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1953/07/03 第16回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第016回国会 水害地緊急対策特別委員会 第3号
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1953/07/03 第16回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第016回国会 水害地緊急対策特別委員会 第3号

#1
第016回国会 水害地緊急対策特別委員会 第3号
昭和二十八年七月三日(金曜日)
    午後一時四十四分開議
 出席委員
   委員長 村上  勇君
   理事 逢澤  寛君 理事 足立 篤郎君
   理事 滝井 義高君 理事 池田 禎治君
   理事 加藤常太郎君
      上塚  司君    高橋 英吉君
      綱島 正興君    馬場 元治君
      林  信雄君    山本 友一君
      青野 武一君    木下  郁君
      辻  文雄君
 出席国務大臣
        建 設 大 臣 戸塚九一郎君
 出席政府委員
        厚生事務官
        (社会局長)  安田  巖君
        農林事務官
        (大臣官房長) 渡部 伍良君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (大臣官房総務
        課長)     奥田  孝君
        建設事務官
        (河川局防災課
        長)      淺村  廉君
        議     員 松野 頼三君
        農林委員会専門
        員       難波 理平君
        建設委員会専門
        員       西畑 正倫君
    ―――――――――――――
七月三日
 委員山崎巖君辞任につき、その補欠として山本
 友一君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 西日本の豪雨による被害状況に関する説明聴取
    ―――――――――――――
#2
○村上委員長 これより水害地緊急対策特別委員会を開会いたします。
 まず、御報告いたしておきますことは、昨二日当委員会から派遣いたしました委員の生田宏一君より、現地の連絡場所と視察日程を電報で通知して参りましたので、諸君のお手元に電文を印刷して配付いたさせておきました。なお、電文中にもあります通り、各党の国会対策委員長の方にも、委員各位よりそれぞれ御伝達願いたいと思います。
 それでは、ただいまより、西日本の豪雨による被害状況について、さきに本院より派遣されました議員松野頼三君より、現地における被害の説明を聴取することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○村上委員長 御異議なしと認めます。それではそのようにいたします。松野頼三君。
#4
○松野頼三君 衆議院から、各党代表といたしまして十五人の編成をいたしまして、先日派遣されたのでありますが、私の見ました範囲を御報告申し上げたいと思います。
 十五人で福岡に参りまして、さつそく衆議院の各議員からお出しいただきました見舞金を各府県に配付いたしました。三班にわかれまして行動いたしまして、第一班は福岡、大分、第二班は佐賀、長崎、第三班は熊本という振りわけにいたしました。福岡に参りまして予定をかえましたのは、筑後川が非常な氾濫をいたしまして、熊本と福岡の連絡が、私たちが参りました際にも、ほとんどとだえておりました。ただ一つ警察電話が通じるというだけでしばらく熊本の報告が中央にも来ないという状況で、熊本だけは特別の編成をいたしました。参りましたときには、久留米の筑後川の氾濫がはなはだしく、交通の便がございませんので、小さな飛行機に乗りかえまして、熊本まで直行したわけでございます。熊本に参りますと、市内の惨状は、空中から見ました際以上に、おりてから大きな特徴が見られまして、水の被害よりもどろの被害というものが予想以上に大きく、各人家に参りますと、熊本市の半数は、現在でもおそらく畳の上に一尺あるいは二尺というどろが積つて水が引いておりました。従いまして、どろが加わりましたので、予想以上に水の破壊力が強く、ニュース及び写真に出ておりますように、橋の両側が一挙にして破壊され、百四十何人という死亡者をただ一箇所で出したという例もございました。その破壊力の大きかつたことが、このたびの被害の最大の原因で、人命に対する非常な被害を与えました。いまだに生死不明が相当ありまして、生死不明と申しましても生の望みはなく、ただ死体が上らないだけで行方不明という状況でありました。おそらくこれは生存という望みはほとんどありません。まだ、砂の中に、あるいはどろの中に、死体が埋没しておるという公算が多大であります。熊本市の大きな水害の原因は、まず何と申しましても水源地方に阿蘇山という特別火山地帯がございますので、この火山灰が年々黒川を流れておりましたものが、一挙にこの豪雨によつて流された。降雨量はわずか五日間で六百ミリと申します。私たちしろうとでよくわかりませんが、大体九州の河川は平均二百八十ミリに耐えるという河川工事をしておるようであります。従いまして、河川の堤防がこの多量の雨量には耐えなかつた。従つて筑後川も白川も、この雨量には現在の建設技術ではとてもこれを防ぐことは不可能というほど、一挙に五日間で降つた。これが災害の最大の原因であります。久留米を流れます筑後川におきましても、破壊箇所四十箇所、破壊延べ十キロと申しますから、四分の一の堤防が決壊したというのが筑後川の状況であります。熊本の白川は、破壊と申しますよりも、全部冠水いたしまして、このヨナが人家に入り、あるいは山をくずし、また農地にいたします。と、驚くなかれ三尺から四尺、深いところは五尺というヨナが現在でも埋没しておりますので、今までのような農地に対する復旧工事というものも、この面におきましておそらく前例のない方式を考えなければ、ただ水に対する対策として、私たちも――また農林省当局も、田の植えかえとかあるいは種のまきかえというふうな災害復旧対策を考えておられるようでありますが、これはもう今度の場合には適用できない。おそらく三尺、四尺の土地を――何千町歩というこのどろをとりのけるということは、十回や二十回の仕事ではおそらくできません。おそらく国営の大土地改良事業をここに持つて来ない限り、この農地の復旧ということはできない。現場に参りまして、今までの水害に例を見ないということを痛切に感じました。従いまして対策におきましても、相当長期間の土地改良事業からやつていただかなければ、姑息なあるいは今までの例のような水害対策ではこういう農地の一集団地区における数千町歩という土地の復旧は全然困難でございます。人命も熊本県だけで六百名というほどの人命の損失をこうむつております。私が参りましたときも、すでに災害が出ましてから、五日目でありますが、まだまだ交通が杜絶して、同じ村の中でも向うの村まで行かれないという現状でありますので、被害調査というものは少しは警察によつて一応集計されておりますが、まだそういうふうな正確な数字はありません。人民は治安に対しては比較的平穏でありまして、食糧も思いましたよりも潤沢に配給は進んでおりました。警察の緊急な電話によつて各地の連絡がつき、また幸いなことに電燈は災害当日も半数以上の電燈は確保されておりましたので、従つて住民の不安感というふうなものは比較的平穏でありました。またこの中に、災害のために緊急に発動されました保安隊の活動も見のがしてはならないように、各地の復旧をやつております。突然の豪雨でありますので、衣料を持ち出すひまがない。人間でさえも逃げるひまがございませんので、衣料に関してはおそらく持ち出すということが困難でありまして、現在非常に不足しておりますのは衣料でございます。食糧はどうやらこうやら配給と販売を続けております。住宅問題はおそらく今後数箇月かかると思います。どろをとりのけるということだけでも数箇月を要しますので、この対策はおそらく相当長期の対策として最後まで残るのではないか。現在の衣食住の中で、住宅問題がややともいたしますと災害対策として遅れております。火災ではありませんので保険金はとれません。といつて個人の負担では不可能なほど大きな被害をこうむつておる。最後まで私は住宅問題が残るような感じを受けました。金融にいたしましても、産業が相当の期間活動できない。従つて銀行が支払いができない。清算ができない。このことに関しましては、手形の取引の延期、災害地のみならず、手形は全国に影響をいたしますので、全国の手形に対する延期というものも当然必然的に起つて来るように感じました。その他治安に対して扇動的な張紙もぼつぼつ出ております。しかしながら、現在私が参りましたところまでは、治安に対する対策は確保されておるように感じて参りました。あす第二班、第三班が帰つて参りますので、一応筑後川、熊本県の白川、緑川の私が受持ちましたところの様子だけ御報告申し上げまして、皆様に対する御報告にいたしたいと思います。
#5
○綱島委員 先般農林委員会で、さぞかし住宅問題が問題になるだろうと思うから、早く林野庁長官は、それぞれ国有林を払い下げて、民家の復旧その他公共施設の復旧及び坑木流失に対する補給等についての一日も早きお手当を願いたいという希望をいたしましたところ、大体そのつもりですでにやつているということでありました。それから、そのときに、かようなときは業者が特別なもうけをしようというようなことを企てられるので、業者の手を経ないでなるべく直接需要者に渡してもらうような、そういう考え方で処してもらいたいという意見を述べましたところ、各公共団体等の申出があれば、おのおのそれらによつて処置るつもりであるというような話があつたのですが、現地ではもはやそういうところまで活動を始めておりましようか。まだ机上のプランだけになつておりましようか。ごらんになつたところではいかがでございましようか。
#6
○松野頼三君 ただいま綱島さんの御質問のようなところは、現地ではまだ見受けられておりません。
#7
○綱島委員 ただいまの御説明で大体わかつてはおりますけれども、熊本の盆地でありながらそれほどの土砂が家屋の上まで上つて来るというのには、さぞかし耕地の耕土が流れてしまつただろうと思います。耕地に対する施設の災害――施設と名づけましようか、土地改良などででき上つたものに対してのこの水害による被害、そういつたものについてはどういうことをしたらよかろうとか、あるいはどのくらいの金額は予定しなければなるまいというような大まかな御意見等でも伺えれば、まことにけつこうだと思います。
#8
○松野頼三君 農業施設に関する被害というものは、御承知のようにまず河川の決壊が第一に目立ちます。一応水が引けますと、その下の井堰の問題及び水門の問題が出て参りますが、現在ではまず河川の決壊箇所が第一の被害のように思います。また、実情を申しますと、井堰が下にあるのか見えないほど水量が多うございまして、現在まではそこまでの調査はなかなかむずかしいと私は思う。
 第二の問題として、農地の問題は、過去の例で参りますと、農地に対してはある程度の補償金というもので一応被害を片づけるということがありましたが、今度の場合は、個人々々の農地と申しますよりも、農地の上に三尺以上も火山灰あるいは農業に不適当な地質のものがおおつておりますので、個人の補償くらいではこの回復は不可能である。従つて私は、国営の土地改良事業で復旧をやつてもらう、あるいは県営による土地改良事業をもう一度ここに持つて行く以外に、これをとりのけることは不可能だと思います。あぜも何もない。一面ちようど飛行場や砂漠ができたようなもので、そのようにお考えになればよろしいと思います。私の見ましたのは、五百町歩というものが砂漠や砂原ができたようなもので、農道もありません。だれのものかわからない。全然そういう見境もつかない。従つて、これは、大きな団体営、国営による土地改良事業をこの砂原に持つて来る以外に方法はないと考えます。
#9
○滝井委員 ただいまの御説明で、農地等が川原になつているというような事情はよくわかりましたが、いま一つお尋ねいたしたいのは、市内に相当火山灰が入つたということを聞いておりますが、中小商工業者の状態はどういうぐあいになつておるか、御説明願いたい。
 それから伝染病が少し出ておりますが、熊本における赤痢の発生状態はどんなふうですか。
#10
○松野頼三君 中小工業に関しましては、おそらく資材、機械、製粉、あるいは精米、木材、小さな木工場というのが、主として熊本市内の中小企業でありますが、すべての機械が土砂にやられております。自動車もバスもほとんど土砂に埋没し、それに対する応急手当は、おそらくそう早急には不可能であると思います。従いまして、中小企業はまず金融ということが非常に逼迫しております。商工中金、あるいは熊本県では県条例によつて信用保証協会を設定いたしておりますので、これに対する営業資金の申込みが相当出ております。県当局におきましても、信用保証協会の議決をして、増資をしてこれに対する対策も立てられておりましたが、何と申しましても商工中金及び政府機関における農林中金等の融資あつせんを相当緊急にやつていただかなければ、これはむずかしいと思います。また、一般の商業手形にいたしましても、その取引の十日間延期を各銀行団の申合せでやつておりましたが、十日間の期限もおそらく今日か明日で切れるのではないか。そういうものに対する手形決済の方法も、もう出て来ております。
 伝染病は、一番被害の大きかつたところを申しますれば、水の問題から難一に出ております。水に関しましては水道の被害地でありましたが、比較的水道が出ておるところもあります。出ておらないところに対しては、特別に濾過器を備えつけて対策をやつております。また現在ぼつぼつ出ておりましたが、集団的に何千人というふうなものは、まだ私が参りましたときは出て来ておりません。従つて、各衛生部から、新しい浄化剤と申しますか、薬を入れると水が飲料水になるというものを配つたり、井戸にカルキをまいたり、こういう方式で万全の措置をとつておりますが、何と申しましても気候が、これからぼつぼつはいが出るころでありますから、水洗便所等の衛生設備のない熊本市においては、これからが一番猖獗のはげしい時期に来ますが、熊本市内におきましては、集団的なものというのはまだ出て来ておりません。
#11
○村上委員長 他に御質疑ございませんか。――御質疑がないようでありますから、次に政府側より被害状況について説明を聴取いたしたいと思います。戸塚建設大臣。
#12
○戸塚国務大臣 今回の西日本の災害はまことに遺憾なできごとでありまして、私は二十六日の午後三時ごろ第一報を受けたのであります。その当時の降雨量、増水の状態などから考えて、これはたいへんなことになりはしないかという予感と申しますか、予想をいたしたのであります。その夕方、すでに筑後川ではほとんど堤防の最上部まで水位が上つたというような報告を受けたわけであります。あくる日朝早く、河川局長と厚生省の社会局長にとりあえずすぐ行つてもらいまして、私はこちらで打合せを行つて、夕方の三時の日航機で参つたのであります。向うへ参りましたのは、雨のために着陸なども遅れて、十時ごろと記憶いたしております。その後三日間滞在いたしまして、その次の七月一日、つまり一昨日の夜十時ごろこちらへ到着したのであります。その間に、最も被害の大きい福岡県の方から佐賀、熊本両県で生々しい被害状況を視察いたしまして、親しく罹災者に接して慰問と激励の言葉を贈り、なお現地の当局と、それぞれ報告を聞き、打合せをいたし、また督励をいたして、必要な緊急の措置を講じて参つたつま丸であります。
 今回の災害は、すでにお聞き及びと存じますが、福岡、熊本、佐賀、大分、長崎、山口の六県にわたる甚大な損害をもたらしたものでありますが、その原因は主として従来の記録をはるかに突破した異常な雨によるものであります。その雨は、二十五日の朝以来二十九日に至り――二十九日はもう福岡あたりでは小雨の状態でありました。あるいは時間によつては雨がやんでいるという程度でありました。しかし二十八日には非常に大きな雨量があつたのであります。この五日間梅雨前線が、筑後川筋を中心にして、あるいは小し北に、あるいは少し南にというように、あの辺に停滞しておつたのが、今度の連続の大きな降雨に至つたものと存ずるのであります。これはもうお話があつたかもしれませんが、熊本県の小栗辺ではおそらくこの間に千ミリを越えるというような降雨量であります。平地地区におきましても、福岡あるいは熊本もそうでありますが、六百ミリを越している。いずれもいまだかつてまつたく記録にない雨量であります。福岡の気象台長に伺つたのでは、六月の降雨量としては、従来の記録では四百五十ミリというのが一番大きかつたということであります。これがほぼ倍の程度になつたのであります。これがために、河川はそれぞれ増水いたし溢水いたしました。つまり堤防からオーバーフローして、至るところで堤防が決壊をいたしました。特に大分、熊本、佐賀、福岡の四県にわたつて流れている筑後川は、全面的に堤防を越えて流れたといつてもいいくらいで、堤防の決壊場所が四十一箇所に及んでおります。これがために、筑後平野は文字通りどろ海に化したわけであります。また、遠賀川の筋では、直方から少し下流に植木町という町がありますが、この植木町から約一キロ下のところで左岸が決壊いたしましたため、植木町はまつたく孤島化した。鹿児島本線、国道三号線はその下流にありまして、大事なところが破られたようなわけであります。そのほか矢部川、菊池川、白川、緑川、これは熊本県でありますが、大分川、大野川等の河川川及びその支川もほぼ同様な惨状を呈しました。このために、道路、鉄道の交通機関は途絶し、家屋は流失し、あるいは屋根まで浸水する、また耕地は土砂で埋没し、耕作物は流される、炭坑は浸水によつて作業を停止するというような状態になつたのであります。これらの総被害はただいままだ調査中でありますが、その総額は一千数百億円に及ぶものと考えられております。
 なお、人的被害も莫大なものでありまして、三十日現在で死亡、行方不明、負傷合せて二千名に及んでおります。家屋の損害三十一万、また罹災者は百五十万人に達すると報ぜられております。耕地の損害も十五万町歩、あるいは二十万町歩と言われております。特に、筑後川下流平野の広汎な区域にわたつて筑後川の水位が下らないのと、またあふれた水の出どころがございませんので、いまなお私が帰るときにもまだ満水して、なかなか減水が遅々としているという状況であります。松野君から熊本の状況はすでにお聞きと思いますが、熊本市内の子飼橋という橋がありまして、この左岸で二十六日の夕方一瞬にして百数十軒流された。また犠牲者も百数十人に及ぶというようなことであります。私が参りましたのはちようど三十日の午後でありましたが、この場所でまだ死骸が上つて来るというようなことを申しておりました。
 炭坑の被害は、福岡県で百八坑、佐賀県で二十坑、計百二十八坑と言われております。この被害は二十六億に達すると言われております。
 鉄道につきましては、川の氾濫と同時に、鹿児島本線、長崎本線、日豊線を初めとして、ほとんど全線が不通になり、現在まだ十数箇所不通の箇所があります。特に関門墜道は、浸水のため本土と九州の連絡が杜絶して、わずかに海上連絡をいたしている実情であります。目下の見込みでは、九州地域内の鉄道は今月の五日ごろには全通の見込みでありますが、関門トンネルの方は相当土砂が入つおりますので、それを取除く関係から、今月の二十日ごろになるかと予想されております。交通通信諸施設の復旧は、今次の災害復旧対策中最も喫緊のことと考えているのでありましてそれぞれの手当をいたしたいと思います。
 各府県とも災害対策本部を設置いたしまして、ただいままでのところでは、人命の救助及び罹災者に対する食糧、衣料の配給、防疫等に全力を注いでいるような状況でありまして最初の数日はまつたくこういう救助救済に没頭されておつたようなわけであります。なかんずく災害の最中に舟か足りないことが非常に心配されまして、ずいぶん各地から舟を出し、また米軍の援助を得たり、あるいはまた保安隊の出動を要請し、救助救済の活動が続けられているのであります。また、流れた橋などの仮橋をつくる、迂回路を設けるというような措置を適宜講じております。米軍が久留米の病院から患者を輸送するということにたいへん骨折つてくれたような例もあり、また佐賀県神崎町の市内の国道筋道となつている城原という川の橋が落ちたのを、保安隊が、幸いに材料を持つておりまして、非常に早い時間でこれを復旧して交通の確保をせられたというようなことは、一つのよく働いてくれた例であります。政府におきましては、今回の災害の大きいのにかんがみまして、災害発生と同時に、私が篠田農林政務次官その他関係の局長等と現地におもむきまして、向うの各関係の機関を督励して、ただいま申し上げましたように救助救済の遂行に当らせました。御承知のごとく、現地には大野国務大臣を総帥として対策本部が設けられ、また、一内閣にも西日本水害対策本部を設けて万全を期しているような次第であります。
 そこで、さすがの水もだんだん減水しつつありますが、それによつて緊急に処置すべきものを少しでも早くというような気持から、筑後川ほか直轄河川の応急復旧費として、昭和二十八年度の災害予備費から六億円の支出を決定いたしました。また、地方の公共同一体の公共施設応急復旧の資金に充当するため、これもとりあえず資金運用部から十億円を融資して、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、山口の各県に充当いたしました。これは、管内のものだけでなく、緊急に必要な箇所をまずという意味であります。また、今回の水害によつて流されあるいは倒壊した戸数は四千五百戸に及んでおりまして、とりあえず災害救助法による応急バラックを建設する等の処置に出ておりますが、今後なお、公営住宅の建設あるいは住宅金融公庫の特別融資等によつて、遺憾なきを期して参りたいと考えております。
 このほか、罹災地の国税の減免あるいは稲苗の補給等の応急措置を講じているのでありますが、さらに、今回のような大きな災害は、雨量もこういうことがあるのだというように考えられますので、従来の治山治水の計画にさらに再検討を加えて、今後の治水の万全を期したいと存じている次第でございます。
 そのほか、災害地の治安状況は、最も混雑したであろうと思われる熊本市におきましても、熊本県知事の報告によりますと、混雑の割に冷静であつて、そう心配したものでないというような話を聞いて参りました。
 また、先ほど伝染病の話がありましたが、これは、特にこうした場合には、そのあとが伝染病の多いことが多いのでありまして、また福岡で聞きましても、すでに災害前に二千人ぐらいの患者が発生しておつたような状況でもありますので、各県の当局に、この点には格段の注意をしてもらいたいということを言うて参つたのでありますが幸い薬品その他は非常に滞貨があつたのでありまして、手当その他は十分にできているのであります。ただいま申しましたように、私は一昨晩帰つて参つたのでありますが、まだそれまでに交通通信の回復したところもありますが、大部分が連絡不能の箇所が多いのでありまして、被害状況等においても十分の調査もまだできておりません。ことに報告もまだ十分に参つておりませんので、これらは、今後の報告をまつて、あらためて御報告申し上げたいと思います。
#13
○村上委員長 これにて政府側の説明を終了いたしました。何か御質疑はございませんか。
#14
○綱島委員 はつきり聞きとれませんでしたけれども、地方府県に御交付になつた十億円というのでありますが、これはもはや御交付済みでございましようか。割合等もおよそきまつておりますでしようか。
#15
○戸塚国務大臣 もうすでに行つていると思いますが、決定したのは一昨日と承知いたしております。それでもうすでに配付してあるはずだと思います。
#16
○綱島委員 割合はどういうふうになつておりますか。
#17
○渡部政府委員 府県別については、一応こちらで配りましたが、現地の方で、大野国務相から現地にまかしてくれと言うので、現地の方で十億を各県県にわけております。これの使途は、決潰箇所のせきとめ、直轄河川以外の公共団体のやる公共事業の施設に使うのであります。あと団体の分は、私の方の農林省の関係のため池とか、その他の団体営の施工の金は、農林中金の理事が現地におりまして、そちらの方から資金を出す、こういうかうにしております。
#18
○戸塚国務大臣 あるいは、先ほど申し上げた中で、十分御理解願えなかつたかもしれぬと思いますが、直轄河川の六億というのも、公共事業費の融資十億というのも、とりあえず急を要するところを、機を逸してはいけないという気持が多分にあつて支出をきめたのでありまして、これでどの分が行けるとか、あまりはつきりしたところまでは実は考えておらず、今後の報告をまつて正確に調査をして、それからほんとうの復旧にかかる、あるいはまた臨時に少しずつでも足して行くというやり方の方がいいじやないか、こういうふうに考えてやつていることでありますから、その点誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。
#19
○綱島委員 この対策について、どうしても、特に役所の方もたいへんに人がいるだろうと思うのですが、臨時の役所の増員をなさるとか、あるいはいろいろ箇所についての出張所をお設けになるとか、そういうような処置はまだしておいでになりませんか。
#20
○戸塚国務大臣 役所自体で増員をということは考えておりませんが、現地の方で人が足りないだろう、あるいは今後災害の箇所がだんだんわかつて来るに従つて、私こういう災害の復旧についてはなるべく早い方がいいと思つておりますので、査定なども急いでやらなければならぬという考え方で、あるいは本省なりあるいは他の地点から、向うへ臨時に応援隊を出そうというようなことはだんだん考えおりますが、向うの方の要求も考えなければならぬので、その点は目下準備をして待つているということであります。
#21
○村上委員長 それでは農林省より説明をお願いいたします。
#22
○渡部政府委員 農林省関係の対策について申し上げます。
 被害状況は、ただいま建設大臣からお話がありましたように、刻々報告が入つておりますので、まだ正確な点はつかめておりません。ことに農地の損害の状況は、ただいままでに入つておりますのは国警の情報でありますが、流失、埋没の面積が一万八千町歩、冠水の面積が十三万三千町歩――これは水田であります。畑は流失、埋没が約八千町歩、冠水が一万九千町歩、この程度の報告でありまして、それ以上のことは、たとえばかけくずれの箇所が一万二千箇所もあるとか、あるいは道路の損壊箇所が十万箇所もあるとか、そういつた報告程度で、施設に対する対策としましては、先ほど申し上げましたような応急の措置の金を出しておるのであります。農林省の関係といたしまして最も急を要する問題は、現地の食糧の確保の問題であります。これは、幸いにいたしまして、この災害各県の保有の政府の米が約百七十万石あります。そのうち被害をこうむつたのは、現在までに判明しておりますのけ数万石、まだ一、二万石しか報告されておりません。これは多少ふえるかもしれませんが、ほとんど被害をこう評つておりませんので、この数字で行きますと、新米の出まわり期、すなわち十月一ぱいまでの食糧にはあり余るほどでありますので、食糧の点は全然心配ありません。なお、水害をこうむつて農家の保有米が相当痛めつけられておるだろう、こういうことも予想せられますが、これとても、この地方の保有米が全部損失を受けたとしても百万石程度でありまして、われわれの推定では、おそらくこれの一割程度を見込んでおけば十分間に合うものと考えておりますので、それを考慮いたしましても、出来秋までのつなぎの食糧は十分であります。なお麦その他の配給食糧以外の食糧につきましても同様でありまして、十分の手持があります。
 それから次に、報告によりますと、大体三分程度の植付が済んでおつたようでありますが、その爾余のところ、流失、冠水でだめになつたところに、冠水が引くにつれて苗を植えなければならない。その苗につきましては、近県に対しまして、苗を節約しこれを災害地に送る運動を起しておりますので、数量は正確でありませんが、方々から相当程度送ろう、ことに宮崎、鹿児島、中国、四国方面、遠くは関東地方からも苗を送りたいという申入れがありまして、どんどん行つております。しかし、いずれにいたしましても、苗は各地方とも災害を受けておりまして十分でないということが予想されますので、大体二十日までに種をまきますれば八割程度の収量が確保できる、こういう農事試験場の成績に基きまして、陸羽百三十二号、愛国二十号、中性銀坊主というような品種を青森、岩手、秋田、福島、新潟、冨山等から、集めることにいたしまして、十体その目標は二万ないし三万石――ちようどそれの三倍の町歩ができますから、三万石集めますれば、九万町歩の植付用の苗が仕立てられます。それの集荷を今やつております。現在までには、もうすでに岩手から四千石強発送するという報告が来ております。そのほかの県の集荷が確定したというのを合せますと、大体玄米に換算して九千石という報告が来ておりまして、だんだん目標に近づいた数量ができております。これは大体十日までに現地を発送するという目標で督励を加えております。
 次は、農機具が現地で相当流れておるというのであります。これにつきましても、くわ、かま等の消耗器具はできるだけ近県から供出を願う、そのほかの大農機具等については、現地の機種の要請に応じまして、工場の在庫をこちらの方にまわす手配をいたしております。
 それから、肥料の要求であります。ことにカリ肥料であります。これにつきましては、災害後の稲を丈夫にするというので、カリ肥料が非常に要求されるのであります。現在苛性肥料の工場に約五千トンの在庫がありますので、三万トンを早急にスペインから積み出すという外貨の割当を決定しまして、それが八月に到着しますから、到着したらそれで埋めるという約束で工場のものを現地にまわす手はずをしております。
 先ほど木材の話が出ましたが、木材の点は、農林省としましては、国有林の手持ちの材を、要求に応ずるだけ出す、こういう対策を講じております。それで、現地におきましては、現地の府県その他の関係団体と協議会をつくりまして、そこでどういう材をどういうふうに使うということをきめていただきまして、それに応じて要すれば中国、四国の営林局からも出すという手はずを整えております。
 それから、家畜の関係でありますが、家畜はやはり人と同じように堤防その他に逃げておりまして、これの飼料問題が大分問題になつておりましたので、災害を受けない地帯からふすまあるいは政府の手持ちのマニトバ小麦等を払い下げまして、これを現地に輸送する、こういうふうにしております。なお稲わら、ほし草等の欠乏がありますので、これを近県に要請をいたしております。家畜につきましても伝染病が起るというおそれがありますので、薬品を飛行機で送ります。
 その次は営農資金の対策でありますが、共済金の概算払いを急ぐために、現地の対策本部へ福岡信連から三億円を出すということをきめたという報告を受取つております。それから、そのほかの営農資金の問題につきましては、中金から理事を現地に出しまして、そこでできるだけ現地の要請に応ずるだけの準備を整えております。なお話が前後になりましたが、農林省から、農業改良局長を主班にしまして、食糧庁の第一部長、畜産局、林野庁、農林経済局、その他現地で処理をするに必要な人員を大野国務相の傘下に十数人出しておりますが、現地で処理できるものは処理させる。こちらで手配をするものは、毎日電信でとつて、それに対してこちらで手を打つておるような状態であります。概略でありますが農林省の関係の御説明を申し上げました。
#23
○綱島委員 官房長にちよつとお尋ねしたいのでありますが、種子米の補給であります。御承知の通り、九州の西北岸は二百十日、二百二十日を非常にきらう事情でございます。岩手県の種子等は非常に短期間に成熟いたしますので、たとい二十日に植えましても、土百二十日前につけると思うのです。これはどうしても二百十日前に相当の実入りをしておりますか、あるいは二百二十日に大花にならずに稲になつておりますか、この二つが種子として必要でございます。そこで、西南地区に送る種もみといたしましては、なるべく岡山あたりのものが手に入れば、そこら辺のものを御配慮願つた方が有効だと思います。これはまた二百十日、二十日につかなければ非常に困りますので、それはたとえば東松浦、それから西松浦、糸島等の田でございます。どうぞその点を御了承願います。
 それから、もう一つこちらの意見を申し上げておきたいと思うのですが、食糧の値上りの問題でございます。やみ食糧でございます。これについて何かの御処置を願わないと、どうも全部配給していただくということも不可能でございましようから、これは、管理法の許す範囲内において、やみ米を買わずになるべく入手することができますように、何らかの臨時処置をお願いしたい。従つて、この委員会においても、そういうことは主力を注いでひとつ討議をいたして行きたいと思つておりますから、このことについては特に農林省には御協力をお願いいたしたい、こういうふうに考えております。
 特にもう一つお願いを申し上げたいのでありますが、臨時土地改良施設というようなことをひとつお考えを願つて、これは土地改良が重複いたしませんように国費の上から申しましても、この点もひとつ特にお考えを願つておきたい。それから、営農資金の関係でございますが、これはぜひひとつ思い切つて何とかしていただかなければ、今の松野委員の報告の通り、とうてい通常の考え方では予想もされないような事柄らしゆうございますので、一つの砂漠ができたというようなぐあいらしゆうございますので、これも特に臨時にお考えを願つて、この委員会において、国庫と、それから実情等を考えてやられるように、これも特に農林省の御協力を願いたい。御質問というよりは希望でございますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
#24
○渡部政府委員 特に種もみの件でございますが、私の方で検討いたしましたのは、大体二十日過ぎに穂が出る、そういう品種を選んだのであります。二百十日前に実が入るのは間に合いませんから……。
#25
○綱島委員 あまり寒いところのを持つて行かない方がいいと思うのです。実は私は百姓をしてみたのですが、なるべく違う地から種もみをとつた方がよけい実るからというので、遠方のものをとつたのです。そうすると早く実りまして、相当おそく植えても早く実る。ぜひこの点は、私の試験した結果なんですが、どうぞ御注意願いたい。
#26
○滝井委員 今渡部政府委員の方から、食糧の手持ちその他万全を期しておるので心配ないというお話でございましたが、現在九州におけるやみ米は、すでに三百円をオーバーしておるということを聞いております。東京でもすでに二百二十円とかで、予算委員会等でもずいぶん問題になつたと思いますが、これは明らかに凍霜害、それから六月初旬の台風第二号、今度の豪雨ということで、おそらく全国的にやみ米の問題が問題になつて来ると思います。こういう対策について、政府は何か当面全国的なやみ米の問題をうまく押さえるだけの方策を現在考えておるかどうかということが一つ。第二番目には、現在農林委員会で営農資金の利子をどうするかということが論議されておるだけで、凍霜害の問題もまだ片づいておりません。それが終らないうちに、すでに第二次台風が九州に来る、また第三次がやつて来るという状態なんですが、農林省は、前のいわゆる梅雨性台風第二号の対策を、今度の問題とどういうぐあいに兼ね合せて解決して行くのか。前の問題はいつごろまでに解決の見通しをつけて、今度の問題の解決に当つて行くのか。その点をこの機会に御説明願つておきたいと思います。
#27
○渡部政府委員 やみ米の価格の対策の問題でありますが、御承知のように、米の配給は県によつて十五日か二十日配給されております。米以外の食糧の価格は、一般の地域では上つていないのであります。十分そのほかの食糧があるのでありますから、私どもの方としては、米だけを――これはこの前池田大蔵大臣からいろいろな話がありましたが、米だけを食えば足りないのにきまつておるのでありまして、啓蒙運動で、そのほかの食物を食べていただくようにお願いをしておるのであります。災害地の対策といたしましては、先ほど申し上げましたように、現地に食糧庁の第一業務部長が行つておりますので、現地の実情に応じて、乾パンの配給であるとか、臨機の措置を講ずるようにお願いしております。災害地の方は、御説のように、とにかく火事場のあとのような状態なので、食糧の値が相当上つておるようでありまして、非常に慎重に対策を研究してやつてもらつております。
 それから、凍霜害、第二台風の対策と今度の対策との関係でありますが、凍霜害の関係は、大部分の処置は済んでおります。今まだ金利の問題で、農林委員会で最後的にきまつていないのでありますが、これはここ一両日中にきまるように承知しております。第二台風の関係は、今度のものとダブる地帯が相当ありますので、これは切り離して早急に解決して行きたい、こういうふうに考えております。
#28
○山本(友)委員 ただいま伺いましたので、大体農林省の御方針はわかりましたが、私ども考えますのに、今度の九州の災害で、台風第二号の災害が非常にうとんぜられるような感じが起つて参ります。重要度において、また緊急度において同様の性格を持ちながら、九州があまりにもひどいので、他が等閑に付せられるというような形に置かれるかのように見受けられるわけであります。私は、本会議におきまして、前の台風二号とそれから九州の今回の場合をあわせた対策委員を承つておりまするが、この対策委員会の運用につきまして、ぜひひとつ台風二号と今度九州において起りました災害とは切り離して審議、御処置を願いたいということを思うわけでございます。ただいま渡部さんからお話を承りまして、ほぽ輪郭はわかつたわけでございますが、ぜひひとつ第一回の分をまず処置をして、それから第二回の分にかかつていただきたい。今建設大臣からもお話がございましたので、ほぼわかりましたが、緊急やむを得ぬものはしかたがございませんが、災害の持ちます性格はひとしいのでありますから、ぜひ順を追うてやつていただきたいということを特にお願い申し上げたいのであります。
 それから、農林省にお伺いをしたいのでございますが、ここに見のがしてならぬ一つの災害があるわけでございます。それは漁業災害でございます。御案内のように、農業の方は何かと秩序が立つておりまして、この間の災害の特殊性としては麦が腐つたということがございますが、これに対しましては、共済制度あるいは営農制度というようなところから、救済の手がどしどし延べられて行きまして、私どもも非常に安心をしておるのでございますが、漁業者の災害についてはどこにとりつく島もない。その災害の内容におきましては、農業者が麦を失つたことも、漁業者が水産品を失つたことも、同様の意味に属すると思うのでございます。これらは今疲弊困憊してあえいでおる次第でありますので、これを何とかしてやつていただきたい。漁業の方は、法制上を見ましても、格別他にたよるべきものがないのでございます。これを恒久的の方法でやつて行きますことは、言うべくして今日の災害には間に合いませんが、何とかこの災害の問題を農業と同様の性格において取上げてもらつて、農業者で言います営農資金に相当する漁業者の次の設備資金を、何とか早く方法をとつてやつていただきたい。そして、水産品がゼロに帰しました分に対しては、何とか救済の手を差延べていただきたい。これに対します方策は現在までございませんが、これは年々歳々繰返されることでありますし、漁業者は、農業者と違いまして、系統的に非常に弱いような感じを受けておりますので、その点から、こういうところに現われて参ります政治の力が薄弱のように思いますが、これをいつまでもこうしておいて農業と水産業は基本産業でありますのに、一方は秩序が立ち、一方は何ものもないということは、いかにもへんぱなかわいそうなことだと思いますので、これを何とか農林省は真剣に取上げていただきたい。今度の災害における漁具の災害を特殊の方法で救助していただくようにお願いしたいと思うのでありますが、この点について御所見を承りたいと思います。
#29
○渡部政府委員 水産関係の災害の対策でありますが、第二台風における災害対策の一環といたしまして、養殖施設、漁船漁具の修理補修、それに要する資金に対しまして利子補給と損失補償を加えるという案を、農林首の案の中に入れております。なお、漁獲物がとれなかつた、あるいは腐つたという損害にするものにつきましては、恒久的な制度としては農業共済と同じようなことを考えなければいけないのでありますが、農産物につきましては、麦、稲のほかに菜種、果樹等も共済の対象に加えるよう、こういうことを取上げて研究は進めておりますが、漁業についても、こういうふうなやり方を考えるとか、あるいはほかの対策で解決するよう検討を加えて行きたい、こういうふうに考えております。
#30
○村上委員長 他になければ、次に厚生省関係の方に移ります。安田政府委員。
#31
○安田政府委員 お手元に厚生省関係の今度の水害対策等の要綱を印刷してお配りしてありますので、ごらん願いたいと思います。
 御参考までに第一ページに三日現在の被害の状況が掲げてありますが、私は、二十七日に戸塚建設大臣にお供いたしまして現地に参り、一昨日帰つて参りました。交通が杜絶いたしておりましたので、福岡と佐賀だけに参つたのでありますが、もし御希望でございましたならば、両県の被害地図を持つて参りましたので、あとでごらんに入れたいと思います。
 それから、第二ページに、今回の災害で災害救助法が発動された地域が書いてございますが、福岡県、佐賀県、長崎県は全県下が適用地域になつております。それから熊本、大分、山口は、その表に書いてあります市町村でございます。
 その次に、政府の救援物資の表が載つております。現地に行つて参りましたが、ほとんどが水浸しになつておりまして、先ほどの御説明にもありましたけれども、衣料などを持ち出すひまがないような状況でございましたので、衣料を非常にほしがつておるような状況でございます。ここにありますように、第一次は六月二十八日に合計一万三千四百人分の衣料を発送いたしました。これはアメリカから宗教団体が日本の社会福祉の施設に送つて参りました衣料でございますけれども、とりあえずそれを災害地向けに転用いたしたわけでございます。第二次は六月三十日に、これはララ物資の残りがございましたので、九千七百人分発送いたしたわけであります。第三次は六月三十日に発送いたしたのでありますが、毛布が一万四千九百枚、衣料が五千六百人分、これは舞鶴付近の検疫所にありました引揚用の物資でございますが、とりあえずは不要のものでございましたので、これを送る措置をとつたわけでございます。
 その次に入れてありますのは、西日本水害救援運動実施要綱でございますが、これは今度の罹災者の救助に万全を期するために一つの同民運動を起そうということで、厚生省が主唱いたしまして、日赤をその監査役のようにいたしまして、金品を集める運動を起しまして、昨日からスタートいたしたわけでございます。
 その次に、防疫対策でございます。その前に、現地の医療の対策について御説明申し上げますが、各地とも医療班の編成というようなことにつきましては、平素から準備はいたしてございますので、ヘルス・センターであります保健所、それから県立の病院、日本赤十字社、済生会病院、国立病院、療養所、あるいは医師会というようなものに応援していただきまして、大体医療班には事欠かぬような状況でございます。しかし、何分にも水害地に行くことができませんので、舟だとか、あるいはそういつたような水害地に行く交通機関というものが不自由いたしますために、私が参りました当時は、まだ全部がフルの機能を発揮していない状況であります。おそらく水が引きましたならば、末端まで浸透して行くだろうと思います。なお、医療用の薬品でございますが、現地からは、罹災地には医薬票がないないということでございますが、大体当該府県には手持ちが十分ございます。ただ、先ほど申しましたように、まず人命救助であり、それから食糧を送るというようなことが第一であつて、追われておつた関係上、末端まで行つていないというような事情がございますけれども、現在ではほとんど現地で間に合うものと私どもは思つております。
 それから、防疫対策でございますが、これはもちろんこのような大きな水害がありましたときに、あとでいつも非常に問題になる重要な問題でございます。厚生省といたしましてとりました措置は、防疫官をただちに福岡に派遣いたしまして、そうして九州駐在の防疫官がございますので、そういう事務を援助させ、同時にまた本省あるいは各府県と連絡をとらせています。それからなお、岡山県、広島県、鹿児島県に対しまして、伝染病予防法の規定に基きまして、防疫職員を応援のために派遣させました。なお、治療上の措置といたしましては、下痢患者等が出た場合に、クロロマイセチン等の抗生物質をどんどん投与するというような方針を確立いたしたわけであります。それから、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、山口の各県に対しましては、伝染病予防法に基きまして一つの地域指定を行いました。なお、破傷風血清二百本も携行させておきました。それから、防疫用の資材、たとえばクロール・カルキとか、DDTとか、消石灰とか、クレゾール石けん液とか、こういうようなものが私が現地に参りましたときは非常に足りないというようなことでございまして、福岡あたりでも百トンくらいクロール・カルキが足りないということで騒いでおりましたけれども、その後だんだん現地で努力いたしました結果、小倉にちようどそういつた消毒薬をつくるメーカ―がございまして、クロール・カルキのごときは日産十二トンばかり非常生産もできるという状態で、一日の朝は小倉から福岡にクロール・カルキ二十トン輸送するというようなことで、そのうち七トンは佐賀県へまわつているというような状況でありましたので、大体現地で間に合うというような見込みを私どもは立てております。なお、DDTあたりを機械でまく、ここに書いてありますフオグ・マシンというようなものでありますとか、あるいはクロロマイセチンなんかも三万人分三十日の日に飛行機で送つたような次第でございます。なお、今度の災害で、食糧ももちろんでありますけれども、一番困りましたのが食み水が非常に不自由である。これは各地でも非常に苦労をいたしておりまして、あるいは消防自動車を出して水を運んだり、あるいは舟とか、一升びんや四斗だるに水を入れてトラックで運ぶというようなこともいたしておりましたが、アメリカ軍や保安隊等から濾水器を借りまして、現在やつているような状況でございます。なお、東京、神奈川から濾水器は大型八個、小型三個を至急送るよう手配をいたしている次第であります。なお、厚生大臣がただいま福岡へ参つておりますが、今後は防疫ということが非常に重要な問題となりますので、防疫官会議を福岡で開催いたしております。ただいまのところでは、この資料にございますけれども、赤痢は福岡県九十九、佐賀県十九、長崎県七、熊本県四十三、大分県一、山口県七十二、愛媛県一というような状況でございます。なお、本日の報告によりますと、福岡が百三十九になつております。それから佐賀が二十九、長崎三十四、熊本八十五、大分十六、山口七十二、こういつたような赤痢の発生状況でございます。今後とも赤痢対策には万全を期したいと思つております。
 それから、災害救助法によりまして、各府県が救助を行つているわけでございます。たとえば、たき出しその他の食品の給与でありますとか、あるいは衣服寝具の給与、学用品の給与、それから生業資金とか、仮設住宅の建設とか、そういうふうなことを知事が責任者になつてやつているわけであります。これらの予算につきましては、今度の災害は、私ども見て参りましたところによりますと、大体佐賀でも、福岡でも、いわゆる干拓地というようなところだとか、あるいは低湿地帯に水がたまつているというような状況でございますし、なおまた、ちようどつゆの期間中でありまして、今後まだいつ降るかわからないというような状況でありまして、相当被害のひどい状況が続くというようなことも考えまして、今申し上げました救助についての予算措置等につきましては、その内容、実施等につきましても十分考慮いたして参りたいと考えております。なお、大蔵省ときよう、あす中に予算折衝の見込みがつき次第、各府県にそれらの救助費に対する補助金を概算交付して送りたいと思います。
 以上厚生省関係の御報告を終ります。
#32
○村上委員長 何か御質疑はございませんか。
#33
○滝井委員 今の災害救助費の問題ですが、聞くところによると、すでに福岡県においては六億くらいの救助費を出しているということを聞いておりますが、多分あれは、半額は県が出して半額は国だつたですね。そうしますと、現在府県の財政は非常に赤字なんですが、今度襲われた西日本の六県においては、相当莫大な救助費を県自身が自腹を切つて出さなければならない。ところが、現実にそれらの県における被害民よりの税収はほとんどないという状態なんです。あの災害救助法からいえば、半分を県で負担するということになれば、これはとうてい現在の県財政では耐え得ないという状態になつて来るのですが、そういう点何か特別な配慮がいただけますかどうかこの点を伺いたい。
#34
○安田政府委員 災害救助に使つた金の半分ということではなくて、また制限がございまして、たとえば福岡で申しますと、県で普通税の収入見込額が大十五億くらいだと思います。そういたしますと、その百分の一が六千五百万円、その六千五百万円を越えますと、初めて災害救助法によりまして国庫の補助が出るというわけなんです。その越えた分につきまして二分の一、もしその額が百分の十を越えますと今度は八割、二十を越えますと九割、こういうことなんです。とにかく今法律できまつておりますから、それをどうすることもできませんけれども、実はこの補助率につきまして、知事会等で昨年あたりから大分問題になつているような事情でございます。
#35
○村上委員長 他に御質疑がなければ、本日はこの程度にとどめ、次会は明四日午後一時より開会し、大蔵、文部、運輸、郵政等の関係各省の被害状況を聴取することにいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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