くにさくロゴ
1953/07/04 第16回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第016回国会 経済安定委員会 第10号
姉妹サイト
 
1953/07/04 第16回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第016回国会 経済安定委員会 第10号

#1
第016回国会 経済安定委員会 第10号
昭和二十八年七月四日(土曜日)
    午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 佐伯 宗義君
   理事 小笠 公韶君 理事 加藤 宗平君
   理事 武田信之助君 理事 栗田 英男君
   理事 阿部 五郎君
      秋山 利恭君    岸  信介君
      迫水 久常君    長谷川 峻君
      神戸  眞君    楠美 省吾君
      飛鳥田一雄君    石村 英雄君
      杉村沖治郎君    中村 時雄君
      山本 勝市君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 岡野 清豪君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     横田 正俊君
        経済審議政務次
        官       深水 六郎君
        総理府事務官
        (経済審議庁総
        務部長)    西原 直廉君
 委員外の出席者
        通商産業事務官
        (企業局次長) 小室 恒夫君
        専  門  員 円地与四松君
        専  門  員 菅田清治郎君
    ―――――――――――――
七月四日
 委員永田良吉君辞任につき、その補欠として内
 田信也府が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇四
 号)
 日本経済の基本的政策に関する件
    ―――――――――――――
#2
○佐伯委員長 これより会議を開きます。
 昨日の理事会の申合せにより、本日の質疑は総括質疑とし、各党一名ずつお願いいたします。なお念のため申し上げますが、二日目以後質疑される方は、あらかじめなるべく委員長の方に御通告をお願い申し上げます。質疑は通告の順に従つて順次これを許します。石村英雄君。
#3
○石村委員 せんだつて大臣がお帰りになつたあとですが、特需の今後の見込み、あるいは財政投資の一兆九百億円というような一年次的にそうしたものを出していただくようにお願いしておつて、まだ出て来ませんが、ただいま御答外願えるとたいへん仕合せに思います。
#4
○岡野国務大臣 ただいまのところ、特需の年次的の調べはちよつとむずかしいものでできないと思いますが、事務当局から説明していただきましようり。
#5
○西原(直)政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、特需の見通しになりますと、今後いろいろな情勢を考えなければなりません。その情勢の見通しは、やはりなかなか困難だと思いますので、三十二年くらいまでの年次別の特需の見通しというものは、ちよつと検討しかれるのでございます。
 それから財政投資のお話がございましたが、財政投資につきましては、三十二年度までに大体一兆円くらい、各方面からの要額がございます。これはやはりいろいろ検討しなければならない問題でございますので、年次別につきまして検討はいたしておりますけれども、まだ私どもとして、それだけの用意が手元にございません。そういうような事情にあるので、御了解願いたいと思います。
#6
○石村委員 そういたしますと、特需も大体このくらいあるだろうという、ただ見当にすぎない。それから財政投資の関係も、年次的にどうということはない、ということは、結局五箇年先にこうなるというのは、漠然としたお見通しにすぎない。今年度はこの方面に力を入れてこうして行くとか――一兆九百億円という金は非常に大きな金で、なかなか困難だということが大臣の演説の中にありますが、困難だから年次的に、今年度はこれを取上げるとかいう、いろいろな計画があるのだろう、こう思つておつたのですが、そうしたことはなしに、ただ漠然と、五箇年先にはこうするというだけのお話と了解していいわけでございますか。
#7
○岡野国務大臣 先般ちよつと申し上げましたように、あれは急ぎまして、中間報告にいたしておりまして、漠然とと申しますと少し何でございますけれども、こういうところに持つて行きたいという一つの目標をきめまして、むろんそれは年次のことを考えに入れずには出ませんけれども、年次をいかにしたらいいかということについて、これから作業を始める、こういうことになつておりまして、中間で、五年先のことを考えて一応御報告申し上げた、こう御了承願つておきたいと思います。
#8
○石村委員 そうすると、五箇年先に必ずああなるかどうかということは、政府の計画としてもしつかりした御許画ではない、このように承知せざるを得ぬと思います。その問題はそのくらいにいたしまして、この五箇年計画は、賠償問題については、先日御答弁があつたかと思いますが、よく聞取れなかつたのですが、賠償問題については、全然考慮に入れずにあの五箇年先の計画はできておるのでございましようか。
#9
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。賠償問題は入れてございません。それから先ほど仰せになりました政府というお言葉でございますが、あれはまだ政府というところまで行つておりませんで、私自身が考えまして事務当局に案を練らせつつある、その私の案を中間に御報告申し上げた次第でございます。今後あれが、今仰せのように、年次的にしつかりと事務当局で確信のある計数が出ましたならば、これをまた各関係官庁と打合せまして、それから政府の方へ持つて行つて、それで政府の案になるということになるのでありまして、まつたくの私個人の試案でございますから御了承願います。
#10
○石村委員 長官個人の試案だ、こうおつしやいましたが、しかし長官の最初の御演説の中には一兆円という数字が出ておるのですが、それでも長官の私案にすぎないものである、こう了解してよろしゆうございますか。
#11
○西原(直)政府委員 長官の経済演説に一兆円というふうに出ております。それはああいう関係での各方面からの要望額を先ほど申し上げました。そういう関係でやはりこの中間報告は大臣の大体の御構想に基きまして事務当局で一応つくりました一つの構図でございます。ただいま大臣からお話ございましたように、これを土台と申しますか、素材にして各方両の御検討、御批判をいただき、そうしてだんだんと固めて参りたい、そういう研究途中のものであります。
#12
○石村委員 どうもふに落ちない点もあるわけですが、これはこのままにいたしまして、東南アジアとの提携をしきりに大事なことだと言つておられるわけです。技術提携の積極化というようなことがありますが、これは現実的に何らか進行いたしておりますか。
#13
○岡野国務大臣 東南アジアは御承知のように外務省で外交交渉をやつておりますし、またパキスタンあたりとは貿易協定もできまして、今度の予算におきましてもやはり技術相談室というようなことにも少し予算がとつてありまして、われわれといたしましては今までそういうような協定のできているところもありますし、また今後、今年の予算でも技術相談室を設けまして、何とか貿易の振興をはかりたいという考えを持つております。また東南アジアの方へ人を出したり、それからまた外交交渉の方におきましても、入国制限とか、入港制限とかいうものをはずしてもらうように努力しつつあるのであります。手がかりと申しますよりは、大分突き進んで、進出する方策をいろいろの面でとつておる次第であります。
#14
○石村委員 次に中国貿易の問題でございますが、あまり期待が持てないということが長官の演説にありまして、もちろん貿易はやつてみなければわからないと思いますが、禁輸品目がパリ・リストよりも日本の方が非常にきゆうくつだということは、どういう理由でそういうふうにきゆうくつになつておるのでございましようか。それからあるいは輸出ができない、中国が発展してあまり日本の物を買わないということがあるかもしれませんが、これは一応政府のお考えをそのまま受取つて申すのでありますが、しかし少くとも粘結性の石炭とか、塩とかあるいは鉄鉱石、食糧とかが安く買えるとすれば、入れることによつて日本のコストを引下げるということができるのではないかと思いますが、この点長官の所見をお伺いいたします。
#15
○岡野国務大臣 日本はちようど昨年の四月二十八日に独立しまして、それからいわゆる独立の態勢に向つていろいろなことをやつて来たわけでありまして、それまでは被占領下でございまして、まつたくわれわれの自由なことができなかつた次第でございます。そういう意味の惰性によりまして中共貿易というものも相当な制限を受けておつたのでございますが、昨年の秋、九月でごさいましたか、ココムに入りまして、そしてこれは十三箇国ほどでやつておるのでございますが、それでいろいろ検討しましてわれわれの方の制限物資をだんだんはずして行く、こういうことをやつて行きまして、昨年中にも九十何品目かはずしまして、今年になつてからも四十何品目をはずしまして、だんだんと西欧並に、進んで中共貿易の制限をはずして輸出を振興させる、こういうことになつております。
 それから石炭の問題でございますが、開らん炭のことでちよつと一例を申し上げますと、あれがたしか十一ドルくらいに当るのだそうでございますが、ところがただいまのアメリカ炭としますと、十九ドルくらいになるのであります。これをメリット計算しますと、どちらがどうかわからぬというような専門家の意見でございまして、そういう意味におきまして、近いから、また非常にいいものがあつて、非常に右利に行けるというところまでは断定がつかぬと思います。しかしながら今後われわれといたしましては、わずかの差であつても、やはり安くていいものが入れば入れたい。それで塩とかほかのものにいたしましてもやつておりますが、そこで昨年度でごさいましたか、直接の中共貿易としましては二百三十万ドルくらいの輸入しかなかつたのでございますが、しかし税関統計などを調べまして、原産地の方を研究して見ますと、中共から千五百万ドルくらい入つているような数字も現れていますから、今後力を入れれば、いわゆる日本の輸入貿易に対して、絶対量においてはそう大したことはございませんけれども、しかし伸びる可能性はこれは相当なパーセンテージに行くということが私どものねらいでございまして、その方面にぜひ努力して行きたい、こう存じます。
#16
○石村委員 中国貿易はあまりつ込んでお聞きもいたしませんが、向うの品がメリットの問題とか、いろいろあるようですが、一つは日本から専門家が中国へ駐在しておつて、専門的にいろいろと取引きをやつて行くということが中国貿易をさらに進める手段ではないか。ただこちらで盲で、文書でやつておるということではできないのだと思いますが、そうした人を中国に派遣せられる御意思はないのでございましようか。
#17
○岡野国務大臣 中共との関係は商売の点で行きますと、私のような考えでできるだけこれを発展させて行きたいと思いますけれども、人の交流ということになりますと、これはまた外交上いろいろなことがございまして、自由にこれが往復できるという立場に向うの国柄としてもできておりませんし、日本としても少し遠慮しなければならぬということがございます。その点はおいおいいわゆる盲貿易を目あき貿易にして行くような手段をとつて行きたいと存じますけれども、ただいまのところ人を派遣するとか何とかということは考えておりません。
#18
○石村委員 今度の長官の演説を見ますと、今年度もかなり明るい見通しのようで、そのように行くとたいへんけつこうだと私も考えておりますが、せんだつて日銀総裁が京都で、物価が急騰して米たら金利も引上げなければならぬ、そういうようなお話があつたのです。これは前途に対する審議庁の見通しと大分違つた見通しのように思いますが、長官としてはこの日銀総裁の車中談というものと反対に考えておいでになりましようか。
#19
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。日銀総裁が車中談で言われたことは、私面接会つて聞いておりませんものでありますから、どういう意味で言われたかよく存じませんけれども、少くともこの下半期に至りますと散布超過が相当多いというようなことを見まして、また今出ておりますいろいろな財界の意見などを見てみますと、少し引締めるところは引締めて行かなければならぬ、こういうような考えで言つたのだろうと思います。これはインフレを防ぐ意味で言つたのだろうと思います。しかし私どもといたしましては、これとは別に輸出振興をやる、そのためには金利が非常に大きなパーセンテージをコストに持つておる。もしこの金利を何とか安くすれば、生産コストが非常に安くなる、こういうようなねらいから重点的に金利は下げて行かなければならぬ。ですから一般金利をわれわれは引下げようというのではなくて、輸出振興に最も役立つ、すなわちコスト引下げに一番役に立つというところへ持つて行くべく金利は引下げて行きたい、こう考えておるわりであります。それには政府が相当資金を出しておりますから、この政府資金において、われわれの権限内で施策ができるということをねらつて金利を引下げて行きたいということであります。日銀総裁は一般金融、すなわちインフレの抑止という意味で何か車中談をされたのだろうと思います。
#20
○石村委員 簡単にただ一つお尋ねいたしますが、せんだつてアメリカで銀行の預金準備率を引下げたということがありましたが、アメリカの経済界の動向というものが日本に及ぼす影響は非常に大きなものだと思います。この準備率を引下げて来たということは、アメリカ経済にとつて、どういうことからそうした手段をとらざるを得ないようになつたか、そうして今後のアメリカの動きが日本にどういうように影響して来るとお考えか、お尋ねしたいと思います。
#21
○岡野国務大臣 私は準備率を引下げたというニユースはまだ存じませんけれども、準備率を下げるということは、結局信用を膨脹させるというような意味に原則的に解しておるのでございます。でございますから、おそらく今後不況が襲つて来るのではないかということをおそれて、それに対していわゆる金融操作としてやつたのだろうと思います。
#22
○佐伯委員長 長名川峻君。
#23
○長谷川(峻)委員 独禁法の改正法案について二、三御答弁をお願いしたいと思います。終戦後進駐軍がやつて来て、財閥の解体、経済力の集中排除、さらに独禁法などが不当に課せられた。アメリカのように国民経済の規模が違い、民間における企業の資本力が違い、生産の単位が違い、取引量も比較にならないところヘ、アメリカ以上に強い独禁法が日本に押しつけられて来た。きのうあたりの御説明を聞いておつても、大体において非常に行き過ぎであることを進駐軍当局が認めながら、それを公正取引委員会がやるために苦労して来ているという説明でありましたが、事実そうだろうと思います。しかし、今回この改正案が出された根本的理由といたしまして、行き過ぎであつた進駐軍の占領政策を是正し、非常に小さくなつた日本の経済力を増し、そして国家の経済発展のためにやるんだというふうにとつてよろしゆうございますか、その点はつきりした所信をお伺いしたいと思います。
#24
○横田政府委員 今回の改正の趣旨は、本会議あるいは昨日の当委員会におきまして大臣あるいは私から申し上げた通りでありまして、独占禁止法の線が多少改正いたされましたが、なお現在の国の実情に照しまして、きつ過ぎる面があるという点を今仰せになりましたような観点から改正を加える、こういうことに相なつたわけでございます。大体仰せの通りであります。
#25
○長谷川(峻)委員 ただいまの御答弁了承いたします。
 次いで具体的なことですが、合理化カルテルを認めておりますが、わが国の原料高製品安、こういう関係からして、外国貿易が行き詰まりつつあることは皆様ひとしく心配しておるのですが、この合理化カルテルについてどの程度まで今度の改正案において考えておられるか、お答え願いたいと思います。
#26
○横田政府委員 合理化カルテルにつきましては、大体技術的な面を主として考えまして、技術の向上、品質の改善等に役立ちます面を非常に重く見ておるわけでございます。それは今度の改正法案の二十四条の三に書いてございますように、あの範囲におきまして独占禁止法の適用除外をいたすということにいたしたのであります。なお前国会に提案いたしましたものに多少修正を加えまして、いわゆる品種の配分とでも申しますか、業界によりましては非常に千差万別の製品を各業者がつくつておるというきわめて非生産的な面も見られますので、この際各業種につきまして、最も得意とする製品をつくることによつてコストの引下げ、あるいは品質の改善をはかり、これが結局日本経済全体に寄与するという面を考えまして、この点を今度改正案に追加いたしたわけであります。これはもちろんそういう操作をいたしまする反面におきまして、いろいろな弊害もまた考えられますので、その弊害の是正につきましては、この法律案の中に非常に詳しく弊害面を是正する規定が入つておるわけであります。
#27
○長谷川(峻)委員 さらにお伺いいたしますが、二十四条の中に「運送の施設の利用又は副産物、くず若しくは廃物の利用」とありますが、この場合にくずというものにはどういうものが入るかということによつて、あとで非常に問題が起る可能性があると思います。このくずの購入について、その共同行為の内容について定義のお示しをしていただきたいと思います。
#28
○横田政府委員 くずと申しますのは、大体考えられておりますのは、生産の過程において生じて参りますいろいろなものを言うのでございますが、大体くず鉄のようなものと考えられておる次第であります。これはもちろんこの範囲につきましては、いろいろな考え方もあるかと存じますが、大体そういうようなことが予定されておるわけであります。
#29
○長谷川(峻)委員 再販売価格を認めておりますが、消費組合、購買組合は適用外になつております。そうしますと、都会の場合はそれでいいと思いますが炭鉱とかああいう鉱山町などにおける小売業者は非常に苦しい思いをするようになると思うのですが、この点についてのただいまの考えを伺いたいと思います。
#30
○横田政府委員 もう一度質問の御趣旨をはつきり責つていただきたいと思います。
#31
○長谷川(峻)委員 消費組合、購買組合というのは適用除外になつておりますね、その再販売価格から……。都会の場合はいいですけれども、炭鉱町における小売業者、そういうものが非常に困つて来ると思うのですが、その点について……。
#32
○横田政府委員 あるいは御質問の御趣旨と違うかもしれませんが、炭鉱の購売会等が相当発達しておりまして、本来労働者に売るべきものをさらに一般の市民にも売り出すというようなことの結果、小売業者が非常に困つておりますことは、公取方面へもたびたび小売業者の方から陳情もございまして、よく存じておるのでございます。従いまして今回この再販知価格維持の対象になりませんものを、法律の規定に基きまする組合のみに限りまして、今申しましたような会社の私的の購買会というものはやはりこの再販売価格維持の契約をいたしまして、この定価を維持する拘束を受けるということにいたしたわけでございます。
#33
○佐伯委員長 栗山英雄。
#34
○栗田委員 通産大臣にお尋ねいたしたいのですが、この修正案で、前の修正案もそうだつたのですが、主務大臣認可ということが決定した経緯を、時間もありませんので、要点だけお答え願いたいと思います。
#35
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。御承知の通りに、産業政策の根幹はやはり通産大臣の一番大事な職務でございまして、これに対して無関心でおるというわけにも参りませんし、また輸出振興を第一主義といたしまして、今後の通産行政をやつて行きたいと存じまするというと、価格とか物の売れ方とか、また財界における動乱とかというようなことについては、相当、通産大臣といたしましては注意深く、またこれを禁止して行かなければならぬ、こう考えますので、通産大臣が認可権を持つのが当然だと私は思います。しかし通産大臣にこれを専断的にやらせるということは、公取委員会というものがございますので、これはおもしろくございませんので、公取委員会がよく御検討なすつて、いわゆる法的にこれを研究されまして、そして認定を与えられ、同町に通産大臣はその公取委員会と意見が一致した上で初めて通産行政上の処置をとる、こういうことにいたすわけであります。そういうわけで二重になつておりますけれども、これは産業政策の上からこうしていただいた方がいい、こう考えてやつたわけでございます。
#36
○栗田委員 そういたしますると、これはひとつ基本的なことでお聞きしたいのですが、独禁法上の認可とか、あるいは不認可ということは一体どういうことか、この点に関しましてお答えを願いたいと思います。
#37
○岡野国務大臣 公正取引委員会というものがございまして、その公正取引委員会が独禁法というものの運用並びにこれを整理して行く、こういうような役所でございますから、その方面でやるのが当然のことでございます。しかし事一たびこれに例外を設けまして、経済政策に非常な影響を与えるというような場合におきましては、通産大臣がこれに対して参加する、こういう考えであります。
#38
○栗田委員 今の通産大臣のお答えは私の質問の趣旨と違うのです。それはどういうことかというと、独禁法上の認可不認可ということはいかなることであるかということです。
#39
○岡野国務大臣 それはひとつ専門家の公取委員会の方でちよつと……。
#40
○栗田委員 これは専門家でなく、通産大臣の認可不認可が重大な問題なんで、独禁法上に対して認可不認可を与えるのは通産大臣なんだから、いわゆる通産大臣の独禁法上の認可不認可ということはいかなるごとかということを私は聞いておる。
#41
○岡野国務大臣 ほかの方面の認可不認可ということは公取委員会でやられる。しかし今度できましたところの不況カルテル並びに合理化カルテルに対する認可というものは、通産大臣が、先ほど申し上げましたような理由によりまして、参加する、こういうことになつておるのであります。
#42
○栗田委員 大分今通産大臣の言うことは違うのですが、私の聞いていることは、独禁法上の認可不認可ということはどういうことかということで、私はこういうふうに考えておるのです。独禁法上の認可不認可ということは、このことが独禁法に違反するかどうかということを認定する行為ではないか、こういうふうに私は考えておるのですが、その点についてどうですか。
#43
○岡野国務大臣 原則といたしましては、独禁法に対する認可不認可というものは、公取委員会においてこれを検討し、また認可不認可するものだと思います。それは原則として動かないものでございますが、しかし今度の改正案における認可権ということは、先ほど申しましたような理由によつて出て来たわけであります。
#44
○栗田委員 しかしながら、これは通産大ににお尋ねいたしますが、通産大臣の認可も、結局公取会員会の認定がなかつたならば、認可することはできないのでしよう。
#45
○岡野国務大臣 その通りでございます。
#46
○栗田委員 そういたしますると、通産大臣がたとい許可を与えても、公取委の認定がなかつたならばこれは無効なんですから、こういうことまでして、いわゆる通産大臣が認可しなければならないという理由はどこにあるか、この点をお尋ねいたします。
#47
○岡野国務大臣 とにかく産業政策の根幹に触れる問題でございまして、われわれといたしまして、通産行政をやつて行きます上におきまして、財界におけるいろいろなことにつきまして、不況カルテル、合理化カルテルなんかできますときには、どうしても通産行政上これを一応規制して行かなければ、われわれとして産業政策を責任を持つて進めるわけに参りませんので、それで認可権を通産省で持つておる、こういうことでございます。
#48
○栗田委員 私はいずれ時間のあるときにその問題はもつとつつ込みたいと思います。そこで認可不認可というものに通産大臣が入つて来たために、独禁法の法体系というものが非常に乱れてしまつた、現に乱れておるのであります。この点に関しまして通産大臣は気がついたかどうか、この点を伺いたい。
#49
○岡野国務大臣 私はそう考えませんで、日本の独禁法というものは――これは独禁法類似の法律がカナダとか西ドイツとかイギリスとかアメリカ等にございますけれども、しかしアメリカが相当強いのでございます。そのうちで日本が一番厳格過ぎるわけでございます。そこで占領行政の行き過ぎとでも申しましようか、日本の底の浅い財界に対しまして、この厳格なる独禁法というものをあの通り実行しましたならば、日本は何か内外の財界の変動がありましたときには、相当と申しますか、崩壊に近いいろいろな混乱を起すのではないか、こう考えまして、それがこの日本の実情にも合いませんということで、今回の改正をしたわけで執ります。
#50
○栗田委員 その岡野通産大臣のお答えは、私の質問と全然違うのです。それはどうかというと、通産大臣がこの独禁法の中に割込んだために、法体系が乱れたのではないかということを聞いておる。たとえばどういうことかというと、これは結局認可不認可というのは行政処分ですね。この点だけ通産大臣にお尋ねいたします。
#51
○岡野国務大臣 行政処分でございます。
#52
○栗田委員 ところがこの場合に、公取委員会が認可不認可をするということになりますと、これは凖司法的な行政手続でありますので、これはおそらく審決をもつてやると思います。これはおそらく通産大臣認可の場合と、公取認可の場合とは非常に違うと思います。そのときの認可はどのような大きな違いがあるか、この点に対して通産大臣のお答えを願いたい。
#53
○岡野国務大臣 公取委員会のおやりになることもわれわれのやりますことも、やはり日本の国民経済全体としまして利益になるようにということを念願してやつておるわけでございますから、公取委員会でおやりになる認可も、また通産大臣が行政的の権限でやる認可も、私は日本経済全体の利益をはかるという意味において判断されるならば意見は一致することと思います。同時に私の方で認可をいたしますけれども、これは必ず公正取引委員会の認定を得て、この認定と一致しなければ認可ができないということになつておりますから、私はそれでよるしいと思つております。
#54
○栗田委員 今も言つております通り、法律の改正案ですから、このように通産大臣が入り込んで一体どのように法律大臣が入り込んで一体どのよう私は聞いておる。しかも通産大臣は認可を与える上に、そういう点を考えたかどうかということを私は聞いておるのです。そこで今の答弁も私の附いておることと全然違うのです。それはどういうことかというと、通産大臣の認可不認可というのは行政処分であります。しかも認可を与えるのには、これは公取委員会の認定を得なかつたならば、それを与えることができない。そこで公取委員会の認定が得られなかつた場合においては、当然通産大臣としてはその申請に対しては不許可にする、不認可を与えるわけです。その場合にいわゆる申請者は結局どういうことになるかというと、通産大臣を被告として訴えなければならぬ。従つて通産大臣の許可の場合と、公取の場合とは大分違う。たとえば通産大臣の場合は、通産大臣を被告として訴える。しかしながら認可不認可を決定したのは実際は通産大臣じやない。これに許可を与えたものはだれかというと、公取委員会である。ところが裁判的に公取委員会というものはちつとも出て来ない。通産大臣を被告として応えるのであります。公取委員会というものは単なる参加入にすぎないという非常に裁判的にちぐはぐなものが出ておる。しかもその行政裁判というものは第一審で東京地方裁判所で扱うことになる。この点に関しまして、通産大臣のお答えを願いたい。
#55
○岡野国務大臣 御趣旨はよくわかるのでございますが、問題といたしまして、公取委員会の権限を通産大臣が浸蝕した、こういうようなことになるとおぼしめしていらつしやると思いますが、しかしこれは先ほども申し上げましたように、日本の経済界と申しますものは、今の独禁法をそのまま適用したならば、何か事があつたときには、一時に壊滅してしまうのではないか、それはどういうことかと申しますれば、占領行政の行き過ぎでありましてあまりにも厳格過ぎた、こういうことでございます。その厳格さを少し緩和してこういう法律をつくつたということでございますから、その点は御了承願いたいと思います。
#56
○栗田委員 私はこの独禁法を緩和することには別に異論はありません。緩和することはけつこうですが、それを緩和するからといつて、何も通左大臣がこれに割込む必要はいささかもないということ、また今の裁判の問題でも、もし公取の審決をもつて不認可にするときにはどうかというと、被審人は高裁に訴えるのであります。しかもこの公取委員会の審決というものは裁判所を拘束いたします。そこで不況カルテルとかあるいは合理化カルテルという非常に重大な認可申請の場合においては、裁判所を拘束もしなければ、これは地方裁判所で裁判手続をやらなければならぬ。ところがこの公取の審決による認可不認可というのは何かというと、第十一条の株式保有の問題である。比重からいつたら株式保有なんという問題は非常に簡単な問題である。今の不況カルテルとか合理化カルテルとかに比べたら非常に簡単な問題である。ところが大きな問題は、裁判所をも拘束しない、地方裁判所から覆審となつて裁判手続をやらなければならぬ。ところがこの株式保有の場合には裁判所を拘束するから、結局東京高裁に第二審というようなかつこうになります。このように通産大臣が一つこの中に首を出したことによつて非常に乱れて来る。これは時間がありませんから、一つの例だけ言いますが、このほかこういう問題がたくさん出ております。この点に関しまして通産大臣のお答えを願いたい。私はこれで終ります。
#57
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。なるほど法律的にそう仰せになりますれば、これはごもつともでございます。経済上の問題、特に日本の経済の基盤というものを考えますならば、私は今の程度でやつて行かなければ、日本が救えないじやないか、こういう考えを持つてやつたわけでありまして、もしこれが公取委員会の、厳粛な仰せのような審決によつておやりになること、しごくけつこうでございますけれども、しかし不況カルテルをやるとか合理化カルテルをやるとかいう場合に、われわれといたしましては、日本経済の動向がどうなつて行くかということが非常に大事なことであります。どうしてもやはり公正取引委員会とタイアップして仕事をして行かなければならぬ、こういうような点から考え出したことでございますから、この点は賛成とか反対とかいう問題に触れずにひとつお考えを願いたいと存じます。
#58
○栗田委員 質問を保留します。
#59
○佐伯委員長 中村時雄君。
#60
○中村(時)委員 私の方の質問は以前の長官の説明並びに経済五箇年計画に対する総体的質問をいたしたいと思います。
 まず第一番に取上げられておるのが特需の問題なのでありますが、この特需の問題に対して長官は非常にこれを安易に考えておるように見受けられるのです。ところが実際にはアメリカの軍需はスロー・ダウンのようなかつこうが現われており、しかもあのアメリカのボールドウインなんか、日本の果しておる朝鮮戦争の背後地としての責任が再軍備によつてより以上自主的なアジアの中心課題になるのではないかという結論を結び、しかも今度はMSAが現われている。また朝鮮政府としての感情は、日本はほとんど朝鮮動乱に基く特需によつて日本の経済が自立しておるようなかつこうになつておるという悪感情を持つております。そのようないろいろな観点から考えても、将来日本は軍需に依存をするような経済機構に切りかえになるようなことはありませんか、これが第一点。
#61
○岡野国務大臣 特需の問題につきましては、これは私も先の見通しということは――大体においてこういうふうになるだろうとは考えておりますけれども、しかし今後の世界の情勢がどうなつて行くかということにまつたく依存するわけでございまして、ただいまはつきりした見通しは持つておりません。しかし大体におきまして、今朝鮮休戦がああいうふうにもんでおりますけれども、多分できることだろうと思います。思いますが、しかし兵器生産というようなものは、今まで通りあまり減らずに、そのまま続いて行くのではないか、またアメリカの方でも、特需というものはこれは確保して行くだろう。二年くらいは続くのだというようなことも声明しておりますし、また今後の朝鮮の復旧ということにつきましても、相当力を入れてやらなければならない。ウンカラなんかで相当金も出るだろう。そういうようなものも出ますし、また今どういう関係か存じませんけれども、日本に対するMSAの問題も出て来ておりますので、特需がある程度続いて行くということだけは見通しがつくのでございますが、それがどういうふうに入れかわつて行くかということは、まだただいまのところ的確なることは確信を持つておりません。ただ単純に、ここ二、三年は今程度のものは続けて行けるだろう。しかしMSAの問題はよく掘り下げて、これは理論的でございますが、各国の受けておるところの様子を探つてみますると、あるいはこのMSAの問題は、今までのような安易な入札とか受注とかいうものでは行けずに、あるいは少し国際的な競争をいたさなければやつて行けないのではないかというようなことも心配されております。かたがたただいまのところは大したことは出て来ない、内容は幾分は変化するだろう、こういうような漠然たる見通しを持つております。
#62
○中村(時)委員 今言つたように、その価格の上あるいはそういう面の上においては大差はないけれども、質的には云々とおつしやいますが、その質的な問題が日本の経済の非常に重大な問題なんです。たとえば平和の問題と関連いたしましても、このような特需が、量的や質的に変更がないといたしましても、日本自身の、私の言つているのは、軍備を充実させるための経済構造に基礎的に切りかえられやしないかというおそれがあるわけなんです。そういう一つのおそれがないかどうかということを聞いているわけなんです。
#63
○岡野国務大臣 どうも私は今度のMSAの内容を存じませんし、また外務大臣あたりに聞きましても、まだ見当がつかぬと申しておりますが、MSAは軍事援助と経済援助と、それから技術援助ということになつておりますから、それがいかなる形で入つて来るかによつて、私は日本の経済に幾分の変化を来しはせぬか、こういうことは心配しております。
#64
○中村(時)委員 どうも確固たる話が出て来ないのですけれども、時間がないので、それは一応そのままにしておきます。
 次に、第二点として貿易の問題が出ておりますが、貿易の問題で中共貿易というものに対して、あまり積極性がないように、私には受取れます。そこで第二点の東南アジアの問題に関連してお尋ねしてみたいと思うわけなんです。東南アジアの経済に対し、非常に楽観的にひとりよがりな見解に基いていろいろなことが書いてあるように思われるのですが、それなら東南アジアの実態をわれわれが考えてみた場合に、東南アジア自身が非常に困難な状態にあるのではないか。その一つの例は、たとえば労働者の賃金表をマレーの例にとつてみますと、一九三九年を一〇〇としまして、賃金指数が現在は二〇〇になつております。生計費の指数は一九三九年を一〇〇としますと、現在では六〇〇に上つております。このような状態にあります。ビルマにおきましても、大体の手取り収入が六十四ルピーになつております。食費が八十七ルピー、こういうような現状になつてる。われわれが考えておるような、また表面化されているような、抽象的な文句に見られるような状態でなくて、実際の東南アジア自身の内容にいろいろな疑問が出て来るわけなんですが、それを考えた場合に、長官は安易な考え方で今後とも進まれるかどうかということをお聞きしたい。
#65
○岡野国務大臣 御説の通りに、各国とも、東南アジアにおきましては非常に経済が困難をしております。それからまた、もう一つは外交上の問題でもございましようが、日本というものよりは、元の西欧諸国が自分自身で支配をしておつたとかなんとかというような関係によりまして、自分の方も貿易を進展させよう、日本の輸入制限をして行こうというようなこともございまして、かたがたなかなか困難でございます。同時にまた、各地方におきまして、非常に財政経済が逼迫しておることは御説の通りでございます。しかしこれは条件といたしまして、やはり西欧諸国と日本とは同じ条件でございますけれども、少くとも第二次大戦後において、各東南アジア諸国が独立の意欲に燃えて、そうして何でも自分のところでやつて行きたいという考えを相当持ち、また努力しておる次第でございますから、その意欲に応じて、われわれはできるだけの援助をしながら商売をして行く、もしこれができますならば、向うのものをよく買つてやつて、同時にこちらから売る物を売る、こうしなければならぬと思います。むろん経済上困つていることは御説の通りでございます。
#66
○中村(時)委員 そうなると、抽象的ということをみずから暴露しておるようなかつこうで、さつぱり話が出て来ないですが、そういうふうにおつしやいますと、たとえば今申しましたように、一九五〇年の輸出の量を調べてみますと、一九五〇年は非常によかつたですが、一九五〇年以降になりますと、非常に輸出が詰まつて来まして、また同時に、日本から出しておる数的な面を見ましても、ほとんど消費財が出ておるようであります。たとえば今までに一億六千万円ほど出ておりますけれども、そのうち繊維並びに金属がほとんどその主体になつておりますような状態であり、また東南アジアにいたしましても、今長官自身が言われたように、消費財はある程度制限をされて来るであろうという観点が一つ。もう一つは、具体的にこれはお聞きしたいのですが、東南アジアの経済の中心をなしておるものは、民族資本とはいいながら、いまだ華僑が非常に強いのです。これに対する何らかの具体的な方針を持つていらつしやるかどうか。あるいは西欧諸国におきましても、その国の生産の向上に伴つて、輸出を非常に叫んでいる状態でありますが、これに対抗するため、どういうふうなお考えを持つていらつしやるか、これが一点。
 続いてもう一点最後に、一緒にやつてしまつた方が、時間がないからいいのじやないかと思いますが、生活安中ということが最後にありますが、この生活安定に対しまして、政府は合理々という面からこれを取上げようとしていらつしやるようです。この合理化という面から生産費の切り下げ、それが常に労働賃金あるいは中小企業の圧迫のもとに行われておるのですが、これに対する救済策をきちつとしていない限りにおいて、この合理化に対する国民全体の考え方は、非常に逆効果をもたらすのではないか、たとえば今度の独禁法なんかその一つの例であります。そういうふうに考えてみた場合に、これを受入れるだけの何らかの施策、方針を事実持つていらつしやるかどうか。この一点を最後にお伺いしたいと思います。
#67
○岡野国務大臣 なるほど、東南アジアと申しましてもいろいろございますが、しかし華僑が非常な有力なる財界の指導権を握つておるということは事実でございます。むろんわれわれといたしまして、政府が乗り出すわけではございませんけれども、日本の商人というものは、華僑というものをやはり相手にしてやつているのがたくさんございます。また華僑は相当のものがございまして、それと貿易もやるし、商売の取引もやつておる、こういうことでございますから、その点は、私は民間の業者にまかしておけばいいだろう、こう考えます。
 それから生活安定のことでありますが、合理化ができますれば賃金が減るとか何とかいうことは、私はどうもそう考えられないのでございまして、合理化ができて物が安くなつて、そうして外国に物が売れて行くということになれば、産業界を刺激しまして、そうして生産を拡張する、こういうことになりますから、賃金はあまり影響を受けないのではないかと考えております。それからもう一つ、よく合理化のためには首切りをやらなければならぬとかなんとか言われておりますけれども、日本の国情といたしましては、今なかなかりつぱな労働基準法なるものもございまして、そうむやみやたらにわれわれは首切りをすることはできたいと思いますし、また切らすべきものではないと思います。
#68
○中村(時)委員 今長官のお話を聞くと、ほんとうに曖昧模糊として抽象的で、ただ言いのがればかりやつているわけです。たとえば貿易がこれほど逼迫し、相手方の状態がはつきりキャツチもされていない。それでもなおかつ貿易と日本の自立経済に関連性をつけてみたりしても、実際相手の貿易の実態もわからない。そういうような環境から合理化の問題に発展して行つて、合理化をやつても賃金が下らないとか、首切りをやらないとか言つているが、要するに合理化をやつて品物がどんどん出て行つて、労働者の完全雇用の姿が出て来るであろうと言つてみても、貿易もできなければ、はつきりした線も出ない。そういう形態をとつてみたらみな不安になるようになる。だから勤労者一般がそういう政府のやり方に対して現在一番問題にしているのはその不安定な状態なんです。ということは、あなた方が最高の目標としている貿易においてさえもそういうように不安定ですから、まして合理化とか、不安定な抽象的なことを言う定見のない姿から打出して行けば、首切りないし労働賃金の低下なりにしわ寄せされて来るということは、帰結として当然のことになつて来るので、そういうことを曖昧模糊とせず、合理化をやつて、もし首切りをするならする、そのかわりこれだけの受入れをするというはつきりした方針を具体的におつしやつていただきたいと考えるので、それに対して何か具体的な考え方を持つているかということをお聞きしているわけです。
#69
○岡野国務大臣 相手方がわからなかつたのは、被占領下のときに引続きまして、御承知の通りわれわれは盲貿易をやつていた。それから独立後になりまして、外国の情勢をよく知らぬがために、いろいろ外交方針によつて人を入りたり、また船を向うに入港させることに対する障害を除くというようなことに努力しますとともに、通産省といたしましては、技術相談室とか、また派遣員とか、技術人の交流とかいうようなことをいたしまして、やつと昨年の四月からそういう方に目ざめていただき、また目ざめさせようとしておる次第でございますから、相手方のことがわからなかつたというのは事実でございますけれども、今後は知ることに努力して行きたいというので、そういうような施策をつくつているわけでございます。
 それからもう一つ、合理化と労働賃金との組合せでございますが、これは御承知の通り今までやはりいろいろなことが計画されておりましたけれども、どうもそういうことが空漠たる想像でございまして、それがいけないからというので、私自身といたしましてはもう少し地に足のついた研究をしてみたいと思いまして、大体三十二年度の目標というものは経済表にも出ておつたのでございますけれども、これはもう少し掘り下げて、ほんとうに地についたそういうような関係が事実どうなつて行くかということを研究するために、私は新しく事務当局にお願いしてこういう研究をさせている次第であります。
#70
○佐伯委員長 山本勝市君。
#71
○山本(勝)委員 私は本会議における国務大臣の経済演説について基本的な若干の問題について質疑をいたしたいのでありますが、時間がないようでありますので、答弁は今日なされなくてもあとでけつこうです。私は私の問題とする点だけをお尋ね申し上げますから、よくのみ込んでおいていただきたい。
 第一点は、政府は自由通商の大方針で行くのか、それとも自給自足のアウタルキーの態勢で行くつもりであるか、これがすこぶる曖昧になつておると思う。岡崎外務大臣の説明によると、貿易を盛んにして、自由貿易によつて通商規模の拡大をはかつて行く。これは日本のみならず、世界にとつて必要である。それにもかかわらず諸国がいろいろ貿易制限をしていることは遺憾である。これを打破して行かなければならぬといつたような、自由貿易による通商規模の拡大で日本経済の困難を打開して行こうという意気込みが見えたわけです。ところが岡野国務大臣の演説を聞きますと、まず日本の輸出貿易を振興する。輸入についてはぜいたく品などは押えて行く。つまり輸入はだんだん押えて行く。それから自給度の拡大と申しまして、繊維原料であるとか食糧であるとかいうようなものは、なるべく外国から買わぬようにして行く。こういうふうになるべく自給自足の線で、外国からものを買わずに、売るものだけをふやして行こうといつたような線で行くように見える。この自由通商による貿易通商規模の拡大で行くのかどうかという根本的な点をお伺いいたします。
 第二点は、物価水準を今後安定させて行こうという考え方で進んでおられるのか、それとも物価水準を引下げようという構想のもとに進んでおられるのか、この点が曖昧であります。大蔵大臣また岡野国務大臣は演説の中で、大体物価水準は維持して行くのだと言い、大蔵大臣などは、通貨価値を維持する、インフレもいけない、デフレもいけない、大体横ばいで物価水準を維持して行くということを強調しておられる。ということは通貨価値を維持して行くということと同じことでありましようが、そうかと思うと、一方では日本の物価水準は世界の物価水準に比べて高過ぎる。この高過ぎる物価水準を世界の物価水準までさや寄せをする、引下げて行くということもまた強調しておる。ことに世界の物価水準は、これまででも日本の物価水準より何割も低いのに、さらに世界の物価水準はだんだん下つて行こうとする形勢にあるとすら述べておられる。すでに低いものがだんだん下つて行くその世界の物価水準に、日本の物価水準をさや寄せして行くことによつて、日本の輸出貿易を振興しようという行き方は、現在の物価水準を二割も三割も下げるということを前提というか、主張していると解するよりほかない。デフレでもない、インフレでもない、横ばいさすのだ、通貨価値を上げるのでも下げるのでもない、現在の価値を安定さすのだというその考え方との間には、私は相いれないものがあると思う。これを解決する道はただ一つ、完全ではありませんけれども、為替レートに触れる道がありますけれども、これは大蔵大臣はたびたび絶対に為替レートには手をつけないと言つておられる。そうすると為替レートに全然手をつけないで、しかも物価水準は下げないのだ、いや下げるのだ、こういう根本の点で、私は政策の努力に矛盾があつたのでは、その努力は結局プラス・マイナス・ゼロになつて混乱を来すだけだ、こういうふうに思うのであります。
 第三には、岡野国務大臣は演説の中で食糧増産、電源開発等の構想を明らかにしておられます。その実施にあたつては治山、治水、道路その他との調整をはかつて行くというように、治山、治水、道路というふうなものを、電源開発や食糧増産のつけたりのように説明しておられますが、私はこの点はむしろ逆に考えるべきではないかと思うのであります。今回の九州のあの惨害を見ましても、治山治水を意つておるがためにああいうふうに一挙に厖大な国の損失を来すのであります。電源の開発は必要である、食糧の増産も必要ではありまするけれども、しかしそれよりも、ああいうことで非常な損害を来すことを考えますと、まずもつて治山、治水、あるいは道路とか、そういう基本的であり、しかもすべての産業といわず生活の基礎になる方面にこそ国家は第一の重点を置くべきではないか。そこに重点を置いて、第二に、食糧をどうする、電源をどうする、あるいは化学繊維をどうするとかいつたようなことを考えるべきではないか、これについての所見を承りたいのであります。
 それから先ほど他の委員から質問されたためにほぼわかりました点は省略いたしますが、中小企業の振興策として、国務大臣は百億円の財政支出をやつて、中小企業の金融公庫を設ける、そして中小企業を育成強化して行くということを、政府の中小企業者に対する対策として非常に誇つておられますけれども、私は実際の中小企業者の希望、実情というものを考えますと、中小企業者は、今日税金の重いこと、それから税金の取立てに対する精神的な不安におののいておるのである。その中小企業者から割当のような形で――こまかいことば時間の関係で申しませんが、その方法におきましても、また金額の上におきましても、まことに無理をして税金を取上げておいて、強権をもつて取上げておいて、そうして今度は子の中小企業に対して金利をとつて金を貸すというような行き方は、根本的に考え直す必要がありはしないか。むしろ百億円の金を貸すよりも、百億円の減税をまずやるのが先決ではないか。しかも納めるときにはただでとられて、借りるときには金利を払わなければならぬ。しかも借りられる人は、特に都会議員とか、何らかの関連のある人が借りられる。多くの納税者は、その税の重さと取立ての場合における税務官吏とのトラブルで泣いておるのであります。ですから、私は中小企業金融公庫そのものに反対というわけではありませんけれども、その前に税を減らす、百億円金融公庫で貸すよりも、むしろ百億円の減税をまずやるべきではないか、これもひとつ御研究を願いたいのであります。
 それからいろいろ長期計画をお立てになつておるようて、社会党の方から質問をされておりますが、これはまつたく国務大臣の試案であつたということでありますが、私はむしろ長期計画というものは、見通しは必要であると思います。見通しとしてのいろいろな計画はけつこうでありますが、しかしこれを実際に行うというような意味での長期計画をもし立てられるということなら、これはなかなかむずかしいのでありまして、おそらく現在の審議庁でなくても、どの政党の方が政権に当りましても、私は困難だと思う。ことに五年間なら五年間に化学繊維をこれだけに増すとか、食糧をこれだけに増すとかいううふうに、出産の目標をつけることは簡単であります。また補助金を出したり金融措置によつて土産を増すことも簡単であります。ただむずかしいのは、その生産が増した場合に、価格がどの点まで落ちるかということの見積りがなかなかむずかしい。これまでも政府は、よく豚を飼え、あるいは蚕を飼え、蜜蜂を飼えと言つて盛んに奨励いたしました。奨励して補助金を出せば蜜蜂も豚もふえますけれども、ふえたころに値段が下つてしまつて、つくつた人が非常に困難に陥るということはこれまでの経験が示しておるのです。ですから長期計画に上つてわずかに二年や三年の間に何割という増産をいたした場合に、それに応じて価格がどの壮麗におちつくかということの見通しをつけなければならぬのでありますが、これはおそらく付人に心むずかしかろうと思う。ですから実際に行う政策というものは、確実にこうなるという見通しがついたときに、その程度で立てられて進むごとがむしろ実際的である。ことに食糧のごときものは、一割、二割生産要に多少の変化がありましても、価格の上に非常に大きな変動を持つて来る、そういう性質を持つておる。大体生産の計画、需要の計画は簡単に立ちますけれども、経済は価格方則に支配される、価格方則を無視しては、資本主義経済はもちろんのことでありますが、社会主義の経済といえども、価格方則を無視して経済を遂行することはできないということを私は考えるからであります。ですからこの点ではああいう計画はむしろ出さなかつた方がよくはないかしすら考えておりますが、もしあくまでも実行計画として今後立てて行かれる場合には、価格がどう動いて行くか、それぞれの物資の生産、需要の変化に応じて、それと不可分に動いて行く価格がどう変化して行くかということの見通しを同時につけて計画を立てて発表し、実行していただきたい。御答弁をいただきました上でいずれ私の質問を継続いたしたいと思いますが、今日は所定の時間が参りましたので、質問の要旨だけを申し上げて終ることにいたします。
    ―――――――――――――
#72
○佐伯委員長 ただいまの山本委員の質問に対する岡野国務大臣の答弁は次会に譲ることといたしまして、経済審議庁長官はやむを得ない刑事により退席されますので、これから公正取引委員会の政府委員が出席されておりますから、質疑の継続をお願いいたします。
#73
○阿部委員 公取委員長に伺いたいのでありますが、先ほど東出委員から大臣にお尋ねしたのでありますが、はなはだ不明確で、問題は少しも明らかになつておりませんから付いたいのであります。
 今回の独禁法の改正のうちにおきまして、カルテルの認可については公取委員会において認定した上で通産大臣がこれを認可する、かように定められておるようでありますが、その公取委員会の認定というものがいかなるものであるか、また大臣の認可というもりがいかなるものであるかという点であります。先ほど栗田委員から、この両方とも相合して効力を発生するものであるから、かりに大臣が認可しても、その前提として公取委員会の認定がなかつたならば効力を発生しないものとする、こういう前提のもとに御質問をなさつておつたようてありますが、これに対して大臣は明確なる答えをいたしておりません、私が理解するところによりますと、これは外部に対してカルテルというものが効力を発生するという要件としては認可が要件なのであつて、認定ではない、かように思うておるのであります。内部関係において大臣が認可するにあたつては、公取委員会の認定が必要でありますけれども、かりに大臣がその認定を経ずして認可したといたしましても、それは政府の内部関係のことであつて、内部関係において政府が違法な処置をしておるのであるけれども、大臣の認可は一応有効である、かように理解しておるのでありますが、この公取委員会の認定というものの性質いかんによつてこれはきまることでありますから、委員長におかれてはその性質をいかにお考えになつておるのでありますか、その点を伺いたいと思います。
#74
○横田政府委員 認定はただいまおつしやいました通り公取の一つの決定ではございますが、これはいわば内部的な一つの決定でございまして、外部に対しまする政府の行為は認可という一点になるわけでございます。従いまして認定を経ないで認可をいたしました場合に、その行政行為が無効になるかどうかという点がありますが、この点は実は非常にむずかしい問題でございまして、その認可はいわゆる瑕疵のある行政行為であることは明白でございますが、されば当然に無効であるかということになりますと、ここにはいろいろな考え方があるようでございます。結局こういう点の法律問題は、最後的には裁判所できめなければならぬことと思いますが、同様な例につきましてもはつきりした上級裁判所の判例はございませんが、下級裁判所の判例の中には、ちようど同様な場合につきましてその認可を当然無効としておるものもあるようでございます。しかしこの点は非常に法律上疑義のあるところと存じます。
#75
○阿部委員 お答えで一応わかりました。そういたしますると、こういうふうに法律の大家であられる委員長におかれましても、その解釈がはなはだ困難であると言われるごとき法律、そういう立法というものは、それが適用を受ける者は法作家にあらず、一般民衆なのでありますから、そういう寸法というものははなは人欠点のある、非常に悪い立法であるということに結論としてなると思うのでありますが、委員長はどうお考えになりますか。
#76
○横田政府委員 われわれの考え方は、大体公取の認定を無視した認可は絶対にあり得ないという立場に立つておりますので、実際問題としましてはおつしやいましたような心配はないと思います。ただ法理論といたしまして、今申しましたようないろいろむずかしい点が出て参るかと思います。
#77
○阿部委員 それではもう一つ、逆の立場から付いたいのでありますが、かりにカルテル結成の申請があつて、通産大臣がこれに認可を与えなかつた場合において、現在のこの行政措置に対する人民の権利として、これを裁判所に対して訴える、こういう手続が許されておりますが、その時分に裁判所が、通産大臣はこれを認可すべし、あるいは請求を棄却する、どちらかの判決を下さなければならぬわけなのでありますが、その時分に通産大臣のみをもつて認可するということは手続上不可能になつておるのであつて、一方前提として公取委員会の認定を要するのでありますから、そういう場合、裁判所としては認可すべしという判決を求めて来た場合に、すなわち通産大臣を被告として人民からそういう判決を求めて来た場合に、通産大臣のみをもつてはこれを認可し得ないことになつておるのでありますから、裁判所においても、いくらそれが認可することが不適当なものであると判断しましても、要件としての公取委員会の認定がついておらぬのでありますから、そういうときには認可すべしという判決が出ない。そうすると結論としては、人民の側からは、通産大臣がいかに不当なる措置をとつておつても、事実上裁判所に対してその救済を求める訴えをすることができないという結果に陥るかと思うのでありますが、それは現在日本の政府の行政措置の不当なものに対しての救済措置を裁判所に求めることができるということが一般秩序とされておるものに対して、これは例外をつくるもの、人民の権利を束縛するもの、かような結果になろうと思うのでありますが、この点についていかがでございましようか。
#78
○横田政府委員 ただいまの問題も非常に法理論的にはいろいろな困難な問題を含んでおりますが、はなはだ未熟な見解でございますが、一応私のただいま考えておる点を申し上げますと、御承知のように今度のカルテナルにつきましては、かなり厳格な法律上の要件が規定してございますので、この要件に、はまるにかかわらず不認可にいたしました場合は、いわゆる行政処分が法規に違反したということで、行政訴訟が一般の規定によりまして許されると思います。その場合は先ほど栗田さんから申されましたように普通の行政訴訟でございますから、一応地方裁判所に行くという形になります。この地方裁判所におきまして認可すべきものを認可しないということが明らかになりますれば、認可を命ずる判決をするだろうと思います。この場合にその対象になるものが、単に形式上の被告になつておりまする、たとえば通産省というものだけに限られるか、あるいはその背後にありまして、あやまつて認定をしなかつた公正取引委員会にもその判決の効力が及ぶかという点になりますと、非常に疑問でございますが、こういう行政訴訟を許します以上は、裁判所の判決は公正取引委員会もこれを拘束するというふうにいわなければならないと思います。従いましてその判決がございました場合は、公正取引委員会認定をして、その認定に基きまして通産省なりその他の主務大臣が認可をいたす、こういうことになるのではないかと考えております。しかしこの点は一応そういうふうに考えておるだけでございまして、まだはつきりした確信のないところであります。
#79
○栗田委員 ちよつと今のに関連して。今の場合、今度はその逆の場合が考えられるのです。それはどうかというと、通産大臣が公取の認定によつて、これはいかぬということで、今度は下認可をいたしました。不認可をいたしますと、結局今の印論者は通産大臣を相手どつて裁判をする、その結果通産大臣の不認可が不当であるという判決を得たときにおいて、その判決は公取の認定を拘束する力はないと私は思うのです。その点に対して公取委のお考えはどうですか。
#80
○横田政府委員 その点はただいま申し上げたのでございますが、私は拘束するのではないかというふうに実は考えております。それは行政事件訴訟特例法の十二条に、判決の効力は関係の行政庁を拘束するというような規定があるようでございます。この関係の行政庁という中に、そういうふうに内部的に認定するような官庁も含めることができますれば、今私の申しましたような見解がとれるのでありますが、そこに多少問題があるかと思うのであります。
#81
○栗田委員 そうしますと、その場合に公取委というものは被告にはならぬでしよう、許可不許可に非常に重大な影響を及ぼした公取の認定者というものは被告にならぬ、被告はあくまでも通産大臣だというところに、場非常にこの法体系のぐあいの悪い点があると私は考えるのですが、この点公取の委員長と企業局次長の御見解を承りたい。
#82
○横田政府委員 私の考え方は先ほども申しました通りでございまして、法律上相当の疑義はあると存じます。
#83
○小室説明員 ただいまの御質問でございますが、通産省が通産省の見解として不認可にする場合もございますが、また公取の認定が得られないために不認可にする場合もございます。公取の認定が得られなかつた場合の例は、今公取の委員長の御答弁の通りに私どもも考えております。通産大臣だけの考えで、不況対策としてこういうことをやるのは適当でない、あるいは法律上の要件を満たしてないから不認可とした場合には、通産大臣が被告であつて少しもさしつかえないと考えております。
#84
○栗田委員 通産省がそういう見解を持つておるとすれば、これは重大なこととして考えなければいかぬ。なぜかというと、申請があつても通産省がかつてに通産省独自の考え方によつて不認可にすることができるということと、もう一つは公取の認定によつて認可不認可を決定するという、この二通りがあると思うのですが、これは非常に重大なことですから、もう一回念を押したい。
#85
○小室説明員 誤解を招いたようでございますから申し上げますが、たとえば不況カルテルの例をとりますと、特定物資の需給が不均衡になりまして、そうして平均生産費を下まわつた価格が実現して、当該業界がほとんど共倒れになりはしないか、こういう事態が起つたときに、初めて不況カルテルが考えられるわけであります。この経済界の現状をどういうふうに見るかという問題は、先般来通産大にが御答弁申し上げておるように、これはまず産業を所管している大臣において判断いたすべきかと思うのであります。そこでこれは全然問題にならぬ、不況にもなつておらないし、あるいはこの法律の要件を満たしていないというような場合に、通産大臣が当然不認可の処分ができる、こういうふうに考えております。
#86
○栗田委員 どうもあなたの考え方から見ると、前例の改正案と比較した場合に、今度の法案は非常にかわつています。この前の改正案はどういうことかというと、通産大臣は認可をするけれども、これは単なる窓口だ、要するに通産大臣も、こういう願いがあつたということを知らなければ困るからこの書類を受付けて、これは全部公取の方にまわすんだということが前回の改正案であつたのであります。単なる窓口にすぎなかつた、ところが今度はどうかというと、あなたの今の答弁から見ると、なるほどこの法案業にも疑わしい節がある。それで前回にはこういうことは出ておらなかつたけれども、今度は第二十四条の第三項の第十三号に、主務大臣は強制的に必要な報告を求めるという一箇条が加わつた。一箇条が加わつたから、今度は通産大臣は単なる窓口でなくなつた。そういう申請があつたならば、今度はこの条文によつて強制的に報告を出させる、そして、あるいはそこで難くせをつける。通産省というのは私は信用しておらない。なぜ信用しておらないかというと、最近の疑獄事件の中で一番ひつかかつておるのは通産省だ。そういうところに、こういう十三号みたいなものを、前回とまつたく違つた改正案を織り込んでいる、非常に危険である。しかも業者は二重行政の煩にたえない、経済団体はみんな反対しておる。まず通産省が受付けて、こういう強制報告をとつて、そこであなたの方でさんざん難くせをつけて、それから公取委にまわすということになる。この前はそうでなかつた、この前は何でもかまわない、受取つたものをすぐ公取委にまわすというふうになつていた、前回の説明とこのたびの説明が大分違つているが、これはどういうわけです。
#87
○小室説明員 前回のどういう説明があるいは誤解を招いたかということは私存じませんが、前回においても通産大臣は産業政策の立場から当該不況カルテルについてこれは妥当なものであるかどうかという判断は当然いたすことになつておりまして、単なる形式的な窓口ということではありません。
 それから調査権につきましては、前回は確かに書いてございませんでしたが、それはこの安定委員会においても、そういうものがなくては非常に不十分じやないかということで大分おしかりをこうむりまして――当時は法案がそういうふうになつておりましたので、通産省としては十分行政指導でもつて実効をあげ得るということを御答弁申し上げましたけれども、そういう御心配があることはよくわかりますので、公取委とも相談いたしましてそういう条項を入れたのであります。そういう条項が入つたから通産省の認可に対する立場がかわつたというようなことは毛頭ありません。
#88
○栗田委員 この法案で特に危険なのは、不認可にする場合には、今言つたようにこれは主務大臣が自分の産業政策上の考えから公取委にまわさずに不認可にすることができるということ、これは非常に危険であるということ、それともう一つは、これは不認可にしてもよいと思つた場合にはこれを不認可にしてくれといつて公取委の方にまわす、これは非常に危険な主務大臣の認可制である。まずこれに関連して、しからば一体どういう基準において認可不認可を通産大臣としては決定をいたしますか、すなわち認可基準です。
#89
○小室説明員 認可基準というお言葉でございますが、私どもは先ほどから申し上げました通り、当該物資の需給状態がどうであるか、また生産費の状態がどうであるか、また当該産業に属する企業の将来の見通しはどうであるか、こういう点について詳細な事実を調べて、生業政策上の立場も加味しまして判断をいたすわけでございます。これが実質的な意味の認可基準であろうかと思います。
#90
○栗田委員 そうすると、結局主務大臣は合理化あるいは不況カルテルのこの重大なる認可小認可を決定をするのに、先ほどは認可するか、公取委にまわすかまわさぬかということは独自の考えであつた、さらに今度は認可基準もないということでは、これはおそらく業者が混迷に陥る、特にこういう重大なこと、認可不認可ということはある程度明確にわくをきめておかなければならぬ、これは当然官庁の民主化をする上においても、あなたのそういう答弁であるならば、通産大臣の認可を入れたということは、まことに非民主的な立法であるというふうに考えられる。
 それからもう一つ、これに関連してカルテル認可に対して不服の申出をかりにするといたします。これは第二十四条の三の十項と十一項にこれを規定しておる。そこでこの場合に通産大臣はどういうことをやるかというと、このカルテル認可に対して一般が不服の中立てをした場合においては必要なる措置をとると書いてある。この必要なる措置をとるというのは、たとえばどういうことか。とらないこともできるのですか。これは非常に不明確なんですが、この点もひとつ御説明願いたい。
#91
○小室説明員 これは不服の申立てがありましたときに公正取引委員会が公開による聴聞を行つて決定いたしまして、それを主務大臣に対して通知をする。主務大臣は、前項の規定による通知を受けたときには、遅滞なくその決定に従つて必要な措置をとる、こういうことでございまして、いろいろな場合があると思いますが、どうせこのカルテル協定を公取の認定を得て認可する場合は、相当品不況の深刻な場合、あるいは貿易のために絶対必要な場合というようなことでございましようから、不服を申し立てた者に対して、そういう点について十分納得の行く説明をいたすという場合もあると思います。また不服の申立てが非常に妥当でありまして、通産省なり公取委が考えてないことがそこで新しく起つて来たということになりますれば、認可いたしました協定の変更を命ずるとか、あるいは極端な場合には取消しを命ずるというようなことも起つて来るかと思います。いろいろな場合があると思いますが、それに対して必要な措置を円滑にとりたい、こういうことでございます。
#92
○栗田委員 今の御説明で、この点に関しても疑問があるのです。それはどういうことかというと、この前の綿紡の操短カルテルをやつたときに、繊維局長は、おそらく公取委あたりからも、これはいかぬということで勧告を受けたのじやないかと思うのです。しかしそれにもかかわらずなかなか操短中止の命令を発しなかつた。ところが私の聞くとこ今によると、繊維局長はある時期に操短を命令したので、そんなことでどうするかということで、その繊維局長はほかへ飛ばされたということである。そこで私は認可いたしまして、非常に社会情勢が悪くなつた場合において、政府と公取委の見解の相違によつて違つて来ると思つておるのです。そこでこの公取から勧告があつた場合においては――これはもちろん公聴会を開くのでしようが、勧告があつた場合には必要な措置をとるという、これだけしかうたつてないのでありますが、この場合において必要な措置をとらなかつた場合には、公取委としてはどうするかということです。その場合においては、公取としては第二十四条の三の第六項、第七項をただちに発動するのかどうか。この点に関しまして、公取委員長のお答えを願いたいと思います。
#93
○横田政府委員 この聴聞を行つて決定をする、この公取委の決定の内容が問題になるかと存じますが、これは今小室次長から申し上げましたように、あるいは変更をすべきではないか、あるいは取消すべきではないかということまで、立ち入つて主務大臣に通知をいたす場合もあると存じますし、結局この決定の内容によるわけでございますが、たとえば取消すべきである、あるいは変更すべきであるという強い気持をもちまして申入れをいたしました場合に、主務大臣の方でこれに応じないという場合は、最後の手段といたしましては、結局この条文の第六項の規定によりまして、請求をいたしましてから一月以上たちますと、適用除外の効力がなくなる、こういうような段階になることも考えられるわけです。
#94
○栗田委員 そうすると、この場合は今度は公取委としても審決してやるということではないわけですね。そこでまた今の主務大臣のカルテルの変更命令と公取委の処分請求の場合においては、また裁判段階においても非常な混乱を来しておるということを公取委員長は御認識ですか。
#95
○横田政府委員 この処分の取消し請求という問題も、法理論的には相当問題を蔵しておりまして、おつしやる通りかなり特異な性格の制度であることは、もちろんその点は十分知つておりまして、この制度をつくつたわけでございます。
#96
○栗田委員 私保留しておきます。
#97
○阿部委員 国の行政機関の違法処分に対して、人民が裁判所に対して救済を求めることができるということは、基本的人権を守る非常に重大なものだろうと思うのでありますが、公取委員長はいかにお考えになりますか。
#98
○横田政府委員 私もまつたく御同感でございます。
#99
○阿部委員 その重大な問題に対して、先ほど委員長がお答えになつたごとく、法律専門家におかれてもはなはだ疑問とする点がある。いわんやこれが適用を受けるところの一般民衆にとつて、何のことやらわからないようなたよりないものを、今何改正立法としてお出しになるということは、これは少し軽卒ではないかと思のでありますが、いかがでありますか。
#100
○横田政府委員 そういう法理上の問題があるということは確かにございますが、しかしこの点は、実は行政法あるいは行政訴訟法につきましては、私の申し上げることはあまり権威がないのでございまして、この点はあるいは内閣法制局等の意見を聞いてくださいますと、あるいは存外問題がはつきりして来ると思います。先ほどのは私の一応の考え方を申し上げた次第であります。
#101
○阿部委員 法制局に聞かなければならぬようなことがすでにいけないのではないかということを私は言つておるのであります。第一このカルテルを認むべきか認むべからさるかという認定についてすでに疑問があつて、さらにまた認可があつた場合においても、効力が発生するかいなかという点においてまた疑問がある。こういうふうなはなはだあいまいなるものを法律として出して、民衆にこれに従えというのは、もつてのほかのことであろうと思うのであります。委員長におかれては、通産大臣と御交渉なさつて、今回これをひつ込めて、もう一ぺん練り直して、また次の機会にお出しになればいかがかと考えますが、そういう御意思はございませんか。
#102
○横田政府委員 この問題は、御承知かと思いますが、いろいろな立場がございまして、いろいろな折衝の末に、公取の立場としましても、この線ならば独占禁止法の線が守れる、通産省の立場も十分守れるというようなことで、この点におちついたわけでございまして、今回前国会に提出いたしました案を再びお出しいたします際にも、一応この問題は考えたのでございますが、すでに前同お出ししたことでもございますので、今回はそのままでお出ししたわけでございなす。
#103
○阿部委員 はなはだ不満足な御答弁でございますが、これで置いておきまして、さらにまた検討して質問を続けます。
#104
○佐伯委員長 本日はこれにて散会いたします。
 次会は六日午後一時より開会いたします。
    午後零時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト