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1947/09/25 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第36号
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1947/09/25 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第36号

#1
第001回国会 本会議 第36号
昭和二十二年九月二十五日(木曜日)
    午後二時三十三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第三十五号
  昭和二十二年九月二十五日(木曜日)
    午後一時開議
 第一 自由討議    (前会の続)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○副議長(田中萬逸君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 水害に関する三木國務大臣の報告
#3
○副議長(田中萬逸君) 水害について報告のため、逓信大臣より発言を求められております。これを許します。逓信大臣三木武夫君。
    〔國務大臣三木武夫君登壇〕
#4
○国務大臣(三木武夫君) この機会に、先般の台風による逓信機関の被害状態と、これに対しましてとりました処置の概要を御報告申し上げたいと思います。
 通信機関中最も被害の多かつたものは電信電話の施設でありますが、御承知のごとく、わが國電氣通信網の根幹をなしておりまするケーブルは、西は、東京より大月、甲府、松本、名古屋を経て関西方面に通ずる國際ルート、俗に中仙道ルートと申しておりますが、これと、東京を経て名古屋より関西方面に通ずる東海道ルートの二本と、北には、東北・北海道方面に通ずる東北ルートと、常磐ルートの二本がありまして、都合西に二本、北へ二本の四本の幹線ケーブルによつて、わが國の電氣通信は運営をされておるのでありますが、今回の台風によりまして、十五日午後一時、國際ルートは、大月、甲府間におきまして、がけ崩れのため五箇所断線し、さらに常磐ルートにおきましては、十五日午後九時ごろ、本田、荒川沖ほか九箇所において、相前後して断線その他の障害を生じ、東北ルートも、また同日午後十時ごろ、栗橋ほか二箇所において断線または不通箇所を生ずるに至りました結果、東京以西におきましては、東海道ルート一本のみとなつたのであります。從つて東北・北海道方面は、無線連絡以外に通信の途がまつたく杜絶するに至つたのであります。かかる幹線ケーブルの大半が障害を受けましたことは、電氣通信事業始まつて以來今回が初めてであります。
 逓信省におきましては、とりあえずの処置といたしまして、電報については一時受付を制限し、電話についても一時緊急通話に限るという指令を発しますとともに、ケーブルの復旧並びに應急臨時裸回線の架設に全力を注いだのでありました。
 まず國際ルート、すなわち中仙道ルートでありますが、この復旧模樣については、大月、甲府間における障害現場には、東京逓信局員並びに甲府、八王子工事局員を向けまして、十六日の夜より徹宵作業を開始いたしましたが、現場の模樣が予想外に惡く、資材の不足等もありまして、肩送りでケーブルをかけるというような苦心をいたしたのでありますが、ようやく去る十九日の午後九時に至り六十四回線、さらに二十四日の午後四時七回線、合計七十一回線の復旧を見たのであります。しかし七十一回線と申しましても、障害前においてこのケーブルが收容いたしておりました二百五十回線に比べますと、まだ相当の距離があるわけであります。もつとも、この復旧によりまして、中部・関西方面における電報の停滯は、一應一掃することができました。
 次に北の方でありますが、東京より水戸・仙台方面に通ずる常磐ルートにおける荒川沖の断線と、東京より宇都宮・仙台以北に通ずる東北ルートにおける栗橋の断線は、洪水によりまして、工事局員の懸命の努力にもかかわらず、容易に復旧の見込みが立ちませんので、應急措置といたしまして、十六日以來、宇都宮、水戸、仙台、札幌に裸電信六本、また仙台、青森間に裸電話線九本を臨時作製いたしますとともに、宇都宮、仙台、札幌向けの國内無線電信を強化活用して、電信・電話の疎通に努めてきたのでありますが、それのみをもつてしましても、東北・北海道方面における通信は、はなはだしく停滯を免れなかつたのであります。しかるところ、荒川沖断線箇所の修理が、十九日に至り仮開通の見込みがつくに至り、非常に望みをかけておつたのでありますが、常磐ルートの中継所でありますところの本田中継所が、中川堤の決壊によりまして浸水の厄を受け、本田中継所は、まつたくあたりが全部浸水した中に、局員は浸水の厄を免れるために、決死の努力をいたしまして守り続けたのでありますが、しかし一部の浸水は免れなかつた次第であります。こういうことで、ついに開通の見込みを失うに至りましたが、これより前、本田中継所が危いということで、栗橋附近の東北ルートの断線箇所修理班が、是が非でも東北ルートの復旧をせなければならぬということで、濁流中に舟艇を操つて、修理用ケーブルを運搬し、これまた文字通り決死的な作業を強行いたしました結果、昨二十四日の午後八時に至り、百三十回線中六十九回線の復旧修理に成功いたしまた。これによりまして、東北・北海道方面の電報の疏通状態は本日午前七時現在において、北海道向けの電報停滯は約一千六百通、これを除いて今までの停滯信を一掃するに至り、電話におきましても、東北方面への通話がやや良好になる状態に復旧いたしてまいりました。なお電報取扱いの制限は、去る二十三日以來これを解除いたしております。電話についても、回線の状態によりまして、一般の要望に副うよう、つとめて取計らつておる次第であります。
 以上申し述べました電氣通信施設のこうむりました損害は、きわめて莫大に上るのでありまして、これが復旧には数億円を要するものと考えられ、これについては各位の絶大なる御協力をお願いいたす次第であります。
 最後に、今回の洪水によりまして、逓信從業員の被害として、ただいま判明いたしたものは、死者十一名、行方不明四名、家屋流失または全壊七十五戸、半壊三十六戸、浸水千七百七十一戸を出しましたが、これらの人々に対しては、でき得る限りの善後処置を講じたいと存じておる次第であります。
 以上をもちまして、逓信省関係のおもなる台風被害と、これに対する善後処置を御報告申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 第一 自由討議
#5
○副議長(田中萬逸君) これより前会に引続き自由討議の会議を開きます。提出されております問題は、中小商工業振興対策についてであります。
 山口喜久一郎君、発言者を指名願います。
#6
○山口喜久一郎君 日本自由党は、辻寛一君を指名いたします。
#7
○副議長(田中萬逸君) 辻寛一君、発言を許します。
    〔辻寛一君登壇〕
#8
○辻寛一君 先週の本会議にわが党から出しました中小商工業振興に関する自由討議の議題に対し、社会党の林君並びに民主党の長野君から、いずれも今後における中小企業がわが國経済再建の中核となるべき重要問題であるという御見地から、それぞれ熱心な御発言がございました。ときに小首をかしげるような点もありましたが、まず概してごもつともという次第でありまして、その大略は、近く政府が決定せんといたしております中小企業対策要綱の線に近く、その強力にしてかつ迅速なる実施方の御督励のように拜聽いたしたのでありますが、何にはともあれこの御両君の眞劍なる御討論に対しましては、議題提出の当番でありまするわが党といたしまして、敬意を表する次第であります。
 まことに御説のごとく、敗戰後におきますわが國経済の地図は、完全に塗りかえが行われようといたしておりまして、その中にぽつかり大きく浮かび上がつてまいりましたのが、実にこの中小企業の地位でありまして、これを復活し、これを基盤とし、これを中核体として、初めてわが國経済の建て直しができると信ずることにおきまして、御同樣であります。ただ林君の、特に中小工業に力点をおかれ、むしろ商業に対しては、いささかさじを投げておられるようなお口ぶりに対しましては、異論がありますとともに、わが党の小峯君の所説に対しまして、いたずらに封建的な感覚を拔け切れぬ復興策であるという御批評、並びに長野君から、中小企業に対する金融に対して、小峯君の考え方に誤りありやの御指摘に対しまして、一應お言葉を返しておきたいとは存じましたけれども、何さま時間の関係上、かような論議にひまどりまして、より本質的な問題を逸しては相ならぬと存じまして、この場合私は、特にわが党がこの問題を取上げて、各党各派の熱烈なる御討論を期待いたしますその眞意を明らかにする意味におきまして、中小企業に対しまして、わが自由党がとらんとする根本的態度を強調するために、私に與えられました貴重な時間は、次の二つの問題に集中して論を進めたいと存じます。
 まず第一に、今日中小商工業者の最も切実な叫びとして、できるだけ統制の面を少くして、業者の創意とくふうと努力によつては思う存分伸び得るところの自由経済の面を、できるだけ押し拡めてほしいという、これがその要求であります。重要基礎資材並びに生活必需品にして極度に不足を告げておるものに対しましては、統制もこれまたやむを得ない。いやこれにつきましても相当議論がありまするが、過渡的現象として一應認めるにいたしましても、それ以外の物資に対しては、できるだけ速やかにこの統制を解くということが、最も懸命な策であると私どもは固く信じております。
 從來の統制癖が骨の髄までしみこんだものとみえまして、今はもはや必要でなくなつておるというよりも、どちらかといえば邪魔になるような統制が、惰性的に盛んに行われております。現に青物の統制なども、その出荷、配給、いずれも統制を解くことが最も妥当であるにもかかわらず、これをやり得ないという状態である。しかも、この不必要な統制の陰に、独善に酔いしれた官僚と、統制樣々、ふところ手をしておつて、とかく甘いしるに酔いがちなところの統制團体のボスどもによつて左右されがちなこの統制の惡弊は、速やかに是正さるべきものであると考えます。(拍手)
 だれかが申しましたが、今日の配給制度は、まるでねこにかつおぶしを配らせるようなものだ―まつたく、うまい表現だと思います。神樣か、いつそのこと機械でなければ、配給の絶対適正を期するなどということはできないということがわかつたならば、統制は必要やむを得ざる最小限度に止むべきであろうと存じます。乏しきを憂えず、ひとしからざるを憂うというのは、政治の心得として、よくいわれることである。ごもつともであります。そこで、乏しいものは、たといちよつぴりでもいいから、公平に配分しようじやないかというので、この統制ということも起つてくるのであろうと思います。その理窟に毛頭異論はございません。
 しかしながら、世の中で大切なのは、理窟よりも実際の動きであります。統制のわくをはめて、いわゆる正規のルートに乘せようとすると、どうしたものか、もともと少いものが、たちまち姿を没して、ちよつぴりの配給さえ行き悩みになるばかりか、やみ値がどんどん上つていく。統制を解くと、どこから現れるか、俄然出まわりがよくなる。これが、われわれが現実に見ておるところの世相であります。
 しかし、自由取引じや値が高過ぎて手が出ない、買える人々はいいけれども、買えぬ貧しい人々の嘆きをどうするのだ、こういう感傷論が、この場合きまつて出てくるようでありますが、それはほんの一時の現象である。案ずるより生むはやすいのであります。なぜならば、自由市場のもとにおきましては、自然に起る生産の増加と、荷まわりの増加によりまして、値は下る。一方、消費者の側におきましても、買入れ選択の自由がありますから、そこに家計のやりくりが自然にうまくできてくるものである。世間知らずの役人や、公式一点張りの統制論者が、机の上や頭の中で心配されるようなことは決してありません。願わくば、生きた経済の理法というものは血が通つておるということに、よくお氣を止められたいと存じます。隣りの工場では、さしあたりいらぬ品物をうんとこさとしよいこんで、金詰りを來しておるのに、こつちでは、のどから手が出るほど欲しくても、自由取引が認められておらない今日の悲しさには、お役所の机の上を通じて、しちめんどうな、氣の長い、いわゆる正規の配給というものにありつかねば、なんともしようがないというようなことでは、能率をあげようにも、あげようがございません。
 統制経済の現実の姿は、正にこの通りである。にもかかわらず、性こりもなく、さらに輪に輪をかけて官僚統制を強化せんとするような方向にひつぱつていこうといたしておりますのが、片山内閣の経済政策の意図するところのごとく思われますが(拍手)、経済の原則は、あくまで自由市場をもち、自由價格と自由競爭を認めていくところに、その円満なる発達を期し得られるものであると私どもは信ずるのでありまして、統制はやむを得ない過渡期の現象である。経済の変則なるがゆえに、順を追つて、できるだけ速やかにこれを解除すべきであり、特に中小商工業の面におきまして、これが復興を念ずるものにとりましては、統制経済は絶対に鬼門であること、これは輿論のひとしく指差すところであると確信をいたします。(拍手)けだし、中小企業復興と自由経済の復活とは、一にしてニならず、切つても切れぬ血のつながりをもつておることを、わが党は力説してやまないものであります。 
 第二に、中小企業の復興に際し特に警戒を要するのは、中小企業を牽制するがごとき特殊團体の不当な進出ということであります。戰後各都市の市民や勤労者によつて、着々消費組合や生活協同組合が結成されてまいりました。今日の物價と配給状況から、生活不安にさらされておるところの消費者が、その自衛的手段として、こうした組合を自発的、民主的に組織すべく乘り出してくるのは、一應無理からぬ傾向でありまして、これに対し中小企業者として、單なる商権擁護的な立場から、いたずらに反対し、これを食い止めようなどというような小兒病的の態度は、もとよりとらぬところでありまするが、しかし、こういう種類の組合が、時流に乘つて、むやみやたらにできるということは、中小企業の復興を妨げ、配給を混乱させ、結局消費者大衆が功徳を受けるよりも、むしろ負担を加重する結果に終ることをおそれるものであります。
 組合員の消費生活を業者の営利から守るのが当面の目的であると云つて、生活協同組合は、利潤なき社会の実現を夢見ておるようで、理想は一應結構だが、人の世の現実は、なかなかそんなに甘くでき上つておらぬ。とかくその経営は拙劣なために組合員に迷惑を及ぼしておる組合が、現に相当見受けられるのであります。利益を追求する人間の本能を捨てて経営に当り、しかも経営の才をもつておるという人、これは決してないとは申しませんが、こういう人はきわめてまれであると言わなければならぬ。結局その日暮しの役人かたぎの経営に堕し、士族の商賣よりは、やはり餅は餅屋に任せておくべきであるというところにおちつきがちであることは、あまりにも明らかであると思います。
 殊に配給物資がきわめて少い現状におきましては、組合員に多少でも満足を與えようといたしますれば、戰時中軍需工場の多くがやみの買出しをいたしましたように、集團的なやみ買出しを誘発する危險が多分にあり、從つて統制配給を混乱させるおそれも十二分にあると予想されるのであります。また一面におきまして、戰時中の企業整備によつて淘汰されておりました多数の小さい業者が、もとの企業に戻りつつある事実によりまして、失業緩和の一助ともなつておりまする今日、これに逆行して、既存の中小企業を圧迫して、その生活を脅かし、社会不安を増大するがごとき存在が続出することは、社会政策上見逃しがたいところであると存じます。
 それならばいつそのこと、今までの業者を生活協同組合の職員として活用したならば、彼ら独特の経営の才も活かし得て、かつ失業問題も起るまい。一石二鳥の名案というかもしれぬ。先日の社会党の林君のお説も、まさにこのようでありましたが、一体業者の経営に対する創意・工夫・熱意・勤勉・責任観念といつた要素は、やせてもかれても一本立ちの業者として、自分ののれんに対する自負心から発揮されるのでありまして、一介の月給取りになつた彼らにこれを期待すること自体が企業というものに、働く微妙な人間の心理を弁えぬ、公式的な考え方であるのみならず(拍手)、中小企業家は、社会的構成から申しまして、さしずめ中産階級であり、中堅層である。この堅実なる階級が地すべりをするということは、これまた大きな社会不安の一つの原因となることに思い及ばねばならぬと存じます。
 今日各地の生活協同組合では、組合の法制化に関して猛運動を起しておりまする一方、社会党でも、これに関する法案を用意されつつあるやに聞きまするが、そもそも既存の中小企業家と生活協同組合とは、まつたく平等の立場において、公正自由なる競爭をなすべきものである。生活協同組合に対してのみ保護助長し、または何らかの特典を與えるがごとき立法化は、あくまで差控えなければならぬはずであるにかかわらず、傳えられる社会党の案なるものを檢討いたしまするに、元來公正自由なるべき競爭を阻み、既存業者に圧迫を加えるがごとき不当不合理なる点が少からず目につくのであります。
 たとえば生活協同組合には、所得税も、法人税も、営業税もかけない、こういう條文になつております。今日重きに過ぎる租税負担に苦しんでおる商工業者を尻目にかけて、かような廣汎な免税の特典を組合にのみ與えんとするのは、不公平な片手落ちの態度であると申すべきであります。政府は、中小商工業者の唯一の拠りどころであるところの商工協同組合に対しましてすら、私的独占禁止の趣旨に副いまして、近くその改正案を提出せんといたしておると聞く矢先におきまして、生活協同組合に対する社会党の態度は、まさにこれを逆にいこうといたしておるような感じがいたします。
 すなわち生産事業、配給事業と合わせて、金融事業、保險事業をも同時に行うことができるように仕組もうとしており、また組合設立の区域も、必ずしも行政上の区画によらずとしている。すなわち都道府縣の地区を越え、はては打つて一丸とする全國連合会の設立も差支えないという構想は、まさにありし日の三井・三菱にまさるところの、恐るべき私的独占の形にまでのし上る危險を十分にはらんでいるものと推断しなければなりません。(拍手)
 殊にまた事業目標の廣汎なること、お門の廣いこと、全く手当り次第で、生活上の施設万般、一として組合のなし得ざることなく、まつたく雄大なる理想といえば聞えがいいが、今日当面せる國家の現状に照らし、在來の機構を無視した、あまりにも空想に近いというよりも、むしろ誇大妄想ではち切れそうな夢の見取図が、ここに織りこまれていることに、いまさらながら驚かざるを得ないのであります。(拍手)
 重要産業の國有國営をめざして、社会主義の旗印を推し進めんとする社会党は、一面において、この生活協同組合の組織を通じて、その他一切の産業を漸次組合一色に塗りつぶし、國有國営にひとしき境地において、その本來の目的を戰いとろうとする社会主義のイデオロギーなるものが、あたかも平清盛の衣の端からちらちらのぞいたよろいのごとく、この法案の條文からありありと看取されることは、われわれあくまで自由主義経済を固守せんとする者にとつては、まつたく末恐ろしき法案であつて、もし、かような形をもつてこの法案が立ち現われるのであろう限りは、ただに目前に迫る中小企業の盛衰といつた立場に止まらず、廣く再建國家の消長を賭する意味におきまして、あくまでこれを食い止めなければならぬという覚悟を、あらかじめ固めつつあるものであることを、ここにあえて断言いたします。
 中小企業の復興が成るか成らぬかが、すなわち日本経済再建の第一のかぎであることを信ずる私の所論が、ついここまで突走つたことは、けだし当然と思召していただきたい。さいわいにして、私の取越苦労を啓発される議論をこれから承ることができれば、こんなありがたいことはありません。これを期待して、私の討論を終ります。(拍手)
#9
○副議長(田中萬逸君) 安平鹿一君、発言者を指名願います。
#10
○安平鹿一君 日本社会党といたしましては、松原喜之次君を指名いたします。
#11
○副議長(田中萬逸君) 松原喜之次君に発言を許します。
    〔松原喜之次君登壇〕
#12
○松原喜之次君 過日の自由討論におきまして、提案者の小峯柳多氏から、中小商工業の問題は、これを中小工業と中小商業とに明確にわけて取上げなければならないという御発言があつたのでありますが、私もまたこれに賛成し、ごもつともなる御意見であると存ずるものであります。
 御承知のように、中小商業は現実の問題といたしまして、從來國家の保護助長等の政策の対象とはあまりなつておらなかつたのでありますし、また現在におきましても、これを必ずしも積極的に助長育成の対象とする必要はないという現状にあり、これに反し、中小工業は最も悲惨なる窮地に陷つている状態でありまして、これは一日も早く國家の手によつて保護助長しなければならないという状態にあるのであります。しかるに、これがただ経済上の弱者の立場であるかのごとくに考えられ、漠然と中小企業として一括して取上げられまして、そうしてこれに対する対策が論ぜられるために、その間適切な両者に対する対策がとられないという事態にあるのであります。
 現に前会の議場におきまして、水谷商工大臣から、中小商工業対策要綱なるものの御説明がございましたが、思うに、これは中小工業に対する対策を主眼といたしているのでありまするが、これもまた中小商工業対策要綱として、商業の方は附随的にこれを附加せられてある感があるのであります。私はこの点に関しまして、小峯氏とともに、明確にこれをわけて把握し、これに対するおのおのの対策が立てられるべきであるということを、ここに主張いたしたいと存ずるのであります。
 私は、簡單に現在の中小商業並びに中小工業の状態を分析いたしまして、これに対する対策につきましては、これを根本的に掘り下げることはしばらくおき、ただ当面の対策につきニ、三申し述べてみたいと存じます。率直に申しまして、現在わが國で発行せられております通貨の千五百億余円のほとんど三〇%、約五百億は、これ商業者の手にあるのであります。もちろん、これは第三國人をも含めた大商業の手に相当の部分が退藏せられているのでありますけれども、しかしながら正直に申しまして、今日わが國の商業者が、國民大衆の中にいかなる経済的地位を占めているかと申しますれば、かなり惠まれたる位置にあるということを考えなければならないのであります。ついででありまするが、これらの新円階級に対しては、犠牲の公平という点に鑑みましても、また健全財政樹立のためにするところの財政收入の増加の点より見ましても、的確にこれを把握いたしまして、重税をこれに課するということは、喫緊の必要事であると存ずるのであります。
 しかしながら、前発言者も言われておりましたごとく、旧來のまことに正直にして專門的なる商人のうち、戰時の誤れる統制、戰後の経済界の混乱によりまして、没落しつつあるところの、少からざるまじめなる商人のあることを見逃してはなりません。われわれは、流通秩序の確保に対する政府の政策を、國民の協力を得て、この際強力に推進いたしまして、いわゆるやみの商業を正常なる商業に帰しまして、これらの眞にまじめなる商人が、安んじて商業に邁進するような環境を、1日も早くつくらなければならないと考えておるものであります。
 次に商業につきまして、商業協同組合の発達ということは、その共同の利益を進め、自立力を強化するために重要なる今日の課題であると存ずるのであります。從つてわれわれは、商業の協同組合が今後十分なる発展の余地あるべき政策を、ここに政府の方針として樹立せられることを希望いたす次第であります。
 さらに第三には、私は今日商業者の取引がほとんど大部分現金取引をもつて行われ、それが正常なる商業をいかに阻害しておるかということを見なければならないと思うのであります。これに対しましては、あるいは銀行取引に対する全般的な再檢討を加えまして、銀行取引に対する信用を回復し、安んじて小切手・手形等が商業部面に流通いたしまするような策を、この際とらなければならないと存ずるものであります。
 以上は、商業に対するニ、三の私の所見を述べたものでありまするが、次に、中小工業に対してこれを見まするに、各政党あるいは從來の政府、すべて中小商工業の振興を口にし、その政策の重要なる一として揚げないものはないのでありまするけれども、從來政府の行われたところを見まするに、ほとんど無爲無策、ただこれを揚げて標榜せられるだけであつて、実際に何らの施策をなされなかつたというのが事実であります。殊に傾斜生産方式が採用されてこの方、中小工業はその犠牲となりまして、今日彼らがその資金の面において、資材の面において、はなはだしき窮地に陷つておるのは、これすなわち從來の政府の犠牲となつたものであると存ずるのであります。(拍手)
 そこで私どもは、これに対しまして、この金融部面に対する救済策といたし、一般金融機関再建整備とともに、ここに中小工業者及び商業者のために特殊なる專門金融機関をつくり、強力にこれが救済に邁進しなければならないという方針をもちまして、政府をしてこれを実行せしむるの段階に立至つておるのであります。(「それは傾斜生産の撤廃だ」と呼ぶ者あり)
 資材の点につきましては、お言葉のごとく傾斜生産方式を、單純傾斜生産方式より、一方に中小工業を主軸とする輸出産業の振興という他の重点産業をもち來り、この面に対する傾斜をここに新たに生まんとする政策に変りつつあることは、御承知の通りであります。われわれは資材の面におきましては、過般設定せられました輸出入回轉基金をできるだけ適切に運用し、重要資材を中小輸出工業のためにできるだけ輸入し、また國内にあるところの遊休物資を徹底的に活用いたしまして、そうしてこの資材難に悩むところの中小工業に対して救援をしなければならないという考えをもつておるわけであります。
 さらにまた中小商業と同じく、さらにそれ以上に、中小工業にとりましては協同組合の必要が感ぜられるのであります。中小工業に対しましては、工業協同組合の助長発達によつて、その共同施設を進め、あるいは共同の金融を行わしめて、その自衛力を養成強化いたさなければならないと存じます。われわれは、この中小商業に対しましても協同組合の必要を唱え、また中小工業に対しましても協同組合の使命を深く認識し、これが助長発達をはかろうとしておるのでありますが、一面におきましては、消費者の利益をはからんがためには、生活協同組合の助長発達を促さんとする措置をもちまして、近く生活協同組合法案を議会に提出せんといたしておることは、先の論者の言われた通りであります。
 小峯氏は、中小商工業者が全て氣息えんえんとしておる、もし生活協同組合が発達する場合には、この氣息えんえんたる中小商工業者、殊に商業者がその生存を脅かされるのではないかということを申されたのでありますが、さようなことは決してないのであつて、しかも商業者は商業協同組合により、工業者は工業協同組合によつて、おのおの中小企業が、みずからの團結により、その利益をはからんとしておると同樣に、一般消費者もまたその利益のために協同組合をつくらんとすることは、同一の原理、同一の原則、同一の思想に從つておるころことであつて、これを一方に対して反対し、一方に対しては反対しないというがごときは、論理の一貫性を欠いておるものと考えるのであります。
 さらに私は、論者のごとく決して生活協同組合と商業者とが相剋をせず、商業者の存在を脅かさないという点につきまして、次の二つの理由をあげたいと思うのであります。その一つは、商業者というものは、その專門の知識が深くして、そうして先ほどの議論のごとく、その経驗もはなはだ多いのでありますから、いわゆる素人であるところの、しかも廣く商品を取扱わなければならないところの生活協同組合に対しては、りつぱに独自の立場で生存し得るのであります。その豊富なる知識、その深い経驗によつて、独自の存在を生活協同組合とともに示すことが可能であります。
 次に、商業者は今日そのサービスが低下し、商業道義が頽廃しておるという点について、多くの非難を受けておるのでありますが、もし生活協同組合が存在いたしまして、これと並存いたします場合は、必ずやそのサービスが改善され、その道義が回復される契機となるものと考えるのであります。これこそが……
#13
○副議長(田中萬逸君) 松原君、時間が迫りました。結論を願いたいと思います。
#14
○松原喜之次君(続) 一般消費者はもとより、中小工業者といえども、生活協同組合の組織を希望しておるところの理由なのであります。生活協同組合が世界的にその発達を見、しかも、いずれの國におきましても、決して商業者の生存を脅かしてはいないという実情に鑑み、また國内におきましても、明治三十三年以來、産業組合法のもとに消費組合が存在いたしておりまするし、その長い歴史を見ましても、今日いかに長足の進歩を生活協同組合がいたすといたしましても、おそらく國内の全商品取扱高に対してその占めるべき比率というものは、ほとんど言うに足らざる実情であると思うのであります。しかも、これをもつて商業者の存在を脅かすがごとくに言われるのは、いわば商業者をして被害妄想に陷れる議論であると存ずるのであります。
 私どもは、生活協同組合が、むしろ商業道義の回復、あるいはそのサービスの改善のために、続々と出てくることを期待いたしまして、そうして生活協同組合法案を出すのである。保險・金融等の問題に至りましては、御杞憂になるがごとき條項は含んでおらないのであります。私はこの意味におきまして、生活協同組合は今日國内の態勢としてこれを認めなければならないと存ずるのであります。
#15
○副議長(田中萬逸君) 坪川信三君、発言者を指名願います。
#16
○坪川信三君 民主党は田中角榮君を指名いたします。
#17
○副議長(田中萬逸君) 田中角榮君の発言を許します。
    〔田中角榮君登壇〕
#18
○田中角榮君 自由党と社会党に比べまして、民主党は十分しかございませんために、多少早口で申し上げますが、簡明に申し上げますから拍手を願います。
 わが國中小企業振興対策について、ニ、三私見を申し述べたいと思います。御承知のごとく、わが国の産業の長い歴史は、中小企業をもつて母体として築かれてまいつたのであります。第一次世界大戰後、世界経済圏に重要なる地位を占める機会を與えられましたころを轉機といたしまして、大企業が徐々にわが國産業界の主軸となり、昭和初年において、都市集中の大企業に圧迫され、中小企業は漸時不振と相なり、加えて今次戰爭開始により、軍閥官僚の強度の統制による企業合同となり、あるものはやむなく休業もしくは廃業の運命になり、終戰直前においては、中小企業の影をさえ止め得ない状態に立ち至つたのであります。
 中小企業と集中的大企業とを比較いたしますときに、過去の日本の中小企業者がいかに優秀なる成績をあげたかを顧みて、十分その重要性を認識できるのであります。問屋と生産業者、親工場と下請工場というがごとく、資金と技術面に相当なる犠牲を忍んでさえ当時世界市場に送り出され、薄利多賣の日本製品として、一部において恐怖さえされた自轉車、電球、時計その他ほとんどが、家内工業または手工業ともいうべき分散的小規模企業が最惡條件下において生んだ製品であり、日本中小企業が世界産業界に立てた金字塔であると思うのであります。
 終戰後二箇年、創意とくふう、汗と涙と意欲を基調とした新しい中小企業復興の氣運は、日に増し活溌と相なつてきておるのでありまするが、終戰後のわが國は、衣食住の点におきまして、必然的に都市集中の大企業にはおのずから制限があるのであります。戰後の産業復興は、一にかかつて中小企業の発達にまつの現状を思うとき、中小企業の助長育成こそ焦眉の急なりと思うのであります。政府の中小企業に対する施策は、戰時中祖先傳來ののれんを巻いたこれら業者に対する一片の涙金の交付であつてはならぬのであります。しかも、失業救済的補助金の支出であつては断じてならないと思うのであります。重要基礎産業の國家管理、生活協同組合法、公團法等々、一歩その運用を誤つたならば、わが國中小企業は破滅に瀕するのであります。
 中小企業の振興は、沈滯せる國民の生産意欲を向上し、切瑳琢磨、高度製品の生産は、自由貿易を活溌ならしめ、やがて國際経済圏の一員として復帰する大きな役割をなすのであり、加えて農村工業の発達により、農山漁村生活の合理化となり、中小工業都市の発達は、大都市人口集中の排除ともなり、わが國再建の意氣まさにここに生まるるというのも、過言にあらざる次第であります。
 しかして中小企業の発達助長は、過去におけるまつたく自由な、そうして一面資金・資材面における大量のロスを認める中小企業の再現を意味してはならぬと思うのであります。資金並びに物資需給状況において極度に逼迫せるわが國現状においては、生産の効率性に主眼をおきまして、極限ある資材の高度有効活用が必要であります。中小企業に関して、当然優劣適否の選択が行わるべきだと思うのであります。私的独占禁止、企業集中排除等により、自由公正なる競爭経営下において健康なる中小工業の発達を希望し、貿易再開の主役として世界市場の信用をかち得つつ國際経済に伍していくという、平和日本の尖兵としての責任を果すための中小企業の発達育成でなければならぬと思うのであります。(拍手)
 さて、かくのごとき重要なるわが國中小工業界の現状と、政府のこれに対してとりつつある施策はいかがかと申しますると、中小企業においては、資金、資材、技術及び経営の全般において、ほとんどが戰時中における不遇の延長であります。現政府としても、現在までその重要性を認めながらも、中小企業の経済発展の特殊事情の実態把握の困難に突き当り、総合的施策の発表もなし得ず、いたずらに拱手傍観の状態にあるのであります。その例といたしましては、中小企業の指導育成機関の設立、たとえば中央並びに地方の中小企業対策本部のごとく、資金・資材の確保、経営の合理化、技術面の指導、全國的企業の調整、業種・製品の檢定等々、緊急になさねばならない幾多の機関の新設も、未だなされておらないのであります。
 しかも、資金・資材の面においては、政府の政策はもつぱら経済安定本部中心の傾斜生産のみに向けられ、ほとんどが大規模産業本位であります。第二・四半期産業資金計画においては、重点産業だけでも数百億円の巨額を計上するも、かんじんの日本産業再建の基盤となる中小企業部門は、わずかに一億五千万円に止まつておる現状であります。これでは、何ほど中小企業が意氣ごんでも、発達しようはずがないと思うのであります。重点主義もよろしいが、かくのごとき予算の組み方では、一部のこれら産業資金がやみ経済促進の根源ともなる可能性があるということを、政府は十分に認識せねばならぬのであります。(拍手)この予算面における殿様格たる資金の一部一割でも、中小企業者のためにもし割いてもらえるとしたならば、最小限度必要といたしましておりますところの十五億円くらいの資金獲得は容易にでき、しかも全國中小企業は活発に回轉を開始するのであります。(拍手)
 資金面には特殊な対策が必要である。金融面では商工組合中央金庫がありますが、これはわずかに資本金三千万円であり、しかも債券の発行限度は、十倍の三億円であります。すでに発行限度までは、あと四千万円を残すのみという現状であります。三億円というと、われわれ貧乏人にとりましては巨大なる額に聞えまするが、和田安定本部長官の言われるマル公六十五倍といたしますと、ちようど昭和十年度の四百五十万円であります。しかも、やみ値を二百倍と押えましても、驚くなかれたつた百五十万円であります。この金額は、現在の内務省、経済安定本部のおられるあの鉄筋コンクリートの廳舎一つをつくるだけの当時の建築資金に該当するのであります。全國中小企業運轉の資金としては、雀の涙ほどにもならないのを、はなはだ遺憾とするのであります。
 資金面において、政府は緊急一大対策を立つべきでありますが、中小企業金融難打開の一案として、市街地信用組合、商工協同組合等の貯金を商工組合中央金庫に集中いたしまして、金融配分を円滑にすることも良策だと思うのであります。特に市街地信用組合は、当然企業金融の建前でありますから、商工組合中央金庫と提携すべきでありまして、社会政策的消費金融を行う庶民金庫に所属さるべきではないと思うのであります。なお商工協同組合、市街地信用組合、商工組合中央金庫の拡充強化は緊急の問題であり、なかんずく商工組合中央金庫は、半官半民三千万円の資本金を、五倍ないし十倍に引上げ、これが債券発行高も、資本金の十倍ないし二十倍にせねばならぬと思うのであります。なお、手続煩雜で貸出限度の小さい復興金融公庫の中小事業部も、でき得れば商工組合中央金庫に移管するを妥当と思料されるのであります。中小企業は重点産業に関連性が少いために、融資は常に後回しになるのでありますが、事実かくのごとき偏重主義の強行は、健全なる中小企業の破壊を意味し、社会不安に加え、民生安定の阻害を來すのであります。(拍手)資金配分計画を審議するため、信用委員会をつくり、配分に万全を期せられたいと思います。なおこれが業務は……
#19
○副議長(田中萬逸君) 結論にはいることを望みます。
#20
○田中角榮君(続) 貯金・貸出のみでなく、債務保証及び損失補償をなすべきであります。経営技術の指導機関については、先日商工大臣の答弁にもある通り、中小企業対策局または廳のごときものを早急に設け、経営・技術・金融等各分野の調整をはかられたいのであります。特に地方商工局の拡充強化、地区別中小企業指導委員会または企業相談所の急設を要求したいと思います。戰後経済の根幹をなす中小企業振興対策のうち、金融関係、特に金融機関拡充につきましては、政府に具体策がありましたならば、商工大臣あるいは大蔵大臣から御答弁を煩わしたいと思うのであります。(拍手)
#21
○副議長(田中萬逸君) 河野金昇君、発言者を指名願います。
#22
○河野金昇君 國民協同党は、川野芳滿君を指名いたします。
#23
○副議長(田中萬逸君) 川野芳滿君、発言を許します。
  [川野芳滿君登壇]
#24
○川野芳滿君 私は、本論に入るに先立ちまして、現在の中小商工業者が戰時中いかなる立場におかれておつた方方であるかということを、簡單に申し述べてみたいと思います。
 戰時中には、あらゆる惡政が行われましたが、私をして言わしむるならば、企業整備をもつてその惡政の優たるものであると存じます。いかんとならば、政治というものは、これを行えば、國民の大多数が喜ぶか、あるいはまた一部分の方々が喜ぶか、必ず喜ぶ人がいるわけであります。しかるに、この企業整備に至つては、やめた人も、また残つた人も、ともに政府を恨んだというのが、すなわち戰時中に行われたところの企業整備であつたのであります。(拍手)
 いかんとならば、すなわち政府が企業整備にあたつては、指令というものを発しました。その企業整備に対する指令というものの内容を檢討してみますると、やめる人には、残る人が三箇年以上十箇年以下の利益金をやれという指令でございます。從いまして、残つた方々は無理算段いたしまして、ただいま申しました三年以上十箇年以下の利益金を、やめた方々にやるわけであります。ところが、資材その他の面がはいらぬがため、あるいは商賣がおもしろくいかなかつたために、残つた方々は戰時中まことにお氣の毒な立場にあつたわけであります。またやめた方々はどういう立場におかれたか。政府の命のままに地下数千尺の炭坑の中にはいつて、石炭増産にいそしんだところの方々もあつた。あるいはまた工場にはいつて、ハンマーと取組み、あるいは機械と取組んで、生産事業に從事した方々もあつたわけであります。
 これらの方々は、戰爭が済んだならば、もとの自分の職業に還れるということを樂しみにいたしておつたと私は存じます。ところが、企業整備によつてもらつた金は、銀行に預けておつたわけでございまするが、戰爭が済みますると、封鎖の網にかかつて、貰つた金は身動きならないところの金となつたわけであります。それで、やめた方も、あるいは残つた方も、ともに政府を恨んだというのが、すなわち戰時中における企業整備の姿であつたわけであります。こういう苦難をなめて残つたところの方が現在の中小商工業者であるということを、八千万の國民は知らねばならないと考えます。(拍手) 
 しかるがゆえに、終戰と同時に中小商工業者の振興という声が國民の間に澎湃として起つてまいりました。すなわち政府におきましても、中小商工業振興対策要綱というものを発表いたしたのでございますが、施策が伴わなかつたために、これは作文として終つたわけであります。ゆえに私は、眞に政府が中小商工業者の振興ということを考えるならば、言行一致の政治を要望するものであります。すなわち、言うたことは必ず実行するというところの強い政治を行わなければ、現在の中小商工業の振興は至難であると考えるものであります。
 過ぐる九十議会でございました。復興金融金庫法案がこの議会に提案されたわけでございまするが、ときの政府は、復興金融金庫法案が通りまして、復興金融金庫ができるならば、この金庫を通じて中小商工業者には優先的に融資するということを、繰返し繰返し述べたわけであります。しかるに、現在はこの次第であります。
 昨年度の融資額を調べてみると、総額三十数億円のうち、中小商工業に融通した額は、わずかに二億数千万円であります。残りの三十億万円余というものが大企業に融資されたというのが、昭和二十一年度の実情であつたのであります。しかるに、本年度はどうであります。本年度の二月から八月までの統計を調べてみると、融資いたしました総額は、二百四十一億六千万円でございまして、そのうち二百三十五億四千万円が大企業に融資されまして、残るところの六億二千万円というわずかな金が中小企業にまわされておるという実情になつておるのであります。
 すなわち、わずか三%の金をもつて、中小商工業の振興ができるでありましようか。これはできないということはわかりきつております。しかるに、かくのごとき三%になんなんとする金が融資されておる。こういうことでは、中小商工業の振興というものは思い半ばに過ぐるものがあると私は考えますゆえに、眞に政府が中小商工業の振興を考えるならば、思い切つたところの融資をなすべきであると考えるのであります。これまで復興金融金庫を通じて中小商工業者あるいは大企業者に融資させておりますが、この金庫というものは、たくさんの貧乏人にわずかの金を貸すよりは、少い大資本家にまとまつた金を貸す方がめんどうでないので、大企業者に貸すということになるのは当然であります。それで復興金融金庫を通じて中小商工業と大企業に貸すという方法をあらためまして、すなわち復興金融金庫から、中小商工業者のために今まで銀行の役を務めてまいつたところの商工組合中央金庫に、あるいは五十億、あるいは百億、二百億というまとまつた金を貸しまして、この商工組合中央金庫を通じて中小商工業者に貸す、こういうことにするならば、おそらく私は中小商工業者のためにまとまつた融資ができるものと考えますので、ぜひそういう方法をとつていただきたいと考えるのであります。
 次には、電氣の問題でありますが、今日電氣不足のために中小企業者が困つておるということは、ここで私が申し上げるまでもないことであります。石炭と並んで電氣の必要であることは、いまさら喋々を要しません。しかるに政府におきましては、石炭についてはあらゆる施策を講じております。あらゆる努力を拂つておりますが、電氣の問題については、少しネジが甘過ぎておると考える。政府の見るところにおきましては、すでに電氣は戰前の域に回復した、こういうような説をいたしておる人もございますが、しかし現在はいかがであります。ほとんど節電々々のために、全國民は困つておるではないか。殊に九州地方はいかがでありますか。私は宮崎縣でありますが、宮崎縣においては、現在では十時より電氣は全部消されております。また毎日の電氣が通うところの時間は、動力線が一日わずかニ時間だけ送電が許されておるという実情であります。ゆえに、九州方面の商工会議所の代表の方々が先般東京に参りまして、そして電氣関係方面に運動をいたしたわけでありますが、かくのごとく九州地方においては電氣飢饉に相なつておる。こういう実情でありますので、少くとも政府は電氣問題をまつ先に取上げ、そして電氣問題を解決するということが、中小商工業の振興を促すゆえんであると私は信ずる次第であります。
 なお統制の問題であります。統制の問題については、自由党の辻君からいろいろお話があつたようでありますが、私も少しくこの問題に触れてみたいと考えます。現在政府はあらゆる統制をやつておられます。この統制にあきたらずして、公團をつくつて統制を強化いたしておられるようであります。統制の結果どういう政治が行われておるか。この点を二つ三つ申し上げてみたいと考えます。
 現在お互いが配給を受けておるところの甘藷であります。一等甘藷の値段は、今年は八十七円になりましたが、この一等甘藷八十七円から、十貫当り二十一円七十七銭の手数料を拂わなければならないということに相なつております。から芋十貫について二十一円七十七銭というものを拂つております。統制は万やむを得ないと考えますが、から芋十貫に二十一円七十七銭を拂つておるという現下の実情であります。
 また木炭でありますが、これは白炭一俵が、生産者が政府に賣渡す額は六十九円五十銭であります。六十九円五十銭のこの炭を、政府は百一円五十銭で販賣者に販賣いたします。そういたしますと、販賣者は六円の手数料をもらつて百七円五十銭で消費者に賣つておるというのが現在の実情であります。ゆえに、消費者が買うところの百七円五十銭から、生産者が政府に賣つたところの六十九円五十銭を差引きますと、差額が三十八円ということになります。この三十八円というものは、もちろん運賃も含みますが、統制のために消えていく金であるということを御承知願いたい。
 また薪であります。長さ一尺二寸、胴まわりニ尺五寸のこの薪が、生産者が政府に賣渡す価格が五円四十銭であります。政府がこれを十一円六十五銭で販賣者に賣りまして、販賣者は二円二十五銭の手数料をもらつて十三円九十銭で消費者に賣つておるわけであります。十三円九十銭から五円四十銭の生産者の價格を差引きますと、八円五十銭というものが、薪一把に対するところの運賃・手数料の額であります。すなわち、途中に消えるところの金が、生産者がとるところの薪代よりも多いという現下の実情であります。統制も万やむを得ないと考えますが、統制の仕方が惡いと、かくのごときところの惡政治になつていくわけであります。
 私は、少くとも統制というものはできるだけ早く解いてもらいたい、こういう考えをもつておるものでありますが、しかし現在たちどころにはいかないという考えであるならば、統制のやり方を改めて、そうして途中に消えるところのこの費用をなくするということを考えなければならないと考えます。現に木炭の産地であるところの宮崎縣の山の中と、東京のまん中と、炭の値段が同じである。そういうわけでありますので、宮崎縣地方においては、公定價格よりも、やみ價格がうんと安い、こういう実情でございます。公定價格よりもやみ價格が安いというような惡政治が行われている現下の実情でございますので、政府はこういう点については特に御注意が願いたいと考えます。
 なお、現在公團法というものが提案されておりますが、この内容の一つを私は檢討してみたいと考えます。すなわち、醤油も公團法によつて配給することになつておりますが、現在醤油は醤油統制株式会社というものが配給計画を立てまして、そして現品を配給いたしておるわけであります。しかるに、今度の公團法によりますと、公團のもとに配給機関というものをも一つつくることに相なつておりまして、この配給機関が公團の計画したところの実物を配給する。すなわち、この荷受機関が配給をするということに相なつているわけであります。公團をつくり、その下にもう一つ荷受機関をつくらして費用を使わせる。こういうような政治のとりかたが行われているということは、私はまことに遺憾千万であると考えます。少くとも途中で消えるところの費用をなくするような政治をとつてもらいたいと私は考える次第であります。(拍手)
 最後に、生活協同組合法について少しく申し述べてみたいと考えます。先ほど自由党の方々から、生活協同組合の無用論があつたようであります。しかし、今日のこの生活苦を救うために、お互いが生活品を中心としたところの生活協同組合をつくるということは、私は当然であると考えます。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
 しかし、ものには順序があります。私は社会党の方々に一言お願いを申し上げたい。社会党が発表いたしておりますところの生活協同組合法案の内容を見ますと、第五章の事業部面におきまして、物品の販賣業はもとよりでございますが、生産、加工、金融業あるいは保險業、あらゆる施設業までやろうという案になつているようであります。もし、社会党の方々が御計画になつているところの生活協同組合法案が法律化しまして、これが実行されるということになるならば、現在の中小商工業者というものは、大部分は不要に相なるかと私は考えます。ゆえに、眞に社会党の方々が中小商工業者の方々の振興を考えられるならば、わが党の考えているような中庸をとつたところの生活協同組合に御共鳴を願い、そしてこの議会を通じてわが党の生活協同組合法が通るように、ひとつ御援助を願いたいというをこと申し述べまして私の意見、発表を終ることにいたします。(拍手)
#25
○副議長(田中萬逸君) 田中久雄君発言者の指名を願います。
#26
○田中久雄君 第一議員倶樂部よりは、中村元治郎君を指名いたします。
#27
○副議長(田中萬逸君) 中村元治郎君、発言を許します。
    〔中村元治郎君登壇〕
#28
○中村元治郎君 実にさびしいこの國会におきまして、しかし國を思い、熱烈なる皆さんを前にいたしまして、不肖一言いたしますることを、まことに喜びとするところでございます。
 私は、本日の議題に対しまして、先ほど來各方面にわたり、同僚議員諸君が該博なる知識と最も專門的なる言をもつて言い盡されましたので、重複を避けて、未だ何人も発言せられない、至つて零細なる小商業者、すなわち露店業者の問題を取上げることは、現情勢下きわめて緊迫せる社会問題であると考えますので、私の時間内で簡單に申し述べてみたいと存じます。
 露店商は、政府特に当局官僚によりまして非常に圧迫せられ、その上苛酷なる取扱いを受けているのであります。そもそも内務省や警視廳の諸君は、露店業者といえば、一種特別な者のみが営む下卑な商業だと考えておられるのではないでしようか。もしそうだとするならば、それこそ重大なる誤りであることを指摘しなければなりません。すなわち、わが國戰前までの都市における躍進的発達の基礎をなしたものは、財閥でも百貨店でもありません。ただ一つ露店あつたのみであります。すなわち、東京における浅草あるいは銀座、大阪の千日前または道頓堀、京都の四條、新京極、これらはみな、元は人通りもまれな川端、墓跡あるいは罪人の仕置場跡などで、このさみしい場所において最初露店を並べ始めたことによつて大衆が集まるようになり、これが商店街、繁華街を築くこととなつて、遂に今日の都市となつたのであります。
 最も近い例は、無謀な今次戰爭によつて廃墟と化した無残なるこの燒跡に、復興を目指して起ち上つた先駆者は、言うまでもなく露店業者である。しかも、今日の露店業者中には、戰爭の犠牲者たる海外の引揚者、復員者、戰災者、遺家族方はもちろん、戰前までは堂々たる有産階級であつた人々も、今日この露店によつて多く救われたということは、何人も認めるところでありましよう。もとより何人といえども、堂々とまではいかなくとも、店舗を構え、労少くしえ商賣の安定をはかりたいのは当然であります。しかし諸君、店舗を構えることは容易なことではありません。一坪何万円という権利金、この金を拂い、一坪また一万余円の家を建築のできる人は少い。現在のわが國の資力のない大多数の人は、いかにして商業を営むか。露店よりほかに途はないのではないか。今日店舗を有する商人は大中商人であつて、露店商こそ小商人と申さねばなりません。これら露店商を彈圧圧迫して、いずこに中小商工業の振興ありやと申さなければなりません。
 そもそも過去においては、露店業者は零細商業者として納税に及ばぬとの温情ある扱いを受けて來たのでありますが、戰爭たけなわなるに及び、これら業者より進んで納税を申し入れ、現在は、営業税はもちろん増加所得税に至るまで、不相應なる税金を完納いたしているのであつて、この点より見ても、他の商業者と何ら差別待遇を受けるいわれがないのであります。しかるに、過去において軍閥と結託した内務官僚は、露店商取締規則なるものを設けて彼ら業者を彈圧し、一方的苛酷なる取扱いをなしていることは、断じて默過することのでき得ざるところであります。しかるに、これはひとり露店商のみに対する政府のやり口ではなく、中小商工業者に対する政府の態度でもあります。
 終戰後のわが國の経済は、現物賠償による設備の撤去や財閥の解体により、大工業の大部分を喪失し、いきおい中小商工業が國家産業の中心とならざるを得なくなりました。しかるに、かかる中小商工業者は、今なお傾斜生産の犠牲として、政府権力の不当なる圧力のもと、その振興が妨げられていると断言してはばからないのであります。私はここに中小商工業の振興策として申し上げたいのは、中小商工業に向つて重点主義をとれと言うのではありません。ただ中小商工業に対して、政府権力をもつてこれを抑圧するなと言うのであつて、政府が不当なる圧迫を避けるということが、中小商工業振興の根本対策であると信ずるものであります。 
 たとえば、先ほど申し述べたごとく、零細なる露店業者といえども、ひとしく國民としての業務負担は忠実にこれを履行しているにもかかわらず、他の商業者に比較して種々なる制限が課せられているのであつて、この関係は、大企業あるいは公團等に比較して、中小商工業者の立場が不利であるのに似ているのであります。この観点からしても、この際政府はあらゆる面において積極的に支援指導して、彼ら業者について一段の考慮を拂われんことを要望するものであります。(拍手)
#29
○副議長(田中萬逸君) 林百郎君、発言者を指名願います。
#30
○林百郎君 共産党は、野坂參三君を指名いたします。
#31
○副議長(田中萬逸君) 野坂參三君、発言を許します。
    〔野坂參三君登壇〕
#32
○野坂參三君 私は、ただ一つの問題についてだけ、すなわち中小工業と貿易再開の問題について、共産党の見解をごく簡單に申し述べたいと思います。
 一つ商工大臣にお聽きしたいのは、貿易再開、あるいは外國からのバイヤーが日本に來てから、すでに一箇月以上になりますが、しかし、その後どうなつているか。片山総理は、この壇上から、八月十五日の貿易再開をなされたときに、非常に大きな朗報があつた、朗らかな報道があつたと報告されたが、しかし、今日に至るまで何ら朗らかな、その後の引続くニユースがありません。それでぜひ私は、政府の方から、その後どうなつているか、なぜこのように遅れているか、また困難はどこにあるか、將來の見透しはどうであるか、今日は突然の私の質問で、これについてもし材料がなければ、この次の本会議で、政府側からお答え願いたいと思います。
 さて、あるバイヤーが申しましたが、日本の貿易再開について、日本の商品コストが高いと言つている。これが一つの隘路だ。この問題は非常に重要な問題ですが、さて、この一つの問題が実は貿易再開のキーではないか。ところで、この問題については直接また中小工業に関係がある。この中小工業と貿易再開の問題について、政府は特に―これは中小工業だけではありませんが、貿易振興対策要領というものを八月の末に発表しております。これを見ますと、結局大まかに言つて二つの思想、二つの政策が盛り込んである。
 第一は、ここでも先ほどから自由党の方などからいろいろ批評がありましたが、すべてを貿易公團方式でやろうとしておる。すなわち、私たちの言葉で言えば、國家独占資本によつてすべてをやつていこうとする。言いかえれば、あの天降り的な官僚と大資本の制覇のもとに、中小工業をつかんでいこうとする方式をとろうとしておる。たとえば資金の問題にしても、どうして資金をとるかといえば、貿易資金特別会計によつて、しかもこれは公團によつて審査され、決定される。ここでも公團によつてやられる。さらに資材はどうか。ここでもやはり公團によつてやられる。さらに價格はどうか。價格も特別審査委員会があつて、ここでも公團によつてやられる。しかもこの公團は何か。民主的なものではない。結局今までの官僚がやることになる。これが今の政府の要領の第一の要点だと思います。
 第二の点はどこにあるかといえば、第二は、この要領の一項目に、海外において競爭するためには、産業の合理化をやらなければならぬと言つておる。これはどういうことを意味するかといえば、結局現在の設備と機械と、これに基いてできるだけの安い生産費によつてやるということ、言いかえれば、昔のスウエツテイング・システム、低賃金、これによつてやろうとしておる。結局ここでは、やはり昔のソーシヤル・ダンピングをやろうとしておる。この二本建、すなわち一方においては官僚統制、一方においてはスウエツテイング・システム、これによつてやろうというのが、あの要領の根本ではないか。この結果、結局犠牲にされるのは中小企業で、これにおいては、中小企業の独自性もない。イニシアテイヴもなくなる。全てが政府、官僚によつて統制される。こういう形になつておると思います。
 それでは一体どういう打開策があり得るか。私たちのは、今の政府の発表したあの方式とは全然反対の方式、対蹠的な方式をとるべきだと主張したい。たとえば資金の問題にしても、この資金を、今の政府が発表したような方式ではなくして―結局、今中小企業に資金がまわらないのはどこにあるかといえば、三井、三菱、安田の財閥銀行、彼らは大企業あるいは目前利潤の浮ぶ企業には投資・融資もするが、しかしながら、中小企業には融資をしない。そこで、われわれとしては抜本的な方策をとるべきだ。それがためには、社会党の選挙中、選挙前に主張されたごとく、銀行その他の金融機関の國家管理、私たちは、さらに進んで國営を主張したい。これによつて初めて銀行がほんとうに國家のために、そしてこれが全人民のために使える。言いかえれば、また中小企業のためにも使える。この方向に向けることができる。
 次に、たとえば資材の問題がある。資材をどうするか、これも、われわれは抜本的な方策をとるべきであると思う。これはどうするかといえば、結局重要産業を國営にすべきである。國営とはどうするかといえば、また昔の官僚統制ではないか。しかしわれわれは、この官僚統制にあくまで反対しなければならない。それはどういう統制かといえば、民主的な統制、私たちの言葉でいえば人民管理、これを行うときに、初めて銀行にしても重要産業にしても、人民の利益のためにこれが使えることになる。こういう方向に進んだときに、初めて中小工業の繁栄ということも、また独自性ということも考え得ると思うのです。
 さらに第二の問題としては、中小工業の場合において、私たちはここで労働組合そのほかの問題を考えた場合に、労働組合と中小工業との間には、大企業と労働組合との間におけるよりも多少違つた関係をもたすべきではないか。中小企業と労働組合においては、できるだけ共存共栄の形がとりたい。それがためには、労働組合自身が中小企業における経営にも参加する。こういう形をとつたときに、今日一番大きな問題になつておる中小企業における労働問題というものも、相当解決の方向に行くのではないか。こういうふうに私たちは考える。
 最後に、中小企業を浮ばせるもう一つの策としては、ここでも申されましたが、中小工業の協同組合化、これを私たちは主張したい。これによつて資金、資材、機械設備その他のものを一つのプールにする。ここに一つの共同経営、共同会計を設け、これによつて初めて、一人々々の中小企業は弱いが、これが何百人あるいは何千人と集まつたら、この協同組合は大きな力をもつてくる。これによつて初めて大企業にも対抗することができ得ると思う。この方向に、私たちは行くべきである。この三つの点を述べて、私の意見を終りたいと思います。
    〔国務大臣水谷長三郎君登壇〕
#33
○國務大臣(水谷長三郎君) ただいま六人の方から、それぞれ有益なる中小企業振興対策の御議論を承りまして、われわれといたしましては、今後の対策に資するところが非常に大きかつたことを感謝する次第でございます。
 ただ、そのうち特に私の答弁を求められましたのは、民主党の田中さんでございますが、それは中小企業に対する金融のわくが少な過ぎる、特別なる金融機関を設置する考えはないかという点を指摘されまして、商工組合中央金庫の拡充・拡大を主張されたのでありますが、御案内の通り、商工組合中央金庫は半官半民の機関でありますので、これをこのままの形で存続せしむることは適当でないと考えておりますので、われわれといたしましては、目下別途中小企業のための特別な金融機関に関して研究を進めておるような次第でございます。とりあえず、われわれといたしましては、中小企業に対する金融のわくの拡大につきまして、別段の努力をしたいと思つておる次第でございます。
 さらにまた共産党の野坂さんから、貿易再開後今日までの足どり、なお今後の見透しに関しての重大な御質問がございましたが、この問題はきわめて重大なる問題でございますので、なるべく近い適当の機会において具体的に政府からお答えしたい、このように考えておる次第であります。
#34
○副議長(田中萬逸君) これにて自由討議は終了いたしました。
 次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後四時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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