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1951/02/26 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 労働委員会 第4号
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1951/02/26 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 労働委員会 第4号

#1
第013回国会 労働委員会 第4号
昭和二十七年二月二十六日(火曜日)
   午前十時四十九分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     中村 正雄君
   理事
           安井  謙君
           波多野林一君
   委員
           上原 正吉君
           早川 愼一君
           椿  繁夫君
           岩男 仁藏君
           堀木 鎌三君
  委員外議員
           原  虎一君
  国務大臣
   法 務 総 裁 木村篤太郎君
   労 働 大 臣 吉武 惠市君
   国 務 大 臣 岡崎 勝男君
  政府委員
   特別調達庁長官 根道 廣吉君
   法制意見長官  佐藤 達夫君
   労働政務次官  溝口 三郎君
   労働省労政局長 賀來才二郎君
   労働省労働基準
   局長      亀井  光君
   労働省職業安定
   局長      齋藤 邦吉君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       磯部  巖君
   常任委員会専門
   員       高戸義太郎君
  説明員
   大蔵省理財局見
   返資金課長   大島 寛一君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○労働関係法規改廃問題に関する調査
 の件
 (審議委員会に関する件)
 (ゼネスト禁止に関する法案並びに
 団体等規正法案の改正に関する件)
○労働行政の実情に関する調査の件
 (川南造船会社に関する件)
○行政協定による労働條件に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(中村正雄君) では只今より開会いたします。
 本日出席を要求いたしております労働大臣、岡崎国務大臣、木村法務総裁も、もう少ししますと閣議が終りますので出席する予定になつておりますので、その各大臣に対しまする質問はあと廻しにいたしまして、前の委員会でも問題になつておりました労働関係法規の改正準備その他の状況につきまして労政局長から説明させます。
#3
○政府委員(賀來才二郎君) 労働関係法の改正に関しまする大体の経過並びにこれに伴いまする労働関係法の審議委員会の経過につきましては一応御報告申上げておきましたが、その後の状況につきまして申上げたいと思います。
 大体総会におきまして一通りの問題点についての審議が終了いたしましてから、これを取りまとめるべく吾妻委員が小委員長になりまして、労使各側から二名ずつ、公益委員は全員を以ちまして小委員会を編成をいたしました更に谷側から一名ずつ連絡員と申しますが連、絡に当るかたが出ました。これは公益側におきましては吾妻委員、使用者側におきましては佐藤委員、労働者側におきましては長谷部委員と、この三人が連絡に当ることになりまして、小委員会を先ず開きまして、その結果吾妻委員が基礎案を作るということになりまして、一つの案を作られたのであります。で、この案につきましては委員会といたしまして、正式に或いは公式に公表いたしていないのでありますから、詳細に亘つて御報告をすることはできませんが、大体におきまして問題になりました点は、吾妻委員の案のうち公務員に対しまする争議権の取扱い方につきまして、吾妻委員といたしましては公務員についても団結権、団体交渉権は勿論、罷業権も与えるべきであるけれども、併しながら現在の事情からいたしまして、当分のうちは罷業権は与えずに交渉権を与える程度といたしたいという意見があります。これに対しまして労働者側は反対の態度をとつておるのであります。で、この反対も今直ちに必ず与えよというよりも、もう少し明確にその態度を決定すべきであるという意向が強いように聞いておるのであります。
 もう一つは吾妻委員の案といたしまして、罷業が国民経済を危殆に陥れるような状態になりましたときには、中央労働委員会に対して緊急調整という言葉を用いておるわけでございますが、五十日間の調整期間を設けまして、この間罷業ができないことにするという案がございまして、この点につきまして労働者側はなお意見があるように聞いておるのであります。で、一方これに対しまして使用側の意見といたしましては、公務員に対しまして、特に非現業の公務員の取扱い方については現行法の通りがよろしい、その他現業の取扱いにつきましても現行通りでいいではないかという反対意見が強いのであります。併しながらこれも話合い方によりましては或る程度譲歩できるのではないかということも考えられるのでありまするが、一方国民経済を危殆に陥れまするような争議が起りました場合の最終的な措置といたしまして、それらの行為についてはこれを明確に禁止すべきであるという意見については、相当強い主張をいたしておりまして、吾妻委員の案ではまだ不十分であるという考え方が強いようであります。で、公益側特に小委員会といたしましては、何とかこの委員会の答申の意見を取りまとめて行きたいという立場をとられまして、数度に亘る努力を継続をされて、おりますと共に、労使ともでき得ればさような状態まで持つて行きたいという考え方で協力的な態度に出ておられるようでありますけれども、なおまだ一致するに至つていないようであります。で、二十五日の日に最後的な連絡委員会を開くという予定でありましたが、これが使用者側の都合で延びまして、三月四日に連絡委員会を開く、その連絡委員会におきまして、小委員会をいつ開き、或いは最後的に取りまとめるところの委員会とするか、或いはなお小委員会を開いて行くか、或いは又総会に直ちに持つて行くかというふうな点を協議するということになりまして、現在はその状態で推移をいたしておるような次第でございます。
#4
○委員長(中村正雄君) 只今一応の関係法の法令審議会におきまする審査の状況の説明があつたわけですが、一応今後の会議の運営につきましてお諮りしたいと思います。
 三大臣の出席を求めておりますが、今閣議をやつておりまして、もうすぐ終るという話でありますので、一応三大臣が出席しなければ審議できない議題はあと廻しいたしまして、それ以外に政府委員が来ておりますので、政府委員で審議でき得る議題を先に諮りたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(中村正雄君) それにつきまして、造船関係の見返資金関係と、川南造船所の閉鎖につきまして委員外の質問として原虎一君から要求があります。出席の政府委員は大蔵省の理財局長並びに見返資金課長を要求しておりますが、理財局長は出席不可能でありまして、見返資金課長が来ております。従つてこの議題を先に取上げまして、委員外の質問として原君の発言を許して御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(中村正雄君) では異議ないものと認めます。原虎一君。
#7
○委員外議員(原虎一君) 政府当局にお伺いいたしまするが、造船関係の見返資金はどういう手続によりましてそうして造船会社に渡つているか、この点の御説明を願いたいと思います。
#8
○説明員(大島寛一君) 造船関係の見返資金が融資されまする手続につきましてこのお尋ねでございます。概要を申上げます。
 昭和二十四年度以来、海運再建のために相当額の見返資金を毎年度融資をいたして来ておりまするが、これは船主に対する融資として行われております。即ち海運業者でありまするとか、その他船を持ちます船主に対する融資でございます。従いまして造船所に対しては見返資金として融資はしていないわけでございます。従来もその例がございます。それでは船主に対する融資は如何ような手続きで行われますかにつきまして申上げますると、毎年度、従来どの程度の船を造るかというような計画を運輸省を中心として作られまして、なお見返資金全体の運用計画は安定本部が中心になりましてまとめるわけでございます。その計画の中で海運関係の融資の計画はこれぐらいということがあらかじめ大綱が決定されます。その範囲におきまして如何なる種類の船を造ることが最も適当であるかというような見地につきまして、運輸省が中心になりましていろいろな基準を作りまして、或いは又こういう船主が海運上適当であるということを公式に推薦されるわけでございます。それに基きまして、同時に今の手続きと並行いたしまして、船の建造につきましては御承知のように相当多額の資金が要るわけでございますので、一部を見返資金から、残りを市中金融機関融資というような通常の方法によりまして調達することにいたしました。両方噛み合せまして建造資金ができるわけでございます。そこで融資の方法といたしましては、市中金融機関はそれだけは自分のほうで建造資金を出しましようという約束を取りまして、その目途のつきましたもので、而も今申上げたような建造適格船主と認められる者に対しまして具体的な申請を日本銀行に提出いたしまして、審査の上、なお司令部の承認を得て実行する。以上が見返資金の海運関係に対する融資の手続きの既要でございます。
 なお念のためにもう一度申上げますと、造船所に対しては見返資金としては融資をしていないわけでございます。そこで融資が実行の段階に入りますると、船主に対して貸付けられまするので、船主が造船所との契約に従いまして建造資金として借受けた資金を造船所に支払つて行くという形になるわけでございます。若干細かくなつて恐縮でございまするが、船の建造関係の資金は、新造船の場合と改造船その他の場合といろいろ様子が異なりまする、船主と造船所との間に契約をいたします。それから造船所で起工が行われます。更に工事が進みまして、進水が行われ、それから最後に竣功を見まして引渡しを完了するわけでございます。そこで見返資金の融資も市中銀行等の融資もその工事の進む段階に応じつつ一定の融資をして行くわけでございます。
#9
○委員外議員(原虎一君) そういたしますと、船主と造船所との間においては実際に見返資金が融通されているわけでありますが、政府としては見返資金の監督と言いますか、監督権なるものは船主までしかない、政府の監督はどの程度行われるのか、その点を御説明願いたいと思います。
#10
○説明員(大島寛一君) 只今手続きにつきまして御説明申上げましたように、見返資金の海運関係の融資が船主に対するものでございます。これは貸出しをいたしますと、旦返資金といたしましては船主に対する債権者の地位に立つわけでございます。そこで見返資金として直接の関係を持ちますのは船主に対してでありまして、造船所はその船主が新造その他発注するという関係におきまして、船主と造船所との関係があるわけでございます。ただ見返資金としまして船主に融資をいたしまする趣旨は、要するに船を造るということになるわけでございまするから、見返資金が貸出されましたあとにおきましてもその工事が順調に行くように関心を持つておるわけでございます。
#11
○委員外議員(原虎一君) そこで具体的な問題でお聞きしたいのでございますが、長崎の香焼島にあります川南造船所は、御承知のように閉鎖して労働組合から破産申請をされております。これに対して次の五つの船主が注文を発したのでありまして、隆昌海運、岡田商船、玉井商船、東邦海運、大光商船、ところが今申しましたように川南造船は昨年の二月二十五日、全員、四千四百四十四名を解雇して閉鎖している。従つて先の五つの船主が見返資金に対する責任を完全に果し得るのか、この点について政府はどれだけの調査をされておりますか、その点をお伺いしておきたい。
#12
○説明員(大島寛一君) 只今のお尋ねでございまするが、昭和二十四年度の建造並びに改造計画の一部といたしまして、改造が五隻、新造が二隻をそれぞれの船主が川南造船所において船を造ろうという計画がございます。そのうち改造二隻は順調に完成したのでございまするが、只今お話の通り新造につきまして二隻と、改造につきまして二隻とは川南造船所が工事を停止するの余儀なきに至りましたので、そのまま工事が継続されなくなりまして、暫らく放置せられる状態に立至つたのでございます。そこで見返資金の立場としましては、極く一部を融資をしておりましたが、工事中絶の状態のままにありますので、運輸省その他関係当局とも十分相談をいたしまして、この船を予定の通り完成させるというような趣旨が一つと、その間円滑に、工事しかけた状態のままで放置されないで済みますようにという趣旨を以ちまして、改造船につきましては船主が協調いたしまして、造船所の施設を借受けまして、工事を続けることになりました。新造船につきましてはまだ進んでおりませんでしたし、川南造船所でそのまま継続するという見込がないということでありましたので、造船所を新たに振替えまして所期の目的を達するように処置したわけでございます。その結果といたしまして、改造船三隻が昨年中に完成を見るに至つたのであります。新造船の二隻につきましては、目下工事が順調に進捗しております。
#13
○委員外議員(原虎一君) そこで当局にお願いしたいのですが、この川南造船所を相手として改造並びに新造船を注文した五つの会社というものに対する見返資金関係はどういうふうになつているか、契約通り返済され、又政府の見込としては、間違いなく返済されて行くものであるか、それからどれだけの旦返資金の融資がなされているのか、その辺の数字を明らかにお示しを願いたいと思います。それからいま一つは船主団と、五つの船主全部ではないかも知れませんが、船主と川南造船所の間に非常な争いがなされて、そういう関係からして船主は間違いなく見返資金の返済の責任を果し得る状態であつたか、この点をお伺いしたい。
#14
○説明員(大島寛一君) 御説明いたします。見返資金の融資は先ほど来申上げましたように船主に対するものでございます。今お話の川南で当初造ろうと計画いたしました五つの船主に対しましても、工事の最初の段階で必要な資金の一部が二十四年度において融資されております。その資金は、現在におきましても見返資金の船主に対する貸付金となつておりまして、当時の條件その他変つていないわけでございます。更にその後これらの船主に対しまして、当初所期いたしました工事を守成するために、所要資金の一部を引続き貸付けております。これも同じく船主に対して貸付けるのでございまするが、その貸付をいたしまする際には、工事を完成するめど、所要資金、或いはその担保、返済可能性等十分慎重なる審査をいたしました上で貸付が決定されまして実行いたしております。担保等につきましても所要の担保を徴しております。従いましてお尋ねの点でございまするが、目返資金のこれら関係船主に対する債権といたしましては、十分保全の措置をとつてある現状でございます。
 返済されるかどうかというお尋ねの点は、今申上げましたように、飽くまで船主に対する貸付でございまするから、当初の條件に従つて返済されることを期しております。又間違いないと考えております。
#15
○委員外議員(原虎一君) そこで先ほど申しました五つの会社に対して貸付けた見返資金の額、その條件、それからその契約に対する履行の状態、これらを一つ書類にしてお出し願いたいと思います。できますか。
#16
○説明員(大島寛一君) 承わりました。
#17
○委員外議員(原虎一君) いつ頃までにできますか、早く欲しいのです。
#18
○説明員(大島寛一君) 至急取急ぎまして用意いたします。
#19
○委員外議員(原虎一君) 一週間くらいでできますか。
#20
○説明員(大島寛一君) 一週間あれば十分と思います。なお書類を出しまする前に若干御説明をいたしてよろしければ御説明を……。
#21
○委員外議員(原虎一君) 今日ほかのほうの時間がありますから、大体そのくらいでいいんじやないかと思います。基準局長がお見えになつておればお聞きしたいのですが……関連して川南問題、出ておりますか、それでは……。
#22
○委員長(中村正雄君) 原君に発言を許しますが、大臣が五分くらいすれば来ると思いますので、簡単に願います。
#23
○委員外議員(原虎一君) 基準局長にお伺いします。今の川南造船所は戦争当時の社長川南豊作氏がパージになりまして、昨年の六月でありましたか、パージ解除になつた。その間において経営の責任を負つた会社の重役は、遂に昨年の二月賃金不払並びに退職手当金を支給しないで今日までになつているのです。これに対する所轄の基準監督官が如何なる処置をとられたのであるか、その点をお伺いしたいと思います。
#24
○政府委員(亀井光君) 川南工業の賃金不払につきましては非常に大きなものでございまするだけに、長崎の労働基準局長といたしましても十分この調査をいたしまして、結論を申上げますると、一昨年の九月に当時の責任者でございまする吉田重役を長崎地検に告発をいたしまして、目下訴訟が係属中でございます。その前後なり現在までの賃金の支払の状況につきまして交渉をいたして参つておるのでありますが、当初賃金不払の債権として組合側の確認いたしました一億四千二百万円、退職金が六千三百万円、これにつきましては逐次支払がなされて参つておりまして、現在にわいては約賃金では一億円の解決がつきまして、四千七百万円ほど残つております。それと退職金が六千三百万円、一億一千万円のまだ未払が残つておるわけでございまして、これにつきましては御承知のように組合側からは破産宣告の申請を大阪の地裁に出してございます。目下これも裁判の上で争われているところでございます。我々としましてはその裁判の推移如何にかかわらず、この未払賃金の解決につきましては引続き監視をし、努力をいたしておる状況でございます。
#25
○委員外議員(原虎一君) そこで現在基準局としては基準法違反の対象は誰であるか、どう見られているか、この点をお伺いしたい。
#26
○政府委員(亀井光君) 当時の賃金不払の責任者でございまする吉田重役を起訴の対象としまして裁判所に告発いたしました。
#27
○委員外議員(原虎一君) そういたしますと、その後川南豊作氏がパージ解除になつて会社の法律上の代表者になつているわけです。そうするとそれとの関係はどういう解釈をしておるのですか。
#28
○政府委員(亀井光君) これにつきましては二つの考え方があるのじやないかと思います。一つは債務と申しますか、組合から申しますと債権の確定いたしましたときの責任者、それを告発の対象とすべきである。それからもう一つはいやしくも川南という会社があります以上、引続きその会社の責任を負つて来た人についても同じく責任を問うべきではないか、この二論あるわけであります。我々としましてもこの問題について検察当局といろいろ相談をいたしたのでございますが、検察当局の見解も我々の見解も大体基準法の第二十四條の解釈としましては、全額の不払というものの主体をつかまえて行くべきだということからいたしまして、その賃金不払の債権額の確定をいたしましたときにおける責任者である吉田重役を対象とすべきであるという一応の解釈をいたしております。
#29
○委員外議員(原虎一君) そういたしますと、従業員側が破産申請をして大阪裁判所で裁判をやつておるのに対して川南豊作は賃金を支払うという約束をしておるわけですね、そうすると吉田重役はどうなるわけですか。
#30
○政府委員(亀井光君) それは破産宣告に対しましてそのときにおける責任者として川南豊作という者が対象になるのでございまして、我々の賃金不払の対象としましては吉田重役が対象になるのでございます。ただ会社の責任者がそういうふうに変つて参りまして、我々が賃金不払の対象の行政措置としまして、賃金支払を要請いたしまするのは現在の重役なり会社の責任者に対しましてするという関係になります。
#31
○委員外議員(原虎一君) ちよつとくどいようですが、理解できないのでありますが、吉田重役は長崎地検に告発されているのです。告発された人はもう重役という会社の責任者ではなくなつておつて、支払能力がなくなつておる。支払能力のない者を幾ら債務を負わせても、それは支払わなかつたという、基準法違反の刑を受けるというだけになるのでありますか、その点を一つお伺いしたい。
#32
○政府委員(亀井光君) 吉田重役は現在の会社の責任の地位を去つておりますので、結局当時における犯罪の対象となりました事由についての責任を追及されるのでございます。今度現案に然らば賃金の支払いを誰がするかと申しますと、現在の責任者である川南豊作がやる。これは会社そのものが引続き生きておりまして、責任者が変つただけでございまするから、当時の犯罪違反をいたしました者と現在賃金を支払う者との間に差がありますることは、これは止むを得ないことじやないかと思つております。
#33
○委員外議員(原虎一君) そこで問題は、吉田には支払能力がないわけですけれども、当時の重役、社長として、支払わなかつたという基準法違反の責任をとらなければならない。そこへ今度は次に川南豊作現社長は従業員から破産申請を受けて、大阪の裁判所で、賃金の不払、賃金並びに退職金合計七千五百万円を十二月の二十六日の大阪法廷で、不払賃金のほうは一月末に、それから退職金四千万円のほうは二月中頃に支払うという約束をしたわけですね。それを不履行した場合においてはこれは賃金不払の、基準法のどことどういう関係を生ずるか。
#34
○政府委員(亀井光君) 先ほど申上げましたように、刑事上の責任は吉田重役が負うのでございまして、川南氏は民事上の責任を負うにとどまるわけでございます。従いましてその場合におきまして不履行の問題がございますれば、民事上の責任として処理されるわけでございます。
#35
○委員外議員(原虎一君) 大体それで明らかになりましたが、次に安定局長が見えておるようですが、ちよつとその川南の失業対策についてお伺いしたいのです。安定局長にお伺いしたい点は、根本的なことは、こういうものは一地区に限つて四千数百人というのが一時に失業する、こうした場合において、失業救済の特別な措置としてどういうことがとり得るかという問題をお聞きしたいのです。
#36
○政府委員(齋藤邦吉君) 昨年まあ四千百数百人解雇されたわけでございますが、私のほうとしましては、できるだけ職業を斡旋するということが根本でございますが、差当りそういうことを言うても間に合いません、賃金不払といつたふうな事例があつた問題でもありますので、資格のある者についてはもうできるだけ、失業保険の資格のついている者にはできるだけ速かに保険金を支給するということを先ず第一にしたいと考えまして、実は賃金不払のような事例のあつた会社でありますので、保険料を納めてないとか、いろいろな問題がありましたが、差当り失業保険で半月間は離職後の生活を安定するということを先ず第一義といたしまして、然る後に期間の満了した者、その他につきまして失業対策事業をできろだけ拡充してやる。こういう腺で今日まで参つて来ておるわけでございます。
#37
○委員外議員(原虎一君) 現地の職業安定所からの報告が参つておると思いまするが、私の調査したところによると、失業保険の支給者は千八百人くらいおる。これが二月になればもう切れてしまう。それから完全に失業している者が三百六十一人おる。要するに二千人以上の者が二月から全然失業してどうにもならなくなる。まあ造船界が幾らかよくなればほかへも行くかも知れませんが、大体四千人のうち半分は失業して、長崎の先ほどの香焼島で失業の日を暮さなきやならない、こういう場合における特別な処置が考えられて用意されているかどうか。要するに失業対策事業として県なり市なりが申請すれば、然るべき方法で救済する途があるかどうか、この点をお伺いしたい。
#38
○政府委員(齋藤邦吉君) 従来ともまあ失業対策事業を実施いたして参つておりますが、香焼島の村のほうにおきましても地元負担の関係もありますので、なかなか思うように拡充するということが困難であるというたふうな事情もありますけれども、長崎県としても大きな失業問題でありますので、県にもそうした委員会を設けていろいろ考えておられるようでありますので、私どもといたしましては、二月、今回の船主団に雇われておりました者が解雇され、失業保険の期間も切れるということでありますので、多少まだ余裕もありますので、現在失業対策事業の拡充を希望いたしまして、私のほうに申請して参りまするならば、これも希望にできるだけ副うように、善処いたしたい、かように考えておる次第でございます。
#39
○委員長(中村正雄君) 一応大臣も見えましたので、この辺で打切りを願いたいと思います。法務総裁、岡崎国務大臣が見えませんので、そのうち見えると思いますが、三大臣それぞれ関連のある質問もあると思いますが、幸い労働大臣が見えておりますので、労働大臣に対しまする御質問があれば発言を許したいと思います。
#40
○椿繁夫君 この前の参議院の本会議で山花議員から東日本重工の解雇問題について質問があつた際に、労働大臣からその解雇は理由があつて馘になつたのだという御答弁があつたのです。私の考えておりますのでは、どうも解雇理由が明瞭でない、これまで一九四八年以来数度に亘るレツド・パージを初めとして、好ましくない数度の解雇問題はあつたのですが、その都度ごの組合は会社側の主張を了承して一度もこういう問題になつたことがないのであります。本年一月になつてからのこの十二名の解雇というものは全くその理由のない、而も雇主である会社側から馘になつたのじやなくて、そこを管理しておる米軍のほうからいきなり軍命令として解雇通知が発せられておるのでありまして、私どもはかねがね米軍の要請に応じて仕事をしておる会社であるといえども、経営者が日本人であり、而もそこと雇用契約がある限りにおいては国内法の保護を受けるべきだという考えを持つていたのであります。ところがいきなりその米軍のそこの司令官のほうから、軍命令として解雇通知が発せられた。このことについて山花議員から御質問いたした際、労働大臣から、それは調査の結果解雇理由があつたので実は馘になつたのだという御回答があつたままになつておるのですが、この当局で御調査になりました解雇理由がわかつておりますれば、一つこの機会に朗らかにして頂きたいと思います。
#41
○政府委員(賀來才二郎君) 我々のほうで調べましたところによりますると、東日本重工の東京製作所と、それから管理しておりまする向うの労務管理の管理者との間に一つの契約がありまして、工場の保安、安全等の必要があります場合に、管理者はその従業員の立入りを禁止することができる、或いはその解雇等についても取扱いができるというふうな契約がありました。その契約に基きまして管理者からの要求があつて、工場の防衛上不適当であるというので、この従業員の使用は困るからという通告を受けて、その通告に従つて、即ち契約に従いまして会社側は解雇した、かように調査をいたしているのであります。
#42
○椿繁夫君 労政局長の御答弁によりますと、会社と米軍との間に何らかの契約があつて、それに基いて立入禁止、或いは解雇問題にまで米軍が指示ができるのだということでありますが、これは雇用されている従業員のほうはその契約内容を一つもつまびらかにしていない、何も知らない、そういうことが日本の国内において、今後もこれは非常に関係の大きいことでありますが、特定の会社が、或る会社がどつかと契約をした、その契約内容は従業員に明らかにされないで、あとになつて何らの理由を示されずに、以前に契約をした内容の中にお前たちの首を切つてもいいという理由が附して契約ができているんだということで、これは今後もそういうことがあるのでしようか、これはちよつと了承ができない。
#43
○国務大臣(吉武惠市君) この点は私もこの前本会議で申上げましたが、この注文を出す者と、注文を受ける者との間にはいろいろな契約があるはずでありますが、人を使うほうにおいても、今労政局長が話しましたように工場の安全その他についての取扱いについての契約がある。でその結果支障がありとして工場のほうが解雇した、その解雇が違法であるか違法でないかということは、国内の労働法規に触れるか触れないかできまるけわであります。従つて契約自体というものは、会社間の契約ですから、若しそれに会社側が応じないとするならば契約の解除という問題になるとか、或いはそれに対して違約金を取るとか、そういうまあ契約上の問題ですね、その契約があつたからといつてその契約が国内法の公法たる労働法に違反をしていいということにはならないのです。併し契約があつた、その契約はそれ自体公法上の違反ともならない、その契約に基いた解雇というものが違法である、違法に解雇したということになれば、これは国内法で取締られる、それは今後といえども従前といえども同じであります。で先ほど労政局長が申しました点は、恐らく会社間、注文者との間にあつただろうと思われるのですが、その結果契約履行としてという問題よりも、不適当であるということで解雇した、その解雇が法律に触れなければこれは止むを得ないと思います。ですから契約が国内法を拘束するということはこれはあり得ないことであります。従つてその契約によつて行なつた処分が不当であるかないかということできめざるを得ないと思います。かように存じている次第であります。
#44
○委員長(中村正雄君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#45
○委員長(中村正雄君) 速記を始めて下さい。岡崎国務大臣が見えましたので、前の委員会で継続的に問題になつておりまする行政協定と米軍要員並びに特需工場の労働問題に関する件を議題といたします。岡崎国務大臣並びに労働大臣が見えておりますので、質疑を続行したいと思います。
#46
○椿繁夫君 只今の東重工の問題につきましては、別の機会に労働大臣に御意見を承わりたいと思いますが、それでは先般来行政協定のことで非常に御苦労になつておる岡崎国務大臣に二、三お尋ねをいたします。今朝の一部新聞が伝えるところによりますと、米軍の駐留軍隊に提供される労働者は国内法の保護を受けるということに、こう私見出しを見ただけで、余り内容をつまびらかにしておりませんが、新聞の記事だからこれは責任を持てないと又あとで言われたりすると困りますからこの機会に岡崎さんにお尋ねいたすのですが、この行政協定に規定される駐留軍による労務の調達方法、その他雇用の條件、労働條件、労働法規の適用についてどういう取極が今までのところなされて参りましたか、お伺いをいたします。
#47
○国務大臣(岡崎勝男君) これは何と言いますか、私どもは原則としては今までの占領軍ではないのですから、直接に労務者が必要ならばアメリカの駐留軍が雇用するのが当然の理窟だと考えておつたのであります。併しながらその後進駐軍労働組合等から、理窟はそうかも知れんけれども、実際上は言葉の不自由もあるし、今まで占領された軍隊に対して急に変つた態度もとりにくいこともあるだろうから、いろいろの点で間接雇用のほうが便宜であろうというような意見も聞きましたし、或いはその他の関係者からもそういう意見が出されております。そこで実際上どういうふうにしたらいいか、まだはつきり我々も確信は持てないのですが、成るべくならば働く者の気持もよく働けるような恰好にしたほうがよろしい。そこはどうにでもなれるように、どちらでもできるようにいたそうと考えております。全部間接雇用ということも困難であろうということは、只今でも原則は間接雇用でありますが、直接に雇用されておる人々もあるのであります。つまり家庭における召使等については全部間接雇用というのがなかなかむずかしい場合がありまするから、柔軟性を持たせている、働くほうの連中の大多数が希望するならば、まとまつたいわゆろ労働関係に規定するようなものにつきましては間接雇用もやつていいだろうと、こう考えております。
 それからその他の問題につきましては、これは労働大臣からお話があつたほうがいいと思いますが、原則としてはこれはすでに文書にはなつておりませんが、その趣旨は双方で話合いができて実行いたしておりますが、アメリカの軍及び軍に所嘱する所属員は、日本の法律を尊重する義務があるということに両国で話合いがついておりますから、自然労働関係の法規も日本の法律が尊重される、こういう建前になつております。
#48
○椿繁夫君 只今伺いますると、間接雇用でも直接雇いでもいずれにでもなるような話合いを只今まで進めておる。ところが労働組合その他で間接雇用の形式を希望しておるから、できるだけ気持よく働けるような方法にしたいということでございますが、これは間接雇用が特別のものを除いては大体なされるものと了解してよろしうございますか。
#49
○国務大臣(岡崎勝男君) それは今私から申したように全部に、私は当つておるわけではないのでして、組合員の極く少数の人の意見を今のところは知つておるだけでありますからして、組合とし、又組合員も一つだけでありませんで、ほかにもありまするかも、大部分の人々がそういうことを希望しておるということになればそうなるとお考えになつて差支えないと思います。
#50
○椿繁夫君 そうしますと若し間接雇用の形式が大部分の要員に適用されるということになりますると、これを取扱う政府横関、これはどういうものに当らせるというおつもりでしようか。
#51
○国務大臣(岡崎勝男君) これは原則は要するに直接雇用が筋途が立つのですからして、政府機関を通ずる場合においても実際上は、例えば今までやつておつたのが特調であれば、特調が一番いいということであれば特調にやらせてもいいわけです。又特調は中央だけ見て、各府県にそれを委譲したほうがいいとなればそれは委譲とてもいい。今ままではそういうふうな恰好でやつております。特に今までのやり方が悪いという例證があれば改めますが、大体は今のところ今までのやり方を継承して行ごう。但し政府の費用にも限りがありますから、そう大規模なこともできないと思いますが、大体は今までのやり方で以て特に文句があり、これはいかんという意見のあるものはこれは当然直さなければいかんと、こう考えます。
#52
○椿繁夫君 そういう場合に今の政府機関というのは特別調達庁とか地方の都道府県知事に委任業務としておやりになつておりますが、間接雇用の状態が規定された場合の身分、公務員法から言います、労務を提供しておる人々の身分関係ですね、只今では特別職ですか、特別職になつておるように承知しておりますが、この身分関係も大体従来の通りである、こうゆうように理解してよろしうございますか。
#53
○国務大臣(岡崎勝男君) これは労働大臣にもよく研究して頂くことにしておりますが、先ほど申したように筋途はこれは直接雇用であるべきものを便宜上間接雇用としたのは、つまり労働條件について交渉したり、又退職の場合の話合いをしたし、手当を出したりするのに、政府が間に立つたほうが便利であろうという便宜論から来ておるわけなんでして、従つて政府が間に立つても必ずしもこれは今までと同じように特別職の公務員とする必要ありやなしやは、甚だ私は疑問であると思います。むしろ政府は仲介者であろが至当ではないかと思いますが、これは私の一個の意見でありまして、まだ日もありますから十分この点は研究したいと思つております。
#54
○椿繁夫君 大分岡崎さんのほうでは労働者のほうに今後話合いをされなければならないようなことがおありのようですが、私も多分そうであろうと思います。そこで行政協定の、ああいう条約以上の内容を持つようなものまで行政協定で今お話が進められておるのですから、なかなか小さいこの労務提供の細目などについて話合いがなされておるとは今日までの段階では私も考えておりませんが、今お話のようなことを規定いたしますために更に細目の労働協定といいますか、労務提供協定といいますか、そういうふうなものが、何か調にこれから労働省の意向がまとまりますれば、米国側との間に話が進むことになつておるのですか。
#55
○国務大臣(岡崎勝男君) ちよつと訂正しておきますが、条約以上の政治問題などは全然協定の中ではやつておりません。これは条約に甚いて行政府でできる範囲のことを行政協定としてやつておるのであります。そこで今の労務の問題ですが、これは今のところそういう話合いは全然いたしておりません。要するに間接雇用にしたほうがいいということになりますれば、日本政府でこれこれの範囲のものはこれは日本のほうで世話をして働く者を提供して上げようという話になります。そうするとそれで結構だということになれば、事実上そういうことでやつて行くわけです。その事実上やつて行くときにどこでもあることですが、じやこれはこうする、あれはこうするという細かい規定を当事者間で作ることはあるかも知れません。それはあるだろうと思いますけれども、特にそういうものを将来話題にして協定しようという話合いは別にできておりません。
#56
○椿繁夫君 この間接雇用の場合でも直接採用の場合でも国内法の制約を受けるという大原則はもうきまつておるのですね。
#57
○国務大臣(岡崎勝男君) その通りです。
#58
○椿繁夫君 そうなりますと、ここで一生懸命にいろいろ話合いをして、いずれの場合でもそうでありますが、労働争議などが起つた場合、この取扱はこれはどうなりますか。合同委員会というものができるようでありますが、ここで所管するのでしようか、それとも純粋に日本側の労働委員会とか或いは調停委員会とか、仲裁委員会とかいろいろございますが、そういうところでこの紛争の解決を処理することになるんでしようか。
#59
○国務大臣(岡崎勝男君) これは法律を尊重するという建前になつておりますから、当然日本の法律に基く機関で処理することになるだろうと思います。無論その法律に基く機関で処理するときの円満なる解決のために、側面から合同委員会が援助するということはこれは当然あり得ると思いますが、原則は合同委員会でなくて日本の法律による。従つて日本の法律による機関にそういうものは任されると、こうなるだろうと思います。
#60
○椿繁夫君 これは岡崎さんにお願いをしておきたいのですが、今日までも実は間接に労務提供をいたしております場合でも、労働委員会で労働省の御意向を聞きますと、特需工場であつても国内法の適用を受けることはもう間違いない。若しそういう違反の事実があれば言うて来てもらいたいというようなお話までこれまで当委員会で伺つたことがしばしばございます。ところが先ほどあなたお見えになりますまでに労働大臣にちよつと所見を質しておつたのですが、東日本重工において一月に突然理由のわからない解雇が軍命令ということで出されて参りまして、そこに働く三千七百の労働者は米軍と雇用契約を結んでいろわけじやない、会社に雇われている。ところが雇主のほうは軍命令だということでオーダーを組合の代表に取次ぐだけの仕事でありまして、軍のほうから直接その解雇命令が出された。会社はそれを取次いでいる、こういう事実があつたのです。ところがその法律関係は、これは日本の資本でありますし、日本の経営者でありますし、日本人が労務者である、当然国内法の保譲を受けなければならないものであるにかかわりませず、そういう事例が幾多あつたのです。ですから今度の行政協定を締結されるに当つても、表面上そうなつておるけれども、又かくのごときことがほうぼうで起らないように、一つ強硬な談判をあなたを通じてお願いするよりほかないのですから、一つやつておいてもらいたいと思います。お願いしておきます。
#61
○堀木鎌三君 今岡崎さんのお話を承つて、やや安心はいたします。と同時に実はわからないので、幸いに法務総裁もおいでになりますからこの関係についてお聞きしたいと思うのです。今岡崎国務大臣は、米国の軍隊、軍人、軍属、その家族は日本の法律を尊重する義務がある、行政協定で成るほどその義務を負つておるんでしようが、国内法的に見ましたときに、これが直ちに国内法になり得るのか、法務総裁の御見解を特にお聞きいたしたいことは、他面におきまして岡崎国務相もしばしば言われるように、属人主義なのですね。日米行政協定においては属人主義が採用されておる、そうするとこの法律を尊重する義務があるということだけで、米軍が労働基準法違反をしたり、労働組合の結成に対して、結成、その後の状態に対して、争議等にも関連ありますが、不当労働行為をしたときに、その米軍はどういうふうな使用者としての責任を負うのですか。日本の法律に従つて日本の裁判所でそれが処理される問題でありましようか、その点はちよつと今岡崎さんのお話だけではどうも私理解できないのです。
#62
○国務大臣(岡崎勝男君) この問題は、ちよつと堀木君が二つのものを一緒にして議論しておられるように思いますが、米軍なり米軍の所属負が日本の法律を守るということは一つの原則であります。その日本の法律に違反したときにどこの裁判所で裁判するか、その点において属人的という裁判管轄権だけの問題であつて法律については属人的ということはないのです。つまり日本の法律を守らなければならないということははつきりしております。従つてそれは裁判管轄権の問題で、アメリカのほうの裁判管轄権にあるものであればアメリカのほうの裁判でやるけれども、その裁判のもととなる法律は日本の法律である、こういうことであります。
#63
○堀木鎌三君 実は私はその観念を二つに分けておるものだから、岡崎さんの言つたことに疑問を持つたので、二つの場合が……。今おつしやるように裁判管轄権は米軍にありますね、その場合に、そうすると日本の労働者は、米軍が労働基準法違反をやつたり労働組合法違反をしたときに、救済される手段というものが、向うに裁判権があろとすれば、ないわけですね。
#64
○国務大臣(岡崎勝男君) これはまあいろいろそのケース、ケースによつて違うと思いますが、私の申したのは刑事問題だけであつて、民事の裁判は無論全部日本の裁判所に来るわけです。刑事事件については今申したように属人方式と言いますが、これは不正確な言葉ですが、それが適用されるということになります。そこで先ほど申したように、その間にいろいろ仲裁機関も、当然日本の法律であればその仲裁機関等が当然活躍することは当り前のことであります。裁判に持つて行つた場合に、その裁判がアメリカ軍が被告になる場合には無論アメリカの裁判所に行く、こういうわけになります。
#65
○堀木鎌三君 どうもその点がはつきりしないのですが、そのときの場合はわかりますが、岡崎国務大臣のお話では、裁判の管轄権は米軍が相手のときには米国の裁判権に服する。その場合に米国の裁判は日本の国内法によつて裁判をする義務を負うのでありましようか、或いはアメリカの国内法によつて裁判をするのでありましようか。
#66
○国務大臣(岡崎勝男君) これはまあ日本の国内法と仮にアメリカの国内法が全然同じものだつたら、これはどちらという議論はつかないわけですが、違つた場合には、日本の国内法も適用されまするし、アメリカの国内法も適用されます。両方、つまりアメリカの軍人等はアメリカの法律によつても罰せられるし、日本の法律にも罰せられます。二重に処罰が来るわけであります。
#67
○堀木鎌三君 私岡崎さんのお話のように二重に処罰されることはないと思います。恐らく日本の法律を適用する場合にしても、どちらかによつてその裁判が判定される。少くとも競合したときには困るのだろうと思いますが、併しアメリカの労働組合法なり労働基準法と日本の労働組合法なり労働基準法とは違う。そのときに向うが裁判権を持つておる場合には、私どもの考え方は、向うの法律が優先して適用されるのだろうというふうに考えますが、ともかくも今岡崎さんのお話では、日本の法律もも裁判の基礎になるのだというふうにお話になつておるわけですが、それで、併しそれに対して一体日本の労働者としては、向うに裁判の管轄権がある以上は、私は実際は保護されないのだ、保護される対象が日本の法律に従わない、こういうふうになると、法律を尊重するということが條約上にあつても、事実問題としては日本の法律が適用されないのだということにならざるを得ない、つまり裁判上の保護がない、こういうふうに私は考えざるを得ないと思います。その点の法理が明らかになりませんと、どうも岡崎さんのおつしやつたように、日本の法律が直ぐ適用があるのだから何ら変りはないとおつしやることとは相当違いが出て来るのだ、さように考えますが、如何でしようか。
#68
○国務大臣(岡崎勝男君) これは暫くアメリカの法律をお考えにならないで、日本の法律に違反した場合には日本の法律に基いて処罰される、こうお考えになればいいと思います。その上にアメリカの法律に違反しておれば何かされるかも知れませんが、これはこちらの関係じやありませんで、別問題、なおあとの問題は、これはひとり労務者に限らず、裁判管轄権が属人的にきまるとすれば、同じような議論はほかの場合にも起るわけです。併しながら同時に現在の国際法なり国際慣習なりに基いて考えれば、一国の軍隊が他国に駐屯する場合の特権というのは認められておるのであります。従つてその特権の範囲内において国際慣習に基く程度のものは、我々も当然米軍に認めるべきものだと考えております。尤もこれが又北大西洋條約に基く新らしい協定が成立すれば、又新らしいその国際慣習ができるのでありますから、そのときは日本は前に申したように選択権を留保するつもりでありますが、それまでは今までの国際慣習に基く外国軍隊に対する特権というものは認めるべきものだと考えております。なおこの協定自身はお互いに信頼し合わなければ実際に根本的に動かないものであります。例えばアメリカの軍隊がここに駐屯する場合には、命令で軍人が駐屯しておつても、日本の国のために死ぬのは嫌だと考えるようになつたならば、日本の安全保障のためには実際上役に立たないことになるのであります。又アメリカの軍隊がここで大いに奮発しようと思つても、日本の国民が協力しないようなことであればやはりこれは動けないのでありますので、我々は片肘張合つて権利を主張し合うというよりも、お互いに相手の立場を了解して、合意に基いて円満に友好的にものを動かして行く、これを根本的に考えてやつておるのであります。
#69
○堀木鎌三君 くどいようでありますが、岡崎国務相今日新聞に出ております「米軍に必要な日本人労務者は、日本政府機関が協力の上、米軍が使用する。この場合の雇用條件、労働條件、労働者の基本権利は日本の法規による。米軍は日本人労務者の使用に際しては日本の慣習を尊重する。」こういうふうな文句があるのでありますが、これは大体お認めになるのでございましようか。
#70
○国務大臣(岡崎勝男君) その文句は私はまだ認めません。まだ発表にもなつておりませんが、事実案文は今作りつつあるところです。併しながらその文句の趣旨とする内容については認めます。
#71
○堀木鎌三君 そうすると、お聞きいたしますが、今さつきの他の委員の御質疑を通じて考えられますことは、この労働條件については米軍は日本の国内法規を認めるのだ、そして日本の国内の労働関係の機関を認めるということになりますと、雇用いたします場合に就業規則を作るとか、或いはそれを労働基準監督局に届けるとか、そして又労働條件についての問題が起つたときに労働委員会に米軍を相手に提訴するとか、調停をしてもらうとか、そういうことはできるわけですか。
#72
○国務大臣(岡崎勝男君) 国内法規に認められている範囲のものはできます。
#73
○堀木鎌三君 米軍はそうすることは確定していると考えてよろしゆうございますね。
#74
○国務大臣(岡崎勝男君) 大体そうお考えになつてよろしうございます。
#75
○堀木鎌三君 それではちよつと特調のかた来ておられるでしようから、その前に一つお聞きしたいのですが、本年度予算では従来の直接調達でなしに、従来の間接調達による予算は従来通り組んであるのでありましようか、ないのでありましようか。
#76
○政府委員(根道廣吉君) 只今のところ特調におけるいわゆる事業費というような形においては配賦されておりません。
#77
○堀木鎌三君 そういたしますると、今岡崎国務相お話のように、経費の関係もあるとすると、労働組合が間接調達の形式を欲するとした場合に、それに従おうとすると、追加予算を、補正予算をお出しにならなければ経費の支出がなくなりますか。
#78
○政府委員(根道廣吉君) 只今のやり方を現案に即して申上げますると、現在やつておりますのはいわゆる間接調達が主であります。殊に米軍関係においてはそうであります。その調達の方法は、日本側において一定の資金を準備いたしまして、それによつて日本政府の雇用者であるところの労務者に、米側と協定し且つ又労務者側の組合と協定いたしました線によつての賃金その他のものを支払いまして後に、米軍よりその資金の回収を受ける、支払いを受ける、こういうやり方になつでおります。又今後のことにつきましては近き将来において物事がもつと見通しがつきましたときに同じような形にするかどうか、改めて研究される問題だと考えます。
#79
○堀木鎌三君 たしか七十五億の資金があるということは了承しておるのですが、この場合といえども政府の一応支払のときには支出になるわけでしよう。それから資金関係の運用のお話がありましたが、そのときの歳出歳入はどうなつておるのですか。
#80
○政府委員(根道廣吉君) 現在の七十五億円の資金と申しまするのは、予算外のものであります。国庫の一時余裕金を繰入れて使用して行く形になつております。
#81
○堀木鎌三君 要するに二十七年度も……、それでは特調にもう一度お聞きしますが、まだ細かい予算の技術のことになるとお困りでしようから聞きませんけれども、二十七年度も同様にそれをなさつて行く予定ですか。
#82
○政府委員(根道廣吉君) 将来の方策につきましては特調の長官としてそこまでお答え申すべきかどうか非常に疑問でございますが、恐らく似寄つた方式をとらなければ間接雇用の形はとれないのではないかと思います。
#83
○堀木鎌三君 今特調の長官にお聞きしますが、二十七年度予算をお組みになつたのだから、その点は予算としてはどうなつているのですか。
#84
○政府委員(根道廣吉君) 只今までの状態において、私が実務の上から考えまするに、現在までのものでありましても予算外のものになつておりまして、そのお金は米国側からやがて戻つて来るということが確かなのであります。従つて一時的に余裕金がありますれば、その支払につきましては予算外として扱つておるわけであります。又将来例えば来年度一年が四百何十万という労務費が要ると仮定いたしますと、その金をやはり同じく毎月の支払の後に米側から戻つて参りますので、振替への資金さへあればできることかと思います。
#85
○堀木鎌三君 それでは岡崎国務大臣にお聞きしますが、どうも法務総裁のほうが法律的には御専門だと思うのですが、お答え願えないのですが、一応岡崎国務相のお話を、法律としても当然そうなるという政府の御見解だと思うのですが、と同時に今岡崎国務相お聞きになりましたように、二十七年度において従来と同じような方法をとるとすれば、即ち間接調達の方式を原則としてとるといたしますると、予算上の措置が要るわけです。この点は資金であろうと、歳入、歳出に立てようと、その点の予算的処置は国会の議決を経なければならん。今のままで参りますと、そういう事務的な面からも直接調達が原則にならざるを得ないように私は考えられるわけですが、その場合には政府として特別にお考えになる予定でありましようか、その点をお聞きしたい。
#86
○国務大臣(岡崎勝男君) それは先ほど申したように間接雇用のほうがよいということであれば、それを考慮する予定であります。但しこれは私は予算の技術のことは責任を負いませんが、極く常識的に言いますと、アメリカが雇うのを、こつちで手伝つて便宜上雇つてやるのだから、その費用はアメリカが負担するというか、駐留軍の費用の中から支払われるものであると考えております。
#87
○委員長(中村正雄君) お諮りいたしますが、先ほどから当院の外務委員会から岡崎国務大臣の出席を盛んに待つておりますので、一応時間も相当たつておりますので、なお質問が残つておれば次回に譲つて、次の法務総裁に対する質問に移りたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#88
○委員長(中村正雄君) ちよつと速記をとめて
   〔速記中止〕
#89
○委員長(中村正雄君) 速記を始めて。
#90
○委員外議員(原虎一君) これは申すまでもないのですが、岡崎国務大臣は労働関係専門でありませんが、殊に私がお伺いしたいのは……、むしろ必要ならば速記をなくして……、実情を把握してアメリカと折衝を願いたいという建前から申上げるので、先ほどからお聞きいたしますことの米軍に使用される労務の問題はこれは非常に重要であります。ということは御承知と思いますが、若しこの協定が今の御答弁のようなあいまいなものでありますれば、労働組合は結局において黙つておりません。そして国際労働会議或いは自由世界労連に訴えて、協定の解釈があいまいなために日本の労働法が守られないという結果になりますれば、国内で解決つきませんから、国外で解決つけようとする運動が起きて来るのは当然なんであります。そうなりますれば、これは日米間の関係というものは決して円滑に……、悪化するばかりだと思う。そういうところを私どもは憂えるから、この問題はそう単なる外交問題としてのみでなく、貿易関係をお取りきめになる、或いは漁業協定をおきめになるのとは非常に事柄が違うので、一旦きめましたのは、商取引ならば金銭上の物資の取引で済むところでありますが、八が相当長期間に亘つて米軍の下に使われるというこの事実は、非常な日米間にとつて重要な問題であるだけに深刻にお考えを願いたい。従つて我々もくどいようでありますけれども、この問題を深刻に考えるが故にお伺いするのであります。
 第一に明確に願いたい点、は日米合同委員会でありますが、今御答弁の範囲におきましては非常にあいまいなものが残つている。私の経験からいたしますれば、このままで行けば、今の状態が進駐軍労務であろうと特需関係労務でありましようとも、今の関係がそのまま継続されるのじやないかという疑いが多分にあります。そうなりますというと、事実を申上げますけれども、大変な問題があるのであります。併しそれは今まで占領下では米軍の命令、この声があらば使う立場にある事業主も使われている労働者も我慢して来たのであります。併しながら講和が発効して独立国家となれば、自由に世界にこれを訴える権利を労働者、日本国民は取るのであります。そうなつたときのことを私は考えまするからその一番今後に残されている問題をきめろ機関は何か、即ち日米合同委員会はこの新聞の報道によりますと、地域、要するに駐留軍の地域、施設だけを取扱うように書いております事が、今申上げましたような労務関係の問題を十分この合同委員会で決定する、それにはどれだけの規定が持たれるが、そういう点についてお話を伺えれば幸いだと思うのであります。
#91
○国務大臣(岡崎勝男君) 先ほど申したように合同委員会はそんなことはしないと、こう言つております。日本の法律による機関がやるのであります。ただそれが合同委員会という両方の代表者が来て集る会議であるから、それに適応するようにお互いに斡旋することはあるかも知れないけれども、それ以上のことは合同委員会はしないのであります’。
#92
○委員外議員(原虎一君) 私のお聞きしているのは今後の問題を……労使関係の問題、米軍との労務関係の問題を合同委員会が処理するという問題じやありません。今申しましたような複雑なる労働問題を、行政協定の具体化を今後合同委員会でお話合いになるのか、その合同委員会はそういうものから、労働問題は離れているのかということをお伺いしている。
#93
○国務大臣(岡崎勝男君) 労働問題は日本の法律によつてきまるのであります。
#94
○委員外議員(原虎一君) そうだと、日本の法律によつてきまるという一言で片付けて来られておりますけれども、事案は片付いていないのであります。先ほどから堀木委員もそれから椿委員も言つておりますが、一つの実例を申上げれば一番わかると思いまするが、こういう問題が起きております。これは二月五日に起きた問題であります。戸塚の連合軍労働組合の中に、これは二月五日の当時の現組合長である小倉一二外六名が、労働組合の幹部は殆んど首を切られた。これは要するに間接雇用であるけれども、いわゆる基地に使われている労務者である。これはなぜ切られたかと言いますと、部隊長との間に労働協約を結んでもらいたい、こういう交渉に労働組合の幹部が行つて、部隊長は承認をした。ところが数日たつて、全体の従業員の投票の結果が過半数を占めればその協約は認めるというところまで回答したが、二日して組合長以下組合の幹部全部を解雇した。そうしてその解雇に反対すればこれは人員整理と称する。だから人員整理ならば一カ月間の予告期間を置いて切るか、一カ月分の手当を支給すればそれで解雇できるという労働法だけでみて、労働組合の韓部を、相手方が日本の労働組合を理解さすだけの手段をとらずにそれだけの條文を以て首を切つたりされるはずはありません。ですから地方労委に提訴いたしておりますけれども、その場合に、提訴いたしまして、そうして地方労働委員会がそれは労働組合法による不当労働行為という判定をしたときに、これは米軍が採用するかという問題で。それを採用しなかつた場合に、その判定に従わなかつた場合にはどういう処置がとられるのか。先ほど申されましたように、我々はやはり協力しなければならない。協力は日本人の屈従ということではありません。協力は正しい行いが両方に行われて信頼関係ができるのであつて、或いはおつしやるように労働組合法によつて律しられるのだというこれだけの原則で事実の問題が処理されて行きますれば、私どもはくどくど御質問する必要はない。現実に一つの例だけでも、先ほど言いました東日本重工にも起きた。これは特需工場であります。而も先般予算委員会でこの工場に予算問題と関連があるので視察に行つたら、国会議員の内部の視察を拒絶しております。これは今日占領下であるから止むを得ないと我慢しますが、独立国家になつてそういうことが許されますか、そういう問題が現在あるのでありますから、このままの状態を移されればばそれで事は足りる、日本の労働法を守るのだということであればそれで事足れると思つたら間違いである。従つてお尋ねするのでありますが、そういう場合に一体どうなるか、先ほど申しましたように、その労働委員会が決定したことをアメリカのほうが、米軍がこれを履行しない。ところが法律関係を見ますと、間接雇用ということになりますと、こういうような法律解釈もできる雇用主は日本政府だ、間接に使用権は米軍が持つている。日本のどの法律によつてその使用権を持つている、使用主たる、使うだけの権利を持つているアメリカには、一体日本のどの法律によつて、労働法のどの関係によつて律しられるかという問題が私は起きて来ると思います。日本の場合は雇用主であつて、使つているその者の責任と権限が、義務と権限が労働法によつてきまつておりますけれども、アメリカの今度の場合、間接雇用の場合においては、雇主たる日本国、日本国政府の責任はあるけれども、使用者たるアメリカ人は日本の法律の何條によつて使用者に対する責任、義務、権限があるかということを考えますというと、私の今日まで考えておるところではないと思うのです。こういう関係はどうなるか、この点を一つお伺いしたいと思います。
#95
○国務大臣(岡崎勝男君) いろいろおつしやいましたが今は占領下という特殊の事情であります。国会議員といえども、連合軍最高司官の指令があれば追放にされるような事態なのでありまして、これは違います。條約発効移は全然新らしい事態であることはこれは当然であります。それかろいろいろの事例をおつしやいましたが、これは従つてそういう問題は今後は変つて平るのは当然と考えております。それからもう一つは……。
#96
○委員外議員(原虎一君) 使用者と雇用者との……。
#97
○国務大臣(岡崎勝男君) これは先任どから申しますように、私は筋道としてはアメリカ軍が直接雇用するのが筋道である。雇用主も使用主も同じ人縁者であることが当然であると思うけれども、便宜上そういう間接雇用を希望するならば、それはできるだけ便宜に副うようにしたいと思うのですが、あなたのおつしやろように非常に不便があれば、これは直接雇用にするより仕方がない。又組合等が承諾してこういう矛盾はあるがこういうなら、それも考えよう、こう言つておるのです。
#98
○委員外議員(原虎一君) この点は組合は、あなたが言われるように言葉の関係もあり、慣習の関係もありますから、それから米軍という一つの力を持つつておりますから、これは当然常識的には日本国政府が雇つて日本の政府の責任の下に米軍に使われているということは、これは私どもも考えられます。併しその場合においてあなたの御説明によると、日本国の労働法によつて律せられると言われておるが、どこまでそれが律せられるかという問題を、現実に今までいろいろ苦杯をなめておる労働者は、先のことについて心配しておるわけです、それが解決は如何なる方法で解決されるか、それを解いて頂かなければならん。それを言つておるわけです。
#99
○国務大臣(岡崎勝男君) だから私の言うのは、これは便宜なんだからして、法律上こういう責任を日本政府に負わせるのだとおつしやつても、そういう責任が負えない場合もあるから、便宜上話合いでこのほうがいいと組合が納得すれば、それでやるけれども、然らずんば直接雇用でやるのが当然であるから、筋道はそこへ行くのですが、便宜の計らいとして、希望するならば、その代り責任の所在があいまいになるかも知れません。いろいろな不便もあるかも知れないけれども、合計して日本政府の間接雇用のほうが便利であるというならばそれによつてもいいのだ、こういう意味を言つておるのであります。
#100
○委員長(中村正雄君) お約束の時間が来ましたので、次の議題に移りたいと思いますから、簡単に願います。
#101
○委員外議員(原虎一君) もう一つお伺いしたいのでありますが、同様に、今のはいわゆる間接雇用になつておりますけれども、米軍の基地に使われているという労務者……。
 今度は特需関係ですね、例えば追浜にありますところの冨士モータース、或いは相模原にあります相模工業、これは日本の曾つての工廠の施設に対して米軍が施設を加えた。従つて米軍管理の下にやられておりますが、事案は作業を請負う会社があつて、会社の下に従業員が雇われております。そこでこれは間接雇用的なもので現在やつております。ここの事実を申しますが、実例を申上げて、それを如何に是正するかという今後の方針についてお考えを願いたいのであります。例えば冨士モータースにおけるところの問題、これは山本社長が、その技術を認められて山本社長をわざわざパージを解除さして、そうして山本社長というものをあすこに持つて来て、いわゆるアメリカの軍用自動車の解体作業をやつて、修繕に出しておるという工場でありますが、従業員は五、六千人おるわけであります。ところが現在において労働法規を尊重すると言われておりますが、私ども基準法の実施状態を見に行きました。衛生上施設が欲しいということになりましても、これは軍管理下にありますから、その許可がなければ家が一軒もできません。基準法に明らかに衛生上違反しておつても、軍が承知しなければ、日本の資本家が、業主が一つの便所を建てようと思つてもできない。それから現在労働法によつて認められておりますところの休憩時間におけるところの組合活動、これは殆んどできない、殆んどというか、全くできないと言つていい状態であります。政治活動を禁止するという命令が出まして、そうしてそれによりますというと、労務加配米を政府が廃止するということについて皆の意見を聞くという会合で会合をするのに、政治目的の会合だからいかんと言われればすることもできない、こういう事実があります。これは明らかに基準法違反であります。これは基準局長が見えておりますが、こういう事実もあるのであります。保安命令というものを出しまして、そうして例えば要員たろごとを立証するバッヂを与えておりますが、そのバツチを一回忘れますというと半日の出動停止、それから二回目には出勤停止は二日間、第三回目は出勤停止が三日以上乃至解雇、これは制裁規定であります。これは基準法による制裁規定であります。制裁規定ならば基準法第九章の九十一條に反する。御承知のように従業員規則は、その従業員の過半数の承認を得なければなりません。そういうことも恐らくなされていない、併しやはり今後こういう工場はなくなりはしません。富士モータースにいたしましても、赤羽工廠におきましても、外国、アメリカの施設を日本の事業主が借りて、労働者を何千と雇つて、そこで使用するということが起きて来ます。こういう場合に、これは全くこういう所にあなたがおつしやるように労働法が守られるということになりますれば、今言うたような基準法違反なんかは小さい問題でありますが、将来賃金問題その他労働條件について罷業権が、行い得るごとになりますが、罷業を行うということは、これは恐らく米軍の許さんことであります。ところが日本の労働法なり現行労働組合法で行きますれば当然罷業権が認められております。罷業が法律の手続さえ経ればやり得るわけであります。そういう状態に置いておいて労働基準法すら守れないという状態が現案に起きて来ましたときは、どういうことになるのか、これは全く私は今あなたの御説明を聞きますというと、変態的なものであります。雇い主が日本政府、雇い主が日本の事業家であるが、使用の権利は全部アメリカが持つておるという変態的なところへ持つて来て日本の労働組合法を適用をするということが無理なんです。大体無理なんです。こういう点について事実を申上げますれば幾らかおわかりになると思いますので申上げて、現行の労働組合法が適用されるとあなたがおつしやつても、これは不可能なんだ、無理なんだということがおわかりになると思う。おわかりになればそれに対する対策を講じなければならん。それなくして、ただあなたは今労働組合法は守られるのだと言う。この原則だけをお話になつて、守られなかつたときにはどうなるのだということの裏付けなくしては労働者は納得しない。恐らく冷静に考えますれば、米軍に使用されるものが間接雇用であろうと或いは特需工場であろうと、これは無理なんだ。何らかの方法を考えなければ、少くとも半年や一年の問題ではない。こういうことを考えますときに、ここに労働大臣も岡崎国務大臣もお考えになることは当然であります。この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
#102
○国務大臣(岡崎勝男君) 私の任務は行政協定を作り上げるごとにあり、行政協定の中に日本の法律を守るという規定を設けることが一番いいと考えてやつておるのであります。守らないでもよろしいというよりも、守るほうがいいと考えてやつております。それを如何に実際に裏付けるかということは、今後労働大臣その他政府で以て善処する以外に方法はないと考えております。
#103
○委員外議員(原虎一君) そこで私は今申しました、今説明しました事実から考えまして、守られないよりか守られたほうが結構ですが、守られないということが大体予想できる。それが守られないということは、アメリカ軍を信頼しないということでなくして、アメリカにおいてですらそれは国家の要するに公務員、国の雇う者に対する罷業権を認めておりません。ところがこのまま行けば、国に雇われる者が罷業権を持つた法律で使われるのです。そこに私は無理があると思うのです。ところがアメリカの常識から考えれば、自分らの軍隊の要員が日本人であろうと誰であろうと、罷業権を持つなどということは常識的に考えられんごとであります。そういう日本の現行法とアメリカの法律と、アメリカ人の持つ常識と違うような状態をそのまま持ち六むということは、これはできない相談をあなたはやられているのだ。それで労働大臣もあなたもおつしやるように、岡崎国務大臣も言われましたように、労働大臣もそこまでお考えになつて、これはどうすべきかということは当然私はお考えになるべきだと思う。こういう事実に直面している我々としては、それは何もなたを疑う、アメリカを疑うのでありません。現実において無理があるということがおわかりになるならば、これをどうしなきやならんかということについての御意見を伺いたい。これは岡崎国務大臣よりはむしろ労働大臣自身にお考えがあるべきじやないか、こういうように考えているのです。
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#104
○委員長(中村正雄君) じや一応罷業の問題は労働大臣から御答弁願うことにいたしまして、次の議題に移ります。
 木村法務総裁から発言願いたいわけですが、前の法務総裁のときから問題になつておりましたゼネスト禁止法並びに団体等規正令の改正等に関しまして、その後法務府でお考えになつておりまする構想につきまして発言願いたいと思います。
#105
○国務大臣(木村篤太郎君) その後の経過をお説明申上げます。
 先ず団体等規正令に代るべき法案でありまするが、これはいろいろの経過を辿りまして、最近私がその原案作成の任に当つておるのでありますが、近く成案を得まして国会に御審議をお願いいたしたいと考えております。その構想の要点は、いわゆる暴力主義的破壊活動を行い、又は行わんとする目的を以て組織された団体を規正するのであります。これに対して一種の行政処分を行うということがこれの目的であります。決して正常なる組合運動或いは政治運動、これらを規正するという意図は牽もないのであります。ただただ講和條約発効後の時局に対処いたしまして、この暴力主義的破壊活動を行うような団体、即ち日本の内地の治安を棄すことを目的とするような団体を規正して行く考えであります。而もこの法案の作成に当りましては、憲法に所定されました基本的人権はどこまでも尊重する、いささかもこれを侵すようなことのないような特別の計らいをしておるのであります。我々といたしましては、どこまでも正常なる団体活動はこれを保護こそすれこれを規正するような意図は毛頭もないということをここに申上げておきます。
 ゼネスト禁止法案につきましてはこれは労働関係と非常に密接な関係がありまするので、只今労働法令審議会において折角答申案を作成されておるようでありまするから、その結果を見まして我々はこれを善処して行きたいと思います。併しながら繰返して申しまするが、正常なる組合運動はどこまでも我々は尊重いたし、決してこれを規正するというような、又抑制するというような意思のないことをごこに言明する次第であります。
#106
○委員長(中村正雄君) 前の委員会から問題になつておつたわけですが、団体等の規正法の対象になり得る団体に政党若しくは労働組合があるかどうかということが問題になつておつたわけですが、今法務総裁の御答弁によりますと、政党なり労働組合は団体規正法の対象とならないと、こういうふうな答弁と当委員会は解釈してよろしうございますか。
#107
○国務大臣(木村篤太郎君) 正にその通りであります。正常なる団体等を規正する意図は持つておりません。近く御審議を願いますが、それによつて明瞭になると思います。
#108
○委員長(中村正雄君) 堀木さんから通告がありましたから発言を許します。
#109
○堀木鎌三君 今の法務総裁の御発言で大体わかつたのですが、まだはつきりいたしませんところは、暴力主義的破壊行動を伴う場合だけを対象とする、そうして正常なる組合運動については何ら制限するつもりはない、憲法上の基本権利をいささかも失わない、こういうようなお話でございましたが、そういう点から申しますと、争議行為が純然たる争議行為として発展している間は、これは正当なる労働組合運動なんですから、全然取締の対象にはなり得ないところだと思いますが、如何でございます。
#110
○国務大臣(木村篤太郎君) 私の今作成をしておりまする法案の下におきましては、全然さようなものは対象にしておりません。
#111
○堀木鎌三君 非常にはつきりした御答弁なんですが、そうなりますと、現在労働法令審議会で御審議になつております労働組合法が如何なる形において解決されるとも、ゼネスト禁止法などというものはあり得ないような気がいたしますが、如何でございますか。
#112
○国務大臣(木村篤太郎君) これは私の今作成しておりまする団体等規正令に代るべき法案と別個の観点から出すべきものだと考えます。これは今申上げます通り全然その目的は暴力主義的破壊活動をなし、又なさんとすることを目的とする団体に限りますから、正常なる組合運動とか正常なる政治活動をするもの、これは全く除外されております。そこで問題は労働組合運動であるのであります。これも私は正常なる労働組合運動は助成こそすれこれは規正すべきものでは断じてないと考えております。問題はいわゆるこれが正常なる枠を離れて、国家の治安を或いは棄すような場合、或いは又国家の一般人に対すして非常な不安を与え、脅威を与えるような行動に出た場合のことが問題になるのであります。その場合においてはゼネスト禁止も考えられる余地があるのではないかと考えておるのであります。問題はこの団体等規正令に代るべき法案とは全然別個のものであるということは御了承を願いたいと思います。
#113
○堀木鎌三君 甚だくどいようでありますが、今おつしやいましたようなお話でありまして、先ず第一に考えられますことは、労働組合運動が労働組合運動として発展する限りは、どういうふうな場合でも、その場合には労働問題であつて、法務総裁の問題でないと今おつしやつた。それが治安に関係して来ればゼネスト禁止法というものは別になくつたつていいんだ、今おつしやつた団体等規正令の改正で以て十分間に合うんだと、こういうふうに私は今お話を承わつておると考えざるを得ないのです。それで法務総裁の権限でなくて、そうなつて参りますと法務総裁が別箇のそういうゼネスト禁止法なんかお考えになる必要がない。だから労働大臣が必要があれば労働法規関係の問題としてお考えになればいいんじやなかろうかと、こう考えますが、如何でございますか。
#114
○国務大臣(木村篤太郎君) 誠に御尤もな御質問であると思います。事は労働運動に関する問題でありまするから、これは労働省で納まるべき問題だと思いますが、併し事国家の治安の問題になりますると、これはまあ別箇の問題でありまするからですね、これは正常なる労働運動としてストライキなどということ、これは無論あり得ることでありますが、併しながら社会全般を顧みて国民に大なる不安を来たし、社会の公共の福祉に重大なる影響を及ぼすような結果をもたらすようなことになりますれば、これ又別箇の観点から考えざるを得ないと考えるのであります。これは二つの枠は全然別なものであるという考え方は私はどうかと考えるのであります。そのときは又別に考えざるを得ない、こう考えます。
#115
○堀木鎌三君 どうもちよつとわからないのですが、そのとき団体等規正令によつて、暴力的破壊行動ができる原因とかその主体とかいうものはいろいろあろのですが、その原因別に別な法律をお作りになるわけはない。団体等規正令の一つのそういう問題だけで、現象的な問題をつかまえての法律を政府がお作りになるので、原因によつて或いは主体別にいろいろな法律をお作りになるわけはないと思うのでございますが……。
#116
○国務大臣(木村篤太郎君) そこが御承知の通り、労働組合というものは、これは初めから暴力活動をしようなんということはいささかもないのでございます。これは私は全然別箇に考えております。事は暴力主義的破壊活動を目的とする運動であります。労働組合は御承知の通りそんなことを目的とする団体でも何でもありません。我々は労働組合はどこまでも発展を祈るわけでありまするから、全然私は別筒の観点に立つべきものと考えております。
#117
○堀木鎌三君 もうあまりくどいことも言いませんが、幸いに法務総裁と労働大臣といられまして、木村総裁は正常なる労働運動は民主化のために大切なことであり、これは助長発展しなくちやならんと、こういうふうな非常に進歩的な観点にお立ちになつて、実は我々が考えるよりやや非常に違つたサイドにお立ちになつておるような気がして、私どもの考え方が間違いなれば非常に結構だと、こう思うのでありますが、実は本日の新聞の伝うるところによりますると、国際自由労連の書記長のブレーク氏は、日本政府の労働政策を非難して吉田総理に対する書簡を出しておる。これはもう読まなくても御覧になつたろうと思いますからやめますが、そういたしますれば、この書記長が返事をくれということになつておりますが、その点につきましてゼネスト禁止法のごとき、労働組合運動は助長発達するのであつて、そういうゼネスト的な考え方、何と言いますか、組合がやるから範囲が広くなるからどうだこうだ、そういうふうなものは考えてはいないんだ、この書簡に対して十分お答えになる用意があるか。労働運動を助長発達すればこそこれを抑圧するがごときことは全然考えていないのだということを両相御回答におなりになれるはずだと思いますが、さようでございますか。
#118
○国務大臣(吉武惠市君) 私は新聞では見ましたけれども、まだ正式に聞いておりません。従いまして返事をするかどうかということはお答えできませんが、私どもは法務総裁が言われましたごとく、正常なる組合運動を抑圧しようなどという考え方はありません。
#119
○堀木鎌三君 まあ正常なる言葉の取り方なんですよ。それが曲者でございまして、正常なる見方というようものはいろいろあるのです。労働組合を発達助長しようというサイドに立つておれば非常にはつきりしたものができる。ところがこういう書面が出ますということも、我々自身が今申上げたように労働政策が占領下よりも反動的になり、労働者自身の権利が擁護されない、今ま擁護されていたものも擁護されないという傾きにあるのじやないか。こういう点はいろいろな点で窺われるのですが、そういう点については従来労働者が持つておりました権利はいささかも擁護されない、損われない、むしろもつと権利を擁護するふうに行くのだということの御確信を承わりたいと思うのです。
#120
○国務大臣(吉武惠市君) お話のごとく、私ども正常なるという問題は、これはむずかしい問題だと思います。併し正常なるというのは、私ども勝手に解釈するつもりはございません。客観的に御覧になつた正常なる組合運動というものを発達助長をするというつもりでございます。
 それから占領下よりもなお組合活動を抑圧するということはよくないじやないかというお話でございまして、私どもも占領下よりなお抑圧して行くなどという考えはございません。併しながら事は客観的な情勢によつてすべては律されるのでありまして、客観的情勢が極めて悪い方向に向うということであれば、国家公共福祉のために必要なる処置というものが起つて来るかも知れん。併しながらそういうことがない限りにおいて占領下よりもなお抑圧をするというような気持はございません。
#121
○堀木鎌三君 そうすると労働大臣にお聞きしますが、客観的判断が従来よりもよくなつていると、こう考えられれば決して労働者の従来持つておる権利を損うことはない、むしろ発達助長するのだ、こうおつしやつたことに了承してよろしうございますか。
#122
○国務大臣(吉武惠市君) さようでございます。
#123
○堀木鎌三君 そうすると案は木村法務総裁に一言駄目だけ押しておきたいと思いますが、木村法務総裁は、先ほど岡崎国務相が言われたわけでございますが、実は法理的には、岡崎国務相行政協定の話合いだけで、果して国内法的にはつきりそういうものが成立つか成立たないかという問題については私疑問に思つておるのです。今日初めて答弁いたしましたことですから、若しも法律的見解について御考慮下さいます余地があるのでありましようか、御研究願えるのでしようか、或いはここで全部お答え願えるのでしようか。
#124
○国務大臣(木村篤太郎君) 案は今折角まだ向うと協議中だそうです。私は協定の任に当つておりませんが、それをよく拝見いたしまして法理的の解釈を下そうかと、こう考えております。
#125
○堀木鎌三君 労働大臣はまだ今後出て来るでしようね。
#126
○国務大臣(吉武惠市君) はい出て来ます。
#127
○堀木鎌三君 まだまだ今の行政協定に関連して労働問題に対する御質問を保留いたしまして、私だけ時間を取るといけませんから、これでやめます。
#128
○委員長(中村正雄君) 一応時間も相当経過いたしましたので、本日はこの程度で打切りまして、次回に続行いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#129
○委員長(中村正雄君) では散会いたします。
   午後零時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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