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1953/07/04 第16回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第016回国会 本会議 第17号
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1953/07/04 第16回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第016回国会 本会議 第17号

#1
第016回国会 本会議 第17号
昭和二十八年七月四日(土曜日)
 議事日程 第十六号
    午後一時開議
 第一 戦争犯罪による受刑者の特赦についてのフランス共和国に対する感謝決議案(益谷秀次君外三十九名提出)(委員会審査省略要求事件)
 第二 戦争犯罪による受刑者の特赦についてのフイリピン共和国に対する感謝決議案(益谷秀次君外三十九名提出)(委員会審査省略要求事件)
 第三 農産物検査法の一部を改正する法律案(金子與重郎君外七名提出)
 第四 昭和二十八年四月及び五月における凍霜害の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案(内閣提出)
 第五 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 産業労働者住宅資金融通法案(内閣提出)
 第七 北海道防寒住宅建設等促進法案(瀬戸山三男君外三十八名提出)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 議員請暇の件
 岡崎外務大臣のM・S・Aの経過についての報告
 右の報告に対する質疑
 日程第一 戦争犯罪による受刑者の特赦についてのフランス共和国に対する感謝決議案(益谷秀次君外三十九名提出)
 日程第二 戦争犯罪による受刑者の特赦についてのフイリピン共和国に対する感謝決議案(益谷秀次君外三十九名提出)
 日程第三 農産物検査法の一部を改正する法律案(金子與重郎君外七名提出)
 日程第四 昭和二十八年四月及び五月における凍霜害の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案(内閣提出)
 日程第五 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 産業労働者住宅資金融通法案(内閣提出)
 日程第七 北海道防寒住宅建設等促進法案(瀬戸山三男君外三十八名提出)
 国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律案(議院運営委員長提出)
 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 国会閉会中委員会が審査を行う場合の委員の審査雑費に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 らい予防法案(内閣提出)
    午後一時三十五分開議
#2
○議長(堤康次郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(堤康次郎君) お諮りいたします。議員中曽根康弘君から、政治、経済、国防研究のため渡米するにつき七月四日から今会期中、議員竹谷源太郎君、同吉川兼光君及び同伊藤好道君から、ストツクホルムにおいて開催の社会主義インターナシヨナル第三回大会出席及び欧州各国視察のため七月八日から今会期中、いずれも請暇の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。
     ――――◇―――――
#5
○議長(堤康次郎君) 外務大臣から、MSAの経過について報告のため発言を求められております。これを許します。外務大臣岡崎勝男君。
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
#6
○国務大臣(岡崎勝男君) 米国相互安全保障法の援助につきまして、ただいまのところまでの経過等を御報告申し上げます。
 アメリカが戦時中並びに戦後を通じまして世界の各国に与えた援助は、あるいは武器貸与法により、あるいは経済協力法により、またあるいは相互防衛援助法により、さらに一九五一年には相互安全保障法によつて実施して来たのでありますが、一九五一年以後は、もつぱらこの相互安全保障法、いわゆるMSAによつての援助に統一されていると言えるのであります。このMSAは自由諸国に与えられる援助を規定しておりますが、日本は、昨年四月まで占領下にありましたので、MSAの適用を受けることがなかつたのであります。しかるに、講和条約発効後、独立国としてMSAの援助を受け得る国の一つとなりましたので、一九五三年から五四年に至るアメリカの新会計年度におきまして、MSA援助を日本にも供与することを目標として米国の予算は編成され、目下これが米国議会において審議中であります。
 米国国務長官ダレス氏は、五月五日に、上下両院合同委員会におきまして、予算の説明の一項に、日本に対する援助も計上してある旨を言明いたしておりまするが、またさらに六月十二日、当地におりまするアリソン米国大使は、日米協会の席上、MSA援助を受けるやいなやは今後日本の決定次第であると述べております。日本政府としましては、これらアメリカ当局者の言明または発表されました米国議会における予算の討議等について慎重に検討を加えるとともに、MSAの法的解釈、実際の適用、各国に対する適用の実例及び日本に適用せられた場合の影響などの点につきまして、あらゆる角度から慎重に調査研究をいたして来たのでありまするが、結論といたしましては、もしMSAの援助が日本の国内治安の維持に貢献し、また日本の経済安定に寄与するものであるならば、日本の法規の規定する範囲内においてMSAの援助を受けることが望ましいと考えるに至りました。しかしながら、MSAの法規の解釈、アメリカ側の意図等については、さらに米国政府の公式の見解を求めることが必要だと考えまして、すでに発表いたしました通り、六月二十四日に当方の質問書を提出いたしまして、これに対し、二十六日に先方から回答を受領したのであります。この質問書も回答も、すでに公表してありまするし、御承知のことと思いまするが、念のため、これに関する政府の考え方を申し上げたいと思うのであります。
 質問書の方は、第一に、日本に援助が与えられる場合には、日本政府は、この援助によつて国内の治安と防衛とを確保することを得れば援助の目的は十分達成せられたと了解するがいかんというのが第一であります。第二は、日本の防衛能力が考慮される場合には、日本政府としては、まず日本の経済が安定し、発展することがその先決問題であると思うがどうであるか、第三には、相互安全保障法第五百十一条の(a)の中には六つの規定がありまするが、そのうちで、第三番目にあるいわゆる軍事的義務の履行という要件は、日本の場合には日米安全保障条約によつて日本がすでに引受けている義務を履行すれば足りると思うがどうであるか、またその第四に、自国の防衛力を増進し、かつ維持することという要件があるのでありますが、日本については国内の一般的経済条件の許容する限度内で、かつ政治的及び経済的安定を害することなくこれが実現されれば十分に満たされるものと思うがどうであるか、というのが当方の質問の趣旨であります。
 これに対する米国側の回答は、相互安全保障計画に基いて日本が受けることとなる援助は、日本をしてその国内の治安を維持し、かつ平和条約第五条(c)項において保障されている自発的な個別的または集団的自衛の固有の権利を一層有効に行使することを可能ならしめることによりその計画の主要目的を達成しようとするものであると申しておりまして、第二には、日本に対する援助計画を策定するにあたつては、経済的安定が日本の自衛能力の発展のために考慮せらるべき必須の要件であると申しております。なお、日本が同計画に参加することを決定した場合には、相互安全保障計画のため必要な物資を合衆国が日本において買いつける可能性は増進するものと期待すると申しております。また、相互安全保障法第五百十一条(a)項の規定に関しましては、援助を受領するための条件の一つとしての軍事的義務の履行の要件は、日本の場合においては日米安全保障条約のもとにすでに日本が引受けている義務の履行をもつて足りるものである、相互安全保障計画にも、または合衆国と日本との間に存在するいかなる条約上の義務にも、自衛のため以外に日本の治安維持の部隊を使用することを要求しているものはないと申しており、さらに、同条同項(a)項(4)については、もちろん日本が自国の経済的及び政治的安定と両立し、かつ自国の人力、資源、施設及び一般的経済条件が許容する限度の寄与をなすことだけを要求するものであると申しております。
 当方の質問書と、アメリカ側のこの回答とは、大体の筋においては意見を同じゆうするものと考えられるのであります。また、米国がMSA援助を通じて日本の政治経済に干渉するなどの意図はなく、またMSA援助自体につきましても、日本の自主的の考えからこれを受けるかどうかを決定するものであることは明らかとなつております。もちろん、当方の質問に対するアメリカ側の回答が多少字句等の相違を持つておることも認められる点もありまするし、たとえば、当方の、アメリカの援助が国内の治安維持と自国の防衛とを主目的とするかとの質問に対しましては、米側は、さらに、平和条約第五条(c)項の、日本の自衛の固有の権利を一層有効に行使することを主目的とするとつけ加えております。また、日本の経済安定を援助計画策定の先決条件とするかとの質問に対し、米側はこれを必須の要件であると回答いたしております。さらに、MSAによる日本の軍事的義務は、安全保障条約の義務として、すでに日本が引受けているものと解釈するとの質問に対しては、その通りであり、MSAにも、また現存の日米間の条約にも、自衛のため以外に日本の治安維持の部隊を使用することを要求していないと回答をいたしております。
 第一に、平和条約第五条の問題は、自発的に日本の行使するものでありまして、またすでにサンフランシスコの平和会議において日本が受諾したものでありまするから、事新しい問題ではないと考えられます。第二の経済的安定は、立場等の相違こそあれ、両者の見るところは、経済的安定を自衛能力の基本と見る点においては意見の相違はないと認められます。第三の治安部隊の使用については、米側回答が自衛のため以外に使用することを要求しないと言つておるのも、日本が有する治安維持の部隊が自国の治安の維持に当るという点について違つた要求を持つていると解釈することはできないのであります。
 これを要するに、六月二十六日のアメリカ側の回答は、大体において、当方が念のために確かめんとした点に対して回答を与えておりまするが、その回答は、日本政府としては、MSAの援助を受けることについてアメリカ側との交渉をいたすことに何らさしつかえがないとの結論を与えたものとなつております。従いまして、日本政府は、六月三十日、米国大使館に対しまして、相互安全保障計画に基く援助につき、日米両国間に会談を開始するように提議する旨を申し入れましたが、これに対し、七月一日に、アメリカ大使館から、その日本側の提議に同意して、相互に合意するすみやかなる日時に会談を開始することを提議すると申し越して参りました。で、MSAの援助を受けるやいなやは、もちろん今後の交渉によつて判明する援助の内容にもよるわけでありまして、政府といたしましては、内容を十分検討した上、受諾するやいなやを決定することはもちろんであります。また、交渉開始の日取り、交渉の進め方及び交渉に当る当方の人員の構成等につきましては、なるべく早い時期に決定をいたし、交渉を開始しようとして、ただいま準備をいたしております。来週早々にもこれを実行したいと考えておる次第であります。
 ただいまのところ、MSAの経過につきましては以上のごとくなつておりますので、簡単ではありまするが御報告いたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#7
○議長(堤康次郎君) ただいまの外務大臣の報告に関し質疑の通告があります。順次これを許します。並木芳雄君。
    〔並木芳雄君登壇〕
#8
○並木芳雄君 ただいま岡崎外務大臣から報告を受けたのでありますが、私どもが聞かんとする核心に触れておりませんので、私はごく簡単に要約して、改進党を代表しての質問をいたしたいと思います。
 ただいまの報告によりますと、政府は来週中にもMSA交渉を開始するということであります。しかし、すでに五月二十四日にアメリカに対し質問書を出し、二十六日に回答を得ております。そして三十日に会談開始の申入れをしておるのであります。疑問の点をただし、その回答が大体満足のものであるとの前提に立つての会談申入れでありますから、これはすでに実質上MSA援助受諾の意思表示をしたと同様であると言えるのでありますが、いかがでありますか。
 大体、今日までの政府の態度を見ておりますと、あいまい模糊、全然政治的信念の見るへきものがないのであります。(拍手)MSA援助はアメリカ対外政策の枢軸をなすものであります。しかも、最近の特色は、経済的援助より軍事的援助へ、欧州中心主義よりアジア中心主義へと移行しつつあることでありまして、政府はこれに気がついていないはずはないのであります。一昨年十月十八日、平和、安保両条約特別委員会で、わが党の芦田委員は、吉田首相に対し、軍事援助の問題を取上げて質問をしております。質問というよりも、これはむしろ教えてやつております。政府は、つとにMSAの検討を行つていたはずであるのであります。しかるに、吉田首相初め関係閣僚は、まだアメリカから何の申入れもありませんの一点ばりで、口を緘して語らなかつたのでありますが、これまつたく黙否権の濫用であり、秘密外交の累犯であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)MSA援助は、必要とあらぱこちらから申し込んでもよいものであつて、先方から何ら申入れがないなどということは、アメリカの対外政策をわきまえざるものでありまして、かりに秘密がなかつたとするならば、岡崎外交の無為無策を暴露したものと言わざるを得ないのであります。(拍手)これに対し外務大臣の申開きがあるならば承りたいのであります。
 次に、MSA援助は、二十六日のアメリカ側の回答によつて明らかな通り、平和条約第五条(C)項に関し、直接侵略にも対抗し得る自衛体制の強化を含んでおり、この点において、吉田内閣のごまかし軍備はもはや限界に来ておるものと考えるのでありますが、政府の見解をただしたいのであります。(拍手)
 政府は、MSA援助は受けたいが、その条件として自衛軍を持つことを要請されるのではないかと心配しているのであります。必要の場合には外国への出兵をも求められるのではないかと案じているのであります。それが二十四日の質問の第一項となつて現われました。すなわち「日本国政府としてはこの援助により国内の治安と防衛」――この防衛には特にホーム・デイフエンスと断つてあります。「治安と防衛とを確保することを得るに至れば、右基本目的は充分達成されたものと了解するがいかん。」と質問しておるのであります。あたかも、ふぐは食いたし命は惜しいというところでありましよう。この質問に対し、政府はオー・イエスの回答を期待していたに違いありません。しかし、アメリカからの回答には、まことにお気の毒ながら、イエスとは書いてなく、「国内の治安を維持し、かつ、平和条約第五条(C)項において保証されている自発的な個別的または集団的自衛の固有の権利を一層有効に行使することを可能ならしめることにより、その計画の主要目的を達成しようとするものである。」となつて現われて参つたのであります。日本外務省の問合せ文とアメリカ大使館の回答との間には、明らかに食い違いが生じております。日本側では、保安隊は国内の治安維持の任に当り、直接侵略に対する防衛は駐留米軍が当ることによつて事足れりとの見解を確認してもらいたかつたのでありましよう。ところが、アメリカ側の回答では、平和条約第五条を援用して、個別的自衛はもとより、さらに集団的自衛の権利を行使することを可能ならしめることを忘れてはいけないと、一本くぎをさされてしまつたのであります。(拍手)
 アメリカ側から見れば、軍隊を持たない日本は、個別的または集団自衛のために、保安隊が駐留米軍と協力して防衛に当るということになるのであるが、これを予想したのがすなわち平和条約第五条であります。この場合の保安隊が軍隊でないということを、だれが断言できますか。私は、保安隊に対する政府の観念とアメリカの観念とがはつきり違つていることを指摘したいのであります。政府は保安隊が軍隊ではないと言つても、アメリカでは、これを軍隊または少くとも軍隊に準ずるものと見ておるのであります。政府も今までは何とかごまかすこともできたでしよう。しかし、MSA援助を受けんとする今日になつては、もはや保安隊を軍隊にあらずと言い張ることはできなくなつたと言わなければなりません。(拍手)現に、昨夜のアメリカの放送を聞きますと、アメリカ上院の外交委員会の報告の中には、日本のアームド・フオーシズに対する軍事援助であるということを放送しておるのでございます。(拍手)
 われわれは、従来、口をすつばくして、政府に対し、ごまかし軍備の訂正を要求して来たのでありますが、今回はしなくもアメリカに助け舟を求めようとした政府は、反対にアメリカから警告を発せられてしまつたのであります。(拍手)わが改進党の主張のごとく、保安隊を解散し、自衛軍を創設すべき時期が刻々と迫つておると考えるものであります。そうでなく、今まで通りで押し通そうというのならば、政府はいかにして平和条約第五条の目的に沿わんとするのか、その所信を披瀝していただきたいのであります。ことに、集団的自衛権の行使によつて、集団安全保障機構、たとえばプリツクス上院議員の提唱する日本、韓国、国府、フイリピン、豪州、ニユージーランド六箇国で太平洋地域同盟のごときを結成するときが来た場合、自衛軍を持たずしてこれに参加することは無意味であり不可能であると思うのでありますが、政府はこれをどう考えているか、この際伺いたいのであります。
 MSA援助の本質は、軍事援助によつて自衛力を強化し、自由主義陣営の安全を確保するに存するのであります。現に、ダークセン上院議員は、三十日の議会で、「日本の再軍備とインドシナの完全独立とをアメリカの対アジア政策の基礎とすべきである」と言明しております。これらMSA援助のバツク・グラウンドを洞察するときに、保安隊はもはや警察ではなくして、直接侵略にも対抗すべき軍隊の性格を持つものであることを、政府ははつきり打出すべきであると思うのであります。現に、アメリカに留学中といわれる保安隊員は、フオートベニングの陸軍歩兵学校で軍隊訓練を受けているではないか。軍隊でないものがどうして歩兵学校へ入つて軍事教練を受けているのであるか。警察ならば警察学校へ入つて勉強して来ればよいのではないか。(拍手)また、保安隊が警察だというならば、今の保安隊の持つているような近代兵器はいうないはずであります。いわくカービン銃、いわく狙撃砲、迫撃砲、いわく短機関銃、重機関銃、軽機関銃、いわく装甲車、特車、対空砲車等々、数十種に及ぶ近代的装備は、そもそも何を物語るものであるか。しかも、MSA援助の主要目的の一つがこれら装備の強化拡充にあることに思いをいたすならば、政府がその非を改むべき段階に追い詰められて来たと痛感するものでありますが、それでもなおしらを切るつもりであるかどうか伺いたいのであります。
 最後に、MSA法第五百十一条にいう軍事的義務は、現在の日米安全保障条約の限度でよいとのことであるが、この考え方は甘過ぎるということを指摘したいのであります。安保条約には、自衛力の漸増を期待するとあります。それが直接侵略を防止するに十分な自衛力を意味することは論をまちません。政府は当然自衛力漸増の計画を用意しておらなければならないはずであります。なるほど、米国の回答には、軍事的義務履行の要件は、日本の場合においては、安保条約のもとにすでに引受けている義務の履行をもつて足りるものであるとして、自衛のため以外に日本の治安維持の部隊の使用を要求しているとりきめはないといつて、一見政府の見解に同意を与えているようには受取れるのであります。しかし、これもよく吟味してみますと、前に申し上げました通り、政府にとつては致命的な条件を包蔵しているのがわかるのであります。すなわち、自衛のため以外に使用することはないといわれておる日本の治安維持の部隊、つまり保安隊、海上警備隊は、言いかえれば自衛のためには使用するものであるということを前提としておるのであります。しかも、アメリカの言う自衛は、ただいま申し上げました通り、直接侵略に対抗することを意味しておるのでありまして、保安隊、警備隊は直接侵略を防止するものではないとする政府の見解とアメリカの見解とが鋭く対立しておるものであります。
 政府は、直接侵略の場合は保安隊も立ち上るであろう、そしてそれは事実行為であると言つております。しかしながら、それは、よし立ち上ることが事実行為であつても、それはあくまでも事実行為であるにすぎないのであつて、法律上の義務を伴わないものであります。法律上これを強制することはできないのであります。これは、とりもなおさず、安保条約の期待に沿うことができないと信ずるものであります。その上、政府は、保安隊は現在のままにしておいて増員はしないと言明しております。しかし、安保条約で期待しておる自衛力の漸増は、軍隊という名前こそつけなくとも、自衛の任に当る保安隊、海上警備隊の増員にあることは疑いをいれないのであります。ゆえに、政府は、MSA援助を受けるにあたつて、自衛力漸増の計画、すなわち防衛計画と、これに伴う長期経済計画の提示を求められることは必至と言わなければならないと思います。しかるに、政府は、自衛力漸増の計画は立てていないと言つております。実は木村試案は持つておるのでありますけれども、表面、計画なしと欺瞞をしておるのであります。はたして、政府に、自衛力漸増計画及びこれに伴う経済計画の提示をアメリカ側から要請されることはないという見通しと確信があるのであるかどうか、はつきり伺いたいのであります。
 われわれの考え方は、MSA援助を受けることによつて自衛力を強化し、さらにこれを自衛軍創設にまで持つて行くところに、その実質的価値を認めるものであります。しかるに、政府のごとく、防衛計画はない、保安隊は増員しないと澄ましていて、はたしていいのであろうかどうか。日本の経済に寄与するかもしれないと大臣は言つておりますけれども、はたして日本の経済にこれが寄与するという保証をアメリカから得られるかどうか、この際はつきり伺いたいのであります。特別の理由なくして他国に物乞いをすることは独立国としての自尊心がとうてい許さないことは、吉田首相といえども異存がないところでありましよう。われわれは貧しても鈍したくはないのであります。政府は、いかなる必要から、そしていかなる目的からMSA援助を受けようと考えておるのか、この際明確にしてもらいたいものであります。今こそ、われわれの主張に屈服し、自衛力漸増の計画を明らかにすべき段階であると思うのであります。政府は、これをしも否定し続けるならば、いよいよ右計画の提示をアメリカから迫られたときは、のつぴきならぬはめに陥り、吉田内閣は責めを負うて退陣を余儀なくされると思うのでありますけれども、政府にそれだけの覚悟がはたしてできているかどうか、この際明確なる答弁を求めて、私の質問を終りたい思います。(拍手)
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
#9
○国務大臣(岡崎勝男君) お答えいたします。ただいまの、交渉しようということが実質上は受諾の意思表示ではないかというお話でありますが、もちろん、交渉の上、内容を見なければきめられないのでありまするから、今から受諾するかどうかきめてはおらないのであります。
 平和条約第五条の条項は、これは自衛軍を創設することになるのじやないかというお話であかますが、これは並木君もおつしやるように、自発的に行使する日本の固有の権利でありまするから、政府が、あるいは国民が自発的にきめることによつてきまるのでありまして、この条件だけかち再軍備とか自衛軍ということは出て参りません。
 なお、保安隊を米国側で軍隊と見ておるじやないかというお話でありますが、少くとも米国政府はかような見解を持つていないことは明らかであります。
 なお、ごまかしの軍備の限界が来ておるので、自衛軍とか外国に対する出兵とかということが起つて、政府が困るのじやないかというお話でありまするが、それらはもちろん政府がきめることでありまして、アメリカ側の意見によつて左右されることではないのであります。米国側の上院議員等がいろいろの意見を述べておることは、これは自由でありまするが、政策の決定はもちろん日本政府が国民の意向を受けてきめるのであります。この政府の意向はすでに明らかになつておるのであります。
 なお、自衛が直接侵略に対抗するものであろうという御議論で、安全保障条約の前文を引いておられますが、私は、安全保障条約の前文から言いますれば、日本には固有の自衛権がある、しかしその自衛権を行使する有効な手段がない、従つて、ただいまのところは、アメリカの軍隊が駐留して直接侵略に当り、日本の国内の治安維持の部隊は間接の侵略に当る、こうなつておりまするから、日本に自衛権のあることは明らかでありまするが、自衛力としては国内の防衛だけに当ることが、ただいまの安全保障条約の精神でもありますから、自衛ということ自体からして自衛軍の創設を必要とするということにはならないと信じております。
 なお、自衛力の漸増ということについては、われわれもこれを希望して、できるだけ早く実現したいと考えておりまするが、但し、これは日本の経済状態その他によるのでありまして、ただいまのところ、これの人をふやすというようなことは特に考えておりません。また自衛力の漸増と申すことは、必ずしも人員の増加を意味するのではないのでありまして、内容の充実等ももちろんこれに入るのであります。(拍手)
#10
○議長(堤康次郎君) 和田博雄君。
    〔和田博雄君登壇〕
#11
○和田博雄君 私は、ただいま報告されました岡崎外相のMSA援助を受けるか受けないかの経過について、若干の質問を日本社会党を代表していたしたいと思うのであります。
 その第一は、政府が交渉にあたつて受けようとしておるMSAの援助の性質あるいは種類の問題であります。MSAの援助に、純粋な軍事援助、言いかえますと、大砲をもらつたり、あるいは戦車をもらつたり、それを操縦するための訓練を受けたりするよろな純粋の軍事援助と、もう一つは、いわゆる防衛支持援助といいまして、軍事工業を育成するためにアメリカが出す援助、第三番目には、これは全然軍事的な関係はなくて、純粋に経済的なもの、経済復興あるいは技術の援助、いわゆる技術力援助といわれておるもの、この三つの援助のあることは、皆様特に御承知のことと思うのであります。ところが、今問題になつておりますMSAの援助は、これは何上申しましても純粋の軍事援助が中心であるということもまた明らかなのであります。(拍手)ことに、日本の場合におきましては、ただいま岡崎外相の報告の中にありましたダレスの証言によりましても、また一九五三年、五四年のアメリカの予算案の内容から見ましても、純軍事援助であることは、これは明白だと思のであります。(拍手)
 その予算案の説明には「日本は国内治安及び適当な自衛を確保するための装備、訓練の必要がある」と述べられて、中国一般地域の十億百万ドルの支出対象国の中に日本が入つておるのであります、そして相互安全保障庁を通じて支出しまする防衛支持その他の経済援助の項目では、日本には何ら触れておらないのであります。これをもつて見ましても、日本に対する援助が純粋の軍事援助であるということは、私ははつきりしておると思います。(拍手)この点はまた、アメリカの外交政策の立場から考えてみましても、私はそういうことが言い得るのではないかと考えておるのでございます。
 MSAの基本目的は、言うまでもなく、自由世界の安全保障と一自由世界の個別的、集団的防衛体制の強化であります。政府は、先般出しましたあの質問の中に、相互安全保障計画の「基本目的は、自由世界の安全を維持し、かつ、増進すること」と簡単に片づけておりますが、こういう簡単な問題ではなしに、やはり集団防衛体制の強化ということが大きな目的になつておることは、いなめない事実であります。朝鮮の休戦が成立しようとし、世界の平和の傾向が強くなつて参りました現在におきましても、アメリカの外交政策がほんとうに目標にし、欲しておりますものは、やはりアメリカ外交の、あの巻返し政策、集団安全保障体制の強化であるということは、アメリカの外交がかわつていない以上、私はそう断定せざるを得ないと思うのであります。(拍手)言いかえますと、新たな情勢に即応する新たな世界勢力の均衡だと私は思うのでございます。そして、それを見まするときに、軍事援助によりまして日本の防衛を一段階進めて、安全保障条約で期待しておつたよりもなお一層これを進めて、日本の防衛体制を強化し、日本をしてアメリカの防衛体制の中に組み入れようとすることであることは、私は明らかだと思います。ところが、この点に関する限り、政府は今まで、一体どんな援助を受けようとするのかということ、そしてその受入れる対象は何であるか、保安隊がそれに相当するものであるかどうかということについて、系統立つた説明は一言もしておらないのであります。(拍手)私は、まさかこの際岡崎外相がわざわざ経済援助をお受けになるために交渉するとは思いませんが、その点について、はつきりとした認識をお聞かせ願いたいと思うのであります。
 次は、防衛または自然に関する計画についてでごいます。この点は、ただいま並木君が触れられましたが、私はまた別の観点からこの点に触れてみたいと思うのであります。MSAが、ただいま申しましたように、自由世界の個別的または集団的防衛の強化にあるとしますならば、MSAの援助を受けようとする限り、少くとも交渉しようとする限りは、日本の防衛力を何らかの形において強化したい、こういう願望がなければならぬと思うのであります。強化の必要がないならば、――かつて木村長官が再三繰返し、ただいまの保安隊で十分だというようなことを、うそかまことか、ほんとうしやかに言つておりますが、そうであるならば、MSAの交渉をする必要はないのであります。(拍手)日本の立場からは何にもないのであります。それを、今までの態度は、ひた隠しに隠しておいて、突如として交渉を始めるという以上は、何かそこに防衛について強化しようとする――今では不十分だということを政府は是認せざるを得ないのであります。としまするならば、交渉の場合に、その原案なり防衛計画がなければ、交渉は一歩も進みません。(拍手)
 私の聞くところによれば、外務省は、防衛計画はあるのであるが、それを提出せずに、何だかららちら見せながら、向うにいかにも防衛計画があつて交渉しているということを思わせようとしているということであります。とんでもない外交交渉であります。(拍手)いやしくも政府が責任を持つて日本の防衛、自由世界の集団安全保障を確立しようとするならば、その計画はいち早く国民に知らして、国民の支持の上にやるのが、これが外交であります。秘密外交をこの際まだ維持して、しかもこれだけ国民の生活、日本の国の将来の運命に影響のあることについて、いまだに卑屈な、秘密な態度をとつていることは、われわれとしてはどうしても賛成できないのであります。私たちは、MSAの援助は受けてはならないという立場から論じております。しかし、それにしても、政府のこの防衛計画に対する秘密の態度は遺憾しこくであります。
 なお、別の点から私は考えてみます。MSAの援助を受ければ使節団が来ます。その使節団はどういう使命を持つているでありましようか。MSAの援助を受けた国が次年度において援助を受けようとします場合には、その使節団は、計画をつくり、その計画を実施するに必要な金額の決定を行うために、被援助国の当局との間に現地で交渉をして、折衝をして、その結果を本国に報告し、勧告しなければならない義務を持つております。日本がMSAの援助を受ければ、必ず使節団は来るのであります。これは今までの各委員会における外務大臣の答弁によつて明らかであります。それならば、次年度から援助を受ける場合には、そういう計画をお互いにつくり、またはどつちからか出して交渉しなければならないのに、初めて受けるときには、何らの計画もなくして交渉を進めて、交渉が進むのでありますか。私は、そこに原案のない交渉というものは進まないと思う。おそかれ早かれこの計画を出さなければならないし、私は、政府にはその警備計画なり防衛計画はすでにあると思うのであります。(拍手)政府は、すべからく、予算委員会の決定を尊重し、一日も早くそれを国民の前に、国会に明らかにすべきだと私は思うのでありますが、(拍手)その点に対する政府の答弁を求めます。
 また、昨日の参議院における、わが党の中田委員の質問に対し、小瀧政務次官は、MSAに関する相互防衛協定には若干の秘密があるということを答弁しております。その若干の秘密とは一体何であるか、何がゆえにそういう秘密が必要であるかということを、私はこの際伺つておきたいと思います。
 第三は、軍事的な義務に関上る問題でございます。政府は、交換文書によりますと、相互安全保障条約の五百十一条(a)の(3)に規定されておりますところの軍事的な義務の履行は、日本の場合においては、日米安全保障条約によつて日本がすでに受けておる義務の履行をもつて十分である、海外出兵を要求されるようなことはないと解釈いたしております。しかし、私は、政府の解釈は実際甘いと思います。安全保障条約は日本の自衛力の漸増を期待しております。明らかにこれは義務ではございません。しかし、自衛力の漸増を期待しておりまするが、一方ではやはり、間接侵略だけではなしに、直接侵略に対するところの防衛もまた、安全保障条約をつくるときには、日本及びアメリカのお互いの間の問題となつて論ぜられたことであります。そして、今度の場合においても、しばしば自衛といい、防衛という言葉を使つております。MSAの基本的な目的が、そしてアメリカの外交政策の主点の置きどころが、アメリカを中心とした集団安全保障体制の強化にある以上、MSAの援助を受ける、またMSAの援助をアメリカが与えるということは、この日本の防衛力を強化する以外には目的はないと私は思うのであります。
 今や安全保障条約の段階は去つて、そして、このMSAによるところの相互防衛協定を結ぶことによつて、日本が義務として防衛力の漸増を引受け、そしてアメリカの外交政策がここに完成すると見なければならぬのであります。もしもこの必要がないならば、経済援助でもない、単なる純粋の軍事援助を、なぜ日本に向うが与えようとし、日本がこれを欲するか、何らそこに根拠がないことになつて来るのであります。そしてまた、回答にあつたところの「自発的な個別的または集団的自衛の固有の権利を一層有効に行使することを可能ならしめ」云々ということは、自衛力の増強された日本がアメリカの欲する太平洋軍事同盟のようなものを自発的に結ぶことを、あるいはアメリカは期待しておるかもしれませんが、この回答の文面からはどこからも、われわれがMSAの援助を引受けたときに、MSAによる自衛力の漸増を義務として引受けなくてもいいんだという結論は出て来ないのであります。しかも、自衛のためならば今の保安隊でも使うことができるという、この言外の意味は、集団保障が動く場合でも、戦争をやる場合でも、常に侵略の名においてやつておることは一度もなく、常に自衛の名目のもとに行われることを考えるときに、私は、海外派兵を要求することはないという外務大臣の独断的な解釈は再考、三考を要することであろうと思うのでありまして、これをないという保証はどこにもないと私は思う。(拍手)
 次に、MSA援助の経済的な効果についてお尋ねしたいと思うのであります。MSAの援助が純粋の軍事援助でありますというと、完成兵器を結局くれるということであります。完成兵器をくれるということになりまするならば、それによつては、日本の資本の蓄積のためにも何ら得るところはないのであります。しかも、一億五千万ドルだと今度は伝えられております。その中で、今保安隊が使つている九千万ドルがMSAの援助に切りかえられるということになりますならば、残るところは、ほんのちよつぴりとした金額であります。しかも、それも完成兵器の援助である限り、経済的に見ます場合には、日本に何らのプラスにはなりすせん。いわんや、特需の減少をこれをもつて補うことはできないのであります。むしろドルは減ると見るのが至当な見方であろうと思うのであります。
 また、域外買付が日本にたくさんあるだろうという可能性、いわゆるえさを、この回答ではアメリカは差出しております。しかし、皆さん、東南アジアその他の国々がMSAによつて受けている援助は、やはり軍事援助であります。経済援助はほとんど言うに足らないのであります。そうなれば、域外買付で結局軍需品を買うのが落ちであります。日本の今の軍需工業の実情からいつて、今までの買付の実情から見るき、これに多くを期待することは私はできないと思うのであります。政府は、一体、これにどれだけ期待することができるとして、このMSAの援助を受けようとされているのでありましようか、その点もお聞きしたいと思うのであります。(拍手)
 また、MSAの援助を受けますれば、言うまでもなく、バトル法は直接に適用になります。MSAの援助を受けていない現在においてさえ、中共の貿易に対しては政府はきわめて消極的であり、ほとんどバトル法の適用を受けている以上の禁止を今までして来たのは吉田内閣であります。MSAの援助を受けた場合に、一体、中国の貿易の喪失、これに対して政府はどういう対策を持つておるのか、またその点はいかに考えておるのか、岡野通産大臣片しばしば中国貿易の打開を叫んでおりまするが、この点から見るところ、われわれはますます制約を受けてもしようがない立場に置かれることを私は言いたいのであります。
 最後に一言触れておきたいのは、MSA援助の国内政治との関係であります。MSAの援助が純粋の経済的な援助を含んでいることを私は前に言いました。その経済的な援助の場合には、五百十一粂によりますところのわれわれの義務は、非常に寛大な義務であります。だから、中立を標擁するインドネシアにしても、ビルマにしても、最初はこの援助だけを受けたのであります。しかしながら、援助を受けて使節団がいよいよやつて来ますると、名前は経済的な援助であるが、事実やつて来る使節団の活動は国内の政治のあらゆる分野に及んで、その内面指導は岡の独立を阻害するおそれが多分にあるのにかんがみまして、インドネシアにおいてもビルマにおいても断つたと思うのであります。(拍手)私は、今度の援助が純粋な軍事援助であることにかんがみて、今までよりも一層この使節団によるところの内面指導はきびしくなると思います。安全保障による行政協定を結ぶことによつて、日本の独立を阻害し、今われわれ国民は非常な非劇を味わつております。この悲劇を再び味わうおそれの多分にあるMSA援助に対して、その点に関する十分なる解明をほしいと思うのであります。
 これで私の質問を終ります。(拍手
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
#12
○国務大臣(岡崎勝男君) お答えをいたします。
 第一には、この援助は武器の援助であるか経済の援助であるかということでありますが、これはもちろん、はつきり交渉してみた上でなければ決定的なことは言えませんが、しかし、かりに保安隊に対する、あるいは海上警備隊に対する直接の武器の援助だけであつても、日本としては、従前から必要とする内容は、装備の強化を考えておる向きがありますから、この点において、もしアメリカから援助を受けなければ、国内で調達する必要が出て来るのでありまして、この点においても、国内の財政なり経済なりの圧迫を緩和する点においてはけつこうであろうと考えております。
 なお、自衛力の漸増ということは、政府としても前から考えておることでありますから、この原則には異議はないのであります。ただ、これをいかに漸増するかは政府の決定するところでありまして、アメリカ側からいろいろ注文があつても、国内の情勢これを許さなければやらないだけの話であります。なお、この点について、外務省は何か警備計画のようなものをちらほらさせながら交渉をするのだというようなことを言われましたが、こんな事実は全然ないのであります。これはまつたく誤解でありますから、あらためてここではつきり申し上げておきます。
 なお、使節団の任務としましては、軍用完成品に対する計画の発展、調達、供給及び積出し等に関しまして、米軍の監督及び調整をなし、かつ軍事的の訓練計画の実施をするということがこの使節団の使命となつております。そして、このMSAの協定について秘密事項があるかないか、これは供与される完成兵器等についてはアメリカ側の機密事項に属するものであるのでありまして、この範囲においては日本も機密保持が必要であると考えております。
 なお、日本がこの平和条約の第五条に基いて自衛権があり、この自衛の権利を一層有効に行使することを可能ならしめるのがアメリカの援助の目的であるから、結局自衛軍なりの創設になるんじやないかという御議論でありまするが、これはもう何べんも申しておる通り、自発的に行使するものでありますから、日本の政府なり国民なりの決定に基くものであつて、これによつて新たなる義務を負つているものではないのであります。
 なお、域外買付についてどうであるかというお話でありまするが、この域外買付がどのくらいあるかということは、これは交渉の上でなければはつきりいたしません。しかしながら、われわれといたしましては、先般、先ほど申しました往復文書によりまして、主義上も、またその目的から言つても、援助を受けることはさしつかえないという結論に達したのでありまするから、その援助の額が多いとか少いとかいうことによつて決定するのではなくして、主義上さしつかえないと思えば、多少少くてもこれは受けてよろしいということに考えるのであります。もちろん、その量等は交渉してみなければわからないのであります。
 なお、この使節団等について、内政干渉の心配はないかというお話でありまするが、これは東南アジアの諸国においてこういう心配を持つておる国があるのは、私も承知しております。しかしながら、同時に、西欧諸国等においては、この援助を受けまして、別段内政干渉を受けておらないのであります。われわれも、この点においては特に注意をいたしまするが、内政干渉の心配はないと確信しております。
 さらに、この援助を受ければバトル法の適用を受けることになつて、中共との貿易がさらにきゆうくつになりはしないかというお話でございまするが、すでに欧州の諸国もこの援助を受けておりまして、この関係においては同様でありまするが、しかも、現在でも日本よりも中央に対する貿易を緩和してやつておるとさえ言われておるのでありまするから、バトル法の適用は、中共貿易に関係は直接ないと思つております。
#13
○藤長(堤康次郎君) 加藤勘十君。
    〔加藤勘十君登壇〕
#14
○加藤勘十君 私は、日本社会党を代表して、政府が、六月二十六日付アメリカ側の回答文書に基いて、MSAの援助について受諾する意思をもつて交渉に入うんとするにあたつて、政府の確固たる所信をお尋ねいたしたいと思います。
 第一に、もしこの日米相互安全保障協定が締結せられた場合に、恐るべき内政干渉を誘発すると思われるが、どうしてこれを排除せんとするのか。この点は、特に政府を代表して、総理大臣が欠席でありまするから、副総理から明確なる所信をお伺いいたしたいのであります。(拍手)
 政府はアメリカの回答文書をきわめて軽く受取つておるようでありまするが、私たちがこれを見た瞬間に感じた印象は、こんなことで協定が結ばれるとするならば、これは恐るべき内政干渉を誘発するのではないかということであつたのであります。(拍手)内政干渉とは、親が子供のやることを一々さしずするというような意味のものではなく、著しき不平等協定が結ばれて、わが国の政治がアメリカ側の隷属下に置かれるのではないかという点であります。(拍手)政府は、そんなことはないと言うかもしれません。今現に岡崎外務大臣は、この席でもそう言われたのでありまするけれども、私どもは、現にそういう事実を、日米安全保障条約に基く行政協定の実施の面に、いやというほど見せつけられておるのであります。(拍手)
 安全保障条約そのものは、形式的には日本からの要望に基いて結ばれたものであることが表明されております。だが、当時の内外諸般の政治的情勢と日本の立場から見まして、アメリカ側からこういう形式をとるようにと強要されたことは、だれ一人疑う者はないのであります。(拍手)それでもなお、条約文の上には露骨に干渉の権利を規定しておるのではありませんが、それに基いて、政府が、国民の意思を問うことなく、かつてに結んだ行政協定では、アメリカ側の申出を何一つ拒否することができない、一方的なものとなつてしまつておるのであります。今日行政協定に基いて設定されているアメリカ側の基地、演習場、宿営地等において、日本政府はもちろん、アメリカ側においてもおそらくは予期しなかつたであろう排米感情が、今や民族的感情にまで高められんとする、なまなましい事実を見ておるのであります。(拍手)その原因を指摘しますれば、言うまでもなく行政協定が日本の主権を侵害するような不平等きわまるものであることをあげなければならないのであります。
 行政協定の実績にかんがみまして、初めから援助を内容とするこのたびの相互安全保障協定が、あるいは行政協定以上に日本の主権を侵害するものではないかと憂えるのは、国の独立の尊厳を維持せんとする者の当然の態度でなければならないのであります。(拍手)もし政府がこの点に思い及ぱなかつたとするならば、吉田内閣は、占領中から引続いていた関係で、占領中の干渉に麻痺して感覚を失つた不感性に陥つておるものと言わなければならないのであります。(拍手)日本国民は、このたびの協定が、行政協定と同じような主権を侵害するがごとき不平等のものであることを、断じて許容しないのであります。この点について、政府はいかにして対等互格の主張を協定文の上に具体化せんとするのか、明確なる答弁を与えられたいのであります。(拍手)
 第二は、協定締結の結果、日本の憲法に違反するおそれが生ずるのではないかと思われるのでありますが、政府の見解はどうであるのか。
 憲法違反には二つの場合が予想せられます。すなわち、第一は、協定は日本側にとつては日本の自衛力の漸増に役立つこと、しこうして自衛力という中には、治安と防衛を区別して、あわせしるしておるのであります。治安は、言うまでもなく純粋に国内治安を保持するものであつて、たといいわゆる間接侵略の場合であつても、治安保持にかわりはないのであります。われわれは国内治安を保持することは必要であると信ずるが、防衛と治安とはおのずから異なつております。これを狭義に解釈いたしますれば、国外軍事力との対抗を意味するものであると言わなければなりません。たとい消極的であつても、国外軍事勢力との対抗である以上は、おのずから交戦権の発動とならざるを得ないのであります。交戦権は日本憲法の厳として禁止しておるところであります。政府は、この防衛権が具体的に発動する場合、これが憲法に抵触しないと思つておるのか、どうであるか、この点を明らかにしてほしいのであります。(拍手)
 第二に、このたびの協定がアメリカの国内法である相互安全保障法に基いて結ばれんとするものであることは言うまでもありません。過日の回答文書中にも明らかな通り、同法第五百十一条(a)項によるものであります。これによりますれば、協定が結ばれる大前提は、アメリカの安全に寄与し、アメリカの外交政策の発展に役立つと大統領が認め、しかも六項目の条項を受諾した国に援助を与えるというのであります。六項目というのは、御承知の通り、ことごとくが軍事条項であります。ただ、日本の場合は、日本が形式的に軍隊を持つていないという点から、若干の修正を見せておるのであります。けれども、本質は、アメリカの安全が主で、被援助国の行為がこれに役立つ場合に限られるということは、この法律の精神であります。また、援助をする国の立場からしますれば、軍事援助にしろ、経済援助にしろ、技術援助にしろ、それが自国に役立たない場合に援助を行うはずはありません。従つて、協定を結ぶ被援助国は、よほどしつかりしていませんと、援助を受けるという目先の利害に眼がくらんで、アメリカ側の言い分をずるずるに聞いてしまうということになるおそれが十分にあるのであります(拍手)
 アメリカ側の回答文書の中に、日本政府の質問中に記載してなく、従つて日本政府が予期していなかつた平和条約第五条(C)項が明記されていることを、政府は―体どのように受取つたのであるか。平和条約第五条(C)項によりますれば、日本は自発的に、個別的もしくは集団的に安全保障条約を締結することができることになつておるのであります。今回のアメリカ側の回答文書の中に、ことさらにこのことが明記してあることは、将来日本が自発的という形式を借りて、どこかの国と、たとえば中ソ友好同盟条約に対抗的に締結されるような地域的集団安全保障条約に参加せしむることを予想して、このことが明記されたものではないかという疑いが十分感じられるのであります。もし、そういうことになりますれば、事はきわめて重大である。かかる条約に参加することになりますれば、日本の対外酌軍事的義務は不可避であります。平和条約第五条(C)項の規定から、交渉過程においてこのことが論議の対象とならないだれが保証し得るでありましよう。(拍手)もしそうなれば、明らかに憲法違反である。このような場合に、政府はいかなる態度をとらんとするか、明確に所信を述べていただきたいのであります。
 また、今国会で問題となつておる、いわゆる木村試案なるものは、単なる私の案ではなく、MSA援助についてアメリカ側と交渉するにあたつて防衛計画案が必要であるとの予測のもとに立案されたものではないか。もしそうであるとしますれば、将来あるいは交戦権の裏づけにまで発展するおそれがあるという前提のもとに立案されたものと言われてもやむを得ないのであります。といたしますれば、ここにもまた憲法違反の疑いが十分に生じます。これらの点について、政府は明確に所信を述べられんことを希望いたします。
 最後に、私の質問は、交渉の経過について、政府は途中で国会に報告すべきであると思うが、政府はどのように考えておられるか。交渉は国会開会中に開始せられるのである。この協定の成行きについては、国民は深い関心をもつて見守つている。交渉の経過を逐一知りたいということは、国民として当然の要望である。政府は、当然、さしつかえない限り、その経過をときどき国会を通して国民に周知せしむるために報告すべきである。政府は一体、この点についてもどのように考えておられるか、政府の考えを承りたい。私は強くこのことを要望して、私の質問を終ります。(拍手)
    〔国務大臣緒方竹虎君登壇〕
#15
○国務大臣(緒方竹虎君) MSAに関する協定を結ぶことによつて、内政干渉を受けることになりはしないかという御質問でありますが、MSAの規定の中にも、また援助を受けた諸国の実例にも、これまで干渉の事実はございません。今度の場合は、これから外務省とワシントとの間に話合いを進めて行きまして、このMSA協定を結ぶことが、日本の自衛力漸増に役立ち、また経済の上にプラスになるということを確かめ、さらにそれが日本の内政干渉になるようなおそれがあれば、もちろん締結はいたしません。その点につきましては、政府は確信を持つております。また、この協定が憲法に抵触することはないかという御質問でありましたが、これもまだ話合いを進めた上でないとわかりませんけれども、政府といたしましては、憲法に抵触するおそれのある協定は締結いたさないつもりでおります。(拍手)
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
#16
○国務大臣(岡崎勝男君) お答えをいたします。
 協定の締結にあたつては対等の立場でやれというお話でありますが、もちろんそのようにいたします。これは日本も援助を受けるのでありますから利益は受けますが、先ほど加藤君のおつしやつたように、この援助の目的は、アメリカの安全に寄与し、アメリカの外交政策を推進することにもあるのでありますから、これは相互の利益になるのであります。従つて、もちろん対等の立場で行うのであります。
 さらに、治安と防衛の、この防衛とはどういう意味であるかというお話であります。これは、国内の動乱であるとか、あるいはさらに進んで外国の使嗾による大規模な擾乱等に対抗する意味でありまして、現在の保安隊の持つておる任務であります。
 なお、平和条約第五条の(C)項につきまして、これが憲法違反ではないかというお話でありましたが、この平和条約は、もちろん国会でも絶対多数をもつて承認されたものでめりますが、この中に明記してありまする権利をさらに有効に行使せんとする目的でありまするならば、決して憲法の違反になることはないと考えております。
 なお、この交渉の途中においてその経過を報告しろというお話でありまするが、これはできるだけ報告をいたしまして、また国会を通じて国民の理解をも深めたいと考えております。(拍手)
#17
○議長(堤康次郎君) 松田竹千代君。
    〔松田竹千代君登壇〕
#18
○松田竹千代君 私も、MSA問題について、自由党を代表して数点について質問いたします。(拍手)もし重複した点がありましても、私があらためてただしたいのでございまするから、ごしんぼうくだすつて、お許しあらんことを願います。
 米国は、欧州諸国の経済復興を目ざして、いち早く、その豊富なる経済力にものを言わせて、いわゆるマーシヤル・フランを実行し、複雑怪奇なる情勢下においてよく欧州諸国を軍事的防衛体にまで盛り立てて行つたのでありまして、いわゆる巻返し作戦を展開するに至りました。その勇気と忍耐に対しては、私も心ひそかに敬意を払わざるを得ないところでありますが、今問題のMSAの渕源するところもまたここにあるのではないかと思うのであります。すなわち、戦後いずれの国においても、特に後進国において、生活の不安、貧困、無知、混乱、これらの状態は共産主義の温床たりやすい。よつて、その原因を除去し、これを改善することによつて共産主義の侵入を防ぎ、もつて民主主義を擁護せんとするところに出発している。まず経済援助を与える、それから技術援助を与える、そうして軍事援助を与える、さらにこれを国際的協力計画に押し進めて、幾変遷を経て今日に至つたものである。現在においては、それはもつぱら共産主義諸国に対して自由世界の武装を強化するために、今年度においては五十三億余ドルを五十三箇国に向つて援助するとい規模のものになつておる。これをもつて相互防衛の実をあげ、アメリカ合衆国の安全を保持せんとするものであると私は了解いたしておるのでありまするが、MSA法の沿革と、の本来の目的、動機等について、外相はどういう見解を持つているのであるか。
 MSA援助を受諾するとするならば、本年度の日本に対する援助額は一億五千万ドルといわれ、二億ドルといわれ、受諾条件のいかんによつては、日本自体の一千八百億円の軍事費は今後著しく増加する憂いがある。日本に対するMSA本来の目的は日本の防衛力の強化にあるのであるから、保安隊やあるいは警備隊、名称はともあれ、その増強はただちに想定されるのであつて、国会に出し渋るところの政府のいわゆる防衛五箇年計画は、MSA法に規定する受諾資格を十分に満たすに足るものであるかどうか。交渉開始を六日に控えて、政府はいよいよ秘密主義をとつて、かたく閉ざして何も言わぬ。しじみのごとく構えておられるが、やがてすべてをさらけ出さなければならぬときが迫つているではないか。アメリカはそれを要求せずにはやみません。日本では何も言わない。ワシントンでは、しきりに、経団連その他の案や、政府の背後の人々によつてこしらえられたという案が論議されておる。ただ日本だけが何も知らぬ。自然に木村放談が飛び出して来るいわれなしとしない。MSAの援助を受諾するといたしましても、その受諾条件を満たすとともに、軍事費は最小限に食いとめ得るものでなければ、あまり意味をなさぬものである。
 MSA機構は、今後三年間、すなわち一九五五年六月までで打切るようにいわれておるが、なお新しい機構において何年間続けられることになるかもしれない。日本に対する援助は、特殊の兵器は別として、日本人の間尺に合わない米国製の兵器や軍需品は、これはなるべく辞退するがよろしい。そういうことにして、日本の国内の購入を主とするところの域外買付による援助方法が最も望ましいのである。ドル収入が日本の経済の支柱になるのでなければ、兵器の増加、防衛力の増強が達成できないではないか。それは交渉によつて強く主張しなければならぬところであると思う。援助目的に沿い得るのでなければ何にもならぬ。この点に政府ははたして自信をもつて交渉できるかどうか。
 MSA援助を受諾するとせば、国連に加入することに対して一歩を進めることになると思う。五十数箇国とともに日本は国連に加盟することになるのでありまするから、国連に一たび加盟するならば、そこに国連憲章による義務が出て来るのであるが、その場合に、外国の救援に日本だけはおもむかないということができるか。今度の交渉によつて、そういうとりきめができるものであるか、できないのではないか。日本だけがこれを拒否する道はないのであつて、結局外地へ派兵をしなければならぬようになる。アメリカとしては一警備隊であるとか、保安隊であるとか、そんな名称はどうでもよい。アメリカのねらいは、その条文にもうたわれているように、いわゆるマン・パワーにある。これも人的資源の意味におけるマン・パワーである。これをフルに活用する意味である。
 もう一つ、昨日アイケルバーガーが言われておつたように、基地としての重要性をねらつておるわけである。その他の点においては、何ら多くを問うところではないのである。また、私の伺いたいのは、これは実際問題として、アイケルバーガーの朝鮮から引揚げよという説は昨日も出ておつたが、こういうことはあり得ると思う。アメリカにおいても、孤立派は相当まだおるのです。そういうことが実現されるとするならば、ただちにその脅威を感ずるのではないか。国内等に外敵が侵入して来た場合、一応アメリカがこれに対応するとしても、日本の警備隊あるいは保安隊は、指をくわえて見ており、これに同調しない、一緒になつてこれを撃退しないということができるだろうか、外敵に当らぬということができるか、そういうことはできるはずのものではない。
 日本の混乱のまつ最中に平和憲法は与えられたのであるが、その当時、われわれはすでに、これは絵に描いたぼたもちであると言つた。特需によつてささえられて来た日本の経済が、朝鮮の休戦によつて愕然とておるときに与えられんとしておるのがMSA援助であります。まことに、たなからぼたもちであると言つても、ある意味においてはいい。しかしながら、今にして、もし安易な特需依存の経済から脱却して、自立態勢への漸進的移行が計画実施され、真剣に努力されなければ、せつかくのMSAも、日本の自立経済樹立のため、また日本の独自性に対して、毒まんじゆうとならないとも限らない、そういうおそれなしとしないのであるが、こうした点に対して、日本の政府は何の用意があるのか。いよいよ六日から交渉に入るとするならば、日本は当然日本の軍事計画の大要を知らさなければならぬと思う。アメリカはこれをどうしても要求するであろう。国会で発表せられず、どこへも何も知らされないで、MSA援助を受諾したのでは、不必要な誤解や摩擦を生ずる。内灘問題にしても、その他の基地の騒擾事件にいたしましても、みな極端な秘密主義で、親切なる説明と宣伝広報の仕事を政府が怠つた結果にほかならないと思うのでありまして、いたずらに反米思想をそそる結果になつたばかりではないか。最後に、総理はしばしば当分のうち保安隊は増強しないと言うて来たが、これはやがてMSA援助を受けることを予期して、防衛力の増強をMSAによつてカムフラージして行くその遠謀ではなかつたか。長い間国民を欺瞞し、他国の好意によつて既成事実をでつち上げ、国民にその承認を強制するようなやり方は、まさにソ連式のやり方であると言わなければならぬ。さらにこれによつて内閣の延命策を講じようとするならば、その心事の陋劣さ、まさに驚きにたえざるものがあると言わなければならぬのだが、政府は、少数内閣の実情にかんがみて、謙虚な態度に立ち返り、独善秘密外交を改めてしかるべきときではないか。総理は、予算総会において超党派外交はやらぬと言つたが、その態度を改めて、防衛力増強という重大な外交問題に対しては、少くとも野党の党首くらいには相談をしてやつて行くという心構えを持つてしかるべきではないか。そうした態度に出ることが、すなわち政治の円滑なる運営をはかるゆえんであると私は考える。私は切に総理大臣の反省を促す次第であります。
 これをもつて終ります。(拍手)
    〔国務大臣緒方竹虎君登壇〕
#19
○国務大臣(緒方竹虎君) お答えをいたします。MSA援助を受けることによつて、結局今まで否定して参つておる自衛軍の創設を必要とするようになるのではないかという質問のように承つたのでありますが、今日まで政府とアメリカとの話合いの間には、そういう新しい義務を負担するようなことは少しも出て参らない。もちろん、今後話合いを進めまして、そうして最後に受諾かいなかを決定することに至るのでありますが、自衛軍の創設を必要とするような結果には私はならないと信じております。
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
#20
○国務大臣(岡崎勝男君) MSAの沿革について、経済援助からだんだん軍事援助になつたのではないかというお話であります。大体において私もそうだと思いますが、たとえば、トルコ、ギリシヤに対する軍事援助というものは、時期的には先でありまして、その後マーシヤル計画ができたり、あるいは中国に対する軍事及び経済の援助とか、あるいはまた北大西洋条約諸国に対する軍事援助とか、いろいろ時期的には錯綜しておりますが、その内容は、経済と軍事両方にあるものと考えております。
 なお、交渉にあたつては、ドル収入を確保するようにしろとが、その他いろいろの御注文がありましたので、これは十分承つておきます。
 また、MSAの援助を受けると、国連に加盟することになつて、その際は軍隊を持たなければ困るのじやないかというお話でありますが、国連加盟が今日まで実現しませんのは、いろいろほかの理由で困難な事情があるからなのは御承知の通りでありまして、MSAを受諾するがゆえに国連加盟がすぐ促進されるかどうかは、これは疑問であります。しかし、すでに軍隊を持たない国でも国連に加盟いたしておりますから、国連に加盟すればどうしても軍隊を持たなければならぬというような点は、法律的にはそうではないと考えております。なお、防衛力の漸増をすることは、その必要の場合に日本で定めるものでありまして、MSAの受諾によつて、これをやらなければならないとか、やる必要はないとかいうような問題とは違うのでありまして国内で定めることになります。
 また、MSAを受諾して内閣の寿命を長くするのではないかというお話でありますが、われわれはまつたくそのかうなことは考えておりませんで、国の利益になると思えばこそやつておるのであります。(拍手)
#21
○議長(堤康次郎君) これにて質疑を終了いたしました。
     ――――◇―――――
#22
○議長(堤康次郎君) 日程第一及び第二は、いずれも提出者から委員会の審査省略の申出があります。よつて両案は委員会の審査を省略して一括議題とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。
 日程第一、戦争犯罪による受刑者の特赦についてのフランス共和国に対する感謝決議案、日程第二、戦争犯罪による受刑者の特赦についてのフイリピン共和国に対する感謝決議案、右両案を一括して議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。益谷秀次君。
    〔益谷秀次君登壇〕
#24
○益谷秀次君 ただいま議題となりました戦争犯罪による受刑者の特赦についてのフランス共和国に対する感謝決議案、並びに戦争犯罪による受刑者の特赦についてのフイリピン共和国に対する感謝決議案の両案について、小会派クラブを除く各党を代表いたしまして、その趣旨説明をいたしたいと存じます。(拍手)
 まず決議案の案文を朗読いたします。
   戦争犯罪による受刑者の特赦についてのフランス共和国に対する感謝決議
 独立後一年有余、戦犯罪による受刑者として内外に拘禁中のもの、いまなお相当数にのぼり、その釈放は国民のすべてが熱望するところであり、本院においても過去数回にわたり、決議をもつて要請したが、フランス共和国が率先して五月二十六日をもつて同国関係日本人戦争犯罪者に対し、特赦の恩典を与えられたことは、ひとり本人及びその家族のみならず、日本国民のひとしく喜びとするところである。
  衆議院は、右の寛大なる措置をとられたるフランス共和国オリオール大統領閣下に対し深甚なる感謝の意を表する。
  右決議する。
    〔拍手〕
   戦争犯罪による受刑者の特赦についてのフイリピン共和国に対する感謝決議  独立後一年有余、戦争犯罪による受刑者として内外に拘禁中のもの、いまなお相当数にのぼり、その釈放は国民のすべてが熱望するところであり、本院においても過去数回にわたり、決議をもつて要請したが、今回フイリピン共和国が、七月四日の独立記念日にあたり、フイリピンにおいて服役中の日本人戦争犯罪者に対し、特赦の恩典を与えられたことは、ひとり本人及びその家族のみならず、日本国民のひとしく喜びとするところである。
  衆議院は、右の寛大なる措置をとられたるフイリピン共和国キリノ大統領閣下に対し深甚なる感謝の意を表する。
  右決議する。
    〔拍手〕
 御承知のごとく、未曽有の惨禍をもたらした大戦が終結いたしましてからすでに八年を経過いたしましたが、その間、日本国民の努力は、米国の援助と相まつて、着々と国家再建の実をあげ、昨昭和二十七年四月には対日平和条約の発効を見るに至り、ここに民主主義国家の一員として世界の平和維持と人類の福祉増進とに貢献する道が開けたことは、国民のひとしく喜びとするところであります。しかしながら、その喜びの陰には、いまなお相当数の者が国の内外にわたり戦争犯罪者として獄舎に呻吟苦悩していることを思い、またその家族の人々の言語に絶する心労のいかばかりかを察するときに、国民あげてその釈放、減刑ないし内地送還の一日もすみやかならんことを念願してやまないのであります。
 よつて衆議院は、この国民の悲願に沿うて、独立回復後の国会において十三、十五回の再度にわたつて戦犯者の釈放に関する決議をいたして、政府にその善処を要望するとともに、関係各国の好意に訴えたのでありましたが、幸いにも、フランス共和国大統領オリオール閣下におかれては、昨年七月の日本政府からの同国政府あての日本人戦犯者赦免の申入れにこたえられて、他国に率先して、本年五月二十六日に、同国関係日本人戦犯者全員中三名を除く三十一名に対して恩赦の特典を与えられたのであります。かかる人道的措置こそは、自由、平等、博愛の仏国の建国精神に立脚するとともに、日仏両国の親善関係を一層緊密にするものでありまして、日本国民のひとしく感謝おくあたわざるところであります。また、今般フイリピン共和国キリノ大統領閣下におかれては、崇高なるキリスト教精神に基き、かつ日比両国の将来における友好親善関係を考慮され、英断をもつて、本日の同国独立記念日を期して、同国服役中の全日本人戦犯者に対し、死刑者は無期刑に、無期並びに有期刑は釈放に、特赦の恩典を与えられましたことは、本人及びその家族は申すに及ばず、全日本国民の衷心より感謝いたすとともに、フイリピン国民の友愛の精神に対しまして心から敬意を表するものであります。
 仏比両国がほとんど時を同じくしてとられたる今回の崇高なる措置こそは、日本国民の正義と平和とを愛好する精神に合致するのみでなく、世界平和と新しい秩序の確立に貢献するところ多大なるものがあると信ずるものであります。願わくは、政府においては、今後連合各国に対して一段の努力を傾けて、日本人戦犯問題の解決に当られるよう要望いたしますとともに、仏比両国を除く各国におかれても、このたびの例によつて、すみやかに類似の措置をとられるように望んでやみません。
 何とぞ満場の諸君の御賛同あらんことを望みます。(拍手)
#25
○議長(堤康次郎君) 両案を一括して採決いたします。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔総員起立〕
#26
○議長(堤康次郎君) 起立総員。よつて両案は可決いたしました。(拍手)この際外務大臣及び法務大臣から発言を求められております。これを許します。外務大臣岡崎勝男君。
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
#27
○国務大臣(岡崎勝男君) ただいま本院において、フランス共和国及びフイリピン共和国の日本人戦犯特赦に対し、それぞれ感謝の決議をいたされましたが、これはまことに時宜に適するものとして、政府としてもまつたく同感の意を表するのであります。
 戦犯問題の解決は、国民一般もかねがね切望していたところでありまして、政府といたしましても、この国民の願望はあらゆる方法により先方に伝えることに努めて参つたのであります。今般フランス共和国及びフイリピン共和国のとられました措置が発表されるや、関係家族は申すに及ばず、国民ひとしく喜びの声をあげましたのも、またまことに当然のことと考えておるのであります。政府は、今回両国のとられました人道的の措置に対し、深き感謝の意を表するものであります。
 なお、比島におきましては、先ほども申されましたように、本問題について種々国民感情の考慮を要するものがあつたと考えられるのでありますが、キリノ大統領の英断は、この意味において特に多とするところであります。さらに、今回の措置の陰には、フランスなりフイリピンなりの多数の有力者の絶えざる努力のあつたことも、この際銘記すべきであると考えております。
 政府といたしましては、今回の御決議の趣旨に沿いまして、日仏、日比の関係の改善に一層の力を尽すつもりでありますが、同時に、他の戦犯問題の解決につきましても、世論の要望にこたえ、今後ともさらに努力を続けて参るつもりであります。(拍手)
#28
○議長(堤康次郎君) 法務大臣犬養健君。
    〔国務大臣犬養健君登壇〕
#29
○国務大臣(犬養健君) ただいま本院においてなされました御決議は、戦犯問題に携わります法務省といたしましても深き感激をもつて拝聴いたしました。
 このたびフランス共和国とフイリピン共和国のとられました日本人戦争犯罪受刑者に対する特赦の処置は、受刑者はもちろん、家族はもとより、全国民が満腔の感謝をもつてその好意を迎えたことと存じます。この寛容に満ちた措置がなされるに至りました陰には、フランス共和国のオリオール大統領閣下及びフイリピンのキリノ大統領閣下を初め、両国各界の有力なる人士の大いなる尽力があずかつておることはもちろんでございますが、同時に、無名にして高潔なる宗教的精神を抱いている、かの国の人々の目立たぬ配慮、奔走が長きにわたつて今日の実を結んだのでありましてこのたつとき事実をわれわれは決して忘却してはならないのであります。(拍手)彼の美徳にこたうるに、われらはあらゆる信義をもつて処したいと存じております。かるがゆえに、このたびの両国政府の処置を契機といたしまして、わが国と両国との間の親善関係はさらに一段と促進せられ、東亜の天地が一切の陰欝な過去を忘れて、新しき理想と善意に満ち、ひいては世界平和に寄与すること多大であることを確信いたす次第であります。(拍手)
 ここに繰返しフランス共和国、フイリピン共和国及びその国民各位に対して深甚なる感謝の意を表明いたしますとともに、両国の将来にわたる繁栄を心から祈る次第であります。(拍手)
#30
○議長(堤康次郎君) 日程第三、農産物検査法の一部を改正する法律案、日程第四、昭和二十八年四月及び五月における凍霜害の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案、日程第五、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員会理事金子與重郎君。
    〔金子與重郎君登壇〕
#31
○金子與重郎君 ただいま議題となりました、金子與重郎外七名提出、農産物検査法の一部を改正する法律案、内閣提出、昭和二十八年四月及び五月における凍霜害の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案、並びに内閣提出、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の三案につき、農林委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 まず、農産物検査法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 御承知のごとく、米麦は、農産物検査法によりまして、国の強制検査と相なつております。それによりまして、農産物の大宗たる米麦につき規格の統一を行い、取引の斉正、迅速をはかり、もつて農民並びに農業団体の利益を擁護することといたしております。しかるところ、昨年六月以降麦の統制方式を変更いたしまして以来、無検査麦の取引が横行し、ある場合におきましては生瞳者側に少からぬ損害を与えておると思われるのであります。かような事態の発生は、農産物検査法制定当時まつたく予測し得なかつたところであります。よつて、大小麦並びに裸麦の生産者は、その生産したものを自己消費以外の目的で加工の委託をするときたは、委託前に国の検査を受けしめ、また米麦または精米の売買加工を業とする者は、未検査の米麦等をその生産者から買い取り、売渡し委託、加工委託を受けることができないようにしましたのが改正点の第一であります。次に、検査規格の設定、変更または廃止の際、公示の日から施行期日までの期間が現行法では三十日となつておりますが、今次災害等の場合において応急的に新たな規格を設定しようどするとき等におきましては、いささか長きに過ぎまするので、この公示の余裕期限を短縮しようとするのが改正の第二点であります。さらに、農林大臣の生産者、販売加工等の業者に対する報告徴収権並びに圃場、倉庫等への立入り調査権を新たに規定しておるのであります。
 本案は、七月一日、提案者を代表して改進党吉川久衛君より提案理由の説明が行われ二日、提案者並びに政府委員に対して質疑を行つたのでありますが、特に社会党芳賀貢君より、生産者から報告を徴収しまたは圃場へ立ち入つて立毛の調査を行う場合の目的並びにその範囲について質問があり、これに対し、政府側より、これらの農林大臣の指定する行為は、農産物の品質を向上せしめ、農民の利便をはかる目的で、すべて指導的な立場に立つて行われ、その範囲を逸脱しない旨の答弁が行われ、かくて質疑を終了し、討論を省略して採決を行いましたところ、賛成多数をもつて原案のごとく可決すべきものと決した次第であります。
 次に、昭和二十八年四月及び五月における凍霜害の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案について申し上げます。
 本年四月、五月にかけて襲来いたしました凍霜害は、その規模きわめて広大で、被害地域はほとんど全国にわたつており、被害農家の損失もまた莫大な額に上るのであります。本農林委員会におきましては、ただちに農林当局より被害状況の説明を聴取いたしますとともに、東北、関東及び東海の三地域に委員派遣を行い、委員会独自の立場から、被害状況に対し詳細な現地調査をも行つているのであります。他方これと並行して、国会におきましては、各派の代表者の協議会を数次にわたり開催いたし、これが対策につき考究を重ねて、その結論を政府に伝達いたし、これが実施方を要望して参りましたことは、議員各位の御承知の通りであります。政府におきましても、出先機関並びに関係官の現地派遣等により調査をいたしまするとともに、国会側におきまするこの対策の結論を尊重いつたしまして、ここに本法案を提出いたし、被害農家に対する営農資金の低利融通並びに補助金の交付を行い、被害農家の負担を軽減し、あわせて経営の安定をはかろうといたしたのであります。
 次に、本法案の内容につき要点を申し上げますと、一、今次の凍霜害により平年作に比し三割以上の被害をこうむつた農家に対し、農林中央金庫、都道府県信連、農業協同組合その他の金融機関が、期限二箇年以内、年利六分五厘以内の金利で営農資金を融通する場合、都道府県または市町村が年五分以内の利子補給すること及び融通額に対し三割以内の損失補償を行つた場合に、国が融資総額二十億円の範囲で、当該利子補給金または損失補償額の二分の一を都道府県に対して補助すること、二、被害農家に対する桑、茶、果樹の樹勢回復用肥料、晩秋蚕増産用の蚕種及び代作用蔬菜種子の購入資金については、その三分の一を国が補助し、他の三分の一を都道府県または市町村の補助にたよることとし、残余の資金については、農林漁業金融公庫及び農林中央金庫等の金融機関から半々ずつ低利融通をさせることといたし、このために農林漁業金融公庫の業務に特例を設けようとするものであります。
 本法案は、去る六月二十三日本農林委員会付託と相なり、翌二十四日保利農林大臣より提案理由の説明を聴取の上質疑を行い、その後引続き質疑を行つたのであります。この質疑中におきまして特に申し上げたいことは、多数の委員から、開拓農家は一般農家より劣悪な条件下にあるをもつて償還期限の延長をはかるべきであること、及び今般の融資は麦の被害状況が十分に判明しないうちに決定したものであるから、今後麦の被害が判明いたし、その額が増加した場合には、融資総額の増加をはかるべきであるとの御発言がございました。
 しかるに、他方、六月二十四日には、社会党平野力三君外四十五名により、昭和二十八年凍霜害に伴う営農資金の融通に関する特別措置法案が提出されたのであります。そこで、数回の理事会を開会いたしまして、各党の意見の交換を行い、協議を遂げて参りました結果、昨三日各党の意見の一致を見ましたので、その結論に基き、政府案に対して次に申し上げますごとき修正を加え、かつ附帯決議を付することといたしたのであります。よつて、同日ただちに委員会を開会いたしましたるところ、社会党日野委員から各派を代表して共同修正案が提出されました。修正案の内容は、一、償還期限について政令で特別に定める場合は三年以内とすることができること、及び貸付利率を五分五厘とすることができること、第二点は、損失補償を融資総額の四割に引上げ、国及び地方自治体において二分の一ずつを負担すること、この二点でございます。
 次いで、討論を省略、採決に入り、社会党足鹿委員から別項のごとき附帯決議を付したい旨の御発言がございました。採決の結果は、全会一致をもつて修正案のごとく政府原案を修正すべきものと決定いたしました。続いて附帯決議につき採決いたしましたるところ、これまた全会一致をもつて附帯決議を付することに決定しました。
 次に附帯決議を朗読いたします。
    附帯決議
  昭和二十八年四月及び五月におけ凍霜害の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法の成立後において、政府は本法の運営上左記事項につき万遺憾なき措置を講ずること。
     記
  一、助成の対象となる融資限度は二十億円となつているが、融資要望額がこれを超過する場合においては、これが増額につき措置すること。
  二、地方自治体が将来負担すべき損失補償に関連して融資に円滑を欠く如き事態の発生を防ぐため、政府は今後、地方自治体の損失補償額に相当する特別平衡
   交付金増額の措置を講ずるこ
   と。
 なお、この附帯決議に対し、篠田農林政務次官及び大蔵省河野主計局長から、御趣旨に従い十分考慮したい旨の所見を述べられまして、これを了承した次第でございます。
 次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について報告いたします。(「簡単」と呼ぶ者あり)
 農林漁業金融公庫は、去る四月一日に新発足いたし、農林漁業者に対し長期低利の資金融通を行つて来ているのでありますが、本年度における同公庫の貸付計画は二百四十億円を計上いたし、他に今次四、五月における凍霜害被害農家に対する樹勢回復用肥料、晩晩秋蚕増産用の蚕種及び代作用蔬菜種子の購入資金として(「簡単々々」と呼ぶ者あり)九千三百万円を加えまして、総計二百四十億九千三百万円に上るのであります。(「簡単にやれ」と呼ぶ者あり)
 以上、詳細は速記録に譲りまして三案の報告を申し上げました。
#32
○議長(堤康次郎君) まず日程第三につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔総員起立〕
#33
○議長(堤康次郎君) 起立総員。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 次に日程第四及び第五を一括して採決いたします。日程第四の委員長報は修正でありまして、日程第五の委員長報告は可決であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
#35
○議長(堤康次郎君) 日程第六、産業労働者住宅資金融通法案、日程第七、北海道防寒住宅建設等促進法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員会理事瀬戸山三男君。
    〔瀬戸山三男君登壇〕
#36
○瀬戸山三男君 ただいま議題となりました産業労働者住宅資金融通法案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
 まず、提案の理由及び法案の要旨を申し上げます。現在の住宅難はきわめて深刻でありますが、特にわが国再建の原動力となつている勤労者においては、さらに緊迫いたしておりまして、勤労能率に対しても重大な影響を与えている状況であります。住宅供給に関しましては、すでに公営住宅法及び住宅金融公庫法が公布されておりますが、さらに今回本法を制定して、産業労働者の住宅を建設する事業者等に対し長期低利資金を融通し、もつてその建設を促進せんとするものであります。
 本法案は張る六月二十三日本委員会に付託されましたが、関連法案との調整をも必要とした関係上、特に住宅に関する小委員会を設けて十分検討した上、さらに本委員会においても慎重に審査いたしました。その際特に問題となりました点は、貸付対象の範囲、貸付金の限度、償還期間等のほか、貸付対象並びに入居者の公正なる選定等に関する事項でありましたが、詳細は速記録を御参照願います。
 かくて、質疑終了後、村瀬宣親君より、貸付限度の引上げ及び償還期間の延長に関する修正動議が提出されましたが、討論を省略してただちに採決の結果、修正案並びに修正部分を除く原案はいずれも全会一致にて可決されました。
 なお、本案に関しましては、山下榮二君より次のごとき附帯決議の動議が提出され、これも全会一致で可決されました。
  産業労働者住宅資金融通法案に対する附帯決議案
  政府は、本法の施行に際し次の措置を講ずべきである。
 一、現下の深刻な住宅難特に住宅不足の甚しい勤労庶民階層の事情にかんがみ、これに対する住宅対策を更に強化するとともに、その一環たる本法に基く産業労働者住宅の建設については、最近の機会において貸付資金の増額をはかる措置を講じ、あわせて資金貸付の範囲の拡大貸付金の限度の引上及び貸付金の利率の低減に努めること。
 二、住宅対策審議会に所要の部会を設け、本法に関する重要事項についての住宅対策審議会の意見を充分に尊重すること。
 三、貸付金に係る住宅の入居者の資絡及び家賃その他の賃貸の条件について入居者の意見を充分に反映させるために、必要な措置を講ずること。
 四、勤労庶民住宅の建設を促進するため、これに課せられている税金の減免に関し適当な措置を講ずること。
 以上であります。
 次に、議題となつております北海道防寒住宅建設等促進法案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、提案の理由を申し上げます。昭和二十五年北海道開発法が制定せられ、北海道の総合的な開発の国家的な重要性が認められたのでございますが、その基本要件といたしまして、居住条件がまず第一に取上げられなければならないのであります。ところが、北海道におきましては寒冷がはなはだしく、従来のそまつな木造住宅では、一冬の採暖のために要する燃料は、石炭で三トン以上、まきの場合には実に住宅一戸分に相当する木材を消費するという現状であります。また、北海道の建築は、内地に比して相当高価となる一方、ブロツク建築は火山灰等の利用により内地より安価に建設できる等の特殊事情もありますので、この際道民を北海道に永住定着せしめるためにも、できるだけ北海道の住宅を不燃防寒構造にしようとするものであります。
 次に、本法案の内容といたしましては、北海道の気象条件に適する不燃防寒住宅の構造設備を研究し、これを一般に普及することに対し国の助成をすること、住宅金融公庫より融資される住宅は不燃防寒構造のものに限り、そのかわり償還期間の若干の延長を認めること、並びに公営住宅その他国または公共団体の資金により建設される住宅は、努めて不燃防寒的なものとせねばならぬ旨を規定しております。
 本法案は、去る六月二十六日本委員会に付託されまして以来、二回にわたり委員会を開き、慎重に審議いたしました。質疑の内容につきましては速記録を御参照願いたいと存じます。
 かくて、質疑終了後、五十嵐吉藏君より修正案が提出されました。本修正案は、先刻御報告申し上げました産業労働者住宅資金融通法案の修正に伴いまして必然的に修正されなければならないものであります。引続き討論に入り、日本社会党を代表して中井徳衣郎君より、本法案の趣旨は、ひとり北海道にのみ適用されるべきでなく、他の寒冷地にも普遍すべきである旨の意見が述べられた後、採決の結果、修正案並びに修正部分を除く原案、ともに全会一致をもつて可決されました。
 以上、簡単ではありますが、御報告申し上げます。
#37
○議長(堤康次郎君) まず日程第六につき採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の痛り可決いたしました。
 次に日程第七につき採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#39
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
#40
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、議院運営委員長提出、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律案、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案及び国会閉会中委員会が審査を行う場合の委員の審査雑費に関する法律の一部を改正する法律案の三案は、委員会の審査を省略してこの際一括上程し、その審議を進められんことを望みます。
#41
○議長(堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律案、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案、国会閉会中委員会が審査を行う場合の委員の審査雑費に関する法律の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員今村忠助君。
    〔今村忠助君登壇〕
#43
○今村忠助君 ただいま議題となりました、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律案及び国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案並びに国会閉会中委員会が審査を行う場合の委員の審査雑費に関する法律の一部を改正する法律案について、提案の理由を簡単に御説明いたします。
 まず、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律案について申し上げます。本案は、国会が国の唯一の立法機関たる性質にかんがみまして、国会議員の立法に関する調査研究の推進に資するため必要な経費の一部として、各議院における各会派に対し、毎月その所属議員数に応じ立法事務費を交付しようとするものであります。なお、本件立法事務費は四月分から実施することといたしました。
 次に、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。本案は、国会開会中各議院の役員及び特別委員長が受ける議会雑費は、現下の経済情勢にかんがみ、その日額を千円に改正しようとするものでありまして、その実施は五月十八日からといたしました。
 また、国会閉会中委員会が審査を行う場合の委員の審査雑費に関する法律の一部を改正する法律案は、国会の閉会中委員会が審査を行う場合に、委員が受ける審査雑費も、同一事由によつて、その日額を二千五百円に改めようとするものであります。
 なお、以上三案はいずれも議院運営委員会において立案したものでありますから、何とぞ御賛成を願います。
#44
○議長(堤康次郎君) まず、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律案につき採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#45
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。
 次に、その他の二案を一括して採決いたします。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#46
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて両案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
#47
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、らい予防法案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#48
○議長(堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 らい予防法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員長小島徹三君。
    〔小島徹三君登壇〕
#50
○小島徹三君 ただいま議題となりましたらい予防法案につきまして、厚生委員会における審査の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。
 現行の癩予防法は明治四十年に制定せられ、その後数次の改正を加えて参つておりますが、現在の実情にそぐわないと認められる点もありますので、これに対し全面的に予防措置を講するとともに、患者及びその家族の福祉について万全を期するため新たに癩予防法を制定しようというのが、本法案提出の理由であります。
 本法案のおもなる内容について申し上げますれば、第一は、都道府県知事はその指定する医師をして癩恵者またはその疑いのある者を診察させることができることとすることであります。第二は、癩を伝染させるおそれのある患者に対し、まず勧奨により本人の納得を得て療養所に入所させることを原則とし、これによつて目的を達しがたい場合に入所を命じ、あるいは直接入所させる等の措置が第二次的にとられることとすることであります。第三は、療養所に入所している患者は、癩予防の見地から、特別の場合のほかは当該療養所から外出してはならないようにすることであります。第四は、入所患者が当該療養所内の秩序を乱した場合に、一般の施設と同じく退所の処分ができないので、所長が秩序維持の手段として戒告または謹慎の処分を行い得るようにすることであります。第五は、患者及びその家族の福祉をはかり、あわせてこれにより癩予防対策の円滑な推進をはかるために、患者及び家族の福祉措置についての規定を設けることであります。
 本法案は、六月三十日本委員会に付託せられ、七月二日政府より提案理由の説明を聴取し、同三日及び四日審査を行いましたところ、患者及びその家族の福祉、癩に対する啓蒙、療養所内の秩序の維持、入所手続、外出の制限等に関し、委員と政府との間にきわめて熱心なる質疑応答が行われたのであります。
 かくて、本日質疑を打切り、討論に入りましたところ、自由党を代表して青柳委員、改進党を代表して古屋委員、自由党を代表して亘委員より、それぞれ希望を付して賛成の意が述べられ、日本社会党を代表して長谷川委員、同じく日本社会党を代表して堤委員より、それぞれ反対の意見が述べられたのであります。討論を終了し、採決に入りましたところ、本法案は多数をもつて原案通り可決すべきものと議決した次第でございます。なお、詳細は速記録で御承知願います。
 以上御報告申し上げます。
#51
○議長(堤康次郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#52
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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