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1953/06/30 第16回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第016回国会 労働委員会 第4号
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1953/06/30 第16回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第016回国会 労働委員会 第4号

#1
第016回国会 労働委員会 第4号
昭和二十八年六月三十日(火曜日)
    午後二時三十八分開議
 出席委員
   委員長 赤松  勇君
   理事 倉石 忠雄君 理事 丹羽喬四郎君
   理事 持永 義夫君 理事 高橋 禎一君
   理事 山花 秀雄君 理事 矢尾喜三郎君
   理事 山村新治郎君    池田  清君
      鈴木 正文君    野田 卯一君
      三浦寅之助君    吉武 惠市君
      川崎 秀二君    黒澤 幸一君
      多賀谷真稔君    井堀 繁雄君
      熊本 虎三君    中澤 茂一君
      館  俊三君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 犬養  健君
        労 働 大 臣 小坂善太郎君
 出席政府委員
        総理府事務官
        (調達庁次長) 堀井 啓次君
        法務事務官
        (刑事局長)  岡原 昌男君
        労働政務次官  安井  謙君
        労働事務官
        (労政局長)  中西  實君
 委員外の出席者
        専  門  員 濱口金一郎君
    ―――――――――――――
六月二十九日
 委員中助松君及び中原健次君辞任につき、その
 補欠として山村新治郎君及び館俊三君が議長の
 指名で委員に選任された。
同月三十日
 理事中助松君の補欠として山村新治郎君が理事
 に当選した。
    ―――――――――――――
六月三十日
 日本国との平和条約の効力の発生及び日本国と
 アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に
 基く行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の
 一部を改正する等の法律の一部を改正する法律
 案(倉石忠雄君外六名提出、衆法第一八号)
同月二十九日
 駐留軍労務者の退職金現金化に関する請願(菊
 川忠雄君紹介)(第一九四一号)
 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法
 の規制に関する法律制定反対の請願(菊川忠雄
 君外四名紹介)(第一九七二号)
の審査を本委員会に付託された。
同月二十七日
 けい肺特別法制定に関する陳情書(栃木県塩谷
 郡藤原町大字高徳珪肺労災病院内柳沢未沼外八
 十三名)(第四七三号)
 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法
 の規制に関する法律案反対の陳情書(日本炭鉱
 労働組合中央執行委員長阿部竹松外二名)(第
 四七四号)
 失業対策労務者の賃金引上げ促進の陳情書(京
 都市議会議長竹内忠治)(第五〇七号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事選任
 公聴会開会承認要求に関する件
 小委員及び小委員長選任の件
 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法
 の規制に関する法律案(内閣提出第二一号)
 公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律
 案(山花秀雄君外六名提出、衆法第二号)
 地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律
 案(山花秀雄君外六名提出、衆法第三号)
 日本国との平和条約の効力の発生及び日本国と
 アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に
 基く行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の
 一部を改正する等の法律の一部を改正する法律
 案(倉石忠雄君外六名提出、衆法第一八号)
 労働行政に関する件
    ―――――――――――――
#2
○赤松委員長 これより会議を開きます。
 まず理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 昨二十九日、理事中助松君が委員を辞任されましたので、ただいま理事の数が一名欠員となつております。理事の補欠選任を行わなければなりませんが、これは前例によりまして委員長より指名いたしたいと存じます。御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○赤松委員長 御異議なしと留め、山村新治郎君を理事に指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○赤松委員長 次に公聴会開会承認要求の件についてお諮りいたし復す。ただいま本委員会に付託にたつております電気事業及び石炭駄作における争議行為の方法の規制に関する法律案(内閣提出第二一号)の審査を進めるにつきましては、右の法案は、国民の関心も非常に強く、きわめて重要な法案でありますので、各派の委員におかれましても、この法案の審査のために公聴会を開くことを強く希望しておられます。つきましては、公聴会を開こうとするときは、衆議院規則第七十七条によりまして、あらかじめ議長の承認を得なければならぬことになつておりまして、公聴会を開こうとする問題を定めました上で諸般の手続をとることになつております。ついては公聴会開会承認要求書を拠出いたさなければなりませんが、公聴会を開こうとする議案については「電気事業及び石炭鉱議における争議行為の方法の規制に関する法律案(内閣提出第二一号)」といたしまして、意見を聞こうとする問題につきましては、「電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案について」といたして参りたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○赤松委員長 御異議なしと認めまして、ただちに手続をとることといたします。
 なおまた議長のもとまで提出いたします公聴会開会承認要求が承認になりました場合には、委員会において正式に公聴会を開くことを議決いたすことに相なつておりますが、公聴会の日時につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。また公聴会開会の日時が決定いたしましたる上は、衆議院規則第七十九条によりまして、公聴会開会報告書を提出いたさなければなりませんが、これもまた諸般の手続とともに委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○赤松委員長 御異議がなければ、さようにとりはからいますから、御了承願います。
    ―――――――――――――
#7
○赤松委員長 次に小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。当労働委員会におきましては、十三国会以来けい肺病対策小委員会及び港湾労働に関する小委員会をそれぞれ設置いたしまして、けい肺病対策及び港湾労働問題に関しまして調査を進めて参つたのでありますが、今国会におきましても再度この両小委員会を設置いたしまして、さらに調査を進めたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○赤松委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。
 なおまた両小委員会の委員の数はそれぞれ六名とし、小委員並びに小委員長は、前例によりまして委員長より指名いたすことに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
#9
○赤松委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。
 それではけい肺病対策小委員には、
      持永 義夫君    池田  清君
      佐藤 芳男君    多賀谷真稔君
   中沢 茂一君  館 俊 三君以上の方を指名いたし、小委員長には持永義夫君を指名いたします。
 また港湾労働に閲する小委員には、
   丹羽喬四郎君  倉石 忠雄君
   高橋 禎一君  山花 秀雄君
   井堀 繁雄君  山村新治郎君
 以上の方を指名いたし、また小委員長には丹羽喬四郎君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#10
○赤松委員長 次に、本日、本委員会に付託されました日本国との平和条約の効力の発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律の一部を改正する法律案、(倉石忠雄君外六名提出、衆法第一八号)を議題といたします。まず提出者より提案理由の説明を聴取いたします。持永義夫君。
    ―――――――――――――
#11
○持永委員 連合国軍の労務者でありまして、日本国との平和条約の効力発生の目におきまして引続き駐留軍労務者となり、現在も勤務しております者に対しまして、その人か退職前に連合国軍労務者として在職した期間に対する退職手当を、なるべく早く支給する必要があつたのであります。しかるにこの退職手当は、平和条約発効に伴いまして新しい労働関係に入つて身分の変更を来しました当時、当然精算されなければならなかつたにもかかわりませず、当時は一般会計にも資金の余裕がなく、かつまた特別調進資金もアメリカ側のドル償還の停滞によりまして、現金支払いの資金操作が不可能であるという理由で、やむなく暫定的に退職手当精算証明を交付するという便宜的処置にかえられたのであります。
 その後物価の値上の等によりまして、貨幣価値に下落の一途をたどりまして、すみやかに現金化する必要を認めざるを得なくなつたのであります。また同町に、最近アメリカ側のドル償還も円滑になりまして、退職手当交付に伴う資金の見通しもつきましたので、すみやかに現金支払いの措置を講ずる必要があり、またこれは全国十九万駐留軍労務者の切実なる要望でもありますので、ここに本法案を提案するに至つた次第であります。
#12
○山花委員 議事進行に関する動議を提出いたします。すなわち、本案につきましては、質疑討論を省略の上、ただちに採決されんことを望みます。
#13
○赤松委員長 ただいまの山花秀雄君の動議のごとく決するに御興隆ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○赤松委員長 御異議なしと認め、さように決します。
 日本国との平和条約の効力の発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律の一部を改正する法律案(倉石忠雄君外六名提出、衆法第一八号)について採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。
    〔総員起立〕
#15
○赤松委員長 起立総員。よつて本案は原案のごとく可決すべきものと決しました。
 なお委員会の報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○赤松委員長 御異議かなければ、さように決定いたします。
 暫時休憩いたします。
   午後二時四十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時十八分開議
#17
○赤松委員長 再開いたします。
 公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案は、すでに本会議において説明を聴取いたしましたから、本委員会では提案理由の説明を省略いたしまして、右両案並びに電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案及び労働行政一般に関する件を一括議題として質疑を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○赤松委員長 御異議なければ、さよう決しました。
 これより質疑を許します。
    〔「異議あり」と呼ぶ者あり〕
#19
○赤松委員長 異議なしという声がありましたから、さよう決し擁した。高橋禎一君。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#20
○高橋(禎)委員 法務大臣にお尋ねをする前に、小坂労働大臣に二、三簡単にお尋ねをいたしたいと思います。
 本日の新聞の報道によりますと、昨日の参議院本会議において小坂労働大臣は、労組がスト規制法案の対象となるような争議をしないという声明を出せば、法案撤回を考慮すべきだと思うと発言された旨が記載してあるのでありますが、はたしてそういう御意思がおありになるのかどうか、第一にこの点をお尋ねしたいのであります。そしていわゆる労組がこの法案の対象となるような争議をしないという声明を出せばという、その労組というのはどれをさすのであるか。そして声明を出すという形式あるいはその内容の程度、これらについてどういうお考えをお持ちであるか。本法案に関係のあるストライキは、ひとり労働組合の争議行為だけを考えておいでになるのであるかどうか、組織労働者でない労働者の団体行動についてどのようにお考えであるか。労組の方がそういう声明をすれば、組織されておらない労働石の人たちの場合はどういうふうにお考えになるのであるか。これらの点についてお答えをお願いいたしたいと思います。
#21
○小坂国務大臣 お答えを申し上げます。新聞を私も拝見して、実はちよつと意外に思つたのであります。私の答弁はさように申しておらないのであります。質問は、たしか改進党の石川清一君であつたと思いますが、関係組合において、今議題となつているこの法案に関連して自粛声明があつた場合どうするかという御質問であつたと思います。私はそれに答えまして、この法案の対象となつている問題に関係した組合が、公式な立場において、こういう議題となつておるような公共の福祉を阻害する争議行為はなすべきでなかつた、悪かつたということを天下公衆に公式な態度で声明をするということが、かりにありとすれば、それは考慮しましよう、考慮すべきものであろう、こう言つたのであります。これは裏を返せば、仮定の問題には答えられないということになりますが、そう言つてしまつたのでは、あまりどうも公式的で味がなさ過ぎると思つたので、そのまた裏を言つたわけでありまして、新聞には何か法案を撤回することを考慮するというふうに出ておつたようでありますが、そうではなくて、新たなる事態が出たならば、そのときにはそれについて考慮する、こういう意味であります。速記録を見ていただけばわかりますが、そういうふうに言つたのでございます。
#22
○高橋(禎)委員 それでは、その点は速記録を調べました後になおお尋ねをする必要があればお尋ねをいたすごとにいたしたいと思いますが、それと同じような意味で、私はこの際参議院における石川清一氏と同じようなお尋ねをいたすことは避けますけれども、どこか小坂労相の胸中に、関係労組がこの法案の対象となるような争議をしないという声明をするようなことを希望しておられ、そうしてもしもそういう声明をしたならば、この法案を撤回しようというお気持が、ほんとうはおありになるのではないか。そこのところをいま一度御苦労さんですが、お答えをいただきたいと思います。
#23
○小坂国務大臣 お答えを申し上げます。労組がそういう声明を、かりにするといたしましても、それが非常に永続性のある、責任のある立場でその後の行動を縛ることができるものかどうかという点が、実は私はよくわからないのであります。しかしそういうことは、また実際になし得るものであるかどうかということについても、いろいろ問題があるのではないかと思つております。個人的な立場でなくて、そうした公式な立場で、そういうことを一回言つたならば、これは相当の拘束力を持つものとして、あるいは法律にかわるべきものとして、そうしたような拘束力を持ち得るものであろうかどうかということについて、実は私もよくわかりませんので、もし、かりにそういうことがあつたとすれば、これはまた皆様にも御相談をする、そういう意味の考慮をしようと思います。私の胸中にそういうことを期待するかどうかという御質問でございますが、これはどうも何とも申し上げにくいのでございます。期待する面もあるかと思えば、そういうことをしても、これは皆さんに御相談してみなければ、どう処置するかもちよつとわからないもので、それ以上ちよつとお答えできないことを御了承願いたいと思います。
#24
○高橋(禎)委員 先ほどの質問でちよつと触れておきましたが、本法案で規定している争議行為については、これはいわゆる労働組合の争議行為については規定していらつしやるのですか。それとも――憲法第二十八条に規定しているところの勤労者の団体行動権というのは、必ずしも組合を組織しておらなくても認められるわけであると私は考えるのでありますが、そういういたしますと、組合を組織しておらない労働者が団結して、そしてこういう争議行為、すなわち本法案で規定している争議行為に出るという場合については、どのようにお考えになつていらつしやるか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#25
○小坂国務大臣 未組織の労働者の場合でございますと、公共事業令違反あるいは鉱山保安法違反、こういうことになると思つております。
#26
○高橋(禎)委員 公共事業令あるいは鉱山保安法等に規定してありますいわゆる罰則のついた行為、これは争議行為としてなした場合に処罰するという規定でないことは大臣も十分御承知の通りですが、今の御答弁によりますと、公共事業令あるいは鉱山保安法等の規定を適用する、すなわち勤労者の団体行動権としての行為でない行為についての処罰規定を適用する、こうおつしやるわけですから、そういたしますと、小坂労働大臣は、憲法第二十八条のいわゆる勤労者の団体行動権というものは、組合を組織している勤労者の団体行動についてのみ規定しておるのだというふうなお考えをお持ちなんでしようか、その点はいかがでしよう。
#27
○小坂国務大臣 少し訂正をさせていただきます。未組織の場合でも、本法の対象には理論上なると考えます。但し、実際問題といたしまして、電気、石炭には問題になるほどの未組織労働者というものは、現在のところございません。憲法第二十八条にいうところの団体行動権というものは、組織されたる労働者の団体行動の場合を想定をしておるものだと考えておりますので、そのようにお答えしたわけであります。
#28
○高橋(禎)委員 憲法のあまり深い論議は時間の関係でなるべく避けたいと思いますが、ただいまの小坂労働大臣の御意見は、私とは若干異なつているわけですが、それはお互いに一層研究をしてみるということにいたしたいと考えます。しかし小坂労働大臣も、未組織の労働者が団結をして、争議行為をなすことがある。そしてそれは憲法に違反しておらないものだというふうなお考えをお持ちではございませんでしようか。
#29
○小坂国務大臣 あなたの御意見と同様です。
#30
○高橋(禎)委員 あなたもそういうようなお考えをお持ちだと考えます。ただ電気なり石炭に関する事業については、今の場合、そういうものはまあ考えなくともいいだろう、そこまで念頭に置く必要はないであろう、こういう御趣旨と考えますが、本法案が三年間の臨時立法だというところに、これから三年の間にまさか電気事業あるいは石炭鉱業に関係するところの未組織の労働者が団結をして、こういうスト行為に出るようなことは、あるいはないかもしれませんが、しかしあるかもしれないということを思いますれば、ただ一部の現象をとらえて三年間と申しましても、日本の急速なる進歩、あるいは変転ということを思いますときに、そこまで念願に置いて、この制度を確立すべきものではないかと私は考えるのであります。それについては労働大臣はいかなる御所見をお持ちになりますでしようか。
#31
○小坂国務大臣 私といたしましては、未組織の者がそうした争議行為をなすというような実際上の問題は、三箇年間にはおそらくないのではないかというような考えを持つておるわけであります。
#32
○高橋(禎)委員 次にお尋ねをいたしたいのは、本法案は、この法文を読んでみますと、文章の体裁から申しまして、電気事業の場合も石炭鉱業の場合も、経営者と労働者とその双方をいかにも公平に取扱つておるかのごとくに見えるのです。ところが、経営者が一体法案に規定してあるようなことをやつた場合にと申しますか、やり得る場合、争議として考えられる行為をやつたような場合に、はたしてそれをどの制裁規定で処罰するかということを考えてみますと、実際はこの経営者を処罰する場合というのは、私は今のところ想像できないのです。すなわち経営者と労働者とを並べて規定はしておりますけれども、刑罰規定をいよいよ適用する段になりますと、経営者側は処罰されることがなくて、労働者側だけが処罰されることになるように私には思われますので、そこのところを経営者の場合にはこういう制裁法規を適用するんだということを、ひとつ示していただきたいと思うのであります。
#33
○中西政府委員 実際問題といたしまして、使用者側に適用になることは、仰せのごとくきわめて少かろうと存じます。ただ、たとえば電気事業におきましては、旧公共事業令の三十六条あるいは五十三条に、正常に供給する義務があり、休廃止することが許されませんで、それに違反いたしますと制裁規定があります。従つて、もしも経営者側で、たとえば非常に怠惰な従業員ばかりがある事業におる。それを全部かえて、臨時にほかの者を入れてやるというロックアウト的なことをやりますと、当然この二条にひつかかるのでありまして、ただいま申しましたような制裁規定によつて処罰される、こういうことも考えられはいたします。
#34
○高橋(禎)委員 今までこの電気事業、石炭鉱業の争議において、経営者が今おつしやつたような処罰規定に該当するような行為をしたような事例があるかないか。あれば一つでもけつこうですからお示しを願いたいと思います。
#35
○中西政府委員 今までのところ、われわれは聞いておりません。
#36
○高橋(禎)委員 電産スト、石炭鉱業のスト、昨秋から冬にかけてのあの大規模な争議が本案を立案した動機になつておることは、これは小坂労働大臣の御説明によつても助らかなところであります。ところが、それを動機として提案されましたところのこの法律案を見ますと、先ほど申し上げましたように、いかにも両者を公平に取扱つておるように見えますけれども、ただ頭の中で考えれば、経営者側はこういうこともあり得るだろうという程度で、いまだにそういうことが一度もなく、昨冬の二大ストにおいてはもちろんそういうことはないと私は考えるのであります。そういたしますと、昨年の二大ストを動機として立案されたこの法律案は、頭には事業主、経営者ということを置いてあるけれども、実際は労働者側を処罰することに関するだけの法案というふうに私には考えられるのです。そこのところを正直に政府のお考えをお述べくださればと思います。
#37
○小坂国務大臣 私どもやや観念的であるというそしりを受けるかもしれませんけれども、今労政局長も御答弁いしましたように、事業者側におけるかかる事態はまだないのでありまするが、あれば、それについて均衡を得るような処罰が、当然社会的なある規範によつてなされなければならぬと思つております。ただこの法案は、先般も繰返して申し上げましたように、実は新たに争議権を制約するという趣旨ではなくて、本来不当である、あるいは社会通念上これではいかぬということの範囲を明確にいたしたものでございまして、特に労働者の権利をそれだけ抑圧したものではない、こういうように実は考えておる次第でございます。社会通念の一部をここに法文によつて明確化するという考え方でございます。実は労組法第一条第二項の暴力の行使は正当でないというような規定を書いた昭和二十四年の労組法改正の当時も、今にして見れば社会通念上当然のことでございますけれども、その以前はそういうことは書いてなかつた。しかしそれを書いてしまえば、もうだれが見ても暴力の行使は正当でないということになるのであります。この法案も、実はそういうような気持で、社会通念上明文化し明確化する、こういう気持でおることを御承知願いたいと思います。私どもとしましては、社会通念上正当でないものについて、その範囲を明確にした確認的なものである、このように考えておる次第でございます。
#38
○高橋(禎)委員 労働大臣にはまだしばしばお聞きする機会もございますから、この問題に関しては別の機会にお尋ねをいたしたいと思います。
 次に、労働大臣は提案理由の説明をなさいましたときに、これまでも不正で不当であつたものを、ただ法律に書いて、そうして不正であることを宣言するわけなので、労働者側にとつては従来も今後もかわりはないんだ、こういうふうな御趣旨に承つたのでございます。そうしてこれは三年間の臨時立法にするということであります。御説明の中に(改進党もこれには賛成したじやないかというような御趣旨があります。確かに第十五特別国会においては賛成をいたしたのでありますが、しかし、その三年間という臨時的のものといたしましたことは、やはり改進党には改進党の一つの考え方があるわけであります。誘導尋問はいかぬということになつておりますから、この際改進党の考えは申し上げませんが、不正なものを不正なものと確認するんだという規定を三年間だけの臨時的なものにして、三年たつたらあとはどうなるかわからぬというようなものであつてはなりませんし、三年間で廃止されたらもう正しくなつたんだというふうに誤解されてもたいへんですし、いわゆる従来不正なものを確認するんだというお考え方と、三年間の臨時立法とされたその関係を思いますときに、私はこの法律として非常な疑問がある。どうもその点を明確にしていただかなければならない点があるように考えるのでありますか、それをひとつ小坂労働大ほから御説明願いたいと思います。
#39
○小坂国務大臣 私どもこの法案を今国会に提出するにあたりまして、三年間の臨時立法といたしましたことは、本来これは――繰返して申し上げて恐縮でございますが、妥当でないものである、社会通念上非であるというものを確認するのであるから、この法案を三箇年間の期限付立法といたしましても、三年の間におきまして、そこに正常なる労働慣行の習熟かなされるだろう、成熟が期待し得るであろう、こういう趣旨でこの三箇年の期限をつけたのであります。他にあるかもしれませんが、主たることは私はそのようなことと考えております。
#40
○高橋(禎)委員 こういうお考えはお持ちになりませんでしようか。何といつても、この法案というものは、実は労働大臣自身もどうも満足の行かない法律である。昨年のあの二大ストを思えば、何とかしてああいうストライキを防がなければならない。しかし、今まで正しいとされておつたものを、創設的にこの法案によつて不正なものにするということは、どうも労働者側に対して済まないような気がすると私は表現しましよう。労使双方の均衡という点から考えれば、労働者側に不利益である。しかし、それをほんとうのことは言えないのだ。そしてまたこの法律は、経営者の方は問題じやないのだ、労働者だけが問題なんだけれども、まあ事業主も一緒に取締りをするような形で出したのだ。小坂労働大臣の人格と教養とをもつてすれば、どうも不満足だから、まあ三年間の臨時ぐらいでみずから慰めよう、こういつたような気持があり、かつその三年のうちには何とかひとつ労使双方の調整のとれるような関係の法律制度を確立してこの不公平を解決して行こう。だから、このたびは単独法として調整関係については一言も触れなかつたけれども、三年内にはその調整のとれるような制度をつくろうというふうなお考えがあるようにも、私は小坂労働大臣の答弁を通じて直感的に感ずるわけなんですが、そういうふうなお考えがおありになるかどうか、承つておきたいのであります。
#41
○小坂国務大臣 お答えを申し上げます。政府というものは、国民全体に対して責任を感ずるものでございまして
 昨年のあのような電産・炭労の大きなストライキがございまして、第三者たる国民に非常な迷惑をかけるということになりますと、これは従来からもああした争議は不当ではないかということを考えられておつたのですが、これはまことに困つたものだ、これは非であるというふうな社会通念が今度は習熟したと考えまして、ひとつこれは明文化しようということでございますけれども、この立法を今お話のように三年間とした気持には、昨日も倉石委員からも御指摘がございましたが、三年間にはこうしたむちやくちやな争議をするということもなくなり、よき労働慣行が確立せられるであろうが、一方において法体系といたしましても、全般のものとにらみ合せて完全なものにして行こうという努力はしよう、こういうような気持も多少はあることをつけ加えてさしつかえないと思います。
#42
○高橋(禎)委員 別の問題に移りますが、今では旧という言葉をつけなければなりませんでしようが、旧公益事業令は昭和二十七年の十月二十四日限りで効力を失いました。その後しばらく間隙がございまして、昨年の十二月二十七日に至つて、電気及びガスに関する臨時措置に関する法律が実施されることになつたわけであります。その間約二箇月余りでありますが、公益事業令に規定してある取締り規定については、まつたく手放しの状態であつたわけであります。ところが、昨年の十月二十四日から十二月二十七日までの間というものは、労働争議という面から見ましても重大な時期であつたと思うのであります。その間隙を生ぜしめたということは、吉田内閣に大きな責任かあると私は思うのであります。それかできたのはなぜかと申しますと、例のあともさきも考えない、抜打ち争議にあらざる抜打ち解散の結果であると私は考えるのでありますが、その二箇月間の間隙というものが、電気事業あるいは石炭鉱業の争議に関して、またその他一般の争議についてどのような影響があつたか。私は相当の弊害があつたものと思うのでありますが、それについての小坂労働大臣の御所見を承りたいと存じます。
#43
○小坂国務大臣 お答えを申し上げます。御指摘の通り、法の空間という時代はあつたと思いますが、そこにむしろ精神的な影響と申しますか、そうしたある程度のものに認めねばならぬと思います。われわれも抜打ち解散が非常にいいとは現在も考えておりませんで、私もおかげで一回よけい選挙をやつて非常に苦労をいたしました。これはいいとは思つておりませんが、その責任問題は、過ぎたことでございますから別といたしまして、いずれにいたしましても、公共事業令の第八十五条にある規定は、正当ならざる行為によつて電気の供給を阻害したもので、しかし正当であるかどうかというと、労組法第一条第二項の刑事上の免責を得る正当なる争議行為であれば、免責を得るわけでございますから、一方においては争議行為であれば何をしてもいいという頭はあるのであります。でございますから、ここに議題となつておりますような争議行為は正当でないものだということをきめておきませんとやはりここの空間があるないにいたしましても、こういう争議をやるということを考えておる一部の人があるのでありまして、そこでこれを明確化しよう、こういうことでございます。なお実は私の手元にも、この二十日から電源スト、停電スト一切を含む争議行為に入るという通告をよこしている組合もあるような次第でございます。現にこういうものは公共事業令が現存するにかかわらず、これは正当なる争議行為であるから争議に入るのだ。それで電源ストもやる、停電ストもやる、給電指令所の職場放棄もやるのだ、そういうことを考えている人があるのですから、この法案は非常に必要である、かように考えております。
#44
○高橋(禎)委員 あまり小坂労相のお困りになるようなことはお尋ねしたくないわけでありますが、いくら今法案の定めているようなことをきめておいても、その基本となる刑罰法規か全然制定されないで、二箇月間も留守になるようなそういうものであれば、そして二箇月間それがなくても大したことがないというのであれば、これらの争議行為を処罰するなんというようなことを考えるべきではないと私は考えるのであります。
 この辺で小坂労働大臣に対するお尋ねは本日は打切りまして、犬養法務大臣に若干のお尋ねをいたしたいと考えるのであります。
 第一にお尋ねいたしたいのは、やはり本日の新聞でありますが、「ストを含む実力行使、スト規制法案反対総評、戦術を申合せ」という見出しでもつて、そのうちに電産関係として「いつからでもストに入れる態勢は整つているが、第一波においては事務ストならびに職場大会を開く。しかし停電ストの場合も一般消費者、中小企業者の停電に行わないで、大口需要者だけの停電を行う。」こういうふうな記事があるのであります。電産は停電ストをこういう形においてやろうという考えがある趣旨に、私にはこの記事を見ても考えられるのでありますが、もしこういうふうな停電ストがこの際スト規制法反対の目的をもつて実行せられました場合に、その取締りをいかにするかということについて、治安の責任をお持ちになつておる法務大臣は、すでにすでにお考えになつておると考えるのでありますが、その点についての法務大臣のお考えを承りたいのであります。
#45
○犬養国務大臣 政治ストには、労働法規に関してとりきめがありませんから、実際上それが社会公共の福祉に反するかどうか、個々の場合において判断をして、違法行為を取締りたいと思います。
#46
○高橋(禎)委員 そういたしますと、政治ストはいわゆる労働争議でないのですから、取締りをするのだ、こういうふうなお気持で、ただその取締りの方法等については、個々の具体的の事案を見て取締りをする、こういうようなお考えと承つてよろしゆうございますね。
 率直簡明にお尋ねをいたしますが、昨冬の電産、炭労両ストの行われておりました当時、この両ストに関連する刑事事件が発生したかどうか、あるいは発生したとすれば、その取扱いをどの程度にされたか。ことに停電ストについてはどういう処置をおとりになつたか、その点をお伺いいたします。
#47
○犬養国務大臣 詳しい問題は、また政府委員から答弁させたいと思いますが、昨年末の電産ストでは、検挙した人が百二十名ぐらいあつたと思います。そのうち公訴を提起いたしました事案が、私の方の調べでは九件二十六名。但し昨日でしたか、参議院において藤田議員は、これを十三件であつたと言われたのでありますが、この点の食い違いは、あらためて調査をいたしたいと思います。私どもの立場としましては、違法行為というものを、ことさらに飛び越えてきびしく解釈して、労働争議を圧迫するという態度はとりませんでした。具体的に申し上げますならば、起訴に際しては、一々どのくらいの暴力を振つたのであるか、あるいは同じピケを張るにしても、威力業務妨害にわたつたものであるかどうか、一々の行動、動作を詳しく中央に報告させまして、さらに検討して指示を与えるというふうにやつて参つたのであります。その結果、検挙をいたしました人は多数でありましたが、起訴をした事案は九件、二十六名ということになつております。基本方針としましては、今申し上げましたように、暴力を振つたという違法行為のみを起訴をいたしております。石炭の場合も同じでございますが、石炭の場合には、幸いに保安放棄というようなめんどうな事案は、一つも起らずに済んだわけでございます。
#48
○高橋(禎)委員 先ほど小坂労働大臣にお尋ねをいたしましたので、同席されました法務大臣もよく御存じと思いますが、この旧公共事業令が効力を失つてから、電気及びガスに関する臨時措置に関する法律が効力を発生するまでの約二箇月の間に、旧公共事業令の効力があつたならば、その八十三条なり八十五条で取締りができるのに、それが効力を失つておつたためにできなくて、一般治安上非常に悪い影響を及ぼした、そういつたようなことがおありになつたかどうか、そこをお示し願いたいと思います。
#49
○犬養国務大臣 具体的な事件になつたものは、一つもないそうであります。ただわれわれとしては、まつたく文字通り法律の空白時代でありまして、非常に憂慮いたしたことは事実でございます。
#50
○高橋(禎)委員 停電ストについて現在最高裁判所に上告をしておられる事件、もう一度申しますと、昨年のスト関係の事件で、しかもそれが停車ストに関係するものであつて、下級裁判所においては無罪の言渡しを受けて、現在最高裁判所に上告しておられるというような事件がありますでしようか、ありませんでしようか。
#51
○犬養国務大臣 これはございます。高橋さんもたしか御記憶であろうと思いますか、昭和二十三年の北海道、九州に起つた事業、それから非常に目立つ事件としまして、私の就任前でございますか、昭和二十五年に、電産争議に際しまして、川崎変電所のスイツチを切断した電気事業法違反の事件があります。これなどはいずれも裁判所と検察側と、事件の認定について若干見解を異にしておりました。一つは控訴棄却になりました。この棄却になつた原因も、お尋ねがあれば後ほど一応御説明申し上げますか、あとの二つは上告申でございます。
#52
○高橋(禎)委員 今の点に関連いたしまして、岡原刑事局長から、昨年のストに関して起訴した事件で、下級裁判所では無罪の裁判を受けて、いわゆる停電ストの正当性を認めて無罪の裁判を受けて、それを検事が上告しておるという事件があるかないか、それをひとつ伺いたい。
#53
○岡原政府委員 昨年秋の電産事件に関連しては、さような事件はございません。先ほど大臣からお話のありました九件、二十六名の数は、昨年新潟、高松、高知、松川、佐賀等の管内に発生した事件であります。いずれも水路妨害あるいは威力業務妨害案中には暴力行為等処罰ニ関スル法律に違反するというようなことで起訴しておりますが、いまだ第一審の公判も済んでいない状況でございます。
#54
○高橋(禎)委員 これに先般小坂労働大臣にもお尋ねをいたしたところでありますか、昨年の七月三日に、東京高等裁判所において、例の川崎変電所の事件これは――停電ストに関するものでありますが、無罪の裁判を受けて、そうしてその裁判が、確定をしておるという事例があることを、私承知いたしておるのでありますが、あの裁判によりますと、停電ストの正当性を認めたものである、それが無罪になる理由であつて、しかも検察当局においては、その無罪の裁判に対して上告の手続をおとりにならないで、確定させられたというところに、もはや停電ストは正当のものだということを、法務当局においてお認めになつたのではないかと考えるのでありますが、その点は犬養法務大臣、いかがでありますか。
#55
○犬養国務大臣 お答えいたします。先ほどちよつとこれに触れたのでありますが、これは私の就任前の事案ではありますが、非常に目立つ事案でありますので、私も記憶いたしております。お話のようなことではないのでありまして、検察側では裁判所の見解に対して異論を持つておるのであります。まことにはずかしいようなわけでありますが、係官の手違いで、上告期間をそのまま経過させてしまつたという事件でありまして、見解としては、依然今日といえども、裁判所の考え方と異なつた見解を持つている次第でございます。
#56
○岡原政府委員 ただいまの点にちよつと補足して申しますと、実は七月三日、ただいまのお尋ねのように、控訴棄却の判決、つまり一審無罪の判決をそのまま支持した控訴の判決があつたわけでございます。この点につきまして、実はかねがね私どもはこの事件の成行きについて心配しておりましたので、これは当然控訴すべきものというふうな態度を持つておつたのでございますが、ちようどその公判立会いになりました検事の手違いから、ただいま大臣のお答えになつた通りの経過を見たわけでございます。そこで、この判決の正式な謄本のでき上るのを待ちまして、検討いたしました結果、やはり法律見解としては違うところか六、七点にわたつてございましたので、その旨同年九月五日、刑事局長名で、法律解釈としての大体のあり方、この判決の確定するに至つた事情は、実は過失に基くものだとあつて、見解としては従前の通りであるというようなことを参考のために送付したような次第でございます。
#57
○山花委員 ただいまのお答えによりますと、関係しておる検事の重大なる手違いで、見通しとしては有罪になり得るものを無罪にした、こういうふうに理解してよろしいのでしようか。
#58
○岡原政府委員 法律問題でございますので、私どもは私どもの法律見解を支持して参るわけであります。見通しといたしまして、最高裁判所においてこの種の事件かどのようになるかということは、実は私まだはつきりいたしておりません。これはもつぱら最高裁判所の今後の審理にまつわけでございます。と申しますのは、先ほど大臣からお答えのありました通り、上告中の事件が大分たくさんございます。先ほど二件とございましたが、そのほかにもございまして、一部有罪になつた事件については弁護人から上告がございますし、無罪になつたものについては検事から上告がある、かようなことになつております。両方の事件が、ちよつと見ただけでも七件ほどあるようでございます。それらの事件が最高裁判所においていずれはつきり確定することに相なろうかと考えます。
#59
○山花委員 そういたしますと、この種の問題に関しては、まだ最終判決が下つていないから、有罪あるいは無罪というようなことはここで断定できない、こういうことでございましようか。
#60
○岡原政府委員 最高裁判所においてまだ最終的な判断をしていないという趣旨でございます。
#61
○山花委員 そこでこれは綱紀粛正の問題になりますが、そういう手違いを起した検事に対して、何か処罰を加えたというようなことがございましたでしようか。そのまま政府当局においては看過したのでございますか、この一点だけお答えを願いたい。
#62
○岡原政府委員 もちろん事影響力が大きいということで、当時その事情を十分調べまして、本人に対して戒告いたしてある次第でございます。
#63
○熊本委員 関連してちよつとお尋ねいたしますが、ただいまの答弁を聞いておりますと、高等裁判所で無罪の判決をした、それを検事が上告しなかつたという、その手続の手落ちのみを言われておつて、ただいまの答弁から見れば、当然有罪になるものという見解のように承る。ところが一審、二審において裁判が行われる場合においては、検事は検事の見解を持つし、判事は判事の見解を持つはずである。ある裁判長が無罪と判決したことは何ら考慮せずして、検事が上告せざることのみが手落ちであり、これは犯罪になるべきであるという見解はどこから出て来るか、お尋ねしたい。
#64
○犬養国務大臣 これは私どもはこういうふうに考えておるのでございます。それがいいか悪いかは社会の御批判を仰ぎたいと思いますが、検察側ではこの東京高等裁判所の判決と違う見解を持つ。違う見解を持つた場合には、検察庁の職務遂行の責任から上告する。それを上告すべき事案であるにかかわらず、日を間違えてうつかりしたというのは、あまり体裁のいいことでないし、明らかに手落ちであるから、その点を戒告いたしたわけでございます。従つて、最終の判決はもちろん最高裁判所の判決にまつべきあり、検察側は検察側の意見をやはり遂行するということが、国家に忠実なるゆえんである、こういうふうにわけて考えております。
#65
○熊本委員 重ねて明確にお伺いしておきますが、一審、二審における裁判所の判決は、検事と判事の見解の相違のあつたことは事実である。しかしながら、検事もやはり法の命ずるところ、その見解によつて処置するという職権があるのでありますが、裁判長もまた国の法律によつて有罪であるかないかを判決する権利がある。従つて今日までのところ、高等裁判所において無罪を宣告したならば、無罪であるという考え方をもつてこれを優先することが先だと私は考えておるが、その点の見解はいかがですか。
#66
○犬養国務大臣 検察官がどう思つたということは、社会通念にもまち輿説の良識にもまちたいと思いますが、この場合検察官が、裁判所の判決は事実の認定において検察側と異なるところがあると信じましたならばその所信を表明することが、やはり職務上大切であると私は思います。
#67
○高橋(禎)委員 ここで労働大臣にちよつとお伺いいたします。今お聞きのように、停電ストについて、普通世間の常識からすれば、最高裁判所の次に位する権威ある東京高等裁判所において無罪の裁判を受けて――当局においては上告しなかつた理由をいろいろお述べになりますが、確定したということは事実なんです。世間では普通は東京高等裁判所で無罪になつたのだから、やはり検事の主張よりは裁判所の見解の方が正しいと思うであろうと考えられます。仁電ストについては、そのほかにもいろいろの疑問点がありますが、今は述べませんが、先ほど来法務当局からの御説明がありましたように、これに類似した事件が最高裁判所に今係属中なんです。あるものは無罪が確定をし、そして類似したものが最高裁判所に係属しておるが、もし最高裁判所においてこれが無罪の判決を受けたというようなことになりました場合に、小坂労働大臣は、本法案はこれまで不正であつたものをただ宣言したにすぎないのだ、こう言つておられた場合に、一体どういう責任をおとりになるか、その点についてどのようにお考えになるか。これはきわめて重大な問題であると考えられるのでありますが、その点についてしつかりとした御信念をお伺いいたしたいのであります。
#68
○小坂国務大臣 争議行為が不当であるか正当であるかということについては、一般的には法令とか協約に違反するのは不当である、行過ぎであるというふうに考えておりますけれども、それだけでなくて、もつと広範囲に概括的に考えますれば、健全な社会通念によつて当不当というものはきめられるものであると思つております。健全な社会通念ということを、さらに具体的に申しますと、法益均衡の原則とか、あるいは今問題になつております労務不提供の域を越えたとか、そういうことがいわれるのでありますが、そうしたものを明確に社会通念としてこれを明文化するという必要を政府の見解として持つておるわけであります。これは健全な社会通念からいつて、ただいま議題になつておるものは不当であり非である、こういうふうに考えておるのでございまして、政府としてのこの見解は、法務省も労働省もまつたく一致いたしております。将来最高裁判所の判決が、ただいま御指摘のようなぐあいにかりに出た場合どうするかということになりますと、仮定の問題にはちよつとお答えしにくいということを言わざるを得ないのであります。
#69
○赤松委員長 労働大臣に委員長として希望をいたしておきますか、ただいまの高橋君の御質問は、決して仮定でなくて、独立した司法権、つまり裁判所におきましてそういう最終的な確定判決というものが出た場合に、スト規制法そのものに大きな疑義が生ずる。その場合の労働大臣の責任はどうか、こういうことなんです。健全な社会通念とかいうような抽象的なことでなくて、委員の質問に対してもつと誠意をもつて明確に御答弁を願いたいと思います。
#70
○小坂国務大臣 委員長にお答えしておきますけれども、私は別に誠意を欠いているわけでも何でもなくて、ただいま高橋さんの御質問は、最高裁の判決がこれを不当とするかあるいは正当とするか、どちらかの場合であるが、かりに不当と出た場合にどうするかということで、かりにという仮定でございますから、私はその場合のことについてはお答えしにくい、こう申したのです。
#71
○高橋(禎)委員 今の問題について、小坂労相にいま一言お尋ねいたしておきます。念を押しておきたいと思いますが、裁判がなくても停電ストは疑問があることは、法務当局の御説明がございましたし、労働省からも説明がありましたけれども、学者の間においても停電ストのあるものについては犯罪にならぬという意見が相当強いものがあるのです。そこへもつて参りまして福岡の柳河支部でも無罪の裁判がありましたし、東京高等裁判所においても、まあ検事の手違いがあつたとも言われますけれども、無罪というものが言い渡されて確定をしておる。そういうふうな学説の反対するものかあり、裁判所も下級裁判所においては無罪の判決を下しておる。中には確定したものもある。そういうときに、しかも今同じような事件が最高裁判所に係属をしておる。こういう過程において、私どもはこの法案を審議しておるわけであります。もしも政府において反対の学説もしりぞけ、あるいは裁判所の意見もしりぞけて、われわれの主張が正しいのだということで押し切つて、そうして今まで不正不当であつたものをわれわれはここに宣言するのにすぎないのだという態度で進んで行つておられまして、最高裁判所においてそれは間違つておつた、やはり東京高等裁判所のごとくに無罪の裁判を下すべきものであつたという結論に達したときに、これはきわめて重大な問題が起るわけであります。私は干のときに、日本の労働問題について非常な悪い影響を与えることを国家のために憂えるものでありまして、まだ法案は審議中ですから、もしも今まで不当なものであつたのをこれは宣言しておるのだということがあやまちであれば、この際私は改めておかれた方がいいと思うのであります。もしも段高裁判所がいわゆる犯罪にならないものである、正当なものであるということを宣言いたしました場合に、今審議しておりますこの法律がかりに通過しておつた場合に、労働大臣の所見のごとくに解釈されて通過していたというような場合においては、一体勤労者の団体行動権というものを侵害したところの法律になるのではないかというようなことで憲法に違反したものだというような説もこれは起り得ることを私は心配するのでありまして、今の場合、今お尋ねいたしましたようないろいろな条件を十分総合してお考えになつて、十五回特別国会でこの案は通過したのであるからというのでこれを提出されて、まあこれは通過するだろうというような軽い気持でこの法案の審議に対処せられるということは、私は労働大臣の将来を思いましても、これはお気の毒なようなことになるのではないかと考えますので、この際十分に御研究お考えの上に、これらに関していま一度御所信をお述べいただきたいと思うのであります。
#72
○小坂国務大臣 お答え申し上げます。最高裁の判決が決定いたしますれば、解釈はこれに従うということであることは当然だと思いますか、現在のところ、こうした争議、ただいま議題となつておりますような争議が行われますということは、公共の福祉を著しく阻害するという明美の経験を持つておりますし、また現実の必要か一方にありますので、この法案を提出しておりますが、私どものこの法案に対する態度としましては従来社会通念上非である、あるいは不妥当である、妥当ならざるものというものを確認する、争議行為としても、これをなすことは不当である、こういう解釈に立つておるのであります。最高裁の判決が出ますまで待つ余裕が時間的にございますれば、それはそうすることも一方法かもしれませんが、私どもはその時間的余裕がない、ただいま現実の必要がここに存在するのであるから、ここにこの法案を正しいと信ずるところに従つて提案しておるわけでございます。御審議によりまして可決せられんことをこいねがう次第であります。
#73
○高橋(禎)委員 労働大臣のお考えを伺いますと、今までの行きがかりにとらわれたような御答弁でありますが、しかし私の先ほどお尋ねいたしましたような事項を十分味わつていただきますと、この法案の通過によつて労働者の側に少くとも非常な争議権の抑制をして、不利益を与えたというようなことを、後日悔いなければならぬというようなことになつてにたいへんだと私は思いますから、まあ労働大臣のお考え通りとしても、この際そういう危険のある問題を取扱うわけですから、労使双方の調整ということをお考えになつて、有力なる争議行為を、これは正しいにしてもとにかく抑制することに関する法律をここに制定するの、だから、何かここに両者の調整のとれる施策、方策、政策というものを打出さなければならぬ。私どもは労相の立場になつて考えても、日本の現下の重大な労使間の問題を思いますときに、日本の再建ということを考えますときに、その点について十分の民主的な愛情のある政治ということをこの際考えるべきじやないかと思うのでありますが、労働大臣はどのようにお考えになりますか。
#74
○小坂国務大臣 非常に御親切な御配慮で痛み入ります。愛情のある政治を考えることは、私もまことに同感でございますが、どうもこの法案に関する限りは、繰返して申して上げますように、従来とも妥当ならざるものである、あるいは社会通念上非であつたものを確認するということであつて、新たに労働権に対するところの制約をするものではない、こういう考え方に立つております。なおいろいろ御示教賜わりました点は、よく研究をいたしますけれども、この法案を提出するにあたりまして私どもの考えにこのようなことで、何ら今までのを制限するものでたくて、ここに確認的に、公共の福祉を擁護するために、従来ともするべからざるものであつたものを、社会通念に従つて確認するんだ、こういう考えでございます。
#75
○高橋(禎)委員 法務大臣にお尋ねをいたします。昨冬のこの電気、石炭に関する二大ストの原因を、少くともこれに関連する犯罪の捜査がなされておられるわけでありますから、その原因については十分捜査追求をなさつたはずだと思うのでありますが、その原因はどのようにごらんになりますでしようか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#76
○犬養国務大臣 少し漠然としておりますので、もう少しお教えを請うてからお答え申し上げます。
#77
○高橋(禎)委員 私はあのような大きなストのありましたことは、これは国家のためにまことに嘆かわしいと思つております。あのようなストが将来起らないように政治を行わなければならぬ、こう思うのです。しかしそれには原因というものをはつきりとつかまなければ、これは手当のしようがないわけです。的はずれなことをやつておりますと、かえつて同じようなストを激発するの危険さえあるわけでありますから、どうしてもあの二大ストはなぜ起つたかという原因を突き詰めて、その原因を取除くために努力しなければならないわけです。ところが私どもではその原因を調べることは、これはなかなかできないことです。ところが法務当局においては犯罪の捜査をなさつておられるわけでありまして、そういう立場に立つてこのストの原因をお調べになれば、これは正確なものがつかめるわけであり捜す。私どもはこの法案を審議いたします場合に、一体この法律制定が的はずれなものであるかいなか。二大ストの発生ということを動機として、あのようなストを将来起さないようにするためにこの制度を設けようとするのであるが、それは的はずれであるかどうかということを知るためには、きわめて重要な関係を持つわけでありますから、あの二大ストの起りましたる原因は何であるかということを、法務大臣御存じでないということなら別ですが、御存じでないはずはないと思いますから、この際明らかにしていただきたいと思います。
#78
○犬養国務大臣 私の直接関係しておりましたことは、違法行為に対する取締りでありますが、もちろん国務大臣としてあのストライキ、非常に大きなストライキの発生した社会的要因といいますか、そういうものも考えていたわけであります。これは敗戦の結果において日本全体が貧乏で、勤労者の生活はもちろんそのわくにおいて苦しい。また、労使お互いの良識による話合いというものも、日本の段階においてはまだほんとうにうまく行つていない。その責任はやはり双方が反省すべきものであろうと思います。私ともの関係の違法行為というものがどうして発生したかという方から言いますと、これはやはり労働争議における違法性のわくというものが。どうも従来の法律で、はつきりしていないことも相当原因しておりましたし、少くとも長引いたことの原因には、これが相当大きな要因になつていたように思うのであります。ですから、取締り法規だけで万事足れりとは思つておりませんけれども、労働争議の違法性の範囲というものをはつきりしたならば、ある意味において組合側の方もそこに一つのわくがはつきりして何主なこともあるであろう。従来このくらいは違法行為であろうかどうかと、ずいぶん非公式に尋ねておいでになる方もあるくらいでありますから、当局がこれ以上は違法行為でありますよというわくを明確にする時期が来ているし、社会も社会通念において、昨年末のストライキに対してそういう感じを持つたようにわれわれは認定いたすのであります。但し、その違法行為のわくを定めたその尺度についての当否を、国会に謙虚な気持でお尋ねをしておるわけであります。
#79
○高橋(禎)委員 私の間わんとするところに対しては、きわめて不十分に思いますけれども、別の問題で尋ねることにいたします。
 法務大臣は、この労働争議に関する取締りの基本的な一つの理想、理念というものをお持ちだと思うのでありますが、その点をこの際お伺いいたしたい。
#80
○犬養国務大臣 これは先ほどもちよつと申し上げたと思いますが、不当な労働争議の圧迫ということは、真実に法務当局は望んでおりません。従つて先ほど申し上げましたように、一つ一つの事案の起訴以前において、組合側あるいは両院議員の方から事の真相は自分たちはこう思つておるという申入れがありましたときは、ただちに現地に問い合せておる次第であります。その中には、その取調べの結果、取締り当局が不当だと以つて、ただちに身柄を釈放した事件もございます。そういうようなわけでありまして、われわれとしてはあくまでも厳正なる態度で臨もう、こういう方針を堅持しております。従つて昨年の電産スト、炭労ストの場合、暴力を用いたという事案以外は起訴をしていないつもりであります。
#81
○赤松委員長 高橋禎一君に御相談でございますが、実は先ほど理事会で五時までということに御相談申し上げたのです。それで、なお明日委員会を開きますから、再び法務大臣、労働大臣にも御出席をお願いして質問していただいてもけつこうだと思いますが、ただいま倉石忠雄君がら発言を求められておりますので、明日にしていただけませんでしようか。すでに六時近くになりますので……。
#82
○高橋(禎)委員 けつこうです。
#83
○赤松委員長 それでは倉石忠雄君。
#84
○倉石委員 高橋君の非常に貴重な御質問に関連して伺つておきたいのですか、鉱山保安法や旧公共事業令、つまり電気及びガスに関する臨時措置に関する法律、これにこういう行為をしては違法であるということを列挙しておりますが、これは被害者の告発を待つて検察側は動くわけでありますか。
#85
○犬養国務大臣 その点は政府委員から……。
#86
○岡原政府委員 ただいまお述べになりましたような犯罪は、いずれも何かり請求あるいは告発を待つて論ずる罪ではないのでありまして、従つて自発的に検挙、捜査ができる、かようなことに相なつております。
#87
○倉石委員 私はそれが当然だと思います。そこで先ほど火法務大臣の御説明によりますと、昨年の電産及び炭労のストにおいては、暴力を用いた者以外には起訴していないというお話でありますが、暴力を川いすして、今申しましたような法律によれば当然違法であると思われる行為を行つた者がたくさんあるはずでありますが、こういうものはどうして検察側は起訴されないのですか、その点について伺いたいと思います。
#88
○岡原政府委員 昨年の秋の電産、炭労等の争議のあり方につきましては、私ども数次にわたりあるいは現地から報告を聴取し、あるいはこちらから調査にやりまして、詳細の点を聞いておつたのでありますが、幸いにしてと申しますと何ですが、全体的なストのあり方は、どちらかというと、ひどく先端的なぶつかり合いをしなかつたという感じを受けたのでございます。私どもといたしましては、先ほど大臣からもお話のありました通り、かような争議の内容に入るような形において事件を掘り下げて行く、つまり場合によつてはあたかも争議に干渉するがごとき印象を与えることは、厳重につつしむべきである。これは労使ともにいろいろな面から制約を受けるというか、やりにくい面か出て来る。従つて個々の小さい事件をみな目にかどを立てて一一片つぱしから検挙する、あるいは忠告をすることはいかがかという基本的な態度をとりまして、そのうち特に目に余り、どうしてもこれはだれが見てもこのまま放置できないといつたようなものを中心にいたしまして検挙したような次第でございます。その結果、先ほどもお話の刈りました大体において暴力を使つたというのが電産の関係の検挙に相なつておるわけでございます。炭労等におき出しても、若干の問題になりました点はございますが、これらの事件はやや困難なためか、うち三件起訴したものがあるだけで、あとはまだ捜査中ということに相なつておる状態でございます。
#89
○倉石委員 そうすると、政府の御見解を承りたいのは、労働争議のうちで、いわゆる不当労働行為、これは別なことでありますが、そのほかに違法なる労働争議行為だと法務当何が認めておられる行為は、どういう行為をさしておられるか。
#90
○岡原政府委員 いわゆる違法なる争議行為というものを概括的に申し上げますのは、なかなか困難でございますか、要するに違法性の問題と申しますものは、ある犯罪の形が争議行為で行われた。――犯罪の形と申しますのは、一応刑法の、たとえば業務妨害の罰条に当るとか、例の臨時措置法で生きた公共事業令の条文に当るとか、あるいは鉱山保安法の第四十何条でございましたかの条文に出るとかいうような個々の事件かございましても、それかいわゆる争議行為として正当視される限度においては許される。かような意味において違法性か出て参るわけであります。
#91
○倉石委員 それでは先ほど私が指摘いたし旧公共事業令八十五条によれば、正当な事由がないのに取扱わなかつたというのはこれは違法な行為なんだ。それを摘発されないで、暴力を用いたようなものだけ起訴したというように言われるのでありますが、違法行為はあくまでも違法なんです。それを区別したのはどういう理由であるかをお尋ねしたい。
#92
○岡原政府委員 御承知のように公益事業令は電気事業法から出て参つたポツダム政令でございますが、ポツダム政令が一般の整理の法律によつて改廃されました際に、公共事業令は百八十日の有効の期限をもつて一応効力を失うという形で取扱われたわけでございます。それが十月の二十四日と思いますが、失効いたしまして、ちようど電産のストライキの一番はげしかつたころ二箇月の間法律がなかつたわけでございます。それが十二月の二十七日にあらためて臨時措置法で生き返つた、その間のことでございますので、従つて事件として取上げなかつた、かようなことでございます。
#93
○倉石委員 今の例は電気関係でございますが、鉱山保安法の方は法律の空白がなかつた。鉱山保安法によりましても第三条及び第五条によれば、第三条に列挙してある事柄について、鉱山労働者はこれを守らなければならないとなつております。それを守らないで保安要員か引上げたというときには、やはりこの法律の解釈から行けば、暴力などを用いなくても当然摘発さるべきものであつたと思うのですが、これはどうでありますか。
#94
○岡原政府委員 さような鉱山保安関係につきまして、御承知の鉱山保安法の五条、三十条、五十六条の五号であつたと思いますか、それと省令の四十七条でございますが、それらの関係で一連のただいま御指摘のような、保安義務を生じて参ります。そこでこれらについての私どもの見解といたしましては、さような規則に違反するようなことがあつては困るというので、それぞれ現地の検察庁その他において半ば非公式的に警告的なものをいたしてございました。その結果かどうか知りませんが、具体的な事件はとうとう最後まで発生せずに、例の最終段階において、いよいよ明白から保安要員を全部引揚げてやるという声明をしただけで、たしか事件は解決したように考えております。
#95
○倉石委員 最後にもう一つお尋ねしておきたいのですが、鉱山保安法に上れば、ここに列挙してある事柄は違法である、しかるにこの違法性に対してとかく疑議があつて、下級裁判所の判決などでもまちまちである。それを明確にしたいというのが政府のこの法安提出の理由のようであります。そういたしますと、同じ保安法の束縛を受くべき金属鉱山などは、今度政府が御提出になりました法律が通過すると、電産及び炭労に対しては明確な規定が設けられるか、特にそういう確認規定がないというので、裁判所の取扱いもまちまちになるのではないか。そこでそういうものが保安要員の引揚げなどをやつたときには、法務当局はどういうお取扱いをなさるおつもりでありますか。違法性のことは同じ違法性であります。
#96
○岡原政府委員 ただいま御質問の違法性の問題と申しますのは、先ほどから具体的な事件で違うということを申上げておりさす通りに、結局一つの違法行為と申しますか、一つの争議行為なら争議行為が刑罰法規に触れます場合に、それがたとえば争議行為という画から違法性を阻却するかどうかという問題でございます。それはこれを明文で、たとえば労調法の三十六条等のごとき条文がございますと、それが一つの手がかりとなつて解釈が進められるわけであります。なお、それがない場合において、いわゆる争議行為の限界についての公共の福祉との調和性、あるいは争議権の権衡保持の原則といつたような面から、一つの制約を性質上受けて参るわけであります。さような面から個々の事件を判断して、これは少し行き過ぎたというふうな判断がされた場合には、これは検挙さるべきものであると考えております。
#97
○倉石委員 法務省の方ではそういうお考えでしようが、労働省はいかがですか。労働省は今お出しになつている法律は電産と炭労である。そこで、同じような保安要員の引折げということは、やはり鉱山保安法によつて禁止せられてあるのだが、他の金属鉱山でそれをやつた場合にはどういうふうに解釈されるか。
#98
○中西政府委員 鉱山保安法と同じように通用されます部面におきましては、石炭鉱山も金属鉱山も同様な解釈になるというふうに考えております。
#99
○倉石委員  けつこうです。
#100
○高橋(禎)委員 もう時間もおそくなりましたので、ただ一点お伺いをして、あと後日に譲りたいと思いますが、これは法務大臣であります。先ほど労働争議に関する取締り方針の一端をお述べになりましたが、先ほど来いろいろ論議されましたように、例を停電ストにとりましても、学説上、あるいは実務家の間においても、いろいろ意見の相違点があり、裁判所においても、これは正当争議行為であるという判決まで下しておるというような実情であり、しかもまた旧公共事業令については、約三箇月間の空白時代があつた、こういうふうな疑問点か多々あるために、比較的取締りが強くなかつたというような、取締りの上から見ると、いろいろ根拠が薄弱というようなところをおそれて、取締りの手をややゆるめておいでになつたが、今度この法案が通過して、法律にでもなるということであれば、疑問は一掃されたというので、従来とは打つてかわつて、取締りを強化される、そういつたようなお考えがあるのではないかということを、私ひそかに憂えるわけでありますが、この点について法務大臣はどのようなお考えをお持ちでありますかこれだけをお尋ね申したいと思います。
#101
○犬養国務大臣 これははつきりお答えをいたしておきたいと思います。今日ここに出席いたしました私の答弁を一貫してお察し願えると思うのでありまするが、毫もこの法案の成立によつて、さらに元気を出して取締りを一層従来のわくよりも拡張して厳重にするということはございません。さよう御承知願いたいと思います。
 なおつけ加えて申し上げておきますか、法務省の立場からいいますと、本法案は今までの法律の違法性のわくをはつきりさせるという立場をとつております。従つて罰則なども新しくつけ加えるということなしに、現行法の罰則をもつてこれに充てて、いる次第でございます。それはただいま申し上げたような精神に出発いたしている次第でございます。
#102
○高橋(禎)委員 いろいろまたお尋ねしたい点かありますが、本日はお尋ねを後日に譲るとして、これをもつて質問を打切ります。
#103
○山花委員 ちよつと高橋委員の質問に関連して一言だけ質問をしたいと思います。第一に労働大臣、法務大臣に申し上げたいことは、高橋委員の質問に対してのお答えが、われわれが聞いておりましても、率直に申し上げて的のはずれた、何か抽象的なお答えをしておるというふうにわれわれには聞えるのです。もつとまじめに、質問に対して的確なる御答弁を願つて、この審議をすみやかに終らしたいというふうに私どもは希望しておるのですが、先任を明らかにされたいという高橋委員の質問に対して、労働大臣は、われわれが聞いておりましても、明確な答弁がないのです。私から再度お尋ねをいたしますので、ひとつ政府のこれに対する明確なる責任ある答弁を願いたい。
#104
○小坂国務大臣 お答えを申し上げます。そうした最高裁の判決か下りましたときにどうするがということでございますが、その判決を見て善処するということにいたしたいと思います。
#105
○山花委員 先ほど高橋委員が法務大臣に対して給電ストの起つた原因を一体どう考えるかと質問したのに対して、法務大臣の答弁は法律のわくだとかなんとかいうようなことを盛んに答弁なすつていたのですか、高橋委員の質問の中心は、推察いたしますと、法律で縛るよりも法律で縛らないところに解決の道を見出す、労使間の円満なる一つの慣行を且出す、これが政府として努力すべき点ではないか、ここに重点を置いて質問をしたと思うのです。それを何か政府といえば、もう取締るのが仕事のような、われわれとしては感じを受ける御答弁をなさつていらつしやつた。争議の原因さえはつきりすれば、この法律審議の非常に参考になると思うのです。そういうような点において、法務大臣はこの争議の起きた原因に対する見解を明確にお述べを願いたいと思います。
#106
○犬養国務大臣 先ほど申し上げたつもりでありますが、言葉か足りないと存じますので、また繰返させていただきます。争議の起つた原因いかんという御質問でございましたから、先ほどお答えしたのでありますが、それには社会的要因もございます。労使双方の反省の足りないところもありましよう。またどつちに責任があるということは別問題といたしまして、経営者も、労働者も、しつかりと一つの経営というものに対して具に手をつなぐというところまで状態が行つていないということもありましよう。しかし私どもの立場としましては、違法性のわくがはつきりしていないために争議が起つた原因も加味していると申し上げたのであります。従つて法務省といたしましては、近法性の問題か当該の責任業務でございますから、この違法性をはつきりさせるということを法務大臣として努力して参りたいと思います。
#107
○赤松委員長 山花君、どうでしようか。そういう問題につきまして法務大臣からお答えするよりも、むしろ労政を担当しておられる労働大臣なり、あるいは必要ならば総理大臣を呼んで聞くということもできるのでございますから、これはこの間も小坂労働大臣に対する高橋委員の質問に対して、実際は明確な御答弁というものがなかつたわけなんです。これは非常に委員の間では不満でございまして、かような不誠意な御答弁では、なかなか審議の方も進行しないと思います。この点はひとつ政府の方も十分誠意を持つて御答弁していただきたいと思います。
#108
○山花委員 もう時間でございますから、質問はこれでやめます。次会の委員会には労働大臣、法務大臣、特にただいまの問題に関しましては、ひとつ総理大臣の出席を委員長の方で要求せられんことを望みます。
#109
○赤松委員長 わかりました。
 次回は明七月一日午後一時より開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。
    午後六時一分散会

ソース: 国立国会図書館
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