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1951/04/01 第13回国会 参議院 参議院会議録情報 第013回国会 通商産業委員会 第26号
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1951/04/01 第13回国会 参議院

参議院会議録情報 第013回国会 通商産業委員会 第26号

#1
第013回国会 通商産業委員会 第26号
昭和二十七年四月一日(火曜日)
   午前十時五十六分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     竹中 七郎君
   理事
           古池 信三君
           小林 英三君
           結城 安次君
           栗山 良夫君
   委員
           中川 以良君
           松本  昇君
           松平 勇雄君
           山本 米治君
           山川 良一君
           小松 正雄君
           島   清君
           境野 清雄君
           西田 隆男君
           堀木 鎌三君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       林  誠一君
   常任委員会專門
   員       小田橋貞壽君
   常任委員会專門
   員       山本友太郎君
  証人
   元逓信省電気局
   事務官     内田 省三君
   大蔵省主税局長 平田敬一郎君
   東京国税庁調査
   査察部長    明里長太郎君
   東京電力株式会
   社副社長    高井亮太郎君
   京都市議会議員 西村  力君
   関西電力株式会
   社経理部長代理 吉村 清三君
   仙台市総務部長 伊藤 修助君
   東京大学法学部
   長       宮澤 俊義君
  参考人
   元衆議院議員  福田關次郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○公共事業令の一部を改正する法律案
 (衆議院提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(竹中七郎君) 只今から通商産業委員会を開会いたします。
 本日は公共事業令の一部を改正する法律案に関して証人の意見を聽取いたします。証人の人選に関しましては、委員会の決定に従い、理事諸君と個別に打合せの上にてお手許に配付の通りに召喚手続をいたしましたところ、仙台市長の岡崎君から診断書を添えて病気のため出頭いたしがたき旨届出があり、当市の総務部長の伊藤修助君に変更されたき旨の申出がございました。事情止むを得んと考えますが、本人の申出通りに変更することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないと認め、変更の手続をとることにいたします。
 次にお諮りいたしますが、証人太田哲三君より文書を以て変更しがたき旅行日程のため、本日出頭いたしがたき旨の申出があり、同時に当委員会の要求事項に対する文書の答弁が提出されました。これは参議院規則第百八十四條の「証人は、議院に出頭して証言しなければならない。但し、止むを得ない事由があるときは、文書で証言することができる。」に該当するものと認められます。この文書を証言として採用することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないと認めます。それではさよう取計らうことにいたしまして、文書は後ほど印刷いたしまして配付いたします。
 次に証人のかたに御証言を願う前に、議院に於ける証人の宣誓及び証言等に関する法律第二條によりまして、宣誓をして頂かなければなりませんが、宣誓に入ります前に、証人のかたに念のために申上げます。これから宣誓を行なつて証言をして頂くのでありますが、若し虚僞の証言を陳述したときは、議院に於ける証人の宣誓及び証言等に関する法律第六條によりまして、三月以上十年以下の懲役に処する罰則があります。又正当の理由なくして宣誓若しくは証言を拒んだときは、同法第七條によりまして、一年以下の禁錮又は一万円以下の罰金に処せられることになつております。但し、同法第四條によりまして「民事訴訟法第二百八十條(第三号の場合を除く。)及び第二百八十一條(第一項第一号及び第三号の場合を除く。)の規定に該当する場合に限り、宣誓又は証言若しくは書類の提出を拒むことができる。」、なお念のために民事訴訟法第二百八十條第二百八十一條の該当の個所を読上げます。
  第二百八十條 証言カ証人又ハ左ニ掲クル者ノ刑事上ノ訴追又ハ処罰ヲ招ク虞アル事項ニ関スルトキハ証人ハ証言ヲ拒ムコトヲ得証言カ此等ノ者ノ恥辱ニ帰スヘキ事項ニ関スルトキ亦同シ
  一 証人ノ配偶者、四親等内ノ血族若ハ三親等内ノ姻族又ハ証人ト此等ノ親族関係アリタル者
  二 証人ノ後見人又ハ証人ノ後見ヲ受クル者
  次に民事訴訟法第二百八十一條の該当部分を朗読いたします。
  第二百八十一條 左ノ場合二於テハ証人ハ証言ヲ拒ムコトヲ得
  二 医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教又ハ祷紀ノ職ニ在ル者又ハ此等ノ職ニ在リタル者カ職務上知リタル事実ニシテ黙秘スヘキモノニ付訊問ヲ受クルトキ
  前項ノ規定ハ証人カ黙秘ノ義務ヲ免セラレタル場合ニハ之ヲ適用セス
以上であります。
 なお、議院に於ける証人の宣誓及び証言等に関する法律第五條により、証人が公務員である場合又は公務員であつた場合(国務大臣以外の国会議員を除く。)その者が知り得た事実について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、当該公務所又はその監督庁の承認がなければ、委員会は証言を求めることができないことになつておりますから、一言申上げておきます。
 それでは証人のかたに順次御宣誓を求めます。証人西田省三君、宣誓書を御朗読願います。
   〔総員起立、証人は次のように宣誓を行なつた〕
   宣 誓 書
 良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 内田 省三
#5
○委員長(竹中七郎君) 宣誓書に御署名捺印をお願いいたします。
 次に平田敬一郎君。
   宣 誓 書
 良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 平田敬一郎
#6
○委員長(竹中七郎君) 宣誓書に署名捺印をお願いします。
 次に明里長太郎君。
   宣 誓 書
 良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 明里長太郎
#7
○委員長(竹中七郎君) 宣誓書に署名捺印を願います。
 高井亮太郎君。
   宣 誓 書
 良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 高井亮太郎
#8
○委員長(竹中七郎君) 宣誓書に署名捺印をお願いします。
 吉村清三君。
   宣誓書
 良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 吉村 清三
#9
○委員長(竹中七郎君) 宣誓書に署名捺印を願います。
 西村力君。
   宣誓書
 良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人西村  力
#10
○委員長(竹中七郎君) 宣誓書に署名捺印をお願いいたします。
 宮澤俊義君。
   宣誓書
 良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 宮澤 俊義
#11
○委員長(竹中七郎君) 宣誓書に署名捺印をお願いします。
 岡崎さんにお代りになりました伊藤修助君は、今手続中でございますが、便宜上只今から宣誓書を御朗読願いたいと思います。
   宣誓書
 良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人伊藤 修助
#12
○委員長(竹中七郎君) それではお手許に配付の名簿の順序に従つて順次証言を求めます。
 内田省三君に求めまする証言事項は、一、公納金制度設定当時の立法の経過及び趣旨、二、電力国家管理と配電統合との差異(資産評価法の相違と配当保証の有無)並びにこれと公納金利との関係、三、公納金及び分付金を公共団体及び電鉄のみに限つた理由。四、公納金制度実施期限を、当時十年と決定した理由、五、前各号に伴う大蔵当局との交渉経過、六、配電統合当時、被統合者が将来復元を期待し得るような約定乃至は含みを残してあつたかどうかであります。引続いて、公述になります時間は約四十分以内にお願いいたします。
#13
○証人(内田省三君) 制定当時の事務官といたしまして証言いたします。
 第一の公納金制度制定当時の立法の経過及び趣旨について申上げます。第二次電力国策要綱が第二次近衛内閣によつて決定発表せられましたのは、あたかも戰争さなかの昭和十五年九月二十七日のことでありまして、これは発送電管理の強化と、配電管理の実施を目的としたのでございます。配電管理につきましては、配電管理法案、配電株式会社法案、電気施設法案等が事務当局におかれまして準備を進められたのでございます。法案の準備と並行しまして関係各庁との間に協議が進められたのでございます。殊に電気事業を経営する公共団体に関しましては相当大きな幅を持つておりましたために、影響が大きいということを考慮されまして、内務省と共に関係公共団体の代表者を招かれまして懇談会が重ねられ、意見の交換を行い、又協議を遂げられたと承わつております。然るに第七十六帝国議会は、昭和十六年の一月二十一日、戰時体制強化に関する決議をいたしまして、戰時体制を強化するため、議会は專ら戰争遂行と軍備充実に直接必要なる法案に全力を傾倒し、可及的速かに議事を終了し、審議の長期に亘る虞れのある議案はすべてこれを提出しないことと決定いたしましたため、右の法案も提出をやめざるを得なくなつたのでございます。併しながら電気事業の新体制の完備は、時局の緊迫と共にいよいよ度を加えまして、寸刻の猶予もなりがたい状態となりましたので、主務省におきましては飽くまで既定方針を堅持し、結局国家総動員法を改正いたしまして、その発動によるべきことを決定いたしたのでございます。国家総動員法の改正に当りまして、特に配電管理の実施のために必要と認められまする條項を追加挿入する要求をいたしまして、配電統制令の制度を飽くまで期したのでございます。かくして配電統制令は総動員法に基く委任勅令として、昭和十六年八月三十日に公布せられまして、即日施行実施せられるに至つたのでございます。ここに第一次統合の対象となりました青森県を含む十一の公共団体を出資者と指名するまでにはかなり紆余曲折がありまして、内務省との間にはたびたびの折衝が重ねられたと承わつております。即ち公共団体は供給事業による收益を相当額一般会計に繰入れておりまして、これが有力な財源をなしておりましたために、出資後の財政に及ぼす影響が強く懸念せられていたのでございます。従いましてこれが実施につきましては、国策上止むを得ないといたしましても、あとの財政に惡い影響を及ぼさないということの措置を講じて欲しいという関係から、二、三の希望條件が出たのでございます。第一には、出資価格の評価につきましては、当事者間の協議によること、並びに認可基準の決定及びその個々の認可につきましても、内務省の協議を要することにして欲しい、又第二の問題は、出資後の公共団体の財政に惡影響を及ぼさない措置をも考慮して欲しいということが提議されたのでございます。評価につきましては、希望通り建前は当事者間の協議によるということになりまして、その認可基準につきましても、公共団体の希望を十分に取入れられたのでございますが、第二の点につきましては、出資の対価が一応当事者間の協議によつて完全に履行せられる建前である以上、特別に当該公共団体に対してのみ考慮して、それを配電会社に負担させることは、理論上穏当でないというのでございますが、公共団体の従来の利益が出資した後に減少をするという場合がありますれば、一定期間配電会社に公納金という意味で支払せまして、その金額は法人税で軽減してもらうことに話がまとまりまして、大蔵省当局との折衝が開始、並びに話合いが付いたのでございます。結局大蔵省、内務省、逓信省の三省と電鉄関係に関係がございまする交付金につきまして、鉄道省当局も加わりまして四省間の了解ができたので、公納金、交付金という形で支払う話合いができましたために、公共団体及び電鉄関係事業者の出資が決定いたしまして、配電統制令の実施段階に入つたのでございます。公納金の條項であります当時の配電統制令第三十四條の規定は、今申上げましたような経過に徴しましても明かなことく、配電統制の善後措置として政治的に決定されたのでございまして、国家補償の性質を持ち、公共団体の出資によつて受ける歳入減を配電会社が一応支払う建前ではありまするが、最終的には国が法人税の軽減の形で補償することになつたのでございます。
 その規定の内容を具体的に説明いたしますると、第一に、公納金を受ける対象者は配電統制令第二條第二項又は第二十六條の規定、これは出資と譲渡の関係でございますが、出資又は讓渡をなした公共団体であるということが必要であります。従いまして第二次統合の際に、任意に話合いて統合に応じた町村、又自発のみに対して出資した冨山県のごとき公共団体は、この対象から除外されているのでございます。この数は全国的に申しますと相当あるのでございますが、これがために公納金を受けない公共団体が特に評価を甘くするとか、加減したということはないのでございまして、ただ現金を以て決済したというに過ぎなかつたのでございます。これは重要な点で意味を持つておりますので、御参考になるかと存じます。第二に、保証される金額は従来利益の九五%となつております。その従来利益と申しますのは、公共団体の出資、設備に対する評価に用いられました還元益金というもので逓信省の認可基準によつて査定されたものでございますが、詳しく申上げますと、昭和十五年度の供給事業益金を設備評価の際に用いた平均建設費で割りました益金割合を設備の建設費に乘じましたものでございまして、これはかなり観念的なものでございまして、殊に建設中の設備とか自発へ出資した設備に対する利益も含んでおりまして、現実の配電会社へ統合した設備から生ずる利益とは相違しておるのであります。第三に、比較される收入となりますものは、配電統合によつて交付された株式の配当金相当額のほか、日発に出資したことにより交付された株式に対する配当金相当額も入つております。この日発へ出資したために生ずる影響も配電会社が一応負担するということになりましたものは、国家補償的の性質を有することを明確に立証しておるのでございまして、この点も重要な問題で御参考になるかと考えます。又收入となる配電会社の株式を公共団体が後配株で交付されまして、低い配当で甘んじたということになつておりますが、これも国家補償的なものがありますために、円満に当事者間で話合いがついたのでございます。その他收入の中に入りますのは、出資したことによつて新たに公共団体が配電会社に課することになりまする電柱税、同附加税、地租、同附加税、家屋税、営業税、同附加税、水利使用料及び道路占用料等の收入でございます。これらの收入も固定しておるものではなくて、その後、増徴されるといつた場合もありますけれども、これに対しても、実際におきましては、收入を増して計算しない、当初の計算通りにやつておるということになつておりまして、これも直接には配電会社に影響がない事柄でありますために、そのままとなつておつたのでございます。第四に、公共団体に支払う公納金は会社設立後満十カ年ということになつております。これは公共団体が出資によつて急激に財政上の惡影響を来たさないということを所期したものでありまして、このことは又後に詳しく申上げます。第五に、右によつて支払つた金額は、各配電会社の各事業年度の所得に対する法人税について相当額を軽減することになつておりますのでございます。
 以上を一括して申上げますと、公共団体の従来の利益の九五%までは、設備を出資したことによつて新たに当該公共団体の收入となるべき配当金、利子、税金、公物占用料等で足らない部分を配電会社に支払わせまして、それを配電会社の納付します法人税について軽減するというのが公納金制度の趣旨であつたのでございます。第二項の電力国家管理と配電統合との差異並びにこれと公納金制度との関係を申上げます。日発の統合につきましては、日本発送電株式会社法第九條によりまして、出資価格の評価方法が法定されております。それによりますと、出資設備の建設費から減価償却額を控除いたしました金額、これを第一号の金額と申しておりますが、これと收益還元によつて得た金額と考え併せまして、一対一の比重によつて評価することになつております。これが配電統合の場合におきましては、前に申上げましたような、建前としては評価方法は当事者間の話合いによつて価格を決定することになつております。ただ指導的立場から認可基準を設けましたので、それによりますと減価償却を控除いたしました原価主義による金額と、これを一といたしまして、收益還元法による金額を二の比重で見るということにいたしまして、結局原価法によるものと收益還元によるものを二倍いたしましたものを三で割つた金額が評価額となるという建前になつていたのでございます。又收益還元の際に用いられまする益金は、日発の場合におきましては過去十カ年となつておりましたが、配電統合につきましては、最近、統合当時の利益率の高いときを見まして一年間、当時の最近一年間についての益金を求めてそれを收益還元にいたしたのでございます。従つて配電統合のほうが事業の收益力を強くするという建前になつておるのでありまして、公納金の算出根拠となつております。従来利益はこの評価の際に用いた還元益金をそのまま取つているのでございます。従いまして日発出資の場合に比べまして、配電評価のほうが被統合者にとつては有利にさえなつておりますので、出資に対する対価の決済が配電統合の場合においては不完全であるということはできないのでございます。ただ日発にのみ出資した公共団体は、公納金の恩典を受けなかつたのでありますが、日発につきましては、出資者全部が第四営業年度まで年四分、爾後第十四営業年度までは株金額に対し年百分の六に相当する額と、当該年度において支払つた社債の利息額の合計額を超えない限度で、年六分の配当金を政府で保証されていたのでございます。これは公納金の恩典に比べますと、実質的にはなお不利であるということが申上げられると存ずるのでございます。なお配電会社株式につきましては、政府保証の特権はなかつたのでありますが、公納金も、それから配当保証も出資に対する対価の決済とは関係がないのでありまして、殊に日発の場合の政村補償は、一般株主を保護し、会社自体の経営の基礎を堅実化するということにあつたのであります。従つて日発のみに出資した公共団体は、配電会社に統合されました公共団体よりも不利であつたわけでありまして、配電会社へ出資した公共団体が特に有利に扱われたことは、これは政治的な考慮に基くものであつたと申上げることができるのでございます。
 第三の公納金及び交付金を公共団体及び電鉄のみに限つた理由を申上げます。公納金を公共団体に支払うことになりました理由は、前に申上げましたように、急激に公共団体の財政に惡影響を及ぼすことがありましては、配電統合はスムースにできないという懸念がらでありまして、これと同様に、配電会社へ出資又は譲渡いたしまして、なおあとの事業部門を持つた電鉄事業者の受ける影響も見逃すことができながつたのでございます。即ち一般の供給事業者は殆んど統合によりまして会社を解散し、清算過程に入つたわけでありまするから、残存事業を以ての継続ということは、特に考えなくてもよがつたのでございますが、電鉄業者は小体の電鉄事業を経営しながら、それとほぼ匹敵する供給事業をも兼営しておつたのでございまして、而も私の記憶では、供給事業の收益力は、本業の当時の不振に比べましてむしろ良好でありまして、供給部門を失うことによつて経済的な影響を無視しがたいものがあつたのでございます。そこで当時の鉄道省当局は業者からの要請に応えまして、内務省における公納金の場合と並行しまして交付金を強く要求いたしました。逓信省当局といたしましては、両者を一緒にいたしまして大蔵省に当りました。その交渉の結果実現を見るに至つたものでございます。但し交付金につきましては、五年間に限定して支払うことに話合いができまして、やつと配電事業は軌道に乘つたのであります。なおここで附言いたしますると、出資した設備の評価は、一般的には帳簿価格を超えておりまするので、複式簿記の会計によつた業者は相当の評価益を出しております。従つて配電会社の配当で従来の利益が賄えない場合、又は継続して持つことが不利であると考えられた電鉄業者の中には、たとえ配電会社の株価が額面を少々割つておりましても、これを処分して現金に換え、有利な方面に投資された向きがあなのでありますが、公納交付金につきましては、そういつた具体的な事実については、何ら計算方式を変えないで、最初に持つておつた株に対して配当を計算しておる建前でございます。従つて公共団体のごとく、そのまま持つておられます場合に比べまして、電鉄業者は早くその惡影響から脱却することができたのではないかと考えております。第四の公約金制度実施期限を当時十年と決定した理由について申上げます。もともと公納金は供給事業の統合の対価決済とは別個の政治的考慮からさまつた国家補償の意味を持つておりますことは先に述べました通りでございますが、大蔵省当局とされましては無期限にこれを認めますことは不適当であるばかりでなく、国の財源にも影響することになりますので、公共団体の財政の急激な惡影響を避けるというために時を稼ぐということが主眼であつたのでございまして、一応それを十年間といたしまして、その間に租税体系の変動、又は社会情勢の変化によつて何らか財源が確保できるということを期されたのではないかと考えます。この点につきましては、当時の松隈主税局長が総動員審議会で、できるだけ十年の間に他の適当な財源を求めるように措置したい考えであると言明せられているのに徴しても明瞭であると存じます。
 第五、前各号に伴う大蔵当局との交渉経過について申上げます。先に申述べましたごとく、配電統合の最も難関となつたのは公共団体の事業の吸收でありましたか、これを抜きにしては配電統制の意味を失うことになりますので、逓信当局としては、内務当局との折衝に最も重点を置きまして一方ならん苦労をいたしたのでございます。併し内務当局としましても、国家の基礎産業である電気事業の一貫運営が国家大の見地から必要であることについては認められておりますために、これに同調されることになりまして、その代償として公納金問題を提案されたのでございます。これに対しまして逓信省といたしましては、配電会社に負担せしむべき理由がありませんので、国家補償の本質に持つて行くべきものと考えまして内務省と共同歩調を以て大蔵当局に当つたのでございます。これがために配電統制令の公布も、予定の期日をかなり過ぎたのでございます。当時の主税局長は後の松隈次官でございまして、国税第一課長は現大蔵大臣の池田さんでございますので、この問題の真相は大蔵大臣もよく御存じであると存じます。なお後になりまして関西配電のごときは、創立当時の業績が赤字になつたことがございまして、支払つた公納金を転嫁すべき法人税が皆無となりましたために、再び大蔵省に交渉いたしまして、当期の法人税で控除できないときは十年の間に繰述べしてこれを完全に補填してもらえる話がまとまつたのでございますが、これも公納金が国家補償の実質を持つものであるということははつきりすると考えられるのでございます。
 最後に第六の配電統合当時被統合者が将来復元を期待し得るような約定乃至は含みを残してあつたかどうか、このことについて申上げます。昭和十五年の十二月末現在で電気供給事業者の数は三百九十九に上つております。公営事業が百十六を数えたのでございますが、これを各九地区の配電会社に統合完了いたしましたのは昭和十八年三月三十一日でございます。そもそも配電統制は戰時体制確立の必要がありまして高度国防国家完成の要請に基いてでき上つたものでありますので、戰時立法的な印象を與えたことは否めないのでございますが、そのことは平時におきましてもその必要性は何ら変らないのでありまして、第二次電力国策の実施は平戰時を通じて緊要性を持つものと現在も考えておるのでございます。当時総動員審議会で山田逓信次官が説明しておられます中に、次のような個所がありますので、朗読いたします。「電気事業は発達の過程から見ますると、地点の孤立的な事業から芽生えたものでありますが、今日の如く高度に発達して参りますと、著しい地理的の障害がない限り国民経済大の広大なる地域に渉つて発電、送電、配電から消費の末端迄完全な一箇の設備として運転せられる特性を持つて居ります。然るに今日に於ても発達過程の遺物として、大電力網に包容せらるべき地域内に於て孤立の事業があつたり、又大電力網内に人なる重複設備があつたりするのであります。更に技術的にはすでに最高度に発達し巨大な一箇の設備として、運転されて居る大電力網に付ても、沿革的な意味を主として、或は発電のみに付、或は配電のみを目的として、地点又は地域を分つて数多の営利單位が割担して存在して居る実情であります。かかる状態は電力事業の技術の発達に照し、国家的に見て極めて非能率、不経済でありまして、平時に於ても電気主管当局としては、此の因襲的な状態を是正し、経営状態を電力技術の発達に照応せしむべく不断の努力を払つて来たのであります。然るに今や急速に戰時体制整備の必要に迫られたのであります。
 電力の戰時体制として要請せらるる処は多々あるのでありましようが、電力の国家生産力に対する重要性と戰時下に於ける資材不足ということを考えますると、先ず第一に設備に於ける無駄の排除と其の活用、第二に現有設備の最高度の能率発揮が要請せらるるは勿論、進んでは第三点として、不足せる電力を重点的に動員して国防生産力を確保すること、第四に如何なる事故例えば空襲の被害というような場合にも、一糸乱れぬ措置を以て国防生産力に対する影響を最小限度に止むること等は、絶対的に必要なることと思うのであります。」、もう少し読まして頂きます。「(一)無駄の排除と活用という問題に付きましては、重複施設の撤去活用が主たるものでありましようが、之を最も容易に行うの途は経営單位の合併でありましよう。(二)現有設備の最高能率発揮の為には孤立系統を大電力網に連絡すること、電力潮流の是正等が重要なものでありましよう。これ等の問題を片付けるにも経営單位の合併が最も捷径でありましよう。
 更に電力動員に付て見まするに、現在配電事業は電力設備の末端口割拠して居るのでありますが、其の立場は電力経済全体のことは考える必要もなく、又考えることも出来ない、專らその部分に於て收支差益の増大を図るのみという立場であります。其の立場は営利会社と公営事業とに於て多くの逕庭を見ないのであります。配電事業が收支差益を良くする為には、料金の高い需要へより多くの電力を費さねばならぬのでありますが、料金の高い方面は高度国防国家体制から見れば所謂不急不要の用途が多いのであります。是は机上の推論ではありません、実際の数字も亦之を裏書しております。即ち一昨年秋から電力需給の調整を図る為、電力調整令に依つて五百キロ以上の新規電力需用に対しては、政府において一件々々その時局性を検討した上で電力の使用を許しておるのでありますが、五百キロ未満の細いものは事業者の裁量に委ねて見ました処、事業者が契約した新規需要が九ケ月間に〇〇萬キロにも上り、然も其の内容を検討して見ましたところ、大部分不要不急と認められるという遺憾な結果を来しておるのであります。
 之では近き将来において益々需給関係の逼迫して来た際に、極度に重点的な高度国防国家的電力動員の不可能なことは明瞭であります。
 又空襲被害の対策を考えて見ても、高度国防国家目的に副う様に迅速果敢に重点的な復旧を図る場合、部分利益を代表する対立者に人員と資材を任せておいてその実施が可能でありませうか。配電事業は此の二つの点を考えて見ても、其の組織と性格の転換は此の際是非とも行わねばならぬ事柄であります。
 斯くの如く大電力網が完全なる一箇の設備として運転されるという電力事業の特質を考へる時、発達せる電力事業は、経済的にも、技術的にも、一人の指導者に依つて、一箇の経済單位として経営せられることを以て、平時戰時を通じての理想であると断言せざるを得ないのであります。」、右のように述べておられまして、事業の統合は戰時中の期間を画して実施するというがごときことは、毛頭政府当局におかれましても考えられ、又は予測せられたものではないのでありまして、変化について約定等を責任の当局者から言明し、又示唆されたということは絶対に考えられませんし、そういつたことを洩れ聞いたこともないのでございます。終戰後になりまして電力の再編成が行われましたが、これもブロツク別の電力会社を強化するという要請から実施されたものと考えられるのでありまして、公共団体に復元するなどということは当時から一貫して考えられてなかつたものと私は考えるのでございます。
#14
○委員長(竹中七郎君) 内田君に対する委員諸君の御質疑をお願いいたします。
#15
○境野清雄君 只今証人の説明を聞きましたのと、参考書類として廻されております、公納交付金に関する打合会というのが昭和十八年の五月二十九日に電気局の会議室で行われておるのでありますけれども、この記録を読んで見ましても、公納金というようなものは大体地方公共団体に対する配電会社の配当保証的な支払義務を規定しておりますと同時に、この第二項におきましては、法人税の軽減措置を規定しておつて、結果的には国家補償的の本質を有するというようなふうに了解せられるのてあります。然るにこの今回の公共事業令の一部を改正する法律案というものによりますと、配電会社の公納金支払義務のみを延長いたしまして、そうして法人税の軽減措置は期間満了と共に打切りをするというような結果になるのでありまして、国家補償的の性格の公納金制度は一躍して私企業に対する電気事業者の補償に激変する、こんなようなふうに考えられるのでありまして、このような大きな変化がありますのに、この法案の提案理由の説明のほうには、更にそういうような重大な変化の点はちつとも謳つてない、こういうような観点からいたしましても、参議院の我々の委員会といたしましては、立法の責任上この点を明らかにしなくちやならないのじやないか、こんなふうに考えられるのであります。そういうような点から、他方又地方の公共団体の財政上の困難については、私もよくわかるのでありまして、又復元を希望される気持、これも或る程度わかるのでありますけれども、併しながら統合後十年間国家補償の形を続けておりましたものを、今日にわかに私企業にその負担を切替えろということにはいささか法律的には疑問を持つのであります。そういうような点からいたしまして、私は当時この関係当局におりました証人にお尋ねいたしたいことは、第一に、法人税の軽減措置が若し講ぜられなかつたとしたならば、この公納金制度というものは成立したのかどうかという点が第一点であります。第二点は、今日のこういうような問題になりまして、この改正案に対しましては、どのような方法を講じたら、この立法の趣旨にも副い、又地方公共団体にも満足させられるようなものができるかというこの二点についてお伺いいたしたいと思います。
#16
○証人(内田省三君) 先ほど御説明申上げましたごとく、法人税の軽減措置がなかつたといたしましたならば、逓信当局といたしましては絶対に応じなかつたろうと思います。それからどうしたらいいかという御質問でございますが、端的に申上げまして、公共団体の財源は、かなり各種の税金によりまして埋められておりまして、ここに坂上げる公納金の従来の金額から見まするならば、その影響は現在では大きなものではないように考えられるのでございます。従いましてこれを更に何年か続けるということになりますと、先ほど申上げましたように、公納金の恩典に浴さなかつた公共団体にも不公平でありますばかりでなく、特別の公共団体だけがいつまでも、そうした政治的な考慮から出た財源のいつまでも恩典に浴すという結果になりますので、やはり打切るのが一番よいのではないかと考えております。
#17
○栗山良夫君 証人が先ほど、一番最後に復元の点に触れられまして、当時は何ら将来に亘つて復元の約定或いは含み等はなかつたということを例を挙げて述べられたのでありますが、それは一応総動員法に基く立法的措置の過程においてでございまして、その後終戰という事態も生じ、いろいろと紆余曲折を経た今日でありますが、その今日の場合から考えて、過日、昨年行われました電力の再編成というものはどういう性格を持つておるものか、当時の考え方から類推されてお聞かせを頂きたいと、こう思うわけであります。
#18
○証人(内田省三君) 私の考えるところによりますと、昨年行われました電力の再編成は、一貫した電力国策としての更に推進であつたと考えまして、戰時中にたまたま行われました配電統制、国家管理そのものが如何にも戰時立法のような印象を與えますけれども、それは平時においても、殊に現下においても必要な法令であるということを確信いたしております。従いまして更にブロツク別の電力会社を強化するという意味におきまして、昨年の再編成には電気事業の一大進歩があつたものと考えておりますので、全然関連のないものとは考えてないのでございます。
#19
○西田隆男君 統合の対価としては、電鉄も公共団体も株式が交付されておるように私は解しますが、証人のさつきの説明の中に、電鉄のほうは株式を処分して有利な投資をしたのもある、それにもかかわらずやはり交付金は公納金で今交付した、こういう建前ですが、その建前から行きますと、地方公共団体が株式を今処分しておるか、しておらない私は知りませんが、地方公共団体が株式を処分してしまつて一株も持たなくなつても、まだ公納金を交付するという建前であろうと考えます。従つて証人の証言から考えますと、これは統合したものに対する国家補償を、国が補償するのを、配電側自体の公納金という制度の形で寄附している、こういうふうに解されるのですが、そう解釈して差支えありませんか。
#20
○証人(内田省三君) 只今おつしやつた通りでございまして、計算方式は、先ほどの公納金におきましては配当金だけが営業年度ごとに変るのを計算に入れまするか、あとのものは入れないのでございまして、殊に持つておつた株数は、交付当時に持つておつた株式の計算によつて十年間乃至は五年間やりましたので、それが如何なる形に変つても公納金の計算には変化をさせなかつたように記憶しております。従いまして今お話がありましたものは、国家補償的なものでありますので、配電会社は通抜勘定になつておりますので、強くこの点について問題が起らなかつたと考えております。
#21
○西田隆男君 実際問題としてもう一つ聞きたいのですが、仮りにAという地方公共団体が一万株持つておつた、然るに株は一つもないように手離して現金に替えて他の事業に投資した、併しながら公納金は、この制度に規定されておるような額を交付した、その際に一万株持つておつたのに対して当時配当しておれば、配当が九割五分から低い場合ですね、仮に四分なら四分の場合には、その配当金は株を持つておつても持つていなくても配当したものとして控除して、残額を公納金で交付しておつたかどうか、それをもう一遍……。
#22
○証人(内田省三君) そうでございます。おつしやる通りでございます。それは配当率は営業年度によつて違いますから、仮にこの人が現在持つているとすれば、この配当率で幾らの計算になるという計算によつて算出するのでございます。
#23
○委員長(竹中七郎君) 次に証人の平田君及び明里君は公納金制度制定当時大蔵省側にあつて、公納金に対する法人税の軽減措置に關與せられたがたであります。現在も税務関係に在職されておるので、当時の事情と現在の状況に亘り、一、公納金制度における法人税軽減措置決定の経過及び趣旨、二、公納金制度実施期間を十年とした当時の理由及び期限延長の当否、三、公共事業令の一部を改正する法律案において公納金の実施期間のみを延長し、法人税軽減措置を打切りとしたことに対する大蔵当局の見解について公述を願います。最初に平田君にお願いいたします。
#24
○証人(平田敬一郎君) 私はこの配電統制の問題がありました際に主税局に事務官としておりまして、この問題にも関與いたした次第でございますが、大分古いことでございますので、最近この記憶を辿りましてもよく覚えていることは少いのでございます。で、ただ非常に問題があるように聞いておりましたので主税局の記録を調べて見ましたら、終戰後引越しをいたしましたために、この種の書類を発見することができませんで、どうも正確なことを書類に基きまして申上げることができないのは遺憾に存じます。大体の記憶を辿りまして御説明申上げ、更に今回の問題に対する意見を申述べて見たいと思う次第でございます。
 先ず第一の公納金制度における法人税軽減措置決定の経過及び趣旨でございますが、この経過及び趣旨につきましては、先ほど内田さんからお話になりましたが、私も、大体かすかに記憶するところによりましては、更にそれを附加えることを記憶しておりません。大体まあそのような事情ではなかつたかと思います。で、やはり当時におきまして配電統合という問題は、国策遂行上の非常に重要な問題であつた。併しながら一方におきましては、殊に地方公共団体の施設を統合するにつきまして、地方団体側から相当猛烈に反対があつたようにどうも記憶しております。その反対の主たる理由は、勿論統合自体よりも、地方団体の有力財源を失うという点が一番問題でありまして、先ほどお話がありましたように、逓信省と内務省との間にこの問題に関しまして相当な折衝があつたかに聞いていたのでございます。そこでいろいろ審議されました結果、まあ結局におきまして、或る期間地方団体が財源として困らないような措置を講ずる、その方向で問題を解決するようにしたらどうかという方向に大分行きまして、まあその結果が、結局配電会社から地方公共団体に対しまして公納金を納める。ただ公納金を納めるにつきましては、統合しました配電会社の側におきまして料金の値上げでもしなければ、やはりこれ又負担に堪えられない、こういう事情があつたかと思うのでありまして、これの財源をどう措置するか、まあそこに問題が出て来て、結局補償するか、或いは法人税を軽減するか、そういう点が確か問題になつたのではないかと思います。そういたしまして最後の場合におきましては、まあ結局法人税の軽減ということでその問題を解決するというようになつたように記憶いたしております。ただ私ども当時の事情をかすかにあれしますが、法人税の軽減は、各般の場合にいろいろやつておりまするが、それはいずれもそれぞれ相当な理由がある場合に限定いたしておりまして、すべての問題の尻を税で解決するというようなふうには参らないのでありまして、この軽減然るべきかどうかということにつきましても、大分部内でも議論したように記憶しております。でありまするが、先ほどからお話がありましたように、結局この問題の解決が公納金制度ができるかできないかという問題にかかつて来るということに相成りました関係上、結局におきまして、主税局におきまして幹部のほうで話がまとまりまして、法人税を軽減するということに相成つたものと記憶している次第でございます。併しこれは非常に、一般の法人税の軽減措置から行きますと、異常特別な措置になるわけでございまするが、これは併しやはりその当時における配電統制の重要性並びにそれに関連しました、特に地方公共団体の財源確保、まあこういう点から行きまして、大蔵省といたしましては例外措置を止むを得ざるものとしまして認めたというものでございまして、相当決定にまるまでには折衝を逓信省のほうと重ねられました上できまつたものと考えております。大体の趣旨はそういう点ではないかと思います。
 それからその次は第二番目でありますが、十年としました当時の理由及びその期限延長の当否という問題でございますが、期限を特に十年といたしました積極的理由につきまして、私今細目、確たる根拠を申上げるような記憶はございません。ただ今申上げましたように、何と申しましても、統合によりまして差当り地方団体が財源に困る、で、或る期間はやはりこの財源を確保しなければ地方団体としまして賛成できないという点からいたしまして、まあ結局そうむずかしい根拠ではなかつたかと思いまするが、諸般の事情を考えて十年間だけは財源を確保する、まあこういうことになつたのではないかと思います。併しこの点につきましては、或いは書類等がございますればもう少し何かあるかも知れませんが、私の記憶したところによりますると、どうもそれ以上のことを記憶していないことを遺憾に存ずる次第でございますが、十年見ますれば、地方団体側といたしましても先ずよかろう。それ以後におきましてはいろいろな状況の変化等もありますので、まあ大体こういう場合におきまする経過的な措置といたしましては十年を考えるということは、これは相当なことでございますので、先ずいいのじやないかというようなことで結局こうなつたのではないか。併しこの点はほかに事情をよく御存じのかたがおいででございましようと思いますので、私どうも余りはつきりしたことを申上げることができないのを遺憾に存じますが、まあ大体そういう点ではなかつたかと思います。そこでこの期限延長の当否でございますが、これはまあ私現在の主税局長としましての意見にならざるを得ないかと思いますが、先ほど申上げましたように、この措置は非常なまあ特例措置といたしまして認めた、殊に配電統合の重要性、緊急性を考えまして、或る程度政策的にと申しますか、それは言い過ぎでございますが、勿論理由はあるわけでございますが、普通の場合には認められていないことを特別に認めた、こういうわけでありまして、その際といたしまして、これによりまして統合が決定いたしまして、條件が確定してその後引続き、それで事態が推移して参つた次第であります。従いまして、最初約束されました十年の免税ということにつきましては、これははつきりどこまでもやはり確保しなければならないというので、戰後におきましてもいろいろ事情が変りましたが、これはそのまま残しております。併しこれを更に延ばすという問題になりますと、これは又よほど別個の角度から検討しなくちやならん問題でございまして、私どもは当時のいきさつからいたしまして、特別にこれを延ばすという理由に乏しいのではないかと考えておる次第でございます。
 それから三の問題がそれに関連するわけでございますが、これは公納金の制度を今後残すか残さないかという問題、この問題につきましては、私意見を申述べるのはどうかと思うのでございますが、法人税の軽減につきましては、今申上げましたような趣旨で、とにかく前回の配電の統合が十年間免税ということできまりましたことでございまするし、又その間更にどうするかということもその際にははつきりした約束がなかつたかと思いますが、まあそういう点からいたしましても、法人税のほうは軽減はやめることにしたらどうか。ただその当時も問題にしたのでございますが、法人税の軽減をやめましても公納金を、仮に今後残るということにいたしますると、これは会社の損金と申しますか、経費で落すということにはなるかと思います。これは一種の特別の負担ということになりますので、課税所得から損金として控除するということになりまするし、それから一方におきましては、この税制も当時と大分変つて参りまして、殊に地方税制が変つて参りまして、配電施設等に対しましても固定資産税等を課税することになつておりまするし、それから事業税等も相当な課税をいたしておりまするのみならず、法人に対しまして市町村民税等の課税も認めておる、地方税制自体としましてもいろいろ当時と変つて来ているようでございます。で、私どもといたしましては、法人税のこの種の軽減が非常な特別なものでございますので、今後仮に公納金が延長することがあるといたしましても、軽減をするのは適当ではない、まあかように、考えておる次第でございます。公納金自体の問題につきましてもいろいろ問題があろうかと思いまするが、これはちよつと所管が違いまするので、意見を申述べることを差控えさして頂きたいと存じます。
#25
○委員長(竹中七郎君) 次に明里君にお願いいたします。
#26
○証人(明里長太郎君) この点につきましては、私ども丁度当時は主税局の理事官を勤めておりましたのでありますが、私一括して申上げますと、一と二の問題でございます、これはこの法人税の軽減措置が講ぜられました経過とか或いはこの趣旨、それから又二の問題の期限が十年とされております点と、こういうようなことにつきましては、先ほどから内田さんの御説明がありましたのでありますが、私としては当時、こういう委員会当時は何ら関係いたしておりませんのでありまして、この内容がどういうことであつたかということは存じておらんわけであります。従いまして私はこの事務に従事しました点は、ただこういう統制令が施行になりまして、法人税を軽減するということになつておりましたために、法人税を幾ら軽減するかというこの所得の計算でございます。税額の計算という点につきましては專ら担当いたしておりましたのでありますが、丁度ここに出ております問題といたしましては、只今申上げたように、その最初の趣旨を存じておりませんので、遺憾ながらここに申上げるわけに行かないと存じております。
 それからこの三の問題につきましても、これは税制の問題になると思うのでありますが、只今主税局長からお話もございましたのですが、私の現在の職といたしましては、こういう税制関係のほうには余り関與いたしておりませんので、これをどういうふうにすべきかという私の意見を申上げることはちよつとできかねると存じておりますので、誠に恐縮でございますが、この程度で御了承願いたいと思います。
#27
○委員長(竹中七郎君) 委員諸君の御質疑を願います。
#28
○栗山良夫君 平田局長に一点お伺いいたしますが、この法律案が衆議院の議員提出で出されておるわけでありますが、提案者から法人税軽減措置について打切りをいたすか或いは更に公納金の延長期限と同様に延長をされたいというのか、そういうような交渉がありましたかどうか、その点を伺います。
   〔委員長退席、理事古池信三君委員長席に着く〕
#29
○証人(平田敬一郎君) その問題につきましては、私は税の法案が多数かかつておりまして、委員会に出席しておりました関係上、出なかつたわけでありますが、私の方の税制課長がたしか提案者から呼ばれまして、いろいろ意見を聞かれまして相談にあずかつたかと存じます。で、その報告を聞きましたが、大体いろいろな話合いの結果、大蔵省の主税局としましては只今申上げましたように、延長はどうも賛成できない、ただ経費にはなると、そういう点で話が終りまして、恐らく提案になつたものと考えておる次第であります。
#30
○栗山良夫君 それは課長と提案者との間においてそういう話がされたということを伺いましたが、局長或いは次官、大臣等まで参加されてこの問題を協議されたことがありますかどうか、その点を伺います。
#31
○証人(平田敬一郎君) 私も課長から勿論報告を聞きましたし、その話合いの趣旨は私も同意見でございまして、それで話が済みましたので、それだけにいたしております。提案者から或いは直接次官、大臣等にお話ありましたかどうかは未だ私個人として聞いて参りませんのでございますが、主税局といたしましては、課長と提案者との話で了解済みになつたものと考えておる次第でございます。
#32
○栗山良夫君 そうしますと、少くとも主税局長としては提案者から直接さようなことについて協議をせられたことはなかつたと、こういう工合に伺つて置いてよろしうございますね。
#33
○証人(平田敬一郎君) 私にも出席してもらいたいという御要望があつて伺いたいと思つていたのでございますが、先ほど申上げましたように、税の法案の審議の委員会に出席する必要がありましたので、課長を代理としてよこしたわけでございまして、従いましてそのことは私もお話を受けましてそういうふうにまとまつたということと同じ結果になると思います。
#34
○栗山良夫君 それからもう一つ伺いますのは、先ほどの内田証人或いは平田証人自身も当時の状況は国家補償の性格を持つていたということを大体お認めになつておりますが、そういたしました場合には、只今の法案では公納金制度は延長するけれども、法人税の軽減措置は大蔵省当局の考えでできない、こういうことになつたとしますと、なかなか問題はむずかしくなるわけでありますが、その間を大蔵省の立場で制定当時の精神を十分に汲入れながら解決する方法があるとお考えになるかどうか、その点を伺いたい。
#35
○証人(平田敬一郎君) 私はこの法人税の軽減が補償であるかどうかという問題はこれはちよつとそういうふうに申上げたつもりはないのでありまして、これは併し法律的に見ますと問題があるわけでございますが、何しろ立法に代る措置、まあ立法と同様の措置によりまして、法人税の軽減ということで地方団体の財源の欠陥を埋めまして、それによつて問題の解決を図られた、こういう意味でございまして、法律的な意味と実際的な意味とは大分違うところがあるのではないかというように考えております。併しこの辺はなおいろいろ問題がある点だと思いまするが、私の今の感じはそういう感じでございます。それからこの措置の公納金を延長したほうがいいかどうかという問題、これはいろいろ問題があろうかと思います。私も先ほど申上げた通り、このこと自体に対しましては意見を申上げることを差控えさして頂いたわけでございますが、法人税に関する限りにおきましては今申上げましたように、とにかく損金を差引きますと、法人税四二%、それから地方税を加えまして約五二%でございます。これは軽くなり、損金になりますと、法人税を軽減する場合に比較しまして、実際の負担の差はその差額の四八%でございます。これだけがこの会社の負担になる、こういうわけにもなりまするし、又先ほど申上げましたように、こういう措置は非常に異常、特別の措置でありまして、法人税の軽減としましても、他に類例のないような措置でございますので、私ども税制を担当するものといたしましては、こういう措置の延長はやめるのが妥当ではないか、かように考える次第でございまして、公納金自体の問題につきましては、本日少くとも意見を申上げることを差控えさして頂きたいと思います。
#36
○西田隆男君 私平田局長にちよつと伺いたいのですが、あなたの御説明によると、極めて政治的な御説明が多くてつかめないのですが、あなたは当時主税局事務官としてこの問題にタツチされたことは間違いないようです。従つて現在の状態から判断するのではなくして、タツチされた当時の基本的な一考え方からあなたがお考えになつて今回出ております法律案が新らしい法律案ならばこれは別問題ですが、公納金の制度を残すか残さんかという問題は別に考えなければならないと思いますが、すでに十年前作つた法律の延長として読み替えるというようなことで法律が出ておるので、どうしてもこの立法当時タツチされた人の気持をよく聞かないと私は判断に困るわけです。あなたは立法にタツチされておつたのだから、その当時の感じからして、十年間の期限が切れた今日においてなおこの法律の全部であろうと一部であろうと存続することのほうが妥当だというふうにお考えになるかどうか、その点あなたのお考えを一つ承わりたい。
#37
○証人(平田敬一郎君) この公納金自体の問題につきましては、ちよつと問題がいろいろあるかと思いますが、法人税の軽減措置に関連いたしましては、その当時におきましても実はこういう免税をやるかやらないかは、主税局内部において大分問題にいたしまして、これは非常に例外的措置といたしまして止むを得ざるものとして認められたというように私は少くとも記憶いたしております。これは非常に当時配電統合というものが大問題であり、且つ地方団体と話がつくかつかんかがこの統合ができるかできないかのたしか境目であつたように私は聞いていたのでありますが、そういう点に鑑みまして、特別の措置を講じたという点でありまして、従つて大蔵省といたしましては、書面にははつきり残つておりませんが、十年の期限ということについてはどちらかと申しますと、それは守つてもらいたい、その後延長するようなことはないものとして判断して頂けるではないが、その辺先ほど申上げましたように、率直に申上げまして、多数の問題の中の主税局としてはこの問題は比較的小さい問題でございますので、私はつきり記憶していないのでございますが、大体におきましては、今私が申上げたような気持であつたかと存ずる次第でございまして、法人税の更にこの際延長をするということはどうも私ども税制の今の建前から行過ぎではないか。それからもう一つは地方団体の側におきましても、地方税制等が非常に変りまして、配電施設等につきましては、前は課税がなかつた、ところが今は償却資産といたしまして相当課税ができる、又電気ガス税を徴收いたしております。又法人税の市町村民税も取られる、こういうようないろいろな事情の変化等もありますので、更に法人税を軽減してまで何か特別の措置を講ずる必要があるかどうかということになりますと、私どもとしては非常に愼重に考慮しなければならない、こういう考えでございます。
#38
○西田隆男君 あなたの御説明を先ほどから聞いておりますと、この公納金制度に対するあなたのお考えは二つある。一つは、配電統合がその当時非常に重要な問題であつたという理由が一つと、それから地方財政を急速に困窮させるようなことがあつてはならないということ、この公納金制度を大蔵省は特異な体系であるが賛成したというような御説明があつた、これは御尤もな話であります。今の情勢から行きますと、私の解釈では、地方公共団体との間の契約を国が介入してどうとかこうとかいうことはこれはできないわけです。まさか国会が、お前たち配電会社は一つの公共団体にしろという場合に、法律を作つて、国のほうで法人税を軽減してやるから統合せよということはたしかやれない、従つてこの問題は、今の時代を考えないで、やはり昔の観念において考える以外に考え方がないわけです。その点今主税局長のお話では、もうやめたほうがいい、やめることが建前で考えたのだ、十年だからという御答弁のようでしたが、これは一つやめたほうがいいなら、それでいいのだが、やめないとしたら、やはり前の法律の引続きとして特異な税体系であつても、これを承認されることのほうが私は妥当だと思うのですが、その点はどうお考えになつておりますが。
#39
○証人(平田敬一郎君) この点は、私の深く考えない今の意見ということでお聞き願いたいのでございますが、私は今までのいきさつは、勿論相当重要なこういう問題解決の要素になると思いまするが、併し法律的な考え方から行きますと、今までのいきさつ上、当然こうしなければならないという事情は余りないのではないかと私は考えます。現在の、終戰後変りました現状の下におきまして配電事業を一体どういうふうに持つて行くべきであるか、公共団体の経営等に対しましてどういうふうにその考え方を持つて行くべきであるか、それに関連いたしまして、結局この地方団体の財源等の関連におきましてどのように考えるべきか、そういう点をやはり相当新たなる角度から考えまして、立法的措置が、妥当な立法的措置が考慮せらるべきである。余り今までの行き懸りからしました解決という点は、私の個人的意見としましては、どうも必ずしも正しい解決にはならないのではないか。まあ私いろいろ十年と限りました趣旨、その当時の気持を申上げましたが、これは勿論一つの参考としまして申上げただけでありまして、現在の下において、こういうふうな措置に対しまして、如何なる立法措置を講ずべきかということは、新たなる時代に立入つて考えまして、これは十分検討した上で正しい結論を得らるべきじやないかと、かように私は考えております。
#40
○西田隆男君 もう一点お尋ねしますが、あなたの言われた二つの原因の中に、配電統合はもう終了した、これは問題ない。が併し、地方財政に急激な変化を與えないために十年の期間を置いたが、併しその後の日本の経済情勢の変化から地方税制も体系的に非常に変つて来ておる、が併し地方財政必ずしも豊かになつてない、こういう観点から考えますと、あなたがこの立法される当時に抱かれておりました考え方から、地方財政はもうすでにこういうことを大蔵省としては考慮してやらないでもよろしい段階に来ておるというふうにあなたはお考えになつておつたかどうか。そうお考えになつておれば、この問題は平田主税局長の問題は解消するのです。これを一つどう考えておるか、お伺いしたいと思います。
#41
○証人(平田敬一郎君) この問題は先ほど私問題を提供して置いたのでございますが、地方税制が当時と大分変つておりまして、固定資産税が電気施設等に対して相当課税になつておるという事実、それから電気ガス税等もその当時ございませんでしたが、これがやはり市町村民税としまして相当な財源になつておるという事実、それから法人の市町村民税が市町村に対して課税が認められておるといつたような事実、こういうふうに、電気の施設に関連しました地方税の税制が当時と大分変つております。従いまして私はやはりそういう新たなる事態に対処しまして、全体としてどうすべきかということで結論を下すべきであつて、今まで認めていたから、困るだろうから当然延ばすべきじやないか、或いはそれは勿論何か地方団体がやはり持つていたとするならば、收入があつたはずだから何とかすべきじやないか、こういう考え方のほうはむしろ私は従たる点としまして判断をさるべきではないか。それでそういう点は私の感じからいたしますと、どうもやはり配電統制令並びにその後の十年の補償というか、十年の公納金の公布というような問題で一応けりがつきまして、ここで又新らしく問題があるとすれば、現状の下においては正しく判断してゆつたらどうか、返すか返さないかの問題等につきましても、やはり今後の電気供給量に対しましてどういうふうに持つて行くか、そういう問題と関連しまして、妥当な結論を下すべきだと考える次第であります。私自体の意見を、結論を入れてということでございますが、これはもう少し考えまして、又この次の機会に申上げてもいいかと思いますが、大体基本的にはそのように考えておる次第であります。
#42
○理事(古池信三君) ほかに御発言ありませんか。御発言がなければ午前の会議はこれを以て休憩いたします。
   午後零時二十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時四十二分開会
#43
○理事(古池信三君) それでは只今より委員会を再開いたします。
 先ず皆さんにお諮りをいたしたいのでありますが、先ほど御発言を願つた証人の中で、大蔵省の平田主税局長は只今衆議院の大蔵委員会のほうに出席しておられます。こちらのほうは最後の総括的な質問の際に出席をして頂くことにしたらどうかと思つております。それからもう一人東京国税局の明里調査査察部長は非常に事務輻湊のために、できれば午後は帰ることを許されたいという御希望のようでありまするが、帰つて頂いてよろしいかどうか。このお二かたについて皆さんにお諮りをいたします。只今私が申上げましたようなふうに取計らつて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○理事(古池信三君) それではさように取計らいます。どうも御苦労さまでした。
 それでは午前に引続きまして証人の御意見を御発表願いたいのでありますが、先ず東京電力株式会社副社長高井亮太郎君の御供述を願います。問題は、公納金制度期限延長に関する証人の御意見であります。なお時間は約三十分くらいの見当にお願いしたいと思います。
#45
○証人(高井亮太郎君) 電気事業者として見ましたる公納金制度延長に関する諸意見を概括的に申述べたいと存じます。
 配電統合及び従来の公納金制度の性格は、先刻内田元事務官が述べられた通りでありまして、各地区の主要事業者へ群小の配電事業者を統合する件につきましては、総動員法施行前より電気事業の特質に基く平時の処置としても当局の慫慂により取り進められておつたのでありますが、更に配電統制令により推進せられまして、昭和十七年四月、九つの配電会社の設立を見たのであります。その設立に際しての出資又は譲渡資産の評価その他の大綱はいわゆる受命事業者を代表する設立委員会の協議によるものといたしましてこれを認可した建前でありまして、その評価基準は、減価償却を控除したる建設費と、当時の過去一カ年間の收益七分還元額との組合せにより、従来の利益が反映せられた価格によりまして決済が完了いたしまして、これら設立の大綱は、配電統制令第六條によりまして、設立委員より各受命事業者の承認を得ました上、逓信大臣の認可を得たものでありまして、配電会社として別に出資者又は讓渡者に対して損失補償を残す等の問題は起るべき余地は全然ないのであります。公納金制度は万一配電会社の配当の低下等によりまして、出資後の地方公共団体の財政に急激な惡影響を與える虞れのないように、一定期間を限つて、法人税の減免によりまして配電会社を通じて統合の性質上、国家の負担において地方公共団体の財政を補填する制度でありまして、決して配電会社が不当の損失を及ぼしたるが故に配電会社の負担においてその損失を補填するものではないのであります。なお配電会社の設立に関する法規及び設立の過程においても、将来の復元を示唆し又は約束せられたることはないのであります。一方供給施設につきましては、統合の目的並びに電気施設の特質に照しまして、速かに一体として電力潮流の改善、負荷の切換え等によつて電圧変動率の減少、損失の減少、設備の利用率向上を図つたのでありまして、一例を挙げますれば、東京都におけるがごとき、従前の東京電燈と当時の東京市電、日電等との重複区域におきましては、送配電線路及び変電設備の重複を整理し、渾然一体としての拡充計画を実施いたしまして、更に戰災によつて配電施設及び需用家の大部分を焼失し、又これを復興して参つた次第でありまして、その模様は大阪市等においても大体同様かと存ずるのであります。あたかも極めて近接した二、三本の樹木が、根を合せ幹を合せ、更に枝を合せまして合体して、十年の風雪を冒して生長を遂げたようなものでありまして、施設上の実際からしましても單なる復元は考えられないのであります。以上の事実の上に立ちまして、ここに提案せられておりまする公共事業令の一部を改正する法律案に関する意見といたしまして、大別三つの難点を挙げざるを得ないのであります。
 第一に、公納金の延長期間を事業の復元に関する立法措置がなされるまでとして、復元を当然の前提とすることは不当と存ずるのであります。復元を至当とするには、現所有者が完全な所有権を有しないか、或いは返還期限付きの譲受けをなした場合に限るものと存じます。前申述べましたように、出資は法的に無條件になされるものであり、何ら復元の約束はなく、且つ実際的見地よりも妥当ではないと存じます。
   〔理事古池信三君退席、委員長着席〕
当時同じく出資せられました電鉄事業者等へ各事業体を復元せよとの当然の権利はないと同様、地方公共団体へ当然復元すべしとの理窟もないのであります。本法律案提案理由には、十カ年たてば統合の目的も失われ、再び元の姿に返して経営ができるであろうと期待があつたことと考えられる云々とありますが、前の立法が復元を期待していなかつたことは、前の証言によつても明らかであります。戰時体制の解体は、必ずしも復元とは限らず、更に進捗せる方式があるならばこれによるべきであり、特に配電事業については、平時措置としても統合が進められていたものであり、電気事業の戰後措置といたしましては、電気事業の特質と過度経済力集中排除と睨み合しましたる再編成によりまして、発送配電一貫地区別の現在の電力会社が設立せられたのであります。これを批判するのは各人の自由でありまするが、ただここに復元までの期間としまして、復元があたかも確定的なるがごとく、これを前提として期間を定めることは不当と存じます。なおこの復元なる文学は、事業の安定性に対する危惧の念を起さしめ、且つ従業員の身分関係にも一抹の不安を與うる表現であると存じます。
 第二に、従来の公納金制度は暫定的な国家補償制度でありまして、これと同性質の電鉄事業に対する交付金がとつくに五年を経過いたしまして消滅されてしまつれおりまする今日、なおすでに新らしい地方税法等の施行もありまして、新憲法下での地方自治制度が確立されましたる今日、かかる税金とも言えず、寄付金とも言えないようなあいまいな財源は不合理であり、当初立法の通り十カ年を以て消滅することが妥当であると存じます。而も今回の提案は、その理由において、旧配電統制令第三十四條第一項の規定による公納金制度をなお相当期間存続する必要があるとありまして、その説明中においては、一見従来の公納金制度をそのまま延長するがごとき説明でありまするが、この制度は前申上げました通りの国家補償であり、第三十四條は、第一項において配電会社が一定金額を支払うことを命じ、第二項において同一期間これに相当する法人税を軽減することを明示いたしておるのであります。今回提出の案には、第二項の延長に関する法文がないのでありまして、従来の公納金制度とは異り、電力会社に対し正当な保証なくして一方的に新たなる負担を強制せんとしておるものでありまして、筋から申しますれば財産権の侵害とも言い得るものではないかと存ずるのであります。従来の公納金制度はこの三十四條に対しまして逓信省令第七十号、大蔵省令第四十九号を組み合せまして、すべて十カ年間を期限とし一連の立法措置となつておるのであります。これを一見従来の延長のごとくではありまするが、実は電力会社の一方的負担となる公納金を設定せんとすることは不当であると存じます。
 第三に、若し本提案が実施されると仮定いたしますれば、電力会社は多数の地方公共団体のうち、特定のところに対して特別の利益を與えることとなり、その金額の多少によらず、公平を失するものと存じます。而も本提案ば復元を目途とし、かねて背後に何らかの形によるスライド・アツプを要求する動静あるやに仄聞いたすのであります。法文は、金額は命令の定むるところによるというものでありまするが若し万一かくのごときことがありましたならば、ますます以て電力会社の不当負担は増大し、電気事業が嚴密なる原価主義によつて料金を定められておりまする関係上、これを原価に見込まなければならず、原価に見込むといたしましても一般の料金を上げて、これを以て特定の公共団体を利益することとなるのでありまして、公平の原則に反し、公益に反するものであつて、到底賛成いたしかねる案であると存じます。
 以上を総括いたしまして、本改正法案は電力事業を不当に圧迫し、或いは需用家に不当の支出を招来する虞れがありまするのみならず、そもそも当然消滅すべきものを延長せんとし、延長の期間としては復元なる不当な文句を用いておられる、実は延長にあらずして一方的負担を課し、而も将来の禍根を残す虞れがあるものでありまして、到底賛成をいたしかねるのであります。勿論電力事業者といたしまして、その供給区域として何かと御厄介になつておりまする公共団体に対しまして妥当なる協力を惜むものではありません。かかるすつきりせず、不明朗なる立法によつて進まるることは非常に困ることであり、到底御賛成をいたしかねる案であるということを申上げておる次第でございます。
#46
○委員長(竹中七郎君) 高井さんに対する御質問をお願いいたします。一緒にいたしましようか。
#47
○小林英三君 議事進行について、今までの証人の発言の順序は今まででよろしいのですが、今後証人の発言につきましては、利害関係の相反すると思われる会社側と公共団体と交互にやつて行きたい、こういうふうにお願いいたします。
#48
○委員長(竹中七郎君) 次に発言の順序を変えまして、西村力君にお願いいたします。
#49
○証人(西村力君) 今回国会に上程されました公共事業令の一部を改正する法律案は、地方公共団体に対する公納金制度の期限を延長せしめようとするものでございまするが、私ども地方公共団体側は、この法案の妥当性を信じまして、その成立を衷心より希望する者でございます。以下地方公共団体として右のように信じ且つ希望する理由を簡單に理説明いたしたいと存じます。
 さて、この問題でございまするが、問題を正確に理解するためには、現存する諸法令の法文上に現われました字句のみの、或いは文理解釈の上にのみとどまつては十分とは考え得られないのであります。更に一歩進んで右の諸法令を生み出しました当時の政治的な事情を十二分に理解することが是非とも必要であろうと考えるものでございます。先ほど来もその点に触れていろいろとお話もございましたが、私どもは、それを更に私どもの立場から申しまするならば、即ち昭和十四年日本発送電株式会社の設立による発送電事業の一元的統制に引続きまして、昭和十五年の末、戰力増強のために、配電事業を統合して一貫的な統制の下に置こうという計画がその頃政府部内において立案中と伝えられましたので、全国の配電事業を経営いたしておりました当時の地方公共団体の各都市は、府県を併せましてこれが反対の運動に立上つたのでございました。と申しまするのは、当時の地方公共団体といたしまして、主として配電事業におきましても、例えて申しまするならば、配電事業を開始いたしておりました京都市の場合を申しますると、明治二十四年から事業を開始いたしまして、統合されるまでの期間すでに四十年を経過いたしております。東京都、静岡市、仙台市、これ又明治四十四年から事業を開始いたしております。金澤、神戸、ここは大正六年、大阪市は大正十三年でございまするが、その他の各都市を見ましても最低二十年から最高五十年の間公益優先をその事業目的といたしまして、それぞれの配電事業を経営いたして参つておつたのであります。この長年月に亘る経営自体が如何に地方公共団体にとつて尊く正しいものであつたかということを先ず御理解願いたいのでございまするが、私どもは次の二つの理由によりまして、只今申しましたように猛烈な反対運動を展開いたして参りました。即ちその第一点は、これまで公益優先の趣旨の下に運営して来た該事業を、他の私営事業と無差別統合することは、いたずらなる混乱を引起すに過ぎないという点でありました。第二点といたしましては、地方公共団体はすべて該事業より一般経済に多額の繰入を行なつておりまして、大いに地方公共団体の財政に寄與いたしておりまして、この事業を而も一方的に無理無体に取上げられることによつて生ずるところの財政欠陷を一体どう補填するかという点でありました。この猛烈な反対によりまして当時近衛内閣は、だと記憶いたしておりまするが、一応成案を伝えられました配電管理法案の帝国議会への上程を見合せるに至つたのでありました。然るところ、その後におきまして政府は国家総動員法によつて、国家目的という至上命令によつて地方公共団体の反対意向を強圧いたしまして、配電統合を断行いたしたのでございました。そこで地方公共団体は可及的速かに、いわゆる非常時体制が解かれて統制状態が復元することを希求しつつ止むを得ず血涙を呑んでこの国家目的よりなる至上命令に屈服したのでございました。ところが政府といたしましても、只今申しますように一方的に無理やりな統合によつて生じたところの地方公共団体の財政上の欠陥の補填案ということにつきましては、これを等閑に付することができないということから、ここにいわゆる公納金制度というものが、当時の畸形兒的所産として生まれたのでございます。このような公納金制度の制定の経過は、お手許にすでに御配付申上げたかと存じますが、丁度時第七十六帝国議会におきまして、即ち昭和十六年二月二十二日の衆議院の決算委員
会におきまして、村田逓信大臣と福田關次郎委員との間に交わされました質疑応答の速記録によつても明らかでございまするが、この席に、村田逓信大臣に対して当時質問されました福田關次郎元代義士も出席いたしておりますが、つきましてはその当時の議会におきまする速記録の要点をここに参考といたしまして朗読いたしたいと存じます。前を略しまして要点のみを申上げまするが、福田委員「逓信大臣ハ豫テ御話ニナリマシタ、公共団体ノ運営ニ係ルモノニ付テハ、財源ヲ失ハヌヤウ愼重ニヤル積リデゴザイマスト云フコトヲ御発表ニナツタコトヲ記憶致シテ居ルノデゴザイマスガ、サウ云フヤウナ公共団体ノ財源ヲ失ハヌヤウニ愼重ニ考慮スルト云フ御言葉ノ中ニハ、ドノ程度ノ意味ガ含ンデ居リマスカ、」、それに対する村田逓相の答弁でございまするが、「公営ノ電気事業ヲ吸收致シマスニハ、只今マデ県ナリ市ナリノ財源ニナツテ居ル点ハ能ク承知シテ居ルノデアリマス、随ツテ之ヲ吸收シマスル曉ニ於テ、県ナリ市ノ財政ニ影響ヲ及ボスト云フコトニナリマスレバ、是ハ愼マナケレバナラヌ点デアリマスルガ、此ノ点モ能ク注意ヲ致シテ善處スル積リデアリマスカラ、左様御承知ヲ願ヒタイト思ヒマス、」、福田委員「其ノ公共団体ノ財源ヲ涸渇セシメルヤウナコトハ絶対セヌ、斯ウ云フ御話デゴザイマスガ、其ノ財源ヲ涸渇セヌト云フコトハ、例ヘバ私立ノ配電会社ト公共団体トヲ差ヲ付ケテ是ガ資本ノ提供トナリマスルト、茲ニ私立ノ会社ノ方カラ又何カノ文句ガ出マセウシ、然ラバ私立会社ト同一二スルナラバ、永遠ニ亘ル所ノ公共団体ノ財源ハ又失ハレルノデハナイカ、一時ハ高クテモ、ソレガ例ヘバ一年間ニ縣ナラ縣営ノモノガ百万ナラ百万、三百万ナラ三百万ノ縣費ノ財源トナリ市費ノ財源トナツタモノガ、是ガ永続シテ行ケマスヤウニシテ戴カナケレバ、一時的ノ特殊ナル取扱ト云フコトデハ、是等ノ府県都市ト云フモノハ非常ニ難局ニ遭遇スルノデアリマシテ、之ニ依據致シマシテ今日ノ財政方針ヲ立テテ居ル所ノ府縣都市ガ多イノデゴザイマスカラ、此ノ辺ハ大臣ハ如何様ナ御信念ト御覚悟ヲ以テ善処シテ載ケルノデゴザイマセウカ、御伺ヒガ出来マスレバ大変結構ト思フノデゴザイマス。」、村田逓信大臣「私ガ責任ヲ持ツト以フコトヲ申上ゲタノデスガ、是ハマア何時迭ルカ分ラヌト云フコト、是ハ御尤モナ御話デアリマス、併シナガラ此ノ点ニ付キマシテハ、私ガ申上ゲルノミナラズ、逓信省ト申シマスカ、電気庁ト申シマスカ、是ハ総テガ今責任ヲ感ジテ居ルト思ヒマス。随ツテ私ガ迭ル時ガアリマシテモ、此ノ責任ハ單ニ私ニ上マラズ、電気庁或ハ逓信省ト云フモノガ一丸トナツテ責任ヲ感ジナ居リマス、尚ソレノミナラズ地方ニ電力会社ヲ作ル場合ニ於キマシテモ、其ノ中枢ノ人ヲ選ビマスル際ニ、此ノ会社ヲ経営スル上ニ於キマシテ、其ノ人々モ責任感ヲ打ツ人ヲ推シタイト考ヘテ居ル次第デアリマス、」、更に言葉を継ぎまして村田逓信大臣は「サウ云ウコトモ考慮致シマシテ、單二一時的バカリデナク、将来ニ亘ツテモ此ノ点ハ十分ニ考慮シタイト思ツテ居リマス」と結んでおります。第二段といたしまして福田委員は更に「凡ソ其ノ府県若シクハ都市ガ其ノ年度デ上ゲテ居リマシタ――例ヘバ一般会計ニ編入致シテ居リマシタ額位ノ配当ガ出来ナ、永久ニ其ノブロツクノ配電部門ガ続ク限リハ其ノ財源ハ失ハヌト云フヤウニ考ヘテモ差支ヘナイヤウナ御考慮デゴザイマセウガ、其ノ辺ヲモウ一応承ツテ置キタイト思ヒマス、」、村田国務大臣「私先程御答ヘマシタノデ同ジコトヲ繰返スコトニナリマスガ、御納得ガ行キマスヤウニ電気庁長官カラ御答ヘ致スコトニシタイト思ヒマス、」、田村政府委員「只今御尋ネノ電気事業経営カラ一般会計ノ方ニ納入シテ居ル此ノ財源、是ハ配電統制後ニ於キマシテモ会社カラノ配当、ソレカラ先程大臣ガ御話ニナリマシタ新シイ課税、斯ウ云フ方面ノ関係カラ致シマシテ、大体ニ於テ確保セラレルト云フ見込デ居リマス、ノミナラズ大体サウ云フ公営方面ノ事業ハ府県債等ニ於テ賄ツテ居ルノデアリマスガ、其ノ元利金マデ一定計画ノ下ニ償還出来ルト云フ見込ヲ持ツテ居リマス、」、大体只今要点を朗読いたしましたのでございまするが、是非委員の各位におかせられましては、この資料を御参照願いたいと存ずるのでございます。我々地方公共団体はこういうような事情によりまして配電統制令及び昭和十八年五月二十八日逓信省令第七十号等によつて確定せられました公納金制度の性格を次のように理解するのでございます。即ち、公納金制度は表面上の外観が如何ようにあろうとも、配電統制の実態が続く限り存続するものであるというのであります。若し一論者の言うように、公納金制度が地方公共団体の財政に対する国の暫定的な補償制度であるとしても、暫定的なのは国家総動員法並びに配電統制令によつて生まれました戰争目的遂行のための配電事業の統制状態であつて、決して地方公共団体に対する補償義務が暫定的であるということを意味しないのであります。従つて配電統制令第三十四條第一項、「十年ヲ超エザル期間」という法文の真意は、最大十年間の意味ではなくて、配電統制が続く間の意味であると解しなければならないのであります。十年という期間の表示が生まれた原因は、当時右のような統制を必要といたしました戰争が幾年続くかという見込について、それこそ最大十年ぐらいと一般に考えられておつたところに求められるのでありますが、逆にこれを申しまするならば、戰争状態の如何にかかわらず、配電統制の実態が続く限り、即ち公共団体の配電事業の一方的統合の実態が続く限り、公納金が地方公共団体に與えらるべきであると解釈するのが当然であると確信するものでございます。戰後地方公共団体が一斉にいわゆる配電事業の復元を政府並びに関係方面に要望して参りましたのは、右のような見地に基くものでございまして、昭和二十五年十二月にポツダム政令として出された電気事業再編成令並びに公共事業令は、発送電と九配電会社との十個の統制機関よりなる戰時中の電気事業の統制組織を切替えて、九電力会社という九つの営利会社組織に転じたものにとどまりまして、我々地方公共団体の要望に対しましては一顧も與えられるところがなかつたのであります。我々地方公共団体の側よりいたしまするならば、統合の状態は依然として続いていると言わなければならない。若し統制目的が営利目的に全面的に切替えられたとするならば、当然統制目的のために不本意にも出資を余儀なくされました地方公共団体に対して、いわゆるコンマーシヤル・ベースによる精算がなさるべきであると考えるのでありますが、このことは全く未だなされておりません。例えば昭和二十六年の資産再評価法によつて行われた電力会社の資産の評価替えの結果生じた評価益の帰属につきましても、元所有者たる地方公共団体には全く無関係に処理せられておることなどがそれであります。従つて我々地方公共団体といたしましては、これら二つのポツダム政令による電気事業再編成令は、依然として実質においては昭和十七年における配電統合状態の続きであると考えざるを得ないのであります。従つて我々はこのような状態が続く限り配電統制令第三十四條が義務付けた公納金の支払の義務は当然存続するものと解するものであります。
 以上大体その当時の諸事情を開陳いたしましたが、これを要するに、地方公共団体といたしましては、速かなる法案の議会通過をお願いいたしますると同時に、公益優先的に永年事業経営をいたして参りました地方公共団体の立場を十二分に御了承願いまして、格別の御審議を煩したいと存ずる次第でございます。
#50
○委員長(竹中七郎君) 次に吉村清三君にお願いいたします。
#51
○証人(吉村清三君) 公納金の性格及び今回の公共事業令の一部を改正する法律案に対する問題につきましては、すでに述べられたところもあり、多少重複する点があるかとは存じますが、私は関西配電創立の当時から公納金の事務に携つておりました関係上、次の諸点について特に申上げたいと存じます。
 先ず第一に、公納金は公共団体に対する国家補償であり、配電会社より公共団体に公納金を支払いましても、法人税の軽減によりまして実質的には全然配電会社の負担にならない制度であつたこと、従つて今回の改正案によりますと、法人税の軽減の伴わない公納金の支払期間の延長は、従来の公納金の性格を全く変えてしまつていることであります、第二の点は、公納金は配電統合を円滑に遂行せしむるため、電気供給設備又は事業の出資又は譲渡をなしました公共団体に対しまして、これらの財政に急激な影響を與えることを避けるために十カ年を限り暫定的な財政保証をされたものでありまして、十カ年を経過し且つ地方税制が根本的に改正されました今日、殊に電力会社の経理状態が非常に窮屈であります今日、今後も電力会社より公共団体に公納金を支払う理由の見出せないことであります。第三には、出資又は譲渡した設備又は事業の復元を前提とした今回の改正案は、電力会社の今後の運営に重大なる影響を及ぼすものであることの三点であります。以上の点につきまして簡單に御説明申上げます。
 第一の点の公納金は国家補償であるという点につきましては、公納金の対象となつております保証すべき従来の利益、このことにつきましては、先に御説明もありましたが、この中には配電会社に出資された設備に対する利益のみではなく、日本発送電に出資された設備より生ずる利益をも含んでおるのでありまして、日本発送電に出資した設備の利益を配電会社が保証する何らの理由も見出せないのであります。この点を考えましても、公納金は配電会社が負担すべきものでなく、国家補償の建前で政策的に決定された問題であることが御了解願えると思います。更に又公納金の法人税よりの軽減という面から考えましたならば、当時の関西配電におきましては、特に地方公共団体からの出資設備が多く、又電鉄事業に対する交付金も含まれておりました関係上、会社設立当時、普通株式七分、後配株式四分と仮定いたしまして計算いたして見ましても、公納金及び電鉄に支払います交付金の合計額が年額一千四百万円に達しまして、これに対する軽減さるべき法人税が一千三百万円程度に過ぎません。差引年額二百万円の法人税よりの軽減未済額が生じたのであります。併し電鉄に対する交付金は五カ年間でございますので、五カ年以後はなくなりまして、六年目からは公金のみとなり、その金額は年額八百余万円程度となります。以前軽減されなかつた部分の公納金額も、五カ年後には法人税より十分軽減せられることになりますので、十カ年を通算して法人税の軽減措置を認められたのであります。これを当時の通牒によつて申上げますと、昭和十八年六月二十五日大蔵省主税局長から逓信省電気局長宛に、各事業年度の法人税が公納金及び交付金の総額に充たず軽減不足額を生じた場合、これを仮払で整理し、設立後十カ年間爾後の事業年度の法人税額から控除を認めるとの回答がありまして、支払つた公納金及び電鉄に対する交付金の全額が法人税から軽減せられることになりました。これは公納金及び交付金を飽くまでも配電会社の負担とせず、その性格が国家補償の建前であることを確認されたものであると言い得ると存じます。故に今回の改正のごとく、法人税の軽減の伴わない公納金は全くその性質を異にし、電力会社に対する新らしい負担と申さねばならないと存じます。
 次に、地方公共団体に対しまして現在電力会社は巨額の公租公課を負担しているのでありまして、私の会社は関西電力でございますので、例を大阪市、京都市、神戸市の三市に取つて見ましても、公納金の算出上、收入に計上されております道路占用料等の租税公課は年額二千五百万円程度でありますが、二十六年度におきまして実際に納付し、又納付すべき固定資産税その他の租税公課及び三市の收入となるべき電気税を合計いたしますと、約十一億円にも達するものと存じます。特に電気税は、税率が一〇%と据え置かれておりますために、料金値上げの都度自然増收となるのであります。又電気事業のごとき厖大なる固定資産を有する事業におきまして、その收益力に比し多額の固定資産税を負担しているのであります。半面電力会社の経理状態を申上げますれば、現在の電力事業はその料金が犠牲産業として他産業に比較いたしまして極めて低位に抑えられておりますので、経理状態は極めて惡く、数次の料金改訂も高騰する諸経費を賄うに足らず、常に赤字経営の危機にさらされている現状であります。このような窮迫した経理状況におきまして多額の租税公課を負担している点より考えましても、これ以上なお引続き新たなる公納金を負担する理由も又その能力もないことを御了解願いたいと存ずるのであります。
 最後に申上げたいことは、改正案によりますれば、配電統制令により、出資又は譲渡したる地方公共団体に対するその出資又は譲渡に係る電気供給事業設備又は事業の復元に関する立法措置がなされるまでの期間とありますが、設備の出資又は讓渡の対価はすでにその決済も完了し、契約が完全に遂行されました以上、法律的には復元とは何を意味いたしますのか非常にあいまいであります。事業の復元ということが、改めて電力会社から公共団体に設備又は事業を出資又は譲渡することを意味するといたしましたならば、これは電気事業の再編成を意味することと思います。今回の法律改正によりまして電気事業の再編成を予定せられるということになりますれば、昨年五月新会社が発足いたしまして、その使命達成に邁進しております際、その前途に暗影を投ずるものであるばかりでなく、且つ又対外的にも非常にその信用に惡影響を及ぼしまして、必要資金の獲得等にも多大の困難を来たすことと存ずるのであります。
 以上によりまして私の申上げたいところを大体終つたのでございますが、これは御参考までに申上げたいと存じます。配付いたしました資料に「公納金制度に関する所見」という資料がございます。これは公納金制度の延長に関しまして法律的な意見を、私の会社が関西でございますので、京都大学で前に憲法を講義しておられました佐々木惣一先生に伺いましたところ、先生が御病気でございまして、その高弟である京都大学の大石博士と大阪大学の磯崎先生にその所見を頂きまして、両先生の了解を得ましてここで読まして頂きたいと存じますが、両先生の御意見が大体同じようなことと存じますので、先に「公納金に関する所見」、京都大学教授法学博士大石義雄先生の分を読まして頂きます。
 一、結論、修正提案理由に基く公納金の継続は憲法上困難である。
 二、理由、会社が負担する公納金は先に定められた十年の期間の満了で終つて仕舞う。その後会社に公納金を支出せしめることは、新たな公共の福祉の理由に基き且つ正当な補償なくしては不可能である。もちろん、公共事業令の改正は一般に差支ない。併し、公納金の継続は、会社の予期せざる新たな会社の負担であるから、憲法の定めた公共の福祉の必要ある場合の外、会社の意思を無視してこれをなすことを得るものでない。憲法の保障している財産権の保障はこのような意味において理解さるべきものである。それ故に、公共事業令の改正も、この憲法の定めた限界内においてのみこれを行い得るのである。
 三、公共事業令改正の方向、右のような次第で、公共事業令の改正も、正当な損失の補償なくして会社に新な負担を命ずる内容のものであつてはならないこともちろんであるが、この場合といえども、損失の補償さえすれば会社に新たな負担を命じ得るものではなく、そうすることが直接公共の福祉を維持するに必要止むを得ない場合でなければならない。然るに、問題の公納金の継続は憲法にいわゆる公共の福祉の維持のために行われようとしているのではない。特定の団体の利益のためにのみ行われようとしているのである。そこで、従来と同じ内容の負担を会社に命ずるためにば、会社の意思に基くことが前提でなければならない。それができないとせば、国家自ら特定の団体に公納金に相当するものを支給するように定めなければならない。」
 以上でございます。
#52
○委員長(竹中七郎君) 次に伊藤修助君にお願いいたします。
#53
○証人(伊藤修助君) 地方公共団体側の立場から証言をいたしたいと思います。先ほど西村証人から申述べられました点と多少重複するところもございまするけれども、あえて述べさして頂きたいと思います。
 簡單に結論から申上げますと、今回の公共事業の一部を改正する法律案の趣旨は、電気事業復元に関する立法措置が講ぜられるまでの間、公納金制度を存続せしめるということがその趣旨でございますが、電気事業統合当時のいきさつと、その後の諸情勢の推移、或いは地方財政上の見地から、今回の改正案が極めて適切妥当なものであると信じますので、委員各位には特に御高配を賜わりまして本案の成立するよう衷心からお願いを申上げる次第でございます。
 その理由とするところを二、三申述べたいと思いますが、本来、公納金制度は復元を予想しての措置であつたことが窺えるということでございます。即ち当時のいきさつから申しますと、先ほど西村証人から証言いたしましたように、当時の諸情勢上止むを得ずその統合に応じたのでございまして、従つてそれに伴うところの公納金制度は、やがて事態の安定を待つて、或いは情勢の変化に応じて事業を旧経営者に返還をするという趣旨の下に、十年を超えざる期間公納金を納付するようにというようなことが定められたものと解しておるのでございます。これはなぜそういうことを申しますかといいますと、当時の利益金の算定、或いは公租公課の計算等に当りましては、戰時中常に経済情勢が変動し、物価その他賃金等の高騰の甚だしい時代であり、而もそれが一層そういう傾向が激しいことを予測されつつも、而も統合当時の利益金計算基準、而もこれが当時の政府におきますところの計算の認定基準によつてやられております。公租公課等もその後の推移によつて増額のあるべきことが当然予想せられるのにかかわらず、それも据置のままにされております。即ち経済諸情勢の変化がどのようにあるとしても、統合当時の計算基準は、それをそのまま十年間据置くというのが公納金の一つの性格であつたのでございます。
 次に第二次統合の際、第二次統合の事業につきましては、公納金の納付期間を十年を下らざるというような扱いをいたしておりません。そういう点を二つ併せて考えて見ますのに、一方利益計算その他の計算の基礎を据置くということと、第二次統合の場合の公納金の納付期間を十年未満にしておつて、最終は丁度昭和二十七年の三月三十一日に合致するようなふうにしておいたということは、即ち当時の非常事態、国の内外の諸情勢に即応して、暫定的な措置をとつたものという判断ができるのじやないかと思うのでございます。こういうような考えからいたしまして、戰争が終りました直後、関係地方公共団体が組合いたしまして、この電気事業は前経営者に還元するのが至当であるというようなことから、当時十都市が期成同盟会のようなものを組織いたしまして、国会或いは政府に対して運動をしたのでございますが、現在は十二都市がその協議会に加盟をいたしております。で、これはちよつと記憶違いかも存じませんから、はつきりしたことは申しかねると思いますが、この終戰後継続的に運動をいたしました結果、昭和二十五年の春と思われますが、衆議院並びに参議院におきましては、私どもの請願が採択せられたのでございます。そしてその年の、これも八月の臨時国会かと存じますが、公益事業法の制定をせられますその草案の中には、たしか元経営者からの申入があつた場合には、その設備或いは事業を返さなければならないというような條項があつたようこ記憶いたします。ところがいろいろな事情からいたしまして、その條項が創られまして、現行の公共事業令になつたものと承知いたしておるのでございます。従つて私どもといたしましては、国会及び政府においてはすでに電気事業の公営復元については、御方針が定まつておつたものというふうに考えておるのでございますが、いろいろな事情から、今回御審議になつておられますような公営復元の立法措置が講ぜられるまでの間、公納金制度を更に存続せしめるという公共事業令の改正法律案は、現在の状況においては誠に適当なものと考えられる次第でございます。
 次にこの電気事業公営に対する地方財政関係、これも先ほど西村証人から申上げてありますが、電気事業は明治の中期から各都府県、或いは市町村において計画され、実施されて来たところでございまして、その趣旨とするところは、豊富であつて安い電気を住民に供給をし、その福祉を増進すると共に、地方の開発に資する。そして又更に進んでは地方財政に貢献するところあらしめようとするのが電気事業を開設した理由でございます。一般需用者の消費、或いはその使用料等については殊更に申上げませんが、公営時代の利点を申上げますと、経営が集約的であり、無駄が少なかつたという点が一応言えると思います。それからその行政区域内の住民に密接せられておりまして。住民が自分の事業であるという、事業を愛する精神が非常に強かつた、従つて事業経営上のロスをセーヴすることが多分にあつたというようなことも申されると思います。それから事業経営団体である市町村の学校とか、市場、或いは上下水道、交通事業その他各種営造物に対しまする電気供給につきましては、特定料金等の方法を講じ、結局住民に便益を與えておつたというような事実、殊に一例を申上げますと、一関市、当時町でございますが、一関町におきます電気事業においては、水道用、即ち揚水用の電気、電力、或いは小学校、市の庁舎或いは街路燈等の電力料金は、無償で供給しておつたというような事実がございます。これは多かれ少かれ当時の公営の団体におきましてはそういうような方法をとつて、住民のための負担の軽減、福祉の増進を期しておつたことが事実でございます。更に進んで申上げますと、事業收益、これは各経営者におきましては相当の收益を挙げておりました、その事業收益は、その事業の維持改善或いは拡張等に勿論使われるのでございますが、そのほかに一般会計を初め、交通、上下水道その他各種事業会計等に編入、繰入或いは運用等の方法によつて財源を附興し、地方財政の円滑化に貢献をして来たことが少くないのでございます。殊に一般会計に対する編入或いは繰入等のごときは、需用者に対して利益を還元するというようなことになるのではないかというように考えております。で、従来の統合時代、電気事業統合時代において、こういうような隠れた利益と申しますか、こういうような各種の利益の点は、原価計算、或いは公納金、従来の利益計算、従つて公納金計算の基礎には入つていないというふうに考えられます。なお具体的に一、二の例を申上げますと、統合直前、昭和十四年度、或いは十五年度、十六年度におきましての実情を申上げますと、昭和十四年度の決算額において、静岡市は一般会計に対して電気事業会計より約二〇%の繰入をいたしております。それから一関市、当時の一関町は昭和十五年度の決算において約三〇%、金沢市におきましては十六年度の決算において約十五%、これらが一般会計に繰入をされております。仙台市の例を申上げますと、先ほど申上げましたように市民の福祉増進と地方の開発、成いは市の財政的基礎を確立するための趣旨から、明治四十四年に電気事業が開設いたされました。それから大正元年に更に他の会社を合併し、それが逐次発展をいたしまして、大正初期におきましては、仙台市内の電燈、電力或いは市営事業に対して供給をいたしました。従つて電気料金が安く、而も供給が円滑であつた。そうして又サービスも適正であつて市民の利便に供することが非常に大きなものがあつたのでございます。その後電源の開発、或いは電車事業、電気軌道事業の兼営等をなして事業の拡張を図つて参つたのでございますが、さような兼営事業を営みながらも業績は極めて良好でございました。昭和五年以降統合当時まで、十カ年間の実績によつて平均計算をいたしますと、一般会計及び各種会計への運用又は繰入をいたしました金額は、一年間平均六十一万余円になつております。特に水道事業につきましては、その事業の関連性からいたしまして、水道施設費の、約二百五十万だと思いますが、その起債、償還財源として電気事業から百四十三万円を、これは継続年度を以て繰入れる計画を立てております。これは上水道の水源地と発電設備とが共同使用することができるという建前から、こういうような関係になつたのでございます。このようにいたしまして、一般会計は勿論、各種の会計に対しても極めて大きな力を以て貢献をいたして参つたのでございます。なお統合の直前の昭和十五年、十六年度の両年度に亘る決算額の平均、これは電気事業関係を申上げますと、二カ年の平均收入が二百二十六万余円でございます。支出も同額になつております。その支出の内容から申しますと、経営経費が百五十余万何がしでございます。その他の会計に繰入れましたのが四十六万円、なお積立金として二十六万六千余円を持つているというような極めて順調且つ健全な業績を持つているのでございますが、この電気事業の当時の状況は、私ども仙台市の場合のみならず、各地の経営の実情がさようであつたのでございます。で、こういう点を、いわゆる公納金の基礎となりました従来の利益計算のときには原価主義と利益還元主義とを折衷してやつたというので、こういう点が果して完全に織込まれておつたかどうかということに懸念を持つものでございます。なお進んで京都市の場合を申上げたいと思いますが、京都市は昭和五年から昭和十四年、統合の前に至りますまで十カ年間の平均を申しますと、普通経済の繰入額は決算額において約四・一%になつております。この四・一%という繰入額を現在の経済事情、予算の規模に当てはめて推定をいたして見ますと、これは二十五年度までしか出ておりませんが、若し京都市にして今日まで電気事業を維持経営をしておつたならばというような仮定の下に申上げますと、この四・一%を以て繰入額を推定いたしますと、二十五年度においては一億九千五百八十余万という数字になるのでございます。更に又ちよつと触れましたが、他の事業或いは公共営造物に対する電力の融通、特別料金による融通という点から申しますと、これは各会社ともそうであつたようでございますが、特にこの公共の営造物については特別な料金の話合いが、協定のようなものがあつたのではなかつたかと思います。特に京都市の場合はそれがはつきりいたしておりますので、ここで例示をいたしますが、学校で消費する電力料については二九%、中央卸売市場が二一%、上水道が二一六%余、下水道が一四%余り、交通事業が二二%余り、一般営造物について五三%余りの割引料率になつておつたのでございます。実情を聞きますと、統合の後一年半或いは二年間は、この方式によつて料金の軽減をやつておつたが、その後はそういうような扱いはなくなつたということでございます。私どもの東北電力の場合、当時の東北配電の場合もそういうような計らいがあつたような記憶がございますが、数学的にはつきりいたしておりませんので、仙台市の場合を申上げかねますので、甚だ遺憾でございます。若し京都市のこの割引料率で以て計算をいたしますると、昭和二十五年度には二千九百四十三万円だけが割引をされる計算になる。ところが、それが割引をされないから二千九百……約三千万円が負担増になつておるのだというようなことが逆に言えると思うのでございます。
 それから前の電気事業の経営者であつた地方団体として現在誠に困つておる問題は、当時電気事業に従事しておりました職員に対する恩給退隠料の支給でございます。これが今日先ほど来申上げましたように、公納金は据置いたけれども、恩給退隠料等は、時世の推移に従い給與の上昇に応じまして退隠料は増額をして参つております。一、二の例を申上げますと、神戸市におきましては統合当時退隠料の負担が九万六千八百余円でございましたが、昭和二十六年度におきましてはこれが五百二十四万余円になつております。仙台市の場合は、統合当時は二万八千余円でございましたが、二十六年度におきましては百四十万に近い恩給の負担になつております。それからこれも繰返すようになりますが、街燈その他公共営造物等の照明、電熱等に使用されます電力料金、これは従前は特別料金を以て使用をしておつたものが逆に普通料金を以て払つて行くというその負担が非常に増加をしております。それからもう一つは、これは全部の関係市ではございませんけれども、電気事業のために起しました公債の未償還のものが相当ございます。京都市の場合で申しますと、電気事業関係の未償還額が一億九千四百万円ほどあるのでございます。この元利償還に要する金が相当な莫大なものになつておることは御想像願えると思うのでございます。
 非常に連絡なしに財政関係のことを取急ぎ申上げましたが、要するに電気事業は、当時の各経営者は極めて健全な経営をやり、住民に利益を與えたばかしではなく、非常な收益を挙げ、又住民に還元をしておつたというようなことを申上げ、而もそれらの利益、有形、無形の利益が果して公納金制度でカバーされておつたかどうかということを申上げなければならないと思うのでございます。而も一面では公納金が十カ年ということを限つてあるという、当時の社会情勢から十カ年ということに限つてあつたし、すでに十カ年経過しておるから、もうすでにその役目は果して、全部の清算ができておるのだというようなお考えも一応先ほど来の陳述の中にあつたようでありますけれども、むしろ只今まで申上げました地方の財政事情から申しますと、社会上、経済上ますます地方財政は危殆に瀕しておるから、これに対する確実な基礎を與えなければならないということを逆に私のほうから申上げなければならない。それから先ほど来各関係者から公納金制度の設置についての経緯等のお話があり、これが止むを得ざる措置であつたというお話でございました。併し一面、一昨年来地方税を政府が改正せられて、地方に対しては潤沢な財源が與えられているというようなお話がございましたけれども、仮にこの電気事業関係から税との繋がりを申上げますと、先刻申上げましたように、仙台市の場合は、統合前には一般会計の約一〇%を電気事業の益金の運用或いは繰入に仰いでおつたということを申上げました。ところが仙台市の昭和二十七年度の財政計画から申上げますと、一般会計は約十五億になつております。仮にその一〇%を押えると一億五千万円で、電気事業を今日まで持つておれば簡單に一億五千万円の繰入或いは運用ができるかということをにわかに申上げることはできませんが、一方税制の改正による固定資産税、或いは電気ガス税、その他道路占用料等各種を計算いたして見ますと、仙台市の場合は二十七年度におきましては約三千四百万円でございます。併しこの三千四百万円の税收になつておりますが、仮に電気事業を持つておつてその事業收益が何がしと押えたような場合には、到底この三千四百万などというような少額な金額ではないはずでございます。一般会計に対する貢献というものは、或いはこの二倍、三倍になることは、これは極めて明瞭に推定ができると考えるのでございます。従つてこの電気事業に関する利益の算定及び公納金の計算というようなことは、もつと合理的に考えられて然るべきであるのでございますが、先ほど来申上げましたように、これは極めて短い期間、最大限十年という期間を想定してとられたところの国家非常時における暫定措置であつたのでございまして、根本はやはり事業を旧経営者に返すということになるのじやないかと思います。而もこれも先ほど来申上げましたように、今にわかにこれを旧経営者に返すというようなことにはいろいろな困難性もあることでございましようと思いますので、これは十分想像いたされますが、ただそれまでの間なお引続き公納金制度を存続するということは、これは止むを得ない措置ではあるけれども、現状においては適切な措置であると考えられますので、どうぞ繰り言ながら申上げますが、各位には十分な御高配を賜りまして、本案の成立するように特にお願いを申上げまして陳述を終りたいと思います。
#54
○委員長(竹中七郎君) どういたしますか、ずつと続けてやりますか。……次は太田証人の番でありますが、冒頭に申上げましたごとく、文書による証言が提出されております。これは只今から配付いたします。
#55
○境野清雄君 それを配付したら、そちらで一応朗読してくれませんか。
#56
○委員長(竹中七郎君) 太田証人に求めた証言内容は、第一に電力国家管理及び配電統合当時の出資設備の評価並びに交付株式の配当保証状況等から見たる公納金の性格、第二、公納金制度の期間延長の法的根拠乃至他事業における事例、第三、過去における公納金の追徴金請求権の有無及びその支払業務者であります。文書を一応林專門員に朗読いたさせます。
#57
○專門員(林誠一君) それでは太田証人の文書による証言を朗読いたします。本文だけにとどめます。
   第一、公納金の性格
 一、公納金の性格を分析研究するにはこの制度の定められた当時の事情について綿密な調査研究を遂げなければ断定的にこれを述べることはできない。併しながら與えられたる資料並びに配電統合の当時評価委員たりし関係から判断したところを述べることとする。
 二、公納金は公共団体の「従来利益」が出資の対価より生ずる收入並に民営に移すことによつて得べき租税公課の收入を超過した場合その金額を配電会社より納付するものである。この点のみを見れば、出資物件の評価が不当に低く、その対価より生ずる利益が「従来利益」に不足せるを補償せるがごとき感があるが、出資物件の評価が特に公共団体に対してのみ低位であつたということはない。
 三、配電統合に当つては評価の基準が定められ、建設原価と收益還元評価とが組み合わされた。この方式は必ずしも理論的ではないとしても、日本製鉄会社の設立に際して利用されたもので、一般に公正妥当な評価法と認められたものである。その対価より生ずる利益が、出資者の出資当時の利益と差異の生ずることは免れがたいが、それは各出資者全般に生ずる問題であつて、公共団体にのみ不足を補償すべき性質をもつものではない。
 四、この事情の下で公納金制度が定められたのは、純然たる政治的考慮に基いたものと思料され、何ら会計学的理論に根拠があるものではない。即ち地方財政の急激なる変化に対し、臨時措置として行われたものであることは、その期限を十年と定めたことでも看取される。その期間に、財政の調整によつて、別途に財源を求め得られることを期待したものであり、事
  実、地方財政はその間において著しく改善されたと思われる。
 五、公納金は配電会社において支払うも、同額は配電会社が国家に支払う法人税額より減額されるので、実質的には地方財政の急を救助するために国家が補償したものであつて、公納金と法人税減額とは不可分の関係にあることは、当時配電会社の経理の方法によつて見ても明かである。これ又公納金が業務に対する賦課金の性質を持つものでないことを示すものである。
 六、日本発送電会社に対する配当保証は、同会社の株主全部を保護するものであつて、電力料金の高騰を抑止せんとする国家の一般政策に基くものである。これ又株主の過去の利益を補償する意味合のものではなかつたと記憶する。従つてどの方面から見ても公納金とは関係ないものと思料する。
   第二、公納金制度の期限延長の法的根拠(等)
 一、公納金制度の期限延長に関する法的根拠は現在の法律にないと思うし、解釈法として意見を述べることは法律学の專門家でない立場から差控えたい。ただ期限延長を法律化するの可否を立法論的に述べることにする。
 二、すでに述べたことく出資設備は公正妥当な評価基準によつて所有権が移転されたものであるから、これに関する負担を永久に負わしめることは不合理であり、不当である。公納金の制度はそれ自体、臨時応急の策であるから、定められた期限に当然消滅すべき性質のものであつて、この制度の延長には、別途の理由が與えられなければならない。
 三、公納金制度の期限を「復元二関スル立法措置が為サレルマデノ期限」延長せしめんとすることは、制度定当時の事情から見て考えられないことである。配電統合の当時において、何ら復元を予想したものではなく、又この統合は、電力なる国家の資源を有効に活用することが目的であつて、他の一般製造工業の整理統合とは趣が異つているのである。これは再編成の場合において認められたものであつて、復元を以て期とし、これを予想するがごときは全く逆行した観念である。
 四、公納金制度の期限延長と称するも、公納金そのものを延長すべき理由は考えられない。若し地方財政がこれなくしては立ち行かないならば、別個に租税として徴すべきであつて、これは本問題とは別個に処理すべきである。殊に延長に関する法令を見るに、その全額を会社に負担せしめるものであつて、当初の精神に反し、全く別個の性格を有するものと変化したのであるから、これを簡單に延長というは一種の欺瞞に等しいものである。
 五、公納金制度のごときは我が国の他事業においても、又欧米においても寡聞にして未だその類例を知らないのである。これは極めて特殊な場合であつて、全く臨時的の措置であり、例外的なものであつたと思料する。
   ただドイツ、フランスにおいて、特殊の財産を出資したる場合に、その適正価格が求められざる際に利益享有証が発行され、永久に会社の利益に参加することがあるが、すでに、公正妥当な評価を経て出資した財産に対し、利益享有証の発行を求める理由はない。
    第三、公納金追徴金請求権の有無及び支払義務者
 一、この問題の主眼点は明かでないが、法規に定められて十年を経過しない間に、各配電会社は再編成によつて消滅したので、その以後のもの並びに過去における未払額の要求に関するものとして回答したい。
 二、要求権の有無及びその支払義務者を法律的に解釈することは求められた答ではないと思う。法律的には配電会社の解散により、昭和十八年五月二十八日逓信省令第七十号及び同年六月十五日大蔵省令第四十九号の適用はなくなつたので再編成以後の会社に対しては要求権はない。再編成計画書本文その他参考となる事項中に「すべての権利義務及び法律上の地位は全部新会社に承継されるもの」とあるので、私法上新会社は公納金支払義務を承継したと認められるが、かかる解釈に至る理由は明かでない。
   若し新会社が逓信省令によつて公納金支払の義務を承継するならば、同時に大蔵省令により法人税軽減の権利を承継するのでなければ、法理論を別として、常識的に片手落ちであつて、明らかに法の矛盾であり不備である。公納金が配電会社、又はその承継会社の負担すべきものでないことには何等事情の変化を生じているわけではないからである。
 三、配電会社解散以前における公納金未払金は清算中の配電会社の債務である。併し清算会社は法人税軽減なる特典が得られないので、公納金を会社に負担させることとなり、当初の趣旨に反することになる。従つてこの分も又新会社へ義務並に権利として承継せしめることが適当であると思料される。
#58
○委員長(竹中七郎君) 太田証人に御質疑がありますならば十三時頃に帰えられるはずでありますから改めて委員会にて御相談いたします。次に宮澤証人に証言を求めます。
#59
○証人(宮澤俊義君) 私に対するお尋ねは、一、公共事業令の一部を改正する法律案のごとく事業者の支払義務のみを延長し、これと見合う法人税軽減制度を打切ることが財産権の侵害となるや否や、二、被統合者の事業又は施設返還要求の法的根拠の有無でありまして、いずれも法律論であると思いますので、その意味で簡單に私の意見を申上げます。
 公納金の制度は、被統合者に対してはその出資又は讓渡の対価がすでに支払われ、被統合者と配電会社との間の決済は完了していると認められることから言いまして、地方公共団体の出資又は譲渡に対する対価たる性格を有するものではなく、專らそうした出資又は譲渡の結果として生じた地方公共団体の財政の不足に対する国家の補償の手段たる性質を有するものと見なくてはならないものと思います。而もこの地方公共団体に対する補償は、これを事業者に負担させる趣旨でなかつたことは、即ちそれが国家による補償の性質を有したことは、出資又は譲渡に対する対価がすでに、又払われた後において事業者にそれを負担させるべき何らの理由がなかつたことから言いましても、又公納金が法人税の軽減と不可分的に結合させられていましたことから言つても明瞭であろうと思います。
 その期間を十年に限りましたことは、それらの特定の地方公共団体に対して国家が財政上の補償を行うという必要は、むしろ過渡的或いは経過的なものであり、決して永久的なものではないと考えられたので、これを一先ず十年と限つたものでありましよう。十年経過の後において、なおそういう必要が存続するという場合には、その対策は改めて考慮する趣旨であつたことと推測されます。従つて十年の期間が経過した後に、先の出資又は譲渡に基く地方公共団体の財政上の困難という状態が依然として続いているという理由で法律を改正して、この公納金制度を引続き存続させようとするならば、そういう立法が妥当であるかどうかは別の問題といたしまして、その場合も、少くとも公納金の制度は従前通り法人税の軽減と結合したものでなくてはならないということは当然であろうと考えられます。然るに今度の公共事業令改正法律案は、公納金の制度を引続き存続させると言つておりますが、これと本来不可分的に結合させられていた法人税の軽減を打切つております。これは即ち公納金というものを、今度は專ら事業者に負担させようとする趣旨であります。これは従来の公納金制度を存続させることではなく、特定の地方公共団体に対する国庫による補償という制度をやめまして、これに換えて新たに事業者にその補償義務を課することにほかならないと思われます。地方公共団体の財政上の不足は、原則といたしまして公債、事業收入その他の非権力的な收入によるほかは、專ら租税又はこれと同じことに帰着いたしますが、国庫による何らかの交付金といつたようなものによつて賄われるべきものであります。それを一電力会社に負担させることが可能であるためには、その地方公共団体とその事業着たる電力会社との間に何らかの反対給付の関係といつたような特殊な理由がなくてはならないと思います。そういう理由がないのに、法律を以て電力会社に対して特定の地方公共団体の財政保証の義務を課するということは、憲法上何らの根拠なくして財産権を侵害することになるのではないか、即ち憲法の二十九條財産権保障の規定に違反するのではないかと思います。この意味で、このたびの改正は憲法違反の疑いが相当に強いのではないかと考え
 ております。
 第二の点でありますが、往年の配電統合によつて強制的な統合が行われました際に、戰争が終つた後に、又元の姿に戻るという話合いがありましたか、或いは関係者の間に、そういう期待がありましたか、それは私は存じません。併し現在の関係法令その他を見まして法律的に観察する限りは、被統合者が事業又は施設の返還を要求する権利、買戻権といつたものを持つておると見るべき根拠は見出されないように思います。従つて統合後、いわゆる復元するかどうかは全く新らしい立法によつて自由にきめらるべきことでありまして、現行法の下において、何らかの復元に対する権利というものは認められておるのではないと言わなければならないと思います。
 それだけであります。
#60
○中川以良君 議事進行について、私は、本法が成立当時のいわるゆ第七十六回帝国議会におきまして、その委員会においていろいろ論議をされておるのでありまするが、先ほどお話のございました通りに当時委員会の理事として発言をしておられた福田關次郎君が只今ここに傍聽をしておられまするので、一応当時の模様と御意見を参考に承わつた上、質疑に入りたいと思いますので、委員長において然るべくお取計らいを願います。
#61
○委員長(竹中七郎君) 只今中川君の御提案に対しまして御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○委員長(竹中七郎君) 異議ないと認めまして、さよう取計います。
 では参考人といたしまして福田關次郎君にお願いいたしたいと思います。福田さん、誠に御迷惑でございますが、参考人として御意見を賜りたいと思います。
#63
○参考人(福田關次郎君) 只今参考人として当時の模様を述べよとのことでありまするから、簡單に……。
 当時私どもは衆議院に議席を有しまして、先ほど来いろいろ御証言がございましたように、公共配電統合そのものにも当時相当議会には反対があつたのであります。又発送電の法案の改正におきましても相当な反対論があつたことは当時御記憶になつたかたもあつたかと思います。殊に公共団体の公営しておるもの、即ちこれは私益追求のものではありません。その地域におきまする全部の人々の公なる利益のために長い間経営されて、それが合理化されてようよう緒に付き、以てその地方公共団体が御承知の通り、先ほど来述べられたように、相当な利益を挙げて、そうしてそれが歳入の上におきまする非常な貢献をなし、従つてその地方住民の利益は莫大なものであつたことは、一地方におきましては歳入の二〇%まで負担しておりました。当時我々はこれを統合することには反対でありましたが、どうしても今や戰争はもう完全に迫つておるではないか、来栖、野村両氏は米国において或いは難局に遭遇して、これはもはや最後の事態に突入するであろう、そのときにこの統合に反対するがごときは非国民だというような空気があり、当時の軍部、官僚が非常にこれらの宣伝をいたしたものであります。然るにかかわらず、私どもは敢然として、この公営になつている歴史を持つておりまするものを強権を以てこれが統合を強化するがごときはどこまでもいけない。それが私益追求の私立会社を統合して豊富低廉なるところの電力を起す、或いは配電をいたしますことには賛成であります。すでに公のものは命令一つで自由自在になるのであります。例えば一つの県、その当時は今日の県とは違いますから、いわゆる軍部であろうと、政府の言いなりになるのであります。あらゆる都市におきましても全くそういつた命令そのものに従つておりました。それを殊更又私立会社のものと統合するという必要はどうしても認められない。だからこれだけは切り離して統合しようじやないかということが議会の各政政党におきましても、委員会においても相当な強い意見であつたのであります。ところがいろいろそれじやしようがないからというので、いわゆる配電管理法案を出そうと、近衛内閣はこれを強行せんといたしたのであります。それでもう法案はすつかりできておりました。できましたが、世の反対と議会の反対を見まして、今や日米の危機目前に迫るのに、議会において一大紛糾を來たすがごときは、これは大変だというので、折角できまして強行する覚悟であつたものを、戰時態勢下における近衛内閣も遂に配電管理法案というものを撤回することになつたのであります。如何に当時議会におきまする反対論の峻烈であつたかが御了解ができることだろうと信じます。
 そこで私どもは、政府が配電管理法案はやめるが、どうしてもやらなければならん、こうなりまして、そこで政府の方面にも相当協力する者もできて来まして、どうしてもやらにやならんと言いましたから、ここは大変だと思うけれども、もはや強力を以てやるというのならば、総動員法というものがすでにできて、この総動員法の措置というものは産業の戒嚴令であります。その戒嚴令の下におきましてやろうとするならば、政府はやり得ます。これに反対いたしましても我々は敗北するのは当然であります。そこで、どうしてもやりたいが、どうでしよう、こういうことでありました。それでは配電管理法案は撤回して、これをおやりになるつもりならどういうところからやるか、そこで私は昭和十六年二月の議会において、いろいろ私もほかの委員もいたしておりますが、逓信大臣の都合もあり、次官の都合もあるというので、決算委員会において私はこれを質すことにいたしたのであります。その質しまするに当りまして、それより先に配電、発送電の改正法案その他でいろいろやはり論議をされておりました。その当時逓信大臣は、公共団体のごときものを若し吸收するといたしたならば、今までこれによつて賄つて来た地方公共団体は如何なる結果になると思われるか、今日はあらゆる事業は統合され、或いは中小商工業者の中にはストツプをされて、その業をやめなければならん、担税力はいよいよ減少して来る、その上に唯一の財源であるものを没收に等しきことをして、この地方公共団体を如何になすか、我々個人の利益ならばこれは犠牲にするが、公なものはそうは行くまいというて論議を始めましていたしました結果、逓信大臣は仰せの通り、地方公共団体の財産を失い、これによつて運営を危うくするがごときは愼しまなければなりません、こういうことを明言されております、そうしていよいよ一歩譲つて、我我はこの公共団体の配電統合に参画するとしたならば、その結果生ずる今まで一般会計に編入しておつたところのその地方公共団体の利益というものを如何にしてくれるか、如何になさるおつもりか、こういうことを言いました。そうしたところが……あとからこれは御参考にして下されば結構です、時間がありませんから読みまませんが……。逓信大臣は、これに対しましてはいろいろな、税金その他を考慮をして、これが財源を失わないように善処いたしたいということでありました。それならば、その善処するという議論は、この統制が続く限りは、というふうに了承してよろしいか。これに対しまして、電気庁長官はこれに又答弁をされております。併しあなたがこれだけ約束をなさつて配電の統合が続く限りはその財源を失わないとお仰せになつて、明言をされたが、どうも今日の内閣はときどき変るのである、あなたのごときえらいかたが変つてもらつては困るのだが、併し内閣の都合でいつ変るかわからん、ここで明言されてもあなたがお変りになつては、この地方公共団体はどうなるか。と、仰せの通り内閣が変わるかも知れません、私も又変わるかも知れません、併しながらここに逓信省と申しますか、電気庁と申しますか、これらのものが、地方財源を失わんということについて、一丸となつてその責任を痛感いたしますということを明言されておりました。ここにおいていよいよこれによつて統合されても、統合されると仮定いたしましても、地方公共団体の利益は断じて今まで以上に減少することはないということになりました。
 そうして我々はその議会は終つたのでありますが、それから逓信省がいよいよ問題を起し、我々は逓相官邸に数十回行きました。どうしたらいいか。そこで私もここで言うております。地方公共団体の歳入を補填するにしたところが、私立の会社と公営団体とのものを合致するとぎに、收入を殖やそうと思えば水増しをしなければならない。評価のいわゆる水増しをすれば私立会社のほうが反対するであろうし、その点はどうなさるのか。ここまで私は質問しております。そこが政治的に言うに言われない、こういうのであります。これは政治、いわゆる高等政策の存するところでありますから、今こうするということは言えない、御信頼下さいということで、一丸となつて責任を負います、こういうことです。然らばこれを失わんようにお願いしますということにいたしました。そこで初めて考えた。水増しはできない、評価を増加することはできない、公平に行かなければならない、そこで遂に公納金という制度がこの議会におきまするところの決算委員会における逓信大臣との約束において、然らばというので発見されたのが公納金制度であります。そこで年限の問題、年限は初めこうだつた。一体どうでしよう、この戰争が五年も十年も続くようになつたら日本はもう駄目だ。今の考えは、たとえ日米の戰争があつても三、四年すれば片付いてしまう、こういうことであります。併し三、四年、四、五年で片付くということはこれは仮定である、こうなります。どうしよう、まあ大抵十年を超えざるということにしたならば、その間には勝負はとうに片付くというので、その見地より配電統合の続く限りは、地方公共団体の利益は失わんということをお約束なされて、そこでその年限はいつまでかということになると、この太平洋戰争というものは、当然まだ始つておりません。日支事変だけでした。併し今始まろうとしている。それがいつ完了するかは想像はつかんが、併し五、六年もかかつたらば日本はくたばつてしまうし、できるものではない、それまでに一時にやつてしまうのだというのが軍部のその当時の澎湃たる空気でありました。そこで四、五年としたらどうであろうとありましたが、遂に大事をとつて十年を超えざるということにしたならばすべてが解消してしまう、そこで解消すれば、総動員法は今申上げる戰時中の産業戒嚴令である、保安維持の戒嚴令と同一に、そのようなものが戰争が済んでも亦継続して人権を蹂躙する、助産権を侵害することを、平然として憲法を無視するようなことがあつては相成りませんので、如何に時の軍閥といえども、戰争が済めば釈然としてこの統制を解除して、総動員法は無効となる。従つて今まで強要されたところのものはもとに戻るということは、これは憲法の私有権を確保いたしまする途の当然の帰結であります。ここへ来たのであります。これが十年ということをきめました基礎であります。
 先ほど来いろいろお話を承わつておりますと、本当の当時の大きなこれは政治的な関係で、法的には統合することもできると言われることは御尤もです。ところがその政治的の方法としてどういうわけでそんな公納金制度をとつたのかということは、失礼でありますが御承知のかたはない。これでは本案の判定を如何にするかは、これは御困難であることは当然であります。いろいろと議論が出ます。本当はこれは政治的折衝、その折衝の十年というものは戰争が済めば総動員法も消滅する、そこで今まで統合されたのも、必要によつて元の所有者にも帰ろうし、それから統制は解除されるだろうし……今日はどうだろう、食糧統制だけ、あとは全部解除いたしております。然るにこの配電統合だけが今日まで残りまして、そうして非民主的、戰争当時の強権を濫用したところの官権の遺物が今日残つておるのは、日本の民主主義の一大恥辱であります。どこに一体財閥に対抗して、これらの行動に対抗し得るものがどこに見られるか。この部門に立籠つて、そうして今日まで存続しておるということは、世界に対しても民主独立日本の、私は想像申上げまする上において実に毎日の辱めを感じております。これは皆様議会のかたがたにもよくお願いをいたしまして、こういう不自然は、如何なる議論をいたしましようとも、この総動員法そのものは私有権を没收したものもあります。いやだというのに取上げた、そうしてこの強奪したものをそのまま統合して姿を変えて、そうして今の公納金その他をやめんとするがごときは全くこれ、現在の憲法を逸脱しておるものであるということまで言いたいように感ずる。それでありますから、これらの点から考慮いたしまして、戰争は五、六年で済むということは、その当時の閣僚、私どもはその当時民政党に属しておりましたが、民政党の幹部も、こんな君、十年も五年も日本は続くかい、もう二、三年でやつつけてしまうのだ、こういうことでありまして、五年というのを十年という範囲にしておけば戰争は終結する、終結すればこれが解消される、総動員法は駄目になる、そこでいわゆる今日の西日本重工業、或いは中部の重工業、東部の重工業というものは何でありますか。これはみな民有国家管理、これらが戰争においてみな解放され、進駐軍の接收のものまでもことごとく所有者に還元されるときに当つて、なお一部のものがここに立籠つておるということは、これは民主日本の唯一の非民主的の典型だと私どもは大変憂慮しております。
 そこで我々は、公共団体の利益ばかりではない、公共団体は数百万、或いは数十万、数万の人々がみな均霑するのでありまして、私一人の利益のためではありません。これを一つ御了承願つて、そうして公納金というものは、年度をきめたら期限が来た、そのようなものではないのであります。そこで妙なのは、先ほど来いろいろ例がありましたが、これを創定いたしまする当時には、例えば京都の例で申しますと、京都は公営事業で使つておる電力或いは電灯料はこの分二割、この分三割、先ほど仙台の代表者からお話になりましたが、ことごとくこれを片つ方減少して一般の住民よりも下げて、そうして市のいわゆる歳出入に対しまする緩衝地帶としておつた。これも一つの、今までの地方公共団体の利益の中に入れるべきものであると私ども主張した。二割、三割引いておるのもこれは利益である。ところがそれではどうも困るのでありますから、これは二割、三割引いておつたものはそのまま引くことにいたしましよう、こうなる。それだから京都のごときは、一年半に亘つて二割、三割と皆引いております。それをいつの年か理事者がその立法当時の精神を忘れ、或いは事業家の排除によつて遂にこれはうやむやにしておる。現在こういうことがあるということは実に遺憾千万であります。だから我々のほうから計算しますと、今日の配電会社のかたがたでも非常に経営が困難だとおつしやる。我々はここにもちやんと言うておりますが、発送電のていたらくはどうだ。官僚的に経営して放漫な支出をして幾らでも金が要る。それで足らない。千五百万円を国家からもらう、もうもらうことを前提として放漫な経営をやつているのであります。放漫杜撰にして非能率的な経営を現在の配電会社がやつておつて、そうして国民が搾取の対象とされておる、こんなものをメスも入れずにこのまま置いたならば日本はどうなる。これらの配電会社なんか大いに自覚して……、そうしてこの人々の俸給のスライドを御覧なさい、公納金というものは元の円価のときだけの金額に認めておいて、自分らの給料は数百倍に上げておるじやないか。そうして電燈、電力代の値上りにいたしましても、京都市にいたしましても、その当時から二百三十倍以上に上つております。然るに公納金はその当時の価いを以て計算する、こういう矛盾があります。これらに刺戟を與えてこそ、私は配電会社なんかの運営というものに本当に魂が入つて、一大結果を得られるものと思います。誠に私どもは今日の民主主義日本の前途をずつと考えますときに、こういう恐るべき遺物がまだ澎湃として勢力を持つているということは非常に考えなければなりません。そして地方公共団体はますます財政上困難であります。日々の新聞で御承知でもありましようが、もうこれは赤字々々で、私どもの京都にいたしましても約十三億の、二十六年度では赤字であります。幾ら赤字でもこれを経営しなければやつて行けないのであります。それでありまするから、もう平衡交付金なんか少々頂いてもやり切れない。そこへ持つて来て当然主張すべき権利があります。その統合というものが続いている限りはこの利益を失わぬということを逓信省そのものが御公約になつております。これを私どもは主張いたしまして、そしてこの公納金制度ができたが故に、ここにありますることを御了承願いまして、そして我々の要求いたしまするのは徒らなる要求ではありません。その当時の実績やかような情勢から公納金制度ができ、それがためにすべて私どもは将来のためを考えて議会において保証を……、それでありますから今の復元の問題は時代が違う、姿が変つているから公納金の制度は国家が責任を負い、配電会社が負うべきでないということの主張でありますが、それは別の問題であります。私どもは非難はいたしませんが、よくこの辺を勘案いたしましたときに、地方公共団体の今日の苦境、そして又京都のことを申して済みませんが、明治二十五年に明治天皇が、都をお遷しになつたについて将来京都はさびれるというので、お手許金を出して、日本一のあの古き都に日本一の進歩した文化施設の、いわゆる発電所を作るということで、お手許金まで頂きまして、これによつて事業を起して京都の将来を運営して行けよとの大御心によつて、明治大帝は明治二十五年の竣工式には皇后陛下まで御同列で御参列になつたのであります。それで、又事業開始のときにも行幸になつているのであります。かくのごとくして地方自治体の発刺とした運営は……。
#64
○委員長(竹中七郎君) 参考人に申上げますが、余談に亘ることはお控え願いたいと思います。
#65
○参考人(福田關次郎君) そういうことになりまして、この事業は完成しているのであります。それを何らの歴史も考えずに、強権を以て総動員法でこれを没收されてしまつたと同じことであります。又それが今日までそのままで続いているということは、独立日本の上においてあり得ることでありましようか。この点も一つ十分お考えを願いまして、どうか一大効果を一つ挙げてもらいたい。と共に、我々の要求いたしますることは決して無理なことを申すのじやありません。こういうふうに考えておりますので、余談のことを申しまして相済みません。
#66
○委員長(竹中七郎君) どうも御苦労様でした。では証人並びに参考人のかたの陳述を終りましたので、委員のかたから御質問を賜わりたいと思います。
#67
○境野清雄君 先ほどお話のありました高井、吉村両証人、どちらでも結構でございますが、大体問題になつている法案では事業者の公納金支払義務の復元に関する立法措置がなされるまで延長する、こうなつておりますが、地方公共団体に対する復元は、あなたがたのお考えでは、いつ頃だというお考えであるか、おわかりだつたらお伺いしたいのです。
#68
○証人(高井亮太郎君) 先ほどの陳述にも申上げましたように、地方公共団体の單なる復元というようなことは、只今のところ考えられないのではないかと私は考えております。将来のことでありますからわかりませんけれども、私はさように考えております。
#69
○境野清雄君 他の問題に関連したようなものでありますが、仮に若し復元したという場合ができましたときに、電気使用者の関心の的であります今の電気料金というようなものは、どういうように変化するかということはお考えになつておられませんか。
#70
○証人(高井亮太郎君) これは復元ということがあると仮定しての話だと存じますが、これは場合によつていろいろ違うと思うのでありますが、一つの電力会社の主要供給地域となつておるような都市が分れた場合とか、或いは一つの町が経営しておられたものが分れた場合にか、いろいろ場合があり得ると思います。若しも非常に需用の密な、而もその電力会社の相当部分を占めるようなところが分れたと仮定をいたしますれば、その部分は需用が密であるという方面からは電気料金が比較的に安く行くのではないかと考えられる部面もあると思います。尤もこれはその復元ということがあつた場合に、その復元されたる部分は誰から幾らで電気を買うのか、自分が発電するのか、その辺の原価が又仮定をして行かなければ全然わからないことになりますので、一概に申上げることはできませんけれども、大体の通念上非常に密な都市が分れるならば、或いは比較的安く行くかもわかりません。そういたしますれば、その残りの部分の電気料金は反対に上ることになるであろうと存じます。
 なお附け加えまして……、先ほどからいろいろ地方公共団体において従前利益のありましたお話がございましたが、これは実際であると思いまするし、大変経営に御苦心もなされ、その都市内の自分らの需用家であるということでいろいろの御便利もお図りになつたことも実際あつたであろうと思います。併しこの戰争を経たあとの状態において、それが如何なることになつたかということは、どういう状態でその電源を求めるのであるか、その周りの事業者が又どういうふうになつているか、仮定でありますから、その仮定の仕方によりましていろいろになると思うのであります。なかなか以て電気事業者の経験といたしましても、前の通りのカーヴで、貨幣価値なり何なりに比例した利益金が直ちに上つて行くというようなことは、なかなか考えられないことではなかつたかと思うのです、これは過去においてそうであつたと仮定したら……これは初めの御質問はこれから先に還元があつたらという話でありますが、結論として申しますると、還元がある、ただ一つの還元があるだけで、あとは今のままになつているのか、或いはほかの情勢もどういうふうに……分裂するのか統合するのか、それによつて、本当はわかりませんと申上げるのが本当の答えだろうと思いますが、大体の考えを申上げます。
#71
○境野清雄君 電気事業の再編成によつて、二十六年の五月一日に各関係会社は解散しまして、新らしい会社ができた。それなのに、この公納金制度の問題を見ますと、新会社は、公納金支払の義務は公法上でなく私法上のみに負つているということになつておるので、法人税の軽減の恩典というものは、新会社は二十六年五月一日以降はこの法人税の軽減の恩典にはあずかつておらないのですか。
#72
○証人(吉村清三君) それは公共事業令の改正によりまして、統制令の承継になつております新会社に、公納金の義務も、法人税の軽減の権利も、両方とも承継になつております。
#73
○境野清雄君 もう一つ承わりたいのですが、公納金の算出方式が関東と関西と違う、こういうお話で、関東のほうはわかるのですが、関西のほうはあれですか、税率の変更を考慮して公租公課を取つているという……算出方式はどんなふうになつているのですか。
#74
○証人(吉村清三君) この点についてお答え申上げます。現在、今一本に関東と関西と同じ方法で計算しております。それは過去におきまして、これは以前の通牒がございまして、新たに独立税をかけられたり、又は税率が変更したときば、内務大臣と逓信大臣が協議して決定するということになつておりましたが、一応その問題は非常に地方税が殖えて参りますので、その協議の決定は一応保留させて頂いております。その間若干ズレたこともありますが、現在は同じ方法でやつております。
#75
○栗山良夫君 私は伊藤証人にちよつとお伺いしたいと思いますが、あなた
 の先ほどの御証言を伺つておりますと、公納金の延長ということは、差当り主張はしておるけれども、本当の肚は復元を希望するのだ、こういうお話でございましたが、さように了承してよろしうございますか。
#76
○証人(伊藤修助君) さようでございます。
#77
○栗山良夫君 そういたしますと、復元を希望せられる裏は、まあ感情的に戰争前の状態に戻りたい、こういうことはまあ別にしまして、当面の目的としては、その復元によつて電気を運営し、安い料金で住民に供給する、同時に若干の利益を上げて自治体の財政的な補給をいたしたい、こういう二つの狙いがある、こういう工合に私はお聞きしたのでありますが、それでよろしうございますか。
#78
○証人(伊藤修助君) その通りでございます。
#79
○栗山良夫君 そういたしますと、成るほど戰争前には地方自治体は相当な收入が上つておつたことは、これは承わつて承知をいたしております。又同時に、当時の電力事業者も相当な收入を上げておつたはずでございます。ところが今日の状態を御覧になるとわかりまするように、電気料金制度そのものは成るほど累次の値上をしておりまするけれども、余裕のある経営をするような状況には立至つていないということを強く力説をいたしております。従いまして、仮にこういうような現在の料金制度の下におきまして、特定の地方公共団体が適当な新らしい対価で事業を復元せられましても、今あなたが希望せられるような二つの目的を達することには甚だ遠いのではないかということを考えるわけであります。従つて、それをあえてやろうと思いますれば、地方自治体においては結局財源の補給をやろうとすれば、相当な料金の引上げを行わなければならない。料金の引上げを行うということは、二つの目的の一つが失われるわけで、安い料金でやろうと思えば財政の補給はできない。この二者択一、いずれかを選ばなければならない。二つ同時に満足することはむずかしかろうと考えますが、その点の御研究はどうなつておるか、伺いたい。
#80
○証人(伊藤修助君) その点は、各種の調査によつて大要の見通しはつけておるのでございますが、お話のように経済事情のいろいろな変遷によりまして、勿論戰争前のような経営はできないということは想像いたされます。そういうような点から見まして、大体戰前の計画から、現在の料金の率等を勘案いたしまして計算をし、更にそれを八〇%或いは九〇%に抑えて推計をいたしておりますが、なお、それでも経営規模の適正化、むしろ現在の経営は、電力会社の経営の立場としてはいろいろ御議論もございましようけれども、私ども従前公営をやつたものから見ますと、適正の規模による経営、それによる経営の合理的、経済的運営ができるという有利な面を十分考えられると思います。それは先ほど電力会社関係者のお話の中にもさような御陳述がございましたが、そういうような観点からいたしまして、推計をしましたものを、或る場合には八〇%或る場合には九〇%というようなふうに抑えて参つておるのでございますが、最近の料金値上げのことについては、さような推計をいたしておりませんけれども、昨年の八月の料金値上げの場合の東北電力株式会社関係のことで、仙台市の場合を推計いたしますと、私ども前から申上げましたように、二つの目的が十分達せられるのではないかという数字的な指数を持つております。
#81
○栗山良夫君 仙台の場合でも結構でございますから、そういう御研究をなさつた資料がありましたならば、委員会のほうに一つ御提出を頂きたいと思うわけです。
 それからもう一つ伺つておきたいことでありますが、それは只今電源開発でも問題になつておりますが、要するにこういう水力資源から得られたエネルギーというものは、国民に均等いたしまして、そうして国民各層、各地域に亘つて普遍的に供給をして、国民生活の向上を図るということがやはり新らしい民主主義の理念でなければならんと私どもは考えるわけであります。その場合に特定の都市等がそういうことを計画し、実行されました場合には、勢いその反対現象といたしまして、農村方面については相当大きな、あなたがたが今主張されておるようなことが実際に実現するとするならば、大きな犠牲を與えて行かなければならん、こういう工合に考えるわけです。例えば一尾の魚をとりましても、刺身のとれるところは体中全部ではございません。その場合に一番利用密度の高い、刺身のとれるところだけが独立いたしました場合に、頭とか、尾とか腹に廻つたほうは非常な困難をするわけであります。そういうようなことを電気事業において当てはめることが新らしい理念であると、こういうふうにお考えになるか、この点を伺いたいと思います。
#82
○証人(伊藤修助君) 利益を全体に均霑せしめるということは一応御尤もなことでございますけれども、これは現在の状況でも御承知のように、問題になつておりますのは水火力調整金のことでございます。御議論のようなことでございますというと、水火力調整金のごときは永久に存続せしむべきものというような結論にも達するのじやないかと思います。併しこれは、先ほどから会社側の関係のかたも申されておりますが、原価主義という建前から申したならば、そこに又別な見方が生じて来るのじやないかというふうに考えます。それからもう一つは、根本的に国民全体に均霑をするという御趣旨は尤もの話でございます。併しながら、私ども多年主張して参りましたことは、先刻来繰返して申上げましたように、今公納金制度その他のことが法令の根拠を失つて、なくなると、新たに設けるには新たな根拠によらなければならないと、こういうお話でございますが、それならば戰時中無理に国家統制……国家総動員法により、或いはそれに附属した勅令等により取上げられたものは、それはそのまま放つておいてよいのかというようなことも言えるのじやないかと思います。而もそれらの、従前の被統合者、従前の経営者は利益を失つたばかりではなく、その補填の方法も今失つているという実情を、そのまま放置しておいてよいのかということになると、私どもは必ずしもそうは考えないのでございます。
#83
○栗山良夫君 私は、財源の補填の問題とはまあ別個に、電気事業のあり方をお尋ねするわけでありまして、例えば只今全国的には地域差料金の撤廃の声が非常に強いので、又電力の融通を九電力会社に任しておいてはいけないので、これは営利性を払拭して、全国均一に行うべきであるという主張が非常に強いわけであります。私どもは、やはりそういつたような観点で、電気事業は今日の状況においては正しくはないということを考えておりますが、そういうようなことを主張されておる地域におきまして、それと全く違つたような意見の、只今の復元が主張されております点について、物事の考え方に一貫性のないようなことを私は恐れるのであります。そういう点はどういうふうにお考えになるでございましようか。例えば九州におきましては非常に電気料金が地域差において高いわけであります。これを東京なり或いは関西なりのように安くしろという運動が非常に強いわけでございます。そういう九州全体の動きの中で、その九州の中の一県が復元運動を非常に強くされております。そうして、自分の所で起きた電気は自分で使うのだという、こういうお考えでありますが、そうすると、その県のほかの九州の他県は、当然非常に割高な電気を受けなければならん。こういうことになるのでありまして、只今九州全体として起きている地域差撤廃の運動は全国的には正しいでありましようが、九州自体においては崩れて来るという現象を生ずるのであります。従つて地方自治体の立場をお離れになりまして、全国的視野に立つて、こういう問題をどういう工合にお考えになつているか、この点を一つお述べを願います。
#84
○証人(伊藤修助君) 現在のように民有民営という建前でやつている限りにおいては、私どもやはり需用供給としてやらして頂くことが適当と思います。御意見のような点になりますと、これは全然別な立脚点に立つて論議せらるべきものと思います。
#85
○栗山良夫君 まだちよつと、その点では話が完全にくつつかないわけでありますが、まあ一応これで終ります。
 それから次にお伺いしますが、そうすると、そういう復元が実現するまでの間公納金制度を延長したいと、こういうことでありまして、その点のお考えはよくわかります。それで西村さんとお二方にお尋ねをしたいと思いますが、その場合に、今日各証人から述べられた点の絶対異議のない点、西村さんと伊藤さんはお触れになつておらないようでありますが、その他のかたの一致した御意見といたしましては、これはやはり国の実質的な補償の下に公納金制度というものは作られたものである、いわゆる公納金の納付ということと、法人税の軽減ということとは全く結合された一体的なものとして行なつて来られたのである。こういうことが述べられたわけであります。これに対して公納金制度ということを伊藤さんも西村さんも力説されておりますが、公納金制度というものは、私どもはさように理解しておるわけであります。そこで今、あなたがたは公納金制度を延長する場合に、法人税の軽減措置というものを併せて行うべきものである。或いはそういうものを行う必要はない、公納金の負担を電気事業者だけが負担すればいいと、こういうふうにお考えになつておるのか、その点を理論的にお伺いいたしたい。
#86
○証人(西村力君) 只今の御質問のところは極めて重要なキー・ポイントでもございますが、先ほど来関係証人からいろいろと御証言がございましたが、私どもが一応考えておりまする点は、公納金自体が制定されましたその当初の政治的な含みは、先ほど公述をいたしましたので御了承かと存じます。のみならず、その場合におきまする議会を通じての質疑応答の点からいたしまして、その当時の逓信大臣としての確約が、私ども地方公共団体の者にとりましては唯一の信念となつております。即ち当時十年を超えざるという期限を附せられましたことは、これは法律的な、法理的な論拠から決定をされた期限内容ではないのでございまして、当時の政治的な情勢が然らしめた期限の決定であつたわけでございます。つきましては、この公納金というものが取上げられました当時におきまして、私どもの全国の地方公共団体の関係者が、それぞれ猛烈な反対運動をやりまして、当時私はたまたま京都市会議長の立場におりましたので、京都を代表いたしましてこの運動に参画をいたしました。そうして先ほど福田元代議士からの参考証言もございましたが、私どもは、それこそ逓信大臣のみならず、当時御承知のように大政翼賛会がございまして、而もその翼賛会の石渡事務総長がこの間の調整に非常な盡力をいたされたのでございます。地方公共団体のバツクボーンである内務省当局はもとよりでございますが、この大政翼賛会の石渡事務総長の働きが会納金ということになつたわけでございまして、議会を通じ、のみならず院外における私どもの運動を通じてでき上りました、先ほど申上げましたが、畸形見的な所産である。この背景、統合……この公納金、こういう解釈につきまして、それならば一体公納金というものを今後どういうふうにして行けばいいのかという栗山先生のお尋ねのように考えますが、これは私ども先ほど来いろいろと関係証人からお話もございましたが、その当時の統合が決して正当になされた、対価によつて取引をされたものであるということには絶対承服いたしかねる、そのことはいろいろの証憑書類等もございまするが、これは一方的に押しつけられたいわゆる一種の略奪行為であつたのであります。民主的な方法でなされた統合では決してありません。従いまして私どもは、この公納金というものがそういう観点からいたしまして、これが政治的にその含みがありましようとも、私どもは決して国家補償によつて私どもの公納金というものが獲得できたものだとは考えておりません。国家の補償であろうと、或いは契約に基くところの会社の補償であろうと、その何たるかを問わず、とにかく一応窮乏のどん底に追い込まれました地方財政のこの窮乏を救済してくれる、補償をしてくれる、そういう立場から公納金というものを妥協的に呑んだわけでございます。従つて現段階における今日以後の立場において、私どもは、この公納金なるものが、先ほど来いろいろ陳弁がございましたが、大蔵省が承服されまして国家補償的に会社に対する法人税軽減の措置を以て立法化されることも、もとより喜ばしいと存じます。即ち現状の姿においてこれが延長されることも結構だと思いまするし、言葉を更に進めまして申上げまするならば、会社の單独に曾つて略奪したそのもの自体が、先ほど申しましたように、資産再評価の結果においても厖大な資産評価になつております。而も一定の、昭和十七年四月一日現在を以てその枠の中に閉じ込めました公納金自体は、一体我々は他面又、スライドの問題等も提唱いたしておりまするが、とにかく公納金自体といたしましては、会社であろうと国家であろうと、いずれであろうと、地方公共団体に対するところの財政欠陷を補填する意味合いにおいて補償されるべきであるという考えを今日は持つております。従いまして、賢明なる栗山先生等の御盡力によりまして、本案が速かに通過いたしまするように、或いは又御意見等の点がございましたならば御修正等を頂きまして、適正に法案が通過するように御盡力にあずかりたいと存します。私どもあえて会社側に対立的な考え方を以て本案の通過を希望いたしてもおりません。円満に事の解決することが一日も速かなれば速かなるだけ、我々公共団体側にとつて極めて有利だと考えておりますので、その点十二分のお含み置きを願いたいと思います。
#87
○栗山良夫君 只今西村さんがおつしやつた点が一番ポイントになる点だと思います。それで実は終戰後の新憲法下における公益事業としての電気事業のあり方というものを、本質的に理論的に体系付けようといたしまする場合には、到底ここではできないでありましようし、今後議論の余地のあるところだろうと私は考えるのであります。併し先ほど福田参考人が言われたように、近衛内閣或いは東條内閣当時に、民権を抑圧し、そして強権を以て電気の再編成を行なつたことは怪しからんことである。これはすべてよろしく元に戻すべきであるという考え方、或いは又あなたが今お述べになつておるような考え方は、これは感情論としては成るほど御尤もだと思うのであります。併し如何に感情論でありましても、そこにはやはり法治国家でありまして、憲法以下各法律が一応あるわけでありますから、それに則つた筋道を追つて行かねばならんことも御理解願えると思います。そこで参議院の通産委員会で本日多數の証人のかたにおいでを願いまして、そして率直な、あらゆる意見をお聞きをいたしたいということは、西村さんも恐らく御承知であろうと思いますが、そういう法律的な立場に立つて、法律を作ります上において、後世批判を受くることのないような立場を堅持したいというのが、我々の目的であつたことも御理解を願えると思います。本日御証言を願いましたいろいろなかたの中で、例えば学識経験者であらせられる太田先生或いは宮澤先生、或いは関西の吉村証人、予定されておつた京大の大石先生或いは阪大の磯崎先生等の、十分学術的な立場に立つた御意見におきましても、只今の問題が別に公納金の期限を延長するとかしないとかいうことは、問題があるようでありますが、それを若しやるとすれば、新らしい措置としてやつても構わんじやないかということもあるようであります。ただその場合に従来の関係がありまして、公納金とそれから法人税の軽減とは、これは一体的なものである。それを外してはいかんということは通つておるわけであります。そこでやはり、この法律原案の意向に副うようにするということでありまするならば、どうしても法人税の軽減と一体的なものにしないと、これは手落ちじやないか、例えば宮澤先生は、最後には若し切離してやるとするならば財産権の侵害をするものではないかとも恐れるということを述べておられます。そこでお尋ねをしたいことは、これに関して、大蔵省との折衝はまだ十分に、先ほどの局長の話によりますと、行われていなかつたようであります。これは純然たる政治問題であるというところまで発展しておるにかかわらず、大蔵省当局との交渉は、どうも政治問題として交渉は行われていなかつたように私は理解をするわけであります。提案者と大蔵省のほうの一課長との話合いが進められた程度で、その上の政治問題にはなつていないように私は思う。従つて、そういう工合に御努力を将来もされて、そうして地方公共団体も満足される、電気事業者も満足する、又法律的にも筋が通つておると、そういうような形にこの問題を進められるような御意向がおありになるかどうか。この点を一つ伺つておきます。
#88
○証人(西村力君) 栗山委員からの、地方公共団体に対して、或いは又会社側に対しましてのお話でございまするが、もとより私どもも只今申上げましたごとく、あえて事をあげつらいまして、事の解決を図ろうとするものではございません。従いまして、このことが円満に話合がつきまして、政府当局並びに関係地方公共団体及び関係会社がそれぞれ納得の行ける線が出ましたならば、これこそ一番都合のいい解決であるとも考えますが、一応そうなりまするにつきましても、現在におきまする立法措置が適法になされるということが、早急の問題でなかろうかと存じまするので、そういう方向に諸先生がたのお力を以ちまして、御進行をお願い申上げ、且つ解決に御協力をお願いいたしまするならば、非常に結構であると存じ上げます。
#89
○西田隆男君 私は宮澤先生にお尋ね申上げたいのですが、先生の証言の中に、最後に栗山君が言いましたように、憲法第二十九條に、法人税を軽減するという措置が伴わない限り、今提案されておる法律案は違反するのではないかという御意見の開陳がありました。私たちが立法府におりまして、法律をきめます場合に、しばしば第一番に憲法に抵触するかどうかということを考えなければならん責務を負つておる。従つて先生の御発言は、この法律案の審査の上において、非常に大きなフアクターになるものと思われます。学者の中でも違反しないという意見を持つておられるかたがあるように聞いておりますが、最後に先生の、第二十九條に違反するのではないかという程度の御意見の発表でありましたが、これは憲法第二十九條に違反しないというのではなくして、違反するのではないかという御意見は、憲法に抵触しておるというふうに解釈をしても差支えないかどうか。この点もう一遍先生の御意見をお願いいたします。もう少しはつきり……。
#90
○証人(宮澤俊義君) 私の意見が少しあいまいになりましたが、それはそれだけまあ問題が重要であるかうであるということもありますが、同時に私がそれだけ自信がないということであるとお考えになつても結構と思う。結局或いはそれだけ問題の重要性に鑑みて、愼重に発言したのだとお考えになつても結構だと思いますが、やはり究極においてここで断固宣言するだけの自信がなかつたのではないかという批評をいたされまするならば、それはその通りであるということは申上げなければならんと思いますが、私といたしましてはむしろ問題の重要性に鑑みて愼重の上にも愼重を期して発言したいと思いまして、申上げたつもりでございます。で、趣旨は繰返すまでもないと思いますが、要するに地方公共団体の財政を補填するということが必要であるとしました場合に、どういう方法でやるかということがいろいろ考えられますが、その際に單に曽つて統合に際して出資又は譲渡したというだけの理由で、而もそのときは一応決済が済んでおると思いますが、まあその点についてもいろいろ反対論があるようでありますが、私はそう考えておりますが、それだけの理由でその一事業者にそういう特別の責任を課するということは、これはただ或る特定の人に公の負担を課するということになるわけで、やはり憲法上許されないのではないか。財産権を侵害する場合にはそれぞれ相当な理由があるわけでありまして、或いは租税であるとかその他の公の負担がございますが、それぞれ何らか憲法上根拠があるわけでありますが、只今のような場合ですと、何らの法人税の軽減或いはその他のこれに相当する方策を伴わない限りは、どうも一事業者に或る特定の公共団体の財政の不足を補填させる義務を課する根拠は、憲法上見出すことがむずかしいのではないかと、こういう意味であります。
#91
○小松正雄君 私は電力会社のほうに一、二お尋ねしたいと思いますが、若しこの法案が原案通り成立する場合に、公納金を納められるというお考えがあるのかどうか、その公納金を完納する場合に、その財源は何を以て充てるというお考えであるかをお尋ねいたします。
#92
○証人(高井亮太郎君) 私どもは、この法案がこの通り得るとは思つておらないのであります。(笑声)
#93
○小松正雄君 若し通つたら……。
#94
○証人(高井亮太郎君) 従つて、通り得るということは現在においては考えられません。
#95
○小松正雄君 若し通つたということを仮定したら、どう考えられるか、公納金を納められるか。
#96
○証人(高井亮太郎君) それは納めるか納めないか、或いは更に研究をいたしまして不当なる義務の強制であるということで飽くまで争いまするか、その辺は電気事業者といたしまして経営者会議を開きまして、一個人の意見でなくてもつと愼重を期さなければならないのです。大体が仮定に基く御質問でありまして、ちよつとはつきり申上げかねるというのが答えであります。
#97
○委員長(竹中七郎君) これを以ちまして本日の証人喚問を終ります。終りに臨みまして証人各位に御挨拶申上げます。本日は御多忙のところ長時間に亘りまして御出席下さいまして、当委員会のために熱心なる御発言を頂きましたことを深く、厚くお礼を申上げます。本日はこの程度にて散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#98
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないと認めます。ではこれを以ちまして散会いたします。
   午後四時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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