それのないものは造れないのですから、それのないもので造ろうというものがあるなら造つてもいいものでしようか、その点はどうですか。
#14
○政府委員(甘利昂一君) それのない場合と申しますと、例えば財政資金を借りずに自己資金でやる場合でありますが、現在の状況を見ますと、自己資金の場合においても非常に困難であります。従つて例えば今建造許可制がないのですから、造りたい人はどんどん船が自己資金で造れるわけでありますが、実際問題としては造つておりません。従つてこれらはやはり政府としてこういう船が必要である、或いはこういう造船所を造るべきであるというふうなことをきめてやつて、初めてそれで財政資金を付ける。従つて財政資金を付けたものに市中が付けるということで、財政資金の付かない船に市中が付けるということは現在はないようでございます。従つて単に財政資金のみならず、自己資金で造る場合も、恐らく借入金によつて造るのでしようが、その場合に銀行としては恐らくそういうものに金を貸さないというのが現状でございます。従つて政府として、単に銀行の面からその船主の資産とか信用とかを調査して、それに適当なるものに資金を貸すというのみならず、やはり運輸省でその造る船の性能なり、或いはその船の建造後の就航の航路であるとか、その他の状況を運輸省が判断して、これに何らかの措置をとらない限りは、現状においてはなかなか市中といえども付けがたいというふうな状況にございます。従つてこういう何らかの調整機関としてこういう法律が必要である、こういうふうに考えております。
#15
○一松政二君 大臣に一つ伺いたいんですが、むやみに船を造る人があつては困るから許可制にするんだという一方の考え方と、一方には金の貸し手がない、どうしても国が金を世話してやらなければ船も造れないんだ、それで金を貸したにもかかわらず、国家的の目的を達しない船に逸脱する虞れもあるかも知れんから許可制にするんだというふうにも聞える。一体今の船舶を拡充したいという念願に燃えてるはずのように私は承知しておる。そこに更にこうして財政資金の世話をしなけりやならん、市中金融の世話もしなけりやならん、そういうものは許可制があろうとなかろうと必ず私は運輸省の御厄介にならなけりやできないのだと今局長のお話なんです。それ以外のものは船を造らないんだというのなら、なぜそれを許可制にするのかがわからない。三十万トンなら三十万トンの船を造ろうという計画、そうして而もこれは四年計画で一定の船腹に達するまでやろうとされておるところであるから、こういう法律がなくたつて行政面で立派に私は運用をやれていると思う。だから許可制にするということと船腹を拡充するということは何か私は割切れない感じがしておる。何かむやみにできるものがあるからそれを抑えるために許可制にするんだ、育ててやりたいけれども一人歩きはできないんだからこいつを金まで付けてそして希望者を募るということに許可制が要る、この二つは何か割切れないのですが、大臣、どういうふうにお考えですか。
#16
○国務大臣(石井光次郎君) この許可制をとらなくても行政面で船はできるものはできるだろうというお話、私も或る点まではそうだろうと思います。なくてもこしらえたいものはこしらえるでありましようが、昨日もちよつとお話のありましたように、私どもこういうふうな仕事をだんだん援助して伸ばして行つて、そして日本の海運の復活ということを期しておる。まあ親切心の余りに、あんまりこれに容喙が遇ぎるとどうも本当の健全な発展ということに妨害になることもあると私は思います。そこはほどほどにして行かなけりやならんと思うのですが、そこにはやはり何にも基準というものがないと、つい行政手腕というような方面が働き過ぎるようなきらいも起つて来ると思うのであります。要するに役人の力が少し加わり過割るというようなこともあり得ると思います。そういうところを両方何と言いますか、考えながらやつて行きますのには何かの準則がどうしても必要であつて、馬鹿な準則であつてもやはり掲げて、その範囲内で役人が余りそれ以上に出でないように、又その心持でやつて行くのだというような意味で、この第三條の許可の基準なんということも考えたものと、こう解していいのじやないかと思つております。実際上の問題といたしまして、私は船をこしらえなくちやならん。併しそのこしらえるのには自由にしておくと或いは片方に偏し過ぎる、或いはそのとき金を貸さなければできんということばかりになつておれば金を貸すときにいろいろ指導して行けることも事実でありますが、実際上政府の資金を得ずにやつておるのは非常に少いと思いますが、ないとは言えないのであります。そういうふうな場合につきましても、大体の大きな流れを我々のほうで考えながら引張つて行くということをやつて行つたほうがいいじやないか、そういうふうに思つて私はこういう法律があることがいいのじやないかという意見を持つております。
#17
○一松政二君 法制局長が見えたそうですから、さつきの質問に返ります。法制局長にちよつと伺いたいのですが、昭和十二年法律第九十二三号というのに臨時船舶管理法というのがあるわけです。その第八條にその主たる目的と考えられますものが書いてあります。それとそれを元にして出したいわゆる施行規則との関連について伺いたいのです。同法の第八條には「政府ハ造船業二対シ船舶ノ製造順位ノ変更、材料又八艤装品ノ取得ノ調整其ノ他船舶ノ製造二関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得」、これを受けて臨時船舶管理法施行規則の第二條において、直ちに船舶の造船の許可制に行つておる。すべての木船の二十トン以上は、その当時のものはすべて許可を受けなければならんというふうな規則になつておるわけであります。そこでその規則は、一体八條の範囲を逸脱していはしないか。八條の精神はそこま容行つていないはずであるように考えられるわけです。ここで明白になつておることは「製造順位変更、材料又ハ艤装品ノ取得ノ調整」ということがはつきり例示してありますから、「其ノ他」ということを理由にして今の許可制に行つておるわけですが、「其ノ他船舶ノ製造ニ関シ必要ナル命令」という場合には、この列挙した事項よりも遙かに重さの軽い考え方のものを命令に委ねておるのが私は法令の趣旨であろうと考えるわけであります。そこでこの「船舶ノ製造順位ノ変更、材料又八議装品ノ取得ノ調整」ということが、運輸省の事務当局の考えでは、許可制よりも事実は非常に酷な或いは非常にひどい規定なんだから、まだ許可制のほうがこれよむ遥かにウエイトといいますか、重さが軽いのだ、従つて許可制に持つて行つておることは逸脱していない、こういう御主張らしいのです。で、私はちよつと納得が行かないので局長を煩わしたのです。どうか局長の御意見を承わりたい。
#18
○法制局長(奧野健一君) お答えします。成るほど仰せのように八條を見てみますと例示がありまして、「其ノ他船舶ノ製造二関シ」というので、例示等から考えますと「この其ノ他船舶ノ製造工関シ」というのは相当限定を受けると解釈するのが穏当ではないかというお話と思いますが、成るほどこういう見解は、若し今こういう立法をするとなれば、「其ノ他船舶ノ製造二関シ」と無制限に拡げるというようなやり方は今日ではやらないと思います。戦時中の立法には得てしてこういうふうに乱暴といえば乱暴のような立法がよくあります。でありますから、形式的に申しますと、「船舶ノ製造二関シ必要ナル命令」ができるというのを形式的に解釈しますると、船舶の製造に関して制限或いは許可、そういつたようなことも必ずしも形式的に言つてできないものではないというふうに解釈し得ないことはないと思います。それで、なお御承知のように昭和二十五年にごの国会で作りました漁船法におきましては、その第八條に、明らかに臨時船舶管理法の第八條の規定に基く命令によつて許可制にしておることを前提として規定ができておるのであり、昭和二十五年当時において、国会としましても、この八條の規定に基く命令で許可制になし得ることを暗に是認した態度をとつております。そういう点からいろいろ考えますと、まあ書き方としては非常に疑問があろうと思いますが、形式的に申しますと、船舶の製造に関して何でもやれるといつたような、非常に形式的に言えば、そういうこともできないことではないというふうに解せざるを得ないと思います。
#19
○一松政二君 そうすると、そう言えば一体何のために八條で前にその許可のことを謳わずに、こういうふうに例示をしてあると局長はお考えになりますか。許可しておるものでも必要に応じて変更できるというなら話はわかる。許可は一応したのだ、お前は勝手に造つていいのだ、であるけれども、こういう突発事件が起つで必要が起つたのだからこういうふうに変ろということは、命令でやることはできるわけなんです。ところが許可のことは一言も触れていないわけです。そうしてただ必要がある場合ですから、頭から一から十までを全部命令でこういうふうに変更をするというのでもなければ何でもない。一から十まで世話をやく気持も無論ごの法案では持つていない、法律では……。今度「其ノ他」にひつかけて船舶の製造に関し必要なる命令を出すことができる。今のような局長の便宜主義の考え方だつたら、私は法律は要らんと思う。命令だけでやつて行けばいいと思う。法律にはぼんやり書いておつて、あとのことは全部命令でやれるということならば、私は国会は要らない、その点はどうお考えになつているか。
#20
○法制局長(奧野健一君) 成るほど仰せの通りでありますが、いわば船舶の製造に関し必要な命令が出し得る、結局突き詰めればそういうことになつて参りますので、例示をやる場合には、一番重要なことはどうしても頭へ出すということが立法としては輩常に望ましいことであつて、製造の許可ということが一番重要であるとするならば、一番最初にこれを出すのが適当であつたろうと思います。ただ形式的に申しますと、その他船舶製造に関し必要であればどんな命令でもなし得るというふうに、非常に戦時中の立法、白紙委任状的な立法でありまして、余りいい例とは思いませんが、だからといつて、どうしてもそれにひつかけてそういうこともできないか、ぎりぎりに言いますと、やはり製造に関し必要であるというふうに考えて命令を出した場合は、これはどうしても委任の範囲を逸脱するという断定が形式的にはむずかしいのではないかということと、先ほど申しましたように、漁船法によつて、もうすでに国会としても、そういうことの命令によつて許可し得ることを暗に認めておりますので、それらの点からやはり形式的に許可ということで命令も出して出せないことはないのではないかと思います。
#21
○一松政二君 私は局長と第一国会で憲法と民法との……民法が憲法を逸脱した、最初の第一項が逸脱しておるということで、遂に民法の第一條第一項を私は政府をして修正せしめた記憶がまざまざと、丁度局長がお見えになつたからわかるわけです。法律の原文を逸脱して命令が……、これは戦時中、戦争と言えば戦争ですが、支那事変勃発直後だと思うのですが、過去のことを私はあえて問おうとするわけじやない。将来のために、国会というものが無力なただ形式的な條文をこしらえる所なら、私は国会というものは余り尊重したくない。私は司令部と自由党の渉外部長をしているとき或いはその他で随分折衝したことがありますが、日本の法令には何々エトセトラという言葉が日本の法律には多いが、国会議員というものは何でもかんでもそういうもので何々等という言葉があれば何でもできるじやないか、そんなルーズな法律を国会議員ともあろうものがよく通すものだねとしばしば皮肉られたことを私は覚えておるわけです。国会でものを審議する場合には明らかに限定してそうしてその趣旨を逸脱しないようにしなければ、私は一般国民としては行政府に対して頭が上らない。又国会議員もそういう勝手に委任できるような法律を作つたのじや値打がないわけです。そこで私はここで明らかにしたいので局長を煩わしたのですけれども、ただその漁船の製造について、私はそこまで議論を戦わせなかつたからそういうことになつたのじやないかという考え方もあるのですが、私はまあ委員でもありませんから、そういう場合の経過は一つも知りません。従つてそれを前例にとられることは私としては甚だ心外です。いずれにしても、ただ出せば出せんことはないというのであつて、出さないことのほうが望ましいとお考えであるか。
#22
○法制局長(奧野健一君) 先ず非常に常識的に考えますと、やはり八條からそういうような重要なことまでを出すのは、やはり妥当、不妥当という問題になりますと、妥当ではないのじやないかと思います。殊に又この八條に基く命令に違反すると罰金なんかの制裁もあることでありますから、八條のような規定はよほど明確にいたすべきと考えるのでありまして、今後今お話のような点は立案の上において十分考慮しなければならんと思います。
#23
○一松政二君 局長にもう一点だけ伺つておきたいのです。私が一番憂えるところは、法律とその施行規則のことで、法律の予想せざるところまで徴に入り細を穿つて規則というものが過去においてできているし、今後もその危険が多分にあるわけです。そこで私はこの問題を、過去の問題でありますけれども、一応取上げたゆえんのものは、ほかでもない、今後のためにここでそういうことを明らかにしておきたい。今の製造の許可の問題のごときは、材料又は犠装品の取得というようなことまで法文に謳つてあるわけです。頭から造船全体の船の許可をするとか、許可をしないとかいうことを第八條で委任するわけはないのです。当時はただ資材面においてだんだん少なくなつて、統制の懸念もたくさんあつたのですから、そういうことに対して世話をやけることはあるけれども、許可ということは、順位を変更された場合は重大かも知れないけれども、変更することができるだけの話であつて、常に変更するわけではない。ところが許可ということになると、頭から一から十まですべて許可が要るわけです。私はこれは濫用であると思うのです。濫用であると思うが、併しながら過去が非常にルーズであつたのです。それはどうもやればやれんことはない、やつたからといつてそれがすぐ非常な法律違反の行為であるとまで責められるかについては疑問がある、こういう御意見であると思います。でありますから、今も局長がお述べになりましたように、望ましくない、そういうことはしないほうがいいのだ、又すればできんこともないけれども、しないほうがつまり妥当なんだ、穏当なんだというお考えのようですから、私は結局ごの問題を掘下げて行つて、私の考えでは、いわばまさに前の法律の、つまり日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律というのが昭和二十二年四月十八日法律第七十二号で出ておりまするから、私はこの命令それ自身が、すでに命令は勿論のこと、この法律から生れ出るそういう法律を逸脱した命令は、昭和二十三年一月一日から当然無効であると、私はまあ私の解釈から考えるわけです。けれどもそこまで断定するには、形から言えば、通せば通せんこともないじやないかという御意見のようですから、その点は了承いたしまして、今後私はいわゆる国会の法制局長として、こういうことは議員はいろいろ問題がありまして、一々の法律を詳しく、殊に他の委員会などについては本会議で承知するだけであつて、一々の法案に目を通す暇がないのが案情なんです。これは局長に一つ特にお願いしておいて、法律と命令の関係については、厳重に今後御注意を願つて、国会議員としての職責をお互いが全うし得るように一つ側面からお力添えを願いたい、そういうことを局長にお願いしまして局長に対する私の質疑はこれで終了いたします。有難うございました。但し、今関連質問があるそうですから。
#24
○岡田信次君 私も大体この問題は一松委員と見解を等しくするのでありますが、一松委員は途中で何か了承しちやつたようでありますが、この話の出ました昭和二十二年四月十八日の日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律と、この臨時船舶管理法施行規則ですか、これの効力との関係に対する法制局長の御見解を伺いたいと思います。
#25
○法制局長(奧野健一君) 施行規則の二條というものが本法の八條から出て来ておるのではなく、二條によつてそういう許可を必要とするごとに規定したというのでありますれば、そういう許可にかからすことはやはり法律事項と考えますので、若し八條から出て来ないと仮定すれば、今の御指摘の規定によつて効力を失うと思います。ただ先ほど申しましたように、八條から委任を受けて適法にこれに基いてできたということといたしますれば、その規定にかかわらずやはり有効だという考えでございます。
#26
○岡田信次君 そうすると今の昭和二十二年の法律第七十二号でございますか、第一條に「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定で、法律を以て規定すべき事項を規定するものは、昭和二十二年十二月三十一日まで、法律と同一の効力を有する」とありますから、二十三年の一月から効力がないというわけですね。それが今の局長の御説明によると、第八條から出ておるものならいいというのでありますが……。
#27
○法制局長(奧野健一君) 本法から委任されて命令によつて規定したものは、効力としては法律によつて規定したと同じことになりますから、その日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に対する法律の一條に該当しない。これに反して法律の根拠なくして法律事項を命令で規定しておる場合には、その規定により効力を失うというふうに解しております。
#28
○一松政二君 今の問題については、私も今局長と一応了解して終了させましたが、丁度ついででございますから局長に伺いたいと思つていたことが一件この法案についてあるのです。これは附則を御覧願いたいのです。この法律の附則の第四番目に、「臨時船舶管理法は、廃止する。」とあるのです。そうするとこの臨時船舶管理法は大臣の御説明でも、四月二十八日限り、私はこの四月二十八日ということもおかしいと思うのです。この臨時船舶管理法それ自身は「今次ノ戦争終了後一年内ニ之ヲ廃止スルモノトス」ということがあるので、まあ厳密に言つて講和條約の効力発生後を基準ねしたのであろうと思うのです。それが最終の、一番もう何もかもない、全然疑義のない、最大限の、最後の効力としてあると思うのであります。その四月二十八日に、今から二カ月以前に効力を失つた法律を、二カ月後乃至三カ月後に出す法律に、効力のない法律を廃止するということが附則にあることは、何だか私は変な気がしてしようがないのですが、これはどういうふうに局長お考えになつておりますか。
#29
○法制局長(奧野健一君) 臨時船舶管理法の附則で「戦争終了後一年内二之ヲ廃止スルモノトス」というのは、やはり一年以内に廃止の手続をとるというので、やはり廃止の法律を出さないと、一年以内何もやらない場合に当然効力を失つてしまうのではなく、やはり廃止の手続をやつて初めてなくなるので、若し一年以内にやらなければ、政治責任といつたようなことは残るかと思いますけれども、法律としてはやはり廃止という手続が要る趣旨でこれができておると解釈して、その前提の下に、やはりここに廃止するというふうに規定を設けているものと思います。
#30
○一松政二君 これは差して重要事項ではないのだから、争う必要もないと言えばそれでおしまいですが、臨時船舶管理法の「今次ノ戦争終了後喜年内二之ヲ廃止スルモノトス」というのは、私は廃止を前提にしてこの法律を作つてあると思うのですが、その点は如何ですか。
#31
○法制局長(奧野健一君) 一年以内に廃止することを前提に作られておると思うのです。で、廃止の手続を一年以内にやるべきことを前提としてとつておるので、だから法律論といたしましては、一年以内にやらなかつたらどうなるかというと、一年以内に廃止の手続をやらなければ、政治責任はとにかくとして、当然には一年たつてもなくならないのではないかという解釈になろうかと思います。
#32
○一松政二君 どうもちよつと私にはわからん。條件附で、條件が成就しても、新らしくやらなければならんというなら、停止條件とか解除條件とか、わざわざああいうむずかしい文句をこしらえて、法律の問題を起す必要はない。何かその手続をとらなかつたら、それは解除條件にもならない、停止條件にもならない、條件附ということでなくなるわけです。その点は如何ですか。
#33
○法制局長(奧野健一君) 一年たてば効力を失うというふうに書いてあれば、当然効力を失いますが、一年内に廃止をするという或る行為を前提にしておるので、その行為がなければやはり廃止にならないというふうに解釈いたします。
#34
○一松政二君 廃止にならなかつたら、効力はあるのですか、ないのですか。
#35
○法制局長(奧野健一君) 効力はあるのであります。だから一年内にやらないということの政治責任とか、そういつたようなものは残りますけれども、廃止しなければ廃止にならないので、ただそういう場合に当然効力を失わしめようと思えば、一年たてば当然効力を失う、失効するというふうに書いておれば、自動的に効力を失いますが、そのときに廃止をするのだというふうになつておれば、廃止ということが必要ではないかということになつて来ます。
#36
○一松政二君 そうすると、今度大臣の提案理由の説明で、これが問題になつて来る。大臣は明らかに、効力を失つたと御説明になつております。今の法制局長は、効力があるとおつしやつた。この点はどうお考えになりますか。
#37
○説明員(今井榮文君) 私からお答えいたします。これは実はごの法案を審議いたしておりましたのは内閣の法制局でございまして、この点につきましては、今言つたような審議の過程においていろいろ議論がありました。内閣法制局の見解としましては、この法律の附則は「廃止スルモノトス」と一応書いてあるけれども、これはむしろ効力を失うというふうに読むべきであるというようなことで、従いまして実質的には当然講和條約の発効後一年間で効力を失う。なお、形式的に「廃止スルモノトス」と書いてございますので、ただ形式的に廃止する手続をとるという趣旨に解すべきである、こういうふうな見解でございまして、事務的にそれに従つて実はこちらへ出して参つたものでございます。
#38
○一松政二君 それに対する法制局長の御意見どうですか。
#39
○法制局長(奧野健一君) 私はそのいきさつの点は一切わからないのでありますが、まあ形式的に申しまして、「一年内二之ヲ廃止スルモノトス」とあれば、法律としては当然なくなるというのはちよつと無理ではないか。やはり廃止するということがあつて初めて法律的になくなるので、一年たつたからといつて、法律的にはその法律が当然廃止になるという解釈はつかないのではないか。でありますから、実質上そういうものがもうないというふうに扱つておるのだと言えば又別でありますが、純法律的に言うと、一年内に廃止するというので、廃止するという行為がなくても、一年たつたからと言つて、当然それは失効するという解釈が成り立つかどうか。むしろ成り立たないのではないかと私は思います。
#40
○一松政二君 そうすると局長に伺いたくなるのは「廃止する」というのと「廃止するものとす」というやつの区別はどうお考えになるのですか。一年内にこれを廃止すると書いてあればはつきりするでしよう。「廃止するものとす」、よくこれは日本語にあるわけであります。「する」というのを、契約などに「ものとす」とお互いはよく書くのです。これは英文で害いてみるとはつきりわかるかも知れませんが、日本語では「廃止する」というのと「廃止するものとす」ということの区別はどうお考えになりますか。
#41
○法制局長(奧野健一君) 「廃止する」というのも「廃止するものとす」というのも同じだと思います。併し「廃止する」と言つても、まあその一年以内に廃止すると言えば、何かやはり一年以内に廃止の手続をやるということを規定しておるものと解すべきじやないかと思います。
#42
○一松政二君 ちよつと納得行かないのです。どうしても一年以内だから一年がマキシムです。一カ月以内に廃止してしまえば……年は最大限を限つた解除條件だと思います。一年たてば当然解除されてしまつて、法律は無効になると解釈するのが当然だと思います。一日も一年内だし、三百六十五日も一年内です。だから一年の最大限が一年であつたわけです。一年たてば当然これは解除されてしまつて、もう法律は無効になると我々解釈すべきじやないかと思うのですが、局長はその点に対してもう一度御答弁願いたい。
#43
○法制局長(奧野健一君) この立案の点については私は存じませんが、ここに新らしく四項を附加えて、ここで以て「臨時船舶管理法は、廃止する。」というふうに、この附則にこれを付けたところの意味は、恐らくこの前の法律の附則がそういう趣旨でできておると解釈して、ここに新らしく「廃止する」というふうに規定したのであろうと考えまして、今申下げたわけであります。
#44
○一松政二君 私は便宜主義はわかるのですよ。そういう、こうであるからこうしたのだ、こうしたほううがいいからこうしたという、私はさつき局長と第八條をいろいろ検索した場合にも、私は納得は……私が申上げたように、自分の考えは違うのだけれども、併しそう行けば行けんことはない、通らないけれども、通らして通れんこともないじやないかというお話だから、そうして通つたことはいいことと思わんということでありますから、私は辛うじてそれは一応了承しておるわけですけれども、「廃止する。」というのと「廃止スルモノトス」というのは私は同意義だと思うし、局長もそうだとおつしやいますからそれであれば最大限が一年であつて、運輸省の事務当局並びに大臣から、この提案理由の中に、四月二十八日限りでこれは効力を失つたとはつきり書いてある、死んだと……。であるから死んだ法律を附則の四項で改めて廃止する必要があるかないかということを今度別の観点から承わりたいのです。これは局長は生きているからこういうことをしたのだろうというお考えですが、一方内閣の法制局のほうでは、死んだ、けれども「廃止スルモノトス」と書いてあるから、便宜上ここに書いたと言う。私は便宜主義は法律を作るときに考えてなくちやならんと思うのです。法律というものは便宜にどうにでも解釈のできるようなことを規定したらいけない。これは附則だからよろしい、まだしもでございます。こちらがはつきりしているからようございますけれども、どうにでもなるような、どうにでも解釈できるような、どうでもいいようなことを私は法律に作るべきじやないと固く信ずるわけです。そこで今の効力を失つておるという前提ならば、この附則はないほうが私はすつきりしておるのじやないかと思うのですが、如何ですか。
#45
○法制局長(奧野健一君) 一年たてば当然効力を失うという趣旨で初めからの附則炉できておつたものであれば、死んだ法律を改めて廃止するというのは如何かと思います。
#46
○一松政二君 だがら局長は、便宜に考えれば、何でもないただ普通の、何かの座談でものを考えるときには、それはそれでいいわけですけれども、今の運輸省が効力を失つたとはつきりしてあつて、この法案にこういうことを出しておると、うことは私はおがしいと思う。だからこれはいずれかに調整する必要がある。効力があるというものならば、これは改めて廃止の手続を必要とする。効力のないものならば、私はこれは削除すべきであると思う。そうでないと首尾一貫しないど私は考える。法律の体裁としても私はこれはおかしいと考えるのです。で、今法制局長む効力がないという前提に立てば、これはないほうがいい、あつちやおかしい、勿論そういうふうにお考えになるわけですね。もう一度一つはつきり伺いたいと思います。
#47
○法制局長(奧野健一君) 例えば、これは新らしい法案の附則のこ項のように「ごの法律は、昭和三十二年三月三十一日限り効力を失う。」というふうになつておる場合に、その後ごの法律を更に廃止するということは意味をなさないと思います。
#48
○一松政二君 それでは私は法制局長の答弁は了承いたしました。有難うございました。
#49
○委員長(前田穰君) ちよつと速記をやめて。
   〔前記中止〕
#50
○委員長(前田穰君) 速記を始めて。それでは本法案に対する質疑はまだ残つておりますが、一応本日はこの程度忙とどめまして、次に、海上衝突予防法案の質疑に入りたいと思います。
#51
○東隆君 私は昨日議題になりました海上衝突予防法案の第十三條に関係したことでお聞きをしたのでありますが、政府委員からのお話では、保安庁関係の船舶についてのいろいろな予防関係のことは、主として一般の原則に従うのだ、それで特例を設けないのだ、こういうようなお答えがあつたのです。併し常識的に考えてみましても、海上保安庁関係のものは、これは海軍を持つておらない日本、空軍を持つておらない日本、これと同様に陸軍を持つておらない日本において、警察或いはその他のものが特別な装備を持つのは、私はこれは当然だと思うのです。簡単に消防の場合に交通法規を無視するように、赤い消防自動車がぶつ飛んで行くように、私は少くとも海上保安隊の関係の船舶が、或る程度の特別な規定の下に保護されなければやりようがないじやないかと、こう思うわけであります。それでこの問題について、保安庁との間に何か話合いがなかつたかということをお聞きしたわけであります。別にないようでありましたけれども、併しその点について、海上保安庁のほうで如何ように考えておるか、それをもう少しはつきりしておきたいと思います。
#52
○政府委員(上村健太郎君) お答え申上げます。この法律は、保安庁の使用しております船舶につきまして全部適用がございます。なおいろいろな支障がないかというお尋ねでございますが。現在のところアメリカから借りておりまするPF、その他の船につきましても、構造上から見ましても、この法律の適用を受けまして、この法律の規定に従つた措置をいたしております。
#53
○東隆君 私は先ほど申上げましたように、この第十三條は、これは海軍に関係をしたものは特別にその国で以ていろいろなことを規定をするというふうに、これは救済規定になつております。それで保安庁関係の船舶については、私は或る程度の救済規定がなければ非常に不便だと思う。私は何も辻政信氏のように、軍機は秘密にせんけりやならんという、そういう意味じやありませんけれども、もう少し海上保安庁関係の船舶に関する限りはもつとやり得る。何と言いますか、救済的な規定が、独自なものですから、戦争を廃棄した国における一つの形ですから、そこでその場合において、特にそういう点が考えられなければならん、こう思いますので、その点について用意がなかつたか、こういうような点です。
#54
○政府委員(上村健太郎君) この法律の適用につきまして、船舶局の御当局といろいろお話しを伺つたのでございますが、私どものほうに所属しております船について、その運航等につきましても、現在この規定の適用を受けまして、格別不自由も感じないで済むようでありますので、現在のところ特例は設けるつもりはないわけでございます。
#55
○東隆君 私は今の保安庁関係の船舶その他、或いは装備に関係して非常に時がたつに従いまして次第に重装備といいますか、そつちの方向にだんだん進んで行つて、それで例えば航空機なんかも用いられるようになりますると、おのずから航空母艦とはならんでしようけれども、航空母船というようなものも生れて来るのじやないか、或いは潜水艦と言わなくても潜水船みたいなものが又出て来るのじやないか、こんなようなことが考えられるわけです。それで法律は、或る程度現在のものを以て規定することが適当だと思いますが、併しその法律ができる瞬間においてすでに非常にそういう問題について考えなければならん節がたくさんありはせんか、例えば航空母艦に紛らわしいものや、潜水艦に紛らわしいものが用いられるようになつた暁におけることはお考えの中にはなかつたかどうか、お伺いします。
#56
○政府委員(上村健太郎君) 保安庁といたしましては、今お話がございましたような航空母艦或いは潜水艦或いはこれに類するものを持つような計画は全然ございませんし、現在所有しておりまする船、或いは本年度予算に計上いたしましてお願いをしておりまする建造計画中の船につきましては、この法律の適用を受けまして運営上支障はないと存じております。
#57
○委員長(前田穰君) それでは本日はこれで散会いたします。
   午後零時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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