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1953/10/12 第16回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第016回国会 大蔵委員会 第44号
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1953/10/12 第16回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第016回国会 大蔵委員会 第44号

#1
第016回国会 大蔵委員会 第44号
昭和二十八年十月十二日(月曜日)
    午前十時二十九分開議
 出席委員
   委員長 千葉 三郎君
   理事 宇都宮徳馬君 理事 大上  司君
   理事 坊  秀男君 理事 本名  武君
   理事 久保田鶴松君
      大平 正芳君    黒金 泰美君
      藤枝 泉介君    小山倉之助君
      鈴木 幹雄君    小川 豊明君
      井上 良二君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (主税局税制第
        一課長)    白石 正雄君
        参  考  人
        (日本商工会議
        所専務理事)  岡松成太郎君
        参  考  人
        (興国人絹パル
        プ株式会社経理
        部長)     青砥 正吉君
        参  考  人
        (日本鉱業協会
        会長)     佐藤 久喜君
        参  考  人
        (日本橋税務署
        長)      岩本  巖君
        専  門  員 椎木 文也君
        専  門  員 黒田 久太君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 税制に関する件
 参考人より意見聴取の件
    ―――――――――――――
#2
○千葉委員長 これより会議を開きます。本日は主として税制改正に関する問題を検討いたして参りたいと存じますが、本問題につきましては、参考人の出席を求めておりますので、まず参考人の方々から御意見を拝聴することにいたします。本日御出席の参考人の方々は、お手元に配付してあります印刷物の通りでありまして、参考人の方々におきましては、本問題につきまして忌憚のない御互見の開陳をお願いいたします。それから時間の関係上、御意見の発表は御一人約二十分間くらいでお願いすることといたします。委員各位の御質疑は最後に一括して行いたいと存じますから、さよう御了承願います。それではまず日本商工会議所専務理事岡松成太郎君にお願いいたします。
#3
○岡松参考人 先日伺いましたところでは、私から主として法人税に関する事項、特に中小の法人に関する法人税のあり方がいかがであるかという点についての意見を求めるということでございましたので、それを中心にいたしまして、私の考えるところを申し上げたいと存じます。まず、法人税一般のことにも多少は触れぬとなりませんので申し上げますが、現在の法人税は、法人の所得に対して、税率はパーセンテージで申しますが四二%となつております。これは最初三五%でございましたものが、朝鮮事変の影響等によりまして、事業界に非常な大きな収益が上るというのが一つの理由でございましたでしよう、それが四二%まで引上げられたのであります。その際には、一方においてはしかし資本の蓄積であるとか、あるいは企業の合理化であるとかいうことの必要性は十分認められておりまして、いわばこの条件と申しますか、その引上げに際しましては、特殊の設備を持ち得る事業等につきまして、資本蓄積のため、あるいは企業合理化のために、税金の面で申せば、必要ないろいろの軽減の措置が講じられたのでございます。大体四二%というのは非常に高率でありますために、そういうようなことも配慮せられたのでありますが、中小企業にとりましては――これは中小企業論を申し述べぬと話が通じないのでありますが、皆さんは、その方面に十分の御認識を持つていらつしやる方々でありますので、簡単に申しますと、わが国には大体法人といたしまして、非常に中小の法人が多いのでございます。的確な計数はわかりませんけれども、二十六年度の大蔵省の調査部の法人企業統計に現われました計数を見ますと、その当時全国で五百万円以下の資本金の法人が、全法人中の七五・七%を占めておるのでございます。その後といえども、中小法人のふえる率は、大法人よりもよほど多うございまして、現在ではこの率がさらに高くなつていると思うのでございますが、こういうぐあいに、わが国では法人は三十万くらいございますが、その中のほんとうの大法人というのは、まあ一万くらいではないかと思います。いわば大部分が中小法人じやないか。純粋の大法人と申すのは、一万は少いかもしれませんが、一、二万くらいのところではないかと思います。そういうぐあいに小法人が多いのでございますから、法人税を考える場合には、それが中4の注入にどういう影響ガあるかということを同時に考えないといけないのでございます。ところで中小の法人でございますが、それが全部が全部とは申しませんけれども、大部分は、実はほんとうの実体は個人企業である。ないしは、同族の資本金を寄せ集めた、組織で言えば、匿名組合をもつて営むべき事業なんであります。それをいわゆる税金の関係やら、あるいは銀行等から金融を受ける関係等からいたしまして、個人組織でやつていることが非常に不利でございますので、これは、まあまあ無理にという言葉はどうか知りませんが、法人化しているのでございます。わが国では無理にということは言えません。実際の法人の大部分が、中小法人でありますが、大ざつぱにつかんで言えば、日本の法人は、そういうものだということが言えるのかもしれませんけれども、欧米などの意味におきまする、いわゆる株式組織というものに至る前の、まだまだ小さな資本を蓄積しておる時代の個人的な企業が、みな法人組織で営んでおるのであります。その結果、法人、ことに会社というものにつきまして見ますると、会社の利益といいますか、利益はいわするバランス・シートの上へ上つて来るのであります。そのバランス・シートの一方の借方の方を代表するところの資本というものは、この中小法人においては小さいのであります。中小法人において小さいというのは、あたりまえのような言葉でありますが、実際に資産とのプロポーシヨンにおきまして、大会社よりは小会社の方がはるかに公称資本金に小さいのであります。それは、先ほども申し上げました通り、中小企業というのは、個人の資本なり、あるいは同族の資本で営んでおるのでありますから――後に同族会社の問題も触れさしていただきますが、個人ないし同族の資本で営んでおるのが多いのでありまするから、増資をするというてもなかなか不可能であります。できぬのであります。大衆の資本を動員をしておるところの、株を公開しておるような大会社と違つて、会社の業績がよかつたからといつて、他人の資本を導き入れるということが非常に困難であります。そういうところから、また合資会社や合名会社が再評価しても、資本繰入れの方法がない。いろいろなことがありますが、大体資本金は小さいのであります。従つて資本との割合においては、比較的利益率というものが高いのであります。表から見るところの利益率というものは、割合に中小法人は高いということが言えると思います。その証拠には、超過利得税というようなものをとりますと、大部分が中小企業法人にかかる。大部分というと言葉が悪いですが、金額から言うとそうでなくても、非常にそれを負担する中小企業法人が多くなるというような実例を見てもわかりますように、比較的そういう傾向がある、私が申したような傾向があるということが言えると思うのであります。そういう意味から言いまして、現在場超過利得税がございませんが、法人税におきましても、中小企業法人の負担するところの税金が比較的高いということが言えると思います。それと、先ほどちよつと申し上げましたが、法人税を引上げますときに、それの条件というような形で実施されましたところのいろいろの措置、これは特別償却であるとか、特別積立金の引当て金を認めるとかいうような措置でありますが、そういうものからの恩恵をこうむることが、中小法人におきましては少いのであります。それはもちろん絶無とは申しません。ございますけれども、たとえば租税特別措置法で認められた特別償却、それに指定されているような機械設備を持つているようなのは、大体が大企業である。また企業合理化促進法で認められております初年度における二分の一償却、こういう有利な取扱いを受ける場合も、その指定されておる機械設備というのは、非常に高度のものでありまして、一台の機械でも百万円以上数百万円という機械で、中小企業には手が出ぬような機械が指定されておるのであります。その制度自体は決して悪いとは申しません。しかし、そういうような法の上のおとりはからいが、実は中小企業の面には及ばないのであります。また理論上は、中小企業もこれを利用できるような貸倒れの準備金でるとか、退職金の引当て金であるとか、価格変動の準備金であるとか、これらのものも、非常に帳簿の計算が精密でありませんと、税務署としてもこれを認められたい。これは当然のことではありますが、その辺に中小企業が非常に税務里のお取扱いとして、不当というのではありませんが、実際中小企業の実態に即しないという面からいいまして、中小企業としては、これらの恩典に浴する面が非常に少いのであります。
 それで私は総括して申しますと、法人税一般は高い、これは朝鮮事変の影響による好況も過ぎ去つたのであるから、これは少くとも元の三五%にもどしていただきたいと存ずるのでありますけれども、それとまた離れて、中小企業は、さらにこの法人税を今言つたような理由におきまして軽減をしていただきたい。これは日本だけのこと前はございません。アメリカにおきましても、これは皆様よく御承知のことと思いますが、アメリカ上院の中小企業委員会が税制の小委員会を設けまして、そこで決議をいたしておるのでありますが、その前にちよつと申し遅れましたが、アメリカ自体は、現行の法人税が、法人の所得が二方五千ドル以下におきましては三〇%、これは本来二五%でございましたが、これも事変の影響で三〇%に上げられておりますが、五四年四月一日までという暫定的な条件で上げられております。二万円千ドル以下の金額については、これは大法人、小法人を通じて、累進課税的な――こういうのは税法上累堆課税というそうですが、二方五千ドル以下のものは三〇%、それを越える金額については二二%という附加税率がかけられております。従つて二方五千ドルを越える部分は、こういう特別の戦時出の賦課率がありまして、二二%、こういうように所得の下の方に対しては軽い税率が行われておる。これが中小法人に対する一つの救済といいますか、そういう対策になつておるのでありますが、今申しました米国上院の中小企業委員会の税制小委員会では、この一万五千ドルを十万ドルまで引上ぐべきである。その決議の中のごく一部を申し上げますと多くの中小企業にとつては、特に大企業と競争できる立場にあるときにおいて、二万五千ドルの付加税免除は少なきに過ぎ、その産業においてりつぱな競争者として自分が立つて行けるほど利益を社内に留保することができないことが認められる。その理由により、免除額を二方五千ドルから十万ドルに引上げるべきであるということの決議をして勧告をいたしておるのであります。また他の一部を引用いたしますと、一九五三年において、二万五千ドルでは工場の拡張、財産目録増加、老朽設備とりかえ、新機械の購入等は、とうてい十分にはできない。いかなる中小企業も静止しておることはできない。それは拡張するか、滅亡するか、どちらかであるということは、自明の理であるというようなことも申しておるのでございます。実際のところ中小企業においては、ほとんど機械の減価償却というようなことはできておりません。これを新しく置きかえるということは、現状におきましてはとうてい不可能であります。こういうぐあいに、私が申しただけでは十分ではございませんが、中小企業特有の理由からいたしまして、もちろん大企業は大企業で苦しいところはありますが中小企業にはまた実に大企業では全然考えられない違つた面において、現状においては非常な不利をこうむり、苦汁をなめておるような次第であります。アメリカにおきましては、二万五千ドル以下の所得については、軽減税率がかけられておるのであります。わが国におきましても、中小法人について特に軽減税率をかけよう、それには、資本金五百万円以下の法人については軽い税金をかけろというような議論もありまして、傾聴に値するのですが、この五百万円なら五百万円にぱつと切るということは、たとえば六百万円のものと五百万円のものとどう違うかというようなことも起り、五百万円がいいかどうかは非常に問題の起るところであります。資産再評価も十分に行われておりませんから、現在の資本金額というものは、必ずしも会社の実態を表わすものではい。いろんなことを考えますと、そこに一線を画することはなかなかむずかしいので、私どもは、むしろその会社の所得の最初の一定金額につきましては軽減税率をかける。その限りにおいては、大企業も小企業も、両方利益には均するのでありますが、小企業のこうむる利益の方がはるかに大きい州ら、中小企業の対策としては、一番それがいいのではないかと私どもは考えておる次第でございます。それ以外に、法人税と付随して考えなければならないのが例の地方税である事業税であります。これに対しては、やはり法人所得の一二%がかけられておる。そのほかに市町村民税の法人税割というものがございますから、法人全体としましては、算術平均すれば、五九・二五%という税金がかかつておるような次第でございます。この率の計算には、大蔵省あたりは、別の法人税をかける場合には、事業税は差引かれた所得に対してかけるのだから、もつと税率は下つておるというような説もありますが、払う方からいえば、六〇%近い税金を払つておるのであります。それ以外に、これは個人もみなかかるのでありますが、固定資産税、これは法人の収益の六・五三%に当つております。これは二十七年度の調べであります。そういうものがかかつております。固定資産税のうち、土地家屋に対するものは、だれにもかかるのですが、事業者については、償却資産の固定資産税というものがありまして、営業上の収益の元本にかかつておるのでございます。先ほど申した六・五三%という率は、あるいは少し間違つておるかもしれませんが、そういうぐあいに法人の負担がかなり重いのでございますが、その中におきまして、中小企業自体の立場から見れば、率は同じでも、それ自体としてはさらに重い負担をかけられておるのであります。
    〔委員長退席、大上委員長代理苗席〕
 ことにもう一つ、時間が過ぎましたので簡単に申し上げますが、同族会社というものに対しましては、積み立てた財産に対して、毎年その同じ積立金に繰返し五%の税金がかかるのでありますが、これは中小企業法人には非常に大きな影響がございます。なぜかと申しますと、二十七年度の調査で全国に三十万二千ばかりの法人がございますが、そのうち同族会社というのは、二十六万五千九百あるのでございます。ですから同族会社というと、法文の上だけで見ると、これは法人の中のごく特殊の会社であるというふうに見えますけれども、実は日本の会社の大部分が同族会社だということが言えるのでございます。しかもこの同族会社は中小法人に多いのでありますから、中小法人のほとんど大部分がこの同族会社だということになるのであります。従つて積立金課税というものは、中小法人に対してはまたプラスの負担であるということが言えるのであります。非同族会社の方の積立金課税は、大体率が低かつたのでありますけれども、租税特別措置法でありましたか、それによつて免除になりました。従つて現在同族会社だけに五%という積立金課税が残つておりますが、これはほとんど中小企業が負担しておるものであると言つて過言でないと思うのでございます。これは申すまでもなく、本来ならば配当すべきものであるが、配当になれば個人が所得税を払う。それを配当しないで積み立てておつて税を免れておるから、税金に相当するといいますか、それは払うべき税金の利子として払うべきものだという思想になつているようでありますが、利子として計算しましても、この五%というのは非常に高いものであります。大体こういう税金を払う人は、所得税においても六五%くらいのものを払う人と仮定いたしますと、この税金は一六%くらいの利率になります。五五%というところをとりましても、一二・三%の利率になりますので、利子としても非常に高いものであるが、こんな利子をとる必要はないのではないか。ことに大法人の方の積立金課税が廃止せられてからは、その利子説も非常に根拠薄弱になりまして、これを存置する理由はないのではないかと思います。それで同族会社に対しては、これは同族会社形態をとつているけれども、実は個人の事業みたいなものであるから、特例として行為、計算の否認というような規定があつて、税を通脱しようとするものに対してはこれを否認することができるという制度があれば、それをもつて足りるのであつて、特に積立金に対してこんな大きな課税をする必要があるだろうか。昔の財閥の同族会社と違つて、現在の中小法人が同族会社であるのは、同族の資本しか集められない、他人の資本を集めることができないから、やむを得ず同族会社でやつておるというものに対して、そういう課税をするという必要はないように私は思うのであります。また財閥のようなものができて来るときには、そういうことを考える必要もございましようが、現在のような状況において、中小法人だけの負担になるような積立金課税というものは、この際さつぱりやめていただきたい、大法人のあれをやめるときに、これもやめるべきであつたのではないかということを感ずる次第であります。
 これで大体二十分ほどになりましたので、あと御質問に対して答えることにして、一応陳述を終ります。
#4
○大上委員長代理 次に青砥正吉君にお願いいたします。
#5
○青砥参考人 実は私には、主として勤労所得税の問題について話せということなので、そちらの準備をして参りました。勤労所得税につきましては、国税の中における所得税の推移、さらに所得税の間における勤労所得税の推移、それから勤労所得税の、たとえば五十万円あるいは百万円といつた各段級と申しますか、階級相互間の関連性、こういつた順序で申し上げまして、最後に税制改正の全般の問題について触れさせていただきたい、こういうように思うのであります。
 わが国の国税におきます所得税の推移を調べてみますと、昭和九年から十一年の大体戦争前の最もノーマルな年における国税における所得税の構成率は、勤労所得税で大体三%ないし四%、事業所得税において七%ないし八%ということになつております。それから終戦後の昭和二十二年になつて参りますと、勤労所得税が一五%、事業所得税が三〇%、さらに二十四年のシヤウプ勧告による改正前におきましては、勤労所得税が二二%、事業所得税が同じく二二%でありました。それから本年度の推定によりますと、勤労所得税で二二%、事業所得税で九%、正確に申しますと八・八%ということになつて参つておるわけであります。従いまして昭和九年ないし十一年には、国税における所得税全体の構成比率は一一%でありましたものが、昭和十四年には一七%、二十二年には四五%、二十八年には三一%という比率になつて参つておりますことは、いかにほかの税に比較して所得税が日本の税の上でウエートを増して来ておつたか。これを裏返していいますならば、いかに所得税だけが他の税に比較して重く徴収されておつたかわかるということになります。この所得税の中でも勤労所得税は、先ほど申し上げましたように、九年から十一年が大体三%ないし四%となつておりますが、それに比較いたしますと、現在の二十八年においては、負担率が少くとも五、六倍になつておる。税額から申しますとさらにずつとふえるわけでありますが、負担率と申しますか、構成比率から行きますと、五、六倍にふえておるのであります。事業所得の方は、この九年ないし十一年が大体七、八%でありまして、現在九%でありますから、大体戦争前と同じ程度であるということが言えろのではないか。これに関連しまして、先ほど岡松さんから、そういつた個人の事業者が順次中小法人にかわりつつあるという点を指摘されたわけでありますが、それは、主として法人になりますと経費というものが認められるわけでありますが、所得税につきましては、経費というものはほとんど認められていない。特にそういつた差がございますので、全体のバランスから見ますと、法人に切りかえた方が有利である、こういうことになつて切りかえたわけでありますが、その事業所得者と勤労所得者を比較いたしますと、先ほど申し上げましたような構成比率から見ましても、非常な相違が現在になつて現われておるということが申し上げられると思います。
 さらに所得金額の推移を調べて参りますと、昭和二十四年には、これはシヤウプ勧告前でありますが、国民所得の総額が二兆七千億であります。これに対しまして、勤務所得は一兆一千三十五億であります。事業所得が八千七百六十一億、この勤労所得と事業所得の比率を見ますと、七九%であります。それから改正後の昭和二十五年は、国民所得が三兆四千八百八十九億、勤労所得が一兆一千億であります。これに対しまして、事業所得は急に減りまして、六千六百六十六億、比率にいたしますと六〇%、それから本二十八年は、国民所得のとり方はいろいろありますが、私のとりましたのによりますと五兆八千二百億、これに対しまして、勤労所得の方が一兆八千二百三十四億、事業所得は七千二百六十億、比率にいたしまして三九%、こういうことになつて参つております。すなわち、シヤウプ勧告によりまして改正する以前までは、事業所得者と勤労所得者の所得金額の把握されました率は、勤労所得を一〇〇といたしますと、事業所得は七九であつたものが、現在においてはその半分以下の三九に下つておるということであります。
 さらにその所得税を納めております納税人員の推移を同じような角度から調べてみますと、昭和二十四年は、勤労所得を納めております人員が一千再六十万人、事業所得の方が七百五十一万人、そのパーセンテージは六七%であります。二十五年は、朝鮮事変の始まつた年でありますが、勤労所得が九百九十三万人、事業所得が四百三十四万人、パーセンテージにいたしまして四三・七%、現在の二十八年におきましては、勤労所得が八百三十万人、事業所得の方が二百四十万人、比率にしまして二九%、これは、基礎控除その他社会保険の控除とか、そういつたものの拡大あるいは新しい設定によりまして、漸次納税者の人数が減つて参つたわけでありますが、現在の勤労所得あるいは事業所得の各段階と申しますか、クラスと比べますと、大体同じような、見合つたような比率になつているわけであります。この納税者の減る数は、大体同じことが言えるじやないかというふうにも考えられるにもかかわらず、しかもこの間に朝鮮事変が起つておりまして、事業所得の方は、給与所得と比べますと相当潤つているじやないか、こういうふうに考えられるにもかかわらず、むしろ納税者の数は減つておる。二十四年の六七%に対して現在は二九%となつて、もう半分以下に減つておる、こういうふうな事情になつているわけであります。ではどこからそういつた原因が生れて来るかとというふうに考えるわけでありますが、それはあとで申し上げることといたしまして、もう一つ、国民所得から見た租税負担と実際に税金を払つた実績とを比較して見たらどういうふうになるか。昭和二十四年の勤労所得は、これは別の角度から見たわけでありますが、一兆二千五百四十億、これに対します実際の所得税の税額は千三百四十四億、この負担率を求めますと一〇・七二%、こういうことになつております。これに対して個人所得の方はどうであるかと申しますと、一兆二千二十四億、これに先ほどの勤労所得の負担率の一〇・七二%をかけますと、千二百八十九億、こういうことになります。この際に一体事業所得の方では幾ら税を納めておつたかと申しますと、先ほどの千二百八十九億よりもさらに多い千五百八十四億、つまり勤労所得の比率よりも二百九十五億だけ税金をよけい納めておる、こういう形になつております。ところがそれが改正されまして、二十五年になりますと、むしろこれが逆の現象になりまして、勤労所得の所得顔が一兆五千六百八十三億、それに対しまして所得の税額は千二百四十三億、比率にいたしまして七・九三%、個人所得の方は一兆四千九百四十九億、これに先ほどの比率の七・九三%をかけたものが一千百八十五億、これを勤労所得並にしますと一千百八十五億の税額が少くともなければならなかつたものが、これに対して実際の税は幾ら納まつておるかと申しますと、八百六十三億納まつておりまして、勤労所得の比率に比べると三百二十二億少い、こういうことになつております。しからば現在はどういうふうであるかと申しますと、勤労所得の所得額は二兆八千八百四十億、これに対しまして所得税は千六百八十億、比率にいたしまして五・八二%、個人所得の方は所得額が二兆三千二百八十億、これに先ほどの比率の五・八二%をかけますと千三百五十四億になります。勤労所得並に徴税すれば千三百五十四億なければならない。それが実際の税としては七百五十八億しか納つていない、こういうことになりまして、五百九十六億だけ勤務所得と比べても少い、こういう数字になつておるわけであります。それからもう一つ角度をかえまして、勤労所得者とその他の事業所得者との税を納めた額の比率でありますが、これがどういうふうになつているか調べてみますと、昭和二十三年は、勤労所得が一〇%、営業所得が二七%、農業所得が一五%。二十四年が、勤労所得が一二%、営業所得が二七%、農業所得一五%。改正後の二十五年が、勤労所得が二%、営業所得が一九%、農業所得が七%。二十六年が、勤労所得が一一%、営業所得が一七%、農業所得が六%。それから二十七年が、勤労所得が一〇%、営業所得が一五%、農業所得が五%。現在が、勤労所得が九%、営業所得が一五%、農業所得が四%、こういうことになつておりまして、農業所得並びに営業所得を加えました一般申告所得と勤労所得の負担率は、大体申告所得者の方が、改正前二十四年前は非常に重い負担になつておるわけであります。改正後漸次それらが低くなりまして、現在においては、負担率だけがほぼ同じということになつております。それからもう一つ、事業所得者と勤労所得者の負担率だけから見ると、事業所得者の方が重い、こういう数字が出ておりますが、年所得五十万円といたしまして、この勤労所得者と事業所得者の比率を見ますと、税金の負担率――納めた税と収入との比率でありますが、二十四年が勤労所得が四一%、事業所得が四六%。二十五年が勤労所得が三四%、事業所得が三七%。二十六年が勤労所得が二五%、事業所得が二八%。二十七年が勤労所得が二〇%、事業所得が二四%。二十八年が勤労所得が一七%、事業所得が二二%。ほかの百万円の場合も三十万円の場合も同じでありますが、大体事業所得の方が比率の点から多少高くなつておる、こういう統計になつております。以上申し上げました統計から見まして、国税の中における構成比率は、勤労所得が非常に出て来て、一般の申告所得の方は従前とほとんどかわりない。しかし納めた税とそれから把握された所得との比率は、事業所得者の方が多い、こういうような関係になつております。これは結局どこから来るかということを考えてみますと、勤労所得においては、源泉徴収で金額月給を払う際に給与の支給者たる会社がこれを徴収しまして、徴収義務を課されて、その月のものは翌月の十日までに必ず税務署に納めなければ、日歩四銭の延帯金をとる。一日遅れても四銭、最近は特に厳格になつておるわけであります。
 さらにこまかいことを申し上げますならば、定期券の超過分、たとえば現在は会社に通勤いたします際に、毎月五百円までは定期券に税金を課さない、税金の対象にしない、五百円を超過する分については税金を課する、こういうことになつております。毎月たとえば九百円の定期代がかかる、こういつた場合に、四百円はその本人が負担しなければならない。これは会社が払いましても、四百円に対する税金は本人が負担する、こういうことになるわけであります。ですから本人から申しますと、結局五百円以内の近距離から通つておる者よりも、それに対する税額がかりに二百円といたしますと、二百円相当額だけは余分に払わなければならぬ。何も自分ですき好んで遠くから通つているわけではありません。戦後の社会的な事情によつて、みずから求めざるにかかわらず、遠距離から疲労を感じながら毎月通つているにもかかわらず、しかも税の面では余分にとられる、こういうことになつております。会社としては、その二百円の税相当額もなおこれを給与に織り込んで払つているわけであります。その他社宅料のそういつた超過分とか、たとえば居残りに対しましても、労働協約に基きまして一定の追加賃金を払うことになつておりますが、これに対してもやはり税金を課する、こういうことになつております。しかもそれらが事こまかく帳簿に記入されておりまして、半期に一回は必ず税務署から調査を受けるということになつております。脚に法人におきましては、会計上の処理もございまして、正確を期しておるわけで、帳簿を広げますと、一目瞭然、支給したままの全額がわかる、こういう事情になつておるわけであります。これに対しまして申告所得の方の事業所得の方は、青色申告をしておりますれば、一応帳簿を備えることになつておりますが、その帳簿につきましても、先ほど申し上げました法人におきましても、大きい法人と小さい法人とにおきましては、そういつた正確性の点においても外少相違があると同じように、個人の事業者の青色申告におきましても、やはり同じようなことが言えるようであります。さらに当局においては、青色申告を奨励されて、青色申告に伴ういろいろな恩典与え宣伝されておるにかかわらず、現在なお青色申告はそれほど多くない。これは青色申告をすると帳簿を備えつけなければならぬ、証票も備えつけなければならぬ、結局比較的たくさんな所得を把握されるので不利だ、こういうことで青色申告をしない、そういう事実が相当あるのではないか。それからさらにこれらの税金は、あとで納めるわけでありますから、勤労所得のように源泉徴収をしないわけであります。いかに利益が上り、所得が上りましても、税金相当額が手元に残りまして、これが資金として運転されておる。商店でありますればそれでストックを買う。料理屋でありますならば、それで新しい建築をする。全額それに充当するわけでもないでしようが、銀行から借入れもし、また自分のそういつた税金に相当するものを建築資金あるいは商品の買入れ代金として当充する、こういうことになりまして、税務署で査定をされても、あるいは更正決定をする際にも、実際現金はないのだ、百万円の所得がありまして申告して、それに対してさらに二百万円という査定をされても、実際その納める資金がないのだというふうなことで、相当大きい法人あたりの勤労所得者のそういつた所得の把握とは、相当開きがあるのではないかとそういうなことが考えられるわけであります。そこで結局これは形と申しますか、一応税法の上では、むしろ勤労所得者に対して幾分か税率の恩典を与えられておるが、もとの所得の把握そのものが違つて来ておる。違つて来ておると申しますか、事業所得者については十分把握されていない。これは一面から申しますと、あるいは徴税担当官の調査能力がないからこういうことになるのじやないか、こういうことを言われるかもわかりませんが、しかしおそらくそう簡単に把握ができないのじやないか。従いまして、むしろ同じ所得税を納める納税者の立場から考えますと、事業所得者よりも源泉徴収を受けるところの勤労所得者が、非常に重い負担をしているということになるのでありまして、これを是正するためには、いつそ勤労所得者の税金を、現在の個人所得と同じように申告所得に切りかえたらどうか。申告所得に切りかえまして、そうして現在は、申告所得をする場合に、会社が申告書に支給の証明書をつけることになつております。これは国税、地方税ともみな同じですが、その証明書の発行義務を免除する。つまり徴税の方法におきましても、勤労所得もまた個人の事業所得も同じような徴収方法にする、同じような申告方法にする、立場を同じようにするというふうなことをすれば、両者間が公平になるのじやないかと思うわけであります。実際問題としては、こういうことをすると勤労所得が非常に減つて来る。現在の三分の一くらいになりはしないか。つまり、個人事業税と同じように相当減つて来るのではないか。しかし、りくつを申し上げますが、租税は負担の公平をはかるべきものであるから、公平にやる、こういうことから行きますと、三分の一になつてもやらなけれでいかぬということになるわけであります。しかしそれが困難とすれば、何か他の方法によつてそれを是正しなければならないのじやないか。他の方法として考えられますのは、一応源泉徴収をやつておりますから、源泉徴収控除というふうな名目をつけまして、現在の勤労控除と同じように三割程度の免税をする。それは三割が適当か五割が適当かわかりませんが、幾らかそこにそういつた控除の方法を認める、こういうようなことも考えられるわけであります。
 そういうことが一応考えられるわけでありますが、しかしいささかとつぴなきらいがありまして、結局国会あたりでおきめいただく一番妥当な線といたしましては、現在の勤労控除の問題でありますが、これが改正前は二五%になつておつたわけであります。ところが二十五年の改正後には一五%になりまして、そして最高限度も、改正前は三万七千五百円であつたものが三万円になつた。基礎控除はその当時一万五千円でありましたが、現在四倍の六万円になつております。ところが勤労控除の方はどうなつておるかと申しますと、三万七千五百円が現在四万五千円、今年になりましてやつと四万五千円、昨年までは三万円までのすえ置き、こういうふうな状況になつております。ですからこれも、大体基礎控除と同じような比率で、四倍程度の拡大をしなければ、先ほど申し上げました勤労所得者と事業所得者のバランスがとれないじやないか。大体四倍といたしますと、三万七千五百円の四倍でありますから、十五万円くらいになるわけであります。比率は、改正前が二五%でありますから、一挙に二五%まで持つて行くことは困難でありましようから、大体二〇%くらいまで持つて行く。控除の最高限度を大体十五万円を目安にして、十五万円が困難なら、それに近いところまで持つて行つていただけば、ある程度の緩和がとれるのではないか。それでも十分とは申せませんが、その両者間の緩和がとれるのではないか、こういうふうに考えております。
 今まで申しましたのは、大体所得税の中の勤労所得と事業所得の相互の関連について申し上げたのでありますが、今度は勤労所得自体の相互間の関連と申しますか、年収三十万プラスとか五十万プラス、こういうふうな間の負担関係はどういうふうになつておるか、こういうことを最後に申し上げたいと思います。これは現在五十万円までの比率が、大体二〇%から四五%になつております。この間が必要以上にこまかくなつております。もちろんインフレの進行以前におきましては、こういつた段階において、こういつた差等をつけることが必要であつたわけでありますが、物価もその当時と比べると相当上昇しておりますし、国民所得もふえて参つておりますので、この段階を相当広げる必要はないか。今回の改正案によりますと、幾分それは認めておりますが、大体百万円程度くらいまでに四五%を引き延ばしていただいた方がいいじやないか。現在の段階で申しますと、大体会社の課長の上級穴りあるいは部長級と、会社の常務、社長とほとんど同じ比率が適用されている、こういうふうなことになつております。多少その間を広げておく必要があるのではないか、こういうふうに考えます。
 以上勤労所得について考えられますことは、そういうふうに勤労所得は、他の所得と比べまして非常に税金の負担も高い。特に自由業者と比べますとその負担の金額も数倍になつている。こういうことになつて参つておりますが、現在の制度では、会社が徴収して会社が税務署に納める、こういうことになつておりますので、結局労働者といたしましては、その税を引かれた手取りを支給されることになるわけでありまして、賃金の交渉その他におきましても、税金が幾らかかつたということは無関心である。結局手取りということに非常な関心を持つておるわけであります。結局これがベース・アツプの対象その他におきましては、手取りが常に問題になるわけであります。従つて税の負担が重いということは、結局会社の原価が高くなる、こういう問題に関連を持つて来るわけであります。勤労所得税の負担率が、従来低いものであつたものがかりに一割になつた。現在一割でありますが、そういう場合に、どういうふうに原価の面の構成比率が出るかと申しますと、原料でかりに原価が一割ふえますと、最終の製品に参ります場合には、大体四、中割構成比率がふえて来る。従つて所得税の問題につきましても、所得税が非常に高い場合には、結局それが原価の大きい部分を占めて来る、こういうことになつておるわけであります。従つて最近輸出振興等の問題が、貿易収支じりの点から問題になつているわけでありますが、わが国の物価は国際物価に比べて非常に高い、高いがゆえに売れない、こういうことがいわれておりますが、この高いのは、あえて所得税だけから来ておるわけではありませんが、これらが影響する面が相当あるのじやないか、こういう面から考えましても、やはり公正な所得税と申しますか、ある程度勤労所得税を軽減する方向に持つて行かなければならないのじやないか、こういうふうなことが考えられるわけであります。所得税のうちで勤労所得税がいかに重いか、こういうことについて、実は私は十分な余裕がないものですから、まだ調べてはおりませんが、統計をとりますのに一番参考になりますのは、市町村民税を調べてみると一番いいんじやないかと考えております。特に都会の東京あたりの近接地になります、たとえばいろいろな職業の人が住まつておりますところの武蔵野市とか、あるいは浦和市とか、こういつたところの市町村民税の納税者を職業別に分類いたしまして、戦前と戦後、あるいは改正前と現在とを比較して見る。従いまして、一人当りの税の負担額を調べてみますと、そこになお勤労所得者の税の負担が重くなつて来ておるということが一番端的にわかるのじやないか、こういうふうに思うわけであります。
 時間も大分たちましたので、勤労所得税はその程度にいたしまして、一般の今回の税制改正の問題につきまして、前国会におきまして、輸出振興につきまして、租税特別措置法の一部改正案が通過いたしましたことはわれわれは非常に感謝いたしておるわけであります。なお西独あたりと比べますと、同じ境遇にあるにもかかわらず、なお相当な開きがあるわけであります。一挙にそれと同じような法律がつくれない、こういうような特殊の事情もございましようが、なお重ねて強化をしていただくようにお願いしたいと思います。
 それから法人税につきましては、先ほど岡松さんからお話がありましたが、三五%が一挙に四二%にはね上つたのでありますが、一ぺんにこれを元へもどすということも困難ではございましようが、ひとつできるならばある程度引下げていただきたい。それから法人税につきましては、超過所得税の問題でありますが、これはやはり時期早尚ではないか。ただ単純に一般的に比率を下げていただきたい、こういうわけであります。
 それから価格変動準備金でありますが、これも設定していただきましたわけでありますが、これは毎々問題になりますように、利益の出るときに積み立てて、出ないときに引きおろして、利益捻出の平均化をはかろう、こういうことがねらいでありますが、でき上つたものを見ますと、逆になつておるわけであります。利益の少いときに積み立てて、利益が多くて、これは少し隠そうかというふうな――隠すと言いましても、税の面で隠すのじやなくて、公表利益として隠す場合があるわけでありますが、そういつた場合に出て来て、むしろ処置に困る。逆なことになつて来ておりますので、これをひとつお考えいただきたい、こういうふうに考えます。
 それから地方税の点におきましては、固定資産税のうちに償却資産税がシヤウプさんの勧告によつて新しく生れたわけでありますが、これはどうも日本の実情にはそぐわない、アメリカ式の税である、こういうふうに考えますので、これもひとつ御再考いただきたいと思います。
 時間の関係もございまして十分申し上げられませんが、一応これで終ります。
#6
○大上委員長代理 では次に、日本鉱業協会会長佐藤君にお願いします。
#7
○佐藤参考人 ただいま御指名を受けました日本鉱業協会会長佐藤久喜でございます。これは私ども鉱業協会に関係いたしております金属鉱業のみに限りません、石炭、石油、そういつた地下資源関係の産業全体に共通な要望といたしまして、鉱床補填費控除制度、こういつたものを制定していただきたい、こういつた要望を三業者共通に持つておるわけで、この点いささかその必要性等を申し上げまして、皆様の御清鑑を仰ぎたいと思います。私は鉱業協会から参りましたが、これは今申し上げましたように、石炭協会、石油業、これは大体採油をやつておるのは帝石だけでありますが、この帝石と三者代表だということをあらかじめ御了解いただきたいと思います。鉱床補填費控除制度というと、おそらく皆さんには非常に耳新しい、なじみの浅い言葉だと思いますが、この制度の骨子を申し上げますと、アメリカではすでに四十年前から実施をいたしておりまして、デプレーシヨン・アローワーズー減耗控除制度、こういつた名で呼んでおりますが、その行き方を取入れたものでありまして、これを簡単に申しますると、鉱床――鉱体とも申しますが、デイポジットでありますが、この鉱体は採掘すればするほど埋蔵鉱量はだんだん減耗して参るわけであります。従いましてこの鉱量が減つただけその鉱体の価値は減じて参るのであります。この減じた価値を、これはちようど減価償却における投下資本とは全然違つたものでありまするが、この減却された価値を、鉱体の使用価値に応じまして税務上の所得から控除して積み立てて、そして積み立てた積立金によつて新しい鉱体を探鉱するなり開発する、あるいは必要に応じては新しい山を買収する、そういつた費用に充当して行く、こういつたような趣旨でありまして、これを毎年一つ一つの鉱山について計算をいたしますことは非常に煩鎖でありますし、また実際上これは不可能に近いのであります。それでアメリカでもうすでにこれは四十年来やつておりますので、その例と、またわれわれの鉱業における実情等を勘案いたしまして適当な定率を設ける。私は今一応これを一五%ということに考えておりますが、この一五%という一定率を売上金に乗じまして、控除額を算定するのであります。大体そういつた行き方でありまするが、御承知の通りこの埋蔵鉱体というものは、一般産業の原料に相当するものでありまして、事業を継続して行きますにはどうしても新しい鉱床、鉱体を次から次と取得して行かなければならないのであります。ところがこれを取得して行くところの資本はどうして回収するかと申しますると、現在では、いわゆる減価償却によつて、最初投資しました資本を回収して行く、こういつた考え方になつておるのであります。ところがわれわれの場合におきましては、資産再評価を最大限にいたしましても、その金額というものは非常に少いのであります。たとえて申しましたならば、われわれの金属鉱業について申しますると、最近年々大体八百万トンの採掘をいたしております。鉱石を出しておりまするが、税法上認められておりまする減価償却というものはどれくらいかと申しますると、約九千万円であります。この九千万円では、新しい鉱床を取得するという際の鉱量にいたしますると、約四十万トンでありまして、これは年間に採掘した出鉱量に対して約二十分の一にすぎないわけであります。こういつた筋から考えましても、現行の減価償却というのは、はなはだしく現実に即しない、きわめて不合理なものであるということが御理解願えると思うのであります。
 元来鉱山の発見あるいは開発ということには、多分の危険性また投機性がついて参るものでありまするが、さらに新しい資源、鉱床を開発して行くということは、これは常識として、最初仕事のしやすい、立地条件のよいところへ行つて着手いたすのであります。しかしだんだんあとになると、そういつたものもなくなりますので、非常に不便な、立地条件の悪いところ、あるいはだんだん掘り下つて地下の深いところ、そういつたところになつて参るのであります。従いまして開発費用しいうものは、だんだんしり上りになつて参るのであります。それで首投下しました資本だけを回収するということでは、非常に大きな不足を来して参るのであります。以前はそれでも大体に税率が低かつたのであります。また財閥等からの資金の流用等もありまして、何とかやつて参つたわけでありますが、現在ではなかなかそうは参らないのであります。そういつた実情でありまして、日本の鉱業というものは、埋蔵鉱量をだんだん食いつぶして、かろうじてなり立つて行く、そういつた実情であるのであります。
 もう一つ観点をかえまして、鉱業の企業的な特殊性と資本蓄積といつた観点からこれを考えて見ますると、ここにもまた見のがせない事実が存在いたしております。まず第一の点は、鉱業は巨大な固定資産を必要とするものであります。この投資は人為的なものではなかなか避けられないような危険を負担しておるのでありまして、同じ巨額の資本を必要とする発電事業あるいは運輸業、こういつたものはもちろん大きな投資を必要といたしまするが、これは設備の管理をうまくやつていたしますれば、大体安定した収益をこれからあげることができるのでありますが、鉱業に限つては、全然予測できないようないろいろな、たとえば鉱況がだんだん悪化する、あるいは水害、落盤、自然発火等、いろいろな不測の災害をこうむる機会が非常に多いのであります。従いまして、企業としてはこういつたことに対していつも資本を蓄積して、いわゆる自家保険をするほかに行きようはないのであります。
 第二の点を申し上げますと、鉱業では作業によつて、切羽がだんだん水平的にもあるいは立体的にも深くなる、そういつたふうに遠くになつて、非常に条件が悪くなつて参るのであります。さらにこれは石炭、石油等は別でありまするが、金属鉱山といたしますると、だんだん品位が低下する。ことに鉱体が下に下りますると、品位、つまり含有量が減つて参るのであります。鉱床学的にもそういつたことになつておりまするが、そういうことでありまして鉱体の収益性というものは急激な逓減性を持つておるのであります。ところが税金はどうかと申しますると、これは期間計算をきわめてシビーアに実行いたしておりますため、鉱山の一番景気のいい最盛時には莫大な税金をとられるのであります。いよいよ下り坂になりますると、今度はいろいろ状況が悪くなつて、相当大規模な探鉱をし開発をやる。あるいは炭鉱等では、このごろ問題になつておりますように、新しい縦坑をおろさなければならぬ。こういつたことで、追加投資を必要とする時期が参るのでありますが、これに要する資本はまつたく蓄積されてないのでありまして、さらにこれが下り坂になりまして、赤字経営に転ずる。こういつた場合でも、そんならといつてなかなか思い切りはできない。それが地下産業の特質でありまして、十分先が見えないために、何とかこれだけの設備を持つておるのだから、ひとつやつて行きたいということで、相当探鉱等をやつて追加投資をいたすのであります。それで新しい鉱床が見つかつたらよろしいのでありまするが、必ずしもそうでない。むしろそういつた鉱山は少いわけでありまして、結局これは大きな赤字となりまして、廃山のやむなきに至るわけであります。こういつた場合について考えますと、前に景気がいいときに期間計算で算定された所得というものは、これは決してほんとうの所得ではなかつたということができるのじやないか、こういうふうに考えておるのであります。
  第三の点について申し上げますると、特に非鉄金属あるいは石油業でありまするが、これは国際性を持つている商品でありまして、その需要あるいは価格がきわめて不安定な物資の典型的なものの一つであると存ずるのであります。鉱業は特にほかの産業よりもさらに労働事情に特殊なものを持つておりまするし、また製品の転換、あるいは生産の制限、こういうことは非常に困難でありまするから、こういつた景気変動に対しましてはきわめて弾力性に乏しい事業であるのであります。結局企業には不況時を乗り切るだけの資本蓄積が絶対に要請されるわけであります。
 以上述べましたように、鉱業の宿命的要求からいたしまして、米国ではさき申しましたように、四十年前からこの減耗控除制度を実施せられたのでありまして、現在この制度は、さらにいくらか行き方は違つておりまするが、カナダ及びフランスでも実施いたしております。英国においても、その実施を準備中であるということを聞いております。今われわれが要望しておりまする鉱床補填費控除制度、これもわが国の鉱業がこれからそういつた国際的な競争に打勝つ一そういう同じ条件でなおかつ競争して行く、こういつたところまで持つて行かなければならぬというふうにわれわれは重いたしておるのであります。従つてこの鉱業収入の一五%を所得から控除すること、またこの控除額は、鉱体の開発とか買収、そういつたものに使途を限定する。これはアメリカ等においてはやつておりません。自由に使えることになつておりまするが、われわれはこの控除額の積立てはそういつたものに限つて使用する、こういうことを今考えておるのであります。このような制度が行われまして、初めて鉱業の資本維持が行われ、従つて企業経営の継続が可能になりまするし、鉱物の需給度がだんだん向上されまして、鉱業会社が、たとえば東南アジア等の資源の開発に協力する、そういつた要請もありまするが、そういつたことにも積極的に参加ができるということに相なるであろうと考えるのであります。
 以上いろいろと申し上げましたが、これを要約いたしますると、鉱業における埋蔵鉱量は、他産業における原料に相当する、そういつた性質のものを持つておるということ、しかもその原料は、最初の取得原価では、たとい価幣価値が変動しなくても、再取得は絶対に不可能であるということ、その理由は枯渇性、つまり減耗性資源を対象とするために、必然的に再取得は困難となつて、従つてその対価が高騰いたすのであります。なおまた作業の進展とともに、作業場所がだんだん遠くなる。さつき申しましたように、だんだん悪条件となるということにもなりまして、コストが自然に高くなる。鉱量がたといあるといたしましても、必然的に追加投資が必要となつて参る。従いまして資本維持の方法としましては、減価償却だけではとうていこの実質資本の維持ができないということ、一方アメリカ、カナダその他の国におきまするように、いわゆる持てる国、アメリカ等のような資源の豊富な国においてすら、減耗控除制を実施いたしまして、資本の実質維持をはかつて、地下資源の開発を促進いたしているのでありまするが、これと競争しなければいかぬ。資源が貧弱なわが国においてこれと競争する、そういつた要請を持つておりまするわが国鉱業に対しましても、これと同時、あるいはそれ以上の措置を講じていただきたい。そういつたことに要約されると思うのであります。
 なお詳細につきましては、お手元に差上げました資料をごらんいただきまして十分御理解を願い、御同情あるおとりなしを願いたいと存じます。
#8
○大上委員長代理 次に日本橋税務署長岩本君にお願い申します。
#9
○岩本参考人 ただいま御紹介の日本橋税務署長の岩本でございます。きようは税務署の第一線の実情を皆様方にお話申し上げて、本日の議題であるところの税制改正の御参考に供したらどうかというようなお話でございまして、そのような意味合いから、税務署の第一線は今どのような状況にあるかというような点につきましてお話を申し上げてみたいと思います。
 大体私ども考えておりますることは、税務の仕事は、結局納税者のほんとうのありのままの姿を知るということがまず根本でなければならないように考えます。税は公平でなければならないということを申しますが、その公平のよつて来るところは、結局、税務署がほんとうに納税者の真相を知るかどうかということがわかれ目になるのではないかというように考えております。納税者の真相の把握なくして税の公平なしとでも言いましようか、そんなような考え方で私どもは第一線で仕事をいたしております。
 それから第二番目に考えておりますることは、税務のあり方といいますか、どういうぐあいに税務の仕事は持つて行くべきかという問題でございますが、私はやはり最後的には、税というものは納める方が自発的に、積極的に申告し、納税をしていただくという状態が最も望ましい形でございまして、私ども税務の第一線の者の仕事というものは、要するに、納税者の方をそういうような形に指導して行くということが第一ではないかというように考えております。
 第一番目に申しました納税者の真相を把握するという要請を満たすためには、何としても納税者の方の実情をよく見て歩く、税務の言葉で申しますと、実地調査というような言葉を使つておりますが、結局納税者の実情を見るために、足まめに納税者に接触をして初めてその真相が得られるのではないか、こう考えるわけでございますが、それについては、やはり一面納税者の方におきましても、今日申しておりまする青色申告と申しますか、そういう形において、やはり納税者自身の御努力もお願いしなければ、一面税務署だけの力では、真相の把握ということが困難ではないかというような意味合いから、青色申告の窓通という点について努力をいたして参つておるような実情でございます。
 さらに第二点に申しました、税は終局的においては納める方の申告、積極的な自発的な申告納税にまつべきであるという考え方からいたしますと、やはり青色申告と同時に、また日ごろ納税について準備をいたしておく必要があると思うのでございまして、この面では納税貯蓄組合というようなものにつきまして、目下のところこれを推進すべくせつかく努力中でございます。大体大ざつぱな考え方でございますが、税務署は何をいたすべきかというような点につきまして、ただいま申すような方法に向つて努力をいたしておるというのが、第一線の税務の実情であると申し上げられるのではないかと存ずるのであります。
 そこでただいま申しましたような税務の仕事の理想を達成して参るために、皆様にお願い申し上げたいと感じておりますことは、何としても税務の今の仕事をするために、徴税費と申しますか、経費の点において非常に困難を感じております。これは国会の皆様方におきましてもいろいろな観点から、本年度の経費も非常な減額になつておるのでございますけれども、第一線の私どもといたしまして非常に経費がなくて十分な仕事ができない。あるいは納税者の方に御迷惑をかける点が多いというような実情を少しく申し上げてみたいと思います。
 大体日本橋の税務署で申しまするならば、昨年度徴税に関する費用としてちようだいいたしたのが五百七十万でございます。それが本年度の予算になりますと、三百五十四万四千円という予算になつておるのでありまして、これは前年に比較をいたしますと六二%ということになつております。その中で最も大きな部分を占めておりまするのは通信費でございまして、全体の約六〇%が通信費ということになつております。これは御案内のように、現在の税務署の仕事は、できる限り納税者の方に納得していただくということを趣旨にいたしておりまする関係上、昔のように天くだり式に税務署の考えのままで納税者のお方に税金を差上げるということは許されないのでありまして、何べんも何べんもと言うてもさしつかえないと思いますが、御納得の行くまで税務署に来ていただく、あるいは電話で御了解を求めるというような方法をいたしまして、できる限り税金を納めていただくまでに納税者の御了解を得たい、こういう考え方からお呼出しをいたしましたり、文書で税務署の考え方を納税者の方にお知らせをするというようなぐあいに、すべて通信費による部分が今日の税務行政には非常に多いのでございます。この経費の大半を占める通信費がかように削減をせられておりますので、私どもはできる限りこれを節約しながら仕事をするとは申しますものの、なかなかさつそく納税者の方の御理解を得る点も困難な事情もございますので、第一線の税務行政におきましては、この通信費の面で非常な困難を感じておるというような実情でございます。
 各経費でいろいろでございますが、特におも立つたもので申しまして、次に御理解をお願いいたしておきますのは、広報宣伝と申します経費でございますが、これは昨年度は第一線の税務署にはなくして、本年はわずかながらいただいてはおりますけれども、私は今日の税務の行き方から考えまして、御承知のように今の税務の制度が申告納税制度と申しますか、その根本があくまでも納税者の方の自発的な申告納税にまたなければならないという税制の建前から参りまして、何としても納税者の方自身が税法なり、あるいは税務の実際というものを周知なさるということが第一に必要じやないかと思うのでございまして、もちろん第一線の税務署だけが広報宣伝をするという立場ではございませんけれども、もう少し税務署の第一線でも、日ごろから広報宣伝というようなことについて経費をちようだいして、もつともつと力を入れなければならないのじないか、こういうように考えております。どうもござなりではございませんが、つい申告の時期になりまして申告の宣伝をする、あるいは申告の説明をするというように、そのときそれの申告なり、そのときどきそれの宣伝だけに従来は終らざるを得なかつたような実情でございますが、ただいま申し上げますように、あくまでも申告納税のほんとうのこの趣旨を納税者の方々に理解していただくためには、日ごろから広報宣伝については十分努力しなければならないというように考えまするので、こういう点の経費につきましても何分の御配慮をお願いいたしたい、かように思う次第でございます。
 それから次には、勤務に関係をいたしまして、超過勤務でありまするとか、あるいは旅費の問題というような点につきましても、現在の第一線の税務署の実情からいたしますと、超過勤務をいたした時間一ぱいには手当をちようだいしておらないわけでございまして、超過勤務にいたしますれば、大体実際に対する六七%くらいが支給の実績に相なつております。かように税務署の第一線は、相当時間外勤務をしなければならない実情にありますが、それに対する超過勤務手当の支給は、十分に行つておらない、こういうような実情でございまして、この点は旅費などの点におきましても、実際に出張をいたしましても、その出張しただけの手当をちようだいしておらないというような実情でございまして、超過勤務、出張旅費というような点につきましても何分の御配慮をお願いいたしたい、かように思つておる次第でございます。
#10
○井上委員 ちよつと発言中だけれども……。われわれはわざわざ貴重な時間を、あなたを呼んでそういうことを聞こうと思つておるのじやないのです。もつとあなたの所管の日本橋税務署管内の納税者の状態がどうなつておるか、たとえば法人税の納入状況は非常に困難か、その折衝に当つてどういう苦労をあなた方がされておるかという、そういうことを聞きたいのであつて、予算が不足しておるのはあなたのところだけではない、それは全体なのです。だからまた人員についても、非常に御苦労されておることもよく知つておるので、実はあなた方が直接納税者に当つて、その相手方が一体どういう要求をして来ており、これに対してあなた方はどうさばいて来ておるかということを知りたい。それであなた方に来てもらつておるのであつて、税務署の事こまかな機構や仕事の内容をここで一々話をしてもらわないでも、それはわれわれは調査でわかつておりますから、その点をひとつ御説明願いたい。
#11
○岩本参考人 いろいろ御質問の点等につきましては、それぞれ御答弁申し上げるといたしまして、一応税務署の実情だけ簡単に申し上げまして、御質問をいただきたいと思います。
 それから今御発言がございましたように、税務署の内容につきましては、重々御承知の通りと存じますが、結局私の今まで申し上げましたことは、経費が非常に不足をいたしておりまして、納税者に御迷惑をかける点が多くなり、われわれの仕事もやりにくい点がありまするから、これをお願いいたしたいということと、次にお願い申し上げたいと考えておりますことは、これも税務署の中のことだからというようなことになるかもしれませんが、やはり事務量と人員の関係などにつきましても、ただいま経費の点で申しましたような点がございまするので、この点も、くどくどしくは申しませんが、第一線がずいぶん人員不足にも悩まされまして、思いながら納税者の方に御迷惑をかけている点があるということも、どうぞ御了承いただきたい、かように思う次第でございます。
 それから最後に私の考えで御了解を得たいと思うことについて、もう一つ申し上げたいと思いますことは、税務の第一線から見て、今私どもが扱つているところのものの中で、少し扱い上考えてまずいように考えられますので御配慮を煩わしたいと思います点を一、二申し上げたいと思います。それは健康保険の医師の所得でございますが、収入金に対して三〇%をもつて所得としている、こういう問題がございますが、実際は三〇%だけの所得であればもちろん問題がございませんが、よくよく調べますと一三〇%以上のものも実際はあるわけでございますが、これが税法に定めた計算でなくして、三〇%をもつてそのわくにはめられているのでありますが、これらの点も、いろいろな事情がありますることは十分承知いたしておりますが、税制改正の際などにも御配慮をいただきたい、かように思います。
 それから次に納税貯蓄組合や青色申告などの面につきましても、非常に民間でもいろいろな法律的な措置について御要望もあるように聞いておりますが、現在の行き方では、どうも第一線の税務署の仕事の面でもつて、この育成発展は税務署の税務行政の面でやつて行くというような割合が比較的多いような感じが第一線ではいたしております。でき得るならば、これが法律的措置で育成発展を期していただけるならばたいへん第一線も楽に行くのではないか、こんなように考えております。
 それからいつも考えておりますことは、きようも源泉所得税のことについてお話がございましたが、勤労所得の源泉課税につきましては、支払者の徴収義務者におきましては、非常に国家的に御貢献なすつている点は私ども痛感をしているものでありまして、これにつきましては、国家としては比較的報いるところが少いような感じがいたすわけであります。実際は、徴税費その他においても、非常に国家に御貢献なすつておるように私どもも考えます。何かこれにつきまして御配慮をいただければ、非常にいいのではなかろうかというような感じを持つております。
 それからもう一つ申し上げますのは、先ほどお話が出ましたけれども、どうも第一線におりまして、個人経営の仕事から法人経営に組織がえをするという状態が、今もなお跡を断つていないような実情でございますが、これにつきましては、先ほどのお話もございまして、法人企業者に対する課税の不十分というような面ももちろんあるかもしれませんが、一面法律的に何かそこに法人、個人間の負担の不均衡といいますか、そういう面からこういうことが依然として跡を断たない状況ではなかろうかというような感じもいたすわけでございます。当委員会におきましても、こういう点も御研究くださいまして、法人、個人間の課税の公平と申しますか、そういう点に御配慮をいただきたい、こんなふうに考える次第でございます。
 以上は私が一応御要望と申しますか最初にお願いしてはどうかという御注意がありました点についての考えでございますが、ただいま御質問がございました所得税の個人、法人の徴税などにつきまして、税務の第一線はどのようなぐあいかという御質問でございましたが、私どもといたしましては、法人にいたしましても、個人にいたしましても、ただいま申しますように、できる限り事前に納税者の方の御了解を得て最後の納税をしていただこう、こういう考え方でありまして、個人の申告にしろ、法人の申告にしろ、実際の調査をいたしますれば、よく納税者にその実情をお話し申し上げまして、事前に御了解を得るように努めたいと思います。納税の面におきましても、できる限り期限内納付を申し上げておりますが、事情によりまして期限内に一時納付をすることのできないような実情の方につきましては、十分その実情を伺いまして、たとえば分納と申しますか、納税者の方の御都合のいいところを伺いまして、年に何次というようなぐあいに分納も実際上は扱つておるような次第でございまして、できる限り納税者の方の実情をくみとりまして、税金を頂戴して行く、かようにいたしております。簡単でございますが、一応私のお話を申し上げた次第でございます。
#12
○大上委員長代理 これにて参考人の御意見並びに陳述は終りました。ついてはこれから質疑に入ります。質問は発言の通告順によつて行いたいと思います。
 まず佐藤参考人に対し藤枝君から質問を要求されております。藤枝君。
#13
○藤枝委員 佐藤さんに伺います前に、ちよつと日商の岡松さんにお伺いしたいのでございます。日商では、税制改革の現在の段階におきまして、相当具大的にいろいろ御意見をまとめておるように伺うわけなんでございますが、その中でただいまお話のありました少額所得の法人に対する軽減率と申しますか、特殊な扱いでありますが、大体どの程度の限度、どれくらいの所得までに対しまして軽減率を適用するのが適当かというような、何か具体的なことがございましたらお伺いいたしたいのと、もう一つは、これは必ずしも法人に限りませんが、現在中小企業者間におきまして、事業税について非常な意見があるのでありますが、日商では、伺いますと何か事業税につきましても相当具体的にその率の軽減等について御研究があるやに伺つたのでございますが、もしございましたら、ひとつそれもあわせてお伺いいたします。
#14
○岡松参考人 法人税の低額所得部分につきましての軽減税率の問題でありますが、日本商工会議所でもさような決議をいたしておりますが、具体的な金額、具体的な率というようなことにつきましては、これは今もお話がございました通り、事業税との関連もございまして、必ずしもそこまできめておりませんが、いろいろ話が出ました範囲内で、御参考までに申し上げます。軽減税率ということについてはどのくらい軽減したらいいか、まあ一〇%くらい軽減したらどうかというような意見がかなり出ておりました。
#15
○藤枝委員 現行四二%に対してですか。
#16
○岡松参考人 そこをお答えいたしますが、法人税は三五%にしたいという要求があります。これははつきり三五%という率を出しておるのでございますが、その低額部分につきまして、さらに何パーセントを軽減するかということについては必ずしも決議はいたしておりません。その意見をしては、一〇%くらいじやないかというような何が出ておるのであります。アメリカにおきましては、先ほど申したように二二%が附加率として乗つかつておるわけであります。そこまでという考えもありませんし、そこははつきりしたあれはございませんが、そんな意見も出ておりました。それから金額につきましては、それでは法人所得の最初の幾らまでについて軽減税率を適用するかということにつきましても、いろいろな考え方もございます。希望する方では、五百万円くらいというような数字が出ておりました。これも今決議になつたわけではございません、一応の何であります。
 それから事業税の方でございますけれども、事業税は少くとも半減をしてもらいたい、こういうのが従来日本商工会議所で出しております意見でございます。率はそうでございます。
 それから事業税につきまして累堆課税的な考え方もあるのでありますが、これは法人税に関します限りは、法人税でこれをやり、また法人税の事業税でやるということは二重になります。法人税で軽減税率をとつた場合には、事業税の法人税率について同じようにやるということで、二重にやる必要はないと思います。ただ中小の企業につきましては、非常に勤労を主とするような企業につきまして、勤労控除的なものを考えてもらいたい、これは所得税の方でありますが、そういう希望が非常に熾烈でございます。実際問題として御考慮を煩わしたいのは、この事業税の点で、いわゆる大衆事業税というものを申しておるのでありますが、これの軽減措置をとられておるのが大分出ておるのでございます。そんな関係で、たとえば理髪屋さんは安いとか、そば屋さんは免税だとか――免税ではありませんが、八%であるとか、新聞は無税であるとか、出版業も一部については無税であるとか、非常にそういう特例がふえて来ておる。そちらの特例の方に入り込みたいという要求が非常に出て来ております。それから、これは私の聞いておるところでありまして、必ずしも絶対正確とは申まませんが、私の聞いておるところでは、東京都のごときは、これは特殊の府県で、比較的税収も多いところだからでもありましようが、事業所得の中の年収にして十五万円以下くらいのところには、これはその評価の、何と申しますか、見積りにおいて三割なら三割というものをかげんしてやるというような措置を講じております。実際のところ、非常な少額の事業所得者からこれをとるということは、実情として非常にむずかしい。ところにもとれないというようなことからそういう何が出ております。この事業税の問題は、従来日本商工会議所でも、半減というような程度で決議をしてお願いをいたしておりましたが、近ごろ全国的に、ほとんど全免ということを希望する空気が非常に強くなつて来ておるような次第でございます。一部には、ある種の政治的な意図をもつてこの運動をしておるというようなことも聞きますが、一般にこれは非常に事業者にとりまして苦痛――大きな負担になつておるというところに、これらに乗じられるのだろうと思うのでありまして、この点につきましては、少くとも半減というぐらいの線を出さぬ限りは、徴税上もむずかしい問題にぶつかるのではないかということを心配をいたしておる次第でございます。
#17
○藤枝委員 佐藤さんにお伺いしたいのですが、あるいは大蔵省の方の御意見も伺いたいのでありますが、まず佐藤さんにお伺いしておきます。ただいまお話になりました減耗控際の問題、これはまさにお話の通りわれわれも非常に新しい感じがいたしますが、必ずしも鉱業、石炭、石油だけでなく、あるいは山林というようなものも、ここに実は山林の税制についての要望書も来ておるのでありますが、そういうことにもあるいは関係するかもしれませんが、鉱山を考えてみますと、要するに鉱山というものは、昔のいやな言葉でありますが、一山当てればというような考え方で、その鉱山一山やつてしまえば、それで少くともその鉱業というものは終えてしまうという感じならば、こういう御希望はへんなものになるだろうと思います。それを鉱業というものは、なるほど山は違うけれども、永続して、ほかのインダストリーと同じようにやつて行くんだというならば、新しい山を取得するいろいろな経費というものの蓄積、これが必要になつて来るということから、御要望のような一五%の控際というようなことがいいか悪いかは別問題として、とにかくこういう制度をある程度考えなければならぬということも立論されて来るだろうと思いますが、そこで佐藤さんにお伺いするのは変なんでありますが、一体鉱山というものの性質は、一山やつてしまえば、それでその事業としては終りというような考えなんでございましようか、それとも鉱業という一つの事業体が残つていて、山はだんだんかわつて行くんだということなんでございましようか、その点の御見解をひとつお伺いしたいと思います。
#18
○佐藤参考人  私から申し上げぬでも、当然事業は継続して行かないと、日本も困るじやないかと思います。実は昔は山成金というものが出たわけですが、今はなかなか山成金というものは出ないです。たくさん申し込んで参りますが、ほとんど満たされるようなものはないのであります。終戦後どういつたことでもうけたか存じませんが、一、二億の金をもうけた人が山を買つて、ほとんどしくじつているのです。それは山代だけで済むものでなく、数倍、おそらく数十倍の資金が開発にいるわけです。ほとんどみなだめになつている。おそらくいわゆる山成金というものは、これからは出ないのじやないだろうか。従来は山成金といいますか、三井さんでも三菱さんでも、あるいは古河さんでも、ある意味において山でもうけておる。ああいうのは出て来ないです。だからやめていいかといえば、これはやめられないと思うのです。しかしこの問題は、実は私三井金属におりますが、私の方で経営している神岡鉱山というのが岐阜県にあります、これは非常に大きな世界的な鉱床であります。これは当分二、三十年は大丈夫だと思つておるわけです。今、年間三十万トン掘り出しておりますが、なおかつその三倍くらいの鉱量が見つかつて行くわけです。そういうところから考えまして、一応神岡を対象としてはそんなふうな気もしておつたわけです。ところが私の方は銅がないです。銅山を持つていない。ところが製錬所だけ持つております。これは戦争中軍から押しつけられたわけでありまして、銅山を持たない製錬所で、買鉱するわけです。これはどうしても銅の自給をはからなければならぬので、いろいろ小さい山をたくさん買つたわけです。ところでそれは高い本のじやありませんが、買つて探鉱し、開発するのになかなか金を食います。たいへんな金を食つて、これらすべてがものにならないことはなくても、相当の金を食つて、選鉱所をこしらえて本格的に事業を開始するという段取りには、まだほとんどなつてない。そういうために金を食いますし、私らはほかの利益で幾らかカバーできますが、一つの鉱山だけ持つた会社、しかも製錬所に売らなければならぬというような会社を考えてみますと、これは実際何十年でもあるというものはほとんど持つていないですから、これはなくなつたらどうなるか、なくなるまではだんだん下り坂になるわけです。これは会社自体の経営を考えても心配なんです。根気よくやると、その下に存外いいのが見つかるものですが、それが事業が継続できないと、その機会が永久に失われるわけで、せつかく持つている資源をそのまま死蔵するというような結果にもなるし、これは国家的な見地からいつても、そんなことでいいのだとは、なかなか言えないだろうと思うのです。
#19
○藤枝委員 それは経営者側の御意見として、税の建前からいいまして、鉱山というものをどう見るのがいいのか、これは大蔵省の方でいろいろお考えだと思うのですが、いかがでしようか。
#20
○白石説明員 鉱業につきまして特殊の減耗控除制度を設けよという御意見のようでございますが、政府のただいまの考え方といたしましては、特に他の産業に特別してこういつた制度を設けることは、ただいまのところ適当ではないのじやなかろうかというように考えておるわけであります。ただ私どもまだ検討不十分でございますので、アメリカその他につきましても、特殊の制度もあるというように聞き及んでおりますので、そういつたものにつきましては、なお十分検討させていたがきたいというように考えております。先ほどの御説明にもございましたように、鉱業というものは、その特殊の件格から、当初のころは相当の利益が上りますけれども、埋蔵量が少くなる、あるいは石炭あたりにつきましては、だんだんと深い所掘つて行かなければならないというような関係上、後につきましては、だんだん利益が減になるというような点から、特殊の軽減措置も考えねばならぬのではなかろうかというような御意見もお述べになつたように考えるわけでありますが、こういつた面につきましては、やはり償却というような面から、その償却自体につきまして、ある程度の、何らかの考慮を要すべきものではないか。また現行法におきましても、その償却について考えられておるのではないかというように考えるわけでありまして、鉱業の特殊の性格上、そういつたことで所得が減れば、おのずから税も減るわけでありますので、そういう点をただちに減耗控除というような制度に結びつけて特殊の軽減措置を講ずるということは、ただいまのところ適当ではないのではないかというように考えておるわけであります。
#21
○大上委員長代理   次に大平君。
#22
○大平委員 岡松さんの御意見、青砥さんの御意見を聞いておりますと、今の法人税なり所得税なり、制度それ自体の問題というよりも、むしろ税率の問題が両方の眼目のように伺うわけでありますが、税率を御要望のように下げた場合、結局それだけの税収減を結果するようになるのか、それともあなた方のお考えでは、申告がよくなり、会社の経理が刷新されまして、そして税収自体には大した変化はないんだというようなお考えのものかどうか、そこが眼目のように私は聞いたのでありますが、戦後の情勢として非常に遺憾なことがたくさんございます。一例を会社にとつてみましても、俗にいう社用族というものが非常に跋扈しまして、どうせもうけても税金で持つて行かれるのだからというので、会社の経理が非常に放漫に流れがちな傾向が相当顕著に見られるということは、これはゆゆしい問題ではないかと思う。これはひとり会社だけではなく、官庁におきましても公用族、あるいは組合におきましても組合族、これは日本の戦後の社会情勢を倫理的に判断する場合に非常に遺憾なことだと思いまして、こういつた弊風を是正して行かなければいけない。日本ばかりでなく、海外の情報を聞いておりましても、各国程度の差こそあれ、似たような現象が見られるようでありますが、これはひとり税制そのものの弊であるとは申し上げかねますけども、しかし私は、今の税制そのものに何かそういう罪悪の温床があるのではないかと思う。それをせんじ詰めて行けば、結局税率の問題になつて来る。もちろん各種の控除がございますけれども、少し多過ぎるくらい控除があるわけでございます。過去の税制の歴史からいいますと、国際的な関係におきまして、税率を思い切つて下げるという措置が外交上非常にむずかしかつたというような事情もありまして、自然安易な道をとつて控除制度を、たこの足みたいに設けて行く。そのために税制自体も複雑になつて、先ほど岩本君から話がありましたようなことになつているのではないかと思うのであります。この問題はあくまでも税率そのものに非常に大きな問題がある。従つてこれを判断する場合に、結局税率を下げて経営を刷新し、申告の向上を結果できるとあなた方ごらんになつているかどうか。非常に大胆な質問で恐縮ですけれども、岡松さんと青砥さんの御意見を伺うことができれば仕合せだと存じます。
#23
○岡松参考人 私から先にお答えいたします。たとえば法人税を四二%から三五%に引下げたときに、国家の減収がどのくらいになるか。私は先日税制調査委員会で、平年度において二百六十九億の減収になるというような数字を、私の記憶に間違いなければ伺つたのでありますが、これはただいまの委員から御指摘もありました通り、必ずしも現在の法人税徴収見込みから七%を引いただけの数字が減るというわけのものではないと思います。実際問題といたしまして、今の社用族の問題は非常にやかましいのでありますが、これらにはいろいろの理由もございまするが、大きな理由の一つとして、やはり税金が非常に高いので、少々会社の経費を節約したつて、その大部分は税金で持つて行かれてしまう。何なら使つてしまつた方がいい。しかも必ずしも使うことが無益とは言いません。これは営業上のいろいろな交際にしろ、何にしろ意味はあるのでありますが、それがいよいよ使うということになれば、これは人情のしからしむるところ、どうしても濫になる結果に陥るのであります。某会社の社長1これは戦争後いわゆる大会社の社長として追放になつておつた方が、昨年の暮れに会社にもどられて、戦前的な感覚から、大いに経費の節減をはかつた。従来の社長の乗つておられた大型の車両を売つて、小型車を買つて自分が乗つておる。社員には日曜の娯楽は別として、ウイーク・デーにゴルフに行くことを禁じられたというような式でやつておられたのですが、その方が言われるのに、大型車を小型車にかえただけの金は、全部税金に持つて行かれちやつたというようなことで、何としてもこの経費節減の意欲を鈍らしておる。たとえばわれわれいろいろ今民間から金を集めることをやつておりますが、これは目的自体は非常にけつこうでありますが、いろいろな募金が多いのであります。その場合に寄付した金は免税する。租税を計算する場合に、利益金からの控除を認めるという措置をとつてもらうと、非常に募金が集まる。その措置をとらなければほとんど金は集まらぬ。これを見ましても、税金を控除されるということが非常に大きなことになつている。これは寄付でありますが、会社からいえば、ほとんど事業には直接影響のない寄付金でありますけれども、それが損金に計算されれば非常に集まる。損金に計算されないと、ほとんど出て来ないというようなことから見ましても、やはり事業費として損金に落せるということになれば、つい寄付もやれば、交際費にも使う。いろいろな事業費もそういう意味ですぐ出て来るということは明瞭であります。税額を幾ら下げたら幾ら出るかという計算はむずかしいにしても、非常に大きく事業費節約の意欲を鈍らしているということは明瞭であると言わざるを得ぬと思うのでございます。それから先ほどの委員の方に申し上げましたことにちよつとつけ加えて申し上げますが、軽減税率を一〇%程度という話が出たということを申し上げましたが、御参考までに昭和十三年から十五年の間、日本でも十万円以下の会社に対して軽減税率を適用した過去の例があるのでございます。そのときの軽減税率がたしか一〇%でございます。そんな数字が参考になつてそういうものが出たということでございます。
#24
○青砥参考人 お答え申し上げます。私が申し上げました法人税の税率の軽減という問題、これは大体地方制度調査会あたりでも、ある程度法人税割を軽減しまして、それを法人税率の軽減の一部に充てる。それから税率自体としても相当重いので、これを考慮するというような動きがあるように聞いておりますので、現在の四割二分を三割八分ぐらいに持つて行きましても、金額としてはそう大したものではないのではないか。せいぜい六、七十億もあればいいのではないかというふうに考えます。もともと考え方が、現在の税金の負担は、大体国民の負担の限界に来ているのではないか。昔の出ずるをはかつて入るを制す、こういう考え方でなくて、むしろ出ずる方を考えていただかなければいかぬのではないかというふうに考えるのでございます。
 それから勤労所得税の問題につきましては、実は私の説明がまずくて、税率を下げた方がむしろいいというふうにだけ聞こえたかもしれませんが、むしろ税率の問題は、申告をいたします事業所得者も、勤労所得者も同じでありますので、あまり問題はありませんが、結局その元の所得を把握する点であります。勤労所得者の方は、会社の方で帳簿に載つておりますので、はつきりぎりぎりまでつかまる。ところが一般の申告所得者は、申告して初めてその数字が出るということで、その把握が非常に困難だ。ですから、それを同じように扱うには、むしろ勤労所得者も申告制度にして、同じような徴収方法にされたら一番公平に扱われるのではないか。しかしそのかわり、おそらく勤労所得税は現在の税額の三分の一くらいに減りやしないか、こういうことを申し上げたのです。しかしそれもあまり税源の問題もあるし、困難でありましようから、むしろ勤労控際であります。これも改正前は二五%でありますが、現在は十五%で、一〇%の開きがありますが、これを一挙に持つて行くということも、これは税収の金額の面で困難でございましようから、二〇%程度にいたしまして、そうして最高の限度を、現在は四万五千円からになつておりますが、これは改正前は三万七千五百円、それからその後去年までずつと三万円ですえ置かれております。基礎控際の方は、改正前が一万五千円で、現在はその四倍になつておりますが、こういうことがむしろ申告所得者と勤労所得のアン・バランスをより大きくしている、こういうことを申し上げたわけであります。
 それから社用族の問題につきましては、実は先ほど岡松さんから説明がありましたが、これを会社の給与として重役に金を出して、そうして自動車を重役自身のポケツト・マネーで買わした場合には、会社は現在の給与の倍くらいは出さなければならぬ、こういうことになるわけでありますが、会社で買つて、それを渡せば税金がかからない。そのほか結局税金が高いから会社はそうやつておるので、それを社用族と申すのですが、実はそういつた目に余るものが多少目に立つことはあると思います。実際は税がかかるから、税がかからないような形で現物を支給する、こういうことではないかと思います。それで、よく接待その他で相当の費用を使つている。ですから、この接待費に税をかける、こういうようなことが一時問題になつておつたのですが、これは、結局そういう接待をしなければならないような状況に置かれておるという客観情勢といいますか、金の面におきましては、そうして接待してなければ銀行あたりから金が入らない、こういう客観情勢がしからしめるものでありまして、あえてみずから社用族的なことをやつておる、こういうことではないと思います。結局一つの循環論と申しますか、税金が高いからこういうことになつておるのだ、別に社用族と称して会社の金をむだに使つているわけではない。予算をつくりまして、相当厳重に査定をしてやつておるわけであります。御質問に妥当するかどうか知りませんが、一応お答えいたします。
#25
○大平委員 そういう循環的な因果関係があるだろうと思いますが、ただこの間アメリカから来た雑誌を読んでいると、アメリカでは先ほど岡松さんが言われたように、五二%の法人税、そのほかに超過法人税が三〇%ある。最高の税率を適用される会社にしてみれば、八〇%程度が税金に持つて行かれるというので、一ドルのごちそうをすれば、実質的には会社の負担は大体六十セント見当に当る。従つてどこのレストランに行つても、大体一番上等の料理を注文するのは社用族だ。ところが会社の経費を使うときにはなかなかはでだけれども、だんだんと自分のくつがまずくなり、服がまずくなつて、結局自分の家計が苦しくなるというようなことになる、そう書いてありましたが、いろいろな事情で、会社の仕事というよりも、そういうデイプロマテイツクな費用がいるのだろうと思います。しかしそのやり方が、今のような税率のもとでは結局はでなものになりがちなのです。従つて問題は、先ほど述べられたようなことがなくて済むようなぐあいに会社の経営自体を持つて行かすためには、一体どの程度の税率がいいか、そしてそれによつて国庫の方の収入もそう減るものじやないというようなことが、実はわれわれはほしいのであります。そうし光ら、われわれの方も大胆に税率を下げろというアクシヨンがとれるわけであります。私も非常に苦心しているのですけれども、そういつた点、主税当局におきましてもとくとお考え願いたいと思います。元来主税局の方で税制の改正をやるというときには、二、三の係官が前年度の実績を基礎に本年の見積りを立てて、その立てたもので減税がどれだけできるかという相談をやつているわけでありまして、決して実体的な基礎を持つたものじやない。極端に言えば、そういうようにやつている面が相当あると思うので、いわば二、三の係官の鉛筆の先で非常にたくさんの人の運命がきまるというような非常に恐ろしい結果になつて来はせぬか。税収の見積りを現行税法で立てる場合に、その立て方と、それからこうした場合に税収が幾らになるかという立て方、これは単なる観念論や勘でなくて、よほど税務署を使つて調べて、そして実のあるものにしてもらいたい。税制改正についてはいろいろな論議はありますけれども、結局そういつた点、税率という問題に帰一して来やしないかと思うし、もうこの問題はそう悠長に議論しておつてはいかぬ、なるたけ早くアクシヨンをとらあければならぬというような社会情勢のような気がするので、この点は特に希望しておきます。岩本君から先ほどいろいろな陳述がございましたけれども、しかし私どもは、税務署長が来てくれる以上は、現行の税制で、第一線をおあずかりしておつて、どうにも耐えられないことがあるのだというような、ほんとうにエッセンスを聞きたかつたのでありますけれども、旅費が足らぬとか、人員が足らぬとかいうようなことに終つたので非常に遺憾に思います。私も六、七年前に税務署長をやつておりましたが、そのころに比べれば、税務署員が五倍にもなつており、税務署もふえている。おそらく卒然としてこの事態を見れば、わが国は非常におかしな国だと思うのです。とるべき税源が少いのに税務署員が五倍にもなつたということは非常な特色なんで、なるべく人数が少くて、徴税費がかからぬで税収が上つて行くためにはどうしたらいいかということを、第一線の人から実のある意見を聞きたかつたのでありますけれども、きようは時間の関係もありまして、そういつたことも聞けなかりたのは遺憾に思います。問題は、税率そのものも非常に歴史的なものでありますが、今度このような状況でずつと推移して行けば、これは税制の面かつ国家の非常な危機になるのじやないかと思いますので、主税当局も、第一脇の者も真剣に協力して、民間の意見も取入れて、税率を下げて、経営の刷新がやつて行けるように、同時に税金が多少は減りましても、今のような方法で計算すると相当多いものになつて、会社の経営がとてもできないようなことになる、そういうようなことにならないように、もう少し克明な調査、御検討を要望いたしておきたいと思います。以上で終ります。
#26
○岡松参考人 ただいまの御発言の中で、私の参考意見の述べ方が悪かつたかもしれませんが、少し誤解になつている点がありますので、訂正しておきす。
 現在のアメリカの法人税でありますが、現在の法人税の率は普通税が三〇%であります。二方五千ドルを越える法人の所得につきましては、それに加えて二二%の附加税率がかかつておりますから、一番重いところで五二%であります。八十可パーセントとおつしやいましたが、その点訂正さしていただきます。
#27
○大上委員長代理 ほかにございませんか。――以上でございます。
 参考人の方々には、御多忙中にもかかわらずわざわざ御出席の上、税制改正の問題につきまして種々有益な御意見を開陳され、本委員会の審査上に多大の参考になりましたことを、委員一同にかわつて厚く御礼申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後一時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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