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1947/03/31 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 商業委員会 第4号
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1947/03/31 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 商業委員会 第4号

#1
第002回国会 商業委員会 第4号
昭和二十三年三月三十一日(水曜日)
    午後二時二十九分開議
 出席委員
   委員長 喜多楢治郎君
   理事 石神 啓吾君 理事 笹口  晃君
   理事 細川八十八君 理事 福永 一臣君
      佐竹 新市君    林  大作君
      松原喜之次君    岡野 繁藏君
      櫻内 義雄君    松井 豊吉君
      山本 猛夫君    鈴木 仙八君
      辻  寛一君    多田  勇君
      小枝 一雄君    寺崎  覺君
 出席國務大臣
        商 工 大 臣 水谷長三郎君
 出席政府委員
        商工事務官   細井富太郎君
 委員外の出席者
        鉱工業委員長  伊藤卯四郎君
        議     員 大矢 省三君
    ―――――――――――――
三月二十五日
 看護衣及び看護予防衣適正配給の請願(福田昌
 子君紹介)(第二一八号)
 の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 中小企業廳設置法案(内閣提出)(第一四号)
    ―――――――――――――
#2
○喜多委員長 ただいまより会議を開きます。
 中小企業廳設置法案について、前会に引続いて質疑を継続いたします。鉱工業委員大矢君が発言を求められております。これを許します。大矢省三君。
#3
○大矢省三君 昨日來各方面から詳細な質問なり應答があつたことと思いますから、私はごく簡單に、この企業廳が発足して後における運営の対象たる機関について、特に中小工業の中心地たる五大都市を府縣並に扱うかどうかということについてのみ私は質問を申し上げたいと思います。
 この中小企業対策要綱を見ましても、さらにまたこの図解による中小企業対策事務運営方式というものを見ますと、商工大臣が中小企業廳を監督し、さらにその出先として府縣を單位し指導育成その他をやるような形式になつておるのでありますが、あらゆる行政部面におきましても、五大都市は府縣並に同樣に扱つておることが各法律の上にも現われておるのであります。特に中小工業都市としては大阪、名古屋、次に貿易港としては横浜、神戸というものは、これは世界的なものでありまして、こういう大都市においては、むしろ府縣よりもさらにまさつた指導育成研究機関をもつておるのであります。私は大阪に約十九年も市会議員を勤めておりましたが、大阪府よりもむしろ市の方が非常にりつぱな施設と熱心な指導育成をやつておるのであります。しかもそれは自主的にみずからのものとして心やすくそれを利用しておる。非常に特異性のある設備があるのでありまして、この法律が施行されて運営にあたつて、ここにも書いてあります通りに、都道府縣の経済部を拡充して、中小企業の相談所を一番しまいには各都市に設けるとありますが、これは五大都市は特に都道府縣と同樣に扱つてもらいたいというのが、各五大都市の希望でもあるし、すでに請願書が鉱工業委員会に、また商業委員会にも出ておるのであります。特にこの点は企業廳の目的を遂行する上に、またこの法案のもてる一貫した指導育成その他についても、当然これは十分に、フルに活用されるものと思うのでありますが、その点でこの規定には明らかになつておりません。運営の上において五大都市はそういうふうな府縣並に同樣に扱うかどうかということを私はこの機会にぜひお聽きしたいと思います。
#4
○細井政府委員 大都市、殊に五大都市におきましては、御意見の通り特に中小企業の分布状況も非常に集約的に固まつておりますし、また府縣当局並びにいろいろな指導機関、商工会議所等の指導能力におきましても、他の市町村と違つて、特にその力をもつておられるということは御意見の通りでありまして、この力を今回の指導の中心として、できるだけ活用していきたいというふうに考えておる次第でございます。ただその場合に府縣並に扱つて、府縣と別個なものとして、一つの地域としてこれを独立したものとして扱つていくのがいいか、あるいは府縣における総合的な対策の一つの地域として、そういう方面の力をできるだけ取入れた機構として活用していただくのがいいかということにつきましては、私どもの方でも各方面の御意見もありますので、ただいま檢討いたしておりますが、どういう形がいいかということにつきまして、判然たる結論にまだ到達いたしておりません。しかし大矢さんの御意見のように、できるだけ強い指導力をもつておれる大都市の機能というものを活用していただく仕組をとりたい。こういうふうに考えておる次第でございまして、いずれ結論を得次第実行に移したいと考えておる次第でございます。
#5
○喜多委員長 大臣の答弁はちよつと都合がありますので、細井政府委員に対する御質問の方、先に御発言願いたいと思います。多田君。
#6
○多田委員 中小企業廳の問題につきまして、一昨日來各委員の方からいろいろ詳細に御質問がありましたので、簡單にお伺いいたしておきますから御答弁願いたいと思います。最初にお伺いいたしたいことは、中小企業廳ができました曉において、商工省内の局課の廃合はどの程度に行われるか、その内容について。その次に商工省内の局課の廃合が行われないとすれば、所管事項について中小企業廳との調整をどのような内容で行われる予定であるか、あるいは他の省の所管事項について中小企業廳に移管するようなものがあるかどうか、この点についてお伺いいたします。
#7
○細井政府委員 中小企業廳が発足した場合の商工省内における機構の問題につきましては、昨日來の御質問に対してお答えいたしました通り、中小企業廳は主として中小企業の指導面を――廣く各業種にわたりまして、その対象となる企業体に対する指導面を担当する、こういう意味合におきましては、それの所管官廳のごとき形体になるわけでございますが、このために商工省の中の各局が中小企業廳の設置によつて変るということはございません。ただ現在中小企業全般の仕事は、商工省内におきましては生活物資局で担当いたしておりますので、生活物資局のこれら中小企業面を担当しておりまする課並びにその人員は、若干中小企業廳に異動する、こういうようなかつこうになるわけでございます。なお中小企業廳と各原局との関係につきましては、中小企業廳の指導いたしました優秀な工場が逐次出てまいりますが、そういうものに対する資材並びに資金の割当等につきまして、各原局に強力なる連絡をいたしまして、必要なる割当その他の対策を講じていただくように要請していく。これがために各原局から中小企業廳に、それぞれ担当の業種に應じまして若干の人を兼務の形をとらせまして、その有機的な連繋をはかつていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。他省の部門につきましては、やはり他省の農林省、厚生省、大藏省等に所管の企業がございまして、それに中小企業関係の指導面があるわけでございますが、それに対しましても、中小企業廳は指導面に対する実務としてこれにタツチしていく、こういうように考えておる次第でございます。これもそのために他省のどこかの局を廃して、こちらに吸收するというようなことはできてこないわけでございます。
#8
○多田委員 私のお伺いいたしたいのは、今お答え願いましたような抽象的なことでなしに、今お答え願いました点については、数日來いろいろお話を聽いて十分承知しておりますので、具体的にどの課のどの所管事項が中小企業廳に移管されるか、この移管によつて商工省から中小企業廳に轉出する人員がどの程度考えられておるか具体的にお答え願いたいと思います。
#9
○細井政府委員 お答え申し上げます。直接の関係といたしましては、現在の生活物資局振興課におります者が、中小企業廳に三十人ばかり仕事をもつて移動するという形になります。なおそのほかに先ほど申しました兼務の形で中小企業廳の仕業を分担していただくという者をさしあたり二十四人予定しておる次第でございます。
#10
○多田委員 現在考えられておる企業廳の人員については印刷物等で拜見いたしておりますが、そういたしますと、中小企業廳ができましたために、商工省から減員される人員は約三十人くらいであつて、あとの二百五十人程度は新しく人員を入れるということになるわけでございますか。
#11
○細井政府委員 さようでございます。そのうち民間から練達の士を採用いたしますのと、省内から轉動によつて変る者とあると思います。
#12
○多田委員 その次に、外資の導入の曉において、中小企業がどの程度に活用し得られるか。またその活用の方法についてどういうお考えでおられるか、簡單で結構でございますから、お伺いいたしたいと思います。
#13
○細井政府委員 外資導入がどういう形で各産業部用に現われるかという予測が目下のところなかなかつきませんので、はつきりした見透しはつかないのでございますか、外資導入の曉におきましても、中小企業の部面ではそのために特に企業の経営形態その他どういうふうに変るかということは、あまり影響がないのではないかというふうに私は考えております。これははなはだ個人の見透しのようで恐れ入るのでございますが、ただ外資導入等によつて技術的な瞬が予想せられ、あるいはその資金の面で力が強くなるというものがだんだん出てくると存じますが、中小企業の面におきまして田、外資導入のいかんにかかわらず、速やかに技術の向上、設備の設備等をいたしまして、國際場裡における競爭力を引上げる努力を続ける必要があるという程度のことに考えておりまして、外資導入の影響としてどうなるかということにつきましては、ただいまのところでは確たる見透しをもち得ないのでございます。
#14
○多田委員 その次に中小企業者の範囲について昨日も御答弁があつたようでございますが、どうもまだはつきりいたしませんので、中小企業廳ができました曉にその対象となるべきところの中小企業者という範囲をどの程度に考えておられるか。これは要綱にあります程度の、個人を対象として考えておるか、あるいは法人の場合として零細法人については対象として考えておるか、あるいは法人の場合にどの程度のものを対象として考えておられるか伺いたいと思います。
#15
○細井政府委員 中小企業の範囲につきましては、特に形式的に線を区切らないで、むしろ政府の化導援助を要するというような対象をという意味で、彈力性ある考え方をしていきたいということは昨日來お答え申し上げておる通りでありますが、実際問題といたしましては、各業種別に中小企業廳の指導の対象となるものを選んでまいるということになりますと、おのずからある範囲のものが出てくるのではないかというふうに考えられるのであります。概括的に申しますと、その中小企業対策要綱にありますような漠然たる定義になつておりますが、実際問題としてはおそらく從來から観念してまいつたように、從業員百人未満というようなものが多くはこれにはいつてくるのではないかというふうに見ております。しかしたとえば化学工業のごときは比較的規模が大きくても從業員の数が少い、ハンド・ワークの多いような各種機械工業等におきましては、比較的企業は小さくても、從業員の数が多くなるというような点もございまして、従業員のみによつて画一的にきめることもまたはなはだ危險なことであると思いますが、業種別に見てまいりますと、指導を要する対象ということになりますと、農機具なら農機具という業種においては、どの範囲のものが中小企業廳の指導対象となるかというようなことはおそらくわかつてくる、またきめるべきであるというふうに考えるのであります。比較的中小企業形態の中で営まれておるものが多いという業種は業種として見ましても一應の分類ができるわけでありまして、その業種にはどんなのがあるかということにつきましては、昨日実は例示的にお答え申し上げました通りでございます。
#16
○多田委員 どうもはつきりいたしませんが、このくらいにしておきまして、次に、この法案によりますと、我占禁止法に違反する事実については、中小企業廳にその事実を場合によつては申し出ることができるというように、特に独占禁止法に違反する事実について中小企業廳に申し出ることができるというような規定を特に取上げるその理由についてお伺いいたしたいと思うのであります。独占禁止法の第四十五條によりますと、「何人も、この法律の規定に違反する事実があると思科するときは、公信取引委員会に対し、その事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることぎできる。」というように公正取引委員会が直接あるいは間接に違反事実の申出を受付けるべきであつて、それは独占禁止法による処理を掌るところの公正取引委員会が担当すべき事項であるはずであります。殊にこの中小企業廳が單に指導の部面のみに力を注いで、最も必要である、資材資金の実際の面についてはほとんどこの法律に入れ得ないにもかかわらず、独占禁止法の適用についての條項をここに入れ、そうして公正取引委員会に対する中小企業者の違反事実の申出の経営機関であるというような形をとられたのは特別な理由があると思うのでありますけれども、この点についてその理由をお聽かせ願いたいと思います。
#17
○細井政府委員 第三條の第四項でございますが、これは中小企業廳の中小企業者に対する代弁最な機能を強力に認めまして、その機件を発揮してもらうという目的でおかれたものでございます。中小企業者がその利益をいろいろな観点において阻害される場合がございますが、そういうような場合には中小企業廳はその代弁といたしまして、援助を與えていく、場合によりましては第五項にございますように、中小企業廳から当該事件を公正取引委員会に移してまいるというようなことになるわけであります。今御質問の通り資材資金等を直接もたないで、こういう規定をおくのはどうかというお話もございますが、資材資金の面は中小企業廳におきまして直接発券等の仕事はいたしませんが、中小企業廳がよい工場であると判断し、あるいは指導の結果よい工場になつたものに対しましては、資材資金の面で優先的に扱われるように、強力な措置を害当廳に対してやつていくというようなことも考えられるわけでありまして、その点につきましてそれらの活動を十分にしていただくという事項と接触がありますので、この規定をおいて次第であります。
#18
○多田委員 資金資材の割当について強力な措置を割当廳に対して構ずると今のいうお話でございますが、もし今のお話の通り強力な措置が割当廳に対して中小企業廳の手において講ぜられるとすれば、非常に幸であるのでありますけれども、現在出ておる法案によりますと、「中小企業廳は、中小企業に関係ある事項については、他の行政廳の協力を求めることができる。」という、要するに他の行政廳の協力を求めることができるというふうに一方的な指定でございまして、実際問題として強力な措置を割当廳に要求する措置を講ずることができるという、その具体的な内容をお聽かせ願わないと、どうも納得できませんし、また独占禁止法との関係についても特にこの法律の中に、独占禁止法による違反事項について、公正取引委員会に中小企業者が申出をする場合の、一つの経営機関にするというような指定を、特にここに取入れられたということで、一面他の行政官廳に対する協力を求めるという程度の、非常に消極的な措置から考えまして、不可能と思うのでありますけれども、この協力的な措置についてはつきり御答弁願いたいと思います。
#19
○細井政府委員 この他の行政廳に協力を求めるというような條文の現わし方になつておりますのは、非常に力が弱いというような感じがいたすわけでありますが、法律的に申しますのははなはだ恐縮でございますが、他の行政廳を権限をもつて拘束するというような機能を與えることは、立法としてやはりぐあいが惡いのじやないかというような建前から、行政廳の協力を求める。しかしこの協力を求める形式はいろいろございますが、相手に対して協力を求めた場合に、それに應じさせる義務を負わせるということも、また一の要素になつてくると思います。その場合この行政廳の協力を求める方式につきましては、何らかの形でこれを相当実効のあるようにもつていきたいと考えておる次第でございます。條文といたしましてはどうしてもこの程度の表わし方よりしようがないのでございます。
#20
○多田委員 他の行政廳に対して應じさせる義務を負わせるだけの力で、何らかの措置を講じたいというお話でございますけれども、ここは一番大きな問題だろうと思うのであります。きのう以來いろいろ問題になつております通り、資材資金をこの企業廳が扱わないということが、非常に大きな問題になつておりますので、実際の運営の面に資材資金を扱うと同じような形の方法ができるのだという具体的なことを、はつきりお示し願えれば非常にいいのじやないかと思うのですが、ただ何らかの方法だと、どうも私どもにはわからないのです。
#21
○喜多委員長 多田委員、ただいまの質問に対しては、御承知の通り、本委員会は商業委員会と鉱工業委員会との合同になつておるのであります。昨日をもつて合同委員会は打切つたのでありますが、鉱工業委員を代表されて伊藤委員長から総括的の質問があるわけであります。これに対してあなたの質問をされたことも、大臣が答弁せられるうちにはいつておるそうでありますから、そのときの答弁で御了承願いたいと思います。伊藤鉱工業委員長が発言を求められておりますので、これを許します。伊藤委員長。
#22
○伊藤鉱工業委員長 昨日來中小企業廳設置に関しまして、各委員諸氏からそれぞれ質疑がなされ、政府側からも答弁等がされておるのでありますけれども、先ほども御意見が出ておりますように、どうもわれわれとして法案の提案の説明等をもつてされておる程度では、了承しかねるのであります。それは各委員諸氏から出ておりますように、中小企業廳は一つの経営と技術の精神面の発言の機能である。物の裏づけというものは行わないというようなことであつては、中小企業廳に対する業者の信頼と期待というものをもたすことはできないであろう、こういう点がわれわれが本法案を審議し結論をつけるのに了承しかねる点であります。そういう点から私は鉱工業委員長の各位とも御相談をいたしまして、大体私どものまとめましたところの意見をもちまして、商工大臣に責任のある明快な答弁を得たいと思つておるのであります。以下大体私どもがかくしなければならぬと信じております点について、商工大臣にお尋ねしたいと思うのであります。
 本法案におきましては、中小企業廳なるものは、中小企業の技術及び経営の向上をおもなる目的としているようでありますが、これが裏づけとなるべき資材資金の操作について何らふれるところがなく、かつその運営上におきましても直接に資金資材に関する操作をしない意向であるとのことでありますが、われわれは技術及び経営の向上を指導して、この目的の遂行を円滑にかつ確実に促進するためにも、また中小企業の維持育成を実情に即し、適切なものとする上においても、中小企業廳が中小企業の個々の工場に対する資金資材及び動力の割当に関し、直接操作をなし得る権能をもつことが絶対に必要であると考える点において、一致した結論に達した申し上げていいのであります。その他中小企業の維持育成に関する限り、あらゆる事項について他の官廳、他の部局に対して優先的に権能をもち、一元的に処理し得るものとしなければ、中小企業の育成上の効果もきわめて少く、不徹底なものとなり、特に新規の官廳を設置しようとする理由も、薄弱と思われる次第であります。細井政府委員の答弁によれば、各種産業の総合的企画の方から、資金資材の割当を中小企業廳に取扱わせることは困難であるということでありますが、一應の基準によつて総合的な配分を定めた上は、そのうちでの中小企業のわくが明確になり、その中小企業に與えられた総量の範囲内において、中小企業の個々の工場に対しての割当は、総合計画の際に一應の基準は算出されているのだが、これを彈力性あるものとして取扱い、実情を把握している中小企業廳において、その工場の技術、経営、製品に対する良心の強弱性等その実際に應じ、独自の見地からこれを修正して、実際の割当の決定ができ得るよう処置すれば、総合的見地からの資材、資金の配給体系を崩さず、しかも実情に即した中小企業の適切な指導操作ができる、技術の指導や経営指導についても強力に推進できることとなると思うのであります。
 なお、以上のような処置をするには、やはり一應中小企業の範囲を明確にする必要があるので、これは理論的には困難なことかもしれないが、時に修正していけるような彈力性ある限界を設けること、たとえば現に商工省指定工場、商工局指定工場というものがあるように、各業種にわたつて各業界の実情に應じ、中小企業対策要網の事項に記載されておる標準で大工場を指定し、残余を中小工場とするようなことにすれば、これまたさして困難なことではなく、現にそれと似たことを商工省でやつているから不都合なことはないと存ずるのでありまして、むしろことがないと、かえつていろいろな処置があいまいになつて、中小企業に対するはつきりした育成方策がとられなくなると思うのであります。從つてわれわれとしては、中小企業廳の機構運営については特に以上の点を明確にして、その設置の趣旨を徹底するよう処置すべきものと認めることが適当であると信ずるのであります。從つて以上申し上げました点は、業者に與えるところの今後の心理的影響、あるいは業者が計画をして、今後みずからの中小企業の再建をやる上に非常な重大な点であるとして関心をもつておると思いますので、この点については商工大臣が責任のあるきわめて明確な答弁をされるよう求める次第であります。
#23
○水谷國務大臣 ただいま伊藤鉱工業委員長の御提出になりました問題は、本法案につきまして非常に重大なる問題でございまして、これまで委員各位からきわめて御熱心なる御質問があり、またそれに対して商工当局といたしましてもるる御説明を申し上げてまいつたのでございますが、未だ十分に御了解を得ることができなかつたことはきわめて遺憾でございます。從いましてもう一度大臣といたしましてこの問題に関しましてざつくばらんに商工当局の考えを述べさしていただきまして、御了承を得れば非常に結構であろうと思うのであります。
 中小企業廳が中小企業者に対する資材資金の割当を直接行うことにつきましては、これは繰返し申し上げましたように、きわめて愼重に考えなければならない問題であるのでございます。すなわち各種の生産計画というものが縦に業種別に立てられまする関係上、もし資材につきまして一定分をば中小企業用として横に割当てますときは、当該生理計画の一貫性と総合性を害するような結果となりまして、産業行政全体としてはかえつて弊害があるのでございまして、中小企業廳が中小企業一般に対する資材を直接割当てるというやり方は避けないと思つておる次第でございます。たとえば綿織物を例にとりますならば、綿布何ヤールを生産するという計画が立てられまして、綿織物製造工場に対する綿糸とか石炭とかの所要量、すなわち供給量がきまるのでございます。ところがこの綿織物工場の中には大企業もございますれば、また中小企業もあるのでございまして、その生産用資材を大工場分としてどれだけ、中小工場分としてどれだけといきなり割つてしまうことは、個々の具体的工場につきましてA工場は大企業、B工場は中小企業としてはつきり限界を区別することになりまして、同じ織物工業でも大企業は纖維局で、中小企業は中小企業廳で別々に担当することになりまして、纖維製品としての生産計画及び配分計画を的確に実施する上におきまして、実際問題といたしまして非常に困難と欠点とを生ずるのではないかと考える次第でございます。むしろ中小企業の振興という問題は、個々の具体的企業にどれだけ割当てるかということよりも、一般的に中小企業者であつて、十分実力をもつた者が大企業に比べまして公平に取扱われておるかどうかということの檢討ではないかと思います。すなわち中小企業者が大企業と比較いたしまして、公平な立場で資材が割当てられるようにすること、及び中小企業全般に資材が適正に確保されることが必要なのでございまして、これがためにはまず第一に中小企業廳は各部門内の資材割当につきまして今後設定される予定でありまする資材割当諮問委員会に代表者を送りまして、中小企業者が軽視されることのないように、強く要求監視をすべきであると思います。第二には経済安定本部及び各現局に対しましても強力に資材面の強化確保を絶えず要求することでございます。第三には、中小企業の改善合理化に必要な一定の資材を別にとりまして、この分につきましては商工局等の割当に特別強い指示を與えまして、中小企業廳の指導方針に副うて割当を行わせることでございます。第四には地方商工局の調整留保分をば拡大強化いたしまして、その活用をはかることによりまして、中央におい把握されない多くの中小企業者に対しまして、現地の実情に即しまして十分資材を確保することができると考えておるのでございます。またこのような方法によりまして十分中小企業者の資材を確保する決心でございます。從つて中小企業の範囲を明確に法定することは避けたいと思いますが、ただ中小企業廳の対象といたしまする中小企業の範囲は、上述の方針を実際に進めてまいりますならば、各業種別におのずから明確になつてくると思うのでございます。今めやすとして考えておりますことは、先日來繰返し御説明申してまいりました通り、独立企業でありまして、当該業種としては投資額、生理高、販賣高、取扱量が比較的少く、その活動が少数の事業分野に止まりまして、かつほかの企業との間に相互に投資関係のないもので、政府の援助が必要とされるようなものという基準に副いまして、各業種別に有機的にきめていきたい、このように考えております。また実施上から見ますれば、最初は中小企業業態の多い業種、たとえば農機具、針、針金、綿織物、絹織物、毛織物、メリヤス、布帛製品、鑄物、身辺細工、日用品等の工業は、前述の業態の時に多い業種でございまして、これらがまず対象として取上げられるのでございますが、他の業種につましても從業員数、資本金、経営のやり方等から見まして、中小企業として取上げるべきものは公平に取上げていくつもりでございます。從つて法律上これを明示いたしまして一線を画することはかえつて運営上支障があるので、明示はしない方がいいと考えておる次第でございます。また資金につきましては、中小企業に專門の金融機顔の設置を準備しておりますことは、前に申し上げた通りでございますが、このほか資金計画、復金融資計画中の中小企業関係のわくの拡大、商工組合中央金庫の活用等を考慮いたしまして、これを中小企業廳において強力に推進する方針でございます。大体以上のような方針をもつていきますならば、この中小企業廳の役割というものは、十分に中小企業者諸君にとりまして活用できるのではないかと考えておる次第であります。
#24
○喜多委員長 他に御発言がございませんか。――多田勇君。
#25
○多田委員 ただいま商工大臣のお説明がございまして、大体の輪郭はわかつてきたのでございますけれども、今お話の中小企業者の改善あるいは合理化に必要な資材をとつて中小企業廳が割当を行わせるという点と、地方商工局の留保分を拡充して、現地の実情に即して資材を確保する、そうして割当をさせるという点、あるいは金融の面について強力に促進する措置を講ずるというこれらの点が、この法案を見ますと、これを預つておるところの地方の商工局あるいはその他の商工省内の各局の権限と相当衝突する場面が出てくるのではないかとおそれられるのであります。これに対して中小企業廳がこういつた推進的措置を講ずる、あるいは地方の商工局をして割当をさせるというような法的措置を講ずる必要があると思うのであります。この点についてどういうような措置を講ずる考えであるか、お伺いいたします。
#26
○水谷國務大臣 ただいま多田委員の御質問の点は、法律ではつきりきめるということも一つの行き方であるかもしれませんが、その点は大臣の指示、命令と申しまするが、運用の上におきまして十分お尋ねの点の目的は達することができるのではないか、このように考えております。
#27
○多田委員 その次に、今の問題とは別でございますが、國会におきまして地方の出先機関の整理が取上げられまして、他の委員会で大体の具体案がきめられ、われわれの手もとにも報告がされておるのであります。ところが國会の意思として地方の出先機関を整理するといううちに、今話題になつておりまする地方の商工局あるいは都道府縣の商工局の出張所が廃止する範囲にはいつておると思つておりますが、中小企業廳ができまして、その目的とするところの技術の面あるいは指導の面、それらについては府縣廳をして主として扱わせるというきのうの細井政府委員の御説明でございましたけれども、ただいま配られました資料によりますと、地方の商工局あるいは出張所は相当人員が増加することになつておりますが、これを地方の商工局あるいは出張所でなしに、都道府縣をして扱わせるというような措置を講ずるべきが至当であると思うのであります。この点についてお伺いいたします。
#28
○細井政府委員 中小企業廳の仕事と商工局並びにその出張所と府縣との関係でございますが、先般來御説明申し上げております通り、中小企業の指導あるいは審査等の全般的の第一線の仕事は、府縣廳を中心にして運用していきたい。さらに先ほど大矢さんからも御質問がございました通り、大都市につきましては、さらにこれを特に活用する何らかのくふうを加えたというようなことで進んでおります。しかしながら一面指定生産資材の割当事務等は、どうしても商工局並びに商工局の出張所の系統でやつていかないといけない。これはどうしても避けることのできない現在の状況でございまして、この割当事務を同時に府縣廳に委讓してはどうかという御意見もございますが、現在の段階におきましては、指定生産資材の割当事務ということは、どうしても政府の直接の責任において、政府機関である地方商工局において遂行しなければならぬという建前になつておりますので、その点はやむを得ないのではないか。從つてそういう面におきましては地方商工局並びにその出張所は、現在の段階では廃止できないのではないかと、私どもは見ておるのであります。
#29
○多田委員 現在の段階において、地方商工局あるいは出張所を廃止することができないという御意見でありまするけれども、地方廳が指導の一面を担当して、資材の面を商工局が担当していくということになりますと、実際の活動の部面にいろいろな支障が生じてくることがあり得ると思うのであります。現に地方廳と商工局の出張所との間に、中小企業廳の問題をめぐつていろいろの物議があるということを聞いておりますので、この問題はひとつ商工省としても十分お考えいただきまして、資材の割当部面も府縣廳に委讓してやらせるというような処置を講じていただきたいと思うのであります。これは現に配給の部面におきましては、相当地方廳に委讓して、地方廳の手によつて行われておる事実もありますし、また一昨年の十二月マツカーサー元帥の覚書によりますれば、日本の経済を一日も早く自由に復帰させるために、その過渡的な手段として統制を行う、その統制を行う主体は政府であるというけれども、その政府で統制を行うということは、自由になつた場合に、一般國民が公平な立場でその自由を亨受する権利を保有するという意味で、政府機関が統制の事務を担当するというふうに、私どもは承知しておるのでありますから、そういつた考え方からして、この問題は商工省の方で積極的に御努力願えればできるのではないかというふうに私どもも考えておるのであります。実際出先機関と府縣廳との間のいろいろな摩擦が相当大きくなつてまいりまして、せつかく企業廳をつくり、中小企業者のために一つの大きな仕事をしようという場合に、官廳同士の地方廳と商工局の出張所との問のいろいろな感情的ないきさつ、あるいは摩擦から、かえつて逆効果を生ずるおそれも多分にあると考えられますので、この点については十分地方廳の立場、あるいは地方廳の現在をお考え願いまして御処置願いたいと思います。なお人員の予算の点でありますが、ただいま配られました人員表を拜見いたしますと、「地方廳は地方財政独立の建前から國庫としては補助はしない」というふうに記入してありますけれども、地方廳の現在の財政状態、あるいはこの仕事の性質より考えて、國が負担すべきところの人員を地方廳に配置するなり、何らかの方法を講じて、地方廳に財政的に大きな負担をかけないというような措置を講ずべきだと思うのでありますが、この点についてお伺いいたします。
#30
○細井政府委員 中小企業廳の仕事の運営につきましては、予算の内容、殊に予算の総額と人件費の関係を昨日來申し上げたのでありますが、私どもはこれをもつて十分だとは考えていないのでございます。殊に地方廳におきましては、予算の建前では、大体審査制度の運用、その他一般的並びに個別的な指導の事務費につきましては、全部これを國庫において負担するという建前で組んでおるのでございますが、これをやりますために、地方廳の職員を増員するという問題は、現在の予算の建て方の地方廳補助職員についての方針によりますれば、補助職員によつてこういう仕事を運営していくということは困難な実情にございますので、現在並縣廳に配置されておりまする人員を極力この方面に活動していただくということを期待するより途がないのでございます。事業費だけはとりあえず負担いたしまして、やつていただくというかつこうにいたしておる次第でございまして、その活動をしていただくためには、何らかの形で人件費補助を必要とすると考えておるのでございますが、現在の予算の方針におきましては、困難な実情にございますから御了承願いたいのでございます。
 それからちよつと申し添えますが、先ほど多田委員から御質問のございました中に、法人と個人との関係がございましたが、お答え漏れいたしましたので、この機会にお答え申し上げたいと思います。先ほど大臣からお答えがございましたような趣旨で中小企業の範囲を見ていくわけでございますが、この趣旨に副う限り法人と個人との区別は一切考えていないのでございます。殊に個人企業と同じような形態の法人は、どこまでも同樣に扱つていくということでやつていきたいと存じております。
#31
○多田委員 もう一つお伺いいたします。今まで論議されました点は、ほとんど生産事業の部面について論議が進められておりますけれども、中小企業廳ができました曉において、販賣の部面に対してどういうような方法を講ずべきであるかというような点についてお伺いいたします。
#32
○水谷國務大臣 ただいま多田さんの御質問は、中小企業廳の対策は主として工業に対する対策であつて、中小商業に対しての対策がないじやないかというお話がございますが、このたび政府の発表いたしました中小企業対策は、中小商工業全般に関する対策でございまして、必ずしも工業のみを対策としたものでない、商業をも含めた対策でございます。すなわち技術の向上の問題も、経営の能率化の問題も、いずれも工業商業共通の問題であります。ただ商業につきましては、この対策に含まれてない特有の問題があることは、これは事実でございますが、それにつきましては、さらに別にその対策を考える必要があろうと思います。それで今回は特に中小企業廳の中に商業を專門に担当する課を設けまして、総合的な商業対策を立てて、それを実施したい意向でございます。すなわち物資の配給機構の問題、問屋制の問題、あるいはやみ市場の問題等、各種の困難な問題が多い状態でございまして、これにつきましてはあくまでも配給機能の百ペーセント発揮、健全なる配給機構の確立、ひいては生産能率の向上等、國民生活の確保という点に主眼をおきまして、そういう点を十分この官廳において対策を立てていきたいと考えております。
#33
○喜多委員長 櫻内義雄君
#34
○櫻内委員 先ほど來の御説明で、資金資材を直接取扱わないということについては大体了承したのでありますが、芦田内閣ができた際の政策協定の中に、中小企業の積極的な助成をはかるため、中小企業專門の金融機関を設置するということがあるのでございますが、この点につきまして何か商工大臣はお考えがあられるのでしようか、この際にちよつとお聽きしたいと思います。
#35
○水谷國務大臣 ただいまの問題でございますがこれはせつかく中小企業廳ができましても、ただいま櫻内氏の申されましたような、中小企業專門の金融機関を設けないということになりますと、俗にいう佛つくつて眼を入れずというようなことになりますので、商工当局といたしましては、懸案のこの中小企業專門の金融機関というものをぜひつくりたいと思つて、今関係方面とも緊密な連絡をとりつつ研究している次第でございます。ただこれが商工中金の拡充というような形でいくかあるいは全然新規の金融機関を設ける方法でいくか、これはまだ発表の域には達しておりませんが、ぜひ中小企業專門の金融機関をつくりたい、このように考えております。
#36
○櫻内委員 なおその際に資材の配分についても政策協定には言及いたしまして、特段の措置を講ずるということになつたのであります。そこで私が考えますには、從來経済再建のために超重点産業、いわゆる傾斜生産方式というものをとつているのでありますが、この中小企業に対して資材の配分に特段の措置を講ずるということについては、この傾斜生産方式とはどういうお考えをおもちになるのか、ちよつとお聽きしたいと思います。
#37
○水谷國務大臣 ただいまの日本の経済の事情のもとにおきまして、またその日本経済再建のためには、たとえて申しますならば石炭であるとか、あるいは電力、鉄鋼というものに対してある程度の傾斜生産をやつていかなくてはならぬことは、これはやむなき措置ではございますが、しかしこれは決して直接中小企業振興と矛盾するものではないと考えております。すなわち中小企業の振興ということは、何でも中小企業でさえあれば全部振興しようというのではないのでございまして、そこにはおのずから緩急、順序があるのでございまして、まず輸出部門、あるいは重点産業関連部門等を優先的に取上げまして、その振興をはかつて逐次他にも及ぶ考えであるのであります。資材不足の現状におきましては、まず重点部門が優先的に取扱われまして、次にその部門内で能率のよい工場が優先するのは当然のことでございまして、中小企業の振興対策も、あくまでもこの能率第一主義の線に沿うて強力に推進していきたい、このように考えております。
#38
○櫻内委員 次に法案の第三條におるのであります。先ほど多田委員が少しく触れられたのでありますが、中小企業者は、行政廳の行為により不当にその事業を阻害されたときに中小企業廳にその事実を申し出ることができるということになつているのでありますが、この行政廳の行為により不当にその事業を阻害される場合というのをどういうふうに御想像されたのであるか。それからまたそれを中小企業廳に申出た場合について、何か具体的にお考えがあるのかという点をお聽きしたい。
#39
○細井政府委員 行政廳の行為により不当にその事業を阻害されたときと申しますのは、一番よくあるだろうと思われる例は、資材の割当等に際しまして、特に大企業偏重で中小企業は能率もよいにかかわらず、それをオミツトするというような場合が起り得るのでありまして、そういう場合には先般來申しました通り、中小企業廳においてこれを確保するように、強力なその措置をとつていくということでございます。そこで中小企業者の側からそういうような事実があると思つた場合には、中小企業廳に申し出てもらいまして、その事実を精査いたしまして適当な措置を講ずる、こういうような場合が予想されるのでございます。
#40
○櫻内委員 同じ項目の中の問題でありますが、最後の所に「当該事件を公正取引委員会に移さなければならない。」というようになつておりますが、せつかく中小企業廳を経由せしめる問題でありますので、この公正取引委員会に移した以降についてはどうされるのですか。ただ單に経由するだけのことをお考えなのですかその点を伺いたい。
#41
○細井政府委員 先ほど私ちよつと説明が十分にできなかつたのでございますが、この「前項後段」と申しますのは結局独占禁止法に触れる場合でありまして、この場合は、前項を全般といたしましても、公正取引委員会に付することの例外措置は中小企業廳が最初においてみずからやるということを言われますが、後段の場合は独占禁止法の関係がありますので、例外に対してまた元へもどしまして中小企業廳で取扱わないで、これを公正取引委員会の方にまわさなければならぬ。公正取引委員会において独占禁止法の條文に照して措置する、こういうことであります。
#42
○喜多委員長 松井豊吉君
#43
○松井委員 二つの点をお伺いいたしますが、私月曜日の委員会にも参加いたしません。昨日連合委員会に出席いたしまして、質問いたしましたる委員の方々が大半納得のできない実情にあつたのでありますが、本日さらに商工大臣より詳細なる御説明があつて大体了解ができておりますけれども、私が二、三お伺いしたい点は中小企業の要項にも形式の概要が書いてありますが、いわゆる根本から設置しようとする必然性がどこにあるかということは大体ここに規定してありますけれども、その具体的根本方針が飼われるならば仕合せだと思います。とらに資材、資金の面において、昨日より委員の多数から伺つたのでありますが、それらの点についても概要だけは何回も御説明ございましたけれども、私は根本問題が具体的にお伺いできるならば立ちどころに本日でも了承得られると思うのであります。もしそれらの点が根本的に具体的御説明が願えるならば仕合せだと思うのであります。
#44
○細井政府委員 松井委員にちよつとお尋ねいたしますが、御質問の趣旨は中小企業廳というものを特につくる理由、こういうことでございましようか。
#45
○松井委員 そうであります。
#46
○水谷國務大臣 ただいま松井委員からの御質問の中小企業廳設置の最大眼目と申しますか、根本目的はどうかという点でございますか、これは私も相当詳しく提案理由を述べます場合に御説明申し上げたと思うのでございますが、重ねての御質問でございまするから、さらにそれよりも非常に端折つて要領よくお答えいたしたいと思うのであります。
 この中小企業廳設置の最大眼目は法案第一條に言うております通りに、中小企業の健全なる育成発達を目的とするというのが、中小企業廳設置の最大眼目でございます。近年世界経済より分離されてまいりました日本の経済は、近い將來において必ず激しい國際経済の競爭場裡に立つのでございますが、中小企業の現状を見ますると、技術も経営も國際的水準から見まして、はなはだ低く、まことに寒心にたえないものがあるのでございます。しかもかつて中小企業の最も有力なる武器でございました低賃金というものは、時代の要請によりましてまつたく除去されておる次第でございます。今や中小企業の活路は一にも二にも技術と経営に科学性と合理性を取入れまして、その能率の向上を期するよりほかに途がない、このように考えております。新たに設置されますところの中小企業廳というものは、一方におきましては中小企業のために能う限りのインホーメーションと指導とを行いまして、その技術と経営の向上を推進いたしますとともに、他方中小企業の立場を代弁いたしまして、あらゆる方面にその正当な利益代表といたしまして強力な発言をしようとするものでございます。大体中小企業廳の設置の最大眼目というようなことはそういうところにおいておるような次第でございます。
#47
○松井委員 ただいま御説明がございまして大体了承いたしましたが、趣旨は私たちも賛成できない。これは形式である。実行に移す場合の問題に対しては、中央から見ても、地方の関係から見ても、なかなか重大性を帶びておる実情があるのであります。この法案の一部の中に弱体であると言つたが、はたして中小業者はその言うごとくであろうか。彼らは戰爭中こうむつた壞滅的な打撃を逐次自己の力によつて再生し、何人の援助を求めず、着々として復興に進みつつある、今日、六大都市はもちろん全國各都市における中小企業者の活発なる動きは、実に顯著なるものである。しかるにこれらの中小業者を弱体なりという見解のもとに、彼らの経驗と信念を無視して机上作文的な題目を実踐に移すということは、当局の見解はあまりにもこれらの点に幼稚過ぎる解釈をくだすものではないかという考えをもつておるのでございますが、これについてはいかがでしようか。
#48
○水谷國務大臣 松井さんのお言葉はなるほど過去におきましてそういうことがある程度ありましたことも、私も認めるにやぶさかではございません。從いましてこのたびの中小企業廳におきましては石炭局のように、法制上過半数の民間人を入れなくてはならないという規定はございませんが、これまで繰返し御説明申し上げましたように、中小企業廳の長官を初め、できるだけ多くの有能なるエキスパートを民間人から採用していきまして、かりそめにも中小企業廳が中小企業に対して差伸べる手がただいま申されましたような、机上のプランであるとか、あるいは独善的な作文であるということのないように、十分氣をつけていきたいと考えております。
#49
○松井委員 今日まで企業統制の内容を見ましてもなかなか複雜きわまることが多々ありまして、非常に地方の人はあらゆる関係の人々が困難をしておる実情があります。そこにおいて今すでに地方府縣を中心とするところの縣民、あらゆる團体の代表の人々の声は、すでにこの統制経済も、主食あるいは重大部門を除いてはある程度の圧縮もしくは撤廃する必要がありはせぬかという声も多々あります。この法案の内容を見ましても、まだ商工大臣の御説明によりましても、異なる点はあるかもしれませんけれども、ややもすれば、地方の人々はまた統制経済の強化である、こう見ております。そこにおいてわれわれは地方の人々からこの法案について新聞紙上に出るあらゆる面からの質問をされております。そこにおいてこの資金、資材の面も漠としたものではつきりしておりません。また資材配給関係については、この企業廳は関係しておらぬと言いますけれども、それからの点を見てもなかなか重大であります。そこで私たちは納得できない関係については、ただいま申し上げたる地方の各團体の代表あるいは個人企業者の声を喚起する、今日民主主義を標傍するときに、地方府縣の輿論もこれを一部には入れる必要があると思う。昨日、一昨日から委員の方々で納得のできない質疑應答について私も聞いておりますけれども、まだ今日に至りましても私たちには十分了解が得られない、ゆえに私たちは地方商工会議所あたりを中心とするところの輿論も聽き、また座談会などいたしましてほんとうの声を聽き、実際必要であるかないかということも調査せしめる必要がある。ゆえに私はこれらの点についてもそうしたようなことをする必要があるかないかというようなことも御参考までに御答弁願えれば幸いだと思います。また一例を織物業者についてあげますと、今すでに綿織物業者にしましても、あるいは絹織物業者にいたしましても、先刻申し上げましたように、だれからも一銭も援助を受けない。われわれは長い技術をもち、先祖代々営々としてやつておる業である。そうしてわが桐生市は織物業者盛んな所でありますが、完全な織物をつくつて輸出して、外國の金をとるのだというので熱心にやつております。こういう関係から今のこの法案の制度では、そう人々も今日の乏しい経済下にあつて着々として努力され、成功しつつありますが、これらの人々の声を聽いても、また企業整備である。また統制のわくを強化されるのかと言う人がある。そういう人々に対しても、資金の面はこれだ、またわくの制度はこれだというように、大体要綱に出ておりますけれども、そういうふうな抽象的のことでなく、具体的な根本方針が御説明願えれば幸だと思うのであります。
#50
○水谷國務大臣 松井さんが御指摘になりました統制かというようなお言葉ですが、この中小企業廳というものは、御案内のように、これは民間から多年叫ばれてきた問題でありまして、現在の経済機構のもとにおいて、ややともすれば日陰者になつておる中小企業者のために、特別な機関を設けて、何とか中小企業の善良なる代弁者、善良なる指導者になつてもらいたい、こういうことが長い間の陳情でございまして、ただいま御指摘の商工会議所なんかは、全國例外なしに中小企業廳を早く設置してくれということを言われてまいつたのであります。われわれもそういうような関係者の声は、神の声と聽きまして、政府もおくればせながらこのたび中小企業廳を設置したのでございまして、ただいま御指摘のような中小企業を締め上げるとか、あるいは統制をさらに強化するという意味で、中小企業廳をつくつたのではございませんので、全國津々浦々の中小企業者の要望、さらにまた全國商工会議所の熾烈なる声に應じて、中小企業廳をつくつたような次第であります。從つてこの法案の中におきましても、統制がましいことは少しも言うてはおらぬのでありまして、むしろ松井さん以外の多くの委員からは、この中小企業対策には何らの強制力もない、政策の浸透力が弱いのではないかということで、逆に攻撃されてまいりましたことは、この二、三日の委員会の模樣をお考えくださいましてもよくおわかりであろうと思うのでありまして、ただいまの松井さんのような御心配は、事中小企業に関する限りは毫もないと御了承願いたいと思います。
#51
○松井委員 ただいまの大臣の御説明によりまして大体了承できたのでありますが、ややともすれば形式に終る実情が今日多々あります。また昨日から今日までの委員諸君の質疑應答を比較檢討してみましても、どなたの質疑に対しても了解が得られないのであります。そこにおいてわれわれもこの問題についてはあまり具体的にまだ研究しておりません。ただ御説明を聽いた程度であります。地方関係については、商工大臣は全國の各機関ともこれを希望したものであるということでありますが、われわれも一應その筋を調査研究いたしまして了解を得る予定であります。ただ一番重大な資金資材の問題については漠とした説明でありますから、適当な機会において、もう少しつつこんだ説明が願えればさいわいと存じます。私はきようはこの程度で質問を打切りたいと思います。
#52
○喜多委員長 他に御発言もないようでありますから、本日の質疑はこの程度で打切り、明日午後二時より委員会を開会いたしことにいたしたいと思います。
 これをもつて散会いたします。
    午後三時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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