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1953/07/06 第16回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第016回国会 経済安定委員会 第11号
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1953/07/06 第16回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第016回国会 経済安定委員会 第11号

#1
第016回国会 経済安定委員会 第11号
昭和二十八年七月六日(月曜日)
    午後一時二十九分開議
 出席委員
   委員長 佐伯 宗義君
   理事 小笠 公韶君 理事 加藤 宗平君
   理事 武田信之助君 理事 栗田 英男君
   理事 阿部 五郎君 理事 菊川 忠雄君
      秋山 利恭君    岸  信介君
      迫水 久常君    長谷川 峻君
      神戸  眞君    楠美 省吾君
      飛鳥田一雄君    石村 英雄君
      中村 時雄君    山本 勝市君
 出席政府委員
     公正取引委員会
     委員長        横田 正俊君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (公正取引委員
        会事務局経済部
        調整課長)   丸山 泰男君
        通商産業事務官
        (企業局次長) 小室 恒夫君
        専  門  員 円地与四松君
        専  門  員 菅田清治郎君
    ―――――――――――――
七月四日
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
 律の一部改正に関する請願(小笠公韶君外一名
 紹介)(第二五九九号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
 私的独占禁止法改正に関する陳情書(東京都中
 央区日本橋馬喰町三丁目三番地東京化粧品工業
 会会長井田友平)(第七二一号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇四
 号)
    ―――――――――――――
#2
○佐伯委員長 これより会議を開きます。
 本日は前会に引続き、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案及び日本経済の基本的政策に関する件について審議を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。小笠公韶君。
#3
○小笠委員 私は条文の一、二について、特に解釈についてお尋ねをいたしたいと思います。条文を追いまして第二条の第四項において、競争の定義を書いてありますが、「国内における」というのが前にあつたのであります。今度はその「国内における」というのを削除しておりますが、削除した理由、これは国際的な競争をも含めるという意味で削除したのかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。
#4
○横田政府委員 第二条の競争の定義のうちから「国内における」を削りました理由は、ただいまおつしやられました通りでございまして、大体独占禁止法の規制の対象となりますものは、国内における競争になるのでございますが、しかし第六条等の関係から、この中には国際的協定とか国際的契約というようなものも入つて参りますので、この競争の定義を「国内における」というふうに縛りますると、多少定義としまして狭くなるという観がございますので、この言葉を削つたわけでございます。
#5
○小笠委員 同条第四項に参りまして、「対価を決定し、維持し若しくは引き上げ、又は数量」と書いてありまするが、それから「相手方を制限する等」。この「数量」はいかなる内容の数量であるかということが一つと、「等」とはいかなる場合を予想しておるのかということが第二点。全体を通じまして第四項は現行法を緩和したのか強化したのか、それを伺いたいのであります。
#6
○横田政府委員 この項は現行法のいわゆる不当な取引制限の規定に多少手を入れたわけでございますが、手を入れたといいましても、これは単に例示をあげましただけの違いでありまして、現行法と何らの違いはないのでございます。つまり現行法は不当な取引制限の定義をあげますと同時に、第四条に参りまして、一定のカルテル行為のテイピカルなるものをあげまして、その典型的なものにつきましては、実質的競争にならない場合でも影響がきわめて軽微なもの以外は、一応形式的にこれを違法とするということにいたしておりますのを、現行法の第四条を削りまして、ここにあげておりまする典型的ないろいろな行為を第二条の例示としまして、ここに掲げたわけでございまして、ただいまお示しの「数量」というのは、たとえば生産数量、販売数量というようなものの制限、たとえば操短というようなことがそれに当るわけでございます。で、結局第四条を削ることによりまして、カルテルの影響の軽微な実質的な制限に至らないものは、取締りの対象からはずすということになりまして、現行法の緩和の一つがここに現われておるわけでございます。
#7
○小笠委員 同じく第七項に参りまして、不公正な取引方法の規制があるのでありますが、一号から五号まで列挙いたしてあります「左の各号の一に該当する行為であつて、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するものをいう。」この各項を見ますと、全部「不当」と書いてあるのですが、不当があつて、かつ各項の中に「不当」と書いておりながら、その中から公正取引委員会が指定するということになりますと、この一号ないし五号の中には不当ならざる場合、いわゆる不公正取引でない場合というものを予想しておると考えなければならぬのでありますが、いかなる場合を予想しておりますか。
#8
○横田政府委員 この新しい第七項になるわけでございますが、ここに「公正な競争を阻害するおそれがあるもの」というものを掲げましたのは、結局現行法でも同じでございますが、一項から数項にわたりまして、不公正競争方法、あるいは新法で申しますと、不公正取引方法を規制いたします中に、「不当」という言葉を書いてございますが、この「不当」の解釈は具体的な場合々々で決定いたさなければならぬのであります。しかしいわゆる競争に対する影響が、問題にするに足らぬ、あるいは公正な競争を阻害するおそれがないようなものまでも取締るということになつては困りますので、この不公正取引方法の定義のかしらの中にこういう言葉を入れたのでございます。これはもちろん不当という言葉を今小笠さんがお述べになりましたように、そういう競争を阻害するおそれのないようなものは不当ではないという解釈がとられますれば、もちろんこのかしらのこういう規定はいわゆる念のためのような規定になるわけでございます。結局今申しましたように、この各号の解釈を明らかにし、あるいはこれを不当に広がることを防ぐという意味におきまして、この文字を入れた次第でございます。
#9
○小笠委員 不当の解釈につきまして大分問題が実はあると思うのでございますが、それは別といたしまして、第六条へ参りまして、「不当な取引制限又は不公正な取引方法に該当する事項を内容とする国際的協定又は国際的契約」と書いてありますが、たとえば一手代理店契約――代理店というものは週用除外になつておりますが、一手代理店契約というものを結んだ場合、この「不当」に該当するのかどうか。また海外に対する委託販売の場合に成行き相場で相場を仕切るというような場合は、この不当な協定になるかどうか、御意見を承りたい。
#10
○横田政府委員 今の一手販売契約は、結局いわゆる縦の関係と申しますか、一手販売を委託する方と委託を受ける方との関係になりまして、いわゆる不当な取引制限と申しますものは、いわゆるカルテル行為でいわば同列に立ちましたものの間でいろいろ事業活動を拘束し合うことがこれに該当するわけでございまして、今の縦のような関係は実はこの中には入らないことになります。あるいは一手仕切りの関係などもそういうことになりますので、それはむしろ下の方の不公正な取引方法ということに該当する場合がときによつてあるわけであります。つまり一手販売契約と申しますものは、単にある商人がある商人だけのために何かをするということはいいのでありますが、それを非常に強い拘束をつけまして、他の事業者のためにいろいろなことをすることを積極的に妨げるというようなことになりますと、後段の方の問題を生ずる場合があり得るわけでございます。
#11
○小笠委員 第三章へ参りまして、今回事業者団体法の廃止によりまして、実業界におきまする団体の活動をある程度認めるということに相なつたのでありますが、第八条の規定の第一号「一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。」あるいは四号に参りまして、「構成事業者の機能又は活動を不当に制限すること。」というふうな条項がありますと、現在の事業者団体法のいわゆる禁止行為と可能行為を列挙したものとあまり違わないことになるのではないか。どの程度まで緩和したのかと私は思うのであります。具体的に申しますと、競争を実質的に制限する、たとえば銀行取引における歩積みの統一を組合ではかる、あるいは最近のような状況になりますと、手形の期限を三月あるいは二月というふうに組合で統一して行くというような行為をした場合は、この競争を実質的に制限するということになるのでありましようか、どうでありましようか。
#12
○横田政府委員 この一の要件は、これは結局独占禁止法の基本でございます独占なりあるいはカルテルを違法とするかどうかという根本的な基準になつているわけでございまして、結局これは各事業者がやらなくても、事業者団体の形においてもやはりこういう結果を生ずるような行為は禁止をする、つまり事業者に対する禁止を団体の方へ広げただけのことでございまして、この点はむしろ現行の事業者団体法よりはもう少しはつきりいたして、別にきつくなつておる点はないわけでございます。ただいまお示しの二つの例につきましては、その決定される事柄の内容によつては、あるいは第一号に触れる場合もあるかもしれませんが、普通第一号よりもむしろ第四号の構成事業者の機能または活動を不当に制限するというふうな問題になるおそれがないではないのであります。しかしながら今後やはり「不当」の解釈になると思いまするが、不当にならない範囲におきましては、そういう事業者による業界の一種の自粛作川というようなことが許されると思います。
#13
○小笠委員 この第八条の規定は、今後の事業者団体としての活動に非常に重要な関係があるのでありまして、今度の改正の重要ポイントの一つだと思います。今あげましたように、たとえば手形の期限を統一する、支払い手形にしても受取り手形にしても組合で統一するというような場合に、そういう決定を組合によつてやることによつて、これが事業者の不当なる活動制限になるのだということになると、組合活動の余地がなくなるのではないかというふうな心配を持つのであります。ただいまの御説明によりますと、あるときは不当になり、あるときは不当にならないというようなことでありますが、はつきり支払い手形あるいは受取り手形の期限を統一し、統一した期限の手形でなければ出さぬ、あるいはもらわぬというようなことを組合で決定した場合は、この事業活動の不当な制限になるかどうか、はつきりもう一度お示しを願いたいと思います。
#14
○横田政府委員 大体そういう画一的な取扱いをきめることは、第四号に触れる可能性が非常に多いと思います。
#15
○小笠委員 そういたしますと、事業者団体法を廃止して新しくここに第八条を設けておるのでありますが、これの運用基準というものを明確に示していただかなければ、経済界の中で、組合の結成、組合の活動を適法にやらすということがほとんど不可能であろうと思うのであります。ここに一号から五号に書いておりまする事項は非常に抽象的であつて、あるときは不当になり、あるときは不当にならず、公正取引委員会の解釈によるということになると、適宜の活動を阻害すると私は考えるのであります。ここに今後その内容を具体的に書いて業界指導をせられる必要があると思うのでありますが、そういう御意思があるかどうか、重ねて伺つておきます。
#16
○横田政府委員 大体独占禁止法のその他の規定もそうでございますが、事柄が本来かなり複雑な経済事情を対象としておりますので、文字がやや抽象的になることはやむを得ないのでございます。これはたくさんの事例が重なつて参りますと、おのずからそこに審決例あるいは判例というようなものができまして、その基準がはつきりして来るわけでございます。われわれといたしましても、具体的の場合に即しまして、いろいろ実際界のそういう混乱と申しますか、お困りのないようにできるだけその解釈的なものを明らかにいたし、あるいは相談部というようなものもございますので、そういうところへいろいろ御相談いただきますれば、ある程度の基準は申し上げることもできると存じます。
#17
○小笠委員 二十四条の二に参りまして、再販売価格の維持契約のところでございますが、第一項のところに「容易に識別する」という条件を付して、第二項の一号に「当該商品が一般消費者により日常使用されるもの」と規定してありまして、御説明によると化粧品であるとか、あるいは薬品の一部というようなことでありますが、この一般消費者により日常使用されておるということは、どこに基準を置いて認定されるのか。砂糖であるとかあるいはバターというふうなものをとつた場合に、おそらくこれは一般消費者に日常使用され、しかも第一項に書いてある容易に識別し得るものだと私は思うのでありますが、これはどういう基準によつてこの商品指定をするか、伺いたいと思います。
#18
○横田政府委員 大体この「当該商品が一般消費者により日常使用されるものであること。」というのは、いわゆる常識的な社会通念的な意味の日用品ということになるわけでありますが、しかしそれならば日用品のすべてにこの二十四条の二の再販売価格の維持契約の対象になるかと申しますと、「その品質が一様であることを容易に識別することができる」、この手柄は大体再販売価格制度の趣旨を申し上げますれば、おのずからここに書いてあるものがどういうものであるかということはおわかりになると思うのでありますが、大体非常に名の通つた、あるいは商標などのついたものが考えられるのでございます。これは何も商標には限りませんが、どこの製品である、この品物はこういうものであるということについて、一般消費者がよく知つておるものということになるわけであります。この観点からいたしますと、今お示しのバターであるとかその他ある種の食料品につきましては、もちろんこの指定の対象になつて参ることと思います。
#19
○小笠委員 二十四条の三、不況に対処するための共同行為、いわゆる不況カルテルの条項であります。本条は主として生産部門についての規定だと思うのでありますが、いわゆる生産者から卸、小売、消費者へのこの過程があるのでありますが、卸部門等におきまして第二十四条の三、すなわち不況に対処するための共同行為というものを認めておらぬようでありますが、その認めておらぬ理由を伺いたいと思います。
#20
○横田政府委員 これは結局今回の不況のためのカルテルを広く認めるか、あるいはできるだけしぼつて、やむを得ない場合だけにするかという、その根本の態度にかかつて来るものでございまして、結局今回の改正は、いろいろ財界からの要望もございましたが、検討いたしました結果、必要やむを得ないもののみを認めるという線をかなりきつく出しておるわけでございまして、なるほど販売業者等につきましても、ある場合について不況の対策というようなことが考えられるのでございますが、販売業者につきましては、大体消費者その他に直接に影響するところがかなり大きい面もございますし、ここまで不況カルテルを認めるということになりますと、いろいろな弊害も考えられますので、生産業者に限りましてこの不況カルテルを認めた次第であります。
#21
○小笠委員 同じく二十四条の三の第四項でありますが、認可にあたりまして、公正取引委員会の認定を経なければならぬということに相なつておるのであります。この認可と認定はいつも一致するのか、しないのか。認定があつても認可するかしないか、自由裁量の余地がまだ残つておるのか。法律の読み方といたしましては、認定がありましても、認可するかしないかという自由裁量の余地は十分あると思うのでありますが、この立案に際してどういうようにお考えになつておるかということをまずお伺いいたしたいのであります。
 それからここで栗田委員からも御質問があつたようでありますが、認可は所管大臣により、認定は公正取引委員会という形に相なつておるのであります。ところが第五項になりまして、最初の認定をして主務大臣が認可をした、その後いわゆるカルテルをやつておる間に、認定要件に変更があるかどうか。認定要件の変更の認定を主務大臣に譲つておるのであります。第五項はそういう規定に相なつておるようでありますが、ここで認可と認定とを二つの官庁でやる、あるいは認可にあたつては公正取引委員会がやる。事後の、途中においての要件該当かいなかは通産大臣がやるという規定に相なつておるようでありますが、これをまとめていずれかにきめるとか、あるいはまた認定という行為が必要でないのじやないかと私は思うのであります。ここらの第四項ないし第五項との関係を、なぜそういうふうにいわゆるあとと先とによつて認定権者をかえておるか。もちろんほかの条文におきまして、公正取引委員会は必要に応じて、要件を欠いておるということを通知するというか、いわゆる意見を提出することができるようにはなつておりますが、少くとも四項と五項とのつり合いの問題をどう考えているか。私は産業政策上、この不況カルテルを認めるとするならば、ここに規定いたしております認定諸要件というものは、大体はつきりしておるものではないか。特に公正取引委員会の独自の、それ自身の認定を経なければできないというものでもなかろうと思うのであります。その証拠に先ほど申し上げましたように、第五項において通産大臣の認定権をまず認めておるというところから見て私は言い得ると思う。そういたしますと、行政の簡素化の上から見まして、この認定行為というものをやめてもしかるべきではないかと私は思うのであります。まずその点についての御意見を承りたいと思うのであります。
#22
○横田政府委員 この認定と認可がダブりますことによつて、いろいろ問題があり得ることは先般来の委員会で、いろいろ御指摘をいただいた点でございますが、公正取引委員会が認定をした場合にでも、主務大臣がこれを認可しないことがあり得るかというお話でございます。この点は先般通産省の方から、そういう場合のあることを申し上げたようでございます。これは結局認可につきましては、はつきりした基準がここに示されておりまして、結局主務大臣の認可の基層は何かということに問題が来ると思うのであります。私の考えを申し上げますと、この基準は公正取引委員会の認定のところに規定をしてございますが、今お示しの五項あたりから、逆に考えますと、やはりこれは主務大臣の認可の基準でもあるように思うのであります。つまり一つの事柄を、公正取引委員会は独占禁止法の観点から、カルテルの弊害をできる限り除去しようという立場から観察いたしまするし、通産省の方はどちらかといいますと、カルテルのよい面と申しますか、そちらに独占禁止法をはずしてまでもこれを認めた方がいいか、あるいは認めていいのではないか。そういう観点から同じ要件をながめますから、そこに見解の相違が出て来る場合があり得ると思うのであります。しかしこれは実際上の問題として考えますと、公正取引委員会が非常に厳格に調べまして認定をいたしましたものを、通産大臣が不認可をするというようなことはほとんど考えられないことでございまして、その点は公取の認定があれば必ず認可がある、そういう動きになると私は見でおります。
 それから第五項の認可の変更、または取消しの問題でありますが、これは主務大臣がやはりかつてにできないのでございます。これは四項の規定をごらんになりますと、四項の後段でございますが、「次項の規定による処分をしようとするときも、同様とする。」というのも、やはり公正取引委員会の認定を経なければならないということになつておりますので、この点は最初の認定をする場合も、変更する場合も、取消す場合も、すべて公正取引委員会の認定ということが前提になつております。
#23
○小笠委員 認定の一つの要件に該当するかどうかという認定を、公正取引委員会は本法の適用、運用上の見地から、片方は産業政策上から見る、見方が違つて来るおそれがあるのだ、こういうお話でありますが、私は法律がきまつた以上、公正取引委員会が見ようと別の政府の部局が見ようと、大体同一であるべきだと思うのであります。特に産業政策の上から見て必要という認定が基本をくずさなければ、その運用というものは当然運用面に出て来る、実際面に出て来るところは同じだと思う。そういうような意味から見ますと、認定と認可を別々にやらなければならぬということが私には了解ができないのであります。しかしこの点はそれくらいでけつこうであります。
 同じく二十四条の四に参りまして、第二項でありますが、先般も長谷川委員から御質問があつたようでありますが、「副産物、くず若しくは廃物の利用若しくは購入に係る共同行為をしようとするときは」云々と書いてあります。このくずという場合に、いわゆるくず鉄を含むという御答弁が先般あつたようであります。もし製鉄会社の主原料たるくず鉄の購入について共同行為を認める、たまたま一つの特定事業の原料が自然発生的にできる原料を主として使うがゆえに、購入について共同行為を認めるのだ、綿糸紡績において、綿が新しくないから、その購入について共同行為を認めないということは、そこに経済的にどれだけ差があるか、たまたまその主原料が自然発生的であるということだけで、原料の購入に関する共同行為を認める、あるいは認めないという立法をすることがはたして適当であるかどうか、私は問題だと思うのであります。一つの企業の立場から見れば、主原料の購入について共同行為を認めるとすれば、はつきり勇敢に認めた方がいいのではないか、いわんやくず鉄におきましては、自然発生的とは申しますが、おおむね輸入に多く依存し、また国内におきましても終戦後くず鉄をわざわざ作成しておる、くず鉄をつくるために多くの労力、資金を投じてやつたことは、われわれの記憶に新らしいところであります。こういうような点から考えまするとき、ここにくずという観念において製鉄会社だけに主原料の購入に関する共同行為を認めるというならば、一歩進めて広く原材料の購入に関する共同行為も認めてしかるべきではないかと私は考えるのでありますが、なぜくずに限つたか、その理由を伺いたいのであります。
#24
○横田政府委員 このくずでございますが、これは先般も申し上げましたように、大体くず鉄のごときものを予想されておるわけでございますが、結局その前にございます副産物であるとか、くずというようなものは、今仰せられましたように、自然発生的なものである。従いまして、いわゆる需要供給の康則によりまして、需要が多くなつたから特にそのものが多く生産されるというような性質のものではない。一般の普通の原料とは、非常に違つた性格を持つております。従いまして、たとえばくず鉄について申しますれば、いろいろな鉄を材料といたしまする生産会社におきまして、くずが生じた場合に、それをさらに製鉄業の方に還元いたしましで、それがまた新しく生産の材料となつて流れて行くというような一環の流れをスムーズにいたしますためには、この購入に関しまして、ある程度の共同行為を認めるということが、むしろ製鉄業なり、あるいは製鉄業のつくりますものを原料としまして、さらにいろいろ二次、三次の製品をつくる事業自体にも、よい結果をもたらすというように考えられますので、特にこういう取扱いにいたしたわけでございます。もちろんその間に、くずを販売いたしまする専門の商社というようなものが考えられるかもしれませんが、これは普通の原料を扱いますものとは、非常に性格の違つたもののように思いますので、特にそういう人たちの立場を、普通の原料を扱います商社と同じように考えるわけにも行かないと存じます。しかしながらやはりその場合におきましても、いろいろな弊害が考えられるわけでございまして、この弊害を除去する方法が適当にございますれば、今中しましたような特殊なものにつきましての共同行為を認めようというのが、二十四条の四の合理化カルテルの中に、あえてこういうものを入れた趣旨でございます。その弊害の除去といたしましては、第三項におきまして、一般消費者なり、あるいは関連事業者の利益を不当に害するおそれがないものであるというような、いろいろな制限を設けておりますので、この面におきまして、いろいろな弊害がある程度除去せられると思います。
 なお、こういうことを認める以上は、さらに進んで原材料すべてについて共同購入を認めるべきではないかというお話でございますが、それはやはりこのカルテルというものを必要最小限度にとどめて行くという面からいたしますと、それこそいろいろな弊害がございまして、とうてい原則的に認めることは困難だと思います。
#25
○小笠委員 くどいようでありますが、今の製鉄会社におけるくず鉄が、いわゆる資源の循環によつて経済効率を上げるから、そのためにこれを認めたのだ、こういう御説明に拝聴いたしたのでありますが、日本の現状を見まするとき、製鉄原料としてのくず鉄が、国内資源にのみ依存しているとお考えになるのはおかしい。これは広く輸入にまつておるのであります。そこで先ほども製鉄会社のくず鉄だけに認めることが、必要最小限度という意味において適当だ、ほかの原材料を認めると、いろいろな不都合が出て来る、こういう御説明のようであります。三項においていろいろな条件が書いてあるが、これは全部に共通することであります。これは当然であります。経済的に見まして、製鉄会社の主原料だけ、その購入について共同行為を認める必要最小限度の必要というものはどこにあるのか、日本の経済の構成の上から見て、鉄だけを最優先にしなければならないというりくつがどこにあるのか、私は御説明が納得しかねるのであります。
#26
○横田政府委員 ただいま主として鉄をとつて申し上げたのでございますが、この規定の趣旨は、必ずしもくず鉄だけに限らないわけでございます。それでは何があるかと仰せられると、今私はすぐここで何というお答えをする用意はございません。しかし特に製鉄だけを重く見てこうしたというほどの理由はないと思います。もちろん製鉄事業というものは、産業の中で非常に重要なものであることはもちろんでございますが、特にそこにこだわつておるわけではございません。
#27
○小笠委員 私はただいまの問題は、御説明が十分納得いたしかねるのでありますが、ここらで打切ることにいたしたいと思います。次回に手を入れるような場合においては、いま少し経済的な観点からこの字句を選んでいただきたいという希望を申し添えておきたいと思います。
 続いて、同条第三項の第五号につきまして、生産分野の協定ができるということに相なつておるのでありますが、この生産分野の協定をする場合に、「不当に特定の事業者に集中するものでないこと。」、これはわかつたようでありますが、「不当に」というのはどういう意味を考えておられますか。これは非常に組合せがむずかしいのでありますが、いかなる場合が不当になるのかということをお示しを願いたいのであります。
#28
○横田政府委員 この生産品種の制限という事柄は、合理化カルテルの中のほかのいろいろな場合と違いまして、その内容いかんによりましては、いろいろな弊害が考えられるのでございます。この生産品種の制限を加えました根本の理由は、かつて委員会で申し上げたかと存じますが、たとえばベアリングとか、あるいはミシン、あるいは、写真機、あるいは染料といつたような特殊の産業につきまして、各事業者が各種多様の製品をつくつておるのでございます。ベアリングに至りましては数十社によつて数十種の型のものがつくられ、しかもそれをみんなが競争でつくつておる。競争ははなはだけつこうでございますが、しかしそれだけの和知のものを、非常にコストも安く、また品質のいいものをどの各社もがつくるということは、非常に困難に思われるのでございます。これはもちろん国家の統制でもつてそういう無秩序なる生産を制限する方法もございますが、しかしながら事業者の話合いによりまして、おのおのが得意といたしまする数種あるいは数十種というものをつくり、それによつてコストの引下げもはかり、自信のある、品質のいいものをつくつて行くことが、産業合理化に非常に役立つというふうに考えられるわけでございます。従いましていろいろな弊害も考えられながら、この生産品種の制限ということを、合理化カルテルの中に入れたわけでございます。その弊害といたしまして考えられるものは、今中しました品種の制限が非常に片寄つて参りまして、たとえばある種の産業に有利な品種ばかり集まつて行く。これはカルテルでございますから、そういうことは認めなければ、いいじやないかということになるかもしれませんが、力加減でいろいろそういうことが行われる。あるいは背後におりますところの原材料を供給するものの力が、下位段階の産業に及びまして、そこにあまり好ましからぬ品種の選定が行われるというようなことも、十分に考えられるわけでございます。そういうふうに特定の品種の生産を不当に特定の事業者に集中するということになりますと、いわゆる競争によつていい品種ができて行くことが非常に阻害されまして、結局独占価格というようなものがそこに自然に出て参る、こうなつては困るということからいたしまして、今申しましたような弊害のない程度において生産分野の分割をいたすという趣旨におきまして、この第五項を設けたのでございます。
#29
○小笠委員 私は第五項を設定いたしました趣旨はまつたくわかるのでありますが、ここに書いてあります「特定の品種の生産を不当に特定の事業者に集中するものでないこと。」この「不当」というのは、ほかの条文における不当と場合が違うと思います。この「不当」の認定というものがアンビギユアスリーになると私は思う。そうすると、いわゆる生産分野の協定というものは安心してしにくいのではないか。ここで当然に特定優秀企業で各品種の生産をさせて行くということに相なるのでありますから、この「不当」の意味をはつきりさせておいていただくことが、本項の活用という意味において、安心して活用ができるのではないかと考えるのであります。そういう意味におきまして、私はいかなる場合が不当であるかということをはつきりさせておいていただきたいと思う。こういう趣旨であります。
#30
○横田政府委員 これはほかの場合と同じでございまして、「不当」という言葉の具体的な内容というものは個々の場合に即して決定しなければならぬと思います。われわれが合理化カルテルを認可制にかけましたゆえんも、この解釈を普通一般事業者にまかせておきますと、これは決して不当でないというとで、どんどん品種の制限を行われるということでは因りますので、やはりそこは認可ということにいたしまして、その際に諸般の事情をしんしやくいたしまして公正取引委員会及び通産省という両方の立場からその問題を検討して、認可をして参るということにいたしたいと考えております。
#31
○小笠委員 これはお願いでありますが、この法案を通じて不当あるいは不公正だからというふうな言葉が非常に多いのであります。これは認可にかけておるのだから、認可のときに判断するのだ、こういう御答弁であります。しかしながらこの法律に従つて準備する事業者の立場を見ますると、いかなる場合が不当であり、不公正であるかというような具体的なケースを示しておくことが親切だと思います。特に独占禁止法というものが非常に難解な法律でありますだけに、行政官庁の自由裁量の余地が非常に多いために、その自由裁量の余地をできるだけ少くするように、不当だとか不公正だとかいう言葉を明示しておいてほしいということをお願い申し上げまして、私の質問を終ります。
#32
○山本(勝)委員 関連して……。不当とかあるいは不公正ということがこの法律にやたらに使われておる。実際国民の立場から見て、これが任意に決定されるということになると、経済行為において非常に不安に陥るということでありましたが、私もまつたく同感であります。そこで委員長の御答弁を聞いておつて、独占価格が成立するようなときは不当だというふうなことに解釈しておられるのじやないかと思われる言葉が今ありましたが、その独占価格というのは、一般のほかの事業の平均の利潤率に比べてもつと高い利潤率を得るようになつた場合に、それを独占価格と見られるのかどうか。つまり一般の事業者なら、競争の行われておる事業で、五分なら五分の利潤率の場合に、特にカルテルを結んでやつたために六分とか七分とかの利潤をあげておるような場合は、それは不当と見るというのか、独占価格という意味をはつきりしてもらいたいと思うが、いかがでしようか。
#33
○横田政府委員 私の使いました用語は多少不用意であつたかもしれませんが、私の申します意味は、結局有効な競争があれば、そこにやたらな価格というものは出て来ないわけでございます。それが今申しましたような生産分野の配分をいたします結果、その後競争が非常に阻害せられまして、その結果、今申しましたような他の競争者の価格を考慮しないで、かつてに価格をきめられるような状態が出ては困る。そこを未然に適当なあるいは有効な競争が残るような形において生産分野の協定を認めて行こうということでございます。
#34
○山本(勝)委員 具体的に例を引いてお尋ねいたします。その方がはつきりすると思いますが、たとえばあるところで二つの船会社が競争するという場合を考えますと、御承知の通り船そのものが二十年なら二十年間は持つということになりますと、その船そのものの償却というものは二十年の間にすればよろしいので、さしあたつて償却しなくてもよろしい。港につないでおきましても、腐るものは腐る。従つて動かした方がよろしいか、それとも港につないでおいた方がよろしいか、こういうことを船会社が決定して考えたときに、船そのものはもうすでに資本を投じているのですから、これは港につないでおいても悪くなるものは悪くなる、むしろ動かした方が船のためによろしい。つまりさしあたつて港につないでおけばいらない費用、たとえば船員の費用とか、あるいは石炭代であるとか、あるいはお客の食費であるとか、そういうものは港につないでおけばいらぬでしよう。ですから港につないでおけばいらないが、動かすために特にいる費用を償う程度の船賃、それを償つてなお若干でもそこに剰余が出て来るという程度の船賃でありますなら――言いかえてみますと、船そのものの償却はその船賃ではできないけれども、さしあたつて動かすためにいる費用を償つてなお若干の剰余が出るという場合には、船会社としてはつないでおくよりもむしろ動かしていた方が得である。そういう関係で二つの船会社が競争いたしますと、必ず甲の船会社も乙の船会社もさしあたつて動かすごとによつている費用――専門的に申しますと、直接費と申しますか、その直接費を償つて多少の剰余が出れば、間接費を償うだけの価格でなくても町かす。従つて両方とも動かす結果として、これまでの実例から見ましても、船会社が競争すると、必ず安い船賃で食べさせて、さらに手ぬぐいを景品につけて競争する、その結果いつまでたつても両方の会社は船そのものに対して投じた費用の償却はできない。二十年間に償却すればよろしいにだから、さしあたつては動かした方が得で、動かしますけれども、両方とも償却ができないで行くという事態が生じて来るそういうときにやむを得ずカルテルを結んで船賃の協定をする。そうしなければ、両方とも直接費は償うことができるし、また船会社は船は腐るのではありませんからつぶれはいたしませんけれども、その固定資本の償却ができない。こういうときのカルテルというものをはたして不当と見るのか、あるいは不当と見ないのか、これは重大な問題だと思う。一体カルテルができて、しかもそれがつぶれないで行われて行くという場合は、実際問題としては背に腹はかえられぬ。つまり固定資本の大きい事業というものは競争すれば固定資本の回収ができないということから、背に腹はかえられぬ場合にカルテルは持続するというのが実際の常であつて、固定資本の小さな事業というものは、何べんカルテルを結んでみましても、なくてもどうにかやつて行けますものですから、実際はカルテルがつぶれてしまう。ですから不当という解釈が非常に幅が広くて、もしこれをただ競争を制限するのは、不当だとかいうふうな簡単なことで扱つたら、それこそ収拾がつかぬことになるのではないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしよう。
#35
○横田政府委員 今お話の海運業につきましては、ただいまお示しのようないろいろな弊害を伴いがちな事業でございますので、すでに御承知のように海上運送法という法律によりまして、カルテルをある一定の条件のもとに堂々と認めてあるわけでございます。私どもは大体カルテルを悪という原則には立ちまするが、しかしその特殊の業種につきまして、あるいは特殊の場合あるいは非常な場合口につきましては、これに対してはつき。した形で適用除外を認めて行くということに対しては、いささかも異議をさしはさんでおらぬわけでありまして、今の海上運送法あるいはその他相当たくさん適用除外のものが別の法律をもつてはつきりできております。そのものにつきましてはそれでよろしいのでございまして、その問題につきましても、たとえばよく財界で申しておりますように、国民経済上必要がある場合はカルテルがよろしいというようなそういう漠然たることは私どもは決して認めることはできないのでございますが、今申しておりましたような、その業種の実態を見つめながらそれをはつきりした形で抜いて行くということに対しては、決して反対ではないと考えております。
#36
○山本(勝)委員 一つだけ聞きますが、カルテルを結んでやつて、普通の平均の利潤を得ておるようなときは不当と見ないのですか。つまりほかの一般競争が行われておるような、事業の利潤率が一般に五分なら五分のときに、ある事業がカルテルを結んで、そのときの普通の利潤率を得ておる程度でやつておるときのその価格カルテルというようなものは、不当でないのかあるいは不当か、そこです。
#37
○横田政府委員 その利潤率が適正であるか不適正であるかということだけでは問題がきまらないかと存じます。これは要するにこの合理化カルテルの場合でも一応の要件がございますし、その後に至りまして、その要件のかわりました場合にはその認可を取消す。結局問題はそちらの要件の問題につながつて来るのではないかと考えるわけであります。
#38
○栗田委員 ただいま品種協定が問題になりましたので、ちよつとこれに関連して質問をいたします。旧改正案では技術もしくは品質の制限ということに出ておつた。ところが今度の新改正案は非常に巧妙になつて参りまして、技術もしくは生産品種の制限というふうにかわつておるのであります。すなわち前の改正案は品質であるが、今度の改正案は品種となつて、種と質とかわつておるのであります。この種と質と文字は一字だけれども、品種の制限というものは合理化カルテルに重要な影響を及ぼすと私は考えております。大体前回の改正案の共同行為というものは品質の制限でありますから、これがそれほど自由競争を阻害するものではないというふうに考えておつたのでありまするが、今度の改正案は品種の制限でありますから、生産分野の協定までこれを認めるということになりますので、こうなりますと、独禁法の趣旨に著しく矛盾するのではないか、かように考えるのでありますが、委員長の見解を承りたいと思います。
#39
○横田政府委員 この規定の適用のいかんによりましては、仰せられるような御心配もあるかと存じます。但し先ほど来述べておりますような意味におきまして、この品種の制限ということが合理化の促進の面から全然認めることができないというふうにしてしまうことも少し厳格に過ぎるという気持から、今回の新しい改正案の小にこういう表現を用いまして、この前の案のいろいろな商品の規格統一、標準化ということに加えまして、生産分野のある意味の制限を規定したわけでございます。しかしながらこの点につきましては、われわれも非常に問題を重要に考えておりますので、先ほど来申しますようないろいろなしぼり方をいたしまして、この適用が行き過ぎないように十分規定の上でも注意いたしましたし、今後の運用の上におきましても、もちろん十分な注意をいたしたいと考えておるわけであります。
#40
○栗田委員 おそらくこの条件を認めることによつて、能率の高い工場に、たとえばこの工場は薄板をつくれとか、この工場は棒鋼をつくれという品種配分カルテルができ上ると考えておるのですが、この法案をつくるときに、この品種協定によつて安いい品物ができて、しかもその品物を安く消費者に提供できるという御日信がはたしてあつたかどうかを伺いたい。
#41
○横田政府委員 私自身にそこまでの見通しがあるかということになりますと、はつきり申し上げられるだけの自信がないかもしれませんが、しかしこの点は結局業界の今後の動きにまたなければならぬと思いますし、そういう弊害面につきましては、消極的ではありますが、できる限りの努力はいたしたいと考えております。
#42
○栗田委員 この品種協定によつて能率の高い工場にある特定の品物が集中されますので、その結果もちろん能率は上ると思いますが、必ずしもこれによつて販売価格が下るということは保証できません。いわゆる独占になりまするから、能率は上るけれども、逆に販売価格を引上げるということを私は予想されるのであります。この点に関しまして委員長はどう考えておられますか。
#43
○横田政府委員 この制度の本来のねらいは、価格の下る点あるいは品質がよくなる点でございまして、もし仰せられますような反対の結果がこれによつて生じますれば、それは決して合理化カルテルではなく、もちろんその場合には、そのようなカルテルはなくすということに当然ならなければならぬということになります。
#44
○栗田委員 さらに生産が二工場に集中することによつて、当初は非常に生産過程が合理化されたように思うかもしれませんけれども、これによつて競争相手がなくなつてしまうので、工場の合理化意識というものがこれがために非常になくなつて来る、こういうような危険が私は感ぜられるのでありますが、この点はどのようにお考えですか。
#45
○横田政府委員 そういう危険は大いにあると私は考えております。ただここに非常に役に立つ面を生かすというところが、先ほどから申しておりまするが、この法律のねらいでありまして、そういう弊害が生ずるような場合は予想いたしておらないのでございます。
#46
○栗田委員 ではもう一つ聞きますが、今生産の品種の制限をすると、当然これは品種配分カルテルというのをやる。たとえばお前の工場はこういうものをつくれ、あるいはこの工場はこういうものをつくれというけれども、工場というものは非常な多種目の品物をつくつておる。どこの工場もなるべくもうかる、非常にいい仕事をやりたがるということになりまするので、今までの歴史から見て、磁極配分カルテルというものはなかなかうまく行きません。うまく行かないので結局どうかというと、そこで大企業が非常な圧力を加えて来る。そして品種配分カルテルを成功させるというようなことも出て来るし、あるいは行政官庁が上から圧力を加えて、会社を呼んででも、お前のところは何でもこれをやれ、お前のところはこれをやれというふうに、強制的な措置をするということになりますると、あの戦時の統制経済下に行われたいわゆる小小企業の整備というような生産方式までもわれわれは考えられるのでありまするが、この点に関してどのようなお考えを持つておられますか。
#47
○横田政府委員 私はそういうような大企業のバツクがあるために、今申し上げましたようなおもしろくない品種の配分というようなことが行われる危険があることも十分考えております。従いましてこの合理化の規定にはかなり小やかましいくらいのいろいろな制限が規定してございまして、結局あとはこの規定の運用の問題ということになるかと存じます。この点は繰返して申し上げておりますように、私どもといたしましては、その濫用の防止につきましては、運用面におきまして大いに注意をいたしたいと考えております。
#48
○菊川委員 横田さんにお伺いいたしたいのは、要するにこの法案というものは、そう抽象的に答弁をなさらなくても、最後には大体通ると私は考える。そこでもう少し問題を具体的に答弁していただかないと審議が長引くのではないかと思うのであります。たとえば品質を生産の品種というふうにかえなければ多少今までの改正案ではきゆうくつ過ぎる、こういうお話なんですが、そういうふうに今度改正案でかえることをお考えになつたのには、何かやはりかえなければやれないという最近の事例がおありと思うのです。たとえばどういう産業のどういう業種についてどういうような事例があるのか、そういう一、二の事例をあげていただいて、こういう事例に対してはどうしても品質という言葉ではいけないので、品種としなければいけないのだということを実証的にお示しを願いた
#49
○横田政府委員 これは先ほどちよつと申し上げましたが、大体われわれがここで予想しておりますのは、製鉄三社が品種の配分をするというようなことを考えておらないのでございまして、いろいろ通産省方面から事業界の実情といたしまして私どもが聞いており、私たちもなるほどそうであるというふうに考えておりますものは、先ほど例にあげましたベアリング製造業界あるいは写真機の生産、ミシン、染料というようなものが現実に問題になつているようでございまして、これはあまり多くの業者が、ベアリングに至りましては数千種の型のものを相競つてつくつているというような非常に混乱した状態がございますので、この際徹底的にこれをやります場合には、もちろん一つの統制というような形で行くべきであるかもしれませんが、業者の話合いで円満に行くものであれば、このカルテルの形式によつて、しかも役所の認可を受けるという形において、ある程度これを整理し、お互いにコストを引下げ、よい製品をつくる、こういう道をこの際つくるべきではないかというのが、今度多少の変更を加えました理由でございます。
#50
○中村(時)委員 関連して。今お話を聞いておつて実は驚いているわけです。今のような感覚から行けば、必ず分業が起つて来ると思います。分業が起りますれば、次には必ず生産割当のような姿が業者間に現われる。そのような姿がおそらく栗田委員の一番心配していらつしやる点ではないかと思う。すなわちそういう姿になつた場合に、せつかくこれをつくつても、独禁法と完全に反する行為として現われて来るわけです。そういうものに対する裏づけが何にもないわけです。そうなつて来れば、最後には昔やつた生産割当というような方式が生れて来るのではないかと思うのですが、そういう危惧は一つもありませんでしようか。
#51
○横田政府委員 そこまで問題が発展する、あるいは危険が、非常に読みを深くして参りますればあるかもしれませんが、少くともこの改正案におきましてはそういうことは全然考えておらぬわけでございます。またそういう生産割当というようなことに問題が発展して参りますれば、これは独禁法上また他のいろいろな規定の制約に触れて参るわけでありまするから、その場合の措置はそちらの方の規定で適当に規制できるごとと思います。
#52
○栗田委員 再販売価格維持契約でありますが、私は前の旧改正案と対照するわけではありませんが、前国会に出された改正案を見ると、「国内において広く認識された氏名、名称、商号、商標又は標章を使用し、」云々とありまして、商標ということが再販売価格維持契約を読んだ場合にすぐ理解されるのでありますが、今度の改正案にはこれが全部削除されてあるのであります。外国あたりのこの再販売維持契約の立法を見ましても、冒頭にどういうことを書いてあるかというと、商標または商標権者の名称を付すということが書いてあるのでありまして、私は前の方が非常にわかりやすいのであります。特に今度の場合、外国の例等を引きましてもかえつてわかりにくくなつたのですが、これを削つたということはどういうことか、その間の経緯を承りたりと思います。
#53
○横田政府委員 これは実質をかえたつもりは全然ないのでございます。あるいはそういう肩書きを、品質の一様であることを容易に識別し得るところのつの例示としてつけることも適当であつたかと存じますが、しかしそういうことも当然含まつておるという観点からいたしまして、こういうきわめて簡素な形にかえたわけであります。実際契約が行われますのは、今お示しの、そういう商標権なり、その他はつきりしたしるしを伴つておるものであるということに当然なると思うのでございます。それともう一つはこの前の国会でありましたか、そういう商標があるというようなことは、結局非常に大メーカーなり、非常に有力なメーカーの場合がそうなのであつて、そうでない者については、再版売価格維持ができないということは、非常に差別待遇ではないかというようなお話もありましたので、かたがたそういう趣旨を含めまして、この規定の上からはそういう言葉を一応とりましたが、実質におきましてはこの町の規定とかわらないつもりでございます。
#54
○栗田委員 それからもう一つ、第三項ですが、「第一項の規定による指定は、告示によつてこれを行う。」これも今度暫く加わつたのですが、これはどういうことですか。
#55
○横田政府委員 これは前にも、そういう趣旨で指定するということは前の条文にもありましたが、はつきりさせる意味で指定の方法までも書きましたのが今度の新しい規定であります。告示によつてこれを行うという点が、この前のにつけ加えられてはつきりしたわけであります。
#56
○栗田委員 そうすると現実問題としてこの維持契約というのは、結局生産者と卸売業者を結び、それから今度は卸売業者は小売業者と結ぶという、こういう二本建になりますか、実際これを実行する上においてどうなりますか。
#57
○横田政府委員 これは実質的には生産業者が、あるいはその生産業者に非常に密着しておりますところの、あるいは生産業者の販売部門とでも称しますような、販売業者と小売業者が、実質的にはつながるということになるのでございます。ただ事実上の契約の態様におきましては、生産業者と卸売業者、卸売業者と小売業者という形になつて価格が維持されるということもありますし、また直接生産業者に対して小売業者が一札を差入れるという場合もあり得るかと存ずるのであります。その形のところはわれわれはあまり問わないのでございます。実質的にこういう維持契約というものが、生産者並びに中間の販売業者、その下の小売業者という縦の段階において維持せられて行くという実質を把握して、この問題を見て行きたいと考えておるわけであります。
#58
○栗田委員 そうするとこの場合縦断的な連繋契約――生産業者と卸売業者、あるいは卸売業者と小売業者で再販売価格維持契約を結んだ場合に、この契約に違反した場合においては違約金を納めるというような契約をいたしましても、これはさしつかえありませんか。
#59
○横田政府委員 この前の改正案ではやや不明瞭な点がありまして、今度の改正案ではその点をある意味において非常にはつきりさせたわけであります。と申しますのは、前回はこれを維持するためにする契約というふうになつておりましたのを維持するためにする正当な行為というふうに改めまして、結局その価格を守らないという場合にそれに対していろいろな制裁を加える、あるいはそれを破つた場合には取引を停止するというような、普通の場合ならば不公正取引方法というようなことに該当する行為もこの再販売価格維持の制度に基いて行われます場合には、それを許可し得る、こういうことをはつきり出したわけでありまして、従いまして契約の中に、これが公序良俗に反するようなものは困るかと思いますが、そうでない範囲において適当な制裁を規定するということはもちろん許されることと思います。
#60
○栗田委員 そういたしますと、この再販売価格維持契約を結ぶのには別に公取の認可をもらわぬでも、業者同士で契約を結んでそれを公取に報告すればいいわけですか。
#61
○横田政府委員 届出です。
#62
○栗田委員 そうなつて来ると、問題は維持契約を結ばなかつた、いわゆる他の小売業者というものの非契約者の拘束ということはどうですか。
#63
○横田政府委員 非契約者は別に拘束は受けないわけであります。これは御承知のアメリカのノンサイナー・クローズというような、契約をしない者も生産業者の指定した価格に縛られるというような、そこまでは今回の法律は行つておりません。ただこういう点はあるのでございます。定款を守らないようならば、お前には品物を渡してやらぬというようなことが今度の改正法によりますとはつきりと認められることになりますので、結局実質的にはその品物を扱いたければ契約をしてその拘束を受ける、こういう点がございます。契約をしない限りは縛られないという点はアメリカの法律と多少違つた点であります。
#64
○栗田委員 再版売価格維持契約を結ぶ以上はやはり非契約者も拘束する制度の方が、いわゆるアメリカの行き方の方がむしろ再販売価格維持契約の効果を上げることができるのではないか、いわゆる公取が認定をいたしたものに対しては自動的にこの最低の駅売価格というものを守らなければならぬ、いわゆる小売価格というものを破つたものは不公正競争であつて、これは悪いというような印象を与える再販売価格維持の方が効果があると私は考えているのです。そこでこの再販売価格維持契約をやたらに結ばれてしまうと一種の昔のマル公みたいになるという一つの危険があるとは思うのです。そこで一体この再版売価格というものが実施された場合において、医薬品及び化粧品はもちろんでありますけれども、大体その他の商品でどういうものが再販売価格維持契約を結ばれるであろうか。その商品というものは一体全商品の何パーセントに相当するか、あるいはその商品は点数にしたならば大体何点ぐらいであるかというようなことを御研究なさつてこの立法を行つたかどうか、この点に関しまして御所見を伺いたいと思います。
#65
○横田政府委員 その点につきましては、相当詳しくいろいろ調べてございます。私から申し上げますよりもちようどその点を特に担当して研究しております者が参つておりますので、詳しいことは必要でございましたらそちらからお答えさせていただきたいと思います。要するに今非常にやかましくこの制度を希望しておりますものは、化粧品、医薬品等でございまして、そのほかあるいはカン詰類その他の食料品というようなものについてもそういう動きがあるように聞いております。前回提案いたします際にも、私の説明がいろいろ不足いたしておりました結果、誤解をお招きいたしたのでございますが、この提案前から非常にこの点は事務当局方面におきましてはよく研究しておりまして、単に外国の制度あるいは一部の人の声だけによつてこの制度を改正案の中に盛り込んだものではないのでございます。
#66
○丸山説明員 ただいま再販売価格維持制度を実際に行つている業種もたくさんあるわけでありますが、この法律の中にも、出版物、著作物等については別の取扱いになつておりますように、新聞それから雑誌、図書等はすべて定価制度というものが維持されておりまして、定価の割引ということはほとんどないのでございます。そのほかにレコード等におきましてもほとんど定価制度が維持されているわけでございます。化粧品につきましても一部においてはチエン・ストアー組織等によりまして、小売業者の最低マージンというものを保証するような制度がとられているわけでございますが、現行独禁法のもとにおきましては、委託販売の場合は別といたしまして、売り切りで行きます場合には、相手方の他に売る価格、つまり転売、再販売価格を一々さしずすることは、不当なる拘束条件をつけて相手と取引するという条項に抵触するおそれがあるのでありまして、過去のケースにおいてはバターそれから化粧品におきまして違反事件があつたわけでありま喝。最近出ました医薬品の例もあるわけでございまして、新聞等でもこういうのを取締るのは行き過ぎではないかというようないろいろな批判もあつたわけであります。現在想像されますのは、今申し上げたように、化粧品、医薬品、バターあるいはカン詰、食糧、こういうもので、すべてやはり商標制度が発達している商品でありまして、はかり売りのように、その品質のはつきりしないもの、こういうものは適用がないわけであります。そのほか指定制度が実施されるといたしまして、指定の申請が来るものと想像されますものとしては、しようゆ、それから今まであるレコード、それから電気器具、非常に安い電球とか電熱器とか、あるいは場合によつてはラジオ、こういうようなもので指定の申請が予想されるわけであります。しかしながらこれらの指定の申請がありましても、これを無条件に全部指定するわけではないのでありまして、この法律案に出ておりますように、その業界、特に銘柄がメーカーの間において非常に競争が行われている場合に限つて指定をして行くという制度でございまして、決してその独占価格を、利用者本位のマル公価格を消費者に押しつけて行くということまでもやろうとしているわけじやないのであります。化粧品のごときは非常にメーカーの数が多くて、その一番大きな業者でも全国生産量の一割を越えるものはほとんどないというような状態でありまして、どちらかといえば中小メーカーがお互いに競つているというような業種でございます。これに比べて、たとえば写真の感光材のフイルムということになりますと、これは写真材料商の組合等で、要するに独禁法の二十四条の協同組合ができて何か協定をしているようにも見受けられるのですが、写真フイルムなどになりますと、非常に集中が進んでおりまして、わずか二社ないし三社でフイルムが生産されている。こういうようなものはやはり独占価格が維持されやすいのでありまして、こういうものについては指定についてよほど考えなければならない。そういうふうな基準によつてやつて行くとなりますと、先ほど抽象的に申し上げたように、主として大メーカーのいない食料品工業、化粧品工業、医薬品工業、こういうものが対象になると思います。
#67
○栗田委員 私はこの法案をしさいに読んでみると、再販売価格維持契約でもそうでありますし、あるいは不況カルテル、合理化カルテルでもそうですが、いろいろな思想がこの中に入り込んでいる。これはどこかに非常な圧力がかかつて来ると、これを改正するのにその都度妥協してこの法案をつくり上げたのじやないかというようなにおいが非常に出て来るのであります。たとえば今の再販売維持契約でも、この適用除外として、あるいは消費協同組合であるとか、そういうものを直川を除外したということは、この再販売価格維持契約の効果というものを非常にそこなわれることになるのでありますが、この点はどのように考えておりますか。
#68
○横田政府委員 この点は実は前国会におきましても、もしこの再販売価格維持制度というものを厳格に行うということになりますれば、一方におきまして一般消費者の利益が不当に出せられるおそれがありはしないかということと、並びに消費生活協同組合その他のいわゆる協同組合あるいは労働組合等において現に行つておりますいわゆる厚生施設としてのいろいろな物資の供給というようなことに支障が参りまして、こういう組合制度そのものの本質にも反して来はしないかというような御批判がございましたので、この点はこの前の法案のときには、私は今度の法案ほど拘束的な制度として理解していなかつた関係から、そういうものについてはもちろんメーカーの方の良識によつて、そういう特殊の団体に対しては別の価格をもつて契約をするということは、何もこの法律は禁止しておらないのであります。その点はそれほど御心配はないのではないかというふうに申し上げたのでありますが、しかしその後だんだん考えてみまして、どうしてもこの制度を維持する以上は、先ほど申し上げましたようなはつきりした定款を守らなければいけないというところまで参りませんと意味をなしませんので、一方におきましてはそういうふうにはつきり割切りますと同時に、そうなりますとますますこういう組合制度等の上にいろいろ支障が参りますので、この一項を設けまして、ここに並べましたような特別な法律によつて、員外利用等がかなり法律の規定なりあるいは定款の規定等によつて規制せられておりますものについてだけ、駅売価格による拘束ということを認めないというふうにいたしたわけでございます。
#69
○栗田委員 私は消費組合なりこういう組合は、やはり適用除外にしてはいけないというふうに考えておるのであります。最近小売業者から非常に陳情が参りますが、特に一番小売業者が被害を受けておるのは、八幡製鉄の購買会の問題であります。この八幡製鉄の購買会等は、百円の原価の商品を百五円くらいで売つておるのであります。とてもこれではもう中小企業者は太刀打ちができないのでありまして、非常に参つておるのであります。私は、中小企業、零細業者を助けてやるという趣旨の再版売価格維持契約であるならば、消費組合というものはやはり適用除外ではなくて、これもやはり厳密に実施するということにして――消費組合も何も通りがかりのお客様に品物を売るのではないのでありますから、品物を買つたお客様に対しては、あるいは優待券をやるとかあるいはクーポン券をやるというような、いわゆるイギリスで今日やつておりまして非常に成功しておる延期割引制度というものも、私はこの際やつてみた方がいいじやないか、こういうふうに考えておるのでありますが、その点はどうでありますか。
#70
○横田政府委員 ただいま八幡の購買会のお話がございましたが、そういうものは今度のこの新しい一項によつて、消費組合などと同一の取扱いは受けられないのであります。つまりそういうものはやはりメーカーから指定されました価格を守らなければならないというふうに考えておるのでございます。この点は、すでにこういう私的の、法律に基きません各会社が行いますような購買会におきましては、そこに一定の制約がない結果、場合によりましては一般市中等へ店を設け、一般の市民に、ただいま仰せられましたような安い価格でどんどん売る。そのために、小売業者が非常な迷惑をこうむつて来ておるという実例がございます。なおこれは八幡ばかりでなく、東京の近辺その他におきましても、官庁あるいはそれに準じたところで行われておりまする、こういう法律の規定に基かない一種の購買会のごときものが、かなり員外の人に物をどんどん売りますために、その町の近辺の小売業者が非常に困つておるという実例はたくさんあるのでございます。従いまして、今申しましたような、そういういわば私的の購買会というものは、全然この例外の扱いをいたさぬことにいたしておるわけでございます。なおこの法律に基きまする消費生活協同組合等につきましては、今仰せられましたような方法でその利益を還元する。定価だけは守つてもらつて、利益を何かの形式で還元するという方法ももちろん考えられるのでございますが、これはよく考えてみますると、御承知のように剰余金の分配というようなことももちろん法律にうたつてございますが、あの場合の剰余金は、これは事業全体の上に生じて来まするものを還元するというので、こういう定価品だけの問題ではございませんし、もし定価品だけについてそういう何らかの割もどしあるいはそれに類するクーポン券の発行ということになりますと、結局これは実質的に申しますと、再販売価格維持契約の一種の脱法的な行為で、やはりそれは違反というふうなことになるのではないかと思われますので、いろいろな見方はあるかと思いますが、要するに協同組合の存在理由を生かすという観点に立ちますると、やはりこれは一連の法律に基きまするものを、例外にいたすのが一番妥当ではないかというふうに考えて、新しくこういうものを追加いたした次第であります。
#71
○栗田委員 これはまだ日本にはないから、今のところいいのですが、百貨店のような非常に力のあるところが、有名商品をおとり販売をするために、公然と再販売価格維持契約というものを拒否するという非契約者が現われた場合に、これを押える手段というものを何か考えたかどうか。
#72
○横田政府委員 この再販売価格維持の制度がアメリカに出て参りましたそもそもの原因が、実はデパートにおいて定価のついた有名品を安売りをしまして、それによつて他の商品までも売る。いわゆるおとり販売の方法に利用されて、一般の零細な小売業者が困つたというところから発足しているように聞いておるのであります。現に最近におきまして、日本のデパート等におきまして、中元大売出しというような意味もございましようが、その中に右名品につきまして相当思い切つた値引きをいたしまして、それによつて他の品物も同様に安いのではないかという錯覚を、一般の人に起させるというような動きが多少見えているのでございます。こういうものを抑えて行きたいというのが、実はこの再販売価格維持の制度でございまして、この点はメーカーがはつきりと、その自分の自信のある、また定価のついた品物についてデパートに卸します際に、これを再販売価格を維持することにいたしますれば、そういうデパートによる廉売というようなことはなくなるわけであります。その意味におきましても、この制度はぜひ今後よく行えるようにいたしたいと考えております。
#73
○栗田委員 私は今、非契約者というものが非常に強大なときには困るのじやないかということを懸念したのですが、もう一つは、これは別ですが、この維持契約を結ぶ場合におきまして、小売業者というものが非常に数が多いので、この非常な数の多い小売業者と卸売業者が、一々維持契約を結ぶというのは、非常に煩瑣であると私は思うのですが、これをもつと簡単に、自動的にできるというようなことを考えなかつたかどうか、その点伺いたい。
#74
○横田政府委員 その点は、実際の手続上の問題といたしまして、いろいろこれを実施いたしますまでに、われわれといたしましてもその業界とよく話合いまして、適当な方法、手続等を考えようと思つております。ことにこれは届出をとることになつておりますが、その一々の届出をとるということは、実際問題として非常に煩瑣でもございますので、その点につきましては、委員会規則によりまして、特殊な簡易な扱いをいたしたいという考えを持つております。
#75
○栗田委員 そういたしまして維持契約を結びます。ところが維持契約を結んだ場合において、小売商人が濫売をいたすような場合において第二十五条の損害賠償の「責に任ずる。」ということが適用されるかどうか。もしこれが適用されるとすれば、この損害賠償の損害基準というものは、何によつてこれを算定するか、この点を伺います。
#76
○横田政府委員 これは先ほどから申し上げましたように、その価格を守らないことを独占禁止法上の違法行為というふうには見ておりません。従いまして二十五条によりまして、不当な取引制限または不公正な競争方法によつて他人に損害を加えたというような、あの要件に当てはまつて参りませんので、これはもし何かございますれば、一般の民法の規定によります損害賠償ということになろうかと存じます。
#77
○栗田委員 こういう場合が逆に想像されるのです。それは、小売業者の横断的な連繋がきわめて強い場合であります。そのような、横断的に小売業者の力が強い場合には、逆に、生産者は再販売価格維持契約というものはやりたくはないのだけれども、この商品に対して荷販売価格維持契約を結ぼうじやないかということで、強制するような場合、あるいはさらに小売業者が横断的に結束して、もつと小売マージンを高くしなければならぬ、そういうことをしなければこの製品のボイコットをするぞというようなことを、小売業者の団体が強かつた場合に、生産業者に申し込みといいますか、こういうことをするというような憂いがあるかどうか、そういうことも考えたかどうか。
#78
○横田政府委員 日本で具体的にそういう危険があるかどうかはまだ調査しておりませんが、先例によりますと、アメリカには多少そういうような場合もあるそうであります。これがもしいわゆる独禁法の不公正競争方法の一つでございますところのボイコツトに該当することになりますれば、その規定によつて処理せられ、なおこの場合は損害賠償という問題にも発展いたすわけでございます。
#79
○栗田委員 最後に一点だけで終り序して、あとは質問を保留いたします。八十九条の罰則でありますが、二項に「前項の未遂罪は、これを罰する。」とありますが、どうも未遂を罰するというのは苛酷に失するのでありまして、今度の改正案にもやはり、「前項の未遂罰は、これを罰する。」とありますが、私は未遂罪は、こういう社会情勢だから、もう罰しなくてもいいのじやないか、こういうふうに考えております。この点についての御見解はあとで一括してお願いをいたします。
 次に附則第三でありますが、改正案の附則第三に「この法律の施行前に生じた事項については、改正前の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」とあつて、いわゆる旧法を適用するということが出ておるのであります。私は、この旧法を適用するということになりますと、そこに法律的ないろいろな疑問が出て来ると思うのであります。この改正前に確定審決があつた場合、つまりこの新しい法律が施行されるまでにすでに審決が完了しておるというものならば、これは問題ないと思います。第十一条の株式の保有の問題で、百分の五以上持つてはいかぬということでこの処分をしてしまつたならば、これは問題ないと思います。それからその次にはいまだ完了しないものがあります。これは第十五条であります。株式もしくは社債の全部もしくは一部の処分、あるいは営業の一部の譲渡を命ずることができるという十七条の規定によつてこれを実行する場合であります。こういうことになりますと、たとえば前の十一条では、株式の百分の五以上持つておつたものは、前にすでに処分しておりますから、問題はありません。ところがたまたま百分の十持つておるというと、今度の新改正法では百分の十まで持つていてもいいのであります。しかしながら、この確定審決によつては、いわゆる旧法を適用するのでありますから、新法では百分の十まで持つていてもいいので、新法では許されるのだけれども、いまだ処分完了しておらなかつたならば、残りの百分の五も処分してこれをまた買うというようなことになりますので、この点が私は疑問ではないか。これが第二番であります。
 第三番目は、将来に向つて効果を持続する場合があります。それは第四条であります。第四条のいわゆる共同行為によつて禁止の審決を受けた場合においては、被審人は今後こういう行為をしてはいけないという旧法の規定がありますので、今度の新法において不景気カルテル及び合理化カルテルを認められておるにもかかわらず、旧法によつて第四条違反を犯した者は合理化カルテルも不景気カルテルもできないということになりますと、非常に附則第三項は矛盾を来すのであります。この点に関しまして委員長の御見解をお伺いいたします。
#80
○横田政府委員 八十九条未遂罪につきましては、これは現行法の第三条違反、すなわち「私的独占又は不当な取引制限」をした者に対して現行法にあるのでございまして、この考え方は要するに、いろいろな手段によりまして私的独占を企て、あるいは不当な取引制限、カルテルを結成いたしましたが、しかしながらあの定義にございますように、一定の取引分野の競争を実質的に制限するに至らなかつたという場合がございますので、その既遂におきまする一つ前の段階のカルテル契約をした段階というようなところでやめました場合も、やはりこれを罰するという趣旨でございまして、この点は考え方によりましては、きつ過ぎるという点も確かにあると思いますが、現行独禁法の取締りを厳にして行くという立場からは、理解のできない規定ではないと思うのであります。
 附則の第三項につきましては、なるほどおつしやいましたような多少おもしろくない面もあるのでございますが、この点は第四項と比べていただきますと、結局新法を適用するのを原則といたしますが、審決の確定したものにつきましては、一応審決というものがすでにあり、それも確定しておるのでございますので、その審決を一応維持するという趣旨でああいう原則を掲げたのでありますが、今仰せられましたようないろいろな弊害に対しましては、今度の独占禁止法の改正によりまして、六十六条を改正いたしまして、これは審決があつた後に、いろいろ経済事情の変更に限りませず、諸般の情勢がかわつて参つたという場合に、公正取引委員会が自発的に審決を変更したり取消したりする規定でございます。この規定の適当なる活用によりまして、ただいま仰せられましたような問題は、実害のないように処理できるかと思います。実は今、旧法では違法、新法では適法というように非常に割切つた例をおあげになりましたが、問題によりましては、事業者団体法の旧法に違反した、しかし今度の独占禁止法の中に盛り込まれた、事業者団体法のそれに該当する規定に当るのか当らないのかというようなことは、やはり一応調べてみますると、はつきりしないような両もございますので、そういうような点をも考慮いたしまして、一応審決は維持するが、六十六条によりまして、適当に審決を取消しあるいは変更し得る、しかもこの法は被審人の利益になることでございますので、場合によりましては、審判手続というようなめんどうなことをしないで、簡素にこれを処理できるというような観点からいたしまして、六十六条に所要の改正を加えた次第でございます。
#81
○栗田委員 あとの質問は次会に保留します。
#82
○佐伯委員長 飛鳥田一雄君。
#83
○飛鳥田委員 今の栗田委員の御質問に関連して一つだけ伺います。再販売価格維持契約の問題ですが、この再販売価格の維持契約を結べるか結べないかということは、栗田委員が指摘せられておつたように、生産業者とこれを仕入れるたとえばデパートのようなものとの資本力の違いによつて大きな違いが出て来ると思うのです。日本におけるデパートのような場合には、三越とか白木屋とかいうようなデパートについては、むしろ生産業者が三越に平身低頭し、仕入れてくれることを望んで行く、白木屋についても同様だというような形で、契約者は法律上は対等な契約者であつても実質的には経済関係においてははるかに差等がある、こういうような場合にはたして再販売価格の維持契約を押しつけて行くことができるかどうか。ところがそれに比べて一般の中小企業については、生産業者の方が経済的に優位に立つておる場合が非常に多いために、この部分については再販売価格の維持契約が強行されている、こういうような形になつて、実際においては再販売価格の維持契約というものが励行せられるのは中小企業であつて、大企業であるところのデパートその他についてはこれが実際に励行されて行かない、契約が締結されて行かない、こういう形で一見この再販売価格の維持契約という規定が、中小企業の小売部門を救済するように見えながら、実は逆の形を現実において生じて来るのではないか。先ほどアメリカのデパートの例をお引きになりましたが、アメリカにおけるデパート資本とこの一般のマーク品、いわゆる商標品をつくつておるアメリカの生産業者との間の資本力の違いというものと、日本におけるそれらの業者との違いというものと、これは違うと思う。こういうふうな点も御考慮になつておられるかどうか。実は形の上では中小企業保護の規定のように見えながら、実は実際に運用してみると、逆になつてやせぬか、かえつて白木屋とか三越とか、それらの大資本によつて経営されているところのデパート等による中小企業への圧迫の形が発生するんじやないか、こういう危惧を私たちは持つておるのですが、この点について委員長のお話を伺いたいと思います。
#84
○横田政府委員 ただいまの点は、こういう制度を設けますと、生産業者が弱小の小売業者には定価を押しつける、強いデパートその他の大小売商には別な価格なりあるいは自由な価格で売らせるということができなくなるのであります。この点は独占禁止法の中にいわゆる不公正取引方法の一種といたしまして、不当なる差別価格をもつて物を供給してはならないという規定がございますので今申しましたような、特にデパートに有利にいたしますために、別な価格あるいは自由な価格でもつて売ることを認めるというような差別待遇をすることが今度の維持価格制のもとで許されないことになるわけであります。これはあるいは山間僻地のひどいところに卸すような場合には、自由価格で卸すというようなことがあるかもしれませんが、そこまでやかましく言う必要はないかと思います。しかし今申しましたようなデパートとかなんとかいうものは、特にたやすく許すということになりますと、今回の改正法案におきましても不当に他の事業者を差別的に取扱うということに該当することになりますので、その御心配はないかと思います。
#85
○飛鳥田委員 私の申し上げ方がちよつと足りなかつたかもしれませんが、私の申し上げるのは同一品種でも、再販売価格の維持契約の認可を受けたものと受けないものとが出て来た場合のことです。類似の商品がある場合に、一方をデパートあたりが拒絶してそれを安売りすることによつて、一方の許可を受けたものについては中小企業が縛られている。そういう形で実質的に競争に破れて行くのではないか、こういう意味で申し上げたのです。
#86
○横田政府委員 同じ銘柄品についてはそういうことはあり得ないのでありますが、違つた銘柄品についてはあるいはデパートにそういう自由な価格で卸す、その結果小売商がやや不利な立場に立つということはあると思いますが、その際そういう再版売価格維持というものがそのある特定の銘柄品について行われるということになつております結果は、やはりそういうふうになるかと思います。
#87
○飛鳥田委員 今申し上げたのをもつと具体的に申し上げると、たとえば歯みがき粉のよな場合に、ライオン歯磨には指定を受けておりますが、他の同種類の競争歯みがき粉は受けていないというような場合に、これはそういう問題が生じて、来るのではないか。
#88
○横田政府委員 商品の指定は歯みがき粉とか、そういうふうな抽象的な商品の品質によつて指定いたしますが、それに基いて契約をするかしないかは、これはその生産業者の自由でございますので、場合によりましては今申し上げたような部面が出るかとも存じます。
#89
○小笠委員 今の点に関連して。飛鳥田委員の御質問の中で、ただいまのは類似商品で設例があつたようであります。同一銘柄、たとえば資生堂の何々クリームというものについて考えますと、小売商の方は再販売価格で規制される、デパートの方はもしも逆に再販売価格で規制をやらないとすると、生産者の仕切値は同一であります、しかしデパートはその間において中間利潤は切つているということは明らかに出ている。従いましてその間において小売価格は不平等なるものができて来る。そこでおとり販売の道具に使われる場合が起り得ると思いますが、公取委員長はどうお考えでありますか。
#90
○栗田委員 私は今の問題に関連して。それをおそれだものですから質問をしたのですが、それが維持契約を結ばない人も、公取で指定されて維持契約を結んだ場合には、その商号品は契約を結ばない非契約者もこれを拘束するということを維持契約に加えたならば、そういうような疑問はない。だから私はこれをどうしても入れなければならぬと思う。しかしそういうことを入れてないから、大体この法案そのものが非常に思想統一がないということを先ほども指摘したのです。
#91
○横田政府委員 ただいま小笠さんのおつしやいました問題につきましては、やはり先ほどお答えいたしましたことで大体いいのではないかと思いますが、要するにそういう差別的な売らせ方をすることが不公正競争方法になるわけでございますから、その面でデパートと小売商との間の一越は処理できるじやないかというように考えています。
#92
○小笠委員 仕切り値の供給値段は同一だとすると、そうした場合にはこの第何条でありますか、法律に基く特定の協同組合の場合は適用を除外しておる、しかもいわゆる再版売契約というものをやる義務づけをしていないわけです。従いまして百貨店が再販売価格の契約をやらないとした場合には、供給のときは不平等価格で供給はしていないのだが、百貨店の売る場合には当然不平等的な価格が再販売価格に拘束されない価格で売られてしかるべきものだと思う。当然先ほど飛鳥田委員の言つたような問題が発生するものと私は考えております。
#93
○横田政府委員 私はどうもそういうふうに考えないのでございますが、要するにある小売商が他に売る値段と、また別の小売商が他に光る値段とが違うような再販売価格の指示をする、あるいは片方を自由にするというようなこと自体が、今度の不公正競争方法の一号、「不当に他の事業者を差別的に取扱う」ということに該当するというふうに考えております。ただ消費組合等につきましては、先ほど申し上げましたように組合制度の本来から申しまして、これらに別な売らせ方をすることは、不当な差別待遇にはならないというふうに考えます。
#94
○栗田委員 私は今の問題に関連をしてお尋ねしたいのですが、たとえば生産者から商標品を買つて来て売るということは、別に強制でも何でもないわけであります。要するに、たとえばここにライオン歯磨がある、そうするとライオン歯磨を百質店が売ろうが売るまいが、そういうことはもう百貨店のかつてであります。従つて私は、先ほどもしばしば言つているように、これを、厳密に実行する上には、今のような非契約者の拘束制度というものをどうしても加えなければ筋が通らない、しかもこの再販売価格維持契約の商品は、おそらく一割にも満たないくらいの商品であるというふうに思つている。そこでデパートにしても、たとえば今ライオン歯磨をうろうとする、そうするとこれは強制でもつてライオン歯磨を売るわけじやない。従つてこの商標というものの信用を利用して売る以上は、その商標の信用を濫用してはいけないという義務を持つことは当然でありますから、そういうことは一向に心配する心要はないのであつて、この出版売価格維持契約は、維持契約を結ばなかつた者でも、当然この小売価格というものは非契約者も拘束するのであるということを明文に加えても一向さしつかえない、こういうふうに私は思つているのですが、この点について伺いたい。
#95
○横田政府委員 先ほど申しましたように、なるほどこの制度を非常に徹底して推し進めて行きますと、あるいは今申されたようなところまで行き得るのかもしれませんけれども、そこまで行くことは少し行き過ぎであるというのが、今度の改正案の考え方でございます。
#96
○山本(勝)委員 ちよつと資料を一つ要求しておきたいのですが、先ほど配つていただいた資料の中に、海外における独占禁止法の動きというのがあります。その中に、アメリカとか、イギリスとか、ドイツとかいうものが簡単に述べられておりますが、私は昨年一箇年間、アリメカが実際にこの法違反で扱つた事件を、概略でいいですから何件、どういう問題で違反事件があり、どういう結論になつたということをひとつ全部出していただきたい。
 これから関連の質問をいたします。今の不況なら不況カルテルというものを許可した場合、不況が済んでしまつてもなおそれを続けておつたらそれは違反になるのでしようか。たとえば合理化カルテルというので事由ありと認められて許可になつた。ところが合理化が済んでしまつてなおそのまま続けておつたらそれは違反になるか、それをちよつと伺いたい。
#97
○横田政府委員 認可が続いております限りは違反にはならないと思います。つまりそういう状態の場合は認可を取消す、あるいは場合によりましては、特殊な関係でございますが、公正取引委員会が取消しの請求をして後一箇月たちますと、認可の方はそのままでも独禁の方が発動して参りますから、その場合に要件を備えておらなければ、当然いろいろな条文にひつかかつて来るわけです。
#98
○山本(勝)委員 今のことですが、その合理化とかあるいは不況とかいうカルテルを認める原因がなくなつてしまつておつても、そのままそのカルテルを続けてやつておつてさしつかえないのですか。
#99
○横田政府委員 認可のある限りは、それがただちに違法になるということはないと思います。
#100
○飛鳥田委員 この改正について私たちはまだわからないところがたくさんありますので、少し聞かしていただきたいと思います。
 一番最初に、公正取引委員会の方から「私的独占禁止法改正要綱及び解説資料」というのをいただきまして、これで公取の考えておられることはよくわかつたのですが、これは通産省なり各関係行政庁の意見と一致しておるのでしようか、その各関係行政庁の考えを総合してお書きになつたのでしようか。
#101
○横田政府委員 この要綱及び解説資料は二十八年六月二十四日ということになつておりますが、実はこの前の改正案をお出ししたときに、やはりこれと同じものがつくられました。その基本は公正取引委員会でつくりまして、その原案について一般の方の意見を聞くという意味で、実は公取独自の見解を一応発表いたしまして、それに対する各界からの反響を見た、その基本的なものがこれでございまして、その後各省と折衝の結果法案ができ、前国会に御提案をいたしたのでございますが、しかしその基本におきましては、最初に公取が発表した線は大体堅持してあるわけでございますので、多少の手は加わつておるかと思いますけれども、ほとんど最初に出しましたものがそのままこの形になつて、今回の提案につきましても、これを資料としてお配りいたした次第でございます。
#102
○飛鳥田委員 この解説資料を読みますと、自由にしてかつ公正なる競争を維持する、これが第一原則であつて、ほんとうにやむを得ざる場合に限つて二つのカルテルを認めるのだ、あるいはトラストを認めるのだ、これは最小限度のものであつて、非常に慎重に自重してやらなければならないものだ、こういうことが述べられておりますが、その点は行行政関係を通じての御意見と承つてよろしゆうございますか。
#103
○横田政府委員 大体この基本的な考え方には、各省とも異存はないはずでございます。条文をつくります際のいろいろこまかな点につきましては、多少の意見の相違もございましたが、基本の線についてはみな考え方は一致しておるつもりでございます。
#104
○飛鳥田委員 これを拝見しておりますと、この解説資料に述べられておる基本的な考え方と改正条文とは非常にニユアンスが違う、むしろ相当な違いがあると認定せざるを得ないのです。たとえば解説資料の方では最小限度に限つておるという形になつておりますが、実際の条文の方を見ますと必ずしもそうではない、むしろ一般的にカルテルを認めて行く、トラストを認めて行くという形にしかとれないのですが、この間齟齬があるかないか。
#105
○横田政府委員 この資料で述べておる原則は相当堅持されておるつもりでございます。御承知のように財界その他からはこういうようなゆるめ方でははなはだ不十分であつて、むしろカルテルをもつと広汎に認めて弊害だけを押えて行くというようなことをたびたび言われておるのでございますが、そういう関係は絶対にとらないということをこの中にはつきり申しておりますし、でき上つた法案についてもその線に沿つてできておるつもりでございます。
#106
○飛鳥田委員 くどいようですが、それならば公正取引委員会は、公正かつ自由なる競争を促進するとか、雇用及び国民実所得の水準を高めるとか、一般消費者の利益を確保するとか、こういう独禁法の目的がこの改正案で完全に達成されるというふうにお考えでしようか。私たちはこの不況カルテル、合理化カルテル、トラストを許すことによつて、今まで維持されて来た独禁法の目的の八〇%以上は消し去られてしまつた、こういうふうに考えておるのですが、こういう点に関して公取の御意見はいかがでしようか。
#107
○横田政府委員 今回の改正によりまして、現行法の厳格な面が相当緩和されたことは事実でございますが、しかしこの緩和された形によつて、独禁法の第一条に示しておるような基本的な考え方は十分に守り得るというふうに考えた結果、この提案をいたした次第でございます。
#108
○飛鳥田委員 この改正案によりますと、むしろカルテル化の助成政策が行われるのではないか、こういう懸念を感じますが、いかがでしようか。
#109
○横田政府委員 このカルテルを認めまする条件を厳格に適用し、運用がルーズになりませんければ、決してカルテル化の助成とかいうようなことにはならないというふうに考えております。
#110
○飛鳥田委員 どこまでもこの条件を厳格にやつて行かれる、こういうお話でありますが、そういたしますと、この解説資料を拝見いたしますと、まず第一にカルテルを許す最低限度の条件として、一定の取引分野における競争を実質的に制限をしない、もう一つ消極的には不況もしくは恐慌に対する企業の適応能力の不十分である日本においては、こういうことを述べておられるのですが、不況もしくは恐慌に対する適応能力が不十分であるという意味を伺わせていただきたいと思います。
#111
○横田政府委員 これはこの解説資料にも多少説明してあつたかと存じますが、御承知のように日本の企業は非常に規模が薄弱でございまして、資本の蓄積というものが足らず、資本構成もはなはだ不健全である、事業の規模も非常に小さいというような点からいたしまして、一たび不況にさらされるという場合には、その産業あるいは他の産業にまで破滅的な影響を及ぼす面がございますので、今回はそういう非常事態に対処いたしますために、カルテルを認める、それから、日本の特質といたしまして、輸出に非常に依存いたしております関係から申しましても、輸出に関してはある程度のカルテルを認めて参る、なお先ほど来申しておりますように、企業の合理化を促進することが非常に必要でございますので、そのために役立つ範囲内におきまして合理化のカルテルを認める。もちろん合理化は競争を促進することによつてよりよく達せられる場合もございますし、今申したような、ある意味において競争を制約することによつて達せられる場合もあるわけでございます。それら各般の日本の現状に即しまして、いろいろな面からの改正が加えられたわけであります。
#112
○飛鳥田委員 資本の蓄積が少いというお話ですが、たとえば現に通産省の勧告によつて行われております綿紡のカルテルのような場合には、調べてみますと二七%の利益が上つておるものを全部配当しておる。あるいは呉羽紡とか敷島紡とか、大和紡などに至つては今期に損勘定が立つでいるにもかかわらず、前々期の社内留保金を今期の配当に繰入れて、二割配当をしておる、こういうことが平然と行われているのですが、こういうことを放置しておいて、ただいたずらに社内資本の蓄積が浅いというふうに言うことができるものかどうか。あるいはまた鉄鋼関係などを見ましても、原料とか貯蔵品とか仕掛品とか半製品とか、そういうものの占めている問題があります。たとえば八幡では十一箇月の手持ちを持つておるのです。石炭については五箇月の手持ちを持つております。こういういろいろな点を見て参りますと、必ずしも単純に資本の蓄積が浅いということで片づけられるかどうか。現に通産省の御発表によりましても、二十六年度に比べますと二十七年度のいわゆる輸出材料の在庫増というのですか、原綿が四十万トンから六十一万トンにふえておりますし、鉄鋼が三十八万トンから二百六万トンにふえております。粘結炭についても三十二万トンから六十六万トンにふえている。こういう点から見て参りましてもまた資本の蓄積が浅い、合理化がカルテルによらなければできない、こういうことはそう即断できないと思うのです。また、あまりたくさん並べても恐縮ですが、たとえば綿紡あたりの社内留保金を見ましても、公称資本が十大紡を合せますと百二十一億、社内留保金が四百三十億になつております。こういうものについても資本の蓄積が浅い、適応能力がないということで、簡単に勧告カルテルをやられることになるのでしようか。いわゆる適応能力が走りない、カルテルによる合理化によらなければいけないという理由を、もう少し詳細に説明をしていただきたいと思います。
#113
○横田政府委員 その点は私からお答えした方がよいかどうかわかりませんが、要するにただいま申し上げましたのは、日本産業全体を通じての一応の考え方でございまして、今例にお引きになりました綿紡関係あるいは製鉄関係につきまして、はたしてそれが今申しましたような諸条件にぴつたりと当てはまるものであるかどうかという点は、これはやはり各産業の実態に即して考えなければわからぬと思います。現に、綿紡の操短がはたして今度の改正法によつて認め得る範囲のものであるかどうかというような点も、非常に問題があると存じます。なお製鉄につきしましても、今回こういう改正になります結果、これが現在の製鉄業の実態に対してどういうような影響を持つて参るかということは、これも今後の問題でございまして、一概には申しにくいかと存じます。なお、これは独占禁止法の適用以外の問題でございまして、いわゆる企業の基礎を確実にする、しつかりしたものにするということは、何も独占禁止法の適用を除外するというようなことだけでは問題は片づかないのでございまして、その諸般の面の工作がこれに並んで行かなければならないというふうに私は考えております。ただ、残念なことには、独占禁止法の面においてこれらの企業の合理化なりあるいは基礎の確実化をはかるために、その前提条件としましていろいろなことが必要なのでございまするが、それが往々にしていろいろな面において制約せられまして、その結果独占禁止法の非常にいい面がおおわれているような点が非常にあることを痛感いたすのでございます。先ほど申しました点は、日本産業の全体の構造といたしまして、一応そういうことが言えるのではないかということでございます。
#114
○飛鳥田委員 カルテルを認めなければ合理化のできないもの、こういう部分をひとつお示しいただきたいと思うのです。たとえば、これも今のお答えで同じことになるかもしれませんが、綿紡の場合などは非常に無計画な増産計画をやつて参りました。そうして、その結果がこのカルテルという形になりましたので、そういう無計画な増産の責任をどこへ持つて行くかということにならざるを得ないと思います。また、造船についてもそういう傾向があると思いますが、これがカルテルでなければ救われないのだという理由をひとつお示しを願いたい。
#115
○横田政府委員 不況の場合のカルテルは、私は一つの薬と申しますか、一種の毒薬ようなものだというふうに考えております。つまり、毒薬というものは普通は用いてはならないものでございまして、ただいよいよの場合、毒薬というのは少し悪いのですが、これは非常な薬でございまして、不況に対処いたしまして、――不況に至る原因には、その企業が自分の責任による部分もございましようし、他よりのいろいろな外部の事情もございましようが、いよいよ病気になつてしまつて、ほうつておけばその産業なりあるいは個々の企業が倒れてしまう。これも非能率的な非良心的な企業が倒れることはよろしいのでございますけれども、その結果がだんだんそうでない部分にまで及んで行く、こういう場合にはやはり薬を飲まさなければいかぬというふうに考えておりますので、そういう非常の場合の一服の薬としてこの不況カルテルは認めて行きたいというふうに私は考えておるのであります。
#116
○飛鳥田委員 そういうたとえ話でなく、もし少し具体的に御説明願いたい。それならば、現在の改正案が出ておるのですから、この改正案を出すべき一つの経済的な背景があると思うのです。これあるがゆえにこそカルテルを認めてもらわなければ困るのだ、カルテルをつくつてやらなければ困るのだというような、現実の経済的な背景をひとつお示しいただきたいと思います。
#117
○横田政府委員 これは不況というものは、いろいろな面に出て参つております。御承知のように、綿紡もやはりいわゆる常識的な意味の不況というようなことに言われておるようでございまするし、あるいは化繊の関係もございましようし、あるいは今までいろいろ問題として取上げられましたゴムの問題、あるいは石油問題等いろいろございますが、しかし、そういう個々の事業ばかりではなく、その他にも、いわゆる不況というものがある時期にやつて参るということが十分に予想されるのでございます。但しその不況が、この独占禁止法で今度適用除外をいたそうとしておりまするような諸条件に今までのものが当てはまつているかどうかは別といたしまして、ある時期には必ずしもそういう状態が予想されないではないのでございまして、従いまして、現在このままの独禁法で処理して参りますれば、結局いざという場合の薬も飲めないという状態に陥りはしないかというのが今度の改正をいたしました主たる原因でございます。
#118
○飛鳥田委員 不況がやつて来た場合にはそれを認めなければならないが、しかし現実に現在がまた同時に不況であると、こういうようなお話であります。そこで、それならば、不況の現在において、どの部分、どの生産部門でこのようなカルテルを必要としておるか、そういう経済的な背景をひとつお話いただきたい。
#119
○横田政府委員 少くとも、公正取引委員会が認識しております現段階において、この独禁法の不況カルテルに該当するものが現在あるかと申しますと、私としては、今までのところでそういうものがあるというふうに積極的には認めておりません。これは各業界で絶えずいろいろなデータをとつておりますが、しかし通産省その他の関係におきましては、あるいはもう少しいろいろな両から別な考え方をしているかもしれませんが、公正取引委員会に関する限り、現在そういう状態が現実にあるというふうには考えておりません。
#120
○飛鳥田委員 そういたしますと、今まで通産省その他が勧告などという形で行われたカルテル形成は、公正取引委員会の御観察に関する限りは必要ないものだと、こういうふうにお考えになつておられるというふうに承りましたが、それならば、少し話が横道にそれますが、これらの殖産省の勧告などという行政措置に対して、公正取引委員会はどういう処置をおとりになつたか、伺いたい。
#121
○横田政府委員 昨年の綿紡の操短につきしましては、これは他の機会にも申し上げましたが、三月でございましたか、あの当初の状態はまさに非常な不況でございまして、主として外国との取引にいろいろ支障を来しました結果、製品の著しい値下りをいたしまして、そのときの状態を現実に調べてみますれば、あるいはこれは不況の条件に当てはまるような状態であつたかと思うのです。しかるにそれが、たしか六月になりまして操短が非常な効力を生じまして、非常な回復を見たにもかかわらずその状態がずつと続けられそうなふうに見えましたので、公正取引委員会といたしましては、通産省に対しまして、操短についてさらに検討されたい旨を申し送つた次第でございます。その後通産省におきましても、だんだん操短のわくをゆるめるとかその他の方法によりまして、このカルテルの関連業者なり、あるいは消費者に対するはね返り、しわ寄せの是正に相当留意されたというように私は考えております。
#122
○飛鳥田委員 多分そう仰せられるだろうと思つて実はさつき十大紡における社内留保金の大きいこと、ないしは利益を全部配当してしまつておること、ある紡績会社においては損が立つているのに前々期の繰越金を使つて二割配当しているということを申し上げたのであります。これはどこを基準としているかと申し上げますと、ちようど通産省の勧告が行われました次の決算期を基準としておる。これがカルテルとして認めてやる必要のないものであるということについて、すなわち合理化が自分の社内で行われる余裕が十分にあるというその意味で実は申し上げておいたのですが、今の委員長のお話によりますと、これは公正取引委員会の百から見てもやはり違法のものである、従つてこれについては通産省の方に意見を述べた、こういうふうにおつしやつております。しかしその結果として通産省がやつておられますことは、この綿紡カルテルの弊害をそう著しく減らしているものだとは思えないのであります。お話のようにきよういただきました資料によりましても、このカルテルによつて中小企業の倒産が相次いでいる。こういうことがはつきりいたしておりますし、これには載つておりませんが、このカルテルが行われましたために操短があり、その操短の結果は、そこに就職している労働者の首切りが大量に行われている、こういうこともはつきりしております。たとえば、これを口実に二万以上の女子工員が首切りになつておりますし、残つた労働者についても一人当りの持ち数がふやされております。会社側の統計を見ましても、一人一時間当りの綿糸生産高は、操短開始前の二月には五・九三ポンドであつたのに、操短を実施いたしました後の十二月には七・四六ボンドという形にふえております。こういうふうにそこに就職いたしておりまする人々の大量首切りが行われ、さらに第二回の首切りが行われようとしている。残つた者の中においても労働強化が歴然と現われている。これは会社の統計です。こういうような非常に大きな弊害が現われておるにかかわらず、ただ一ぺんの警告をなすつただけである。こういうことでは私たちとしてはいささかふに落ちないのですが、ただそれだけの問題でとどまりまするならばまだしも、これは栗田委員やほかの委員の方々が御心配になつておりましたように、結局カルテル認可についての認定と認可の力のバランスについて、それが将来どう行われて行くだろうかということを推定せしめる一つの原因になると思うのです。失礼ですが、公取と通産省との力の違い、こういうものが何かここにも出ているような感じがするですが、どうぞその点について、私たちが安心できるような御説明をいただきたいと思うのであります。
#123
○横田政府委員 この問題には実はもう一つ法律問題がからんでおるわけでございまして、綿紡操短につきましては、いわゆる紡績会社の合理化カルテルに基いて、あの操短が行われておるということになりますれば、何も一々通産省に申入れをいたしましたりする必要はないのでありまして、これはどんどん独占禁止法の規定に従いまして、そのカルテルをこわして行けばいいわけであります。ただ残念なことに、あの場合はその前提といたしましていろいろな話合いがあつたかもしれませんが、それは実は公正取引委員会においてはつきりした証拠をつかむことができず、結果において操短が続けられておりましたのは、通産省の非常に強い行政措置、勧告に基いておるものでございます。強いというのは、もしそれに従わなければ原綿の割当の資金を出さぬというきわめてこわい罰則が裏についておつて、業者としてはどうしてもそれに従わなければならないような形において勧告操短が行われたわけでございます。従いまして、この操短は業者のカルテルによるものではなく、通産省の行政措置によるものであるということになりますと、それをこわすためには、やはり通産省にいろいろな申入れをする以外には方法はないわけでございます。これは通産省を独禁法の対象にすることはできないのでございます。そこでわれわれといたしましては、独占禁止法上の事業者のいわゆる違反をそこに認めたかつたのでございますが、通産省に伺いまして、独占禁止法の精神に照してこういう操短がどこまでも続けられることははなはだおもしろくないということを申したわけでございます。もし今後不況のカルテルというものがはつきり法律の制度として認められますれば、これを許すか許さないかにつきましても、そういう制度が開かれます以上は正式に通産省と公取との折衝の問題になり、必要がある場合は認可をする。しかしその後に今申しました申入れをしなければならないような事態がもしございますれば、今度の規定によりますれば取消しもできる。単なる申入れなんということではなく、取消しの請求をして、事業上独禁法が働き得るような状態にもなし得る、こういうことになるわけでございます。
#124
○飛鳥田委員 今お話を伺いますと、だんだん横道にそれて恐縮ですが、二つの点が私の頭に浮んで来るのです。一つは、この勧告カルテルは実質的なカルテルをつくつておることは間違いないと思います。現に公取からいただきました「最近に於けるカルテル並にカルテル類似活動の状況」という資料を見ましてもはつきりいたしております。こういう現実にカルテル行為が行われておるものに、そのカルテル行為が行われる縁由が通産省の勧告であるからといつて手がつけられないものであるかどうか。この独禁法というものは現実に行われておるカルテル行為について取締りを行うものだと私は考えております。単に通産省の勧告の問題はそういう現実を形づくる上の一つの動機をなしておるにすぎない、こういうふうに見られるのではないか、従つてどしどしおやりをいただいてさしかえないのではないかと考えます。
 もう一つその点について御意見を伺いたいと思いますが、それは通産省の勧告だからしかたがないというお話でありますならば、今後もこの独禁法と別個にそういう行為どしどし行われて行くのではないか、これは今不況カルテルなり合理化カルテルなりができたから、そのルートをたどつて来るだろう、こういうお話ですが、たどつて来ないで通産省が独自の立場から再び勧告をどしどし繰返して行くならば、これを防ぐことはできないのではないか、こういう感じがいたします。そういたしますと問題は独禁法をつくつても、それは通産省を治外法権に置く、こういうことでしようか。
#125
○横田政府委員 お話の前段につきましては、私どもも独禁法上の法律問題といたしまして十分検討いたしました結果、先ほど申し上げましたような結論に達しました。化繊の場合には同じく通産省の勧告ではございましたが、その勧告はきわめて力の弱い、非公式なまた一応のわくをきめたというようなものでございまして、その中味は化繊協会が中心をなしまして業者がつくつたものでございますので、その点をとらえて審判の対象といたした次第でございます。
 なお今後もこういう制度ができても、通産省は勧告その他のことをやるのではないか、そうなれば公取としてもしようがないじやないかというような、話でございますが、こういう制度ができましても、なお通産省がこの条件に当てはまらない事柄について勧告をするということは、私としてはとうてい了解のできないことでございます。これは通産省の方に、そういう点をはつきりお聞きいただければわかると思うのでありますが、そういうことはない、またそのためにこそ独禁法にこういうはつきりした想定を置いたと私は了解しています。
#126
○飛鳥田委員 この点については公取の委員長に伺つておりましても、結局同様なお答えだと思いますので、後日通産大臣御出席のときたこれを伺うことにいたしまして次の問題に移らしていただきます。今度は、許可の条件について伺いたいと思います。不況カルテルの場合に云々、合理化の場合に云云、こういうふうにわけて規定をせられておりますが、現実に、純粋に合理化カルテルというものが存在するものでしようか。
#127
○横田政府委員 私は二十四条の四に規定しているような場合につきましては、合理化のためのカルテルというものがあり得ると考えております。
#128
○飛鳥田委員 合理化カルテルというものが、不況時でなく現われる場合を想定せられるのでしようか。
#129
○横田政府委員 もちろんさようでございます。
#130
○飛鳥田委員 それでは不況カルテルの場合の条件ですが、「特定の商品の需給が著しく均衡を失した」場合、こういう場合を少し具体的に述べていただけないでしようか。
#131
○横田政府委員 要するに生産が非常に進みまして、それに反して、それに対する需要が伴わないという結果、そこに非常な滞貨を生ずるというようなのが、一番この場合に考えております普通の状態だろうと思います。
#132
○飛鳥田委員 需要と供給がいつも一致していないというのは、これは資本主義社会において当然なことだと思うのですが、これが均衡を失した場合、今の御説明によりますと、供給の方が需要よりも多いというような御説明ですが、こんなことはざらにあることで、その都度カルテルを容認しておつたのでは、枚挙にいとまがないという形になると思います。そこで「著しく」と、こう書いてありますが、この「著しく」という意味をもう少し具体的にお話をいただきたいと思います。何なら特殊の例をおあげをいただいてもけつこうです。
#133
○横田政府委員 これは需要が供給の何割に達しているというような数字をあげて申し上げることは困難ではないかと思いますが、要するにそのアンバランスが相当な分量に達しました場合にこのカルテルが認められるのでありまして、今申しましたように、その需給が常に均衡を失して、そうして自由私企業制度のもとにおきましては、それによつて自然に需給のバランスがとれて行くというような点から申しますれば、均衡を失しただけでこのカルテルを認めるというようなことはもちろんないのであります。分量的にどの程度ということは、そうはつきりと申し上げられないのであります。
#134
○飛鳥田委員 分量的に述べられないとおつしやいますが、しかしこのカルテルを認めることによつて当然首切りが起るとか、あるいは中小企業の倒産が起るとかいうような非常な社会悪を惹起いたします。これは今のお話で毒薬のようなものだということでありまして、よくわかりますが、毒薬のようなものを認める場合に、相当の程度という形では私はまずいと思う。ともかくもある一定の期間を限つて見てみましても、でこぼこが非常に大きいと思うのでありますが、かような場合に何らか具体的な基準を御設定になる必要があるのではないか。もし具体的な基準を御設定にならずに、相当なということで、その都度認定をして行くということになりますと、通産省なり公取の主観的な考え方、慈恵によつて自由自在にカルテル政策が行い得るという結果になつて来ると思うのであります。この点について当然具体的な標準があるべきだと考えますが、いかがでしようか。
#135
○横田政府委員 実は数母的に幾らということは、なかなか申し上げにくいのでございますが、結局この二十四条の三のカルテルが評されます場合は、ただいま申されたのも一つの要件でございますが、そのあとにございます一号、二号、そういうようなものが合わさつて、初めて合理化不況カルテルを認めるということになつて参るのでございます。先ほどのお答えを繰返すようでございますが、分量は幾らであるということはあらかじめそう簡単に決定できないものと思います。
#136
○飛鳥田委員 そういたしますと、結局公取の主観的な認定ということにカルテル政策が依存をして行く、こういうことになると思います。同時にもう一つ重要なことは、これは栗田委員が鋭く指摘されたところでありますが、通産省の通産大臣による認可というところにもまた、通産省の主観が入つて来る、通産省のいわゆる経済政策が入つて来る余地がある。こうなりますと、主観と主観とがぶつかり合うという形になるのであります。むしろ混迷がそこに生れはしないか、こういうように私たちは考えます。もう少し具体的な、通産省も公取も相互にのつとつて行くことのできる具体的な基準をお考えをいただくわけに行かないものでしようか。
#137
○横田政府委員 この点は主観的と仰せられますが、しかしやはり一応ここに掲げておりますいろいろの条件は客観的なものでございます。ただそれを解釈いたします立場においていろいろな解釈があるわけでございますが、条件は客観的でございまして、決して主観的なものではないと考えております。
#138
○飛鳥田委員 この点についても、あまり議論をして参りますと、ほかの方の迷惑になりますし、ともかくこういう具体的でない規定の仕方を通じて法律の運用が通産省なり公取なりによつて自由自在に扱われて行く危険性がここに非常にある、こういうふうに私たちは考えざるを得ないのであります。
 そこで第二の問題ですが、商品の平均生産費ということが書いてありますが、それはどうして計算するのでありましようか。何らかの基準があるかないか、基準があればお示しいただきたい。
#139
○横田政府委員 この平均生産費の基準といたしましては、いろいろ算術平均、加重平均等ございますが、ここでわれわれが考えておりますのは、そういう量的な意味を加味いたしました加重平均、その当該事業の全体の加重平均生産費を下つておるという趣旨で解しております。
#140
○飛鳥田委員 そういう平均生産費というような問題のきめ方について、先ほど来申し上げて来ましたような、その企業々々における変更と申しますか、無計画増産をやつておつたとか、あるいは社内留保金をたくさん持つておるとか、あるいは利益金を配当してしまつたとかいうような、そういういろいろな要素を考慮せられないのでしようか。やはりここでも平均生産費を設定せられます場合にも、不況対策として合理化を認めるという精神から行けば、そういう諸要素を全部総合して行かなければいけないはずです。
#141
○横田政府委員 この生産費のとり方にはいろいろあるかと存じますが、要するにそのときにおきまするところの現実の各企業の生産費を加重平均にいたしまして、それによつてその価格が下つておるかどうかということを決定する、要するにそのときの状態でもつて見るというのが大体のこの趣旨でございます。
#142
○飛鳥田委員 そういたしますと、そのときの平均生産費を算術的に加重平均してみるというお話になりますと、ここでもも非常に大きな、企業によつて自由に動かされる分が出て来ないでしようか。
#143
○横田政府委員 これは学説的には、御承知の通り生産費の計算は非常にむずかしいものであるということを、私も存じておるのでございますが、しかし要するにこの条件につきましては、一応各企業から良心的な資料を出してもらいまして、われわれがこの条件にはまつておるということの納得が行つた場合に、初めてそのカルテルを認めるということになります。もちろんその場合にごまかし等があつてはならないのでございますが、そこはまたいろいろこちらの平生の調査なり、あるいはこの申請に際しての調査によりまして、そういう点を是正いたしまして、この点は厳格に見て参りたいと考えております。
#144
○飛鳥田委員 その次に、事業者の相当部分の事業が困難になるおそれがあると書いてありますが、このおそれというのはどうでしよう。
#145
○横田政府委員 これは現に相当部分の企業の継続が困難になつていれば、これはもうもちろんはつきりしておるのでございますが、またいなくてもそこまで行く蓋然性がはつきりしておるという場合に、他の要件も必要でございますが認めて参りたい、こういうことでございまして、要するにその困難に至る一歩手前と申しますが、その蓋然性が非常にある場合にカルテルを認めるということになろうと存じます。
#146
○飛鳥田委員 結局それは言葉の解釈だけに終つておると思うのですが、もう少し現実の経済界の状況をさして御説明いただけないでしようか。
#147
○横田政府委員 どうも例がはなはだ不適当かもしれませんが、たとえば何とか十社がありまして、それが生産をしておる、加重平均で、ある点が平均生産費ということがわかりますと、その結果、その中にはかなり合理的な中庸企業の生産費でも市価を下つておる、こういう状態が前段でございますが、その結果それより以下のいわゆる赤字を出しておる事業の中には、もうそろそろ継続が困難になつて行くものが現にあつて、それがだんだん上の方に波及して来て、相当部分にまで及びそうな状態というのがこの一号の気持でございます。この相当の部分でございますが、どこまで行けば相当の部分かということもやはり数字で三分の一とか四分の一とか、そういうことをいろいろ申し上げることは困難でございます。要するにそういう赤字によつてぽつぽつ倒れかかつて行くという状態が、上の方に波及して行くという状態をさしておるものと考えております。
#148
○飛鳥田委員 まだたくさん伺いたいのですが、栗田さんから関連質問があるそうですから……。
#149
○栗田委員 今不景気カルテルの問題がありましたので、関連して一点御質問いたしますが、私は生産数量の制限をしてもなお不況が克服できないということは結局生産数量の制限というか、あるいは共同操短というものが少いためである。そのために不況が克服できないのである、こういうふうに考えておるのですが、この点どうですか。
#150
○横田政府委員 第三項の価格カルテルの問題でございますか。
#151
○栗田委員 今の不況カルテルの対価の決定をやる場合に、あるいはいずれの場合でもいいのです。不況が克服できないということは、結局生産数量の制限があまりにも少いかあるいは共同操短の率が非常に少いか、これが私は大きな原因じやないか。
#152
○横田政府委員 その点は、まさにそういう場合があろうと存じます、非常にわずかな操短をしておいて、すぐに価格カルテルに移るということは、われわれは毛頭考えておりません。それは相当の操短をやつてみても、まだうまく行かないというような場合に、最後の手段といたしまして、対価の決定にかかわる共同行為をする、こういうことになると考えております。
#153
○栗田委員 ここでしからば、そうしておいて、操短率が少い、あるいは生産数量をもつと制限しなければならぬ。ところがそれをやらずに、この価格協定を認めると、すぐ生産数量を制限することが困難なんだということで、安易に価格協定をするというような危険があると私は思う。ここで対価の決定を認めるということになると、当然余つたものはダンピングをしてもいいのだということで、非常にこの場合において危険性があるということと、この場合においては、生産者のみに対価の決定というもの、いわゆる価格協定というのを認めておるけれども、生産者に対価の決定を認めるならば、商業部門においても、当然価格協定ということを認めなければ、独禁法の趣旨には反するけれども、生産部門にこれを認めるならば、市来部門にも当然これを認めなければならぬ、こういうふうに私は考えておるのですが、もちろん後者においては独禁法の趣旨には反するけれども、当然そうなければならぬと思いますが、この点はいかがですか。
#154
○横田政府委員 価格カルテルは、今仰せられましたような弊害を非常に伴いがちであります。従いまして、この法案においてもこの点をかなりしぼつて規定しておるのでございます。なおこのほかに、この条件をもつと広く認めてほしいとか、あるいは共同販売機構を認めてほしいというような、いろいろな考え方があるわけでございますが、われわれはこれだけの条件のもとに、初めて薬の中のまた少しきき目の強い薬というような意味で、この価格カルテルというものをよくよくの場合の最後の手段というふうに考えておるわけであります。
#155
○栗田委員 今の質問の、生産部面に価格カルテルを認めて、商業部門にこれを認めないということは片手落ちではないかということに対して……。
#156
○横田政府委員 この点は、確かにそういう面がございます。われわれはこの生産者側のカルテルを非常にしぼつて、なるたけそういう弊害のないように認めておるわけでございます。これは後にもございますように、関連事業者、その中には商社等がもちろん入ると思いますが、そこへしわ寄せがないように、これは商社のカルテル・カウンター・カルテルを認めるということはいたしませんでございましたが、関連事業の利益を不当に害するということになりますれば、このもとのカルテルそのものをやめさせるという方の点で、商社に不当なはね返りの行かないようにいたしたいと考えております。
#157
○飛鳥田委員 今の続きですが、「相当部分の事業の継続が困難となるに至るおそれ」、こういうおそれは、今まであるカルテル並びにカルテル類似活動、こういうものについて認められるでしようか、認められないでしようか。今いただきました資料によつても綿紡績から砂糖に至るまで十の例が並んでおりますが、この十の用例において、相当部分の事業の継続が困難になるおそれがあるかないか。
#158
○横田政府委員 これは実は私もまだ内容をよく見てないのでありますが、今までカルテルあるいはそれに準ずるものがあると思われまするものを一応ここにあげたわけでございますが、この中のどれについて、現にこの「且つ」以下のような条件が備わつているかというようなことにつきましては、ここではつきりとお答えはむずかしいと思いますが、非常に設備を拡張し過ぎましたような部門につきまして、この不況の結果、一番コストの悪い非生産的な、能率の悪い企業がほとんどつぶれかかつておるというような例は多少あるようでございます。しかもそういうもののつぶれることまでも、一番低能率のものまでも助ける意味で不況カルテルを認める意味では全然ないのでありまして、相当部分の事業の継続が困難となるおそれと申しまするのは、そういう一番条件の悪いものはつぶれてしまつてもやむを得ない、その上部の方にそれがだんだん波及するまでにならないところでカルテルのある種の行為を認めて参りたい、こういうわけでございまして、現にこの中のどれにそういうものがあるかということは、今ここではつきり申し上げかねます。
#159
○石村委員 ただいまの相当の事業の継続という事業の問題ですが、それは原料、製品の場合、にその事業そのものの相当なる事業の継続ということをお考えになるのですか。たとえば綿紡なんかのように、綿糸の操短をやつて価格を維持するということはそれによつて、綿紡績会社はそれでよいでしようが、その製品によつてつくる下の中小企業の連中は原料は高くて製品は安いということができて、その事業はかえつて継続ができなくなるということがあるわけなのです。また事実綿糸においてはそういう事実が起つて、たいへんな弊害を起していると私は考えるわけなのですが、そういうことも顧慮せられてカルテルの認可をなさるのですか、ただ綿糸なら綿糸だけの事業の継続という観点のみでおやりになるのでありますか。
#160
○横田政府委員 この一号にございますのは、当該生産業のその継続の困難ということが要件としてあげられておるわけであります。御承知のようにこういうカルテルは、たとい不況カルテルでございましても必ずそれは関連産業なりに影響を与えて、関連産業の方でもまたカルテルを結成しなければならぬような状態が出て来るわけでございます。そういうことになつて参りますると、カルテルのいわゆる普及性と申しますか、その及ぶところはだんだん広くなりまして、最後には一般消費者がそのしわ寄せを更けるということになる。そこにカルテルのはなはだおもしろくない面がございますので、従いまして今仰せられましたような関連産業の方に影響を及ぼします場合につきましては、御承知の中小企業安定法におきまして、いわゆる一種のカウンター・カルテルと申しますか、そちらの方の事業の継続をはかるというようなためのカルテルの制度もございます。しかしそれだけにまかせてはおけませんので、そういう関連産業の利益を不当に害するということになりますと、このもとの方の生産業者のカルテルそのものもやめさせる、こういうことによつてカルテルの弊害を除去して参りたいというのが本法案を通じての考え方でございます。
#161
○飛鳥田委員 お話を伺つておりますと、結局抽象的な御議論だけが残つて来るのでありまして、ここでも事業の継続が困難になるに至るおそれという、このおそれの認定の仕方いかんによつてはどうにでもなるものがある、このおそれという言葉の解釈の中に、通産大臣の考えておられるカルテル化助成政策がはつきりと顔を出して来るおそれがあるのではないかと思います。それこそおそれがあると思います。そういう意味で、もう少し具体的な規定の方法というものはできなかつたものでしようか。
#162
○横田政府委員 これはたとえば非常に困難となることが必至であるとか、あるいはまた現に困難となつているとかいうふうにすれば――それにしましてもいろいろまた解釈があると思いますが、そうなりますとまたあまりに厳格過ぎまして、せつかくの不況カルテルがやはり手遅れになるという面もないではないのでございまして、こういう言葉は、なるほどある意味では非常に幅があり過ぎるとも思いますが、そこにまた運用のいかんによつてその薬を適当に生かして行くという面もあるように思われます。
#163
○飛鳥田委員 このどの部分まで行くべきかということについて、各省の間で意見の違いがあつたように思いますが、この点はどうでしようか。
#164
○横田政府委員 この点は、多少条文化の過程におきまして各省の間に意見の相違がございましたことは、お手元に差上げました「独禁法改正案に対する各省意見」の中に、「中況カルテル認容の要件をどうするかの問題」という点がございまして、この原案は、われわれあるいは経済審議庁、あるいは大蔵省、運輸省等が大体この線でよろしいということでございます。通産省の方では、そこにございますように、生産費が市価よりも低落するおそれがある場合にも認めるべきであるというような線が出て、これよりはややゆるやかではないかと思います。多少の意見の相違はございました。
#165
○飛鳥田委員 そういたしますと、こういうおそれという言葉で述べられておりますが、依然として各省の意見の対立というものは、このおそれをどう解釈するかという形で残つているという意味ですか。
#166
○横田政府委員 ここで非常に重要なことは、「平均生産費を下り、」ということは、これは一つなんです。平均生産費を下るおそれではないのであります。この点は、この条文ではつきりいたしまして、通産省の方は、どちらかといいますと、生産費が市価よりも低落するおそれがあつた場合でもいいじやないかというような点で、そこに非常に大きな違いがあるように考えられます。もちろん下の方の解釈についても、これを広く解釈する立場と狭く解釈する立場があるかと思いますが、重要な点は、前段の方に多少の意見の違いがあつたという点でございます。
#167
○飛鳥田委員 そういう違いが、再びこの「おそれ」という言葉の解釈の中に顔を出して来るおそれがないかということを伺つてているだけなんです。しかしこれはお話を聞いておりましてもきりがありませんから、続いて第二十四条の四の三号に移ります。ここに不当に一般消費者及び関連事業者の利益を害する、こう書いてありますが、一般消費者及び関連事業者の利益という言葉の中には、先ほど申し上げたように、操短によつて首切りが行われるという場合の労働者の関係、こういう問題は含まれておりませんか。
#168
○横田政府委員 そういう労働関係の問題は、間接的にはいろいろ重大な影響があることでございまするが、第二号で考えておりますのは、生産される物資を現実に消費いたします最終消費者と申しますか、一般の消費者と、それからそのつくられますものを扱います事業者、あるいは曲段階におきまする原料を供給する関連事業者というふうな、そういう事業者及び一般消費者を考えておるのでございます。
#169
○飛鳥田委員  そういたしますと、「不当に」ということは、先ほども御質問があつたと思いますが、どうもよくわからなかつたのです。もう少し具体的に、ひとつどの程度までが不当であるかということを……。
#170
○横田政府委員 これはどの程度に達すると不当になるかということは、いわゆるケ―ス・バイ・ケ―スでありまして、一概に申し上げられませんが、要するにこの不当という字を入れましたのは、不況の対策、市価安定のためとは申せ、こういう非常手段によりまして、ある程度市価を引上げるわけでございますから、それが当然に関連事業の利益を害する、ひいては一般消費者の利益を害するということは、そういう意味においてはもうやむを得ないことなんでございますが、しかしそれが度を越して参りますと、こういう不況のための程度を越しまして、これらの人々の利益を害するということになるわけでございますので、そこの調節をはかる、こういう意味におきまして、不当という言葉を用いたわけでございます。
#171
○飛鳥田委員 まだ実はかなり伺いたいことがありますが、皆さん大分お疲れでございますが、よろしゆうございますか。
#172
○佐伯委員長  ちよつと速記をやめて。
    〔速記中止〕
#173
○佐伯委員長 では速記を始めてください。
 本日はこれにて散会いたします。次会は明日午前十時より理事会を、十時半より委員会を開会いたします。なお当日は本会議がありますが、午後も引続き委員会を開きたいと存じます。御了解をお願いいたします。
    午後四時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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