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1951/06/14 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 労働・人事・地方行政連合委員会 第2号
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1951/06/14 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 労働・人事・地方行政連合委員会 第2号

#1
第013回国会 労働・人事・地方行政連合委員会 第2号
昭和二十七年六月十四日(土曜日)
   午前十時三十一分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
  労働委員
   理事
           安井  謙君
           波多野林一君
           村尾 重雄君
   委員
           木村 守江君
           九鬼紋十郎君
           一松 政二君
           菊川 孝夫君
           堀木 鎌三君
  人事委員
   理事
           千葉  信君
   委員
           北村 一男君
           溝口 三郎君
           木下 源吾君
           紅露 みつ君
  地方行政委員
   委員長     西郷吉之助君
   理事
           堀  末治君
           中田 吉雄君
   委員
           岩沢 忠恭君
           石村 幸作君
           岡本 愛祐君
           館  哲二君
           若木 勝藏君
           原  虎一君
  国務大臣
   労 働 大 臣
   厚 生 大 臣 吉武 惠市君
   国 務 大 臣 岡野 清豪君
  政府委員
   地方自治庁公務
   員課長     佐久間 彊君
   労働省労政局長 賀來才二郎君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       磯部  巖君
   常任委員会專門
   員       高戸義太郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○労働関係調整法等の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方公営企業労働関係法案(内閣提
 出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長代理(村尾重雄君) 只今から労働・人事・地方行政の連合委員会を開会いたします。
 先例に従いまして、私が委員長の職務を行わせて頂きます。先般労働・人事・地方行政の各委員長間の申合せによりまして、本日は地方行政委員の審諸を行う日に一応決定を見ておりますから、あらかじめ御了承を願います。それでは地方公営企業労働関係法案及び労働関係調整法等の一部を改正する法律案を議題といたします。審議は通告順に従いまして、先ず若木勝藏君の発言を許します。若木勝藏君。
#3
○若木勝藏君 私はこの際労働大臣に二、三の質問をしたいと思うのでありますが、先ず第一に質問したいのは、今回におけるところの労働組合のいわゆるストの問題でありまするが、これは今回労働組合といたしましては、労働組合法に基いてその賃金要求をするところの、憲法に認められたいわゆる労働基本権を制限しようとするところの破防法案とか、或いは労働三法等の賃金不安に対して反対のストを行おうとしておるのでありますが、これに対しまして労働省といたしましては、これは政治ストに該当するものである、そういう見解を以ちまして都道府県知事に通達をした。こういうふうなことが新聞に出ておるのでありますが、その通達の内容を見まするというと、その一つにこういうことがあるのであります。政治ストたるか、経済ストたるか、実態によつて判断さるべきものであつて、政治目的が主体であるならば、これに仮装的に、又は付けたりとして経済的目的を加えてもそれは政治ストと解すべきである。こういうふうにこの内容の一つに掲げられてあるのでありますが、これはそうしますと、今度のいわゆる組合のストの実態は政治目的であるというふうなことに政府の見解はなると思うのであります。それはどういうことに基いて一体そういう見解が立てられるのであるか、この点について御質問したいと思います。
#4
○国務大臣(吉武惠市君) 政治ストに対する政府の見解についてのお尋ねでございますが、御承知のように憲法二十八條において保障しておりまする団結権及び団体交渉権、そうしてその団体交渉権の手段として許されておるところのストライキ権、こういうものは御承知のように労働者とそれから使用者との間における労働條件の維持改善のために憲法は保障しておるわけであります。ところが今回のように破防法であるとか或いは労働法であるとか、或いはその他政策とか法律とかいうものに対する闘争というものは使用者に対する労働條件の団体交渉権ではないわけであります。こういう政治的なものはこれは政治団体として行うべきものである。それをこの労働組合に保障しているところの憲法二十八條で政治目的の達成のためにもストライキが許されるのだという見解は、これは私はどこの国にも許されてないことだと思うのであります。若しこれが許されるということになれば、あの内閣は俺たちは気に入らないのだ、倒そうと、そうして我々にはストライキ権があるのだから汽車も止めよう、電気も消そう、こういうことでそれが合法的である、公然とできるんだということになりますれば、もう政党なんか置きまして、そうして政治的な論争をする必要はない。もうその方法をやりさえすれば一遍に行つてしまうわけであります。だからこれはどこの国にも許してない。二十八條が保障する労働権というのは、使用者に対するところの労働條件の維持改善のために一人々々の労働者では弱いから団結を許す、そうして団結権、団体交渉権としてストライキ権も許すというのが、各国の例であります。アメリカには憲法にそういう條項はございませんけれども、憲法に條項があろうとなかろうと、これは労働者の基本権として、その意外においては許されるべきであると思います。でありまするから、私はそれならば労働組合というものは政治的な活動はできないのかと、こういうことをよく言われるのですが、私はそうは解釈しない、労働組合といえども政治的な見解を持ち、政治的な行動をとられることは、これはあり得ることだと思うのであります。それが主たる目的であれば、これは政党であつて、決して労働組合ではないと思うのですが、労働組合が組合目的を主たる目的としながら、なお政治に関心を持たれるということは、これは当然あると思う。従つてこういう法律に対しての意思表示、或いは政策に対する意思表示というものはこれはあり得る。その方法としていろいろの示威的な行動とかいういわゆる政治活動として許されるものは、これは労働組合といえども、或いはその他の国民にも許されるものはやはり労働組合にも許されると私は考える。ただ労働組合にだけ特権として許されるところの労働権としてのストライキ権というものは、そういうために許されるべきでない。従つてその点の誤解があるようでありまするから、若し、それを間違つて組合員のほうでストライキをやる、ストライキをやれば法の保護を受けられませんから、そのために犠牲者が出るということになつては、私としても責任がございまするので、趣旨徹底を期するために通牒を出した、かような次第であります。
#5
○若木勝藏君 その点について重ねて伺いたいと思うのでありますが、今の御答弁では憲法の二十八條に示されておるところのことは、これは使用者側に対しての規定であつて、今の場合には組合の行わんとすることには、これは該当しないと、こういうふうにおつしやるのでありますけれども、公共団体におけるところの一つのいわゆる賃金要求、そういうことによつてのストライキというふうなものは、具体的にそのものは賃金の要求というようなことを掲げておりまするけれども、終局するところは結局これは労働基本権を擁護するというふうな、いわゆるそういう立場に立つておるのじやないか、そういうことから申しますと、現在行わんとするところのストというふうなものも結論においてはその場合と何ら私は変らない、結局いずれの場合もこれは労働基本権の擁護という立場に立つておるのであるからして、これを特別に政治ストというふうな方面には考えるべきものではない、私はそう思うのであります。而もこれは政府を打倒するとか、今お話があつたようなそういうふうな話ではなくして、どうしても経済的な立場に立つて我々はその基本條件を確立しなければ我々の生活の保障はできないという立場に立つのでありまするから、これを制限しようとするところのこの法律は、これは当然撤廃しなければならないような立場に労働者としては立たなければならん。そういうところで、そこに見解の私は食い違いがあると思うのであるが、重ねてこの点を伺いたい。
#6
○国務大臣(吉武惠市君) よくそういう御議論をされるかたもございますんですが、成るほどおよそ政治というものは経済に通じ、経済は政治に通ずる問題でございまして、大きい観点から見れば関連のない問題ではございません。併し私どもが経済的なストは許されるという経済という意味は、先ほど申上げましたように、企業者との間における労働條件というものに対する維持改善の手段として憲法二十八條が保障しておる。広い意味の政治に通ずるというような、経済は政治に通ずるというような意味はこれはいわゆる政治目的でございまして、労働者の基本権に関することもございましよう。或いは基本権に関しないで労働者の生活に関するものは、あらゆる政治一つ一つ関係のない問題はない。そういう問題に対していろいろな利害関係があり、又意見を持たれるというのは、これは国民の一人として当然であります。労働組合といえども、そういう御意見も持たれることも私はあり得る、又あつていい。その目的を達成する手段として許されるものは何かと言えば、一般に許されている政党が行い得るところの方法、こういう方法は労働組合といえども私は許され得ると思う。併し労働組合だけに許されるところの特権であるストライキ、これはほかの政党や何かが勝手に汽車をとめるとか、電気を消すといえば明らかに違反である。ところが経済目的の要求のためにストライキが起つたというときには、それは罷業として電気が消えましても、それは罪にならない。それはなぜかと言えば、その使用者に対するところの労働権の団体交渉の結果、なかなか話がつかない。併し自分たちはこれを獲得しなければ生活に困る。自分のほうが正しいのだというときには、それは普通ならば罪になるけれども、各国ともそれは罪にならない。違法性を阻却するというのが今日の労働権の私は解釈ではないか、かように存じまして、成るほどいろいろな労働者の権利に関係する問題はあるでありましようけれども、それはいわゆる政治的な見解としてそれに対して囲う、意思表示をする、それは一般が許されておる手段によつて行うべきである、かように考えておるわけであります。
#7
○若木勝藏君 政府の見解は、今五千円の賃金を一万円にしなければならないという要求に対するそういう具体的なものを目標としたいわゆる労働基本権の拡張ということと、それから同じ立場に立つておるけれども、それはそういう賃金要求というようなものを制約するところのこの法案、こういうものに対してこの撤廃の闘争というようなことは、私は本質では変りないと思う。片方はただ労働條件であるとか、或いは賃金の問題であるとかいうだけに過ぎないのであつて、結局はそれと同等の立場にあるストを制約するところの法案に対しても、いずれの場合でも私は同等に労働基本権の確立という立場から考えなければならんと思う。そうでなければこれは労働組合法に副つたいわゆる労働者の生活を保障する、保護するというような立場が結局は終局においてそう役に立たないものになつてしまう、こう考えるのでありますが、政府の見解は非常に私は狭過ぎる、こういうふうに思うのであります。この点如何でございますか。
#8
○国務大臣(吉武惠市君) 先ほど申しましたごとく、成るほど問題は私ないとは申しません。併しその点はあらゆる政治に私は通ずる問題だと思います。條約を結ぶことが労働者のためになるかならないか、或いはこの予算を出すことが労働者のためになるかならないか、この法律を出すことが労働者のためになるかならないか、あらゆる政治は私はすべてみんな関係のある問題だと思う。併しそれは政治として大いに闘うべきものである。それは自由であつてかまいません。労働者だけに、つまり組合だけに許されるところのこのストライキ権というものは、使用者に対する労働條件の獲得の手段として許される。仮に例えばこの法律が当分たちは気に食わない、それを潰すためにストライキをやる。ストライキをやつて損害を受けるのは使用者である。併し使用者に何らのそれに対して関係はない。使用者が意図しているのでも何でもない。ところが政府がやつておることに対しておれは気に食わないからといつてそのとばつちりを使用者が食わされて、そして損害を受ける。而もその損害は、憲法で保障されているのだから訴えることもできません、止むを得ませんということは、私は政治としては許さるべきじやない、かように私は存ずるのであります。
#9
○若木勝藏君 今の御答弁でもとにかく條約の締結とか、或いは予算というような方面にまで拡張して考えられたようでありますけれども、この場合は労働者直接に関係のあるところのいわゆる労働三法の撤廃、そういうふうなことに限定されておるのですから、今大臣の言うように非常に範囲の拡張した政治的部面に私は入つて行かないと思う。併しながらこの点についてはあなたとは見解の相違になりますから、その程度にしておきまするが、この通達に対しまして、今度使用者側が非常に不満を持つておる。今度の使用者側のほうの見解といたしましては、この通牒は結局政治ストに対して法律的な解釈を與えたに過ぎない。何ら政治的な解決の道を出していない。結局この問題は使用者側に言わせれば、組合といわゆる経営者との問題じやなくて、これは政府といわゆる労働者階級との間におけるところの政治全体の問題として考えるべきであるから、結局はこれに対して一つの治安立法のようなもので対処する道を考えなければならないものだ、こういうことを今度言い出している。これは極めて私は無謀な行き方であると思うのでありますけれども、この経営者側の見解に対する政府のお考えを伺いたい。
#10
○国務大臣(吉武惠市君) 使用者側がそういう不満を持たれているということは私も新聞で見たのでありまするが、使用者側から言わせれば恐らくそういう意見は出るだろうと思います。というのは、先ほど申しましたように、政治的な政策、或いは法律、政府のやることに対して反対だということで、それでストライキが行われる。ところがその損害は使用者が受けるということになりますれば、これは迷惑千万ですから、私は不満を訴えるだろうと思います。で、我々としては従つてそういうことはよくないから、組合のかたにもおやめになつたがよろしい、若しそれに対して反対の意思表示をしたいということであれば、幾らも方法があるのじやないか、幾らもほかの方法があるのだから、許された方法で以つて意思表示をしたらどうですかということを言つておるわけであります。併しあえてやられれば、使用者としてはいわゆる法の保護を受けないことでありますから、或いは職場規律として処分ということも起つて来るであろうし、或いは損害賠償というような場合も起るであろうということを、私どもは勿論法律の解釈としてだけ示したわけであります。使用者側から見ると、こういうことが仮に法律上許されないのだぞ、そうして処分もできる、損害も訴えることができるのだと言つても、しばしば行われたのじや困る。だからただ法の保護を受けないということだけでなく、もう一歩積極的に進んで、法律で以てこういうことは禁止する、処罰をするというふうな、もう一歩進んた処置を講ずべきじやないかという意見では、不満を持たれると思うのであります。これは私ども今後こういう問題が繰返えされるということであれば、なお重ねて研究しなければならんと思いますが、併し余り重ね重ねして制限的と言いますか、取締的な規定ができれば、差控えたいと私は思います。イギリスで曾つて政治目的の争議が行われましたのち、やはり政治目的の争議は行なつちやいかんという禁止的な法律を作つたように私記憶しておりますが、若し重ねていろいろ行われるようになると、国民はそういう輿論を起して来るのではないかと私は虞れております。従いまして、組合のかたがたにもそういうふうな機運に向うことは自分としては好まないから、一つ政治目的のストライキは早く一つ自粛して欲しいということを要望しているわけです。
#11
○若木勝藏君 今の御答弁から考えますと、結局これを治安立法によつて抑える、そういう途を開く、こういうことに対する使用者側の見解に対しては、労働大臣としては、労働組合の助成とかそういう立場から見て、これは絶対避くべきものだという御見解に立たれていると了解して差支えないでしようか。
#12
○国務大臣(吉武惠市君) 私は組合のほうの側で自粛をされれば、できれば作りたくないという意見であります。併し、なおあえて次々にこういう問題が行われるということになりますというと、幾ら私が希望いたしませんでも、なかなか輿論がやかましくなつて来はせんか、かような点を覆れております。
#13
○若木勝藏君 それではまあその問題はその程度にいたしまして、次に伺いたい問題は、政府がいわゆる最近においていろいろ公共企業体労働関係法、こういうふうなものを整備いたしまして、従来あつたところのいわゆる国有鉄道であるとか、或いは電信電話公社、日本專売公社、こういうふうなものに更に今度はいわゆる郵政省管轄の郵政事業、或いは印刷事業、或いは又造幣事業、そういうふうなものを加えまして、そうして一応いわゆる現業の国家公務員に対しましての立場をはつきりして来たように思うのであります。と同時に今回地方公営企業労働関係法を制定して、地方公務員のうちで公営企業に従事するものについても同様の取扱いをしよう、こう考えておる、これは政府といたしまして、いわゆる労働組合というふうなものに対する全体の整備上いろいろ考えられると思うのでありますが、こういうふうな立場から私のお聞きしたいのは、一体教員というふうな場合はどう考えられるか、この点を伺いたいのであります。
#14
○国務大臣(吉武惠市君) 今回の改正において現業職員について国鉄、專売と大体同じような取扱いをいたしましたのは、公務員たる性質の点はこれは一般公務員と私は変らないと思います。仮に筋肉労働であろうと或いは机の上の仕事であろうと、公務員の本質という点から見れば同じである。ただ実際の現業、肉体労働を主とするような現業はその実態が国鉄或いは專売と似ている点が多い。而もこれらは戰前においてもいわゆる労働組合というものの存在のあつた歴史を持つておるのであります。従いまして、これらの郵政でありますとか、或いは地方で言えば市電であるとかいうふうな極めて国鉄と類似のものにつきましては、同じような取扱いをするのが至当ではなかろうかということで、今回の改正において団体交渉権を認めた。で教員などというものはこれは現業という解釈をとられれば或いはとられるかも知れませんけれども、いわゆる現業的な肉体労働を主とするものではない。やはり一つの行政的の仕事をするわけである。教育行政の仕事をやつておる。教育という大事な仕事をやつておるわけでございまして、これは労働條件については一般の公務員と同じように政府みずからが責任を負うてやつて行く人事院というものが間にあつて、そうして公正労働條件というものをきめて行く。そういうふうな行き方が私はいいのではないか。かように存じまして今回の改正案には教員関係は入れておりません。
#15
○若木勝藏君 今の御答弁で考えますと、結局やはり教員も行政関係の職員であるというふうに考えられておるのでありますが、この点は非常に私は見解が違うのであります。第一労働基準法を調べてみますと、明らかにこれは第八條の十二号にいわゆる非現業官庁の業務と異なるというようなことがはつきり謳つてある。更に十六号にもこういうことが掲げられてある。「前各号に該当しない官公署」こういうふうにありまして、教育の場合はこれを除いておる。こういう取扱いをしておる。これは基準法によつて明らかに示されてある。それから更に教員の場合を歴史的に見る、と言えばおかしいですが、在来労働組合法ができてからの経過を考えてみますというと、これは給與の面からも現業に認められて来ておるんです。即ち昭和二十三年の六月に行われたところの二千九百円ベースから三千七百九十一円ベースに切替えられた、そういうふうなときに非現業に対して現業職員は二割増されておる。そのときに現業として扱われている。いわゆる教員の場合もこの理論上から考えて現業職員として扱うべきである、こういうふうな坂扱いを受けておる。このことは労働大臣も恐らく御存じのことであろうと思うのであります。それからもう一つ、これについて私は申上げたいのは、同じ教育労働者でありながら私立学校の教員は労働三法の適用をはつきり受けておる。ところがそれが国であるとか或いは地方公共団体に、いわゆる公立の学校に勤めておるところの教員が除外されるということはこれはおかしい。労働関係から考えて明らかにおかしい事案である。そういう点から結局は教員というふうな場合は法的に見ても、或いは今までの実際の取扱い、或いは現在におけるところの私立学校の取扱いというふうな方面から見て、明らかにこれは現業の取扱いをすべきものであつて、これはその方面におけるところの労働三法を適用する労働組合として認めなければならん。私はそう考えるのでありますが、その点について伺いたいと思います。
#16
○国務大臣(吉武惠市君) 教員が給與その他についても現業として取扱われたというお話でございますが、私は二十二年ですか、二十三年ですか、いろいろな全官公の団体交渉の際間に入りまして斡旋をした記憶がございますが、実は私の記憶では現業ということでなしに、教員は特別な勤務を持つておる。一般の公務員というものは四時なら四時、五時なら五時、時間がたてば帰つて、そうして翌日又出勤するのだが、併し教員は帰つても調べものがある、ただ單に学校に出ているだけが勤務じやないんだと、従つて一般公務員と同じような給與では気の毒だということで、たしか私は特別の措置を講じたと記憶しておるわけであります。それから私立との関係でございますが、成るほど学校自体から見れば同じでありましよう、併し国がやるとか、公務員であるというところに私は大きな意義がある。公務員というものはいわゆる国家全体の奉仕者として勤めるという一つの任務を持つておるわけです。で仕事がただ同じだということになりますれば、例えば電車にいたしましても、国がやる電車とそれから会社のやる電車とは物を運ぶことにおいては同じことじやないかという議論もよく伺いますが、そこが違いまするゆえんは、やはり公務員であるというところの本質に基くものでございますので、これは私は止むを得ないものだ、かように存じます。
#17
○若木勝藏君 そこが非常に私は議論のあるところだと思うのでありますが、結局大臣のお考えでは公務員であるということを主張されることは、いわゆる国の行政に直ちに携つて、そしてそれに奉仕するものであるというふうな考え方が強く出て来るからそういうことになるのでありまして、これは明らかに教育行政とそれから教育のいわゆる実務、こういうことを混同して考えられておるのではないかと私は思うのであります。これは成るほど国の、或いは地方公共団体の教育行政に携つておる者はあります。あるけれどもこれはいわゆる官庁にあつて教育行政を扱う職員であつて、教員の場合は何らそれに関係しない。私も三十年来教員をやつておりますけれども、どこに一体我々が子供に対して教えて行くことが直ちに一体行政権に支配されて、行政権に繋つておつて、行政権の行使であるか、こういうことは全然考えられない。この点は大臣は恐らく教育に携つたことがないだろうと思いますが、そういう点で理解が非常に浅いように思うのであります。ここははつきり区別しなければなりません。ただほかの会社であるとか、そういう方面に勤めておるところの者はこれは何と申しますか、有形のいわゆる生産というようなものに携つておりますけれども、教員の場合は直ちにこれによつて石炭が掘れたとかいうようなことではないものだから、これはすぐ行政のほうに間違われて考えられる。これははつきり私は区別すべきものだと思うのでありますが、これはいわゆる教育行政に携わる職員は、大臣のおつしやるような形で或いは制約を受けることがあるかも知れませんけれども、現業であるところの教員は、そう行くべきものでないということを私は体験の上から申上げるのでありますが、如何ようでありますか。この点はどうしても大臣は私と見解を異にせられるのか、その点お伺いしたい。
#18
○国務大臣(吉武惠市君) 只今の御意見によりますと、教育行政というものは非常に狭く解釈された事務、教育の事務という点に御解釈になりますと、そういうふうな御見解になると思うのでありますが、広い意味の国の行う業務、教育という国の行う業務という点において私が教育行政ということを言つておるわけでございます。
#19
○若木勝藏君 そういうことになりますと、いわゆる公共企業体関係の労働関係のほうと同じような立場が出て来るのではないかと思う。いわゆる国鉄も或いは專売公社もすべてあなたのおつしやるように国家公務員法の立場から縛られなければならない。こういうふうに考えられるのでありますが、教員だけを切離して別に考えることについてはそこに矛盾がある。こういうふうに思うわけであります。
#20
○国務大臣(吉武惠市君) 細かく一々検討しますれば、いわゆる普通の行政の中にも事務的なもの、精神的なもの、肉体的なもの、いろいろあると私は考えます。私が先ほど申しましたのはいわゆる国の業務、実際の仕事で、国鉄、專売のごとく、主としていわゆる労働を主体とするもの、こういうものは同じように取扱うべきである。又戰前においてもそういう歴史を持つて来たのじやないか。従つてこれは同じに取扱うべきであるということで、今度団体交渉権を認めたわけであります。ただ仕事という点だけをお拾いになれば、ただ行政の政治的な非常に頭を使うというばかりが普通の行政ではございません。行政の中にはたくさんございます。極く上の幹部になれば、そういう政治的な手腕によつて左右される仕事が多うございましようが、下になるほどやはり事務的になる場合が多いわけでございます。私どもが今回取上げましたのは、その中のいわゆる主として労働を主体とするもの、企業を主体とするもの、こういうつまり国鉄、專売と同じように考えられるものは同じに取扱う、かような趣旨でございます。
#21
○若木勝藏君 今の大臣の御答弁では、教育を一つの労働とみなさないように考えられるのでありますが、私はその点に対しては非常に不満であります。立派なこれは教育労働である。ただ單に、先ほども申上げた通り石炭を掘るとか、そういうふうな直接肉体的なものを示すところの労働でなければ労働でないと、こういうふうに考えられる見解は私は極めて狭いと思う。現任におけるいわゆる労働組合法を制定した以上におきましては、労働というものに対する考え方は、そういう精神的な方面にまでも考えなければならないと私は思うのであります。併しこれも大臣は幾たびか答弁されても同じことを繰返されますから、その程度にとどめまして、私といたしましては、これは全く教育行政に関係するところの職員とは異なるものである。現実に教育の業務に携わつておる者はこれは教育労働者として、立派に現業職員として取扱わなければならない。この点をはつきり申上げたいと思うのであります。
 次に、地方公営企業労働関係の方面について御質問申上げたいと思うのでありますが、これも私は今申上げた通り、教員の場合と全く同じように思われるのであります。なぜ一体私鉄の方面の、いわゆる交通事業の方面から見れば、私鉄の方面の従業員に対して三法の適用を認める、それが一たび同じ電車であつても汽車であつても、結局国とか或いは公共団体の経営しておるものになるというと、全くこれは別に考えてしまう、こういうことは非常に私は矛盾があるのではないかと思うのであります。どこまでもこれはそういう行政的な方面を考えずして、それが私的であるとか或いは公共的であるとかいうことを考えないで、労働に従事しておるいわゆる労働関係から明らかに考えてこれは立法して行かなければならないように思うのであります。そういう点から考えまして、いわゆる公営企業に携わつておるところのものは、或いは公営企業そのものがなんで一体労調法の第八條にあるところの公益事業と異なるものであるか、この公益事業ということは私的になればそれは認められる。それから公共団体がやるものになると全く別個のものにどうしてなるのであるか、どうしてそういうことを政府として考えられるのであるか、この点を伺いたいと思います。
#22
○国務大臣(吉武惠市君) 事業自体から御覧になりますと、同じように公益的な事業とこれは言えると思います。ただ違いまする点は、その職員が公務員である、つまり国家全体、或いは地方の公共団体全体に奉仕しておる。片方は一会社に雇われておる、ここに非常に大きな本質の違いがあるわけであります。ですから本質的に言えば、公務員である以上は机の上でいろいろな行政的な仕事をされる者も、肉体的な運転をされる者も実は同じはずである。併しながら労働條件の決定については、国鉄、專売のようにやはり団体交渉という形をとつてきめるほうがよくはないかということで、その点だけは例外を認めておるわけでございます。
#23
○若木勝藏君 そうしますと、やはり大臣のとらわれておる考えは、行政的立場ということであつて、結局同質の労働というふうなことに対してはこれを行政上から区別して行く、こういうふうな考え方が教員の場合も同様抜け切らないようでありまするが、この点は非常に私は政府の見解は矛盾の上に立つておると、こう思うのでありまして、今後において本当に労働とか或いは労働者の生活の保障とか、そういうことを考えたら、そういうことはあり得ない。国がやつておるから、或いは地方公共団体がやつておるから、それで全く公益事業としても違うのだ、一会社でやつておることは問題にならないのだ、こういうふうな考え方は非常に私は今後考えなければならない考え方であると思うのであります。併しこれはそれ以上追及いたしませんが、その点を非常に私は遺憾に思う。そういう点から今度まあせめて団体交渉、或いは協約というような方面で例外をここに作つたというふうなお話がありまするが、そういう点で以て、更に私は條文上一つ二、三の点を伺つて置きたい、こう考えるのであります。
 先ず第一に考えられるのは、この地方公営企業労働関係法案の第一條、第二條は、これは全く、いわゆる労働関係法ということよりも、むしろこれは調停法と、こういうふうにも見えるような、使用者といわゆるこの労働者との間の関係を平和的に調整して行くと、こういうふうなことに全体がずつと流れて行きますからして、団体交渉を認める、或いは協約を認めるというようなことを言つていましても、随分この間においては、考え方に開きがあるように思うのであります。極めて申し訳的な一つの條項が、団体交渉の対象として、その範囲として示されておるように思うのであります。先ずその範囲がここに例示されて載つておるのでありまするが、この範囲の中に、企業の通常、或いは業務の改善と、こういうような方面をどうしてこの範囲の中に入れられなかつたか。これは本当に民主的な、いわゆるこの企業の経営というふうな面、或いは平和的に事を運ぶというようなことから考えたら、むしろこれをその範囲の中に入れて、十分民主的な取扱いをするのが本当ではないか、こういうふうに思うのでありまするが、この点について一度お伺いしたいと思います。
#24
○国務大臣(吉武惠市君) この地方公営企業労働関係法は、内容を御覧頂ければおわかりと思いますが、先ほど来申しましたように、これらの現業職員に対する団体交渉権を認める。そうして、従つてその団体交渉の方法はどうしてやるか。そうしてその解決の方法はどういう道で解決をするか。この一連の法律であります。
 それからこの団体交渉の内容に、運営及び企業の経営等についても触れたらどうかというお話でございますが、これは一般の労働組合におきましても、経営なり運営というものは、これは経営者の当然の責務でございます。従つてこれに対し、労働者が権利としてこれに関與するべきものではないと私は思います。併しながら運営について従業員諸君の意のあるところを十分取入れて、共に労使協調をして事業の発展を図るということは、これは結構なことであります。ですからそれは話合いの上でやられることは結構でありましようが、当然の団体交渉の労働者の権利としてこれを主張すべきものではない、私はかように存じます。
#25
○若木勝藏君 まあそういう御見解であれば、私はこれ以上追及いたしません。
 次に、この專従職員に関する件、或いは組合活動の件あたりは、私はその範囲に入れて然るべきものだと思うのでありますが、これは極めて重要な問題でありまして、本当に民主的にこれを進めて行くとすれば、むしろその中に入れて当然取扱うべきであると、こう考えるのでありますが、この点は如何でございますか。
#26
○国務大臣(吉武惠市君) 專従職員の件でございますが、これも公務員であるという性質に鑑みまして、これが団体交渉できめるべきものではない。やはり公務員である以上は、やはり管理者というものの責任において、どれだけの專従職員を置くか置かないかということをきめる。その置く際の話合いの上に従業員の意見等も尊重して行くということは、これは運営上当然のことであろうと思いますが、これを団体交渉できめるという性質のものでないと、私はかように存じます。
 それから組合活動は、これは許された範囲において組合活動をやられることは、これは当然なことであると思うのであります。
#27
○若木勝藏君 どうしても大臣の御見解は、公務員というふうなものにとらわれて、いわゆるその労働者の立場を没却するような、大幅に縮小して行くような見解をとられたものでありますが、この点は、甚だ私は遺憾だと思う。
 次にお伺いしたいことは、條例に抵触するところの協定という問題でありまするが、個々の條文を読んでみますというと、極めてややこしいのでありまして、二重になつておるようであります。この條例に抵触するような協定ができた場合には、議会の先ず承認を求めると、それが承認があつたのちに、更にこの條例を改訂するところの議案を提出して議決しなければならない。こういうふうに非常にややこしくなつておるのですね。ところが、この問題を別な観点から考えてみますというと、承認を受けるということに暫くの時日を要し、それから更に今度は議案を提出して、そうしてその議決を求めるということになれば、これ又相当の時日を要すると、そういうふうになつて参りますと、そういうことが一つの口実になつて、この問題の処理がなかなかつかないのではないか。その間にいろいろなトラブルが起るのでないかというふうなことも考えられるのでありますが、その点についてどういうふうにお考えになりますか。
#28
○国務大臣(吉武惠市君) 恐らく御質問の御趣旨は、団体交渉できまつたら、もうすぐ効力を発生したらというお考えだろうと思うのでありますが、併し、條例は御承知のごとく、地方公共団体におけるその住民全体の最高の意思決定でございます。従いまして、それをただ従業員と理事者との団体交渉の決定によつてその最高の意思決定を変更するということは、これは私は許されない問題であろうと思います。従つて、理事者もこれでよかろうと言つて断固決定をいたしましたならば、その意思に基いて、今度はその地方団体の最高の意思決定を手続を経て変えて行くということは、これは私は当然だと思う。それは国においても同様でございまして、例えば国鉄の従業員と管理者とが団体交渉できめましても、それが法律に抵触する場合は、いわゆる国会で法律を変えなければ、その団体交渉の結果が当然法律も変更するということは、これは許されない問題だと思うのであります。只今までのところは、これは運用の上におきまして、私は大した支障はないと思つております。又団体交渉できめたことは、これをできるだけ尊重して行くということは当然のことでありまするし、団体交渉は団体交渉でいい加減に別にきめた、併し別に條例があるのだから、それで以て知らん顔をするということでは、これは本当に事業の能率を挙げるゆえんではございませんので、この点は、私は理事者といえども良識を以て善処することを私は確信いたしております。
#29
○若木勝藏君 私は、いわゆる議会に対してこれを議決することを拒むものではないし、又それを不要だとするものでないが、承認を取つて、又更にそれによつて議案を提出するというと、その二重のあれをやることにどういう一体意義があるか。そういうことは不必要じやないか。むしろ承認を取らずに、直ちにそれをしてやつたほうが、事務的の簡捷という立場からもはつきりして来るし、トラブルが起らない、こういうふうに思います。
#30
○国務大臣(吉武惠市君) 御承知のように、団体交渉権を認めて団体交渉をいたします。併しながら普通の私企業と違いまして、この公共団体、国家にしましても、全体のこれは奉仕者たる立場にございまするから、その団体交渉の結果をいわゆる地方団体の全体の意思として承認するかしないかという決定がなければ、私はこれは有効になるべきものではない。従つてそれを呑むということによつて初めて意思決定になる。その意思決定になれば、それに基いて所要の手続をとる、こういうことであります。その間日にちを置いて、うんと間隔を置くという悪意にお考えになりまするというと、それは面白くないということでございましようが、理事者もそれでやろうという約束をし、そうして県会なら県会でそれを承認するという意思決定がなされれば、それに基く所要の手続というものは同時に出してもいいし、或いは翌日出してもいいし、そう私は故意に間隔を置くというようなことは私はないと、かように存じます。
#31
○若木勝藏君 最後にもう一つお伺いしますが、公共企業体の方面の法律には、裁定に対して最後決定に服従しなければならないとはつきり謳つてあるのです。この法案におきましては、そういう点が見られないのです。これはどのようになつておりますか。
#32
○国務大臣(吉武惠市君) 公労法に、例の三十五條でございましたか、仲裁裁定がなされれば両当事者を拘束する、併しながら十六條に該当する場合はそれに従う。こういう点があることを一つ御注意願いたいと思います。私は、申上げるまでもなく、労働法制上、仲裁の制度というものは、その決定がなされれば、両当事者を拘束することが本質である。ただ問題は、その相手方が会社であるという場合においては、それを当然拘束いたします。公社でございましても、公社を拘束いたします。併しながら公労法に但し書を置いてありますように、仮に公社でございましても、それが国のいわゆる予算上或いはその他の国を拘束するものである場合は、先ほど申しましたように、その団体交渉が直ちに国の意思を拘束するというわけには行かん、これはやはり国民全体の代表である国会で決定さるべきものである、地方で言うならば、地方の県の住民全体の最高機関である県会で決定する。従つて三十五條では但書を置きまして、但し十六條に該当する場合はこの限りでないぞと、こういつて、予算上、資金上不可能の場合は政府を拘束しない、こうなつております。従つて、その趣旨を地方公労法のほうにも調いまして、議会の承認がなければ直ちには拘束しない、かようにしたのであります。だから趣旨においては同じであります。
#33
○原虎一君 岡野国務大臣は御出席になりますか。
#34
○委員長代理(村尾重雄君) 間もなく見えるという話だつたのですが、すぐ参られるそうですから。
#35
○原虎一君 見えない間、労働大臣にお尋ねいたしますが、地方公営企業労働関係法につきましての今日は連合委員会でありますが、併しながら労働問題全体に関係のある問題でありますから、地方公労法以外のものに亘つて質問をいたすことを御承知願いたいと思います。
 第一番に、先ほど若木委員から質問いたしておりましたが、今国会に政府は公共企業体労働関係法、いわゆる国の分も改正案を出して参つたわけです。その中には、申すまでもなく電信電話、郵便関係の労働者諸君に団結権、団体交渉権を認めて、従来の專売、国鉄同様な形において労働関係が律せられるわけですが、そこで地方公営企業を今回改めて法律によつてきめまして、それに基く労働関係の法律ができるのでありまするが、そこでいわゆる郵便、電信電話の従業員同様に、いわゆる教育労働者、教員に団結権、団体交渉権を與えないという理由がどこにあるかということ、この点を御説明願いたいと思います。
#36
○国務大臣(吉武惠市君) 先ほど若木さんからのお尋ねの際に申上げましたのでございますが、いわゆる公務員であるという点につきましては、それが精神的な労働であろうと、肉体的な労働であろうと同じであるはずでございます。ただ併し公務員の中においても、主として肉体的な労働、つまり国鉄や專売と同じような業態をされておるものは、これは国鉄、專売と同じに取扱うのが至当である。又過去における歴史から見ましても、原さんも御承知のように、昔逓信従業員というのは逓友会でございましたか、という名前の組合を持つておつた歴史もある。従つて団体交渉権、団結権を認めることが常識上必要ではないかという点で、今回同じ取扱いをしたわけであります。教員のほうは、その点は先ほども申しましたように、広い意味の教育行政、国の一つの教育という仕事を掌つておつて、單なる現業と言いますか、肉体労働というものとは違う、やはり一般の役所で仕事をしておるところの公務員の仕事と大体性質は似たものでございますから、そういうものは政府の責任において、そうして人事院等の取扱いにおいて態様というものをきめて行く、これが適当ではないか、かように私は信じております。
#37
○原虎一君 その点は、先ほども若木委員に対する御答弁で承わつたのでありますが、それでは郵便局における貯金、或いは郵便事務をやつておる諸君と、教員とはどこが違うか。成るほど今後は電信電話は公社になりますが、公社といえどもこれは国の資本で、国の予算の中でやつて行くのでありますから、純然たる独立採算制で、利潤分配が総裁の権限で簡單にできるわけでもなければ、融資を簡單にできるというわけでもありません。ただ公社という名前が、従来の電通省の上にかぶさつて、或いは電通省の名前が公社という名前になつたに過ぎない。その仕事はやはり従来の公務員として同じことをやるのです。そのものに団体交渉権、団結権が認められて、教員は教育行政だからといつて、一体郵便事業の事務者と、配達夫とは違うかも知れませんが、事務者とどこが違うか、扱つておる仕事は国の重要な仕事を扱つておる。私はその点が理解できないので、重ねてお伺いします。又あなたの御説明によりますと、地方公労法によりまして、水道、ガス、電気、地方鉄道、軌道、こういうものの従業員に団結権を與えると言いますか、それらと同じように、もつとひどい、純然たる労働をしております火葬場の従業員であるとか、或いは道路清掃人夫であるとか、こういう者に対しては団結権は與えられない。ここにやはり御説明と事実とは矛盾するものがある。いわゆる逓信関係の従業員諸君に今まで団体交渉権を認めなかつたというのは、戰後におけるところの六、七年間に亘る歴史によつて、歴史に基く判断によつて、これが今まで與えられるべきものが與えられなかつた。教員にも同様に與えられるべきものが、憲法で保障されるべきものが保障されていない。片一方に與える限りにおいては、片一方にも與えるというのが、これが公平なる政治であり、與えないならば国民が納得できるものでなければならない。ところが今私が労働大臣から伺う範囲においては、非常な矛盾がある。この点をもう少し御説明を願いたいと思います。
#38
○国務大臣(吉武惠市君) 教員の点は、私は一般の公務員と非常に性質が似通つていると思う。ただ郵便局の窓口で成るほど机の上でやつているでありましようが、これは主として肉体的といいますか、機械的な現業である。教員が現業である、教壇に立つて子供を教えるのが現業だ、労働だ、それは一定の俸給を以て生活するという点から言えば或いはそれは労働と言えぬことはございませんけれども、常識上いわゆる労働者としての労働とは私は性質が違う。やはり一般の公務員の仕事と似た点が非常に多い。私はこれは一般公務員と同等の取扱いをすることが常識だ、そしてもう一つお尋ねの、小使さんであるとか、或いは役場のいろいろな職員、こういうものも公務員である。従つてそれは肉体的な労働をやつているのに団体交渉権を與えぬのはどうか、これはいつかの委員会で原さんのお尋ねに対して申上げたと思うのでありまするが、こういう純粋な單純労務は、これは私は団体交渉権を與えるべきでないと思います。従つてこれは別個の法律体系で今研究している。そこで私はこれは将来も與えるべきでないという見解は持つている。ただ今回提案いたしましたのは、地方の一つの企業体、国鉄であるとか專売であるとかというふうな企業体にこの団体交渉権を與えていると同じように、地方においても一つの企業体、一つの特別会計において独立採算を主たる目的として、或いは一般から繰入れる場合があるでありましようが、一つの企業体としておかれるものを一つの法律体系で取扱つている。従つてこの中で、純粋のただ筋肉労働者というところの小使さんであるとか、そういうような役場の筋肉労働をやられる、肉体労働をやられるというふうなのが同じに取扱いにくい点がありますので、私が別個に研究をする、かような考えを以て今回は提案しないので、私は近い将来に追つかけてこれらのものに対する法制の整備は、これはやらなければならない、かように存じております。
#39
○原虎一君 そこで明確になつたのでありますが、労働大臣のお考えは、いわゆる国家公務員は公務員法によつて律すればいいのである。教員も公務員法によつて律すればいいのである。これらは戰後には団体交渉権、団結権が與えられたのが、いわゆる公務員法によつて剥奪されたのであります。その代りに、生ぬるいものでありますけれども、人事院が公務員の身分保障、労働條件に対する処理の勧告案を作つて国会に出すというような機関ができたわけであります。そこで労働大臣は理想だとお考えになつているような御説明であります。地方の公共団体のいわゆる單純労務に対しましては、地方公務員法附則第二十項並びに二十一項によりまして、大体特別な法律を作らなければならぬという法律規定がある。従つてこれは労働大臣といえどもこれを曲げるわけには行きませんし、又積極的にやらなければならぬという御意思で、今回先ず第一に地方公営企業体ができた。従つて地方公労法ができたのであります。併し私どもはやはり憲法二十八條から行きますれば、当然教員にも、或いは公務員にも団体交渉権を與えるのが理想であると思うのです。ところがそれは六、七年間の歴史において、マツカーサー元帥の下に、占領下においてああいう措置がとられた。従いましてこれは私は理想ではない。従つて大臣の御説明は、労働関係で団結権を與える基準をきめるということはこれは私は正しいものではない、勿論一つのそれが條件にはなりますけれども、あくまでやはり基本権を認めて行つて、それに基本的人権をあくまで尊重する。併しながら公務員という特色、教員という特色に対して、これが簡單に、戰後やりましたようなストをやるとか、教員が簡單に民間の紡績会社や或いは炭鉱の労働者と同じように簡單にストライキをやるというようなことは、これは考えなければならぬけれども、団体交渉と、いわゆる団体行動権というものは憲法二十八條に明記しているのでありますから、要するに理想としては、これに漸次憲法二十八條に近いものを與えて行くということが、これは政治の私は基本にならなければならない。併しながらあなたの御答弁によれば、そういう考えはあるけれども、どこかの隅のほうに少しあるので、現在では公務員に団体交渉権、いわゆる教員に団体交渉権を與えるということは間違いだと言わんばかりの御説明は我々納得できない。将来やはり憲法二十八條に基く基本的人権を実情に即してこれを認めて行くという実施の方向はとられないのであるか。もうこれ以上は認めないという自由党の内閣の方針であろうか、この点を明確に願いたいと思います。
#40
○国務大臣(吉武惠市君) 私は、教員にいたしましても、一般の公務員にいたしましても、この公務員たるものはやはり国家全体に奉仕するという立場に置かれているものでありまするから、団体交渉権は付與すべきでない、かように存じております。
#41
○原虎一君 その点は労働大臣としての御見解であつて、吉田内閣としての見解と承知してよろしいかどうか、その点をお伺いしたい。
#42
○国務大臣(吉武惠市君) 私は現政府における労働の責任者でございまするから、勿論私の言は政府の方針と心得て結構であります。
#43
○原虎一君 次に岡野大臣見えていますか。
#44
○委員長代理(村尾重雄君) まだですが……。
#45
○原虎一君 それでは労働大臣のほうにお伺いを続けることにいたしますが、連合でありますから、甚だ條文的になつて恐縮なんでありますが、一応これは事務当局よりか大臣にお伺いしたほうがよろしいと思いますのでお伺いいたしますが、地方公営企業労働関係法の三條に規定いたしております、この法律によつて律せられる対象は、地方鉄道事業、軌道事業、自動車運送事業、電気事業、ガス事業、水道事業とあります。ここで水道事業と申しましても、実は範囲が広いので、まあ下水も入るのか、或いは下水に近いけれども、これは全然違います、改良下水があります。東京都におきましても、大阪市におきましても、水洗便所関係、改良下水関係、これは相当の人員がおるわけであります。この範囲を明確に願いたい。なお今後そういう点は政令で決定されるのであるかどうか、お伺いしたいと思います。
#46
○国務大臣(吉武惠市君) 第三條に掲げておりまする通り、やはりこれは水道事業でございまして、下水事業は入つておりません。なぜここに入つていないかと申しますると、ここに掲げておりまするものは、先ほど来申しましたように、この地方公共団体で行うところの企業体というものにおけるこの現業職員に対する団体交渉権及びその解決の方法を規定したのであります。で下水道というものは企業の性質を持つていない。ただ予算を以て、租税收入から、或いは租税収入以外のものもあるでありましようが、その一般の財源から事業としてやるわけでありまするから、これは土建の事業に従事するものと同じように、私は別個に考えるべきだということで、先ほど申しました單純労務と同じように、私はこれは別の法律体系で考えております。かように存じまして、この中に入つておりません。
#47
○原虎一君 そういたしますと、この第三條の指定しておる事業に対する関係政令は出ない。この法律の條文によつて明かだと、こう解釈してよろしいのでありましようか。その点をお伺いします。
 それから関連いたしまするが、この第四條におきまして、問題の紛争を処理いたしますのは、いわゆる労働委員会に任せておるのです。その労働法によります労働委員会は、御承知のように労使間が同意いたしたもので仲裁機関ができるのでありますが、この第四條におきましては、それを認めていないようでありますが、いないといたしますれば、認めない事由も御説明願いたいと思います。私はむしろこれがあつたほうがよろしい。私も戰前、戰後の経験からいたしまして、その労働委員会の構成に対して、公共企業体の労働組合側の意に満たない人がいると、意に満ちている人ばかりが出ていないのでありますから、そういう場合において労使双方が同意した別の仲裁機関を作るということがあつて然るべきだと思う。私のこれは調査の不足か知りませんが、それは認めていないように見受けるのでありますが、この点は如何になつていますか、御説明願いたいと思います。
#48
○国務大臣(吉武惠市君) この地方公営企業労働関係法におきますところの調停の機関といたしましては、特別の機関を設けませんで、現在の地方の労働委員会をそのまま活用することにいたしたのであります。これはまあ先だつてのここの公聽会でもございまして、できるだけこういう調停の機関というものは、たくさんあるよりも一本化するほうがいいという点で、国のほうも一応考えて見たのですが、国のほうは、中央労働委員会一本に、たくさんな民間企業も出て来る、又こういうふうな官庁関係のものも出て来るというと、恐らく背負いきれなくなるだろうということで、国のほうにつきましては、中央調停委員会及び中央仲裁委員会というものを別個に一本……、今までは別々にございました專売なり国鉄なり、それを一本化いたしまして、ただ中央労働委員会と離れたものを作つたのでありますが、地方は民間の争議と官庁の争議とがそうたくさんあるわけじやございませんので、別の機関を設けるのはどうかと思いまして、の労働委員会そのままでこれを行なつて行く、従つて先ほど御心配になりましたような心配がなく、やはりそのメンバーの構成につきましては、労働側の委員は労働組合から推薦され、使用者側は使用者側から推薦され、そうして公益委員は両者の承認した者がなるという建前でございます。
#49
○原虎一君 私の質問の趣旨が御理解にならなかつたように思われます。私の申しますのは、別に地方公営企業体のために別な仲裁機関や調停機関を作つたほうがいいというのではありません。中央、地方の労働委員会で紛争を処理して行けばよろしいのでありますが、それがこの條文ができますと、たしか第四條の終りのほうにあります、「第三十五條の二から第四十二條までの規定を除く。」こうなりますと、三十五條の二ということになれば、例の労働関係調整法によりますと、労働委員会のほかに、労使が同意して作る仲裁機関というものができるわけであります。このことを私は申したのであります。これは労働大臣、お考えないのじやないかと思つてお伺いしているのであります。曾つて東京市において、戰前でありますが、非常な大きなストライキをやりまして、その調停を昔の調停法によつてやりましたときも、調停委員がそのときに特別にできて、そうして調停したのであります。戰後におきましても、読売新聞の、これは労働組合法のできる直前の争議のときに、いわゆる当時の組合幹部が、今の復活された社長でありますが、この追放問題で争議をやりました。あのときに労働委員と別な労働仲裁役を別に作つたわけであります。これは労使間が同意して労使間の賛成のものを作つたのであります。その当時の事情から申しますれば、いろいろな思想的な混乱や、思想的な偏見があつて、法的にできた調停委員並びに仲裁委員というものが気にくわない、そういう場合があつたわけでありますが、そういうことがあつて然るべきじやないかと思います。それは今度は禁止されておるのでありますが、その禁止された理由をお聞きしたいわけです。
#50
○国務大臣(吉武惠市君) 成るほど戰前におきましては市電等の争議の際には、臨時に特別にそういう調停機関が設けられたのでありますが、御承知のように当時はそういう機関が全然なかつたから臨時に設けざるを得なかつたのでありますけれども、終戰後におきましては労働委員会という常置的な機関があつて、そうしてその地方の一切の労働問題というものを取扱つて来ておる。従いまして官庁だけは特別でなければならんという私は必要はないじやないか。而も今日地方の労働委員会も相当の経験を経ましてだんだんと信用を得て来ておるのでありますから、それぞれの仕事に專門的な労働委員会を作るということは、却つて私は手数も多いし又よくないのじやないか、かように存じます。併し專門的な知識の者が要るということもあり得るでありましよう。従つてそれは單なる地方公営企業関係ばかりじやなしに、中央におきましてもあらゆる事業について專門的な委員の加わつたほうがいい場合があるだろうというところから、実は今回提案しました労調法の改正案の中にも特別調整委員を置くことができるという規定を置きまして、そういう專門の特別調整委員というものをあらかじめ置いておく、或いはあらかじめでなくとも、そのときでも結構でありますが、これは地方にも置くわけでありまして、中央ばかりではありません。こういうことの活用によつて、今原さんの御心配になつた点は補いたい、かようなつもりでおります。
#51
○原虎一君 岡野国務大臣が見えておりますからお伺いしたいと思いますが、地方自治法の第九十七條の二項、一応九十七條を読んで見ますが、第九十七條「普通地方公共団体の議会は、法律又は政令によりその権限に属する選挙を行わなければならない。」これはよろしいのですが、第二項に二として「議会は、歳入歳出予算について、増額してこれを議決することを妨げない。但し、普通地方公共団体の長の歳入歳出予算の提出の権限を侵すことはできない。」この解釈、これは字の通り解釈すればわかるようなものでありますが、事実においてはわからないのであります。と申しますのは、議会に予算を増減する議決権を認めて妨げないと認めておりますが、逆に但書では団体の長の予算の提出の権限を侵すことはできない。この限度でございます。これはどういうふうに事実においては行われており、又行うのが理想であるか、この点をお伺いしたい。
#52
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これはやはり地方公共団体の全責任を背負つておる、即ち行政のすべてのことを総括して責任を負つておるものは地方公共団体の長でございます。と同時に行政には必ず予算が伴わなければならんことになつておりますから、この予算というものに対しては長が全権を持つべき筋合いのものでございます。併しながら中央でもそうでございます通りに、議会というものは人民の意思を代表する一つの法的の力を持つております。でございますから議会が議決しますということは、これは地方の住民の総意というものを反映する、こういう意味に我々は考えております。でございますから、そこに調整を取りまして、その住民全体がこういうふうにしてとにかく地方行政をやつてもらいたい。殊に予算の点におきましてもこういうふうにしてもらつたほうが住民の福祉に貢献するところが多いということがありますならば、これは住民の意思を代表して、その議会がこれを意思表示をして増減をするということにして然るべきものだと思います。これが即ち民主主義の根本でございます。併しながら御承知の通りにその区域全体の行政の在り方、並びに財政收入というようなものは総括的に長が見ておらなければならないものでございまして、その長が、どうも住民の意思は全部そうでありますけれども、併し総括的に見ましてこれはそうは行き得ない情勢だというような場合には、やはり総括的の責任を持つておる長がその出すところの予算に対して、この予算はこういうわけであるから、議会がそういうことをなさつても、我々としては聞き容れられないというような、自分の権限を主張し得るところの根拠を置いたのでありまして、そういう意味におきまして、そういう長の持つておりますところの行政全般に対する責任というものを先ず第一に尊重しまして、併しながら議会は住民全体の総意を表示し得るものでありますから、それが長の行政権に対して余り妨げのない場合には又増減をしてもいい、こういうような意味で調整を図つた規定でございます。
#53
○原虎一君 それでございますとこの議会の予算に対する増減の決議の権限は認められておるのでありますから、私のお聞きしたい点は、最も極端なことになりますれば、知事が、或いは知事ばかりでなく長と言つたら適当でありますが、団体の長が承認でき得ないものを議会が承認するということになりますれば、国会の場合においては最高の機関たる国会が議決するのでありますから、その場合においては政府が解散手続をとるか、総辞職するか、地方議会の場合におきましては同様に長が辞めるか、辞めないでその議会の決定を拒否することができるのであるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#54
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。私は地方の行政と申しますものは、まあ非常に住民とそれから理事者並びに議員なんかとは非常な密接な関係があり、又非常に情勢がよくわかつておる仲でございますから、恐らくそういうふうに四角張つて、そうして言うことを肯かなければお前辞めろとか、いや辞めたくないから議会を解散するとか、こういうようなことには行かないだろうと、こう期待しておる次第でございます。併しながらお説のようにそれがどうしてもいかんという場合には、或いはそういうような情勢が起きないとも限りません。片方はやはり地方公共団体の長と申しましても住民全体の総意によつて出ておるものでございますし、それから議会の議員もやはり住民全体の総意によつて出ておるものでございまして、それで同じような住民が選挙しまして、住民を代表しておのおのその部署に就いて仕事をしておるわけでございますから、その間に甲乙はないと私は考えるのであります。でありますから極端な場合には、そういう場合が出て来んとも限りませんが、大体において地方行政のあり方から行けば、そこまで行かないで適当に話合いのつくものと私は考えております。
#55
○原虎一君 お忙がしいでしようけれども、もう暫くお待ち願つて、次に労働大臣にお伺いするのですが、例によつていつも問題になります公労法におきましては十一條関係であります。今度出て参りました地方公営企業体労働関係法におきましては十條の関係であります。一番の問題は、いわゆる公共団体と労働組合との間の紛争を、最後は仲裁機関によつて決定される、仲裁の決定は労働協約でありますから、これは双方が協約としての拘束を受けるわけであります。そこで第十條におきましては、「地方公営企業の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、当該地方公共団体の議会によつて所定の行為がなされるまでは、当該地方公共団体を拘束せず、」とあります。これは国の公労法におきましても絶えず問題になつた点であります。時間がありませんから、過去五年間に亘る問題の点は申上げません。殊に労働大臣はよく御承知と思います。ところがそれと同様な問題をやはり残したこの地方の公共団体労働関係法を作つて、それよりかまだ退歩した條文に第十條はなつております。と申しますのは、政府が出しておりまするところのこの逐條解読で行きますというと、第十條の解読のその点に関する説明を見ますというと、第三項により議会による協定の承認があり、且つ必要な予算の議決があるまでは、地方公共団体を拘束しない旨を特に明らかにしている。この説明によりますれば、仲裁によつて決定された條件というものが直ちに労働協約になるわけであります。その労働協約を地方議会が承認しなければ、予算措置をとらなくていいということになりますというと、これは仲裁機関というものは何を相手にして話をしたらいいか、調停仲裁をやつたらいいかというふうになります。同時に逆に申しますれば、地方公共団体の長は、すべて仲裁の決定は議会に来るのでありますから、極端に申しますれば長は知らん顔をしておつていいのであります。仲裁の結果がすべて議会の承認を経なければならんのでございますから、すべてこれは仲裁をする仲裁委員は、議会の長及び団体の長を相手にして話をしなければ、又議会の長といえども議会を開かなければ意思の決定はできないのでありますから、まるきりこれは仲裁する場合におきまして、相手にならないものを、責任を持つた回答をなし得る権限を有しない者を相手にして仲裁をやるということになります。こういう私は解釈を政府が與えておると思うのです。誠に意外に感じたわけであります。一体岡野国務大臣は、そういうもので地方団体におきます公営企業体の労使関係が円満に行くというお考えでこの法律案に同意されておるのか、この点をお伺いしたい。
#56
○国務大臣(岡野清豪君) 原さんの御意見は御尤もの点もございますが、御承知のようにこの仲裁制度はお話のような労働法上裁定が下れば両当事者を拘束するのは、これは本質であります。ところが普通の民間企業等でございますれば、それは直ちにそれで拘束をいたします。併し相手が国であるとか公共団体でありまするというと、それをそのまま拘束することがいいかどうかという問題、そうすると団体交渉を理事者側と組合とがやつて、それが国家の意思を決定してしまう、地方公共団体の意思を変更してしまうということは、私はやはりいけないのじやないか、やはり国家の意思は国会の最高機関において決定する、地方の意思は地方の議会の、つまり地方住民の最高の機関で初めて決定されるもので、それが他の団体交渉によつて意思が決定され、変更されるということは、私はこれはやはり問題である、そこで公労法におきましても、これは私直接立案をしなかつたのでありまするが、あとで思索いたしますると、仲裁裁定というものは拘束するから、三十五條において裁定が下つたときは両当事者を拘束する。即ち後者は拘束をする。併し但書を以て十六條に該当する場合は、それに従わなきやならんぞ、その十六條は何を言つているかというと、つまり予算上、資金上不可能である場合は政府を拘束しない。従つてそういう場合には直ちにあれは一週間以内でありましたか、十日以内かに最高機関たるところの国会にかけて承知をするかしないかを求める、それで国会が承認するということになれば、初めてそこで政府が予算を出すという手続を取るでありましよう。これは地方においても私は同様である。従つて地方の住民の最高機関であるところの県会の意思を直ちに団体交渉で変更し、又は決定するということを避けたわけであります。そこで先ず県会にかけて、こういう団体交渉をいたして締結をいたしましたが、御了承頂けるかどうか、そうして県会でそれは尤もだということで承認を得れば、それに従つて予算の裏付けをするなり、或いは義務を負う。これは私は今日の国におきましても自治体におきましてもそうあるべきではないか、そうするならば原さんのお話しのように、それじや理事者と団体交渉をやつて見たつて、あとで国会なり県会で承認を求められなければ何にもならない、こういうことをおつしやいますが、私はやはりそれは国会にしましても県会にしても、いろいろ揉め事があつて間に仲裁が入り、そうして裁定が下つたということであれば、その趣旨をできるだけ尊重するということが、私はこれは活きた政治である。従つて公労法では当初いろいろ問題がございました。問題がございましたが、一昨々年の悪に国鉄において裁定が下つたときも、政府は呑めんというのを国会が間に立ちまして、到頭半分呑むことにして話をつけ、その翌年の三月に専売の問題が出ましたが、そのときには国会が間に立ちまして遂に全部御承認することにして政府に支出をしている。昨年の幕の国鉄及び專売についても、国会がこの裁定の問題を取上げましたときに、やはり呑んで政府に支出をさせておるのであります。でありまするから、法律の上から御覧になりますと、ちよつと御意見の点があろうかと思いまするけれども、やはり相手が国家であり、公共団体である性質上私はそうあるべきであろう、又運用の面においても私は支障がないものと、かように存じております。
#57
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。理論原則は只今吉武労働大臣が申上げました通りでございます。地方公労法におきましては、やはり国鉄、專売公社で適用されておるような法律をそのまま地方に移して行くという意味において我々は承知しております。
#58
○原虎一君 これは非常な問題を残すのでありまして、大変重複するようでありますが、殊に労働委員会、今日は委員長出ておりませんが、委員長代理の村尾理事もこの点はよくおわかりなんです。労働委員会において十分な御検討を願いたい、というのは今吉武労働大臣の説明は一応今まで政府がとつて参りました態度であります。併し国会の全体が承認をいたしておるものではないのであります。承認いたしておりませんから御説のように国会が斡旋のようなことをいたして仲裁裁定の実行をいたしておりますが、これは吉武労働大臣は国会が調停役を買うような形において労働問題が律せられて来ているから、それでいいじやないかというお考えのようにも承わりますが、とんでもない、これは法の不備によるものから起きておる問題であります。でありますから仲裁裁定がきまつたにもかかわらず、国鉄が予算上質金上困難な問題として政府に上申する、政府は大蔵大臣が当然予算が組めるか組めないか、組めないならば組めないで国会に出すべきものであります。ところが政府はアメリカのもので書いたものを翻訳したその不備につけ入つて、国会の承認を経なければならんというだけの條文を取上げて仲裁の裁定の内容までも国会が検討して、認めるか認めんかの権限があるのだ、こういうふうな解釈に変つて来たことは、私五年間最初から関係しておつて明らかなところであります。殊に私はあのときに問題にしましたのは、賀來労政局長が法文の解釈の本を松崎法規課長等の協力を得て作つたものは、明らかに仲裁裁定は労働協約として労使双方を拘束するのであるから、政府はその協定を実行し得る処置を国会に提出して国会の承認を経、その承認を得て初めて協定の仲裁裁定の効力を発するという明確なる解釈を與えているのであります。これが当時の法を作るときの精神であつたが、それが予算上政府が非常に困難なときに仲裁裁定が行われたものでありますから、法の不備に取り入つてああいう今労働大臣が言われるような解釈をされるようになつて、これは国会は政府と五年間対立して来ているわけであります。ところがそのときにはこの公労法の解釈は仲裁裁定を体して政府が責任ある処置をとつてもよろしいし、そうでなく国会の決定に待つてもいいという二つの解釈にしておりました。ところが今度のこの地方公労法の説明書を見ますというと、協定そのものの承認を議会で得なければならんということになつております。これは説明書をそのまま認めればこれは今の公労法よりかまだ惡くなるのです。先ほど申しますように、それでは仲裁をやる仲裁委員というものは、これはたびたびこの問題についてその当事者、これに関係されました藤林敬三慶応大学教授なんかの参考人としての陳述を数回聞いておりますが、これらの職員のかたがたの陳述においても、今労働大臣が言われるような解釈において仲裁をやるならば、仲裁委員は御免だということまで明確に陳述されておるくらいであります。労働大臣の今の御説明で行きますと、成るほど議会は最高の機関でありますから、その承認なしに予算支出のことまでを仲裁委員会がきめるということは怪しからんと言われますが、ところが理事者、いわゆる団体の長は十分に仲裁の委員に意見を陳述してその仲裁裁定が下るわけであります。併し著しそれが意に満たないものがあれば意に満たない、予算上困難だという問題で長は予算措置ができないということを、予算措置ができない理由を議会に私は聞くのが理事者の責任であります。それはこの條文で行きますと理事者はそういう責任はありません。それは仲裁裁定が下つたんだから仲裁委員会のやつたことですから私は知りませんと言い得るところの條文になつております。すべてこれは議会が承認する、すべては議会がおやりになることである、こういう無責任なことができる條文で一体地方に起きた労働問題が円滑に処理できるかという自信が両大臣におありであるかどうか、そういう欠点があるために折角仲裁裁定が下つて事が明確になつたにもかかわらず、それを履行させるために労働組合はハンガー・ストライキまでやつたり、法が許すか許さんかの境の運動まで社会にしなければならないという、こういう余計なことが起きて来るのであります。議会に運動し、いろいろな運動をしなければ仲裁裁定が実行されないという、こういう不完全な法律をあえてお作りになる、出されたということは我々は了解に苦しむのであります。従いましてこの法律がこのままで行きますならば、仲裁が下つてもそれを履行させるためにストライキをするかせんか、或いは安全運転をやらなければならんというような問題が目の前に我々は見えて来るのであります。そういう不便な法律をなぜ作るか、勿論仲裁裁定の実行に当つては私は議会が責任を持たなければならないと思います。議会に対して責任ある立案を団体の長がするということは、団体の長の私は責任を明らかにすべきだと思う、この点を一つ明確に願いたいのです。
#59
○国務大臣(吉武惠市君) 先ど申上げましたごとく、仲裁裁定自体から昂れば裁定が下つた以上は拘束をするということがこれは建前でありましよう。併しながら相手が国家である、公共団体であるということになれば、それは国の最高意思の決定に待たずして、団体交渉が即国を拘束してしまう、地方団体を拘束する、或いは意思を変更するということは、これは私は許されるべきものではない、やはり国は最高機関である議会がこれを承認するかしないかということによつて決定される、その上で初めて政府が責任を持つてその決定に基いて予算的な処置を講ずるなり或いは義務の履行を図る、私はこうあるべきだと思います。団体交渉自体のほうから御覧になれば、仲裁裁定が下つたらそれによつて政府がすぐ義務を負うべきだとお考えになるのは無理からんことでありますが、これが一会社であるとか或いは一公社であれば、それはそれだけで済むでありましよう。併し相手が国家であり公共団体であれば、その最高の意思の決定に待つて初めて拘束力を生ずるという趣旨のものであろうと私は感じております。
#60
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。吉武労働大臣と同意見でございます。
#61
○原虎一君 これは重ねて恐縮でありますが、吉武労働大臣の考え方は、御説明の通りに仲裁委員会が地方公共団体の、或る意味では予算権を侵害するという意味になる。併しその仲裁裁定が労使双方を拘束するということと、地方の最高機関たる議会がこれに承認を與えるか與えんかということは、私は別個に考えるべきだと思う。一応仲裁裁定は労使双方を拘束するが、そこで民間会社と違つて、この使用者側、即ち公共団体は議会の承認を経るまでその施行ができない。ここに初めて長を相手に仲裁裁定ができる、長を相手にすべての問題を調査し、処理する知識と気持に仲裁委員をしてならしめるところの私は基本的なものがあると思うのです。それなくして議会を相手にやる、議会は数十人の委員の決定を待たなければ、その議会の長といえども意思表示はできないのでありますから、そういうものを対象に仲裁委員がものをきめなければならんということは、仲裁委員は蔵林敬三氏の言を待たなくても、のれんに腕押しと申しますか、労働組合側は法律によつて代表者が責任を以てものに当り、理事者側のほうはこれは議会の長か、団体の長か、どちらに責任があるかわからない。結局議会の決議を待たなければ拘束を受けないというのでは、仲裁委員会というものは、これは一体仲裁委員会が何を相手に、何を根拠に、何を信頼して自信を以て仲裁裁定ができるか、従つて仲裁裁定も議会がきめるのだからいい加減でよろしい、長は議会がきめるのですから、それぞれ仲裁委員の諸君やつておいて下さい、議会の長は議会の皆さまが集つてきめるのだからいい加減にやつておいて下さい、こういう結果になることは、今まで国の公労法の適用の経過においても明らかだと思う。従いまして岡野大臣は御存じないから、労働大臣の解釈が正しいとお考えになつておるかも知れませんが、地方の公共団体の労使関係はこの法律でうまく行くとは考えません。必らず地方の公共団体のいわゆる公営事業の問題は、仲裁まで行かなければ大体解決付かないのが原則であります。その仲裁があやふやな問題になるということは仲裁裁定を履行さすために、そのための争議がもう髪一筋の、法を破るか破らんか、髪一筋の問題が起きて来ることは火を見るよりも明らかであります。そういう不完全な法律をなぜ作つたか、なぜお直しにならなかつたか、私は繰り返して申しますけれども、長が飽くまで仲裁裁定を履行するために努力する手続きをする責任があるという條文を入れることは、なぜ悪いか。そうして予算上、資金上できないということをきめるのは、最高の機関であるところの議会であります。こういう場合長が仲裁裁停の履行のために議会に持ち込みましても、議会がそれはできないから半分しかやらないと言うこともできれば、全部やらないと言うこともできるのです。又それを殖やしてやることも議会はできるのであります。長が仲裁裁停の履行をするための手続上の責任を負わなくてもいいというふうな法律があることは、公労法よりかまだ改惡であります。この点が公労法によつて今まで審議し、今まで参議院労働委員会が、公労法の第十六條でありますか、この問題を五年間に亘つて研究してそれぞれの関係者、当事者から意見を聽取した結論がすでに出ておるのであります。その結論は明らかに私が申しますように出ており、それは改進党の堀木委員がおられれば堀木委員なんかも小委員としてその條文修正を作られた、そこに参議院の意思は明らかになつておるのでありますから、労働委員長は然るべく……、この法案の一番大事なところはここであります。折角団体交渉権、団結権を與えながら、仲裁裁停が議会の承認を経なければならんということのために、そのためにストライキが起きないとも限りません。ハンガー・トライキなんか絶えず起きるということは想像できるのであります。地方の長の家を夜夜中に訪問するというような問題が起きて来るのであります。そういう不備な法律を本参議院が作つたのでは、天下国民に対して相済まん、どうか労働委員会はその点を十分に意に留められて御修正あらんことを切望いたします。
#62
○委員長代理(村尾重雄君) これで本日の質疑通告者の質疑は終了いたしました。それでは労働、人事、地方行政の連合委員会の地方行政委員からの質疑はこれを以て終了いたしました。
 次回は人事委員からの質疑が行われることになつておりますが、日時は追つて公報によりお知らせいたします。
 本日はこれを以て散会いたします。
   午後零時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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