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1952/08/28 第14回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第014回国会 外務委員会 第1号
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1952/08/28 第14回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第014回国会 外務委員会 第1号

#1
第014回国会 外務委員会 第1号
昭和二十七年八月二十八日(木曜日)
    午前十時四十分開議
 出席委員
   委員長 仲内 憲治君
   理事 佐々木盛雄君 理事 並木 芳雄君
   理事 戸叶 里子君
      植原悦二郎君    菊池 義郎君
      北澤 直吉君    中山 マサ君
      守島 伍郎君    小川 半次君
      中曽根康弘君    山本 利壽君
      黒田 寿男君
 委員外の出席者
        外務事務官
        (條約局長)  下山 武三君
        外務事務官
        (国際協力局
        長)      伊関佑二郎君
        法務事務官
        (入国管理局
        長)      鈴木  一君
        專  門  員 佐藤 敏人君
        專  門  員 村瀬 忠夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 国政調査承認要求の件
 国際情勢等に関する説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○仲内委員長 ただいまより外務委員会を開会いたします。
 まず国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。本委員会といたしましては前回と同様衆議院規則第九十四條によりまして国政調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じます。まず調査する事項は一、国際政治及び経済に関する事項、二、国際情勢に関する事項。調査の目的は、一、国際政治及び経済の現状並びに動向を調査し国民外交と国策の樹立に資する、二、国際情勢の推移を注視し、わが国の政治及び経済に及ぼす影響等を検討する。調査の方法は関係各方面より意見の聴取及び資料の要求。調査の期間は本会期中といたしまして、ただいまの国政調査承認の要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○仲内委員長 御異議がなければさようとりはからいます。
    ―――――――――――――
#4
○仲内委員長 次に去る第十三回国会閉会中行政協定締結に伴う諸情勢視察並びに領土問題並びに不法出入国に関する現状調査のため、本委員会より四班にわけまして委員を派遣いたしましたが、今後の調査に資するため、この際各班よりの報告を聴取いたしたいと思います。戸叶里子君。
#5
○戸叶委員 北澤直吉委員と調査員武川氏と不肖私が北海道の観察班といたしまして、八月十一日から十日間北海道視察に参りました。
 まず千歳地区の調達関係について御報告申し上げます。
 調達されている私有の土地が全体で五百八十三万三千百九十四坪になつております。移転を命ぜられた住民の補償で、そのうち五〇二五号地域の住民で建物の移築費用のみの補償を受けたが、移転料等の補償を受けなかつた者がある。それから五〇〇二号地域の住民で旧日本海軍の施設を借り受け企業していた職工二世帯、急に移転命令を受け立ちのいたが、機械の一部は搬出できなかつたため、そのまま軍が収用しているが、これについては何らの補償を受けていないということが一つ。
 また五〇〇二号地域の状況について申し上げますならば、昭和二十六年十一月土地所有者の委任を受けた千歳町長と札幌特別調達局管財部長との間に賃貸契約書が手交されましたが、この期間は昭和二十六年四月一日から昭和二十七年三月三十一日までとし、居住者やこの地域内で事業を行つている者は、そのまま継続してさしつかえないとの條件でありましたが、現状は通行禁止の道路や立入り禁止の地域があり、事業遂行上の支障があつて、非常に問題になつております。
 五〇一八地域の状況は、基地整備の業者の資材置場等のため耕地に損害がありましたが、補償を受けておりません。
 五〇二五地域の状況は、立木を倒したまま放置せられたため、害虫が発生し、駆除に困難があり、立木の被害著しいが、まだ補償されておりません。以上が千歳町長からの陳情でございます。
 次に農林省の北海道農業試験場畜産部、これは北海道の札幌市外にあるのでありまして、敷地調達関係を申し上げます。同試験場の敷地は千百二町歩あり、現在その過半が駐留軍の演習場として使用されております。駐留軍は合同委員会に対して、右敷地中六百町歩の調達方を申し出ておりますが、試験場としては四百町歩程度にとどめたく、しかも共同使用として演習の妨げにならぬ限り、羊、牛馬の放牧に使用したいという、そういう強い希望をこの農業試験場長が持つております。
 次に歯舞諸島及び色丹島並びに千島列島返還懇請問題でございます。またもう一つは漁船、漁夫拿捕問題でございます。歯舞諸島及び色丹島は地理的及び歴史的に北海道に属し、千島列島とは別個であるということ。千島列島のソ連への引渡上はヤルタ協定の規定するところであるが、同協定の内容は昭和二十一年二月十一日公表されるまでわが国には知られなかつたということ、わが国はポツダム宣言を受諾して終戰したのであるが、同宣言には「カイロ宣言の條項は履行せらるべく」とあり、しかもカイロ宣言は連合国に領土拡張の意図のないことを表明し、千島列島の割譲には何ら触れておりません。従つて同列島の返還を要望する。
 三番目に平和條約第二條の規定を承認して千島列島の放棄をやむを得ないとするも、国後島及び択捉島は除外さるべきことを望む、けだし右二島は歴史的にも本邦人の過去の足跡が古く、また明治八年の樺太、千島交換條約の対象ともならなかつたのであります。
 四番目に平和発効に伴うマツカーサー・ライン撤廃後は従来のマツカーサー・ライン内においても漁船漁夫の拿捕がソ連監視船によつて行われることがある。その理由を忖度するに、歯舞、色丹諸島を占領するソ連は、右諸島沿岸より十二海里の領海を主張して、右範囲内に入る外国漁船、漁夫を拿捕するのではないかと思われるのであります。本年四月ないし七月末の間における漁船漁夫の拿捕及び帰還状況は次の通りであります。拿捕船が二十六、拿捕人員が二百三、帰還船二十一、帰還人員が百六十六、未帰還船が四、未帰還人員が三十二、以上の通りでございます。
#6
○仲内委員長 並木芳雄君。
#7
○並木委員 私は仲内委員長と佐藤專門員と三人で視察をして参りましたが、いずれも非常に急を要する問題だけでございます。そこで報告を読んでもいいのですがずいぶん長いし、これは速記録につけてもらうこととして報告を読むかわりに伊関局長に伺いたい。私どもが調査陳情を受けて来た問題はどうなつているか、現状と将来の見通しについてお尋ねをしたいと思います。
 宮城県の王城寺原の演習場、これが一でございます。それから青森県の八戸港における輸送施設の移転問題、それから八戸地区における演習地の問題でございます。三沢地区におきましても同様の問題がございます。青森県の北の果ての関根地区における問題も、これも相当重要な問題でございますので、この際お尋ねをしておきたいと思います。青森市内で合浦公園の接収の問題が調査せられ、われわれのもとに陳情があつたのですが、この問題もどうなつたか、これらの点についてむしろ緊急を要する問題でありますから、政府としてどういうふうに処理しているか、それをお伺いした方が調査の目的にも沿うのではないかと思うのです。全体として私どもの受けました印象は、外務省が伊関国際協力局長以下合同委員会の人々がどうも民意の暢達に欠けておる。これは外務省としてはそうでないとおつしやるでしようけれども、なかなか時間もないし重要問題であるために、そういう原因が出ておると思いますけれども、地元の意見が入れられておらない。そして合同委員会で関係者と先方との間だけで話が進められておる。従つて一方的に天くだり式にきめられておるということの印象を深めて参つたのでございます。どうかこれらの点について十分民意に沿うような解決をわれわれは要望するとともに、局長の答弁を要求しておきたいと思います。
#8
○伊関説明員 この中で王城寺原の演習場と関根の演習場、これは大体同性質の問題でありますから、これについて申し上げますと、いずれにつきましてもまだ最終決定をいたしておりません。非常に決定が遅れております点は申訳ないと思つておりますが、それは現地の意向を十分聞きまして、そうして軍側と折衝を重ねておりますために決定が遅れておるわけであります。東京で相当折衝いたしましたが、なかなか解決点に到達いたしませんので、先週の初めから日米合同調査団を王城寺と関根に出しまして、そうして約一週間にわたりまして現地の調査をいたしました。その結果といたしまして、大体現地も満足する。また軍側も満足し得る案に到達できるのじやないかという見通しが今のところ出て来ております。大体あと二週間もしましたならば、これはこの両者ともまずまず円満に解決するのじやないか、こう考えております。現在その区域へ参りました日本側の、農林省の方の課長でありますが、それと軍側の係官との間で具体的な案を作成いたしております。この案ができましたならば、これを陸上演習の分科委員会にかけまして、その委員会を通りましたならば合同委員会の本会議で承認するという段階に参ります。
 八戸の港の問題につきましては、かねてから聞いておりましたが、これは経費の問題がからんでおりますので、なかなか急速な実現は困難じやないかと思つております。約一週間前にもまた市長さんがお見えになりまして、今度はかなり具体的な案をお持ちになつておりますので、この案ならば案外行くのじやないか、やはり経費の出どころの点が多少ございますけれども、今までよりも大分案が具体化して参りました。解決の見通しが出て来るのじやないか、こういうふうに考えております。
 八戸の演習場の問題は、これは従来からいたしておりますが、要するに目標を動かしまして射撃をする、そのためにたまの落ちる海面に危険があるという問題でありましてこれは今この演習の際の時間の問題とか、あるいは目標を移動する範囲を狭めるという点につきまして、海上演習の委員会で具体的な話合いをいたしております。
 三沢の演習場につきましても、これは高射砲の射撃をやつておりますけれども、これは従来四、五箇所でやつておりましたものを、なるべく一箇所にとどめようということで、どこにどの程度のものにするかという点で、目下のところ具体的な研究をいたしております。
 それから青森県の合浦公園でありますが、これは海岸沿いの公園の一部を返還するように大分前から先方に申し出てございます。まだ先方の方で、これも事務的に遅れておるのでありましようが、はつきりした返事は参りません。
#9
○仲内委員長 佐々木盛雄君。
#10
○佐々木(盛)委員 私は中山マサ委員と西村調査主事と三人で関西、中国地方を視察して参つたのでありますが、そのうち伊丹飛行場拡張地域の問題と、大阪における接收物件の問題と、呉市の状況につきまして、簡單に報告を申し上げますと同時に、関係当局のこれに対する簡單な、要点でけつこうでございますから御答弁を願いたいと思います。
 まず伊丹飛行場拡張に関する現地調査でありますが、御承知のように伊丹飛行場は大阪府の池田市と豊中市と兵庫県の伊丹市の三市の中央にありまして、飛行場が拡張される場合におきましては、農地の点におきましては灌漑面積約五百町歩に対する水路が切断され、関係部落数が三十有余、農家戸数が約二千戸、人口にいたしまして約一万名に重大な影響を及ぼすものでありまして、この水路の変更は過去数百年の歴史に見てはなはだ困難なるのみならず、部落間の平和を乱す禍根となつております。他方飛行場の南を東西に通ずる道路は、兵庫県と大阪府とを連絡し、豊中、伊丹両市の中央を貫通し、重要路線でありまして、飛行場拡張の場合においては、これが切断によりまして大迂回する道路を設けなければなりません。関係都市の産業発展に大きな支障を来すこととなります。また教育の上から申しますと、現在の飛行場においてジエツト機の飛行により、これが爆音騒音によつて他人と談話することさえできない、学校の教育上支障を来し、非常な被害を生ずることになります。
 以上申し述べた三市におきましては、三十数校は完全に授業をなすことができないという状態になつておりまして、各種の学校教育に非常な支障を生じ、かつ一面社会風教上にも悪影響を及ぼすことになることが明らかであります。従つて地元におきましては、これに対して拡張に反対の意向を強く表明いたしておるような次第であります。
 その次には、大阪府における接収物件の解除についてでありますが、ただいま大阪府において解除を希望いたしておるものといたしましては、府立の浜寺公園、これを大別いたしまして、駐留軍住宅地区と未使用地区に区分されておりますが、大阪府における唯一の海浜公園地として、その維持管理は府の費用をもつて行い、多年府民の利用に供しておつたものでありまして他に適当な海浜公園を持たない府民といたしましては、そのすみやかなる接収解除を要望いたしておる実情であります。
 次は大阪市立商科大学についてでありますが、この学校は校舎が接収されたために、市内の小中学校の一部を借り受け、分散授業をいたしておる状態でありますが、小中学校はいずれも教室不足で困難しておる際でありますから、早急明渡しを要望しております。
 次は阪神飛行場の解除によつて農耕地に転用いたしたいという要望を出しております。さらに国防婦人会館の解除によりまして、婦人団体の教養機関としてこれを活用するという要望も強いのであります。
 次は信太山の射撃場及び演習場、日赤病院等の解除もあわせて要望いたしております。
 次に呉市の状況について簡單に御報告いたしますが、呉市における国連軍との協定をいたす場合の要望事項といたしまして、呉市民が次のようなことを強く要望いたしております。まず第一は期限付の駐留協定を締結せられたい。二は接収諸施設を呉市の転換計画が必ず実現できるように可及的すみやかに返還されたい。なお全面的返還が不能な場合は、接収は最少限度の範囲にとどめられたい。次は裁判権を必ず属地主義にしてほしい。四は国連軍に対し地方税が適用できるように措置せられたい、なおこれが不可能な場合は、政府においてこれにかわる補償をせられたいという点を国連軍協定にあたつて要望いたしておる次第であります。
 次には国連軍兵士の犯罪状況について市警側の調査によりますと、講和條約発効後は、国連軍将兵がその施設外で公務以外で日本国の法令に違反の罪を犯した場合は、日本警察が犯人を逮捕するということがいち早く市民の知るところとなり、最近におきましては、ささいな犯罪も漏れなく届出をしておる実情であります。講和発効後においては未届事件は皆無と思われます。これに反し、講和発効前は日本国警察に逮捕権がなく、被害届を受理しても、憲兵隊に通報し捜査に協力する程度であつたので、一般市民は直接害兵隊に届出をし、あるいは届出をしてもどうにもならないとして、全然届出をしなかつたものが相当あつたことは想像されるとのことであります。
 次に、犯罪発生と検挙状況といたしましては、講和発効日の四月二十八日におきまして、総発生件数は百六十三件、総検挙件数は百三十一件、従つて検挙率は八〇%ということになつております。これらの犯罪はほとんど繁華街いわゆる特飲街に発生し、被害者も特殊下宿屋、飲食店、キヤバレー、カフエー、ギフト・シヨツプ等の国連軍兵士を対象とする業者が大半を占め、一般住宅街においての一般市民の被害はきわめてまれであります。犯罪が頻発する原因といたしましては、呉市に英連邦軍が進駐した昭和二十一年二月四日より、当初はいまだ戰争によるところの日本人に対する憎悪的な感情が若干認められておつたのでありますが、これが最近におきましては著しく好転をいたしました。しかし部隊の移動の頻繁と野戰気分的感情に基くところの飲酒酩酊の結果、あるいはまた言語の不通に基く意思の疎通あるいは風俗習慣等の相違に基因する相互の誤解等の偶発的犯罪が大半を占めておるのでありまして、罪質はいずれも軽微なものであります。従いまして従来本外務委員会におきましても、しばしば呉市は英濠軍によるところの恐怖の町であつて、日本の婦女子に対してはまつたく恐るべき現実であるというようなことが再三論議されておつたわけでありますが、現地へ行つてみますと、率直に申しますと、英濠軍はむしろ日本の警察官というものを非常に恐れておるようなわけであります。日本の警察官は少しの融通もきかなくて、非常にこちこちで片つぱしから検挙してこれを連れて行くというようなことから、かえつて日本の警察官を恐れておるという状態でありまして、一般ジャーナリズムに聞いてみましても、一般市民に聞きましても、いかなる方面で調査をいたしましても、呉市が英濠軍によつて非常な恐怖を受けておるというような事実は全然なかつたことを、われわれ委員ははつきりと認識をして帰つたような次第であります。
 以上申しましたような点に関連して、政府当局の見解を結論だけでけつこうでありますからお聞きいたしたいと思います。なおその後の日程につきましては、中山委員から説明があることと思います。
#11
○仲内委員長 中山マサ君。
#12
○中山委員 大田演習場の問題でありますが、当演習場は山口県美禰郡大山町、伊佐町、大嶺町、赤郷村、共和村、別府村、岩水村の三町四箇村にまたがる海拔四百メートルの高原性台地で、わが国最大のカルスト地帯として名のあるところでありまして、わが国はもちろん各国の地質学界の研究の対象地であります。また秋吉台の地下に存する特別天然記念物秋芳洞は延長十二キロ、世界第一といわれる米国のケンタツキ州マンモスケーヴ国立公園にある洞窟に次ぐものであるといわれております。ほかに地獄台、大正洞、景洞、中尾洞等多くの天然記念物が散在し、これが地上において実弾射撃を実施するとすれば、日本がやつていたときは空弾でやつていたそうでありますが、現在演習地でしている向うの人たちは実弾射撃をやつておりまして、これら天然記念物の保存上重大なる影響を及ぼすものであります。
 以上は観光並びに学究の点での問題でありますが、ほかに秋吉台地に生ずる芝草の採取を許されること、その地区内の造林計画並びに立木の伐採等林業上の利益を維持することを許されること、大理石生産を継続するように認められること、芝草火入れ、これは火入れをいたしませんといばらのようなものがはえまして、芝草の採取ができないそうでございまして、その火入れ並びに防火線の予定の手入れが例年通り継続して行われること、またドリーネーと申します陷没地帯でありますが、そこはまことにりつぱなる農地でありますので、ここの耕作を継続させること、現在接収面積中の開拓用地は、再調達にあたつては除外されたい、やむを得ず開拓用地を再調達する場合は、適正なる価格で買い上げられるとともに、離農者に対しては十分な補償を与えられたい。演習による被害はその都度適正に補償されること、以前日本軍が使用しておりました時代にはそこに兵舎がございまして、ちやんと当番の人がおつて被害の状況を調べ、さつそくこれに対する措置をいたしていたのでございますが、今はそういうことがございませんで、いつまでもこれがほつて置かれまして、そこの住民が非常なる迷惑をこうむつておるのであります。以上申し上げましたような要望がありました。
 次は防府市における状況でございますが、山口県防府市には防府補助飛行場施設及び付属建物があり、旧日本軍の終戰処理施設にして国有財産として所有せられ、戰後行政協定に基き在日合衆国軍に提供せられたものでありますが、これら施設の大部分は使用を見ずして放置され、数度の風水害により著しく破損し、ほとんど使用に耐えない状態でありますので、市の警察といたしましては、戰後の青少年の保護育成と不良化防止の見地から、市民の要望と市議会の議決に基きまして、青少年の不良化防止施設としてユース・センター建設を推進中でありますが、市財政の困難なる状況下に、その実現にはこれら施設の建物の使用可能な鉄材、木材等を利用すべく、管轄駐留軍及び管財当局に拂下げ方を要望し来り、現地軍においてもこの趣旨を了とせられたるも、防府補助飛行場として無期限使用せられることになり、以上の計画は頓挫するに至りましたので、施設の一部使用を願いたいということであります。ここに警察の実にりつぱなところの方が見えまして、何とかしてこの資材をまわしてもらいたい、そうすれば不良の方面に傾いて行く人たちに、清らかなる遊戯の場所を與えることができることをぜひお願いしてくれということでございました。この山口県のところについてちよつと地図をお出し願いたいと思います。これを見ていただきたいのでございますが、條約の発効する以前に収容されておりましたのは、こういう赤いのがそうでございます。そういうものが発効以後にはこの地図面にはもうすでに出ていないのでございます。ところがそれをはつきりもう使わないという通達がないものでございますから、それを使つていいのか悪いのか、あるいはここに明示はしてございませんけれども、そういうふうにひそかに使う予定があるか、その方面の人たちは、その御意思のほどがはつきりしないので実に困つているという話を聞かされたのであります。そうして山口県の、地上もそうでございますが、この海域におけるところの山口県の何と申しましようか、大きな財源ともいうべきところの漁区が接収されることになつている。そうすると、ここはちようど朝鮮と九州との間の地区でございますので、なるほど朝鮮戦線に対処する場所としては理想的であるかもしれませんが、山口県にとりましては致命傷である。何とかして、できることならばここを接収しないで、山口県に今まで通りに出漁することのできる地帯としてお許しを願いたいということを要望しておりました。
 岩国市におけるところの岩国飛行場拡張予定地でございますが、この問題は伊丹の飛行場におけると同様でございまして、農地の問題が起つて参るのでございます。拡張地は、向今津地区が総面積約五十町歩で、そのうち民有地が約十五町歩、他は終戦後国有地の拂下げを受けまして開拓せる農地で、約五十町歩のうち公用道路、水路約五町歩、宅地約一町五反歩、差引くと残り四十三町五反歩はすべて美田で水田七〇%、畑地三〇%の割合となつていると聞いております。ところでこの地域は、外務省の折衝地区は現地の司令官は使用せずと言明しておられますのに、外務省当局は現地の意見を尊重していないのであります。ここではパーカーというところの司令官が、六月の二十八日でございますが、市長、市会議長及び市両助役に出て来いという誘いがありましたので行つてみましたところが、この現地軍と市との正式会見におきまして、右地区は接収の要なしということをこの司令官が言つてくれたのであります。従つて接収の意思なき旨の通告を受けて、市長はその日の市会におきしましてその旨を発表したのでございます。ところが外務省におきましてはそれと全然反対の行動をしていらつしやいますので、その向きを知りましたところのこの市会の関係者のお方々は、さつそくその旨をパーカー米軍司令官に申し出しましたところが、そういうはずはないと言つてここの長官に電話でもつて通告されました。ところがこちらの司令部といたしましても、それは全然接収の要はないのだということを再確認させてもらつた。それを外務省ではやはりそれは接収するのだということを言われて、あまつさえそこをお互いに話合いの上で出さないならば、強制接収をするという通告を外務省から受けたので、実に何たることであろうか。外国の軍隊の人がいらないと言うものを、同じ血のつながりのあるところの外務省が、これを使うのだ。そうして出さないならばこれを強制接収するなどと言うことは、もつてのほかのことであると言つてどうぞ東京に帰つたならば外務省にこの旨をしつかり申し入れて、ぜひひとついらない土地をこうして無意味に取上げないような方法をとつていただかないと、国民は非常なる迷惑をするということをもう耳が痛くなるほど私は言われて参りましたので、この点、係のお方の御説明御答弁をお願いいたしたいと思います。
#13
○伊関説明員 たくさんございましたが、最初の伊丹の飛行場でありますが、これは拡張いたすことは無理であろうと考えますので、とりやめる方針にいたしております。
 浜寺の公園につきましては、一部の解除、除外方を交渉中であります。
 大阪市立商科大学につきましてはすでに半分だけは―半分と申しますか、まん中に道がありまして、その道のどちらになりますか、旧商大の校舎が、大きな建物が二つありますが、それはもう返りましたか、あるいは今月中か来月中には返るということにはつきりいたしております。それで引続きましてその残りを返す。現在戦争いたしておりますので、病院につきましては、こちらとしましてもかなり考慮して、病院だけは十分に提供しなければならぬと考えておりますけれども、大阪の商大につきましては、これを最優先の順位で返すという方針で話し合つております。それに基きましてすでに半分が現に返りましたか、近く返るということになつております。従いまして、大阪の日赤につきましてはこれに遅れるわけであります。まず市立商科大学を解決いたしまして、その後日赤という問題に入る。
 阪神飛行場、飛行会館、信太山等につきましては、ただいまのところ私最近その経緯がどうなつているかちよつと存じませんので、責任をもつて御答弁できません。
 次に呉の問題につきましてその接収と申しますか、英濠軍の使用を期限付にしてほしい。これは朝鮮事変の終了までという期限はついているわけでございます。それ以外に一年ずつというような期限をつけることは困難じやないかと思つております。それから英濠軍が使つております兵舎等につきましては目下交渉いたしております。両者の案を出し合いまして、予備作業班というものをつくりまして、大蔵省の管財局長が責任者になりまして目下話合いが進行中であります。
 裁判権につきましても、これは御承知のように今非常に交渉が難航しているという現状であります。地方税につきましてもまだ決定しておりませんが、いずれかにきまりましたならば、国家の補償というような問題もございましようと思います
 次に山口県の大田演習場につきましては、ただいまお話になりましたような点は十分承知いたしております。そうした條件をつけましてこれの使用を認めよう、こういうふうに考えております。演習場につきましては北海道が非常に大きく、それから東北というように北からやつておりますので、まだ中国と九州につきましては細目の折衝に入つておりません。また中国、九州には現在は戰闘部隊はほとんどおりませんので、それほど演習場の使用もはげしくございません。いずれ朝鮮でもあきますと、また部隊が帰つて来るかもしれません。ともかく現にすぐ使わなければならぬ北海道、東北というような交渉に非常に手間取つております。関西、中国、九州につきましては、細目の点については目下まだはつきりした決定に至つておりませんが、現地の事情は十分聞いておりますので、それを入れて決定したいと思つております。
 それから防府市の飛行場の問題は私聞いておりませんので、研究いたしたいと思います。
 それから海上の演習場も出ましたが、これは大分前に海上における演習区域というものは決定発表いたしておりますが、その後山口県当局からは何も聞いておりませんので、あの辺に問題があるのかどうか、ちよつと今のところ存じません。
 岩国の飛行場につきましては、これは誤解がございまして、現地の司令官は、飛行場の西の方になりますか、滑走路、沼地がある、そうして葦がはえている、そこだけでよろしいということを現地の司令官ははつきり申しております。私も現地に行きましてそこを見ました。その通りに話して来たわけです。ところが東京の方では東京の係官は、それ以外のところもほしいということを申しております。現地では要するに滑走路の延長だけというように現地の司令官は解釈している。ところが中央では、あそこに一種の飛行機の修理工場というようなものをつくりたいという考えを持つているわけであります。そこに現地と中央の食い違いがあります。中央の考えています方が正しいわけでありますが、しかし一度現地でそういうような約束をいたしましたので、そこの土地以外のところは、ただいまお話になりました土地につきましてはこれの拡張ということは一時とりやめにいたしまして今後よく話合いをしまして、どうしても必要なればまた十分に現地と話合いの上でとるということにいたしたい。決して強制収用するとか、そういうことを申した覚えは全然ございません。
#14
○仲内委員長 守島伍郎君。
#15
○守島委員 私は、菊池委員及び亀倉調査員と八月十二日に東京をたちまして、同二十一日に東京に帰着いたしました。大村における入国者収容所、それから佐世保における日本側及びアメリカ側との関係、そういうものを視察し、その他北九州各地を視察して参りましたが、委細の点は報告書に譲ることにいたします。ただ大村入国者収容所の点はここで一、二御報告をし、また政府の御答弁を得たい点がございます。(私語する者あり)委員長にお願いします。騒がしいのでとめてください。
#16
○仲内委員長 静粛に願います。
#17
○守島委員 収容所の状況は、ある意味においては満足すべきものと思います。またある意味においてはなかなか満足できない、不満足な点がございます。満足な点は、収容所におります日本の役人の態度が、収容された人たちに対して圧迫的、命令的というような態度でなくて、よく話合いをつけて、納得させて収容所に収容されている人人を取扱う、それには向うの説明もございましたが、私自身もそれを相当認めました。不満足な点は主として金の問題です。財政の裏づけがないから、設備が十分でない、そういうものもございます。金の問題でございますから、出入国管理庁だけではなかなかできないと思いますけれども、これから申し上げます点を御考慮くださいまして御答弁を求めると同時に、将来改善をはかつていただきたいと思います。
 第一にここで申し上げますことは、場所が相当狭い。それから既設設備を使つております。旧海軍の建物で焼けないものを使つておるのだそうでございますが、狭過ぎます。そこで向うから密入国をしてつかまつた人、まだ調査の十分に届いていないような者、それからまたそれと並行いたしまして、日本で刑事事件に触れて刑務所に入つておる人、その人を将来朝鮮に送り返す、それを向うが受付けない、あるいはまたその手続が済まないで置いてある、いろいろな人が入つております。それを端的に申しますと、多少の区別がつけてございますが、ごちやごちやに入れてある、これは相当危険なことであると思います。そういうふうな犯罪的傾向のない人はなるべく歓待して、そして自由にやらせる必要があると同時に、いつ逃げ出すかもわからない、またことによつたらば暴行でもやりかねぬような人が相当ございます。ときには暴力行為に出るそうでございますが、そういう人たちによつて例の朝鮮に起りました巨済島事件、あれほど大きくないにしても、あれに類似したことが将来起らないとも限らない、その点をよほど考慮しなければならぬと思います。たとえば、今相当大きな建物を簡單に区切つて収容してある。またその区切り方もきわめて簡單であつてほかの部分に自由に入れるようなことになつておりますので、私どもの一応の考えといたしましては、もう少したくさん建物をつくり、そうして普通の人は広いところに自由に置いておいて運動にも出られるようにする。そうでない人は別のところに住まわして一般の人に思想的影響を及ぼさぬように、やはり刑務所から出て来た人ですから、刑務所に入れるような別な措置をとることが非常に必要だと思いますので、その点についてあとで政府の御見解を承りたいと思います。
 次に、これは全部の収容者に適用されることでございますが、冬季における暖房の設備が一つもない。火ばちを與えることは非常に危険なことである。火事を起す危険がありますから。しかし何とか暖房の設備をしなければならぬ。これは予算の関係上今できぬそうでありますが、ぜひやつてやらねばならぬ。私は九州の者でございますが、いくら九州でも、冬暖房とまでは行かないにしても、何か火の気がなくては生活することが非常に困難である。今申しました通り火ばちを渡すことが危険であるとするならば、金はかかるにしても何か暖房のことを考えてやらなければならぬ。これをあとで御答弁願いたいと思います。
 もう一つは病院のことでございますが、収容所にはちよつとした医療設備がございます。專門の医者が一人と看護婦が五人、歯科医が一人、これは非常勤でございます。収容されている人の病気は一応見ることができますが、ほんとうの病気にかかつた場合、これを収容する場所がございません。現在では市内の市立病院なり、あるいは個人持ちの病院に頼んで入れているそうでございますが、これは相当めんどうくさい。ことに逃亡の危険、あるいは犯罪でも犯すような人は一々監視の者をつけておかなければならぬ。人員が少い際これはなかなかできぬ。同時に十分なことができぬ。それからほかに與える影響も相当考えなければならぬ。私どもの考えといたしましても、今収容されている者が千人くらいになつておりますか、どうしてもやはりあそこに專属の病院をつくつてやることが絶対的に必要であろうと思います。これも御答弁をお願いいたします。
 それからやはり病院のことに関係するのでございますが、向うで聞かされてなるほどもつともと思いましたのは、朝鮮で伝染病が流行した場合に、密入国者あるいは水難、そういうことで収容された人には当然検疫を施す。これを実行しなければならぬが、それをやつておられますか、やつておられませんか。私はやつておらぬということを聞きます。やるとすればそういう設備もしなければならぬ、そういうことでございます。
 それからもう一つは、収容されている人は財政的に非常に困つている。経済的な活動をしないものですから新しい収入がない。ことに困つているのは、刑務所に入つておつた人が引継がれて収容所に入つている。これは出るときに、刑務所に入つたときの着のみ着のままを渡されて――夏刑務所に入つた人は夏の着物を与えられ、冬になつても冬の着物がない。ところが供給することもできない。また夏密航して来た人は冬になると着物がない。あるいは三箇月なり六箇月収容されているとぼろぼろになつて、裸にならなければならぬような状態である。ここのところをよほど考えなければならぬ。こういう人に対してある程度服装を整えさせることは、日本の政府として当然考えなければならぬことであろうと思います。
 それから小づかいが少しもない。そこで私どもは何か商売をさせたり、仕事をさせたり、アルバイトさせたりしたらいいじやないかというような話をいたしましたら、たとえば小刀で細工をするようなことをやらせると危険である。わら細工あるいはかんじんより細工というようなことも考えられないこともないが、設備もないし、費用もないし、知恵もなくてそこまで行つておらぬということでございますが、そういう点も政府が考えてやらなければならないと思います。三箇月も六箇月も仕事もなしにきわめてシンプルな生活をしていると、思想も当然狂暴になる。そういう点どうお考えになつているか、御答弁を承りたいと思います。
 それから今の収容所の範囲をもう少し広くする必要がある。簡單な運動場がありまして、バスケツト・ボールをしたり何かしたりすることになつておりますが、あまり狭過ぎる。そしてひどい言葉でいいますと木もはえない。まるで砂漠みたいな運動場であります。あれに多少の気持を使いまして、居心地がいいようにしてやることがやはり政府のやるべきことであると思います。その点をどういうふうにお考えになつておるか御答弁を願いたい。
 最後に佐世保で見て参りましたことを申しますれば、佐世保におきましても駐留軍、アメリカの海軍に対していろいろ不平がございますが、全体の問題としては、佐世保は非常によく行つていると思います。佐世保の人たちの一般の考えを私の感じとして申しますれば、戦争中は日本の海軍基地であつた。ところが日本海軍がなくなつて将来どうなるだろうというところに朝鮮事件が起つて、アメリカの海軍が入り込んで来る。そうして経済状態もたいへん潤う。そういう点はむしろ感謝をする。そうしてアメリカの海軍はいつかよそに行くのじやないか、本国に帰つてしまうのじやないだろうかということを非常に心配しておるような状況であります。私は必要がなくなれば引揚げる、これはやむを得ぬことであるという話をいたしましたが、ただ事実を申し上げますと、そういう心配をしておりますと同時に、さつきから各地のいろいろな問題が申されましたが、私の言葉で言わせますと、結局アメリカ軍が中身のないたんすをたくさん持つている。将来たんすがいるかもしれぬからたくさん接収していて、実際に着物を入れようという人になかなか渡さぬという状況でございます。一例を申しますと立神の岸壁及び倉庫、これは実際に必要のないものですが、しかも駐留軍がそのまま押えていて使わせない、こういう例が相当ございます。それから石炭の貯蔵場、これが相当面積があいているにもかかわらず、日本側にはごく一部しか使用を許さぬ、こういう問題がございます。さらに佐世保の船舶工業株式会社のドツク、これも大部分は駐留軍に接収されて、実際必要がないにもかかわらず、あいたままにしておる。ああいうものを使わしてくれるとたいへん助かる。そこで現地でもずいぶん交渉しておるらしいのですが、なかなかうまく行かぬということでございます。佐世保の一般の言を聞きますと、結局佐世保は、大した貿易もできぬだろうけれども、将来やはり貿易で行かなければならぬし、もう一つはドツク工業で行かなければならぬ。そうするとアメリカが引揚げてしまうまでの途中に貿易あるいは船の注文を培養しておかぬと、一ぺんに引揚げられると、あくる日からだめになつて困るから、今から少しずつそういうことを考慮して使えるようにやつてくれというのは、向うとしては穏当な考えと思います。その点は別に御答弁はいりませんけれども、報告いたしまして困難なことだろうと思いますけれども、外務省で十分お世話をなさるように希望いたします。最後に申しますが、一般の市民の方とアメリカ軍との関係は、暴行事件ということもなきにしもあらずだけれども、私の観測では佐世保は相当円満に行つておるという印象を得て参りました。
 大村の入国管理庁の収容所について述べました私の意見並びに希望について政府の御答弁を、簡單でよろしゆうございますが、得れば幸いでございます。
#18
○鈴木説明員 大村の入国者収容所につきまして、守島委員におかれましては非常に詳細に見ていただきましたことを、当局といたしまして非常に感謝いたします。お話の点は一々ごもつともなことでございまして、われわれもまさにその通りに感じております。大村収容所は元来刑務所ではないので、韓国に返すべき人を船待ちさせておるのだという出発でございますので、嚴重なへいをめぐらすとか、嚴重な壁を置いて少人数で隔離しているというような考え方でなしに出発をいたしております。現在は収容力が千名ほどでございますが、これは船が順調に出まして、大村収容所に滞在しておる期間が短かく、ホテルみたいにどんどん泊つては舶に乗つて帰るというようなことになりますれば一番理想的なので、実はそういうことをねらつてつくつておるので、設備その他につきまして御指摘の点はまさにその通りでございます。最近の情勢につきましては、密入国者につきましては韓国側においては全面的に送還を受け入れております。またこちら側も送還をいたしております。ただ密入国者でない、手続違反者と申しまして、たとえば登録証明書を偽造したり、あるいは登録をしないで、あるいはその他窃盗したり、いろいろ悪いことをして懲役になつたというような、そういう手続違反者の体刑を受けたような人、そういう人々がやはり送還の該当者になつて現在来ておるわけでありますが、そういう人たちは現在日韓会談におきまして妥結に至つておりません関係で、一時送れないという状態にあるわけであります。従つてそういう人たちがだんだんたまりますと、お話のようにこの中には凶悪犯罪の人もあります。また破壊活動をやつた人もありますので、お話のような点で第二の巨済島になりはしないかというような御疑問もあるわけであります。設備につきましては、最近のかくのごとき情勢に対処いたしまして、大村収容所では足りない、もう少し大きな見地から拡張したいというので、入国管理当局といたしましては、一案をもちまして拡張計画を考えておるわけでございます。これが実現いたしますれば、ただいまのようなお話は解消いたすことと存じます。それから冬暖房設備がないということでございますが、これは一時火ばちを与えたことがあるのであります。しかし多少危険であるというのでその後やめたのでございます。これは本来スチームを通すきであつて、スチームをたくようなボイラーもあるわけであります。これは予算の関係で、予算さえもらえればできるという問題でございますので、その点は十分われわれの方としても気のついておる点でありまして、今後実現に努力いたしたいと思います。
 医療施設につきましては、貧弱ながらございます。お話のように、急病人であるとか、どうしても困るというものは、大村の市立病院に入れておるわけであります。そういう意味で万全の措置は一応はいたしておるわけでありますが、なかなか実際問題となりますと、御視察になりました通りの問題も起きると思いますので、今後拡張の機会に十分にこれは考えて実現に努力いたしたいと思います。
 検疫の問題につきましては、これは不法入国者の臨時衛生措置要領というものを厚生省方面と打合せをいたしまして、二十五年七月十一日に第一回の通牒を出しまして、ことしの三月に検疫法が改正になりましたので、それに合せますように三月四日に厚生次官その他国警長官とか、海上保安庁長官とか、あるいは私の名前というような四人の長官名で、府県、その他検疫所長であるとか、警察管区本部長であるとか、出張所、警察隊あるいは海上保安本部というような方面に通牒はいたしております。この内容は、要するに、十四日以内に帰つて参りました者については検疫の措置をとるということでございまして、一応そういう措置を終つた者が大村の収容所に入つて来るという関係でございますので、すでに検疫的措置はとられておつたかどうかということについて、大村収容所の方においては十分な調査ができておらなかつたのではないかと思うのでありますが、一応そういう措置をとることになつております。またその通りに実施をいたしますように今後も監督をいたしたいと思つております。
 それから入つております収容者を、われわれの最初の計画では、一月に一回ずつ船を出しますので、それで返してしまうということになりますれば、そう大して小づかい銭であるとかいうようなこともあまり問題にならないのでありますが、長期でなかなか帰れないというような人たちに対しては多少気の毒な点が出て来ております。十分承知をいたしておりますので、これらの点に対しまして何か処置をとりたいということで目下研究をいたしておりますが、着物などにつきましては、お話のように、夏入つて参りました者で冬まで置かれる者については、何とかめんどうを見てやらなければならぬ。かつてはやはり同じような問題が起きまして、内地に縁者がありますれば、縁者の協力差入れということをもちろん認めておつたわけでありまして、全然日本に縁者がないというような者につきましては、衣服を相当程度貸与いたしましたり、めんどうを見てやりましたような例はあるわけであります。今後ともそういう点が相当数上ることと覚悟いたしまして、この点について準備をいたしたいと思つております。内職でもさせたらどうか、タバコ銭にでもなるではないか、これもお話の通り一月以内で帰る者については問題ないのでありますが、長くおります者についてはやはり十分研究しなければならぬ。これもなかなか名案がないので困つておる次第でありますが、御趣旨のように努力いたしたいと存じます。
 運動場が非常に小さい。これは最初もう少広いものをわれわれも期待しておつたのでありますが、国有財産の既存建物を利用したという関係で、今ぎりぎり一ぱいの広さになつております。将来拡張計画を持つておりますから、その際には十分考慮できると思いますが、現在におきましてもバレー・ボールくらいはできる。連中も十分運動もいたしておりますが、ただ索漠としておるという御批判はその通りでありまして、花を植えますとか、その他十分めんどうを見たいと考えております。
#19
○山本(利)委員 ちよつとただいまの御答弁に関連して御質問申し上げます。私も昨年大村の収容所を視察して来たのでありますが、当時は三百名ないし四百名たまると送還されておつたのでありますが、先ほどの御報告によりますと、現在では約千名からたまつておるということであります。こういうふうになりました原因についてちよつと承りたいと思います。
#20
○鈴木説明員 千名と申しましたのは、収容力が千名であると申しましたので、二十五日現在では五百八十九名おります。近く送還をいたしますので、これは半数以下に減るものと思つております。
#21
○山本(利)委員 大村の収容所から送還いたします場合には、一応小船に乗せてさらに本船に移さなければならぬという非常な不便があるのでありますが、当局においては、この収容所をやはり現在のところで整備拡張される予定でありますか、あるいはその他の場所へ移転する予定でありますか。現在のところでは、この戦災を受けたあとがまだ非常に拡張の余地があるように見受けましたけれども、根本的に考えて、その場所はあまり適当でないというふうにも見たのでありますが、その点についてのお考えを承りたい。
#22
○鈴木説明員 拡張の計画はいろいろあるのでございまして、必ずしも大村だけを拡張するというつもりでもないのであります。大村も拡張し、またほかにも設けたい、かように考えております。
#23
○山本(利)委員 この密入国者が送還される場合においては、韓国政府においてもこれを受取るということでありますが、南鮮からの密入国者というものは当然そうでありますが、北鮮から密入国する者もありますか、現在においては北鮮からはないものでありますか。あつた場合においては、それの送還について韓国政府との関係はどういうことになつておるか、その点について承りたい。
#24
○鈴木説明員 北鮮から直接密入国をして参るという例はほとんどないように存じます。ただ現在におきましては、日本政府といたしましては、朝鮮半島においては韓国政府が唯一の政権であるという建前で考えておりますので、朝鮮半島からの密入国者は全部韓国政府に引渡しをいたしておるわけであります。また韓国政府自体も、自国民であるということで引渡しを承認して受けておるわけであります。
#25
○仲内委員長 山本君、まだ質問の通告がたくさんありますから簡単にお願いいたします。
#26
○山本(利)委員 この密入国は、昨年度までには同じ人が何回もした。はなはだしいのになると一人で七回も八回もして、送り返すとまた出て来たというような者がありましたが、そういう者に対してやはり同じような取扱いをされるか。私は本会議で、そういう場合においては、第二回目からの送還の費用その他は韓国政府の責任によるものではないかというような発言もしたことがあります。この点と、もう一つは、最近送還する者が、密入国者の送還と、あるいは国内の法律を破つて騒擾とかその他によつて日本が強制送還したいと考える者とのその数の比較、そうしてそれらの日本の法律にそむいて強制送還される者が、この前の外国人登録令とかあるいは出入国管理令の場合に論議されたのでありますが、国籍というものをはつきりせずに、ただ朝鮮人として記載することを許されている。そういう場合に、この送還する場所は韓国政府であるけれども、これが自分の国民でないからといつて受取らない場合があり得ると考えるが、そこらの点についての御答弁を願いたい。
#27
○鈴木説明員 現在におきましては、送還をいたしておりますのは、ただいま申しましたように、全部韓国人であるという意味において韓国政府と話合いをいたして、リストを向うへ渡して受取つてもらつておるわけであります。それから手続違反その他ただいまお話のような不穏分子というような者について、まだ具体的に送還をいたした例はないのであります。法律の適用は、四月二十八日以降にそういう問題が起きた場合に適用されて、しかる後に送還がきまつたものについて行うということになりますので、まだその適用を受けたものはございません。現在まで送つておりますのは、昔の外人登録令の違反者であるという意味で送つておるわけであります。その中には密入国をしまして、そしてスパイ行為であるとか、あるいは騒いだというようなことで、併合罪として懲役上の刑を受けたというものは若干あるわけであります。しかしそれは悪質と申しますか、破壊活動というような意味の悪質なものは、そうたくさんはないと思います。
#28
○山本(利)委員 再三続けて密入国したものについては、どうですか。
#29
○鈴木説明員 密入国を何回もいたしますものは、つまり外人登録令違反を何回もした累犯という意味で刑罰を重く与えております。罰金刑で済んでおりますものが、二犯、三犯となりますれば、懲役一年というようなことになりまして、懲役の面で重く扱つております。
    ―――――――――――――
#30
○仲内委員長 次に国際情勢等に関する説明聴取の件に移ることといたします。
 本件に関しましては、外務当局から別に説明もございませんようですから、ただちに質疑を行うことといたします。外務大臣は緊急閣議で、文部大臣もいまだ出席されません。時間ももうあまりありませんので、御質疑は各自五分程度にお願いいたします。佐々木盛雄君。
#31
○佐々木(盛)委員 私は神戸におけるイギリス水兵の強盗事件に関連してお聞きをいたしたいのでありますが、大臣が折あしく緊急閣議のため、やむを得ず御出席になりませんので、主として條約局長について法律上の問題につきまして、ないしは国際慣行の問題等につきまして、承つておきたいと思います。
 まず第一には、今度のイギリス水兵の強盗事件に関しまして、この国際法上の一般論から考えまして、今度の場合における裁判管轄権は、当然日本側にあるという主張にわれわれは立つておるわけであります。しかし一面またいろいろな国際慣行の立場から考えますと、かくのごとき場合においては、国際慣行上、犯人を引渡しておつたということもあるわけであります。これに対する説は、必ずしも一本にまとまつていないようでございます。国際法上の立場から申しますと、あくまでもわれわれは、裁判管轄権は日本側にあるという主張が多数説になつておるように考えるわけでありますが、まず今度の事件に関しましてわれわれは、新聞を通じ、イギリス側の日本側に対する抗議について仄聞いたしておるにすぎないのでありますが、イギリス政府側から正式に、いかなる根拠に基いて犯人の引渡しを要求して来たかという、イギリス側の日本政府に対する申し出を御説明願うと同時に、この裁判権をめぐつて、日本外務省はいかなる見解を持つておるかという点につきまして、明らかにしていただきたい。
#32
○下山説明員 ただいまの佐々木委員の御質問の要点は、神戸の英水兵事件に対する裁判管轄権は、法律上いずれにありや、その点に関連して、英国はいかなる主張をなし、日本政府の見解はいかなるものであるかという点に帰着いたすと思うのであります。しかし新聞で報ぜられておりますように、本件は軍艦の乗組員が陸上におきまして、公務と全然関係なしに行つた犯罪でございます。従いまして、国際法上他数説は、かかる犯罪に対しては所在国の裁判管轄権が及ぶという点においては一致しております。ただ国際礼譲の問題といたしまして、かかる場合に犯人が軍艦に引渡されたという例はあるのでございます。これは英国側も主張しておりますが、軍艦の乗組員というものは、きわめて限られた人員からなつておる。大砲一門について六人の水兵が立つておるとしますと、そのうち二人がいなくなるということは、軍艦の能率にすぐ影響する問題である。従つて軍艦の乗組員に対しては、たとい陸上で公務と無関係な犯罪が行われても、軍艦の方から身柄を請求いたしましてその請求に応じて出した例はございます。旧日本海軍の軍艦が外国で同様な事件を行いました場合におきましても、艦長の方から所在地の警察なり司法当局なりに、身柄の引渡しを求めまして返してもらつた例もある。しかしながら、旧軍艦外務令によりましても、艦長は身柄の引渡しを要求することを得、しかしながらこれを強要することを得ず、つまり国際法上は、かかる陸上の公務と無関係の犯罪は、所在国の裁判管轄権に属するものであるということを認め、ただ礼譲として、先ほど申しましたような軍艦の乗組員の性質にかんがみまして、国際礼譲といたしまして、これが引渡しを受けるということはできる、そういうように旧帝国海軍の軍艦外務令で規定しております。従いまして、純粋の国際法上の立場と、国際礼讓の立場と、二つの観点があるわけであります。しからば英国の主張はいかなるものであるかという点でございますが、御承知のように目下本件は日英間の機微な外交問題になつておりますので、現在私詳細を申し上げる自由を持たないのでありますが、私どもの得ております印象では、この国際礼讓として認められておるところを、法律上の権利として、イギリス側が考えておるところに困難があるのではないかと思うのであります。従いまして先方は権利として、先方に裁判管轄権があり、そして日本側の裁判管轄権を否認するという態度に出ておりますために、本件の解決が非常にむずかしい、そういうような印象を得ております。日本政府といたしましては、在日国連軍につきまして日米行政協定のような特 のとりきめができておりませんので、当然目下の段階におきましては、国際法上の原則に従つて処理すべきものと考えまして、かつそのように国際法上の原則に従いまして、本件に関する裁判管轄権は日本側にありという主張をなしておる次第でございます。
#33
○佐々木(盛)委員 そういたしますと、裁判管轄権をめぐつて、日本側の主張とイギリス側の主張というものは根本的に対立をいたしておるわけであります。裁判管轄権が日本側にありという主張は、イギリス側において認めぬ。国際礼讓の立場から犯人を引渡してくれというのではなくして、日本側には裁判権がないのだという根本の考え方に立つておるということが大体明らかになつて参りました、すると先ほどお話にありましたが、軍艦の乗組員以外の一般のイギリス兵隊というものに対しても、イギリス側におきましては、日本側には裁判権がないのだ、すべての日本にいるイギリス兵に対しては、イギリス側が裁判権を持つているのだ、こういう主張に立つておると思いますが、そうでございましようか。
#34
○下山説明員 軍艦乗組員以外の在日英軍兵士の犯罪につきましては、いまだ外交交渉の問題になつたものはございませんが、呉市等におきまして双方の司法官憲の折衝をいたしております状況を見ましても、英国側は陸上のすべての犯罪について日本側に裁判管轄権なし、英国側にありというような主張をしている事実を聞いたことはございません。
#35
○佐々木(盛)委員 私はこの間呉へ行つて現地を見て参つたのでありますが、現地に行きますと、先ほど私も数字を読み上げて―忘れてしまつたのでありますが、イギリスの軍当局と日本の警察当局とが非常に協力をいたしまして、犯罪の検挙の件数が非常によろしいわけであります。それによりますと、起訴したものは今のところないようでありますが、まだ取調べの過程にあるものが二、三あるようであります。しかしながら少くとも日本の検察庁におきまして検挙して書類を送つておるというのは今までたくさんあるようであります。やはりイギリス側においてはこういう呉の問題につきましても、裁判権は日本側にない、イギリス側が持つておる、こういうふうな見解に従来でも立つて参つたのであります。たまたまここに協力局長もおると思うのですが、局長も呉の問題についてはよく御承知だと思いますが、いかがでありましようか。
#36
○下山説明員 私どもの受けております報告によりますと、呉で犯罪事件が起りました場合に、身柄の問題は別といたしまして、日本側の警察あるいは検察庁で取調べをする際に、先方は何度も日本側の官憲の手に身柄を引渡しております。と申しますことは、先方も日本側の裁判管轄権を認めておることを前提とするものと了解しております。
#37
○佐々木(盛)委員 今の條約局長の答弁ははつきりわかりませんが、日本側に裁判管轄権があるということをイギリス側が認めておるというのですか。逆でしよう。
#38
○下山説明員 日本側の警察なり、日本側の検察庁の取調べのための引渡し要求に応じまして、先方から将兵の身柄を日本側に引渡しておるのでありますから、当然その前提といたしまして日本側に裁判管轄権があるという考えでなければ日本側の引渡し要求に応じられないわけであります。そういう前提に立つものと了解いたします。
#39
○佐々木(盛)委員 そういたしますと、神戸水兵事件に対するイギリスの態度というものと、その他呉地区などにおける態度とは根本的に対立すると思いますが、いかがでしようか。
#40
○下山説明員 国際法上軍艦につきましてはまた特殊な地位にございまして、軍艦は一国の威厳を代表するものであり、また先ほど申しましたような乗組員は艦と一体となつて特殊な軍事上の要請の上に立つものであり、かつ軍艦乗組員を無制限に諸外国が取調べるということは、軍の機密保持上その他の考慮からしておもしろくないという種々の角度から、軍艦の特殊の地位は国際法上認められておるところと思います。
#41
○佐々木(盛)委員 吉田書簡が五月三十一日にマーフイーにあてて発せられた。水兵事件は六月二十九日に神戸に発生いたしております。吉田書簡の内容は私は正式に知つたわけではありませんが、吉田書簡というものは国連軍との協定ができるまでの間の犯罪についての取扱いをきめたものでありますから、決して私は秘密にすべきではなくして、むしろ公に堂々と公表すべき性質のものであると考えるのであります。従つて外務当局におきましてはおそらくこれがもし吉田総理の名前において出されたものであるといたしますならば、日本の政府の責任において出したものであるといたしますと、当然この線に沿つて事件の解決というものが運ばれるものと思いますが、マーフイーにあてられた書簡というのを特に今日まで発表しないでおるというのはいかなる理由に基くのか。
#42
○下山説明員 五月三十一日に吉田総理からマーフイー米国大使にあてて出されました書簡は、講和発効後国連軍協定の成立に至るその間の事態を処理するため、政府が政府として当然有する権限内での取扱い方針を一方的に日本側から通報したものであります。しこうして交渉の段階におきまして、日本側から発しました書簡を、相手国側の同意なしに日本側の都合だけでかつてに発表するということは、国際信義にもとることになりますので、その点はまだその段階でないと思います。従いましてその内容につきましても詳細申し上げる自由を持たないのであります。
#43
○佐々木(盛)委員 そこで今度の神戸における事件は、重要な犯罪というよにお考えになりますか、いかがですか。
#44
○下山説明員 いろいろな角度からの見方によりまして、重大であるかないかという判断が異なつて来るかと思いますが、わが司法当局は重大な犯罪と本件をみなしておるようであります。
#45
○佐々木(盛)委員 私はこの吉田書簡の内容について、あなたが発表する段階でないと言われるならば、その内容を詳しく聞こうとしても無理でありましようが、しかしこの吉田書簡の線に沿つて事態の解決が進められるということはもとより当然想像されることであります。この提案の内容を詳しい一條々々を知らなくても、こうした問題が起きたときには両国政府間において話合いをした上で、友好的関係からいつて犯人の身柄を引渡しましようという趣旨に立つたものであると私は思うのです。ところが今日までの段階においてそういう問題の解決策について、イギリス側と日本側との間において話合いが進められたかどうかという点を承りますと同時に、私は時間がないということを催促されておりますから申し上げませんが、もう一つにはこういう事件のために大局的な日英関係に、間接的ではありましても非常に重大な影響を来さないとは保証できないと思います。もとより法理論上の立場から申しますと、国際法上多数説に従つて日本の説が正しいということは認めておりましても、この問題にあまりにこだわる結果、法理論のみに終始して、遂に事件そのものの解決ができないという結果が、日英両国の国交の上に重大な影響を及ぼす。たとえばまだ千何百名残つております戦争犯罪人の減刑、釈放等の問題につきましても、これは友好諸国との間の協力、友好関係にまたなければならない。あるいはガットの加入に関しましても、イギリス側が現に難色を示しておるというときでもありますし、かつは朝鮮戦線では現に血を流してイギリス軍隊が戰つておるという現状でもありますし、また将来は日本の自由主義国家陣営の一員として、日本の協力すべき立場という点から考えますと―法理論の原則を主権国家として曲げることはできません。これはあくまでも正しい主張は通さなければなりませんが、一面そういうことにのみとらわれてしまつて、かんじんの問題の解決が、第二次的、第三次的になつて参りますと、取返しのつかないことになりはせぬかという心配を私は持つものであります。従いまして政府といたしましては、この問題の積極的な解決策について、もう法理論の段階から一応進めて、いかにして事件の解決をするかという点について進むべき段階にあるのではないかと私は思いますが、政府のこの問題を解決するにあたつての具体的な構想というものを、どうしようかというお考えをお持ちになつておるかということを、あわせてお願いいたしたいと思うのであります。
#46
○下山説明員 最初の今回の事件と吉田書簡との関係の点でございますが、吉田書簡の全貌は御説明いたし得る地位にございませんが、ただ裁判管轄権に関しましては、在日国連軍兵士の犯した犯罪については、冒頭におきまして国際法の原則に従つて定められると書いてございます。従いまして先ほど申しましたように、本件は国際法上は明らかに所在国の裁判管轄権に帰属すべきものでありますから、吉田書簡と先ほど申しました日本政府の見解並びに日本政府のとつております態度とは何ら矛盾いたしてはおらないのであります。この件につきまして日英間にどういうラインで交渉が行われますか、あるいは今きわめて交渉が機微の段階にございますので、詳しく申し上げられませんが、大体軍艦が水兵の身柄を非常に重視するという点は明らかでございますので、身柄の点で日本法令の許す範囲内で何らかの国際的解決に到達するようにという趣旨で折衝いたしておる次第でございます。
 最後の本件と日英全般の国交関係との問題につきしましては、私ごとき者のお答えする限りでございませんが、ただ本件に関する限りは、なるべく早く円満な解決をつけまして、爾余の両国間の懸案に影響のないようにいたしたいと事務当局といたしても思つておる次第でございます。
#47
○仲内委員長 小川半次君。
#48
○小川(半)委員 佐々木君と多少ダブる点があると思いますが、これは問題がそれだけ重要な問題ですから御了承願いたいと思います。吉田総理がマーフイー大使に書簡を差出した際、あなたはその書簡の作成にタッチされたかどうか、この点をちよつと明らかにしてほしい。
#49
○下山説明員 吉田書簡の発出されましたときは、私はまだオランダから帰朝したばかりで、事務引継ぎ前でございまして、全然タツチいたしておりません。
#50
○小川(半)委員 その後あなたは條約局長としての立場から、その内容を明らかにしてほしいということを総理に申込まれたかどうか、その点を聞かしていただきたい。
#51
○下山説明員 総理にお願いするまでもなく、條約局長といたしまして当然その内容のみならず、テキストも持つてよく存じております。
#52
○小川(半)委員 それでは内容をよく存じているあなたが、どうしてその内容を詳細に発表することができないのであろうか、今日まで総理大臣はもちろん外務大臣でも、外務当局でも、国会の本会議あるいは委員会の席上におきまして、外務当局は決して秘密外交はやつていない、いかなる場合であつても国民に納得の行くような態度をとつているということを、ことさら声を大にして外務当局の人たちが言つて来ているのですが、その当局者のあなたがその内容をどうしても発表できないのか、ここにやはり大きな疑惑を国民が持つと思うのです。この点を明らかにしてください。
#53
○下山説明員 先ほど佐々木さんの御質問にお答えしましたように、外交交渉中の案件につきまして、交渉の段階で発せられました文書を、一方の都合で発表するということは、国際慣例から申しまして、相手国に対する信義にもとることになりますので、発表できない次第でございます。
#54
○小川(半)委員 どうもその語はあなたのあいまいな詭弁かわかりませんが、われわれの聞くところによりますと、その書簡の内容が、あまりにも屈辱的な文面が羅列されているので、いまさら発表するということになると、これは国民の中から相当な吉田内閣初め外務当局に非難の声が大きくなるということをおそれて、これを極力隠蔽しておるというような情報もひんぴんとして伝わつておるのですが、さように解釈してよろしいですな。
#55
○下山説明員 吉田書簡にはお話のような屈辱的な点は一切ございません。
#56
○小川(半)委員 屈辱的な内容も何もないのに、回答できないというのですが、しかし私はさように解釈しております。
 そこで国民の一部では吉田書簡がわが国の司法権に圧力を加えるものであるという非難も大きいのですが、あなたはさようなことをお感じになりませんか。
#57
○下山説明員 吉田書簡は発出前に法務総裁はもちろん法務府の首脳部と十分協議の上発出されたものでありまして、また行政府の首長としての総理大臣が、日本法令に反するようなことを言うはずがなく、また言えるものでもございません。従いまして吉田書簡が司法部に圧力を加えるようなものでないことは当然のことであります。
#58
○小川(半)委員 吉田総理は書簡を出すにあたつて、木村法務総裁と御相談されたようなことをよくあなたが言つておられますが、しかし法務総裁が自己の管下の者に対して通達していることと、どうもわれわれが聞くところの書簡の内容とに大きな差があるようにわれわれは思つているし、また世間もそう見ている。どうも吉田総理の書簡の内容と法務総裁が自己の部下に命じていることとは食い違いがあるように思う。現に今までやつておるところを見ても食い違いがあるじやないですか。あなたはそれでも何らの食い違いがないと言明されるのですか。
#59
○下山説明員 法務総裁、正確に申しますと清原刑政長官が部内に通達しましたものは、吉田書簡の部内への実施のための通達でございまして、吉田書簡の原則を部内に徹底させるための通達でございますので、矛盾しようがございません。
#60
○小川(半)委員 大体こういう不手ぎわな問題が起つたのも、これは国連との正式な協定ができていなかつたことにも大きな原因があると思うのです。そこでたしかイタリアなどの例をとりますと、正式な国連との協定ができ上るまでは暫定的な協定を結んでいるようですが、わが国においてその暫定的な協定を結ぶ用意がなかつたのですか、一体外務当局は今日までどうしていたのですか。
#61
○下山説明員 対日平和條約発効前から発効後の在日国連軍の地位に関しまして協定を結ぶような話合いはいたしておつたのであります。従いまして、もし発効後に始まりました話でありますなら、お話のような暫定協定のことも考えられますが、実は発効前から続けておりますので、暫定協定の問題が起る余地がなかつた次第でございます。
#62
○小川(半)委員 持ち時間がないので私はこの際申しておきますが、大体外務当局において国家の重要な問題を諸外国と折衝する場合に、これは日華條約の例を見ても、その他の例を見てもそうですが、あるいは吉田書簡とか、あるいは政府が国民の意思もくみとらず、あるいは国会の意見も徴さず、要するにワン・マン式に、あるいは協定する、あるいはかつてに書簡を出してしまう。出してしまつたあとから国会あるいは国民から非常にいろいろな反対の声やら、これに対するところのいろいろはげしい批判の声が起つて、あわててその内容をまた再検討したり、あるいはそれをくつがえさなければならないというような不手ぎわな醜態がしばしばあるようですが、こういう乱脈状態では国民はほんとうに安心することができない。信頼することができない。従つて今回の問題においてもそういうことが起つて来るのであつて、今後はもつと愼重に、とにかく乱脈のないようにやつて行かなければならぬと思います。大臣が来たら徹底的に申し上げるつもりでいたのですが、あなたにあまり強く申し上げてもしかたのないことですが、その点十分の御注意を願いたいと思います。
#63
○仲内委員長 並木芳雄君。
#64
○並木委員 ぼくは大臣が来てからあとで……。
#65
○仲内委員長 それでは菊池義郎君。
#66
○菊池委員 野党の諸君の質問はあげ足とりばかりですが、私の質問はいつも建設的な質問です。
 艦艇貸與のことについてアメリカの議会で決定しておりますが、この艦艇を日本でアメリカから借りるについては、国会の承認を求めるつもりでありますか、求める必要がないと思いますか。
#67
○下山説明員 艦艇貸與につきましてただいま行つております交渉がどういうものになつてまとまりますか、まだ交渉中で確定しておりませんが、国際條約になりますれば、当然国会に付議いたしまして、国会の承認を求めることになると思います。
#68
○菊池委員 それから外務大臣は太平洋同盟につきまして日本としては何らまだ考えていないということを言つておられますが、そういうふうな消極的な考えではいかぬと思うので、今日よりどしどしそういう防衛同盟ができたら日本も参加したいという意思表示を前もつてしておくことがよろしいと私は考えるのですが、政府の見解はどうでありますか。
#69
○下山説明員 太平洋同盟の先方側自体の考えがまだ実にあいまい模糊の段階にございまして、まだ日本側としても何らの意思表示をする具体的の対象とすらなつておりませんので、日本政府当局といたしましては、いろいろの考案を部内で研究はいたしておりますが、対外的に意思表示すべき段階には到達していないと思います。
#70
○菊池委員 何も問われないのに意思表示をする必要もありませんが、今日よりしてその気構えがなければならぬと思う。それでなければ国民としてもまことに不安にたえない。今日の国家の防衛というものは、一国の力によつてとうていできるものではないのでありますから、そういう同盟ができる場合には、当然日本も参加したいということを、今日より意思表示しておいてちつともさしつかえないと思うし、何の支障も起り得るものではないと思いますが、そういう点についてどう考えておりますか。
#71
○下山説明員 本件は私の主管ではございませんので、いいかげんなことをお答えしますといけませんから、私からの答弁は差控えたいと思います。
#72
○菊池委員 それから引揚げておる小笠原島民の六千人の小笠原帰還の問題について、外務大臣からずつと前に連合国大使にもう申し込んであるはずですが、その後の回答はありませんか。それからもう一つ、日本の駐米大使の言ずけとして出したということを前にこの委員会において言われましたが、その後駐米大使の方から何らの通信もありませんか。
#73
○下山説明員 ただいまの問題も私の主管外でありますので、いずれ主管局長から御説明申し上げたいと思います。
#74
○菊池委員 どなたでもけつこうです。――それでは終ります。
#75
○並木委員 大臣がなかなか来そうもありませんから、先に局長にちよつとお尋ねをしておきますが、デニング大使から吉田書簡に違反するものであるという抗議が来ておりますか。
#76
○下山説明員 デニング大使の書簡も、先ほど申しましたと同じ理由で、まだ内容を申し上げる自由を持つておりませんが、吉田書簡に言及しておることは事実でございます。
#77
○並木委員 さつきの局長の答弁を聞いておりますと、国際法あるいは国際慣習について根本的に英国と日本と違いがあると思う。これは法的な解釈でありますけれども、私は非常に重要な問題だと思う。局長の答弁によりますと、英国の方は権利としてこれを主張しておる。日本の方はこれを国際礼讓であると解釈しておる。この食い違いに対しては、はつきり日本の立場というものを回答できるわけだと思うのですけれども、それは回答するつもりですか、どうですか。
#78
○下山説明員 対英回答につきましては、目下案を作成中で、遠からず発出の運びとなると了解しております。
#79
○並木委員 その点はつきり日本の立場を主張するつもりですか、どうか。
#80
○下山説明員 まだ発出いたしません書簡について、あらかじめ申し上げるわけに行かないのでありますけれども、当然言及することになると存じます。
#81
○並木委員 英国が当然の権利であるという主張をした根拠はどこから出て来たか、それは條約局長にわかりませんか。たとえばアメリカには属人主義を許しておきながら、英国にはこれを許さない、国際連合軍との協定において、その実現ができそうにない、これが不公平な扱いであるとか、あるいは吉田書簡によるものであるとか、英国が―こんな世界の大国が、多数説であるところの国際法あるいは国際慣習に基くものと違う主張をするはずがないと思うのです。しかるにその主張をする以上は、何か根拠があると思うのですけれども、局長としては、その根拠について心当りがないかどうか。
#82
○下山説明員 デニング大使の書簡の内容にただいま触れますことは差控えた方がいいと思いますが、今お話のような国際法の部面においての法律論は展開しておりません。
#83
○並木委員 私どもは、この春の行政協定においてアメリカに属人主義を許したというところに禍根があるのではないかと思うのです。今度、国連軍との協定の話合いをしておるそうですけれども、国連軍との間において刑事裁判権についてはどういうふうになるのですか。
#84
○下山説明員 国連軍の刑事裁判管轄権については目下交渉中でございまして、先ほどの裁判管轄権に関する根本的協定の締結をまたなければ解決いたさないと思います。
#85
○並木委員 日本としてはどういう主張をしておるのですか。
#86
○下山説明員 日本といたしましては、国会におきまする各議員の御主張並びに日本の学者の主張、輿論の求むるところを十分しんしやくいたしましてなるべくわが方の主張に近いものに持つて行きたいという心構えで折衝しております。
#87
○並木委員 それにはやはりアメリカとの間の行政協定を改めて行かなければなかなかむずかしいのではないかと思います。そこで例の軍隊の地位に関する大西洋締約国間の協定というのがありますが、あれをできるだけ早くアメリカについて効力が発生するように、日本の政府としては関係国にその促進を申し入れるべきであると思う。そのことをやつておるかどうか。もしやつてないならば、今後早急にそれをやるつもりがあるかどうか。
#88
○下山説明員 日米行政協定は米軍だけに関するものでございますので、それとは無関係に国連軍の取扱いを進めることができると思います。また北大西洋協定は日本が参加しておらない、外国同士の間の協定でありますので、それをいつ批准するか、早くせいということを日本から干渉がましく言うことはできないと思いますが、ただ私どもとしては一日も早く北大西洋協定が関係国によつて批准されまして、早く実施されることを希望しておるわけであります。
#89
○並木委員 それからさつきの答弁で感じたのですけれども、例の刑政長官清原通達というものが吉田書簡の線に沿つたものであつて、矛盾するものではない、矛盾の余地がないという局長の答弁であつた。それならば今度のようにこじれる理由は全然ないわけなのです。吉田書簡の線と刑政長官の線とが矛盾するものでないならば、政府の意のあるところは、検察当局においてもわかつているはずだしいかに司法権は行政権から独立しておるといいながら、事対外関係のことですから、私はこうこじれることはあり得ないと思う。しかるに当の検事総長の佐藤さんでさえも、あらためて声明などを発表して、何ら外交折衝に拘束されないというようなことを言つておる点は、非常に不可解なのです。私はやはり吉田書簡と刑政長官の通達とはそこに矛盾があると思うのであります。もし矛盾がないならば、どうして検察当局並びに司法当局に対しても、今まで局長が説明のあつたような趣を伝えて、これを吉田書簡の線に沿つて解決していただくことはできないのか、それを説明していただきたい。
#90
○仲内委員長 休憩いたします。
    午後零時十分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は開会に至らなかつた〕
ソース: 国立国会図書館
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