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1953/07/14 第16回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第016回国会 運輸委員会 第15号
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1953/07/14 第16回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第016回国会 運輸委員会 第15号

#1
第016回国会 運輸委員会 第15号
昭和二十八年七月十四日(火曜日)
    午後一時三十九分開議
 出席委員
   委員長 關内 正一君
   理事 岡田 五郎君 理事 關谷 勝利君
   理事 松井 豊吉君 理事 原   彪君
   理事 楯 兼次郎君 理事 川島 金次君
   理事 鈴木 仙八君
      岡本 忠雄君    木村 俊夫君
      徳安 實藏君    南條 徳男君
      山崎 岩男君    臼井 莊一君
      岡部 得三君    松原喜之次君
      山口丈太郎君    森   清君
      館  俊三君
 出席政府委員
        運輸政務次官  西村 英一君
        運輸事務官
        (海運局海運調
        整部長)    国安 誠一君
        運輸事務官
        (自動車局長) 中村  豐君
        運輸事務官
        (航空局監理部
        長)      粟沢 一男君
 委員外の出席者
        専  門  員 岩村  勝君
        専  門  員 堤  正威君
    ―――――――――――――
七月十一日
 委員岡部得三君辞任につき、その補欠として川
 崎秀二君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 川崎秀二君辞任につき、その補欠として岡部得
 三君が議長の指名で委員に選任された。
同月十三日
 竹谷源太郎君辞任につき、その補欠として熊本
 虎三君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
七月十一日
 南千住駅改築の請願(天野公義君紹介)(第三
 三五八号)
 北千住駅改築の請願(天野公義君紹介)(第三
 三五九号)
 伊豆七島航路に関する請願(菊池義郎君外十名
 紹介)(第三三六〇号)
 江迎、臼ノ補間鉄道敷設の請願(辻文雄君紹
 介)(第三三六一号)
 水戸鹿島縦貫鉄道敷設の請願(橋本登美三郎君
 紹介)(第三三六二号)
 宮之浦港修築に関する請願(岩川與助君紹介)
 (第三六〇五号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 日本航空株式会社法案(内閣提出第六八号)
 道路運送法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一三九号)
 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(楯兼
 次郎君外七名提出、衆法第二五号)
 通行税法の一部を改正する法律案に関し修正意
 見申入れの件
 日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為に
 よる特別損失の補償に関する法律案に関し修正
 意見申入れの件
    ―――――――――――――
#2
○關内委員長 これより会議を開きます。
 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、まず提出者より提案理由の説明を求めます。楯兼次郎君。
    ―――――――――――――
  日本国有鉄道法の一部を改正する
  法律案
   日本国有鉄道法の一部を改正す
   る法律
  日本国有鉄道法(昭和二十三年法
 律第二百五十六号)の一部を次のよ
 うに改正する。
  第二十六条第二項中「町村の議会
 の議員である者を除く。」を「市(特別
 区を含む。)町村の議会の議員である
 者を除く。」に改める。
    附 則
  この法律は、公布の日から施行す
 る。
    ―――――――――――――
#3
○楯委員 ただいま議題となりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につき、提案者を代表いたしまして提案理由を簡単に御説明申し上げます。
 現行日本国有鉄道法におきましては、国有鉄道の職員は、地方公共団体の議会の議員(町村を除く)を兼ねることが禁止されているのでありますが、かかる措置は実情に沿い得ないものがあり、かつ憲法によつて保障された公民権である被選挙権を不当に制限しているおそれがあると考えられるのであります。
 すなわち第一に、国有鉄道職員の居住状況を見ますると、全国を一貫する厖大なる輸送業務に携わつている関係から、分岐駅、操車場、工場あるいは一定距離間に所在する組成駅等においては、その構内に幾多の業務機関が設置され、当該市町村における職員居住の割合は、他に比してきわめて大であり、所によつては職員数がその大半を占める箇所さえあるのであります。かかる箇所において、市なるがゆえに国有鉄道の職員がまつたく地方自治に参与することができないということは、地方自治の本旨に反するものといわなければなりません。ちなみに国鉄職員で現在市議会の議員を兼職している者は、全国七十七名の多数に上つているのであります。なお最近政府が慫慂している町村の合併が促進されるならば、ますますその数は増加することが予想されます。
 第二に、国有鉄道の職員が地方議員を兼職した場合、業務に及ぼす影響が大であるかのごとく考えられるのでありますが、単に国鉄職員ばかりでなく、市議会の議員としてその職務に専従している人はきわめて少く、他に勤務を持ち、あるいは家事のからわら、その責務を果しているのが通例であろうと思われます。もちろん職員は直接または間接に旅客、貨物の輸送に従事する重責をになつております。しかしながら市町村の行政区域は比較的狭く、かつ交通機関の発達いたしております現状におきましては、何等業務に支障なく議員たるの責務を果しつつあることは、既往の実績が雄弁にこれを物語つているところであります。
 第三に、同じ公共企業体の職員である専売公社の職員には、議員兼職に対する何らの制限規定もなく、電信電話公社職員は市議会の議員まで兼職が認められている現在、国鉄職員なるがゆえに、町村議会の議員のみにとどめておくことは、過去の政治的慣習を無視するものであるばかりでなく、一貫性のないきわめて不均衡な取扱いであるといわなくてはなりません。かかる問題は法律によつて抑制すべき事柄ではなく、有権者の自由にして民主的な判断にまつべきものであると思考いたします。
 以上の諸点より、国鉄職員に対する議員兼職の制限規定は本法律より削除すべきが当然ではありますが、本問題の今日までの経緯にかんがみ、少くとも市議会までは兼職を認むべきが妥当と考え、右のごとく提案いたした次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願いいたします。
#4
○關内委員長 本案に対する審査は次会に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#5
○關谷委員 航空機の乗客に対する通行税免除について、大蔵委員会への申入れの動議を提出いたしたいと思います。
 現在航空機の乗客に対しては二割の通行税が課せられていますが、これがため利用者に過重な負担をかけているのみならず、民間航空の発展を著しく阻害をいたしておる実情であります。よつてこの際この隘路を打開するため、航空機の乗客に対する通行税を免除するよう、別紙の通り大蔵委員会へ申し入れたいと思います。
   通行税法の一部を改正する法律案
  通行税法(昭和十五年法律第四十三号)の一部を次のように改正する。
  第一条中「乗合自動車、汽船(以下汽車等ト称ス)及航空機」を「乗合自動車及汽船(以下汽車等ト称ス)」に改める。
  第三条中「(飛行場ヲ含ム以下同ジ)」を削る。
  第八条中「又ハ航空機」を削る。
  第九条中「又ハ航空機」及び「(航空機搭乗券ヲ含ム以下同ジ)」を削る。
    附 則
 1 この法律は、昭和二十八年八月一日から施行する。
 2 この法律施行前に課した、又は課すべきであつた通行税については、なお従前の例による。
 3 この法律施行前にした行為に対する罰則の適用についてはなお従 前の例による。
 右申入れをいたしたいと存じまして、皆様方の御賛成を得たく、右動議を提出いたします。
#6
○關内委員長 關谷君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○關内委員長 御異議ないものと認め動議のごとく決しました。
    ―――――――――――――
#8
○關内委員長 次に道路運送法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続けます。鈴木仙八君。
#9
○鈴木(仙)委員 自動車局長は見えておりますか。――官庁バスの問題について先般お尋ねしましたが、またお尋ねいたします。東京都が旧市内バス事業の独占を主張してその一般化に反対しているが、その根拠としているところの陸上交通事業調整法は、現に生きている法律である。これを運用する機関たる交通事業調整審議会が昭和二十五年から廃止されたままになつているので、この法律は事実上は機能停止の状態にあり、当局はこの点について目下検討中との御答弁のように伺いましたが、そこでお尋ねしたいのですが、東京都、特に旧市内における交通混乱の現状と、交通量激増の趨勢に徴して、当局は都の地裁別交通調整に再検討を加えて、新事態に即応する交通網整備の促進をはかる御意思があるかどうか。
 第二点は、官庁バスの一般免許のごときは、交通調整法に基いてかつて決定した地域別調整に違反するものであるから、かような調整区域内における交通調整上の重要事項については、交通調整法第五条により交通調整審議会に諮問をした上、これを決定すべきだと思いますが、当局はすみやかに同審議会を復活をする御意思があるかどうか、これをまずお伺いしたいと思います。
#10
○中村(豐)政府委員 交通調整法に基いて策定したところの東京都の交通調整の地域別担当者については、情勢もずいぶんかわつたことでありますから、再検討することが必要ではないかと思うのでございますが、この点については関係の局とも十分打合して善処いたしたいと思います。
 第二の官庁循環バスは調整区域の見地からきわめて重要であるから、調整審議会を復活して、それにかける意思はないかというお話でございますが、これは総理府設置法に基いて廃止されたものでございますから、早急に復活しなくても、それと同様の機能を果すものに運輸審議会もあることでありますから、そういうところに諮問すればさしつかえないのではないかと思つております。
#11
○鈴木(仙)委員 官庁バスという、官庁職員専用の特定免許のバスでありますが、これがいつの間にか車内で一般人に切符販売をした、そして一般人を盛んに乗せ始めた、これは違法であるかどうか、この点をひとつお伺いしたい。
#12
○中村(豐)政府委員 官庁の人間だけを乗せるという条件付の特定免許であつたわけですから、一般人を乗せることは違反になるわけです。
#13
○鈴木(仙)委員 そしてその取締りはどちらでおやりになつておりますか。
#14
○中村(豐)政府委員 現地としては東京陸運局、さらにその末端としては東京都知事のもとにある東京陸運事務所長がやるのであります。
#15
○鈴木(仙)委員 最後的なその監督の責任はどちらにあるのですか。
#16
○中村(豐)政府委員 最後の責任は運輸大臣であります。
#17
○鈴木(仙)委員 そこでお尋ねいたしたいのですが、昭和二十五年七月に、東京都から運輸省にこれが取締り方の要請があつたそうでありますが、これに対して当局から同社に警告を発したのは昭和二十七年五月である。つまり当局は違反行為が発覚し、都から要請があつてもなお二年間これを放置してあつた、かように言つておりますけれども、かような事実は監督行政上看過できないことと思います。また禁止の仕方にしても、単に警告を発したにとどまり、監督法規に定められた罰則を運用しなかつたのは、一体どういうわけですか。これを明確にお示しが願いたいと思います。
#18
○中村(豐)政府委員 当時の事情を存じておる者がただいまおりませんので、正確なことは申し上げられませんが、そういうふうにわれわれも聞いております。そこで東京都から違反の事実についての申告というのですか、それがありましたので、当時としてはその実情をいろいろ調べていたようであります。ただ何分にも当時は交通輸送力の少いときでありますから、あまりにそれをしやくし定規にとつて、違反であるからということで厳重な取締りをすれば、かえつて交通上非常に不便を生ずる。一般利用者が利用したい要望が強いのに、それだけのバスが動いておりませんから、官庁専用バスであるけれども、それを利用さした方が実情に合うのではないかという実情論から、いろいろ担当者も当時の責任者も研究したことと思うのであります。おそらくその場合にはむしろその条件を解除し、特定を一般に広める方が実情に合うのではないかということも、いろいろ考慮したのではないかと思われるのであります。そのような情勢の検討に時間がかかつたために取締りが遅れた、こういうふうに私たちは思つておるのでありますが、その後輸送力も大分ふえて来ましたので、これが条件通り取締つてさしつかえないという決断をして、遂に取締りの意味から法律違反をするなという警告をしたことと思います。
 そこでその場合に、違反の事実を認め、それを取締るのに、法律に定められた罰則を適用せずに、警告を発した程度であつたという点でございますが、それはすべて従来法律励行の場合には、一応いつも法律違反の事実があつても警告をして、経営者に厳重に法律違反事実をやめるようにという警告を発しまして、それによつてそのような違反の事実がなくなれば、一応それでいいのではないか。事前の警告をいたしまして、それでもなおかつ違反事実を続けておるような場合には、法規に基いて取消しなり停止をする、こういうふうに二段構えですべてやつておるものでありますから、まず最初は警告によつてその事態をなくさせるようにする、こういう措置をとつたことと思うのであります。
#19
○鈴木(仙)委員 非常に御答弁がお上手ですが、どうも二年間も……。どなたがこれをおきめになつたか、あまりに便法主義じやないかと思います。それではどんなりつぱな法律をこしらえても、どんな規則をこしらえても、そういう解釈なら成り立たないと思う。二年という年月は決して短かいものじやありません。そこでかような違法行為に対して、長年にわたつて放置しておいて、一般都民の来車習慣というか、その車に乗りつけさしておく。――これは悪意な解釈かもしれませんが、そうして今度は突然これを禁止すれば、何も知らないでこれを利用していた人たちにとつては、これは交通機関の罷業と同じような不便をかけることは明らかであると思うのであります。こういうふうな取締り方、またこういうふうなやり方を、しかも監督をするべき立場の人がやつておるから、今この官庁バスに対しては、いろいろな問題が世間に流布されておる。あるいは金がばらまかれておる、あるいは運動をしておる、あるいはこうだとか、それだけでさえも私は不見識であると思う。私もまだ詳細なことはわかつておりません。十分に御当局もこれをひとつお調べになつて、そうして対処していただきたいと思います。私の質問はきようはこれで打切つておきます。
#20
○中村(豐)政府委員 事情よく調べて善処いたしたいと思います。
#21
○原彪委員(改) この法案に関連しまして、二、三少しばらばらでありますが質問したいと思います。
 自動車局長は一昨日、免許制撤廃の問題に対して、免許制の必要性を力説されたのであります。なるほど理想論としては、私も免許制の撤廃は賛成であります。現段階においては、局長さんの言われるような免許制の存続については、私も賛成するにやぶさかでないのでございますが、どうして免許制を廃止しろという声が今地方に横溢しているかということについて、当局ははたして十分御認識になつているかどうか、この点非常に疑わしいのでございます。実際地方においては、いわゆる免許を得た業者が一つの特権のごとく、長く継続して事業を営んでおる。このことが悪いとは申しませんが、新しい業者が申請した場合に、自分の商売の権益を侵されるというような感じで妨害して、その免許がおりないように運動をして、今まで公聴会その他でやつたことは、われわれの知つているところであります。そればかりではなくて、新しく申請する者に許可がおりぬというのは、あるいは一つは弱小業者であるからかもしれませんが、実際は自家用のトラックならトラツクを持つておつて、自家用で自分のところの荷物を運ぶだけではとても収支が償わない。それでちよつと一かせぎをやつて、そのかせいだ代で修理をし、オーバー・ホールをしようというような気持が人情としてあるのが、地方の実情でございます。ところがそのようなときに、免許を持つている業者が弱小の自家用業者の間隙を利用して、つまり看板貸しというので自分のところの名義を貸し与え、その名義に対して一箇月三万円なり五万円の名義料をとり、あるいはその名義を貸し与えた小さい業者の営業した利益の何割、三割とか五割とか、ひどい率の上り高をとつているのが実情でありまして、この事実はなかなか警察では取締りにくいのであります。私が知つている二、三の例があります。取締るのは取締つたけれども、なかなかどうして取締つたあと、そのような名義貸しというものがなくなるかというと、なくなりません。現在も行われておるような状態なのであります。ところが、この法規からいえば、そのような看板貸しをやつている業者に対しては、けしからんからといつて免許を取上げることもできましようが、おそらく当局としてその免許を取上げたような例は一つもないと思います。また一方罰金刑なるものが非常に軽いようであります。これは罰金五万円でしたか、はつきり覚えておりませんが、非常に軽いようであるので、結局看板貸しで大きな利益を得ておるというのがその実情であります。そういうことがまた免許業者に対する反撃の理由となつて、自家用業者が免許制撤廃を叫んでいると思うのでありますが、このような看板貸しを徹底的に取締るのは、どのような方針でおやりになるのか、これを承りたい。
#22
○中村(豐)政府委員 免許制度撤廃の運動が起つた根本には、複雑な事情があつたということについて、いろいろお示しがあつたのであつたのでありますが、そのような事情のあつたこと、私たちも多分そうだろうと思います。それで必要な者、また適格性の十分ある者には免許を与えるべきであります。にもかかわらず、それが既存の事業者の反対とか運動があつて、なかなか新規の免許が与えられないというような事情のために、それならばもうやむを得ない、免許をとることができないならば免許を撤廃してしまえと、こういう運動が起ることも無理からぬことがあつたと思うのであります。そこで昨年の暮れ運輸省としては、地方陸運局に対して、必要な場合、また適格性のある者には免許を与えるべきであるということを再確認する意味の通牒を出して、実情に沿うような措置を徹底さしたのであります。従来自家用の営業類似行為を取締るということを、強く関係のところに要望していろいろ努力さしたのでありますが、その趣旨が徹底しないといいますか、その力がどうしても振えなかつた一つの理由には、そのように免許を与えるべき者にもなかなか与えられないという事情があるために、いわばそのほこ先が鈍るということもあつたのではないかと思うのであります。それが今申しましたように与えるべき者に与えるということになれば、与えられない者は資格のない、それこそほんとうのもぐりでありますから、それに対しては十分に思い切つた取締りができる気持になると思うのであります。また実際問題としまして、何しろたびたびの予算及び定員の削減によりまして、取締りに当るべき現地の関係官もだんだんと減員されて参りますので、どうしてもそのようなこまかいことにまで十分な手数をかけられない、こういうやむを得ない事情のために、実は見のがしておることも相当あつたと思うのであります。ですから年中朝から晩までその取締りに当るということはとうてい困難でございまして、どうしても抜打ち的にときどき取締りをやりまして、業界に警告を与える、こういうことしかねらえないことはやむを得ないことであろうと思うのであります。今後の問題としましては、そのように必要な者は免許を与えますから、それ以外の者については強く当ることができますし、少い手数をもつて、わずかの予算を運用して、できるだけ取締りに努力したいと思つております。
#23
○原彪委員(改) たいへんけつこうな御答弁であります。
 次に承りたいのは、路線の権利者が全国に数千あるのでありまするが、そのうちの何割かというものは、ほとんど休止路線を持つて、その権利にしがみついているような状態でございまして、その休止路線のところにたまたま新線が出願でもしようものなら、今までバスを通したことのない休止会社が、突然生き返つてバスを通すというような状態をときどき見受けるのであります。一体その休止路線の効力の時効と申しますか、運行しない路線は何年で路線の免許を取消しにいたしますか。その点をはつきりひとつ承りたいと思います。
#24
○中村(豐)政府委員 戦争中及び戦後の燃料、資材が窮迫した情勢下においては、御説のように非常にバスの路線は休止をしておりました。ところが一昨年ごろから諸情勢が好転するに従いまして、免許を受けながら休止しておることは、権利の上に眠ることであるからとい三ので、やかましくその復活を要望したのであります。そして復活するかどうか、復活できないものならば、もう廃止をしてしまえ、こういうことを厳重に戒告いたしまして、現在ではバスの休止路線は、全体の免許路線に対して五%以下の程度に落ちております。その五%程度ならば、まあまあ普通の状態でないかと思うのでございます。ということは、普通道路が損壊しまして応急修理しなければいけない、その間はこれはやむを得ず休止してしまいますし、交通情勢がかわつて、そこに部落や工場その他がなくなつて、交通価値がなくなつてしまえば廃止をするか、その前提として休止をするということもあり得るものでありますから、戦争前でも五%以下くらいの休止はまあまあやむを得ないものと見ていたわけでありますが、大体現在ではその程度にまで落ちてしまいましたから、なおいま少し休止線の復活あるいは整理を促進すれば、それほど権利の上に眠るという事態はなくなると思うのでございます。そこでそのような休止線に対して、新規免許があるとあわてて復活するということもかつてはありましたけれども、それはちようど復活しようと思つて資材もよくなつたそのやさきに、新規免許の申請を出されて、足元をすくわれたようなことだと思うのでございますが、これからはそのようなことはあるまいと思います。これからもしそのようなことがあるとすれば、そういう者には新規免許を許してさしつかえないのじやないか、このように思うわけでございます。
#25
○原彪委員(改) そうすると大体休止路線は、ただいま御答弁なかつたのですが、年限とか時間的問題ではないのでございますね。一年間なら一年間、自動車を通さない、バスを通さない、その実績に見て、これはもう一年間通さないのだから、この路線だけは免許を取上げようというお考えじやないですか。
#26
○中村(豐)政府委員 現行の道路運送法の四十一条に基きまして、休止をしようとするときには運輸大臣の許可を受けなければなりませんし、そしてその休止の期間は、許可を受けても、一年を越える期間はできないということになつております。但し道路または橋梁の損壊その他正当な事由に基く場合、これはやむを得ませんから、一年という制限はつけておりません。道路または橋梁の損壊その他正当な事由による場合は、一年という制限はございませんが、それ以外の場合は一年ということにしてございます。従つて一年を越えて休止をしておれば、許可を受けずに休止をしたことになるから、取消し、停止の事由にもなりますし、罰則をかけることもできるわけであります。
    〔委員長退席、松井(豊)委員長代理着席〕
#27
○原彪委員(改) そうすると一年間休止をしておつた場合には、運輸大臣が免許を取上げなくとも、自然その路線は休止したものとみなしてよろしいわけでございますか。
#28
○中村(豐)政府委員 一年間休止したままで、それからあとになりますれば、自然失効ではなしに、ゆえなく許可を受けずに休止したことですから、事業の停止または免許の取消しをすることができるということになるわけであります。当然失効ではありませんすれども、正当な事由がない場合には、取消しまたは停止をすることができる、その処分によりまして結末をつけようと思います。
#29
○原彪委員(改) するとゆえなく取消しまたは停止ができるということになると、運輸省がほつたらかしておいたら、その路線はいつまでも生きているということになるようですが、どうなんでしよう。
#30
○中村(豐)政府委員 御指摘のような場合には、一応権利は生きているわけでございます。
#31
○原彪委員(改) どうも全国にそういう路線がたくさんあると思うのでございますが、そういうのを、やはりバスを運行せずに、自分が権利を持つておつて、そういうことがあるから、新しい業者がその路線のところへ申請し出して来ると、おれが元の権利を持つているんだといつて、そつくりバスを通す、そして新しく新設の申請者に対して妨害を起して来る。それで相競争して公聴会に持込むなり、あるいは運輸省にお互いに陳情するというようなかつこうをとるのでありまして、ほんとうに今まで営業しないで一年もおるならば、これはもう運輸大臣が取消しを命じなくても、命じたとみなすような措置にしてもらつた方が、整理がつくのではないかと思うのですが、いかがなものでしようか。
#32
○中村(豐)政府委員 その一年を越えて休止をしておることが正当な事由といいますか、やむを得ない事由によるかどうかを、もう一度その場合に審査してあげるということが妥当ではないかと思いますので、当然失効にはしなかつたわけであります。しかしそれだからといつて放任しておくのではなしに、そのような場合には十分審査して、事情やむを得ない場合には、休止の期間を延長することもしてやれましようし、もうまつたく情状酌量する余地がない場合には、取消し、停止ということになるわけでございますから、そこでもう一回再検討する機会を持つた方がいいだろうという趣旨にしてあるわけでございます。しかし先ほども申しましたように、現在の休止路線の割合は、正常な状態に復帰しましたから、もうこれからは御指摘のように、権利の上に眠つておるという弊害はないというふうに私たちは見ておるわけであります。
#33
○原彪委員(改) これは計数的に申し上げられませんが、まだ大分休止路線が残つているように思われます。でございますから、そこらに新規の申請者でもあつた場合、今まで休止しておりました方から妨害運動を起して参るような際には、当局においてはその休止している状態を十分に御調査の上、その方に対しては有利な判断をお下しにならぬようにお願いしたいと思います。
 それからもう一つお尋ねしたいのは、現在たいていの農業協同組合は、自家用のトラックを持つておるのでございます。ところが最近農業協同組合の中で、御承知のように農家の集まりの協同組合でございますから、農家の荷物を協同組合のトラックが対価を得て、賃金を得て運送してやる営業行為をやりたいという場合が、再三起つて来るような状態でございます。このような場合に、農業協同組合の営業行為は、従来の法規から言えば当然取締りの対象になると思うのでございますが、特殊な農業協同組合でありますので、この営業行為をどのようにお考えになるか、その点を承りたいと思います。
#34
○中村(豐)政府委員 農業協同組合は現在限定免許といいまして、農業協同組合の取扱いにかかる物品の運送は許しておるわけであります。その意味で、範囲を限定された免許を持つておるわけであります。この免許をされる場合にも非常に問題がございまして、貨物自動車運送事業はトラック営業者だけに限つたらいいじやないか、何も農協にその免許を認める必要はないということの猛烈な反対運動があつたのでございます。しかし運輸省としては、農協には農協本来の使命もあるし、その使命の範囲内において対価を得て物品を運送することは、農協の使命から見ても必要ではないかというので、そのような限定免許を与えたのでございます。そういういきさつもございますので、この範囲をさらに広げるかどうかについては、非常に複雑な事情もあり、簡単に結論が出ないでおるわけでございます。しかし各方面から切なる御要望もありますので、実は現在実情を調査して、再検討しようということで、いろいろと考えているわけでございます。その上でできるだけ実情に合したいと考えておるわけであります。
#35
○原彪委員(改) それから大分ばらばらになりますが、同僚議員の岡部君の選挙区に、大牟田市でしたか、何か起きた問題もありますし、ほかの全国市長会あたりからも言つて来ておる問題でありますが、地方公共団体がバスを営業する場合に、業者との間に摩擦が起きている問題が、数市の間に見受けられるのであります。りくつから言えば、市なら市は、市民の代表であり、その代表機関である市会が市営バスをやろうということを決議すれば、民主主義のルールから言えば最も重く見なければならぬのでありまして、このような場合に業者との間に摩擦を起すということは、ちよつとおかしいように私は思うのでございますが、大牟田市その他の市においてもいろいろ摩擦が起きておりますが、このことについてどういう御見解をお持ちでございますか。
#36
○中村(豐)政府委員 市営バスと民営バスとの問題でございますが、これについては運輸省といたしましては、特にわけ隔てをした考えは持つておりません。その性格としてバス事業は公共事業だから、地方公共団体である市なら市に許すべきだという議論が行われておりますけれども、それはいわば素朴な議論だと私は思うのであります。ということは、民営事業であつても、今御審議願つております道路運送法に基いて、高度の公益事業として厳重な義務を課せられ、責任を負わされ、運輸省の監督に服しておるわけでございます。従つてその半面、免許制度で擁護されておる、こういうわけでございまして、その意味で、道路運送法によつて規律される限り、民営であろうと市営であろうと、公共事業であるということについては何らその性格上かわりはないと思うのであります。むしろ公共団体の市営の方は、その地域が市の行政区画に拘束されまするから、ある程度周辺までは延びることはできましようけれども、それ以上逸脱して何十キロも遠くまで出ることは、行政管理上不適当だと思うのでありまして、その意味では市営の方が制限があるということが言えると思います。それ以外では市営であろうと民営であろうと、わけ隔てをしておりません。ところがいつも問題になりますのは、新しく市の地域にバスを開始しよう、営業しようという問題ではなしに、すでにその町に市営なり、民営バスがある場合に、それではサービスが十分でないからといつて、別なものがとつてかわろうとして申請を出して来る場合であります。その場合には、運輸省の基本的な考えとしましては、既存の事業者をできるだけ助長発達させてやつたらどうか。その場合に既存の事業者が十分サービスをし、また今後もりつぱに責任を尽すだけの熱意と誠意が認められるならば、既存の事業者にやらしたらそれでいいのではないか、あえてそこに他の事業者をさらに投入して、摩擦相剋を起すことはないのではないか、これが交通量として一事業者だけで十分まかなえるような場合には、一事業者だけでよろしいのではないか、かように考えるわけでございます。そこで既存の事業者が市営または県営、あるいはさらに進めば国営である場合もありましようが、こういう公営である場合には、その立場を尊重しますし、民営である場合には民営の立場を尊重するわけでございます。今のお話の九州地区はおもに民営でやつておりますから、既存の民営を尊重したらいいのではないかと考えておるのでありますが、昨年問題になりましたのに秋田市の例があるのであります。秋田市では市営がやつていたのでありますが、このサービスかよくないというので、民営の企業もくろみが起つたのでありますが、その場合でも、秋田市営のサービスが大体認められるし、その業務改善の熱意も認められましたので、民営を却下したというような例もあつたのでございますので、運輸省は民営と市営と決してわけ隔てしていないということは、御了承願いたいと思うのであります。
#37
○原彪委員(改) 非常にむずかしい問題で、民営でも市営でも、バス事業が公共事業にかわりないことはわれわれもわかるのでありますが、経営の主体は、市営は公共団体であり、民営は個人ということになると思うのであります。非常にむずかしい問題で、その土地土地の事情によつて当局は御判断にならなければならぬと思うのでありますが、このことを論争しても始まらないので、この程度にいたします。
 最後に一点お伺いしたい点は、この法案の骨子であるところの自動車運送協議会、この協議会のやり方であります。これは一つの諮問機関でありますが、この諮問の方法はどのようにやるかということなんです。今までの道路運送委員は、いろいろ競願があつた場合には公聴会を開いて、公聴会で相対決した業者の両方の意見を聞いて、その意見を道路運送委員会が判断して、陸運局長に甲乙つけて持つて行くとか、あるいは甲乙つけずにそのまま両方の意見を持つて行くとか、と私は想像しているのでありますが、今度は陸運局長が免許の権限を持つて――権限は陸運局長にありますが、今までのようなほとんど道路運送委員が免許の決定をしたようなことではなしに、諮問機関であるのですから、悪くいえば力がなくなるわけであります。その力がなくなる運送協議会は、どういう方法で免許のことについて諮問されるのか、またその諮問の結果、答申に対してどのように重点をお置きになるのか、これが一番大事な点だと私は思うのでございますが、その点をひとつ承りたいと思います。
#38
○中村(豐)政府委員 従来の道路運送審議会は、お話のように陸運局長の諮問に応じて、個々の案件について答申をしていたのであります。また運輸審議会の委嘱に応じて、個々の案件について調査、審議して意見を上申していたのであります。ところが個々の案件に関与しますために、いろいろと問題も起していたり、また時間がかかつたり、あるいは公聴会の手続によつて非常に事務が煩瑣であるというので、免許制度撤廃の問題に関連して、そのような煩雑な手続と不明朗に陥る空気をなくするようにという強い要望がございましたので、先般の議員提案の道路運送法改正案では、道路運送審議会及び公聴会制度を廃止しろという改正案が出たことは御承知の通りであります。その趣旨を全面的に踏襲しまして今回の改正案がつくられておりますので、道路審議会公聴会制度をやめるとともに、これにかわるべきものとして自動車運送協議会を置いた形にはなつておりますけれども、この協議会は個々の案件にはまつたく関与いたしません。個々の案件の決定は陸運局長だけがやるわけでございます。そうしてみずから責任を持つて事案を審査し判断して処理する、これが責任体制の上では一番はつきりしていいのではないか、そのかわりにその結論に対する批判は直接自分自身が率直に受ける、こういうかつこうにしたわけでございます。自動車運送協議会は、そのように個々の案件には関与せずに、陸運局長の諮問に応じて基本的な方針についてだけ答申するということにいたしました。たとえば百三条に例が書いてありますように、適正な供給輸送力というものはどのくらいか、これは多少具体的になりますけれども、その他輸送の需給のバランスはどうとつたらいいかという基本的方策あるいは輸送施設の改善とか、運賃、料金の基準とか、従業員の服務、養成とか、その他輸送に関する基本的な方針についてだけ審議していただく、このようにしたわけでございます。道路運送審議会とはまつたく性格がかわつてしまつたわけでございます。
#39
○原彪委員(改) そうすると運送協議会というものは、たとえば関東地方なら関東地方の運送協議会に一応陸運局長は諮問をして、関東地方の運輸の基本的な方針だとか、運賃、料金の問題だとかいう問題をそこへ諮問するのでございますか、そうしてまた臨時の運送協議会の委員という仕事とは、どういうふうな違いがございますか。
#40
○中村(豐)政府委員 関東地方の自動車運送協議会がございますから、広い範囲の事項について基本的なことを審議するのがこの協議会の使命でございます。ところがあるいは茨城県あるいは埼玉県だけについて、地域的な特殊な研究をする必要もありますから、そのような府県ごとの地域的な方針について臨時委員を任命しよう、ブロツク別と府県別と、こういうふうにわけて考えていただけばよろしいと思うのであります。
#41
○原彪委員(改) ちよつとこまかい点ですが、もう一言だけお聞きしたいのです。前には道路運送委員の手当の問題や何かで大分問題になつて、道路運送委員の日当を上げるとか、少過ぎるとかいうような問題が起きておつたことを耳にしておるのですが、今度の場合はそういう点は費用弁償はどうなつておりますか。
#42
○中村(豐)政府委員 道路運送審議会の委員の手当が非常に少かつたために、運用上非常に困つたのでありますか、今度の自動車運送協議会の委員は、道路運送審議会の委員のように兼職禁止ではございませんので、他の職業を持つておられてけつこうなものですから、まつたく実費を支弁するというだけにしたわけであります。今別途に御審議願つておる予算面では、たしか一日の日当は三百五十円くらいであつたと思うのでありますが、まつたく名誉職でやつていただく、こういうつもりでございます。
#43
○原彪委員(改) もうけつこうです。
#44
○松井(豊)委員長代理 臼井荘二君。
#45
○臼井委員 この改正案の第六条の第一項第二号に「当該事業の開始によつて当該路線」云々という条項がありますが、これは第一号の「当該事業の開始が輸送需要に対し適切なものであること。」と第二号を設けたのは、何かそこに業種によつての差異があるのでございましようか。
#46
○中村(豐)政府委員 これは現行法とまつたく同じ見方をしてあるのでございまして、一号の方は質的審査といいますか、二号の万は量的審査といいますか、そういうふうにわけて考えていただければいいのではないかと思います。
#47
○臼井委員 次にタクシーの、トラックでも大分あると思うのですが、台数を余分に申請してあり、そして名義貸しをしておるという者があります。しれに対しては、おそらく禁止しておることと思うのですが、どの条項によつて取締るのでありまするか、その点を一つ。なおまた、現在までに実際そういう処分をした事例があるかどうですか、その点を一つ。
#48
○中村(豐)政府委員 名義貸し禁止の規定は、現行法の三十六条でございます。そしてこの条文は、今回も改正をいたしておりません。それからこの条文に基いて、名義貸しが非常に著しくて、非常に悪性な場合に免許を取消ししておる事例が相当ございます。またそこまで行かない場合にも、厳重な戒告をして、名義貸しをすみやかに整理するようにいたしております。その結果、完全に整理できたものはそのまま認めるし、なおかつできないものについては、取消しをしておる事例も相当あるのであります。
#49
○臼井委員 相当にやつておられると言いますが、具体的にどういう問題があるか、それは伺いませんが、私の聞いている範囲で、要するに法律的に非常にうまくくぐつて、一台について二万何千円とかいうものを毎月とつている。しかもこれがうまく行かなかつたときに、名義を貸してあるという理由によつて、その自動車なり物品なりをみな自分のものにしてしまつた、そういう事例があるのであります。あげろとおつしやれば、具体的に私の方に陳情書が参つておりまして、しかもこれをいくら調査してくれと言つても、調査しないということを聞いておるのです。それは何か政治的なバツクにまつて援護されておる、そういうことを聞いておるのでございますが、そういうことを調査し、処分する責任者はどなたでございますか、その点をひとつお伺いいたします。
#50
○中村(豐)政府委員 名義貸しを取締る責任者と申しますか、それはその権限に従つて、運輸大臣権限のバス、トラックであれば運輸大臣でございますし、陸運局長権限のタクシー、一ハイヤーならば陸運局長になるわけであります。そこで名義貸しを実際調査し、取締つてないではないかと仰せられますけれども、これは非常に努力をしてやつております。特にタクシー、ハイヤーについては、しばしば業務の監査をして、名義貸しを一掃することに、各陸運局長は非常に努力をしております。ただ何と申しましても、だんだんと業界も非常にうまくなつて参りまして、法をくぐつて経理帳簿を整備することが巧妙になつて参つておりますので、役人が表向き帳簿をいくらひつくり返しても、ボロが出ないようになつて来ておるそうでございます。その点は、関係官の眼光紙背に徹するだけの見識が、まだどうしても十分できていませんから、心ならずもつかまえることができないのも、事実相当あるかと思うのでありますが、できるだけそういうことについて努力をしておることは、もう事実でございます。トラックの方の名義貸しについて、これまたなかなかつかまえにくいので、むずかしいのでありますけれども、これについても輸送秩序確立運動と並行して、厳重に取締るように、陸運局以下に努力をしてもらつております。
#51
○臼井委員 前国会においてこの法案を改正しようということになつた一つの理由も、やはり善意の業者を保護するとともに、できるだけ業界の発展のためになるようにということを一つの考え方としておるのですが、今お伺いしますと、名義貸しによつて中間搾取をしておることについて、相当取締つておるけれども、なかなか目の届かないところが多い、これはごもつともだと思います。しかしその調査を陳情書等によつて相当されておるやに聞いているにかかわらず、それがそのままに放置されておる、こういう点があるやに聞いているので、その点を私は伺うのであります。具体的に申し上げますと、東京都千代田区神田美土代町二十六に羽衣自動車株式会社というのがあるそうです。これが何か支店を設けて、約十三台かにわたつて、外面は同じ会社であつても実際には違つておつて、そして一台について二万三千円かの権利金を本社の勘定としてとつている。ところがその内部において責任者が、何か過失のためか故意か、負債を起したために、それを全部本社の方へ引揚げてしまつたというような陳情が来ておるのです。これにつきまして報告が局長のお手元に行つておりまするか、どうですか、その点をお伺いするのです。
#52
○中村(豐)政府委員 具体的にまだ報告を聞いておりませんが、至急取調べて御報告いたします。後ほど具体的に名前なんかを教えていただきたいと思います。
#53
○臼井委員 今局長は、具体的にお取調べくださつて、御報告くださるということでございますので、私は後ほど詳細に局長に内容をお話申し上げることにして、ここに出すことは御遠慮いたしますが、こういうことのために、非常に善良な業者が損害を受けておる。こういうことがあるようでありますので、これは一つの事例であると思いまするが、わずかな資本によつて運転をして、そうして許可が得られないために、どこかの権利を借りてやつているというような運転手がある。もしその権利金というものが、二万何千円というものが、そちらの方に中間搾取されるということになれば、勢いその車の整備なり何なりが悪くなると思う。そういたしますと、せつかく一つの規制を置いておる目的に逆の結果を来します。資本力の少いところに許可すると、内容が悪くなるということの考えから、こういう法律ができておると思うのですが、それが逆の結果を来して、自動車の車両主が無理をして、車の改良も行わぬし、従つて交通の秩序を乱すという結果になろうと思うのです。この点をひとつよくお取締りを願いたいということを申し上げて、私はこの点については一応質問を打切つておきます。
#54
○松井(豊)委員長代理 山崎岩男君。
#55
○山崎(岩)委員 この際簡単にお尋ね申し上げたいと思います。改正案の第百二十五条の二の末項でございますが、「自動車事故による損害賠償を保障する制度の確立に努めなければならない。」とありますが、この点について何かの腹案をお持ちになつておられると思うのでありますが、お考えがございましたならばお漏らしを願いたいと思います。
#56
○中村(豐)政府委員 この法文の趣旨は、自動車が日に月にどんどん増加して参りますと、いかに運転に努力し、整備に努めましても、どうしても事故が起ることは避け得られないのであります。その場合に、その自動車の発達に伴いまして、被害を受ける人々をそのまま放置することは許されませんので、何とかその被害者を救済するために、損害賠償の責任を保障する制度をつくるべきである。それが自動車の発達した時代に即した必要な社会保障的な考え方であると思いますので、このようないわば努力訓示規定が掲げられたわけでございます。そこで自動車の事故による損害には申すまでもなく二いろございまして、人に与える損害、つまり人命に対して死傷事故を与える場合と、物に対して、運送または運送以外の物品に対して損害を与える場合とあるわけでございます。そこでその両者について賠償保障制度を立てることが必要だと思うのでございますが、ただいま研究しておる案では一挙にそこまで飛ばずに、まず最もデリケートな関係にある人命に対する損害賠償責任を保障するために、強制保険その他の保障制度をとつたらどうか、こういうふうに考えておるわけでございます。物に対する損害賠償責任については、第二段の問題として考えてみたい、かように思つております。
#57
○山崎(岩)委員 人命に対しましては強制保険の制度を考えておられる。まことにけつこうなことと思うのでございますか、
    〔松井(豊)委員長代理退席、川島(金)委員長代理着席〕
現在のところにおきましては運送約款等を設けまして、これには免責並びに損害賠償に関するところの事項を定めて、運輸大臣の認可を得ることになつておるわけなんです。これによつて免責並びに損害賠償を支払つているわけなんですが、この運送約款ということになりますと、商法の規定が優先することになります。従いまして非常に不当な損害賠償を要求せられておるという事例があるわけです。そこでそういう不当なる要求というものに対しまして、やはり一つの法的根拠を持たせることにならないかどうか。たとえばただいまは鉄道運送については、鉄道営業法というものによつて法的な根拠があるわけです。ところがただいまの自動車運送に関しましては、つまり運送約款によつて定められている運輸大臣の認可といつたようなものによつて、損害賠償をするということになつている。ですからどうしても商法の規定の方が優先するわけなんであります。この点について何か御研究をなされたことがないかどうか。またこれから御研究をなさるお考えかどうか、お尋ね申し上げたい。
#58
○中村(豐)政府委員 御説のごとく、鉄道の運送については鉄道営業法という法規でもつて規定がございますが、道路運送法では自動車に対して運送約款の認可制度をとつておるだけでございます。その点で多少弱いという感じはあるのでございますが、この際一挙に強制保険制度をとるといたしますと、むしろ自動車事業者の負担が非常にふえるのではないかということを心配しまして、まず第一段として人命に対する死傷事故の責任だけを、強制保険にしたらどうかというふうに考えたわけでございます。主として考えとしては自動車事業者あるいは自動車所有者の負担が一度に重くならないように、こういうふうに考えておるわけでございます。その保障する制度として、自家保険というふうななまぬるい考えはとうていとれないと思います。保険ということになれば、その保険を強制するのでありますから、保険料金の過重ということも考えて、そこまで一挙にこの際飛んでしまうのは、ちよつと早過ぎるのではないかと考えておるわけであります。いずれにしろそのような考えで腹案を練つておるわけでございまして、お説のような点も十分考えて成案を得たいと存じます。
#59
○山崎(岩)委員 よくわかりました。本案から多少はずれて参りますが、ちよつと局長さんの御意見を承りたいことがあるのであります。それは最近新聞紙等の報道によりますと、自動車強盗というものが非常に横行いたしまして、運転手が安心して夜間など運行することができないという状況が、ひんぴんとして報道せられておる。そこで運輸当局として何かこれに対する処置をお考えになつて、たとえばいすにランプでも取付けさせるとか、運転手と乗客との間にガラスの窓でもつくるといつたようなぐあいにして、特別の装置をすることにして、それを法文化してやらせるようにしなければ、業者は運転手の生命や何かが脅かされておるにもかかわらず、費用を伴うものでありますから、これは一挙に解決することは困難かと考えるのでありますが、そこでそういうことに対するお考えがあるかどうか。その点を承りたい。
#60
○中村(豐)政府委員 自動車強盗が横行するので、この対策については運輸省としても人事ならず心配をしておるわけであります。それで取締りはもちろん警察関係の責任でございますが、何とか設備的に危険を防止できるものということを考えておりますし、またそういうふうな危険防止の設備をすることが一番の根本解決ではないかと思いますので、二、三考え方はあるのでありますが、ただそれを参考に事業者に示すという程度のことでとどまつております。これを法規で強制するということになりますと、結局費用が非常にかかり、事業者も運転手諸君も、設備をすることが一番よい方法だとは考えながら、普及できないのは、費用が非常にかかるということをいやがつておるわけでございますので、今すぐ法によつて強制するということもちよつといかがかと思つて、警察関係とも相談をしておるわけでございます。
#61
○山崎(岩)委員 どうかひとつこの問題は、人命に関する問題でありますし、ひいては社会不安の一因にもなるわけであつて、どうしても秩序を維持するためには思い切つた処置を講じなければ、お説のように、業者は費用がかかるものでございますから、これはひより見的にお進めになつたら、あすになつたらこういうことはなくなるのではないかという、希望的な観測をするおそれがあるわけであります。なお思い切つてタクシー、ハイヤーというものを認可をする際には、そういう処置を講じさせる建前において、認可したものに対しては強制的にやらせるという緊急の処置を講じなければならぬと思うのであります。これはこの際警視庁なりあるいは国警なりと十分連絡をとられまして、これに対する緊急の処置を講じてもらいたい。こういうことをお願い申し上げたいと思います。
#62
○中村(豐)政府委員 お説の点は十分考えまして、関係の官署と打合わせて参りたいと思います。
#63
○松井(豊)委員 提出されました議案外でありますが、関連しておりますので、この際自動車局長にお伺いしておきたいと思います。
 すなわち聞くところによると、群馬県長野原から太子を経て、花敷温泉に至る路線及び太子から草津に至る路線の乗合バス営業を、草軽電鉄に免許されたというが、事実かどうか。
 次に、国営バスの使命は、山間僻地にして採算不引合い等の地域に、公共性を発揮すべきものと思うが、かようなところにこそ国営バスの運行をせしむべきものと思うがどうか。
 次に、長野原線の長野原より太子に通ずる鋼管会社の社線が、昨年十月一日国鉄に編入されたが、その折の条件として、太子駅を中心として花敷、草津両温泉に国営バス運行をすることが約束されておるが、これを知つておるかどうか。
 次に、この路線については数年来、吾妻郡民一致して国鉄バスの延長を熱望していたところであつて、これに関する請願も第十二国会において採択されたものであることは御承知であると思うし、国鉄当局においてもバス運行の意向で種々調査済みのものであるが、これを突然として草軽電鉄に免許されたということは、納得しがたいものがあるが、免許に至るまでの経過を説明されたい。
 次に、かかる地方民が一致して、国営バスを熱望している路線について、これを軽微な事項として公聴会も開かず、地方民の意見を聞くこともしないで、決定したのはいかなる理由に基くか。
 次に、草軽電鉄に免許のおりたことを知つて地方民は意外とし、民営反対の一大運動を起そうとしているが、これについて政府はいかに処置しようと考えているか。この点明確なる御説明を願いまして、はつきりさせていただきたいと思います。
#64
○中村(豐)政府委員 最近草軽電鉄に花敷付近にちよつぴりした路線を、軽微事項として免許したことはあるようでございますけれども、それが今御質問のように重要性のあるものだとは存じておりません。詳しいことは調べました上で御報告申し上げます。
#65
○松井(豊)委員 ちよつぴりした軽微な問題だというように軽く考えておるが、今日ただいま御質問申し上げたように重大な問題になつております。しかもこれは当時の吾妻郡を代表する小淵代議士から、長い間努力されまして、請願を何回も出しております。そして最後に採択もされております。従つて地元の多数の者は、必ず国鉄バスが通るものと信じておつた。また一方草軽鉄道は、沿線にある腐りかけた橋梁を直すだけの経済力もない。なぜ一回も公聴会を開かないで草軽鉄道に許可を与えられたか、もう一回明確なる御答弁を願いたい。
#66
○中村(豐)政府委員 具体的にただいま存じておりませんので、はつきりしたお答えはできませんけれども、この問題は、草軽鉄道だけがちよつぴりした線を延ばすのであつて、国鉄はそれに対して何ら路線を敷設するという申請を出していないのであります。従つて草軽鉄道だけが、たつた一つ申請があるだけであります。それは他の国鉄その他の路線には何ら関係はない線で、山の中をちよつぴり延ばすことではないかと思うのであります。従いましてどこからも異議がございませんし、問題が軽微であるという認定の上にしたのであると思います。決して何ら他意はなかつたことと存じております。なお詳しくは調査の上御報告いたします。
#67
○松井(豊)委員 わずか一部分であり、軽微の問題であるからこれを許した、国鉄方面からその申請はなかつたということですが、十二国会に請願委員会に出して採択されております。陳情書も運動者から出ておると信じております。また調査を願うことになつておりますが、ここにある六合村は、四千五百の人口を擁しておりまして、経済、産業、すべての中心となつてやつております。大体その部落が主体になつてこれをやろうと、長い間計画を立てておるのです。国鉄の方面にもそれぞれ陳情を出しておる。今内容を簡単に申し上げたのですが、許可を願えるかどうか、これを承りたい。もちろん常識をふんで陳情もいたします。またそれぞれ関係の参考資料も提出いたします。これに対する局長さんの明確なる御答弁を願いたい。
#68
○中村(豐)政府委員 どうもお話を承つておりますと、こちらで考えておるところとは別で、そのようなことはなかつたのじやないかとも思うのですか、この点はよく調査した上で御報告しますが、その場合に、国鉄をお呼びするかどうかは、事案をよく調べました上できめるべき問題でありまして、事案の内容も存じていないのに明確なお答えはできません。
#69
○松井(豊)委員 私の質問が徹底しないようでありますが、私もなお参考資料、こまかいものを集めまして、局長さんに御相談申し上げたい。十二年にすでに採択されているので、明確なる御答弁を願いたい。要は国鉄バスをぜひ許可してもらいたいというのが根本でございますから、何とぞ御了承願いたいと思う。
    〔川島(金)委員長代理退席、松井
  (豊)委員長代理着席〕
#70
○川島(金)委員 道路運送の質問も大団円になつて参りましたので、私も最後に一言関連してこの機会にお尋ねをしておきたいと思います。先般当委員会で私が民間バスと国鉄バスとの調整の問題、ことに都会地を中心とする人口の輸送調整等の問題について、私なりに感じておることを申し上げました際に、局長はそのことは現状においてはなかなか困難である、こういうような意味の答弁をされておつたのでありますが、実は昨日の朝、私の所属いたします埼玉県の新聞によりますと、一昨日運輸大臣、国有鉄道部長などが福永官房長官に呼ばれて、埼玉県下における懸案になつておる蓮田、東京間の国鉄バスについて、具体的な了解を与えた。これは東京の各紙も一齊に大きく報道をいたしておるのでありますが、この事柄について、責任者である局長は了承されておるかどうか、これをこの機会に承つておきたい。
#71
○中村(豐)政府委員 蓮田、東京間の国鉄バスの問題でございますが、についてはまだ何ら承つておりません。
#72
○川島(金)委員 それは私はなかなか重大な言葉だと思うのです。昨日の朝刊だと思いますが、読売、朝日、毎日産業経済、さらに埼玉新聞、この五紙が同じような文章で一曹に報道しておる。その内容は、今申しましたように運輸大臣、国有鉄道部長の細田君ですか、それから長崎総裁も何か呼ばれたというふうに書いてあります。それで福永官房長官が大臣室にこれらの首脳を招致して、福永君の申入れによつてただちにこの三首脳が了解を与えた、こう出ておる。これはおそらく東京新聞の埼玉版でありますけれども、東京から出て来た記事であることには間違いありません。しかも一紙だけならばいざ知らず、四紙、五紙がそれを一斎に報道している。それは単なる誤報であると言つてしまえばそれまででありますが、これは私はきわめて重大な報道ではないかと、とりようによつては思うのでありますが、今聞けば、かんじんなかなめの自動車局長は何らそれを関知していないというに至りましては、きわめて奇怪な事柄だと申さなければなりません。私は先般の質問でも申上げまして、大体私の質問の本旨とするところは局長も御了察願つていると思うのでありますが、今松井君も例をあげられたように、地方民が省営バスを非常に熱望していることは事実であります。その熱望にこたえる必要があるかないかは別といたしまして、そういう方法があるかどうかについて、先般局長の御意見を承つたのであります。ところがそれは容易でないという実は明確な言明があつた。しかもその翌日、ただいま申し上げますしたように各紙が一曹に、しかも具体的に内容まで書いておる。しかもその人の名前まであげてある。運輸大臣、長崎国鉄総裁、それに細田国有鉄道部長も招致をされて、福永君の申入れによつてこの問題はただちに了承されて、実現の運びに至ることになつた、こういうことである。当面の責任者である局長が全然関知しておらないとすれば、あなたの立場からいつても、私は真相をきわめる必要があるではないかと思う。こういうことが軽々しく政治的に扱われるということは、あなたとしても迷惑であろうし、また県民を惑わすことはなはだしいものになるわけです。何でもないことをあしたにでも実現するかのごとく、しかも福永君、そして総裁、運輸大臣、細田国有鉄道部長までも招致を受けて、承知をしたと麗々しく出ておるのです。必要とあればその記事をお見せいたしますが、中には三段抜き、普通二段抜きです。全部同じ文章ですから、あるいは共同通信か何から流れたものであるかどうかわかりませんが、そういうことが出ております。あなたのお話によれば、そういう事実に対して局長は関知しておらないということでありますが、私どもはまた別な立場で調査もし、問い合せてもみますけれども、局長は当面の責任者でありますから、細田君なり問い合せてみる必要があると思います。細田君の名前が四紙とも一齊に出ております。
#73
○中村(豐)政府委員 数日前にその陳情がありましたので、その陳情に対して研究するようにという命令は大臣から受けております。しかし昨日でございますかの会談のことは全然存じておりません。ただお話でいろいろ想像をいたしますと、運輸大臣は別でございますが、その他の出席の方を考えると、そういう申請をして努力しろという話であつたのではないかと思うのでございます。いずれにしてろかけ違いまして大臣にお目にかかつておりませんから、よくお伺いいたしたいと思います。
#74
○川島(金)委員 いずれにしても、局長の一昨昨日の言明から見れば、非常に困難な事情にあるという言明にかかわらず、しかもその翌日そういう記事が出ているのでありますから、この点は局長の立場から申しましても、事態はきわめて重大なことだと思いますので、どうぞあなたも真相を調査されまして、いずれかの機会にこの委員会に御報告を願いたい。また私は私なりの調査をいたしまして、さらにこの問題についてお尋ねするようなことがあるかもしれませんから、その点御了承願いたいと思います。
    ―――――――――――――
#75
○岡田(五)委員 政府委員に緊急質問を申し上げたいと思います。
 ただいま当衆議院の水産委員会におきまして、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律案が付議せられまして、水産委員会において慎重審議しておられるのでありますが、これは大体において防潜網あるいは防風施設等によりまして、水産及び農業関係に相当の損害を与えた場合に、これに対して特別の補償を与えるということが法律案の趣旨のようでございますが、東京湾の防潜網等に関連いたしまして、東京湾付近の海運業者が事実上相当の損害をこうむつていると私は考えるのでありますが、かような事実があるかどうか、まず政府委員にお尋ね申し上げる次第であります。
#76
○国安政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。ただいま御指摘がありました通り、昭和二十六年に米軍によりまして東京湾の入口に防潜網が設置されました。これによりましてわが海運業者がこうむる影響につきまして、概略御説明申し上げたいと思います。
 防潜網の通過口は、四十トン以上の船舶用のものと、四十トン未満の船舶用のもの及び小型漁船のためのものの三箇所でございます。四十トン以上の船舶用の通過口は、幅が約二百メートルでございまして、同時に二つの船がすれ違うことができないようになつております。従いまして開口付近におきまして、通航待ちによる時間のロスが相当あるということになつております。また四十トン未満の船舶用の通過口は、神奈川県の旗山崎付近にあるために、千葉県下の大貫、湊、竹岡、金谷、富津等におきます小型船舶による海上運送業者は、遠くこの通過口に迂回いたしまして、遠まわりをいたしている次第であります。これに基く損害額は、関係業者の陳情書によりますれば、四十トン以上の船舶の運航阻害によるもの並びに通過待ちの日本船舶、これが一日平均三十四隻でございまして、一隻平均三時間の遅延となりまして、これがための滞船料は約八十三万円、年額にいたしますとこれが三億円くらいに達しているのであります。また四十トン未満の船舶に与える影響といたしましては、千葉県下の小型船舶の迂回航行等によります損失は、対象船舶が六十九隻でございまして、航海数及び積載量の減少のために受ける運賃収入減が、年間約五千万円くらい想定いたしております。その他船体及び機関の消耗、迂回航行による燃料の損失、沖合い航行による乗組員の航海手当等約千七百万円くらい、合計いたしまして約六千七百万円くらいがその損害の額に達しているというのが、陳情書の内容になつているのであります。
 以上申し上げました中で、特に小型船舶によります海運業者につきましては、同じ土地におります小さい漁船による漁業者には、すでに防潜網によるところの漁業被害に対する見舞金が支給されているのであります。なおこれから問題になると思われます特別損失の補償に関する法律によりましても、あらためて損害補償の措置が講ぜられることになるかと思いますので、これに比べますと、小型船舶による海上運送業者は、その被害状況が漁業の場合と同様であるにかかわらず、見舞金ももらうことができない、なおまた今後の法律に基く補償も受けられないということになりますと、漁業者との間の均衡がいかがかと考えられるのでございます。こういう点につきまして運輸省といたしましても、従来から何らかの措置を必要とすると考えまして、新しく法律を立法する必要があるのではないかと考えておりましたけれども、たまたま漁業、林業、農業関係法律が立案されるということを聞きましたので、その中に一枚加わつて海運業というものもその恩典に浴したらどうかと考えまして、関係官庁ともしばしば交渉いたしているのでございますが、いろいろな関係でまだ話合いがついておらないのであります。その間一方すでにその法案は上程される運びになつているような次第で、われわれとしてもこの点いたく心配いたしている次第でございます。
#77
○岡田(五)委員 ただいま政府委員の御説明によりますと、このアメリカ合衆国軍隊の行為による海運事業の損害は、相当莫大なものに及ぶように承つたのであります。幸いにいたしまして、水産委員会におきまして慎重審議の結果、聞くところによりますと、両三日中にこの法案を討論、採決の上、可決になるかのように聞き及んでいるのであります。この際にあたりまして、当委員会からこの法案の第一条の末項の「政令で定めるその他の事業を営んでいた者がその事業の経営上損失をこうむつたときは、国がその損失を補償する。」という、その政令で定める事業の中に海運事業を含めるということに、当運輸委員から申し入れるような措置を講ぜられんことを、動議として提出いたす次第でございます。申入れといたしまして、かような申入れを当委員会からいたしたらどうかと存じますので、一応読み上げさしていただきます。
  日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償について
 日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊が防潜網を設置したために、わが国海運業は甚大なる損失をこうむり、当該事業の発展を著しく阻害している。よつて貴委員会において審議中の、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律案第一条第一項の規定を修正して、これに海運業を追加と、海運業をして損失補償を受けることができる対象業種となし得るよう措置あらんことを要望する。かような申入れをしたらどうか、かような動議を提出いたす次第でございます。
#78
○松井(豊)委員長代理 お諮りいたします。岡田君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○松井(豊)委員長代理 御異議ありませんければ、動議のごとく決しました。
    ―――――――――――――
#80
○松井(豊)委員長代理 次に日本航空株式会社法案を議題として、これより質疑に入ります。通告があります。楯兼次郎君。
#81
○楯委員 質問をいたします。この日本航空株式会社でありますが、政府が十億出資をする、なおいろいろな助成策を講じて、今後育成をして行くということに相なつているわけでありますが、こういうような会社は、現在公社、つまりコーポレーシヨンとして政府が監督をしてやつておりますような機構にして今後運営をして行つた方が、より実情に合つたものができるのではないかというふうに考えておりますが、政府といたしましてはさような考え方を今までにされたかどうか、お伺いしたい。
#82
○粟沢政府委員 ただいま御質問のございましたような点についても、いろいろ研究してみたのでございます。大体私ども担当者の考え方といたしましては、なるべくこういう国際競争場裡に出るような運送事業といつたようなものは、民間の創意くふうと申しますか、そういう点を大いに活用いたしまして、できるだけ政府の干渉あるいは監督といつたようなものは、少くして行く方がよろしいのではないかというふうな結論を得ました。一方また創業当初に御承知のように莫大な資金がいりますので、この資金だけを何とか政府の方でめんどうを見てやれば、あとは民間企業としての創意くふうで事業経営をし、あるいは国際場裡の競争に出て行けるのではないかというような考え方のもとに、この法案のような形を整えて提出いたした次第でございます。
#83
○楯委員 政府の提案されました要綱を見ますと、私はやはりわからないのであります。融資をする、あるいは助成策を講ずる、従つてそれらに対する監督権といいますか、発言権といいますか、第五、第六にそのような項目が書いてあるわけでありますが、このくらいのことでうまく円滑に国家が運営をして行けるかどうかという点に対しまして、非常に危惧を持つものでありますが、いろいろ諸外国の例もあると思いますけれども、政府が出資をした場合に、このような監督機関といいますか、あるいは権限といいますか、この程度のものでうまく運営して行けるかどうか、この点もう一回提案者の御意見を承りたいと思います。
#84
○粟沢政府委員 私どもの考えといたしましては、ただいま申し上げましたように、できるだけ政府の、干渉といいますと言葉が悪いのですが、おせつかいをやめて、民間の創意くふうを十分発揮してもらいたいということを考えたわけであります。監督規定が少し不十分ではないかというふうなお話でございますけれども、私ども提案者の立場としては、この程度で十分やつて行けるだろうというような気持がいたします。結局最後は実際その衝に当る人間の問題、あるいは事業のやり方の問題といつたことに帰着するのではないかと思いますけれども、ただいまの私どもの考え方としては、そういう適当な人材を得、あるいは事業遂行の適正を期し得るならば、この程度の監督規定で会社はやつて行けるのではないかというふうに考えます。
#85
○楯委員 お説の通りだと思います。幾ら規約をつくりましても、その人を得なければうまく運営できないのは当然でありまして、そういう点に対しまして御留意をいただいていることはけつこうだと思います。
 次にお尋ねをいたしたいのは、この法律案が通過いたしますと、設立委員が任命をされまして、その人たちがこの会社をつくつて行くということをうたつてあるわけでありますが、現在これらの準備行為といいますか、そういうものは全然行われておらないわけでありますかどうか、お伺いしたいと思います。
#86
○粟沢政府委員 今のところまだ具体的にどういう人を人選しようというところまでは入つておりません。ただ御承知のように、たとえば政府出資十億というような関係で、国家の財務当局としても十分の関心を持つわけであります。そういう点で運輸省、大蔵省あたりの官庁もこの中に入るのではないかというふうな程度の気持は持つております。まだ具体的にどなたとどなたということは考えておりません。
#87
○楯委員 一体この法案が成立いたしますと、民間の会社が統合になるか、あるいはどういう形でやつて行くかわかりませんが、大体いかような会社がこの法案の中に包含されて来るのかという点を伺いたいと思います。私、日本に幾つ航空会社があるか知りませんので……。
#88
○粟沢政府委員 ただいまのところ、現在あります日本航空株式会社だけがこれに加入し得る、こういうふうに考えております。と申しますのは、この法律の附則にその規定をこしらえてございます。附則の第五項に免許会社と書いてございますが、これは現在の日航でございます。「日本航空株式会社は、会社の設立委員の任命後二箇月以内に商法第三百四十三条に規定する株主総会の決議を得て、会社に対してその営業の全部を出資することができる。」従いまして株主総会でそういう決議をすれば、日航はこの会社に営業の全部を出資して参加する、こういう規定にいたしているわけであります。
#89
○楯委員 そういたしますと、現在は準備委員というものも考えておらない、本法案が通過したならば、早急に設立委員を任命してやつて行きたい、しかもこの法案の対象になる会社といたしましては、ただいま政府委員が言われましたように、現在の日本航空株式会社を吸収して行こう、他の会社はこれを考えておらない、このように解釈をいたしてさしつかえないでしようか。
#90
○粟沢政府委員 その通りでございます。
#91
○楯委員 そういたしますと、法案が通過をした、いよいよ現在の日本航空株式会社をこの法案に適用するように吸収をして行くということになりますと、財産とか資産というような点については、提案理由のあとの方にうたつてあるわけですが、人間の関係につきましては、これらの会社に関係をしておる人たちを、新しくできる日本航空株式会社としていかように採用して行くといいますか、任命をして行くといいますか、そういう構想は全然お持ちではない、お考えではないというふうに解釈をしておいてよろしいでしようか。
#92
○粟沢政府委員 私どもとしましては、実際上は大体現在の日本航空会社の営業というものは、物的施設、飛行機、格納庫その他と同時に、実際にお働きになつておる人も同じでありますが、大部分の人がやはりその事業と一緒にお入りになるのじやないかと思います。ただ具体的に、個々の人あるいは個々の重役さん方が、はたしてお入りになるかどうかという点につきましては、まだ何ともお答えしかねると思います。設立資本などもそういう点についてやはり考慮していただけるのではないか、こういうふうに考えております。
#93
○楯委員 大体対象が現在の日本航空株式会社になつておるわけであります。私これは確たる証拠があつて言うわけではないのでありますが、いろいろうわさに聞きますると、現在の日本航空株式会社の数年来の――現在もそうでありますが、いろいろなうわさがあるのであります。これは本法案の対象とされておる会社でございまするので、相当この会社に対しましては、政府の方でも御研究になつておるというふうに私は解釈をいたしておりまするが、現在の日本航空株式会社の設立から今日までの経過のあらましを、ひとつ簡単に御説明を願いたいと思います。
#94
○粟沢政府委員 的確な資料をただいま持つておりませんので、日時その他についてはつきり申し上げられませんが、大体現在の日航が設立されましたのは、御承知のようにまだ占領期間中でございます。それでその当時に特に外国の航空機あるいは操縦士を使いまして、日本の会社で要するに乗客を集めて切符を売つて、外国の航空機にお客さんを乗せてこれを運送するという事業だけ許されました。その当時その飛行機を提供する会社等につきましていろいろ問題がございましたが、最後には外国の会社一社と日本のこの会社が契約を結びましてやらしてもよろしいということになつた結果、日本航空株式会社が許可されたわけで、あります。そのために競願者も相当ございまして、いろいろと競争があり、あるいは事情があつたように聞いておりますが、私当時まだ航空局におりませんものでありましたから、的確にその間の数社の競願のありましたための事情等は存じておりませんけれども、日航としましては結局アメリカのノースウエストという会社の飛行機を日本の会社としては一社で入れて、それがチャーターをして航空運送事業を営むという結果になつて、現在まで来ておるのでございます。ただいまお話のありましたように、日航に相当の非難と申しますか、いろいろのお話があるということを私ども聞いております。これにはいろいろの事情があると思いますが、その競願のありました際に、結果としてはいろいろの競願者の寄せ集めと申しますか、力を集めたための事情もございました。その後現在まで御承知のように日航は営業をやつておるわけであります。収支状況といたしましては、大体今までに一億程度の赤字を出しております。しかし現在の事業状況は相当好転しておりまして、普通の航空会社の営業としては十分な成績を上げておるように考えます。
#95
○楯委員 今ちよつとお話を聞きますと、局長は目下見えぬそうでありますので、私長い質問をここでやめたいと思いますが、ひとつこれだけ調査をしていただきたいと思います。それは私がうわさに聞きますと、大体政府出資として半民半官といいますか、こういう会社として現在の日本航空株式会社ができ上つて、二千五百万円くらいが投資されておる。ところが昭和二十三年から二十四年の間に国際不動産株式会社というものに、東京、大阪、横浜等の格納庫であるとか、事務所等を、七百万円で譲渡をしておる。しかもこの不動産会社はそれを駐留軍の空軍基地として貸して、三千万円程度の収入を得ておるというようなうわさを聞いております。しかもこの会社は米国から飛行機の中古品を買つておつたのでありますが、中にはエンジンの損傷等があつて、買つてもこれを使用することができないので、日本の三菱工場等において今日まで十五台くらいの修繕をいたしておるということを聞いております。さらに二十億円くらいの金で中古品を購入するというようなうわさも飛んでおるということを聞いておるわけでありますが、私が申し上げましたこの簡単な経緯からいいましても、このような会社では政府が出資をして助長をして行く、いわゆる日本の国際航空路として負担をするという会社としては、今までの過去というものに対しまして非常に危惧を持たざるを得ないというふうに私は考えるわけであります。さらに昨年の九月の衆議院選挙において、この日航の会社が某々政党に相当な政治献金を行つておるというようなうわさも聞いております。これらの点を十分調査をされて、ひとつ資料を提供をしていただきたいと思います。私たちは政府出資をする建前上、どうしてもそういう過去のある会社という点について監督をし、検討をしなければ、無条件にこの法案を通すわけには行かない。かように考えておりますので、ただいま私が申し上げました点、第一は現在の日本航空株式会社の設立から今日までの経緯、それから国際不動産株式会社との関係、昨年の九月の総選挙において政党に対する政治献金はあつたか、あつたならば何党に対してどれだけ献金をしたかという点を――これは私の方で調べてもわかります。わかりますが、当然担当者としてひとつこれを御調査願つて、資料を御提出願いたいと思います。
#96
○松井(豊)委員長代理 川島金次君。
#97
○川島(金)委員 私から若干お尋ねをしておきたいと思います。今同僚楯委員からも、最後に日航に対する割切れない世評が流れておるということをたいへん心配しておるようであります。そういうことであればあるほど、われわれとしてもこの法案に対しましては十分慎重に審議をいたさなければならぬと思いますので、この機会に若干お尋ねをするのであります。
 まず最初に伺いますことは、この航空株式会社法案において日航だけを選定をいたしたという根拠は、一体どこに置いておられたのか、その点について簡単でよろしいですから、明らかにしていただきたいと思います。
#98
○粟沢政府委員 要するに私どもとしましては、国際線に乗り出したいという考え方において選定いたしたわけであります。それで経緯を申し上げますと、大体三社ほどございまして、これがお互いに話合いをいたしまして、大体日航の増資の際に全力をみんなで結集して国際線に出ようということになりまして、現在の増資十億の日航に全部参加しております。結局日本としましては、国際線に出たいという希望のある事業者が、要するに日航に結集されておるというふうに考えまして、これを政府が十億出資をして新会社をつくるときに、一緒に考えて株主総会で決議するならば、これに出資をして参加さしてもいい、こういうふうに考えた次第であります。
#99
○川島(金)委員 今の御説明によりますと、当時三社ほどが競合された形で出されておつたというのですが、日航以外の三社と申しますと、どの会社でございましたか、おさしつかえなければこの際説明していただきたい。
#100
○粟沢政府委員 両方とも海運会社でございまして、一社は大阪商船、一社は飯野海運でございました。
#101
○川島(金)委員 次いでこの機会にお伺いしておきますが、政府としましては、いわゆる半官半民の形の航空株式会社を設立するわけでありますが、私の記憶によれば、イギリス、ドイツなどは確かに国有で国際航路をやつておるのではないかと記憶いたしておるのでありますが、欧米において現に国際航空というものを国有でやつておるところは、大体あらましどのくらいありますか、おもなるところでけつこうでありますが、その点をお聞かせ願いたいと思います。
#102
○粟沢政府委員 国有と申します意味が、おそらく出資の金額の。パーセンテージの問題と存じますが、御承知のイギリスのBOAC、オランダのKLM、あるいはフランスのエール・フランスというようなものは大体政府一〇〇%の資本金額でございます。それからスエーデン、デンマーク、ノールウエーで結成しておりますSAS会社、これは資本の五〇%が政府の持分になつております。それから大体アメリカの会社といたしましては、政府出資の会社はほとんどございません。なおただいま一〇〇%、五〇%の例を申し上げましたが、そのほかには非常にパーセンテージがまちまちでございますが、大体五〇%前後、あるいはそれより少い出資を受けておる会社が相当ございます。
#103
○川島(金)委員 そういういろいろな各国の事例なども、十分に調査の上この立案をされたものと思いますが、そこでそれならば日本の国際航空を半官半民、しかも出資も対等で、フアイブ、フアイブにやつたという、この運営の仕方がいいと考えられたのはどういう理由であるか、そういうところについての研究がありましたならば、その点をひとつわれわれに示しておいていただきたい。
#104
○粟沢政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもとしましては、できるだけ政府の監督、あるいは干渉といつたようなものがない方が、民間企業としては十分に手を伸ばせるのではないかという気持がずつとございました。たまたま今度できますのは、政府出資が十億、民間も現在十億が評価委員の評価でどの程度になるかわかりませんが、おそらく十億近くなると思います。約半々で発足するわけであります。なお私どもといたしましては、将来長い間政府が半額出資をして、民間も半額出資という形態をとる意思はございません。できるだけ早い機会に政府出資の方を減らして、民間資本が集まるものでしたら、民間出資の割合を多くしたいというのが私どもの念願であります。従いまして五〇%ずつといつたような比率に対する検討、あるいは将来この比率をどういうふうにするかといつたような、少くとも現在の五〇%の比率で将来も持つて行こうというような気持はございません。
#105
○川島(金)委員 そうするとこの法案の立案と、しかも成立後における対象会社を日航だけに置くということは、現に日航の持つております技術、財産を主体として、日本航空路の発達助成のためにやるのであつて、もし日航自身が政府の出資金にあらざる方面から資金が注入されるという形になつておるとすれば、政府はこれに対してあえて出資をするという筋合いのものでもない。単にこのまま日航だけに投資しておいたのでは、資金的にもどうにもならない。従つて政府が資金的にこれにてこを入れる。これはこういう程度の立案でありますか。それとも他に何か大きな意味があるのでありましようか。
#106
○粟沢政府委員 先ほど申し上げましたように、政府が半額を持つて、これによつていわゆる半官半民の会社だという看板を掲げて行きたいというような気持はございません。
#107
○川島(金)委員 そういう心構えだとすると、ちよつと矛盾があるのではないかと思うのです。日航自体の発行いたしましたパンフレツトによりますと、日航は最近において開発銀行、あるいはワールド・バンク等にまで手を伸ばしまして、相当厖大な資金計画をされて、それが非常に見込みがあり、近く具体化するのだというようなことか麗々しく記載されている。そのパンフレットは今ここには持つておりませんが、ごく最近拝見をいたしたのであります。日航自身がうたつておりますところの雄大な資金構想によりますと、あえて今日政府の十億程度の出資を必要としないのではないかとさえ受取れるような計画が説明されているのですが、この点はどういうふうになつておりますか。
#108
○粟沢政府委員 日航のパンフレットはどういうものですか、私見ていないのですが、要するにこういうことではないかと思います。日航としましては、現在政府がこういうことを考えているということは、十分承知しているわけであります。また国際線に一日も早く乗り出したいという気持は日航も持つておりますし、私どもも持つております。従いましてある程度のスケジユールを考えまして、それまでにできるだけ準備を進めて仕事を始めたい、こういう気持がございました。従いまして普通ならばこの法案が通りまして、こういう会社ができるのだということがきまりましてから、日航としては要するに営業出資の決議をしさえすればよろしい。しかしそれでは時期を失する点もありますし、また非常に延びて参りますので、日航としてもできるだけ国際線進出の準備を進めておきたい、こういう気持があると思います。私どももあるいはこの法律公布前に、よくないかもしれないけれども、日本として国際線に乗り出したいという気持を持つておりますので、特に特別な機関を設ける、あるいは準備会社をつくるということなしに、現在の日航の準備が進め得るものならば、できるだけ進めさせたいという気持がございます。従いまして日航としては、こういう会社になれば信用もつくし、こういう資金計画も遂行し得るだろうというふうな気持を持つて、ある程度パンフレツトに書いておるのではないかと存じます。この政府出資のてこ入れ、あるいはこの法律がなくして日航独自で数十億という金を現在集め得るかといいますならば、私どもは多分に疑問があると存ずるわけであります。
#109
○川島(金)委員 部長さんの観測はそういうところであるでしようが、私は部長さんがお気づきでなければ、あとでその資料を読み上げてもよろしいのですが、日航独自の一つの資金計画としてはかなり厖大な計画で、しかもこれがきわめて有力でかつ具体的なものである。そうしていずれも遠からず資金化されるものである。その資金に基いて、総わくはたしか私の記憶では四十五億で、この四十五億の資金計画のもとにおいて、それぞれの旅客機をこれこれ購入する手はずになる。こういつた一つの計画がきわめて具体的に書いてあつたので私は今お尋ねをしたのですが、その事柄につきまして私がいずれそのパンフレットを持つて来てお尋ねいたし、またあなたにもひとつその点御研究願いたいと思うのです。かりに日航がそういう自信力を持つておるとしますれば、今までの御説明では、あえてこの法案を出さずして、政府はこれに別途な助成、監督をすればいいのじやないか、こう思うのですが、私どものイデオロギーからいたしますならば、これは民間よりは一ぺんにコーポレーシヨンか何かでやつてみたらどうか、これくらいの考え方もないではないのでありますけれども、政府当局の説明によれば、あくまでも半官半民というのは暫定措置であつて、できれば民有民営にしたい、こういうのであります。それで私はあえてそういうお尋ねをしたわけであります。確かに日航自身はきわめて具体的な、しかも雄大な構想をもつてそれを世間に発表しておつた、これはまぎれもない事実でありますので、念のためにお尋ねいたしたわけであります。
 そこでさらにお尋ねいたしたいのですが、今日日航が持つておりますところの外形的資産、たとえば飛行機を中心として、その他の設備、敷地など、そういつたことについて、時価に評価すればいろいろ評価の仕方において違つて来ると思うのですが、その評価額は別といたしまして、大ざつぱにどんなものを日航は今日まで持つておられるのですか。その大ざつぱなことをかいつまんでお話ができれば、ひとつこの際お聞かせ願いたいと思います。
#110
○粟沢政府委員 ただいま資産表を持つて来ておりませんので的確な点わかりませんが、大体現在一番大きな資産としては航空機でございます。これはDC4が六機ございまして、これが大体十五、六億になるかと思います。従いまして全資産としてはおそらく十七、八億程度の資産があるのではないかと存じますけれども、なお詳しくは資産表を調べまして申し上げたいと思います。
#111
○川島(金)委員 かりに今御説明の通り資産にいたしまして十七、八億程度持つておる会社といたしますれば、この会社がかりにこの法案の成立後において出資の議決をなす。そのときには吸収される形になるわけでありますが、その場合に、この吸収の仕方として、現に十七、八億ある会社の資産をば、十億と仮定をいたしまして、決定というか、そういうことに評定をいたしまして吸収するのであるか。十億を越えた分に対しては別の措置をするということになるか。たとえばその越えた部分に対しては資金の方から返還をするとか、あるいはまた越えた分に対しては別な新しい株式の方に書きかえるとか、何かそういつた措置をするということになるのか、その点はどういうようになりますか。
#112
○粟沢政府委員 ただいま十七、八億円と申し上げましたが、最近六億増資しておりますので、払込みが済みますとあるいは二十億を越えるかもしれません。
 今の御質問の点でございますが、この法案の附則にございますように、評価委員を任命いたしまして、この評価委員がおのおのプラス資産あるいはマイナス資産の評価をする。それで実際ございます資産と負債とをいろいろ検討いたしまして、それが十億を越えますればその越えたものを当然営業の高として出資されるわけであります。従いまして先ほど申し上げましたように、日航の出資分が株にいたしまして十億でとどまるか、あるいはもう少しふえるか、または欠損が多いので十億を割るかというようなことは、評価委員が実際に評価いたしてみませんとわからないのであります。
#113
○川島(金)委員 いずれできまするその評価委員会の責任が、そうなつて来るときわめて重大なものだといわなければならぬと思うのでありますが、何かこの日航自体におきましては、最近の業績といたしましては比較的にやや順調になつておる。しかし相当の負債もあるというふうにわれわれは聞かされておるのでありますが、その赤字と申しますか、負債というか、そういうものは今どの程度になつておるのですか。
#114
○粟沢政府委員 大体今前期までの決算といたしましては、欠損は約一億三千万円ほどでございます。これは営業としての欠損でございます。それから借入金としましては大体先ほど申し上げました飛行機をいろいろ外国から購入しておりますので、これの金額に充てるための借入金が大体十六、七億かと思います。その程度の借入金がございます。
#115
○川島(金)委員 私はしろうとでわかりませんが、今の旅客機というものは、新しく手に入れてからどのくらい持つものですか。私のしろうとなりの聞くところによりますと、使い方にもよるでしようが、耐用期間というものはかなり少いように思います。そういう場合において日航自体としては、とにもかくにも資産としては二十億くらいある。しかしながら飛行機が主体でありますから、その旅客機が手に入れてからもうすでに長く使つておる、そういつた場合には専門的にいえば、資産というものはかなり減つておるという形にならなければならぬと思うのですが、この旅客機というものの常識的な使い方で、その耐用年数というものは一体どのくらいになるものですか、御承知でありましたならば……。
#116
○粟沢政府委員 大体今使つておりますDC4ですと、税法上の償却期間は大体七年でございます。それから今度外国線に使おうというDC6になりますと、大体八年以上ということになります。しかし実際問題としましては、七年あるいは八年たつてもその飛行機が使えないということはございません。と申しますのは、大体整備規定によりまして、何千時間飛行をしたあとは必ずオーバーホールをするという規定になつております。メージヤー・オーバーホールの場合はほとんど大改造にひとしい修繕をしております。従つてエンジンにしても機体にしても、償却期間内で使えなくなるということはほとんどございません。しからば何年くらい使えるかと申しますと、それはおのおの飛行機によると思いますけれども、おそらく十年以上、相当の期間使えるのではないか、こういうふうに考えております。
#117
○川島(金)委員 そこでさらにお尋ねいたします。この会社ができ上つたとき、まず資本金は二十億で、新たに出資される現金は政府の金の十億でありますが、現実においては新しい資金というものは十億以下ではないことだけは事実でありましよう。この二十億の会社をつくつて、さらに社債の発行などをすれば、資金のやりくりはできると思いますが、今の航空の実績に徴しまして、この二十億とさらにどのくらいの資金を新たにつけ加えることによつて、一応日本が半官半民という銘を打つての航空事業が新しく出発する体裁というか、実質といいますか、そういつたものが整えられるには、どのくらいの規模を考えられておりますか、その点はどういうことになりますか。
    〔松井(豊)委員長代理退席、委員長着席〕
#118
○粟沢政府委員 先ほどもちよつとお話がございましたが、大体現在の計画で申しますと、週二回程度ハワイ経由サンフランシスコへ往復する。及び東京から沖繩まで、これも週二回程度往復するというためには、大体DC6のB型程度の飛行機が三機ほど必要ではないかということを考えております。その飛行機の購入費、あるいは操業のための乗務員の訓練、あるいは試験飛行、あるいは格納庫の整備等の計画を全部いたしますと、大体荒く算定いたしまして約五十億を越える金額が必要になると思います。従いまして今回の政府出資の十億程度、あるいは会社が最近増資いたしました六億、それを加えましても十六億程度でありまして、とても五十億という金額はまかなえないと思います。先ほども現在日航が四十数億あるいは五十億という金を、十分自力で集めるということを言つておるというお話でございますけれども、少くとも日航の幹部は私どもほとんど毎日折衝いたしております。この国際機に充てるための資金にいたしましても、一番機ですでに相当苦労いたしております。御承知のように開発銀行にしても、あるいは市中銀行にしても、そう何億という金を自由に持つておるわけでございませんので、自力で四十億あるいは五十億という金を集めるということは、少くとも言うはずはないと私は存ずるのであります。大体現在ある金はその程度でございます。
#119
○川島(金)委員 日航の資金計画については、事実印刷物をもつて世間に公表したものがありますので、それはあらためてまたお尋ねすることにいたします。
 この会社ができましたあとの日航の運営いうことは、なかなか軽々にすべき事柄ではないと思うのであります。かりそめにも政府が十億の出資をする会社でありますので、この会社が新たに社債を発行して資金を多く集めるということになりますと、その社債に対する保証は当然政府が負わなければならぬような形になろうかと思うのですが、その点はどうなりますか。
#120
○粟沢政府委員 おつしやる通り、新しくできます会社も、相当の信用がなければ、なかなか資金繰りはむずかしいと思います。従いまして私どもといたしましては、この法案で実は新しい会社の債務に対する政府保証ということも考えたかつたのでありますが、遺憾ながら大蔵省その他の関係者の議論がまとまりませんで、原案では債務保証の点は削除いたしておるわけであります。従いまして現在の原案をもつていたしましては、政府がこれに保証するというふうな措置はとれないことになります。
#121
○川島(金)委員 そうすると実質的には純然たる半官半民の会社とは言えないようなことになつて来るのですが、その問題は私は別の機会に若干議論をしてみたいと思います。
 そこで他にも御質問の方があるようでありますから、私は最後に申し上げますが、この日航が政府の出資という大きなてこ入れによつて新たに出発いたします。その出発いたしました日航の風のあおりで、他の民間航空の事業が大きな打撃を受けるということは、実際の面においてあるのか、ないのか、その点の心配はないのでありますか。
#122
○粟沢政府委員 結論から申し上げますと、私どもは国内の航空事業については、日航が新たにこういう形で発足するということによつて、むしろ便宜といいますか、あるいは力を得るといいますか、そういう点ではプラスはあるかもしれませんが、国内の他の航空事業に対して圧迫になるというふうなことはなかろうかと存ずるのであります。また現在日航のやつております五線のうちの特に幹線程度を新会社に実施させる。現在幹線のほかになおこまかい途中の寄港も行つておりますが、こういうものは他の会社ができますと同時に逐次はずしまして、新会社は幹線だけやつて、国際線にその主力を集中するという形態に持つて行きたいと存じております。従つて今後新しくできる会社が、そのために非常に打撃を受けるといつたようなことはあるまいと見ております。
#123
○關内委員長 残余の質疑は次会に譲りまして、本日はこれにて散会いたします。
    午後四時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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