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1947/04/14 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 文化委員会 第6号
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1947/04/14 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 文化委員会 第6号

#1
第002回国会 文化委員会 第6号
昭和二十三年四月十四日(水曜日)
    午後一時三十四分開議
 出席委員
   委員長 福田 繁芳君
   理事 佐藤觀次郎君 理事 最上 英子君
      佐々木盛雄君    田口助太郎君
      原田  憲君    馬場 秀夫君
      原 彪之助君    並木 芳雄君
      成島 憲子君    川越  博君
      藤田  榮君    受田 新吉君
      森山 武彦君
 出席國務大臣
        文 部 大 臣 森戸 辰男君
 出席政府委員
        外務事務官   與謝野 秀君
        文部事務官   柴沼  直君
 委員外の出席者
        外務事務官   松井  明君
        專門調査員   武藤 智雄君
四月十三日委員榊原千代君辞任につき、その補欠
として片山哲君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 ユネスコに関する件
    ―――――――――――――
#2
○福田委員長 それでは会議を開きます。
 本日の委員会の日程はユネスコに関する件であります。それに引続いて打合会を催しまして、打合会においては、日本映画演劇労働組合東京支部、東閉撮影所分会より、わが委員会に陳情に参つておりますので、これを諸君にお諮りした上で、一應聽取並びに質疑をいたしたい。それが終りましたならば、祝祭日問題に関連して、衆参両文化委員会の合同打合会の名のもとに祝祭日問題の審議を継続いたしたい、かように考えております。
 まず委員会の議題となつておりまするユネスコに関する件に対してお諮りいたしたいと考えております。ユネスコ問題は、諸君御同様に、わが委員会といたしましては、第一回國会以來研究を重ねて、これの輿論の喚起に努めてまいつたのであります。その間における目ぼしい事実を拾つてみますると、まず昨年七月八日には、本委員会の打合会を開きまして、外務、文部両当局より本問題の説明を聽取し、九月五日には、あたかも中國ユネスコ代表程天放氏の議会に來られましたのを機会といたしまして、衆参両院の文化、文教、外務三常任委員会をお誘いいたしまして、歓迎懇談会を催したのであります。その席上におきまして、不肖私から程天放氏に対して、わが國におけるユネスコ運動につきまして、一應詳細なる説明をいたしたのでございます。その後、中央地方の各地にユネスコ協力会が発会せられるに至つたのであります。東京の協力会には、私は馬場委員とともに出席いたしまして、一場の挨拶を申し上げた次第であります。なお地方の各地の協力会には、わが委員会として、祝辞あるいは激励の言葉を贈つてまいつたのであります。引続いて第二國会に入りましても、すでに去る二月六日の第二回委員会におきまして、外務省與謝野情報部長の御出席を願いまして、その後の諸問題について説明を求めまするとともに、諸君とともに研究を重ねてきた次第であります。
 申すまでもなく、歴史を顧みますれば、人類はまず第一に、政治的デモクラシーを獲得するために、幾世紀にもわたて血を流してまいつたのであります。また第二には、主として近代に入りましてから経済的デモクラシー確立のために同じく闘いを展開してまいつたのであります。かくして第三段といたしまして心、すなわち精神の自由を中心とした個人の文化的発展のもとに、世界平和の新しい方法を樹立しようとするものが、実にこのユネスコ運動の目ざすところであると存じております。
 そもそも國際連合は、政治哲学の世界的共通性を探つて、そこに一つの世界を築こうとするものでありますが、ユネスコ運動の目ざす文化的デモクラシーは、逆に個人の文化的完成の上に一つの世界の精神的基準を求めようとするわけでありまして、両者はまさしく表と裏、いわゆる表裏一体の関係に立つものと心得ております。一日も早く國際連合への参加を念願するわれわれは、同時に一日も早くユネスコへの参加を希わなければならないのであります。
 殊にこのユネスコ精神を普及撤回せしめることは、民主主義建設途中にあるわが國にとつて、どれだけ裨益するところが多いかわかりません。國民のめいめいが國の政治に参加し得る機構がつくり上げられただけでは、どれほど民衆の時代の到來が高らから叫ばれ、人民の声が高らかにあげられても、それは衆愚の政治、すなわち形だけ、数だけの政治にすぎません。機構を動かすものは人であります。國民のめいめいが高い教養を身につけて、権力にこびす時流におもねらず、時々の問題をいかに処理すべきかの識見を独自に形づくるとともに、他の何者の制肘をも受けずに自由にこれを主張し得るとき、すなわち政治的デモクラシーの上文化的デモクラシーを体得したときに、初めて形式と内容、数と質の相伴うた眞の民主主義が実現せられることと存じております。
 あたかもこのときに外電は、ユネスコ執行委員会が、日本の参加承認方を連合軍当局に要請することを決定し、パリのユネスコ本部においても、日本のユネスコ参定はマツカーサー元帥とユネスコ本部との協定で近く実現することを期待するという旨が、当局談として発表されたと承つております。本日は後刻文部大臣も御出席になりますが、さいわいただいま外務部の與謝野情報部長が御出席なすつておられますから、一應その後のユネスコ参加問題の模様、あるいは今日の段階として、日本がユネスコに参定し得られる見透し、まだこれをとりまく諸問題について御意見を御開陳願つて、ユネスコ問題を協議していくわれわれ委員間の参考資料といたしたい、かように考えております。まず與謝野情報部長から一應今申し上げました段階においての御説明を煩わしたいと、かように考えます。
#3
○與謝野政府委員 ユネスコの問題に関しましては、去る二月本委員会におきまして外務省事務当局として過去の経緯を御説明申し上げたのであります。またユネスコ問題の重要性ということに関しましては、ただいま委員長のお話があつたのでありまして、われわれ事務当局としてもまつたく御同感でございまして、一言もこれに附加することはないのでございます。
 ただ今お尋ねがありました日本のユネスコ加入問題というものが、最近新聞に報道されまして、多少各方面の注意を引いたのでございますが、不幸にしてこれは多少誤解を伴つているわけでありまして、非常に残念なのであります。つまり昨年の十一月にメキシコ、シテイで第二回のユネスコ総会が採択いたしました決議に、日本及びドイツにおける連合國の占領事の司令官に対して、ユネスコの活動の範囲を日本及びドイツの占領地域にも拡大することを要請するという決議があつたのでありますが、去る本年の二月にパリにおけるユネスコの執行委員会におきまして、これを実行するという決定を見たのでありまして、それが今月四日の外電となつて現われてまいつたわけでありまして、実は日本のユネスコ加入が許されるということは、まだその新聞、電報の内容にもなかつたのであります。いずれにしても日本、ドイツということがユネスコで取上げられたということは、もちろん日本の將來の加入に対する一歩進めたものであるということは申せると思いますが、これをもつて、ただちに日本の加入ということは申せないのでありまして、実はユネスコが活動する範囲に日本も含めるということであります。それが何を意味するかと申せば、結局ユネスコの目的とその活動をまず日本やドイツの國民に理解させるということであろうと思うのでありまして、そのためにそれをその範囲に含めることを総司令部の方に要請するという程度であります。またこれに対しまして、今日までのところ総司令部から日本政府に対してまだ連絡の参つた事実はないのでございます。
 また將來の日本の加入の見透しいかんということにつきましてお尋ねでございましたが、実はユネスコ憲章におきましては、國際連合に入つておらない國、これについてもユネスコに入る方途というものは開かれておるのでありまするが、その手続は非常に複雜なものでございまして、まず加入申請をいたした國について、國際連合に経済社会理事会というものがございますが、この経済社会理事会でその加入を許すかどうかということを審議いたしまして、その承認を得た上でユネスコの総会にかけ、そのユネスコの総会が三分の二の多数決で日本なら日本、あるいはその他の國の國際連合にまだはいつていない國の加入を認める、ということが決定されて場合にはいれる、こういう途が開かれているのであります。從いまして、今日日本はまだ國際社会に復帰しておりませんために、ユネスコの加入は、通常の手続でありますならば、まず國際社会に復帰し、國際連合に加入し、さらにユネスコに加入するということになるのであります。その以外の遂につきましてもなかなか困難がある。ただ私ども考えますことは、國際連合に加入しておらない國についても、ユネスコに加入する道がともかく開かれておるということは、非常に希望のもてることでありまして、要するに問題は日本の平和愛好の精神、また世界文化に対する熱意というものが各國から認められる時代におきまして、ユネスコへの加入ということが実現してくるのではないかと思うのであります。
 なおついででございますが、外務省の事務当局といたしましては、微力でありまするが、民間の要請がございますときには、できるだけユネスコ運動の側面からの御援助ということを今日までいたしてまいつたのでございまするが、今後とも文部当局その他の関係の向きとも連絡いたしまして、できるだけ力を盡していきたいと思つておるのであります。ただこれにはまたいろいろな制約もございますから、どちらかと申すと本委員会の御鞭撻なり御支持なりをいろいろ得たいと考えておるわけであります。
#4
○福田委員長 この際諸君に申し上げます。ただいま與謝野情報部長から外務省の立場としてその後の御報告があつたのでありますが、それに引続いて文部省側の御意見を御開陳願いたい、かように考えておりましたが、ちようど二時に文部大臣が会議が終えてここに二時五分ごろに御出席されるから、そのころに文部大臣から直接開陳してもらう方が参考資料入手のためによかろうか、かように考えますから、まず諸君におかれて外務省與敷野情報部長に何か御質問がありますればこれを許します。
#5
○並木委員 ユネスコ運動に関して御質問申し上げます。心と心の一つになつた世界を目ざすユネスコ運動が日本に許されるようになりましたならば、若い方々の一つの大きな希望のよりどころができるので、非常に期待しておるのでございますけれども、ただ私たちが案じますのは、ソヴイエト・ロシヤとユネスコ運動との関係であります。これは先般のこの委員会でも御説明があつたと思いますが、その後の情報、現在における段階、將來どうなるかということにつきまして、おわかりの範囲内でお答え願いたいと思います。
#6
○福田委員長 並木君に申し上げます、與敷野情報部長がお答えになるのでありますが、ちようどさいわいに説明員が参つておりますので、説明員から詳細に答弁があるとのことであります。
#7
○松井説明員 この前の委員会のときに、ソ連のヴオツクス運動とユネスコとの関係について御質問がございまして、ユネスコとヴオツクスとの関係は大体ないと思うが、なお取調べた上で御回答申し上げましようという御返事をいしたておいたのであります。その後いろいろの資料を繰つてみましたら、ヴオツクスの運動とユネスコの運動とはやはり全然関係がございません。ソ連側の立場からすると、ユネスコの運動というものも最近はどちらかと言えば米英その他のデモクラシー諸國の文化運動というふうに見られてきている。あるいはそういうふうに誤解れさているのかもしれないのでありますが、そういうような関係でソ連はユネスコに参加しておらない。メキシコ・シテイにおける第二回総会の席上でも、ポーランド代表が起ちまして、やはりこの点を指摘いたしまして、デモクラシー諸國の一つの道具にユネスコが堕していることを非難しておるのであります。從いまして、御質問のありました通りに、ユネスコ運動とソ連の今後の動向というものはなかなか機微な関係にあるものではないかというふうに感ずる次第でございます。日本といたしましては、これが世界的な大きな運動になることをもちろん希望いたしますし、また將來そういう國際的な誤解も解けまして、ソ連の参加したより大きいユネスコ運動というものが日本に及んでくるということが望ましいことなのでありますけれども、これは必ずしもユネスコ問題だけではないのでありまして、國際情勢全般との関連性ある問題でありますから、私どもといたしましては、とりあえず非常な平和文化運動の母体となつている世界的機構であるユネスコ、これにできるだけの協力をして、日本としても文化向上にできるだけのお役に立ちたいというふうに念願をしているようなわけであります。簡單でありますがお答えといたします。
#8
○福田委員長 他に御発言ございませんか。
#9
○馬場委員 與敷野君に二つお尋ねしますが、一つは西ドイツのユネスコ参加は、これは決定されたものですか、どうですか。
 第二は、先ほど委員長の御報告がありましたように、本委員会ですでに昨年の七月八日にユネスコ問題を取上げましてから、ずつとユネスコに対しましての日本のあり方を檢討しつつ今日に來たわけであります。しかしユネスコの趣旨そのものに対しましては、これはわれわれ日本の文化國家としてのあり方として、当然これに参加を許さるべきであり、またこの許されるところから國際的に起ち上る最もよい機会である、かように考えまして、ひたすら國内体制のあり方ということを氣にしつつ、その方に結びつけるべく準備しているわけであります。ところが最近國際情勢の変化に基くと申しますか、依然としてその方に氣がとられまして、ユネスコ本來の趣旨を、忘れるというわけでもないのですが、理解から遠ざかつていく傾向が多分にあると思います。外務当局は米ソ両國の國際情勢を闡明することも必要でありますが、武力なき日本の將來のあり方として、なかんずく平和國家を宣言しているわれわれのあり方としては、さらに國勢情勢の中から平和運動の最も有效なるユネスコ參加への輿論の喚起ということにもつと力を入れるべきではないか、かようにわれわれは考えているのであります。今までいろいろとやられておつたと思うのですが、私たちすでに一年近くもこの問題を檢討して、日本は今、平和会議が締結されないにかかわらず、連合國の多大なる好意によつて、平和会議が締結されたと同じようないろいろな待遇を判け得るような事態を見ました。こういうような機会にさらに先行すべきはこのユネスコへの平和運動の参加だと確信している。從つて私たちは今ここで議論を抜きにして、ユネスコ参加への最も順序ある途を速やかに実行する。すなわちそれはいろいろ手続もありましようが、國内委員会を結成することが第一の條件になる。いろいろ各地で協力会が結成されて、大分ユネスコユネスコの声が高まつてまいりましたことは、非常に幸いでありますので、一段の努力を傾倒いたしまして、ユネスコの眞意を國民に徹底させる運動と同時に、これを轉機として、われわれ委員会が中心となつても結構でありますから、ユネスコ参加への第一段階である國内委員会の結成ということを速やかにやつて、そうしてわれにいつでもユネスコ参加を許されるならば、はいり得る体制があるということを國民とともに示すことが第一じやないか、かように思うのであります。招かれれば行く、許されれば行くというように行き方では、平和運動というものはだめなのであつて、われわれはみずから米ソの対立に與味をもつような考えよりも、それを超越して、もつと平和的な方に國民とともにそれを理解していく。そうするならば、おのずからそういう体制が現われてくると思うのでありますが、それには今の状態では、なかなかそう待つているわけにいきませんから、この際一段と、関係当局はもちろん、われわれも相呼應いたしまして徹底的な猛運動をやつていくことが必要である。予算の関係も聽きたいのですか、まだ予算委員会にかかつていないそうですから、今日はこれを省略いたしますが、関係当局はおかれてはどのくらいの眞劍味があるのか、一應腹の底を御披露願つておきたい、かように思うのであります。
#10
○與謝野政府委員 ただいま馬場さんの御質問の第一点の、西ドイツはすでに加入が決定されておるかどうかという点に関しましては、先ほどもちよつと解れたのでありますが、昨年十一月のメキシコ・シテイーの総会におきましては、ドイツの再教育のためにドイツにおけるユネスコの特例の活動が必要である、從つて西ドイツにユネスコの協動範囲を拡げるという提案を二十一対一票という大多数で採択したのでありまして、それが先般の新聞で発表になつて現われておるわけであります。西ドイツ自体が参加を許されるということは全然別でありまして、ユネスコ自体が西ドイツで活動する、こういうことでございます。
 それから第二点の、日本のユネスコ参加に対する態勢を整えるという点につきましては、御意見を承りまして、まつたく御向感なのであります。ただここで御承解願いたいことは、私ども事務当局の立場から、このユネスコ問題についてはできるだけ民間の盛り上る意思というものを尊重しなくていかぬ、過去のいわゆる官吏の統制というやり方で、官製で各地に会をつくり、それをまとめて準備委員会をつくり、さあユネスコ参加への態勢はできたぞということは、なかなか通らないのであります。私どもは公僕という自覚をもちまして、各地からこういうこを説明に來いと申されますと、各地へ赴いて講演をいたしましたり、いろいろ援定もいたしておるのでありまするが、こつちから進んで官廳がこの運動に直接イニシヤテイーヴをとるということは、かえつて機微な関係があるのではないか、こういうふうに心得て今日まで行動してまいつたのであります。しかしながらわれわれといたしましては、先ほど馬場さんのお言葉の中に、國内委員会ということを申されたのでありまするが、國内委員会というのは、將來日本がユネスコに参加いたしますと、その際に正式な國内委員会というものができますために、言葉の誤解を避けるために國内の参加準備委員会とでも申した方が適当かとも思うのでありますが、その準備委員会が各地の協力会の結成と相まつてでき上る。そしてそれが正式に日本がユネスコに参加する場合の國内委員会に母体たらしめたい、こういうふうに考えておるのでありまするが、今日まだ各地の協力会の結成の状況を見ましても、われわれがさあもうこれで結構だ、ひとつこれを委員会にまとめて、すぐ参加運動というよりも、まだなお啓豪というか、そういう点でまだわれわれの努力も足りないし、また協動の余地も残つているかと思うのでありますが、御意見の趣旨はまつたく御同感でございますから、今後も関係当局及び民間側の皆様並びに本委員会と連絡をますます密にいたしまして、できるだけ御期待に副いたいと思つておるのであります。今日までわれわれとしては、実はユネスコに関する経費というものをもつておらないのでありますが、できるだけ各地の要請にこたえまして、わずかな外務省旅費の中から講師を派遣したり、その他のことは努めてまいり、また印刷物等も配付してまいつたのでありますが、委員会の結成その他について、いわゆる官製の委員会をつくるということは実は積極的にこれを避けていたという点を御了承願いたいと思うのであります。
#11
○佐藤(觀)委員 講和会議が予想より大分遅れまして、講和会議と関係なしに、ユネスコの運動をどんどん展開するというわけにはいかないものでしようか、その点國際的な問題でしようか、お伺いいたします。
#12
○與謝野政府委員 ユネスコ参加の運動というものにも、いろいろな方法があろうかと存ずるのであります。実はユネスコ参加要請ということは、これは正式の外交なのでありまして、日本政府が平和條約ができるなり、またはこれに代るべき何物かができて、國際社会に復帰するまでは、正式に参加を要請する地位にはおらないわけであります。しかしながらまたユネスコ参加ということが、國際連合にはいつていない國にも道が聞かれているという点から、日本の平和及び文化協力に対する熱意が認められて参加が促進されることがないとは絶対に申せないのでありまして、平和條約その他の問題と切り離して参加が近きにあるものと思つて準備態勢を整えていくということが、やはり必要なのではないかと考えております。
#13
○佐々木(盛)委員 與謝野情報部長に承りたいのでありまするが、日本がユネスコに参加することの承認を連合軍当局に要請したという新聞電報が誤報であつたということを、ただいま承つたのでありまするが、それはどういう根拠に基いておつしやつたのか、それはどういう材料に基いておつしやつたのか、その材料を明らかにしていただきたいと思います。
 次にはこのユネスコというものが申すまでもなく教育、文化、科学を通じて國際協調をしようというのでありますが、すでにこのユネスコの復興委員会のごときものも戰災の諸國に対して莫大な資金を補充しておるのでありまして、これらがアジアの戰災諸國にも教育事業などにおきましてその恩惠にあずかつている國々がたくさんあるのであります。もとより日本並びにドイツはこれから除外はされておりまするが、しかしながら一面またユネスコの本部の方から日本に向つていろいろな文化財たとえばユネスコの調査の報告であるとか、資料であるとか、研究材料であるというようなものが、日本政府の方にも來ておるものがありはせぬかとも考えるわけでありますが、そういうものがあるかどうか。並びにユネスコ本來の使命から申しまして、すでに海外渡航ということも許されたのでありまするが、そのときにあたりまして、当然学生であるとか、学者であるとか、文化人というような者の海外渡航であるとか、留学というようなことが、前の制度にも増して文化日本、平和日本の建設の見地からいたしまして、大いに力を入れなければならぬときでありますが、それらの留学なり、渡航の途ということについては、現在はどんなふうになつているか、並びに先ほど申しましたような諸外國の、それはユネスコばかりでなくて、諸外國の文化團体の研究の材料や報告資料等も、われわれとしては非常に待望しているのでありますが、そういうものを入手するところの方法はないものか。
 それからこれもこの間新聞に出ておりました外國著作権使用の問題でありますが、終戰以來は外國著作権というものを使用することができず、ために日本の文化の面におきましてわれわれは非常な不便を感じているわけであります。これらにつきましても、もとより講和條約において著作権の問題なり、出版権の問題というものが取上げられて、終極の決定はできないまでも、今何か外國の著作権の出版飜訳というようなことをなし得る途はないものか、以上のような点について御説明を願いたいと思います。
#14
○與謝野政府委員 お答えいたします。第一点の日本ユネスコ参加に関する新聞が誤報であつたと申しましたのは、実は多少誤解されている点があると申したのでありまして、日本の新聞に出ましたところでも、標題と中味とが違つておりまして、標題においては日本の参加という言葉が使つてありましたが、内容の方にはやはり活動の範囲を日本に拡げるということになつておつたのでありまして、その元になつておりますパリ発四月五日のA・P電報を見ますと、これはやはり昨年の十一月にメキシコ、シテイで採擇されたユネスコのプログラムを日本にも拡張するということを簡單に言つているだけであつたのであります。この点御了承を願います。
 なおユネスコの予算その他再建並びに文化に関していろいろの國に手が拡げられているという点につきまして、ユネスコの予算は先般御説明申し上げました通りに、まだ今日のところ非常にわずかなものでありまして、中國その他アフリカ、ハイチ、ペルー等の教育費として、ユネスコが計上しております経費も十万ドルという程度に今日は過ぎないのでありまして、今後日本もその活動の範囲に入れるということになつてまいりますと、またその経費の中でいろいろユネスコの日本における文化運動、文化的援助というものも具体化してくるかと思うのでありますが、今日は先ほど申し上げました新聞電報の通り、連合國の総司令官に対して照会したということになつているわけでありまして、まだそこまで決定したということではないことを御了承を願いたいのであります。
 また海外渡航の問題の御質問もございましたが、われわれも最近そういう途が開かれるということを聞きまして、たいへん喜んでいるわけでありますが、これが直接ユネスコの問題と結びついてくるところまでは、まだ行つておりませんし、学生の渡航ないし学者の渡航というような点についても、まだ具体的には何ら申し上げられない状態でございます。
 なお著作権の問題についてお尋ねがございました。これもなかなか困難な問題でございまして、ちよつとここで申し上げられないのでありまするが、最の最近聞きましたところでは、いずれ近いうちにまずフランスその他の國の著作権の問題は事実上片がついて、飜訳が自由になるというようなことが進められているということを聞いておるのであります。漸次この問題も解決されていく道には進んでいくと思うのでありますが、具体的にこういうことになつたとか、またこういう案で政府も考えておるてか、総司令部に要請しておるとかいうことは、また申し上げる立場でもございませんし、またその時代でもございませんから、その点御了承願いたいと思います。
#15
○川越委員 このユネスコ運動は、世間が新聞や雜誌、放送、出版といつた方面において、非常な國民間の理解を呼び、あるいは共感を呼んでおるということは事実であります。しかしながら遅々としてまだわれわれが満足というところまでどころか、ほんとうにわれわれ考えておるような状態には、なかなか到達しない現段階であるというのは、何かこの運動を推進していく上において、どこかに欠陷がありはしないか。もとよりユネスコ運動というものは、きわめて理想主義的な、またとかく抽象的になりやすい問題でありますから、現在の國民生活の窮乏下において、なかなか耳をかさぬという方面もありましようけれども、しかし一般の文化人や青年、殊に学徒、それから婦人層というものが興味をもつておることは事実です。それで國内においてユネスコ運動を強化していくためには、どうしてもいろんな面が考えられますが、先ほど馬場委員も仰せられたように、中央においてりつぱなユネスコ参加の準備委員会に類するものを確立すること、それからその前提にはどうしても全國の各府縣に、少くも縣廳所在地くらいにはユネスコ協力会が生れねばならぬということであると思います。現在新聞の社説や報道などでも、ユネスコ問題が非常に一般的な知識としては考えられておられますれども、これが一つの運動になつていないところにわれわれがほんとうに考えねばならぬ問題があるのではないか。私が聞いたところ、あるいは想像するところによると、ユネスコ運動に熱意を入れてやりたいけれども、どこに相談をしていいかその手がかりがない。こういうところに実際的な問題があるのだろうと考えます。それで現在外務省の情報部と文部省の社会教育局といつた所管の政府があります。もとよりこの運動は民間運動としてやつていくべき建前でありますけれども、啓蒙的な現在の段階において、殊に日本の平和運動というのは、これは日本政府がポツダム宣言を受諾した以上、平和運動ということは積極的にやらなければいけない立場にあるのでありますが、終戰以來とかく役所というものがひつこみ思案になり過ぎておる点が多々ありますから、そういう点において政府の各位は自信をもつて、役所の立場が惡ければ個人の立場ででもやつてやるという熱意をもつていただきたい。それで私は文部省でもよろしいし外務省でもよろしい、とにかくユネスコ運動についてはこうやつたならばよろしいといつたような案と申しますか、実際的な問題としてはその規約とか綱領、そういつたような一つのひな形でもあつたならば、それにまねるというわけではなくとも、少くもそれを参考にして、このできかかつておるところのユネスコ運動の母体というものがもつとはつきり芽をふいてくると考えるわけであります。それで私はこのユネスコ運動の窓口というか、それは実際的にはどういう名称であつてもよろしい。外務省であつてもよろしい、文部省であつてもよろしいし、あるいは別箇に民間委嘱をされてもよろしい。これは政府だけでなくて、國会も、当然文化委員会などは一緒にやるべきであるとは思いますけれども、そういつたことについて、実際的な問題の手引をしてやるということを特に外務省と文省省の方にお願いをいたしたいと思います。それについて與謝野情報部長の御意見を伺いたい。
#16
○與謝野政府委員 ただいまの御意見につきましては、まつたく同感でありまして、私が先ほど申し上げましたとことは、多少言葉が足らなかつたかと思うのでありますが、今のお考えの通り、われわれとしては表面に立つてみずから行く立場におらないのであります。できるだけの力添えをしたいという立場から微力を盡してまいつたのであります。ただ不幸にして予算の関係その他のことから、今日までわれわれとしてもあまり十分なこともできなかつた。また今日の國内のいろいろな状況から申しますと、今日日本各地から人を集めて会議を催すということ自体も、なかなか困難が伴うというような状況でありまして、御指摘の通り日本の國内のユネスコ運動というものは、昨年の夏以來今日まで、顧みますると実に遅々たる歩みをしておるという感ば、私も抱いておるわけなのであります。今後は御趣旨に副いまして、文部当局その他とも連絡を密にいたしまして、できるだけの力を盡していきたい、こう考えておるわけであります。
 なお先ほど佐々木さんの御質問の中に資料のでがございまして、私御答弁申し上げませんでしたが、これはユネスコから正式にわれわれが資料を送付されたというようなことはないのでありまして、われわれとしてもある場合には占領軍側の資料をいただき、また新聞、雜誌その他入手できる資料の範囲から、できるだけの資料收集に心がけておるのでありますが、何分印刷物をつくつて配布するというのにも、紙の制限その他において縛られておるというような状況もございまして、もつと世間に豊富に配布されてしかるべきいろいろな資料が行き渡らない。そういうためにユネスコに関してもつと廣く知識をもつてもらいたいのに、それが行き渡つておらないという実情があるのであります。こういう点はどこに欠点があるかということを、過去を振返りまして今後の参考にいたし、できるだけ努力していきたいと考えておるのでありまして、今日、外務大臣は御出席になつておらないのでありますが、これは外務省大臣以下のお考えだと私は考えておる次第であります。
#17
○佐々木(盛)委員 今の話に関連しまして、一言だけ聽いておきたいのです。それは外務省の情報部の中の文化班、そこでこのユネスコの問題を取扱つておられるらしいのですが、その文化班でユネスコ問題のために現在どれほどの予算でや誠ておられるか、並びに現在要求されておる予算はどれぐらいになるかという点をお聽きしたいと思います。
#18
○與謝野政府委員 本年度の予算につきましては、まだ予算が正式に決定を見ず、國会に提出の運びに至つておりませんので、ちよつと申し上げにくいのでありますが、昨年度の予算におきましてはユネスコのための経費というものは一銭もなかつたわけであります。ただ情報部の文化班というものの資料購入、旅費その他の経費といたしまして、國際文化事業全体として約四十万円の金をもつていたわけでありますが、その約四十万円の金の相当部分がユネスコ関係のために使われたという状況であります。從いまして本年度の予算におきましても、予算が提出された場合に、ユネスコという名前がついた予算は非常に額が少いのではないかと私は考えるのであります。しかしながら國際文化事業全般として、昨年度以來の多少の経費もまた計上されてまいりますし、それ以外の金で、國際文化事業としてのユネスコ運動というとこで、またユネスコの名前がついておらなくとも、実際上それのためにいろいろ経費が予定されておる状況であります。
#19
○川越委員 ユネスコ協力会というものが、あつちこつちにできましたが、一番新しい状態における協力会のできぐあいをお伺いしたいのです。
 それから現在のものは、もちろんいろいろな努力の結果でありますが、自然発生的といつた形でありまして、どうしてもそこにユネスコの全國連合会━━さつき馬場さんがおつしやつたようなユネスコ参加の準備委員会というものにもつていくまでの一應の段階としても、何とかりつぱな中央機関をつくる必要がある、その見透し、それに関する情報、そういうものをこの際承りたいと思います。
#20
○與謝野政府委員 先般の委員会におきまして、仙台、京都、大阪におきまする協力会の結成につきまして、私どもの得ました情報を御報告申し上げたのでありますが、その後和歌山及び名古屋におきましても今日協力会の結成を見んとしつつあるのでありまして、今日もわれわれ方から人を派遣しておるような状況でございます。この協力会がどの程度の有力さであるかという点については、もうしばらく待ちませんと、結果は御報告申し上げられいのであります。
 また準備委員会その他についての御質問がございましたが、これはわれわれも何とか全國の協力会がもう少し有力に、かつ多数できて、それが結成して準備委員会をつくり、將來の國内委員会の母体になつてくれると、非常にこの運動が促進されるのではないかと考えておるのでありますが、今までのところもう準備委員会をそろそろ準備してもよいからといつて、各協力会とこの点について連絡をするというところまでは、まだ残念ながら立ち至つておらない次第でございます。しかしこれは國内の関係で、文部当局においてもまたわれわれと異なつた情報等ももつておられるかと存ずるのでありますが、われわれの得ておるところでは、仙台、京都、大阪の有力な協力会のほかに、今日和歌山、名古屋で結成を見んとしつつあるということだけであります。
#21
○並木委員 ユネスコについては何か学校の教科書に解説的にでも入つておるものがございますか。またあるいは紙が足りないとか、いろいろの困難を克服して若い方々に特に関心と希望をもつてもろうために、これからの教科書に解説的にユネスコとはこういうものだということを入れていただいたらどうかと思います。それについて御所見を承りたい。
#22
○福田委員長 並木委員に申し上げます。並木委員の御質問に対しては、ちようど文部省の柴沼社会教育局長も來られておりますから、柴沼局長から御答弁を願います。
#23
○柴沼政府委員 教科書の記載事項につきましては、ただいま資料をもつておりませんので、的確なことを申し上げかねますが、今度の学則改革によりまして、ユネスコに関する方面のことも相当取入れ得る可能性は十分あると考えております。おそらく帰りまして調べましたならば、この部分部分ということも申上げられると思いますが、ただいま資料をもつておりませんので、その点は後までしばらく御猶予を願いたいと思います。
#24
○原田委員 実は文部大臣も総理大臣もお見えでありませんので、私は大臣に質問がしたかつたのでありますが、先ほど馬場委員から発言がありました通り、現在日本の國は憲法によつて戰爭を放棄しておりまして、世界が共産主義かあるいは民主主義かというような二つの世界にわかれて、われわれは日夜戰爭が今にも起るのではないかというようなちまたの声に、現在日本人はどういう方法をもつてこれからの世界に処していくのかということについて、目標を失つておる現状なのであります。憲法に戰爭を放棄したわが國民は、武器をもつて立つことはまつぴらごめんであります。また私たち事実個人的にも肉身を戰爭のために失い、私たち自身は銃砲をもつてあの戰爭に参加した一人として、われわれはあくまで世界の平和のために寄與しようという考えをもつております。戰爭ということに対しては、あくまでも拒否しなければならない。今、日本の立場において、これを推進するには何をもつてやるのかということを考えるときに、このネユスコ運動のごときは強力に取上げなければならない問題であると考えておるのであります。さきに第一回の國会において、私は文部大臣の議会における答弁を伺つておりますときに、その中に文化國家になつたときに、初めて日本のいわゆる教育予算が半額を占める、こういう國でなければならないのだ、それは日本が平和國家になつた場合であるというような答弁を聽いて、私は実は失望したのであります。こういう世界情勢下にあつて、しかも日本の現在の情勢下にあつて、私はこういうことこそ眞劍に考えなけれどならない、また実踐しなければならない問題であると考えております。先ほどから外務省あるいは支部当局の御答弁を聽いておりますと、やはり一片の━━私ははつきり申しますが、おざなり的答弁であると考える。私たちは眞劍に今後の世界の平和ということを考え、如実に私たちは戰爭に参加し、鉄砲をもつてまた青年として、どうしてこれからやつていくかということを眞劍に考えておる。こういう点についてもつとほとんどうの意味において、日本の平和を維持していくためにはどうすればよいかということについて、先ほど情報部長はこれについて努力をするということでありましたが、私は眞劍な努力を要望するのであります。私の質問は実は大臣にしたかつたのでありますが、お見えでありませんので、どうか委員長からこの旨をお傳え願いたいと思うのであります。
#25
○福田委員長 原田君に申し上げます。文部大臣はただいま連絡がありまして、たいへん遅れて申訳ないが、もう五分ほど待つてもらえれば出席できるという話でございますから、ただいまのあなたの御質問の趣旨は大臣が参れば傳えて率直に答弁いたさせます。
 諸君にこの際申し上げます。二時半から催すところの参議院、衆議院両文化委員会の打合会は四時に延期いたしまして、四時から開くことにしたから、それまではこの委員会を続行いたしていきたい、かように考えますので、御自由に御意見の御開陳を願いたいと思います。――他に御質問ありませんか。
 私は委員長といたして、與謝野情報部長に希望を申し上げるとともに、一、二御質問いたしたいのであります。外務省といたされましては、このユネスコ参加促進問題について相当の御拘負があられることは非常に敬服いたしますが、やはり予算の関係上先ほど川越委員から率直な御質問があつたことく、一向遅々として進まないということは、御同様とも実に遺憾にたえないところです。それについては少くともユネスコの問題は外務省にあるいは文部省いずれでもようございますが、可及的速やかに機構の一元化をはかるとともに、殊に予算のごときはわが委員会においては御承知の通り、ユネスコ参加問題に対して相当関心をもつて、各地の協力会にも努めて出席して輿論を喚起いたしておるわけです。過般來あちらこちらの協力会に私も出席いたしましたが、他の会合と違つて責任が重いにもかかわらず、どこにも共通した事柄は、國家から何らの交渉にも來ていただけないということを聞くわけです。今日も実は大学の学生のユネスコに関連しておる諸君が二、三班にわかれて、私の所まで陳情に参つておるようなこともあるのです。つきましては少くともユネスコに関連した予算に関しては、ぜひひとつわが委員会と密な連絡をとつて遠慮会釈なく当然要るものは大藏省を納得さして獲得するように連絡を願いたい。これを一つ切望いたしておきたいと思うのです。
 なおあなたは情報部長をなさつておられるのであるから、できますれば御答弁願いたいのですが、これはユネスコ問題と別なのですが、聞くところによりますと、われわれが一日千秋の思いで待つている講和会議が、ともすれば國際情勢の関係上遅れるのではなかろうかというようなことがちらほら耳に入るのですが、もの講和会議の見透しに対して外務省の情報部長として何か入手された点がありますれば、御開陳願いたい。
 もう一点は、在外同胞、なかんずく三十八度以北におりまするわが同胞が今なお帰り來らない者が相当あると思う。これも聞くところによれば、五月ごろ第一船がはいるということであるが、大体どういうめやすであるか、この二点にわたつて情報部長から御答弁願いたい、かように思ます。
#26
○與謝野政府委員 簡單に申し上げます。ただいま御質問のございました講和條約の問題につきましては、いろいろ機微な点がありまして、私から申し上げることもおそらく皆様御承知の点でありますが、昨年の七月に対日平和会議の予備会議を招集する、その会議は極東委員会を代表される十一箇國の会議でやる。こういうアメリカの政府の提案に対しまして、英國、濠洲その他の諸國は賛意を表したのでありますが、ソヴイエトにおきましては四箇國でやりたい。つまり濠洲とかニユージーランド、そういう國を参加させないだ対日平和会議の予備会議を開く、こういう手続の問題のために、昨年問題が進まなくなりまして、同時に中國におきましても、ソヴイエトとはまた違つた手続上の異議がございまして、やはり四箇國が拒否権を留保しておきたい、こういう手続上の問題のために、昨年に七月にアメリカがせつかく提唱したにかかわらず、対日講和会議の問題は一時行悩みとなつたのであります。ところが御承知のように昨年の十二月に、ロンドンで開かれました対独の平和條項を議する四國の外相会議が、対独の賠償問題その他の困難な問題のために、ソヴイエト政府と他の三國政府との間に意見が衝突いたしまして、決裂いたしたのであります。この対独平和会議の決裂以來、ドイツの問題でもきまらない。これでは当分対日の平和会議も開くめやすもないということに情勢が変つてまいつたようでありまして、アメリカ側のいろいろな動向その他の國際情勢を見ますと、今日のところ平和会議ということを口にせらるることが少くなつてきているというのが、今日の現状なのでありまして、これは昨年の十二月のロンドン会議決裂以來の事態でございます。
 なお御質問の第二点の、シベリヤその他の各地におきまする在外同胞の引揚問題につきましては、本院の特別委員会におきましても常に討議せられている通りでありまして、私も最近の事態につきまして、新しいこういうことがあつたということを、今日まだ申し上げる地位におらないのは、非常に残念でございますが、この程度でお許しを願いたいと思います。
#27
○福田委員長 諸君に申し上げます。文部大臣より文部省の立場としてのユネスコに関する件並びに文部省機構改革に関する問題に対しての発言を求められておりますので、これを許します。
#28
○森戸國務大臣 御承知のように、わが國が新しい國家として民主的な、平和的な國家を目ざしていることは、すでに法制の上でも、また実際の國民の心構えの上からも明らかであります。かような立場から私どもは一日も早く國際連合の一員となる時の來るのを待つているのでありますが、かような事態に至りまする準備段階といたしまして、私どもは、日本の國が眞実に平和的な、民主的なものとなるように努力いたしているのであります。かような努力の一つが、私は國際連合の教育、科学、文化機構であるユネスコに対する私どもの準備態勢を整えることであると存じているのであります。ユネスコにつきましては、当委員会におきましてもすでに御説明いたしましたし、委員の皆さんも十分御存じのことと思うのでありまして、私どもは國際連合の一員となることを許される前にも、ユネスコの機構の中に参加を許される時が來るのではないかということを、ひそかに待ち望んでおつたのであります。先ごろの電報につきましては、やや誤傳があつたようでありますけれども、私どもは國際連合の一員として一日も早く認められることを心から望んでおるとともに、それに至らない前にだもユネスコに参加することができるということが、実は望みのないことではないと考えておりまするし、ユネスコに参加しておる國々においても、日本とかドイツとかの参加を希望しておるような傾向もありまするし、國民といたしましても、これに対して非常な希望と熱意とをもつておりますることは、昨年東京で開かれました全國ユネスコ準備大会における決議においても明らかなことでありまして、その後諸地方におきまして、仙台、東京、名古屋、京都、大阪、三重、神戸、和歌山等におけるユネスコ協力の準備会が開かれておるていうことも、國民一般がそのような方向に強い関心をもつておることを示すものであります。なお日本の教育、文化についての強い関心をもつており、これらの再建の方向についての審議をいたしまする教育刷新委員会におきましても、最近この問題を取上げまして、平和日本建設のためには、教育、科学及び文化を通じて、世界平和を國際的に推進しようとするユネスコの精神が廣く國民大衆の中に浸透することが必要であつて、このためには國民が十分にユネスコの目的と事業とを理解し、これを支持することが要請される。われらはわが國が一日も早くユネスコに参加することを認められるように希望するものであるが、同時にわが國の現状を考え、左の点について政府が有効適切なる措置をとられるよう要求する。
 一、國民がユネスコについて深い理解と関心とをもつよう諸種の積極的啓蒙運動を行う。
 二、教育、科学及び文化的事項に関係のある主要團体をユネスコの事業に参加させ、廣い國民的な基礎の上の立つて運動を展開するために、これら團体の代表者を主体とし、政府代表者及び一般個人を加えて、國内におけるユネスコ運動の民主的な中央協力機構を組織すること。こういう決議をいたされまして、総理に答申をいたしておるのであります。
 かようにして私どもは、日本が平和的な國家として備えるための一つの大きな準備どいたしまして、日本の國民の間にユネスコの精神が普及するように、そうしてその上に日本の平和國家としての態勢が整えられるようにということに強い関心をもつておるのであります。民主的な國といたしましては、この運動が國民の間から、民衆の間から起ることが最も期待されることでありまして、この点におきまして諸地方における協力会が順次組織され、その運動を展開されておることは、まことに喜ばしいことと存じておるのであります。これとともに政府におきましても、殊に私ども文教の面を担当いたしておりまする者は、この点に強い関心をもつておるのでございます。もちろんユネスコは渉外的の関係もありますので、こちらの方面におきましては、当然外務省の関係の方々において、十分御盡力を願いつつあるのでありますけれども、他面ユネスコの精神の普及と運動の展開ということにつきましては、私ども文教の府といたしまして強い関心をもつておるのでありまして、ユネスコのことが日本に傳わりますや、この問題に対する研究、調査を進めておるのでありますし、また最近日本のユネスコ参加ということが、國際連合に加盟を認められる以前に可能であるのではないかという強い希望のもとに、國内態勢を整えることにつきましても、実はそういう方向への準備もいたしておる次第であります。御承知のように、ユネスコは國際連合の外廓團体でありますが、加盟國におきましては、國内にユネスコの國内委員会がもたれておるところが多いのであります。こういうやうな見透しのもとに、私どもは日本に中央のユネスコ協力準備会というようなものをもちたい、そうしてこれは政府、民間一体となつて、廣く國民的基礎に立つてユネスコの運動の展開をはかりたいというふうに考えておるのであります。これにつきましてはまだ具体的な形で御発表いたす段階には参つておりませんけれども、大体アメリカの例等も参酌いたしまして、五、六十名ぐらいの準備委員を選び、一部分は各種の教育、科学、文化團体の代表者から、他の部分は政府の代表者、他の文部は一般個人というような形で委嘱するというような方向で進みまして、そうして各界、各層の積極的な協力を結集して國内にユネスコ運動を推進いたし、わが國がユネスコに加盟するにふさわしい準備を整えていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。私どもはこういう組織が一日も早く整備されますように最善の努力をいたしますとともに、かような政府としての組織と並んで、民間におけるユネスコ運動が力強く展開されることを強く希望いたしておる次第であります。これがユネスコについての一般的の考えでありますが、次に文部省の改組の問題について申し上げます。
 御承知のように、新しい日本の再建、殊に日本が文化國家を目ざしておるという状況におきまして、文化といいますか、廣い意味の文教の政治ということが特殊の重要性をもつておることは、当然のことであります。一部の間に文部省というものは必要がなくなるのではないかというふうな考えが誤傳されておるのでありますが、これほど大きな間違い、時代感覚のない誤傳はないと私は思つておるのであります。むしろ文教の整備というものは、文化國家を目ざす以上はきわめて大事であり、そうしてかような政治を担当するところの政府の機関というものが重要性をもたなければならぬという点こそが、強く理解されなければならぬと私は思いますし、また機構の改革におきましても、かような考えが基本とるなべきと存じておるのであります。ただ問題となりますのは、教育の民主化ということが教育刷新の一つの方向としてとられておりまして、本國会には地方教育委員会法が提出いたされることになり、皆さんの御審議を仰ぐことになると存じておりますが、これによりまして教育の地方分権ということが強力に実行されることになるのであります。從つて從來文部省が教育の面においてもつておりました仕事が地方に委讓せられるということになりますので、そのことがいろいろ誤傳を生んだことと思います。確かに教育が他方分権化いたしますれば、中央の仕事はあげて相当の量において地方に委讓せられて、それだけ文部省における教育の面における仕事は減るのでありますが、さしあたりのところとしては、実は地方に完全に行かず、また中央の仕事は残り、場合によると、中央の仕事と地方へ委讓するための仕事とが、たとえば六 三制の問的、教科書の問題というのは、教科書は國定教科書も編纂をしなければならず、同時に將來檢定の方向に進みますので、檢定もやつていかなければならぬというので、二重の仕事ができるという場面等がありますし、地方に教育が行きましても、地方の教育がある程度統一されますためには基準が定められなければならず、そういう基準を定め、なお教育制度に対する内外の事態の研究調査というものは、さらにもつと力強く発展されなければならぬというような面で、地方に教育が委讓いたされましても、中央の仕事というものはすぐに簡單になるのではなく、ある期間においては、かえつて過重になるということもあります。かようなわけで、地方の委讓ということは大きな方向から言いますと、文部省における教育の仕事のある程度の負担が軽くなり、それに伴う教育のもつておるところの重みが減るということは、私は大きな方向としては動かすべからざるものであると思う。ただ從來文部省は教育省というように考えられておつたのでありますが、文部ということは、必ずしも教育ということだけではないと思うのであります。むしろ翻訳すれば、ミニストリー・オブ・カルチユア・アフエヤーズ、ミニストリー・オブ・エジユケーシヨンと訳されて、教育省と訳されている。教育省で教育の仕事が減るのだから、文部省、教育省はなくなりはせぬが、非常に小さくなるというように考えられておつたこともあつたのではないかと思います。
 しかし実は教育の地方委讓という面もありますが、同時に文部省のもつておりますいわゆる文教の面では、二つの面がもつと強く強調される時代に向つております。一つは学術の面であります。先ほどユネスコのことを申しましたが、ユネスコは教育、科学及び文化機関ということになつているのでありまして、教育が一つ、それに続くものは科学であります。日本の今日の現状において、殊に文化國家を目ざすわが國におきましては、科学の発展、また廣い意味での学術の発展というものが非常に力点をおかれなければならぬのであります。この意味におきまして、新しい文教の行政につきましては、從來文部省におきましては、科学教育ということで取扱われておつた科学の面が、学術として、科学として取上げられて、科学の発展、殊に基礎科学の発展を助長していく面に力が入れられなければならぬと考えているのであります。この面において文教の整備というものは新しい力点を加えていかなければならぬと存じております。
 もう一つの面は文化の面であります。先ほど申しましたように、ユネスコが教育と科学、それから文化という三つの面となつているのでありますが、文部省の組織におきましては、これは社会教育局というものの中に藝術課、文化課というものが課として存在しておつて、文化そのものがそれ自身として重要性を認められる点が弱かつたのであります。新しい日本の再建におきましては、文化というものはただ社会教育としての面のみならず、文化自身として重点がおかれなければならぬのであります。これは日本古來の傳統的な文化を保存、育成いたすとともに、世界の文化をわが國に輸入いたしまして、日本の新しい文化國家としての姿をつくつていくのには、この面もまたきわめて大事な面であります。
 從つて教育は從來の形から新しい刷新された形において維持されるとともに、他面においては学術あるいは科学というもの、また他面においては文化というものが三つの大きな線として、文教行政の中軸をなすものと考えられるのであります。
 なおこの中心的な任務とともに、この任務を果していくのには、調査、研究というものによつて基礎づけられなければならませんので、從來ややともすれば、これらのものは学問的な調査と研究の基礎もなしに、十分な基礎づけなしに行われたものもありまして、殊に統計的の上においては必ずしも十分はと言えません。内外の事情の調査、統計的の調査、さらにもつは深い問題の研究をも含めた基礎の上に、これらが打建てられなければならぬのであります。そういう面をもつておると同時に、他面では、特に今日の事態におきましては、物的の基礎、つまり施設的な基礎が與えられていないということが、これらのものの発展を妨げております。学校で申しますれば、建築の問題等、かような問題に対する特別な施設のための施設局というものも置き、かようなものを加えながら、先ほど申しました教育と学術と文化というものの均衡を保つていこくとろの組織とならなければならぬと私どもは考えておるのであります。文部省の組織が改められますならば、こういう方向に副うて行わめべきものであると存じております。
 名称についてもいろいろ問題があるのであります。たとえば日本の文部省という名前は、英語では教育省と訳されております。必ずしもそう狹い意味ではないと思われますけれども、しかしやや從來の傳統的な一つの臭みもありますので、この際名前をかえることも、一新する一つの方途ではないかという考えもあります。これについてはいろいろな考え方があるのであります。たとえば刷新委員会では、学藝省というようなものにするとか、あるいは文教省というような名前をあげているのもあります。これらの点では、もちろん皆さん方の御意見を十分参酌しながら、いい名がつけられることを私どもは希望いたしておるのでありますが、これはむしろ二次的の問題でありまして、中心は今申しましいような教育と学術と文化の三つが均等な形で取扱われ、これらの発展を期することによつて、文化國家への方途が確立されてくる。また國際的な問題となつておる平和の基礎であるユネスコの三つの線とも沿いますので、かような形において新しい文教行政の組織ができることを私どもはめざしておる次第でございます。
#29
○福田委員長 諸君に申し上げます。ただいまの森戸文部大臣のお話に御質問があればこれを許します。
#30
○馬場委員 一つお尋ねいたします。教育、文化、科学の必要であることは、これはどこの國でも十分知つておることであり。ただ問題は、その基礎が平和國家としてか、あるいは戰爭國家としてかということになると思うのであります。そこでユネスコ憲章の前文にもありますように、戰爭は人間の心の中に始まるから、平和の防衞も人間の心の中で打建てらなければならぬ。そこに対和國家日本の將來の方向として重大な意義をもつと同時に、これにどうしてもわれわれが参画ができるような態勢をびえなければならぬというので、ユネスコに対する関心の高まらんことを希いつつ、今日までこれを提唱しておるわけであります。ところが最近、これは全國の例とは申し上げられませんが、私が参りましたある六・三割の三の方のいわゆる中学校の先生の集りで、ユネスコと聞きましたら、一人も知らないのであります。ところがその反面におきまして、米ソ戰はというと、これは全部関心をもつておる。日本が國際的に起ち上る上において、先生が國際情勢に明るくあることは必要であると思いますが、そういうような空氣を見ますると、平和よりも戰爭への関心が強いように意識されるのであります。從つて今日非常に民度が下つてきておることは、われわれも非常に嘆かわしいこととは考えておるのですが、文部当局として、こういうような國際情勢の説明とでも申しますか、日本は戰爭観よりも平和観に徹底していかなければならぬという方向に向つて、ユネスコなり、あるいはその他の方法で徹底させるような手を打たれましたことありや。あるいは打つべく指示されようとする御意思ありや。これについてお尋ねしたいと思います。
#31
○森戸國務大臣 文部省の教育の方針として、一体今日平和というものに対してどれだけの重点をおいているかという御質問でありますが、日本の憲法の大きな特徴は、民主主義を明らかにしたことと、平和というものを明らかにしたことであると私は思うのであります。民主主義というものについては、相当に徹底して教育され、また宣傳もされておるのであります。内容がそれに副うようなものになつておるかどうかということについては、なほ多少の疑問は残るのでありますが、ところが平和主義の面におきましては、それほど徹底をしておらぬという事情にあるのであります。國民の心持には戰爭には懲りたという一つの強い感情はありまするけれども、これを理論づけて平和的な日本をつくるという方向への思想とその宣傳というものは、決して十分であるとは申されないのであります。教育の方向におきましても、私ども軍國主義の國家から平和主義の國家になつた日本としては、民主主義と並んでこの点に特に重点をおかなければならぬと考えておるのであります。これは前内閣の時でありますが、十一月三日を平和周間といたしまして、中学校、小学校において必ず平和に対する講話をするようにということを指示しました。なおその他多くの機会におきまして、殊に新日本建設國民運動におきましても、平和の推進というところに特に重点をおきながら、この運動を展開すことに留意いたしたのであります。なおユネスコの運動が平和と関係すること、きわめて密接なことは御存じの通りでありますが、この運動の最も強い支持者を学生に見出しておるのであります。そうしてまた大学が一つの最も力強い基盤となつておるのであります。かような意味におきましても、平和ということが漸次日本の教育の面に浸透してまいつておるように見受けられるのであります。教員組合におきましても、実はユネスコ準備大会に組合から代表を送られまして、そうして教育復興というものを平和日本建設の線に沿うて展開することを述べられたのであります。かようにして実はまだ十分ではありませんけれども、平和の線に沿うて教育が進んでおるということを申し上げ得ると思うのであります。
 ただ私に、まだそれが十分ではありませんで、殊に米ソ戰というようなことがいろいろな形で人々の間にいろんな考え方を起しているということ、その中には、戰爭はもういやだという者も多くあるのでありますが、戰爭が起つてはたいへんだというので、実は疎開の計画をしておるよう人すらあるということを聞いておりますが、同時にこの際ひとつというようなことを考えておる少数の者もあるのではないかということが心配されておりますので、かような事態を正しく導していくために、さらにこの上とも平和主義の方向に最善の努力をいたしたいと存じておる次第であります。
#32
○田口委員 文部大臣にお伺いいたします。今政府も政治家も識者も、口を開けば文化國家、平和國家ということを言いまして、これにつきましては新憲法下当然のことでありますが、しかしその言うことが政府において政策として具体化され、あるいは予算化されているものが非常に少いということを、われわれは非常に遺憾に思つております。特にユネスコ運動などは文化國家、平和國家として日本が起ち上る、更生するためには絶対に必要であることは、文部大臣みずからが認められておりますが、しからばその熱意がどう具体化され、どう予算化されておるかということになると、御説明もありませんし、おそらく貧弱なものであるとわれわれは想像します。ここで現在文部省がユネスコの運動に対してどれだけの予算を現在大藏省に要求しておるかどうかをお聽きしたい。それから中央機関の設置というようなものも今出ましたが、それをどういう資金で、どういうふうにやるか、民間資金あるいは國家予算というようなものももちろん必要であろうと思うのですが、それらの資金面の構想を説明していただきたい。そうでない限りにおいては、ただ熱意だけでは具体化されないということを私たちは心配しているものであります。
 それから先ほど文部大臣がこれから文部省の施策の重点を三つにおかれて、教育と科学と文化という三つのものを平和等にこれからの施策の方針としてやるということは、私たちも同感でありまして、非常に結構だと考えます。しかし從來の文部省を見ますと、また現在の文部省を見ますと、教育面だけを見ましても、学校教育偏重というような点が多々見受けられます。社会教育面というものはこれからの青年教育には絶対に必要である。特に軍隊もなくなり、六・三制で終つた大多数の國民は、社会教育によつて相当教育していかなければならない。また一般婦人解放にいたしましても、社会教育の力にまたなければならないと考えますので、実際にこの三つを平等に扱うように口先だけでなく、眞に社会教育に重点をおくということて方向をかえられてやつていく意思があるかどうかということをお聽きしたいと思います。また、社会教育面はどういう面からやつていくか。ユネスコ運動しかり、あるいは現在のユネスコ運動にしても、一部職者の間において強烈に支持され、また運動されておるのであつて、國民大衆は無関心であるということは、先ほど馬場委員が申した通りで、それをわれわれもたびたび目撃していることは残念であります。そこで文部省も現在のユネスコ運動というようなもの、あるいは社会教育というようなものは、國民から盛り上り力でやり、政府は干渉しないという考え方をもつておられるようでありますが、私はもつと政府もそう恐れないで、民主化というものはただ單に民間にほつぽらからしておけばいいんだというものではなくして、國民とともに政府が手を携えていき、熱意と知識は國民から借りるが金は政府がもつということは、何ら民主化の線に反するものではないと考える。從つて政府はもつと民主化ということに恐れをなさずい、積極的に起ち上つて社会教育に当つていただきたい。また社会教育の面でも、口では非常にがんばつていると言いますが、たとえば今日國展、美術展覽会に行つてみても、やはり入場税を十五割もとつている。これでどうして文化國家を目ざしていかれるか。あるいは映画でもいいものはみなつぶれていかなければならぬ状態であるが、それは指導方針も惡いし、税金も高いというようなことがあると思います。從つて口先だけでなく、社会教育にもつとうんと重点をおいてやつていただきたい。またその中にユネスコを入れてほしいという希望をもつておりますが、文部大臣の御見解を承りたいと思います。
#33
○森戸國務大臣 文化國家は掛声だけでは困るということは、まことに御同感であります。文化國家ということは、だれでもお題目のように言いますが、これを実現する遂ににいては、それほど熱心でない場合がしばしばあるのであります。この点私どもも御注意のように、ただ形の上で文化國家ということでけでなく。現実にこれを実現する。現実の政策についての強い関心と努力を拂うようにいたさなければならないと存じております。
 それに関連してユネスコについてのお話でありますが、これについて文部省はどのくらい予算を商求しているかというお話であります。実は今日文部省でユネスコを研究調査して、準備態勢を整えておりますけれども、いろいろの点でまだ十分な態勢が整つておりません。もつともこれは新しくできたものでありますから、從來あるはずはないので、今後整備をいたしていきたいと思つているのでありますが、予算といたしましては文部省としては、ユネスコの問題の研究準備について三十万円を大藏省に要求いたしております。三十万円という金は決して多い金ではないのであります。しかしこれだけの金をユネスコのためにとることも、実は相当に骨の折れるような日本の現状であるということも、ひとつお考えおきを願いたいのであります。ただしかしユネスコに対して日本が参加いたすことが許される時代になりますれば、おのずから事態は違つてくるのでありますが、ただいまの準備段階、この間のような電報もないときに私どもが計画をしたのでは、はなはだ不十分ではありますが、そういう形で準備をして、これは準備委員会に委員が集まる費用その他をかつかつに、研究調査とともに、こういう準備委員会の会合等の費用を見たのであります。実はこれだけでは準備委員会も完全なる運用はできませんので、あるいは場合によつては民間の協力を仰ぐことになる可能性もあるのでありまするが、これはまだ出発いたしておりませんので、何とも申し上げられません。
 それから第三には、社会教育についてのまことにごもつともな御質問でありまして、学校教育ということにあまり重点をおいて、社会教育が軽くなつておるような事態はないかというお話であります。まことにごもつともと思うのであります。私ども学校教育については、これは非常に大事なことでありまして、もちろん義務教育には全面的な力を注がなければならぬと思いまするけれども、同時に成人、殊に青年、婦人、殊に働くそれらの大衆の社会教育ということにつきましては、学校を卒えた人々についても十分に考慮いたさなければならぬ。その点におきまして、社会教育ということに私どもは非常に強い関心をもつておるのであります。殊に小学校、中学校で教育されておる人は、新しい日本をすぐに建設する力ではありませんので、今日の日本、ここ一、二年の日本が、日本再建において非常に重大な時機といたしますれば、すでに学校を出て働いておる人々が、どういうふうな考え方をもつかということが、非常に大事なことになるのであります。その意味で成人教育の重要性ということは、まことに御説の通りであります。あるいは公民館を中心とする運動において、また図書館、博物館、あるいはその他労働者教育、学校を利用した労働者の講座、あるいは産業講座、いろいろな形で学校を出た人々、特に勤労青年と婦人の学校外の教育に、私どもは力を注いでいつておりまするし、また將來もいかなければならぬと存じております。なおそういう場合に、政府はただ民主的であるからといつて、民間の力に放任しないで、もつと積極的に施策をなすべきではないかというお話でありまして、これまた至極賛成であります。もちろんこのことを政府は統制とか拘束とかいうような形で行うべきではないのでありますけれども、これらの運動を助けていく、補育助成していくという面で、私どもは積極的な方途を構じなければならぬと存じております。ただそれは政府が十分財政的な援助をすることだけではない。むろんその面はたいへん必要であると思うのでありますが、今日の日本の財政では、この一番政府に求められておるところのものが、なかなか十分にできないということは、私どもといたしましてもきわめて遺憾に存じておるのでありまするけれども、そういう面におきましても、私どは十分の関心を拂ながら、ただ民間放任することなく、政府もこれに協力し、補育助成という面に力を注いでいきたいと存じております。
#34
○田口委員 ただいま懇切な具体的な大臣の答弁を得たのですが、その中でユネスコの予算が現在三十万円を計上しておるというお話を聽いて、唖然としたのであります。しかもまた参加を許されたならば、これがもつと多くなるであろうというようなことも附加されておりましたが、これは本末顛倒ではないか。現在日本が積極的にユネスコ運動を展開して、そうして世界に日本國民のユネスコに対する関心、また精神をしつかり握つたというふうな感じを抱かせ、あるいは機構が整備されたと見られたときに、私は参加を許されるのではないかと考えております。從つて参加後においての予算よりも、参加前、すなわち現在における予算の方が多くなければならない。三十万円くらいの予算で、どうして一般國民にユネスコの精神を知らせることができるだろうか。ポスターをつくつただけでも、一枚五円にしても六万枚しかできないというような小さな予算では、どうにもならぬ。しかもこれは会合しておるというが、現在会合する人よりも、一般國民の全体にこのユネスコ精神を知らしめる、啓蒙宣傳するということに重点がおかれ、そうして國民がそうした氣分になつたときに、初めて許されることになるのであるが、これは向うから許される許されないの問題でなく、日本人としてとるべき義務だと考えております。從つて現在三十万円というような小さい予算でなく、現在が大切であるということに認識をかえられまして、何とか文部省から大藏省に大いに要求してほしい。またこれに対してはわれわれもできるだけがんばらなければならない。こんな予算ではとうてい私としては承認でき得ませんし、おそらく文化委員の各位も同感だろうと私は考えますが、参加後ということでなくして、現在うんと上げる熱意がなければ困ると思うのです。もちろん現在の財政というようなものが、非常に行き詰まつておることは私たちも認めますが、しかし文化國家をめざす國とし、しかも文化國家に最も必要なユネスコ運動に対して三十万円ということ、これではユネスコ運動とか文化國家を言う資格がないのじなやいかと私は思います。從いまして文部大臣も何とかこの金額をうんと上がるように努力していただきたい、こう考えます。
#35
○佐藤(觀)委員 教育の機構改革のついて、文部大臣にちよつとお伺いしたいと思います。先ほど文部省が教育省と言われたということを、文部大臣自身も言われております。今の文部省もそうでありますが、今までの文部省としうものは、ほとんど文化政策をやらずに、教育ばかりやつておるように思われたことは、これはしかたがないと思います。しかし今度機構の改革される場合において、文部省が藝術及び文化問題について、どういう具体的な方方でおやりになるのか。この点について簡單に御説明を願いたいと思います。
 それから御承知のように、現在文化國家ということがやかましく言われておりますが、実際現在の文部省の行き方といたしましては、まず学校のことばかりで追われていて、藝術課とか文化課というような所は、小さな局の中の一部になつております。こういうような考えでは、いくら口で文化國家と申しましても、何らこれが新しい方向に動かぬと思うのであります。そういう点について、実際教育と申しましても、学校ばかりで教育をやるのでなく、たとえば映界、演劇というようなもので教育すれば、非常に効果的であり、今まで文部省のやつておつたような官僚的なやり方でなくて、非常に民主的で、いい藝術も生れ、大衆を教育することができると思うのですが、そういう点について、もつと積極的に文部省を改革する必要はないかということを、私は質問したいのであります。
 それからもう一つ、現在の教育の問題について六・三制の問題が非常にやかましく叫ばれておりますのは、まことに結構であります。しかしわれわれがよく考えてみますと、日本の今日の敗戰の原因は一体どこにあつたか、どういうようなことにあつたかということを反省しますと、ただ一般に普通の教育ばかりでなくて、もつと日本の科学とか藝術とかいうものを尊重する人を養成するために、もつと専門的な、もつと高い大学とか、あるいは研究所というようなものに主力を注いではどうかということを考えますが、以上三点につきまして、文部大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
#36
○森戸國務大臣 第一点は、文部省は、教育省であるかのように教育にだけ力を注いでいて、文化藝術を閑却あるいは軽く見たのではないかという御意見であります。軽く見たのではないのであるが、実際に教育の面での仕事が非常に多くて、文化、藝術の面に力が注がれなかつたということに原因があると思うのであります。それで、しからばこの方法については、どういうような方針でその点に重点をおいていこうとするのであるかというお尋ねでありますが、これにつきましては、文化の面におきましては、純粋の藝術というものに関する問題と、他面にはまた大衆藝術といいますか、殊にマス・メデイアとユネスコで言つておりまする映画、放送、新聞放道というような面、こういう面におきましても重点をおいて考えていかなければならず、また文化の基礎的な面でありまして、日本の今日特に問題になつております言語、新しい國語というような問題も、十分に取扱わなければならぬと思うのであります。かような廣い場面をもつておるのであります。そこでいろいろな仕事があるのでありまするけたども、その数個のものをあげますれば、第一には演劇、映画、音樂、美術、文学等藝術並びに國民娯樂の向上及び普及に関する事柄を取上げていく、これ自身きわめて廣汎なものであります。第二には新聞、出版並びに放送の向上及び普及に関する、これもまたきわめて重要なものであり、殊に民主教育の面で新しく重点がおかれておるところのものであることは申すまでもないのであります。第三には著作権法並びに著作権に関する仲介業務に関することであります。殊にこれは國内の著作権の問題がありまするし、また國際的な問題で翻訳権の問題があるのであります。日本の今日の状況では外國の文化を輸入する必要がある。それに関連して翻訳という問題が重要な一つの事項となるのでありますから、かような問題に対する事柄があります。それから第四には、國語の調査に関する事項であります。これは先ほども申し上げましたが、今日の日本ではいろいろな文化革命がありまするけれども、その一つの重要なものは私は國語の改革であろうと思うのであります。実は日本の教育は、義務教育が行われて、あるいは六年、今日では九年になりますけれどる、就学率は世界に此類のないほどの就学率をもつておるのであります。しかし実際の学力を調べみますと、外國の人の三年か四年行つたくらいの力しかないというようなことがしばしば言われておるのであります。この原因はいろいろあると思うのですが、一つは日本の國語、殊に日本の文学が非常に複雜しておるということに原因するのであります。日本の教育、その他一般の文化の面にも、日本の國民の日常話す言葉がいかなるものであるかということが、根本的に重要な問題になつてきておるのであります。実際におきましても、当用漢字、かなづかい等を私たちは取上げておりますけれども、さらに進んで、あるいはかなづかいにすべきであるとか、あるいは進んでローマ字を採用すべきであるとか、いろいろな問題があるのであります。これは國民生活の文化面では根本的な問題でありますので、これについては大藏省予算も、國語研究所が設けられることについての文化委員会の御決議もあつたと思うのですが、それが承認されまして、二十三年度には國語研究所ができることになりましたが、そういう面でやはり取扱うことが一つであります。それから國際文化事業に関する事項、ただいまお話になつたユネスコの問題はその重要な一つであります。このことが新しい平和國家の建設において重要なことは申すまでもないのであります。なお宗教の自由の保全、宗教に関する事項も、また國民生活にとつてはきわめて重要なものであります。もちろんこれは宗教に対して特殊の統制を加えるという意味はもつていないのでありますが、宗教の自由が完全に護られて、宗教が正しい発展を遂げるような面が考慮されなければならない。さらに最後に國宝の保存、重要美術の保存、また史跡、名勝、天然記念物保存というような点で、日本の文化のすぐれた方面が、破壞され散佚しないような形で維持せられて、その上に新しい文化が築かれる基礎をつくつていかなければならない。こういうような方向に新しい文化的な活動が言けらるべきであろうと存じておるのであります。
 第三の点、六・三制等の制度で、いわゆる機会均等の面は実現されたが、それだけでは足らぬのではないかというお話であります。民主化はただ機会均等になるということだけでは困るので、いわゆるレベル・ダウンでは困るのであります。私どもは機会均等はレベル・ダウンではなく、レベル・アツプでなければならぬと思うのであります。この意味では、私は六・三制の上に、よい高等な教育機関のできることが必要であり、殊に日本の今日の状態では、経済的の面から行きましても、今日の窮乏日本には独立の科学機関が必要があります。また社会的混乱をいたしておりますときには、社会科学の正しい指針が必要であります。なお今日のごとく國民の道議がゆらいでおるときには、國民に正しい道義的な基準、何が正義か、何が眞理かということを正しく知らすところのものが必要である。これはただこの六・三制の制度が実行されただけでは達成されないので、りつぱな高い教育の機関ができなければならぬ。こういう意味におきまして、殊に大学というものがその使命を果すような形で実現されるように、私ども強い関心を拂つておる次第であります。
#37
○佐々木(盛)委員 文部大臣に大体二つの点をお尋ねしたいと思うのであります。先ほど來委員の指摘されました通り、ユネスコというものは、戰爭は要するに各國人の頭の中で起るのだから、起らないように頭の中で、防衞をしなければならぬ。そのために科学、文化、教育の点におきまして、各國が協調して平和を確保しようという理想に燃えた國際的な機関でもありますし、國際連合への参加ということが、講和條約の締結によつて國際社会の一員として復帰する日までは実現ができないという現段階におきまして、戰爭の惨禍をわれわれみずからの血と肉の犠牲において痛感いたしましたわれわれといたしましては、このユネスコへの参加を心から熱望しておるせめてもの平和へのよりどころであると思うのであります。ところが、これが先ほど來言われますごとく、まだ実現の段階に達しないことを、非常に残念に思うわけであります。しかしな員ら、ユネスコへの参加は、國際連合への参加を必ずしも前提としなくとも可能性がある、途が開かれておるというところに、われわれは一縷の望みを託しておるわけでありますが、今後その受入態勢といたしまして、ユネスコの國内的な運動を展開しようというときにあたりまして、先ほど來委員からも指摘されておりまするごとく、かずか三十万円の予算でもつてユネスコ運動の資金としよう。ポスターがわずかに六千枚とかいう話でありましたが、タバコのピースにいたしましても、わずかに六千個にしか当らないのでありまして、わずか六千個のタバコの相当額をもつて、國民待望のユネスコへの参加の運動を文部省が展開しておるというがごときは、まさに羊頭狗肉というか、実にナンセンスといわなければならぬのであります。そこでこれに臨む準備委員会でありますが、申すまでもなくユネスコに派遣されまするところの代表は國家が任命するのであります。從いましてユネスコへの参加ということは、國家の責任においてなすべきことなのであります。從いましてこれを單に民間の一部の、しかも限られた人々の運動として放置すべきではないと私は考えるわけであります。現にアメリカのごとき、御承知の通り國内委員会というものを國務省の機関として設けておる。先ほど大臣のお話を聽いておりますと、これを民間の團体にやらせて政府はむしろ傍観する、あるいはその盛り上る力を持つというふうな、指導性がないように感じられるのでありますが、このユネスコ代表のもつ國家的な責任という見地からも、國家みずからの負担において、責任において、ユネスコ準備委員会というものは当然つくるべきである、かように私たちは考える。從まいして少くとも当文化委員会の委員諸君におきましては、文部省がそれらのユネスコ運動のために経費を要求されるならば、われわれとしてもこれに万全の協力をいたしたい、かように考えるわけでありますが、大臣はさらにここでもう一度お考えになつて、三十万円くらいではなくして、さらに文字通りこの運動を展開するのに十分な、あるいは十分に近い要求を何らかの形においてなされる御意向がないかどうかということにつきましても、大臣の重ねての御所見を承りたいと考えます。
 次にもう一点でありますが、それは要するにこのユネスコの問題を取扱うところの主務官廳の問題であります。由來日本の行政府におきましては、主務官廳が明確でないために、どこに相談していいかわからぬというようなことが非常にたくさんある、ユネスコ問題またしかりではなかろうかと私は考える。そこで外務省の情報部の中にも、文化班があつて、ユネスコを取扱つておる。文部省の中にも、ユネスコ課というようなものを設けられておやりになつておるそうでありますが、こういうものは当然統一すべきではなかろうか、またその方が便利ではなかろうかと私は考えるわけであります。しかも先ほど來大臣の話を聽きますと、從來少くともわれわれの感覚と考え方におきましては、いわゆる文教という古い型の文部省の中に、今回文部省の機構改革と関連いたしまして、ここに新世紀の風が吹き込んで來つつあることをわれわれは非常に喜ぶものでありますが、さりとて現に大臣みずから認められておりますごとく、文教という言葉の中に非常に古い感覚があることは事実であります。そこでこういう学校教育という古い傳統的な殻をややともすれば拔け切らない督学官や視学官の古手の、隠居仕事の片手間に取扱われたり、あるいは國際情勢の認識や、あるいは外交手続等の点におきまして、門外漢と申せば失敬であるか知れませんが、未経驗な文部当局の役人諸公がおやりになつておるよりも、このユネスコのもつ外交上の重合性、特に現下の客観情勢に即應する見地からいたしましても、私はむしろこれを外務省の当該部局において取扱つた方が適当ではなかろうかと、かように考えるわけでありますが、大臣はそれらを統合する意思はないかどうか、あるいは外部省へ移す意思はないかどうか。これらの点につきまして率直なる御意見の開陳を願いたいと思います。
#38
○森戸國務大臣 お答えいたします。予算の問題は、いろいろ御心配を願いまして、はなはだ心強いのでありますが、三十万円は実は最小限度でありまして、できるだけたくさんとることが望ましいのであります。ただこれは嚴格にユネスコ自身の研究とユネスコの組織に対するものでありまして、実は社会政育全体では五千五百万円を求申しており、その半分約三千万円くらいが一般会教育に充てられるのであります。社会教育の一つの重要な面は、いろいろな形を通してでありますけれども、民主主義と並んで平和主義の方向へ進むのでありまして、その場合最近の事態におきましては、特にユネスコの問題が取上げられるはずでありますから、ユネスコの思想が國民に浸透するという点では、必ずしも三十万円に限られてはいないのであります。ただユネスコ自身に関する費用としても、これは決して十分ではないので、皆さんの御支持を得て、これがさらに三百百円となり、あるいは三千万円になればますます結構でありますが、大藏省はなかなかそれは許さないと思います。けれども、大いに御協力を願うことは私どもとしてはこの上なく喜ばしいことであります。
 なお民間團体に任せて政府がやらぬのはおかしいではないかということでありましたが、これは多少誤解があつたようでありまして、準備委員会は政府において委嘱する政府的なものであります。ただ諸地方に民間で協力の組織ができておるのであります。ユネスコ協力会というようなものができておりますのは、これは政府の組織ではなくて民主的、自主的な組織であります。これが強く発展して政府の考えておる準備会と協力するということが、この運動を官民一体で進めていく上によい方法であると見ておりますのでそのように申したわけでありますが、私の言葉の不十分であつたことから、多少の誤解を招いたことははなはだ相済まないことと思います。
 それから第三の点は、いろいろな役所にわかれておつて主務官廰がはつきりしない、運動がどこに連絡をつけていいか、どこの指導を受けていいかわからぬので困るというお話でありますが、非常にごもつともなことであります。ユネスコは二重の性格をもつておると申してもいいのであります。一つは渉外的な関係であります。國際連合の外局でありますユネスコの組織との関係をもつ意味において、これは渉外的なものであつて、それは今日の所管では外務省の仕事の範囲に属する。しかしユネスコは外との関係もありますが、中心の問題は國内のいかなる組織、殊に國内の委員をいかなる組織にもつていつてユネスコの準備態勢を整えるか。またユネスコに参加ができたときには、これによつていかなる諮問機関をつくり、またいかに連絡する機関をつくるかという任務でございます。この任務というものは渉外関係というよりは対内の関係であります。殊に科学と教育と文化との國内的な諸轉体との関連をもつのであります。これはその性質上当然文化行政、学藝あるいは文教の行政をもつておる官廳の管下に來るべきものであると私は考えています。でありますからユネスコの國内準備委員会という國内的な仕事については、主務官廳は文部省がその地位を占めることが当然であると存じておるのであります。
#39
○並木委員 時間がないようでありますから簡單にお尋ねいたしますが、実は先ほど大臣のお言葉の中にレベル・アップというお言葉がありまして、私非常に感に打たれたのであります。それにつきまして、ユネスコの運動がそれまたある一部の人、特定の知識階級だけに握られるおそれがあるのではないかという感じを抱いております。そのためにはどうしても都会と農村の文化の交流が必要だと思うのですが、中央と地方の文化の交流、これをやつておかないと、いたずらに背後にある多数の人を動かないレベルのままにしておいて、一部の者あるいは中央だけでレベル・アツプしたと思つてユネスコ参加の運動を起しましても、片手落ちになると思う。先ほど馬場さんが例に引かれましたが、学校の先生の中でユネスコの意味を知らなかつた人がある。また私先日遠い所に遊説に参りましたときに、かつて話の泉でソニヤ・ヘニーというのが出たが、あんなのは私たちにわからなくてちつともおもしろくなかつたという話が出た。そういうことからいたしましても、とにかく今われわれは材料、知識というものを全國津々浦々に浸みわたらせなければならないときだと思うのです。ぜひそういう意味で、特に文化に惠まれない農村、漁村、山村方面にレベル・アツプの機会を與えていただきたいと思う。予算がとれない一つの理由といたしましては、要するにそういうものに対して具体的のプランが立たないからとりにくいのだろうと思う。このために移動講座、たとえば夏期の大学とか農閑期における大学講座、そういうものを設けて、権威ある人を派遣して、その中にユネスコ問題など織りこんで、農村、山村、漁村の若い人たちに教えていただくような計画を立てていただけないかどうか。それが第一点であります。
 第二点はそれに関連しまして、最近非常に盛り上る力で青年会とか青年團あるいは婦人会というものが、かつての形とは違う意味においてできておるるのであります。そういう方々は自主的にいろいろやつてみようとくふうはしておりますけれども、なかなか手がかりがない。また何か一つ計画を立てて実行に移そうとしましても、費用の点で立たない。上級の学校に行けないような方が多いわけですから、從つて経済的にも惠まれない方がある。そういうものに対して國家で一つの目的というものを離れて、先ほど大臣もちよつと触れられましたが、これを助成するという意味で、文化向上に志す助成金というものを、ぜひ私は当分の間、知識の向上に至るまで、差上げていただきたいと思うのであります。その点どうなつておりますか伺いたいと思います。
 最後に第三点といたしまして、先ほど政府委員の方にもちよつとお尋ねしておきましたが、ぜひひとつユネスコに関しましては、これを学校の教科書に織りこんでいただきたい。あるいはもう織りこんであるかもしれませんが、これは全國に普及する一番いい方法だと思いますので、映画とかラジオを利用する、また新聞を利用することはもちろんでありますけれども、ひとつユネスコを教科書に織りこむことをお願いしたい。この三点についてお考え願います。
#40
○森戸國務大臣 ユネスコの精神を、少数の人たちでなく、一般の民衆に行きわたるようにということでありまして、これはきわめて適切な御趣旨であります。実は國際連合でも知的協力の方向が示されましたが、國際連合とユネスコとの違いは、これは少数の知識人の協力であつて、民衆へ及ばなかつたという点が違いがあるのであります、ところがユネスコにおいては、殊にマス・メデイアということに重点をおいておる。殊に戰爭というものが民主國においては民衆の考え方と関連がありますので、ぜひともユネスコの精神を民衆に徹底させなければならぬというところに重点があるのでありまして、お話のような方向に進んでこそユネスコの組織となるのであります。そこで私どもはユネスコの運動については、殊にマス・メデイア――ラジオ、映画、そうして新聞報道というものに十分な協力を得る必要があると思うのであります。なおこれについての移動講座等のお話がございましたが、そういう面は文部省の関連では、成人講座ということでいろいろな形で行われておりますので、平和主義並びにユネスコの問題も強力に取上げられつつありますし、殊にこれは公民館を中心とした啓蒙的な講座でそのことがなされることが、最も適当ではないかと思つております。
 それから青年会、婦人会等が、從來とは違つた形でだんだんと地方にできておるが、これらの発展は望ましいので、何か助成金等を與えてその発展を助けてはどうかということでございますが、これは実は憲法の上からできないことになつておるのであります。從つてかような知的團体についての助成金は一切出さないことになつておるのであります。
 第三は教科書の問題でありまして、ユネスコの問題は新しく重要性を加えた問題でありますが、実は教科書の中には――私も一々は存じませんが、多分平和ということは取り上げられておりますが、特にユネスコという形態では取上げられていないのではないかと思つております。しかし問題が重要性を加えれば適当な形で取り上げられることも、きわて望ましいことと存じておるのであります。なお教科書と並んで民間の教科書としての重要性をもつておりますマス・メデイアを通して、ここに強力に民衆の間に力が及ぶということには、最善の力を盡したいと思つております。
#41
○川越委員 本日の委員会はユネスコ問題を中心としてきわめて熱心に進行しました。まだ文部大臣に対する質疑とか希望がありますけれども、時間の都合上、本日はこれにて終了して、次回に文部大臣に対する質疑を続行されんことを望みます。
 なお本日は特に芦田総理大臣の出席を委員会としては求めてあつたのでありますが、都合によつて本日は御出席がありませんから、次回は委員長より総理大臣の出席を求められるようお願いしまして、本日の会議は終了されんことを希望いたします。
#42
○福田委員長 諸君に申し上げますが、芦田総理は日本は一時から予算閣議がありましたので出席できませんでした。次回には参ることになつております。
 ただいまの動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○福田委員長 御異議ありませんから本日はこれにて散会いたします。
    午後四時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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