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1953/09/11 第16回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第016回国会 水害地緊急対策特別委員会 第31号
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1953/09/11 第16回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第016回国会 水害地緊急対策特別委員会 第31号

#1
第016回国会 水害地緊急対策特別委員会 第31号
昭和二十八年九月十一日(金曜日)
    午後二時五十七分開会
 出席委員
   委員長 村上  勇君
   理事 江藤 夏雄君 理事 熊谷 憲一君
   理事 田渕 光一君 理事 吉田  安君
   理事 滝井 義高君 理事 稲富 稜人君
   理事 世耕 弘一君
      上塚  司君    大久保武雄君
      武田信之助君    綱島 正興君
      徳安 實藏君    仲川房次郎君
      降旗 徳弥君    坊  秀男君
      三池  信君    山中 貞則君
      岡部 得三君    田中 久雄君
      舘林三喜男君    中島 茂喜君
      廣瀬 正雄君    本名  武君
      井手 以誠君    辻原 弘市君
      芳賀  貢君    原   茂君
      八木 一男君    山口丈太郎君
      伊瀬幸太郎君    池田 禎治君
      小平  忠君    辻  文雄君
      堤 ツルヨ君    松前 重義君
      佐藤虎次郎君    中村 英男君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 緒方 竹虎君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (主計局長)  森永貞一郎君
        文部事務官
        (監理局長)  近藤 直人君
        農林事務官
        (大臣官房長) 渡部 伍良君
        建設事務官
        (大臣官房長) 石破 二朗君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 水害地対策に関する件
    ―――――――――――――
#2
○村上委員長 これより会議を開きます。
 水害地対策について議事を進めます。各委員より政府に対し質疑の通告がありますから、順次これを許します。舘林三喜男君。
#3
○舘林委員 時間が限られておりますので、副総理に二項目につきまして簡単に御質問申し上げます、
 まず第一は、来るべき臨時国会の召集についてであります。この問題は一昨日も委員長から代表質問をなさつたのでありますが、これに対しまして、副総理は、十月下旬より早く開催することはできないというお話であります。ちようど前の国会が終りました八月の十日でありますか、野党四派におきましては、全員すなわち二百三十八名の連署をもちまして、水害予算を審議していただくために九月下旬に必ず臨時国会を開催していただきたいということを申し入れた次第であります。これはもちろん憲法五十三条の正式のものではなかつたにいたしましても、とにかく四分の一以上の圧倒的な議員の希望によりまして、九月下旬を目途として急速に開いていただきたいということを強く念願しておりましたし、また一昨日も委員長が話された通りでありますが、先般の副総理の御答弁によりますと、九月下旬よりも非常に長引いた十月の下旬までは開かれない、――言葉の裏を返しますと、あるいは十一月早々でなくては開かれないのじやないかという気がいたすわけであります。このことは、われわれ二百三十八名の意思と非常に違うところであります。水害が発生いたしました以後、各県ともに復旧のために急速に予算をほしがつておりますし、そのために、当委員会におきましても、二十四の法律を、まつたく寧日なく短期間のうちにまとめましたし、またこの閉会中におきましても、こうしで委員が継続審議をやりまして、この法律の実施のために必要な指定地域とかその他政令で定むる細則等につきましても検討いたしまして、いつでもこの政令を公布して、法律全体を実施するような態勢を整えているわけであります。そんな意味から申しましても、どうしても、あの切実な気持、言葉をかえて申しますと、われわれのよつて立つておりますところの災害地の罹災民の切実な気持をおくみとりいただきまして、急速に臨時国会を召集していただきたい。この問題につきまして、あらためて副総理の御答弁を煩わしたいと思います。
#4
○緒方国務大臣 今舘林君から述べられました御意見の気持は、よくわかるのでありますが、政府としましても、あれだけの御決議があつたので、できるだけ早い機会に開きたいと考えておるのでありますが、目下のところでは、この間申し上げましだ十月下旬前には、どうも準備ができないという気持でおります。但し、少しでも早く開きたいという気持を持つておりますのて、なお研究はいたしておりますが、今のところの見通しでは、せんだつてのお答えを繰返す以外にないのでございます。
#5
○舘林委員 趣旨は十分に納得するけれども、いろいろの理由から、十月下旬より早くはなかなか困難ではないかというお話ですが、どんな意味でこの早期の開催が困難であるか。いろいろあるだろうと思いますが、まず第一は、財源の見通しがつかない、それから第二は、災害の現場の査定並びに関係各省と大蔵省との査定の事務的な交渉がよく進まない、それから第三は、のるいは大蔵大臣自身がアメリカに行つておいでになるというようなこともあのるだろうと思います。
 しかし、まず第一に財源の問題から考えますと、財源の最もおもな部分を占めるでありましよう二十七年度剰余金の問題も、一すでに七月には確定して、四百二億ということがはつきりしているわけであります。また、新しい補正予算の財源となるでありましよう税の自然増収等につきましても、最近の経済界の空気等から考えまして、大よその見当はつくわけであります。その他、たとえば見返り資金の関係で、資金運用部資金で手持しておられる国債がどのくらい売却できるかということも、現在すぐ判断がつくわけであります。そういたしますと、財源の問題が国会の開会を延ばす大きな原因になつていないじやないか。
 第二に考えますのは、災害の査定がどのくらい進んでいるかということでありますが、すでに、われわれ現場に行きますと、建設省あるいは農林省、それぞれ、ほとんど徹夜のような気持で熱心に査定をしておいでになる。従つて、私は、この各省の災害の査定はほとんど済んでいるのじやないかと思う。従いまして、各省と大蔵省との交渉を急速に進めてさえいただきましたならば、私は、決して早期召集は不可能じやないという気がいたすのであります。
 それから、第三の大蔵大臣の不在でありますが、そのためにこそ副総理が大蔵大臣の事務代理をなさつておりますし、また大蔵大臣が御出発のときも、新聞等で承りますと、来るべき臨時国会においての補正予算の大綱等については閣議においても十分お打合せになつた、その結果、たとえば、あとで同僚議員から御質問があるだろうと思いますが、一兆億円以内にとどめたいという大綱までおきめになつたということでありますから、大蔵大臣としておきめになる大きな問題は、すでに政府として御決定になつていらつしやるじやないかという気がいたすわけであります。また、大蔵大臣が御出張になります理由は、国際通貨基金の会議でありますが、新聞で承りますと、何かきのうから開会されて八日間の予定である。そういたしますと、今月の十七日には会議が済む。そして三週間の予定だそうでありますから、九月二十五日にはお帰りになるということであります。そういたしますと、私は、九月下旬に開会するということは、技術的には必ずしも不可能じやないじやないかという気がいたすわけであります。
 従いまして、そんな三つの面から言つて、技術的に不可能じやないのに、なぜ延ばされるかというと、何かこの来るべき臨時国会が別の意味を持つておるようなことになりはしないかという気が実はいたすわけであります。承れば、何か吉田総理はアメリカ政府からの招聘を受けて渡米される決意を持つておられる。その前に、いわば政局の安定のためにいろいろの施策を準備しなくちやいけないというようなことも出ておりますし、何か、来るべき国会前に、そんな、いわば違つた意味の政治的な準備をされるために相当の時間が必要なのじやないか。新聞で承つただけでありますが、現に大蔵大臣が向うに行かれる場合に、吉田総理大臣から、南米のブラジルとかアルゼンチンまで行つて、親善のための旅行をしたらどうかというようなこともお話になつたということであります。そういたしますと、大蔵大臣がいないから予算ができない。ところが、大蔵大臣は、アルゼンチンやブラジルまでの旅行はやらないで、結局においてカナダにおいでになるそうであります。そういたしますと、今切実に罹災者がこれだけ困つておる最中でありますので、国際通貨基金の会議が終りましたならば、なるたけ早く帰つていただいて、とにかく早期に予算の編成に当つていただきたい。でなかつたならば、何かそんな意味の政治的の意図によつて延ばされておるのじやないか、そのことを私は心配するものであります。従いまして、もちろんさような政治的な問題も必要でありましようが、少くとも今度の来るべき国会は、純粋な、政治的な意味を除外したもの、すなわち災害関係の予算を審議するだけの国会として、事務的に短期にやつていただくようなことができないだろうか。そういたしますと、私は、必ずしも十一月にならなくてもいいじやないかというような気がいたすのでありますが、この点につきまして御意見を承りたいと思います。
#6
○緒方国務大臣 今舘林君の仰せになりました政治的の理由といいますか、政局の安定工作、そういうふうなもので臨時国会の召集時期についてかれこれ考えておるのではございません。でありますが、今お話の中の、小笠原大臣が渡米に先だちまして補正予算の輪郭をきめて参つたというのは事実でないのでありまして、次の年度の予算の非常に困難な事情を訴えて、次に御質問もあるようでありますが、何とか一兆で納めたいという気持を述べて行きましただけで、補正予算のことにつきましては、まだ方針をきめて行つたわけではございません。それは今の災害地の地域指定の問題等もありまして、実は早々に立つて参つたような次第であるのであります。ただ、ほかに、お述べになりました財源の点というようなことも大きな理由になつておりますが、この災害に対する応急立法の裏づけにつきましては、委員会におきまして、昨日、指定の基準をきめて、一つのよりどころができたのでありますが、そのほかにも、たとえば給与の問題であるとかあるしは義務教育費の半額負担に関連いたしました財源の補充というような問題が、次の本予算とも関連して、政府としては相当慎重に考えなければならない。そういう点からだんだん遅れておるような次第で、御決議の趣旨に対しては、はなはだ申訳ないのでありますが、大蔵大臣が帰りまして、そういう見通しも十分につけて開きたいという気持も持つておりますし、そういう目の前の事情もありまして、どうも今のところ十月下旬より前には開会の準備が整わないのではないかという懸念を持ちまして、慎重に構えておるような次第であります。
#7
○舘林委員 大蔵大臣も、先ほど申し上げました通りに、九月の下旬には帰つて来られるわけでありますので、ぜひ、罹災者の切実な希望であり、また国会の四分の一以上の圧倒的な希望でもありますし、本委員会としては切実に希望しておる次第でありますので、最も事務的な臨時国会として、水害予算だけはひとつ通すということで、格別のお骨折りをいただきたいということをお願いしておきます。
 それから、第二の問題は、つなぎ融資の問題であります。つなぎ融資につきましては、政府からいろいろ努力をしていただきまして、八月十日現在におきましては七十六億一千万円というつなぎ融資を出していただいているようであります。しかし、各県におきましては、たとえば県の事業税の課税が大体九月からしか始まらない。これは事業税の法律の示してある通りでありまして、県税収入の一番大宗をなしておる事業税そのものもやつと九月か十月から収入が入る。また、先般八月に国の二十八年度予算がやつと通つたわけでありますので、国庫支出金として県が受けるのが非常に遅れているわけであります。そんなような意味から、各県ともに災害工事の現金が非常に不足しておりまして、ある県におきましては、ことしの九月末までには十億近い赤字を出して、につちもさつちも行かないというような実情であります。しかもまた、今いろいろお話のありましたように、かりに十一月ごろ国会がやつと水害地予算を議決いたすということになりますと、実際補助金の交付を受けるのは十二月か一月という非常に遅いことになつて、これではどうしても災害の復旧を急速にやるということは事実上不可能じやないか。従いまして、ぜひこのつなぎ融資を増額していただきたい。すでに七月の十八日に、ちようどそのときに政府の方で北九州関係で三十億のつなぎ融資を出していただきました際に、われわれこの会員会におきましては、さらに五十億のつなぎ融資を増額していただきたいということを決議をして政府に申し入れた次第であります。しかも、その後北九州のみならず、南紀地方とか、あ
るいは北海道とか、あるいは他の府県にまでも水害が続発している状態でありますし、また九月下旬に予定されていた国会も、今のお話のように、またりつと遅れる。そうなつて来ると、県としてはますます財政的にも行き詰まつて来るわけであります。ぜひ、そんな立場から、われわれ委員会といたしましては、七十六億一千万円の現在までの支出されたつなぎ融資に加えまして、さらに五十億のつなぎ融資を急速に出していただきたい。これは全員一致の要望であります。このことをぜひ副総理にお願いいたしたいと思つております。それから、御承知の通りに、つなぎ融資は六分五厘の利率でありまして、現在利子の問題が、経済界の問題といたしましても、財政の問題といたしましても、一番大きな問題であつて今度の二十四の法律においても、利子補給の問題というものは、あちらこちらの法律の中に散見いたしておるような次第であります。現在の府県の財政から申しますと、六分五厘の利子を払うということは実に大きな負担でありますので、今申し上げましたように、つなぎ融資を急速にやつていただきたいとともに、きのうも同僚議員の白濱さんからも御質問のありましたように、もう事実上国庫補助金として負担金がきまるわけでありますから、ぜひ概算払いの制度を急速にとつていただきたい。何か、承りますれば、概算払いの制度は、現在の会計法の二十二条でありますかと、それの政令の五十八条ではつきりとできるということにはつているわけであります。概算払いをいただくことになりますと、六分五厘の利子も受けなくてもいいし、とにかく県としては安心してやつて行けるわけになりますので、ぜひこの概算払いの制度を急速にとつていただきたい。これは、あとの方の問題は主計局長さんにお願いいたしたいと思います。
#8
○緒方国務大臣 災害復旧費の査定が進捗いたしまして、また一方地域指定の方針もきまりまして、政府の補助額の見通しがつきましたならば、つなぎ融資のわくにも多少の余裕が生ずると思われまするから、その範囲内におきまして、さらにつなぎ融資を実行するにつきまして、十分考慮してみたいと考えております。その金額につきましては、ただいまのところ、資金運用部資金の資金繰りの関係もありますので、申し上げられませんが、これらの点を考慮した上で、できるだけのことを善処いたしたい、かように考えております。
#9
○森永説明員 補助金の概算払いにつきましては、予算決算及び会計令の第五十六条の規定によりまして、大蔵大臣が協議を受けまして概算払いをする道が開かれておるのでございますが、その前提として予算が必要なわけでございます。また予備金の金額がきまらないと概算払いができないというような事情にあるわけでございます。今ただちに概算払いはできないのでございますが、お示しのような利子負担の問題もございますので、六十五億の予備費の中から出ますものにつきましては、できるだけ早く出すことも考えなくてはならぬと思います。また補正予算が成立いたしますれば、成立し次第、すみやかに支出することを考慮いたしたいと存じます。
#10
○舘林委員 概算払いの問題につきましては、私は、必ずしも、何県においては、たとえば土木工事の復旧費については幾らということが確定的にならなくとも、とにかく現在の災害でどれくらいのものはということは見当がつくわけでありますし、今お話のように、すでに災害予備費については六十五億ある。そうすると、つなぎ融資にかわるような意味からでも、並行してでも、これは無利子でありますから、県としては非常に助かるのです。ぜひあなた方の方も利子ということをひとつ考えていただきたいと思う。そんな意味で、六十五億につきましては、概算払いを急速にとりはからつていただくように、これは副総理にも、大蔵大臣代理として、ぜひお願いをいたしておきたいと思います。
#11
○森永説明員 先ほど、査定が大体済んでいるのじやないかというお話でございましたが、実はその査定がまだ済んでいないのでございまして、今の状態から考えますと、相当時日がかかるというのが、建設省なり農林省なりの実情でございます。その方がきまりまして、大体どのくらい行くというめどがつかないと、補助金という形での概算払いは困難ではないかと思います。
#12
○舘林委員 いろいろ話を聞いておりますと、結局県の立場とか町村の立場になつて見ますると、現実に目の前に災害のひどいのがある。何とかしてこの罹災者を救い、災害の復旧をすみやかにやりたいということを考えておる知事とか町村長は、熱心になればなるほど、ほつたらかしておけないわけであります。金があろうとなかろうと、とにかくやらなくちやいけない。ほんとうに熱心に罹災者のために尽して復旧工事をやればやるほど、とにかく県とか市町村そのものが困るというような政治のやり方はいかぬと思います。やはりその点を考えていただきまして、ほんとうに熱心にやればやるほど、早ければ早いほど金が生きて使える、それだけ金が節約して使えるわけなんで、もしもこれが十月なら十月にほんとうに台風でも来たらたいへんなことになるわけです。その点を考えて、熱心にやるとともに損をさせないような政治をやつてもらいたい。ぜひ、知事とか市町村長が切実に概算払いの問題、つなぎ融資の問題を考えておることをお考えいただきまして、まだ査定ができないのだというようなことをお考えにならないで、まず大蔵省が、査定をしないのはどういうわけだということで各省を鞭撻するような気持でやつていただかないと困ると思います。これで私の質問を終ります。
#13
○村上委員長 井手以誠君。
#14
○井手委員 臨時国会の召集については、私、いろいろ意見を持つておりますが、すでに舘林委員から質問がありましたので、申しません。ただ一点副総理にお尋ねいたしたいことは、舘林委員も申されましたごとく、四派が二百三十八名でもつて臨時国会の召集を要求したこと、並びに本委員会が決議をもつて臨時国会の召集を要請したこと、しかもそれが水害対策であるということにつきまして、副総理は、この委員会において、こちらの要求に応じて、質問に対して、初めて十月下旬に開く見込みであるという答弁があつたのであります。私は、議会政治の建前から、成規の手続でない場合でも、成規の人数をもつて要求し、また委員会が正式に要求した切実な臨時国会の召集に対して、事情があるならば、こいいう事情で御要求には応じかねるが、努めて早く開くつもりであるということを了解を求められることが、議会政治の建前だろうと考えるし、要求された政府としての当然の行き方であろうと考えるのであります。その点について、国会の意思は尊重するというようなことを再三おつしやつておる緒方副総理の行き方として、いささか奇異な感を描くのであります。この点に対する副総理の国会尊重に対する所信を、この際承つておきたいと思う次第でございます。
#15
○緒方国務大臣 お答えをいたします。私は、国会尊重の考えにおきましては、少しもかわつていないつもりでありますが、今お話のような趣旨のことは、新聞記者会見におきましてはたびたび質問も出、私もできるだけの返答をして参つたのであります。国会閉会中で、そういう説明をいたす機会がなかつたということが、今日まで今の御趣旨のことについて政府側の立場を積極的に政府の方から明らかにしていなかつた唯一の事情で、別に意味はございません。
#16
○井手委員 新聞発表はいたした、あるいは国会に申し述べる機会がなかつたという弁解でございますが、私は、はなはだ納得しかねるのであります。私は、要求したものに対して進んで了解を求められることが、今おつしやる国会尊重のゆえんであろうと考えるのであります。しかし、私は、この点は深くは追究いたしません。副総理も十分腹の中ではおわかりになつておることと私は信じますので、将来国会尊重の意思を国会にはつきりと表明できるような方法をとられるように、特にお願いを申し上げておく次第でございます。
 次に、政令についてお尋ねいたします。副総理は、先日の本委員会におきまして、適用地域の指定については国会と打合せの上に指定いたしたい、かように申され、ただいまも、幸い委員会の決定によつてよりどころができたとおつしやつたのであります。委員の心を心としてやりたいということは再三申されておりますので、私どもが決議いたしまして申し入れましたあの適用地域について、副総理はこれを採用される御意思があるかどうか、この点をお尋ねいたします。
#17
○緒方国務大臣 私は、大蔵大臣臨時代理をしておりますと同時に、災害対策本部の本部長を現にまだやつておりますので、実は、この地域指定の問題がきまるまでは、災害対策本部もそのまま存置しなければならない必要に置かれまして、現に続いておるような次第でありまして、昨日、本委員会において御決議になつた地域につきましては、むろんあくまでもこれを尊重するつもりでありますけれども、ただ懸念せられるのは、どこまで財源がこれを許すかということだけでありまして、この点につきまして目下苦慮いたしておる次第であります。
#18
○井手委員 ただいま承りますと、適用地域については、財源の関係だけが問題になるということでございます。しかし適用地域ということは、水害が激甚であつたために、特別立法を適用しなくてはならないという建前から指定するものでございます。その点は副総理もよく御存じのことであろうと考えるのであります。そこに財源云々ということは起らないと考える。当然適用すべき激甚な水害については、財源には関係なく指定されるのが当然であろうと考えております。樹かお考え違いではないかと思いますので、もう一度念のためにお尋ねいたします。
#19
○緒方国務大臣 あとに申し上げましたのは、最後の政令を実施する場合のことを申し上げたのであります。
#20
○井手委員 それでは、昨日申し出たものは、お読みになつておるだろうと思いますし、また副総理も水害のことにつきましては十分御認識なさつておりますので、あの私どもがきめました基準をそのまま御採用なさる御意思と拝承してよろしゆうございましようか。念のためにお伺いいたします。
#21
○緒方国務大臣 基準は、あれでいいのじやないかと思います。
#22
○井手委員 あれでいいのじやないかという御答弁でありますから、私はこれを確認しておきます。
 そこで、続いてお尋ねいたしますが、そういうふうにあのままでよろしいということでありますならば、各関係省は委員会の弱小れるのを待つておりましたし、政府は委員会の意見を尊重して政令を出したいということを再三申し述べられておるのであります。そういう事情にありますので、基準もきまりましたから、間もなくこの政令は公布してもらえるものと私は考えるのでありますが、この点について、幸い農林省からは渡部官房長、建設省からも官房長が見えておるようでございますので、お打合せの上に、何日ごろまでに政令が出されるか、その見通しを承りたいと存じます。各省に関係はいたしておりますけれども、特に必要なのは農林省と建設省でございますので、両省だけでけつこうでございます。いつごろ出せる見通しでおられますか。
#23
○緒方国務大臣 今日の場合は、できるだけ早くと申し上げる以外に、いつごろということはちよつとまだ申しかねると思います。
#24
○井手委員 幸い農林省の官房長が出ておられますので、事務的に農林省の政令はいつごろ出されるか、その点をお尋ねいたします。
#25
○渡部説明員 ただいま副総理からお述べになりましたように、私の方も、夜を日に継いで、できるだけ早くやりたい。御承知のように、非常に複雑でありますので、はつきり日にちを申し上げることはお許しを願います。
#26
○井手委員 農林省ではなかなか事務がさばけまして、すでに幾つかの政令案がりつぱに印刷されておるのであります。私どもの希望したように字句を入れかえれば、もしそれが決裁を得るとすれば、その日にでも公布できるのじやないかという見通しを私どもは持つておるのであります。政府としてよいろいろお考えもありましようが、私はここ二、三日のうちにでも、やろうと思えばできると思います。しかしこれは、ただいまはつきりと、適用地域についてそのままやるという非常にありがたいお言葉を賜わりましたので、何日ということまで私は申し上げません。私ども、ここ何日かでできるという期待を持つておりますので、その期待を裏切らないように、各省夜を日に継いで努力して出していただきたいということを希望申し上げておきます。
 そこで、大蔵省にお尋ねします。従来、聞くところによりますと、各省は話がわかつても、大蔵省と各省との話合いではなかなかうまく行かない、――どういう意味か知りませんけども、話がうまく行かぬ場合には日にちがどんどん延びて行くというようなことも承つておるのであります。しかし、この政令の適用地域に関しては、すでに副総理からもお話がありましたように、はつきりいたしておりまするので、大蔵省もその点について格段の御協力を願いたい。この点について主計局長のお考えを承りたい。
#27
○森永説明員 先ほど副総理からお答えがあつたのでございますが、この基準につきましては、できるだけ御趣旨に沿うように――これから政令が出されるわけでございますけれども、私どもの観点から申しますと、やはり財政の余力の問題もございまするし、――それからまた、あの立法の趣旨、つまり最も災害激甚なところより救済するという趣旨から考えますと、またいろいろと問題もあろうかと存ずるわけでございます。地域指定はできても、予算で金ができないということになつては困ると思いますので、それらの点も十分検討いたす義務を感じておるわけであります。こういう点につきまして十分検討もいたし、また各省ともよく相談をいたしまして、できるだけ政令を早く出したいと考えておるわけであります。
#28
○井手委員 ただいまの御答弁は非常に老巧と申しますか、狡猾と申しますか、副総理ははつきりと御答弁があつておるのに、できるだけこうしたいというような違つた答弁をなさるのはおかしい。そこに私は今までの官僚不信の原因があると思うのであります。各省の困つておる原因があると思うのであります。はつきりと副総理が、適用地域は皆さんの決定のようにいたします、財源の関係はございませんと言つておるのに、何で主計局長が財源関係を云々する必要があるか。
#29
○森永説明員 地域の指定でございますが、一方予算にどのくらい災害復旧費が盛れるか、これにつきましては、やはり国家財政全般からの検討も必要なわけでございまして、もちろん、われわれといたしましても、できるだけ災害復旧費に重点を置いて計上いたしたいとは思つておりますが、昨日御決議のございました案で計算いたしました場合の所要額が、はたして充足できるかどうかということにつきましては、軽々に断ずるわけに行かないのでございまして、財源の観点から調整をするだけの余裕をいただきたいと思いまして、先ほどのようなお答えをいたしたわけでございます。その点も何とぞ御了承いただきたいと思います。
#30
○井手委員 予算関係は別個にお尋ねいたしたい。私は適用地域についてお尋ねいたしておつたわけであります。今後は、私の言い方が悪かつたのかもしれぬけれども、あなたもひとつ聞き違いのないように、また副総理その他大臣あたりが答弁したことについては、それに反しない答弁をいただきたいということをお願い申し上げておきます。
 次に、予算についてお尋ねをいたします。副総理は、先日、予算の見通しについての質問に対しまして、水害に対する予算は何とかつくのではないかということをここではつきり申されたのであります。何とかつくということは、大体数字的にも財源的にもある見通しがあつてのことであろうと私どもは期待いたしておるのであります。その点についていろいろ予算に不安があるようでございまするので、何とかつくのではないかというその数字的の根拠をこの際お聞かせいただきたいと存じます。
#31
○緒方国務大臣 今の御期待通りぴつたり行くかどうかわからないのであります。今度の災害に関する予算は、今度の水害の実相から考えましても、私、両方の立場を持つておるのでありますけれども、できるだけの努力はいたしたい、そういう気持を申し上げたつもりでございます。見通しは、私は申し上げた記憶はないのであります。
#32
○井手委員 副総理はよく各地の水害地を視察、巡察なさるときに、百七十七億が特例法によつて増額される、こういうことを申されておるようであります。約何百億でなしに、百七十七億というはつきりした数字が出ておりますし、また何とかつくのではないかという言葉、これは私は関連があると思います。ひとつこの際その根拠を、どういう理由で百七十七億になるのか、また百七十七億が根拠であるならば、その補正予算における見通し、こういうことをもう少しお聞かせ願いたいと思います。
#33
○森永説明員 補正予算の見通しにつきましては、前回の委員会でもお答え申し上げたのでありますが、財源の面から考えますと、どうも一兆までがその限度であるということは言えるのでありますが、その中で災害復旧費の問題、あるいは米の供出完遂奨励金の問題ないしは給与の問題をやり繰りするわけでありまして、なかなか苦しい実情にあるわけであります。他方、建設省、農林省の復旧費の査定がまだ実は進行中でございまして、農林省の方は比較的早く進んでおるやに承つておりますが、全体としてはなかなか出て参らないのであります。われわれが補正予算の問題を考えます場合に、どのくらいを本年度の復旧費として計上できるか、その点は、ここで御答弁申し上げる段階に至つていないことを御了承願いたいと思います。
 なお、先ほど政令指定地域の問題につきまして私が申し上げましたことにつきまして、補足して申し上げますが、財源の観点から、政令による地域指定の問題についても、あるいは再考をお願い申し上げる場合もあるかもしれない、そういう意味で、私どもは検討しなければならぬということを申し上げたつもりでございまして、その点も御了承願いたいと思います。
#34
○井手委員 もうすんだことだと思つておりましたが、また火がついたようであります。再考をお願いしなければならぬというのはどういう意味か、その点はどうも私は解しかねるのであります。どういう意味でございますか。
#35
○森永説明員 補正予算が出ます場合に、災害復旧費に幾らを計上できますか、これはなお今後の作業に待つわけでございますが、その計上いたした復旧費で、はたして政令で指定されました地区全部につきまして適用できるかどうか、その問題をわれわれとしてはあらかじめ考慮しなければならぬわけでございます。政令ができましても、予算がなくて出せないということになつては困るわけでございまして、その場合には、災害のひどいところに重点的に法律上補助の適用があるようにという配慮が必要になつて来るわけでございます。その点を申し上げたわけでございます。
#36
○井手委員 どうも、これはおかしなことになつて参りました。突き詰めて行けば憲法の問題になりそうな気がいたします。それでは主計局長にお尋ねいたしますが、法律できままつたものをあなた方の都合によつて実行しないでもいいということができるのでありますか。
#37
○森永説明員 法律できまりましたものは、その通り実行する義務を政府は持つております。法律によつて政令にゆだねられております事項につきまして、昨日御決議もありました通りでございますが、財政的観点も願わくは御考慮願いたい。その観点からわれわれが検討いたしました場合に、あの通り政令で御指定願つた場合に、財政がはたしてこれに伴うかどうかという問題についていろいろ検討すべき問題がございますので、政令の内容について、あるいはまたお願い申し上げるというようなことがあるかもしれないということを申し上げているのでございます。法律につきましては、きまりましたものをその通り実行することが政府の義務であるということはもちろんでございます。
#38
○井手委員 あの適用地域の政令については、政府側の希望もあり、われわれは連絡して打合せの上あの基準をつくつたのであります。従つて、あれは法律に準じて、法律の精神に即した政令の基準になつてあるわけでございます。しかも、ただいまは緒方副総理から、あの基準でやるというはつきりした言明があつておる。それなのに、また再考をお願いしなくちやならないというのはどういう意味でございますか。法律で、あるいは政令でも、政府の方針はきまつておりますが、はつきりきまつたものを財政云々で再考慮願わなければならぬという理由はどこにございますか。
#39
○緒方国務大臣 基準としてはけつこうだと思うのですが、それを実際に財源とにらみ合せて実施する場合に、ただいたずらに少くしてしまうというようなことも、やはりそういう財源の点から多少考えなければならぬ問題がしまいに起つて来はせぬかという懸念は持つておりますので、絶対的な財源がどうなるかということについて懸念を持つておるということを先ほど申し上げたのであります。
#40
○井手委員 その予算の裏づけについては、これは、本年度何割にするかというところに私は問題が出て来るだろうと思うのであります。法律できまり、政令できまつた、政府が約束された政令、そういつたものについては、当然それをやらなければならぬことだと私は思う。予算がないから云々ということは、初年度で何割やるかということに帰着する問題であつて、それをまた根本問題の適用地域に逆もどりすることはないと私は考える。それは逆じやないですか。
#41
○森永説明員 お言葉を返すようで、はなはだ恐縮でありますが、政令できまれば、もちろんその通りにいたします。政令をおきめになるにつきまして私ども財政当局といたしましていろいろ心配の点もございますから、財政当局の苦衷を申し上げまして、何と申しますか要請合いできないことを申し上げておるわけでございまして、財政当局には財政当局の立場があることを何とぞ御了承いただきたいと思います。政令できまりますれば、もちろんそれに従うのは当然でございます。政令がきまるまでの過程におきまして、私どもは財政当局の立場から十分検討する余裕を与えていただきたいということを申し上げておる次第でございます。もちろん副総理からお話がございました通り、これできめるのだということでございますれば、これはその通りにきまるわけでございますが、われわれとして、昨日御決定になるにつきまして、十分意見を申し上げる機会がなかつたために、お言葉を返すようで、はなはだ恐縮でございますが、この機会におきまして、われわれの心配しておることを申し上げておるのであります。
#42
○井手委員 私は、大蔵当局の苦衷がわからぬでもございません。ただ、私が重ねて申し上げますのは、副総理もはつきり申されたことに違反するようなことを事務当局がおつしやるのが、私にはわからない。しかも、それが、大きく言えば、憲法違反にもなるようなことをおつしやつておる。それで私は特に申し上げておるわけであります。すでに腹の中ではおわかりになつておることだろうと思いますので、一ぺんきまつたことを、副総理が言明されたようなことを、また元にもどさないように、言葉には注意して、政府の幹部の意向に従つて行くようにお願いをいたしておきます。私は、いろいろと申し上げません。すでに副総理から言明になつておりますので、その政府の最高方針に従つて大蔵当局はやつていただきたい。この点を特に申し上げておきます。
 そこで、主計局長から一兆億云々の話がありましたので、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。一兆億で押えるとなりますと先日の委員会でもお話があつたように、三百五十億くらいの余裕しかない。ところが、ただいまは、義務教育費あるいは給与関係その他でいろいろな財源もいる、それとのにらみ合いがあるということをおつしやつておりましたが、しかし、水害関係の費用は、法律によつて、あるいは政令によつて当然裏づけしなくちやならない義務が政府にあるわけであります。従つて、一兆億で押えるという意味はどうしても解しかねるのであります。水害関係で幾らいるということがきまりますれば、これは申すまでもなく当然そのまま計上しなくてはならぬ。ただそれを何割計上するかということが残つた問題であろうと思うのであります。従つて、一兆億で押えるというようなことは当らぬことであると思う。副総理は百七十七億増加するとおつしやつておりますが、これは、ずつと以前に大蔵省が見たあの公共事業費などに関する増額の費用でございまして、今日各関係省官房長の説明によりますと、農林省だけで国庫負担は四百二十三億いると言われておる。建設省でも四百億以上の国庫負担がいると言われております。合せますと、六月、七月の水害だけで約一千億の国庫負担を要するのじやないかという見通しを私どもは持つておるのであります。その三割をかりに本年度やるといたしますと、三百億の金がいる。その三割やるといたしますれば一兆億の場合にはあと五十億しか残らないという結果になるのでございますが、その場合、やはりこれは法律に基いてやりますので、水害対策費は優先的にお考えなさる意見であるか、あるいは、一兆億で押えるために本年度は二割やるとか、あるいは一割やるというようなお考えを持つておられるのか、その点を私はお尋ねいたしたいと思う次第でございます。
#43
○森永説明員 一千億というような数字のお示しもございましたが、私ども、まだ確たる数字は押えておりません。あるいはあまり違わない数字が出るのじやないか。これは、もちろん西日本だけでなく、今までありました災害すべてを含めてでございますが、復旧費といたしましては、あるいはその程度のものが出ようかとも思つております。その中で幾ら国庫が負担するか、それからまた、お示しがございましたように、初年度に何割やるかというような幾段かの過程を経て金額がきまつて来るわけでございまして、その金額が百五十億になるか、あるいは二百億になるか、三百億になるか、そこらのところは、まだ実は私の方といたしましても見当がつかない次第であります。ただ、三百五十億は、これはネツトの財源の追加でございまして、既定経費の中に若干いらなくなるというようなものも皆無ではございますまい。われわれといたしましても、できるだけそういうものを探して、できるだけ歳出を減らすというような努力もしなくてはなりません。そういうようなことによつて、できるだけ補正財源をふやす努力を今後しなくてはならぬわけでございまして、その中から災害復旧費につきまして重点的に考えることはもちろんでございますが、幾らになるかということはちよつと申し上げかねる点を御了承いただきたいと思います。
#44
○井手委員 そこで、緒方副総理にお尋ねいたします。災害地の惨状をよく御承知になつておる緒方副総理は大体今年最低何割くらいやつたら何とか災害地が復旧できるではないかというよなお考えでしようか。その点、はつきりしたことはございませんけれども、従来は三箇年に三、五、二の割合でございます。今回は特別立法がありますので、一般は六、三、一であるとか、あるいは五、五であるとか、いろいろ希望されております。先刻私どもいろいろ研究をいたしまして、私どもはどうしても五割、六割ほしいとは考えておりましたけれども、各党一致の意見は、少くとも本年度四割を施行していただきたいという意見ご大体まとまつたようであります。おそらく災害地から出ておられる緒方副総理もそういうお考えではなかろうかと思いますが、念のために、どのくらいあれば最低限よかろうというおぼしめしであるか、お尋ねいたします。
#45
○緒方国務大臣 私は、災害地をまわる間には、いろいろなところでいろいろな感想を述べまして、三年をこういう際では二年でやらなくちやならぬような自分の希望を述べたこともあります。しかし、今のお話の四、四、二というのも確かに一案ではありますが、財源等のことを一応当つてみますと、どうもそれは無理である、やはり三、五、二にならざるを得ないのではないかという懸念を持つております。
#46
○井手委員 わかりました。ただいま副総理の御答弁によりますと、四、四、二がいいとは考えておるけれども、財源の関係から、結局三、五、二になるのではないかというお話を聞いて、大体政府の方針がここにはつきりいたしたことを私非常に喜んでおる次第でございます。そこで、三割となりますと、先刻主計局長は、一千億ということははつきりしないけれども、おそらくその近くになるのではないかという、私の質問に対する御答弁があつたのであります。かりに一千億近いとなりますと、いろいろ法律によつて内容は違いますけれども、三、九の二百七十億の金が本年度必要になつて来るものと考えられるのであります。そうしますと、義務教育費あるいは給与関係その他を加えますと、いかに義務教育費、給与関係をどういたしましても、五百意以上突破する二とは当然だろうと考えられる。小笠原大蔵大臣は渡米前に一兆億ということを申して行かれたが、その後査定の結果が続々判明いたしまして、復旧費の額が当時考えておつなよりもずつとふえておる今日の状態であります。従つて、一兆でとめたいとうことを言われた当時の事情と今日では、またかわつておるのであります。従つて、一兆億ではやれないということは、この点においてはつきりいたすのであります。主計局長はこの点よく考えていただきたい。三割やれば二百七十億前後、三百五十億であと残る金が八十億ということになります。そうすると、どうしても一兆億は突破せざるを得ない。この点について、今の緒方副総理のお話も十分耳に入れて御答弁願いたいと思う。
#47
○森永説明員 復旧費がどのくらいになるかということは、先ほども申し上げましたように、私も確たる数字はまだつかんでおりません。千億はそう隔たつた数字ではないということを申し上げたのでありますが、これは復旧費でございまして、そのうちで幾ら国庫が負担するかという問題がまずあるわけであります。その問題と、それから初年度の何割かという、その二つの問題があるわでありまして、正しく二百七十億いるかどうか、そこにつきましては、いろいろと問題があるのでございます。私どもとしては、そこまで行かないじやないかと、荒見当でありますが、持つておりますけれども、何分にも数字が固まつておりませんので、はつきりした数字を申し上げることができないのを遺憾に存じます。
#48
○井手委員 大体私の予定しました質問はこの辺で終りたいと思いますが、復旧費と国庫負担、これは言葉の違いもあるようですが、大体二百七十億とか、三百億とか、二百五十億とか、それに近いものが、高額補助でありますので予想される。こういうことになりますと、一兆億の線は当然突破しなくてはならぬということがはつきりいたすのでございますが、その点だけ主計局長にもう一ぺんお答え願いたい。
#49
○森永説明員 一兆億と申しますのは、ただわくで一兆と申し上げておるのではないのでありまして、財源の関係から考えましても、そのくらいしか出ないのではないか、そういう観点から来ておるわけでございます。従つて、一兆をどうしても越えるじやないかというお尋ねでございますが、財源の面から言いますと、どうもなかなかむずかしい。そこで、もし復旧費を出すためにはほかの経費を節約するとかいう問題も起つて来ようかと思いますが、ただちにそれが一兆を守れないということにはならないのではないかと思います。
#50
○井手委員 最後に、今まで私どもが国会で議決いたしたことは、当然これは政府は尊重してもらわねばならぬのであります。かつてに既定経費あるいは既定事業を節するわけには参らないと私は考えます。法律の建前から、また政府の最高方針からいたしましても、当然私どもは一兆円を数百億円上るという考えを持つております。水害の復旧はきわめて重要であります。重要であればこそ、緒方副総理は大胆にただいままで二つの重要な問題を御言明なさつておるほどでございますので、主計局長は、この点と、また委員会の空気をよくおくみとりになつて、国会の意思に沿われますることを、繰返しお願い申し上げまして、質問を終る次第でございます。
#51
○村上委員長 次に、稲富稜人君
#52
○稲富委員 大体同僚委員と政府との質疑応答を先刻から承つたのでありまして、重複する点を省きたいと思うのでありますが、ただ、最初に承りたいと思いますことは、先刻からの副総理並びに主計局長の御答弁を承つておりますと、災害に対する予算の見通しが十分ついていない、こういうようなことを先刻から承つておるのであります。すでに災害があつて今日まで数箇月を経過しておりますのにこれに対する見通しがまだ政府についていない、こういうことを聞きましたならば、さだめし罹災者は非常に国に対する失望の念にかられるのではないかと思うのであります。さらにまた、一方には見通しがないと言いながら、小笠原大蔵大臣は、渡米にあたりまして、一兆億が限度だ、こういうような声明をやられた。私はここに非常に矛盾があるように思うのであります。見通しがつかないながらも、一兆億を最高限度として、ともかくもそこに見切りを政府がつけるということは、私は、災害の実情をつかまないで、ただ税収入に対する考え方からかもしれませんけれども、そういうような限界をつけられることは非常に早計ではないか、かように私は考える次第であります。それで先刻からいろいろ質疑もなされておりますし、また緒方副総理は、先般来災害地の現地を視察されまして、その惨状のいかなるものであるかということは十分御承知であろうと思うのでありますが、一昨日の緒方副総理のお言葉を聞きますと、大蔵大臣が一兆億は最高限度ときめておるが、これは国としても保持したいというようなことを申されておりましたということは、実に私は遺憾に存ずる次第でございまして、現地の窮状から、この一兆億の限界を飛び越して、そうしてほんとうに災害復旧に対してあらゆる犠牲を払つても政府はその復興に処するという熱意を示してもらつて、その熱意のあるところを予算面に生かしていただきたい、かように考えるわけでございますが、これに対する政府の所信を承りたいと思う次第であります。
#53
○緒方国務大臣 私も、今稻富君の仰せられた通りに考えております。ただ財源の点から、どれだけ御希望に沿い得るかということが、私も実はよくわからないのであります。今のお話の、どれもこれもということはできないとしても、災害の復旧全部に一つの重点を置いてやりたい、そういう考えを持うております。
#54
○稲富委員 なおまた、先刻からの答弁に対する言葉じりをとらえるわけではございませんが、主計局長の御答弁を承つておりますと、いかもに国家の財政の一切、政治の一切を大蔵省の支配下に置かれておるような考えをお持ちになつておるのではなかろうか、かように私たちは非常に心配するのであります。そもそも御承知のごとく、私たちがこのたびの災害に対して緊急処置の法律をつくりました以上は、政令を決定するにあたりましても、この法律の趣旨に反するような政令を決定することは間違いであるということは、これは常識でわかることだと思うのであります。ところが、ただ財源がないからといつて、この法律の立法の精神をゆがめられるような政令をつくつたり、あるいはその政令の運営に対してそういうことをやられるということは、私は政治に対する根本観念の誤りだ、かように考えるのでありまして、もしもそういうような考えがあるならば、この際ひとつ大蔵当局はこれに対する考え方を改めていただきたいと思います。立法府において一つの法律ができましたならば、その法律に沿うて忠実なる予算を組んで、そして政治を行うことが政府の役目である。これができなければ、政府みずから自分の無能力なことを国民の前に発表するということが、政府としての当然の役目である。政令はできたけれども、財源がないからという関係で、法律の精神をゆがめるようなことをやるというがごときは、最も遺憾である。もしもそういうことがあるならば、これは、先日も申したのでありますが、実にこれは官僚政治の現われでありまして、私はほんとうの議会政治の尊厳を汚す考え方である、かように考えるのであります。それで私は、まず主計局長の政治の根本観念に対するお考えを承りまして、さらにそれに対してお尋ねしたいと思います。
#55
○森永説明員 法律を無視するとか、あるいは国会の尊厳を冒涜するような、そういう不遜な考え方は全然持つておりません。ただいま申し上げておりまするのは、あの法律の精神に沿つて行います場合に、災害のひどい所とひどくない所を区別して、ひどい所には高率補助を適用するというもの法律の精神でありまして、結局相対的な問題になるのではないかと思います。乏しい財源をわかちます場合に、できるだけひどい所にそれが重点的に行くようにするのが、あの法律の精神に沿うゆえんではないかということを実は考え、かたがた財源の関係もございまして、私どものかねて考えておりますことを申し上げた次第でございます。決して法律を無視するような考え方は持つておりません。
#56
○稲富委員 主計局長は法律を無視するような考えは持つておらないと言われた。これが大蔵当局の御意見でありますならば、今日私たちの最も憂慮しております事実を幸――いに私たちのその憂慮がむだであるならばけつこうでありますが、二、三お尋ねしたいと思います。たとえば今日最も問題となつております農林関係の復旧に対する状態を見ますると、先般、これは農林省関係の方針等を承りますと、従来の法律から何ら進んでいないようなことか行われておるのであります。たとえば被害地に対する罹災者の数で除した金額が八万円以上に相当するというのでは、これは従来の法律と何らかわりはない。こういうようなことが今度の特別立法の結果においても依然として行われるとしますならば、これはわざわざわれれわれが非常災害において立法いたしましたその法律の効果というものは何もないのであります。これを事実をもつて示しますると、たとえば私は福岡県の例を申し上げるのですが、福岡県におきまして、このたび災害をこうむりました市町村は二百五十三箇市町村ある。ところが、被害農家で除した数が八万円以上としますると、こういうような考え方で運営いたしますると、この法律の恩恵に浴するものは、わずか五十市町村くらいの程度でありまして、従来の法律と何ら異ならないという結果になつて来るのであります。私たちは、こういうような結果から見まして、非常災害に対する特別立法の精神が政令の行い方によつてゆがめられるということは非常に遺憾であるという考えを持つておるのでありまして、それは先刻の主計局長の、予算の関係があるから財政的な関係でしようがないのだというお答えというものが、――、遂にはただいま申したような結果が事実上の問題として現われて来るのではなかろうかと、私たりは非常に憂慮するわけであります。幸いに主計局長はこの法律の精神をゆがめるようなことはやらないと言われた。これが大蔵省の建前であるとするならば、ただいまの査定に対しても、政令の運営に対しましては、ただいま申しましたような精神をこわさないようなことによつて御決定を願いたいと思う次第であります。昨日決定いたしましたのは地域に対する基準である。ところがその地域に対する基準を適用する面におきまして、ただいま申しましたような政令の内容がさらにゆがめられるならば、この法律は空文にすぎないという結果になるのであります。こういうことからいたしまして、私はこの趣旨に反しないような査定並びに指導をしていただきたいというのが、私たち現地の実情に即した考え方であるのであります。その点、主計局長は、ただいま申されましたこの立法の精神をそこなわないという気持を、政令の規定におきましても、さらにまた査定の運用に対しましても、各地方に生かしてもらうように、そして大蔵省もその精神に従つて予算の編成に当つていただける熱意があるかどうかということを、大蔵省の意見として主計局長に特に私は承つておきたいと思う次第であります。
#57
○森永説明員 法律がきまり、政令がさまりますれば、政府といたしましては、その通りにする義務があるわけでございまして、従つて予算の面にも非市な負担がかかつて来るわけであります。それだからこそ、実は先ほど来、予算の面もお考え願つて、法律をおきめいただきたいということを申し上げておつたわけであります。法律の精神から申しますと、ひどい所に高率補助を適用する。そのひどいところを、たとえば全体の九割と見るか、半分と見るか、そこが一つの見解の相違になるわけでありまして、決して私どもが考えておることが法律の精神に反するとは思つておらないわけであります。いずれにいたしましても、法律がきまり政令がきまれば、できるだけその線に沿わなければならないことはもちろんでありまして、われわれとしては、乏しい財政の中から、できるだけ災害復旧に重点的にまわせるよう努力すべきことはもちろんでございます。
#58
○稲富委員 ただいま、ひどい所に高率の適用をするということが妥当であるという御意見でございますが、ところが実際この査定に当りますと、ひどい所、たとえば災害の状態が査定して十七万五千円以上になるところは、今度の法律の範囲にならない、こういうことを査定官が言われまして、いかにもこれが政府の方針であるかのごとくに流布されて、それがために罹災地の者が非常に憂慮しておるというような事実があるのであります。今主計局長の言われるように、ひどい所をその政治の恩恵に浴させなければいけないというならば、たといそれが十七万五千円以上でありましても、あるいは二十万円以上でありましても、ひどい所ほどその恩恵に浴するようにすべきで、最高に対する限界を置くということは、これは立法の精神からいつて間違いでありまして、おそらくこれは政府の方針ではなかろうと思うのでありますけれども、そういうようなことを言つております。しかもこれが大蔵省からかような最高限度を決定されたかのごとくに一般に流布されておりますので、この疑いを除去する意味から申し上げましても、これに対して主計局長からはつきりここで国民の前に申し上げていただきたい、かように考える次第であります。
#59
○森永説明員 災害の査定は復旧費だけの査定でありまして、それに対する補助がどうなるかという問題には触れてないはずでございます。但し今の補助法によりますと、一件十万円未満のものにつきましては補助が出ないということになつておりますから、その面からの補助金のつく、つかぬという話はいたしておると思いますが、査定それ自身は客観的に復旧費の査定をやつておるわけでありまして、ただいまの高率補助の適用があるかどうかという問題は、査定官は触れてないはずでございます。これは私どもの所管ではございません。農林省なり建設省なりの所管でございますが、私どもはそうあるべきものだと考えております。
#60
○稲富委員 ただいまの最高限度の問題は、私たちが聞くところによると、大蔵省がそういうような見解を持つておるのだということでありましたので、お尋ねいたしましたが、大蔵省の御意見ではないように思いますので、おそらく査定官も安心して最高の査定をやつてくれるだろうという期待を持つております。
 さらにこのたび、本年度の予算の中から公共事業費を水害対策費の方にまわすという考えが政府にあるようなことを巷間伝えておるのでありますが、これに対して事実であるかどうかということを伺いたい。
#61
○緒方国務大臣 お答えをいたしますが、実は財源に非常に窮しまして、昨日大蔵委員会でも私個人としての考えを申し上げたのであります。公共事業費中からでも何がしかしぼり出して財源の方にまわすことができるならばという私個人の意見も申し述べましたが、その後慎重に研究いたしました結果、そういうことはいろいろの事情でできない、やらぬということに決定いたしました。
#62
○稲富委員 さらに最後の点をお尋ねいたしたいと思います。われわれが今日審議いたしております法律は、六月、七月に対する緊急処置法でありますが、御承知のごとく、すでに八月、九月にもまた災害が生じておる地方がございまして、これに対しましては緒方副総理もすでに実地を見られたという話を承つておりますが、これに対する取扱い方はいかにやられるつもりであるか、政府の意思をお伺いいたしたいと思います。
#63
○緒方国務大臣 ただいまの災害に対する特別立法は六月及び七月の災害ということが明記してありますので、へ月に起りました災害はその法律の適用を受けないと思います。従いまして、これにどういう善後処置をとるかということは、国会と一緒に考えたいと思います。
#64
○稲富委員 ただいまいろいろ各般にわたりましてお尋ねいたしたのでございますが、要は復旧の一日も急なることを重ねて要望いたしまして、これが十算措置に対しましては、罹災者の期待に反しないように、罹災者が復興の希望をなくさないように、十分善処していただきたいと思います。ことにわれわれが今日最も不愉快に思いますことは、この予算編成にあたりましても、いかにも大蔵省がすべての財布を握つて、大蔵省の意見によつて復興を遅らすような意向があるということさえも、われわれ承つておる。これは非常に遺憾でありますが、そういう点かり考えまして、先刻主計局長のお言葉を聞きまして、私非常に不満に感ずる六第であります。どうかひとつ主計局長も被害の現実を十分考えられまして、私たちの危惧しておるようなことが事実あるといたしますならば、考え方をかえていただきたいし、われわれの危惧していることが単なる危惧であるという結果になりますならば、われわれもけつこうでありますので、どうかその点は政府とわれわれ議員の気持が一体となつて、この水害の善後策に十分なる熱意をもつて当られんことを重ねて希望いたしまして、私の質問を終る次第であります。
#65
○緒方国務大臣 大蔵事務当局が国会の御決定に対して非常に違つた意見を種々持つておるということでございましたが、これは事務当局が自分の受持に非常に忠実である結果、そういう感じを与えておるかもしれませんが、私わずかまだ四、五日の経験でありまするけれども、決してそういうことはございませんから、どうぞさよう御了承願います。
#66
○村上委員長 世耕弘一君。
#67
○世耕委員 私は簡単に政府当局に要望したいと思います。
 まず第一に、これは副総理には現地を親しく御視察願いましたので、蛇足かもしれませんが、今度の災害は、百年に一ぺんか、二百年に一ぺんあるかないかという異常の災害であるから、従来の災害と異なつた見地からこの問題を取上げていただかなければならぬということを、私お願い申し上げたい。たとえば、現在なお死骸を掘り出さなければならぬところがある、あるいは中から母親が子供を掬いてそのまま掘り出されて来る、あるいは老夫婦が次々に材木の間にはさまれて死骸となつて現われて来るということは、現地を見たならば涙なしには見られない。あるいは一部落が全滅して、たまたま外出した者数名が生き残つたが、どうしたらいいかというてまつたくこの対策に迷う、村当局ですら迷うというような悲惨な状況であります。こういうことを前提として、政府当局におかれても善処していただきたいということをお願いする次第である。
 なお、この点について、先ほど来同僚議員よりも御質問のあつた査定の問題であります。相当すみやかに査定を完了していただいたところもありますが、いろいろな事情から査定が遅れる場所が相当ある。それで、これは私が現地を見ながらつくづくそれ考えたわけですが、できたら土木方面の査定は今後飛行機を利用していただいたらどうか。そうして精密な飛行機による現地の地図をとつて、それに基いて査定をしていただくと、案外に合理的に行くのではないか。副総理は御多忙のうち今度は飛行機を利用されたようでありますが、そのために多くの現地を見ていただけたことも、私はこの文明の利器を活用された結果だと思う。この意味において、北海道その他の地方においても、今後飛行機の精密な写真によつて査定の資料に充てられたならば、案外早く行くのではないかということをひとつ御研究が願いたい。
 それから査定にあたつての地元の非難を御参考までに申し上げておきますが、えてして法律を取扱う者は法になじみ過ぎて実情を無視するきらいがある。われわれの勉強した範囲から申すと、法はむしろ生活に従わなくちやならぬ。生活に従つて法が適用されるべきである。ところが、法をたてにして生活を無視した査定をやつていては、せつかくの親切がかえつて恨みの種になる。一例を申し上げますならば、六万円あるいは七万円の臨時住宅に対して、査定の人が地元へ行つて注意するところを聞いてみますると、政府の規格によつて柱は三寸、屋根はこれこれの瓦をふけ、こういうことを山の中へまで行つて要求している。そのために、せつかく今度の水害で瓦だけはうまく水の中へ落ちて残つた、その瓦すら規格に反するから使つちや相ならぬ。またせつかく親戚からもらつた柱を利用して家を建てようと思うと、規格に合わぬから、その柱は使つては相ならぬ。板もさようなことをしているというような、非常に非常識なことが各地で行われている。私は現地を視察してそういうことを聞いて来たのであります。
 もう一つは、営農資金の貸付あるいは金融処置についてもあります。国会並びに政府の意向は、できるだけ困つた人に早く貸し付けるという立法趣旨にもかかわらず、困つた人に、いや保証金はどうだ、担保はどう、あるいはむずかしい条件をつけて、むしろ貸さぬような方法である。そしてあまり貸してもらいたくない人にも、無理に、あんた借りとかぬかというようなことも二、三私は実は発見して来た。こういう事実がある。それは、政府からわくをもらつたのに、もし貸さなかつたら文句を言われるからというて、わくをみずからこしらえるための魂胆であつた。これははなはだ悪徳行為でありますけれども、金融業者の中にこういう事実もあるということを御了承願つておきたい。
 それから、もう一つは、復興計画を一日もすみやかにしていただきたいという要望の一つとして、私は機械化を要望いたします。現在政府並びに事務当局の御協力によつて、相当機械が各地区に活動いたしておりますけれども、まだ不足していると思います。この際アメリカ当局の協力を得て、復興に必要な機械の購入をして、少くとも来年の植付に間に合うように、耕地等の復旧に機械力を活用していただきたい。かりに一台のブルドーザーが活躍すれば千人の働きをするということを、もうすでにわれわれ現地目撃して来たのであります。田地の復旧には少くとも今年中にでも目鼻をつけて、来年の植付に間に合うようにするためには、どうしても機械力を活用していただかなければならぬ。この点もやがて具体的な問題として現われるであろうと思いますから、御了承願つておきたい。
 なおもう一つ地元の非難としてお取次ぎをしておきたいのは、電燈会社の処置であります。小さい問題でありますけれども、零細な国民の声であるから、この際お伝えしおきたいと思います。家が流れる。それでも再起しなくちやならぬというので、すぎの板屋根でその流れた跡に掘立小屋を建ててがんばつている人たちふ、電燈をつけてくれと言うても応じない。むしろ流れなかつた家の電燈を先につける。しかも、その電燈のつけ方が、三月分を先払いして、あるところのごときは、電燈料ばかりではない、とりつけの料金に対してきわめて冷淡な処置をとつているということが数箇所に及んでおります。そのために、共産党の諸君が活躍している事実も和歌山県下には数箇所あることを私発見して来たのであります。こういう点も、小さい問題であるが、この際特に十分に考えておいていただくようにお願いする。
 それから、もうあと二点ばかり申し上げておきたいのは、これは建設関係に及ぶと思いますが、私は水害必ずしも天災でないということを指摘したい。過去における日本の建設、すなわち技術面に多くの欠点があつたということを、私はここに指摘することができるのであります。この点に関しまして、私が認識を特に深めておいていただきたいと思うことは、山くずれがあつた、あるいは地すべりがあつたということを非常に悲観しているようでありますが、私が現地視察をした実情によりますと、山くずれのあつたところ、地すべりのあつたところはむしろ土地が肥えているところである。開墾できるところである。私は地すべりがあつたというのは、ここを掘れという天の啓示だと、かように積極的に考える。実はこれについては、下の方へ完全な堤防を築いて、その地すべりの土を全部山はだの岩石が出るまで平らにしたなれば、開墾と一緒に田地ができるところが、和歌山県下で少くとも四、五十町歩あるい考えて来たのであります。かようなところにまた新しい天災に対する対策の切りかえの技術面がいるのではないか、かように考える。
 もう一つは、ついこの間かけたばかりの橋がみな流れている。なぜ流れているのか調べてみると、砂の上にいわゆる橋脚を立てておる。ひつくり返つたのを見ると、象の爪の先の方へ砂がくつついておる。不正工事が行われていることがりつぱに証明されておるのであります。しかも大きな、二かかえもあるような橋脚が二つにぼきんと割れて、一番かんじんの岩盤に達するところに鉄筋が入つているなら合理的であるけれども、検査を受ける一番上の方に半分だけ鉄筋をして、下の方はごまかしている事実がれくさんある。これでは何回巨額の金をかけて工事をやつたからつて、意味をなさぬ。もし査定を厳重にするのであつたならば、こういうところをひとつ政府にもつと徹底した監査をしてもらわなければ、意味をなさぬと私は思うのであります。要するに天災の半分は人災であつたということを、私はこの機会に指摘できるのであります。この点、特に金がないとおつしやる大蔵省が、もう一つつつ込んで、はたして金が有効に使われるかどうかという使い先までもつと監査してほしい、こういうことを私は地元民の要望としてお願いしたい。昔は、御承知の通り、大きな堤防や橋をつくるときは、必ず人柱というものが出たことは言伝えにあります。今日の堤防に人柱を建てろとは申しませんけれども、もう少し土木技術者の精神力がこの中に打込まれなければならぬのではないか、こういうことを私は痛切に感ずるのであります。これは金ではありません。いわゆる郷土愛、技術者の良心、ここに大きな問題がひそんでおるのではないか。これはおそらく和歌山県ばかりではなしに、各県に多々あることを私は思わざるを得ないのであります。それから技術面について、私はしろうとでございますけれども申し上げたいことは、何ゆえ川が曲りくねつて流れるかということの原理を、日本の技術者がはたしてつかんでいるかどうかということに疑問がある。それはなぜかと申しますれば、山の形をかえないで川の形ばかりかえている。ここにすなわち今度の堤防の決壊の原因があり、死人を出しております。
#68
○村上委員長 世耕君に申し上げます。副総理はちようど時間ですから、これで退場いたしますが……。
#69
○世耕委員 もうじき終ります。この点もこれは特に私は副総理にお願いしておきたいと思うことは、今日の技術面に抜かりがある。どうぞこの点を特に御考慮願いまして、なけなしの金を使うのですから、どうぞわれわれのたつとい税金が有効適切に使われるように、技術の面におきましても、支出の回におきましても、真剣に取組んでいただきたいということと、それから、あまりに法に拘泥されないで、むしろいかにすればこの法がわれわれの国民生活とマッチするかというところに親切さがほしい。そこで善政があるのではないか、私はかように考えるのであります。これは私の要望といたしまして、特に賢明な副総理にお願いしてやまない次第であります。
#70
○緒方国務大臣 ただいま御開陳になりました御意見は十分に了承いたしました。今回の災害によりまして教えられるものが非常に多いのであります。今後政府の施策の上にも十分注意してやりたいと思います。
#71
○村上委員長 本日はこの程度にとどめまして、明日は午前九時三十分より各小委員会、午後一時より本委員会を開会いたします。
 これにて散会いたします。
    午後四時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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