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1951/06/06 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 電気通信委員会 第34号
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1951/06/06 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 電気通信委員会 第34号

#1
第013回国会 電気通信委員会 第34号
昭和二十七年六月六日(金曜日)
   午前十一時二十一分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     鈴木 恭一君
   理事      山田 節男君
   委員
           大島 定吉君
           新谷寅三郎君
           稻垣平太郎君
          小笠原二三男君
  衆議院議員
           井手 光治君
  国務大臣
   郵 政 大 臣
   電気通信大臣  佐藤 榮作君
  政府委員
   電波監理委員会
   委員長     綱島  毅君
   電波監理長官  長谷 慎一君
   電波監理総局法
   規経済部長   野村 義男君
   電気通信政務次
   官       平井 太郎君
   電気通信省電気
   通信監     山下知二郎君
   電気通信大臣官
   房審議室長   大泉 周蔵君
   電気通信大臣官
   房人事部長   山岸 重孝君
   電気通信省業務
   局長      田辺  正君
   電気通信省業務
  局国際通信部長  花岡  薫君
   電気通信省施設
   局長      中尾 徹夫君
   電気通信省経理
   局長      横田 信夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       後藤 隆吉君
   常任委員会専門
   員       柏原 栄一君
  説明員
   電気通信事務次
   官       靱   勉君
  参考人
   東京大学教授  鈴木 竹雄君
   元持株整理委員
   会委員会    笹山 忠夫君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○日本電信電話公社法案(内閣提出、
 衆議院送付)
○日本電信電話公社法施行法案(内閣
 提出、衆議院送付)
○国際電信電話株式会社法案(内閣提
 出、衆議院送付)
○放送法の一部を改正する法律案(衆
 議院提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(鈴木恭一君) 只今より委員会を開会いたします。議事に入ります前に御報告申上げます。従来予備審査で審査を続けて参りました日本電信電話公社法案、同施行法案及び国際電信電話株式会社法案の三法案は、昨日衆議院におきまして日本電信電話公社法案及び同施行法案は修正可決、国際電信電話株式会社法案は原案可決いたしまして参議院に送付せられることに相成りました。同時に右三法案は、本委員会に正式に付託と相成つた次第でございます。本日は午前中は内閣提出衆議院修正可決の日本電信電話公社法案及び同施行法案につき、前回に引続いて質疑を続行して頂き、午後は予定のように、先ず放送法の一部を改正する法律案の審査を行なつた後に、日本電信電話公社法案及び国際電信電話株式会社法案について、参考人として元持株整理委員会委員の笹山忠夫君と東大教授の鈴木竹雄君から御意見を拝聴することといたしたいと存じます。
 では本日は前回に引続きまして日本電信電話公社法案の第二章の経営委員会について御質疑をお願いいたします。
#3
○山田節男君 前回佐藤大臣の出席なくして、第一章総則の逐条質疑をやつたわけでありますが、これはいずれ第二章、第三章の質疑を終つて、私は第一章の総則を併せて大臣に御質問申上げたい、で、順序としてここに第二章の経営委員会に入つておりますので、経営委員会に関して質問を申上げたいと思うのですが、第一に、第十条に経営委員会の性格機能が謳われているわけでありますが、これは専売公社或いは日本国有鉄道公社並びに日本放送協会も法規によつて経営委員会制度というものを定義付けているわけでありますが、この公社法案の第十条に規定する経営委員会機能と言いますか、これが非常に狭い、而も漠然としている。で、なぜこういうように非常に漠然としたか、例えば「経営委員会は公社の業務の運営に関する重要事項を決定する機関とする。」こうすると重要なポリシーの決定機関であつて、他の公社、放送協会等でやつている運営の指導、統制というような言葉を殊更ここで避けられており、単なる決定機関だ、こういうように漠然としているんですが、こういつたような、殊に簡単な条章を設けられた理由を一つお伺いしたいのです。
#4
○国務大臣(佐藤榮作君) 答弁させて頂きたいと思います。この経営委員会を如何ような性格にするかということは、いろいろ苦心を要した点であるます。只今山田委員からお話がありましたが、そのうちにも取入れられておりますように、鉄道や専売の場合と幾分か模様が変つているじやないかという点でございますが、私どもはこの経営委員会を如何なる方式に採用するか、特に力を入れまして検討いたしました結果、鉄道や専売公社の例によらないで一つ新らしいものを考えて見よう。で、その意味で経営委員会といたしましては「公社の業務の運営に関する重要事項を決定する」まあ決定機関ということにいたし、それから業務担当機関もはつきりあるわけでありますので、意思決定機関というので特に重点を置いて考えているのであります。そこで運営上の問題については、一体どうなるのかと考えますると、2の項目で事前の計画としては一の予算なり事業計画なり、資金計画というものに原点が置かれるわけでありますが、運営上の問題といたしましては、この決算ということに特に重きを置きましてその面から批判を加えて行く、そうして次の計画樹立に資して行く、かような方向が公社の運営上望ましいのじやないかというような考え方になつているんであります。御指摘の通り確かに鉄道や専売の場合とは扱い方が違つております。併しこの規定によりますれば、経営委員会の担当する範囲は明確になつていると、かように申せるのじやないか、かように考える次第であります。
#5
○山田節男君 なぜこういう質問を申上げるかというと、この第十一条によりますと、経営委員会の構成メンバーは普通の委員が三名で、総裁、副総裁が特別委員ということで役員が経営委員会の構成メンバーになつているわけです。而も総裁は業務の執行機関におる。これは例えば日本放送協会が、放送法による経営委員の組織を見ると会長は役員なんです。総裁は役員なんです。役員と経営委員会というものは常に別個の機関である。別個の執行機機である。然るにこの公社の経営委員会の制度は特別委員というので、やはりこの経営委員会の構成メンバーになつている。而もこの経営委員会は単なる運営に関する重要事項を決定する機関である。ここに非常に私は混乱と言いますか、悪ければ総裁の独裁に陥りやすいという感じが多分にある。先ほど申上げたようにまだこの公社とか、特殊法人ですね、経営委員会は、ただ通念的には会社の重役会みたいなものである。経営委員会は一つの重役会みたいなものであるという通念はこれはわかるのです。件しまだ日本の法律で経営委員会とは何ぞやという法規上のものがない。併し専売公社とか或いは鉄道公社、或いは放送法による日本放送協会等の経営委員に対する前例と言いますか、これは一つの概念がもうあるわけです。然るにこの公社法の第十一条では、そういつたような構成メンバーには最高の者も入つておる、経営委員会には。而も他の三人は無報酬である。而も罰則を見るというとこれは公務員で罰則を受けるというような、実にこれは何と言いますか法規上から言つても矛盾極まるものです。で、この公社の経営の主体であり、運営の主体であり又方針の決定機関である経営委員会というものが、第十条の第一項だけでは極めて漠然としておる。悪く言えば総裁の独裁敢行ということになる憂いが多分にある。ですからなぜこういつたような異例な経営委員会の機能をここに定義されたかということをお尋ねしたい。それから第十九条或いはそれ以下、役員として総裁、副総裁、理事を置く、こういうものから見て、経営委員会の職能というものが非常に漠然としておる。他に責任規定もない、ただ決定する機関に過ぎない、言いつ放しでいいのだ、これではどこに責任の所在が、経営の責任の所在を明らかにすべきだ。総裁だけがこれは負うべきものじやない、経営委員会の構成メンバーになつておる。そこにこれは法規上何としても第一項はこれほど……、昨日も横田局長ですか……、約九百六十億のネツトの大公社なんです、その経営委員がこういうような異例な経営委員会の権限を以てやるということは危険極まると私は思うのです。なぜあえてこういうことをされたかということを大臣に重ねて一つ経過をお聞きしたい。これは法規上問題だと思うので御質問いたします。
#6
○国務大臣(佐藤榮作君) 山田委員の御指摘の通り経営委員会並びに会社の業務遂行最高責任者である総裁、こういうものを如何なる権限にするかということは基本的な問題でありまするし、まあ特にこの法案を作ります際における審議の中心にもなつたと思いまするが、立案に際しましても特にその点を取上げたわけでございます。この点は多分に御批判を頂かなければならないと思うのは、過去にありました鉄道なり専売公社における経営委員会と、それから公社の業務担当責任者である総裁と、こういうものが対立的であることもこれは望ましいと思います。併しながら必ずしも全部を対立的な立場において見て行かないことも一つの必要なものではないか。むしろ渾然一体となりまして、それぞれの立場において公社事業の理想というか、或いは目的達成に協力できるような方式もこれ又望ましいのじやないか。むしろ私ども考えました点におきましては、対立をいたしまても、なかなかその対立の状況においては運営が十分行なわれておらないように思うのであります。過去の経営委員会そのものを御覧になりましても、法規上の面と実際の面と併せて考えますると、なかなか実際の運用上から見るとうまく行かない面もあるのじやないか。むしろ公社の最高意思決定機関、これに業務担当をいたしまするのが加わることによつて、その本然の一体性がそこに実現するのじやないか。絶えず対立的に見ること、いわゆるチエツク・アンド・バランスの原則も勿論必要だと思います。その意味におきましては、経営委員会なり経営委員会の職責というものは明確にされ、総裁以下の執行担当者の責任も明確にされるわけでありますが、併しこれは絶えずチエツク・アンド・バランスということでは積極的に業務を伸ばすという面におきましては必ずしも効果が上るとは思えない。むしろ一体とあるところに、又それぞれの立場において批判し意見が交換されるところに経営の妙味が発揮されるのじやないか。特にその点に重点を置きまして、そうしてこの総裁なり副総裁も経営委員会の特別委員としてこれに参画するという方式を採用いたしたわけであります。御承知のように衆議院において修正を受けまして、然らばこの経営委員会の数といたしましては、三人と二人、これではどうも比率がよろしくないのじやないか。今申上げるようなその職責を遂行する面から見ても数の比率はどうもこれでは法制上よろしくないというような批判を頂きまして、その点の修正を受けたと、かように心得ております。従いまして山田委員のお話のような、チエツク・アンド・バランスの原則も勿論必要だと思いまするが、業務を積極的に伸ばす、業務を積極的に遂行することに協力するということにいたしまする点から考えますると、むしろこれは関連を持たすということが望ましいのじやないか、かように考えまして法案のような仕組にいたしたわけでございます。
#7
○山田節男君 前に申上げたように、この経営委員会は一つの会議制になつておるわけです。而もこれは多数決で以て決定することになつておる。人数は衆議院で五名に訂正されたわけですが、これはともかくとしても、経営委員会のフアンクシヨン、職能ですね。これはこの法律は会社では定款なんです。定款を我々は今審議しておるのであつて、その中枢になるべき経営委員会というものに対する考えの持ち方、これが本当に民主的な公社になり得るかという問題、我々はもうすでに専売公社並びに鉄道公社で懲りておる点が多々ある。経営委員会に対する一つの我々としては再検討を要する時期にある。併し我々の再検討するという方向とはこの第十条は逆なんです。公社が民主的に則つてやるということは、これはできないのじやないかという憂いを……、鉄道公社よりも或いはNHKの経営委員会よりも、もつとこれは独裁的になるのじやないか。換言すれば、総裁が、第二十条によれば「業務を総理する。」、而もそれがメンバーである経営委員会そのものは単なる決定機関に過ぎない、責任もない、或いは何と言いますか、経営委員会が公社の重役会であれば、実際少くともそのポリシーの決定と同時に業務の統制というものを経営委員会、重役会が持たなくて、ただ社長だけが持つということになればこれはもう独裁です。こういう点で一体経営委員会に対する基本的な考えというものが、民主的と言いますか、初めからこの公社を官僚的に、政府のものであるから、全額出資のものだから、目が放せない、飽くまでこれは官僚的に行かなくちやいかんということが非常に顕著にここに現われて来ると感ぜざるを得ないから、これで本当に民主的な公社の経営というものができるかどうか、私はどうしてもこれは了承できない。現存の経営委員会制度を見ても、余りにこれは独裁的な、折角の会議制の経営委員会というもののフアンクシヨンを、ただ「重要事項を決定する」というような極めて法律上から言えば漠然として極めて拙劣な文句を使用しておるということに非常に私は疑義があると思う。ですから、例えば「重要事項を決定する機関」という文字が、法規上から言えば極めてこれは非法規的な文句になつておるから説明をお願いしておるわけです。
#8
○国務大臣(佐藤榮作君) 只今のお話でありますが、山田さんの過去の経営委員会に対する御批判なり或いは御高見なりがどういう方向に行つておるかは私ども知らないのでありますが、私どもの感じております点は先ほど来御説明を申上げたつもりでおります。その経営自体が民主的であるとか、或いは独裁だとかいう考え方の御批判、この点に重点を置いて私どもが審議の過程におきまして採用いたしましたものを考えてみますると、この経営委員会が公社の事業運営に積極的に参画する。こういうことが可能かどうか、かように考えてみますると、それはむしろ業務遂行は総裁なり副総裁なりに任すということで、この点ではやはり総裁なり副総裁の責任ということではないか、経営委員会といたしましては業務遂行上の責任につきましては、むしろ先ほど申しましたその決算を通じて批判する立場にあるほうが本筋ではないか、みずから執行機関となることによりましては、これは恐らく自分たちのやりまする決算に対する承認という場合におきましてもおのずから縛られて来るのではないか、これでは公益代表としての経営委員の職責から見ましても、これは望ましくないことではないかというのが当時の私どもの結論であります。同時に又過去の経営委員会等につきましての学者その他の批判等を聞いてみますると、建前としての経営委員会制度、鉄道なり、専売なりの制度については、これは経営上の観点から見ると、必ずしも当を得たものではないのではないか、これは今まで各方面の参考意見を徴したところによると、さような結論に私どもは到達いたしたわけでございます。むしろ先ほど申すように混然一体となつて積極的に事業を伸ばすと、こういう方向を考えるべきではないか、而もそれらのかたは直接の責任は負わすべき筋のものではないように思う。それはやはり総裁なり副総裁なりが責任を持つべきではないか、これが最後の実は結論であります。会社の場合におきましても取締役会等が勿論あるわけでございますが、その委員会制度のよさ、これはもう私どもも否認する考えはございませんが、同時に委員会制度の欠点もあるわけでありまして、事業運営の際におきましては、やはり独任制のほうが責任の帰趨も明確であり、業務遂行は積極的に伸びて参るのではないか、かように考えるわけであります。ただ重要なる事項を独裁的に決定を見ることは、これは事業の性格上、又公社の性格上望ましくない、かような観点に立ちまして経営委員のかたがたの批判を受ける、むしろ積極的に経営委員のかたがたによつてこれを決定して頂く、かような方式を採用いたしたのであります。従いまして今日の状況から見ますると、過去の経営委員会とは別な方式を採用しておる、この点はいろいろ議論の存するところだと思います。公社を作るならば過去の先例をなぜ踏襲しないかということにもなるわけでありますが、お話のうちにもありましたが、過去の専売公社なり鉄道公社なりに対しまて各方面からいろいろ批判を受けておるのでありますので、そういう点を新たに作ります電信電話公社の場合におきましては是非とも修正して参りたい。殊に経営委員会は何々でなければならないという、かようなきついものではないように考えまするし、問題はお話になりましたごとく、これが定款的性格を持つ、その意味合において新らしい職能を附与してやる、そうして執行機関との間の対立と同時に協力、こういう点を強く押し出して参りたい、かように実は考えておるのであります。
#9
○山田節男君 この経営委員会の職能を表わす第十条の第二項で五項目挙げてあるわけであります。最初の一、二、三、四、これは勿論重要事項の決定機関として当然これは干渉すべきものだと思いますが、その他この電信電話の事業の特性として実は問題があるだろうと思う。例えばその一つは予算に関係している電信電話の料金の問題、殊にこういつたような赤字を覚悟してやる公社は、収入とすれば料金の問題が一番重要な問題になるだろうと思う。勿論この決定機関は上に郵政大臣があり、或いは又今後の機構がどういうようになりますか、電信電話料金という問題、とにかく一つのプランを立てなければいけない、歳入歳出を考えれば、当然この料金が公社にとつては生命だ、こういつたようなものはこの中のどこで、経営委員会はこれを審議する権利があるのか、その他これは他の経営委員会の場合で是非経営委員会制度としておきたいような、例えば業務執行に関する規定のようなもの、これはもう総裁がなんでもかんでも執行機関としてやつてしまうのか、そういうものも成るべく委員会にかけないで総裁が業務を総理する建前でそういうことをやつてしまうのではないか、明記していない以上はそういう業務を総理する立場から総裁が当然やるというように解釈せざるを得ない、この中に経営委員会の議決を要しなくちやならない費目は僅か四つしか入つていない、第五で「その他経営委員会が特に必要と認めた事項」というような、これは非常に漠然としたいわゆる経営委員会を今大臣の御説明になるような独裁的な、総裁独裁の経営体という性格がここに現われて来るのじやないかということの慮れが非常に感じられるのです。一体そういうようにここに明記されておるように、四項目以外のものは第五項で全部総裁が公社の代表或いは業務執行の責任者として独断で以て、経営委員会に諮る諮らんの自由を以てやり得るという意味なのかどうか、この点を一つ総裁の権限に関連して、この第十条第二項のこういう御提案の趣旨をお伺いしたいと思います。
#10
○国務大臣(佐藤榮作君) 至極御尤もなことだと思います。勿論この一、二、三、四と列挙しましたものは、例示的なものでありますし、第五の「その他経営委員会が特に必要と認めた事項」これは経営委員会が必要と認めれば経営委員会が取上げるわけでございます。で只今お話になりました料金決定の問題、勿論この料金決定をいたす際におきましては、これは法律自身の問題にも相成つておるのでありますが、この予算を立てまするというと当然審議を受けることに相成るわけでありまして、その場合におきましては、更に重ねて料金の問題としても重要な事項でありますだけに、法律自身の審議も勿論経営委員会といたしましては取上げるべきだと私は考えておるのであります。併しその法律のことを明記いたしませんでも、予算を審議決定する場合におきましては料金を幾らにするか、これは当然その収入の面から見まして取上げられる事項だと思うのであります。或いは又今後会社におきまして給与準則等も作つて参らなければならないと思いますが、かような国会に関係のない事項につきましても、経営委員会といたしまして、その必要性を認めればこれは取上げ得るのでございます。従つてその点におきましては総裁のほうから進んで経営委員会の議に付す場合もあるでありましようし、又総裁のほうからそういうことをいたさないでも経営委員会といたしまして自分が必要と考える事項はこれを取上げ得る職能を持つておるのでございます。
#11
○山田節男君 これは又あとの役員に関連してあとで続いて御質問したいと思います。
 その次にこの経営委員会は国有鉄道公社の場合と同じに特別委員というものをおいていらつしやる、而もこの特別委員となるべき総裁、副総裁はこれはもう内閣総理大臣の任命になつておる、他のいわゆる普通委員はこれを国会の同意を得て内閣総理大臣が任命するということになつている。そうすると先に私申上げたように経営委員会という一つの会議制、なるほどこの法案でいえば総裁、副総裁はこれは執行機関の責任者である。併しその人事からいえば普通委員は国会の両院の同意を得て内閣総理大臣が任命する。片一方は時の内閣が勝手にこれは任免できるという、そういう何といいますか、委員として第十一条一項に規定されているような重要な事項を、いわゆる重役会、公社には株主総会がないからこういう国会の同意を得或いは内額総理大臣の任命を得るという二様の経営委員が参加してまで、私はここにもこの総裁、副総裁は内閣総理大臣、内閣によつて自由になる、こういうものが会社の中枢機関に、而も執行機関の責任者として経営委員会に入る。これは私先ほど来申上げているように、総裁が独裁でやるということは要するに時の政府、与党である政党の政策に自由にされるという危険が非常にあると思うのですが、これは鉄道公社の特別委員の実績というものを私はまだ調べる遑がありませんが、鉄道公社に做つてこの公社の経営委員会にも特別委員というものを特に設けられた理由を一つ明快に御説明願います。
#12
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど申上げましたように、経営責任者並びに経営委員会、これを対立的な立場に考えるか、対立的でなしにむしろ混然一体にして積極的協力の面でそれを考えるかという相違のように私は考えるのでありまして、むしろ経営委員会が対立的な立場にあるのは、それは職能であるとか、例えば意思決定という点においてはこれは経営委員会がすることだ、同時に業務遂行ということは総裁がやるのだ、で経営委員会のほうは国会の承認を得るが、総裁は国会の承認なしに内閣の任命だということでありますが、この点は御承知のようにこれは政府関係機関であります。政府関係機関であるといたしますれば、政府が積極的にこれに関与することはこれはどうも当然じやないかと思う。なるほどこの事業自身の公共性ということは、これは大きくとり上げて参らなければならん事柄でありますが、この事業の遂行の最終的責任になつて参りますれば、やはり政府といたしまして政府関係機関の業績についての責任は負わされるわけであります。かように考えますると、業務遂行の最高責任者を政府が任命するということは考え得ることのように私は結論づけているのであります。その場合におきまして、この経営の最高責任者とそれから経営委員会としての職能を持つ人たちとを渾然一体とする意味合いにおいてやはり特別委員の制度を設けることが望ましいのではないか。この意味におきましてこれは特別委員という立場でこの経営委員会に参画するということにいたした次第でございます。
#13
○山田節男君 最初に私申上げたように第十条の経営委員会、これはなるほど経営委員会は会議制であり、多数決でやるので連帯責任制じやない、連帯責任制でない委員会であります。少くともこの扱う事項は重要事項である。そういうことになりますと、やはり時の政府が勝手に任免し得るのだという考え方でなくて、この公社というもの、企業体というものは永久のものと見なければならん、時の政府が変ろうがどうしようが、企業体そのものは厳然として客観的な経営体としてこれを反映して行かなければいけない。それに今のような特別委員という内閣が勝手に変え得る、任免し得るというものを置くということは、これは私は経営委員会は連帯責任のものじやありませんけれども、少くとも会議制とそれから公社の経営の何といいますか、客観性といいますか、そういう方面からいうとどうしても私は総裁、副総裁を内閣が任命するということは経営委員会の設置の関連の趣旨から言つてもこれは非常に非民主的であるというか、政府の意思の如何によつて公社の経営がどうにでもなるという危険が多分にあると思う。そこで私はそういう御質問を申上げておるわけですが、そういたしますと、この経営委員会で、この案で言えば普通委員が三名、それから特別委員が二名合計五名でやるわけですが、少くとも経営委員会という一つの重役会のようなものがあれば、公社の代表であり、執行機関としての最高責任者であるものは経営委員会が少くとも了承し得るもの、或いはできればこれは他の経営委員会制度にあるように、経営委員会で以て推薦したもの、少くとも了承するものを私は総裁、或いは副総裁につけるのが当り前ではないかと思うのですが、そういうことを無視されて内閣が、内閣の意思によつて総裁、副総裁……、どんなものでもやり得るという……。私はここに一貫したところの経営委員会の、第十条から役員に至るまでの何と申しますかニユアンスから見ますと、法案を作つた立案者の頭というものが非常にすつきりとしていないので、こういう混乱した条文になつて来たのではないかと思う。具体的に言うと私は総裁、副総裁になるべきものは経営委員会で了承し、できれば経営委員会で推薦するというくらいな……、こういう経営委員に広き見識を持つた公平な人がなつておつて、それが少くとも了承するようなものを任命するということにしなければ、却つて場合によつては公社が全く紛糾するるつぼのようになつて公社の経営自体を混乱に陥れるという憂いが多分にあると思う。この点について大臣の御所信を伺いたいと思います。
#14
○国務大臣(佐藤榮作君) 大分お話が具体的なお話になつておりまするが、その前提になります、立論をされておりますこの根拠につきましては、どうも余り掴み兼ねておるのであります、と申しますのは経営委員会としての職能は鉄道公社や専売公社の場合とは違うわけでございます。で、専売公社や鉄道公社の場合の経営委員会でありますならば只今言われますような経営委員会において推薦した人を政府が任命するとかいうようなことに相成ろうかとも思うのでありまするが、今回の経営委員会は特別な工夫をいたしておりまするから今まであります経営委員会とは別個に一つ考えて頂きたい。で経営委員会としては今までのところはつきり固まつた観念的なものはないように私は思うのでございます。今これを観念的に経営委員会はかくあるべしときめてしまうところには私ども勿論異議を持つておるわけでございます。問題はこういう公共的な事業の遂行に当りましてはいわゆる公益増進という観点におきましていわゆる経営者以外の学識経験者と申しますか、そういう人の広く協力を求める、かような意味合においてこの経営委員会の必要性を特に痛感をいたす次第なのであります。かように考えまするとこの経営委員会が公社経営の基本線にタツチいたします場合におきましては、それはやはり業務を遂行するに従つて一から四項までに列挙されるような事項が先ず第一に頭に浮んで来るわけであります。併し業務遂行の面から見ればそのときに応じまして経営委員会として重要なる事項につきましては勿論取上げて参るわけでございます。先ほどの例で申せば料金を改正するということ、これは同時に公益に多大の関係があり、今一面公社の事業運営にも至大の関係があるわけでございまするし、国会に提案する法案の審議につきまして経営委員会が特殊な観点からこれについて審議をいたしますこと勿論だろうと思うんであります。これはひとり料金法改正ばかりの問題ではなく、その他関係いたします法律案等につきましては勿論経営委員会におきまして重要性を取上げて参ることだと思うのであります。併し一面におきましてこの種の人達だけではなかなかこれらの職能を十分果すという上におきましても問題はなお残つておるだろう。むしろ最高責任者である総裁、副総裁、これをこの経営委員会に特別な名目の下に特別委員という形において参列さすことが経営者とそれから経営委員のかたがたとの渾然一体制をここに実現するのではないか。かような意味合においてこの特別委員会の制度が必要になつて参るんであります。この特別委員は総裁、副総裁にある人は当然任命される。かような意味合ももちまして特別委員の制度を設けたわけでございます。そういたしますると、問題はその特別委員になる人を経営委員会が推選いたしたものであるといたしますならば、この点では恐らくもともと同一の考えかたの人達だというような観点にもなりまして、経営委員会と執行機関との対立的機能を発揮するという面から見ますると、必ずしも望ましくないのではないか。それよりもむしろ政府関係機関の執行者であるという意味におきまして、政府がこれを任命するというほうがむしろ望ましいじやないか。かような考えかたを私どもはいたしておるわけでございます。
#15
○山田節男君 この第十一条の経営委員会に委員長を置く、委員長はこれはやはり非常勤のいわゆる特別委員でない委員の互選によつて委員長ができるものだと、かように私は解釈するのですが、これは若し間違いがあればそうでない場合には御訂正願いたいと思います。そういう場合に普通委員の互選によつて委員長を得て、経営委員会の会務を総理する。そうして特別委員である総裁が業務を総理する。この委員会というものは第十条の第一項のほうに、ただ重要な事項を決定する機関である。その会務を総理する委員長とそれから運営上の業務を総理する総裁、これは勿論私は別個の人間になる建前として、この法案が作られたものだと私は解釈いたします。これは誤つておれば御訂正願います。そうすれば会務を総理する委員長、業務を執行する総裁、この二つの異なつた最高の責任者がこれがうまく融合して行ければいいのですが、大体こういつた委員会は特別委員と普通委員の合成でできておるので、対立したような場合には一体どうするのか、これは法案上何らこれに対する、裁決するようなものがここに一つもない。国会がどうするというようなものも書いてない。内閣総理大臣がどうするのだというようなことも明記してないのですが、法規上は万一あり得ることを予想して示すべきだと思う。これは条文を見た限りではない。こういつた場合には一体どうするのか。而もこの場合は労務者のストライキの場合と同じく経営の責任者、委員長と総裁が対立したというような場合、これから改善し、改善しなければならない電信電話業務というものもやはり労務者のストライキと同じような場合が多分にある。これを規制する規定がこの中にない。これを誰がやるのか。どうやるのかということを一つ御説明願いたい。
#16
○国務大臣(佐藤榮作君) 只今お尋ねのように、この経営委員会に委員長一人を置きますが、この委員長は特別委員が参画しないで、いわゆる経営委員のかたの互選によつてきまるわけでございます。従いまして特別委員が委員長に選任されることは考えられないという考えかたでございます。従いましてこの今言われますような対立したらばどうなるのかということでございますが、対立ということがちよつと私わかりかねるのでございますが、と申しますのは第十条にありますごとく、経営委員会の議決を経なければならない事項があるわけでございますので、これらの事項につきましては議決は絶対の条件でございます。従いまして総裁が業務を遂行しようといたしましても、議決のない事項の業務遂行はできないわけでございます。その他の事項になりますれば、例えば経営委員会が必要だと認めた事項、これが経営委員会は必要だと認めるが、総裁は必要でないと考える、こういうような議論がわかれたといたしましても、経営委員会の決定といいますか、必要性が先に出て参るわけでございます。で仕事の分野は一応区分されておりますので、その只今言われます対立というのはどういう点になつて参りますか、私は総裁としての職務遂行としては当然経営委員会の議決を経なければならん事項はあるわけでございますから、これには縛られて行くわけでございまして、どういうことを予想しておられますか、ちよつと私今解釈しかねるのでございます。
#17
○山田節男君 これは聰明で、良心的な佐藤君でありますからおわかりにならんと思う。又あなたみたいな極めて公平な達識の人がおられる場合には、そういうことが起らんと思う。併し政党政治でありますから、自由党でやる場合にそういうあなたと全然違つたお考え、いわば非常にレベルの低い人がなつた場合、これは結局この総裁、副総裁、特別委員はときの政党が任命すべき形式になつている。若しこれががむしやらな、普通から言えば危険極まる、もつと具体的に言えば党利党略に、もつと言えば利権に供するという大臣が出た。そうでなくてもその大臣は意思が弱くてその政党に押し付けられたというような場合、そういう者が特別委員に任命された場合、会議制といいますか、今の日本の政治、政党政治から言えば例え議場では三対二であつても、例え決議を否認されても、総裁が非常に独裁権を持つて、業務上の総理権を持つておるのですから、経営上必ずそういう危険があると予想して法規というものは作らなければならない。それに対する規制というものがさつぱりこの文面に現われておらない。これは佐藤大臣のようないい人がおられるから安心して、我々は今はいいけれども、併し将来はわからない。法は改正するまでは永遠にあるものですから、そういうような規制はどういう工合にしておやりになるのかということを質問しておるんです。
#18
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど基本的なことを申しましたが、この委員に対する罷免の規定は十五条にありまするし、同時に総裁、理事等の役員に対しましては二十三条、二十四条等の規定があるわけでございます。これらを併せてお読み下されば、大体御指摘のような場合は解決をいたすのではないかと思います。
#19
○山田節男君 これはまああとに譲りまして。もう一つ最後の、今日の最後の質問としてお伺いしますが、この経営委員の、普通の委員です。内閣が国会の同意を得てやる委員、これはまあ任期が四年になつておるわけですが、この経営体の性格から言いましてやはり委員というものは順番といいますか、いわゆる英語で言うロテイシヨン、これがもう任期が来れば全部やめてしまう。これはおよそ現在、殊に公社というような政府の何といいますか、直接管理下に置かれる経営体としたらば委員が任期が来れば、三人なら三人がばつたり任期がなくなつてやめてしまうということは、再選を妨げないにしても、経営体というものは、これはもう始まればずつと、何と言いますか、流れと言いますか、経営体の一つの生命というものができておる。そういう場合に、少くともこの四年間やつたものがぱつと切れてしまう。それは全部替えることはないにしても、あり得るのです。先ほど申上げておるような、委員長と総裁との対立というものが考えられると同じように、この場合にただ単に任期が来たらやめちやうということは、殊に電信電話公社のような厖大な企業体において、而もたういう首脳部が任期が来たらば一応全部やめるというようなやり方は、少くとも経営学から言えば、殊に半官半民のこういう企業体おいては、私は妥当でないと思うのですが、敢えてこういつたような工合に、四年ぽつきりで委員が全部やめてしまう、ただ再任は妨げないというような規定をなさつたか。これ又一つの革命的なお考えでありますが、どういう意味でこうなさつたかということをお伺いします。
#20
○国務大臣(佐藤榮作君) 至極御尤もなお尋ねでございます。原案といたしましては、同時にやめることはないように、日本電信電話公社法の施行法の第一条に規定を設けてあるのでございまするが、衆議院におきましては、国会の会期中におきまして審議可能なように、更にこの点に修正を加えられて、それが参議院に回付されたものではないかと、かように考えております。従いまして、同時に委員が一時に交替するということはいたさないと、かようにいたしておるわけでございます。
#21
○山田節男君 衆議院でああいつたような修正案が出て、いわゆるロテイシヨン・システムになつたわけですが、この法案をお作りになつて、これは我我は修正案というものは見ておりまするが、原文のままの第十三条の委員の任期というものは、これはどういうお考えでこういうふうに一応されたのか、提案の御趣旨ですね。
#22
○国務大臣(佐藤榮作君) 日本電信電話公社法施行法の、これは修正を受ける前の原案でございますが、それも内閣が定めるところによりそれぞれ二年三年及び四年にするということで、同時に年期が切れることを避けておるのでございます。この点と、更に国会の会期等との関連において衆議院においてこれを手入れしたということを申すのでございまして、お説のように原案も施行法でいたしておるのでございます。
#23
○山田節男君 それからこの十六条の委員の報酬の問題ですが、これはもう経営委員は、従来のどの経営委員会制度を見ても、委員は無報酬である。旅費その他のものはもらえる。これはもう経営委員会の一つの通念のようになつておるわけでありまするが、併しこの公社の場合にも、第十八条で、委員は罰則に関してはやはり公務員と同じように見る。この経営委員の無報酬であつて、罰則の場合には公務員と見るという、この御趣旨ですね。電信電話の公社の場合の御趣旨を承わつておきたい。
#24
○国務大臣(佐藤榮作君) この点なかなか議論があるのでありますが、経営会員会という制度が新らしい制度でありまするし、外国等の例をも取入れたり、或いは又弊害等をも考えまして、やはり無報酬がよろしいのではないかというので、結論といたしましては無報酬にいたしたような次第でございます。なお詳細は事務次官からお話さしたいと思います。
#25
○説明員(靱勉君) 非常に重要な公社における意思決定機関でございますので、報酬を出すという議論も勿論成り立つのでございますけれども、いろいろ私ども立案者としましては、報酬を入れるか入れないかは大分問題があつたのであります。一度入れたような案も、第一次か二次ぐらいの案まではあつたのでございます。結局非常勤といたしまして、殊に報酬を出すということになりますと、まあその額の問題についてもいろいろ問題があるわけでございますが、更に兼職の禁止というようなことも考えて行かなきやならない。原則として必ずしも兼職を禁止しなくてもいいかも知れませんが、普通の場合、兼職を禁止して行かなきやならんので、経営委員に広い視野に立つた非常に有能なかたをお迎えするという意味におきましては、旅費その他実費を差上げるというような形で、むしろ報酬を受けないほうがいいのではないか。又そういう前例も他にも相当ございますので、そういう観念で、結論的には無報酬ということにいたした次第でございます。
#26
○山田節男君 これは靱次官にちよつとお伺いするのですが、例えば国有鉄道公社の監理委員会の委員、或いは専売公社の専売事業審議会の委員、それからNHKの経営委員会の委員、これは一体報酬を受けないで旅費その他の業務の遂行に伴う実費を受けておるという建前で、大体年間どのぐらいの収入を、収入と言うとおかしいが、そういう報酬を受けておるかということをお調べになつておれば、あなたの口から一つどのぐらい年間報酬を受けておるか、実費ですね。
#27
○説明員(靱勉君) 詳しく調べてないのでございますが、率直に申上げますと、国鉄等におきましては、現在の経営委員のかたは、却つて報酬をもらいますとそのまま税金へ行つちやうというようなこともよく聞くのでございます。で勿論、NHK等は全国的に地区代表ということになつておりますので、経営委員会がしばしば開かれますると、その旅費、実費等は相当の額に上つております。国鉄等におきましても、大体やはり国家公務員、或いは大臣その他、それに準じまして若し報酬をきめるとしますればきまつて来るわけでございます。それほどの額には達してないと思いますけれども、それぞれの経営委員会の開催の度数、それから地域的な関係があるかどうか、東京都内なら割合経費は少く済むし、或いは又経営委員の活動というようなことで、それぞれまちまちであるというふうに承知いたしております。
#28
○山田節男君 大体車代として支払われる程度の具体的な金額はわかりませんか。
#29
○説明員(靱勉君) その点は私どもやはり先輩格の国鉄等の話もいろいろ調べましたときに、具体的の数字は伺いませんでしたが、まあ結局無報酬のほうがやはり経営委員としてはいろいろなかたが採れるというような意味に聞いておりますし、又そういうかたはむしろ受けないほうがよいというようなことを漏らしておつたというような事実は調べましたが、具体的にどなたがどのくらい取つたかというようなことは承知いたしておりません。
#30
○山田節男君 これはアメリカの公社には二、三あります。二、三は報酬を受けないという経営委員というものがありますけれども、大体は報酬をもらつておる。大体国会議員程度の、或いは少くとも一流の弁護士のもらう収入ぐらいはいわゆる手当としてもらつておるわけです。経営委員会そのものはこれほど重要な機能を持つておる。そのメンバーが無報酬、これはもう名誉であるということには違いないけれども、権限があると同時に責任があるわけです。その者に対して全然報酬を与えないということを明文で調うということが、殊にこの公社のような場合、一つの企業団体として却つて何と言いますか、不正な又汚職事件というようなことの原因になるのではないか。ですから私とすれば、この公社の経営委員は、たとえ非常勤であつても相当なこれは報酬を出すべきではないか。これは私余談になりますけれども、過日、国務省のタイソンという人がおりますが、我々労働組合関係の者を二十人ばかり集めて、一体君たちは会長或いは委員長として給料をどのくらいもらうか、ミスター山田はどのくらいもらうかと、こう言うのです。私は約十二万ばかりの組織を六年やつておるが、給料を一文ももらいません、車代も過去六年間もらつたことはない、全部自分の自腹だと言つた。そうしたらミスター・タイソンが、これは驚くべきことだ、日本の組合運動が発達しないのはそのためだ、お前がアメリカでそういう程度の組合の会長をやつておるならば、十二万ならば十二万働いておる労働者を使つておる工場の少なくとも重役の手当をもらうのだ、それが日本の労働組合が非常に歪曲されて、いつまで経つても、いわゆる何と言いますか、ただ争議団体のようなものになつてしまつておる。これは私は向うの実例も知つておりますし、イギリスのごときは十九世紀からすでにやつておる。これは私はやはり人間というものは空気を吸つて生きて行けるわけではないので、この微妙な点を、将来公社というものをすつきりした極めて純潔な民主的な経営にして行くためには、これは従来の経営委員会の委員は無報酬であるというような日本流の……、これはアメリカではそういう意味の無報酬ではない。この文字が非常にアツピールしたせいか、重役会の重役に比すべき者に対し報酬を与えないという原則をここに調うということは、さつき佐藤大臣が、この公社の経営委員会は他の公社の経営委員会よりも非常に思い切つた新構想であるとおつしやつておる。併しこの十六条を見ると、依然としてこの点は悪く言えば温存しておる。私は首肯できない。これは私は意見になるから、質問としてはいたしませんが、この点は十分御考慮願つたろうと思うけれども、私は佐藤大臣が新らしい構想でこの法律を作られたというならば、この点においては私は大きな……、ちよつとした思い違いというよりか、私はこの点を御考慮願つて、もう訂正はできないでしようが、我々としては十分考えて頂きたいわけです。
#31
○国務大臣(佐藤榮作君) 私率直に無報酬にいたしました理由を御説明申上げたいと思います。それは承知のように、経営委員になられるかたといたしましては、各方面を代表されるという意味合におきまして、特に慎重な人選をし、それにふさわしいかたに是非とも御就任を願いたいと思うのでございますが、こういうようなかたと申しましようか、今抽象的に考えます委員としてお願いをしなければならないというようなかたは、大体それぞれ立派な仕事を持つておられるかたが多いのでございます。いわゆる専任に経営委員に御就任願うというわけに行かない。この建前から見ましても、常勤制度を採用するわけでなくて、常勤制度以外に兼職、これは常勤制度にいたしまして給料を出すといたしますれば、どうしても兼職の禁止をいたして参らなければならないのでございますが、かように考えて参りますると、なかなか経営委員の選考は容易ではないようにも考えられるのでございます。むしろ経営委員に御就任願いますかたは、過去現在におきまするそれぞれの分野においての御経験なり、或いは識見なりを公社運営の基本的事項決定の際にお示しを願いたいと、かように考えますので、経営委員といたしましては、常勤制度にしないで、同時に又兼職というような点にも触れないで、従つて実費を差上げると、こういう意味合において、各界の代表のかたの御協力を得たいと、かように実は考えているのであります。お話のように、経営委員は非常に重大な職責をするのであるから、最初から給与等もはつきりきめて、そうしてこの経営委員として専任されるような待遇をいたすべきだと、これは確かに一理も二理もある最も徹底した御議論のように考えられるのでありますが、現在の実情はなかなかそこまで行きかねておる。従いまして、むしろ経営委員のかたには実費を差上げることによりまして、ただ単なる名誉という意味ばかりでなしに、そういうかたの各界における御活動と併せてこの経営委員としての職能を果して頂きたいと、こういうようなことを実は狙つておるのでございます。さような意味合で総体を通じてお考え願いますれば、私どもの古志の存する点も御了解が頂けるのではないが。これはただ単に先例を踏襲したというばかりではなしに、只今申上げますような実際問題と取り組んで参りました際に、このほうが御承認を願いますに際しましても好都合ではないか、又経営委員としても私どもが希望するようなかたに御就任が願えるのではないかと、かように実は考えておるのでございまして、この点率直にこの法案を作りました気持を御披露申上げます。何とぞ御了承のほどを願いたいと思います。
#32
○新谷寅三郎君 昨日あなたが御出席にならなかつたので、靱次官に伺つておきましたが、細かい点はおきまして、一つだけ伺いたいのは、経営委員の選考の方針なんですが、勿論経営委員会でありますから、事業経営に堪能なということも考えられて来ると思うのですが、一面電気通信の事業が、例えば非常に大事な問題は、労務管理と言いますか、労働問題は非常に大事なことでありますが、関係の従業員が本当に安心して、そうして活溌に働けるようでないと、如何に制度や組織をよくしましても、これは事業の成績が挙らない。でありますから、経営委員の中にも、そういう方面に非常に深い理解を持ち、そうしてその認識の高い人、そういつた人も入れることが必要じやないかということも考えられますし、それから単に経営だけではなしに、やはり経営に当つては、こういう非常に国民大衆に強い関係を持つものでありますから、一般国民がどういうことを電気通信事業に要望しておるか、従つて国民の声を反映するという意味におきまして、これは必らずしも例は当らんかも知れませんが、新聞その他言論界などのような方面で相当に広い視野識見を持つた人、そんな人を選ぶということもこれは方法だろうと思うのです。併し何分五人の中で二人は特別委員だというのですから、三人しかないので、原案によりますと……。その中でそういういろいろな要望を充たすことはなかなかむずかしいと思うんですが、そこでこの経営委員会の選考の方針としてどういう点に一番重点を置いて考えられるか。これは実は国会としても非常に関心を持つ、どうせこの委員は両院の同意を得なければならないわけですから、両院の同意のときに意思表示をすればいいのですけれども、私が昨日申上げたのは、成るべくこの委員会を通じて両院の、つまり国会の意思もよく聞かれて、委員の選任に当つて摩擦を起さないようにされるほうが政府としてはいいのではないかということを考えるのですから、大臣から、これは今具体的に誰々ときまつておるわけではないでしようから、非常にむずかしい問題でありますが、この選考の方針についてのお考えを一つ承わりたいと思います。
#33
○国務大臣(佐藤榮作君) 至極御尤もなお尋ねだと思います。只今は、今まで申上げておりますように、委員の候補を決定はいたしておりませんが、委員の候補を決定いたしまして、両院の御同意を得る。その準備といたしまして、各方面の御意見等もいろいろ伺つております。只今までのところ三名ということでいろいろ工夫をいたして見ますると、只今新谷委員が御指摘になりましたような点がそれぞれ工夫をいたして行かなければならない問題であると思うのであります。例えば非常な視野の広いかたで、各界につきましても立派な識見があると、かように考えますれば、報道関係と申しますか、そういうような部面において輿論をよく反映されるようなかたにお願いしなければならんでしようし、或いは事柄の性格上、金融に明るい人も勿論必要でありましようし、或いは又事業の運営の面から見まして、ひとり労働問題というばかりでなく、各般に亘りまして、運営につきましてのいわゆる経験も豊富であり、立派な識見を持たれるかた、かようなかたにもお願いをいたして参らなければならないだろうと思うのであります。特に明確にいたしておきたいと思いますのは、今までこの経営委員に従業員の代表を入れたらどうかというような意見も一面では伺うのでございますが、只今のところこの経営委員会と執行部とは別個の機関と実は考えておりますので、従業員の代表というものを経営委員会に取上げて委員にお願いするという考え方は持つておらない、この点だけは明確に申上げていいと思いますが、その他の面におきましては、先ほど来御指摘のありましたような抽象的な基本方針とでも申しますか、できるだけ会社の経営はこれは各般の問題に造詣の深い、識見のあるかた、つまり立派なかたにお願いするという意味合いにおきまして選考をいたすつもりでおります。この場合におきましても、公正な人選をいたさなければならないことは勿論でありまするし、経営委員会の性格から見ましても不偏不党であること、これ又当然のように考えますので、公正な、同時に又公社経営に積極的に御参画願うというかたを各方面に亘りまして是非とも探して参りたい、かように考えておる次第でございます。
#34
○委員長(鈴木恭一君) 午前の会議はこの程度にとどめまして、午後は一時半から開きたいと思います。では休憩いたします。
   午後零時三十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十三分開会
#35
○委員長(鈴木恭一君) 只今より委員会を再開いたします。
 先ず放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。本法律案につきましては、先般質疑をいたしたのでございますが、なお質疑が残つておるかたもおありのようでございますので、質疑を継続いたしたいと思いますが、実は今日一時半から開会する予定が遅れてしまいまして、午後にお願いいたしておりまする参考人のかたも、もうすでにおいでになつておられますので、質疑は成るべく早く打切りたいと思つておるのでありますが、先般申上げましたように、本日は討論、採決まで行くように一応予定はいたしておるのでございます。情勢によつてさよう取計らいたいと思いますが、質疑のおありになるかたはこの際質疑をお願いいたします。提案者とされまして衆議院議員井手光治君がおいでになつております。
#36
○小笠原二三男君 当委員会の法案審査の日程についていろいろ御計画がきまつておつたように今承わりましたが、私としましては、この法案が衆議院に出ていることも不敏にして知りませんで留守しておつたようなわけでありまして、突然今朝帰つてから、党でまあ話合が進められたのでありますが、それらの事情等から申すと、あとで私各委員のかたがたに我が党の立場上お願いしなければならん点もあるか意いますが、本日はずるずる質問はできない状態にあるようですが、大体何時頃までやるのでしようか。
#37
○委員長(鈴木恭一君) 大体三時十五分前くらいまでには終りたいと思つております。
#38
○小笠原二三男君 提案者のこの提案理由については、同僚委員から或いは質問があつて重複しておるかも知れませんけれども、再三申上げますように、私も全くの素人でございますから、お尋ねするわけですが、実は私本委員会の委員になりましてから、電波監理委員会の委員任命に関して国会の承認を求める件等の場合或いは本日この法案を見ました場合にも、国会として何ですか、テレビ放送について競争、競願と申しますか、それらの内容にまで立入つていろいろ前提を持ち、或いは含みを持ち、結果を考えつつ法案を審査しなければならないという立場に追込まれているような感じ、これは私の主観でございますから、お叱りを受けたら取消すことにやぶさかではございません。そういう感じの下にこの法案審査をすることは私議員として非常に嫌な感じを持つておるわけでございますが、そこでなぜこういう時代にこの法案が議員発議となつて提案されなければならないのかという点について電波監理委員会委員長に先ずお伺いしたい。この提案理由が真に正しいものであるならば、即ち今の放送法のその三十二条によつて、審査の基準として財政的基礎が明確になつていなければ許可なり、認可ができないような状態が明らかであつて、なおこういう提案理由にあるように不公正な取扱になるであろうことを、電波監理委員会がこうした問題について何ら政府に申上げるとか、電波監理委員会独自で公正な判定を下すための立場をとろうとしなかつたのか。或いはする必要を認めない、公正に扱えるのだということであれば、それで私は何ら異議はございませんが、なぜこういう事態になることが明らかにわかつておりながら放置しておられたのか、その間の事情、又電波監理委員会の御態度について一つお伺いしたい。
#39
○政府委員(綱島毅君) お答え申上げます。電波監理委員会の考えなり、態度を聞かしてほしいというお話でございますが、この放送法の一部改正法律案が衆議院におかれましてお出しになりました理由につきましては、私ども申上げる要は勿論ないと思いまするが、ただ電波監理委員会として、テレビジヨンに対しましてとつておる態度及び今御質問のあつた点に、つきまして、私どもに関係しておる部分について申上げますると、昨年春に衆議院におきまして、テレビジヨン放送を促進する決議案が本会議を通過いたしました。かたがた昨年の八月までに約四つに上るテレビジヨン放送の出願があつたのでありまして、電波監理委員会といたしまして、テレビジヨン放送を実施するための準備を鋭意進めて参つた次第であります。勿論現在の放送法及び電波法によりまして、このテレビジヨン放送もラジオと同じように、日本放送協会及び民間におきましても、このテレビジヨン放送ができるという建前には相成つておりまするが何分にも放送法ができましたときには、テレビジヨンというものがまだ具体的になつておらない時代でございましたので、放送法自体につきましても、テレビジヨン放送を実施するという段階に立至りました場合には、そこに多少の不備があるということは私どもも前より存じておつた次第であります。ところでテレビジヨン放送の出願が、中には日本放送協会も含まれておるのでありまするが、この出願を電波監理委員会は受理いたしまして、それを審査するわけでございまするが、私どもはその審査に必要な諸般の準備、言換えまするならば、標準方式でありますとか、或いはテレビジヨン放送を開設するための根本的な基準でありますとか、その他技術的な設備規則とか、或いは運用規則、そういうものが整備されまして、テレビジヨンの出願を審査する段階になりました場合には、放送協会も含めまして民間の放送協会も同じ立場において公平に審査できるものと私どもは考えておる次第でございます。勿論電波監理委員会がその審査の結果、日本放送協会の財政的な基礎を確立するために放送法の改正をしなければならないという結論を得ました場合には、私どもは申すまでもなく放送法の改正を立案いたしまして、そしてそれを国会にお出しして御審議を頂くというふうに考えておる次第でございまして、私どもは徒らにこの放送法の改正ということを考えておらなかつた、或いは逡巡しておつたというわけでは決してございません。まだ残念ながらその時期までに達しなかつたということでございます。さよう御了承願いたいと思います。
#40
○小笠原二三男君 そうすると、委員会の御見解としては、今NHKがテレビの出願をしておられる、その場合の審査条件として財政的基礎となるべきものを出す場合の受信料を取る云々という計画が法律的に裏付けされておらなければ、NHKは審査の対象から不適格として除外せらるるというような筋合ではなくて、電波監理委員会として或る基準によつて認可の判定を、内定なり何なりをした場合において、あなたのほうはいわゆる一政府機関ですから、従つてそれに伴う不便のない措置を、いわゆる放送法の改正なり何なりを政府側に要請して、この実現方法が可能になるように措置する、それでも済むことだというふうにお考えになつておつたわけでございますか、それともこの提案者の言うように、可能性はあるが、併しそれは認可になる可能性もあるし、ならない可能性もある、そういう事前において、立法を以てその可能性を期待して、今から事前にその不備を取除いておくということでなければ絶対いけないのか、委員会としてはどういうお考えでおられたのか、その点が私聞きたいところなんです。
#41
○政府委員(綱島毅君) 電波監理委員会としては、只今例にお挙げになつた二つのうちの最初の考え方をしております。即ち現在の放送法から、今の段階において日本放送協会がテレビジヨンの料金を取れないことは、これはもう明らかであります。そういうことがあるからといつて、私どもは日本放送協会の申請を審査しないとか、或いは審査に不利益な或る段階を付けるというようなことは毛頭考えておりません。日本放送協会の聴取料及びその金額は、これは国会の承認を得なければきまらないものでありまして、これは日本放送協会が考えると同時に、政府も又考えなければならない問題である。政府にもその考える責任があると私どもは考えております。従いまして申請を審査いたしまして、日本放送協会の料金が確立され、その料金がこのくらいであれば、日本放送協会のテレビジヨンの実施が可能である、而うしてその実施をやらしたほうがいいということを考えました場合には、電波監理委員会は放送法の政正を立案いたしまして、そして国会にお出しして御承認を得るというふうに考えておる次第であります。
#42
○小笠原二三男君 私全然門外漢なために、今の点を非常に常識として重要視しておつたわけです。私はテレビ問題は電波監理委員会の権限できまることであつて、そのことによつて国民に利害が云々されるとか、或いは認可された会社なり、協会なりが不当であるというような場合には、国会として、国会議員の立場でそれを追及しなければならんと思つておるわけですが、正直なところ、私はテレビがどつちにこれが認可されればいいのだというようなことについて、客観的にも主観的にも、議員として、結果としてでも足を踏込んだような形になることを私は嫌うわけです。それでは我々国会議員の立場として、どうもあとに問題を残すというふうに考える。この間の抜山委員の問題の場合でも、巷間伝えられる理由としては、それらの点もあつたそうですけれども、私としては委員会がそのためにこそ各種の意見を持つて各方面から検討を加えられて一つの意見が出されればいいので、どつちにそれが決定されようと、公正さえ期せられればいい、公正でなかつたら議員として追及する、そのためには我々もう厳然たる立場にいたいというふうに考えておつたのですが、今度の場合も、この法案の裏に書いてあるのを見ますと、「日本放送協会がテレビジヨン放送を行う場合において」という前提に立つてこのものがなされておる。ところが事前にこの法律ができておらなければ、競願しておる他会社との競争に打ち勝つことができない、不公正であるというのであるならば、私もこれは十分国会の立場で考えなければならん。ところが電波監理委員会の当事者の責任者は、そういう不当な扱いは絶対せん、ない、そして仮に認可するという意思になつた場合には、放送法の改正等でその裏付ができるように措置もしたいし、それは政府の責任としてやるべきである。そこまで話が進んで来ておるならば、何か許可にもなるだろうし、許可にもならないだろう段階において、このことについて賛否の結論を私として下して、そのことが認可することについて悪影響であろうが、好影響であろうが、影響を委員会に与えるというようなこの譏りなり、或いは国民一般の疑惑を持たれることについては私は真平御免なんです。それで若しも仮に放送法ということが改正されなければ、公正を期せられないということであるならば、これは政府責任において、行政府の責任者が積極的にこの法案を出すべきであつて、そういうことなしに、親切に議員が細かいことまで行き届いて、こういう法案が出て来て、そしてこれを承認するということは、結果として何らか片方に水を引いたというふうに思われることは、私は議員の権威として将来この問題に対して批判を加える場合に非常に困ると思つておつたわけなんです。ところが今の電波監理委員長の明快な御答弁によつて、私は私の知らんとするところが明らかなわけです。そこで今度は提案者のほうにお伺いしたいのですが、提案者は、この提案理由の御説明の中に、非常に好意を持つて、まあ行届いて法案を出されたことはよくわかるのでありますが、こういうことをおつしやつておられる。テレビジヨンが実現段階に入つた今日ということをおつしやつておられる。それで私はこの意味、がどうもわからんのですがどういうことを指して、このテレビジヨンが実現段階に入つたと御認定になつておられるのかお伺いしたい。
#43
○衆議院議員(井手光治君) お答えいたします。今のお話を伺つておりますというと、何かテレビジヨンの公認問題と言いますか、免許と言いますか、それに対する条件を付するにおいて、特定の者に水を引くというような考え方のように思われる、(小笠原二三男君「そういうことは申上げておりません」と述ぶ)こういう御意見でありますが、これは私としては甚だ……私ども国会の一員で、これは衆議院で可決をいたしております。国会の意図であります。これだけは前提に申上げておきます。これは御承知のように、これはもう天下普ねく知つておるところと思うのでありますが、只今メガの問題が電波監理委員会において審議されておりまして、これが決定をいたしますというと、只今お話がありましたように、免許の申請が提出をされておる段階にあることは、何人もこれは認めております。これを以て私どもは電波の問題が具体的に実現する機運にあるという断定を下しております。それからこの法律の改正をいたしました趣旨は、ここに率直に申上げておりまする通り、日本放送協会のテレビジヨン放送に対する受信料徴収に関する規定を書いておりますることは、これは何人も法律を見てもらえばわかるのです。只今電波監理委員長が申上げましたように、この問題は委員会の態度として法の不備は認めておるということをはつきり言つておるのであります。国会がテレビジヨン放送をなすべきことを義務付けてある国の公共企業体というものに対して、この不備の欠陥を是正するという態度は私は当然あつて然るべきである、こういう考え方において提案をいたしております。
#44
○小笠原二三男君 私はこの質問を展開する前段において、私は主観として、又断定して事実としてそういうことを申上げるのではない意味合についても十分申上げている。私の自己反省、議員としての立場にたつてさまざま巷間言われるようなことを私自身言われることは困るという筋合を申上げておるのでどなたも私はそのことについて追及している意味でお話申上げておるのではございませんから、この点は提案者においても誤解のないように願いたい。それからもう一つは、日本放送協会がテレビジヨン放送を義務付けられておるという御発言のようでございましたが、私はそういうことをやればやつてもいいだけの協会であつて、やらなければやらないでも済む協会であろう、私はどの根拠においてもそういうことは義務付けられていることではないと思います。だからこそ許可、認可の問題が起つて来ておるのだと思います。それで私の申上げておりますことは、事前に料金の問題を確定して置かなければならないという意図と、それが電波監理委員会の権限として将来実現されるかも知れないし、実現されないかも知れない前提に立つての法律案であるところから私は疑義を持つておるので、それで相成るべくは、若しも電波監理委員会が公正な判断を下すのに、この法案が事前に改正になつておらなくても、その許可の段階になつた場合に政府において改正になるなり、議員発議等を以て改正になるなりしても、何ら実現するに支障がないということであるならば、私は予想された形においてこの法案を云々することについては必ずしも賛成できないという形式論だけでものを申上げているわけなんです。私国会の運営上、そういう予想された形において法案を通して置いて、それが無意義になるかも知れないし、或いは意義付けられるかも知れない、こういう形の法案は一般的に国会として如何かと、こういう考え方から私は申上げておるわけで、技術的にそれらが一切解消されるものとするならば、必ずしもこれを今通さなければならんという問題でもなし、或いは個人的な考えで言えば、近々テレビ問題が解決になる暁において、この法案の改正というものが直ちに出て行くような時期を狙つて行くという方法もあろうじやないかと、こういうような点、これは前段は私大前提として素人である立場で言つておるので、それが実際事業遂行上或いは準備の上から言つて、それでは困るんだと言われれば又問題は別ですよ。併し私は形式的にそういうふうに考えるのであつて、発案者が善意を以てこういうことを考えられるも、さまざまな国民階層において意見がある場合においては、私たちはその点についても十分掛配して、いわゆる真に公正な判断が期待されるようにしたいものだと、こう考えたわけなんです。それで一応伺つたわけですが、そこでまあ大体もう私としては趣意がわかりましたので、本日の段階においては質問はもう基本的には私はこの程度でいいと思います。そこで私のこれは党のほうの事情ですが、うちの党としては衆議院のほうで、発案者も御承知のように賛成しておるわけなんです。で、賛成の理由も根拠も十分あるようでございます。ただ本日参議院で採決するのだという問題になりまして、うちの党の国会対策委員会或いは役員会等でこれを問題にしました場合に、私の言うような質問点が電波監理委員会等から解消されるならば、そうして一切の支障が起らんということであるならば、これは本日は持ち帰つて慎重に考える、どうせこれはいいことですから、悪いことではないのですから、ただ客観的にいろいろな話を聞くのですから、本日即戦即決して行くということだけは、よその会派にもお願いして延ばして頂けないか、それで検討を加える時間をかしてほしい。提案の趣旨そのものはこの限りにおいては正しいものだという前提は私たちとしては今日においても持つているわけです。ただ手続上技術的にどつちでもいい問題である場合にどつちがとられることが一番、何というか、公正な立場におれるかということに対しての率直な検討なのでして、何とかこの点を各会派の委員のかたにもお願いしたいのですが、ここちよつと時間をかして頂きたいとお願いいたします。
#45
○山田節男君 提案者に質問する前に、一応電波監理委員長の所見を伺いたいと思うのですが、さつき小笠原委員からの質問に関連して御質問いたします。日本放送協会、それから日本テレビジヨン放送網会社その他一件か二件かテレビジヨン放送についての申請があつたということを聞いたのですが、それはいつの日附になつているんですか。
#46
○政府委員(綱島毅君) 只今各申請の日附に対してははつきり覚えておりませんが、早いものは昨年の春、或いはもう少し早いのもあつたかと思います。四つの中の二つは昨年の八月に出たと思つております。
#47
○山田節男君 それは受理したままになつておるわけですか。
#48
○政府委員(綱島毅君) 一応受理したままになつております。
#49
○山田節男君 電波監理委員会の公益法人の設立の許可等の手続に関する規則、これの第三条は、申請を受けて六十日以内に許可又は不許可の処分をしなければならんということが謳つてあるわけです。今委員長が言われるように、昨年の春というと、もう殆んど一年以上になつておるわけです。そうするとこの規則によつて電波監理委員会は当然受理して六十日以内に許可、不許可をしなければならない。なぜこの規則に反して今日まで荏苒として放置してあるか、この点一つお伺いしたい。
#50
○政府委員(綱島毅君) 只今御指摘になりましたのは、電波監理委員会の公益法人の設立の許可の問題でございます。公益法人はいろいろございますが、それの設立の願書ができたときにその審査を六十日以内にやるということであります。只今問題のありましたのは、電波監理委員会にテレビジヨン放送局の免許の申請の問題でございまして、これは電波法の第七条に、「電波監理委員会は、前条の申請書を受理したときは、遅滞なくその申請が左の各号に適合しているかどうか審査しなければならない。」、「遅滞なく」ということになつております。遅滞なくということは、できるだけ早くということでありまするが、何分にもテレビジヨンの問題はしばしば山田委員もおつしやつているように、これは非常に重大な問題でございまするので、私どもも鋭意その準備を目下している次第でございます。
#51
○山田節男君 これは申すまでもなく我々昨年の年末から問題にしているように、聴聞会を再度開いてもらつたということは、要するにこの標準方式を主題として聴聞会を二度も開いてもらつたということは、申請者側においていわゆる周波数の六メガ七メガという問題が今日に来ている。そうしてこれがもうすでに御棚ざらしになつておる、約半年間。これはもう新聞に出、或いはラジオで言い、大体この問題に関してどういう争いが生じているかということは、これはもう御承知の通りなんです。そこで今小笠原委員が質問したように、衆議院の議員が法案を出さなくても電波監理委員会の立場とすれば、この放送法の第三十二条というものがあれば、これはもう日本放送協会はこのままならばこれは却下しなければならん。然るにもう半年以上もそのままになつておつて、電波監理委員会がこの三十二条の改正、いわゆる民間放送或いは公共放送に平等な機会均等ということを与えないでおつたということが、今日までテレビジヨンの免許における一番大きな政治問題までに展開して来たこれは大きな原因だと思う。今日もすでにそれが行われておる。そこでこれは提案者にも関係がありまするが、一体議員の立法、これは非常にいい場合があります、御承知の通り。併しこの今国会の、殊に衆議院における議員立法というものはいいところもございますが、非常に悪いところがある。提案の動機が悪いとは申しません。申しませんが、少くとも電波監理委員会という会議制の特殊な委員会でございます。これはもう衆議院の立案者が御心配にならない前に当然これは電波監理委員として機会均等にNHKにもやらせなくちやならない。それをやらないというところに電波監理委員会の、委員会としての職務を完全に果していないという、これは非常に顕著ななにを示しているのです。議員が立案してこれを我々が審議しなければならないということは、一面から言えば電波監理委員会がやるべきことをやつていないからこういうことになる。そこで私は電波監理委員会に対して、提案者はこういう一つの隘路があるのではないか。電波監理委員会として当然これについては自発的に一つ政府提案として出すべきじやないかということを一応御協議になつたのか。それともこれは議員の提案者の首唱者がみずからおやりになつたのか。このことを一つお聞きして置きたい。
#52
○衆議院議員(井手光治君) 非常に御尤もな御意見だと拝聴いたしました。これは御承知のように委員長からもお話がありまするように、三十二条の改正がなくとも審査はできる。併し免許の前には現在法の不備を是正する必要がある、こういうふうな御答弁であります。私どもといたしましては、今も御質問がございましたように、テレビジヨンの問題が今日大きな課題として問題となつて参つておりまするので、衆議院の私どもの委員会におきましても、これに関する論議が長期に亘つて実は闘わされておるのであります。そこでたびたび私どもは三十二の法の不備をできるだけ公正な立場において早くこれを整備いたしまして、公正な立場において審査を進めるようにすべきだという主張を実は当該委員会においても再三質問等を行なつて来ているのであります。併しどういうものかいろいろ諸般の情勢がございましよう。又その時期等においても慎重に考慮がなされておるものと思つておるのでありますが、そういう故でございましよう、今日までまだ提案がなされておらない。一方においてお話のようにいろいろの問題が起きておるように拝聴いたしまするので、むしろこの取扱方はその免許を与えるかどうかということ、資格条件を整えしめる意味における当該電波監理委員会の立場においてなざれることは、むしろ私どもはこういう際においては更に問題を深くすることになりはせんかという一面の考慮も払つたのであります。むしろこの際はそういう立場において、国会の立場においてこれを律することがむしろよろしいんじやないかという立場で実は議員提案に各派と相談いたしましていたしました。御了承願います。
#53
○小笠原二三男君 四十五分までというあれなので、私は一応本日の段階では四十五分で打切つたのです。それが他に質問を許すならば私はまだまだ質問があるのです。
#54
○委員長(鈴木恭一君) ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#55
○委員長(鈴木恭一君) 速記を始めて。
#56
○山田節男君 それでもう一つはさつき小笠原委員がテレビジヨンは実行の段階にあると、この提案書にも書いてあるわけです。この提案のやはり首唱者は衆議院においては自由党のかたがただろうと思うのです。これは私は予算委員会でこのテレビジヨンが非常に問題になつておりますので、私は吉田総理に対してテレビジヨンの実施ということに対してどういう見解を持つておるかということを質問申上げた。ところが総理は、もう要するにテレビジヨンは時期尚早である。アメリカの或るそういう関係者が来てテレビジヨンをやらんかと言つたけれども、自分はやらなくていいと言つた、こういうことをはつきり言つておられた。そうすれば少くとも自由党の総裁である、又総理大臣である吉田総理の御発言は、これは党のテレビジヨンの一つの政策の根本だと解釈せざるを得ないのです。それなのに今回自由党が主動力になられて、而もテレビジヨンは実行の段階に入つたと言つておられる。それがどうも私は総理大臣であり、党の総裁であられる吉田茂さんと、こういう立案者との間が如何にも急変したかのごとく、或いは我々単なる流説に過ぎないかも知れないけれども、相当自由党の中でも揉まれてお出しになつたということを聞いておるのですが、成るほど衆議院でテレビジヨンの促進ということを決議なさつた。これは参議院としては又別個の見解を持つておつたので我々出しておりません。又私らとしては実行の段階というものは国際情勢、或いは経済事情を勘案しなければ容易にきまるものではないという見解をとつております。然るにこうしてテレビジヨンが実行の段階にあるものと見て、そうしてこの主動力である自由党としては明らかに総理の参議院の予算委員会における御発言と矛盾した結果になつておる。これは甚だ私恐縮ですけれども、自由党として従来の総理によつて表明されたテレビジヨンの国策が変更されたのか、これを一応確認しておきたい。
#57
○衆議院議員(井手光治君) 総理の御意図がお話のようにあることは私どもも承知をいたしておるのでありますが、御承知のようにテレビジヨンは若し実現の段階に参りまするときは、国会が予算の承認を与えなければならない。事業計画の決定を与えなければならないと規定してあるようであります。そこでお話のように現実に実行できるという段階は、国会の議決を経た後でなければできないことは、これは承知を頂いておるところであります。私が申上げますのは、現実の問題として免許の申請が出ておる。そこで免許申請の審査条件としては、電波法第七条第一項第三号に掲げる当該業務を維持するに足りる財政的基礎の裏付けがないということになりはせんかということを、私どもは法律上の建前としては考慮しておるのであります。そうしてこれをこの欠陥によりまして日本放送協会の申請を不公平に取扱わしめることがあつてはならないという配慮から法案が出されておるのでありまして、今後果して審査が適格であるかどうか。或いは免許がなされるものであるかどうか。仮になされた場合には、これが今後国会の承認を与うべきものであるかどうかということについては、今後の国会の意思に存することであり、又政府等においても十分検討を要する問題である。とにかく現段階におきましては審査の申請がなされておるという実情に即しまして、法案の整備をなす必要があるということで出したわけであります。
#58
○委員長(鈴木恭一君) 放送法の一部を改正する法律案の審議は今日はこれにて打切りまして、次回は月曜の午後、公社法の審議の前に残りの質疑をやりまして討論、採決、かように取運びたいと思います。さよう取計らいます。
  ―――――――――――――
#59
○委員長(鈴木恭一君) これより日本電信電話公社法案及び国際電信電話株式会社法案について参考人の御意見をお伺いいたしたいと存じます。
 鈴木教授におかれましては本日お忙しいところを御出席頂きまして誠に有難うございました。当委員会におきましては、日本電信電話公社法案並びにその施行法案と、国際電信電話株式会社法案が付託されております。従来国営として電気通信省が営んでおりました電信電話事業は、国内のものは公社、対外的、国際間のものは株式会社で行うということでございます。非常な大きな変革でありまして、私ども只今慎重に審議いたしておるのでございますが、特に教授におかれましては会社法に造詣が深くあられますので、この国際電信電話株式会社法案につきまして御意見のあるところをお示し頂きまして、私ども審議の参考にいたしたいと存ずるのでございます。よろしくお願いいたします。
#60
○参考人(鈴木竹雄君) 委員長から御鄭重なるお言葉を頂きまして恐れ入ります。私はこういつたような機会を今まで両院において与えられましたことがございませんので、どういうふうな慣習になつておりますものかすべて存じませんので、ただ私が考えまするところを一、二申上げたいと思います。
 この国際電信電話株式会社法が只今慎重に御審議中であるということでありまして、本日お呼び出しを頂いたわけでございますが、私自身はこの法案につきまして、何ら特に今まで研究したこともございませんでした。一両日前にその法案を頂戴いたしまして、それから初めてその内容を知つたような次第でございますし、その上に本日ここへ参りますまでの間に、前からきまつておりましたようないろいろな用もございまして、十分な勉強もできませんでしたので、申上げますことが甚だ雑駁になりはしないかということを恐れる次第でございますが、御清聴を汚したいと存じます。この法案につきまして私をお呼びになりました御意図がどこにあるのか私は存じませんが、只今委員長からのお話によりますると、私が商法の会社法を専攻しているということでございますようでございます。そういう私自身の専門から申しまして、勿論このような株式会社の形態、それをいわば特殊会社と申しますか、そういう形でやりますことがどのような運営上問題が出て来るであろうかというふうなことも恐らくは私に発言せしめたいという御意図かとも存じます。併し先ずそれに入ります前に、私も一介の法律家として見ますると、この法案というふうなものがそのような、何と申しましようか、大きな意味において適切であるかどうかというふうな前に、仮にこのような法案であるとしたならば、それは一体商法の立場から見て何かおかしいところがないだろうかというふうなことが私自身の専門から当然第一番に浮かんで来るわけでございます。例えば作文を見まするようなときに、論旨というふうなことも勿論問題になりまするが、併しそこに誤つた字が入つていやじないか、或いは文法の誤りがありはしないかというようなことが先ず作文を採点する教師の立場とすれば出て来るのとまあいわば似たような考え方が私の頭の中に浮かんで来るのは、専門柄いたしかたないことではないかと思うのであります。そういう点からの気が付きました点、併しこれは私立案なさいましたかたがたの御意見がどういうところにあるのかわかりませんために、ただ書かれておりまするものの上から見まして、こういうふうな書き方をしておると解釈上問題が起りはしないかというふうな点につきまして、或いは又これでいいのだろうかと、私自身もはつきりとはわからない点がございますが、そういうふうな点につきましての疑問を最初に若干申上げさして頂きたいと思います。
 一体時間としてはどのくらい頂いたらよろしうございますか、十五分くらいでございますか、二十分くらいでございますか。
#61
○委員長(鈴木恭一君) まあ二十分くらいでやつて頂けば結構でございますが、三十分になりましても結構でございます
#62
○参考人(鈴木竹雄君) 成るべくお忙しいことでございますから簡単にいたします。ただどういうふうなしきたりがあるのか私全然存じませんので、若し悪いところがございましたらどうか遠慮なく是正して頂きとうございます。
 この法案の第四条を見まして私ちよつと変だというふうな感じを受けたのでございますが、例えば「資本若しくは出資の半額以上若しくは議決権の過半数が外国人若しくは外国法人に属さない」、これはわかると思うのでございますが、どうも社員とか株主が属するとか属しないというのは私もちよつと変な書き方をしたものだと、外国人でないということはわかるが属するというのは何か所属しておる、或いはその所有に帰するといつたようなことだろうと思うのですが、文字としてもちよつと変じやないか私が立案をすればもつとほかの言葉を使うだろうと思いますけれども、これは小さなことでございますが、それから第四条の二項でございますが、「新株を発行しよう」ということが書いてございますが、一体この「新株を発行しよう」ということを立案者はどういうふうなお考えでなさつたのか。会社法によりますると、例えば今までの増資に当ります新株の発行のほかに、或いは株式の配当というふうな形で以て出るとき、或いは準備金を資本金に組入れましてそうして株が出る場合、或いは株式分割と称する場合もございますが、そういうのを商法の規定の上では直接新株の発行というふうにあからさまに謳つておらないのでありますが、理論に従つてそういうものも新株の発行というおつもりなのかどうか。そこに私としてはそういうおつもりならばつもりでも考えられるのでございますが、そういうつまり商法に直接書いてない言葉をこういうふうな形で書いておりますのは、狭い意味での新株の発行ということなのか、広い意味で新株の発行ということをつかまえようとしておるのか、いささか疑問が起るわけでございます。
 第六条に参りますると、ここで書いておりますのは、商法の二百九十七条の制限の特例が書いてございまして、会社に現存する純財産額又は資本及び準備金の総額のどちらか少い額の三倍となつております。商法の二百九十条の第三項というのに参りますと、これは旧債を返すために募集をいたします場合は、社債の総額の中に入つておらないのでありますが、入れなくてもよろしいという考え方があるのでございますが、一体それはこの但書の場合には適用があるつもりなのか、ないつもりなのか。今までもこういつたような第六条のような書き方をたしました立法もございますけれども、正確に申しますれば、その点までの配慮が要るのじやないか。例えば銀行等の債券発行等に関する法律というものはその点までの配慮がされておるのでありますが、この点一体どういうふうなお考え方でなすつたものかといつたようなことをちよつと疑問にいたします。
 次に十一条に参りますると、ここではやはり何と申しますか、上にずつと並んでおりまして、「解散」というものの次に「の決議は」とありますので、その「の決議」というのはずつと上にかかる趣旨なんだろうと存じます。その意味で議がいろいろここ挙つておるのでありますが、例えば「定款の変更」というのがここに書いてございます。改正商法が施行になりました結果、先ほど申上げました四条の二項の新株の発行というのはこれは定款変更の問題ではなくなりましたので、そこで恐らく四条の二項というものがこのほかにできたのだろうと存じますが、もう一つ資本の減少ということ、これも定款の変更ではなくなつたのでございます。定款の変更ということだけで押えておりますると、資本の減少ということはこれは押えようという気が全然なかつたのか、或いは忘れられたのであろうかという疑問が起るのでございます。
 次に十四条に参りますると、ここで「第十条、第十一条及び前二条の認可をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。」、その中で社債の募集というのが十条になります。これは大蔵大臣に協議をする。そうすると先ほど申しました四条の二項の新株発行というのはやはり会社の資本調達の問題になるわけなんで、それはここに何も書いてないので、大蔵大臣に協議しなくてもいいという積極的なつもりであつたのか、それともそれは或いは何と申しますか、不注意にお入れにならなかつたのか、どうも私にはただこれだけを拝見いたしましてどういうおつもりであつたかというようなことについての疑問が起つて来るのであります。それともう一つの点は、十一条を見ますと、これは「効力を生じない。」と書いてございまして、ほかに新株の発行の四条二項とか、或いは十条、或いは十三条のようなものは「受けなければならない。」、そういうふうな表現をされておるのであります。これは一体正確に効力要件でないというおつもりでお書きになつたものなんだろうか、この「受けなければならない。」というときも、或いは十一条の場合でも、その認可を受けなければやはり十六条一号の罰則の問題に入つて来るのじやないかと思われます。十一条だけはそれは無効である、ほかのは違法であり、従つて罰則の適用があるが、無効ではないというお考えであつたものかどうか。それもそうでないとするならば、どうして表現を変えたのであろうか、若干疑問が起るのであります。
 次に附則のほうへ入りますると、いわゆる設立委員というものがございまして、これはずつと設立をやつて行くわけでございます。商法の普通の会社ならば発起人がやるところをやるわけでありまして、併しこの設立委員というものも、法律上の地位と申しますか、性質、それが問題になりますが、これはこの規定の建前から申しますると、商法上のいわゆる発起人ではない。つまり発起人の規定が当然には適用されないという頭ですべての規定が書かれておるのではないかと思うのであります。そういう頭で見て参りますると、つまり八項の所では、設立委員は定款を作成するというふうに書いてございますが、そのほかに商法では百六十八条の二という所で、ただ定款を作成しただけでなくいよいよ設立にかかつて株を発行しようと思いますと、若干の事項を更に発起人がきめろということを言つております。この場合にはそこに掲げておりますることを余りきめなくてもいいと思うのですが、例えば百六十八条の二に「株式ノ発行価額」ということが書いてございますが、この法律の予想しておるところでは、公社の現物出資に対して割当てた株式の残りのものについての株主の募集を十一項でやるわけでございます。その募集をするという場合には発行価額をきめなければならないわけでその発行価額をきめろという問題は商法の百六十八条の二がこれは発起人について書かれておるけれども、併し条理上設立委員にも適用があるという考え方なのか。併しそうと仮に考えましても、それは郵政大臣の認可は要らないという考え方なのか、そこに私には立法をお考えになりましたかたの御意図についての若干の疑問が起るのであります。
 そのほかにも幾らかの疵と申しますか、私の疑問がなくはございませんが、こういつたことは或いは挙足取りになるかも知れませんけれども、併し我々がふだん立法を見ておりまして、立法の中に商法の規定というふうなものを十分に咀嚼をした上でできていないものがあるのじやないかということを常々感じておるのであります。その一つの例がこれでなければ幸いだと存じます。つまり昔の商法の基礎の上にできておりました特殊会社法のごときものをそのまま踏襲をいたしまして、昨年大改正になりました商法の改正というものについての十分な理解と、それに対応する準備がなくして立法がなされたものであるとするならば、それはお考え頂いたほうがいいのじやないかということを、私としては専門の立場、殊に私自身が始終やつておりまする問題として申上げておきたいと存ずるのであります。そのような、いわば法律的なテクニツクの問題から、私にお呼び出し頂きました時も、まあお使いに来られた方の御注文といつたようなものは、一体こういう特殊会社的なもので事業がやつて行かれると考えるかというふうな御質問があつたのでありまして、それを簡単に申上げたいと思います。
 一体こういつた事業は民営がいいのか、それから或いはいわば国営と申しますか、公営と申しますか、そういう形のものがいいかという問題でございますが、これは一概に勿論どちらがいいと言い切れる問題ではございませんので、いろいろなフアクターを考慮して決定しなければならないということは申すまでもございません。ただエフイシエンシイという点から言えば、普通の常識から言えば、民営という考え方が出て来ると思います。併し民営だからと言つてそれは何でも自由にしていいという意味ではない。つまり普通の株式会社のように自由に任せることはできないので、やはりこのような公益性と申しますか、公共性のあるものについての監督が必要であるということは誰が考えても一応出て来る結論ではないかと思います。然らば、そのような監督をするのならそこまで行かないで公社のような形でもいいじやないかというふうにも考えられまするが、併し公社よりは確かにこのほうが自由と申しますか、自由の範囲が広いということは言うまでもないことでありまして、それは予算を国会によつて制約をされないとか、或いは役員の選任の問題にしても或いは又経営委員会のようなものがあるかどうかというふうな問題にしても、これは申すまでもないことでございます。そこで問題なのは、この法案にありますような監督というものは、これだけ縛つたら手かせ足かせになつてどうにも動けないかというふうな問題でございますが、ここに書いてありまするような監督の方法は、これは今までと申しますか、今現在活きておりまする法律の中でも決して例がないわけではありません。少くとも若干の程度の違いと申すことができましよう。例えば公共事業令などを見ましても、社債の募集にしても、借入金にしても、或いは利益金の処分にしても、合併、解散というようなものをみんな縛つておるのでございます。或いは銀行法、或いは保険業法等を見ましても、まあ勿論全部とは申しませんけれども、或る一部のものができるわけであります。公共事業令などでは定款全部とは決して言つておりませんので、定款の中の或るものでございますが、保険業法あたりでは定款についても全部認可事項になつております。そのほか事業計画のようなものも、例えば海上運送法であるとか、或いは道路運送法であるとかいうふうなところで縛つておる点があるのでありまして、必ずしもここに書いてあることが今まで民営で行われておつた会社にないような特別なものであるとは私も思わないのでございます。従つてこれがあるから会社はどうにも動けなくなるようになるのではないかというふうなことは、そう言い切ることはできないような感じがするのであります。殊に今まで国が国家の事業としてやつておりましたものが民営にそれが開放される形になりまするときに、このような事業についての相当の監督というようなものはやはりなければならない、あつて然るべきものではないかというふうな感じがするのであります。この会社については他方において特典というふうなものは余りないのであります。それだのに監督が非常に強いというふうなことも考えられまするが、併し特典というものが書かれたものは、成るほど社債の発行限度であるとか、或いは外貨債務の保証であるとかいうふうなことでございましようが、併しこの会社自体がやつております営業というものは、それがいわば一つの事実上独占をなすわけでございまして、その点に非常に大きな特典があるということを考え、そして又それが故に一層公共性を持つのだということが考えられますので、必ずしもここにありまするようなことを、非常な縛り方であると直ちに断定をすることはできないように思うのであります。併しながら例えば定款の変更と申しましても、その定款の変更を一切合切認可を受けなければならないというふうにする必要があるのか。定款の中にはいろいろな事項があるわけでございますから、その事項を或いはもう少し具体的に考えてもいいじやないか。或いは又役員の選任解任というふうにありまするが、例えば選任をした、併し認可しなければ、両方の意思が合わなければ選任ができない。つまり選任のときも会社のほうが選ばなければ郵政大臣はどうにもしようがないのだ、解任のときも向うがやめようと言つたらやめさせてもいいじやないか、別にそれが認可をしなければいかんという必要があるのか。むしろそれよりは監督をするというのなら非常にけしからん。取締役、監査役のようなときに、それの解任命令を出すというふうなことが、他の法律にありますようなことがむしろ考えられるほうが筋ではないかというふうにも思うのであります。或いは又事業計画のことを毎営業年度書けというようなことが書いてありますが、こういつた事業計画というようなものも、そんな細かしいものまでも一体書かせるのか、書かせないつもりなのか、これは或いは施行令のほうできまることかとも思いまするが、余りそのような詳しい事業計画というようなものでなく、道路運送法や海上運送法にありまするような、初めに或る事業計画をきめて、そうしてそれを変更するというふうなときだけ問題にするというふうなことでもいいので、毎営業年度というようなことでやつて行く必要があるのかどうかというようなことも考えられていいことではないかというふうにも思うのであります。そのような個々的な問題のほかに、一般的に申しましても、結局民営にしたということの狙いがやはり活かされなければならないのだ。そうであるのなら、政府の監督というふうなものは、一方できるだけ大綱を押えるという態度で行くことが望ましいのでありましよう。それと共に、下必要な監督をする必要もないわけでございまして、その点は近頃の法律の中には、例えば公共事業令などにもございますように、申請があつたときにその申請が目的たる事業の達成に妨げがないというふうなときには認可しなければならんのだというふうな規定を置いて監督が無意味……、何と申しますか濫用されることを防ごうというふうなやり方、それをもう少し簡単にすれば、或いは独占禁止法が合併について縛つておりますように、届出をさせまして、そうして一定の期間のうちにいわば処分をする、禁止をするなら禁止をする、しないならそのままできるのだというふうなやり方をすることも考えられるのじやないかと思います。要するに私自身としては、こういつた問題につきましては、何と申しましても運営が一番大事なところでありまして、その運営というものは一方においては政府のほうが監督をする……郵政大臣或いは大蔵大臣のほうがむやみな監督をしないということ、そうしてそのために保障が要るというのなら、今申しましたような一つの規定を置くというふうなことも考えられるべきではないのか。他方におきまして又会社のほうも、このような場合に監督を受けるというふうなことから、ビユーロークラテイツクになつては、民営の実が挙らんということは申すまでもないわけであります。最初にこの会社ができまして、そこで役員を選ぶわけでございますが、その創立総会で選ぶ場合に、何と申しましても一番大きな議決権を持つておりますのは現物の出資をした公社であろうと思います。併し公社は会社ができますとすぐにその株を政府に渡して、政府は更にそれを一般に散らすという考え方のようであります。そうであるとするならば、公社はいわば一時の、将来のつまり株主のために、株式を一時持つているものと考えることができるわけでありまして、従つてその立場を離れ、自分の立場において、公社としての立場において考えるというふうな人選ではならないのではないかというふうに思うのであります。この会社が昔の特殊会社のように、総裁とか副総裁とか、或いは理事というふうな名前を使わないで、普通の商法上の取締役、監査役であるということが、やはりその実態を示して、民営的な長所を活かすようなものになるものである。勿論それは公正な人でなければならんことは申すまでもありませんけれども、他方において有能な経営者であるということが望ましいことであると考えるのであります。甚だ雑駁なことを申上げましたが、一応そのようなことを、法案を読みました読後感として感じましたことを申上げます。
#63
○委員長(鈴木恭一君) 有難うございました。鈴木教授に御質疑を。
#64
○小笠原二三男君 只今の公述は、その前提として国内のほうの電気通信は公社とし、国際関係の電気通信は会社とするほうがいいという、全体的な考えの前提に立つてのお話でございましようか。それとも国際は会社経営としてやつてやれないことはない。やるとすればこういう点を注意してやつたらどうかという、切離した問題としてお考えでございましようか、その点を。
#65
○参考人(鈴木竹雄君) その問題までは私は考えておりませんのです。その点につきましては、私には判断いたします十分な材料を持つておりません。
#66
○小笠原二三男君 鈴木先住は電信電話の復興会議ですか、復興審議会のほうの委員でもあられたように承わつておりますが、そのほうの関係で、当時公共企業体とするほうが望ましいという結論を得られるまでの段階の間に、会社とか民営論というものがありましたでしようか。又あつたとしますならば、どういうことが主として論点となつて、ああいう結論になつたのでありましようか。事情をお知りでしたら一つ。
#67
○参考人(鈴木竹雄君) 只今御質問を受けまして、私も当時あの審議会の委員をお引受けしたのであります。併し甚だ申訳ないことなんでございますが、お引受けをいたしますと共に、他方におきまして、商法の改正の問題が起りまして、私はその商法の改正につきましては、まあそういうことを自分の口から申しますことは甚だ烏滸がましいのでありますが、やはりあちらのほうには私を欠くことができないというような事情が生じまして、それとこの審議会とが非常にぶつかりましたものですから、私としてはこちらのほうには、こちらの審議会が非常に重要なものとは存じましたけれども、併しでき得る限りあちらの委員会のほうに出させて頂くというような御了解を当時の委員会において得ましたので、そうしばしばその委員会に出たわけではございませんので、その間におきまして、細かいいろいろ議論がなされましたことは私承知いたしておりません。そうして又あのような答申ができました場合に、最後におきましても、どの程度の議論が繰返されたのか存じませんが、私自身といたしましては、個人的な考え方として、非常にこれはむずかしい問題であることは重々存じておりまするが、併し民営というふうなことは、まあやつて見なければわからないということに一つの魅力があるのかも知れませんが、片方におきまして、異常なデツドロツクにぶつかつておりましたようなあの状態というようなものがやはり打開されるためには、エフシエンシイというのが非常に大事なんで、民営というようなことも相当考慮していいのではないかというふうなことを、私個人として考え、最初に発言したこともございます。併し問題は非常にむずかしい。一挙に民営に持つて行くことができるかどうかということも問題でございますし、又民営ということにいたしましても、果して本当の意味での民営になるか、やはり日本でやりますると、なかなか民営というふうなものがうまく行かないのじやないかということも、私は他方に考えざるを得なかつたので、結局非常に自信のない結論でありましたけれども、私はまあすべてが国営にすることが一番いいのだといつたような考え方を、当然には私自身としては持つておりませんでした。その後、併しながら何年かたちましたので、又事情もいろいろ変つているだろうと思いますので、先ほど申しましたように、現在におきましては、私どちらに判定するかというような材料も持つておりませんので、甚だ申訳ありませんが、その程度で……。
#68
○山田節男君 私はこの新商法、それから新らしい会社法に全然知識がないのでありますから、そのつもりでお聞き願いたいのですが、この会社法の第十条、第十一条、第十条は、いわゆる公社で言えば、経営委員会でこれはやり得るものであります。第十一条は、これはもう株主総会でやるものだと思うのですね。ところが、そういう特殊会社である点から見て、この点については第十条においてはこれは絶対条件として郵政大臣の許可を受けなくちやならない。第十一条では、若し郵政大臣の認可がなければその効力が発生しない。この二つの条文は、今の新らしい会社法或いは商法の、何と言いますか、通念と申しますか、根本理念から言つて、株式会社と称する経営体の全くその本質までも変えるようなものじやないか。特殊会社とは言え、株式会社である以上は、株主総会もあるという以上は、ここまで立入るということは株式会社の本質を否定するものじやないかと、かようにまあ考えるのですが、この点に対する御見解ですね。
#69
○参考人(鈴木竹雄君) 株主総会というものが株式会社の最高の機関であるというふうな考え方をとります学者、非常に強くその点を強調する学者もおります。その考え方の学者は、例えば戦争中ございました、あのほうぼうにできましたような統制会社的なものでございますが、それがその定款の中で、自分の会社の決議を知事の認可にかけるというふうな定款を作つても、それは無効だというふうな議論をする学者もございました。併しそういう考え方でなく、それは定款できめればできないわけではない。最高性と申しましても、それは会社の中における最高性なんで、それを自分たちの意思で以てほかへ持つて行くというふうなことは、別に差支えないというふうな考え方をしている者がむしろ多いのではないかと思います。先ほど申上げましたような、定款できめるというふうなことができないというものでありましても、法律の規定を以て、そしてその官庁の認可にかからせるというふうなことは、別に株式会社の本質自体に触れる問題ではないというふうに考えていると、一般の学者もそう思つていると私は思いまするので、必ずしもこういうふうに書いたからといつて、本質に触れる問題ではないと思います。先ほど、最初にお尋ねになりました問題として、やはり私もそういうつもりでこの立案がされているのだろうと思います。つまり、十一条というのは、株主総会の決議の問題であり、それはこの認可を受けなければ効力を生じない。ほかの問題はこれはこの取締役会で以てできる事柄なんだから、従つてそのできる事柄については認可がなくても効力は有効であろうというふうな考え方をしておりまして、それがこの取引の安全を保つゆえんであるというふうな、例えば中で以て認可を受けたか受けないかというようなことにかかわらず、社債を発行したらそれを有効なものにしてやろうとか、或いは資金の借入について、認可を受けたか受けないかというふうなことを相手方は気がつかないでいても、つまり認可を受けなかつた者の責任なんだというふうなことで、相手方を保護しようというふうな考えなのではないかというふうにも思うのであります。ただ併し改正商法におきましても、社債の募集を定款の規定で以て株主総会の決議事項とするということは、少しも妨げないのでございますし、又十三条にありますような、この設備の譲渡でございますが、これも商法の二百四十五条を見ますると、営業の全部又はその重要なる一部の譲渡というものは、総会の決議事項というふうになつておりまするので、必ずしも総会の事項だからそうしたのだ、或いはつまり総会の法定事項が十一条だけだからというふうな考え方だとすると、直ちに割切れないものが出て参りますので、一体その点につきましても、どういうおつもりでこういうふうな分け方をしたのかなというふうなことを、私が許されて質問をして、そしてお答えがあつたら又その上で考えるということになるわけですが、私だけでは、ただどうなるのかなということだけ申上げて……。
#70
○山田節男君 大体この政府の国営のものを一足飛びに民間会社にするという、その動機が、いわゆる経営の機動性といいますか、自由というものを確保して能率を上げ、又施設をよくして行こう、こういう趣旨なんですが、このように十一条、十条というような工合で、株主総会の決議というものがいろいろ会社における輿論と言いますか、それが、最高機関がこういう主管大臣によつて効力を失うか、或いは許可を受けられないというこの条項は、政府が意図しているように、民間の会社、株式会社としての機敏性と申しますかね、そういつたようなものの根本をこれで以て締め切つているのじやないか。殊にこれが若し官僚主義になれば、これはもう全く何のために株式会社にしたのかわからない。私はまあ立法者の立場から見まして、この十条、十一条、御指摘の十に条、十三条、この株式会社としてのあり方からすれば、全く株式会社の本質を失うものじやないか。特殊会社であつても、会社法で言う株式会社とすれば、全く生命を絶たれた生ける屍になるのじやないかという疑念があるから、この点御質問申上げたのですが、教授はこういう民間会社も、現在の商法或いは会社法から言えば止むを得ないというか、こういうこともあり得るだろうという御見解なのかどうか、この点お聞きしたい。
#71
○参考人(鈴木竹雄君) 株式会社の本質という問題につきまして、私が了解をいたしましたのは、甚だ即断だつたと存じます。私は法律的な意味における本質を損うかどうかというようなふうに、自分のふだん考えておりますることのほうにすぐ取つてしまいまして、それで以てそれは本質を損わないのだというふうに申上げたわけですが、それは立法を以てすれば、こういうことはつまり可能なことであるということを申上げただけで、これが妥当であるか妥当でないかというふうな問題、そして又今の御質問のように、それが株式会社の本質というのがつまり自由経営ということが本質であるというふうなお考えの下に、改めて了解を申上げたわけでございますけれども、そういう考え方をとつて、さてどうかという問題になるわけでございます。それで例えば今ございますような電力会社なら電力会社というものが、あれが公益事業の会社として、そうして株主総会できめました場合にも、先ほども申上げましたように、例えば株を余計発行しようと思いましても、それは認可を得なければならない、或いは利益金の処分というふうなものについても認可を得なければならん、合併解散の決議をしても認可を得なければならん、そういうようなことになつておるからと申しまして、それで以て、併し今の電力会社のようなものが株式会社じやないのだ、形骸だというふうなわけには行かないと思いますので、それは要するにどこまで縛ることが、このような独占的な事業であり、そうして公共の利益に関係しておるものであるというところから、どこまで縛つたら妥当であるかという政策の問題になると思いますので、それだけ縛つたら株式会社として法律的な本質がなくなるというものでないばかりでなく、ただそういつて株式会社が空になつてしまうというふうには私は考えられないのでございますけれども、この点は勿論私のただ主観的な考えに過ぎませんのです。
#72
○委員長(鈴木恭一君) どうも有難うございました。
 それでは元持株会社整理委員会の委員長をしておられました福川忠夫氏にお願いをしたいのでありますが、笹山氏におかれましては、元国際電気通信株式会社が連合軍最高司令官の覚書によりまして、政府のほうにその施設が移管せられた当時、委員長をしておられましたので、本日参考人としてお願い申上げたのでございます。
 御承知のように、今回政府は今まで国営でやつて参りました電気通信事業を、国内は公企業体、国際の通信は国際覧信電話株式会社という株式会社でこれを経営するように変革しようとして法案が提案されておるのでございます。私ども今審議の途中にあるのでございますが、この国際電気通信株式会社の資産として政府が措置いたします多くの部分は、先に国際電気通信株式会社から政府に移管せられた資産が多分に含まれておるのでございまして、当時の経緯等につきまして私どもお聞きしたいのでございます。そういう線に沿いまして御意見を拝聴できますれば非常に有難いと存じます。本日はお忙しいところわざわざ来て頂きまして誠に有難うございました。その点厚くお礼申上げます。よろしくお願いいたします。
#73
○参考人(笹山忠夫君) 只今委員長からお話のありましたように、国際電気通信株式会社が持株会社に指定せられた当時、私持株整理委員会の委員長をいたしておりました。何分にも五年ばかり前のことでございまして、私ども二十四年の八月に委員会を退任いたしましたし、父御承知のように、持株整理委員会自体が昨年の夏に仕事を完了して解散いたしてしまいましたような事情で、当時いろいろ仕事に関係しておりました者も、今方々に四散しておりますし、私の記憶も甚だ薄らいでおりまして正確を期しがたいと思いますけれども、大体私の記憶しておりまするだけのことは御質問に応じてお答え申上げて結構だと思います。
 同社が持株会社に指定されましたのは、昭和二十二年の三月だつたと思いますが、昨年持株会社整理委員会から同委員会が解散するに当つて、委員会の事業経過の要点を記録いたしまして、関係方面にそれぞれお配りした白書がございますが、その中にもはつきり書いてありまするけれども、国際電気通信株式会社と日本電信電話工事株式会社、この二社が三月に指定されたので、持株会社に指定されたのでありますけれども、これはちよつと特別の扱いだつたのであります。御案内のように、持株会社整理委員会の使命は、経済民主化のために、いわゆる財閥解体という仕事を担当したわけでありまして、今申上げました二社は、いわゆる純然たる財閥会社というものではなかつたと思つております。当時の経過を大体思い起しますると、持株会社整理委員会の直接の担当の司令部当事者は経済科学局の反トラスト課であつたのでありますが、その反トラスト課のほうから国際電気通信、日本電信電話工事両会社の仕事を政府に移管させるように、それは経済科学局でなく、CCSのほうにそういうことに方針が決定した。併しその移管させる資産の評価とか、或いは清算事務の監督といつたようなことをさせるのに、ほかに適当な機関が見当らない、幸い財閥解体の仕事をしておる持株会村整理委員会が、財閥会社に対して同様な仕事をやつておるので、持株会社整理委員会にやらせるのが一番適当ではないかと思うということに、CCSとESSの両者の協議の結果決定した。ついては持株会社整理委員会でその仕事をやるように措置をしろ、持株会社整理委員会でそういう仕事を担当するためには、その前提として持株会社に内閣総理大臣から指定を受けなければならない。そういう司令部の指図に基きまして、三月の初めに、臨時委員総会を開きまして、その趣旨を述べました。尤も附言いたしまするが、純然たる財閥会社ではありませんでしたけれども、国家の庇護の下に特別の仕事を独占的にやつておつた、又若干の子会社も持つておつたということで、いわゆる財閥関係の持株会社に指定されたところと類似したような性格も具備はしておりました。持株会社に指定するということが全然不合理だといつたようなことではなかつたわけです。従つて当時諸般のことは政府のほうとも連絡をして、措置して参つたのでありますが、勿論関係官庁とその辺のお打合せはしたと記憶しておりまするが、その線に基きまして、三月の初めの委員総会で、両社を持株会社に指定されることが妥当だと思うという委員会の決議をいたしまして、総理に意見書を差出しました。それに基いてその両社が持株会社に指定されたわけであります。そういうような経緯の点が、他の持株会社の場合と異なるものがあつた点を応御注意申上げておきたいと思う次第であります。
 それから評価の点でありまするが、極く大ざつぱに申上げるのでありますが、政府に移管する固定資産は帳簿価格で評価しろということになつておつたと思います。これはメモランダムには再建整備法の基準に基いて評価をしろということになつております。一々この両社の場合は、他の持株会社の場合以上に非常に司令部のほうの指図が厳格でありまして、それも私どもがそれまで常に接触しておつた反トラスト課だけでなく、むしろ反トラスト課よりもCCSの意向が非常に強く反トラスト課にも反映しておつたようであります。CCSの考え方が非常に厳しかつたように思います。それで委員会のほうでいろいろ措置する幅というものが非常に少く、まあ万事細かいところまでこういうふうにやれ、こういうふうにやれという指図を受けたのであります。それで今の固定資産の評価も、これも時価でやるべきか、帳簿価格によるべきかという点に若干問題もあつたように記憶しておりまするが、CCSの考え方が非常に当時強固でありまして、国家に移すのであるし、又株主の大部分は国であるという関係もあるし、国家財政にできるだけ負担をかけないようにしなければいかんといつたような諸般の点を強く主張されまして、簿価によるということに相成つたわけであります。残りの流動資産等につきましては、時価によることになりまして、その評価、それから処分等については委員会でもできるだけ会社に有利なようにというつもりで斡旋して参つたようなわけであります。処分資産の中で一番主要な質権は狛江の工場であつたと思いますが、狛江工場の処分に当つてはできるだけ株主又は従業員等に有利なようにするために、委員会で相当具体的にいろいろ斡旋の労をとりました。他の持株会社の場合に、そこまで委員会が深くタツチする必要はまあなかつたのが例でありましたけれども、この場合は会社当事者も相当手薄なようでありましたし、工場の処分に当つてできるだけ値段のいいところに処分できるようにいろいろ処分先を探して上げる、又その譲受け先について金融の斡旋もして上げるといつたようなところまで実はお世話した次第です。そういうことでどうやら額面を少し上廻つた程度に株主にも清算配当はできる、そういう状態であつたように思います。持株会社に指定されたところでも、現業部門を持つておつたところは、現業部門が主体である会社は、大体においてその有価証券の処分ということだけで、現業部門までは、後の集中排除法の関係のある限り手を着けられなかつたのが普通だつたのであります。その点では三井物産、三菱商事、その二社と、国際電気通信、日本電信電話工事、この二社、これだけがちよつと異例になつております。会社に対して直接解散のメモランダムの出たのも今申上げた四社だけであります。それから委員会令では、持株会社に指定されたところに対しては、委員会が必要と認めて指示した場合は、その財産のどういうものであつて本委員会に譲渡しなければならないということになつております。当時司令部の意図としては、不動産等についても譲渡を受けるといつたような意向を述べられたことがたびたびあつたのでありますが、私どもとしては、有価証券だけで十分だ、不動産その他の譲渡まで受ける必要はないと思うということで、有価証券以外の財産については譲渡の指令を出して、指示したことはたしかほかには全然なかつたと思いまするが、この国際電気通信の場合は、メモランダムにはつきりと、国に移管するに当つてその書類を持株会社整理委員会に移して、そうして持株会社整理委員会から買取れといつたメモランダムになつておりました。従つてこの場合に限つては、同社の有価証券だけでなく、国に譲渡したものを全部を一応持株会社に書類を移して、そうして持株会社整理委員会から国へ譲渡したという形式をとつております。勿論これは形式でたしか持株会社整理委員会へ書類を移して即日たしか国へお譲りしたその日に、国から一応持株会社整理委員会へ買入代金を受入れたということになつておると思います。形式だけではあつたと思いますけれども、メモランダムにそこまで書かれたのは、ほかには勿論なかつたわけです。ほかの財閥会社の場合等についてもそういう要求は相当あつたのであります。我々そこまでの必要はないと思つて折衝して、その都度、不動産とかいつたそういうものの財産の譲渡を受けるということをやらないで済んだわけでありましたけれども、その点国際電気通信の場合だけは異例であります。この点は、火元がCCSでありますので、或いは持株会社整理委員会に謳われておる点を最も厳格に解釈して、すべてそうやつておるのだという認識でやつて行こうとも思いますけれども、いずれにしても他の持株会社の措置の場合よりもこの二村の場合は、司令部の意図が非常に厳しく、まあ委員会で扱つた多数の事例のうちで一番峻厳な態度で臨まれたものの一つだ。まあそういつた何が、変つた面で物産とか商事といつたようなものもほかに二、三あります。最もそういつた峻厳な扱いを受けたものの一つであつたように思つております。大体の経過はそういう当時の空気だつたと思いまするが、なお御質問がございましたら記憶いたしております範囲内においてお答え申上げます。私今度の実は新らしい法案なるものをまだ拝見いたしておりませんので、どういうことを申上げたら御参考になるのかその辺はよく存じておりません。そのおつもりでお聞取りを願いたいと思います。
#74
○委員長(鈴木恭一君) 有難うございました。御質問がございますればお願いいたします。
#75
○山田節男君 それはこの問題について当面折渉された鈴木当時の次官が委員長をしておりました。山下通信監が当時の電気通信の代表取締役として契約を交わされているので、今日お忙しい中においでを願つたのは、一つはさつきおつしやつたような、当時CCSが非常にシビアであつた、厳重であつた。その点が私は今おつしやるように、第一これは財閥解体でないのだから持株会社整理委員会ですね、御処理なさるものではない、そういう異例な処置をすることになり、それから今お話を聞くとGHQのESS、殊にCCSが非常に厳重で、この国際電気通信については非常に厳重であつたとおつしやつた。それは何でしようか、電気通信会社であるが、一種の戦犯的な性格を持つた会社だと、或いは戦争遂行に非常に協力した会社だ、こういう意味でそういう異例な持株整理委員会にこの処理を一任されたのか。その厳重ということの、あなたがずつと御折衝なさつて一体その原因は那辺にあるのかということは具体的にお示し願えないでしようか。
#76
○参考人(笹山忠夫君) 只今おつしやられたように非常に独占事業で、そうして戦争にも非常に強力に寄与した、そういう会社である、いわば戦犯的会社であるといつたようなことも言つてはおつたようでありますが、実はさつき申上げましたように、持株会社整理委員会に問題が投げられたのは司令部のほうですつかり会社の措置についての結論が出てから、その結論を実行するための便宜手段として持株会社整理委員会に問題を投げられたのであります。投げられた後に我々のほうで一体どういう理由かということを聞いたときに、そういつたことは雑談的には言つておつたようでありますけれども、実際はどういう経過でそういう結論に行つたのか、その点は私どもとしては全然触れていなかつたのであります。むしろ当時或いはお役所のほうで同社のことで何かCCSと御折衝になつたのかと思います。CCSというものについては私はそれまで全然無関係でありました。CCSでそういう会社の結論を出したために、さつきお話申上げましたようにその結論を実行する方法としてそうしてESSに相談があつた。まあ理由をつければ持株会社として指定する理由もつくわけであります。これが全然理由のつかないものであれば、持株会社に指定しろと言われてもこれは法律上にもできなかつたと思いますが、理由をつければそういつた性格もないこともないわけであります。それで反トラスト課のほうでもそれでは一つ持株会社に指定して委員会にやらせたら丁度いいのじやないかということになつたのじやないかと思います。そういつた説明は今私どもにいつどういうわけでそういうふうに解散が命ぜられるかということになつたのか、厳しい措置になつたのか、そこに至る経過は全然私どもにはわかりませんです。ただ私個人の想像でありますけれども、私何かそのときに、経済民主化という線から言うと国営に移すということは少し逆のような感じをしたのでありますが、或いは大事な通信機関であるので、軍機の機密を保持するといつたような、そういうことで司令部が国へ移管しろというような結論になつたのかなあということを、これは全然私個人の想像だつたのであります。そんなことを想像した程度で、それ以上何も存じません。それだけにあとの非常な会社に対しての厳しい考え方の点がどこに原因があるのか、この点はどうも私にはよくわかりません。
#77
○山田節男君 それから次に国際電気通信株式会社の資産の評価の問題ですが、一九四七年二月十九日のマツカーサー司令部の覚書によると、鑑定評価は一九四六年十月十一日の企業再建整加法及び一九四六年十月三十日同勅令第五〇〇号による評価基準並びに手続によること、こういう指定があるわけですね、今おつしやつたようにこの会社については帳簿価格をとつた、第二会社の場合ならば帳簿価格ということもできると思うのであります。私いろいろ調査して見ますと、国際電気通信会社はいわゆる一種の国策会社であつて、配当も七分二厘に制限され、そうして事業は相当よく行つて利益は多い、そこで利益が多いから従つて施設の拡充改善ということも、これは事業の性質上日進月歩のものですから、そういう方面に多分の金を使つた、これは了解できるのであります。同時に減価償却という問題についても、そういう利率の相当大きな会社ですから、減価償却というものも相当これは事実高くやつている。現に電通省の提出を願つた資料を見まして、当時の譲受けた財産の帳簿価格なんか見ても、今日見れば尚更ですけれども、当時に見ましても非常に安いものです。こういつたような評価を、帳簿価格をとつた、而もこういうような指令があつて、私よく企業再建整備法の内容を存じませんが、こうして政府が成るほど出資者ではあつたかも知れない、こういう場合に殆んど只みたようにとつて帳簿価格によつたということが、特に国家であるだけに理解しかねるのであります。併しこういうようなことになつたことも、先ほどおつしやつたようにCCS或いはアンチトラスト課の方面で、非常に厳しくやれ、こういう流れを汲んであなたとしては、委員長としてそうやらざるを得なかつたのか、或いはその当時会社或いは電気通信省からそれについて、余り安いじやないかというような意見があつたのかどうか、この点を一つ知りたいのです。
#78
○参考人(笹山忠夫君) 国際電気通信の経営が非常に堅実にやられておられましたことは、私も持株会社整理委員会に関係する前に、日本興業銀行に在職しておりまして、大体の同社の経営状態等については若干知識を持つておつたわけであります。非常に内容のいい会社だと思つておつたわけであります。それだけに解散を命ぜられたりしたときにはなお驚いたわけであります。それからその評価の、今お話のように、再建整備法によれということになつておりまして、第二会社のほうは簿価、それから他に処分する場合には皆時価になつておりました。ただ国へ処分した場合も一般に営利会社、民間への処分ということが大体想定されてできた法律だと思いますが、お話のように国へ全面的に事業の全部、一部分じやなくて、まあ残つたものは極く一部分で、殆んど実体全部を国へ移管するといつたような、そういつた事例は恐らく再建整備計画でもほかにも例がなかつた問題じやないかと思いますが、それであるだけに一応広い意味で処分ということを時価によるべきじやないかということも当然考えたわけでありますが、全然事例のないことですし、当時御承知のように、再建整備計画は一応あの再建整備委員会で結論を出して、そして司令部のアプルーバルを求めるという形にはなつておりましたが、実際は司令部の事前了解を先につけておいて、そして事前了解がすつかりついたものを委員会にかけて、そうして今度正式にアプルーバルを求めるという措置をとつておつたように記憶しますが、それでその扱い方で疑問のあるものは事前に司令部担当者のところへ了解をつけておかないと、あとでどうにも動きがとれないのが実情でありまして、この場合CCSの担当官と、それから反トラスト課で再建整備計画を扱つておるミスター・ブツシユという人であつたのでありますが、その両者に今の点もいろいろ日本側でも問題がありましたが、私のほうも担当の事務の者も折衝を重ねたわけであります。まあそのときに一応向うの言つた言葉を申しますと、この会社は戦犯的会社だ、その株主もこういう会社の株を持つということがけしからんことだ、そうしてその株主は僅か四千人だ、ところが一般国民は八千万人いる、これを国へ移すということは、国へ高く売付けるということは、それだけ一般国民に又税金の負担をかけるようなことになるし、四千人の株主は文句言う筋はない、それからできるだけ安く、その意味で簿価で、第二会社の場合については簿価でやるべきだということを強く強調したのだそうでありますが、それに対して私どもとしては四千人の株主の、どういうかたがいたかよく記憶はいたしておりませんけれども、司令部の言うことも余りきつ過ぎると思いますし、それでその間折衝を重ねたわけですけれどもどうしてもその点が受入れられなかつたわけでその点を、当時はまだ逓信省といつた時代であつたわけでありますけれども、そちらの担当のおかた等にも司令部の言つておるところを説明申上げて、そして簿価での評価ということでやるよりほかにどうもいたしかたがないようであるということで、お役所関係のほうも御了解を得て止むを得ずそういう措置になつた。こういうのが実情だと記憶していますが、それで残りの試算をなかなか当時としては僅かなものになるのでございますが、そういつたものをよく処分するなり、又できる限り評価をよくするなりしなければ余りに株主のかたがお気の毒じやないかというような感じがして、さつき申上げましたように狛江の工場の処分等について直接銀行へ出向いていろいろ斡旋をしたような次第であります。評価の点は今申上げたような、つまり非常に司令部の態度が厳しくて、それでなければ当時の実情としては整備委員会で案を決議をしても到底向うはアプルーバルしないというのが実情だつたと思います。
#79
○山田節男君 これはもう御存じかも知れませんけれども、我々委員並びに国会に対してこういう元の国際電気通信会社の株主から実は請願を受けておるわけです。と申しますのは、先ほど御説明になつたように、当時の状況からまるで一方的な意思で非常に安く、例えば時価百億円するものを三千六百万円でこれを買収してしまつた、それならば株主としては、これは先ほどおつしやつたように四千人の株主が八千万の国民のために犠牲になる、これは私は株主の常識として黙つておれんと思うのです。ところが今回政府は、電気通信省はこの問題になつておる株主としてはもう諦められない、非常に馬鹿値で買収されたものが、政府は今度そのものを国際電信電話会社というものにしよう、而もその資本金は二十億円にしよう、大体二十億から三十五億というふうに政府は踏んでおるわけであります。そうすると株主から見ると、取上げた、例えば五寸の飴を今度は政府が民間会社にすると二十数億円の長い甘い飴に見せるから、八千万の国民のためには、それは四千人の株主が犠牲になる、これは甘んじて受けなければならない。併しそれを株式会社にして、又民間会社に今度は二十数億円、時価百億もする、場合によつては実に甘い、とても利益が出そうないろいろ条件のいい会社にする、そこで株主が、法理論は別としまして、私は人情としてもこういうことはどうだろう、こういうことにすると国家が民営のものを取上げたと言いますか、結果においては取上げて、これを二束三文で買つて、それに対して今度は五、六十倍というような、六十、七十倍のものにしてやるところに、これは私、政治道徳上から殊に政府の行為としても、これは実に再検討を要すべき問題じやないか、そういう請願が各委員並びに委員会、国会にも出て、或いは電通省にもそういうものが出たかどうか知りませんが、そういうような状況にありますので、今日御出席を願つて、その間の事情をお聞きしたわけですが、結論としましても要するにこの会社がこれほど、企業再建整備法にもよらない、いわゆる第二会社に、政府がいわゆる第二会社かのごとく帳簿価格で買上げられたということは、これは飽くまで当時の占領政治下の時期において、総司令部の一方的な意思であつたということは、これは確認してよろしいわけですか。
#80
○参考人(笹山忠夫君) お話のように司令部の一方的な、非常に強い意思表示だと思うのであります。私どもとしてはさつき申上げましたように、ほかの場合に比較して、非常に幅の狭い措置しか許されないのでありまして、その狭い中でできるだけ、余りにほかと比較して厳しいと思いまして、できるだけの措置を尽くしたつもりなんですが、当時としてはまあそれでどうやら四千人の株主のかたにも額面若干出る程度の分配ができそうだと、まあ初めはそれも到底むずかしいのではないかと思つたのですが、ともかくそこまですることができたということで、一応肩の荷は軽くなつたような気はしたのですが、ほかの例を御参考までに申上げますと、三井本社、三菱本社、或いは住友本社といつたようなところ、これも財閥当事者以外に一般の株主も相当あつたわけですが、ああいつた純然たる財閥会社の株主に対しての清算配当、これは国際電気通信の場合よりももつと一歩有利な配当を受けるような結果に今相成つております。これは当時はそこまでわからなかつたのですが、昨年すつかり持株会社整理委員会が解散しましたので、その間に全部そういつた仕事があらかたできたのであります。たしか三井本社、三菱本社それぞれ八、九十円前後の中間配当があつたかと思います。住友の場合は或いは二百円を超えたんじやないかと記憶します。先だつて三菱本社は完全に清算が完了して、その報告もあつたようでありますが、三井本社は或いはまだ若干残つておるのかとも思いますが、まあ一応今までの中間的な配当は最後的なものじやないと思いますが、大体九十円前後の中間配当があつたかと思います。国際電気通信の場合は六十三円ですか、まあ当時の払込額程度にやつと持つて行つたのであります。まあ私のほうとしては、最善の努力をして、漸くそこまでこぎつけることができた。一応それで株主のかたにも何とかまあ幾らか喜んで頂けるのじやないかといつたような気持でおつたわけでありまして、今申上げるように、純然たる財閥会社の株主でもそれ以上の有利な結果に相成つておるのを今日見ますると、まあ一応当時よかつたと、まあこぎつけてよかつたと思つたのですが、国際電気通信の一般株主のかたは一番お気の毒だつたという感じはいたしております。
#81
○山田節男君 最後に、これは甚だ愚問のようですけれども、一応ちよつとあなたの口からお聞きしたいことは、当時の逓信省のあなたの折衝した官吏が、こういうマツカーサー司令部の覚書が出て、こういう結果に処理するに至るまで、政府としてこういう帳簿価格というものをべらぼうに、殊にこの会社の減価償却から見て、非常に安い帳簿価格を、全く没収に等しいと思うほどのものをとるについては、政府は何らGHQに対しこの点については策動し、或いは持株会社整理委員会に対して何とかこれを指しとめようという策謀めいたものは、当時の折衝に当る逓信官僚は毫もしたことがないというように私は理解してよろしいですか。
#82
○参考人(笹山忠夫君) 実は持株会社整理委員会では絶えず司令部からやかましく言われておりましたのは、政府から一切干渉を受けてはいかんということを非常にやかましく言われておつたのです。この点は財閥解体の仕事をして行く上において私どももまあ非常に苦慮した点です。司令部はそういう態度で政府が何か圧迫を委員会に加えるんじやないか。そういうことをさしては財閥解体の仕事がまがるから、そういうことを絶対しちやいかんということを政府に対してはやかましく言われたようですけれども、私たち委員会の者に対してもその点は特にやかましく言われたんで、それで実は政府関係のかたと私ども委員をしておつたもの、殊に私委員長をやつておつたので、主だつたかたといろいろ御相談するといつたようなことを、むしろ避けなければならないといつた状態であつた。ところがそれでは委員会の仕事と政府の仕事が全く裏腹のようなことになつては、これは全く国家的に見て面白くないと思いまして、それで事務当事者に事務的な連絡はこれはどこの官庁とも緊密にやらせて、直接の官庁は、大蔵省が日本政府ではこの持株整理の仕事を内閣から委嘱されて担当されておつたわけです。委員会の総会等にも大蔵省から担当官を派遣して頂く、これも、司令部のほうで非常にやかましかつたのですが、単純なオヴザーバーといつたようなことでだんだん了解をつけて大蔵省の担当官に来て頂くようなふうにまあ漸次やつて行つたのであります。そういう点について非常にまあ我々政府国係のかたがたとの折衝ということを警戒しなければなりません。この国際電気通信の場合も私の記憶では或いは当時課長をしておられた方かと思いますけれども、委員会にまあこつそりお見え下すつてこういう結果になつたが、まあ一つ委員会で、できるだけ一つ会社の便宜を図つてやつてくれといつたような円滑にやつてくれといつたようなお話があつたのを記憶しておりますが、私自身はそれ以外にはお目にかからなかつた。併し或いは当時の事務担当者の責任者は、これは問題をずつと処理する過程においてたびたび逓信省の関係のお方と折衝はしておつただろうと思つております。ほかの問題でもそういう点はまあ事務当局者にやらしておりましたが、この場合も十分できるだけ緊密に連絡はとつてやつておつたと私は思つております。
#83
○小笠原二三男君 一点だけお伺いいたしますが、非常に当時お気の毒だつたという同情をお持ちになつて、他の株等の振合いから言つてこの会社の政府の買上げは非常に気の毒な結果になつたというお気持のようですが、現行法ではどうにもできませんけれども、仮に新会社設立の資産評価委員会等が資産を評価しまして、株を決定する場合に株なり、或いは金等によつて旧株主に対して補償をするというような立法等が行われるとしますならば、笹山さん個人としての御意見としては望ましいことだとお考えになりますか、やはりそれはそれとして打切るべきものとお考えになつておられますか。それをお伺いしたい。まあ心境をお伺いいたしたい。
#84
○参考人(笹山忠夫君) どうも非常にむずかしい問題だと思うのでありまするが、まあそういつたとが何か具体的に法的にできるものかどうか、その辺私も一向見当がつきませんが、まあ株主に対してお気の毒だつたという気持はやはり個人としてあります。ただこの戦争をめぐつてほかにもそういつた事例はこれは多々あつたとも言えると思うのであります。ただ戦争前のいろいろな財産関係のものは戦争後に、生命保険にしても、銀行預金にしても大きく打切られて非常な変動があつたということで、これはまあ一律に戦前のことは問題でないと思うのであります。戦後のことは戦前のものと若干違う点があるのじやないかというような感じもしないわけでもないのですが、ほかの財閥関係の会社等は、財閥解体といつたああいう大きい占領政策が掲げられてそれに基いての措置だつたわけでありまするから、まだそこに株主としてはまあ地震に会つたようなものだといつたような気持でみずから慰めるところもあるのであります。国際電気通信の場合どうして解散命令が出たのか、そこの点が私どものほうでもよくわかつていないのであります。そこが株主としても解散命令が出されたのはあの会社としてはやはり止むを得なかつたというようなことで、そこがよく納得されておれば株主としてもまあこれはやはり止むを得なかつたという気持になれるのじやないかと思いますが、そこの点が十分私どもにもはつきりしていない状態ですから、株主のかたもやはりそこが何か十分割切れていないのではなかろうかという気がするわけであります。それだけにほかの財閥会社、準財閥会社等の株主の場合よりももうちよつとお気の毒で、何かそこに措置のできるものであれば株主が少しでもお喜びになるのではないかという感じがするのですが、その程度以上の、にとはちよつと申上げかねます。
#85
○委員長(鈴木恭一君) どうも有難うございました。本日の審議はこれで終りますが、明日のことについてちよつと懇談を願います。
 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#86
○委員長(鈴木恭一君) 速記をつけて。本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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