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1951/06/06 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 文部委員会 第41号
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1951/06/06 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 文部委員会 第41号

#1
第013回国会 文部委員会 第41号
昭和二十七年六月六日(金曜日)
   午前十一時三十六分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     梅原 眞隆君
   理事
           高田なほ子君
           相馬 助治君
           木内キヤウ君
   委員
           青山 正一君
           高橋 道男君
           堀越 儀郎君
           山本 勇造君
           矢嶋 三義君
           岩間 正男君
  政府委員
   文部省初等中等
   教育局長    田中 義男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       石丸 敬次君
   常任委員会専門
   員       竹内 敏夫君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
 教育及び文化に関する一般調査の件
 (都立高等学校教職員のメーデー参
 加事件に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(梅原眞隆君) これより文部委員会を開きます。
 田中局長がおいでになりましたから、一つ高田さんの質問せられた御報告を願います。
#3
○政府委員(田中義男君) 先般の事件に関しましては、東京都の教育委員会につきまして、いろいろ事情等を調査いたしたのでございますが、まだ事件の詳細な点についての取調、その他が終結をいたしておらない点もある模様でございまして、只今までのところでは極めて中間的な事態の報告を得ておる程度なのでございます。それでその内容について申上げますと、当日関係をいたしましたかどで、警察で取調を受けました教職員の数が十三人となつておりまして、関係をいたしました学校は青山高等学校ほか三高等学校となつております。なおこれに関係いたしまして取調を受けました生徒につきましては、約二十名ばかりでございまして、関係いたしました高等学校は七つの高等学校がそれぞれの生徒と共に関係しておるようでございます。それでその生徒のうちで三名は、なお拘留中でございまして、そのうちの一名は起訴されましたが、他の者は全部それぞれ釈放を受けております。釈放をされました教職員或いは生徒と、そうして騒擾事件の関係等については、未だ的確に明瞭な報告はございませんが、釈放されました者は無論確証がなかつた者が多いのだろうと考えております。なお、それらの点について、教育委員会としても、措置その他について考究中であると、只今まで報告を受けております。
#4
○高田なほ子君 事件の取調についてまだ終結しておらないという御報告でありますが、この事件の取調については相当に慎重を期すということは当然でありますが、そうした慎重な取調の過程にありまして、図らずも一昨日の新聞を拝見いたしますと、十三に亘る高等学校の校長が戒告処分に附せられたようでありますが、この戒告処分に附せられなければならないという理由について承わつておきたいと思うのであります。
#5
○政府委員(田中義男君) 実は一昨日でございましたか、新聞ではお話のような教育委員会において措置をとつたというふうに読めましたので、昨日早速その点についても教育委員会に直接聞いて調べてみたのでございますが、昨日聞いたところでは未ださような措置はいたしておらんという報告を受けておるのでございますが。
#6
○高田なほ子君 戒告処分はまだされておらないというのでありますが、併し新聞に発表があつたり……、それが本当だとは思いませんが、少くとも教育委員会の中ではそういつたような校長の処分についてのお話合いは多分あつたのじやないかと思うのです。なせ戒告処分に附さなければならないという論議が出たか、その論議の出た原因を私は聞きたい。
#7
○政府委員(田中義男君) その点につきましては、はつきり突きとめた話を聞いておるわけではございませんで、想像なり仮定の下に申上げることは誠に当を得ないのでございますが、私どもで知つたところによると、教育委員会としては当日の催しにつきましては、公務に支障のない範囲において参加しても差支ない、こういう通牒を出したのでございまして、その点について実際に各学校等において出しました措置について、その通牒に必ずしも合致しなかつたというような点で、いろいろ遺憾を感じて研究をいたしておると考えておるのでございます。
#8
○高田なほ子君 まだそういつたようなことについてはつきりわかつておらないようでありますので、一応見解を承わつておきたいと思うのでありますが、四月二十六日メーデーに参加する場合には、授業に支障がないようにというような通達があつたように私も聞いております。この際学校長としては、教育者としての責任において自主的に授業の変更などをやりまして、この授業に支障のないような措置をとられておるということは、これは当然ではないかと思うし、私は個人的に四、五名伺つたところによりますれば、学校当局としてはこの取扱について非常に慎重を期され、授業に遺憾のないような措置を講ぜられたように伺つておるのであります。併しこれは個人的に伺つたことでありますから、一方的なそれは言い分であるというような見解をとられる虞れがなきにしもあらずでありますが、学校の運営そのものについては、校長の責任においてこれがとり行われるということは、これは私は慣行上の常識のように思われますが、この点についてあなたはどういうふうにお考えになつておりますか。
#9
○政府委員(田中義男君) お話のように学校の運営につきましては、学校長が責任を持つて措置すべきものと考えておるのでございますが、ただ根本的には法規その他の期待するところを出るわけには参りませんし、なお又それぞれの具体的の場合につきましては、いろいろ詳細な点について十分調査研究をいたしませんと、只今私それについての判断を申上げにくいわけでございます。御了承頂きたいと思います。
#10
○高田なほ子君 この際お伺いしておきまが、学校は年間にいろいろな行事が行われます。例えば運動会、或いは研修会、研究会、学芸会、更にはPTA総会等非常に年間行事が多いのでありますが、そういう際にはこれは校長は善意を以て学校の運営について最善を期されておると思うのであります。こういう際には一々これは学校長が学校の運営について当局に届出るというような法規上の義務を負わされておるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
#11
○政府委員(田中義男君) 細かい点に関してさような義務を課せられているとは存じませんけれども、併し学校を或る場合に休業をするというような点につきましては、これははつきりしたものは私只今確実ではございませんけれども、或る期間以上等につきましては、手続を経て、或いは承認を経てなすべきじやないかと、或いはそういうふうになつてはいないかと存ずるのでございますが、特に当日に関しましては、ともかく事前に一つの措置として教育委員会が通牒を出した、で、それらを基に考えるべき場合には、無論学校長としてはそれぞれすべての点を配慮の上に最善と思う措置をとられたと思いますけれども、併しそれが他面教育委員会の立場に立つて、そうして全般の教育運営の上に立つべき場合に果して非難を受ける点はあつたかどうかというような点については、相当具体的に突込んだ資料の下に判断をいたしませんと、ちよつと申上げかねる次第でございます。
#12
○高田なほ子君 客観的にいろいろと非難を受ける点があつたのじやないかというような点でありますが、その点についての詳細なお調べは文部当局で今日されておるのでしようか。
#13
○政府委員(田中義男君) 実はさような処分問題等が具体的になつておるとも存じませんでおりましたので、それらの点についての私のほうで十分調査はまだいたしておりませんのです。で実は初めて昨日新聞の報ずるところを基に一応聞き合わせました結果、先ほど申しましたように処分はまだいたしておらんということでございましたので、深く突込んで本日まで調査いたしておりませんのでございます。
#14
○高田なほ子君 私は現場に長らくおつた者として割出すのですが、学校を一応休業して学校の行事に当てようとする場合には、実際現場の者としては、非常に善意を以てその行事の万全のために努力されておるのであります。多分メーデーの日においては特に教育委員会のほうからも御通知があつたことでありますから、如何に悪意に解釈いたしましても、善意を以てこの処理に当られなかつたとはどうしても考えられないのであります。個々に伺つたところによると、非常に慎重を期された、非常な周到な御準備の下に善意を以て当られたにもかかわらず、突如として新聞に発表されたような事柄があつて、まあ始末書というような事柄にまで行つておるのだというようなお話もあつたのであります。こういう学校当局の善意に対してこういう一つの懲戒的な処分を以て当られるということが教育上いいものか悪いものか、生徒たちが校長若しくは教職員に対する信頼感をこのような瑣末的なことで失わせるということは、私は非常に子供にとつても教職員にとつても不幸なことであろうと思うのです。この点についてのあなたの御見解を伺いたいのであります。
#15
○政府委員(田中義男君) お話の点は私も全く御同感でございまして、苟くも教育者として一つの学校を特に背負つて立たれる校長のかたがたにおいて軽卒な行為があるとは存じませんで、恐らく当日の事情を想像いたしましても、さぞいろいろ苦労をされ、或いは判断に迷わされ、止むを得ざる或いは措置をとられたかとも想像をされるのでございまして、従つてそれらに対する懲戒というようなことについては十分慎重に扱うべきでございますし、殊に教育界にとつて懲戒を以て処置をするというようなことについては、更に一層慎重を要することと考えております。
#16
○高田なほ子君 最後にお伺いしたい点は、今回の校長戒告の処分は、かなり識者の間に非常な衝撃を私は与えておると思います。而して文部省のお調べになつた範囲においては、実際はそういう処分というようなことはなかつたのだということを言つておられますが、将来こういつたような処分というようなことは、これはあり得るのでしようか。若しあつた場合に、善意による学校側の措置というものをただ単にこういう一片の戒告処分というようなことで葬り去つた場合に、教育的の見地から見た場合に及ぼす悪影響が多い、こういう観点に立つた場合に、やはり文部省としては相当この問題については、指導的な役割を今後果して行かなければならないと思うのでありますが、これに対する御見解を一遍伺つておきたいと思います。
#17
○政府委員(田中義男君) 東京都の教育委員会でどういうふうな程度の資料の下にどういうふうに処置されますか、ちよつと将来のことについては私のほうで予測いたしかねるのでございますが、ともかく学校の立場、校長の立場、又教育委員会は教育委員会としての立場、それらの総合的な立場に立ちまして、適当な処置をとられるべきであると考えておるのでございます。
#18
○高田なほ子君 まだ十分にこれは文部省側としても、これに対する資料や何かについて非常に私は不足の点がおありがあるように思うのです。いろいろと疑問の点もたくさん残されておりますが、これは多分文部当局としても、手許にそういつた詳細な資料がおありにならないだろうと思いますから、あえて私はこれ以上質問を続けませんのですが、ただこうした重大な校長の戒告処分、善意な校長の処置に対する苛酷な措置というものは、非常に子供たちに対する影響が強い故に、どうか精密なる資料を早急に文部省としてはとられ、教育委員会の自主性に待つものであるとは言いながら、やはり教育全般の問題として文部当局として善意なる措置が積極的になされますように特に私は要望いたします。又この事態の成行きについては、私も非常に関心を持つておる一人でありますから、又近い機会にこの間の消息を承わりたい、こういうことを御約束いたしまして、取りあえず一応の私の質問を終らせてもらいます。
#19
○矢嶋三義君 このたび東京都の高等学校の学校長に対して懲戒処分の噂を承わるわけですが、この懲戒処分の法的根拠はどこですか。
#20
○政府委員(田中義男君) 学校職員に関しましての懲戒の法的根拠は一応地方公務員法の中にございます。それを教員にも適用することになると了解いたしております。
#21
○矢嶋三義君 地方公務員法の何条を適用したのですか。
#22
○政府委員(田中義男君) 第二十九条でございます。
#23
○矢嶋三義君 ちよつと読んでみて下さい。
#24
○政府委員(田中義男君) 第二十九条「職員が左の各号の一に該当する場合においては、これに対して懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。」
#25
○矢嶋三義君 そういう地方公務員法に立脚して都道府県教育委員会が自主的に処分をやるわけでございましようが、そういう処分があつた場合には、その都度定期的に文部省に対して報告するようになつているかいないか、それを一点と、それからこのたびの事件について東京都教育委員会から積極的に文部省に対して報告があつたかないか。
#26
○政府委員(田中義男君) さような場合に報告を徴するような措置は従来はいたしておりません。
 第三点は、報告はございませんでしたが、私のほうで進んで報告を聴取したわけでございます。
#27
○矢嶋三義君 地方公務員法という法律があつて、それを運用するに当つても、これは教育という立場から文部省は助言と指導をなすべき立場にあるわけですから、当然全国の学校にそういう法律を適用して職員或いは生徒を処分したような場合には、その処置に当つては報告を聴取するようにしてもらわなければ、私はおかしいと思うのですね。そうして全国的に教育的に考えて同じ法の適用が行われるようにするということは、これは私は文部省においての責任だと思うのですが、これはどういうふうにお考えですか。今後そういう聴取を定期的になされる用意はないかどうか。
#28
○政府委員(田中義男君) お話の点は誠に御尤でございまして、実は私ども自身も最近の御承知の事柄もちよいちよい起つて参りまして、皆様に御報告することにすら不自由を感じておるような現状でございますので、何らか事があつた場合、その他について進んで各地方から詳細な報告を速かに徴するというようなことの必要を実は痛感をいたしておるのでございますが、ただその聴取方その他についてはやはり相当慎重に考えませんと、徒らに干渉がましく各地方教育委員会に出て行くようでもいけませんので、よほどよく考えた上で何とか措置をいたしたい、と実は私考えておるところなのでございます。
#29
○矢嶋三義君 教育委員会法の立法精神から言つて、干渉がましいことを避けなければならないことは、これは申すまでもないことと思うのであります。併しながら一国の文教の府であるところの文部省で現在各県にどういう事件が起つて、どういう処分をしているというような数字がつかめていないということは、これは私はやはり一国の文教政策を打立てるに当つて私は不都合だと思うのです。この点については十分検討をして善処されたいと思います。
 次にお伺いいたしたい点は、局長のお話では干渉がましいことを云々という御発言もございましたが、されば今度のように東京でああいう問題が起つた場合には、文部省としては全くこれを傍観するつもりでございましようか。それともやはり非公式にでも意見を交換して、何らか適当な結論が得られるように指導、助言されるようなおつもりなのが。基本的な態度を私は承わりたいと思います。
#30
○政府委員(田中義男君) 私どもは決してただ傍観しようというような気持ではございません。御承知のように少くとも指導、援助をなすべき役所でございますので、十分具体的な事柄に基いてその責を果したいと考えております。
#31
○矢嶋三義君 次にお伺いいたしたい点は、五月一日のメーデー事件、これにある特定の学校の職員並びに生徒諸君が参加したということを新聞で報道されておりますが、これに関連して文部省としては、一般に都教育委員会に対して何らかの意思表示をされたことがあるかないか。
#32
○政府委員(田中義男君) 特に意思表示をすることはございません。
#33
○矢嶋三義君 公式文書、或いは私的いずれにおいてもなしたことはないかどうか。
#34
○政府委員(田中義男君) 意思表示というお言葉がどういうおつもりでございますかどうかと思いますけれども、委員会等に対しまして事件についての意思表示をすることはございません。
#35
○矢嶋三義君 私はやはりこの問題は一つのモデル・ケースになると思うのですね。そういう意味において私は重大だと思うのです。東京都の教育委員会がその自主性において、責任において決定されたことを私はここでとやかく言おうというわけではないのでありますが、これは全国的のモデル・ケースとなる、そういう立場で私は無視できないと思うのですが、特にこの問題は私の判断では、皇居前におけるあの騒擾事件、メーデー参加者の起したところのあの騒擾事件が行われなかつたならば、恐らくこの十三人の校長の問題は起つて来なかつたと思う、私は確信いたします。そういう意味において私は非常にこれは重大だと思うのでございますが、従つて文部省としても教育委員会で決定されたのであるから、一切文部省は指図がましいことは言わないというような態度でなくて、やはりその法の適用については、教育的にかくあつて欲しいというだけの見解を、事実を調査してはつきりした見解というものは、私は文部省は持つていなければならないと考えるわけであります。そういう立場から考えますと、まだ十分調査していないではつきりした見解が述べ得ないということは、まあ昨日新聞に出たばかりで、要求することは無理かと思いますが、一日も早くあなたとしての結論を私は持つて然るべきだと思いますが、そういうお考えでいられますか。
#36
○政府委員(田中義男君) 地方の教育は、御承知のように地方教育委員会の一応全責任になつておることははつきりいたしておるのでございますが、併しそれだからと言つて他人の責任として私どもはただそれで済ましておるというような考えは実は毛頭ございませんのでありまして、同時にやはり私どもとしてそれらについてははつきりした考えも又対策も考えて行きたいと考えております。
#37
○矢嶋三義君 やや具体的なことをお伺いいたしますが、例えば高等学校ですね、これは義務制の学校でもないと思いますが、一年間に何日間休校するかということは、その都道府県の教育委員会できめて、各学校長の自由に任しているものだと考えておるのですか。
#38
○政府委員(田中義男君) 一定の範囲内におきましては、自由ということになつております。
#39
○矢嶋三義君 そうなりますと、この度の東京都の教育委員会から各学校長に出された通牒は、授業に差支のない限りでなくて、公務に支障がない限り参加してよろしい、こういう通牒が出されているわけなんですね。日直の教員もちやんと残しているわけですね。学校当局者は五月一日を休んで、その代りにいつ授業をするという計画もやられているわけですね。そういうのをここで処分するというのは、私は東京都の教育委員会の決定に対してとやかく言うのではないのだけれども、どうも納得できないと思うのですが、そういう点局長どうお考えですか。
#40
○政府委員(田中義男君) 非常に実際問題として誠にデリケートな問題だと思つておるのでございますが、とにかくその日の措置については一応特別の指示を教育委員会がなしておるのでございまして、従つてその指示の期待するところに副つたか副わないかでお話のように大体休校を考え、而もそれぞれ宿直等も残しておつた。その通牒の期待するところには反しないのだというようなことがはつきり言えますかどうか、これは教育委員会等についてもそれぞれ相当な理由のあることと考えますのでございまして、私ここでにわかに批判をいたしかねるわけでございますが。
#41
○矢嶋三義君 十分調査した上における批判を仰ぎましよう。できるだけそういうものは早く、少くともあなたが確信を持つて所見を述べられるように準備して述べて頂きたいと思います。
 次にお伺いいたしたい点は、これは大臣にお伺いしたいところですが、大臣がおられないのであなたにお伺いいたしますが、教職員がメーデーのああいう行事に参加することは適当とお考えになるのか、不適当とあなたはお考えになつているのか、所見を承わりたい。
#42
○政府委員(田中義男君) メーデーが如何に計画をされ、どのように行われるものになつておりますのか、いろいろ具体的な場合に直面をいたして判断をするのが適当だと思うのでございまして、ともかく要は教育の政治的自主性或いは教育の政治的な中立性の維持ということを根本に置きまして、而も教師自身が特別な立場にありますので、それらの点から考えまして、適、不適を判断すべきであると思います。
#43
○矢嶋三義君 局長は随分にごしているようですが、私はそういう抽象的なことを承わりたくないのです。私の言うメーデーの行事というのは、あのメーデー参加者によつて行われたところの皇居前の広場の騒擾事件を私は意味してはいない。メーデーということを私から説明するまでもないと思う。その行事はどういうものかということははつきりしているのです。その定義に基いて教職員は参加することは適当とお考えになるか、或いはそうでないとお考えになつているのかという点を私は率直に答弁願いたいということを求めているわけです。
#44
○政府委員(田中義男君) 公務に差支ない限りは参加支障ないと考えております。
#45
○矢嶋三義君 そういうように答弁を集約されるところに私は問題があると思う。今度のこういう事件の根底をずつと掘り下げて行くと、教職員は如何なる形におけるメーデーには参加することは好ましくないという考え方が或いはあるかも知れない。その点においてメスを入れてこういう問題は究明して行かなければ、私は解決できないと思う。私はあのメーデー当日の東京都教職員ですか、の参加している状況をつぶさに見ました。神宮外苑におけるところの行動にしろ、途中におけるところの行進なんか一糸乱れざるものでした。それから東京都教職員は日比谷の終点において散会をいたしております。あとで問題を起した一部の先生は、個人の資格で或いは皇居前広場に見物に行かれたか、或いは抵抗するようなつもりで行かれたか、それは知りませんけれども、東京都教職員としてのあの日の行動というものは、私は初めから最後まで見ているのですが、立派だと思うのです。あのメーデーには私は教職員は参加して結構だ、当然そうだと考えております。ただ問題はあとで青山高校の問題が随分出たようですが、それらが結局こういう十三人の問題を起して来たのじやないか。そうだとすれば、これは私は角を矯めて牛を殺すようなものだと思う。青山高校の問題については私は詳細に調べておりませんけれども、或いは教官が参加を勧めたとか何とかいろいろに新聞に伝つておりますけれども、その問題と教育委員会の通牒を解釈して、それに基いて五月一日を休んで、その代りにいつ授業をするという計画の下に学校を休む、或いは短縮授業をやる、或いは途中で授業を打切つて、そうして教職員がメーデーに参加したという問題をごつちやに扱うということは、私は厳に慎まなければならないと思う。そういう点は局長のほうでも十分調査されて、私は指導と助言をして欲しい、こう考えます。と申しますのは、冒頭に申上げましたように、これは一つのモデル・ケースになりまして、これはとりようによりますと、教職員はメーデーに参加してはならぬ、今度メーデーに参加した者は次々に処分をするぞというようにも、脅迫的にもとれないこともないわけです。それは延いては教育労働組合の教職員の活動を或る意味において抑圧、弾圧するという形に発展しないとも限らないわけです。そういう立場においてこの問題は私は重大性がある、こういうふうに考えておるわけですから、是非とも局長の私は善処を要求いたしたい。
 それからもう一点お伺いいたしたいのですが、私は立法府において忙がしいものですから、新聞以上の調査をしていないのですが、ともかく商業新聞には青山高校の生徒と教官の関係がいろいろと報道されておりますが、こういう問題についても東京都の教育委員会から文部省に対して何らか報告もないし、あなたがたもこれに対して何らの調査もしていないのでございますが、念のために承わつておきたいのであります。
#46
○政府委員(田中義男君) お聞きのような調査乃至報告も只今まで十分にいたしておりません。
#47
○矢嶋三義君 局長は非常に怠慢じやないでしようかね。私も立法府におつてそれは突込んで調べておりませんのですが、これは教師と教育の発展の限界ですね、そういうものと私は関連がある、教師と生徒との関係、そういう意味において私は相当根本的な問題ではないかと思うのですがね。従つてあの当時教師と生徒との関係はどうであつたか、どこまでも教師が生徒を教師として指導したのかというような点を十分究明して、そうして父兄あたりも納得のできる解釈を下しておくということが、私は非常に大事なことじやないかと思うのですが、商業新聞ですからそれだけではとれないけれども、或いは父兄にしてみると、怪我をした父兄なんかは不満を表明している者もありますし、そういう点は私はやつぱり文部省としても早急に報告もさせ、あなたのほうでも研究して、やはりはつきりした解釈というものを文教の責任者として一体出すべきじやないかと思うのですね。そういうのをぼやつとしておいて、メーデー当日皇居前でああいう騒擾事件があつたからということで、こういうような何でもない十三人の校長さんを懲戒に附するというような点に発展することは、非常に私は遺憾だと思う。私は最初に申上げましたように、皇居前の広場の騒擾事件が起らなかつたならば、この十三人の問題は決して起らなかつたと思う。これは全国的にこういうことは代替授業による休校はやつているところですから、その点私は非常に遺憾に思つているわけですが、早急に文部省としても研究され、今後のモデル・ケースになることですから、教育委員会と協議をされ、助言と指導をなされて、こういう十三人のかたの私が今新聞、ラジオで知つている範囲内におけるこういう懲戒処分なんかは、行われないように努力されるように要望いたしまして、質問を打切ります。
#48
○委員長(梅原眞隆君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#49
○委員長(梅原眞隆君) 速記を始めて。
#50
○高田なほ子君 散会の前に私は委員長並びに文部当局に対して要望をいたします。
 第一点は、処分に対する現状、つまり新聞には戒告処分に附せられたというふうに出ておるが、併しどうも事実はそうでないらしい。さつき私が個々の校長について伺つたところが、全然処分されておらないとはどうしても解釈できない。つまり処分の現状は非常に不明確であります。この点を明確にして頂くこと、並びにこの処分の現状が不明確だということは、先ほどからの局長からの御答弁によれば、処分の法的根拠を作り上げるに足るだけの資料が極めて不足なんじやないかと思う。こういうようなことでは、文部当局が都道府県の各教育委員会に対して指導と助言を与えるという責務を万全に果しているとは到底考えられない。特に矢嶋委員からも指摘された通りに、皇居前の騒擾事件と正しい意味におけるメーデーの参加ということは、これは明確に区別して取扱わなければならないので、委員長におかれましても、どうぞこの資料の不足である部分を早く出され、そうしてこの問題が少くとも児童生徒に悪い影響を与えないように、もう一つは正しい意味におけるメーデーに教職員が参加することがあたかも不当であるというような間違つた印象を与えないような結論が出せる方法をとつて頂きたいということを要望いたします。どうか文部省にはこれらの法的根拠を作り上げるに足るつまり資料、それを要求いたします。それから委員長には私の素朴な意味における考え方が遺憾なく一日も早く解決されるように御協力を非常に強く私は要望いたします。
#51
○委員長(梅原眞隆君) 了承いたしました。
#52
○政府委員(田中義男君) 先ほどからいろいろお話を伺つたのでございますが、怠慢とお叱りを受けまして誠に恐縮でございますが、実は私もそれらの点については誠に現在非常に不十分でございますので、先ず実状を詳細明確に、而も早く知るということが非常に必要なんでございまして、それなしには何の対策も立たないわけなんでございますから、それらの点については、先ほども申しましたように、ともかく十分いろいろな点を考慮しながらも、何らかそれぞれの措置をいたしたいと実は考えておる次第でございます。それで実は事件が警察関係になりますと、これ又非常に厄介でございまして、取調について非常に長く期間を要する。而もそれらの点についていろいろ知るについてはなかなか面倒がございまして、私どもとしては特に地方の教育委員会を通ずるよりほかございませんので、さようなことで非常に暇取るわけなんでございます。殊に現在までに五月一日の事件につきましても、なお且つ取調中のものもあるというようなことで、全般についてもまとまつた資料を得る七とに非常に困難を感じておりますようなことで、非常に遅延たしておりますことを一つ御了承頂きたいのであります。なお、東京都教育委員会が恐らくいろいろ処分を考えておるといたしますれば、それは十分今までの期間において詳細な資料を持ち、理由を持つておることと考えておりますが、ただ私のほうにおいてそれを十分承知いたしておらんのじやないかと思いますので、なおいろいろ御意見もございましたので、十分いろいろ資料等も集めまして検討いたしたいと考えております。
#53
○委員長(梅原眞隆君) この資料の御提出を一つお願いいたします。
 今日はこれで散会いたします。
   午後零時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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