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1947/06/28 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 政党法及び選挙法に関する特別委員会 第7号
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1947/06/28 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 政党法及び選挙法に関する特別委員会 第7号

#1
第002回国会 政党法及び選挙法に関する特別委員会 第7号
昭和二十三年六月二十八日(月曜日)
    午後四時十八分開議
 出席委員
   委員長 吉川 兼光君
   理事 岩本 信行君 理事 栗山長次郎君
   理事 佐藤 通吉君 理事 笹口  晃君
   理事 細川 隆元君 理事 中村 又一君
  理事 長野重右ヱ門君
      石田 博英君    石原  登君
      小澤佐重喜君    角田 幸吉君
      工藤 鐵男君    周東 英雄君
      綱島 正興君    花村 四郎君
      平井 義一君    淵上房太郎君
      石神 啓吾君    稻村 順三君
      勝間田清一君    竹谷源太郎君
      森 三樹二君    淺沼稻次郎君
      大森 玉木君    久保 猛夫君
      坂口 主税君    志賀健次郎君
      米田 吉盛君    黒岩 重治君
      酒井 俊雄君    佐竹 晴記君
      成重 光眞君    織田 正信君
      北  二郎君    本田 英作君
      林  百郎君
 出席政府委員
        全國選挙管理委
        員会事務局長  郡  祐一君
 委員外の出席者
        法 制 部 長 三浦 義男君
五月二十五日委員北浦圭太郎君辞任につき、その
補欠として本田英作君が議長の指名で委員に選任
された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 選挙運動等の臨時特例及び衆議院議員選挙法の
 一部を改正する法律案起草に関する件
    ―――――――――――――
#2
○吉川委員長 これより会議を開きます。
 本日の議題は選挙運動等の臨時特例に関する法律案並びに衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案であります。この両案はいずれも小委員会において審議を続けていたものでございまするが、その経過並びに結果に関する報告を小委員長に求めます。竹谷源太郎君。
    ―――――――――――――
#3
○竹谷委員 ただいま議題となりました選挙運動等の臨時特例に関する法律案及び衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案について小委員会における起草の経過並びに結果に関し御報告申し上げます。
 小委員会は四月十三日、本委員会において選定せられ、五月六日第一回の小委員会を開き、小委員長及び理事の互選を行いました結果、私が小委員長に当選し、爾後十八回にわたり両法案の起草に当つてまいり、六月二十六日小委員会の成案を得た次第であります。その起草の途中におきましては、本院において連日選挙法改正に関する自由討論を行い、また一般の御意見を聽く必要もありましたので、六月十五日廣く学界より意見を聽取し、起草の参考に供した次第であります。
 まず選挙運動等の臨時特例に関する法律案の要旨について述べますと、本案は現下の経済事情に鑑みまして、選挙公営を強化し、選挙の公正適正を期し、もつて選挙の腐敗を防止することを目的としたものであります。新たに公営でいたしまするもののおもなるものを申しますと、立会演説会、個人演説会、放送、氏名等掲示の拡充、新聞廣告、候補者氏名一覽表、交通機関の利用、ガソリン等の配給であり、一定のわく内で個人の自由にできるものは、街頭演説、自動車、拡声機、船舶の使用、立札、ちようちん、看板、はがき等であります。禁止したものは、飲食物の提供、名刺その他一切の文書、図画、單に投票を依頼するための候補者等の氏名連呼、選挙期日の当日の選挙運動等であります。選挙運動は演説会を中心として、放送、選挙公報、新聞廣告、候補者の氏名掲示等をその補いとするものであり、演説会は立会演説会を中心として、個人演説会、街頭演説を從とするものであります。
 第一に、今会演説会は、これはすべて公営といたし、市及び人口おおむね五千以上の町村で、道都府縣の選挙管理委員会の指定するもの及びその他の町村で人口、交通等を参酌して、都道府縣の選挙管理委員会の指定した所において行うものであり、なお市は、人口およそ五万ごとに一箇所立会演説会を行うことといたしたのであります。立会演説会は候補者本人が行うことを原則といたし、公務、病氣その他やむを得ない場合を考慮して、立会演説会の総回数の五分の一の回数を限り、代理人をして演説会をなさしめることができることといたした次第であります。都道府縣の選挙管理委員会は、あらかじめ立会演説会を開催すべき予定の日時及び会場並びに演説時間等を、都道府縣の区域内におもなる事務所を有する政党またはその支部で、最近行われた総選挙において所属の衆議院議員を有し、または有したものの代表者の参集を求めまして、その意見を聽いた後に決定をして、選挙期日の公示または告示の日から三日以内にこれを告示しなければならないことといたしまして、候補者の選挙運動の予定計画の立つようにいたした次第であります。都道府縣の選挙管理委員会は、立会演説会に参加すべき候補者、立会演説会の時間、順序等を定め、しかして必要があると認めたときは、候補者を班にわけて実施することもできる次第であります。都道府縣の選挙管理委員会は、演説の順序、所属の班、演説の日時、会場を決定したときは、当該候補者及び市町村の選挙管理委員会にこれを通知いたしまして、その通知を受けた市町村の選挙管理委員会は、立会演説会を開催すべき期日前二回前までに、公衆の見やすい場所に立会演説会を開催する旨の諸般の事項を、一町村あるいは一單位において二十箇所以上掲示をしなければならないこととし、かつ演説会場の施設、立会演説の実施に関する事務は、一切市町村の選挙管理委員会が行うこととし、候補者の宣傳等は一切なしで、まつたく公営とした次第であります。
 第二に、個人演説会は、回数は選挙期日中三十回といたしまして、候補者以外の者も演説のできることといたしたのであります。演説会場は、單に学校等公共営造物ばかりでなく、その他の建物をも含めまして、市町村の選挙管理委員会の指定する施設を利用して行うものとし、個人演説会を開催しようとする議員候補者は、市町村の選挙管理委員会に届け出ますると、その選挙管理委員会は、個人演説会を開く二日前までに、選挙民に周知方法を講じなければならない。すなわち一市町村について十箇所、演説会のある旨を掲示することといたしまして、候補者個人としては周知方法を行わない。全部市町村選挙管理委員会がやつてくれる、こういうことにいたした次第であります。しかしてこの個人演説会の施設の費用も、すべて國庫の負担であります。
 第三に、街頭演説は、これは候補者がまつたく自由に行うことができるものであり、候補者以外の者の演説も認めるのでありまするが、候補者自身が現在する間のみ行い得るものであり、その演説会開会中のみ立看板及びちようちんを掲示することできるのでありまして、演説会を終つたならば、ただちにこれを撤去しなければならない、こういうことにいたしたのであります。
 第四に、演説会その他の選挙運動を行いますために、候補者は自動車、拡声機及び船舶を使用することができるのでありまするが、その使用は同時に一台あるいは一隻といたしまして、その濫用によつて費用がたくさんかさむことを防ぎました。なお自動車は乘用車、トラツク、ダツトサン等、種類を問いません、すべて一台であります。その使用の際には、都道府縣選挙管理委員会の発行する証明書を常に携行いたしまして、そうしてまた選挙管理委員会の定めますところの表示をしなければならない、こういうことにいたしたのであります。選挙運動に從事する者が、選挙期間中関係区域内において、國有鉄道、國営自動車、地方鉄道、軌道、一般乘合旅客自動車、そうした交通機関を利用するために、各議員候補者は、運輸大臣の定めるところによりまして、通じて十五枚だけ特殊乘車券の無料の交付を受けることができるのであります。それから自動車のために使用しますガソリンその他自動車用燃料に関しては、それぞれ配給斡旋をいたす、こういうことにいたした次第であります。それからなお自動車の使用に要しました費用は、これは選挙費用に加算をしないということにいたしました。
 第五に、その他の選挙運動としましては、放送と新聞廣告、氏名の掲示等がありますが、放送は選挙運動期間中三回以内において、議員候補者はその政見を放送できることとし、なお各政党は從來通り放送することができるのであります。その他日本放送協会は、議員候補者の氏名、年齢、党派別、主要な経歴等を関係区域の選挙人に周知させるために、選挙の期日前から選挙の期日の前日までの間において、各議員候補者についておおむね十回放送することといたしたのであります。新聞廣告は、議員候補者及び各政党は、都道府縣の選挙管理委員会が議員候補者一人について定めます同一寸法で、一つの日刋新聞に議員候補者一人につき各一回だけ國の負担をもちまして、選挙に関して廣告することができるのであります。なお從來一投票区一箇所程度でありましたところの公営の氏名掲示の内容を改善し、かつ一投票区あたり三ないし五箇所といたしまして、ポスター配置を行うことといたした次第であります。
 第六に、選挙運動に関する制限といたしましては、飲食物を提供したり、または提供を受けてはならないこと。また演説の場所で候補者のいた場合のほか、特定の候補者の氏名または政党の名称を連呼してはならないこと。なお選挙に関しまして自動車を連ね、もしくは隊伍を組んで往來する等、氣勢を張ること。また選挙当日の選挙運動、そうしたものを禁止いたしました。なお選挙事務連絡のために使用しまする郵便はがき及び無封書状一千枚だけは、これは國費をもつて負担しまするが、その他の郵便はがき、筆書した書状、名刺その他の文書、図画は、これを頒布することができないものとし、また主として議員候補者を推薦し、支持し、もしくは反対する者の名を表示する文書等を頒布し、または掲示することができないことといたしたのであります。
 第七に、公営に要する分担金として、推薦届出をしようとする者は、議員候杯者一人について二万円またはこれに相当する額面の國債証書を國庫に納付することとしたのであります。
 また罰則について、政治資金規正法に準じまして規定しており、また本案は次の総選挙から、衆議院議員選挙にのみこれを適用することといたした次第であります。
 以上が選挙運動等の臨時特例に関する法律案の要旨であります。
 次に、衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案の要旨を述べますると、第一に投票立会人に関する規定でありまして、投票立会人の選任は、從來候補者の届出によつておりましたものを、その手続の煩を省くため、市町村の選挙管理委員会が選任することとし、なお地方自治法における改正に準じ、選挙の公正を期するため、同一の政党その他の関係團体に属する者は、一つ統票区において三人以上の投票立会人を派遣することができないことといたしたのであります。
 第二は、開票立会人に関する規定でありまして、開票立会人の選任に関する規定は、從來投票立会人の選任の規定を準用しておりましたものを、今回投票立会人の規定を改元いたしましたため、從來の投票立会人に関する規定をここに規定し、なお二、三の点を改正した次第であります。
 第三は当選の手続に関する規定でありまして、その一つは当選の告知及び引示は、從來は「選挙長がこれを行う」とあるのを、その事務の重要性に鑑みまして都道府縣の選挙管理委員会が選挙長の報告に基いてこれを行うことといたしたのであります。その二は、当選人は從来当選の諾否を必要とし、かつ当選の告示を受けた日から十日以内に承諾の届けがないときは当選を辞したものとみなされるのを、当選を辞せんとするときにその旨を届け出ることにして、十日以内にその旨を届け出なければ当選を承諾したものとみなすことといたし、なお十日を経ない場合においても積極的に当選承諾の旨を届け出た場合には、当選証書をただちに附與することといたした次第であります。
 第四は、立候補に関する規定でありまして、その一つは立候補者たらんとする者の届出の締切期日は、選挙期日前七日であつたものを、このたびは十日前ということにいたしました。なお補充立候補も從來二日前とあつたのを三日前と改正いたしましたが、これは選挙管理委員会が選挙公報の発行なり、あるいは立会演説会その他いろいろな公営を強化しなければならぬ事務的な必要からであります。
 その二は、いわゆる兼職禁止に関する規定でありまして、衆議院議員と相兼ねることを得ない國または地方公共團体の公務員は、公務員をやめたあとでなければ立候補の届出ができないことといたしたのでありますが、公務員を辞する旨の届出をしてその辞任が容れられない場合を慮つて、その申出をして十日以内に公務員を辞することを得ないときには、その申出をして十日過ぎたならば公務員を辞したものとみなすことにいたしまして、一切兼職禁止というようなものは、その職を辞した後でなければ衆議院議員に立候補できないということに改めた次第であります。
 第五は、選挙期日後における挨拶行為に関する規定でありまして、從來衆議院議員選挙運動等取締規則中に規定してありましたものを法定いたしました。なおその中に從來は議員候補者一人について百枚の張札をもつて当選御礼をすることといたしてありましたが、それは禁止する。なお当選御礼のために当選人もしくは政党の名を連呼して歩くということはいけないことといたしました。その他地方自治法の改正に準じまして代理投票、不在投票の範囲を拡大したこと、それから供託金を五千円から三万円に引上げ、その沒收率を現行の十分の一というのを五分の一に引上げること、及び政治資金規正法の制度と関連して罰則の程度にまで及ぶ條文の整理をいたした次第であります。
 以上衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案及び選挙運動等の臨時特例に関する法律案の要領を御説明申し上げましたが、この両法案起草の過程において、問題となりました重要なる数点について申し添えておきたいと思います。
 第一に、選挙法改正の主眼点について申し上げます。本委員会は、さきに政治資金規正法を立案し、政党の政治活動及び選挙運動に関する資金を規正して政治活動の公明をはかり、選挙運動の公正を確保島、もつて議会政治の信頼を保持し、ひいと民主政治の健全なる発達に寄與することに努力してまいつたのでありますが、しかしながら規正法案は主として政治資金及び選挙費の届出及び公開の方法によりまして政治を廓清しようとするものであつて、直接に選挙制度そのものを改善しようとするものではありません。從つて自然選挙法自体を改正して選挙の公正を期し、かつ政治の腐敗は選挙の金のかかるところから起る点から考えまして、莫大なる選挙資金を要しない選挙法をつくる必要がある次第でございます。この趣旨によりまして、今回の選挙法改正はなるべく金のかからない選挙の実現を主たる目的とし、兼ねて選挙手続の合理化と民主化の見地から改正の必要なる事項及び他の法令の関係上改正を要する点に止めまして、全面的の改正は後日の機会に讓つた次第であります。從つて選挙区についてこれが拡大または縮小の意見はありましたが、大勢は現行法通りとすることにおちつき、なお投票方法については記号式投票の採用は時期尚早とせられ、なお投票の單記が連記かの問題は意見対立を見ましたが、單記説が多数でありまして、結局現行法通りと相なつた次第であります。
 次に不在者投票の拡充をはかりましたが、海員などは選挙人名簿登載を脱漏せられる場合が多く、不在者投票の制度が実際上活用せられないという点については、船舶の主たる事務所の所在地等を船員の主たる生活の本拠と見ることを妥当といたしますので、全國選挙管理委員会が下級委員会を適当に指導して名簿登載の脱漏を防ぐこととし、今回は法的措置をとらなかつた次第であります。
 第三に、選挙運動の自由に関する問題であります。選挙運動の公営の拡充強化は、候補者の選挙運動の費用を極力軽減することによつて、金のあるなしにかかわらず、立候補者に選挙運動の機会を均等に保障せんとするものであります。この案に対しまして、本来自由であるべき選挙運動を抑制し、言論集会の自由を奪い、新人の進出を阻害するものであるとの批判があるのであります。しかしながらわれわれ選挙運動の体驗者から見まして、さきに述べました演説、放送及び文書による選挙運動は、すべての候補者にとつて力の許す最大限度でありまして、しかもこれらの選挙運動の機会は、政党の領袖たると、はたまた白面の新人たるとを問わず、すべての候補者に対して奈全に均等に解放せられ保障せられておるのでありまして、殊に街頭演説のごときはまつたく自由に一任せられております関係から、これを目して新人の進出を阻むものとみなすことはまつたく当を失するものと私は解釈するものであります。また集会及び言論の自由を保障する憲法の精神に反するものではないかとの議論も聞くのでありますが、不必要に対数の第三者または労務者を使用し、あるいは多数の自動車等を濫用し、あるいは文書、図画等を利用して自己の政策等の表明以外の、すなわち自限の印象を選挙人に鮮明ならしめるための各種の方法を禁じたにすぎないのでありまして、今回の改正法案におきましても候補者がみずから思想、信條、主義、政策を選挙民に訴え、その批判を請う機会は、十分保障せられておるのであります。かくて選挙資金を有しない者、対等に自己の抱負経綸を理解せしむることのできない優秀な人材にとつては、選挙公営によつて眞の意味の選挙の自由が保障せられるのであつて、形式的な選挙の自由よりも実質的自由を尊重することこそ、憲法の精神に副うものであると信ずる次第であります。
 第四に、選挙公営ということになりますと、泡沫候補者の賣名濫立によりまして選挙界が撹乱せられ、公営に支障を來することも予想せられますから、立候補の自由を保障しつつ、濫立候補者に対して防遏的処置を三、三採用したのであります。
 第五に、個人の選挙運動費用の制限について申し上げます。大部分の選挙運動は公営に移されましたが、街頭演説会を初め、個人としての運動の範囲も相当ありますので、選挙運動の費用制限は、現行法通り実施する必要を認めるものであります。しかしその費用の制限額につきましては、現行政令は單價六十銭となつており、一候補者あたり五万円前後の計算と相なるのであります。來るべき総選挙の時期については不明でありますが、しかし少くとも物價指数は昨年選挙の四倍もしくはそれ以上となると思うのであります。かりに四倍といたしますれば二十万円ということに相なるのでありますが、公営拡充の結果、個人の選挙費は現行の五万円もしくはその二、三割増というところで制限することができ、またその辺が妥当ではないかと認められますが、これは政令に讓ることといたした次第であります。
 第六に、公営に関する経費は、概算いたしまして一候補者当り十五、六万円を要すると計算せられるのであります。その結果從來の実施してまいつた公営の経費を差引きますと、すなわち新しい公営拡大による新経費は一人当り十一万円見当であります。國費として新しい公営の拡充の結果、新規に要する経費が一候補者当り約十一万円見当と計算をせられるのでありますが、そのうち五分の一弱の二万円を各候補者に分担させるということは相なる次第なのであります。
 第七に、選挙法規は守りやすく守らせやすいという方向で規定いたしましたが、なお國民の監視によつて選挙の公正を確保するという方針のもとに、選挙管理委員会は、選挙人に対して選挙に関する重要事項の周知徹底の方法を講じ、國民が自発的に選挙違反の防止に協力する態勢を整えることとし、さらに進んで管理委員会は棄権防止措置に万全を期する義務のある旨を決定いたしますとともに、なお取締官憲は選挙法規の励行のために努力すべき旨を特に條項を設けた次第であります。
 以上をもつて選挙運動等の臨時特例に関する法律案及び衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案の起草の経過並びに結果の御報告といたします。
#4
○吉川委員長 ただいまの小委員長の報告に関して質疑に入るのでありますが、質疑に入りまする前に、お手もとに配付してありまする両議案の中で、新たに記入したところがあるのでありますので、その点を一度確めるために読み上げます。
#5
○三浦法制部長 印刷物を取急ぎましたので、誤植等があるところがあるようでありますが、それらの点につきましては、法制部におきましてあとで十分に整理をいたしたいと思つておりますから、お許しを願いたいと思います。なお実質の関係のございます点で、あとでペン書で入れました点につきまして、多少間違つておる点もあるようでありますから、念のために申し上げたいと思います。選挙運動等の臨時特例に関する法律案の第三條であります。第三條第一項は「立会演説会において演説をする者は、議員候補者でなければならない。」かように訂正いたします。それから次は第九條でありまするが、第九條の第一項におきまして、「個人演説会を」の下に「三十回以内」ということを入れていただきます。「個人演説会を三十回以内開催することができる。」第二項に新しく挿入をいたしました文字がありますが、それは「前項の施設については、政令の定めるところにより、その管理者において、必要な設備をしなければならない。」次に從來の第二項を第三項といたしまして、「前項」とございますのを「第一項」と改めます。次にやはり九條の第三項でありますが、これが四項になるわけであります。それから十條でありますが、第十條の第一項は削除いたしまして、十條の二項を一項とし、三項を二項といたします。そういたしまして第十條の新しく第一項となりました中に「前項の規定による回数に算入するものとする。」とありまする「前項」を、「前條第一項」と改めます。次に十四條でありまするが、「議員候補者のためにする街頭における演説会」の「議員候補者」を選挙運動」と直していただきたいと思います。次に第十九條であります。十九條の一項の但書でありますが、但書のところに「郵便葉書」とございますが「郵便葉書」の下に「及び無封書状」と「郵便葉書及び無封書状」というふうに入れていただきます。それから同條の第二項にやはり「郵便葉書」とございまするが、「前項但書の郵便葉書」の下に「及び無封書状」と入れていただきます。第二十二條でありますが、二十二條の一項の「専用」とございます「專」を削つて「使用」と直していただきます。「主として選挙運動のために專用される自動車」を「選挙運動のために使用される自動車」といたします。次に二十三條でありまするが、第二十三條の飲食物を提供し」とございます下に「又は飲食物の提供を受け」と、こういう字荷を入れていただきます。但書のところに「湯茶を提供する」とありますがその下に「提供する」の「する」を削つて「湯茶を提供し又は湯茶の提供を受けることは」とこうしていただきます。次に第二十四條の第一号であります。汽車、電車等のことが書いてありますが、これを削除いたしまして、二号を一号といたします。次に三号を二号といたしまして、「選挙に関し、多数集合し又は」というのを「多数集合し又は」までを削つていただきます。その下に「若しくは」とありますのを「又は」と直していただきます。それから同條の從來の四号を三号にしていただきます。それから第二十五條の「國有鉄道」とあります下に、「國営自動車、」と入れていただきます。次に同條のやはりその下の方に「一般乘合旅客自動車」とあります下に、「運送事業」と入れていただきます。次に第二十六條でありますが、二十六條の第一項の後段にペン書でかように附け加えております。「國又は地方公共團体において、これをあつせんするものとする。」その下に「この場合においては、全國選挙管理委員会又は都道府縣の選挙管理委員会は、配給の計画その他実施上必要な措置を講じなければならない。」かように入れていただきます。次は第二十八條の第五号でありますが、第五号の所に「第十九條第二項に規定する郵便葉書」かありますが、その下に「及び無封書状」とこう入れていただきます。次は第三十二條でありますが、三十二條の罰金の所に「三千円以上十万円」となつておりますが、「十万円」を「五万円」に直していただきます。それから同條の第二号に「第十條の規定に違反して」とございましたのを、「第九條第一項又は第十條第二項の規定に違反して」とこう入れていただきます。次に同條の七号の次に新しく八号を加えまして、三十三條にありましたものをこちらにもつてきまして、新しく加えたのでありますが、字句は「第二十三條の規定に違反して飲食物を提供し又は飲食物の提供を受けた者」かように直していただきます。次には第三十三條の罰金「五万円」とありますのを「三万円」と直していただきます。そして、第三十三條の第三号を削除していただいて、第四号を第三号とし、第五号を第四号としていただきます。最後に第三十六條でありますが、三十六條に「第三十四條及び第三十五條」とありますのを「第三十四條」を「第三十二條」とし、「第三十五條」を「第三十三條」としていただきます。以上でございます。
 衆議院議員選挙法につきましては、字句の誤植がございますので、それを整理すればいいようでありますので、実質には変りはないようでございます。
#6
○竹谷委員 ただいま三浦法制部長から訂正がありましたが、その中で十九條の第二項の「前項但書の郵便葉書及び無封書状は、議員候補者一人について通じて千枚とし、その「通じて」というのが落ちていたようであります。
#7
○吉川委員長 この際三浦法制部長に質問いたしますが、無封書状というのは普通俗にいう開封のことですか。全然封をしないのですか。
#8
○三浦法制部長 開封書状と同樣でありますが、一方の端の方だけを切つてありましてもそれを無封書状ということになるのでありまして、この点は逓信省にも打合わせましてこの用語でいいようであります。
#9
○吉川委員長 それではただいまから小委員長の報告に関し、質疑のある方は発言を許します。
#10
○工藤委員 二十四條の汽車、電車、乘合自動車、船舶その他の公共の乘物の中において、選挙運動のために演説をすることというのを削つてあるように思いますが、これを必要ないのですか。
#11
○竹谷委員 お答えいたします。第二十四條の第一号は削つたのであります。たとえば鉄道関係の法令において、鉄道の中の汽車、電車、あるいは待合構内そういう所はその法令で禁止してあるものもありますし、また他の警察法令等で禁止せられておるものもありまして、もしこれを削ると、できるところもあるかもしれませんが、そこまで制限をする必要はなかろうかというので削つた次第であります。
#12
○工藤委員 それでは船舶警察、汽車警察などは、これは違反にならぬわけですか。
#13
○竹谷委員 その点はそれぞれの法令に讓つて、選挙法としては干渉しないということになるわけであります。
#14
○北委員 この予納金の二万円というのは、非常に金持の人は出られるが、貧乏な人は全然出られぬという結果になると思うが、この点ひとつどういうわけで二万円というのをとられたか。それをお伺いしたい。
 それからもう一つは、演説会を三十回以内に制限するということは、たとえばわれわれ北海道におきましては非常に区域が廣いので、どうしても一日三回ないし四回、五回やつて歩かなければならぬ。それを三十回に制限されると、自分の意見がほとんど徹底しなくなる。どういうわけで三十回に制限されたか、その点をひとつ御説明願いたいと思います。
#15
○竹谷委員 北委員は選挙法小委員でもあり、十分御出席でいろいろ論議を御承知のこととは思いますが、從來現行法通りのたとえば選挙費用の制限五万円と仮定いたしますと、物價が約四倍となると、これからの選挙では二十万円の選挙費用になるわけです。それを選挙公営の結果五万円ないし六、七万円で個人の費用はあがる。その他は全部公営ということになりますと、十数万円を公営で負担することになりますので、そのうち二万円ぐらいもつことは候補者としては大なる負担ではない。非常に負担は軽減される、こういう次第であります。
 それから三十回に演説会を制限したのは、制限と申しますと、いかにも抑えたようでありますが、現実の問題としては立会演説会は三十回近く行われることになると思うのであります。選挙区によつて多少違いますが、そのほかに個人演説会が三十回ある。そうすると六十回近いものになる。そのほかに街頭演説は候補者の身が許す限り無制限にできるのであります。ゆえに候補者が自分の主義政見を有権者に訴える機会が從來よりも少くなることはないと思います。
#16
○北委員 実はわれわれ農村をまわるのですが、立会演説会には農村の人はなかなか出られないのです。町の人の票はとれないので農村ばかりをまわるという結果になりますが、そうすると三十回ではとても徹底しないと思います。そうすると農村をまわる人は非常に不利になると思いますが、どうお考えになりますか。
#17
○竹谷委員 その点につきましては、小委員会において数日にわたつてずいぶん檢討を加えたのでありますが、そうした農村等でばらばらに人家のあるところでは、なおさら演説会という一つの施設の中では人が集まりにくい。それよりは街頭演説会が無制限に認められておるので、その方で補いがつく。かえつてその方が効果的ではないかということを考えまして、三十回ということは実際問題としては制限にはならないのではないか。街頭演説会を十分に利用できる北さんのような若い健康な人は、どんどん歩きまわつて何百回でも街頭演説会できるのではないかと思います。
#18
○北委員 実は北海道の農村は非常に大きいのでありまして、一村に学校が二つ、三つ、四つ、五つというように多くある場合があります。そういう部落にいきますと、街頭演説ではやはりうまくない。夜、学校に集まつてもらうのでなければ、なかなかできないのですが、この三十回を九十回くらいにしていただけないものですか。
#19
○竹谷委員 農村において晝間は忙しくて夜しか集まらぬとすれば、一日一回しか演説会がやれない。そして選挙運動の期間は最大三十日でありますから、毎晩やつても三十回しかできないことになります。しかし私北海道におつたことがありまして事情も承知しておりますが、大体北海道の町村は非常に大きゆうございますから、内地の町村と違いまして、各町村で一回くらい全部立会演説会ができるようになりますので、その点も立会演説会等で補いがつくのではないか、かように考える次第であります。
#20
○佐竹(晴)委員 私この際明らかに願つておきたいのは、二十三條に関する点であります。「飲食物を提供し又は飲食物の提供を受けてはならない。」とありますが、この中で親戚や友人の宅で宿泊をして、そこで御飯やお惣菜のようなものの提供を受けた場合、これは提供を受けてはならないという禁止條項に該当するか、まずこの点を承つておきたいと思います。
#21
○竹谷委員 飲食物の提供禁止並びに受けることの禁止につきましては、佐竹さんのおつしやられるような社交的なものについては差支えない。單にこれは特定の候補者の投票を得る目的の行動という意味の「選挙運動に関し」という限定がございますから、そういう場合にはこの規定に該当しない、かように考えている次第であります。
#22
○佐竹(晴)委員 旅館などに宿泊をいたしまして、相当の代金を支拂つて提供を受けた場合においては、ただいまのお言葉によると結局選挙運動に関したものとみられないからというのでありますが、しかしこの面から観察いたしますと、多大の疑問が起つてまいります。つまり宿泊をいたしましたその宿泊料のごときは選挙運動用中に計算されますことは、選挙運動に関する選挙法に明記しておるところであつて爭いのないところであります。そこでこちらも選挙運動のために演説会に行つている。旅館の主人公もこれは選挙のために來た人であるということを知つている。こういつた場合に選挙運動のために交通をしている人であり、宿泊をした人であるということを知つており、自分たちももちろんその考えで宿泊をいたしまして、そこで飲食物の提供をその旅館において受けた場合、そのときにこれは選挙運動に関しないということが言えるでありましようか。
#23
○竹谷委員 御質問の趣旨がよくわからないのでありますが、旅館の主人が宿泊者に飲食物を提供した場合のことをおつしやられるわけですか。
#24
○佐竹(晴)委員 旅館業としてで結構なんであります。こちらが代金を支拂つてその提供を受けた場合……。
#25
○竹谷委員 その場合はむろん商賣ですから、ここに該当しないと思います。
#26
○佐竹(晴)委員 そうすると商賣だつたら構わぬ、代金を支拂つてならば構わぬということになりますと、これはたいへんな結果になりはしないかと私はおそれるのであります。過日これは小委員会においても何とかひとつうまいぐあいに表現できないものかと申し上げたのでありますが、適当な文字がないというのでこのままになつたようでありますので、この際解釈をお定め願いたい。私の質問によつて小委員会において決定されました御趣旨をここに明らかにしておいていただきたい、こういう趣旨なのであります。
 いま一つ、たとえばここに弁士を連れて旅館へ泊る、そうしてその弁士は、たとえば外食券を持つておつたといたします。外食券をもつて飲食物の提供を受けた、それを候補者であるわれわれが支拂つてやつたときは、われわれがその弁士に対して飲食物を提供したということになりはしないか、これはどうなるでありましようか。この際解釈を明らかにしておいていただきたいと思います。
#27
○竹谷委員 一緒に泊つて演説をして歩きます場合に、さようなことは始終起つてくるし、今までも問題にならなかつた点であろうと思います。普通の旅館に宿泊して、体力を維持するに必要な定食程度をともに食つてそれを拂うということは、一種の実費弁償であると思いますから、該当しないと思います。ただその程度を越えて饗應するということになりますと、むろんこれに該当する。また從來の百十二條ですか、あれにも該当して選挙違反になると思いますが、おつしやる程度の一緒に泊つて宿泊費を実費弁償で拂うべきところを、便宜候補者において立替支拂うということになりましても、これには該当しないと考えるのであります。
#28
○細川(隆)委員 私は非常にこまかい点を法制部長にお尋ねしたいのですが、第十四條の「議員候補者のためにする」という文句を「選挙運動のためにする」ということにかえられた。そうすると新しい字句の訂正から出てくることは、議員候補者以外も演説することができるということが当然出てくるわけです。たとえば個人演説会も立会演説会も、議員候補者以外の演説者のことを明記してあります。ところが街頭演説だけは今字句が変りましたから、議員候補者以外の演説者に対しては、何ら触れておらないが、むろんこれは同じように解釈をしていくわけですか。
#29
○三浦法制部長 ただいまの点は御説の通りに考えております。ただ「議員候補者のためにする」というのを「選挙運動のためにする」ということにいたしましたのは、実質的には同じ意味に解しておるわけでありまして、ほかの方で選挙運動と言いましたのでそれに合わせる方が適当であろうというので、かように訂正いたしたのでありまして、議員候補者がみずから主催した街頭演説会はもちろんのこと、第三者が議員候補者のために街頭演説会を開催した場合におきましても、同様選挙運動のためにする街頭演説会には入る、こういうように解しておるわけであります。そうして御説のそれ以外の人につきましては禁止をいたしておりませんので、それは自由に放任される、かようなことになつておるわけであります。
#30
○林(百)委員 十五條の演説会の禁止の問題ですが、これは選挙運動のためにする演説会はできないのでありますが、たとえば学術研究会とか、あるいは学術の研究座談会とかいうようなものがあつて、当該候補者が学者として非常におん蓄を極めた人あるいはその鋼の権威者であつて、選挙運動とは別個にそういう研究会というようなものへ出ることはいいかどうかということをお聽きしたいと思います。
#31
○竹谷委員 さような場合に、いわゆる選挙運動のためにする演説会ではないのでありまして、差支えないわけであります。ただそういう名義を用いて、特定の議員候補者のために投票を獲得する目的が含まれておれば、むろんこれに該当すると思います。
#32
○林(百)委員 それから婦人会とか青会年、あるいは商工人議所、労働組合などもあると思いますが、そういうような諸團体が、各党の候補者というか、各党の代表者を呼んで時局批判演説会をするというような場合、これは選挙とは別で、各党の主張を聽きたいという場合はどうなんですか、各党の代表を呼んで特定の人でないというような場合は……。
#33
○竹谷委員 その問題は非常にデリケートな問題でありまして、選挙期間中にさような行為をなすことは結局選挙演説と非常に紛らわしくなつて、これは大部分選挙運動のためにするものという疑いを受けますので、そうしたことは大体においてこの十五條に該当することに相なると思うのであります。
#34
○林(百)委員 時局批判演説会とか、あるいは物價の問題、あるいは賃金の問題、税制の問題などについての各党の意見を聽きたいということで演説会をしたときはどうですか。選挙と全然別個にそういう生活に切実な問題について各党の聽きたいということで、各党の代表者の立会の演説会を聞くような場合はどうですか。
#35
○竹谷委員 その場合においては、それぞれの地方の候補者が各党の代表として出て、いろいろな演説をすることに相なろうと思うのでありまして、結局において選挙運動のためにするものと解せられますので、大体においてこの十五條の禁止規定に該当する、かく解釈いたします。
#36
○林(百)委員 先ほど佐竹委員からも質問があつたのですが、飲食物を提供さしてはいけないというのですが、われわれ大会などがあつて、宿屋がなくて同志の所ほ泊つて、食事など出してもらう場合は、これにかかるか。
#37
○竹谷委員 社会常識上普通の社交程度に、候補者が來たときに宿泊させることは、いわゆる第二十三條に該当いたさないと思います。先ほど佐竹委員からもお話がございましたが、この條文は非常に規定しがたいので、佐竹委員のおつしやるような規定も、なかなか文章の上には表わしにくかつたのでありますが、結局これは社会通念で解決せらるべき問題であつて、ただいま林委員からお話のあつたような点は、社会通念上該当しないように考えておる次第であります。
#38
○栗山委員 第二條の第三項について明らかにしておきたいと存じます。起草委員会においてもしばしば論ぜられたところでありますが、第二條の第三項の適用に際しては、その幅を十分廣くとるという起草委員会の趣旨であつたと存じますが、廣くとると申しましても、限界のあることでありますが、およそ一選挙区について三十回程度までは立会演説会を開催し得るように、選挙管理委員会が取計らい、規定をするようにということであつたと存じます。この点を本委員会において明らかにいたしておきたいと存じます。
#39
○竹谷委員 ただいま栗山君よりお話のありました点については、第二條の第一項につきましても、特殊の選挙区にありましては、五千以上の町村が七十五箇町村もある所もありまして、これは実際上立会演説会を七十五回開催することは困難であろうと思いますので、こうした点については、おおむね五千以上でありましても、あるいは六千と限定をしなければならぬような場合も起つて來るかと思うのであります。と同時に、第三項のようなことで、たとえば神奈川縣のある選挙区等は六市町村しかない所があります。さような所におきましては、立会演説会の度数が減るのであります。もつとも市は人口五万ならば六回でなく、十回なり十二、三回になると思いますが、あまり立会演説会の度数が少いというような場合におきましては、第三項なりあるいに第二項の人口五万というのを四万くらいにするとか、いろいろ調節が必要であろうと思います。
 なおまた今栗山委員からお話の人口五千以上の町村が少くて、人口五千以下の町村が非常に多い。そういう所におきましては、おおむね五千とあるのを切り下げ、これは人口交通等の斟酌というものを大きくいたしまして、できるだけ三十回近い回数にいたすということを小委員会においても話合いまして、大体意見の一致を見ている点でございます。
#40
○細川(隆)委員 小委員長または法制部長にお伺いしますが、選挙が始まつて、東京に選挙区をもたない各党の代表者を放送局が呼んで、放送討論会みたいな形式で放送することは差支ないのかどうか。
#41
○竹谷委員 その問題につきましては、政党の選挙運動といたしまして、政党代表者の選挙放送を法定しようかという議論もございましたが、政党というものの定義がなかなかはつきりしておりませんし、また全國に何百かの政党がありまして、そのうちどれをやるか、全部やることはとうてい不可能でありますから、どの政党にやるかという問題で、実施上全部の政党が選挙放送をするということは、非常に困難性が伴つてまいります。そこで從來も放送局の主催をもちまして、政党代表に選挙の際に演説を放送させておりましたから、從來の例に從つて放送局をして自発的に行わしめるということで、この法文に特に規定はいたさなかつたのでありますが、從來通り、やはり政党代表が選挙の際にその政党の主義政策等を選挙民に訴える、こういう機会は從來もしくは從來以上に放送局において取計らうということによりまして、法定をいたさなかつた次第であります。
#42
○細川(隆)委員 そういう場合に放送目的で各党代表を呼んでやらせる。たとえば日比谷の公会堂あたりである放送を全部許すと、実質は演説会と同様の形になる。しかし目的は放送の形でそれをやるわけだが、実際は演説会という場合にはどうなるか。そこは林君が聽いた政党の演設会を認めるか認めぬか。これは認めない。今度の目的は送放だが、実際は人を一ぱい入れて日比谷公会堂などでやる場合、こういう演説会は放送のためとして認められるのか。これはおそらく現実に出てくると思うので、一應お伺いしたい。
#43
○三浦法制部長 一應その問題に関しましては、十五條の問題として考えておるわけでありまして、いかなる名義をもつてするを問わず、そういう場合は選挙運動のためにする演説会ということに該当する、かように一應この法案では考えておるわけであります。放送と演説会が違います点は、演説会におきましては、直接行動をもつて特定多数の人に自分の政見を発表するということになれば、演説会形式になるのでありますが、放送の場合におきましては、それが間接であつて、今のような放送ということも兼ね合わせまして、日比谷公会堂等にやりました場合において、実質的には十五條の演説会に該当するというように、私どもとしては一應考えておるのであります。
#44
○林(百)委員 今の点ですが、これは十五條を見ますと、選挙演説のためにする演説会なのですから、特定の候補者を当選させる目的がない場合、各党がどういう政策をもつておるかということをお互いに聽こうというような場合まで、これを禁止する、一切のそうした演説会を禁止するということになれば、これは明らかに憲法二十一條の集会の自由の保障に対する違反になるではないかと思うのであります。十五條は選挙運動のための演説会なんですから、そうした團体が各政党の政策なり意見なりを聽きたい、特定候補者のための選挙演説ではなくして、自分が適正な選挙をするための予備知識として、各政党の政策を聽きたいという場合は、私はいいと思うが、その点について伺いたい。特にこれは労働組合などの皆さんは晝間の立会演説なでにはどうしても出られないから、職場の休憩時間などに各政党の人を呼んで來て政策に聽きたい。これはだれの選挙運動ということでなく、候補者からそれぞれ党の政策を聽きたいということはあり得ると思うが、そういうものまで十五條で制限するのかどうか。これは大きな問題と思いますから、意見を聽きたいと思います。
#45
○竹谷委員 一つの案ですが、そういう場合には、東京におけるその選挙区の立会演説会を公会堂で催してもらつて、代理者が五分の一以内で認められますから、Aという候補者がそこに出ているが、社会党なら淺沼書記長が代理人として出てやるという便法もあるのですが、立会演説会の形式で開いて、そうしてそれを装送するという手はあると思います。
#46
○林(百)委員 そうすると立会演説をやる場所というのは、大体選挙局理委員会の指定した施設になると思いますが、たとえば大きな、産別なら産別、総同盟なら総同盟というような労働組合が、ある職場なり、ある場所でそういう会合をもちたいという場合に、そういうものを立会演説会の場所に選挙管理委員会は指定するのかということを聽きたいのであります。
#47
○細川(隆)委員 私はこういうふうに解釈上規定したらどうかと思う。議員候補者が自分の選挙区でやる場合には、いかなる名称をもつてするとを問わず、政党主催であろうが、何であろうが、これを選挙運動のためにする演説会と解釈する。しかし、私は九州に選挙区があるが、東京において各党代表の演説会があつたとして、私がこれに出ても、選挙運動のためにする演説会ではないというふうに……。
#48
○林(百)委員 選挙運動のためにする演説会ですから、ある候補者の選挙運動のためでないならば、ある程度許さないと、憲法二十一條にも抵触してきますから、そういう意図がない限りはよいと思いますが、これをひとつ解釈していただきたいと思います。
#49
○竹谷委員 そういう場合には、やはり選挙運動のためになるのでありまして、十五條の趣旨から言つて、そうは解釈できないと私は思うのでありますが……。
#50
○三浦法制部長 ただいまのお話のような政党の行います演説会につきましては、小委員会においてもいろいろ論議せられたのでありますが、結論といたしましては、政党の演説会というものは、政党の選挙運動に類するものであつて、これを方々で認めることになると、その間の限界が明瞭でないというような意見がいろいろ出ておつたのでありまして、從いましてさような場合におきましては、政党の行う選挙運動と、十五條に規定してあります選挙運動のためにする演説会ということに該当する、こういうことが大体委員会の結論であつたように私は承知いたしております。特に特定の候補者をあげてやる場合には、選挙運動の最も明瞭な場合でありますが、かりに不特定な人をあげましても、ある党の候補者は選挙期間中にはきまつておりますから、そういう人たちをここにあげなくても、そういう人たちのためにぜひ何々ということが演説会において行われますれば、やはりそれは選挙運動のためにする演説会というのに該当するだろと考えております。
#51
○林(百)委員 私の言うことを誤解しております。私は政党がやるのではなくて、たとえば青年団とか、あるいは商工会議所、あるいは労働組合等が、勤務時間やいろいろの都合で立会演説へ出ることができないので、そういう場合には晝の休みに各党の代表者を呼んで、各党の政策、主義、主張というものを聽きたいと思う。ある候補者のためではなくて、自分の一票の行使を適正にするたに、各党の政策、主義主張を聽きたい。そういう意味で、そうした政党でなくて労働組合あるいは中小商工業者の團体、青年團、婦人会こういうようなものが、各党の代表者を呼んで、時局批判とか、各党の政策を聽くの会というものをやる場合も、一体はいるのかどうですか。
#52
○栗山委員 十五條についてでありますが、政党の演説会を除外いたしました小委員会おけるおもなる理由の一つは、政党が演説会を催しましても、周知宣傳の方法を政党自体がビラ張りによつてなすにあらざれば、一般に演説会があることを知つてもらえない。ビラを張るということが、候補者の周知宣傳は公営でやるという建前と抵触し混乱するというのがおもなる理由で、政党の演説会というものを除外したのであると私は記憶いたしております。そこで有権者は自己の一票を行使するために予備知識を一分に茂ておきたいというような観点、もしくは集会の自由というような観点、この集会の自由というものはおのずから制限されてくると思いますが、されてもまたいたし方ないと思いますけれども、そういうような点を考慮いたしまして、次に述べますような解釈をとつておいたらどうかと思います。解釈だけでそれが不十分であるというのなら、それを記入したらどうか。実は小委員会のときにそこまで氣づけばよかつたのでありますが、今の実情を申し上げてみますと、選挙民主体に知らせるという観点からいきますと、報道機関がその任務をまず負うておるものと見得ると思います。従つて報道機関が各政党の政綱、政策を一般の知らせんがために開く演説会もしくは放送というものは差支えない。それをして差支えないというのは、当初の発言にもどりますが、別に周知宣傳のビラ張りを必要とせずして、しかもこれは労働組合とか一商工会議所とかいうものでなくて、國民全般を相手にするものであるという理由を含まれてくるわけであります。その場合細川君が言いましたように、ただ一つの制限として、同一選挙区内において立候補している者はこれに携わらぬ。放送なら九州まで聽えるじやないかということが、あるにいたしましても、これは一般のためということの方に重点を置かれておりますから、取扱いがあるように私は存じます。
#53
○工藤委員 林君の考えていることも私は正当だと思いますけれども、從來の選挙界の状態を見ると、あるいは在郷軍人会、青年團、労組などという名においていろいろな集会を開いて、その実は必ずある候補者を目標としてやつたということは、過去の歴史が証明している。だからこれを今回法律案にする場合には、なるべくはそういう弊害の起らざるんがために、このような規定は必要だろうと思う。一体そういうことはあえてわれわれが干渉せぬでもよさそうなものであるけれども、なかなか狡猾な候補者はそれをよく利用する。であるからその手を防ぐためにも、現在のように廣く範囲をとつておいて、その弊害に陷らないようにするのがよかろうと思う。憲法上の欠点があるかどうかとか、あるいはいろいろなことがたくさんあるだろうけれども、そんなことは別として、これはこう考えたらよくはないかと思うという御答弁があつたから、私はそれに対して肯定する一人であります。
#54
○吉川委員長 この際お諮りいたしますが、今日はあまり時間がありませんで、あとで討論の時間もございますし、特にこの法案は御存じのように各党から小委員を挙げまして、十二分に討議をして、質疑應答もそこで繰返されておることでありまするから、その小委員会で行いまして質疑應答をここで繰返すということは、時間の経済のためにも、また会期の費つておりまする今議会を通過させるという建前からも、考慮の余地があろうかと思います。それで質疑はお許ししますが、あと全部で十分くらいで質疑を打切るということをお認め願いたいと思います。
#55
○林(百)委員 私は小委員会で解釈したことと違うので伺うわけですが、工藤氏の言われるような場合は、選挙運動のためにする演演会で、そういうのは明らかにいけないけれども、ある候補者のためでなくて、各團体主催の、政策を聽くの会というような、選挙運動のためという條件がないならば、演説会は許されると思う。そうでないと選挙運動のためということを冠した理由がないと思う。その点を確めたい。選挙運動のためにするという條件は、何のために要るか、これさえなかつたならば、私は演説会はよい。それを法制部長に伺いたい。
#56
○工藤委員 あらずという反対の言葉がある。それは林君のはもつともな話だが、しからば選挙運動のためにあらずということの明らかな証拠を示すことができますか。包含することもできるけれども、積極的にこれを表わすことができる途があれば、私はこれでよかろうと思う。ただ人の心を憶測する程度においてはやはりいけないのだから、何か林君に名案があるならば――これは選挙運動のためでありません。一般の寄附を公表するためであるというようなことが。――從來在郷軍人なんかずいぶんわれわれの選挙に干渉したものだ。
    〔「進行々々」と呼ぶ者あり〕
#57
○吉川委員長 それでは林君の今の質疑の問題は、これから花村君の質疑を伺つている間に解釈をきめたいと思いますから、花村君に質疑を許します。
#58
○花村委員 市町村のことはきめてあるのでありますが、東京のごとく市町村と異なつた区制が布かれておるところは、どういうぐあいに解釈しておられましようか。
#59
○三浦法制部長 その関係につきましては、第二十九條に規定を置いてございまして、区等につきましては、市と見做しまして演説会等の單位を考える、かように考えております。
#60
○竹谷委員 第十五條の選挙運動のためにする演説会というものの解釈についていろいろ質疑が交わされておりますが、小委員会としては、この選挙運動のためにする演説会は、これは絶対にいけない。その選挙運動のためにするということについて、いろいろ学術研究のためとか、あるいはその他の目的のためにというようなことで候補者その他が出ていく、結局そういうようなものは選挙運動のためにすることに相なるので、こうしたものはこの十五條違反になる。こう小委員会においても大体解釈して、この條文をつくつた次第であります。
#61
○吉川委員長 お諮りしますが、ただいま小委員長の御報告になりましたように、この十五條の解釈に対する小委員会の解釈を本委員会で確認いたしますか、いかがですか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○林(百)委員 異議あり。採決してください。
#63
○吉川委員長 それでは採決いたします。ただいまの十五條の解釈に対する小委員長の報告に、御賛成の方の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#64
○吉川委員長 起立多数。確定いたしました。
 それでは御質疑も大体終了いたしたようでありますから、これから討論に入ります。討論に入るに先立ちまして、林百郎君と北二郎君から修正案が出ておりますから、これをお諮りいたします。修正案は第九條の中の「三十回」を削除すること、それから第二十七條、すなわち分担金でありまするが、この條章を削除すること、これはもはや説明の要はないと思いますから、ただちに採決に入ります。この修正案に賛成の方の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#65
○吉川委員長 少数。否決。
 それでは原案の討論に入ります。通告順によりまして発言を許します。民主自由党工藤鐵男君。
    〔「簡單」と呼ぶ者あり〕
#66
○工藤委員 実は簡單に申し上げたいと思いましたが、わが党では、選挙法について最も精通しておるという齋藤君の意見もあつたために、私はやむを得ずここに立つものでありますから、どうか簡單以外に多少の御猶予あらんことをお願いいたします。
 立法の精神は大体もう明瞭であります。つまり政治の競爭ですから、公正の原則に基いて機会均等の法則を使つてできた法律でありますから、大体賛成です。賛成ですけれども、ただわれわれの考えておるのは、林君も言われました通り、多少憲法上の疑義ありと叫ぶ人は、單に林君ばかりではない、私の方の齋藤君なども、その意見をもつておる一人である。從つて、いやしくもわれわれ憲法のもとに國家の政務を扱つておる者は、これを聽き流しにしておくということはいかがかと考えますから、この点について私及び齋藤君の意見を加えて、ここにこの案に対する態度を表明いたします。要するにわれわれから見ると、公正の原則に基いてできた法律案であるけれども、この公正のもとには、どうしても機会均等がなければならぬ。機会均等の線を守らんとすれば、選業界は紊乱する、あるいは自由競爭にすると撹乱せられる、もしくはいわゆる候補者の濫立にもなる。のみならず近代の風潮からいくと、この選挙に対して熱中のあまり、法を考えずに、むちやくちやに選挙界に出てきて金を使う者があることは、否定のできない事実である。もし金力によつてこの選挙界が支配されるということであつたならば、ここに立憲政治は滅びるのである。ゆえにわれわれの最も心配いたしましたのは、金権政治にあらざる限りは、どうしてもこの費用をかけないくふうをしよう。そういうものをして跳梁跋扈せしめないということに原則を置いて、この法律ができたようなわけであります。齋藤君などの意見は、要するに立憲政治の根本は選挙であつて、同時に國民の政治意識を大いに発揚することであるから、これを拘束することは立憲政治に反対するものであつて、この法律の建前からいくと、憲法違反の疑いありと主張するのであります。從つてそのうちのいかなるものがそういうところにあるかというと、齋藤君はまずこういう点をあげておる。私もそのあげた点については大体肯定しておりますから、委員の一人としてその意見をここに陳述するものである。
 その一つは立会演説である。この立会演説については、われわれの同志の一員である齋藤君も、どうしても加わらなければならぬということは、全國にたくさんの選挙区があるけれども、政党の事務所は必ずしもその近くにあわけではない。あるいは候補者の事務所があるわけでもない。これをどうして公告後三日間の間に連絡をとるか。連絡のとれなかつた結果というものは、立会演説に加わることができないことになるのではないか。これを一体どう考えておるかということが一つ。かりに事務所の支部などがあつても、所属代議士をもたない、あるいは議員をもたない、そして今回初めて立候補をした場合において、どうすればこの連絡をうまくしていくかということも考えていかなければならぬではないか。第三には、そういう関係から、無所属候補者の意見を述ぶる機会を得られないようなぐあいになるのであるから、これはどうするか。第四番目には選挙の告示後において、三日間で、はたして各候補者が立会演説会へ出るだけの準備ができるかどうか。そうすると候補者が出られなければ、代表者を出すということも制限されておるというのであるから、この点をどうするか。第五番目には、選挙管理人の事務所は、都道府縣廳の所在地にあるけれども、遠隔の選挙区においてはないのであるから、この連絡も、とうていとることはできないであろう。第六には、候補者の届出にはおのずから緩急がある。それだから届出の遅速によつてそれが立会演説に出席することができないようなときは、後においてこれを回復する途はあるだろうけれども、一回々々で済むのであるから、これも非常に迷惑することになりはしないか。第七には、立会演説会に候補者差支えあるときには、代理を出すことはできないことになる。して見ると、立会演説は候補者故障ある場合には、三十回のものが十回か九回で終るということになり、このハンデキヤツプは補えないことになるではないか。これをどうするか。第八には、時間の制限の問題、たとえばわれわれが三十分やるとしても、十人の候補者があればどうしても五時間になる。そういうような場合においては、おのずから時間の制限もはなはだしくしなければならぬ。これは一体どうするのか。殊にそういう場合においては、同じ地域において演説会を開くことを差止められるということであれば、この点においても言論の制限は著しいわけではないか。第九には、立会演説会に候補者も代人も出席せざるときは、同一の区域において、候補者は個人で演説会を開くことを禁止するのはどういうわけか。こういうようなことで、われわれはやはりこの点に対する疑問をもつております。しかしいろいろ意見がありますけれども、煩を省くためにこれは速記者にお願いをして速記の上に止めてもらいます。大体私賛成でありますけれども、ただいま申し上げたような疑問がたくさんありますから、これはとうてい今回は間に合わないから、他日改正するときにまつこととします。しかしまだ修正案が出るとするならば、それを出すときに意見を述べるかもしれないけれども、大体これは後日の参考のために私はこれだけ申し上げます。なお齋藤君も同じ意見でここに私あての書面もありますから、これも速記者にお任せいたします。私は大体本案については原案に賛成いたします。
#67
○吉川委員長 細川隆元君。
#68
○細川(隆)委員 日本社会党はこの両法案に原案通り賛成の意向を表明いたします。その理由は第一條に書いてあります現下の経済事情に鑑み、選挙の公営を強化し、選挙をもつと公平かつ適正に行い、もつて選挙の腐敗を防止することを目的として提出された法案であるからであります。民主政治の基礎は選挙であり、選挙の基礎は國民の意思が自由に反映するという点であります。選挙は自由でなければなりません。しかるにこの自由ということが形式に流れて、実質的に不自由であり、不平等であり、不公正であつたならば、この選挙の目的並びに民主政治の確立は期し得られないのであります。最近のわが國の経済事情に鑑みますると、公営をやることによつて初めて自由の選挙が達成される。そうしてその選挙は公平かつ適正に行われる、かつ選挙の腐敗が防止し得ると私どもは参えるのであります。小委員会並びに本委員会の審議の経過において、最も論点が集中されたことは、この公営と選挙の自由の原則との関連であります。私どもは、この法案は以上の趣旨によつてつくられたものであつて、これによつて初めて眞の自由なる公平なる選挙が行われ得るという観点に立ちまして、この公営案は、決して選挙の自由を束縛するものにあらずという見解をとつておるのであります。いわゆる金持が、あるいは権力の力、あるいは不当なる実力によつて、從來の選挙界が、形は自由であるが、実質的には不自由であり、不公正であつたことは、各委員からるる指摘せられた通りであります。從つて私どもはこの公営を中心としてところの両法案に、原案通り賛成するものであります。
 なお申し落しましたが、日本社会党としましては連記制を主張しております。本委員会においても、一應連記に対する修正案を用意はしておりましたが、会期切迫の今日、私どもはこの実情に顧みまして、修正案をこの委員会に提出することを差控えます。但し私どもの連記に対する主張は、これを放棄したものではないのでありまして、私どものこの主張は今後もこれを貫徹するために努力するということを附け加え、この修正案の提議を留保いたしまして、以上原案に賛成するものであります。
#69
○吉川委員長 長野重右ヱ門君。
#70
○長野(重)委員 私は民主党を代表いたしまして、小委員長が報告いたされました原案に賛意を表するものであります。私どもは本委員会が設けられましてより、衆議院議員選挙法並びにこれに関連いたしまする幾多の法令全般にわたつて審議研究を続けてまいつたのであります。特に選挙の腐敗を防止し、その公正を期するために選挙運動の公営の拡充強化をはかりまするとともに、一面極力費用の軽減をなすことに主眼点を置いたのでありまして、ここにこの成案を得ましたことは、その努力を特筆大書すべきものであると確信いたすものであります。
 ただ一言この際申し上げておきたいことは、社会党の細川委員よりもお述べになりましたが、本法が成立いたされまして実施に移されます場合、全國及び都道府縣、並びに市町村選挙管理委員会の責任、技術、能率はきわめて重大であります。私は小委員会におきましても、これらの点に対しまして関係者の意見を質したのでありますが、十二分の用意のもとに進めるとの確信を承つて、意を強くいたした次第であります。私は本法が所期の目的を達するよう、われわれはもちろん、國民の協力を得て、わが國主政治確立のために、努力を拂わなければならないと考えておるのであります。
 以上をもちまして、簡單ではありまするが、原案に対する賛成意見といたします。
#71
○吉川委員長 栗山長次郎君。
#72
○栗山委員 民主自由党の内部には、この案に対して強い有力な意向がありますので、一点についてまずそれを申し述べます。
 第一点は立会演説会における代理弁士の問題であります。これは五分の一に限つて代理を出してもよろしいというのが原案でありますけれども、少くとも総回数の半数くらいは代理者によつてなさしめることができるように、できれば、してもらいたいものだということが一つであります。いま一つは個人の演説会、これが選挙区の大小によりまして事情は違いますけれども、町村の多いところではなかなか全町村にまわりきれないから、これに定めてある個人演説会以外に、自由になされるべき演説会を考慮に入れて、勘案してみないかという二つの強い意向があるのであります。もし満場の御賛成が得られるならば修正案ともいたしたい点でありますが、選挙法改正の性質上、私どもとしては満場の御賛成が得られないようなことをむりに押そうということはいかがかと存じますので、でき得れば修正してもらいたいというほどの強い意見としてお聽き取りおき願いとう存じます。將來事情の変化によりまして、再びこの問題が審議せられ、修正せられます場合は、さような事項をお取入れ願いたいということを申し添えるものであります。
 党といたしましては、その他に一、二の希望を述べまして原案に賛成するものでありますが、一、二の希望と申しますのは、積極的には全國選挙管理委員会のもとに統卒せられる都道府縣、市町村、地方の選挙管理委員会及び実際の事務を担当すべき町村の当事者たちが興味をもち、関心をもつて自分たちのなさねばならぬ行事として、積極的に奮つて、各町村競うと担当した立合演説会なり、その他の事項が行われますようにそういう氣風の浸透なり、作興を、この機構の衝に当る者に望みたいことと、積極的には今までの選挙法の法文を見ると、一通りできておるけれども、実際はずいぶん違反が多かつたのでありますが、今回はこの條項の肝要なところを拔粹して、國民全般に周知徹底せしむるような取計らわれて、いわば國民大衆管理のもとに、公正なる選挙が行われるように、実施上留意御努力を願いたいという点であります。
 以上の強い希望的意見と、それからまた後段申し述べました二つの希望を添えて本案に賛成をいたします。
#73
○吉川委員長 酒井俊雄君。
#74
○酒井委員 國民協同党を代表しまして、二つの点について希望意見を附して、本原案に賛成の意を表します。
 一つは、社会党の御希望意見と同じ点でありますが、單記制でなく制限連記制を採用したい、特に各選挙区とも二名連記を採用したいという希望であります。いま一つは二万円の選挙公営上の予納金の点でありますが、選挙公営ということを徹底する以上、この二万円の予納金は削除すべきだ。この二つの強い希望意見をもつております。
 なお、ただいまの希望意見は法律の内容そのものについての希望意見でありますが、いま一つ法律の運用につきまして希望をもつものであります。それは過去における選挙運動の有樣を見まするのに、法律の形式だけを守つて、形式の範疇に入らないと考えられることは、大胆に実質上この選挙法の規定から逃れようというきわどい選挙運動をする者がたくさんあつたことは、選挙運動歴史の示す通りであります。結局選挙に関する法律規則は、單に形式を定めるものでなく、眞にその精神を活かさなければならぬものだと思います。こういう点におきまして、先ほど共産党の方からも、名前は文化講演あるいは経済講演その他選挙運動を標榜しない名前で選挙期間中にある候補者が、候補者としてでなく、党の代表という資格で演説をするのは構わぬじやないかというような意見もありましたが、かかる行為が選挙禁止規定にあてはまるかどうかという解釈は、形式から見るものでなくて、法の質神、実質から見なければならぬと思います。今述べましたのは一例でありますが、どうかこの法律の運営にあたりましては、法の根本精神を原則として、その運営に誤りなからんことを深く希望して、原案に賛成するものであります。
#75
○吉川委員長 佐竹晴記君。
#76
○佐竹(晴)委員 社会革新党を代表いたしまして、両案に賛成をいたします。ただ一点選挙運動等の臨時特例に関する法律案中、第二十三條の飲食物の提供禁止に関する点については、先ほど私の質問いたしました事項に関しましては、禁止事項に入らない、すなわち差支えない事項であるという小委員長の言明を信頼いたしまして、賛成するものであります。從いまして、この点は実際の運営の面にあたりまして、旅館等へ投宿いたしましたとき、何人といえども飲食物を提供してはならないといつたような規定を振りまわされて、選挙運動に行つたときに、飯も食わしてくれない、あるいはおかずもくれないといつたようなことが、ついできては困る、あるいはまた弁士等をつれて行つて、これに普通の食糧を提供すると、旅館における食事の提供、その後においてその代金を支拂つてやると、それが飲食物の提供としてただちに違反に問われるなどというようなことができますと、たいへんな結果を生ずるおそれがありますので、先ほど小委員長の言明された通り、こういつたようなことは禁止規定には入らない、やつて差支えのない事項であるということを、各関係者に十分周知徹底せしめることのできますよう、本法律案が成立いたしました後には、関係当局に対してこの趣旨を十分徹底せしめられますよう希望いたしまして、賛成いたします。
#77
○吉川委員長 北二郎君。
#78
○北委員 私は日本農民党を代表いたしまして、本案に反対するものであります。第一に、この案には單記となつておりますが、民主政治の建前から言いましても、政党政治は民主政治であると私は考える。その場合、選挙民がこの政党を支持したいという場合に、二名書けるということは民主的なことだと私は思うのであります。それゆえにこの單記制ということは、どうしても承服しがたいと思います。
 次は、供託金三万円と予納金二万円であります。この供託金三万円、予納金二万円ということは、われわれ農村から言いますれば、金のない者は非常に出られなくなる。かわゆるなんぼりつぱな人がありましても、一時に納める金が五万円も六万円もありましては、これは議員になれない。こういう意味におきまして私はこの点も承服しがたいと思うのであります。
 次に個人演説会の制限でありますが、この法案によりますと三十回以内と制限されております。これはわれわれの考えから言いますれば、何か憲法に反するようなことになるという建前で承服しがたいのであります。
 以上三点承服しがたいものがありますので、残念ながらこの法案にわが党としては反対するものであります。
#79
○吉川委員長 和田英作君。
#80
○本田委員 私は日本自由党を代表いたしまして、現下のわが國民の実情に照らして最も適切なる案と思いまして、本案に対し満幅の賛意を表するものであります。
#81
○吉川委員長 林百郎君。
#82
○林(百)委員 私は日本共産党を代表しまして、本法案について三つの根拠からこれに反対するものであります。
 まず第一は選挙法の改正の最も根本的なものは、選挙区をどうするか、投票樣式をどうするかということにあると思うのであります。これは選挙が政党を中心として行われる活動である限り、政党を活かし、かつ各人の一票が生きるような方式をとることが必要だと思うのであります。そういう意味で私は選挙区を大選挙区、それから投票樣式を制限連記にするという主張を小委員会でもしておつたのでありますが、選挙法の根本的な改正が顧みられなかつたという点において第一に反対の論処があります。
 その次に第二の点としましては、本法案によつて金銭的な負担を少くするということでありますが、本法案によりますとかえつてこの金銭的な負担は多くなるのでありまして、予納金が二万円、供託金が三万円、合わせて五万円、これに法定選挙費用が大体十万、十五万程度になるのであります。費用が少くなるということでなくて、從來の選挙費用を超えてやみ選挙をやつておつたものが、そのやみの部分をしないようにということであります。そのための法律を設けるということのために、まじめに法定選挙費用内で行つておつた者はかえつて迷惑をこうむることになるのであります。予納金二万円、供託金三万円、五万円なければ立候補もできないということは、非常に立候補の自由を大きく制限しておると思うのであります。勤労大衆の立候補を基盤としておるわが党にとつては、非常に大きな立候補の制限になる。こういう意味において、この金銭的な負担がかえつて増額するという点において反対するのであります。
 その次は第三点として、この政党の組織的な活動の自由がまつたく制限されておる。固定的な候補者の選挙運動を制限するのならわかりますけれども、政党の活動それ自体まで制限しようとしておるのであります。これは明らかに憲法の二十一條による集会、結社、言論、出版その他一切の表現の自由はこれを保障するという規定に違反すると思うのであります。
 すなわち第十五條においては、先ほども問題になりましたが、政党の演説会すらこれを制限する。また二十一條におきましては、政党の名前のはいつたビラは一切張らせない。それから選挙運動に関係がなくても、著述、演藝等の廣告もできないということになつておるのでありまして、これは非常に文書の表現の自由を保障されておる憲法の二十一條に違反することだと思うのであります。そういう意味で十五條、二十一條、さらに二十四條におきましては、政党の名前を呼ぶことすらいかない。それから衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案の百條の二の六号でございますが、当選後政党の名称を連呼することができないということであります。かくしてまつたく本改正案は、政党の活動そのものまでも犠牲に供して從來の地盤をそのまま温存し、從來の顏をそのまま温存しようとする、何ら改正ではなくして、かえつて退歩であるとわれわれは言いたいのでございます。そういう意味で私はこの臨時特例並びに選挙法の一部改正案については反対するものであります。
#83
○吉川委員長 それにて討論は終局いたしました。ただちに採決に入ります。選挙運動等の臨時特例に関する法律案及び衆議欠議員選挙法の一部を改正する法律案について、小委員会の成案について賛成の方の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#84
○吉川委員長 多数。よつて本案は小委員長の報告の通りに決しました。(拍手)
 その際お諮りいたします。この両法案の提出者についてでありますが、これは本委員会の提出といたしますか、それとも反対でありました農民党、共産党を除いた各派共同提案といたしますか、いずれにいたしたらよろしゆうございますか。――これは当委員会提出議案とすることの取扱いに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#85
○吉川委員長 ではそのように決します。
 それから本会議における両案の提出理由の説明が要るのでありますが、この説明者につきましては委員長に御一任願えますか。
#86
○佐竹(晴)委員 これは委員長においてやつてもらいたい。
#87
○吉川委員長 他の委員会の例を見ますと、委員長に事故があつてできないこともありますので、そういう含みもありますので、委員長一任ということに願います。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#88
○吉川委員長 ではそのようにいたします。
#89
○林(百)委員 その意見は國会法五十四條の少数意見として留保していただきたい。
#90
○吉川委員長 わかりました。それでは本日はこれにて散会いたします。
    午後六時十分散会
ソース: 国立国会図書館
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