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1947/10/02 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第39号
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1947/10/02 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第39号

#1
第001回国会 本会議 第39号
昭和二十二年十月二日(木曜日)
    午後二時十一分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第三十八号
  昭和二十二年十月二日(木曜日)
    午後一時開議
 第一 昭和二十二年度一般会計予算補正(第三号)
 第二 災害救助法案(内閣提出、参議院回付)
 第三 最高裁判所裁判官國民審査法案(司法委員長提出)
 第四 電力危機突破に関する決議案(石野久男君外四名提出)
 第五 ソ連領からの引揚促進に関する請願(第二三三号)
 第六 在外同胞引揚促進の請願(第四一〇号)
 第七 町村の財源付與に関する請願(第七〇号)
 第八 茅ヶ崎町に市制施行の請願(第二四六号)
 第九 行政書士法制定に関する請願(第八三号)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(松岡駒吉君) お諮りいたします。原田憲君より、十月一日から十月十五日まで十五日間病氣のため請暇の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 水害復旧の状況に関する苫米地國務大臣の報告
#5
○議長(松岡駒吉君) 前回の水害の復旧状況につき報告のため、運輸大臣より発言を求められております。これを許します。運輸大臣苫米地義三君。
    〔國務大臣苫米地義三君登壇〕
#6
○國務大臣(苫米地義三君) 今次の水害につきまして、去る二十日とりあえず御報告申し上げておきました、運輸関係の被害及びその復旧状況につきまして、その後の経過を御報告申し上げたいと存じます。
 まず、國鉄の受けました被害でありますが、先日の御報告では、当時判明したもの総計八百七十八件と申し上げましたが、最近の数字によりますと、総計千四百三十八件に及んでおります。そのうち、築堤の崩れたもの三百四十三件、切取土砂の崩壞四百件、線路の流されたもの二百三十八件、橋梁の傷んだもの六十一件であります。從つて、これらの被害に対する應急復旧用資材も、先般の御報告に比べまして多少増加する見込みであります。すなわち、軌條及び附属品千三百六十五トン、まくら木七万五千五百丁、鋼材類千二百二十トン、木材十四万千六百石、セメント一万二千七百八十トンに、いずれも増加する予定であります。
 次に、鉄道の不通となりました区線は、八十一区線に逹しましたが、そのうち、すでに復旧開通いたしましたのは七千区線でありまして、未だ不通の箇所は十一区線となつております。すなわち、現在不通箇所のおもなるものについて申し上げますと、
 一、東北本線は、久喜、栗橋間の一箇所だけまだ不通であります。栗橋、古河の間は、昨一日開通いたしました。久喜、栗橋間は線路が非常に流されていますので、これが開通して東北本線の全通を見ますのは、目下のところ、本月十五日ごろとなる見込みであります。
 二、上越線は、目下敷島まで開通しましたが、敷島、沼田間は、その後実地調査の結果、盛土・切取だけでも一万数百立方メートルに逹する見込みでありまして、目下作業は進行中でありますが、敷島、岩本間は十月一ぱい、岩本、沼田間は十一月中になる見込みであります。
 三、常磐線は、龜有、金町間の不通箇所のうち、下り線單線だけは去る二十七日開通しまして、一應全通いたしましたが、複線開通は本日行われる予定であります。
 四、中央線は、大月、笹子間の被害は意外に大きく、目下盛土の本復旧作業を進めていますが、十月十日ごろまでかかる予定であります。
 以上の通りでございまして、さいわい信越・常磐・奥羽・総武の四線が開通いたし、東北、中央両線も近く全通を見る予定でありますので、被害がはなはだしかつた割合には比較的早く開通を見、輸送に対する影響を最小限度に食い止め得たと存じます。しかし、それにいたしましても、十月分の貨物輸送に対しては、約六十万トンの輸送不足ができました次第であります。もちろん、これに対しましては、なお残された不通箇所の復旧工事を促進して、できるだけ早く開通させるように努めるとともに、他方、すでに開通いたしました線を最大限度に利用しまして、迂回輸送等により、できるだけ輸送減の影響を少くするよう努力いたしております。最近ようやく活発になり始めました京浜向け新米輸送につきましても、上越線、東北線不通の間は、新潟方面の分は信越線、富山・石川方面のものは北陸線・東海道線を通じて京浜地方に輸送いたしております。
 なお地方鉄道にも、東武鉄道、京成電鉄等、その後被害地域が拡大されましたが、これまた鋭意復旧に努めました結果、不通区間も漸次少くなり、両線ともおのおの二箇所を残すのみとなつております。
 次に、海運関係について申し上げますと、先日御報告申し上げました北海道・東北方面と京浜をつなぐ汽船は、その後予定通り運航を続けておりまして、最近までの実績は、運航船舶九隻、旅客四千三百余人に及んでおります。また利根川の濁水が帝都に入り、常磐・総武の鉄道線が不通となりましたので、ただちに東京、木更津間の定期航路を増強するほか、東京・浦安、東京・寒川方面に新しく航路を開きまして、旅客の海上輸送を行い、旅客十万一千人輸送の実績を示しております。さらに、横浜港に到着した輸送食糧は、ただちに汽船または機帆船によりまして、岩手・青森・宮城の方面と千葉縣下に中継輸送を行い、水害地に対する食糧の確保に努めた次第であります。
 以上、はなはだ簡單でございますが、運輸関係の最近までの御報告といたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 第一 昭和二十二年度一般会計予算補正(第三号)
#7
○議長(松岡駒吉君) 日程第一、昭和二十二年度一般会計予算補正(第三号)を議題といたします。委員長の報告を求めます。予算委員会理事黒田寿男君。
    〔黒田寿男君登壇〕
#8
○黒田寿男君 ただいま議題となりました補正予算第三号案につきまして、予算委員会の審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。審議の経過を御報告するに先だつて、本補正予算案の内容を簡單に御紹介申し上げます。
 本案による既定予算に対する歳入歳出の追加は、先般議会を通過いたしました皇室経済法施行法に基いて当然に支出さるべき経費でありまして、その内容は、次の二つにわかれております。その第一は、皇室経済施行法によりまして、八月一日にさかのぼつて皇族費の定額が引上げられたため、歳出追加の必要が生じたものであり、その第二は、皇族方の皇族離脱によつて追加支出が必要となつたものであります。もちろん、皇族離脱のために生ずる経費支出については、右の法律に定められているわけであります。
 さて、本補正予算第三号案の内容は、ただいま申し上げました二つの原因から生ずるものでありますが、それは大体次の三つにわかれているのであります。
 その第一は、引続き皇族の位置におられる秋父宮、高松宮及び三笠宮の三宮につきましては、前に述べました第一の理由、すなわち皇族費の定額が増加されましたため、追加支出の必要が生じたのであります。と申しますのは、本年度にはいつて初めての月、すなわち四月は、旧憲法による皇室費の年額の一箇月分、四十万円が充てられておつたのでありますが、五月からは新憲法が施行になり、暫定的に皇室経済法施行に関する法律により、皇室費が内廷費―これは御手元金に当るもので、目節の内訳はありません。これが年額にして八百万円、十一箇月分として約七百三十万円、宮廷費―これは年々数字の変るもので、これの十一箇月分が大よそ千五百万円、それから皇族方の費用が、皇族費として三宮家の分だけ十一箇月分六十八万八千円と、三つの項にわけて本予算に計上してあります。ところで、さきに申上げました法律では、宮方御一人の年経費は十五万円となつておりましたのが、今度定まりました皇室経済法施行法では二十万円に改正されまして、それが八月一日から施行されますので、三宮家について、その分だけ追加の必要が生じましたのであります。これが三つのうちの一つ、予算書によると甲第二号の歳出、皇室費の(1)に当るもので、十六万六千円であります。
 第二は、前にも触れましたように、三宮家以外の皇族方は、五月には皇族離脱の予定でありましたが、それが延びまして十月になり、その間の皇族費が本予算に計上してないので、これを追加いたさねばなりません。このうち五、六、七の三箇月は、御一人十五万円の割で、八、九、十の三箇月は、皇室経済法施行法―以下施行法と略称いたしますが、この法律によりまして、二十万円に引上げられましたので、その割合で計算しまして、総額にして百五十五万四千円を追加支出することになります。これは皇族離脱が遅れたということと、施行法が公布されたということとが組合わさつております。
 第三は、施行法によりまして、皇族離脱の際、御当主には年額の十五倍を、その他の方には十倍を一時金として支出することになつておりますので、これは年額十五万円の基準で、それぞれ十五倍、十倍を計算したのでありまして、これが総額にして四千七百四十七万五千円になります。
 以上の三つの支出を合わせますと、四千九百十九万五千円を追加支出する必要がありますので、予算補正第三号が提出されたわけであります。
 そこで、右の歳出追加額の財源でありますが、これは前年度剩余金が三千百六十五万円残つておりますが、それでは不足いたしますので、ちようど学校特別会計が廃止されまして三千三十二万三千円残金が出る見込みでありますので、これを全額受入れまして、不足分千八百八十七万二千円を剩余金から受入れることにしたのであります。これで皇室費の追加額四千九百十九万五千円を賄うことができることになります。なお、これは本案には直接関係がありませんが、前年度剩余金は千二百七十七万八千円だけ残ることになります。
 政府側から、以上の通りの予算案の内容の説明がありまして、質疑に移りましたが、その主なものを拾い上げると、次の通りであります。
 質疑の第一は、皇族離脱は二十二年五月の予定であつて、そのため本予算に、離脱される御予定の皇族の皇族費が計上されていなかつたが、それが十月まで遅れたため、その間の追加の必要が生じたとの政府の説明であるが、何ゆえ皇族離脱の手続が遅れたかとの質問がありまして、これは皇族離脱の手続は、新憲法による第一回の國会にかけて決定することになつているので、皇室経済法施行法が今國会を通過した後になつたのであるとの政府側の答弁がありました。
 質疑の第二は、天皇の御巡幸の費用は当初予算の範囲内で間に合うかとの質問がありまして、これは全年度にわたつては多少の不足を來す見込みで、いずれ補正予算で追加を求める予定であるとの答弁でありました。
 第三に、右のように御巡幸に多額の経費が必要となり、しかのみならず、地方費においても、それがために相当額の支出が行われていることは、経費節約の上からも十分考慮してもらいたいとの質疑に対しては、御巡幸は國民の希望と陛下の思召とにこたえるためであるが、そのために中央・地方の財政負担を増大しないよう善処するとの答弁でありました。
 第四に、皇族費追加の財源が、学校特別会計廃止による剩余金を先にして、不足額を前年度剩余金で埋める方法は、六・三制の経費が削減されるやもしれないといううわさもある今日、國民への影響も考えて不適当ではないか、むしろ前年度剩余金の全額をこれに充当し、なお不足する分は一時借入金にして、この後間もなく上程される追加予算の歳入によつて埋めることが適当ではないかとの質疑に対しては、学校特別会計の廃止によつて、残金は法規上当然に剩余金として一般会計に繰入れられたのであつて、その原因が学校特別会計の廃止にあるというだけで、右の金額は一般会計全体として考えられるのであるから、六・三制との関係は存在しないとの答弁でありました。
 質疑の第五は、財政法第六条によつて、前年度剩余金の二分の一以上は借入金・公債の償還に充つべしとあるのに、このように剩余金全部を受入れることは不法ではないかとの質問でありまして、これに対しては、財政法は昭和二十一年度決算より適用されるから、二十年度の決算には関係ないし、第一、それを無理に償還に充てても、その分だけ新たに赤字を出すことは、むしろ健全財政の趣旨に反するから、実情に即して以上のような手続をとつたとの答弁がありました。
 なお、國民として天皇の常殿を造営したいとの希望があるが、右のような計画はないかとの質問に対しては、目下のところ、さような計画はないとの答弁でありました。
 さらに、全般的追加予算を目の前にして、第三号を急ぐ必要は奈辺にあるかとの質問に対しては、皇族離脱が予定より遅れていたので、施行法の通過を機に極力手続を進めたいという趣旨の答弁があつたのであります。
 大体以上のような質疑應答が行われまして、採決に入つたのでありますが、共産党を除き、過半数をもつて本案を可決すべきと決定いたしました次第であります。共産党の反対意見は、次の二点でありました。第一は、この補正予算は追加予算案と同時に審議しなければ、事実上審議不可能である。追加予算の全貌を示さず、この補正予算だけを切り離し、しかも、内容の明細を示さずして審議することには反対である。第二には、文部省の剩余金をこの補正予算に繰入れているが、これは正しい予算の立て方ではない。以上のごとき共産党の反対意見がありましたが、ただいま申し上げましたような経過をとりまして、過半数をもつて可決すべきものと決定いたした次第であります。以上、御報告申し上げます。(拍手)
#9
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#10
○議長(松岡駒吉君) 起立多数、よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 第二 災害救助法案(内閣提出、参議院回付)
#11
○議長(松岡駒吉君) 日程第二、災害救助法案、参議院回付案を議題といたします。
#12
○議長(松岡駒吉君) 別に発言の通告もありませんから、ただちに採決いたします。本案の参議院の修正に同意するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
#13
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて参議院の修正に同意するに決しました。
     ――――◇―――――
#14
○叶凸君 日程第三は延期されんことを望みます。
#15
○議長(松岡駒吉君) 叶君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程第三は延期するに決しました。
     ――――◇―――――
 第四 電力危機突破に関する決議案(石野久男君外四名提出)
#17
○議長(松岡駒吉君) 日程第四、電力危機突破に関する決議案を議題といたします。委員長の報告を求めます。電氣委員長前田榮之助君。
    〔前田榮之助君登壇〕
#18
○前田榮之助君 ただいま上程になりました、石野久男君外四名の提案による電力危機突破に関する決議案の、電氣委員会における審議の経過並びに結果について御報告をいたします。まず議案を朗読いたします。
  電力危機突破に関する決議案
 今やわが國産業は縮小再生産の過程を辿り、國民生活の不安は日毎に増大し、國家は將に憂慮すべき事態に直面している。
 然るに産業復興の源動力である電力は、著しく切迫を告げ、年間を通じて需要を充たすことなく、特に渇水期においては一層苛酷な事情の下におかれ、全産業は麻痺せんとする恐るべき予測が着々現実化しつつある。
 政府は石炭増産に主力を注ぎ、この傾斜政策を唯一の動力源問題の解決策としているのであるが、わが國における動力源は、基本的には電力に依存すべきで、電力の持つ重要性は断じて石炭に劣るものではない。この秋にあたり電力問題の基本的恒久対策を確立し、國家百年の計を樹立すべきことは固よりであるが、それと同時に、先ず今日の電力危機に処する緊急施策の必要なることも論を俟たざる所である。
 ここにおいて電力危機突破緊急対策の樹立を提唱し、これを國民運動に展開して生産を増強し、民生の安定を図り、日本再建に寄與せんとするものである。
 政府は、電力危機突破対策として現有電力施設の百%の活用を期すること、これがため他産業に優先して次の各項の措置を講ずること。
  イ 資金、資材の優先獲得
  ロ 労働の生産性確立
  ハ 綜合燃料対策の樹立
  ニ 電力の合理的使用の勧奬
  よつて以てこれが実現のため國会及び政府を中心とする電力危機突破の一大國民運動を展開すること。
  右決議す。
 本案に対する委員会の審査は、きわめて熱心に、また愼重に行われ、まず第一に、現実の電力事情の実態の把握に努め、第二に、本案実行により危機突破可能なりやいなやを精査し、第三に、政府の行政処置を追究調査し、よつてもつて問題の解決を具体的に、実効を收むることに主力を注いだのであります。
 そもそもわが國の電力事情は、これを需用方面から見ますと、終戰後軍需産業の操業停止によりまして、昭和十九年度を基準にしますと、一時その三五%まで低下していたのでありますが、その後家庭用電熱の増加、電氣製塩、汽罐電化及び一般産業の回復と電力利用分野の拡大、特に肥料・纖維・窯業等の需要増加のため、漸次増大いたしまして、十九年度平均に比しまして、昨年四月には八二%、十月には九二%、今年四月には遂に一〇四%、五月には一一三%に上昇したのであります。殊に家庭用電燈・電熱につきましては、薪炭・ガス等の不足から、本年三月には、全需要電力の三六%を占めるという激増ぶりを示すに至つたのであります。
 また、これを供給方面から見てみますと、ほかの産業の生産が戰前に比して著しく低下している際、電力の生産だけは、戰前の発電力を維持するというよりも、本年六、七両月のごときは、これまでにない発電記録をあげるに至つたにかかわらず、その需用に比べて、供給の不足はきわめて深刻なものがあるのであります。すなわち、本年渇水期における需給予想についてみますと、水力が平年並の水量があり、火力が下半期百四十万トンの石炭が使用できるものとしても、なお供給は需用に対してはるかに及ばないのであります。全期間にわたつて、依然として強度の電力制限を行わなければ、需給の平衡をはかることができない、まことに憂うべき事態に立至つているのであります。このように足りない電力を、傾斜政策の対象たる炭鉱用、鉄鋼用、肥料用などに対し重点的に一〇〇%配電するとすれば、残りの需用家に対する割当は、昨年度に比してさらに減少され、貿易再開に應ずべきわが國産業の危機と言はねばなりません。
 それでは、何ゆえかかる状態に陷つたかと申しますと、需用の激増ということはもちろんでありますが、なお一面、供給力減少の面にも幾多の原因が存ずるのであります。すなわち、そのニ、三を拾つてみますと、一、戰時中電力の急増をはかるため、無理な工事により電力設備の建設を急ぎ、そのため破損するものもあり、戰災により使用不能となつたもの、なお、戰時中必要なる補修を加えなかつたため、遂に使用に堪えられなくなつた発電所ができたことであります。ニ、火力発電所用石炭の割当不足及び一般的の炭質の低下も相当影響いたしております。三、資金、資材、労務者用の食糧及び必需物資が不十分のため、電力設備の補修の完了が遅れたことなどが重なり合つて、供給力低下の原因となつておるのであります。
 右のような事情のもとにあつて委員会においては、委員と政府との間に種々熱心なる質疑が交されたのでありますが、その詳細は会議録によつて御承知おき願うことにいたしまして、ここでは、そのおもなるものニ、三を申し上げることにいたしたいと存じます。
 まず、資金・資材の確保については石炭増産に対すると同樣にすべきであるとの質問に対し、政府より、開発計画には長期的なものと緊急なものとがありまして、それぞれ立案中でありますが、目下のところは、最も緊急を要する補修工事に主力を注ぐべきであると思いますから、これに要する資金・資材は、今後とも十分に確保する方針でありますとの答弁がありました。
 次に、労働能率向上のため、労働者の生活確保、すなわち衣料・ゴム製品・食糧・住宅等を確保するの要があるが、政府はいかなる処置をとつておるかとの質問に対し、労務者の厚生に関しては、できるだけ努力しており、食糧の特配も一部にはすでに実施中でありまして、他地区に対しても、それぞれ特配するように努力中でありますとの答弁がございました。
 次に、総合燃料対策を樹立して、これが実現を期すべきであるとの意見に対し、政府は薪炭・ガス・煉炭等の総合燃料対策を立て、今冬期必要とする最小限度の燃料は確保いたしたいと努力中でありますとのことでありました。
 なお、電力の合理的使用を励行する必要があるが、政府の所信如何、との質問に対しては、電力の合理的使用については、官廳、事業者、民間團体の三者協力して普及に努力していますが、今後一層努力いたします。また擅用防止につきましても、メーターや制限器の取付に努力させておりますが、目下のところでは、破損や燒失によつてメーターも非常に不足しておりますので、その新造に対しても鋭意努めておる次第であります、要するに政府としましては、供給力の増加、水力及び火力発電設備の補修・復旧に努力し、同時に電力使用の合理化を徹底いたしたいと念願するものでありますが、これらの問題の解決は、單に政府だけによつて解決されるものではなく、國民の一致協力が必要であろうと思いますとの意見の開陳がありました。
 しかして、九月二十七日の委員会において質疑を終り、討論に入りました。社会党より八百板正君、民主党より櫻内義雄君、自由党より村上勇君、國民協同党より川越博君、第一議員倶樂部より堀江實藏君の諸君が、それぞれの党派を代表して原案賛成の意見を述べられ、なお、以上の諸君はいずれも同樣に、電力こそは石炭・鉄鋼・肥料等とひとしく國家興隆に影響する重要性をもつものであつて、官民ともに政党政派を超越して、本案を体して一大國民運動に挺身すべきであることを力説されたのであります。討論を終結し、採決いたしましたところ、満場一致賛成、可決いたしました。終りに政府当局より、本案の趣旨を体し、その運用に万全を期する旨の発言がありました。
 以上、簡單でありますが、委員長の報告といたします。(拍手)
#19
○議長(松岡駒吉君) 討論の通告があります。順次これを許します。石野久男君。
    〔石野久男君登壇〕
#20
○石野久男君 私は、ただいま上程されました決議案に対しまして、日本社会党を代表して、本決議案の賛成の意見を申し述べたいと存じます。
 去る二月、三月の渇水期におきましては、例年にない豊水に惠まれたのでありましたが、電力事情は、各員の御記憶に新たなる通り、國民生活を著しく混迷に陷れたのでございました。この事実は、國民一人当りの消費全エネルギーについての年次比較を見ても、よくわかるのでございます。すなわち、石炭一キログラムを六千五百カロリーに換算いたしまして、昭和五年から九年は〇・八二トンを使用しております。昭和十七年は一・一八トン、昨年の昭和二十一年は〇・五八トンとなつておりまして、特に家庭用燃料消費量は、電力・薪炭を含め、戰前の四〇%程度に低下しておる実情でありました。
 石炭・亞炭・石油・木炭・薪の生産実情を考え合わせますと、國民の最低生活維持のための熱源は、今後その大部分を電氣に求めるほかに途がないのでありますが、刻下の産業におきます動力源に思いをいたしますならば、一層切実なる要望が電力に負荷されておるのであります。從つて私は、今日石炭に対する政府の傾斜生産方針はよろしく電力に対しても同樣の方針を確立されてしかるべきものであると固く信ずるものであります。
 飜つて、本二十二年度の冬季渇水期におきまする電力需給の事情を考えますると、すでに本年は豊水期である第一・四半期におきまして、休電日の指定等制限を加えましたにもかかわらず、制限のなかつた昨二十一年度同期に比較しまして、一八・四%の需用が増加しておる実情でありまして、八月、九月の渇水期の不足状況は、すでに御承知の通りであります。
 かくのごとき事情のもとに冬季渇水期にはいりまするならば、石炭百七十五万トンが火力発電に確保されましたとしましても、その炭質の低下等を考慮しまするならば、電力の供給不足は必然でありまして、國民の最低生活に必要な熱源の確保は一大恐怖にさらされ、全國産業は、到る所に動力不足に基く開店休業を余儀なくされるに至り、労働不安を助長し、産業復興はもとより、民生の安定は根底から覆えされるに至るであろうことが恐れられるのであります。從つて、電力に関する恆久的基本対策は、水力発電を中心として急速に確立されなくてはならぬ問題であります。特に今回の関東・東北の大水害に徴しても、治水問題を含めた貯水池・ダムの構築等は、電力開発の問題と関連して、積極的に國政上研究されなければならない切実さをもつておるものと信じられるのであります。
 しかしながら、今日当面する電力不足の危機は、緊急に解決されなければならぬ問題であります。恆久的、基本的計画を樹立することを考慮に入れて、本決議案が現有電氣事業設備の百パーセント活用を逹成するために掲げておりまする諸種の要望は、まことに時宜に適したものでありまして、特に本決議案が、國会及び政府を軸心とした國民運動の展開を要望しておることは、適切であると考えるのであります。
 日本社会党は、本決議に賛成するにあつて、ただいま委員長報告にもありましたが、重ねて政府に対し、次の諸点を特に考慮されんことを希望するのであります。
 一、政府は電氣問題の重要性に鑑み、石炭と同等もしくはそれ以上の傾斜主義を電氣事業に対してとること。
 ニ、資金・資材の優先取扱いは、官僚的図式配分に陷ることなく、実効果を期すること。
 三、労働者の生活不安が労働の生産性を低下せしめている事実に鑑み、労働者に対しては石炭労務者と同等の取扱いをなすこと。
 最後に、國会は電氣委員会を中心とする電力危機突破委員会―仮称でありますが―を構成して、國民各位に電力の合理的使用の協力を求め、政府に対しては各般の施策を要望いたしまして、特に総合燃料対策の樹立並びに実施を鞭撻して、本決議案の趣旨を逹成するよう努力していただきたいのであります。
 以上の諸点を要望いたしまして、本決議案に対する賛成の意見を申し述べた次第でございます。(拍手)
#21
○議長(松岡駒吉君) 栗田英男君。
    〔栗田英男君登壇〕
#22
○栗田英男君 私は、民主党を代表して、決議案に対し賛意を表するものであります。
 電力危機を突破するためには、危機の原因たる根本的な問題を愼重に檢討し、恒久的な方策を樹立してこれを実行することはもとよりであるが、現下の電力事情は著しく切迫し、ここにおいて緊急非常の措置をとるにあらざれば、産業の復興も、民生の安定も、眞に憂慮すべき段階にある。私は、このときにおいてこそ、本決議案に示された方策の断行を政府に強く要請せざるを得ないのである。
 この際日本の電力資源を檢討するときに、ただ一つ世界に誇るべきものは、開発いかんによつて生ずる五千万キロという厖大なる水力電氣である。しかるに、わが國における水力電氣の利用は、ほんの序の口で、残る厖大なる水力資源の開発こそ、敗戰日本の包藏し得る唯一最大の天然資源である。
 しかるに、今や炭も薪もガスもない、最後の家庭の頼みであるところの電熱器は使えない。農村の最も欲する化学肥料も思うように出まわらない。すでに節電の深刻なる赤信号は発せられて、家の中はまつ暗である。さらに二十箇所、百四十万キロの火力発電所が、賠償の指定を受けたのである。今にして電力問題解決の大方針を確立し、これに超重点を指向しなかつたならば、産業の再建も、文化日本の建設も、断じて不可能であると私は信ずるものである。現在のごとく石炭問題にのみ重点を指向し、これにまさるとも劣らない電力問題を等閑に附するということは、あたかも木によつて魚を求むるようなものである。
 なぜに、かくも電力不足のために今日われわれが悩まなければならないか。原因の第一は、日本の総電力は九百万キロあるが、その中の三百万キロは九州と北海道に偏在し、しかも、惠まれざる石炭に頼つて、全國に百十六箇所の火力発電所をつくつたということにある。第二は、現在の水力電氣の発電方式が、ダム式発電方法をとらずして、水路式発電方式をとつたという点に、深刻なる電力危機の悲劇が生れたのであります。第三は、電力需給の状況が、昭和十九年度の実績三百三十億キロワツト・アワーに対し、本年五月においては、一一三%に増加しておるのにもかかわらず、終戰以來の各産業の放漫なる電氣轉換、家庭用電力の著しき増加等により、さらに危機を加えたものであります。
 ここにおいて、緊急対策として電力事業を超重点産業として取上げ、石炭と同一の優先的措置を講ずるとともに、速やかに補修用セメント、発電機保全のための部品及び油脂を確保し、現場に急送するの措置を講ずることが絶対に必要である。これを早急に実施するときは、現能力に対し二五%の出力増加となり、この処置を怠るときは、壞滅的故障が予想せらるるのである。
 次に、現在の水力発電能力から見て、本年度において大よそ四百万トン程度の火力発電用炭を必要とするのであるが、電力用炭として予定されておるところの割当見透しは、わずかに百七十五万トンである。これも現在は貯炭皆無の悲観すべき状態にある、恐るべき今冬季の渇水期を乘り切るためには、早急に良質炭百万トン確保の決意をしなければはならない。
 さらに家庭用電熱節減のため、電流制限器による二十億キロワツト・アワー以上と予想せられる盜用の防止、非停電地区の惡質使用者の徹底的取締り等、危機に講ぜられるべき対策は決して少くないのである。
 恒久対策としては、昭和二十六年度の需用が四百五十億キロワツト・アワーと見て、ダム建設による新規電源の開発をはかるのである。ダム建設はセメントを用うる大工事であるが、この資材も希望のないわけではありません。本年度の火力発電用炭百七十五万トンは、三十五万キロの電源に相当する。これを電力の合理的使用によつて、五十万トンの石炭をセメント製造に振り向けるときは、百二十万トンのセメント製造が可能となり、これをダム建設に用うれば、八十万キロの新規電源の開発が可能となるのである。この八十万キロを火力発電に依存するときは、実に四百万トンの石炭をたかねばならない。一箇年五十万トンの有効適切なる利用は、毎年四百万トンの石炭が浮び上るという事実を知らなければならない。
 現にある水力電氣は、わずかに六百万キロである。渇水期においては、三百万キロに逹しないのが日本の現実である。今までは三百万キロを火力で補つていたが、石炭の窮状は見るも悲惨であり、しかも、火力発電所の半分を賠償に指定されておる現在では、どうあつても各地にダムを急造し、絶対に三百万キロを水力で補給しなければ、日本の産業は壞滅である。今や政府があらゆる努力を傾けてダムを建設するときは、日本全土を恐怖の底に陷れたるかの大水害も、さらに今日國民の生命さえ脅かしておる燃料飢饉も、ぴたりと解決するのである。
 政府は、本國会の初頭において片山首相の施政方針演説において提唱せられたるダム建設による電源開発計画の速やかなる具体化と実行を、今こそ強力に推進しなければならない。(拍手)黄河を治むるものはよく支那を制するとか。私はダム建設による有効適切なる河川の活用こそ、日本再建の捷径であると信ずるのである。私は本院各位とともに、本決議案実行のために一大國民運動を展開し、政府を激励し、電力事業者を奮起せしめ、危機突破の一日も早からんことを深く心に期するものである。
 以上、簡單に私の所見を述べまして、賛成の意を表する次第であります。(拍手)
#23
○議長(松岡駒吉君) 村上勇君。
    〔村上勇君登壇〕
#24
○村上勇君 私は、日本自由党を代表いたしまして、ただいま議題となりました電力危機突破に関する決議案に対して、賛意を表するものであります。
 敗戰後の石炭不足と火力発電所の賠償等によりまして、今日日本における唯一の動力源は、水力電氣の最高度活用以外にその途はないのであります。この消耗することなき水力電氣こそ、石炭動力に代りまして、わが國経済復興の中心となるべきであります。最近、米英両國政府におきましても、電力開発に重点を置き、ギリシヤのごときは、水力電氣の開発以外にギリシヤの復興なしと叫び、ソ連は経済復興五箇年計画におきまして、超重点的を水力電氣の開発に置いておることによりましても、私どもは、電源開発が今後の世界動力の花形として、産業復興の中心となるべきことを固く信ずる次第であります。
 しかして、天與の地形と水利とに惠まれましたるわが國といたしましては、敗戰によつて失われた貧弱なる資源のうちに、ただ一つこの電力開発のみが、われわれ國民に残されたる重要資源でありまして、これが開発によつて、從來の生産方針に大改革を加える必要が生じたのであります。
 御承知の通り、日本における水力発電所は、大小とりまぜて約千四百箇所となつております。その中でおもなものは、日本発送電の経営する三百八十六箇所の大発電所であります。しかして、総出力は約六百万キロと称えられておりますが、冬季渇水期に至りますれば、半減してわずかに三百五十万キロないし三百万キロとなるという、まことに憂慮すべき状態であるのであります。
 これが打開のためには、わが國河川の流量状態より見まして、四、五、六の三箇月間の豊水期に余剩水を、でき得る限り蓄積して冬季渇水期に利用し、もつて既設発電所の最高度活用をはかることは、何人といえども異存ないものと思いますが、この目的逹成には、大貯水池を築造せねばならぬために、莫大なる資材を要するのでありまして、今ただちに着手いたしましたとしても、重要資材の貧弱なる現状では、三年、五年の長き歳月を要しまするがゆえに、長期計画といたしましては採用できましても、現下の危機突破はまことに至難であります。
 ゆえに、この急迫せる危機打開のためには、全國三百八十余箇所の発電所のうち、完全に働き得るものは、わずかに一九%ということになつておりますので、この残りの八〇%以上の老朽発電所の修復と、戰時中種々の困難なる隘路のために未完成になつておりまする各種の発電所の修改築をはかつて、これによつて当面の危機突破をはかることは、急務中の急務と存ずる次第であります。
 聞くところによりますれば、日本発送電におきましては、電力危機突破五箇年計画を樹立し、目下それに向かつて着々進んでおるそうでおります。しかして、初年度、すなわち本年度におきましては、水力によつて約十万キロの増電計画を立て、鋭意作業中という報告を聞きましたので、私ども電氣委員は、去る七月十一日、猪苗代湖及び只見川等の水力電源調査と修復作業の事情調査のために出張いたしたのでありますが、尾瀬原、尾瀬沼を水源とする只見川水系の電源は、さすがに水力日本の名に背かぬものとして、力強く感じたのであります。
 飜つて、修復作業の実情に至りますれば、実に憂慮すべき状態でありまして、このままでは、本年度十万キロの増電計画は、とうてい実現不可能と見たのであります。その最も重要なる隘路は、工事用資材の不足と、労務者の食糧並びに作業衣等の不足であります。特に食糧不足の現状は、稼動率わずかに五十%という状態であります。実情によりますれば、これらの重労働に從う労働者の食糧は、わずかに加配米一合という現状でありまして、それも遅配・欠配が続くという状態では、石炭労務者と同等以上の重労働に從事する彼らの稼動率あるいは能率の半減も、またやむを得ないと存ずる次第であります。
 今日石炭の増産は、再建途上のわが國として一刻もゆるがせにできないことはもちろんでありますが、陸上における動力資源は、何ら消耗することのない水力電氣の活用に重点をおくべきでありまして、万一渇水期を目前に控えて現在作業中の本年度計画成らざるときは、動力使用制限は層一層強化せられて、原動力を奪われたる各種の生産はますます低下し、加えて薪炭不足の今日、飢えと寒さに國民生活を追いこまざるを得ないという深刻なる危機に直面せざるを得ないのであります。
 よつて私は、政府に對し、この際電力確保の再認識を求め、万難を排して、直面せる危機打開と、いわゆる電氣事業を超重点産業として取扱われんことを切望して、本決議案に賛成する次第であります。(拍手)
#25
○議長(松岡駒吉君) 川越博君。
    〔川越博君登壇〕
#26
○川越博君 私は、ただいま議題と相なりました電力危機突破に関する決議案に対しまして、國民協同党を代表いたしまして、衷心から賛成の意を表明するものであります。
 私は、一昨年の本議場におきまして、石炭問題に関しまする自由討議がありましたときに際して、いかにこの議場が白熱化したかということを考えると同時に、今日わが日本において、われわれ國民生活に非常なる苦痛と脅威を與えつつある電力問題に関する決議案が上程されておるこの議場の有樣を見まするときに、私は実に感慨無量であります。
 私はが本議場におきまして第一に要望いたしたい点は、電力ベースの問題に関してであります。水谷商工大臣あるいは和田安本長官は、電氣委員会におきまして、われわれが、今日の國民経済の状態において、電力の現状に鑑みまして、石炭と同樣なるところのベースを與えよという質疑をいたしましたのに対しまして、両当局の話はきわめて事務的でありまして、眞にこの危機を打開するの熱意に欠くるかのごとき印象がありましたことは、私どもの遺憾とするところであります。しかしながら、現下の電力の現状に鑑みまして、電力のベースを石炭並に引上げるのでなかつたならば、深刻なるところの電力の不足を補うことは絶対にできない。全日本の産業界、中小工業者、農村、般家庭の苦痛を一日も早く軽減せんがためにも、どうしても石炭のベースと同じように電力ベースを引上げられんことを切望してやまざるものであります。
 次に、現下の電力事情の困難は、発電設備の荒廃による発電力の減少によると同時に、燃料対策の貧困に基くところの一般家庭電氣の需用増加による消費の増大によることが、きわめて大であります。現在の電力の消費量は、戰時中の昭和十八年の状態にまで近づかんとしておるところの状況であります。從いまして、この窮状を打開せんがためには、まず電源を確保いたし、配電のロスを少くするとともに、何としても火力を含む発電設備の補修を速やかにかつ重点的に行う必要が絶対にあります。これは九州において殊にしかりであります。一方総合燃料対策の樹立によりまして、電力危機を緩和するのでなかつたならば、來るべき冬季の渇水期においては、恐るべき事態が招來されると私は考えます。
 政府発表の経済実相報告書によりますると、本年の第一・四半期の薪炭の生産供給は、計画量の六割となつております。既定計画にしても、かくのごとくでありますから、新規燃料対策の実施にあたりましては、よほどの政府の熱意がなかつたなつらば、來るべき電力危機には重大なるところの齟齬を來すものと考えざるを得ません。從いまして、政府に対してこの際特に要望いたしたい点は、薪炭・ガス・輸入燃料を含めたるところの総合燃料対策の遺憾なき実施を行つていただきたいという点であります。
 次に、電力の消費の合理化をはかるためには、言論機関、教育機関、これらの協力を得まして、電力危機突破に関するところの國民運動を強力に展開いたす必要がございます。それがためには、中央並びに地方におきまして、電力危機突破委員会なるものを結成いたし、國民の自発的協力によつて目的の逹成を期する必要があると考えるのであります。またさらに全國各地には、戰時中以來工事が中止されてそのままになり、能力を発揮できないところの発電所がございまするからして、相なるべくは、これらの未完成の発電所の工事を速やかに再開し、わが日本の電力危機打開に対しまして貢献できまするように、格別の配慮を得たいと考えるのであります。
 しかして、最後に関係方面につきましては、政府においては、すでに最善の了解を得るについてその運動をなさつておるのでありまするけれども、敗戰の痛手をこうむり、また瀕死の病床から起ち上らんとする、平和を愛好するところの日本國民は、貿易の再開にあたり、見返り品の生産に対しても、また痛めつけられましたるところの中小工業の振興に対しても、農村を自力更生せしめ、あるいはまた家庭の主婦を解放するために家庭の電化をはかるためにも、どうしても電力に頼らねばならぬという念願をもつておるものでありますから、國民のこの盛り上るところの電力に対する希望というものを開陳いたし、関係方面の十分の了解を得るようにすることが必要であると考えます。
 私は、以上をもちまして賛成の意見を終りまするが、本決議が世論と國民一般の支持を得まして、平和にして文化的な日本復興への一大光明とならんことを期待しまして、私の演説を終ることにいたします。(拍手)
#27
○議長(松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○議長(松岡駒吉君) ご異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 この際、商工大臣より発言を求められております。これを許します。商工大臣水谷長三郎君。
    〔國務大臣水谷長三郎君登壇〕
#29
○国務大臣(水谷長三郎君) ただいま可決されました電力危機突破に関する決議につきまして、一言申し述べたいと存じます。
 決議の御趣旨はまことに同感でございまして、わが國の産業再建にとりまして電力の占める重要性につきましては、いまさら申し述べるところもないと存じます。政府といたしましても、電力設備の復旧整備及び総合燃料対策等につきまして、いろいろ対策を講じてまいつておるのでございますが、十分御期待に副い得なかつた点もありますことは、まことに遺憾に存じます。今後はさらに万難を排しまして、極力電力の増強に努め、本決議の趣旨に副いたいと存じます。つきましては、今後とも一層の御支援、御協力のほどをお願いする次第でございます。
     ――――◇―――――
 第五 ソ連領からの引揚促進に関する請願(第二三三号)
 第六 在外同胞引揚促進の請願(第四一〇号)
#30
○議長(松岡駒吉君) 日程第五、ソ連領からの引揚促進に関する請願、日程第六、在外同胞引揚促進の請願、右両請願を一括し議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長安東義良君。
    〔安東義良君登壇〕
#31
○安東義良君 ただいま上程に相なりました二つの請願につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
 去る九月十八日、本請願を一括して議題といたしまして、委員会を開きましたところ、紹介議員境一雄君より提出された請願の趣旨書には、現在ソ連領抑留中の同胞は、ほとんどそのすべてが一家の柱石であり、また嚴寒の地に困難なる生活條件のもとにあり、相当数の犠牲者を出すことが予想されて、その留守家族の心情の苦痛は、もとより同胞としても看過するに忍びず、また各團体の引揚促進の懇請にこたえて、本請願を紹介した旨の説明があり、また黒岩重治君よりは、南方地域にある同胞の苦難な生活と、心身ともに疲れはてた状態を考えまするときに、相当の犠牲を予想されますので、それら家族の心情を察し、引揚促進に努力されたいとの説明があつたのであります。
 これに対する政府委員の説明によりますれば、政府は連合國側に対し、再三復員の一日も速やかならんことを懇請いたし、復員の努力を続けておりまするが、南方地域にはなお約二万名の軍人および若干名の一般同胞が残つておりますけれども、連合國の好意により、復員が非常に順調に進捗しておりまするので、南方地域からの復員は、本年末までには、戰犯関係その他の一部少数者を除いて完了の見透しがついております。またソ連地区よりは、昨年十二月より月平均五万人を送還することに連合國側において協定がなり、それに基いて逐次引揚げておりますことは、御承知の通りでありますが、これを増加する交渉は、遺憾ながら未だ妥結に至つておりません、本年八月末までに、シベリア地区より十二万三千四百三名の軍人、二千四百六十名の一般同胞が、また樺太地区よりは六千六百六十五名の軍人、十二万八千三百三十名の一般同胞、計二十六万八百五十八名が、それぞれ復員並びに引揚げて参りました、九月十日現在の外務省調査によりますれば、ソ連関係地域、すなわちシベリヤ・千島・樺太・北鮮・大連地区を合わせて、未だ約五十七万八千名の軍人及び約十四万名の一般同胞、総計約七十一万八千名が残留しておるものと推定せられるのであります、またこのほかに、滿州に約十三万五千名、中國本土に七千三百五十名、台湾に六百五十名の同胞がおるのであります、これに対する引揚促進方については、政府当局の懇請に対し、連合軍総司令部において好意と熱意をもつて努力されておりまする旨、政府委員の説明がありました。
 なお、右に関連して種々質疑應答が行われましたが、これらの詳細につきましては、会議録に譲りたいと思います。
 かくて、外務委員会といたしましては、前会の同趣旨の請願同樣、本請願を本院において採択し、かつこれを内閣に送付すべきものと認めた次第であります。この段、御報告いたします。(拍手)
#32
○議長(松岡駒吉君) 日程第五の請願は、八月七日本院において採択された請願と内容が同一でありますから、採択とみなすこととするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつてその通り決しました。(拍手)
 次に、日程第六の請願は委員長報告の通り採択するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本請願は委員長報告の通り採択するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#35
○笹口晃君 日程第七は延期されんことを望みます。
#36
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程第七は延期するに決しました。
     ――――◇―――――
 第八 茅ヶ崎町に市制施行の請願(第二四六号)
 第九 行政書士法制定に関する請願(第八三号)
#38
○議長(松岡駒吉君) 日程第八、茅ヶ崎町に市制施行の請願、日程第九、行政書士法制定に関する請願、右両請願を一括して議題といたします。治安及び地方制度委員長の報告を求めます。治安及び地方制度委員会理事中島茂喜君。
    〔中島茂喜君登壇〕
#39
○中島茂喜君 ただいま上程に相なりました二つの請願につきまして、治安及び地方制度委員会における審査の経過並びに結果に関し、委員長に代つて御報告申し上げます。
 茅ヶ崎町に市制施行の請願は九月十八日に、行政書士法制定に関する請願は九月二十二日に、その審査を行つたのであります。
 まず、行政書士法制定に関する請願でありますが、本請願の要旨は、行政代書人は、官公署及び公衆の委託を受けて、行政官公署に提出する書類の作成をなすを業とする者であつて、その作成書類の良否は、直接関係者の権利の消長を來し、延いては当局の事務遂行状多大の影響を及ぼすところの重大な職責を有する行政補助機関であり、また現行代書人規則は、大正九年制定のもので、実情に合わないので、行政書士法を制定されたいというのであります。
 これに対し政府委員より、行政書士については、從來内務省令に基いて行う一つの警察上の取締りとして行つており、新憲法施行後は、内務部地方事務所系統で必要な制限統制を行つておるが、將來の問題として、何かしつかりした法律的根拠をもつた國家的制度をつくることが必要であるから、十分研究して善処したいと考えるとの説明があつたのであります。
 かくして本委員会といたしましては、この請願の趣旨を適当なものと認め、本請願もまた、これを議院の会議に付して採択すべきものと議決いたしたのであります。
 次に、茅ヶ崎町に市制施行の請願でありますが、本請願は、紹介議員磯崎貞序君より神奈川縣茅ヶ崎町は、神奈川縣の中心に位し、人口約四万四千、年生産力約一億円以上で、文化施設は完備し、特に工場地として偉大な発展をなし、縣下唯一の厖大町村であつて、藤澤市、平塚市に比して、まさるとも劣ることなく、市としての実体を十分備えるものであり、また市制施行は町民全部の希望であるから、速やかに市制を実施せられたいとの説明があつたのであります。
 これに対し政府委員より、茅ヶ崎町の市制実施は、全町一致の要望もあつたので、神奈川縣廳において調査した結果、支障ないという報告であり、また内務省において再調査したところ、人口、生産力その他都市形態からいつて十分市たる資格があると認めたから、当局の諮問に対し、正式に当該町からの答申があれば、これを認可し、市制を施行することができるものと考えておるとの説明があつたのであります。
 よつて本委員会といたしましては、この請願の趣旨を認め、本請願はこれを議院の会議に付して採択すべきものと議決いたしたのであります。
 なお、ただいま報告いたしました請願二件については、いずれも議院において採択の上内閣に送付すべきものと認めた次第であります。
 以上、簡單ではありますが、請願二件について御報告申し上げた次第であります。(拍手)
#40
○議長(松岡駒吉君) 日程第八は、茅ヶ崎町に十月一日より市制が実施され、請願の目的が逹成されましたから、議決不要とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程第八は議決不要といたします。
 日程第九の請願について採決いたします。本請願は委員長報告の通り採択するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程第九は委員長報告の通り採択するに決しました。
 次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後三時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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