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1953/07/03 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 運輸委員会 第6号
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1953/07/03 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 運輸委員会 第6号

#1
第016回国会 運輸委員会 第6号
昭和二十八年七月三日(金曜日)
   午前十時四十二分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     前田  穰君
   理事
           入交 太藏君
           重盛 壽治君
   委員
           植竹 春彦君
           岡田 信次君
           仁田 竹一君
           一松 政二君
           加賀山之雄君
           森田 義衞君
           大倉 精一君
           東   隆君
  国務大臣
   運 輸 大 臣 石井光次郎君
  政府委員
   運輸省海運局長 岡田 修一君
   運輸省海運局海
   運調整部長   国安 誠一君
   運輸省船舶局長 甘利 昂一君
   運輸省鉄道監督
   局長      植田 純一君
   運輸省自動車局
   長       中村  豊君
   高等海難審判庁
   長官      長屋 千棟君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       古谷 善亮君
   常任委員会専門
   員       田倉 八郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○日本国有鉄道法の一部を改正する法
 律案(内閣送付)
○鉄道敷設法等の一部を改正する法律
 案(内閣送付)
○道路運送法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○臨時船舶建造調整法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。
 先ず日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。政府より提案理由の御説明を願います。
#3
○国務大臣(石井光次郎君) 只今から日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の提案理由について御説明申上げます。
 日本国有鉄道が公共企業体として発足いたしまして以来おおむね四年を閲したのであります。この間その設立の趣旨を生かし、能率的な運営を図つて公共の福祉を増進し得るよう種々その制度に検討を加えて参つたのでありますが、今回管理制度と会計に関する部分を主といたしまして日本国有鉄道法に所要の改正を加えますためにこの法律案を提出いたすことになつた次第であります。
 最初に日本国有鉄道の管理制度に関する改正についてであります。日本国有鉄道については現在その指導統制に任ずる機関といたしまして監理委員会を設けておりますが、その性格が不明確な点がありますので、今回これに代えてその権限をより明確にして業務運営に関する重要事項の議決機関として経営委員会を設けることといたしたいと存じます。又総裁を内閣が任命するに際しましては現行法は監理委員会が推薦したものにつきこれをなすことになつておりますのを経営委員会の同意を得るにとどめることと改めました。
 次に会計及財務に関する改正についてでありますが、日本国有鉄道は同法第一条に明示いたします通りその能率的な運営により、公共の福祉を増進することを目的とするものでありますからその事業の運営の基盤たる財務活動につきましては十分にその企業性を発揮し得るようにいたすべきことは勿論であります。併しながら又日本国有鉄道は全額政府出資の公共企業体として一般民間企業とその本質において性格的に異なるものであり、公共の福祉の見地から国の特殊の関心と監督に服す必要のあることは申すまでもないことであります。会計及び財務に関する改正の要点といたしましては日本国有鉄道の予算の形式、予算の繰越、利益金の処分、現金の取扱、資金の調達等の諸規定につきまして企業にふさわしいよう所要の整備を加えますのがその第一であります。次に役員及び職員に関する給与準則について現行法では予算の中で給与の額として定められたいわゆる給与総額をこえてはならないこととされておるのでありますが、今回特別の給与につきましては若干の弾力性を与えたことであります。第三に日本国有鉄道は一定の条件の下においては関連事業に投資し得ることを明らかにしたことであります。以上が改正の主な点でありますが、これが詳細につきましては内容の説明を申上げる際に譲りたいと存じます。以上を以ちまして提案理由の説明を終りたいと存じますが、何とぞ慎重御審議の上速かに御可決あらんことを御願申上げます。
#4
○委員長(前田穰君) 本案に対する質疑は次回にこれを譲りたいと思います。御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(前田穰君) 御異議ないようでありますからそのようにいたします。
#6
○委員長(前田穰君) 次に、鉄道敷設法等の一部を改正する法律案を議題に供します。政府より提案理由の御説明を願います。
#7
○国務大臣(石井光次郎君) 只今から鉄道敷設法等の一部を改正する法律案につきまして提案理由並びにその概要を御説明申上げます。
 御承知のように鉄道敷設法は、日本国有鉄道の敷設すべき予定鉄道線路並びに国有鉄道に線路の敷設を許可する場合に必要な手続等を定めたものでありますが、この法律は大正十一年に制定せられたものでありまして、この法律の別表即ち予定鉄道線路につきましては、現在に至るまで殆んど改正せられておらないのであります。
 ひるがえつて、戦後における我が国の産業経済の事情を考えますると、戦前に比べて著しくその趣を異にして参つたのでありますのでこの新らしい見地から敷設法予定線を再検討して然るべきであるという各方面からの意見に鑑みまして、これを鉄道建設審議会に諮問いたしましたところ、本年二月十八日、十三の線路を敷設法別表に追加するを適当と認める旨の御答申を頂きましたので、ここに改正法律案として御審議を願うことにいたした次第でございます。
 別表に追加する十三線路の内容につきましては、別に詳細に申上げることといたしますが、この線路を新たに追加することがこの改正案の主体でございます。
 次に、このほかに改正いたします事項は、委員の任命等についての事務的な事柄でございまして、その第一は、法第六条第二項第三号中の委員「経済安定本部副長官」を「経済審議庁次長」に改めることでありまして、これは経済審議庁設置に伴い改正せられることに相成つたのでございます。第二は、法第六条第二項第六号及び第七号の委員に対し、審議会開催の場合は、手当を支給することができるように改めたことでございます。第三は、法第七条関係でございますが委員の任期の始期終期等につきまして、現行法では明確を欠く点がございますので、これを若干改正いたしたいと考えた次第でございます。
 以上がこの法律案の概要でございますが、国有鉄道の鉄道網を整備することによつて、産業資源の開発を促進し、以て我が国の経済自立の達成に貢献いたしたい所存でございますので、何とぞ慎重御審議のうえ、速かに御可決ありますようお願いする次第でございます。
#8
○委員長(前田穰君) 本案に対する質疑を次回に譲りたいと思います。御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員長(前田穰君) 御異議ないようであります。
  ―――――――――――――
#10
○委員長(前田穰君) 次に道路運送法の一部を改正する法律案を議題といたします。政府より提案理由の御説明を願います。
#11
○国務大臣(石井光次郎君) 道路運送法の一部を改正する法律案の提出理由について御説明いたします。
 道路運送法の実施後、自動車運送の発達著しく、又、諸情勢も変化して参りましたので、運輸省といたしましては、同法の改正についてかねてから検討しておりましたところ、前国会に議員提出として同法の一部改正案が提出されましたが、解散のため成立に至らなかつたことは御承知の通りであります。よつて、今回、同法案の趣旨を全国的に取入れました上、自動車運送事業に対する規定と自動車運送に関する諮問機関について必要な改正をいたしますと共に、諸種の届出制度の廃止等により、行政手続の簡素化を図るため、本法律案を提出した次第であります。
 以下、本選律案による改正の要点について御説明いたします。
 第一に、一般自動車運送事業の種類ごとの定義を改正いたしまして、一般乗合旅客自動車運送事業は定路線、定期及び乗合旅客の三要件を、一般路線貨物自動車運送事業は定路線、定期及び積合貨物の三要件を、それぞれ備えるものと定義いたしますことにより、実情に対応させると共に、両事業の類似行為発生の防止に資することにしたのであります。第二に、自動車運送事業の免許基準の一部を改正いたしますと共に、その適用方について事業の種類及び地方の実情に対応させるようにしたことであります。第三に、自動車運送事業の運賃料金制度を改正いたしまして、自動車運送事業の一部については確定運賃制度のほかに最高及び最低運賃制度の途をも開くことにより、実情に対応させるようにしたことであります。
 第四に、道路運送審議会を廃止して、行政手続の簡素化を図りますと共に、適正供給輸送力の策定その他自動車運送に関する基本的方針について陸運局長の諮問に応ずるため、自動車運送協議会を設けることにより、行政の民主化を図つたことであります。自動車運送協議会は、関係行政庁の職員、学識経験者、自動車運送事業者及び利用者のうちから、関係者の意見を徴して任命される委員九人以内を以て組織され、更に必要のある場合には、臨時委員を置くことになつております。第五に、自家用乗用車の使用届出制、軽車両運送事業の届出制等を廃止し、行政手続の簡素化を図つたことであります。
 以上によりまして、本法律案の提出理由についての御説明を終りますが、道路運送の総合的発達を図りますためには是非とも本法の制定を必要とするものと考えますから、何とぞ十分御審議の上、速かに御可決されるよう御願いいたします。
#12
○委員長(前田穰君) 本案に対する質疑も次回に譲りたいと思います。御異議ございません。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○委員長(前田穰君) 御異議ないと認めます。
  ―――――――――――――
#14
○委員長(前田穰君) 次に、臨時船舶建造調整法案を議題といたします。
 前回に引続き御質疑のかたは御質疑を願います。
#15
○一松政二君 私は幸い運輸大臣がいらつしやいますから前回の質問に引続きまして、若干質問を継続いたしたいと思います。前回の法制局長の説明によつても、前のいわゆる戦時立法であつた管理法の第八条からああいう命令が出ておる。命令でこれを許可制にしたということは辛うじて釈明ができる程度であつて、決して妥当ではない。やればやれんことはない、やつたことは不当であると言わないばかりの意見のように私は了承したわけであります。世の中は日本の諺にもある通り、泥棒にも三分の利があるというくらいでありまするから、いわんや泥棒でない普通の議論はおおむね反対すれば反対の理由があるし、賛成すれば賛成の理由がある。決してそれは反対の人は理論に負けてそれでややただ納得するだけの話であつて、自分が理由がないと思つて引下がる人は殆んどないわけであります。でありますから今の八条から出た命令であつても甚だ不穏当であると考える。殊に新憲法下にああいう命令を継続したということは私は運輸省として今後のために大きな私は反省をして頂きたいと思うのです。新憲法ではああいう類の命令をひどく戒めておるわけです。ところがやはりこの法案はそれを受けておるわけであります。前のやつは効力がなくなつたからそれに代るものを出したいというのでありますから、その根本において私はどうしても反対せざるを得ない。なくて結構なんです。運輸大臣が仰せになりましたいわゆる金融その他或いは事務当局が常に口癖のようにいう政府が斡旋しなければ船一艘も造れないのだ、少くとも外航船に関しては。然らば何を以て法律で以てそんなものを許可制にかける必要があるかと言いたくなる。もうがんじがらめに金の面で世話にならなければならない、斡旋しなければできないという事情を知つていながら、それが政府が口をきかなければできないというのに、でありまするから船を造りたいという人に対する運輸省の発言権というものは実に絶大なものだ。こういう法律は、何ぞこの法律を要せんやと言いたいのである。にもかかわらず、これを許可制にしたい、そうして今度は一方においてこれを三条において、金融の面では何ら縛つていない。金融のことは一口も触れておりませんが、この三条の許可を受くる基準について金融のことを全然触れなかつた理由を大臣から御説明願いたいと思います。
#16
○国務大臣(石井光次郎君) 第一に、今の最後のお尋ねにだけお答えをいたしますが、これは開銀法のほうに規定がありますので、このほうに出す必要はないだろうというような考え方でやつたのでございます。
#17
○一松政二君 更に船の融資を受ける場合には開銀法によつて政府の許可を必要とするようになつておるのですか。
#18
○政府委員(甘利昂一君) 開銀法には別段船の融資を受ける場合に許可をするとは書いてありませんが、ただ開銀としては、開銀法の中に国の産業及び経済の開発に寄与する設備等についてこれに設備資金を貸すことができるというようなことが書いてありますので、こちらのほうは開銀のほうでやります。又開銀が独自の立場で金融べースとしてそういう選択をするのであります。運輸省としては別個の海運政策、造船政策の立場から、別個これを調査する必要がありますので、いろいろの調査或いは許可の基準として何らかの法律を持たなければ或いは逸脱する場合もありましようし、非常に権限として弱い場合もありますので開銀のほうでは別個にこういうような法律が必要じやないか、こういうふうに考えております。
#19
○一松政二君 今の説明を承われば承わるほどこの法律の必要性はないと考えます。今の開銀法で、開銀法に対するいわゆる原局の意見というものが非常に強い。開銀の総裁の説明を聞いても公式にそういうことは言いません。非公式にロボツトみたいなものだと言つている。自分に自由裁量の余地ということは非常に乏しい。原局から推薦があり、原局の意見と反対の、反対というか賛成でない、或いは強い支持のないものは金の面で非常に窮屈ですから、日本の産業は金の面で非常に強い制肘を受けておることは御承知の通り。従つてそういう国家の投融資を必要とし、市民の多くの金を特別な目的のために長期に亙つて使わんとすれば原局の支持がなければ絶対不可能なんです。何のためにこういう形式的な法律をこしらえて、そうして一つの船を造る場合に一応その案を出せばその船型からその損益計算からその会社の資産、信用からそれの償却から返済に至るまで、事細かく開銀が調べている。そして運輸省もちやんとそれを知つている。運輸省も必ずそれに対して相談に乗つておるわけです。その上になぜこういう形式的な許可制が要るかと言えば、今管理法がなくなつて、私は管理法というものが効力を失つたからこの形骸をここに更に生かしておきたいということから起つたことだと私は悪く想像する以外に考えられないので、今局長の説明を聞いても運輸省は運輸省としてこういう法律を求めたい、とつておかないと運輸省は世話をやくのに基準がないというようなお考えのように承わつた。甚だ私は遺憾に考えられるが、船のようにもともと自由企業である、私は日本は外航船を必要とするであろうけれども世界の各国から見れば日本は造つてくれないほうが一番いいんです。世界は船腹過剰によつて運賃も暴落しておるのです。そこで日本だけは日本独自の立場からその中に割込んで行く必要上船をどうしても造らなければならん。これは私はわかる。わかるけれども英国やスウエーデン、いやノールウエー、或いはアメリカ、ドイツ、いわゆる世界の有数なる海運国は日本人が船を造つて同盟に割込んで行くことは御免なんです。日本が今日では撹乱者になつていると彼らは考えているかも知れないほど、船の一般情勢から言えば日本は日本独自の立場をとりますから、日本は日本として将来のために困難をあえて覚悟の上でこの船を造つて行こうというのが国の考え方でもあり、運輸省としてもそういう見地に立つて私は世話をやかれておると思うのです。何にも法律がなくたつてそういう世話は十分やき得るし、現にやいておるわけです。許可があつたからやいておるのじやない。でありますから私はこの許可制を必要とする理由は頗る薄弱である。薄弱でないという理由があるならば、更に今海運局長は発言を求められているようですから一つ御意見を承わりたい。
#20
○政府委員(岡田修一君) 運輸省が船舶建造について許可の権限を持たなければならない理由といたしまして、私どもは戦後の日本の船腹構造というものが相当アンバランスになつている、或いは今後これを拡充いたしまする上におきましてもバランスのとれた構造にしなければならないと考えております。ところが実際業者がこれを建造するといたしまする場合に、必ずしも日本海運の全体の船腹構造というものを考えませんで、自分だけの利害打算でこれを造るわけであります。例えば昨年タンカーが非常に多かつた、市況がよかつた、その場合に業者は皆タンカーの建造に殺到した。併し私どもは日本のタンカー業というものは非常に根がない。むしろ根無し草といつていいほどで市況がいいときには成るほど稼ぎましようが、これが一旦過剰になりますと、そういう精油業者、その他殆んど関係のない日本のタンカー業者というものは非常な苦境に立つておる。従つてタンカーの建造についても相当の制約を加える。そこで私どもは毎年のタンカーの建造費は幾らくらいかかるか、これは日本の油の輸入量等を考えまして、一定の計画を立てる。併し業者は今申しましたように、目先の市況につられてこれに殺到して来ます。これに金を貸そうとして銀行……勧銀も先ほど勧銀総裁が運輸省の言う通りだとおつしやつたかも知れませんが、或いは事実は私どもそうだとは思いません。勧銀も幾分か金融機関的考えが強い。そうしました場合に、運輸省として何らこれを抑える権限がないと思います。私どもの考えている計画から全く外れた船舶の建造状態が現出するということになります。財政資金も非常に窮屈であります。又民間の資金に対しましても、最近金融機関におきましては大体本年度は海運に対してどの程度の金を出すかという心がまえを持つているわけです。従つて運輸省がタンカー五はい造る予定のところ十五はい造る、従つてそれにこれだけの金を出すということになりますと、あと運輸省が二十万トンの貨物船を造りたいという場合に、もうすでにタンカーにこれだけの金を出した。従つて貨物船のほうに出す金がないというふうな結果になつて、貨物船の建造計画に支障を来たす。従つて私どもといたしましては、今後四カ年間一定の建造計画というものを立てて、それによつてバランスのとれた日本の海運界というものを再建する。その期間におきましては、少くとも運輸省としてそういう計画から非常に外れた現象が生ずるのを阻止する方途を、手段を持つておるというのが私どもの考え方でございます。
#21
○一松政二君 私は大体のお考えはわかるのだけれども、それに許可制を持つていなければそういうことはできないという議論が私承服できないのであります。というのは、海運局長は昨年のタンカーの非常に好況時代の何をお話になりましたが、海運局長みずから許可制の下においてそういう管理状態があつたのかないのか知りません、これは許可制があつたから許さない、許さないから辛うじて大体運輸省の政策の線に沿うて来たということを実証しようとするのなら私はそういうものがなくつたつて今日の運輸省、今日の金融情勢下において海運政策としてのそういうことはこんな法律があろうとなかろうと立派にやり遂げ得るし、又やり遂げ得られないと考えるほど、海運局長或いは運輸大臣皆さんがそれほど自分の力はこういう法律の後楯がなければ業者に睨みがきかないのだとはお考えにならない。私はそういうふうにあつてもなくてもいいような法律を作ることに不賛成なんであつて、海運政策それ自身に対して政府なり運輸省が一定の見解を以て全体のバランスをとるように指導して行くということを私はあえて反対しておるわけではないのです。ただ管理法がなくなつてそれに代るものをこしらえるというのが、私はその根本に流れている思想だと思うのです。これと、もろ一つ私がわからないのは、なぜ今海運局長のお話によると、殆んどいわゆる遠洋船、遠洋船ですよ、五百トンの琉球や台湾や朝鮮へ行く船のことを考えているのじやないのです、今までの理由によれば、それをなぜ五百トンまで一体引下したのか、そこへ以て来て一般の民間のほうからこれを又元のほうに何か二十万トンまでしてくれというようなことを陳情者が私どものほうにも来ておるし、衆議院ではそれを議題にして、自由党の政務調査会でもこの問題がありましたから私は強く反対の意思表示をして来たのですが、まだ何か知らん、この最も自由企業であるべき海運に何かこう統制力を加えなければ何か乱れた形になつて来はしないかということを恐れるものですが、私は海運ほどこの時の波動を描く、時の経済状態及び荷動きの情勢、何か変乱があり、ストライキがあるとか、いろいろなこと長期的に荷動きの変化が起つたときに波動を描く業種は珍らしい。そこでですね。今日いいと思うことが、これは非常に端的な例をとつて言えば今日いいと思うことが明日は悪いと思うことがあるのです。今年いいと思つても来年悪い。来年悪かろうと思つて遠慮しているとその裏が出て来年のほうがよくて、その次の年のほうが悪いというような現象が起つて、これはなかなか捉えることはむずかしいのですね。若しそれが海運局長がおつしやるようにバランスがとれて、そうして平穏にものが進んで平水航路を行くように世界の経済状勢というものはそんなに平穏なものではありません。従つて今総理大臣もその計画をこしらえても又これを変えなければならないじやないかと言つて衆議院でも答弁されておることを聞いておる。然らば自由、自由というのは自由の中にも一定の計画を持つている。計画を持つているけれどもがんじがらめでそれを法律で縛らない。一応この計画の、計画は計画であるけれども、それができるだけ成るべくその情勢に応じて法律を持つて行かなくても経済ですから世の中の実態は法律通りには動きはしません。従つてもう自由党の考えが自由放任主義ということをよく言われているけれども、自由党は決して自由放任ではない。常にその情勢に応じて変化に応じ得るような態勢をとつて大きな政策を立てて、大体の目標を定めて、そしてそれに向つて進んでおる。常にそれを修正して行くことは修正し、四囲の変化に応じて経済を引張つて行きたいというのが私は根本観念だと思う。計画経済の場合だつて計画は立てるけれども、常にこれを修正しなければならん。却つて最初に計画を立ててがんじがらめにやつたほうが、あとでこれを修正するのに骨が折れる。どんな世の中でも計画を立てても、それは無修正には行かれるものではないのです。だから私は許可制があるからスムーズに行くという考え方には賛成できないのです。何か御意見があるようですから、承わりましよう。
#22
○政府委員(岡田修一君) 一松先生は戦前の日本の海運は非常よく御承知なんで、又そういうところからいろいろ割出して御議論を、或いは批判して頂いているのかと思います。併し御承知の通り戦後の日本の海運業者というのは非常に弱いのです。従つて今お話がありました、十年に一年の景気がある。あとの九年は不景気だと、こういう場合に戦前におきましては、日本の海運業者はその九年の不景気をじつと耐える力を持つておつた。ところが現在はそういう力が全然ございません。従つて不景気が参りますと、この海運業者を何とか生かすようにしなければならんという、何とかしてくれという声が非常に強くなつて来るにもかかわらず一方海運業者というのは先ほど言いましたように、自分の考えで投機的にいろいろなことをする。例えば一つの顕著な例ですが、一昨年海運のブームが非常に来た。そのときに我も我もと買船に殺到したわけです。これは政府部内でも、通産省、或いは大蔵省、それからその他、何も船を造らなくても買船でやつて行くというので、私ども全く孤軍奮闘、これを防戦するのに非常に苦心した。その船を購入するのに私ども許可の権限を持つておる。許可の権限を持つておりまするけれども、なお業者を指導するのに指導し切れない。私どもの気持としても或る程度緩和しようという気持もあつたのもありましたが、その結果五十万重量トンの船が入つたのです。今日この船の採算を見まするといずれも金利が全然払えないという状況です。今度、ところが当時業者はそういう自分の危険で、これは政府が奨励したのでなく政府が、私どもがいやいや認めたものでありますにかかわらず、今日非常に苦しんでおる。これを何とかしてくれということを言つておつて、従つて先ほど許可権限を持たなくても指導できるだろうということをおつしやいましたが、我々過去の事例からいたしまして、たとえ許可の権限を持つておりましても、そういう業者の圧力というものはなかなか抑え切れない。ましてやこれがそういう権限がないとしまして、恐らく百万重量トンくらいは輸入して来る。そうして今日の日本の海運はますますいけない状態になる。かように考えるのであります。それからちよつと速記をとめて頂きたいと思います。
#23
○委員長(前田穰君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#24
○委員長(前田穰君) 速記を始めて。
#25
○一松政二君 私は今の海運局長のお話は納得行かない。大体朝鮮に船を仮に売る場合にこれはプラントするというのと同じようになつて、これは外国為替及び外国貿易管理法によつて、私は政府の許可を得なければできないはずですが、その点海運局長如何ですか。
#26
○政府委員(岡田修一君) 貿易のほうで制限することはあります。併しその場合には成るほど政府の処置でございますから、だから政府でそういう考えをまとめて、統一した方針でやるということでやれるわけです。
#27
○委員長(前田穰君) ちよつと速記をとめて。
  「速記中止〕
#28
○委員長(前田穰君) 速記を始めて。
#29
○一松政二君 今の海運局長のお話を承わりますと、いよいよ以て事務担当者の考え方が露骨に出ている。この日本の国民が一番迷惑しておるのは各省の縄張り争いである。私も曾つて行政官吏の政務次官をしておるときに、行政制度審議会に列席して、つぶさに各省の意見を聞いて、そうして私ども或る省の管轄を共同になつているということを、或る省の主管にしたほうがいいという意見を述べたところが、もうその取られるほうの側に立つた省からは、目の仇のように私に、私の言論は人間に対してはあれは今度は出せないくらいのところまで言うた。或る省が或る省の局長以下の役人がいるわけですが、今私はなぜさつき速記をとめさしたかというと大臣がロボツトになつてしまう。大臣は主管大臣以上、一歩も出なくて、そうしてどうにもならんようになつて、国務大臣としての働きは公然なくなつて、政府の決定意見でさえも各省の事務担当者はそれに甚だ不服であるということになる。不服は止むを得ません。今の海運局長の輸入船を例にとられたことを私は見込違いだと思う。私はこの見込違いは朝鮮事変が起つたときに日本国家全部が見込違いしておるのです。あのときに、あのときの政府が備蓄輸入を極力奨励しておる。そうして日本の経済は今日不渡手形でいろいろ騒いでおりますけれども、その原因はあのときの輸入過多にあるわけです。今の船腹の輸入もこれは見込違いで、もつと海運の好況が続くであろう、朝鮮の戦乱も続くであろう、或いは第三次大戦にこのまま行くかも知れないというようないろいろな想定から、そういうものをやつたのであつて、最初に輸入した人は、今日でもなお算盤がとれているが、もうこれはああいう事変なり何なりが起つたときには、必ず輸入超過や、輸入過多の問題、これは遠くは大正十二年の関東大震災のあとに、あれも輸入、これも輸入で、政府自身も又輸入を奨励しながら輸入過多に悩んだ。今度の朝鮮事変でもこの輸入過多に悩んで、そうして昨年の一月二十七日参議院において私は大蔵大臣にこの責任の問題について正式に自由党を代表して質問演説に起つたところ、池田大蔵大臣は、政府にも責任があり、銀行にも責任があり、当業者にも責任があるということをはつきり言いました。ただ責任の帰趨を明らかにしたけれども、その処置について荏苒今日に及んでおる。従つて今日の日本の財界の病はますますいわゆる膏肓に入りつつあつて、決して表面を糊塗しておるような、そんな平穏なことではない。今日海運局長は非常に造船業者と海運業者のことを御心配になつておりますが、これは日本経済の全般を最も端的に現わしておるものであつて、ほかの業者とい身ども今日満足に税金を本当に納められる業者というものは少い。ただこれは借金が増しておるだけだ。決して正当な利益から配当をし、金利を払える会社というものは実に少い。これは見込違いである。見込違いというものは私は政府がどんどん見込違いをするのですから、如何に許可制を持つていようと、見込違いというものは起る。従つて過去の見込違いを例にとつて政策の根幹に織込んではならない。如何に聡明な海運局長であつても、如何にこれをリードしておつても、あとから考えればこれほど人間のしたことで無駄なことはないことはお互いに百も承知しておりますが、見込違いなんです。けれども許可制があつたから見込違いをしている、許可制がなければますます見込違いが大きくなると言うが、それほど日本の業者というものは馬鹿ではありません。お互いに自分の身がかわいいのですから、自分の危険においてするのですから、よほど慎重にやりますからこれは許可制の有無と私は関係がないと思う。
 それから今の管理法の問題についてはこれは一つ運輸大臣にお任せを願つて、そうしてそういうことがあるから二重に許可制を持つていなければ日本政府の政策に矛盾を来たす。あとから考えればどんな批判も起ります。それは私は総理大臣以下いわゆる政府、内閣というものに対して頗る私は不信の言動であると思う。これは私は事務当局としては或る程度反省をして頂きたいと思うのです。で私は今の理由では私は納得行きません。併しながら私は最前も申上げましたように、泥棒にも三分の利がある、それを私はいつも例に引きます。でありますから、必要であるという理窟も立つのですよ。併し必要でないという理窟は更に以上立つ。その割合はどつちかということになると、それは見る人によつて違うと、こういうことになる。でありますから、あなたは必要であると言うし、私は必要でないと言う。これは或る程度平行線を描くかも知れません。でありますけれども、私はさつきの理由では納得の行かないことを申上げて置きたい。
 そこで私は今度は船舶建造調整法案のことですが、そこで一方では一万トン或いは七、八千トン以上のいわゆる遠洋航海に向く船において何らかの紐をつけて置きたいというくらいのことなら私はわかるのです。それは紐をつけなくても私はいいのですよ。いけるのです。けれどもその程度のものだつたらあつて邪魔にならないという考えですけれども、今の五百トンに下したのは思想的に矛盾があります。五百トンのほうはこれを抑えよう、遠洋航海のほうはうんと造らせようというのです。金を無理して、日本のこの足らん金を運輸省が一生懸命になつて我が田に水を引いて船のほうにできるだけうんと持込みたいという考え方から来ているのです。一方五百トン程度のものは建造を抑えようという精神から五百トンにしたと、こういう説明になるので、私はその必要はないと思う。それなら私は要らんけれども、なぜそれだつたらもういわゆる日本の旧領土であつた程度の或いは中国に行ける程度の船舶においては、私はそれは要らん。船舶がいろいろ変化して今日では不適当であるというような船もあることは、これは占領政策が悪かつたからそういう問題が起きて来る。占領政策で日本に船を造らせるつもりはなかつた。日本を海運国にするなんてことは到底占領の当時では考えていなかつたことで、建造を第一許させないし、僅かに辛うじてだんだん情勢が変化しても、船が一番遅れている。建造を許可するときにはスピードの制限をして見たり、型の制限をして見たり、大きさの制限をして見たり、あらゆる妨害をした。そうして日本の近海の運賃を高くして日本は占領によつて苦しんだ上に、運賃によつて世界の各船会社或いは各国から大いに搾取されている。或る船会社の者に私は三四年前に汽車で一緒に乗り合せたときに、もう二年ぐらいはいるけれども、日本の船会社ができ上つたら僕は用はないから帰るよと言つておりました。日本の船の高いときに来てしこたま儲ける。その間に儲けて、それから日本の船ができれば我々は用がないから帰るとはつきり言つておりましたが、そういうわけで、政府の金を使つたりなどしても、今から見れば好ましくなかつた船もできているわけです。それは依然として許可制があつたけれども、更にもう一つ強い占領当局によつて制限を受けたんですから、これは私は自由にしてはどうかと思います。この許可制を見れば、輸出船も当然私はこの中に包含するのだろうと思うのですけれども、輸出船に対して運輸当局は何の条項によつて抑えられるとお考えですか、この法文から言つて……。
#30
○政府委員(甘利昂一君) これは造船業者に対する建造許可によつて抑えるのでありますが、第二条に初めから読みますと、総トン数五百トン以上の鋼製の船舶であつて、船舶安全法の規定により遠洋区域又は近海区域の航行区域を定めることのできる構造を有するもののうち政令で定めるものの建造をしようとするときは、と書いてあります。その政令で具体的に例を挙げてありまして、それに輸出船も書いてございます。
#31
○一松政二君 この法案が通る前提で政令ができるのであつて、法案が通らなかつたらその政令は無意味ですけれども、法律で私ははつきりしないものを政令に委ねるというのは甚だ怪しからんことだと思う。それが昨日の論点になつたわけです。我々国会議員の納得の行かないことを、法律上納得の行かないことを、今度は政令で以てそれをきめるということになると、これは明らかに憲法違反になつて来る。でありますから、その若し政令を用意してあるというなら、私はこの法律と同時にその政令を要求しなければならない。昨日私は憲法との問題においてあれほど法制局長を呼んで議論をしたわけです。そうして法制局長も苦しいけれども、前に水産委員会か何かで一つの問題があつたものだから、それが若し憲法違反であつたら命令が無効であつたということになると、引つくり返るような大きな騒ぎができるから、私はあの程度で質問を、一応了承したのです。でありますから、この法律に基く政令で若しそういうことを規定しておるなら、第三条は何のためにあるか。第三条の許可の基準をこういうふうにはつきり出しておる。これ以外に許可の基準があつたら法律違反です。その点は如何です。
#32
○政府委員(甘利昂一君) 今申しましたのは、第二条は、適用する船舶の範囲でありまして、第三条はその船のうち許可する場合にその許可の基準を掲げてあるのであります。今お話のように、法律にその詳細まで政令で定めることまでも盛るようなお話がありましたが、趣旨としては私も賛成で、又現在の法律としてはだんだんそういうふうになつて来ておりますので、ここでも或る程度はつきり、遠洋区域又は近海区域の航行区域を定めることのできるもののうちと、ここまではつきりと書いてありますが、その船の油槽船とか、貨物船とか、輸出船ということを一々ここに列挙するのは技術的な問題でもありますので繁雑になりますので、政令に委ねたわけであります。なお又第三条の許可にしても前の臨時船舶管理法の場合には何ら法律に許可基準は書いてありませんが、ここでは大まかではありますが一応許可基準を掲げてありますし、又その許可基準のうち非常に重要なものについては審議会にかけてその意見を尊重するということで書いてありますので、前に比べれば非常に民主的な法律になつている、こういうふうに考えております。
#33
○一松政二君 そうすると、今の船舶局長の説明によつて過去のいわゆる省令で許可制に持つて行つたということがますますいけないことがはつきりした。法令でははつきりなつていなかつたから政令でこれをきめた。法令では許可の制度じやないのだ。あの法令は明らかにただ順位の変更とか油槽船とかいうものを世話をやく程度であつて、それを調整するためのあの管理法でもあづたわけです。それを頭からぽんと許可制に持つて行つたから今のような矛盾した説明をしなければならん。あれには許可のことは何も謳つていませんよ。許可制度じやなかつたのだ。それを許可制度に持つて行つたから今の説明が要るわけです。私は何も政令のそんな詳しいことをここで求めるつもりはない、法の神精を……、法の精神と背馳した、或いは範囲を逸脱した政令を出される危険を我々は感ずるのです。新憲法によつてはそれを厳禁してあるわけです。で又そういう法律も国会を通過しておるわけです。そこでこの第三条に許可基準を示してある以上は許可しなければならん、それと若し矛盾するような政令を出したら政令それ自身が無効ですよ。その点はどうお考えですか。
#34
○政府委員(甘利昂一君) 第二条のほうで「政令で定めるもの」は、例えば油槽船であるとか、貨物船であるとか、具体的に船の名前を書いてあるわけでありますが、第三条のほうの許可基準は同じ油槽船のうち、或いは貨物船のうちでも、この許可基準に合うものは許可しなければならん、こういうふうに解釈いたしておりますが……。
#35
○委員長(前田穰君) 一松君、大臣に対する……。
#36
○一松政二君 それは……今の問題を私は一々大臣から答弁を承わりたいと思つておつたのです、本当は。だけれども大臣を煩わすのもお気の毒と思つて事務当局の代りをそのまま容認しておつたのでありますけれども、この大枠を法律で定めて、大枠の範囲内において政令が出るのは、これは当然そうなければならん。その大枠で私はこの許可の基準を定めておりながら、今度は別な、その基準以外の第二条の政令によつてその基準をきめようということですが、それに対して大臣如何お考えになりますか。法律と政令との関係です。
#37
○国務大臣(石井光次郎君) 御承知のごとく法律できめるものが大枠で、そのうちで動ける範囲内において政令できめるのは当然のことでありまして、政令のほうで法律を動かすべきものではない。これはおつしやる通りだと思います。これは今船舶局長が説明をいたしましたように、どういう範囲のものを建造するかというと、適当とする許可の基準はどうだ、こういうだけでありまして、私そこで矛着するものはないと思いますが、なお案だけは政令の案がありますそうですから、案を提出することにいたしまして、なお併せて御覧頂きたいと思います。
#38
○一松政二君 それから先ほどの根本問題、海運局長の言われた通産省が許可権を持つているけれども、運輸省が又別な面から許可権を持つていなければ日本の海運政策が円満に遂行できないという発言があつたわけです。そうして或る意味においては、私は速記録は中止さして置きましたけれども、発言上どうかと思われるような点も解釈の仕方によつては出て来やしないかと思つて速記録をとめさしたわけですが、二重に許可権を持つていなければ海運政策の遂行ができないと大臣もお認めになるのですか。
#39
○国務大臣(石井光次郎君) 船に関する問題は運輸大臣が責任を持つてすべてやつておるのでありまするから、若しこれが通産省の関係と、通産省のほうでもそれに意見がありますれば勿論今でも話合つて、別にそれとつつぱりあつてどうという問題はないと思います。これは話合いで勿論行けます。それから私どもがこういうものの規定を置かんでもいいじやないかというお話につきまして昨日でありましたか、前でありましたか私申しましたと思うのでありますが、これは前の法案を受けてやるとか、或いはそのときの省令との関係がどうとかいうことを私離れまして、私はまあそういうものをよく知らなかつたのでありますが、それを離れまして、こういう許可の基準をやはり法律できめて置いたほうがいいじやないかということはこの間申上げましたように、実にこんなものはあつてもなくてもいいような平凡な文句で、このくらいのことは当り前のことだ、常識の範囲を出んじやないかというお話もありましたが、その範囲においてもこれを書いて置いたほうがいいのじやないか、この基準によつたら必ず許可もするし、ということで政府、特に運輸省が力を以て行政力でどんな方向にでも指導して行くことは十分できるとおつしやいますが、又或る意味からすればそれを抑えることも必要じやないか、余り役所がのさばり過ぎてもならない、今度はこれは非常に力になると思うと同時に或いは一方に抑える力にもなるというような意味でこのくらいの程度のものを私は文句の上に現わして、そうしてこれが法律できまつておるほうが結構じやないか、そういうふうに、これは私の考えでございますが……。
#40
○一松政二君 どうも運輸大臣としての御答弁ですから、まあその程度で了承して置きますけれども、第二条では許可の基準は別にきめてないはずなんです。第二条によつて私はその輸出船を取締つたりなんぞするようなことがどうしてできますか。建造の許可を受けることはこの法文によつてわかりますよ。だから輸出船であろうと国内船であろうと、この法文に従えば五百トン以上のものは許可を受けなければならない。併しながら許可を受ける許可する基準をはつきり第三条で示してある、それをさつきの船舶局長のお話によれば第二条でそれをやり得ると言うから私は大臣に質問しなければならないのです。
#41
○国務大臣(石井光次郎君) 第二条は今おつしやられたように私はこれは許可を受けるものの範囲をきめたもので、許可の基準を仰せの通り第三条でやる、そう思うております。
#42
○一松政二君 今の大臣の御答弁は了承いたします。そうでなければならないと思う、法文に明らかにそう書いてある。ところが第三条には資金の面で、資金が自由にできたりなどすれば今の開銀や何かの御厄介になる必要もないし、輸出船においては外国の人が日本で船を造りたいと言う、又日本も船を輸出したいのだ、そうしてそれを許可するか許可しないか通産大臣に許可権があるのです、輸出関係ですから。そこで輸出というものに対しては私は何かどの標準によつて運輸省は取締れるかと聞いたらば第二条によつて取締れると、こう言うのです。
#43
○国務大臣(石井光次郎君) 私は第二条で行くものではないと思います。こういう場合に。
#44
○一松政二君 第二条の政令によつて取締ると……。
#45
○国務大臣(石井光次郎君) そうじやない。第三条の第一号の国際海運の健全な発展云々という点で行けばいいのであろうと、私はそう思います。
#46
○一松政二君 輸出船は、私は日本政府は、日本の海運政策に邪魔になるからお前この船造つてはならんというようなことは、私は絶対に言えないものだと考えます。世界の国際海運の健全な発達ならば、日本では船を造つてくれるな、と言うと思うのです。ところが世界で余つているけれども日本では足りないのだから、日本が世界の中小企業の立場なんだから、大企業の世界は持つておつて余りあるけれども、中小企業では足りないから設備を拡張しておれのほうでこれをやりたいということで、そのときに世界のどこかの国が日本に船を注文するというときに、それはお前日本の健全なる発達を阻害するから許可しないということはこの法律には私はそれは言えないと思いますが、その点如何ですか。
#47
○国務大臣(石井光次郎君) どうもこれで正面切つてそれを抑えられるということはなかなか困難だと思いますが、まあこういうところから問題のある場合に、何か文句を言う材料にはここによるよりほか手はないだろうと思います。
#48
○一松政二君 そこで私は輸出船に対して、或いは船の型か何かで、運輸省が政令で若しそういうことを定めようとすれば、法の範囲を逸脱しておると私は考えなければならんのです。そこで私が運輸大臣に伺いたいのだ。あつてもなくても差支えないのだから、この程度のものはあつてもよかろうという議論も成立つのだから、なくてもいいという私の議論も成立つ。ところがあれば濫用という問題が起るのです。これがいやなんだ。法律にあれば、法律にあるからやるのだ、殊に日本では法律にあるからやるのだという励行癖があつてしようがない。やれないものはやらないが、やれるものは放つといてもやる。やらずもがななものもやるのです。これは何も運輸省を指しているのではない。やれるものならやるのですよ。殊に国会議員などをつかまえて、お前らこしらえた法律じやないかとすぐその点を逆襲しようとする。そこで私はできるだけ法律はあつてもなくてもいいものならば、ないほうが国民のためには望ましい、害がない。あればあることによつて国費を損をする。役人ができ、それから一々そこにも許可を申請しなければならん、通産省にも出さなければならん、開銀にはお百度詣りをする、当業者というのはみじめなものだ。今日社用族や公用族が起つているゆえんはここにも一部の原因がある。だから私はできるだけそういうことは他の面から是正のできることであるからそういうことは作らないで欲しい。無用な法律じやないかという私の考え方なんですが、今の大臣の御答弁だと、輸出船に対しては許可をする。許可に持つて行く根拠がこの法律では薄い。私は不可能だと思う。けれども、これは船舶局長に伺いますが、船舶局長は命令で明らかに輸出船を許可にかけるお考えでしよう、現在のところは。如何ですか。
#49
○政府委員(甘利昂一君) 一応政令で定めるように計画いたしております。併しその趣旨は、第三条の第一項によるわけでして、我が国の、まあ国際海運の健全な発展に支障を及ぼすような輸出船その他の場合は勿論適用する意思はありません。
#50
○一松政二君 そこで国民が非常な迷惑をするわけです。ということは、あとで回復する手続きはとつておる、聴聞会を開いて云々という……けれどもそうして聴聞会を開いた末で、そうして許可が間違つていた、余計な世話をしたので御迷惑かけてどうもお気の毒様という結果になる。そうするとそれを受けた損害は一体どうする。それに対する弁償の規定がございますか。損害賠償。
#51
○政府委員(甘利昂一君) ないと思つておりますが、詳細調べましてあとでお答えいたします。
#52
○一松政二君 そこで私はこういう許可制度なんというものは、正宗の名刀に属するもので、伝家の宝刀であるわけです。伝家の宝刀は昔から言われる通り持ち方によつてよくもなれば、悪くもなる。だからめつたに子供には持たせられないというのが昔からの考え方なんですが、近頃は戦時以来或いは満州事変この方、殆んど統制癖がついて、すべて民間のことに対して官吏が世話をやく。そして非常にお役人に金をかけている。それが国民の悩みの種で、お役人が多過ぎて行政整理をしてくれという声が巷に高まつている。いざやろうとすれば、いろいろな慣行、複雑な理由によつて政府ができないという実情にある。そこで法律を作るというと、役人が殖え、局が殖え、それで国の費用も嵩んで、それが税金を増して来る原因になるから私はそういうことを避けて欲しい。そういう観点から私の理論は来るわけなんですが、この輸出船の問題については非常に私は運輸省としても苦しいと思いますから、これはまだ次回までこの点は私は留保して、そうして今考えておる政令の案を一応一つ頂きましよう。その上で又議論をすることにして、この法案はまだ予備審査でもございまするし、時日もございますから、私一人がしやべつておるような恰好になりますから、今日は私は一応この程度で他の質問は次回に留保しておきますから、どうぞ委員長さようにお取計らい願います。
 一応はこの辺で切り上げようと思つたのですが、海運局長に、さつきの質問にお答えになつたところで、この調整法に関して海運の助成策を頻りに答弁された。これは又別な観点なんであつて、許可制がなければ助成策ができないのではないのだから、助成法案の、海運業者が苦しんでいるとか、或いは船に対してどういうことをやらなければならんということは、この法律とは私は独立してやり得ることであるから、私は海運局長の答弁に対して聞き流ししておりましたけれども、これは海運局長に私は改めて望む。この許可制度によつて海運の助成策をするということは何にも謳つておらない。むしろこれは制限する法なんです。許可ということは、許可制度にするということは、抑える法ですよ。やつて行けば全部片寄るからそれを抑える。いずれにしてもそれは抑えるのです。だから許可制度にするということは抑えるほうであつて助成法にはならない。助成策は別に私も考えがあるから、許可制度を反対しておるからといつて、助成策に根本的に反対しておるという理由にならないのですから、その点は海運局長も誤解のないように願いたい。この許可制度と助成策は別問題、それだけ申上げて一応今日のところは終ります。
#53
○委員長(前田穰君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#54
○委員長(前田穰君) 速記を始めて。
 それではこれにて本日は散会いたします。
   午後零時二分散会
   ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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