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1947/06/07 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 運輸及び交通委員会 第11号
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1947/06/07 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 運輸及び交通委員会 第11号

#1
第002回国会 運輸及び交通委員会 第11号
昭和二十三年六月七日(月曜日)
    午前十一時二分開議
 出席委員
   委員長 川野 芳滿君
   理事 前田  郁君 理事 佐伯 宗義君
      大澤嘉平治君   小笠原八十美君
     岡村利右衞門君    尾崎 末吉君
      増田甲子七君    井谷 正吉君
      佐々木更三君    重井 鹿治君
      島上善五郎君    館  俊三君
      志賀健次郎君    原   彪君
      飯田 義茂君    堀江 實藏君
 出席國務大臣
        運 輸 大 臣 岡田 勢一君
 出席政府委員
        運輸政務次官  木下  榮君
        運輸事務官   加賀山之雄君
 委員外の出席者
        專門調査員   岩村  勝君
        專門調査員   堤  正威君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 國有鉄道運賃法案(内閣提出)(第七七号)
    ―――――――――――――
#2
○川野委員長 会議を開きます。
 これより國有鉄道運賃法案を議題として質疑に入ります。質疑はこれを許します。前田郁君。
#3
○前田(郁)委員 私は今回提案されまして國有鉄道運賃法案に対しまして質問をいたしたいと存じます。
 國有鉄道は現在日本で最も大きな全國的組織をもつ政府の事業でありまして、その運営状態は、政治、経済、社会、その他國家活動の全般に影響を及ぼしまして、國民の個々の日常生活に直接のつながりをもつておるのでありまして、國民批判の対象となつております。その復興いかんということは、全國民が非常に注目をいたしておるところであります。今回の鉄道運賃の値上げは、わが國鉄道創設以來の大幅の値上げでありまして、國民大衆が非常な悲痛を思いをしてこの成行きを見ておるということは、何人も認めるところであります。また今回これを國会がいかに取扱うであろうか、また運輸交通委員会が國民のためにいかなる解決をするであろうかということは、非常に私どもの胸を打つところでありまして、私どもはこの問題に対しまして徹底的に政府の所信を質して、そして善処しなければならぬ問題であると考えておるような次第であります。
 御承知の通り國鉄は昭和十九年に至るまで、運輸收入をもつて事業の経営を賄つていたのでありますが、昭和二十年以來初めて赤字を見るに至つたのであります。昭和二十一年三月に旅客十五割、貨物二十割、昭和二十二年三月には旅客二割五分、貨物十割、去年七月には旅客、貨物ともに二十五割の運賃値上げを行つたのであります。今回また旅客、貨物ともに二十五割の値上をなして、赤字補填の財源に充てようとしておるのであります。そこで私はこの國有鉄道運賃法案の第一條のいわゆる原則でございますが、原則が四つあげてあります。そのうちの第一に「公正妥当なるものであること」というのが掲げてありますが、この点につきましてまず政府にお尋ねをいたしたいのであります。アメリカの州際商業條例には、鉄道の運賃料金はすべて妥当かつ公正なものでなければならぬと規定せられております。今回提案されましたるところの國有鉄道運賃法案の第一條にも、公正妥当なものではなけれならぬ、こういうことを掲げておるのであります。しからば妥当なる運賃というものは、どういうものであるかといいますならば、これを平たく言うならば、経営者側においても経費を償い得るものであり、また利用者側にとりましても、大きく苦痛もなく支拂い得るものでなければならぬということが、私はその根本であると思うのであります。そこで今回この二十五割の引上げというものが、はたして公正妥当であると政府は認めてこういう提案をされたのでありますか。まずその点についてお伺いをいたしたいと存じます。
#4
○岡田國務大臣 前田委員の御質問にお答え申し上げます。まず本法案の第一條の公正妥当であるか否やという点でございますが、政府といたしましては、今回の値上げに際しましては、御指摘の通りに、現在の日本の経済情勢の実際から見ました物價の引上げ並びに賃金の改訂の必要から起つてまいりまする、鉄道経営の赤字を是正するといふ関連を兼ね合わせまして――鉄道の独立採算制の確保ということは、今日の過渡期におきましてはこれを完全に行うということは経済情勢が許しませんので、独立採算、経済採算にまで引上げることは妥当でない。しかしながら、物價並びに賃金が上げられるにつれまして、やや経営採算の水準に近寄らしめて運賃の改訂を行う、こういう構想で研究を続けたわけでございまして、いわゆる独立採算制も全然無視しない。一番大きな問題は、世間ややもすれば鉄道運賃を上げるがために、物價並びに賃金の引上げが行われるのではないかという御観測が多いようでございますが、それは間違つておるのでありまして、ただいまの赤字生産を緩和いたしまして、生産増強によりましてインフレを克服せねばならぬという必要から、物價の改訂及び賃金の改訂を行わなければならぬ。鉄道運賃の今回の値上げは從的なものでございまして、それに関連附随いたしまして値上げする必要が起つてまいつたのであります。そういうあらゆる角度から檢討を加えまして、今回御審議を願つております倍数なるものは大体これで妥当であり公正なものである、そういう考え方で御提案を申し上げておる次第でございます。ただ物價改訂の必要上からの理論並びにまたその詳細にわたることにつきましては、私からの答弁を申し上げるよりは、経済安定本部総務長官あるいは物價廳の方から御説明を申し上げた方がより的確だと思われますので、詳細な点にわたる場合は、その方からの説明を願うことになるかも存じません。
#5
○前田(郁)委員 次に私は「産業の発達に資すること」という原則がここに記載してありますが、この点についてお尋ねいたしたいと思うのであります。今回のこの高率値上げによりまして、まず第一に苦痛を感ずる者は、生活のために働かなければならぬ大衆であると思うのであります。いわゆる生活給的の俸給を得ている大都市を中心としておるところの多くの人々であります。こういう人たちが非常に影響を受けるわけであります。次には中距離以遠の人々で、あるいは産業開発であるとか、各種問題のために旅行をしようという人には、ほとんど旅行禁止的の値上げになりはしないかと思うのでありまして、わが國は敗戰後産業は萎靡いたしまして、どうしてもこの交通機関というものが発達しなければ、とうてい産業の発達を期することはできないのであります。そこで私どもは、かようなほとんど旅行禁止的な値上げをやつて、はたして日本の産業の発達に資することができるかどうか、この点を政府においてはどう考えておられるか。しかもこの國有鉄道法の第一條の第三項に麗々しく「産業の発達に資すること」ということを掲げておられるのでありまして、この点はばどういうふうに政府は考えておられますか。その点をまずお伺いいたしたいと思うのであります。
#6
○岡田國務大臣 貨物運賃の面におきまして、先ほど前田委員からの御発言の中にありましたことく、今日までは終戰以來の値上げの都度物價に影響することをおそれまして、非常に必要以上と思われるほど抑制をしてまいりまして、安いのでございます。それで貨物運賃に影響いたしまする点は、御指摘のような禁止的ではもちろんないのであると私は考えております。旅客運賃の点については、これは一應詳細に数字を檢討せずに、ただ國民に與えます概念的と申しますか、観念的と申しますか、それにおきましてはなるほど大幅の値上げでありまして、あるのは見ようによりましては、禁止的という言葉で感ぜられることになるかもわからんと思うのでございますが、今日の國民それぞれの方々の賃金並びに所得、それから生計に対する額と申しましようか、生活費用の増大いたしました面、殊に物價が非常に大きく値上りをいたしまして、貨幣價値が下落いたしました現状から考えますならば、必ずしも禁止的であるということは申されないと思うのでございます。ただかなりの遠距離に住居をもつておりまして、大都市に通勤する人たちに対しては、毎日の通勤旅費に対する値上げはお氣の毒だと思うのでございますが、この点は一般通勤者の皆さんに対しては、世界でも例を見ない相当大幅の割引が実施されておりますので、この点につきましては、観念的に申しますならば、非常に大幅ということになり、あるいは苛酷だというような批判を受けるかとも思うのでありますけれども、それは実質によく檢討を加えていただきましたならば、必ずしも禁止的ではないということが言えると思つております。
#7
○前田(郁)委員 次に私は第一條の第四の「賃金及び物價の安定に寄與すること」というこの点についてお伺いいたしたいと思うのであります。ただいま運輸大臣から、貨物運賃の物價に占める割合は、個々についてはきわめて僅少だというお話がありまして、ごもつともでありますが、その計算に要するところの観念自体から來る價格のうちに占める運賃の全部を合算いたしますと、製品の價格も相当引上げられることとなるのであります。運賃値上げによりましてやみ價格というものは、ますます騰貴いたしまして、現に私どもの関係いたします事業方面におきましても、來る十五日から運賃値上げになるから、すべての價格は上る。早く買わなければ上つてくるというようなことも、はがきであるとか、手紙であるとか、そういうもので、宣傳してきているものも相当ございます。それから一方また心理的作用も加わりまして、インフレの高進というものに拍車をかけて、非常に國民生活を脅威しているということは、事実ではないかと私は考えているのであります。賃金及び物價の安定というものに対しましては、相当な脅威を與えていることは火を見るよりも明らかであると思うのであります。この点に対しまして、政府は特に賃金、物價安定に寄與するということを掲げておいでになるのでありますが、どういう点が今回これに寄與する点になつておりますか、その点も少し承つておきたいと考えている次第であります。
#8
○岡田國務大臣 お答え申し上げます。第一の値上げ前に相当市場に影響を與えますこと、並びにこの値上げによりまして一般國民に、心理的な影響を與えることが大であるということは、御説の通りであるのでございます。それで物價の改訂あるいは鉄道運賃の引上げ等をやります場合には、それらの影響を省きますために、相なるべくは祕密裡に行われたらよろしいのではないかというような説も、一應ありまして、この前に財政法第三條の特例から省くという意見も多少出たのでございますが、しかし現状のごとく財政法第三條の特例に関する法律は決定をされまして、國会の審議を仰ぐこととなりました。従いましてその実施の一箇月あるいは二箇月、もう少し長いかもしれませんが、それ以前から運賃引上げ問題、あるいは、物價改訂問題が世間に知れ渡ることになりまして、そのための影響が相当に起つておりますことは御説の通りであると存じます。これは大体業者を初め國民一般の心理状態から考えまして、その影響は避けられないのではなかろうか。昔からタバコの値上げなどが漏れました時分には、すぐにタバコ屋の店頭からタバコが消えてしまうというようなこともございます。また酒にいたしましても、その他のものにいたしましても、値上げされるといううわさが立ちましたならば、すぐにそれに影響が來るということになつております。これは何としても人間の心理から参ります一つの感覚の働きだと思うのでありまして、この際といたしましても、特にその影響を避けるということは、困難であろうと存じまする次第であります。
 なお第二の御質問のように、これが金融及び物價に與える影響も私は認める次第でございますが、この点につきましても、ただいまの現状から考えまして、また國会の御審議を得てから実施せなければならぬという法制上の理由から考えましても、何ともやむを得ないのではないかと考えております。
#9
○前田(郁)委員 政府は今回運賃値上げの第一の理由といたしまして、わが國最大の企業たる鉄道の再建のためには、独立採算制をとらなければならぬ。経営の合理化によつてできるだけ圧縮せられた事業経営をみずからの運輸收入によつて賄い、併せて生産増強のために運輸能力の維持増進をはからねばならぬ。このためにはどうしても値上げが必要であるというようなことが、私どもの手もとにまいりました参考書類の中にも書いてあるようでありますが、私どもは経営の合理化ということに対しましては、第一國会以來、政府当局にずいぶん熱心に各委員からもお願いを申し上げていたところであつたのであります。ところが経営の合理化ということを、はたしてどの程度まで政府が熱意をもつてやつていられたかということは、すこぶる疑問になつておるのではないかと思うのであります。予算面に現われました経費というものが適正なものであるか。損益勘定、收支予算についても、詳細にこれを研究する必要があると私どもは考えておるのであります。殊に行政整理の問題であります。また人員の整理の問題であります。これをはたして誠意をもつてやつておられたか。なるほど終戰後二回にわたつて九万一千人の集團整理をなしたということがたびたび言われておるのであります。私どもはいろいろなものから拜見いたしますると、戰前わずかに二十四万人であれだけの鉄道の経営をやつていたものが、今日六十一万になつておる。これはどうしても私どもは納得のいかぬ問題でありまして、しかも今回私どもの手もとに配布されました五箇年復興計画をよく拜見してみますると、昭和二十七年度には五十七万六千人で足りるということが書いてあるようでございます。しかもこの五箇年計画の内容というものは、相当積極的な厖大なものであるのでありまするが、この厖大な計画をおやりになつて、かえつて六十一万人より減るということが書いてあるのでありまして、私どもはこの人員の整理ということに対しましては、どうしても政府の皆さんがまだ本腰でやつているということは考えられぬのであります、また私ども國会は席を有するところの――私どもだけではございません。日本の全國民が、値上げのたびごとに運輸省には人間が多いというようなことを言つておるのでありまして、この点をもう少し私どもは政府の腰藏のないところをば発表していただきたいと思うのであります。
#10
○岡田國務大臣 お答えいたします。運輸省の現業面における人員は多過ぎる、これを整理せなむればならぬ、並びに行政整理も積極的にやらなければならぬという声は、前の國会中からありましたところで、前田さんのおつしやる通りであります。その後運輸省といたしましては、鋭意これが目的達成に努力を続けてまいりました次第でございます。ただここに運轉キロ数が相当減つておるのではないかという御指摘もあろうと思うのでございますが、輸送量の問題は、人員におきましては戰前の三倍余りの人員を輸送せなければならぬことに相なつております。そのために相当運輸省の現業面における人員が必要でございます。それからまた戰時中に衰耗いたしましたり、また破壞されましたりしましたいろいろな設備機械等の復旧が、十分に行われておりませんので、それらの欠陷を人力をもつて補わなければならぬという実情にもございます。もう一つの問題は、今回の生産増強政策といたしまして、昨年度から比較いたしますと、約二割の増送を今年度において実現せなければならぬことに相なつております。それらに要する人員の増加を必要とする理由が、できてまいつておるわけでございます。また一方におきましては、労働基準法の実施によりまして、年少者の増員を必要とする点も相当にできてまいつております。かたがたいたしまして、人員を低減さす方向に努力を続けておりますことはもちろんでございます。ただいまといたしましても、その方策は完全に完成したということは申し上げられないのでございますが、まずただいままでの経過といたしまして、予算編成にあたりまして、先般提案理由の説明のときに申し上げましたごとく、約六万人の必要人員を予算編成前に節減をいたしました次第であります。それから行政整理面におきましては、ただいまのところ行政監督部面の方におきまして、すでに御承知のごとく一割五分の経費を節減することにいたしたわけであります。なお特別会計の方の経費は、これまた予算編成に際しまして約五十五億ないし六十億円の経費節減をいたしましたわけで、これは皆樣の前に十分に明らかにはなつておらないかと思うのでございますが、運輸当局並びに政府といたしましては、この予算編成までに非常な努力を拂いましたわけで、現段階として可能な範囲の節減をいたした次第でございます。なお五箇年計画の成案といたしまして、五箇年計画実施後における人員の低減は理由がわからぬというお尋ねだと思われますが、これは今破壞されております設備を回復いたしましたり、また機械化を実行いたしましたり、電化を拡張いたしましたり、いろいろの合理化が逐次行われてまいりますことによりまして、鉄道企業の能率増進の問題が徐々に実現をしてまいりますので、その際においてかくのごとく低減できるということを算定いたした次第でございます。
#11
○前田(郁)委員 次にお伺いいたしたいことは、收入面において運賃の値上げ以外に増收の途はないかという問題であります。その第一には輸送力を増進する余地はないかどうか。それから不正乘車の防止に努める余地はないが。次には鉄道の無賃乘車、家族パス、こういうものの制限に関するところの問題に対して、政府は考慮されていないのであるかどうか。なお現在の無賃乘車券の数と金額というものは大体どのくらいのものであるかということをちよつとお尋ねしたいのであります。
#12
○岡田國務大臣 運賃以外に増收をする途はないかという御質問に対しましては、前國会当時から言われておりますいわゆる簿外財産の賣却処分、あるいはまた、戰時中に買收いたしました施設の還元拂下げ、あるいはまた不用資材の整理等の問題も一つの対象になるのでございまして、ただいままでに鋭意その方面も研究をいたしました次第でございますが、それによりまして、鉄道がただいまもつております不用の資材、土地、家屋等に対しまして、できるだけこれを整理処分いたしまして、増收をはかることにいたしました。結果、別途予算におきまして御審議を願うことに相なると思うのでございますが、それらの收入と雜收入とを合わせまして約十億円を計上いたしております。それらによりまして、今の段階といたしましては、できるだけの努力をいたした次第でございます。ただここに簿外財算の処分という問題が前の國会にも相当強調されたのでございますが、簿外財産というものは、御承知の、終戰直後におきまして、軍のもつております資材等を鉄道が一時預かりましたものを指して言われておると思われます。それらの問題は、今日までに相当数量処分をされまして、ただいま残つておりますものにつきましては今後も処分が続けられてまいるのでございますが、これは実は鉄道の所有に籍が移つておるのではありませんので、依然として國有財産になつておりまして、ただいま預かつております品物は、全部精密に調べられ、記帳されておるのでありまして、これが処分は、委託を受けて処分をすることもございますが、全部その賣上金は國庫に納めなければならぬことに嚴格に決定されておりますので、鉄道特別会計に收入にはならぬのでございます。
 それから第二に、無賃乘車の乘車券の出ておる数が非常に多いのではないかという御質問でございます。われわれといたしましても、無賃乘車が鉄道特別会計の收入を減らかしておりますことについては認めるところでございますが、これまた愼重なる檢討を加えまして、できる面があれば、今後においても整理をいたしていきたいと考えております。ただいま発行されております数字につきましては、ただいまはつきり調べてありませんので、次の委員会が開かれますまでの間御猶予をお願いいたして数字の説明を申し上げたいと思います。
#13
○前田(郁)委員 ただいま大臣の説明のうちに、不用財産の問題がありましたが、参考書類を拜見いたしますと、そのうちに土地が約四百万平方メートル処分可能のものがあると記載してあるのであります。これはどういう種類のものであり、どういう場所であるか、ちよつと御説明を願いたいと思います。
#14
○加賀山政府委員 線路敷または停車場の用地として買入れてありましたものが、その後の事情によりまして、現在使つておらぬ、また先へいつてあるいは必要になつてくるかもわかりませんが、当座といたしましては必要でない、こういう性質のものでございます。
#15
○前田(郁)委員 次に收入面の中で、戰災施設の復旧財源といたしまして、鉄道復興くじというようなものを創設する御意思はないかということをお聽きしたいのであります。
#16
○岡田國務大臣 お答えいたします。施設の復旧につきましての一便法といたしまして、停車場などをその地方地方の希望者の人に建設をしてもらつて、鉄道が借用するというようなことにつきまして今考えておりまして、追つてこれが具体的構想を御発表できることになると存じておりますが、その他の点につきましては、ただいままだ成案がまとまつておりません。
#17
○前田(郁)委員 次に支出面についてでありますが、支出面において、國鉄というものがはたして能率的に運営されておるかどうかということを、すこぶる疑問に考えておるのであります。経営の形態でございますが、今日のこの國鉄のままではたして経営というものが行われていくものであるかどうか。またこれを民営に移すお考えはないかどうか。こういうことをお伺いいたします。
#18
○岡田國務大臣 鉄道の支出面におきまして、合理的に費用が支出されておるかどうかということにつきましては、今日まで鉄道当局といたしましては、いろいろ愼重な態度をもちまして合理的にやつてきておるつもりでございます。ただ、多数の資材買入れその他の支出がございますので、あるいはごく一部に不合理な点がなきにしもあらずと考えられるのでありまして、今後におきましても、合理的に費用が支出されて、そうして十分に節約の実があがりますように、鋭意努力いたしたいと考えております。
 経営形態をこれでよいかどうか、あるいは民営に移す問題はどうかということでございます。一つの考えといたしまして、こうした大きな企業を民営に移すという考え方も、一應は論ぜられる問題であると存ずるのでありますが、ただいまの考えといたしましては、これを全的に民営に移すということは、ただいままでの習慣、あるいは國の現状から考えまして、なかなか容易に決定されない問題でありまして、これは相当將來に向つて研究を要する題目であると考えております。ただここに、先般來申し上げております経営と行政との分離につきましては、これはなるべく近い將來に実現いたしまして、企業としての全貌をいつでも審査でき、キヤツチでき、そうして合理化、能率化に便利なような形態にいたすべきであると考えております。それは、本予算面におきましては、まず省内におきまして行政と現業とを分離いたしまして、行政面の費用は一般会計から賄うこといたした次第でございます。なお、國有鉄道審議会という調査立案機関を設置することを考えておりまして、この機関によりまして根本的問題を檢討することに相なつておりますが、行政と現業の分離問題も、具体的にここで檢討を加えまして、速やかなる機会に目的を達するような方向に努力いたしたいと考えております。
#19
○前田(郁)委員 運輸省の経営形態でありますが、経営機関というものが、なかなか復雜多岐でありまして、そのために赤字も相当出ているのではないかと思います。私どもはどうしてもいろいろな問題を簡素化していくことが必要であると思うのでありますが、その中で私どもが最近非常に注目いたしておりますものは、外郭團体の整理であります。非常に利益があるような話も聞いておりましたが。参考書類を拜見いたしますと、かえつてこれも手足まといで、むしろ赤字を出すようなふうになつているところもあるようであります。こういうものをば設理される意思はないかどうかということを、お尋ねいたしたいと思います。
#20
○岡田國務大臣 外郭團体の整理の点につきましては、運輸省といたしましても、このままで默過するという考えはもつておりませんので、これもまた先ほど申し上げました、國有鉄道審議会の議にかけ、なおまたそれ以外からも材料などを蒐集いたしまして、愼重に檢討を加えまして、整理すべきものがある場合には速やかに整理をいたし、廃止すべきものがある場合には廃止すべきである、こういうふうに考えておりまして、今後の檢討によつてそれを実現していきたいと考えております。
#21
○前田(郁)委員 赤字解消の方法といたしましてはいろいろありましようが、特にもうからぬような地方鉄道を拂下げるとか、あるいはまた戰時中に非常に無理をして買上げたところの鉄道もあるようでありますが、こういうものをこの際整理して、そして少しでも運賃値上げというものをしないでいく。今回の三倍半という値上げは、これは日本の敗戰後の應急的の処置でありまして、しばらく時をかせぐならば、そのうちにすべて問題は好轉していくのではないかと思います。何もこの際無理をして急に三半倍上げなければならぬということにも考えられぬのでありまして、こういう場合でありますから、不要鉄道あるいはもうからぬような鉄道は、どんどん民間の合理的な経営に移していく。また戰時中買上げたものをは拂い上げてしまう。なお今お話のありました外郭團体の問題でございます。この中の日通の樣なども、業務運営との連絡上九十九万株も政府の方でおもちになつているようでありますが、こういうものもこの際拂い下げて、少しでも鉄道の赤字解消に振り向けた方がいいじやないかと思います。この点に対して政府はどういうお考えをおもちになつておりましようか、その点お伺いいたしたいと思います。
#22
○岡田國務大臣 赤字解消の一つの方法としまして、買收したもうからないようなものを拂い下げる考えはないかといふお話でございます。戰時中に半強制的に買上げました施設等について、その拂下げの問題はただいまも考慮している問題でございますが、ただ拂下げの基準といたしましては、もうかるから拂い下げない、もうからぬから拂い下げるというような、單なる理由だけでは考えられないと思うのでございまして、大体それらの鉄道が敷かれております地方の民情、あるいは経済、産業、また地方税の要望というようなものなどからも檢討を加えまして、國民の利益あるいは福利というようなものからも兼ね合わせまして、それらの問題を檢討いたしたいと存じております。この問題につきましては、戰時中には、今から考えますと相当安い價格で買收いたしております関係もありまして、今日の物價が非常に高騰いたしておりまする現状との関連を、どういうふうに考えるかという問題もございます。戰時中に買收いたしました私鉄等は約三十会社に及んでおるのでありますが、そのうち大体解散をいたしまして清算をしてしまつて、拂下げを受けるの意思のないものも相当にございます。また会社の清算をしないで残つておりますものが若干ございまして、その方面からの希望も相当あるのでありますが、これもそうした國民の利益、福祉というような観点からも考慮いたしまして、今後これまたあらゆる角度から考えたいと存じております。もちろん拂下げをするとか、しないとかは、今日は必ずしもまだ決定はいたしておりません。それから日通株等の拂下げの問題でございますが、これも日通というものを先ほどの御質問のごとく外郭團体の一つといたしまして、今後檢討を加える、そうして不合理なものは是正をしていくという考え方もございますので、その方針が進んでまいりますることと兼ね合わせまして、その外郭團体の合理化の問題が成案を得ます場合に、この日通株を拂い下げるとか公開するという問題も解決いたしていきたい、そういうふうな構想で努力檢討いたしたいと存じております。
#23
○前田(郁)委員 まだほかにも質問いたしたいことがございまするが、他の委員の質問もございまするから一應私の質問はこれで打切ります。
#24
○川野委員長 重井鹿治君。
#25
○重井委員 過日行われました大臣の法案説明、並びに今日までいただいておりますところの資料、あるいはただいま前田委員の質問に対するお答えを聽いておりますと、ただ運賃の値上げを合理化するための言葉のみのように聞えるのでございます。運賃値上法案を提出します以上、あくまで國鉄再建のため、計画的な方針が提示されなければならないと思うのであります。私はそういう意味におきまして、この法案の第一條の第二項、原則につきまして一應お尋ねいたしてみたいと思うのであります。すなわち第一の原則は、公正妥当なものでなければならない、第二に原價を償うものでなければならない、第三は産業の発達に資すること、第四は、賃金及び物價の安定に寄與すること、この四つの條件がこのたび運賃値上げをするにあたりましての大きな原則となつておるものであります。先ほども話がありましたように、公正妥当ということは公正な運賃であるということ、もちろん経営者にとりましてはそれはあくまで経注を償うものでありましよう。と同時に利用者にとりましては、それがあまり苦痛なく負担し得るものであるということでなければならないということが言えるのであります。すなわち運賃決定の要は、経営者側と利用者側と両者の利益の調整をはかるということでありますが、運賃値上げの國民生活に與える影響や、いろいろの現在の情勢を考えてみまするときに、今日の情勢におきましては、利用者でありますところの國民生活の立場を最も強く考慮しなければならない、すなわち経営の場合におきまして、公正妥当なと申しますと、経営者と利用者とが五と五の割合でなければならないのでありますけれども、今日の情勢におきましては、しかもこの國鉄があらゆる部面に重大な影響を與えることを考えますときに、経営者の場合は四であり、これを利用する國民の場合は六というような比率においてのみ、初めて公正妥当なるものであるということになるのではないかと私は思うのであります。特に現下の日本の経済関係をよく考慮し、それを檢討すればするほど、運賃値上げの國民に與える心理的な影響を考慮しますときに、今回の三・五倍というものが、はたして公正妥当なるものであるかどうかということを、たいへん疑わざるを得ないのであります。そこで私はこの運賃値上げに対しまして、まず旅客運賃について御質問申し上げてみたいと思うのであります。すなわち今回の値上運賃は、利用者すなわち國民の立場において、大きな苦痛がなくして支拂い得るかどうか。たとえば旅客運賃の高率値上げによりまして、先ほどお話がありましたように、その日その日の生活のための活動をたいへん困難にするということ、また先ほど中距離以上の旅客にはそれは禁止的にならないであろうと申されましたが、私はほとんど禁止的になるのではないかということを心配するのであります。この旅客運賃の一つの例を申し上げますと、二十二年七月及び二十三年三月の総理廳の統計局調査によりますれば、生計費中に占めるところの交通費の割合は一・一%にすぎなかつたのでございます。しかも生計費の大部分はこれを飲食費に充てざるを得ない今日であるのでございます。しかもこうした交通費の増加は、非常にこの生活の重圧になるということは否めない事実であります。特に通勤定期運賃について見ますと、東京と阿佐ケ谷間におきまして三千七百円級の勤労者は、一箇月定期の場合、その交通費は一〇・七一%になることになるのであります。六箇月の場合におきましては、その交通費が現行におきましては二・八七%でありますが、値上案によりますと六・七九%となるのであります。こうしたことを考えますときに、このいろいろな面におきまして、生産コストの増加となるのであります。これでも公正妥当な運賃と言えるであろうかどうかというようなことを私ども心配するのであります。一應これに対しまする大臣の御所見を承りたいと思います。
#26
○岡田國務大臣 お答えいたします。鉄道運賃の改訂に際しましては、根本間に國鉄の再建、改革ということを考えなければならぬ、同時に四つの條件を十分に尊重しなければならぬというお話は、まつたく私も同感でございまして、今回の改訂に際しましても、そのような考え方から出発をして案を得た次第でございます。旅客運賃が一般に高い印象を與えますことは仰せの通りであると私も考えておりますが、今重井さんのお示しになりました生計費に対しまするパーセンテージは、なるほど今回の値上げによりまして一挙に相当に上つてまいるのでございますけれども、これを戰前の率と比較をいたしますると、そう大きな引上げにはならぬと思うのでございます。この点について通勤者に対する苦痛を與える心理的の影響ということにつきましては、私もこれを認める次第でございますが、しかし今日の物價並びに賃金の引上げられた倍数、実施されます倍数と、鉄道旅客運賃の上りました倍数、これを戰前の基準年次から起算をいたしましたならば、大きな変革にはなつておりませんので、眞の國家の経済並びに物價及び財政の現状から考えまして、やむを得ないものとしてこの案を策定いたしました次第であります。その数字につきましては、事務当局の方から御説明を申し上げることにいたしますが、その点については勤労者諸君におかれても、御了承を願いたいものであると考えております。
#27
○加賀山政府委員 戰前昭和十一年をとりますと、一箇月定期のところでは八・二九、三箇月で六・六八、六箇月では五・二七と相なつておるのでございまして、これは当時の官公吏の給與水準において占めておりました定期券の價格をそのまま比率にして出しましたので、今回の三千七百円ベースの出し方と同じような算式で出ております。その他工業方面では――個々の工業がございませんので、全工業平均と比較して、大体が一箇月が六・五〇、三箇月が五・二四、六箇月が四・四一ということでございまして、これを戰前の水準に比較いたしますと、非常な上りではないという結論をわれわれは見出しておるわけであります。
#28
○重井委員 戰前に比較したら大した上りではないと言われる、これは一應納得できるのでありますけれども、戰後の現在の日本の経済状況その他を勘案しますときに、ただ單に戰前の指数に比較してこうであるというようなことは、どうも納得ができないのであります。もつと積極的に、いわゆる戰前の経済情勢と現在の経済情勢とをよく勘案して、そこに熱意ある結論をつけるというようにお考え願いたいと思うのであります。
 次に貨物運賃についてお尋ねしますが、貨物運賃の物價に占める割合は、その個々について見ますと、あるいは僅少であるかもしれません。しかしながら、その物資の生産に要する関連資材の價格の中に占める運賃全部を合算いたしますと、その製品價格を少からず引上げる要素になるのであります。たとえば石炭を北海道から東京へ送る運賃の占める單價の内容を調べますと、相当のパーセンテージになつておると思います。そうして石炭が東京へ参りまして東京で鉄鋼がつくられ、その鉄鋼が大阪へ参り、大阪で農具がつくられ、さらにそのつくられた農具がまた運賃を加えて農村に行く。こういうようないろいろと関連資材を合算いたしますと、運賃の占める比率は相当大きなものにはるのであります。かようなことを考慮いたしますときに、今回の値上げなるものか、はたして産業の発達に資するというその原則にあてはまるかどうかということを、私どもはたいへん憂えるのであります。なお運賃値上げによりまして、先ほども前田委員からお話がございましたように、やみ價格がたいへんつり上つております。それはいろいろ心理的な作用もございましようけれども、この一度に三・五倍という心理作用は、國民の生活に大きな影響を與えておると思うのでございます。これを考えますときに、このことは賃金及び物價の安定に寄與するというところの原則、これにも私はあるいは相反するのではないかと思うのでございます。こうした貨物運賃に対する御所見を伺いたいと思います。
#29
○加賀山政府委員 先ほど大臣から申し上げましたように、心理的影響に至りましては、確かに政府事業でありますために、非常にわれわれといたしましては、愼重の上にも愼重を期さなければならぬという点があるのでございます。ただこれを純経済的に見ました場合に、貨物の價格とその運賃の比率というものは、確かに原資材にも運賃が含まれ、そのまた原資材にも運賃が含まれているということでございまして、結局それが積り積つてその品物の全價格になるということで、それに要しました原資材なり労賃等が積り積つて一つの價格をつくるのと一向異ならないのでございます。それをたとえば第二次製品のごときものについて、その根源までさかのぼつて、その中に含まれている運賃を算出するということも可能かと存じますが、結局この一年間に輸送される貨物をとつてきて見ました場合に、一億三千万トンなら一億三千万トンの貨物、これは國の全産出量について鉄道が扱いますところのものでございます。この貨物につきましては、それぞれの運賃がきまつておるということでございます。從いまして私どもが非常に平板的に考えてございますが、この貨物の原材料も運んでおるのでございます。結局そうなりますと、その貨物の價格と運賃とを比較してみれば、それで私どもは十分事足りるのではないかと思います。さかのぼつてこれを積み重ねるということにいたしますれば、やはりその前には労賃なり、そのまた原價格、生産價格というものがはいつておるのでございます。第一次製品の場合に含まれている運賃は、やはり貨物の占める運賃の割合となつて現われているわけでございます。それは依然として少額になつておるわけでございます。しかしながら從來そういう少額ではありながら、少しでも價格を低くしなければならないということからいたしまして、御承知のように戰爭中は生産拡充用の物資に対しましては、運賃の大幅な軽減を実施いたしておりましたが、ただいまはこの運賃割引政策は存置いたしておりません。しかしながら、そういう方策を加味いたしまして、現在十一等級の貨物にこれを級列いたしまして、貨物の負担力、あるいはこれに社会政策的方策を加味いたしまして、たとえば米のごときはもと低い等級に置くというような方式をとつてやつております。そういう点から見まして、私は結局一方に原價を償うものであることということと、産業の発達に資することというこの二つの問題には、多少そこには矛盾もあるかと思うのでありますけれども、從來はむしろ原價を償うものであることというのを無視いたしまして、産業の発達に資することといつた、あるいはさらに社会政策的見地も含めての運賃政策をとつてきたということは、申し上げ得るのではないかと考えている次第でございます。
#30
○重井委員 御提出になつておりますいろいろの資料を檢討してみまするに、まだ詳細な予算の基礎が提出になつておりませんので、はつきりとは申し上げられませんけれども、現在御提出になつておる資料だけでは、三・五倍の値上げは、はたして経費を償うために絶対必要なものであるかどうかということを疑わざるを得ないのであります。ただ、今御提出になつております損益勘定概算表によつてまずお聽きしたいのでありますが、第一に收入の面についてお聽きしたみたいと思います。現在なるほど貨車産み出し運動というものが行われておりますが、これは労働強化による合理化運動ではないかと思うのであります。こういうような姑息な手段でなくして、もつと根本的な方法によつて輸送力強化について研究しておるかどうかということをお聽きしたいのであります。
 第二点は無賃乘車証についてであります。現在戰爭中にいろいろな名目でもつて発行された無賃乗車証が、依然として発行されておるようでありますが、今日発行せられております無賃乘車証は、いかなる関係の人に発行されておるか、もしわかりますればその人員と、それを金額に換算すればどれほどになるかということをお聽きしたいのであります。
 第三点は國鉄所有の財産および雜收入についてであります。今日國鉄には土地、建物あるいは構内掲上の廣告に料金をとられておると思いますが、これはいかなる基準によるか、しこうしてその名日及び收入の総額をお知らせ願いたいのであります。
 なお外郭團体でありますところの弘済会及び交通公社に対しましていろいろな非難を聞くのであります。これら弘済会あるいは交通公社の幹部は、かつての國鉄の高級官吏の諸君がそれを占めておりまして、いろいろそれらの利益をはかり、現在國鉄に対してボス的な存在として容喙をしておるというようなことを言つておる人もあるのであります。弘済会及び交通公社と國鉄との関係について、昨日資料はいただいたのでありますが、このような附帶事業を積極的に直営としてやつて、國鉄の赤字をいくらかでも埋めるような、合理化の一翼とするようなお考えはないかと思うのであります。昨日いただきました資料を見ますと――これは問題が小さいかと思いますが、今度の値上げは國民に非常に大きな影響を與えるのでありますから、問題は小さくとも一應お知らせを願いたいのでありますが、現在の弘済会の幹部四、五名の氏名及びその経歴。それから交通公社に対しまして三百万円の補助がなされておりますが、二十三年度の補助額はどれだけ見込まれておるのか、なお交通公社の幹部の諸君の経歴及び氏名というようなもの。それから昨年創設されました全日本潜光連盟というのがございますが、これに対しましても、昨年は二百万円の助成金が交付されております。今年度はこれに対しましていくらほどの助成金が交付されるのでありますか。特にこの全日本観光連盟の中には、いわゆる戰犯追装者が相当中心人物になつておるということも聞いておるのでございます。なおこの全日本観光連盟に対しては、文部省からも厚生省からもおそらく助成金が出ておる。そうしましたならば、これに対する経営費はほとんど政府が補助しておるということになるにもかかわらず、それの運営に当つておる人は、どうもボス的な人材が多いというようなうわさがあるのであります。これに対してお聽きしたいと思います。
 それから日本食堂株式会社というのがございますが、この会社が本省へ納めておる納付金を見ますと、わずかに十一万四千四百六十三円ということになつております。各地において構内にある食堂を貸與されておるのでありますが、全國のああした食堂に対して、このわずから納付金でしかないのを見ますときに、あまりにその賃貸料というものが安いのではないかと考えるのであります。こういうことに対しまして一應伺いたいと思います。
 それから收入の面の第四点は、死退藏資材及び利用度の少い財産等の拂下げについてお尋ねしたいのであります。うわさによりますと、國鉄には死退藏物資が相当あるということであります。特に終戰後におきます帳簿外の物資も相当あると承つております。これは私の聞いたところでありますが、ある鉄道管内においては、銅線がマル公にいたしまして四十億もあるというようなことを、うわさであるかもしれませんが、聞いておるのであります。こうした死退藏物資も長い年月においては必要資材として使用されましようが、今日の赤字を救うために考慮すべきではないかと思います。また利用度の少い財産の御調査になつて、情実拂下げでなく、公正妥当な方法でもつて拂い下げることをお考えになつているかどうかということをお聽きしたいのであります。今日國民大衆の多くは、ためのこ生活から、たまねぎ生活に移つておるのであります。國鉄も不用な財産は大いに整理しまして、國民とともに苦しむ健全財政を確立してはどうかと存ずるのであります。
 なお第五点は今日財政がいろいろ行き詰まつておりますので、その財源として富くじが発行されております。そこで鉄道においても、收入の面において何か鉄道復興くじというようなものでも発行してはどうか。そういうようなお考えがあるかどうかということも一應お聽きしておきたいと思います。一應收入の面について右五点を御質問申し上げる次第であります。
#31
○岡田國務大臣 重井さんの御質問は大分多岐にわたつておりますので、あとから、加賀山長官からもお答えしてもらいますが、まず收入の面の御質問に関連して、ただいま鉄道が運動を展開しております貨草産み出し運動その他の点について、労働強化の方向に進むのではないかという御質問であります。もちろん言われます通り、根本的の企業合理化の問題はこれを重視すべきでございまして、これは前に前田委員にお答え申し上げましたような構想で進んでおるわけであります。ただ能率を増進いたしまして、支出を節約する、同時に收入を多くするというような観点からいたしますと、鉄道從業員の人たちといえども、やはりこれに協力してもらわなければならぬのでありまして、これはいろいろの運動によつて労働強化であるというふうに言われるのであります。はつきり言えば、あるいは若干の強化になることと思われますが、そういう言葉よりも、私は能率を増進いたしますために、多数の鉄道從業員が、執務時間中を精勤いるいは熱心に勤務してもらいまして能率を上げていくことは、必ずしも今言われておりますような、労働を強化する目的で強要するというようなことにはならない。今日日本の経済が破綻的になつております大きな一つの原因は、働く人がサボつて働かない面にあるのではないかと考えております。與えられた執務時間中にサボらないで、執務時間中をまじめに勤務することによりまして、能率を上げてもらうことは、これはひとり鉄道從業員のみならず、國民全体としてやつてもらわなければ、日本の経済再建はできないと私は考えております。そういうような考え方で、労働強化という言葉でなくして、能率の増進によつて協力をしてもらいたいと考えているのであります。
 それから、交通公社、弘済会、バス、観光連盟等の問題につきましては、事務当局からお答えを申し上げます。
 死藏資材、財産等の拂下げの問題でございます。運資材が終戰後鉄道の方に相当はいつているではないかといううわさがあるそうでありますが、委託を受け、あるいは預かつておる軍資材もまだ相当にございます。往々にしてこれが鉄道特別会社の方へうやむやに流れこむではないか、あるいは、なぜそれを処分して、特別会計の経理の困難を緩和して、運賃引上げの緩和をしないかという説が巷間に相当あるのでありますが、一部においては、これらの問題も若干の誤解がまじつていると私は思うのであります。軍の資材があることはあるのですが。先ほど前田委員にお答え申し上げました通りに、これは嚴格に國家の所有で、國有の財産でありますので、これを処分いたしましても、鉄道特別会計の中へ入れることはできないのでございます。その軍資材などの間に、何らかの大きな不正が行われておりはしないかという疑惑を、一部から受けているように思われるのであります。これらの拂下げにつきまして、さような不正を発見いたしました場合には、仮借なくこれを処断いたしますことはもとよりでございます。それから死藏の資材、財産等を拂い下げますことは、重井さんの言われましたことく、國民が今日たけのこ生活をやつて、この困難を切り抜けてまいつているのだから、さようなものは活用すべきであるというのは、ごもつともな御説でありまして、この点は鉄道に十分檢討を加えまして、不用資材の賣却処分、雜收入の増加を見積りまして、予算面において約十億円を計上しまして、別途御審議を願うことに相なつております。その詳細につきましては、御要求がありましたならば――これはたいへん複雜でありますが、別の機会に御説明を申し上げることにいたしてもよろしいと存じます。
 それから第五の鉄道復興くじを発行するということ、これも今日の困難な財政を切抜けますのに、まことにおもしろい一つの案であると私も考えます。しかしこれらの点につきましては、財政当局と十分に打合わせをしなければならぬ問題でもございますので、これは一つの注目すべき案といたしまして今後財政当局の方とも打合せをしてまいりたいと存じております。
#32
○加賀山政府委員 無賃乘車証のお問いがあつたのでありますが、ただいま発行いたしております範囲は、職員に対して通勤の乘車証、それから精勤をいたした場合に、半年精勤した者に対して一箇月何日といつたような精勤乘車証、それから公務で出張いたしますような場合に発行いたします公務乘車証、以上は職員に出しております。それから職員の家族に発行する建前になつておりますが、これは現在ほとんど実行を抑えておりまして、事実上あまり使えない。旅客の混雜してまいりました戰時中以來、ずつと続けてそういう方策をとつております。部外者といたしましては、恩給法上、公傷者何等というその公傷の等級に應じて発行いたしております。それから法律に基く國会議員はもちろんのことといたしまして、その他に発行いたしておりますのは、一定年数以上鉄道に勤めました永年勤続者、その他鉄道の経営に貢献をしてくれる、つまり役立つてくださるような方には臨時発行のパスを出しております。そういうような範囲でございます。一昨年の数字になりますが、平均乘車距離一回に対して一人平均の運賃が十円足らずになつております。このパスを持参される方が毎日乘られるということは考えられません。結局同じ程度の乘車をする、あるいは何回乘車されるかということによつて運賃收入に及ぼす影響は変つてまいるわけでございますが、われわれどもの観察といたしましては、部外者に発行しておりますパスは、これを收入をいうものから見ますれば全收入に比べて微々たるものであるという観察をいたしております。また職員に対しましては、これは永年一つの処遇として扱つてまいりましたので、たとえば出張いたす場合にも、鉄道の職員はパスをもつておりますがゆえに汽車賃はいただいておらないのであります。そういうようなことで、パスを停止いたしましたときは、それに伴う給與を考えなければならないのではないかというふうに考えておるわけであります。
 第二の問題の、雜收入中土地とか建物、あるいは廣告料金といつたようなものは、どういう基準でやつておるかという御質問でありましたが、建物、土地等においては、たとえば駅の廣場とか、あるいは繁華な所でありますとか、その附近の地代を基準にして料金を定めておるわけであります。廣告料金は從來多少低過ぎた傾向があるのでありまして、從來の廣告收入は年間約一千万円程度のものでありましたが、最近廣告が非常に方々から着目されて、廣告業が非常に勃興いたそうとしておりますので、都市の美観とか鉄道の経営等を損いません範囲で廣告というものを取上げて――またこれもかたがた雜收入ともなることでありますから、その範囲の見当、あるいは料金をさらに高めるということにつきまして、ただいま案を立てておるところであります。
 次に外郭團体の問題でございますが、このうち全日本観光連盟に対する昨年度の交付金は二百万円でございます。本年度は大体七百万円を予定しておりますが、ただいま大藏省と折衝中でございまして最後的決定に至つておりません。文部、厚生両省からも出ておるのではないかというお尋ねでございましたが、厚生省からはごくわずかに受けております。けれども、これはまつたくノミナルなものでございます。この全日本観光連盟は、全國の観光協会、各都道府縣にございます観光連盟を一丸とした全国的組織でありまして、そういつた会費收入をもつて観光事業の普及宣傳、あるいは観光資源の開発等を行つてまいつております。これの收入は全部その会費で――交付金とは申しておりますものの、國有鉄道もまたその一会員といたしまして、会費に相当するという性質をもつておることを附け加えさせていただきたいと思います。会費にしては少し高いではないかということでございますが、政府でございますので、一般の会費收入はそう多分にはいつてこないという点から、助成金的な性格で多少多くなつておりますけれども、実は観光連盟の経営は、最近の観光事業の推移から見まして、この程度ではほんとうはほとんど何もできないという実情であります。ただ観光みやげ品の選定とか、あるいは観光地の選定、あるいは観連に携わるところの從業員の指導育成といつたような面に、ただいまほそぼそながら仕事を続けてきておるという実情でございます。これらの機関――弘済会あるいは交通公社、全観連、こういつたものの幹部の氏名、経歴というお話でございますが、これはここで申し上げると非常に長くなるおそれがありますので、重井さんにわれわれの方から資料を差上げることにいたしたいと思います。ただ一定だけ申し上げておきたいことは、たとえば弘済会にいたしても、交通公社にしても、全観連にしても、交通運輸に関係の最も深い切つても切れぬものでありまして、その中の仕事のやり方については当然問題になろうと存ずるのでありますが、この間の合同の委員会でも私申し上げたように、一つは社会事業的な性格をもつており、また交通公社のような旅行案内機関は世界中に必要なのであります。また全日本観光連盟は地方の観光関係の母体といたしまして、それらの中心となつていかなければならない。そういつた場合に、やはり運輸交通の主管をいたしておる運輸省がこれを監督し、これを見てまいる、また助成をしていかなければならぬ点があろうと存ずるのであります。そういう資から、これに関連をもち、またそれに深い経驗をもつている人をもつて当らしめるということは、ぜひともやはり必要になつてまいると考えるのでございまして、個々の人選がどうという問題は別といたしまして、われわれはそういう見地から人物識見、経歴等を考慮いたしまして、これらの幹部を選定いたしておるというような状態でございます。それから食堂会社の構内借用料金が低過ぎるというお話でございましたが、先ほどの雜收入の点等も考えまして、これらの料金につきましては目下成案を急いでおる次第でございます。ただこれらの收入をもちましても。とても雜收入をうんと上げるということは困難かと存じます。先ほど申しましたように、廣告料金全國を通じまして一千万円、これを十倍にいたしましても一億円にすぎないのでございまして、これらの料金の増徴をもつては赤字の非常な足しになるとは考え得られないのでございますが、しかし少くともわれわれといたしましては、経済事情に合うような料金を定めまして、これらからの料金の増徴をはかつてまいりたいというふうに考えております。それから隠退藏物資のうち銅線が四十億からあつたというお話でございましたが、これはどこかの間違いではないかと存ずるのでありまして、そんなにただいま退藏物資をもつておらないのでございます。現在数百億に上る物件を扱います関係上、御承知のように中間割定をもしまして物資の購入をいたしまして、これを損益勘定に拂つていく、こういつた特殊の会計制度を実施いたしております。從いまして、ある程度の、たとえば石炭でありますとか鋼材、枕木といつたようなものをもつておりませんと、早速その仕事に影響するということがございます。たとえば石炭だけで申しましても、昨年度におきまして、すでに三十万トン近い石炭をもつておつたのであります。まア石炭に限らず、他の物資にも、そういつた点があるということを御承知おき願いたいのであります。
#33
○川野委員長 重井さんに御相談いたします。また皆さんにお諮りいたしますが、午前の会議はこの程度にいたしまして、一應休憩し、午後一時半より再開いたしたいと思いますが、いかがでしようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○川野委員長 それでは午後一時半まで休憩いたします。
    午後零時三十五分休憩
    ―――――――――――――
    〔休憩後は開会に至らなかつた〕
ソース: 国立国会図書館
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