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1953/07/03 第16回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第016回国会 経済安定委員会 第9号
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1953/07/03 第16回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第016回国会 経済安定委員会 第9号

#1
第016回国会 経済安定委員会 第9号
昭和二十八年七月三日(金曜日)
    午後二時二十九分開議
 出席委員
   委員長 佐伯 宗義君
   理事 小笠 公韶君 理事 加藤 宗平君
   理事 武田信之助君 理事 栗田 英男君
   理事 阿部 五郎君 理事 菊川 忠雄君
   理事 加藤常太郎君
      秋山 利恭君    遠藤 三郎君
      岸  信介君    迫水 久常君
      長谷川 峻君    神戸  眞君
      楠美 省吾君    飛鳥田一雄君
      石村 英雄君    小林  進君
      杉村沖治郎君    中村 時雄君
      山本 勝市君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 緒方 竹虎君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     横田 正俊君
 委員外の出席者
        専  門  員 圓地與四松君
        専  門  員 菅田清治郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 公聴会開会承認要求に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇四
 号)
 公正取引委員会の業務状況に関する説明聴取
    ―――――――――――――
#2
○佐伯委員長 これより会議を開きます。
 まず公正取引委員会の業務状況について説明を聴取いたします。横田政府委員。
#3
○横田政府委員 ただいまから公正取引委員会の最近の業務の御報告を申し上げます。但しその前に、今回の改正にもいろいろ関連がございますので、この委員会ができました当初からの問題も、きわめて簡単ながらつけ加えさしていただきたいと存じます。
 御承知のように独占禁止法は、占領間もなくアメリカの反トラスト法に範をとりまして、当時の総司令部が非常な意気込みをもちまして、日本の経済民主化という線を強く出しましてわれわれに与えられた法律でございます。これと並行いたしまして、御承知の財閥解体あるいは過度経済力集中排除法あるいは持株会社を解体いたしまする一連の行為、あるいは証券を分散いたす方法というような過渡的な方法がかなりきびしくとられたのでございます。当時の総司令部の人のお言葉をかりますれば、日本のその当時の現状は、ちようど川の中に材木がたくさん、スムーズに流れるべきものが一ところに固まつてしまつて、どうにもならないような状態で、この状態をまずこわすのが今申し上げましたような財閥解体、その他一連のかなりドラスチックな方策でございました。これを打ちこわしてしまつた後に、川の流れを材木が自由に伸び伸びと流れるために、絶えずこれを将来監視して行くという趣旨において、いわば恒久法として独占禁止法の制定をいたす、まあこういうような言葉を使つておりましたが、そういう関係からいたしまして、過渡的な法制はすべてその目的をほぼ達しまして、残りましたものがこの独占禁止法ということになつたのが現状でございます。
 この独占禁止法の内容について、くだくだしく申し上げる必要はないと存じますが、要するに競争を促進いたしますることによりまして、事業主の活発な事業活動を保障する、それによつて結局消費者その他一般の利益が保護せられ、国家全体といたしましてきわめて健全な経済のあり方になる、これが独占禁止法の基本的な考え方でございます。つまり競争を妨げるというような事柄に対して、それを除去するというのが独占禁止法の生命でございました。この競争を阻害するものは、御承知の独占と、それからいわゆるカルテル等の取引制限、この二つを基本的な悪いものということに規定をいたしまして、それに関連いたしまして、そこに至る過程のいろいろな事柄、たとえば株式の保有でございますとか、あるいは役員の兼任であるとか、あるいは合併であるとか、営業の譲り渡しというようなものにつきまして、いろいろ予防的な規定を設けるというのが一方一つのねらいでございます。それからさらにもう一つ重要なことは、競争競争と申しましても、質の悪い競争はこれを避けるという意味で、不公正競争方法の禁止というものをかなり厳格に規定いたしております。これらが合さつたものが、結局この独占禁止法でございます。この実体規定に基きましていろいろこの法律の実施をいたす機関として公正取引委員会という特殊の官庁を設けまして、一方におきまして今申しました予防規定の観点からいたしまして、公正取引委員会の認可事務あるいはこれに対する届出というような、いわば一種の行政的な面をここに盛り込みますと同時に、いわば準司法的――裁判所の意味の司法的な措置といたしまして、独占あるいは取引制限あるいは不公正な競争方法というものを、裁判に似ました一定の手続によつて排除をいたしております。さらにはまた公正取引委員会の告発によつて、そのおもしろくない行為に対して刑罰制裁を加えて参る。これらが独占禁止法の大体のあり方でございます。
 この法律はできました当初はかなりきつくできておりました。当時の総司令部の人もそれを認めておりまして、この法律はアメリカの法律よりもきつい、また施行も非常に厳格に施行されておりまして、総司令部の非常な強い管理のもとにこの施行が行われております。これは要するに日本の民主化を促進するためには、少しきつ目の法律を持ち、しかもそれを少しきつ目に施行する必要があるということを総司令部の人が言つておりましたことが、これを示しておると思います。従いましてこの法律ができました当座から、これに対してはあまりきつ過ぎるという批判がございまして、これを日本の実情に合うように適当に緩和するということが絶えず言われて参つたわけでございます。その現われといたしまして、だんだんに緩和の法令が出て参りましたが、その前に、二十三年の七月になりまして、この独占禁止法のほか、法律としまして事業者団体法というのができました。これは御承知のように、独禁法は個々の事業者を対象といたしておりますが、この事業者の団体が中心になりまして、いろいろ競争の制限ということが行われるのが東西を通じての実情でございました。従いまして事業者団体法によりまして、団体によるおもしろくない活動を規制するということが行われました。これはかなり独占禁止法の厳格な上に、さらにもう一つ輪をかけたような非常な厳格な規定でございました。そして事業者団体につきましては、いろいろやつてはならない禁止行為を非常に厳格に規定いたしますると同時に、一種の届出制をしきまして、団体を監督して参るということになつたわけでございます。そこでこのきつい法制をだんだんゆるめることが行われまし、て二十四年の大月に御承知の株式の保有あるいは役員の兼任等につきまして相当の緩和が行われました。あるいは合併や営業の譲り受けも、認可制になつておりましたのを事前に届出をするという制度に改まつたのでございます。かなりの緩和がはかられたのでございます。しかし司会部のございます間はそれ以上の緩和は認めがたいということでありましたが、独立回復の直前になりまして、団体法の改正だけはよろしいというようなことになり、団体法の改正が行われましてこれが二十七年七月に実現されまして、団体法があまりに厳格なところを、大体独占禁止法の線のところまで下げて参つたのが昨年の改正でございました。
 そこで日本が独立を回復いたしますると同時に、御承知のように占領時代のいろいろな法制を日本人の頭でもう一ぺん考え直すという仕事が始められて参りました。独占禁止法ももちろんその一つに取上げられたわけでございます。しかしこの改正につきましては、すでに従前からいろいろ考えられておつた線もございますので、突如として起つた問題ではないのでございます。しかしともかく外国の法制をそのまま入れておつたのを、今後独立日本の法制として、しかも永久に存続すべき趣旨の法制として残して参るためには、相当根本的に考え直さなければならない点があろうというので、今までのいろいろな改正とは違いまして、今回の改正に対しましてはいろいろ違つた意味があるわけでございます。しかしこの内容につきましては、今回政府で提案いたしました改正案を御審議いただきます際に御説明を申し上げますので、その内容を十分御検討いただきたいと考えております。
 さてこの独占禁止法を施行いたしまする機関といたしまして、公正取引委員会というものが設けられたことは先ほども申しましたが、この委員会は、先ほど申しましたような趣旨できわめて特異な性格を持つておりまして、つまりこの法律を施行するためには、いろいろ時の政治力の圧迫とか、あるいは財界の圧力とか、そういうようなものからは完全に独立をしまして、この法律に従つて良心的にこれを動かして行くということが絶対に必要なわけでございまして、なるほど一つの行政官庁という形態はとつておりまするが、普通の行政官庁とはまつたく使命が違つておるわけでございます。従いましてこの委員会には、この独占禁止法によりまして、いろいろな他の官庁には見られない性格が与えられております。先ほど申しました裁判的なことをいたしまするような司法的な面もございまするし、あるいは認可あるいはその他の行政的な面もございまするし、さらに若干の立法的な権能すら現行法の独占禁止法には与えられておるわけでございます。こういう仕事をいたしまする委員会制度がいいかどうかということにつきましては、これは根本的にいろいろ問題もあろうかと存じますが、御承知のように委員会制度はどうも日本の実情に即しないというようなことで、次々と委員会というものがなくなつて参ります。中にはもう少し検討を要すべきものがあつたのではないかと思いますが、かなり勇敢にこの委員会制庫というものが大体なくされつある中に、公正取引委員会だけは先ほど申しましたような趣旨からいたしまして、やはり一つの独立した官庁として残しておく必要があるかというような観点からいたしまして、一応総理府の中に置かれ、総理大臣の所轄に属するということにはなつておりますが、職務上はまつたく独立をするということで、いわゆる委員会らしい委員会として残されておる次第でございます。
 この委員会の仕事の内容につきましてごく簡単に申し上げます。お手元に差上げました業務概要と申しますこれの順序に従いましてお話申し上げます。まず最初の行政的権限、これはいろいろ認可をいたしましたり、届書を受付けましたり、あるいは合併、営業譲り受け等を調べるということがこの行政的権限でございまして、内容はここに掲げてあります通りでございますが、これは普通の行政官庁のやつておりますものに非常に似ております。しかしこれはやはり結局において後に述べますところの、いわゆる独占禁止法の骨とも申しまする、いわゆる司法的権限につながつておるのであります。これらの手続によりまして、たとえば届け出ました株式の保有状況を見まするとか、あるいは出て参りました合併の届出を見ますというようなことは、やがてそれが独占禁止法の根本の独占あるいは取引制限につながつて来るというような場合に、それをただちに今度は司法的権限の方を発動しまして処理をするために、その前提といたしましてこの行政的権限が与えられているというような点におきまして普通の行政庁の扱いまする認可あるいは届出の受理というのとたいへん違つた面があるわけでございます。この行政的権限を行使いたしまするためには、罰則の伴いましたかなり広汎な調査権限も規定してございまするし、あるいは他の役所や事業者団体その他のものに対して協力を求める規定もございます。あるいは公聴会を開いて一般の意見を求める、あるいは進んでは必要な事項を一般に公表いたしまして天下の輿論を聞くというようないろいろなことが規定されております。この内容の詳しいことは、その五ページ以下に表にいたしまして掲げてございますので、内容についてはこれをごらんいただきたいと思います。最初にあります国際契約、これはみな届出をとることになつております。これは国内の契約と違いまして、特にこれにつきましては第六条によつて国際契約を届け出てもらうことにいたしております。ここでごらんのように、いわゆる技術提携の技術援助に関する契約が圧倒的に多いことはおわかりになると思います。しかもこの中には外国の技術を導入する点は非常にけつこうなのでありますが、たとえば外国の特許を得ます際に日本の業者がいろいろな面において拘束を受けるという点があるのでございます。たとえばその技術を受けます以上は、同様な技術を他から受けてはならない、あるいはその製作するものについて非常な制限を加えられる、あるいはその技術を用いないものでも同種のものをつくる場合には金を払わなければならぬというようなきつい条件がついておりますので、この国際契約の届出によりまして、そういう不当な条件、いわば不公正競争方法に該当するものがある場合には、こちらで事件として取上げ、てその不当な部分の削除を命ずるというようなことをやつているわけであります。これは後に審査活動のところの現実に取上げました事件の表を見ていただくと、その中におびただしい国際契約の件数が載つておりますのは、大体今申し上げましたような点に抵触したような事件であります。
 それから次に六ページに参りまして、株式所有の報告、これは主として会社の株式所有でございまして、これは年に二回定期に総資産五百万円以上の会社からとることにいたしております。ここにはただ件数があがつておりまして、内容は出ておりませんが、この株式所有の状況を見て参りますと、どの会社とどの会社とどういうふうなつながりがあるか、あるいは御承知のように企業には系列というようなものがございますが、それがおのずからわかつて参ります。これがもし非常に固まつて参つているというような状態が出て参りますと、そこにコンツェルン、独占というような面が自然に出て来るわけでありまして、こういう点を注意してもらう趣旨で、この届出報告書をとつてこれを常にわれわれの仕事の上の重要なる資料といたしておるわけであります。
 それから次に七ページに参りまして、これは合併、営業譲り受け等の企業の合同関係に関する面でございます。これは最初は認可制でありましたが、認可制をやめまして事前届出制にして、届出があつて後一箇月、場合によつては延ばすこともございますが、この間に公取から別にさたがなければその合併の手続を続けてよかろうというような式の、普通の事前届出式とはちよつと違つた一種のおもしろい形になつておりますが、実質的には認可に非常に近い制度でございます。これは件数をごらんになりますと、二十四年当時から現在まであまりかわつておりませんが、これも内容がだんだんかわつて参りまして、近来になりましてはかなり大きな会社の会併がだんだん出て参りますし、御承知のいわゆる旧財閥系の会社、たとえば三井、三菱というようなものの合併がかなり顕著に出て来ておりまして、この点もわれわれはこれらの動きを見詰めまして、ある段階になりますれば、これが先ほど申しました独占その他のおもしろからぬ、独占禁止法上見のがすことのできない状態に進むのではないかということで、この点にはかなり注意を払つておる次第でございます。
 それから次に八ページ以下に、これは事業者団体法の関係のいろいろな届出に関する統計が掲げてございます。これは先ほど申しましたように、事業者団体が往々にして独禁法違反の中核になつて参りますので、この団体ができました場合の成立の届出、その後の変更の届出、解散の届出をとりまして、その届出を中心にいたしまして、その後の団体の動きというようなものを監視して行くよすがにいたしておる次第でございます。
 それから九ページに参りまして、中小企業等協同組合の一種の届出の規定がございますが、これは御承知のように中小企業等協同組合法によりますと、いわゆる中小企業協同組合の資格と申しますものは御承知のように三百人、あるいは三十人でありましたか、その従業員というのが一応の線になつておりまして、それ以下のものはいわゆる独占禁止法上の小規模事業者ということになつておりますが、しかしそれ以上のものが入つておりましても、必ずしもこれはすぐによろしくないということにはなりませんので、この届出はそれ以上のものが入つておりますものにつきまして特別に届出をとりまして、たとえば三百人以上のものが入つておりましても、その業態あるいはその組合の性質等を見まして、それくらいのものが入つておつてもこれを中小企業協同組合と認める、またそれが入つておるためにどうもそれを中小企業協同組合と取扱うことが不適当であるものにつきましては、その大きな事業者の脱退を命ずるというような手段を講ずるために、この届出を特にとつておるわけでございます。
 それから十ページ。団体法に基きますいろいろな認可のことがございますが、これは昨二十七年度に改正を見まして、団体法が大幅に改正をいたしましたために、現在はこれは全部なくなりましたので、特に御説明いたすことを省略さしていただきたいと思います。
 それから十一ページのまん中にあります「中小企業安定法による調整組合」、これは御承知の昨年議員提出ででき上りました特定中小企業の安定に関する臨時措置法という臨時法に基きまする、いわゆる調整組合でありますが、これにつきましては主務大臣の認可をその前提といたしまして、公正取引委員会の同意というようなことが規定されております結果、組合の設立、あるいは調整規定の設定につきまして、一々こちらへ事件がまわつて来ることになつておりますが、その件数をここに掲げてございます。
 それから少し飛びまして、十三ページに参りまして「当委員会の調査活動は次の通りである。」これから以下がいわゆる公正取引委員会の調査の問題でございますが、これは公取の使命は、結局違反がございました場合にはそれを取上げて処理をするというところにあるわけでございますが、その違反を発見いたしますために、あるいはその処理の方法というようなものに関しましては常に業界の動きというようなものを把握しておく必要が非常にあるのでございます。これは業界全体にわたる見方も必要でございまするし、あるいは個々の業界の特殊の事情というものを把握しておくという必要もございますので、この調査活動というものはもう絶えずやらなければならないという点からいたしまして、調査活動にはかなりの重点を置いてあります。これも先ほど申しました通り、いざという場合の審査活動、あとに申しますいわゆる準司法的活動の基盤をなすものでございますので、この点につきましてははなはだ人数も少く、また予算も少いのでございますけれども、できる限りの努力をいたしたいつもりであります。この調査の内容につきましては、大体総合調査と事業調査とわけておりまして、総合調査は、たとえば企業の集中度の調査でございますとか、あるいは少数独占に関する調査でございますとか、これは事業全般についての問題を取扱うのがこの総合調査でございます。その下の事業調査と申しますのは、特殊の事業につきまして、その事業全体あるいはその事業のうちのある特殊の部門、あるいは特殊の取引方法というようなものにつきまして調査を進めるのがこの下の段に書いてございます。この内容は十四ページ以下に二十二年度から昨年二十七年度までにわたりますものを書いてございます。これは読んでいただけばおわかりになると思いますが、実にいろいろな業種にわたつて、かついろいろな業態にわたつておることがおわかりになると存じます。しかもこの調査活動の結果違反というものがだんだん出て参りますると、今度は次に述べますいわゆる司法的権限の発動に移つて参るわけでございますが、しかし問題によりましては、この調査活動もそのときにおきまして、たとえば業界の方でどうもこれは独禁法違反になりそうであるというようなことで、すぐにそれをやめてしまうというような点から申しますと、この調査活動によりまして、もうすでに相当独禁法のある面の目的を達するというような面もございまするし、あるいは多少積極的にこちらから警告を発しまして、もしこういうことが続けて行われるならば、いよいよ司法的権限を発動してどんどん調べて、そして事件にして審判にかけるというようなところまで行かなければならぬかもしれぬが、どうだというふうに警告を発することによりまして、未然にいろいろなことが防止されて来ておるのでございます。この点はことに最近になりましてそういう面の発動がかなりございました。これは新聞紙等にお青ましても、公正取引委員会の警告ということがときどき出ているのをお気つきでございましよう。あるいは最近におきまして、製糖業のある動きに対しましてかなりおもしろくないような動きが見られましたので、警告を発したというような式のことを相当にいたしておるわけであります。
 以上がいわゆる行政的な権限とでも申すものであります。
 次に司法的権限、公正取引委員会の一番大事な仕事でございます司法的権限は、要するに違反を調べまして、そしてこれを適当と思います場合には、いわゆる審判に移しまして、ちようど裁判に似たような手続を経まして、審決によつてその違法な活動を是正して参る、これがこの司法的権限の内容でございます。こういうような権限をこういう委員会で扱うことがいいかどうかということは、たとえばアメリカ等におきましてもいろいろ問題がございまして、アメリカのごときは、この点が二本建になつておりまして、ちようど公正取引委員会と同じような役所がございます。これが違反をみずから取上げ審判をし、そして判決のごときことをいたすという一つのやり方と、もう一つは、日本の法務省に相当しますものが事件として上取上げまして、これを裁判所に持ち出しまして、裁判所でいろいろな処置をするという二本建のやり方になつております。しかしこの法律をつくります際には、その点はいろいろ考えまして、公正取引委員会一本ということにまとめたわけでございます。但しこの公正取引委員会の決定いたしましたことに対しましては、特に高等裁判所に不服の申立てができ、さらにその上に最高裁判所に救済を仰ぐというように、裁判所の方にその救済の道がつながつておるというようなことが、非常な一つの特徴になつております。いわば検察的な仕事と、第一審裁判所的な仕事と両方をやつておるわけでございまして、この検察的な仕事は、審査官という特殊の職員が検事に相当しますような仕事をいたしまして、かなり広汎な調査権が法律によつて与えられております。いよいよこれを審判にかける必要が存すれば、ちようど検事の起訴に相当します、審判開始決定ということを委員会自体がいたすのでございます。審判開始決定がありました後の手続は、非常に民主的にできておりまして、取上げられたその業者の言い分は十分に聞くということで、いわゆる口頭弁論主義をとりまして、検事に相当する審査官が立会いまして、そこで裁判をいたし、その結果審決の形によりましていろいろな処置をするというようなことになるわけであります。なおこの公正取引委員会には検察官を中に入れなければならぬことになつております。この趣旨は、結局犯罪の告発、独禁法違反の刑罰につきましては、公正取引委員会の告発がなければ検察庁も取上げられない、ちようど労働委員会と似たようなことになつております関係から、検察官が入つており、あるいは検察庁関係との密接な連絡をはかる規定がいろいろ書いてございます。それらの詳しいことにつきましては、この書類についてごらん願いたいと思います。
 なおこの委員会ができましてから今日まで取上げましたいろいろな事件につきましては、別にお配りいたしました勧告、審判開始決定事件一覧表というものがございますから、これによつてごらん願いたいと思います。
 なお特殊のものにつきましては、お尋ねがございますれば、さらに詳しく内容を申し上げることにいたします。後の説明は、独禁法の提案理由が済みましてから申し上げます。
    ―――――――――――――
#4
○佐伯委員長 ただいま緒方国務大臣が御出席になりましたので、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由の説明を求めます。緒方国務大臣。
#5
○緒方国務大臣 ただいま上程されました私保に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由を説明いたします。
 昭和二十二年七月に独占禁止法が施行されましてから、早くも約六箇年を経過いたしたのでありますが、その施行の経験に徴しまして、本法の諸規定をわが国経済の特質と実態によりよく即応するものにする必要が感ぜられたのであります。もとより国民経済の民主的で健児な発達を促進するため、私企業による市場独占のもたらす諸弊害を除去し、公正かつ自由な競争を促進しようとする独占禁止法の根本精神はあくまで尊重すべきものでありますが、この際、内外諸情勢の推移にかんがみて、独占禁止法に適当な調整を加える必要があると考え、前国会にこれが改正を提案いたしましたが、成立を見るに至りませんでしたので、今回あらためて本法律案を提出するに至つた次第であります。
 本法案は、前国会に提出いたしました法案とその内容がほぼ同一でありまして、その改正の項目は多岐にわたつておりますが、主要なものは、特定の場合、すなわち不況に対処するため必要がある場合および合理化の遂行上特に必要がある場合における事業者の共同行為を、一定の条件のもとに認容したこと、株式の保有、役員の兼任等の制限を緩和したこと、不公正競争方法に関する現行法の規定を整備したこと、不当廉売、おとり販売等の不当な競争を防止するための再版売価格維契約(定価拘束制度)を認めたこと、事業者団体法を廃止して必要な事項を独占禁止法中に収めたこと等であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。以上であります。
#6
○佐伯委員長 以上で説明を終りました。
 先ほど理事会に、御相談申し上げましたが、本案は重要な議案でありますので、各万画よりの意見を広く微するため、公聴会を開きたい旨を議長に申し入れたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○佐伯委員長 それではさよう決定いたします。
 なお議長の承認がありました場合は開会日時の決定、公述人の選定等、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
#8
○中村(時)委員 その人選の問題は、こちらの方にもいろいろ考えがありますし、理事会の方を通じてやつていただいた方がいいのではありませんか。
#9
○佐伯委員長 それでは中村さんの御発言の通り、理事会において決定することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○佐伯委員長 それではそのように決定いたします。
 続いて公正取引委員会委員長より補足説明を求められておりますので、これを許します。横田政府委員。
#11
○横田政府委員 ただいまの副総理の理由説明を補足いたしたいと存じます。
 本改正法律案による改正点のおもな第一点は、現行の特定の共同行為の形式的な禁止を、当該行為が一定の取引分野における競争を実質的に制限する場合にとどめるように緩和いたしまして、さらに、不況に対処するため、または合理化の遂行上特に必要である場合における特定の共同行為を、かなりきびしい条件付で認めたことであります。
 独占禁止法の法益といたしますところは、要するに自由競争秩序を確保することであります。従つて、この自由競争秩序を侵害するか、またはその蓋然性の高いものが、独占禁止法上違法とせらるべきものでありまして、これらの程度に達しない行為は、たといそれが事業者の共同行為であるにしても独占禁止法上達法とすべき積極的な理由は存しないものと考えます。ところが現行法におきましては、第四条においてかなりきつい規定になつておりまして、これを競争に対する影響軽微なるもの以外は、すべて画一的に禁止しておるのであります。従つて、ある取引分野においてなお有効な競争が活発に行われておるにもかかわらず、ある共同行為を形式上は違法としなければならないという、社会通念上いささか不都合な事態が生ずることとなるのであります。よつてこの際、共同行為に対する形式的な禁止をやめまして、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとならない限り、これを認めることとしたのであります。
 また戦後の日本経済が幾多の脆弱性を持つており、わが国産業が不況もしくは恐慌に対する適応力が十分であるとはいえず、不況が深刻化した場合においては、わが国産業が重大な危機にさらされることも予想されるのであります。このときにおいて、この事態の救済を単に独占禁止法の生命といたします自由競争による自動調節作用にだけ求めることは、場合によつては産業界における破滅的競争を招来し、その結果、日本経済に回復することのできない損害を及ぼす危険性があると思われます。
 従つて、事業者が共面して過剰生産による需給の不均衡を調節し、または市価の安定をはかるなど、この不況に対処すべき必要最小限度の方途を講ずることは必要やむを得ないものと存じます。
 また規格の統一、製品の標準化、生産品種の専門化、廃物、副産物の共同和用などのように、むしろ生産費の引下げ、技術の向上、能率の増進等、企業の合理化をもたらすような特定の共同行為は、単に当該事業者に利益をもたらすばかりでなく、わが国産業の進歩発達に裨益する場合もあると思うのであります。
 政府は、以上述べました二つの場合における事業者の特定の共同行為を現行独占禁止法の規定によつて、画一的に禁止することの適当でないことを認めますとともに、事業者の共同行為がその性質上自由競争の長所をややともすれば没却し、往々にして関連事業者もしくは消費者等に、いたずらなる不利益を与える危険のあることを考慮いたしまして、共同行為を原則的に認めその弊害のみ規制するという方式、たとえば単なる届出制を採用し、不当と認められるものを事後に取締るというような方式によることは妥当でないと考えまして、特定の共同行為について、一定の要件と認可制のもとにこれを例外的に認容することにいたした次第であります。
 次に本改正案のおもな第二点といたしましては、現行法第四章関係の規定を緩和したことであります。
 わが国経済の脆弱性の一つとして企業が乱立し、かつその資本構成が不健全であり、その結果単位企業の経済力が国際的視野において、相対的に弱いことは周知の通りであります。そのために企業の整理統合による合理的な再建、証券消化の促進による資本の蓄積が強く要望されているのであります。この点につきましては、先ほど申し上げましたように、昭和二十四年の本法の改正によつて若干の解決を見たのでありますが、なお、現行法の株式保有役員兼任等について厳格に過ぎ、もしくは不当に画一的な制限があることが認められますので、これを是正し、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるか、または不公正な取引方法を用いる場合のほか、原則的に自由に株式を保有し、役員を兼任し得ることとするのが当を得たものと考えた次第であります。
 次に本改正案のおもな第三点は、現行法の「不公正な競争方法一を「不公正な取引方法」という言葉に改めまして、その内容を整備したことであります。本来、公正かつ自由な競争は、価格、品質及びサービスの三面を中心として、事業者の創意と責任と計算によつて行わるべきものと思うのでありますが、競争が激甚になるとともに、たとえば特定の事業者を市場から排除するための不当な取引拒絶ボイコット、ダンピングと称せられる不当な廉売による競争者の駆逐、他の事業者に対する不当な差別扱い、競争者の取引相手の強制奪取、取引上の優越した地位を乱用する一方的な取引条件の強制または不当な手段による競争会社の乗取りのような不公正かつ不健全な取引方法が現われて、これが公正な競争秩序を侵害することとなることは、戦前の日本経済の実情に照し、また戦後の実情をごらんいただいてもおわかりになることと存ずるのであります。従つて、これら不当な競争手段を抑制する必要があるのでありまして、現行法におきましても不公正競争方法として所要の規定が置かれておりますが、最近における競争の激甚化に伴い、この種の規定のより一層の整備が強く要望されておりますので、この際現行規定を整備することといたしたのであります。
 本改正案のおもな第四点といたしましては、現行事業者団体法を廃止し、その必要な規定はこれを本法中に収容したことであります。
 わが国の事業者団体法は、独占もしくは不当な取引制限がしばしば事業者団体を中心として行われるという過去の事例に徴しまして、個々の事業者の行為を規制する独占禁止法に対して事業者団体の行為を規制するために生れた補完法規であります。しかし昨年八月の改正により、本法の法益は独占禁止法の法益とほぼ同一となつており、これを単行法として存続せしめる積極的な理由は存しなくなりましたので、この際団体法の規定でなお必要なものは独占禁止法中に収容し、団体法はこ、れを廃止することにいたした次第であります。
 また第五点といたしましては、従来不当廉売、おとり販売等の不当な競争が主として小売面で行われており、これがため小売商の利益を侵害し、ひいては一般消費者にも悪い影響を及ぼしている実情にかんがみまして、一定の日用商品、書籍等に限り、再販売価格維持契約、言いかえますれば定価拘束制度を独禁法上適法なものといたしたのであります。
 以上申し述べましたことは今次改正法律案のおもな点でありますが、このほか私的統制団体の禁止に関する独占禁止法の第五条の規定、事業能力の較差に関する第八条の規定を削ることといたしました。これはいろいろ重要な意味もございますが、しかし他の規定により取締りの実をあげることができると認めた結果であります。その他以上の改正点に伴いまして、手続規定、罰則規定、に所要の改正を加えるとともに、附則として、独禁法の改正または事業者団体法の廃止に伴う経過措置、適用除外規定の整理をいたした次第であります。
 以上が本改正法律案提案の理由及び要旨でありますが、改正法の詳細につきましては、いずれ条文につきまして詳細に御説明いたしたいと思います。
#12
○佐伯委員長 以上で説明は終りました。本案に対する質疑は次会よりこれを行うことといたします。
#13
○佐伯委員長 引続きまして、先ほどの公正取引委員会の業務の状況を聴取いたします。横田政府委員。
#14
○横田政府委員 先ほど公正取引委員会の仕事といたして行政的な面及び司法的な面のお話を一応いたしましたが最後に第三番目の機能といたしましていわば立法的権限というものが若干ございます。これはただいまもちよつと触れましたいわゆる不公正な競争方法に関する問題でございまして、現行法によりますと、先ほどいろいろ例をあげましたが、ああいうようなおもしろくない競争手段を法律をもつて一号から六号まで規定してございまして、第七号へ持つて参りまして、その他公共の利益に反する不公正な競争方法を公正取引委員会が告示をもつて指定できる。つまり六つございます上に、第七号でもつていろいろなものを追加して参るということになつております。これは結局、国会が本来ならばいたすべきことを、公正取引委員会の特殊の性格からいたしまして、その場合々々の経済情勢に応じて適切なものを追加指定して参るという、いわば立法権を国会が公正取引委員会に譲られたというふうな解釈もできるかと存じます。この権限に基きまして現在までに指定いたしましたものは、内容がここにあげてございますが、二十七ページのところをごらんいただきますと、一番上の方に不公正競争法といたしまして、一これは公取がかつてにいろいろなものを指定できませんようにかなり厳重な手続がございまして、公聴会を開いて一般の意見を微し、事業者の意見も微し、それを公示いたしまして、それに対してまたさらに一般の意見を聞いた上で最後案をつくりまして、これを官報に告示いたします。それから一箇月たちますと、それが法律と同じ効力を持つということになつております。その点で、公聴会を開いたりいたしまして指定したものが、つい先日の七月一日にやりましたものを取上げまして五つございます。これは海運業について一つございまして、海運業に関するいろいろな不公正競争、それからしよう油、みそ、ソース、カレー粉というような、いわゆるわれわれの日常生活にきわめて密接なものにつきまして、御承知の、はなはだおもしろくない濫売景品付のはなはだしく不当な濫売が行われましたので、これを一つ指定して業界に自粛をしてもらうということになつたのでございます。これが四種類合せて現在まででわずか五種類ではありますが、指定をいたしております。なおこの立法的権限という正確な意味ではありませんが、独占禁止法の精神に基きまして、占領前からございます法令あるいはその後にできます法令にいろいろな独占禁止法の精神を盛り込むということは、これは正雑な意味の立法活動ではありませんが、公正取引委員会がかなり力を入れてやつて参つた事柄でございまして、われわれはこれを法令調整と申しましております。これは御承知のように大体現在の立法の方法は、国会みずからがおつくりになることが非常に少くて、原案は政府が出すという形が多いものでございますから、この法令調整のわれわれの仕事は、主として他の行政庁に対していろいろ私どもの意見を述べましてそれを案の中に盛り込んでいただくというような方向で行つております。これは議員提出の立法につきましてもわれわれの意見を申し上げて、できるものはこれを取入れていただくというふうなことにいたしております。それらの活動を法令調整と言つておりましてこれはかなり活発に行つておるわけでございます。それからさらに、国会に対して意見を述べるということが独占禁止法に明らかに規定してございます。これは要するに独占禁止法の精神から、こういう問題についてはこういう立法がなさるべきである、あるいはこういうことはおもしろくないのではないかということで、国会に対して意見を申し上げまして、それが立法の上に反映する、ここをねらつたわけで、立法あるいは行政の面に反映するようにいたしたいということからしてこういう規定がございますが、いまだにこれは正式に国会に対していろいろ意見を申し上げた事件はございません。主としまして先ほど申し上げました法令調整の段階におきまして、多く問題が片づいております。しかしながら将来あるいはこういう場面も予想されないことはないのであります。
 今述べましたこの三つの事柄は、主といたしまして独占禁止法に異いての権限でございます。そのほかにこの二十八ページに掲げてございますように、事業者団体法に関する問題はもちろん、それから過度集中排除法の跡始末を公正取引委員会でやることになつております。これは例の集排の指定会社の跡始末を公取がやることになつております。これは大体片づきまして、現在では電力再編成に基きまする、いわゆる配電会社の処理が日発のほか多少残つておりますが、その他のものはほとんど片づいております。それから中小企業等協同組合につきましては、先ほどもちよつと言及いたしましたような関係もございます。それから海上運送法、保険業法、商工会議所法輸出取引法、特定中小企業の安定に関する臨時措置法、ことにこの最後の二つにつきましては、これは御承知のように、この前の国会におきましてできましたものでございまして、いわばこれは今度の独占禁止法の改正の前駆をなすものと申してもいいかと思います。これは法案の形式は大体通産省の方の関係ということで、通産省提案の法律となつておりますが、いわゆる合理化のカルテルを認めるということにつきまして、今回の独占禁止法の場合は、不況の場合と合理化の場合だけを認めておりますが、輸出の場合は輸出の振興とある程度カルテルを認める必要がございますので、この点は昨年の国会におきまして輸出取引法の中に盛り込まれておりまするし、さらに今回これは相当の改正を加えまして、いずれ提案される、あるいはもうされておるかと思いますが、いずれ御審議の対象になることと考えております。なお特定中小企業の安定も、不況カルテルにつきまして、一般の問題に先だちまして特定中小企業だけについて不況対策を認めるということに、議員提案の立法で昨年でき上つたのでございます。これが今度の独占禁止法の不況カルテルの前駆をなすと考えるのでございます。これもやはり通産省の方の関係というような形にはなつておりますが、案質的には独占禁止法に非常に密接な関係のある法令でございます。なおその他若干ございまするが、こういうような独占禁止法プロパーの仕事以外にも、いろいろたくさん仕事がございます。
 最後にまた問題をさきに返すようでございますが、この委員会制度というものを残しまして、これに今申しましたような趣旨の諸般の権能をゆだねて行くということがはたして妥当であるかどうかという点は、いろいろ議論があることと思いますが、しかし私はこの役所の創設以来六年間おりますのでございますが、私の個人の経験を申し上げてはなはだ恐縮でございますが、この六年経験に徴しまして、この委員会制度というものは、こういう趣旨の仕事には一番向いておるということを、私自身としても痛切に感じておる次第でございます。なおこの委員会制度の構成は、これは先般の行政整理で多少かわりましたが、最初は委員長及び六人の委員、つまり七人の委員会であつたわけでございます。この仕事は単なる法律問題ではございませんで、非常に複雑なる経済問題に関する仕事でございますので、そこにいろいろ各方面の人を集めるという意味で、しかも委員数を特に七人ということにいたしまして、そこには法律または経済について特別に知識、経験の深い者を任命の資格にいたしまして、総理大臣の任命ではございまするが、御承知のように両院の同意を必要とするということにいたしてございまして、各界の、いわばその道の権威者を集めるという仕組みになつております。任期も五年、内閣がかわりましてもその任期の間はかわらないというような、一種の独立した地位も与えられておりまするし、特定の場合以外はやめさせられないというような、裁判官とほぼ同様な地位が与えられております。ただ要はその運用いかんということになるわけでございます。要するにりつぱな人を得て、その運用よろしきを得ますれば、この委員会制度というものは非常にこういう仕事をするのには適当であるというように私は考えておる次第でございます。
 はなはだ簡単ではございましたが、これをもちまして一応現在公正取引委員会がやつております仕事のあらましのお話といたします。
#15
○佐伯委員長 以上で公正取引委員会の業務状況の説明は終りました。これに対して御質疑はございませんか。
#16
○小林(進)委員 これからこの独占禁止法の公聴会も聞いて専門的にいろいろ私ども研究さしていただくのでありますが、今の最後のお言葉では、七人の委員はそれぞれ相当の立場における権威者であるというような御説明があつたのでありまするが、横田委員長の知られる範囲において、この七人の方の名簿はこの前すでにちようだいいたしましたが、ここでひとつ七人の方の経歴その他概略お聞かせ願えれば幸いに思います。
#17
○横田政府委員 今お話がございましたので、ちよつとつけ加えて申し上げますが、実はこの間の行政整理で七人を五人に減らされまして、現在は、法律が昨年改正されまして五人になつております。現在おります者が決して権威者とは申しませんが、法律の趣旨は現在おる五人の中に各方面の知識のある権威者を入れるという予定でできております。現在おります者が、はたしてそれに該当いたしますかどうか、これは別です。ただ現在おります者について申しますると、私はずつと二十数年司法部におりまして、裁判所・司法省、現在の法務省でございますが、そちらにおりまして、昭和二十二年にこの委員会ができましたときにこちらへ参つたものでございます。それから今副委員長をしております蘆野弘という方は外交官出身でございまして、海外のいろいろな外交官の地位を経られまして、やはりこの方も昭和二十二年の創立以来こちらへ入つて来られました。この方はアメリカにも長くおられまして、アメリカの独占禁止法を相当研究しておられた方で、日本にそういうものができるということはおそらく御存じなかつたと思いますが、その当時から非常に研究しておられまして、その点の権威者でございます。それから湯地委員は大体大蔵省系統をずつと経て来られまして、最近には証券取引委員会の事務局長をしておられまして、それからこちらへ参られた方でございます。山本委員は戦前に商工省に長くおられまして、主として産業関係、にずつと関係しておられまして終戦後はああいうような関係でおやめになりまして、小さな会社か何かに関係しておられたようでございます。それから当委員会に来られたわけであります。最後の高野委員は日本経済新聞に関係しておられた方で、たしか最後は社会部長まで行かれたと存じております。その方が現在委員になつております。現在の人はそういうふうになつておりますが、最初の発足の際には実業界から二人入つておられまして、これは先般おなくなりになりましたが、興業銀行の重役をしておられました中山喜久松氏が初代の委員長でございました。それから勧業銀行のやはり重役をしておられました倉井という方が入つておられました。これが最初のときの実業界を代表して入つておられた二人の方であります。その当時のことを申しますと、私がいわば在朝法曹、それから在野法曹から石井という弁護士の方が入つて来られまして、蘆野委員のほかにやはり大蔵省系統の島本委員、それからいわば学者代表というような意味が大橋という方が入つておられました。そういうふうに最初の発足の際はかなり各方画の方が入つておつたのでございますが、どうも実業界からは、この役所の性格と申しますか、あるいはここに入りますると全然兼任もできませんし、いろいろの関係から、適当な方が得られないので、現在はそちらの方面が欠けておるわけでございます。大体今までの委員をされた方の経歴はそういうようなことになつております。
#18
○杉村委員 ちよつとお伺いいたしますが、最初のお話にこの法律は占領下において日本の民主化を促進するためにできたのだが、その後だんだん緩和して来て、今日のこのたびの改正も、日本の国情に沿うように緩和する意味だというお話があり、しかも委員会制度は漸次なくなつて来たが、この委員会だけは現存しておるこういうお話があつたのですが、あなたは公正取引委員会の委員長といたしまして、日本の民主化が漸次進んでおるとお考えになりますか。むしろ今は民主化が逆行しつつありはしないかと私どもは考えておるのですが、あなたはどういうふうにお考えになつておられますか。
#19
○横田政府委員 その点につきましては、実はいろいろな見方があると存じますが、かなりの逆行の方向もいろんな方面で見られるように私は考えております。従いまして、この独占禁止法につきましても、そういういたずらなる逆行にいたしたくないという観点から、あまり大幅な改正に対しましては、その点について強く主張して参りました。あるいは緩和し過ぎているではないかというような御批判もあると思いますが、われわれとしましては、大体この線の程度ならば独占禁止法の目ざしておりまする、いわゆる経済民主化の基本的な精神には反しないというふうに考えておるわけでございます。しかしその他の独占禁止法以外の面につきましては、いろいろな面においてあまりおもしろくないような傾向も多少見られるといういうに私は考えております。
#20
○杉村委員 ただいまのお話を伺いますと、民主化が逆行しておるということをお認めになつておられる、そうしてこの独占禁止法の改正は、この程度まではいいだろう。こういうことをおつしやられるのですが、ここに少し矛盾があるように思われるので、公正取引委員会として、あなたは自分の権限が縮小されておるような感じがいたしませんですか。
#21
○横田政府委員 これは、ことに最初の独占禁止法の権限は、かなり強いところまで行つておりましたが、それと現在あるいは今度改正をしようとされますものと比べますと、なるほど形式的には権限は大分少くなつて来たということは、争うべからざる事実でございます。しかしながらそのことは、われわれの立場から申しますれば、権限が強い方がいいわけで、進んで公正取引委員会が緩和的改正案を出すというようなことは、ずいぶん矛盾したような面もございます。しかしながら日本国家全体として見まして、われわれがある程度適当な線まで後退することが、一面におきましては、非常なプラスを日本国全体にもたらす面が確かにあるわけでございます。その面がございませんければ、われわれは絶対にしりぞかないわけでございますが、そういう総合的な見地からいたしまして、この程度の緩和、従つてある意味においては権限の縮小ということもやむを得ないと考えております。
#22
○杉村委員 なお聞きたいのですが、これはまたあとでも質問できることと思いますから、今日はこの程度で終ります。
#23
○山本(勝)委員 杉村委員の質問があつたので、私一つ関連して御質問申し上げますが、横田さんは実際に六年間もやつておられて、こういうことをお感じにならなかつたかということを伺いたいのです。独占禁止法を文字通り厳格にもし行つておつたと仮定したら、はたして日本の経済における自由とか、あるいはここにあります自由競争とかいうものがあり得たかどうか、厳格に文字通り施行したときに、ほんとうに自由競争の秩序というものがりつぱに立つておつたのだとお考えになるか。あるいはあの法律をそのまま厳密に行つたらかえつて経済の自由競争というものが窒息してしまうようなこともあり得たのではないか。つまり競争にもいろいろ形がありますから、ただ一人々々が白兵戦のように一騎打ちをするだけが戦争ではありません。隊を組んで力を合わせてするのも一つの戦争です。ですから戦争の形態というものは白兵戦がだんだんと集団的な闘いになり、国防にしても各国が独立してやつておつたものが集団保障のような国防にかわつて来ている。ですから初めの法律は、一人々々の事業者が独立して競争するのでなければ競争でないという前提に立つておつたのではないか。およそ事業界における競争はあたかも戦争のごときものでありますから、ときには一人々々で刀を持つて斬り合うような競争もあり得るけれども、しかし隊を組んで戦争をするような競争も必然に起つて来る。ですからこの隊を組んで競争するものを、競争の否定である、独占であるといつたような考え方で、徹底的に二人でも三人でも隊を組んだら競争の否定だというふうにやつたら、おそらく経済というものは動いて来なかつたであろうと思う。法律が厳格に行われないで、実際問題としてそうやかましく言われなかつたからどうにかこうにか経済が動いて来たのではないか。つまりそこに競争の機能というものも存続し得たのではないかと私は考えている。もちろん独占禁止法により公正取引委員会がやつて来たことが一から十まで自由競争の秩序を保つ上に効力がなかつたと言うのではありませんけれども、しかし実際に当られて、まず第一に、厳格に行つて来たかどうか、厳格に行つたおつたとしたら、もつとうまく行つておつたとお考えになるかどうか。その辺、打ちあけたところをお聞かせ願いたい。
#24
○横田政府委員 ただいまの御発言で、おほめをいただいたようなおしかりをいただいたような、(笑声)まことに変な気持でありますが、最初のころの独占禁止法時代を振り返つてみますと、法律も相当きつくできていましたし、先ほども申し上げましたように司令部のやり方そのものがきつ過ぎることをある程度意識しながらやつておつた面もございまして、われわれとしてはときに非常に苦しい立場に立つたこともございました。従いましていろいろな点で司令部の鋭鋒を避けて、なるほど法律的、形式的には違反したものでありましても、できるだけそらすようなことをしたこともございます。しかしながら一面におきましてわれわれの微力、あるいは委員会の規模もはなはだ小さいものでございますから、もつと適正に運用したらよかつたのじやないかという感想が私としてはむしろ強いのでございます。しかし今のお問いに対しましては、ほんとうに最初の独占禁止法時代のあの厳格さを額面通りにそのまま適用しては非常に日本経済のためにいろいろな支障を来したのじやないかという点もございまして、その当時におきましては、あるいはあまりに厳格過ぎる適用をしない方がよかつたのじやないかというような感想さえも、私としては持つているような次第であります。
#25
○山本(勝)委員 これは杉村さんの質問に対する委員長のお言葉が、だんだん権限が縮小されて来たけれども、この辺でまあ頑張つておればまだ全然無視されることにはならぬといつたような非常に消極的なお考えのように響いたものだからお伺いしたわけでありますが、むしろ私はあなたのほんとうの経験から、こういうふうに緩和することによつてなるほど競争の形はかわるけれども、かえつて自由競争の秩序というものがこれによつて有効に働くのだという御自信があるのではないかと思う。それから先ほどの答弁の中にも戦後の日本の企業が非常に弱点だから、その不況に対して何かこういうものが必要なんだといつたような説明がありましたけれども、私は不況であるなしにかかわらず、競争の形態というものは当然かわつて行くべきであると考える。不況時代に脆弱であるからある集団的な競争というものを認めなければならないというようなものではないのじやないかと思うが、委員長のほんとうの気持はどうですか。政治的にだんだん追い詰められて來たような感じは持つておられないのでしようか。
#26
○横田政府委員 どういうふうにお答えしていいかちよつと……。(笑声)
#27
○中村(時)委員 もう少し具体的にお聞きしたいのですが、たとえば身分保障の問題にしても、内閣総理大臣の任命によつて、衆参両院の承認を経てというようにして身分を保障されている。それほど大事に身分を保障されている上、しかも各委員は停年に達しない場合その罷免というものはほとんどない状態になつている。ところが今般の人員淘汰というものは、先ほどお話を聞いておりますと七名が五名に縮小されたという。この理由をまずお聞きいたしたい。
#28
○横田政府委員 それは私の理解しているところではきわめて形式的な理由であつたようであります。当時ございましたいろいろな委員会が、あるいは廃止されまして、他の委員会に合せられるというようなことと並びまして、残りましたものについては一律に委員の数を減して行く。ちようど役所全体としましてたとえば二割減すという場合、一つの基準に従いまして減して行くというような、非常に形式的な基準で減したように考えております。実は五人に踏みとどまりましたにつきましては、われわれは非常に努力をいたしたのでございまして、最初の案は例の政令諮問委員会でございますが、あの立てました案は三人、しかも政府の最初の原案は三人というふうになつておりましたが、われわれはこの委員会の性質をるる述べまして、あるいは書きものにして出したりしまして、やはり相当の数の委員が必要であるということを力説いたしました結果、五人というところに踏みとどまつたというような次第でございます。
#29
○中村(時)委員 そういたしますと、委員長といたしましては、この内容が非常に重大であり、必要であるという一つの結論を持つていらつしやりながら、現象印に現われて来たものはその本質的な問題ではなくして、単に形式的な環境から人員を減らして行く、そういたしますと、減らされて行つた一つの理由、どこにその原因があつたかということになつて来るわけなんです。すなわちこの取引委員会なるものを縮小しておいて、そして一つの圧力の上から何らかの目的を達せんとするようにも見受けられるわけなのです。その意味において一つの考え方を承りたいと思います。
#30
○横田政府委員 ただいまの政府及び内閣の考えは私にはよくわかりません。しかし当時の全体の空気といたしましては、御承知のようにある時期には公正取引委員会の廃止、あるいは独占禁止法の廃止というような声が非常に出ておりまして、今でもそういうことを言つておる方もなきにしもあらずでございますが、やはり私どもといたしましてはそういうことでだんだんに大分かわつて来たように考えております。やはりそういう全体の空気が政府の方にもある程度反映しているのではないかと考えます。この点は実は政府ばかりでございませんので、そう申しては失礼かと思いますけれども、国会におきまする空気そのものが独占禁止法あるいは公正取引委員会の仕事というものに対して、それほどの御理解をある時期にはお示しいただけなかつたように私自身も考えておるのでございます。この点は最近に至りましてだんだん非常にかわつて参つたように私自身も感じますし、あるいは一般の人の、独禁法なり公正取引委員会の仕事に対します理解も非常に最近はかわつて来たように考えておりますので、われわれとしましてはある意味において非常な力を得まして、かりにこの独占禁止法がある程度の後退をするといたしまして星、非常に張合いのある気持を持つて仕事ができる、これは私のみならずほかの委員並びに事務局の人も最近は非常に――一時は役所がなくなるのではないかというある種の不安すら時つておつたようでございますが、最近は非常におちつきまして一生懸命仕事をしております。
#31
○中村(時)委員 今のお答えを聞いておりますと、法案というものは厳然とここにあるわけなんです。しかもそれがまだ独禁法の改正にはなつていない、そのようなときの事前にその行動的な中心をなしておる委員会において、これをたとえば廃止しようというような空気があるという裏面は、単に形式的なものではなかろうと思う。経済の機構なり、何らかの裏づけというものがそこには必要になつて来るわけですが、それに対しておそらくあなたは身分も保障され、特定の政党の云々によつてはその行動といいますか、セーブされることはないのですから、自分の態度なり意思なりというものがはつきり打出されなかつたところにあらゆる欠陥があつたのであろうという推測もつくわけであります。たとえば操短の問題にいたしましても、白木屋の問題にいたしましても、いろいろその欠陥があつたのではないかと私も思うわけでありますが、それに対しまして自分自身の所信というものを明白に上ないのでそういう政治圧力に屈しておるのか、あるいは今言つたように法的には厳然とここにありながら、実際の形式に負けて行くのか、自分自身の姿をはつきりまず第一に打出しておいていただきたいと思うのですが、これに関してお尋ねいたします。
#32
○横田政府委員 ただいま何か外部的な圧力によつて問題の扱いを二、三しているのではないかというお疑いのようでございますが、その点につきましてはわれわれといたしましては全然恥ずるところのない仕事をいたしているつもりでございます。もちろん疑われる点もございまして、あるいは外部の方からごらんになりますると遺憾と思われる点もおありかと存じます。しかし私といたしましては、完全に良心に従つた仕事をしているつもりでございます。
#33
○中村(時)委員 いろいろお聞きしたいこともありますし、内容の機構並びに権限、組織、そういう問題に関しましてはいずれ後にゆつくりとお尋ねをいたしたいが、最後にこれはひとつお願いをしておきたいのでありますが、現在砂糖が非常に値上りをしているわけなのです。それに対しまして、たとえば五月が一斤五十五円のものが現在では六十三円以上になつている。その内容を調べてみますと、たとえば昨年度は八十八万トン、本年度は八十六万トンの輸入になつている。そういたしますれば、ほとんど数量においてかわらないにかかわらず、そのような非常な値上りをしているわけです。ということは、たとえば日糖であるとか、台湾製糖であるとか、そういうところが原糖を精製する場合におきまして、そこで一つのカルテル的の方向をとつていやしないかという疑いが多く出て来ておるのであります。その件に関して調査しておいていただきたい、これをお願いしておきます。
#34
○長谷川(峻)委員 先ほどからいういろいろ出ましたけれども、私委員長にこの際お尋ねしたいことは、最初の説明の中に、連合軍が来て以来非常に行き過ぎたくらいにやかましかつた。そうしてこのたび改正案が出る、その出る態度が先ほどからの御説明を聞いていると、外部の圧迫によつてやむを得ずやるというふうな御答弁が非常に混乱させている原因になつたと思います。またそういうことであれば、この法案の審議の態度がまたいろいろ違つて来ると思う。これは委員長が前のが行き過ぎであるからこうすることの方が日本の産業のために自信を持つていいのだというふうにお考えになつているのか、その根本的な態度をこの際にはつきりしていただくこと、がいろいろ審議なり質問の整理の上にも私はいいと思いますが、この点についてはつきり伺つておきたい。
#35
○横田政府委員 その点につきましては、この改正案を出すに至りました経過を申し上げますれば御了解いただけるかと思いますが、実は先ほど申しましたような関係で、われわれ公正取引委員会のものとしましても、現行法はまだ行き過ぎな点があるということを認めておりました。ある時期にこれを改正したいということは考えておりましたし、たびたび司令部に対しましてもその点を申しておつたのでございまするが、公正取引委員会自体が自分の権限を狭めるような案を出すことを考えるということはやめろという強いことを言われまして、ある時期まではこちらの案についていろいろ話も聞いてくれた時期もあつたのでありますが、ある時期になつてそういうきつい態度になつて参りました結果、要するに公正取引委員会みずからとしての改正案というようなことは思いも寄らなかつたのでございます。当時は政府側におきましていろいろそういう問題は考えられておつたことでございますが、独占禁止法というものは非常に特殊な法律でございます。やはりこれを手がけておりまする役所でないとなかなかむずかしい面もありまして、結局成案を得ないままで独立というところまで来たわけでございます。独立後になりましていろいろそういう。司令部の制約がなくなりましたので、われわれといたしましては、前の態度を続けましてその後づつと改正案を研究して参りました。昨年の暮れになりまして、改正案をつくるならばやはり公正取引委員会が中心になつてつくるベきであるということにみなの意見が一致いたしました結果、私が当時の緒方官房長官をおたずねいたしまして、公取で改正案をつくつて、それを中心に各省の意見をまとめてお出しするからということを申しました。一方、一番関係の深い通産大臣ともお会いしまして、まず公正、取引委員会において応要綱をつくり、それを中心にやつていただくという御了解を得まして、鋭意案を練りまして、たしか本年の一月になりましてから一応の要綱ができました。それに基きまして各省の意見をとりまとめたのでございます。今度の改正案は、内容はこの前の天して違つておりませんが、前の案におきましても、その基本の線は公正取引委員会で出した案でございます。もちろんその間に、例の認可権の所在の問題であるとか、あるいはカルテルの認容の範囲の問題であるとかいうような点で、いろいろ各県の、ことに主として通産省との意見に多少の食い違いがありましたが、それもある程度調整せられて出されましたのが今度の改正案でございます。これは決してわれわれの全然意に満たない案が出されたというような関係ではないのでございます。
#36
○阿部委員 今中村委員から砂糖のことについてお願いをしたようですが、もうあれについては公正取引委員会におかれても相当詳細にお調べになつており、結論も出されておるのではないかと思いますが、もしそうなら、この際御発表願いたいと思います。
#37
○横田政府委員 実は資料を持つておりませんので正確なお答えはできないのでございますが、製糖業界の動きにつきましては、先ほどお話のように非常におもしろくない面が見られますので、大部前から事務当局の調査部におきまして調べておりました。その結果製糖工業会という団体、これはいわゆる製糖会社の事業者団体でございますが、ここにおきまして、政府に対して、粗糖の輸入についてこれを整理してほしい、つまり八十六万トンでございますか、それを有効需要とみなしてそれ以上の粗糖の入つて来ることを整理してもらいたい、それから製品の入つて来ることも抑えてほしい、それからそういうものを買いつけまする外貨も、来年の一月と記憶いたしておりますが、それまでは使わないようにしてほしいというような一種の申入れをしております。この申入れ自体は、それをただちにどうということはないのでございますが、それと同時に、製糖の一つの生産数量の制限、それから各社に対する割当、あるいは手持ちの粗糖につきまして一定の価格でそれを融通し合うというような、いろいろな話合いがあつたらしく見えたのであります。これはもう少しつ込んで調べて参りまするといろいろなことがわかるわけでございますが、非常に急ぎましたので、先週――日はちよつと忘れましたが、工業会の会長その他の人を呼びまして、大体今津で調べたところにおいても独占禁止法違反の疑いが非常にあるが、このままで行けば違反になるおそれが十分にあるので、この点は十分に注意してほしいということを製糖工業会長に厳重に申し渡すと同時に、製糖各社に対しましても同趣旨のことを書面をもつて申入れをいたしたわけでございます。もちろんこれは中間的な措置でございまして、なお今後ともこの製糖業界の動きは厳重に監視して参るつもりでおりますが、なおその際も、これはこれでおしまいのわけではないので、もしその後の動きいかんによつては、もつと正式な手続をもつて問題を処理するという方針で進んでおるわけであります。詳しいことはただいまちよつと資料を持つておりませんので、大体申し上げたわけでございます。
#38
○阿部委員 お話でよくわかりましたが、御存じの通り、日本の国ではお盆という時期には砂糖が贈答用に多量に流通する習慣があるのでございますから、それでこの際に製糖業者がカルテルを結んで価格のつり上げを行い、多量に動くときにごそつともうけるということは、われわれが常識で考えてもありそうに思われることでございます。もしさようなことになりますると、一般庶民生活を毒すること多大なるものがあるわけでございますから、どうかひとつその点は厳重にお取締りをといいますか、規制を行つてくださるように特にお願いをいたしておきます。
#39
○中村(時)委員 公正取引委員会で作成した原案、それを各省で勘案して行つたわけでございましよう。だから、各省、特に通産省でその中に挿入されて行つた案その資料をあとで出していただきたい。
#40
○佐伯委員長 この際一言申し上げますが、次に日本経済の基本的政策に関する件について調査を進めるべく、先ほどより岡野経済審議庁長官の出席を要求しておりましたが、今より約一時間以前に、長官秘書官より、病気のためやむを得ず本日は官邸に帰り、休ませてもらいたいとの申出がありました。病気のことゆえやむを得ないことと存じまして、明日午前十時より出席することに約束をいたしまして申出を了承いたしました。つきましては、明日よりは、独禁法の審議と、日本経済の基本的政策に関する件についての経済審議庁長官に対する質疑とを並行して進めたいと存じます。
 明日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後四時二十分散会(了)
ソース: 国立国会図書館
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