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1947/07/05 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 司法委員会 第51号
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1947/07/05 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 司法委員会 第51号

#1
第002回国会 司法委員会 第51号
昭和二十三年七月五日(月曜日)
    午前十一時二十九分開議
 出席委員
   委員長 井伊 誠一君
   理事 鍛冶 良作君 理事 石川金次郎君
   理事 八並 達雄君
      岡井藤志郎君    佐瀬 昌三君
      花村 四郎君    松木  宏君
      山口 好一君    池谷 信一君
      石井 繁丸君    猪俣 浩三君
      榊原 千代君    中村 俊夫君
      吉田  安君    大島 多藏君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 鈴木 義男君
 出席政府委員
        法務廳事務官  岡咲 恕一君
        法務廳事務官  齋藤 三郎君
        法務廳事務官  宮下 明義君
 委員外の出席者
        参議院議員   鬼丸 義齊君
        参議院專門調査
        員       泉  芳政君
        專門調査員   村  教三君
        專門調査員   小木 貞一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 青年補導法案(参議院提出)(第四号)
 弁護士法案起草に関する件
  陳情書
 一 東京高等裁判所長野支部設置に関する陳情
   書(長野市議会議長笠原十兵衞)(第七十
   二号)
 二 鹿兒島市に高等裁判所支部設置に関する陳
   情書(鹿兒島市長勝目清他一名)(第一四
   六号)
 三 商法の一部改正に関する陳情書(大阪商工
   会議所会頭杉道助)(第二六三号)
 四 弁護士法改正に関する陳情書(大阪高等檢
   察廳次席檢事及び同管内地方檢察廳次席檢
   事一同)(第三三二号)
 五 人身保護法の制定促進に関する陳情書(東
   京都千代田区霞ケ関日本弁護士会連合会総
   務理事第一東京弁護士会長島田武夫)(第
   三六三号)
 六 戸籍事務の運営に関する陳情書(長野縣伊
   那郡伊那町大字伊那上伊那下伊那両郡戸籍
   吏員会実行委員細田光雄外七名)(第四六
   八号)
 七 宮崎縣に高等裁判所支部設置の陳情書(宮
   崎縣市町村会議長会長日高彌一)(第四八
   六号)
 八 軽犯罪法に関する陳情書(全日本産業別労
   働組合会議議長菅道外一名)(第四八七
   号)
 九 嘱託少年保護司に対して補導費助成に関す
   る陳情書(石川縣金澤市下百々女木町北陸
   三縣少年保護司会連合協議会議長高橋利吉
   外七名)(第四九〇号)
一〇 金澤少年審判所廳舍建設並びに少年院設置
   の陳情書(石川縣金澤市下百々女木町北陸
   三縣少年保護司会連合協議会議長高橋利吉
   外七名)(第四九三号)
一一 刑務所の設備充実に関する陳情書(近畿二
   府六縣議会議長会代表三重縣議会議長小切
   間重三郎)(第五八二号)
一二 公職適否審査の中止に関する陳情書(元憲
   法普及会常任世話人上塚秀勝)(第六一六
   号)
一三 長崎市に高等裁判所支部設置の陳情書(長
   崎縣議会議長岡本直行)(第六八九号)
一四 刑事訴訟法の改正に関する陳情書(日本弁
   護士会連合会々長海野普吉)(第八二三
   号)
一五 民事訴訟法一部改正案の施行期日に関する
   陳情書(全日本弁護士会理事会議長山崎
   佐)(第九四五号)
    ―――――――――――――
#2
○井伊委員長 会議を開きます。
 本日は本委員会に付託せられました陳情書の審査を進めたいと思います。
 日程第一、東京高等裁判所長野支部設置に関する陳情書、陳情文書表第七二号を議題といたします。專門調査員より御説明を願います。村專門調査員。
#3
○村專門調査員 東京高等裁判所長野支部設置に関する陳情、裁判所法は高等裁判所の支部を設置することができる場合を規定しておりまするが、われわれは東京との地理的関係及び過去における長野縣下の民事事件のうち、新しい制度のもとでは、控訴事件として東京高等裁判所の裁判を受けることになる事件数などを考えまして、この際長野市に東京高等裁判所の支部を設置されるよう一段の御配慮をお願いいたします。
#4
○井伊委員長 政府において御意見があれば承りたいと存じます。
#5
○岡咲政府委員 ただいまお申し述べになりました陳情の御趣旨は、よく了承いたしました。政府といたしましても、御不便の事情はよく了承しておりまするので、最高裁判所へ陳情の御趣旨は傳達いたしまして、なるべく御希望に副うように努力いたしたいと考えております。
#6
○井伊委員長 委員において何か御意見なり御質疑なりございませんか。――ないようであります。
    ―――――――――――――
#7
○井伊委員長 それでは次に日程第二、鹿兒島市に高等裁判所支部設置に関する陳情書、陳情文書第一四六号を議題といたします。專門調査員より説明を願います。
#8
○村專門調査員 鹿兒島市に高等裁判所支部設置に関する陳情、現在では鹿兒島市は名実ともに南日本随一の文化都市として活況を呈し、人口は戰後の九万より十七万という増加を示しております。しかし九州におきまして、高等裁判所が設置されていますのは、本市と両極端に位置する福岡市だけでありますので、控訴の手続きをする点がきわめて不便であり、相当な時日を要します上に、経済上の負担も少なくありません。從つて控訴しようとする人も、やむなく控訴を断念するような傾向があり、これは新憲法の精神にも合致しないものであると思われます。よつて本市に南九州を管轄する高等裁判所支部の設置が絶対に必要であると認めますので、右設置に対する陳情を申し上げる次第であります。
#9
○井伊委員長 政府において御意見があれば承りたいと存じます。
#10
○岡咲政府委員 ただいまお申し述べになりました陳情の御趣旨は、十分了承いたしました。裁判所支部の設置は、最高裁判所の権限に属しておりますので、陳情の御趣旨は、とくと最高裁判所へ傳達いたしまして、十分の御考慮を願うようにいたしたいと存じます。
#11
○井伊委員長 委員において御意見なり御質疑なりございませんか。――ないようであります。
    ―――――――――――――
#12
○井伊委員長 それでは日程第四、弁護士法改正に関する陳情書、陳情文書表第三三二号を議題といたします。專門調査員より説明を願います。
#13
○村專門調査員 大阪高等檢察廳及び同地方檢察廳一同から、弁護士法改正に関する陳情、新憲法実施に伴い、弁護士法の全面的改正が企てられ、近く第二國会にその改正案が提出される運びとなりましたことは、弁護士制度の発展向上のため、まことに時宜に適したことと思いますが、傳えらるるところの日本弁護士会連合会確定案中、第十三條及び第五條は判檢事の基本的人権を蹂躙し、われわれとしてとうてい承服しがたいものでありますから、大阪高等檢察廳管内全檢事の総意に基き、左記の反対意見を進達いたします。
    記
第一、第十三條の問題
 本條第四号により判檢事は退職後二年間その任地所在の弁護士会に入会を拒否され、從つて弁護士の業務に從事することができないこととなる
 が、かかる規定は、左の理由により明かに不法かつ不当である。
 (一) 憲法に違反する。
   憲法第二十二條は、國民に対し居住、移轉及び職業選択の自由を保障している。
   元來いわゆる自由職業である弁護士たらんとする場合、一定の資格を有する以上、何人といえども届出によつて、自由にその職に從事し得べきことが本則であり、一定の資格以外にわたつてこれを審議し、登録を許可するがごとき制度に対しては、根本的に疑問の存するところであるが、殊に判檢事たりし者について、一定期間その前任地における弁護士登録を拒否することは、判檢事たりし者の居住、移轉及び職業選択の自由を極度に制限する憲法違反の行為である。
   かかる法律は、おそらく他に類例のないところであり、もとより國家公務員法第百三條第二項の場合は、本條とは根本的にその性質と目的とを異にするから、その例にならないことは言うまでもない。
   なお「進達を拒絶することができる。」とは任意規定になつていることは、憲法違反たる点において、強行規定の場合と、理論上何ら差違がないのみならず、かえつて後記(四)に述べるような弊害が伴う。
 (二) 法曹一元化の理想に反す。
   法曹一元化とは、一應判検事、弁護士相互間の人格並びに知識、経験の尊重と信頼とを前提とし、その交流によつて檢察、裁判を公正、妥当ならしめんことを期するものであり、現在何人もこれに異議なきところである。
   現にかかる理想に基づいて、多数の弁護士が判検事に任用され、殊に終戰後は、各地の枢要なる地位についているのである。しかもこれはその所属弁護士会の地域内におけると否とを問わないのであるから、その反対に判檢事が弁護士たらんとする場合も、同樣に取り扱わるべきは、理の当然と言わなければならない。
 (三) 判檢事の生活権に対する重大なる脅威である。
   判檢事があらゆる窮乏に耐え、その職責を果しつつあり、しかもその退職に当つて受ける賜金のごときは、きわめて僅少であつて、二十年勤続の者でも、僅々数箇月の生活を支えるに足りないほどのものであることは、一般の認むるところであると信ずるが、われわれの耐乏生活にも、おのずから限度がある。やむなき事情により退職を余儀なくせらるることもあるのであるが、本條はかかる場合、判檢事の唯一の資本たる法律的知識と経驗とを活かし、生活権を確保する最後の途を塞がんとするものであり、殊に居住、移轉の困難な現状においては、実際上判檢事を退職後二年間餓死の間に彷徨せしめんとする非人道的立法であると言つても過言ではあるまい。
    〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
 (四) 判檢事に対する重大な侮辱である。
   判檢事は清廉を傳統的信條とする者である。しかるに本條は判檢事たりし者は、その任地において前職を惡用し、諸種の弊害を発生せしむる危險ありとの先入観念が立案の前提となつていると考えられる。これは現職判檢事に対する重大なる侮辱である。もちろん過去において、かかる事例のあつたことはわれわれも卒直に認め、遺憾とするところであるが、それはあくまで例外的事実であり、かつこれに対しては、弁護士会の自治的懲戒処分、また場合によつては司法処分を活用する等、別に救済手段がいくらでもある。それを無視して強いてかかる例外的事実をもつて、判檢事一般を律するというのは、はたして当を得たものであろうか。殊に本條によつて弁護士会に登録進達の選択権を與える結果、その取扱いに情実が潜入する余地が生じ、將來在野法曹たらんとする意図をもつ判檢事が、在職中より弁護士会に迎合する風潮を醸成し、かえつて第三者をして司法の公正なる遂行に疑惑を投ぜしむるおそれなしとは断じがたい。
第二、第五條の問題
 本條第一号及び第二号により特別任用の簡易裁判所判事及び檢察官は、永久に弁護士たる資格を有しないことになるが、かくては人材登庸の趣旨に反する結果となる。すべからく一定の制限を附して、その資格を認むる途を開くことが妥当と思われる。特に檢事に関して言えば、副検事は副検事選考委員会の嚴重な選考を経て任命され、三年以上その職に在つた上、政令の定むる高等試驗と実質上何ら差異のない考試を経て檢事に任命されるのであるから、たとえ形式上司法修習生の資格がなくとも、これに弁護士たる資格を認めて何ら弊害なきのみならず、認めるが当然である。
  これを要するに、右二條の改正案は、判檢事の基本的人権を蹂躙するものであつて、およそ民主々義とは縁遠い中世ヨーロツパのギルド的独占思想の再現にあるざるなきやを疑われるのであるが、他面かかる改正案が判檢事に與えた精神的衝撃は、きわめて甚大であり、改正法実施前に大量辞職せんとする空氣が強くなりつつある実状であつて、かかる判檢事の動揺は、人員の不足に悩んでいる現在において、司法制度の運営上、由々しき問題を惹起するおそれがあることを附言しておく次第である。
#14
○石川委員長代理 政府において御意見があれば承りたいと存じます。
#15
○岡咲政府委員 裁判官、檢察官であつた者の退職後の登録制限の点につきましては、法務廳といたしましては、このような規定を設けることは、しいては在朝在野法曹に対する世人の尊敬を失わせる結果ともなりますので、退官者中の不適当な者の処置につきましては、別途考慮することによりまして、そのような制限規定は、むしろ設けない方が適当ではないかと考えます。
 次に特別任用の簡易裁判所判事及び特別任用の檢察官に対しまして、弁護士たる資格を認めないとする点につきましては、これらの者も嚴重なる選考を経て、任用されたのでありますから、適当な範囲において、一定の制限のもとに、弁護士たる資格を與えることが適当ではないかと考えております。
#16
○石川委員長代理 何か質疑がございませんか。
    ―――――――――――――
#17
○石川委員長代理 それでは日程第五、人身保護法の制定促進に関する陳情書、陳情文書表第三六三号を議題といたします。專門調査員より説明を願います。
#18
○村專門調査員 申達書、昭和二十三年三月十三日本会定時総会において別紙の通り決議いたしましたから申達いたします。日本弁護士会連合会当番総務理事第一東京弁護士会長島田武夫。
    決議
 人身保護法案の速かなる國会通過を期す。
#19
○石川委員長代理 政府の御意見があれば承りたいと存じます。
#20
○岡咲政府委員 平和的民主主義國家として再建途上にありますわが國において、新憲法の精神に從い、人権が一層尊重せられなければならないことは、論をまたないところでありまして、いやしくも人身が不法に拘束せられるようなことがあつてはならないと信ずるのであります。從いまして、不法に拘束せられた人身を、一刻も速やかに解放し、これを救済することを目的として、今回國会より提出せられました人身保護法案の立法趣旨には政府といたしましては、満腔の賛意を表した次第でありまして、同法案が成立いたしましたことについては、心から喜びを表現したいと存ずるのであります。
#21
○石川委員長代理 何か御質疑はございませんか。
    ―――――――――――――
#22
○石川委員長代理 それでは日程第六戸籍事務の運営に関する陳情書、陳情文書表第四六八号を議題といたします。專門調査員より説明を願います。
#23
○村專門調査員 陳情書、戸籍事務も司法行政の監督下にある登記事務と何ら区別することなく、速やかに國家の官吏に登用し、しかして各市区町村にこれを駐在せられることになれば、戸籍事務の適性迅速なる処置をなし得ることは信じて疑いません。願わくは、戸籍事務担当の市区町村吏員を國家の官吏に登用せられるよう陳情いたします。
#24
○石川委員長代理 政府の御意見があれば承りたいと存じます。
#25
○岡咲政府委員 戸籍事務担当の市町村吏員を國の官吏に登用いたしますことも、経費の問題とも関連があり、また機構の上からも、さらに研究の余地がありますので、今ただちにこれを実現することは、やや困難ではないかと考えておりますが、請願のご趣旨もありますので、十分研究いたしまして、將來なるべくご希望に副うように努力いたしたいと存じます。
#26
○石川委員長代理 何か御質問ございませんか。
    ―――――――――――――
#27
○石川委員長代理 それでは日程第七宮崎縣に高等裁判所支部設置の陳情書、陳情文書表第四八六号を議題といたします。專門調査員より説明を願います。
#28
○村專門調査員 宮崎市に高等裁判所支部設置の陳情、高等裁判所におかれては、今般全國を通じ、十五箇所の支部設置につき、目下その候補地を選定中と聞きましたが、九州におきましては、熊本、鹿兒島、大分、宮崎の四縣中に一箇所設置せられることとなり、これが候補地を選定中と聞きまするが、これにつきまして陳情いたします。宮崎市におきましては、裁判所の廳舎、あるいは裁判官の宿舎等におきまして、十分な受入れ態勢があり、また地域的に考えましても、経済的に考えましても、交通の点から考えましても、是非必要と思われるような実状にあります。よつて宮崎市に高等裁判所の支部を設置されるよう陳情いたします。
#29
○石川委員長代理 政府において御意見があれば承りたいと存じます。
#30
○岡咲政府委員 ただいまお申し述べになりました陳情の御趣旨は、十分了承いたします。裁判所支部の設置は、最高裁判所の権限に属しておりますので、陳情の御趣旨は最高裁判所によく御傳達申し上げまして、何分の考慮を願うことにいたしたいと存じます。
 なお支部が設置せられることになりますと、これに対應して、檢察廳の支部も設置いたさなければならない関係にありますので、法務廳といたしましても、この陳情の趣旨については、十分の関心をもつておることを申し添えたいと存じます。
#31
○石川委員長代理 何か御質疑はございませんか。
    ―――――――――――――
#32
○石川委員長代理 それでは日程第一三、長崎市に高等裁判所支部設置の陳情書、陳情文書表第六八九号を議題といたします。專門調査員より説明を願います。
#33
○村專門調査員 長崎地方裁判所の管轄に属する地方裁判所の支部は、縣内に八箇所ありまするが、その半数の四支部は、それぞれ離れ島に散在している状態であります。このような現象は、他縣にその類例を見ない特殊事情であります。これら離れ島の縣民が、福岡高等裁判所に上訴し、福岡市に出向きますことは、多大の困難を伴うことであります。やむを得ず上訴権を放棄して地方裁判所の判決に服する事例も、ままある次第であります。この際至急長崎市に福岡高等裁判所支部を設置していただくよう陳情いたします。
#34
○石川委員長代理 政府の御意見があれば、承りたいと存じます。
#35
○岡咲政府委員 ただいまお申し述べになりました陳情の御趣旨は、十分了承いたしました。陳情の御趣旨は最高裁判所へ傳達いたしまして、十分の考慮を願うようにいたしたいと存じます。さようご了承願います。
    ―――――――――――――
#36
○石川委員長代理 それでは日程第一五、民事訴訟法一部改正案の施行期日に関する陳情書、陳情文書表第九四五号を議題といたします。專門調査員より説明願います。
#37
○村專門調査員 全日本弁護士連合会理事会議長長山崎佐氏よりの陳情。政府より今般國会に提出せられ審議中の民事訴訟法一部改正案の実施期日は、昭和二十四年七月十五日以後にせられたい。
 その理由といたしましては、東京初め大多数の裁判所は、廳舎が戰災に遭つて焼失し、その復興がいまだできず、裁判官も人員減少し、記録作成の任に当たつておる事務官も、その素質が低下しておる。これを七月十五日から実施することになれば、事件の混乱が多いことと思われ、訴訟の遲延を來す結果となり、せつかくの改正案も非難の的となるおそれがあるのであります。
#38
○石川委員長代理 この際政府において御意見があつたら、承りたいと存じます。
#39
○岡咲政府委員 陳情のご趣旨はよく了解いたしました。先般民事訴訟法の一部を改正する法律案が國会において審議せられます際、國会の方からこの施行期日につきまして、昭和二十四年一月一日より施行せられたい旨の修正意見が出ましたのでありまるが、政府といたしましては、この陳情の御趣旨もございますし、諸般の事情を考慮いたしまして、國会の修正案には賛意を表した次第でございます。
#40
○石川委員長代理 何か御質疑はございませんか。
    ―――――――――――――
#41
○石川委員長代理 それでは日程第三、商法の一部改正に関する陳情書、陳情文書表第二六三号を議題といたします。專門調査員の説明を願います。
#42
○村專門調査員 大阪商工会議所会頭杉道助氏より商法一部改正に関する陳情。現行商法においては、投資者その他一般第三者の利益保護に急なるあまり、その規定中には嚴格にすぎるものがあり、健全にして自由な経済活動を阻害するきらいがある。從つてこの際諸規定を簡素化するとともに、現下の経済実情に適應するよう改正することが緊要である。なお殊に経済民主化の観点から、商法一部改正に関する意見として以下申し上げます。
   商法第二編第四章株式会社第一節設立に関する改正意見
 一、資本金額が一定の額(たとえば百万円)に達しない株式会社については、現行法の嚴格な規定を緩和し、英國法の私会社に類する取扱をする等別途の措置を講ずること。
 二、目論見書の記載事項を法定して、その公示方法を適当に考慮すること。
 三、定款の認証を廃止すること。
 四、設立に当たり、現行制度のほかに資本確定の原則を緩和し、資本の一定部分(たとえば四分の一)につき株式の引受及び拂込(但しこの場合には株金全額の拂込を必要とする)あるときは、会社は成立し、残金の株式は会社設立後に発行し得る制度を設けること。
 五、発起人以外の者の現場出資を認めること。
 六、現物出資の目的たる財産を数回にわけて出資することができるものとすること。
 七、檢査役による設立経過の調査を変態設立の場合に限ることとし、その檢査は各業種の專門家をもつて構成する業種別委員会または商工会議所のごとき公共経済團体がこれをなすものとすること。
 八、募集設立の場合には目論見書において、最初の取締役、監査役となるべきものを公示し、創立総会においてこれに異議なき限り右の者が最初の取締役、監査役となるものとすること。
 以上
    〔石川委員長代理退席委員長着席〕
#43
○井伊委員長 政府において御意見があれば、承りたいと思います。
#44
○岡咲政府委員 ただいまお申し述べになりました陳情の御趣旨は、まことにごもつともな御陳情と承りました。政府は今回商法の一部を改正する法律案を提案いたしまして、さいわい衆議院の御可決を得た次第でありまするが、この法律案が國会を通過いたしました暁には、政府といたしましては、商法中の会社その他につきましては根本的な檢討を加えて、近い將來に商法の一部改正法律案を提案いたしたいと考えておりますが、ただいまお申し述べになりました陳情の御趣旨は、よく斟酌考慮いたしまして、なるべく御希望に副うように努力いたしたいと考えております。
    ―――――――――――――
#45
○井伊委員長 次に日程第九、嘱託少年保護司に対して補導費助成に関する陳情、陳情文書表第四九〇号を議題といたします。專門調査員より説明を願います。
#46
○村專門調査員 北陸三縣少年保護司会連合協議会議長高橋利吉氏より陳情。陳情の趣旨は、嘱託少年保護司に対し、観察中の保護少年の補導実費を助成せられるよう陳情いたします。その陳情の理由は現在嘱託少年保護司に対して、國家的補助といたしましては、昭和二十一年度におきまして、保護司一人に対し、年額五十円平均であり、昭和二十二年度におきましては、年額百円平均の手当を支給されているのみであります。司法保護の中でも、成人保護の司法保護士に対しましては、すでに補導費実費支弁の途が開かれているのでありますが、時局柄最も主力を注ぐべき少年保護については、個人の奉仕に依存し、國家として放任しておるということは、まことに遺憾でありまして、この際少年保護事業に対し、國家は全面的責任をもちまして、補助、実費助成に関する処置をしていただくよう陳情いたします。
#47
○井伊委員長 政府に御意見があれば、承りたいと思います。
#48
○齋藤(三)政府委員 本陳情の趣旨は、まことに同感であります。本年度予算におきまして、嘱託少年保護司、すなわち本年四月以降は調査員に対する手当を相当に増額するほか、相当少年に対する観察諸費をでき得る限り多額に支給できるように準備いたしております。なおこの問題は、以上の措置によつても十分にこれを解決することはできないものと考えまして、少年保護司に対する補導諸費の支給については、近く司法保護の法制並びに機構を改正する機会に、陳情の御趣旨に副うように、実現方を努力する考えであります。
#49
○井伊委員長 次に日程第一〇、金澤少年審判所廳舎建設並びに少年院設置の陳情書、陳情文書表第四九三号を議題といたします。專門調査員より説明を願います。
#50
○村專門調査員 金澤少年審判所廳舎建設並びに北陸少年院設置の陳情。金澤少年審判所は開設以來この國家的要請を満たすために努力しておりますが、廳舎難と地元少年院の不存在とのため、その活動を制約せられているのであります。現在廳舎といたしましては、司法保護團体更新会の本館を当てておりますが、今般立退きを要求せられており、なおこの廳舎は少年審判所として設計せられたものでないので、その機能運営上幾多の支障があります。また地元に少年院がないので、北陸の少年保護事業の効果が半身不随となつており、遠隔の愛知縣瀬戸市まで少年を送致しておる次第であります。この際金澤少年審判所廳舎を新設していただき、また北陸少年院を設置していただくよう、特に陳情申し上げる次第であります。
#51
○井伊委員長 政府において御意見があれば承りたいと思います。
#52
○齋藤(三)政府委員 現在の少年審判所は、今回の少年法の改正によりまして、遠からず各府縣ごとに一箇所ずつ新設予定の家庭審判所に包攝せられまして、その面において一新することになりますので、その際所管廳でありまする最高裁判所と協力いたしまして、陳情の趣旨に副うよう、諸般の準備に努力中であります。また北陸少年院設置につきましては、北陸三縣下における犯罪少年の数を考慮いたしまして、これを収容することができ得るように、少年院並びにその分院を新設すべく、目下予算的な措置を講じておりますから、近く陳情の御趣旨に副えることと思つております。
#53
○井伊委員長 日程第八、軽犯罪法に関する陳情、陳情文書表第四八七号を議題といたします。專門調査員より説明を願います。
#54
○村專門調査員 目下政府より軽犯罪法を提案し、衆議院において審議中と聞いておりますが、この際全労働者の名において次のごとく陳情いたします。一、軽犯罪法は労働運動、農民運動、その他の民主的運動に対して適用しない旨を明文をもつて示されたい。
一、右の趣旨をよく警察官、司法機関に徹底し、現在各地に起つている不法檢束、留置等に対して、ただちに釈放の手続きをとつてもらいたい。
一、右の完全な保証が與えられない限り、その制定実施をやめてもらいたい。
#55
○井伊委員長 政府において御意見があれば、承りたいと思います。
#56
○齋藤(三)政府委員 本件に関しましては、さきに請願の際答弁いたしましたごとくにございます。
    ―――――――――――――
#57
○井伊委員長 次に日程第一一、刑務所の設備充実に関する陳情、陳情文書表、第五八二号を議題といたします。專門調査員の説明を求めます。
#58
○村專門調査員 刑務所の設備充実に関する陳情。刑務所の設備不足のため、相当期間收容すべき惡質犯罪人すら、やむを得ず釈放出所せしめている結果、はなはだしく社会の治安に惡影響を與えている。よつて当局は速やかに戰災刑務所を復旧するとともに、必要に應じ増改築を断行して、その收容力を増し、その方面から治安の確保に一段と努力を拂われたい。
#59
○井伊委員長 政府において御意見があれば、承りたいと思います。
#60
○齋藤(三)政府委員 裁判所と連絡いたしまして、鋭意御趣旨に副うように努力いたしたいと思います。
#61
○井伊委員長 御質疑はありませんか。
    ―――――――――――――
#62
○井伊委員長 次は日程第一二、公職適否審査の中止に関する陳情、陳情文書表第六一六号を議題といたします。專門調査員より説明を願います。
#63
○村專門調査員 公職追放令は、その発布以來今日まで、社会の各方面にわたつて実施せられ該当者二十万内外に達し、審査件数は中央、地方を通じて約百二十万となつている。政府は五月十日をもつてこれが打切りをすると新聞紙上に傳えられておりますが、この際公職追放は断然五月十日をもつて打切りとするようお願いしたい。その理由といたしましては、今後も継続して公職追放を続行する場合におきましては、内閣の更迭ごとに互いに摘発をするがごときことも起きてきて非常な弊害を伴うものと考えられる。これは國民に大きな不安を與えるものであるから、これがために大きな事業の着手も國民としてはできない次第である。右陳情をいたします。
#64
○井伊委員長 政府において御意見があれば、承りたいと存じます。
#65
○齋藤(三)政府委員 御趣旨に副いまして、政府はその手続きを実施中でございます。
#66
○井伊委員長 御質疑はありませんか。
    ―――――――――――――
#67
○井伊委員長 次は日程第一四、刑事訴訟法の改正に関する陳情、陳情文書表第八二三号を議題といたします。專門調査員より御説明願います。
#68
○村專門調査員 今議会に提出されました刑事訴訟法改正法律案は、公共の福祉と人権の擁護を目的とする重要な法律案でありますが、改正案は從来の三審制度を二審制度に改め、事実の審理は第一審限りとし、控訴審は事実の審理をなさないで、現行法の上告審のように、書面審理をするにすぎないものになつております。これによると、事実の審理は、第一審限りであるから、裁判官は、練達堪能の士でなければならず、また公判中心主義に徹しているから、第一審の審理は非常に丁重複雑になる。それゆえ、改正案が議会を通過して実施せられる暁には、第一審裁判所の施設は、大拡張されねばならぬことになる。本会の調査したところによりますと、少なくとも第一審の法廷は、現在の二倍の法廷数を要し、約千名の判事を増員せねばならず、檢察官や書記の増員も不可避的である。これらの係官や弁護士が新法に慣れてこれを円滑に運用するには、相当期間の訓練を要するのでありましよう。殊に書記が記録をとるには、速記によるのほか方法はないと思うが、現在速記のできる書記は一人もいないというも過言ではないと存じます。かりに改正案の内容が、現行法に比して、著しくすぐれているとしても、これを今ただちに実施するについては、(一)貧弱の極に達しているわが國の財政が、右のような物的施設を設備することができるかどうか、はなはだ疑わしいと思う。ついては両議院は、各裁判所について、(イ)廳舎の敷地、(ロ)廳舎の建設、(ハ)裁判所構内における面接設備等につき、具体的成案を得、財務当局の承認を得た上でなければ、とうていこれを実現することはできないであろう。また(二)多数の司法官を獲得することについても、具体的成案を得、かつ財政当局の承認を得た上でなければ、これまたとうていこれを実現することはできないでありましよう。本会としては会期切迫の今日、刑事訴訟法改正法案の審議を、本國会をもつて足れりとせず、第三國会に及ぶとも万全の策を講じ、立法に遺憾なきを期するよう陳情する次第であります。
#69
○井伊委員長 政府において御意見があれば、承りたいと思います。
#70
○宮下政府委員 ただいまの陳情の趣旨につきましては、いかに今回の改正刑事訴訟法案が、基本的人権の擁護に徹したりつぱなものであつても、その裁判所の人的、物的の施設の充実ということとにらみ合わせてない以上は、要するにただ單なる理想を追つた改正案であつて、現実においては、かえつて人権を擁護する趣旨にはならないのではないか、十分なご審議を願いたいという趣旨の陳情と拝承いたしたのでありまするが、この論議は当委員会におきまして、刑事訴訟法を改正する法律案のご審議の際に、各委員からきわめて熱心なる透徹した御質問、御意見があつて、慎重に審議されたのでありまして、政府といたしましても、この点については、十分に檢討を遂げまして、裁判官、檢察官、裁判所書記、検察事務官等について、相当数の増員を必要とし、また法廷の増設等も、相当数必要であるということはもちろんでありまするが、それも必ずしも陳情書に掲げられておる程度の多数、あるいは多額のものではない。現在の研究準備によりまして、本年一ぱいで十分に準備が賄えまして、來年の一月一日から、この改正案を実施し得るという確信をもつて、この法案の審議を願つておるところでありまして、陳情書に述べてありまするように、この法案の審議を延期してくれということは、すでに日本國憲法が施行されておりまして、さしあたりの應急的措置として、刑事訴訟法の應急的措置に関する法律によつて、現在運用されておるのでありまするが、これはまつたく應急的、一時的な措置でありまして、憲法の附属法典として最も重要なものの一つであるまする刑事訴訟法につきましては、きわめて速やかに本格的な、恒久的な改正案を実施に移す必要があるのでありまするので、政府といたしましては、陳情の趣旨の点も十分に考慮いたしまして、できるだけ速やかにこの法案を実施してまいりたい。こう考えておりまするし、またその確信もある、こう申し上げたいのであります。
#71
○井伊委員長 御質疑はございませんか。――これで全陳情書について一應の審査は終了いたしましたが、この際御意見はございませんか。
#72
○石井委員 本委員会に送付せられまして各陳情書は、最も妥当なものと見まして、本委員会においては、これを了承されんことを希望いたします。
#73
○井伊委員長 ただいまの石井繁丸君の御動議のごとく、全陳情書はいずれも本委員会において了承し、今後の本委員会における審議の際に陳情の趣旨を反映するということに御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#74
○井伊委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#75
○井伊委員長 この際お諮りしたいことがあります。すなわち本委員会において、開会中全力をあげて審議を重ねてまいりましたが、なお閉会中といへども、引続き調査、研究を進める必要があると存じます。調査中の事件につき、議長まで継続審査の申出をいたしたいと存じます。それは閉会中審査すべき事件として、一、弁護士法に関する件。二、青年補導法案に関する件。三、少年犯罪防止対策の件。四、司法保護團体の全國的調査、その他司法制度改善等に関する件であります。これについて御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#76
○井伊委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。それでは休憩いたします。
    午後零時三十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時三十分開議
#77
○井伊委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 この際お諮りいたしたいと思います。本日までしばしば打合会や懇談の形式で論議を盡して案を練つてまいりました本法案は、ようやくここに一應の仮案を得ることができました。そこで今お手元に配布いたしましたこの案を一應委員会の仮案として決定いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なしと」と呼ぶ者あり〕
#78
○井伊委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 次にさきに予備審査として本院に提出せられ、先日委員会において提案者より説明を聽取いたしました青年補導法案は一昨日参議院を通過し、同日本委員会に付託せられました。これを議題として審査を進めます。それでは泉参議院專門調査員。
#79
○泉參議院專門調査員 お許しを得まして、私より青年補導法の各條につきまして、簡單にご説明申し上げます。
 第一條はこの法律の目的を掲げたものでありますが、罪を犯した青年に対して適切なる補導を施し、これを正常なる社会人として再生させるということが、本法の目的となつております。ねらいますところは、第三條にその処遇の模樣を書いてあるのでありますが、青年について五年以下の懲役または禁錮の刑に処するのを相当と認めた場合に、犯罪の原因、その者の性質、能力、経歴等を考慮いたしまして、実刑を処することが不適当であると裁判所が認めた場合には、刑の言渡しにかえまして、判決で青年補導所に入所を命ずることにいたしたのであります。從來の保護処分は、すべて判決以前の手続きでありますが、本法ではこれを判決手続きとして、裁判所が審理の結果保護処分をやるというところが、非常に目新しいことになつております。その判決には、五年以下の範囲で入所の期間をきめることになつております。ここに青年と申しますのは、第二條に十八歳以上二十六歳未満ということに限定したわけであります。少年法との関係は、今度の改正案で二十歳に相なつておりますが、前の少年法では十八歳までとなつておりましたので、十八歳ということにしたのでありますが、十八歳から二十歳までは新しい少年法でもやれるし、これでもやれるということに相つております。
 第四條は判決以前にかりに入所をさせることができるという規定をおいたのでありますが、これはその補導処分をすることが適当であるかどうかということを、事前によく調査するために、裁判所が職権で、または警察の申立によつて、被告人を九十日を越えない期間、かりに補導所に入所を命ずることができる。そうしてよく補導所長あるいは職員に見てもらいまして、その結果を参考意見として裁判所に提出させるというふうにしてあるのであります。この仮の入所処分は判決をすることによつてその効力を失うということにしてあります。
 第五條は、上訴の不利益変更禁止の規定との関係を書いたものであります。御案内のように、今度の刑事訴訟法でも、控訴審または上告審では、原審より重い刑を言い渡すことはできないというふうになつておりますが、さてこの補導所に入所するという処分は、新しい処分でありまして、判決との関係で、いずれがと重いかということが問題になりますので、実は補導所入所は、刑ではないのでありますけれども、やはり重い軽いということを書いた方がよかろうというので第五條で実刑よりは軽いのだ。つまり懲役または禁錮よりも軽い。しかし罰金よりは重い。そして執行猶予の言渡し等は、軽い重いがないということにいたしまして、上訴した場合に一審で補導所入所を命じた者について、第二審で執行猶予をすることは差支えない。しかし一審で、補導所入所を命じた者を、二審で実刑を課することはできないというふうに、その軽い重いをここに書いたのであります。第二項は職務の執行について、刑事訴訟法の刑の執行に関する規定を準用したのであります。
 第六條は時効の規定をおいたのでありますが、これはまた刑の時効ではありませんので、当然刑法の規定がかぶつてまいりませんから、そこで刑法の時効に関する規定を、ここへ準用いたしまして、本法の時効は「これを五年とする。」ということにしたわけであります。
 第七條は判決によつて入所を命ぜられた者が、その後に裁判所によつて禁錮以上の刑の言渡しを受けて、これを執行するようなことになつた場合には、先に言渡された入所の処分は、そのときをもちまして終了する。併せて執行することはしない。つまり懲役刑あるいは禁錮刑の方を執行することによつて、入所の方はそれでやめてしまうということにしたのであります。
 第八條は入所者が逃走した場合には、刑法の逃走罪をもつて論ずるので、そこでこれは補導所長の請求を待つて論ずるということにしたのであります。
 第二章は青年補導所の組織権限等について書いたのでありますが、補導所は、三條四條の規定、あるいはまた別に法律でもつて青年補導所に入所を命ずるという者ができた場合に、それらのものを収容するところであるということを書きました。他の法律と申しますのは、今のところは他の法律は一つも出ておらぬのでありますが、將來あるいは家庭裁判所などで、十八歳から二十歳までの者について、そういう処分が行われるというようなことにでもなりますれば、さしあたりこの規定が活きてくると思います。
 第十條は「補導所は、これを國立とし、主務大臣がこれを管理する。」これは法務総裁が主務大臣になることになつております。
 第十二條は、「補導所に所長以下必要な職員を置く、職員について必要な事項は、政令でこれを定める。」と書きました。
 第十二條は、補導所の運営については民主的な処置を考えまして、重要な事項を審議するために、補導所ごとに青年補導所運営委員会を置くことにいたしまして、委員は五人で、これは主務大臣がこれを命ずることになつております。
 なお十三條で、この法律で定めてあるもののほかは、委員会について必要な事項は政令できめるということにいたしました。
 第三章は、補導及び、処遇の実際であります。
 第十四條では、在所者の補導は、必要な教養を施し、勤勉で規律ある生活の下に、主としてその適正に應じた職業の補導を通じて、正常な社会人として再生させるというふうなことをもくろんでおるのであります。本法の眼目としては、職業の補導を通じて、正常な社会人として再生させるというところにねらいがあるのであります。なお十五條で男と女とは各別々に収容する。
 それから十六條、「所長以下の職員は、常に在所者の心身の状況に注意し、これが保護のため必要な手段を講じなければならない。」というふうに規定をいたしました。
 十七條で、この補導運営委員会は、少くとも三月に一回、補導所を査察して補導所の運営、及び補導の状況について、主務大臣に報告しなければならぬといたしました。この規定を置きませんと、ややもすれば補導運営委員会が、名のみになるおそれがありますので、三月に一回は必ず見てまわれということを書いたわけであります。
 十八條は、委員会は補導所の運営及び補導に関する必要な事項について、所長に勧告しなければならぬということを書きました。
 第十九條は、在所者を所定の作業に從事させ、そうしてこの從事する作業については、給與金を支給するということを書きました。
 第二十條は、所長は、在職者に対し、命令の定めるところによつて、面会、通信、金品の授受、図書の閲覧等について、必要な制限を加えることができるとして所長の権限を書いたのであります。
 第二十一條では、「所長は在所者の所持する金品を領置し又は保護者若しくは適当な者にその保管を委託することができる。」所長はこの場合には、善良なる管理者の注意をもつてしなければならぬというふうに書きました。
 第二十二條では、所長は運営委員会の議を経て成績の優良な在所者に対して賞遇を與えることができる。その種類及び方法は命令できめることにいたしました。
 第二十三條は、所長は紀律に違反した在所者に対して委員会の議を経まして懲戒を行うことができる。この懲戒は訓戒を加えることと、一定期間賞遇の授受を減少し、または停止するかまたは一定期間独居して謹愼させる。但しその期間は三十日を超えることができないとして、憲法の人権保護規定に鑑みまして、懲戒はこれ以外の方法では絶対にすることができないということを掲げました。
 第二十四條は、在所者が逃走した場合は、補導所の職員は、いつでもこれを連れもどすことができる。必要ある場合には、裁判所に逮捕状を求めることができるということを書いたのであります。
 第二十五條は、この法律または他の法律できめるもののほか、在所者の処遇その他について必要な事項は、命令できめることにいたしました。
 第二十六條は、所長は委員会の議を経て、また主務大臣の許可を受けて、在所者の処遇に関する細則をきめなければならぬということにいたしました。
 本法は今年の十二月三十一日までにこれを施行するのでありますが、その施行期日は政令できめるということにいたしたわけであります。
 以上のような次第であります。宜しく御審議のほどお願いいたします。
#80
○井伊委員長 暫時休憩いたします。
    午後四時五十八分休憩
   ━━━━◇━━━━━
    午後七時三十分開議
    〔以下筆記〕
#81
○井伊委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 先に議長のもとに弁護士法案に関する件ほか四件について、閉会中審査の申出でをいたしておきましたが、議院において決定をみましたので、そのための小委員を選任いたしたいと存じます。
#82
○石川委員 閉会中継続審査のための小委員は、委員長において御指名あらんことを望みます。
#83
○井伊委員長 石川君の動議に御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#84
○井伊委員長 それでは委員長において、次の諸君を指名いたします。
      池谷 信一君    石井 繁丸君
      八並 達雄君    鍛冶 良作君
      佐瀬 昌三君    花村 四郎君なお委員長の選任はいかがいたしましようか。
#85
○鍛冶委員 小委員長の選任は、選挙の手続きを省略し、委員長において御指名あらんことを願います。
#86
○井伊委員長 ただいまの鍛冶君の動議に御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#87
○井伊委員長 それでは八並達雄君を小委員長に指名いたします。
#88
○井伊委員長 次に少年院及び少年保護施設視察のため委員派遣を行いたいと存じます。ちよつと筆記をやめて……。
    〔筆記中止〕
#89
○井伊委員長 それでは懇談の結果、次の通り委員を派遣したいと存じます。
 北海道空知郡砂川町紫明寮その他へ七月十日より向う十日間八並達雄君。
 大分縣下毛郡大幡村貞心寮その他へ七月十日より向う十日間、大島多藏君。
 大阪府茨木市大字郡山浪速少年院その他へ、七月十日より向う一週間中村俊夫君。
 香川縣仲多度郡善通寺町、四國少年院その他へ、七月十日より向う一週間、岡井藤志郎君。
 仙台市荒巻東北國栄学院その他へ、七月十日より向う一週間、榊原千代君。
 以上の通り派遣するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#90
○井伊委員長 それではさよう決定いたします。
 なおこの際委員長より一言御挨拶申し上げます。本委員会は、刑事訴訟法の全面改正を初め、数多の重要法案を付託せられ、連日委員会を開いて愼重審議に当たつてまいりました。その間委員各位におかれましては、まことに御熱心精根をこめて論議を盡されましたことは、深く敬意を表するところでございます。松永委員長の後を受けて、微力なる私が委員長の重責を担い、よくここに大過なくその職責を全うし得ましたことは、まことに委員各位の御協力によるところであると感銘し、厚く感謝の意を表する次第であります。
 それではこれにて散会いたします。
    午後七時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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