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1947/06/11 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 財政及び金融委員会 第37号
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1947/06/11 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 財政及び金融委員会 第37号

#1
第002回国会 財政及び金融委員会 第37号
昭和二十三年六月十一日(金曜日)
    午後一時四十分開議
 出席委員
   委員長 早稻田柳右エ門君
   理事 泉山 三六君 理事 塚田十一郎君
   理事 島田 晋作君 理事 中崎  敏君
   理事 梅林 時雄君 理事 吉川 久衛君
      青木 孝義君    淺利 三朗君
      石原  登君    島村 一郎君
      苫米地英俊君    宮幡  靖君
      赤松  勇君    川合 彰武君
      佐藤觀次郎君    田中織之進君
      林  大作君    金光 義邦君
      中曽根康弘君    長野 長廣君
      細川八十八君    内藤 友明君
      本藤 恒松君    堀江 實藏君
      河口 陽一君    本田 英作君
 出席政府委員
        大藏政務次官  荒木萬壽夫君
        大藏事務官   平田敬一郎君
        復員事務官   荒尾 興功君
 委員外の出席者
        專門調査員   氏家  武君
    ―――――――――――――
六月九日
 未復員者給與法の一部を改正する法律案(内閣
 提出)(第九八号)
 たばこ專賣法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第九九号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 所得税法の一部を改正する等の法律案(内閣提
 出)(第九三号)
 取引高税法案(内閣提出)(第九四号)
 未復員者給與法の一部を改正する法律案(内閣
 提出)(第九八号)
 たばこ專賣法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第九九号)
    ―――――――――――――
#2
○早稻田委員長 会議を開きます。
 先般本委員会に付託になりました所得税法の一部を改正する等の法律案及び取引高税法案を一括議題といたします。まず政府の説明を求めます。
    ―――――――――――――
#3
○荒木政府委員 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する等の法律案外一法律案につきまして、提案の理由を説明いたします。
 政府は、最近における賃銀、物價等経済諸情勢の推移に即態して、國民の租税負担を調査、合理化するとともに、財政需要に対應して、租税收入を確保する等のため、税制の全般にわたり改正を加えることといたしたのであります。すなわち今次の税制改正にあたりましては、租税の中枢たる所得税につきまして、賃銀、物價等の変動に伴う所得状況の推移、課税の実情に照らし、財政事情の許す限り負担を軽減するため、基礎控除、扶養控除及び勤労控除を相当程度引き上げるとともに税率を大幅に引き下げることといたしたのでありまして、勤労所得者等の負担はこれにより著しく軽減されることとなるのであります。また法人税につきましては、産業の振興、外資の導入、株式の大衆化等に資する見地から、法人税について所要の改正を行うことといたしたのであります。
 次に物價の変動に即態して、間接税中從量課税の酒税、清涼飲料税、砂糖消費税、マツチ、あめに対する物品税並びに定額税率による登録税、印紙税等につき相当の増徴を行うことといたします反面、物品税を課せられる物品中、負担過重と認められる特定の物品について税率の調整等を行うことといたしました。なお、最近における徴税の実情に顧み、加算税、追徴税罰則等に関する規定を整備強化するとともに、直接國税に関する調査権限の拡充等を行うことといたしたのであります。
 さらに政府は、今回あらたに取引高税を創設することといたしたのであります。すなわち経済情勢の変動に即態して租税收入を確保し、財政の基礎を堅実ならしめますとともに、これより所得税、法人税の減收の一部を補填するため、取引高税を創設し各取引段階に対し百分の一程度の課税を行うことがこの際適当であると考えられるのであります。
 なお、地方財政の確立に資するため、今回狩猟免許税を地方に委讓し入場税もこれを地方に委讓する方針であります。
 次に、各税に関する改正の大要について申し上げます。まず、所得税でありますが、先程も申し上げました如く、賃銀、物價等の変動、課税の実情に照らし負担の軽減を図ることに重点をおいて、所要の改正を行つたのでありまして、物價の改訂が勤労所得者等に加える重圧は、これにより相当程度緩和される見込であります。所得税の負担の軽減を図るための措置といたしましては、まず第一に、税率を大幅に引き下げることといたしました。すなわち所得税の現行税率は最近における名目的所得の増嵩等に顧みるときは相当重くなつておりますので、最低税率現行一万円以下の金額百分の二十を二万円以下の金額百分の二十とし、順次税率の引き下げを行い、最高税率現行百万円を超える金額百分の八十五を五百万円を超える金額百分の八十といたしたのであります。百分の五十の税率は現在は五万円を超える金額であるのが改正後は二十万円を超える金額となるのでありまして、相当大幅な引き下げを行つているのであります。
 第二に、給與所得の計算についてその收入金額から控除する金額を現行の五万円までの金額の十分の二・五から十五万円までの金額の十分の二・五に引き上げることといたしたのであります。從いまして控除額の最高限度は、一万二千五百円から三万七千五百円に引き上げられたのであります。
 第三に、基礎控除額を現行年四千八百円すなわち月四百円から年一万五千円即ち月千二百五十円に引き上げたのであります。なお基礎控除につきましては、同居親族のうちに事業等所得を有する者と、給與所得を有する者とがある場合における負担を軽減するため、事業等所得の金額及び給與所得の金額からそれぞれ基礎控除を行うことに改めたのであります。
 第四に、扶養親族の控除額を現行扶養親族一人につき年四百八十円すなわち月四十円から年千八百円すなわち月百五十円に引き上げたのであります。而して、給與所得に対する源泉徴收につきましては、六月十五日以後の支給に係る給與から、右の勤労控除、基礎控除及び扶養控除の改正規定を適用することといたしております。これに対應して、昭和二十三年分の課税にあたりましては、さきに申し述べました給與所得の控除は收入金額五万円までの金額の十分の二・五と、五万円を超え十五万円までの金額の十分の一・三五四に相当する金額との合計額、その最高額は二万六千四十円とし、基礎控除は年一万三百二十五円とし、また扶養控除額は年千百九十五円といたしておるのであります。今回の改正により扶養親族三人の場合の所得税の負担を御説明いたしますと、給與所得者については給與月額四・五一一円程度以下の者、事業所得者については、昭和二十三年分の課税について申しますれば、所得年額二万八千二百五十円程度以下の者は、それぞれ課税されないこととなるのであります。また給與所得者については、給與月額五千円の者の現行負担は千一円であるのが改正後は九十一円、となり給與月額一万円の者の現行負担は三千七百三十六円であるのが、改正後は千百九十五円となるのでありますし、また事業所得者については、昭和二十三年分の課税について申しますれば、所得年額五万円の者の現行負担は一万三千百五十円であるが、改正後は五千二百三十三円となり、所得年額十万円の者の現行負担は四万三十八円であるのが、改正後は二万千三百一円となるのでありまして、それぞれ相当負担の軽減と相成る次第であります。
 その他、所得税につきましては、外國人及び外國法人に対する利子所得、配当所得等の税率を、内國人及び内國法人と同樣百分の二十といたしました外、簡易税額表の適用を受ける者の範囲を、所得金額二十二万円以下の者にまで拡張し、大多数の所得者の税額計算の手数を省略するとともに、予定申告書及び確定申告書の提出を要しない者の範囲を拡張する等の改正を行つたのであります。また、源泉徴收額表中一部の表を省略することとし、賞與等の給與所得に対する源泉徴收額表の税率の適用を、給與所得に対する年末調査の場合の負担を考慮して、若干程度引き上げることといたしたのであります。なお当分の間、所得金額のうちに、配当所得があるときは、所得税額から配当所得の百分の十五に相当する金額を控除する特例を設けることとし、証券の民主化に資することといたしました。
 次に法人税でありますが、さきにも申し述べました如く、産業の振興外資の導入等に資する見地から負担の調整を図るのを目標といたしたのであります。まづ税率でありますが、最近における法人課税の実情、資本と所得との間の不均衡等を考慮いたしまして、超過所得の階級区分を引き上げ、又税率引き下げたのであります。すなわち現行資本金の一割超過額百分の十を、三割超過額百分の十に、二割超過額百分の二十を、五割超過額百分の十五に、三割超過額百分の三十を、十割超過額百分の二十に、それぞれ引き下げることといたしました。これと同時に今回資本に関する法人税は、現在その実益に乏しいことを考慮いたしまして、これを廃止することといたしました。また外國法人に対する普通所得の税率、現行百分の四十五を、内地法人と同樣百分の三十五に引き下げ、外國法人を内地法人なみに取扱うことといたしましたのであります。なお、同族会社に対する加算税の税率につきましても、所得税の税率の引き下げに対態せしめるため、所要の改正を行うことといたしたのであります。
 次に特別法人税法を廃止いたしまして、特別法人に関する規定を法人税法に統合することといたしたのであります。ただ特別法人に対しましては、從來通り事業分量に應ずる配当はこれを損益に算入することといたしました外、当分のうち普通所得に対する税率を、一般の法人に比し百分の五軽減することといたしました。さらに法人税の課税の充実徹底を図るため、必要に應じ納税地を指定して、営業の事業上の中心地において課税する途を開くこととし、併せて支店等の所轄税務署長等に、当該支店等の調査を與えることといたしました。なお、法人が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律等に基き、株式その他の資産を処分した場合の、課税上の特例に関する規定を、租税特別措置法に新に設けることといたしました。
 次に、有價証券移轉税につきましては、有價証券のうち株券に対する税率をこの際増徴して、千分の二乃至千分の八程度といたしたのであります。なお企業再建整備法等に関連して、有價証券移轉税を課さない特例を設けることといたしました。
 次に相続税につきましては、課税價格に算入しない少額贈與額の限度を、現行千円から三千円に引き上げ、その他の免税点についても相当程度の引き上げを行うとともに、年賦延納を求めることができる税額の限度を、現行一万円から三万円に引き上げ、納税の困難でないと認められる者に対しては、延納年限の短縮、延納年割額の変更等をなし得る等の規定を設けることといたしたのであります。
 次に通行税につきましては、現行一粁につき一等四銭、二等二銭、三等五厘の從粁税でありますのを、今回料金の百分の五の從價税率に改め、急行及び寢台料金の税率を、一律に百分の二十といたしたのであります。なお二十粁以下の三等乘客に対する非課税規定は、これを廃止いたしましたが、三等定期券についてはその性質に鑑み從來通り非課税といたしております。
 次に酒税でありますが、財政需要の現状、物價の現状に顧み、清酒については、一升びん詰の小賣價格、一級酒現行二百九十五円を四百五十円程度に、二級酒現行二百四十円を三百五十円程度に、麦酒につきましてびん一本の小賣價格現行四十一円五十銭を七十円程度に、それぞれ引き上げる程度の増徴を行うとともに、その他の酒類についても品質に應じ税負担に差等を設けて、これに準する増徴を行うこととし、又、特別價格で販賣する酒類の價格につきましても、一級清酒現行六百円を九百円程度に、二級清酒現行五百四十円を七百五十円程度に、麦酒びん詰一本当り現行百一円五十銭を百五十円程度にそれぞれ引き上げ、総税額において平年度五割程度の増徴を図ることといたしました。
 清涼飲料税につきましては酒税の増徴に対應して第二種サイダーの税率を、一石について現行六千九百円を九千五百円に引き上げ、その他の清涼飲料についても同程度の税率の引き上げを行うことといたしました。
 次に砂糖消費税につきましては、税率の区分を簡素化するとともに、第二種分密糖に対する税率を、百斤につき現行千五十円又は千八十円を二千二百円に引き上げ、その他の砂糖、糖密及び糖水についても、同程度の税率の引き上げを行うことといたしました。なお、輸入砂糖等については砂糖消費税を非課税とする等の規定を新たに設けることといたしました。
 次に物品税につきましては、最近における物價の状況等に即態し、從量課税の税率を引き上げることとし、マツチについては十割程度、あめ類については五割程度の税率の引き上げを行うことといたします反面、第一種の物品中、負担過重と認められる特定の物品、すなわち時計、文房具、漆器、陶磁器、電球類、ミシン等につき、税率を一段階引き下げるとともに、課税最低限の引き上げを行うことといたしました。なお、食糧配給公團の配給する葡萄糖等であつて、主食強制代替配給のものに対する物品税を免税する規定を設けることといたしました。
 なお、登録税のうち定額税のもの、印紙税、取引税及び骨牌税につきましても、それぞれ物價の変動に即態して税率の引き上げを行うことといたしたのであります。
 以上申し述ベましたほか、今回改正しようとする二・三の点について申しますれば、まず直接國税に関する犯則事件の調査を強力かつ迅速に行い、課税の徹底を期するため、收税官吏の調査権限を拡充強化するとともに、國税の課税標準の申告をしないこと、國税の徴收又は納付をしないこと等をム動し、又は強要して者を処罰する規定を設けるため、間接國税犯則者処分法を改正して、国税犯則取締法を制定することといたしたのであります。なお関税法の犯則事件に対する罰則等の規定を整備することといたしました。その他所得税、法人税等各税にわたり加算税、追徴税罰則等の規定を整備強化するとともに、國税徴收法の延滯金を引き上げ、あらたに國税の過誤納金に還付加算金を附することといたしたのであります。また土地の賃貸價格の一般的改定は、諸般の事情を考慮し、一年延期することといたしました。
 次に取引高税について、その大要を申し上げます。さきにも申しました通り、所得税及び法人税の軽減による減收の一部を補填し、財政の基礎を堅実ならしめるため、諸外國にも多く実施されている取引高税をこの際創設することが適当であると考えられるのであります。即ちこれにより極めて低い税率で相当額の税收が、物價その他の経済情勢の変動に應じて確保されることとなり、特に國庫收支の時期的調整を図る上からも、きわめて必要であると考えられるのでありまして、財政需要の著しく増大している現状におきましては、本税の創設は眞にやむを得ないものと考えるのであります。
 さて、取引高税の内容につき主たる点を申し上げますが、本税はこの法律の施行地において、営業者が営業として行う取引に対し課税するのであります。その営業の範囲は、物品販賣業、製造業、銀行業等おおむね從來の営業税を課税していた四十種目であります。又営利を目的としない法人が、右に申し述べました営業と同種の事業を行う場合におきましても、取引高税を課税することといたしております。本税は廣く一般的に課税する所に特徴がありますので、非課税のものはできる限り認めないのを適当とするのでありますが、主要食糧の製造販賣、小学校、中学校の教科用図書の発行又は販賣、國が價格調整補給金を交付する重要物資の取引、自己の收穫した農産物、林産物、水産物の販賣又はこれを原料として製造した物の販賣、輸出取引等には、本税を課税しないことといたしております。
 取引高税の納税義務者は、取引の対價として取引金額を領收する営業者でありまして、その課税標準は、取引の対價として領收する金額といたしております。すなわち、物品販賣業にあつては、賣上金額であり、問屋業、代理業等にあつては、手数料又は報酬金額といたしております。また、銀行業にあつては、貸付金利息、手形割引料、手数料等であり、保險業にあつては拂込保險料額のうち、生命保險の場合においては百分の七十五に相当する金額を、その他の保險の場合においては百分の三十に相当する金額を控除することといたしております。なお、その他の営業にあつては、その取引から生ずる收入金額を課税標準といたしております。本税は、以上申述べた取引金額に対し百分の一の税率により課税することといたしているのであります。すなわち、取引の各段階ごとに百分の一のきわめて低率で課税するのでありますから、物價等へ及ぼす影響はさしたるものではないと考えられるのであります。
 次に取引高税の納付方法でありますが、本税は原則として取引高税印紙をもつて納付することといたしたのであります。すなわち、営業者等は取引金額を領收の際、その税額に相当する金額の印紙を消印して、これを取引の相手方に交付しなければならないのであります。但し、五十円未満の取引等については手数の点等を考慮して、三箇月毎に一括現金納付の方法によることといたしております。なお一取引の取引金額が一万円以上の取引につきましては、受領書に印紙を貼用して消印する方法によることにいたしたのであります。しかして営業者等は毎三箇月分の取引金額及び税額等を記載した申告書をそれぞれ三月十日、六月十日、九月十日及び十二月十日までに、政府に提出しなければならないのであります。銀行業、信託業、保險業、電氣供給業、ガス供給業、運送業中鉄道業、海運業、公團につきましては、申告及び納付に関して特例を設けまして、毎月分の取引金額及び税額を記載した申告書を翌月十日までに提出し、申告と同時に納付することとし、一般の申告納税の方法を採用することといたしたのであります。
 なお、取引高税の印紙による納付を確実ならしめる措置といたしまして、二、三の規定を設けているのであります。すなわち、一面印紙購入通帳制度を設けて営業者の印紙購入及び使用の実績を常時明らかならしめるとともに、他面学校、社会事業、保護施設の職員は、生徒等の組織する團体が、交付された印紙を政府に提出したときは、政府は、当該印紙の額面額一円以下のものについては百分の五、二十円以下のものについては百分の三、二十円を超えるものについては百分の二に相当する金額の交付金を交付することといたしたのでありまして、これにより印紙による納税を確保する一助とした次第であります。
 以上各法律案につきその大要を申し上げたのでありますが、昭和二十三年度の租税及び印紙收入の総額は二千六百三十二億円余に上り、総歳入中租税の占める地位は六六%というように、決定的に重要となつているのであります。その各税につきまして、本年度の收入額を申し上げますれば、所得税は一、二八三億六千百万円で全体の四八%、法人税は一三〇億円で全体の五%酒税は四五七億七千六百万円で全体の一七%、物品税は一七五億八百円で全体の七%に達するのであります。また取引高税の本年度の收入額は約二百七十億円であります。
 今翻つて昭和二十二年度の租税收入の状況について申し述べまするに、昨年末以來國会を中核として租税完納運動が全國にわたり展開され、民官あげて徴税の確保に勢力した結果、徴税の成績は本年一月以降著しく良好となり、四月末日までに昭和二十二年度の予算額一三五四億円を若干上廻る程度の税收を確保し得たのであります。しかしてかような徴税の促進により通貨の増勢は著しく抑制されインフレーシヨンの進行を阻止するのに多大の寄與をなし得たのであります。この成果は國民の深き協力と理解とによるものでありまして、まことに慶賀に堪えないところであります。
 本年度におきましては、さきにも申し述べました通り所得税、法人税を中心として相当程度負担の軽減を図ることとしたのでありますが、國民生活が一般に相当窮迫している実情に顧みるならば、中央及び地方を通ずる國民の租税負担は必ずしも軽くはないのであります。しかも二千六百三十二億円に上る租税收入を確保することは、経済再建の基盤をなす財政收支の均衡を図るために不可欠の要請でありますから、この際全國民が租税の完納につき一般の努力をいたされたいのであります。
 政府といたしましても、國民所得の分布が激変しつつある現状におきまして、租税負担の公正を図りつつ租税收入を確保するため、急速に徴税機構を整備強化し、税務の運営面を刷新改善して、特に大口利得者等の課税の充実に努力し、負担の適正を期するとともに、國民の納税に関する認識の普及徹底に努める所存であります。國民各位もまた、この際租税を完納し、インフレーシヨンの防止に寄與せられるよう切望するものであります。
 何とぞ御審議の上速やかに賛成せられるよう切望してやまない次第であります。
    ―――――――――――――
#4
○早稻田委員長 次に昨日これも本委員会に付託になりました、たばこ專賣法の一部を改正する法律案、これを議題といたしまして、政府の説明を求めます。
    ―――――――――――――
#5
○荒木政府委員 ただいま議題となりましたたばこ專賣法の一部を改正する法律案について提案理由を説明いたします。
 たばこ專賣益金の確保を図るためには、あらゆる方法を講じてたばこ專賣法の違反行為を防止しなければならないのであります。これがため法制的の面につきまして第一に罰則を強化する必要があるのでありまして、專賣益金に直接影響を及ぼすところの、いわば最大の犯則につきましては、從來同法は、最高刑として五万円の罰金が科せられることになつておるのでありますが、最近の経済情勢と他の法令との権衡も考え、さらに体刑も科しなければ、これが徹底は期しがたいと考えられるのであります。
 第二に、ヤミ撲滅のためには、その根源において、これが防止を図らなければならないことは申すまでもないことであります。すなわちたばこ耕作者の耕作する葉たばこにつき、これを政府に完納せしむることが肝要でありまして、これがため從來とつていた措置としましては、収穫前における収穫量目の査定に止まつていたのでありますが、この措置だけでは正確を期することができませんので、葉たばこの葉数を檢査決定するとともに、その査定数量の葉たばこを納付しない場合における追懲金額を引上げ、もつて収穫葉たばこの完全收納を期する必要があります。
 次に第三の措置としまして、私製たばこを根絶せしむるためには、その原料である葉たばこのみならず、たばこ苗や、たばこ種子についても取締を徹底させるとともに、密製造のおそれのあるたばこ用の機械についても、これを使用させないようにする必要があるのでありまして、これらの点につき現行法の不備を是正しなければならないのであります。
 なお、以上のほか酒税法、物品税法等とともに收入確保の見地から、未成年者等についても、直接、行為者を処罰することができるようにするために、このたばこ專賣法の一部を改正する法律案を提案した次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに御賛成あらんことをお願いいたします。
#6
○早稻田委員長 この際暫時休憩いたします。
    午後二時十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時十六開議
#7
○早稻田委員長 休憩前に引続きまして会議を開きます。未復員者給與法の一部を改正する法律案を議題とし、政府の説明を求めます。
    ―――――――――――――
#8
○荒木政府委員 このたび本國会に提出いたしました未復員者給與法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げ、各位の御審議をお願いいたしたいと存じます。
 未復員者に対する給與につきましては、第一回國会で御賛成いただきました未復員者給與法に定められたところに從つて実施いたしておるのでありますが、この法律によるいろいろな給與の定額は、法律制定当初定められ、昨年七月以降今日までそのまま適用せられている金額でありまして、昨今の物價事情に鑑みまして適当でない点も生じてまいりましたので、扶養手当につきましては、扶養親族一人当り現行月額百五十円を、政府職員に対するものと同樣約五割増の二百二十五円に引き上げ、又帰郷旅費につきましては、現行三百円を五割増の四百五十円に引き上げ、さらに遺骨引取旅費現行二百七十円は八百円に、遺骨埋葬費現行三百十円は千円に、それぞれ約三倍程度に引き上げまして、昭和二十三年四月一日以後、給與事由の生じた給與について適用いたしたく存じましてこの法律案が提出された次第であります。
 この改正のために要する増加予算額は、昭和二十三年度約六億六千万円でありまして、それは本年度本予算に計上せられることとなつております。五月からはソ連地区からの復員輸送も開始せられているような状況でありまするから、かたがたこの際、本案につきましては何とぞ速やかに御賛成をお願いいたしたいと存じます。
#9
○早稻田委員長 本日はこれをもつて散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○早稻田委員長 それではこれをもつて散会いたします。
    午後二時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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