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1947/08/28 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第30号
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1947/08/28 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第30号

#1
第001回国会 本会議 第30号
昭和二十二年八月二十八日(木曜日)
    午後二時四十八分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十九号
  昭和二十二年八月二十八日(木曜日)
    午後一時開議
 第一 労働省設置法案(内閣提出、参議院回付)
 第二 皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律案(内閣提出)
 第三 家事審判法案(内閣提出)
 第四 海難審判法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 第一 労働省設置法案(内閣提出、参議院回付) 
#3
○議長(松岡駒吉君) 日程第一、労働省設置法案、参議院回付案を議題といたします。討論の通告があります。これを許します。土井直作君。
#4
○土井直作君 ただいま議題となりました参議院の回付案は、労働省設置の根本方針においては本院の意思と何ら異りませんから、本回付案に同意の意思を表明いたします。
#5
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    [総員起立]
#6
○議長(松岡駒吉君) 起立総員。よつて全会一致参議院の修正に同意するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
 第二 皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律案(内閣提出)
 第三 家事審判法案(内閣提出)
#7
○議長(松岡駒吉君) 日程第二、皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律案、日程第三、家事審判法案、右両案は、同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。司法委員長松永義雄君。
   ――――――――――――
 家事審判法案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により第三十三号の末尾に掲載]

  [松永義雄君登壇]
#8
○松永義雄君 ただいま議題と相なりました、皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律案及び家事審判法案の両案について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 初めに、皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律案につきまして御報告いたします。まず本案の趣旨について御説明申し上げます。日本國憲法の施行に伴いまして、明治四十三年法律第三十九号の「皇族ヨリ臣籍ニ入リタル者及婚嫁ニ因リ臣籍ヨリ出テ皇族ト爲リタル者ノ戸籍ニ関スル法律」が廃止されましたが、これと同時に施行を見るに至りました現行皇室典範の第二章には、皇族がその身分を離れられる場合及び皇族以外の女子が皇族となられる場合について、数箇條にわたつて規定しておるのであります。このような場合には、その方の戸籍をいかに処理するかを定める必要があるのでありまして、いわばこの法律案は、皇統譜令と戸籍法との橋渡しともいうべき法律案なのであります。
 本案の内容の第一点は、皇族がその身分を離れられた場合の戸籍に関する規定でありまして、まず皇族が皇室典範第十一條の規定によつて皇族の身分を離れられた場合には、その方について新戸籍を編製することといたし、さらに皇族の身分を離れられたその方の妃直系卑属及びその妃がある場合には、皇室典範第十三條の規定により、それらの方々もともにその戸籍に入ることとなつております。
 次に、皇族以外の女子で親王妃または王妃となられた方が、その夫を失つた後に、皇室典範第十四條第一項または第二項の規定によつて皇族の身分を離れられた場合、またはその方が離婚によつて皇族の身分を離れられる場合には、いずれも原則として婚姻前の戸籍に復籍し、また皇族女子で他の皇族の妃となられた方が、夫を失いまたは離婚された場合に、それ以前すでにその直系尊属が皇属の身分を離れておられるがため、みずからも皇族の身分を離れられることがあるときには、原則としてその直系尊属の戸籍にはいることといたしてあります。
 第二点は、皇族女子が天皇及び皇族以下の者との婚姻によつて皇族の身分を離れられる場合には、当然戸籍法の適用によつてその夫の戸籍にはいられるのでありますから、これにつき特別の規定を設ける必要はありませんが、ただその方がその後離婚される場合には、復籍すべき戸籍がないわけでありますから、その方について原則として新戸籍を編製することにいたしてあります。
 第三点は、皇族以外の女子が皇后または妃となられた場合には、その方を從前の戸籍から除籍することになつております。
 第四点は、以前のような皇族の身分の得喪があつた場合における戸籍の届出について規定したことであります。すなわち、皇族がその身分を離れられた場合にはその方から、皇族以外の女子が皇族となられた場合には、その四親等内の親族から、それぞれ所定期間内に一定の届出をなさしめることといたしてございます。以上が、この法律案の大要でございます。
 本案につきましては、去る十四日より審査を始めまして、当日政府の説明を聴き、十八日質疑に入り、委員と当局との間に次のような質疑が交されました。その要点を、きわめて簡單にかいつまんで申し上げます。
 第一に、この法律案と近く実現を予定されている改正戸籍法との関係いかんとの質疑に対しまして、政府当局より、漏れ承るように、皇族の臣籍降下が大体今年中に行われるとすれば、從來の戸籍法の適用の範囲内だから、來年一月一日から民法の施行と同時に施行される新戸籍法の適用を受ける、その間この法律によつて降下される方の戸籍をつくることとなる旨の答弁がありました。
 次に、皇族の分籍可能なりやとの質疑に対し、やがて改正後の新戸籍法では、成年者は何時でも分籍できるという規定を創設するつもりであるから、從つて一旦臣籍に降下されると、戸籍法のその規定によつて分籍できることになる旨の答弁がございました。
 次に、第五條における届出期間を設けた拠りどころいかん、またその期間はいつから起算するのかとの質疑に対し、政府当局より、除籍及び入籍について、大体旧來の華族に降下される場合の例にならつたのであるが、一定の届出期間を必要と考えた、皇族の身分を離れた日及び婚姻のあつたとき等がそれぞれ届出期間の起算点である旨の答弁がございました。以上が、質疑の大要でございます。
 次いで、二十二日討論の際、社会党の石川委員、民主党の打出委員、自由党の岡井委員及び國民協同党の大島委員より、それぞれ本案は適切妥当の立法であると認め原案に賛成の旨の発言があり、次いで採決の結果、満場一致をもつて原案通り可決しました次第であります。
 次に、家事審判法案について御報告いたします。まず本案の趣旨及び内容について簡單に御説明申し上げます。
 由來身分関係に基く家庭内や親族間の紛爭解決の途としての現行訴訟制度は、家庭の平和と健全な親族共同生活の維持をはかるという見地からは、理想に反する点がありますので、これを理想的に解決するためには、裁判官に民間有識者を加えた機関が、訴訟の形式によらないで、親族間の情誼に適合するように紛爭を処理することが望ましいのであります。ここに家事審判制度を全面的に採用しようとするのが本法案の趣旨であります。
 その内容の主要な点は、第一に家事審判所を家庭事件のみを取扱う地方裁判所の特別の支部といたし、その手続も訴訟の形式をとらなかつたことであります。
 第二は、家事審判所の取扱う事件は、離婚事件及び離縁事件等、その性質上訴訟手続によつて処理することを必要とする事件を除き、それ以外の家庭事件はすべて審判事件とし、審判事件は禁治産事件及び失踪事件等、その性質上調停に適さない事件を除き、すべて調停を行うものとするとともに、家庭に関する訴訟事件についても、調停前置主義をとり、結局家庭事件はすべて一應家事審判所において処理するとともに、家庭事件を可及的に関係人の互讓によつて円満かつ自主的に解決することになつております。
 第三に、審判は原則として家事審判官が参與員の参與によつて行い、調停は原則として家事審判官と調停委員をもつて組織する調停委員会が行うこととしてあります。
 第四は、現行人事調停法に比し、調停を強化し、婚姻または縁組の無効事件、嫡出子の否認事件等の調停におきましても、当事者間に合意が成立した場合には、必要な事実を職権で調査した上、その合意に相当する審判をなし得ることとするとともに、家庭事件について調停が成立しない場合には、強制調停をもなし得る途を開き、家庭事件はなるべく訴訟によらず、調停によつて処理するようにいたしてあります。
 第五として、参與員及び調停委員について、秘密漏泄の罰則を設け、家庭内の秘密が世間に暴露されることを防止して、当事者が安んじてこの家事審判制度を利用し得るようになつております。
 以上の諸点のほか、審判及び調停につきましては、非訟事件手続法を準用してその手続を簡素にし、事件の迅速な解決と費用の軽減を企図しております。以上が本案の骨子であります。
 本案は、民法の一部を改正する法律案の審議と並行して審議を行い、去る十四日政府の説明を聽き、次いで十八日及び二十三日の両日質疑を行いました。今その質疑の主なる点について御紹介申し上げます。
 まず第一に、家事審判作用の性質いかんとの質疑に対し、主として非訟事件を取扱うが、法律を適用し、これを解決していくもので、それは司法権、いわゆる裁判権の行使である旨の政府の答弁でありました。
 次に、全國を通じ家事審判所の設立予定数はどのくらいかとの問いに対し、大体從来の区裁判所單位で、すなわち旧区裁判所所在地の全國で二百七十八箇所に設ける予定であるとのことでございます。
 次に参與員の地位いかんとの質疑に対し、参與員は審判には直接興せず、審判官は参與員の意見を諮問しつつ審判するので、その意見にはごうも拘束されないとの答弁でありました。
 次に、第九條末項の規定における家事審判所の管轄事項に入るものの中で、本法以外の他の法律に定める事項としてはいかなるものが予定されるかとの質疑がなされたのでございますが、これに対し、近く制定を予想される農業資産の相続に関する特例法に規定する相続に関する事件、改正戸籍法による氏名変更の許可及び其の他戸籍訂正事件というようなもので、家事審判所に属せしめることが適当と考えられるようなものを予定している旨の答弁があつたのでございます。
 次に、第十八條の調停の申出方式は、文書によるものか、あるいは口頭で足るものかとの質疑に対し、いずれによつても行える旨の答弁でありました。
 次に、同條の前段と後段との規定を比べ考えると、事実上調停の申立をしなくても済むような感じを受け、規定の趣旨が徹底せぬのではないかとの質疑に対し、これはいわゆる調停前置主義による考え方で、人事事件は一應調停を試み、それで解決のつかぬ場合は訴訟に移すというので、かりにそれを無視して訴えを起した場合には、それは本條の一項により不適式となるが、訴訟経済上の理由から、この訴えを却下せず調停にまわすこととした旨の答弁でありました。以上、質疑の主なるものについて御紹介申しました。
 次いで、二十五日討論の際、社会党石川委員、民主党八並委員、自由党佐瀬委員及び國民協同党大島委員等の諸君より、それぞれ党を代表し、原案に賛成の旨意見を述べられたのであります。次いで採決の結果、本案は原案の通り可決致しました次第であります。以上報告いたします。
#9
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
  [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#10
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 第四 海難審判法案(内閣提出)
#11
○議長(松岡駒吉君) 日程第四、海難審判法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸及び交通委員長正木清君。
  [正木清君登壇]
#12
○正木清君 ただいま議題となりました海難審判法案について、運輸及び交通委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は八月九日に本委員会に付託せられまして、八月十三日運輸大臣より提案理由の説明を聽取し、二十日、二十三日の両日にわたり愼重なる審議をいたしたのであります。
 わが國の海運は、戰爭の結果、保有船腹の大部分を喪失し、現に残存する船舶の過半数は、戰時大量建造のいわゆる戰標船であり、乘組員もまた大部分急速養成の船員であり、さらにこれに加えまして、戰爭の結果、航路標識の滅失、艤装品その他運航または補修用資材の不足等の事情により、戰後における海難件数は増加の一途をたどり、まことに憂慮にたえない現状でありますが、このときにあたり、本年日本國憲法が施行せられ、現行海員懲戒法の一部の規定は当然改正する必要に迫られましたので、この際これに徹底的な檢討を加えることを期し、海員懲戒法を廃止し、新たに海難審判法が立案されたのであります。
 しかして、本案の趣旨を簡單に説明申し上げますと、現行海員懲戒法のごとく海員の懲戒を目的として海技免状受有者の行爲をのみ対象とすることをやめ、むしろ直接に海難の事実そのものを対象として、その原因を探究し、審理の結果、海技免状受有者に故意または過失があつたときは、必要に應じこれを懲戒し、また海難が海技免状受有者以外の者、すなわち船主、造船所その他の者の所爲に基くことが明らかな場合には、これ等の者に対してしかるべき勧告ををなし得ることとし、もつて海難の防止に寄與せんとするのであり、またその審判手続については、新たに参審員の制度を採用いたしましたほか、日本國憲法に規定されている國民の自由権の保障との関係を勘案いたしまして、必要なる修正を加えると同時に、憲法の要請にこたえ、高等海難審判所の判決に対して司法裁判所に不服の訴えを提起する途を開いたこと等であります。
 本委員会においては、まず提案理由の説明を聽取した後、熱心なる質疑應答が政府と当委員との間に行われたのでありますが、その概略を申し上げますと、質疑の重点は、おもに本法案によつて新たに設けられた勧告の制度に集中されたのであります。すなわち勧告制度について、被勧告者の地位、勧告の方法及びその実効性等に関し質したところ、これに対し政府側より、勧告は法的強制力なきものであるが、第六十二條により官報その他に公示することによつて輿論を喚起し、被勧告者に社会的圧力を加えることによりその趣旨の実現を期し得る旨の答弁がありましたが、委員会といたしましては、將來の日本海運の再建発展のために政府の万全なる措置を要望し、後に述べまする附帶決議を附することとしたのであります。
 また被勧告者を、免状受有者と同樣これを審判当事者とすることの是非については、これは憲法に保障せられた國民の基本権の関係上困難な点があるのでありますが、しかし、政府は手続規定を定めるにあたり、被勧告者が審判廷に出席し、十分にその立場について弁明する機会を與えるごとく措置する旨の政府答弁がありました。
 また本法案を実際に運用する審判官、理事官の資格を規定する方針についての質疑に対しては、政府より、一定の資格を有する者の中より選考委員会の審査によって任用する旨の答弁がありました。その他審判の管轄、補佐人の資格等の点について質疑がありましたが、その詳細については会議録に譲りたいと存じます。
 かくて、八月二十三日討論に入り、社会党より館俊三君が党を代表して、勧告の実効性を確保するため、社会党より次の附帶決議を附して原案に賛成する旨述べられましたが、ここに右附帶決議を朗読いたします。
   海難審判法案附帶決議
 一、本法案第六十二條、第六十三條の勧告は、強制力を有しない欠点があるから、これを補うため被勧告者をして勧告の趣旨を嚴格に履行させるよう監督の措置を講ずること。
 以上であります。
 次いで、民主党より原彪君、自由党より高橋英吉君、國民協同党より飯田義茂君がそれぞれ党を代表して、右附帶決議を附して原案に賛成する旨述べられ、ただちに採決に入り、全会一致をもつて附帶決議を附して原案の通り可決した次第であります。右、御報告申上げます。(拍手)
#13
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
  [「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり]
#14
○議長(松岡駒吉君) 本案は委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  [賛成者起立]
#15
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 復興金融金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#16
○土井直作君 議長日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、復興金融金庫法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#17
○議長(松岡駒吉君) 土井君の動議に御異議ありませんか。
  [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#18
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 復興金融金庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長北村徳太郎君。
  [北村徳太郎君登壇]
#19
○北村徳太郎君 ただいま議題となりました復興金融金庫法の一部を改正する法律案につきまして、財政及び金融委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 まず政府より、復興金融公庫は本年一月末設立以來、戰後経済の中核たる中小企業の育生のために相当の効果をあげてきたのでございますが、その融資総額は七月末日現在で百七十九億八千百万円に達したのであります。現在わが國経済の復興に必要なる資金で、しかも他の金融機関等から供給を受けることの困難なるものについて本金庫が設立せられたのでございまするが、しかるに一般金融機関における資金の増加状況が御承知のごとくきわめて不円滑でございますので、なお一層本金庫の資金が要請せられるわけでございます。加えて、近時続々設立を見ておりまする各種公團の所要資金は、貿易公團を除きまして、本金庫から融通することになつておりまするために、産業界一般の本金庫に依存する傾向はきわめて強くなつてきておるのであります。今後は所要資金はきわめて巨額に達するものと想像されるのでございまして、最近決定いたしました第二四半期における融資計画でも、一般産業資金として百四億六千万円、公團所要資金として九十六億三千万円、合計二百億九千万円になつておるのでございます。これに今後物價改訂の影響等を勘案いたし、今後の資金を見込みますると、本年中にはおそらくは五百億円に近い総額を見込まれるのでございます。しかるに、本金庫は当初百億円の資本金をもつて出発いたしましたが、産業資金の需要の激増とともに、去る四月一日これを二百五十億円に増資するとともに、所要資金は、設立当初の政府拂込みの四十億円のほか、残額二百十億円の未拂込資本金の限度内において復興金融債券の発行によつて調達してまいつたのでありますが、すでに今日ではその債券発行額も限度一ぱいに達しましたので、ここに今後の所要資金を勘定いたしまして、さらに三百億円の増資を行い、すなわち資本金額を五百五十億円に改めるということに――この法律案は、すなわちこの増資を目的とするものでございまして、おおむね明年一月ごろまでの資金の供給を確保するためには、これだけの増資がどうしても必要である。こういうふうに見込まれておるのでございます。
 これに対しまして、本委員会は五回にわたりまして審議を重ねたのでございますが、主として各委員会から質疑された事柄は、かかる三百億円という巨額の増資をするということは、國民経済上きわめて重大な問題であり、殊に世上復興金融金庫の融資についてとかく傳えられておるところもあるから、まずこれまでの融資状況について詳細なる説明をしてもらいたいということになり、当局からこの資料の一部の提出があつたのでございますけれども、本委員会はこれをもつて満足せず、さらにつつこんだ調査をすることを決定したのであります。これに対し政府から答弁があり、融資の内容については徹底的に委員会に報告し並びに資料を提供することになつたのであります。
 しかし何にいたしましても、現下さしあたつて本金庫の融資資金が枯渇しておる。一般金融の現在の事情産業界の現下の実情等から考えまして、速やかにこの三百億の増資を認めてもらいたいという要請がございました。よつて本委員会といたしましては、まことに諸般の事情やむを得ないものがあることを認めたのでありますが、なお今後本金庫に対する徹底的の調査は、本案決定後といえども引続きこれを行う、すなわち調査を行使するということを留保することに満場異議なく決定いたしまして、討論に入つたのでございます。
 社会党の中崎委員より、本案は事情やむを得ざるものがあるが、特に愼重にしなければならないと思うので、この際附帶決議として、
  一、本金庫資金の貸出に際して調査を愼重にし、各省間における分取り等のごとき、いやしくも本金庫資金運用の本來の目的に背馳するがごときことなきを期すること。
  一、公團資金を本金庫資金より融資を受くることは極力これを避けること。
  一、復興金融債券の発行に際しては、極力日銀引受の方法を排すること。
 以上の三項を附して可決したいと述べられました。次いで、民主党の後藤委員、また自由党の塚出委員、國民協同党の内藤委員、第一議員倶樂部の石原委員より、それぞれ附帶決議をつけて可決することに賛成されました。なお、國民協同党よりは、農民の復興資金の融通についても今後考慮を加えられたいということを要望されたのであります。
 かくして採決に入りまして、全員一致で本案を可決することに決定いたしました。右御報告を申し上げます。(拍手)
#20
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
  [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#21
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後三時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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