くにさくロゴ
1947/08/21 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第27号
姉妹サイト
 
1947/08/21 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第27号

#1
第001回国会 本会議 第27号
昭和二十二年八月二十一日(木曜日)
    午後二時四十七分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第二十六号
  昭和二十二年八月二十一日(木曜日)
    午後一時開議
 第一 自由討議
    ―――――――――――――
 一、自由討議の問題 
   最初の発言者(民主党)において、当日討議する問題を供すること。
 二、討議者の数及び討議時間
  1 各党派の割当時間 
   社会党、民主党、自由党各四十分、國民協同党二十分、第一議員倶樂部、農民党及び共産党を通じて二十分。
  2 各党派は、右割当時間の範囲内において、討議者の数を決定すること。
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 輸入食糧の放出許可に関する平野國務大臣の報告
#3
○議長(松岡駒吉君) 農林大臣より、輸入食糧放出許可に関し報告のため発言を求められております。これを許します。農林大臣平野力三君。
    〔國務大臣平野力三君登壇〕
#4
○國務大臣(平野力三君) 本日の新聞によりまして御承知の通り、今回連合國最高司令部より特別の大きなる輸入食糧の放出がありましたので、この際、私はこの國会を通じまして、その内容を明らかにいたしますとともに、連合軍最高司令部に対しまして、深甚の謝意を表したいと思う次第であります。
 八月八日、二万一千トンの食糧放出によりまして、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫、廣島、福岡、長崎、これらの九大消費地区に対しまして、その遅配を解消する方途を発見いたしましたことは、すでに御承知の通りであります。政府は、この八月中において三十一日分の配給を確保することをすでに公表いたしたのでありますが、さらに九月、十月の両月にわたるところのこの食糧の配給の問題に関しまして、鋭意盡力中でありましたところ、今回ここに九月、十月両月を通じまして、六十万トンの放出を昨日午前許可になつたのであります。この六十万トンの数量は、昨年の米穀年度におきまして連合軍より放出せられたるところの総放出量にも相当する大量でありまして、今年はこれをもちまして百六十万トンの大放出を受けたことになるのであります。ここにおいて私どもは、完全に今米穀年度内においては、一應遅配を解消し得る、八月、九月、十月における月内においては、一應全國民に完全に配給をなし得るの途を得ましたことは、これ一に連合國最高司令部の日本に対する最高の同情であると考えまして、ここに深く敬意を表する次第であります。(拍手)
 この際私は、具体的な数字の上に立ちまして、この九月、十月の両月におけるところの食糧需給の内容を明らかにすることによつて、この議会を通じて全國民に傳えたいと思うのであります。まず政府が所要いたしますところの九月及び十月分の食糧の数量は、九月においては、家庭配給及び労務配給を加えまして三百九十九万二千石、十月におきましては、三百九十八万五千石、合計七百九十七万七千石を必要といたすのであります。これに対して、日本の國内における供給力といたしましては、麦二百一万三千石、早場米百万石、馬鈴薯八万三千石、早堀甘藷九十五万七千石、この國内の供給量を合計いたしまして四百五万三千石、これに加うるに、今回放出せられましたる六十万トンを米に換算いたしますると四百万石でありますので、ここに合計八百五万三千石という実数を握ることを得たのであります。必要量が七百九十七万石でありますので、これに關しまして八百万石の供給量をもつことによつて、私どもはこの年度内におきまして、全國民に対して八月、九月、十月の三ヶ月間は、ここに満配の配給を断行し得ることを報告いたしますことは、まことに欣快にたえないと思うのであります。(拍手)
 しかしながら、この際私は一言申し述べたいと思いますることは、かように需要供給の数字は完全に握つたのでありますが、もしそれ輸送、加工、配給の面において遺憾な点があるといたしますると、実際の消費者にいわゆる遅配を起すおそれがありますので、これだけの実数をいかにして速やかに配給するかということに対して、現在政府はきわめて眞劍なる考慮を拂つておるのであります。
 今月十九日の閣議におきまして、政府は輸入食糧配給操作強化要綱なるものを決定いたしたのであります。これによりまして、製粉及び製麦工場は一日二十四時間作業を断行することにいたしました。なお製粉のふるい目を改正いたしまして、加工の能率を向上し、一ヶ月間に八万トンの製造能力を増加することとしたのであります。なお、これをもちましても不十分でありますので、九月より操業を開始いたしますところの目途としては、五千バーレルの能力をもつております大型の製粉及び二千四百馬力の高速度製粉機及び一千馬力の高速度製麦機の三つを設備いたしまして、これらの放出輸入食糧に関しまして、その加工を最も迅速に断行する方途を講じましたことを、この際御報告する次第であります。
 なお、かようにいたしましても、政府といたしまして輸送の面において欠くることがありますれば、このために目的を達し得ないのでありまして、特に運輸省に関しましては、輸入港から加工工場に行きます輸送に関して、その輸送を最優先的に農林省にまわすことに約束をし、運輸省との間におきましては、この取極めを閣議においていたしたのであります。
 なお商工省につきましては、製粉、製麦工場については電力制限を解除いたしまして、專用設備をもつておりまする工場は、眞に盡夜無休とすることを決定し、かつこれらの無休工場で働きます労務者に対しては、酒、タバコ、甘味類等を特配いたしますることを、特に大藏省の了解を得ておる次第であります。なお、かように製粉をいたしましても、これを包裝いたしまして運搬いたしまする容器に事欠く場合におきましては、万全を期するわけにまいりませんので、現在必要量といたしまするところの約一千万袋及び俵百五十万俵については、特に商工大臣と話合いをつけまして、これらの包裝用の紙類については、特に優先的に配給するのを約束をしておるのであります。
 政府といたしましては、この連合國の最高の好意に対して報いるに、われわれはかように眞劍なる輸送、配給、加工の方法をとりまして、しかして消費者階級に万遺憾なき配給の途を講ぜんといたしておることを、この際御報告する次第であります。
 なおまたこの際一言申し上げたいと思いますることは、総司令部経済科学局物價統制配給課長アルバー氏は、今回の放出に対して特に一言されておることがあるのであります。その言葉には、日本政府が食糧の配給の面において改善に努めておること、やみ撲滅に盡力をしておること、及び今年の麦・馬鈴薯の供出がきわめて順当に進行しておることは、まことによいことであると言われておるのであります。私はこの際、現在かような食糧事情のもとにおいて、全國農民諸君が麦及び馬鈴薯に関して、その供出を実行されておりますところの内容を、具体的にこの席上において報告することによつて、一は食糧事情の見透しに対して御了解を得るとともに、この司令部の好意がある態度に対して、私は日本農民の供出の状況をもつておこたえいたしたいと思うのであります。
 八月十八日、農林省に到達いたしておりまする麦の供出状況は、北海道を除きまして四百四十五万七千石、その供出をパーセンテージにいたしますと、九一・一%に達しておるのであります。今これを縣別に檢討を加えますならば、島根縣におきましては一三一%、靜岡縣におきましては一二六%――すでに一一〇%以上を超えました縣が二縣であります。京都、和歌山、鹿兒島、兵庫、宮崎、高知、長野、山口、大阪、愛知の十縣は、すでに一〇〇%以上を突破いたしておるのであります。奈良、愛媛、大分、岡山、神奈川、群馬、熊本、鳥取、三重、岐阜、佐賀の十一縣は、九〇%以上を突破いたしておるのでありまして、現在の進捗状況は、まことに農民諸君の供出意欲が旺盛なるものといわなければならないと思うのであります。
 馬鈴薯に関しましては、北海道を除き、八月十八日までに買上げましたる貫数は九千六百万貫を突破し、そのパーセンテージは八二・四%に及んでおるのであります。今一〇〇%以上の縣を申し上げますならば、千葉、神奈川、富山、福井、靜岡、三重、滋賀、大阪、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿兒島の十五縣は、すでに馬鈴薯におきまして一〇〇%を突破いたしておるのであります。かようなる農民諸君の供出意欲は、いかに現在の食糧事情の困難なるかを農民諸君がよく理解しておるものと考えるのでありまして、私はこの演壇を通じまして、全國農民諸君に対して、これまた深甚なる感謝の意を表したいと思う次第でございます。(拍手)
 すでに御承知のごとく。食糧事情きわめて困難を告げまして、あらゆる方面におきまして國民生活の不安の声はまことにやかましいのでありますが、われわれは、かようなる連合軍の好意ある態度によりまして、ここに一應の食糧問題に関する見透しを得ますと同時に、全國農民諸君がかようなる供出の成績の上において異常なる努力をささげておられますことは、祖國再建の途上において、まことに慶賀すべきことであると固く信じ、われわれは一層奮励努力いたしまして、來米穀年度からは、きわめて堅実なるところの食糧行政をとりまして、全國民の生活安定のために最大の努力をささげんと覚悟しておるものであります。
 かような意味をもちまして、何とぞ満場の皆樣の御助力を懇請するとともに、私は本日ここに連合國最高司令部の好意に対しまして重ねて厚く深甚なる謝意を表しまして、一言御挨拶をした次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 第一 自由討議
#5
○議長(松岡駒吉君) これより自由討議の会議を開きます。
 坪川信三君、発言者を指名願います。
#6
○坪川信三君 民主党は、本日の自由討議の議題をば地方自治と行政改革といたし、その趣旨弁明者に小川半次君を指名いたします。
#7
○議長(松岡駒吉君) 小川半次君の発言を許します。
    〔小川半次君登壇〕
#8
○小川半次君 地方自治と行政改革についての自由討議の趣旨を申し述べたいと存じます。
 民主政治の要訣は、まず地方自治團体をして、その区域、人口および産業、経済力に應じて、地方民の生活に直接する行政を、地方民の自治的参画によつて運営せしめることをその基盤としなければならないのであります。かかる意味におきまして、地方自治團体には、地方民の総意と旺盛なる活動力とを十分に発揮せしめるに足る機構と権限とを附與しなければならないと思うものであります。
 わが國において民主主義の発達しなかつた大きな原因は、これまでわが國の政治や行政機構が中央集権主義であつて、地方自治が極端に弱体化されたがためであります。アメリカ、イギリス等民主主義の発達している國におきましては、自治團体に行政機構の中心がおかれ、從つて政治は自治愼重に重点がおかれているのであります。しかるにわが國におきましては、これとはまつたく反対でありまして、地方自治は顧みられないのみならず、政府は、比較的彈力性のある地方自治團体から搾れるだけ搾りとるという、中央集権主義の封建適性格が残存しているのであります。
 税の点を見ましても、地方税のよいもの、すなわち彈力性のあるものは、中央に取上げられてしまつており、また自治團体で経営していた公企業などは、戰時中官僚政治の暴圧によつて半官営の大会社や團体等に強制買收されたのであります。すなわち、公営の電氣事業や交通事業が買收された実例は各地で見ることができるのであります。
 かくのごとく、地方の税源はまつたく枯渇状態となり、地方自治團体はいずれもみな惡條件のもとにあるのでありますが、自主、自律によつて民主的な自治政治を施すべく、今や起ち上りつつあるのであります。しかして、枯渇せる財政を少したりとも緩和せんとして、事務の簡素化をはかりつつ経費の節減を行つておるのであります。
 しかるに、一方政府におきましては、これとは逆でありまして、必要とも思われない機構が次から次と増加し、これに伴つて事務がますます複雜となり、経費支出もまたおびただしい増となつておるのであります。加うるに、近年各地に地方商工局や、食糧事業所あるいは地方物價局、その他数種類の出張所が増設されておるのでありまして、これらはいずれも実際に必要な機構とも思われぬ存在でありますことは、ここに足を入れた人がたれでも口にするところであります。
 かかるゆえか、第九十二議会において、地方自治法案の審議の際しばしば論議され、結論として、中央行政官廳の出先機関と都道府縣知事のもとに移管すべきであるという附帶決議を見るにい至つたのであります。この中央行政官廳の出先機関は、官吏のはけ口のために設置されたかの感がいたすのであります。現にある官吏が、官廳に職員組合や労働組合ができて以來、なかなか簡單に退職を命じられなくなつた上に、官吏の数はますます殖えていくので、何か名目の立つ出先機関でも設置しなければならないと言つたということであります。眞僞のほどは知らないのでありますが、一面うなずけるものがあるのであります。
 地方制度が民主的に改正され、知事は一應公選されたのでありますが、それによつて官僚独善が拂拭されたのでもなく、殊に警察部長の任命権は政府が握つておる関係上、地方警察行政の上に不自然な結果が生れ、知事はまつたく浮き上つた存在となつておるのであります。しかして各地方を通じてその底を流れる官僚思想は、牢固として抜くべからざるものがあるのであります。官僚事務の形式主義や、非効率的な点や、あるいは優越感というような弊害に、國民は今日までいくたびとなく泣かされてきたのであります。
 片山首相は、「國民に訴う」の手記の中に、議会も國民も大いに勉強することが官僚独善を防止する最も正しい道であると言われたのであります。一面眞理のごとく、一面官僚におもねる意思弱き政治家の作文のごとく、この一片の文章は國民に皮肉な感を與えたのであります。今日わが國民階層の中で一番勉強しないのは官僚階級でありまして、國民はよくそれを知つておるのであります。しかるに、議会も國民も官僚以上に無能力かのごとき意味にも解せられるあの文章によつて、官僚たちは、議会や國民はなおわれに及ばずと、ますます独善の意氣をたくましくし、國民はますます卑屈になる惡い結果が生ずると思うのであります。現在わが國では、國民の総人口数と官吏の人口数とを比較してみるときに、國民百人に対して、官吏の数はその家族を含めまして十六人になるということであります。すなわち百人の國民で十六人の官吏を養つていることに相なるのであります。かくのごとき國は世界のいずこにもなく、しかも今後ますます殖える可能性があるのでありまして、まさにわが國は官吏亡國の危險性があると思われるのであります。(拍手)
 官僚独善を防止する最も正しい途は、地方自治團体が自主的基盤の上に立つて活動し得る機構と権限を附與されることであり、いま一つは、都道府縣の官公吏をすべて公吏として、その任命権は知事及び地方議会の一方的権限によつて決定することにあるのであります。この場合、警察部長の身分も公吏として、その任命権を知事がもつことになれば、警察権は知事の直属となり、そこに地方的な情実が生れ、警察としての公正が保てないという論議が生れるのでありますが、それは現在の司法警察という制度を内務省から分離いたしまして、司法省に直属せしむることにすれば、最も嚴正公平な機能を発揮することができるのであります。わが國において、もし今日司法警察が行政部門から分離して司法省直属になつていたならば、現在全國民の疑惑の中心となつている世耕事件のごとき奇怪なる事件も生じなかつたろうと思うのであります。また同じことが知事の選挙の場合にも言えるのであります。過般の知事の選挙において、知事候補者の使つた選挙費は、一番低い者で五十万円であり、普通百万円から百五十万円といわれ、その費用は地方の事業者やブローカーたちから献金されたと聞くのでありますが、かかる場合においても、司法警察が行政部門から分離しておれば、誤解を招くこともなく、また不明朗なる事件も発生することが少かつただろうと思うのであります。
 次に特別市制について一言申し述べたいのであります。この問題は、およそ二十年來議会でしばしば論議された問題であり、衆議院におきましても五大都市を特別市とする旨の附帶決議が数回にわたつて可決されておるのであります。
 そもそも大都市は、人口状態の上におきましても、また社会的、経済的、行政的、その他あらゆる方面において、他の一般中小都市に比し特殊な性格を有し、これらの特殊性に基いて、大都市独特の行政事務と施策とを要請するものでありまして、教育、土木、保健、衛生、さらに経済、社会、都市計画等、各種の行政施設は実に廣汎にわたるとともに、電車、乘合自動車、水道、病院等、各種の大規模な公企業の経営を必要ならしめるものであります。從つて、大都市における行政事務並びに施設は、その種類及び範囲において廣汎であるのみならず、その質と内容においても、きわめて高度化せられたものでなければならないのであります。また各種行政機能を効果的に遂行するためには、その行政において他の中小都市に見られない強力性と積極性と自治性が備わらなければならないのであります。かくてその組織機構は、府縣のそれを必然的に凌駕するに至つたのであります。
 かかる場合、その上位に府縣廳が介在することは、自治発展の上から見ましても、また能率その他の面から見ましても、無用かつ不適当と思うのであります。この中間的存在、すなわち二重監督を排除して、大都市を政府機関に直結せしめ、政治、経済、文化の原動力たる大都市の特質を十分に発揮せしめることが、日本再建の最も緊要な課題であると信ずるものであります。(拍手)
 以上、地方自治と行政改革についての討議の趣旨を申し述べた次第であります。(拍手)
#9
○議長(松岡駒吉君) 森三樹二君、発言者を指名願います。
#10
○森三樹二君 社会党といたしましては、門司亮君を指名いたします。
#11
○議長(松岡駒吉君) 門司亮君、発言を許します。
#12
○門司亮君 地方自治制に対しまする課題に対しての意見と、さらに私どもの考えておりますことを一應申し述べたいと考えているのであります。
 わが國の地方自治法といたしましては、明治二十一年に市制・町村制が布かれたことを嚆矢といたしまして、これはわが國民の最大の地方における福祉の増進と、さらに立憲政治の自覚を深めて、國家國民の共同福祉に寄與するものであつたのであります。それは國家の要請と、時代を背景とする幾多の條件から考えられたのであります。しかしながら、わが國は、未曾有の敗戰によつて終結いたしました戰爭の結果といたしまして、國情は一変いたしたのであります。從いまして、現在におきましては、眞のデモクラシーなくしては國家の再建はできがたいのであります。そのためには、徹底した民主國家の樹立こそが焦眉の急務と相なつていると考えられるのであります。
 國の徹底的民主化をはからんといたしますには、まず地方制度の民主化が政治的に取上げられなければならないと考えるのであります。かかる意味におきまして、今日地方分権の徹底が叫ばれ、さらに最も地方行政をゆがめ、さらに現代までのわが國の諸情勢のを惡化いたさせておりました官治行政の後退とともに、自治行政の全面的前進が行われて、眞に民主政治の建前たる、國民の、國民のために行う、國民の政治は、地方にありましては、住民の、住民のために行う、住民の政治でなければならないと考えるのであります。そうした政治こそが、地方自治体の本然の姿であると私は考えるのであります。
 しかるに、わが國の現状はこれとまつたく反しておりまして、先ほど提案者の理由の中にも説明のございました通り、戰爭中の官僚独善に加えて、さらに戰後における官僚最後のあがきとも見るべき中央官廳の出先機関がきわめて多いのであります。
 その大要をごく簡單に申し述べてみますと、まず内務省におきましては土木の出張所をもち、大藏省におきましては、税務署、地方財務局、さらに專賣局、貯金局等、あるいは農林省におきましては、作物報告事務所、食糧事務所、木炭事務所、農地事務局等であります。また商工省にありましては地方貿易事務局、厚生省はさらに労働基準局、あるいは公共職業安定所、引揚援護局の地方出張所をもち、さらに物價廳においては地方物價局、さらに統計局に至りましては、消費者價格調査事務所等をもつておるのであります。また戰災復興院におきましては、特別建設出張所と、さらに戰災復興院の建築出張所をもち、運輸省にありましては運輸建設地方部、最近におきましてはさらに附け加えて自動車事務所等の新設をみておるのであります。海運局におきましては、さらに港湾建設部であるとか、あるいは船員職業紹介所であるとか、また逓信省におきましても、御存じの通り郵便であるとか、あるいは電氣であるとか、通信であるとか、その他司法省の各官署及び外務省の連絡事務所等を算えまするならば、大よそ三十を超える幾多の中央官廳の出先機関があるのであります。
 これらのものは、ほとんど戰爭中の遺物でありまして、現在におきましては、殊に現在の地方行政におきまして、有害無益のものがまだたくさんあるということは、私は当然の帰結であると考えておるのであります。從いまして、地方自治行政を完全に遂行し、地方自治体の完全化をはかりまするには、まず当然地方廳に移すべきものは地方廳に移す、さらに廃止すべきものは敢然としてこれが廃止をみなければならないと考えておるのであります。
 この出先官廳を一日も早く整理をされまするとともに、さらに重要なることは、地方にありましては、一時地方行政の簡素化のために廃されておりました郡役所の代りに、これまた戰爭中の一つの遺物といたしまして、地方事務所の設置をみておるのであります。地方事務所のことに対しましては、中央における各府縣に対する出先官廳のあり方と同じように、地方における縣の出先官廳が市町村に現われてまいりまして、そうしてこれらの地方自治体の行政を阻害するものがきわめて多いということを、私どもは一應見なければならないのであります。しかしながら、本問題につきましては、僻村その他につきましては多少の見るべきものもなきにしもあらずとも考えまするので、これらに対しましては徹底的なる批判と檢討を加えまして、これに善処すべきであると考えられるのであります。
 さらに私どもが考えて重要な点と思いますることは、中央地方の各廳の権限であります。たとえば、今日われわれが最も関心をもつものは、地方行政の中に、中央官廳のもつておりまする権限というものが往々にしてこれと錯綜いたしまして、知事の権限である、あるいはこれは市町村の権限である、さらにそれは中央官廳の権限に属するものであるというような幾多錯綜した問題があつて、地方民はきわめて迷惑をしておる事実があるのであります。これらに対しまして、私どもは中央地方の権限というものを明確に区別すべきであるは考えておるのであります。いわゆる中央の地方に及ぼす権限と、さらに縣廳が市町村にもつ権限と、これらの整理あるいは調整が至急に行われなければならないものと考えておるのであります。
 地方分権とは、すなわちおのおのの地方行政の上に義務と権利とが並行することであります。今日、以上申し上げましたような事態において、地方にありましては、その末端の諸事項の義務だけがあつて、わずかの権限しかもつていないというような地方自治体のあり方におきましては、とうてい地方民の満足する幸福は得られないと考えておるのであります。從いまして中央の地方に及ぼす権限であるとか、これまでの知事の市町村に及ぼす権限等に対しましても、先ほどから申し上げまする通り、現在のおのおのの責任の上に立つ義務に対する権限を、ぜひ附與しなければならないと考えておるのであります。この点は、今日わが國における地方行政の上に最も重要な点であると考えておるのであります。
 末端の行政をあずかりまる市町村におきましては、食糧の供出であるとか、その他幾多の問題に対しまして、多くの義務をもつておるのでございまするが、それらに対しまする何らの権限をもたないということ、いわゆる地方行政というものは中央にすべてが集結されておりまして、その権限と義務というものの並行を來していないということが、今日の最も大きな地方行政に対する欠陷であるということを、われわれは指摘せざるを得ないのであります。
 さらにわれわれは、地方行政を論じまする場合に十分檢討しなければならないのは、都市行政と農村行政との面であります。先ほど提案者は、大都市制度のことに対して一應お触れになつたようでございまするが、現在の日本の地方行政のあり方というものは、先ほど申し上げました通り、明治二十一年に制定されました市町村制が、幾多の時代の要請によつて多少変形はいたしておりまするものの、依然としてその当時の思想そのままの形において行われておるということを指摘さぜるを得ないのであります。從いまして、今日異常に発達を見ておりまする大都市に対しまするところの制度というものは、おのずから住民の生活あるいは環境を異にし、さらに経済、文化、政治等の状態を異にいたしておりまする地方との、画然たる一應の分割を私どもはされなければならないと考えておるのであります。さらに、そうした面が今日の一つの行政区画の中にあるということ自体が、現在きわめて不合理であると考えておりますので、これを一地方の行政区画から切り離すというようなことも、また一面地方自治行政を論ずるものの重要な要素でなければならないと考えております。
 次に、地方制度の完全なる自主性の発展と、さらに民主化とを期せんとするならば、財政の面を一應考慮しなければならないのであります。今日地方における財政はきわめて窮屈になつておるのであります。去る九十二議会における地方制度の改正によりまして、地方分権は多少確立されたもののように見ておりまするが、しかしながらその財政面におきましては、きわめて惡い状態に相なつておるのであります。私どもは、今日地方自治制が改善されて、地方自治が完全なる発達をいたそうといたしまするならば、その財政面に意を用いなければならないと考えておるのであります。いずれの府縣町村におきましても、今日のごとき財政におきましては、その自立すら困難ではなかろうかと考えておるような状態に相なつておるのであります。
 この点につきましては、各同僚におきましてもおそらく同感だと思いまするが、かりに一例を神奈川縣にとりまするならば、租税收入として数箇のものが國より地方に委讓されたことは事実でございまするが、しかしながら、戰災その他により遊興税等の多くの税收入に痛手をこうむつておりまする地方においては、その上に遊興税が緊急措置令等の関係から異常に税收入の減少を來しておるのであります。從いまして、國庫補助金等の、地方分権による変化等によりまするすべての收入を換算いたしまするならば、神奈川縣の実例を見ましても、昨年度の七六%の國庫あるいはその他からの收入に比較いたしまして、本年度はわずかに四二%がその面に振り向けられておるのみであります。
 かくのごとく、財政の上からいたしまして收入が低下してまいりますならば、地方自治行政を完全に行いまするその最も大きな要素を失うことになつてまいるのであります。從いまして中央におきましては、地方分與税等による幾多の問題を私どもは十分に勘酌をしなければならぬと考えておるのであります。
 さらに現在の地方制度におきましては、その財源をいずこに求めるかということについて、きわめて汲々といたしておりますので、一應その点を申し上げて御参考に供したいと考えておりますが、以上のごとく税收入その他の收入が激減いたしておりまする場合におきましては、市町村におきましては、やむを得ずその財源を借金に求めなければならないのであります。しかしてその借金にこれを移行するといえども、起債の状態はどうなつておるかと申しますならば、金融機関の資金難から起りまするところの起債市場は、きわめて意のごとくなりませんので、從いまして、その起債というものも十分に行えない。また財産の賣拂いによりまして、その財政面を補わんといたしましても、今日の貧弱なる市町村の財産におきましては、これを賣拂うといたしましても、きわめて微々たるものがあるにすぎないのであります。これによつては到底今日の地方行政を満足に遂行することは、私どもは困難でなければならないと考えておるのであります。
 從いまして、財政の復旧等に対しましては、先ほどから申しまする通り、幾多の國政事務というものが、権利義務の関係において地方に委讓されまする場合は別として、さらにそれを檢討いたしまするならば、今日の地方行政事務のうちの約八〇%というものは、中央における行政であります。地方行政の面におきましては、わずかに二〇%くらいがその事務的の勘定であるとわれわれは考えられるのであります。こう考えてまいりますならば、この枯渇をいたしておりまする地方財源に対しましては、政府におきましては一段の意を用いなければならないかと考えておるのであります。
 從いまして、いかにして今日の地方自治体を健全なる財政の上に置くかということはきわめて至難な問題でありますが、私どもはこれを今回の財政あるいは行政の面からみますならば、一應のことを考えなければならぬと考えておるのであります。それは自治体の自治制を十分に考慮しまして、起債のごときものにしましても、ある程度の自由を認めるということであります。さらに地方財源の涵養に十分なる意を注ぐということであります。從いまして、今日の地方税制、あるいは地方財源に対しましては、彈力性を十分にもたし、そうして先ほどの提案者の説明にありました通り、地方財源の最もよき面をすべて國に吸收することなく、これを地方財源として地方に分割いたしまして、地方財政に彈力性をもたせるということが、今日の当面の問題ではなかろうかと考えておるのであります。
 さらに地方においては、おのおのの地方の情勢による負担能力を勘案いたしまして、特別税の設定等も当然勘案されなければならないかと考えておるのであります。かくいたしまして、破綻窮境に陷らんといたしておる今日の地方財政を匡救し、もつて地方自治制の健全なる発展を期することこそ、今日最もわが國民主化の喫緊の要素でなければならぬと考えておるのであります。從いまして、これを要約して申しまするならば、今日第一に申し上げたいと思うことは、中央集権の現在の弊害を改め、地方分権を徹底的に行うということであります。
 さらに地方制度におきましては、市町村のもつ議会と市町村の長の権限との関係であります。今日市町村におきましては、その市長あるいは町村長は民主化され、これが選挙によるものであるとはいえども、未だ封建的な思想はきわめて濃厚でありまして、そうしてそれらの政治力というのは、地方行政に非常に強く響いておるのであります。從いましてわれわれは、地方行政においても、あるいは地方議会におきましても、中央と同じようにその議会に大多数の権限を委讓し、その行政の面を市長あるいは町村長が行うように、眞の民主的行政が行われなければ、今日の地方行政というものは完全に遂行されないということを考えるのであります。
 以上、ごく簡單に申し上げまして、同僚各位の御批判を仰ぎたいと思いまするとともに、私の意見を申し述べておきたいと思う次第でございます。(拍手)
#13
○議長(松岡駒吉君) 坪川信三君、発言者を指名願います。
#14
○坪川信三君 民主党といたしましては、中曽根康弘君を指名いたします。
#15
○議長(松岡駒吉君) 中曽根君、発言を許します。
#16
○中曽根康弘君 私は、地方自治と行政改革の問題に関しまして、警察制度の改革はいかにあるべきか、具体的の方策を論じて見たいと思います。
 御承知のように終戰以來の日本の治安状態は、敗戰國といたしましてはかなり良好に推移いたしておるのであります。これは一方においては当局のなみなみならぬ苦心もあると思いますが、占領軍側におけるところの陰ながらのいろいろな御苦心や、あるいは陰ながらの権威に頼るところが甚大であると考えます。殊に近く講和会議が開かれましても、もし一本立ちになつた場合は、自分で自分たちをまとめ治める力を養わなければならない。そういう事態に立至つております。もしこの改革の方向において適期を失するならば、われわれはまた過去のある警察國家時代のような、権力のもとに國民が呻吟しなければならない旧時代を現出するかもしれない。しかしながらまた、われわれの改革が急進的にして現実的でないならば、あるいはまた現在の憲法の保障する政治的秩序を破壊するような事態を起すかもしれない。警察制度の改革というものは、國民生活の基盤になる問題であるだけに、きわめて愼重を要する問題であるだろうと思うのであります。
 現在におきましては、憲法発布によりまして警察権も多分に変り、また内務省の解体によつて公安廳の設置が論議されております。しかしこれは一時的であり、かつ現状維持を前提とした制度であります。私はこの際、國家百年の本である警察制度の方向というものは、どの程度に地方分権と中央集権とを調和しなければならないかという限界点について申し上げてみたいと思うのであります。
 まづ終戰以來の経緯を反省してみますと、占領軍が上陸しまして、まず目をつけられましたのは、日本の特高警察であります。この特高警察は十月四日に解体された。そして十二月には、労働行政あるいは社会保健行政というものが他に移管され、翌年一月には御承知のように戰時中にできました警備隊というものが廃止されました。そうしてそれ以來適切なる指導によつて、管轄機構の強化であるとか、あるいは青少年保護の徹底であるとか、あるいは警察事務の純粋化――たとえば建築であるとか、交通行政であるとか、そういうものの一部が他に移管されるようになつたのであります。そうしてその間において、去年の六月においてはアメリカよりニユーヨーク警視総監であつたバレンタイン氏が來朝されまして、都市警察権に関する有益なる意見の開陳があり、またその後一箇月にしてオランダ氏から、特に地方警察を近代的國家警察に改造するという有益なる意見の開陳がありました。暮にいたりましては、警察制度審議会の答申があつて、その後本年五月三日の新憲法の施行以來警察権も多分に変りまして、知事のもとに警察部長がおりますが、知事は警察権を行使する場合は、警察部長の助言によつてやらなければならない。あるいは警察事務の管理は、警察部長を通してでなければならない。知事以下の地方の役人は公吏でありますが、警察官は官吏である。そうして地方の警察部長以下は中央の任命に基く。こういうことになつて、純國家警察的の状態に落ちついております。これが最近内務省の廃止に伴いまして、公安廳の設置という方向に動いておるところであります。
 以上の経過及び日本の過去を考えてみて、私は日本の警察には確かに統一性と、実に強力な機構があつたと思うのであります。しかし惡い面がずいぶんあつた。それはまずどういう点であるかというと、民主的でない。つまり地方分権をもつと徹底させなければならない。それと同時に、警察の内部において民主主義が実行されなければならない。これが第一であるだろうと思うのであります。御承知のように過去の警察というものは政治の侍女であつて、政権の動くままに駆使されていた。そうして、たとえば内務大臣の眉がぴりつと動けば、一日後には北海道の巡査の眉がぴりつと動くような機構であつた。これが多分に惡用されて、非常に日本國民のためにならなかつたということは周知の事実であります。その意味において、もつと民主化と地方分権というものが実行されなければならないと思うのであります。
 それと同時に、一方またこういうような警察というものが、他の政派の影響によつて腐敗堕落しないような考慮をなす必要がある。つまり國民的なコントロールを警察に対して與えるような制度が欲しいということが考えられます。
 三番目には、警察をもつと簡素化して、警察事務を純粋化しなければならない。こういう点から考えますと、警察の事務というものは、犯罪の予防制圧、公安の保持、犯人の捜査逮捕、あるいは令状の執行であるとか、あるいは國民に対する一般的なサービス、たとえば地理指導であるとか、交通上の事実上の取締りであるとか、そういうことに限定して純粋化する必要があるだろうと思います。
 それから最後に、警察力をもつと強化するために、施設と技術をもう少し拡充改善しなければならない点があると思います。
 以上の四つの点に関しまして、日本警察の欠点があると思うのでありますが、しかしまた一面においては、警察制度を分権化すると同時に、ある程度の最低の國家的な統一性を保つということも必要であります。それは現在においては占領軍の陰ながらの権力によつて実施されておるのでありますが、もしその手を一旦離れるという場合には、どうしても國家のまとまりをつけるという最後の力がなくてはならないからであります。つまり國家的の治安を維持するという点において、國家としての統一を最後の線において確保する必要がある。
 具体的に申し上げますれば、たとえば徹底的な地方分権をやつてしまつて、大阪府、京都府が独立しておる。こういう状態になりますと、たとえば大阪府に暴動が起きたとする。その場合に京都府から警官の應援を求めるという場合にしても、完全なる自治体警察である場合には、片方の知事も暴動が起る危險がありますから、應援をやるということは躊躇いたします。また働く警察官にしても、京都府なら京都府の自治体に忠誠を盡す人間であるから、大阪府に出動して身命を賭して働くという勇氣がなくなる。つまり國家的に國民のために挺身するという栄誉を警察官に與える必要もある。また徹底的な分権をやつてしまうと、たとえば治安が乱れたという場合に、國権の最高機関であるところの國会に対して直接責任をもつ國務大臣なりその他のものが政府におらぬということがあります。これは國政運用上ゆゆしい事態であります。
 そういう点からしまして、ぜひとも最低限の國家的統一性というものは保たなければならないという理論が出てくると思います。この点から反省しまして、最近の事態はかなり憂慮すべきものがあります。新憲法実施以來、刑事訴訟法の應急措置法が実施されまして、犯罪の検挙率はおそらく憲法実施前に比してずいぶん落ちていると思います。特にわれわれが心配するのは、青少年犯罪が非常に殖えてきたのではないかということも考えられます。それからまた、それに関連してわれわれが心配しなければならないことは、ただいま申し上げましたような理窟から、少くとも國会に対して責任をとる大臣が公安廳の長官にならなければならないと思うのであります。以上の最近の犯罪の傾向、青少年犯罪、あるいは公安廳の長官の地位に関して、内務大臣にお尋ねしたいと思います。
 それから、國家的統一を保たなければならぬというもう一つの理窟は、警察事務から起るものであります。たとえば、天皇は日本國の象徴でありますが、この天皇を警衛する事務は、地方自治体に任すべき問題ではなくて、國家としてやらなければならない問題であろうと思います。あるいは外國使臣の警護についても同樣である。あるいは國際條約上のいろいろな義務を日本は負つておりますが、これらを履行するのも、外國に対して國家としてなさなければならない義務だろうと思います。もう一つは、仕事の性質上自治体に任せるのを適当と認めないということである。一つは、たとえば國際的犯罪であるとか、あるいは密輸入、あるいは密入國とか暴動とか、そういうことに対する処置であります。
 最後にもう一つ國家的最低限の統一を保たなければならないという理窟は、これは経済統制を実施する上からであります。アメリカのように大きい所は、州が一つの市場の單位なしておりますが、日本は遺憾ながら日本全体が一つの市場としての單位をなしておる。從つて、もし完全に府縣が独立してばらばらになつた場合には経済統制は実質的にうまくいかぬのではないか。ある縣はゆるいが、ある縣はきついということになると、どんどんゆるめてしまつて、実質上においては、三月二十五日吉田首相あてのマツカーサー元帥の書簡にありましたような、ああいう方面に沿つた政策はやれないのではないかと考えられるのであります。現在においても、府縣によつて警察の緩嚴がずいぶん違うようであります。ある縣ではやみにならないけれども、ある縣ではやみになつて泣いている國民が非常に多い。この点に対して、内務大臣はいかなる態度と所信でやつておるか、どういうふうに改善するか、お尋ねいたしたいと思います。以上の点から見て、最低限の國家的統一は保たなければならないと私は考えます。
 もう一つ考えますのは、警察内部の民主化であります。御承知のように労調法は警察官には認めていない。しかしながら、警察官といえども生活をもつておるものであつて、何らか彼らの内部において自主的に意見を上申するなり、意思を上司に表明するような組織をつくつてやらなければ、はなばた片手落ちではないかと思うのであります。こういう点は、警察内部の民主化という点であつて、また重大な点であろうと思います。こういう点についても当局の意見を聽きたいと思います。
 もう一つは、司法警察と行政警察の分離の問題であります。先ほど発言者の意見があつたと思いますが、私は分離は適当でないと思います。というのは、実績を考えて見ましても、犯罪の検挙の七〇%は、駐在所の巡査やその他がやつておる。つまり毎日々々戸口調査やその他の面倒をみておるから、犯罪の状況もわかるし、犯人の目星もつくわけであつて、もしこれが切り離された場合には、なかなか目星がつきにくいということも考えられる。それは実績あるいは外國における例、そういう面を考えてみても、日本の場合は司法警察と行政警察を分離することは適当でない。特に司法警察が司法省にはいる場合になれば、司法省自体は非常に強力な官廳になつてしまつて、これがまた日本國家の民主化の上に芳しからぬものになりはしないか、こういう危惧をもつからであります。
 以上の警察の改革の方向について考うべき條件を考えまして、私は次のような警察改革のアウトラインを考えております。まず第一は、地方分権化するという要請にこたえて、二十万以上の都市には、自治体警察となして完全な警察事務を行わせる。但し先ほど申し上げました程度の國家的事務に関しては、これは國家警察の手を入れる共管とする、こういう組織にします。二十万以上としました理由は、一つは現在の自治体には、まだ自治能力がはなはだ欠如しておる、それが徹底されるまでは早過ぎはしないか、こういう考えから、二十万ぐらいならば適当であると考えるゆえんであります。もう一つは、現在の都市は大部分戰災にやられて、非常に過重な財政負担に悩んでおります。これに自治体警察を與えても、財政上維持できないということが考えられます。この二つの点から二十万以上を適当とする。但し、警視廳だけは例外としなければならないと思います。
 というのは、首都の警察は地方自治体の警察とは違う要素がある。つまり東京都における警察事務は、東京都の地方的利益に関するもの以外に、國家的利益に関するものが大部分あるわけであります。たとえばこの國会を守るのは、東京都としての自治体の任務ではなくして、國家としての利益であります。あるいは高官の保護であるとか、あるいは天皇の警衛であるとか、そのほかいろいろあります。そういう点から考えてみて、東京都の自治体でこの國家的利益を保護することは間接的であると考えられます。もう一つは、たとえば内閣と東京都長官の属しておる政党が違つたという場合も考えられます。その場合においては、内閣は自分の保護をやらやくてはならぬけれども、他の政党の長官が東京都の警察を握つておるということになると、なかなかうまくいかない、こういうことも考えられる。そのほか外國の例を見ましても、いずれの國においても首都におきます警察というものは國家がみずからやつております。こういう点から考えて、例外として國家警察としてやる、こういうのが適当であろうと思います。
 以上の点から考えてみると、自治体警察を増設するということは、定員をもつと殖やさなければならぬということになると思います。現在は大体において九万三千人ぐらいの警察官が働いておりますが、私は、このために十五万人ぐらいに殖やさなくてはいかぬ、そういうふうに考えます。特にもう一つ、最近において労働基準法が施行されますが、これが警察に適用されることになると、現在の三部制は、四部制、五部制にならなければ実施できません。そういう点について、増員が必要だろうと思うのであります。この定員の件、あるいは労働基準法を施行した場合それに対する対策、また警視廳の地位、こういうことについて内務大臣にお尋ねしたいと思います。
 第二は、全國を八つの地区に分け――たとえば、北海道、東北、関東、中部、近畿、中國、四國、九州、この八つの地区に分けてその地区に地方警察廳というものを設ける。これは國家機関であります。地方警察廳には、普通の警察部と水上警察部と二つ設けまして、そうしてもつと裝備を強化する。たとえば現在日本においては、ピストルの状況はどうであるかというと、警察官四人に対して一挺しかもつておらぬ、あるいは海上の警備についてもはなばた手薄であります。こういう点から考えて、少くとも機関銃ぐらいはもたなければならぬ、事によつては火砲ぐらいも必要ではないかと考えております。
 特に大事なのは水上警察であります。最近において密輸入や密入國が非常に多いということも考えておりますが、これらについても、実際の状況について大臣からお聽きしたい。今朝の新聞を皆さんごらんになつておわかりと思いますが、北九州において、國籍不明機によつて日本の船が爆撃されたという報道が載つております。われわれは、今月の十五日に貿易が再開されてやれやれと思つてほつとした。しかるにそのやさき、通商航海を制限された範囲ではあるけれども、こういうものが危殆に瀕するという事態が來ることは、まことにわれわれ日本國民の心を悲しくするものであると思います。こういう点から考えてみても、沿岸警備をやる者の苦労はなみなみならぬものがあると思います。そのためにある程度の対抗力もなくてはならぬと思います。この水上警察、特に今回の爆撃の眞相及び將來に対する当局の方策についてお伺いいたしたいと思います。
 第三番目は、その八つの地区に地方警務委員会というものを設ける。地方警務委員会は、都市警察の警察部長、これは長官が任命しますが、あるいは地方警察廳の部長クラス、こういうものを任命する場合にアグレマンを與える機関であります。そのほか警察事務に関する調査、重要事項の審議あるいは監察、こういうことを行う機関であります。そうしてその構成員は、地方議会の議員、職能代表、学識経驗者あるいは公務員、こういうようなものにいたしまして、任期は四年として、公安廳長官がこれを任命する。こういうことが適当であろうと考えます。これは要するに警察に対して民衆がコントロールを與える機関、こういうふうになさしめたいのであります。
 第四番目には、地方警察廳の長官は公安廳長官が任命しますが、これは中央警務委員会のアグレマンによつて任命する。中央警務委員会の構成は大体前に準じますが、当然これには國会議員がはいらなければならぬと考えております。
 最後に、中央に公安廳長官をおく。これは現在と同じでありますが、これは内閣に属して國務大臣をもつて充てることに関してはいろいろ議論があろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、常に輿論を反映しなければいかぬ。警察部の執行は輿論を反映する、こういう必要性と、もう一つは、國会に対して政府側において全國の治安について責任を負う人がいなければならない、こういう要請からであります。そして中央地方の警務委員会に公聽室というものを設ける――パプリツク・ヒヤリング・チエンバーというものを設ける。警察事務の運営、警察の公務員の機構、そういうものを審査したり、あるいは罷免の請求を審査して実施させる。こういう機関にする必要があるだろうと思います。
 以上、地方自治と行政改革の問題に関しまして、日本の國民生活の基盤をなすわれわれの警察の改革をどの方向にしなければならないか、これに関しまする私の愚見を申し上げまして、皆さんの御批判を仰ぎ、かつ当局の意見を聽きたいと思います。
#17
○議長(松岡駒吉君) 小澤佐重喜君、発言者の指名を願います。
#18
○小澤佐重喜君 日本自由党では、まず菊池義郎君を指名したいと思います。
#19
○議長(松岡駒吉君) 菊池義郎君に発言を許します。
#20
○菊池義郎君 至つて粗略な意見でありますが、私の述べますことに多少なりとも客観的に参考になることがあれば幸いであると存じます。
 前発言者の御意見と多少重複する点もございますが、デモクラシーの政治を徹底せんがためには、從來の軍閥官僚によつて行われました中央集権の弊を徹底的に改めまして、その権力をでき得る限り地方に委讓することが必要であることは、申すまでもないのであります。換言いたしますれば、國政の大部分をあげてこれを自治体に委讓し、自治團体をして十二分の活動をなさしむるとともに、あくまでも責任をもたしめて、自営自立の観念を深めしめることが必要であると存じます。新しき憲法も、地方行政、地方自治にその精神が実現せられて、初めて民主主義の完璧を期することができるのであります。すなわち、地方團体がそれぞれ自己の目的をもち、自己の選んだ機関により、自己の負担と責任において自主的に行政の運営に当たることが望ましいのでありますが、私はここに抽象的な議論は一切避けまして、二、三の具体的な問題について愚見を述べまして、御批判を仰ぎたい存ずる次第でございます。
 その第一は、各省の出先機関として各地方に設けられました特別地方官廳の制度を整理し、これを自治團体の下に統合することが必要であります。申すまでもなく地方行政は総合行政であり、從つて各省大臣の仕事を知事に任せなければ、自治体は十分の機能を発揮することができない。しかるに今日の出先機関は、その知事の仕事を取上げて手も足も出ないようにしてしまい、せつかくの活動を阻止する有樣でありまして、自治体の発達にこれほど大なる障害はないと信ずるのであります。ゆえに、やがて生るべき地方自治委員会をして、でき得る限りこれを抑えしめることが当然でありますが、それよりも全面的にこれを廃止することが策の得たるものであると信ずるのであります。もちろん鉄道とか、あるいは逓信のごとき特殊の機関は、これを存置して何ら害はないものであると私は信ずるものであります。
 第二は、地方の治安問題でありますが、前発言者も詳しく仰せられましたから簡單に申しまするが、内務省の解体に伴いまして、警保局に代るところの公安廳が一時的に設けられ、やがてまたこれに代つて生るべき機関はいかなる機関でありますか。
    〔議長退席、副議長著席〕
 しこうして、その権限はどのくらいの権限のものでありまするか。これについて内務大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。治安に関しましては、中央地方の連繁調整が最も大切でありまして、中央の指揮命令が徹底的に行われざるときにおきましては、………(聽取不能)あがらざる結果を招來し、全國の治安の完璧を期することはできないのであります。中央地方の緊密なる連繁のもとに、初めて治安の維持はまつたきを期することができるのであります。欧米と日本とは國情を異にすることはもちろんのこと、文化の程度が違い、國民性を異にし、常識の程度においても格段の相違があると私は考えております。從來日本に起こつたいろいろの叛乱事件、暴動等を回顧いたしまするときに、警察力の強化とその指揮命令の関係は重大であると考えざるを得ないのでありますが、内務大臣の所信如何、お伺いしたいと存ずるものであります。
 次は、自治制の簡易化と法規の整理でありまするが、從來日本の地方自治制度はきわめて複雜でありまして、法規があまりに多きにすぎ、また理解に困難であつて、地方民の八割方は、無理解のままに一生涯を終つてしまう有樣であります。これでは地方政治の民主化はとうてい困難であるばかりではありません。どうしても急速に改めなければならぬと存ずる次第であります。今日婦人にも参政権が與えられ、若き青年にも参政権が與えられておるのでありまするからして、この煩雜多岐にわたる法規はなるべくこれを簡素化し、簡易化しまして、彼らの頭に徹底的にぶちこんでやることが必要であろうと思うのでありますが、これについて関係官廳の所見をお伺いしたいと存ずる次第であります。
 次は、特別都市の問題でありまするが、五大都市を切り離しての独立問題は、投票権の関係で今日一頓坐を來しておるのでありますが、二重行政、二重監督、二重負担が不便不都合でありますことは、申すまでもないのであります。よつて、これを改めなければならぬ。ところで都市が独立いたしますれば、農村地帶に不満が起る。不満のないようにして二重行政を撤廃する方法は、ちようど東京都のような方式によるほかないのでありますが、五大都市をもつ各府縣は、東京都と違いまして、農村地帶が大部分を占めているのでありますから、これに都制を実施することは矛盾であり、また困難でもあるのであります。結局都市の單位を府縣程度に引上げ、都市だけの投票によつて独立できるような法規をつくるほかないと思うのであります。しかしながら、これを独立せしめてよいか惡いかにつきましては賛否両論がありまして、私もまだ決しかねるのであります。まだ研究が徹底しておりません。
 最後に、私一言自分の私案を申し上げてみたいのでありますが、それは府縣の統合に関する意見でございます。今日の三府四十一縣、これは御承知のごとく徳川末期の廃藩置縣の遺物であります。われわれは今日なるべく地方ごとに経済の独立を可能なるごとく機構を改め、その地域を変改しなければならぬのでありますが、かつて東京都が実現いたします直前におきまして、この地域に関しましていろいろの議論が行われたのであります。どういう議論かと言いますと、東京府だけではあまり小さすぎる。それで、もつと大きな大都会をつくらなければならない。大都制を實現しなければならないというので、いろいろの意見が新聞社において徴せられた。
 当時の東京日日新聞、今日の毎日でありますが、この日日新聞が、大東京の構想につきまして懸賞論文を募集したのでありますが、その懸賞論文の中にこういうのがあります。大東京の実現は東京府だけでは小さすぎる。すべからく千葉縣を含めよ、すべからく茨城縣を含めよ、埼玉縣をこれに含めよ、神奈川縣、靜岡縣までも取込めて、富士の山までもとつて、そうしてかくのごとき大地域の都制をつくらなければだめだという意見が、当時の懸賞論文として当選いたしたのであります。そういたしまして、初めて独立経済は完璧を期することができるわけであります。
 今日アメリカの四十何州、これを日本にくらべますならば、米國の一州でも全日本の領土より大きい州が多々あるのであります。どうしてこの旧態依然たる幕末当時のちつぽけな府縣をこのままにしなければならぬか、われわれははなはだ理解に苦しむものでありますが、これを統合いたしまして、拡大――関東あるいは北信、あるいは東北、九州、中部といつたように、もつとこの府縣を大きく拡げていきますならば、それのブロツクにおいて経済の独立は営まれると私は考えるのであります。これまで行政事務局があり、府縣協議会がありまして、縣と縣との折衝にあたり、食糧供出、それから木材その他いろいろのことに協調してまいつたのでありますが、そういうふうにいたしますならば、何もそうした特別の機関を設ける必要も何もない、非常に便利であり、同時に経済的であると思うのでありますが、関係大臣の所信をお伺いいたしたいと存じます。簡單にこれで終わります。(拍手)
#21
○副議長(田中萬逸君) 森三樹二君、発言者を指名願います。
#22
○森三樹二君 社会党といたしましては、片島港君を指名いたします。
#23
○副議長(田中萬逸君) 片島港君に発言を許します。
#24
○片島港君 私は、日本社会党を代表いたしまして、わが國の行政機構の民主化、合理化、能率化を促進する上において根本課題であるところの官吏機構について所見を申し上げまして、いささか改革すべきポイントについて私見を附け加えたいと存ずるのであります。
 言うまでもなく、明治以來の日本統治の三大支柱をなしてまいりましたものは、軍閥と財閥と官僚でありましたが、三者はあるときは結託し、あるときは勢力爭いをしてまいつたのでありますが、それぞれ確固なる基盤をもつております関係上、お互いの力関係を認めつつ、自己の勢力の温存拡張をはかつて來たのであります。敗戰によつて軍閥は解体され、財閥も形式的には解体をされ、残された実質的な解体は、われわれの今後の努力いかんにかかつておるのであります。ひとり官僚制度のみは、今日に至るまで見るべき措置が講じられておらないということは、日本の政治の民主化の上にまことに遺憾にたえない次第であります。
 從來官吏制度の改革を口にしなかつた内閣はまれでありますが、言うところの改革は、その都度官僚勢力の強化に役立つのみでありまして、國民の期待に副うことができなかつたのは、どういうわけでありましよう。申すまでもなく旧憲法の下における官僚の牙城は、枢密院や貴族院にその宗家があつたのでありまして、その手綱を断ち切るということは、内閣自らの命の綱を断ち切ることになつていたのであります。官僚は厖大なる背景をもち、行政事務が複雜化するに從いまして、その手足となる下層官僚を厖大に増員いたしまして、おのれの息のかかる官廳をむやみやたらに濫設いたしまして、多角的にその勢力を増強してまいつたのであります。
 彼らは厖大なる下層官吏を独占し、その組織力と調査能力と技術力を駆使して、遂に政治の中枢に進出してまいつたのであります。パプリツク・サーヴアントとしての官吏機構は、いかなる近代國家にも附随しているのでありますが、わが國の官僚機構は、このような近代的行政機関としての性質とは似ても似つかぬ半封建的、父家長的專制政治支配の支柱として、國民大衆の上に君臨をしてまいつたものであります。(拍手)これは單なる近代的行政機関とみなされるよりも、むしろ組織化された反動勢力であり、党的性格をもつ強固な結集体であります。
 官僚機構のピラミツドの上層に君臨する特権官僚は、その生いたちからして國民と遊離をしている。すなわち帝大を出て、高文試驗に合格して、各省に見習として配属され、一、二年後には地方官廳の課長、局長に轉出をいたしまして、課長室や局長室で民情を聽いているのであります。その見習期間及び任官後の数年間は、先輩官僚によつて、いかにしてその独善性と形式主義を習得するかの指導を受けている期間なのであります。その信條とするところは、系統的な親分官僚に対する良吏として、いわゆる勅任街道を急ぐことであります。
 出世主義を信條とし、官僚生活のみを通じて生まれた人生観、社会観をもつて、どうして國民の公僕ということが理解できるでありましよう。公僕という言葉は、下層官吏に対する訓示の一節であり、國民大衆に対しては施しの文句にすぎないのであります。官僚制度を今日のままで放置するならば、資本家、やみ屋と結託してわが國経済の再建を阻止するか、あるいは持前の独善主義の形式主義と警察主義をもつて國民大衆の福利を阻害するかであります。枢密院、貴族院が解消した今日、特に幣原内閣や吉田内閣のような官僚勢力の濃厚でないところの民主的な片山内閣が、……(発言する者多く聽取不能)官吏の公僕性を強調され、官僚制度の刷新ということを……、(聽取不能)まことに時宜を得たことと存ずる次第であります。……(発言する者あり、聽取不能)提出されるとか聞いているのでありますが、この法案がかりにも官僚案であるとするならば、われわれはよほど警戒しなければならない。國民によつて裁かれる時が到來した官僚が、みずから裁く法規を立案するということは理窟にかなわぬことであります。われわれは次の改革意見を中心として、公務員制度の徹底的改革について論議を重ねているのであります。
 すなわち、第一には、官僚は國民の公僕であり、國民の福利を増進するために職務を行うものであることを明らかならしむることであります。
 第二には、有能の士を登用するため、学閥を打破し、特権官僚の符牒をつける高等文官制度を廃止することであります。
 第三には、官吏に身分的階級制度を設けない。すなわち一級官、二級官、三級官のごとき差別をもうけないことであります。
 第四には、精密なる職階制をを設けて、能率本意、実力本意の任用及び昇進制度を確立することであります。
 第五には、政府、國会、官公労働組合、学識経驗者等の代表者をもつて民主的に構成せられた官吏任用委員会を設け、これが選考のもとに、民間有能の士を随時適職にに自由任用する途を拡げることであります。
 第六には、職務上の饗應、役得、民間團体への天降り人事などを嚴禁することであります。
 第七には、逓信、鉄道などの現業官廳においては、その経営機構とともに、能率本意の人事機構を実施することであります。
 第八には、最も重要なことは、官吏特に下層官吏の生活を確保するために最低賃金制を確立するとともに、社会一般の水準において社会保障を徹底することであります。
 第九には、一定の方式によつて國民に不良官吏の彈劾権を與えることであります。
 第十には、申し遅れましたが官吏の追放がきわめて形式的であるために、はなはだ不公平になつておる現状からして、実質的の該当者を徹底的に追放することであります。かくして残りました民主主義的な、進歩的な官僚と、民主主義を標榜して起ち上がつた官廳労働組合などの協力によつて、すつきりとした官吏機構を確立いたすことであります。
 第十一、第十二、第十三と限りはありませんが、時間の関係上これで打切ります。
 最後に、このような事柄というものは、他の党の主張だからといつて聞き流しにすることなく、院議をもつて何とぞ取上げられて、各党共同提案として議会に提出する準備を進められんことを切に要望いたしまして、私の意見の発表を終ります。(拍手)
#25
○副議長(田中萬逸君) 坪川信三君、発言者を指名願います。
#26
○坪川信三君 民主党といたしましては、中嶋勝一君を指名いたします。
#27
○副議長(田中萬逸君) 中嶋君に発言を許します。
#28
○中嶋勝一君 過ぐる四月の選挙におきまして、都道府縣知事は公選によつて初めて選ばれて出たのであります。しかるに、この公選に選ばれて出た地方長官に対して、地方制度の改革が遅れておりまするそのために、現在地方長官の不平不満というものは想像以上のものがあると聞くのでございまして、先般行われましたところの地方長官会議におきましても、その現われは十分看取し得られたと思うのでございます。私は本日自由討議の機会をいただきまして、今政府は速やかに地方制度の改革を断行すべしということを提唱いたしまするその意味合におきまして、私の抱懐いたしまする意見を申し述べさせていただきまして、國会を通じて全國民に訴え、並びに全國民の代表者であらせらるるところの賢明なる皆樣方の公平にして嚴正なる御批判を仰ぎ、希くばこれが目的達成に対して絶大なるところの御支援を賜わりたくお願い申し上げたいと存ずるのでございます。
 私は、地方制度改革の問題に関しまして、まず目下最も重要問題として取上げられねばならない、食糧問題の解決をすることについて申し上げてみたいと思うのでございます。御承知のように現在地方長官は、食糧問題に関しましては、非常に重いところの責任を負わされておるのでございます。でありますからして、生産から配給にいたるまで、献身的の努力を拂つておるのでございまして、ある地方長官のごときは、植付時には農民とともに田の中にはいり、そうして率先垂範、奬励をいたしておる。植付が終れば、除草あるいは駆虫である。灌漑用水の問題、肥料の問題、各般あらゆる問題に関しまして、献身的な努力を拂つておるのでございます。
 けれども、いざ收穫となりますると、農林省の手に移りまするし、これが收買には農業会が携わつております。しかして、配給は、食糧営團がこれに携わつておる。また麦の場合でございましたならば、もう一つこれに精麦組合が加わつておる。甘藷、馬鈴薯の場合でありましたならば、その統制会社が加わつてくるという、すなわち命令系統を異にいたしますところの数種の機関が分業的にこの仕事に携わつておりますために、到るところにおいて、なわ張り爭いが展開いたしてまいります。しかして窓口があまりにも多いために、事務がきわめて煩雜でございます。そうして船頭多くして船山に上るというような事態が随所に現れておるということを聞くのであります。
 これではいかない。すなわち数流の川によつて、流れが並行しておりますから、いきおいここに食糧の横流れとというものの温床地帶をつくつておるような状態であると思うのでございます。ですから、いきおい横流れにならざるを得ない。しかるに、もしその横流れをしたその場合には、政府はそれらを犯罪者として直ちに逮捕して牢屋にぶちこまれておるのでございますけれども、かかる行政は、私どもは断じて賛成し得ざるものであります。
 しからば、いかにしたらよろしいか。ここにおきまして、地方制度の大改革をやる。そうして、まず各縣の機構を根本的に改める。そういたしまして食糧局をおく。食糧局の新設をいたしまして、食糧問題に関しては、農林省はきわめて大幅の極限の委讓を地方長官にいたすのでございます。そういたしまして、生産から供出なり、あるいは供出割当、收買、運輸、あるいは肥料の面、そうした面を全部その食糧局に統合して、これに携わらせるのでございます。そういたしまして、縣内の市町村にはまた食糧課をつくらせまして、この食糧課は縣の食糧局に隷属せしめる。そういたしまして、地方長官の命令一下、ただちに手足のごとくに働く。こうして命令系統を統一いたしまするところに、初めて円滑なる施策が行われる。私はかように存ずるのでございます。
 しかしながら、ただこれを地方長官に全部一任することは、時節柄それは不適当でございましよう。でございますから、それには食糧政策協議会といつたようなものをつくつて、縣内から選出せられたところの國会議員もこれに加わるのがよろしゆうございましよう。あるいは縣会議員とか、市町村長の一部であるとか、あるいは学識有能者であるとか、篤農家であるとか、そういうような人を加えまして協議会をつくつて、その協議会によつて運営をはかつていくということにいたしました場合に、そこに初めて縣民が、生産者が、消費者が、全部納得いたして食糧の問題の解決をつけ得る。私はかように確信いたす次第でございます。
 しかるに現在は、ただいま私が申し上げたような実状でございますから、たつたこの間も、私のところへの通知が來ておるのでありますけれども、米がなくなつて実に困つておると、農林省から米の配給指令が來た。指令をもつて、積まれておるところの倉庫に、トラツクをたくさん準備をして受け入れに行つた。ところが、それを保管しておるところの村長は、頑として倉を開かない。渡さない。どうして渡さないか。どうしても渡さないのだから渡さないと押問答の末、倉を破るわけにはいかないから、遂に引下つてきた。結局この米は倉出しはせられたけれども、しかし変つた指令を受けた方面に、倉出しをして渡したということでございまするが、これらは大体何を物語るのでございましよう。
 こうしたところの複雜きわまる各種の機関が分業的にこれに携わつておるために、すなわちなわ張り爭いというものがこの食糧政策の上に現れておる証左であると申し上げて差支えないと思うのであります。でございますから、これを改めることによりまして、そうして農林省の権限を大幅に地方長官に委ねて、ただいま私が申し上げましたような運営に当ることになりましたならば、農林省の仕事がなくなるというような考えが起つてくるかと思いますが、私どもは、そうなりますればまことに結構だと思うのであります。農林省の仕事がなくなりましたならば、速やかに解体していただきたいのであります。これによつて、ただちに行政整理ができ得ることと思いますので、すでに内務省の解体は決定しておりますが、またそれに続いて農林省も解体されるということになれば、そこに一層行政整理に拍車をかけまして、國民の負担が軽くなる事態が到來いたすと、かように考える次第あります。(拍手)
 かようなぐあいにいたしまして、先刻來の御意見の中にも聽いたことでありますが、とにかく官吏の数を少くする政策をとつていきたいものでございます。地方の縣廳は、從來は官廳でありましたけれども、地方制度の改革によつて自治体化してまいりますし、また私どもは自治体化せしめたい、かように考えておるのでございます。この官吏の数を少くすることによつて、官僚独善の弊を一掃せられると思うのであります。
 官僚独善の弊ということにつきましては、私が今申し上げるまでもなく、皆樣方よく御承知の通りでございます。けれども、私が実に戰慄を覚えるほどの重大問題が今私の机の上に現れておることを、ちよつと御紹介申し上げたいと思うのでございます。それはどういつたことであるか。過ぐる七月初旬の自由討議のときに、私は肥料が不足して農村が困つておるこの時代、マンガン肥料をつくるのを許可し、これを奬励して、どんどんつくらせるがよろしいという説を提唱いたしまして、農林大臣の答弁を求めたのであります。その際農林大臣は、この私の質問に対しましては、きわめて的違いな答弁をしておられたのでありますが、この私の発言が官報号外に掲載せられて全國にまわつていきましたところが、驚くなかれ現在の私の手もとに百数十通の、マンガン肥料をつくる許可をせよというところの陳情があつた。そうした情報が來ておるのでありますが、現に北は岩手縣、南は九州の熊本縣、大分縣、中部では愛知縣、京都府、それらの方面から現在この肥料不足に備えてマンガン肥料をやつたならば、こういうようにできばえがよろしいのだというところの陳情が見えておるのでございます。
 しかしながら、こうした原料の無盡藏であるところの簡易な肥料が、事実においてできるのであるにかかわらず、当局は抑えてこれを許可しない。なぜこれを許可しないかということを探つてみると、仄聞するところによりますと、この許可をした場合には、官僚学閥が堅持しておつたところの学説が覆るから、それで許可しないのであるということを聞くのでありますが、はたして事実であつたとするならば、私どもはゆゆしき重大問題だと考えておるのであります。(拍手)はたして官僚というものは、そういうことをしておるものかどうか。私は今十分な資料を蒐集いたしまして、そうして当局にこの問題をひつさげて、つつかかつてみるつもりでございますが、最後には本会の問題にいたしましても、どうしてもこの実現をはからなければならない。
 なぜかというと、あの多数の人々が陳情に來るのを聽いてみますと、收穫の結果を写眞にとつてまいつておりますが、この肥料による農作物は、完全に十割の増收ができるという折紙をつけておるのであります。してみれば、この肥料を終戰後ただちにつくつて出しておつたならば、今食糧問題で全國民がかように難儀をみる必要はなかつたのではなかろうかと、私はかように考えるのでありますけれども、こうした問題は、要するに地方制度の改革によりまして、非常に大きな権限を與えることによつて、地方々々で解決をつけさえすれば、汽車賃が高くなつたのに、わざわざ東京にのこのこ出てくることなしに、地方での非常に和やかな話合いで解決いたしまして、ここに眞に民主化が徹底いたしまして、國利民福の実があがることと確信いたすのであります。
 私は、この意味合いにおきまして、食糧問題に関する地方制度の改革は、非常に大幅なる強度の権限を地方長官に委讓して、そしてその実現を速やかならしめたい、かように存じておるのであります。よろしく御批判を仰ぎ、御援助をお願い申し上げます。
#29
○副議長(田中萬逸君) 小澤佐重喜君、発言者を指名願います。
#30
○小澤佐重喜君 日本自由党では、次に木村公平君を指名いたします。
#31
○副議長(田中萬逸君) 木村公平君、発言を許します。
#32
○木村公平君 はからずも私の発言が今日の自由党最後であることを、ただいま承知いたしましたので、はなはだ失礼ではありますが、前発言者諸君の発言の批判を述べさしていただきたいのであります。
 大体私は、提案者ならびに発言者の発言に対しては賛成であります。たとえば、地方分権の確立も賛成である。あるいはまた出先機関の整理、むろん賛成であります。さらに官僚の数が多すぎるということも同感であります。官僚の独善腐敗に至つては、まつたく同感であります。しかしながら、いかにしてかくのごとき弊を矯めるかという点について、私の意見を拝聽願えますれば幸甚であります。
 私は、そもそも今日の官僚が独善的であり、腐敗をし、ますます官僚の数が多くなり、さらにまたますます役所の数も多くなるという根本原因は、実に統制経済にあると思うのであります。そもそも自由主義経済においては、かくのごとき大きな役所は要らない。同時にかくのごとき多数の官僚は要らないはずである。まして官僚の独善腐敗に至つては、実にこれ統制経済の所産であるといつても過言でない。先ほど社会党のなにがし君かは、盛んに官僚の独善腐敗を喋々され、高調されたのでありまして、私もまつたく同感でありますが、遺憾ながら社会主義経済によつては、官僚の独善を矯めることはできない。官僚の腐敗を是正することもできないのである。
 今日地方においても中央においても官憲が強力でありますのは、配給の権を握つており、物をもつており、統制を指示する権限をもつており、あらゆる國民大衆にないところの特権をもつておるから、これを濫用し、大衆を一方において圧迫し、他方においてやみ屋のボスと結託して、社会をますます腐敗堕落せしめておるのである。(拍手)從つて、諸君が官僚の数の少いことを欲し、さらに諸君が官僚の独善をきらい、さらに諸君が官僚の腐敗について好ましく思わなかつたならば、現在の誤れるところの統制経済主義を揚棄して、速やかに我が党の主張するところの自由経済……(拍手、発言する者多く、聽取不能)統制経済の行われるところ、官僚の独善がますます高調され、腐敗はますます底知れず多くなるにきまつておる。
 私はそういう意味において地方分権賛成である。出先機関整理も賛成である。官僚の数が多過ぎるということも同感である。さらに官僚の腐敗堕落に切歯扼腕することは、諸君よりも私である。けれども、この根本を改むるためには、遺憾ながら現在の機構ではできません。現在の誤れる統制経済を揚棄して、我が党が主張するところの自由経済に……(拍手、発言する者多く、聽取不能)
 さらに一言触れておきたいのは、経済安定本部の問題でなければならぬ。経済安定本部は、御承知のごとく屋上屋を重ねるものであるということが批評されておるが、その通りである。しかして、この経済安定本部の権限が強化されればされるほど、地方分権の確立の障碍になるのである。そして経済安定本部の総裁は、御承知の通り総理大臣でありますが、実際はその長官が実権を握つておる。長官は單なる属僚であるはずである。にもかかわらず、経済安定本部においては、総裁の片山首相は第二封鎖にあつて何にも手が出ない。(拍手)そうして和田君は、この実権を握つてほしいままにいたしておるのである。経済安定本部が、あるときにおいては政治は要らないと言われても、返す言葉がない。(発言する者多し)社会党の諸君が眞に民主主義を必要とするならば、この経済安定本部を破壊しなければならない。(発言する者多し)経済安定本部があるうちは、眞の民主化はあり得ない。よつて私は、あくまで経済安定本部に関して…
    〔発言する者多く、聽取不能〕
#33
○副議長(田中萬逸君) 靜粛に願います。
#34
○木村公平君(続) 問題は社会党の諸君がいかに……(発言する者多く、聽取不能)我が党のこの政策の行われざる限りは、官僚の独善はやまない。官僚の腐敗を矯めることはできない。(発言する者多し)その点を強調いたしまして、私の意見を終ります。(拍手)
#35
○副議長(田中萬逸君) 東井三代次君、発言を指名願います。
#36
○東井三代次君 第一議員倶樂部では、只野直三郎君を指名いたします。
#37
○副議長(田中萬逸君) 只野直三郎君、発言を許します。
#38
○只野直三郎君 私は、第一議員倶樂部、日本人民党の只野直三郎であります。今回地方自治行政の改革に関しまして、いささか私の所見を申し上げます。
 現在の日本の政治の行詰りは、いろいろな方面からこれが考えられることではありますが、日本の政治の行詰りの根本は、われわれが今いただいておる新らしい憲法の性格から出発しておる。まずもつてこれを私の前提といたします。從いまして地方行政も、同じその観点においてこれを論じてみたいと私は考えます。しからば、今日の地方制度においてどのような点がいけないのであるか、そのいけない部分を拾ひ上げて申し上げてみます。
 私は、現在の地方制度においては二つの欠点のあることを考えております。一つは、地方議会における彈劾及び解散の制度であります。もう一つは、地方自治体における地方分権の不徹底であります。この二つの問題に関し、いろいろの立場からこれを批判し、そのよつて來るゆえんのものを究明してみたいと思います。
 まずもつて地方議会の彈劾および解散の制度、これはよろしくありません。この制度がある以上、地方自治体の傳統及び歴史を破壊します。地方政治の不安を釀成いたします。地方の平和を壊します。実は今度の市町村制の中における首長は、地方議会に対して解散権をもつ。地方議会が首長に対して彈劾権をもつ。これは机上の理論としてはいかにもよさそうであるけれども、実際村に、もしこういう事実があつたならば、どうでありましようか。村には永久に平和はきません。宮城縣のある村において、村会の解散を命じた所があります。その村は今混乱をしております。村は本來平和を欲する。その平和を欲する村において、このような制度をもしつくつておれば、平和を欲する村の中のある一部の者が、その制度の欠陷に乘じて村の平和を破壊するということがあり得るのであります。これは制度から來た地方自治体の破壊の現象をもたらすものであると考えまして、私はこの彈劾制度はただちにやめなければならぬものである、こういうふうに私は考えております。
 しからば、これをなくするにはどのような方法をとるか。第一に、任期満了制度をとらなければなりません。首長に選ばれた者は、四年間はどうしてもやめない。村会議員や縣会議員に選ばれた者は、その任期間は何としても勤める。それが責任政治である。從いまして、私が考えておりますることは、このような制度にすれば、結局落ち着いた制度になつてまいります。その場合には、首長は拒否権をもちます。地方議会の決議に対し、首長は一回ないし二回の拒否権をもてば、それによつて首長たる者の権威が保持され、あるいは地方議会における乱暴な決議が阻止されるものであると考えるのであります。さらにこの彈劾及び解散の制度は、理論上よくありません。これは明らかに政治の世界に闘爭の理論を應用したものになつてまいります。從いまして、任期満了の制度は闘爭の理論ではない。大和の性格がその中にはいつておるものである。こういうふうに考えまするがゆえに、私はこれこそ日本の地方自治体にはつきりとあてはまるものでなければならぬ、こういうふうに思います。
 さらに第二の問題といたしまして、地方分権の不徹底、これは先ほど來たくさんの先輩諸君が申されましたので、くどく言う必要はありません。問題は、眞のデモクラシーは自治ということであります。英語で言うところのセルフ・ガヴアメントである。そうだとするならば、地方制度の民主化は、徹底した地方自治の完成である。言いかえれば、完全なる地方分権である。こういうことになります。この地方分権が生れない限り、地方自治体の完成は望めない。言いかえれば、日本の民主主義が地方政治においては実現不可能である。こういう結論に達します。
 そこで、私は皆樣方に申し上げたいことは、このような首長彈劾制度、あるいは地方分権の不徹底は、何によつて生じておるか、これを考えますると、私は結局内閣制度から出発しておると思います。今日の内閣制度は、闘爭の理論の上に立つております。議会に対する内閣の解散権、内閣に対する議会の彈劾権、要すればこの性格の親の姿が子の姿、中央政府の姿がそのままそつくり地方政治に流れこんでおる。本を正さずんば、末は正しくなりません。話は簡單です。そんなにめんどうな理窟で天下の大勢は動くものではない。その意味において私は、要すれば現代の内閣制度が日本の地方制度に影響しておる。これは彈劾制度と地方分権の不徹底である。こういうふうに考えております。
 しからば、この制度を拂拭するにはどうするか。内閣制度をやめればよろしい。皆さん、これは相当の大問題です。十分間の演説には無理であります。しかし、これを私は皆樣方に眞劍に申し上げて、皆樣方の御参考に供したいのでありますが、今の日本は、よくないと思うことは思い切つてかえてよろしいのであります。躊躇逡巡は要りません。内閣制度がいけないと國民大衆が考えたならば、それで内閣制度はやめて差支えない。
 しからば、なぜ内閣制度がいけないか。内閣制度は言うまでもなく中央集権の制度であり、官僚政治のこれは元祖であります。内閣制度自体が官僚政治の源泉である。民間にあつて、あれほど人権の開放を叫んだあの片山さんが、官僚のとりこにならざるを得ない。これは片山さんが惡いのではない。制度が惡いのである。それを私どもは眞劍に考えてみる必要があります。内閣制度を改めるとすれば、しからばどのような制度をつくるか。
 皆さん、親に似た子が生れるようではいけないのです。ほんとうの子供に似た親をつくらなければならない。子供はすなわちデモクラシーである。デモクラシーの姿をした親をつくらなければ相ならぬのであります。言いかえれば、徹底した地方分権は完全なる地方自治体である。そうするならば、その完全なる自治体の姿を中央政府に実現すればよろしい。
 しからば、どのようなのが完全なる自治体的性格の中央政府であるか。それは、私が昨年の二月一日以來提唱しております統領制度であります。内閣総理大臣を國民の手によつて公選すれば、完全なる地方分権的政治形態が生れてまいります。公選された総理大臣のことを、私は統領と申しております。この統領は、四年間の任期制度になる。そうすれば議会は解散がない。これはアメリカの制度であります。このアメリカの政治形態が、日本の民族性によく合致します。これは皆さんが虚心坦懐に國家の運命を考えられて御檢討なされば、よくおわかりのことと思います。公選された内閣総理大臣を、私は統領と申しております。この制度を統領制度と申します。但しこの制度を実現するためには、天皇に主権がなければ成り立ちません。これは統領制度の根本的の原理であります。人民主権のまま総理大臣の公選をやれば、これは明らかに共和國であります。人民の主権を天皇に移讓し、天皇主権のもとに総理大臣の公選をやれば、いわゆるこれ主権在君……(発言する者多し)これが日本の正しい政治の姿であります。このような政治体制が、私の言うところの徹底したる地方分権的性格の完全自治の政治であります。皆さん、この完全自治の性格をもつた中央政府が生れなければ、徹底した地方分権の政治は出てこないのであります。
 私は今日の日本の政治の現状を考えまして、今日の政局の不安なる姿をながめて、要すれば天皇主権のもとに徹底したる人民の自治、言いかえれば、天皇制のもとに、人民の手による、人民のための、人民の政府をつくる。この政府をつくらなければ、日本の再建はできない。私はこういう考えのもとに、今統領制度というものを提唱しておるものでありますが、この制度においてのみ……
    〔発言する者多し〕
#39
○副議長(田中萬逸君) 靜粛に。
#40
○只野直三郎君 正しい政治が生れてくる。このような主張表現のもとにおいてのみ、初めて民主政治が生れるということを考えておるものであります。從いまして、中央政府が解散なくまた彈劾のない政治の姿をとれば、おのずから地方政治においても、解散のない彈劾もない政治が生れてまいるのであります。地方政治の改革に関しまして、私は以上の所論のもとに、徹底したる民主政治実現のために、われわれは現在の政治の基本問題に関し十分なる反省をする必要があると思うのであります。
 はなはだ相済みませんでした。時間が超過いたしましたことをおわびいたします。私が最後のようでございましたので、ついゆだんをしまして申訳ありませんでした。御清聽を感謝いたします。
    〔國務大臣木村小左衞門君登壇〕
#41
○國務大臣(木村小左衞門君) 中曽根君その他から私の意見をお質しになりましたのに対しまして、簡單にお答え申し上げたいと思います。
 まず第一に、警察制度のことについてお答えを申し上げます。將來の日本の警察制度のあり方はどういう形式においてあるべきものかということについての中曽根君の御所見に対しましては、さすが警察事務に多年御鞅掌になりました代議士の御所見、まことに傾聽いたしましてございます。
 お説の通り、將來軍隊なき後の治安維持には強力なる國家警察を必要といたすと考えるのであります。のみならず、また一方には地方分権の要請があり、この間の調整につきましては、目下政府におきましては、閣僚中に委員を設けまして考究中であるのでありまして、遠からず成案を得まして提案をいたすことに相なろうかと存じますが、ただ、政府を代表いたしまする意見でなくて、現在の所管といたしましての私の内務大臣個人の愚見を申し上げてみますと、先ほど提案者から提案の理由として御説明になりましたように、警察権の全部を地方へ移讓するということは、日本の現状に照らしまして、また將來の軍隊なき日本にとつて、どういうものであろうかと考えられます。
 例をアメリカにとつてみますと、アメリカのごとき大きな國で、大きな州に分割されておりまする所では、全部警察権が地方へ移讓されましても、その警察力の経費その他を負担いたしまするところの能力は十分にございますが、日本のごとき小さい都道府縣にわかれておりまする所では、その中の一部には、警察権を移讓いたしましても、これを消化いたしまして、これを維持し、これを自主的に運用いたしまするところの実力、つまり経済力をもたないところの縣があるのではないか。――あるとは断定いたしませんが、あるのではないかというおそれがありまするのと、あまりにもただいまの地方の行政区画が小さ過ぎますので、國家的な何事か起りました場合に、先ほど中曽根君の御説にもありましたように、これを鎭圧し指導するというようなことが容易に行われ得ない。あつてはならぬことでありますが、暴動等が各縣にわたつて起つたような場合にはどうするか。とにかく國家権力というようなものが、いささかでもそこへ発動するということでなければ、これは統一がつかないものではないかと考えられますので、私はこの点につきましては、大幅に地方へ移讓いたしますが、ごく最小限度には、いわゆる中央警察、國家警察というものを存続せしむべきところの必要があるのではないか。
 たとえて申しますと、ただいまの警察人員が九万三千ありますのを、少しく拡大いたしまして、中曽根君は十五万と仰せられたようでありますが、相当に増加いたしまして、そのうち適当な警察力を國家警察として存続せしめてはどうであろうかと考えます。なお、その機構なり、その配置なりにつきましては、ただいま委員を設けまして、これを考究中でありますから、いずれ具体的になりました場合に、公に出して御審議を受けることに相なるかと考えております。
 それから統制経済の円滑なる実施と取締りの必要というお尋ねがあつたようであります。統制経済の目的から考えまして、これを統一することが必要であると考えられますことはもとよりでありまして、取締りの方針や重点を中央から指示しておりますが、具体的には、各都道府縣当局の國家的見地よりする取締りの励行をまつよりほか、ただいまのところでは方法がありません。制度的に見ますれば、取締りにあたる末端機関まで國家意思の浸透いたしますような國家警察が必要であろうと思つております。
 それから司法警察と行政警察との分離というような御質問があつたように考えまするが、この行政警察と司法警察の分離の問題につきましては、特に御承知の通りもう三十年來の古きにわたりまして、いろいろ論議され盡したことでありまして、最近警察行政審議会におきましても、すでにもう結論を得ております。司法制度と警察制度の改革につきまして、これも目下私どもの委員の中で審議いたしております。いずれこれも具体的になりまして、御審議をお願いするようなことになるかと思いますけれども、大体地方警察といいますものは、犯罪が発生した場合にこれを捜査し、犯人を逮捕するのがその任務でありまして、行政警察というものは、かかる犯罪が発生しないように、治安が乱れないようにするのがその目的なのでありますが、御承知の通り、行政警察は從來建築とか衞生等に関する事務も一部管掌してきたのであります。これは本來の警察事務ではないのでありまして、すでにほとんど警察以外の機関に移讓済みであります。今日なおこれらのことを行政警察事務と考え、これを司法警察と分離するように唱えた向きもありますけれども、今日警察が担当しておりまする行政警察には、このようなものはもうほとんど含まれていないのであります。犯罪の予防、治安の維持、生命財産の保護、これに関連してぜひとも必要な若干の仕事だけが保留してあります。実際は警邏や立番や非常警戒、不審尋問というような仕事が主であります。これによつて犯罪を予防するとともに、司法警察の任務である犯人の逮捕もできるのでありまして、この二つの作用はまつたく表裏一体をなして施行せられ、またそうすることによつて初めて能率もあがり、経済的に運用されるのでありまして、この兩者の分離ということの運用は、非常にむずかしいものであると考えております。
 それから沿岸防備のお尋ねがあつたように記憶いたしまするが、今日の新聞を見ますると、去る十二日の何時かに、博多沖において、鴨川丸が三機の飛行機から爆彈を受けた。それについては何か報告がされておらないか、詳細を報告せよ、そういうことは沿岸防備の立場からどういう方法をとつておるのであるか、施策を施しておるのであるか、というお尋ねのようでありましたが、この去る十二日の鴨川丸の事件につきましては、内務省の方にもどこへも、官憲として何の通知も報告もごぜいません。しかも、これは本日の新聞にありましたが、もう十二日という古いことであります。十日も前に発生したことでありまして、なお、新聞社へも責任上尋ねてもみましたところが、新聞社もこの報告記事を入れましたのは、船舶運営会から打電があつて記事に入れたということでありまして、遺憾ながら、ただいまの詳細は申し上げる材料がございません。この点はどうぞ惡しからず御了承を願いたいと思います。
 大体海上警備はどうしておるかというお尋ねでありまするが、現在この海上防備は運輸省で考えておりますところの海上保安廳が將來できまして、航行の安全確保、または海上――主として外海におけるところの海上犯罪の取締りに任ずることになればよいのでありますが、それまでは、現在各都道府縣の警察でやつておるところの水上警察を拡充するよりほかに方法はないのであります。また海上保安廳ができた場合におきましても、海上保安廳は、外海を中心とした海上で國境警備的な任務を帶びることになり、内海海上、港湾及び接岸水域等においては、水上警察がその責に任じて、これに相協力をいたします。そしてこの使命を達成することに努めるのでありますが、現在のところ、密輸入國よりの密貿易の鎭圧に任じているのは、ほとんど水上警察のみでありまして、船舶整備の不十分なるにもかかわらず、その全能力を発揮して活躍いたしておりますけれども、この設備において完璧を期することができないことは、遺憾至極であると申し上げたいのであります。
 それから次は、特別市制の問題が二、三あつたようであります。特別市制の実施は、各府縣、各市等の関係について一律ではありません。特別市制を実施するということは、その府縣においてもう一つ府縣をつくることと同じような意味になりまして、これにはそれぞれ特異の利害得失がありますので、政府といたしましては各般の問題を愼重調査の上、あくまでも輿論の動向に從つてこの処置をいたします方針であります。憲法の地方自治の精神に適つた最も適当の態度で、これに善処いたしたいと考えているのであります。
 それから地方財源のことについてお尋ねがあつたようでございまするが、地方財源の拡充は、内務省といたしまして最も努力を拂つている問題でございまして、この三月の改正におきましても、相当大規模の地方税の拡充、地方分與税の増額をいたし、さらに今議会におきましても、一部地方税改正について御審議をお願いするつもりでおりまするが、これによつて、今回の職員給與の改善、その他物價騰貴に伴う諸経費の増嵩に対しましても、特別の國庫補助を受けることなしに、どうにか賄つていけるようにいたしたいつもりであります。眞に地方自治の充実強化をはかるという見地からいたしますれば、今後さらに大規模な地方財源の拡充を進めていかなければならぬものと考えております。
 それから最後に、これはだんだん御質疑があつたようでありますが、中央官廳が地方へ出先官廳をつくるということの弊害であります。これについて意見をお求めになつたようでございますが、各地方の行政が、すべて公選になりましたる地方公共團体の長すなわち知事を中心として一元的に実施せられておりますことは、地方分権、地方自治の本旨に應ずるものでありまして、まことに結構なことでありまするが、ここへもつていつて、中央官廳がむやみに地方へ出先官廳を設けまするということは、この地方自治の運行を阻害することはなはだしいものであると思うのでありまして、これは賛成をいたしません。つきましては行政官廳法第十二条によりまして、將來は法律によつて認めなければ、地方官廳、出先官廳を設置することができない、こういう規定になつておりますが、なおまたさらに最近において、もつとこれを強化をいたしました法案を提案いたしまして、これを処理いたしまするつもりでございますから、さよう御承知を願います。
 大要このくらいであつたと思います。簡単でございますが、御答弁といたします。(拍手)
#42
○副議長(田中萬逸君) これにて本日の自由討議を終了いたしました。
 次回の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後五時十分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト