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1951/07/29 第13回国会 両院協議会・合同審査会等 両院協議会会議録情報 第013回国会 労働関係調整法等の一部を改正する法律案外一件両院協議会 第1号
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1951/07/29 第13回国会 両院協議会・合同審査会等

両院協議会会議録情報 第013回国会 労働関係調整法等の一部を改正する法律案外一件両院協議会 第1号

#1
第013回国会 労働関係調整法等の一部を改正する法律案外一件両院協議会 第1号
昭和二十七年七月二十九日(火曜日)
    午後二時二十四分開会
    ―――――――――――――
昭和二十七年七月二十八日衆議院議長において協
議委員を左の通り指名した。
      鈴木 正文君    西村 久之君
      島田 末信君    船越  弘君
      天野 公義君    金原 舜二君
      小金 義照君    柳澤 義男君
      福永 健司君    倉石 忠雄君
同日互選の結果、正副議長を左の通り選定した。
        議     長 倉石 忠雄君
        副  議  長 西村 久之君
昭和二十七年七月二十九日参議院議長において協
議委員を左の通り指名した。
      白波瀬米吉君    一松 政二君
      山田 佐一君    小林 政夫君
      波多野林一君    山川 良一君
      菊川 孝夫君    中村 正雄君
      境野 清雄君    堀木 鎌三君
同日互選の結果、正副議長を左の通り選定した。
        議     長 一松 政二君
        副  議  長 波多野林一君
    ―――――――――――――
 出席委員
 衆議院側
        議     長 倉石 忠雄君
        副  議  長 西村 久之君
                鈴木 正文君
                島田 末信君
                船越  弘君
                天野 公義君
                金原 舜二君
                小金 義照君
                柳澤 義男君
                福永 健司君
  参議院側
        議     長 一松 政二君
        副  議  長 波多野林一君
                白波瀬米吉君
                山田 佐一君
                小林 政夫君
                山川 良一君
                菊川 孝夫君
                中村 正雄君
                境野 清雄君
                堀木 鎌三君
 委員外出席者
        衆議院事務局側
        参事
        (委員部長)  鈴木 隆夫君
        衆議院法制局側
        法制局長    入江 俊郎君
        参     事
        (第二部長)  鮫島 真男君
        参議院事務局側
        参事
        (委員部長)  宮坂 完孝君
        参議院法制局側
        法制局長    奧野 健一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
○労働関係調整法等の一部を改正する法律案
○地方公営企業労働関係法案
    ―――――――――――――
会 議
    〔抽籤により倉石忠雄君議長席に着く〕
#2
○議長(倉石忠雄君) くじによりまして、私が初回の議長を勤めることになりました。どうかよろしくお願いいたします。
 なお、参議院の協議委員議長には一松政二君、副議長には波多野林一君、衆議院の協議委員議長には不肖私、副議長には西村久之君が当選いたしました。右御報告申上げます。
 これより労働関係調整法等の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法案について、両院協議会を開きます。両院協議会は、国会法第九十七条によりまして、傍聴を許さないことになつておりますから、協議委員及び協議会の事務を処理する各院の職員以外のかたがおられましたならば、御退席を願います。先ず両案に関する各院の議決の趣旨を御説明願つてから、協議に入りたいと思います。初めに衆議院側から、議決の趣旨並びに協議会を求めた理由について御説明をお願いいたします。
#3
○島田末信君 先ず衆議院として、両院協議会を求めました趣旨につきまして簡単に申述べたいと存じます。即ち今般の労働関係調整法案につきまして、参議院側におかれては慎重審議せられ、その結果相当の修正をなされたのでありますが、勿論我々といたしましては、この修正案につきまして、できるだけ尊重するという態度を以ちまして検討いたした次第であります。その結果、我々といたしましては、独立後の事態に対処し、労使関係を合理的に平和的に処理し、経済自立の達成と公共の福祉を保持する上において、若干の重要な点についてお願いすべきであるとの結論に達した次第であります。参議院側におかれても、慎重審議の結果御修正になられたことではありますが、この際もう一度、我が国における今後の事態を御賢察せられ、又実際上の法の運用の面に御留意せられ、衆議側の我々の意のあるところをお聞き取り願い、この協議会において更に適切な成案を得たいと存ずる次第であります。これが本協議会を求めた趣旨であります。
#4
○議長(倉石忠雄君) 次に、参議院側から御説明を願います。
#5
○中村正雄君 労働関係調整法等の一部を改正する法律案並びに地方公営企業労働関係法案に関しまして、参議院は、衆議院送付案に対しまして修正議決いたしたわけでありますが、修正の要点及び趣旨につきまして大要を御説明申上げ、でき得れば衆議院の各位の御同調を得たいと考えております。
 先ず労働関係調整法等の一部を改正する法律案に関しまして申上げますが、この法律案は、その内容は、労働関係調整法、公共企業体労働関係法、労働組合法の三法案に関しまして、それぞれ改正を加えようとするものでありまして、そのうち特に重要なものは労働関係調整法と公共企業体労働関係法に灯する一部改正であります。従いまして参議院で議決いたしました修正案で、重要な点もこの二つの法律に関するもりであります。この二法律の改正案に対する修正点を順次御説明申上げます。
 労働関係調整法に対する一部改正法案に関する修正の重要な点は、大体五点であります。即ち特別調整委員制度の必置制をとつておる政府案を任意制に改めたこと、申請却下制度を採用した政府案は、これを削除することにいたしました点、緊急調整制度の発動要件等を政府案より厳格にし、不当に労働運動の弾圧にならんよう公正を期して、この点から修正いたしましたこと、公益事業の争議に関する冷却期間制度を予告期間制度に改めたこと及び政府案の個人罰を団体罰の方針をとつておる現行法のように修正した点等がこれであります。
 次にそれぞれの修正の趣旨について申上げますと、第一の特別調整委員の任意制は、必置制をとりますと、各地方の実情に沿わない不便を生じますので、特別調整委員を置くか置かないかは、労働大臣又は都道府県知事の任意といたしまして、制度の運用に弾力性を持たせんといたした点であります。第二の申請却下の削除の問題は、かような制度を設けることなく、現行法の建前で、労働委員会の調整機能を十分活用せんといたしたことにあります。公益事業の争議に関する現行法の三十日の冷却期間は、争議権獲得の手段として調停申請をするため、本来の使命を果していないという見地から、収府は今回のごとき改正案を出して参りたのでありますが、申すまでもなく、調停の申請を却下いたすことによりて争議は解決されるものではなく、又労働委員会は、その有する調整機能を発揮することはできないわけであります。又あとで申上げますように、本修正案におきましては、緊急調整制度と争議の予告制を採用いたしましたため、この点から本制度の必要がなくなりました。よつて不当に争議権の制限になりますような政府案を削除いたしたわけであります。
 第三は、緊急調整制度の問題でありますが、修正案の基本的な考え方は、政府が今回の改正案を提案するに当つて、専ら諮問したして参りました労働関係法令審議委員会の公益代表委員の答申案を全面的に採用し、これに基いて原案を修正したしておることであります。緊急調整は労働法改正の最も重要なポイントであり、従しまして労働委員会のおきましても、いろいろ問題は出たわけでありますが、結局前に述べました公益委員の意見は、今日の日本の置かれた諸情勢を考慮し、問題を公正な立場から取上けたものとして、一応妥当なものであると考えて、これを採用するに至つたわけであります。政府案と修正案との主なる相違点は、緊急調整の決定権は内閣総理大臣にありといたした点、及びその決定に当つては、公益側委員五人以上の賛成を含む中央労働委員会の同意を必要とするといたしました点でありまして、軽々にこれを発動することを抑止すると共に、国民経済の円滑な運行と、国民の日常生活の安全を確保するため、必要な措置を講じ得るよう途を開こうという趣旨に出でたものであります。なお緊急調整は、その性質上当然緊急を要するものでありますから、政府より右の同意を求められたときは、中央労働委員会は遅滞なくこれを決しなければならないという一項を新設いたしました。繰返して申上げますが、この条項は、各派委員の間でも終始問題となつた難関でありましたが、慎重に審議いたしました結果、最も公正な見地から、修正案のように全会一致の結論を得たわけであります。
 第四点は、公益事業の争議に関する冷却期間を廃止いたしまして、別に十日間の予告期間制度を採用したしました点でありますが、只今特定の争議について緊急調整制度を取上けたことを申上げましたが、その規定と、現行労働関係調整法第三十七条旅行の現況と併せて検討したしました結果、最も実際的な見地から、たしまして、予告制に切換えることとし、抜打ちストによる弊害を予防すると共に、労働者の地位の向上を図るため、その労働基本権を尊重いたそうとした点であります。
 第五点は、改正案中の罰則規定が、労働組合の団体行動を中心に、その責任者を対象としておる現行規定を個人罰に改めておるという点を修正した問題でありますが、労働組合の団体行動が労働法上の制限範囲を逸脱するようなことがあてた場合には、その団体の責任者が刑事責任を負うのが本来の建前でありまして、政府原案に見るような改正は、全く了解に苦しむところであつたわけであります。従つてかような理由に基きまして政府案を削除いたしたわけであります。
 次に公共企業体労働関係法に関する改正案に対する修正点につきまして主なる点を申上げます。
 第一点は、公労法十六条に第三項を新たに設けまして、予算上、資金上不可能な支出を内容とする協定の締結がなされました場合、これが実現に当つての政府の態度に関し、当該協定の実現が国会によつて承認せられるように、でき得る限りの措置を講ずるように努めなければならない旨を明らかにいたした点であります。公労法の公正な運用については、従来からも長いこと論議されて参つたのでありますが、この修正条項がよりよき慣行の確立に役立つものであるということを我々は望んでおるわけであります。
 第二点は、今回の政府案により、新たに公労法の適用を受ける郵便、営林、印刷、造幣、アルコール専売等の事業に従事する現業の国家公務員に対する国家公務員法の適用除外の問題でありますが、政府案ではその範囲が極めて狭く、却つて無用の紛糾を生ずると考えられましたので、これを修正し、今後公労法の実際の運営による慣行の確立に任せ得るよう改めたのであります。公労法の適用を受ける現業国家公務員が国家公務員法における種々重複した規定の適用を受けることを離れて、即ち現業公務員が団体交渉又は労働協約により、みずからその外位の向上を図るため、改正法の趣旨が十分生かされるよう考慮してこの修正案は作られたものであることを特に附け加えておきたいと思います。
 次に神方公営企業労働関係法案に関しまする修正個所につきまして御説明申上げます。
 修正の第一点は、第一条の目的規定を本法案の趣旨に沿うよう明確にいたした点であります。地方公営企業労働関係法案は、神方公営企業とその職員の労働関係に関する法律でありますが、原案ではやや明確を欠きますので、その目的をより明確に表現しようとしたものであります。
 修正の第二点は、原案においては、地方公営企業労働関係法は、交通、電気、ガス、水道の事業で、地方公共団体の経営する企業の職員だけに適用するごとになつておるわけであります。この法案と表裏の関係にある地方公営企業法案では、一定の要件の下に、条例で事業の範囲を拡げることができるようになつておりますので、この場合は、その事業の職員にも地方公労法を適用するのが当然であると考えましたので、この趣旨に沿うて修正いたしております。
 修正の第三点は、条例に抵触する内容を有する協定が締結された場合における地方公共団体の長がとるべき措置が原案では不明確でありますので、その点を明確にいたし、これに必要な修正を加えたのであります。
 修正の第四点は、予算上、資金上不可能な支出を内容とする協定が締結される場合の措置に関するものでありますが、これは先に公労法の改正案に対する修正案の御説明に申上げたと同様の関係でありますので、それと同様必要な修正をいたしたわけであります。
 修正の第五点は、争議行為の禁止に関しまする政府原案から、共謀、教唆、扇動の行為を削り、職員の正当な組合活動が禁圧されることのないよう修正いたした点であります。
 修正の第六点は、単純な労務に雇用される地方公務員に対し、暫定的な措置ではありますが、この地方公営企業労働関係法を準用いたして行こうと考えた点であります。これら単純な労務者に対する法的措置を早急になさなければならないことにつきましては、労働大臣も委員会においてしばしば発言いたしておるところでありますけれども、委員会においても、この問題は、地方公務員法の規定、単純労務の性質等から考えまして、地方公労法を作るこの際、取りあえず右の形において取上げることが妥当であるとの結論に達したわけであります。
 大体以上が労働関係調整法等の一部改正に対しまする参議院の修正、並びに地方公営企業労一関係法案の参議院における修正の大要であります。
#6
○議長(倉石忠雄君) これにて各院の議決の趣旨の御説明は終りました。そこで双方の説明に対する質疑もあろうと思いますが、会期も切迫いたしておりますので、協議の際に併せてお願いするごとにいたしまして、これより協議に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(倉石忠雄君) 御異議がなければ協議に入ります。
#8
○島田末信君 この際私は、衆議院の考え方をいま少しく具体的に申述べてみたいと思うのであります。
 労働法改正三法案につきましては、参議院におかれまして慎重審議になりましてその結果、衆議院の回付案について相当大幅の修正がなされたのでありますが、衆議院といたしましても、参議院の熱心なる御審議には、衷心より敬意を払うと同時に、参議院の審議の結果については、もとよりでき得る限り重重すべきであると考えるのでありますが、慎重検討の結果、労働整準法の一部改正法案についての修正は、衆議院は目下これに同意を表すべき方向に意見をまとめる努力を続けておるのであります。併しながら労調法等の一部改正法案及び地方公労法案の修正の中の若干の点については、同意できない点があり、政府としても、労働問題の処理上どうしても動きのつかないような点のあることも明らかとなつたのであります。我々といたしましては、多少の不満はあつても、参議院の修正は、できるだけ尊重いたしたいと考えているのでありますが、参議院よりの回付案について、右のような見地から、労調法等一部改正法案及び地方公労法案については、誠に遺憾ではありますが、そのままではどうも応じ難いということに相成つたわけであります。
 右のような見地から、直ちに同意いたし難い点を具体的にここに申上げますならば、第一には緊急調整の点であります。緊急調整については、労調法第三十五条の二の規定を参議院で大幅に書き改められたのでありますが、そのうち特に緊急調整の決定について、中労委の事前の同意を要するとされました点に関しては、これは実際問題として、中労委の使用者或いは労働者いずれかの側の委員が一人も会議に出ることを拒否しましたならば、他の全部の委員が同意しようとしていても、会議が開けず、従つて中労委として同意を表明する方法がないということになるのでありまして、これでは緊急調整という制度が置かれていながら、実際にいざ必要という場合になつてみると、全くこの制度が動き得ないこととなる虞れが多分にあるのであります。緊急調整という制度を認めながら、それが実際上動き得ないというようなことでは、我々立法府として、そのような法律を作るわけには参らないのでありまして、その意味で、事前の中労委の同意という点は、我々としてどうしても同意いたしかねるのであります。この点は、中労委の意見を聞くという程度に改め、決定の責任は、やはり民主政治の基本原則に則つて、政府の責任でなすべきものとするのが至当であると考えるのであります。緊急調整に関する修正の爾余の点、例えば決定権者を内閣総理大臣にするとか、要件を更に厳格に表現するとかいう点につきましては、我々も別段異議はございません。
 第二に、公共企業体における協定と予算との関係であります。公共企業体労働関係法第十六条に定めている、予算上履行不可能な協定が締結された場合の措置につきましては、参議院の修正のごとく 政府が国会の承認を得るため、できるだけの措置を講ずるように努力する義務を課しますことは、政府を拘束せずという建前に反するのみならず、やはり国の最高機関たる国会の意思に対して、協定が不当に制限圧迫することになる虞れが多分にあるのでありまして、この点は、従来慣行上確立しているところに委ね、法文上は現行通りとすることが至当であると考えるのであります。
 第三には、国営企業職員に関する国家公務員法等の適用除外の点であります。公労法の適用を受ける国営企業の職員たる国家公務員については、団体交渉権を認めた趣旨から、国家公務員法その他の法律の若干の規定については、その適用を排除する必要があるのでありますが、この点について、参議院の修正のごとく、団体交渉又は労働協約を制限するような規定は一切これを排除するというような包括的な規定にいたしますと、考えようによつては、公務員関係法規の一切が適用されなくなるのでありまして、例えば欠格条項とか服務規律とかいうような、公務員たる身分に不可欠な規定も、又身分保障とか災害補償或いは恩給法のごとき保護規定まで一切適用がなくなることになるのでありましてこれでは公務員としての最小限の規律、秩序も保てなくなるし、又公務員の利益、権利をも不当に侵害することになるのでありまして、この点については、国営企業の職員といえども、公務員たることに違いはないのでありますから、公務員法規のどの規定が適用されざるかは明確にして置かなければならない。この趣旨から、適用除外の規定は、原案のごとく明確に列挙しておくことがどうしても必要であると考えるのであります。
 第四に、地方の条例と地方公営企業の協定との関係であります。地方公労法第八条は、条例に抵触する協定が締結された場合の措置を規定しているのでありますが、今更ここで申上げるまでもなく、条例はそもそも地方公共団体における法律なのでありますから、参議院の修正のごとく、条例に抵触する協定が締結されたときは、直ちに地方公共団体の議会に条例の改廃案を付議するとしますことは、協定が当然に条例に優先した効力を認めることになるのでありまして、住民全体の代表者たる議会の意思を不当に拘束することになるのではないかと考えるのであります。従つてこの点については、原案のごとく、このような条例違反の協定は、一応議会の承認を得て承認があつて初めて条例改廃の措置をとることとすることが至当であると考えるのであります。
 第五に、地方公営企業における予算上履行不可能な協定についての措置であります。この点に関しては、地方公労法第十条について、参議院において、公労法第十六条におけると同様の修正がなされたのでありますが、この点については、公労法の場合と同じく、原案通りとすることが至当であると考えるのであります。
 第六に、地方公営企業における争議行為に関する点であります。地方公営企業については、一切の争議行為が禁止されているのでありますが、参議院の修正では、原案におけるかかる違法の争議行為を共謀、教唆、扇動することの禁止規定が削除されたのであります。ところが御承知のごとく、公労法第十七条では、公共企業体について、争議行為及びその共謀、教唆、扇動は禁止されているのでありまして、地方公営企業についてのみ、かかる教唆、扇動、共謀の行為を特に許す理由はないのであります。而も争議行為を現実に指令する組合幹部は、いわゆる組合事務専従者であつて、公務員としての業務を行なつていないのであり、従つてこれらの者は指令を下すだけで、実際の争議行為には参加しないのであります。参議院の修正のごとくいたしまするならば、このような本当の責任者たる組合幹部は何ら処分を受けることなく、指令に盲従した一般組合員だけが処分されるという極めて不合理な結果を生ずることとなるのであります。従つてこの点については、是非とも原案通りの禁止規定を置いておく必要があると考えるのであります。
 第七に、地方公務員中の単純労務者の範囲についてであります。参議院の修正においては、それら単純労務職員について、地方公務員法を準用して、団体交渉権を認められたのでありますが、この点については、政府もしばしば単純労務者に対し、特別の立法措置を至急講ずべきことを公約しているのでありましてこの問題をこの際一挙に解決した参議院の修正の趣旨については、我々も大いに賛成なのであります。ただ単純労務者といつても、その範囲は必ずしも明確でなく、又その実情も極めて複雑なものがあるようであります。従つて単純労務者の範囲については、これを政令で定めることとして、疑問の余地なきものとすることが必要ではないかと信ずるのであります。
 以上七点に亙つて、参議院の修正中同意し難い重要な点を述べたのでありますが、その他の修正点につきましても、例えば調停申請の却下制をやめるとか、公益事業の冷却期間をやめて予告制にするとか等々、この際原案を支持する我々といたしましては、修正点につき十分に協議の上、虚心坦懐是非の論議を尽して、適正なる成案を得るために最善を尽したいと考える次第であります。
#9
○議長(倉石忠雄君) 如何でございますか。何か御質疑でもございましたら……。
#10
○中村正雄君 只今衆議院側の協議会を求められました項目につきましての御説明がありましたので、一応協議するという前に、御説明につきまして、わからない点は質疑いたしたいと思います。
#11
○島田末信君 ちよつと質疑に入る前に、いろいろ法の適用とか運営関係もありましようし、又十分論議を尽す点から、労働大臣を必要があつたらこの際お呼びを頂きたいと思いますが……。
#12
○議長(倉石忠雄君) 一応如何でしようか。参議院側のお話を承わつて……。
#13
○中村正雄君 第一の緊急調整の問題につきまして、参議院で修正いたしました中労委の事前の同意ということが、中央労働委員会の成立のためには、労使、公益第三者側の委員がそれぞれ最低一名出なければ成立しな い。従つてこういう状態の下において緊急を要するこの緊急調整の請求があつた場合に、三者のうちいずれか出ない場合にも、この緊急調整の発動はできない。従つて事前の同意は困るというのが緊急調整に関しまする第一の意見だろうと思うのであります。ところがそういう議論になりますると、これは中央労働委員会の存在自体を私は否認する結果になるのじやないかと思う。従つてお尋ねしたい点は、現在の労調法の十八条の第五号に職権調停という制度があります。労働大臣若しくは都道府県知事が争議につきまして職権で調停をする、こういう場合が現在ありますが、その場合今おつしやいましたような場合を想定するとすれば、仮にそのときに労働側の委員が出なかつたり、使用者側の委員が出なかつたりする場合は、十八条の五号の規定は空白になつて来る。従つてそういう不可能性を想定して、従つて参議院の修正には危険がある。危惧の念があるということは、ひいては現在の中労委の存在を否認するという結果になると思うのですが、現在の労調法の十八条に、現在の中労委につきまして、或いは地労委につきましてのいろいろの調停機能をきめておりますが、この点につきましてやはり三者構成であります関係上、いずれか一方が出席しなければ、十八条の規定は全然仕事をやれないということになるわけなんですが、今十八条のこの規定につきまして、そういう危惧の念がおありかどうか。根本問題でありますので、お尋ねしたいと思います。
#14
○議長(倉石忠雄君) 衆議院側で、どなたかお答えになりますか。
#15
○天野公義君 只今参議院側さんのお話でございますが、中央労働委員会が緊急事態を判定するということ、これはそのように円滑に行けば或いはいいとも考えられますけれども、根本的には、この緊急事態というものは、国民に対して重大なる影響を及ぼすものであるから、根本的な考え方としては、政府が責任をもつてやるということがまず大切であるという点が一つ。それから中央労働委員会が緊急事態を判定するという、判定するに行くまでの過程において、又相当の紛糾を予想するということも考えられる。その場合に相当の紛糾が行われれば、時期を失するということも考えられる。又法制上から言つても、中央労働委員会は国会によつて選任せられたものでもなし、直接国民に対して責任を持つという機関でもない。従つてそういうようなことを考えた場合に、この重大な決定を中央労働委員会に委すということは少し不当ではないか。従つて国会及び国民に一番責任を持つ政府がこの決定を下すということが正しい行き方である、このように考えます。
#16
○中村正雄君 私の質問しましたのはそういう点じやなくて、今島田君からの御提案によれば、緊急調整制度の発動について、中労委の事前の同意ということにすれば、中労委が成立しない場合は全然同意を得られない。従つて緊急調整は事実上発動できなくなる。この懸念のために同意は困るので、やはり行政機関の責任者である政府が発動するものとして、さしずめ中労委の意見を聞きたいというお話です。勿論あなたの御説明のように、労働争議に権力機関が入るかどうか、これは見解が二つに分れると思います。私は、行政の責任は政府にあるから、労働争議のいわゆる禁止、或は調停も、政府がその責任においてやるべきであるという説に対しましては、ちよつと承服しがたい。私は、やはり労働争議については、権力機関は介入すべきでないという見解を持つている。これは見解の相違で別ですが、御質問いたしておりますのは、中労委の同意であれば、三者構成の一が参印しない場合はできない、こういう御懸念で言われているのですが、ところがそういう考え方は、そういう場合があり得るといたしましたならば、中労委の存在は全然否認されるようなことになりはしないか。かような緊急調整制度を、政府原案によりましても、緊急調整はこれは労働大臣がやります。併しながらその争議の解決は中労委がやる。そのときの中労委の中の労働者側の委員、経営者側の委員が全然出席しなかつたら、五十日の争議期間の、いわゆる禁止期間の間におきまして全然調停はできなくなる。そうした政府原案から考えても、島田君と同じ懸念が出て来る。又十八条の問題でも、すべて職権の調停がある場合は同じ結果が出る。従つて緊急調整だけに、三者構成のうちの一つが欠けた場合はできなくて、それが又できるというお考え方、この考え方が私には承服できない。その点はどういうお考えか、その点を質問しておるわけです。
#17
○島田末信君 これはお説尤もな点もありますが、ただ我々の考え方といたしましては、労調法第十八条の職権調停を想定する場合の事態と、それから緊急調整で以て事態を処理しようとする場合の事態と、ここに相当我々が想像する範囲内においても、出来事が違うと思う。そこで緊急調整といつたようなものは、いわゆる伝家の宝刀として抜かざるをよしとするので、我々もなるべくそういう事態の発生せざることを大いに願うと同時に、それから万一発生した場合、これは恐らく非常事態とか、それに準ずべき事態ということは想定されると思う。そこで職権調停でなし得るようなこの対象とすべき事態と、この緊急調整が想定する事態との開き自体が、即ち同意ができるかできないかということに対する一つの危惧の念もそこから生れて来る。そこで事実に即した、我々がここに一つの想定からその処理をする場合に、緊急調整の場合は、同意という文句を、ここに字句を使つておつたのでは、到底その収拾はでき難いのではないかということが想像される。そこででき得れば、意見を聞きたいという所へ持つて行つて、事態を速かに収拾するというのが我々の考え方です。
#18
○中村正雄君 十八条の職権調停の場合と、今度新たに政府が考えておりまする緊急調整の場合は事態が違うから、そこにやはり若干の予想の範囲もくるつて来ると、こういう御答弁でありまして、その点は一応そういう場合も考えられるかも知れません。
 次は現在の政府原案におきまして、先ほど申上げましたように、政府原案におきましても、緊急調整は労働大臣がやりますけれども、五十日の間争議を禁止して、その間において中労委が調停をすると、こうなつておるが、五十日の争議禁止期間の間におきまして、中労委が成立しない場合も同じように想定すると思いますが、その場合はどういうふうにお考えになつておるか。
#19
○島田末信君 一応緊急調整は発動されて、五十日という冷却期間が存在いたしましたならば、そういう事態に対する国民の世論とか、或いは冷静なる判断というものもおのずから伴つて参ると思う。若しそれに対して中労委が適当なる措置を怠つた場合、これに対するいわゆる国民的な批判も十分生れて参る余地があると思う。そこで少くともそういう冷却期間が存在する以上は、その間におのずから正しい所に向つてみずからが活動を開始するというたけの余裕が持てると私は思う。
#20
○議長(倉石忠雄君) 如何でしようか。この辺で懇談会に移つて十分懇談して頂いたら如何でしようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○中村正雄君 一応質疑だけをして懇談会に移つたらどうですか。
#22
○議長(倉石忠雄君) まだたくさんありますか。
#23
○中村正雄君 今七点につきまして御質問したいと思います。おつしやいました点で、一応参議院側の御承知の通り全会一致の修正でございますので、この点について又再修正がされておるので、それについての一応参議院側としての質疑だけは行なつておきたいと思います。
#24
○議長(倉石忠雄君) それでは議事の進行上、大体両者の質疑応答を適当にやつて頂いて、あと懇談することにいたしましようか。どうですか……。
#25
○中村正雄君 只今おつしやいました五十日間の禁止期間の間におきまして、いわゆる中労委が仕事ができないという場合は、世論その他の問題が起きて来ると、そういうお考えでは、それと同じように緊急調整の発動を総理大臣が要求したときに、中労委が三者のうち一考が欠けて、直ちにそれに対して態勢がとれないというときは、同じように世論が又起るわけであつて、私は同じことだと思う。いわゆる机の上では考えられる状態でありますが、三者のうち一者が欠席することは、そういうことは今まで過去五カ年間の中労委の経過を見まして、ないわけなんですね。労働争議は権力や何かで解決するものでなく、やつぱり世論の背景がなくちやいかんというときに、経営者が経営者の都合が悪いと言つて委員が欠席したり、労働組合に都合が悪いからと言つて労働組合の委員が欠席するということはあり得ない。過去五カ年聞そういうことで問題が起きたことはない。そういう場合に、五十日間の禁止期間においてそういう問題が起きたら、世論の喚起があるというのであれば、同意を求めるときに中労委が成立しない場合があるという、いわゆるあり得べからざることを想定して御心配なさるのは、私はどうかと思うわけなんですが。
#26
○島田末信君 これは、今まで従来そういう事態から推して、懸念はなかつたじやないかという、その事態に対するあなたがたの御認識と、我々が将来緊急調整の発動をしなければならんという事態に対するいわゆる考え方と、ここにその事態に対する、事態のこれは認識の相違があると思うのです。ここでその我々が想定する緊急調整のような調停を発動しなければならんというような事態に臨んでは、これはもう迅速且つ適正にこれを処理しなければならんということだろうと思うのです。そこで例えば今の三者構成になつておる中労委の同意を得なければ、世論が喚起されるじやないかというような悠長な余裕が先ず考えられないのじやないか。ここに事態の処理自体は迅速にやると同時に、一応与えられた五十日間の冷却期間に臨んでは、それは国民の世論が十分喚起され、冷静なる判断も求められる余裕が生まれて来るのではないかと、我々はかように判断したいと思います。
#27
○船越弘君 中村委員長の先ほどの御質問ですが、十八条は、私はこういうふうに解釈するのでございますが、「労働委員会は、左の各号の一に該当する場合に、調停を行ふ。」と、こうなつておるのでございますから、調停を行うか行わないか、労働委員会に委しておくということでなくして、この五項目に亙つて労働委員会が調停をしなければならないように、この十八条は規定いたしておるものだと思うのです。ところがこのたびのあなたがたの緊急調整の修正は、同意をするか否かは労働委員会に委されておるのですね、選択権が。ですからあなたがおつしやるような危惧の点は十八条には起らないけれども、この緊急調整のあなたがたの修正案によると、選択権が中央労働委員会に委されておるのです。或いは使用者側或いは労働者側において出席しないということは起り得ると、それはそういうふうな修正案になつておつたら、当然いやだと思われる人は出席しないであろうと私たちは想像するのです。十八条はそういうことを想定する必要はない。当然調停しなければならないように規定しておると、私はそういうふうに思う。
#28
○中村正雄君 只今おつしやいましたことは、私もその通りに解釈いたしております。十八条の場合に、調停をしなければいけないときに、調停をいやだと言つて、三者のうち一着が出ない場合も同じことではないか、こういう質問なんです。調停するか否かは各号にきめてあるわけです。調停に付せられたときに調停がいやだとして三者のうち一者が出なければできなくなるから同じだと、こういうことを言つておるのです。これ以上は恐らく懇談会のときにお話になると思うので、次に参りたいと思います。
 次は第二点として示されました公労法十六条の問題、十六条の修正は、御説明申上げましたように、十六条に第三項を追加いたしまして、訓示的な規定を設けたわけなんです。あなたがたは、規定はあつてもなくても変らない、こう一応考えたらそういう規定なんです。併し今まで一応いろいろ問題がありましたので、何らか今までの慣行を成文化しようと、公労法全体の精神を十六条三項に入れようといつたわけで、この点は困るといつたような狭義の御説明でしたら、それはちよつと当らないと思います。というのは、地方公労法の第十条を見てもらいますれば、第十六条三項と同じことを第十条に書いてあるわけです。それをこの場合に別に規定したわけで、これができたために、政府に新たに法律上の拘束を要求しまして、言い換えれば三十五条のいわゆる制限規定になるというような意味ではないのでありまして、今まで国鉄にしまして三回、専売にいたしまして二回のこの裁定が出されました慣行を条文化したものというのが十六条の三項でありまして、これは上述の理由として申されましたような、その懸念は私はないと思うのですが、如何でしようか。
#29
○島田末信君 これは大体十六条に対する解釈は従来はつきりして而もそれが慣行上確立されておるわけです。仮に仲裁裁定が行われた場合に、一応国会で決定された予算内では、これが実行できないという場合に、いわゆる予算上、資金上不可能な場合に、国会に付議するとしても、これははつきりするのですが、そうなつて参ると、国会が更にその裁定を尊重するために、それ以上の予算を十分考慮して裁定をするかどうかということは、すべて国会の審議に待たなければならんという建前もこれははつきりしておると思います。そこで今おつしやつた条文の附加は、私は必らずしもこれがいけないのだというふうな考え方よりも、むしろ公労法解釈を紛らわしくしない、或いは国権の最高機関であり、議決機関である国会の権威に何か影響力があるような紛らわしさを避ける、或いは法文の体裁をすつきりさせるとか、そういつた面で、なくもがなというか、却つてそういうものは蛇足になりやしないか。それのみならず、或いは行政機関なり国会に対して何らか介入するような、或いは抑圧性を持つような、影響力を持つような一つの疑いを持たれるのではないかという少くとも懸念が残ると思うのですが、そこでできれば、まあそういうものでなくて、もうすでに法の解釈もはつきりしておるし、更に慣行も確立しておる今日だから、これは非常に御丁寧なその気持はよくわかりますが、むしろはつきりととつておくほうが、もうこれは今からやつて行こうという法律じやなくて、すでに試験済みの法律ですから、そういう点は置かんほうが紛らわしくなくていい。
#30
○中村正雄君 只今のお話でありましたが、ちよつと私と違つておる点があると思うのですが、いわゆる十六条の協定は、御承知のように今まででありますと、専売と国鉄だけでありますから、政府は関係ありません。従つて専売公社の代表者と専売に関する労働組合の代表者との間の団体交渉によりまして、協定が成立するわけなんですね。これは専売公社と専売に関する労働組合とを拘束する、政府が介入するものではない。これが予算上可能であろうと不可能であろうと、これは当然であります。ところが専売なり国鉄に関しましては、何といつても予算というものがあるから、予算はやはり政府の責任において国会と交渉すると、こうなつておりますから、従つて十六条の政府という文字があるのだろうと思います。ところが今度の場合は、仮に新たに公労法の改正によつて、いわゆる電通大臣なり或いは郵政大臣、いわゆる政府の国務大臣の一人が団体交渉の相手方になるわけなんです。従つて仮に政府の一員である郵政大臣が、郵政のいわゆる現業である公務員の労働組合と交渉いたしまして、では五百円の金を渡そうという労働協約ができたけれども、その五百円については、予算がないというときは、当然政府は、その五百円を支給し得る予算を拵えまして、国会へ出す責務が当然あるわけです。従つて私たちの本当の修正の意図は、十六条は協約でありますから、当事者の自由の意思によるところの団体交渉の結果の団体協約なんです。今までは国鉄と専売だけでありますが、今度は政府が代表者の相手方になるわけで、いわゆる建設大臣、郵政大臣或いは農林大臣、そうなれば政府が団体交渉の相手方であつて、政府の自由意思によつて一応話をきめた。きめた話を実現するために予算がないとなれば、政府は当然予算措置を講じて国会に出すと、言い換えれば予算の提出義務が、いわゆる団体協約の内容に当然包含されるということは一応考えられると思うのです。従つて私たちとすれば、政府の予算提出義務というものまで修正しようと、こう考えたわけでありますが、そういういろいろな関係があるから、一応現在の専売なり国鉄という、政府とは離れたものの団体の労働関係というものを、公労法の一条の趣旨を生かす意味において修正しようという非常に微温的な修正なわけです。従つて今言つたように、理論的に言えば、政府自身が団体交渉の相手方になつて、政府が金を出そうということを考える以上は、予算提出義務は当然であります。従つて予算提出の義務をきめるというところまで理論的には持つて行かなければならんことは当然でありますけれども、今言つたような関係で、一応今までの関係で、運営規程を置くということですから、これに対して呑む呑まないということが問題になつて来ることはないと思うのですがね。
#31
○議長(倉石忠雄君) それは中村さん、議論になりますから、一つ懇談で今の場合はして頂きたいと思います。
#32
○中村正雄君 次に、公労法の四十条の、いわゆる現業公務員の法律の適用排除の問題について、参議院の修正は困ると言われるが、一応衆議院側にお尋ねしたいのは、御承知の第八条にきめております団体交渉の範囲で、いわゆる管理運営に関することは団体交渉の範囲外である。それ以外は団体交渉権の範囲だといつて例示的に規定しているわけです。従つて言い換えれば、政府のお考えになつている管理運営の範囲というものは、公務員法のうちのどれとどれをお考えになつているか、一応御説明願いたいと思います。
#33
○島田末信君 これは一つ政府を呼んで、そこで説明させようじやありませんか、間違うといけないから……。
#34
○中村正雄君 私は政府よりも、今の衆議院は原案でなくては困ると言つて出しているのですから、衆議院では、団体交渉の範囲はこれだけであつて、これだけは二号の公務員には適用排除すべきで、いわゆる管理運営に関する範囲はこれだけであるということが恐らくおわかりになつて協議を求められたのだろうと思つて、その点についての一応御説明を願いたい。
#35
○島田末信君 今の適用の問題、労働協約については団体交渉のできる範囲内で大体限られている、それは……。
#36
○議長(倉石忠雄君) 原案の四十条です。
#37
○島田末信君 一応項目別にどれとどれを指定しろという仰せですか。
#38
○中村正雄君 私が御質問しましたのは、いわゆる従事員と使用者側との関係は、大体団体交渉の対象になる事項と、管理運営の対象になる事項、この二つに全部が二分されるわけですね。現在の法律もそうなつております。従つて団体交渉の範囲は、管理運営に関する以外のものが範囲になつているわけです。従つて公務員法の適用排除は、管理運営に関するものが排除になつて、それ以外の団体交渉の範囲に属するものは一応適用の範囲内になるのが法の建前だろうと思つております。従つて現在の参議院の修正では困るということなら、一応衆議院側でお考えになつておる管理運営の範囲というものは、公務員法の条文ではどういうものが管理運営の範囲になるか、これをお伺いしたいと言つているわけであります。言い換えれば私たちの修正案が呑めないというのであるならば、一応衆議院の排除しなければいけない、言い換えれば公務員法の適用をしなくちやいけないという項目は管理運営の範囲にきまつているわけですが、それは大体どういう点をお指しになつているのですか、それをお聞きしたい、こういうわけであります。
#39
○議長(倉石忠雄君) これはちよつとあとまわしにして下さい。
#40
○中村正雄君 それでは地方公労法に参ります。第四点のいわゆる条例に反する協定をした場合の参議院の修正に対しまして、それでは困るから、地方の議会の承認があつたときに初めて云々という原案通りにしたい、こういうまあ協議の対象になつているわけです。ところが国会と違いまして、言い換えれば親元の法律でありまする公労法にはこういう規定はないわけです。地方公労法に初めてあるわけです。ところが地方団体というものは、協定の当事者は、いわゆる地方の公共団体の理事者が団体交渉の相手方となるわけですね。理事者と従事員の代表である労働組合との団体交渉によりまして、一つ例をとれば、例えば服務規律なら服務規律が団体交渉の対象になるとすれば、服務規律についての一定の協約が成り立つたとする。それは現在の地方公共団体の法律から言えば、法律に抵触することを承知して、そうして理事者は自由意思によつてきめたわけですね。その場合におきまして、一応その条例の改正をしなければ、それは効果がないことは法の性質として当然なんです。そのときは、当然理事者は自分の自由意思によつて、そういう法律に抵触する団体協約を結んだ。これは条例を改正する意思があるから結ぶわけなんです。併しその場合には、理事者は改正案を地方議会に出して、通る通らないは、これは住民代表の地方議会の権能でありますが、一応通すだけの努力をするのは当然団体協約の内容に含まれているわけですが、そういう意味で修正したのですが、これが困るという趣旨がわからない。
#41
○島田末信君 それは実際問題で、何でもないような考え方に陥り易いのですが、少くとも議決機関を尊重する建前から行けば、一応すでに議決機関が議決した条例と相反する一つの協約をした場合に、これを直ちに改廃するのだというような、いわゆる、まあいわば強制的に改廃の義務を持つというようなあり方よりも、一応承認を得て、その後に改廃をするというところに持つて行くほうが少くとも民主的だ、或いは議決機関を尊重する建前だというふうな点で私は本筋じやないかと思います。
#42
○中村正雄君 その御説明がわからないわけなんですが、あなたの説をそのまま突き通せば、条例に抵触する協定を結ぶこと自体が駄目なわけでしよう。そうでしよう。いわゆる地方公共団体の法律があるわけですね。それに相反するような協定を執行機関である理事者が結ぶこと自体が、理事者の責任上許し難い存在なわけですね。そういう協定を結ぶことを許さないわけですね。結んだ場合、その場合は協定と法律との抵触を何とか解決しなければいけないということを私は考えているわけなんで、あなたのように、地方議会を尊重する、現在の法律を尊重する意思を貫けば、原案にありますように、法律に抵触する協定を結ぶなんということは以てのほかです。そういう場合もあり得るというのでこの法律がある以上、そういう協定を結ぶということは、理事者が一応協定が抵触しないようにやはり法案の改正をやろうという意思を団体協約を結ぶときに許容しているものと考えなければならん。従つて無論その条例が賛成を得るか、反対になるか、それは地方議会の権能の問題でありますが、少くとも理事者はその協定が効力を持つように努力する義務だけは協定の義務のうちに含まれているわけです。従つてその場合に、理事者は法案を出して、国会の審議を求めなければいかんと言つているわけであります。従つてこれは何ら、あなたのおつしやる趣旨よりも、私の言つていることが筋が通るのじやないかと思います。若しあなたがおつしやるようだとすれば、条例に違反する協定を結んだ場合の爾後の手続は、どういうふうにお考えになつておりますか。
#43
○島田末信君 これは条例に違反するような協定というものは、普通から行けば考えられないと思う。あり得ないことだと思うのです。併し実際問題としては、そこまでゆとりを持たせなければしばしば国際情勢も変る世の中だし、非常に窮屈になつて来るので、いわゆる協約を結ぶ側でも、そうした事実のものに即してお組みになることも多いだろうというところで、一応事実そうした情勢の変化などを付度して、或る程度このゆとりを持たしておくということは考えられると思います。そこで本来ならば、条例に違反するような協約は結ばないことがこれは建前です。併しそういつた事態を付度して一応ゆとりを持たしてある。持たしてあるが、そのために議決機関をないがしろにするとか、軽く見るということとはこれは問題が違うと思うのです。実際を処理する上において、そういうゆとりは持たしておるが、飽くまで議決機関は議決機関としての建前は尊重して行くというあり方は、これは本来考えていいと思うのです。それでなければ、もう条例に違反するようなことを認めながら、そんなことを別に尊重する必要も何もないのじやないかという議論はいささか行き過ぎになつておるのじやないか。そこで例えば行政にたずさわるもの自体がそういう事態を付度して、条例に違反するようなこともあり得る場合を予測しての法の扱い方ですから、そこで一応立法において議決機関は飽くまで尊重して行く建前は残しで、そこに調和を図つて行くということのほうが僕は穏当じやないかと思うのです。
#44
○中村正雄君 そうしますと、衆議院側のほうは、条例に抵触する団体協約を結んだ場合の爾後の手続はどういうふうにお考えになつておりますか。
#45
○島田末信君 これは、要はその法文の示すところでは、一応そういつた協約を結んだことを議決機関によつて承認しておる、承認したということは、その後において改廃をしなければならんということが一応是認されたことだろうと思う。そこで改廃の原案を当局側から出しても、これはなだらかに解決はひと先ずつくものと考えられる。
#46
○中村正雄君 そうしますと、衆議院側のお考えは、条例に抵触する協定を結んだ場合は、その協定を地方議会にかけまして、その協定の承認を得て、それから新たに条例の改正案を出す。或いは改廃案を出す。これが地方公労法の趣旨だと、こういうふうに考えておられますか。
#47
○島田末信君 大体そういうところに持つて行つて、頭から労働協約自体が地方条例に優先するのだという一つの考え方を防ごうというところに骨子がある。
#48
○中村正雄君 私の言つておるのも、労働協約が地方の条例に優先するものとは全然考えておりませんし、参議院の修正も総体として毫も考えていないことは、修正を見ればわかると思います。従つて我々としましては、これが金の問題であれば別でありますが、条例というものは、これは一応議会の承認があればいいわけなんで、従つて条例に違反する協約ができた場合は、違反する分については、当然理事者もやはり改廃を予想してやつているわけなんですから、直ちに改正案を出して議会の審議を求めるということが一つ、それから先ほど皆さんが恐らくそうなるだろうとおつしやいましたが、一旦協約を議会に出して承認を得てこれを得ましたから、これと同じ法律案を出しますというので、二重にやるという愚は恐らく地方議会はしないだろうと思う。従つてそういう愚をなす地方議会があつた場合は悪いから、その場合の手続をはつきりする意味においてこうしているわけで、衆議院でお考えのように、協約が地方の条例に優先するということは毛頭考えていないことは修正を見て頂けばわかると思う。併し一応懇談のときに、もう一度協議しましよう。
#49
○島田末信君 御趣旨はよくわかります。ただそこに紛らわしいというか、誤解されやすい点だけを一応是正しておく必要があるのじやないか、これは精神において同じだと思います。
#50
○中村正雄君 一応誤解されやすい点はないと思う。懇談のときに誤解されやすい点を指摘願いたい。
#51
○島田末信君 懇談のときにいたしましよう。
    〔議長退席、副議長着席〕
#52
○中村正雄君 次に、十条の問題は、先ほど申上げました十六条と同じ趣旨でありまして、ただこれは国家の場合と違つて、地方の場合は、すべて理事者が団体交渉の相手方になるわけであります。従いまして公労法の十六条二項の場合は、予算の提出義務を認めるまでに書かなくては実際は筋が通らないと私は考えているわけで、これも一応懇談のときに……。次は、十一条の争議行為の教唆、扇動の問題、最後のいわゆる単純労務者の範囲の問題ですが、争議行為の禁止につきましては、これはこの前にいわゆる正常なる運営をみだすことは全部禁止されております。即ち重複いたしておるという考えで一応削つたわけであります。その点誤解のないように……。最後に御質問したいのは、単純労務者の範囲を参議院の修正でははつきりしていないとおつしやいますが、そうしますとどういうふうに直そうとお考えになりますか。
#53
○島田末信君 これは単純労務者の対象となるべき範囲を一応政令で定めようというのが我々の側の骨子です。それでないと、このままでは、例えばどつかの市町村の役場に小使をしておる。これを単純労務者として一応きめる。而もそういう扱いの中にいる場合に、これは非常な実際に即した面で、いわゆる団交権の権利の恩典にも浴しがたい。さりとて今度は一般公務員としての待遇も受けられないというふうな実際土の職務の上に非常な不利を与えるような場合が予測されるのじやないか。そこで一応こういう複雑多岐な単純労務者の範囲に入れるべき対象を政令で以て指示することが、そういういわゆるおこぼれというか、そのために非常な不利を来たすようなことをなくするゆえんじやないかというような考え方なんです。
#54
○中村正雄君 その点につきまして、現在地方公務員法の五十七条に規定する単純労務者と、はつきりしているわけなんですね。あなたのおつしやるように政令によつてもつとはつきりしたら、こうおつしやいますが、ここで一応国会として考えなくてはいかん点は、言い換えれば特定の勤労者に憲法の保障する団体交渉権を与えるかどうかということを行政府に委任していいか悪いかという問題です。細目をきめるのであれば、これは私は政令に任していいと思います。少くとも一つの人格者に対しまして、憲法に保障するところの基本的人権を与えるか否かを単に行政府に任すということは、私は新らしい憲法のあり方としてどうかと思う。従つてはつきりと地方公務員法の五十七条に規定しているわけですから、これに規定してある連中に対して準用する。従つて二人や三人で、この恩典に浴したくないという人があれば、その八は労働組合を結成するか否かの自由があるわけですから、権利の前に眠れる人格者なんですから、放置したらいいわけで、憲法に保障する生殺与奪の権を政令に与えるようなことをしたくないと思つて、実は政令ということは最初考えなかつたわけでありますけれども、そういうわけで、一応結成不可能な労働者というような場合があれば、これは権利の前に眠れるものでありますから、これはその人までも保護する必要はない。これは労働組合は結成するの自由と結成しない自由があるわけですから、それはその人格者に任せたほうがいい。ただ基本的人権を行政府によつて左右することは、国会としては防がなければいかんというので、ここに政令ということが問題になつたけれども、とつたわけなんです。御了解願いたいと思います。
 大体以上いろいろありますが、懇談のときに私は御質問することにして、私の大体の質問を終りたいと思います。
#55
○副議長(西村久之君) 直ちに懇談会に移りたいと思います。御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○副議長(西村久之君) 御異議ないようですから、懇談会に移ります。
   午後三時二十九分懇談会に移る
     ――――◇―――――
   午後三時五十九分懇談会を終る
#57
○議長(倉石忠雄君) 懇談会を閉じます。
 それでは六時まで休憩をいたします。
    午後四時休憩
     ――――◇―――――
    午後八時十二分開会
#58
○副議長(西村久之君) それでは休憩前に引続き協議会を開きます。この際懇談会に移して、一応各院の御協議の結果について話合いをいたしたいと存じます。
   午後八時十三分懇談会に移る
     ――――◇―――――
   午後十時七分懇談会を終る
#59
○副議長(西村久之君) 速記を起して下さい。
 これから三十五分休憩いたします。そうして時間は御励行願つて、御出席願いたいと、かように思います。
#60
○中村正雄君 今の副議長の発言は不可能なことをおつしやられると思います。一応最初懇談会で言いました点は、衆議院側から提案というものが出まして、これを絞つた最後案というものが出されたわけですが、これを参議院に持ち帰つて一応協議するわけです。それで参議院側といたしまして、衆議院側の最後の案に対しまして一応意見をまとめるわけです。衆議院は自由党一本だからいいと思いますが、参議院側は、各派から全部来ておりますから、議員総会をやらなければならん。或いは協議しなければならん。併し私は不可能な時間を制限されるよりも、それはやはり十時四十分を守れないような無理な休憩にしなくても、その点はお互い大体話ができておるわけですから、そういう無理なことをしなくて、或る程度の暫時休憩だということで話を進めてもらいたい。今三十五分というような時間は、恐らく私は不可能だと思う。衆議院は自由党一本だから、ここでも話はまとまりますが……。
#61
○副議長(西村久之君) そうすると、どのくらいの時間を要せられるのですか。
#62
○中村正雄君 従つてこれをはつきり申上げますと、これはどうしても今日中にしなければならん理由がどこにあるか。一番最初に言つたように、お互いに廃案にはしたくないと思う。肚はわかつておるのですから、明日一日あるのですから、参議院の話がまとまれば、明日採決すれば採決できるわけです。参議院の本会議はもう散会になつたのですから、今日中に両院協議会で上げなければならん理由はどこにあるか。そんなことは不可能だと思うので、休憩時間はおかしい。参議院側の意向を一応尊重してもらいたい。
#63
○堀木鎌三君 まああなたがたというか、衆議院でお急ぎになる理由もよくわかるのです。併し又あなたがたのほうも、我々のほうの置かれている、又踏まなければならない手続というものだけは、あなたがたも十分御了承願わなければならん。いずれの結果を得るにいたしましても、私はそれのほうが円満な解決に資するゆえんだと、こういうように考えますから、強いてそういうような無理な条件をお付けにならないで、我々のほうの立場も、そうして我々をもう少し御信頼を願いたい。その上に立つて御相談ができるようにしたい。こう私は思うのですが、特にその点についてお願い申上げておきます。
#64
○副議長(西村久之君) 時間の制限なしに休憩いたしますと、結局会議自体がおかしなことになることを心配するわけです。
#65
○堀木鎌三君 我々実際党に諮らなければならないわけです。党の人を待たしてありますから。どうせ一度は参議院の全会一致の一つの修正案を作つたのに対する何ですから、参議院自体として各派との間に協議をする。その点お考えになると、常識的に時間は出て来ると思うのです。その点は十分御尊重願いたい。我々特にこの問題の結末について、どうせ明日一杯の会期、明日会期末だということはわかつておりますから、そういう点は十分尊重するから、そういう点についてお考えになるならば、皆さんの御意思も十分我々は尊重する。それは俎板にのりてじたばたするというような、けちなことはしませんよ。我々の、参議院のルールもやつぱり御承知願つて、その上に立つて善処されたいと思います。
#66
○船越弘君 さつきもこの問題が始まる当初に、衆議院の労働委員長からも、できるだけ本日結論を得たいという要求もお願いいたしておるわけです。ところが時間を切らずに休憩いたしますということは、今日は全然結論が出ないという結果になること必定であります。そうして明日は最終日でありまして、而も最終日ですから、相当法案も衆議院のほうにたくさんかかつておりますから、到底明日は又できないという結果が生まれると思う。ですから今議長が言われましたように、三十五分と時間を切つて、直ちに休憩を宜してもらいたい、こう思うのであります。
#67
○中村正雄君 衆議院側の一方的な意見で、それでやられて、僕は円満に議事が行くかどうかということを言つているのです。御承知の通り、これは両院協議会の成案は、討論も何もできないわけですね。本会議でもイエスかノーかだけなんです。恐らく本会議で幾らもかからないと思う。従つて大体今意見の交換ができているのだから、踏むだけの手続は一応踏んでおきたい。従つてそちらでは今日中にという御意見だけれども、そのような不可能に近いことを約束しないで、最悪の事態に持込まないで、明日十時なら十時に開けば、三十分もあれば結論が出る。直ちにできる。それほど時間のかかる問題でない。今日中に上げなければならないといつても、本会議が散会になつておる。従つて今日両院協議会を上げるということは無理だ。なぜ明日の十時、十一時にやることに無理があるか。そういう無理をなさらずに、踏むだけの手続は、今までの慣例によつて私は踏むほうが事が円満に行くのではないか。私は現実の問題を取上げて言つているのです。
#68
○副議長(西村久之君) お諮りいたします。参議院側にはいろいろ事情もあるようですから、正十一時に再開することにいたしまして、それまでの間にまとまらなければ、まとまらないという意見をお伝え願つて、会議の処置をいたしたいと思います。十一時まで暫時休憩いたします。
    午後十時十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後十一時四十七分開会
#69
○議長(倉石忠雄君) それでは休憩前に引続き協議会を開きます。
 先刻衆議院側から提出いたしました案について、参議院側の御意見を承わりたいと存じます。
#70
○中村正雄君 一応衆議院側から出されました最後の案、いわゆる懇談会の席上で御説明になりました最後の案につきまして、これから参議院側は協議いたしまして、明日十時三十分に開かれまする本協議会に諾否の回答をいたしまして、最後の成案を得たいと、かように考えております。
#71
○議長(倉石忠雄君) それでは明三十日午前十時三十分より協議会を開くことといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
    午後十一時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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