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1951/04/18 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 農林委員会 第24号
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1951/04/18 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 農林委員会 第24号

#1
第013回国会 農林委員会 第24号
昭和二十七年四月十八日(金曜日)
   午後一時三十九分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     羽生 三七君
   理事
           西山 龜七君
           加賀  操君
           山崎  恒君
           岡村文四郎君
   委員
          池田宇右衞門君
           瀧井治三郎君
           宮本 邦彦君
           飯島連次郎君
           片柳 眞吉君
           三浦 辰雄君
           小林 孝平君
           三橋八次郎君
           小林 亦治君
           松永 義雄君
  衆議院議員
          藥師神岩太郎君
           坂田 英一君
  政府委員
   農林省農政局長 小倉 武一君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       安楽城敏男君
   常任委員会專門
   員       中田 吉雄君
  説明員
   農林省農政局農
   産課長     黒川  計君
   農林省農地局災
   害復旧課長   堀  直治君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○急傾斜地帶農業振興臨時措置法案
 (衆議院提出)
○主要農作物種子法案(衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。議事日程に入る前にちよつと御相談いたしたいことがありますので、お願いいたします。ちよつと速記をとめて。
   午後一時四十分速記中止
   ―――――・―――――
   午後一時五十九分速記開始
#3
○委員長(羽生三七君) 速記を始めて頂きます。
 なお、来週の議事日程はお手許にお配りしたような順序で行いたいと思いますので、御了承をお願いいたします。
 それでは昨日に引続きまして急傾斜地帶農業振興臨時措置法案につきまして質疑を続行いたしたいと思います。最初に私からちよつと、これは提案者というよりもむしろ政府のほうにお尋ねしたいことがあるのですが、先に積雪寒冷單作地帶臨時措置法案ができ、今又この急傾斜地帶農業振興臨時措置法が成立せんとしておるわけでありますが、こういう特殊な積雪寒冷地帶、或いは特殊な急傾斜地帶等の振興措置法等の成立は大いに望ましいところであるし、そういう地帶の根本的な改善ということは我々としても十分意図なければならんところでありますが、私はさきに九州地方の一部を見て来て非常に感じたことは、日本農業の一般的な概念の中で通常の考え方で、こういう地帶が取扱われるかどうかという点を考えますというと、かなりこれは特殊的な地帶として別の考えを持つ人があるということを非常に強く感じたわけであります。例えば国民生活の中における生活保護法、これはこういう言葉が妥当かどうか知りませんが、とにかく特殊的な生活保護ということと同じような立場でこの農業の中の特殊地帶というものが改善されなければならん、そういう意味からこういう立法が促進されることは非常に願わしいことでありますが、ただ問題はこれがまあ次ぎ次ぎとこの該当地域としての限界が不明確であるような地域でもどんどん編入して行くというようなことになつて来ますというと、この特殊立法というものの意義が非常になくなつて来る。一般的な土地改良とこの特殊地域との関係というものがどういうところに限界を求めるかということは非常に私困難な問題になると思うのであります。若し積雪地帶、急傾斜地帶、或いはシラス地帶というようにそれぞれの特殊立法が日本全国のあらゆる地域に万遍なく行き渡るというようなことになると、これは一体全般的な土地改良とどういう関係に立つのかという非常な原則的な問題にぶち当ると思うのでありますが、従つて私はでき得べくんばこういう特殊立法は昨日も岡村委員からお話がありましたように、非常にこういう特殊地帶の、困難を蒙り又農業振興の不可能な地域に特に重点を置いてその成果を期待するような方法をとらないというと、一般的、普遍的になるのは結構ではあるが、そのことが又同時に一般的な土地改良等の限界が不明になつて来て、特殊立法の意味というものが不明確になつて来るという嫌いがあると思いますので、この辺を一体立案者というよりもむしろ農林当局でどういうふうにお考えになつておるのかお尋ねしたいと思うのであります。
#4
○説明員(堀直治君) 一般の土地改良でも相当の予算を以ちまして現在仕事を着工しておるのでございますが、寒冷地の法律ができまして、御承知のように二十六年度は二十億、二十七年度においては四十億の予算を取りまして、寒冷地帶だけに対しての仕事を進めるということになつております。先に通りました特殊土壤地帶の法律及び今度の急傾斜地帶の法律、こういうものができまして、それに相当する予算が成立いたしますというと、その地帶地帶の予算に従いまして仕事を進めて行くわけでありますが、これらのものが一般土地改良で成立しております予算との関連は、大体一般的土地改良におきましての基準と申しますか、仕事のやり方といいますものは主としてその経済効果から着手の順位をきめておるのでありまして、同じ国費を投じてそういう余計の増産効果が得られるということが第一義になつて来るはずのものでございます。従いましてそういつたような意味から申しますと、寒冷地帶であるとか、或いは急傾斜地帶であるとか、特殊土壤のばらばら層とか、そういつたような所はいずれも低生産地帶でありまして、これには相当多額の経費を投じないというと、所期の効果が得られず、従いまして一般土地改良計画におきましては事業を着手する順位というものが非常に下位のほうにある。同じ予算があつた場合には先ず一般の平坦地で而も二、三毛作をやるような所こそ先に工事を着手すべきであつて、今考えられております急傾斜地のような所は一番最後に置き去りにされる可能性が強いものとなるわけであります。そういつたような関係からこういつたような特殊な地帶に対する特別な立法が得られない限りにおいては、どうしてもこういう不遇な地帶というものはあとへあとへと取り残されて行く懸念が多分にあるわけであります。勿論こういつた地帶も、ただ單に救済という意味からだけやるのではなくて、飽くまでも我々のほうといたしましては食糧増産という立場上、仕事の進め方も考えて行かなければなりませんけれども、こういう法律ができまして、それに対する或る程度の予算がきまりますれば、急傾斜地は急傾斜地なりにその地帶の中からそういつたような増産効果の多いような所を選んで仕事をやつて行くというような形になり、それが延いてはこういつたような特殊な地帶の救済策と申しますか、振興策になるものと、こういうふうに考えております。
#5
○委員長(羽生三七君) 若干私のお尋ねの真意が十分呑み込んで頂けなかつたのじやないかと思いますので、もう一度簡單に重ねて申上げますが、問題の特殊立法には私賛成なのであります。ただそれが際限なしに普遍化して行つた場合には、もうあらゆる地域がそれぞれ編入を要望して、現にまだこの法律案が成立はしておらないのですが、自分の県を編入してもらいたいと陳情書がここに来ておるのです。そういうように次から次へと当該法律の地域に編入してもらおうという運動が起つて、それが特殊でなしにもう普遍化して、一般的な要求のように……、それぞれの特殊立法がそういう一般化され普遍化されて来た場合に、同じ特殊立法というものが一体どういうことになるのかという点を憂えるので、私はむしろこういう特殊立法である限りにおいては、重点的にその特殊立法というものが活かされなければならない、こういう立場で申上げておるのでありますが、その辺は如何でありますか。
#6
○説明員(堀直治君) どうも一災害復旧課長として御答弁申上げるには少し問題が大き過ぎるかと思うのでございますけれども、日本全国がこういつた特殊という問題で以て網がかぶつて参りまして、全部が同じように土地改良を行い得るということになれば、そういつたような時代が若し来るといたしますれば、それは全部の法律をやめて土地改良事業一本で進めて行くということが可能になろうかと思いますが、只今のような現状で、予算もそうたくさんのものが配当を得られない時代におきまして、而もそういう特殊な地帶に対して或る程度の施策を講じて行かなければならんということになりますと、そういう仕事を進める上については、どうしてもこういつたような関係の特殊地帶に対する法律が必要である。とにかく或る一定の段階に到達するまでの時期においてこういうものが必要であるのではなかろうかというふうに考えております。勿論その特殊性を活かしまして、一番その特殊地帶のテイピカルなところから仕事を取上げて行くという点については御同感でありまして、極力そういつたふうに仕事を進めて行きたいと考えております。
#7
○衆議院議員(藥師神岩太郎君) なお提案者としての私の意見も蛇足になるかもわかりませんが、一言述べておきたいと思います。委員長さんの御意見、特殊立法としては賛成なのでありますけれども、とにかくその限界の点に非常に疑義を持つておられるのでありますが、我々もこの問題については差向き何と申しますか、具体的のはつきりした限界というものをまだ持つていないのでありますが、それはむしろこれからのこれを運営して行く一つの幅を見出す必要があるのではないかと、こう思つておるのでありまして、この急傾斜地帶はこれまでの一般的な農地改良の線ではどうしてもやれないのでありまして、これまではもう全然継子扱いになつておるのでありますから、やはりこの積雪寒冷地帶、言葉を換えて見れば單作地帶でありますが、これはいろいろな理由もありますけれども、一面においてはこの單作地帶の農家に対する一つの保護立法の性質も多分に含んでおりまして、この地域の恵まれない農民の生活向上に資する点を多く狙つておるようでありますが、この急傾斜地帶においてもやはり同じよような意味が成り立つわけでありまして、それでこの限界の問題は私先日も申上げましたごとく、これも提案者の側でも本当から行けば二十町歩とか五十町歩とかいうような限界を定めるという問題についてもいろいろな意見があるのでありますが、結局は私が申上げましたように、その郡なり、町村なりの全耕地に対する急傾斜地のパーセンテージの如何によつてこの問題は、つまり何と申しまするか、限りある予算でありまするから、パーセンテージの高いところから施策をやつて行く、こういうことでなくてはならんのではないか、それで総体的に言えば、一郡の耕地面積が五千町歩あつてそれの五%の急傾斜地しかないのであるならば、僅かに二十五町歩でありますか、二百五十町歩であるとかありますけれども、これが三〇%、五〇%というようになつて来まするというと、この法律の趣旨といたしておりまする生産力の極めて低い地帶、或いは農業労働の非常に過重に失する地帶というこの法案の基本をなす精神の点から申しましても、まあ我々はそういうパーセンテージの低い地帶を葬れというわけではないのでありますけれども、全耕地の五%や八%の地帶は農業労働や或いは生産力に影響する点は大したものではないと思うのであります。つきましてこれが三〇%とか五〇%ということになつて来ると、その町なら町なり、郡なら郡なりの経営の上においても大変な問題になるわけでありますから、そこらに一つの基準というものが置かれなくちやならないのではないか、そういう問題は漸次調査をいたしまして、農林当局が具体的にこの問題を進めて行く上においてそういうところに重点を置いて、そうして審議会の議を経てやつて行く、ただ單にその郡の急傾斜日を拾い集めても二十町歩であるからこの郡にもやる、あの町にもやるということであつたならば、これはとても少々な予算では足らんのでありますから、そういうように一番に考えられて然るべきだ、こういうふうに私どもは思つておるわけであります。
#8
○片柳眞吉君 昨日質問いたした事項と関連をいたすのでありますが、法案の第十條に農業振興計画とありまして、その第一の事業に農地の保存及び改良というこの地帶は、説明にもありましたように概してエロージヨンの多いいわゆる侵蝕作用の多い地帶でありますので、従つて重点は農地の改良ということもありましようけれども、むしろ一番先にやるべき事項は農地の保存ということが一番大きな問題ではないかと思つております。そうなつて来ると、一体この農業振興ということから行きますというと、既耕地は場合によつては減らすというような実は場合も起きて来るのではないか。私も極めて僅かな地域ではありますけれども、例えばアメリカのTVAあたりの地積を見て参りましても、これは有名なエロージヨン地帶で耕地として適さない。或いは耕地として多少適しておつても、より生産力のある隣接の農地を保全する意味で勇敢に既耕地を或いは山林なり、牧野に転換いたしまして、それで初めて農地のいわゆる保全が完全に実施をされておるわけであります。この地帶は私も一々見ておりませんが、恐らく薬師神さんの御説明にもありましたように、そうでなくでも、耕して山上に至るというような、本来ならば場合によつては山林として存置することが望ましい分までも或いは人口の関係なり、或いは漁業の不振という関係で山上まで耕しておるというような経済的な理由があるのじやないかと思いますが、そうなつて来ると、これは昨日岡村さんからも御質問があつたようでありますが、農業振興計画の重点がややもすると或いは耕地の拡張というような、そういうようなラインで行くことになりますると、農地の保全ということと全く逆行するのでありまして、ですから、理論的につき詰めて来ますれば、かようなエロージヨン地帶についてはむしろ既耕地を場合によつては犠牲にする、こういうようなアイデアさえ入つて来て然るべきものと思いますが、一体そういうような考え方でこれを我々が理解をしてよろしいかどうか、その意味で、ですから私の考えでは場合によつては既耕地まで山林なり牧野に変えるという必要性も起きて来ておるわけでありますから、いわんや未墾地を更に開墾するというようなことは農地保全のむしろ更にこれは逆行に輪をかけるのであつて、昨日も申上げたように愛媛県等においてはそうでなくても、本来ならば山林として存置すべきものが未墾地として国が買收したというような事例はこういう地帶には相当あると私は承知しておるわけであります。ですから一体農業振興と言いますが、保全が主であるか、保全が主だとすれば、場合によつては私は耕地面積は場合によつては減つて来るということも考え得るのじやないか、そうなつて来ると、先ほど委員長も大体同じような質問ではないかと思うのですが、又私が昨日申しましたように單に農業という分野だけで果してこの地帶の農業計画なり、農家経済の改善ができるかどうかはやはり私はちよつと疑問があるわけでありまして、それは別といたしましても例えば恐らく保存という考え方が一番主眼でなければならんと思いますか、従つて場合によつては耕地の面積は減る。併し残つた農地の生産力はそれがために非常に向上するというようなそういう行き方でありますか、どうか、これが更に耕地を拡張してこの地帶の農業振興を図ることになると、さつき言つたような山林との関係が相当トラブルが起る点があると思います。その辺はどんな考えを持つておりますか。
#9
○衆議院議員(藥師神岩太郎君) 片柳さんの御質疑御尤もだと思います。問題は、私も大体各地を歩いて見たのでありますが、この急傾斜地帶の、昨日岡村さんの御意見にもありましたように、山間地における傾斜地帶は比較的人口が稀薄なのであります。そうして又開墾する余地というものも相当至る所にあるわけでありましてそうして今の林野行政という問題と非常に密接な関係を持つておると思いますし、なお一面においては燒畑式の方法がそこに併用されておるわけでありまするが、この四国、中国、つまり瀬戸内海を中心とする典型的な急傾斜地帶はもはや開墾する余地というものは残されていないのでありまして、これは私たち別の角度から見て、瀬戸内海を国立公園として日本の第一の自然の美を保護するという点、或いは私たちの宇和海の方面も高知県の一部にかけて今度国立公園に編入するという立場から見まするというと、各島嶼が皆禿山になつて、頂上まで耕やされる範囲というものは全部耕してしまつて、殆んど緑地帶というものが残されていない今日の現状から見まするときに、別の各度から見る場合においては、自然美を保護するというような立場から見ますると、非常に遺憾な点があるのであります。こういう地帶はつまり燃料にも事欠くわけであります。もう一つはこの地帶は山が皆小さい、島が小さいのでありまして、大部分の村落というものは飲料水に先ず困つておるわけであります。今日でもいろいろ地盤沈下とかその他の関係から簡易水道を盛んにやつておりますが、飲料水に事欠くし、燃料に事欠くし、そうして殆んど米も作れないで、いもと麦の交互作によつて、それを主食にして住んでおるのでありますが、それも殆んどいもの子を洗うごとき人口の稠密を来しておるのであります。昨日水産庁から来ていろいろ水産方面の話もありましたが、私は片柳さんの昨日のお説のように、單にこういう急傾斜地帶の施設だけではそういう地帶の恵まれない農民を更生することはできない、総合的の施策を要するとい御意見は、私はこれは双手を挙げて賛成するわけであります。そこまで行きたいのでありますが、現在の段階においてはこの問題というものが、この急傾斜地によつて立つて食つておる一番の土台であるこの環境というものが何らこれまで改善されていないのでありまして、先ず差向きにこの問題に手を着けて一歩でも前進したいという考え方を持つておるわけなのであります。それで漁業のごときも、昨日水産庁から数字で説明がありましたが、ああいう数字の説明がなくても、愛媛県のごときは全国で第三位の水産県ということは最近まで天下周知の事実であつたのであります。北海道或いは長崎、それに次ぐ水産県であつたのでありますが、今日は実に惨憺たるものでありまして、機動力の多い強い船でなければ、漁業はもうできない。而も小さな漁船に電探を備え付けて、五百貫の漁群が海の底にずつと隠れておつても、それが電探によつて一々記録されて行つて、それを追いかけて集魚燈を焚いて漁獲するというようなところまで進んで参つたのでありますから、いろいろな原因がありますが、今日の沿岸漁業というものは、もう小資本ではやられないというような段階にまで追い込まれたのであります。こういう点もこれからの地帶の住民の生活には非常に大きな影響をもたらしておるわけでありますから、こういう面からも、片柳さんのお説のように、この水産面からも十分この問題は検討さるべき問題であると思うのであります。同感なのであります。ただ問題といたしましては、冒頭に申上げましたごとく、この典型的な急傾斜地帶は、もはやこれを牧野に戻すとか、或いは植林するとかいうような生まやさしい現状にはないのでありまして、恐らく御覽になればわかりますが、今松なり何なり多少生えているところはもう全部岩盤或いはもう全然瘠薄地帶で、作物が取れない地帶が残つておるのでありまして、その開墾の許される範囲、或いは多少とも收獲物の取れる範囲のものは全部耕やされておるのでありまして、私はこの自然美の保全の上から言つても歎わしいと思いますが、これはそういう面からも将来検討さるべき大きな問題であると、かように考えておるわけであります。
#10
○岡村文四郎君 これは発案者にお聞きするより政府当局に聞いたほうがよいと思うのですが、この法律は昨日も申しましたように非常に重要な法律で、是非通して実行しなければならんと思うのですが、これが通りました時分に、例えば、片柳さんからも言われたように、土地の保全が非常に必要なんですが、この保全の場合に、例えば土地改良をやる、こういうことになりますと、従来各府県で行なつておりまする土地改良というものとは全然違うのであります。そこで、その度合を一体どれだけお考えになつておるか、土地改良に対する経費の度合ですね。
 それから、昨日片柳さんのほうから果実を入れるかという御質問があつたが、入れませんとこう実はお話をしたのだが、これは間違つておるので果実も入れるのだと、こういうようなお話でありますが、目標がわからんものですからお聞きしようと思うのですけれども、麦、米、いも、蔬菜、これを耕作する、蚕もやつておりますから、蚕も入れて、それを目標にしておられるのか、まだほかにあるのか、お聞きしたいと思う。
#11
○衆議院議員(藥師神岩太郎君) 別に耕作せられる作物の種類によつてこれを規制する考えは毛頭ないのでありまして、この急傾斜地帶は、これから将来この地帶の農村の更生される観点から申しましても、作付が相当転換されなくてはならんと思うわけでありまして、まあ適地適作で、或いは果樹園に転向するところもありましよう。又、再び蚕糸業が安定しますれば、桑園に転換するところもありましようし、その他各種の作物に転換するでありましようが、これは仮に我々の実例を申しまするというと、伊予糸、つまり世界で一番よい伊予糸の産地というものは我々のところであつたのでありますが、この桑園というものは大分この傾斜地帶に仰いでおつたのでありますが、蚕糸業の不振と共に今日はもう全部いも畑に転換してしまつておるのであります。こういう問題は、蚕糸業が安定しますれば或る程度又桑園に還元するということになりましよう。果樹園の問題も相当ありましようけれども、これはこの間申上げましたごとく、非常に資本を要する問題でありまして、先ず十年はみないというと一人前の收入は得られないのでありまして、貧弱な農家ではやり切れないのでありますと同時に、平均の耕作反別が僅かに三反や四反に過ぎんのでありますから、なかなかこの問題は問題だと思います。
 それからなお、片柳さんの先ほどの御質疑の中でちよつと私落しておつたのでありまするが、この法案が通過いたしまするというと、これに基いて農道なりその他の土地改良の施設をやるというと既耕地が減るということを、米国の例を挙げてお話しになつたのでありますが、私もこの点は無論同感でありまして、そういう場合が多いと思うのであります。つまり急傾斜地帶でありますから、農道一本抜きましてもその大切な耕地を潰す点はかなりあると思いますが、その潰れ地を償つて、なおあとに残る土地は生産力を高め、そうして過重な労働を軽減し、そうして延いてはその地域の住民の生活に寄與し得るような施策をとつて行かにやいけんと思うのでありまして、現在においてもモデル地区を設けてやつておりますが、初めはこの土地が潰れるとか非常な地元の反対もあつたわけでありますけれども、今度そのモデル地区を設けてやつて見まするというと結果が非常にいいのであつて、あちらからもこちらからも是非やつてくれという熾烈な要望があるわけであります。それでこれは最初は反対の個所もあろうと思いますが、併しやれば非常に関係地区の農民に歓迎されることであり、又その効果というものも実に期待して待つべきものがあると、かように考えておるわけであります。
#12
○衆議院議員(藥師神岩太郎君) 土地改良費がこういつたような地帶にどれだけ投ぜられるかというお話でございますが、従来土地改良費は大きな意味を含めまして開墾と土地改良と分れておりますが、開墾についはこういつた傾斜地に対して開墾助成法或いは小団地の開墾に対する補助とかいつたような関係で戰前戰後を通じまして相当助成金を出しておつたわけでありますが、既耕地の改良という点になりますというと、従来既耕地の改良に水田に対する灌漑排水といつたことが重点でございまして、これらに対しては殆んど助成としては見るべきものがなかつたわけであります。ただ戰前戰時の第二次、この第三次土地改良事業におきましては農道の改良という面でこれらのものに多少補助の政策をとつて来たわけでありますが、これもその大部分が平坦地のほうに参りまして傾斜地に対しては農道としても余り多くの仕事をやつておりません。それで正確な数字で何パーセントぐらいかと申上げるわけには今手許に数字もございませんし、お話できませんけれども、その数字は極く僅かであることだけは間違いないところでございます。それでその後片柳先生のお話のようにアメリカのエロージヨンの問題、その他が取上げられまして、我が国においても相当なエロージヨンを来しているという事実がはつきりして参りましたので、昭和二十五年度から初めて土壤保全の予算を計上いたしまして、試験的に各地区に仕事を実施して参つて来た。而もこの予算は極く僅かでございまして各地の御要望に応えるようなものでは到底なかつたわけであります。そのような関係で而も戰後におきましては小規模土地改良事業に対する助成というものは全部打切りになりまして、寒冷地帶の予算が初めてこういつた団体営の小規模な土地改良に対する助成を出すということになつたばかりでございまして、未だ寒冷地帶以外におきましては小団地の土地改良事業というものは認めておらんような状態でございます。
#13
○岡村文四郎君 私の聞きようが惡いからお答えがとんちんかんになつたのですが、私がお開きいたしましたのは、例えば普通のところの土地改良の一反歩の経費はおよそ何ぼ、こういう目安が立つておりますか、それに対する段々畠は何ぼかかるかというお考えを持つておるかということをお聞きしておるわけなんです。別に現在やつておるかおらんかをお聞きしているわけじやありませんが、これは殆んど御存じないかたが多かつたと思うのですが、本当の傾斜地におるものは例えば家を建てますが、大方が三間張りか二間半、その家の雨だれでその屋敷の石垣がずり落ちる、それでそれをとめるので何とかしなきやいかん。それから又家が建ちますと、普通の家ならば建つた家の横屋に建つた真正面から入るのが当然でございます。それがそういうことになつておるのは入るのに小口から入らなければ正面から入れんというところに住んでおる。それからこれは実際見ん人は想像がつかんと思うのですが、今ここで三橋さんが写真を持つておられます。これがその写真ですが、大変結構なんですが、これは私はこういうところもいいがこのところを指して傾斜地をやろうというお考えならば全然認識不足だと私は考えておる。これなどは本当の傾斜地には違いないが、ちやんとそこのところは下にずつとあつて海岸のようなところが多いのです。そうでなしに本当の日本の傾斜地を何とかしてもらうというのならば、もう少し考えをしてもらわんといけないということを昨日から言うておりますように大蔵大臣まで来てもらわんならん、こういうことは相当多額の予算が要る。そうでもしないとするならば惡いところの本当の段々畠の人はどこまでも段々畠で暮すより仕様がない。現在から見ますると高い給料を受けておりまする人よりもずつと惡い、そういう百姓をして一戸の升を持つておる人がいるものですから、これは問題にならないで、これを何とか救う方法を講じてもらわにやならない。又本腰になつてまだ何とかしてやらなければなりませんが、遺憾なくやれとこういうことを言うてやろうと思つております。そうやつて簡單にはいかんのですから、これが政府がそこまでやられる、そこまでやろう、提案者も政府もそういう胆がないことにはこれはできないのです。どうしてこの労力を楽にしようかということを目標にされておりますが、これは定義にもありますし、あとからも書いてあります。その目標がいろいろなことがありましようが、それが若しできると全く夜が明けたようなことになると思うのでありますが、それにはとても簡單には行きません。先ほど休憩中に片柳さんのお話がございましたが、古野川の真中ほどでございますが大歩危、小歩危の向う側の徳島寄りのほうによく家が見えます。全くのこういう傾斜です。下は大きな吉野川で、下は絶壁で、その上にこういうところにずつと住んでおる。ところが割合に生活は切りつめておると見えまして白い漆喰で塗つた蔵が見えますし、家も見えます。それでそこにおつてもこういうふうになつておる人もあるからという考えでなしに、それを本当に保護してこの法律で生かして行こうというのには実に考えがそこまで行かんと、どうにかやつて行ける人は恩典を蒙つたが、本当の段々畠の、日本の本当の傾斜地におる実にみじめなことをやつておる人には、さつぱり法律はできたが、費用がなくて恩典がないとこういうことになりはしないかという疑念を持つております。寒冷地帶單作の法律はこれは全然それと趣きが違いまして、若しよしんばそれでもらえんとしても、そういうところの人たちはいい方法が何ぼでもあります。ところがこれは今までも見ることができないし、今のようなお話で土地改良でも見るべきものがないからやつておりません。土地改良をすれば確かにいいところになるのは違いございません。併しながらそういうものが同じ窓口でやることが非常に困難なものですからやれないで今まで来ておる。こういう状態ですから昨日主計局長に行つて見て来たらどうだというお話を私は申上げましたが、なかなかそんなわけに行かんと思うのです。それで本当にこれを通してやつてもらうには、掘り下げて胆をきめてもらわんと單なる人気取りの軽はずみの法律ではいかんと思うのです。ですからこれは提案者はもとよりのこと、政府もこれが通りますと、仕事をするのはあなたがたなんだ。そういう人が本当に認識を持つておらんとすると糠喜びになると、我々も申訳もないし、どうにもならないようなところが恩典が受けられないで、どうにかやつているところが又楽になるとこういうのでは非常に困ると思うのですが、それをそこまで一体お見通しになつておるかお聞きしたいと思います。これは提案者よりも政府当局に聞かんと、ところが課長にお聞きしてもちよつと困るので、課長じや一体どこへ行くかわからんので、それでは全く頼りないのですが、それでも課長の答弁したことをずつと記録に残しておきますと、課長の答弁が全然責任がないとは言えますまいが、先ずない。あれは課長の言つたことだとこういうふうになるので、実はここで課長に聞いても、参考に事務的のことを聞くより方法がないので、聞いて見ても駄目だ。ですから誰もおいでになつておらんからせめて発効当時の課長がどこまで考えているかということを聞いておくだけで、私はあなたがそう言つたからと言つて、これに食い下つてやろうとは思いません。又やれるだけの力もこつちにありませんし、又そういうものではないと思います。事務的の説明はこれは課長で結構でありますから、我々のやつております政治、即ち現実はつかまえたら握つて離さん、ですから私は課長のお話であるというので一口の返事で断わられますからそこまで言わなくても結構ですから、現在のところではどういうふうにお考えになつているかお聞きしたいと思います。
#14
○説明員(堀直治君) 急傾斜地の対策といたしまして土地改良でやつております仕事は、只今は土壤保全を主とした仕事であります。従いまして相当の傾斜地、例えば二十五度程度の傾斜地に、上部のほうは、一番山の頂きに近いところでは、小水路を設けまして、これを安全な谷に直接流し込む、それから傾斜地の中の耕地に対しましては途中に何段かの排水路を設けまして、而もこれを一カ所に集めて、その谷には保護溝を設けまして相当の雨が降つてもエロージヨンが起らないような施設をする。それから同時に傾斜した水路については、これは雨の降らんときにはそれが道路として使えるような施設をするというような工事を主体としてやつております。で、勿論その間に或る程度の被覆植物を植えますとかいうようなものの制限もいたしまして工事をやつているのでありますが、これらの工事をいたしまして、工事当りの反当事業費というものは今までの結果によりますというと割合いにかかつておりません。勿論用地買收費その他は除いてございますが、平均で、現在やつておりますのが一万八千円程度だと記憶しております。これは普通の平坦地の土地改良費に比較いたしまして高くも安くもないという事業費になつております。で、お話のようにその一番ひどい所に対して十分な工事をやるということになりますれば、これは幾らでも金のかけようがありまして金がかかるわけでありますけれども、成るべく地元負担も伴うことでございますので、先ず我慢のできる程度の工事ということた目標にしてやつております関係上そういうような工事になつているものと考えております。で、かような関係がありますので、今取上げております工事は、勿論そのエロージヨンの大きな、放つて置くとだんだんと流溝が劇しくなつて、耕地として使へなくなるに違いないというような所から先に工事を進めておるわけでありますが、今後この予算が通りましても、やはり工事のやり方といたしましては、今申上げましたような工事が主体となつて、勿論それに附随したいろいろな振興計画もあり、それの土地土地に適当な工事の計画もあると思いますけれども、そういつた工事を主体として仕事を進めて行くようになろうかと思います。
 過重な労力を軽減する第二の問題につきましては、これは道路が一番主体となる。この道路と申しましても今までございますように、ただ單に大きな道路を畑の中につけますということは、却つて弊害が大きい場合が多いのでございますから、成るべくそういうことは避けまして、エロージヨン防止と兼ねて工事がやれるように工夫をして行きたいと考えております。
#15
○岡村文四郎君 もう一つお聞きしたいと思いますが、それは提案者にお伺いいたしますが、桑園もとにかくやつてもらわねばならんところであると思いますが、それも対象になると思いますが、こうぞ、みつまたはどうなるのですか。
#16
○衆議院議員(藥師神岩太郎君) 今岡村さんの御質疑でありますが、先ほど申上げました無論このごうぞもみつまたも入るわけでありまして、別に作物によつて区別は立てない、これは原則であります。ただ問題はこの間も申上げましたが、燒畑式により、この山間部に多くありますし、山を伐採した後を火をつけて焼いて、そうして段造りもしないで開墾をして、そうして又五年なり七年なりするとすぐ植林して循環的にやつておる地帶は対象にしていないわけです。その他はもう作物の如何に拘らず包含しておるわけです。
#17
○委員長(羽生三七君) 大蔵大臣に対する質問を残して大体御質問も盡きたのではないかと思いますので、大蔵大臣の出席されるまで主要農作物種子法案について質疑を願いたいと思いますが、よろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○委員長(羽生三七君) ではさようにいたします。
 それでは提案者の坂田さんがお見えになつておりませんが、農政局長がおられますので、便宜政府から答弁を求めることにいたします。
#19
○三橋八次郎君 この法案の目的を見ますると、極めて率直に書いてございます。又一方この提案理由の説明を見ますと、食糧の自給度を高めるということを書いておるのですが、やはりこの法案の目的も最後の目的は食糧増産、食糧の自給度を高めるというところにあるのでございますがどうか、お伺いしたいと思います。
#20
○政府委員(小倉武一君) 御質問のように食糧自給度を高める、即ち種子の増産ということを目的といたしておると思います。
#21
○三橋八次郎君 そうなつて参りますと、この法律案というものは極めて片手落な、ちんばなものとしか思われんのでございます。と申しますのは、成るほど優良種子を生産いたしまして、これを農家に作らせるということは食糧増産の上において極めてよろしいことではありますが、良い種子を生産するというようなことにつきましてはかなり完備された法案であると思いますけれども、これを実際農家に作らせるという方面につきましては、これが一向に触れておらんように思うのでありますが、幾ら良い種を生産いたしましても、農家がそれを作つてくれなければ最後の目的とする食糧の増産ということはできないと思うのでございますが、その辺の施策はどのようにお考えになつておるのでございますか。
#22
○政府委員(小倉武一君) 御指摘のようにこの法案自体には、できた種子がどういう手続、流れを以て農家に行くかということについては触れておらないのであります。併しこの点は種子の交換その他の斡旋を行政庁がいたしますということで補いたいと思つておるのでございます。
#23
○三橋八次郎君 原種の経営も長い間やつてみたのでありますけれども、原種問題で一番苦心いたしますのは、折角生産しました種が一向に普及せぬ、こういうような事実があるのでございます。配付されました資料によつて見ましても生産されたものと配付されたものとの比率が五一%というのもたくさん年度によつてはあるようでございます。そうしますれば生産されました優良品種はことごとく農家に配布され、耕作されるというところに、この立派な種を生産するという意義があると思うのでありますが、折角技術者も苦心をし、又生産農家も苦心をしまして、生産種子の五一%しか実際配布されておらん。こういうことでありましたが、このいい種をこしらえるということも必要ですが、それを普及、耕作されるというような施策に欠けております場合においては、この法律の価値というものは非常に下つて来ると思うのでありますが、その点何か普及ということについてのお考えがありますならば、その施策をお伺いしたいと思います。
#24
○政府委員(小倉武一君) お話通りでございまして、優良種子というものの普及がなかなか困難な実情にあることは私どももさように考えております。何分にも米麦の種子は自家が農家採取ができますので、その点もございまして、特に金のかかる現金支出というようなことを必要とする種子になりますというと、そういう面倒なことをやめるといつたような関係があるのではないかと思いますので、その点は特に指導、普及といつたようなことを重点的に考えなくてはならんのじやないかと思うのであります。長年自家採種をやつておりますというとおのずから減收になるわけでありますが、それがなかなか顯著に出て来るというわけのものでもございませんからそういう観点になつているわけでありますが、その点はやはり気長く優良種子を使うということが増産の根本であるという趣旨を農家に普及、宣伝をする。或いは場合によりましては普及事業に優良種子の取上げ方を工夫して頂きまして、大いに普及をするということが必要であろうと思つております。
#25
○三橋八次郎君 この法律が折角できまして、この法律の効果を挙げるということにつきましては、今申上げました方面の積極的の施策が必要だと思うのでございます。恐らくこれもこれと関連して考えられているだろうと思うのでありますが、一日も早くこの方面の事柄の施策も十分に積極的に実施をして頂きたいと思うのでございます。なお以前は品種の決定試験というもの、或いは地方におきましては品種の適応試験というものをやつております。やがて收量の多い品種をその地方に徹底し、それを大家に見せながらそれを普及して行くという施設があり、相当国庫からも助成をしておつたのでありますが、これも優良品種の普及というような点につきましては非常に効果の多いことだと思うのでありますけれども、この奬励品種の決定試験というようなものの予算の逼迫というようなことにつきましてお考えになつておりますかどうかお伺いしたいと思います。
#26
○政府委員(小倉武一君) 御指摘のように優良品種の問題につきまして、現在のところは特性検定試験の補助金がありますだけでありまして、奬励品種の決定試験と従来言われておりました部分につきましての補助金はなくなつているのであります。但しこの特性検定試験におきまして従来の奬励品種決定試験の趣旨も加味してやるようにいたしております。なおこの助成金の額も十分でございませんので、両方の趣旨を二つながらやるということはなかなか困難であろうという主張はあろうと思います。この方面の仕事はただ改良局の主管になつておりまして、私から申上げるのは如何かと存じますが、お話のような点につきまして予算上の含みがある。なお今後考慮しなければならんということは私も所管外でございますが感じている次第であります。
#27
○三橋八次郎君 今のお話もわからんこともないのでございますけれども、奬励品種の普及というようなことにつきましては改良局のほうでやつておられ、いい種をとるというところまでは農政局のほうでやつている。結局迷惑を蒙りますものは農家だと思うのでございます。これも一つ十分御考慮を頂きまして、奬励品種を普及されることによつて、この法律に規定されました優良な種子が徹底的に栽培をせられるというようなことになりまして、その成果が上るのだと思うのであります。この法律だけを見ては、全く食糧の自給度を高めるというような目的から見ますれば、片ちんばの方策だと言わなければならないのであります。そういうような意味から一つ片一方のほうの足も早急につけて頂きまして、又奬励品種の決定試験或いは地方の品種の適応試験というようなものなんかも復活して頂きまして、そうしてこの法律の成果を挙げられるようにお願い申上げたいと思うのでございます。なお優良種子の末端農家に対する普及に関しまして、この法律案には何ら規定が設けられておらんようでありますが、優良種子の普及に関する対策というようなものは、先ほどちよつとお話がありましたけれども、今少しく具体的にお伺いしたいと思います。
#28
○政府委員(小倉武一君) 私どものほうで考えておりまする点は、優良種子の生産ということになりますというと、何と申しましても相当の費用がかかる。たださえ現金支出といいますと農家は……、而も自家採取のできぬものでございますから、その費用の一部でも、補つて成るべく安く、でき得べくんば余り、理想を申しますれば等価で交換できる程度にまで実は助成をいたしたいわけでございますが、現在予算的な措置はまだそこまで参つておりませんが、さような経済的な負担を成るべく軽減するといつたような点に私は重点を置いているのであります。尤もそれだけで必ずしも十分でございませんので、御指摘のような実際普及をするといつた面についての施策も、今後具体的に考えなければならんものと考えております。
#29
○三橋八次郎君 もう一つ、提案理由の説明によりますると、種子の生産は、一般農家の米麦に比べまして生産費が高くかかる。而も淘汰などの関係で收量が少いと述べられておりますが、又この種子の生産は経営費の一部を補助することによりましてその生産費を補填いたしまして、一般農民が等量の米麦で優良趣旨と交換し得る途を拓いてもいい、こういうふうに説明されておりますけれども、実際採種を経営いたしまして種を生産するというようなことは、かなりたくさんの労力とか費用、又特に農家は調製の際の混種というようなものにつきまして格段な注意を拂わなければならんというところが非常に煩雑なのでございます。そういうようなことがありますにもかかわらず、反当稻は千円、麦は七百円というような基礎で見積つているようでございますが、この千円と七百円との金額の基礎数字がありますならば、具体的にお伺いしたいと思います。
#30
○政府委員(小倉武一君) これは予算の関係でございますので、かようなラウンドの数字になつておりますが、大体実際かかる経費の半分乃至三分の一程度が丁度この千円乃至七百円のところではないかと思つております。詳しい数字は書類を持つておりませんので、あとで申上げたいと思います。
#31
○加賀操君 提案理由に述べられてありますが、優良品種を生産いたしますには、多くの努力も要りますし、多額の経費が必要である関係から、自然種子の価格が高くなつて参りまして、農家がこれを買いにくい、こういうことは十分に了解でさますが、併し一面これは普通の種子から考えますと、種子が高くとも、その種子から生産されたものが高く売れるという確実性があれば、私は少々高くとも農家はその種子を買うだろうと思うのです。こういうこともよく考えて置かなければならんと思つております。三橋さんもちよつと言われましたが、私もこの優良種子の生産普及及びその後の処置について欠けておるところがありやせんか、こう思つておるわけでございます。それはどういうわけかと申しますと、優良な種子をもらいまして、農家が生産して市場に出す場合に、その生産物が優秀なものであるという確証を誰も與えていないわけです。もとは作つたが、あとはぶん投げてある、こういうのが従来の通弊であつたと私は考えておる。ここに滝井さんがおられるので、こういうことは滝井さんは十分に御存じだろうと思いますが、私はそういう点で欠陷があるのじやないか、こう思つておるわけであります。従つて政府なり研究者が非常に苦心をして、いい品種を作り、農家がそれを大切にして生産をして、そのものを売る場合に、この法律から申しますと、米と麦ですから、米と麦に限定しますが、只今の現状におきましては、米と麦は国家が管理しておるわけでありまするから、国がきめて、これはいいのだ、こうはつきりしてそれを生産させた以上は、何らか国が管理しておるものですから、規格をはつきりして、そうしてそれの検査を実行するなり、又検査によつて格差が十分できるだろうと思う、その格差をつけて国が買いますれば、私はこの法律は十分に最終の実効を挙げ得るものだとこう考えておるわけです。それが途中で切れておりますから、三橋さんが言われたように、尻切れとんぼになりまして、従来私もやつておりましたが、大変に国も金を使つておるわけでありますが、どうも成果が挙がらん、こういうのが実情でないかとこう考えておりますので、政府のほうで折角法律を実施される場合に、こういう政府がきめた良い品種を作つた者については、規格なり或いは格差なりをはつきりきめてそれだけの価値で買つてやる、こういうようにしなければ私はいかんと思うが、又そうしてやらなければ研究した人に非常に申訳がないとこういう気もいたすわけでございます。この点だけ御意見を伺いたいと思います。意見よりも私はそうしなければこの法律の最後の成果は挙らないでないかとこういうわけでございます。その点をお伺いいたしたいと思うのです。
 それから次に、勿論これは只今米麦は国家管理しておりますが、原則としては取引するものであります。で物が市場に出た場合に大切なのはこの品質と量でありますが、品質が幾らよくても或る程度の量がまとまらなければ、私はその銘柄というものは生れて来ないと思つておるわけであります。先ほどから話がありましたように、僅かなものでそれは非常にいいものですが、長い間に少しずつ出て行つたらこれは本当のいい品種の銘柄というものは生まれにくいと思う、その間農家は三橋さんが言われたように非常な犠牲を負わなければならない。ですからこの点につきまして私は従来のこの採種計画の欠点はここにあると思つております。従つて折角法律も出され、二十七年度から非常に大きな予算を組んでおられますので、この際極端な例を一つとりますれば、一つの県なら県でその県で使う大部分のものを一カ所なり二カ所なりにまとめて全部その集団的に一部落で作つてしまう。極端ですが、その県の農家はその限定された品種以外に蒔かない、これくらいな元気でやつて頂かなければなかなか要しないと思いますし、又今までの経験から言いますと、小さい所に散在させますと、使いました経費が私は非常に死んでいるとこういう気がいたします。これは主要食糧でないから言いにくいのですが、ロシアのビートのようなものも徹底した国営農場でやつておるようです。ビートの種は国営農場以外で作つていないようでございます。北海道でもビートは会社以外で作つておりません。そうしてその種以外に使つておりません。そういうのは極端ですが、まあこれに近いようなもつと大規模なそうして正確な採種計画をおやりになるような意思がありますかどうか、一つお伺いしたいと思います。
 それからもう一つは少し余談になりますが、これは政府の特に意見を聞くというよりもお願いしたいと思いますが、農業関係の研究の中で農産物の生産とそれから種苗の育成に対しましては、現在日本の特許法に含まれていないのです。科学的な方法は含まれておりますが、農産物それ自身とそれから品種そのもの、植物そのものは日本の特許法に含まれておりません。従つてこれらのものは逆に言えば非常に作り上げるまでに努力が要るし、長年の時間を要するわけですが、併し日本の特許法ではそれを認めておりません。ただ種苗法に新らしい品種なり、新らしい系統を作り上げたものは登録をして、或る程度まで保護する、こういうのがありますが、それ以外にはありませんので、私はこの際農林省で新らしい品種なり、新らしい系統なりというものを作り上げた研究者の人に、何らかの方法で表彰の途を講ぜられるお考えがあるかないか。これは研究する人の意欲を非常に向上させるものでありまして、研究者にこれ以上の報奨は私はないと思つておりますので、非常に研究した人は努力した割合に何ら報いられていないのが現状であります。そういうお考えがありましたら一つお伺しいたいと思う。例えばこの前の予算で、あれは農地部の予算ですか、優良な開拓地の人を何人か選んで、アメリカを見せる、こういうのがありましたが、趣旨は違いますが、私は何らかいい仕事をした人には、農林省として報奨なり或いはその労に報いる方法をお考えになつているかどうか、こういう点をお伺いしたいと思う。総体的な質問は一応それで終ります。
#32
○政府委員(小倉武一君) 優良種子の買上げ乃至食糧供出との関係でございますが、食糧供出の対象になつているということが一つであるが、種子の普及ということについていろいろの妨げがあつたという過去の実情に照しまして、今回の法律の文面では明確ではございませんが、食糧管理法の特例をいたしまして、この法律によつて指定された生産圃場におきましてできました種子、而も圃場審査に通つた種子につきましては、供出の対象外にするというふうに考えております。
 それから、第二点のばらばらに細かく探取をするということよりも、もつと集中的にやつたらどうかという点につきましても、これは土壤の性質なり、或いは水利の関係上、或いは採種技術者の関係等からいたしまして、著しく集中することはできないかとも思いますけれども、余りに分散いたしまして、技術指導なり或いは管理の周到を欠くというようなことになりましても如何かと存じますので、こういうところの点は十分今後の実施の上において尊重いたしたいと思います。
 第三点の優良品種の育成乃至研究につきましての技術者の貢献乃至功労に対しての表彰のことでございますが、この点については御指摘の通り、現在農林省としての施策はございません。ただ民間の団体におきまして、こういう今お話のような趣旨のことを企て、実施しているのも一、二ございますので、そういう点につきましては正式の予算はございませんが、或いは農林省としても応分の援助はいたしておるのであります。なお、今後の問題としてお話の点は準備乃至研究をいたしたいと思います。
#33
○加賀操君 第一の質問ですが、これは政府が米麦を買い上げる場合に、今後何年続くかわかりませんが、一般取引になつても同じですが、農林大臣が指定するのですから、その指定したものを生産した場合に検査を受けるときなり、或いは政府がそれを買上げる場合に、別な規格を置くなり或いは格差を置いて高く買うという方法を講じますれば、私は非常にこの法律の趣旨の最終の実績が挙がると思うのですが、そういう検査の規格を別に作るなり、或いは格差を置いてそれだけ高く買うなり、こういうことを希望すると同時にお伺いをしたいのです。
#34
○政府委員(小倉武一君) この種子につきましても、御指摘のように農産物の検査法の適用がございます。ただ農産物の検査におきましては、普通の食糧としての商品としての検査でございますので、今回の法案では特に、圃場審査をいたしまして、種子として遺憾のないようにいたしたい。従いまして農産物の検査法によります検査をいたします場合にも、この圃場審査に合格をしたものだという証明書を添付して検査を受けるという措置をいたしてこの実効を期したいと思います。規格の点乃至価格の点につきましては、籾を見たのではこれは種子として優良かどうかという点はなかなか判定するのに困難でありましようし、或いは等級で以て格差をつけるということもなかなか実施上困難であると思いますので、私どもといたしましては、種子の生産の元といたしまして、種子の生産自体に助成をするという措置をとつておる次第であります。併し又今のところそれよりは実施が可能な方法は容易にないのではないかというふうに存じておるわけであります。
#35
○加賀操君 考え違いのようですから、局長さんはこの法案によりまする種子だけのお話ですが、私はこの種子を使つてできた米麦を、それがいいはずですから、そのいいものを検査で別な規格を置いて、これはいいものだと確証を與える方法をお考えになつておるかどうか。又政府が指定して、格差を置いていいものを普及したのだから、それを高く買上げる御意思はないか、こういうことを非常に強く希望すると同時に、政府でそういう考えを持つてもらいたい。そうしなければこの法案の最終の実績が挙がらんのじやないか、こう考えておるのです。まあ局長さんは食管のかたでないから何ですが、まあ一つ、そういう質問でございます。
#36
○瀧井治三郎君 今三橋さんから御質問がございました普及の徹底でありますが、只今までの御説明を伺つておりました程度では、到底所期の目的は達し得られないと私は考えておるのであります。と申しますのは、末端の農村におきましては、朝早くから夜遅くまで非常に重い労働をやつております。つい野良仕事が済んでから交換に行くとか或いは買いに行くというようなことで、従来のような日曜、祭日は休む或いは時間が来れば係りの人は帰るというようなことでは、如何に優良種苗を準備いたしましても、これを末端に完全に普及するということはこれはでき得ないのであります。よほどこの点については先ほど局長のお話にもありましたように、各部落單位に交換会を再々やつて、そうして等量の優良種子と在来の種子との交換を奬励するとか、或いは係官が個別に説明いたしましてその認識を新たにする。むしろその場合に優良種子を持参して交換をしてやるというところまで徹底しなければ、これは実際問題といたしましては実現は困難だと考えます。かような面から申しまして、それにはやはりこの普及につきましては、相当な経費の伴う問題でございますので、そういう効果的な普及のために的確な方法を一日も早う確立するというような御意思がおありであるか、その辺を伺いたいと思います。
#37
○政府委員(小倉武一君) お話の点については私ども同感でございます。但しこれを実施する場合に優良種子の普及ということを実施します場合に、何分にもまだ私どもの準備が足りないように思うのでございます。と申しますのは米麦の種子の流通ということについての組織なり、流れ方をどうするかといつたようなことにつきましての現実と、又将来どうしたらいいかという目標が何分はつきりつかめませんものですから、今までも多少やつておりますけれども、今後種子交換会といつたようなものを制度的にどう取上げて行くかというようなことに重点を置いて具体的な準備に着手したい。その上で一つ又御審議をお願いしたいというふうに考えております。
#38
○瀧井治三郎君 本法律案によりますと、種子の検査は苗圃の検査を行うにとどめまして、でき上つた種子の検査を行わないことになつております。提案者の理由の説明によりますと、優良な種子を確保するためには、單なる種子の原種検査のみを以てしては実効を期しがたいことは勿論であるが、併し現品検査はこれをもつぱら農産物検査法に委せて、本法案に現品検査の規定を欠いておることは誠に片手落であると思います。これに対して政府では如何ようにお考えになつておりますか。又同時に片手落の点を如何ようにして調整されるお考えでございますかお伺いいたします。
#39
○委員長(羽生三七君) ちよつとこの際申上げておきますが、今大蔵大臣の出席を督促中でありますので御了承願います。
#40
○政府委員(小倉武一君) この種子の圃場審査と、それからできたものの種子としての検査という両者の間に、この法案では制度的に繋りが実は確保されていないという点は御指摘の通りでございます。それは但し制度的に確保されていないというのは、ただ法律だけの問題でございませんで御指摘のように実際問題がございます。それは種子になつてしまいますと、なかなかこれは種子として適当かどうかということの判断が実はむずかしい。又そこまでの検査技術が確立されていないようであります。従いましてこの法案では圃場審査ということをいたしまして、その証明書を農産物検査の時に提示しまして、農産物検査法による籾の検査の場合の参考にして頂くという処置をとりたいというふうに考えておるのであります。
#41
○瀧井治三郎君 これはよほど十分な処置を講じておいてもらいませんと、末端におきましては意外な障害や混乱を起す虞れがございまするので、政府におきまして十分の御注意をお願い申上げておきます。
 次に本法律案は差当り稻、大麦、裸麦、小麦のみに適用するようになつておりますが、これを大豆、とうもろこし、業種等に及す御予定がありますか、若し及すとすればいつ頃からそれが実施されるお考えでございますか、伺いたいと思います。
#42
○政府委員(小倉武一君) 米麦に限りましたのは取りあえずという意味もございますが、一つは予算の関係もございます。大豆、とうもろこし等につきましても、原種等の予算はございますが、実地の指導、種圃指導、審査するための経費がまだ計上されておりませんので、今回は米麦にとどめましたのであります。米麦でございますというと、原種圃から圃場、採種に至りますまでの各種の補助金、即ち指導のための経費が二十七年度に成立いたしておりますので、さようにいたしたのであります。予算の措置とも考慮いたしまして、御指摘のような重要作物は、今後において追加するというような心組でおるのであります。
#43
○瀧井治三郎君 次に本法律案の附則において農産種苗法を改正することになつておりますが、農産種苗法と本法律案とは根本的にその建前が違つておる。又農産種苗法の種苗は大臣の指定するものとなつておつて、指定しなければ差支えないことであります。且つ米麦については優良品種につきまして登録制を検討する余地もありますから、この改正附則は不必要でないか、というよりもむしろ支障を来たすことになりはしないかと考えますが、その御所見は如何でございますか。
#44
○政府委員(小倉武一君) この農産種苗法との関係におきまして、農産種苗法でいわゆる農作物の中から米麦を除きました点でございますが、これは御指摘のようなことも言い得るだろうと思います。ただ私として考えました点は、農産種苗法が取締と、今御指摘の登録という二点にございまして、差当り米麦といつたようなものが指定されるということはなかろうということが第一点であります。それから登録の関係につきましては、なるほど米麦につきましても優良品種の登録ということも考えられますが、これは民間の育種というよりもむしろ多くの試験場で育種されるものでありますし、勿論それとても登録ができないわけでございませんが、差当りそういう必要性は大してないではないかということで、農産種苗法との関係をむしろはつきりするために、かように農作物の中から米麦を除いた次第であります。
#45
○瀧井治三郎君 最後にこの法案の目的を達成するには何と申しましても、先ほどから各委員から御質問がありまして、私も質問いたしました品種の改良及び優良種子の普及にあります。かような意味からしますと、政府はもとより農業団体の、あらゆる農業関係の団体並びに民間の機関も一つフルに動員して、そうしてそれらを活用の上で、この本案が末端まで徹底するように、一つ格別の御努力を御希望いたしまして質問を終ります。
#46
○委員長(羽生三七君) 御相談をいたしたいことがありますが、それは急傾斜地帶の振興臨時措置法に関して、先ほど来大蔵大臣の御出席の御要望があつたわけでありますが、大蔵大臣は所用で本日は出られないということになつておりますので、どういう取扱いをいたしたらいいか、御相談いたしたいと思います。ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#47
○委員長(羽生三七君) 速記を始めて下さい。
#48
○片柳眞吉君 私は第三條の規定について、先ほどの滝井さんの御質問の農産種苗法との関係で、大きな穴があるんじやないかということで御質問いたしたいのでありますが、この種子の生産圃場として指定を受けまするものは、これは飽くまで当事者の申請によつて指定を受けるわけです。そういう仕組でありまして、上から強制的な指定はないわけでありますが、そこで米の統制撤廃はこれは今度の国会には出ないようでありますが、少くとも麦の統制撤廃については、政府から食糧管理法の一部改正案としてすでに提案されておるのであります。そこで私の心配しまするのは、この指定種子生産圃場の種については供出を免除するということでありまするから、米については私はその心配はないのでありますが、麦のほうは、仮に食糧管理法の一部改正案が今度の国会を通過しまして自由販売になりますると、麦はどこへ売つてもよろしい、こういうことになるわけです。従つて供出義務の免除というこの問題は、当然それは問題が、意義がなくなるわけです。そうなつて来ると第三條に規定するように、讓渡の目的をもつて麦の種を生産する者、これが若干の補助金等をもらう必要はないんだということで、もう指定も受けないで麦をどんどん種子用の麦を売るという場合においては、この折角の法律の規定から私は逃れてしまうんじやないか、どうもそういうふうに私は考えるわけであります。供出義務の免除ということでは縛れないのではないか、而も同時に麦の統制撤廃をやらんとしておるわけでありますが、そこに非常に大きな拔け穴ができておるんじやないかと思いますが、相当大きな問題じやないかと思いますが如何でしようか
#49
○政府委員(小倉武一君) 御指摘の点は私の理解が行かないのかも知れませんが、二つに分けて考えたいと思います。一つは麦の統制撤廃の結果、麦につきましては指定種子の生産圃場という以外の種子の生産が多くなり、この法律の適用外の種子が相当流通しはしないかという点が一つだろうと存じます。もう一点はそうしますというと圃場審査も受けないような種子が出る。而も農産種苗法の適用外であつて、いかがわしい種が出ても、取締も受け得ないということに相成るのではないかということと思います。
 第一点でありますが、これはあらゆる種子生産につきまして全部この法律の適用を受けさせまして、無理に審査をするという建前には実はなつておらないのであります。そういう建前のことも考えられますが、私どもの考え方といたしましては、町村の一応の計画に基きまして、その範囲内で種子を生産するかたと、村なり或いは県庁なりのおかたとの相談において、ここで種子を生産してもらうというところを指定するということで、この法律の対象としての圃場が理解できるわけであります。それ以外に制度といたしましては種子の生産ということが勿論行われ得ますし、或いは現に存在するのでありましようが、大勢はそれで以てこの法律の適用を受ける優良な種子を確保するという目的は達せられるのではないかと存じます。
 もう一点のあとの点につきましては、これは何分にも米麦の種子は、いわゆる種苗業者の取扱範囲には殆んどまだなつていないような実情でございますので、自由になつたからと言いましても、これは何も供出の関係において種苗業者の商品としての対象になつていないというわけではなくて、従来の自家採種或いは町村における共同採種といつたような関係もございまして、種苗業者の取扱いの品目には余り殆んどなつていないという実情がございますので、取締の心配もほぼなかろうかと存じます。
#50
○片柳眞吉君 ちよつと答弁がはつきり私理解できないのですが、要するに米のほうは統制が続きまするから、讓渡の目的を以て種籾を生産するという特殊の業者は、これはこの指定を受けなければできないわけでありますが、麦のほうは自由販売になれば、これはどこへ売つてもよろしいわけであるので、そこで讓渡の目的を以て麦の種子を生産するものが、これがあえて都道府県知事に指定を受けないでどんどん売るという場合においては、これは第四條の審査を受ける義務もつきませんし、もう自由勝手に売れるのではないか。そうするとここに一つのやはり拔穴ができやせんだろうか。或いはそれは助成金等があるから実際上は指定を申請するであろうという、実際論としてはそういうことはあり得ると思いますけれども、法律論としてはやはりそういうことを指定を受けなければもう農産種苗法というものからも外されてしまうし、それからこれからも実際上は適用外になつてしまうので法律論としては、一つの欠陷と言えるのではなかろうか、こういうわけです。
#51
○衆議院議員(坂田英一君) 今片柳さんからの御質問でありますが、先ほど農政局長からもお答え申した通りであると思いますが、つまり麦のほうについては如何にして優良なる種子を生産させるかということに努力が集中されておるようなわけで、そこでやはり、補助金でもやつて経営上の補いを付けないと、結局優良なる種子というものを作らずに、いわゆる自家採種といつたようなものを、種にならんようなものをお互いに何されるといつたような状況でありますので、つまり特別の助成をやつて惡いやつを拔取らせるとか、特別の栽培をやらすというように仕向けて行く。現在そうでなければ値段がそのために非常に高いというものが現われるようになつて、蔬菜の種のような関係に持つて行くときは勿論そういうことになるわけですが、今日はそうでなしに如何にして優良なる種を作らすかというところに主眼があるので、そこはいわゆる野菜の種とは非常に今のところは趣きを異にしておる。法制的にそういうふうにきちつと来ると或いはそういうことは勿論若し野菜の種のようなものであるとすれば穴になるのじやないかという御質問でありますけれども、今のところそういうのでなしにむしろそれを作らせて行く、如何に優良なる種を作らすかというところに主眼点を置いて行かなければならない。そこに自花授粉性のものとして米や麦の種の生産乃至流通そのものについての特殊性があるのではないか、こう思うわけです。さようなことでそのほうの心配は余りやらずに行つておるような実情なんです。
#52
○片柳眞吉君 更に私も研究して見ますが、そういう楽観的なすべていい種を作るという点については異議はないのですが、むしろ惡い場合を私は想像しておるので、こんな余計な審査を受けないで勝手に麦の種子を売ろうとする場合には、これはもう二つの法律の適用から全然逃がれてしまつて、これはやはり法律としては一つの私は何かそういうものが出て来なければ、杞憂になれば心配はないんですが、法律を作る場合には、やはり惡い場合も想像しないと完璧を期しがたいと思いますので、もう一遍私は研究しまして或いは修正意見等を出すかも知れませんが……。
 もう一つ関連してお聞きしておきたいのは、提案理由の中に食糧管理法で供出の免除、これは別途にそういう法案が出ましようからそれでよろしいと思いますが、「等量の米麦で以て優良な種子と交換し得る途を拓き」とありますが、これは恐らく現行食糧管理法ではやはり現物交換もでき得ないのではないかと思いますが、これもやはり食糧管理法でこの指定圃場でできた種子と一般の農家の保有するものと交換できるという規定を置きまするかどうか。恐らく改正案を作らないとできないのではないかと思いますが、その辺はどんなふうになつておりますか。
#53
○政府委員(小倉武一君) この圃場審査に合格した種子につきましては、食糧管理法に基きまして一応供出の対象外にするということにいたしたいと思つております。勿論それは野放しで対象外にするのではなくて、この生産者が同じ町村の人に売る場合とか、或いは同じ県内の種苗の斡旋者に売る場合とかというふうな、いろいろの道筋の限定はございますが、対象外にしたいと存じておるのであります。その讓渡する場合に交換するということも場合によつてはできるのではないかというふうに思いますし、又そういうふうにいたしたいというふうに存じておるのであります。
#54
○片柳眞吉君 ですからこの売るほうといいますか、種子を供給する側の、圃場側のほうはこれは心配はないと思いますが、これはむしろ取り替えつこをする一般の農家のかたが自分の持つておる米麦と交換をすることが嚴密に言えば食糧管理法に抵触するのではないか。こういうことでありまして、これは一つ研究を願いたいと思います。
 それからこういう法律がたくさん出て来るわけでありますが、この法律を見て行つて、私どもの法律観が古いのかも知れませんが、第四條で審査を受ける義務をつけておりますが、何ら罰則がないということですね、それから国が助成の措置を行うことを目的としておりますけれども、併し先ほど我々が審議しておりますような急傾斜地帶の法案のように助成の義務を課しておるのではないのであつて、第七條では予算の範囲内で補助することができる、これは当り前のことなんです。予算があれば補助することができるのは、これは理の当然のことを書いておるのであつて、助成の義務をつけておるわけではないのでありますが、要するにこれはこういう法律案が最近のはやりかも知れませんが、要するに尻がくつていないという感じがいたしますが、何も罰則をつけることを私は望んでおるわけではありませんが、第四條は全然これは審査を受けなければならないという義務をつけておりますが、何ら制裁規定はないのでありますが、その辺はどんな理由でありますか。
#55
○政府委員(小倉武一君) これは先ほどの御質問に関連すると思うのであります。あらゆる種子の生産、少なくとも讓渡を目的として生産する米麦の種苗について全部とにかく審査乃至検査を受けなければならないということでありますならば、あらゆる讓渡を目的とする生産圃場を指定し、更にその審査を義務付けて、而もそれに違反したものは罰則を課するというのが当然の法制上の建前であるかと存じます。ところが先ほどの御質問のように必ずしもあらゆる種子の生産圃場がこの対象になるのでは理窟を言えばならないわけであります。たまたま相談ずくでいたした場合には義務を課しておりますが、いわばこれは道徳的な義務でございまして、これに違反したからといつて罰則を課さないということがこの対象との関係においていいのではないかというふうに考えておるのであります。法案の内容といたしましては審査もいわば全面的な義務ではございませんし、助成も国家の義務ではございませんので、いわば優良種子を生産するということのための助成促進のための法律であるという趣旨でございます。
#56
○飯島連次郎君 大分時間が経ちましたので私は簡單に率直にお尋ねしたいと思います。この法律の狙いは昭和二十八年度以降の種子関係の予算を取るということに目的が置かれておるのですか。
#57
○衆議院議員(坂田英一君) この法律の目的を今御質問になりましたわけでありますが、我々としては率直に申しますると、今まで主要食糧の種子については予算的な措置だけはあつたけれども、法律的ないわゆる制度として認めていなかつた。そのために仮に言いますというと昭和二十二年以後この原種圃、採種圃の制度がなくなつて非常に優良種子の普及の徹底に必要な制度が予算措置だけであつたということのために、その中間においてなくなつた。そうして二十五年においてこの原種圃が復活し、又二十六年で採種圃が復活したというようなわけで、これはこの重大な増産に最も必要な根本である種子の問題がさようなことで途中で切れたりする、ときの都合によつてこういうことではどうしても我々としてはここにその制度として、主要食糧の種子の問題を解決しておきたいというのが、根本的な一つの狙いであります。それに加えまして、勿論さようなことでありますので、この制度を完成するのでありますが、御存じの通り種子の問題は、特に米麦の種子の問題は、以前から原種圃、採種圃の制度でやつておりますけれども、これを的確に運用して行くという面においては、非常に欠けておる点があつたと思うのであります。補助金をやつて、原種圃、採種圃で生産させ、併しその結果どういうふうに結び付けられて行つているのかというような点については、非常に遺憾な点が従来ともあつた。併しながらそこでこれらについて一つの方針を、国としての方針をはつきりさしておきたい、こういうつもりであります。それを同時に今お話になりましたように、この法則上種子に関する制度を確立いたしました上で、今率直に申しますというと、このいわゆるそういう途上にありまするからして、先ほど滝井さんがおつしやつたように、融通の面においても欠けるところがあるのじやないか、今片柳さんがおつしやつたように、いろいろ法制の点において若干欠ける点があるんじやないかというような点については、我々も了承する、それらの点については今後の問題としてこれを充実して行きたい。いわゆる法制の点においても充実して行きたい点もありまするし、今御質問の予算の面においても十分これを充実さして行くという方向に進みたい、かように存じておるわけであります。
#58
○飯島連次郎君 必要以上に答えて頂きまして、私もさすがに聰明な提案者だと考えるのであります。私は実はこの法律を拜見をして、先ほど委員各位から質問のあつたように、この練達の、而も豊富な経験をお持ちになつている坂田さんとしては、まあこういう名前で法律をお出しになつておりながら、内容を拜見をすると、ちよつとこれでは千慮の一失ではないかというふうに私は考える。その一失が而も生産及び普及を促進するということを明記しておるにもかかわらず、普及の促進に関しては、もうあとは全然この中に出て来ないということは、これは恐らく私は聰明な提案者でありますから、種子の普及法というふうなものでも別途にお考えになつておるのではないか。(笑声)その辺について一つお考えを聞かして頂きたいと思います。
#59
○衆議院議員(坂田英一君) 誠に的確な御指摘でありますが、(笑声)これは申すまでもなく非常に問題としていろいろの問題を包含しておるわけでありまして、いろいろの点について專門家のかたがたにも我々も御相談をし、いろいろそれらの問題について検討を加えて進んだわけでありますが、要するにこの普及の問題というのでありますが、もつと徹底的に申しますというと、原種圃、採種圃という制度が、法制がなかつたために途中で切れるということもあつたのでありますが、とにかくその制度ができて、そうして農家との関連も結付けられて或る程度の効果を上げておつた、かように思うのでありますが、その普及の問題にいたしましても、この採種圃からして農家にどういうふうに結付けたらいいかというような点になりますと、もう少し原種圃、採種圃の制度を確立させて、そうしていわゆる指定種子生産補助というものの指定をし、そこに集中的に指導を加え、そうしてさようにして立毛検査もして保証票も付けて行くという、生産面において、もう少し的確な制度をやりながら、それが農家にどう普及させたらいいかという面について、遺憾ながらもつと検討を加えなければならん面があろうと思うのであります。この点について今までのいろいろ專門家なり農林省のこのほうに携わつておるいろいろの人々にも聞きますけれども、その点はもう一遍検討を加えて進んで行きたい、こういうような考え方であり、私どももさように思うのであります。先ずこの骨を作つて、それから身を付けて行こう、こういうことであります。特に種子の問題は重要な問題でありますので、ちよつといろいろの点において実情に副わんというようなことを、余り急ぎましても却つて結果がよくないのじやないか、かように考えましたために、主として監督とかやかましいことよりも、指導助長というものと結付けたやつで行つて見よう、こういう考え方になつたわけであります。
#60
○飯島連次郎君 それでは骨だけであつてあと皮と肉はこれから作るということですから、そういう意味で了承いたしましたが、私も実はこういう仕事には大陸で苦い経験を持つておりますので、折角いい種は作つたけれども、これなかなか普及されないということが、やはり共通の悩みであつたろうと思うし、今後もそこに大きな隘路があろうと私は考える。そこでこの問題は後日に讓ることにいたしまして、この法律の内容について一、二点お伺いしたいのですが、これは局長にお答え願えれば結構だと思います。その一つは第七條のところに、都道府県に対しては、云々ということがあります。それから同じく第七條の二項のところにも、主要農作物の種子の生産を行う都道府県に対して云々ということがあるのですが、第七條の二行目に、指定生産者に対しては云々、この補助規定のところで、都道府県のほうには二つの助成が講ぜられておるわけですが、その内容はどういう違いがありますか。
#61
○政府委員(小倉武一君) 御指摘のように文面は多少不分明でございますが、第七條の初めのほうの都道府県に対する補助助成は、この指定補助に対する審査乃至指導といつた面についての、いわば事務的なものに対する助成でございます。第二項の、県に対する助成は、これは県が原種圃を経営するといつたような場合の助成でございまして、二項には種子の生産と書いてございますが、これは意味するところは原種苗の経営をする都道府県という意味でございます。
#62
○飯島連次郎君 今のお答えでよくわかりました。そうするともう少し関連した細かなことでお伺いしたいのは、先ほどどなたからも指摘があつたようでしたが、本年度の予算で拜見をすると、反当りの補助が原種圃の場合には、水稻及び麦類については反当三千円ということに、而も採種圃に関しては米と麦類というものが画然と区別をされて水稻に関しては千円、然るに麦類に関しては七百円という、こういう別扱いがされておるのは一体どういう根拠に基くか。
#63
○説明員(黒川計君) この原種圃と採種圃に私たちが調査をした結果に基きまして原種圃或いは採種圃をずるためにどれだけ余計費用がかかるということを計算したのでありますが、原種圃については大体四千四百円くらいかかる、そのうちまあ三千円、それから麦につきましては三千五百円ぐらいのところを三千円というようなことで大蔵省で予算が通つたのであります。それから採種圃につきましても同様の計算で行きまして我々としましては最初せめて稻については二千円、麦については千五百円ということを要求したのでありますが、これが千円と七百円に査定をされたとこういういきさつです。
#64
○飯島連次郎君 これは、予算査定上の経過の御説明を受けたのですが、私は来年はこれは是非とも原種圃なみに稻と麦に対して差をつけないようにして頂く必要があろう。原種圃について差がないのならばやはり採種圃においても同様に差をつけないでこれはやつて頂くことが必要だと考えております。
 それからその次にお伺いしたいことは先ほどの提案者の御説明で私は了承したのですが、結局最後の目的は主要食糧の自給度を向上させるという吉田内閣の根本方針から出発しているように判断するわけでありますが、とすれば昭和二十七年度並びに今後の種子の生産並びに普及、そのうちでの種子の更新計画というふうな年次計画が立てられて、そうしてこういう予算請求がなされておるのじやないかと思うのですが、只今その内容をここでお聞きしたいとは考えないのでありますが、そういう資料をこの次の審議の過程の参考にしたいので、一つ御提出を願いたいと思います。
#65
○衆議院議員(坂田英一君) 大体その計画は二カ年六割更新と言うのですから、大体一年に三割ずつの更新を進めて行くという計画で進んでおるわけでありますが、まあ資料等は後ほど提出いたします。
#66
○委員長(羽生三七君) それでは本日はこの程度で散会いたします。
   午後四時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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