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1951/03/12 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 通商産業委員会 第19号
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1951/03/12 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 通商産業委員会 第19号

#1
第013回国会 通商産業委員会 第19号
昭和二十七年三月十二日(水曜日)
   午後一時三十五分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     竹中 七郎君
   理事
           古池 信三君
           小林 英三君
           結城 安次君
           栗山 良夫君
   委員
           松平 勇雄君
           加藤 正人君
           島   清君
           下條 恭兵君
           境野 清雄君
           西田 隆男君
  政府委員
   通商産業政務次
   官       本間 俊一君
   通商産業省通商
   繊維局長    記内 角一君
   中小企業庁長官 小笠 公韶君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       林  誠一君
   常任委員会專門
   員       山本友太郎君
   常任委員会專門
   員       小田橋貞壽君
  説明員
   中小企業庁金融
   課長      谷敷  寛君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○通商及び産業一般に関する調査の件
 (繊維問題に関する件)
○派遣議員の報告
○日本製鉄株式会社法廢止法の一部を
 改正する法律案(内閣送付)
○商品取引所法の一部を改正する法律
 案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○理事(栗山良夫君) 只今より委員会を開会いたします。公報を以てお知らせをいたしました会議に付する事件のうち、順序を変更いたしまして、通商及び産業一般に関する調査の件を行いたいと存じます。そのうちで過日来問題になつておりました繊維問題に関する調査をいたしたいと存じます。
 先ず派遣議員の報告を求めます。
#3
○松平勇雄君 それでは派遣議員の報告をいたします。
 今回の派遣は二月一日に決定したのでありますが、いろいろの事情で遅れまして、下條、境野、松平の三名が三月四日出発、九日帰京という日程で参りました。目的は、中小企業の直面している困難な諸事情を調査するためでありますが、最初問題が福井の織物関係の労働組合並びに業界から提出されましたので、今回は主として、そのほうの事情を調査して参りました。参りましたところは、新潟県、石川県、福井県でありますが、各県で、県当局、繊維業者、金融業者、労働組合と懇談すると共に、機業地として新潟県では亀田、加茂、見付、栃尾を、石川県では金沢、根上を、福井県では福井、勝山を視察し、各地で座談会を開いて、関係各方面の忌憚のない御意見を聞いて参つたのであります。最近の繊維業の困難については、種々の原因が重なつていて、一言に盡すことはできません。勿論世界的な不況が影響していることは見逃し得ない事実でありますが、国内的には、昨年一――三月において輸入が大いに奨励され、それがその後における朝鮮の停戰交渉等によつて、市場価格の暴落を来たし、商社を初め織物業界が異常なる打撃を受けたことによるものが大きいのであります。そして、この結果商社の整理問題が起つているのでありますが、これが織物業界にしわ寄せされて、現在信用取引が殆んど杜絶の状態にあり、これが、業界不安の基をなしているのであります。更に、生産機構といたしましては、このたび視察いたしました各地で、最も多く使つている原料、それは人絹糸でありますが、この原糸を生産するのが僅かに六つの化繊会社で、これを使つているのが二万数千の中小機業家であること、而も、原糸の生産能力に比して、織布部門の生産能力が著しく過剰であること、この関係からして常に原料高、製品安という現象を生じやすいのであります。それだけに中小機業家に資本蓄積の機会が惠まれず、一旦不況になると、賃金さえ支払えないような業者が出て、経済問題よりは社会問題であるという現状を招来するのであります。このような事情については、いずれ詳細な報告書を作成して各位の御高覧に供したいと存じますから、ここでは省略させて頂きますが、業者並びに労働者が現在これが対策として要望しているのは、先ず第一に、糸価の安定であります。そのために生産調節をする必要もありますが、現在の中小企業等協同組合法では、それができないからというので、協同組合法の改正を希望しております。
 次に金融であります。糸価安定の方策も、現在のような金詰りでは不可能であり、金融ができない限り、倒産が頻出する危険があるので、金融の緩和が痛切に叫ばれておりました。そして中小企業に対する金融が比較的よく行われている新潟県、次いで石川県、その最も惡い福井県と、三者の困難性は中小金融の如何に比例しているように思えたのであります。そのほか税制、輸出政策、労働関係、電力問題等について中小業者の声は悲痛なものがありました。そして中小業者はいつも大企業に比して政府の保護が薄い、又政府に無視されているという感じを抱いているのでありまして、これは由々しき問題であります。そして、その要望事項の中には尤もと思われる点が多々あり、是非とも政府の善処を促したいのでありまするが、その一々については別に後ほど派遣議員から政府に対する質問の形でこれを申上げて参りたいと存じ、ここでは省かせて頂きます。
 以上簡單ながら報告を終ります。
#4
○理事(栗山良夫君) 只今松平君から現地調査の概要について御報告を受けたわけでありますが、報告の中にもございましたように、現地におきましていろいろ繊維問題の打開のためにしなければならない施策については、派遣議員の諸君から関係当局に質問の形式で質して行きたい、こういうお話でございましたので、さように取運んでよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○理事(栗山良夫君) それでは本件に関連をいたしまして、只今から政府当局に対しての御質問をお願いいたします。只今までに出席されておりますのは通産省繊維局長記内角一君、中小企業庁金融課長谷敷寛君、労働省労働基準局監督課長堀秀夫君の三君でございます。
 ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#6
○理事(栗山良夫君) 速記を始めて。
#7
○下條恭兵君 今度の調査の概要は、今松平委員から御報告いたした通りでありまするが、今度の調査によりまして政府当局にいろいろ質したい点がありますので、今から政府委員の来ておられる分から逐次お尋ねしたいと思うのです。更にこの中には金融の問題、或いはその他どうしても大臣を煩わさなくてはならん点がありますから、それは改めて要求することにしまして、今日は来ておられる政府委員にお尋ねしようと思います。
 それで第一番に私は中小企業庁にお尋ねしたいのでありますが、すでに中小企業庁も繊維関係の非常な金融難で、救済資金を要求していることは御承知と思うのでありますが、中小企業庁としては大体この繊維関係のこの危機を打開するために、中小企業に対してどれくらいの融資をしたら間に合うという見通しでいるか、これをちよつとお伺いしたいと思います。
#8
○説明員(谷敷寛君) 長官がちよつと遅れて参りますので私代理に伺つておきますが中小企業の問題につきましてはどうも正確な資料がなかなか集まりませんので、私どものほうとしましてはどれくらいの金を出せばいいかという実は正確な数字を持つておりませんが、当面の問題といたしましては、大蔵省方面に対しまして主としてすぐ役に立つ金として、商工組合中央金庫に対して二十億円程度の政府資金の預託をしてもらいたいという要求をしているわけでございまして、これは大体その線で、只今そのうち九億円は実現いたしております。残りの十一億円につきましても遠からず実現するのではないか、こういうふうに思つております。
#9
○下條恭兵君 只今の二十億要求しておられるということですが、私どもが廻つて見た感じから言いますと、私は二十億では到底足らんと思うのでありますが、これは今單に中小企業と言つておられましたが、私は繊維関係に限定して言つているので、且つ私どもが今言うのは商工中金を通じて、そうして繊維関係に紐付きで融資するための所要資金という意味で私はお尋ねしたのですが、通産省当局の今の説明はその通りですかどうですか、もう一度確かめておきたいと思います。
#10
○政府委員(本間俊一君) 遅れて参りまして大変恐縮でございますが、商工中金の関係は実は御承知であろうかと存じますが、十二月以来からずつと交渉を継続しておりますので、繊維ということに限定をいたしませんで実は交渉いたしておつたような次第でございます。従いまして只今説明員のほうから御報告申上げました九億というのは、繊維に必ず出すという紐付きにはなつておらないわけでございます。そこで一昨日来商工中金のほうとお話合いをいたしているのでございますが、商工中金のほうでも倉庫証券のような形で一つ融資をしようじやないかというようなことで只今話合つておりますが、まだこういう線で然らば出そうというところまでは至つておりませんが、そういう事情であります。
#11
○下條恭兵君 倉庫証券で融資する方法も一つの方法と思いますけれども、我々廻つて見た範囲におきましては、倉庫証券も何も持たなくて非常に困つている面が多いので、むしろ本当に救済するという対象というものは、そういう担保物件を持たないような中小企業の救済を意味すると思いますが、そういう担保物件を持たないような非常に窮境にある零細な企業に対しては、通産省はどういうふうにお手当なさろうと考えておりますかお伺いいたします。
#12
○政府委員(本間俊一君) 御承知のように福井の場合は従来で参りまするというと市銀の関係がその対象をなしているのであります。従つて私どもといたしましては、商工中金のみを以ては到底十分なわけには行かないというふうに考えておりますのでございますが、そこで府県のほうとも話合いをいたしまして市銀のほうの関係ももう少し一つ話合いを進めてくれんかというような考えを持つております。それから今御指摘の、担保を持たないような比較的小さい業者と申しますかそういうものにつきましては、信用保証協会のようなものを活用したらどうかというようなふうに考えております。
#13
○下條恭兵君 あとでお尋ねしようと思つたのですが、政務次官から市中銀行から融資せしめる方法というお話が出たので、この点についてお尋ねしたいと思います。市中銀行と言つても中小企業に金融するのは今の地方銀行だと思うのでありますが、今オーバー・ローンの問題が非常に問題になつているごとくに、市中銀行としても大銀行に比べれば地方銀行がどこにゆとりがあるか知れませんけれども、ここで私は貸出しする資金というものを、地方銀行も持たんと想像されるのです。それで地方銀行を本当に活用しようとすれば政府のほうで地方銀行に対する政府資金の預託とか何とかいう方法を考えてやらなければ、到底地方銀行からの金融というものは期待できないと思うのですが、そういう点に対する御計画なり考え方なりを伺いたいと思います。
#14
○政府委員(本間俊一君) 繊維の問題はお示しのありました通り、非常に大きな問題になつておりまするので、福井と限つてはございませんけれども、全般の問題といたしまして何と言いましても大元と申しますか、というような関係が大阪、関西を中心にいたしておりますので、御案内かと思いますが、只今業者と銀行側といろいろ話合いをいたしておるのでございますが、まだ具体的にどこにどれだけ出たということはまだ聞いておりませんのでございますが、いずれ政府のほうも私の話合いをいたしておりまする範囲では、相当の臍を固めておるような印象を持ちますので相当融資がつくのではないか、こういうふうに思つております。
#15
○下條恭兵君 私が通産省にお尋ねしたいのは、政府資金の預託なんということは、これは当然大蔵省の所管であることは勿論でありますが、通産省といたしまして大蔵省のほうにこういうことの手当に対してどのように用意しておられるかということを伺いたいのであります。なお今度政務次官もこの間出張されたと思いますが、私も旅行しまして深く印象付けられたものの一つには、政府が中小企業を見殺しにしながら大手筋の問屋とか、大企業だけを救済しておる。そうして結局中小企業はばたばた倒れて行くことを余儀なくされておることに対して不満が非常に強かつたのであります。私は先ほどから申上げるように、中小企業を助けるためには地方銀行に何らかの手を政府で打たなければならんと思うがどうかという点と、そういう点に対して通産省は大蔵省と今どのような交渉をしておるか、この点を伺いたいという意味です。
#16
○政府委員(本間俊一君) 通産省といたしましては大蔵省のほうへ一つ政府の預託のような形で金を出してくれんかという話はいたしております。
#17
○下條恭兵君 これは地方銀行に対して、今私は福井だけを例にとるのじやありません。石川県にしても新潟県或いは愛知県からも我々の党本部のほうにいろいろと陳情も来ておりますが、機業地はどこも同じだと思うのです。そこで全国的に通産省は繊維関係の中小企業を救済するためにどれぐらいの今資金を三月から四月にかけて見通しをつけておられるかという点と、そうしてそれに対する資金の手当の方途はどういうふうにしているかということを伺いたい。こういうことをお尋ねしたわけであります。
#18
○政府委員(記内角一君) 今大きな商社のほうに金融を考えて中小のほうを考えていないじやないかというお話でございましたが、現在の取引段階を見ておりますというと、機屋の金融をつけましても肝心のでき上つた製品が、商社の不安のために活溌な荷捌きができないというような事情が相当あるようでございまして、結局商社の立直りを見なければ中小企業の機屋が折角作つた品物も捌けない、従つて中小機屋のほうの金融にも差障りが出て来るというような事情も顯著に現われておりますので、中小の機屋の金融と同時に商社の対策ということで手を打つて参つた次第であります。従いまして中小の機屋だけを目安に金融問題を考えるわけにも参りませんし、又商社の動き如何によりましてはこの金額等も非常に少くて済むのではないかということも考えられて参るわけであります。従いまして業界のほうでは中小の、特に絹、人絹の方面につきましては要望としましては五十億欲しいというような意見を持つておりますが、そんなに要らないのではないかというふうに考えております。
#19
○下條恭兵君 私の質問の言葉が足りなかつたかも知れませんけれども、勿論問屋筋の復活がなければ中小企業が現在の取引機構の下において立直りができないことは勿論であります。従つて私も政府でいろいろ大手筋に対する資金手当、その他を心配していることは承知しておつたわけでありますが、御承知の通り大手筋のところはもう何とか懐も大きいでしようし、底も深いので……、中小企業においては誠にもう自転車経済というはやり言葉があるように、その日暮しの上に多数の労働者を抱えておるのであります。そういう点から言つてそれは順から言えば今繊維局長の言われる通り差支えないかも知れませんが、現実の問題は中小企業のほうをむしろ先に手を廻してもらわんと、もうどうにもならん段階に来ているということで私は心配しておるのです。私はまだあといろいろありますが、政務次官に一つお尋ねしたいことがあるのです。政務次官も多分各地で中共貿易についてはどうするかということで言われて来られたと思うのですが、私は一昨年の十二月の初めに通産省において或る種の品目に限つて輸出禁止をやつたときに、こういうことをやると、結局中共が報復的に出て日本経済は困難に直面するであろうということを言つたのですが、当時吉田総理も周東安本長官も支那人は商売は、商売、政治は政治と切離す民族であるから商売には差支えあるまいという楽観的の話だつたのです。ところがその後の趨勢は、私はここで政務次官と中共貿易の議論をしようというわけではありませんが、その後の趨勢は御承知の通りだと思います。今中小企業が浮ぶために非常に熱心に中国との貿易をやらせてもらえんかということを言つておりますが、通産省としましては、こういう、殊に今台北の交渉なんかがある過程におきましてどのような考えでおられるのか、この点を伺つておきたいと思います。
#20
○政府委員(本間俊一君) 御指摘のように従来は日本の繊維品は満韓支のほうに相当実は出ておつたわけでありますが、終戰後いろいろの事情で、この方面が思うような商いができないでおるわけであります。私どもといたしましては繊維は御承知のように制限品目でもありませんので、繊維類が中国のほうに出ますことは歓迎するのでございますが、ただこの決済の問題に一つの障害があろうと思います。それから御承知のように只今向うのほうから引合いになります品物はどちらかと申しますと機械類でありますとかいうような関係で、余り何と申しますか繊維類の引合いが少いように感ぜられるのでございますが、決済の問題、それからバーターの関係ならば繊維類を中国のほうに出すということにつきましては大いにやつて頂きたい。こういうような考え方を持つております。
#21
○下條恭兵君 今の台北の交渉や、それから今国会を通じての政府の答弁の様子なんかを見ておると、中共貿易というものにはてんで見限りをつけて何らやる意思がないか、或いは積極的に敵に廻すような印象を受けるように私は思つておるが、今政務次官の話だとやりたいけれども引合いがない云々ということがありましたが、もう少し積極的にこれを打開して行く方法というものを考える方法があるかないかということについて私は疑問を持つておるんですが、その点について、通産省はどういうふうにお考えになつておりますか。
#22
○政府委員(本間俊一君) 先ほども御答弁申上げたんでございますが、決済の問題、それから品物を出しました代りにどういう品物をこちらへ持つて来るかというような点で、いろいろむずかしい点があろうかと思うのでございますが、従つて只今申上げたような点が非常な隘路になつておるかと思うのでありますが、そういう問題さえうまく解決して参りまするならば、又解決するような案が出て参りますれば、繊維類は出しでいい、商いをしていい、こういうような考え方を持つております。
#23
○下條恭兵君 まだいろいろお尋ねしたい点もあるし、殊に中共貿易問題については、いろいろの私の考えもあるのですけれども、この問題は一応これで打切つておきます。
#24
○理事(栗山良夫君) これはこの前の企業合理化法のときにも問題になつたんでありますが、中共貿易の場合に、今本間次官も解決する案が、いい案があれば見込があるとおつしやつていますが、その案は一体誰が作るのですか。通産省でそういう案を作つて強力に推進をしてもらうというのが過日の高橋大臣と私とのいろいろな質疑応答の中の結論として出たように思つたわけです。そこまで本間次官はお考えになつていないのか、いるのか、この点をもう一度明らかにして頂きたいと思います。
#25
○政府委員(本間俊一君) 大臣がお答え申上げた線で私どもも考えておりますから、その点はどうかさよう御了承願います。
#26
○理事(栗山良夫君) そうすると、通商産業委員会としてはバーター問題、引合いの問題等を積極的に打開をして中共貿易、バトル以外の中共貿易については推進するために具体的に動き出す、こういう工合に理解していてよろしいですか。
#27
○下條恭兵君 この問題については改めて岡崎国務大臣と、それから周東安本長官に出席をしてもらつて一つ私は議論さしてもらいたい。
#28
○境野清雄君 私も今の下條議員と一緒に今度の繊維産地を六、七個所廻つて参つたのでありますけれども、各地区、行くところ行くところ相当今のお話の通り中小企業問題に対して、政府は熱意がないというようなことで我々行くところ行くところ吊し上げを食つたようなわけで、これは一つ十分その点を御承知の上で一つ私の質問にお答え願いたいと思うのであります。
 大体今私が各機業地を見まして、大体要約するとどういうふうにして糸価の安定をするか、それから生産調節するか、又併せて金融問題をどういうふうに解決するか、先ほど記内繊維局長からのお話のありましたような流通機関としての商社の再編成をどうするか、要約すればこの三つの問題じやないか、こう思うのでありまして、その第一の問題としての、業界をどうやつて安定するか、言い換えまするならば、糸価安定策、続いて生産調節、生産調節という面からはどうしても日本が現在供給している総原料、特に私が廻つて参りましたのは、絹、人絹の産地なので、それを前提としまして、絹と人絹の原糸の総供給量というものと現有設備というものの間には、どう勘定しましても六万台乃至七万台近い生産設備のほうの過剰があるのではないか、この過剰のありますものを政府自体はどういうふうなことによつてこれの生産調節をして行くのか、先ずこの点について繊維局長にお伺いしたいと思います。
#29
○政府委員(記内角一君) 御指摘の通り現在の原糸の供給から見ますと、相当多数の織機の過剰になつていることは御指摘の通りでありますが、さて然らばこれをどうして生産制限をするかということになつて参りますというと、結局実は原糸がなければ生産はできないはずでございます。従つて原糸の面で押えて行けば数量的には織物の生産制限は、いわば自動的にできるはずであります。併しその間におきまして、今度は過剰設備を持つている機屋の間で糸の奪い合いなり、或いは不良品等の生産というふうなことも出て参るかと思うのでございます。これを抑制するためには機屋自身がやはり又持て余しておる余剰のある織機を適当な方法で動かさないような方法を講じて行くよりほか途がないと思います。今更でき上りました織機を壊してしまうわけにも参りませんし、ただ現在の法規の上におきましてはこれを強制する方法がなかなかないわけです。実は協同組合法によりますれば或る程度の生産の調節は、減産の協定はできるわけであります。ただこれも加入脱退が自由でありますので、その生産協定に不讃成のものは組合から脱退して自由に操業できるという状況にも相成るわけであります。しばしば我々としては組合に対してこういう市況の際には糸の減産もさることながら、織物自体も減産しなければ機屋自身が困るというのでいろいろ勧奨はしておるのでありますが、その辺にいろいろな問題があるわけであります。併し現状におきましては、組合法の改正、その面における組合法の改正はいろいろな関係でできがたい状況になつております。従いまして今後におきましては、例えば商工中金が融資をする、先ほど倉庫証券あたりを対象として融資をするというふうな考え方も今進んでおるのでありますが、そういうふうな際におきまして野放図に生産をしておるようなところに対しては、融資を断つてもらうようなことも考えなければならんというふうなことも見ておるようであります。いろいろな方法でそういう現在の法律ではできがたい生産調節の問題の実を挙げて参りたい、というふうに考えておるのでありますが、ただ的確な極め手というものは目下の状態ではないという実情でございます。
#30
○境野清雄君 的確な極め手がないというので今のまま放任して置くということは、私はまかり間違つては今の問題は社会問題まで私は行くんじやないか、特にこの絹、人絹の機業地というものは本当にもう疲弊し盡しておるというような状態になつておるので私は通産省自体としてこれは何らかの問題として解決のほうへもつと私は熱意を進めて頂きたい。例えばそういうようなものができるかできないか別にしましても、農林省自体が生糸の糸価の安定策というもので三十億からの予算をとつてやつておる。勿論これは生糸の問題と化繊というものは、おのずから立場が違いますので、果して生糸と同じような線が化繊に適用でき得るや否やということはむずかしい問題がありましようが、この化繊に対しても糸価の安定策を講ずるというようなことを一体考えておるのかどうなのか、又そういうようなことを考えておりましても、これは法律を作りまして、その上で糸価の安定をするということでは時期的にも私は間に合わないと思うので、その前に大体この化繊会社と商社と織布業者というものの三者を一体にして何か一つ政府自体として、この中間の労でもとつてくれて、化繊会社と商社と織布部面というものに対して何らかの手を打つ、その生産調節に乗出す意図があるのかないのか。まあ先般何か紡績に対しましては四割操短というような線を出されたようでありまするし、これは勿論独禁法、或いは事業者団体法というものを勘案して、政府勧告というような形態で行つたのだと思いますが、従来は政府勧告というものによつてあの価格をいじくつて大失敗したことは、これは御承知の通りと思うのでありますが、そういうような手で、まあ政府勧告というような手でも、生産調節を何とかやつて行けるかどうか。これは勿論紡績のように総体から言つても百六社というようなものに対して、総体で二方四千八百というような、厖大な数字に上る絹、人絹の生産者を、そういうような面で果して完全に生産調節ができ得るか、でき得ないかということは、これは私どもよくわかつておりますが、併しそういうものに対して何らかお考えになつておるのか。そういうような手を打とうというようなことになつておるのかどうか。その点をお伺いしたいと思います。
#31
○政府委員(記内角一君) 只今申上げましたように、数量の点から申上げますれば、絹糸の供給を抑えさえすれば織物も調節はつくわけでございます。その観点から現在化繊のメーカーに相談をいたしまして、すでに人絹につきましては一月、二月……二月の数字はまだ的確にはわかつておりませんが、恐らく十二月に比べまして、二割程度の減産の方向で進んでおるわけであります。又スフにつきましても、大体三月におきましては一割五分見当の減産をするということに意見が一致いたしておるような次第でございます。問題はそういうふうな際におきまして、機屋が今までのような調子でおれば今度は糸の奪い合いになるということが問題になるわけでございます。織物自体の調節は絹糸の調節によつて、減産によりまして相当可能になることになるわけでございます。従いましてこういうことになりますと、機屋自身が非常な原料高の、糸高の織物安というようなことに追い込まれるわけであります。そういうことも噛み合せましてこの減産問題と並行しまして化繊メーカー、商社並びに機屋との間に、この間の調節をどうするかということで、今寄り寄り打ち合せを進めておるような次第でございます。成案を得次第逐次実施に入つて、一部においてはすでに或る程度、例えば化繊メーカーと商社あたりとの直結の方法による生産というようなことも、現在一部には行われつつあるような実情に相成つておるような次第でございます。
   〔理事栗山良夫君退席、委員長着席〕
#32
○境野清雄君 着々進めて頂くのは結構ですが、事態は非常に急迫していますので、私はこの問題は何とか第一回の通産省の打つた手によつて、全面的に解決をするというようなことは到底望み得ないので、一つずつでも私は早急に手を打つて頂きたい。これを強く要望するものであります。まああとで質問申上げようと思いますが、大体今の輸出が現状のような形になつておりますから、絹、人絹の輸出というものも停頓しておりますけれども、これがポンド領域への輸出を旺盛にするというような事態に相成つて参りまするなら、これは直ちに相当量の人絹糸は使用するのではないか、そういうような場面に立至つたときには、今のこの生産調節を、今にしてやつておきませんことには、必ずもう六社が横の提携をしまして糸価の暴騰を図る。こういうようなことで、又日本の糸価が安定しておらないから、長期の注文は出し得ない、いつも安いところを食われるというような前轍を踏むことは明らかなことでありまして、大体厖大な勢力を持つておる六つの化繊会社というものが、二万何千というような機業家を相手にしておるというようなことに対しては、こういうような一番最惡な時代に、政府が相当の手を打つておいて頂きませんと、これは後に禍根を残すんじやないか、そうでなくてもちよいと産み出せば化繊会社の横暴ということは常に唱えられておるのでありまして、これは特別に一つ政府におきましても何とかこの問題を解決するように格段の一つ御努力を願いたい、それも早急にやつて頂きたい、こういうことを私は強く要望するものであります。
 続いて先ほど下條委員から御質問のありました金融問題でありますけれども、先ほどの商工中金へ二十億を要望しておる、そのうち九億は実現しておる、というようなお話で、その九億は実現しておるが、中小全業一般的な問題で、絹、人絹の機業地というものに対しては何らまだ枠はきまつていないんだというようなお話でしたが、これは多分二月の下旬に本間政務次官は福井を視察せられまして、福井自体からの要望、言い換えれば全国のこの機業地に対して五十億乃至六十億の融資をして頂きたい、これはもう直接にお聞きだろうと思いますし、それがそのまま、五十億なり六十億なりというものがそのまま、今日の日本経済の上で中小機業地の金融ができるというようなことは、私も全然考えておりませんが、次官が二月の下旬に帰つて来られて以来、商工中金を通じてでもよし、又地方銀行への融資でもよし、資金源の導入でもよし、或いは先ほどお話のあつた国民金融公庫の利用でもよろしいのでありますけれども、そういうものを総括して、次官のお考えとして、今の中小機業地である絹、人絹機業地へ、一体どのくらいのものを総括的に出そうというようなことを折衝しておるのか、或いはそのうち幾らかはもう確保できたんだというような見通しがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
#33
○政府委員(本間俊一君) まだその点は数字は整つておりませんでございまして、先ほどの下條議員にお答えをいたしました程度の段階でございます。
#34
○境野清雄君 そうしますと、今のではまだその程度の段階で、結論は出ておらないというお話でしたが、通産省自体として一月には大臣も行つておられるようですし、二月には次官も行つておられ、繊維局長も行つておられると思いますので、一体福井を中心にせないでも、全国の絹、人絹機業地というものは、今日非常に喘いでおる、そういうものに対してどのくらいの金を出せば一応かたがつくと或いはどのくらいの金を政府自体では融資してやりたいと、こういう金額は大体おわかりになりませんか。
#35
○政府委員(記内角一君) 先ほども申上げましたように、これは兼ね合いの面が多いわけでございます。それから政務次官からお話がありましたように、まだ確定はしておらないというお話のようでございましたが、併しこれは急を要しますので、ケース・バイ・ケースには、個々の貸付には、その範囲内で今まで融通のつきました範囲で貸付を実施してもらつておるという状況でございます。我々もいろいろな推算はいたしておりますけれども、併しこれは必ずこれを貸さなければならんという性格のものではありませんし、やはり個々の相手方の信用状況なり、又誠実の度合などということをも勘案しなければなりませんので、ただこういう商工証券を持つて来れば当然貸すというわけにも参らないものも出て来るかと思います。従いまして一応の推算はいたしまして、例えば二十億の政府預託というようなことも要望いたしておるわけであります。まあこの辺から大体の御推察をお願いしたいと思います。
#36
○境野清雄君 商工中金で二十億を政府預託する、この形態はどういうような形態で二十億を預託するということなんですか。これはおわかりでございますか。
#37
○説明員(谷敷寛君) もうすでに実現いたしました九億につきましては大体七月頃までの予定になつておるのでございます。それから残りにつきましてはこれも恐らく四月に入つてから実現するだろうと思いますが、大体三カ月くらいではないかというふうに考えております。
#38
○境野清雄君 そうしますと、十一億と九億と、二十億やりましても大体商工中金自体は私の知つておる範囲でも政府預託で返さなければならんものが今日まで延ばしておつて、四月以降どうしても返す形になるであろう十三億の金と、それからどうなつておりますか、農林中金から五億二千万円くらい借りておるのではないか、又ルース台風のあそこで特別融資いたしました二億四千万円、総体で商工中金自体が二十億六千万円というものを借りておる。又そのものは別途に勘定をして、二十億というものがそれ以上に出るという意味に解釈してよろしいのか、或いは二十億は出すが、二十億六千万円というものは返すのだということになれば逆に六千万円不足してしまうのですけれども、その辺の操作はどうなつておるのですか。
#39
○説明員(谷敷寛君) 農林中金から借入れましたものはこれはすでに返済済のはすでございます。ルース台風の二億四千万円も返済は済んでおりまして現在残つておりますのは十三億残つておるわけでございまして、これは今のところでは六月七月の二回に分けて返す、こういうようになつておるのであります。そうしますと結局六、七月頃に全部引揚げられるのではないかということになるのでありますが、これは従来の例もございますので、期限が参りましたならばこれは再預託ということで大体行けるのではないか、こういうふうに考えております。
#40
○境野清雄君 そうしますと十二月末の多分商工中金の貸出残が二百十二億あつたと思いますが、二百十二億が十二月末にあつたのに、今のルース台風の二億四千万円、それから農林中金に五億二千万円というもので七億六千万円というものを支払つたというと、逆に私どもは二、三月は中小企業の金融危機であるというように考えておつて、三月頃には、相当の資金源をもつと加えてもらわなければ中小企業金融というものは行きつくじやないかと考えておつたのに逆行して、いわば九億、そういうような形になると出ておりましても、やはり九億というものは出ても十二月末日の貸出残と同じだとこういうようなふうに考えられる。そういうふうに考えられることは、今度各機業地を廻つて見ますと、従来手形割引をやつておつた枠というようなものについて非常に最近は商工中金がうるさくなつて、逆に担保物件を出さなければ手形の割引をしないというようなことで、我々が政府当局から聞いております商工中金への資金源を拡大する、拡大するという話が逆になつて、地方では商工中金が引揚げにかかつておるというようなことで、中小企業の金融というものは楽などころではなく、逆に苦しくなつておるというような現状になつておることは多分政府も薄々でも知つておるのだろうと思いますが、そういうことに対してもう少し大きい手を打つなり或いは十二月末日よりもまだ危機を叫ばれていた三月のほうが窮屈なんだというようなことじや金融措置を私はやつておらんのと同じだと考えるのですが、そういうような面に関して現実に商工中金の地方への粋が拡大できる、こういうような見通しはあるのでしようか、ないのですか。
#41
○説明員(谷敷寛君) 只今お尋ねの点でございますが、ルース台風と農林中金から借りていた分を差引きまして三億余りプラスになるわけでありまして、なお九、十億程度のものが預託されますならば若干の増加にはなるわけでありますが、併し私どもとしましては決してそれで十分だと、或いは満足だというふうには毛頭考えておらないわけでありまして、これは極力大蔵省当局に対してはその要求はしておるわけであります。なお商工中金に今まで預託しております十三億は二月三月に引揚げる予定でありましたが、この引揚げが延期になるということがきまり、或いは更に追加して九億プラスをするということがきまりましたのは極く最近のことでございまして、それがきまる前は中金の当局としましても資金の当てがないために末端の営業所に対しては相当引緊めるような方針を出しておつたようでございますが、これがきまりましたので、その方針は相当緩るんでおると思いますので、これは確定する前とは若干事情がよくなつて来ておるのではないか、こういうふうに考えております。
#42
○境野清雄君 まあ商工中金自体に後日来てもらつてよくそのところも私お聞きして見たいと思いますが……。それで今の二十億というものを商工中金に資金源の導入をするというものに対して通産省なり或いは中小企業庁なりは今中小企業問題、特に協同組合を対象とするこの事業の中で一体絹、人絹の繊維業というようなもの以外に相当逼迫し金融問題のものもあろうかと思いますが、大体商工中金に廻しました金のどのくらいのパーセンテージが絹人絹のメーカーのほうに廻るのか、そういうようなことについて大体の見通しでもありましたら承わりたいのでございます。
#43
○説明員(谷敷寛君) 正確な数字はちよつとございませんが、現在の中金の貸出のうち繊維関係に出ておりますのは二三、四%ぐらいであつたかと思いますが、今後新らしく貸出されますのは繊維業界が非常に逼迫しておりますので、この二割程度を下ることはないと思いますけれども、どのくらいになりますか、二割より若干上の程度、二、三割くらいではないかというふうに、これは漠然としたものでございますけれども、考えられるのではないかと思います。
#44
○境野清雄君 そうしますと今の二三%乃至二四%というようなもので行きまして、すでに九億実現しておることになりますれば、そのものに対して二億近いものが出し得るのじやないかというようなことになつておりまするが、そういたしますならば二億なら二億というものが、すでに出し得る段階に立至つておりますので、そういうものに対して一体繊維局としては先ず第一にどこの地区にこういうものを廻そうかというようなことに対してのお考えはありますか、どうでしようか。
#45
○政府委員(記内角一君) 各地ともそれぞれ要望がございますが、その辺は業界ともよく相談しながらやつて参りたいと考えております。
#46
○境野清雄君 そういうようなものが、全国の各地の中小企業の絹人絹機業地というものはお説の通り全くもう行きついておる。併し政府自体がこういうような九億の金が出たのだということによつて一地区なり、或いは各地区に均霑的になり早く出して頂けるならば、あとの金の目安もつくのだというようなことで、生産意欲なり、或いは仕事の上に非常な張合いが出て来るのじやないか、今のような形じやいつのたれ死するかわからん。言い換えれば場所によりましては相当過激な議論までしておる地区がございますので、そういうものに対しては一日も早く私はそういつた配分なり、その配分せないまでも、こういう形体でやれるから、一つ各協同組合の理事長なら理事長というものはこれに対してのあとの配分方法を考えろとか、或いは倉荷証券の形式で融資しようと思うからというような形態のものを一刻も早く一つ通産省自体で通告してもらうそのこと自体で全国の中小企業の機業地と、いうものが、ほつとするのじやないか、こんなふうに思うのですが、大体そういうものに対して大体の日にちでいいけれども、いつ頃になればそういうような通知なり、何なりこの問題が具体化するというようなお見通しが、その点伺いたいと思います。
#47
○説明員(谷敷寛君) 現在の商工中金の貸出は、これは原則は、やはり一般の金融ベースと申しますか、そういうことで出ておりますので、何と申しますか、政府で資金の割当をして、ここへ出せというようなふうにも簡單には参らんような状況でございますし、結局各地区の組合なら組合のかたがたと、中金と、或いは中小企業庁というようなもので或る程度の相談をするとかいうことで行かないと円滑でない、こういうふうに考えます。
#48
○境野清雄君 勿論お説の通りだと思うのですけれども、言い換えれば商工中金で今の九億の中で二億なら二億というものを絹、人絹の中小機業地へ廻すということに相成りますれば、直ちに新潟県なら新潟県に対して従来の枠を幾ら殖やすのだ、石川県に対し、福井県に対し、そういう形態は商工中金自体がやつてくれるのだと思いますけれども、そういうことをやる時期と、言い換えれば商工中金と中小企業庁並びに通産省の繊維局というようなものが一緒になつてお話して頂いて、そうして各地の協同組合へそういうものに対する通達なり何なりやり得るという見通しはどんなですか。
#49
○政府委員(記内角一君) 現在のやり方としましては、中金と業者、それから我々官庁側と一緒になりましてこの計画の案を進めております。具体的な進め方、今言つた貸出の具体的な方法についても絶えず緊密な連絡をとりながらやつておりますので、業界のほうも実情、進捗の程度は十分承知してそれの準備を進めておる次第でございます。従いまして、こちらからいつからやるというようなことまで直接考えなくても、自動的に方針がきまれば動いて参るのであります。勿論そのやり方でなくても、従来の一般原則に則つてやる中金の融資の面は絶えず進行いたしておるわけでございます。根本の制度を考えながら従来の方針と併せて実行に移しておるという段階でございます。
#50
○委員長(竹中七郎君) 境野君に申上げます。中小企業庁長官の小笠君が参りました。
#51
○境野清雄君 そうしますと、今の二十億という中小企業庁ですか、通産省ですか、その希望の二十億というものの中で九億が実現した、その実現した九億について今のような手を打たれるというのですか、あと十一億が出て来たのを待つてその手を打たれるのか、その点お伺いしたいと思います。
#52
○政府委員(記内角一君) 私どもとしては單にこの資金だけ、又資金に予定される資金ばかりでなく、全体として資金が動いておりまして、繁閉がいろいろ違つて参りますので、それ以外の一般の貸出に、向けられる分もできるだけこのほうに向けてもらいたい、それぞれの需給の用途に応じてこれ以上にも期待しておるわけであります。なお現在におきましてたしか三十億以上貸出が行われておつたかと思うのでありますがこれらの資金もそれぞれの必要に応じ、十分のところからは引揚げて参つて、足りないところに補つて参るというふうなことの調査もお願いをいたしておるような次第でございます
#53
○境野清雄君 次に今の金融問題で一つ政務次官に伺いたいのですが、多分福井へ参りましたときに、三年ほど前の福井の震災のときの復旧資金といいますか、あのものが多分出ておると思うのでありますが、あの金がまだ勿論返還してない、返還してないのであのものを何とか一時棚上してくれないかというような要望が次官にもあつたと存ずるのでありますけれども、あのものに対しては何か手を打たれましたかどうですか、その点お伺いしたいと思います。
#54
○政府委員(本間俊一君) 大蔵省のほうと話合いをいたしておりますが、まだ結論に到達いたしておりません。
#55
○境野清雄君 中小企業庁の長官が見えられたそうですから、長官に協同組合の問題で二、三お伺いしたいと思います。大体今度各地を観察して見ますと、協同組合という問題に関して大体この議論のありますことは、協同相合を政府自体が育成、強化して行くというのにもかかわらず、その一番大きな難点と申しますか隘路と申しますか、それがどうしてもこの加入脱退の自由というような点にあるやに聞いておりますが、これは勿論私どもが中小企業の協同組合ができたときに、でき得れば私どもとしては例の織物消費税を一割でも存置しておいて頂いて、そうしてそれによつて組合の強化策を図るということが一番僕たちは当を得たものじやないかというふうに考えておつたのでありますが、たまたま全廢されましたので組合自体がこの一般企業家を抑えると申しますか、そういうような極め手がなくなつてしまつたので、加入脱退の自由というものがその後において非常な問題になつているのじやないか、それから又加入規模の拡大、特にこれはこの繊維、染色というものから出ておつたようでありますけれども、こういうような問題に関して、中小企業庁としては、勿論現在の占領治下においてはそういうような問題は一応考えられないと思いますが、日本経済というもの並びにこの協同組合というようなものの観点から長官としては加入脱退の自由というものの条項並びにこの加入規模の拡大というようなものに関してどういうふうにお考えになつておるか伺いたいと思います。
#56
○政府委員(小笠公韶君) 先ず第一番の加入脱退の自由をこのまま認めて行つたほうがいいか、或いはそこに一定のブレーキをかけたほうがいいか、こういう問題であります。現在の中小企業等協同組合法の建前は加入脱退自由というふうなことになつておるわけであります。今日の日本の経済の民主化的な傾向、特に独占禁止法、事業者団体法等の流れを汲みまして、中小企業の協同組合というものは加入脱退を自由の原則とした次第であります。只今のような民主化の建前から行くと、加入脱退の自由という制度が私は筋であると思う。ただ現実の問題として日本の中小企業の現状から見て、真に相寄り、相助け、経済的に相寄り、相助けるという同好の士が集まつて組合制定を運用して行こうという、この理想に遠い現状というものが又一つあると思います。従いまして、その一つの制度の流れとしては加入脱退というか、同好の士が相携えて行く組合制度というものは、私たちはそれが現状がそこまでついて行つていないということから見て、制度を直すという形でなしに、別に特定の場合に、例えば自由販売をするとか、或いは不当競争というような特定の場合を限つて、そこに中間的な案を考えて行くというのが一つの考え方ではないかと私は実は思つておるわけであります。それから第二点の中小企業の協同組合に関する加入の範囲の問題でありまするが、現状は従業員の数百人と一応きめております。私は実はこれは狭過ぎると考えておるのであります。これは別途改正法案として御審議を願うことに予定されておりまするのでありまするが、今度の改正法案の予定では従業員の数を三百人まで上げることに大体予定いたしておるわけであります。そこで三百人になりますと御指摘の染色繊維というような部門におきましても多くのものが大体救われて来る、いわゆる組合員として安定した立場に置かれるようになるんじやないかと思うのであります。併しながら一面から申しますと日本の中小企業の集まりとしての協同組合に線を引くときに、どこらが一番妥当かということになるとなかなかむずかしいのであります。特に日本の中小企業の現状から見ますると、一つの力のあるものが旗振りとして入つて組合を作つて行く場合には実際上対社会的な力が強まつて来る、こういう場合が実際に予想されるのであります。従いましてそういう事実を考えますと、私の気持といたしましては、私は中小企業という観念で数的に限定を置かないほうが、却つて運用の妙を得るのではないかというのが私の個人の意見であります。併しながら諸般の事情から考えまして漸進的に取りあえず百人を三百人まで引上げる、こういうことで後刻御審議を願うという予定に相成つておるわけであります。
#57
○境野清雄君 今の協同組合を強化するということは、これは中小企業としては相当な問題になつておる。特に私どもが視察して参りました絹人絹の機業地というようなものに対して私どもが感じたことは、逆に製品検査というものを強制して行つたなら、それによつても一応この問題が解決するんじやないかというふうに考えておるのですが、製品の検査の強制権限というようなものによつてこういう問題を解決するというようなことを繊維局自体お考えになつておるかどうかその点を伺いたいと思います。
#58
○政府委員(記内角一君) 御承知の通り絹人絹織物の輸出の面につきまして国営検査を実施いたしておりますが、併しこれはいわゆる委託検査でありまして、強制検査にはなつておりません。従いまして検査を受けなくてもいいような建前には相成つております。併し現実の問題としまして商取引上国営検査を受けない品物は輸出の双方において対象にしないような商慣習にもなつておりますので、輸出品に関しまする限りは大体全部が検査を受けておるという実情に相成つております。ただ国内向けのものだけが、これは検査協会というものがありましてここで検査をすることにはいたしておりますが、必ずしも検査を受けなくてもよろしいということに相成つておるわけであります。併しこの面も漸次こういうふうに粗惡品が出て参るとか市況が不安定になるというふうな状況になつて参りまするというと少くとも検査品でなければ受渡しをしないというふうな気風が漸次出て参つておりますので、目下のところ組合が検査をする、而もそれが強制検査をするという建前をとることまでは考えておらないのであります。
#59
○境野清雄君 次に各地で非常に心配もしており、現実に困つております問題は、輸出振興対策というような問題なんでありますが、いわゆるポンド地域に対しての輸出を制限するというような政府の見解がありましたのでこれは御承知の通り人絹、化繊の織物というものの大部分はポンド領域に向つての輸出で彫りますので、そういうような面からこれは相当な脅威じやないかというようなふうに感ぜられておるのでありますが、こういうポンド地域に対する人絹、化繊の織物の輸出というようなものについてはどういうようなお考えでありますか、伺いたいと思います。
#60
○政府委員(記内角一君) 御承知の通りポンドの問題をめぐりましていろいろないきさつがありました結果、結局ポンド地域に対しましては輸出を抑制せざるを得ないというところに立至つたのでございます。ただ実際問題としましては我々はポンドの累積の問題もありますが、根本の考え方としてこれ以上ポンドを溜めたくないという、この程度にとどめたいという考え方をとつておるのであります。従いましてポンドの輸出調整におきましても單に人絹ばかりではないのでありまして、対象になつております繊維はすべてでありますが、香港、シンガポールの中継地帯に向けられますもの以外は大体昨年の実績までの数量で昨年度程度のものは輸出を認めるということにいたしておるわけであります。極く最近になりまして化繊関係の輸出も非常に伸張はいたしておるようでありますが、年間を通じて去年程度出るのであれば、ポンド地域に関する限りはまずまず相当のものじやないかというふうに考えておる次第でございます。
#61
○境野清雄君 この輸出に関しましては、又次の機会に、私はポンド地域の問題は詳細質問したいと思うのでありますが、ただ繊維に関する限り何か一応最近香港、シンガポールに非常に繊維が旺盛に輸出されておる、併しながら旺盛に輸出されておりますのは、大体十一月以降非常に旺盛になつておるというような形態に相成つておりまして、言い換えればここ二、三カ月が非常に数量が殖えておるので、その前は余り殖えておらないというのが香港、シンガポールに対する人絹織物の輸出というような情勢に相成つておるのですが、たまたま政府のほうではこの輸出を抑えて行く今のお話のような場合、昨年度のロングヤードで抑えて行くのだというような話を聞いておるのですが、若し昨年度のロングヤードというもので抑えて行きますと、香港なりシンガポールなりというものはここ二、三カ月のものは相当数量的に使つて行く、そうしてそれによつて一応のリミツトをつけられますと、今後相当な要望がありましてもそれに応えるものは一、二カ月で一年度の枠を使つてしまうというような結果になりはしないかと我々は非常に心配しておるのですが、特に最近になつて殖えました香港、シンガポールというようなものに対しては別途の方法を講ずる意向であるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#62
○政府委員(記内角一君) 香港、シンガポールの輸出は、御指摘の通り最近になつて殖えておるのでありますが、これは一つはその原因と申しますのは、ポンドが非常に弱くなつておりますので、これを香港でポンド建で買付けてインドネシアその他のほうに出して行く、御承知のようにインドネシア等はいわゆるオープンアカウント地域になつておりますけれども、これはこちらから売越しが非常に嵩んで参りまして、目下の状態ではこれ以上は取引はできない、こちらが制限しなければ向うは輸入制限をするというような関係に相成つておるわけであります。むしろこれはそれをめぐつて中継地であります香港、シンガポールを経由して出ておるというような気配も窺われるのであります。従いましてここの輸出を認めることは却つてドル地域への輸出を阻害するとか、あらゆるオープンアカウント地域への輸出を阻害するということにもなりますので、この地域につきましては、只今申上げました去年の実績というよりも、一昨年の実績ということで相当この数字を抑えて参るという建前をとつておるわけであります。
#63
○境野清雄君 大体私は通産省に対する質問、特に商社の問題があるのですが、商社の問題は又次の機会に私質問したい。商社に対しては多分政府自体も手を打つておられるようでありますし、先ほど政務次官からもちよつとその片鱗を伺つたのでありますが、大体今の流通機関としての商社というものは、これは勿論私は再編成しなければならん。資力が足りなくて、そうして日本経済の底の浅いという面は一番商社によつて明らかにされておるというような現状でありますので、商社問題は、これは政府の方針を私は改めてお伺いしたい。なお又この問題に関しましては、電力の問題、或いは今の金融問題に関しては大蔵当局に出て来て頂いて改めてお伺いしたいと思つておるのでありますけれども、いずれにしましても、私どもの廻りました絹、人絹の機業地というようなものは、先ほど来申上げましたように非常に疲弊をしておりまして、本当の恐慌の前夜というような感を私どもは強くしたのでありまして、政府自体がこれに対する対応策というものは、これはもう緊急に立ててもらいたい。而もその安定策というようなものに対しましても、これはいろいろな制約する問題もあると思うのでありますけれども、一応手を打つてもらいたい。金融措置にしましても、今の九億なら九億というものを早急に手を打つてもらいまして、政府目体はこの問題は真劍に考えているのだということを示して頂きませんと、私は今の絹、人絹の機業地というものは社会問題まで起すであろうというようなふうにまで私どもは深刻に考えて来たのでありまして、これについては改めて私ども又何かと案を政府のほうへ提示して、政府のほうにもそういうような相談に乗つてもらいたいというふうに思つておるのでありますけれども、取りあえず私どもは二日ばかり前に戻つて参りましたので、機業地の報告を兼ねて、機業地において問題になりました点だけを一応私のほうから質問したのでありますけれども、一つ繊維局におかれましても、この問題は相当重要な問題である。政務次官御自身も福井を見て来られてよくおわかりだろう。併し先方の言う通りそのまま鵜呑にして金融対策その他が行えないということは、政府自体も、又私どももよくわかつておりますので、そういう点も今後とも何とか一つ検討せられて、打つ手だけは早く打つて頂きたい、こういうことを強く要望いたしまして私の質問を終らせて頂きます。
#64
○委員長(竹中七郎君) ほかに御質問はございませんか。……この問題はこれで打切ります。
#65
○委員長(竹中七郎君) 次に日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案(予備審査)及び商品取引所法の一部を改正する法律案(予備審査)を議題といたします。
 先ず政府より提案理由の御説明を願います。
#66
○政府委員(本間俊一君) 提案の理由を申上げます。
 日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案についてその提案理由を御説明いたします。日本製鉄株式会社法廃止法は、日本製鉄株式会社が企業再建整備法の規定による決定整備計画に従い昭和二十五年三月三十一日解散して清算事務に入つたのに伴い、日本製鉄株式会社法を廃止すると共に、これに伴う経過措置を規定したもので、昭和二十五年八月五日法律第二百四十号を以て公布施行されたものであります。旧日本製鉄株式会社法の規定によれば、いわゆる一般担保制度の適用により社債の発行に当つて工場抵当法による工場財団を組成する必要がなかつたため、同社の資産については全く工場財団の組成に必要な措置が講ぜられていなかつたことに鑑み、日本製鉄株式会社法廃止法を制定するについては附則第五項乃至第七項を設けて日本製鉄株式会社の第二会社である八幡製鉄株式会社及び富士製鉄株式会社の二社に対して財団組成のため猶予期間を認め、二年間を限つてなお一般担保による社債の発行を許容すると共に、見返資金等の担保についても特例を認めたものであります。併しながら何分にも官営八幡製鉄所以来の長い歴史と厖大なる資産のため、財団組成手続は予想以上に煩鎖であり、多くの日時を要したのみならず、かたがた同法制定当時から客観情勢も全く一転して我が国鉄鋼業の合理化は内外から強く要請されることとなつて参りましたため、これら二社の設備資金需要額も同法制定当時の予想に比し著しく増大し、組成を必要とされる財団の範囲もおのずから大となり、従つて同法に規定された二カ年間の期限である本年八月四日までには所要の財団組成を完了することは極めて困難となつて参つたのであります。若しこの期限内に財団組成が完了できない場合においては社債の発行も困難となり、従つて今後の資金の調達に多大の支障を来し、鉄鋼業の合理化にも極めて大きな影響をもたらすことが予想せられるのであります。
 従いまして、日本製鉄株式会社法廢止法の附則第五項乃至第七項に規定された期限を、いま一年延長することが適当であると認められます。これがこの法律案を提出する理由であります。
 何とぞ愼重御審議の上速かに御協賛をお願いする次第でございます。
 次に商品取引所法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由を申上げます。
 昭和二十五年八月二十日を以て、商品取引所法が施行されましてから約一年数カ月を経過し、その間に設立されました商品取引所は十一カ所を数えますが、それらは、商品の価格の形成及び売買取引の公正化を通じて、国民経済の適切な運営に寄與して参つたのであります。申すまでもなく、商品取引法は商品取引所の組織、商品市場における売買取引の管理等について定めているのでありますが、同法施行後、商品取引所における売買取引の安全、商品取引所の自治の伸長等について、現行制度に適正な改善を加える必要が生じて来たのであります。従いまして右の趣旨から、それぞれ必要な事項の改正について立法化することといたしまして、本法律案を提出する次第であります。
 本法律案は、右の趣旨に鑑みまして、大要左のような措置を内容といたしております。一、売買取引の安全を強化するため、(1)商品取引所は、会員又は商品仲買人の定員を設けることができるようにし、(2)商品仲買人の使用人で取引所の登録を受けたものをして委託の勧誘に従事させることができるようにし、(3)特別担保金を設けることができるようにすること。二、商品取引所の自治の伸長を図るため、(1)商品仲買人の登録に関する商品取引所の事前の承認を認め、(2)商品仲買人の届出書は、商品取引所を経由するものとすること。
 三、商品取引所、会員又は商品仲買人に対する監督につき遺憾なきを期するため、関係条文を整備すること。四、その他法文の字句修正といたしまして、(1)会員の新加入又は商品市場において売買取引する商品の追加に係る純資産額調査は、会員となつた日以前三十日以内の日の現在におけるものとすること。(2)商品仲買人の登録申請書の記載事項に委託を受ける商品を追加すること。(3)商品仲買人の所属する商品取引所の名称が変更したときは、商品仲買人の登録変更申請手続を省略するものとすること。(4)商品仲買人の受託業務の庭止届はすべての商品市場におけるものとすること。(5)商品取引所審議会の会長及び委員の手当等については別に法律に定めるものによるとすること。
 本法案の趣旨及び内容はおおむね以上の通りでありますので、何とぞ愼重に御審議の上、成るべく速かに御協賛下さるようお願いいたします。
#67
○委員長(竹中七郎君) 質疑は次回にいたしまして、本日はこの程度において散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
#68
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めまして、本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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