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1947/09/23 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第35号
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1947/09/23 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第35号

#1
第001回国会 本会議 第35号
昭和二十二年九月二十三日(火曜日)
    午後二時十六分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第三十四号
  昭和二十二年九月二十三日(火曜日)
    午後一時開議
 第一 大藏省預金部等の債権の條件変更等に関する法律案(内閣提出)
 第二 開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第三 農産種苗法案(内閣提出、参議院送付)
 第四 重要肥料統制法等を廃止する法律案(内閣提出)
 第五 自由討議(前会の続)
    ―――――――――――――
#2
○副議長(田中萬逸君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 第一 大藏省預金部等の債権の條件変更等に関する法律案(内閣提出)
#3
○副議長(田中萬逸君) 日程第一、大藏省預金部等の債権の條件変更等に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長北村徳太郎君。
    ―――――――――――――
    〔北村徳太郎君登壇〕
#4
○北村徳太郎君 ただいま議題となりました、大藏省預金部等の債権の條件変更等に関する法律案につきまして、財政及び金融委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 まず、政府原案の要旨について申し上げたいと思います。第一に、預金部資金並びに簡易生命保險及び郵便年金特別会計法の積立金の運用によりまする資金の融通を受けた者が、災害その他やむを得ない事情によりまして、元利金の支拂が著しく困難となつたものにつきましては、大藏大臣または逓信大臣が預金部資金運用委員会または簡易生命保險及び郵便年金事業委員会に諮りまして、公共の利益のためにそれが必要であると認めた場合に限つて、債権の中間据置きまたは償還期限の延長を行う等の方法によりまして、融通條件の変更又は延滯元利金の支拂方法の変更をなし得ることといたしまして、資金の適切な運用を事情に即應させようとするものであります。
 第二は、いわゆる経由貸付の方法によるものでありまして、すなわち資金の融通を行つたものについて、戰時補償の打切り等の結果、特別経理会社に該当する場合、その他やむを得ない事情によつて、直接融通先がその最終貸付先からその債権の弁済を受けることができなくなつた場合においては、当該直接融通先の大藏省預金部等に対する債務を免除する必要を生ずるのでありまして、これがため必要な法的措置を講じようとするものであります。
 本案は、八月六日本委員会に付託せられまして、愼重審議いたしましたが、問題となりましたのは、融通條件及び支拂方法の変更をなす場合に、必ずまず最初に預金部資金運用委員会の意見を聽きまして、しかる後に主務大臣が公共の利益のため必要があると認めた場合に限る、すなわち、まず委員会の意見を聽くということ、その順序を誤らないことが、きわめて重要であるというのでございます。
 それには、原案を修正いたしまして、その條文の表現を一層明確にするよう改めることが適当であるということに委員会の意見が一致いたしまして、社会党の島田晋作君より、次のような各派共同の修正案が提出されました。今修正案を朗読いたします。
 大藏省預金部等の債権の條件変更等に関する法律案修正案
 第一條を次のように改める。
 預金部資金の融通を受けた者が、災害その他特殊の事由により、元利金の支拂が著しく困難となつたときは、大藏大臣は預金部資金運用委員会の意見を聽いて、公共の利益のため必要があると認める場合に限り、その融通條件の変更又は延滯元利金の支拂方法の変更をすることができる。
こういうのであります。
 次いで採決の結果本修正案は全会一致をもつて可決いたしました。修正部分を除く原案につきましても全員の賛成がありまして、本案は修正可決と相なりました。
 なお、この法律に関しまして、政府は政令を出すことになつておりまして、目下立案中であるとのことでございましたから、本案審議のための参考として大藏省より右政令要綱案について説明を聴取いたしたのでありますが、それは会議録に讓ることにいたしたいと思います。以上、きわめて簡單でございますが御報告申し上げます。(拍手)
#5
○副議長(田中萬逸君) 採決いたします。本條の委員長報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○副議長(田中萬逸君) 異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
 第二 開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第三 農産種苗法案(内閣提出、参議院送付)
 第四 重要肥料業統制法案等を廃止する法律案(内閣提出)
#7
○副議長(田中萬逸君) 日程第二、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案、日程第三、農産種苗法案、日程第四、重要肥料業統制法等を廃止する法律案、右三條は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長野溝勝君。
    〔野溝勝君登壇〕
#8
○野溝勝君 ただいま議題となりました三案につきまして、簡單に御報告申し上げたいと思います。
 まず第一の開拓者資金融通法の一部を改正する法律案に関し、農林委員会付託にかかる該法律案審議の概要を御報告いたします。
 本改正案の提出にかかわる政府提案理由は、次のごとくであります。さきに九十二議会において通過いたしました開拓者資金融通法に基き、政府は開拓者に対する農業経営資金並びに住宅建設資金として、昭和二十一年度において約四億円、昭和二十二年度第一・四半期といたしまして三億八千万円を貸付けたのであります。しかし、これによりまして経済的更正がなかなか容易でなかつたのであります。よつて政府におきましては、開拓地における不利な現在の環境ないしは現在の開拓者の不安定の地位等々を勘案し、この際一層強固なる経済的基盤を設定し、現下のインフレーション段階に対処し、もつて農業経営の安定をはかるため、その生産物を加工するに必要な共同設備の設定資金を融通し得る途を講じたのが理由であります。
 本法案の骨子ことなるものは、現行の開拓者資金融通法の一部を改正し、開拓者の組織する法人に対して、長期低利の均等年賦償還の方法によりまして、二十万円を限度として政府資金を貸付け、かつこの貸付金に対しては、一箇年間無利子措置期間を設けることとしたものであります。
 本改正案は、開拓者資金融通法制定以後における経済事情の変動に應じ、開拓者の農業経営における協同化を促進し、その経済の安定をはかり、もつて開拓計画の円滑なる遂行を期するという点に重点があるのでありまして、適切妥当なるものと認め、委員会におきましては、これを可決した次第であります。
 次に、同委員会に付託になりました農産種苗法案の審議の経過のあらましを御報告いたします。
 本案提出にかかわる政府提案の理由といたしますところは、農業生産の根幹をなす農産種苗の品質の保持向上ををはかり、もつて働く農民の利益を擁護し、國内農業生産の増強に貢献すると同時に、園芸種苗等の海外輸出の振興に役立てようというのが趣旨であります。
 その内容といたしましては、農産種苗を賣買しようとする者は、所定の事項を地元の市町村長に届け出ることによつて任意に種苗業者となり得るのであります。但し、その業者が種苗を販賣せんとするにあたつては、品種、生産地、採種年月、発芽力、病害虫の有無等に関する表示又は保証票の添付を必要とし、違反行爲に対しましては、農林大臣は、表示の変更、販賣の禁止あるいは処罰をなし得ることとしているのであります。しかしながら、一面優秀な新品種または新系統の種苗を育成することに成功したものに対しましてはその相続人に対して特権を與えることになつているのでございます
 本案に対して、國民協同党の萩原委員より、農民は自己の採取せる種苗を任意に販賣して差支えなきやとの質疑がありました。政府委員から、農民が採取したものを賣ることはあえて差支えないということの答弁がありました。
 本法案は、農村における不正種苗の跋扈を抑圧することによつて、農民を不測の損害より保護し、併せて農民の創造力により優良種苗の育成を獎励し、その海外輸出を振興し、もつて現下の緊急問題たる食糧生産の増強並びに貿易振興、外貨獲得に貢献するところがあるという点において、時宜に適したるものと認めまして、委員会におきましては、満場一致これを可決した。次第であります。
 次に、重要肥料業統制法等を廃止する法律案でございますが、該法律案は、昭和二十二年法律第五十四号による私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律制定の趣旨によつて提案されたものでありまして、本案はその提出の経緯に鑑みまして当然の法案と認め、これは質疑を省略いたしまして、委員会におきましては可決した次第でございます。この段、簡單でありますが、御報告いたします。(拍手)
#9
○副議長(田中萬逸君) 三案を一括して採決いたします。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて三案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 水害に関する木村國務大臣の報告
#11
○副議長(田中萬逸君) 水害について報告のため、内務大臣より発言を求められております。これを許します。内務大臣木村小左衞門君。
    〔國務大臣木村小左衞門君登壇〕
#12
○國務大臣(木村小左衞門君) 去る九月十八日の本会議におきまして、とりあえず今次水害の概要と應急対策について御報告いたしたのでありまするが、その後水禍は予想外に拡大し、その被害もきわめて甚大でありまするので、その後の状況につき本日までに判明いたしました点につきまして、御報告申し上げたいと思うのでございます。
 今次水害は関東を中心とし、東北・信越地区に及ぶ廣汎な地域にわたり、近年にない大規模なものでありまして、殊に北上川の堤防決壊による岩手、宮城兩縣下の被害及び利根川筋栗橋上流地点の堤防決壊による埼玉・東京の被害は、深刻を極めておるのであります。以下、特にはなはだしい埼玉・東京地区における水害の状況について申し上げたいと思います。
 栗橋上流地点において決壊した利根の氾濫水は、刻々埼玉を経て東京都に迫り、東京都においては、葛飾区地内の小合溜及び大場川の線、いわゆる櫻堤において必死の防衛に努めたのでありまするが、溢れて流れまする水は刻々増水いたしまして、遂に江戸川の水位よりも高くなつたことが確認せられましたので、十七日の午後六時ごろ、東京都より、この江戸川の堤防を人爲的に破壊し、このあふれましたる水を江戸川に切り落すべく承認を求めてまいつたのであります。内務省におきましては、この江戸川切落しの措置につきましては、対岸千葉縣市川・行徳方面との関係もありまするので、すでに千葉縣とも連絡いたしておつたのでありまするが、同日午後七時過ぎ、四囲の状況を察し、ただちに江戸川の切落し承認を與えたのであります。よつて東京都におきましては、進駐軍の援助をも得、ただちに作業を開始いたしましたが、現地作業は困難を極め、実際通水いたしましたのは十八日午後の三時過ぎと相なり、櫻提の決壊を防ぐに至りませんでしたことは、まことに遺憾にたえない次第でございます。
 さらに中川、ついで綾瀬川の水量が刻々増水し、危險に瀕しましたので、これらの水を荒川放水路に切り落すため、荒川放水路との間の背割堤の人爲的破壊について東京都より相談を受けたのでありますが、この背割堤の破壊は、一時的には効果があるように見えましても、さらに愼重に考えますると、河川の水位・水量の点から見まして、むしろ中川・綾瀬川の水の流下を完全に閉塞するどころか、逆に荒川放水路の水が逆流するおそれがありまするので、現実の効果より弊害の方が大きく予想されましたので、これが人爲的破壊については、かかる事情を十分に考慮の上決行すべく、東京都に対し概括的な承認を與えたのであります。かくて都におきましては、十九日午前九時、中川、荒川間の背割堤の破壊作業を決行いたしまして、決死の努力の結果、二十日の午前五時三十分にこれを完了いたしました。さらに綾瀬川、荒川放水路間の堤防破壊は二十二日五時より開始せられ、二十三日午前零時これを完成いたしました。
 かくのごとき滔々たる濁流に抗しつつ官民不休の作業を続けてまいつたのでありまするが、自然の猛威は人爲を絶し、遂に十九日午後三時五十分、櫻堤は決壊し、中川右岸、常磐線鉄橋附近の堤防また決壊し、濁水は猛然と都内に侵入し、綾瀬川及び江戸川の中間たる葛飾、江戸川の両区一帶を南下し、現在江戸川区南部を東西に走る新川の堤防において、ようやく止まつておるような次第であります。ために、葛飾区及び江戸川区一帶は、水深平均床上四、五尺ぐらいであり、二十一日より二十二日の朝にかけ、約三、四寸増水しましたが、各所の堤防切開の効果が現われましたものか、今朝來四、五寸ぐらいの減水を見つつある現状でございます。
 以上のごとく、今次水害は関東において最も激甚を極めたのでありますが、その被害は、関東、東北、信越、北海道、北陸等ほとんど裏日本一帶にわたつておるのでありまして、その全國の被害の状況につき、目下全國にわたり判明いたしておる点について説明いたしますると、人的の被害は、死者が九百五十八名、傷者が一千五百七十四名、行方不明者が一千二百六十六名、家屋倒壊が五千七十七戸、流失五千百三十三戸、浸水四十三万三千五百九戸、田の流失が三千三百九十三町歩、冠水が十八万一千八百九十町歩、畑の流失が三千二百二十三町歩、冠水が八万四千三百九町歩であります。その他道路・堤防の決壊、橋梁の流失、鉄道の不通等、その被害は各方面にわたり、目下これが損害と実情の把握に力を盡しておる次第であります。
 次に、政府の目下とりつつある緊急対策について申し述べたいと思うのであります。以上のごとき水害に対し、その万全を講ずるため、中央においては、先般御報告申し上げました通り、内閣に應急救助対策委員会、災害復旧対策委員会等を設けまして、各省間の緊密なる連絡をはかり、その主管に属する事柄につき、係官を動員して対策を講じつつあるのであります。
 まず應急救護対策でありまするが、これは被害のはなはだしかつた都縣におきましては、進駐軍と緊密な連絡をはかりつつ、避難者の救い出し、給食、給水等に警察、消防隊の総力を集中し、また舟艇も多数出して、あらゆる努力を傾注いたしております。かくて、一時茫然自失しておりました地方民も、ようやく氣力を回復し、救助作業に協力をいたし、各地において活発に行われておるのであります。埼玉・東京地方の浸水地帶に対しましては、浸水は相当永引くものと予想されますので、現在区域内の家屋等に残存しておる避難民は、でき得る限り安全地帶の收容所に移駐させることを方針といたしまして、救助作業を進めております。
 次に應急工事について申し上げます。應急復旧土木工事は各地において始められておるのでありまするが、最も問題でありますのは、利根川の破堤であります。破堤いたしました以上は、一日も速やかにこの破堤個所の締切を完成することが最も急務中の急務でありまして、あらゆる対策の先決問題であります。流速・水深等の関係上、ただちに着手することは不可能でありまして、まず所要資材の蒐集に全力を集中いたしました。すなわち、空俵が四万俵、くいが四千本、鉄線が十七トン、じやかごが十六トン、十メートルの長さの丸太が四百本、石材が四千五百石等の手配を了しまして、現に続々と現地に到着いたしつつあるのであります。資材の到着とにらみ合わせまして、去る二十日より締切工事に着手いたしておりまするが、おおむね二十日間に、一應の締切りはぜひとも完了いたす見透しであります。なおこの際、この締切工事が一日を爭う重大工事になるに鑑み、内務省直轄の工事のほかに、十分に民間の建設力の協力を得て、死力を盡して工事の促進を期しておる次第でございます。
 次に、災害復旧工事について申し上げます。これは應急工事が片ずき次第着手することになりますが、今次の災害は相当大きなものでありましたので、未だその全貌をとらえることはできないのであります。地方よりの報告等を総合いたしますると、都道府縣工事として約六十五億円、直轄工事として約十億円、計七十五億円と予想しておりますが、もちろん、この数字はただの推算でありまして、後日正確な調査ができましたときには変るものと思うのであります。
 なお、利根川の栗橋上流地点における決壊の結果、大惨害もたらしましたことは、実に痛恨にたえない次第であります。決壊の原因につきましては、今後なお調査を要するものもありましようが、今日までに調査をいたしましたところでは、まず第一に降雨量がきわめて多量であつたことであります。すなわち、利根水源山地における降雨量は、少くとも三百ミリない至四百ミリであり、途中では実に六百ミリに及んだ地方すらあるのであります。次に、利根本流流域と渡良瀬流域とが同時に降雨をもたらしまして、両川の大洪水量が同時に流下いたしましたことも、今次の洪水の特異点であるのであります。さらに、洪水の増水速度が著しく早かつたことが指摘されます。すなわち、利根川のごとき大河川におきましては、從前その増水は一時間に三十センチ程度であつたのでありますが、今次は、実に一時間約一メートル程度の速度をもつて増水いたしたのであります。さらに、洪水が從前にも増して土砂の流失を伴うに至つたのでありまするが、これらは、水源山地における過伐の結果、山はだが荒れ、また降雨が山林によつて貯溜されることなく、一氣に流下することに起因する結果と考えられます。かかる原因によつて、栗橋における水位は、計画高水位七メートル五五に対し、明治四十三年の六メートル六四、昭和十六年の八メートル二六に比しまして、実に今回は八メートル九九に達し、栗橋附近の計画洪水流量一万立方メートルなるに対し、推測一万二、三千立方メートルに達し、遂に破提を見るに至りましたことは、実に遺憾至極に存じる次第であります。
 最後に、地方團体に対する金融措置について申し上げます。災害のため必要な資金につきましては、とりあえず地方金融機関より一時融資せしめることにいたしました。これが余力のない場合には、日本銀行より資金をまわすことといたすべく、関係機関と連絡済みであります。また災害復旧については、災害の状況、地方團体の財政状況を勘考いたしまして、災害対策委員会において十分協議の上、國庫補助をいたしますることを考慮いたしております。さらに災害復旧の起債につきましても、大藏省などと十分な連絡上、遺憾なきを期しております。
 以上、今次災害の状況並びにその対策について申し上げましたが、二十日の本会議におきまする島上議員の御質問にの件つきましては、この報告中に包含いたしておりますので、別に御答弁を申し上げませんから、御了承を賜わりますようにお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 水害に関する一松國務大臣の報告
#13
○副議長(田中萬逸君)  水害について報告のため、厚生大臣より発言をもとめられております。これを許します。厚生大臣一松定吉君。
    〔國務大臣一松定吉君登壇〕
#14
○國務大臣(一松定吉君) さきに御報告申し上げました続きを報告さしていただきます。
 まず一般救護対策より御報告を申し上げます。埼玉、東京都方面における冠水地帶の救護につきましては、第一に必要なものは船でありますので、これが調達には、運輸、農林、内務等関係各省と協力いたしまして、最も努力をいたしましたのでございますが、ただいまのところ、埼玉縣には百五十隻から百七十隻、東京方面には四百五十隻から五百隻ぐらいの船が動いておるようでございます。一應の手当はできておりますが、今なお不足の状態であります。なお、右活動中の船の中には、進駐軍当局の御好意による相当多数の米船を含んでおることを御報告を申し上げます。
 また救援物資につきましては、厚生省といたしましては、罹災府縣の要請を待つことなく、一應の見込数量を農林、商工両省に要請いたしまして、その準備を願い、府縣の要求に應じて逐次放出をいたしましたが、別にとりあえず厚生省として、左の措置をとつたのでございます。前回に申し上げました被服類が約四万点、食器類が約一万七千点は、二十日トラックにて関東四縣に送達済みでございます。ララ物資、これにつきましては、食糧が三十八万七千ポンド、石けん一万八千ポンド、衣料五百ペールス、ララ物資委員会の好意によりまして、昨日から逐次発送をいたしております。近縣には、昨日すで到着いたしたことでございます。
 冠水地帶の救護の実情からいたしますと、残留いたしておりまする人々の要求は、まず何よりも先に飲料水だということで、これには特に力を注ぎまして、東京都におきましては、都、警視廳おのおの給水班を特設して活動いたしております。埼玉・東京の罹災者の一部は、千葉、茨城両縣下に避難しておりますが、両縣知事に指令を発しまして、救護に遺憾のないように指示いたしました。千葉では約七万の東京の罹災者を收容いたしております。また日本赤十字社、同胞援護会等これらの関係團体も、救護班の派遣、手持物資の放出等をいたしまして、全力をあげて協力いたしております。なお日本赤十字社は、民間有力社会事業・宗教團体に呼びかけまして、共同して義捐金の募集を全國的にやることになつております。G・H・Qとは常時緊密なる連絡をとりまして、舟艇・物資等の配慮を得つつございます。
 厚生省が幹事役を勤めておりまするところの應急救助対策委員会、これの幹事会等は連日活動中でございます。関係各省は、それぞれの措置につきまして連絡調整をはかりまして、事案によりましては、席上即決、果断にこれが相当の措置をとつて、適当なる効果をあげております。去る二十日第一回の幹事会におきまして、たまたま上京中の岩手縣内務部長から、同縣の三陸沿岸地帶の食糧緊迫の事情を訴えられ、二千トンの食糧を大船渡・宮古・釜石・鮫港に発送することに相なりました。
 防疫対策を申し上げますが、傳染病患者の発生は未だ僅少でありますが、下痢患者はだんだんに増加いたしてまいりまして、埼玉縣方面には、約三千名の下痢患者の発生を見ました。そのうち、診断の結果赤痢と決定されました者は、まだ数十名にすぎないのでございますが、今後十分なる警戒を要するものと考えて、これが防衛に努力いたしております。さらし粉三十トン、クロールカルキ三十トン、クレゾール八トン、淨水錠二百二十五万錠、これを東京・埼玉・栃木・茨城・群馬等に送りました。そうして飲料水の消毒と住宅の消毒のために、すでに送付済でございます。下剤及び赤痢の特効薬として、スルフアダイヤジンを五十七万錠配付済でございます。D・D・T液剤四万三千ガロン、D・D・T粉四万ポンド、ワイル氏血清、ガス壊疽血清、破傷風血清等、三十万人分を用意しております。下痢患者に対しては、特に重点をおき、これが簡易隔離所の設置をいたしております。今後実地いたしまする收容者に対しましては、健康診断を嚴重にいたしまして健康者と下痢患者とを区分いたして取扱うことにいたしました。防疫資材に関しましては、数百トンのクロール石灰、クレゾール、D・D・T等をただいま手配中でございます。腸チフスその他の流行病を防ぎまするために、全水害地に健康診断及び予防注射を実施中でございます。
 救護班について御報告申しますが、國立病院、療養所等から二十一班、東京都の患者送院班が百五十班、消毒班、患者発見班が百四十班、救護班が百五十三班、赤十字社の救護班が十六班、そういうようなものが目下活動中でございます。
 また防疫職員といたしまして、医師が百五十名、事務員が三百名、これらの者がそれぞれ現地において活躍いたしております。九月二十一日に、予防局長、事務官三名、技官二名が、埼玉・東京等の現地に出張いたしまして、指導に当たつております。また防疫官五名、事務官五名が、埼玉・茨城・群馬・栃木・宮城・岩手に出張いたして、それぞれ現地において指導いたしております。そのほか、二十一日に片山総理大臣が埼玉縣に出張いたしましたときに、相当の藥品を御携帶願いまして、現地に配布いたしました。林國務大臣が、ごく最近東北地方を観察慰問するはずでございまして、これまた相当の藥品の携帶をお願いすることに、ただいま取計らい中でございます。これらのことを、とりあえず御報告を申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
#15
○副議長(田中萬逸君) 水害について報告のため、農林大臣より発言を求められております。これを許します。農林大臣平野力三君。
    〔國務大臣平野力三君登壇〕
#16
○國務大臣(平野力三君) 九月十六日以降生じました鉄道の切断状況等に鑑みまして、主要食糧の供給輸送につきまして、鉄道及び海運当局と連絡をつけまして、大体京浜地区に関しまして、左に述ぶるような処置をとつたのであります。
 まず早場米につきましては、九月分の新潟・富山・石川縣よりの輸送については、一部は信越線・高崎線によりまして、そのほか大部分は米原を経由いたしまして、東京向け輸送をすることとなりました。富山縣において買上げました約六千石は、すでに優先的に発送することといたしまして、この旨二十二日に指令を発しましたのであります。また上越線・東北線の不通が長期にわたりまする場合におきましては、十月分の本格的輸送については、新潟・酒田港に汽船をまわしまして、なお信越線からは臨時の貨車を強化する等の方法によつて、大体早場米に関しましては、その完遂をする見込みを立てておるのであります。
 次に輸入食糧の点については、京浜間の海陸の輸送路は確保されておるのでありますが、栃木・茨城の一部におきましては、殊に群馬縣下に散在いたしまするところの工場の運輸については、相当苦心をいたしておるのでありまして、この点については、加工原料の供給及び製品の搬出に関して、鶴見から大宮・熊谷・羽生・館林・小山等を迂回することといたしまして、その第一列車は、二十一日、約七百トンの原料を積んですでに出発をいたしました。千葉縣下に所在いたしておりますところの船橋・松戸等の工場に対しては、横濱から行徳あるいは市川までの船便により、それ以降はトラツクによりまして、一日三百トンの計画を進めておるのであります。神奈川県縣下及び高崎沿線の各工場については、すでに開通いたしておりますので、この点はご安心を願いたいと思います。
 罹災者用の乾パンといたしまして、愛知・大阪・三重・京都等から、今日まで少くとも八千箱急送するように手配をいたしておるのであります。以上、御報告いたします。(拍手)
     ――――◇―――――

 水害緊急対策に関する緊急質問(中嶋勝一君提出)
 関東地方大水害に関する緊急質問(今村忠助君提出)
 関東地方水害の予防措置に関する緊急質問(石田一松君提出)
 水害対策に関する緊急質問(佐々木更三君提出)
 水害対策に関する緊急質問(受田新吉君提出)
 水害対策に関する緊急質問(綱島正興君提出)
 水害に対する各官廳の対策方法統一に関する緊急質問(林百郎君提出)
#17
○叶凸君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、中嶋勝一君提出、水害緊急対策に関する緊急質問、今村忠助君提出、関東地方大水害に関する緊急質問、石田一松君提出、関東地方水害の予防措置に関する緊急質問、佐々木更三君提出、水害対策に関する緊急質問、受田新吉君提出水害対策に関する緊急質問、綱島正興君提出、水害対策に関する緊急質問、林百郎君提出、水害に対する各官廳の対策方法統一に関する緊急質問を逐次許可せられんことを望みます。
#18
○副議長(田中萬逸君) 叶君の動議御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加されました。
 水害緊急対策に関する緊急質問を許可いたします。提出者中嶋勝一君。
    〔中嶋勝一君登壇〕
#20
○中嶋勝一君 今回東北並びに関東を襲いましたところの大水害にに対しましては、ただいま関係大臣の御報告によりまして了承することを得たのでございまするけれども、私はこの御報に告満足することができませんので、本壇上を拝借いたしまして、民主党を代表いたしまして、緊急質問をいたします。そうして関係各大臣の熱誠あふるるところの御答弁をいただくことによりまして、この廣範囲にわたりますところの被害地のあの人々の復興活動を迅速ならしめ、しかして、この國会を通じて、その眞相を全国民に知らせ、そういたしまして、前車の覆えるを見て後車の戒めとしたい、すなわち、治水治山等の問題に関しまして、全國民の奮起を促したいと存ずるのでございます。
 去る十五日利根川の堤防を決潰したところの濁流は、遂に櫻堤・中川提を乘り越えて東京に侵入し、葛飾・江戸川・足立三区の大部分が甚大なる被害をこうむつたことは、今さら申し上げるまでもなくご承知の通りでございます。この被害者に対しては、政府はできるだけ急速に救援・復旧・防疫、さらに流失いたしました箇所に対しまして、治山治水等についても万全の策を期せられなければならないと思うのでございますが、今回の水害に対し、きわめて遺憾といたしまするところは、内務省当局の処置を見るに、ことごとく、もちまえの官僚主義にとらわれて、臨機の手段を施さず、最小限度の被害で済むべきものを、最大限度まで拡大されたという、非難囂々たる叫びのあがつておることを、きわめて遺憾に存ずるものでございます。
 私は、一昨二十一日、日曜日を利用いたしまして、この決壊場所を視察に参りました。あの埼玉縣当局の報告によりますると、延長五十三メーター、水深四十三メーターと申しておりました。ところが、私はあまりにその水深の度が多過ぎるように思いましたから、それは間違いではないかということを再三尋ねたのでありますけれども、四十三メーターに間違いはないと申しております。しかして、あの大渦を巻いて流れておるところの水、それはそのはずでありまして、あの大利根川が全然流域を変更して、從來流れておつたところは河原のようになつてしまつて、今の決壊した箇所が本流に変つておるのでございますから、その水量の激甚であることは、想像がつくと思うのでございます。
 しかして、これだけの大決壊をしたのでありとするなれば、ただちに下流に対して避難命令を出さなければならぬ。ところが、私は亀有に避難をいたしたのでありますが、避難命令というものは亀有に出ておりません。十六日の夜中の満潮時をどうかこうか切り抜けたら大丈夫だろう、十七日もその通り、十八日もその通り、十九日もその通りでありまして、もう大丈夫だと言つておりましたところが、二十日の晩の午前二時五十四分ころに、亀有の警察署の附近が大決壊をしたから、ただちに避難するようにというので、がんがん半鐘を鳴らして警報がはいりました。そうして午前七時四十六分の亀有駅の発車で、もう汽車はおしまいになつたのでございます。私はこの最終列車に乘つて避難いたしたのでありますけれども、このときには、もうすでにして水はあごに達するという状態で、まつ裸になつて、頭に重要書類を入れたふろしき包を載せた人々が、幾十人となく列車に乘つておつたのでございます。しかしながら、乘り得なかつた者がどれだけおつたろう。これは六日も前にわかつておつたことであるから、そのときに避難命令を出したならば、ああしたところの大被害はこなかつたのではなかろうか、つまり内務当局が、あまりにもこの現状を軽視しておられたのではないだろうか、私はかように思うのであります。
 しかして、今後せき止めがどのくらいでできるかということを聽きまするときに、きのう厚生委員会において、厚生省の社会局長の説明を聽いてみますると、内務省と交渉して聽いたところが、一週間でせき止めができるということだということを、社会局長が言明しておる。
 私は素人でありますけれども、私はあの関門海峡の小瀬戸の締切工事を監督してやらした。あの小瀬戸ですよ、あの小さい瀬戸――しかして、これは海と川との差はありますけれども、しかしながら海では満潮時には潮流は非常にゆるくなつてくる。それであるにもかかわらず、あのせき止め工事に七回失敗いたしまして、八回目に外國の技術家を招聘して、ようやくせき止めに成功した。あの潮流をせき止めるのに最後に成功したのはどうしたかというと、食違いの鉄板を打ちこんだ。長い鉄板を打ちこんで成功したのでありますけれども、しかしながら、その鉄板を打ちこむには技術を要する。これは、きようは時間がないから私は申し上げませんが、内務省の技術家は良く御承知のことと思いますけれども、これだけの大工事をやらなければ、あの完全なせき止ができない。しかして、これをやつておかぬ限りは、再び三たびあの決壊を來すでございましよう、してみたときに、これは実に重大なる難工事であると私は考えておる。
 でありまするのを、一週間でどうして簡單なせき止めができましよう。私ども素人の見るところによりましても、少くとも一箇月かかるだろう。一箇月かかつて、どうにかこうにか簡單なるせき止めができたとしても、その後本工事をどうして施せばいいか。そのうちに上流に、もしまた洪水がきたらどうすればいいか。洪水が出てくるであろうという予想のもとに工事にかからなければならぬ。
 しかるに、二十一日に行つて見ても、その現場におる人は茫然自失というような状態である。これで、どうしてあの東京都民の、今水のために困つておる幾十万という人を救い得るか。これらの人々は、いつ水がひけるだろうか、もうひけるだろう、こう思つておる。この人々は、この眞相を知らない。どうしてこれに眞相を知らせないか。私は、この点はきわめて遺憾に思つておつたのでありますけれども、しかしながら、巷間傳わつておるところで聞くところによりますと、現在のごとく被災地が拡大したのは、決して天災ではない。官僚の怠慢である。すなわち人災である。無能・無責任なるところの官僚が、互いに責任のなすり合いをやつてきて、罪を天に嫁して自己の責任を免れんとするような、実に卑劣千万なことが行われておるという非難を聞くのであります。その事実は、いかなるところから、かくのごとき非難が起つておるかというそのことに対しては、私どもは愼重にこの工事を考えなけれならない、かように思つておるのでございます。
 まず私は、これに関しまして第一に内務大臣にお尋ね申し上げたいと思いますことは、決壊箇所は、延長が五十三メーター、水深が四十三メーターと言いますけれども、また新聞の報道を見ると、水深が四十三フイートと出ております。四十三フイートであれば、たいへんな差ができてきます、從つて工事におきましても幾分の軽重の度はできてくると思いますけれども、これはどの分がほんとうであるかということは、内務省が御調査になつておると思いますから、これをまずお伺いしたいと思います。
 次は、あの利根川の決壊がはたしてせき止め得られるか。あの地元民の言うておるように、もう從來の川の流域が変更した、その大昔、徳川幕府がこれを変更したけれども、しかし、また大昔に本流が戻つてしまつて、今せき止工事をやつてみてもむだだ、すなわち大洪水がきたら、また再び三たびこんな目に遭わされる、こういうふうなことを言うておるのでありますが、これに対する御調査はどんなふうになつておりましようか、これを伺いたいのであります。
 しかして、ただいま内務大臣の御報告によつてみますと、資材は十分にあると仰せでありまして、その手配もできておるということでありましたが、しかしながら、資材・労務者が十分に得られておるかどうか、こういう点であります。
 第四には、この工事は内務省直営でおやりになるのでありますか、あるいは民間に請負わしてやるのでありますか、この点をお伺いしてみたいのであります。
 次は農林大臣にお尋ね申し上げたいと思うのであります。あの流域に……
#21
○副議長(田中萬逸君) 時間が迫つております。結論におはいり願います。
#22
○中嶋勝一君(続) 農林大臣、厚生大臣、大藏大臣等にお尋ね申し上げたいと思いましたが、時間が迫つておるそうでありますから、これは他の方に讓りまして、それでは私は内務大臣にお尋ねするだけに止めたいと思いましたが、農林大臣にただ一言お尋ねいたします。
 埼玉縣の知事の話を聽いてみると、この大洪水は、つまり赤城山の周囲を濫伐したから起こつた。戰時中四千町歩の山林を伐つておる。現在もなお濫伐が行われておる。その濫伐はなぜ行われているかというと、あの農地調整法によつて、山林も國有になるのだ、だから山の木だけは伐つて、なんぼでも賣つておかなければ損になるからという考えをもつておる。この考えでもつて、こうした濫伐をやつているのだといつて、非常に嘆いておられましたから、それはそうでないのであつて、農林大臣も常にこのことは声明しておられるということを申しておきましたが、これはひとり群馬縣のみでない、わが山口縣においても、この認識を誤つて濫伐をやつておる。現に木材がマル公以下でどんどん取引が行われている。炭もマル公以下でどんどん取引されているということは、結局この山林の濫伐にあるのであるから、この治山治水の面からも、本壇上で大きな声で全國民にこのことを知らしておいていただきたいということをお願い申し上げておきます。(拍手)
#23
○副議長(田中萬逸君) 当局大臣の答弁は、便宜上、緊急質問全部終了後に願うことといたします。
 関東地方大水害に関する緊急質問を許可いたします。提出者今村忠助君。
    〔今村忠助君登壇〕
#24
○今村忠助君 このたびの大水害は、天明三年以來百六十何年目かの大水害と言われております。しかしながらわれわれは、ただいたずらにこれを天の與えた災として見逃すことはできないと思うのであります。いわゆる人の力の足らざりしを顧みなければならぬと思います。また経費の不足や資材の不足にかこつけて、努力と工夫の不足を忘れておりはしないかとということを考えなくてはならぬと思うのであります。これらの点につきまして、関係大臣に質問をいたしたいと思います。
 第一番は、内務大臣にお尋ねするのでありますが、今回の大水害は、雨量の点において明治四十三年八月の大雨と大した違いがありません。また水量の点におきましても、昭和十六年七月の大雨のときより多少多いのでありますが、これも大した違いがありません。しかるに、今次ほどの実に厖大なる何百万の人をして天を仰いで慟哭せしめておるゆえんは何にありますか。これは人の努力の足らざるものが多々あるのではないかと思うのであります。
 その点について特に質問をいたしたいのは、新しい憲法が実施された結果、中央と地方治自体との関係が何かしら疎遠になつたような感じがするのであります。これは將來に残る問題でありますから、もしか新憲法実施によつて、いわゆる大水害等の場合において、中央官廳と地方治自体との関係が円滑を欠くということがごときことがあるならば、これをはつきり糺明いたしまして、今日において何らかなす方法をとらなければ、將來また繰り返すところの大きなものがあると思います。
 今回の大水害の主要原因となつたものは、堤防の決壊を防止するが、あるいは堤防を切開して排水するか、これらの処置が当適にいくなら、ある程度防げたのではないかということが考えられるのであります。ところが、この問題については、新聞の報ずるところによりますと、中央官廳並びに地方團体においては、互いに責任を讓り合つておる。これは今申した新憲法に基いて、自治体が独立的行爲をとる結果起こつてきた問題であるかどうか。あるいはまた両者のいずれかに過失があつて起きたことであるか。この点をひとつはつきりお答えをしていただきたいと思うのであります。
 次にまた治山治水の問題が開拓の問題と関連いたしまして、前の中嶋君の質問にもありました通りに、開拓はいきおい森林の伐採となり、あるいは原野の開墾となつて、結局土砂を流出する原因をつくるのであります。ところが、これを実際治山治水の、いわゆる下流におきます河川改修でありますとか、砂防工事を担当する内務省の側との緊密な連絡がないために、今回の水害にも大きな原因を與えておるのではないかと思うのであります。この点につきましては、内務大臣並びに農林大臣においても、はつきりお答えしていただきたいと思うのであります。
 次に、私は農林大臣に特にお聽きしたい。農林大臣は、公共事業費の約半額を占める開拓費をもつて、今日開拓事業に当つております。これは國土を半分失つた日本といたし、しかも多数の過剩人口を收容していかなければならぬ日本にとつては、やむを得ないことでありますが、しかしながら、この厖大なる金を終戰以來かけておるが、開拓によつて得られたところの食糧の数量と、そしてまた終戰後この水害等によつて良田美田を失つて、食糧の増産を非常に阻害されて減收を見ておるのでありますが、それと比較してみたかどうか。いわゆる開拓々々の声にとらわれすぎて、そろばんのとれない開拓をしておるのではないか。もしか厖大なる開拓費の一部分を割いて治山治水に充てるとともに、またこれを失業救済の面にもつていきまして、失業者・引揚者の経済に充てる、これらのことをするならば、一面において水害防止ができるとともに、また一面において食糧問題・失業問題等も片づくのではないか。これらについて、農林大臣は研究もし、また將來において何らかなさんとするところがあるものであるかどうか、これをはつきりお聽きしたい。
 最後に、私は片山総理大臣にお聽きしたいのであります。つまり、かくのごとき水害が本年においてもすでに二回も繰返されました。私は、これが將來に再びないということは、だれしも断言できないと思います。これをいわゆる天の災とせずして、何とか人力によつてこれを防がなければならぬと思いますが、それには、どうあつても國土開発でありますとか、國土建設の面を強化していく必要があるのではないかと思うのであります。
 過日でありますが、G・H・Qの側において國土計画委員の者を招致いたしましたときに、その人は今年の五月日本を訪れたのであるけれども、今日に至るまで、この災害地、殊に荒廃した國土を何とかして再建設しなければならぬと考える政治家がないのか、しかも強力なる力をもつて速やかに回復するようなことを考える政治家はないのかと、まず挨拶をした上に、實際面において公共事業省のごときものが生れぬのは、どういう事情かということを聽かれたのでありますが、われわれが國土計画委員会を通じて知つたことは西尾官房長官を初めとし、内務大臣も、あるいは復興院の総裁も、ことごとくあげて建設省の設置を要望しているのにかかわらず、ただ一人安本長官のみが、何の理由があつてかわかりませんが、言を左右にして反対している事実を知つたのであります。
 片山さん、ポスターで御存じでしよう。あなたの部下でありますところの内務省・復興院・運輸省などの職員組合の人たちの名において、建設省をつくれというポスターがあります。そのポスターがあります。そのポスターが今街にたくさんはられておりますが、その中に、建設省は政府内部の悶著でできそうもない、こんなばかげたことはない、早く國民の建設省をつくれと書いております。
 私は、片山さんが総理大臣に指名された日、あそこにおられるところの議長が、天皇陛下にこのことを申し上げますと、片山という男は弱い男ではないかという御下問があつたと聞いております。片山総理大臣は、われわれの信頼するよき政治家ではあるけれども悲しいかな、弱い点をもつております。追加予算が今日に至つてもなおできない点も(拍手)――建設省をつくるべきであると、院の内外にこの声が高まつているにかかわらず、何のために建設院のごときでなければならぬとするか。これも片山氏の弱い点であると私は断ぜざるを得ない。(拍手)要するに、この國土の半分を失つてそして六十一という都市を焼き拂われて、何とかして再建しなければならぬ今日において、総理大臣というものは、よほど強くなつて新日本建設に当らなくてはならぬと私は思うのであります。
 今度の風水害を目の前に見て、われわれはどうあつても、幾多の官僚の人たちが、今までセクシヨナリズムを捨て、新日本建設に國民と一体となつて進む氣構えを一面に望むとともに、政治の衝に当つた片山総理大臣を初め、もう少し強くなつて、信念によつて新日本建設に当つてもらいたいと思うのであります。(拍手)それでなければ、このたびの水害の跡もとうてい片づきません。見舞に行つたと称して、党勢拡張の宣傳演説をして帰るような大臣が幾人おつたつて、日本はよくなりません。どうか新日本建設のはつきりとした抱負をひとつお聽かせいただきたいと思います。(拍手)
#25
○副議長(田中萬逸君) 関東地方水害の予防措置の関する緊急質問を許可いたします。提出者石田一松君
    〔石田一松君登壇〕
#26
○石田一松君 私は、國民協同党を代表いたしまして、関東地方の水害予防措置に関して、内務大臣以下関係官僚に緊急質問をいたしたいと思います。
 去る二十日の本会議のこの壇上において、同僚の島上議員が、関東地方、特に東京都の水害に関しては、不可抗力というのには、まだまだ予防措置を講ずるところが多々あつたという意味においての緊急質問を、特に私たちもやることに同意いたしまして、各派でやることになりました。その質問に対して、ただいま内務大臣から、ただいま報告した中に島上君の質問に対する答弁は含んでいると思うから御了承願いたいとのお話でございましたが、ただいまの内務大臣の報告は、事実を調査なすつた報告でございまして、われわれが聽こうとした、すなわち島上君が聽こうとした質問には、何ら触れておりません。明治何年にどれぐらい雨が降つた、昭和何年にどれくらい雨が降つた、今度はそれ以上に雨が降つた、だから堤防が切れるのがあたりまえだ、結局今度の水害は不可抗力であつて何らわれわれには責任がないのだということを証明するための報告以外の何ものでもないと私は聽き取りました。そういうことを私たちは聽いてるんじやありません。
 しからば、今度の雨量で少くとも東京にこれだけの惨害を及ぼしたあの櫻提の決壊というものは、今後の雨量が科学的に絶対的にあの櫻提を決壊さすだけの雨量であるという証明をしてもらわなければ、これが不可抗力などと、私たちはにわかに同意することはできないのであります。なぜかと申しますと、利根川の決壊の後の濁流が、いわゆる中川と江戸川によつてはさまれた地域に流れくるということは、長い間の事実でもあり、まただれが見てもこれは当然の結果なんであります。しかも、利根の堤防が決壊して、あの櫻土手にこの濁流が殺到するまでに、三日間という余裕があつたのでありますが、この三日間をただ默つて見ていたのか、それともこの櫻土手にやがて押し寄せてくるであろう濁流に対して、どういう補強工作をし、どういう対策を内務省あるいは関係当局は立てていたのか。その実際的なことをおやりになつたならば、ぜひそれをこの際御報告を願いたい。
 しかも、櫻土手にすでに濁流が殺到して、あともうニ尺か三尺であふれて、この土手が危險に瀕する、あと一時間か二時間の余裕しかない。地方民は十八日のまだ明るい時分といいます。曇つたときの明るい時分でありますから、おそらくこれは午後の四時ごろであろうと私たちは想像するのであります。この四時ごろ、江戸川の方の水を見ると、相当の水差がある。ぜひ江戸川にこの濁流を流させてくれ、それでないと、この堤防が一時間か二時間後に切れるおそれがある、切れたならばその下に属する東京都は、たちまち見るも無残な水魔に襲われるのだと、地方民は涙を流さんばかりに当局にお願いをしたのであります。
 遂に都から、内務省の直轄であるというので、内務省の國土局長にお話を願つたのが午後七時ということであります。そのとき内務省の方では、この江戸川に面する堤防を切ることは、千葉縣の方に反対があるから、千葉縣が了承するということを條件で、この堤防の切り開きを許可したというのでありますが、あの堤防に迫つた濁流を江戸川に切り落して水を入れたら、千葉縣が今度のような惨害をこうむるということは、わかつていたかどうか。ただ千葉縣から、江戸川に水が流れると、ひよつとすると千葉縣の方に水が上るから、それは困るという――何がゆえに、こういう緊急の状態のときに、千葉縣の了解を得なければ、われわれ三十万という都民が助けてもらうことができないのか。私はこれを言いたいのであります。
 こんな場合に、千葉縣の了解も何も要らぬ。少くとも見たところ、江戸川の水と、この濁流とは、相当の水差があつたのであります。これに流しこめば、水勢が衰えて、おそらく櫻提は決壊しなかつたであろうということは、今水の中に生活している万人が叫んでいることであります。どの人にでも尋ねてごらんなさい。しかも弱々しい老人までが、私たちはお役所を恨みますと、泣きながら言つているであります。
 この人たちの言葉を私たちが聽きまして、不可抗力であつたかどうかということについて相当の疑問があるのにもかかわらず、現在の当局がこの救援をしている状態を見ていただきたいのであります。この処置においていくらか足りないところがあつた、その足りないところを、後日救援によつて自分たちの過失を補おうという誠意が現われているならば、まだこの罹災者たちも許すところがあるのでございますが、江戸川方面でこの二、三日以來配給されたものは、水の中に屋根だけ出して生活しております都民たちに、一日に親指大の眞黒な乾パン十人十七箇―― 一日の食糧であります。しかも、水は小さなやかんに一杯しかもらえません。この状態で、どうして人間が七日も十日も生きることができるでありましようか。私たちはこの現実を見ます。
 しかも医藥品についても、ただいま厚生大臣は、何トンとか何十トンとかというものが相当まわされているように言われますけれども、それは五十人や百人で何トンかの藥をもらつたら相当なものでありましようが、何百人という者が、この何トンという藥をわけ合つたとしたら、――ほとんど一人々々がけがをしているのであります。全部がけがをしているのであります。この際に、太平洋のまん中に香水を一滴落して、香水を落してやつたという顔はしてもらいたくないのであります。まずこの際徹底的に――自分たちの方にいくらかの過失があると思つたら、この過失を補う意味においても、あくまでも責任を追究して、責任をとれというような、私たちはそれを言つても、いまさらはじまらないと思いますから、これは後の問題として、ただちに食糧の問題、衣料の問題、しかも、各罹災者が水の中から顔を出して、すぐ近くの駅、あるいは水に浸つていない堤防などに連絡する。その連絡の船さえないのであります。彼らは自分々々で、流れてくる材木を集めて、これを自分の帶でゆわえて臨時のいかだをつくり、これでもつて逃げたり、あるいは連絡をとつたりしていることが実情であります。これを放つておいて、政府の施策よろしきを得たと言えるでありましようか、私、何も自分が東京都の選出であるからという意味で言うのではありません。これは今後とも大きな國家的の問題であると思います。
 それと同時に、島上君が過日御質問をなさいましたが、この水害のために、消費都市である東京都の野菜事情はとみに逼迫をしてまいりました。実に危險なる状態にあると私たちは考えます。この点に対しても、農村当局が万全の策をとられんことを切に要望し、関係閣僚の、しつかりとした今後の対策に対する誠意のある御答弁を要求して、私の緊急質問を終わりたいと思います。(拍手)
#27
○副議長(田中萬逸君) 水害対策に関する緊急質問を許可いたします。提出者佐々木更三君。
    〔佐々木更三君登壇〕
#28
○佐々木更三君 今回の水害の規模の廣大さと、その被害の深刻さは、空前でありまして、日本の経済再建の途上に、まことに遺憾なこと言われなければなりません。從つて、これが対策と復旧に対しては、政府は万全の努力を講じなければならぬことは、言うまでもございません。しかるに、先刻内務大臣の報告をお聽きいたしますと、現在の災害に対する政府の認識とその対策がきわめて部分的であり、その調査が不十分であることを、まことに遺憾とするものであります。
 今回のこの水害が、帝都を中心とするところの関東地方は身近でありますから、これに対する関心の大なることは当然であります。われわれもまた、夢想もしなかつた水禍のために、その犠牲も大きかつた帝都の人々に対しましては、深甚の同情の意を表するものでございますけれども、しかし今回の災害が、單に関東地方のみならず、東北六縣、北陸、信越を通じて、その被害がまことに莫大なるものであり、特に宮城・岩手を中心とする東北地方の水害は、これをもちまして今年五回目の水害である。その廣さは、前回の水害の約十倍に匹敵するのであります。たとえば、宮城縣一つをとつて見ましても、田の冠水が約五万町歩、全耕地の五割、その減收額約三十万石、前回の減收と合わせますと、まことに恐るべし、五十万石の減收であります。畑の冠水が、約全耕地の四割であります。
 この恐るべきところの災害に対しまして、当局は少くとも昨日以前において、何ら適切な統一的な調査をしなかつたということを、私は災害地の現地において見てきたのであります。特にこの政府の、身近なものに対して特に関心をもてる態度に対しては、東北はもとより北陸、信越、否、おそらく全國の僻遠地の人々は、まことに遺憾とするところと私は信ずるものであります。率直に申しますと、今回の水害に対しまして、政府は東北の水害に対して、きわめて無関心であり、冷淡であり、その調査が不統一であつたと言わなければなりません。
 先ほど厚生大臣が、多額の救援物資を送つたと申しますけれども、二十日現在において、東北に対しましては、一人の政府の調査隊も、また一品の救援もないのであります。私は、少くとも政治が公平であるためには、むろん帝都を中心とするこの甚大なる災害に対しましては、万全の対策を講ずべきことは当然でございますけれども、これと同時に、公平に、あの永い間日本の資本主義のもとに惠まれなかつたところの東北・北陸・信越の農民、全國の農民に対しましても、いわゆる政治の公平化の上から、この認識を徹底的に改めまして、即時万全の対策を講じられんことを要求するものであります。もし、そうでないとしますならば、將來この中央偏重の政治に対しまして、日本の過半数の人口を有するところの農民諸君が、供出を中心とするところの國家に対する協力心にゆるみが來るようなことがありまするならば、日本経済再建のために、まことに遺憾なものがあると言わなければならないからであります。
 次に、今回現地で当局の対策を見まして、現在中央から地方に出ておりまするところの出先官憲と地方自治体との関連が、きわめて不統一であり、錯雜いたしておりまして、この緊急なるところの対策に対しましては、言葉は過ぎるかもかもしれませんけれども、むしろ妨害的な役目を果しつつある事実を、私たちは指摘いたしたいのであります。
 現在水害の対策にあたりましては、縣当局が中心になつておりますけれども、たとえば、井戸の排水をして新しい生活の出発をしようとするときに、そのガソリンの配給は縣廳にその権限なく、鉄道省にある。從つて、鉄道省のなわ張り根性から、このガソリンの配給が縣廳に十分に補給されないために、東北の各縣廳におきましては、現在民間からガソリンを借りて、傳染病予防のために現在井戸の排出作業をやつておる有樣であります。縣廳を中心にしまして、各官廳の評議会を開きましたけれども、何ら解決点を見出せません。そのために、いかに災害を深刻にし、民衆を失望せしめておるかは、言葉に盡したがたいものがあるのであります。
 この中央官廳の二十いくつかずつ各縣に存在するところの、かくのごとき出店に対し、何らかの整理統合をなし、かつまた、この地方自治体との有機的関係を今日匡正するにあらずんば、これは今回の水害の対策のみならず、將來の日本國民の生活に対しましてこの厖大なる官僚機構が禍いをしないとは、どうして断言できるでありましよう。從つて私は、この際行政改革を一つの主眼といたしますところの現政府が、これらのものを速やかに統一調整をいたしまして、現在の水害の復旧が一日も早からんことを要求するものであります。この点に対しまして、総理大臣の見解を質したいと思う次第でございます。
 次には、今回の出水害が地方財政に及ぼす影響はきわめて甚大であります。すなわち今回の災害によつて、おそらくは免税その他のために、地方財政というものは極度に窮迫するでありましよう。現在までの地方財政ですら――特に東北・北陸のように、毎年のごとく水害に見舞われて、ほとんど財政窮乏その極に達しておりますところの地方自治体におきましては、とうてい今回の災害復旧の能力をもつておりません。從つて、河川はもとより耕地の回復その他に対しまして、もはや、これらの僻遠の農村の自治体に対しましては、全額國庫で負担する以外には、とうていの復旧工事は望まれないと思うのでございますが、これに対しまして政府当局はどうお考えでございますか。この点についてお伺いいたしたいのでございます。
 地方財政に対する融資につきましては、先ほど内務大臣がお話なさつたようでございますが、そのことはしばらくおきまして、もし現在の地方財政の状態をもつていたしますならば、免税その他のために自治体の收入が激減して、やがては吏員に対する支拂さえも自由にならない。かくては自治体の機能が停滯するおそれがある。
#29
○副議長(田中萬逸君) 佐々木君、時間がきております。
#30
○佐々木更三君(続) これに対しまして、政府が何らかの應援の措置を講じなければ、これまた今回の水害復旧に対しまして、非常なる支障をきたすと信ずるのであります。政府にこれらに対しまして、いかなる策を講ずるつもりでございますか。この点についてお伺いしたいのでございます。
 農林大臣その他に対しまして質問申し上げたいところは多々あるのでありますが、時間に制限いたされますので、いずれ次の機会にこれを御質問申し上げることにいたしたいと思います。(拍手)
#31
○副議長(田中萬逸君) 水害対策に関する緊急質問を許可いたします。提出者受田新吉君。
    〔受田新吉君登壇〕
#32
○受田新吉君 ただいま政府当局から、今回の関東水害につきまして詳細なる対策の御説明がありましたので、これにつきまして、私は第一議員クラブを代表いたしまして、さらにもつと具体的に、もつと眞劍に、かつもつと愛情あふれる施策を講ずべきであるという点について質問を申し上げます。
 そもそも今回の水害に限らず、これまでの天災に対して、政府がとつていた対策がどうであつたか。これにつきまして、私は今までの政治史そのほかの面で十分うかがい得られますものは、官僚のまことに責任のがれの政治が行われたということである。今回にことにおきましても、たとえるならば、この堤防を切開すべきや否やについて、すでに数十万人の人命にもかかわる大問題であるにかかわらず、なるべく無難な道を選びたいと思いまして、その責任者が無難な方向をとる。このときに、何ゆえに佐倉宗五郎となつて、自分一個はいかに犠牲となろうとも、多勢のためにおれは身命を賭するのだという強い信念の官吏が一人もいないのであるか。(拍手)まことに悲しいことであります。かつ無難な道を選んだ官吏は、首にならない。もし誤つてそれを切つたならば、やがて首になると、自分の首を考えて行政に携つておる官吏が、敗戰後強力に起ち上るべきわが國に一人でも存する限り、日本の再建の前途、まことに暗澹たるものを感ずるのであります。(拍手)
 加うるに大臣諸公は、眞に緊急切実なる対策をとつておると、ここで明言されたにかかわりませず、私は一昨日の休日を利用し、新小岩方面に災害状況を観察いたしましたところ、あの堤防の上に、何らまとうものもなく、何ら食するものもなく、幾百、幾千という同胞が凍えかつ飢えております。毛布を配給した、また十七個の乾パンを配給した、こうような点について、厚生大臣は自信ある施策をここで申し述べられましたけれども、これらについて、十分政府の計画が末端に徹底しておるか、とくと御反省願いたいのであります。
 なお、政府の施策が末端に及んだときは、途中何らかの方法で時日が遷延される。それは判こをつくとか、いろいろ手続き上の齟齬でそうなるのでありまして、この点におきまして、各官吏がもつと迅速に、かつ的確に末端にそれらを徹底させる方法をとらなければならない。しかして、ここに勇敢なる官吏が一人おつて、ここの穀物をこの地域の罹災者に早急に渡そうというような強力なる手段をとつてもたいたい。そういう点について、政府は監督の点で、これらは許さないなどと言つて、そういう生温かい御叱責をされるというようなことが断じてあつてはならないと思うのであります。
 なお私は、この應急対策に対して、國民あげて協力精神をもち、犠牲的精神をもつて、これに当らなければならぬと思う。しかるに悲しいかな、依然として自己本位である。罹災者みずからにおいても、荷物を救い出すことに汲々としておる。すでに水は迫つておる。早く非難しろと言われても、あくまでも二階にがんばつておる。これら罹災者の身の上を思うとき、敗戰下における愛情の政治の貧困という点をつくづく感ずるのであります。
 私は、新小岩方面の救出状況におきまして、青少年達が眞劍に立ち働いておる場面をいくつも見ました。しかしながら、それらの統制ある指揮系統が乱れているということを、まことに残念に思つたのであります。規律あり、統制ある青少年の行動は、今や敗戰とともに、まつたくひからびた、実に紊乱した状況におかれておるということは、政治の上において実に空白を感ずるのであります。このゆえに、先般新日本再建國民運動要綱を閣議で決定させられましたるにかかわらず、未だもつて、これの施策の面に何ら手を打つておられない。社会連帶責任を強調しながらも、今回ごとき面において、何らこれを実施しようとしていない。悲しいかな、政府の愛情の政治が手遅れがあるがゆえに、こうした大惨害がますますその威をたくましゆうしております。
 私はこの機会において、目先的な緊急対策と同時に、さらに恒久対策を政府は十分に考えてもらいたい。寺田寅彦博士は、日本人に欠けておるのは、それは天災に関する科学であると指摘されております。悲しいかな、科学性の欠如は、この天災を数年の長きにわつて何ら阻止する力となつていません。大利根は、もと東京湾に流れていた。それがたまたま関東地区全面の幸福を増進するために、太平洋に方向を変換した。これは天然に対する偉大なる人工の力であります。しかるがゆえに、この人工に対してもつと科学力を発揮するならば、あわただしく毎年めぐり來るわが國の天災は、必ずやある程度の防波堤をもつて防ぐことができましよう。この点につきまして、早急に科学力をもつて、これらの天災を防ぐところの施策を講ずべきである。ただ單に目先的の措置ばかりを講じていたならば、この惨害が毎年のごとく繰返されるであろう。加うるに、わが國は水害のみならず、また山火事とか、雪の害とか、地震とか、頻繁に年年繰返されております。こういう点につきまして、恒久対策として、いかなる施策をもつておるか。実に緊急切なる現段階においても、なおかつそれを忘れるがごときは、敗戰下再び文化國家、否、世界にまたとない平和國家を建設しようとする政局担当者として、まことに心細く思うのであります。
 最後に私は、農林大臣にお伺い申し上げたいのであるが、今、日本國内には約百六十万町歩にあまる山が、はげ山になつておる。この植林計画こそ、緊急対策の最も大切なるものであると思うが、この植林・造林の計画が、昭和二十一年より五箇年計画をもつて、二百七十万町歩の造林の案が立てられておるようであるが、昨年と本年を通じて、わずかに四十万町歩にすぎない造林しかできていない。また森林資源造成法によつて、半額國庫負担としておるようであるが、わずかに一人二十二円の人夫賃をもつてしては――一町歩千八百円の非常に多い額を要する。これをもつて、直接当事者がこの造林に躊躇しておる。加うるに、森林に対する國有論その他まで飛び出して、早急に伐採して何とか片づけようという氣持さえ起こつておることは、先ほど中嶋君が指摘された通りである。これらについて恒久策として農林当局はいかなる対策をもつておるかについて、とくと御説明を願いたいものであります。
 なお、内務大臣にお伺い申し上げますが、この災害があるときに、ことさらにとかく起りがちなものは何か。それは、この災害をたてにして、やみブローカーが起り、不正配給をするとか、実に暗澹たる社会の暗い問題であります。この面を救治せずして、正しい者が損をし、不まじめな者が得をするということが、かかる未曾有の天災時においてすらも行われるとするならば、日本の國民道義いずこにありやと憂うるものであります。政治力において、この点万遺憾なきを信ずるものでありますが、これに対する対策をお願い申し上げます。
 以上、簡單でございますが、緊急質問を申し上げた次第であります。(拍手)
#33
○副議長(田中萬逸君) 水害対策に関する緊急質問を許可いたします。提出者綱島正興君。
    〔綱島正興君登壇〕
#34
○綱島正興君 このたびの、全國と申してもよいくらいの大水害に対しまして、特に私どもは、それこそ超党派的に一致してかからねばならぬ状態におかれておると思うのであります。そこで私は、二、三質問をいたしたいと思うのであります。
 第一番に、大藏大臣に御質問を申し上げますことは、この水害地の公租公課の免除及びこの水害地の復旧をいたしますにつきまして、それが普通の土地の開墾よりも、なお手の要るような所に対しては、それぞれ開墾に対する助成金にひとしいところの補助をされる御用意ありやいかん、この点を大藏大臣に、数字をおよそ予見して、どのくらいの國庫負担になるか、それらのものは御用意があるかどうか、またそれをどういうことによつて御負担が願えるか、願えないか、こういう点を御質問申し上げます。
 次に、安本長官に御質問を申し上げます。これは実は先ほどからたびたびお話がございましたが長官がおられねば、どなたか代理でご返答を願いたいのでありますが、安本には衣料をたくさんもつておられるそうでありますから、これをひとつ特配をしてもらいたい。これは関東ばかりでなく、東北その他水害地の住民に対して、漏れなく衣料を特配していただきたい。これに対する御成案いかん。
 次に、農林大臣に御質問を申し上げます。これは実は特に農村に関する部分を農林大臣にお尋ねいたしますが、御承知の通り水害をこうむりますと、家畜、家禽等ことごとく種絶やしになつてしまいますので、これに対する應急処置をなさる御意思ありやいかん。これに対して、それぞれ大藏省ともお打合せになつて、その種でございますとか、ひなでございますとか、あるいは牛でございますれば小牛でございますとか、番い牛でございますとか、その他漁村に関するものについては、網でございますとか、漁船でございますとか、そういうものに対するお手当てをなさる御意思ありやいかん。
 それから主食の配給でございます。なるほど、ただいまの應急時代におきましては、あるいは乾パンで間に合わせなければなぬかもしれませんが、一應の時間を経過いたしましたならば、この主食を失いましたために、開墾の事業をいたしますことは非常に困難になつてまいるのでございます。御承知の通り開墾事業は、これが一番ひどい労力でございますので、特に先祖傳來の土地とか、自分がつくり慣れておつた土地などを失いました者は、あせつて復旧いたしますから、これに相應するだけの食糧、いわゆる加配米を加えた食糧、こういうものを配給なさることを、ぜひお願い申し上げたい。これに対する御用意いかん。それから農耕具、農家具、農家衣料、これらの特配をなさる御意思ありやいかん。こういう点をお伺いいたします。
 最後に、これは実に恒久的対策でございますが、森林行政のことについてお尋ねをいたしたいのでございます。私から申し上げますれば、今までの農林省の森林行政というものは、これはまつたくの失敗でございまして、ただいままでいろいろな御質問がございましたが、これはみなことごとく單なる濫伐をいたしたとかいうことでございますけれども、ただいままでの農林省のとりました農林行政は、実はわが國にございますところの記録に背く行政でございます。
 御承知の通りわが國には、熊澤蕃山とか物徂徠とかいう非常に林政の大家がございまして、記録もちやんと備わつておるのでございます。そうして農村におきましては、農村附近の農民の居住しておりまするいわゆる里山には、針葉樹を植えないということが規則でございます。里山に針葉樹を植えますと、草立ちができません。針葉樹は長年経ちませんと役に立ちませんので、肥料を取ることができず、牛馬の飼料の採取ができないのでございます。最も成長の早い濶葉樹で、相当の期間中に大体これを刈取りまして、木立にいたしておきますと、そこには新芽が出まするし、草が立ちますし、飼料ができ、いわゆる牛馬の飼料と肥料とがここにできるのでございます。
 ところが、農林省の山を見ると、農家の軒の下から針葉樹を植えてしまいまして、これはちようど高利貸的政策でございます。これくらい、あほうな政策はございません。政府がもつております山林は公有地でございまして、從つて、本質も國民の生活に結着する公有的性質をもたなければならぬ。これは日本にちやんと昔からそうしてあるのでございますが、それを百姓家の軒下から針葉樹を植えて、五十年も七十年も伐らぬことを予想する森林を育て上げておつて、その中には草も何も立てない。そのために農村が枯れていく事情が起るのでございます。この際一つ農林省においては、これは一端でございまして、時間がございませんので長く申し上げることができないのが、少し物徂徠や熊澤蕃山をお調べになればすぐわかる。ちやんと整つた林政があるのでございます。そこで、それらを御勉強なすつて、林政をちやんとお立てになる御用意ありやいかん。これをお尋ねいたします。
 それから、これは各官廳にお尋ねするのでございますが、殊に内務大臣にお尋ねいたしますが、なるほど大きな河川はことごとく國家の河川になつておりまして、國家的見地から施設をいたしておられますが、防水に対しては、先ほども皆樣が申されました通り、國家の統一的計画ができておらぬことでございます。一体河川工事は、防水のために主にやるようでございますが、しかるに、水の出たときに、ちようど消火器は買うけれども、消防隊が出動する組織はつくつていなかつたというのが、ただいまの治水行政であると申さねばならぬ。これは実は長年の間の内務行政の非常なる欠陷でございますから、これについて十分なる統一的、総合的計画をお立てになる御意思ありやいかんということをお尋ねいたします。
 ただいまの時間に準じてお尋ねいたしました簡單なお尋ねの中に盛りこまれたる諸般の事柄は、もう少し官僚も、ただ口先で應答をするようなことを勉強なさらずに、國民の生活を知つた官吏、國民の生活を知つた内閣になつていただかねば、実は世の中のお役には立たないということを警告いたしまして、その点に対するお覚悟のほどをお質問をいたします。(拍手)
#35
○副議長(田中萬逸君) 水害に対する各官廳の対策方法統一に関する緊急質問を許可いたします。提出者林百郎君。
    〔林百郎君登壇〕
#36
○林百郎君 私は日本共産党を代表しまして、まず片山総理に対し、このたびの水害に対する政治責任を問いたいと思うのであります。私どもは、このたびの水害に対し、政府が一言も國民に対して相済まないということを表明したことを聞いておらないのであります。しかも政府は、今年の七月三日発表しました経済実相報告書の二十一ページを見ますと、ちやんと、このたびの水害に対しては十分な予測をしておるのであります。
 参考までに、これを二三行読んでみますと、まず國土の荒廃という項がありまして、その中で昭和十四年から十六年に至る平均で毎年四十九万町歩に達した造林が、昨年は七万町歩になつた。これは國土がだんだん廃れていく樣を如実に示しておる。そのほかに、次のような例もある。本年四月中旬に、北海道・東北・北陸方面に雪どけと降雨があつただけで、一度に十億三千七百万円の損害を生じた。例年夏の台風で水害が起ることがあつても、春の雪どけでこのような水害が起つたことを知りません。これは結局資材や資金の不足から、河川の堤防その他の補修が十分でなかつたつと考えられるのである。
 この例でもわかるように、國土の手入れを怠れば、今後の被害は加速度的に殖えていくだろうということを、はつきり言つておるのであります。これが、このたびの水害のある二月前の七月三日にわれわれ國民に示された経済実相報告書の中に書かれておるのであります。しかも、経済実相報告書によつて、われわれ國民には耐乏生活が求められた。片山首相が発言の機会あるたびに、國民に對して求めておるところの耐乏生活、全官公廳の労働者に対しては、千八百円ベースの賃金を押しつけておるのであります。國民に求める側に対しては、苛斂誅求というのがよくあたつていますが、仮借なく求めておきながら、みずからなさなければならない責任に対しては、何をなしたか。この点について、まずこのたびの水害に対する政府の責任をいかにとるかということ、その次に、この経済実相報告書に発表した後の政府がいかなる対策を講じたかという点、その次に、今後の根本的な対策はどうするか、この三つの点を問いたいと思うのであります。
 そのほか、私の緊急質問の要項になつておりますところの各官廳の水害に対する対策方法の不統一の問題でありますが、これは私が二十一日の日曜日にずつと東京都を見てまわつたときの実感でありますが、大体内務省と東京都それから足立区、この三つの縱の官廳の間の連絡が全然とれておらない。たとえば、足立区え行きますと、足立区では、もう綾瀬川が氾濫しておる。この綾瀬川の氾濫に対する対策は、中川の八條が決壊しているかどうか。決壊して、今後もなお水が増加するということになれば、もつと根本的な対策をしなければならないし、中川の八條が決壊しておらないとすれば、これは憂慮することはないという事態になつておつたのであります。ところが、これに対して東京都では、八條は決壊しておらないと言う。内務省でも決壊しておらないと言う。ところが足立区では、東京都並びに内務省の言うことが信ぜられないといつて、みずから八條え行つてみたら、すでに決壊しておるのであります。しかも足立区の市長が、これに対する対策を東京都え尋ねてみても、あるいは内務省に尋ねてみても、統一した指令が全然與えられておらないというのが実情であつたのであります。
 すなわち、私どもの要求することは、全般的のにらみから統一的な指令を末端まで出すように各官廳の縱の連絡を十分に組織的に統一的にするといういうことと、それから各官廳、たとえば内務省、農林省、大藏省、厚生省等に対する横の連絡を十分につけて、いかにしてこのたびの水害に対する統一的な組織的な対策を講ずるかという点についても、首相にその対策についての見解を問い質したいと思うのであります。
 なお、内務大臣について一点お尋ねしたいのは、このたびの水害に対しては、計画水位の計算をもう一度し直さなければならない。この計画水位は戰爭前の計画水位によつて治水の問題を考えておるのでありますが、すでに戰爭中、戰爭後も、年に二億本の濫伐がなされているということは、政府がすでに委員会で発表しているところであります。しからば、年に二億本の濫伐が行われている現在、これに対する計画水位の計算も根本的に建直さなければならないという点をいかに考えているか。
 それから、もう一点内務大臣にお尋ねしたいことは、実は水害地がすでに無警察状態にある。全然警察状態が放置されており、集團強盗が発生しておる。しかも、この集團強盗に対する責任を第三國人に轉嫁しておるような國際的な問題まで起きておるのであります。この水害地の警察状態に対して、いかなる施策を講ずるかという点をお尋ねしたいと思うのであります。
 最後に、農林大臣に対してお尋ねしたいと思うのであります。それは、このたびの水害によつて、耕地の境界がまつたく不明になつておる。この耕地の境界線を再び整備しなければならないが、これは減水した後にすぐ農民は作付する必要がありますから、境界線を明らかにすることは焦眉の急だと思うが、これに対する費用あるいは方法等をいかに考慮しておるか。この点を農林大臣にお尋ねしたいと思うのであります。以上をもつて私の質問を終わります。
    〔國務大臣片山哲君登壇〕
#37
○國務大臣(片山哲君) 私に対する御質問は、今村君と林君であつたと思います。
 今村君の第一の御質問は、建設省に関する問題でありました。今回の水害につきましては、國民の一人といたしましても、また政府といたしましても、罹災者の各位に対しましては深甚の同情を表し、できるだけの対策を立てまして、救済の実をあげたい。今後再びかくのごとき災害のないようにいたしたいと深く考えて、政府におきましては、それぞれ対策を立てつつあるのであります。つきましては、建設院にしないで建設省にした方がよかろう、こういう御意見であつたと思いまするが、現在の行政機構は、長いしきたりによりまして、建設に関する事項は各省にまたがつておるのであります。各省のこの事務を建設省に統括いたしますることにつきましては、各省の行政機構を相当大幅に改正しなければならないのであります。この問題につきましては、目下行政機構改革に関する委員会がありまして、愼重協議をいたし、審議をいたしておるのでありまするが、まず本年におきましては、それらの大幅変更ということを避けまして、なすべきことをまず急いでしなければならない、こういう意味から、建設院でいこうということにきめまして、政府はこれをまず皆さんにも発表し、國民にもこの意向を明らかにいたしまして、建設院によりまして、建設に関する事務を敏活にかつ適切にやつていきたい、かような趣旨で発足しつつあるのでありますから、目下の状態におきましては、建設省によらないで、建設院によつて進むことが事務を敏活ならしめ、また効果を十分にあげ得るやり方であると、こういうふうに考えておるのであります。その点、御了承願いたいと存ずるのであります。
 次は、政治問題ではないでしようが、私の性格に関する御批判がありましたので、この問題につきましては時時尋ねられますから、この機会に一言ごく簡單に申し上げてみたいと思います。政治に関する強い弱いの判断でありまするが、私は平和主義に徹底したいと考えておりますし、暴力はどこまでも否定しなければならないと考えているのであります。從つて政治の弱さ強さは、猪突猛進ということが政治においての強さでは決してないと思います。また、やたらに暴力的に事を遂行するということも、決して勇氣凛凛たるものではないと思います。(拍手)自己の信ずるところに向かつて、眞に正しいと考えるところに向つて勇敢に進むものが、最も政治上において強いものであると私は考えているのであります。(拍手)その意味によつて、それを奉じて私の政治信條といたしておるのでありますから、どうかこの点誤解のないように願いたいと存ずるのであります。
 林君は今日の天災――天の災、水害が、やはり政府の責任でもあるような御意見がありましたけれども、それは責任の追究があまりに廣範囲でありまして、政府は迷惑いたすところであります。天の災はいかんともすべからずであります。それに対する対策を十分に考慮し、その被害を少くすることが政府の仕事でなければなりません。経済実相報告書に現わしておりますことは、現在の経済機構に対する政府の診断であります。こういうふうにしなければいけない、現在の状態は、かくのごとく疲弊困憊して窮乏を告げておる状態であるということを、経済実相報告書によつて発表いたしたのであります。正直に、今日の土木事業も戰爭のために放棄されたり、なすべき仕事もなさなかつたりして、大分弱つておるということを、赤裸々に、ありのままに診断した報告であります。この経済実相報告書で今日の災害を予知しておつたとは、だれしもとれないことであろうと私は思うのであります。しかしながら、政府はできるだけのことをいたします。大勢の方々に迷惑をかけないように、被害者の被害が少くして止まるように、できるだけのことをいたしたいと思つております。災害の後になりまして、いろいろ氣づくことがありましよう。あの堤防は切つた方がよかつた、これはこうした方がよかつたと、あとで感ずることが多々あろうと思いますが、災害のさ中におきましては、なかなかそう結論を見出すことは困難であろうと思います。人力を盡し、人知を盡し、誠意を盡して、その職務に忠実にやるべきことが必要だと考えておるのであります。
 そこで、この経驗とこの被害を十分貴き体験といたしまして、今後の対策を立てたいと考えておるのであります。いろいろ貴き教えを受けました。これに対する対策をただちに立てるために、先ほども申しましたように、救援対策と復興対策の二つを各委員会によりまして早急に立てまして、それぞれ果敢に、また適切なる対策を立てようと考えておるのであります。厚生大臣より御報告になつたこと、また内務大臣より報告されましたる点は、これらのことと関連いたしておるのであります。いろいろ行政機構の中に不統一があつたというようなお話でありましたが、何分唐突の際であり、あわてるときであり、また大勢の方方も、この被害のために周章狼狽されて、まことに氣の毒な状態の場合におきましては、いろいろ連絡のつかないこともありましよう。殊に電話であるとか、電燈であるとか、交通の便等が、ただちに障害を受けるのでありますから、連絡の十分でなかつた点があると思います。しかしながら今後におきましては、官廳間の事務に連絡を十分にとりまして、万遺憾なきを期したいということに最大の努力を拂いたいと考えておる次第であります。以上をもつてお答えいたした次第であります。(拍手)
    〔國務大臣木村小左衞門君登壇〕
#38
○國務大臣(木村小左衞門君) 順序を追いまして、中嶋代議士に御答弁を申し上げます。今回の水害が十六日に発生をしているのに、十九日、二十日まで何らの処置をとらなかつたではないかという御質問でありまするが、今回の水害に対しましては、当局といたしましては、全然責任を回避いたしてはおりません。責任のありますることは、十分に率直に私は承知をいたしておりますことを申し上げておきます。
 十六日の出水に対しまして、私は十七日早朝、内務次官を伴いまして埼玉縣廳え参りました。この利根川の決壊の状況その他を聽取いたしましてから、すぐ案内をしてもらいまして、その決壊箇所が古利根の旧河川を流れてまいりまして、東京都地区内が場合によると危險になりはしないか、これは先例もありまするので、それを非常に考慮いたしまして、一旦決壊した箇所はもういたし方がないが、今後の処置を十分に講ずるだけの必要があると感じまして、案内を願いまして、現場の越ケ谷方面から草加方面、あの辺一体を長ぐつをはいて歩きました。
 その結果をみますると、あの辺へ参りましたのは、まだ盡過ぎでありましたが、越ケ谷方面では一向平然たるものでありました。この前の四十三年の水害には、相当浸水したというにもかかわらず、中にはたたみを上げているところもあり、また二階え物を運んでいるところもありまするけれども、その日は天気もよいので、大部分がまことに平和な、平然としたる態度でありました。十分警告を発しましたのでありますけれども、どういうものでありまするか、今度の水害は、東京都地区内の近くに寄りますまで、水流が非常に遲々たるものでありまして、あの下流に住居しておりまする大衆は、あそこまでは來ないというような感覚があつた。それは私は十分に察知いたしました。というのは、水流が徐々として進まぬということは、つまり下流に行くに從つて拡がる。拡がるから遅く推進してくる。しかし拡がるということは、面積において水の高さが低くなるから、たとえ來ても、避難をする程度までは至らぬではなかろうかというような観念があつたように見受けられます。でありますけれども、私ども当局としましては、十分に警告をいたしました。けれども、どうもそれも引続いて――最近もその通りでありまするけれども、家財とからだと離れることを非常に大衆はいといました。昨日、一昨日ごろも東京都内の浸水地域に対して、救助方を督励し、また避難を勧獎しておりますけれども、どうも家と離れ、家財と離れることを非常にいといまする傾向がありまして、そのために非常に遅々といたしております。
 ついでに、また松戸の前方にあたります江戸川の堤防の破壊、あの切開をもつと早くしたならばよかつたではないか。これは石田代議士の御質問でありましたが、私は総合して申し上げまするが、それはその通りであります。あれが遅れましたことは、まことに遺憾でありました。しかしながら、あの命令を私が発しましたのは、十八日の午後七時であります。そのときから始まりますれば、確かに相当な効果があつたものでありまするけれども、非常に工事が手間どりまして、私が翌十九日すぐ松戸へ参りましたのは、午前十時でありましたが、寄つて見ますると、松戸の向うえ行くことは進駐軍の命令で行かれない。進駐軍に爆破作業は任してあるから、向うの土手えは一切行かれませんので、松戸の方の土手え参りまして、私はこちらから直面して、済むまで見ておりました。見ておりますと、十六発目の爆破作業でも、まだ水が通らなかつた。それで午後三時何分かの、水が通るまで見て帰ろうと思いましたけれども、そのときまでは見込みが立たぬ。そのうち東京の近所え水がはいつてまいりまして帰れなくなりますと、今議会も開会中であるし、また天皇陛下に二十日に奏上する責任もありまするので、とうとう水が通るのを見ないで帰りましたが、十六発目までは私は見ました。
 これが非常に遅れましたということは、東京都の当事者と内務省の指揮との間に食い違いがあつて、非常に齟齬した結果であるというふうに見られますけれども、率直に申し上げますると、実は内務省は爆藥をもちません。非常に大きな堤防でありますから、あの切開作業は、何百人集めましても、人力では容易にできません。どうしても爆破の力を借りなければできぬということに、技術上の衆議が一決いたしまして、この爆藥を現場え運びますことが相当手間どりましたことが、切開作業に手間どりましたところの一つの原因をなしているものと私は考えております。これは、はなはだ遺憾でございましたけれども、どうもいたし方がなかつたように存ぜられるのであります。
 それから埼玉縣の栗橋の上流の、あの決壊の現場の水深が四十三メートルというのは、あまり大きいではないか、どつちがほんとうかというようにお尋ねになつたようでありますが、私の調べておりますところでは、四十三メートルではありません。四十三フイートであります。あの多量のものが、あの勢で流れますと、これだけは掘れまして、これくらいの水深はあると思います。
 これくらいの大きいものを止められ得るかという御質問があつたようでありますが、中嶋君はわれわれよりもずつと玄人で、よく御承知と思いまするが、これくらいのものは十分に止められます。かつて私が存じておりますことは、鴨緑江水力発電では、あの鴨緑江でさえ、人力でせき止め得たことを私は聞いております。その点を思いますれば、これくらいのことはせき止められないことはない、復旧することは十分の成算があるということを申し上げておきたいと思うのであります。
 それから、このせき止めに関しての資材はどういうことにしたか。要するに、せき止めて工事が四日間もそのままにしたような形にして手間どりましたということは、これは資材の関係であります。昔のように軍隊がおりますと、一番ありがたいことは、軍隊には資材があります。何時でも多量の資材と労力とを動員することができ、また器具・機械も動員することができまするけれども、現在そういう軍隊はおりません。おりませんとすると、この資材・器材というものは、すべて集めなければなぬ。先ほども報告で申し上げました通り、空俵がいくら少くても四万俵要ります。それから中嶋君は玄人ですから御承知ですが、六メートル以上もあるくいが六千本、十メートル以上のくいも千本くらいは、どうしても集めなければならぬ。それから石材、鉄線その他を集めまするということは、ただいまの経済状態の戰後のこの状態に、何でもないようでありますけれど、なかなか二日や三日では集まりません。のみならず、集めても、これをいかにして現場え運ぶかということは、相当努力を要します。資材がなくても早くやればよいということは、素人の考えでありまして、資材がないのに着手することもできず、またいい加減な資材をもつていつてやりましても、すぐ流されまして、これは何の見込みも立ち得ないのでありますから、資材を蒐集いたしまする期間を要したのでありまして、この点も、これは責任を回避いたしまするわけでは決してありませんけれども、その辺の御了解も御願いいたしたいと私は考えておるのでございます。
 それから、この工事は直轄でやつておるのか、どうしてやつておるのかというお尋ねでありますが、これは直轄工事にして、そうして二つにわけてこれを請負わせております。間組と鹿島組、両方にわけてこれを請負わせまして、民間の一番資材をもつておる、大きな、現場に最も有利なものを選びまして、これに請負わせまして、しかも懸賞づきでやらせておりまするから、天候のぐあいさえよかつたならば、二十日という期間内には多分できはしないか、こういうようにの考えております。大体中嶋君の御質問は、これくらいであつたと思います。
 次に、今村君の御質問にお答えいたします。四十三年と十六年の降雨の水量は、今度とあまり違わなかつたのじやないか、今度の分は六百ミリで、大変大きいとか何とかいうけれども、これは大差なかつたのじやないか、こういうお言葉でありましたけれども、内務省の方では、今度が一番多量なる降雨量であつたということを言つております。これは、はつきり数字をここでお答え申し上げたいと思いまするけれども、実は今日はその資料をもつてきておりませんので、ひとつ御勘弁願いたいと思いますが、確かに四十三年、十六年よりも、今年の降雨量が多く、また水の高さも非常に高かつたたということを申し上げておきたいと思います。
 なお、新憲法実施のために、地方制度が変革せられまして、そのために非常に地方と中央との連絡その他に不便な点はなかつたか、こういうお尋ねでありまするが、これは、まことにどうもごもつともなお尋ねのように思います。地方制度の改革に際会しまして、まだこれは実施してからわずかの期間でありますので、十分に地方も自治ということに向つて訓練を積んでおりませんために、今村議員のおつしやるように、強いて申しますれば、中央が昔ほどの指揮命令をもちませんから、昔ほど便利ではなかつた、こういうことを申し上げまるが、しかしながら、これがそのために非常に遅滯して困つたというようなことはないように考えまするから、その点も御了解を願いたいと思います。
 なお今村君の、山林の砂防はどうやつておるかというようなお尋ねもあつたようであります。砂防工事は、山でも、渓流に属しまするものは内務省の主管でございまするし、山林の砂防は農林省でやつており、両者緊密なる提携をいたしまして、砂防工事も万全を期してやつておるつもりでありまするけれども、近時は、率直に申し上げますると、これは完璧であつたとは、私は言いかねるのじやないか、こう申し上げておきたいと思います。
 それから、石田君の御質問も、中嶋君の御質問に対するお答えに大部分包含されておるようでありますが、千葉縣との折衝がどうであつたかということでありますが、江戸川堤防を破壊するということは、対岸の千葉縣にとつては非常な大問題であります。東京を救うために、これは帝都であり、比較にならぬほど損害の数量が多いから、それは決行してやつてもよいのじやないかと見られますけれども、ものの事情はかくあるべきでありますけれども、何と申しましても、濁流を切つてあの江戸川え落しますことは、千葉縣には非常な脅威を受けることでありまして、默つてはできぬことでありますから、一應は千葉縣に了解を求めましたが、千葉縣では、これは無理ありませんが、承知がなかつた。承知がなかつたけれども、東京都を救うためにやむを得ませんので、断固として命令を出して、切崩しの作業に着手いたさせましたような成行きであります。
 それから、網島君の御質問中、私の所管に関してだけお答えいたしますが、河川の沿岸には、お説のごとく水防隊の組織がございます。今後はこの水防隊の出動その他につきまして、もつと総合的に努力をいたして、御注意もありましたし、ひとつ十分な督励方をいたして、場合によつては組織も大いに考えるべきものがあるのじやないかと考えまして、御趣意承知いたしましてございます。
 それから林君の御質問中、私の所管しますることは、災害地に集團強盗や集團窃盗が盛んに行われるが、どうして取締つておるかということでありますが、新聞やうわさでは非常にあるように言われておりますが、警視廳の調べで見ますると、そう大したことはないようであります。大したことはないという抽象的なことを申し上げては御承知にならぬと思いますけれども、ちよつと、その数字はもちませんけれども、うわさ等が非常に高いのでありまして、船で参りましてとりますのは、強盗とか窃盗も船で行かなければならぬ。船もそう潤沢にはありませんから、そううわさや新聞にありますほど多いことはありませんが、しかし、こういうことがあつてはなりませんので、警視廳ではあらゆる水上を動員いたしまして、横浜あたりからも快速な船なんかも十分に借りてまいりまして、一昨日の夜ころから、この警備に当つておる次第であります。
 それから受田議員の御質問は、水害の対策を今後どうするかということ、これは今後にかかる、土木建設としても非常に重大なる問題であろうと思います。とりあえず、ただいまのところでは、治水治山の五箇年計画を樹立いたしまして、明二十三年度からこれを実施して、五箇年の計画で完璧を期し得るだけ完璧を期したい、こういう計画を立てておる次第であります。以上、大体御答弁といたします。
    〔國務大臣平野力三君登壇〕
#39
○國務大臣(平野力三君) 中嶋勝一君の御質問は、今回の水害の原因は山林の過伐、濫伐にある、こういうご指摘でありますが、この点に関しましては、大体私もさように存じておるのであります。そこで、農地調整法の運用によつて、山林の所有者が、將來山林が農地と同じように細分化せられるというような考えのもとに濫賣・濫伐をやつておる、このことはまことに山林行政の上においていかぬではないか、こういうお問いでありますが、私はしばしば山林と農地とは違うのである、農地調整法は農地に関して適用さるる法律であつて、山林には適用されないという意味のことを申しておるのでありますが、この点は、あるいは所有権の制限等の意味から、山林業者は、山林が將來農地のごとく細分化せられると思われたことであろうと思います。
 この際申し上げたいと思うことは、農地開放は、小作制度を廃絶して、人間を開放するところの、いわゆる農村の民主化の徹底でありますので、この線においては、農地改革は徹底的に行うのであります。しかし、山林は農地と違いまして、木炭であるとか木材は、人間とは違うのでありまして、いわゆる山林の所有権制限等を、農地調整法の運用によつてやるということは、今日考えておらぬのであります。從つて、この点を明確にいたしておきたいと思うのであります。なお、そのことに関しましては、私はあらゆる機会において、山林業者に不安を抱かすることなく、主張をいたしておるのであります。
 次に今村君の御質問は、政府が開墾・干拓事業に使つた費用をもつて治山治水の方面をやつておけば、かような水害はなかつたのじやないかというような御質問であつたかと思いますが、今この大水害を前にして考えますならば、確かに私どもは、開墾費を割いて治山治水の費用に投ずべきであつたというような感想を深くするものであります。しかし、台湾・朝鮮を失いました日本といたしましては、何と申しましても、食糧増産の面において新しい開墾と開拓を必要といたしましたので、昭和二十一年度におきましては、開墾費用といたしまして約五億を使い、その結果といたしまして、四十四万石の増收をいたしました。二十二年におきましては、十五億を開墾費用に使いまして、増收九十六万石の案を立てておるのであります。かような案件に関しましては、今後治山治水と開墾事業をにらみ合わせまして、総合的な対策を立てますることは、最も必要であると考えますので、御質問の御趣意を考えまして、將來とくと考えたいと思います。
 次に受田君の御質問は、現在の対策に対して、もつと深刻な愛情をもつて当れ、こういう御趣意でありまするが、これはまつたく同感であります。私どもは、眞に深刻にして、眞に眞劍なる対策を立てる必要があると痛感いたしております。從いまして、山林政策については、從来立てておりましたところの五箇年計画というものを、さらにこの際再檢討を加えまして、現在農林省におきましては、新たなる森林政策を着々と準備いたしておるのでありまして、この点に関しましては、近く発表をいたしたいと思つております。
 網島君の御質問の要点は、水害地に関するところの主食の問題に関して、加配米を行うべしというお問いでありました。この点は、水害の被害を受けられた人は、配給を受ける対象の人となりますので、基本的なる二合五勺配給は当然行うことになると思います。しかし、加配米の点に対しては、いかに水害地でありましても、無條件で行うわけにはまいりませんので、現在考えておりますところの施策といたしましては、この水害地の復旧及び開墾、こういうようなことに從事せられるところの人たちに対して、もとより、これらの労働は重労働となるのでありますから、基本的配給以外に、これらを重労働と見て、労働加配の形から相当に食糧増配をすることがよかろうと、現在考えておる次第であります。
 なお、網島君のご指摘の山林行政の根本に関する御意見につきましては、大いに尊重をいたしまして、研究するつもりであります。
 最後に林君の御質問は、減水後における耕地の境界問題をどうするかというお問いであります。もとより減水をいたしましたところにおいて、境界のやや明瞭にわかるところもありましよう。しかし境界のまつたく不明瞭になりますところが相当にあると考えられまするので、これらの点に関しては、減水いたしましたるあとを檢討いたしまして、ここに実現に即した、その地方の人たちによく満足のいくような方法を、今から考えていきたいと考えております。以上、簡單に御答弁いたします。(拍手)
    〔國務大臣栗栖赳夫君登壇〕
#40
○國務大臣(栗栖赳夫君) 各御質問中、大藏省所管の点につきまして、とりまとめて御答弁いたしたいと存じます。災害復旧費の國庫負担の問題であります。これは私は緊急を要する費用と恒久対策に要する費用とにわけて考えたいと思うのであります。緊急を要する費用につきましては、既定の経費をもつて支弁をいたすつもりでございまして、金融その他について実際支拂を開始いたしておるのであります。
 一昨日、埼玉、群馬その他をまわりまして、たとえば埼玉縣でありますならば、とりあえず二千万円の資金が必要だということでございましたので、金融機関その他と打合せをし、さらに日銀の支店長その他とも打合せをしまして、金融機関の共同融資という形をまとめて帰つたような次第であります。群馬におきましては、四千八百万円見当の資金が必要ということでございました。ここでも同樣な方法をもつて、とりまとめて帰つたような次第であります。他の地方におきましても、そういう必要がございますれば、速急に同樣の手続きをいたしたいと思つております。
 恒久対策につきましては、総合計画を立て、治山治水を徹底化する必要があると認めまして、それに要する費用につきましては、既定の経費を既定の経費で賄い切れない場合には、新たに予算を組みまして、十分徹底的に目的を達したいと考えておるのであります。新たに予算を組みます場合には、いずれ、あらためて國会の御承認を経ることに相なろうと存ずる次第であります。
 それから地方財政の負担と國庫の負担との点であります。先ほども申し上げましたように、すでに都あるいは府縣におきまして、決議をもつて費用を定めておられるところがあるのであります。これはすでに申し上げましたように、金融の面でとりあえず手当をする、こういうようにいたしたいと思うのであります。國庫の負担につきましては、あるいは三分のニあるいは三分の一という一部を地方負担といたさないと、いたし方がないかと思うのでありますけれども、地方の財政の現在及び國家の財政の現状等ともよくにらみ合わせまして、必要がありますならば、さらに研究もいたしたい、かのように存ずる次第であります。
 それから個人の封鎖預金の問題であります。これは一世帶について五千円以内、一人については一千円以内、すでに第一封鎖から自由支拂を認め、指図をいたしたような次第でございます。
 それから罹災者に対する租税の減免の意図があるかどうか、こういうお尋ねであります。これは必要に應じて減免をいたしたいと考えております。
 それからなお最後に、水害地の復旧について、事実において新たにさら地を開墾すると同視すべき場合もあると思うが、この場合に國庫の補助金を出すかどうか。かようなお尋ねがあつたのであります。これはよく具体的に実情を調査いたしますとともに、研究をいたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)
#41
○副議長(田中萬逸君) 厚生大臣一松定吉君。
    〔國務大臣一松定吉君登壇〕
#42
○國務大臣(一松定吉君) 先刻御報告を申し上げましたことが、少しく徹底しなかつたとみえまして、石田君から太平洋における香水一点論が出たのでありますが、少しく具体的に申し上げて、御了解を得たいのであります。
 実はこういうような非常災害の突発事件でございますから、被害者がいくらあるということの見定めが直ちにつかなかつたので、でき得る限り多量の物を送ろうということで処置いたしたのであります。まず赤痢錠に関しましては、百万錠を埼玉・東京・茨城・群馬の方に急送いたしたたのでございますから、一戸五錠ほどにあたるのでございます。それから、これは赤痢の疑いのある患者もしくは赤痢患者のみに渡すのでありますから、相当行渡ろうと思うのであります。どうぞ御安心を願いたいのであります。今後またそういうものが続々増発いたしますれば、なお相当の用意があるということを申し上げておきます。それから消毒藥、すなわち水の濁りましたようなところの井戸水を消毒いたします必要がありますので、さらし粉を、一つの井戸に一日二十グラムとして、十日分二百グラムの割合で配給いたしたのであります。それから水を清めます淨水錠は二百二十五万錠一戸に対して十三錠ほどのものを配給いたしたのでございますから、これも相当に効果があろうかと思います。その他のものに対しても、それぞれ相当量を――たいがい推算でわかつたのでありますが、石田君の申されまするように、足りない点に対しましては、それぞれ用意をいたしておりまして、何どきでも送れるようにいたしてありますから、その辺はどうぞ御了承をお願いしたいのであります。
 それから佐々木君から、東北方面に対しては、まだ一向そんなものがいつておらぬではないかというようなお教えがありましたが、あるいはそういうことがあるかもしれません。岩手の方は、私が親しく知りましたのは二十日であります。しかも、交通の不便なところを突破いたしまして、岩手縣会議長並びに総務部長がまいりまして、事実を報告してくれたので、初めて知つたのでありまして、にわかに調査班を派遣して、目下取調べ中でありまして、送られる品物だけは、先に申し上げましたように、すでに急送をいたしておるのであります。
 それから東北方面はどうもおろそかになつているような疑いがあるという御注意でありましたが、そういうようなことがありとしますれば、まことに恐縮なことでありまして、いわゆる全國民は一視同仁でなければなりませんので、それらの点については十分に事実を調査いたしまして、そういう不公平のないように努力いたすということに御了承を賜りたいのでございます。
 最後に、ちよつと御報告を申し上げておきます。実は私十八日に埼玉縣方面を視察いたしまして、その翌十九日に陛下に拜謁を仰せつけられまして、私の見聞いたしましたことをことごとく上奏いたしました際に、最後に陛下から、いやよくわかつた、どうか厚生省においては、救助対策について万遺憾なきようやつてもらいたい、それを頼むよ、とありがたき御聖旨を奉戴いたしました。私は非常に恐懼感激をいたしまして、よろしゆうございます、でき得べき限りの努力を拂いまして、そういうようなことを防止することに努めます、かようにお答え申し上げまして、帰りまして局課長を集めて、その聖旨のほどを傳えましたところ、局課長とも非常にそのありがたき御聖旨に恐懼いたしまして、全力をあげてこれからの防疫に努めるという決心をもちまして、ただいま社会局内に、その当時からあつたのでありますが、水害対策本部を設けまして、社会局、予防局、医務局の局員が互いに交代をいたしまして、晝夜兼行、宿直をして、情報・対策・活動に努力をいたしております。東北方面の用意もございますし、またこの地方の災害に対する用意等もいたさなければなりませんので、撒布用の石灰、これらのものを二、三百トン、消毒用のクレゾール、D・D・T、これらの整理・集積、血清ワクチン、ガーゼ、繃帶等を相当量用意いたしておりまして、何どきでも急に應じ得るようなことをいたしておることを御了承を賜りたいのでございます。これをもちまして、簡單ではございますが、お答えといたします。
        ―――――
#43
○叶凸君 自由討議は延期し、明後二十五日定刻より本会議を開き、これを行うこととし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#44
○副議長(田中萬逸君) 叶君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて解散いたします。
    午後四時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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