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1953/06/27 第16回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第016回国会 水産委員会 第6号
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1953/06/27 第16回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第016回国会 水産委員会 第6号

#1
第016回国会 水産委員会 第6号
昭和二十八年六月二十七日(土曜日)
    午前十時四十分開議
 出席委員
   委員長 田口長治郎君
   理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君
   理事 中村庸一郎君 理事 山中日露史君
   理事 小高 熹郎君
      濱田 幸雄君    白浜 仁吉君
      赤路 友藏君    田中幾三郎君
      辻  文雄君    松田 鐵藏君
      中村 英男君
 出席政府委員
        水産庁長官   清井  正君
        農林技官(水産
        庁次長)    岡井 正男君
 委員員外の出席者
        農林事務官
        (水産庁生産部
        長)      永野 正二君
        農 林 技 官
        (水産庁生産部
        海洋第二課長) 増田 正一君
        専  門  員 徳久 三種君
    ―――――――――――――
六月三十六日
 委員日野吉夫君辞任につき、その補欠として川
 俣清音君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 以西機船底びき網漁業及び遠洋かつお・まぐろ
 漁業の許可等についての漁業法の臨時特例に関
 する法律案(内閣提出第三九号)
    ―――――――――――――
#2
○田口委員長 これより会議を開きます。
 この際御報告いたすことがあります。本委員会が審査中の日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律案につきまして、昨二十六日農林委員長より同委員会の決議に基き、お手元に配付いたしました通り、意見の申入れがありました。この取扱いにつきましては、昨日の理事会におきまして、理事諸君とは協議をいたしたのでありますが、なお後日本案を議題といたしました際は御協議を願いたいと存じます。
#3
○田口委員長 ただいまより以西機船底びき網漁業及び遠洋かつお・まぐろ漁業の許可等についての漁業法の臨時特例に関する法律案を議題として質疑に入ります。鈴木善幸君。
#4
○鈴木(善)委員 本法律案の審議もほとんど最終段階に入つたわけでありますが、これが議決をいたします前に、包括的に長官の御意見をただしておきたいと思います。
 その第一点は、以西底びき網漁業のいわゆる中間漁区の行政措置につきまして、いろいろ関係者と協議を遂げておられたようでありますが、その話合いのついておりますところの協議の内容、今後当局が措置しようとする内容につきまして、御説明をいただきたいと思います。
#5
○清井政府委員 ただいま鈴木委員より御質問がございましたので、御説明申し上げたいと思います。
 実は本法律案と直接の関係は、法律的にはないのでございますが、いわゆる中間漁区船が将来以西に転移することに伴いまして、福岡、佐賀、長崎の面する海面におきまして、以東の底びき船のある程度の入漁を認めたいということをかねて私どもといたしましては考えておつたのであります。この問題は御承知の通りなるべく沖合いへ船を出して、沿岸漁業への圧迫一を緩和したいという漁業調整の見地からいたしまして、私どもは大きな方針の一つとして、これの実現に努力して参つておつたのであります。この問題につきましては、いろいろ経緯がございまして、地元九州各県におきましては、主として沿岸漁業が底びき漁業の侵害を受けるという観点から非常な反対の御意見があつたのであります。また一方底びき側といたしましては、水産庁の指示しておりましたところの方針にのつとる一つの行き方であるから、ぜひこれを実現してもらいたいという趣旨の御意見がございまして、私どもその間の意見の調整に非常に苦心をいたしたわけであります。私も現地の要請に基きまして、九州及び山陰の各県に参りまして現状を拝見いたし、また漁業の案態をも十分関係者の方からお聞きをいたしたのであります。また一方漁業調整審議会にも、この問題につきまして率直な御意見を伺つたような次第もあるのであります。その後関係県庁、関係者といろいろ相談をいたしまして、大体この問題は解決の見通しを得たということをはつきり申し上げることができると思うのであります。
 その内容といたしましては、九州各県において、端的に申しますと、底びきの違反があるということでございますが、それの実態につきまして私どもも十分拝見いたして来ておるのであります。そこで私どもとしましては、とにかく以東の底びきの船が、九州の関係沖合いに出漁いたしますにつきましても、とにかくこれがために、沿岸漁業のこれによる阻害を極力避けることが必要であるという見地をもちまして、操業海面につきましては、今までの底びき漁業の禁止区域のほかに、さらに一定海面について操業の制限区域を設けまして、底びき船が制限区域の中に入つて来ないように措置いたしますとか、あるいは夜間の漁業につきましては、これは実際問題としてなかなか取締りが不十分でありまして、沿岸への侵犯が行われやすいというような実際的なことがございますので、夜間操業をとめ事とか、いろいろな措置を講じました。さらに漁業の禁止期間につきましても、かねて議論になつておりました通り、大体半年にするというようなことにいたしました。さらにまたすでに御審議を願つておりますところの二十八年度予算におきましては、新たに對馬海面専門の取締船を一隻造船をいたす予算を計上いたしておるのであります。金額は五百万円程度でありますが、これによりまして新鋭の民間漁船を借り上げまして、努めてこの方面専門の取締りに当らせるという予算措置も講じた次第であります。いろいろの措置を講じまして、九州の沿岸漁業者の真摯なる声に対しましては、できるだけの措置を講じたわけであります。
 かかる見地に立ちまして、底びき船の入会につきましては、いろいろ関係者とも相談いたしました結果、四十四隻の船を山口、島根、福岡、佐賀の四県から当該海面に入漁を認めるということが、一昨日関係県庁及び漁業者との相談において大体まとまつたのであります。もつとも、この問題につきましては、関係業者の方々としましては、双方とも非常な不満を持つておられたのでありますけれども、大乗的な見地に立つて、とにかくこれでやつてもらいたいということで私どもは話をいたしまして、大体これでもつてやつて行ける見通しが私どもとしてはついたわけであります。本日、明日あたり、きまりました話合いに基きまして要綱を整理いたしまして、すみやかにこの措置を関係各県にも連絡をいたしたいと思つておるのであります。今後この問題、ことに沿岸漁業者の真摯なる声に対しましては、さらに来年度予算におきましても所要の措置を講じたいと思つております。あるいは行政措置ができるものにつきましては、さらに行政措置によりまして、できるだけ九州沿岸漁民の声にこたえたいというふうに考えておりします。また底びきの方につきましても、これは全般の底びきの問題としてこれを取扱つて参りたいと考えております。
 いずれにしても非常に長い経過を要したのでありますが、この問題にはとにかく見通しを得たことをはつきり申し上げることができますことは、関係各位の絶大なる御協力によるものとして、私ども非常に感謝しておるのであります。そういうようないきさつでございまして、非常に長い間の懸案でございましたが、とにかく見通しを得たことをお話申し上げることができることは、私としてきわめてありがたいことであると考えております。
#6
○鈴木(善)委員 中間漁区の問題がいろいろ政治問題化しておつたのでありますが、長官以下関係係官、関係者の非常な誠意によりまして、ただいまのように円満に話合いがまとまりました点につきまして、深く敬意を表するものであります。ただこの際この法案に関連してお尋ねしたいのでありますが、結局今のような解決に基きまして、百二十八度三十分以西が以西底びき網の漁業になり、その以東が季節を限り、隻数を限つて中型機船底びき網の操業できる区域になつた、こういうことに相なるわけでありますが、そういたしますと、このような法律の改正の形式でなくて別の形、つまり以西底びき網の漁業とは東経百二十八度三十分以西を以西底びき網漁業と称する、こういうぐあいにはつきり正面から漁業法の改正をすべきではないかと思うのですが、そうしないで、このような形式をとつた取扱いについての当局のお考えをお聞きいたしたいと思います。
#7
○清井政府委員 お話の点でございますが、確かに本法律案がかりにお認め願えるといたしますれば、またただいまの実際の行政措置によりましても、今までいわゆる以西あるいは以東と申しております東経百三十度という線が、実質的には百二十八度三十分ということになる前提を示しております。この問題につきましては、すでにこの案を御提出し、御審議を願いまする以前に、関係の漁業者とも十分相談しまして、いろいろ議論はあつたわけでありますが、実質的には百二十八度三十分を従来の以西にするという実際上の相談をいたしておるわけであります。あるいは今回の措置によりましても、具体的にそういうことに相なつておるわけであります。もともとこの百三十度の線を百二十八度三十分と一度三十分だけ西に延ばしたということは、すでにたびたび御説明申し上げ、また各先生におかれましても十分御認識の通り、百三十度をきめましたときと比較いたしまして、沿岸並びに沖合いの漁業の形体がかわつております。あるいはそれらの平均トン数も違いまして、相当大きくなつており、あるいは隻数も相当増大しているという諸般の事情がありまして、その漁業の実態に即応させるためには、どうしても今までの百三十度線をそのままにしておくわけにはいかないというわけで、百二十八度三十分の線に実際に移すという措置がとられておるわけであります。ただこの問題につきまして、本来申し上げますれば、漁業法の改正によりまして、百三十度の線を百二十八度三十分に移すという措置がとられるべきであるという点もあるわけであります。しかしながら、本法律案につきましては、昨年の講和発効によりまして、マツカーサー・ラインのとれましたことによる一つのステツプといたしまして、底びき網とかつお、まぐろに措置がとられたわけでございます。漁業法を改正いたしまするということになりますと、その他またいろいろ考うべき問題が相当あろうかと考えます。私どもといたしましては、漁業法の改正につきましては、別途事務的な検討を続けておるわけでありますが、この際は漁業法改正の措置をとらずに、新たなる事態に即応するところの臨時応急的な措置といたしまして、臨時法の建前において、実質的に百三十度の線を一度三十分西に移すという措置をとつたのであります。今後事態がはつきりいたしまして、漁業法を改正する時期に至りましたならば、この線に基きまして将来漁業法を改正しなければならぬと考えておるわけであります。
#8
○鈴木(善)委員 次に、かつお、まぐろの面につきましてお尋ねしたいのであります。今回のスライド線につきましては、時宜に適した措置と思うのでありますが、さらに根本的な方針といたしまして、これは現在のケース、資源の問題等には、直接関係のない遠洋かつお、まぐろ漁業でありますので、このような単なるスライドというような消極的なわくをもう少し飛び越えて、現在の市場問題、販路の問題、需給の関係等から勘案いたしまして、もう少し思い切つた発展拡張の措置を講ずべきが適当ではないかということを私ども考えておるのであります。すなわち沿岸漁業につきましては、漁業の転換あるいは整理というような非常に困難な犠牲を漁業者にしいておるのでありますが、資源問題を離れたこのようなかつお、まぐろ漁業等につきましては、大きく窓口をあけまして、沿岸漁業に対する圧力をできるだけ国際漁場、遠洋漁業に開放してやる、そして日本の漁業の振興発展をはかる、こういうぐあいに大きく漁業政策を転換すべき段階ではないかと考えるのであります。このような見地からいたしまして、今回のような単なるスライド程度にとどめずに、もう少し需給の関係等ともにらみ合せまして、かつお、まぐろ漁業の許可を拡張するという措置が当局において考えられていないか。現にかつお、まぐろのカン詰業者と冷凍輸出業者との間に原料の獲得をめぐりまして、相当の争いが生じておることは、長官も御承知の点であろうと思うのであります。現在の国内及び国際間の需給関係からいたしましても、もう少し遠洋かつお、まぐろ漁業につきましては積極政策を打出していいのではないかと考えるのでありますが、この点についての当局のお考えを承りたいと思います。
#9
○清井政府委員 ただいま御質問の遠洋かつお、まぐろの将来の方針の問題でございますが、御質問の通り確かに遠洋漁業中かつお、まぐろの問題は、将来大いに発展性のある漁業であると私ども考えております。従いましてこの遠洋かつお、まぐろ漁業の問題につきましては、私どもといたしましても、今後諸般の情勢にかんがみまして、積極的な施策を講じて参るという方針をとらなければならぬというふうに考えておるのでありますが、ただ現在御提出申し上げておるところの法律案は、御承知の通りマツカーサー・ラインの存在のためにゆがめられたところの一つの現象をこの際修正するという程度の内容であります。従いましてこの措置が済みまして、さらに私どもといたしましては国際的な需給関係、資源の関係、あるいは国内における加工あるいは価格、その他の状況を種々勘案いたしまして、積極的な意味においてこの問題は今後取上げて行かなければならぬ漁業であると考えるのであります。従いまして今回はこの措置をとる。しかる後にそのときにおける諸般の情勢にかんがみまして、積極的に遠洋かつお、まぐろ漁業につきまして振興発展の方策を諸般の見地から推し進めて参るという方策をとつて行かなければならぬものと思うわけであります。
#10
○鈴木(善)委員 長官におかれましても、かつお、まぐろ漁業の将来の方向については、われわれと大体同じような考えを持つておられるということがはつきりいたしたのであります。すみやかに、日本全体の漁業の調整、積極的な振興発展の見地から、ただに遠洋かつお、まぐろ漁業だけに限らず、国際漁業につきましては、資源問題、国際問題が許す限り積極政策をとられることを、この際強く要望いたしておきたいと思うのであります。
 さらに今回のスライド制等によりまして、代船建造をいたします場合の金融措置、その対策等について順序をお進めになつておりますかどうか、この点をこの法案の裏打ちとしてお尋ねをいたしたい。
#11
○清井政府委員 これは底びき漁業と関連をいたすのでございますが、かつお、まぐろの船につきましても、かかる増トンあるいは代船等の措置を講じます場合におきましては、当然その裏打として金融の問題が真摯の問題となつて参りますることはお話の通りであります。この点につきましては、従来におきましても各委員よりいろいろ御熱心なるお話を承つておるのでございますが、私どもといたしましても、この問題は引続いての重要問題といたしまして推進をして行かなければならぬと思うのであります。大型のかつお、まぐろの漁船につきましては、昨年は開発銀行の融資を受けたのでございますが、本年も引続いてかつお、まぐろ漁船の建造につきまして、開発銀行からの融資を仰ぎたいということで、目下政府部内の事務当局で話合いを進めておるわけであります。この法律の裏打ちもございますし、各委員からのお話も、私どもは十分わかつておる次第でございまして、積極的にこの融資金額を水産方面に増加し、特にまた遠洋方面の金融につきまして、そのわくを増加するよう今後とも最善の努力を払つて行くつもりでございます。また単に開発銀行のみならず、農林中央金庫保有の資金であるとか、あるいはその他長期信用銀行あるいは特融措置等いろいろな措置がございますが、とにかく遠洋漁業に対しましては、何と申しましても大型船でありますために、開発銀行が相当主力をなしておるのでありますから、この問題は今後私どもといたしましては絶大なる努力を払つて所要措置を推進して参りたいという考えであります。
#12
○鈴木(善)委員 金融の裏打ちの問題につきましては、御当局においても相当真剣に取上げておられることは承知いたしておるのでありますが、遺憾ながらその実績が上つておりません。開発銀行の方は、私どもに入つております情報では、昨年よりもその融資額が削減されておるというような悲観すべき状態にあるやに聞いておるのでありまして、実績の面におきましては、必ずしも十分とは言いがたい。われわれとしては、このような、わずかではありますけれども、遠洋漁業に対して積極的な意欲を当局が示される以上、その裏打ちとしての金融措置につきましても、万全の順序を進めていただくことを特にお願いいたしたいのであります。このような見地から本法律案の議決にあたりましては、委員長においては、委員諸君にお諮りをいただきまして、取締りの強化と相並んで、今回の措置の裏打ちとなるべき金融について、政府が万全の措置を講ずべきことを要望事項として附帯されんことを希望いたしまして、私の質疑を終ります。
#13
○田口委員長 白浜仁吉君。
#14
○白浜委員 今回の中間漁区船に対する水産庁長官初め関係当局の御苦労を多とするものでございますけれども、まさに沿岸漁民の犠牲において今回一応の解決を見たことに対しまして、私はこの際大いなる不満を申し上げておきたいと思うのでございます。従来水産庁は、口を開きますと沿岸漁民の保護育成ということを申しておるのでございますが、今回とられました措置におきましては、その従来水産庁の述べました沿岸漁民の保護育成についての真意をくみ取ることができなかつたと私は申し上げたいのでございます。しかしながら、昨年八月以来もみにもんだ問題をようやく解決されました御苦労に対しまして、繰返して申し上げるようでございますが、敬意を表しておきます。
 この中間漁区船の六十隻の問題につきまして、水産庁はどういうふうな考えを持つておりますか。私ども今日まで説明を聞いておりましても、また今回とりました措置につきましても、何かそこに食い違いを感ずるのでございますが、この点につきまして将来どういうふうな解決をいたして行こうとするのか、この点をあらためてお聞きしたいと思うのでございます。
 なおまた今回入漁させようとする四十四隻の以東底びきの違反の場合のその隻数の取扱い、あるいはまた取締りにおきます処罰の方法等、本席で具体的に承つておきたい。
 以上二点につきまして、とりあえず長官の御意見を承つてみたいと存ずるのでございます。
#15
○清井政府委員 ただいま御質問の第一点でございますが、御承知の百八隻の中間漁区船のうち、ただいままで実質上百二十八度三十分以西の操業許可を持つておりますのが百隻あるわけでございます。特に船型も小さく、将来増大するまでの間一時的に、いわゆる百二十八度三十分から百二十九度の帯状地帯にしばし残留する希望のあるものに対しましては、帯状地帯の操業許可を認めるごとにいたしておるわけであります。その船が何隻になりますかはつきり申し上げられませんが、百隻程度の数字になろうかと思うのであります。ただいま白浜委員が六十隻とおつしやつたのは、あるいはその船のことではなかろうかと思うのでありますが、私どもといたしましては、本来この船は百二十八度三十分以西のみで操業すべき使命を持つておる船でございます。ただトン数が五十トン未満でありまして、将来増トンまでの間しばしということで帯状地帯の操業を暫定的に認めておるわけでございますから、私どもといたしましては、すみやかにこれらの船の増トンの措置をはかりたいと思つております、ただいま金融の問題につきましても御指摘があつたのでございますが、むろんこの船が増トンいたすにつきましても、相当部分の船に対しましては、やはり私どもは金融につきまして相当あつせんをしてあげなければならぬと思うのでありまして、この法律が制定され次第はつきりと方針を打立て、関係金融機関とも相談いたしまして、底びき船の増トンの措置を講じて参りまして、なるべく早い機会にこの帯状、地帯に操業いたします船を実質的に以西の方に転移せしめる措置をとつて参りたいと思うのであります。御承知の通り、この法律は二年間の暫定法でございまして、その間にいたさなければならぬわけでございますが、二年間といわず、できるだけ早く実質的に以西へ転移する措置を講じて参らなければならぬ、こういうふうに考えているのであります。
 それから四十四隻の以東底びき船の入漁が認められることになると思うのでありますが、それらの取締りについての御質問でございます。この点は、先ほど申し上げましたが、すでに今回の措置にあたりましても、操業区域あるいは操業期間、あるいは夜間操業の問題その他につきまして、相当沿岸漁業侵犯の予防措置を講じておりますことは御承知の通りであります。それに加えまして、すでに御審議願つております二十八年度予算にこの地域船の取締船を一隻民間用船をする金額を計上してあることも先ほど御説明いたした通りであります。そのほかこの措置を敏速にいたしますために、従来本庁において行つておりました違反者の公聴会を現地の調整事務所において行うようにいたしまして、できるだけ早く違反処分を的確にやつて行くという処置を講じようと考えておるわけであります。その他かりに違反船が出た場合には、当該違反船が正式に許可を受けたものであればむろんでありますが、許可を受けなかつた違反船につきましても、その違反に該当する隻数だけを許可船から差引いて行くという措置を講じております。これは北海道に対する入会についても同様な措置を請じておるわけでありますが、それと同じくやつているのであります。そういつた方法を講じまして、できるだけ予防措置を講じ、かりに違反がありました場合には、減船をするとか、あるいは措置をすみやかにやるようにするとか、あるいは取締船を一隻専門のものを置きますとか、あるいは海上保安庁との接触をさらに強化して参りますとか、いろいろの措置講じまして、九州沿岸、各沿岸漁民の熱烈なる要望に沿うように今後やつて参らなければならぬと、私ども考えておる次第でございます。
#16
○白浜委員 取締りの強化につきまして当局も非常なる御努力を払つておられることにつきましては、私喜びにたえないのでございますが、沿岸漁民に言わせますと、従来のお役所の取締りというものは非常におざなりであるというようなことから、どうしても現地においては、もつと徹底した取締りをやつてもらいたい。そうするためにも、今回のような小型の漁船が入る場合には、なるたけ取締船もスピードのある小型のものでやつてもらいたい。なぜかと申しますと、島陰にかくれてしまつて、その行方を追及することができないという非常な不便が大型の取締船にあるのでありまして、この点につきましても、水産庁はせめて小型のスピードのある、能力のある船をまわしてもらいたいということを私は希望いたしておきます。なおこの違反船の減船の問題につきましては、本来の漁業の性質から見まして、沿岸漁業と底びき漁業との利害と申しますか、これがまつたく相反しておるということを十分考えておいていただきまして、取締りの強化をやつていただきたい。減船の措置も厳重にすみやかにやつていただきたい。
 もう一つ私お尋ね申し上げたいのは、これらの漁船が入るにつきまして、御承知の通りのジヨージ地域、あるいはフオツクス地域あるいはハウ地域というような演習地に長崎の沿岸が全部とり囲まれてしまつた状況になりまして、私ども沿岸漁民から申しますと、現在ほんとうに見るにたえないような不況に追い詰められている現状でございます。私どもの県で申しますれば、揚繰網の実態から見ましても、私どもは一体どこを操業すればいいのかというふうな窮状に追い詰められておりますので、本法案にも関係をいたしておるのでございますけれども、先ほど鈴木委員からも御発言がありました通り、特に長崎県におきましては、沿岸漁業の転換策といたしましても、遠洋かつを、まぐろを特別に許可していただくようお願いいたしたいと私は考えておるのでございますが、その点長官の御意見を承りたいと存ずるのでございます。
#17
○清井政府委員 ただいま主として長崎海面におきます沿岸まき網漁業の転換策としてのかつを、まぐろ漁業の許可の問題についてお話があつたのでございますが、私どもといたしましても、大型の船はちよつと考えられないのでありますが、七十トン程度までの船でございますれば、特に沿岸漁業の関係上、他種漁業に転換を必要と認めた場合には、その特殊事情に基きまして、かつを、まぐろ漁業への転換を認めて参りたい、かように考えておるわけであります。この問題は、ひとり長崎の問題のみではないのでございますが、特に沿岸漁業の調整上必要ある場合につきましては、ごく限られた範囲ではございますが、かつを、まぐろへの転換を認めて参りたい。具体的にどの船をどうということにつきましては、またそのときの措置として考えなければならないのでありますけれども、方針といたしましてはそういう措置をも私ども現在考えているわけであります。
#18
○白浜委員 今の沿岸旋網漁業からの転業者のかつを、まぐろ漁業は、おもに小型になると思うのでございますが、私どもはやれるならば、せめて大型のものをやらせていただきたいというふうに考えているのでありまして、この点につきましても十分考慮をしていただきたい。なお先ほど鈴木委員からもお話がありました通り、転換をさせるという場合に、名前だけの転換をさせておいて、金融措置その他の助成をも実際に何ら講ぜられぬようでは、ただ口頭禅に終る危険がございますので、その点も十分御努力をしていただきたいと考えているのでございます。この大型化の長崎県の強い要望を、あらためて長官も御記憶にとめていただきたいと考えます。
#19
○田口委員長 小高熹郎君。
#20
○小高委員 ただいま白濱君の質問中にもいろいろ意見が出ておりましたが、私は七十トン程度までを沿岸漁業の転換策として許可しないでも、もつとふところを拡げて、大型漁船までもこれを許可してもいいじやないかと思う。なぜそういうことを言うかというと、資源保護に支障ありとすればそれはやむを得ないのでありますが、ようやくにしてわが国の水産業というものが国際的に伸びる方向に向つて参りましたので、私に言わしめるならば、この際はむしろかつお、まぐろ漁業については、許可はけつこうであるが、トン数の制限などはいらぬじやないか。そこでその制限は、金融関係とか、あるいは漁撈技術者とか、諸種の都合上、ある程度これは調節さるべきものであろうということを私も考えているのでございますが、本法は一応こういうふうに基礎ができておりますので、これは私どももあえて修正をしようというのではございませんけれども、本法が通過した後において、さらに大型漁船への許可を簡便に取扱うというようなことを、あなた方あらかじめお考えなさつているかどうか、その御意思を承りたいと思います。
#21
○清井政府委員 かつお、まぐろを主として、特に資源に余裕のある漁業につきましては、ただいま私どもがとつております方針を緩和したらどうかという御趣旨のお話でございますが、お話の御趣旨は私了といたしますけれども、今ただちに、この問題をどの程度まで緩和するかということは、相当問題があると思うのであります。確かに資源は豊富でございましても、これはとれた生産物の価格なり、その経営状態なり、あるいは輸出いたします方面の需要なり等を総合勘案してやりませんと、この問題は非常にむずかしいと思うのであります。従いまして、私どもといたしましても、この問題を漸進的にだんだんとやつて行くという措置をとつて参つております。今度御審議願つておる法律案もそういう意味においての漸進的な進歩の第一点でございます。今後のかつお、まぐろの状況がさらに伸展いたしまして、積極的な漁業が必要あるという状態が続きますれば、私どもといたしましても、この問題につきましていろいろの方策を考えて参らなければならぬかと思つております。しかし今ただちにこれをどの程度緩和するかというようなことは、ちよつと申し上げられないのでありまして、そのときはかつお、まぐろと沿岸漁業の実態を十分研究いたしまして、また各位からもお話を十分承りまして、それに適応した措置をとつて参りたい、こういうふうに考えております。
#22
○小高委員 了承いたしました。
#23
○田口委員長 ほかに質疑はございませんか。他に御質疑もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたします。ちよつと速記をとめて……。
    〔速記中止〕
#24
○田口委員長 それでは速記を始めてください。
#25
○松田(鐵)委員 この法律は前国会から非常に難航したものであり、また前国会においてこれが衆議院は通過したのであります。その当時において附帯決議が付されておつたのであります。ただいま長官の御答弁を聞きましても、特にまた白濱君のまだ杞憂しておる点もあるので、私どもは附帯決議をつけたいと思うのでありまして、動議を提出いたします。
   附帯決議
 一、東経百三十度と同百二十八度三十分との間のいわゆる中間漁区の将来の問題については、今海区が、各種沿岸漁業によつて高度に利用されている現状にかんがみ、政府は、関係県及び漁業者と充分協議し、いやしくも将来本海区において漁業者間に紛争をじやく起することがないよう処置すべきである。
 二、以西機船底びき網漁業並に遠洋かつお、まぐろ漁業に対する本法施行に伴う代船建造資金の金融対策については、万全の措置を講ずべきである。
 かような二つの項目による附帯決議をつけることを動議として提出いたします。
#26
○田口委員長 本案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔総員起立〕
#27
○田口委員長 起立総員。よつて本案は満場一致原案通り可決いたしました。
 次に松田鐵藏君提出の附帯決議について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔総員起立〕
#28
○田口委員長 起立総員。よつて本附帯決議は決定いたしました。
 なお本案に対する委員会報告書の作成につきましては、先例によりまして委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○田口委員長 異議なしと認め、そのようにいたします。
 次会は明後二十九日午前十時より開会し、水産金融に関する問題について調査を進めることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午前十一時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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