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1947/03/24 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 財政及び金融委員会 第10号
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1947/03/24 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 財政及び金融委員会 第10号

#1
第002回国会 財政及び金融委員会 第10号
昭和二十三年三月二十四日(水曜日)
    午前十一時十八分開議
 出席委員
   委員長 早稻田柳右エ門君
   理事 島田 晋作君 理事 中崎  敏君
   理事 梅林 時雄君 理事 塚田十一郎君
      赤松  勇君    川合 彰武君
      河井 榮藏君    佐藤觀次郎君
      田中織之進君    西村 榮一君
      松尾 トシ君    八百板 正君
      大上  司君    栗田 英男君
      後藤 悦治君    中曽根康弘君
      細川八十八君    松田 正一君
      島村 一郎君    苫米地英俊君
      宮幡  靖君    淺利 三朗君
      井出一太郎君    内藤 友明君
      石原  登君
 出席政府委員
        大藏事務官   平田敬一郎君
        大藏事務官   阪田 純雄君
 委員外の出席者
        大藏事務官   岡村  峻君
        專門調査員   圓地與四松君
    ―――――――――――――
三月二十三日
 昭和二十三年の所得税の四月予定申告書の提出
 及び第一期の納期の特例に関する法律案(内閣
 提出)(第一七号)
 証券取引法を改正する法律案(内閣提出)(第
 一八号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十三年の所得税の四月予定申告書の提出
 及び第一期の納期特例に関する法律案(内閣提
 出)(第一七号)
 証券取引法を改正する法律案(内閣提出)(
 第一八号)
    ―――――――――――――
#2
○早稻田委員長 会議を開きます。
 昨二十三日本委員会に付託になりました昭和二十三年の所得税の四月予定申告書の提出及び第一期の納期の特例に関する法律案、及び証券取引法を改正する法律案を一括いたしまして議題とします。まず政府の説明を求めます。
    ―――――――――――――
#3
○平田政府委員 ただいま議題となりました昭和二十三年の所得税の四月予定申告書の提出及び第一期の納期の特例に関する法律案につきまして、提案の理由を説明いたします。
 政府は、最近における賃銀、物價等経済諸情勢の推移、課税の実情に照らして租税負担の軽減をはかる等のため、所得税の基礎控除、扶養控除、勤労控除、税率等につき改正を行う必要があると考え、目下檢討中であります。これが改正案は、近く成案を得て國会に提出いたしたい方針でありますので、本年に限り、所得税の四月予定申告書の提出及び第一期の納期に関し特例を設け、所得税法の改正案が國会で可決された後、改正規定に從つて四月予定申告書を提出し、第一期の納税をするようにいたすことが、負担の点から見ても、また官民相互の手数から見ても適当であると考えられるのであります。從いまして、本年に限り、所得税の四月予定申告書は、本年五月一日の現況により、これを記載し、五月一日から同月三十一日までに提出することとし、また、所得税の第一期の納期も五月一日から同月三十一日までとして、それぞれ一箇月繰り延ベることといたしたのであります。
 何とぞ御審議の上速やかに賛成せられるよう切望してやまない次第であります。
#4
○阪田政府委員 証券取引法改正法律案につきまして、提案の理由を御説明いたします。
 昨年三月公布せられました証券取引法は、証券取引委員会に関する規定のみ施行せられておるのでありますが、今般米國の証券法及び証券取引所法に範をとり、証券業者及び証券取引所の免許制度にかえ、登録制度を採用する等、証券取引法を徹底的に民主化するとともに、当初政令または省令をもつて定めることに予定していた事項中、主要なものを法律に織りこむ等、同法を全面的に改正するため、ここに本法律案を提案することとなつた次第であります。
 今回の改正のおもなる点は、証券取引委員会の権限を強化して、これを行政官廳としたこと、有價証券の発行に関する届出制度に改正を加えたこと、証券業者及び証券取引所の免許制度にかえ、登録制度としたこと、新たに証券業協会に関する規定を設けたこと、証券取引所における有價証券の賣買取引に関する規定に改正を加えたこと等であります。以下改正の主要なる事項につきまして、逐次その大要を御説明いたしたいと存じます。
 まず、その第一は証券取引委員会の権限の強化に関するものであります。現在証券取引法の主務大臣は大藏大臣でありまして、証券取引委員会は証券取引法の施行に関する重要事項を、独自の立場から調査審議する特別の機関として設けられておるのでありますが、今回その性格及び権限に改正を加えまして、証券取引委員会を大藏大臣の所轄に属する行政官廳とし、証券取引法の施行に関する職権を全面的に、かつ、独立的に行うこととしたのでありまして、委員会にはこの法律の施行に関し、公益または投資者保護のため、必要かつ適当な規則を制定する権限をも附與することにいたしますとともに、委員会の下部機関としてその事務を担当する事務局を設けることといたしたのであります。
 次に、その第二は、有價証券の募集または賣出の届出に関する規定の改正であります。有價証券の届出制度は、有價証券の発行に際してその詳細かつ正確な資料を政府に提出させ、投資家に判断の資料を與え、容易かつ安全に証券投資ができるようにする制度でありますが、この届出制度に関する規定の改正のおもなるものを申し上げますと、第一に届出を要する有價証券の範囲については、現在額面総額二十万円を超える株式または社債の発行は、すべて政府に届け出ることとなつておりますのを、今回の改正においては、募集または賣出額面総額が五百万円以下のもので、その公衆に提供される範囲が限定されていることにより、届出が公益または投資者保護のため必要でないと認められるものについては、一定の條件のもとに届出を要しないこととしました。第二に、届出の時期につきましては、現在は発行の際すベて届出を要することとなつておりますが、これを改め、発行に際して公衆に対して募集するもの、または賣出そうとするものは、届出が提出せられ、かつその効力を生じていなければならないことに改めたのであります。第三に、届出義務者の範囲につきまして、現在届出義務者は取締役または、発起人の全員となつておりますのを、新たに発行者を届出義務者に加えることといたしました。その他届出後募集または賣出をなし得る時期を原則として延長し、届出書類の審査に愼重を期するとともに、その時期について彈力性をもたせたこと、届出に関して民事責任を負ふベき者の範囲を拡張して、届出書類の正確を期するとともに、その責任を免除される場合を詳細に規定したこと、有價証券の募集または賣出しに際しては、必ず目論見書を作成させることとし、かつその使用の時期その他については制限規定を設け、これに違反した場合においては損害賠償の責に任ぜしめることとしたこと等が、そのおもなるものであります。
 その第三は、証券業者に関する規定の改正であります。改正の第一は、免許制度を廃止して一定の要件を充足したものは、証券取引委員会に登録することによつて営業を開始し得る登録制度に改め、営業の自由な機会を與えた点であります。
 第二に、銀行信託会社その他の金融機関は、顧客の注文を受けて、その計算において行う場合、または投資の目的をもつて行う場合等特定の場合を除き、証券業を営むことができないものとしまして、証券業者の地位の確立を図りました。
 第三に、証券業者の純財産額に関しまして、政府がその最低額を規定する制度を改め、証券業者の負債総額について一定の限度を定めることといたしました。すなわち証券業者の負債総額のその営業用純資本額に対する比率は、二十倍の限度内において証券取引委員会が定める率を超えてはならないことといたしまして、この面から証券業者の支拂能力または財産経理の状況が、常に良好な状態を保つように監督することといたしました。
 第四に、証券業者の営業保証金について、その額を法律で定めることとし、かつ、支店その他の営業所についても営業保証金を供託させることに改め、その金額は本店については十万円支店その他の営業所については、営業所ごとに五万円といたしました。
 第五に、証券業者が有價証券の賣買その他の取引をなす場合においては、顧客に対して、一定額以上の信用を供與してはならないことといたしました。すなわち現在の委託証拠金の制度を拡張しまして、証券業者が有價証券の取引をなす場合においては、当該取引に係わる有價証券の時價の四割五分以上の代金、証拠金、または手付金等を受取らなければ取引をすることができないものとしたのであります。右の率は大藏大臣が、金融市場並びに証券市場の状況その他一般経済界等の情勢に即應するように、証券取引委員会の意見に基いて定めることとしたのでありまして、証券取引の健全性を保持し、過当投資の防止に資するとともに、金融の調整にも資することができるものと存ずる次第であります。
 以上申上げました事項のほか、新たに有價証券の割賦賣買についての取締規定、顧客から委託を受け、またはその計算において自己の占有する証券の質入れ、または貸付の制限に関する規定、有價証券の引受人となつた証券業者が、当該有價証券を賣却する場合の信用供與に関する制限規定、及び証券業者の使用する外務員の取締りに関する規定等を設けました。
 証券業者に関する規定の改正のおもなるものは以上の通りでありまして、証券業者の登録制度に伴い、業者の数は相当増加するものと見込まれますが、証券業者に負荷せられた証券民主化の責任の重大性に鑑みまして、その自由かつ活発な活動を期待するとともに、常に十分な監督を行い、証券業者の資質、信用の向上をはかりたいと存ずる次第であります。
 その第四は、証券業者協会に関する規定であります。証券業者が、有價証券の取引の公正と、投資者の保護とを目的として、証券業協会を組織した場合におきましては、証券取引委員会に登録する制度を新たに設けました。すなわち協会の民主的にして自治的な活動により、証券業者の不当な利得行為を防止して、取引の信義を助長しますとともに、いわゆる場外市場における取引の公正をはかり、投資者の保護に資することを期待するものであります。
 なお証券業協会は、共同の目的をもつて連合会を組織した場合においても、これを証券取引委員会に登録し得ることといたしました。
 その第五は、証券取引所に関する規定の改正でもあります。まず、証券取引所の設立についても、証券業者の場合と同じように免許制度を登録制度に改め、登録は要件充足主義といたしました。これとともに現在全國を数地区にわけ、各地区について一の取引所に限りこれを設立し得ることとなつておりましたが、今回この地区制度を撤廃することにいたしました。從つて今後全國に相当数の証券取引所が設立されるものと予想されるのでありますが、民主的な組織により、自由かつ活発な活動を助長する一方、その経済界全般に及ぼす影響に鑑みまして、その監督には遺憾なきを期する所存であります。次に取引所の会員の純財産額の最低額及び会員信認金の額は、現在政府が指定することとなつておるのを、自主的に定款をもつて定めることに改めました。次に、取引所における有價証券の上場につきましては、現在は証券取引所から政府に届け出た後、十日を経た日からこれをなし得ることとなつておりますが、今回これを改めまして、当該有價証券の発行者の申請に基いて、証券取引所に登録された銘柄のものに限りこれを上場することができるものとし、上場については発行者の意思を尊重することといたしたのであります。もつともこれには特定の場合に限り、発行者の申請をまたずして上場し得る規定、並びにこの法律施行の日から六箇月を限り、右の手続を経ないで上場し得る経過規定等の例外があります。次に会員のなす賣買その他の取引について、仮裝賣買、馴合賣買、相場操縱、過当投機の取締等の規定を設けますとともに、証券取引委員会が空賣または逆指値注文を制限し得る規定を設けまして、有價証券市場における取引の公正を期することといたした次第であります。
 その第六としては、以上申し述ベましたもののほか、会社の役員または主要株主が、当該株式の賣付または買付後、六箇月以内の買付または賣付により利益を取得した場合におきまして、当該会社またはその株主の請求によつて、その利益を会社に提供ぜしめる規定、並びにこれらの者の空賣の制限に関する規定を設けまして、役員または主要株主が、その職務または地位により取得した祕密を不当に利用することを防止することといたしました。
 最後に罰則につきましては、今般証券取引法を徹定的に自治的性格のものに改正いたします反面、罰則の全般にわたり整備強化をしまして、この法律の施行について遺憾なきを期することといたしました。
 以上をもちまして証券取引法改正法律案について、その大要を御説明した次第であります。財閥の解体、私的独占の禁止過度の経済力集中の排除等、経済民主化が実施の段階に入り、かつ企業並びに金融機関の再建整備の進行に伴う資金需要が、急激に増加するものと認められる最近の情勢に顧みまして、証券取引法の改正整備により、有價証券の取引の公正と、その流通の円滑をはかり、証券の民主化に資することは重大な意義があるものと存じます。政府としては、この法律案が一日も速やかに成立することを希望する次第であります。何とぞ速やかに御審議の上、御賛成あらんことを切望いたします。
#5
○早稻田委員長 これより質疑に入ります。塚田君。
#6
○塚田委員 所得税の問題に関しまして、実は大藏大臣の御出席を仰ぎたいと思つたのでありますが、参議院において本会議に質問があつて御出席のようであります。もつとも事柄が主税局長がおいでになれば事務的に十分御回答が得られるのではないかと思いますので、この際一言政府の所見を質しておきたいと存じます。
 ただいま主税局長から今回提出の法案の説明において御言明になつたのでも明らかなように、現在の所得税法が國民所得の現実に照らし合わせて、非常に苛酷なものになつているということは、これは申すまでもないのであります。この点は政府も御承認になつているがゆえに、おそらく早急にこれを改正しようということをお考えになつていると考えるわけであります。しかしこれを改正しなければならないという状態は、昭和二十三年度において新しく発生するものではなくて、昭和二十二年度の所得においてもうすでにこの事実上の状態は発生をしているということを言わなければならぬのであります。この状態がいよいよ最近に行われました昭和二十二年度の更生決定によつて実にはつきりと出てきた。もちろん政府当局のお考えからすれば、そのまま所得を計算した上であてはめたから、こういう結果になつたのだという、一應の御答弁はあるだろうと思うのでありますが、現在行われております更正決定の実情を見ますと、これは実にでたらめであるということを言わざるを得ないのであります。どういう点に私がそういう感じをもつかと申し上げますと、これはもうすでに今まで何遍も本委員会において質問をし、そういうことがないということを政府が言明をされておるにかかわらず、やはり末端の徴税当局、つまり税務署におきましては、上級官廳からの割当額を何とかしてとろうという観点のもとに、その予算を頭において、今度は更正決定というものをやはりやつておられる。これは爭い得ない事実なのであります。今までもしばしばそういうことがあつてはならないということを注意申し上げ、そうしてそんなことは絶対にせないという言明をしばしば得ておるのでありますが、どうして末端がそういうような状態になるのか私どもには納得がいかない。たまたまある具体的な問題においてそういう事例が起り、私も財務局に行つてその様子を伺つたのであります。具体的な実例をここで申し上げるのははばかるのでありますが、そのときの財務局の直税部長の言明では、それは一應の標準を地方税務署の通知をしてやつたんだが、決してそれによつてかけるということを言うてやつたんではないという言明があつた。ところが税務署に言わせると、財務局からこう言つてきておるから、これでとらなければならぬのだというように考え違いをされておる結果になる。おそらく中央の意向はそういうことをしないというお考えであるにかかわらず、第一線の税務署が、何とか割当を確保しようという氣持になり、その考えの違いがその辺から出てくるのではないか。この通達をされる趣旨が、十分徹底をしておらぬところに原因があるのではないか、この点はぜひ早急に、現地の税務当局のそういう考え違いを是正していただいて、その根底に立つて二十二年度の更正決定を再吟味していただくのでなければいけない、こういうように今眞劍に考えているわけであります。
 その次に今度の更正決定が非常にでたらめになつたのは、やはり税務署の人手不足が影響していることは私どもよく認めるのでありますが、大体今度の更正決定になつて、更正通知を受けた何人かの人たちの話を聽いてみますと、あなたのところへ一体調べに來てくれたかどうか、まず十人のうち三、四人は調べに來たが、あとは調べに來ないでこういう決定をもらつたのだという答弁をされる。もちろん今度の納税申告制度ですから、納税義務者の方で十分な申告をしないということが根本的な原因であつて、それは当然納税義務者の方にも改めなければならぬ面がありますが、しかしこれは日本の今までの徴税制度のぐあいから、予定申告制度というものが新しくとられたまだ過渡期にあつて、十分納税義務者の方にも熟知していないという事情なども考え、殊に税金というものはなるべく少くて済めば少くしたいというのが人情ですから、そういう意味から考えて、納税義務者の方から十分な申告が出ないということはやむを得ないことであります。しかしこれはもちろん納税観稔の向上などによつて、今後は是正されていかなければならぬ面ですが、しかし二十二年度の場合においては、納税義務者の方から予定申告というものが十分出ていないということは私どももよく承知している。しかし出ていないからといつて税金を何ら現地へ行つて調べることもなく、どういう標準でかけられたのか、私どもにはまつたく納得がいかない。まつたくでたらめと言わざるを得ないような状態において、ああいうような更正決定をし、その決定に基いて、ともかくも期日までには異議があつても一應これだけは納めろ、納めなければ競賣にでも何にでもするという態度は、これは少くとも二十二年度の税の取立に際しては、十分に御考慮願わないといけないのではないか、こう考えている。私も相談を受けた二、三の件について、二、三の税務署に行つてみたのでありますが、行つてみてこの徴税機構ではこうならざるを得ないし、これでは無理だということの事実は私も承知しております。若い二十一、二の事務官が、結局法律の命ずるところに從つて、それは本人としてはきわめて眞劍に、眞面目にやつておられるのでしようが、そういうような状態において、今年のあの更正決定というものが出てきたということを考えると、これはこの際どうしても二十二年度の更正決定自体を、個人の事業所得者全体について、何らか早急に適当な処置を講じて、もう一度考え直してみる必要がある。殊に異議のあるものについては相当親切に、まずその異議のある点を聽いて、適当な決定にまで引下げていただくということでなければ、とうてい今年の個人事業所得の納税の円満は期し得ないということを、私は確信をもつて申し下げることができるのであります。もちろん政府が強権をもつてされますならば、決定されただけのものをおとりになるということはこれはできます、できるでしよう。しかしもしそれをやられた場合に、どういう結果が出てくるかということを、私はその場合に政府に対して御警告申し上げたい。それは必ず事業を継続してやつてはいけないという状態になる。所得税というものはこれは國の收入の根幹をなすものであり、一年無理をしてもとれたらそれでよいというものでは絶対にないのでありまして、所得税を納める人たちが、事業を継続してやつていけないということになれば、來年度から、つまり二十三年度からは所得の根源がまつたく失われてします。現に私のところへ相談に來ております二、三の人が、もしこれをどうしても今年とると言われるならば、借金をしても、ある物を全部賣り拂つても納めるがそれではもう店を張つてはいけない。これでは廃業届けを出して、やみでも何でもやつて食つていかなければいきようがないと言つておる。農業所得の場合ですと、政府は農地制度の改革をやつて、われわれに土地を買取らしてくれたけれども迷惑だ。あの農地改革が行われた二十二年度の初めには、土地をもつことに非常な興味をもつて、土地の奪い合いがあつたにかかわらず、今年の更正決定がいよいよいきますと、こんなことではたいへんだといつて、むしろ奪い合つた土地を返えす声さえ、あつちこつちにたくさん起つておる。こんなことでは食糧の増産はとうてい望み得ないと言わざるを得ない。そういうように今日の状態がなつておる。それで私はさらに今年の所得の更正決定が、非常に高額になつたいま一つの理由として、政府がやみ所得というものを、きわめてルーズな認定によつて更正所得の中に加入されておるということ、それからやみ所得を加入されておらぬまでも、たとえば農業等の場合におきましては、昨年度において米穀の價格が大巾な引上げがあつた。そのために予定していない以上に課税額、つまり公定價格の値上げがあり、從つて公定價格、やみ價格を通じて、要するに物價の値上りそのものを、全面的に更正所得の中にお取入れになつたというところにも、今年の税が非常に強くなり、そうして現実にはそういうことを納税義務者の方では全然考えず、多少の所得のあつた者もこれは使つてしまつて、金が現実にないことが原因だ、こういうような所得の決定がきて、かりにこれを一年を通じて考えてみて、もうかつておるのかもしれぬが、全然納める能力もないという結果になつておる。私はこういうようなインフレの高進期における、物の値上りを所得の面にとられるということには、相当大きな疑問をもつておる。新聞、雜誌等に発表されるところによりますると、昨年一年において大体物價の値上りが、公定及びやみ價格を通じて、三倍くらいになつておる。そういうことになると、物をもつて、一年何にもしないでおつても、貨幣價値の上に換算した一種の所得の増加というものが三倍に見られる。ところが商賣をしておつて、なかなか一年に二十割も三十割も利益をあげるということは、よほど回轉の早いやみブローカーでもやつておらぬ限りは、そういう事業はめつたにないのでありまして、そういうことになると、ぢつとして遊んでおれば税金はかからなかつた。それをまじめに商賣をやつたがゆえに、税金がかかるという、妙な結果にならざるを得ない。こういう点にも今年の更正所得の決定そのものに、大きな矛盾があるのでないかということにも考えておる。
 以上いろいろ申し述べましたが、要するに二十二年度、今年度の決定のあのままでいかれたのでは、とうてい納得した國民の納税が期待し得られないということを、私は断言申し上げられると思うのであります。さいわい二十三年度の所得も、予定申告その他をいろいろ延ばそうという前提には、おそらく二十二年度の所得の最後の区切りを、もう少し徹底的にやらなければならないという、政府側のお氣持ちがおありになるのだろうと思うのでありますが、そういう点において急速に、二十二年度の最後の所得の決定、從つて納税の完璧を期する面において、何らかの処置を講ぜられる必要があるのでないかと眞劍に考えておるのでありますが、その点について少くとも事務当局として、大藏省がどういうふうなお考えをもつておられるかということを、ひとつお伺いいたしたいと考える。
#7
○平田政府委員 御承知のように、本年度の予算におきまして租税收入を千三百五十億程度に見込んで、それによつて予算ができております。この見込みは大体御協賛を経ました法律を適性に施行するならば、大体それだけの收入があるはずだという見解から見積つたものでございますが、その收入に対しまして――これもあるいは御存じかもしれませんが、昨年の暮までに、現実に租税收入としてはいりました額が、わずかに四百七十億でありまして、十二月までにはいりましたものが四百七十億でありますから、一月以降年度末までに、八百八十億という歳入があがらなければ、予算通りはいつてこない、こういう事態に実は追いこまれてまいつた次第でございます。その原因を調べてみますといろいろ理由はありまするが、一番大きな点は、何と申しましても、ただいま御指摘の所得税の、申告納税の分の歳入状況が非常によくない。勤労所得税と源泉課税の方は、一部減退等がございましたが、全体としては非常に成績が良好でありまして、見込みをすでに突破しておりまするが、一番惡いのは何と申しましても申告納税の所得税で、大体千三百五十億円の予算の中で、申告納税の分の所得税を、たしか約四百九十億近く見込んでいたと思いますが、それに対して十二月までに申告税を納めてもらつた金額というものは、わずかに六十億、見込みの一割四、五分しか申告によつて納まつていない。こういう事態に追いこまれてまいつた次第でございます。この原因は政府の側において宣傳が非常に不足しておること、それから新しい制度でございますので、お互いに慣れないでうまくいかなかつたというようなこと、その後インフレその他の情勢によつて、なかなか納税者も納めにくい事情もあつたとか、いろいろな情勢があつたと思いますが、とにかくそういう事態に追いこまれまして、そのまま推移すれば、おそらく本年度といたしまして、千三百五十億円に対して、相当な欠陥を生ずるおそれがありはしないかということを、私ども非常に心配した次第でございます。しかしこれは財政の信用にもかかわる大きな問題でございまするし、インフレをますます促進せしめまして、経済の復興に重大な影響があるということも考えられましたので、何とかしてこの不足を年度内に徴収することについて万全を期したい。また期せざるを得ないという事態に追いまこまれた次第でございます。そこでいろいろな方策を講じておりますことについては、すでに御承知の通りでございますが、私どもといたしましては現在の徴税機構の許す限りにおきまして、全能率をあげまして仕事に精励する。一方宣傳その他につきましても万全を期しまして、あらゆる方策を講じて何とか歳入を確保したい、こういう趣旨でまいつた次第でございます。その際において今御指摘の割当ということを、よく御指摘を受けるのでありますが、これは私どもとしては、普通の米なり、その他の物資の割当といつたような種類のやり方は全然いたしておりませんということを申し上げておきたいと思います。ただ、今の税法を適正に、円滑に施行するならば、大体これくらいの歳入は確保し得るのではないかという意味における見込額というものを、各税務署ごとに財務局等で調べと指令しまして、一つの努力目標といたして、数字を示しておることは事実でございます。ただこれは、あくまでも私どもの見解から申しますと努力目標でありまして、税法を適正に施行するならば、これだけは歳入があがるはずだという意味のものにしかすぎません。その結果において適正に施行した結果目標に達しなくてもこれはやむを得ない。反対に適正に施行して目標をオーバーする場合も当然考えられると思いますが、一つの目安を示しまして努力してもらうということにいたした次第でございます。よくその辺が徹底しないために、御指摘のような言動を漏らしておるような一部の者がおるということを聞まきしたので、早速そういう点につきましては、たびたび考え方を是正させるような行き方をとつておるのでございます。なお不徹底な点につきましては、今後も十分徹底させるように努力してまいりたいと思つております。あくまでも私どもといたしましては税法に從つて徴税するというのが大原則でありまして、これを忘れては民主國家としての意味がなくなるという点につきましては、特に注意をいたしておるような次第もありますので、なお今後におきましても、そういう点については一層徹底をはかるつもりでおりますので、御了承願いたいと思います。
 それから次に本年度の更正決定でございますが、理想から申しますと、実は將來は、申告でもう少し納まるような状態になるようにもつていかなければならぬ。私どもといたしましても少くとも申告税は、予定の六、七割くらいは納まるところまでもつていかなければならないのではないかと思いますが、遺憾ながら本年度といたしましては、先ほど申し上げましたように、見込みの一割四、五分しか申告で納まらない、こういう状態にまきこまれましたその際といたしまして、それでは漫然として放つておくかという問題でございますが、それもやはりどうも不適当ではないか、この際といたしましては、税務官廳も非常に手不足でございますし、御承知の通り慣れた税務官吏が不足でございまして弱体でございますが、しかしながら大きな歳入欠陥に対しまして、そのまま放つておくわけにまいらない。できる限り短期間ではあるが、ベストを盡して、できるだけ調査をし、速やかに更正決定をやつて、申告の不足をカバーするような方針で指導してまいつた次第でございます。その際においては私どもは、できるだけ各人について当つて調べてそれに基いて更正決定の案をつくるようにというふうに、くれぐれも注意に注意を重ねておるのでございますが、御承知のように多数の納税者についた調べでいくことはできなかつたということも、私どもよく承知いたしております。でございますが、何と申しましても今申しましたような申告の状況でございますので、私どもはやむを得ず、できる限りの調査をいたしまして、更正決定をいたしまして、それによりまして年度内の歳入を、できるだけ確保するというような措置をとらざるを得ぬような実情に相なつたた次第でございます。從つて今御指摘の通り、多数のものについて一時に決定いたしたのでございますので、中にはどうも的をはずれたものも相当あろうと思います。そういうものについては、異議の申立等についても、できるだけ懇切に應対をいたしまして、はつきりした誤謬については即刻直するよに、ただ間違いが、相当調査をしなければはつきりしないといつたようなものについては、先ほど御指摘もありましたように、審査の請求をいたします。しかしそれで納税せ全部延ばすということになりますと、みな審査の請求をいたすということになりますので、法律にもございますように、原則といたしましては、審査の請求があつても納期は延ばさないという考えでございますが、しかしながら明瞭なる誤謬についてはなるべく早く直して、そりに從つて納税をはかるようにという趣旨で、目下盛んに指導いたしておるようなわけでございます。本年度といたしましては、私どもは実はもう少し早いうちに、何期かにわけて納税していただくならば、御協賛を得ました今の税法も、そうめちやくちやに無理なものだとも考えていない。ただ年度末になりまして、一挙に一遍に納めていただかなければならぬという実情になりました点については、どうも私ども納税者の立場についても、金策その他について苦心しておられるものが多いのではないかということもわかつておるのでありますが、さればといつてそう一般的に延ばすということになりますと、本年度の歳入に大きな穴が生じますので、何とかひとつやりくりしていただきまして、本年度内に納めていただくように、目下万全の策をとつておるような次第であります。大体さき申しましたように、勤労所得税等は、実は予算を超えておるような次第でございますが、申告納税の所得税の方が遅れまして、その結果年度末に一遍に納めていただかなければならぬというような実情になつておるのでありまして、その間私どもいろいろ無理があるということもよく存じておるのでございますが、一方とにかく予算の計画がそういう計画でできておりまするし、それからこれを漫然と延ばしますると、インフレその他にも重大な影響もありますし、國の財政の信用等にも相当影響がありますし、対外的にも相当おもしろくない事態を生ずるおそれがございますので、本年度といたしましては何とかひとつこれを納めていただくように希望いたしたい。ただ先ほど御指摘になりましたように、あるいはまた提案理由でも御説明いたしましたように、何と申しましてもやはり少し所得税の負担が重すぎるのじややないかということを、私どももつくづく感じております。非常に所得が一般的に名目的には殖えておりますが、実質的には生産の減退に伴いまして、ほんとうを申しますと非常に減つておる。それに対しまして所得税の相当な額を負担していただくということは、國民各位になみなみならぬところがあろうと考える次第でございますので、來年度の計画といたしましては、所得税等につきましては、でき得る限りの軽減をはかるような方向へもつていきたい。ただこれにつきましては、まだ予算の総額も決定いたしておりませんし、それから物價賃金等の水準も、大体どの程度のところにいくか、確たる見透しもまだつきかねておりますので、案を得て御審議を煩わす段階にまで至つておりませんが、諸般の事情を考えまして、できるだけ所得税については軽減をはかりたい、かように考えておる次第でございます。その際にはさらに委員会におきましても、篤と御審議を煩わしまして、適正な納税ができるようにお願いいたしたいと存じておりますので、本法律案につきましては、そういう趣旨からいたしまして、もう一月延ばすということにいたしたような次第でございます。
#8
○塚田委員 主税局長の御説明を伺うと、われわれの期待しておつた通りよく納得ができるのであります。おそらくそうなければならぬし政府も努力を拂つておられることはよくわかります。ただ末端がそういう状態であるということにおそらくなつておるのでありましよう。そこで具体的な措置について、実はもう一、二お尋ねしておきたいのでありますが、結局異議の申請をしても、納めなければならないということで、また納めなくてよいということになれば、みな異議の申請をして納めないということになつて、収入がかりにとれても遅れるということは、これはおつしやる通りで、われわれもそれは困ると考えるのであります。ただ今度の更正決定を受けた後の現実の状態を見ると、予想よりも安かつた連中はこれはよかつたといつて納める、ほんとうにこれはとてもたまらぬという連中だけが、納められないから納めないでおる。だから納めた人間は、むしろ納めない人間より、はたして人間がよいのかどうか、國に対して忠実なのかどうだか、これは何とも言われません、異議の申立をしなければ納めないということではありますが、しかし納めようにも納められないような、べらぼうな通達を受れておる人たちが非常に多いのであります。それで実は一般の人たちの希望をいろいろ聽いて見ましても、自分が申請したのはたとえばこれだけだ、決定はこれだけに受けたのだが、この辺ならば自分も納めなければならないと思うというふうに、やはり人間として、正直に言つて納得のできる額というものは、聽いて見るとみんなあるのであります。だから私は全部決定された額に從つて納めるということでなしに、その辺の手心を何とかうまく話合でもされて早急にして、そうしてあとまた徹底的に調べて見ると、それがはたして現実に合致しておつたかどうかというようなこと、ほんとうにこれは便法的な措置でありますが、さような措置が何とかうまいくふうをしてされないものがどうか。これも下手をすると非常に惡用されるおそれがあるのであります。しかしまた現実に第一線の税務当局なども、所によつてはそういう措置は――これはおそらく第一線の措置としては英断であろうと思うのでありますが、納得のいく範囲で、とにかく納めておいてください。それで再審査の申請をしてくださいというような措置をとつておられるところもあるように承知しております。こういう措置が、もし全國的に何かあまり惡用をなされないような方法でこの際至急とれないか。そうでないと実際に納めよと言つたつて納められない。第一、具体的な話を申し上げますが、私のところに相談にまいつておりますある紙を商賣しておる人、これが四十万円の所得査定を受けた。そうして追徴の二割五分を加えると約三十四万円税金を納めろということになる。あなた正直にひとつ話をして見なさい、どのくらい一体儲かつておるのですがと言つたら、まあ私は二十万円くらいの所得があると自分でも考えておる。これは全然自分でも所得の申告をしておらなかつたそうです。その程度ならばひとつ納めておきたいと思うが、四十万円に対して三十四万円の税金では、いくら納めろと言われても、それだけの金策のゆとりも何もないこういうことを実は言つておる。そういう事例がおそらく相当あると思うのでありますが、そういう便法的措置が、何かうまく講ぜられる方法がないものかどうか伺いたいと思います。
#9
○平田政府委員 お話にあげられました具体的な問題等につきましては、その具体的ケースにつきまして、実情に應じましてある程度しかるべく処理する方法は、これは私どもも妨げないと思いますが、ただ一般的に審査請求が出て、きまるまでは全部少し延ばしておくようにというふうになりますと、どうも他面非常に問題が起りますので、ごく一般的、画一的に一定の方針を流しましてやるということは、なかなかむつかしいのではなかろうか。ただ実情に應じまして今御指摘のように、非常にとつぴな決定であるということは常識的にも明らかであり、直す時間はないが、大体直さざるを得ぬような実情になつておる、こういつたものにつきましては、その現場のそれぞれの責任におきまして、ある程度しかるべき措置をとることは、これは私やむを得ないと思いますし、また大体そういうことにつきましても、それぞれ各現場の長において配意しておるのではなかろうか、あるいは配意するのは私どもといたしましても差支えない、かように考えておる次第でございます。
#10
○塚田委員 もう一点、先ほどお尋ねいたしましたことで誤解を起したのでありますが、先ほどもちよつと申し上げましたように、こういうインフレの高進期に値上りをする。その値上りを全部課税所得の上でつかまえるというのは、これはどうしても私は妥当でないように思うのであります。これはいろいろ議論がある問題なんで、今までも学者やなんかにも論ぜられておるのでありますが、その面の何とか配慮が少し加えられると相当うまくいく、たとえば農業得所などにおきまして、昨年中ああして米の値段が急速に上つたものでありますから、うんと税金が高くなつた。そうしてその米の値段が上つたというのが、自己の保有米にまで、その値段でもつて所得を計算してやつてくる。米は食つてしまうのだということになつて、これは金の出途が、ことに單作地帶の農家では全然ない。そこで農業などに例をとつて見ると、政府のきめた値段だから、これはひとつ課税の面では、米の値段を今年はこの範囲で計算するというような便法がないものかどうか。これは結局先ほど申し上げました、インフレの経過中に出てくる値上りからくる所得の増加というものを、全面的には取入れない。もちろん全部とらないというわけにはいきませんが、多少とも考慮を加えるという方法がないものかどうか、この点についての御意見をひとつ伺いたい。
#11
○平田政府委員 今御指摘の御議論は一つの有力な議論だと思うのでございますが、ただ実際上の所得を分解しまして、この分は特に今御指摘のような部分である、その他の部分は普通の所得といつたようないき方をとるということも、これはなかなかむずかしい方法ではなかろうかと思いまするし、その問題は結局におきまして、所得が殖えるに伴いまして、税率等がだんだん高い累進税の課税を受けてくる。こういう点が最も実際上負担に無理を來しておる点ではなかろうかと考える次第でございます。從いまして今度の改正案におきましては、さような点につきましても考慮を加えまして、累進率等につきましても、適当にずらすような方法、たとえば十万円の昨年の税率は、本年度は大体二十万円の税率にもつていくというような考慮を加えることによりまして、一方で税率の盛り方で、できるだけの調節を加えていくというようなことをいたすのも、一つの方法ではなかろうかと思いますが、所得の一部をわけまして、特別に特例を設けて課税するというような方法は、なかなかむずかしいのではなかろうかというふうに、現在のところは考えておる次第でございます。
#12
○田中(織)委員 私の質問したいごく一般的な問題は、ただいま塚田委員から質問されたので、重複を避けて、主として今度の二十二年度の更正決定に関連した農業所得の問題について、二、三主税局長にお伺いしたいと思います。われわれ財政金融委員会の委員は、すベて先般発足を見ました租税完納推進本部の委員をやつておりますので、われわれも地方へ帰りますと、その線に沿つて動いておるものでございまするが、今度の二十二年度の更正決定によるところの、一見して非常に過重な所得税の負担に対しましては、これを納めてくれということを、われわれの口から言われないような立場に実はなつておるのでありまして、その点から特に大藏当局の御考慮を願いたいと思うのであります。先ほど塚田さんからの質問で指摘されておるのでありますが、今度の所得の更正決定にあたりましては、私はやはり米の供出割当と同じように、答えが先に出ておるきわめて非民主的なものである。事実上割当が行われておる。本廳なり、中央においては、そういう考えはもつておらないという主税局長の先ほどの御答弁でありましたが、これは具体的な事実を指摘しろと言われるならば、申し上げて差支えないと思います。特に和歌山縣のある税務署の職組関係の人たちが、その事実をはつきりと私に話をしておるのであります。その具体的な現われといたししては、先ほどちよつと懇談的に主税局長にお話申し上げたのでありますが、和歌山縣の例を申し上げますと、水田二毛作の一反歩あたりの農業所得というものが、先般農林委員会から大藏当局に御提出を願つた資料によりましても、大体三千九百円程度の、一つの中庸所得の基準の算定されておるのであります。和歌山縣の場合においても、当初は大体四千円見当の数字を出して、一、二の町村にはそういうことを税務署の方から通達されておる、ところがやはり目標額というものがある関係から、それに対して一率に二千円ないし二千五百円をプラスしたものを、今回の更正決定にあたつた通達してきおるという事実があるのでありまして、この点につきましては、私非常に懇意にしておる和歌山税務署の塚本君が、先般この問題の適正化に関する農民大会の実行委員がまいりましたときに、その事実をはつきり言つておるのであります。こういうようなことは私の和歌山縣において頻繁に現よれておるのでありまして、この点については、特に和歌山縣のその他の実例もうると思うのでありますが、大藏当局におかれては実情を調査されて、適切なる措置を講じていただきたいと思うのであります。
 それから今度二十三年度の所得の申告竝びに第一期分の納税の期日を延期されるという措置は、きわめて適切な措置だと思うのでございますか、この点につきまして先ほど塚田委員からの御質問に対して、一般的にこの納期をいつまで延ばすというようなことは言明できないという主税局長のお氣持は、よくわかるのでございます。現実に今度の更正決定を受けた特に農山村、こういう方面におきましては、現在すでに現金はないのであります。そういう意味でせめて麦の収穫ができるまで、少くともある部分については、御猶予を願わなければならないような実情にあるのであります。米の供出を完了したばかりで、供出代金があるではないかという御見解もあるかと思いますけれども、農民はすでにこれらの供出代金によりまして、二十三年度の、特に一割増産の強制されておる事前割当を受けておることに対應いたしまして、肥料その他の、農業に必要ある資材の確保に、これらのものを費しておるのであります。そういう意味でここに再審査中の全部とは申しませんけれども、ある部分の納入猶予について御考慮を願いたい。和歌山縣下においては最近頻繁に、ほとんど全郡で二箇所、三箇所というような形で、この問題で農民の集まりがございますが、そこでは七月まで納期を延期してもらいたいという要求が出ておるのであります。その点について先ほどの御答弁をさらにはつきりしていただきたいと思うのであります。納期の問題についての御考慮と同時に、分納の問題、これは税法では分納を認めないということになつておるのでありますが、少くとも納得のいくと申しては語弊があるかもしれませんが、農民としてもこの決定のある部分については納める考えをもつておるのでありますから、この点について実際上の一つの機動性のある取扱ができるように、末端に対して何らかの御通達が願えれば、非常に結構だと思うのであります。
 それから今度の納期竝びに申告の延期の理由として、先ほど提案理由の御説明の中にありました所得税法の改正について御研究が進められておるようでございますが、私はその問題に御考慮、御検討をなさる上において、ひとつ御考慮を願たいと同時に、その点について一つの事実を指摘いたしたいと思うのであります。現行の所得税法の第十二條によりますると、これは農業所得等の場合における基礎控除が、四千八百円と規定されておるところに、現実に納められないところの税金がかけられておるという結果が現われてきていると思うのであります。今日農村においても七人、八人、十人というような、相当な大家族を抱えている農家におきましては、かりに主食あるいは野菜等を自家生産をいたしまするにしても、一箇月の生計費は五千円やそこらではあがらないのであります。そういう意味において基礎控除というものは、あくまで最低の生活控除という性格をもたなければならないと思うのであります。年間四千八百円の基礎控除で、一体どうして國民の最低生活が、收入の面において保障されるかということを考えていかなければならないと思うのでありまして、この点につきまして、農民の場合の農業所得のごときは、労働者の給與所得とほぼ同じような性格をもつていると私は思うのであります。供出は決して普通の賣買ではないのでありまして、一種の強制的な收奪経済だと私は考えているのでありして、そういう点から勤労所得税の場合におきまして、一万二千五百円というものが控除されておるにもかかわらず、農業所得等におきましては、四千八百円しか基礎控除がされておらないというところに、今度の税額決定の非常に無理の原因があると思うのでありまするが、所得税法の改正にあたりまして、大藏当局はこの基礎控除額を引上げるということについて、御用意があるかどうか伺いたいと思うのであります。
 それからもう一点、いわゆる追徴税の問題でございます。今度の更正決定の通知の中に、この追徴税をすでに加算したものが通達されておるのでございまするが、この申告税をとることになつてから、この制度の趣旨が十分に徹底されておらないということについては、先ほども主税局長も認められたところであると思うのであります。少くとも納得のいかない、どうしても再審査を請求しなければならない事態にあるにもかかわらず、すでにこの追徴税を加算して通達するというようなことは、われわれとしては了解できない問題であります。この問題につきましては、大阪の財務局長にいたしましても、名古屋の財務局長にいたしましても、四月一ぱいに納入するものについては、追徴税をとらないということをすでに言明をいたしておりまするが、私はこの追徴税の額というものは、いわゆる税收入の総額の中に予定されておらないものだという見解をもつているのでありまして、そういう意味合から、この点につきましては、四月一ぱいが納期の最大限度ということになつている関係があるのでありまするが、追徴税の問題につきましては、この点を特に御考慮願いたいと思います。きわめて不適正な課税の場合に、さらに最初から追徴税を予定してかかるというようなことには、われわれ賛成しかねるのでありまして、あるいは現行の税法の改正をやらなければならないとおつしやるかもしれませんが、この点についての彈力性のあるお取扱いをやつていただきたいと思います。その点についての大藏当局の御用意を伺えればさいわいだと思うのであります。
#13
○平田政府委員 お答え申し上げます。ただいま最初に御指摘のありました和歌山縣の問題につきましては、具体的の問題でございますので、私どもの方からもよく善処するように通達いたしておきたいと思います。先ほども申し上げましたように、私どもの方は税法に從つて所得を計算して、税法に從つて徴收するという建前はあくまではつきりいたしておりますので、それに反している事実がありますれば、よく調べまして直させるということに決してやぶさかではございません。
 次に四千八百円の基礎控除の問題につきましては、四千八百円という額は、給與所得も同様ですが、ただ給與所得につきましては御承知のように、所得の性質上二割五分の控除が別に認められております。農業所得につきましてはその控除が認められていないというところが、給與所と農業所得との違う点でございます。この四千八百円の控除につきましては、大分無理であるということも、私ども最近痛感いたしておりまするので、こういうものにつきましても、できるだけ引上げまして負担を援和するようにいたしたいと思つております。具体案につきましては目下研究中でございますので、あらためて御審議を煩わすようにいたしたいと考えておる次第でございます。
 それから農業所得の問題と追徴税の問題でございますが、農業所得につきまして、今各地でいろいろ問題を起しておることは、私どももよく承知をいたしております。すでに財務局長に対しましては、異議の申立があつた場合においては、なるべく早く取調べをいたしまして、誤診がはつきりしているものについては、なるべく早く処理するようにということを一般的には言つております。ただ実際問題としまして、若干見解の相違等もありましてなかなか処理が進捗しないようなことも予想される次第でございまするが、ただ処理が進捗しないから、この際進捗するまで納期を一般的に延ばすかということになるのであります。そこまでまいりますると先ほど申しましたように、本年度の予算の税收入を確保するといつたような見地からいたしましても、なかなか困難な事情もございまするし、一方農業所得につきましては御承知のように、税法で特に延ばしまして、農産物を販賣した後に納めてもよろしいという制度になつておるわけでありまして、そういう点につきましては、來年度からはあるいはもう少し前から納めていただいておいた方が、かえつていいんじやないかと思われますが、本年度といたしましては、所得税法の規定に從いまして、それぞれ年度末に一年間の実績に基きまして、確定申告によつて納税する。その不足分は更正決定をいたしまして納税していただくという制度に相なつておりまするので、これも一般的に延期するということについては、なかなかそこまではいきにくい事情にあるということを御了承願いたいと思います。ただ追徴税につきましては、御指摘のように、私どもといたしましても本年度は役所側にも宣傳不足、あるいは勉強不足等いろいろございまして、責任の相当な部分を負わなくてはならぬ。農林省の側といたしましても趣旨が徹底してなかつたという点もございなすので、運用に大幅の彈力性をもたせまして、地方の実情に應じてやるようにという趣旨のことは言つてやつております。そういうことによりまして、本年度といたしましては御指摘の通り、無理をいたさないという趣旨で運用をするつもりでおりますので御了承を願います。ただこの問題は申告制をとります以上は、ある程度こういう制度を設けまして、そうして補完して、申告によつて納税が促進されるようにしていきませんと、申告制度自体の運用が円滑を期せられませんので、今後におきましては宣傳、その他につきましても、さらに一段と努力を重ねまして、申告納税制度自体が、有効に運用されるように努めていきたい。そういう際におきましては、追徴税制度も大いに活用していきたい。かように考えておる次第であります。
#14
○早稻田委員長 お諮りいたします。午後一時半まで休憩をいたしまして、質疑を続行いたしたいと存じますが……。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○早稻田委員長 御異議はないようでありますので、さよう決定いたします。
 暫時休憩いたします。
    午後零時三十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四十二分開議
#16
○早稻田委員長 会議を開きます。
 休憩前に引続いて質疑を続行いたします。宮幡君。
#17
○宮幡委員 所得税のことにつきまして簡単に質疑させていただきます。実は自分は三箇月間病氣をいたしまして、今日初めて登病をいたした関係で、あるいは同僚委員の方々と重複の質問もあるかもしれませんが、要は今回の所得税の重い負担、國民に耐え得ない苦しみを與えておるという問題は、形に現われました一時的の問題ではなくて、税法の根本的な時代遅れになると考えておりますから、この点につきましては、昨年の第一回の國会におきまして、所得税法等一部改正法律案が上程せられましたときに、時の大藏大臣並びに主税局長に対して意見を申し述べておきましたが、当時の状態といたしましては、いささかもその点について考慮を拂おうというような用意がなかつたように承知しております。その点は速記録で御確認を願えば結構だと存じますが、本日同僚塚田委員並びに田中委員からの質問に対しましては、新主税局長さんから懇切なる御説明がありまして、当面の問題は一應得心しなければならぬような状態になつております。しかしまだまだ拔本的問題につきましては、主税局長さんの説明をもちまして満足するわけにはまいらぬのでありまして、それで一、二お尋ねいたします。今回國民に対しまして重き税の負担をせまらなければならなくなつた最大の原因は、昨年の大きな追加予算に禍いされておることは明らかであります。税の改正によりまして得ます所得の増加よりも、いわゆる國民所得の自然増加による税の自然増收の方が多い、総額において四百六十億六千六百万円を自然増收で計上してありまして、このうち所得税の占めます割合は、二百六十八億四千九百万円となつております。この自然増收なるものは、日本の財政史を考えてみますと、かような予算の計上振りの示したことは前例にないように考えております。この不健全なる所得見積りを、どうしても國民に割当てなければならぬ。しかも國民総所得の計算の中には、商業所得といつて、原始所得でない部分を算定したものが数千万円あるわけであります。かようなものは國民の負担の重複を來すものでありまして、これまた税を根本的に得るにふさわしくない見積りであります。この結果、主税局長さんの円満なるあるいは円滑なると申しましようか、御回答の中に努力目標を税務署に與えたと申しておりますが、それは單なる言葉の操作でありまして、事実は苛酷なるところの税を國民に割当てた結果になつております。この点に思いをいたされまして、税務行政の実際について、十分なる温情をもちまして納税者に接することが、まず肝要だと考えております。と同時に先ほど田中委員からも、基礎控除の四千八百円の問題につきまして、るる質問がありました。この点についても昨年非常にくどく私が大藏大臣に追つておりますが、それは所得の中、必要経費として認むるものの中に、生活費が含まれないということは、極端の言葉で申せばいわゆる血となり、肉となり、骨となつて消費せられた所得までが課税の対象となる。かりに一家十人ありまして、一人の一箇月の生活費が一千円とすれば一万円かかる。一年に十二万円になりまして、その家庭は現実に預金を五万円引出しまして、たけのこ生活に終りましても、なおかつ十二万円の課税決定は、現在の税法では適正である、かようなことになつておる。かようなことはすでに年度末をまたずとも、この追加予算を見ただけで國家が徴税に苦しみ、國民が重税に悩むということは、明らかな事実である。今日においてこの弊害を是正しなかつたならば、年度末における國家財政の破綻は、火を見るよりも明らかであるということを鋭く申し上げておいたはずであります。しかるに今日に至りまして納税者が納税思想がないとか、あるいは税の徴收が思わしくないとかいうことは、事務当局の当事者は迭つておりますが、私をして忌憚なく言わしむるならば、はなはだ心外にたえない一言だと思います。かような意味におきまして大藏当局においては、一段と税に対します見かたをかたえまして、猛反省せられる余地があるのではなかろうかと存じております。殊に先ほど主税局長さんの御説明からまいりますと、近く税法の改正も行いたい。その場合には基礎控除等の考慮をする心構えをもつておるというお話でありますが、先般の大藏大臣に対します質問のときにも申し上げておきましたが、アメリカ式にデイレクトされましたいわゆる改正税法であるならば、さらに深い思いをしていただかなければならぬのであります。その点はなぜかと申しますると、生計費の中に含みます飲食費の割合は、アメリカにおきましては二〇%程度であります。わが國におきましてはすでに七五%の線を超え、八〇%に達しております。いわゆる食うことだけ、ただ命をつなぐことだけが生計の全部になる。簡單な言葉で言えば、こじきの生活に近いところへ追いこまれておるのであります。結局アメリカは五百ドルの基礎控除しかしていないから、四千八百円、あるいはこれを引上げて一万円にすることによつて妥当であるというお考えを、もし事務当局でもたるるならば、近い將來に行われんとする所得税法の改正も、國民負担の適正を期することは、はなはだ疑わしいものがあると思うのであります。この点につきまして、ぜひとも私は大藏当局に要望いたしますのは、その筋よりのいろんな勧告その他に対しては、日本民族の実際の生活実態を裸になつて訴えていただく。アメリカでは五百ドルの基礎控除で、生計費のうちに飲食費がわずか二〇%なるがゆえに生計費をカバーできるが、日本においては絶対に四千八百円や、年額一万や二万のものではカバーができないのである。これを國民に代つて切実にお訴え願いたい。同時にわれわれも、もしその実情を訴えろというのならば、いずれの機関でも、いずれの部門えでもまかり出まして、実際の資料を提供して、強くこの点を要望いたしまして、いわゆる國民に納得のいく納税をせしめたいと考えております。その余の実際問題につきましては、塚田委員、田中委員の御質問等より、私の立場上多少たくさんの材料をもつておりますが、要はこれは愚痴であります。このせつぱ詰つた年度末になりますれば――惡い言葉ではありまするが、何とかして國民の氣持をなだめて、できる限り國家の歳入を満足させる方法に進まなければなりません。さような意味において、具体的の事例については申し上げることを避けますが、近い將來における所得税法等の改正については、一段の御考慮、そしてその筋から参りまするいろいろのことに対して、もつと勇敢に、日本民族のために御檢討をお願いしたいことを、ここに申し添えまして、質問にかえる次第であります。
#18
○平田政府委員 ただいま非常に有益な御意見を伺いまして、私どもよく拜聽しておきたいと考える次第であります。なかんずく昨年度の追加予算の編成方法については、私どもも今日から振返つてみますると、大分無理があつたということは、はつきり認めざるを得ないと思つております。しかもそれが追加予算を編成し、同時にすぐ確定するということであれば、まだよほどよかつたのじやないかと思いまするが、編成に相当な時間がかかりまして、確定するまでにすでに相当な時間を要したといつたところから、さらに一段の問題を起しておるようでございます。ただ実際上、昨年度の経済情勢の変動等から顧みますと、またやむを得ないところも相当あつたのではなかろうかと思う次第でございます。所得税法の改正その他につきまして御意見のございますところは、できる限り考慮いたしまして、近く改正案を出します際に、十分御審議を煩わしたいと考える次第でございます。
#19
○早稻田委員長 宮幡君よろしゆうございますか――田中君。
#20
○田中(織)委員 午前中残りました一点について、大藏当局の御方針を簡單に伺つておたきたいと思うのであります。それはやはり二十二年度の更正決定に関する問題でございますが、この更正決定をするまでの間におきまして、ある意味における団体交渉――これは先般の議会で、団体交渉は從來行つてきたのを原則として認めないということになつておりますが、現在の税務機構に関係から、特に町村当局等に対しまして、一つの課税基準のパーセンテージを算出させまして、税務署がそれを参考にして課税するという方法をとつてまいつたことは、特に村内あるいは一つの町の中におけるアン・バランスを起さないという意味において、非常によい方法だと考えているのでございます。ところが今回のように個人の課税額が決定いたしますと、結局個人が再審査の申請をして、税務署と折衝するという形に相なるのでございますが、今回のように全面的に非常に過重であるという物議を釀しているような事態におきましては、やはり町村当局なり、あるいは眞に民主的にできた委員会と税務署との間における、実質的な団体交渉というものが認められなければならぬ。ほとんど村の全体が再審査の申請をしているというような場合に、税務署として個々に折衝するということも、なかなか煩にたえないだろうと思いますが、法規の上から団体交渉が正式に認められないといたしましても、特に任意的な団体ではなしに、市町村当局と税務署との間に、そういう実質的な意味における折衝というものが認められなければならないと思う。私の出身地方におきましては、全村の各人の決定額を総計しますと、その村の当局者が認めた村全体の二十二年度中における所得の総額を、はるかに上まわるところの所得額が出てきているのであります。從つて農業会あるいは郵便局、銀行等に連絡をとりまして、調べた町村に預金の総額はもちろんのこと、おそらく各人がある意味において退藏しておるであろうところのものをも総計いたしましても、税額の半分に満たないというような貧弱町村に対しまして、非常な税金が課税されている。そのために目下例の六・三制による新制中学校の建設であるとか、町村吏員に対する給料の支拂の問題であるとか、村自体のそういう問題に全然手がつけられない。学校建設に対するいろいろな寄附金等も、縣から分担を命ぜられているのでありますが、そういうことがやられない。村民が部落に集まつて、こういう苛酷な税金を課せられることになつたのは、村長なり、村会議員の責任であるということで、全面的辞職を要求してきている。こういうような形で非常に困惑いたしているのであります。またさきのいわゆるパーセンテージを出して税務署の参考に供したという場合におきましても、少くともその村全体の所得の総額につきましては、ある程度町村当局の意向というものに基いて、税務署が考慮されなければならないのではないか。かように考えます。そういう意味で最近各税務署ごとに、町村に署長以下が出席してもらつて、懇談会あるいは相談会というような形で、実質的な折衝を進めていただいておるのでありますが、こういう実質的な意味における今度の更正決定の適正化についての団体の交渉権を認めていただきたいと思うのであります。その点について大藏当局の御意見を伺いたいと思います。
#21
○平田政府委員 団体交渉につきましては、今お話になりましたように、昨年から納税は税法に從つて、その納税義務者が政府に納付すべきものである。こういう本旨に鑑みまして、その所得の決定については直接納税者が申告をし、それから政府が決定をする。こういうことに昨年から実は改められた次第でございます。本質的な点につきましては、私どもやはりこの原則は今日といえども変更するわけにはまいらぬと考えております。ただその場合に一番大事な要点は、要するに所得額を団体を通じてきめる。從來ややともいたしますと、総額を団体と交渉しまして、その総額の範囲内において、適当に各人毎の割振りは団体の方が案をもつてきて、それを税務署が認めるか認めないかの交渉があつたようでございますが、こういう行き方は今後といえども認めがたい。要するに納税者の最終的な所得の額を団体を通じて決定するということは、これはむろん差控えたいと考えております。ただ団体等は納税者の実情を一番よく承知いたしておりますので、納税者の実情なり、あるいは場合によりましては、大体の純所得みたいなものにつきまして、税務署に意見をお述べ願うということは、これは一向差支えないどころか、非常に歓迎するところでございまして、そういうことにつきましては、税務署といたしましてはできるだけ尊重して話を進めていくということは、これは一向差支えないことを考えておる次第でございます。その点において昨年は団体交渉を止めるというのが少し強く響き過ぎまして、その結果、団体との折衝は一切お断りというようなところまで発展しておるところがあつたようでありますので、その点につきましてその後私たびたび趣旨を申し上げまして、最近では大分改善された方向に向つておると思いますが、要点はそういうところにございますので、御了承願いたいと思います。なかんずく市町村につきましては、これは必ずしも私ども市町村にいろいろ調査を頼んだり、調査上の意見を言つていただくということについては、これは必ずしもいわゆる団体交渉という考え方をとつておりません。これは最も農村なんかの実情をよく知つておりますし、それから公正な機関でございますから、こういうものにつきましては、積極的に税務署長等が意見を聽くということは、これはもちろん正しい方法だと思いますし、今後におきましても、できる限りそういう方面の意見をよく聽きまして、むしろ適切な更正にいくようにもつていきたい。かように考えておる次第でございます。
#22
○早稻田委員長 ちよつと御相談いたしますが、本会議もありますので質疑はこの程度で保留いたしまして、明日にまわしていただいたらどうかと思います。
#23
○大上委員 課税の適正あるいは納税の思想云々という問題が取上げられておりますが、実情を見ますと不当課税と見受けられる点もややあると思います。これについて一つの動議を出したいと存じますのでよろしくお諮り願いたいと存じます。
 昭和二十二年分の所得税の円滑適正と納税の確保に関する決議案、政府は、昭和二十二年分の所得税の円滑適正なる納税を確保するため、次の措置を講ずること。
 一、所得税の更正決定に対する審査請求の取扱いについては、特別の考慮を拂うこと。
 一、不当課税については、速やかに是正の方途を講ずること。
 一、追徴税については、実情に應じて苛酷にわたらないよう十分留意すること。
 一、所得税機構の整備、徴税能率の増進をはかること。
これだけを決議していただきたいと存じますので、よろしく御審査願いたいと思います。
#24
○早稻田委員長 ただいま大上君から動議が出ました。この動議に対していかがいたすかお諮りいたします。
#25
○中曽根委員 大上さんの動議に対しては御趣旨においてはまつたく賛成であります。ただいろいろな文章の体裁や内容につきましては、ただいま外資導入の矢先、連合國方面においては、日本における税金の收納の状況や、その他納税思想などが大分関心の的になつておるやに承つておりますので、その辺も勘案して文章を練る必要があると思います。特に委員会なりあるいは小委員を選定して起草をしていただいたら結構じやないかと思います。
#26
○早稻田委員長 大上君の動議に対してはどなたも別に御異議はないようであります。動議の通り決定いたしたいと存じますが、ただ中曽根君からただいま文案等についてはなお險討の余地がある、こういう御説でありましてごもつともと存じます。文案等については委員長に御一任いただく、こういうことに願つてこの決議を御決定いただきたいと思いますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○早稻田委員長 満場一致動議は決定いたしました。さようはからいます。
 本日はこれにて散会し、明日午前十時半から質疑を続行いたしたいと存じます。
    午後三時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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