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1947/06/15 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 運輸及び交通委員会 第16号
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1947/06/15 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 運輸及び交通委員会 第16号

#1
第002回国会 運輸及び交通委員会 第16号
昭和二十三年六月十五日(火曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 川野 芳滿君
   理事 佐伯 宗義君 理事 高瀬  傳君
      大澤嘉平治君   岡村利右衞門君
      尾崎 末吉君    田村 虎一君
      増田甲子七君    松本 一郎君
      井谷 正吉君    重井 鹿治君
      島上善五郎君    志賀健次郎君
      原   彪君    矢野 政男君
      飯田 義茂君    堀江 實藏君
 出席國務大臣
        大 藏 大 臣 北村徳太郎君
        運 輸 大 臣 岡田 勢一君
 出席政府委員
        運輸政務次官  木下  榮君
        運輸事務官   加賀山之雄君
        運輸事務官   三木  正君
 委員外の出席者
        專門調査員   岩村  勝君
        專門調査員   堤  正威君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 國有鉄道運賃法案(内閣提出)(第七七号)
    ―――――――――――――
#2
○川野委員長 会議を開きます。
 これより前会に引続き國有鉄道運賃法案を議題として質疑を続行いたします。堀江實藏君。
#3
○堀江委員 鉄道運賃の値上げについていろいろな質疑が同僚、先輩議員によつてなされて、大体これに関する主要なことは済んだようでありますが、なお根本的なことが残ているとい思いますので大臣にお尋ねしたいと思うのであります。
 運賃の値上げの原因は鉄道の赤字にあり、鉄道の赤字はインフレが原因であることは申すまでもないわけでありますが、今度の三倍半値上げの基礎になるものは、基準年度の百五十倍の物價の値上げ、それから石炭の二・六倍、そして賃金は三千七百円基準で編成されておるということはお聽きしたわけでありますけれども、この三千七百円が大きな問題であると考えるのであります。國鉄労組においても奈良大会において、物價引上げせぬ場合における賃金五千百円要求するということを言つておりますし、さらに最近は全官公廳と歩調を合わせて、五千二百円の賃金要求を可決しております。鉄道自体に対してはいろいろ内部的に不正や好ましからざることが多いわけでありますが、この原因は生活費を賄うことのできない賃金にあるということも、一つの原因だと考えるわけであります。はたして三倍半の値上げがいいか惡いかは別問題として、今立てられている値上げで、三倍半の基準である三千七百円がはたして守り通せるかどうか。三千七百円の賃金については、別の機会にまた詳しく自分の私見を申し上げたいと思うわけでありますが、これは二千九百二十円ベースよりも実質賃金としては低くなつているという現状におきまして、物價の値上りが七割――今の公定價格の値上りが、主として消費資材の七割程度に止まるかどうかということは大きな疑問でありまして、過去の値上げの際におきましても、インフレはぐんぐん追い越えて行つて、鉄道はいつも赤字たらざるを得なかつたという現状におきまして、三千七百円ベースなるものがはたして維持できるかどうか。必ずこれは大きな労働攻勢が起つてきて、さらに鉄道の赤字は増し、さらにまた値上げとか、あるいは何とかの追加予算を出さざるを得ないということは、ほとんど断言しても間違いないと考えているわけでありますが、運輸大臣はこれに対して三倍半の値上げの可否は別問題としまして、これの原案が通つても、これで経理がはたして予定通りやれるかどうか。これは最も重大な問題であると思いますので、忌憚のないところのお考えを承りたいと思います。
#4
○岡田國務大臣 堀江さんにお答えいたします。三千七百円ベースは維持できるかどうかという御質問であり、今後労働攻功が澎湃として起つてきた場合に、この鉄道の赤字がさらに増大して、また運賃値上げをしなければならぬということが必至ではないかという御質問だと思いますが、三千七百円ベースの決定にあたりましては、実物配給の強化その他によつて実質賃金の充実をはかつてまいりまして、ただいまのところでは適当なベースで、維持できるというふうに政府は考えて、案を決定いたしておるのでございます。從いまして、先になりましてそのために労働攻勢が起るとか起らぬとか申しますことは、未定の問題でございまして、私たちとしてはただいまから予断をすることはできないと存じます。なお國鉄労組などが五千二百円ベースを決議いたしたという情報も出ておりますが、これがはたして適当であるかないかは、今物價廳、労働省等において調べておるのでございます。また堀江さんも御承知でございますように、終戰後労働組合などが、先へ先へと相当大きな要求をいたすことがほとんど習慣のようになつておるのでありまして、いつの場合にでも、労働組合が一度決議したことに対して、すぐにこれを受諾しなければならぬとかいうことになつてまいりますと、國家の財政がもち切れないであろうということが予想せられるのでございます。從いましてその決議をいたして、まだ要求を出しておらないのでございますが、はたいてその要求が出るか出ぬか、出ましたときになりましてから、その措置を構ずるべきであろうと存じます。今それに対して反駁を加え、どうするというようなこともただいま考えておりません。
#5
○堀江委員 この三千七百円ベースなり、あるいは五千二百円ベースについては見解の相違でありまして、これはこのままとしてあとでまたお尋ねすることにしまして、今年度の收支予算の大綱は、大体費が三三%、物件費が六七%になつておるようであります。しかし鉄道の大体のこの支出の面を見ますと、四〇%ないし六〇%、あるいは五〇%――というような場合が多かつたわけでありますが、今回のこの支出については物件費が多いということは、労働賃金がそれだけ圧迫されておるということがはつきり言えるわけでありまして、これに対して三三%、六七%であるが、從來は大体半分々々であつたという件について、大臣はいかにお考えになりますか。こうしたことがつまり労働攻勢を起す原因である、あるいは賃金よりも物件費が高いということをはつきり表明していることになると考えるのでありますが、大臣はいかにお考えになりますか。
#6
○岡田國務大臣 お答えいたします。
 予算面に現われております人件費、物件費の比率をとらえまして、ただちに人件費が圧迫されておるのであるという断定には同意いたしかねます。政府といたしましては、必要以上に人件費を圧迫するつもりで予算を組んでおるのでございません。この人件費は所要人員を國家財政の困難な現状に鑑みまして、できるだけ節約もいたし、そうして前にお答え申し上げましたように、まず三千七百円ベースは適当なものであると考えまして、算出いたしたにすぎないのでございます。また物件費が相当よけい要ることになつておりますのは、これは労需物資その他のものも含まれておるのでありまして、今回補正されます物價から採算をいたしました問題であり、同時にまた一方におきまして、國家の生産を飛躍的に増強させまして、インフレーシヨンを克服していくという大きな線に從いまして、輸送の増強を策しておりまして、本年度においても二割方の増送をいたすために補修、改良等の仕事が相当にございますので、それらの関係から物件費が考えられたものでございまして、この比率によつて圧迫する、せぬという御論議に対しましては、布たちは御同意ができません。
#7
○堀江委員 國鉄のこのたびの三倍半値上げについては、公聽会におきましても、また一般の世論においても、囂々たる非難があることは御存じの通りであります。しかし國家財政が非常に窮迫しており、政府としても種々な困難の事情があるということは了察しております。しかしながら、まず國鉄の運賃を上げるという場合には、いろいろ批判されておるところの國鉄内部の経営の合理化、そういうことがなされることが先決條件であるにかかわらず、先日來の質疑應答においては、いろいろな外郭團体あるいは経営の合理化の面については、当局は否認的な言葉をもつて答弁されておるようであります。われわれはかりに鉄道の運賃の値上げを考えるとしたならば、まず國鉄の内部機構の経営の合理化なり、あるいは外郭團体の整理ということが、たとえその金額のいかんを問わず、なされて初めて國民がその成果を知るということになることはもちろんでありまして、こうしたことに対して、從來大体内部の経営の合理化はしないというような答弁のように私は聽いておるわけでありますが、こうしたことはこれは間違いであつて、まずそれをやらなければ、この運賃の値上げという問題は非常に大きな問題を起すということを考えるわけでありまして、大臣はこれに対してどういうふうにお考えになつておりますか。
#8
○岡田國務大臣 鉄道経営が、今回のごとき大幅の値上げをいたしますときは特にそうでございますが、値上げする、せぬにかかわらず、根本原則といたしまして、経営の合理化及び企業の整備の方向に向いまして、人員の節減あるいは経費の節約をいたさなければなりませんことは、堀江さんの御意見の通りでございます。今回値上げにあたりましても、私らはその方向に向いまして、現段階といたしましてできるだけの努力は傾注いたした次第でございます。堀江さんの申されました経営の合理化という中には、いろいろ含まれておることと存じます。いわゆる物的方面だけでなく、人員の整理などもお含みになつての御意味であろうと存じますが、これを徹底的にやつてからでないと運賃を上げないというのが、あるいはこれは原則と言えるとは存じますけれども、今日の日本の経済の現状から考えましてはその時間に余裕がございません。人的、物的あるいは機構、外郭團体の檢討その他を反省してから運賃を上げるというのでは、どうも時間が間に合いませんので、今の段階でできるだけのことをやりましたわけでありまして、すでに機構の分離という方向に向いまして、その区分をいたしております。それから予算編成にあたりまして相当所要人員を節減いたしておりますし、また補修費あるいは改良費等の面についても、予算面において相当に節約をいたした次第でございます。外郭團体の檢討はこれから始めまして、もし不合理な点があるならば、速やかに改革をいたしていきたいと考えておりまして、先般も御説明申し上げましたように、國鉄審議会を設置いたしまして、これから本格的に活動に入ることになつておりますので、御了承をお願いいたします。
#9
○堀江委員 次に独立採算制の問題でありますが、今回の値上げは初めに申し上げましたような原因があるとともに、それの独立採算制ということも当局の一つの目標になつておるようであります。しかしなお百億の赤字は一般会計から繰入れるということになつて、完全な独立採算制ではないわけでありますが、しかし貨物なり、あるいは貨物においても小口、あるいは貸切り、あるいは旅客におきましても定期、あるいは普通旅客の間に、原價に勲しての收入のパーセンテージが非常に違うわけでありまして、ほんとうに独立採算制をとられる考えであつたならば、当然今のこうしたでこぼこの原價に対する運賃というものは、是正されるのが穏当だと考えるわけでありますが、今いただいておる資料にしましても、旅客は四六%である。小口は七%しか原價に対して收入がない。貨物は一一%で、平均して二三%であるから、三倍半値上げして八〇%五になる、だからこの百億円の繰入金を入れなければならぬということでありますが、こうしたでこぼこは当然これは是正されることが独立採算制の本旨であると考えますが、大臣はいかに考えられますか。
#10
○岡田國務大臣 企業は國営であると民営であるとを問わず、健全運営、健全経営が要望せられますことはもちろんでございますので、國有鉄道におきましても、独立採算制を堅持することが理想でございます。その方向に向けまして進めなければならぬのでございますが、今日の日本経済の現状並びにインフレーシヨン克服という使命を果さなければならない必要上から、貨物運賃はョ制せられなければならぬことに相なりまして、堀江さんの御指摘になられますように、そこに経営原價と正比例いたさない運討倍率を出さなければならぬことになつたわけであります。それで今回御審議をお願いいたしておりますような率に相なつております。これはひとえにインフレーシヨン克服のために、ある程度以上の物價の暴騰を抑制しなければならぬ必要からまいりました次第でございまして、その点については御了承をお願いいたしたいのでございます。そういたしまして、われわれは本旨ではございませんが、一般國民から租税等の御負担によつて納入せられております國費から、百億円の赤字補填をいたさなければならぬ状態であります。これもまた今日のインフレーシヨン克服、経済安定のための方策上やむを得ないことであると考えまして、こういう倍率を決定した次第であります。御了承をお願いいたしたいと存じます。
#11
○堀江委員 これは國鉄と直接関係がないわけですが、値上げがどの程度にできるか、できぬか、それは別問題として、かりに三倍半の値上げができた場合は、運輸省としてはどういうふうに私鉄の値上げを認められるか。われわれの調査したところによると、先ほど申し上げましたように、國鉄は貨物においては非常な損をしておる。それからまた國策の遂行上、利益のない線ももちろん運轉していかなければならぬ。利益本位でないことはもちろんでありますが、私鉄の状態からしますると、有利な交通量の多い、しかもほとんど九〇%までは旅客を取扱つておるというのが現状であります。聞くところによると、私鉄も相当な値上げを考えておるということでありますが、運輸省としては仮定的に旅客の三・五倍が実現しましたならば、私鉄はどの程度の値上げを認められるか。そうした大体の今のお考えを承りたいと思います。
#12
○岡田國務大臣 國鉄がもい三・五倍で國会の御承認を得たといたしましても、私鉄は画一的に右にならえをいたすつもりではありません。堀江さんの御指摘のごとく、私鉄におきましては、ある会社は非常に有利な立場にあり、ある会社はまた非常に不利な條件のもとにあり、いろいろでございますので、会社個々の営業状態、その地方の交通量、あるいは採算などを正確に調査をいたしまして、そうしてその結果得ました眞相に基きまして、――もちろん企業の健全経営をさせなければいけませんので、大きな欠損をさすというわけにはまいりません、今日の経済現状に即するごとき適正な利潤を考えてやらなければならぬのでございますが、そういう建前から個々の会社に対して査定をいたしまして、相当な限度と認められるところで、値上げを許したい、こういうふうに考えております。
#13
○堀江委員 いろいろ同僚議員からも御発言があつたわけでありますが、國鉄はもちろん利益を目的とする企業ではないわけでありまして、今日本の直面しておるところの経済再建、特にそれの障害になるところのインフレの克服ということが、非常に大きな要素として、國鉄の運賃値上げは考えられなければならないのであります。この運賃の値上げによつてインフレがどういうぐあいに進展するかということについては、初めの質問に申し上げたわけでありますが、こうしたところの値上げというものは、もちろん大きな惡影響があることはもちろんでありまして、國鉄はその重要性に鑑みまして、他の重貸産業と同じように、石炭價格の補給金を当然やつて、なるべく値上げするとしても、値上率を最小に止めることが望ましいことであります。大臣はこの石炭價格の補給金について、どういうふうに努力をされましたか。またわれわれとしては当然石炭の價格に対しては、鉄や電力やあるいはその他の重点産業と同じような補給金を、一般会計から受けるということが、正しい今のインフレ対策の一つであると考えますが、どういうふうにお考えになつておりますか。
#14
○岡田國務大臣 培江さんの御質問の、國鉄は営利目的でのみやつておるのではないという御意見は、私も同感でございます。同時にまた國鉄は國営でございまして、國鉄の損益はただちに國家財政に影響するところでございます。ただいま仰せになりましたのは、石炭補給金を出して、鉄道用炭に特別の割引をいたしたならば、運賃面において下るという御議論であります。まさに御議論、計算といたしましてはそうでございます。しかし石炭の價格差補給金なるものは、一般國民から租税等で納入せられました、いわゆる一般國民の負担でございます。それは一般会計からの赤字繰入金と同じ性質のものでございますので、さようなもつてまわつたような手数をする必要がないと考えて、石炭補給金は問題にいたさずにまいりました。鉄道用炭の割引をいたすくらいならば、一般会計から繰入金をいたす方が、すこぶる簡單でありますので、そういう考えで進みました。
#15
○堀江委員 まだいろいろお尋ねしたいことがあるわけでありますが、代表的なことは以上でありまして、せつかく大臣が久しぶりにおいでになつておりますので、私は大臣に対する質問はこれくらいにしまして、残余の件については政府委員に質問することにいたします。
#16
○川野委員長 尾崎末吉君。
#17
○尾崎(末)委員 六、七回前の委員会で質問を保留しておいたのであります。大臣の御出席が、御多忙のためか思うように願えなかつたのでありますが、この問題はいまさら申すまでもなく國をあげて注目もし、かつ論議をしている問題でありますのと、先般岡田運輸大臣が、わが党の前田委員の御質問に対しましての御答弁の際に、財政法第三條なんかは、これにあてはめても、あてはめなくてもいいのであつて、鉄道自体でもやれる問題であるかのような印象のある答弁をなさつたことを、非常に私は遺憾に思つたのであります。この問題は少くとも非常に愼重に眞劍に考えてまいりませんければ、國民の受ける感覚というものは、非常に大きいのでありますから、そういう意味において眞劍に質問をいたしたいと思います。質問の初めにあたりまして、まず私は、この三・五倍の値上げに対しまして強く遺憾の意を表明いたす次第であります。と申しますのは、なすべきことを十分になしていない、計画すべきことが十分に計画されていない、こういうふうに私は見ておるのであります。そこでこの提出されました國有鉄道運賃法案の第一條といたしまして、一、公正妥当なものであること、二、原價を償うものであること、三、産業の発達に資すること、四、賃金及び物價の安定に寄與すること、というこの原則によつて、運賃及び料金を定めるという事柄に対しまして、大臣にまず原則的な質問を申し上げてみたいと思います。この四つを並べて考えてみまして、今回の値上げというものが、四つの問題のどれにもあてはまつていない、こういうことをまず指摘をいたしたいのであります。私の質問の前提といたしましてまずお伺いいたしますが、それは國鉄の從業員は現在六十一万五百四十三人実際の人員がいるというのでありますが、それがはたしているかということと、それが一体予算の定員は何ほどなのかということと、この二つを伺い、そして、この人件費の予算は本年度は定員でもちろん組まれていると思うが、定員の予算であるのかどうか。いま一つは二十二年度の予算が定員に対して組まれてあつたならば、実在しないいわゆる欠員があるのでありますから、それらに対する剩余の予算はどういうふうに使われたか、こういうことをまず先に伺つてみたいのであります。
#18
○岡田國務大臣 尾崎さんにお答えいたします。昨年度の人員の実績につきましては、事務当局からお答え申し上げますが、本年度の予算人員は六十二万七千五百となつておるのでございまして、これは昨年度の予算人員から相当に殖えた数字になつております。この中には八万六千五百人という特殊要員も含んでおりますので、実際の基礎人員は五十四万人余りになつておるのでございます。これは昨年に比べまして約二割方の輸送増加をいたさなければならないことによる人員の増加、並びに労働基準法が実施されましたための要員の増加、あるいは渉外関係、あるいはまた鉄道公安関係等の新設等によりまして、相当に人員の増加が必要とせられておるのでございますが、今日の國鉄の経営ができるだけ人員の節減と経費の節約を要請されておりますこと、並びに尾崎さんの言われましたように大きな値上げをすることにつきまして一層反省をいたしまして、企業の合理化をはからねばならないことなどを考え合わせまして、政府におきましてはさように節約の実をまず表わしました次第でございます。
    〔委員長退席、佐伯委員長代理着席〕
 それから運賃法案の第一條第二項に掲げてございます四つの理論でございます。公正妥当、原價、物價賃金等の関係をうたわれております。どれにもあてはまらぬということでございますが、これは私らといたしましては、どれをも参酌いたしまして、今日の困難な日本経済の過渡期的現状にマツチいたしますような考え方から、今回の倍率を決定した次第でございます。
#19
○尾崎(末)委員 先ほど質問申し上げました二十二年度予算というものの剩余、いわゆる予算定員と、実在人員に対する予算の開き、すなわち剩余はどういうふうに使われましたか。
#20
○三木(正)政府委員 ずつと以前におきましては、御指摘のように予算定員よりも実在人員の方が少いことがままあつたのでございますが、昨年度におきましては予算定員が六十万四千人でございまして、年度末現在の人員が六十一万五百人、五千五百人ばかりの過員をもつておつた、こういうかつこうでございますので、仰せのようなことはなかつたのであります。
#21
○尾崎(末)委員 次に伺いたいのは、現在わが國の國鉄の総キロは何キロあるのかということと、その一キロ当りに鉄道從業員は何人の割でおるのかということをお伺いしたい。
#22
○佐伯委員長代理 ただいま大藏大臣がお色えになりましたから、尾崎君しばらくお待ち願いまして、松本一郎君に発言を許します。
#23
○松本(一)委員 ちようどお忙しい中、さいわい大藏大臣にお越し願いまして――先日來運賃値上法案につきまして、いろいろ運輸大臣、運輸当局とは、私ども質疑を交換いたしておるのでありますが、事の影響が重大でありますだけに、殊に政府におかせられましては、大藏省関係あるいは安本関係とも、特に関係の深い問題でありますから、お煩わしたわけであります。北村大藏大臣には、かつて運輸大臣御当時、運賃倍率値上げのときに、國鉄の独立採算制の見地から、運賃倍率値上げをするという御意見でありまして、私ども遺憾ながら、あの節反対をさしていただいたものであります。今回はからずも三倍半というような大幅引上げの案が出まして、物價並びに國民経済生活に重大な影響を與える。かように考えまして、運輸大臣当時の北村さんのお考えと、大藏大臣になられてからのお考えとを、本会議におきます御答弁などから拜察しても、御同樣であると思うのであります。つきましては第一にお伺いしたいのは、独立採算制の見地に立つ今度の運賃値上げでありますが、これは先ほど尾崎委員からもお話のありました運賃法案の第一條の第二項の、四つの原則から出発されておると思うのです、すなわち公正なる点と、原價を償うもの、産業の発達と、同時に賃金及び物價、この四点ですが、第二の原價を償うに足るものというところから、独立採算制の理論が出発したものと考えるのです。すなわち純経理上の立場からこれは出ておるのでありますが、つきましては國鉄が今日のごとき赤字になつたというのは、敗戰の結果である。終戰以來のことである。それまでの國鉄というものは、連年相当黒字を出しておつた。殊に特別会計から一般会計へは五億、六億と繰入れておつた時代がある。その当時國の予算は、まだ二十億がそこらであつた。そういうようなことを考えてみましたときに、敗戰の結果生じた國鉄の赤字は、國鉄ひとりが独立採算制の見地に立つて、自給自足せよと言われるのは、むしろ無理なのじやないか。こういうふうに私どもは常々実は考えておつたのであります。ゆえにその責任は國全体がいわゆる連帶責任で背負うべきものである。こういう考えからこの四項目にわたる運賃算定の目標のうち、まず第二のすなわち原價を償うに足るものということよりも、むしろ第一の公正妥当なるもの、第三の産業発達に資すること、第四の賃金物價に影響を與えないというようなことに重点を置いて、運輸関係のみにこの責任を負わさずして一般会計等からこの責任を負担すべきが当然じやないか、こう私は考えるのでありまして、この根本的なお考えについて大藏大臣の御意見をお伺いしたいと思うのです。
#24
○北村國務大臣 ごもつともな御質問でございますが、これは國鉄に限らず、國家がやつております公企業は、みな独立採算でやらねばならぬ、そのこと事体が赤字を出すような方向ではならない。從つてその赤字の原因がどこにあるかというふうなことを十分檢討することは、当然のわれわれの義務であると考えております。それで今日まで運賃の値上げをせずに、ずつと赤字を出してまいりましたのは、ただいま仰せになつたように、これはひとり運賃だけに全部をおつかぶせるわけにまいらない原因がある。戰爭のために非常に破壞を受けた、この復旧が容易ではない。これを全部運賃にかけていいかどうかということも、一つの大きな問題でございます。その他諸般の事柄を勘案いたしまして、公正な運賃というものはどうして出るか。しかしそれはやはり原價は原價として考えていかなければならぬ。しかも原價を全部おつかぶせて産業の発達を阻害してはならぬ。いろいろな條件が組み合わされ、その結果今回の三・五倍というような案が出たわけでございます。それではこれで全部赤字を解消して、いわゆる独立採算制というものが確立するかというと、それはまいらないのでありまして、まだ赤字は出る。こういう状態なのであります。それで赤字が出るという原因を、運賃が安いために赤字が出るのだとだけ考えることは、これは少し反省を欠いておる。そこでここに運賃当局の直接の責任者もおいでになるのでありますけれども、われわれはこの際やはり公企業を預かる者としての反省を深め、運賃が今の物價、賃金その他と比べて非常に安かつたという事実は、むろん認めて引上げをしなければならぬが、しかし同時に鉄道自身がもつところの、内包するところのいろいろな欠陷もあるであろう。また非常に能率的な面もあるであろうし、あるいは独立採算制ならば独立採算制としての経営の合理化という面もあるだろう。そういうような面が相当あるのでありますから、赤字が出る分は、これは一應一般会計で負担をしまして、そうして一方において、鉄道運賃の値上げをしていただくが、当然改善すべき点は改善するというので、最近鉄道事業の経営を合理化するために、どうしたらいいかというような審議会も設けられたのでありまして、そういう審議会を通して十分に檢討しつつある。あるいは行政と現業を別々にして、現業は現業として身軽に活躍できるようにすることによつて能率化する。そういうことによつて運賃の負担をなるたけ軽減するというようなことも考えなければならぬ。かように考えております。これは單に鉄道の運賃政策からだけ考えた三・五倍ではなくして、物價全体の一つの政策として考え、また財政力とにらみ合わせ、また將來のほんとうの独立採算への一つの出発という意味においても考えたのであります。ここに御指摘になりました運賃法の第一條の一号、二号、三号、四号というのは、いずれも相関性がございます。一つ一つだけではなくして、おのおの相関性をもつて、全体が組み合わされて今回の運賃値上げになつた。こういうように相なるのでありまして、私はしばらく運輸省の仕事をいたしましたが、その当時と今日とは別に変つた考えもございませんし、どうかして独立採算制が維持できるように、そうして今までやつたことについて反省すべき点は反省する。どこに欠点があるかということを鋭く批判をし、改善すべき点は大いに改善に努めるということについては、ただいまのお話の通り、そういう方向に努力することはもちろんでございます。以上のような考えをもつております。
#25
○松本(一)委員 次にこれは物價と賃金とに非常に重大な影響を與えると私は思います。とりあえず物價に対する影響は、これはもうおそらくこのままで三倍ないし三倍半になりましたならば、國民生活、國民経済を根抵から履えすことになりはしなかろうか。そこで鉄道運賃なるものは、物價の面から見ても、その比重はきわめて低い。殊に貨物運賃は、たとえば先ほどもお話がありましたが、一一%程度であるということであります。先般また公聽会でもお聽き願つたかどうか存じませんが、旅客運賃は上げてはいかぬが、貨物運賃は五倍ないし六倍上げてもいいという御説も承つたのであります。つきましては、私どもただいまこの運輸の職に携わつておる者がながめまして、鉄道運賃はなるほど安い。但しこれはレールからレールへの運賃でありまして、それに対する積込料、扱料あるいは小運搬、トラツクとか、牛馬車とか、その他倉庫料、保管料というようなものを算定いたしますと、一一%や二〇%じやないのであります。たとえば木材に一つの例をとりましても、秋田から東京へもつてくる材木の運賃なるものは、これは当局からの数字によりますとごく軽微なものであります。しかしながら私どもが調べたところによりますと、大体こういう数字が出るのであります。すなわち十トン一車の素材は原價が九千円であります。その運賃がどれだけかかるかと申しますれば、今度値上げになりますと、その運賃價格は非常に高くなります。大体ただいまのところは九千円の原木代に対して運賃が七千二百八十円かかつておるのであります。これは鉄道運賃と陸上小運搬一切を含めまして、そのパーセンテージにいたしまして約八〇%かかつておる。ところが今度値上げになりますと、その運賃は原木代よりもさらに上まわつて、九千円の木材の運賃が日通あるいは小運搬を総計いたして約一万五千円かかる。これは木材の一例でありますが、諸物價につきましてもこの通りの騰貴率を示してくる。今度マル公は政府の方では物價改訂で、あるいは倍額程度、あるいは七割程度にまで引上げなさるということではありますけれども、運賃値上げの影響は物價に重大な関係をもつということを考えますときに、國鉄のレール運賃だけを総計されて、物價を勘案されたならば、たいへん大きな間違いになるということ、すなわちトラツク、小運搬とかあるいは積込みとか、これらに從事する人々の賃金ベースというものも、必ず引上げなければならぬということから、おそらく貨物運賃をもしも原案通り三倍半にしましたならば、物價は現在よりも倍あるいは三倍というような値上りを想像しなければならぬ。かように考えますと、この年末あたりのインフレは、もう破局的な状態に陷るのではないか、こういうふうに私どもは考えるのであります。すなわち運賃が物價に占める比率は、ただ数字に現われております國鉄のレール運賃のみを考えられたか。一歩掘り下げて、諸掛りその他そういうものを想定されての運賃と物價との比重をにらみ合わされておるのかどうか。この点を私ども心配いたします。日本の経済の將來について非常に遺憾にたえませんので、この運賃の値上げについて、大藏大臣の特にこの点に関しまする御考慮のほどをお伺いしておきたい。
#26
○北村國務大臣 まことにごもつともで、殊に松本委員は專門家でありまして、非常にお詳しいのでありますが、私どもは御説のごとくにただ單にレール運賃だけで物價を考えてはおりません。また賃金と物價と財政との均衡に相当力を入れて考えたつもりでございます。これらのことは、むろんこれは安定本部の方になりますから、安本長官からしかるべく答弁するだろうと思うのでありますが、ただ一應旅客と貨物の場合に、直接汽車に乘るときに切符を買う切実な問題として、旅客運賃の方は響きが強い。それで貨物の方は、一般の大衆は自分で荷物をそう送るということはないのですから、きわめて間接的な影響であるために、存外軽く見ておる傾向があります。心理的な考え方、感情的な考え方から申しますと、旅客運賃というものは非常に重く感ぜられ、これに対して貨物の方は必ずしもそうは響かない。こういうような考え方が一般にあるように思うのでありますけれども、私どもはただいまお話もありましたが、材木でいえば原木にかかる。製材されてまたあとにかかる。それから製品になつてかかる。その製品が組み合わされてまたかかるというようなぐあいに、どうも何と申しますか、人間の場合には算術的に、貨物の場合には幾何的に上つていく。從つて回轉係数というものが荷物にはかかりますから、荷物運賃が物價に與える影響は非常に大きいものであるという点は、十分に心得ておるのであります。なお現下の事情といたしまして、小運送の問題、殊にこれに伴う人件費がだんだん高騰しておるという問題等々考えまして、物價全体に及ぼす貨物運賃並びに運賃全体の影響は十分勘案いたしまして、それと賃金問題と財政の問題、これを相関的に考えまして、今回の予算を編成したつもりでおります。私の関係においては以上のような御答弁を申し上げるよりほからしようがない、こういうことに相なります。なおいろいろこまかい点についての御質問がありましたが、物價の諸問題、並びに物價と賃金、物價と運賃等の関係については、安本、物價廳それぞれ相当な考えをもつておりますから、これは安本長官から適当を機会に御答弁申し上げるかと思うのであります。
#27
○松本(一)委員 最後に石炭補給金の問題ですが、重要産業には補給金を依然としてお出しになる。しかしこの國鉄だけには昨年七月から補給金制度がなくなり、今度またなくなつた。しかもトン当り三千七百円というような――カロリーの高い石炭ではありますが――石炭を使わなければならぬということが、赤字の大きな一つの原因になつておる。輸送はこれは重要産業でないのか。なるほど物の生産こそしておりませんが、輸送の重要なることは、もういまさら申さずともおわかりだと思います。他の重要産業にも、傾斜生産の関係でこの補給金を出されるならば、國鉄にも補給金を出されるか、また先ほど運輸大臣も、補給金をもらわなくても一般会計から繰入れてもらえばよいと言われましたが、それでもよいわけです。いずれにしても一般会計から思い切つて財源を他に見出されるか、もしくは補給金を石炭についても他の重要産業のごとく出されるか、これが國営事業であれば当然ではないか。國営事業ならば、ときにはある程度の赤字が出る。これは國全体が補う。すなわち英國の石炭國営も昨年來やつておるが、大きな赤字を出しておるということは御承知の通りであります。電力國営も近ごろ始めましたが、これもどうせ赤字だろうと思います。どこの國を問わず國営事業ならば赤字が出る。その代り赤字が出ても、それは他によつて利益を得るところがある。それは公共的使命を全うすることができるという大きな立場から、赤字が出ても、他の方面から財源を得て補うというのが、國営事業の本來の使命ではないか。日本の國鉄もそういう意味からスタートされておるものだと私は考えます。そうすれば、一般会計あるいはその他から財源を見出して、この特別会計に補給助成されるのが当然ではないか、こう私は考えます。この際できれば運賃値上げのような無理なことをせず、また物價にも大きな影響を與えず、一般乘客にも生活不安に陷れるようなことがなくて済むのじやないかと考えるのですが、この点について御意見を伺いたいと思います。
#28
○北村國務大臣 國鉄は御承知の通り國営でありまして、國営の事業が國自体から補助を受けるということが、財政の理論として少しおかしい。それで國鉄が國営である限り、特に石炭の値段に対してある特定の補助を受けるということは、独立採算制の基本的な考す方から申しましても、これは少しおかしなものではないか。赤字が出た場合には、一般会計で赤字を補填することはどうもやむを得ないのでありますが、初めから國営の事業に國が補助するということは、考えととしてはそこにちよつとひつかかつてくるものがあるというように私は考えるのであります。しかし、この問題はなお全体の物價政策とかいろいろな問題に関係がございますので、簡單にきめつけてしまうわけにもまいりませず、いろいろ研究すべき点があると思います。今松本さんのおつしやつたことは、一つの研究課題として研究はいたしますが、どうも私どもの考えといたしましては、特に財政を処理する者の考えといたしましては、國鉄が國営事業である限り、國営の事業に國自体がまた補助をするということは、これはダブつてくるので、ほかに考えようがあるのじやないか。あるいはどうして運賃を下げるかという問題は、全体の問題として一つの課題として研究はいたしますが、以上のような考えをもつておりますがゆえに、特に國営事業を補助して安い石炭を使わせるというようなことはしない。こういうふうに御了解願いたいと思います。
#29
○尾崎(末)委員 先刻伺つた中で御答弁がないのですが、現在の國鉄の総キロ数が何ほどかということと、一キロ当りの從業員は何ほどかということの御答弁をまず伺つて、次に移りたいと思います。
#30
○三木(正)政府委員 二十三年度において鉄道の営業キロが一万九千七百四十七キロでございます。それから一キロ当りの人員は、昭和十一年度十三人、昭和二十二年度が三十人九分、約三十一人でございます。二十三年度が約三十二人でございます。その代りにこれはついでに申し上げておきますが、人トン・キロと申しまして、鉄道の作業量でございまする旅客何人を何キロ運んだ、貨物何トンを何キロ運んだ、そのトン数と運びました距離の相乘積を人トン・キロと申しておりますが、國鉄一営業キロ当りの人トン・キロは、昭和十七年において二十四万一千トン・キロでございましたものが、昭和二十二年度では五百六十九万トン・キロ、二十三年度では六百五万六千トン・キロを予定いたしております。作業量は一営業キロ当り非常な殖え方をしているということを御参考までに申し上げておきます。
#31
○尾崎(末)委員 二十二年度からさかのぼつて五箇年間の毎年の輸送量は、旅客並びに貨物球方おのおのいくらかということと、二十三年度の貨物の輸送量は一億三千万トンが目標であつて、一億一千五百万トンが確保される輸送量と承つておりますが、旅客の輸送量はいかくでございますか、このことをお伺いいたします。
#32
○三木(正)政府委員 運賃関係の資料の第二表をごらんいただきます。
#33
○尾崎(末)委員 そこで運輸大臣に伺いたいのでありますが、わが國鉄はその企業の位置から考えまして、狭く長いわが國土の中枢部を走つておるいわゆる栄養線と言われるものであり、さらに独占的のものであることは申すまでもありません。從つて他の不便な僻地を走る私鉄その他よりは経営においてはるかに有利であつて、設備その他においても比較的樂であるということは申すまでもありません。從つてこうしたことから國鉄というものの性格を考えますれば、他の一般物價と水準を同時に比較をして、論議すべきものでない性格と使命とをもつておるというふうに私は考えるのでありますが、この点に対するところの運輸大臣のお考えを伺いたいのであります。
#34
○岡田國務大臣 國鉄が独占的であること、他の私鉄等に比較いたしまして、一番よい條件の所を多く運営しておるということは、私も尾崎さんの御意見に同感でございます。それがゆえに他の物價倍率と同等の比較をとつて運賃政策をやることは当らぬのではないか、こういう御意見だと思います。まさに原則といたしまして、また理論といたしましてはその通りであると考えます。國鉄はさようなよい條件のもとに惠まれた立場に置かれておるということによりまして、よく自己反省をいたしまして、最大の能率をあげ経費を節減いたしまして、國民の負担をなるべく低い位置におかなければならませんことはもちろんであると存じます。ただ企業は尾崎さんも御承知であろうと思いますが、どういたしましてもこれは常識的に考えまして、國営ということになりますと、営利目的という考え方から少し離れてくるのでございまして、その点から経営採算の面におきまして、ややもするとおもしろくない状況が出てまいりまして、コストが高くつくような傾向に向つていく風がございます。当局者といたしましてはその点によく注意をいたしまして、末端までロスが出ないように、また親方日の丸式の考え方で仕事をするというようなことのないようにせねばならぬと思つておりますので、今後はそういう心組で能率の向上、経費の節減等に努力をいたしたいと考えております。
#35
○尾崎(末)委員 その次に伺いたいのは、他の交通業もそうでありますが、特に國鉄のもつている輸委力は、わが國民の経済と産業の発展、國民所得の原動力、國民すべての活動における簡素便益のために要素である。従つてその自的を達成するために、一面においては合理的な計画と能率的で妥当な運営をなす、一面においては規律と秩序、責任と義務、並びに道義と親切とを旨をすべき使命をもつておるということを私は考えておるのでありますが、その点について運輸大臣の御意見を伺いたいと思います。
#36
○岡田國務大臣 國鉄は國内のあらゆる産業、あるいは社会運動その他のことにも重大な影響がございまするので、輸送力の確保並びに能率的の経営、規律の嚴守、義務責任の遂行と言いますことは、これを嚴に最高程度に発揮せねばならぬと考えます。その点におきましては尾崎さんの御意見にまつたく同感でございます。
#37
○尾崎(末)委員 運輸大臣のこの点についての御答弁はまことに満足でありますが、そうでありますならば、経済的面の質問を後回しにいたしまして、精神的な方面からこの値上げのことについて質してみたいと思うのであります。今日の國鉄從業員の秩序、責任、道義、能率、親切、こうしたものは現在の状態でよいとは思つておられないだろうと思うのであります。もしこれでよいと思つておられないとしたならば、これらに対するどういう手段を現在とつておられるか、またこの後これに対するところのどういう対策をもつておられるのか。それからいま一つは、國鉄の労働問題及び爭議等に関してはどういう善処をされつつあるか。この点については労働省に任せ切りであるのか。運輸省におきましても相当の対策をもつておるのであるか。この点について伺いたいのであります。
#38
○岡田國務大臣 國鉄從業員の現状においては、満足できない点も相当にもつておるのであります。今日までしばしば行われております変態的の爭議、あるいは山猫的の爭議等につきましては、大いに不満をもつております。またそういう場合におきましては、定められております法規に從いまして、適当な措置、制裁を加えてまいつてきております。決して満足はいたしておりません。なお將來に対しまする対策といたしましては、御指摘になりましたように、労働省が主管省であるからという考え方で、全部労働省に任せ切りにして安心をしておるということでは決してございません。運輸省当局におきましても今後の労働組合の指導、具体的に申しますと、労働関係法規の改正如何のことはしばらくおくといたしましても、その法規の範囲内における服務規律の嚴守、あるいは組合の経営協議会の問題とか、労働協約の問題、あるいは爭議が起りましたときには粉爭処理機関を今後設けたいという考えももつております。なお変則的の爭議あるいは山猫的の爭議、いわゆる権力のない爭議、あるいはまた純経済鬪爭を逸脱いたしました政治的に流れます爭議、そういうものに対しましては、現に嚴重に監督をいたし、また違反の点に対しましては相当な制裁を加えて、健全な労働運動の発展、服務紀律の嚴守という方向に向けていきたいと、今後も努力する考えでございます。
#39
○尾崎(末)委員 次に伺いたいのは、そういう御計画、御努力があるにもかかわらず、現状においてはなはだ不満な状況であることは御答弁の通りであります。われわれといたしましてはもう少し――もう少しではありません、うんと切実に不満を感じておりことはもとよりでありますが、かような状態のままで一躍三倍半というがごとき驚くべき値上げをしますならば、國民の民主化思想を著しく阻害すると私は思うのでありますが、運輸大臣はいかにお考えになりますか。すなわち政府が経営する鉄道として、今申しますような点においては、不満というよりは、ほとんど國民の怨嗟の的というほどのものがあるのでありますが、さような現状のままでこれを改善するところがなくして――注釈を加えますが、もとより資材とか、機械とか、金品とかいうものの足らないことのために、改善をすることができないものはここには論じません。現状において、なすことのできるやり方において、改善をすることが幾多あることは申すまでもないのでありますが、そのなさなければならないことをそのままにしておいて、さき申しました三倍半という驚くべき値上げをいたしますならば、これによつて國民の生活というものが脅かされ、産業の発達が阻害されるということと供行いたしまして、おそらく國民は國鉄の官吏並びに國鉄というものに対しまして適のごとく思うような思想が強くなつてくると思う。反面において國鉄はいわゆる官業でありますから、國民の標本であります。國民の標本がかように状態であつて、しかも今申すような大きな影響のある値上げをやるというのでありますならば、おそらく國民はすぐ國鉄がやつたようなやり方、つつこんで申しますならば、その責任において、秩序において、道義において、親切において、さようなことを十分に盡さなくても、困つたらとるべきものはとるのだという思想に陷つていくことを私は非常に憂えるのであります。從つてさき申しましたような民主化の思想を著しく阻害する、こういうふうに考えるのでありますが、これらについての御所見を伺いたいと思います。
#40
○岡田國務大臣 さきに申しましたことく、從業員の中には一部行過ぎがございまして、鉄道を利用せられる方々に対しましてはなはだ親切であり、また非能率なこと、サービスなどにおきましても、不満を與える点等が一部にございますことは、まことに遺憾でございます。私らといたしましたならば、なるべく國民の皆樣方から満足をしてもらいます状態にまで、十分な改善を加えましてから運賃の値上げをいたしたいのではございますが、ただいまの國家の経済の現状は、その時間をます余裕がござまいませんので、國の財政の現状などから考えまして、余儀なくただいま値上げをやらしてもらいたいというようになつておるのでございます。今後におきましても、從業員の一般國民に対する心構え等につきましては、十分是正いたしてまいりたいと存じておりますが、何分にも御承知の通り、敗戰後急激に思想が惡化いたしまして、一部におきましては共産主義的のものが強く傳播されまして、そのために從前にあげておりました國鉄の優秀な成績が、大分失われてくるということになつております。これはまことに寒心すべき状態にあると考えております。なおこの状態は社会の各方面に現われておる傾向でありまして、ただ單に國鉄のみがそうなつておるということは言われないと存じますが、われわれといたしましては速やかにかかるよくない状態、あるいは民主主義の行過ぎ、あるいは危險思想等を早く是正いたしまして、國民から愛される國鉄並びに國鉄從業員という状態が早くまいりますように、十分に指導をいたし、またそれらの違反等に対しましては今後信賞必罰を明らかにいたしまして、十分に取締つてまいりたいと考えております。
#41
○尾崎(末)委員 ちよつと問題が小さくなりますが、関連をしますからお尋ねしておきたいのであります。鉄道における集團的なすり、集團的な強盗、こういうものがだんだん殖えてまいつておるようでありますが、この傾向というものは國鉄料金の値上げによつて、さき申し述べました思想上の影響並びにインフレ等による影響、あるいはまた都会と疎開地を往復する人々の不便なる事柄等によつて、これらの犯罪が著しく増加をするのではないかと憂えておるのでありますが、大臣の所見はいかがであるかということと、こうしたことに対する何らかの対策を、鉄道としてもつていらつしやるかどうかということを伺いたいのであります。
#42
○岡田國務大臣 今日まで数回起つております集團的の強盗、すり等の事件ははなはだ遺憾でございます。これは今日まで鉄道は、大体におきまして國家の警察に主としてこれが取締り保護をやつてもらつておつたのでありますが、今日これらの事態に備えまして鉄道公安官法を制定することにいたしまして、ただいまの予定では約一万三千名の公安官を設置いたしまして、これが絶滅を期しておるのでございますが、何を申しましても尾崎さんの御指摘になられますように、ただいまの経済状態が非常に惡化いたしており、また思想が廃頽いたしておりますこと等によりまして、これが絶滅までには相当の時間と大なる努力、同時にまた鉄道を利用される方々、廣く國民の方々の御協力を得なければならぬ問題であると存じますけれども、われわれといたしましては、今後においても十分な努力をいたしてそのような不安を早く一掃いたしたいと考えております。
#43
○尾崎(末)委員 大臣のお氣持は十分にお察しができるのでありますが、今まで申し述べたことによりまして、法案第一條の四つの中のこの料金が公正妥当でないものだということは大体結論づけられるように思うのであります。意見は最後に申し上げます。かようになすべきことが十分に届かず、從つて國民が納得がいく方向に向つていない際に、かような大きな値上げをするということは、繰返して申しますが、いわゆる公正妥当でないと考えるのであります。いかによい案でありましても、その時期を間違えますれば、よい事柄がかえつて逆作用を生ずることは申すまでもないことであります。どんないい綿入れであつても、これを更に着たならば、はなはだ効果を発揮しない。氷水のどんなうまいものでも、冬に飲まされてはたまらない。いわゆる時期の問題であります。特にまた鉄道その他全官公廳の大爭議があつて、國民はこれらに対して非常な感情上のおもしろからざるものを含んでいる。こういうときにおいて、今申しますような大幅の値上げをするということは、重ねて申しますが、公正妥当に当るか当らぬか。こういうことについての意見は最後に申し述べることにいたしまして、第二の原價を償うものであるかないかということについては、先ほど同僚松本委員からもお話がありましたので省略をいたしますが、一つ附け加えますならば、百億を超える一般会計からの受入れをなさるというのでありますから、原價を償うということにあてはまらないということは、先ほど申された松本委員の言葉通りでありまして、百億に余るところの繰入れをするということによつて、これにあてはまらないということを申しまして、次に移つてみたいと思います。
 産業の発達にはたしてこれが資するか資しないか。昔と今との考え方、あるいは時代ということを考えてみて、ある程度かえなければいけないということは認めるのでありますが、從來の國鉄は、あらゆる時代において産業の発達に寄與するという点に重点を置いて運営してこられたように思うのであります。例をここに引いてみますならば、明治三十二年からずつと同率であつた運賃が、明治三十五年に一割引上げられ、また明治四十年には一割引下げられておる。爾來大正七年まで当時一マイル一銭六厘五毛というその運賃が堅持されてまいつた。しかるにこの間における大正三年から七年までの間におきましては、第一次欧洲大戰があつて、物價は著しく騰貴いたしております。三年に一〇〇%であつたものが、六年には三三六%というよう高い値上りがあつたにもかかわらず、一マイル一銭六厘五毛というものが堅持せられてきたというその根拠は、先申しますような産業の発展に寄與するということと、いま一つは、最初申し述べました國民の行動の上に簡素便益化をはかるという建前から、こういうやり方が堅持されてまいつたのであると私は見ておるのであります。その後昭和九年並びに十七年、十九年と値上げが行われた際におきましても、今回のごとき大幅な値上げはなかつた。こういう点は先申しましたような國鉄のもつ使命と性格、それから今の産業の発達に寄與するという考え方から運営をしてこられたやり方であると私は考えておるのでありますが、特に貨物の点において、今回の値上げにあたりまして、旅客運賃の値上げは非常に國民の感情にも影響するし、また実際の上にも影響するが、貨物の値上げは大幅にこれを引上げても大して影響がないかのような議論が盛んに行われておるようであります。特に國鉄の関係者の方によつてさようなことが言われておるようでありますが、これはまた過去にさかのぼつて考えてみますと、旅客の運賃は引上げても貨物の運賃は引上げないということによつて、いわゆる低物價政策に照應する運営をやつてきたという過去の経驗や、國策として貨物の運賃をなるべく低位に置くという観点からやつてこられたそれらの事柄と考え合わせてみまして、貨物の運賃の引上げをやることは、これは相当大幅にやつても別支えないんだという議論は、私どもはわが國鉄の上においてはあてはまらない議論だと考えるのであります。もとより産業の発達に資するということは輸送の上から考えますならば、第一に、できるだけ迅速に需要に應ずる、輸送をできるだけ多くやるということと、その預かつた荷物等をできるだけ確実に輸送する。しかもこれに変質損耗等がないようにやる。第三にできるだけ低廉な輸送料金で取扱う。第四に経済産業のための活動に必要な旅客、あるいは一般旅客を能率的に、しかも親切に輸送すること、この四つ以外にいわゆる産業の発達に資するというものは多くないように思うのであります。こういう点から考えてみまして、一体先おつしやるような國鉄の現状に考えてみて、今日の値上げというものが、ある程度なさなければいけないという切実な事情はわかるのでありますが、この産業の発達に資するという点から、今申しましたような事柄と考え合わせてみて、一体そうなら、この第三の産業の発達に資するという点について、どういうやり方でこれをなそうと言われるのであるか。その考えていらつしやる大きな事柄について伺いたいと思うのであります。
#44
○岡田國務大臣 まず最初に尾崎さんの言われました値上げをする根拠と、理由が立たないという中間の御結論でありますが、これらの理論に対する御解釈はあえて私はどうということを申し上げません、御自由でありますが、私らといたしましては、今回の値上げは理論に合し、また第「條第二項の四項目を参酌いたしまして、最上の適当の方策であると考えて出しているのであります。でございますから、その点におきましては、私は尾崎さんの御意見に御同意を申し上げることはできません。
 それから明治時代から大正時代にわたる國鉄経営の実情をお話になられましたが、運賃値上げにつきましては、仰せになりました通りであろうと存じます。しかしながら、これは最初に國鉄が出発をいたしまして、その経営技術、施設等が幼稚な時代におきまして、あらかじめ相当その当時としましては高率の運賃を制定しておつたと想像ができるのでございます。それが二十年、三十年と経つてまいりまして、技術も進歩いたし、また輸送量も増加いたしまして、だんだんそのコストが低位に赴いたという現状もこれを認めないわけにはいかぬのであります。しかして大正七年第一次欧州戰爭当時におきまして、相当に物價は上りましたが、それとても今日の現状と比べますれば、おそらく比較にならない倍率でございます。当時上りました倍率は今日まで記鉄のあることでございますから、それを比べましたらわかりますが、大体におきまして人の給料、労働者の日給などにいたしましても、一円二十銭くらいから、それが約三円五十銭ないし四円くらいになつてきたと、私は記憶いたしております。しかし今日のごとく六十倍とか七十倍とかいうようなことになつたのではございませので、当時の事情等をここにもつてまいりまして、比較することは非常に無理であると私は考えます。
 それからなお尾崎さんのお話によりますと、産業の発達に寄與するために、輸送力は十分に増強されなければならない。輸送の要請にこたえるように増送をやらなければならぬと一方において仰せられますが、まことにごもつともと存じます。ところがこの増送をやりますためには、設備の増加、あるいは労需物資の増加、あるいは人員の面におきましても、ある程度の増加をいたしまして、積極的に強化されなければ実現できない問題でございますので、その強化面において縮小をはかれという御議論と、増送をやれという御議論とは、多少食い違いがあるものと私は考えます。そこで今後におきましては、やはりこの四項目に掲げられておりますことをよく参酌いたしまして、今日の國家財政の現状にマツチいたしますごとく考えて進まなければならぬと思います。先に大藏大臣も答えられておりましたように、この四項目のうちの一つだけにこだわつて、これにあてはまらぬじやないかと仰せられましても、それに御同意申し上げるわけにまいりません。過渡期の今日といたしましては、この四項目をよく参酌をいたしまして、実情によくぴつたりと合いますような運賃政策をやらなければならぬと考えております。もちろん今日の現状においては不満足の線が一部にあると私が申し上げましたことは、われわれは謙虚なる態度でもつて國鉄の再建をはかり、最高の能率を上げまして、國民の多数の皆さんに納得をしてもらわなければならぬという反省から申し上げておるのでありまして、全面的に今日までの國鉄の経営が罪惡を犯しておつたのである、あるいはまた、ゆだんをしておつたのであるということに御解釈していただくと困るのであります。今日までも非常に努力してまいつておりますが、一番大きな原因は、終戰後の大なる物價の変動から來ており、思想の変化から來ておる問題でございますので、これらにつきましての指導、是正ということは、今後におきまして十分に努力していくつもりでおることを申し上げておるのであります。この運賃値上げが不適当である、今日の経営がはなはだしく不合理であつて、罪惡的であるということを認めておるのでは決してございません。そういう心組で今後の國鉄再建をはかりたいと思つております。
#45
○尾崎(末)委員 大臣の御答弁の中で、縮小をやれということと、増送をやれということとは合わないという御答弁がありましたが、私は設備その他における問題についての縮小をやれと申し上げたのでありませんから、その点は誤解のないように、ここに私から御注意を申し上げておきます。
 そこで先ほど質問を申し上げましたうちの、ただいまの御答弁によつて満足を得なかつたことをもう一遍繰返すのでありますが、先に申したように産業の発達に資するという点については、はなはだ私の考えをもつてしては薄弱なのだが、ただ一つこの輸送量を増すことによつてこの目的に相当資することができるのではないか、こう私は思うのでありますが、その産業の発達に資するための輸送量を増すことについて、どういう具体的な計画――ただいま大臣の言われたいわゆる合理化ということと、この計画と、この二つについての内容を伺いたいと思うのであります。
#46
○岡田國務大臣 今日のインフレを克服いたしますためと、物價並びに國民生活を安定いたしますためには、生産の急速な増強が要請されております。全國にわたりまして、相当滯貨がありまして、生産の増強を阻んでおります点をよく認識いたしまして、積極的にこれが増送をせなければならぬということを考えております。この点につきましては、尾崎君の御指摘に全然私は同感でございます。これから先増送いたします計画といたしましては、五箇年計画をもつて――皆さんに差上げてありますが、計画をいたしております。そのほかに五箇年計画以上に電化の促進を考えております。なお緊急問題といたしましては改良工事、あるいは電化工事等の工事着手中のものの完成を促進いたしますこと、それから機構の分離、いわゆる行政と現業の分離をいたしまして、現業は現業といたしまして、專門的に能率化せられますような体制といたしますこと、あるいはまた設備の機械化等を実現いたしたいという考え方から、今年も予算面におきましては別に御審議を願うことになつておりますが、ただいまではこの運賃関係のほかに、約二百十億円余の工事勘定を編成をいたしておりまして、まずこれをもつていたしまして、施設の改良、新設、電化等の事業をやりますこと、それから車輛を増加いたしますこと、また操車場その他の工機工場等の施設を改良いたしますこと等を計画いたしまして、御協賛を経ましたならば、実行をしてまいりたい、かように考えております。
#47
○尾崎(末)委員 「國有鉄道の赤字の原因と運賃値上の必要性」という参考資料の中に書いてあります中から拾つたものでありますが、これによつて四項目の御答弁を願いたいと思います。こちらの貨物輸送能力確保対策によりますと、國鉄の貨物の輸送は現在一日に三十万トンにすぎない。しかも國鉄の沿線には三百万トンの在貨がある。その在貨の背後にはなお一千数百万トンのまた在貨がありますと書かれておるのであります。このことは非常に重大なことであります。生産をする人の氣持の上から推しますならば、かような巨大な貨物の滯貨並びに在貨というものが鉄道沿線及びその背後に積まれてあるのを見ますところの生産人たちは、本氣になつて生産をしようという氣用になれない、こういう声をしばしば私どもは地方をまわつて耳にするのであります。ところがこの計画については具体的の計画ではなく、大体抽象的なことではありましたが、一應大臣からの御答弁を伺つたいたあります。この沿線にあるところの三百万トンの在貨、その背後にある一千数百万トンの在貨、こういうものをどういうふにに急速に処理せられようとする現在の計画があるのか、その点をひとつ伺つておきたいと思います。
#48
○岡田國務大臣 いつの場合にでも工場、事業場、あるいは山元などに若干の輸送力の不足があることは、これは常態でございます。今日のごとく山元、工場、事業場等に多数のストツクをもつておることは、まことに御指摘のごとく生産を澁滯させるものでございますし、ひいてはこの生産業者の金融を梗塞する結果にも相なります。これを早く一掃しなければ生産の増強の目的を果さないことは、尾崎さんの御指摘の通りでございますので、私らも非常に心配をいたしまして、政府部内の関係各省に対しまして、資材と資金を要望いたしまして、同時にまた從業員たちの労需物資等の増配も懇請いたしまして、今できるだけ配当をもらつておることでございますが、まずただいまといたしましては、貨車を十五トンから三十トン積みのものを四千五百輛活用しております。しかしまだこれでは十分とは考えておりませんので、あと数百台製造さしてもらうべく関係方面にただいま懇請中でございます。なおその他の施設を改良いたしますための鋼材初め枕木、その他のものの買入れ増加につきまして、いろいろと折衝いたしております。そういうふうにいたしまして、まずただいままで衰耗いたしており、また修繕をいたさなくて荒廃を放任されておりました鉄道の施設の改良ということ、車輛等の増強ということが大きな要素となつてまいります。同時にまた從業員に対する労需物資のごときも、危險作業をやつております者たちに、たとえば手袋にいたしましても、一箇年に四、五足しか配給にならぬという関係、あるいはまた一日に何十キロも歩かなければ任務を盡されないというような轉轍、操車場の仕事などに対しましても、地下足袋が年に一定くらいしか渡らないというような状況で昨年は経過いたしました。今年はいろいろ商工省、安定本部などにも懇請をいたしまして、よほど増配をしてもらうことになつております。ここでお願いいたしたいのは、日本の経済の再建、それの最大の要因であります生産の飛躍的増強ということは、尾崎さん御指摘の通りに、鉄道輸送の増強ということが実現いたしませんと――いわゆるただいま申されましたプラツトフオーム、並びに工場、事業場、山元等の滯貨を減少いたしまして、生産意欲を向上いたしませんと、実現されないというような重要な状況になつておるのでございます。このために政府はさきに閣議で輸送事業、特に國鉄を超重点産業として指定をすることにいたしたのでございますが、しかし今日のこの困難なる経済の現状下におきましては、十分の資材、労需物資等が思うように配給がいただけないというような苦しい現状にもございます。それらの点におきまして、石炭あるいは電力と変らないことく鉄道を見ていただきまして、國会におかれましても資材の面、資金の面、あるいは設備の面等につきまして、十分な配当がなされますように、御支援をお願いいたしたいと思います。
#49
○尾崎(末)委員 ただいま御答弁を伺いました中で、安本長官その他にもその点についてもつと伺いたいこともありますので、その点を保留いたしまして、この御計画の中に、鉄道の方に現在多く託されているところの品物の中で、鉱石、石炭等のかさ高な物資は、なるべく海運の方にまわしたいというような御計画があるということを伺つておつたのであります。まことにこれはもつとも計画だと思うのでありますが、さような御計画は具体的になつているのかどうか。つつこんで申しますならば、船の方にまわしたいというのであれば、船舶の関係業者、もしくは船舶運営会等に対して総合的な計画を立てておられるかどうか。その点についての内容をお伺いいたしたいと思います。
 ついでにもう一つ、貨車その他の修理、建造等のために多大の電力を必要としたのであるが、二十二年度にはその電力不足のために著しく支障があつた、こう聽いているのでありますが、それならば本年はこれらの点について支障がないように、あるいは発送電会社なり、あるいは発送電の機関なりと一緒に、総合的な計画を立てておられるのであるかどうか。立てていらつしやるならば、その内容を伺いたい。この二つを伺つて、その余はあとに残すことにいたしたいと思います。
#50
○岡田國務大臣 石炭、鉱石等の大量貨物をできるだけ海上に轉移いたしまして、國鉄のこの苦しい能力を助けていくという考えをもちまして、今年度におきましては海上輸送千四百万トンを想定いたしました。なおできるならば若松、戸畑あるいは室蘭、小樽等の石炭荷役設備の復旧を速やかにいたしまして、できる限り船舶を活用する方にもつていく。なお貨物の海上轉移につきましては、運賃関係もございますので、これが運賃繰作のため適正な評價をとりませんと、海上に轉移せられぬ関係もございます。そういう関係から、まず汽船はただいま統制配船をいたしておりますし、赤字は國家から補助していただいておりますが、機帆船その他の運賃につきましては、この鉄道運賃が國会によつて決定せられました上において、適正な運賃を定めたいと考えております。
 それから電力問題の関係でございますが、國鉄におきましても信濃川に自家用発電所をもちまして、相当な発電をいたしております。なおその後この発電施設の増強計画がございまして、それはお手もとに差上げてあります五箇年計画の中に含まれておると存じますが、今年度の具体的のさしあたりの計画につきましては、ただいまその当局の者が参つておりませんし、私もはなはだ遺憾ではありますが関係をいたしておりませんので、これは後刻の機会に電氣局長から説明をさすようにさせていただきたいと存じます。
#51
○尾崎(末)委員 それでは私のあとの質問は保留させていただきます。
#52
○松本(一)委員 大藏大臣と、もう少しつつこんで質疑應答をいたしたいと思いましたが、残念ながら時間の関係上許されません。かつ今後大藏大臣の出席ということは容易でないと思いますので、特に運輸大臣にお願いいたしておきたいと思います。これからしばしば閣議に臨まれる機会ごとに、この点は強く運輸当局として御主張願いたいと思いますことは、先ほど大藏大臣の答弁にもありました、國鉄は國営事業である、國営事業に対して國が補助とか助成するというのはおかしいと思う、ゆえに独立採算制で、というようなお言葉であつたのであります。國営事業であるから、國が助成するとか、補助するということはおかしいことは当然でありまして、本來なら助成、補助などという言葉は、この際使うべきことではないのであります。國営事業であるから、國が負担すべきが当然である。ゆえに石炭補給金なども、國鉄に関しては補給金を出すということがおかしいので、本來なら政府が石炭を買つて國鉄にあてがうというのでなければならぬ。ゆえに先ほど申しましたように、これまで黒字の時代は特別会計から一般会計へずいぶん繰入れておつた。敗戰の結果赤字になつたのだ。それは國全体が負担すべきである。ひとり國鉄のみにその責任を負わし、ひいては乘客あるいは貨物に負担をかけさすということが間違つておる。ですから何かの財源を生み出して、一般会計から当然繰入金をして、そうして運賃の値上げによつて負担をさせるようなことのないように、閣議で御盡力をお願いいたしたい。根本的にお考えになつて、運輸大臣は今後特別の御盡力を私どもとしてはお願いいたしたい。そうして國民全体が納得のいく官業にしていただきたい。こういうことを強くお願いをいたします。
#53
○佐伯委員長代理 ではこの際お諮りいたしますが、大分時間も経過いたしておりますので、本日はこれにて散会をいたしたいと思いますが、いかがでしよう。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○志賀委員 一昨日私も質問をいたしましたが、この次にやはり継続いたしたいと思いますから、お含みおきを願いたいと思います。
#55
○佐伯委員長代理 それでは明十六日午前十時より開会いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後零時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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