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1947/10/07 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第42号
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1947/10/07 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第42号

#1
第001回国会 本会議 第42号
昭和二十二年十月七日(火曜日)
    午後二時三十二分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第四十一号
  昭和二十二年十月七日(火曜日)
    午後一時開議
 第一 最高裁判所裁判官國民審査法案(司法委員長提出)
 第二 裁判所法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
 第三 裁判所予備金に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第四 道路交通取締法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 食糧増産並びに供出促進に関する決議案(淺沼稻次郎君外九名提出)(委員会審査省略要求事件)
#3
○叶凸君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、淺沼稻次郎君外九名提出、食糧増産並びに供出促進に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略することとし、この際上程し、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(松岡駒吉君) 叶君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 食糧増産並びに供出促進に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。赤松勇君。
    〔赤松勇君登壇〕
#6
○赤松勇君 私は、ただいまから各派を代表いたしまして、各派共同提案になりまする食糧増産並びに供出促進に関する決議案の趣旨弁明をいたします。初めに決議案の内容を朗読いたします。
   食糧増産並に供出促進に関する決議
  我が國の当面する食糧危機は、國民総力を挙げての眞摯なる努力が認められ、過般連合軍の特別の好意による輸入食糧の追加放出によつて一應本年の端境期を無事に切拔けることができる態勢となつたが、世界的な食糧事情よりみて、明年度においても充分なる輸入を期待することは困難であつて、食糧需給の前途は必ずしも樂観を許さない。
  この際一日も速かに我が國産業経済の再建を図るためには、先ず以て國内食糧の増産と供出に最大の努力を盡し、食生活の安定を確保することが肝要である。
  衆議院は院議を以て左記事項を確保するため、政府を鞭撻して急速に有効適切なる行政措置を講じさせると共に、國民の総力を結集して困難なる食糧問題の解決のために議員個人としても又議院全体としても最大の努力を拂うことを決定し、ここにその決意を表明するものである。
 一、全國民として深刻なる世界的食糧不足を充分に理解せしめ、且つ國内食糧態勢の完備が我が國再建の基礎たる意義を徹底的に認識せしめること
 二、主食を最大限に生産し最大限に供出するという農民の責任感と同胞愛を深く喚起せしめると共に、各職域をして我が國再建の重荷を農民と共に充分に且つ適切に分ち合うという相互依存と相互義務の関係を深く理解せしめること
 三、農業再生産と農民生活を確保し、農家をして主要食糧の増産に邁進せしめるため、農産物價格は工産物價格と均衡の取れる樣に決定し、農家の必需物資はすべて正式ルートを通じ、適性且つ公平に配給すべきこと
 四、新米穀、藷類をはじめ主要食糧は農家用として最低限を保有せしめ、残余の主要食糧は迅速且つ自発的に供出せしめること
 五、健全なる流通機構を確立し、主食のヤミ撲滅に全國民的努力を傾注すべきこと。
   右決議する。
以上が、各派共同提案になります食糧増産並びに供出促進に関する決議案の内容であります。以下、これに関する趣旨弁明をいたします。
 終戰以來、わが國の食糧事情は、絶対量の不足に加えて、需給面の不合理なる施策と再生産過程の不円滑とによりまして、端境期には常に飢餓生活を國民に強いる結果となつたのでありまして、このために経済再建をはなはだしく遅滯せしめておるのであります。本米穀年度におきましても、端境期には容易ならぬ事態が予想されたのでありまするが、さいわい、新麦・新馬鈴薯の供出を中心とする國民総力をあげての眞摯なる努力は、連合國の認めるところとなりまして、輸入食糧の大量放出が許可され、ここに一應危機打開の途を見出すことができたのであります。
 しかるに、新米穀年度におきましては、世界全般の食糧事情はきわめて惡いのであります。北米合衆國及びカナダにおける本年の穀物生産高は、昨年に比べまして、はるかに下まわるものと見られるのでありまして、さらに欧州全域の穀物生産高は、四割以上の減收という凶作に見舞われておるのであります。かかる状況におきまして、わが國に対する輸入食糧の割当も、今年度分よりはなはだしく減少せられるであろうことは、すでに総司令部におきまして警告されているごとく、自明の事実であります。
 ここにおきまして、わが國といたしましても、早急に産業経済の再建を図るためには、まずもつて國内食糧の増産と供出に最大の努力を傾注し、これが障害となる一切の欠陷を取除き、世界的窮乏に耐え得る自主性を確立せねばならないのであります。すなわち、主要食糧の生産と供出に関する農民の責任感と同胞愛を深く喚起いたしまして、他方、農業再生産過程の円満なる流通に万全の施策を果し、生産者、消費者相協力いたしまして、日本全國民が窮乏の中にも公平なる食糧の配給を受け得る態勢を整えなければならぬと思うのであります。
 すでに、本年度産米の供出割当会議は九月十九日に始まつたのでありまするが、農林当局と地方当局との間の折衝は予想以上に難航を極めまして、さらにまた東日本一帶にわたりました大洪水は、この割当操作の面に少からぬざる影響を與たのであります。しかるところ、去る九月二十九日の連合國総司令部の勧告によりまして、十月五日の知事会議において、二十二年度産米三千五十五万石、甘藷五億七千七百万貫の府縣供出割当の決定をみたのであります。
 この割当を完遂するためには、まず農業再生産と農民生活とをば保障し、安んじて増産と供出に邁進できるような新物價格を、早急に決定しなければならぬと思うのであります。さらにまた、農民必需物資の確保のためには、農村・都市の相互依存関係をはつきり認識いたしまして、國民窮乏の生活にも、適正かつ公平なる配給を正式ルートを通して実行する必要があると思うのであります。かくのごとくいたしまして、供出割当を完遂し、これを健全なる配給ルートに乘せ、主食に関する一切のやみ行爲を撲滅し、終戰以來の食糧問題に関する苦い経驗を一掃し、わが國民主化の前提を一日も早く確立するよう努力せねばならぬのであります。この前提こそ、わが國現在における窮乏の経済情勢にありましては、ボールウエア中佐の訓示のごとく、基本的な民主主義の原則に最も忠実なゆえんと信ずるのであります。
 今や、マーシャル・ブランによりまして、西欧経済復興計画は、アメリカの多大なる援助の下に実施されようとしておるのでありまするが、この世界的経済復興の立場より、わが國及びドイツにおきましても、戰爭責任國であるにもかかわらず、経済的自立が與えられようとしております。わが國といたしましても、この世界経済の一翼を担う重大なる責任感の下に、ますます努力せねばならないのでありまするが、この意味におきましても、わが國國民食糧の自立いかんは、世界的食糧危機に当面いたしまして、各國の最も注目しておるところであります。
 衆議院は院議をもつて、政府をして早急に有効適切なる行政措置を講ぜしめるとともに、國民の総力を結集して、困難なる食糧問題の解決のために、議員個人といたしましても、また議会全体といたしましても最大の努力を拂うことを決定し、ここにその決意を中外に表明する次第であります。
 以上をもちまして、各派共同提案になりまする食糧増産並びに供出促進に関する決議案の大要の趣旨弁明にかえる次第であります。(拍手)
#7
○議長(松岡駒吉君) これより討論に入ります。五坪茂雄君。
    〔五坪茂雄登壇〕
#8
○五坪茂雄君 食糧の安定は國家再建の基礎であります。しかるに、わが國の食糧は自給自足ができないことが明らかでありますのに、世界的食糧事情によりまして、來米穀年度には輸入が半減せられるのではないかと傳えられております。この際われわれは、食糧の増産と供出に最大の努力を拂わなければならぬと考えるのであつて、本決議案がただいま上程されましたことは、まことに、その当を得たものと考えるのであります。
 食糧の問題は、全國民の責任において解決されなければなりません。この責任を、ひとり農家のみに負わせるようなことでは、その目的を達成することはできません。私は、この際農民の立場に立つて、幾つかの要請を政府にいたしまして、民主党を代表して本決議案に賛成の意を表するものであります。
 來米穀年度、食糧の輸入が半減せられると傳えられておりますときに、乏しきをわかち合つて、遅配・欠配なく円滑に配給をしていくためには、供出を完納せしめることが絶対の必要條件であります。それには、價格の問題が重大な影響をもちます。農村は農地法によりまして、耕作面積がきわめて細分化されてまいりました。この際、米價の問題は農業再生産の上に重大な役割をもちます。何となれば、農業は天候に支配され、收穫漸減の法則がありまして、農地を通して米麦を生産する人力には、限度があるからであります。
 今農家は、政府が米價をいくらにきめてくれるかと、非常に注目をいたしております。この際、政府は最大の注意を拂つて、誤りのないように、そうして農民をして失望させないように、米價の決定をなさなければなりません。米價は、新物價体系に基いて國家全体の経済を考え、また消費者の立場に立つて考慮せられなければなりませんけれども、何と申しましても、農民生活を確保し、保障して、農業生産をして、もつと進んで拡大再生産のできるようなぐあいに決定せられることを望むのであります。
 米價が当を得ませんと、惡質農家は自然に法を犯して、いわゆるやみ賣りをいたします。まじめな、善良な農家は、あるいはそのために経済が破壊されて、農家経営を維持することができません。また、そのために轉落農家となり、自分の飯米だけをつくつて、あとの耕地を放棄するというような兼業農家になります。しかして、供出を引受けるところの專業農家が減少してまいります。これは、わが國の食糧問題にとつて重大な問題であると思うのであります。政府は、この情勢をよく御承知の上で、適当に米價を決定せられなければならない。
 米價決定は、科学的なパリティー計算を最も妥当と考えますけれども、新物價体系によつて、最近の價格を基準とすること、もちろんであります。さらに、品目を何種類選定するかという問題であります。何となれば、この問題は、品目の数の取り方によつてその結果が非常に違うのであります。たとえば、ある計算によりますと、石千三百九十円くらいになりますし、また違つた品目の取り方によりますと、二千四百円にもなるのであります。
 さらにまた、從來農具は長い間使用することができましたけれども、今日は粗製濫造であります。すぐに壊れてしまいます。そうすると、今までは農具に対する償却金はわづかでよかつたのでありますけれども、現在のような粗製濫造の農具では、すぐ壊れますから、償却金を多額に見積らなければなりません。こういうような点をパリティー計算に加えなければならぬ。そうして工業生産は三分の一になつておるがゆえに、工業生産品は格高になつておる。これを基準にしてパリティー計算を出すことは、農産物の價格に有利であるというような先入観のもとにパリティー計算をするのでなしに、もつと公正に考えてパリティー計算をとつて、適当に米價をきめていかなければならぬ、かように考えるのであります。かくして、工業製品の價格と米の價格とが均衡のとれるようにしていかなければなりません。
 政府は、一時物價を二倍にも三倍にもつり上げてん、新物價体系を確立いたしました。また流通秩序を確立しつつあります。この際、今後農村へは工業製品が決してやみではいつてこないように、絶対それを保障してもらわなければなりません。何とならば、そういうものがやみではいつてくれば、農家はやみで買わなければなりません。するとやみで賣らなければならない。供出完納ができません。肥料、農機具、衣料等におきましては、時期を失しないように、そうして不足しないように、適正な配給をしてもらわなければなりません。そうでなければ、やむを得ずやみ買いをしなければならぬ、供出ができなくなるということになります。供出のできないというものを、むりに供出させると、農家経済は崩壊いたします。
 政府は、五日の知事会議に、肥料、農機具、衣料等は十分に配給すると言明しておられますが、はたして自信がありますかどうか。私は先般の自由討議のときに、硫化鉱百万トンを生産するということであつたが、なかなかそれができない情勢ではないかということを取上げたのであります。その後政府は、硫化鉱増産推進本部をつくられたようでありますけれども、未だに十分硫化鉱の生産ができません。私どもは、百万トンにあらずして、百五十万トンも、二百万トンも生産をしてほしい。何となれば、神戸には、せつかく連合軍がくれた燐鉱石が七十万トン近く滯貨しておるというではありませんか。これは硫酸が足らぬことが、そういうふうになるおもな原因でありまして、硫酸をつくるためには、硫化鉱をどんどん生産しなければならぬのであります。こういう点をとつても、政府ははたして具体的な計画はあるかどうか、あるなら承りたいと存ずるのであります。いい加減な答弁や、いい加減な弁明では、承服できない。この問題は、農民にとつては実に眞劍な問題であります。
 米を五百五十円で政府は買上げた。そうして七月六日に、消費者價格千三十円にして賣り拂つておる。これは農民が疑いをもつております。今後中途で米價の値上げをするようなことは、絶対にしてもらいたくない。新物價体系が確立された以上は、どこまでもそれを守つていかなければなりません。農家は、ただ米價の高いところのみを願つておるのではありません。諸物價と米價とがつりあうことを望んでおるのです。(「そこそこ」と呼ぶ者あり)もつと言えば農村からやみのなくなることを望んでおるのです。米價は、新物價体系や千八百円の労働基準給、これと重大な、密接なる連関性があります。だから、この新物價体系や千八百円の基準給を壊してくれては、今回きめられる米價は、そのにしておくわけにいきません。もし、そういうことになりますと、いわゆる惡循環でもつて、惡性インフレが高進してまいりまして、遂に國家の再建ができなくなつてまいります。從つてこの点は、政府は十分お考えになつて、新物價体系、千八百円の基準給は、壊さぬように死守してもらわなければならぬ責任があると思うが、政府にその自信があるかどうか。
 一一〇%の供出を政府が要求いたしました。しかしながら、聞くところによると、一〇四%の供出であると申します。あと六%はどうなつたのでありましようか。それを私は聽きたい。強権発動をせられたのでありましようか、その状況を承りたい。惡質農家を放任しておつては、供出を阻害いたします。徹底的に惡質農家を取締まると同時に、善良なる、まじめな農家を保護していかなければなりません。
 私は、この際増産について一・二申します。さつまいもは、米や麦とは違いまして、増産の可能性が多大であります。しかしながら、今日生産地においては、もはや收穫されつつあります。昨年も、あるいはその前も、生産地において莫大な数量が腐敗して、しまいました。この数は、おそらく数千万貫、数億万貫に達しましよう。何とかこれを腐らさないで主食に利用する方法はないか。政府はもつと研究されなければなりません。(「自由販賣だ」と呼ぶ者あり)この腐敗は、どういうところに原因があるのか。自由販賣がよければ、自由販賣もいいでしよう。交通の関係なら、交通をよくすることもいいでしよう。法律が惡ければ、法律をよくすることもいいでしよう。政府は、この点に対して十分な御研究を積まれんことを望む次第であります。
 農民に対して増産を奬励するのだが、政府も増産に努力してもらいたいと思います。たとえてみますれば、農事試驗場を拡充して、その機能を一層発揮するというようなこと、たとえば、水稻農林一号がどんなに米の増産をしておることか。このような品種の改良には、もつと金を出し、もつと良い技術者の養成をやるということに骨を折つてもらいたいと思うのであります。各地の府縣の農事試驗場を御調査になつておるかどうか。中には成績をあげておるよい試驗場もありますけれども、多くは睡眠状態の試驗場であります。從つて、農民と遊離しておる。増産にはほとんど関係しておらぬという農事試驗場も少くありません。これに活を入れ、これを激励するということも、農林省のひとつの仕事じやありませんか。昨年指導農場をおつくりになつた。まだ日も浅いからではありますけれども、その内容もよく御存じでしよう。決してそれによつて今日農民は指導されてはおりません。何がゆえに、もつと内容を充実させて、眞に農民を指導するに足る、増産の指導をするに足る指導農場とせられるのでありましようか。こういうことを痛切に要望せざるを得ぬのであります。
 私は、以上幾多の要望を政府にいたしましたが、政府はこの要望を容れてくれることを前提として、この決議案に大いに賛成をするものであります。(拍手)
#9
○議長(松岡駒吉君) 小川原政信君。
    〔小川原政信君登壇〕
#10
○小川原正信君 私は、自由党を代表いたしまして、本決議案に対して賛成の意を表するものであります。
 世界の食糧事情が惡ければ、なおさらのことであります。食糧事情がよいと言いましても、また連合國の好意によつて豊富に輸入ができたといたしましても、いつまでも際限なく多量なる食糧を輸入することは、わが國の敗戰日本としての國際貸借の許さぬところであります。わが國民は、自主的に考えまして、一致團結、刻苦勉励いたしていくことは当然であります。しかしながら、政府も大いに科学的研究を進め、合理的な農業経営の改善をはかつて、食糧の自給生産の方途を一日も早く立てねばならぬと、私は痛切に考えるものであります。
 先般、農林大臣に私から、この春ベルギーにおきましては、食糧が非常に困窮いたしておつた、そこで一案をめぐらしまして、自由販賣にいたしたところが、すこぶるうまくいつておるということを、外事新聞によつて承知しておる、ゆえに、農林委員会におきましては、この模樣がどういうふうになつておるか、御研究をしてもらいたいと申し出でておりましたが、未だに政府から何らのお話がない。ここにいらつしやる井上政務次官もお聽きのことであると思う。方法をもつてすれば、また通ぜざるものも通ずるところの手段方法があるということを考えておいていただきたいのであります。これを参考のために一言呈しておくのであります。
 わが國は、私が申しあげるまでもなく、非常に幾多の困難が含まれておるのでありまして、農業経営はすこぶる困難であります。申し上げるまでもなく、海洋氣温の影響を受けまして、年々旱害がなければ冷害、冷害がなければ水害、水害がなければ風害、風害がなければ晩春あるいは早春の霜害、これらに連続的に見舞われてまいるのでありまして、作物の被害も多いし、その上に面積が非常に狭くて、人口は反対にその密度が密であります。これは世界に類例のない國家であります。かくのごとく、立地條件はまことに惡いのでありますが、農民諸君の不断の努力の結集によりまして、それから政府の施策のいかんによりましては、現在七千万石以上とれておりまするのを、これを八千万石に上せるということは、方法によつては、私はできると深く信ずるものであります。かくなる上におきましては、今の輸入食糧を半減することができると深く信ずるものであります。ゆえに政府は、奮励勉強いたしまして、この施策を一日も早く行つていただきたいことを進言するものであります。
 世の中が非常に変つてまいりまして、インフレの結果、農家の使用するところの工業品價格が毎日々々高騰をいたしております。しかしながら、米價を初めといたしまして、農業生産品は一向に高い値段を示してくれないのであります。ゆえに、農業價格と工産價格のつりあいがとれぬという現状であります。米一升が五円五十銭などということは、一体あまりに安過ぎまして、かようなことでは、生産意欲も何も起らぬのでありますから、政府は速やかに物價の改訂を断行いたしまして、殊に農産物の價格を改訂して、生産意欲の高揚をはかられたい、かように思うのであります。その上におきまして、米價を高くするということによりまして、完全供出もできるし、やみ征伐もできるのであります。米價の改訂が当面の急務であると信ずるのでありますから、この点を大いに熟慮していただかなければならぬと信ずるものであります。
 かくのごとく、國民全体といたしまして自主的に奮励努力するということはもとよりでありますが、われわれ議員全体としても、最大努力することはもちろんであります。要は、政府の施策いかんによるものでありますから、これらの諸事項に対しまして、一日も早く対策を設けられまして、万遺漏なきことを期したいのであります。よつて政府は、眞劍に考慮せられて、農民の信頼する施策を実行せねばならぬのであります。この意味におきました、決議案に賛成するものであります。(拍手)
#11
○議長(松岡駒吉君) 的場金右衞門君。
    〔的場金右衞門登壇〕
#12
○的場金右衞門君 私は、ただいま上程されました食糧の増産並びに供出促進に関する決議案に対し、國民協同党を代表いたしまして賛成の意を表明するものであります。
 さきに八月十九日の本会議におきまして、食糧危機突破に関する決議案が上提されました時、私どもは、食糧増産並びに供出に関するわが党の態度を表明いたしました。しかるに、今また食糧増産並びに供出に関する決議を重ねてなさねばならぬほど、わが國の食糧問題、いな、世界の食糧事情は重大であるのであります。
 食糧の増産は、鉄工業の生産、すなわち機械的生産とその性質をまつたく異にしているということをまず認識して、これが増産対策を施さねばなりません。すなわち、生きものの生産でありますから、生産に從事する者の氣持ちが直ちに生産に影響いたしまして、増産ともなり、また減産ともなるのであります。特にわが國の農業のごとく、小規模な経営で、家庭労力のみによつて生産される場合、生産者が喜んでこれに從事し、その労働が苦しみとならず、無上の愉快となり、樂しみとなるのでなければ、増産は期待できません。
 從來ややもすれば、政府は法律や規則で押さえつけて増産せしめようとする。かくのごときは、わが國農業の実態を知らないものであると言わねばなりません。わが子を育てると同じ氣持で育ててこそ、稻も茂るし、芋も太り、雛も育ち、牛も太るのであります。百姓が働いても働いても働きがいがないと考えたり、いや氣を起したりするようでは、増産になりません。しからば、どんなにすれば全國の農業者たちが喜んで働いてくれるでありましようか、自発的に供出してくれるでありましようか。以下、簡單にその所見を申し述べます。
 第一は、農業を尊重し、卑下しないことが肝要であります。平野農林大臣や井上農林政務次官は、ときどき惡農惡農という言葉が出る。これはまことに遺憾至極であります。惡農と言うと、いかにも農人の中だけに惡い者があるかのように聞えて、善良なる全農業者の感情をひとしお惡くいたします。政治は、常にきわめて少数の惡い者を対象とするのでなしに、多数の善良なるものを対象とし、相手として政策が施されねばなりません。農民以外にこそ惡いものは多いのであります。惡農という言葉は、あまり使はぬように御注意願いたいのであります。
 次に第二の問題といたしては、先ほど來いろいろお話がありましたが、肥料、種苗、農機具、病虫害防除用藥剤など、生産資材を豊害に、潤沢に、低廉な價格で、公平に配給することであります。これらの資材が、やみか物交でなければ入手できない現状において完全供出を強要するのは無理であり、完全に供出すれば、次の生産に要する資材は入手できないということになります。増産も、供出も、その成るか成らぬかは、一にかかつてここにあるのであります。この農業用資材の供給の程度が、すなわち増産の程度であり、食糧問題解決の基本であり、本決議の成否を決する大事な事柄であります。議員個人としても、議院全体としても、最大の努力をここにいたさねばならぬと考えます。供出督励とか、増産督励とかいつて農村をまわる前に、まずこのことを解決することこそ、政治を行う者の責任であり、なさねばならぬことであります。
 農民から奪い取るような氣持で供出を強要しても、その成績はあがりません。出せと言う前に、まず與えなければなりません。惡農と呼ぶ前に、惡農ならしめた責任を感じ、政府は、必要なる生産資材を低廉に、公平に農業者の手もとに配給せねばなりません。これができぬと、善良なる農民たちから恨まれることとなりますし、増産も、供出も、政府の責任が果されなかつたために、予期の成績があがらなかつたということなります。
 第三に、價格の問題でありますが、今日農産物の價格があまりに安過ぎるのではありませんか。パリティー計算によつて價格は決定するというが、その基礎数字を明示して、生産者の了解を求めなければなりません。しかるに、これをなさず、ただ一方的に政府が價格を決定して、供出を強要するのは、いかにも封建的であり、知らしむべからず行わしむべしという態度から一歩も脱却していないと考えます。(拍手)対象となる物資は、実際價格よりも非常に安價に見積り、これを基礎として計算さるるから、農産物が常に比較にならぬほど安過ぎるので、農家は常に不平があり、不満があり、喜んで生産に從事しない結果となるのであります。速やかに適正なる價格を決定し、発表すべきであります。
 第四は、最低保有量の決定でありますが、最低保有量を決定するにあたつては、家畜の問題を考慮に入れなければなりません。家畜なければ農業なしという言葉のあるほど、家畜なき農業では増産はできませんから、最低保有量の中に家畜飼料を十分考慮することとせねばなりません。外地よりの飼料輸入なき今日、飼料作物の栽培並びにこれが保有を認めないところに、供出に非常な無理が生じます。家畜を重視する考えから、芋類、大麦、燕麦、だいず等の飼料作物の栽培、飼料用保有を認めなければ、増産ができませんし、畜産地方の供出が困難を感ずることとなります。
 以上の諸点に政府も努力をいたし、議院もまた協力をいたしますならば、増産もでき、完全供出もまた可能であると考えますので、政府に対し、右の諸事項を要求し、われらもこれに協力し、最大の努力をいたすべきを表明いたしまして、本決議に賛成するものであります。
#13
○議長(松岡駒吉君) 堀江實藏君。
    〔堀江實藏君登壇〕
#14
○堀江實藏君 わが國経済再建にとつて、食糧増産並びに供出の促進が重大な要素であることは、この決議案のうたつておる通りであります。今まで各党から、いろいろそれに対する適切な御意見がございました。私はかつて本議場におきまして、食糧の供出が、その供出なる言葉のごとくに、生産費を償わないところの低い價格をもつて、しかも天降り的に割当てられ、一方に強権発動をかざしつつ農村から食糧を奪い取つてきたところの戰時中の食糧政策が、なお現在にも改められていないことを指摘したのでありますが、過日行われました割当会議において、平素納得供出を主張しておるところの農林当局が、それとまるで反対の、天降り的強権割当を実行したということにつきましては、農林当局の重大な責任であり、私はその責任を強く追究するものであります。(拍手)
    〔「ノーノー」と呼び、その他発言する者多し〕
#15
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#16
○堀江實藏君(続) 農家の経済の実相を知らない者は、農村には新円が氾濫しておると言うが、農村に新円があるとしたならば、それは一部の富農であり、あるいは農村に寄生しておるところのやみブローカーであつて、大部分は経済的に非常に困つており、昔通りの農村は、低い生活と低い文化を続けておるのが現状であります。農民は、本決議にうたつておる食糧の問題がいかに重大であるかは、よく知つております。また食糧の増産、そして最大限に供出しなければならぬことも、よく知つております。
 しかし、なぜ食糧の増産がやれないか。供出が円滑にいかないか。それは過去において、それを阻むところの政治、食糧政策の連続であり、現在もその政治の連続であるということを言つて過言でないと思います。食糧増産と供出の問題は、末梢的な供出技術の問題や報奬物資でつるような問題ではなく、もつと根本的の問題、いわゆる農村の民主化が考えられなくては解決しないであろうし、農民、労働者のみの犠牲において経済再建を強行しようとする傾向のあるところの現内閣の政策が改められない限り、問題はいつまでも残るであろうと思います。
 大部分の農民は、やみをしたいのではない。やみをやらなければ生計が維持できないのが農村の実情であつて、低い農産物價格、再生産資材の不足、インフレによる高い生産費等、生計費の問題は、ただちに解決されなければならないところの焦眉の問題であります。平野農林大臣は、新米價は二千円ぐらいであろうということを言つたと、新聞は報じておりますが、その二千円なるものが、はたして現在の物價として妥当であるかどうか。また政府当局は、農産物價格の決定はパリティー計算で、きめると言つているが、今までわれわれが知つたパリティー計算なるものは、新物價体系に合わせようとするところの、非常に政治性をもつた、インチキなものであるということをわれわれは信じます。(拍手)また農産物價格の決定のごとき重大問題を、官僚に從來任しておいたということが間違いであつて、少くとも生産者の代表あるいは國会がこれに関與し、これを決定すべきものであると私は考えます。
 政府は昨年度も、五百五十円で買上げた米を千三百円で消費者に賣つた。これに対しまして、農家には非常な不満があります。その差額を還元しようとしていない。また、この國会に提出されている臨時農業生産調整法は、戰時中の作付統制令に劣らないところの惡法であつて、適地適作を阻み、官僚統制を強化する意味において、農民から強く反撃を受けております。(「フアツシヨの復活だ」と呼ぶ者あり)さらに、追加予算において田畑使用税をとるということを新聞は報じております。こうした農村抑圧、農民搾取の方向は、ますます食糧問題逼迫の解決をかなたに押しやるであろうということを考えます。
 本決議の趣旨は、食糧政策の不合理を政府をして是正せしめることに目標がなければならないし、その意味において本決議案に賛成する者であるが、(笑声、拍手)從來の決議が、往々にして決議倒れに終つたことをわれわれは想起し、必ずこうしたことを是正せしめなければならないと思います。まず、農産物價格の他物價との均衡を得せしめること、農村の民主化を促進するところの諸政策をただちに実行すること、民主的供出制度の確立、再生産資材の完全配給、農民に対する惡税の撤廃、そうした政策をただちにとらなければ、食糧問題の解決はあり得ない。こうしたことをとらせるという意味において、本決議に賛成するものであります。(拍手)
#17
○議長(松岡駒吉君) 中村寅太君。
    〔中村寅太君登壇〕
#18
○中村寅太君 私は、日本農民党を代表いたしまして、本案に賛意を表せんとするものであります。
 今年度産米において六千万石の生産を確保し得ましたことは、実に八千万同胞をして、まず飢えしめることなく一ヶ年を過し得る見透しその基礎を確立し得たものといたしまして、全國三千万農民に対し、その努力とその心労に対し、衷心より感謝の眞心を捧げたいと存ずるものであります。(拍手)
 六千万石の米は、單に実りの秋に実つたものではありません。五月、種をまいて以來、半歳にわたり、あしたには星をいただいて、夕には月を踏んで帰る、これが日本農民の姿である。默々として働く五百万農家の生んだ、血のにじむ貴い数字であるということを、國民は銘記せねばならぬと思うのであります。(拍手)われわれは、この農民の努力によつて得たところの米を、その最低保有量を残して、残りの全部を供出せしめようというのが、この決議案の趣旨であると思うが、このインフレ経済下において、農民の生産せる米をことごとく供出せしめようといたしまするならばで、まず政府みずから、農民に盡すべきあらゆる措置を並行しなければならぬとともに、消費國民も、またあげてこれに報ゆるの方途を講じなければならぬと存ずるのであります。(拍手)すなわち、農民が政府に対していかなる処置を望んでおるか、消費國民に対してまた何を要求せんとしておるかということを、深く考えなければならぬと存ずるのであります。
 政府に対して望んでおることは、第一に、今までのように安い不合理な農作物の價格で抑えることなく、公正なる、しかも合理的な價格の早期決定と、農家保有量の絶対確保の点であります。すなわち米價におきましては、最近傳えられるところによりますと、千五百円であるとか、あるいは二千円であるとか、うわさされておるようでありますが、かくのごとき、実情を無視した價格では、いかなる強力なる力を用いますとも、絶対に農業の再生産はおろか、供出の完璧は期し得るものではないと私は存ずるものであります。今日農民の良心的な基礎計算によつて生まれて來ておりますところの一升三十円という米價は、いかなる観点から見ましても、私は正当なものであると存ずるのであります。右において三千円、これは絶対的必要な最低線として、農民の衷心からの要求であると思うのであります。この額を割るようなことが、もしありましたならば、農民の増産意欲の増進も、供出の完遂も、絶対にでき得るものではないと私は存ずるのであります。
 次に、農家の保有量の問題であるが、今日政府では、農民に対しては保有量を保有せしめるのだと言つておりますけれども、実際には、それがさようになつておらないのであります。生産農家にして、ほとんど一年を通じて配給を受けておるというような不合理が行われておるのでありますが、かくのごときことは、ただちに是正しなければならぬと思うのであります。炭坑夫に対しましては六合の配給を続けておる今日この際、生産農家に対しましては最低の保有量を絶対に確保せしめることが、また必要であると存ずるのであります。(拍手)
 第二には、農業生産物の價格の決定に際し、農民の團体交渉権の獲得という点であります。農民は機械ではなく、人である。人間は感情もつものである。およそ半歳の長きにわたり、家族一同が、七十の老翁から十四、五の小娘に至るまで、星から星ををいただいて、夜の間も寝ないで、身魂を傾けてつくりあげた作物は、價格が決まらない前に供出せしめられ、しかも、その價格決定にあたつては、何らの相談にあずかることなく、誰の手によつてきめられたのであるか、いかなる方法によつて、いかなる基準によつてきめられているのかすらわからない今日、この実情は、全國農民の心からの不満であると存ずるのであります。(拍手)政府は、速やかに農民の基本的人権を尊重し、この要求を容れなければならないと存ずるのであります。
 第三は、農業生産の確保に絶対必要な肥料の増配と、農村衣料の配給率の向上であります。
 第四には、生産資材及び農機具の質の向上と、最低数量の確保であります。
 第五には、臨時農業生産調整法のごとき、役人の机上計画をもつて農業を律するような考え方を捨てて、自己の創意と農民の工夫とを生かすことのできるような、農業本來の使命に立ち返つたる自主的農業形態の確立であります。
 第六には、近く政府は農地に対して課税せんとするやの氣配があるやに聞いておりますが、かくのごときは、もつてのほかのことであると私は考えるのであります。
 最後に、農民が一般消費國民に対して何を要求しておるかということであります。これは私が、去る九月二十九日から本月二日にかけまして、石川、福井の両縣の早場米の供出懇請に出かけて、親しく生産農民から得ましたところの、生々しい資料であります。今日農民は、各層の國民に対して、勤労性の高揚を要求しておるのであります。勤勉努力を要請しておるのであります。一口に申しますれば、あらゆる國民に対し、農民と同樣に、もう少し働いてもらいたいという彼らの切実な要求であります。(拍手)たとえば、いかに惡條件下にありと申しましても、今日炭鉱の坑夫が農民と同じ程度に働いてくれますならば、國家の再建に絶対必要量であるところの三千万トンの出炭は易々たるものであると存ずるのであります。(拍手)さらに、各工場における職工が、農民と同じようにその生産に魂を打ちこんで、これが生産にあたりますならば、その質を向上せしめ、その量を倍加することも困難ではないのである。さらに、役人が農民と同じような程度に働いてくれるならば、おそらく、現在の半分はおろか三分の一の人数にして、今の倍くらいの能率を上げ得ることは、断じて難事ではないと思うのであります。(拍手)鉄道の從業員が農民と同じように働いてくれましたならば、國民がもつと樂しい旅行ができるであろうと存ずるのであります。これが日本農民の切実なる叫びである。
 國民の中には、八時間労働制に夢中になつている者もある。われわれとしても、もちろん八時間制を否認する者ではありません。しかしながら、これはアメリカであるとか、その他平常の國家にあつて言うべきことであつて、現在の日本は、そんな生やさしい氣持で再建できるものではないのであります。これは連合軍から受けるしばしばの警告にまつばかりでなく、あまりにはつきりした事実であると思うのであります。
 傾きかけた家運を挽回するにも、人一倍の努力を要すると言われておるのであります。まして、敗戰により壊滅せんとする一國を再建せんとする途は、全國民の勤労と努力が最高度に積み上げられること以外に断じてないと、私は存ずるのであります。働く國民は栄え、働かざる國民は滅びる。これは永久不変の眞理である。今日の國民は働くことを忘れている。政府また惰民組織にこびることを知つて、國民に働くことを強要する勇氣を持たないのであります。(拍手)
 一刻も早く全國民の働きを倍加して、農民が戰前の生産力に迫らんとしておりますように、あらゆる生産を増加し、國力の回復をはかつて、平和な人類生活を樂しむことのできるような日本をつくり上げねばならない。これが、農民の一般國民対する切実なる要求であると存ずるのであります。この眞情あふれる要請に消費國民が應じますときに、あらゆる施策にもまさる農民への報いであると考えるのであります。かくのごとく、政府並びに一般消費國民が、眞劍にこのまじめな農民の要求を実現するときにおいて、初めて農民もまた喜んでこの決議案の趣旨に対應し、困難を予想せられるところの供出の完遂もでき得るものであることを、固く信ずるものでございます。私はかくのごとき意見を強く主張いたしまして、この決議案に賛成するものであります。(拍手)
#19
○議長(松岡駒吉君) 木村榮君。
    〔木村榮君登壇〕
#20
○木村榮君 私は、共産党を代表いたしまして、本決議案に賛成いたしますと同時に、この決議案がほんとうに実行されますためには、今の政府がもつています政策、その他いろいろな事情があまりにも貧弱であるということを最初に申し上げまして、特に強力な具体的な対策を急速に立てていただかなければならないということを主張するものでございます。
 そこで、たとえば昭和二十一年度の肥料の配給状態を見ましても、農林当局の発表によれば、大体硫安を含むところの基礎肥料が三貫目、報奬用の肥料がいろいろなもので一貫四百匁、カリ肥料が一貫八百匁を、今年のこれから供出しようとするところの米の肥料として配給計画を立てたのである。ところが、現在に至るまで、食糧管理局の方の調査が不徹底であるために、いくら配給をしたからというその配給量さえもわからないといつたふうな、きわめて杜撰な調査並びに計画が暴露されておる次第でございます。そういつたふうな状況下にあつて、ただいたずらに供出対策のみを盛んに天降り的に立ててみたところで、農民は決して納得するものではない。
 そこで、たとえば米價の問題にいたしましても、政府の計画しておりますところのパリティー計算によりますと、自家労働力と賃金というものは、計算の中に入れていない。それから堆肥その他自給肥料といつたふうなものも、計算に入れていない。また租税といつたふうなものも、計算に入れていない。そういつたふうな農村の汗の結晶であるところの、ほんとうに農民が要求しております労働賃金なるといつたふうなものに対しては、今の計算樣式でははいつていない。
 しかも、いわゆるパリティー計算の基礎になるところの基礎年度の昭和九年―十一年というものを檢討してみましても、御承知のように、あの年度においては、農業と工業が極端に開きがあつて、農産物價は工業品に比べてきわめて安かつた。しかも、資本主義が高度に発展しまして、農村は非常な不況の中にあえいでおつた。その上に、満州からは相当な食糧が輸入されまして、いろいろな條件からしましても、農村はきわめて不利な條件下にあつた。そのときを基礎年度にしまして、四十八倍という今度の新公定價格をきめまして、しかも、工業品は六十五倍といつたふうな上まわつた公定價格を決めて、そうして新物價を立てるといつたふうな農産物價のきめ方では、農業の再生産並びに農民の生産意欲の高揚ということは、今の政府が考えておりますようなわくでの操作では不可能であるということを、この際はつきりと言いたいと思います。
 そこで、米價の問題にしましても、いろいろ各党から触れられましたが、今さつき承つて見ますと、農民党の方は、大体最低三千円ということを発表になつております。その他の政党の方は、この壇上から米價の問題について抽象的に言われましたが、それでは大体どのくらいのものが最低であるかということを御発表にならなかつた。これは非常に重大な問題であり、簡單に決定できない問題であるということは、われわれは認めますが、少なくとも今のインフレの進行状態並びに一般物價の問題、それから農村の労働賃金、一石をこしらえますための労働力、こういつたものを勘案しまして、專門家の意見その他いろいろ今までのものを総合的に研究しますと、最低三千五百円くらいは認めておかないと、どうしても再生産に必要なものを奬來手に入れることが不可能ではないかと言えるわけでございます。
 ところで問題は、今食糧が不足だ、不足だと盛んに言いますが、これは絶対的な量が不足であるか、あるいはまだいろいろな面で余裕があるかということ考えてみますと、われわれとしましては、絶対量が不足であるということは、はつきりと言えない。まだたくさんに余裕がある。しからば、この余裕のあるところの食糧がなぜ出てこないかというと、今までのいわゆる官僚的な統制経済下において、農産物は特に統制を強化しまして、重い刑罰によつて出させよう、出させるというのではなく、取ろう、奪おうという今までのやり方に、大きな問題がある。その陰において、大やみ業者と結託しましたところの高級官僚は、こうしたような彼らがつくつた矛盾極まるところの経済機構の中において、厖大なるもうけを毎日々々のように積み重ねている。こういつたふうな状況下において、農民にのみ犠牲を強いるということで、一方に千八百円のわくをきめて、労働者の犠牲において産業を再建しようというのと同じ方向を、働く農民にもつていつている。こういうことでは、ほんとうの産業再建、あるいは食糧問題の根本的な解決というものはない。
 そこで、この際われわれとしましては、当面の問題と奬來の問題を考えまして、そうしたような根本的な点を徹底的に是正しまして、正しいところの農業政策を、具体的にしかも積極的に立てなければならないという重大な段階に、今ははいつていると思います。
 農村では、特に今盛んに土地取上げの問題といつたふうなものが、まだまだあらゆる方面に起つておりまして、これが農村の働く農民の生産意欲を相当低下さしております。こういつた問題も急速に解決いたしまして、併せて、土地改革を新しい角度からまた徹底さす、こういうことが特に必要だと思います。それと同時に、國営によつて大きな開墾事業といつたふうなものを始めまして、あらゆる角度から今の生産量を増していくということをやらなかつたならば、ただ單にここで決議をして、これでよかろうといつたふうな抽象的な話では、どうしても今の食糧危機を打開することはできない。
 かようのように考えまして、今までの富農と申しましようか、働かない農村のボスによつて、一方的に牛耳られておつたところの供出制に、その運営においても、その操作面においても、たくさんな不合理があつたのを、徹底的に改正するために、眞に民主的な下からの力を総合しまして、新しい角度から供出制度を考え直して、併せて恒久的な食糧対策を立てて、この決議案をしてほんとうに意義あるように活かしたい、かように考えます。
 以上、簡單に、われわれの考えておりますことを説明いたしまして、本決議に一應賛成するものでございます。(拍手)
#21
○議長(松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
 ただいまの決議に対し、農林大臣より発言を求められておりましたが、農林大臣はやむを得ない公務のため退席されておりますから、適当な機会に願うことにいたします。
     ――――◇―――――
 第一 最高裁判所裁判官國民審査法案(司法委員長提出)
#23
○議長(松岡駒吉君) 日程第一は、委員長提出の法律案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。
 日程第一、最高裁判所裁判官國民審査法案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。司法委員長松永義雄君。
    〔松永義雄君登壇〕
#25
○松永義雄君 ただいま議題となりました最高裁判所裁判官國民審査法案につきまして、司法委員会を代表して提案の理由並びに法案の趣旨を御説明申し上げます。
 日本國憲法は、その第七十九條において、最高裁判所裁判官の國民審査に関する大綱を規定し、その実施については法律を制定すべき旨を規定しているのであります。しかして、一旦衆議院議員の総選挙というがごとき事態となれば、ただちにその発動を要するものでありますので、これが法制化は、早急にこれを行う必要あることを認め、去る七月二十六日最高裁判所裁判官國民審査法の起草を目的とし、裁判官國民審査に関する事項の國政調査の承認要求を衆議院議長に提出し、同月二十八日、これが承認を得たのであります。爾來、今日に至るまで約六十日の間、委員会を開くこと七回、小委員会を設けて原案起草に当り、その間立法例を調査するとともに、各方面の意見を徴し、かつ関係方面の意向をも十分参酌いたしまして、ようやく成案を得る運びとなり、去る九月二十六日、委員会は最後的な討論を行い、全会一致をもつて最高裁判所裁判官國民審査法案を決定し、ここに提出の運びとなつた次第であります。
 次に、本案の要旨を御説明申し上げます。まず第一に、題名を最高裁判所裁判官國民審査法といたしましたのは、いささか長きに過ぎる嫌いはありますが、題名によつて法律の内容を判然とさせたいと考えたからであります。
 次に、本法の内容を大別いたしまして、一 総則、二 投票及び開票、三 審査分会及び審査会、四 審査の結果、五 訴訟、六 再審査、七 罰則、八 補則の八章にわかちましたので、各章別に、その概略をご説明申し上げます。
 第一 総則。日本國憲法第七十九條の規定を受けまして、國民審査に関する事項を本法により定める趣旨を第一條において宣言いたし、以下数箇條におきまして、その手続き、効果等に関する総則的規定を設けたのでありますが、憲法は、審査は衆議院議員総選挙の際にこれを行う旨規定しております関係上、審査の手続は、大体衆議院議員選挙の手続きと同樣にし、かつそれと同時に行うことを本法においてさらに具体化して規定しました。しかしながら、審査は選挙とは本來別個の制度であり、かつ内閣から独立して行わるべき性質のものでありますので、特に審査に関する事務の管理監督機関として、最高裁判所裁判官國民審査管理委員会を設けることにしました。この委員会には、衆議院議員及び参議院議員をこれに充てることが考えられるのであります。しかし、この審査の行われる際には、衆議院は解散になつております関係上、特に参議院において、その議員の中から選挙することにいたした次第であります。
 第二 投票及び開票。審査は、選挙の投票と同時に、投票によつて行うことを原則といたします。ただ投票の方式としましては、自書式によるべきか記号式によるべきかについて、相当問題はあるのでございますが、結局、國民の信任を問うためには、審査人たる國民に、裁判官全員の氏名を周知させる必要のあること、及びなるべく簡易な方法で投票し得るようにすべきであると考えまして、新らしい試みでありますが、記号式を採用することにいたしました。さらにまた、審査人がすべての裁判官について十分なる認識を有しているとは言えず、從つて罷免を可とする場合は別としまして、罷免を可としないという意思表示を求めることは、いささか無理を強いることにもなりますので、單に罷免を可とする場合にのみ、その裁判官についての×の記号を附することとし、何らの記載をしない者は、罷免を可としないものと認めることにいたしました。
 第三 審査分会及び審査会。各裁判官につきまして、罷免を可とする投票の数が、罷免を可としない投票の数より多いときは、その裁判官は罷免を可とされたものとなるのであります。しかし、あまり投票数が少い時は、國民審査の投票があつたといえません。あたかも、衆議院議員の当選には四分の一という投票数が要ると同じように制限が要ります。その投票数の少い場合は、無投票選挙の場合、または審査無効の判決が確定したため再審査を行う場合等であります。これらの場合には、裁判官に対する國民の関心の程度により、棄権が相当数に上るものと予想されるのであります。もともとこの制度は、國民の多数の意思に基いて、裁判官として適任でない者を罷免させようとするのでありますから、現実の問題として、かような場合に、きわめて少数の者の投票によつて罷免されることとなるのは、この制度の本旨ではありませんので、投票の総数が全審査権の百分の一に達しなければ、たとい罷免を可とする投票の数が、罷免を可としない投票の数より多くても、罷免されないことといたしたのであります。
 第四 審査の結果。審査によりまして罷免を可とされた裁判官または審査人は、後に説明いたしますごとく、審査または罷免の効力に対し、不服の訴えを起し得ることといたしましたが、訴訟期間(三十日)中、またはその訴訟についての裁判の確定前には、罷免の効力も未確定の状態にあるといえますので、その間は罷免の効力を生じないものといたしました。さらにまた、國民の多数によつて罷免を可とされた裁判官が、その後ただちに最高裁判所の裁判官として任命され得ることといたしますと、審査に現われた國民の意思にも反する結果となりますので、一旦審査により罷免された裁判官は、その後五年間は、最高裁判所の裁判官として任命されることができないことといたしました。
 第五 訴訟。審査は、これまで申し上げた所定の手続を履んで、投票によつて行われるのでありますが、その審査手続きが違法であるとか、あるいはまた投票の計算について誤りがあるとかいつた場合には、選挙の場合に選挙訴訟と当選訴訟とがあるごとく、國民審査にも、審査または罷免の無効の問題を生じますので、選挙の場合と同樣、審査無効の訴訟または罷免無効の訴訟を起し得ることといたしまして、審査の公正を期するとともに、審査人または裁判官に対し、救済の途を講じたのであります。
 なお、再審査、罰則、補則を規定していますが、ここでは省略いたします。
 次に、本法案起草の過程におきまして、特に論議の対象となりました二、三の点を拾つて、條文の順序に從つて御紹介いたします。
 第一は、第五條の規定により、審査に付される裁判官の氏名を、審査の期日前二十五日までに官報で告示しなければならないが、その告示以後に裁判官が新たに任命された場合はいかにするかとの疑問がありますが、これは行政的措置により、さような任命は審査の済むまで行わないことが妥当であるという結論に達しました。
 第二は、第十六條の点字による投票の場合はいかにするかということが相当問題になりましたが、結局、盲人である審査人の特殊性に鑑み、罷免を可能とする裁判官の氏名を、点字でみずから記載させることにいたし、一般の場合と区別いたしました。
 第三は、第三十二條の但書であつて、これは本法案中最も問題となつたところでありまして、憲法第七十九條第三項の「前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。」という規定に抵触するおそれはないかという意見があつたのであります。そこで、愼重審議いたしましたが、この憲法の條項についても、他の部分と同樣に、憲法は審査制度の大綱のみを定め、細目は法律に委任しておるのであり、またこの制度自体が、投票者の多数の意思をもつて國民の大多数の意思を推定するものでありますので、さきにも申しました通り、きわめて少数の者の投票により罷免の効果を生ぜしめることは、実際問題として酷に失し、また國民大多数の意思と推定することもできないのであります。それゆえ、憲法第七十九條第三項にいうところの投票者の多数も、單に少数投票者の中の多数を意図しておるのではないとの精神解釈をすることが正当であり、憲法起草の際の立論の趣旨も、上述のような意図にあつたことがうかがえるのであつて、憲法違反のおそれはないものと信ずるのであります。
 第四は、第三十五條第二項の「審査の結果罷免された裁判官は、罷免の日から五年間は、最高裁判所の裁判官に任命されることができない。」という規定について、一旦國民審査の結果罷免されたものは、再び任命されるべきではないという意見があつたのであります。しかしながら、審査当時の國民の意思について、これに永久的の効果を認めねばならないとする理論的根拠に乏しく、また一般政治情勢の変動も考慮されますので、一應五年の歳月を経過したときは、再び任命され得ることといたしたのであります。その他幾多の論議が活発に展開されました。
 以上、本提出案の趣旨及び内容について御説明申し上げました。しかして、本案は衆議院議員総選挙が行われる場合には、ただちに発動を必要とする法律でありますから、私は本案の速やかなる成立を希望するとともに、國民に國民審査制度の本旨を十分徹底せしめ、本制度の適切にして妥当なる運用をはかられんことを切望する次第であります。以上、御報告申し上げた次第でございます。
#26
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 第二 裁判所法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
 第三 裁判所予備金に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
#28
○議長(松岡駒吉君) 日程第二、裁判所法の一部を改正する等の法律案、日程第三、裁判所予備金に関する法律案、右両案は、同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。司法委員長松永義雄君。
    〔松永義雄君登壇〕
#29
○松永義雄君 ただいま議題と相なりました、裁判所法の一部を改正する等の法律案及び裁判所予備金に関する法律案の両案について、委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 まず最初に、裁判所法の一部を改正する等の法律案について御報告申し上げます。この法律案は、最高裁判所及び高等裁判所以下各裁判所の発足にあたり、さきに日本國憲法と同時に施行をみた裁判所法その他一連の諸法律中、裁判官及びその他裁判所職員に関する規定を檢討して、所要の改正を加えようとするものであります。
 その要旨の第一点は、特に最高裁判所の機能を充実せしめるため、裁判所調査官の身分に関する裁判所法の規定について、從來二級であつたものを、一定の員数を限り一級とすることができるものと改めることであります。
 第二点は、最高裁判所の行う下級裁判所裁判官の指名が、諸般の事情から予想以上に遅れたため、裁判所施行法に定められているこの指名期間を、本年十二月三十一日まで延長することであります。
 第三点は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の施行並びに経済統制違反の取締り強化に伴う措置及び最高裁判所事務局機構の整備拡充などのために、裁判所職員の定員を増加することであります。
 最後に第四点といたしまして、簡易裁判所の判事は一層の適材を得るため、その報酬について、從來一般の二級官の受ける俸給の額の範囲内であつたものを、一級官の受ける俸給の額の範囲まで高く拡張したことであります。以上が政府原案の要旨でございます。
 委員会は、九月二十二日政府の説明を聽き、ただちに質疑に入り、政府との間に、次のような意見が交されたのであります。
 第一に、地方裁判所の判事についても、待遇を考慮しなければならぬと思う、現在のままの待遇では、人材を得るのにきわめて困難ではないか、これをすべて一級官の受ける俸給額の範囲内としてはどうかという質疑がなされましたが、これに対し政府より、地方裁判所の判事は、司法修習生を卒え、判事補十年以上の経驗を経て初めて任命されるものであるから、一般行政官吏に比べて必ずしも優遇されていない、できれば、これをすべて一級官としたいと考える旨の答弁であつたのであります。
 第二に、判事補を簡易裁判所の判事に採用し、またしきりに判事の職を代行せしめていくと聞くが、判事補でも職務がとれるということになると、不均衡の問題が起り、よい裁判官は得られぬではないかという質疑がなされたのでありますが、この点に対する政府の見解は、簡易裁判所が地方裁判所の下級となるのはやむを得ない、しかし、特殊な性格に鑑みて、比較的若い人や、あるいはまた相当な経驗者もあり、その他特別任命の途もあつて、種種な経歴の人が判事となるのは当然である旨の答弁がありました。以上、質疑應答のおもなる点について御説明申し上げました。
 今日、犯罪と欺瞞の数々が、ややもすれば、明朗なるべき明日の日本に暗影を投じているときであります。公安を守り、社会の秩序を維持して、國民の生活を保障し、わが國の健全なる民主化のために、最小限度において最大の必要性をもつ裁判所機構の整備拡充については、当然司法委員の重大な関心を有するところであり、また近時さらに深まりいく高物價の中に、耐乏生活と闘いつつ、身をもつて正義を堅持し続け、護法の任を全うする裁判所職員諸君の待遇問題については、これまた深い同情を寄せるところでもございまして、本案の趣旨に対しては賛成であるのみならず、未だ手ぬるしとする意見もあつたのであります。殊に地方裁判所の判事の待遇については、すでに質疑應答の紹介の際触れましたように、すべて一級官とすることについて、各派共同提案になる修正案が提出せられ、九月二十五日討論の際、各党委員の修正案に対する賛成意見の開陳があり、次いで十月一日採決の結果、全会一致、提案の通り修正議決せられた次第でございます。
 以上、裁判所法の一部を改正する等の法律案について御報告申し上げました。
 次に、裁判所予備金に関する法律案について御報告申し上げます。裁判所法において、裁判所の経費は独立して予算に計上し、予備金を設けることになつておりますので、その予備金の管理について規定をする必要から、この法律案が提出せられたのであります。
 その内容といたしますところは、裁判所の予備金は、最高裁判所長官がこれを管理し、その支出については、最高裁判所裁判官会議の承認を経なければならないこととなつております。御承知のごとく、さきに國会の予備金に関しましては、昭和二十二年法律第八十二号が制定施行されましたが、本法案も、またこれと同樣の趣旨において立案提出せられたものでありまして、委員会においても、別に問題とする点もなく、從いまして、九月二十三日政府説明の後は、質疑及び討論を省略しまして、十月一日ただちに採決の結果、全会一致、原案の通り可決いたした次第でございます。
 以上、両案につきまして、簡單に御報告を終わります。(拍手)
#30
○議長(松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。委員長の報告は、日程第二は修正でありまして、日程第三は可決であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
 第四 道路交通取締法案(内閣提出)
#32
○議長(松岡駒吉君) 日程第四、道路交通取締法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。治安及び地方制度委員長坂東幸太郎君。
    〔坂東幸太郎君登壇〕
#33
○坂東幸太郎君 ただいま議題となりました道路交通取締法案につきまして、治安及び地方制度委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 審議の経過を御報告申し上げまするに先だちまして、本法律案の内容に関しまして、簡單に御説明申し上げます。
 最近における道路の交通事故の状況は、昭和二十二年六月、死者が三百二十六名、負傷者が千三百八名、物的財産の損害が三百三十三万八千二百三十三円に上る実情でございます。また自動車の台数は、昭和二十二年六月現在、十七万六百八十三台でありまして、事故の半数は自動車によつて惹起されておるのでございます。しかして自動車の逐年増加の趨勢と相まつて交通事故を増加しておるような次第でございます。かかる状態でありますから、道路における危險防止及びその他の交通の安全をはかることは、特に緊要であることはもちろんであります。
 交通事故の状況は右の通りでありますが、現在の交通取締法規は、道路法の道路について道路取締令、一般交通の用に供するその他の場所については警視廳令、自動車については自動車取締令があるのであります。第一に、道路取締令は、道路法の道路以外の一般交通の用に供する場所における交通の取締については規定しておらないばかりではなく、昭和二十二年法律第七十二号(日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の効力等に関する件)第一條の規定によりまして、本年十二月三十一日まで有効でありますが、それ以後は失効することに解られるのであります。第二には、府縣警察令は、道路取締令を補つて、道路法の道路以外の一般交通の用に供する場所の交通について規定しておるものでありますが、第一に述べましたと同じ理由によりまして、十二月三十一日以降は失効すると解せられるのであります。第三には、自動車取締令は、自動車の構造装置、車輛檢査、運轉免許及び用法について規定しておりますが、これも十二月三十一日以降失効すると解せられます。こういうわけでありますから、來年からは道路交通の取締りについては法的強制がなくなりますので、これらに代るべきものとして、この法律案が提出いたされたのであります。
 次に、本法律案の立案の方針について申し上げますならば、この法律案は、第一には総合的に規定しておるのであります。すなわち、從來の道路取締令は、車馬、自動車、軌道車との関連が明確ではなく、特に自動車の用法、すなわち自動車の交通方法の規定が、別に自動車取締令中にあつたのでありますが、この法律案は、これらの関係を再檢討いたしまして、より総合的にして、実情に適するように規定したのであります。
 第二には、本法律案は統一的に規定してあります。從來、道路法の道路以外の一般交通の用に供する場所の交通取締は、各府縣ごとに規定せられておつたのでありますが、これを道路法の道路と共通の規定に服させるとともに、法律またはその施行命令で詳細に規定して、各府縣ごとの不統一をなくするとともに、各地方の実情に即して、やむを得ないものだけを府縣規則に讓ることにしてあります。すなわち交通規則は、一定のことを覚えておけば、どこへ行きましても困らないようにしておくことが必要でありますし、特にまた自動車のような交通が発達するとともに、この必要が切であるからであります。
 第三には、諸外國殊にアメリカの交通統一法典を研究いたしまして、わが國の実情に適するものは、積極的にこれを取入れてあります。これは、交通規則が万國共通であることが、第二と同じ理由をもつて、特に國際交通の発達の上から望ましいことと、わが國に將來外國の旅行者が増加することとを考えての措置であります。
 第四には、自動車取締令中第五章「用法」は、第一に述べた通りでありまして、第四章「運轉免許」も、一般交通取締りの問題として、この法律案中に取入れられてあります。第二章「構造装置」及び第三項「車輛檢査」は、もちろん交通取締には重要な関係を有するのではありますが、警察の交通取締りの問題とするものも、主として道路運送法案の車輛の檢査、整備登録の問題として取扱うのを適当といたしまして、本法中からは取除かれてあります。
 終りに、本法律案は道路交通の基本的な諸点を規定いたしまして、道路の通行の区分、横断、追越、徐行等の交通方法、積荷の制限、運輸免許等の細部にわたる部分は、いづれも命令の規定に委ねるものとしてありますが、これらの細部にわたる点は、道路の改良及び交通機関の発達、人口及び産業の状況に應じまして、日進月歩しておるのでありまして、もつぱら、その時及びその社会の交通状況に應じて檢討せられるべき技術的な問題でありますので、法律案の範囲内でのこういう交通の技術的規定は、交通取締りを所管する行政官廳の命令に委任するのが適当だと考えられたためであります。
 以上が、大体本法案の内容でありますが、本委員会におきましては、本法律案の付託以來五回にわたりまして愼重審議を重ねたのであります。その審議の詳細につきましては、なにとぞ速記録によつてごらんを願いたいと思ひますが、その質疑のうち、おもなもの三、四を拾つて御披露申し上げたいと存じます。
 まず第一の質疑は、わが國は將來文化國家として國際場裡に立たなければならない、從つて、欧米各國人の來往がますますはげしくなることが期待せられる、その場合、交通に関する法令のごとく、國籍のいかんを問わず、ひとしく適用せらるべき法規は、國際的に理解せられやすく、かつ遵守せられやすいものであることを要求するが、本法案のいずれにこの考慮が拂われているかというのであります。これに対し、政府の答弁は、交通取締法規の國際化につき、右側通行の話もあつたが、それは資材、費用の点から難点があり、これを除いては、大体世界各國ほとんど共通であるとのことでありました。
 質疑の第二は、本法案の全体を通じて、命令に委任せられている事項が少くない、改廃を容易にして、法規に彈力性を有せしめるため、命令に委任せられておる事項の存在することはやむを得ない事柄であるかもしれないが、交通に関する事案のごとく、万人の生活慣習にまで融けこまなければ所期の目的を達成しがたい法令に関し、手軽に改廃を企てるがごときことがあつては、法の徹底を妨げ、官の便宜のため國民に迷惑を及ぼすものと言わなければならぬと思うが、これに対する政府の所見いかんというのであります。これに対し、政府の答弁の要旨は、最初法律をつくる際いろいろ書いて檢討してみたが、あまり技術的な細部にわたるので、これらは多く命令に讓ることにした、質疑の御趣旨はよく了承し、命令に書いた事項を近く印刷配付するから、それによつて御了解願いたいということであり、やがてその配付を受け、これを承認したのであります。
 質疑の第三は、自動車運轉者の免許は内務省の所管とし、車輛の檢査は運輸省の所管とするとのことであるが、道路交通の安全を期するためには、車輛の整備が重要な要件であるにかかわらず、その取締りを運輸省の所管に移す理由は那辺にあるかというのであります。これに対し、政府の答弁は、車輛檢査に関しては、運輸省において別途道路運送法案を作成中であるから、これに讓つたもので、それは事業の向上、輸送の発展をはかる見地から適当と認めたからであるとの答弁がありました。
 質疑の第四は、さきに道路管理者の許可を受けた者でも、第二十六條の規定によつて警察署長の許可を受けなければならないとすると、二重に手数を要することとなるが、この点をいかに考慮するかというのであります。これに対し、政府答弁の要旨は、道路管理者の許可と警察署長の許可とが競合するような場合には、両者の間に緊密な連絡をとらせて、二重に迷惑をかけないようにする、ただ両者の許可は、その性質・目的が違つているのであるから、これを一にするわけにはいかないというのであります。
 大体、右のような質疑應答があり、十月二日討論にはいりましたところ、社会党、民主党、自由党及び國民協同党の委員諸君より、それぞれ賛成の代表演説があり、採決の結果、原案の通り可決いたしましたが、十月四日に至りまして、諸般の事情より再檢討をいたし、本法案の附則について、施行期日を政令で定めることなく、昭和二十三年一月一日からこれを施行するよう修正決議をいたしました次第であります。
 以上、簡單でありますが、治安及び地方制度委員会における道路交通取締法案の審議の経過並びに結果について御報告申し上げた次第であります。(拍手)
#34
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員長報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
 これにて議事日程は議了をいたしました。次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後四時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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